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1990-03-27 第118回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月二十七日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 上草 義輝君    理事 井上 喜一君 理事 大野 功統君    理事 鈴木 恒夫君 理事 園田 博之君    理事 前田 武志君 理事 伊藤 忠治君    理事 武部  文君 理事 草野  威君       赤城 徳彦君    金子徳之介君       小林 興起君    佐田玄一郎君       中山 正暉君    長勢 甚遠君       吹田  愰君    真鍋 光広君       村田 吉隆君    森  英介君       森  喜朗君    秋葉 忠利君       上田  哲君    上田 利正君       田中 昭一君    山下八洲夫君       吉岡 賢治君    遠藤 和良君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 深谷 隆司君  出席政府委員         郵政政務次官  川崎 二郎君         郵政大臣官房長 白井  太君         郵政大臣官房経         理部長     木下 昌浩君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省放送行政         局長      大瀧 泰郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     島  桂次君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      中村 好郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   植田  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     遠藤 利男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     青木 賢児君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾畑 雅美君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室総合         企画局長)   郷治 光義君         参  考  人         (日本放送協会         予算部長)   中野 正彦君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   亀井 善之君     長勢 甚遠君     ───────────── 三月二十日  特定通信放送開発事業実施円滑化法案内閣提出第三一号)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案内閣提出第三号)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ────◇─────
  2. 上草義輝

    上草委員長 これより会議を開きます。  深谷郵政大臣及び川崎郵政政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。深谷郵政大臣
  3. 深谷隆司

    深谷国務大臣 逓信委員会皆様方に謹んでごあいさつ申し上げます。  去る二月二十八日、郵政大臣を拝命いたしました深谷隆司でございます。  逓信委員会皆様には、郵政行政の適切な運営につきまして、格別の御指導を賜り、厚く御礼申し上げます。  このたび、国民生活と極めて密接なかかわりを持つ郵政行政所管いたすこととなり、その責任の重大さに身の引き締まる思いがいたしているところでございます。  もとより微力ではありますが、諸先生方の御指導と御助言を賜りながら、今後所管行政推進に向け、渾身の力を傾注してまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。  まず、電気通信放送分野につきましては、国際社会産業経済地域社会国民生活等それぞれの領域における情報化進展に対応し適時適切な諸施策推進するとともに、情報通信分野での先端的、独創的な技術開発に重点を置いて取り組んでまいる所存でございます。  また、郵便為替貯金簡易保険郵便年金事業につきましては、金融の自由化国際化長寿社会進展等に対応するとともに、地域社会活性化にも貢献すべく、サービスの改善と充実に努めてまいる所存であります。  本日は、補正予算関連法案である通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案及びNHK平成二年度収支予算等の二件につきまして、委員会を開会していただき、御審議をいただけることに深く感謝申し上げているところでございます。  どうかよろしく御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げますとともに、今後とも委員各位格別の御指導と御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手
  4. 上草義輝

  5. 川崎二郎

    川崎(二)政府委員 二月二十八日に郵政政務次官を拝命いたしました川崎二郎でございます。  上草委員長を初め、委員の諸先生方の御指導を賜りながら、全力を挙げて、深谷郵政大臣を補佐してまいる所存でございます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)      ────◇─────
  6. 上草義輝

    上草委員長 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取いたします。深谷郵政大臣。     ─────────────  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  7. 深谷隆司

    深谷国務大臣 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  我が国放送衛星は、地形その他の自然的条件等から従来放送視聴できなかった難視聴地域解消を主目的として、開発、実用化されてきたところであります。しかしながら、雑視聴地域における衛星放送視聴者は当初の計画より少なく、このまま放置すれば、衛星放送の主目的であります難視聴解消目的の達成が困難となるばかりでなく、近年著しく発達している放送の受信できる地域との情報格差はますます拡大していくこととなります。そこで、通信放送衛星機構が、難視聴地域における衛星放送受信対策のために一般会計からの出資を受けて行う助成業務に関し所要規定整備しようとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。 通信放送衛星機構は、従来の業務のほか、難視聴地域において日本放送協会衛星放送を受信することができる受信設備設置する者に対し、助成金を交付する業務等を行うこととし、その業務に必要な経費の財源をその運用によって得るため、通信放送衛星機構衛星放送受信対策基金を設けることとしております。  その他所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  8. 上草義輝

    上草委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  9. 上草義輝

    上草委員長 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  11. 上草義輝

    上草委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田武志君。
  12. 前田武志

    前田(武)委員 テレビの難視聴対策については、政府あるいはNHK、今までも大きな課題としてこの解消に努めてきてくださったところでありますが、また、我が自由民主党においてもこの難視聴については、この解決についていろいろと推進をしてまいったところであります。  ところで、まずテレビの難視聴現状、おおよそ何世帯ぐらいあるのか、それをまずお聞きしたいと思います。あわせて、今大臣趣旨説明の中にも、地形等というような御指摘がありましたが、もう少し具体的に、一体どういう地域に難視聴が多いのか、それをお聞きしたいと思います。
  13. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先生指摘のとおり、テレビの難視聴解消は私ども政府の重要な政策課題として、郵政省におきましても従来から中継局設置であるとか共同受信施設整備あるいは受信技術開発等によりまして、この難視聴解消に積極的に取り組んできたところでございます。その結果、NHKに関しましては全国で約十万世帯民放に関しましては約四十万世帯の難視聴地域が存在するという、それらの難視聴世帯がまだ存在するということが推定されているわけでございます。  これらの難視聴解消に関しましては、関係者の御努力によりまして着実に推進されているわけでございますけれども、難視聴解消が進めば進むほど、残された難視聴世帯というものは山合いの山間地域であるとかで非常に散在化しておりまして、しかも狭域化している、小さな地域に限定されているというようなことで、難視聴解消効率も非常に低下しているのが実際でございます。
  14. 前田武志

    前田(武)委員 大体山間僻地という御指摘であり、また民放NHKと四、五十万ぐらいの世帯が散在しているということであります。御指摘山間僻地過疎化が進み、今非常に高齢化も進んでおりまして、ある意味では現代社会の趨勢に取り残されているような地域であります。こういう地域においては、多分テレビというものの意味合いというのは、利便性の多い都市なんかに比べてはるかに重要な意味を持っておると思います。ニュースであったりあるいは芸能娯楽あるいは文化的なもの、そういったあらゆるもののメディアテレビがなるわけでございますから、こういう地域における難視聴解消するというのは、これはもう国にとってもまた関係NHK民放にとっても一番大きな課題ではないかな、こういうふうに思う次第であります。  そういう中で、今の御答弁、もう少し掘り下げていただきたいわけでございますが、今までやってきた施策でどういうような限界に近づきつつあり、これからやろうとする施策でそういったものが解消できるのかどうか、その辺を具体的にお答え願いたい。
  15. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 今までどおりの地上波によります難視聴解消は、非常に難視聴解消効率が低下しておりますものですから、これを昭和五十九年度以降は解消効率面で非常にいいということで、全国を一波でカバーできてあるいは災害にも強いというような特徴を有しておる衛星放送実施によりまして、NHKの難視聴解消を行うということに方向を転換したわけでございます。  また、民間放送の難視聴に関しましては、引き続き放送事業者に対しまして中継局設置について必要な指導等を行いますとともに、このために必要な支援措置整備などにも努めております。今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  16. 前田武志

    前田(武)委員 今回、基金通信放送衛星機構に設けたその緊急性、その理由についてお伺いしたい。
  17. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHKの難視聴解消に関しましては、昭和五十九年度以降衛星放送実施により解消を図ることとしているわけでございます。しかしながら、衛星放送受信設備設置にはかなり経費負担を伴うことに加えまして、昨年の八月の衛星放送有料化影響等予想外に大きく、難視聴地域における衛星放送普及が十分と言えない状況でございます。  したがいまして、難視聴地域における衛星放送受信設備設置につきまして必要な助成を行うことによって難視聴解消実効確保を図り、あわせて他地域との情報格差を是正して、その振興、活性化にも資するということを考えたわけでございます。
  18. 前田武志

    前田(武)委員 機構の役割、目的、そしてなぜこの機構基金を設けたのか、その理由をお聞かせください。
  19. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 衛星放送受信対策基金を緊急に通信放送衛星機構に設けた理由でございますが、四つございまして、まず第一に、難視聴地域における衛星放送普及受信設備経費負担有料化によるいわゆる予想以上の伸び悩みで低調であるということ、難視聴地域解消を主目的とする我が国放送衛星政策実効性確保が困難な状態にあるということがまず第一でございますし、第二には、急速に進展する情報化の中で、地域間の情報格差が一層拡大し、難視聴地域過疎化がますます深刻化するおそれがあり、これに対処する必要があること、それから民間衛星放送事業者に対し、この四月上旬に予備免許をおろす予定でございますが、また、さらに今年秋にはサービスが提供される予定でございます。NHKによる放送と相まちまして本格的な衛星放送の時代を迎えるために、早急にその環境整備を図る必要があるということでございます。第四には、本件措置の効果を十分発揮させるためには、遅くともNHK新規契約数が大きく伸びる四月には助成実施できる体制を整えておくことが必要であるという、以上四点のことによりまして緊急に創設いたしたいということでございます。
  20. 前田武志

    前田(武)委員 私、週末、地元に戻っておりまして、私の地元にも過疎山村がたくさんございます。幾つかの村長にちょっと尋ねてみましたところ、この新しい基金に対する期待というのは非常に大きいものがあります。しかし、こんないいことをやってくれるのかということを皆さん初めて知ったような次第でありまして、恐らくこれの利用の仕方、過疎山村であればあるほどこういうものを何とか村の中で使いたいという気持ちでありましょうが、そういったものの使い方が本当に周知徹底されて、その他のいろいろな施策、今ふるさと村おこし、あるいは新しい過疎法等も用意されているわけでございますが、そういう中で本当にこれが実効ある使い方をされるためには、郵政省としてもあるいは機構としてもこの使い方に対するPRと申しますか周知徹底、しかもそれを本当に親切に、いろいろ難視聴指定等の要件もございましょう、そういったところを含めて相当親切なPRというものが必要だと思いますが、それについての取り組みについてお伺いをいたしたい。
  21. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この制度は、いわゆる国が助成するという面と地方公共団体も同様に助成をするという面がございます。したがいまして、私ども地方公共団体と一緒になりまして、山間の山合いの地域に十分にPRをしていかなければならないわけでございますので、そういう意味で国の助成制度というものをできるだけ早く創設するということが必要ではないかと思います。NHK受信対策等全国を回っているわけでございますので、NHKの御協力もいただきまして、私どもPRとともに設置に関しまして積極的にやってまいりたいと思っております。
  22. 前田武志

    前田(武)委員 この対象となる難視聴地域の決め方であったり、それから助成のあり方ですね。地方公共団体が四分の一持つところについて機構の方でも出す、こういうことのようでありますが、その辺のもう少し具体的なガイドラインといいますか、そういうものについて骨格を示していただきたい。
  23. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この受信機あるいはアンテナ、そういうようなものが、約十万円程度費用としてかかると言われております。したがいまして、その経費の四分の一を国が助成し、さらに四分の一を地方公共団体助成する、こういうことでございまして、御本人は半分の負担でいいということに相なるわけでございます。  したがいまして、これはその山間にお住みの方々で、今までテレビの恩恵を受けなかった方々に対しまして、ぜひこのような助成を行うことによりましてこのテレビジョン放送サービスを受けられるようにしてあげたいというのが私ども目的でございます。これを三十億円の基金を創設いたしまして、この運用益でもって年間約五千世帯あるいは六千世帯に対してこの助成を行ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  24. 前田武志

    前田(武)委員 今のお答えで結構でありますが、要するに、過疎山村であればあるほど、こういうものに対する利用の仕組みについてもそれほど知恵が出ない。  例えば、具体的に申し上げますと、今半分を持つ、こう言われましたが、実はこれはある意味では不親切なことでありまして、もともと映らないところでありますからテレビはないわけでございまして、半分というのは、多分アンテナ、チューナー、そういったものに要する費用の半分ということだろうと思うのですね。実際にはやはり、改めてテレビセットを買うとなれば、最新鋭のいい物を買おうとなれば、かなりの出費を個人に強いるわけでございます。  しかも、それが山間僻地の、恐らく老夫婦だけというような世帯が多いわけでございましょうから、そうなると、実態からいうと、村などは何とかしてそういう世帯に対しても手厚いというか、バックアップをいたしまして、そして何とかこの新しい施策利用しよう、こういうことに相なるかと思うのですね。したがって、そういう中で本当にこの施策実効あらしめるためには、単にこの基金だけでうまくいくかというと、それに関連するいろいろなものが支援体制をしいて初めて可能になっていくのだろう、こういうふうに思うわけでございます。  そういう中で、本当に孤立化し、過疎化に悩み、高齢化が進み、そして、情報が遮断され、いわば現代社会の動向から取り残されかねないといったような地域に、ある意味では本当にすばらしい光を与えるわけでございますから、その辺の意義というものを深く感じ取っていただいて、ひとつこれから郵政省あるいはNHK機構等におかれましても、他のあらゆる施策と協調しながら、協力をしながら、過疎地域活性化目的のために、この新しい施策を大いに展開していただきたいということを望む次第であります。  終わりに、郵政大臣、この過疎地域活性化というものは、大体が政府、我々においても、ハードの面から進めてきたのが今までの実態でありますが、これはある意味では、情報化社会における最先端のメディアをここに持ってこようというわけでございますから、例えばハイビジョン等が始まったりいたしますと、これを山間僻地において見ることが可能になりますと、私は、本当にすばらしいことになるんじゃないかなという気がしているわけでございます。  そういう意味で、この施策の先行き、過疎地域における文化、ソフト、そういった面におけるメディア確保するという意味で非常に大きな意味があると思いますので、例えば過疎地域活性化法案がもう数日中に具体化するわけでございますが、そういったことも含めて、ふるさと創生過疎地域活性化、総合的な施策の中で、ひとつ大いに郵政省としてこの施策を進めていただきたい。それらについての総合的な御所見を伺って、私の質問を終わります。
  25. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいまの前田委員の御指摘は、全くそのとおりだろうと思います。  大体、テレビジョン放送というのは国民に最も身近なメディアであります。それだけではなくて、災害時における放送というのは非常に重要な意味を持っているわけであります。そういう放送テレビというものが、少なくとも場所によって見られないということは大変な格差でございますから、これを一日も早く解消するということは、郵政省のみならず、国の施策の中の重要な部分だろうというふうに思っております。  先ほどから御説明がございましたように、その難視聴地域テレビ普及に関してはさまざまに努力をしてまいりましたが、十分ではありません。そこでこのたびは、このような基金を設けて、より積極的に難視聴解消のために努めたいと思っているわけでありますが、あわせて、そのことが地域の全体の活性化につながるような、総合的な施策というものも含めて進めていかなければならないと存じまして、お説のとおり、一層努力をいたしたいと思っております。
  26. 前田武志

    前田(武)委員 終わります。
  27. 上草義輝

    上草委員長 次に、上田利正君。
  28. 上田利正

    上田(利)委員 本年の二月二十三日に、放送衛星BS2Xを打ち上げましたけれども、私ども、本委員会におきましても、このBS2Xにつきましてはいろいろな懸念がある、この打ち上げは大丈夫なのかどうなのかという、こういう意見を提起をしてまいりました。価格が国産の半額以下だというようなことを含めまして論議がされましたけれども、私どもは、何か暗い影があるんじゃないか、こう懸念をいたしておりましたところ、とうとうこの懸念どおり、二月の二十三日のこの2Xの打ち上げは瞬時にして失敗、こういう結果になりました。  この失敗原因、なぜそのような形になったのか、同時に、この責任はどのようにするのか、この二点につきましてまず質問をいたします。
  29. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 BS2Xは、BS2bの不測の事態に対処するために、現在運用中のBS2bバックアップとして、いわば緊急避難的措置としてNHKが購入した衛星でありまして、打ち上げの成功を心から期待していたものでございます。しかしながら、御指摘のとおり、去る二月の二十三日に、ロケットの異常によりまして打ち上げが失敗したところでございます。  使用いたしましたアリアンロケットにつきましては、一九八七年の九月に打ち上げたV一九号機以降、本年一月打ち上げのV三五号機まで、連続して十七回成功したところであり、世界的にも最も安定したロケットと言われておりました。  今回の失敗原因に関しましては、現在アリアンスペース社調査中でございます。BS2bは、現状のまま推移するならば衛星放送安定運用には何ら支障がないというふうに考えられております。また、本年八月にはBS3aが打ち上げられる予定でありまして、BS2b放送を引き継ぐことになるわけであります。これらの措置に万全を期しまして、衛星放送安定的実施を図っていくことが最も重要であるというふうに考えているわけでございます。
  30. 上田利正

    上田(利)委員 今局長から答弁がございましたアリアンロケットにつきましては、失敗せずに十七回静止軌道へ乗せていった、こういうお話でございますけれども、私ども調査した関係の中では、過去におきまして二度失敗しているのですよ。あなたは今一〇〇%というような意味合い答弁されましたけれども、二度失敗しているのですよ。ですから、必ずしもこれがうまく打ち上げられるのかどうなのか。しかもNHKが百四十五億円という打ち上げ費まで含めて多くの経費をつぎ込んでBS2bの補完として打ち上げたわけですけれども、これは経過からしまして問題がないかな、問題が起こらなければいいなと私どもは思っておったところ、そのとおりの形になってしまった。私どもはそういう予感を持っていましたけれども、成功すればいいなと思って念じておりましたが、結局一番悪い打ち上げ失敗という形になったわけでございまして、この責任につきましては局長の方からお話ございませんけれども大臣、どのようにお考えになっておりますか。
  31. 深谷隆司

    深谷国務大臣 上田委員の御心配が実際にはそうなってしまったものですから、私どもとしても非常に残念なこととしか言いようがございません。  失敗原因等について、どこに責任があるかということは私どもから申すことを差し控えたいと思いますが、これからの衛星放送の打ち上げ方あるいは所管の仕方、その他もろもろの問題をこの失敗の中から、これを参考にして検討していくテーマにはなっていくだろう、そう思っております。
  32. 上田利正

    上田(利)委員 NHKにお尋ねをいたします。  NHKは、前田会長時代だと思うのですけれども昭和四十一年に衛星放送の研究を開始されました。そしてその前年度の昭和四十年にNHKの内部に放送衛星調査委員会なるものを設置されました。この放送衛星調査委員会、何の目的設置をされたのか、この点をまず伺いたいと存じます。
  33. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  放送衛星が難視解消など将来の放送に重要な手段になることに注目いたしまして、昭和四十年八月、副会長を委員長として、各専務理事委員とする放送衛星調査委員会設置いたしました。そして放送衛星開発並びにその利用についての総合的な調査検討を行うことを目的としたものでございます。
  34. 上田利正

    上田(利)委員 今の中村技師長答弁ですが、難視解消を中心にしながらということで研究委員会設置したということでございますけれども、この当時、なぜNHK郵政省とも相談せずにこの放送衛星調査委員会設置したのか、こういうことで過去の記録を見ますると、これに対していろいろな指摘がされてきております。前田会長がいろいろと発言した文献なども見させていただいておりますけれども、当時の前田会長が、何としても世界に先駆けてNHK放送衛星を打ち上げていく、こういう基本構想を持ちながら、将来はニューメディアをこの衛星を中心にして開始していかなければ将来のNHKはないんだ、こういう意味合いで世界に先駆けてこのような放送衛星調査委員会を設けて、そして研究に走り出した、私どもはこう理解しておるのです。  今の中村技師長の御答弁では難視解消だ、こう言っていますけれども、後で触れますが、難視解消だ、解消だと言いながら、今日、国会の附帯決議等もございまして、国民があまねく享受できるような放送体制を、あるいは放送文化を提供していかなければならぬというふうにずっと変わっていくんですね。ですから今最初のところを聞いたのですけれども、本当に難視解消であったのかどうなのか、もう一度技師長の方から御答弁願いたいと思います。
  35. 中村好郎

    中村参考人 昭和四十年にこの研究会を設置した時点では、難視解消を主目的として検討していこうということでこの研究会を設置したということでございます。
  36. 上田利正

    上田(利)委員 郵政省にお尋ねしますが、今もお話が出ておりますけれども、難視解消、正式には難視聴ということになりますが、難視聴とはいかなる状態を指すのか、何か五段階の基準があるということをちょっと聞いておりますけれども、かくかくの状態が視聴者にとってはいわゆる難視なんだ、それでここからは難視でないんだ、何かその五つの基準があるようですけれども、この具体的内容について明らかにしておいていただきたいと思います。
  37. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 受信品位に関する五段階評価というのが世界的にも一般化されておりまして、極めて優秀である、画像が極めていいというのが五でございまして、受像が不能か甚だ悪く全く実用にならないというのが一でございます。難視聴というような場合には評価が二以下ということでございます。二というのは、受信できないことはないが雑音または混信が甚だしく実用にはならないというのが基準でございまして、この二と一の部分を難視聴というふうに定義をしているわけでございます。
  38. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。  五十九年以降で結構でございますが、五十九年以降難視地域はどれだけ解消されたのか、これは難視解消だということで放送衛星を打ち上げた以降ということになります、具体的にその内容を明らかにしてもらいたいのが一つ。  同時に、この放送衛星を打ち上げる以前、NHK中継局を設けましたりいろいろな施策を行って難視聴解消を行ってきておりますけれども、五十九年以前、ちょうど昭和四十四年から五十八年ということになりましょうか、この二つにつきまして郵政省の方から明らかにしていただきたいと思います。
  39. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHKの難視聴に関しましては、五十九年度と六十年度にいろいろ状況を調査いたしましたところ、先ほど申し上げましたように十万世帯の難視聴世帯があるということがわかったわけでございます。その後、五十九年度以降この衛星放送実施により、その解消を図るということであったわけでございますが、昨年の九月末現在で、五十九年度以降難視聴解消された世帯数というのが八千世帯と推定されているのでございます。  昭和四十四年度から昭和五十八年度までは、NHK共同受信施設設置を行いまして難視聴解消しておりましたけれども、この共同受信によるものは約七十七万世帯でございまして、中継局とかいろいろな方法によりまして全体的に難視聴解消した世帯は四十四年度以降昭和五十八年度まででは約百七十万世帯解消されたわけでございます。
  40. 上田利正

    上田(利)委員 NHKにお尋ねしますが、衛星を打ち上げた年度、すなわち五十九年度ということになりますけれども、それ以降、先ほどちょっと指摘しましたように、BS2Xが打ち上げに失敗いたしました。今日までNHKが投資した衛星放送、言うならばハードとソフト、こういうことになりますけれども、これに投資した総経費額は幾らなのか。それから、そのうちハード部門とソフト部門ではどのような内訳になっているのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  41. 中村好郎

    中村参考人 放送衛星経費でございますけれども、ハードとソフトについて昭和五十九年度から平成元年度までの分につきまして御報告いたします。  ハード関係経費は全体で四百八十三億円でございます。ソフト関係につきましては五百二十四億円でございます。  ちょっと内訳を申し上げたいと思いますが、まずハード関係四百八十三億の内訳でございますが、BS2で百二十三億、それからこれには先ほどお話が出ておりますBS2Xの百六億も含んでおります。それからBS3につきましては百七十二億、地上施設につきまして八十二億、トータル四百八十三億でございます。  それからソフト関係につきましては、設備の運用経費、それとソフトの制作費を含めまして、五百二十四億の内訳は、四百五十三億が放送実施経費ということでございまして、人件費は七十一億、合わせて五百二十四億でございます。
  42. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。  次に、難視聴解消へ今まで取り組んでまいりましたけれども、その経過と、国からの補助金も出てきておりますし、またNHKが要した経費おのおのにつきまして、昭和五十三年までを一段階、それから五十四年から五十八年までを二段階、そして五十九年以降今日まで、これを三段階ということにしまして、それぞれ別に、五十三年までは国の補助は幾らなのか、NHKが要した経費は幾らなのか、こういう形で、取り組みの経過と補助金やNHKが要した経費について明らかにしていただきたいと存じます。
  43. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHKの難視聴解消に関しましては、昭和五十八年度までは、NHK放送があまねく日本全国において受信できるように、中継局の置局を中心として積極的に推進しておりました。それに要した費用は、四十四年度から五十三年度までは約四百六十六億円、五十四年度から五十八年度までが約百十五億円となっております。  一方、また国におきましても、昭和五十四年度から実施いたしましたテレビ放送共同受信施設設置費補助金の制度によりまして、九億四千万円の経費により、難視聴解消推進を行ったわけでございます。  また昭和五十九年度以降におきましては、衛星放送実施によりまして解消を図ることとしたわけでございまして、BS2a及び2bの打ち上げ経費は全体で五百八十三億円でありまして、そのうち国が四〇%、NHKが六〇%を負担しているわけでございます。そのほかNHKは、混信対策等のための経費として約七億円を使用していると聞いております。
  44. 上田利正

