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薮仲委員 私は、小学校、
中学校、高校、やはりこれは、きょうはそこまでは踏み込みませんけれ
ども、
学校教育の中に解決あるいは改善しなければならない問題が数多くあろうかと思うのです。どうかこういう
子供たちが、今回のこの生涯
学習という中で人生に再挑戦して明るい将来を築いていただきたい。そのためにも現状の問題をよく解析をして、その解決に真剣に取り組んでいただきたいということを
お願いをいたしておきます。
時間の
関係で次の問題に移りたいのですが、今英語のお話をさせていただいたのですが、いわゆる生涯
学習というときに、私は広く海外を体験する、いわゆるホームステイとか留学とか、小さいうちにいろいろそういう世界を、異
文化を、
生活慣習を学んでくることは、将来の
日本人、国際人として非常に必要であり、大事なことだと思うのです。
ただ、私はこの問題を六十三年から外務
委員会で何回か取り上げてまいりました。というのは、私のところに
一つの相談事がありました。七月のときでございます。日曜日にお母さんから、自分の娘がロスへホームステイで行っているのだけれ
ども、連絡がとれない、困った。日曜日ですから官庁は全部連絡がとれません。お母さんはもう本当に心臓がつぶれるほど悩んだのです。なぜ通じなかったか。それは旅行会社から来ている、このようにホストファミリー決定のお知らせという一枚のペーパーがあるわけです。これの電話番号が五一七〇というのと五一〇七と一番狂っていたのです。このミスプリントで娘の行っているホームステイ先に電話が通じない。それを旅行業者の方へ言えば、勝手に電話をするなと言って怒られる。あるいは一日七千人から行っているのだからと言ってけんもほろろに対応されて、私のところにこの改善を申し入れてきたのから端を発したわけです。私もいろいろな方の御意見を伺っておるわけでございますが、この例として一人のお手紙を読んでみます。
娘がホームステイにアメリカに行き、いろいろと
考えさせられるところが多くありました。ホームステイは、これは旅行業者の名前が出ていますけれ
ども、名誉のために読み上げませんが、旅行業者以外は種々あるのですが、旅行会社として信頼も高いと思い参加させたのですが、現地に着いて先方の受け入れ
団体が全面的に行うから
日本側から何も言うこともできないと言われました。食事は先方が出してくれたのは一、二回。家族と一緒に、最初の
説明では、英語を勉強して、日曜日にはいろいろなプログラムを組んで家族と一緒に行けますよ、ホストファーザーとホストマザーと一緒に行けますよ、こういう
説明であったのに、一緒にどこに行くなどという計画は立ててくれない。
そのことをチームリーダーに話したところ、調査もしないでそれはわがままだ、そのようなことを言うなら強制退去させると言われて、知らない他国でこれ以上言うこともできず娘は黙り込んでしまった。ホームステイは旅行業者を信頼して行くのに、現地の調査は先方任せ、特別に口出しは余りできないと言います。受け入れ家族がボランティアだという
言葉を使いますが、その実態についていろいろ書いてあるのですけれ
ども、本当にこれがボランティアでしょうか。ボランティアだから文句を言わないようにと言いますが、ロサンゼルスの費用が、これ金額出ています。決して私はこの金額を見て安いとは思わないのですね。普通の旅行と全く変わりません。
日本では自分の家が食べるのに困っている家ではボランティアと言って他国の人、他人をお世話することは余り
考えられません。ホームステイを終わって帰るときに次の
日本の子供が入るようになっていたようです。どちらかというと、
生活に困っている人がそのようなことをやっているのではないか、このようにボランティアという
言葉の中に何もかも押し込んでしまう気がします。この子は、行った家庭がお母さんと子供二人なんですよ。お母さんが働きに行った後は小さな男の子といたわけですけれ
ども、また、夜になるとお姉さんのお友達がごろごろごろと寝てしまうのです。そういうことで怖がってうちへ電話がかかってきたそうです。いわゆるミスマッチだからホストファミリーをかえてほしいというところに問題があったのです。
ところが、ここでトラブったわけですけれ
ども、旅行業者として先方の家庭環境を責任を持って調べてほしい、ここでまあ麻薬とかマリファナとかエイズとか犯罪歴とかいろいろあるので、親とすれば旅行業者を信頼して行くのです。ですから、ホストファミリーについてきちんとした調査をして、安心して自分の子供を行かせてやってほしい、こういうことでずっときたわけです。
私が
国会で取り上げたのを知って、いわゆるホームステイ被害者の会というところからもお手紙をちょうだいいたして、困ったことだなと思って先般も中山外務
大臣に改善方を
お願いしたのです。
外務省は、これは非常に真剣に領事移住部の
方々は取り組んでいらっしゃるのです。何とかしなければいかぬなと。これはやはりしっかりホームステイについてはやろうということで、今日まで協議をして、その衝に当たっているのは運輸省ですから、運輸省にも私は何回も是正方を
お願いしました。運輸省も、旅行会社の
方々と話し合って、ここにある「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」ということで出したのです。
一方的にきょうは申し上げて恐縮でございますが、この中でホームステイというのはどういうことかというところから始まって、いろいろなことが書いてあるのです。ホストファミリーについてはどうだ、事前のオリエンテーションはどうするか等々書いてあるのです。
きょうも私、これから夏休みのまたこういうパンフレットが出て
子供たちが行くわけです。悲しい思いをさせたくないということで、これはやはり
大臣にも心にとどめておいていただいて、私は決してこのホームステイそのものが悪いということを言っているわけではありません。
文部省がやっていらっしゃる
日本国際
