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1990-05-30 第118回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月三十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 亀井 静香君    理事 石破  茂君 理事 大原 一三君    理事 中川 昭一君 理事 穂積 良行君    理事 柳沢 伯夫君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 西中  清君       内海 英男君    唐沢俊二郎君       古賀  誠君    杉浦 正健君       鈴木 宗男君    住  博司君       田邉 國男君    近岡理一郎君       仲村 正治君    鳩山由紀夫君       松岡 利勝君    有川 清次君       遠藤  登君    北沢 清功君       佐々木秀典君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    前島 秀行君       目黒吉之助君    倉田 栄喜君       東  順治君    藤田 スミ君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  山本 富雄君  出席政府委員         農林水産政務次         官       東   力君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         食糧庁長官   浜口 義曠君         林野庁長官   甕   滋君         林野庁次長   小澤 普照君         水産庁長官   京谷 昭夫君         水産庁次長   中村 晃次君         建設省都市局長 真嶋 一男君  委員外出席者         環境庁自然保護         局野生生物課長 菊地 邦雄君         環境庁自然保護         局野生生物課鳥         獣保護業務室長 小川 康夫君         文部省学術国際         局研究機関課長 佐々木正峰君         文化庁文化財保         護部記念物課長 大澤 幸夫君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君     ───────────── 委員の異動 五月二十五日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     江田 五月君 同日  辞任         補欠選任   江田 五月君     阿部 昭吾君 同月三十日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     御法川英文君   二田 孝治君     住  博司君  三ツ林弥太郎君     松岡 利勝君 同日  辞任         補欠選任   住  博司君     二田 孝治君  松岡 利勝君     三ツ林弥太郎君   御法川英文君     佐藤  隆君     ───────────── 五月三十日  水産業協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(参議院送付)  海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案内閣提出第五三号)(参議院送付) 同月二十九日  米の輸入自由化阻止食糧管理制度基本堅持に関する請願(園田博之君紹介)(第一四五六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  市民農園整備促進法案内閣提出第六一号)  農林水産業振興に関する件(農林水産業基本施策)      ────◇─────
  2. 亀井静香

    亀井委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前島秀行君。
  3. 前島秀行

    前島委員 私は、米を中心に、時間があったら国有林のことについて若干質問をしたいと思いますので、中心は米になると思います。  それでまず、例の市場形成の場の問題、いろんな角度からの議論があろうと思いますが、私は、安定供給供給の面、あるいは価格の面、あるいは需要動向生産調整の面、そんなふうなそれぞれの角度からこの価格形成の場について質問をしたいと思います。四十分足らずですので端的に質問しますので、ぜひ長官、端的に答えてほしいと思う。  そこで最初に、供給の安定という面で三点ほど続けて質問をします。一つは、政府米数量、これはどう設定するのか。農政審ですと四割、今度の報告ですと三、四割、最後の方の役割でいうと明確に数字を出せ、こういうふうに言っているわけですけれども政府米数量の設定、それを具体的に義務づけるのかどうなのか、単なる言うだけ、あるいは基本計画でこういう概略を言うだけじゃなくして、義務づけるかどうかということ。二つ目は、自主流通在庫形成の件でありますけれども、この自主流通在庫数量をぴしっと義務づけるのか、設定するのか。ことしは十五万トンのようですけれども、単に十五万トンという目標を示すだけではなくして義務づけるのかどうなのか。そして、この在庫管理というのをだれにさせようとしているのか、従来どおり全農にやらせるのかどうなのか。三つ目は、通年販売促進費あるいは在庫保有助成金等、これは従来どおりするのかしないのか、三年後もするのかしないのか。この三点、まず続けて質問したいと思います。
  4. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま先生から、今回の価格形成の場に関連をいたしまして、政府米買い入れ数量、あるいは自主流通米の問題、それからあわせて販促費の問題がありました。  まず、それぞれ結論的なものを申し上げますと、政府米役割といったようなものについては、これはやはり食管制度の中の最後とりで最後分野でございます。そういう意味政府米は年間を通じ、また全国を通じ、安定的に供給を確保する役割を担っているわけでございまして、一定安定的役割を果たしている、こういうことで我々理解をしております。そういうふうにすべきだと思います。具体的な数字先生今御指摘のとおり基本計画で毎年決めるわけでございますが、食管法に基づいて、五十六年の食管法改正に基づいて出てまいりました計画でございますが、ここできちっと明確に決めなければいけないというふうに思います。なお、ただいま先生がおっしゃった三割ないし四割という問題でございますが、これは端的に申し上げまして、農政審の答申のときに明確に四割程度という提言がありました。  ところで、全体のことを、途中はしょりますけれども現行の動きで自主流通米へということもございまして、現状集荷ベース、ことしの集荷ベース基本計画できちっと書かしていただいたように、三割近くなっております。そういう意味で、私どもこれで安定的な供給任務を果たせると確信しております。現在のところは確信しておりますが、そういうような意味で三割か四割か、四割程度ということの全体のものの中で、やはり基本的には政府が持ち越しているものとトータルで考えるべきだと思います。もちろん、これは具体的に実務の問題でございますので、先生一番御心配のように本当に国民食糧に対してきちっとしたことをできるのかというのが眼目でございますが、具体的な数字は、最初に戻りますけれども、毎年毎年にやはりきちっと公表いたしまして、その上での政府の責任を明確にしていきたい。ただ、その比率からいきますと、基本的には私は大体四割程度といった方針が正しいと思いますし、農協の方々が実際に、こういうところで言うべきではないかもしれませんけれども検討会でおっしゃったことも四割というようなことをおっしゃっているわけでございます。そういう御協力も十分踏まえていきたいというふうに考えているところでございます。  次に、先生提起になられました自主流通米の問題でございます。これは全く正しい御質問だと思いますが、自主流通米がかなり大きくなっているわけでございます。四百万トンみたいに体が大きくなりました。したがって、常識的に言えば、いわゆる二本足で歩いているこの政府管理米のうち自主流通米も相当の任務を、その機能を果たすべきだと思います。ランニングストックも十分持つべきだと私は思いますが、先ほど冒頭これもお答えいたしましたように、最後とりではやはり食管制度の中で狭義の意味での政府米でございます。そういう意味自主流通米については、これは法律で何トン持てといったようなところまでは、突き詰められますと言えないと思います。ただ、これも先生今御指摘のように、今回の予算案の中に計上さしていただいております約十万トン、正確に言いますと十一万トン、モチ米を合わせて十五万トンでございますが、これについては政府米と同じような金利、倉敷のものを計上いたしまして、やはり納得ずくで、全農系統自主流通米役割からいって政府米と並んで安定供給という任務を果たしていただく分についての財政的な援助といったようなものは、しておかなきゃいけないだろうというふうに思っております。  最後に、先生指摘のような予算の方の問題でございます。これはやや結論的に言いますと、大体前年度を踏襲して食管予算というのは計上しているわけでございますが、それぞれの問題につきましてやはり私ども十分御意見を聞いて、次期のときにきちっと決めていくという段階で、今先生の御指摘のものについても十分いろいろな各般の御意見を聞いて慎重に検討をしたいというふうに思っておりますが、まだこれは予算案が成立していないこともございます。このとおりでございますというような方向を言えません。やはり平成二年度についてはこれこれという形で、次官通達等々なり農林省の通達等によりまして決めさしていただく、こういうことでございます。
  5. 前島秀行

    前島委員 単に数字を書くというだけじゃ意味がないんですよね。現に基本計画でやっている政府買い入れ目標数量も達成していないというのが現実でしょう。そうすると、ましてやこれから市場原理導入されてくるということになれば、政府米供給安定の機能をするというなら、ある意味では強制的にも一定のものを持っていなければ、供給調整役割をしないんですよ。数字を書くだけじゃ意味がない。現に今まで書いてきたんだけれども、そのとおりにいってないというのが現実じゃないですか。ことしの状況だってそうでしょう。だから、私が聞きたいのは、この今までの状況以上に市場原理が入るんだから、市場原理が入れば政府米がより集まりにくくなるというのが当然のことなんですからね。だから、そういう事態の中でぴしっと、数字を書くだけじゃなくて、義務づけて確保するつもりがあるかどうかということを私は聞いているんですよ。端的に答えてください。
  6. 浜口義曠

    浜口政府委員 結論を言いますと、きちっと例えば政府米数字を書きましてこれを義務づけるというところまでは、現実の問題できないと思います。  ただ、二つ申し上げたいんですけれども先生おっしゃったように、具体的な毎年決めております数量がだんだん自主流通米の方にシフトいたしまして、同じ政府管掌米の中で政府分野部分から自主流通米、同じく政府分野でございますけれども、そちらの方にシフトしていることは事実でございますが、先生の御指摘のように今回の市場原理導入ということで、これから、今検討中でやらしていただこうとしている衣がえ、そういうものの中で、さらに一層政府食管制度安定的供給機能が低くなるかということについては、私どもはそうではないと思っているのです。これは、政府米自主流通米というのが、今の状況をごらんいただきますと、ともども肩を並べて二本足で歩くというような形で、やはり国民の生活の中に、ニーズにふさわしいものに対応しながら、安定的供給任務を果たしていると思っているわけです。  ただ、先生心配のように、基本計画としてきちっと数字を掲げておきながらその数字が低まるというのは、私ども、やはり十分これは何らかの意味できちっとした形で守るように努力しなければいけないと思います。その努力は、一方的に権力をもってこれだけ出せ、新聞等に書かれておりますような形で必ず義務づけるというようなことは今のところ必要じゃない、ただ、十分政府米役割というものを認識していただいて、理解の上で農家の方々に出していただく、そういう道をとらざるを得ないというふうに思っております。
  7. 前島秀行

    前島委員 結局、長官、もう市場原理導入されるということは、片一方では消費者動向消費者ニーズというものが生きてくるわけでしょう。生かせるから市場原理導入するのでしょう。そうすれば、当然供給の側、自主流通米の方もその動向に合わせて進むわけですよ、ほうっておけば。それが市場原理でしょう。市場原理の入ってない今でさえ、自主流通米のシフトが大きくなってきて政府米が少なくなっているのは事実ですね。既にことしはもう三割を割るじゃないかと言われておるでしょう。であるなら、本当に供給を確保する、安定的な供給を確保するというなら、そこのところをぴしっと、制度でできないなら制度を変えて、法律改正をするぐらいでやらなければ、安定的な確保というのはできないし、また、それをする必要がないというんだったら、市場原理導入の何の意味もないんですよね。だから、そこが中途半端だと私は思う。ですから、この安定的供給という観点からくるなら、政府米というのはぴしっと法律で義務づけるぐらいのことをやらなければ絶対に供給は確保できない、私はそういうふうに思います。  次は価格の面。価格ということで、四つほどまず質問したいのですけれども、いわゆる市場に上げる百万トンというのはどうして確保するのか、ただほうっておくのかどうなのか、一定ルールをつくって、これも義務づけるような形でもって確保するようにするのかしないのか。  それから、値幅の問題。五%から一〇%、この値幅の問題ですけれども、この基準はどこに置くのか、そしてこの五%から一〇%というのは動かせる数字なのか、この辺のところを。  それから三番目は、いわゆる買い手の側、卸の側に対する規制というのは考えているのかいないのか、ほうっておくのか。市場原理導入されて、入札が行われるのですから、悪く解釈すればどんなことだって解釈できますよ。談合という、するしないは別ですよ、解釈の問題としてあり得るという事態なんです、市場原理というのはそういうこともあり得るのですから。そういう買い手側規制というものを考えているのかいないの  四つ目政府米の方、いわゆる米価決定食管法に基づいて従来どおり生産費所得補償方式でいくのかいかないのか。  この四点重ねて伺いますから、端的に答えてください。
  8. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生提起された四つの点がありますけれども一言、前の方ですけれども……。  やはり私どもは、先生のおっしゃるように市場原理、これはそういうふうにはっきり書いてあるのですけれども、やや御理解いただきたいのは、今までのような全くワンパターンの政府米だけ、国家権力的そのものということではなくて、やはり時代に即応して、より市場原理的なものをやっていこうということでございまして、先生指摘のとおり、その間のバランスが実に大事だろうと思っております。多言を要しませんが、そこに我々の悩みがあるわけでございまして、十分諸般の御意見を聞きながら立派に食管法任務を全うしていくように努力しなければいけないと思っております。  それから四つの点でございますが、まず百万トンどうするのかという問題がございました。これはまず私どものスタートのベースは、現行協議会方式でやってきた過去の経験でございます。これでいきますと、現在の方式だと二十万トンちょっと切ります。したがって、一遍に百万トンかということはかなり大きな背伸びじゃないかというふうに思っておりますし、いろいろな御議論があったのは途中で省きますけれども自主流通米の大体何割かということで百万トンが努力目標という形で出たように我々理解しております。したがって、この価格形成の場に上場する玉の数字については、十分現実的に関係者と話し合いをして適切に決めていかなければいけないものだろう、百万トンというのはやはり一つ努力目標だというふうに思っております。  それから続いて値幅制限お話があったと思います。この値幅制限につきましては、現行は建て値を全農と決めているわけです。これは出来秋のときにできるわけですが、それをベースにいたしまして、最初は五%というのをおととしは言っておりました。ことしは一〇%というふうにそれに比べて入札の幅を言っているわけです、現状の姿はですね。ところで今回の提案では、一つ数字報告書で例えば幾らと言っておられますけれども、これは端的に申し上げまして、何から何%だ、それから一年間に幾らだということは、実は言及されておりません。したがいまして、これも当初は私どもの内部で関係者方々と相談をして決める、それから、この価格形成の場の主体ができた場合には運営委員会というものが設けられることになるだろうと思います、報告ではそういうふうになっておりますので、そういったところで十分そういうふうな、どこから数えて幾らだというようなものを考えていかなければいけないと思います。これはなぜかといいますと、やはり一番の眼目は、大きなアップダウンというものは、価格変動というのは国民食糧の名においてやはり正しくないと思います。したがって、やはり適当な、実情を反映した、皆さんが納得するような値幅というのは当然市場原理一つの問題としてあり得ると思いますので、そこも十分慎重に決められるべきだというふうに思っておりまして、現在検討中でございます。  それから卸の場合でございます。これも卸はまず食管法に基づいて決められた卸ですから、いわゆるオープンマーケットあるいは取引所といったようなもので全く第三者の方が参りまして投機が行われるということはないというふうに思います。これについては、農政審以来、それを避けるべきだとはっきり明確に書かれておりますので、なお運用等においては、先生指摘の点について危惧がないように運用の中で十分気をつけていかなければいけない問題だというふうに思っております。  以上、三点の問題を申し上げました。それから、政府米の点でお話がありましたけれども、先ほどのような思想でやらしていただければというふうに思っているところでございます。
  9. 前島秀行

    前島委員 その五%、一〇%の値幅の問題ですけれども、途中で、例えば考えられるのは、回数ごとに五%いじるのかどうなのか、あるいはそこを基準にするかという考え方と、年単位基準にして値幅を決めていくのかということと、その値幅の五%、一〇%というのは、いじるといいましょうか変更させる、あるいはまた変更の必要な場合がありますね、市場がいろいろ動くわけですから、そういう方法も考えているのかということ。  それともう一つ、この買い手の問題も、従来の云々があるから大丈夫だということは僕は言い切れない部分があると思うんですよ、市場原理なんだから。そこのところは、運用の中でと言うだけじゃだめだと私は思う。そこのところは単なる運用じゃなくして、規定なり法律改正なり何かをあるいはしなければいかぬと思う。それはなぜ言うかといいますと、いわゆる独禁法との関係の問題で来ますと、そういうことをしないと、要するに政府が、国が米の価格の問題についてぴっと決めるんだという形だったら、独禁法適用除外食管法はなっているわけでしょう、今度は目標が百万トンといえども四百万トンの中の百万トンということになれば大きなウエートを持つ、これも目標ということですから変わり得る数字でもあるわけでしょう、そうすると、やはり市場でもって米の価格が決まるというウエートがどんどんどんどん大きくなると思うんですよ。そうしたら、やはり考えられるものはちゃんと規定でくくっておくとか縛っておくということをしなければ、私は独禁法適用除外になった意味がずれてくると思うんです、買い手の方も。そうだと僕は思うんです。そうしなければ、私は独禁法のあれから見れば、適用除外食管法という理屈からもおかしくなるんじゃないかなという意味がある。そういう意味を含めて、この五%の数字、一〇%の数字というのは変え得る数字なのか、固定した数字なのかということ、それから、もう一度買い手の方も含めた細かな規定というものをつくる必要があるような気がしてならぬわけなんですけれども長官、その辺のところをもう一度。
  10. 浜口義曠

    浜口政府委員 二点御提起になったわけでございます。一つは、やはり値幅制限で当面は上下五ないし一〇%の程度が望ましいという報告でございます。これは、やはり一番具体的な自主流通米運営業務のところなのでございまして、やはり実態に即してその値幅制限といったようなものは、いろいろな意味でのやり方を決めていくべきだというふうに思います。  先生提起の飛び出したときどうするのかといったような問題については、ほかの方のやり方等とも十分勘案していかなきゃいけませんが、値幅の中におさめるというような努力、そういう方法があるかどうかについて、やはり十分検討しなきゃいけないというふうに思っておりまして、この報告書を受けた段階で、冒頭申し上げましたように、食糧庁の中に対策室食糧庁全体でこれを勉強しようということでやっておりますし、さらに、この報告書にも明確に言われておりますように、関係者と十分協議してやりなさいということでございますので、今までの自主流通米の二十年間にわたる値決め実態経験、そういったものも十分踏まえて現実的にやらなきゃいけないだろうというふうに思っております。ただ、これは言葉を選ばないで言いますと、ある意味では制度というより商売の業務の問題でございます。そういう意味で一方的に規則でぱちっと決められるかどうか、もちろん不当な値幅制限というのは絶対やってはいけない、国民食糧で安定的にやらなきゃいけないのですが、そういうものをどういうルールの決め方があるか、今後できるだけ早く決めなきゃいけないというふうに思っているところでございます。  それからもう一つ、卸売のところがございました。これは、今約三百ぐらい全国に卸の数がありますが、それぞれ都道府県知事の認可という食管法のことから、許可で卸の営業が営まれております。そういったものの中に対しては、それぞれ知事なりあるいは私どもの監督の方式がありますので、これも先生提起のような投機的なことはしないようなルール、あるいはそういうものを事前的に指導するということでやっていかなければならないというふうに考えております。  なお一言独禁法はやはり食管法適用除外というふうになっているわけです。もちろん食管法に基づく正当な行為というようなことなんでしょう、全面的に何でもかんでもということではないでしょうけれども、それは食管法に基づいては基本的に適用除外になっているわけでございますが、この場合においては、やはり四十四年に自主流通米ができてまいりまして、自主流通米という分野は全然変わらないわけでございます。今回の部分は改めてその中での改革でございますので、当然私ども自主流通米においては独禁法適用除外思想、そういったものが貫かれていくだろうというふうに思っております。
  11. 前島秀行

    前島委員 独禁法適用除外の問題は、また機会を見て議論したいと思いますけれども、これは僕は重要な問題だと思います。  そこで、米が不作か豊作かというのは起こり得る現象だと思うんです。そうすると、この市場原理が入ってくるといろんな事態が想定できるんです。まず、凶作ということになれば、市場原理が入ってくれば、当然流通市場は高値になるということは原則です。そうすると政府米役割がそこに私は出てくると思うんです。そうするとどれだけの量、今の状態の三割とか二割とかどんどんどんどん下がっていく状態でこういう高値のついたときの市場に、政府米が冷やすような役割をする、それには一定の量がなければいかぬと思うんです。質の問題も伴ってきます。こういうことがまず想定される。逆に、今度は豊作になった場合どうなるか、ここが問題になってくると思うんですね、もともと過剰基調の中で。そうすると当然市場は冷えてくるということになる。自主流通米から政府米に流れる。市場原理ならそうですね。豊作になれば僕は流れてくると思うんです。政府米の方が量がふえますと、今度は食管の問題が出てきますね。食管会計の赤字の問題が出てきますね。そうすると、消費者価格の方は市場原理に応じてそんなにできないのも、これも実態だろうと思うのです。僕は、豊作のときに、市場原理が入ってくると自主流通米から逆に政府米に流れてくる、食管会計が膨らむ、売り渡し価格は下げられない、新たに、食糧庁が必死になって抑えようとしている食管会計赤字、逆ざやという事態が生まれてくるんじゃないか、こういうことを私は心配するんです。そういう面で、不作、凶作のときはどういう対応をしようと考えられるのか、するつもりなのか。特に豊作のときはそういう事態が起こる。特にこの限度をつくったこと自身も、私は食管会計赤字がふえることが、ということで考え出した案だと思う、減産との関係があるけれども。豊作のときは逆に、意図とは別に、食管会計が赤字になってしまう、逆ざやになってしまうという事態市場原理導入でもって必ず起こることが想定はできますね。可能性は僕は凶作よりか多いと思うんです。そのときどうしますか。
  12. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生提起の問題は、極めて重要な、これからの食管運用の考えていかなきゃいけない最も大事な点だというふうに思っております。  ただ、私どものこれまでの経験で、御指摘のように例えば四十四年だ、例えば五十何年という形で二度の過剰米を出した経験を持っております。私ども、そういうようないろいろな国家財政に負担をいただいたようなことの中で、いろいろな道を経験の中で知恵を得てきていると思います。簡単に申し上げまして、大きないわゆる需給のギャップといったようなものをまず第一義的にバランスとるのは、言葉を選ばないで言えば、生産調整でございます。これは、水田農業確立対策という形で八十三万ヘクタールというものを決めていただきまして、この方式の中で農家の方々あるいは生産者の方々、生産者団体の方々の御意見を十分聞きながら、この三年間固定にしたわけでございます。私どもは、この数字は今までの生産調整二十年間の中で得た一つ方式でありまして、そういう意味では今の時点は相対的に、比較的にという意味ですけれども、やはり一番安定している時期、それから農家の方々一つの固定ということで目安がつく時期だというふうに思っております。  その次に、先生おっしゃった豊作ということは、確かにおっしゃるように、作況指数一〇〇%といったようなものは逆に例外的でございまして、どちらかに振れるわけでございます。ただ、このときのものは、先ほどの御質問のときに申し上げましたように、政府米の持ち越し数量といったようなものが最後の担保だろうというふうに思っております。実はこの持ち越し数量は、先ほどの三割とか四割とかという自主流通米政府米の比率ではありませんで、はっきり私どもは適正在庫というようなものを百万トンというふうに言っているわけでございます。この百万トンというのは、この十年間あるいは十五年間を見ました場合に一番きつい冷害、東北から全国を覆いました昭和五十五年の冷害があります。これは作況指数が八七という数字でございますが、そこに焦点を置きまして、そういうものが二度と起こってもこの政府米最後の百万トンで、最後の持ち越し米で対応できる、もちろんこれは自主流通米とか、早場米が出てくるというようなものとも相互関連がございますが、そういう対応の仕方ができるんじゃないかということでございまして、長々と申し上げましたけれども一つ生産調整のもので、現行に適した生産調整、例えば八十三万ヘクタールといったような形をきちっと決める、それに合ったような形で需給を見る、これによって安定的に供給ができると思います。
  13. 前島秀行

    前島委員 豊作の場合。
  14. 浜口義曠

    浜口政府委員 豊作の場合には、これはやはり今私ども、二百十万トンというふうに思っておりますが、これは平年作のときでございますので、場合によりましてはそれより多いことがあり得ると思います。そういった場合には、予約限度数量の範囲内におきましては私ども政府が買い入れる、言うなれば先ほど御説明しておりますように、政府価格の下支えという機能を持っているわけでございますから、農家の方々自主流通米に売るか、政府米に売るかということを考えた場合に、政府米の方がいいということであればそういう条件のもとで私どもは買っていかなきゃいかぬだろう、そういうふうに思っているところでございます。
  15. 前島秀行

    前島委員 いろいろ言いますけれども、大丈夫だというのは市場原理が入らない経験の中で言っているわけでしょう、この前の不作のときも持ち越し在庫でもって云々したというようなことは。今度は市場原理が入るということですからね、長官。そこは違いますよ。そこのところはよう考えていらっしゃるだろう、ここではまだ言えないだろうと思うけれども、私はそこは慎重でないと大変なことになると思う。特に、豊作になったときに政府食管会計の方にずれ込むという問題は、これは必ず起こると思う、過剰基調というか流れの中で。  要は、そういう供給の面にせよ、価格の面にせよ、この市場原理導入したということによって物すごく不安定になることは間違いないんですよ。長官だってそう思うでしょう。ですから、基本的に価格の安定という角度あるいは安定供給という本来の食管の精神からくれば逆行する考えであるということは、私は間違いないと思う。今まで以上に政府米の量的なものは減ることは間違いない。そして政府米の質的な問題も、三類以下のところに落ちることは間違いないんですよ、市場原理が働けば。これは間違いない。だから食管の基本的な考え方に全く逆行するということ、私は予想される現状からいって間違いない事実ですよ、長官が何と言おうと。  それで、盛んに説明してくるのを見ますと、その辺の安定供給だとか価格の安定等々というときに、一番ここでもって重要になってくるのは第三者機関です。これが一歩間違うととんでもない大混乱が起こるだろうと思うんです。二十四日の質問だと、これは法律改正もしない、長官ベースでいいんだ、政令事項だから第三者機関も長官が選びますという趣旨の答弁があったけれども、私はここの運営を間違えばとんでもないことになり得ると思う、先ほど言いましたように。ここは、法律事項でぴしっと権限があるものがなければ不測の事態に対応できないと私は思うんですよ、五%、一〇%、値幅の問題を含めても、いろいろなルールの問題を含めても。そうするとせめて、せめてという言葉を私はあえて言いますけれども、この重要な第三者機関というのは法律事項でもってぴしっと担保すべきだと私は思う。重要ですよ、ここのところが。いろいろな予想をされる事態、従来だってあった、それに市場原理が入って、より複雑な動きが予想されるんだから、そこをコントロールできるのは第三者機関しかないわけだから、それを私は法律事項にしてぴしっと権威を持って担保するということがどうしても必要だ、それくらいのものでない限り私は運営ができないと思うけれども、その点について、長官
  16. 浜口義曠

    浜口政府委員 先ほど市場原理等々のお話があって、これが新しい出発をしたときに大きないろいろ不安があるというようなお話がございましたけれども、この価格形成の場という問題は、今の自主流通米に、既に二十年間の経験でやっておりますものの上に、そういう経験と教訓の上に立って出発しようというものでございまして、もちろんそれも何度も私ども申し上げておりますように、食管法の枠の中でやっていくわけでございます。  それで、今先生提起のように、新しい第三者機関が出るから、ここは重要だという御指摘は正しいと思いますが、これは答申の中でも入っておりますように、今申し上げました食管法の枠の中でやるというようなことのほかに、きちっとこの第三者機関のところに、政府といいますか食糧庁といいますか農林水産省といいますか、そういうものの監督、きちっとした監督のもとにというのが何度も書かれているわけでございます、この報告書には。私どもそういう意味において、先生提起のような形の上でこの実際に重要な役割を果たす第三者機関、これは報告書では「例えば公益法人」と言っておりますから、これは民法の手続によってつくられて農林水産省の認可という形になろうと思いますけれども、それについては、きちっとした監督をやっていくというもの、あるいは、もう繰り返すようでございますけれども、今行われているものの百尺竿頭一歩を進めるものであるというふうに御理解を賜ればと思います。  なお、これの方の具体的な問題は、検討報告書をいただいたわけでございます。私ども、それをいただいて、今、案を練っているわけでございまして、関係者の御意見を十分聞いて、例えば今の法令的にどういうような仕組みをするかということも検討していかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  17. 前島秀行

