○土肥
委員 しかし、一たん収集が始まりますと、相当な個人情報も蓄積されていくということをやはり感じるわけです。グリーンカードなど言うまでもないことでございますけれ
ども、いつも情報収集あるいは調査研究というようなことをいたしますときに、やはりどうしてもそういう面に踏み込まざるを得ないので、十分その点は配慮していただきたい。そして、そういうものが、つまりどこかで蓄積された
資料がどこでどういうふうに
管理されるのかというようなことも十分注意していただきたい、こういうふうに思うのでございます。
次に進みます。
実は、今回の
法案を見てまいりますと、生涯
学習を県におろす、そして、県においては、
都道府県においては県の
教育委員会あるいは
知事部局が担当する。そして
基本構想を県がつくり、その
基本構想に基づいて
特定の
地域を設定して、その
地域における生涯
学習の
振興を図るというふうな筋道になっております。
市町村に関しては、一番最後に十二条で「
市町村は、生涯
学習の
振興に資するため、
関係機関及び
関係団体等との
連携協力体制の
整備に努めるものとする。」要するに、
連携協力体制だけでよろしいというふうに感じるわけです。
私は、この生涯
学習の
法案を見ますときに、コミュニティーと申しましょうか、これは
行政単位だけを言うのではございません。まさに
地域が
行政単位を超えることもあるわけでありますけれ
ども、コミュニティーというものをどう見るかということについてであります。
文部省の視点からいうならば、いわば
教育、文化、スポーツ等々になりましょうけれ
ども、受ける市民の側からいえば、自分の
学習意欲に応じてさまざまな
教育サービスを受けたい、利用したいということになるわけです。
しかし、実はそんな悠長なコミュニティー状況ではない。どういうことかといいますと、
高齢化社会ということ、超
高齢化社会ということです。もう既に、
日本の農村地帯と言ったら語弊がありますが、一万五千人から三万人ぐらいの町でもお年寄りの数が二〇%を超えた超
高齢化社会、既に二五%、三〇%というようなところもあるわけです。そういう超
高齢化社会が進行している、これは都市部においてもそうですけれ
ども、そういう状況のもとで生涯
教育は何かということを考えますときに、絶対に忘れてはならないのは福祉的な視点に立った生涯
教育ということでございます。
文化、スポーツというのはやらなくても命にかかわるわけではありません。しかし、お年寄りを現実に抱えて、そのお年寄りの面倒を一生懸命見ているような御婦人方や家庭状況を見ながら、今度の生涯
学習プログラムによってこんな町には絶対来ないようないいお芝居が来たから見ましょうといっても、ではその夫婦が家をあける間、だれが面倒見るかということもありまして、この福祉的な視点というものを見失いますと、そんな文化的なことを言っていられない状況というものが必ず生じてくる。そして、
高齢化社会というのはお年寄りの問題だけではなくて、それを面倒見る家庭なり市民なり、要するに元気な人がどこまでお年寄りを見ることができるか、看護することができるかという問題、これは非常に深刻な問題なのです。
そういう
意味で、実はきょう、厚生省の方が来ておられますけれ
ども、今国会で八本の
法案が出ておりますが、老人福祉法等の一部を改正する
法律案というのが出ております。これを見ますと、例えば老人福祉計画というのがございまして、その計画も実際上の仕事も全部
市町村におろすわけです。そして従来国が持っておりました措置権、例えば
施設に、老人ホームに人を入れるか入れないかというような措置権についても
市町村の
団体委任
事務とするということになるわけですね。それから、指定法人を定めましていろいろな長寿
社会の開発プログラムを
提供しているわけです。
市町村に全面的に
地域福祉の
責任を持ってもらう、大英断だと私は思うのでありますが、その
法文を見るにつけ、今度
文部省の出しました生涯
学習というようなことは、恐らく
基本構想にしてもあるいは
地域指定を受けても、小さな村はよう受けぬだろう。だから、広域
行政的に県に
一つとか二つとか三つとかということで地区を指定するような
程度ではないだろうか。
先ほど
佐藤先生もおっしゃっておりましたけれ
ども、過疎地の文化対策、文化
行政なんというものは全く行われないんじゃないかというようなことを考えますときに、きょう厚生省からおいでになっておられる方にお聞きいたしますが、老人福祉計画で
市町村に措置権から
地域福祉、在宅福祉の面倒までおろしていかれたわけですけれ
ども、その辺の状況をちょっとお話ししていただけませんでしょうか。