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1990-05-31 第118回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成二年五月三十一日(木曜日)     午前九時五十分開議  出席委員    委員長 野呂田芳成君    理事 井上 喜一君 理事 工藤  巌君    理事 桜井  新君 理事 井上 普方君    理事 小林 恒人君 理事 長田 武士君       石井  一君    小澤  潔君       狩野  勝君    木部 佳昭君       志賀  節君    前田 武志君       柳沢 伯夫君    小松 定男君       斉藤 一雄君    戸田 菊雄君       細川 律夫君    和田 貞夫君       北側 一雄君    東  順治君       平田 米男君    佐藤 祐弘君       菅原喜重郎君    菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 守良君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     山崎  潮君         大蔵大臣官房企         画官      河上 信彦君         大蔵省銀行局中         小金融課長   武藤 敏郎君         国税庁直税部資         料調査課長   吉川  勲君         建設省住宅局住         宅総務課長   今泉 浩紀君         建設省住宅局住         宅政策課長   五十嵐健之君         建設省住宅局住         宅建設課長   梅野捷一郎君         自治省税務局固         定資産税課長  成瀬 宣孝君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   菅原喜重郎君     大内 啓伍君     ───────────── 本日の会議に付した案件  土地問題及び国土利用に関する件      ────◇─────
  2. 野呂田委員長(野呂田芳成)

    野呂田委員長 これより会議を開きます。  土地問題及び国土利用に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側一雄君。
  3. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 それでは最初大臣に御質問さしていただきます。  一昨日、政府税調土地税制小委員会が「土地税制見直し基本課題」と題する取りまとめを発表いたしました。六月に中間発表、十一月に答申発表に向けまして、審議がこれから重ねられていくということになると思いますけれども、とりあえずこの取りまとめ内容について、大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は私、新聞発表で見ただけでございまして、正確に聞いておりません。そんなことでございまして、事務当局にちょっと答えさせてよろしいでしょうか。お願いします。
  5. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 新聞報道されました骨子について、私ども資料をちょうだいして拝見さしていただきました。  まだ大臣には報告をしていないわけでありますが、ただ内容は、私どももかねてから土地税制土地対策の上で期待する視点を幾つか申し上げてきておりましたが、大体、税の公平を確保するとかあるいは有効・高度利用を図る視点から、税制見直しに当たられるというスタンスが出ておりました。また、その中で特に、土地資産として有利性を有しておる、そういう点にも着目しながら今後審議を進められるというふうに理解しておりまして、私どもが日ごろ考えておりますあるいは期待しております方向と大体同じようなスタンスで御審議が進められるものと、私どもも大いに期待しておるところであります。
  6. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 この税制小委員会取りまとめの中でも、最後に結論といたしまして、土地税制見直しの二つの視点を挙げておるのですが、その一つ視点として、土地という資産に対し適正な課税を行っていくことが重要であるというふうに述べられております。  そこでお聞きしますが、国土庁は、土地税制改革で今最も議論になっております土地保有税、特に法人に対する土地保有税国税として新設することに積極的である、そういうふうに聞いておりますけれども、これについての御見解をお聞きいたします。
  7. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 政府税調土地税制小委員会の方に私ども土地対策現状等についてヒアリングを求められまして、これまで二回御説明する機会があったわけでございます。  その際、せっかくの機会でございますので、土地対策上、土地税制に対して私どもとしては、一つには土地資産として有利な点を持っています、そういう土地資産としての有利性をできるだけ減少させ、投機的取引とか仮需要を抑制するような観点、さらには法人個人を通じて公平の確保を図ること、そして第三には土地の有効・高度利用を促進する、そういうふうな視点があると理解しておりますので、そういう点についてひとつ御配慮の上御審議いただきたいということをお願いしたわけであります。  その際、具体的には、一つには法人に対して新たな保有税を課することの可能性について、この点についても検討していただきたい。それとあわせて、譲渡益課税につきましても完全分離制等可能性について、この点につきましても御検討を願いたい旨、私どもの希望として申し上げた次第であります。
  8. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 それでは、大臣も御出席されたようなんですけれども、五月二十四日に政府土地政策審議会が発足になりました。その席で海部総理大臣諮問事項として三点挙げられまして、その一点として「土地に関する情報整備」という項目がございます。今は各行政官庁また地方自治体が、それぞれ所管する事務目的に従ってそれぞれが土地に関するさまざまな情報を持っておるわけですけれども、その情報をそれぞれが抱え込んでしまいまして、各省庁間、各省庁自治体の間での相互情報提供とか情報分析、さらには情報活用というものが余りなされていないように思います。先ほどの土地税制小委員会取りまとめの中でも「土地に関する情報整備」という一項目を設けまして、土地所有土地取引地価評価動向に関する情報整備、また、一般のアクセス確保が大事である、そのような趣旨内容がございます。各省庁調整機関としての国土庁の役割が大いに期待される場面であると思いますけれども、この点につきまして、大臣の御所見をお願い したいと思います。
  9. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりで、非常に大切なことだと思っております。  そんなことで、御存じのように、土地に関する情報に関しては土地基本法の第十七条におきまして、「国及び地方公共団体は、土地に関する施策の総合的かつ効率的な実施を図るため、土地所有及び利用状況地価動向等に関し、調査実施し、資料を収集する等必要な措置を講ずるものとする。」とございます。また、「国及び地方公共団体は、土地に関する施策の円滑な実施に資するため、個人権利利益の保護に配慮しつつ、国民に対し、土地所有及び利用状況地価動向等土地に関する情報提供するように努めるものとする。」とされているところでありまして、この法律の趣旨に沿いまして、国民に対する情報提供を進めていく必要があると考えます。  また、地方公共団体土地対策をまさに第一線で実施しているところであるので、そのために必要な情報で国の機関が有するものについては迅速に提供されることが望ましいと考えられる一方、地方公共団体の有する情報についても国において有効に利用できるようにすることが望ましいと考えております。このため、国土庁としては、先ほど御指摘のような関係省庁とも調整を図りつつ、地方公共団体情報提供を含め、土地に関する情報体系的整備に努めてまいりたいと考えております。
  10. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 それでは、この点につきまして少し立ち入って聞いてまいりたいと思います。  例えば、適切な土地政策実施していく、また行政指導実施していくためにも、さらには国土法の効果的な運用のためにも、国土庁地方自治体等に対しまして、各行政機関が次のような土地情報提供検討すべきじゃないかというふうに私は思います。  最初に、大蔵省の方にお聞きいたしますけれども金融機関不動産関連融資実績を、例えば不動産所在地都道府県ごとに、月別に、金融機関所在地都道府県金融機関の種類、融資先法人個人か等々を分類しまして、その総額を、前月比実績などを交えながら、こうした土地情報国土庁とかさらには地方自治体提供することができないかどうか、どうでしょうか。
  11. 武藤説明員(武藤敏郎)

    武藤説明員 ただいまの御質問趣旨は、金融機関の各県別融資実績等につきまして、各地方公共団体情報提供して地価対策に活用したらどうかというような御提案ではないかと思うわけでございますが、私どもの方といたしましては、金融機関不動産業向け貸し出し地域別計数というのは徴求しておりません。  現在、去る三月に通達を発出いたしまして、各金融機関に対しまして、不動産向け融資の量的な規制お願いしたわけでございます。この量的規制は今まで特別ヒアリングあるいはさまざまな形で金融機関に対して投機的な土地取引に対する融資の自粛をお願いしてきたわけでございますが、なおこの地価上昇地方都市にまで波及しているというような実態を踏まえまして、三月に不動産業向け融資伸びを総貸し出し伸び範囲内にとどめるようにという形で量的規制お願いしているわけでございます。これが平成二年度の第一・四半期、すなわち四月、五月、六月の実績が七、八月ごろには明らかになってくるわけでございます。  私どもといたしましてはそういう量的な規制というようなことを注視いたしまして、今後ともこの土地対策を適正にやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  12. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 私の質問は、金融機関に対する大蔵省規制がどうなっているのかという質問をしているわけじゃなくて、大蔵省がお持ちの金融機関情報をほかの行政機関地方自治体提供することができないかどうかということを聞いているわけなんです。一つ土地政策実施するに当たっても、また金融機関指導するのは大蔵省だけではございませんから、そういう指導をするに当たっても、そういう情報があるかないかによって適切にできるかどうかにかかわってくるわけです。  そういう意味で、例えば大蔵省が持っているそういう金融機関不動産関連融資情報につきまして、ほかの行政官庁に必要ならば提供することができないのかということを聞いているのです。
  13. 武藤説明員(武藤敏郎)

    武藤説明員 御指摘地域別計数ということになると、私どもはその計数を徴求していないわけでございます。それをやったらどうかという御指摘も次に出てこようかと思いますけれども、実はこの地域的な融資実態というものは、都道府県別に切って見るということがなかなか難しい問題がございます。土地関連資金調達はいろいろな形でなされておりますので、地方資金需要が東京あるいは大阪で調達されるというようなことも間々あるわけでございます。したがいまして、私どもは、効果的かつ公平なやり方というのは全体の総量の規制というのが最もいいのではないかということでございます。先ほどるる御説明申し上げましたのは、そういう考え方に立ちまして現在やっておるということを申し上げた次第でございます。
  14. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 しつこいようですけれども、例えばこういうやり方は無理でしょうかね。金融機関所在地、どこどこ銀行どこどこ支店、その所在地が今月、例えば五月なら五月、不動産関連融資、どの程度実績があるんだというのはわかりませんか。
  15. 武藤説明員(武藤敏郎)