    前島委員 理屈だけ言えばそうです。実態としたら食管の枠を飛び出していることは間違いないですよ。だって、政府米というのはどんどん下がってくるわけでしょう。今も下がってきているでしょう。それで市場原理が入れば、今政府米というのは三類以下なんですから、そして消費者の意向、ニーズというのは、おいしい米、高くてもいいからという方向に動いていることは間違いないわけでしょう。そうしたら、政府が管理する量というのはどんどん下がってきていることは間違いないじゃないですか。今でさえ下がってきているんだから、市場原理導入されればそれが下がる。歯どめをするかといったら、しないと言っているんだから、数字は言うけれども義務づけないというんですから、流れに従うということでしょう。価格だってそうでしょう。政府米価格、決める量というのは、そもそも量が減れば政府米の決定のウエートというのは相対的なものに下がることは間違いないんですから、米価というもの、全体の米の価格というのは、市場原理自主流通米の枠の中でどんどん下がっていく。いわゆる食管法が基本的に言う全量管理だとかあるいは米価は国の責任で決めるという、この基本的なものがどんどん低下していることは間違いないじゃないですか。間違いないと思うんですよ。  だから、食管法の枠の中で云々ということは、私は実態論からいって絶対言えるものではないと思う。それが生産調整の方に及ぶんでしょう。及ぶんですか及ぼさないんですか。及ぼさないんですか。及ぶんですか。
  18. 浜口義曠

    浜口政府委員 最初の前段でございますけれども自主流通米もやはり政府管理米なんです。食管法のもとで行われる政府管理米で、これは全然政府が干渉しないというわけじゃありません。これは四十四年から実施されておりますけれども、五十六年からやはりきちっと法律上、明確な位置づけ、法令改正をしていただいてやっておりまして、私どもの書き方、タッチの仕方は政府米方式自主流通米方式については、それぞれの機能によりますけれども、ともに私ども政府管理米だと思っております。  それからもう一つ、今御質問生産調整に及ぼすかということについては、事実を申し上げますと、八十三万ヘクタールというのを決めたわけでございます。これは三年間固定でございますので、そういう意味では及びません。及ばないわけです。  じゃ、この後どうするんだという問題だろうと思います。これも先生も御指摘のように二つあると思うのです、米の場合に。極端な例を二つ申し上げますと、一つは、おいしい米を相対的に高い価格でつくる。これは先生も御指摘のように、ある意味で今の生活のゆとりといったことで国民一つニーズだと思います。もう一つは、単においしいだけではなくて、例えば加工米等々を御議論いただきますとおわかりですけれども、品質はそうおいしくなくてもほどほどのお値段でという分野もあるわけでございます。そういうものの中で生産調整というものは相対的に決めていくわけでございまして、いわゆる高い米をつくっているところに生産調整を緩くというのが価格形成の場から直接に出てくるかということは、なかなか難しいと思います。したがって農政審の中では反映することを検討しろということでございまして、そこのところ御理解賜ればと思います。
  19. 前島秀行

    前島委員 時間が来ましたからこれ以上質問しませんけれども、いろいろなことを言うが、特にこの報告書というのは読みにくいですね。何を言っているのかわからない。これは妥協の産物だからでもあると思う。しかし、その報告書を読むと、その裏には本音が見え隠れしている。はっきりしているんです。はっきりしている。それは、市場原理導入して銘柄の格差をつける、そのことによって産地間の競争をあおる、売れる米つくれ、こういうことだと思うんです。だけど私たちの静岡のところは条件で、うまい売れるような米できないんですよ、静岡は。そういう地域については生殺しということなんでしょう。生殺しという言葉は悪いですけれども、そうなんです。責任を持って減反でこういう補償してこうするからやめてくれというんじゃなくして、導入という、言葉は悪いですけれどもこそくな手段によって生殺ししようということなんです。これが報告書の裏にある意図なんですよ。こんなのが農政とは言えないでしょう。このことを実施することによって日本の米づくりがどうなるか、どうしたって描けない。わからないですよ。はっきりしているんです、このことは。どうせやるなら、いい悪いは別ですけれども食管の今日的役割はこうでございますとはっきりと言って、農家、生産者に向かってもこうこうだ、消費者に向ってもこうこうだと言って議論をする、そして法律改正をすると言った方がよっぽどすっきりするし、農家も合意するし、消費者の方も合意すると私たち思うんですよ。それが見え隠れしているんですよ、この中には。最終的には生殺しするということなんですよ。はっきりしているんですよ。こういうことをやれば、今ガットで問題になっている我が方が主張している食糧安保あるいはガット十一条の例外規定を、みずから否定するようなものでしょう。主食である米を市場原理にゆだねるということはそういうことですよ。そこからは農政も出てこないし、外国の圧力をはね返すだけの合意も出てこないと私は思う。大臣にこのことを聞こうと思ったけれども来ませんし、時間もありませんからこれ以上聞きませんけれども長官、政務次官、ここが本音だと思います。だれが見たってわかるんですよ。これは農政じゃないんです。僕は絶対農政と言えないと思う。そして今、重要な米の自由化を何とかみんなで抑えようというときに、みずから食糧安保を否定し、ガット十一条の例外規定もみずから否定していることだと思うので、基本的に考え直してもらいたい。答弁は時間がありませんからもういいですよ。
  20. 浜口義曠

    浜口政府委員 次官が答弁される前にちょっと一言。  今回の価格形成の場は、農政審議会の答申、それから検討会、それから私ども事務という形で、先生指摘のいろいろな点の御批判とかそういったことを十分説明をして、御理解賜るように段階を追ってやっていくものでございますし、それからやはり水田の問題は、国内で自給する、さらに食管制度を堅持する、これも農政審以来明確にした上でやっているわけでございまして、そういう状況でございます。
  21. 前島秀行

    前島委員 終わります。
  22. 亀井静香

    亀井委員長 鉢呂吉雄君。
  23. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、まず第一に、最近報道されております北朝鮮船籍の漁船団の拿捕事件の真相についてお聞きをいたしたいと思います。北海道の漁船を含む船団が、カムチャッカ半島沖の北太平洋上で朝鮮民主主義人民共和国船籍でサケ・マス操業をして、ソビエトに密漁の疑いで拿捕された事件についてでございます。  今回の事件が発生すると同時に、これらの漁船が日本の漁船であると報道されております。しかも、これらの漁船が、漁船の貸与というものを抜きにして、いわゆる海上運送法違反事件に発展をし、海上保安庁より船主の事情聴取もされておるようでございます。しかも、この関係で貸与した日本側の元締め役を務めたと見られます釧路市の照宝漁業は、北朝鮮側の漁業会社と契約を締結しておる。しかも、その締結に際しては、昨年、水産庁に対して契約書の写しを添付し指導を仰いだというふうに報道をされております。そのような事実があったかどうか。まず最初に、あったかどうかを簡潔に答弁をお願いいたしたい。
  24. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ソ連によって拿捕された北朝鮮漁船の問題につきましては、御承知のとおり、国内法令に違反している嫌疑で現在海上保安庁が捜査に着手をしております。私どもとしてもこれに全面的に協力をする態勢をとっております。したがいまして、事実関係の詳細につきましては、そういう捜査中の段階でございますので御容赦をいただきたいと思いますが、ただいまお話のございました、北朝鮮側と日本側の契約をするに際してその契約内容について事前に農林水産省、水産庁の指導を仰いだという事実は、全くございません。
  25. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ただいま、事前に指導を仰いだという事実は全くございませんということでございますけれども、そのように理解をしてよろしいのですか。  さらには、この照宝漁業が漁船を道庁に登録する場合に異例の確約書を交わした、しかも水産庁の指導で交わしたと言われておりますけれども、その事実、さらにはその内容についてお聞かせを願いたい。
  26. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 御承知のとおり、漁船の登録業務は都道府県で行われておるわけでございます。この漁船の登録業務を北海道当局が実行するに当たりまして、関係資料として一定の情報が北海道庁等を通じて我が方に提供されておった経緯は事実でございます。この登録業務の処理に当たりまして、道庁と水産庁の担当者間でいろいろ検討を行いまして処理をされておる、こういう経緯がございます。また、その過程で私どもの立場から、その当時の漁船登録が行われる際に提出をされた関係資料に含まれております当該漁船の操業形態は、国内法令上問題があるということを、明確に道庁並びに関係者に伝達をしておる、こういう経緯がございます。
  27. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほどの件でございますけれども新聞等では照宝漁業の社長は水産庁に契約書を提出をしたというふうに報道されておりますけれども、契約書、写し等も含めて、その事実はなかったですか。
  28. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先ほど申し上げました漁船登録の業務を処理するに際して、検討を行うための提出された関係資料の中にそのようなものが入っていたことは否定できないことであります。私どもは、それを入手をしております。
  29. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今の水産庁の御答弁ですけれども、否定できない、否定し得ないということはどういうことですか。事前に入手をしていたというふうにはっきり言ってください。
  30. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 漁船登録の業務に関連をして関係資料として提出された契約書は既に締結されたものでありまして、契約締結に際して事前に水産庁の指導を得たとか了解を得たという事実があるとは全く思えないわけであります。
  31. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私がお聞きしたのは、契約を締結をした契約書を水産庁に照会なり提出をしておったのかということでございます。写しを含めてでございます。
  32. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先ほど来申し上げておりますように、漁船登録業務関係をする関係資料として、私ども、その資料の中に御指摘のような既に締結済みの契約書が入っておりまして、それを入手していることは事実でございます。
  33. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、どういう形であれ、その契約書を入手していたということでありますけれども、入手後に、これらに関してどういう指導をされた
  34. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 契約自体についてこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、詳細な経緯については事柄が捜査中の案件と関連をいたしますので、ひとつ御容赦をいただきたいと思います。少なくとも、そういう関係資料を添えて提出をされた漁船登録を受けた後の当該漁船の操業は、その関係資料に記載されているような形で行うということは、国内法上問題があるということを強く指摘をし、道庁及び関係者にも伝えておるという状況でございます。
  35. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 報道によりますと、この照宝漁業の社長はみずから直接水産庁に電話を入れまして、このことについての事前相談をしておるというふうに報道されておりますけれども、そのような相談がありましたか。
  36. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 本件についていろいろ報道がなされておりまして、私どももそういうふうな記事を拝見をしております。私どもはこの漁船登録にかかわる漁船が登録をされた後、国内法に違反するような形で使用されることのないように十分の指導をしたつもりでございますが、その過程で、担当者と問題になっている人物の間でやりとりがあったという事実はございますが、その内容については私ども、捜査当局の方にも十分状況報告をしておりますが、捜査対象になっている事案と大変深くかかわる問題でございますので、詳細については御容赦をいただきたいと思います。
  37. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう一点お伺いしますけれども、私のところにも昨日電話が来たわけですけれども、この拿捕事件発生前に水産庁の職員から、連絡がつけば日本に早急に帰るように、今帰れば違反とならない、そして水産庁の職員の名前も申し上げ、電話番号も申し上げた、そういうふうに聞かされておりますけれども、そういうような電話を各船主といいますか船主に電話をかけている事実はありますか。
  38. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま御指摘の問題をめぐりましても、いろいろな報道がなされておることは私も承知をしております。私どもは、この問題が情報として私どもの方にいろいろ出てきたという時点で、予想される関係者に対して、違法行為になりかねないという事態、したがってそれを防止するために、個々の船主に対して事情を聞くと同時に、そういう極めて重要な問題を惹起するという注意喚起並びにその是正措置について要語すべく、指導した事実はございます。  なかなか我が方からの接触に応じない者の方が多かったわけでございますが、そのやりとりの過程でどういうせりふをお互いに吐いたかということについて記録が残っておるわけではございませんけれども報告を聞いている限りで、報道されているような話をしたということは全くないと私は理解をしております。これはいずれ、事実関係、私ども、捜査当局に協力をして糾明をしていただいておるわけでございますので、その辺の言葉のやりとりがどういう内容であったかということまでが大変重要な問題であれば、よくまた糾明をしていかなければいかぬと思いますけれども、少なくとも、帰ってくれば罪にならないというふうなことは決して言ってなかったというふうに、私は報告を信頼しております。
  39. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど契約書を水産庁が入手をして、それに関する指導をしたつもりでありますという御発言もありました。いずれにいたしましても、これらの契約書、事前の相談があったというふうに私も思っております。したがいまして、今回の海上運送法の違反、あるいは拿捕事件、あるいはまた密漁とも漁業法の違反とも言われております。結果的に、水産庁の適切な指導があればこのような結果を惹起しなかったのではないかというふうに思いますし、善良な船主も相当数おられるようですし、家族もこういう違反事実ということで大変肩身の狭い思いをしておるというふうに、私も北海道でありますけれども、聞いております。  これらの点について、水産庁の指導が適切であったかどうか、また、この責任について農水大臣の方からお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。
  40. 山本富雄

    ○山本国務大臣 お答えいたしますが、前提といたしまして、本件は、先生御承知のとおり、ただいま捜査が継続中でございます。ですから、その概要等についてはひとつお答えを御容赦願いたい、こう思っております。  ただ、今るる御指摘のございましたようなことにつきまして、水産庁長官とも率直にいろいろ、私、事実関係などについて、我が省内、水産庁内でわかる範囲内できちんとしなさいということを今言っているところでございます。ですから本問題について、報道が主として先行をしていろいろ言われておりますけれども、その一つ一つが果たして事実であるのかどうか、そのこともまだ確認されておりません。したがって、このやりとりの中身も含めまして、水産庁あるいは農林水産省に指導に当たっての適切を欠いた面があったかどうか、その点についてもひとつしっかり確かめてみたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、本件に関しましては非常に遺憾な事態だというふうに私は認識をしておりますし、今一番やらなければならないことは、拿捕された日本の船員の安否が一番問題なんだ。さらに、これから波及をする、ソ連を初めとして国際的な問題、来年以降将来にわたってのさまざまな問題等についても各般の注意を払わなければならないというふうなこと等も考えておりますが、繰り返すようですけれども、いずれにしても捜査が続行しておる段階でございますので、お答えとしてはこの程度で御容赦を願いたいと思っております。
  41. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私も、この問題については、外交問題にも発展しかねない、そういった拿捕事件でございますから、しかも、結果として水産庁が事前にこれらについて十分掌握をしておりながら国内法の手続も指導できなかったという点で、非常に大きい問題であるというふうに思います。今大臣も言われますように、家族の安否が一番大事でございますから、外務省等を通じまして、これらの全楠事件の掌握、そして、北朝鮮あるいはソビエト、日本という関係でございますから、早急に解決に向かって取り組んでいただきたい。また、北海道では、九二年のサケ・マスの沖取り全面禁止の撤回運動をしておるわけですから、これらに悪影響を及ぼさないように、的確な判断をしていただきたいというふうに考えるところでございます。  次に、これも水産関係の問題でございますけれども、先般のフランスからの報道によりますと、フランスの農水省は、日本産のホタテにつきまして、貝毒の危険性があるということから、日本産のホタテの輸入を全面的に禁止をしたというふうなことが言われております。これらにつきまして、水産庁が現在掌握をしているこの措置の概要、あるいはまたフランス政府との話を進めておる中身について、お伺いをいたしたいと思います。
  42. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 御指摘のございました我が国から輸出されるホタテガイにつきましては、フランス政府は、これに麻痺性貝毒に汚染された地域から出荷されたものが含まれている疑いがあるということで、五月十八日以降、衛生措置の一環として輸入禁止措置をとっております。この事実は我が方にも通報があったわけでございます。  これに対しまして私どもとしては、先生御承知のような国内措置をとっておりますので、日本産の輸出ホタテガイについてそのような懸念はない、衛生上の保証を行い次第これを撤回してもらいたいという申し出をしたわけでございますが、現在までのところ、まだフランス側の最終的な結諭には接しておりません。  なお、この過程で、我が方から正式の、私どもの担当課長レベルでございますが、日本政府としてもフランス側の懸念を払拭する措置を十分とっていくので早くこの解除措置をとれという書簡も発出しておるわけでございます。今後、引き続き関係者とも相談をしながら先方の輸入禁止措置の撤回に向けて努力していきたいというふうに考えております。
  43. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 一点だけお聞きしたいのですけれども、このホタテの麻痺性貝毒ということでございますけれども、この禁止の理由、この事実関係についてきちんとフランス政府は日本政府の方に言ってきておるのか、その事実があるのかどうか、その辺についてお聞きをいたしたい。
  44. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先方の禁止措置の理由としては、そういう疑いがあるということのみでございまして、現実にそのような有毒物質が輸入先で検出されているというふうな情報は得ておりません。
  45. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ホタテ採取漁民も大変心配しておりますから、今長官が言われましたように、担当者の派遣等、フランス側のこれに対する安全保証なり懸念の払拭について最大限の努力を願って、一日も早く禁止が撤回されるようにその話し合いを進めていただきたいというふうに思います。  続きまして、大臣がいらしておりますから話を移しますけれども、七月のサミットに向けまして、現在、OECDの閣僚理事会が、三十日、三十一日ということですから、まさに開かれようとしております。この閣僚理事会はガットのウルグアイ・ラウンドの成功に向けて、農業問題が最大の関心事項だということも言われております。今回、日本側は外務大臣初め三大臣が行かれるようでございますけれども、農水大臣がこれから外れております。  先般、ヤイター農務長官の書簡も届いたというふうな新聞報道も聞いておりますけれども、これに対して山本農水大臣は返書を送りたい、あるいはまた先日の朝のテレビ報道、山本大臣が出ておりましたけれども、仲よい中のけんかだというふうなことも言っておりますけれども、この書簡自体は非常に厳しい内容である、まさに感情を害するような言葉が入っておるというふうに私は思っております。そういう点で、今日までこのウルグアイ・ラウンドの成り行きを見てみますと、日本側に必ずしもいい方向になっておらない、いわゆる非貿易的関心事項についても外堀が埋まってきておる、ECとかアメリカとの結びつきも深まっているように報道がされておりますし、まさにこの七月に大枠を決めて十一月に成立させるんだというこのスケジュールの中で、日本の農水大臣が果たす役割がもっとあるのではないか。返書というような一般的なことでなくて、もっと山本大臣自体が、日が浅いわけでありますから、ヤイター長官と接触を図る、日本の意向をアメリカ、ECあるいはケアンズ・グループ等に直接出向いて積極的に日本の立場を打ち立てて、この米の問題について解決を図るべきじゃないか。何か報道に聞きますと、日本の国内の稲作地帯をこの六月下旬から歩くかのように聞いておりますけれども、これも大事だと思いますけれども、今稲作農家はこの米の自由化についてかたずをのんで見守っているというのが実情でありまして、農水大臣は国内を歩くよりもむしろ外国のこれらの方々のところに積極的に行くべきだ。今回行かなかった理由はわかりませんけれども、逃れて済むようなことではないと私は思っていますけれども、この点に対する考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 山本富雄

    ○山本国務大臣 激励を含めまして、御提言もありましたし、御注意もありましたし、大変ありがたいと思って今お聞きしておりました。最後先生が、逃れて済むようなことではない、こうお話しですが、私もそう思っておりまして、これはまさに国連がかかっておる、日本農業の命運がかかっておる、私個人が命を捨てたくらいで済むことじゃないというぐらいの気持ちを持って、今毎日対応をしておる、苦慮もしておる、こういうことを申し上げたいと思います。  OECDでございますけれども、これは今お話しのとおりでございまして、改めて申し上げるまでもありませんけれども、今までのOECD閣僚理事会の持たれ方が、マクロ的な経済一般、貿易一般について議論をする場としてそれなりの役割を年々歳々果たしてきた。これは常連のメンバーが決まっておりまして、日本の場合でいいますと、外務大臣と経企庁長官なんです、レギュラーメンバーというのは。最近はこれに通産大臣が入る、準レギュラーとでもいいましょうか、そういう構成になっている。農水大臣で加藤農水大臣がたった一回だけ参加をされておりますが、これはそのときのOECDの主要問題が農業問題というふうに限定をされまして、各国の農林大臣が全部出た、それで我が方も出た、こういう経緯がございます。  今回の場合にも、決してこちらがこの問題を議論したくないので行かなかったという経緯ではございませんで、今回は、東欧情勢、それからウルグアイ・ラウンド、これが主要テーマでございます。ウルグアイ・ラウンドの中で農業問題も議論をされるということでございまして、当初から外務大臣、経企庁長官、通産大臣、こういうことで行かせていただくように国会の方にお願いをしておった。予算委員会の真っ最中、参議院今やっておりますけれども、お願いをしておった。私の場合は、これは五カ国の農相会議もこれからございます。またウルグアイ・ラウンド、まさに先生のおっしゃるとおり七月以降、正念場に入りましたから、まだまだこれから本番に備えていろいろやらなくちゃならないこともあるというふうな事柄でございます。  私は、この前ここでも申し上げましたが、外で闘うためには内を固めなきゃいかぬという気持ちが自分は非常に強くございまして、外も大事なんですけれども、まず内の生産者、農業に従事している農民の皆様が一体今どう考えているんだろうということも自分の心をしっかり定めていく上で大事だという気持ちもございまして、これからお米を中心にした行脚を暇を見つけてしたい、こういうふうに思っておりますので、その点ではひとつ御了解を願いたいと思っております。外の方は、あらゆるレベル、あらゆる機会を通じまして、外国のお客様もしょっちゅう今参っておりますから、その都度私の方からも機会を設けて、日本のお米を中心にした食糧問題、農業問題については首尾一貫した提案を主張を続けておる、こういうことでございます。
  47. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 言葉としてはわかりますけれども、七月以降にまさに正念場を迎えるんではなくて、まさに七月に大枠が決まるというふうに農水省の幹部の皆さんからも聞いておりますので、大臣としてのこの交渉に臨む戦略というのが、はっきり言って見えてこない。手をこまねいているといったら言葉は悪いですけれども、いろいろ接触はしているようですが、もっと日本の立場を、立場は悪いというふうに私は思いますから、内部はこの国会、野党も含めて頑張れと、農水省はそれに内政干渉だというふうにきちんと言ったことはいいということで応援団が構成されておるわけですから、国内よりもむしろ外に向かって、これからどういったふうに日本の立場をこのウルグアイ・ラウンドで含めていくかというきちんとした戦略に基づいて早急に取り組みを願いたいというふうに考えます。  続きまして、平成二年産の麦の価格が六月に米価審議会等を開催して決定をされようという例年の状況だと思いますけれども、まず最初に、ことしの麦価の決定のスケジュール、これについてお聞かせを願いたいと思います。
  48. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生今の御質問の中にございましたように麦価の決定時期は、この十年間見てみますと、一つは七月にあったという年もございますけれども、基本的に六月ということでございます。現在、この問題につきましては、まず結論を申し上げますと、データ等々のこともございますが、まだスケジュールは決まっておりません。
  49. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 きょうの新聞によりますと、参議院福岡選挙区の補欠選挙の絡みで、例年六月の上旬、私も六月の六日から九日程度だというふうに思っていましたけれども、これを選挙に影響が大きいということで二十日以降に先送りしたというふうなことを聞いております。まさにそういう意味では政治的な農産物価格の決定の仕方が横行し過ぎる。きちんとスケジュールにのっとってやっていただきたいというふうに思います。まだ決まっておらないということですから、新聞報道をうのみにすることはできませんけれども、きちんとしたスケジュールでやっていただきたいと思います。  さて、国内産麦の政府買い入れにつきましては、買い入れる場合の国内法の適用条文について、お答えを願いたいというように思います。
  50. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま先生指摘の買い入れの条項でございますが、これは麦の政府買い入れ価格等につきまして、食糧管理法の第四条ノ二第一項、及びその水準等につきましては第二項に決まっているところでございます。先生指摘のところでございますので読み上げさせていただきますと、第四条ノ二といたしまして、「政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ麦(大麦、裸麦又ハ小麦ヲ謂フ以下同ジ)ヲ其ノ生産者又ハ其ノ生産者ヨリ委託ヲ受ケタル者ノ売渡ノ申込ニ応ジテ無制限ニ買入ルルコトヲ要ス」、水準等につきましては、第二項といたしまして、「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格政府ノ定ムル所ニ依リ麦ノ生産費其ノ他ノ生産条件、麦ノ需要及供給動向並ニ物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム此ノ場合ニ於テハ麦作ノ生産性ノ向上及麦ノ品質ノ改善ニ資スベク配慮スルモノトス」、以上でございます。
  51. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今の食管法第四条ノ二第一項、この中で、無制限に買い入れをするというふうに明記をされております。この無制限という意味合いは、生産者が希望をすれば政府は全量買い入れをするということだと思いますけれども、この点についてどうでしょうか。
  52. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生の御指摘のとおり、先ほど読ませていただきましたように、無制限に買い入れをするという法文上の規定になっております。先生は麦作改善との関係を御指摘のことかもしれませんが、これにつきましては、国内産麦については自由な民間流通を前提といたしまして、麦の需要及び価格調整を図るという、これは米の管理体制と比べますといわゆる間接統制になっているわけでございます。これは先生御案内のとおりでございます。この仕組みのもとで、政府は生産者から申し込みに応じて無制限に買い入れることとしておるわけでございます。この買い入れた国産麦は優先的に利用することを原則としている、こういうことでございます。  一方、現在の麦の価格でございますが、大幅な逆ざやのために流通の麦のほぼ全量が政府を経由していることでございまして、この間接統制本来の趣旨を生かし、麦の流通をできるだけ生産者側あるいは実需者側の双方の意向を反映させるという観点に立ちまして、もう二十年ぐらい前になりますけれども、四十三年産麦から麦管理改善対策を実施しているところでございます。
  53. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 法の趣旨からいけば無制限買い入れということでございますけれども、昨年来、六十三年産からでございますけれども、引き取りのない麦が出ておる、未契約の麦が出ておるということで、特に今年産については食糧庁が、いわゆる過剰麦については食糧庁を通さない特定用途麦という形で、大変低いえさ用の値段といいますか、通常の値段から大変かけ離れた、食糧庁を通さない麦の流通を指導しておるというふうにお聞きをしておりますけれども、その事実についてお伺いをいたしたいと思います。
  54. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生指摘のとおり、六十三年の小麦につきまして大量の未契約、約九万トンが発生いたしまして、実需者の引き取りが難航したということは事実でございます。それに応じまして、先ほど御説明したルール等に基づきまして、実需者、生産者間において契約基準数量を超えた麦の生産の調整方策が課題になったわけでございます。特に、生産量の多い北海道で流通契約が行われない麦が多量に発生したことは、麦管理全体について支障を来すというようなこともございますので、契約基準数量を超える二年産の今後の、この二年産はまだ刈り取りになっておりませんけれども、そういったことの取り扱いについての検討が行われているという段階でございます。  ただいま先生指摘のように行政指導というふうなことでございますが、具体的な内容については、やはり基本となるのはこの食管制度に関連をする生産者及び実需者の方々の自発的な話し合いというものが中心になろうかと思います。もちろん食糧庁、これは逃げるわけじゃございませんが、そういう意味で十分この話し合いを見守りたい、話し合いの内容を考えていきたいというふうに考えている段階で、まだ具体的な結論というところまで至っていないということでございます。
  55. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今の食管法の方からいけば無制限買い入れということでございますから、食糧庁が、余ったから食糧庁を通さずに売る、生産者が求めれば買い入れをせざるを得ないわけですから、問題は、麦が余る、したがって過剰になるから作付面積を制限するという形で、端的に言えば農業団体に圧力をかけるような状態で今の行政指導が行われておる。私は、いろいろな行政通達、指導があると思いますけれども、私どもが照らすのは法でございますから、食糧管理法に基づいていろいろな行政を見ておるわけですから、その中では、生産者が求めれば無制限に買い入れる、この大前提は崩すわけにいかないと思いますけれども、その点について明確に明快に御答弁願いたいと思います。
  56. 浜口義曠

    浜口政府委員 まず法律の建前、建前といいますか法律の仕組みは先生指摘のとおりでございまして、農民が求めれば無制限に買い入れるということでございます。現実に二十年来実需者等々の間で話し合いを続けてまいっておりまして、そういう日本の麦作をどういうふうにしていくか、あるいは流通をどういうふうにしていくかということについては、当然直接の関係者方々の英知ある話し合いが中心だと思います。法律の具体的な点については、先生のおっしゃるとおりでございます。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今の食糧庁長官の述べたことは、法に照らせばそのようなことがないわけでございますから、圧力をかけるような形で食管法に結果的に違反するような形になりますから、これは無制限に買い入れるということは、超過が出ようと何しようと、そういう法的な条文にあるということをわきまえて行政をやっていただきたいというふうに考えます。  終わります。
  58. 亀井静香