    上田(利)委員 内容は詳しくわかりました。相当の経費を投入して難視解消実施している、この実態だけはわかりました。  次に、昨年八月から衛星放送の受信料を有料化いたしまして、今日、月額九百三十円、総合テレビジョンと一緒に二千円という形で徴収をいたしておりますけれども、この現在の普及数と契約数、普及数は幾つでそのうち契約、いわゆる受信料をお払いいただいている方々ということになりますが、これはどうなっておるか。  そしてもう一つは、この契約数のうち個別受信と、CATV等いわゆる共同施設で受信をしているもの、これはどのようになっているのか。そしてさらに、その契約率、NHKは六〇%くらいは契約にしていこうという目標を立てておられますから、この契約率はどのようになっておるのか。そしてもう一つ、この八月から有料化いたしまして、今日この衛星放送の受信料を幾らいただいているのか、その合計について明らかにしていただきたいと思います。
  45. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お尋ねにお答えいたします。  まず最初の普及の状況でございますが、二月末現在、総数でございますが、私どもの推定では二百二十七万三千件普及しているものと推定しております。その内訳でございますが、個別の受信者でございますが、これは各家庭で各一戸建ての方が見ているということでございますが、それは百三十万四千件でございます。CATV、集合住宅、ホテルなどのいわゆる共同受信者の方でございますが、これが九十六万九千件ということで推定しております。  この普及数に対しまして契約、二月末の契約の実績でございますが、合計で百六万件でございます。それからその内訳でございますが、個別受信は六十八万四千件、共同受信が三十七万六千件でございます。私ども平成元年度、契約をとりたいということで目標を掲げました百三十八万件に対しましての契約率でございますが、合計では七六・八%ということでございます。なお、ちなみに個別は七五・一%、共同受信は八〇・一%というのが二月末の実績でございます。なお、その以後、この目標達成に向けて現在鋭意努力をしている最中でございます。  それから、契約に伴う収入でございますが、百三十八万件の契約をちょうだいして、元年度六十億の収入を私ども予定しておりましたが、契約の伸びが当初よりもおくれてきておるというようなことから、若干の歳入欠陥は生じざるを得ないのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  46. 上田利正

    上田(利)委員 最後のところの、今日までの受信料の納入額と申しますか、いただいた額、目標六十億ということで百三十八万件が目標でしたけれども、今日百六万件ということでございまして、六十億を予定したんだけれども、現在はそれを多少下回るではないかということですが、現実に毎月決算はしておられるわけでございますから、昨年の十二月まででも結構です、ことしの一月でも結構でございますが、その明確な額はどうでございましょうか。
  47. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生御案内のように、二カ月の集金パターンになっておりますので、二月分、三月分というのが今集金途中ということでございますので明確な数字は出ておりませんが、私どもの今の予測では、今のペースでいくと三月末までに百二十万件の契約ができるものと予想しております。したがいまして、当初目標百三十八万件でございますから、それに比較しますと約八億ぐらいの歳入欠陥になるのではないかというふうに考えております。なお、この歳入欠陥につきましては支出の抑制その他でカバーしたいというように考えております。
  48. 上田利正

    上田(利)委員 島会長はいらっしゃいませんけれども、今まで会長の話の中では、衛星放送は三、四年は赤字でいかざるを得ないけれども、それ以降、四、五年以降は黒字に転ずるのだ、こういうことを言われてきておりますから、それの展望についてはどうでございましょうか。スタートを切りまして私はちょっと懸念をしておるのでございますけれども、今後の展望は会長が言っているような状態になりましょうか。
  49. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 平成元年度から衛星放送有料化事業に取り組んだわけでございますが、平成二年度から新しい五カ年の経営計画を立てまして、その中で衛星放送普及、契約の促進につきましても実は見直しをさせていただいているわけでございますが、私どもといたしましては、平成六年度には今のベースで普及していくならば一千万台の普及が達成されるのではないだろうかというようなことを考えております。  当初、元年度、衛星放送についての料額設定をお願いしたときは、五年後には、平成六年でございますけれども、七百十万台くらいの普及ではないかというように見ておったのですが、その後急速にふえてきて平成六年度には一千万台くらいには達するだろうというように予測しております。その中で、ただいま申しましたように、当初、スタートは二年くらいはどうしても収支バランスは赤字になりますけれども、三年以降、これをできるだけ普及と契約率との乖離を狭めまして契約率を高めていくことによりまして収支を償っていきたいということでございます。  したがいまして、今の私どもの考え方では、平成四年度には単年度で収支がとんとんになって、五年度、六年度では過去の設備投資も吸収して黒字へ転換のきっかけがつかめるのではないかというように現在は予測しているところであります。
  50. 上田利正

    上田(利)委員 次に、通信放送衛星機構法関係に入りますが、御案内のように基金が三十億ということになっております。この基金三十億というものの根拠をもうちょっと明らかにしていただきたいというのが一つ。  それからもう一つは、NHKの財団法人として放送文化基金という制度があります。この制度は、百二十億のいわゆる基金NHKが出しまして、その運用益で、広く放送文化の発展に寄与するということで民放まで含めましていろんな形の中で放送文化に貢献された団体あるいは個人を表彰その他されておるわけでございますけれども、今度の通信放送衛星機構、これは国の予算を使ってということなんでございます。国の予算を三十億出して、そしてそれで年間一億五千万か一億七千万くらいの運用益を得て、それで難視解消、いわゆる受信設備を四分の一補助しよう、こういう目的でござきます。  放送文化基金は百二十億NHKから出してやっておりまして、これも非常に結構なことです。難視解消をずっと続けてまいりまして、いよいよ放送衛星が打ち上がった。その中では受信機を買わなければ、しかもそれが十万円程度はかかる。過疎地に住む人たちはなかなか十万円を出すわけにいかない。しかも、テレビジョンもなければそれも買わなければならない、こういうことになるわけでございます。そういう中で国からの三十億を基金にしてということですが、なぜNHK自身がこの財団法人放送文化基金制度と同じような形がとれないのか、公共放送を守るという点からいってもこれは重大な問題だと思うわけでございますけれども、この点につきましてひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  51. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 今回のこの基金の三十億円の算出の根拠でございますが、基金運用益でいろいろな助成をやってまいりたいということでございますので、現在の年利が五%から六%というふうにかたく推定いたしまして、そしてさらに、十年以内にはこの目的を達成いたしたいというようなことから三十億円の基金というこの規模を算出したわけでございます。  さらに、放送文化基金のようにNHKが出捐してはどうかという御指摘でございますが、先生指摘のとおり、放送文化基金は百二十億円のNHKの出捐によって設立された法人でございます。放送の進歩、発達というものを目的といたしまして、この文化的あるいは技術的な開発等にも広範にわたりまして助成を行っているわけでございます。この難視聴解消ということでは、NHKは、放送法によりまして放送全国普及目的としてテレビジョン放送をあまねく全国において受信できるように措置することが求められているわけでございますが、NHKとしては、送信をいたしまして全国において受信できるように、そういう状況にするということが義務でございまして、現在の段階におきましては、NHKとしては放送法上の義務は既に果たしているものと私どもは考えておるわけでございます。  今回の助成措置は、全国民による放送の効用の享受を実効的に促進するために行うものでありまして、国の予算によって措置することが適当であるというふうに考えたわけでございます。
  52. 上田利正

    上田(利)委員 時間の関係もございますからこれは別の機会にもう少し明らかにいたしますが、今局長言われましたけれどもNHKは、難視解消というのは、いずれにしましても常に受信しようとする者が受信できるようにするという形、これが任務であることは当然であります。しかし、地上波の場合は個人負担というのはそうないわけですが、衛星の場合は、結局は受信設備に非常な金がかかる。  当時、この難視解消で、放送衛星を打ち上げて難視解消をやるんだという中で、昭和五十七年の本委員会の中でけんけんごうごう意見が出ました。放送衛星を上げた場合に、今局長がおっしゃられましたけれども、この受信設備をつくらなければならぬじゃないか、アンテナも必要になる、チューナーも必要になるんじゃないか、これは一体どのくらいになるかという質問が本委員会の中で多くの委員から出ました。当時の郵政省並びにNHK答弁は、まあ共同受信の場合は四万円程度で済むだろう、それから個人受信の場合は七万円ぐらいになりましょう、しかも、今量産をするような形でメーカーがやっておるけれども、大体今のところ十万台ぐらい、一年に十万台というような形の中から見まして七万円ぐらいだ。実際にはアンテナもチューナーもその受信装置はかなり大量に生産がされてきておりますけれども、物価の問題もあったかどうかわかりませんが、当初の予想を裏切って、七万円ではなくて今十万円になってしまっている。本当は量産になればこの七万がもっと安くなりますよ、五万にも四万にもなりますよということだった。  そのときの本院のこの論議は、過疎やそういうところの中で難視になっている人たちは生活も苦しい、そういう中で受信設備を買うことはできないから、何らかの補助をやるべきではないかという意見が異口同音に出ました。そうしたら、そのときの記録を見ますると、郵政省NHKも、大量生産になれば安くなるのだから、そういう中で本人に買っていただいてやってもらうしかないですよという答弁に終始しているんだ。それでは、放送衛星を打ち上げても、それを難視解消で金を出して過疎におる人たちが本当に受信できるようになるかといったらならないじゃないか。大きなお金を出して放送衛星を打ち上げてやっても、送る体制は万全にできるけれども、これをキャッチする、受信する側で金がかかり過ぎてできないということになれば、これは本来の難視解消にならぬじゃないか。だから、何とかNHKでもあるいはその他形の中で、今申しました放送文化基金のような制度を適用してやったらどうだ。  放送文化基金NHKは百二十億も出したのだから、そのくらいの難視解消は十万世帯できるじゃないか、こういって意見が出ましたけれども、いやそれは自分でやってもらうしかないです、だんだん量産になれば安くなって、三万円、二万円に近づいてくる。実際には十万円で上がってしまいましたけれども。今になって何が三十億で難視解消をしなければならぬですか。あのときに、昭和五十八年に、五十九年以降BS2を打ち上げようというときにその論議が集中したのですよ。もうそれから七年もたっておるでしょう。何が今ごろ三十億ですか。どうしてそういう経過になったか、はっきりしてください。
  53. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先生指摘のように、昭和五十七年の逓信委員会におきましてそのような議論があったことは十分承知をしております。衛星放送受信設備が大量生産によってかなり低廉化され、難視聴地域においても相当の普及を見込んでいたところでございます。しかしながら、現在はこの衛星放送受信設備の低廉化が図られてきてはいるものの、依然かなり経費負担を伴うものとなっているわけでございます。またさらに、昨年八月の衛星放送有料化という影響もございまして、難視聴地域における衛星放送受信設備普及が低調であることも現実としてございます。  先ほどNHKの方からも御説明ありましたけれども、五年後の平成六年には一千万台も普及するであろうというような予測が行われていることも考え合わせますと、将来はかなり低廉化が図られていくものと私どもは考えているわけでございます。しかしながら、それまで待っているわけにはいきませんので、今回、難視聴地域における衛星放送受信設備設置につきまして必要な助成を国と地方公共団体とで行うことによって、できるだけ早急に難視聴解消実効的に図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  54. 上田利正

    上田(利)委員 ちょっと局長答弁は適正を欠いておりますけれども、もう七年も前にその問題は出して、放送文化基金制度のようなことでやっておれば、今の状態の中では難視解消は、本当に星を打ち上げて、五十九年に打ち上げた以降本当にできておったのだ。それが我々や本院の意見を無視をして、それはやらない、やらない、こう言ってきたこの責任は、もう重大だと思うのです。やはり行政面においては先を見越してやらなければ、そして本委員会委員意見もよく取り入れてやっていかなければ、こういう結果になる。本来ならばこんなものは、三十億、今ごろ何だ、やる必要はないということになるのですよ。まあきょうは時間がございませんからそれ以上申し上げませんけれども、ぜひ大臣を含めましてそういう形の中で十分な対応をするような、そういう対処を望みます。  時間がございません。先ほど放送衛星にかかった今までのソフトとハードの関係、ざっと見まして千億を超えていますね、千七億。私は、NHKが今日構造的な財政赤字になってしまったという、そして本年度の、平成元年度の予算は赤字予算を出さなければならぬ、ある土地は全部売らなければならぬ、こういうもう最悪の状態にNHKがなっているわけだ。構造的な赤字になったその大きな要因は、いわゆる放送衛星を打ち上げる。打ち上げ費を含めてハード面とそしてそれを実施するためのソフト、これに膨大な金がかかってきた。しかもそれを地上波によって賄ってきたり、受信料で賄ってきた。地上波の人たちがいわゆる衛星放送開発費から何から全部負担をしておったということになるのでございます。  それは地上波を見ておる受信者にとっては怒り心頭だと思うのであります。何でそんな我々の受信料でそれまで見なければならぬのか。今日の構造的な財政赤字、財政難というものは、そういうNHKの先を見ない形の中での経営方針がこういう形になってしまった、こう指摘をせざるを得ないのであります。  したがって、私はBS3をこれから夏打ち上げようとするのは、これは方向が決まっていますからやむを得ないと思うのでございますけれども、もうBS3以降は一切ハードについてはNHK自身が金を分担をしてとか、あるいは2×のように百四十五億円もNHKが持ち出して独自でやったわけでございます。もうそういうことは一切やめるべきだ。第三セクターなどの中でこれはやって、NHKはユーザーとしてトランスポンダーなどをリースで借りて運用していくことをやらないと、衛星を打ち上げても七年か八年でこれは寿命が切れるわけなのですから、百年もこれが飛んでるわけじゃないのであります。必ずそれはお金がかかる、金食い虫になっていくのですから。第三セクターにして、これから八月に打ち上げますBS3を最後にして、もうNHK自身がハード面にタッチするということは一切まかりならない、こう考えておりますけれども郵政省NHKの見解を承りたいと存じます。
  55. 深谷隆司

    深谷国務大臣 衛星放送についてNHKが新しいメディアとして今後もその普及のため努力をすることは当然だろうと思っております。しかし、ただいま上田委員の御指摘のようにかなりのリスクも伴うことでありますし、相当な予算的な措置も必要でございますので、必ずしも放送実施主体が持たなければならぬものだとは考えられないと私は思うのであります。郵政省の中でも、既に衛星放送の将来展望に関する研究会の報告の中に、調達法人の導入などについても検討の余地があるといった旨の話も出ておりますので、今後は放送実施主体以外の者による衛星の調達、所有等の方法も含めて関係者意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと思っております。
  56. 上田利正

    上田(利)委員 機構法の関係で二、三お聞きします。  機構への三十億の運用益は、いつからどのように助成するつもりなのか、その具体的な助成手続と交付要件、そして難視地域の範囲の指定とかその方法、いろいろなことをやらなければならぬと思いますが、この法案の中ではこれは明記されておりません。具体的なものは省の方で実施要綱等の中でやるのだろうと思いますけれども、そういうものがはっきりしていないと、この法律案が通った後でも問題が起きてくると思いますから、この点を明らかにしてもらう。  それからもう一つは、これはNHKにも関連しますけれども、難視地域の皆さんの受信料、衛星料金は今九百三十円ということになっておりますけれども、これを減免するという措置はできないのか。例えば沖縄につきましてはいろいろな経過がございまして減免措置をいたしておりますね。したがってそういうふうな減免措置NHK側として考えたらどうか、この二点だけをお伺いします。
  57. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 三十億円の運用益によります助成はいつから、そしてどのような方法で行うのかという御質問でございます。  本法律案ができるだけ早く国会の審議を経て施行されるように、私、心からお願いを申し上げたいと思うのでございますが、この助成業務は当然施行された日から実施するわけでございまして、この施行された日以降に設置される衛星放送受信設備に対して助成を行う、こういうことでございます。  この手続に関しましては、設置したいという方が通信放送衛星機構助成金の交付申請を行いまして、そこで審査をいたしまして、この審査にパスをした方々には交付する。その際には関係地方公共団体助成もあわせて行うわけでございますので、関係地方公共団体と連携をとりながら、なおかつNHK協力も十分にいただきましてやってまいりたいと思っております。  それから、難視聴地域の受信料についてでございますが、現在、特別契約という受信料の制度がございまして、その場合には、地上系によるテレビジョンの放送が受信が不可能で衛星系によってのみ受信している場合というのを特別契約と言っておりますが、これは現在は訪問集金で千四十円をいただいております。口座の振替では九百九十円をいただいているのが実情でございます。したがいまして、助成と申しますか、免除というような形ではなくて、若干低額の料金制度というものを設けているわけでございます。
  58. 上田利正

    上田(利)委員 終わります。
  59. 上草義輝

    上草委員長 次に、秋葉忠利君。
  60. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 最初に一言お断り申し上げたいのですが、私は新人委員でありまして、逓信委員会会議の行い方その他について全く無知蒙昧であります。したがいまして、質問の準備に関しましても、昨夜遅くまで時間がかかりまして、具体的にどんな質問をすべきなのか、政府委員の皆さん、それから関係者の皆さんに事前にお伝えすることができませんでした。この場をかりて一言おわびを申し上げる次第ですが、先輩の委員の皆さん、それから関係政府委員方々、その他の皆さんの御指導、御鞭撻をいただきまして、委員としての責任を全うしていきたいと思います。  まず最初に、この機構法改正についてですが、財政法二十九条に関連したことについて何点か伺わせていただきたいと思います。  この通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案提案理由の中では、一応難視聴地域解消ということになっておりますが、その理由づけについては後に触れることにして、財政法二十九条を見ますと、その中で「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費」という部分がございます。現在この委員会において審議をしております機構法の一部改正に関して、一体どのような事由、しかもそれが予算作成後に生じた事由があってこのような一部改正法が提出されたのか、その事由は何であるかということを、一応提案の中にも暗黙のうちに恐らく示されているのだと思いますが、いま一度その点について御説明いただきたいと思います。
  61. 木下昌浩

    ○木下政府委員 お答えいたします。  財政法二十九条との関係について御質問でございますが、今回の補正予算によりまして考えておりますのは、通信放送衛星機構に対して三十億の基金を設けるということでございますが、これにつきましては、平成元年度の予算作成後に生じました、一つは、衛星放送受信設備設置費用負担が依然として大きいものがあるということ、それから、衛星放送受信の有料化が始まって、衛星放送受信の予想以上の伸び悩みがあるということ、それから、放送衛星自身の故障の報道がございまして、その不測の事態による国民の不安感の惹起、そういった事情がございまして、当初の予想に反しまして予想外にこの普及が低調でございまして、このまま放置いたしますと、衛星放送目的といたしております難視聴解消、これを主目的にして進めてまいってきた国の放送政策の実効性確保が困難になってきたということでございます。  あわせて、この四月はNHKの新規の受信契約の増加が期待される時期でございまして、つまりテレビの番組の改編の時期でございます。この時期に合わせてそういった新しい受信契約の増加を期待している、その時期にこの措置をとりたいということ。それからまた、先ほども説明がございましたが、新しい民間衛星放送事業者による放送が間もなく始まろうとしておるわけですが、四月の上旬にはこれに対する予備免許を付与しようということでございます。  いよいよNHK民放事業者による本格的な衛星放送時代を迎えるわけでございますが、それに備えて今から緊急にこの衛星放送普及環境整備を図っていく必要があるということでございます。したがってこの措置は、財政法二十九条との関係において、私どもとしては問題がないと思っております。緊急に補正予算によりましてテレビジョン難視解消助成措置を講ずるということとしたものでございます。
  62. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今の理由、大体四つだと思いますが、そのうちで、結局この衛星機構法の一部を改正することによって具体的に対処できる問題というのは、受信装置が依然として高い、要するにお金の問題だというふうに理解できますけれども、その点について質問したいと思います。  例えば、放送衛星の故障の報道があって、その不安感によって視聴者の増加が伸び悩みになった、そういうことは確かにあると思いますが、その点について、例えば現在の通信放送衛星機構法の一部を改正することによって具体的にどう対処するのか、その点についての説明は不十分です。それ以外の点についても全く触れられておりませんので、今のお答えの中で具体的にこの法律関係のあるのは、受信装置、それが高過ぎるという金額の点に絞られるというふうに私は解釈いたしますが、その前提で御質問いたします。前提がもし誤っておりましたら、御指摘いただきたいと思います。  確かに、この受信装置の購入費用が高い、それについては全く異議がないと思います。しかしながら、その受信装置、具体的にはどのくらいの差があるものなのか、どのくらいを目安にして一体、高い、低い、あるいはだれがこれを買うことができる、買うことができないという判断をされているのか、その辺の具体的な受信装置の価格についての、どういった情報をもとにこの法律案が出てきたのか、そのあたりの背景を御説明いただきたいと思います。
  63. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この衛星放送受信設備と申しますのはアンテナとチューナーが主たるものでございまして、その後のテレビジョンの受像機は、これは一般の地上の放送を受けるのと全く同じものということになろうかと思うわけでございます。  大量生産によりましてこのアンテナとチューナーが徐々に低廉化しているわけでございますが、いろいろなメーカーのセット等も比較いたしましてその平均をとってみますと、工事費等も含めますとやはり十万円程度になるという積算をいたしたわけでございます。したがいまして、この工事費も含めてということでございますので、その地域での差というものもございますし、いろいろばらつきがあろうかとは思いますけれども、この平均的な費用として十万円というものを積算しているわけでございます。そうして、これらの約半分を個人の方々負担していただこう、すなわち、この通信放送衛星機構からの助成は四分の一、それと同時に、また関係地方公共団体から四分の一の助成をしていただく、こういうことで、この個人の負担というものを半分にしてあげたい、こういう構想でございます。
  64. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 現行で大体チューナーとアンテナ合わせて、工事費も含めて十万程度というところは、私の持っている数字でも大体同じですが、実は十二、三万するんじゃないか。そのあたりの差は些少ですので特に問題にいたしませんが、この価格が高い。したがって、難視聴地域にあってもこの衛星放送を受信することができない。したがって補助をする。簡単に言うと、この機構法の一部を改正する法律案ではそういうことを言っていると理解いたしますが、実はそこが特に緊要になった経費であるのかどうかというところが依然として問題だというふうに思います。  例えば価格の点に関して考えてみますと、ここ数年あるいは数十年と言っていいかもしれませんが、インフレ率を考えに入れた実質的な価格では、八木アンテナ足す通常のテレビセットの受像機費用は、実はほぼ横ばい状態であるというように考えていいと思います。あるいはその価格の低下率というのはかなり緩やかになっている。それに対して衛星放送用のアンテナ、さらに衛星放送用のチューナー、その価格は急激に下がっているというふうに一般的に理解していいと思います。  特にここ五年間を比較してみますと、五年前の、例えば七十五センチのアンテナ、プラス東芝のチューナーで約二十三万、それで、現行のものは五十センチでもアンテナはいけるということで、ほぼ十二、三万というふうに考えますと、大ざっぱに考えて五年間に十万円価格が低下しております。ということは、価格の点から考えますと、この五年間においてチューナー並びにアンテナを買うための費用、その補助を行うというその緊急性、重要性というものが劇的に低下したというふうに考えることができるのですけれども、低下したにもかかわらず、あえてこれを現在の時点で、価格の面から普及を図るという目的をもってこの受信装置購入のための助成を行う、これをあえて緊急かつ重要だというふうにお考えになっている根拠を御説明いただきたいと思います。
  65. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先生指摘のように、ここ数年間になりましてアンテナ、チューナー等の値段は低廉化の方向に向かっているわけでございます。しかしながら、現実的に難視聴地域における普及というものが思ったほど進んでいないという現実がございます。そういう意味で私どもはできる限り難視聴地域における衛星放送の受信が急速に進むように、この施策を通してやってまいりたい、このように考えたわけでございます。
  66. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のお答えでは緊要性の部分についてまだよく理解できない点があるのですけれども、ともかく難視聴地域解消するということ、今までテレビを見られなかった人がテレビを見られるようになるという点では確かに私もこういった助成を行うこと、そのこと自体意義のあることだというふうに思います。  この点についてはまた時間がありましたら後ほどもう一度御質問したいと思うのですが、仮に助成を行うということになった場合、仮にこの法案が通った場合、具体的にどのような仕方でこの助成を行うかということを詳細には書いてありませんので、先ほどの上田委員質問、これに少々補足する形になるかと思いますが、例えばここ数年難視聴地域において、どうしてもテレビを見る必要がある、あるいはテレビを見ないと自分の生活に非常に大きな穴があくというような家庭が恐らく難視聴地域にあったのではないかというふうに思います。  例えば、その家庭が昨年非常に苦しい家計の中から借金をしてそれでチューナーとアンテナを買った、受信装置を買った。それに反して、現在チューナー並びにアンテナを持っていない家庭は、裕福だけれどもほかに例えば車があってゴルフ場が近くにあって、そういう娯楽があるために別に衛星放送を見る必要がない、そういった家庭があるかと思います。過疎地で寝たきり老人を抱えるような家庭では、恐らく借金をしてでも衛星放送受信のために昨年チューナーを買いアンテナを買ったということが十分考えられます。  今回この法案が通りますと、先ほどもお話にありましたように、今後受信装置を買う家庭には助成が行われる。そうすると、難視聴地域におけるさまざまな家庭の分布あるいは生活の様式といったものによって時間的に非常に大きな不公平が生じるのではないか、そういうことが考えられるのですが、例えばさっきおっしゃった、今後受信装置を買うというその今後というところを外して、ともかく難視聴地域にあるすべての家庭に対して助成を行う、これまで既に自分のお金であるいは借金をして買ってしまったところにも助成を行うんだ、そういうように枠を少し広げることは不可能でしょうか。実際問題として自助努力によってというのがおよそ八千世帯だというふうに私記憶しておりますが、それであれば全体的な効果はそれほど変わらないのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  67. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 住民のいわゆる具体的なニーズはあったかというような御質問でございますが、テレビジョン放送の難視聴解消に関しましては、毎年非常にいろいろな団体から陳情がございます。特に、最近も全国過疎地域振興連盟であるとか、あるいは全国町村議会議長会あるいはまた九州地方開発促進協議会というような団体から、ぜひ難視聴解消というものを積極的にやってもらいたいというような陳情がございます。また、本件助成措置に関しまして、地方公共団体におきましても積極的な対応を検討しているところが少なくないのでございます。そういうことから、このような事業に対する具体的なニーズは非常に大きいと私どもは考えております。  それから、既に受信設備を購入した世帯がこの助成を受けられないのは不公平ではないかという御指摘でございます。私どももこの法案が成立した以降の場合にのみこの助成を行うということを考えておりますが、これは法制度の建前でそういうふうにせざるを得ないのでございます。しかしながら、そういうふうに既に設置されている場合におきましても、耐用年数が参りまして使用困難となりましてさらに更新をしたいというような場合にはまた助成の対象にしてあげるということが必要ではないかというふうにも考えているわけでありまして、これは今後の問題として適宜やってまいりたいと思います。しかしながら、そうやってずんずんやっていきますといつまでもということにもなりますので、私ども現在考えているケースといたしましては、一回だけはやはり助成をしてあげてはどうかというふうに考えているわけでございます。
  68. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。過去の分も将来の買いかえの際に考えるということで、それは十分理解できました。  もう一つ、一応現在の案ではこれから十年ほどかけて難視聴地域解消のためにこの基金を運営していくというふうに理解しておりますが、再び財政法二十九条に立ち返って、「特に緊要になった」というところに立ち返って御質問したいと思います。  依然として価格が高いために、チューナー並びにアンテナに補助金を出さなくてはいけない、それが非常に緊要であるというところを仮に認めたといたします。それほど緊要であるならば、ではその実施になぜ十年もかけるのか。十年ではなくて、例えば本予算の一部にこれを計上して一挙に、十年かけずにこの十万世帯、一年間で、あるいは一年で無理であれば二年、一、二年をかけてこの難視聴解消を行うべきではないか。緊要というところがポイントであれば当然そういう代案も出てくると思いますけれども、その代案をあえてとらずに十年間非常に緩やかな形で援助することにしたその根拠をお聞かせいただきたいと思います。
  69. 木下昌浩