    武藤説明員 ただいま申し上げましたとおり、各金融機関別県別融資というのは、私ども徴求してないわけでございます。そこが今御質問とちょっと、私どもが申し上げているところをひとつ御理解いただきたいわけでございますけれども、そういうことでございますので、金融機関によりましてはいろいろな地域にまたがる活動をしておりますので、そういう地域別の統計というものは私どもは徴求していない、こういうことでございます。
  16. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 もう時間がないのでやりませんが、私がなぜこんなことを聞いているのかといいますと、現実にこういう声が自治体から上がっておるから聞いておるのですね、現場の自治体からそういう情報をいただけないかという要望が上がっているわけなんです。大蔵省の方でもそういう情報の交換また情報提供に可能な範囲協力をしていただきたい。県別に掌握することは決して不可能ではないと思いますので、またそうやって掌握することによって適切な政策を、施策実施できるのではないかというふうに思います。よろしくお願いいたします。  それでは次に、税務署に申告されました不動産売買価格に関する税務情報を、これも同じように国土庁とか地方自治体提供することができないかどうか、御答弁お願いします。
  17. 吉川説明員(吉川勲)

    吉川説明員 お答えいたします。  国税当局地方自治体税務当局との間におきましては、適正公平な課税の実現という共通の目的を有しておりますし、課税標準とか質問検査権あるいは守秘義務など税法上の規定も同じくするものが相当あることから、従来から不動産売買情報を含めまして、課税上必要な情報につきましては相互に交換し合っているところでございます。  ただ、国税当局がその職務上知り得た事実等を地方自治体税務当局以外の者に連絡することにつきましては、守秘義務を守るということによって培われてきました納税者との信頼関係を崩し、今後の税務行政に重大な支障を来すことともなりますので、おのずから限界があることについて御理解いただきたいと存じます。
  18. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 先ほどの質問にちょっと戻らしていただきますけれども、済みません。  土地基本法の第九条に、「政府は、土地に関する施策実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。」というふうな規定があるわけなんですね。「財政上及び金融上の措置を講じなければならない。」この条項からいっても、先ほどの金融機関不動産関連融資実績につきまして、国土法の効果的な運用、さらに土地政策の適正な実施のためにできる限りの協力をする義務があるといいますか、する必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 武藤説明員(武藤敏郎)

    武藤説明員 もちろん御指摘のように私どもできる限りのことはしたいということで、従来からやってきておるわけでございます。  ただ、今お話がございました、御提案がございました点につきましては、地域別計数を徴求していないということがございますので、そういうことで、御提案のことに応じるのはなかなか難しい、こういうことでございます。(北側委員「今後の問題は」と呼ぶ)一般的に、私どもとしてできる限りのことはしたい、そういうことは考えております。
  20. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 次に、法務省にお聞きしますが、各法務局の出張所ごと月別に、これも例えば売買とか贈与とかの登記原因、さらには譲り受け人が法人個人かなどに分けて、土地所有権移転登記件数前月比実績などの情報国土庁地方自治体等提供することができないかどうか、御答弁お願いします。
  21. 山崎説明員(山崎潮)

    山崎説明員 お答え申し上げます。  私ども法務省の所管の土地に関する行政不動産登記制度でございますが、この制度は、御承知のように私人間の土地売買担保権設定等取引に最終的な効力を付して国民権利の保全を図るとともに、土地に関する権利状況等を公示することを目的とするものでございます。したがいまして、他官庁への登記情報提供につきましては、不動産登記制度趣旨目的範囲外であるというふうには考えております。  しかしながら、今御指摘の点でございますが、登記件数ということに限って言うのでございますならば、その範囲とか程度につきまして、今後国土庁と協議の上検討したいというふうに考えておりますが、個々の取引内容、それからどのぐらいの平米、あるいはだれが買い受けたかとかそういう個人情報についてお知らせすることは難しいというふうに考えております。
  22. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 個々的な情報というのではなくて統計的な資料ですね、そういうものの提供お願いしたいと思います。今の三点につきましては自治体の方からもそういう要望が出ておりますので、ぜひ検討お願いいたします。  次に、土地情報整備ということに関連してお聞きいたします。  固定資産税評価について、課税の公平とか適正を担保するために一定限度公開をすべきではないかと私は考えます。昭和六十三年の総合土地対策要綱や昨年十二月の土地対策関係閣僚会議での重点実施方針、さらには日米構造協議の中間報告でも触れられておりますけれども平成三年度の評価がえの際に「基準地等に係る路線価公開を行うよう地方公共団体指導する。」と記載されております。  現在、この課題につきましてどのように取り組まれているのか。基準地等に係る路線価公開とは、具体的にどの程度公開されるものなのか。御答弁お願いいたします。
  23. 成瀬説明員(成瀬宣孝)

    成瀬説明員 お答えいたします。  基準地等路線価公開につきましては、御質問の中にもございましたように、一昨年の六月に閣議決定されました総合土地対策要綱の中でもこのことがうたわれております。固定資産税評価適正確保に資するため、平成三年度の評価がえの際に公開を行うことといたしておりまして、その具体的方法やり方等につきましては、従来からやっております指定市、県庁所在都市でございますが、この基準宅地路線価公開やり方を踏まえまして、公開方法、その範囲等につきまして、現在関係地方公共団体の御意見を伺いながら詰め検討作業を行っているところでございます。  なお、基準地等といたしましては、各市町村の代表的な標準地などを念頭に置きまして検討作業を進めているところでございます。
  24. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 標準地というのはどの程度あるのか。この標準地に係る路線価公開について、どの程度までなされようとされておるのか。御答弁お願いします。
  25. 成瀬説明員(成瀬宣孝)

    成瀬説明員 まず基準地でございますけれども基準地は各市町村ごと最高価格地というふうに言いかえてよろしいかと思います。それから次の標準地でございますが、基準地に準じます代表的な主要な評価地点ということになろうかと思います。  この標準地点でございますけれども、ちなみに六十三年度の評価がえのケースで申し上げますと、全国で約四十五万地点ぐらいあったかと思います。そのうちどの程度のものをどういう形で公開するかということにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、現在その詰め作業を行っておるところでございます。  何せ全国地方団体は三千を超えております、そして行政能力にもいろいろばらつきもございます。初めての路線価公開ということになりますので、混乱等が起きませんように地方団体の具体的な御意見を十分踏まえまして、適切なやり方検討していきたいと思っております。
  26. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 課税の公平適正を担保していくためには、かなりの程度標準地に係る路線価公開もしていただきたい、そのようにお願いする次第でございます。  次に、監視区域制度についてお聞きいたしますが、指定状況現状につきまして簡略にお答え願いたいと思います。
  27. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 地価上昇地域全国的に波及する中で、監視区域指定も相当広範にわたっておりまして、現在で一都二府三十四県十一政令指定都市市区町村数で申し上げますと、七百七十三市区町村監視区域指定運用しているところであります。
  28. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 監視区域設定また監視区域範囲を三百平米以上から百平米にする、このような監視区域設定基準につきまして、そのガイドラインについて、今国土庁検討されておると承っております。その内容、また方向性につきまして御答弁お願いします。
  29. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 地価の高騰が大阪圏名古屋圏あるいは地方の一部主要都市に波及する中で、この監視区域への取り組みが後手に回っているのではないかという指摘もございまして、三月末にも公共団体監視区域指定状況を総点検するように指示したところでございます。また、特に懸念の大きい県に対しましては直接国土庁長官から知事に、具体的な監視区域運用の要請、指導も行ったところであります。  ただ、その際、その指定等の指針になるガイドラインのようなものを決めていただいた方がこれから先も公共団体としては的確な運用がしやすいということでございましたので、そういう地方公共団体要望も受けて、現在このガイドライン策定作業を進めております。  おおよその考えを申し上げますと、少なくとも地価上昇が年率で一〇%程度上昇した場合には、速やかに監視区域指定すること。また、監視区域指定しても地価上昇率が低下しないような場合には、届け出対象面積の引き下げを行うこと。さらには、届け出対象面積の一般的な考え方あるいは監視区域の解除の基準、さらに価格審査あり方等についてできるだけ具体的に決めようと考えております。
  30. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 地価監視区域土地取引を届け出る際に、先日も大臣が少し触れておられたのですけれども土地を購入するに当たっての融資金額並びに融資を受ける金融機関名を申告させるような制度検討しておる。私は非常に結構じゃないかと思うのですけれども、その詳しい内容、また見通しについて御答弁お願いいたします。
  31. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 北側先生にお答えいたします。  先ほどのお話国土庁にとって大変ありがたい話で、現在国土庁は、土地担当官庁でございますが、情報が非常に不足しております。それは、一つは各官庁にいろいろな理由によりまして情報が求められないわけです。今先生指摘のとおりでございまして、これができると随分土地政策は進展する、このように思っております。今度、昨年暮れに土地対策関係閣僚会議ができたものですから、これによりまして九条、十七条を思い切ってお願いしたいということで、今努力している最中でございます。  先ほど私が申し上げましたのは、国土利用計画法取引規制目的は、不適切な取引について指導監督をするのが目的となっておりまして、資金計画についてはかけないようになっているわけです。私はこの理由がよくわからないのです。大蔵省もよくやっていただいております。でも限度があります。それなら国土庁がその取引金額をもし把握できれば、バンク、ノンバンクの八十兆円が一遍につかめるわけです。それで、何とかいい方法はないかと思いまして、したがって、国土利用計画法趣旨によれば、金融機関は当事者じゃないから規制できない。もう一つは、いわゆる予約売買みたいになりますから、契約ではないから——金融方法についていろいろ疑念があるということですが、これは私自身の経験でございますが、土地を買う場合、ずばり言いますと自分のお金では買えません。みんなそうだと思います。その場合、当然金融機関協力を求めなければいけません。そんなことで、この土地を買いたいと思ったら金融機関に相談しております。少なくともある程度目安が持てないとその話は進められないと思います。  そんなことでございまして、その実態に沿ってやりたい。そうすると、取引資料が全部国土庁に集まるわけです。そうなれば国土庁としての土地担当という、思い切った政策実施できる、こんなことでございまして、これはひとつぜひやりたいと思っております。したがって、今問題点の整理をするように局長に命じております。国土利用計画法がもしあのままなら、非常に片手落ちの国土利用計画法ですね。これはぜひ是正したい。これは逆に御理解と御協力お願いする次第です。よろしくお願いします。
  32. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 以上でございます。
  33. 野呂田委員長(野呂田芳成)

