○
草川委員 じゃ、話題を変えて農業問題に入ります。
私がきょう農業問題、特に国際化の中での全農のあり方という問題提起をする基本的な第一歩は、農家子弟の新規学卒者の動向が、昭和三十八年時代は後継ぎをしようという農家子弟が約九万人いたんですね。ところが、
平成元年になりますと二千百人しかいない。やがて二千人を割ろうとしておる。一体
日本の農業はこういうことでいいのだろうかというのがそもそもの発想であります。
それで、農業白書が出ましたけれ
ども、農業白書も随分厚いものでありますけれ
ども、やる気のある農業者たちを育てていく、農業の新しい芽がたくましく生育する環境を考えることが必要だ、こういうようなことも言っておりますし、
日本の農作物が輸入農作物に対抗するためにはやはり生産性を高め、コストを下げることが緊急課題だ、同時に品質の向上や安定供給も欠かせない、いろいろなことを言っておるわけでございます。
実はある農協の、これは単位農協でありますけれ
ども、二千人から三千人の単位農協の組合長が私に、良質米奨励金をもらっておるんだけれ
ども、良質米奨励金に全農の手数料がかかっているんじゃないかという
質問があったんです。私は、これは大変だというので、そんなばかなことはないよと言って調べて、裏
日本のいろいろな米どころの農協もお伺いをいたしてきました。単位農協といっても三千人ぐらいの農協なんです。一晩かかっても良質米奨励金に全農の手数料がかかっているかどうか明快な
答弁がないんですよ。仕方がないので翌日、県の経済連へ行こうやと言って経済連へその組合長と行ったんですよ。県の経済連の
部長と話を二時間したんです。いや多分かかってないと思うんだけれ
どもと言ったから、いや建て値の中に良質米奨励金が入っておるじゃないかと言ったら、うーんとこう言うわけですよ。一時間ぐらい話して、最後に係長を呼んできたら、係長が、実は全農の手数料〇・四は入ってない、こう言うわけです。そこで一日半かかったんです。
それで、一体どういうように引き算があるんだ、良質米奨励金から天引きなんかできぬことになっているんじゃないかと言ったら、いや実はいろいろな規則があって、引いてもいいんだ、良質米奨励金の交付要領なんかがあって、いろいろな前払いをした場合には後で精算することができる、ただし本人の了解が要るんだよというようなことが一日半かかってわかった。それで、一体どれだけ引かれておるんだと言ったら、ここにあるのでございますけれ
ども、何と驚くなかれ、控除金は全部で三十三項目引かれるんですよ。これは私自身は百姓でも農家でもありませんからあれですけれ
ども、三十三も引かれちゃお百姓さんはわからぬでしょう。青年労働者、青年がこんな数字を見て、おやじ、農協から幾らもらったんだと言ったら、何かわからぬけれ
ども、これだけ引かれるとこれしかない、これだったら跡継ぎなんかできませんよ。だから私は、概念的に言うならば、夫婦そろって一年間の収入は一千万ぐらいあるんだよと言えば、若い青年は農家の跡継ぎになりますよ。だから私の原則は、安い米であろうとおいしい米であらうと我々は手に入れることは大歓迎だけれ
ども、大根つくる人、菜っぱつくる人がいなくなるのは困るというのが私のスタンスなんです。
そういう立場から、私はずっと歩いてきた結論をちょっと申し上げますと、何といっても全農が悪いと思うんです、全農が。
全国連の体質というのは実に悪い。
全国連の売り上げというのは今年間六兆円。日商岩井に近い。日商岩井はちょっと差がありますけれ
ども、兼松江商とほぼ同じですよ。これで一体末端の農家が六兆円の規模の組織に対してああやってくれ、こうやってくれと言えますか。安い肥料が買いたい、安い段ボールが買いたいということを言えるわけがない。そして、農協の経理については今から申し上げますけれ
ども、まず第一に私が申し上げたいのは、具体的な事例で言うと段ボールからいきます。
お百姓さんは菜っぱをつくる、大根をつくる。段ボールへ入れます。単位農協は安い段ボールを買いたいでしょう。買えると思いますか。総理大臣、買えると思いますか。買えないんですよ、安い段ボールを。事実、私の選挙区にはたくさんの段ボール会社がありますから、おい、安い段ボールをあの農協が欲しがっているから一緒に行ってくれというので、私行ったことがある。そうしたら単位農協の専務さんがおっしゃるには、
