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清水(湛)
政府委員 お答え申し上げます。
法制審議会の答申と法案の食い違いでございますけれ
ども、大きく分けて申し上げますと二点ございます。
第一点は、
最低資本金の額でございます。
法制審議会の答申におきましては、この
法律改正法
施行後の
新設会社については、
株式会社は二千万円、
有限会社は五百万円ということでございました。そして既存
会社、既にもう
設立されておる
会社につきましては、
株式会社は一千万円、
有限会社は三百万円ということになっていたわけでございます。これが
法律案では、新設、既存を問わず、
株式会社は一千万円、
有限会社は三百万円となっております。
それから第二点は、いわゆる貸借対照表等の
計算書類を登記所に提出していただき、これを登記所で一般公開をする、俗に
計算書類の登記所公開というふうに私
ども呼んでいるわけでございますが、こういう
制度を採用せよ、これは
資本金三千万円以上の
会社を原則として、それ以上の
会社についてそういう
制度を適用するということでございましたが、これにつきましては全面的に見送りをするということになっているわけでございます。
最低資本金の金額につきましては、先ほ
ども御質問の中にもございましたように、
中小企業に負担をかけるというような面の御
指摘もあり、それからまた、既存
会社と
新設会社を二千万と一千万というふうに分けることについて必ずしも合理性はないのではないか、さしあたっては、既存
会社が圧倒的な数を占めるわけでありますから、その圧倒的な数が一千万円ということであれば、
新設会社についても一千万円ということでいいのではないかというような御
意見もございまして、
法制審議会としては、できるだけ高く設定したいという
観点から、
新設会社についてはせめて二千万という数字を出したわけでございますけれ
ども、そういうような
関係方面の御
意見もいろいろございまして、最終的に、新設、既存を問わず、
株式会社は一千万円、
有限会社は三百万円というふうにいたしたわけでございます。
次に、
計算書類の登記所における公開につきましては、
現行法上そもそもそういう貸借対照表等につきましては官報あるいは新聞に公告をしなければならないということになっているわけでござ
いますけれ
ども、これをしているのは全
株式会社中本当に一%か二%であるというような結果になっております。大部分の
株式会社はこれを履行していない、つまり現在の
商法の形骸化の最たるものである、こういうふうに言われているわけでございますが、そういうようなものにつきまして新聞、官報に公告するかわりに登記所に提出して登記所で公開をすることにしたらどうかというのが
法制審議会のお考えだったというふうに私
ども理解しているわけでございます。
しかしながら、このことにつきましては新聞、官報に公告するかわりに登記所ということであれば、それはそれなりに意味があるわけでございますが、現実には
計算書類の対外的な公開というのはやっていないという前提で考えますと、
中小企業等に特に新たに負担をかけることになる。業務の必要上税務署あるいは
金融機関にこういう
計算書類を提出するということはあるにいたしましても、登記所で一般の第三者が、
中小企業については貸借対照表だけでございますが、貸借対照表が見られるということの抵抗感というようなものもございまして、
計算書類の登記所公開はまだ時期尚早ではないかというような御
意見がございました。私
ども、現実に登記所公開の中心となる
中小企業についてこれを履行していただくためには、
中小企業の十分な理解を得た上で
法律を制定
施行する必要があるというふうに考えていたわけでございますが、どうも現状ではまだまだそのような理解が行き渡っていない、深まっていないという
状況であるというふうに認識した次第でございます。
そういうようなことから、
法制審議会の答申に盛り込まれていることではございますけれ
ども、今回の
改正案には盛り込むことを断念し、他日を期すということにいたした次第でございます。
今後とも
中小企業団体初め
関係方面の理解を深めまして、できるだけ早い機会にこういった
制度の
導入を図りたいと私
ども考えているところでございます。