    ○木下政府委員 お答えいたします。  補正予算で基金の形で十年をめどとしてということじゃなくて、一遍にやったらどうかというお話でございますが、御承知のとおり、僻地等におけるテレビジョン放送の難視聴解消というのは可能な限り早期に達成されることがもちろん望ましいわけでございますけれども、一つは、やはりこの助成措置というものが受信設備設置しようとする人からの申請に基づいて助成しようというわけでございます。その申請を待っているわけでございまして、したがってその申請が一遍に出てくるとは限らないわけでございます。  それからもう一つは、予算枠の制約もございまして、郵政省一般会計予算が極めて僅少でございまして、その予算枠の制約から早急に措置をするということはなかなか難しいというようなところから、私どもとして基金を設けてその中から安定的、継続的に助成実施しようということにいたした次第でございます。
  70. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 申請によってという部分は理解できるのですが、予算枠の制約があるからそれで緊要ではないということになる論理がよくわかりません。しかし、その点に関しては一応時間があれば後ほどもう一度質問をしたいと思います。  仮にこれが財政法二十九条と関連して全く問題がないと考え、さらに難視聴対策が必要なものだという仮定を設けた上で質問したいのですが、その難視聴対策を実行する主体、これは先ほど上田委員質問いたしましたが、その対策を行うやり方にはさまざまな方法があると思います。例えばNHKがこの難視聴対策を継続して行うということも可能だと思いますけれども、この点に関してまず、できたらNHKそれから郵政省の態度をお聞きしたいのです。  先ほどの一番最初の質問で、難視聴世帯が今どのくらいあるかという質問がありました。それに対して、NHKに関しては十万、民放については四十万というお答えがありましたが、その点について少々補足説明をしていただきたいと思います。  と申しますのは、この改正案の中の第五条の二項、これによりますと、難視聴地域の定義が出ているわけです。この難視聴地域というのは「地形その他の自然的条件の特殊性に起因して、衛星放送によらなければその地域においてテレビジョン放送を受信できるようにすることが困難と認められる地域をいう。」というふうに書かれております。これが難視聴地域の定義だとすると、NHK民間放送の間にその難視聴地域の差が出てくるということは大変おかしいことになるわけですので、何らかの補足説明が必要だと思うのですが、なぜNHK民間放送では難視聴地域の教え方が違うのか、その数字の差について御説明いただきたいと思います。
  71. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHKに関しましては、放送全国普及ということで積極的にこの難視聴解消をやっていただいた結果、中継局設置というものが民間放送局よりもかなり先行して行われております。これは、地域民間放送が例えば三局あるといたしますと、最初にできた民間放送局はかなり最初から中継局の建設を進めておるわけでございますので、NHKと大差のないところもございますが、後発の新しい民間放送局におきましては、なかなかこの中継局設置が思うに任せないというような、それぞればらばらでございます。  そういう点から考えまして、NHKは現在、総合と教育で約七千局の中継局を持っております。民放はと申しますと、民放全体で七千局程度の中継局でございます。そのように一般的に考えまして、この中継局設置の数という点から考えましても、かなり視聴対策というものが民放ではおくれているという現実がございます。したがいまして、NHKは十万の難視聴世帯民放は四十万の難視聴世帯というような差が出ているのでございます。
  72. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のお答えですと、十万、四十万の差というのは、つまり発信側から数えた難視聴地域というふうに理解していいのだと思いますが、すなわちHNKの地上波が届く範囲あるいは民放の地上波が届く範囲ということで、その両者の整合性はあるわけですけれども、この機構法改正における定義、その難視聴地域というのは、そういたしますと、私たちが常識的に考えている難視聴地域地域という言葉とは言葉の概念のとらえ方が全く逆になっているというふうに私は理解いたします。すなわち、今お答えになったそれぞれ十万、四十万という数字は、放送局側で既に地上波を出している、その波が届く範囲であるということになるわけですけれども、この機構法改正案の中に出てくる難視聴地域というのは、波が出ているか否かにはかかわらずそれを受信するだけの能力がないという受け取る側からの数え方であるというふうに理解いたします。  そういたしますと、ここで難視聴地域解消ということをずっと今まで同じ概念であるというふうに考えてきたわけですけれども、哲学の、あるいは視点の非常に大きな転換が行われているように思います。その解釈が正しいのか、さらに正しいとすれば、なぜここで発信側からの難視聴対策ということを捨てて、受信側から受けとれるかどうかという点に焦点が移ったのか、その経緯並びにその根拠をお聞きしたいと思います。
  73. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先ほども申し上げましたけれども、地上の電波によりますテレビジョン放送NHKの場合ですとかなり山間部にまで及んでいるわけでございます。そうして、山合いの非常に小さな集落に対しましても中継局設置で難視聴対策というものを行っておりますし、さらにはまた共同受信設備というような形でもこの難視聴対策を行っているわけでございます。ただその解消効率が非常に悪くなってきた。経費をたくさんかけた割にはこの難視聴解消が思ったほど進まないという現実がございましたので、昭和五十九年からNHKにおきましては難視聴対策衛星放送でやろうというふうに方向を転換したわけでございます。したがいまして、その後は地上波による中継局設置というものはほとんど行われておりません。  今回のこの衛星放送によりまして難視聴対策というものを積極的に行いたいという構想であったわけでございますが、その受信機普及が伸び悩みであるというのが現実でございまして、これを一刻も早く解消いたしたいということからこの政策が浮かび上がってまいった、こういうことでございます。
  74. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のお答えを私なりに整理いたしますと、地上波が出ているかどうかという視点から考えると、難視聴世帯NHKに関しては十万、それから民放に関しては四十万ということになります。しかしながら、地上波であるか衛星波であるかそのいかんを問わず、ともかく電波が出ているかどうかという数え方になりますと、民放では四十万、NHKではゼロになるということだと理解いたします。そのゼロになった難視聴地域NHKの考え方ではゼロになった難視聴地域というものを、あえて新たに法律を改正して難視聴地域を再び十万に押し上げて、それに対して補助金を出さなくてはいけないというのが、ある意味では今回の法律案の一つの骨組みだと思いましたので、この点について質問したんですけれども、いずれにしろ難視聴地域解消というところでは、大目的ではそれほど問題にならないところですので、次の点に移りたいと思います。  ただし、こういった大きな政策転換がある場合には、なぜそういった政策転換を行うのか、さらに、市民にとっては難視聴地域という言葉を聞いた場合に、全く同一のものだというふうに考えてそれを解釈する傾向があるにもかかわらず、あるいは私たちすべてがそうですが、それをあえて同じ言葉を使って全く概念の違うことを説明する、そういった際には、やはりもっと詳細な、そしてだれにも納得のいく説明が必要ではないかというふうに思います。  仮にこの難視聴対策について助成を行うとして、再びNHKとして何ができるかという点に移りたいわけですけれどもNHKとしては既に受信装置についての助成も難視聴対策の一環として行っているというふうに私は理解しております。さらに受信料の減免措置ということもされていると思いますけれどもNHKとしては受信装置についての援助あるいは補助、それを難視聴対策の一環としてやってきたかどうかお答えいただきたいと思います。例えば、中継局設置あるいは共同受信施設についての出費というのは受信側に対する援助だというふうに考えることもできると思うのですけれども、その辺の解釈はいかがでしょか。
  75. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お答えいたします。  私どもは、放送をあまねく受信できるように送出するということで放送法七条で義務づけられておりますので、どこでも受信できるように電波を出すということを大前提にしておりまして、それを受信する場合の受信機設置についてはあくまでも受信者の負担であるというように大原則を考えております。そういう中にあって、辺地共聴につきましては置局の補助局としての助成は今日までやってきております。
  76. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それでは、NHKとしてはこれまで全く行ってこなかった受信側の補助を行うということになるかもしれませんが、例えば国の支出を抑えるという観点から考えますと、次のようなことが可能ではないかと思います。例えば、今後十年間にわたって難視聴地域にある世帯衛星放送を受信する装置を購入した場合に衛星放送の受信料は十年間免除する、それによって具体的に受信側では経済的に十年間通年いたしますと大体同じような金額を受け取ることができるというふうに思いますし、NHK側としても、現在、受信装置を持っていない家庭から受信料を取るということはできないわけでありますから、現在ゼロのものがゼロのままにとどまるということでNHK側が損をするわけでもありません。しかも、国としては三十億の出費をしなくて済むということで、これは全く三方一両得という案ではないかと思うのですが、そういった形での難視聴地域解消の対策を行われるつもりはないのでしょうか、NHKに伺いたいと思います。
  77. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 現在、地上放送が受信できなくて衛星放送だけに受信を頼っているという地域につきましては、減免措置ということではなくて、衛星放送料金を設定しました昨年八月以降、特別料金ということで割安の料額を設定しております。したがいまして、私どもとしては、先生の今の御提案でございますが、今の段階ではそれを全部免除するということには至らない、設備を持っている方については料額いただくというのがNHKの受信料制度の基本になっておりますので、そういうことで今の段階ではまだ十分考えておりません。
  78. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それについておもしろい解釈も可能だと思いますが、時間があればまたその問題に移りたいと思います。  仮に現在のような形で助成を行う、例えば一世帯について地方自治体四分の一、それからこの基金から四分の一という支出をすることにしたと仮定いたしますが、その際助成の対象となるものは、現在ではNHKテレビによる衛星放送だということですけれども、ほかのメディアは対象にはならないのか。例えばラジオに関してはいかがでしょうか。
  79. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHKは、テレビジョン放送があまねく全国において受信できるように処置しなければならない義務というものがございます。また、ラジオのメディアに関しましてもかなりのカバー率と申しますか、それで既に全国的にカバーされているわけでございます。したがいまして、現在の国民の生活の中でどのメディアからいろいろな情報を得ているかということを考えてみますときに、テレビジョン放送から得ているものが三時間三十一分、それから中波とかFM放送から得ている時間と申しますか、聴取している時間というものが三十八分というふうに言われております。これはNHK全国視聴調査の結果でございますが、昨年、平成元年の十一月の調査結果でこのようになっているわけでございまして、国民の立場から考えますと、やはりテレビジョンのメディアからの情報というものを非常に重要視しているということでございますので、そういう観点からもテレビジョン放送普及ということを第一義的に考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  80. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 その調査の結果、これは恐らく日本全国が対象になっていると思いますけれども、実はその統計の解釈に関して非常に大きな問題があります。というのは、対象がほとんど地上波の届いているところが大多数ですから、その地上波の届いているところを対象にして調査を行えば、地上波の届いているというその事実によって、これが難視聴地域の具体的な必要とはかなり違った結果が出てくること、それは当然であります。それについては言及いたしません。  まあ一応テレビが大事だということに話を進めたといたしまして、実は、見る側から考えますと、送る側では、放送局では放送局で番組をつくって送っているわけですから、それはそれなりの意味があると思いますけれども、受け取る側から考えますと、テレビと例えばラジオの違い、テレビというのは音声がありさらに画像があるというところが特徴です。その画像があり音声があるという点では、実は、例えばビデオテープをビデオデッキに装着してそれをプレーするということでも全くその出てくる結果は変わりありません。したがいまして、先ほど情報化の進む中で情報化を一層促進するためにといった意味の答えがありましたけれども情報化が仮にNHK衛星放送と全く同義語でないならば、この難視聴地域解消のためにともかく画像と音声を届けるんだというところまで要素を分解いたしますと、例えば、難視聴地域における世帯で、私のところはNHK衛星放送は別に見たくないんだ、それよりもビデオでたくさんアメリカ映画を見た方がいいんだというような家庭があった場合、あるいは、NHK放送を見るよりも、NHKの基礎英語のビデオカセットを買ってきてそれを何回も何回も見た方が語学の勉強にはいいというような要求があった場合に、ただ単にチューナーとパラボラアンテナだけではなくて、ビデオデッキを購入するためにもこの基金を使うべきではないか、そういうことも考えられますけれども、いかがでしょうか。
  81. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この助成措置によりましてNHK衛星放送を受信することができるようになります。またさらに、ことしの八月打ち上げられますところのBS3aでは民間放送による衛星放送会社が発足するわけでございます。そういうことになりますとそちらの方もある程度は見られる。ある程度はと申しましたのは、民間放送に関しましては有料放送というようなシステムで約八〇%行いますので、二〇%の分だけが自由に見られるという形になるわけでございます。そういう意味で、この助成措置によりまして今後設立されますところの日本衛星放送株式会社の番組も一部見ることができるわけでございます。  また一方、ビデオデッキにというようなお話もございましたけれども、私どもは、やはり助成という観点から考えますと、必要最小限で十分な効果を得るようなという非常に欲張った考えがございますから、そのビデオデッキまでということには今回の助成は及ばないというふうに考えているわけでございます。
  82. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 民間放送は有料放送になるということですが、NHKも受信料を取るわけですからそれも有料放送の一部だというふうに私は考えますけれども、その点は本件とは関係ありませんのでまた別の機会に問題にしたいと思います。  ただいま申し上げたのは、チューナー、パラボラアンテナに加えてビデオデッキということではなくて、チューナー、パラボラアンテナその合体で約十万ということですけれども、それにかえてビデオデッキということです。ビデオデッキの単価の方がはるかに安いわけですからこれは国にとっても非常に好都合ですし、さらに、そのビデオデッキの方がいいという個人に対してもやはり選択の幅があるということで、これまた非常にいい代案だと思うのですけれども、この基金使い方、それを、ビデオデッキだけという選択とチューナー・プラス・パラボラアンテナという選択、その二つまで幅を広げるお考えはありませんか。
  83. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 最近のニューメディアのいろいろな発展は目覚ましいものでございます。放送に対抗するメディアとして、ビデオデッキというものが大きな競争相手と見られている面もございます。そういうことを考えますと、今回の施策放送のいわゆる充実ということでございまして、放送の即時性であるとか同時性というような、情報国民方々に与えるという非常に重要な任務があるわけでございますので、そういう意味での普及というものを積極的に図っていかなければならないのではないかと思っておるわけであります。したがいまして、ビデオデッキだけ買いたいというような方に対する助成というものは考えてはいないのでございます。
  84. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。つまり放送普及するという放送法の精神にのっとってということだと思いますが、それはそれで放送法の精神にのっとっているわけですから問題はないと思うのですが、では放送法の精神にのっとってその放送普及する。で、放送の最大の強み、そして特徴というのは、即時性、同時性にあるというお話でしたけれども、その即時性、同時性という強みが最も端的にあらわれるのが報道番組ではないかと私は思います。もっと簡単に言うと、ニュース番組あるいは天気予報といったところではないかと思います。  それで、NHK衛星放送、今後民間放送が入るとしても、現在助成を行おうとしている具体的な放送内容ですけれども、その放送内容を見てみますと、ここにNHKの「グラフNHK」というのがあります。三月分がありますが、そこで衛星放送内容について考えてみますと、実際に見てみますと衛星の第一放送、BS―1、これはほとんどが海外ニュースです。天気予報がちょっと入っておりますが、日本のニュースはほとんどない、それが現状です。  それから、これが中心になっているBS―2だと思いますけれども、これも朝ニュースの時間が「ニュース・天気予報」というのが六時からあります。その後に一応七時台に「モーニングワイド」というのがありますが、これをニュース番組と呼ぶかどうか、非常に議論の分かれるところだと思います。ずっと見てまいりますと最後に例えば六時台のニュースがない。夕方のニュースがない。あるいは夜の九時台の、現在かなり視聴者が楽しみに待っている「ニュースステーション」であるとかあるいはNHKの「ニュース・トゥデー」ですか、その九時台、十時台のニュース番組が一本も衛星放送によって放映されていないという現状があります。  それに反してここで非常に顕著に目立つのは、これをぱっと見てみればわかりますけれども衛星第二放送内容はほとんど娯楽番組です。例えば「伝統スペシャル 至芸・日本舞踊の世界」というのがあります。私はこれは世界に誇り得る日本文化の一部だと思いますし、これが広く放映されることは非常に意義のあることだというふうに思いますが、今おっしゃった即時性、さらに同時性、そういった観点から考えて、この日本舞踊の放映を見るためになぜ国が助成をしなくてはいけないのか、そのあたりのところがはっきりいたしません。即時性、同時性が大事だから放送普及するのだ、そのために助成金を出してまで受信機を買うのだということを言っておきながら、では具体的にその受信機によって見られる番組の内容を見たときに、ニュース番組がほとんどないというのは、まさに羊頭狗肉と言われても仕方がないような現状の番組内容ですけれども、この番組、少なくとも一日に例えば一時間、その内容はもちろんNHKの自主性に任せることが必要だと思いますが、最低一時間夕方にはニュース番組を流すといったような附帯決議なり附則がつかない限り、この羊頭狗肉という現実を免れることはできないと思いますが、いかがでしょうか。
  85. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生十分御存じのとおり、衛星テレビジョンの第一の方は情報波ということで、国際関係のニュース、情報、それから国内の情報も多角的にこれを伝えておりますが、第二テレビジョンにおいては難視解消を大きな目的の一つとしておりますので、朝、昼、夜の国民生活に欠かせないニュースその他についてはこの時間を使って情報を流しておりますし、そのほか要望の強い大型ドラマだとかそれからのど自慢その他のものも時間を選んで放送しております。特に、国会中継その他高校野球、こういったものにつきましても、臨時編成で第二テレビジョンで放送するようにしております。  それから、難視地域衛星を見ている地域方々、特に小笠原とか大東島の方たちについては、御意見を伺いながら、そういうものを番組編成の中で、特に気象情報その他について配慮をするように努めております。なお、難視地域の方たちの要望は今後ともきめ細かく聞きながら、編成上に工夫を凝らしてまいりたいというふうに思っております。
  86. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 衛星第一放送内容については、確かに海外ニュースがありますが、ここにある番組表を私がここで改めて読む必要はないと思いますけれども、確かに海外放送は非常に時間が多いということは一目瞭然です。しかしながら、それに対して日本国内のニュースがほとんどカバーされておりません。それから、それは衛星第二放送についても全く同じことだというふうに思います。  したがって、地域地域によって地域のニュースを流していただけるのであればそれはもちろん必要なことだと思いますけれども衛星放送、そもそも今回の基金目的放送普及することにある、難視地域解消にある。その目的は、放送の即時性と同時性ということをできるだけ生かすことにあるという趣旨を受け入れた以上、やはり番組の内容にまで立ち入って、本当にニュースの番組が必要なときにできるだけ多くの人に伝わるような内容にまでその条件をつけなければ、今回の基金意味というものが全く失われてしまうというふうに思います。  しかし、今のお答えでは一応視聴者の意向は十分取り入れているということでありましたから、これは私の申し上げたことと全く矛盾しているというふうには思いません。したがいまして、でき得れば本委員会において附帯決議をつけた上で、ニュース番組を十分取り入れる、できれば最低時間数まで含んだ附帯決議を取り入れた上で、つけた上で、基金についてのこの一部改正案を通してもいいのではないかというようなことを考えております。どうもありがとうございました。終わります。
  87. 上草義輝

    上草委員長 次に、遠藤和良君。
  88. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私の持ち時間は三十五分という短い時間でございますので、答弁はできるだけ簡潔明瞭にお願いをいたします。  まず、きょう審議をしております法案は補正予算関連法案でございますが、何でこの大事な放送衛星受信対策として基金を設けるということを補正予算で行うのか、こういうことがいまだに明確に私わかっておりません。財政法二十九条をどうクリアしておるのか、この点につきましてまず聞きたいと思います。
  89. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほども郵政省の幹部から御報告いたしましたが、改めて私から申し上げさせていただきたいと思います。  NHKが地上テレビジョンを通して良好にテレビを受信させるという努力を尽くしてまいりましたし、また地域によって難視聴が続いているということについて郵政省も心を痛めて、それらが早く解消することを願っていたのでありますが、やはり助成ということでないと受信装置がなかなかつけられないということが最も基本的な問題であるというふうに理解いたしました。  そして、たまたま平成元年度予算編成後に起きました例えば衛星放送有料化であるとかあるいは放送衛星の故障といったような報道、これらがさまざまな不安を呼びまして、我々が当初考えていたものよりもはるかに普及がおくれるという状態になってまいったわけでございます。このまま放置してまいりますと、難視聴解消を主目的として進めている衛星放送政策の実効性確保できなくなると考えました。  あわせて新規受信契約増加が期待される四月のNHKテレビ番組の改編期と四月上旬の放送局の予備免許付与があるわけでありますが、これによって民間衛星放送事業者が新たに登場いたしまして本格的な放送衛星時代が到来する、これにどうしても急いで対応して環境を整備しなければならない、そう考えたわけでございます。したがいまして、財政法第二十九条との関係においては格別問題なく、緊急に補正予算によってテレビジョン難視聴解消助成措置を講ずるものとしたわけであります。
  90. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 財政法第二十九条第一項第一号の話だと思いますが、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」これに当てはまるという説明でありますけれども、ただいまの衛星放送有料化であるとか四月に番組を改編する、こんなことは予算編成前からわかっていることです。  特に問題なのは、たまたま自然増収があったからこの際基金をつくってしまえ、こういうふうな意図が明確に出ているのではないかと私は思います。これは政府が、一つは消費税導入に根拠を与えるために意図的な税収の過小見積もりがあった、そして自然増収を生んだ、だからこの際基金をつくっていこう、こういう考え方はまさに泥縄である、補正予算というものをいたずらに膨張させるということは予算の意義を損なうものである、このように考えますけれども、いかがですか。
  91. 木下昌浩

    ○木下政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から御答弁申し上げましたような平成元年度予算編成後に生じた理由によりまして、私どもが考えておりました難視聴地域衛星放送普及が非常に予想外に低調であった、したがってこのままでは難視聴を主目的とした衛星放送政策の実効性確保できなくなってきた、したがってこの際緊急に補正予算によって措置するということが必要だということで提案をしたところでございます。
  92. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 この難視聴地域解消ということは、本来の政策経費なんですね。私は、やるのであれば当初予算に計上して行うのが筋であると考えます。  今お話がありまして、これ以上言っても結局筋違いで終わるのではないかと思いますのでもう少し先に話を進めたいと思いますが、本来当初予算で行うというのが筋ではないですか。ここだけ確認しておきます。
  93. 木下昌浩