    野呂田委員長 平田米男君。
  34. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 私は、まず建設省にお伺いしたいのですが、昨年度名古屋市では公営住宅の用地を全く取得することができなかったそうでありますけれども、東京、大阪、名古屋、こういう三大都市において公営住宅用地の取得状況、この五年間でどのようになっておるのでしょうか。
  35. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 お答え申し上げます。  公営住宅建設のための用地取得につきましては、最近の地価の高騰とか、そもそも適地が減少しているというようなことがございまして、全体の公営住宅建設事業そのものは建てかえ事業とか複合的な利用、そういう方面にシフトしておりますのでそういう条件もございますけれども、新規の用地の取得につきましては、今御指摘もございましたが、大都市圏を中心に実態上非常に伸び悩んでいるという実情でございます。
  36. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 伸び悩んでいるというふうに抽象的にお答えになったのですが、具体的に数字は出てないのでしょうか。具体的数字が出ておればお答えをいただきたいのです。
  37. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 お答えします。  公営住宅の新規用地の取得につきましては、実はいろいろな会計その他がございまして、最終的に公営住宅として用いる用地という形の集計はいたしておりませんので、ただいま具体的な数字としてお示しできないということでございます。
  38. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 先ほども北側委員が、土地対策については情報の欠如ということを指摘をされておいでになったわけでありますけれども、こういう住宅用地の取得の状況も、担当官庁がきちっととらえられていないということ自体が極めて問題ではないかと私は思うわけであります。早急にそういう点の手当てをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  39. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 私ども、建設の建物ベースでそういう事業主体とのやりとりをいつもいたしておりますので、土地という形で今御報告できなかったわけでございます。  それからもう一点は、先ほど申し上げましたように、工事に入る際に用地を移しかえるとかいう技術的な問題もございまして、具体的な数字を申し上げなかったわけでございますけれども、御指摘のように実態としての把握には努力してまいりたいと思っております。
  40. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 よろしくお願いします。  次に、国土庁長官にお伺いしたいのです。今具体的数字では出ておりませんでしたけれども、公営住宅の用地の取得が大変に伸び悩んでいる。地方公共団体によっては全く取得できないところも出ておるわけでございますけれども、こういう現状に対しましてどのような御感想といいますか、御意見をお持ちでございましょうか、お聞かせをいただきたいのです。
  41. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は土地問題につきましては、これは先生方の御理解と御協力によりまして昨年土地基本法ができました。それから、公共の福祉優先の原則を打ち出しました。これは私権の問題を絡めてでございます。それからもう一つは、海部内閣の最重要課題ということでございまして、土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後果たすべき政策という十項目を決めました。それは、例えば大都市地域の宅地供給の促進とか総合税制見直し、一口に言えば土地神話をなくすということ、そんなことを含めて今やろうとしております。  そんなことでございまして、実は私は、土地対策というのは総合対策でなくてはいかぬと思っております。その一つ土地対策であり、あるいは税制の問題それから取引規制の問題、それともう一つは私は、やはり政治的配慮というのが必要でございます。例えば首都機能移転とか国会移転、そんなものを含めて総合的にやらないとなかなか土地対策は難しい。そんなことでございまして、そういう点を含めて、今御指摘ございましたように、抽象的で大変申しわけございませんが、結局今は地価を安定することに努力しておりますが、将来地価を下げたい、そういう方向で頑張りたい、こう思っております。
  42. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 先日も参考人への質問のときにある方が、大都市における土地問題というのは住宅問題である、このようにおっしゃっておいでになりまして、私も同感でございます。確かに土地神話を打破するということも重要でございますが、都市部における住宅問題というのは、一つは一戸建て志向が非常に強いわけでございます。  なぜ一戸建て志向が強いかというと、いろいろな要因があるかと思いますけれども、それ以外に快適な住宅というのを手に入れるのが非常に困難である。現実問題といたしまして、都市部における広くて快適で低廉な賃貸住宅があれば一戸建て住宅以外の重要な選択肢としてとらえることができるかと思いますけれども現状はそれが非常に厳しい状況にある。そういうことでございまして、私は、地価対策ということは、都市部で考えるならばこのような広くて快適で、かつ低廉な賃貸住宅を大量に供給をしていく、それこそがまさに地価対策の大きな柱にならなければならないと考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  43. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 今御指摘の点につきまして、お互いに政治家としまして、やはり働く人に住まいを持たせたいというふうなことは夢だと思います。これができると政治は成功だと思って、今それで所得の五、六倍で持てるようにしたいというようなことで頑張っているわけでございます。  そんなことでございまして、特に今土地に対しまして、住まい、土地神話の点もありますが、資産で有利だという点もあるわけですが、一つ志向としてできれば一戸建ての家に住みたい。特にこれは先生も御存じと思いますが、田舎におきましてもとにかく美談というのはほとんど土地の美談ですね。あの子供さんはよく成功して家に帰って、家と土地を買って両親を住まわしている、こんなのが美談になっている。だから、少なくとも日本人というのは、できれば一戸建てに住んで、一坪の庭でも持って暮らしたい、これが夢ですね。そんなことが一つは一戸建て志向になっておりますが、市内では到底不可能だと思います。そんなことでございまして今住まいというのは中高層住宅を含めて住まいと言っておるわけです。  そんなことでございますが、今の賃貸住宅につきましては、これはもちろん御本人の意向によりまして、住まいを持ちたい人には住まいを持たせる、賃貸住宅に住みたい人には賃貸住宅に住ませる、こんなふうにいきたいと思いますが、ただその場合に、住まいと賃貸住宅の助成をどうするのかという問題。それからもう一つは、つい最近、中高層住宅、マンションの場合もやはりかなり高い家賃になる。この家賃に対する補助、助成をどうするかということを含めて検討しないと、なかなか難しい問題ではないか、こう考えております。
  44. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 答弁がはっきりしないのですが、私にははっきりしないように聞こえたのですけれども、おっしゃるように、確かにこれまではにしきを飾るということは、一軒立派な家を構えるという発想があったかもしれません。しかし、私も団塊世代の一人でございますけれども、我々の世代の発想としましては、住宅というのを財産をふやすという意味でとらえるならば、一戸建てというのが最善だと思っておるわけです。  しかし、それは土地神話があるから、神話じゃなくて実話があるから一戸建て志向が強くなるわけでございまして、土地神話が打ち破られて、なおかつ広くて快適で低廉な賃貸住宅があれば、その都市の中で社会資本が充実をして、近くにデパートもあれば美術館もあり、映画館もあり、まさにこれは都市なわけでございます。一戸建てのところに行ったら、それはまたそれなりの時間と距離を乗り越えていかなければそういうところに赴くわけにはいかないわけでございまして、都市において生活をするメリットというのは一戸建てで生活をするメリット以上にあるというのが我々の今の認識でございます。そうしたときに快適な賃貸住宅、低廉な賃貸住宅が目の前にあれば、それを選択する可能性は十分にあるわけでございまして、これはやはり土地対策の一環として、国土庁長官としてきちっと認識をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  45. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先ほど申したとおりでございますが、私はやはり本人の志向によりまして、率直に言いますと、住まいを持ちたい人は住まいを持たせる、それから賃貸住宅に住みたい人は賃貸に住ませるということでいきたいと思います。  ただ、今の若い人に夢がないのは、住まいが持てないという前提があるものですから、これを住まいを持てるようにすれば必ずいろいろな形も違ってくる、こう思っておるわけでございます。だから、本人の選択によって選べるような政策をしたい、このように考えているわけでございます。
  46. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 総理は施政方針演説で、「東京通勤圏において勤労者が良質な住宅を確保できるよう、この十年間に百万戸を目標に新たな住宅供給を行う」ことを明らかにしておいでになるわけでございます。  この百万戸の住宅の中身でございますが、やはり大きな柱、あるいはそれ以上に中核として公営の賃貸住宅というものが据えられなければならないと私は思うわけでございますが、どのようにお考えでございましょうか。
  47. 五十嵐説明員(五十嵐健之)