生活体験協会、これはきちんとした一年前からプログラムを決めてやっておりますから、ホストファミリーとの文通もやっています。そして、写真のやりとりもして、行く前に相手の家族環境やなんかもわかった上で行く。しかも行く前に英語のいわゆる語学力についてもしかるべくその調査もしているでしょうし、あるいはその現地のグループの
中心者は中学、高校の英語の教師というふうにすべてやっているわけです。
しかもオリエンテーションは、単にこちらから行く
子供たちのオリエンテーションだけではなくて、ホストファミリーのオリエンテーションもやって、受け入れ側もそれなりのホストファミリーについて自覚をして双方でやるという
体制でございますと、これは
文部省の御
説明をいただいております。
事実数千名の方が行っていらっしゃるようですが、私はそれはいいことだな、ただ、旅行業者がおやりになるときに一番懸念いたしますのは、相手側のいわゆるホストファミリーについて、運輸省が幾ら言っても現実は解決できないのではないか。今のままでことしの夏休みに事故が起きないように、やはりこれはかわいい
子供たちを預かる
文部省としても、海外のホームステイについては意識を持っていただきたい、そういう
意味で私この問題を取り上げておるわけでございます。
時間の
関係でこちらで問題を申し上げますから、後で運輸省もお見えでしょうからお伺いいたしますが、このガイドラインの中で私が一番大事だというのはまずホームステイの意義です。ホームステイというのは何なのだ、観光旅行とは違うのですよ、物見遊山ではないのですよ。相手の家庭に入ってその字のとおり家族の一員として
生活をするという、向こうの
生活慣習の中で、向こうの
文化の中で生きなければならないということをしっかりのみ込んで行かなければならない。
しかし、ではそのオリエンテーションはどうだ、ホストファミリーとのコミュニケーションはどうだと運輸省は
指導した結果、ホストファミリーとの間で事前のコミュニケーションが行われるよう、一定期間前にその連絡をとり合うようにしなければいけない、そしてホストファミリーについてもしっかりと、独自で調査するのではなくして、現地の信用調査会社に依頼して、どういう
団体が主催するホストファミリーなのかしっかりしなさいよと書いてある。しかもこのガイドラインには、出発日の一定期日前にホストファミリーの
情報を通知しなさい。さらには、ホストファミリー決定を参加者に通知する段階で、写真の交換、文通を勧めるなど、事前に参加者とホストファミリーとの間の連絡を密にしなさい、こう書いてあるのです。これが運輸省のガイドラインですよと、こう書いてあるのです。
ところが私が心配するのは、現実にこうやって大手の旅行業者がこれは計画しているプログラムです。読みます。「ホストファミリー名の通知が出発直前になることがあります。」「ホストファミリーが直前またはアメリカ到着時に、家庭の都合で変更になることがあります。」これは何かというと、「参加にあたってこれだけは必ずご了解下さい」という中に書いてあるのです。
しかも、「受け入れ家庭の事情により、ホームステイの途中でホストファミリーがかわることがあります。」「受け入れ
機関よりの指示及び国情により、決定されたホストファミリーは、宗教、人種、職業、家族構成等の
理由により、変更、取消しは出来ません。」「ホストファミリーの都合で食事は自分でつくったり、買ったりして食べる場合もあります。」「参加者がグループリーダーの指示に従わない場合、また病気・事故等で必要と認められた時は、プログラム中であっても帰国させることがあります。この場合、帰国費用は一切本人負担となります。」「単独行動等はグループリーダーの許可がない限り認められません。」「プログラム期間中、参加者が病気・傷害等の
理由で医師の診断、治療が必要と認められる場合は、参加者本人が不同意であってもその措置をとることがあります。その診断、治療にかかわる金銭、また、その措置の結果に対して責任を負うものではありません。」
こんな人権無視なことが児童憲章に照らしても許されるのか。しかも、小さな子供が行って、どういううちに行くのかわかりません。英語を習いたいといったって、ホストファミリーが英語をやっている家庭かどうかわかりません。あるいは私にその問題を言ってきたのは、ホストファミリーが言われたのはロスの空港へ着いてバスの中でチームリーダーから、あなたの行くうちはこういうことですと渡されているのです。オリエンテーションは
全国から集まってわずか数時間しかやらないのです。これで本当の海外へホームステイする気構えや――あるいは英語の語学力は問いません。
日常の会話で結構です。こうなっているのです。
ホームステイというのはそんな
日常のただ単なるあいさつだけでできるようなプログラムではないと私は思うのです。こういう問題を
文部省としてしっかりと関心を持って、きょう
外務省は
外務省で
関係の皆様にお集まりいただいて打ち合わせをいたします、実りあるホームステイをやりたいということで
外務省おやりになるようですが、夏休みを前にして、これは
文部大臣として
外務省、それから運輸省等々どういう実態になっているかよく調べて、ホストファミリーについてきちんとすること。それからまた、チームリーダーや事故のあったときのバックアップシステムをきちんとしてあげないと、子供が再び立ち上がれなくなるのです。私に相談した女性の方は、もうそれからは一切この問題に触れないでくれと言って会おうとしません。ですから、傷ついたことから立ち上がらせることは非常に難しい。
しかも、今法務省の海外への出国の数を見ますと、大体ゼロ歳から十九歳まで六十四万四千人行くのです。いろいろな形ですけれ
ども、中身はわかりません。また二十歳から二十四歳を加えますとこれは七十八万あるのです。二十四歳まででざっと百三、四十万の方が毎年海外へ
日本の国から出ているわけです。その中でいろいろなグループのホームステイがあるわけですが、特に私はホームステイが悪いと言ってはおらぬのですが、やはり子供を危険な場にさらさないように
文部省としてもきちんと対応を
考えていただきたいと思うし、関心を持っていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。