    亀井委員長 北沢清功君。
  59. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、与えられた時間が二十四分でございますので意を尽くさない点がございますが、端的にひとつお答えをいただきたいと思います。  初めに、私ども社会党の国会議員団が全国的に、三十数班の班をつくりまして、各地の山の状況、林業の状況等についてそれぞれ調査をいたしたわけでございます。これらの点は近く集約をしまして、また論議の対象としてまいりたいというふうに考えておりますが、私はたまたま長野県の木曽地域を調査に参りまして、現地で地方の声といいますか聞いてまいりました。このことについてしばらく質問をいたしたいと思うわけでありまます。  私は、第一点といたしまして、カモシカの被害対策でございますが、これはかつて国会でも論議になったところでありまして、特に四十年代の後半から五十年にかけて全国の森林の造林地を中心として非常に被害が急増いたしました。基本にあるものは、カモシカによる森林の被害の防止とカモシカの保護の両立を図るためにということで、それぞれの地方の自治体、また林業団体または全国カモシカ被害連絡協議会等が国に強くこのことの解決を要請をしたわけであります。これを受けまして、今申し上げるような基本点に立ちまして、国においては環境庁、文化庁、林野庁の三庁による協議が持たれまして、調査、対策がとられまして、三庁の合意が実は五十三年にできたわけでございます。そして被害の対策の確立をすることになっているというふうに聞いているわけでありますが、依然として今日この被害の発生は続いておりますけれども、カモシカによる森林の被害は全国的に見てどの程度であるか、まずお答えをいただきたいと思います。
  60. 甕滋

    ○甕政府委員 お話のカモシカによる森林の被害についてでございますが、山村の林業家等が大変悩んでおる問題の一つでございます。御指摘にございましたように、昭和四十年代後半から森林の被害が急激に増大いたしまして、五十二年度には民有林と国有林合わせまして約三千ヘクタールという被害面積に達したわけでございます。五十四年に、環境庁、文化庁、林野庁の三庁合意によりまして、個体数の調整あるいは防護さくの設置等の対策を講じてまいりましたが、五十五年度以降は被害は減少に転じておりまして、六十三年度には千八百ヘクタールということで、ピーク時の約六割に当たる面積が調査をされておるところでございます。
  61. 北沢清功

    ○北沢委員 当初のピーク時というのは、いろいろそのときの造林の非常に多かったという条件もあり、また、防護施策が組めなかったという面もあると私は思いますが、しかし依然として森林の被害が多いわけでございまして、実は先ほど現地を調査した時点においても、それぞれの町村長さんや森林組合長さん等から、この被害を防止するための実効ある対策が必要であるというふうに陳情が強くあったところであります。私はそういう面で、まだまだこの実効ある対策という点については問題があるのじゃないかという感じがするわけであります。  まず、文化庁においでをいただいておりますが、三庁合意に基づく保護地域の指定の進捗状況はどうなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  62. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明いたします。  お尋ねのございました三庁合意によりますところの保護地域の設定の状況でございますけれども全国十四カ所程度の保護地域の設定を予定いたしてございますが、現在までに既に十二カ所につきまして設定の仕事を終了いたしておる状況でございます。
  63. 北沢清功

    ○北沢委員 今十六地域を目標とし十四が地域指定をされているというふうに聞いておりますが、実は現地でお聞きをする中では、強い要望として、保護地域を早く決めてくれ、全国的に出そろわなくてもいいのでひとつ地域指定を急いでくれということなのであります。私、帰ってきまして、たしか地域指定については今御答弁にあるような形で設定をされているのですけれども、当時の被害の恒久対策として、「恒久的対策としては、文化財保護法上の取扱いを、「地域を限って指定し、これ以外の地域においては鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づいて対処する等の措置」」というような表現がされておりますが、文化財保護法に基づく地域の指定がされておらないという、そういう事情で地域指定がないんではないか、実効ある対策がとられておらぬじゃないか、そういう理解をされているというふうに考えますが、これらについてはどのような形で、いわゆるカモシカの種としての指定から地域指定という形について、文化庁がどのような態度でおられるか、この点について明確にしていただきたいと思います。
  64. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明申し上げます。  先ほどお話を申し上げましたように、全国十四カ所ばかりを保護地域設定ということで作業を進めてきたわけでございますが、十二カ所まで終了いたしまして、あと二カ所ですべて終わるという段階に至ってございます。したがいまして、私ども、残りの地区におきます保護地域の早期設定に向けて最善の努力をしてまいりまして、今先生お話のございました、できる限り速やかに三庁合意によります考え方であります保護法に基づく地域指定の実現が図られるように、懸命の努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 北沢清功

    ○北沢委員 そうなりますと、実は当時の三庁合意である五十三年の合意というものがいわゆる恒久対策も含めてまだまだ緒についておらない、大事なその基本になるところの保護地域の指定というものがされないということが、やはりこの問題の大きなネックになっているのではないかと考えるわけであります。今早急ということでありますが、この三庁合意ができてから既にもう十年たつわけでありますから、ひとつこのことについては強力に検討されまして、地域が望むところの見切り発車でもいいですから、十四地域については早く設定をしていただくように強く要請をいたしたいというふうに思います。  それでは、環境庁にお尋ねいたしますが、現在カモシカの生息数が実はふえておるというふうに聞いております。現在国内においてどの程度生息をしているか、また、捕獲頭数をふやせという声も非常に多いわけでございますが、これらについてお尋ねをいたしたいと思います。  それから、もう一点お尋ねしたい点は、現在の毛皮の処理について、環境庁の監督下にあるわけでありますが、末端の市町村においては事務処理上非常に煩雑で困るという声が多いわけでありますから、県にその手続上の事務処理を委任されて、効率的に処理をされることが非常に望ましいと思っておりますので、これらについてもひとつお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  66. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 御説明いたします。  まずカモシカの生息数でございますが、私どもで把握しております生息数は、五十三年度の私ども調査ではおよそ七万五千頭前後、それから五十八年度から六十年度に調査した結果ではおよそ十万頭前後の生息数ではないかというふうに推計をいたしております。  それから、次の、捕獲数をふやすことができないかということでございますが、先生指摘のとおり、この個体数調整につきましては、五十四年の三庁合意に基づきましてカモシカの被害を防除するという一つの対策として始めております。この捕獲数の決定につきましては、保護を前提としながらも被害の状況を踏まえ適切な対応をとるということで、地元の御意見を伺いながら、ただいまの三庁、連携いたしまして決めております。今後とも、地元の被害の状況を十分踏まえて捕獲数につきましては決めてまいりたいと考えております。  それから第三点の毛皮の扱いでございますが、毛皮につきましては、従来それぞれの捕獲個体というのは一切利用していなかったわけでございますが、六十年度からこの毛皮等の商品化というのを認めてきたところでございます。御指摘のとおり、密猟を防止するということもございまして、あるいはまた特別天然記念物であるということを踏まえまして、それぞれの加工品には目印にするタックをつける、目印票をつける、あるいは証明書を発行するというようなことをいたしております。そういったことでございますが、既に現在の方式を始めて十年、御指摘のとおりでございまして、ただいまの点につきましては今後県あるいは市町村の意見を十分伺いながら、合理的な方法がとれれば検討してまいりたいと考えております。
  67. 北沢清功

    ○北沢委員 ただいま文化庁、環境庁からそれぞれ御答弁がございました。保護地域の設定については非常に前向きな御答弁をいただき、また天然記念物の保護対策としても、県が実行している、所管している面も非常に多いわけでありますので、これらについてもひとつ、事務の能率上県に委託ができる、委任ができるという面についても一層の御検討をいただきたい。  それから、林野庁の方にもお願いしたい点は、五十三年が七万五千頭というこの生息数でありますが、その後実際は相当ふえておるのではないかというふうに私は思います。今、約十万頭以上というようなお話もございましたが、これは明らかにふえておるわけでありまして、これらについては、もう造林をせっかく金をかけて本当に一生懸命私有林等の造林に努力をしながらカモシカのために、なけなしの金を借りながら手間をかけながら、どうしようもならないという事例が非常に多いわけです。ですから、これらについてはひとつ被害状況等についてももっと十分調査をされて、これらの対策にも一段と努力をしていただきたい。そういう点を特に御要請をいたしたいと思っております。  それでは次に、地方の問題ではございますが、今、国においても国有林の事業については、大きな問題点というか、非常に危機的な状況が進んでおります。特にまた地方においても、県が中心として設置をいたしましたいわゆる森林整備公社、これは名称はいろいろあるわけであります、造林公社、農業公社というふうに言われておりまして、これは民有林の中の一八%を担っておるわけであります。これらの累積債務といいますか償還の状況、または経営の実態等が把握されておるかどうかという点について、お尋ねをいたしたいと思うわけであります。  それから、これは私の県の事例でありますが、私の県の長野県林業公社は、昨年においては、借り入れが公庫資金が約六十三億円余、これは利率が公庫資金でありますからいろいろありますが約四%と見ていいと思います。それから、県から四十三億円を借りておるわけであります。すべて借り入れによって賄っているわけでありまして、非常に県も優遇いたしまして五%という利率であります。しかし、現在の杉の利回りが一・七という状況でありますから、この内容は極めて厳しいのではないかというふうに私は思うわけであります。農水省はこのような森林整備公社の状況についてどういうふうに認識をされているか、お尋ねをいたしたいと思います。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  68. 甕滋

    ○甕政府委員 いわゆる林業公社でございますけれども、これは御承知のように、以前の薪炭林地帯等で自営で造林がなかなか進まないといった地域につきまして拡大造林をしていこうということから、農林漁業金融公庫資金を入れまして、計画的、集団的にこれを進めようというねらいで設立されたものでございます。それによって森林資源の充実あるいは山村地域の振興等に大いに役立ってきておるわけでございます。  その事業に必要な資金の大部分は、公庫資金を初めといたしまして借入金で賄われているという実態がございまして、これもお話にございましたように、その借入金の残高が多額に上る。これは六十三年度末の全国数字でございますけれども、各種資金を合わせて四千八百億を上回るという状況がございますなど、いろいろ難しい問題になっておるように認識をしております。これは、公社造林が三十四年度から始まりまして、その造林地がまだ保育、育成の段階、いわば投資過程にございまして資本の回収期に入っていない、また元利償還の財源となるべき間伐収入でございますが、木材価格の低迷等によりまして期待するほどになっていない、こういう状況が背景にあるわけでございます。  こういったことから、私どもも造林資金につきましては、償還期限を公庫資金の中では最も長い五十五年、据え置き三十五年というふうに延長をいたしますとか、融資対象林齢の引き上げを行いますとか、従来からその経営の実態を踏まえまして可能な限り貸し付け条件の改善に努めてきておるわけでございます。本年度におきましても、森林総合整備事業あるいは間伐促進強化対策におきます育林の場合に、融資対象林齢を五年引き上げる、林齢三十年までとするといった措置も講じたいと考えておりまして、なお本件につきましては引き続き地方の実態等を見守りながら、都道府県の皆さんで構成しております協議会等もございますので、十分意思疎通を図りながら対応してまいりたいと考えております。
  69. 北沢清功

    ○北沢委員 やはり地方段階においても民有林の段階においても、さらに国有林の林野事業についても、特に林業の事業会計の利率について、例えば国有林野事業法による利子は約六・三三というふうに聞いておるわけであります。そういう中で現状の一・七と言われるくらい林業の利回りというものが非常に問題になっておるわけでありまして、これらはやはり根本的に長期なものを主体とした事業というものが大きく各林業の再建について圧迫をしているのではないか、そういうふうに見てもいいわけでありまして、このような構造的な危機の中で、果たして国有林の利率についても、このままで推移をするならば経営改善計画の達成は困難ではないか、そういうふうに考えるわけであります。加えて、この困難な中でどういうふうにするかということについても、やはり基本となるものは、今の二兆円余にわたる累積債務の処理いかんということが非常に重要な政治課題になると思うわけでありまして、これらを含めて、経営改善計画の達成は現在どのような見通しを持っているかについて、お尋ねをいたしたいと思います。
  70. 甕滋

    ○甕政府委員 国有林野事業につきましても、林業全体が大変厳しい状況にある中で、その財務状況も非常に悪化してきておるわけでございます。ただいま金利の点での御指摘もございましたけれども、借入金利そのものは、借入金が事業費の全部に充てられるものではございませんし、その金利と投資全体の利回りをそのまま比較することはできるものでもございませんが、金利の負担を緩和する、こういった点につきましては、国有林のこれまでの経営改善対策の中におきましても、退職手当の借入金についての一般会計からの繰り入れをいたしますとか、一定の償還金に対します借入金についても一般会計から利子補給をする、こういうような措置も講じてその利子負担の軽減を図っておるところでございます。しかしながら全体に、国有林の経営の中で収穫量の問題、また要員が調整過程にある、こういった事情等々からいたしまして厳しい経営改善のさなかにあるわけでございます。  そういったことから、六十二年に改定強化した改善計画によってこの収支の均衡を図るという目標で進んでおりますが、現状からそのまま延長したといたしますと、この収支改善の見通しもなかなか厳しい状況にあるのではないかというふうに認識しております。そういった中で国有林の経営の健全性を確立するというために、現在総括的な対応策につきまして林政審議会を舞台に検討を進めておるところでございまして、なるべく早くその結果を受けまして適切な対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  71. 北沢清功

    ○北沢委員 時間がないので以上で終わりますが、国有林の健全化については改めて時間を設けていただきまして、その方途について私どもの立場からいろいろと御提案を申し上げたいと思っております。  以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  72. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 堀込征雄君。
  73. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は関連質問ということで、価格形成の場について食糧庁長官にお尋ねをいたします。  先日来答弁を聞いていますが、食糧庁のねらいが何だかだんだんよくわからなくなってくるのですね。例えば減反問題一つございますが、先日の質問で、価格形成の場は減反政策とは別の問題だというふうに言われているのですけれども、今までの減反の努力、これはこの市場原理導入した価格形成の場によって崩壊させられることになるのではないか。あるいはさっきの前島議員への答弁を聞いていますと、将来、食糧庁は、高値のつく米の地帯は減反政策は少なくなっていっていい、あるいはやらなくてもいい、こういう考え方を持っているのじゃないかというふうに聞こえるのですが、どうですか。
  74. 浜口義曠

    浜口政府委員 前回の堀込先生の御質問につきましても私の方からるる御説明をしたところでございますけれども、この価格形成の場というのはあくまでも食管法の枠のもとで実施されるものですので、かつまた、この問題が降ってわいて突然出てきた問題ではございませんで、現実自主流通米の場合において値決めが行われているわけです。値決め方式というのが行われているわけです。その点について私どもは、今の通達によります、協議会方式といっておるわけですが、協議会方式を、今回価格形成の場という形で衣がえをしよう、こういうことでございます。これがねらいでございます。もちろんこの前提といたしまして、諸先生指摘のとおり自主流通米は大きく成長してきているわけでございます。昭和四十四年、二十年前には本当に小さなものだったのが大きくなってまいりまして、当然そこにおいて新しい方式というものを導入しながら内容を充実して、国民の皆さんあるいは農家の方々にも十分わかるような方式にしていこうというのがこの本来のねらいである。その点についてまず申し上げたいと思います。  それから第二番目は、生産調整ということを申し上げましたけれども、これは今回の報告書のとおり、前回読み上げましたが、生産調整がまずありまして、それについてその中で政府米自主流通米安定供給ができる、こういう形でこの報告書の中にもその文言が書かれております。大きな生産の調整生産調整で行うのだというのが考え方だということでございます。
  75. 堀込征雄

    ○堀込委員 そこで、現行自主流通制度は弾力性に欠ける、公平性に欠ける、透明性に欠ける、こういうふうに言っているわけですね。しかし、消費者にとってこれが不透明、不公平あるいは不公正だというふうに見えるのは、これは卸、小売の段階にかなりあるのじゃないですか。例えば混米比率がどうなっているか。消費者は新潟のコシヒカリを買っていると思っているけれども、実際は四〇%もほかの米がまざっているというような現状が大いにあるのじゃないでしょうか。なぜ集荷業者と卸の間だけ透明性を確保するためにこんなことをやって、その段階はどうして手をつけないのですか。
  76. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生指摘の格上げ混米の問題でございます。これも不透明性という言葉を使って言うべきかどうかわかりませんが、現実にいろいろの御批判があるところでございます。これに対しましては、やはり流通改善対策ということで昨年の六月「米穀販売業者に係る業務運営基準運用について」ということで、私ども一つの対応措置をきちっとやらせていただいております。今までの表示のことをるる申し上げるのは省略させていただきますけれども、従来、単一銘柄が五〇%以上であればその銘柄を表示することができました。そういったものを今回、いろいろ御批判がございますので一〇〇%のものとし、複数の銘柄の場合は混米であるということを明記する、こういう指導といいますか実施をさせていただいているところでございます。
  77. 堀込征雄

    ○堀込委員 価格形成の場で決まる一つ値決めですね、新潟のコシヒカリが幾ら、宮城のササニシキが幾ら。これは小売段階で混米をされて実際に売るという事態になりますと、混米の表示をさせる、そういうことでいいのですね。
  78. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生おっしゃるとおりでございます。一〇〇%の場合だけ明示するというふうに改めました。
  79. 堀込征雄

    ○堀込委員 それでは、次の質問に移ります。  前回も申し上げましたように、弱い生産者が汗水垂らして米を生産する、落ち穂拾いをして米を集める、それを農協へ集める、そして各県経済連へ集める、一銭でも高く有利販売をするために全農へ結集する。これは全国の農家の気持ちとして、あるいは行為として当然だと思うのですね。どうして今度、農民の切なる力の結集の場である全農をこの価格形成の場に、支障のない場合という条件つきでしか認めないのか、どうしてもわからないのです。なぜそこまで食糧庁が踏み込む必要があるのか。そこまで踏み込んで、これは国民の声だなどと言っておりますけれども制度改革をやる必要はないのではないか。農協は現に行政と協力をしながら困難な減反政策も現地で責任を持ってやっているわけです。一生懸命協力しているのです。みんなで力を合わせて減反もやる。だから、みんなで力を合わせて一元集荷、多元販売をやって一銭でも有利に売ろう、これは当然ではないですか。どうして全農をこの価格形成の場の取引に入れないのですか。
  80. 浜口義曠

    浜口政府委員 現在の指定法人の取り扱いでございますけれども、私の方からるる申し上げる必要もございませんが、今回の報告書は、自主流通米の占める比重が大きくなってきた中で、価格決定過程が一般にわかりにくいとか透明性に欠けるとか、需給の動向や品質評価の反映が十分なされているとは言えないというような、これは食糧庁がということではございませんが、いろいろな御批判が出てきているわけです。こういう一つの新しい段階の中で、先生の御指摘のような、現行集荷の方においては農協あるいは全集連という組織がございますけれども、そういった問題、三段階制とかいろいろこういう問題にも絡んでまいりますが、それぞれの中で経済連単位という一つの提言がなされているわけでございます。これも私の方から細かく言う必要はございませんけれども、現在の状況が何々県のコシヒカリとかそういったようなところにあらわれているように、産地品種銘柄がおおむね都道府県単位となっていることを踏まえてということでございまして、そういう形の中でやっております。この経済連、もちろん私の方から言う必要はないと思いますけれども、系統組織の問題でございます。  なお、現行の場合にも三段階制の問題がございますけれども食管法上、食管体系の扱いからは、全農の位置づけあるいは全集連の位置づけは第一次集荷業者、第二次集荷業者という形になっていないのです。政府の間の指定法人という特別な位置づけをされている状況でございまして、そういう意味でこの扱いというものは、現下におきます形の中で一番現実に即した形、食管制度のいろいろなよさを発揮するべく提言されたと我々理解をしております。
  81. 堀込征雄

    ○堀込委員 検討会の場の結論もわかりましたし、指定法人ということもわかるのですが、私は、食糧庁がこれから米行政をやっていく上でなぜ全農を排除しなければならないかということで食糧庁の考え方がわからないのです。こんなことをしなくも自主流通協議会で現にやっておるので、不透明な点があれば今の全農を指導すれば十分ではないですか。多分、全農だって食糧庁に指導されれば不透明な点は直すことにやぶさかではない、こう思うのです。なぜやらなければならないかというのが、先日の質問から先ほどの前島議員の質問からよく聞いているのですが、よくわからないのですよ。農家、農民のためになるのだということもわからない。消費者のためになると言っていらっしゃるけれども、説明に全然胸に落ちるものがないのですね。これはぜひ再検討してほしいと思うのですが、売り手や各県経済運、それに農協や、その他集荷業者等も考えていると思うのです。これは、例えばそういう各県経済運や業者は、これから売っていくには非常に情報収集もしなければいけない、情報分析もしなければいけない、人や情報システム、代金決済機能、いろいろな機能をこれからそろえなければいけないのですよ。大変な資金も要るのです。そんな負担をそういう事業者や最終的には農家、農民にかけるようなことをやる必要ないのではないか、私はこういうふうに思っているのですが、それは議論平行線ですから、きょうは時間ありませんので答弁はいいです。  仮に、前回も質問しました各県経済連、例えば全部全農に委託しますと、食糧庁それはだめだと言いますか、どうですか、簡潔に答えてください。
  82. 浜口義曠

    浜口政府委員 今回の検討会報告を受けまして、先ほど言いましたように、この検討会の提言の中にも書いておりますように、政府といいますか農林水産省、食糧庁で十分検討し、関係者の方方の御意見を聞きながら実施に移していくわけでございますが、今回の提言というのは、農政審議会の報告を受けまして、系統組織の代表の方も十分入った御議論の末での一本化の答申、報告書という点がございます。そういうものの中で、引き続き先生指摘のような関係者方々の納得を十分得ながら立派な価格形成ができるように努力してまいりたいと私どもは思っております。
  83. 堀込征雄

    ○堀込委員 答申の中身わかりましたが、時間がありませんから、きょうはそれ以上申し上げられません。実際は、今申し上げましたように、系統組織、系統購買、系統の一元集荷、多元販売という理念があるわけですね。それを崩すようなことをここで僕はやってもらいたくないし、それは農家、農民の期待に反するものだ、こう思います。  そこで今長官から、関係方面の意見をよく聞いて、こういう答弁がございました。また、先日大臣も、審議会政治はどうだと言いましたら、やはり国会を中心にしながらみんなの意見を結集して、そしてよく話し合って一つになってやっていこう、こういう趣旨の意思表明もございました。食糧庁長官、やはりこの問題は、私ども各県を歩いてみても、農家の皆さん、農業団体初めいろいろな団体の皆さんからたくさん意見をいただきます。そこで、プロジェクトチームで成案をつくっているようでございますが、これはぜひ実施の前に各党の農林部会とか国会の場に相談をかける、ある程度の了承を得て進める、こういうことを約束してくれませんか。最後にお尋ねします。
  84. 浜口義曠

    浜口政府委員 これまでもお答え申し上げておりますように、この実施はあくまでも、一方では農家の方々が精魂込めてつくられた米の問題、また消費者の問題におきましても主食の問題でございます。いささかもおろそかにすべき問題ではございませんし、この答申のはしがきの末尾に関係者の御意見十分聞いてやれ、こういうことを言っておりますので、趣旨を体しまして、十分納得をいただきながらやらせていただきたいと思っております。
  85. 堀込征雄

    ○堀込委員 終わります。
  86. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 目黒吉之助君。
  87. 目黒吉之助

    ○目黒委員 米市場開設の問題を中心に、大臣それから食糧庁長官にお伺いいたします。大臣が他の委員会に出席される約束があるようでございますので、時間になりましたらどうぞそちらの方へ出席していただいて結構でございます。そういうことでありますので、大臣に先にお伺いをいたします。これまで市場開設の問題についていろいろ議論がございまして、ある意味ではおさらいの部分も出てまいると思いますが、その点をお含みの上、お答えを願いたいと思います。  大臣、私はこの農政審の答申に基づく検討委員会報告を見まして、こんな立派なものができるのかなと、まず第一にそれを感じたのですけれども、これは大変難しい問題を、検討委員会報告を見ていますと、大変立派な米の流通管理ができる、このように述べております。例えば「価格形成の場についての基本的な考え方」、この価格形成の場を設置すると生産者はみずから生産した米の評価がわかるし、需要に応じて生産ができる、それから消費者については、産地銘柄の好むものが手に入りますよ、それから流通関係では、需給の動向や品質が評価をされる価格がちゃんと立派にできますよ、これを読んでいると何も問題はないのですね。  しかし、御案内のとおり農業問題というのは、ガットの場でもなかなか解決が見出せないほど難しい問題なんです。しかも、今度価格の場を形成すると言っておりましても、それなりの規制が加わっております。そういう意味では、まさにこれは役人の商法で市場の難しい点を克服していこうという、これはもう大変な自信になっておるようでありますが、果たしてそんなことができるのかというのは、こんな簡単にできるのかというのはだれしもが持つ疑問だと思うのですよ。市場原理導入と一口に言いましても、一方では血の出るような減反をしておる。他方では、三年前は干ばつで米の値段は倍近くはね上がっておるアメリカの大豆が不作に見舞われて日本の豆腐が上がる、常にそういうものを想定してかからなければならぬのが農業なのではないですか。そのようなものは全然前提にこれは一言も書いてない。触れてない。大臣、これを見られて、ここに示されておるような価格の場を形成することによって、一体こんな立派な米の需給関係ができるという自信はお持ちですか。
  88. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生が御指摘のところに役所の問題とかそういった点もございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  先生指摘のとおりこの報告書は、いろいろな方々にお集まりいただいて、価格形成の場の前身と目される現行値決め協議会方式の教訓とかあるいは経験に基づいて提起されたわけでございます。現実に二十年間やってきた場というのがあるわけでございまして、そういったものの中のいろいろな問題点あるいはいろいろな長所、この中で先生がお読みになったところの前で、やはりかなり今までの実績といったものをたたいた文章がありますけれども、まさにそうだと思います。  それから第二番目に、役人がこれに容喙することがいいかということについては、おっしゃるとおり、いろいろな硬直性の問題があるわけでございます。私が言うこと自体問題でありますけれども、そういう意味価格形成の場、食管制度の場というものの中で政府の関与の仕方の中で、できるだけより市場原理を入れながら民間流通のよさを入れていこうというのがこのねらいでございまして、先生が御指摘のとおり、現実の問題についてはほかの社会の問題もそうでございましょうけれども、農業の問題でも難しいと思います。ただ、先生の御指摘のように、食管制度は国会あるいは政府等々の御指導、御努力等々ありまして、やはりほかの作物に比べまして、戦後の姿といたしまして価格の乱高下とか安定的供給に劣るといったようなことはなかったというふうに我々言えると思います。やはり何倍もばんばんと値段が上がったり下がったりということはないわけでございまして、これも食管法一つのいい点でございます。  ただ、世の中だんだんゆとりが出てまいりまして、消費者ニーズというのは一方ではいろいろな多様な嗜好が出てまいっております。農家の方もいろいろ御努力をされて、それこそ地域に合った品種をおつくりいただいているというような中から、自主流通米だけにつきましてこういった価格形成の場というものをやっていくという時代になってきているのではないかというふうに思う次第でございます。
  89. 目黒吉之助

    ○目黒委員 これまでの質疑の中で、やはり価格形成の場を設置することによっていろいろな問題が起こるであろう、基本的な問題についてほとんど答えが出ておらないのですね。そうでしょう。まず第一に、いわゆる市場原理導入ですから、需要と供給関係あるいは安定価格をどう求めるかということになってまいりますと、物の流れがどうなっていくのか。一定規制の中で市場原理導入を加えなければならぬというのが今回の建前になっておりますから、その中心になる政府米自主流通米の割合はどうなんだといいましても、報告がこうなっておるが、私はこう考えておるが、実施に当たって大体このくらいをめどにするという点についても、全くこれは答えが出ておりません。この点、大臣、あれでしょうか、これは、この制度のある意味では一つの大きな課題になっているところだろうと思うのですが、政府米自主流通米のおおよそのめどというのは、どうも食糧庁長官の範囲ではなかなか決められないというように私はさっき聞き取ったのですが、これは長官の答えというのは、大臣に私は聞いておるのですが、大臣と十分に打ち合わせた中での答えになろうと思うのですけれども、そのように受けとめて——お答えがあるようですから私は受けとめますが、これは我々が決められないですか。
  90. 浜口義曠