    ○木下政府委員 私ども施策実施する場合にタイミングがあると存じます。今回の場合は、先ほど大臣からの御説明もありましたとおり、先ほどの普及予想外に低調だということとあわせて、この四月期がNHKの番組方針の変更というようなところから、その時期が受信者の普及に大変いい時期であるというところから、この際緊急にやりたい、本予算では間に合わないということでございます。
  94. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 じゃ、先に進みます。  附則第五条で「当分の間」となっているわけでございますが、これは具体的にどのぐらいの期間を考えておりますか。     〔委員長退席、前田(武)委員長代理着席〕
  95. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 当分の間ということは、私どもNHK衛星放送によりまして、難視聴地域におけるこの受信設備普及いたしまして、難視聴解消という本件業務の所期の目的が達成されるまでというふうに考えているわけでございますが、おおむね十年以内というのをめどにしているものでございます。
  96. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 助成対象数は、先ほどお話がありましたが、大体十万世帯ぐらいであるというふうになっておりましたが、十年以内で十万世帯をやりたいということですが、これは計算が合わないのですよね。十年間で基金が三十億でしょう。金利は大体五%くらいに見積もりますと、運用益は年大体一億五千万円ですね。一世帯当たりの助成金というのは、大体十万円の四分の一だから二万五千円というふうになるわけですが、そうすると助成の対象世帯は十年間で六万世帯ですね。助成対象数は十万世帯と言ったのだけれども、実際は四万世帯はこれができないということてはないのですか。難視聴地域解消は、これはできませんということになるのではないですか、数字の上からいくと。これはどうなんですか。
  97. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 大量生産というものの効果によりまして、徐々にこの受信アンテナであるとかあるいはチューナーであるとかいうような機器が低廉化の方向に向かっていくのではないかと私どもは考えておりますし、そういう点で、先生指摘のように、今までの値段、十万円がそのままずっと継続するということになりますと、先生の御指摘のような結果になるわけでございますが、我々はそれを、低廉化を期待している面が非常にございます。
  98. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それは見通しが甘いと僕は思うのですよ。大体、公共料金をこの春軒並み値上げしている。物価はかなり上昇基調にありますよ。そういうときに、パラボラアンテナとチューナーだけが下がるだろう、これは安易に過ぎていると思いますね。そういう見通しでやると、これは難視聴地域解消というのはもともと考えてないと言わざるを得ないと思うのです。難視聴地域解消のためにつくっているといいながら、全部はやれない、最初からそういう方針ではないのですか。
  99. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 このような施策が行われますと弾みがつきまして、この難視聴解消というものが積極的に行われるのではないかと私どもは考えて、この施策皆様に御審議をいただいておるわけでございます。そういうことから、積極的に難視聴解消というものをやっていきたいということは、私どもの本当に心から希望しているものでございますので、物価の上昇等も若干考えられますけれども、やはり年間で五千件あるいは六千件というような実施の件数をさらに伸ばして、そしてこの十万世帯の難視聴解消いたしたいというふうに考えているわけでございます。
  100. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 多分に他力本願的な観測ではないかと私は思うわけでございます。  この基金目的を達成した後の扱いですけれども、例えば十年後に、おっしゃるとおり難視聴地域解消がたまたまできたとしましょう。そうしたら、その基金というのはどういうふうな形にするのですか。
  101. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 本基金は、NHKテレビジョンの難視聴解消の促進を図ることを目的として設置するものでありますので、その目的が達成されれば、基金の役割も果たされたことになるわけでございます。  この目的が達成された後の出資金の扱いにつきましては、予算措置や法改正を要することになるわけでございまして、その時点において改めて御審議いただくことになろうかと存じます。
  102. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今の法律で読むと四十二条ですかね、この機構が解散するときは国庫に返還ということが規定されておりますね。解散しないときはその使い方について別途立法化するということですね。こういう考え方ですか。
  103. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 そのとおりでございます。
  104. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 まあ十年先どういうふうに使うかということを今から議論しても、大分先の話でございますからこれはおいておくことにいたしまして、この難視聴地域解消のために行うということからすれば、当該地域の受信料の問題でございますが、私は、地上の受信料と同額にすべきではないのかと考えます。ところが、実際は高くなっていますね。普通契約の地上放送の受信料は現在、訪問集金で七百円ですね。ところが、この特別料金は千四十円でございますが、これは何で高くなっているのですか。
  105. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 このカラーの料金というものが千七十円、それから、普通契約と申しまして、白黒のテレビの場合の契約が七百円ということに現在なっておるわけでございます。  それで、この特別契約という衛星放送のみを受信する場合でございますが、これは、最近の受像機はほとんどがカラー化されているわけでございまして、そういう意味で、この衛星放送を受信するだけの特別契約料金というものは千四十円というふうにしていただいておるわけでございます。したがいまして、カラーの料金よりも若干低いという料金に設定しております。白黒と比較いたしますと、白黒の方が非常に低いのでございますが、白黒の普通契約というものは、過去のいろいろな状況の名残でございますものですから、現実的には、衛星放送を受信するというような場合にはカラーがほとんどではないかということから、こういう設定をしているわけでございます。
  106. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私はやはり、そういう現状にはあるかもわかりませんけれども、白黒で衛星放送の契約をする人も中にはいるんじゃないかと思うのですね。そうすると、やはり一番安い料金よりも安くしてあげるのが一つの目安ではないか、このように考えるわけでございますが、そこのところは、最初の料金設定の算定基準というか、そういうものはどのような感覚でおつくりになったのですか。
  107. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 つまり、地上放送にかかわる受信料も衛星料金で賄う部分以外のNHK経費についても、その負担のあり方というものを総合的に勘案いたしまして設定されているものと理解しているわけでございます。
  108. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、難視聴世帯は十万世帯と言われましたけれども、正確な把握というのはできているのでしょうか。例えば、都道府県別の世帯数であるとか、あるいは市町村別の世帯数であるとか、そういうものは全部もう把握が終わっているのですか。この資料を見せてくれと言ったらなかなか持ってこないのですが、これはどうなっていますか。
  109. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 いわゆる難視聴世帯の数と申しますのは、昭和五十九年から六十年度に実施いたしました辺地難視聴実態調査により約十万世帯と推定しているわけでございます。現時点で個々の難視聴世帯というものを特定することは困難ではございますが、NHK放送局のいわゆるサービスエリアを示しますところの電界強度図、それから共同受信施設整備状況等によりまして難視聴地域であるかどうかということはほぼ把握できているわけでございます。地方公共団体NHKとも十分密接な連絡をとりながら、円滑な業務推進に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
  110. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今度の事業地方公共団体も四分の一負担するということですから、地方公共団体、県がやるか市町村がやるかの別はありますが、少なくともやはり市町村におきまして自分のところにはどのくらいの世帯があるのだということがわかっていなければ施策のしようがないのですね。いまだにはっきりしたことを言ってないのですね。私もこの間四国には大体どのくらいあるかと聞いたら、七千世帯ぐらいですという話はあるのだけれども、じゃ、どこの市町村なのですかと。大きい市なんかないところもあると思うのですね。あるところはどのくらいあるか。私は少なくとも世帯の名前までわかっていないと現場の町村長さんは施策推進のしようがないのじゃないか、このように思いますが、例えば市町村別の世帯数ぐらいは公表できないのですか。     〔前田(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先ほども説明申し上げましたけれどもNHK放送局の電界強度図というようなものはかなり詳細に把握しているわけでございます。それから、共同受信施設整備状況等も十分に把握しております。したがいまして地方公共団体は、さらにまたその地域住民の方の状況というものも町とか村という単位であれば把握しているわけでございますので、それらの方々協力をいたしまして調査をさらに進め、申請をしていただけるような体制を至急整えてまいりたいと思っております。
  112. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 至急整えると言っても、もう既になければいけないのじゃないの。整えてから、まさに法律ができてから整えるという感じでありまして、実態がこうなっている、市町村別にはこれだけの世帯があって、どこそこさんのうちはそうですよ、そこまでわかっていなければ市町村としてはこの事業を、きちっと自分たちも四分の一の負担金を出すのだから、政策を行うときに説明のしょうがないのじゃないかと思うのですよ。この法律が通りました、おたくの市町村では当該世帯はこのぐらいありますよ、むしろ名前までは連絡してあげるくらいの親切さがなければとても難視聴解消なんかできないのじゃないか、このように思いますがどうですか。親切さが足らない。
  113. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 その難視聴の状況と申しますのは、毎年、市、町村というようなレベルから放送局に対しましても非常に陳情があるというのが実際でございます。しかしながら、NHKに関しましては五十九年度から既に地上波による中継局設置というようなことはほとんど行っていないわけでございますが、民放中継局設置等に関しましては関係の市町村から陳情等が多数出ておるわけでございます。そういう意味で、その難視聴地域実態というものは十分に把握をしております。ただ、先生が御指摘のように、どこそこのうちというようなところまでの資料が整っていないということでございます。
  114. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、今回は都市における受信障害というのは対象外にされているわけでございますが、都市におきましても難視聴地域、限定的なところでございますけれども、ふえておりますね。この地域に対して今後どのような対策を行っていくのでしょうか。
  115. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は都市の議員なものですから、特に遠藤先生指摘のこの問題には深い関心を持っております。  今回の難視聴解消の対象は、あくまでも自然環境的な、そういう状態の中から難視聴になっている世帯を対象にしているわけであります。御指摘のように、都市の受信障害については現在六十七万世帯視聴が起こっておるというふうに推定されます。高層建築物等の人為的な難視聴でありますので、従来から申しますと建造物の建築主の責任負担を基本としてやってきたわけでありますが、御指摘のように、これから都市化がもっと激しくなってまいりますと複雑多岐にわたりまして、建築主の責任だけで解消できないという部分は相当出てきそうでございます。  そこで私どもとしては、CATVだとかSHFなどを活用いたしまして対策を講ずるとともに、当然放送衛星を使ってはいかがかというようなテーマに取り組んでいかなければなりません。ただ、現在の時点でも三十度の角度でないとアンテナに受けとめられないということを考えると、非常に狭いところで高い建物が建っておりますと簡単にはいかないという問題点もございます。そういうことも含めて前向きに検討を進めたいと思っております。
  116. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今大臣から御答弁をいただきましたけれども、確かに都市受信障害の原因者が特定できないケースが多くなっているわけですね。これは都市計画そのものにも責任がある、こういうふうにも言われるわけでございまして、原因負担主義を貫くことがかなり難しくなっている場合があると思います。  それから、共同アンテナよりも放送衛星でやった方がコストが安くなるのじゃないかということもありますし、早く解決できるのではないか、このように考えておりまして、これに対する助成措置と申しますか、恐らく基金が、十年後に使って終わったらこの辺にまた来るかもわかりませんけれども、その辺をやはり弾力的に、都市の受信障害というのは大きな問題であると思いますので、放送衛星を使った対策に対する施策ですね、この辺をやはりきちっと推進していただきたい、これを強く要望したいと思います。
  117. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ごもっともな御意見でありますので、しっかり研究、勉強を続けながら前向きで検討を進めていきたいと思っております。
  118. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、放送衛星BS2bの寿命でございますけれども、これは来年の一月ごろまでである、このように言われております。現在は運転はどうにかやっているという状態のようでございますが、先ほどもお話ありました2×、これはアリアンロケット失敗によりましてだめになってしまいました。今度八月にBS3aを打ち上げる予定のようでございますが、これの供用開始は十一月ごろですね。そうすると、順調に十一月から供用開始されるかどうかという見込みとともに、この供用開始以前に2bがだめになってしまった場合、これは契約受信料、先払い受信料は当然払い戻す、こういうことになるのですか。
  119. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 いわゆる衛星放送が全く中止になったということを想定いたしますれば、NHK放送受信規約によりますと料金をお返しするということになるわけでございます。その場合でも地上放送の料金はいただくということでございますので、端的に言いまして二千円の衛星放送の料金を、今地上放送と込みでいただいておりますので、地上放送だけという、千七十円という料金にならざるを得ない、こういうことでございます。
  120. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 その場合は正確に払い戻すという明快な答弁だと思います。  それから衛星放送の安定性の問題なのですけれども、今どうにか放送ができているという状態じゃないかと思うのですね。もともとBS2系の打ち上げに対しましては総額五百八十二億円のうちNASDAが四〇%負担していますね。それから今度BS3系も大体NASDAが三五%負担する、こういうふうになっておりまして、政府技術開発予算といいますか、これがついている打ち上げですね。技術開発ということは即実用ということではないのではないか、こういうふうな観点を私は持っておるわけでございますが、政府技術開発予算で打ち上げた衛星を実用にしてすぐ受信料を取る、取っているんだけれども、いつとまるかわからぬという状態である、こういうことから考えますと、まだ衛星放送は実験中ではないか、こういうふうな感じがするのでございまして、ちょっと受信料を取る時期が早過ぎたのではないか、このように私は考えておりますが、どういう認識をしておりますか。
  121. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 BS2bの寿命は五年が目標ということでございますので、先生指摘のように来年の一月が目標ということになっているわけでございます。現在、このBS2b衛星の各部の状態を把握するためのテレメトリーデータの精度が若干低下するというふぐあいが生じているわけでございますが、現在、御承知のように、衛星放送は安定的に運用されているわけでございます。この衛星現状のままで推移いたしますれば、衛星放送安定運用には支障ないと考えているわけでございます。  一方、料金の問題でございますが、受信世帯数が百万を超えた時期になりますると、やはり負担の公平ということを図る観点からぜひ衛星放送の料金という制度をこしらえるべきだという御意見が多数ございまして、そういう意味で昨年の八月から受信料の徴収を開始したわけでございます。当時は、七月末の状況でございますが、衛星の受信世帯数というものが推定で百六十二万世帯あったということでございます。このように料金をいただいているわけでございますので、安定性、継続性の確保には今後とも一段と努力をしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  122. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 もっとたくさん質問したかったのですけれども、時間が参りましたので、最後に一問だけ大臣に聞きたいのですけれども、リクルート献金です。  報告書の提出は四月四日ということですが、何でそんなに時間がかかるのか私はちょっと理解に苦しむのでございます。政治資金規正法によりますと、一口百万円以下の献金につきましてはその氏名を報告する義務は確かにありませんね。しかし、会計帳簿は常に常備しておかなければならないわけですから、帳簿があればすぐに調査は可能ではないかと思うのですね。もう一つは、大臣の政治資金団体は一体みんなで幾つあるのか、この辺明確でないです。  この二点について、帳簿はちゃんとあるのかどうか、それから政治資金団体は幾つあるのか、もう一つは、現時点での政治的道義的責任をどのようにお考えなのか、この三点についてお伺いしたいと思います。
  123. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず、四月四日の話については、私が発言をしたことについて続けての総理に対する質問の中で出てきた話でございます。したがいまして、私の方で自主申告したものについて、恐らく官房長官サイドであろうと思いますが、確認をして、そして発表するという日を四月四日と設定されたわけでありまして、私の方は昨晩も官房長官のもとに出かけていって詳しく御説明をいたしたところでございます。  それから第二点の、政治結社が幾つあるかということについて私今正確な数字を持っておりませんので、後ほどお答えをいたしたいと思います。  それから、政治資金規正法についての、つまり公表から三年間の帳簿についてはきちんと残っております。
  124. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 以上で終わります。
  125. 上草義輝

    上草委員長 次に、菅野悦子君。
  126. 菅野悦子

    ○菅野委員 私は、法案に入る前に、大臣に、リクルート社からの献金、この関連の問題についてお聞きしたいと思います。一、二の点だけについてお聞きいたします。  一つですけれども、きのうの参議院予算委員会答弁で、リクルート社の嘱託社員だった人についてのことですけれども、六十三年七月限りで退社してもらったというふうに大臣答弁になっています。その人は今あなたの秘書だということについてもおっしゃっておられましたけれども、こういう御発言があったということは、大臣の頭の中にはどなたなのかということもはっきりしていらっしゃると思うのですけれども、その人はいつからあなたの事務所に勤務をなさっていらっしゃるのかということ、それからリクルートの嘱託社員になったのはいつかということについてお尋ねをいたします。
  127. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私どもの事務所には、どなたの事務所でもそうであろうと思うのですが、いろいろなボランティアの人たちが交互においでになります。選挙中になりますと、それこそ大変な数の人がボランティアでやっていただいておりますが、この該当する秘書につきましては、数年前から、最初は必ずしも、最初も後もそうですが、出勤時間がきちんと決まっているというのではなくて、いろいろと手伝ってくれておりました。したがいまして、その人がボランティアとして参加していたということは、私の事務所の者は皆承知していたと思います。  ただ私どもは、例の六十三年のリクルート問題が非常に大きく惹起された時点で、秘書や事務方に命じて、一たんその事務所のそういう意味での検討、調査をするように、こういうふうに申したわけであります。その結果、事務局からの報告は格別問題がありませんということであったものですから、そのまま推移したわけでありますが、格別問題ないというその処理の中には七月の時点で一切整理するということが加わっていたようで、そのときにその嘱託社員はやめて、そのまま事務所に残ってくれて、後に秘書として採用したものでございます。
  128. 菅野悦子

    ○菅野委員 今のお答えなのですけれども、私はなぜこれをお聞きするかといいますと、ある新聞社の報道なのですけれども、リクルート社の側からこの方に七年間給料が出ていたということがあるわけなのですね。ということになりますと、これはどうなのか。結局それだけの長い間おたくに勤めていらっしゃる方が丸抱えといいますか、七年間リクルート社から給与を保障されていたということになる可能性がありますので、ですから私は、お勤めになった日、それからリクルート社の嘱託社員になって給料をもらい出したのはいつなのかということをこの際はっきりしていただきたいというふうにお願いしているのです。
  129. 深谷隆司

    深谷国務大臣 嘱託職員と本社との雇用関係というのは私どもの関知しないところであります。その人がボランティアで、あるいはどういう中身かわかりませんが、手伝ってくれる、それもきちっとした朝から晩まで、あるいは通勤もきちんとして一般の秘書のように勤めるということでなしに手伝ってくれたという関係がずっと続いてきた、かなり優秀な人だったものですから、一定の時期で秘書に逆に引っこ抜くような格好になったということだろうというふうに思っております。
  130. 菅野悦子

    ○菅野委員 ちょっと大臣の御答弁には解せないのですけれども、結局あれですか、では、七月限りで退社してもらった、その七月の時点が結局おたくの秘書に採用されたときだということですね。それまではボランティアだ。全くおたくの職員としてあるいは秘書としてのそういうあれはあくまでボランティアであったということなのですか。
  131. 深谷隆司

    深谷国務大臣 事務所あるいは政治活動についてさまざまな角度から手伝ってくださる人というのはいろいろいらっしゃるわけでございます。
  132. 上草義輝

    上草委員長 菅野悦子君に申し上げます。本日は法案の審査でございますので、ただいまの質問は一般質問の際おやりいただきたいと思います。  それでは、本論をお進め願います。
  133. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう一つ、ではわかりやすい話でいきます。  あなたの後援会にリクルート社から振り込まれていた会費の件なのですけれども、これもきのうのやりとりですから非常にはっきりしていると思うのですけれども、八八年十二月までだとおっしゃいました。ただこれについては、今もおっしゃっておられたように、昨夜訂正されていますね。これは十一月分までが十二月に振り込まれていたのでつい間違ったのだというふうな御答弁、御答弁というのですか、夜訂正なさったというふうなことなのですけれども、では、これは十二月のいつ振り込まれていたのか。この辺は非常に明らかだろうと思いますので、御記憶が:::(発言する者あり)
  134. 上草義輝

    上草委員長 本論を進めてください。
  135. 菅野悦子

    ○菅野委員 いや、私は思うのですけれども、我が委員会の所轄の大臣なんです。しかも資格にかかわる問題ということなんですから、そういう意味では、私はこれはどうしても関連があるというふうに思いますので、ぜひお答えいただきたいと思います。
  136. 深谷隆司

    深谷国務大臣 きのうのお答えの中に、十二月分をいただいたという発言はしてないのです。十二月まで振り込みがあったということでございまして、もともとそういう説明をしてまいりました、前の月の分でございますと。したがいまして、きのう夜になって訂正したというのはどこで訂正したとおっしゃるのかわかりませんが、正確にはけさの記者会見のときに、一部の新聞に出ているけれども、あれは十二月まで会費をいただいたというのは間違いですよ、そういうふうな言い方をしたのでございます。  それから、一応官房長官の方に書類、詳細一切出しましてきのうも説明してまいりまして、四月四日の報告ということになっておりますので、私としてはすべてそこにゆだねているつもりでございますから、個々にこれ以上答える気はありません。
  137. 菅野悦子

    ○菅野委員 そうしたら、あと一つだけお聞きします。  では、振り込みが手違いであったということだったわけですけれども、そのことがおわかりになってお返しされた、返されたということを言っていらっしゃいますけれども、この点は手違いを正したということですから非常に明確だと思うのですが、あと一つ、返却したのはいつなのかということ、このことをぜひお願いします。(発言する者あり)
  138. 上草義輝

    上草委員長 ただいまの御発言につきましては、後刻理事会を開きましてその取り扱いを御協議いただきたいと思います。
  139. 菅野悦子

    ○菅野委員 それはちょっとおかしいのと違いますか。そうでしょう。私さっき理事会で言っておきましたよ、ちゃんと。
  140. 上草義輝

    上草委員長 本論をお進め願います。
  141. 菅野悦子

    ○菅野委員 お答え願います。
  142. 上草義輝

    上草委員長 ただいまの質問は一般質問の中でおやりいただきたいと思いますので……
  143. 菅野悦子

    ○菅野委員 委員長がそんなこと言えますか。(発言する者あり)いいえ、そんなことないのです。ぱっぱっと答えていただいたらすぐ済むのです。お願いします。
  144. 上草義輝

    上草委員長 議題外の発言は御遠慮いただきまして、本論をお進め願います。
  145. 菅野悦子

    ○菅野委員 委員長にそういうふうな権限があるのですか。ちょっと横暴じゃないですか。あと一つ言ってくださいよ。記者団には一月に返したと言っているのですから、なぜ国会でそのことが言えないのか。言ってください。
  146. 深谷隆司

    深谷国務大臣 何回も繰り返しますが、私発言を拒んでいるわけではありません。委員会の運営の関係でそういうことになっているのでございまして、私全く拒んでいるつもりはありません。  ただし、ただいまの何月何日に返却したかということについては、詳細既に官房長官の方に届け出ておりまして、説明もしておりまして、多分四月四日の発表のときに、それらを含めて発表されると思いますので、ここでは控えたいと申し上げている。
  147. 菅野悦子

    ○菅野委員 これで終わりますけれども、私がなぜこれを言ったかといいますと、大臣答弁はこの間くるくる変わってきているのです。海部内閣の閣僚の自主申告のときには、その種の問題は一切出てきませんでした。また、三月八日の衆議院予算委員会では、一九八八年夏以降は完全に問題ない、それ以前についても、知る限り特別な関係はない、そういう答弁をなさっていたのです。これらが事実と違っていたということは、この間の経過でも明らかなんです。ですから、そうなりますと、やはりこれは大臣として国会と国民に対してこれはどういうことになるんだ、はっきり言ってうそをついていることになるのじゃないか、こういうように思ったものですから、このことについてはぜひ明らかにしておかなければあかんと思って私は言ったわけでございます。ですから、この点につきましては引き続きぜひ大臣の方ではっきりとした態度表明を望みたいと思います。  それでは時間がありませんので法案の方に入りますけれども通信放送衛星機構法について質問をいたします。  この点ですけれども、難視聴地域衛星放送を受信するためにアンテナなどの設置をする世帯助成金を出すというこの法案の趣旨については私どもも大賛成であります。ただ、これは補正予算で処理することには問題があるのではないかと思います。補正予算は財政法の二十九条でも公務員給与など義務的経費や緊急を要する経費に限られているということがあるわけです。ですから、本来こういう施策は本予算できちんと行うべきであるということを指摘をしておきたいと思います。  ところで、この改正案で助成の対象になる難視聴地域の問題ですけれども、この点では既に衛星放送受信用のパラボラアンテナ、こういうものを購入された世帯というのが八千世帯あると聞いております。今度こういう非常にいい趣旨の法案が可決するということになりますと、当然この八千世帯、早く買って損をしたというふうな声が出るのではないかと私は思いますけれども、この点でさかのぼっての助成とかそういうふうな措置の検討をされたかどうか、また、そういう措置がとれないかどうかということについてぜひお尋ねをしたいと思います。
  148. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 今回の助成措置は本法案が成立し施行された日以後に設置されるこの衛星放送受信設備に対して行うということでございます。それ以前に設置された受信設備については助成の対象とはなりません。しかしながら、既に受信設備設置されている場合においても、その受信設備が耐用年数の経過等によって使用が困難になって新たに受信設備設置されるときは助成対象とするということも考えております。しかしながら、延々とこれを続けていくわけにはまいりませんので、一回程度にとどめたいと思っております。
  149. 菅野悦子

    ○菅野委員 難視聴地域で高額なパラボラアンテナなどを購入する場合には補助金を出すべきではないかという議論は、放送衛星が打ち上げられた直後からあったということですね。そして八千世帯ということでもあるわけですから、そういう点では今から措置をしていく世帯のことを、十万以上ということで考えるならば、この八千世帯助成をさかのぼって実施するという措置がとられてもいいのではないかと思いますので、その辺を御検討いただきたいということを重ねてお願いを申し上げて、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  150. 上草義輝

    上草委員長 次に、中井洽君。
  151. 中井洽

    ○中井委員 私も法案の質問に入る前に、大臣のリクルート献金の問題で一点だけお考え、御決意をお尋ねしたいと思います。  自民党さん、そして海部内閣のお決めになった倫理規程に従ってきちっと処理をされるのだろうと考えておりますから、中身のことを聞くつもりはありません。ただ、リクルート問題の場合には、特に労働省だけでなしにNTT問題等と深くつながっていることはもう御承知のとおりであります。その監督官庁の郵政大臣としてのお立場ということがあろうかと思います。  同時に、午後からNHK審議に入りますが、三百円の値上げをめぐって私ども本当に真剣に審議していかなければならない。そのときに常に反省をしていかなければならないのは、次から次へと出てくる今回のこの献金問題の金額の多さであります。特に私どもは、私自身は三年数カ月間落選をしておりましたから、その当時、どこを歩きましても、政治家というのは金銭感覚が麻陣をしているのじゃないか、こういったことで随分おしかりをいただきました、また、そのとおりだ、このように考えております。  郵政省そのものも、一枚の切手を破いてしまえば、これをどう弁償するかということで大変厳しい、また厳しくやってきたことで信頼を得ておる役所であります。その役所の担当大臣として、今回の事件をどのようにお考えになり、そしてどのような決意で国民の不安、疑惑、こういったものを解消していくおつもりか、その点だけをお尋ねいたします。
  152. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私はリクルート社から格別何かを頼まれて何かをした、そういう覚えがありませんので、自分自身ではやましい心はないつもりでおりました。ただ、届け出るべきときに間に合わなかったということで、そのタイミングのずれが今日のような問題になっていることについてはまことに申しわけないと思っております。
  153. 中井洽

    ○中井委員 それでは法案の質問に入ります。  今回補正で処理をするということでいろいろと議論があったわけでありますが、今地方自治体は、大体平成二年度の予算をもう既につくり終え、審議もそれぞれの地方議会で終えていると思うわけであります。その地方議会の中で、今回の国の措置に伴って対応しようという市町村が幾つくらいあるのか、御答弁願います。
  154. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この補正予算案に基金の創設に必要な経費が計上された段階で、この制度が発足し次第、各地方公共団体において助成制度整備されるように私どもは各都道府県に対してお願いをしているところでございます。  そこで、正確な数字であるとかどこの県がというようなことは明確ではございませんが、従来から難視聴対策経費というものを市町村でも持っているわけでございまして、それを活用しようかというお考えの市町村と、さらに必要な経費を新たに予算案に計上しようというふうなお考えを持っておられるところ、いろいろございます。それらのことに関しまして、御相談を受けているところでございます。
  155. 中井洽