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  今、先生質問の首都圏での住宅百万戸構想といいますのは、今後十年間にできるだけ一般勤労者の需要に見合う供給をしたいというものでございます。このため、現在法律改正等の御審議を願っておるところでございますが、供給の内容といたしましては、まだいろいろな積算というような段階ではございますが、おおむね三割ぐらいは公共的な住宅ということで供給してまいりたいと考えております。
  48. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 構想の住宅というだけで、構想の住宅が何なのか、分譲なのか賃貸なのかわかりませんけれども、今、東京のリバーサイドあるいは海岸のところの開発というのは賃貸住宅ができておるわけでございますが、デベロッパーがつくられた賃貸住宅というのは一カ月一部屋何十万円もの、下手をすると百万円を超えるような賃料を取られる住宅なわけでございまして、到底一般市民が住めるようなものではありません。もし都市の再開発、東京都内でもまだ低・未利用地があると言われておりまして、それを転換して住宅供給をしよう、これが総理の発想の一つになっておるわけでございまして、そういう中に今までのようなやり方で民間のデベロッパーに任せるようなことがあったならば、同様な高額な賃料の住宅しか建設されないというのは明らかなわけでございまして、それであっては国民の期待を裏切るものでしかないと思います。  まさに総理がおっしゃったものはそうではないと私たちは期待を持って聞いたわけでございまして、今、私はできれば長官の御所念を聞きたいと思ったのですが、建設省の方がお答えになりましたが、建設省のお答えもその点が非常に不明確だ。不明確であるということは、今、国民の問題意識、また希望がよくおわかりになっていないのではないか、そんなふうに思えてならないわけであります。もう一度御答弁いただければと思います。
  49. 五十嵐説明員(五十嵐健之)

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の百万戸供給計画を含めまして、首都圏それから中部圏、近畿圏の三大都市圏で、おおむねこの十年間にできるだけ大量の住宅の供給を図ることによって価格の安定等を図りたいということを考えているところでございます。  このため、現在、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法の一部改正、それから都市計画法及び建築基準法の一部改正、この二本の法律の改正法案を御提出申し上げまして、現在衆議院で御審議いただいているところでございます。それから、やはり現在御審議中の二年度予算におきましても、優良な住宅に対します助成制度を新たに設けますとか、あるいは農地を活用した住宅供給に際しましては、その関係者に対して補助金を差し上げるということを考えているわけであります。  これらの制度に一貫して流れておりますのは、必ず自分でやりなさいという義務づけまではしておりませんけれども、地権者ができるだけ住宅の供給に携わってほしい。デベロッパーに売るとかいうことをやってはいけないとは書いてありませんが、例えば市街化区域農地の場合、農地を売り渡すことを前提にお考えにならないで御自分で住宅を建てていただく、そして、先ほど来先生指摘のように賃貸住宅の質がかなり今まで悪うございますから、できるだけいいもの、例えば六十五平米以上ぐらいの住宅をできるだけ供給してほしいということで、地権者が良質な住宅を供給するように誘導していきたい。そのために都市計画制度あるいは税制あるいは予算制度を集中的に投入していきたいと考えているところでございます。
  50. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 今のお話を伺いますと、要するに民間の力でやってくださいというニュアンスのお答えのような気がしてなりません。  御承知のように、西ドイツも日本と同じで敗戦を迎えた国でございますが、同様に国土は焼け野原になりまして、住宅も極めて少なくなってしまったわけであります。しかし、戦後二、三十年のときに既に西ドイツは十分な住宅環境が整備されたと聞いております。経済大国になったという点では日本と同じでございますが、住宅問題ではもう大変な格差がついてしまっておるわけであります。西ドイツというのは、ほとんど国もしくは地方公共団体が強力に住宅政策を推し進めて、先頭に立って住宅建設に取り組んでこられた姿があったからこそ、住宅環境の整備が早期に完成したと思うわけであります。今の建設省のお話を聞いておりますと、何となく国は制度だけつくってあとは民間でやってくださいという態度しか見られないわけでございまして、西ドイツの先例等を見ても、もっと国あるいは地方公共団体が積極的に出ていかなければならないと思うのです。  今おっしゃった建設委員会に出ております法案につきましても、私拝見いたしておりますけれども、民間で今つくったら今の東京の地価がそのまま賃料に上乗せされてしまうわけです。この反映をさせないためには、その間に国なり地方公共団体が入らなければ不可能なわけであります。今のやり方では到底国民は期待するような低廉な家賃の住宅を手に入れることは不可能だと思いますので、その点もう一度反省をしていただきたい、根本から考え直していただきたいと思うわけであります。  こんなこと、いつまでたっても同じだろうと思いますので、まだ質問がありますので先に行きます。国土庁長官もその点もう一度、うちは土地だけの問題だということではなくて、まさに先ほど申し上げました大都市においての土地問題というのは住宅問題だという視点で十分御認識をいただいて、発想の転換をしていただきたいことを強くお願いをする次第であります。  ところで、現在の公営住宅の規格でありますけれども、六十歳以上のお年寄りがいて、かつ家族が六人以上の、老人同居多家族世帯用と言われるそうでございますが、六人家族が住む住宅で第一種が八十五平米、第二種が八十平米だそうでございますけれども、これだけではなくてほかの規格のものも全般的に非常に狭い現状になっております。第五期住宅建設五カ年計画では、二〇〇〇年までに都市型では四人の標準家族で九十一平米にするとおっしゃっています。住宅というのは二十年、三十年以上もつものでございまして、今からそういう住宅を建てていかなければ二〇〇〇年に標準家族で九十一平米なんということは確保できないわけでございますが、この公営住宅の規格を見直すお考えはありませんか。
  51. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 ただいま御指摘の公営住宅の床面積の規格の件でございますけれども先生お話しございましたように、現在一般的な基準としては、一種が上限は八十平米、老人同居等の場合には八十五平米という基準になっております。  私どもの公営住宅の供給は、御案内のとおり住宅に困窮する低額所得者ということを念頭に置いてやっておるわけでございますので、主たる目的は、最低居住水準という従来から問題にしております政策課題に対応していこうということで進めてきたわけでございまして、その最低居住水準の解消を中心とした進め方という観点から見ますと、現在おおむね六十平米ぐらいの規模で現実の供給をいたしておりまして、その点ではさしあたりの問題はないと考えておりますが、ただいま六期の五カ年計画をにらみまして、審議会でもそういう面も含めていろいろ御議論をいただいております。先々のことも考えて、御審議の結果もいただきながら検討を進めていきたいと考えております。
  52. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 政府は、これからの高齢化社会の中で在宅福祉ということを非常におっしゃっているわけでございますが、在宅福祉がいいか悪いかは別にしまして、在宅福祉をやろうとしますと、住宅が広くなければ在宅福祉なんというのはできません。六十平米なんかで在宅福祉はできないわけであります。そういう意味で、今検討されるとおっしゃいましたけれども、そういう視点からも十分な広さの住宅を、低所得者だから狭い家でいいのだ、こういう発想はやめてもらいたい。日本国民は最低限度の文化的な生活を保障されるわけでございますから、いつまでもその最低限度を昔の古い基準で考えていただきたくないわけであります。経済大国になった日本のその国力に見合った基準で、最低限度の文化的生活というものを考えていただきたいわけであります。  それから、現在、中層耐火構造、四階から五階建ての標準の主体、附帯工事費の平米当たりの単価が現状と非常にかけ離れておるわけでございまして、平成元年では平米当たり十一万六千五百円、このように伺っておるわけでございますけれども、昭和六十三年度の住宅金融公庫融資住宅の規模、規格等の調査によりますと、五階建ての耐火構造では、平米当たり十五万八千二百十円、六十三年ですから、一年古い方が四万円以上高いわけでございますが、この四万円もの差をどのようにお考えなのでしょうか。これはまさに公営住宅の建設の足を引っ張っておるわけでございまして、補助金を出すのだったら正当な現在の建築費、少なくとも他の所管庁が見積もっておられる金額に見合う金額で補助金の算出をすべきだと思うわけでございますけれども、現在の十一万六千五百円をアップする、見直しをするお考えはございませんか。
  53. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の公営住宅の工事費でございますが、従来からデフレーターその他を勘案しながら、補助の対象になる単価につきましても適正化に努めてきたところでございます。平成元年度におきましては、中層耐火で五・一%引き上げを行ったということでございます。  また、最近の上昇傾向もございまして、二年度予算につきましては、予算成立後具体的な個々の構造に合わせた単価を設定するわけでございますが、その場合にも極力単価の適正化に努めていきたいと考えております。
  54. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 ぜひ適正化に努めていただきたいのです。十五万八千円と十一万六千円なんというのはとんでもない差だと思いますので、十分御努力をいただきたいと思います。  それから、現在、四階建て、五階建ての中高層の公営住宅の四階、五階のところにお年寄りがたくさん住んでおいでになります。六十歳代、七十歳代のお年寄りがたくさん住んでおるのですが、エレベーターがないわけでございまして、こういう方々のお話を伺いますと、もう一日一回外出するのも苦しい、こういうことをおっしゃっておいでになるわけであります。こういうものに、新築はもちろんでありますけれども、中古も含めましてエレベーターを設置しなければ、国民要望に十分対応できないと私は思うのです。エレベーターを設置するとすぐ家賃にはね返りますよと建設省なんかはおっしゃるわけであります。しかし、政府は在宅福祉とおっしゃっております。それを実現するためにも、四階、五階建てにはエレベーターがなければ不可能であります。中古、新築の中高層四階、五階建ての住宅に対してエレベーターを設置するお考えはございませんか。
  55. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 お答え申し上げます。  公営住宅のエレベーターにつきましては、今御指摘のような、特に御老人とか心身障害者の方とかそういう方々の使い勝手ということもございまして、従来はできるだけ一階等の低層部にそういう方々がお入りいただくような配慮をするというようなことでやってきたわけでございますが、老人世帯が大変ふえてくるという傾向もございますし、建物自体もだんだん中高層化の度合いが大きくなってきておりますので、今御指摘のような観点から、六十三年から、従来はつけておりませんでした五階建てもそういうケースについてはエレベーターをつけるということで進めております。今後、三階あるいは四階というような全体にわたるエレベーターの設置については、さらに高齢化社会というようなことも考えながら検討をさせていただきたいと思っております。
  56. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 今新築については検討をしていただける前向きの御発言をいただいたのでございますが、中古の、現にある住宅に対してはいかがでございますか。
  57. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 既設の公営住宅についても、改善事業という増改築等に専ら力を現在入れている仕組みが、助成制度もございます。そういうものの将来の考えの中には、今申し上げました新築における考え方も一緒に考えながら検討させていただきたいと思います。
  58. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 もう一つ、入居収入基準というのがあるわけでございますけれども、これが全国一律になっておるわけであります。しかし、地域によって所得の格差があることは明らかでございまして、これはもう政府が新聞等で発表しておいでになるかと思います。全国一律ということは、都市部の方、特に賃貸住宅に入らざるを得ない方々はその入居収入基準でカットされてしまって、それは、第一種は三分の一あるいは第二種は六分の一の方々の所得に見合わせていますよとおっしゃっていますけれども地域間格差がありまして、都市部では第一種は三分の一にならないわけであります。第二種は現実には六分の一になっていないわけでございまして、この現実を変えないと、本当に都市部における市民の住宅の要望にこたえることは公営住宅はできないと思うわけでありますが、この収入基準全国一律制というのを都道府県別や大都市別に転換をするお考えはないでしょうか。
  59. 今泉説明員(今泉浩紀)

