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加藤(万)
委員 大蔵大臣ね、
総理ね、この地方財政が健全化の方向に向かっているという議論は、実は相当皆さん避けてきた議論なんです。なぜ避けてきたかというと、いやそれならばということで、例の補助金カットの問題以来、地方財政への負担転嫁という問題が起きるものですから、議論としては実は相当避けてきた
課題なんです。
しかし、先ほど申し上げましたように、
平成二年度で交付税特会の借入金の返還金とかあるいは財源特例債の積立基金とか、こう見てまいりますと、交付税特会の借入金は一兆五千億前後ですから、これは十年間で返すということになっていますが、やろうと思えば来年できるのですよ。それから、財政特例債の理論的な残額ですが、これは三千三百億ぐらい、これもやろうと思えば
平成三年度でできるでしょうね。そうすると、一方の財政需要額が拡大をしませんと、さてこの金が余ったけれどもどうするんだという議論が出ざるを得ないのです。これは、今のままの財政需要額でいけば、
平成四年度には産まれてくる
可能性があるのですね。恐らく
平成三年度、来年度の
予算では相当議論になるところでしょう。
それで、この事例があったのは、御
案内のように今から二十年近く前になりますが、昭和四十年代の
日本の好況に支えられた時分、地方財政が余裕金が出るが、その際にこの余裕金をどう扱うべきかという議論がありまして、当時の
大蔵大臣福田さんと自治
大臣との間で四十四年の一月の六日、覚書を結んだという経過があるのですね。このときには、この余裕財源をどこにどうするかということは自治、大蔵両省で検討しようということになっているのです。しかし、その検討しようという背景には、率直に言って、自治省と大蔵省との綱引きがございまして、どちらかといえば少し大蔵省向きに、例えばこの余裕金を交付税特会なら特会に積み立てておいて地方団体が必要なときに云々、こういう趣もなきにしもあらずであったのです。
さて、
平成三年度以降の財源は、先ほど私は、
日米構造協議におけるその裏負担を地方は必ずせざるを得ないのですよということを申し上げましたが、そのことなどを考えてまいりますと、例えば公園用地、どうですかね。議論がありましたように、いわゆる土地取得というのが先行しなければ公園の整備はできないわけですね。したがって私は、公園の
事業費を拡大しなさいということを
経済企画庁を中心にして
策定した場合に、土地取得費をどこでつくってくれるのですか、いやそれは地方財政
計画に盛りますよ、地方財政
計画に盛ったらば余裕金を、交付税特別会計にありますからそこからカウントして交付税にリンクさせますよ、カウントさせますよというだけでは、地方自治体が意欲的な仕事はできないのですね。そうでなくて、地方自治体にその財源がありますから先行土地取得をしましょう、それによって住宅
計画とか公園設備
計画とか、そういうものを先に用地を確保していく。あとは上の上物だけですから、ないしは用地費以外のものですから、今の
状況から見れば
投資額はそう多くはならないですね。こう考えてまいりますと、余裕金をどちらにどう持つかということは、これからの、
大蔵大臣の言葉をかりて言えば、
社会資本整備に必要な
国民のニーズにこたえる面からいっても、地方団体に置くことが結果的にそのニーズに沿い得られる
状況を地方団体に与えるのではないか。
先ほど
日米構造協議で、私は、地方団体には不安と関心と時には恐怖がある、こう言ったのです。恐怖という意味は、五十年代の例の財源特例債が物すごくかさんじゃって、今日でも地方団体はまだ借金が六十七兆円あるわけですから。この借金は、地方団体がそれぞれ建設
投資費でつくったものもありましょう。しかし、あのカット分によって
事業計画を伸ばされて、その結果
調整債を発行せざるを得ない、
調整債を発行した額が六十七兆円。補助率をカットさせておいて、そのカット分は財源を与えるからその分だけ
事業量を伸ばせと言ったのですから。
事業量を伸ばす金がないものですから、
調整債でこれを埋めたわけですね。そういうものを含めてまだ六十七兆円の借金があるわけです。そういう苦い経験の中で
社会資本投下を拡大しなさいというならば、それではこれから起きるだろう余裕財源というものは地方団体に任せてくれませんか、こう出てくるのは当然だと思うのですよ。
またいま
一つ、
総理、これは私は大事だと思うのですが、
国民のニーズが、
日米間の
構造協議の
投資的経費、なかんずく
社会資本整備の中で住宅であるとか公園であるとか環境であるとか下水道であるとかそこにある、そのことを
国民が知ったときには、ある意味じゃ歓迎しますよね。歓迎して、そのことができないのはどこなんだ、
政府だ、こう言ったって、住民から見れば、そこにあるのは県庁であり市役所ですから、あなたたちがやらないのじゃないか。私は、その
国民の
期待にこたえる窓口が地方団体であればあるほど、そこに財政的な、ある意味で言ったら余裕といいましょうか、ある意味で言ったらこの
投資計画に沿い得る弾力性を持った財政運用ができる構造というものが必要だと思うのですね。
自治
大臣、ここはもう政治論議だからおわかりになったと思うのですが、どうでしょう。今年度はいわゆる借金の返済に充てましたから、財政需要額に比べて余った分はそれにつぎ込みましたからいいですが、
平成三年度は今度はないですよ。いわゆる財政需要額が、まだ特会の借り入れが一兆五千億ありますから、それを返済すると言えば、あれは十年
計画で返すことになっていますから、それを単年度で返すということですから、それは財政需要になりますよ。しかし、十年
計画で返すということを前提に置けば、今度はもう、来年度は自治省は攻め上げられますよ。私はさっきの財政
局長の
答弁はちょっと不満なんですよ。あんなスタンスではだめですよ。自治省はもっと毅然と、おれの方に欲しいのだ、そう言った方がいいですよ。でないと、本当の意味でも、
日米構造協議を地方団体におろす面でも、あるいは地方団体が今請われている
国民的なニーズを充足する面でも、財政的に弾力的な運用はできませんよ。どっちに置いたらいいか、まず自治
大臣の見解を聞きましょう。