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1990-03-28 第118回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月二十八日(水曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 上草 義輝君    理事 井上 喜一君 理事 大野 功統君    理事 鈴木 恒夫君 理事 園田 博之君    理事 前田 武志君 理事 伊藤 忠治君    理事 武部  文君 理事 草野  威君       赤城 徳彦君    金子徳之介君       小林 興起君    佐田玄一郎君       中村正三郎君    中山 正暉君       長勢 甚遠君    吹田  愰君       真鍋 光広君    村田 吉隆君       森  英介君    秋葉 忠利君       上田 利正君    田中 昭一君       山下洲夫君    吉岡 賢治君       遠藤 和良君    菅野 悦子君       中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 深谷 隆司君  出席政府委員         郵政政務次官  川崎 二郎君         郵政大臣官房長 白井  太君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省放送行政         局長      大瀧 泰郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     島  桂次君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      中村 好郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   植田  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     遠藤 利男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     青木 賢児君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾畑 雅美君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室総合         企画局長)   郷治 光義君         参  考  人         (日本放送協会         予算部長)   中野 正彦君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     中村正三郎君 同日  辞任         補欠選任   中村正三郎君     森  喜朗君     ───────────── 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ────◇─────
  2. 上草義輝

    上草委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下洲夫君
  3. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まず最初に、NHK長期展望につきまして若干お尋ねしたいと思うわけです。  NHK長期展望に関する審議会から提言が出されまして、そして平成二年度から六年度までの一応長期計画が出されているわけです。これは私も両方とも目を通させていただいたわけでございますが、一言で申し上げますと、随分抽象的であるけれどもバラ色的な、ある面では将来に向かってNHKは大変すばらしくなっていくではないか、こういう感想を持ったわけでございます。  しかしそういうことより私は、一つは、今日までNHK放送ということを自分なりにぼんやりと振り返ってみますと、私の育った世界ではまずラジオ放送から入ってまいりまして、これはモノクロというのか白黒テレビというのか、要するに地上放送でのテレビ時代に入り、そのテレビが今度はカラーテレビへ移ってきたわけです。今日では地上放送カラーテレビが主流であると思うわけです。そういう中で、今日衛星放送の方にも随分力が入ってきているわけでございまして、衛星放送につきましても、技術革新でどんどんこれからもっとすばらしいものに発展もすると思いますが、もう一方では、ハイビジョンの方もかなり研究が進んできているわけです。  この一連の流れを見ていきますと、将来的にはハイビジョンにつきましてはいろいろな分野での活用というのもあるようでございますが、やはり何といいましても、NHK長期展望としてはこのようなものをにらんで一定のものをお考えになっていると思うわけです。その辺についてNHK長期展望を教えていただければありがたいと思うわけです。
  4. 島桂次

    島参考人 先生指摘のように、放送を取り巻く環境というのはこの十年、特にこの数年間大変変わってきております。大きな転換期に来ております。ラジオからテレビに移った昭和二十年代の後半、そのときの十倍、二十倍の大きな転換が今行われている。御存じのように放送地上放送テレビラジオだけではございません。現に衛星放送も我々は始めておりますし、ハイビジョンあるいはケーブルテレビジョンパッケージメディア、極端に申しますと放送領域通信領域も境目が少なくともハード的にはなくなるような、そういう技術の進歩というのが急激に来ているわけでございます。  その中にあって我々は、もちろん当面地上放送、今までやってきた総合教育テレビジョン、あるいはラジオその他の充実拡充を図るのがまず第一義でございますけれども放送法に明示されているように、公共放送として放送先導的役割というのがございますから、当然のことながら新しい衛星とかハイビジョンとかそういう問題について十数年にわたって研究開発し、衛星放送についてはもう既に実用化しておりますし、ハイビジョンにつきましてはいろいろ今具体的な計画を練っておりますし、既に実験放送衛星放送を使ってやっておる、こういう段階になっておるわけです。  ただ問題は、我々は今五カ年計画をつくりまして先生方に提示しているわけでございますけれども、十年後、二十年後というこれからの将来についてはまだまだ未確定要素がいろいろございまして、具体的にどういう展望でどういう形で持っていくかということにつきましては、衛星放送につきましてはできるだけ早く、ハード的にもソフト的にも充実をさせて普及発展させていくということをやっておりますが、ハイビジョンその他いろいろのこれからの変化につきましてはなかなか見通せない、霧のかかった部分もございますので、慎重にこれから一歩一歩堅実にNHKの財政、経営をきちっと安定する中でそれを積極的に進めていきたいというのが、当面の我々の先生の御質問に対する答えでございます。
  5. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ハイビジョンにつきましては、確かに今会長さんのお話のとおりまだまだ未知数がかなりあると思うわけです。だが、衛星放送につきましては、今日のこのNHK情熱を見てまいりますと、かなり具体的に、長期的にどう持っていこうかというところは部内と申しますか、あるいは放送協会内部におきまして随分議論がなされ、一定方向がある程度出ているのではないか、そのような気が私はいたしているわけでございます。そうしないと、今日のこの衛星放送に対します会長さんのように、不安定であれば、これほどまだ情熱を傾ける段階までには来ないのではないかというような気が私はするわけです。私は、何といいましても放送につきましては全く素人でございますから、余りわかりませんけれども、ブラウン管を通して茶の間で見ておりまして、そのようなことを強く感ずるわけでございます。  そういう意味で、この衛星放送につきまして、私は、何といいましてもNHKにおきまして相当具体的な方針が出されているというふうに考えるわけでございますが、その辺はあると信じているわけでございますけれども、その辺についてもう少し具体的にお話しいただけないでしょうか。
  6. 島桂次

    島参考人 ただいまの私の説明がちょっと寸足らずでございまして、衛星放送につきましては、ニューメディアの中でも既に昨年から衛星受信料もいただきまして、本格的にこれを始めているわけでございます。この衛星放送につきましては、私どもは、今までの地上波では見られない新しいいろいろの放送番組をクリエートしまして、それで衛星をぜひ見たいという、そういうことを少なくとも聴視者の方に認識してもらわないと、これはもう普及発展するわけはございませんので、私どもは、今まで地上では見られない魅力あるソフトを開発すべく今までもやってきましたけれども、今までのところ、もっとこれを充実させていかないと、とてもこれが五百万なり一千万なり将来普及発展していくということには至らないということで、鋭意内部的にはこの新しい衛星放送放送内容について我々は徹底して、これに相当なウエートをかけまして開発している最中でございます。  なお、つけ加えておきますと、ハードの面が一つあるわけでございます。この衛星発展、安定的な運用という問題も一つございますけれども、いずれにしましても私どもは、この衛星放送拡充発展という問題がNHKの将来の命運を決めるような重要な課題であるということについては、はっきりした経営としての決意を持っているわけでございます。
  7. 山下八洲夫

    山下(八)委員 郵政省と、NHKにもちょっとお尋ねしたいのですが、要するに衛星放送といいますのは、難視聴地域を解消するためにスタートをしたというふうに私は理解をしているわけです。そのことを考えますと、せっかく難視聴解消であってもほかに使えれば使ってもいいではないか、また発展していくためにはより一層よいではないか、この考え方もわかるわけでございますが、その前に、難視聴地域を解消するのは、放送法七条に基づきまして、どちらに一義的な責任があるのですか。
  8. 島桂次

    島参考人 当然、この衛星計画が十数年前でしたか、もうちょっと前ですか始まったときは、難視解消という目的で研究開発して、国とNHK共同開発で来たわけでございます。ところが、難視解消というのがいろいろその後、昔は何百万世帯というような数があったわけでございますけれども、最近私ども調査でもこれはだんだん減ってまいりまして、十万以下みたいな、大体その感じではないか、都市難視聴の場合はちょっと除きまして。そうなってきますと、今、衛星は何百億円かかかるわけですね。ですから、これを難視解消以外の目的にも使った方がいいんじゃないかということで、昨年八月から、我々は本格的な放送を始めたわけでございます。  しかし、難視解消ということは依然として我々の重要な課題として残っているわけでございます。したがって、現在の衛星放送にあっても、第一チャンネルの方では、これは主として情報世界ニュースその他を中心にやっておりますけれども、第二テレビジョンの中のかなりの部分を使いまして、地上波で今やっている総合教育、この両方の主な番組衛星を通じて流して、小笠原とかその他地上波を見られないところを初め、難視聴目的のためにも十分留意しながら、私どもは、郵政省の指導を受けて、そういう編成も現在やっているわけでございます。
  9. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 ただいま会長からも御発言がございましたけれどもNHKは、いわゆる「目的」の放送法第七条に基づき、また第九条に基づき、全国的にあまねく受信ができるように放送しなさいということを命ぜられているわけでございます。これはもう当然NHK義務としてやっておるわけでございます。  政府はと申しますと、これは放送法の第一条の「目的」からいった場合、やはり国としてもそういう難視聴というものを積極的に解消するということをやらねばならないという、これはもう義務とかなんとかというよりも、それより前の問題としてやらなきゃならないと私は理解しているわけでございます。
  10. 山下八洲夫

    山下(八)委員 昨日成立しました通信放送衛星機構法改正案、特に、衛星放送受信対策の基金が設置をされまして、約十万世帯ぐらい残されている難視聴地域をこれで解消するために、それぞれ補助金と申しますか、それを交付していくという格好になったと思うわけですね。そういう意味では、衛星放送で難視聴地域を解消していく、大変すばらしいことだと思うわけです。  ただ、現実に、また時間の関係で、この長期展望につきましては、後ほど最後締めとしてもう一度お尋ねしたいと思いますが、その方向から考えていきますと、その難視聴十万世帯ということにつきましては、NHKとしては、もうほとんど、十万世帯だけれども、山の奥で地上波ではどうすることもできないから一応難視聴地域は解消したんだというふうに考えた上で、今この衛星放送へ向かっての方針が出されて、そして番組制作中心にしまして、あらゆる分野でこの衛星放送へ重心が移ってきているのでしょうか。
  11. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  難視解消につきましては、ただいまもお話に出ておりましたけれども、約十万世帯の方がまだ地上波を見られないという状況になっておるということでございまして、これに対しては、NHK衛星放送難視解消を図っていくということが五十九年以降の方針になっておりまして、それに向けて、番組内容も含めてサービスをしていくということがNHKの責務だというように承知しております。
  12. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題につきましては、また最後締めのところで御質問をさせていただきたいと思います。  NHK報道について少しばかりお尋ねをさせていただきたいと思います。  私、平成二年一月十五日の新聞記事内容について質問をさせていただきたいと思うわけです。何かこの新聞記事を読みますと、「NHK 世論調査結果カット」という報道新聞の方のマスコミから報道されているわけです。この内容を読んでみますと、「NHKによって昨年十二月実施された消費税に関する世論調査結果の放送が、予定されていた特別番組の直前になって中止され、NHK労働組合日本放送労働組合」が経営側に抗議していることが十四日、明らかになった。」世論調査結果につきましては、今お話ししましたとおり消費税の問題ですから、「廃止派見直し派を上回っており、労組は「政治的判断が働いた」と主張。経営側は「結果は予定の番組放送しなかったが、前日のニュースできちんと報道している」と釈明している。」このような内容です。  あと細かい中身は申し上げませんが、これに関連しまして、NHKでは二年前、間接税導入の是非を問う世論調査で、反対が賛成を大きく上回った結果も放送せず、この逓信委員会でも問題にされた。確かに私が調べてみますと問題にされているわけでございます。特にこの十二月二十四日の特別番組は、二十四日に放映されましたNHKスペシャル「いま政治を問う・消費税」で紹介することになっていた。この番組西岡武夫自民党税制調査会長や野党の政策担当者経済評論家らが出席して消費税問題点を論議するものだった。ところが、二十四日の前の二十こ日に突然同番組での放送が取りやめになった。「NHK視聴者広報室は「NHKスペシャルでの討論時間を長くしようと編成し直した」」こういう釈明がこの新聞記事では書かれているわけでございますが、私はそういうことより、せっかくここまで取り上げてその特別番組報道しようとしていたものをなぜ報道しなかったのか、その事実関係をぜひ教えていただきたいと思いますし、またNHKとしての報道しなかった一定見解があろうと思いますので、その見解を申し述べていただきたいと思います。
  13. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生ただいま御指摘いただきました消費税世論調査についての報道のいきさつでございますが、御指摘のように昨年十二月こ十四日、総合テレビで十九時三十分から二十三時十五分まで「いま政治を問う・消費税」というNHKスペシャルを行いました。その番組の中で、その当時「くらしと政治」という世論調査を行っておりまして、その結果がちょうどその放送当日ごろに出るだろうということで、その放送当日にもしもその結果が出れば一番ホットなニュースであるということで、その討論会の中の一つの素材として使いたいということで計画しておりました。しかしながら、最近世論調査の結果の集積も非常に早まってまいりまして、その前々日にその結果が、集積が出たということでございます。  先生もう一つの御指摘に、以前にNHK世論調査をきちっと報道しなかったということで私ども批判をいただいております。そのことについては私ども編集判断のミスとして深く反省しておりまして、そういう結果が出たらできるだけ迅速にきちっと報道するという姿勢でまいりたいと思っておりまして、その結果が出た時点でできるだけ早くそれを詳細に報道するということで、前日の二十三日に夜七時からのニュースで詳しくそれを取り上げて報道をしたということでございます。  一方、そういうことで二十四日の番組の構成については、この消費税についてはいろいろな意見がございまして、たくさんの出演者に御出演いただくということになってまいりまして、その討論の時間ももう少しじっくりやりたいということも含めまして、そこで報道するということは省かせていただいたということでございます。しかしながら私どもとしては、前日にそういうニュース報道をしているわけですから、出演者の方々に対してはその報道内容をきちっと手元に資料としてお配りして、これを討論の中でお使いいただくのは自由でございますので、どうぞこの結果をそれぞれの皆さん方が御自由にお使いくださいということにしたわけでございます。出演者の中にはそれをお使いになって御発言なさった方もいらっしゃいます。  ただ、そういうぐあいで、計画していたものを変更したということにつきましては、それがよかったかどうかということは中で私ども討論いたしまして、たとえ短い時間でも再度その世論調査について中で触れてもよかったのではないかと私は現在思っております。
  14. 山下八洲夫

    山下(八)委員 番組編成が突然変更になる、これはあり得ることだと思いますので私も深くは申し上げません。いずれにしましても、最初目的を持って世論調査をされた、その世論調査をした内容がどうこうと私は申し上げませんけれども、その内容いかんにかかわらず、時期的には消費税というのは国民皆さんも一番関心の高いときであったと思うわけです。この特別番組でとにかく発表して、そして出演者の皆様に議論をしていただく、そういう企画で当初は考えられたのが放送少し前になって変更になってきたと思うわけです。それだけに残念でならないわけです。  私はまた、何か天の声で変わっていったのではないかと危惧するわけです。ということは、今回が初めてなら私は百歩譲って今のお話を理解いたします。過去にもやはり大型間接税の問題であり、今度は消費税の問題であり、このような国民が一番知りたいことをやはり迅速に報道し、その中でまたそういう関係者皆さん議論していただく、より国民皆さんNHKに期待を持つと思うのですが、そういう方針で進まれるのがNHKではなかったのですか、いかがですか。
  15. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘のように、世論調査内容いかんによってその調査を発表するとかしないとかということは、私ども絶対いたしておりません。しかも、以前に御批判をいただいておりますので、そういう皆さん方の御批判も深く私どもの肝に銘じております。そういうことで今後とも私どもは運営していきたいというふうに思っています。  ただ、テレビの特性は、生でそのときそのときの情報をお伝えするということがテレビ報道に一番かなったやり方ではないかというふうに私どもは思っておりまして、そういうことで前日報道した内容を再度大きく取り上げるということで編集判断をしたということでございまして、その点についてまた御批判をいただいておるということも私どもは肝に銘じながら今後とも運営してまいりたいというふうに思っております。
  16. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ここで行ったり来たりしてはもったいないですから、これを保留しながら、もう一点同じようなことでお尋ねします。  これは平成一年の十二月十五日の新聞記事ですが、当時郵政大臣NHK出身大石千八代議士でございます。新聞には、大臣就任を祝うテレホンカードをたくさん配られた、公職選挙法違反疑いがある、違反とは申し上げませんけれども、そういうようなことでかなり大々的に新聞にはこュースとして発表されたわけです。NHKでこれは迅速に発表されましたか。
  17. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘の毎日新聞報道された件でございますけれどもNHKとしましても独自にその件について取材をいたしました。しかし公職選挙法違反というような内容ではないということで、私どもとしてはニュースにしなかったわけでございます。それは監督官庁への配慮とか、あるいは身内意識とかそんなことは全くありません。
  18. 山下八洲夫

    山下(八)委員 では、今日まである程度疑いのあるような報道をしたこともございませんか。
  19. 遠藤利男

    遠藤参考人 私どもとしては、放送法規定されております政治的に公平で中立である、それから報道としましては正確である、そういうことを旨として運営しております。そういう中で編集判断をさせていただいて報道しておるというのが私ども姿勢でございます。
  20. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私はなぜこの二点についてお尋ねいたしたかといいますと、いずれにしましても本当に中立で公平に今日のNHK報道しておるのだろうか、また報道いたしている、私はぜひそのように申し上げたいのです。だが国民の多くの皆さんも疑問を持つ方がいらっしゃるわけです。やはりそれをしっかりと晴らしていく、この責任が、私はNHKには一番大切な事柄ではないかと思うわけです。ですからお尋ねしているわけでございますが、このような疑問が国民皆さんに持たれないような報道体制で取り組んでいただきたいと思うわけです。そうしないと、それこそ受信料の徴収のなかなか難しい関係皆さんも、疑問を持てば持つほど財布の口がどうしてもかたくなるわけでございますから、そういう意味から見ましても、NHKの将来に逆に不安を与えていくということになりますので、ぜひ私は、このことについては強く申し上げておきたいと思います。  報道ではございませんけれども、関連いたしまして、これは気の毒な話といえば気の毒な話かもわかりません。NHKニュースキャスター橋本大二郎さんが、兄さん選挙運動に行かれた。これも公休を使って行かれておりますから私人として行かれたと思うわけですが、このことにつきまして会長感想はいかがでございましょうか。
  21. 島桂次

    島参考人 私ども公正中立放送をしなければいかぬということは先生指摘のとおりでございます。特に、ニュースキャスターとか記者とか取材に当たる者は公共放送としてそういう立場を十分尊重しなければいかぬ、これは基本的な心構えの問題であると思っております。いやしくも国民皆さん方から疑惑を抱かれるような行動は私としては極めて残念に思っているわけでございますけれども、これは処罰するとかしないとかという以前の基本的な考え方でまことに残念であった、こう考えております。
  22. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は、残念じゃなくて橋本大二郎さんは気の毒だな、兄さん選挙運動にも行けないのか、そう思うのですよ、ある面では。今、公正中立で、それを疑われるような行動をなさった、そのことによって、会長さんの答弁では処分するとかしないの問題ではなくてただ残念である。ただ残念だけでこのような問題は終わるのですか。
  23. 島桂次

    島参考人 私どもは、処罰とか処分とかという問題は部内就業規則なりいろいろなことに基づいてやるわけでございます。私どもは、当然のことについて一々そういうことを書かなければいかぬというようなことは書いてないわけでございますし、それはもう基本的な問題としてこれはどうこうするという問題ではない。  むしろ一人一人が、我々は公共放送に携わっている者としてできるだけ、たとえ一部の方であってもいろいろ御批判を仰ぐようなことは絶対避けなければいかぬ、あくまで公正中立ということに徹しなければいかぬ。少なくとも我々はそういう厳しい任務といいますか義務がある。これはもう取材記者、キャスターとしての基本的な常識でございますから、そのようなことについて私は極めて遺憾である、残念である、こういうことを申し上げているわけでございます。
  24. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この橋本さんだけではなくて、民放でもたくさんニュースキャスターがいらっしゃるわけでございますが、それぞれ人間でございますから、自分の考えも持っておりますし自分の生き方も持っていらっしゃるわけです。そういう中で、特にNHKの場合は、公正中立報道しなくてはならない。また、ニュースキャスターとしても公正中立でブラウン管から国民皆さんにいろいろとお話をなさる。ある面では、自分の考えを正面から発表することができない、そのことによって大変つらい面もあると私は思うわけです。  そのことを考えますと、極端な言い方をすれば、ちょっと私の提案と申しますか提言になるかもわかりませんが、例えば月、水、金は思い切ってうんと保守的な人であっても、あるいはまた火、木、土については今度は革新的な考えであろうとも、どういう考えであろうともある程度公平に思い切って自分のカラーを出せる、このようなことを考えて番組編成をし、報道なさるというのも一つの方法ではないでしょうか。それも公平中立ということは言えると思うわけです。今一番難しい状況に入っておりますのは、この公平中立が、あなたは公平中立ですべて報道しなさいよ、ここに置かれているからこのような問題が起きてくるのではないかというふうに思うわけですが、その辺につきましてはいかがお考えでしょうか。
  25. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘のように、公正中立ということは非常に難しいことでございまして、このように世の中が、しかも価値観が多様化している時代にはいろいろな軸がございます。その中で私どもがいろいろな方々から公正中立と思われるような軸を、そのときそのときの世の中の中で探していくというのが私どもの現状でございます。先生の御意見は非常に貴重な御意見でございまして、そういう方法も一つはあろうかと思いますが、これからも私ども先生の御意見も研究させていただきながら公正中立報道というのはどういう道をとったら一番いいのかということを考えていきたいと思います。
  26. 山下八洲夫

    山下(八)委員 最近は、このニュースキャスターの出られる番組というのは民放の方がどっちかというと人気があるような気がするのですね。民放は、何チャンネルとは申しませんが、そのチャンネルによってはうんと保守的な考えの人がニュースキャスターをやっていらっしゃる、もう一方ではまた違った毒舌的なものもある。いろいろとありまして、それぞれの視聴者が選択して見ていらっしゃると思うわけです。ですから私は申し上げたわけでございますが、何といいましても一人の人間が公正中立を守るということは一番難しいと思いますので、だからといってその原点を崩していただきたいというのでは決してありませんけれども、その辺のことも考慮に入れながら一度検討をしていただければ、より一層またNHK番組も楽しくなるのではないかという気がいたしますので、お願いをしておきたいと思います。  そういう中で、私は今三つの問題を取り上げてお話し申し上げたわけでございますが、何といいましてもNHKにとりまして公共放送上一番大切なことは不偏であり不党であり、そして中立性という網がどうしてもかかっておりますから、その網の中でしっかりと取り組みをしていただきたいと思うわけでございます。  それでは、この問題はこの辺でおきまして、次の問題に入らせていただきたいと思うわけですが、受信料の改定問題で若干お尋ねをしておきたいと思います。  まず、受信料の値上げの理由でございますが、平成元年度の予算案が提案されましたときには百四十三億円の赤字で予算案が提出されたようでございます。それを受けましてであろうと思いますが、今回は五年間の長期計画に基づいてトータル五千四十八億円の増収を見込みまして、その初年度の平成二年度の予算案も黒字で提案してある。この中で一つ私が理解できませんのは、カラー契約が、訪問でございますと現在一カ月千七十円。それが千三百七十円の三百円アップ。衛星カラー契約、同じ三百円アップで二千円が二千三百円。目の子で見ますと、このカラー契約の上げ幅率が大体二八%から九%ぐらいになるのかな。そして衛星カラーの方が一五%ということになるわけですが、なぜ衛星カラーが一五%で今日の地上波の方が二八、九%にもなるのか、それをぜひ御説明いただきたいと思います。
  27. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生指摘のように、今回は地上放送の分の値上げをお願いいたしました。衛星放送につきましては、去年先生方にお願いしまして国会で衛星付加料金というのを設けさせていただきました。これは九百三十円でございます。現在のカラー料金、カラーで衛星をごらんになっている場合に、千七十円プラス九百三十円で二千円いただいております。今回は、衛星放送の料金につきましては去年設定したばかりでございますのでそのままでございます。ただ、地上放送も見えますので、衛星放送のつけられているカラーテレビにつきましては二千三百円でお願いする。一般のテレビの方は三百円、千三百七十円、両方とも三百円上げさせていただきました。ただ、衛星の料金につきましては去年設定したばかりでございますので、今回はそのままにするということでございます。
  28. 山下八洲夫

    山下(八)委員 衛星付加料金九百三十円の二千円は、一面では理解ができるのです。そうしますと、受信料の値上げの一つの理由としまして、どうしてもこの三百円の値上げをしないと、平成二年度から以降、NHKとしては経営が困難になってくるというのが大きな理由としてあるわけです。そのかわり値上げをいたしますから、人員を削減したりいろいろな努力をし、経費節減をしながら一方では頑張りますから、このカラーで申し上げますと、三百円の値上げをお願いしたい、簡単にいいますとそういうことだと思うのですね。衛星放送の方も同じようにまだ赤字の状態であるのですね。同じ赤字でも衛星放送の方は付加料金九百三十円だけで据え置いておく、これで国民皆さんが納得するでしょうか。今衛星放送地上波放送と比べますと、圧倒的に地上波皆さんが多いわけです。そうしますと、地上波衛星放送の付加料金までカバーをしろということでございますか。
  29. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 くどいようですがもう一回だけ説明させていただきますと、衛星付加料金、衛星をつけたテレビをごらんになっている方は地上放送も見えますので、今回は二千円を二千三百円に上げさせていただくということでございます。  それから、今先生のお尋ねの件でございますが、平成元年度から衛星料金というのを設定させていただきまして、それまでの六カ年間は、放送法に言う先導的役割ということで、地上放送の方から衛星の開発普及に当たる料金は出させていただいた。今度料金を取り始めましたので、衛星料金の会計は別にいたしました。その会計は、取り始めて平成二年度はまだ二年目でございますから、百億円余りの赤字になります。それが平成四年度くらいまでにはだんだん普及してまいりまして、単年度の収支が大体とんとんになる。平成六年度で、これは元年度から取り始めまして六年目に当たりますが、その六年度で累積の赤字を衛星の収支の区分切りの中で黒字にするという計画で懸命に頑張ってまいりたいというように考えております。
  30. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今お話しいただきましたことはNHKからいただいた資料に出ているのですよ。だけれども、現実にはこの衛星放送部分地上放送部分、これは大部分のところを地上放送に負担をさせた上で、最小限のところで衛星放送の予算の体系が組まれているというふうに私は見ているわけです。  そうしますと、いろいろな機材というのは今まであるわけでございますし、それは地上放送の方でだんだんと充実してきたわけでございまして、それを衛星放送も十分活用できるわけですから、ここからここは衛星放送ですよと割り切ることはできません。だけれども、本当に独立した採算にするのでありますと、それを内部的に自律的な感じでやはりある程度の経費というのは見るのが当然だと思うのです。それを見ないでやっていらっしゃるわけですね。ですから、今衛星放送というのは地上波放送におんぶにだっこで、何とか最小限の経費だけを見まして、平成六年に黒字にしていくということで組み立てられているのではないのですか。そうじゃございませんか。     〔委員長退席、前田(武)委員長代理着席〕
  31. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先ほど申し上げましたように、五十九年度から六十三年度につきましては、この五年間を合わせまして合計六百四十八億円というものは、放送法による先行的な開発投資ということで出させていただきました。これは確かに先生の御指摘のとおりでございます。平成元年度からは、そういう御指摘議論の中でございましたので、衛星収支については区分しております。平成元年度につきましては二百五十八億円をかけておりますが、そのうち番組制作の経費は百四十四億円でありまして、その他施設運用経費、これは管制委託料、衛星放送衛星機構に払う費用でございます。それから寿命保険でありますとか人件費でありますとかそういうものも含めたものが二百五十八億円でありますけれども、こういうものについては今度は区分した経理でやっております。  ただ、先生がおっしゃいますように、若干の共通経費、例えば本社を借りております、事務所を借りております、それから役員も共用でございます。それから、例えば衛星に向かって打ち出す送信機、こういうものはこっち側でございますけれども、電気・ガス代は本社経費でございます。こういうものについては共通の部分があります。  ですから、あとの区分経理につきましては主に銀行ローン、これは十年でやっておりますけれども、そういうもので借りながら返していく、大体年利六%ぐらいの銀行ローンでございますが、そういうものを借りながらきちっと区分して本体の方に影響を与えないようにする。しかし赤字であることは間違いありませんけれども、三年くらいは赤字で御勘弁いただきますが、総体としての収支の中でも衛星が重荷にならないように我々一生懸命経営努力して頑張ってまいりたいということでございます。
  32. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は、今回のこの受信料の改定につきまして、とにかく衛星放送はより一層受信契約をふやして、同時に市場を拡大していこうというのが考えにありまして、そして将来はできれば地上波より衛星放送へ切りかえていくんだ、この準備に入られたなと考えるわけなのです。  私は冒頭申し上げましたときに、衛星放送の将来につきまして若干お尋ねをさせていただいたわけでございます。私が今一番心配しておりますのは、何といいましても地上波テレビ放送がまたラジオ並みになっていくのじゃないかという心配を一方ではするわけです。と申しますのは、この料金体系が別々になっていないのですね。要するに、衛星放送受信ができる設備を持っていますが、NHK地上波放送は私は見ませんよ、だから衛星放送だけの契約をさせてください、これは不可能なんですね。だけれども、もう一方、衛星放送を持っていない受像機でございますとカラーテレビ放送だけの受信料でいいわけです。  ですから、将来はだんだんと衛星放送へ切りかえていく、これは受信料の料金体系にはっきりとあらわれているのではないか。今、ある程度の共通部分は別にしまして独立採算制にするのであれば、カラーテレビは例えば一カ月千七十円ですよ、衛星カラーは例えば二千円ですよ、両方契約したい方は、ちょっと割り引きまして、仮に二千五百円ですよ、そういう料金体系にはならないのですか。そうしますと独立した受信料の料金体系になってくると思うのです。そうしますと、私は衛星の方しか契約しませんよということも選択できると思うのですが、そういう考えはございませんか。
  33. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生の御指摘ももっともな点もございますが、現在の私ども受信料に対する考え方は、トータルなものとしてNHKが供給するものを受信していただく、そういう設備をお持ちの方に料額を負担していただくという考え方でございます。今度の衛星料金の設定に当たりましては、これはあくまでも私ども地上放送をメーンとしまして、それに付加する格好でこの衛星料金を設定しておるわけでございます。したがいまして、先ほど尾畑理事の方から御説明申し上げましたように、衛星そのものだけでしたらかなり金額も高くなりますし、また衛星を見ている人だけということになりますと、その料金の性格が、今の受信料制度の従来の考え方からいいますNHK経営を支える負担という格好ではなくて、対価的な性格がより強くなってくるだろうというような疑義もございますので、そういう中で、当面は基本料金に付加する格好の料額ということでお願いしたわけでございます。
  34. 山下八洲夫