    ○今泉説明員 お答えいたします。  ただいま先生からの御指摘がございましたが、現在全国一律的な形でやっております。これは、いわゆる家賃の収入基準というのがいわばナショナルミニマム的な発想から全国統一的な基準をとるのが適当ではないか、また、地域別のバランスという問題、例えば都道府県間のバランス、また、同じ都道府県内におきます市町村のバランスの問題等もございまして、従来から地域別の家賃の基準設定につきましては、慎重に検討されるべきものというふうに考えております。  ただ、現在先生からの御指摘もございましたし、また、地域別の家賃の設定をいたしたらどうかという御意見もございますのは十分承知しております。したがいまして、私ども、実際に公営住宅を建設、管理をしております公共団体意見等も踏まえまして勉強してまいりたい、このように考えております。
  60. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 あと一点だけお伺いします。  先ほどお話ししたように、新規にはできないということで、公営住宅の場合、現在建てかえ住宅が都市部では主流になっております。建てかえをいたしますと家賃が急に高くなる、今までの家賃よりももう大幅に、何倍にも高くなるわけでございますが、これを防ぐために自治体が激変緩和措置ということをやっておりまして、段階的に賃料を上げていくということをやっておるわけでございますけれども、これに対しては補助金が今出ておりません。建てかえの促進のためにもこの激変緩和措置というのは大変に有効だと思うわけでありますが、これに対して補助金を新たに出すお考えはないでしょうか。
  61. 梅野説明員(梅野捷一郎)

    ○梅野説明員 お答え申し上げます。  ただいま公営住宅の建設につきましては、御指摘のように、土地の有効活用とか老朽化した建物を新しくしていくというようないろいろな観点から、建てかえには大変力を入れているわけでございまして、その場合に問題になりますのは、従来からお住まいの従前居住者をどうするかということが当然問題になるわけでございます。私どもはその従前居住者に御協力をいただくという観点から、移転のときの助成でございますとか、あるいは全体の建てかえ計画をつくるというようなそういう観点の部分について、従来から補助を出していたわけでございますし、新たに住みかえ用の住宅を用意するということについても補助を出していきたいというようなことも考えているわけでございます。  今御指摘のように、いわゆる家賃のすり合わせの問題、激変を緩和する問題については、現在のところ、公共団体で対応しているわけでございますが、これは他の家賃の問題、いろいろなバランスの問題等もございまして、いずれにしましても、個々の地域で国と地方公共団体協力してこういうものを進めているわけでございますので、そういう観点から公共団体側でその部分はおこたえをいただいているという実情でございまして、今具体的に激変緩和のための家賃助成ということは用意をいたしておりません。
  62. 野呂田委員長(野呂田芳成)

    野呂田委員長 ちょっと本会議の時間が迫っていますので、時間を守ってください。
  63. 平田(米)委員(平田米男)

    ○平田(米)委員 まだ考えていないとおっしゃいましたけれども、住宅の建てかえの促進のためにぜひとも御検討をいただきたいことをお願いをして、私の質問を終ります。  ありがとうございました。
  64. 野呂田委員長(野呂田芳成)