草川さん、あなた素人ですね、私も安い段ボールが欲しいんだ、しかし買えないのです。なぜか。県の経済連へ言ってくれ。県の経済連へ言ったら全農に言ってくれ。全農は、御存じのとおり段ボールの委託加工をやっているわけですよ。たくさんの段ボール会社があるんだけれ
ども、段ボールなんというのは私どこでも同じだと思うんですよ、言っちゃ悪いですが、今は通産省がきちっと規格をつくって、JISという規格があるんだから。
ところが農協に言わしてみると、いや、だめなんだ、荷物を積んだときにつぶれるかもわからないから、我々が一々きちっとした規格の指定をしなければだめだと言って、まず全農が認めた材料をメーカーから段ボール会社に全農が売るわけですよ。そこでマージンを取るわけです。それで段ボール会社がその段ボールを使ってこういう何というのですか、ライナーというのですけれ
ども原紙をつくって、それを中小企業の段ボール屋さんが中しんを入れて、それで加工をするわけです。それをまた経済連へ卸し、マージンを取って、ダブルでマージンを取って、そして県から単位農協にそれがおりてきて、マークをつけて、大根であろうリンゴであろう、いろいろな野菜を売るわけです。だから、単位農協では幾ら安い段ボ!ルがあっても買えないわけです。だけれ
どもお百姓さんは買いたいわけですから、買おうとするわけです。当たり前でしょう。
そのときに、ことしの一月十一日に
公正取引委員会が公取違反だということを言ったわけですが、こういう例がありました。全農が指定メーカーに対し段ボール箱を直接農協や出荷組合に販売しないよう指示した件、こういうものがある。全農は、何々段ボール会社はこの県しか売っちゃいかぬよという指定をするわけです。
全国売っちゃいかぬ、こういうわけですから、その県しか売れないわけです。よその県で売ろうとすると、ばんと怒られるわけですよ。原紙の支給をとめられるというようなこともあるわけです。よその県に売ろうとすると、全農がそのメーカーに原紙を搬入させないわけですよ。だから公取がけしからぬ、こう言ったわけです。あるいは指定メーカーでない者も、農協なんか勘弁してくれ、私は自分で段ボールをつくるという会社はたくさんあります。その会社がどこかの農協に、これは安いから
売ってくれと言って買おうというと、それもだめだ、こう言うわけです。それも公取は公取違反だ、こう一月に言ったわけですよ。
しかも、中にはしっかりとした単位農協の組合長がいるから、よしわかった、全農なんかほっておいて、私と段ボール会社と話し合いをして段ボールやろうや。どこかで板紙だけ買ってきて、うちだけで、あなたの農協だけで買ってくれよ、やろう、こういうわけです。そうすると、そのメーカーにこの原紙を提供している親元のメーカー、そのメーカーに、おまえ、けしからぬじゃないか、なぜあのアウトサイダーの段ボール会社にこの段ボールの原紙を支給するのか、こう言って怒るわけです。それもけしからぬと公取が言ったわけですよ。
さらにもっとひどいのは、そういうことをおいておいて今度は農協が、まあ何だかんだ言うけれ
ども中にはへそ曲がりの段ボール屋がいて、その単位農協に売るわけですよ。これでひとつミカンの箱をよそより安いからやりなさいと言って強引にやらせると、周辺の単位農協は怒るわけでしょう。あの農協だけ安い段ボールを買えるじゃないか、私のところは買えぬじゃないかと言って県の経済連に文句を言うわけです。県の経済連は全農に文句を言うと、全農はどういうことをやるかというと、市場調整金という金を、つかみ金をその周辺の農協に渡すわけです。周辺に、おい、ちょっとおまえ文句を言うなよ、隣の農協は安い段ボールを買っているから、おまえさんは高いから、高い差額分だけは市場調整金だといって全農がくれるのですよ。
その全農が払うところの市場調整金は、全農の自分の懐から払えばいいですよ。そうではなくて、今度は段ボールメーカーを呼んで、おまえら、こういうアウトサイダーがいるから、けしからぬから、おまえさんたち市場調整金を負担をしろ、こうやるわけですよ。アウトサイダーが安い材料を売るからそこの農協だけはもう得をする、周辺が迷惑をするから迷惑料を自分の懐から全農が払うというならまだいざ知らず、その市場調整金を親会社に、おまえら、仲間がだらしがないから、変なことをやるから、乱すから少しよこせ、こうやるわけです。ということを
公正取引委員会は一月の十一日に不公正なやり方だというので処置をしたと思うのですが、私の言っていることがいいかどうか、公敗の
委員長からお答えを願いたい、こう思います。