    浜口政府委員 先ほど来お答えしておりますのは、政府米自主流通米ともに政府管掌米ですが、その割合といたしましては、現実動向の動き等々から報告書では三割ないし四割、この前に出ました農政審報告で四割程度、こういうことを言っております。私ども現実数字で大体そんなところかなというふうに思っているわけでございまして、それで、それに基づく具体的な数量というのをどうするかというのは、年度末に決めて大臣の名前で公表させていただいております基本計画に明確に決めさせていただいている。大体その方針といたしまして、今申し上げましたように報告書段階あるいは現実段階で三、四割かどうか、これはやや技術上でちょっと申しわけありませんが、一つ集荷数字とそれから政府保有米を入れた全体の供給量で数字が違うわけでございますが、そういう数字というふうに御理解いただければいいと思います。そういう意味で、私この点について割とはっきり申し上げてまいったつもりでございます。
  91. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この部分は、米を全面的に市場原理で流通をさせるということは危険なので、一定規制をかけたその規制部分に当たるのですよね。ここのところがいつまでたってもはっきりしない。でありますから、後から出ますように、この制度によって米の相場全体を決めていくことになるのにつながる問題ですよね。でありますから、そうあいまいなことじゃなく、ここはもう制度の発足に当たって、今後はこのように考えておる、やるということをやはりはっきりしていただきませんと、今の計画はその年その年の状況によって基本計画が決まって、自主流通米政府米の割合が決まっておる。ところが、市場はずっと続くのですよ。ということになりますれば、年々の計画では極めてこれは不安定ですよ。したがって、市場とのかかわり合いは、政府米はこうなってきますというものがなければだめなんですよね。そうじゃないですか。
  92. 浜口義曠

    浜口政府委員 まず、政府米自主流通米の比率でございますが、ここのところは、繰り返すようでございますが、この報告書の言葉を引かせていただきますと、「政府米自主流通米の割合については、政府米機能を考慮すると当面三—四割程度が適当と考えられる」と明確に言っているわけでございます。私ども、個々の点については最終的に詰めをしていかなければいけませんが、現段階で申し上げられる点はこの点だろうと思います。  それから、価格の問題でございますが、全体の上でそういうような比率の変動が起こってくると価格が変動するんじゃないかというお話でございますけれども一つ機能から申し上げまして、政府全体の役割といったような点からいきますと、やや言葉を選ばないで申しますと、政府米価格が下支えになるということだろうと思います。この政府米価格というのは米価審議会で決められるわけでございますが、基本といたしまして、自主流通米政府米を下支えにしたその上の価格形成が行われるだろうというふうに見ております。
  93. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この点は、食糧庁の考えは四割程度、四割というふうに理解をしておきます。いい悪いは別問題です。  次に、これまで議論がありましたが、上下五ないし一〇%の問題ですけれども、これがもし実施されていったということになりますと、どこと対比したものであるかというのも非常に重要でありますけれども現行価格変動よりもむしろ価格は変動幅が大きくなると言わざるを得ないのですけれども、この点はそうじゃないんだと言えますか。
  94. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいまの先生のお言葉どおりと思いますが、ただ一言申し上げますと、米の問題、主食の問題でございます。これは、農政審議会の方向から、乱高下、投機の対象にしない、比較的安定的に給供すべきものだということでございますので、いろいろな意味での値幅制限といったような措置をとれということで、検討報告では、当面は上下五ないし一〇%程度が望ましいという御提言をいただいております。これはお答えしておりますように、何から五%かということについては実は明確でございません。これは当然のことでございますけれども、先ほど申し上げました米の重要性の趣旨に基づきまして基本的には安定的に供給する、一方では市場原理を入れるということを調和させるということで、十分関係者方々の御意見を聞きながら決めていきたいというふうに考えております。
  95. 目黒吉之助

    ○目黒委員 端的に伺いますが、それを決めて実行した場合に、現行の米価よりも変動幅が大きくなるのではないですか。
  96. 浜口義曠

    浜口政府委員 現行の米の場合、先ほど下支えの点で政府米の話を言いましたけれども、それとは別に自主流通米の方向からいきますと、比較の問題として銘柄間格差は開くというふうに思っております。ただそれが、正常な形、みんなが納得できるような形でいくということが眼目でございまして、むやみやたらに乱高下するということは、当然のことですけれども抑止されなければいけないと思っております。
  97. 目黒吉之助

    ○目黒委員 現行よりも変動幅は大きくなる、これだけは今のお答えでもそのように理解をしていい問題だと思いますので、この点は、やはりこの制度の是非をめぐる重要な一つの問題として受けとめておきます。  次に、この市場の開設の準備状況でございますが、まず生産者及び生産者団体、関係団体はこのことについて一体どの程度理解をしておるのかということなんですけれども、御案内だと思いますが、新潟県の農協中央会はこの制度に基本的に同意できない、こういう態度で対処することを決めております。その内容は、いろいろと改善すべき条件等についてもまとめておるようでありますが、いわゆる市場原理導入されることによって、米の安定供給、安定生産ということで、危惧される部分について指摘をいたしておるわけであります。  先ほど来長官は、これらの団体等と十分に話し合いをするというか理解を求めて実施をするというふうにおっしゃっておるわけでありますが、大体どのような場所でこれらの関係団体に対する理解を求めようとしておられるのか、これからの作業になると思うのですが、構想がありましたらひとつお聞かせを願いたい。  さらに、いろいろと準備をされていると思うのですけれども、第三者機関の設置、運営委員会の構成、開始時期の日程等々のめどはどうなっておるのか、あるいはまた、実施するについて整備をしなければならない規則、整備までいくのかどうかわかりませんが、規則等あるわけであります。特に十条それから十八条等々について、生産者と集荷業者とのかかわりの問題等について期日を付したいわば規則ができ上がっております。六月の十二日までに集荷団体が、一次集荷、二次集荷の間の意見交換をするとかもろもろの定めがございますが、これらについての作業の進捗状況は一体どうなっておるのか、お伺いします。
  98. 浜口義曠

    浜口政府委員 まず、ただいまの最初の新潟の場合については、具体的にどういう内容であったかという詳細は知っておりませんけれども新聞等で、この新潟の中央会が一つの御意見を発表されたということは十分承知をしているところでございます。  次に、このスケジュールでございますが、先ほど、集荷団体等、六月十二日というお話もございましたけれども、具体的な日付はまだ決まっておりません。この報告書が出ましたのが連休直前でございまして、四月二十七日でございまして、これは天下に公表されたわけでございます。これについての御意見が出てまいっておりますが、私どもとしまして、まず五月八日に食糧庁内の体制を整備いたしまして、推進本部及び準備室というのを食糧庁の精鋭を集めて構成をいたしました。今後、案をつくりながら、十分関係者方々とあらゆるレベルでお話ししていこうというふうには考えております。なお、このメーンであります指定法人等々の関係者方々は、ある意味ではこの検討会に御参加をされております。それから、具体的な審議の内容は先生御案内のとおりでございまして、各経済連の代表の方々も数人の方々の御意見を賜った経緯もございます。私ども、十分納得のいくような形での、関係者の御意見の開陳の場を設営いたしまして十分お話を聞き、意見の交換をし、よりよいものにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  99. 目黒吉之助

    ○目黒委員 このままでは、関係団体の理解を得る、特に全農の系統組織の理解を得るというのはなかなか容易な仕事じゃない。先ほど来、堀込委員の方からも指摘がございましたが、今度の改正はいわゆる売り手の大きな力を分散させて、競争原理導入というわけでありますから、端的に言って流通業者の買いやすい状態をつくるということにあるわけですね。これがねらいでしょう。そうじゃないですか。
  100. 浜口義曠

    浜口政府委員 流通業者の方の一つのねらいではないかというお話ございましたけれども、それはこの報告書をお読みいただきますと、やはり一つのこの自主流通米の二十年の歴史の上に、新しい局面を迎えての対応だということでお読み取りいただけると思います。この中におきまして、議事の中でいろいろな御議論がありました。事実、一方では、私ども何度もお話を申し上げておりますけれども、地域地域でかつての食糧難の時代といったようなものと大分違ってきた状況の中で生産が行われ、また片や、消費者のいろいろなニーズに対応して農家の方々が一生懸命、新しいおいしい品種あるいは相対的に生産性の高い品種を創出していただいているわけでございます。そういったものに反映する価格一つの、この自主流通米の中の一段階一つの画期だというふうに理解しておりまして、そういったものを十分関係者方々理解いただいて、一本化した御報告書をいただいたという理解に私ども立っているところでございます。
  101. 目黒吉之助

    ○目黒委員 共闘体制を分断をして、売り手市場と買手市場のいわば力の均衡みたいなのを図っていくということなんですが、今の御答弁の中に、消費者ニーズにこたえる供給体制ができる、こういう趣旨の御答弁がありましたが、この点でいいますと、消費者の求める銘柄がこの制度によって手に入りやすくなる、こういうことをおっしゃりたいんだろうと思うのですが、現実にこの間も議論がありましたように、新潟コシヒカリ、二十五万トン生産されて流通は八十万トンになっておるなんというようなことで、実態消費者に好む銘柄が渡っていない、表示にうそがあるという状態が今続いておるわけですね。この場の形成によってここのところはどのように克服されていくのですか。
  102. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生指摘のところは、一つは格上げ混米の問題、あるいは別な言葉で言いますと表示と中身の違いということだろうと思います。先生の御指摘のとおり、新潟のコシヒカリといったようなものが市場に相当の名声を博しまして、消費者方々はこれに対して期待をしているということでございますが、今申し上げた二つの点みたいなものについてのいろいろな問題が起こっております。これは先ほどもお答えをいたしましたが、一つの流通の問題という形で表示の問題につきまして昨年の六月に方式を改めまして、いわゆる表示において一〇〇%でなければいけないというような指導を行っております。さらに、この御説明のときに省略をいたしましたけれども、巡回指導であるとかそういったことも十分行いまして、先生指摘のいろいろな不正の面については、食管法運用の中できちっと対処していかなければならないというふうに思うところでございます。
  103. 目黒吉之助

    ○目黒委員 このままいきますと結果として、高額所得者はやはり味のいい米を食べるし、低所得者はいや応なしにまずい米を食べるという消費構造、実質生活格差の拡大につながることは、これは間違いないと思うのですが、この点ほどのように説明されますか。
  104. 浜口義曠

    浜口政府委員 消費者ニーズに応じましていろいろな、例えばある一定価格に応じまして米が提供されるというのが一番理想的な形でございます。先生指摘のように所得の格差によりましていいものが手に入る、所得の低い方にそういうものが手に入らないということは、これは食管の行政を行っている上において十分警戒しなければいけないことでございます。  これにつきましては、私どもといたしまして、政府米におきます標準価格米の問題であるとか、あるいは流通におきましての良質米の供給という方向を、農家の方々にもお願いをして、できる限りそういうものに近づけていくということでやっていかなきゃいけないと思います。現にいろいろな各地において、味等についてそこそこのものであった地域におきまして、今後のいろいろな意味での良質米志向という消費者ニーズに対応して、大きな生産の変革が行われているように我々理解しております。地域の名前は申し上げませんけれども、そういったようなことで、我が国の、日本の農民の方々の御努力というものは、そういう消費者方々ニーズというものに十分対応していけるものだというふうに考えているところでございます。
  105. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ニーズに対応するといっても、低所得者は高い米なんて手に入りませんよ。これはそういうものを実質拡大していく問題なんです。そんな簡単なものじゃないはずなんです。まあこの点はこれからも議論があろうかと思いますし、やはりよしあしを判断する重要な一つ部分だと思っておりますので、長官の答弁、幾ら言葉を並べられても納得できないわけであります。  次に、この報告では、政府米価格形成の場ででき上がった価格を参酌して決めていくという表現がございますが、これはそう理解をして間違いございませんか。
  106. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生指摘のところは、報告書段階で「自主流通米価格が需給動向市場評価を的確に反映したものとなっていくので、政府米についてもこれに対応して適切な価格及び品質格差の設定や売却手法の弾力化を行うべきである。」という点に関連するものだと思います。これにつきましては、政府米価格の決定、売り渡し価格あるいは買い入れ価格ともどもでございますが、これは政府の保管するものでございまして食管法に基づきまして行われるわけでございまして、そういう意味では、価格がそのもの、この価格形成の場から出てきたものが直に行われるということではございません。米価審議会で当然、現行方式でいきますと生所方式と呼ばれている方式に従いまして行われるべきでございまして、ただ、品質格差の設定とかさらにまた具体的な売り渡し価格、具体的なことを申し上げますと、例えば、現在のところでいきますと古々米というものが残っておりますが、そういったことについては弾力的に運営する場面といったようなこともあろうと思います。これについては、既に米価審議会にもお諮りをして方向づけといったものを受けておりますが、ただ、先生指摘のような全体の水準というのは、あくまでも現行食管法のもとにおいて政府米については現行では生所方式で行われる、こういうふうに理解しております。
  107. 目黒吉之助

    ○目黒委員 いわゆる市場価格を、読み上げられたような姿で政府米の生産者米価に反映をさせるということになってまいりますれば、生所方式がゆがんでくるのじゃないですか。そして、言葉を返すようですけれども政府米が下支えになるという保証はないのですよ。自由流通市場でしょう。安くなってなぜ下支えになりますか。いつも高いとは限らないのですよ。そうでしょう。その点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
  108. 浜口義曠

    浜口政府委員 まず、大きな価格の流れというのは、繰り返し申し上げておりますけれども、第一義的に定められるものとしては生産調整の枠組みだろうと思います。現在、八十三万ヘクタールという生産調整を農家の方々にやっていただいているわけでございます。そういったようなことから、私ども、この生産調整数字が需給の上で妥当であれば、先生の御指摘のような大きな値幅の動きというのはないというふうに考えているところでございます。ただ、その次に下支えというのを申し上げましたのは、政府の場合には、限度数量の範囲内ではございますけれども政府米として一定価格で買い入れるということをはっきりしておるわけでございまして、農家の方々が選択する際に、価格形成の場の方で低くなるというようなことを前提にしてそちらに玉を上場されるということはないだろう。もちろん、変動というものは豊凶の差によってあろうと思いますけれども、これも先ほど来御議論のように、値決め幅ということで管理された価格で行われるわけでございますので、特にその点については、先生からの御指摘も受けまして、私どもプロジェクトチーム等々で十分そういうことのないような案をつくっていかなければいけないというふうに思っております。
  109. 目黒吉之助

    ○目黒委員 非常にまだまだ、お答えにならないのかできてないのかよくわかりませんけれども、開設の日程などを検討しておりながらも、内容については団体も消費者も生産者もわかるような内容にさっぱりなっていないのですね。こんなことでこれだけの大きな制度改革をしようと思ったら、これは大間違いだと思うのですよ。もう少しはっきりしたものを出して相当の期間、やはり関係団体の納得を得る期間を置いて進めるなら進めるべきだと思うのですけれども、これは今のところ、どこから聞きましても全く密室の中の作業で開設しようとしているとしか受けとめられないのですね。こんな行政が一人歩きするということは私は許されないと思うのですよ。やはり何らかの形で、国民生活に重要な影響を与える改正ですから、食管法あるいは政令、規則の中でできるのだとはいうものの、やっていいということと明確にした方がいいということとは別だと私は思うのですね。これは、食管法を大変ねじ曲げて今までやってきましたですよ。四十四年の自主流通米だって、食管法三条の政令部分を逆さまに解釈して自主流通米導入したわけでしょう。一定の実績をつくっておいてから法改正をした。今回もある意味では、先ほど来この問題に関する限りたび重なる答弁がありましたように、今まで協議会方式でやってきたものを入札方式に変えるだけだ、こういうお話でしょう。少なくとも今までは政府米価格というのが、ある程度価格を支配しておったのです。そうでしょう。ところが、自主流通米が七割、地域によっては八割を超えるという状況の中で、政府米価の位置づけというのは変わったのです。そして今、市場価格政府米にも反映されるといういわば食管の基本にかかわる価格形成の変質をやろうとしているわけですよ。こんなことが密室の中で許されていいのかということが私どもの疑問なんです。この点、率直に長官はどうお考えですか。
  110. 浜口義曠

    浜口政府委員 私どもの基本的な考え方は、今回の米の問題は国民食糧の基礎的なものでございますので、関係する消費者の方あるいは農家の方方の一番重要なものだというふうに深く肝に銘じております。したがいまして、こういう改革におきまして、二十年来の実際に行ってきた業務の問題につきまして、農政審議会の報告をいただき、関係者方々の御意見を十分発表していただき、それに基づいて今回も公開の報告書を天下に表明させていただいて、その上でやっていこうということでございます。私どもの作業がもちろん食糧庁の中の一室で行われていることは事実でございますけれども、これは一つ段階でございますので、きちっとした形で、先生指摘のところはそういう趣旨に基づきまして関係者と御相談をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  111. 目黒吉之助

    ○目黒委員 とにかく、あらゆる中身を今こうして検討してみますと、まだまだ不確実な部分が多過ぎるわけでありますし、検討結果をわかるようにするというわけでありますから、わかるようにした上で十分に議論を重ねて、それから実施を考えることがあっても遅くはない、こう思うのですよ。したがって、これはこのままで実施をするということは時期尚早です。この点も再検討して十分に中身を明らかにした上でもう一度やはり説明をされる必要があろう、こう思いますので、この点は強く要望しておきます。  時間がございませんので、用意した質問項目もたくさんございますが、一遍にできる部分だけ申し上げますから、お答えください。  そのうちの一番大事なのは、先ほど来農政審の答申というお話がございました。長官の答弁では、農政審は国家行政組織法に基づく審議会だ、こういうお話がありました。我々常識的に考える場合、農業問題ですから、農業基本法二十五条に言う農政審議会、農業白書あるいは長期計画をつくる場合は意見を間かなきゃならない、その他の問題については、それぞれの大臣の諮問に応じてこれにこたえていくという任務がございます。当然のこととして、基本法の審議会、こういうふうに理解するわけですね。これは前回お答えになりました国家行政組織法に基づく審議会、なぜそうしたのかということと、だとすればどんな諮問があったのか、お答えを願いたいと思います。  あと、不正規流通の防止について、政府米が順ざやになるというのは、これはなかなか確保されませんですよ。この点について一体どう考えておられるのか。  それから、大変な努力自主流通米というのはここまで来たのですから、良質米奨励金は既に米価の一部になっておることは明らかであります。この点は継続すべきである、このように考えるわけでありますが、この点についてどうかということ。  それから、産地間競争が激しくなれば、言われるとおり減反なんというのはなかなかこれはできなくなりますでしょう、今までの制度の中で初めて成り立っているのですから。それが、自由米市場を開設をして、消費者の嗜好がどんどんふえていく中で、そこのところをどうやって減反をするのですか。それは承知しませんよ。そういう点についてはどのように検討されていますか。  以上で質問を終わります。
  112. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 まず私から、農政審関係についてお答えしたいと思います。  御案内のとおり、農業基本法六章で農政審議会に関することが規定されているわけでございます。その二十六条に権限について規定されております。これは今先生お話しのように、個別の規定によって属されている権限のほか、この法律規定により内閣総理大臣、農林大臣その他の諮問に応じて、重要事項を調査、審議するというのが一項にはございます。それから二項で「前項に規定する事項に関し内閣総理大臣、農林水産大臣又は関係各大臣に意見を述べることができる。」というような規定があるわけでございます。  今、お話しになっております昨年六月の農政審報告につきましては、昭和六十一年に「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」というのが農政審から報告されておるわけでございますけれども、その具体化を図るために検討されていた結果、農林水産大臣に第二項の規定により報告されたものでございます。二十六条第二項の権限に基づいて意見を提出されたものでございます。
  113. 目黒吉之助

    ○目黒委員 農基法、じゃ違うんじゃないか。国家行政組織法だと言った。この間の答弁と違いますよ。この間は国家行政組織法と言ったんです。国会素通りなんじゃないですか。その点はっきりしてください。
  114. 浜口義曠

    浜口政府委員 私の関連、三点ございましたので、よろしいでしょうか。  一つは不正規流通米の話でございますが、これは先生指摘のように、この食管法が十分機能していくためには、特定のルート以外のものについてきちっと対応していかなきゃいけないというふうに思っております。こういった問題につきましては、去年一つの新しい通達を出して、その前に都道府県の方々にお集まりいただきまして方向を出しました。このものについて食糧庁の組織を全力を挙げて対応をしていきたいと思います。  それから第二点は、良質米奨励金の問題でございます。これも先生指摘のように一方で強い御主張で、これはもう米価の一部だというふうな御意見、私どもも十分よく存じております。また一方、この中で、先ほどの良質米奨励金が導入された時期、昭和五十年代と時代が変わっておるという御意見もあることも事実でございます。私どもは現在審議されております予算段階のもとにおきまして、その中での運用というもの、大体各年度で九月に決めておるわけでございますが、そういう御意見を十分参酌いたしまして決めていきたいと考えております。  それから、市場原理ということでございましたが、これは市場原理という形ですけれども、あくまでも、何度も繰り返すようでございますが、食管法の枠のもとで行われるわけでございまして、自由米市場ではございません。そういうことで、私ども生産調整の反映等々も適正に行っていくと思います。  なお、先ほど官房長からお話しを申し上げました点でございますが、この農政審議会の答申というのがこの価格形成の場の基本でございます。もちろん、出てきたところでいろいろ御提議がありましたけれども、これはくどくど申し上げますと、六十一年に一つの答申が出たということを今官房長お話しをしましたけれども、この方式のあれは農林省というよりは内閣に置かれた国家行政組織法上に基づく委員会でございますが、これの中で、一つはもちろん白書のような、諮問に応じて答申をしていただくという形もございますけれども農政審自体がみずからの発意、これはいろいろ長いあれがありますけれども、その中で提言される場合もあるわけでございまして、いろいろ大きな報告、特に米の場合についてはそういうことが、これ一つのみならず、二十一世紀の場合もそういう報告という形、私ども説明のときに、よく答申というふうなことで言い間違えるのでございますけれども報告と答申があるというふうに思っております。
  115. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 目黒委員、今の点はよろしいですか。
  116. 目黒吉之助

    ○目黒委員 よくないです、これは。しかし時間ですから、時間は守りましょう。
  117. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 それでは、鶴岡官房長、休憩後、その点もう一回答弁してください。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ────◇─────     午後一時三十二分開議
  118. 大原一三

    ○大原委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。有川清次君。
  119. 有川清次

    ○有川委員 日本農業は、国際化、自由化が非常に進行する中で大変厳しい状況下に今置かれております。また、ことしはガット・ウルグアイ・ラウンドの決着が図られる年でございますので、穀物の自給率は三〇%を割るという実態にある中で、基本的な食糧の米までも大変な風圧にさらされているのが現状です。これまでの答弁にありましたように、日本農業の命運がかかっているので、大臣といたしましても断固として初心を貫き、阻止されることを強く要望しておきたいと思います。  こうした情勢を受けまして、国内では生産性の向上を図りコスト低減、国際化の中で自立できる農業が声高く叫ばれているわけであります。しかし、幾ら努力しても毎年政府の買い上げ支持価格も据え置きか低下をする、生産性の向上に努力した部分が決して農業所得にはね返らないという実態に今なっております。こうした結果、農家では揺れ動く農政や外圧の影響などに不安と不満を持ち、後継者の不足や高齢化が進行いたしまして、嫁に来る人もいないと嘆いているという現状や、機械化貧乏と所得の不安定、抱えた負債解消の展望を持ち得ない人たちも数多くあるわけであります。それでも農外所得に頼ったり、行政や農協等の指針に期待をかけながら必死に努力をいたしております。  こうした努力にもかかわらず、またさらに有害動物による被害に追い詰められている農村集落がございます。まさにこのために悲鳴を上げているのが現状ではないでしょうか。それは、けさカモシカの話も出ましたが、猿及びイノシシによる被害でございます。カモシカ等による被害問題は既に国会に持ち込まれたことがありますが、猿やイノシシの問題は初めてと思いますので、鹿児島県の実態や悩みを踏まえ、被害対策について見解をお伺いいたしたいと思います。  これらの問題が最近大きく顕在化してきた理由は、自然環境の破壊に伴う生息諸条件の変化から起こっているというふうに思いますが、かつては大自然の中でこうした動物類と人間は適切にすみ分けていたと思うわけであります。そこで、猿及びイノシシによる全国の農作物被害の現状、どのように把握をされているのかお伺いをいたします。特に鹿児島県の場合は、二市十カ町から既に大きな被害状況が届けられておる実態にございます。そうした意味から、屋久島や大隅半島の被害等について、その面積、被害状況、わかれば被害金額等も明らかにしていただきたいと思うわけでございます。同時に、その原因をどのように考えていらっしゃるのか、広葉樹林の伐採との因果関係等については、林野庁の見解も示していただきたいと思います。
  120. 松山光治

    ○松山政府委員 まず全国の被害の状況でございますが、被害金額が今手元にございませんけれども、猿につきましては全国の被害面積が三千二百五十九ヘクタール、それからイノシシにつきましては一万百九十七ヘクタール、いずれも昭和六十三年度でございますが、そういう状況にあるというふうに承知をいたしております。  それから、お尋ねのございました鹿児島県屋久島の状況でございますが、猿につきましては、これも六十三年、鹿児島県からの報告でございますけれども、被害面積が八十三・五ヘクタール、金額にいたしまして七百四十万円余。それから佐多町におきましては、猿の被害面積が二十五ヘクタール、千四百八十七万円余、それからイノシシにつきましては二十三・五ヘクタール、千百万円余。こういう数字であるという報告を受けておるところでございます。
  121. 小澤普照

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  屋久島での猿害の発生と広葉樹の伐採との関係についてのお尋ねでございますけれども、広葉樹のみの伐採量の統計は不明確でございますけれども、その他の樹木を含めた伐採量との関係という観点からお答えさせていただきます。  この猿による農作物被害でございますけれども、伐採の方は昭和四十年代まで年によって相当変化はございますけれども、昭和四十年ごろですと伐採面積が五百七十ヘクタール程度、昭和四十一年ごろですと八百八十ヘクタール程度。この辺が大体ピークになって、その後は伐採量は大幅に減少しているわけでございます。猿の被害が顕著になりましたのは、伐採量が大幅に減少いたしました昭和五十年代の半ば以降であるというように我々は認識しておるわけでございます。  また、猿害につきましては、えづけが行われていたということや個体群増に伴う分散等が要因との指摘もあることでございまして、伐採量との因果関係は必ずしも明らかではないというように考えている次第でございます。
  122. 有川清次

    ○有川委員 今報告がございましたが、猿の被害を鹿児島県全体で見てみますと、六十二年度が一番ピークだったようですが、被害額が六千七百万を超しておる、捕獲頭数が六百頭前後、こういうように報告部分がなっています。また、佐多町の場合は、元年度の被害で千六百六十三万円の届けがありますが、農家戸数がわずかに八百三十七戸でございますから、その比率が高い状況が御理解できると思うところでございます。  また、今の林野面積の伐採との関係については、ほかの理由も挙げられましたが、私もまた後で因果関係、現地の声を明らかにしたいと思っておりますけれども、佐多など山が浅いところは最近民有林で広葉樹林の伐採をするというのが非常に進んでおりまして、その結果猿による果実や果菜類、主産物のキヌサヤ、芋類、こういうものの被害がありますし、イノシシは根菜類をやる、こういう状況になっておりまして、やはり広葉樹林が減ってきたというのが結果として大きな原因の一つなっていると思うわけです。また、屋久島の場合も四十年代までの広葉樹林の伐採が進んでいるわけでありまして、現地の声でも、それ以前のが問題なんだ、こういうことが言われておるところでございますが、いずれにしても自然がこれまでの状況と変わってきたところに今日の課題があるのではないかと認識するわけであります。佐多町あたりでは、もう何をつくってもどうにもならないということで、収入は少ないのだけれどもツワブキを始めようということで始まっておるわけですが、イノシシも猿もこれは食わないという知恵も働くような況状でございますので、ぜひその辺を踏まえながら、十分な今後の対応が必要だなと思うわけでございます。  次に、有害動物による農作物の被害なのですけれども、この駆除とか予防に対して国の制度はどのようなものがあるのか、まずお聞かせを願いたいと思います。
  123. 松山光治