  65. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 先日、日本不動産研究所というところが昨年九月以来の状況をまとめました。それによりますと、全国の市街地の地価は再び高騰している。特に六大都市では、商業地が一三・三%、住宅地が一七・一%、平均で一四・五%も上昇しているということがございます。  国土庁は、昨年の調査に基づいて三月に公示地価を発表されたわけでありますが、それ以降の状況についてはどのように把握をしておられますか、お聞きをいたします。
  66. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 最近の地価動向につきましては、私どもも適宜それぞれ地域の関係の精通者からの情報を極力集めるようにしておるわけでございますが、この一年間特に顕著な上昇を示しました大阪圏について申し上げますと、地価はまだ高値安定ぎみ、場所によっては増勢を示しているところがあるというふうなことでありますが、ただここに来て、成約はそれほどふえておりませんが、売り希望件数が非常にふえておるということであります。それと、中古マンションは、全域的に二、三割の下落を示しておる。また、そういう売り注文がふえる中で、業者の売り希望価格は、場所によっては低下傾向が見られる。そういった大阪圏についてだけの情報でございますが、そういう情報に接しておりまして、大阪圏もようやく、金融等の情勢変化もございますが、かなり厳しい転換点を迎えているんじゃないかな、そういうふうににらんでおります。
  67. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 若干のそういう傾向が出ている、しかし高値であるという点は変わらない。さらに、さっきの不動産研究所の発表で、東京都でも昨年九月からの半年間で、商業地が一・五%、住宅地が二%上昇しているということで、これはまた新たな懸念も広がっているという状況であります。  それで、大臣にお聞きしたいのですが、重要な土地問題対策を進めていく上で、ここ数年来の地価の異常高騰、その原因をしっかりつかむ、押さえるということが大事だと思うのです。その点で、大臣は、地価の異常高騰の原因についてどう認識をしておられるか、お聞きをいたします。
  68. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、ことし、全国で住宅は一七%上がりました。東京は横ばいですが、首都圏は三〇から四〇%上がりました。大阪では五七%上がったということでございますが、東京、大阪、各地によって土地の上がった事情は違います。  東京におきましては、やはり都心部における事務所等の需要、これがリンクしまして住宅地についての増価につながった。それから、大阪におきましては、関西新空港などの大きなプロジェクトとか、そしてもう一つは東京に比べて土地が非常に割安感がある、こんなことが値上がりの大きな原因ですが、その背景には、一口に言いますと金融緩和があったと思います。金融緩和がそういうものを招来した、こんなように考えているわけでございます。  また、国公有地等につきましては、一般競争入札による民間への売却については地価高騰を招くおそれがあるとの指摘もあるため、国土利用計画法の改正によりまして国等の適正な地価の形成についての配慮規定の創設とか、あるいは関係行政機関における地価への影響に配慮した緊密な連絡、情報交換等により適切に対処を行うことになっておりますが、実は国公有地も、例えば国鉄清算事業団、林野庁などの財産処分にも非常にかわいそうなところがあるのです。と申しますのは、林野庁は借金を二兆円抱えております。利息を払っておりますが、土地は高く売るな、借金は払え、この辺、どうするかというのは国がもっと配慮してやる必要がある。そんなこともございますが、そんなことで国公有地が高騰を招かないようにということで指導しております。そんなことでございまして、全般にわたっては地価に配慮しつつやっているというのが情勢でございます。  それからもう一つは、これはもう先生御承知のとおりで申し上げませんが、先ほどもちょっとほかの方に答弁申し上げましたが、土地基本法をつくった、これは公共福祉優先の原則をつくった。これが一番大きな問題でございまして、それから今度は海部内閣の最重要課題ということで、土地対策関係閣僚会議を開きまして、閣僚が全員一丸になりまして取り組んでいる。この辺を含めて地価の高騰を防いでいきたい。現在やっておりますことは一口に言いまして地価の安定です。安定とそれから監視、取引規制の強化ですが、これだけではなかなかいきません。将来そういうようなことで総合土地対策をどうするかということを含めて地価の安定をし、それから将来地価を下げたい、こんなことで努力したいと思っているわけでございます。
  69. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 対策にも触れて御答弁があったわけですが、原因につきましては一、二お述べになりましたが、私はもう少しそこをはっきりさせる必要があると思いますので重ねて申し上げたいのです。  一九八四、五年ごろから東京都心部を中心に地価上昇が始まりました。私はその引き金になったのがいわゆる中曽根民活ですね、国有地の民間への提供。これはあのとき大変社会的にも問題になりましたが、八四年には品川駅の貨物跡地、あれは四倍の値段がついたというふうなことがありましたし、翌年にも紀尾井町の旧司法研修所跡地、周辺の公示地価の三倍というような値段がついた。それから西戸山開発の問題もありました。そういうことで国有地を提供する、これはいわば土地供給ですね。このことと、それから八五年であったと思いますが、規制緩和の幾つかの措置がとられたわけです、宅地の開発指導要綱やマンションの建設指導要綱から公共負担の軽減でありますとかあるいは高さ制限の緩和とか。だから、一方で国有地の放出、土地供給を進め、それから規制緩和をする、高さとか容積率とか、こういうことがやはり土地投機を誘導するということになったと思うのです。それに加えまして、大臣もおっしゃいました金融緩和ですね、これがそれを可能にしたし、支えたといいますか、さらに加速した、そういう関係だというふうに思います。  きのう、おとといとここで参考人質疑があったわけでありますが、参考人の方の意見開陳の中でも、投機的な土地取得が地価高騰を招いた、それから金融緩和がそれを支えた大きな要因だ、ある参考人の方は最大のファクターだということもおっしゃったわけであります。こういう点、やはり十分教訓として今後の対策を進めるということが大変重要だというふうに思うのですが、大臣、この点についてもう一度見解をお聞きしたいと思います。
  70. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えします。  御指摘のとおりでございますが、一つちょっと見解が違いますのは、東京都の地価高騰につきましては、品川等の国有地の話がございましたが、むしろ事務所用地の測定が間違っておった、事務所を過大に測定したというところに一つの基本的問題があったと私は思うのです。やはり東京は情報通信化のセンターとして、そこら辺が土地高騰を招いたような気がします。  そんなことでございまして、先生の御指摘のとおり、こういう点を大いに参考にしながら今後の土地対策をやりたい、このように考えております。
  71. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 今一つの点を触れられましたが、それもやはり中曽根内閣の失政だと私は思うのですね。東京一極集中が進んで過大なオフィスビル需要予測というのを発表して、それがあおった。その後の展開の中では実際には需要がない、いわゆる仮需で投機転がしが行われるという悪循環といいますか、これが相当大きな問題だというふうに思います。  改めて私がこの問題をお聞きしておりますのも、大臣は先日来、総合的に対策を進めるとおっしゃっておられる、私も総合的な対策が必要だというふうに思うのですが、例えば現在、今国会に提出されております建築基準法の改正、都市計画法の改正あるいは大都市法、こういうのを見てまいりますと、これはもともと政府方針が基礎になっているわけでありまして、昨年の十二月でしたか、「今後の土地対策重点実施方針」という閣議決定がありますね。こういうものでも、一つ土地の供給、もう一つの柱は規制緩和ということに重点、力点が置かれている。それを具体化するものとして今建設の方に法案が出てきているわけですが、それが先行している状況だと思うのですね。税制についての論議も最近相当やられておりますが、具体的に実施すべく国会に提起されているのはこの供給と規制緩和、この二つです。  そうしますと、中曽根民活の一つの教訓は、国有地の放出、各種の規制緩和、それに金融などが加わるわけですが、これが大きな要因だった。これが突出しますと、それが私は、大臣の強調しておられる地価の抑制にはならないといいますか、地価の抑制の保証にはならないというふうに思うのですね。そういうことで促進をされても、あるいは地価の高騰を招くかもしれないというふうに思うのです。そうしますとこれは失政の二の舞になる危険があるというふうに考えるのですが、その点はどういうふうな御判断をなさっておられますか、大臣
  72. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えします。  先ほど中曽根内閣のときの民活の話がございましたが、実はこれは政府ではなかなか力が不足しております。それからもう一つは、役人というのはまじめにやりますけれども効率を考えない、こんなことでございまして、民間の知恵と力をかりるという方向は正しかったと僕は思っています。  その中にいろいろな点が出てきたわけでございますが、そういう形の中で今大切なことは、どうして地価を抑制するかということだと私は思います。そんなことでございまして、やはり税制が大きな役割を果たすと思っています。今までは土地神話でございまして、土地を持てば有利になる、それからもう一つは、日本人の土地に対する特別な感覚、こういうものが土地神話を生んだわけですが、先ほども藤原局長からほかの方の答弁で申し上げましたけれども政府税調におきまして二回にわたりまして三つの点を強調しました。  その一つは、土地資産としての有利性を減殺する、投機、借り入れを抑えるということです。それから第二番目には、個人法人との税負担を公平にするということです。そういう形で高度利用を図る。そういう観点のもとに取得、保有、譲渡の際に各段階に思い切った課税見直しをする、こんなことを含めて土地神話をなくしたい。土地有利性を減殺する、そうすれば今先生の言うようなことはなくなる、このように思っております。  ただ問題は、土地税制平成二年度ということで若干おくれますけれども、今全力を挙げて政府税調はやっておりますから、これを含めてやれば必ず私は地価抑制もできる、こんなふうに信じているわけでございます。
  73. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 土地税制の問題でお話がありましたので、それに関連してお聞きしたいと思います。  やはり土地高騰、法人土地所有、莫大な土地所有ですね。先日も国土庁の発表でもいろいろなことがありました。利用目的がいまだにないのが七八%とか、当初から目的なく購入した、明らかな土地投機ですね、これは五割もあるとかそういうこともありましたけれども、やはりそういうことを可能にしたものとして、法人に対する税制の問題、特に有利になっている側面、こういうものがあるんだというふうに思います。  その中で、いわゆる含み益という問題も出てきているのですが、まずこの点についてお聞きしたいと思います。  法人所有土地資産、それから帳簿、いわゆる簿価ですね、差し引き含み益は幾らになっているか、国土庁の方でお調べだと思いますが。
  74. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 含み益の把握の仕方についてはいろいろなアプローチの仕方があると思うのですが、私ども一つの目安としまして、国民経済計算における民有地のうち法人企業の昭和六十三年度末の土地資産額から、法人企業統計における、これは金融、保険業を除く法人でございますので少し除く方が少なくなっておりますが、この法人企業統計における六十三年度末の土地勘定残高、つまり簿価でありますが、これを差し引いた額を計算しますと約四百三十兆円となっております。
  75. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 非常に莫大な含み益が生じているという状況であります。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども法人土地所有をする場合にはいろいろな利点があるわけですね。固定資産税も損金として算入できるとか、それからまた、お金を借りまして土地を購入する、そういう場合の利子も損金算入できるとかいうことがありますし、先日発表されました日銀のレポートで、金融緩和が土地高騰の要因の一つになったと反省を込めて発表をされたということであります。  そこで要因を四つに分類しておられて、最後に節税対策としての不動産投資があったと言われておるわけです。こうしますと、大企業、法人にとりましてはまさに土地を買うこと自体が節税対策になるということで、これは個人から考えますととんでもない話だ。しかもそれを担保にしてさらにお金を借りて土地を買うということが進んだわけですね。こういうことについて国土庁では実態などをどういうふうに把握しておられるか。
  76. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 法人個人の間で土地に関する税負担は公平に確保されることが望ましいという考えは私どもも税調のヒアリングの席で申し上げ、そういう配慮も加えて御検討、御審議いただきたいと申し上げたところでございます。  確かに、法人個人とを比べてみまして、先生指摘のように法人には相続税というものがございませんし、また借入金利息あるいは租税公課等も損金で落とせるという形になっております。そういう節税対策の土地を中心とします不動産取得がかなり多いということは厳然たる事実だと思いますが、ただ、六十三年の税制改正でも借入金利息の損金算入については四年間繰り延べるというような措置を講じまして、できるだけそういう目的の仮需要を抑制するという努力はしてきておるわけでございますが、なお不十分な点があろうかと思います。その辺につきましては、現在政府税調審議でもさらに深く検討されるものだというふうに期待しておるところであります。
  77. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 私は、このあたりの問題点について十分メスを入れる必要があると思うのです。詳しく言いますとややこしい数字の話になりますので省略をしますが、有利性という点でいいますと、経理上赤字法人と抱き合わせると黒字分を帳消しにすることもできるとか、いろいろなことをやっておられるわけですね。その結果、非常に有利にといいますか、国民感情的にいいますと不当な土地取得、転がしをやったということになっているわけで、この税制上の優遇といいますか有利になっているメカニズム、ここにすぱっとメスを入れていくということが必要ではないかと思うのですね。  それからもう一点は、先ほど御答弁いただきましたが、莫大な含み益、これはまさに、最近のことでいえば土地転がしによって生じている。しかも含み益というのはいろいろ効用があるわけで、それを担保にして、さらに借入金で土地取得を重ねる。ですから、こういうものに対して厳正な課税をしていくことは必要だと私は思うのです。  有利になっているいろいろな仕組みにメスを入れる問題と、含み益に対する課税国土庁の方で税調に提案なさったという新聞報道も、国土庁としては保有税の中身として含み益課税提案しているという新聞報道もあったのですが、長官はこれについてどういう方針で臨まれるおつもりか。
  78. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 先ほど大臣から答弁申し上げましたように、土地対策上、税制については資産としての有利性をできるだけ減殺する、それと公平の確保、さらには有効利用促進の観点が重要だと申し上げているわけですが、さらに具体的には、法人個人間の公平確保の一環としまして、法人に対して新たな国税としての保有税可能性検討できないか、そういう考えを持っております。ただこれは、いわゆる再評価税、あるいは増価税といったように未実現のキャピタルゲインに再評価の上課税するという税とは必ずしもイコールではないと私は考えております。  いま一点は、赤字法人を念頭に置いた譲渡益課税の完全分離制あるいは税率構造の改善、そういったものについても私どもはいろいろ検討しておるところであります。
  79. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 税制検討はいろいろされていくということでありますが、やはり総合的にということが大事ですから、これも急がないといけませんし、的確に進められなければならぬということを指摘しておきたいと思います。  いま一つ税制の問題も土地供給促進のためとか取得抑制のためとか、両面あると思います。そういうこととのかかわりでも進められているわけですが、それにつけても、国民的に関心が持たれているのは、国土庁のいろいろな調査結果も最近出てきておりますが、広大な企業保有地、未利用地、遊休地、これを国民の利益になるようにどう活用していくのかという問題だと思うのです。この点を私は予算委員会でもお尋ねしたわけでありますが、今の状況ですと、仮に土地が放出されても、また別の資金力を豊富に持っておられる法人などが取得する結果にならないか。  土地問題は住宅問題だという御質問もさっきありましたが、私も一つ大事なポイントだと思います。中堅サラリーマン、働く庶民が本当に安心して住める土地を、住宅をどう保障していくかということは重要な政府の責任だと思うのですが、そのためにはその土地自治体確保できるようにするということがありませんと、公共住宅を建てるという方向に進んでいかないということを懸念するわけです。  大臣、こういう点についてどう積極的に立ち向かわれるか、これをどういう方向で進めようと考えておられるか。参考人質疑でも自治体の先買い権問題の提起もありましたし議論にもなったわけです。私はそれに踏み切らなければならないところに来ているのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
  80. 佐藤国務大臣(佐藤守良)