    ○中井委員 私どもも賛成の法案ですから別に構いませんけれども、補正絡みでいろいろありましたときに、郵政省の方は、どなたとは申しませんけれども、もう既に自治体では予算化をして当てにしておる、こういうことを言われて早く法案を通してくれという要請をされておったことも事実であります。しかし、現実に今のお話を聞いておると、どこの自治体も結局正式に平成二年の予算にのせて待っておるというわけではない、私はそのように思うのであります。  そして、先ほどから質疑を聞いておりますと、どうも十万の世帯数もはっきりとわからない。例えば、これはわからないのですけれども、難視聴地域だというところの世帯の人だけに限るのですか。それともその近所で、うちも見られない、五万円も出してくれるんだったら私もやりたいというのがあったらやらすのか、そういったことも何かわからない。どうもおかしなやり方だなという実感を覚えるわけでありますが、いかがですか。
  156. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 個々の家庭にどのように助成をしていくかということは、やはり申請を受けましてから審査をいたしまして、不公平にならないようにきちっとやってまいりたいと思っておりますが、いわゆる難視聴地域というものは私どもにおきましても把握はしているわけでございますので、ただ先ほどからも申し上げておりますように、どこのうちがというところまで至っていないということでございます。
  157. 中井洽

    ○中井委員 すると、今のお話でいきますと、もう地域は限定されている、こういうふうに理解するわけですか。答弁してください。
  158. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 そのとおりでございます。
  159. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、例えば十万全部に一遍にやったところで二十五億円であります。三十億の基金で十年かけて難視聴対策というのは余りにものんき過ぎるあるいは時間がかかり過ぎるのではないか。また、これだけ法案を急げ急げと言った割には随分準備ができていないというか、対応ができていない、そのことを痛感をせざるを得ません。その点、郵政省、いかがお考えですか。
  160. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先ほども説明申し上げましたように、私どもはこの法案の成立を一日も早いことを願っておるわけでございます。そして、補正予算といたしまして、しっかりと私どもがこの難視聴地域に対する助成を行ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。一部の県では現在県議会で審議中の予算案にも必要な経費を乗せていただいておるというお話も聞いておりますし、難視聴対策経費、従来からあるものを活用してやりたいということをおっしゃっておられる県もございますので、一日も早い成立をお願い申し上げているところでございます。
  161. 中井洽

    ○中井委員 私どもも薄々と予算の獲得の難しさはわかっておりますから、そうやぼを言うつもりはありません。しかし、これくらいのお金を出せない、そしてそれも利子を運用して十年かけてやるということでは余りにも情けない、こういったことを実感をするわけであります。したがいまして、できるだけ早く、十年と言わずに五年くらいの間で難視聴というものを解消していく、こういったことに御努力をいただきたい、このことを強く要望いたしておきます。  同時に、もう一つつまらぬことを聞きますが、十万世帯方々を対象とされてやられますが、これは受信料はその後どうなるのですか。つけていけばそのまま普通の料金に戻していくのですか、受信料は。その地域全体が難視聴地域ということで少し料金が安くなっている。しかし、つけたうちについては衛星料金そのままお取りになる、こういうことに理解していいですか。
  162. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 このNHKの受信料でございますが、いわゆる衛星放送だけを受信しているという世帯に関しましては、特別契約という制度で受信料をいただいておるわけでございます。先ほども申し上げましたけれども、千四十円という受信料になっております。それで、衛星放送と地上のカラー放送を受信しておられるという方々からは二千円をいただいております。また、地上放送だけ受けているという方々からは千七十円という料金をいただいているわけでございます。
  163. 中井洽

    ○中井委員 僕は余り専門家やないのでわかりませんが、先ほどの共産党の先生お話にありましたように、見れないところを助けていく、難視聴解消する、これは何も言うことはありません。ただ、悪平等、おかしな不公平感、こういったものが育たないように十分気をつけておやりいただくように、重ねて早期に難視の解消に御努力をいただきますように要望いたしまして、質問を終わります。
  164. 上草義輝

    上草委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  165. 上草義輝

    上草委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  166. 上草義輝

    上草委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  168. 上草義輝

    上草委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十六分休憩      ────◇─────     午後一時四十五分開議
  169. 上草義輝

    上草委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査中、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  171. 上草義輝

    上草委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。郵政大臣深谷隆司君。     ─────────────  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  172. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  受信料につきましては、今後五カ年の経営計画のもとに、現行のカラー契約月額千七十円を千三百七十円に、普通契約月額七百円を八百九十円に、衛星カラー契約月額二千円を二千三百円にそれぞれ改定するなどとしております。  一般勘定事業収支におきましては、事業収入は四千八百四十五億九千万円、事業支出は四千四百八十億四千万円となっており、事業収支差金三百六十五億五千万円は、百五十億九千万円を資本支出に充当し、二百十四億六千万円を翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることとしております。  一般勘定資本収支におきましては、資本収入、資本支出とも八百六十一億七千万円となっており、建設費六百二十八億円等を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、全国あまねく受信できるよう、テレビジョンにおいては、衛星放送設備の整備を進め、ラジオにおいては、中波放送局及びFM放送局の建設を行うこと、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、国際放送について、番組の充実刷新を行い、受信の改善に努めること、新受信料額の定着と受信者の把握に努め、受信契約の増加と受信料の確実な収納を図ること等となっており、業務推進に当たっては、経営全般にわたり抜本的な見直しを行い、一層創造的で能率的な運営を目指すこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、平成二年度の事業運営に当たって特に配意すべき五点の事項を示した上で、おおむね適当なものと認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  173. 上草義輝

    上草委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長島桂次君。
  174. 島桂次

    ○島参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  平成二年度の事業運営に当たりましては、高度情報社会における視聴者の多様な要望にこたえて、地上放送の充実刷新、海外への情報提供の強化、衛星放送の一層の普及促進に努めることとしております。  しかし、財政的には収入の増加及び経費の節減などの経営努力を図ってもなお、極めて厳しい状況にあります。  こうした状況を打開するため、協会は、経営全般にわたり抜本的な見直しを行い、さらに、広く視聴者の意向を吸収するとともに、外部有識者による提言をも踏まえ、一層創造的で能率的な運営を目指すことを基本としまして、平成二年度から五カ年間の経営計画を策定しましたが、新しい放送の時代における公共放送としての使命を果たすためには、やむを得ず、平成二年度から受信料の改定をお願いしなければならないことになりました。  新しい受信料額は、訪問集金において、カラー契約は千三百七十円に、普通契約は八百九十円に、衛星カラー契約は二千三百円とさせていただきます。また、口座振替につきましては、従来どおり訪問集金から五十円減額いたします。  なお、沖縄県につきましては、特例措置を継続して、本土に対し、百五十円を軽減することとしております。  次に、平成二年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、衛星放送設備の整備を進めるとともに、放送番組充実のための機器の整備を行うほか、老朽の著しい放送設備等の取りかえを実施することにいたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、国民生活に必要不可欠な情報など多様な番組を編成するとともに、特別編成を随時、機動的かつ集中的に実施するなど、公共放送の使命達成に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めてまいります。  また、衛星放送につきましては、国際情報を中心に魅力ある番組を編成して、一層の普及促進に努めます。  一方、諸外国の日本に対する正しい理解を促進するため、海外への映像情報の提供を拡充することにいたしております。  国際放送におきましては、ニュース・インフォメーション番組や各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与するとともに、海外中継を拡充し、効率的な受信の改善を行います。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、新受信料額の早期定着と受信者の把握に努めるとともに、営業活動の刷新と事務の効率化をさらに推進し、受信契約の増加と受信料の確実な収納を図ることといたしております。  調査研究につきましては、番組視聴状況等の番組調査と、新しい放送分野技術開発研究、放送技術発展のための基礎研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり、業務効率的な運営を一層徹底し、要員につきましては、年度内二百八十人の純減を行い、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支で収入総額四千八百四十五億九千万円を計上し、このうち、受信料については、四千六百九十九億円を予定しております。これは有料契約総数において、三十三万件の増加を見込んだものでございます。  また、副次収入など受信料以外の収入につきましても、その増加に努めることといたしております。  これに対し、支出は、極力圧縮に努め、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など、総額四千四百八十億四千万円を計上しております。  事業収支差金三百六十五億五千万円につきましては、このうち、百五十億九千万円を債務償還に充て、二百十四億六千万円を翌年度以降の財政安定のため、繰り越すことといたしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十八億円、放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行う法人等への出資に四億四千万円、放送債券の償還等に二百二十九億三千万円、総額八百六十一億七千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、減価償却資金、放送債券及び借入金など、合わせて総額八百六十一億七千万円を計上しております。  なお、受託業務等特別勘定においては、収入五億二千万円、支出四億三千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し上げましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の事業視聴者負担する受信料により運営されていることを深く認識して、一層効率的経営を目指すとともに、すぐれた放送実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  175. 上草義輝

    上草委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  176. 上草義輝

    上草委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。
  177. 園田博之

    ○園田委員 今度のNHKの予算は受信料の改定という一つの御提案が中にありますので、もちろん受信料の改定がなければいいというわけではないのですが、改めてNHKとしてはこれからの事業計画を、今までのものをいろいろチェックしながら、さらに収支の面を中心にして改善計画をお練りになっているのだろうと思うのですね。  NHKというものは、最後に会長がおっしゃったように確かに視聴者の受信料から経営が成り立っておりますから、そういった面は特に配慮しなければいけないのですが、一方では公共放送として全国民にあまねく公平に、しかも質のいいお知らせをしなければならぬという使命も持っておるわけでありまして、そういった意味では大変な使命がNHKにあるわけです。特に今回はそういったことで受信料の改定ということもありますので、私は収支の面を中心にちょっとお尋ねをしてみたいというふうに思っております。  先ほど会長の補足説明の中で五カ年計画ということもちょっとお触れになりましたけれども、この五カ年計画なるものの基本的な考え方といいますか、その辺のことを初めに御説明いただきたいと思います。
  178. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えいたします。  先生御案内のように、平成元年度のNHKの予算を御承認いただくに際しまして、長期計画を、今欠けておるので大至急つくりなさいという御命令を受けました。昭和五十九年度から六十一年度の三カ年計画がありましたけれども、これが欠けた状態になっております。  そこでNHKは、こういう多メディア時代、国際化時代それから地域のそれぞれが発展を目指して頑張る時代というような難しい、前の計画とは随分社会が変わってきておりますし、私ども放送を取り巻く環境も一変しておりますので、その中で、国会から御指示を受けました長期計画はどのぐらいかということを部内でも検討いたしましたし、それから外部の先生方、各界各層の先生方に集まっていただきまして、去年の七月から長期計画審議会というのを設けまして検討いたしました。それで長期計画というのは七年か五年かだろう、しかしこれからの社会を見通すのはぎりぎりいっぱいいって、やはり五年ぐらいじゃないだろうかということになりまして五年間を見通した計画を立てたわけでございます。  その中で何よりも大事なのはやはり放送の充実であります。今先生が御指摘のとおり、内外にわたる放送の充実、これを中心に真剣に検討いたしましたところ、御存じのように平成元年度から赤字の予算になっておりまして、この間の不足額が御案内のような五年間で五千億円ぐらいになりまして、会長が説明いたしましたように節減と増収の努力を一生懸命図りましてもこのぐらいの不足額が出るということで、非常に事業内容の充実、刷新に努めますけれども、こういう計画をつくらざるを得なかったということでございます。何とぞ御理解いただきたいと思います。
  179. 園田博之

    ○園田委員 これからの経営計画といいますか、このことについて幾つかお聞きしてみたいと思うのです。  いつも問題になるのは受信料の契約締結率というのですか、私の記憶ちょっと間違いかもしれませんが、まだ百万世帯近い未契約世帯があったのじゃなかろうかと思うのです。これをある意味では公平にしなければいけないわけですから、これはもう残り一世帯でも受信料を払っていただかなければ困るわけですね。これは一〇〇%になるようにこれからもまた努力をしなければならぬわけですが、そのことが収入の増加にもつながるわけでありますし、今までも努力をしておられるのでしょうが、これからは新しい手段も少し考えながら締結率というのを高めなければいけないと思うのです。その辺の手段を何か考えておられるかどうか。  それからもう一つは、昨年から衛星放送料金を設定されました。昨年この御提案があったときに、衛星放送としての三カ年か五カ年かの御計画を提示されたと思いますが、あれから約一年たって衛星放送の契約の状況が一体どうなっているのか。それから、あのときの目標が設定されていたのですが、今後の目標がどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  180. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生指摘のとおり、三百万近い未契約者がおります。この捕捉は私ども実は一番頭を痛めているところでございまして、この方たちのほとんどは、私どもテレビを持っていると想像しながら実は契約に結びつけていない方たちで、実態を調べてみますとNHKとの契約拒否というのが一部十六万ばかりございますけれども、残りの大半は転勤だとか住まいが変わるとかということでなかなか私どもが捕捉できないわけであります。私どもとしましては放送その他を通じながら、転勤の時期などについては積極的にお知らせくださいということをお願いしておるわけですが、はかばかしい効果が上がってないということが事実でございます。  そこで、今度の五カ年計画の中では、従来NHKとの契約者で私ども視聴者リストというものをつくって捕捉に努めておったのですが、今後は家屋の管理ということで、この地域にはこういう家屋があって、この家屋の方は契約しているあるいはしていないというようなことで、してないところには頻繁にお伺いして、本当にそこが空き家になっているのかお住まいになっているのかを確認しながら、お住まいになっているならば契約をお願いするということで辛抱強く説得してまいりたいなというふうに思っております。そのほか、NHKだけで移動管理をするのは、捕捉をするのは限度がございますので、今後はいろいろな企業の方たちとかあるいは地方自治体その他も含めながら御協力を得ながら、移動の捕捉をより正確にしてまいりたい、そういうことで収納に結びつけてまいりたいというふうに考えております。  それから、もう一点お尋ねの衛星の契約でございますが、昨年の八月に有料化を御審議いただきまして、目下契約目標達成のために鋭意努力している途中でございますが、二月末現在普及数は二百二十七万三千普及しておりますというふうに私どもは推定しておるわけですが、契約実績は百六万件でございます。それで、年間の契約目標を百三十八万件ということで私どもは計画を決めましたので、この計画目標に対しまして契約の実績は七六・八%ということで、さらに残された期間、契約目標達成のために鋭意努力しておるという途中でございます。
  181. 園田博之

    ○園田委員 これは大変だろうとは思うのですが、とにかく締結率を早く高める方法等、やはり地道な努力を続けてもらわなければだめだと思うのですね。衛星放送の方も進捗率七六・八%とおっしゃいましたが、当初の目標まではあと一カ月ぐらい残っているのでしょうけれども、やや感じとしては契約する率が低いなという感じがしますね。これは契約をしてくださらない方にはそれぞれ理由があるのでしょうが、やはり契約することの方が公平ですから、そのための努力はぜひ今後も続けてもらいたいと思います。  さて一方では、これも御説明にちょっとありましたが、収支を改善するためには契約締結率も高めなければならぬけれどもそのための費用はなるべく少なくする、こういうことをおっしゃっているわけですね。まあ裏腹。数字の上ではもちろんそれはいいのですが、そうなると、これはうまくいくのかなという気もしないでもないのです。いわゆる営業経費というのですか、NHKで営業経費というのがございますが、契約をするための経費をこれから少なくしていくのだ、こんなことも言っておられますが、どんなことを考えておられるのですか。
  182. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  NHK衛星を含めた受信料の収納は、現在訪問集金とそれから口座ということでもっていただいておりますが、全体の中で口座は七五%まで拡大してきておりますが、かかっている経費の八〇%はほとんど人的経費であるということが言えるわけでございます。したがいまして、この人的経費効率的に圧縮していかないと、なかなか営業経費率の削減というものは今日物価が上がっている中で難しいものでございますから、私どもとしましては全国三千を超える地域に分けて具体的に収納活動をやっているわけですが、この地域の再統合と申しますか、そういうことによってそれにタッチする集金をできるだけ効率的にしていくとか、あるいは口座をどんどん促進して私どもが訪問集金の件数をさらに減らしていくというような努力によって営業経費を削減するというようなことに目下努めておる最中でございます。  それで従来、受信料を集めるための営業経費としては一八%を超えておりましたけれども、この五カ年間の中ではさらにこれを一五%まで縮めたいというようなことを考えているわけでございまして、ぜひそういう方向で金のかからない営業活動といいますか、効率的な収納というものに努めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  183. 園田博之

    ○園田委員 ちょっと質問が逆になったかもしれませんが、このほかにも副次収入をふやすとかいろいろな施策を立てておられますね、収支改善のために。この副次収入だとか今申し上げた要員の効率化の問題だとか一番最初にお聞きした契約締結率を高めるとか、このようなことは別に今度初めて立てられた目標ではないわけでありまして、今までも三カ年なり五カ年の計画の中で必ず目標を立てて実行してこられたと思うのです。  では、今までやってこられた結果どういう成果が上がっているのか、この辺のことを、ちょっと順序は逆になりますが教えていただけませんか。
  184. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生のおっしゃいましたように、NHKは受信料で成り立っている企業体でございますので、この六年間、昭和五十九年からの三カ年の経営計画及びその後の三年間、この間にも最大限の企業努力をやってまいりました。  例えば、一つは要員の効率化でございます。これにつきましては、国際化、それからいろいろメディアも抱えておりまして仕事はふえておりますけれども、要員の効率化については、六年間で純減で千六百十八人減らしております。それで、非常に厳しい中で仕事をさせております。  そのほか、一般運営経費につきましてはマイナスシーリングをやっておりまして、六十二年度はゼロシーリングでありました。六十三年度は五%のマイナスシーリングでありまして、それから、番組単価も据え置いてきております。  それから、先ほど営業総局長が申しましたように、営業経費の削減につきましては、具体的に営業総局長高橋理事が申し上げましたので繰り返しませんが、そういう方向でできるだけ受信料を節減して経営努力をするという方向を徹底してやってまいっております。
  185. 園田博之

    ○園田委員 これもまたちょっと後になりましたけれども、今度は郵政省にお聞きをしたいのですが、今回のNHKの今後の経営計画に対する郵政省としての所感といいますか、ありきたりではなくて、厳しいところは厳しく、できましたら大臣の方から御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  186. 深谷隆司

    深谷国務大臣 このたび出されましたNHKの経営計画は、社会の変化と公共放送の役割を認識した上で、今後の五年間にわたる経営のあり方を具体的に示していると受けとめました。そして、外部の有識者による長期展望審議会、こういうところでの提言も踏まえて慎重に点検をしたというふうに思っております。今後の重点課題事業運営の近代化、合理化についても言及しておりまして、私どもはおおむね妥当と思っておりますが、この中身をきちっと一つ一つ踏まえて前進していくことを望みたいと思っております。
  187. 園田博之

    ○園田委員 郵政省としても、これはやはり一つ一つ個別にやらないと、全体の計画はこれが正しいからとかなんとか言っておられないと思うのですね。やはりそれぞれ国民視聴者の一人一人が受信料を払っていくという事実を踏まえて、厳しい御指導をしていただきたいというふうに思います。  さて私は、先ほどの当委員会で採決をされました法律関係があるのですが、この難視聴対策というものに私個人としても大変な興味を持っておりまして、今、この難視聴対策を少しでも解決しようということで通信放送衛星機構法の改正案が委員会で採択をされたわけですが、本当を言えば、こんな法律ではなくて、もっと早くこの難視聴地域がなくなるような対策を考えてもらいたいと思うのですね。もっと早急にこれは考えなきゃいかぬと思っておるわけであります。さっきの何人かの方々質問とちょっと重複をするかもしれませんが、この難視聴対策について、NHKなり郵政省でそんな法律をつくられたばかりですが、特別にそのほかにこういう方法で解決できないかということを考えておられれば、ちょっと教えてもらいたいと思います。
  188. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  先ほど午前中の会議でも、衛星による難視聴解消に、衛星放送解消を図るということを五十九年度からNHK実施してまいっておりますけれども、それ以外に、受信者から受信相談が地元放送局に参っております。  これにつきましては、できる範囲で受信指導、具体的には高性能のアンテナにかえてみるとか、あるいは途中に、増幅器といいまして電波を強くする、一般的にはブースターと言っておりますけれども、そういうものを取りつけて改善を図るとか、こういうような地道な受信改善努力は今までも続けてきておりますし、これからも継続的にやって、なるべくいい画質で、いい音質で見ていただけるような方策は続けてまいりたいというように思っているところでございます。
  189. 園田博之

    ○園田委員 実は、数日前に私の選挙区の一視聴者から手紙が参りまして、大変厳しいことが書いてあるのですね。簡単に言えば、この難視聴対策を解決しなきゃ不公平だ、こう言うのです。これを解決してくれなければ受信料の改定は認めるななんて書いてあるのですが、気持ちはよくわかるのですね。  特に、今テレビというのは、どの地域にいても情報を公平に同じ時間に知ることができるという意味では、このテレビほど――新聞は必ずしも、どの地域にいても同じ時間には情報を入手することはできないのですから、このテレビというのは、そういう意味では非常に大事なんですよ。そういった意味で、この難視聴対策をまた新たに考えられることはぜひ考えてもらいたいというふうに特に要望いたします。  私は、郵政省にちょっとこの難視聴対策についてお聞きしたいのです。  NHKの場合には、先ほどお話を聞いておりますと、残り十万世帯ぐらいだ、こうおっしゃっていましたが、これが民放になりますと、これはもう相当な数なんですね。私は熊本に住んでおりますが、熊本の天草の片田舎なんですが、私の家の実家でも、熊本の場合で、民放は今四局になりましたかね、そのうちの二局は見えないのです。まあ全然見えないということはありませんが、きれいな画面で、きれいな音声でこれを聞き取ることはできないのですね。  熊本の場合で、私の記憶に間違いなければ、NHKが中継塔が八十一本だったかな、民放四局のうちの二局もやはり八十本か八十一本あったのです。そのほかの二局がたしか三十本ぐらいしか中継塔がないのですね。この中継塔をNHK並みに立てることができれば、熊本県内でも難視聴地域というのはそうはないと思うのです。もう極めて特殊な地域しかないと思うのですがね。しかし現実には、民放四局ありながら、そのうちの二局はほとんど見れないという地域が相当世帯あるのですね。  そこで私は、郵政省にもお願いをしたこともありましたし、自民党の税制調査会なんかでも、特別な措置をしてやったらどうだ、そのことによって我々が民放各局に働きかけをして、そして中継塔を立ててもらうこともできるじゃないか、こういうお願いをしたのですがなかなかはかどらない。そこで、郵政省としては、これは相手が民放ですから、民放の設備投資によってしかこの中継塔はできないわけですから、郵政省が予算を組んで立てるということはできないのでしょうが、何か対策は考えておられると思うのですね。何らかの形でそれを補助して、なるべくそういう地域をなくそうというお気持ちはおありになると思いますが、何か具体的に指導しておられますか。
  190. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 民放の難視聴に関しましては、先ほど来、四十万世帯が難視聴世帯だということを私も申し上げたことがございますけれども、これは、民放が一波も見れないという地域に四十万世帯方々が住んでおられるということでございます。この民放間の中継局の差というのも現実は大変あるわけでございまして、これはやはり後発局はなかなか中継局の建設に手が回らないという現実があるわけでございます。  さらには、NHK民放の間でも大変な格差があるわけであります。NHKの置局のスケールと同じように民放設置していくということのためには、現在民放が六千五百局ほどございますけれども、さらに五千五百局もの局を設置しなければならないというのが現実でございます。一方、NHKは、総合では三千四百五十三局、教育では三千四百十七局というような大変数の多い置局をしているわけでございます。したがいまして、今後とも民放に対しましては、NHKとの格差の是正と、さらにはまた民放間の先発局と後発局の格差の是正というようなことを一層促進するように指導してまいりたいと思っております。  何しろ難視聴解消というようなことで地域住民の要望は依然として強いものがございます。しかしながら、難視聴地域山間地域であるというようなことから散在化していますし、また地域が狭域化しているわけでございまして、いわゆる難視聴解消効率が非常に悪くなっていることも事実でございます。そのために、先ほど御審議をいただきました、NHKの難視聴地域には衛星放送受信設備普及が促進されるような助成措置を講ずる法案を提出したところでございます。民放に関しましては、今後とも税制等の支援も十分に行いまして、一層中継局設置を促進してまいりたいと思っております。
  191. 園田博之

    ○園田委員 今おっしゃったように、四十万世帯は一波も見れない地域ですからね。民間放送NHK並みに見れない世帯というのは恐らくもっと膨大だと思うのですよ。その実態を踏まえまして、これはやはり、税制措置も確かに一つの大事な方法、しかしこれもなかなか認めてくれませんね。何らかの補助措置といいますか、そういうものを設けますとこれはかなり済むと私は思いますよ。我々だけじゃなくてその地域方々がそのことによって、その会社に働きかけをして、国でもこんなことを考えているじゃないか、そうしたらあなたたちももう少し責任を持って、我々が見れるように設備投資ぐらいしたらどうだ、こういうふうに運動を促進することができますし、やはりそれだけの責任感が出てきますから、何らかの方法を早く実現するようにぜひ考えてみていただきたいと思います。  さて、今NHKの収支の改善を中心にして私はお聞きをしたわけでございますが、先ほども私が申し上げた、私の選挙区から来たNHKの受信料改定に対する意見書の中には、きょう持ってこなかったのですが、かなり厳しいことが書いてありまして、親方日の丸のNHKはなんて書いてありましたよ。やはりそういう目で見がちなのですね。どうしても我々の受信料で経営しているのではないかという感覚があって、少しでもNHKに落ち度があればそういう感覚になるのもやむを得ないという部分があると思うのです。これがNHKの使命ですからね。  そこで、会長の声を私が質問に立ってから一つも聞いておりませんから、最後に会長に、これから五年間にわたって決死の覚悟でNHKの運営を進めるという御決意のほどをお聞かせをいただいて、質問を終わらさせていただきたいと思います。
  192. 島桂次