    山下(八)委員 基本料金に付加されているのではないんですよ。カラーであればカラー契約に対して付加がされているのでありまして、基本料金に付加がされておるのではないですよ。そこを間違わないでいただきたいと思うのです。  と申しますのは、なぜ衛星放送に取り組み始めたか、これは難視解消がスタートだったと思うわけです。もう時間がないですからちょっと先に触れておきたいと思いますが、難視解消であれば、少なくとも衛星放送二チャンネルのうち一チャンネルはせめて地上波と同じ総合テレビの第一チャンネルと同じ放送をすべきだと思うわけです。だけれども現実には、かなり地上波総合テレビ放送もなさっていますけれども、そうでない部分がたくさんあるわけですね。せめて地上波番組と一緒ですぐわかるという状況をつくり出していけば難視解消になるわけですが、本当に難視解消のために衛星放送をやっていらっしゃるんだろうかと大きな疑問を持っています。  また同時に、難視解消地域に対しまして、衛星放送だけではできないという大変足腰の弱い面を持っている部分もありますね。特に地方ローカルだと大変なことになってくるわけです。ですから難視解消をうたいながら、だんだんと、あのNHKのコマーシャルを見ましてもわかるわけでございますけれども、きのうも意見が出ておりましたが、もう番組の切りかわる間、すべてと言っていいほど、ほとんど衛星放送のコマーシャルであるわけですね。地上波放送のコマーシャルより圧倒的に多いのですよ。ですから私は疑問を持っているわけです。本当に難視解消のためにやられるのか、そうじゃなくて衛星放送へ将来いくのだということでやっていらっしゃるのか、その辺を明確にお尋ねしておきたいと思うのです。
  35. 島桂次

    島参考人 私どもは、地上波から将来衛星放送NHKの重点を置くという考え方はとっておりません。私どもはまず地上波拡充させ、同時に衛星放送拡充していくという考え方をとっているわけでございます。  こうなりますと、例えばテレビで四チャンネルを持つということが、仮に衛星放送が一千万とか二千万と普及した場合、一体日本の社会の中でNHK公共放送としてのあり方が巨大過ぎやしないかというようなことはきのうの各先生方の御意見の中にもいろいろありましたので、いずれ将来はその時点で考えなければいかぬ。しかし、この五カ年計画の中では、当面地上波を主体にして衛星の普及発展を図っていく、五年ぐらいたってある程度の衛星放送の見通しがたった段階で、また再検討しなければいかぬ、こういうふうに考えているわけでございます。  料金体系上の問題からいろいろ先生の御質問もありましたし、難視解消の側面からのいろいろの御意見もございましたけれども難視解消、これは当然衛星放送を開発した当時からそういう流れで来たわけでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、二、三百万世帯難視解消地帯であったという十数年前から、地上波の難視地域がどんどん縮小してきているわけですね。しかし、縮小して十万以下くらいになっていても、これは必要最小限度の総合教育総合して、その中でやはりどうしても見てもらわなければいかぬ番組、そういうものはやはり衛星第二チャンネルの中で放送しておりますし、いろいろそういうものを総合的に勘案しますと、私どもの今の衛星第二チャンネルでやっております難視解消がやはり最も妥当なところではないか、こう判断して衛星第二チャンネルでの難視解消編成をやっておるわけでございます。  今、先生の御意見を聞きますと、それでは足りぬ、もっと第二チャンネル全体を難視解消のために使えという御意見でございますけれども、それらもいろいろ参考にしながらやっていきたいと思っておりますけれども、当面は現在やっておる衛星放送の中での第二チャンネルを中心とする地上波総合教育番組を取り上げる程度でいいのではないかというふうに判断しているわけでございます。
  36. 山下八洲夫

    山下(八)委員 番組には人によって好き嫌いがありますからあれこれ言えませんが、私、この衛星放送放送内容を見てまいりますと、随分むだもしているなという気もするのです。朝の九時から、相撲のシーズンでは相撲放送が行われるのですね。第一で九時くらいからやっていますと、第二ですか、そちらの方へ今度は三時くらいからかわっていっている。そのことを考えますと、難視地域の皆さんのことを念頭に置いてスタートしたのなら、やはりそれを原点に一つは守っていただく。だから、地上波衛星放送と仮に一チャンネルは全く同じだったとしましても、逆にいいますと、地上波より衛星の方がきれいに映るのですから、じゃそちらで見ようか、地上波をやめて見ようかという人もあると私は思うのです。  それと同時に、皆さんの御意見を聞いていますと、衛星放送衛星というのは随分不安定な部分を持っているわけでございますし、そのようなことを考えたりしますと、なお一層一つのチャンネルくらいは同じもので放送をしていく、これがやはり一番正しい方向ではないか。二チャンネル持っているのですからね。一チャンネルではないのですから、あとのもう一チャンネルの方を二十四時間しっかりといろいろな番組企画をして放送していただくのも結構だと思うのです。しかし、現実には難視の皆さんお話を聞きますと、あの衛星放送内容を喜んで納得しているとばかりとも言えないと思うわけです。ですから、私はあえて申しているわけでございますが、その辺につきまして、もう一度御答弁いただけませんか。     〔前田(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 島桂次

    島参考人 貴重な御意見でございますので、聴視者の意向、その他を勘案しながらこれから検討させていただきたいと思います。
  38. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がなくなりましたので、ちょっと要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思うわけでございます。  冒頭、私は、この平成二年度からの五年間の長期計画ではなくて、それ以上に衛星放送中心としたかなりの長期展望がもう進められていると考えております。そういう中で、会長さんからも一定の御答弁はいただきました。しかし、現実にまだまだ今の衛星放送への取り組みの情熱から見てまいりますと不十分でございます。この五年間の長期計画につきましても、この下敷きになっておりますのは、私の目で読みますと、この下側に衛星放送の問題がすべて隠れているような気がするわけでございます。それだけに、次の機会がございましたらぜひもっと長いスパンの長期展望を報告していただけますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  39. 上草義輝

    上草委員長 次に、秋葉忠利君。
  40. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 まず、今、山下委員の取り上げておられました難視聴対策について御質問を申し上げたいと思います。  今の答弁の中で、島会長だったと思いますが、地上では見られないソフトの開発、これが衛星放送にとって非常に大事だということをおっしゃいました。そうかもしれませんが、しかしそれは本来の衛星放送目的に反するのではないか、それが山下委員の疑問でもありました。私も同じことを再び質問したいと思います。  放送衛星機構法ができた時点において、あるいはNHK衛星放送が始まった時点においては、難視聴対策がその主目的でありました。その灘視聴対策というものを具体的にそのときの言葉で言えば、そのときの私たち一般的に理解した言葉で表現すれば、それは地上波で見られる番組をそのまま衛星放送を使って見られるということでした。今おっしゃった、地上では見られないソフトの開発ということはまさにそれを一〇〇%否定しているわけです。しかしながら、現在の機構法の中にもこの主目的、本来の衛星放送目的ははっきりと残っております。さらに、これまでのNHKの答弁、それから郵政省の答弁あるいは見解にしても、難視聴対策ということが非常に大きく取り上げられています。この点について、なぜそれに矛盾するような発言をされたのか、見解をお聞きしたいと思います。
  41. 島桂次

    島参考人 先ほども答弁したように、この衛星放送が十数年前から研究開発をし今日に至っている、それまでの間これが難視聴解消のためということで来たことは事実でございます。ただ、十数年前の客観情勢と今の客観情勢、特に難視聴地域、難視聴世帯というものが大幅に減ってきているわけでございます。そういう中で、やはり我々はこの衛星放送、これはニューメディアの一つの大きな新しいメディアとしてこれが全世界にいろいろこれから普及発展している段階でございます。そういうことを総合的に勘案しますと、やはりテレビの、放送番組の可能性というものは、これから情報化社会、ニューメディア時代の中ではどんどんチャンネルの数がふえていくわけでございます。今までの地上波とは別ないろいろの放送がもう既に全世界で始まっております。  例えば、アメリカのCNNはニュースだけを二十四時間流している、そういう専門波がいろいろの形で全世界的にこれから発展普及していくわけでございます。そういった新しいニューメディア時代、情報化社会の先導的な役割、これはもうハード、ソフトともに公共放送として我々も考えなければいかぬという側面があるということは先生ある程度御理解できると思うのです。それと難視聴世帯の現状との調和点がどこにあるかということが、衛星放送につきましても時代の推移とともに今日的な課題に変わってきているんじゃないか。その調和点が今私どもが現実にやっております衛星放送の中での難視聴対策的な意味合いでの番組、その比重が少な過ぎやしないかという先ほどの御意見もございましたけれども、私はその両方を勘案しまして、NHKとしましては今の形で十分ではないか、こう考えているわけでございます。
  42. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 まず一つお願いがあるのですが、私たち社会党の新人議員でつくっている九〇会では、国会の中で議員を呼び合うのに先生と呼ばない、呼ばせないという運動をやっております。私も前職は大学の教師ですから学生には先生と呼ばれて不思議はないのですが、ここでは逓信委員として質問しておりますので、できれば先生という呼び方は避けていただきたいと思います。  質問の方に返ります。  今おっしゃった理由、いろいろ勘案してとおっしゃいましたけれども一つは、これから世界の趨勢がこう移るということで現状の話ではございません。確かにCNN、ございます。アメリカで長い間見ておりましたし、CNNの日本の放送のキャスターもやっておりますからよく存じておりますが、しかしながら現在の日本の難視聴地域では、そういったものも含めて何も見えないというのが現実です。それを問題にして、それが非常に重要であるという認識があったからこそ、放送衛星機構法の一部を改正して基金をつくって、受信装置の購入に当たって補助金を出すということまでやったわけです。その重要性が昨日の委員会でも確かに認められたわけでありますけれども、その難視聴地域あるいは世帯が少なくなった理由という具体的な理由一つだけを挙げられまして、ほかの理由はほとんど抽象的で私にはよくわからない理由なんですけれども、少ないけれども重要だと私たちが認めたその難視聴対策をあえて切り捨てて、現行のままで番組内容は変えないというのは少々理解に苦しむところなんです。  特に一点だけ申し上げますと、その中でも、昨日の郵政省のお答えの中にありましたのは、放送というのは非常に大事である、それがなぜ大事であるかというと、即時性それから同時性ということが大切である。さらに、これは私の解釈も含めてですが、その特性を最もよく生かし、さらに、過疎地に住む人たちに対して最も利益のある番組内容は何かと言えば、それは定期的な報道番組である。であるにもかかわらず、現在の衛星第二チャンネルにおいては、例えば伝統的な日本舞踊の番組は確かにある、大相撲の番組もある、しかしながら定期的な夕刻のニュースが流れていない。朝のニュース番組も六時台に短いものがあって、あとはニュースバラエティーといいますか、ニュースかあるいは娯楽番組か一見わからない、あるいはそれについての意見があるような番組もあるけれども、純粋のニュース番組が少な過ぎるということを申し上げました。これはまさに羊頭狗肉ではないかと私は考えております。それについての見解を伺いたいと思います。
  43. 遠藤利男

    遠藤参考人 御指摘のように、テレビ放送の中でニュース報道というのが非常に重要であり、国民生活の上で、いろいろな判断をする上で大切な時間であるというふうに私どもも認識しております。  衛星第二放送での難視聴解消のための放送として、私どもは、地上放送の主要なニュース、例えば朝のNHKモーニングワイド、それから正午のニュース、それから夜七時のニュース、それからNHKニュース・トゥデー、現在までニュース・トゥデーですが、四月からは変わりますが、そういう主要なニュースをきちっと編成してその御要望にこたえたいというふうに思っております。またさらに気象情報等について、小笠原あるいは大東島等にとっては気象情報も非常に重要でございます。これについても御要望がございまして、できるだけ早くあの地域に気象情報を送れるような仕組みをつくりまして、これは衛星第二だけではなくて第一放送も使いまして気象情報を時々刻々お伝えするようにしております。また当然のように、緊急報道等々ありましたときには、これは衛星第一、第二を問わず放送を中断して緊急の報道をお伝えするというシステムになっております。それも怠りないようにしているつもりでございます。
  44. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 確認なんですが、今の重要なニュース編成して衛星第二で送るというのはこれからの方針ですか、あるいは現在もう既に実行されているということなんでしょうか。
  45. 遠藤利男

    遠藤参考人 現在もそういう方針で実施しております。ただ、ニュース・トゥデーの夜九時からの時間がございますが、この時間につきましては特集番組等々で変更になる場合が時にございます。そのときには衛星第一放送でそのニュース・トゥデーをきちっと伝えるということで、そういうニュース変更につきましては、特に離島の方々には電話できちっと連絡をして、こういうふうに変更になりますのでよろしくお願いしますという御連絡を申し上げております。
  46. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。それについてともかく何らかの形でニュースが流れているということだったので安心いたしました。  ただし、それについて私が意見を申し上げたのは、「グラフNHK」という刊行物に載っているNHK衛星放送番組表をもとにして私は意見を申し上げました。そこには今おっしゃったような編成されたニュースが流れるという情報は全く出ておりません。NHKが出版している番組案内が今おっしゃったような非常に重要な問題に関して誤りがある、あるいは意図的なごまかしがあるかもしれませんが、そういったところは非常に大きな問題ではないかというふうに思います。  それから、ここでもう一つ私が申し上げたいのは、確かに編成されたニュースは大切かもしれませんけれども、それは先日の答弁の中に出てきたと思いますが、同時性それから即時性、さらに放送についての一斉性という言葉があるわけですが、それに少し反するところがあるんではないか、一斉に同じものを見る、その一斉というのは地上波と同じものという意味に私は理解しておりますけれども、それに少し反するところがあるんではないかというふうに思います。  それともう一点、それに関連してなんですけれども衛星放送についてさらに、これは一般的な不満だと思いますが、地上波において衛星放送についての番組宣伝が多過ぎる、民放でさえある程度自己規制を行っているのに、NHKともあろうものがもう少し節度のある番組宣伝を行ったらどうかという意見が非常に多いように思います。その点についてどうお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  47. 遠藤利男

    遠藤参考人 御指摘の点でございますが、衛星放送の本格放送を初め、あるいは有料化ということを控えまして衛星放送について御理解をいただくというために、従来よりも増して番組について御理解いただくための時間をたくさん設けたことは確かでございます。  一方で、衛星放送の受像機をお買いになった方々から、衛星放送内容がいつ何時からどういうことが行われるかよくわからない、現在は新聞番組予告というのも充実してまいりましたけれども、まだまだ足りない、新聞を見ただけでは何がどう行われるのかよくわからない、NHK放送の中でもっときちっとやってほしいという御要望もたくさんいただきました。そういう御要望にものっとりましてその時間をふやしたのは確かでございます。  現在、私ども番組についてのそういう意味での告知というのは、一つには地上放送についての番組の紹介、それからもう一つには衛星放送についての番組の紹介、それからもう一つには経営内容あるいは受信料の納めていただき方等々についての御案内というようなことをさせていただいております。これも新聞等のいろいろな番組の周知のメディアが充実してまいるに従いまして、私ども衛星放送についての番組内容のお知らせの量というものを考えて適切な量にしていきたいというように思っております。
  48. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それについてはわかりましたが、番組内容が正確に伝わるようになるという上で、私が御指摘申し上げました「グラフNHK」その他のNHK自身による出版物においても、あるいはその他のメディアによる伝達方法でも同じことですが、正確な情報をお伝えいただくよう御努力をお願いしたいと思います。  次に、受信料の値上げについて幾つか質問したいと思います。  まず第一点ですが、受信料値上げをそもそも行うかどうか、行うということを決定した場合に値上げ分は幾らになるのか、その決定のプロセス。一体だれがこれを発議して、どのような人が賛成して、どんな意見を聞いた上で最終的にだれが決めるのか、このプロセスが一般受信者にはよく理解できておりません。私にもよくわからないところがあります。外から決定のプロセスができるだけはっきりわかるように簡単に御説明いただきたいと思います。
  49. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 去年でございますが、昭和五十九年度から六十一年に至る三年間で経営計画というものが切れまして、NHKの財政は極めて逼迫、財政は極端に窮乏してまいりました。そうした中で一番深刻に考えておるのは私ども職員でございます。去年の五月ごろ、一万五千人の全員に討議させまして、これからのNHKをどうするのか、どういう経営計画をつくったらいいのかということを全員参加させまして論議させました。  それが大体数カ月で終わったころの段階で、七月に長期計画審議会というものをつくりました。これは外部の学界、経済界、労働界、それから主婦連、生協などの消費者団体、それから地方の代表、各界を網羅する十八人の先生方でございます。この先生方に七月からNHKの将来計画について議論していただきました。将来計画といいましてもどのぐらいのスパンがいいかということでございますが、これは、NHKの元年度予算を承認していただきました際の国会の附帯決議に、できるだけ長期計画をつくってNHK方針をきっちりさせなさいという指示を受けましたので、長期というのは何かということを先生方にやっていただきました。  七年案、五年案というのがございました。七年というのは、委員御案内のとおり、我々のメディアというのはこの十年で一変しております。七年先を見通すのはなかなか困難であるので、ぎりぎり見通せる長期計画というのは五年程度ではないだろうかということで、五年計画というのが至当であろうという議論になりまして、五年間で公共放送が、こういう多メディア化、多チャンネル化の中でどういう事業展開をしてどういう方向にいったらいいのかということを御審議いただきました。途中、小委員会に切りかえましてかなり濃密な議論をいただきまして、二月二十三日に会長に対して答申をいただきました。  この答申を受けまして、この答申の内容に沿いまして私どもでやるべき事業、それに伴う費用というものを大至急つくったわけでございます。もちろん受信料をいただくわけでありますから、一つは節約、一つは増収ということをぎりぎり見ながら、やるべき事業の展開、これとこれとこれとは最低限やらなきゃいかぬだろうということを詰めまして、まとめたものを郵政大臣に提案した、こういうプロセスでございます。
  50. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 最終的に三百円という現在提案されている値上げの金額が決まるに当たって、国会の中で自民党の逓信部会と相談をして三百円という現在の数字が決まったという報道がありました。社会党の逓信部会には相談がなかったと私は理解しております。第一点は、この報道が正しいものかどうか。正しいのであれば、なぜ中立そして不偏不党を掲げるNHKが、非常に重要な問題である受信料値上げに関して、衆議院では多数党である自民党だけに相談をしてそれ以外の例えば国民の代表である会派に相談をしなかったのか、伺いたいと思います。
  51. 島桂次

    島参考人 先ほど尾畑理事が説明したような経緯をたどりまして幾つかの案がNHK部内でできたことは事実でございまして、三通りぐらいの案があったと思います。私は私の責任で、現在御審議願っているこの値上げ案を一応決めまして、それを郵政大臣のもとに出しました。郵政大臣からは、いろいろの御注文、御注意がございました。いずれにしても、本委員会での郵政大臣の御説明にあったような事項をつけて、それを私は最終案といたしまして、その最終案を自民、社会、その他政党ごとにいろいろ御説明申し上げ、御理解いただいたわけでございまして、料金が幾らということについて私は自民党の議員と具体的に相談したことは一度もございません。
  52. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうすると、自民党の部会と相談をした、そしてその結果三百円という数字が決まったという新聞報道は誤りだと思いますが、当然それをごらんになっていると思います。手元にその新聞がございませんので具体的にお見せするわけにはいきませんが、その新聞報道に対して、これまで抗議なりあるいは何らかの意思表示をなさったのでしょうか。これからその意思がおありでしょうか。
  53. 島桂次

    島参考人 本委員会におきましても新聞記事その他をもとにされた発言が随分ございますけれども、その中には正確なものもございますけれども正確ではないものもございます。正確でないものを一々全部当該新聞社に抗議申し上げているかというと、抗議しない場合もあります、抗議する場合もございます。例えば、世論調査をある週刊誌が、選挙の当落の予想、ああいうものを出したときには、私は社長に対して厳重抗議を申し上げております。全部やっておるわけではございませんけれども、必要なものについては、間違った報道をされた場合には各新聞社に抗議いたしております。
  54. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私は今回の場合についてお伺いしたので、今回の場合はいかがなのでしょうか。
  55. 島桂次

    島参考人 私の記憶にある限り、新聞報道はあくまで予測報道でございまして、と見られるとかというような、我々のニュースの場合も使うわけでございますけれども、ある程度のそういう形であったように思いますので、今回の件につきましては当該新聞社に対して抗議は申し上げておりません。
  56. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のお答えの含むところは、この件に関しては今後も新聞記事を検討した上で不正確であれば抗議をする意思があるのかどうか不明確ですが、一応意思はないというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  57. 島桂次

    島参考人 もう一度そういった各新聞報道を読んで、表現その他いろいろ検討させていただきます。
  58. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 この件に関してということは恐らく、今後例えば新聞報道に、仮に、それが事実であるかどうかそれは問題にしないとして、社会党の部会とはNHKは相談したけれども、その結果何か具体的に決まったというような報道があった場合、それが事実と反する場合に、一応それについても迅速な抗議はしないという一つの基準を今お述べになったというふうに私は解釈いたします。  値上げについてもう一つ伺いたいのですけれども、具体的に受信者の意見をどの範囲で受信料値上げの際聴取し、それを最終的な値上げ案の中に盛り込んだのか、具体的な数、できればそれを含めてお答えいただきたいと思います。
  59. 島桂次

    島参考人 私ども、東京を初め全国各地に視聴会議というものを設けております。これはNHK全般の問題について一応視聴者の代表として、月に一遍あるいは二カ月に一遍必要に応じて開いております。そういう会議で実はNHKの財政の困難な事情をいろいろお話ししまして、どうしたらいいかというような意見を全国各地で聞いております。  それから、もう一つ視聴者懇談会というものもあります。これは主として営業関係中心にやっている会議でございます。これは年間に大体延べ二千回程度、全国各地で延べにしましてそれぐらいの範囲でいろいろ視聴者の意見をお伺いしたわけでございます。
  60. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 視聴会議、それから視聴者懇談会、懇談会の方は二千回と今おっしゃいましたが、一回の会議に出てくる人の数が多くても百人といたしますと、約二十万ぐらいの人の意見を聴取したというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  61. 島桂次

    島参考人 視聴会議の方は、これも大体延べでございますけれども、全国各地で百六十回やっておりまして、私は全部確認しておりませんが、東京の場合は私出ておりますけれども、東京の場合でいいますと、大体一回の出席は二十人から三十人ぐらい、それから、懇談会の方もほぼ大体似たような数であったと思っております。
  62. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうすると数は、大まかに言って数万の単位の視聴者の意見が反映されているというふうに考えてよろしいでしょうか。その内容については後回しにしたいと思います。  実は、昨日の受信料不払い者の内訳の中に、番組がおもしろくないからという理由で受信料を払わない人がおよそ三十四万人いるということでした。その三十四万人すべては無理にしても、その人たちのうち何人かの意見はこの受信料値上げについてお聞きになったのでしょうか。
  63. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お尋ねの件にお答えいたします。  NHK番組なり制度に対して不満で私はNHKを見ていないということで、受信料支払いが滞っている方が三十四万人おることは事実でございます。これは六十三年度の実績でございます。こういう方たちに対しましては、これは何回ということではなくて、機会あるごとにそれぞれの放送局で私ども関係者がお訪ねいたしまして、NHKの性格なり番組なり、それから今置かれている財政事情などをその都度お話しして、ともかく理解を求めるということでございまして、具体的に例えば今回料金値上げをするからということで特別の対応をするということではございません。
  64. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 いろいろな案を考える際に、自分の考えていることが絶対的だという非常に大きな前提がない限り、できるだけ幅広く、自分の考え方とは違った考え方を持つ人あるいは団体なり、さまざまな形態を持ったそういう意見を聞くということが非常に大切だというふうに思います。それがある意味で民主主義の原則でもあり、自由競争社会の原則でもあると思いますけれども、この三十四万人という受信料不払い者、この人たちは明らかに現在のNHK方針批判的な人たちだというふうに理解していいと思います。  その人たちに自分の考えていることを率直に説明した上で批判をしてもらう、そういったことによって自分たちの考えている、現在の場合には受信料値上げの問題についてその論点を明確にし、全国民に対する説得力を増すような方向受信料値上げを考えていく、あるいはその全体の枠組みを考えていくということができると思います。そういう絶好のチャンスがあったような気がするのですが、なぜこの三十四万人のうちの一人にも受信料値上げについての意見を聞かなかったのか、その辺を伺いたいと思います。
  65. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 具体的に今回三百円値上げするというような格好でのお尋ねはいたしておりません。私どもとしてはこういう人たちに対しましては、NHKのいわゆる存在というものは、公平負担、皆さん方に負担していただく、そういうことで成り立っておるのだ、少しでもこういうようなNHK受信料制度に対してこれを否定されるようなことになりますと、NHKの存亡にもかかわります、あるいは公共放送の使命が全うされませんし、公平負担という意味からもぜひNHKのありようについて御理解いただきたい。あるいは、皆さん方がお払いいただかないために経費もかさむし、こうやって何回もお訪ねしてそれだけまた必要な経費もかさむ、それがひいてはNHKの財政についてもいろいろな影響を及ぼすのです、そういうような事情になりますとやはり料額改定というようなことも避けられなくなるということで、お願いはいたします。  しかし、料額そのものについては国会の御審議の中で決めるということになっておりますもので、当然今回の改定が御承認いただければ遅滞なく直ちに、こういう方たちを含めまして、我々営業部門としては御理解を求める運動を展開するというように準備をしておるところであります。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
  66. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今、決まった後で理解を得るために行動を開始するとおっしゃいましたが、順序が逆なんじゃないでしょうか。つまり、受信料を値上げされることで一番影響を受けるのは受信者です。もちろん、その受信料を使って事業をするNHK側にも影響はありますけれども、払うのは受信者です。その払う主体である受信者の理解を得ずに、それが決定された後で理解を求めるというのは、受信者の存在そのものに対する非常に偏ったといいますか根本的に逆さまの御理解をなさっているのではないか、そういう気がするのですけれども、なぜ受信者にまず理解を得た上で、理解があるから値上げを決定するのだという方向でお考えにならないのでしょうか。
  67. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生指摘のとおりで、私が申し上げましたのは、具体的な料額について御理解を求めるということは決定された後でなければし得ないだろうというふうに考えております。  ただ、NHKの財政が非常に苦しいということ、そのために私どもとしては料額改定が必要だということは、先ほど来会長が述べておりますように、視聴会議あるいは視聴者懇談会、視聴者懇談会というのはいろいろな地域に営業が行ったときにその地域の方たちに集まってもらってやっていただくので、特定の個人ということではございません、そういう意味でいえば広く一般に言う視聴者だというように考えておりますが、そういうやり方をしておりますし、それから御指摘のいわゆるNHKの制度あるいは番組がおもしろくないということで支払いを意識的に滞っている方たちに対しては、こういうときだけお話を申し上げてもなかなか御理解いただけないので、日常的に接触して御理解を求めるように努力しておるということを申し上げたわけであります。
  68. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 日常的な理解の部分は何回も伺いました。私が問題にしているのは、この三百円という受信料値上げ幅についてであります。その三百円が決定されない限り理解を求めることはできないとおっしゃいましたけれども、現に三百円という案が出てきているわけです。その案を出す段階で三百円ではなくてもいいという意見があるかもしれません。二百五十円だったら払う、三十四万人の中の三十万人が百円の値上げだったら払うよ、あるいは受信料を百円下げれば払うという意見が出てくるかもしれません。その理由を聞くことによって、NHK経営に対する、あるいは番組改善に対する非常に貴重な示唆が得られるかもしれない、そういったことを私はここで提案しているので、三百円というのが決まった後でなければ理解を求めることができないという態度は非常におかしいと思うのですけれども、御自分でもそうお思いになりませんか。
  69. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 国会で御審議いただく段階になりますれば、当然料額の幅については私どもは機会あるごとにこれから理解を求めていかなければならないと思っておりますが、料額を改めざるを得ないという苦境については、これは何も決定する前にやっていけないということではなくて、むしろ決定する前にNHKの財政の苦しさというものを訴えてやっていくべきものだろうと思います。三十四万人の方たちは現在値上げする前の料額について不満で払ってないという事情でございまして、まずそこのところを御理解いただかないとなかなか次の話には行かない、テクニック的に言えばそういう問題点もあろうかと思いますが、御指摘の点につきましても十分考えてみたいと思います。
  70. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私は、例えば三十四万人というのは、そこには明らかに今回の受信料値上げに反対するであろう人たちがたくさん含まれている、そういうふうに考えて申し上げたわけですが、実はもっと広い層を考えても反対者がたくさんいるかもしれません。そういう人たちに値上げをするかどうか、仮に値上げをすることにしたら、その幅はどのくらいにするかということをまず十分伝えて、その理由は何なのか、どういうことで三百円値上げをしなくてはいけないのか、それを十分説明した上で理解を得て、その理解をもとにして受信料の値上げを行うというのが一番スムーズなやり方であるというふうに私は思います。  その線で今御質問申し上げていたわけですけれども、実は三十四万人の人だけを考えているわけではありません。非常に広い受信者の層に、例えば今行われている逓信委員会受信料値上げについてのこの質疑応答をそれこそ衛星放送を使って、地上波放送をこのことにすべて使うには委員会の数が多過ぎますし時間も長過ぎるかもしれませんけれども衛星放送の特性を生かしてこういう中継を行うことによって受信者に広く受信料の値上げについての理解を求めるということが可能だと私は思います。恐らくNHK側としては、三百円という数字をきちんと算定された上で、きちんとした根拠があってお出しになっているはずですから、その自信のある提案側から考えれば理解を得るに非常にいい機会ではないか、いい方法ではないかと思うのですけれども、こういった逓信委員会の審議、特にNHK受信料値上げについては、仮に今回は無理にしても、次回値上げの際には中継を行って広く受信者の理解を求める、そういった方法をとるお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  71. 島桂次