    ○松山政府委員 とりあえず私ども関係についてお答えさせていただきたいと思います。  農作物に対します有害動物の被害対策といたしましては、当然のことながら有害動物の種類なり被害の状況に応じてそれぞれ変わってくるわけでございまして、大別いたしますと、例えば忌避剤だとか、場合によったら薬剤を使うといったような形の化学的な防除というのが一つございます。それから、防護ネットをつくるあるいは防護さくをつくるといったような形の物理的な防除対策を講じるというやり方一つございます。それから、今先生がおっしゃったのもその例かと思いますが、食害を受けにくい作物を栽培するということで耕種法的な防除をやるというやり方もある。さらには、捕殺いたしましたり捕獲したりというような直接的な対応がとられる、こういうふうなことに相なろうかと思うわけでございます。  農作物に対しますそういった有害動物に対する対応の私ども関係制度といたしましては、御案内の植物防疫法というのがございまして、これに基づきまして国と県とで所要の任務分担を行いながら対応していくという形に相なっておるわけでございます。その場合の任務分担の考え方でございますけれども、決して局地的ではない、かなりの広がりを持って、かつ急速に蔓延しそうだといったような種類の被害につきましては、これは国がまずそういった被害を与えるものを指定いたしまして、発生予察事業を実施するとか、あるいは具体的な実務自体は県にいろいろおやりいただくわけではございますけれども、防除計画を県知事に指示するといったようなことを通じまして防除対策の推進に当たるわけでございます。それで、被害が非常に局地的だといったような場合の扱いといたしましては、そういう場合が間々多いわけでございますけれども、事柄の性格上都道府県が中心になりまして、各地域で適切に対応していただくというのが制度の基本的な仕組みでございます。ただ、そういう場合につきましても国として知らぬ顔してほっておくということではございません。一つには、有害獣の被害状況を把握いたしますために五年ごとに定期的な調査を行っておりますが、そういった情報を提供するということのほかに、有害動物の防除対策の指導に当たる中心的な存在は御案内の各県に設けられております病害虫防除所でございますが、それの設置、運営等に要する経費につきまして交付金の形で所要の助成を行っておるというのが一つあるわけでございます。さらにまた、農業近代化資金におきましては、有害獣のネットでありますとかさくでありますとかをつくるのに必要な経費を融資の対象にしておる。また、水稲とか果樹等につきましては、生じました被害を共済の対象にしておる、こういう形で各地域の取り組みを国としても支援しておるというのが現在の姿でございます。
  124. 有川清次

    ○有川委員 よくわかりましたが、植物防疫法第四章の緊急に駆除するという内容には入らないと思いますけれども状況を把握する、調査するという程度でなくて、今全国的にもかなり猿の害、イノシシの害が広がっておる状況でございますので十分な検討を期待するわけでありますが、植物防疫法上、猿とかイノシシほどのように位置づけられておるのか、そうした場合に法律上の欠陥はないのか、運用面から法律改正などしながら十分な対策をするようなことは必要でないのか、考えていらっしゃらないのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  125. 松山光治

    ○松山政府委員 植物防疫法の第二条第三項というのがございますが、ここには定義がございまして、「「有害動物」とは、昆虫、だに等の節足動物、線虫その他の無脊椎動物又は脊椎動物であつて、有用な植物を害するものをいう。」と定義をされておるわけでございます。この定義からいたしますと、猿とかイノシシにつきましても、農作物に被害を与えます場合には野ネズミと同じように有害動物に該当する、こういうふうに私ども考えておりますし、そういう考え方のもとに、先ほど申し上げましたような全体としての仕組みの中で地方公共団体ともども所要の対策を推進しておるということでございます。  なお、ちょっと訂正させていただきたいと思いますが、先ほど被害金額、被害面積を申し上げましたときに、全国数字、六十三年度と申し上げたのですが、これは六十二年度の間違いでございますので、ひとつ御訂正させていただきたいと思います。
  126. 有川清次

    ○有川委員 特に人間と猿のすみ分けが四十年代の後半から破綻をいたしまして、五十年代に入って農作物の被害等が顕著になってきた、そうした屋久島の猿害についてちょっとお伺いしたいと思うのです。  屋久島は、標高千九百三十五メートルの宮之浦岳を中心に三十幾つの千メートルを超す山がございます。原生自然環境保全地域に指定をされまして、原生林が千二百十九ヘクタールあるわけですが、まさに二千ヘクタールの膨大な自然公園となっておるわけでございます。その中で九五%が森林でありまして、まさに山の島、こう言われるような状況なのですが、これは六十二年度の数字でございますけれども、人口は一万四千六百九十五人、この地域の皆さんは、林業、農業、漁業あるいは屋久杉の土埋木による民芸品の工芸等に頼る以外に産業がないわけでありまして、そういう意味では林野面積が四万八千ヘクタールを超えているのに耕地面積は一千四百四十七ヘクタール、こういう状況になっております。農家は一千三百戸です。農家の人たちは猫の額ほどの農地に頼って生産収益性を高めて最善を尽くして生活する以外にないわけでありまして、そういう中で鹿児島県も温暖な地理的な条件を生かしましてポンカン、タンカン、そして最近では特にビワ等を中心に農家所得の向上に力を入れておるところでございます。  しかしながら、最近では人里から海場までやってくる猿によりまして、せっかく金をつぎ込んで大事に育て、実がとれるなと喜んだ瞬間に、収穫の直前に猿に襲撃されるという状況です。テレビでもありましたけれども、ビワを育てて頑張った人たちが、それ一回の襲撃でビワをやめた、農業をやめるという、さじを投げ出すという状況どもあるわけでございます。そしてまた、大体十二億円ぐらいと推定されるこの地域の農産物の生産額のうち、被害額が防護さくなどの費用を含めまして大体一〇%程度に及ぶというふうに言われるわけであります。  四月の二十五日に現地では、「総合的猿害対策への提言」として、屋久島上屋久町、京都大学の霊長類研究所、野外観察施設の共催によりまして、屋久島国際シンポジウムが開かれました。     〔大原委員長代理退席、石被委員長代理着席〕 また、これらを受けてNHKが五月十七日の夜七時半から、「鹿児島七三〇」としてローカルの番組で三十分放映もいたしたところでございます。その際に、NHKが県に対していろいろ問い合わせた質問に対しての県の回答は、猿害が発生するようになった背景は、国有林伐採説が過去に挙げられていたけれども、これは解明されていない。それから二番目に、えづけ説があるけれども、四十六年から五十八年までで、環境庁は指導で五十八年にこれを中止した、これもまだ解明されていない。三番目に、群れの数が小さく分化して、放射状に拡散移動したと考えられる。すなわち動物行動学、動物生態学にも個体数はある周期を持って、十年ないしは二十年で絶えず変化することも知られており、成長したり衰退したりを繰り返しているのではないか。それから四番目に、それと同調して、過疎による農業の衰退が挙げられる。これと連動して拡散移動を助長したと考えた方が最も説得力があるというような回答をいたしております。  このように、因果関係を見てみますと極めて難しく、このことを云々してみても前に進まないわけであります。現実は大変な状況でありまして、とても放置できる状況ではございません。農林省としては、屋久島を農林行政上今どのように位置づけて、今後どのような方策を講じていかれようとしておるのか、特に立地条件や環境保全との調和を踏まえまして、具体的にお答えを願いたいと思います。林野庁もお聞かせください。
  127. 小澤普照

    ○小澤政府委員 ただいま先生が猿害の原因につきまして種々の指摘があるということを申されましたけれども、その中の一つとして広葉樹の伐採といいますか、そういう指摘もあることは確かでございます。それで、最近民間の伐採も進んでおるというお話も先ほどございましたけれども、屋久島につきましてはやはり森林が大変多い。しかもまた、その森林の大部分といいますか非常に大きな部分国有林であるということでございますので、国有林の今後の森林施業のあり方というものを十分配慮していきたい、このように思っております。  具体的に申し上げますと、この屋久島国有林の森林施業につきましては、自然的、社会的特性を十分に踏まえまして、そしてまた野生の動植物を含む自然環境の保全形成を図りつつ、森林の持つ多面的な機能を総合的に発揮することを旨として行ってまいりたいと考えておるところでございます。国有林の約六割に当たりますけれども二万三千ヘクタールにつきましては、国立公園の特別保護地区及び特別地域、さらに原生自然環境保全地域、保護林などに指定いたしまして保護を図りますとともに、残りの約一万一千ヘクタールにつきましても天然林施業の積極的な推進等、自然との調和がとれた森林施業の実施に努めてまいる所存でございます。さらに、今後につきましては、広葉樹林の造成などを含めまして野生鳥獣の生息にも配慮して、農作物への被害をもたらすことのないように適切に実施するよう努めてまいりたいと考えております。
  128. 有川清次

    ○有川委員 農水省の猿書に対しての農業指導の面も伺ったのですが、答弁がございませんけれども……。
  129. 松山光治

    ○松山政府委員 屋久島におきます農業、米あるいは芋類をつくりながら、やはり主体をなしているのはポンカンでありますとかタンカンである、そういった温州以外のかんきつがかなり主体になった農業であるというふうに承知をいたしておるわけでございます。そういうポンカン、タンカンに猿害が発生している。これは現地では大変なことだというふうには承知もしておるわけでございます。  これを具体的に今後どうやっていくかということに相なりますれば、実は先ほどもちょっと申しましたように、かなり局地的なことでもございますので、まずは県の方でいろいろお考えいただくということになるわけでございますが、これまでのところ、実は県からは特別の御相談もないという実情にございますので、今後よく県の話も聞きながらいろいろと相談していきたい、このように考えておる次第でございます。
  130. 有川清次

    ○有川委員 時間がありませんから、多くのことを聞けませんが、屋久島の猿の実態を申し上げますと、これは猟友会に頼んで県が調査した実情ですけれども、山岳地帯で四十七群千五百四十七頭、中間地帯で八群二百八十七頭、果樹園周辺で七十五群千九百九十頭、都合百三十群の三千八百二十四頭というのは数えておるわけです。しかし、無調査地域もありますから、実数は大体二、三倍あるのじゃないか、こういうふうに言われておりまして、四、五百頭から多いときは年間六百頭故殺をするという状況が出ております。  私は実態をある程度わかってもらうためにちょっと述べておきたいと思うのですが、京都大学の東英生教授が昨年学会でアピールしたのでは、二十年以上ヤクシマザルの生態調査をしてきたけれども、猿の捕獲数は、これは行政上年間四、五百頭補助金を出してやっているとしているが、実際は六百頭以上だ、しかし、里に出てくる猿が減少していない、一群を捕獲すると次の群れがおりてくるんだ、この繰り返しであって、年間の増加率をはるかに超えた捕獲状況だと思われるので、このようなことになれば文部省は学術調査上問題が出てくるということで見解を述べておられるのですが、有害な猿の捕獲、捕殺、これに対する環境庁の意見や文部省の学術上の問題点、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  131. 小川康夫

    ○小川説明員 ただいまの先生の御質問に対しまして御説明申し上げたいと思います。  まず、有害鳥獣駆除につきましては、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づきまして実施しておるところでございますが、野生鳥獣による被害が発生いたしました場合は、まず最初に追っ払い、つまり猟獲を最初からするのでなくて、追い払いをしてください、それから防護ネットとか電気さく等を設けまして被害に遭わないような措置を講じてくださいということで都道府県にお願いしておるところでございます。  そうしたことをいたしましても被害が出る場合におきまして、生息頭数等の調査をいたしまして、繁殖率等も科学的に調査しまして、その範囲内で、被害が出ないための必要最小限度の捕獲を実施していただくということでお願いしておるところでございます。
  132. 佐々木正峰

    ○佐々木説明員 先生指摘のとおり、屋久島には京都大学霊長類研究所の観測所を設置しておりまして、南限に生息しておりますヤクシマザルの生態、社会学的研究を行っておるわけでございます。研究においては、研究所に必要な研究林というものを、これは二十ヘクタールほどでございますが設定をいたしまして、そこで野外観察を行っているわけでございます。  この研究林に生息しておる猿自体は、余り行動半径が広くないということもございまして、現在のところ研究に決定的な支障が生ずるというようなことはないというふうに聞いておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても猿害の原因というものをきちんと究明するためには、猿の生態の研究をさらに積極的に進めていく必要があるわけでございまして、例えば、地域個体群の動態と個体数の変動だとか、垂直分布に伴う猿の生態、こういった面での研究を今後とも十二分に進めてまいりたいと考えております。
  133. 有川清次

    ○有川委員 お答えいただきましたが、時間もございませんので、最後に、大臣がいらっしゃいませんから政務次官にお伺いをしたいと思います。  NHKの放映でも、構造改善事業で山際まで農地が来たからだとか、猿が川伝いに行くためポンカン、タンカンがどんどんやられていく、いろんなことが解説の中で出されておりました。そしてまた、シンポジウムの中でも、猿と人間の闘いは人間の農業が猿知恵に負けた、こういう怒りですね、どうするんだとかもう殺してしまえとか全滅させろとかいう意見が非常にたくさんあるわけです。  そういう中で、鹿児島県も、六段階に分けて、これを終息宣言やるところまでやろうという方針をつくっておるわけですが、このシンポジウムの最終的なまとめといたしまして、「広域基幹林道開設事業、農業基盤整備事業などにおいて、国有林から農地への野猿侵入防止対策を含む複合的猿害。防止対策を事業に組み込み、また、それらを補助の対象とすること。関係省庁は問題解決のために役割を分担しつつ応分の費用負担をなし、対策の早急な確立と着手をはかること。」猿と人間のすみ分けですね、これをやってくれということです。屋久島町では、本年度秋までに二、三百万かけてモデルをつくるそうです。そして二つ目には、「屋久島に担当専門官をおき、本格的な野生動物の管理システムを確立すること。そのために地域の実状に精通した人材の活用と永続性のある制度化をすすめること。」という合意に学者を含めて達しておるところでございます。  屋久島に今、離島という輸送面あるいは行政面のハンディも持っておるわけですが、まさに台風や猿、こういうものと闘いながら生活をしておるこの農家の皆さんに対して、政治的な何らかの対応がどうしても必要だというふうに思うわけでございます。そういう意味では、単に農水省だけでやってみても前進はしないわけでありまして、農水省、環境庁、文部省の相互連携による対策がどうしても必要だというふうに思うわけでございます。被害を受けて悲鳴を上げているのは農民ですから、まず農水省が音頭をとっていただいて連携をとりながら、まず最初に現地調査をすることが必要なのではないか。百聞は一見にしかず、百の論議よりも一つの実行というのがございますが、政務次官、大臣の音頭でぜひ各省庁と協議をして現地調査をされるように、そして、国に対する要望も出ておりますから、これらに対する対策などを御判断願いたいと思うのですが、御見解をお伺いいたします。
  134. 東力

    ○東政府委員 屋久島における農作物への猿害につきましては、改めて鹿児島県から詳細な報告を求めて、その対応につきよく相談させていただきたいと思います。  農作物への猿害を防止するためには捕獲、保護ネットの設置等の対策を総合的に実施する必要があると思いますが、このうち特に捕獲については、自然保護の観点も含めて、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律規定に従い適正に実施していくことが重要であると認識しているところであります。このため、今有川委員指摘のように、環境庁と関係省庁との連絡も密にしながら地域農業の発展に支障が生じないよう鹿児島県を指導し、その前によく事情をお聞きしまして、しっかりと対策を講じるようにいたしたいと思います。
  135. 有川清次

    ○有川委員 各省庁と連携をとるというのはよくわかるのです。また、鹿児島から資料を求めて詳しく検討しということもよくわかるのですが、やはり現地に行って生の声を聞き、生の実態を見る、その現場を踏まえる、ここからでないと本当の対策は生まれないのですよ。環境庁はもう行っていらっしゃって写真もいろいろ撮っていらっしゃいます。環境庁だけが余り資金も持たずにうろちょろしてみたって、基本的に農民が困っているわけだから、林業の振興もしなければいかぬ、こういう立場もあるわけでありますから、農水省がぜひ足を運んでもらいたい、こう要望しておきますが、どうですか。
  136. 東力

    ○東政府委員 今有川委員指摘の問題につきましては、実は私も和歌山県の出身でありまして、猿、イノシシ等、同じような問題を抱えておりますが、このことも含めまして県とよく相談をし、今の御要望によくこたえて善処させていただくように最大限の努力をさせていただきたいと思います。
  137. 有川清次

    ○有川委員 あなたは詳しいだろうけれども、大臣はどうですか。また、各関係の省庁十分でないと思いますので、ぜひ検討の上、足を運ぶ、そういう方向に前向きに努力をされまして、現地の悩みを解決しながら、本当に農業の振興、そういう方向に向けてくださるように要請して、終わります。
  138. 石破茂

    ○石破委員長代理 佐々木秀典君。
  139. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 私は、本日は木材の問題、それから森林の問題についてお尋ねをしたいと思います。  我が国が農産物あるいは食糧、これの輸入についてはもう世界の中で最も多い国だということはつとに明らかなところですけれども、農産物、食糧だけに限らず木材についても大変な輸入国であるということ、これもまた明らかなところであります。我が国の木材の需要は、外材に依存しておる度合いというものはもう七〇%に達しているわけでありまして、六十二年七月二十四日に閣議決定された政府が策定された長期見通しでは、西暦二〇〇四年で自給率を四三%から四八%を目標にしているということですけれども、しかしなお外材の依存度というのは多いわけです。四月の十一日に私どもは当委員会で新木場その他を見学させていただいて大変勉強させていただきましたが、あの港の集荷場に陸揚げをされ積まれている外材の量というものは本当に多い。これは私ども実は不勉強でしたけれども、初めて目の当たりにして大変に驚いた次第ですけれども、しかしあれにしてもまだまだ一部だということで、本当に外材の依存度が多いということに驚いております。  それで、農林水産省でおつくりになりました、まあ林野庁を中心におつくりになったと思いますけれども、林業白書。平成元年の白書によりますと、昭和六十三年度の我が国の木材総需要量、これが一億八百四十六万立米、前年比で三%多くなっているということですね。この需要量が増しているというのは、一つは新設住宅戸数などがふえている、それからまた紙の生産量などもアップしているというようなことだそうですが、これに対する用材の供給量、これはもう外材がやはり七〇%を超える量になっている。具体的な数字でこの白書で挙げられているのを見ますと、七千五百二十八万立米、これに対して国産材が三千百万立米ということですから、圧倒的に外材がここでも多い。しかし、これもまたつとに指摘されているところですけれども、最近外材については、産地の方でいわゆる地球環境の保全の問題ですとか熱帯雨林の問題ですとかいう自然保護の観点だとか、それからこういう、つまり外国の生産地の山や木を日本が荒らしているじゃないかという批判が非常に強まっているというふうなことで、産地における輸出規制というものがだんだんふえてきている傾向にあるのじゃないか。にもかかわらず、やはり外材の輸入量というものはまだ減らないで、この白書によっても六十三年度では前年比で四%アップしているということでございます。  一方、この間、新木場の見学と同時に私どもは東京の営林局の庁舎をお訪ねして、ここでまたすばらしい庁舎ができている。それからまた、私の居住地であります旭川におきましても、昨年は旭川の営林支局が庁舎新設になりましてこれまたすばらしい庁舎ができて、木材のさまざまな活用がなされておる。そしてまた林野庁あるいは営林局の方々、皆さん努力をされて、この間ウッディランドも見学させていただきましたけれども、国産材の効用あるいはよさというものを盛んに喧伝され、そして国産材の自給率を高めるという努力をされていることもわかるのですけれども、しかしまだまだその点で今の数字などから見ると足りない。この辺について、国産材の自給率を高める方策としてお考えになっていることについて、そう詳しくなくても結構ですけれども、こういうところに基本を据え、こういうところに力点を置いてやっている、あるいはやっていこうとしているのだというようなことがございましたら、それをまずお尋ねしたいと思います。
  140. 小澤普照

    ○小澤政府委員 先生から今いろいろ木材の需給率問題の御指摘がございました。先生申されましたように、四月十一日には農林水産委員会の諸先生方、亀井委員長初め、新木場それから東京営林局、ウッディランドと御視察いただきまして、私ども厚く御礼申し上げたいと思うわけでございます。  確かに御指摘のように、外材の産地国の事情は変化しつつございます。やはり環境問題その他資源問題もございまして、長期的に見ますと需給状況は変化してくるというように考えておりますけれども、現在のところ、御指摘のように我が国は七〇%強が輸入材に頼っているという状況でございます。  そこで、国産材の自給率の向上策いかんということでございます。この問題につきましては、まず我が国の資源状況でございますけれども、人工林が一千万ヘクタールにも及ぶ状況にはなっておりますけれども、この大半は戦後造成されたものでございまして、年々その蓄積は増大しております。おりますが、まだ、主伐期というふうに言っておりますけれども、収穫期にはその大部分は至っていないという実態にございます。そのような資源の制約面がございまして、国産材の供給量を急速に増大するということが困難な実態なわけでございます。そういう状況でございますために、木材需要全体は増大しているわけでありますけれども国産材のシェアは低下傾向を見せているという実態になっております。しかしながら、あとそう長くはない期間でこの人工林もいよいよ収穫期に入ってまいります。したがいまして、二十一世紀には本格的な国産材が供給される時期になるということを考えておりますけれども、この際に、国産の資源が有効に活用され、または生産、流通に至るまで諸条件を満たしていかなければならない、こんなふうに考えまして林業の政策を進めていこうとしているわけでございます。  若干具体的に申し上げますと、国産材の供給面につきましては、まず造林、林道等の林業基盤の整備を図る、それから林業事業体の育成強化と林業労働力の確保、さらにまた機械化の推進、産地における流通確保拠点の整備等の施策を講じているところでございます。また一方、需要面でございますけれども、木造住宅のうち国産材の活用度合いの大きい在来の軸組み工法につきましては、大量生産や工期の短縮が可能なプレカット加工施設の導入、それから国産材を使いました枠組み壁工法、それから丸太組み工法等に対する部村の供給、あるいはまた技術開発、製品開発、このようなものを進めたいとしておるわけでございます。それからさらに、消費者に対しまして木材や木製品の総合的な普及を図るために拠点施設等を整備してまいりたい。このようなことを通じまして国産材の利用の促進に努めているところでございます。  いずれにいたしましても国産材の需要拡大と供給の円滑化に努めておるわけでございますけれども、国産材につきましては流通面におきますところの零細、分散性を克服していく必要がございますし、それから、品質、量、コスト、いずれの面でも安定した製品を適時に供給するいわゆる工業製品化の推進が求められておるところでございまして、このような観点から、川上から川下までを一体とした取り組みを助長してまいりたいと考えておる次第でございます。
  141. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 いろいろな工夫をしてアイデアを出し合いながら国産材の用途の拡張に努めなければいけないと思うのですけれども、例えば、私どもなどは子供のころ学校の机、いすといったのは全部これは木材であったわけで、今のようなスチール材のこういう机、いすなんというのはなかったわけです。これは、お米の消費の問題で学校給食の問題などでも考えられておるわけですが、私立、公立を含めて学校の備品など、こういうものにも、これは文部省だとかその他の省庁とのすり合わせも必要でしょう、あと民間あるいは私立学校の協力も必要でしょうけれども、こういう机、いすその他についても大いに国産材を使うというような努力もぜひお願いしたい、このように思うところであるわけです。  今お答えの中でこの資源の問題、それを育てる問題にも触れられたと思うのですが、需要に対する供給を図らなければいけない、つまり、資源の確保です。これは、農産物の場合は一年ごとのものですが、木材資源というのはそうはいかないわけです。今のお話のように、そろそろ利用に適するものが育ってきているというお話ですが、これはそのあと放置しておくわけにはいかない、それにかわるものをまた育てていかなければならない。要するに、よい木をつくり、よい山をつくっていくということが大事なことだろうと思うわけです。それとの関連で、これは先回田中委員からも間伐の問題で御質問があったわけなので、この間伐問題にもちょっと触れていきたいと思うのです。  森林の公益的な機能を増進させて、要するに活力のある健全な森林を育成するためにはどうしても立木の密度を調節する、その役割を持った間伐というものの意味づけというのは非常に大きなものがあるだろうと思うのですけれども、この間伐の実施状況については、六十一年の白書を拝見しあるいは平成元年度の林業白書を見ても、十分に行われているとはとても言いがたいということが書かれているのではないかと思うわけです。  例えば、平成元年度の林業白書、これは七十四ページですけれども、これでは「平成二年度以降五年間に一回目の間伐を緊急に実施する必要がある人工林の面積は約百四十万ヘクタール」だ、これは植栽後十六年から三十年の林齢のもののようですけれども。そして、「また、二回目以降の間伐の実施も重要であることから、今後とも間伐の促進を図っていくことが必要となっている。」と書かれております。そして一方、六十一年の白書では、「我が国の人工林一千万ヘクタールの約六割が間伐を必要とする林齢に達しており、」「私・公有林についてみると、初回間伐の対象森林が約六割を占め、中でも六十年度以降五年間に緊急に間伐を必要とするものが百九十万ヘクタールと四割強を占めている。」とされているわけですね。これに対して、六十年度の間伐実施状況は二十六万三千ヘクタールだというようなことから見ると、どうもやはり間伐実施状況というのは依然として不十分な状況にあるのではなかろうかと思われるわけです。  実は、先ほど北沢委員から御紹介がありましたように、私ども社会党では、先般来全国十四カ所の地域を指定しまして森林、林業実情についての調査を行いました。実は、私も五月十一日に北海道の下川営林署管内の視察調査団に加わってまいりましたが、この森林調査でも同じようなことが言われておりますし、また見られるわけであります。例えば、この下川営林署における間伐の状況ですけれども、これは営林署から資料が出ているわけですが、全体で見ると間伐の箇所は四百九カ所、三千四百六十八ヘクタールが対象、これに対して間伐の実施状況が七十七カ所で、実施率は一八・八%にとどまっているというわけであります。そして、今後十年間の予定地を含めるとこれは二百十六カ所だ、実施率としては五二・八%だというようなことで、やはりこの白書に盛られているような実情、つまり、間伐の実施状況というものが間伐の必要とする対象量に比べるとまだまだだというように言われているわけです。  そして一方、間伐材ですね、この利用についても十分に生かされていない。資源としての活用方法などについてもっと考えなければならないものもあるだろう。また、せっかく間伐しても林道だとか作業道が整備されていない、つまり運び出されないということで放置されて、資源としてこれが活用されないというような悩みといいますか、そういうものも出されているわけですけれども、六十一年白書以降の間伐の実施状況などについてどうなっておるのか、この辺について把握されている数字がございましたらお示しいただきたい、こう思います。
  142. 小澤普照

    ○小澤政府委員 先生指摘のように、間伐を実行するということは活力のある健全な森林を育成していく上で欠くことのできないことであろうというように思っております。  そこで、この間伐の実施状況でございますけれども、実は昭和五十六年度に間伐促進総合対策がスタートしたわけでございます。そのときは間伐の実施面積は二十三万ヘクタールでございました。その後、間伐対策の積極的な推進を図ることといたしまして努力もいたしました結果、間伐の実施量は着実に増加いたしまして、昭和六十三年度には三十一万ヘクタールという実績になっているところでございます。
  143. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 漸増しているということはわかるのですけれども、把握されている要間伐量ですね、それから比べるとやはり実施量というのはどうしても不足していることになるわけですね。これがしかも、緊急間伐を必要とするものに比べてもなお少ない。これの一気にできない一番の原因、およそ見当がつかないことはないのですけれども、これは那辺にあるのかということについてお示しいただけますか。
  144. 小澤普照

