○小森
委員 そこで、大臣の前向きな態度については私も了といたしますので、単に審議するというだけでなくて、それがある程度世論に直ちにこたえるような
物価対策に対する
一つの具体的な効果の上がるような、あえて言うならば、言葉は下手ですけれども実行機関、物事を実際に推進して
いく、
国民世論を喚起するというような方向に発展をさしていただくことを私は強く願います。
それからもう
一つは、その際は
生活の苦しみの実感を持った者を、バラエティーを持たしてそういう中に包含をしていただければさらに効果が上がるのではないか、こういうように思うわけでございます。これはぜひそういうふうになるようにひとつ御尽力をお願いをしておく次第でございます。
そこで、そういう問題と関係をいたしますが、今度の中間
報告によりますと、私は非常に歓迎すべき問題が
一つある。それは何かといいますと、審議会がどうも恣意的ではないかという向こうさん、
アメリカ側の方の指摘がどの
項目に基づいてあったかはちょっと覚えておりませんが、二百
項目もありますからよく覚えておりませんけれども、そういう指摘があるのに対して答えたのだと思います。「
政府慣行」とかあるいは「
行政指導」ということに続いて、審議会をどういうふうにするかということについて「
政府が主催する「産業界に関連する審議会や
研究会」の成果は、一般に公表すること。」「「審議会等」の構成については、議事内容が
消費者利益に関連する場合には
消費者利益を効果的に反映する者をメンバーとすること。」これが直ちに今の
物価の問題ではないと思いますけれども、しかし、そういう
考え方というのは非常に大事でありますので、念を押すようですけれども、ぜひ私の先ほどの要請に対しまして御尽力を賜りたいと思います。
さて、いろいろここにほかの省庁にも出席をしてもらったのですけれども、ついセメントのことで少し時間をとり過ぎて時間がなくなってきておるのでありますが、したがって、締めくくり的なことを申し上げざるを得なくなってまいりました。
結局私が先ほどの審議会のことに関係をして何度も強い要請を申し上げておりますのは、つい先般の、つい先般といいましても六月八日の朝日新聞の「天声人語」に、これは古い話だろうと思うのですけれども、しかし、古いといっても十年も二十年も昔の話ではなくしてここ数年の話だと思うのでありますが、農水省のある
課長が財団法人の
理事をどなりつけたということが出ておりまして、そのセリフはどういうどなり方かというと、「私が(この財団を)作った人だ。私が許可したんだ」「断るような」というのは天下り人事ですが、天下り人事を「断るようなことになったら私の立場がない。自然農法国際研究開発センターを取り消さなければならない。本省の
課長ってのはそれぐらいの力はありますからね。取り消しといえばそれで終わるのだ」、こういうことを言うておるのがいるんです。だから「天声人語」では「役所の許認可権限は時として公正な競争を阻み、排他的な業界を作り、国際摩擦の種ともなる。」という結論で、しかもこれは大変恣意的な発言をしておる、こういう指摘をしておるわけであります。
したがって、
我が国の今日までの産業、
経済の発展というものが、これは釈迦に説法で、大臣はその筋の
我が国における有数の専門家でございますので私が申し上げるまでもないと思いますけれども、結局今の
日本の
経済の
規制というのは
一つの
経済の管理の方法でありまして、これは
経済学の世界でいうとケインズ学的手法だと私は思います。それは大いに取り入れなければならぬところは取り入れなければならぬわけで、少なくとも表面的に見ると、そのことのために地球的規模で平和が保てた、ここまで平和が保てた、こういうふうに思っておるのでありますが、そうなりますと、
経済を管理していく上で、いかにして恣意というものを取り除いて本当に近代的な、合理的な精神でいくかということが大変大きな問題となってくると思います。
そこで、
アメリカの構造協議の
日本に突きつけておる要求というのは、そういう恣意的な
経済管理はだめですよということを言っておるように思うのです。そこのところにこそくな対応をされないで、取り組むべきところはぴしっと取り組んでもらって、そして、本当の意味で
我が国百年の大計を考えたら、近代合理思想に基づく
経済運営というものをやらなければならぬということを私は強く思います。そこのところをこそくにやっておると、私が先ほど気に入らないと言った、
アメリカの要求の気に入らないと言われておる点はどこかというと、例えば
日本の実情もよく考えずに、農業に対する補助金か投資かそんなものは少し減せとか、あるいは地方公共投資をもう少し減せとかというのもあります。
日本に後ろめたさがあると、
日本が言うべきことが言えない。だから、後ろめたさというものを取り除いて、本当に
日本の国を近代的な、合理的な社会に持っていく、こういうところにひとつ力点を置いていただきたいと思うのであります。
で、そのために、せっかくおいでをいただいたのですから、一言法務省と総務庁の方から……。総務庁は
我が国の部落問題とかアイヌの問題とかさまざまな人権問題について行政各省庁の連絡機関でもありますし、法務省は特に
我が国唯一の人権
擁護機関と誇っておりますが、内実は随分ぼろだと思いますけれども、しかし、そういうものを持っておるのですから、この二つの省庁、先ほどの議論を聞いておいていただいて、なるほどこれは空理空論ではいかぬのだな、
経済に根差したところと深く人権というものはかかわっておるのだなということがわかっていただけたのじゃないかと思いますが、一言ずつひとつ所見を聞かせておいていただきたいと思います。