    島参考人 この委員会につきましては現にNHKテレビが入っておりますけれども、これはいずれ編集して、できるだけ早い時期に出したいと思っておりますけれども、ただいまの御提案、十分これから検討させていただきたいと思っております。
  72. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今の点に関してもう一つ申し上げますと、編集して後で放映するということでしたけれども、確かに全然ないよりはその方が価値があると思いますが、受信料を値上げするかどうか、もうきょう、あすじゅうに決まるかもしれません。そういう非常に切迫した状況にある問題を、受信料値上げが仮に決まった後、決まってしまってからこういう議論があったんだよということを受信者が見せられても、ほとんど価値がありません。  衛星放送に関してのお答えの中で同時性ということが強調されたと思いますが、まさにその同時性を放棄して、そして後で編集した番組を見せても一番大事なところが伝わらない、そういう危惧があるのです。例えば委員会、これは逓信委員会だけでなくても結構ですけれども、特に国民に広く関心のある問題について国会の中で論議が行われる場合に、委員会のレベルで現在よりも大幅に時間数をふやして同時中継を行う、そういった番組内容変更といいますか、今の拡充といった方向を今後お考えになる可能性はあるのでしょうか。
  73. 遠藤利男

    遠藤参考人 国会でのさまざまな御議論の中継の件でございますが、現在国会の中継は本会議、それから衆参両院の予算委員会、それから特別なさまざまな委員会ということで中継させていただいております。私ども、やはり国民生活に非常に重要な関係のある議案が議論される委員会についてはぜひ生で中継させていただいて、国民に周知したいというふうに思っております。
  74. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 国民生活に非常に重要な分野においては中継させていただきたいということでしたけれども、現在、受信料の値上げに関しては中継が行われておりません。ということは受信料値上げが国民生活に余り影響がないというふうにNHKはお考えになっていると解釈してよろしゅうございますね。
  75. 遠藤利男

    遠藤参考人 これは私ども受信料というのはかなり公共的な料金というふうに言われているわけですから、三百円の値上げということに関しましては、非常な御負担を強いるということも含めまして当然、国民生活に影響はあると思いますが、私ども、ここでの議論につきまして、今回については中継という形ではなく収録をして放送したいというふうに考えたわけでございます。先生の御意見もございますので、今後私ども、この逓信委員会のさまざまな問題の議論内容国民にお知らせする仕方につきましては、いろいろ研究してまいりたいと思っております。
  76. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 受信料の値上げについては時間があれば後でもう一度この点に戻っていきたいと思いますが、国際放送について伺いたいと思います。  国際放送について、NHK責任で行う部分と国のいわゆる命令放送部分の費用の分担という問題もありますが、具体的にその国際放送受信する人たち、これは主に外国に住んでいる人たちになると思いますが、NHK責任放送する部分と命令の放送部分、その区別をどのように明確に説明していらっしゃるのか、簡単に御説明いただきます。
  77. 遠藤利男

    遠藤参考人 国際放送につきましては、国からの、郵政大臣からの命令による命令放送、それからNHKの自主的な判断による放送とで成り立っているわけでございますが、命令放送があるという意味で国からも財政の支援をいただいております。しかし、これは混然一体となって運用させていただいておりまして、あくまで番組の編集、それから放送につきましてはNHKの自主的な判断によって行うということで行わせていただいております。番組基準も、NHKの中で番組基準をつくりまして、それによって放送するということでございます。  また、海外で緊急のことがありまして、海外在留邦人にいろいろな情報を伝えなければいけないというときにも、政府からの御要望もございますが、その御要望も受けましてNHKで自主的に判断して情報を伝えるという形で放送させていただいております。
  78. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 海外での国際放送受信者の間には、このNHKの国際放送が国営放送であるという理解がかなり広く広まっているように思います。それで、その誤解を解くためにこれまでNHKとしては具体的にどういった方策をとられてきたのか、伺いたいと思います。
  79. 遠藤利男

    遠藤参考人 ただいま御指摘いただきました件でございますけれども、私ども、海外の外国人の方々あるいは在留邦人の方々からは若干別の御意見をいただいております。  NHKの国際放送につきましては、非常に公正、中立である、例えばVOAなどの放送に比べますと国策的な放送というような形であらわれてなくて、非常に公正、中立であるという御評価をいただいていると私ども思っております。例えば、中国で天安門事件がございました。このときはVOAあるいは英国のBBCというのも非常に積極的な情報を中国に送ったわけですが、その短波放送につきましてはジャミングをかけられました。NHKの国際放送も在留邦人、また中国人に向けて情報を送りましたが、NHKの国際放送についてはジャミングをかけられないというような形で御評価をいただいているというふうに思います。  また、海外の外国人の方々からも毎年たくさんの投書をいただいておりますが、そういう意味で、私どもNHKの国際放送は公平で中立的であるという御評価が高いというふうに私どもは判断しております。
  80. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今の天安門事件について、私が直接中国人の北京大学の学生と話をした際の事情とは全く違った御意見を集められているようですけれども、確かにVOAはジャミングをかけられた、NHKはよく聞こえる。しかし、NHK放送を聞いていたのでは何が起こっているのか全くわからない、あれは日本政府の答弁と同じじゃないかという声がありました。ですから、その点を私は申し上げているのです。  それと、先ほど申し上げた誤解を解くためにというのは、誤解はかぎ括弧つきで、私がそういう誤解があるというふうに言っているのではありませんので、一点説明しておきます。実は、例えばアメリカ的な報道の基準で言えば、政府の金と、それからNHKの金とを混然一体として使っている放送局は、もうこれは国営放送であるという解釈が成り立ちます。現にアメリカのジャーナリズムにおいては、地方公共団体から補助金をもらってあるプログラムを運営しても、それは、報道機関としては、そういった公的な機関が金を出すプログラムにマスコミとして参加するわけにはいかないといったような非常に厳しい基準をとっているところもあります。  そういった基準から考えると、もう既にNHKは国営放送と言わざるを得ないところがあるわけですけれども、その中であえてNHKの自主性を守るためにもっと積極的な海外に対するPR活動が一つには必要だと思いますし、番組内容についても、例えばアメリカ的な報道観とNHKのとっておられる報道観が違うということに関して、そういった点も考えに入れた上での番組づくりが必要ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  81. 遠藤利男

    遠藤参考人 放送内容につきましては、私たちがあくまで自律的に編集権を持ちまして情報の選択あるいはその送り方ということをやっておりまして、私どもとしては御指摘のような内容放送をしているというふうには思っておりませんが、今後とも、もしも万一そういう誤解があるとすれば、その誤解を解くためのさまざまな方策を打っていきたい、放送内容充実あるいは公平性あるいは不偏不党性、そういうものも含めましてさらに放送内容を検討して充実していきたいというふうに思います。
  82. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今おっしゃった中立、不偏不党、公正その他の抽象的な言葉ですけれども、それを判断するに当たって、具体的には先ほど島会長政治に関与することについて心構えという言葉も使われましたけれども、すべてそれは頭の中にある概念です。中立とか心構えとか、そういったものをどういうふうに判断するのか。本人しか本当に自分が中立であるのかどうかはわかりません。本当に中立であるかどうかは、具体的な発言あるいは行動によって判断するしかないと私は思います。その意味で、しかも先ほどのお答えにもありましたように、現在の社会は非常に多様化しております。価値観も多様化していますし、その他のさまざまな面で多様化が進んでいる。そういったすべてのものを総合して、一人の人間の頭の中で総合した上で何らかの基準を設けて中立ということを決めるのは不可能だというふうに思います。  その不可能な中立を求めるのがマスコミの本来の姿であるべきなのか、あるいは報道にはもはや中立ということは存在しないのだという前提で、仮に中立報道ができないとすれば、次善の策として、中立ではないけれども一つの問題に対して甲論乙駁があった場合に、少なくとも賛成の意見幾つか、反対の意見幾つか、そういった相対立する意見を公正にバランスをとれた状態で報道することが実は現在の報道機関における中立の具体的な表現方法ではないかというふうにも考えられますが、NHKはどちらの中立ということを念頭に置いて実際に放送をされているのでしょうか。
  83. 島桂次

    島参考人 今先生の提起された問題、これは私に言わせると二つではなくて一つであると思っておるわけでございます。我々は客観的に何が事実であるか、一つの出来事について賛成、反対、できるだけ多様な意見を出すということは当然だと思っております。  それと同時に、本当の意味での公正、不偏性、そういう公正というものが、これは私に言わせますと、ジャーナリストとして放送人としてできるだけ多くの国民を納得させるような見識、そういうものをどこまで我々が持てるかという面がございますから、私はキャスターとかディレクターとかすべての人間に対して、放送人としてできるだけ多くの国民皆さん方に納得できるような考え方、見識をひとつ持っていただければ、多様性の賛成、反対の意見を出すと同時に、そういう一人一人の記者なりキャスターなりディレクターができるだけそういうものを心がけ、あるいはそういうことをやったことが果たしてどれだけ多くの国民の方から共感を得るかというようなところにかかっている。これは一に我々がそういう問題に懸命に取り組まなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
  84. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 実はそういった見識ということも頭の中の内容で、それを客観的に外から判断する基準がないというところを私は問題にしております。  したがって、例えば今おっしゃったようなことを制度的にどういうふうにきちんとつくっていくのか、あるいは明文化された基準としてきちんと採用すべきではないか、そういったことを私は提案したいのですが、時間がありませんのでまた機会を改めてこの問題については御意見を伺いたい、あるいはこれまでの御経験を伺いたいと思います。  もう一つ受信料の値上げに関してですけれども、例えば経営内容を合理化する、これからもますます技術発展を促してコストが下がるようにする、さまざまな費用の切り詰めの方法があると思います。しかし、私はそれ以外にも、例えば番組の質の向上を図る、もちろんこれも五カ年計画の中に出てきましたが、そういった内容を変えることによって、お金はかかるけれどもNHKのやっていることはすばらしいのだから費用を負担しよう、そういう雰囲気が自然にできてくるようなNHKの事業活動を行うということも大切ではないかというふうに思います。  その一つとして、例えば社会的な、NHKという大企業が一つの企業体として、これはマスコミである、なしにかかわらず、企業責任というのはあるわけですが、特にマスコミの非常に大きな組織として持っている社会的責任について伺いたいと思います。  NHK番組では、これまで世界的に起こっているさまざまな、例えば環境であるとか人権、それから女性の権利、平和その他、さまざまな問題について世界的にいろいろな活動が行われている。人権を守るために、あるいは環境を守るためにどういったことをどういった人たちがしているか、そういうすばらしい放送もたくさんありました。私がここで伺いたいのは、そういう放送放送として、仮にNHKが企業として自分の経営の中に取り入れられるようなアイデアがあった場合、それをどの程度実行すべきだというふうに考えていらっしゃるのか。放送放送で、確かにあれはいいアイデアだけれどもうちとは関係ない。  女性の地位向上というのは、例えばの話ですが、すばらしいお題目だから、視聴者が喜ぶから放送するけれどもNHKの中ではそういったことは一切関係ないんだというような態度をまさかおとりになってはいないと思いますが、極端な場合そうするのか、あるいはその中でもNHKで当然採用できるようなアイデアがある場合にはどんどん取り入れてきているのか、これからもそうするつもりがあるのか、その辺を伺いたいと思います。
  85. 島桂次

    島参考人 もちろん我々は、問題の指摘放送で伝えるだけではなくて、その中のいろいろ我々自身の経営の中でやらなければいかぬことは今までもやってきたつもりでございますけれども、やはりそれが十分じゃないということは私もよく認識しております。せっかくの御指摘でございますので、これから大いにそれをやっていきたいというふうに考えております。
  86. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 NHKでは、これまでに例えば環境の問題に関してさまざまな番組を放映してこられたわけですけれども、その中で森林資源の保護が大切である、そういった報道も確かにありました。  それで伺いたいのですが、NHKという非常に大きな企業が使用する紙の量、非常に膨大なものになると思いますけれども、現在NHKの中で使用する用紙のうち何%ぐらいが再生紙なんでしょうか。制度として組織的に使われているのかどうかということを伺いたいと思いますし、もしNHKの中の具体的な方針として特に再生紙を使っていないということであれば、資源保護に協力するためにNHKとしてこれから再生紙を使う用意があるのかどうか、伺いたいと思います。
  87. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 一〇%ぐらい使っております。番組でもそういう問題はこれからシリーズで平成二年度はどんどんやろうと思っておりますので、そういう趣旨に照らして、NHKの中ではさらにその趣旨をだんだん拡大していきたいというふうに思っております。特にニュースセンターなんかではペーパーレスということを徹底しつつありますので、紙の要らないやり方という設備も実行していっております。
  88. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。できるだけ再生紙の使用について御協力いただければ、あるいは例えば割りばしを使わないというような運動もありますので、そういった点でも今後とも森林資源保護のために御協力いただければありがたいと思います。  最後に、受信者の権利というと大き過ぎると思いますが、不払いのうち、番組あるいはNHK経営についておもしろくないからという理由で三十四万人が現在受信料を払っていないということですが、実は、NHK受信者としてNHK経営内容あるいは番組に対して自分の意見を言いたい、しかしながら幾ら意見を言ってもそれが番組には反映されないし、経営にも反映されない、思い余って自分の考え方、自分の意見を表明する最後の手だてとして不払いをするという人が非常に多いように私は理解しています。これを一つの制度として、三十四万人もいるし余り減らないのだから、制度として認めてしまうというのも私は一つの方法ではないかと思います。あるいは別の方法によってNHK番組内容に具体的に視聴者の意見、受信者の意見を取り入れるということも可能だと思いますけれども、今後どのような具体的な策を考えておられるのか、受信者の権利あるいは受信者の声といったものをどのように反映されようとしているのか、伺いたいと思います。
  89. 遠藤利男

    遠藤参考人 御指摘のように、受信者の方々の番組への御意見あるいは経営への御意見というのは私ども非常に大切であると思っております。受信者の皆さん方のお一人お一人の聴視料によっている公共放送としては、そこが一番大事だと思っています。その皆さんの御意見の、例えば番組へのアクセスのあり方あるいは取り入れ方というのは、ここずっといろいろな工夫をしてまいっておりますが、私どもとしてはまだまだ十分ではないというふうに認識しております。工夫の仕方、諸外国でもいろいろな例がございます。そういうことも目下研究しておりまして、御指摘のようないい方向へ私ども持っていきたいというふうに思っております。
  90. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 関連ですので、この一問で終わらせていただきます。  特に受信者の意見をNHK経営の中、さらに番組に反映させるために、例えば、現在経営委員会というのがありますが、その経営委員の中に公募あるいは抽せんによって受信者の代表を入れるお考えはおありになるでしょうか。
  91. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 現在の経営委員は地方の代表あるいは全国の代表というような形で内閣総理大臣が任命をしておるわけでございますが、公募というような形は考えたことがございません。
  92. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 現在はそうだと思いますが、今後そのような形で経営委員の中に一般受信者の声を反映させること、その可能性を検討するお考えはおありでしょうか。
  93. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 現在におきましても、選任に当たりましては教育、文化、科学、産業その他の各分野から公平に代表されることを考慮してやるようにということで放送法規定されておりまして、これにのっとりましてやっておるわけでございまして、私どもはこの方向に沿って今後ともやってまいりたいと考えております。
  94. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間がありませんのでこれで終わります。
  95. 大野功統

    ○大野(功)委員長代理 次に、遠藤和良君。
  96. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今世間では、総選挙が終わりますと値上げの春である、こういうような国民皆さんの心配があります。特に公共料金の性格を持っておりますNHK受信料の大幅な値上げ、これが筆頭になりまして、さまざまな公共料金、そして物価の上昇、こういうものが心配をされるわけでございますけれども、こういう問題、こういう中での今回のNHKの予算案の審議でございます。  郵政大臣が、この予算案につきましておおむね妥当であるという御意見を付されたわけでございますが、そのあなたの御意見が国民皆さんから、全くそのとおりであるというふうに理解をしてもらえるかどうか、これをどのように考えていらっしゃいますか、そこをまずお聞きしたいと思います。
  97. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 既に何回か申し上げておりますが、平成二年度のこの予算に関しては、外部の有識者の長期展望審議会の御提言も踏まえて、慎重に検討された経営計画を踏まえて出されたものでございます。私どもとしては、合理化とか効率化とか相当な努力はNHKはやってきた、しかし財政的な大きな赤字が解消できない、何とか乗り越えるためには今回の値上げということもやむを得ざる状況であろうか、そういうふうな理解をいたしておるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、国民の御理解と納得をいただくということは非常に大事なことでありますから、NHKが予算を提出して、私が意見を添えて国会で審議をやっていただくわけでありますが、そのときだけではなしに、やはりどんなふうに経営努力しているのか、効率化を図っているのか、NHK自身が、その持てるメディアで国民皆さんに十分理解できるような報告といいましょうか、そういうことを繰り返しやっていくことが大事である、そのことはぜひNHKは考えてほしいということをあえて会長に強く申し入れたわけでございます。
  98. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 NHKは構造的な赤字経営体質にあると私は認識しております。そして、その赤字をやはり最終的には受信料の値上げで解消する、こういうことを繰り返してきた。今回もまたそういう予算書である。これは一口に言って大変安直なやり方ではないか、このように国民は理解すると私は思います。この点について再度ちょっと大臣の見解をお願いしたいと思います。
  99. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 公共放送といわゆる民放とが共存をしているというのが現実の状態でございまして、特に公共放送に関しては放送料金で賄っていくという一つの原則があるものでありますから、相当努力は続けているのでありましょうが、今回の場合もやむを得ざる状況であった、私はそのように理解をしたわけであります。  しかし、重ねて申し上げますが、国民の皆様には、これを御理解いただき、納得していただくためには繰り返し繰り返しその努力あるいはその成果を伝えることが大事だと思っておりますので、そういう点についてはNHKも誠意を持って取り組むように今後も努力してほしいと思っております。
  100. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 この受信料というのは一体いかなるものであるかという定義をまずお聞きしたいのでございますが、この受信料というのは一般的に言って要するに税金ではない、かといって料金でもない、いわゆる公共の分担金である、こういうふうな性格があると認識しているわけでございますけれども、この考え方NHKとしては将来も堅持するということですか。
  101. 島桂次

    島参考人 これは法律によって義務づけられてなく、国民聴視者皆さん方一人一人と直接契約する、しかも罰則もない、こういう形で放送を運営する場合にはよほど国民の理解と支持がなければやっていけませんし、これは世界に冠たる制度でございますし、ほかの国でも公共放送はございますけれども、いろいろ罰則があったり、義務化したりしているわけでございます。  私どもも戦後四十年間、一生懸命やってまいりました。いろいろ私たちの体質の中には先ほど郵政大臣指摘されるようなものも現にございます。しかし、私どもがやった中には、私どものやった放送がある程度国民の支持を得ている面もあるんじゃないか、ただそれが不十分であるということはよく認識しております。ですから、質のいい番組をできるだけ視聴者の負担を軽くしてやっていくということが私の使命でございますし、先ほど先生お話にございましたように、三年ごととか五年ごとにいつも金が足りなくなれば値上げするということで、今まで慢性的な、そういう惰性的な考え方で来た面も確かにNHK職員の中にはございます。  今度私が提出しましたこの五カ年計画は、最小限度五カ年間は値上げもしませんし、それから先、新しい時代の新しい公共放送、これは御存じのようにニューメディア時代とか多メディア時代とか言われるように、いろいろ放送を取り巻く環境は非常に変わってきているわけでございます。ですから、この慢性的な今まで戦後四十年間続けてきたNHKのあり方自身も白紙に返しまして、どういう方法がいいかということはこの五カ年計画を遂行する中でいろいろ検討したい、こう考えているわけでございます。
  102. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これは質問の観点と答えが違うのですが、この公共の分担金という考え方を堅持していくのですかと聞いたのです。
  103. 島桂次

    島参考人 基本的にはこれは続けていかざるを得ないというふうに考えています。
  104. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 NHK自身が世論調査をしておりまして、NHKのこの受信料に対する国民皆さんの理解を求めていますね。その中で、いわゆる公共の分担金であるというふうに認識している人が年々減っているわけですね。五十五年は六〇%ありましたが、五十八年は五七%、今回は五三%になりました。それから、いわゆる視聴の対価として料金として払っているという認識をしている人が五二%いますね。それから、特に若い人の中には、国が予算で行うべきであるとか、まあ税金で行うということでしょうね、それから、広告収入を取って行う方がいいのではないか、こういうふうな受信料に対する考え方が出てきているわけでございますが、こうした国民の意見というものに対してNHK考え方はどのように進んでいくのか、こういうことを私は一遍確認をしておきたいと思います。
  105. 島桂次

    島参考人 私は、公共放送であるNHKと民間放送が共存している今の姿というのはやはり一番いい制度ではないだろうか、そのためには、我々はやはり今までのNHK公共放送としてのあり方を続けていくのが当然ですし、また続けなければいかぬ。  ただ、先生指摘のように、非常にニューメディア時代、多メディア時代というのはメディアの数がふえておりまして、今までNHKと民放しかない時代ですら、私は民放しか見ない、したがって金を払いたくないという方もいるわけでございます。それがさらに、今度はいろいろのチャンネルがテレビのディスプレーで見られるわけですから、今の聴視料制度を維持することがますます困難になってくるということは十分覚悟しております。それだけに、今までに倍する努力をしないとこの制度は維持できないのじゃないかという非常な危機感を全職員が持っていることも事実でございます。
  106. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それでは、平成二年度から六年度までの経営見通し、これについてお伺いしたいのでございますが、基本収支と衛星収支を合わせました総合収支、この欄で、平成六年度の収支過不足累計額がゼロとなっております。これはもちろん意図的にここをゼロにして計画をした、このように考えるわけでございますが、このゼロの意味についてお伺いしたいと思います。
  107. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 御案内のように、NHK長期計画経営計画を立てまして、過去は三年ごとにやってきたわけでありますけれども、今回は五年でお願いしております。その計画期間内の事業をやる項目を出しまして、それに必要な金額をはじき出しまして、それが五年度内にきちんと収支相償するということを基本に経営計画と財政計画をつくってきております。  そういうことで、今回は国会の指示を受けまして長期計画をつくりなさいということで五年計画をつくりまして、それに必要な公共放送としてぎりぎりの金額はこれでございますよ、その中で節約と増収はこれこれでございます、それをはじきました額が五千億円余りになりまして、それを五年間の事業展開に合わせて展開していきますと、そういう先生指摘のような表になるわけでございます。
  108. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 平成六年度の収支過不足累計額をゼロとしたということは、五年間で五千億足らないから値上げをする、単年度で一千億ずつ増収ですね。それで、平成二年度は収支過不足額が二百十四億円、三年度は百二十二億円、四年度は十七億円、これはいずれも黒字であります。五年度から今度は赤字になりまして十八億円の赤、六年度は百三十七億円の赤字、そして前年度にため込んだ分が全部六年度でなくなってしまう、こういうことですね。ということは、恐らく、今会長もおっしゃいましたが、平成六年度までは値上げはありません、しかし六年度以降、七年度にはまた値上げをします、こういうことが歴然としている見通しじゃありませんか。
  109. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 これまでの六年間も、昭和五十九年度から三カ年計画を三年間はみ出しました。その間、多メディア化の中で、しかも国際的には放送のソフトが非常に高騰する中で、一生懸命節約に努めてまいりました。それで、経費の節減はもちろんでありますけれどもいろいろなやり方を工夫してやってきたのですが、ついに財政が窮迫、その極に達したということでお願いしたわけであります。  こういう受信料で賄っている企業でございますので、私どもはこれからの経営については五年間非常に厳しくやってまいる所存であります。みずからを厳しく律する。それから、公共放送として放送の質を高め、しかも多角的に国際化という時代にこたえる。それには今までの事業の運営の仕方をいろいろ工夫して改めまして、先生指摘のように五年たったらもう値上げを申請してくる、そういうような安易な考え方は許されないと思います。今回お認めをいただきました料金体系をできるだけ長く続けさせるということは、会長以下そういう決意でここに臨んでいるわけでございます。
  110. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 決意はわかるのですけれども、見通しを見ると、二年度は黒字、三年度も黒字、四年度も黒字、だんだん黒字幅は減っています。それで五年度、六年度は赤字になる、こういう見通しなんです。そして蓄えたものも全部六年度にはなくなってしまう。ということは、この見通しでいくと七年度には総合収支は完全な赤字になりますよ。ということは、これは七年度には値上げをせざるを得ない状況ではありませんか。  私は、これがまさにNHKの構造的な赤字体質を物語っている総合収支であると思います。普通は五年度、六年度にも黒字が出るような経営をしていかなければいけない。前の累積が残っているから何とかやりくりをしている、こういうふうな総合収支じゃありませんか。  もう一遍確認しておきますけれども、じゃ平成六年度まで間違いなく値上げはない、これは断言できますか。それから、平成七年度以降値上げをしないような工夫というのは一体どのように数字の上で納得ができるのでしょうか。
  111. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 繰り返しになりますけれどもNHK経営計画というものは、五年間の中の収支が相償といいますか、収支伴うような計画を立てるということになっておりまして、今回もその例に倣って御提出しているわけでございます。それじゃ五年間は絶対値上げを申請しないか、もうその決意でございます。恐らく会長もお約束できると思います。その後につきましても、先生指摘のように安易な経営は許されない、これは私ども一致した判断でございますし、そういう決意でございます。  特に、この五年間の中で組織業務体制の刷新をどの程度進めるか、これはもうこれから我々が考えて、例えばいろいろな、海外も国内も非常にコンパクトに進められるような方向で考えてまいります。これは事態の進展に合わせて考えられる要素は幾らでもありますし、それから情報システム化というものも進んでまいります。それから海外との放送の協力でも、大型番組は関連団体などを使いまして海外の良質のものを安く手に入れるというやり方は、これから工夫で幾らでもできます。ですから、そういう知恵と才覚の限りを尽くして業務展開をしていけば、私はいろいろなことがこれから可能になってくると思いますので、安易に五年たったらその後すぐお願いするというようなことは避けるべく、全力を挙げてまいりたいということでございます。
  112. 島桂次