    ○小澤政府委員 この間伐の実施を図りますために、緊急間伐対象森林面積というものをまず定めたわけでございます。それで、昭和六十年度から五カ年計画という形で定めましたときのこの対象面積は百九十万ヘクタールございました。そして、この五カ年間にどのくらい実施したかといいますと、これは平成元年の見込みまで入れまして百四十八万ヘクタールの実施というふうに考えております。したがいまして、先生指摘のように、目標としたものをすべて実施するところまでは至らなかったわけでございます。しかし、年々実施面積は増加させてきたというようには考えております。  それで、じゃなぜ満度に実施できなかったか、こういう御質問でございますけれども、やはり最近の木材の価格が低迷しておるというようなこともございまして、特にまた、間伐は小径木でもございますし、利用の範囲が狭いということが一つございます。それから、間伐は同時に広い森林の中から少量ずつ抜き切りしてまいるわけでございますから、その伐出コストが比較的かかるわけでございます。コストがかかって、出てきた材は高価なものではないということが一つございまして、その間伐したものをすべてがなかなか利用できないという状況にもございます。そのような状況から、間伐の実施というものには困難性が伴っているわけでございますけれども、そのような困難なものをいろいろな手段で対応しながら実施率の向上に努めてまいりたいというように考えております。
  145. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 今のお話に関連するんですけれども、また先ほどの調査とも関連するんですけれども一つはコストの問題ということで、お金の問題がここでも出てくるわけです。そしてまた、間伐材、これが小径木の場合に利用に限度があるというようなお話もあるようですが、この調査のときに、実は下川町の方からは私どもあてに要請書が出ております。下川というところは森林の町であるわけです。そしてまた、かつては鉱山もありまして、この二つが基幹産業になっていて、昭和三十五年ごろには人口も一万五千からのなかなかににぎやかな町だったのですが、まず銅鉱とか金鉱の鉱山がだめになる、それからまた昭和四十年代後半から森林資源が減少するというようなこともあって木材工場が漸減する、こういうことのあおりで、今度はJRの名寄本線も廃止になるなどということ。また、町として一番大きなダメージを受けたのは、昭和六十三年に営林署の統廃合がありまして、御案内のように下川営林署のほかに一の橋の営林署というのがあったわけですけれども、これがなくなってしまうというようなことで、現在人口が五千人、三分の一になっちゃって、北海道の中でも最も急激な過疎地ということになっているわけです。しかしその反面、下川町では大変に町おこしに力を尽くしておりまして、さまざまな町おこしの努力をしています。これはテレビでもよく出ますけれども、木材、森林には直接に関係ないけれども、冬になりますと町の人たちがアイスキャンドルなんというのをつくってよその人たちを呼ぶというようなことで、テレビでも大分評判になっています。活性化への取り組みとして、一つは木材の利用として木炭の関連施設を町としてつくっているんです。それから集成材の加工場の設置などもやっています。これがなかなかの実績を上げて、間伐材を使ってやっているわけです。  つまり、こういうことで、先ほどの御答弁のような姿勢というものはどうしても地域あるいは地方公共団体などと一緒になって努力をしなければならなかろう、森林で生きてきた下川としては、何とか一生懸命この森林資源を大事にしながら、そしてその中で生きる道を探ろうと努力をしているわけで、こういうところにも今御答弁のような、どうやって間伐を進め、間伐材を利用し、そしてコストの低減を図り、収益を上げていくかということの一つの示唆があるのではなかろうかと思うのです。同時にまた、森林資源の育成保護というのは経済的な観点、市場的な観点からだけでは推しはかれない、まさに資源の育成ということも考えなければならないとすると、この間伐にももう一つ役割としての育成間伐、これは間伐材を利用するということにはならないと思いますけれども、いい木を育てるための間伐ということもやはりやらねばならないということになるわけです。もちろん、このことについても力を注がれるお考えだろうと思うのですけれども、この辺の計画はどうですか。
  146. 小澤普照

    ○小澤政府委員 御指摘のように、間伐材も利用可能なものと、それから保育段階におけるものですと、利用ということではなくて、育成のために実施するということがございます。そこで、利用可能なものにつきましても、まだまだ利用しにくいという面もございますから、これにつきましては、利用、加工等の面での技術的な開発の面も含めてさらに促進したいと思っておりますけれども、育成段階にありますものにつきましては、いわゆる造林の仕事の中で植えつけした後の下刈りの問題とかその後の除伐、間伐という分野で実施をしていく必要がございますので、これの問題につきましては、それらの作業を進める中で行うということにいたしまして各種の助成策をとっているわけでございます。それらのときには、やはりこの間伐そのものとあわせまして林道なり作業道等の基盤整備も行う、それから地域の林業者あるいは林業の事業体の活性化を図るというようなことから、総合的に推進を図っていく考えでございます。
  147. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 我が国の森林面積の三〇%ぐらいが国有林だということですけれども国有林、民有林を問わず、全体的に我が国の森林は保安林としての機能を持っている。これは重要な役割だと思うのです。数字的に言うと国有林の五二%、民有林の二三%、つまり七五%ぐらいが保安林的な機能を果たしているというように言われているわけです。ところが、六十一年度の林業白書では、「造林、保育が適切に行われず、疎林化していたり根系の発達が悪いなど保安林としての機能を十分に発揮していないものが増加しており、その面積は保安林面積の一一%に当たる八十九万haに達すると推計されている。」こういう記述があるのです。これはまた大変ゆゆしい問題だろうと思うのですけれども、こういう事実はその後どうなっておるのか、よい方向に向かっておるのか。この現在の実情についてお示しいただきたいと思うのです。
  148. 小澤普照

    ○小澤政府委員 保安林につきましては、その要請される機能が水資源の涵養とか国土の保全あるいは生活環境の保全形成のために重要でございますので、指定をいたし、整備を図っているところでございますけれども、その面積は全体で八百十七万ヘクタールでございます。そして、その保安林の整備を行う中で、機能発揮というものを考えましたときに現にその機能が低下しているのではないかということで、昭和六十一年度の林業白書におきましてこの点を指摘いたしたところでございます。  そこで、保安林の機能強化を実施するために、保安林整備臨時措置法という法律がございますけれども、この法律は五十九年に改定されまして、その中で、疎林化していたりあるいは根系、木の根でございますが、発達が悪いというようなことで保安林の機能を十分に発揮していないと認められる保安林を特定保安林に指定いたしまして、それに対しまして、造林の補助事業あるいは森林開発公団によります水源林造成事業等によりまして必要な造林、保育等の施業の確保を図るということにいたしております。それと同時に、特に緊急に治山施設の設置等とあわせまして森林整備を必要とする区域につきましては、治山事業を実施してきたところでございます。  今後とも、保安林の機能強化につきましては、私どもも鋭意実施してまいる所存でございます。治山事業、造林事業等をあわせまして機能強化に努めてまいりたいと考えております。
  149. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 時間が余りありませんのではしょりますけれども、六十一年度の白書によりますと、「五十三年〜五十四年度の調査で十三万一千か所であった山地災害危険地区は、六十〜六十一年度の調査では十七万六千か所に増加している。」非常にふえているのです。そして一方、この保安林の方が保安林としての機能を逆に果たさなくなっている。もちろん治山対策などもやっているしというお話でしたけれども、こういう実情からするとこれでいいのだろうかという思いが非常に強くするわけです。ですから、もっと保安林機能を充実させるために、あるいは治山対策がしっかり行われなければならなかろう。これはひとり林野庁あるいは農林水産省だけの所管ではないので、国土の問題、災害防止の問題なわけですから、国を守る、地域を守る、自然を守る、資源を守る、そして災害を起こさないという総合的な観点から取り組んでいただかなければいけないと思うわけです。  そこで、政府が日米構造協議で盛り込むことをお約束しておる公共投資の十カ年計画、これでは約四百兆円を見込むのだと言われておりますけれども、こういう公共投資の中にこうした治山事業あるいは保安林の強化というようなことをもっと含めて考えていかなければならないのではないだろうか。農林水産大臣はいらっしゃらないのだけれども、かわって政務次官、この辺についての政府の方針というかお考えというか心構え、あるいは決意をお聞かせいただきたいと思うのですが、どうですか。
  150. 東力

    ○東政府委員 日米構造協議の中間報告におきましても、今後十年間の新しい総合的な公共投資計画を策定することとされておりまして、現在、経済企画庁を中心検討が進められておることは御承知だと思います。  森林、林業につきましては、森林の公益的機能に対する国民の関心が高まる一方、山村の過疎化、担い手の減少、高齢化、林業生産活動の停滞など非常に厳しい状況にありますので、このような中で国民の要請にこたえて治山事業等による森林の有する多様な機能を高度に発揮しなければならないということが第一点。第二点は、林道網の整備等による林業の生産性向上及び山村の活性化ということが非常に課題となっておりますので、公共投資十カ年計画の策定に当たりましては、国土の均衡ある発展を図る観点にも立ちまして、このような点を踏まえて最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  151. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 きょうは時間の関係もありましたので、いわゆる負債問題とか合理化の問題、行政改革の問題、人減らしの問題などについては触れる余裕がなかったのですけれども、問題になっておる林野行政の赤字、要するに二兆一千億円という膨大な赤字が出ておる、これが事ごとに金がないから金がないからということでなおざりにされたりあるいは人を減らす、あるいは先ほどの下川、一の橋営林署の廃止に見られるように、そういうことをなくしていくということではお答えされたようなこれからの日本の森林というのは一体どうなるのだろうか、その保安の意味からも、自然保護の意味からも、それから資源育成という点からもまことにお寒い感じがしてならないわけで、これを林野行政の中だけで全部やれというのは無理な話なわけですから、まさに今政務次官がお話しのように、公共投資十カ年計画の中に位置づけて総力を挙げてやっていくというようなことは本当に大事なことではないかと思いますので、これは真剣に取り組んでいただきたいのです。そのことをひとつ強く要望しておきたいと思います。もしつけ加えることがあればお聞きして、私の質問を終わりたいと思いますが、ありますか。
  152. 東力

    ○東政府委員 佐々木委員の御指摘を十分踏まえて、特に森林、林業の多面的な機能、国土の保全、環境問題、さらには地域の活性化、そういうことをよく踏まえて、従来の観点にさらに加えて総合的に地域開発をするという観点を取り入れて、地方公共団体の努力等も十分に取り入れ、相談をしながら最大限の努力をしていくように努めてまいりたいと思います。
  153. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 最後に、よく自民党の先生方は日本を守るという言葉を使われるのだけれども、この森林を大事にしていくということこそ日本を守るということだろうと私は思うのです。本当にここのところは、政府が行われたアンケートでも森林に対する国民の関心というのは非常に高い、理解度も高まっているわけですから、こういう時期にこの機運を盛り上げて、本当にこれはもうイデオロギーやその他は抜きにして、国民全体、みんなで、そして国を挙げて森林保護、緑を守ることに取り組んでいく、育てていくということに努めなければいけないと思いますので、ぜひこれは真剣に取り組んでください。公共事業の中でも重要な位置づけを持たせていただくように特段のお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
  154. 石破茂

    ○石破委員長代理 日野市朗君。
  155. 日野市朗

    ○日野委員 私で社会党の質問は終わるということになります。  私もずっとこの二日間にわたる大臣の所信表明に対する質疑を聞いておりました。大分不満が残るという点もあったと思います。しかし、私はこれから米を中心にして聞いてまいりますが、日本の農業を守っていく、米を大事に考えていくという点、さらに具体的に言えば、米は自給体制を維持しますという答弁、これは政府もなさったし、柳沢委員もこの点を強調されながら質問を展開されたところであります。こうやって見ますと、少なくとも当委員会において、米をみんなで守っていこう、自給体制を守っていこうという点については異論がないように見える。並みいると言いたいけれども、さっぱりきょうは自民党席おりませんが、この人たちも同じだろうと思います。恐らく、米の輸入に対しては断固とした阻止線を張るというような演説をしながらみんな当選した方々でありますから、その点については異論のないところであろう、私はこんなふうに考えます。  そこで、まず伺いたいのですが、この結論、米の自給体制を守っていくということについては、大臣は前にも答弁しておられますが、これは政務次官も異論のないところでございましょうね。いかがですか。
  156. 東力

    ○東政府委員 米の貿易問題につきましては、やはり我が国における米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみまして、国会における決議等の趣旨を十二分に体し、今後とも基本的には国内産で自給するとの基本的な方針を堅持していく方針でまいりたいと思います。  我が国は、このような方針を実現するため、ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、食糧の安全保障等の観点から、我が国の米のような基礎的食糧につきましては所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じるよう提案を行い、そしてその話し合いの努力をしているところでございます。今後米を国内産で自給するとの基本方針が貫かれるよう、最大限の努力を傾注してまいりたいと思っているところでございます。
  157. 日野市朗

    ○日野委員 ちょっと気になるな。その基本的にはというのは何ですか。
  158. 東力

    ○東政府委員 これは今後の交渉に当たってどのような戦略で臨むかということでありまして、今大変努力をしているところでございます。私どもは国会でなされた決議を十二分に尊重して最大限に努力をするということでございますが、やはりほかの商品と違って、米のような基礎的な食糧につきましては、食糧の安全保障等の観点ということを十分尊重し、先ほどの繰り返しでありますけれども、国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じることをずっと提案してまいっているわけでありますが、さらに我が国としては、この提案の実現に向けて、北欧、スイス、オーストリア、韓国など、我が国と同機の立場にある食糧輸入国と協調しながら交渉に臨むとともに、食糧輸出国の理解を得られるよう最大限の努力をしているところでございます。
  159. 日野市朗

    ○日野委員 私、何かこだわっちゃったね、あなた基本的にはと言われたんでね。今あなた、まさしく基本的にはと言われたんですよ。どうも衣の下からよろいがのぞいたのたぐいではないかな。この点については一〇〇%オール・オア・ナッシングの問題だと私は心得るが、いかがでしょう。少しここを議論しましょうよ。東さん、あなたも論客をもって任じておられる方ですから、私もそう言われちゃ黙っちゃいられない。
  160. 東力

    ○東政府委員 やや誤解の面もあるかと思いますが、私の趣旨は、国会の決議がございますので、それを守っていくということが基本的方針であるということでございます。
  161. 日野市朗

    ○日野委員 納得したわけじゃありません、どうも衣の下のよろいだという私の印象は消しがたく残った。  そこで、ちょっと伺います。皆さんそうおっしゃるのですね。私はこれと同じ場面を前にも経験したような気がする。それは牛肉・オレンジのときですよ。皆さんここの委員会の場では、牛肉・オレンジの輸入自由化はいたしません、こうみんなで口をそろえて言ったという経過があったのです。しかし牛肉・オレンジはどうなったか、現状のとおりであります。しかも私が気に入らないのは、国会でそういう答弁をしていながら、水面下ではちゃんと牛肉・オレンジの輸入の問題について日米間の交渉が進んでいたのです。こういう経過を踏まえているのです。しかも現在の米をめぐる状況をちょっと見てみますと、これにはいろいろな問題がございますよ。ガットの十一条一項について日本は、それは国家貿易品目だ、こう言いながら何とか攻勢をかわそうとしてきた。しかし、それはかわせなかったじゃないですか。ガットの裁定が、国家貿易品目であったって民間貿易の義務を免れるものではないというような裁定を下して、それは留保になったままずっと来ているでしょう。そのときの牛肉・オレンジの状況と現在の米の状況を、輸入するかしないかというような観点から眺めていくと、状況としてはそんなに変わっていないと思う。私は、こういう状況を見ますと、牛肉・オレンジで展開されたような事態が今回もまた展開してくるのではないかという危惧を非常に強く感じます。いかがでしょうか。
  162. 川合淳二

    ○川合政府委員 先ほど政務次官からもお話いたしましたように、米の我が国におきます格別の位置づけと申しますか、それに基づきまして私どもは、今回のウルグアイ・ラウンドに当たりましては基礎的食糧という概念を持ちまして提案を行っているところでございます。既に御承知の点でございますが、基礎的食糧につきましては、安全保障の観点から、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るものとすることという提案を行っておりまして、この提案の実現のために最大限の努力を続けているというところでございます。
  163. 日野市朗

    ○日野委員 今の御説明はまさにそのとおりなんでしょう。しかし私、アメリカのヤイターさんあたりの気迫といいますか、あれと、日本のそれに対するカウンターパートナーの人たちがどのような気迫を持ってこの問題に立ち向かっているかということを考えますと、どうも日本は弱い、こう言わざるを得ないです。  例えば、このごろアメリカから関税化提案なんというものがなされて、そしてそのことをめぐってECとアメリカがまた少し仲よくなりかけたなんという話も伝わってきているわけですね。しかし、アメリカにとって最大の敵というのは、日本よりはむしろECなんですよ。このECがそのようにアメリカにすり寄っていくような気配というものは感じられないわけではなかった。では、これに対してどういう手を打ってきましたか、今まで日本は。
  164. 川合淳二

    ○川合政府委員 ECとアメリカとの関係につきましては、今お話もございましたように、現在の段階ではそれぞれの主張にかなり隔たりがあるのではないかというふうに私ども考えております。既に先生御承知の点に触れさせていただいて恐縮でございますけれども、農業はそもそも工業と異なる特殊性がございます。アメリカもECもそれぞれの事情によりまして現在国境保護措置や価格支持などをやっているわけでございまして、こういう問題につきましては、やはり問題意識としては各国とも非常に難しい問題を抱えているというところでは共通していると思っております。今回のウルグアイ・ラウンドが始まりました背景のもとには、例えば輸出競争の激化とかあるいは過剰生産というようなことがあるわけでございますが、今回のガットでは、そうしたもとでいろいろ各国が行われております措置のすべてをその俎上にのせまして、新しいルールづくりをしようということで始められたのは御承知のとおりでございます。  そこで、ECとアメリカの最近の動きでございますが、一つは、関税化につきまして条件を付してなら検討に乗ってもいいというような言い方をECがしたということでございます。ただ、私どもはこのECの三条件につきましては、実際にいろいろ考えてみますと、現在のところ、アメリカの提案との関係でいきますとかなり違うものではないかという感じがします。ただ、ECはもう少し具体的な提案の内容を出すと言っておりますので、それを見ないとよくわからないわけでございますが、現在ではそういう段階だろうと思っております。  それで、問題は今の私どもの立場でございますが、やはりそういう両方の主要な国といいますか地域の対立関係にある問題については、それぞれの考え方というのをどういうのが本音かということについてよく把握するのが今の段階ではないかということで、あらゆる段階を通じましてそうした両国の考え方の把握に努めているという段階でございます。
  165. 日野市朗

    ○日野委員 歯がゆいのですよ、はっきり言って。大体ECとアメリカというのは、課徴金の問題をめぐってのっぴきならない、語弊をいとわずに言えば敵対関係みたいな関係になっていたはずですね。そして、ECの農業担当者が常に言い続けてきたこと、それは、アメリカの農業なんというのは、もうあれは農業ではない、あれは企業ではないか、それと我々の農業とを比べられたらたまったものじゃない。これはEC側が常にアメリカに投げかけていたボールですね。私は、日本の農業もまた同じようなことをアメリカに対して強く言わなければならない。共通の認識を持ち、共通の農業に対する哲学を持ち、そして共通の利害関係もあったはずだ。何でそれをきちっととらえて、ECともっとしっかりした関係を築き上げていかないのか。調査しておりますではこれは済む段階でもないし、そのようなことでこういう非常に難しい局面が切り開けるものではないというふうに私は思っております。それにもう一歩突っ込んで何で積極的な行動を展開しないのか、この点はあくまでも私の疑問として残ります。この疑問にどういうふうに答えていただけますか。
  166. 川合淳二

    ○川合政府委員 ECとアメリカとの間の立場の相違といいますのは、今御指摘のような点もあろうかと思います。私ども決してただ調査をしているということではございませんで、いろいろな段階、いろいろな機会をとらえましてECともいろいろな形で意見の交換を行っておりますし、その中で相手の真意を探ろうというような努力も続けております。またアメリカにつきましても、アメリカの提案はかなり思い切った提案でございまして、実際にこういうものが実現できるかどうかということにつきましては、アメリカ自身もいろいろと考え方はあろうかと思います。そういうことで、アメリカについてもそういうようなことをやっているわけでございます。したがいまして、私ども、今御指摘ではございますが、手をこまねいているということではございませんで、そういう段階におきますECなりアメリカの考え方を探り出す努力を続けているということでございます。
  167. 日野市朗

    ○日野委員 アメリカのいろいろな対応ということはありますが、アメリカはああいうふうに表面では非常に強気に出ているけれども、アメリカの内部にも非常に大きな傷を抱えておりますね。例えばケアンズ・グループが三%のミニマムアクセスというようなことを言い出した。これにアメリカはぽっと乗ろうとしているわけですね。本当はアメリカはこんなものに乗ったら大変です。非自由化品目を抱え、それからウェーバー品目をいっぱい抱え、これはもう既に酪農であるとか綿花であるとか、そういった業者なんかはこれをのむということに対して非常に強い抵抗をしているではありませんか。そういった状況を何で我々に有利に使えないのか。それから、アメリカの特に米作農家というのは、アメリカのマーケティングローンの恩恵を非常に強く受けている。マーケティングローンのようなシステムを温存しているアメリカに対して、そういうことはけしからぬのだということを、何でこっちから積極的な攻めをやっていけないのか。そこらを、どうしてそんなふうになっているのか聞かせてください。私は、気迫が足らぬ、本気でやる気があるのかないのかというふうに思っているのですよ。
  168. 川合淳二

    ○川合政府委員 昨年末に一応主要国の提案が出そろったということでございます。その中でそれぞれ、アメリカはアメリカで御承知のような提案をしておりますし、ECはECで提案しております。ただ、それぞれの中でもう一つわからない部分があると思います。例えばECにつきましても、関税化に条件を付して乗ると言っておりますが、この条件が明確になっておりません。それから、ECの中の各国にそれぞれの事情があるというようなこともございまして、ECの共通した意思あるいは各国のいろいろな立場を総括した意思というものが本当にどこにあるかということがなかなかつかめないというのが正直なところだろうと思っております。アメリカにつきましても、今いろいろ御指摘のありましたような事情があることも事実だろうと思います。ただ、そうした中で、ウルグアイ・ラウンドが始められた背景を先ほど申しましたけれども、このウルグアイ・ラウンドを何とかまとめたいという意欲と申しますか、これもまたあることも事実だと思いますので、思わぬところで両者の妥協が成立することもないとは言えないというような状況ではなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、それぞれの国が先ほど申しましたようにいろいろ困難な農業事情を抱えて、その中でいろいろな提案を行ってきておるわけでございますから、そうした事情もよく把握しながら提案の真意というものを探り出していかなければいけないと思っております。
  169. 日野市朗

    ○日野委員 私はやはり日本における米の自給、それからあとは輸入だとかなんとかという問題について、これは主務官庁は農水省だと思っているのですよ。これは間違いありませんな。だれが見たってこれは農水省です。しかし私は、農水省一体何をやっていると言いたい。牛肉・オレンジの問題のときも、あのとき果たした農水省の役割というものを私は高く評価いたしません。この委員会では、自由化、これは何としても防ぎますと言い、それから生産者、農民に対してもそういうようなことをずっと言い続けてきた。そして生産者、農民たちも、あれほどまでに農水省が言うのだから大丈夫だろう、こう思っていたのです。しかし、現実には牛肉・オレンジは自由化という方向に進んでしまった。そういう過程を我々知っているわけです。  ところで、今度の米の問題ですが、米の問題でも我々はもっともっと農水省の果たすべき役割は多い、そして果たさなければならない、そう考えておるのです。ところが現実には、どうも今経済局長からお話があったようなことで、情報の収集だとかなんとかいろいろ言っております。しかし、私は今の時期そんなことで間に合うのかという考えを持っているわけです。そこで、こういう問題というのは残念たけれども、本当はこんなこと言いたくないけれども、農水省以外のところで物事が決まってくるのではないか、こういう非常に強い危惧の念を私は持っているわけです。このウルグアイ・ラウンドというのは日本が言い出しっぺで、日本がウルグアイ・ラウンドをやりましょうということを言って、そしてそこで米の問題も話し合いましょうというようなことを現に日本の代表が行って言ってきているではないですか。それに——ちょっと、大臣が来られたので大臣に……。  大臣、今もう話は進めております。しかし、これから大事な点を大臣に答えていただかなくてはいけない点がいっぱいあります。  今お話ししているのは、農水省というのは本当は米なんかの主管庁でありながら、農水省以外のところでガットの問題や輸入の問題なんかが強い政治的な流れとなって、農水省よりはもっと上のレベルと言ったらこれは極めて失礼かもしれないけれども、そういうところで物事が進んでいっているのではないか、そういう危惧を持つということを今私は言っているのです。現にこのウルグアイ・ラウンドに行って、ここでは米の問題も話し合いましょうと言い、それから外務省の浜田次官ですか、この人はガットの非公式閣僚会議に行って、ここでも米の問題は避けませんよ、こう言ってきている。農水省がいろいろなことをやりながら、ここの場でも米の輸入ということはしませんよ、自給を守っていくのですよということを言いながら、もっと別のところで高度な政治的決定によって決められてくるのがこの米の問題ではないか、そういう心配を私はしているのです。いかがですか。
  170. 川合淳二

    ○川合政府委員 ちょっと答えさせていただきたいと思います。  先ほどECについてのお話がございましたので、その状況把握とか本音の把握とかということを申し上げたわけでございますけれども、私ども政府一体となりまして日本提案を出し、これの理解を求めるべく各国に働きかけているということを申し添えさせていただきたいと思います。
  171. 山本富雄

    ○山本国務大臣 途中から入りましたので、多少答弁が違っておりましたら御寛容願いたいと思いますが、今先生お話のとおり、米の問題、そしてウルグアイ・ラウンドの問題、これがこれから夏、さらに今年の最大の課題になってくる、こういうことでございます。  なお、さまざまな会議で、例えば先般のメキシコで外務大臣がこう言ったという報道などもされたり、あるいは四極の通商大臣の会議で武藤大臣がこういう話をしたというようなことが報道されましたり、いろいろ報道されております。その都度私は、向こうからもお話がございますが、帰られると必ず確かめまして、詳細に話してほしいということで伺っております。もちろん外務大臣も通産大臣も現在までのウルグアイ・ラウンドにおける我が方の提案の経過というものをよく承知しておりますから、それを外れて、ただ外交辞令などで物を言うはずもないし、またそういうことは今まで一回もございません。  ただ相手方は、人にもよりますし国にもよりますが、入れかわり立ちかわりとでも申しましょうか、日本に対して農産物のさらなる自由化、特に米の問題などには触れてきつつある。この問題は確かに大きな政治問題であることは間違いがございません。しかし、予算委員会などでもしばしば私と一緒に海部総理御自身も、農水大臣と同じ見解でございますと、これは当然のことでございますが、そういう答弁も繰り返ししておりまして、その中で、国会決議が非常に重うございますということも言っております。ですから、厳しい国際世論の中で非常に難しい局面もこれから数々出てくると思いますけれども、この基本姿勢については、私はどんなことがあっても貫いていきたいという考え方でございますし、また内閣の一員でもございます、農水大臣であると同時に国務大臣でもございますから、そういう立場も踏んまえて、しっかりやってまいりたいと考えております。
  172. 日野市朗

    ○日野委員 大臣が参議院に行っておられる間に東政務次官が、私の自給体制をきちんと守っていくのかどうかということに対して、基本的には守っていくつもりだという趣旨の答弁をなさった。私は、基本的にはというところに食いついたのです。  米の輸入をするかどうかというのはオール・オア・ナッシングだ。これは泡盛の原料とかは別ですよ。オール・オア・ナッシングだということで言ったら、いろいろ言われたのですが、オール・オア・ナッシングの問題と考えて大臣は米の自給を守っていく、このことは絶対に間違いないですね。  あなたは、もしこの問題がうまく解決しないときは戸板に乗って帰るくらいの覚悟をしてやられる、こういう話を前回の委員会でしておられるわけだけれども、これは戸板に乗って一大臣が帰ってこられたって済む問題ではない。これは農水省全体が一致して、さらに政府全体が一致して取り組む問題であり、そこにはオール・オア・ナッシングの回答しかないのだと私は思うのですが、この点はどうですか。
  173. 山本富雄

