○佐々木
委員 私は、本日はいわゆる
国会決議の問題をまず第一に取り上げて質問をさせていただきたいと思います。
初めに、我が事を申し上げて大変恐縮なんですけれ
ども、私は弁護士の仕事をしております。そして、実は私の父親は、もう亡くなりましたけれ
ども、長く自民党の
国会議員でもありました。その息子である私が、自民党に行かないで社会党からこうして出させていただいているというのは、実は憲法にこだわり続けてきたからだと言ってもいいのではないかなと考えております。
戦争中、私
たちはいわば軍国少年としてまさに軍国主義の教育を受けてまいりましたけれ
ども、あの悲惨な戦争が終わってみたら、今まで私
たちが学んでいたことの多くは、これはもう間違っていたことであるということが知らされました。そして、私
どもが新しくできた中学に入りました年にこの新しい憲法と出会ったわけでありまして、このときの新憲法に対する思いというのは、私
どもは子供心に大変強いものがありました。平和、民主主義、そして基本的人権を大事にしようというこの三本柱、これを旨とすることを考えながら成長いたしまして、そういう憲法を生かす仕事として弁護士を選びました。そしてまた、戦後一貫してこの憲法を大変大切にしてきた政党が
日本社会党である、こう私は見てまいりました。もちろん、大石
先生のように、自民党の中にも護憲派と言われる議員さんもいるわけでありますけれ
ども、そういうようなところから、私は社会党にくみしたというように御
理解をいただきたいと思います。
ところが、そういう
立場で見てまいりまして、最近どうも憲法が軽視をされているのではなかろうか。御案内のように、今中東紛争に絡んで自衛隊の派遣の問題などということも
議論をされておりますが、これな
どもどうも
国会での十分な
議論を経ないで、
政府あるいは与党がいろいろなことをする。今の憲法のもとでも、あるいは自衛隊法のもとでも、
やり方によっては自衛隊を派遣することもできるのだというような諭調が出ていることは非常に憂慮にたえない思いがいたします。
そしてまた、農業の問題に関連いたしましては、ただいま
石破委員からの御質問の最後でまさに正鵠を得た御質問があったと思って、私も感銘を受けているわけですけれ
ども、
食糧の問題というのはまさに
日本国民の
生存のあり方にもかかわる問題だろう、こう考えておるわけです。そういうことにかんがみて、
国会においても、もう周知のとおり、第九十一回
国会においては衆議院の本
会議で
食糧自給力強化に関する決議が全会一致で可決されておりますし、それからまた百一回
国会におきましても、これは衆議院で米の需給安定に関する決議が行われております。そして、一番新しくは昭和六十三年九月二十日に、第百十三回
国会、衆議院の本
会議において米の
自由化反対に関する決議が満場一致で可決をされ、そして翌九月二十一日には参議院においても、本
会議においてこの衆議院の決議と全く同じ決議がこれまた満場一致で可決をされておるわけでありまして、この決議の重さというのは、私ははかり知れなく大きいものがあろうかと思っております。
ところが最近、例えば一番新しい情報では、去る九月二十一日の参議院商工
委員会での質疑において、武藤通産
大臣が、今申し上げました特に米に関する決議についても見直しが必要であるかのごとき答弁をなされている。例えば、これは九月二十二日の毎日新聞による要約ですけれ
ども、「
日本の一番のウイークポイントは農業問題で、コメの
輸入禁止の
国会決議があるから動きが取れない」と述べた。これは議事録そのものではありませんから、要約されたものですからあるいは正確を欠くのかもしれないにしても、他の新聞などでも大体同じように、この米禁輸の
国会決議の見直しが必要であるかのごとくとられるというような要約がされていることを見ると、やはりそういう御趣旨の答弁ではなかったのか、こう思われるわけであります。
そこで、それでは
国会決議というものは一体どれほどの効力を持つものなのか。私は、少なくとも
国会の決議というものは、衆議院、参議院、それぞれが決議をさまざまなことについてすることができるわけですけれ
ども、これは当然の権能として持っている、また、できることであり、それがなされた以上は、それが議院の意思の表明になるものだと思われるわけであります。
国会の決議については、憲法上あるいは
国会法上で明文規定があるかどうかにつきましては、例えば憲法の六十九条では内閣の信任、不信任決議についての特別な定めがございますけれ
ども、それ以外には必ずしも明らかな規定というのはあるようには見受けられませんが、しかし、
国会というものがあくまでも憲法四十一条によって国権の最高機関である、そしてまた憲法の四十三条によって、両議院は全
国民を代表する
選挙された議員で構成する、いわば国家権力の中での最高の地位にあるというところからし、そしてそれが由来するところは、それぞれの議員が直接に主権者である
国民から選定をされて、
国民の代表者として行動するんだというところからきている。そこで、この院の決議というものはいわば法律そのもの、あるいは特に全会一致でなされた決議というものの重みは、多数決で決まって成立する法律以上のものがあるのではなかろうかとも考えておるわけであります。
そこで、まずこの際、
国会決議の性格それから効力あるいはその拘束力、特に
政府及び
国会議員に対していかなる拘束力を持つものか、このことについて
内閣法制局の御
見解をただしておきたいと思います。