○富塚三夫君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表して、ただいま
議題となりました
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に対して、
総理並びに
関係大臣に御質問いたします。
私は、今から十五年前、当時三木
内閣の官房副長官であった海部さんとは激しくやり合った仲ですが、今や海部さんは押しも押されぬ天下の
総理大臣として国内外を東奔西走し、相変わらず弁舌さわやかに頑張っておられる姿を拝見して、心から敬意を表します。本日また
海部総理に御質問をさせていただく機会を得たことをうれしく思います。(
拍手)
総理、
租税特別措置法の一部改正案は、単に、日切れとなる
法律の延長と、現在求められている
政策的課題について
租税上の
措置を
法律的に決めるというものでなく、私は、基本的に日本の
政治が今問われている
生活重視の課題と
国民の公平な税
負担の
あり方について
政府はどのような検討を進めていこうとするのか、また、
国民が期待をしている不公平税制の是正をどのような手順で進めようとしているのかについて明確にすべきだと思います。
私は、先日、第一次
海部内閣で登用され、初の民間人女性大臣であった高原前経済企画庁長官の、
生活重視へ男は発想の転換をすべきであるというある新聞での投稿記事を拝見いたしました。日本が国としては
世界で最高レベルの所得を得ながら、
国民が豊かさを感じない原因は、海外に比べて物価水準が高く、せっかくの収入も使いでがない。経企庁の昨年発表した「物価レポート」によると、東京の生計費の物価水準を一〇〇とすると、ニューヨークでは七二・八、ハンブルグでは六八、また日本の物価は米国や西独に比べて一・三倍から一・四倍高い、さらに地価高騰により住宅や
社会資本整備がおくれていること、労働時間が長く、自由時間が不十分なことなどを挙げています。そして高原さんは、だから今こそ真の豊かさを実現する時期であり、九〇年代の十年間こそ
生活重視へ男の考えも発想の転換をすべきであると述べ、このことを解散前の経済演説でできなかったことの無念さを訴えておられました。
総理、つい最近まであなたが登用された前高原経済企画庁長官は、
総理や
内閣の他の男性大臣を指して痛烈に批判したように思われますが、あなたはこの考え方をどのように評価されますか、お尋ねをいたしたいと思います。
私は、
政府・
自民党が強引に公約を無視して導入した
消費税は、こうした豊かさを感じさせない
国民生活の中にさらに拍車をかけ、物価を押し上げ、逆進性に対する不満、商人を泣かせる手続の問題が重なって、
国民の総反撃を受けたものと思っています。
そして、土地が高くて三十年間まじめに働いても我が家を持てないサラリーマン、働きバチと海外から指摘されて十数年たっても遅々として進まない労働時間短縮、大企業と
中小企業に働く人たちの労働条件の格差、加えて減反
政策の続行や農産物の自由化で日本の農業がだめになってしまうのではないかという懸念、まさに経済一流、
生活三流と言われるゆえんはそこにあると思います。
消費税導入の
国民からの不満や批判に対して、中身を見直すというだけでは、
国民の中の
生活格差を基本的に解決することにはなりません。
海部総理、
国民生活を重視し、豊かさを感じさせ、
生活の質を高める
政策を進めるために、まずあなたの決断によって
消費税を一たん凍結し、
国民の意見をじっくりと聞いて、与野党話し合いにより、公正な税
負担の
税制改革を新たな
観点に立って進めていく意思はないでしょうか。
総理は、恐らく、
高齢化社会を迎えて、また赤字体質の
財政を改善するために、財源をどう考えるかと反論されるでしょう。高原さんが言われるように、
景気は、多少不安な要因が出ているとはいえ、高原状態を続けており、現実に国の
自然増収もこのところ毎年数兆円近く出ており、高齢者割合の少ない現在こそ、その
改革を大胆に進めるべきであると考えますが、
総理、いかがでしょうか。
次に、不公平税制の是正の進め方について、
政府はどのような手順で是正していこうとしているのかについてお尋ねをいたします。
私も、過去数年間
政府税調の委員を経験したことがあります。いつも感じてきたことですが、
政府税調の答申が総論
賛成、各論
反対で一向に不公平税制の是正が進まなかったように思われます。
昨年末の
政府税調の答申でも、「国税における準備金、特別償却等の
租税特別
措置や地方税における非課税、課税標準の特例等の特別
