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松野(春)
政府委員 先生が冒頭に申されたように、今大変競争が激化しつつあります。これは
一つには、
金融の
自由化現象が、ある面では証券と銀行、ある面では
生保と証券あるいは銀行、それから
保険業界の中でも損保と
生保、例えば損保業界の今日の四割以上は積み立て型の傷害
保険であり、いろいろな
保険であるということで、実は
養老保険と大変類似した
商品の
分野で競争が大変激化しております。
特に
介護保険の
分野でも今相当いろいろなアイデアを凝らして、
生保と損保でお互いにこの
介護保険の
分野でも
商品競争が行われている。結局
国民の
利用者にとって選択の余地が広がって、いい
商品が安く入ればこれは大変結構なことでありますので、我々
簡保としましてもこの
動向には十分留意して対処してまいっております。
お尋ねの
簡保と
民間生保の相違点でございますが、かいつまんでごく簡単に申し上げますと、私
どもの
簡保事業の
特徴は、これはすべて
法律で明確に定められていることではありますが、何といいましても一番は非営利の
国営事業である、この裏腹の問題として、
全国二万数千の
郵便局であまねく公平に
サービスを提供しているということが
一つございます。それから無
診査保険であるということが言えます。戦前におきましては実は無
診査保険の
分野は
簡易保険の独占でございました。
しかし、戦後この独占が外れまして、
民間もこの無
診査保険の領域を現在発売しておるところでありますが、
簡易保険の場合にはすべて無
診査保険である、
制度創設以来続いておるところでございます。また、この
簡易保険が
国営事業であるということから、この
サービス内容の基本的事項につきましては御審議いただいている
法律で定められておりますし、また詳細にわたる
契約約款につきましても郵政審議会の議を経るというふうに、これはある
意味では
国民に開かれた
制度となっているということが
指摘できようかと思います。
もう
一つの別の観点から申し上げますと、この
資金運用面で地方還元に力を入れておるという点が
特徴でございます。
平成元年度末の金額で申し上げますと、約十二兆七千億円が地方公共団体等に還元融資されておるところであります。今後もこの面は有利
運用という側面にも大いに力を入れるわけでありますが、この面にも十分意を用いていきたいというふうに
考えておりますし、また、直接の
運用ではありませんけれ
ども、
加入者福祉施設を今
全国に百二十六カ所設けております。保養センターもありますし、レクセンターもございますし、あるいは診療所もございます。年間の御利用人員は、例えば私
どもの八十ある
簡易保険保養センターの場合約一千二百万と、大変大きな御利用をいただいておるところであります。こういう形で
加入者に対する還元も図っておるところでございます。
それから、
事業の現状でありますけれ
ども、
平成元年度の
契約状況がまとまりまして、その
状況を見てまいりますと、
簡易保険が元年度一年間で募集しました件数が七百二十八万件であります。
郵便年金が四十一万件でありました。件数におきましては、六十三年度との
比較では
簡易保険がやや低下
現象にございました。
郵便年金は毎年大変大幅に
伸びております。
一方、現在どのくらい保有しているかという件数でございますが、これは
先ほどもちょっと
数字が出てまいりましたが、
簡易保険が元年度末で保有しておる全
契約は六千五百八十四万件、約六千六百万件でございます。これは対前年度で四・二%増、
郵便年金が百四十六万件でありまして、これが対前年度三二・八%増であります。ほぼ順調に推移していると言ってよろしいかと思います。
生命保険市場におけるシェアを保有
契約の件数で見てまいりますと、これも
先ほど御説明申し上げたところでありますが、
簡易保険は
平成二年の二月末現在で三三・八%でありまして、ここ数年横ばいでございます。それから
郵便年金はシェアが一八・七%で、これはここ数年やや上昇傾向にございます。おおむね全体として安定的に推移しておるのではないかというふうに見ております。
さてそれで、これからの展望と申しますか、
課題でございますけれ
ども、やはり
人生八十年
時代を迎えまして、
高齢化社会の
進展が進み、本当の
意味での
長寿社会の実現に何としても
簡易保険としても
一定の役割を果たしたいということを念願いたしておりますが、例えば今後も積極的に
国民の
ニーズに合った
サービスの開発あるいは御提供に
努力してまいりたいということ、それから何と申しましても、やはり与えられた枠の中でより有利な
運用で
加入者に利益を還元する、
配当の形で還元するということも大事であります。よい
商品をつくるということも大事でありますので、
効率的な
資金運用を推進したい。それから、
先ほど申し上げました
加入者福祉施設を適切に充実してまいりたいというふうなもろもろの
課題を抱えまして、大変激しい競争の
時代に入っておりますけれ
ども、
努力してまいりたいと思っております。