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野呂田委員長 この際、
理事会の協議に基づき、
委員長から申し上げます。
近年の
地価の
高騰は、
都市地域における一般勤労者の住宅の
取得を一層困難なものにしたのみならず、
土地を持つものと持たざるものとの
資産格差を拡大して社会的な不公平を増大させるとともに、高齢化社会の到来を前にして急がれる社会資本
整備の大きな障害となるなど憂慮すべき
状況にある。
本
委員会は、
土地問題が早急に解決を迫られている内政上の最重要課題であるとの認識のもと、昨年成立した
土地基本法を踏まえ、
土地対策について、有識者の意見を徴するなど鋭意検討を重ねてきたところであるが、今国会における審査を閉じるにあたり、
理事会における協議に基づき、以下のとおり本
委員会の意見を表明し、今後の
土地対策の推進に資せんとするものである。
政府は、次の諸点に留意しつつ、
土地政策の積極的な推進を図るよう、要望する。
一、近年における
地価高騰の原因として、社会、経済の発展、情報化、国際化の進展が東京一極集中を招き、首都圏に大きな
土地需要を発生させたこと等種々の点が数えられるが、これらが
地価上昇の直接の動機として作用したことは確かとしても、
地価が
土地の
利用価値をはるかに上廻る異常な
高騰を示している結果からみれば、真の原因は
土地投機による仮需の増大であり、これを可能ならしめた
金融および
土地税制のあり方に問題がある。
二、
土地は、国民のための限られた貴重な資源であるとともに、国民の諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共の福祉が優先されるべきものである。このためには、
土地の
利用を重視する見地に立った
土地所有権
制度のあり方について検討する必要がある。また、わが国に根強い
土地所有権絶対の思想を打破するには、公共の福祉優先を美徳とし、
土地で儲けることを悪とする観念を国民に広く浸透させることが重要である。このため、その啓蒙について学校教育の場を含め適切な対応が望まれる。
三、
土地に関する公共の福祉優先は、関係住民等のコンセンサスを得た
土地利用計画が確立されていることを前提とするものである。また、
土地の低・未
利用を判断する上でも同様である。この点、規制を
中心に
考えたわが国の
土地利用計画は不十分であり、
利用についてできる限り詳細な
計画を樹立する必要がある。
四、政府は、総じて
政策立案に際しては、
地価対策を前提におくべきである。
また、
地価の上昇を招くおそれのある
土地関連融資については、政府の責任において効果的な規制が行われるような強力な措置を講ずるべきである。
五、
土地税制に関しては、とくにわが国において緩やかとされている
土地保有税の強化を図るべきである。その際、
法人と
個人、
土地利用の
状況等に応じ、負担の適正に十分配慮すべきである。また、
土地増価税、含み益税についても検討するべきである。なお、
個人の
所有する一定規模以下の居住
用地については、相続税、固定
資産税等の軽減を検討するべきである。
六、過去において、必要な
対策の
実施が後手に廻ったため
地価の大幅な
高騰を招いたことの経験にかんがみ、
地価の動向を常時的確に把握するとともに、
地価指数ともいうべき指標を設定して、それが一定基準を超えると、銀行等の
土地関連融資の規制、
地価の監視、規制等の
対策が総合的かつ機動的に実行できるシステムを設けるべきである。また、この前提として、毎年決定する「経済見通し」において、
地価の水準についても合理的な見通しをたてるよう要望する。
七、
地価の
高騰が東京一極集中に起因していることにかんがみ、これを是正するため、首都の移転について早急に結論を得るよう努めるべきである。
以上であります。
この際、
佐藤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
佐藤国務大臣。