    島参考人 ただいまの答弁を補足させていただきます。  別の観点から、私からちょっと説明申し上げたいのは、この五カ年計画というのは、現在保有しているNHKのメディアを五年間は続けていくということでやっているわけでございます。当委員会でも、あるいは郵政省その他国会の皆さん方の中にも、その五年たった後はかなりニューメディアといいますか情報化社会が進展してきまして、NHKの適正規模というものがどういうものであるかということをやはり考え直さなければいかぬ時期が五年たてば出てくるのじゃなかろうか。ということになりますと、今までの波を維持して、今までのような形じゃない別な局面が五年以降ある程度来るのじゃないかということは、私も先のことでわかりませんけれども、ある種の覚悟といいますか、私なりの見通しを持っているということで、五年以降は今までとは違う状態もあり得るのじゃないかということも考えているということをあわせて御説明申し上げておきたいと思うのです。
  113. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これは郵政大臣にもお伺いしたいのでございますが、今適正規模というお話がありましたけれども、まさにそこのところを郵政省としても考えなければいけない問題だと思うのですね。今NHK計画、見通しを見たばかりでは、まず料金の値上げがあり、事業計画があり、そして平成六年度までは何とか収支過不足がないようにしていきます、こういうことでございますが、いわゆるNHKの巨大化というものが先にあると思います。  NHKのメディアの数をどうするか。今NHKテレビが二つ、ラジオが二つ、FM放送一つ、文字放送一つ衛星放送が二つ、国際放送一つ、その九つのメディアを持っていますね。これが適当であるのかどうかということがまさに議論の対象にならなければならないと思うのですね。そしてそこの適正規模、いわゆるNHKのスリム化、あるいは国際放送を分離するとか衛星放送を分離するとかいう議論もあろうかと思いますが、その辺をきちっと郵政省として、公共放送の持つ役割あるいは基本的なスタンス、こういうものを明確にしていかないと慢性的な赤字体質は解消されないのではないか、このように考えるわけでございますが、このメディアの数を削減する考えなのかどうか、あるいは慢性的な赤字体質を解消してスリムな経営体質にする、このために郵政省がきちっとした考えを示していく、こういうことがおありなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  114. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 NHKのメディアの保有のあり方については、もう既にお話は申し上げたので重複いたしますけれども、もう一回申しますと、NHK公共放送として、放送の全国普及とか豊かでよい放送番組を通じた我が国の文化水準の向上への寄与とかいろいろあるわけでございますが、その使命を果たすために、今日までNHKテレビジョンあるいはラジオも含めて放送メディアを保有していたわけでございます。  しかし、ただいま委員指摘のように、財政の問題もございますし、何よりも、これから民放も含めたさまざまな新しい展開というものがなされるわけでございますから、いつまでも今日まで持っていたメディアをそのままかたくなに持ち続けなければならない、もしくはもっと多く持たなければならないと考えるのは今日的ではないだろう、こう思いまして、できる限り、むしろスリム化の方向に向けて郵政省としてはNHKに物を申していこうというふうに考えております。
  115. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それは、五年後にはそういう時期があるかもわからないというような会長お話が今ありましたが、この五年間ぐらいでそういうきちっとした考え方というのを示していくことになりますか。
  116. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 こういう問題に関しましては、早急に私どもは検討を開始したいと思っておりますし、予算の上での五年間の計画ということをNHK会長さんは強調しておられました。私どもは、検討することはできるだけ早い時期にやってまいりたい、このように思っておるわけでございます。そうして、その結果が五年より前に必要だということになればそれは部分的にでもやっていくとか、いろいろなやり方があろうかと思うわけでございます。
  117. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それでは五年以内にそういう結論が出ると理解してよろしいですか。
  118. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 まだそこまではこの場で御確約をすることは避けたいと思いますが、私どもはできる限り早い時期にそういうふうな見直しをやっていかなければならない、このように考えております。
  119. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、NHK経営委員会の活性化についてお伺いしたいのでございます。  今、経営委員会というのは月二回くらい行うということになっているようでございますが、この行った時期については確かに資料がありますが、どういう中身であったかということは全くわかっておりません。実際NHK経営委員会の皆さんNHK経営をしているんだろうか、こういう疑問を持つのでございます。NHK会長さん以下理事皆さんが実際の日常的な経営をやっていらっしゃると思うのです。経営委員会の皆さんの参画する中身あるいはこの議事録というものは公表されておらないわけでございますが、具体的に経営委員会は実際の経営をやっているのかどうか、例えば慢性赤字体質に対して経営委員会がどういう提言をし、それが実行されたのか、そういうものを具体的に御報告願いたいと思います。
  120. 島桂次

    島参考人 経営委員会につきましては、確かに数年前までは形式的に開かれておる形もございましたけれども、ここ数年間、特にこの一年間は、月二回でございますけれども、数時間にわたって私ども執行部の考え方経営委員会に説明し、もちろん経営委員皆さん方からいろいろの意見が出ております。いずれにしましても、経営委員会というのが最高議決機関でございますから、経営委員会の了承がなければNHKの主な仕事は遂行できないわけでございます。したがって、いろいろな意見がいろいろな形で真剣に討議されていることは事実でございます。  その内容を記者会見でもっと発表したらいいじゃないかとか、もうちょっと云々というような意見が今度のこの委員会あるいは前国会の委員会でも出ていますから、それは経営委員長以下経営委員皆さん方に私の方から、当委員会でそういういろいろなお話が出たということは伝えて、経営委員長以下の何かの御判断を仰ぎたい、こう考えております。
  121. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 やはり国民の目にはっきりわかる形の方がいいのではないかと思うのですね。国会の論議もそうでございまして、国対政治というようなものが国民から糾弾されておるわけですね。ですから、NHK経営陣が今一体何を考えているのか、何を国民に理解を求めているのか、そういうものをシースルーにした方が国民皆さんNHKに親しみを感じるし、今回の受信料値上げについてもある程度理解が生まれるのではないかと思うのですね。ですから、そういう経営委員会の内容というものをその都度公開をしていく、こういう姿勢が非常に大事ではないか。あるいは、経営委員会でおざなりな議論ではなくてかなりホットないろいろな議論が出ておる、こういうことが大事なわけでございまして、この経営委員会の活性化は思い切って取り組んでいくべき課題ではないか、このように私は考えますが、いかがでしょうか。
  122. 島桂次

    島参考人 先生の趣旨は経営委員長以下に十分伝えて、これは私の権限ではございませんけれども、その趣旨を生かすように私も進言したいと思っております。
  123. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 国民の目から見ますと、今回のNHK経営計画並びに予算については、やはり受信料の値上げというのが強く映ってまいりますね。やはり受信料値上げをお願いする以上は、NHKの意気込み、決意、そういうものが国民皆さんに理解されなければ到底支持は得られないと思います。  私も、この経営計画を見ておりまして、あるいはいろいろな資料を読んでおりまして、NHKさんの意気込みというものをぴんと感じないのですね。ここのところは、やはり最高責任者である会長みずから国民皆さんNHKの意気込みというものを披露する機会をつくるべきではないか、このように考えますが、具体的なアクション、こういうものを今考えていらっしゃいますか。
  124. 島桂次

    島参考人 いろいろ具体的にこれから考えていきたい、こう考えております。
  125. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私は、値上げをお願いする以上は先にアクションがあるべきだと思うのですね。これを理解してもらってから後では、これは後の祭りですよ。やはり相当変わってきたな、こういうものがないとなかなか難しい、私はこのように思います。日本は民主主義の世の中ですから、国民皆さんが理解しなければ、幾ら議会で多数党が法案を通し、承認をしたといっても、国民の理解ですよ。国民受信料を払うのですから、やはり国民に直接語りかけるような機会、あるいは行動をするような機会、こういうものを念頭に置きまして行動をされるように望んでおきたいと思います。  それから、先ほども何回かありましたが、受信料の未払い者に対する対策ですね。そして、この集金業務についての人件費をどのように削減していくか、振り込みへの切りかえをどう進めていくか、こういうことが非常に大きなテーマになるのではないかと思いますが、こうしたことに対して最近の努力、そして今後の見通しを報告してもらいたいと思います。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 最初のお尋ねの未契約者の対応でございますが、私どもの立場からいうと二つあるかと思うのです。一時的にNHKと契約ができていない方、この捕捉が大切だろうと思います。それからもう一つは、契約をしていただきながら支払いが滞っている方の対策、この二つに分けてお話を申し上げたいと思います。  最初の一時的な未契約者の方につきましては、私どもの集金関係者、そのほかにアルバイトなども動員いたしましてその情報を収集し、あるいは家屋が空き家になっておるかどうか、あるいは新しく家が建ったかどうか、そういうようなことを情報収集しましてコンピューターにそれを入れていきまして、コンピューターからその情報を出しながら、それをもとに再三そこのところを巡回し、訪問して、例えば空き家に人が住んだら契約について伺う、既に契約してほかから移った方なら住居の変更をお願いする、そういうようなことで、一時的未契約者についてはできるだけ早く捕捉して契約に結びつける努力をしております。  それから、契約をしていただきながら支払いが滞っている方、大きく分けますと、一つNHK側がなかなか面接できないために収納に至らないということがございますし、もう一つは先ほど来御議論いただいております意識的にNHKを見ていないから払わない方、こういう二通りあると思います。  面接できない方に対しましては、外務職員の深夜勤を導入いたしまして夜遅くお訪ねしてみるとか、あるいは日曜日、休日も早朝にお訪ねするとか、その方がいらっしゃるであろうというころを見計らってお訪ねして、できるだけお金をいただくようにということで努めておるところでございます。  そのほか、お会いできない方には、お訪ねして会えなければ、こういうことでお訪ねいたしました、次回またこういう時間にお訪ねしますのでよろしくお願いしますというような次回訪問の通知とかあるいは文書で、今までと違いまして銀行の口座だけではなくコンビニエンスストアで深夜でもお払いができるようになりましたので、それもぜひ御利用くださいとか、あるいはフリーダイヤルで、NHKの料金持ちで御連絡いただければ契約に結びつけるようにいたしますとか、そういう努力をしているわけであります。  それから、意識的に支払いを拒んでいる方でございますが、こういう方につきましては、それぞれの個人の事情によりまして、NHKの制度がだめだというのか、見てないというのか、いろいろな事情がございますので、それぞれに対して辛抱強くお会いして、事情を説明し、NHK公共放送としての使命だとか受信料制度の意味合いというものを御理解いただいて、収納に結びつけるというような努力をしておるわけであります。しかし、特に意識的に支払いを滞らせている方たちは説得にもかなり時間がかかるということが実情でございます。  それから、集金コストの低減でございますけれども、これにつきましては、平成二年度の予算でも六百七十六億円の営業経費を計上させていただいておりますが、これの大体八〇%が人的経費であるということでございます。それで、NHKの集金業務というのは、各家庭を御訪問してそれを契約収納に結びつけるという大前提でやっておりますのでかなり人手がかかるわけでございます。一人の委託集金員の方が大体八千世帯、全国で平均しますと持っているわけでございますが、そのうち七五%は口座払いでございますから、訪問集金は二千世帯くらいになるのかなと思います。そういうところを定期的に訪ねていってお金をいただくということなんですが、例えば八千世帯一定の面積の中で持っておるわけでございますが、要するに訪問する方たちが一カ所に集まっているわけではございませんで点在しているわけでございます。したがいまして、訪問回数は距離的にも回数的にもふえていくというようなところで、口座が進む一面では訪問集金が非常に難しくなってきている。ですから、私どもといたしましては、口座をどんどん普及させまして、訪問集金のありようというものを縮小していきたいというように考えております。  それから、集金の委託員さんの数といいますか、そういうものにつきましても、最近は労働力不足でなかなか思うような方が集まらないという実情もございますが、考え方といたしまして、おやめになった後はできるだけいろいろな労働力を活用してその業務に当たってもらうというようなこともやっております。そのために特別の訓練をトレーニングセンターを設けて教育しておりまして、十分ではないのですが、ある程度の対応ができるようにさせております。  それからもう一方では、口座をどんどんふやすことによって私どもとしてはそういうような集金にかかるいわゆる人件費というものを減らしていくわけでございますけれども、口座の中でも実は移動がございます。口座をやめたというのが銀行さんから通知が来るわけですが、やはりそのタイムラグがございますし、例えば六カ月払いとか一年払いですとそのときになってみないとわからないというようなことがございますので、そういうことがないようにできるだけ早く捕捉して、また転出先などもつかめるようにしてまいりたいと思っています。  それから、集金労務の問題で言うならば、人手不足ということもございますし、コストの問題もございますので、いわゆる専業的な委託集金員だけではなくて、いろいろな地方自治体などのOBの方だとか、団地の管理組合の方だとか、そういう人たちにお願いして一括的にその周辺について収納業務をやっていただけるようにお願いして、そういうネットワークも今後広げてまいりたいということで取り組んでおります。
  127. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 確かに国民生活が多様化しておりまして、昼働いている人、夜働いている人、お留守の家庭、いろいろあって集金業務も大変だと思います。あるいは移動もありますから。そういう中で罰則金のないいわゆる受信料をどのように納めていただくかというのは、第一線で働いている方々の御苦労というものを考えますと本当に御苦労さまと申し上げたいと思いますが、今後も収納が順調に進むように要望しておきたいと思います。  それから、話は変わりますけれども、いわゆる消費税の問題でございますが、この収支予算で収入にかかる消費税、これは百三十八億円と聞きました。それから仕入れにかかる消費税が七十四億円、国庫に納付する消費税は六十四億円、NHKとしては消費税は通り抜けていただけでありますね。こういう問題でございますが、会長消費税についてどのように考えているか、それからNHKの予算に計上されていることについてどう理解をするか、これをちょっと確認だけさせていただきます。
  128. 島桂次

    島参考人 消費税の審議に当たりまして、私どもは当初、できましたらNHKの聴視料は消費税の対象から外してほしいという希望も二、三年前から持っていたのでございますけれども、国会の議決がそうなっておりますので、それは忠実に履行していかなければいかぬ。  これから先の問題につきましては、国会の決定に従って処理していくという考え方でございます。
  129. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうしますと、今もNHK受信料についての消費税はなくしてもらいたいという気持ちはあるということですね。
  130. 島桂次

    島参考人 私どもはそういう希望を持っておりますけれども、これは国会の意思で決まる問題でございますから、それに従うほかないということでございます。
  131. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 また話は変わりますが、日本民間放送連盟から、ことし三月でございますが、「NHKのあり方に関する見解」といたしまして、「“併存体制”の堅持」「公共放送目的」「業務範囲の再検討」「運用財源のあり方」「スポンサー・タイアップ等の商業類似行為」「放送権取得の問題点」「出資およびコングロマリット化」等、七項目について意見が述べられました。この意見につきまして、NHKとしてはどのように認識をしておるのか、お聞きしたいと思います。
  132. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 NHKと民放との関係につきましては、国民に対して一定の使命を持つNHK、広告料によって自由な民放という形で併存してまいりましたし、これが続くことはNHKとしても大変結構なことだと思っておりますので、会長も民放連大会に行き、民放連会長NHKの祝賀会に来ていただく等、交流を続けております。  今度の長期計画につきましても、私が担当でございますので、民放連に赴きまして民放連会長から御意見も伺いましたし、この資料も十分伺いました。  この中に盛り込んでございますNHKと民放が競い合いながらもうまく調和していくというところについては、私どもは異論はございません。ただこの中で、外部の特定企業とのタイアップ広告をしている、こういう事実はありません。例えばスポーツ放送等でも今一例を挙げますと、長い間、ジャパン・オープン・テニスという一番いい試合をNHK放送しておりますけれども、日本庭球協会がサントリー・ジャパン・オープンという名前を冠せられたのですけれども、サントリーという名前は私ども放送からはとらせていただいております。それからゼッケン番号その他につきましても、各競技団体が定める範囲内で私どもは放映しておりますし、できるだけ広告物が映らないような構図をディレクターが考えましてやっておりますので、こういう一部の問題の指摘については私どもは意見を異にする部分もございます。  その他、関連業界の展開その他についても、節度ある公共放送としての一定の使命の枠内で運営してまいっておるということでありますので、民放側の指摘はやや我々の考え方とは違うということでございます。
  133. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政大臣のところにもこの「見解」は届いていると思いますけれども、大臣のこの「見解」に対する御見解はどうですか。
  134. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私のところにも民放連の「NHKのあり方に関する見解」は届いております。内容についてさまざまな角度から検討もさせていただきました。NHKと民放の併存体制を堅持していく、あるいはNHKの保有メディアの見直し等について考えていくべきだといったような、公共放送のあり方について我が国の放送の一翼を担う民間放送の総意として出されたものでありますから、これは貴重な意見として認識して受けとめております。  郵政省といたしましては、NHKのあり方については各方面から意見を十分に踏まえて検討を進めるとともに、制度改正等必要な措置を適時適切に行ってまいりたいというふうに考えております。
  135. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 時間がないので先に進みますが、受信料の免除の問題でございます。NHKは、平成二年度予算におきましても百五十七億円の免除見込み額を掲げておりますね。教育的、社会福祉的見地から受信料の全額免除あるいは半額免除をしているわけでございますが、そもそもこの受信料の免除というのはNHKが負担する性格のものではなくて、国が文教政策あるいは社会福祉政策として行う財源措置で行うべきである、こういう考え方を持っております。  NHK長期展望に関する提言の中にもそのような趣旨のことが書かれておりますけれども、これはどうなんでしょう、NHKは、きのうの審議の中でも、電波を届ける放送意味があって、受信機については受益者負担で、これを聞く人が受信料を払うのが筋である、こういう議論がありました。そういう認識からいくと、この受信料免除というのは本来国が行うものではないか、このように考えますが、会長はどういう見解を持っていますか。
  136. 島桂次

    島参考人 私どもも、やはり国で負担していただきたいという願望を持っておりますけれども、なかなかそれが実現しないというのが現状でございます。
  137. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政大臣、これは予算の折衝のたびに出る議論ではないかと思うのですが、大蔵省にこういう問題について郵政省の意見をおっしゃるときに、大蔵省はどういう考えを示すわけですか、ちょっと確認させてください。
  138. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 いわゆる予算要求の仕組みでございますが、これは各関係官庁が直接大蔵省と折衝するということでございます。したがいまして、私どもは大蔵省と直接そういうことをやるというのではなくて、文部省に対しまして予算要求をやってくださいということを長年申し上げております。そして、文部省もそういうことから来年度の予算の要求等におきましてもやってくだすったと聞いておりますが、残念ながら認められなかったというのが現実でございます。
  139. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これは文部省ばかりではなくて厚生省もそうではないかと思いますが、やはり文部省、厚生省、そのおしりをたたくといいますか、お願いをするということも必要ですし、閣議というのがあるのですから、その席でやはり国務大臣としてきちっと申し上げるべきは申し上げた方がいいのではないか。やはりこういうものがNHK経営を圧迫していることは事実だと思いますね。本来国が行うべきものをNHKに押しつけているということは国の責任逃れではないか、このように私は考えます。したがって、郵政大臣、来年度の予算折衝に当たっては、断固とした姿勢でこの問題について対処していただきたいと思いますが、御決意はどうですか。
  140. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 NHKからは受信料免除についての見直しを早くやってくれという強い要望をいただいています。また、ただいま局長が申し上げましたように、直接文部省とか厚生省に対して予算化の働きかけもしてまいったわけでありますが、ただいま遠藤委員の御指摘のように、これは非常に大事な問題でもございますので、関係各省と調整を行ったり、国庫負担等による財源措置の早期実現に向けて、あらゆる機会に発言をし、努力をしてまいる覚悟です。
  141. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、国際放送でございますけれども、国際放送に係る政府の交付金、これは昭和四十五年度から始まりましたが、当初は一億四千五百万円、これから始まりまして、現在は十四億九千七百万円が平成二年度の予算案に盛り込まれておる、こういうことでございます。国際放送全体にかかる総額のうち、国の交付金の割合を眺めておりますと、四十五年度は一二%から始まりましたが、現在二〇・一%、その中で昭和五十五年が二六・五%、五十六年が二六・五%、五十九年が二七・〇%とかなり比率が高くなっておりますが、今回は二〇・一%、かなり下がっていますね。もう少しこの国際放送に対する政府の交付金を増額をすべきである、このように考えますが、その努力にもかかわらず、五十九年以降は、額そのものは多少上がっておりますけれども、比率は二七%から二〇・一%に毎年減少ぎみである、こういうふうに聞いておりますが、これに対する考え方はどうですか。
  142. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 確かに御指摘のように、比率としては伸び悩みと申しますか、非常に残念な結果ではございますが、厳しい予算のシーリングの私どもの小さな予算額の中で、国際放送に対します交付金の額を増額いたしたく毎年私どもは頑張っておるわけでございます。  今後ともできる限りの努力をいたしまして、国際放送に対します交付金の増額に向けまして努力をしてまいりたいと存じます。
  143. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 放送衛星が今後もさらに打ち上げられまして、日本政府としては八チャンネル電波の枠がある、こういうことでございますが、この八チャンネルの使い方、その中で今地上放送で行っております放送大学、これは本来衛星放送で行った方が効果が行き渡るのではないか、このように私は考えますけれども、この八チャンネルの枠の使い方とともに、放送大学をその枠の中で一チャンネルいただく、こういう考え方をされてはどうかと思いますけれども、これは文部省の関係になるのかもわかりませんが、電波を全部つかさどっております郵政大臣としては、そういう考え方についてどのようにお考えになりますか。
  144. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 BS3については、本年八月に3a、来年の八月に3bを打ち上げる予定でございますが、この中には放送大学の放送は予定しておりません。しかし、BS3の衛星の寿命は大体おおむね七年と聞いておりますが、そうなりますと、平成八、九年には後継機を打ち上げなければならぬということに相なると思います。  放送大学はその設置目的から申しまして、全国放送メディアに適していると思いますから、そのBS3の後継機におけるチャンネルの利用方法等について、放送大学学園当局等も含めて関係者の意見を聞きながら、今後幅広く検討していく必要があるだろう、そう思っております。
  145. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 BS3の後はBS4ということになるのでしょうか。今、大臣も私と同じような見解お話をしていただきまして心強く思いましたが、放送大学というのは衛星放送でやった方が一番効果があるのではないかと思います。ぜひ早い機会に実現をするように要望をしたいと思います。  それから一つ、この間、新聞報道でございますけれども、韓国でNHK衛星放送受信している人が最近ふえておる。今十万世帯くらいいると言われているのですが、今後もふえ続ける勢いにあるというふうに言われています。今後、BS3では民放各社が衛星放送を行う計画もあるわけでございまして、最近韓国の新聞紙上で、日本の放送を引き続き視聴するとき我々は彼らの文化侵略の犠牲に供されるしかない、さらに日本の商業テレビ衛星放送が本格化すれば文化侵略の害悪はもっと大きなものになることははっきりしている、などの社説が出ているようでございます。中には、衛星の位置をずらせば韓国に電波が届かなくなるから衛星の位置をずらしてほしいとかいう意見もあるようでございまして、何か外務当局を通しまして郵政省の方にも韓国から質問状が寄せられたということも伺っておりますが、そういう意見なのでしょうか。  その質問状の中身、それからそういった韓国の考え方について郵政省はどういうふうに考えておるのか、この点を確認させてください。
  146. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 私ども、昨年の十一月でございましたが、アジア放送交流促進フォーラムというものを開催いたしました。そのフォーラムに韓国の方が御出席になられまして、そういう問題の御指摘もございました。さらには、先般外務省で行われました日韓文化交流実務者間協議という会議におきましても、そういうふうな趣旨の御発言があったことは事実でございます。しかしながら、韓国側から日本に対しまして公式に何らかの具体的な措置をきちっととってくれというようなお話ではないのでございます。  放送衛星の場合には宇宙から電波が降り注ぐわけでございまして、ビームをきちっとその国だけに向けるように最大限の努力をしているわけでございますけれども技術的にも限界がございます。そういう電波の特性ということから考えましても、これはやむを得ないことであるというふうに私は考えておりまして、国際会議におきましてもこの放送衛星の軌道の位置というものは定められております。日本と韓国は同じ位置に置くようにというふうにきちっと定められているわけでございまして、東経百十度というような位置が国際的にも決められているわけであります。そういうことから、韓国といたしましても正式にはこれに対して文句を言うことはできないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  147. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 最後に大臣に一つだけ確認をします。  NHK長期展望に関する提言の最後の方に、「NHKの事業運営に関する今後の検討事項」という中で二項目、「放送衛星リース法人の設立」、それからいわゆる「国際映像サービスにかかわる第三セクターの検討」、この二点についてどのように考えているのか聞きたいのです。  衛星放送リース法人というと、衛星放送の調達とか所有とか管理とかいうものを一元化しようということだと思うのですが、これが現在ある通信放送衛星機構というものを念頭に置いたことになるのかどうか。それから第三セクターですが、これは国際映像サービスを第三セクターでやったらどうかという意見だと思うのですが、この中には、例えば海外で活動しておる企業から寄附金等も基金としていただいてこういうセクターをつくるという考えだと思うのですが、こういう二つの考え方について、現在における大臣の気持ちを聞いて終わりにしたいと思います。
  148. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 NHK長期展望に関する提言は主として四つあるわけであります。これはいずれも、今後におけるNHKの事業運営上だけでなしに、放送業界全体にかかわる問題も含んでいると思います。極めて重要事項でございますので、郵政省としましては、各方面からの意見を十分に聞いて、これらの点について検討を深め、制度改正も含めて適切に対応していきたいというふうに考えております。
  149. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 終わります。
  150. 上草義輝

    上草委員長 次に、上田利正君。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
  151. 上田利正

    ○上田(利)委員 最初に、島会長にお尋ねをいたします。  昨年の三月の平成元年度NHK予算を審議する際に、それぞれ本院におきましていろいろな意見が出ました。その中で、衛星料金の新設を含めまして平成元年度のNHK予算は国会を通ったわけでございます。その際に附帯決議といたしまして、NHKが三カ年経営計画を今まで出してきておるけれども、どうもこれは受信料の値上げの隠れみのになっているんじゃないか、そしてそれが中止をされて今日まで来ておる、五年間来ておるという中で、NHKはこの多メディア時代に向けてどのような公共放送としての任務を果たしていくのか、そういうことについての長期経営計画を早期に策定すべきではないかという意見が出されまして、それが附帯決議として本院の中でも決議されました。  そして、前池田会長がおやめになりました後、副会長でありました島さんが会長ということで御就任になったわけであります。そして、その際の島会長の記者会見の中ではこういうふうなことを言っているんですね。五年、十年先の新しい時代の公共放送ということで、この国会の意も受けて五年、十年の新しいそういう時代に向けて、ことしの――これは去年でございますが、ことしの夏から秋にかけまして青写真というものをつくってみたい、こういうことを記者会見でも公約をされているわけでございます。  私どもは、本院でいろいろ論議をしたことが新しい会長のもとでいよいよ青写真をつくって実現されるんだな、こう期待をしておりまして、遅くも秋風が立つころにはこれは出るのだろう、こう思っておりました。しかし、寒い冬将軍の冬が過ぎまして年が明けましても何も出てこない、どうなっているんだろうか、こう思っておったわけでございますけれども、その間、平成二年を迎えまして国会は解散されました。そして総選挙、こういうことになりました。そして選挙が二月十八日に投・開票で行われた後の二月二十三日に、突如といたしましてNHK長期展望に関する審議会からの提言というものが出されてきたわけでございます。  会長が御就任なされて、本院の意を酌んで夏から秋ごろまでと言ったんですが、余裕を見まして秋風の立つころには出る、こう思っておったものが、なぜ、しかも選挙が終わった直後の二月二十三日にこの審議会の提言が出てきたのか、何か問題があったのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  152. 島桂次

    島参考人 平成元年度予算の附帯決議を受けまして、池田さんがおやめになった後、私は、できるだけ早く、遅くとも秋ごろまでにこれからのNHKの青写真を描きたいということは、記者会見のみならず、局内にそれを明らかに示して鋭意努力をしたわけでございます。  そこで、先生御存じのように、現在、ニューメディア時代、情報化社会というのは、まさにラジオからテレビに移った時代と比較にならないほど放送をめぐる客観情勢がいろいろ変化してきておるわけでございます。その中にあってこれから五年後、十年後、一体NHKをどうするか、これはまさにNHKが生き残れるかどうかという瀬戸際に立っているような問題でございましたので、私は、NHK始まって以来、一万五千人の全員に対しまして、各職場ごとに徹底して、これからのNHKのあり方について職員一人一人が懸命に討議してくれということでそれを始めました。これが予想以上に長引きまして、何遍か役員会にまで集約されてきたことがあるのですけれども、それをまた差し戻したり、またもう一度やってもらったりしたことで、かなり時間がかかったことが一つございます。  それと同時に、外部の有識者の皆さん方審議会、この審議も各界各層の代表の方々を選んだのでございますけれども、いろいろの面におきましていろいろの意見が非常にたくさん出まして、それぞれ非常に忙しい方なのでなかなか全体会議というものを開くにも限度がございまして、そのために小委員会というものを別につくりまして、その小委員会の先生方の討議をやっていただいて、そこで一つの草案を全体会議にかけないと、これはとても会議の進行ができない。それぐらいいろいろの違った意見が出されて、審議会の意見が私が予定したよりも非常に長引いた。これはそれぞれ審議会に一任しているわけでございますから、私が余り審議督促ということも先生方に対して失礼でございますので、その成り行きを見守っているうちに年が越えてしまったということでございます。  なお、さらに、大体の答申につきましての事前の打ち合わせが小委員長あるいは審議会委員長から私に内々あったわけでございますけれども、なかなか、私ども執行部と先生方の取りまとめの中での調整、これにもほぼ一カ月ぐらい、いろいろ先生方も忙しかったので時間のかかったことも事実でございます。  さらに、この問題は、私どもといたしましては、何らかの形でさらに視聴者との接点を広げるために、中央番組審議会であるとか、視聴会議であるとか、あるいはいろいろの懇談会であるとか、いろいろ各種定期的にある私ども視聴者との接点の会合があるわけでございます。この会合にも一般的な聴視者、これまたその中から特に選んだ方に集まっていただいて、これは全国各地でそれぞれやっておるわけでございますけれども、そういう各聴視者の声を聞くということについても私の予想を超えたような形で時間がかかりました。  最終的には御存じのように、経営委員会の議決が必要でございまして、私どもの案は、実は一月ごろには大体執行部としての原案みたいなものはまとまったのでございますけれども、さらに経営委員会にかけたときにいろいろ経営委員会の先生方からの意見調整も手間取りまして、結果的に非常におくれて郵政大臣のところへ予算を提出せざるを得なかった。そういう意味では、郵政省初め国会の皆さん方に、非常に短い期間のうちにこういうものを出したということで御迷惑をかけたということを深くおわびしたいと思っております。
  153. 上田利正