    ○山本国務大臣 その覚悟でございます。
  174. 日野市朗

    ○日野委員 この問題については前回の牛肉・オレンジの例もありますし、これからのガットの交渉は非常に難しいものであることは私もよく知っています。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕 そして、この問題を解決するためには強い気迫と、それから今までもいろいろ情報も収集されたでしょう。いろいろな国の人たちともおつき合いができているはずだ。そういうすべてのパイプを通して全面的に展開をして、米輸入は断固として阻止する。これが阻止できなかったというようなことは絶対にないようにひとつ努力をしていただきたい、このように思います。  では次に、私が今までずっと質問を聞いていて、非常に気になって気になってしようがないのは自主流通米価格形成の場の問題であります。この問題について若干の質問をいたしたいと思います。  およそ一つの省庁が何かの問題について審議会に対して諮問をする場合、諮問を出してこういう点についていかがでしょうと言って白紙で出すことはあり得ないですな。確かに自主流通米の問題については農政審答申の伏線があった上でのことであるが、それならばなおさら、ある程度のイメージというものはきちんと持って、そして諮問をするのが通常だと思う。この自主流通米価格形成の場についても、それは同じことでございましょう。
  175. 浜口義曠

    浜口政府委員 御指摘のとおり、役所の責任とか役所の態度というような点について、基本的な問題について一つの方向を持つということは事実でございます。ただこれは、先ほどの御議論もございましたけれども農政審議会の御議論のときに先生御案内のように二十一世紀へ向けての諮問、六十一年というのが出ておりまして、この中で一番大きなテーマについては、いわゆる水田農業確立対策といったようなものの大きな転換がなされたわけでございます。その次に出てまいりました問題は、中長期的な問題という形で米の流通問題ということでございます。引き続き農政審議会は、先生指摘のような答申ということではございませんでしたけれども、そこでの御議論報告という形でなされておりまして、この点については、前者の六十一年のときには、我が国の基本の問題である水田について今までの生産調整の、これもまた約二十年に及ぶ上に立っての御提案がありました。これに基づいて前期対策が出されました。そういうものの中で今回、食管制度をあくまでも現状に合わせる、現状の中でやるということで、従来行っておりました、政府米ではございませんが、自主流通米分野について今回の御報告がなされたという経緯であろうと思います。  私どもは、そういう意味で十分事務局としてのお話し合い等々ができましたけれども、そういったようなものについてはさらに細かい実務という形で詰めるべく、食糧庁において報告書をいただきました。もちろんこれは審議会ではございませんから諮問という形ではございませんが、私ども、お願いをして随時集まっていただいて出していただきました。また、この結果はぎちっと関係者方々に十分お諮りをして出発させたいという考えでございます。
  176. 日野市朗

    ○日野委員 私も手短に質問しますから手短にひとつ答えていただきたいのですが、まず、食管制度はかなりずたずたになってきていると私は思いますけれども、この食管制度があろうとなかろうとと言うとちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、ある以上、少なくとも主要食糧、特に米については、国でその量についても価格についても流通の過程についても、国民の皆さん、御心配がないようにきちんと管理してございますよ、ここのところが一番大事なところですね。  では、ちょっと伺いましょう。今度はマーケットシステムが自主流通米について入ってくるわけですね。前の協議をやって値段を決めたころは、それは入札制度入札を二十万トン程度について若干やったにしたって、それは微々たるものであります。しかも、ある米の、例えばコシヒカリならコシヒカリについて価格がどう決まっても、さらに全農あたりでそれにほかの売れない米でもセットにして倍売ったという経緯があって、集まってきた米はうまく売れたのです。ところが、今度はマーケットのシステムになってしまいますからそういうことができなくなってしまう。そういうことになりましょう。ある程度価格が決まる、そうすると、商売人ですから値段というのは非常に重大な問題ですから、そこで値段を入れる、そして要らない米はどんどん値段が下がってしまう、そういう形になってくるわけですね。こういう場合に、値段がうんと低い米、こんなのはどうするつもりですか。
  177. 浜口義曠

    浜口政府委員 まず、先生指摘食管制度の問題でございますが、先生のおっしゃるような点について食管制度を堅持するということには、農林省として全く同一の考え方に立っております。これは審議会等でもはっきり言っているわけでございます。  ただ、先生マーケットという言葉を使いましたけれども、ここは一つのどういうふうに言葉を使うかというところでございまして、我々は、この問題はあくまでも価格形成の場ということを慎重に使っているわけです。マーケットと先生がおっしゃっているのは、どちらかというといわゆるオープンマーケット、現実食管制度の決めた特定のレートの人々以外のものが入るというニュアンスを出すように私は見えます。私どもはこれは全然そこまで考えていないわけです。そういう意味で、その点のところについては私どもがあくまでも価格形成の場、もっといい言葉があるかもしれませんが、それはまた内部でいろいろと検討いたしますけれども、なぜあえて価格形成の場という言葉を繰り返し使っているかということは、先生指摘のようなオープンということではない、現在のあくまでも協議会というものを、そういうものの中で手続として、これはいろいろな擁護論もございますけれども、これはそれなりに一つの問題点があらわれたということが提起されているわけでございます。それに対応していこうというところがあるわけでございます。
  178. 日野市朗

    ○日野委員 時間がなくなりましたからマーケット論争はやめましょう。これは、私に言わせてもらえばある種のマーケットであろうと思いますが、そこのところはやめておきます。答弁は要りません。  もし、価格形成の場で、ある米にどんどん高い値がついていった、とても五%とか一〇%などというものではなく高い値がついていった、そうしたらどうするのですか、教えてください。
  179. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生の御質問、乱高下とか、そういった問題であろうと思います。  これについては二つ申し上げてきているわけです。まず一つは、大枠は生産調整でその乱高下ができないようにしていこう。ところがもう一つ先生がおっしゃったのは、個々の品目について乱高下が出たらどうか。これは繰り返し申しておりますように、第二番目の問題として値決め制限ということでございます。そういう知恵を絞っていこう。現に私どもやっております現在のルールにおいても、協議会方式の中で、建て値との関係ですけれども値決め制限という経験があるわけです。そういうものをやっていこうということでございます。
  180. 日野市朗

    ○日野委員 その建て値を建てて値決め制限をやっていくということがうまく機能するかどうか。これが市場性を持ってきた場合、これは極めて難しいことになってくると思う。だって、欲しい人は欲しい、値段をつけていきます。そうしたら、もう全部上の方に値段が張りついていったらどうしようもない、これは市場であれば決めようがないのですからね。そして価格形成の場も私は市場だと思っていますから、みんな上の方にずっと張りついた、さあこれはだれに売りますか。そういう問題が出てくるのですね。下の方は政府米の下支えとかなんとかという問題が出ていますが、そういう点でいくならば、やがてこれは市場、本当のオープンマーケットの方に進展せざるを得ないじゃないですか。そして、そこから先には先物買いというような問題さえ出てこざるを得ない、こんなふうに思います。  それから、第三者機関の問題について聞きます。  第三者機関をどのようにつくるかということについてまだ全く決まっていないなどということはないでしょう。仄聞するところによれば、それにはもう全農が入ることがちゃんと決まってたなどという話も聞こえてきますし、ここの一番ポイントになるところを全然決めもしないでこの価格形成の場を近い時期にやりましょうなどといったら、私はそのこと自身が非常に重大な政治問題になっていくのではないかと思う。ここがポイントなんですよ。そして、米の市場について非常に強い関心を持つ人たちが恐らくここに集まってくるでしょう。そういった場合、先ほどから長官が言われるような、値決めをしていくなどという論理が通用するものかどうか、私はこれはもう難しいと思う。どうでしょう。
  181. 浜口義曠

    浜口政府委員 全体の中で最終的な形というものを検討中だということは申しております。  同時に、あわせて、農政審以来あるいは今回の検討結果以来、この問題が極めて重要だということで、できるだけ議論をしていただいたものは公表して御意見を聞いていこうという形になっておるわけでございます。今の第三者機関においても、先生全農の問題を御提起になられましたけれども、この答申において一つ出されておりますのは、いわば公益法人、もちろんそれについては一般の公益法人よりより強い食管法に基づく監督権限を付与しようというのをセットに出しております。さらに今の全農等との関係でございますが、この運営が十分になされるように運営委員会というものをつくろうというところまで踏み込んだ答申を出されているわけでございます。私ども、そういうものに肉づけをして、さらに関係者の御意見を聞いて、納得の得られる方向でこの問題を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  182. 日野市朗

    ○日野委員 時間がなくなりました。非常に短い質問を大臣にしたいと思う。  この問題は、もうずっとこの委員会で二日間にわたって出てまいりました。議論は熟していないと我々は考える。これから我々はもっとこの問題について議論をしていかなければならない、これは重大な問題です。その議論には常に応ずる用意があるでよろしいな。農水省、いかがです。
  183. 浜口義曠

    浜口政府委員 繰り返し申し上げておりますように、この運用については、極めて重要な米の問題でございます。もちろん実態の上に立って運営するわけでございますが、この問題について答申においても十分関係者方々から御意見を聴取するようにというものがあります。私ども十分お話をし、円滑に実施をできるように考えていきたいと思っております。
  184. 日野市朗

    ○日野委員 関係者との話ではないのです。国会との話です。そのことを私は今言っているのです。国会と話をする準備がある、これはよろしゅうございますね、大臣、いかがです、大事なことです。
  185. 山本富雄

    ○山本国務大臣 準備がございます。
  186. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  187. 亀井静香

    亀井委員長 東順治君の質疑に入ります前に、先ほどの目黒吉之助君の質疑に対しての補足説明を農林省からさせます。しかとやってください。鶴岡官房長
  188. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 今委員長の指示がありましたけれども、先ほどの御答弁に補足させていただきます。  先ほど答弁しました農政審報告、「今後の米政策及び米管理の方向」につきましては、先ほど答弁したとおり、農業基本法第二十六条第二項の規定に基づき行われたものであります。  それから、当委員会におきます先日の国家行政組織法と農政審議会との関係、設置に関する答弁でございます。国家行政組織法第八条は、「法律の定める所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、」審議会の設置が認められており、農政審議会はこの規定に基づき、農業基本法及びこれに基づく政令に従って設情、運営されているものであります。  以上でございます。
  189. 亀井静香

    亀井委員長 では、特別に質問を許します。簡単にやってください。
  190. 目黒吉之助

    ○目黒委員 仕組みはわかりましたが、扱い等についてまだ十分得心のいかないところがありますから、我々の方も研究して、しかるべき機会にただすことにしたいと思います。
  191. 亀井静香

    亀井委員長 東順治君。
  192. 東順治

    ○東(順)委員 私が本日の質疑の最後でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  いろいろかけ持ちで大変でしょうけれども、午前中も質疑が出されましたけれども、北太平洋上での日本漁船拿捕の問題につきましてまず最初にお伺いをしたいと思います。  午前中の質疑を聞いておりまして、捜査中なのでということで答えられておられましたけれども、これは非常に国民的に、また北海道の人たちにとってこれからどうなるのかということで事態をかたずをのんで見守っている、こういう重大な問題でございます。そういうことでございますので、なるべく丁寧にお答えいただければと、このように思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  伝えられる報道によりますと、この日本漁船のまとめ役をしていたのが照宝漁業、この照宝漁業と北朝鮮の遠洋漁業会社との間に、契約書に基づいた十年計画の長期大型事業を具体的に裏づけた合意書が結ばれていた、このようにきょうの新聞等で報道されておりました。この合意書が昨年九月結ばれておったことは、水産庁として御承知だったのかどうか。最初に、この辺はいかがでしょうか。——水産庁はまだおいでじゃないですか。
  193. 山本富雄

    ○山本国務大臣 先生、恐縮ですけれども、その事実関係は非常に今微妙でございまして、捜査中であることもあり、またこれ、今お尋ねの件などにつきましてもやはり後々まで重大な影響を及ぼすことでございますし、水産庁の責任の問題にも関係してまいりますので、水産庁長官がやがて参りますから、事実関係につきましてはひとつ長官の方からできる範囲内でお答えをさせていただきたい、こう思っております。
  194. 東順治

    ○東(順)委員 これは各紙が報道されておりますし、恐らく事実であろうというふうに思います。  それと、きのうの夜の七時のNHKニュースを見ておりまして、釧路の港に、現実にハングル語で書かれた板が裏返した形で船についていて、その漁船の煙突には北朝鮮の国旗がかかれていて、それを白いペンキで上から塗られて、そういういわば偽装してそれをまた日本船に戻した、だけれども、ハングル語だけはなぜか表に出ていたという船が釧路の港に係留されているというニュースが報道されていまして、私は大変びっくりしたわけです。こういう事実、これはやはり昨年も今回と同じように漁業協力ということで北朝鮮まで出かけていって、サケ・マスを漁獲をしてということがあったので、地元としてはひょっとして見られた光景だったのじゃなかったかという気もしたわけで、こういう事実がございましたことについてどのようにお答えいただくか、これもお願いしたいと思います。
  195. 亀井静香

    亀井委員長 水産庁を呼んで。  ちょっと申しわけありません。東委員、別な問題を先にやっていただいてよろしゅうございますか。——それではそのようにひとつお願いいたします。
  196. 東順治

    ○東(順)委員 先ほども裏に待機されているということだったので始めたわけです。それでは別の問題から入らさせていただきます。  先ほどもいろいろと御論議がありましたけれども、お米の問題につきましてお伺いさせていただきたいと思います。  五月十七日に、OECDの閣僚理事会で討議の対象となるコミュニケ案というものが出されました。これによりますと、「国内保護と国境措置の削減によって、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の成功が、ラウンド全体の合意にとって不可欠である。補助と保護の削減に関する年次計画に合意することが緊急課題である。」こういうことがありました。また、五月二日から七日ですか、ガット農業交渉グループで第二十一回会合が開かれまして、そこで議長のドゼウさんですか、日本に対しても、技術的側面の論議よりも関税化に伴う政治的問題をいかに扱うかとの観点から、関税化を検討すべきであり、どのような条件のもとであれば関税化が可能であるかを検討してもらいたいと要請があった、このように伺っております。  要するに、関税化を検討しろ、どういう条件のもとであれば可能であるかという非常に踏み込んだ要望等がありたということで、こういうことに対して農水省としてどのように受け取られ、そしてまた対処をなさるか、これをまず伺いたいと思います。
  197. 川合淳二

    ○川合政府委員 今、御質問は、農業保護の削減の問題と関税化の問題というふうに把握させていただきました。  まず、削減の問題でございますが、国内保護の削減ということでテーマになっているわけでございます。これは、昨年の四月の中間見直しと言われているものの中で、農業保護の相当程度の漸進的な削減を行うという合意がございます。これに沿って対処していくということになろうかと思いますが、ただ、この合意の中には、食糧安全保障のような非貿易的関心事項につきましても取り組むことが盛り込まれております。したがいまして、こうした状況でどういうふうに私どもが対処していくかということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、農業につきましては、経済的な役割以外の特別な、多様な役割があります。土地、気象条件の制約を受けるという特殊性、あるいは今申しました安全保障、そのほか環境の問題などもあるわけでございますから、こういう観点に立ってこの農業保護の削減について対応していかなければいけないと思っております。現在の段階では、国内保護措置の中で、大別いたしまして、許容されるもの、それから今後削減していくものをどうするかというその区分けの仕方、あるいはそれについての削減の仕方というものがテーマになって議論されております。いずれにいたしましても、ただいま申しましたような立場に立って私どもは対処し、我が国は世界最大の純輸入国というところまで来ているわけでございますから、そうした立場を踏まえて対応していかなければいけないと考えております。  それから関税化の問題につきましては、これは先生御承知のとおりアメリカが提案しているものでございまして、関税以外のすべての貿易障害を関税に置きかえて、十年間でこれをゼロまたはそれに近い水準に逓減していくというものでございます。これにつきましては、関税化という考え方そのものが、国際価格の変動とか為替レートの価格に与える影響というようなことについてどう取り扱うかということにつきまして技術的に非常に問題があるというようなこと、それから何よりも私どもが提案しております基礎的食糧の考え方、それからガットの規定に基づく輸入制限品目に関しまして、この関税化というのはとてもできない、困難であるということを主張しているところでありまして、今後ともこのような立場を踏まえて対処していきたいというふうに考えているところでございます。
  198. 東順治

    ○東(順)委員 午前中も、大臣、お話が出ましたけれども、このOECDの閣僚会議、これは農業問題で米国のヤイターさん、それからEC委員会のマクシャーリー農業担当委員、これはきょう恐らく顔を合わせているということになっているわけでございますけれども、従前から大臣は、これには出席しない、こういう方針であった。その後にヤイターさんと大臣との大変なやりとりがあったわけで、午前中のお答えを聞いておりますと、OECDの一つの慣習みたいなところで行かなかった等々のお話がございましたけれども、私はむしろ、大臣がヤイターさんといろんなやりとりがあった。そして何日か前の新聞などを見ますと、ぼろぼろになってでもとにかく闘うぞというようなことまでおっしゃっている。国民は今、どうなるのだろうということに対する物すごい興味と、また先行きに対する不安とか、いろいろな気持ちをないまぜにして大変関心を寄せているわけですね。それだからこそあえてあれは行くべきではなかったのか。行かないことが決まっていたんだけれども、ヤイターさんとのいろいろなやりとりがあった、だからこそあえて、では出ていこう、出ていって、世界じゅうが注視する中で堂々と意見を主張し合って、日本の立場はこうなんだ、自分はこう思うというところをむしろ強腰で主張するために出ていかれた方がよかったのではなかろうか、私はこういうふうに思いますし、またそれがかたずをのんで心配している国民の皆さん方の気持ちではなかろうかなというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。
  199. 山本富雄

    ○山本国務大臣 午前中も鉢呂先生から激励を含めて御指摘があった、私はこういうふうに受け取っておるのですけれども、今先生のも同じ趣旨だというふうに受けとめております。  ごもっともなんですね。ですけれども、あのヤイターさんの書簡というのは、太平洋の方を回っていまして、おとといの午後になって着いたのですが、出した日柄を見ますと、これはOECDに関して言えば、私の方でOECDには参加いたしませんということをあらかじめ言ってあったことを十分承知の上でお手紙をお書きになっているということでもあるのです。まあしかし、そういうことを重ねて申し上げて、ただ、逃げ腰じゃないか、言いわけじゃないかというふうにとられるのは私まことに心外でございまして、気持ちのほどは先生方と全く変わらないのです。  ただ、OECDは別に本番ではないのです。あそこでウルグアイ・ラウンドと同じことが全部議論されるというふうなことであれば最初から農業問題を主要テーマにして段取りが組まれるわけなんですね。そうなれば国会のお許しもいただかなければなりません。予算委員会の真っ最中でもございますし国会のお許しはなかなか得られないわけですけれども、御了解を得て飛んでまいって日本のかねがねの主張をさらに強くやるということも必要だったかもしれませんけれども、今回の問題の場合は、けさも申し上げたとおり、本来の貿易経済問題の中で東欧情勢の大きな変化というふうなことを中心テーマにし、さらにウルグアイ・ラウンドの問題については話を出す、そのウルグアイ・ラウンド問題の中で農業問題を議論する、こういう話でございまして、どうしても日本の農水大臣に出席を賜りたいというふうなことではなかったわけであります。  ただ、今おっしゃるとおり、その後ヤイター書簡なるものが世を騒がしくいたしまして、だからこそ行ってはっきり言ってこい、こういう御趣旨だと思いますけれども、私は、国民の皆様が御心配なさっていることは十分承知しておりますし、だからこそここへきて、——余り農水省や歴代農水大臣は今まで言わなかったのです。じっとしておって、言うべきときには態度で示したということだと私は思っております。しかし、これは言わなくちゃいかぬというつもりで、石も叫ぶような気持ちもあって私は発言をしたということなんですね。ですから私とすれば、この間のテレビあるいは新聞などを通じて、国民の皆さんにはなるべくわかりやすく、しかし毅然とした私どもの方針だけはお伝えをしたい、そして御安心を願うと同時に一億二千万総協力をしてほしいという呼びかけもしておるわけであります。OECDにつきましては、もう既に始まっていることでございますから、ここでこれ以上申し上げませんが、さらに五カ国もございますし、その他これからが本番だ、これにしっかり備えますということを申し上げたいと思います。
  200. 東順治

    ○東(順)委員 それと、世上、ECとアメリカがだんだん接近し始めている、こういう雰囲気も出てきているわけで、それだけに、だんまりをやっていると二人だけで相撲をとられて土俵に上がれないままやられちゃうという心配が非常にあるわけで、むしろこれからは、今大臣もおっしゃったようにもう日本の立場や主張をどんどん言って、真っ向から相撲をとらなければやはり国民がますます不安感を募らせるばかりではなかろうかなと思いますので、今のお気持ちでぜひ、言うべきは言い、書くべきは書き、とにかくそういう積極攻勢に出ていくべきだ、このように私は思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。  それから、先ほどからお話が出ていましたこの食糧安全保障による基礎的食糧ということでございます。基礎的食糧と一口に言うんですけれども、この概念が果たして私たち日本人が理解しているほどに欧米が理解できるんだろうかな、いつもこういう疑問を感じます。非常にわかったようでわからない言葉。日本人は、米だ、これは基礎的食糧だ、ああそうか、こうなるわけでありますけれども、例えばヨーロッパなんかで基礎的食糧といったら、じゃあ一体何が基礎的食糧になるのだろう。日本が基礎的食糧の保護というか、非貿易的関心事項という形でずっと突っぱねていくと、じやあうちのところもうちのところもという形でたくさん基礎的食糧の保護みたいなものがふえてきて、ますますラウンドが複雑になってくるという懸念もある。ということで私は、この基礎的食糧という概念の理解に対してどのくらい理解をさせるかという努力をこれまでやってこられたのか、また現在やっていらっしゃるのか、やはり納得させなきゃこれは進まないわけですから、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  201. 川合淳二

    ○川合政府委員 私どもは、米のような基礎的食糧につきまして、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をガット上講じ得るようにという提案を行っているわけでございます。ガットのルールとしてこうした基礎的食糧というものを盛り込んでほしいということでございます。したがいまして、今お話がございましたように、米という言葉は使わないで基礎的食糧ということを言っております。これはルールとしてそういうものを確立したいという意味でございます。  この基礎的食糧につきましては、私どもは、ガットに対します提案といたしましては、一つは、その国民の食生活においてカロリー摂取割合の重要な要素を構成するということ。それから、この食糧につきましては、欠乏する状況にあっては優先的な国内生産あるいは供給を進めるべきものとしてその国で所要の措置が講じられているというようなことを内容として言っておりますし、その条件といたしましては、例えば維持すべき所要の国内生産水準を明示すること、あるいは当該国の国権の最高機関の支持の表明があることというようなことを条件として付しているわけでございます。  この基礎的食糧につきましては、先ほど申しました中間合意にございます食糧安全保障等の考え方、非貿易的関心事項に関する提案に配慮するというところに根拠を持ちまして私どもは提案を行い、支持を求めているわけでございますが、各国はこれにつきましてさまざまな反応を示しているわけでございます。日本のような輸入国につきましてはかなり高い支持をしてくれますが、輸出国につきましては、安全保障という考え方そのものにつきましては理解をするが、その手法として基礎的食糧というようなものが適当であるかどうかというような疑問、反論を出しているところでございます。いずれにいたしましても、日本は純輸入国、世界最大の純輸入国という立場であるわけでございますので、既に農産物について高い開放度にあるということを前提といたしまして、こういうことが必要だという主張を繰り返し行っているところでございます。
  202. 東順治

    ○東(順)委員 問題は、それが本当に深い理解の中で受け取られるかどうかということだと思います。日本の立場を一生懸命主張する、一応の基礎的食糧ということに対する説明もする、だけれども、一体それはどういう意味なんだということが最後にきてしまうと何にもならないわけですから、ひとつもう少し納得性のある、やはりそういう食糧輸出国も納得させ得る理論づけといいますか、意義づけみたいなものを、これから大枠づくりに向かって一番大事な山場に入るわけですから、どうかひとつ掘り下げてつくり上げてもらいたい、このように思います。  それで、これは新聞の記事を引用して恐縮なんですけれども、日経の四月一日付にこんな記事が出ておりました。今ラウンドで、ことし末で期限切れになるということで、各国・グループの提案も内容説明がほぼ終わった。そして、これまでずっと激しく対立してきた、また対立しているアメリカ・ECも、何とか交渉の着地点を見出そうというような動きが少し出始めてきている。そういう中で問題は、私たちのこの国の、日本の対応だ。一粒たりとも米は入れない、こういう政策で、逆にそれが柔軟な交渉のフリーハンドを奪ってしまうのじゃないか。それで、先ほども話が出ていましたけれども、牛肉・オレンジ自由化交渉のときのように輸入阻止方針が一夜にして変わってしまってということになるんじゃないかということで、そうなれば生産者の政治不信は一層大きなものになってしまう。したがって、現実に立脚した議論、もっと幅のある議論というものを求められているのが今かもしれない。こういう意味の記事が出ておりました。  後から私も質問させていただこうと思いますけれども、私もやはりこれから先、広範な国民の世論というものをしっかりとバックに背負わなければもう闘えない、そういう状況になってくるんじゃなかろうかと思います。今御紹介したようなこういう論調の記事というのは、もう各紙がよく載せていることで、また新聞だけじゃない、いろいろな人たちもやはりこういう意見というのはよく出てくるわけです。そういう意味で、あの国会決議の時点、そして今、明らかに周りの状況が少し変わってきているわけですから、そういうことも踏まえて、こういうことに対してどのようにとらえられるか、お考えなのか、この辺を伺いたいと思います。
  203. 川合淳二

    ○川合政府委員 四月一日の今御指摘の新聞につきましては、私も読ませていただきました。しかしながら、現実に立脚した論議ということでございますが、先ほども申し上げましたように、我が国の農産物市場はこれまで累次にわたりまして市場アクセスの改善ということで進めてきておりますので、アメリカやECに比べましてもかなり開放度が高い状況になっておると思っております。そうした状況の中で、しかも米につきましては、御承知のように生産者、生産者団体と行政が一体となって水田面積の三割にも及ぶ厳しい生産調整を実施しているという現実がございます。しかも、消費の減少などによりまして需給ギャップが拡大するという傾向は引き続いております。こういう状況の中で米を輸入するというのは現実的にできないという立場でございます。今後とも我が国といたしましては、先ほど先生からお話がございましたが、食糧輸入国としての立場から、私どもの提案が理解されるようにさらに努力を続けていきたいと思いますし、そのためには国民各層の支持も当然必要でございますので、そのための努力も続けていかなければいけないと思っております。
  204. 東順治