    ○島参考人 私ども公共放送でありますNHKに対して、国民各界各層からいろいろな意味での御批判あるいは御鞭撻、いろいろな声があるということは十分わかっておりますし、私どもも一生懸命やってきたつもりでございますけれども、過去を振り返りますと、やはり今先生おっしゃったとおり親方日の丸的な体質が全く消えておるということではございません。  ほかの役員から申し上げましたように、まさに今NHKは大変な時期を迎えておりますし、放送をめぐる国際環境、国内情勢というのは非常に複雑になってきております。その中で聴視料の改定という御負担国民に願う、このことがいかに大変なことかということは我々NHK全職員身にしみて感じております。したがって、今度立てました五カ年計画を完全に間違いなく履行、ちゃんとやりまして、そしてやらないとNHK、公共放送の将来はあり得ないというぐらいの決意を持って当たっておりますので、よろしく御鞭撻願いたいと思っております。
  193. 園田博之

    ○園田委員 終わります。
  194. 上草義輝

    上草委員長 次に、鈴木恒夫君。
  195. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 日ごろから情報の伝達あるいは文化の保護、創造、さらには娯楽の提供という面で国民サービスをしてくださっておりますNHK皆様方に、国民の一人として感謝と敬意を表します。  私も、国会に出てまいりますまでしばらくの間、十五年ほどでございますけれども毎日新聞の記者をしておりましたので、近代の文明社会におきますマスコミの持つ役割、またその責任というものにつきましては人一倍関心を持っているものでございます。古来よく言われることですけれども、新聞のない政府よりも政府のない新聞、その方が近代国家は望ましいという言葉がございますけれども、まさにマスコミの果たす役割はこれからますます重要になっていく、私はそういう立場でございますので、みずからの経験に照らして多少辛口になるかわかりませんけれども、主として報道という面から少し、島会長初めNHKの皆さんの御認識を御披瀝いただきたいと思います。  NHKのニュースを見ておりまして非常に気になることが実はございまして、これは率直に申し上げておもしろくないということでございます。私ども新聞社におりましたころは、いかに報道の表現に工夫をするか、ほかの社よりも感性のすぐれたといいますか、分析力の鋭いといいますか、そういう報道をしなければならないと心がけて、言葉にも随分気を使って原稿を書いたものですけれどもNHKのニュースというものは常套語というのがあり過ぎるように思うのですね。  例えば、ローカルニュースなどを聞いておりますとよくぶつかる言葉でございますけれども、けんかがあった、そのけんかは加害者が警察に逮捕されたというようなニュースが出てくる、その報道は必ずと言っていいほど、けんかの取っかかりになったのはささいなことから口論になりと、NHKの報道は必ずこの言葉が出てくる。問題は、そのささいなことというのは何なのかということをみんな知りたいわけですけれども、大体そういう表現でいってしまう。それが一例でございます。  そのニュースのキャスターについても、昨今はキャスターというものが視聴率を左右する時代になってまいりました。私の昔の仲間が随分キャスターをやっておりますから、あちこち拝見しますけれどもNHKのキャスターにしても本来個性的な方ですよ、今キャスターとして活躍されているNHKの方は。ところが画面に出るとどうしても民放に比べて個性がなくなっちゃう。もっと彼らも地を出してやってくれればいいのになと思うようなことがあるのですけれども、なかなかそうはいかない。これは何が邪魔をしているのか。島会長は私の先輩で一緒に現場を駆けずり回ったこともございますから、NHKの個性を埋没させているのは一体何なのでしょうか、そこのところの認識からちょっと伺わせていただきたいと思います。
  196. 島桂次

    ○島参考人 先生御存じのように、NHKというのは、本格的な放送機関として始めたのは戦後でございますし、私どもやっておるときには新聞社に追いつけ追い越せという合い言葉でやってきたわけでございます。新聞記事は活字でございます。我々の出しているものは放送でございます。したがって、どうしても新聞記事、新聞活字面の影響というのは非常に根強く体質としてNHKニュースの中に残っているということがございます。  私も十数年前「NC9」という番組を新しくつくりまして、本当に先生おっしゃるように、我々の持っているメディアは映像の持つ迫力と音声と同時性、それに新聞ではなかなか伝え切れない端的なわかりやすい表現、そういうものを心がけさせるように、私自身も含めまして現場も随分指導してまいっているわけでございますけれども、残念ながら今おっしゃったささいなこととか、きょうは日曜日とあってとか、ふだん全然出てこない言葉を、残念ながらきょうのニュースでも恐らくやる場合があるんじゃないかと思っております。  ですからそういうものもひっくるめまして、私どもはこれから改善すべきところはたくさんあるのですけれども、ただ一つ私ども申し上げたいのは、新聞、民放はそれぞれの立場がございます。しかしNHKは、あくまで公正中立、放送法のきちっと示してある線に沿った放送をやらなければいかぬ。しかし、だからといってかた苦しくて、いわゆるわかりづらいということでは困るわけでございます。  いずれにいたしましても、我々は何がニュースかということについて素材を集めるということについては国内、国際的に相当の布陣をつくっているとは思うのですけれども、その素材をいかにわかりやすく、いかに印象深く視聴者方々に伝えるかというエディター的な仕事について非常に足りないということは私自身も十分自覚しておりますので、今後努力したいというふうに考えております。
  197. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 島会長おっしゃられるように、これからのマスコミというものは、新聞を初めとする活字組よりは見るとか聞くとかというビジュアルなもの、ヒアリングするものとかという方に比重が移っていくと思いますね。これは何かといいますと、時代のテンポが非常に速まっておりますから速報性というものにマスコミの命がかかってきている、強まっていくということだと思いますね。その速報性、例えば「翔ぶが如く」をやっているときに地震でも起きれば、ばっとテロップが出るのですから、NHKの命は、これだけ民放に比べてネットを張っていらっしゃるシステムの上にあるわけですから、より速報性というものを生かしていく、それがまた公共性にも通じると思っております。  そこで、先ほどのお話で、尾畑理事でございましたか、六年間で千六百十八人人員削減をしたというお話がございましたが、報道記者といいますか、そこら辺の推移はどういうふうになっておるのですか。報道記者も減らしていらっしゃいますか。
  198. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘の点でございますが、この人員削減はあらゆる部門にわたって行っておりますが、しかし放送の充実ということは重要でございます。それから、この六年間の中でまた新しい事業放送面では展開しております。一方で削減しながら、充実すべきところは充実するという中でのいろいろな配置の転換を行いながら、報道体制には万全を期しておるというのが現状でございます。
  199. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 くどいようで申しわけありませんけれどもNHKの命が速報性ということに比重を置くとすれば、報道記者といいますか、これは国内ももちろんのことですが、国際社会における報道の拠点を置くという意味でも、私はそこのところは――それは全体的な経営としては、もちろん赤字体質を直すためとか経営の健全化のためには人員削減というのは当然考えなければならないと思いますが、どうも報道の現場にそのしわ寄せが行ってはならぬと思います。そこのところ遠藤さんどういうふうにお考えですか。
  200. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘のように、正確で迅速な報道というのは公共放送NHKの最大の使命だと私ども思っております。ですから、効率的な業務運営の中でも、NHKの公共性の一番インフラであるこの報道部門については、きちっとした目配りをしながら今後の運営も進めていきたいと思っております。  先生指摘のように、例えば海外での支局の展開もその時代時代に合った、例えば東欧でこれだけの激動が起きたときには、そこにどういう人員を配置するかということでは、今までのような固定的な考え方にとらわれずに機動的にそういう配置もしながらNHKとしての使命を達成していきたい。また、機材面でも、この五カ年計画の中できちっとした充実を行い、皆さんに御心配をかけないように、あるいは皆様に御満足をいただけるような報道体制をしいていきたいというふうに考えております。
  201. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 そこのところは十分に御配慮をいただいて、経営の改革の中でも御配慮を加えるべき問題だ、私はお願いをしておきます。  それから、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、公共性にとらわれ過ぎて報道におもしろみがなくなっている。それと同時に、もう一点、これからのNHKに望まれることの一つには、専門記者といいますか、つまりある事象が起きる、例えば東欧なら東欧問題が起きる、それを直ちに分析もし、洞察力のある見通しも述べられるといいますか、専門記者制度というものを新聞社などはかなり採用しかかっておりますけれども、これも厳しい予算の中で考えていくべきことではないかと私は思いますが、この点はある程度配慮を加えられていらっしゃいますか。
  202. 島桂次

    ○島参考人 御指摘のとおり、専門記者といいますか本当の意味での報道の専門家、あらゆる分野についてこれを育てること、この人間がどれだけできるかということに我々の放送の報道の命がかかっておると思います。特に、私は、この数年間、局長とか部長とか会長になるよりは、本当に専門知識を積み重ねた人間が、それだけの報酬なりいろいろの面で有利になるように大いに制度を変えつつありまして、現に、例えばある人間を、専務理事待遇の記者ということも既につくっております。そういうことで片っ方では優遇しながら、腰を落ちつけて五年でも十年でも例えば外国へ駐在して、そういうことができるような体制をようやく整えたところでございますので、先生の御趣旨は十分対処していきたいというように考えております。
  203. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 ぜひその路線はこれから強化をしていただきたいと思います。とりわけ、国際的なニュースというものが瞬時を置かずにして飛び込んでくる時代でございますから、海外の拠点づくりと同時にそうした国際性のある記者を養成する必要があるのだろう、これはぜひお願いをしておきます。  もう一点、細かなことになりますけれども、人員の問題と関連をして、私は勉強不足なのですけれどもNHKの国内における取材ネットというものは、他の新聞社、通信社などに比べてもっときめ細かくいっているのでしょうか。それとも、さっき尾畑さんがおっしゃいましたが、コンパクトに体制を切り詰めながらやっていっているのでしょうか。拠点はふやしていっていらっしゃいますか。そこのところはどうなっていらっしゃいますか。これは一般論で結構ですけれども、海外支局網などの趨勢について御説明いただきたいと思います。
  204. 遠藤利男

    遠藤参考人 御指摘の点でございますが、まず国内の取材拠点でございますけれども、これは過去六年間の中でもあるいは今後五年間の中でも拠点そのものは若干整理していきたいというふうに思っております。これは、先ほどから申し上げましたように、経営の効率的な運営という使命もございます。ただし一方では、私どもとしては報道取材体制の充実ということもあるのですが、報道取材体制の充実は社会の状況によって仕方が随分変わってきております。  昔のように通信部という形で置くことが適切かどうかということでは、今先ほどから議論になっております映像化時代の中では、記者が一人でそこにいるよりもカメラマンと機動的にある地域を歩き回って取材をするということの方が映像化時代の取材体制にはいい。そういうようなことでは拠点を統合しまして一人体制から二人体制にしていくというような形をする、あるいはもう少し大きなテレビ中継車を置きまして、それで地域を回って歩くというような新しい時代に合った取材体制に変えていくということでございまして、従来型の拠点という考え方からいきますと減らしていきますが、そういう片方の面から充実していきたい。  それからもう一つには、例えば地域の皆さん方が、これは非常に八ミリビデオ等の発展もございまして、いろいろな情報を寄せてくださる時代になっております。あるいは各地の自治体の方々もいろいろな情報を寄せてくださる時代になっております。そういう寄せてくださる情報も十二分に私ども放送に取り込みながら情報の基礎的な部分の充実ということをやっていきたいというふうに思っております。  それから、海外の拠点につきましては、私ども先ほど申し上げましたように、その時代、その時代に合った拠点の置き方をしたい。激動する海外の状況の中で固定的にこの都市に置くということは、もちろん重要な都市に置いてはございますけれども、それだけではなくて、その年、その年に置き方を見直しながら充実していきたい。これは一応私どもとしては充実させる方向で考えているということでございます。
  205. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 ちょっと視点を変えて、国際的な社会への対応という側面からNHKの役割について質問をいたしますが、国際放送というものをこれからどういうふうに拡充をしていくか、この点は郵政省とも絡むわけで、NHKNHKの方針がおありと思いますけれども郵政省としてはこの国際放送について、例えば国の予算をどういうふうに考えていらっしゃるか。基本的な方針だけで結構でございますから、まず郵政省の方からお伺いをしたいと思います。
  206. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この国際放送に関しますNHKに対する交付金でございますが、従来から厳しい財政事情の中でも一生懸命努力をしているところでございます。昭和五十五年の九億四千四百万円の交付金が、今回の平成二年度の予算では十四億九千七百万円というふうに一・五八倍になっております。前年度との比較におきましても二千万円増の十四億九千七百万円ということになっているわけでございます。こういう厳しいシーリングの関係で微々たる増加ではございますが、この交付金が増加できますように一生懸命努力をしてまいりたいと存じております。
  207. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 そうした郵政省の方針のもとで、今NHKは具体的な国際放送についてどういうネットを展開しているかちょっと説明をしてくれませんか、全くプリミティブなことで申しわけございませんが。
  208. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘のように、国際放送は日本の情報を世界に発信するということで、この国際化時代の中でますます重要な役割を担っていると私ども認識をしております。  現在の私ども放送でございますけれども、一日延べ時間、昨年度は四十三時間でございます。平成二年度の当初に当たりましては、一時間半の拡充をいたしまして四十四時間三十分としたいというふうに思っております。これは先生御存じのように、日本の八俣送信所から送信しているもの、それからカナダの中継所を借りてアメリカ大陸に向けて聞きやすい状況をつくっているもの、それから南アフリカからヨーロッパ、南米向けに放送しているもの、これは中継所を借用しております。それから中米から南アメリカに向けて送信しているものがございます。そういう海外の中継所を借用する、あるいは交換中継と申しまして、日本の中継所をその国にも貸して、非常に安い費用でもって交換中継をしているものを含めてこの時間でございます。本年度中でございますけれども平成三年の一月にはスリランカの中継所を借りまして、そこからさらに南西アジアあるいは中近東向けの放送を聞きやすい状態に変えたいというふうに思っております。
  209. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 その拡充方針でいってほしいと思いますが、同時に、例えば相変わらず日本に対する偏見、誤解も多いわけですから、放送だけでなしに映像メディアといいますか、こういうものをNHKとして世界各国に、公共性をたっとびながら伝搬していくという役割もNHKにはだんだん要求されてくるように思いますけれども、その辺の情報、映像メディア、これもかなり予算のかかることですから、厳しい予算状況の中で難しいことだとは思いますけれども、基本的な方針があればNHKさんの方からお示しをしておいていただきたいと思います。
  210. 島桂次

    ○島参考人 御存じのように、短波放送より、実際の国際的な情報の伝達というのはむしろ映像のネットワークを張っているというのが先進諸国の例でも通常になってきております。私どもも既に外国に対して日本の一日の動きを、英語のキャスターで国内衛星放送で現在やっているものを太平洋回線を使って、今アメリカのPBSその他、来年からはヨーロッパでもそれを流すというようなことでやっております。こういった方法につきましては、大変金もかかりますけれども、実際上、例えばニュースの交換とか現地の放送局との共同、協力とか、そういう手段を用いますと、この問題は非常に重要ですし、そういう意味での費用をできるだけ軽減しながらいろいろな形でやるということで、これから五カ年間の最も大きな重点事項としてこの問題を取り上げているところでございます。
  211. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 会長おっしゃるように、これからますます国際社会における日本の立場、地位が重要になってまいりますので、情報の最先端を担われるNHKとして、その点に今おっしゃられるより以上に御配慮をいただきたい、そうお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  212. 上草義輝

    上草委員長 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時五十一分休憩      ────◇─────     午後三時四十四分開議
  213. 上草義輝

    上草委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。田中昭一君。
  214. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私は国会における質問などというのは初めてでございますし、NHK問題についても不勉強な点もございますから、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  午前中も提起がございましたけれども、今ここで私は深く言及をするつもりはありませんが、本委員会所管大臣でもある郵政大臣のリクルートにかかわる疑惑の問題については、私は速やかに国民の皆さんの前に疑惑を解明をして、青天白日、郵政大臣として所管業務に務められるように、冒頭強く要請を申し上げたいと思います。  さて私は、NHKの受信料改定に関連をして、ここに焦点を当てて少し御質問を申し上げたいと思っております。  私は大きく分けまして三つほど申し上げたいと思っております。  その第一は、今回のNHKの料金値上げの必要性、妥当性、これをさらに明確にすべきであるという点であります。  それから第二に、料金値上げ後のNHKの経営や放送内容の充実について、その基本姿勢についてもう少し明らかにしていただきたいと思っております。  それから第三に、NHKの具体的な提案の中には、省力化、合理化という問題があります。また、人材育成という問題があります。企業は人なりでありますから、人にかかわる問題について少しくお聞きをしたい。  以上、三つに絞って私は質問をさせていただきたい、こう思っております。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕  まず第一に基本的問題でございますが、大較三点に絞って御質問をいたしたいと思っております。  まず第一ですが、いろいろと問題の多い消費税三%というのがございます。御承知のとおりであります。わずか三%かという意見が一方ではございます。また、三%という消費税は大変なものだという国民サイドの認識も多くあります。大衆と政治家の関係、あるいは金持ちと庶民との関係、ここに懸隔があるのも事実であると私は思っております。同じように今回の受信料の引き上げについても、やはり三百円という上げ幅は大変大きなものであると私は思っております。視聴者サイドでは大変な問題であるという認識がまず必要だと思っております。ですから、視聴者国民の皆さんの理解と納得が必要であるという立場に私たちもNHKもまず立たなければならないと思うわけであります。しかし、実際問題として、本日議題に上がっている値上げを含むNHK予算は、国民視聴者の皆さんは知らない、つんぼ桟敷で今日知らないと私は思うわけであります。また、昨年来から問題となっております消費税の基本的問題もそのまま残っているのも事実であります。  この消費税の関連については後ほどお考え方も聞きたいわけでありますが、今回提起されている値上げ案については、三月二十日に提案がなされ、国会、衆議院においてごくわずかな期間で論議をして決定をしてしまったということだけでは、これでは国民の皆さんに政治に対する不信感ができかねないのではないか、このことを私は非常に気にするわけであります。この点につきまして、私は、もっと視聴者国民を大事にして、料金値上げなどという問題はもっと慎重にやることを考えなければいけないのではないか、こう考えるわけでありまして、今後の扱い方として、このまま衆参で決定してしまうということでなくて、公聴会などの開催なども含めまして、この料金値上げ問題について国民の皆さんの理解と納得を得た上で実施をする、そういう立場に立つことができないのかどうなのか、お考え方についてまず第一に質問をしたいと思います。
  215. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  先生御存じのとおり、NHKは受信料で賄われております。我々のやりたいことはもうこれ以外にありません。  それから、NHKの受信料は長期計画、経営計画によってこれが決まっております。五十九年度から三カ年の経営計画が切れたままになっておりまして、六年間これがないという状態が続いております。六年ぶりにお願いするわけでございます。非常に心苦しいお願いでございますけれども、公共放送がよって立つ公平な放送というものは受信料で成り立つわけでありますし、これはNHKの一万五千人も非常に苦しみ抜いておりまして、長い討議を経て、それから外部の十八人の先生方、主婦連の先生や組合の代表の方、学者、こういった方々審議を、長期計画審議会というものをつくりまして、去年の七月から、これは審議の答申をいただきまして、それに基づいて厳密に今度はやったわけでございます。  そういう過程を通じて国会に御提出したのが三月という時点になりましたので、郵政大臣に提出したときに記者会見をして綿密に、詳細に御報告いたしましたし、これからも先生方質疑の中で詳しく御説明していきたいと思います。足りない面は、これから我々先生の御趣旨を体して頑張るつもりでございますので、何とぞ御承認いただきたいというふうに考えております。
  216. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今回の受信料の改定につきましては、平成元年度には、効率化に努めてもなお相当額の赤字を計上しなければならないという状態でありました。公共放送機関としての使命を果たしていくために財政基盤の確立が必要であること等々をしんしゃくをいたして、やむを得ないと判断をいたしたものであります。  ただし、先生指摘のように、国民の理解と納得を得るということは極めて大事なことでございますので、私はNHK会長に対しまして、NHK国民負担する受信料によって運営されているので、まず合理化、効率化の徹底が必要であるという考えをはっきり申し伝えたのであります。その旨を理解して今後の経営において真摯に取り組むようにお願いをいたしました。さらに、NHKの経営概況について、合理化とかあるいは効率化の実施状況を含めて、放送などを通じて国民がより理解できるような努力を毎年続けていくようにという注文もつけた次第であります。  そのような次第で提出をさせていただきましたので、何とぞよろしく御審議をしていただきたいと存じます。
  217. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私はNHK放送が実は好きでありまして、後ほども申し上げたいと思うのですけれども、この内容の充実などについてはさらに努力が必要である、こういう見解に立っております。  それから、NHKの財政事情などについても、素人でありますけれども、それなりに勉強させていただいたつもりでありまして、したがって、頭から料金値上げはだめなんだ、こういう立場で物を言っているわけではございませんで、今やはり政治に対して、公共料金値上げなどという問題については、本当に国民の皆さんの理解と納得が必要だ、こういう手続についてもっと我々としては考える必要があるんじゃないか、こういう立場で実は今意見を申し上げたわけであります。郵政大臣なりが言われたことについてはそれなりに理解ができるところであります。  NHKの方にあわせてこの際苦言を呈させてもらいたいと思うのですけれどもNHKの経営であるとか経営体質については、ある雑誌を見ますと「暴走を始めた巨船」などなど、そういうタイトルで出されておりますように、NHKの経営の危機というのは単なる財政の危機でなくて、放送や組織が国民不在の方向に走っているところに本質的な問題がある、そういう論調の記事がかなり多いわけでありまして、これも単なる三文雑誌でなくて、権威のある幾つかの雑誌でこれらの論陣が張られていることも御承知だろうと思います。だからこそ、今国民や消費者というのは、お客様は神様だ、こういうぐらいの姿勢がNHK側に必要ではないか、こういうふうに考えるから、私は、慎重な対応、もっと国民の皆さんが理解と納得をして、みずからのNHKを充実するために聴視料を出すのだ、こういうことができないのかどうなのか、こういう立場で申し上げておるわけでありまして、この点についてもっと御理解がいただけないかどうか。その上に立ちまして、三百円という値上げ幅は、先ほど申し上げましたように庶民感覚からするとやはり大きい、こういうことになるのではないかと私は思いますから、その妥当性などについてもう少し鮮明にしていただきたいと思います。
  218. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生御案内のとおり、NHKの経営計画というものにつきまして、はっきり長期計画をつくりなさいという国会の指示を受けました。そこで我々といたしましては、経営計画の五年計画というものをつくりまして、そこで公共放送としてこれからやるべき事業について綿密に精査いたしました。  それで五年間の中で、現在の受信料の枠内でも増収に努めることは当然であります。それなどの努力で五年間に八百十六億という増収努力もやりますし、それから経費の節減、人件費の抑制等も通じまして一千六十億余りの節約も五年間でやります。しかしながら、放送単価も据え置いておりますし、設備投資もおくれております。そういったものも五年間で計算いたしますとどうしても五千億ほど足りないということになりまして、こうやってお願いしているわけでございます。  三百円というのは本当に我々お願いするのは心苦しい限りでありますけれども、六年間据え置きまして、それからこれから五カ年間というもの、合計十一年間でございますのでそういう数字になりました。こういうものについては今後五年の間に節約、それから事業内容の充実、放送の向上、こういったものでおこたえするということで、ぜひ御理解いただきたいというふうに考えております。
  219. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先ほどから申し上げますように、値上げ自体について納得をしていないわけではないのですけれども、これはもう少し国民のサイドで理解、納得ができるようなそういう具体的な方法がないものかどうなのか。こういう立場から、特に今後の問題として、料金値上げに際して、予算案としてこれが決定をされて国会に対して承認を求めるという態度を決定する以前の段階において、多くの視聴者、各階層の意見を聞いて理解を求める、そういう何らかの手法といいますかシステムといいますか、そういうものについて検討が必要ではないか、こう思うわけですけれども、この点について今後検討の余地があるのかどうなのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  220. 島桂次