    ○上田(利)委員 島会長、一部わかるところもございますけれども、職員全体のコンセンサスも得なければならない、いろんな意見も聴取しなければならない、審議会で十八人で設置しておるからその開催の時期の問題とかさまざまなものがあった、そして小委員会を設置をして、そういうことはわかるのですけれども審議会が十八名の委員を選出をいたしまして、平岩外四東京電力会長を座長に決めまして、七月十九日に最初の会合を開いていますよね。そしてその中で、どのようにしていくかということを進めていかれたわけでございますけれども、九月二十五日にNHKの事務局から提出した資料、長期展望についてというような題名だったと思うのでございますが、これは事務局が、会長が今言われたようにいろんな職員やその他のものを入れまして、九月二十五日に事務局のたたき台ということで、長期展望についてというような題名でこれを審議会に出した。  しかし、それをめぐって、先ほど会長が申されましたように、大勢、たくさんの委員なものでございますからいろんな意見が出ちゃう、これじゃうまくない、小委員会を設置した方がいいのじゃないかということで、小委員会設置を決めまして、共同通信の社長の酒井新二さんを小委員長ということの中でスタートを切っていった。こういうことだろうと思うのです、私が調べた関係の中では。そして何回かの会合を開く中で、私の見るところ五回ぐらい小委員会を開いたのじゃないかと思うのです。これが恐らく十一月ごろだったと思うのでございますけれども、後で会長から聞きたいと思います。  ところが、十一月一日の島会長の記者会見を見ますと、年内にも答申をしたい、こう記者会見であなたはやっているのですよ。十一月一日の記者会見、これは資料があると思いますからごらんになっていただくように。それ以降、本当は年内といえば審議会が進まなければならないのですけれども、どうも十二月段階から審議会はぴしゃっと終わってしまって、そのままの形で平成二年を迎えているんじゃないかと思うのです、恐らく迎えていると思うのだ。十二月にどれだけの小委員会、総会、全体会議をやったかがあれば具体的に示していただきたいと私は思うのですが、なぜそこにそういう問題が出たのか、何かあったのじゃないかと私は思うのですけれども、順調に進んできたものがなぜ、しかも十一月一日には島会長みずから、おくれたけれども年内には答申が出ますよと言いながら、なぜそれが途絶えてしまったのか。そこに何が起きたのか。これをまず聞きたいのです。
  154. 島桂次

    島参考人 具体的な内容につきましては、私は小委員会に出ているわけじゃございませんので後で尾畑理事に説明させようと思いますけれども、私がその当時聞いたのは、酒井さんが急遽、東ヨーロッパの方へ出張されて二十日間くらいいなかったというようなことが、私の記憶違いであれば後でまた尾畑理事の方から説明がありますけれども、それが一つ。それからもう一つは、私が聞いた報告では、重要な点の幾つかについてどうしてもまとまり切れなかった問題があるということで、私も何回か酒井さんと平岩さんに早くしてほしいということも申し上げたのでございますけれども、結果としておくれてしまったということで、当時記者会見なんかではなぜおくれているんだというようなことも、記事にあったかどうかはちょっと覚えておりませんけれども、何遍か記者会見で追及されたことも覚えております。そのときには何か、当時選挙が非常に近かったわけでございます。選挙が近いから意図的に延ばしているのじゃないかというような質問も何遍か記者会見で受けましたけれども、私はそういうことを考慮したわけではなくて、いろいろ先ほど申し上げましたような手順が非常に長引いてしまって、結果的にそういうことになったのではないかと考えているわけでございます。
  155. 上田利正

    ○上田(利)委員 事務局でもいいですが、十一月二十二日に小委員会を開いていますか開いていませんか。
  156. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 一番最後の三回について申し上げますと、十一月十日、十一月二十二日、一一月二十二日、こういうふうに開いております。
  157. 上田利正

    ○上田(利)委員 十一月二十二日は開いておりますね。そしてずっと時間があきまして、十二月はないのですね。そして一月もなく、選挙が終わったこの二月二十二日、そしてそれを受けていわゆる最終答申というものが出てきたのだと思うのでございますけれども、なぜその間に空間が出てしまったのか。このスケジュールから見ますれば、十一月二十二日にやったら、十二月の初めごろにおやりになれば十二月中に答申は出たんじゃないですか。何かやったというなら別ですけれども、その間に何もやらないのですから。それは何が原因ですか。
  158. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  私の記憶ですと、十一月二十二日の小委員会で提言の素案というものが出されまして、十一月の末から十二月の末にかけまして審議会委員に提言素案について個別に意見を聞きました。なかなか集まれないという御事情が皆さん方ありましたので、十一月末から十二月の末にかけて事務局が個別に意見をお伺いに参りました。それで、一月の中旬から二月の中旬に、お聞きしました意見を取りまとめまして再度個別に意見聴取いたしました。小委員長、副委員長中心に大体まとめていただきまして、二月二十一日、小委員会で提言案取りまとめということでございます。その間に、会長が申しましたように、酒井小委員長の東欧各国視察というものが入りましたのでややここのところで空白ができてしまいましたけれども、事務局、それから各委員には一生懸命努力をしていただいたことは間違いございません。
  159. 上田利正

    ○上田(利)委員 今御答弁いただいておりますけれども、七月十九日に委員会を発足させて九月二十五日に素案といいますか、たたき台を事務局が出してということの中で、十一月までは、十月そして十一月とほとんどこの二カ月で作業がずっと進んでいったのですよ。それが十二月、一月というのはぱったり切れている。意見を聴取するといったって、今まで進んできて十一月にほぼ固まってきた中で、何で十二月から一月までの二カ月間も、これは小委員長が外遊されたということも一つはあるでしょうけれども、そんなに時間がかかるか。同じ時間がかかっているのですよ。これは何が起きたのか。  さかのぼってちょっと見ますると、どうもこの小委員会の中で受信料の値上げ問題が出てまいりました。それがある新聞報道された。これは大変だ、これならば、言うならば今までの三カ年経営計画と全く同じような形になる、値上げのための審議会になってしまう、何としてもそれは除いていかなければならぬ、そういうように思われては困る。私は余り疑わない方なんですけれども、しかし、そういうマスコミ報道が出たことによって、これは延ばそう、だめだ、イメージがダウンする、これでは国民からの批判を受ける、何とかカムフラージュをしなければならないと思ったか思わないかわかりませんけれども、結局それをそのままにしておいて、選挙が終わった直後、これを出さなければ平成二年度予算の提案の中に受信料改定が出せないのですから、もうぎりぎりの段階でこの提言を二月二十三日に発表した。そうしたら、その中に当然受信料の値上げを中心にした形が出てきておる、こういうのが実態じゃなかったのですか。  率直に、NHKは最たるマスコミでございますから、まさかこの私に対しまして事実から反したことをおっしゃらないと思いますが、どうでしょう。これは会長
  160. 島桂次

    島参考人 小委員会の具体的な審議には私は一切参加しておりませんので、そこに参加しておる尾畑理事の方からまず説明させます。
  161. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生御承知のとおり、小委員会には酒井社長以下お歴々に集まっていただきまして、各界の知性の固まりでございますので、今先生が言われたような、事務局が日程を左右するとかそういうことはできませんので、何とぞ疑わないで、審議を一生懸命やっていただいたということを御理解いただきたいと思います。
  162. 上田利正

    ○上田(利)委員 私はなぜこのことを聞いたかと申しますと、今尾畑理事の答弁がありましたからそれはわかりましたが、この平成二年度の予算案が国会に出されましたのが三月二十日なんでございます。それで、これまでもそれぞれの委員皆さん方が御質問されておりますけれども、三月二十日に出されまして、三月三十一日までに日切れ法案として衆議院でやり参議院でやらなければ、この平成二年度のNHK予算はだめになるわけです、承認をされなければだめになってしまうわけです、日切れですから。この十日間、土・日を除きますと約一週間の間にやらなくてはならない。しかも三百円という受信料の値上げの問題を含めてやっていかなければならぬ。そして受信契約者の理解も得なければならない、あるいは国民の協力もいただかなければならないという中でのこの今の委員会なんですよ。無理じゃないかというんですよ。これだけのものを、この平成二年度の予算をやるに当たって、きのう半日ときょうでは。きのうも委員が一生懸命異例な形で九時過ぎまでやったわけです、努力して。きょうも三十分繰り上げてやっている。しかし、一日半ではとてもこれらの問題を十分国民あるいは受信契約者に納得していただけるような時間になっていないのです。  これはもとをただしますと、逆算すると、二月二十三日などという遅いときに、遅くなってぎりぎりもうどうにもならないときに審議会の答申を出してきた、いわゆる提言を出してきた、ここに問題がある。だから、さかのぼっていけば、夏か秋にはと、あの会長が記者会見をして言っているので、我々は、秋風が立つころにはまあまとまるだろう、そうすると本院においてもそれを受けて、どういう五カ年の経営方針に基づいてどういう予算が必要なのかということが十分審議ができるし、国民にも契約者にも納得ができる、こう思っておったのであります。ところがこういう形になったということですから、非常に重大な問題だと私は認識をして今まで質問をしてきたわけなんです。  そこで、本論と申しますか、大臣にお尋ねしますけれども、こういう今まで私が御質問しましたような形の中で、本当にぎりぎりになってしまって本院の本委員会で審議をしている、これは私は無理だと思うのですが、大臣の所見はどうなんでしょうか。
  163. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私どもの気持ちの中には、できればもっと早く出してほしかったなという気持ちが率直に言ってあります。ただ、いずれにいたしましても、毎回そうなんですけれども、極めて短い時間に議論するというのが今までの状態でございましたので、私どもとしては、効率化とか合理化等の問題について経営努力をどんなふうにしているのか、いつも常に国民に発表するようなそういう行き方を日常のメディアの中で言わなければならない、そう思っておりまして、今度の予算の提出に当たりましてもそのことを強く会長に申し入れたところでございます。
  164. 上田利正

    ○上田(利)委員 予算案における値上げを含めます内容中心にこれから御質問いたしますけれども、私は、本院のこの委員会におきまして再三にわたりまして、NHK公共放送という大きな使命を持って放送事業を行ってきておる、民間とは違う、したがってこの経営はすべて受信料によって賄っている。一部副次収入というものはありますけれども、もうほとんどこれは受信料によって運営をしていかなければならぬ、こういう公共放送としての任務を得ておる。だから必要なときにはやはり受信料はかくかくしかじかで上げていただかなければならぬということを、国民の皆様に向かってもまた視聴者の皆様に、契約者に向かっても言わなければいけないということを、議事録がありますから見ていただければいいのですが、平成元年度予算のときも声を大にしてやりました。また、昭和六十三年度の予算のときにも私は声を大にして申し上げました。  今まで見ますると、昭和五十一年、そして五十五年、五十九年と大体三カ年計画に基づいて四年ごとに料金の値上げを実施してきた。五十九年からぱたっとこれがとまってしまいました。お話しのような御答弁もされております。だから私は、六十三年にやはり受信料の改定はしなければならないでしょう、こう言った。ことしは自助努力で何とかして節約して一生懸命やります、こういうことで郵政省も、それからNHKもそういう御答弁でございました。  昨年、平成元年を迎えましてもうどうにもならないじゃないか、しかも二百五十億もの言うならば赤字予算を本院に提出するということは、NHK始まって以来、本院始まって以来だ、こう私ども申し上げました。これじゃ予算の審議はできないじゃないか、公共放送であるから受信料にお願いするしかないんだ。これもこれからの自助努力でという形の中でそのまま過ごされて、平成二年を迎えたわけです。私はそのときに、やはり受信料値上げも国民からあるいは視聴者からいただく場合は一〇%以下ぐらいでなければなかなか納得と理解をいただけないよということも申し上げた。ためてためていけばこれは大幅な値上げをしなけりゃならぬということになる、このときには大変な問題になるよ、この指摘も私は再三にわたってしてまいりました。しかし、私の意見などはもうこちらの耳から入って抜けていくようなものでございまして、何にも聞き入れていただけなかった。  私、昨年の平成元年度のNHKの予算のときに申しました、それならばもうこれから五年、十年間ぐらいは一切値上げしないということですねと。どうせ借金だということは幾らでも借金をしていってもいいんだから、こう申し上げて私は質問を終わった記憶があるのでございます。  ところが今度の平成二年度予算を見ましたら、このような形の中で受信料の値上げが出てきた。いわゆる長期審によるところのこの提言を受けた形の中で出てきたんじゃないと私は言うのです。私はそれは絶対承服できない。長期審はそれでいいでしょう。これからの形の中でNHKの今後の経営をどう長期に展望しながら、まあ十年ということはできないので、先ほどの御答弁でもございましたように五年スパンぐらいでやっていこう、これはいいでしょう。しかしこの予算につきましては、だからそれに対応する予算だというのはこじつけであります。やはり予算は別に離して考えていただかなければならないし、予算は単年度で、毎年毎年NHKの予算は本院で承認するかしないかということの中で審議をするわけでございますから、それを長期審と一緒にされてはこれはたまったものではないのであります。  ですから、私はそういう主張をしてきた立場に立っておるだけに、長期審については理解できますけれども、この平成二年度予算についてはこれは断じて承服できない。私の過去の経緯からしまして、私は、去年もやれ、その前もやりなさいと言ったにもかかわらず、今年度になり予想したように二八%、三百円という大幅な受信料の引き上げということになってしまっております。この点についてどのようにお考えになっているか、見解を賜りたいと思います。
  165. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生から今数々の御指摘をいただきました。これは私ども国会にいない者も議事録その他で承っております。数々の鋭い洞察力、我が社に対する心配その他をいただきながら、それを生かせなかった不明を恥じております。  先生から御指摘がありましたように、もう少し早い段階でこれをお願いしておれば金額的にはやや低かったということも考えられますけれども、私ども去年、衛星放送の料金新設ということをお願いしましたこともありまして、去年見送りになりましたのは先生御推察のとおりでございます。今回は、先生の御指摘も含めまして、NHKでは英知の限りを尽くしてこれから先の難しい、次代を見越した計画を立てたつもりでございますので、そういう事情はおありかと思いますけれども、何とぞ伏して我々のお願いをお聞き届けいただきますようお願いいたしておきます。
  166. 上田利正

    ○上田(利)委員 私はNHKを愛するからこそ本院においてもそういう提起をしてまいったのであります。特に、今見ますると、NHK労働組合、日放労はもう大変な状態だと思うのです。いわゆる職員の待遇改善も、私はこの本院におきまして四年目を迎えますけれども、もう終始一貫、事業は人なりということじゃないけれども、この人たちの処遇が完全でなければいい番組をつくろうとか、公共放送としての任務を果たそうとかいっても果たせないじゃないですかということを口を大にして、酸っぱくして言ってまいりました。  今日のNHKの労働者の労働条件、賃金にいたしましてもその他の労働条件を含めて、もう極限に来ようとしているのじゃないですか。ですから、そういう意味合いの中では、このままの形で受信料を据え置いておけばいいということじゃないことも私は承知しておりますけれども、やはり鉄は熱いうちに打てではございませんけれども経営に携わるNHKの幹部の皆さん方が、そのために経営委員会があるのですから、必要なときには国民に向かってそういうものを提起していく、こういう姿勢がなければ再びそういう轍を踏んでいくのじゃないかと思いますから、ぜひその点は今後に生かしていただけるように、私の意思も生かしていただけるように特に強調させておいていただきます。     〔大野(功)委員長代理退席、園田委員長代理着席〕  それで、時間の関係もございますから、次に二、三の問題を御質問をさせていただきます。  NHK平成二年度におきまする予算の中で――ちょっとそれは後におきますけれどもNHK番組編成を、長期審にもございますけれども、外注していこうというその方向がずっと出てきておりますけれども、これはどの程度までしょうという考え方にあるのか。聞くところによりますと、ニュース番組は自前でやります。その他の番組については、今も外注されておりますけれども、どの程度までやるおつもりなのか、その点をひとつお尋ねしたい。
  167. 遠藤利男

    遠藤参考人 番組の制作の委託あるいは購入ということに関しての御質問でございますけれども、現在、平成元年度は委託制作が約一〇%、それから購入番組というのは、これは完全にでき上がっているものを買うというのが五%、一五%ぐらいの編成をしております。もしも、現在御審議いただいております平成二年度の予算が成立いたしまして新しい編成が実行されますと、両方合わせて約四%ぐらいの委託・購入比率がプラスされます。ですから、一九%になるというのが現在の考え方でございます。
  168. 上田利正

    ○上田(利)委員 長期審を見ていきますと、はっきりしておりませんけれども、どうも五〇%ぐらいまでは番組の委託などを関連会社を含めましてやっていこうということに見えるように感じるのですが、その点はどうなのでしょうか。
  169. 遠藤利男

    遠藤参考人 番組の制作を委託するあるいは番組を購入するということにつきましては、趣旨は、一つは、受信料をいただいておりまして、その受信料を最も効率的に使って、しかもクォリティーの高い番組をつくる、そのためにいろいろな方法があるだろう、そういうことで制作を委託する、あるいは優秀な番組を買うということがございます。  それで、ただ、番組の制作を委託しますに当たりましても、番組を委託する相手側、外部の制作能力あるいはそのノーハウの成熟等々がございます。それからもう一つには、こちら側でいいますと公共放送の自主性の堅持、あるいはクォリティーの確保、あるいはNHKの内部におけるノーハウの継承、そういうものの全体のバランスというものを十分に考慮しながら進まなければいけないというふうに考えておりまして、私どもは目下、特にこれを目標にして進めようというような、五〇%というような目標は設定しておりません。数字を今定めるというのは不自然ではないかと思っておりますが、目下のところ委託・購入番組の比率についてはそういうふうに考えているというところでございます。
  170. 上田利正

    ○上田(利)委員 遠藤理事からの御答弁で内容はわかりましたが、私といたしましては、番組の、できているものの購入はある程度やむを得ないと思いますが、制作を委託をする、外注をする、これも今日の状況では平成二年度を見ましても一二、三%ぐらいになりましょうか、昨年が一〇%ということでございますから。まあ一〇%程度ならこれはいいと思うのでございますけれども、やはりNHKの職員が、伝統あるNHK、この中で自分たちがよりよい番組をつくっていこう、これが職員の意欲をいつも高めて、そしておれたちがつくるんだ、幾ら苦労してもつくっていくんだ、そして皆さんに喜んでいただけるんだ。だんだんそれが少なくなるということになりますと、もうNHKの職員、私がNHKにおったら余りNHKにいたくなくなりますよ。  ことしの大学の各企業の就職希望などを見ましても、いつも十位以下にずっとNHKはおりましたけれども、今度は三十番目ぐらいになって、もうNHKは余り魅力がない。賃金も安いし労働条件も悪いということがありましたけれども、これからは改善するということでございますから。そういうことを見ますると、番組の委託ということについては現在ぐらいのところを限度にして拡大すべきでない、私はこういうことだけ意見を申し上げて、御答弁は要りません。監視というと何かいけませんが、あとは状況を注意深く見守っていきたい、こう思っております。  それから衛星の問題でございますけれども、昨日も機構法の関係でも若干質問をさせていただきましたけれどもNHKの予算を見てまいりますと、急速に経営が悪化をしていったというのは、放送衛星を打ち上げた五十九年からずっと経営が悪くなって今日の状態が出てきておるのであります。したがって、きのうの御答弁の中でも、約一千億を上回るものがハードとソフト関係でかかっております。地上波の人たちがいろいろなことを、ソフト関係をやった中を入れますと一千二百億ぐらいは当然放送衛星の経費として今までかかってきている、こう私は確信をしているわけでございますけれども、結局この衛星放送NHKの財政を悪化した唯一のものである。そして昨年から衛星放送も有料化したわけでございますけれども、先ほどからの御討論を聞いておりましても、あと三、四年後でなければこれはペイしない、こういうふうな形になっておるわけです。  しかし、受信料を払っている皆さんから見ますると、これまでも私ども地上波の料金で、受信料衛星のいわゆるロケットの打ち上げまでみんな見てやっておったのだ、こういうあれは非常に強いのです。何でそこまでしてやらなければならないのか、何で我々視聴者が受信料の中にロケットの打ち上げまで見なければならぬのか。衛星放送は必要だ、いろいろな番組をつくり、そしていろいろなソフト関係の中でやること、それは必要であればやむを得ない、だからこれは有料になりました。しかしロケット打ち上げ費用までという、そんなことを我々が受信料から払う必要は毛頭ない、こういう意見がもう大多数であります。  したがって、私は昨日も機構法の中でちょっと申し上げましたけれども、もうこのハード関係については撤退をして、BS3、これはきのうも申しましたようにやむを得ませんけれども、それ以降は一切打ち上げ費についてNHKが持つということはやめるべきだ、そしてユーザーとしてそれを利用していく、使わせてもらう、こういう形にすべきだと思いますけれども、その点どうでしょうか。
  171. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  今後の本格的な衛星放送事業の発展のためには、衛星放送事業者のリスク回避、それから利用経費の低減が必須の条件でございます。多様な事業者による衛星の安定的、経済的な利用に向けた新しい体制を実現しなければならないと私ども思っております。このために、放送衛星の調達、所有、管理を一元的に行う第三者法人について、関係機関と相談しながら早期に設立できるように要望してまいりたいというように思っているところでございます。
  172. 上田利正

    ○上田(利)委員 第三者機関を設けてその中でという御答弁でございますから、本当に私の思っているようなことなので結構でございますが、これは大体いつごろからという予定になるのでしょうか。
  173. 中村好郎

    中村参考人 今後のこともございますので、次の衛星の準備という問題もございますので、なるべく早くということが望ましいというように考えております。
  174. 上田利正

    ○上田(利)委員 本年夏に打ち上げを予定しておりますBS3、これ以降はないというふうに考えてよろしいかどうか。
  175. 中村好郎

    中村参考人 NHKといたしましては、毎年宇宙開発に関する要望を出しておりますけれども、そういう段階でただいま申し上げましたような要望を申し上げてきております。
  176. 上田利正

    ○上田(利)委員 ただいまの御答弁では、なるべく早くということで第三者機関ということ、そういうお話でございます。  その関連で、これは郵政省にお尋ねした方がいいと思いますが、日米構造協議における人工衛星の調達問題も大きな貿易摩擦の一つになっておりました。そういう中で、通信衛星についてはということの中で構造協議がされてきておりますけれども、昨今の状況を見ますと、放送衛星についてもこの枠の中に組み入れていくんだということをちょっと耳にしておりますけれども、この辺の真意はどうなっておりましょうか。
  177. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 お答えいたします。  日米間で今問題になっているのは、この個別具体的な衛星という問題もさることながら、日本が研究開発をする衛星とその調達のあり方という衛星一般について議論になっているわけです。アメリカ側の主張は、我が国が研究開発をしました衛星を実用に使っていることにつきまして、それは貿易の面から見ると外国の衛星調達の道を閉ざしているのだ、日本の幼稚産業を保護するものだ、したがって、日本が研究開発をするのは結構だけれども、研究開発衛星であるならば純粋に研究開発だけに利用して、実用に供する衛星についてはその市場を内外に開放すべきであるという主張がアメリカの主張であります。したがいまして、個別具体的にというよりも、いわば日本の通信衛星放送衛星等につきましては、従来開発と実用の相乗りで進めてまいったわけでありますが、そういった相乗り衛星と調達との関係を問題にしているということであります。  そういう意味で、私どもは日本が研究開発衛星を打ち上げているというのは、日本の自主技術基盤を確立するために必要だ、そしてその衛星が実際に成功裏に実用に供されるのであるならば、経費の効率的な観点あるいは資源の有効利用の観点から実用に使うということがあってもいいのじゃないかというところで大きく意見が食い違っているところであります。
  178. 上田利正

    ○上田(利)委員 今、日米構造協議問題の中に触れようとは私は思いません、本意はそういうところではございませんから。ただ、今局長からの説明を承りまして問題になりますというのは、宇宙開発事業団はどのようになっていくのか、今のいわゆる外交交渉の中で、アメリカさんは、研究開発はいいけれども実用じゃだめだというのでしょう。そうすると、宇宙開発事業団を設置した、そして現にこの事業を行っておりますけれども、これは不要ということになりますよね。実用化はだめなんだ、実用のものはアメリカのものを買えということなんだから。全部買ってください、通信衛星であろうと放送衛星であろうと何でも、気象衛星でも何でも全部買いなさい、日本は研究だけはどんどんやってもよろしい、こういうふうに今お聞きをしたのですけれども、宇宙開発事業団との関連はどうなるのですか。
  179. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 我が国の宇宙開発政策というものの目的とするところは、安定的な自在な宇宙活動を確保するための自主技術基盤を確立しようというところに大きな目的があるわけでありますから、そういう意味では、宇宙開発の自主基盤確立のための宇宙開発事業団が無為になるということではございません。アメリカの主張も、研究開発自体を国がやることについてはそれは結構だという立場でありますから、その点から宇宙開発事業団の存在意義がなくなるということは決してございません。
  180. 上田利正

    ○上田(利)委員 今の御答弁を聞いておりまして、研究開発をしていくということは実用化するための研究開発でしょう。何かおもちゃにするために研究しているわけじゃないでしょう。実用化が前提であって、そのための研究を進めて、より安全でよりよいものをということなんでしょう。どうなっているのですか、その辺は。
  181. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 もちろん技術開発が将来いろいろな有用なものに使われるということはあるでしょうけれども、国の立場として関与できる面は研究開発に限るべきだというのがアメリカの主張でございます。我が国は、先ほども申しましたように研究開発もあわせ、それが実用に使えるものであるならば実用に使うということが経費の効率的な使用あるいは資源の有効な利用の観点からいって望ましいということで今日まで進めてまいっているところでございます。その辺の基本的な認識の違いといいますか、研究開発の進め方の方法の違いというものが日米間にあるということでございます。
  182. 上田利正

    ○上田(利)委員 時間がございませんからもう触れませんけれども、私としては今の答弁では納得はできません。機会を見てさらにこの問題はただしていきたい、こう思っております。  最後になりましたけれども、もう時間がございませんので一言申し上げておきたいのでございますが、私は冒頭、受信料値上げの問題、そして長期審が出された問題、そういう非常に時間のない中で我が委員会が審議をせざるを得ない形になった。これは国民にとりましても、あるいは視聴者にとりましても、全くこの短期間の中で国会がこの料金の値上げを決めてしまったという、こういう印象をぬぐい去ることはできないと思うのです。したがいまして、私は、もっと長い時間をかけて、そして国民にも受信契約者にも理解と納得ができるような審議をしたい、こう思って冒頭の質問をいたしました。しかし、残念ながら時間がなくてこれで終わります。私としては、そういう状況の中では、本委員会の中で受信料問題をきょうのうちに決めるということについてはどうしても承服できないし、もっと時間をかけてやるべきだ、こういうことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  183. 園田博之

    ○園田委員長代理 次に、武部文君。
  184. 武部文

    ○武部(文)委員 毎年NHKの予算を決定をいたします際に附帯決議が行われるわけでありますが、毎回のようにその冒頭に、放送の不偏不党あるいは公正な報道ということが決定をされてきたわけであります。公共放送としてのNHKが、当然そのような基本的な問題については逸脱することは許されませんし、その当然なことが毎回のようにこうして附帯決議に載ってくるということはそれなりの意味がある、私はそのように、参加をしながら考えてきたわけであります。  会長にお尋ねいたしますが、公共放送としての言論報道機関のNHK会長として、経営と同時にこの放送についての基本的な考え方姿勢、まずそういうものについて伺いたいと思います。
  185. 島桂次

    島参考人 ただいま御指摘のとおり、公共放送であるNHK放送法の趣旨にのっとって放送を出さなければいかぬということは、もう肝に銘じて私も感じております。当委員会でもいろいろのNHKに対する御批判を承りましたけれども、私は、国会決議あるいは皆様方の意向を本当に重く受けとめて今後も一生懸命やっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  186. 武部文

    ○武部(文)委員 歴代の会長は、今あなたがおっしゃったようなことをこの席で述べてまいられました。公共放送の使命に徹して公正な報道の提供に努める、こういうことをずっと発言もしてこられたわけであります。  かつて、この委員会でロッキード特別番組というものが取り上げられまして、当時、三木元総理のインタビューをNHKが削除した問題が取り上げられたことを私は記憶をいたしております。また、五十七年の三月に、NHK放送世論調査所が四十一項目にわたる調査をやった。その中に、当時大変問題になっておった政治倫理の問題についての項目が五つあったのであります。その五つの政治倫理項目がいつの間にやら消えてしまった、これは一体どういうことか、こういう点がこの委員会で取り上げられたことを記憶をいたしております。  また、この倫理項目が取り下げられた、消えてしまった同じ年に、当時、衆参両院の超党派の七会派五十二人の議員が参画をして、憲政記念館で超党派の糾弾演説会というものが大々的に開催をされました。新聞や民放はこの問題を詳細に報道したのでありますが、どういうわけかNHKだけは全くこの問題に触れなかった。これがまた大変大きな問題になって、NHKに対して抗議が寄せられ、代表はNHKに行って抗議をしたということが我々の耳にも入ったわけであります。こういうことが相次いでこの逓信委員会で問題になったのであります。  当時会長は、役員になられまして報道担当をやっておられたはずでありますが、このことを御承知でございましょうか。
  187. 島桂次

    島参考人 よく存じております。
  188. 武部文

    ○武部(文)委員 それは一体なぜそのようなことが起きたと、当時の報道担当の役員としてお考えでございましょうか、お考えがあればお述べください。
  189. 島桂次