    ○東(順)委員 今、現実に立脚した議論をということで、なぜこういうことを私が述べたかと申しますと、さまざまに日本国内に、お米という、ことに対して完全自給かあるいは自由化かあるいは一部自由化かというような意見というものがいろいろに分かれて現実にあるわけでございます。それで大臣、このところいろいろな新聞で、もうとにかく何の変化もない、明らかに変化はない、これで戸板に載ってもあるいはもうぼろぼろになってもという大変強気の姿勢で発言をなさっておるわけでありますけれども現実の日本という世の中を見たときにそれこそ議論百出、さまざまにあるわけです。したがって、今私は大切なことは、こういうふうに世論がいろいろ分かれていていろいろな議論が百出している中で、ああいうヤイターさんみたいな、いきなりアメリカからどんと石が飛んできたりして、そうしたらそれに対してまたばっと答えるというその段階だけではいつまでも本当に国民の成熟した世論というものはでき上がらないなというふうに私は思うわけです。したがって、先ほども大臣がおっしゃっていましたけれども、テレビに出られて一生懸命自分の信ずる道をしっかりと主張される、あるいは朝もおっしゃっていましたあぜ道行脚をしたい、どんどん対話をして、現実の農業従事者の人たちと語り合って意見をしっかり聞いていきたい、これも大変に大事な努力だと私も思います。そして、日本というのはこのお米の問題についてはこうしていくんだ、こうしていくことが日本にとって一番ベストだし、またそれが世界の調和にもなる、だからこうなんだという堂々たる論陣をいろんな機会を通して私は張らなきゃいけない、そして、PRという言葉を使うと何となくちょっと低俗な感じがするのですけれども、そういう主張をいろんな形でやって、そしてそれに対する国民の反応というものをしっかりと吸い上げていかなきゃいけないというときに来ているんじゃなかろうか。これは本当に国民的な関心事です。そしてまた、日本は二千年の米文化という大変な歴史を持っているわけです。したがって、そういうふうにしっかりと主張をして論陣を張って、キャンペーンをいろんな考えられる形でどんどんやって、そしてそういう中から、消費者、生産者、農業関係の仕事をされている方あるいは学者、さまざまな階層、各界の人たちから波状的に世論調査というものをやってみるべきではなかろうか、そして、それがまた本当に極めて客観的な結果が出るように非常に中身の濃いものをやってみるべきではなかろうかというふうに実は私は思うわけでございます。  昨年秋、東京、神奈川、千葉、埼玉の主婦を対象に、お米の自由化問題に対して「コメの消費動向調査」ということで、主婦連がアンケート調査をやっておりましたですね。これで、自由化は反対であるという声が四二・二%、また、自由化賛成であるという声は三七・七%。反対が四二・二%ある、しかも昨年発表の調査より三・七%ふえている、ああ、よかったな、こういう実感です。だけれども同時に、まだまだ三七・七%の人が反対をしているという現実がその向こう側にあるわけです。自由化反対の理由として、主食は自給すべきである、あるいは外国の米は安全性に不安がある、また、現状のまま自由化すれば農家がだめになってしまう。非常にしっかり考えて現実をとらえた声ですね。私は、こういうようなアンケートをやることによって国民の意識がこのお米ということに対してもっと高まり、もっと深まりという大きな力になるというふうに思います。  また、先日は全国農協中央会が、全国の農協組合員が農村から都市へのメッセージ運動ということで大都市圏の友人知人にどんどん手紙を書こうという訴えをされておられましたけれども、これもまたすばらしい。自分たち農家の立場を本当にわかり、お米という問題の難しさをよく理解してもらいたいということで、どんどん手紙を書こうじゃないか、こういう積極的な動きを日本の中に起こして、そしてだんだん世論というものを成熟させていくということが私は政治の一つの大きな役割であり、使命ではなかろうかなと思うわけです。  四月の購買状況調査によりますと、主食で米の支出が三五%ふえているというようなこともあるわけでございますので、何となくヒステリックにただ反対だ賛成だみたいなそういう極論的な議論じゃなくて、これからは広範にそういうふうに国民の中にしっかりと物を考えていく、そういう努力を政治の責任としてしっかりと続けて、そして世論調査もしっかり吸い上げて、そしてそういう国民の大半の声というものをバックにして、これから大事な七月が終わる、そして後半戦に出ていくべきではなかろうか、そのように思います。そうして闘うことの方がはるかに強い力になる。大臣が一生懸命にやられているということは本当によくわかります。それだけに、やはり日本の主張、立場というものをもっと正確に、もっと迫力を持って世界に問うべきではなかろうか、そして、なるほどという結論を導くべきではなかろうか、私はこのように思うわけでございます。  ちょっと話が長くなりましたけれども、どうか、そういうことにつきましてどのようにお考えになるか、お答え願いたいと思います。
  205. 山本富雄

    ○山本国務大臣 大変ありがとうございました。本当に感銘して傾聴しておりました。先生のおっしゃるとおりだと思っております。  ただ、ああなるほどと思っておりますのは、私はもう覚悟しておりますから、ただ私が覚悟しただけじゃだめなんでして、国会の先生方を初め、これは与党も野党もない、そして広範な国民に訴えて、働きかけて、そして主食である米を初め守るべきものは守っていく、まさに食糧安保ということでございますが、ただ、今先生のおっしゃるとおり、時代とともにいろいろな考え方が出てくることはまた当然であります。また、その発言などにも十分耳を傾けるということも必要なので、こちらから言うだけが能ではありませんから、十分聞いた上で、また納得してもらうべくこっちからお願いをする、お話をする、こういうふうにしたいと思うのです。  この間の主婦連の調査、私も子細に見ました。それで、今先生お話しの四二%と三七%という数字も見て、ああやはりこれだけ認識がふえてきている。前回に比較して三%以上伸びているわけですから、非常によかったなという感じも持ちました。しかも、そのほかのアンケートの中では、やはり安全でうまい米をというふうに考えておる人は八割もおる。高くてもというのはありますけれども、高いことには余り重点を置いてはいけませんから、安全でそしておいしい米をと、こういうふうに考えておる方々が八割もおる。ということになれば、これは言葉をかえれば国内産の、日本でつくったお米が一番安全で一番うまいに決まっているのですから、そういうふうにも受けとめて非常に心強く思っておるのです。しかし、いずれにせよ、私どもはいろいろな意見国民の各界各層から吸い上げて、そして対話の中から、しっかりした主食防衛のための、ひいて言えば日本農業を守っていくための世論の形成を国内隅々まで行ってまいりたい、その努力を続けてまいりたい、こう考えております。
  206. 東順治

    ○東(順)委員 やはり思い切って今政治がとろうとしているこの方針なり行き方というものを国民全体に問うてみる、そういう中でやはり国民もこの問題については真剣にちまたでもう議論が始まっているわけですから、ぜひひとつその具体的な方法検討いただきたいと思います。またの機会にぜひそういう方法を伺いたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  それじゃ、先ほど質問途中で急遽あれになりましたけれども、拿捕問題につきまして質問させていただきたいと思います。大臣にも最初段階でちょっとお伺いしたのですけれども、十年計画の大型事業の合意書というものが明らかになった。それは昨年九月に日本の照宝漁業と北朝鮮の遠洋漁業会社の間で取り交わされていた、こういう事実が明らかになったと新聞で報じられておるわけでございますけれども、これにつきまして、それは承知をしておられたのかどうか。これはいかがでしょうか。
  207. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 お答え申し上げる前に、出席がおくれましたことを陳謝申し上げる次第でございます。  実は、この北朝鮮漁船の拿捕問題でございますが、御承知のとおり、現在、国内法令に違反しているという嫌疑で海上保安庁が既に捜査に着手をしておるわけでございます。私どもとしても、大臣の指示もちょうだいをしながら、全面的にこれに協力をしていくという体制をとっておるところでございます。  事実関係の詳細につきましては、捜査中の段階でありますのでひとつ御容赦をいただきたいわけでございますが、ただいま先生の御指摘になりました問題につきまして若干コメントをさせていただきますと、実は、この問題に関係をしている方の名義で漁船登録に関する事務が処理をされた経過がございます。この漁船登録に関する業務は、法律上各都道府県知事に委任されておる業務でありますが、ただいま先生が御指摘の件については北海道庁において処理をされた事務処理でございます。この事務処理に当たりまして北海道庁から我が方に、処理の仕方についていろいろ水産庁側の見解を聞きたいという照会がございましたが、この照会された案件の処理の過程で関係資料が必要であるということで、これを送付していただいた経過がございます。その中に先生が御指摘をなさった書類が含まれておったことは恐らく事実でございます。しかし、私どもとしては、その資料を拝見をして予想される操業形態というものが、明らかにそのままでは国内法令上問題があるという認識を明確に持ちまして、北海道庁及びこの漁船登録を申請した方に明確に我が方の見解を伝えておるという経過があるわけでございます。  大変抽象的な言い方で恐縮でございますけれども、捜査段階でありますので、この程度の説明でひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  208. 東順治

    ○東(順)委員 大変な問題が惹起して、長官も水産庁関係も大変だと思いますけれども国民的にこれはすごく先行き不安の、どうなるかという大きな関心事でございますので、どうか許せる範囲内で御丁寧にお願いしたいと思います。  昨晩、七時のNHKニュースを見ていまして、このニュースの中で、先ほどもちょっと御説明したのですけれども、釧路の漁港に、漁船の煙突に北朝鮮の国旗がかかれていて、それを上から白いペンキで塗られて隠されている、また、船体の内側にハングル文字が書かれてして、明らかに一回偽装をして、そしてまた日本船に戻したみたいな、そういう船の写真が出ておりました。それが今つながれているということで、これはどうですか、こういう事実は長官、今御存じですか。
  209. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先生の今お話しになりました放映されたテレビというのは私拝見しておりませんけれども、けさの新聞紙上に相当数出ておるものと恐らく同じ案件でなかろうかと思います。それから憶測しますと、私どもの認識としましては、現在問題になっておりますサケ・マス操業にかかわる問題とは別の漁船であるのではなかろうかという認識を持っております。ただ、新聞に登載をされております写真で拝見する限りで、この問題についても、この漁船の実態につきましても私どもとしては、サケ・マス漁業について現在海上保安庁が捜査を続けておる案件と同じような意味で我が国の国内法に違反する問題があるのではないかという認識を持っております。ただ、このことが現在の海上保安庁の捜査の中に含まれておるのかどうかということは私ども確認をしておりませんけれども、当然視野の中に入っているであろう、こういう憶測を私は持っております。
  210. 東順治

    ○東(順)委員 今回の事件とは違うものであったとしても、それはそれで捜査が始まっている、こういうことですね。
  211. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま私の申し上げたのは、私の認識なり憶測でございます。捜査当局の視野に入っているであろうという私の憶測でございますが、捜査当局がどのような判断をしているということは現時点で私は確認をしておりません。
  212. 東順治

    ○東(順)委員 これは非常に重大なことだと思いますので、ぜひ御確認をお願いいたしたいと思います。  それから、緊急のことですので私たちも新聞あるいはテレビで情報を得るしかないわけでございますけれども、毎日新聞社の取材に照宝漁業の渡辺社長という人が答えているのに、「出港前に水産庁に相談した。昨年の実績もあり、問題にならないとの感触を得た」、こういうコメントがございました。昨年の実績というのは、昨年の六月末から八月末まで二カ月間ですね。十五人でやはり今回と同じように漁業協力ということで出かけていって、サケ・マス三百二十トン水揚げ、一億三千万、これをやった。「今回と同様に北朝鮮に船を貸し、漁獲サケ・マスを輸入」したという昨年の実績があったので「問題にならないとの感触を得た」、このようにコメントをしている。それからまた朝日新聞の取材に対しても、「こうした形式の漁業を行うことについては事前に水産庁へ報告。「これでいいのか」と問い合わせたところ、「いいとも言えないし、だめだとも言えない」」、こういうコメントも現実に新聞で紹介されておるわけでございます。それからまた、以前からこの会社が漁船を不法に北朝鮮に貸し出しているといううわさが地元にあった、だから内々釧路海上保安部は内偵を続けていたという報道もございます。それからまた、先ほども長官ちょっとお話しになりました漁船登録の際の関係資料として、北朝鮮の漁業会社と交わしている契約書も現実に水産庁に渡っていた、これは事実ですね。  こういう事柄がございまして、また昨年の五月ですか、照宝漁業が中古船を漁船登録した際に、逆に今度は水産庁の方が確約書というものを提出するように指示をした。何のために確約書というものの提出指示をされたのか。普通はこういうことはないわけで、この点はいかがですか。
  213. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま先生から御指摘のございました、各社の報道がいかなる根拠を持って行われておるのか、私も深くは承知をしておりません。したがって、その一つ一つについて、我々の認識とかなり違った部分はございますけれども、現在捜査中の案件であるということもございまして、これに対する逐一の認識の違い等についての御説明はこの場では控えさせていただきたいと思います。  ただ、その確認書の問題でございます。これは、事実は漁船登録の申請者から関係する漁船の登録業務を行う北海道知事あてに提出をされておるものでございます。これは私どもの認識では、漁船登録が行われる際に関係者から北海道の窓口に提出をされたものであるという認識をしております。  先ほど冒頭に御説明を申し上げましたとおり、漁船登録の事務処理について北海道庁から我が方に取り扱いについての照会があった際に、それを検討するために関係資料を取り寄せて検討したわけでございますが、その関係資料から読み取れるその漁船を使用するであろう操業形態というものが国内法令上問題があるという認識を我々は持ちまして、そのような操業状態を前提にした漁船登録は不適当であるということを我々として考え、その旨を伝えておるわけでございます。そういう国内法令に違反するような操業に使われることのないような形で漁船登録を受理すべきではなかろうかということで、その旨を登録の申請人にもよく確認をしていただくという意味で、何にその漁船を使うかということを明確にする意味で、国内法令に違反するような使い方はいたしません、また念のために、当然これまた国内法で禁止をされておりますけれども一定の手続を経なければ海外の漁場では操業できないわけでありますが、外国の水域でこれを操業させるような場合には水産庁等の了解をちゃんととって適法にした上でやりますという、こういう一種のいわば誓約の形で確認をした上でそういう登録の受理をしてはどうであろうかという担当者レベルでの相談をした上で、その旨を窓口事務をします北海道庁の窓口から本人に確認して、北海道庁が登録受理の際にあわせてこれを提出させたものと理解をしております。当然、それがいかなる内容のものであったかということは、事後的に写しを北海道庁から私ども送付を受けております。
  214. 東順治

    ○東(順)委員 つまり、それは裏返せば国内法令を犯すおそれが十分にある、あるいは、先ほどもお話ししましたけれども、既に昨年も北朝鮮まで出かけていっている、そういう船だからこそ、そういうおそれが十分にあるからこそ、あえて確約書というものをおとりになった、このように理解してよろしいですか。
  215. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 一般論として、漁船登録というものは、漁船法の規定によりまして法定の除外要件がない限り受理をしなければならないという性質のものでございます。理由はよくわかりませんけれども、登録申請を行った当時、申請者から登緑をしてくれるようにという要請を北海道庁の窓口は受けたようでございまして、その審査に当たっていろいろ検討をしたわけでございますが、国内法令に違反するような操業の可能性が考えられたからこそそういった本人からの確認をとったということは事実上あったのではないかと私は思いますが、あくまでも本人からはそのような、登録される漁船の使用方について国内法をちゃんと守ってやる、あるいは海外においてこれを操業させる場合には水産庁等に事前に了解をとらなければそういう使い方をしないという誓約が提出されたことを前提にして、恐らく北海道の窓口の方はこれを受理したのであろう。したがって、なぜそういう確約書を出す必要があるかということについては本人にも十分伝わっていることでありまして、これは捜査中の案件ですから捜査当局でまだよく御確認いただかなければいかぬのでありますけれども、そういった指導について従っていただけなかったのではなかろうかという問題はあろうかと思います。
  216. 東順治

    ○東(順)委員 この照宝漁業という会社は、昨年三月に資本金百万円で設立したばかりの会社です。漁業実績はなく漁協にも所属していないという、いわばアウトサイダー的な会社ということで、先ほどからございました昨年九月に十年間の合意書を取りつけていた、それを交わしていたという事実、そしてまた昨年六月に技術協力ということでもう既に一回北朝鮮沖で操業をやっていたということ、それからさっきのNHKのああいう場面、また契約書というものが水産庁に行っていたということ、それから今の登録の際の確約書、それから非常に漁業実績のない会社、先ほどの毎日、朝日のコメントということから考えたときに、やはりこの会社がことしもまたこういう形で出かけていくのじゃないかということが十分想定できた、またそういう不安のある会社であったということが言えると思います。  したがいまして、事前に水産庁としてこれを本当に厳しく警告し、あるいは外交ルート等を使って厳しい処置で出かけさせないということがなぜできなかったのか。これは大いなる責任があるのじゃなかろうか、僕はこのように思いますが、いかがでしょうか。
  217. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先ほど来の漁船登録をめぐる事務処理の中で得られた情報に基づきまして、私ども可能な限りの制約措置をとったつもりでございます。また、その後私どもなりに、こういった国内法令に違反するような操業が行われてはならないということで、実はサケ・マス漁業団体あるいは流し網漁業団体等に違法な操業になるようなことは厳に戒めていただきたいということを強く指導をしておったわけであります。当然、各団体においても傘下の組合に対してその趣旨を徹底していただいたものと思っております。  ただ、今回私どもその後の調査で、まだ全容はわからない部分はありますけれども、実は先生指摘になる人物と一緒になって出かけていっている関係者、大部分が実は、こういった正規の許可手続をとってやっていく皆さん方がつくっておる団体のアウトサイダー的な立場におられる方でございまして、非常に目が届きかねるというふうな状態であったことも事実でございます。現時点におきまして、これを未然に防止する策があったかないかということについて、いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、私どもなりに可能な努力をしたつもりでございます。詳細については捜査の究明をまちたいと思っておるわけでございますが、私どもは通常、正規の漁業活動をする皆さん方の団体を通じて末端の指導に当たっておるわけでございますが、なかなかこのアウトサイダー的なところで何が起こっているかということすべてに目を通しかねるという実態もあることをひとつ御理解をいただきたいと思います。とりあえずは、まず事実関係の究明について捜査当局にお願いをした状態でございます。  本件問題についての我々の当面の対応としては、御承知のとおり、私ども最終確認はしておりませんけれども関係する漁船数が十二隻、そしてまた相当数の日本人乗組員がこれに乗船をしておるという実情にあるわけでございますので、その乗組員の安全確保と早期送還について外務省とも相談をしながら最大限努力していく、これを一つの重点にして現在処理をしておるわけでございます。いずれ捜査当局の事実解明の結果を踏まえて、もちろんこの過程で我々も最大限の努力をしておきますけれども、御指摘のような点について我々としても正すべき点があればよく事実究明の結果を踏まえて検討し、所要の対応をすべきものだというふうに心得ておる次第でございます。
  218. 東順治

    ○東(順)委員 場所が北洋という非常に緊迫した地域でもございます。また、九二年にはサケ・マスがゼロになるというようなことをソ連が通告してきているというようなところでもございますし、日本の普通のところとは多少違う緊迫状況というのが周りにあるわけですから、やはりそういうアウトサイダーと言われるような人をも、しかも実績といったらおかしいのですけれども、去年それは現実にあって、そして実際地元にはそういうことがうわさとしてしっかりとあるし、ある意味では相当知られていたと思うのです。そういう状況だけに、やはりこれは国際問題まで発展しかねないすごく重要な要素が絡んでいる問題でありますから、水産庁としてそういうアウトサイダーと言われる人たちをもそういう行動に走らせない、こういう責任は僕はあるかと思います。それを、船を戻すようにというようなことを船主に言ったということだけで終わっているところ、そのあいまいな対応というところ、これはやはり水産庁としての責任ということで非常に重大なものがあるのではなかろうか、このように私は思うわけでございます。  もう一つ、このソ連と北朝鮮とのサケ・マスの漁業協定というものはどうなのですか。あるのでしょうか、ないのでしょうか。
  219. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 詳細な内容なり現実運用状況については承知し得ない部分がございますが、ソ連及び北朝鮮の間で漁業協定があることは承知をしております。またその内容として、ソ連産のサケ・マスをいかなる形態であるにせよ北朝鮮側に許容するという内容は含まれていないという見解を、ソ連側から私ども連絡を受けております。
  220. 東順治

    ○東(順)委員 つまりサケ・マスをとることは認めてない、こういうことだと思いますけれども、この協定、サケ・マスはとってはいけない、認めてないというふうに協定を結んでいることは、水産庁は以前から御承知の事実だったわけですか。
  221. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 情報としてはかなり以前からそのような情報を認識をしておりましたが、私ども、本年に入りましてから一定の時期にソ連側の責任者からそのことを確認をしたということでございます。
  222. 東順治

    ○東(順)委員 先ほどのもろもろの、明らかにこれは危ないというような事前のさまざまな状況があって、そしてなおかつサケ・マスをとることはソ連側が認めてないということも御存じで、その上で今回起きたこの事件ということでございますので、私は水産庁の責任は免れない、このように思うわけでございます。それから、この捜査の経緯がこれからはっきりしていく状況になってまいりますけれども、その辺、大変緊張した地域の問題でありますし、九二年ということも控えていますので、どうか今後二度とこういうことが起こらないように最大の努力を払っていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、現在拿捕されている漁民の方々は色丹島あるいは樺太等に向かっているという新聞報道を知っているわけですけれども、これは現実にどこかの港に着いているわけですか。
  223. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 情報として私ども得ているものは、十二隻のうち九隻については色丹島の港、残り三隻についてはナホトカへ連行されるのではないかという情報を得ております。ただ、正式にその旨のソ連側からの通報はまだ受けておりませんけれども、いろいろな報道等を見ますとそのような情報を耳にしておる状況でございます。  到着したかどうかについても、ここに出席するまでの間まだ確認の通報は来ておりませんけれども、けさほどまで得ている情報では、非常に近い位置にいるはずですから、そう遠くない将来、目的地に着くのではないかというふうに予測をしております。
  224. 東順治

    ○東(順)委員 今一番心配しているのは、残された家族の人たちだろうと思います。したがいまして、できるだけ早く現地に飛ばれて、そして拿捕されている人たちの状況を事細かく掌握されて、残された家族の人たちにできるだけ早く伝えてあげて安心をさせる、そして同時にできるだけ早く日本に帰ってこさせるという最大の努力をこれからやらなければいけない、このように思うわけでございます。  私は、今回のこの事件、罪は罪、これはやはり事件ですから、例えば海上運送法あるいは漁業法、船舶法等の違反があれば明確にしていくということと同時に、人道的に手早く、的確な対応をできるだけ早く日本政府がとる。北朝鮮の方もなるべく寛大な処置をということでソビエトにお願いをしたというような記事もございましたけれども、この人道的な素早さということがこれから非常に大事だと思います。もう一つは、先ほどからも言っておりますけれども、大変に緊迫した地域だけに、そしてまたこの事件が大きく外交問題、国際問題まで発展しかねない危険な要素をたくさんはらんでおるわけでございますので、これからの政治姿勢として、政治対応として、誠意と粘りというものでしっかりとそういうふうにこれ以上広がらないように全力を傾け、あわせて九二年という壁を何とか打ち抜いて、そして北洋の人たちが本当に安心ができるものにしていく、そういう努力をぜひともお願いしたいし、またやらなければいけない、このように思うわけでございます。どうかよろしくお願いいたします。
  225. 山本富雄

    ○山本国務大臣 いろいろありがとうございました。  一方では、運輸省、これは海上保安庁と密接に連絡をとりながら事件の把握、そして解明、一方では、捜査中なので私ども承知をしておってなかなか外に出せない部分もございますけれども、しかし事件の解明にはもう全力を挙げるという姿勢でまいりたいと思います。また、他方では、今最後先生がお触れになりました、ソ連に支配された状態にある漁船員の保護ということが一番大事なことでございます。また、これもお触れになりましたが、今後の国際問題への波及というふうなこと等もございますので、外務省等ともよく連絡をとりましてその方の措置にも万全を期したいというふうにも思っております。なお、いろいろ御指摘のありました先生の適切なお話を踏まえまして、水産庁としての対応についてこれから私自身も内部の状況把握に十分努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  226. 東順治

    ○東(順)委員 実は、林業の問題、それからゴルフ場農薬問題につきまして準備をしておりまして、またお答えいただく関係方々も御待機していただいておるわけでございますけれども、いかんせん緊急の問題で時間をとってしまいまして、大変残念でございますけれども、また改めて御質問させていただきたいと思います。ただ、林業につきまして、一点だけお伺いしたいと思います。  昼間からずっとこの林業問題についてはさまざまに御論議があっておりましたけれども、林業の生産活動の停滞ということ、いろいろな理由が挙げられると思いますけれども、最大の理由は近代化のおくれにあるのではなかろうか、こういうふうに本当に心配して指摘をされる学者の方もたくさんいらっしゃいます。中でも大きな原因は、木を育てて山をつくることには熱心だったのだけれども、反面、木材というものの商品性を高めるという努力、そして流通、加工、販売に対してまで力を注いでいくという取り組みが残念ながら希薄であったのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。商品性というものを高めるためには、最終消費者ニーズに応じたものをつくるという努力が私は一番大切であろうと思います。そのためには、歩切れや不良仕分けあるいは乾燥といった点の品質管理、まだまだ粗雑で未熟である、この点に関しましてもっと徹底した技術指導をしたらどうか。特にこれからは日本も主伐期を迎え国産材の時代になってくる。本当に外材と互角に戦っていくためには品質面で勝負をしていく、それでやはり需要もふえていくということになるかと思います。この辺の基本的な考え方について御意見をぜひお願いしたいと思います。
  227. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま御指摘のございました、森林、林業、さらには木材産業全体を通じて、いわゆる川下と申しますか流通ないしは需要の面を大いに重視して取りかかるべきである、こういうお話でございまして、私どももそのとおりであると思っております。戦後造林をいたしまして、二十一世紀には収穫期を間近に控え国産材時代ということで進めておりますが、森林、林業、いわゆる川上におきましては川上なりの大きな困難、問題を抱えておりますが、川下の流通、需要の面が大事であるという観点でこれまでも川下の需要者のニーズを的確に把握しまして、それに即応した国産材の製品を供給できるように、こういう努力は続けておるつもりでございます。  商品開発等におきまして、国産材の産地において製材業者と建築設計あるいはデザイン関係と異業種の連携を推進するといったこともいたしておりますし、また、新商品開発の市場把握の取り組みを助長しなければならないということで、産地におきまして協議会を開催するとかいうこともいたしております。また、国有林の乾燥材の「サン ドライ」というものを出しておりますが、それと連携した民有林の乾燥材の供給体制を整備する、こういうことも進めておるわけでございます。  しかし、今後一層そういった川下のニーズに応じて川上の問題に取り組んでいく、こういった角度からなお両者の連携強化が一層重要な課題であると考えておりまして、そのための体制整備につきましては一層対策面でも充実強化を考えてまいりたいと思っております。
  228. 東順治

    ○東(順)委員 今基本的なお考えを伺いまして、これからの林業を本当に活性化させ、国産材でしっかりやっていけるという状況をつくり得る要素はまだまだしっかり残されておるということで今伺いました。その基本的なお考えを伺いまして、この林業あるいはまたゴルフ場農薬の問題につきましては、ぜひ次の機会で質問させていただきたいと思います。  時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
  229. 亀井静香

    亀井委員長 これにて農林水産大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  230. 亀井静香

    亀井委員長 次に、内閣提出市民農園整備促進法案を議題とし、審査に入ります。  趣旨の説明を聴取いたします。山本農林水産大臣。     ─────────────  市民農園整備促進法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  231. 山本富雄

    ○山本国務大臣 市民農園整備促進法案の提案理由の説明を申し上げます。  市民農園整備促進法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  市民農園は、都市の住民等が小区画の農地を利用して野菜や花の栽培を通じ、農作業による健康づくりや新鮮な農作物の確保、高齢者の生きがいづくり、児童の教育等の要請にこたえるものであり、近年、その数及び面積は大幅に増加しております。  市民農園は、農業政策の観点からは、農地のままで都市の住民等のニーズにこたえた利用を行うことができ、農地の有効利用に資すること、農業者以外の人々の農業に対する理解が深まること、さらに、農村地域においては、都市と農村との交流による地域の活性化に資すること等の意義を有しております。また、都市政策の観点からは、都市の住民のレクリエーション需要の充足に資するものであるとともに、公害や災害の防止、景観の向上等の機能を有し、良好な都市環境の形成に資するものであります。  このように、市民農園は、農業政策上及び都市政策上重要な意義を有しておりますので、農地のほか、農機具収納施設、休憩施設等も含めた市民農園全体を対象として、農業及び都市計画との調整を図りつつ、優良な市民農園の整備の促進を図る必要があります。  このため、本法案は、市民農園の適正かつ円滑な整備を促進するための措置を講ずることにより、健康的でゆとりのある国民生活の確保を図るとともに、良好な都市環境の形成と農村地域の振興に資することを目的とするものであります。  次に、この法案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、都道府県知事は、市民農園の適正かつ円滑な整備を図ることが必要と認めるときは、市民農園の整備に関する基本方針を定めるものとしております。  第二に、市町村は、市民農園として利用することが適当と認められること等の要件に該当する区域を市民農園区域として指定することができることとしております。  第三に、市町村は、市民農園区域内の土地を含む一定の土地に関し交換分合を行うことができることとしております。  第四に、市民農園区域内または市街化区域内において市民農園を開設しようとする者は、市民農園の整備運営計画を定め、当該市民農園の開設が適当である旨の市町村の認定を受けることができることとしております。  認定を受けた市民農園については、農地の貸し付け及び転用についての農地法の特例情直を講ずるとともに、一定の市民農園施設の整備のための開発行為について都市計画法の特例措置を講ずることとしております。  以上がこの法案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  232. 亀井静香

    亀井委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、明三十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会