○田中(恒)
委員 一万五千人から一万七千人ぐらい、若干人口の動向などと絡んで
計算をされておるようでありますが、問題は、それが確保できるかどうかというところは、この
農業者年金の
財政問題、それから
制度そのものについての最大のポイントだと私は思うのですよ。これが確保できるかどうか。少なくとも
現状の推移の
状況を見ると、私はなかなか難しいのではな
いかという気がしてならないのです。
前回は三万人やりましたけれ
ども、これがなかなかできない、できないどころか大きく狂ってしまったところに今日の事態があるわけです。今度だって、この四、五年来の就業者動向調査などを見ると、新学卒者などの就農
状況というものはぐっと落ち込んでおりますね。例えば昨年ですか、二千百人と、開闢以来いまだかつてありませんね。Uターン
農家といったようなものも一定の数がありましたけれ
ども、これも同じようにずっと落ち込んでおりますね。景気が若干よくなってきておったものですから
農業への就農というのは少なくなったという客観
情勢な
どもありましょうが、日本の経済全体の動向等もありましょうけれ
ども、これから五年間一万五千人から一万七千人ぐらいの新しい
加入者をこの
年金に入れるということは
数字の上から見ると非常に難しくて、あなた方の方でいろいろ
計算をする上で最小限このくらいはということで出されておるんじゃな
いかという気がしてならないわけでありますが、これを確保するためにどういうふうにしたらいいのか、ここのところが大切だと思うのですよね。
だから、確かにこの
年金の中身の中に後継者確保のための具体的な、えさと言ったらいけませんけれ
ども、何かものをつくっていらっしゃいますね、三〇%割引を三十五歳以下全部に
適用するとかいろいろな方策は出ておりますけれ
ども、やはり全体の
年金に対する大きな期待感というか魅力というかそういうものが出てこないと、そういう
部分的なもので食いついてくるようなそんな
状況では今ないと私は思うのです、現代の若者というかあるいはこれからの新しい
農業者というのは。そんなものではないと思うので、
一つは、やはりこれを進めていく、主体になっていく、これは
農業委員会が参謀本部のようなもので、そして農協とか市町村とか、市町村業務の上からやっておるわけですけれ
ども、そういうところの体制がどれほど固まっていくかということも
一つ重要だと思います。あなた方の方は行政ですから、そこのところ最大限駆使していくんだろうと思いますけれ
ども、しかし、これも
余り無理をすると逆な面も出るわけでありますから気をつけなければいけませんが、業務執行体制をどういうふうに固めていくか、今まで足らなかったところをどう補っていくかという問題は
一つあると思います。
それからやはりもっと大きな問題は、私
どもが前々から言っておりますように、婦人の
年金権というものを確立させて、少なくとも遺族
年金というものはどうしてもこの際
考えてみるべきではな
いかという
考えを我々は持っております。これは私
どもが持っておるということではなくて、この
年金制度ができて以来九回審議がされておりますが、既に七回当
委員会がこのことについての決議をしておりますね。ここへ全部持ってきておりますが、これは全党一致ですから、与野党一緒にこの
年金の遺族
年金の創設ということをうたっておるわけです。それが今なお、多少ニュアンスらしいものを示した程度で終わっておるところに、私はやはりこの
年金の審議の中で問題にしなければいけない点があると思うのです。これは私はいろいろな意味で問題にする必要があると思う。
つまり、この
年金制度の審議の過程を見てみると、局長さん、あなたの諮問機関のようなものができて、そこへ諮問をせられて、どこが問題かということで吸い上げてきて、その中心になっていくのが大体構造改善の局長をやられた人か農林省の局長クラスの人だ。あなたの先輩みたいな人だ。こういう人が相談をして決めたものを大体どんどんやっておるのだ。しかし、我々がこれだけ長い間、二十年間この議会の中でこの議論をする都度に提起してきた問題はほとんど顧みられていない。ほとんどと言いませんが、遺族
年金について。さっき
大臣がおっしゃったように私も細かく見てみました。私自体も何回か御
質問をしたり細かいことを申し上げておりますが、それは相当な
部分やっていただいております。しかし、遺族
年金それから女性の
年金権の問題は、どうもそれほど前
向きではないです。これはこれなりに理屈があるということを聞いております。聞いておりますけれ
ども、しかし、そこが私は今、この
農業者年金をめぐって政治的に決断をしなければいけない時期になっておると思うのです。
だから、どうしてもこの遺族
年金の創設の問題と裏腹になると思いますが、婦人の
年金というものについて大きく前進させていく、こういうものがないと——あなたのところは今度選択制とか、選択制については後で
野坂さんが細かく
質問することになっておりますが、この選択制の中身にしたって問題がたくさんありますよ。そういう問題はありますけれ
ども、確かにちょっと変わったというものはありますけれ
ども、それだけでこれをえさにしようとしたって、私は
新規加入者一万五千人、一万六千人、七千人の人々を確保するのはなかなか大変なことだと思っております、私自体は。思っておりますので、ぜひこの遺族
年金について、主婦の
年金権の問題について、今までどういう点を検討したけれ
どもどこに問題があって今日までこういう状態になっておる、しかし今後どういうふうにこれに臨んでいきたい、こういうことについてひとつはっきりとした見解を述べていただきたいと思います。