    島参考人 いわゆるあのロッキードの特集番組を一部カットした問題とか、世論調査政治倫理の問題についてそれを出さなかったとか、当時いろいろ週刊誌、新聞その他で取り上げられたことは事実でございますけれども、基本的に私の言いたいことは、我々は取材するに当たっていろいろのものを取材してくるわけでございます。それで、その当時の番組責任者が、会長が編集権を持っているわけで、それを当時報道担当の役員であった私が代行しておりまして、それを、報道局長、続いてその番組の担当者に編集権を委譲しているわけでございます。どれを採用するかしないかということは、その編集権に基づいて我々は行ったわけでございます。  したがって、カットするものは、普通、五分間の番組を仮にやるとすれば、大体三十分ぐらいの素材は最小限度集めてくるわけでございます。その切った問題について、一部NHKの職員の中から不満を持った人間がいたことも事実で、それが外部に出ていきまして、あたかも政治的意図を持ってこれを切ったというような形になったことにつきましては、私は、当時、私の部下の監督責任の面から非常に申しわけない、そういうことで聴視者の御批判なり疑惑を生んだということについては深く反省いたしております。
  190. 武部文

    ○武部(文)委員 そうすると、当時報道担当の役員としてあなたはこの問題にタッチをしておられた、それをお述べになったわけですね。それでわかりました。  きょうの委員会の中でも同僚議員から、その後のいろいろ問題になった、「いま政治を問う・消費税」の問題について御発言がございましたので、私は重複することは避けますが、そのほかにも実は何件もこういう問題が話題になっておることは御承知だと思います。六十三年三月、間接税の導入の問題をめぐったときにもございました。これは、世論調査が実施をされて、当時の間接税の導入について、賛成一八・二、反対四八、こういう結果は放送されませんでした。  これには何か背景があるようでございまして、この放送日の予定の前後に政府税調の税制改革素案というものが公表されたために、それと何か重なるようなことにとられてはまずいというようなことからそのときやめたのだというような説明がNHKからあった、こういうことを私どもは承知いたしました。それはそれなりにわかります。ところが、賛成が四六%だった昨年暮れの調査、このときには繰り返し繰り返し放送がされておる。これは視聴者の側から見ればちょっとおかしいな、こういうふうに思うのは至極当然だと私は思うのです。  こういう点について、先ほど同僚委員の「いま政治を問う・消費税」ということについて、役員の方からこれはNHKのミスであった、こういう答弁がございました。私はまだまだたくさんの事例をここに持っていますが、こういうことが相次いで起きておるということは一体何を意味するのだろうか。この世論調査というものが堂々と行われて、そして予告でこういう結果は報道いたしますとさえ、番組の前にそういうことをお述べになっておる。にもかかわらずそういうものが途中で消えてしまう。これはちょっと見ておる視聴者の側から見れば疑問に思うのは私は至極当然のような気がするのであります。  一体、どうしてこういうことが起きるのだろうか、そういう点について、今会長が、最終的には責任者は会長であるけれども、いろいろなことをやって消えていくのだということをおっしゃったけれども、事こういう問題が、相似通ったような問題が時の大きな政治的な問題になろうとするといつの間にか消えてしまう。これは普通の人が見ておっても非常に奇異に思うのは常識だと私は思うのですが、会長、どう思われましょうか。
  191. 島桂次

    島参考人 ただいまの御指摘、いろいろの面でたび重なって、新聞、週刊誌その他を通じて明らかになっているということは私もよく承知しております。その都度私はそれぞれの責任者を呼びまして事情を聞いておりますけれども、やはり中には明らかに判断の不適切と見られるものもありましたし、あるいは自己規制といいますか、そういうものが一部あってそういう結果を招いたという事例も一、二ございます。  先生指摘のとおり、こういうことは本当にNHKの信頼性というものを損なうものであるという、大変重要な問題であるということを考えております。これからは、仮にもそういう疑いを持たれるようなことのないように、ひとつ全力を尽くしてやってまいりたい、こう考えております。
  192. 武部文

    ○武部(文)委員 私は、NHKに大変大きな期待を持っておる者の一人でありまして、いい番組はどんどん出してもらわなければいけませんし、いわれなき中傷や妨害に対してはやはり断固反撃してもらわなければならぬと思うのです。  かつてこの国会で、NHKがおつくりになった「核戦争の脅威」という、たしかそういう番組だったと思うのですが、この番組に対して、だれが一体何の目的でこういうでたらめな番組をつくったかという論議が行われました。私はその議事録を詳細に検討して、これを黙っておるわけにはいかぬと思って、この委員会で反論をいたしました。大変やじが飛んで騒然とした委員会を私は今でも記憶いたしておりますが、そういう番組については堂々と自信を持って放映してもらいたい。これは国際的にも非常に評価が高くて、外国でも多くの国で放送されたことを私どもは承知しておるわけでありますが、そういう立派な番組NHKはせっかく放映しておきながら、今申し上げたようなことが何回か起きると、やはり視聴者の側から見ればNHKに対する期待と同時に不信も生まれてくると私は思うのです。  あのロッキードの三木元総理のインタビューの問題、それから間接税の問題、今度の消費税の問題、それから糾弾の演説会の問題、余りにも回数が多い。特にその当時の大きな政治課題になっている問題を殊さらにNHK報道しないのはおかしいじゃないかということが世論として起きるのは、私は至極当然のような気がするのです。  今いろいろな原因もお述べになりました。いろいろな原因、理由があったかもしれませんが、しかし見ておる視聴者の側から見ればそこまではわからぬわけですから、この点については、もし具体的な問題が指摘されれば、具体的に詳細に、これはかくかくしかじかの理由でこうなったということをおっしゃらなければ、それは疑問のまま、不信のまま残っていくのですよ。それが積もり積もって、ひいてはNHKに対する不信が受信料の問題にもつながってこないとは言えないと思うのです。そういう点はぜひひとつ十分な対応を立ててもらわなければ困る、私はそう思います。きょうはそれ以上のことは申し上げません。  次に、この提言の七ページにこういうことが載っておりまして、このことについてちょっとお伺いをしたいのであります。  「正確で多角的な情報の伝達、ますます多様化する意見や表現の積極的な紹介などにより、国民に自由な選択と判断の機会を提供するという、総合性のあるジャーナリズムとしての機能を発揮していくことが肝要である。」こういう提言が七ページの上段にございます。これは大変いい提言だと思うのですが、こういう指摘に対して会長の所見をひとつ伺っておきたいと思うのであります。
  193. 島桂次

    島参考人 このかなり膨大な提言があるわけでございますけれども、とりわけ今御指摘されたこの問題については、まさにNHKとして全面的にこの御提言を受け入れて、具体的に放送の上でこれを実施したい、私はこう考えておるわけでございます。
  194. 武部文

    ○武部(文)委員 この委員会では多くの皆さんから多方面にわたっていろいろNHKの問題についての指摘がございました。ほとんど言い尽くされておるようにも思いますが、私はちょっと方面を変えまして、地域放送、ローカル放送のことについてお伺いをしたいのであります。  今全国各地で大変立派なローカル放送が、ローカル番組報道されておりまして、それが地域の視聴者と大変結びつきを深めておる。これがNHKに対する信頼にもつながっておるというふうにも考えますし、これにはもっともっと力を入れてもらいたい、そういうことをかねがね主張してきた者の一人でございます。きのうの答弁を聞いておりますと、これからの五カ年計画、七カ年計画といいましょうか、そういう長期の計画の中で、経営が非常に難しくなってきたので、いろいろな経営形態の中にもメスを入れるような御発言がございましたが、将来NHKはこのローカル放送についてはどういう態度で臨もうとしておられるのか、まず最初にそれをお伺いしておきます。
  195. 遠藤利男

    遠藤参考人 地域放送充実ということにつきましては、全国放送と同時に、NHK公共放送としての車の両輪であるというふうに思っております。地域に密着し地域のためになる放送というのが、公共放送を本当に草の根の放送局として国民皆さん方の生活に根づかせていくための重要な放送というふうに考えておりまして、この五カ年計画の中でも十分な充実をやっていきたいというふうに思っております。
  196. 武部文

    ○武部(文)委員 今、県複局は、前はたしか十三だったと思いますが、通信部は百七十――幾つありましたか。
  197. 遠藤利男

    遠藤参考人 通信部につきましては、五十年代のときには百七十カ所ぐらいございましたが、五十九年から六十一年、新しいローカル放送構想ということの中で通信部の集約あるいは改廃を行いまして、現在は百十四カ所でございます。
  198. 武部文

    ○武部(文)委員 県複局は。
  199. 遠藤利男

    遠藤参考人 いわゆる県複局は十三でございます。
  200. 武部文

    ○武部(文)委員 お話がございましたが、通信部が百七十が百十四に減っておるようですが、これからの効率化その他でさらにこの通信部を統合したり相互の応援態勢をとったりするようなことをおっしゃっておったのですが、これがさらに減るというふうに考えなければならぬ、こう思うのですが、そういう方向ですか。
  201. 植田豊

    ○植田参考人 取材拠点の考え方につきましては先生も十分御承知かと思いますが、機材の発展でありますとか、あるいは道路交通網の諸事情でありますとか、地域の経済、文化の動向でありますとか、これらを総合的に考えて従来とも検討してまいりました。最近のこれらの発展の中で、ただ人を減らせばいいということで減らしたわけではございません。NHKならではのあるべき取材ネットワークの姿を追求する中で、ただいま申し上げたような見直しをしてまいったわけでございます。このような状況の変化に対応して、今後ともNHKとしては、必要があれば随時見直すということは考える必要があろうかと思います。  一面で、例えば簡易の中継車等を適当な拠点に配置をいたしましてダイナミックな、機動的な取材体制もつくっていくということも並行して考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  202. 武部文

    ○武部(文)委員 県複局というのはさっき十三あるとおっしゃったわけですが、これはその局の事情を調べてみると非常に歴史があります。民放とのいろいろな競合問題の中でこの局が今日まで存在をしておるという事実があるわけです。また、通信部はそれなりの、特にきのうからお話のあったような速報性の問題、同時性の問題等を通じて、通信部の果たす役割というものはNHKにとっては決して無視のできない存在だと思います。とかくNHKのローカルニュースというのは県庁ネタだということが言われがちなのでありまして、そういうことをカバーするためにも通信部や県複局の存在というものはNHK報道にとっては大変大事な意義を持っておるだろう、私はこう思っておるのです。  あなた方の効率化のためにそういうところがまず先に犠牲になって、一番大事なニュースの問題についてしわ寄せが来たりということがあってはならぬと思うのですが、そういう点はどう考えておりますか。
  203. 植田豊

    ○植田参考人 まず、県複局というふうに先生おっしゃいましたが、その点で一言申し上げることをお許しいただきたいと思いますけれども、現在私どもでは支局と申しております。県庁所在地以外に一県の中にある第二番目あるいは第三番目の局のことでございます。これは先生指摘のように、地域との長いかかわりの中での歴史がございます。おっしゃるとおりでございます。  これにつきましては、一県当たり一局体制にしようというのがただいままでの方針でございまして、過去十年以上一貫してその体制で追求してまいりました。今現在は、営業の拠点であり取材の拠点であるというふうに位置づけてございます。一部技術の保守拠点という性格を持たせておるところもございます。したがいまして、ひところのように独自の放送サービスをする県内放送局という位置づけから、そういう部分的な機能を持つ拠点になっておるというのが現状でございます。  この中でも、例えば技術拠点としての性格は、今やかなり技術の進歩がございまして安定的な体制になってございます。したがいまして、故障の発生率等もひところから見ますとかなり変わってまいりまして、現在の議論では技術拠点としてはもう見直していいのではないか、実質的な意味合いがないんじゃないかというほどの雰囲気になってございます。  取材につきましても同様でございまして、その地域の、例えば浜松なら浜松の地域取材を私どもはやめるということではございません。その地域の必要な取材は一県一局、一元的な体制の中できちんとする。必要があればそのための職員も置きますし、それから、必要があれば例えば定年になりました職員を嘱託として活用していく、あるいは地域の農協等の御協力も得るといったようなことを総合的に考えまして、それに先ほど申し上げました機動的な機材というものも含めまして総合的な取材体制を考えてまいりたい、かように考えております。
  204. 武部文

    ○武部(文)委員 そうすると、県複局というのは、私はわからなくて質問したら、NHKから県複局と言うんだとおっしゃったから私は県複局というふうに理解をしておったのですが、今は支局と言うのですね。わかりました。  十年以上もかかって検討した結果なお十三の支局が残っておる、こういうことですね。しかし中身が変わってきつつあるというおっしゃり方ですが、それならば、これから十三の支局は統廃合が急速に進むというような計画があなたの方にあるのですか。
  205. 植田豊

    ○植田参考人 ただいま申し上げましたように、まず、先ほど申し上げました技術拠点につきましては思い切った整理が適当な段階だ、むしろ人減らしというような観点ではなくて合理的な対応ではないかというふうに考えております。  それから次に営業でございます。これも御承知のように口座がかなり進む状況等もございまして、あるいはコンピューターの活用等も考えまして、営業体制につきましても全支局に従来同様置く必要は必ずしもないんじゃないか、むしろ一元化いたしましてダイナミックな地域対応を考えるべきではないか。ただ、これは機械的に考えておるわけではございませんで、例えば浜松、郡山といった大きなところまで営業を一律に見直すというようなことは考えてございません。地域に応じた体制でいいんじゃないか。従来、ややもいたしますと県内局というと一定のやや画一的な体制がとられがちでございましたが、ただいまの見直しは、地域の実態に応じて必要な機能を必要なところへ残そうというようなことで、かなりの見直しを今現在するべきではないかということで検討いたしておるところでございます。
  206. 武部文

    ○武部(文)委員 それならば重ねて聞きますが、十三の支局について、例えば五カ年計画の中でこれを何局にするとか第一年目は十三が十二とか十とか、そういうような計画はあるのですか。
  207. 植田豊

    ○植田参考人 先ほども申し上げましたように、それぞれの支局が地域との長い文化的、歴史的なかかわりをしょってございます。これはこれで地域の方々に非常に愛されている側面がございます。したがいまして、今直ちにこの支局を廃止してしまう、一切なくしてしまうということは必ずしも穏当ではないのではないか。必要な機能は、先ほど申し上げましたようにそれぞれ減らしますけれども、残すわけでございますから、一応従来の地域になじんだ形を守りながら、なおかつ見直すべきものは見直していく、かように私どもは考えてございます。
  208. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。  それから、ローカル放送関係で、地方局の資材、機材の問題ですね。これも私はかつて具体的に調査に行って、調べた結果をもとに皆さんに要望したことを覚えておりますが、新潟あるいは長野、それのNHKと民放との大変な格差、これを取り上げたことを記憶をいたしておりますが、民放の持っておる資材、機材、これとNHKの持っておるものとの間には大変な開きがある。これでは幾ら努力してもいわゆる速報性、同時性になかなか追いつかぬ。こういう点についてNHK側から、さらにローカル放送を重視する立場から充実したいという答弁が何年か前にございました。しかし、一向にこれが充実されたとかいうようなことを聞かないのであります。ミニハンディーの問題にしても、あるいは放送車の問題にしても思ったようにいっていないということを聞くのですが、その点いかがですか。
  209. 島桂次

    島参考人 ただいま先生の御指摘のあったとおり、それぞれ各地方において民放との格差が機材面だけではなくて、人、物、金すべてについてかなりあることは現実にそのとおりでございます。したがって、私どもはこれを何とか増強しなければいかぬ。この二、三年は、御存じのようにNHK予算というのはゼロシーリングあるいはマイナスシーリングというような形で展開せざるを得なかったわけでございます。したがって、今度のこの五カ年計画を仮に認めていただければ、かなりの部分増強できるという見通しを我々は持っております。  ついでのことながら、地域放送について先生の今までのいろいろな質問にちょっと補足的に説明申し上げたいのは、地域放送の重要性というものは公共放送としての一番大きな柱である。部分的な統廃合その他、植田専務の方からいろいろ説明申し上げたことがございますけれども、総体として東京対地方、全体を含めまして、私は人、物、金を減らして東京に集中するというようなことは考えておりません。限られた要員、限られたリソース、限られた金をできるだけ有効的に使う、そういう意味で地域放送の再編成に今取りかかっているわけでございますので、その点ちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。
  210. 武部文

    ○武部(文)委員 ローカル番組の中に大変立派な番組がある、私自身もそう思いますが、多くの人からそういう声を聞くのであります。例えば、中国では広島が代表的なものをつくって中国地方の番組を中国五県にそれぞれ随時放映をしておる。近畿は近畿なりに、四国は四国なりに。それは地域の住民と非常に密接な関係を持つし、親近感を持つし、そういう面ではNHKとしては将来とももっと力を入れていくべきではないだろうか、私はこう思うのです。  もう一点、こういう意見があるのです。確かにのど自慢あたりは日曜の番組としては大変視聴率も高いし好評ですけれども、何も九州の鹿児島県に行って北海道全部に、全国にそれを放映しなくたっていいではないか。回っていけばそれなりの意味はあるかもしらぬけれども、例えば九州なら九州で宮崎あるいは大分、その二つぐらいの県の中でできるだけ多くのところを回ってその地域のローカルののど自慢をしたらどうだ。  例えば山陰なら私のところですが、へんぴなところですけれども、島根県と鳥取県の中で都市を順繰りに行けばかえってその方がいいじゃないか。なるほどのど自慢を見ておれば北海道のところが見られるし、ああいう所があるのかということもわかるかもしらぬけれども、そういうふうに少し発想を変えて、のど自慢というのは大変いい番組ですから、そういうものをもっと小範囲で、地域を区切ってやっていけばもっと多くの人が参加もできるし、また地域の住民も喜ぶし、そういうことをやったらどうだという意見を何人かの人から聞いて、なるほどそうかな、そういう考え方もあるのかなと思ったのです。  これはほんの思いつきみたいなことですから聞いていただくだけで結構だと思いますが、そういうふうに地域に密着したような番組というものは、これからのNHKの将来にとってはやはり重要視していかなければならぬ問題点を含んでおるように私は思います。収支の関係でなかなか困難だということはよくわかりますけれども、資材、機材の面と同時に、そうした番組の問題についてももっと力を入れて、地方の意見を取り入れていくような経営方針をやってもらいたい、私はこういう意見を持っておりますが、いかがでしょうか。
  211. 遠藤利男

    遠藤参考人 地域放送充実について先生から大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。  私ども、地域放送というのは、その地域地域に合った個性的な番組のつくり方、報道の仕方をすることが地域放送充実だというふうに思っております。そういう意味では地域に密着し、地域の方々に楽しんでいただき、あるいは地域の発展のためになるさまざまな問題を取り上げる番組をつくるということがこれからますます重要であると思っています。そういう意味では、今先生の御指摘のように、それぞれの地域がもっともっと自分で工夫をするということが大事だと思っております。  のど自慢のあり方もそうでしょうし、ある地域によっては、地域のいろいろな歴史とか風俗とかを扱ったクイズ番組を開発しているところもあります。あるいは東北では民謡が盛んでございますので、民謡のど自慢というのを毎週設けて、それを地域の放送として楽しんでいただいておるということもございます。そういう努力をますます各放送局でやっていきたいというふうに思っております。  また一方、地域の情報が地域の中だけにとどまっていないで、その地域の情報を全国に向けて発信してほしい、そういう全国向けの発信の機能というのをNHKの地域放送局は担ってほしい、そこが民間の地域放送局と違うところである。自分たちの今の問題、あるいは特産物であろうと生活であろうと、そういうことを全国の人に知ってもらうことによってやはり地域が活性化するのだ、そういう御要望もたくさんございます。そういう意味で全国発信機能ももっともっと強めて、その情報を全国の方々に共有し楽しんでいただけるような編成をしていきたいというふうに思っております。
  212. 武部文

    ○武部(文)委員 次に、衛星放送視聴状況についてお伺いいたしますが、これもきのういろいろ説明があったのを聞いておりますと、テレビ視聴の時間は平均大体三時間というようなことをおっしゃっていた。ここにこんな資料があるのですが、この資料を見ると、衛星放送視聴率はどんどん下がっておるように書いてありますが、これはいかがなものですか。例えば、これは八八年の初めと暮れ、そして八九年、個別受信世帯調査というので、衛星放送視聴時間量が書いてありますが、第一テレビは三十四分、第二テレビは二十一分で前よりも減少しておる、こう報告されております。  それから、番組ごとになりますと「ワールドニュース」、これもきのう話に出た番組でありますが、これも時間がどんどん減っておる、こういうふうに調査の結果がここにあるんです。私はふえておると思っておったら減っておるのですが、どういうことでしょうか。ちょっとお伺いしたい。
  213. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘の点でございますが、確かに数字の上では減少しております。その原因でございますが、一つは、八七年、八八年、八九年と調査をやってまいっておりますが、調査の精度が非常に上がってきているということがございます。それからもう一つは、受信世帯というのが飛躍的にふえております。八七年の段階ではまだごく少数の方々でございました。八八年では、まだ数十万という段階でございました。それで八九年になりようやく百万を超すということになりまして、見ている方々が飛躍的にふえているわけでございます。  ですから、八七年の段階衛星放送のパラボラをお取りつけになった方は極めて熱心な方で、これをもう大変楽しんで常時ごらんになるという方がたくさんあった。それからだんだんふえていくわけですから、この番組を見たい、あの番組を見たいという個別、例えばロックを見たい、オペラを見たい、あるいは「ワールドニュース」の英国からの情報を見たいという方々がたくさんふえていっているわけでございます。そういう意味で、視聴の形態がかなり変わってきているということがその数字のあらわれであるというふうに私どもは思っております。  それで現在、一週間に少しでも衛星放送を見た人というのは、ことしの二月の調査では四五%に上っております。それから世帯で一週間にだれかが少しでも衛星放送を見た人というのは七一%に上っております。数字の上での減少傾向というのは、先ほど申し上げました理由でございます。
  214. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。どうしてこういう数字が出ておるのかと大変疑問に思ったものですからお尋ねしたわけです。  そこで、衛星放送というのは、後で申し上げますが、これは大変難しい収支になるんじゃないかという懸念があるわけです。契約というのは他のカラーや白黒と違って大変難しいと思うのです。御苦労が多いと思うのです。特にマンション、それから高層アパート、こういういわゆる集合住宅の契約というのは、これはなかなか他の人が思うようなわけにいかぬような気がするのです。したがって、こういう契約件数というもの、そういうものはどういう傾向になっておるのか、これをちょっと聞かしていただきたいんですね。これは普通の一戸建てのものと全く違うと思うのですが、その点いかがですか。
  215. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 武部委員指摘のとおり、そういう実態にございます。マンション関係の収納、契約というのは大変難しくなっておりますが、二月末現在の実績で申しますと、特に集合住宅でございますが、私ども、普及は十七万七千世帯ぐらい衛星放送を見ているだろうと思っておりますが、契約の方は三万九千、普及に比べますと二二・二%ということで、個人の方が五二・六%いっているのに比較しますと半分以下だというような状況になっております。
  216. 武部文

    ○武部(文)委員 その一番大きな原因は何ですか。
  217. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 マンションでの、あるいは集合住宅での受信の方法として幾つかあろうかと思うのでございますけれども、個人の方がベランダで衛星放送を受けているときは、私ども外から見て直ちに把握できるわけです。この場合はほとんど問題ないわけでございますけれども、マンションなり高層住宅の屋上にアンテナを立てて共同で受信されている場合です。この場合、受信の方法として、各御家庭がチューナーを買ってそれぞれ見られるような方式の受信の方法と、周波数を変えて見なければだめだというような、ただ受像機があれば周波数に合わせて見られるという方法と、そういうような方法があろうかと思うのですが、特に私どもは、チューナーを買って見なければならないような場合は、チューナーをお買いになっているかどうかということの確認が非常に難しい。  特に最近はロックマンションというのが地方の都市でもどんどんふえております。そんなようなことで、まずマンションに入るのになかなか入りづらい。入って、今度はドアのところへたどりついて、またそこで面接して衛星放送を見ておるということを確認することが難しい。中に立ち入って調べるというようなことはできませんので、あくまでも自主的に、見ていらっしゃるということを我々はお話の中で確認して契約を結んでいくということでございます。  それで、そういうようなときには、対策としましては、私どもはチラシをまいたり、あるいは受信の方法を御指導するというようなことで、受信状況はどうなっておるかということを相談申し上げる中から契約、収納という方向へ努力しておるということでございます。
  218. 武部文

    ○武部(文)委員 これは言うべくしてなかなか難しいことだろうと思います。したがって、これは収支を過大に見積もったらとんでもないことになると思います。  もう一つ大事な点は、CATVの問題だと思うのです。このCATVは、NHKとしてはこれからさらにどんどんふえていくというふうに思っておるのか、それとも大体限界に来ておるというふうに見ておるのか、いかがですか。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  219. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 CATVにつきましては、いろいろな過程がございまして、いろいろな種類のCATVがございます。難視のために行われた共同施設的なCATVもございますし、都市型CATVもございますので一概には言えませんけれども、今後CATV側がどういうソフトをより多く供給できるか、どういう質の映像を、素材をCATV加入者に満足いくように流せるかということによってさらなる普及度合いというものは変わってくるのではないだろうかということで、当然CATVの間の格差は拡大しようと思いますし、そういうような中でCATVが一層普及していくためには、CATV側もかなりの問題を抱えているだろうというように理解しております。
  220. 武部文

    ○武部(文)委員 CATVというのは全国の組合がございますね。ですからそれと一括して契約をする、こういう方法を恐らく考えておられると思うのですが、そういうような点についてはどういう進捗状況ですか。どんな話し合いが進んでおるのか。そういう可能性、展望は開けるのか。それとも全くだめなのか。いかがですか。
  221. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お尋ねの件は、CATV事業者とNHKが一括して契約できるか、その可否についてだろうと思うのですが、ただいまNHK受信料制度の中で私どもは個々の世帯の方々と、つまり映像を見ている方々と個別に契約を結ぶというような建前になっておりますので、今の段階では直ちに連盟全体と一括して契約を結ぶということは非常に難しいわけです。  しかしながら、CATV加盟者の方たちがより衛星放送を見ていただいて契約を結んでいただくということは、私どもの契約促進の上でも大変効果がございますので、どういう形にしたらいいのかということで、今CATV連盟の方々と鋭意話し合いを続けている最中でございます。
  222. 武部文

    ○武部(文)委員 お話を聞くと、一軒一軒個人と対で契約を結ぶということですが、これはとても話にならぬと思いますね、そういうテンポじゃとてもだめなような気がいたします。仮に全国的な組合あるいは一つずつの組合と一括して契約するということになれば、何か制度上の改正でもやらなければできないのですか、今のままじゃできないのですか、法律的に何か制約があるのですか。
  223. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 一つは、CATVが全部の加入者に同意をしていただきまして、例えば定款の中で各加入者の代表としてNHKと契約を結べるような格好になるということがまずあると思います。それからもう一つ地上を含めまして衛星、つまりカラー衛星全体についてCATVの業者が全加入者を代表してNHKと一〇〇%契約していただけるような体制にしていただきませんと、私どもは今の受信料制度の中では問題が起こるのではないだろうかというように思っております。  しかし、そういうことだけでしゃくし定規にもできない部分がございますので、CATV側の方々とその辺についてどういう知恵があるのか、郵政省の御指導も得ながら話し合いをさらに進めてまいりたいというように考えているところでございます。
  224. 武部文

    ○武部(文)委員 この衛星放送のことについては、会長は大変NHKにとってはこれは重荷だというようなことを漏らされたことが一部の雑誌に載っておりましたが、そういうことをお述べになったのだろうと思うのです。確かにきのうからの論議をしておっても、今の段階衛星NHKにとって大変な問題点になっておるということだけはこの論議を通じてもわかりました。今、単独飛行をやっておるわけですが、いつどんなことになるかわからぬ、したがって、NHKの収支にこれが非常に大きなウエートになっておることもよくわかるのです。さればといって、今ここですぐやめるというわけにもいかぬ、こういう点が非常にジレンマに陥っていると思うのです。  視聴台数、設置台数と契約台数というものに開きがございまして、それを非常に努力してやっておられるけれども、私は縮まるどころか開くような気がしてならぬのです。一千万台を目標にしておられるようですけれども、それが果たして予定どおりの契約台数に到達するか、とても今NHKが目標に立てておられるような期間に到達するとは思えない気がするのです。  そこで、このことがこれからのNHKの収支にとって非常に大きな重荷になってくるのじゃないか、そんな気がしてならぬのですが、衛星放送の設置台数の目標と、それから契約台数の目標、そういう将来の展望についてどういう自信を持っておられるか、これをちょっと聞かせていただきたいのです。
  225. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生指摘のとおり、私どもも普及と契約数の乖離が広がることが一番恐ろしいことでございます。特に公平負担という観点で言うならば、衛星についても、将来あそこは見ているけれども金は払っていないというようなことになってきますと、公平負担の原則が損なわれるということでございますので、現在のところ、ともかく今の段階はまず普及だということで普及に力を入れておりまして、平成元年度については三月末に約三十万台という目標はほぼ達成できると思います。普及して畑を大きくして取る、契約していただくということに結びつけていきたい。畑が小さいとどうしてもこの大きな国土の中で散在するわけでございますので、なかなか捕捉も難しいし、契約収納に結びつくこともいろいろと問題が多いというようなことですので、今は普及の促進に力を入れているわけであります。そういうことで、今次経営計画では、平成六年度には一千万台くらいの普及を我々としては目指していきたいということでございます。  契約の方は、じゃおまえどうなんだということでございますが、先ほど来御指摘もございますように、いろいろと困難な状況はございます。しかしそういう困難を克服しつつ、私どももできるだけ契約をふやしていくということで、これを平成六年度にはかなりの部分の契約に結びつけたいと思っております。ただ、ことしの秋には民間放送衛星放送の有料化放送を始めますので、さらに環境は厳しくなろうと思いますが、そういう中にあって、我々はNHKのいわゆる衛星放送の性格その他を御理解いただきながら、ぜひ契約率の向上に努めていきたいと思っておるわけです。それで、当初私どもは、契約率化を九〇%の目標で平成三年度にはしたいなということを有料化の段階では思っておったわけでございますが、今次計画ではこの計画を一年おくらせてするような結果で、今後さらなる努力をしてまいりたいというように思っておるわけであります。
  226. 武部文