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  大変難しい問題でございます。率直に言いますと、二つの面があると思います。一つは、その土地を社会倫理性を帯びたものに活用しないと大きな損をするんだという、これが税制だと思います。もう一つは、今言った社会倫理性に基づいたものにしないと企業全体が社会的に大きなマイナスになるんだということ。この二つをどううまく組み合わせていくかという感じがするのです。  これは名古屋の私の友人の企業ですが、十五年前から持ち家制度をやっております。八十坪の土地を全部まじめな社員に住まわしております。買った土地土地造成を加えて、金利を加えた原価で渡しておるわけです。非常にうまくいっている。  そんなわけでございまして、私は、企業が持っている土地もそういう形で活用できればと思います。特に社員で住まいを持ちたい人、そういう方たちにそういう形で、ある意味で配当なんかでやったらどうかという気がします。  そういう形で、自治体に持たせる場合、土地の価格がどうなるかという問題を含めて検討すべき問題はありますけれども、今の先生の御指摘につきましては、自治体土地を持つということは検討に値する問題だと思っております。
  81. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 検討に値する問題ということでありましたが、私はこれは相当強力にやらなければいかぬ時期だと思います。ヨーロッパの経験を見ましても、都市計画の問題その他いろいろなことがありますけれども、公有地が大変多いのですね。パリでも半分だとか西ドイツでもという数字も出ておりますが、ほとんど半分近く公有地を持っている。だから、公共施設とか公共住宅とか計画的な都市づくりができるということ。昨今の日本の場合には、土地が金もうけの手段になる、大変異常な事態ですね。とにかく東京二十三区だけでアメリカ全土が買える、おつりもあるというわけですから、本当に異常なことになっている。こういうようなことを正していくためには、土地は公共のものだという点を本当に具体的に進めていくことがやはり大事だ。もちろん個人権利との調和というのは当然必要なわけでありますけれども、私はそういうように考えます。  その点に関連しまして、予算委員会でお聞きしたときに局長答弁がございました。国土利用計画法においての遊休土地制度、こういうものを活用しているのだというお話があったのですが、この間、具体的にはどのようにそれが進められてきておりますか。実績はどの程度上がったのか、この点をお聞きしたい。
  82. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 先生御案内のとおり、国土利用計画法の遊休土地制度は、届け出等に際して行われます土地利用目的の審査を事後的に補完する意味を兼ねまして、取得後一定期間経過後なお低・未利用地となっている一定面積以上の土地について、所有者の自主的な行動を極力尊重しながら、遊休土地である旨の通知を行うことによりまして積極的な活用を図るという制度でございます。  平成二年三月三十一日、平成一年度末でございますが、それまでに遊休土地である旨の通知を行った件数は累計で四十八件、面積で五十五・三八ヘクタールとなっております。
  83. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 四十八件、これは昭和四十九年からだというふうに私は承知しておりますが、その点の確認。  それから、年間土地取引の届け出件数、これは全体ではいかほどあるのですか。
  84. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 遊休土地制度が発足したのは、おっしゃるとおり四十九年度からでございます。したがいまして、実績は数量的には非常に少ないということが言えるかと思います。  それと、年間の取引件数、届け出対象は監視区域制度がスタートするまでは、ちょっと手元に正確な数字はございませんが、大体一万件程度じゃないかと思います。現在、監視区域制度を非常に広範に指定しまして届け出対象面積を引き下げておりますので、現在ではそういうものも含めて十五万件程度となっております。
  85. 佐藤(祐)委員(佐藤祐弘)

    佐藤(祐)委員 監視制度以前が一万件、それ以降十五万件、莫大な数ですね。それに比べて、さっき答弁があった四十八件というのは十六年間ですから、十六年間で四十八件しかなかった、していないということです。いかにも遊休土地制度を活用されているというような答弁だったのですが、一年にしますとわずか三件ですね。これではほとんど物の役に立っていないと言わざるを得ないと私は思う。  この点も含めまして、もう時間も参りましたので終わりにいたしますけれども、従来の発想の延長ではなくて、やはり地価高騰の根本原因に十分メスを入れて、そして過ちなき対策を推進する。税制の面でも、大企業のそういう横暴な土地保有、転がしとか不当な利益とか、そういうものを許してきたものをなくしていく、そういうことが必要であるし、国民のための住宅確保土地確保という観点で積極的な施策をとることが今こそ必要だということを強調して、終わります。
  86. 野呂田委員長(野呂田芳成)

