○上原
委員 比較的少なくないのですよ。多いんだよ。防衛をこれ以上強化して、デタントだから必要ないとは言っていませんよ。それは私もすぐゼロになるとは思っていません、これだけの経過があるし。きょうの朝日新聞ですか、ハリスとの世論
調査、あれを見てくださいよ。安保条約に対して、防衛力増強について、日本の防衛費と外国の不安、もう数字がはっきりしている。これは時間がないから一々言いません。国民が今求めているのは、本当に日本の防衛のあり方ということで突出して聖域化されてどんどんやっていっていいのか、ここいらで凍結、削減をするような政策転換を図るべきだというのが大多数だと私は思いますよ。ここに認識の重大な相違があると思うのですね。それをどうすり合わせるかというのは大事な点だと思うのですよ。皆さんのこれまでソ連は怖い、大変な国だと言ってきたことがだんだん崩れるから、ライバルがいないと防衛論は成り立たぬかもしらぬが、しかし、到底そういう論理は長続きしないよ。
そこで、最近ようやく
防衛庁も基盤的防衛力構想なんて言い出した。五十一年に基盤的防衛力構想ができて、言わなかったよね。私も防衛論争は随分やってきた。改めて私はきょう問題点だけ
指摘しておきたいのですが、日吉
局長、この「基盤的防衛力構想採用の背景」というのを、
局長を初め
防衛庁の幹部諸君はもう一遍本当によく吟味をしてもらいたい。そうなればもう少し国際情勢に対する認識も、常識的なあれが出てくると思うのです。あのとき四次防までの我が国の防衛力整備というものが、このままでいくと我が国の防衛力はどこまで際限なく拡大されていくかということがあって、そういう不安に対して修正をしていこうということだった。確かにデタントであったよ。それもすりかえ論。彼が何がミスター
防衛庁か、もう冗談じゃない。
その背景、「第一点は、防衛のあり方に関する国民的合意を確立したいと考えたことである。」こうはっきりしているのですよ。それにはもちろん
前提もありますが、国民合意形成、「「わが国の防衛力はどこまで大きくなるのか、際限のない増強を目指しているのではないか」といった声も一部に生じていた。今回の「防衛
計画の大綱」は、このような声にも応えて、陸上、海上、航空各
自衛隊ごとに具体的な目標を明示しようとしたものである。」だから、とてつもない、際限なく拡大されていこうとする防衛力増強に対する歯どめが基盤的防衛力構想を入れた第一の基本なんだよ。
「第二点は、
自衛隊の現状なり実態に対して、政府部内でもある種の反省が生じてきたことである。」これにもいろいろ理由を書いている。けれ
ども、時間がありませんから多く申し上げません。
「第三点は、防衛力を整備していく上での国内的な制約なり条件に対して、諸種の配慮が行われたことである。」これは何かというと財政上の制約、「わが国の防衛力は、
自衛隊創設後二十余年を経て、」五十一年当時ですよ、「老朽化した装備や施設の更新近代化等のための所要経費の増大や人件費等の上昇により、」あのときでも既に皆さんは近代化してきたんだよ。「これを維持していくだけでも相当の経費を必要とする時期にきている。しかしながらわが国の
経済は、先年の石油危機を契機として、これまでの高度成長
経済からの軌道修正が求められており、今後防衛
関係経費を大幅に伸ばすことは困難であると見込まれる。」そもそものスタートはこれなんですよ。
第四点もある。「第四点は、当面の国際情勢に対する判断」。確かに「最近の国際情勢の「基調」」という中でデタントとかいろいろ書いてある。書いてあるけれ
ども、ここで言うのと現在の国際情勢のデタントとは月とスッポンの差があるんだよ。
しかし、実際問題どうなってきたか。我が国の防衛費にしたって、皆さんおわかりのように一三七%か一四〇%伸びているはずですよ。デタントどころか、やれアフガンだ、やれペルシャ湾だとソ連脅威論を前面に出してどんどんエスカレートして、私は今の防衛大綱だって、六十年ですか、中期防でもう既に大綱の線は逸脱したと見ていますよ。そういう
前提をもう少ししっかり
防衛庁自体が押さえて防衛論議をやってもらわぬと、これはかみ合いませんよ。私はどこかで本当に一、二時間ぐらい議論をやってみたいと準備をしておりますけれ
ども、皆さんが言うようなのとは大変な違いです。
そこで次期防問題で聞いておきたいのですが、総理の国会
答弁を見てみますと、いわゆる六十三年十二月の安全保障
会議で
決定した事項を踏まえてということをよく言っているのだが、一体六十三年の十二月の安全保障
会議で何を決め、何を次期防のものとしてやったのですか。