    ○武部(文)委員 畑が大きくなって収穫がふえればいいんですけれども、畑ばかり大きくなって全く収穫がないということになれば、これは大変なことですよ。これはあなたがおっしゃったように、六年に一千万台で九〇%なんということは、今の状況から見れば、我々の側から見れば、とてもじゃないが、できっこないように思うのです。  それで、さっきの集合住宅、高層マンション、アパートというものはとてもじゃないが目標どころか、達してませんね。はるかに下ですよ。特に都市はほとんどこれでしょう。そうなってくると、とてもじゃないが九割なんというのは、さっきの数字を聞いてみると私は唖然といたしましたが、これじゃとてもいけません。そうなってくれば、これは一般の受信料に将来影響が来るんですよ。また値上げだということが起きないとも限らぬ。したがって、この衛星放送というものが今後NHKの収支にとてつもない大きなマイナスになってくるような気がしてならぬのですが、この点はいかがですか。もうちょっと自信を持って説明できますか。
  227. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先ほど集合住宅の普及と契約数について申し上げましたが、私どもも、この集合住宅関係の契約収納というのは大変難しいということで、目標自体を低く押さえておりまして、例えば先ほどの申し上げました実績でございますけれども、二月末現在の三万九千件というのは、私どもの年間計画では四万件というように推定しておりましたので、契約率的には九八・四%に達しておるということで、今後ともこの部分を時間をかけながら拡大していくという手順で、手がたくやってまいりたいと思っております。
  228. 武部文

    ○武部(文)委員 もう時間が来ましたからやめますが、四万件、その目標自体低過ぎて話にならぬ。九五%とおっしゃるけれども、目標がはるかに下なんですからね。目標さえ下げれば何ぼでも上へ上がりますよ。それじゃ問題の解決にならないんですよ。ですから、こういう点はもっともっと真剣にNHKは考えなければ、とんでもない重荷を背負ったことにこれこそなるような気がしてならぬのです。  ですから、もうこれ以上申し上げませんが、多くの同僚から話があったように、確かにNHK経営状態というのは今重大な時期を迎えておると思うのです。そういう意味で我々は、視聴者の皆さんNHKを信頼をして、そしてそれこそ喜んで受信料を払うというような、そこまでいかなければ問題の解決にはならないと思うのです。ですから、冒頭申し上げたような例の不偏不党の問題や、公正な報道や、そういう問題にはぜひ第一義に気を配ってもらわなければいかぬ。そういうことがまたこれからも随時起きてくるようなことがありますと、それは経営にも大きな影響をもたらすということを私はぜひ重ねて指摘をしておきたい、このように思います。  時間が来ましたから、これで終わります。
  229. 上草義輝

    上草委員長 次に、菅野悦子君。
  230. 菅野悦子

    ○菅野委員 NHK放送報道姿勢についてまずお伺いしたいと思うのです。質問が遅くなりますと、案外重複ということも出てくるかもわかりません。その点、御了承いただきたいと思います。  公共放送NHK国民視聴者にどう見られているかということにつきましては、昨年九月も独自に行われておりますNHKに関する世論調査、この問題でも大分先ほど来やりとりがあったと思うのです。新鮮味がない、古臭いというイメージが増加しているというふうなことも言われておりました。また、NHKの性格についても、国営放送的な認識が強まっているというふうなことにつきましても、これは視聴者への影響がそういう状況になってあらわれているということではないかと思うのです。このことについては、昨日来、会長の方からも努力、改善ということでのお話がありましたので横へ置いておきまして、私は、放送法に定められております公正、公平あるいは中立という基本問題で、視聴者に疑問を持たせるような事態も残念ながら起きてきているということについてちょっとお伺いしたいと思うのです。これも既に議論にもなりました、国民の間から不信の声が上がっておりますあの例の橋本大二郎キャスターの選挙応援問題でございます。  今回の問題は、NHKの看板番組ニュースキャスターという点で、国民視聴者の信頼感と知名度を特定の候補者に利用されたというふうな問題であると言えるのではないかと思うのです。これはNHKに対する国民の信頼を裏切ることになるというふうに思います。NHKについては、この点で遺憾の意を表明なさっているということですけれども、どういう御認識で遺憾とおっしゃっておられるのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
  231. 島桂次

    島参考人 この問題につきましては、先ほどほかの委員質問にも答えたとおり、私は、この問題は、放送人として、特に公共放送放送人として甚だ遺憾であるという感じを持っております。
  232. 菅野悦子

    ○菅野委員 このことで余りにも国民のいろいろな声が上がっておりましたので、私どももいろいろ調べましたところ、公示前には「ニュースキャスター 橋本大二郎来る」というステッカーが町じゅうに張り出される。公示後は毎週土、日、祝日選挙区に入って、NHKでおなじみのニュースキャスターとして紹介されている。橋本後援会というところのニュースが出ておりましたけれども、それにも個人演説会の弁士は「ニュースキャスター 橋本大二郎」としかない。ほかの弁士の紹介はないというふうなことで、残念ながら、NHKニュースキャスターとしての知名度で演説会の動員に利用されているということがこの事実からもわかると思うのです。  問題は、選挙期間中に何回も応援に行っているわけで、もちろん私ども、職員の政治活動の自由というのは保障されなければならないというふうに思っておりますけれども、今会長もおっしゃっておられたような立場であるということで、組織としてこの選挙応援を容認していたのではないかというふうな疑問が出てくるわけなのです。ですから、これほどたびたび行っておられた応援なのですが、事前にあるいは途中で善処方させられなかったのかどうかなということについてお尋ねしたいのです。
  233. 遠藤利男

    遠藤参考人 御指摘の点で、私ども二つやっております。それは、橋本大二郎君だけではなくて、公共放送に従事するNHK全職員に対して、こういう選挙期間中の行動については、公共放送の職員としてふさわしくない行動をとらないようにという通達を毎回毎回選挙のときに出しております。今回もそれをしました。それからもう一つ橋本大二郎君につきましては、いろいろな方から橋本大二郎君の行動について御忠告を受けました。それに照らしまして、私ども直属の上司から橋本大二郎君に、公共放送のジャーナリストとしてふさわしくない、あるいは誤解を与えるような行動をしないように、これは数度にわたって注意をいたしました。
  234. 菅野悦子

    ○菅野委員 過去におきましても、NHKの解説委員の方が、田中元首相の後援会主催の行事で講演して問題になったということもありますし、このときもNHKの方からは遺憾の意が表明された。同じようなことが起こっているわけです。今NHKにジャーナリスト精神が欠けてきているのではないかというふうな指摘もあるやに聞いております。今いろいろとやっているんだということですけれども、今後このような問題が起きないようにするために、ジャーナリストとしての自覚を高めるということと同時に、もう少し突っ込んだ対応策というふうなものを検討なさっていらっしゃるのかどうか。今までと同じように、通達出してます、しかし変わりませんというふうなことでこれが歯どめがかかるのかなと率直に疑問に思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  235. 遠藤利男

    遠藤参考人 今度の件につきましては、自分がテレビに従事しながら、テレビの持っている影響力の強さということについて、私は率直に申し上げて、やはり橋本君の自覚というものが足りなかったと思います。そういう面で、上司である私どもを含めて、大変深く反省しておるわけですが、これは私どもとしては極めて常識的なことだ、公共放送に携わる、しかもその中でジャーナリストとして活動している人間が、選挙のときにどういうふうに行動しなければいけないかということの常識的な面だというふうに思っております。そういう面での教育が至らなかった、あるいは人間の育て方が至らなかったと私ども深く反省しておりますが、今後の教育の仕方、あるいはこの事件に照らして全職員が一体どう考えたかということによって、きちっとしたモラルをつくっていきたいというふうに思っております。
  236. 菅野悦子

    ○菅野委員 NHKの中にそういう常識的なことが通用しないという状況があるということについては、本当に残念に思います。今後、今おっしゃったような方向をさらに強めながら、ぜひ頑張っていただきたいと思うわけです。  次に、放送政治的な公平の確保という問題で、我が党は一貫して国会中継の不公平を指摘してまいりました。NHKの中継が午後六時で打ち切られるために、一部の党の質疑が一般国民視聴が著しく困難な深夜の録画放送になるというふうな問題でございます。  この間、深夜の放送は以前から比べて少なくなったということについては、本当に大変いいことだと思っております。しかし、最近でも百十六国会参議院予算委員会、昨年の十月三十日ですけれども質疑の一部が深夜に回りまして、一昨年の八月三十一日の参議院予算委員会の中継は録画分の終了が午前二時になる、こういうふうなこともあります。これらのときは審議中断などがあったことも事実ですけれどもNHKの中継あるいは録画の放送時間などでの改善ができないものかどうか、相当減ってきているということは努力の結果だと思うのですけれども、しかしなおこういうふうな点での改善ができないものかということで、昨年島さんの方からは検討するという御趣旨の答弁をされているということですけれども、これはその後どうでしょうか。
  237. 島桂次

    島参考人 引き続き改善の方向で検討を続けさせていただきます。
  238. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう一つ政治的公平という点で心配なことがあります。  それは、先週の土曜日の「NHKスペシャル 超高齢化社会の衝撃 長時間討論」という番組、三時間四十分ですけれども、そういう番組放送がございました。討論出席者の中で政党の代表は自民党と社会党のみ、この二つの政党は、代表は文字どおりこの長時間討論に参加をされたわけです。ところが、私ども日本共産党を初め、公明党、民社党の代表も含めて、これはVTRでそれぞれ約九十秒、一分半ですね、インタビューに答えるだけ。三時間四十分の中で九十秒ということです。もちろん、いろいろな番組がありまして、出演者はその番組企画に沿ってNHKが決めるものでしょうけれども、しかしこのようなやり方というのは、先週の土曜日の番組だけではなくて、昨年十二月の「NHKスペシャル」で、消費税問題のこれも長時間の討論番組をやりましたけれども、このときも全く今回と同じような事態があったわけですね。ですから、そこに出ていない政党というのはVTRの短いインタビューのみという状況だったわけです。  私が心配いたしますのは、もしこうしたやり方が定着をするということになりますと、放送法第三条の二の「政治的に公平であること。」という規定に反することになるのではないかということが心配されるのですね。この点はどうお考えでしょうか。
  239. 遠藤利男

    遠藤参考人 長時間討論についての御批判でございますが、討論番組の実行の仕方というのはいろいろな方法があるのではないか。いわゆる「国会討論会」の方式もございますし、そのほか、問題をとらえて、その問題でもって一番代表的な意見を持っていらっしゃる方々の討論を深くやって、国民の皆様に判断していただく材料を提供するというやり方もございます。どれをとりましても万全ということはなかなか私どもは行いがたい。「国会討論会」の方法についても一部の方々からの御批判をいただいておりますし、そういう長時間討論のやり方について全部の方になかなか御満足いただけない。  ただし、一つ番組だけでそれを全部行おうというのは行いがたいわけで、こういう、例えば長寿社会の問題で、高齢化社会に一体どう対応するのかということにつきましては、一回の討論でとても済まない。何回も何回もこういうことを重ねまして、それで国民皆さん方に判断する材料を提供していきたいと思っております。ですから、私どもとしてはそのときそのときに一番わかりやすい方法をとらせていただいているつもりでございます。  消費税の問題のときには、これは消費税廃止案とそれから見直し案と、この二つの代表的な案がございました。この案について深く討議していただくというのが私どもの趣旨でございまして、廃止案をお出しになった野党の皆さん方から代表の方が出ていただき、見直し案の自民党の方から代表の方が出ていただき、そしてその他の政党の方にはビデオで出演していただいて御自分たちの御主張をしていただくというような形をとりました。これが別に最善のことではなくて、この問題についてわかっていただくためには、この方法が一番深く議論をしていただくためにいいというふうに考えたわけでございます。  高齢化社会の問題は、先ほど申し上げましたように、目下一つの政策が出ているわけではございません。いろいろな考え方がございます。それから、福祉政策だけではなくて、税制あるいは土地政策のあり方、あるいは社会の、人間の心の問題、あらゆる問題を含めて非常に広範囲な討論をしなければいけない。そういうことの中で、今回最もわかりやすいやり方でやらせていただきたいということで選択させていただいたわけでございます。  私ども、これがすべていいというふうには考えておらないというのは最初に申し上げたとおりでございまして、今後いろいろな問題をとらえて、そのときそのときに適切な方法で御討論いただきたいというふうに思っております。
  240. 菅野悦子

    ○菅野委員 今もお話がありましたけれども消費税にしても高齢化社会にしても、これは今日の政治にとって非常に重要なテーマであるわけです。消費税の問題ではるる定着と廃止と二つのということがありましたけれども、いろいろ各党とも政策的な違いがあります。しかも全国民的な関心事であるわけですから、そういう点では、こういう形で一部の政党を外していくというのはやはり公平さに欠けると思います。国民がそれだけ非常に重要な関心を持っていて、政治的に鋭いテーマだということがあり、重要なテーマであるだけに、私はぜひこの点については、公平さということについて引き続きNHKとしてよくお考えになった対応をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それでは、続きまして、女性向けの番組の作成についてお聞きしたいと思います。  近年、家事、育児と仕事を両立させながら働き続ける女性というのが非常に急増してきております。今、生産現場を見ましても、農業とか商工自営業などはまさに女性の肩にかかっている、担っているというふうな状況がありますし、労働婦人も年間五十万人ずつふえている。全雇用者の中でも四〇%に近づくというふうな形で、あらゆる分野に女性が目覚ましく進出しているということは御承知おきのとおりだと思うのです。社会活動を見ましても、市民運動とか住民運動などについても女性パワーが言われております。  これらを背景にして、政治の意識、この点での高まりというのも非常に大きなものがあるというふうに思いますけれども、そういう中で女性のマスメディアに対する期待というのも非常に大きく変わってきている、こういうふうに思います。その点で、NHKとして女性視聴者を対象にどのような番組に力を入れておられるのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  241. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘のように、今女性の時代と言われておりまして、かねてから女性の視聴者というものがテレビ視聴者として重要な役割を果たしているというふうに認識しておりますが、この新しい女性の動きに対してやはり的確に対応するというのが私どもテレビの使命であるというふうに思っております。家族のあり方の変化、親と子の関係の変化、女性の労働あるいは学習意欲というものがこの数年非常に変わってまいりまして、そういうものに向かって、総合テレビ教育テレビを含めて的確に対応しなければ、私どもとしては公共放送としての役割を果たせないと思っております。  例えば朝の「おはようジャーナル」というのが八時半からございますが、これでは家庭の問題、女性の生きがいの問題、親子の問題、教育の問題、あるいは生活のさまざまな変化の情報ということをお伝えしておりますし、「NHKスペシャル」でも女性のさまざまな社会進出の中での女性の活躍というのを取り上げております。例えばキャリアアップというような形で、ニューヨークに行って国際的に活躍している女性の問題も取り上げたりしております。  一方で、女性ということでいいますと、子供と女性ということも今非常に重要な課題を抱えております。働きに出るお母さんがふえている中で、子供とお母さんとの関係ということを私ども重視しておりまして、四月からの番組では、四時から五時にかけまして教育テレビで二時間、「母と子のテレビタイム」というのをつくりまして、子供もお母さんも一緒にそれを見て両方のためになるような番組を幾つも並べて、お母さんも子供もその成長に資するような番組編成をしたいと思っております。  また、教育テレビでは午後九時台に「きょうの料理」という番組の再放送をいたしまして、働きに出ていらっしゃるお母さん方、あるいは育児で忙しかったお母さん方が手を離れてからじっくりと「きょうの料理」の番組を見る、あるいは趣味講座を見る、そういうことによって生涯教育をみずからなさっていただけるような時間の編成をしております。  また、ニュース報道につきましても、四月からは「ミッドナイトジャーナル」と申しまして、「ニュース・トゥデー」とはまた一味違った、生活あるいは文化の情報をもたくさん含めました情報番組の時間帯を夜十一時台につくりまして、働いていてお忙しいお母さん方、あるいは育児から解放されたお母さん方に的確な情報をお送りしたいというふうに思っております。
  242. 菅野悦子

    ○菅野委員 今の幅広くなっている女性のニーズにこたえるために大分御苦労なさって、いろいろと工夫、研究なさっているということですので、そういうことも大いに結構だと思います。ただ、今までのNHK報道で女性向けといいますと、いわゆる料理とか手芸とか育児とか、そういうものが中心という印象がまだまだ強いということで、女性の期待とか変化に対応できていないという側面も今後の研究課題として残されている部分が多くて、実態としてはまだそういう実態にあるということが心配されるわけです。女性問題、軽視できないということなんですけれども、この点での関心は日本だけでなく世界的なものでございまして、だからこそ一九八五年までの国際婦人年、それに続く国連婦人の十年の設定ということにもなっておりますし、その中でも課題が達成されていないということで、引き続き二〇〇〇年に向けて全世界的な課題になってきているわけなんです。  そういう点では、女性のそういう問題にこたえるNHKの対応というものが引き続き非常に大事になってきていると思うわけですけれども、その関係で一九八五年六月二十五日に日本政府も、この国連婦人の十年との関係の中で女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を、世界の中で余り早くもなかったのですが、批准いたしました。世界じゅうの婦人がこの条約の理念に照らして政治、経済、社会、雇用、情報、あらゆる分野を見詰めて行動しているというのが今の実態なんですね。ですから、マスメディアに期待するものも同様なんですけれども、そういう点でぜひ皆さんにこの条約を御認識いただきたい。御認識いただいているのではないかと思いますけれども、これをお読みいただいているかどうかについてぜひお聞きしたいのです。
  243. 植田豊

    ○植田参考人 NHKといたしましても、先ほど来申し上げておりますとおり、女性がいわば視聴者の半分を構成しておるわけでございますので、今、世界的な趨勢の中で、御指摘のような高まりの中で女性をNHKの業務の中にも、あるいは番組の中にもしっかり位置づけていかなければいかぬ、かように考えておるところでございます。
  244. 菅野悦子

    ○菅野委員 どうも今のお答えでは多分読んでおられないのではないかと思うのですけれども、この条約、今全世界的な女性の問題については基本的な指針となっておりますので、ぜひお読みいただいて、女性の視聴者の期待、変化に対応していただきたいと思うわけです。  雇用機会均等法の成立とか派遣労働法の成立などによって、社会進出した女性の雇用環境は非常に大きく変わってきております。日本でももちろんそうなんですけれども、ただ、その一方で、女性の地位向上というのが国際的な世論になっているにもかかわらず、日本においては女性がなお男性の平均賃金の約半分というふうな実態とか、ジャパゆきさんなどと言われる外国人労働者の問題があるというふうなこととあわせて、先進国としてはなお非常に恥ずかしい状況にあるというのが今の現実です。  そういう意味NHKの果たす役割というのは、この落差の大きさから見て非常に大きいのではないか。そういう点でぜひ前向きに頑張っていただきたいと思うわけです。その点で、その放送において「基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る」とうたわれております国内番組基準に照らしても、私はNHKの果たす役割という点で期待したい、貢献していただきたいと思うわけでございます。ですから、先ほどから主張しております差別撤廃条約、この理念に沿った、貢献できる番組の作成、あるいはまたもっと突っ込んで、マスメディアを通じてその周知徹底などについてもぜひ御努力いただきたいと思うわけです。  ところで、そうした番組作成、今もちょっと御回答の中にもありましたけれども、心がけていただく上で重要なことというのは、企画制作スタッフの中にどのくらいの女性が活躍しているのかということが一つ重要になってくると思うのです。  そこでお伺いしたいのですが、NHK全職員及び管理職の中における男女比率及び実数、これがどのようになっているかということ、あるいはまた放送法規定されております理事及び理事待遇、ここに女性はどのくらいの方がいらっしゃるのか、比率と実数、それからもう一つ、職種別女子職員の採用推移と男女比較、この点についてぜひ御報告いただきたいと思います。
  245. 植田豊

    ○植田参考人 今現在NHKがおよそ一万五千名ということでございますが、その中での女性は八百八十名、約六%でございます。このうち管理職は七十名おります。ちなみに、御質問にあったかと思いますが、理事十名、理事待遇十五名でございますが、このうち女性は含まれてございません。
  246. 菅野悦子

    ○菅野委員 全職員の中でも六%とおっしゃいましたが、約五・九%、一割にも満たない。それから管理職に対する比率は、これはお答えになりませんでしたが、全体の三・三%。今お答えにありませんでしたが、取材記者というのは五十七年まで採用ゼロですね。技術では六十一年までゼロです。年々ふやしているということですけれども、非常に少ないところからの出発での少ないふやし方ということで、努力は認められるものの余りにも少な過ぎるというのが率直な感想です。  視聴会議も含めて女性の採用が抜本的に改善されるということが、番組作成あるいは公共放送NHKとして高まっている女性の要求にこたえていくという上でどうしても不可欠だと思うのですけれども、この点はどうお考えでしょうか。
  247. 植田豊

    ○植田参考人 申し落としましてまことに申しわけございませんでした。一つつけ加えることをお許しいただけば、NHKの長い歴史の中で女性の現場技術者というのは皆無でございました。このところ数年採用し続けまして、今カメラマンとしてスタジオでカメラを振っている女性も出ておるところでございます。なお、平成二年度の新採用者、取材要員の中には報道カメラマンとしての採用も一名含んでございます。先生指摘のとおり、かつてはおおむね十名程度の採用でございました。ここ四、五年二十名台になり、平成二年度は三十名を超す四十名弱というところにまで、徐々にではございますが改善をしてまいっておるところでございます。  なお、これらの状況につきまして、少しテンポが問題ではないかというお気持ちはよくわかります。ただ、一つは、NHK放送事業であるという特殊性から極めて不規則、過重な労働実態がございます。深夜といえどもあるいはあらしの中でも働かなきゃならぬという、特に現業の場合は極めて厳しい労働条件にあるのが現実でございます。この辺が一定の限界があると従来思われてまいりました。今後とも、その辺の確かめをしながら、着実に努力を重ねてまいりたいというふうに一つ思います。  もう一点ぜひ御理解を得たいと思いますのは、NHKは全国に事業所を持つ事業体でございます。例えば大阪の放送に従う者が東京のことを知らなくていいかというと、それはやはりナショナルな視点で地域放送に取り組んでもらいたいということがございます。ですからNHKの場合には、地域放送といえども全国レベルの放送をしておる要員と資質、能力、キャリアにおいて差がございません。地域放送で何がしかNHKNHKならではの仕事をさせていただいておるとすれば、この異動の問題がございます。最近採っております女性たちの結婚あるいは育児という過程の中でこの異動問題がどう安定的に消化されるか、この辺も十分注意しながら着実に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  248. 菅野悦子

    ○菅野委員 国際的な「国連婦人の十年後半期行動プログラム」という中にマスメディアについて触れている部分があるのですけれども、「マスメディア組織内の政策決定及び意思決定のあらゆるレベルにおける婦人の十分かつ極めて積極的な参加を奨励するために、あらゆる努力をなすべきである」というふうにこのプログラムについては世界的規模でこういう方向を追求しているということですので、NHKとしてもぜひそういうことを踏まえて積極的な対策を講じていただきたいというふうに思うのですね。繰り返して言うようですけれども、新しい女性たちのパワーの高揚、変化に十分こたえる番組づくり、そのためにも協会内部での女性の活用、力の発揮の保障、これが非常に大事だというふうに思います。この点、特別の御配慮をお願いしたいというふうに強調しておきたいということです。  それから衛星のことについてお尋ねをいたします。  昨日来衛星放送に対する並み並みならぬ決意を披瀝していただいたわけですけれども放送の保証となる衛星の問題ですが、今活動しているBS2bですか、これは来年の一月までの能力ということがこの間の中で言われております。この夏打ち上げるBS3a、これはテスト期間を経て実際に機能する、使えるのは、三カ月のテスト期間が要るので十一月もしくは十二月というふうなことなんですね。バトンタッチは十分可能だとする一方で、フォローする衛星、補完衛星があれば万全だけれどもというふうなお話がやりとりの中で出されております。  これを補完すべき衛星として、残念なことにBS2xがあのような事故で結局だめになったということなんですけれども、そのかわりとなるもの、補完衛星を一生懸命探しておられるという島会長の熱意を昨日来いろいろと聞かせていただいておりまして、これは放送の中断など不測の事態があってはならないという責任感に裏づけられた熱意だということでございますけれども、一方、衛星問題では日米交渉の中で、研究調査レベルのものはともかく、あくまで実用に供するものについては市場開放せよというアメリカ側の強力な主張があるということも同時にはっきりしてきているわけですね。  ですから、そういう点で、買え買えと言っているときに一生懸命探しているということで、この二つが符合し、連動した動きというふうに見られるのではないかと思いますけれども、この点はどうなのかということをぜひお伺いしたいと思うのです。
  249. 中村好郎

    中村参考人 現在2bで放送しておりますけれども、2bの予備として2xを用意いたしまして、これが失敗に終わったわけであります。NHKといたしましては、この衛星受信機が数百万という勢いで普及している中でどうしても放送を安定的に継続したい、させていかなくちゃいけないということから、補完的な衛星を用意したいというきのうの会長発言があったわけでございます。  私どもは、今技術的にそういう衛星が早期に用意できるかどうかということを検討しておるところでございまして、今先生の御質問の調達の日米間の問題ということについては、私の方から御説明できる立場にないというように思います。  以上でございます。
  250. 菅野悦子

    ○菅野委員 説明できる立場にないということですけれども、説明できる立場にある人はここにはいないということですか。
  251. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 ただいま中村通信政策局長が不在でございますので、責任者としては私ではございませんが、郵政省の一員としてこちらに立ったわけでございますけれども、スーパー三〇一条の関係で今会議がいろいろと行われているということでございます。これはいろいろな衛星についてお話が及んでいるやに聞いておりますけれども、交渉ということでございますので私は詳細は存じておりません。ただ、今NHKさんの方で調査をしておるというものに関しては関係がないのではないかと私は存じます。
  252. 菅野悦子

    ○菅野委員 補完する衛星を一生懸命探していらっしゃるその熱意の当事者である島会長、探しておる側としては、この話との連動というのはどうなんですか。全く別のところとやっているということなんですか。探している側の御本人として、この関係、御答弁ありましたら言ってください。
  253. 島桂次

    島参考人 日米間で行われている政府間の話し合いと私どもの立場とは全く違いまして、私どもは2xを上げたように同じような形でできるかできないかということを今一生懸命やっている、こういうことでございます。
  254. 菅野悦子

    ○菅野委員 これはおいおいはっきりしてくるだろうと思います。  では次に、受信料値上げの問題について質問をいたします。  これは六年間に人件費とか番組制作費などがアップしているということで、値上げに至る一定の社会的な条件があることは理解できますし、NHK受信料に依拠した独立採算制をとっているということなどについてはわかります。しかし、今回の値上げが二八%とかつてなく大幅なんですね。この点で私は疑問が多くあるわけなんです。特に、あわせて値上げの発表の時期など、この点なんかにも問題があるのじゃないかというふうに思うのですが、まず同じ受信料の値上げがあった一九八四年のときには、NHKからいつ郵政大臣に予算案が提出されて、国会にはいつ提出されたのか。また、今度の場合はどうだったのか、その日を教えていただけますか。
  255. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 昭和五十九年度予算に関しましては、郵政大臣への提出が二月三日、国会への提出は二月二十一日でございます。さらに、平成二年度の予算に関しましては、郵政大臣への提出は三月十四日、国会への提出は三月二十日でございます。
  256. 菅野悦子

    ○菅野委員 六年前の受信料値上げを審議したときの逓信委員会会議録を読みました。その場では、当時の奥田郵政大臣ですけれども、「公聴会等々を開いて、国民生活に最も関係のある公共料金値上げ、しかもNHKという私たちに最も身近な問題点として、当然そういった審議の経過措置は必要だと思っております。」こういうふうに言っていらっしゃる。そして続けて、「一番申しわけないのは、先生方の御審議にある程度の時間と、そしてそういった内容精査の時間を私たちが計らうことができなかったという点については、大変申しわけなく思っております。」「今後二度とこういうことのないように措置いたしてまいります。」こういうふうに当時言われているのです。  ここで大臣にお伺いしたいのですけれども、今後二度とこういうことをしないと言っていたお約束が、人は違っておりますけれども、これがどうなったのかということをお伺いします。
  257. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 おっしゃるとおり、NHKの提出の時期がおくれたことは遺憾であります。先ほどお話がありましたように、前回の値上げの折は二月三日に出して、二月二十一日に国会に提出しておるわけであります。その間、十八日間あったわけです。今度の場合には、三月十四日に提出して三月二十日に出しておりますから、六日間ということで、お説のとおり大変短くなっているわけでございます。しかし、先ほども申し上げたのでありますが、もともと一週間にしても二週間にしてもそんな長い時間とも思えませんので、やはりNHK国民の皆様に御理解と納得をいただくためには、日常からこのような努力をしている、このような効率化を図っている、それでもなおこうなんだということを折々に伝えるという作業が最も大事ではないか、こう存じまして、私は、会長NHK予算を提出しました折には、大臣としてそのことを強く申し入れておいたのであります。
  258. 菅野悦子