  87. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 土地問題はまさに深刻な様相を強めております。今、国会において海部総理も繰り返し、土地問題の解決は内政の最優先課題だと強調しているわけであります。しかし、現実には政府土地対策がなかなか行動に移されない、いつも手おくれという印象を強く持たざるを得ません。土地基本法に基づく土地政策審議会がようやくスタートラインに着いたと伺っているわけですが、これまでの宅地供給、土地取引の制限、土地税制といった土地問題の主要項目についての土地対策関係閣僚会議土地政策審議会との関連はどのように位置づけられるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
  88. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  土地政策審議会につきましては、御案内のとおり、二十四日、その第一回が開催されまして、総理も御出席いただきまして、土地基本法を踏まえた今後の土地対策のあり方について諮問が行われたわけであります。今後この諮問に基づきまして、審議会におきましては非常にその諮問事項の幅が広うございますので、いろいろこの課題につきまして整理と具体的な審議を逐次進めていただくこととしております。会長の御意向では、課題整理をできるだけこの一、二カ月の間に終えて、それで一年ぐらいの間に主要な課題については審議を了したい、そういうふうな意気込みでおられると聞いております。  ただ、この審議会は、学識経験を有する方に土地に関する総合的かつ基本的な施策に関する事項につきまして調査審議していただく場でございます。一方、閣僚会議は、こういった審議会からの諮問を踏まえつつ政府としての土地対策の基本的方向を申し合わせたり、あるいは申し合わせた事項を具体的に推進するに当たって種々な調整を行っていただく、そういうふうな役割を果たしていただいているということだと思います。審議会からいただく答申等を踏まえ、また閣僚会議のそういった場を活用しながら、施策を強力に進めていきたいというふうに考えております。
  89. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、問題が起きますと政府はこういう審議会をつくるのが慣例のようなのですが、どうも審議会がつくられますと、隠れみのになりまして実施が遅くなる嫌いもございますので、土地対策に対しましては本当に一刻も早い抜本的な手が打たれるように要望していく次第でございます。  次に、土地基本法にもありまするように、土地は国家国民のための限られた公共財であります。土地については公共の福祉優先が原則ではありますが、最近における情勢としまして、一時鎮静していた東京など主要県においてまた再び価格上昇の兆しを見せております。地価高騰の地方への波及が顕著でもありますが、国土庁はどのように情勢を把握し、どのように対処されようとしているのか、お伺いいたします。
  90. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 平成二年の地価公示でございますが、これによりますと、地方圏では著しい地価上昇またはかなりの地価上昇を示した地方都市もかなり見られております。例えば札幌、仙台、福島、郡山、宇都宮、甲府、静岡、浜松、大津、和歌山、岡山、こういった地方都市では著しい上昇を見ておりますし、また、函館や新潟、前橋、高崎、金沢、岐阜、広島でもかなりの上昇が見られているところであります。  この要因でございますが、依然として金融緩和基調にあること、それと、先行して高騰しております東京圏や大阪圏等と比較してこれらの地方都市地価が相対的割安感を生じまして、やはり投資的あるいは投機的と言える需要が増大したのではないかというふうに考えております。また、いずれもこういう中枢、中核都市的なところでは都市の再開発あるいは都市内交通機関整備等も着実に進展を見ておりますので、やはりこういう地方都市に対する今後の期待感も強まっているのも一つの要因ではないか、そういうふうに考えております。  地価地方波及は非常に遺憾なことでありますが、要因としてはこういうことかなと見ておる次第であります。
  91. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 この地方におけるところの中央からの地価高騰の波及ということについて、これは今までのような体制でございますと東京並みになかなか抑え切れないと思うわけでございますので、ぜひ地方自治体への権限を、殊に今度国土庁が区域指定等ガイドラインも公表されると聞いておりますが、地方自治体にいろいろな権限の移譲を考えていっていただきたい、こう切にお願いする次第でございます。  次に、土地問題に対する施策は各部門で利害が相反してくる現象を生じるわけですが、このためなかなか難しいことは承知しております。しかし、今やいろいろな圧力や抵抗に屈せず大胆な施策を講ずることが必要になってきております。そこで、地価高騰の原因である投機的な土地買いの規制に対して手を打つことも急務でございます。今、企業による土地保有、また、企業が保有する土地の含み益について国土庁はどのように把握し、どのように対策を打とうとしているか、お聞きいたします。
  92. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 個人法人土地所有状況でございますが、ちなみに東京の一九八八年、六十三年の土地関係資料によりますと、区部では法人所有割合が六十年二四・九%であったものが六十三年には二七%とふえております。また都心三区で見ますと、六十年五八・七%であったものが六十三年には六五・九%と、東京等では法人土地所有が着実に面積的にはふえておるということでございます。  また、法人所有しております含み益でございますが、一つの目安として私どもの方で試算した結果によりますと、これは国民経済計算と法人企業統計を利用しながら試算させていただいたわけでありますが、約四百三十兆円となっております。  いずれにしましても、こういう状況は投機によってもたらされたものばかりとはもちろん言えないわけでありますが、投機的な取引もこの地価上昇局面では相当発生したというのは否定し得ない事実だと思います。それに対しまして私どもとしましても、監視区域制度等による取引規制によって、著しく高値の取引行政指導によってできるだけ抑制いたしますとともに、金融機関に対する御承知のような特別ヒヤリング等による指導、さらには超短期重課制度税制改正によって、転売による転売益は極力課税対象にするということで対応してまいったわけでありますけれども、今後もそういう緊急的な対策を行うとともに、土地税制の総合的見直し等も含めて構造対策もしっかりやっていかなければならない、そういうふうな考え方でおります。
  93. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 大蔵省にお伺いいたします。  今国土庁からの発表にもありまするように、企業によるところの土地所有資産というものが大体四百三十兆円にも一応調査されているわけでございます。税制調査会でもいろいろ論議されたのでございますが、この土地税制の改革、特に土地法人優遇税制見直し法人の経理方式の見直し、これはもうこのままではおけない、そういう状況でございます。どのようになされようとしているのか、ひとつお考えをお伺いいたします。
  94. 河上説明員(河上信彦)

    ○河上説明員 お答えいたします。  政府税制調査会におきましては四月に土地税制小委員会を設けまして、今週の火曜日まで九回ほど審議をしてまいったところでございます。  この審議におきまして、国土庁の方から国土利用状況等々についてヒヤリングをしたこともございました。ただいま先生指摘のように税制上企業に有利なところがあるのではないかといった御意見もいろいろなところで指摘されておるわけでございまして、土地税制につきましては、これまでの審議について先般土地税制委員長取りまとめということで、審議状況の一応の取りまとめがあったわけですが、今後さらに税制についての審議を深めていくことになっております。こうした中で、幅広い観点からさらに一層の土地税制についての御審議があるもの、このように考えておるところでございます。
  95. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、地価上昇による含み資産の増大がまた担保能力を増大させ、借り入れを起こさせ、土地買いといったパターンを繰り返させるわけでございます。やはり土地の有利な資産性を税制面から徹底的に取り除くことに努めていただきませんと、これも地価高騰の原因でございますので、ひとつ大蔵省の方にこれらの対応をしかとお願い申し上げる次第でございます。  次に、社会資本を整備するために開発利益の社会還元を図る手法がもうそろそろ検討されてしかるべき段階に入っていると思うわけであります。交通機関の鉄道や道路その他社会資本の投資整備がなされれば、それらの恩恵による地価上昇分を地権者から社会還元させるという方針について、国土庁の所見をお伺いいたしたいと思います。
  96. 藤原(良)政府委員(藤原良一)

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおり、開発利益の還元は、社会的公平の確保あるいは社会資本整備の財源確保の観点からも適正に還元するような制度整備することが非常に重要だと考えております。基本法におきましても、十四条にその旨規定されておるところであります。  ただ、基本法制定を踏まえて、新たに開発利益の還元に関する制度検討はまだ具体的に進めているわけではございませんが、当面この開発利益の社会還元につきましては、現在の既存制度にも幾つかこういう制度がございますので、まず既存制度の積極的な活用を図るということが非常に重要だと思っております。ただ、既存制度はこれまで必ずしも十分な運用がなされていないという面もございますので、その辺どこに問題があるのか詰めながら、より一層積極的な活用に努めるということが一つであります。  いま一つは、やはり新たな制度検討する必要があると思っております。発足しました土地政策審議会でも、土地に関する負担のあり方について、税制上の措置とあわせてこの開発利益の社会還元というのが大きなテーマではなかろうかと思っておりまして、私どもこの審議会での具体的な検討を期待しておるところであります。
  97. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 開発利益の社会還元ということについてでございますが、私は市街化区域あるいは調整区域を全部網羅いたしまして、まず全体的に幹線道路の計画的整備あるいは線引きを進めるべきだということを主張してきているわけでございます。調整区域の線引きや何か私権の制限になるということでございますが、今や地域内だけじゃなくしていわゆる道路、殊に幹線道路になる道路というものは当初から地域を広めまして、あるいは全国的なネットでつながれるものでございます。そういう点では、今の都市計画あるいは市街化区域というふうに区切りますとどうもそれだけを見るわけでございますから、今のうちに、現在のこういう区域を超えた全体的に見た幹線道路の計画というようなものが本当に必要だと感じているわけでございます。こういう幹線道路の問題も、線引きいたしますと、どうしても開発利益の社会還元ということを考えておきませんと対応できないわけでございますので、この点を強く要望したいと思うわけでございます。  ついては、このことについて大都市圏整備局長に御意見をお伺いしたいと思います。
  98. 三木政府委員(三木克彦)

    ○三木政府委員 ただいま御指摘のように、開発利益を還元する、極めて重要な事柄でございます。また、地域内の道路だけではなくて幹線道路につきましても開発利益の還元を何らかの方法で実現すべきであるということは重要なテーマでございます。  幹線道路につきましては、通過交通にかかわる部分と地域の沿道利用にかかわる部分とが重層しているわけでございまして、この負担をどうするかということが大きな問題でございます。例えて申しますと、最近では臨海部の開発などにつきましては、通過交通にかかわる部分と、開発プロジェクトの中で土地利用に関連いたしまして価値の上がる部分、こういったものを区分いたしまして、通過交通にかかわる部分につきましては負担をいたしますが、沿道利用にかかわる部分につきましてはできるだけプロジェクトの中で負担をしていただく、こういう方式を検討しているところでございます。場合によりましては通過交通にかかわる部分につきましても、先に実現するということから一部御負担を願うというようなこともテーマとして検討させていただいているところでございまして、ただいま御指摘の点につきましては極めて重要な問題でございますし、これから前向きに取り組んで考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  99. 菅原委員(菅原喜重郎)

    ○菅原委員 都市計画を実施する場合でも、本当に最低の基準実施させますと、これは現在のモータリゼーションで四、五年たちますと飽和状態になるわけでございますので、ひとつこういう点を本当に前向きに、また先進的に対応されたいことをお願い申し上げる次第でございます。  次に、要望でございますが、やはり土地問題を根本的に解決するには、既成の法律や仕組みにとらわれていてはなかなか解決ができなくなってきております。そういう意味では、参考人の上智大学の岩田規久男教授が土地税制改革については含み益税の提案もされておりますので、こういう点も大蔵省の方でも検討していただきたい。  さらに、この土地基本法が主張しておりますところの土地の社会的な公共財としての分、また公共福祉のためには一部私権制限もやむなしの理念は堅持しないと、この土地問題に対する対応はもうできなくなってきていると思いますので、こういう点を御配慮の上、よりよい施策を早く実施してくださいまするようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  100. 野呂田委員長(野呂田芳成)

    野呂田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十八分散会