○小森
委員 あなた、たびたびで恐縮すると言われたら私の方が恐縮しそうになってくるんじゃけれども。
韓国大統領がこう話したということが日本の新聞に出ておって、それから外側から客観的にアメリカの方から見て、ワシントン・ポストも、たったこの間まで謝罪は論外じゃ論外じゃ言いおったけれども今回はすんなり謝罪をしたと、そしてかなりその言葉に対して好意を持っておるよね。せっかく諸外国が好意を持ってくれるのをこの
国会での
質問で、いやそれはどうも相手がとるのが勝手じゃ言わんばかりのことではちょっと信義が立たぬのじゃないですか。
憲法の前文の中にはどう書いておりますか。日本国民が平和を希求する態度というのは諸外国の公正と信義に信頼するのですよ。諸外国の公正と信義に信頼するから、その結果として日本国民の安全、生活というものが守れる、こういう意味のことが宣言されているのですよ。だから諸外国が、当事者の韓国の大統領も自分が来て直に聞いたことを帰って国民に報告しておる、太平洋を離れてかなり遠くのアメリカの方もそれを聞いて、こうじゃと言うておるのに、日本の
国会における議論ではそれはようわからぬのんじゃ、それからまた言うべきことでねえんじゃと。それじゃ、すかみたいな、幽霊みたいなことを大統領に言うて帰らしたんだ。ごまかした。私の方の備後弁で言うたら、えどかす、そういうことになるのですか、これは。やはり天皇をもてあそぶというたって、ほどがありますよ。国民の常識にかなった考え方で扱い、国民の常識にかのうた天皇の言動というものがあって初めて、天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、その他位は主権の存する国民の総意に基づく。私は投票したことはないけれども、まあそうかいなと私も思うよ。そうなっておる。
とにかく韓国大統領は、これは朝日新聞だけではなしにほかの新聞を見られてもわかると思うし、韓国で発行された新聞を見られてもわかると思うが、天皇からも謝罪をもらった、こう言っておることだけは肝に銘じておってください。そういうことがお互いに確認されて初めて国際関係というものはうまくいくのですよ。
私は、韓国の大統領の
国会演説を聞いて、それは感銘しましたよ。それは相当偉い学者もついて原稿をつくられたのかどうか知らぬけれども、
国会が用意をしてくれた、これはコピーをしたものじゃけれども、「変化する世界の中の新たな韓日関係」、日本
国会における演説の全文、これを読んで、私は立ち聞きしたから、イヤホンで聞かなかったから、これ大統領の発音とところどころ私も知った発音があるから、ああこの辺言いよるなということを思いながらずっとこれを目で追うていったのです。これは後ほどまた昼からの段階で、あなたとのやりとりが長くなったから、午前中にそこを
人権擁護局長や法務大臣と
質問をやりとりしようと思うたけれども、長うなったからこれは午後に譲らざるを得ぬけれども、非常に崇高な、抑えつけられた者の代表とすれば余り皮肉も言わず、非常に人間として感銘を受けるようなことを言うておられるわけよ。
あの
国会における演説の後あの人の所作をじっと見ておったが、気取らず、さりとて余りぺこぺこせず、実に素直なすばらしい態度だったと私は思いますよ。そして、世諭も
国会の演説を聞いて、あの人は大変哲学的なよいことを言っとったと言うておる、これは日本の国民にとっても非常にいいこと。そして、大統領も、日本の重立った人が、衆参両院議長も謝罪の気持ちを込めてあいさつしてくれた、内閣総理大臣もそれをやってくれた、天皇もそれをやってくれたということで喜んで帰っておる。これが日本と韓国との友好に成果があったということでしょう。
どう思いますか。この韓国大統領の言うたことで骨身にしみなければならぬことをいっぱい言うておるのですよ。「過ぎ去ったことは神でさえも変えることはできません。」後ほどまた
人権擁護局の方から、韓国の、つまり朝鮮半島の日本の国が植民地支配をしておった民衆に対してどういう仕打ちをしたかということをどういう認識をしておるか、事実を聞こうと思うのだけれども、その事実というものがはっきりしないと先ほど
警察がやったような仕打ちができてくるから事実を聞こうと思うのだけれども、「過ぎ去ったことは神でさえも変えることはできません。」だからそれを取り返そうということを言っているのじゃありませんという意味のことを言っているでしょう。「しかし歴史は現在のわれわれが過去をどう考え、どう
理解するかの問題です。」そうしたら、日韓のあれが非常に効果があったというなら、少しはこの人の言うことの気持ちも受けとめて、せっかく天皇があれだけのことを言われたんだから、しかも内閣が練りに練って言われたんだから、天皇を神格化せずに、今言うたのはもう完全に神格化しておるからそういうことになるのだからね、神格化せずに、物を素直に言われたらどうなんですか。とにかく本当に「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であるということ、しっかりとそういう
立場を守りたいならば、今答弁に終始されたようなことは改められた方がいいですよ。そうしなかったら国民統合の象徴にはなりませんよ。それだけのことをあなたに言うておきましょう。こういうこともまた機会があると思いますからね。国民もキツネにつままれたようなことになっていますよ。謝罪じゃない謝罪じゃないと言うているけれども、天皇の文章を読んだらこれは謝罪じゃないか。韓国の大統領も謝罪だと言うておるし、それからワシントン・ポストもこう言うておる。ワシントン・ポストは私はとっていないけれども、日本の新聞に出ておったから原文を取り寄せたのですよ。それで目を通してみたのです。じゃ、それはあなたにそういうことを私は強く提言したということにしておきましょう。
じゃ、昼までにもう五、六分ありますから、今の韓国のことに関係してちょっとお尋ねをします。
法務省は、広島の原爆被爆者の碑があの平和公園の外にあって、最近これまた反省の意を込めて
関係者はこれを平和公園の中に移転しようと、韓国の原爆被爆者だからと言ぅて公園の外へ出して、初めから我々とは関係がないというような、どうなとしなさいということじゃなしに、これを中に移そう、こういう動きがあることは御
承知だと思います。これも人間の平等、人は生まれながらにして自由であり平等というこの
人権の基本精神の問題がそこに横たわっているから私はお尋ねするのですが、現段階において法務省はどういうふうにこの事実をおつかみになっておられますか。