    ○菅野委員 おっしゃるように折々の努力、これももちろん本当に大事であります。あわせて、やはり必要な審議の時間も要るんではないか。とりわけ値上げということですから、視聴者、国民生活に関係があるという中身が入っての問題ですから、そのことが大事だというふうに思います。  NHK会長にもお聞きしたいと思うのですけれども、同じときにこれは当時川原会長でしたが、「私どもの予算の編成がおくれまして、大変国会の審議に時間がなくて御迷惑をかけまして申しわけない」「今後、できるだけ早い時期に予算の編成を終えまして、十分の御審議をいただけるように進める覚悟でございます。」というふうに当時の会長、答弁していらっしゃいますけれども、このお約束はどうなったのか、これは会長の方にお尋ねいたします。
  259. 島桂次

    島参考人 予算案が非常におくれたということについては、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、いろいろ事情はありましたけれども、おくれたことは私の責任で、まことに申しわけない、これは郵政大臣並びに国会議員の皆さん方におわびしたいと思っております。
  260. 菅野悦子

    ○菅野委員 受信料というのは国民一人一人が負担してNHKを支えるものですので、その大幅な値上げは極力回避されるべきだ。やむを得ない事情がある場合でも、絶対に値上げがないというわけにはいかぬだろうということは承知しているわけですけれども、そういう場合でも十分に説明をして理解を得る努力が最大限されるという保障がなければならないと思うのです。そういう点で、今回の値上げは、経過から見て国民視聴者の理解を得る努力がされたとはなかなか言えない。そういう点ではNHKの側にも十分反省をしてもらいたいと思うわけでございます。  あわせて、消費税問題のかかわりについて引き続き御質問したいと思いますが、昨年、NHK消費税受信料への転嫁ということで三十円の受信料値上げをしました。また、来年度から地上衛星とも一カ月に三百円の受信料値上げということになりますが、このうちの消費税分は幾らですか、お伺いします。
  261. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  カラー契約の訪問集金月額の新しい料金は千三百七十円をお願いしておりますけれども、このうち消費税は四十円でございます。
  262. 菅野悦子

    ○菅野委員 放送サービスの対価ではない受信料に、消費やサービスに課税する消費税をかけること自体も疑義があると思うのです。どうして受信料が課税対象になるのか、これは郵政省の方に御説明いただきましょうか。
  263. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHK受信料は、消費税法施行令におきまして、資産の譲渡等に類する行為とされており、消費税の課税対象となっているのでございます。
  264. 菅野悦子

    ○菅野委員 サービスの対価ではないけれども、対価に類するものだということでの課税だという、さっぱりわからないあれなんですが、NHKも当初受信料への課税には反対していらっしゃった。これは昨年の逓信委員会で島さん自身予算審議の中で明言されていらっしゃいます。この点で会長は今はどうお考えですか、御質問いたします。
  265. 島桂次

    島参考人 聴視料が消費税に組み入れられるべきではないというのは我々NHKの願望でございましたけれども、これは国会の取り決めによりまして決まりました以上は、我々はそれを守っていくという立場でございます。
  266. 菅野悦子

    ○菅野委員 消費税をめぐっては、私は昨年から大きな変化があると思います。それは参議院で廃止法案が可決されたということ、それからさらに政府も見直しをするといって、それが法案になりましたが、それではだめだということで、海部首相みずからが再見直しを公約されているわけです。私たちは廃止が当然だと思っておりますし、廃止しかないと思っております。ですからNHKに廃止運動をしろとまでは言いません。しかし、受信料への課税はしたくない、そういうふうに言っていたわけで、それが決まったから仕方がないということが今のあれだと思うのですけれども、その後の消費税をめぐる情勢は大きく変わっておりますし、まだ流動的なんですね。政府も再見直しと言わざるを得なくなっているというところですから、まだこういう事態の中にあるわけですから、消費税の上乗せは今の時点ではやめるべきではないかと思うのです。少なくとも廃止か再見直しか、どっちに決着がつくか見きわめがつくまで転嫁は中止すべきではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  267. 島桂次

    島参考人 消費税は、現在施行されているわけでございます。法治国家の一員として法律に従って、この決着がつくまでそのまま見守っていきたいというのが私どもの立場でございます。
  268. 菅野悦子

    ○菅野委員 まだ今の時点の決着がついてないからついてからにせいと、今、島会長の方は、今の時点の途中の決着を決着としておっしゃっていると思うのですけれども、そういう点では、この消費税に対する態度というのはちょっと納得できません。そういう点で、この予算案にはちょっと賛成しかねるということを発言して質問を終わります。
  269. 上草義輝

    上草委員長 次に、中井洽君。
  270. 中井洽

    ○中井委員 島会長にお尋ねをいたします。  昨日の委員会の論議でも出されたと思うのですが、去る衆議院の選挙の最中にNHK世論調査なるものが週刊誌等で公表に近い形で発表された、このことについて、私も党の代表ということでございますので、どのようにお考えになっていらっしゃるか、御見解を承ります。
  271. 島桂次

    島参考人 昨日も申し上げたとおり、この選挙世論調査というのは、我々が開票速報の資料としてやっているものでございまして、これは各新聞社、民放ともやっていると思います。  ただ、私ども情報管理といいますか、そういう不行き届きの点があって外部にそれが漏れたということについては甚だ遺憾に思っておりますし、責任者に対しては厳重に注意しているわけでございます。なお、これを掲載した文藝春秋社の社長に対しては、私の方から一応、こういうものを公表するのはまことに遺憾であるという抗議をやっているところでございます。
  272. 中井洽

    ○中井委員 実は、NHK世論調査というのは、大変信頼の厚い、しかも選挙に関しては非常に評価の高い世論調査であると私どもは聞かせていただいております。もちろん、放送機関として精度の高い世論調査をやっていくのはこれからもお続けいただかなければなりませんし、このようなことがあって、選挙の世論調査等、何らかの悪影響のないこともあわせて強くお願いをいたします。  それで、その件に関してでありますが、実は、週刊誌で公表される前に、私どもの選挙区で自民党の候補者の方が、その数値が載っております調査表とおぼしきものをNHK二月八日発表という形で出して選挙区内じゅうに配った。そして、同時にそれを選挙戦そのものの運動の中で活用をした、こういう事件がございます。週刊文春も、あるいはこの人がこういう形でばらまいたりしなければやらなかったんじゃないか、こういう感じすら抱くところでございます。これは選挙区内どこに行っても見ましたから、大変な数でございます。公職選挙法の百三十八条の三には、「何人も、選挙に関し、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。」このようにうたわれております。経過の公表とかいろんなことをずっと見ますと、どうも道義上もあるいは選挙法上も好ましくないやり方であった、このように考えております。  くしくも、川崎政務次官は同じ選挙区でございますし、社会党の伊藤理事さんも同じ選挙区でございます。この点につきまして御感想を承りたい。悪用しました方は順番がはるかに上がっておりまして、悪用されました我々は下がっているという恨みがあるわけではないわけでありますが、ひとつお答えを賜りたいと思います。
  273. 川崎二郎

    ○川崎(二)政府委員 先輩の御配慮で回答させていただく時を与えていただきまして、御礼申し上げたいと思います。  実は、衆議院選挙中に中井先生、伊藤先生そして私の地元でそのようなことがあったという報道が一部の新聞でされたことは私も承知をしているところでございます。ただ、私は中井先生より情報収集能力が薄いものですから、そのようなペーパーを現実問題は手に入れておりません。したがいまして、新聞では見ましたけれども、細かい内容については実は承知しておらないわけでございます。  仮に、放送事業者が番組の素材として活用する目的調査を行った、それがどこかへ漏れるということがあるということについては、当然その放送事業者が社会的責任を自覚して調査結果の保全について十分注意をしなければならぬと思っておりますし、それで選挙に影響があったかということになりますと、私もわかりません。
  274. 中井洽

    ○中井委員 私も川崎先生も伊賀の忍者の里の出身でありますから、これを見ていないということはめったにないとは思うのでありますが、相手の方はくしくも文部政務次官をおやりになっていらっしゃいますが、お互い選挙をやる身でありますけれども、ひとつルールを守る。また逆にこのことは、NHK世論調査に対して大変迷惑もかけている。皆さん方は漏らしたNHKが悪いとおっしゃるけれども、こういうものはやっぱり漏れていく、しかしそれを見た人は、それはそれで発表しない、これがお互いのルールである、私はこのように考えております。そういった意味で、次官会議なりなんなりでひとつ御注意を賜るように要請いたしておきます。  それでは法案の審議に入らせていただきます。  実は私どもの党は、このNHK平成二年度の予算案につきまして今まだ賛否を決められずに大激論を続けている最中でございます。他党でも決め切れず大変激しい論議をしておる、このように聞かせていただいております。  御承知のように、NHKの予算案というのは、承認するかしないかということにかかっております。したがって、参議院で野党全部が承認をしないということになれば不承認、かつてないことができるわけであります。現実に参議院の野党が過半数を占めておる状況の中で、NHKとして、こういう予算案、しかも二八%の値上げを含んだ予算案をすんなりと通過するというように御認識になっておつくりになったのか。そういった意味で、国民の代表として審議をさせていただく国会の議席の状況等に対するNHKさんの認識が少し甘かったのではないかという感じを強く持っておりますが、いかがですか。
  275. 島桂次

    島参考人 私は、今度三百円の値上げのこの案を、五カ年計画を出すことに当たって大変な痛みを視聴者の方々に与えるということは十分自覚しております。ただ御理解願いたいのは、これから情報化社会、ニューメディア時代、放送を取り巻く環境というのは大きく変わっておりますし、いろいろな意味でこの公共放送を今後続けていくためには、我々はどうしても必要な経費が要るわけでございます。我々は過去六年値上げもしないでやってまいりましたけれども、それがいろいろのところでもうある程度ひずみが来ている。これ以上このままほっておくと公共放送の将来、公共放送自体が極めて危ない状態になるというぎりぎりの線で我々としても考えているのでございまして、法案の提出もおくれたり、いろいろのことで国会議員の皆さん方には御迷惑をかけておりますけれども、我々はこれから必死になって公共放送を続けたい、こう考えておりますので、何とか理解をしていただけないかというのが私の現在の心情でございます。
  276. 中井洽

    ○中井委員 過去、私も三年に一度の値上げ法案が出ましたときにこの委員会の審議に参加をさしていただいて申し上げたことがございます。計画どおり、予定どおり値上げの予算を組んでくる。NHKNHKとして受信料以外に収入がないということで理解ができないわけではありません。しかし、理解ができるのは逓信委員会NHKの問題に常に関心を持ち、質疑に参加をしている人たちにはこういう仕組みが理解できる。一般の民間から見れば、決まり切った年に値上げを組んでくる、こういう予算のあり方、このことに大変不信感を抱き、また不満を持つものであります。  今回、そういう国会の情勢の中で、六年目ということもありこれだけ大幅な値上げ案を出す。それは出すは出すなりにNHKも血を流さなければならない。NHKもこれだけ努力をした、こういうところが見えてこなければなかなか共感は得られないと私は思うのであります。そういった点で、この予算案そのものにどういう形でNHK経営努力、合理化努力が盛られておるのか、御説明ください。
  277. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生指摘のような厳しい情勢の中でありますし、会長が申しましたように、我々公共放送世界的に見ましても大変な立場に置かれております。その中でこういう五カ年計画を出したわけでありますから、私どもも真剣に討議いたしましたし、外部の先生方にも随分長い間審議していただきました。  その結果、現行の受信料の枠内におきましても五カ年間に増収努力を八百十六億くらい頑張ります。それから一方、経費の節減につきましても、人件費はもちろんでありますけれども、いろいろな形で節減いたしまして、五年間で千六十九億円の節減を果たしまして、合計二千億円近い節約をいたしますけれども、いかんせん、会長が申しましたように、いろいろな物価高騰もありますし、放送ソフトの獲得もありますし、全国の七千七百カ所の放送所の設備がかなり陳腐化しております。ある程度のものを直しませんとこれは放送の質を落とすことになるということでありますので、今回こういうことをお願いしたわけであります。自律自戒、この点については五カ年間に厳しくやってまいる所存でございます。
  278. 中井洽

    ○中井委員 大臣にお尋ねをいたします。  私ども議論議論を重ねた背景は、やはり野党そろって反対、こうなった場合に不承認、これだけは避けたいということであります。しかし、中身そのもの全部賛成するわけではない。いろいろな注文もある。こういうときに、実は承認か不承認かという審議のあり方は非常に国会の手足を縛っておるような状況もある。修正をしようたって修正のしようがないというところにあります。郵政省NHKNHKと外部の方々とのいろいろな話し合いの中でそれはのみ込んでおるのだ、あるいは附帯決議を次の機会に生かしていくんだとおっしゃいますけれども、やり方としては、先ほど申しましたように三年に一遍、五年に一遍。節約はしました、こうおっしゃるけれども、それじゃどれだけ予算を余して、どれだけ金を浮かしてやってきたかということは私どものところになかなか伝わってこない、こういう状況がある。そして、このように高額の値上げが出てくる。  こういったことを考えますと、長期的に、今度は五年なら五年というタイムラグがありますから、国会におけるNHKの予算審議のあり方、もう少し踏み込んだ形で、しかもNHKの独立ということも非常に難しいことでありますが、考え直していかなければならないのじゃないか、あるいは違うやり方も議論をしてみる必要があるんじゃないか、こんなことを痛切に感じております。大臣、いかがですか。
  279. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 中井委員のおっしゃっていることは、まことにもっともだと思います。  先ほど申しましたように、NHKの予算が提出されましたのが非常に遅かったものでありますから、不本意ながら短い時間で御検討を仰がなければならぬことに相なったわけであります。ただ、NHKも合理化や効率化の努力を尽くしてきて、料金だけに依存しているという本来的な立場もありますから、私どももそれを理解しなければならないということで認めて提出をしたわけでありますが、おっしゃるとおり国民の最終的な理解と納得を得るためには、できる限り開かれた形でわかっていただくような機会をつくるべきだと思います。そういう意味では、段取りや手順については前向きに検討していかなければならないと思っています。  ただ、私がNHK会長に特に強く申し上げた、日常活動の中でメディアを通じてできる限り工夫努力、経営状態を国民に知らしめてほしい、これも新たなる強い決意に基づいての提言であるとあわせて受けとめていただければ幸いであります。
  280. 中井洽

    ○中井委員 NHKにお尋ねいたしますが、それならそれで節約をする。そうすると、例えば本年のこういう予算が通過をしたとする。その中で支出の部というのがある。それに対して経費節減とかなんだとかいうのを一年一年どのぐらいやっていくかというようなことを十分やっていただきたい。とりわけ民間企業においては経費を使わない、予算を残すというのが褒められることであり、いいことなんであります。しかし、官公庁やNHKさんはこういう形で予算が決まっているから、往々にしてそれを使い切らなければならない、こういう悪癖がいまだにある。私はこのことを強く感じております。そういった点での本年度予算が通った後でのさらなる経営努力、これについてお話をいただきたいと思います。
  281. 島桂次

    島参考人 残念ながら今まで先生指摘のような体質がNHKにあったことは否定しません。私が会長になってほぼ一年になりますけれども、そういった体質的な構造的なものを抜本的に改めるということで、ただいま関連団体の再編成は役員、社長ほとんど交代していただいてやっておりますし、NHK本体自身の機構改革、番組のつくり方すべてについて、私は今徹底的に、この提言を受けまして再検討しながらできるだけ早い機会にきちっとこれを明らかにしたいと思っています。  このことは郵政大臣からの話もあったように、その都度国民皆さん方にこれを明らかにして、本当に我々が公共放送のために血みどろになって一生懸命やっているという姿をあらゆる機会に適当な方法でお知らせしながら進んでいきたい、こう考えておるわけでございます。
  282. 中井洽

    ○中井委員 次に、収入増加ということについてもお尋ねをしたいと思います。  現在、カラー契約それから衛星契約、この二つでテレビ受信機を持つ家と契約数との関係はどのくらいになっているか、具体的な数字をお知らせください。
  283. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 まだ平成元年度の予算執行中でございますので、不確定要素がございますので、予算の上で私どもが推定した数字を申し上げたいと思っております。  私どもは、テレビの所有世帯平成元年度末では三千四百二十一万世帯になろうかと思っております。これに対しまして有料契約、契約を結んでいただくということで今やっておりますが、三千八十六万件になろうかと思います。したがいまして、テレビをお持ちだろうと私どもが推定して契約を結んでいただいている契約率は九〇・二%になろうかというように思っております。  衛星の方は、二月末現在で申し上げるならば百六万台でございます。これを今月末では百二十万台まで高めたいということで、現在契約促進に努めておるということでございます。
  284. 中井洽

    ○中井委員 例えば前回の値上げのときの六年前とこの今回の九〇・二%という捕捉率と、どのように捕捉率に変化がございますか。
  285. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 捕捉率では、ほぼ横ばいでございますが、年々少しずつではございますけれども向上しております。
  286. 中井洽

    ○中井委員 衛星契約の五年後の捕捉率を見ますと、計画の中では大体やはり九〇%ということになっております。残り一〇%が意識的な支払い拒否じゃなしに政策的な優遇政策等があることを承知をいたしております。しかし、NHKさんは経営努力をする、収入増を図る、こうおっしゃっても、前の値上げのときと今回の値上げのときと受信契約のパーセントというのは何にも変わらない。どこで経営努力をしておるのですか。支払い拒否をしておる、払っていない、まあ法律に、拒否した人に罰則はありませんからなかなか大変なことは承知をいたしております。しかし、経営努力だ、経営努力だとしょっちゅう言われるけれども、何ら捕捉率、受信契約率ということに関して実効は上がってきていない。そんなことで効率的な、あるいは経営努力をしていると言えるのでしょうか。
  287. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 大変厳しい御指摘でございますので、私どもも捕捉、契約の向上ということに、この受信料制度の上で不公平感をなくす意味でこれが一番必要だということで日夜努力してまいっておるわけでございますが、私どもが年間契約しております受信者の数の約八%、二百七十万世帯が実はいろいろな格好で移動しておりまして、この捕捉というものに、転出先から転入先でもって私どもが協会の手で確認するまでのタイムラグというものがどうしても生ずるわけであります。これをできるだけ短い期間に捕捉して契約に結びつけるということに全面的に努力しておるわけでございます。  一方、御指摘のように契約をしながら支払いの滞る方も九十九万近くあるわけでございまして、こういう方についても、契約総数がふえる中で、今はこの数がふえないように抑えることに精いっぱいでございますけれども、今後はこういう方たちのいわゆる契約、収納、支払いの方に結びつけるように一層の努力をしてまいりたいということでございます。
  288. 中井洽

    ○中井委員 私もたびたびの審議の中で同じようなお答えをいただきます。会長、少しでも収入をふやす。そして、払っている人は意識的に払わない人の存在なんというのは本当に腹立たしいことであります。したがって、口だけじゃなしに、これだけ大きな値上げをさしてもらうからには、払っていただいて当然の受信料をちょうだいをする、そうして必ず数字的に上げていく、こういったことを五年間の間におやりいただく。お約束いただけますか。
  289. 島桂次

    島参考人 先ほど高橋理事からいろいろ具体的な説明がありましたけれども、私は、これは基本的に今までのやり方をかなり抜本的に変えないと、毎年毎年国会の皆さん方に、経営努力をしております、一%減らしましたということで、これは大変な事態になっていく。聴視料自体も、衛星その他いろいろ入ってまいりましたし、いろいろのメディアがこれからたくさん出てまいりますから、私は少なくとも七月ごろまでに、今までのやり方を白紙に返して、やはりもっと効果的なやり方があるはずでございますから、それを今一生懸命考えているところでございます。必ず五カ年中には今までの収金方法とは違う形を何かの形でぜひつくりたいと思っておるところでございます。
  290. 中井洽

    ○中井委員 それでは、御期待を申し上げるということで、次に参ります。  それ以外に、これまたいつも議論をすることですが、公共放送、そして受信料だけでいく、こういう根本的な理念がおありですから、どうしても何年に一遍かは経営的に厳しくなるということもまた事実であろうか。その中で、やはり独立した公共放送、これは守っていかなければならないけれども、国や地方公共団体からの収入ということも、値上げを抑える、またより良質な公共放送をやってもらう、こういう意味で考えていっていいのじゃないかというのが私の前からの実は考えでございます。例えば国のお知らせとか地方公共団体のお知らせとか、NHKが果たしている役割は大変大きなものもございます。そういったものから現実に広告料というものをちょうだいをしていく、あるいは福祉だ、沖縄特別対策だというようなことで政策的に国会が受信料をまけさせておる、取っていない、そういった戸数に合わせて国から補助金を出していく、こういったやり方がもうそろそろ当たり前に考えられていいのじゃないか、このように思いますが、郵政大臣、いかがですか。
  291. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 中井委員の言われているのは、例えば小中学校に対する免除とかあるいは福祉関係についての免除とか、沖縄等についての配慮を申しておられると思うのですが、これは、本来NHKというのは、放送受信している、それができる受信設備を設置した人すべてが公平に料金を払うという形になっているわけでございますから、その公平の負担を原則に考えた場合、確かにこれは形がおかしいと思うのであります。  ただ、先般も御質問があり、お答えをいたしたように、担当の文部省や厚生省と積極的に我が方も意見を申し上げているのでありますが、なかなか予算化してくれないという状況がございます。私どもも一層積極的にそのことを伝えて、今おっしゃったようにそれぞれの分野で支払うような体制をつくっていきたいと思っております。
  292. 中井洽

    ○中井委員 今の大臣のお答えを聞いて、大変前進した、またいいお答えをちょうだいしたと考えております。  NHKの側で、国の方からそういう形でお金をもらう、あるいは地方公共団体から何らかの当然の経費としてもらうということについて、放送機関としての独立が損われる、こういう危倶の念があって反対論も昔からあるんだ、このことを聞いたことがございます。会長は、今の大臣の御答弁に対してどのようにお考えですか。
  293. 島桂次

    島参考人 今郵政大臣が申し上げた事項につきましては、私どもぜひ国の負担でやってくれということは前々から私は申し上げているわけでございます。しかし、残念ながら実現しておりません。
  294. 中井洽

    ○中井委員 そういったことに関して、委員会としても超党派でぜひお手伝いをさしていただくべきだ、このように考えております。  次に、ちょっと観点を変えてお尋ねいたしますが、今回の値上げに関していろいろと議論をした中で、私どもの党の中でも、NHKが何もかもそんなにやらなければならないのか、NHKは余りに大きいじゃないか、大き過ぎるのではないか、こういう議論まで実は飛び出したわけであります。他の民放の予算的なあるいは売り上げ的な規模、そして、NHKと比べたときにどのように御判断をなさっておるのか、資料等ありましたらお願いをいたします。
  295. 島桂次

    島参考人 NHKの適正規模がどうであるかという問題につきましては、いろいろ私どもが頼みました審議会あるいは郵政省あるいは国会議員の皆さん、各界各層からいろいろの意見が出ていることは承知しております。私も未来永劫NHKがどんどん規模を大きくしていくということは、これは自由社会の、民主主義社会の中では到底あり得ない。ただ、私は今度の五カ年計画をつくるに当たって、少なくとも五カ年は、特に衛星放送発展充実がどの程度のテンポで伸びるかということで一応計算はしております。したがって、この五年間は現在持っているメディアでやっていきますけれども、五年くらいたった段階では新しい、そのときには恐らくNHKを取り巻く環境、特に通信放送、いろいろの面で変化があると私は思います。その中での適正規模、そういうものがどういうものであるかということは真剣に私ども考えるつもりで今いろいろ検討しておる最中でございます。
  296. 中井洽

    ○中井委員 NHK自体で放送衛星あるいは衛星放送をいつまでやっていくのか、あるいはNHKが一緒でやるのか、別々の第二NHK的なもので放送衛星をやるのか、いろいろな議論もこれからまた出てこようかと思うのであります。私どもNHKの規模あるいは民放との差、いろいろなことを見つめながら議論をしていきたい、このように考えておるところでございます。  もう一つお尋ねをいたしますが、受信料以外に、先ほど深谷郵政大臣からお話がありましたけれども、国の当然払うべき経費としてのお金を得る、それ以外に受信料以外でNHKが許された範囲で収入を増加させていく、これはもう当然のことだと思うのであります。この点についてどういう御努力をされようとするのか、御説明をいただきます。
  297. 島桂次

    島参考人 先生御存じのように、ニューメディア時代というのは、非常に情報というものは、これは放送番組を含めましてあらゆる情報が多角的に利用される時代になってきております。今までは、NHKでつくった放送番組NHKで放映してそれで終わっていたわけでございます。ところが今は、放映したものがあらゆる世界放送機関あるいはいろいろのメディアでこれが再活用される、それがある意味でのNHKの収入になってくるということで、私は抜本的な関連団体の再編成をようやく去年の暮れまでに終えたところでございます。そういう面につきましては、NHKの商業化ということではなくて、NHK自身のつくったものを多角的に利用することによってできるだけ聴視者の負担を軽くするということで全力を挙げる、これがまたNHKのこれからの生き残る一つの大きな要素になっているということは十分自覚しております。
  298. 中井洽

    ○中井委員 今回の予算あるいは五カ年の計画書の中で、具体的に数字として、NHK受信料外で収入を得ようとしておる数値というものを教えてください。
  299. 青木賢児

    ○青木参考人 ただいま会長が申し上げましたように、NHKの持っておりますソフト、ノーハウを外部に提供することによって副次的に収入が入ってくるということで我々は予算を組んでおりますが、六十三年度は三十七億円の副次収入でございました。今年度は四十三億円の収入を我々としては副次収入として見込んでいる。来年度の予算では五十八億円の副次収入、これから五年後、平成六年度の目標といたしましては、八十七億円ということを副次収入として我々としては期待したいというふうに考えております。
  300. 中井洽

    ○中井委員 私どもも大変苦しい選択の中でありますけれどもNHKの特殊な状況、また参議院で不承認ということに至らない、こういったことを含めてこの法案に賛成をする決断をつい先ほどいたしました。  しかし、その陰には、こういう時期、しかも大幅な値上げを認めざるを得ない大変苦しい選択があります。また、国民の中からも御非難もいただくか、このように考えております。そういう観点からいけば、NHKの側でさらに私どもの気持ちをおくみ取りをいただいて、経営の効率化、合理化のために直ちに、そして同時にこの次五年たったらまた同じことの繰り返しで値上げだということじゃなしに、値上げの予算というものを例えば一年でも半年でも先送りにできる、そういう経営御努力、またNHKの御決意を承りたいと考えます。
  301. 島桂次

    島参考人 先生の今申された趣旨はまことに我々にとって当然のことでございまして、私以下、NHK全員一丸となってやっていくつもりでございます。
  302. 中井洽

    ○中井委員 終ります。
  303. 上草義輝

    上草委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  304. 上草義輝

    上草委員長 日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会において協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  305. 上草義輝

    上草委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ─────────────
  306. 上草義輝

    上草委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、前田武志君外三君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。前田武志君。
  307. 前田武志

    ○前田(武)委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の不偏不党と表現の自由を確保すること。  一 協会は、視聴者の意向を十分に受けとめ、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めることにより積極的に社会的責任を果すこと。  一 協会の運営は、視聴者が負担した受信料によるものであることをさらに自覚し、経営計画の推進にあたっては、業務全般にわたる抜本的な見直しと一層創造的で効率的な運営を目指すとともに、職員の処遇についても配意すること。  一 協会は、経営方針及び内容国民に積極的に明示し、理解と協力を得るよう努めること。また、衛星料金を含む新受信料額の定着と受信者の把握に努め、受信料の確実な収納を図ることにより、負担の公平を期し、受信料制度への理解を促進すること。  一 衛星放送については、その特質及び難視聴解消目的を十分踏まえ、安定的、効率的実施に万全を期し、迅速な報道番組を提供するなどその充実、普及に努めるとともに、ハイビジョンの普及促進を図ること。  一 放送を通じ、国際間の理解と親善に寄与するため、国際放送については、交付金の増額に努めるとともに、番組充実、海外中継の拡充による受信改善を促進し、また、海外への映像情報の提供を図ること。  一 協会は、地域社会の発展に貢献する情報番組を提供する等、地域放送の一層の充実、強化に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  308. 上草義輝

    上草委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  309. 上草義輝

    上草委員長 起立多数。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、深谷郵政大臣及び島日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。深谷郵政大臣
  310. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま日本放送協会平成二年度収支予算等につきまして、慎重な御審議の上、御承認いただき、厚くお礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じております。  まことにありがとうございました。(拍手)
  311. 上草義輝

  312. 島桂次

    島参考人 日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚くお礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えておる次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  313. 上草義輝

    上草委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  315. 上草義輝

    上草委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会