措置については、累年にわたりその整理合理化が進められてきたが、これらの特別
措置は税
負担の公平その他の税制の基本原則をある程度犠牲にして設けられているものであり、創設後長期にわたるもの、
政策目的を達成したもの等を
中心に、更に徹底した整理合理化を推進すべきである。また、制度の創設及び拡充についても厳にこれを抑制すべきである。」と明記されています。
ところが、今回の改正でも、企業の特別
措置で廃止されるものは四件にすぎず、新たに輸入促進税制が設けられ、なお八十二項目に上る特別
措置が存在していると言われています。
大蔵大臣、
政府はこの税調答申をどのように尊重し、どのような手だてで整理合理化していこうとなされますか。また、創設後長期にわたったもの、
政策目的を達成したものは幾つ残っており、今後どのような整理合理化を考えていらっしゃるのか。新たに設けられる特別
措置についてまたどのように考えておられるのか、明確な所見をお聞かせをいただきたいと思います。
さらに、不公平税制と見られるいわゆるキャピタルゲイン課税強化、土地税制の抜本的
改革、医師税制、みなし
法人税制の見直し、宗教法人などの公益法人への課税適正化、
法人税の
改革、利子配当課税の見直し、地方税の国税同様の見直しなど、我が党初め野党各党から提言をしている是正を、今後どのような手順で具体的に解決を図っていこうとしているのか、御答弁をいただきたいと思います。
次に、土地住宅税制について質問をいたします。
さきに述べたように、まじめに三十年働いても我が家を持てないサラリーマン、これは地価の高騰が全国的に波及し、それに伴って住宅取得難が出てきているものだと思います。本
法律案で土地住宅税制が大きな項目として提案されていますが、その内容は、基本的には従来の対策の継続であり、一見して新しい有効な対策と見ることができません。
地価高騰の原因は、これまで
国会でもさまざまな論議が進められてきましたが、重要なことは土地投機を抑えることであり、全国銀行の不動産業に対する土地関連融資に対する自粛要請に始まった大蔵省の指導は適切になされたのでしょうかどうか。リース、ファイナンス会社などノンバンクに及ぶ融資資金の行方について完全にチェックなされたのでしょうか。
政府指導の態度はどうもなまぬるいように思われるのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
政府は
日米構造協議の中でかなり踏み込んだ土地
政策を打ち出すと報道されています。土地利用の促進、土地供給の
観点から、どのような
政府の基本的態度を今後とろうとしているのか、また、具体的な施策についてお考えでおられることを、
総理、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
次に、輸入促進税ですが、初
年度六百五十億、平
年度八百七十億を見積もられておりますが、どの程度の輸入がふえるのか、お知らせをいただきたい。減税額が出ているのですから、具体的数字で、業種ごと、資本金別に、
総額を含めて明らかにしていただきたいと思います。
最後に、
海部総理にお尋ねをいたします。
来月早々
日米経済協議の中間
報告を出すため
総理は
関係省庁にハッパをかけていると聞いていますが、私は、
国民の側から見て
構造協議というものが非常にわかりにくい。アメリカ側は貿易障害を排除するための一つ一つの課題の具体的解決を求めているのですから、例えばスーパー三〇一条の適用は日本側にどういう影響を与えるのか、大規模小売店舗法の廃止や独占禁止法の強化が
国民生活にどう影響するのか、
政府と
関係業界の利害調整に重点を置くのでなく、消費者の立場に立って、かつて
消費税で盛んに
政府がPRされたように、積極的に、海部さんらしく虚心に問題点を明らかにされたらいかがでしょうか。
また、私は、
日米関係は重要であるだけに、グローバルな現在の国際秩序の中で、軍事協力や産業
関係に偏重した
日米基軸論について、全方位的国際外交
政策の
観点からどうお考えになっておられるのか、両国の将来
関係を従来の延長線として考えられておられるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
海部総理、あなたは、
自民党長期一党支配の弊害のツケを背負って政権を担当された現在、おごることなく、虚心坦懐に、うそをつかず、
国民本位の
政治改革や
生活重視の
政治を進めていただくよう期待をいたしまして、私の質問を終わります。どうぞよろしくお願いします。(
拍手)
〔
内閣総理大臣海部俊樹君
登壇〕