    ○島参考人 その点につきましては、私どもといたしましても、昨年以来、視聴者会議、各地の視聴者の代表の方々、あるいは先ほど私どもの役員が申しましたように、外部の有識者あるいは各界各層の方々等随分意見を聞きましてやってきたつもりでございますけれども、さらにこれを徹底させるべく、言葉はちょっと適当ではありませんが、一般の会社でやっている一種の企業広報、そういうものを、NHKの番組あるいはNHKの番組以外でも、いろいろ新聞とか雑誌とかそういうところを通じまして、NHKのあるべき姿、私たちが今やっていること、そういうものの実態についてもっと具体的にこれからやらなきゃいかぬなということは感じておりますし、この五カ年計画の中にもその点はこれから大いに充実させていこうということを考えておる段階でございます。
  221. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私は、いわゆる経営の内容であるとか、なぜ料金値上げをしなければいけないとか、今こういうことをNHKは論議をしているのであるとか、国民のためにこういうことを考えているのであるとか、こういうものをPRしたり周知をするというのは、やはりNHKという企業の性格からすれば一番有利な立場におるのではないか、こう実は思っておるわけです。しかし率直に言いますと、やはりNHKというのは何かベールに包まれておる、こういう感じが私はするわけですね。  そういう意味から、今の問題は料金の問題に関連して申し上げたのですけれども、私は関連いたしまして、NHKの経営委員会の問題、NHKの経営委員会というのは、放送法第十三条でも明らかなように、NHKの「経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する」こういう権限を持っておるところですから、国民のための放送事業の充実発展について議論がされている一番の根源である、こう思っておるわけですね。国民の皆さんのための公共放送を守るためにどういう放送をやるのか、どういう事業経営をやるのか、このNHKの経営委員会というのがその源である、こういうふうに思うわけですね。  そういう立場に立ちますと、別に経営委員会における議論の内容であるとか中身をマル秘にしておくことは必要ないんではないか、もう少し国民の前にオープンにする、こういうことが必要だと私は思うのです。私の誤解であれば御勘弁をいただきたいのですけれどもNHKの経営委員会の議論の内容であるとか、あるいは経営委員会で一体何が議論をされておるのかということなどについて必ずしもオープンになっていないんではないか。そういうところに、先ほど申し上げましたように、NHKの経営であるとか経営の体質についてほかのマスコミを含めましていろいろと問題提起があるのではないか。  またこれも間違いであれば御勘弁をいただきたいのですが、経営委員の中には女性が二人おられる。この二人を除けば全部大正生まれ以上だ、昭和生まれはいないなどというある雑誌を見たのですけれども、そういう内容でなくて、経営委員会のメンバーあるいは中身、その議論の内容をもっとオープンにしていく、こういう開かれた経営委員会の体質をつくって、ここからイメージアップを図る、そういう考え方が必要ではないか。私は素人ですから、間違っておれば勘弁をいただきたいのですが、そういうふうに考えるわけですが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  222. 島桂次

    ○島参考人 経営委員会のあり方につきましては、これは私ども執行部の任命機関でございまして云々すべきことではございませんけれども、今までも経営委員会のあり方について国会その他で問題になって、いろいろ御議論があったことは事実でございます。  経営委員会審議内容につきましては、私が一応月一遍の記者会見のときに、必要があればその都度やっていたつもりでございますけれども先生の御趣旨もよくわかりますので、経営委員長以下皆さん方に先生趣旨をよく私の方から責任を持ってお伝えしたい、こう考えておるわけでございます。
  223. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 会長からの御答弁ですから、さらに御努力をお願いしておきたいと思います。  次に参りたいと思いますが、料金値上げをした後、不払い者が増加する。一回の料金値上げをすれば五万から七万ぐらいの不払い者がふえるというような記事をちょっと私は目にしたことがあるわけですが、受信料の不払いあるいは未契約の問題について少しお考え方をお聞きしたい、こう思っております。  NHKは、先ほども説明がございましたように、受信料という公的に保証された財源によって運営される非営利法人であると思います。このことによって公共放送を守っているわけですから、視聴者は受信料を払うのは当然であると私は思っております。個人的にはそう思っております。しかし現実には受信料を払わない人がたくさんおられる。また、別に払わなくても罰則規定も何にもないというのが実態だ、こういうふうに聞いているわけで、そこで次の点についてお尋ねをしたいと思います。  第一は、受信契約あるいは非契約の概括的な実態と今後における予測などにつきまして少しお聞かせをいただきたい。  第二番目に、受信料を集める現行体制、これに必要な営業経費実態について、これを抑えるということを聞くわけですが、しかし払わないという人から取り立てるというのはやはりコミュニケーションが必要ですから、ある意味では営業経費がかかっても仕方がないのじゃないか、単なるアルバイトの集金だけではいけないのじゃないかという点が出てくるのではないか、こういうふうに思いますから、そういう点について少しお話をお聞きしたい。  それから第三に、今若干触れましたけれども、従来から高い営業経費率とか、それから不払い者の存在についていろいろ批判がありますから、したがって、お聞きをしますところによりますと、契約世帯管理から全世帯管理の手法へ切りかえた、こういうふうに聞いておりまして、新しい営業構想の実施を行っておる、こういうふうに聞いているのですが、その具体的な内容と成果について、あるいは今後の展望について。  以上、三つについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
  224. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 NHKの受信料の契約の見通しでございますが、過去、NHKは、年間の新しい世帯の増加数を大体三十六万ぐらいと推定しておりますが、これに事業所の新しい展開といいますか、そういうものを含めてできるだけ多くの契約を結ぶことによって受信料の増加を図るということでまいっております。特に五十九年に料額改定をいたしまして、これは三カ年計画の中で改定をさせていただいたわけでございますけれども、今日この六年間受信料を据え置いてきたのは、一方では受信契約者の増加を図りつつ、出ていくお金を抑えて効率的な経営をするということで臨んできたわけであります。  そういう意味でいいますと、受信契約者の年間の大体の推移は四十三万件ぐらいを目途にその達成に今日まで努力してまいったわけであります。このことにつきましては、御指摘のように、受信料改定をしたときは、御理解をいただいてこれをまた収納に結びつけるということは営業現場の努力が大変必要なところでございまして、そういう意味でいうならば、年初思わしくない業務推進状態ということになりますけれども、年間を通していく中では、できるだけ早く料額改定を御理解いただいて、目標達成に営業現場としては努力してまいるということで、各放送局を挙げて、地域の受信者の方々に、NHKの使命と今回の値上げの理由とか、そういうものを御承認いただければ、周知徹底を図りながら御理解を求めていきたいというように考えておるわけであります。  それから集金体制でございますけれども、私どもの営業の集金体制は、営業経費約六百六十億ぐらいかかりますけれども、その約八割が人的経費でございます。何となれば、私どもは、基本的には各家庭をNHK関係者がお訪ねして契約していただき、お金を、受信料をちょうだいするという建前になっておるからであります。そういうことで、こういうようなことをより合理的に進めるために、口座でもってお払いいただきたい、そのことによって訪問していただく経費をできるだけ下げたいということで、口座の普及をこのところ図っておりまして、現在のところ七五%まで来ているわけでございまして、これを将来八〇%を超えるところまで引き上げてまいりたいという努力をしてまいっているところであります。  そういうようなことによりまして、営業経費につきましては、平成元年度一応一八・一%の目標にしておりますけれども、料額が据え置かれるという、今の料額のままで収納業務を進めた場合でも、今後五カ年間ではこれを一五%に下げたいということで努力してまいりたいというように考えております。そういうことで、営業経費率につきましても、できるだけ安く、しかも質の高い活動ができるように、安定的な財政確保のために私どもとしては努力してまいりたいということでございます。
  225. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 この受信料の問題について、基本的になりますけれども、少しこれも考え方を聞かせていただきたいのですが、受信料を払わない人たちに対する対応の基本的な考え方ですね。公共放送やあるいはNHKの経営姿勢とかあるいは番組がけしからぬとか気に食わぬとか、こういうNHKに対する批判としての視聴者の直接的な意思表示の手段だ、いわゆるアクセスの道として支払い留保権を認めるという考え方が一方ではあるわけで、私はこれもまた公共放送を守るとかあるいは民主主義を守る、そういう立場からすれば、ある意味では貴重な考え方でもあると思います。  しかし、だからといってこれが増加をするということは、経営としてはこれは決して好ましくないわけですが、しかし、ここのところをもう少しやはりきちんとしておかなければ、今日のこの世の中ですから、この考え方がふえていくということになると、受信料でNHKの経営は守っていく、こういう点になりますといろいろ問題点が出てくるのではないか、こう思いますから、この受信料拒否者といいますか批判者といいますか、そういう人たちに対する基本的な考え方をNHKとしてはどうお考えになっておられるのか、このことをお聞きをしたいと思います。
  226. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 私どもと受信契約を結んでいただきまして、その上で、契約はいただいておるのですが、実際には支払いが滞っていらっしゃるという方が六十三年度末でも九十八万、大体百万以内にはおさまっておりますけれども、毎年その程度の数になっておるわけです。  私どもは、今の受信料制度を維持するためにはやはり広く皆さん方から負担していただかなければならない。公平負担が崩れますと、これは今の受信料制度の崩壊にもつながりますので、特にこういうNHKに対して支払いが滞っている方たちに対しましては粘り強くお支払い方をお願いしておるわけでございますが、この滞っている方たちは、そういうNHK努力で毎年大体全体の契約者の三%程度のところにおさまっております。片っ方で新しい契約者をふやしながらそういう人たちをできるだけそういう範囲の中で抑えていくということは、公平負担のこの受信料制度を守る意味でも大きい意味合いがあろうと思いまして、これをさらに減らすべく、九十八万ないし九十九万の支払いの滞っている方を減らすべく努力しているわけです。  その内容でございますが、NHKの私どもが職員を含めて対応するときに、最近のような単身の方だとかあるいは学生さんだとか勤労世帯の方がふえたりして、面接できない方たちがかなりあるわけでございまして、こういう方たちが五十二、三万おるかと思います。それから、NHKの番組が気に入らない、だからおれは見てないよというようなおしかりで滞っている方たちが、これも三十四万ぐらいあるかと思っています。それから受信障害です。十分よく映らないからお金を払わない、もっと見えるようにしてほしいというようなことが大体十二万ぐらいあるかと思います。  問題の番組批判のところにつきましては、NHKのありようについての、NHKが商品としてサービスしてそれで御理解いただいて御支持を願っている部分についての厳しい御批判でございますので、こういう方々に対しましては粘り強く足を運びまして、NHKの存在意義とかあるべき姿とか番組内容についての御意見だとか、どうしたらよろしいのか、どういう御希望があるのかというようなことを事あるごとにチェックいたしまして、御意見を伺いながらそれにこたえていきたいというように努力しておりますが、こういう人たちを説得するというのはなかなか難しいというのが現状でございます。
  227. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 御回答について理解をいたします。さらに御努力をいただきたいと思います。  そこで、時間もございませんから先に進ませていただきますが、二つ目の問題としてお聞きをしたいのは、料金値上げがなされればサービス内容放送内容が充実されなければならないというのは当然であると思うのです。料金が上がったけれども中身が悪くなった、これでは話にならないわけでして、したがって、公共放送というものを担うNHKはもっと質的に高度な充実したものを思い切ってつくるべきである、私はこういうふうに常々考えておるわけです。  今や、テレビの影響力というのは学校教育にも匹敵するぐらいと言っても過言でないぐらい極めて重要なものになっているわけでありまして、日本の将来などを考える場合、NHKの使命というものは極めて高いものがあるのではないか、こういうように考えております。質的に高くて、そして人間としての感動を呼ぶ、これだけ立派なものをNHKが次から次につくり上げる、したがってNHKが受信料の少しぐらいの値上げを提起してもそれは当然である、もっと出してもいいからもっといいものをつくってほしい、こういうNHK視聴者のコミュニケーションづくり、このことが極めて必要ではないか、大切ではないか、こういうふうに私は思っておるわけですが、以上のようなことを前提にして三点ばかりお聞きをしたいと思っております。  その第一は、ある意味でこれは視聴者も含めまして待望しておった、NHKの長期展望に関する審議会からの提言というものが出されました。この審議会に対して国民の皆さんが期待したのはいろいろあると思います。NHKが巨大化と商業化の道をたどる、こういう批判がある。こういう点について一体どう考え、そうでないのかどうなのか。これを解明するという問題とか、あるいは衛星放送とかハイビジョン普及を経営の最重点にするということについて公共放送としていかがなものなのかどうなのか、こういう意見どもありまして、これに対してどうこたえていくのか。  また、国民負担によるNHKの今後の財政の見通しなどについてどういう立場で提言が出されてくるのか。こういうところには国民の皆さんは大変関心があったのではないか、私はそういうふうに思っております。この点、審議会において十分に審議が尽くされて解明されたのかどうなのか。提言については、私が読んだ限りでは極めて抽象的だと思うのですけれどもNHKとしてはこの長期展望に関する提言をどう理解し受けとめられておるのか、そしてこの提言のどこをポイントとして認識をしておられるのか、この点について少しお聞かせをいただきたいと思います。
  228. 島桂次

    ○島参考人 長期審議会の提言につきましては、私どもこれを非常に重く全部について受けとめているわけでございますけれども、特に先生指摘NHKの巨大化、これは一体どうなんだという問題についてでありますけれども先生御存じのように、今放送を取り巻く環境というのは物すごいスピードで変わってきております。一般的に言って自由社会の中で一つの放送機関とか情報機関が余りにも巨大化するということは社会的に認められるはずがございません。したがって、どういう形が一番NHK、公共放送にとって適正な規模かということについては我々は真剣に考えるところでございまして、その点にも審議会は触れておりますけれども、私としては審議会の皆さん方にも国会の先生方にも申し上げておきたいのは、まだまだ衛星放送にしてもケーブルテレビジョンにしてもいろいろのメディアが今どんどん普及しているさなかでございます。  ですから、当面この五年間くらいの間、今ある地上波以外のいろいろなメディアが一体どういう発展状況を遂げるか、その中で当面NHK衛星放送の拡充発展をしますし、それでハイビジョンその他もろもろのことにもある程度力を入れていかなければいかぬ。これは放送法にも明示されているとおり放送の先導的役割というものもございますので、当面少なくともこの五カ年計画の間は現在の波、テレビとかラジオとかそういう波のまま続けていって、それでその段階でこれじゃ大き過ぎる、衛星放送がある程度どんどん普及していけば、大き過ぎるということになれば、これは郵政省初め国会の皆さん方の御意見を聞いて、聞いた上でやはり適正な規模というものは考えなければいかぬなというふうに考えておるわけでございます。  この五年間は、少なくとも、今まで申し上げましたとおり、我々は五カ年計画というものに基づきまして、番組の充実はお説のとおりでございます。質のいい番組を、できるだけ多様性を持ち、なおかつ文化的な、こういう言い方は失礼でございますけれどもNHKでなければできない番組を充実させていくということにつきましては、審議会の皆さん方もそういう意向を強く出されておりますし、具体的にそれをいろいろの形で五カ年計画の中には盛り込んでいるつもりでございますので、よろしくお願いしたいと思っております。
  229. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 この長期展望から出された提言を踏まえまして、平成二年度から六年度までの経営計画が出されまして、そしてそれを踏まえまして平成二年度の予算編成がなされておる、こういうふうに考えるわけであります。  提起されているこの五カ年計画なり平成二年度予算編成の考え方については、今会長からの御説明もございまして理解をする点もございますが、しかし先ほど申し上げました質問とも関連をいたしまして、変革の著しい時期にあって、公共放送であるNHKとしても、経営の指針としての長期展望を主体的に検討し、国民に明示することが必要だ、こういうことでこの長期展望に関する審議会が設置をされて一定の提言がなされている、こういう点から考えれば、一体この提言を受けて従来の考え方とどこが変わってくるのかというところですね。ここのところをもう少し国民の皆さんにきちんと示した方がいいのじゃないかというふうに思うわけで、私が言いたいのは、ここのところをもう少し鮮明にしなければ、審議設置目的が受信料値上げの隠れみのだということになってしまわないかどうか、こういうことを考えるわけで、この点についてもう少しお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  230. 島桂次

    ○島参考人 NHKは公共放送でございますから、何よりも番組の充実向上、これが聴視者に対する一番の義務じゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。さしあたって平成二年度から五年間にわたって、放送番組の充実につきましてはかなり具体的な案が既にいろいろございますので、放送局長の方から具体的な例の幾つかを御説明申し上げさせたいと思っております。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
  231. 遠藤利男

    遠藤参考人 放送を担当しております役員といたしまして、今先生指摘のように、長期ビジョン審議会の中で示されました放送の質の向上ということは、私どもにとって最も重要な課題だというふうに思っております。しかもそれが、受信料を財政基盤としている公共放送NHKでなければできない仕事というものがこの多メディア時代の中でたくさんあるというふうに先生方からも御指摘いただいております。そういう線に立ちまして、平成二年度以後私どもの番組をどのように運営するかということも考えております。  その基本の一つは、やはり事実に基づいて多面的な的確な情報を迅速に提供するということだと思います。それからもう一つは、本格的で高品質な番組を先見性を持って開発していくということだと思います。もう一つは、多様な分野にわたっていろいろな少数者の方々にもサービスをするという番組をつくって編成するということだと思っております。  この高品質というものを私どもはどう考えているかといいますと、今やテーマというのは日本国内だけにとどまらないで、一つのテーマをとらえますと世界的な規模でその問題を解明しなければならないという状態になっていると思っております。そういう意味で、世界的な広がりの中でいろいろな問題をとらえるということを機動的に編成していく、制作していく。それからもう一つは、日本の情報を世界に出すということにおいても、私たちの品質というものが世界的なレベルに達してなければいけない。そうしなければ、世界各国で私たちの放送を使ってくれる、あるいは見てくれるということにならない。そういう意味でも、私たちの制作のあり方というものを基本的に考え直して、それを世界的なレベルに達せしめたい。そうするためには、一つには、世界のいろいろな放送局あるいは番組プロダクションあるいは映画等を含めました制作会社と協同して、品質の高い番組あるいは情報というものをつくり、あるいはそれを交互に交換して私たちの内容を豊かにしていくということが大事だというふうに思っております。  例えば、私ども平成二年度の番組の中でも考えておりますけれども、これから五年間の中で非常に重要だと思っておりますのは、二十一世紀へ向けて、日本国内でも国民的な課題あるいは世界的な課題というのがたくさんございます。例えば経済摩擦もあります。世界の地球環境の問題もございます。あるいは高齢化社会が目の前に迫っておりまして、高齢化社会の中での福祉の問題もあります。あるいは東西問題、南北問題というものもございます。そういう二十一世紀へ向けて解決していかなければならない課題に積極的に取り組んで、これを集中的にあるいはそのときそのときに機動的に編成をして、国民皆様にいろいろな判断の材料を提供していきたいというのがございます。これは例えば二十一世紀への提言シリーズというような形で私どもは行っていきたいというふうに思っております。  それからもう一つには、二十世紀というもので人類が一体どういうことをしてきたのか。これは政治も経済も文化もすべて含めて、私たちがもう一回それを総括して二十一世紀に受け渡していく、そういう番組をきちっとつくりたいというふうに思っております。  もう一つには、二十一世紀の人たちに向けて、今私たちは例えば映画というものを大変楽しんで見ておりますけれども、そういうように二十一世紀の人たちに向けて、今私たちが二十一世紀に残すべき文化というものを創造していくことが大事であるというのが一つのポイントでございます。  それから、先ほども申し上げましたようにいろいろな多様な番組を提供するということは、少数の趣味趣向を持った方々あるいは身体障害者の方々、そういう方々にもきちっとした情報の提供をしなければいけない。そういうことでは聴力障害者の方々に毎日ニュースを提供するというようなことも教育テレビで始めたいと思っておりますし、あるいは長く望まれておりましたけれども手話講座というようなものも、ボランティアを望んでいる方々にも向けて開始したいというふうに思っております。  そのほか、生涯学習に向けて、幼児から高齢者に至るまで一生を心豊かに送るためのいろいろな学習の番組を、教育テレビで積極的に編成するということによって国民皆様方の御期待にこたえていきたいというふうに思っております。
  232. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今後、今御回答をいただいた点について、さらに具体的に中身のある努力を要望しておきたいと思います。  そこで、第三としてもう一つお聞きをしたいのは民放との関連の問題です。  これも御承知と思いますけれども、今月の十六日付で私のところにも参っておりますけれども、社団法人日本民間放送連盟からの「NHKのあり方に関する見解」という文書が実は参っているわけであります。この点についての郵政省なりNHKの御見解を承りたいわけです。  内容につきましてはもう十分に御検討がなされていると思いますから多くを触れませんけれども、大別しますと大体二つあるのではないか。その一つは、いわゆる「業務範囲の拡大に伴う多チャンネル支配」の問題ですね。いわゆる「構造的収支不均衡」、この問題だと思います。もう一つは「商業類似行為の推進等に係る問題」、これが主なる中身であると思っておりますが、この点について「早急に改革と改善が行われなければならない」ということを、この民放連盟が提言をしておるということであります。  そういう意味では、こういう問題提起というのは、先ほども申し上げましたけれども、今回の民放連だけではなくて、NHKの経営体質についていろいろ指摘をされる場合には必ず出てきている問題でありまして、やはり郵政省なりNHKの立場でこれはもう少しきちんと受けとめることが必要ではないか、こういうふうに考えるわけですが、御見解をお聞きをしたいと思います。
  233. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先般民放連より提出されております「NHKのあり方に関する見解」は、NHK民放の併存体制の堅持、さらには、公共放送としてのメディアのあり方あるいは業務範囲の再検討、運用財源のあり方、いわゆる商業化の問題等広範にわたっているわけでございます。これは民放連としての考え方が示されているわけでございますが、我が国放送制度の一翼を担う民間放送の総意として貴重な意見が含まれていると考えております。  この見解に触れられております問題点に関しましては、郵政省におきましても検討が行われているわけでございます。特に最近では、放送の公共性に関する調査研究会の提言を踏まえまして、この関連団体による事業の展開等のための放送法の改正等所要措置を講じたところでございます。さらにまた、NHKの保有メディアのあり方の課題に関しましても検討を行っていくこととしております。  今後とも、NHKのあり方に関しましては、各方面の御意見を十分に私どももいただきまして検討を進めるとともに、制度の改正等必要な措置を適時適切に講じてまいりたいと存じております。
  234. 島桂次

    ○島参考人 NHKといたしましては、NHK民放が併存している、私はこれはもう世界で極めてすぐれた放送を、お互いに切磋琢磨するということで、極めてすぐれた形で、ぜひこの体制を続けていきたいなということを基本的に考えておりますし、今まで、私が会長になる前は、どちらかというと余り連絡その他密接じゃなかったのを、私ども放送記念日にはちゃんと民放連の会長さんにも来ていただきますし、私も民放連の方の大会へ出席するというようなことで、密接に連絡を取り合っております。  先生の御指摘は幾つかあったわけでございますけれどもNHK民放という二つある以上、我々はやはり公共放送でなければできない仕事、つまり我々は聴視料を主とした財源でやっている、このことに相当我々はある種の厳しい自戒の念を持っております。  ただ、関連会社その他で、いろいろ民放方々から、NHKのやっていることが、受信料で成り立っているのに何か利益を図っているんじゃないかという声も相当聞かれますけれども、私は、この最近の情報化社会、ニューメディア時代というのは、NHK放送作品が、放送作品だけではなくて、メディアミックスと我々は呼んでいるのでございますけれども、いろいろの分野にこれが利用できる。そういう場合は、それは結局利潤を上げるということではなくて、必要な人に必要な素材を分けてやる、結果として若干の収入があっても、それは聴視者に還元するということで、今まで民放さんが手がけているもの、そういうものへ我々が参入していってその仕事を奪うというようなことは、厳に関連会社その他に我々は節度を持ってやるようにやっておりますので、若干の行き過ぎなんかがあって今までいろいろ話し合ったことも事実でございますけれども、その辺は、先生指摘のとおり、公共放送としてやはり基本的にやってはならないことはやらぬということで我々は進んでいきたい、こう考えておるわけでございます。
  235. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 まだお聞きしたいこともございますが、時間が迫っておりますから、最後に、大きな三点目の問題を少し申し上げたいと思います。  先ほどから申し上げておりますように、よりよい経営、質の高い放送事業を行っていく、このためには、すぐれた有能な人材の確保、それから働きがいのある職場づくり、職員の処遇改善が必要である。これは、企業は人なりと言われるようにやはりこのことを無視してはいけないのではないか、私はこの観点から若干お尋ねをしたいと思います。  その一つは、経営努力をいろいろなされていること、御苦労されていること、これは重々理解をしているつもりですけれども、この合理化、省力化と言われる問題について少しお聞きをしたいと思うわけです。  NHKが長期的見通しに立って経営の効率化を行って、五十五年度から、お聞きをしますと約二千名に上る要員の純減を行った。それから、平成元年度には計画を一年繰り上げてNHKが対外的に約束をしている一万五千名体制を達成する、こういうことになった、このように聞いているわけであります。また、九〇年度予算でも二百八十名減員が出されている。こういうことで、これはそれなりのNHKの経営努力だろうと思うのですけれども、しかし一方、お聞きをしますと、衛星放送の二チャンネル化も二十四時間放送になる、業務量も極めて飛躍的に増加をしてくる、時の流れとして労働時間短縮問題なども進んできている。それから、先ほども申し上げましたように、受信料の収納経費についても、要員削減とかあるいは深夜の集金などを含めて新営業構想が推進をされて、そしてやはりしわ寄せ、圧縮がされている、こういうふうにも聞く点があるわけであります。  したがって私は、別にこの要員面での効率施策をすべて否定をするという立場には立ちません。それなりに努力については十分に理解をする立場ですが、しかし、そこのところに焦点を余り当て過ぎると逆の面が生じるということも事実であると思うわけで、そういう意味では、提言にもあるとおり、多メディア時代にふさわしい公共放送の役割を果たして視聴者の理解と支持を得ることが必要だ、こういうふうに思うわけです。この点、NHKの労使関係を含めましてこれらの問題についてはスムーズな形にいっているのかどうなのか、私も労働組合の出身でありますから、この点について少しお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。  それから二つ目としては、先ほどちょっと会長さんも触れられましたけれどもNHK出資の子会社などへの出向についてであります。  NHKは人員合理化が先ほどからも言うように非常に進んでいるぞということが言われているのですけれども、しかし事実は子会社、系列会社に人を移しただけで、やっている仕事も以前の仕事と少しも変わらない、こういうことも聞くわけでして、そこに出向した職員の処遇などについては一体どういうことになっておるのか、この点についても少しわからない点があるので、解明をしていただきたいと思います。  そして、長期展望に関する審議会の提言にあるように、今後「すぐれた人材の確保のためには、少数精鋭を前提として、職員の処遇改善もきわめて重要である。」という点について、これは提言として提起されているわけで、この点について具体的には一体どういうことなのか、この辺を含めまして、人の問題について少しまとめて最後にNHKの御見解をお聞きしたいと思います。
  236. 植田豊

    ○植田参考人 先生おっしゃいますとおりで、情報化国際化が著しく進む中で、今この時点で国民に役に立つ、本当に公共放送ならではのサービスを支えるものは人であります。これなくしてNHKはないわけでございます。  私どもとしても、いたずらに人を減らすということが目的なのではなくて、充実したサービスをきちんとやっていく、なおかつそれが、国民の皆さんが納得していただけるようにみずから厳しく律する中で、抑制する中でそういう放送サービスを追求してまいりたいというふうに考えます。もとよりサービスの質を落としてまで人を減らすというようなことは考えてございません。創造性と効率性あるいは能率性といったものを両々きちんと追求してまいりたいということがNHKに今望まれていることではないかという認識に立ってございます。あわせて、職員の能力の一層の向上でありますとか関連団体との連携もなるべく総合的に考えまして推進をしてまいりたい、そういう全体の取り組みの中で質の高い放送サービスをしてまいりたいというふうに考えます。  それから、要員の効率化につきましては、労働組合の理解と協力なくして到底なし得ることではありません。NHKは、先ほど先生おっしゃいましたとおり平成元年度で一万五千人体制を達成いたしますが、この間、毎年、各年度の要員効率化計画につきまして労使間で誠実に徹底した話し合いをして実施してきたところでございます。経営計画を推進していく中で、今後の要員体制のありようについて労働組合と十分話し合ってまいりたいというふうに考えます。  次に出向でございますが、出向職員の待遇は原則として協会在職者と同一の待遇を保障してございます。ただ、勤務時間あるいは休日、休暇等の制度が必ずしも企業によって同一でございません。この辺は出向先の定めで行われているところでございます。したがいまして、仮に出向先の就業条件が協会の就業条件を下回る場合には手当によりましてこれを保障する、この点についても労働組合と十分協議をしながら制度を用意しておるところでございます。
  237. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 いろいろと勉強させていただきましてありがとうございました。終わります。
  238. 上草義輝

    上草委員長 次に、赤城徳彦君。
  239. 赤城徳彦

    ○赤城委員 赤城徳彦でございます。  最初に、本日御質問させていただきます機会を与えていただきましたことに感謝申し上げますとともに、私、何分新米でございますので、関係各位のわかりやすい御答弁をいただきますようにお願い申し上げます。  最初に、申すまでもないことでございますが、NHKは受信料によって支えられている、国民の支払います受信料、言ってみれば国民の負託を受けて公共放送実施しているわけでございます。ですから、一般の方がNHKに寄せます期待は大変に大きいものがあると私は考えるのです。特に、NHKの報道には間違いがないんだ、そのニュースは不偏不党だ、公正中立だ、そういう期待が大変大きいと思います。こういう不偏不党性とか報道の信頼性ということはこれまでNHK皆様の御努力によりまして保たれてきたものでございますが、これからもこの信頼性、不偏不党性についてどういう御決意で臨まれるのか、最初にその御決意をお尋ねしたいと思います。
  240. 島桂次

    ○島参考人 公共放送としてのNHKのあり方については、先生指摘のとおりでございます。我々のやっております放送国民、聴視者の皆さん方の信頼を得ない限り我々の企業は全く成り立っていきません。我々は、放送法に示されておるきちっとした不偏不党、中立ということを中心に、できるだけ質のいい番組をできるだけ効率よく、視聴者負担を軽くしながら出すということに尽きるのじゃないかと思っております。  今後五カ年、さらにこの考え方に沿って全職員一丸となってやっていくつもりでございますので、よろしくお願いしたいと思っております。
  241. 赤城徳彦

    ○赤城委員 ありがとうございました。ただいま会長さんからすばらしい御決意をいただきまして、これからもこの不偏不党性、また放送の信頼性の確保ということに十分意を払って職務に邁進していただきますならば、NHKは永遠に不滅であると私は考えております。  同じく、これは大変基本的なことでございますし、また放送法目的にもこの不偏不党性、また報道の真実性ということが述べられておりますので、放送法所管されます大臣にひとつこの点についての御決意をお尋ねしたいと思います。
  242. 深谷隆司

    深谷国務大臣 赤城先生御存じのように、放送法では不偏不党であるとか信頼にこたえて進まなければならぬということが明記されているのであります。しかしそれは放送を行う事業者が自主的にそのように実行するということでございまして、私どもから格別口を挟むという筋合いではございませんが、NHK放送法にのっとってしっかり不偏不党の姿勢を貫き、国民の信頼をかち得ることを期待したいと思っております。
  243. 赤城徳彦

    ○赤城委員 次に、私、今回の衆議院選で初当選をさせていただいたわけでございますが、今回の衆議院選は日本丸の進路を決めるというような大変重大な意味を持った選挙戦であったかと思います。そういうわけで、各報道機関、放送機関がさまざまな角度から政策課題を報道され、また選挙の行方についても調査がされたわけでございます。  その中で、NHKが行った世論調査がございますが、これは開票速報のデータをとるために使用するのが目的でされた調査というように伺っております。これが二月二十二日号の週刊文春にいわばすっぱ抜かれたということがございました。大変重大な意味を持つ選挙戦においてこういう詳細なデータが公表されるということになりますと、いわゆるアナウンス効果から投票行動にまで影響することになるのではないか。どの政党、どの候補者に有利になるのか不利になるのかということはわかりませんけれども、そういう重大な影響があるということは否めないわけで、公職選挙法においてもこういうデータを公表してはならないというような趣旨のことが書かれてあるわけです。でありますから、週刊文春がこういうデータを公表したことは極めて遺憾なことであるというふうに私は考えております。  NHKとしましても、この点について週刊文春に対してどういう抗議なり行動なりをとられたのか、その経過について簡単に御報告をいただきたいと思います。
  244. 島桂次

    ○島参考人 先生御存じのように、我々選挙に当たって、これはNHKだけではございませんが、各報道機関が世論調査をやって、その資料に基づいて開票速報その他やっていることは事実でございます。ただ、私どものやった資料が、その結果が一部私どもの不手際によって外部に流れたということについてはまことに申しわけなく思っておりますし、担当の理事以下全員に私は厳重注意をやっております。と同時に、私どものあくまで未公開の資料を掲載した文芸春秋社の社長に対しましても、私はNHKの中で厳重に抗議をいたしました。  いずれにしましても、この問題につきましては、我々の保管の手違いということについて、政治家の皆様方初め国民の皆さんにまことに御迷惑をかけたことをここでおわびしたいと思っております。
  245. 赤城徳彦

    ○赤城委員 私は、週刊文春が公表したというのは報道の倫理にもとる行為であるというふうに考えております。  次に、これはやはりさきの衆議院選に絡むのですが、選挙速報もNHKが従来から報道されているわけですが、この選挙速報において、一たん当確を出しておきながら結果落選だった、誤報であったという例が二例ほど見受けられました。これまた、最初に私が申し上げましたように、国民が、NHKの報道は間違いないだろう、確かなものだという期待を寄せておるわけでございます。当の陣営もこの当確の報を聞いて万歳をした、それが全国に報道されるというわけでありますから、当の陣営それから国民の各位に与える影響というのは大変大きいものと思います。もちろん当確というのは当選が確実ということであって一〇〇%当選が確定したということではないと思いますから、全く正確でなければいけないというわけではないと思うのですが、過去十年間、こういう誤りはなかったというふうに伺っております。  これは思うに、今回民放各社が、今まではこういうことはなかったと思いますが、こぞって選挙速報を流して、多少の間違いはあってもやむなしということで、いかに速く当確を打つかということを競った、そういう民放の行き過ぎというのもあれですが、民放の競争にNHKが引きずられてこういう事態になったとしたら、私は、この公共放送としてのNHKの姿勢からして、厳然たる態度で、民放に左右されることのない態度をもって放送に当たってほしいというふうに考えておりますが、民放と競争して、あるいはあおられてというようなことがなかったかどうか、お尋ねします。
  246. 島桂次

    ○島参考人 今度の選挙におきまして二つ当選確実を間違えましたことは事実でございます。私自身も長い間政治記者をやっておりますけれども、今まで四十年間に多分一回の選挙で一人間違ったことが二、三回しかない、一度に二回間違うというのはまことにNHK始まって以来のことでございます。私としても非常に残念でございます。したがって、これから後の選挙は、今先生のおっしゃったような民放の過当競争その他そういうことに惑わされることなく、我々はあくまで正確である、その次にできるだけ早くという趣旨、並びに選挙情勢をもうちょっと深くきちっと取材すれば間違いも防げるんじゃないか。  いずれにしましても、先ほど先生質問にありました世論調査の問題といい、当選確実を二つ間違った問題といい、これは私は会長として単なる簡単な問題としてとらえておりません。これはひとつ、報道局を中心にこの次の選挙から基本的にやり直すくらいの決意でやれということを私は指示したわけでございます。
  247. 赤城徳彦

    ○赤城委員 ありがとうございました。我々を含めて国民視聴者みんながこのNHKの報道の正確さ、公平さを期待し、信頼しておるわけですから、ぜひともこれからも御尽力いただきたいと思います。  続いて、民放との競争ということが問題になりましたが、NHKは、先ほど来お話が出ていますように、民放にはできない公正で質の高いそういう放送をやる、そういう分野をやっていただく、これがまさにNHKの存在意義であると私は思います。  今日、さまざまなニューメディア衛星放送でありますとか多チャンネル型CATVでありますとか、いろいろな放送を御家庭で楽しめるようになってまいりまして、NHK衛星放送を含めて既に七チャンネルの放送チャンネルを持ち、これからまたハイビジョンが実現に向けてスタンバイしておるわけでございます。NHKがこういう先進技術をどんどんやっていただく、これはまことに結構なことで、これからの情報化社会に向けてNHKがその牽引力として頑張っていただきたいのでありますが、こういう高度かつ高価な放送技術を導入していくということがNHK放送体制、経営体制の肥大化を招くのではないかとか、あるいは放送内容が、例えばドラマとかスポーツ番組とかバラエティー番組という番組面で民放と同じような中身になってきていないかとか、本来のNHKの公共放送としての節度といいますか守るべき分野、範囲というものを、また民放との併存体制をどういうふうに保っていくのか、これはNHKとそれから郵政省の方にもお尋ねしたいと思います。
  248. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先生が御指摘のように、我が国放送NHK民放の併存体制で行われております。先ほどNHKの会長からも、この併存体制は大変立派なものである、今後とも継続したいというお話がありましたが、私どももこの併存体制というものをしっかり守ってまいりたいと思っておるわけでございます。  その中で、NHK全国によい番組を送らなければならない、そして我が国の文化水準を向上させる、それからまた放送番組や放送の技術、そういう面におきます先導的な役割というものが求められているわけで、その中にハイビジョンも大いに含まれているわけでございます。さらにはまた、国際放送というものを国の一つの方針としてやっていただいているわけでございます。このような本当に大事な使命を持っているわけであります。  一方、また民間放送は、自由な私企業といたしまして、公共放送との併存体制のもとで、言論、報道の多元性の確保、あるいはまた地域社会への貢献、民放はそれぞれの地域というものを指定されてそこで放送事業をやっているわけでございますので、その地域社会への貢献というものが強く望まれているわけであります。また、適正な競争を通じた放送番組の向上と多様化というものも求められております。さらには、いわゆる財源のもとになりますところの広告媒体の機能の充実、発揮、そういう大変な役割もあるわけでございます。このように存立基盤、役割というものを異にする両者がこの多メディア時代にお互いにその特徴を発揮しつつ競合しながら併存し、今後とも放送のすぐれた効用を生み出していくものと期待しているものでございます。
  249. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 基本的には今郵政省からお答えになったとおりでございます。民放NHKのお互いに競い合ういい面を生かしまして我々も努力いたします。ただ、多メディア、多チャンネルといいまして、情報過多の時代になりますと、やはり公共放送がきちんと経営効率を守って節度ある放送をするという役割は非常に重要になってくると思います。長期計画審議会の答申にもそれが書いてありまして、つまり多チャンネルで情報はんらんの時代には国民にどんと根をおろした真に信頼できるものが大事であるので、NHKはしっかりせよという御命令も受けております。  ただ、先生の御指摘にもありましたように、巨大化という批判がございますので、保有メディアにつきましては固定的に考えるということはありません。審議会の答申を受けて、我々は今後一生懸命公共放送としてどこまで国民サービスしたらいいのかということをみずから真剣に考えていくつもりでありますし、郵政省とも連絡しながら国民に理解のいくような結論を出したいというふうに考えております。
  250. 赤城徳彦

    ○赤城委員 公共放送としてのこの根っこというところはしっかりこれからも守っていただきたいと思います。その上で民放とも競合しつつ併存するというようなお話でございましたが、だんだん見ている者にとっては内容が近くなってくるのではないかとか、あるいはその料金体系にも、後でお話ししますが、だんだんNHKの守備範囲というものも難しい面が出てくるのではないかと思います。  そこで一つ、今話題になっておりますハイビジョンでございますが、これはことしの夏打ち上げられますBS3の段階で実用化されるということであります。非常に高度な技術であり、また高価なものになるかと思いますが、これが受信料の引き上げにつながるとか、あるいはそのハイビジョンの料金を設定するというようなことになるのかどうか、その辺の見通しをお尋ねします。
  251. 島桂次

    ○島参考人 ハイビジョンという技術は、モノクロテレビからカラーテレビになった以上に大きな技術革新でございます。我々これに対しましては十数年来いろいろ開発を進めてまいりましたし、現に今BS2bでは一時間実験放送を始めております。しかしこの技術は、放送はもちろんでございますけれども、映画制作とか印刷とか医療器具とかあらゆる分野利用され、恐らく二十一世紀にかけての情報産業の基幹的な部分になるのではなかろうか。そういったいろいろの各方面、各利用できる面につきましてNHK以外のいろいろの方々と力を合わせ、国内だけではございません、全世界的にそういう事業を一緒に進めるということをいろいろ考えておるわけでございますけれども放送につきましては、私どもが今国会の皆さん方にお諮りしているこの五カ年計画の中で衛星放送を実用化して、ハイビジョン料金みたいな形でこれをいただくという考え方は今のところとっておりません。
  252. 赤城徳彦

    ○赤城委員 時間がないので先を急ぎますが、今回受信料引き上げ、カラー契約で三百円ということでございます。NHK説明によりますと、今後五カ年でこの値上げをしなければ五千四十八億円の累積赤字が生ずるということでございますが、やむを得ないということなのでございますけれども、具体的にどういう計算をしてこの三百円という数字が出てきたのか、一般の方にもよくわかるように簡単に御説明いただきたいと思います。
  253. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 現在の受信料の枠内でもこの五年間にできるだけ増収に努力いたします。その増収努力は八百十億余りとなっております。それから経費の節減、人件費の抑制その他につきましても約一千六十億の節減を果たすつもりであります。約二千億円をそういうもので浮かすつもりであります。  しかしながら、長期計画審議会の答申を受けまして、新しい時代の公共放送としてやるべきもの、例えば放送の充実であります、これにつきまして、公共放送として放送内容の刷新、それから国際化時代でありますので国際放送の充実、それから新しい映像でもって世界に日本の実情を知らせるということも今度の計画の中で芽出しをさせていただく。それからハイビジョンその他の事業につきまして、重点的な事業展開に二千八百億というものがどうしても不足してまいります。それから給与、退職手当、人件費も抑えに抑えておりましたけれども、ある程度新聞各社との開き、一般企業との開きもだんだん出てきておりまして、よい人材、創造性のある人材の確保というのは難しゅうなっておりますので、給与の改善、それから設備の減価償却なんかも増加してまいります。これが二千九百億円の不足になります。  あと、これは財政的な措置でございますが、元年度予算に赤字がございまして、これは川口放送所という放送所の跡地の売却と、それから構造的な赤字がございまして、この分が大体二百億ございます。これが五年間で足りなくなりますのが千二百億ということで、これだけ不足する項目から増収分それから節約分を引きまして五千四十億余りがどうしても不足になりましたので、今回料金引き上げでもってその五年間相償するという財政計画を組みたいということでお願いしておるわけでございます。
  254. 赤城徳彦

    ○赤城委員 五年間でということでありますけれども、今後の収支見通しを見ますと、今回の値上げによって平成二年度、三年度は黒字になりますが、平成四年度にはとんとん、その後の二年は赤字になる。累積で言いましても、平成六年度には値上げの効果はもうなくなってしまう、こう見ますと計画終了後再び値上げになるのではないかと心配するわけですが、いかがでしょうか。
  255. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 会長から決意を申し上げておりますように、受信料で成り立っている企業でございますので、ぎりぎりの経費の節減それから経費効率的な使い方等は一生懸命やっております。これまでの計画の例も、計画の期間が過ぎたからすぐにここでお願いできるのだという筋合いのものではございませんので、これについてはぎりぎりいっぱい努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  256. 赤城徳彦

    ○赤城委員 まさに受信料で成り立っているために、なかなか経営の合理化等々を進めなければならない厳しい状況であるという事情はよくわかりました。私も、NHKというのは一個の経営体でありますから、収入と支出、このバランスというものが大事であり、特に受信料というものをどうやって確保していくのか、これが大変大事な部分だと思います。NHKの計画によりますと、受信契約、平成二年度は三十三万件、三年から六年度は毎年四十三万件増加というふうに見込んであるわけですが、平成元年度四十五万件増と見込んでいたのですが、果たして結果はどうだったのか。聞くところによりますと、三十五万件くらいしか現在はいっていないのではないか。それから見ましてこの計画、果たして達成できるのかどうかお尋ねしたいと思います。
  257. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生指摘のとおり、私ども平成元年度は契約総数を四十五万件ふやそうという目標を立てて鋭意努力してまいりましたけれども、残念ながら契約の進捗がおくれまして、年度内では恐らく三十五万件、目標に対しまして七八%程度に終わるのではないかというように考えております。  私ども従来、昭和五十九年から六十一年まで三カ年計画で受信料を変えていただきました後、昭和六十二年以降は、契約の増加を図って収入増を図りながら鋭意経営努力をしてまいったわけでございますが、平成元年度は八月から衛星放送有料化という新しい事業NHKは展開を始めたわけでございます。このことによりまして、私ども衛星放送の早期定着と契約の安定化ということで重点的にこれに取り組みましたので、限られた要員の中で結果的に二兎を追う結果になりました。そういうようなことで、まことに残念でございますが今申し上げたような数字におさまるかなということでございます。  ただ、平成元年度で事業収入三千九百十四億円を予算としては計上しております。受信料収入は若干欠落いたしますが、副次収入その他でこの事業収入は確保できる見通しであります。
  258. 赤城徳彦

    ○赤城委員 衛星有料化ということで昨年から行われたわけなのですが、この衛星契約の方も、先ほど伺いましたら二百二十七万世帯に対して百六万件の契約ということで四六・七%、この契約を、捕捉率を高めて締結に持っていくというのはなかなか難しいことかと思います。また、受信料を収納するのに経費がかかるが、例えば転居者の追跡をするのに大変な手間がかかるというようなこともお聞きしました。また、これからハイビジョンだ、衛星放送だということを考えていきますと、現行の受信契約方式というのがいずれ限界に来るのじゃないかということを心配するのです。  私は、公共放送であり、特殊な公的負担金でありますということ、これが基本であると思うのですが、今後のことを考えますともっと幅広く、この法律にもとらわれずにいろいろな方法を検討したらどうかと考えるのです。例えば、テレビを買ったときに契約の申込書がついてくる、それに必要事項を記入してNHKに申し込むとかカードを入れないと受信できないようにする、スクランブルをかける、これは有料化になるのでどうかと思いますが、そういう方法とかさまざまなアイデアがあるのじゃないか。これはぜひ法律にとらわれずに幅広く御検討いただきたいと思うのです。  それからもう一点。今世帯ごとの契約になっておりますが、今や一世帯に二台、三台のテレビが当たり前という時代になりつつあります。一合ごとに契約を締結するようにすれば一台当たりの受信料はもっと少なく済む、その上で二台も三台も持っている裕福な家庭はより多くの受信料を払っていただくということでありますから、薄く広くという時代の流れといいますか、そういう方向でいくことも考えられるのじゃないかというふうに思いますが、こういう新しい方式について今後御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  259. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生から御提案がございましたように、私どもといたしましても、特に衛星放送については新しい事業でございますし、全世帯の中でまだ普及が三%かそこらというような状況ですので、大変捕捉に苦労しております。既に一部のメーカーにはNHKのありようについて御理解いただいた上で、衛星放送の器材をお売りいただくときに、NHKに契約していただく用紙を入れていただくようにお願いして、一部はそういう方向で御理解を得ています。これをさらに広げてまいりたいということで、捕捉、契約に結びつけるようにあらゆる努力をしてまいりたいと思っています。  それから、世帯テレビ台数の契約単位につきましては、目下のところは各世帯一台ということで考えておりますので、将来の問題としてお伺いしておきたいと思います。
  260. 赤城徳彦

    ○赤城委員 しっかりとこれからもこの受信料収入を確保していただくように、また、さまざまな方法、アイデアを出していただくようにお願いいたしまして、質問時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  261. 上草義輝

    上草委員長 次に、吉岡賢治君。
  262. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私は、初めて逓信委員会で発言をさせていただく機会をいただきました。  前大臣、大石千八先生がパチンコ疑惑ということで新聞をにぎわしました。今度の主管大臣である深谷郵政大臣はよもやこういうことにはならないであろう、このように期待をしながら清々とした気持ちで参りました。ところが、御案内のとおり、リクルートの問題でマスコミをにぎわすという現実を迎えた、私は非常に残念でならないところであります。一日も早くこのことについて解明を図り、私たちの前に清々として答弁いただく、そういうことになっていただきたいことを心から祈念を申し上げるところでございます。  さて、私はNHKの予算に関連いたしまして、視聴者を代表する立場で率直に御意見を申し上げ、そしてまた御質問をしていきたいと思っているところでございます。  まずその一つは、NHKの巨大化、商業化、このことについて危惧を持つものでございます。そういうことはない、このように先ほどおっしゃっています。しかし、どうでしょうか。考えてみれば、平成二年度の収支予算案は、NHKの長期展望に関する審議会の提言、このことを下敷きに平成六年までの五年間の経営についての方針が出されているのであります。今のままの受信料では五年間で五千億の財源不足が生じる、こういうことから、カラー契約で月額二八%、三百円の引き上げを内容としたものになっています。  そして方針の中では、地上放送の充実、あるいは衛星放送の充実強化さらにはハイビジョンの開発普及、こういうことで国際化高齢化など社会構造の変化と情報化、さらに多メディア化の急速な進展に対応し、公共放送としての使命を達成する、こういう事業計画であります。  私は、実はこのことに疑問を持つものであります。今現在、地上系に二つの波があり、さらに衛星系に二つ、ラジオに二つ、そしてFMに一つということで七つある。さらに国際放送もあるところであります。そういう状況の中で、計画にも出ておりますように、BS3の時点ではハイビジョン専用波も出す、このように計画をされているわけであります。それと同時に、幾つかの放送の時間延長ということも計画していらっしゃる。例えば教育放送の音声多重放送、こういうものも実施していこうというようなこと、あるいは国際放送を時間延長する、こういう方向も出ているわけであります。そういう意味では、まさにNHKはますます大きく肥大化していく、こういうことは否めない現実だと思うのでございます。  ところがそれに携わる人は一体どうなっているでしょうか。現在、一万五千人、こういうお話でございます。五カ年計画の初年度に当たります平成二年では二百八十人の人を減らす、こういうふうにあります。そして、この五年間において二百億の人件費の削減、こういうことも計画にあるわけでございます。そのことは、結果として自主番組の比率の低下というものを招き、外部の委託あるいは購入、こういうことに頼らざるを得ない、商業化への拍車、こういうものにつながっていくのではないかと思うのでございます。公共放送という立場からいえば、商業主義やあるいはコスト主義に走る、こういうことはまさに公共放送の自滅の道だ、私はこのように思っておるところでございます。  そこで、お聞きしたいと思います。  人件費、これが数が明確にされているのは平成二年度のみであります。したがって、平成六年には二百億を減らすとありますけれども、人員は一体どうなるのか、このことが明らかになっていませんので、まずそのことからお聞きをしたいと思います。
  263. 植田豊

    ○植田参考人 NHKでは昭和六十年度から今日平成元年度までの五年間で千四百十六人、八・八%の要員を削減してまいりました。この間、人件費を百八十億円の節減を行ってまいりました。今、先生質問のとおり、今後の五年間におきまして、過去五年を上回る二百億円以上の節減を目標としたいということでございます。  これにつきまして、先生が五年後の要員数の御質問でございます。私どもといたしましては、今後五カ年におきまして、情報化国際化に公共放送としての責任をどう果たしていくのか。ただ減らせばいいということではございません。NHKならではのクォリティー、質を何としても保証していかなければ、NHKの存在理由がないわけでございます。その点を厳しく追求してまいりたいと思います。そのためには人材の確保ということは欠かすことができません。一方で、協会が大量の職員の退職期に入ってございます。この状況もございますので、これら両々相検討いたしまして、これまで以上の業務体制のぎりぎりの再検討をしなければならぬ、あるいは関連団体、外部機能の活用などにつきましても、積極的に考えていかなければならぬというふうに考えてございます。  これらの総合的な努力の中で、五年後の時点におきまして累積二百億円以上の節減を国民にとにかくお約束をする、受信者の皆さんにお約束をするということで、全組織を挙げて努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  264. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今、平成六年に照準を合わせて物を言いました。先ほど言いますように、七チャンネルの波が八チャンネルになっていく、さらには放送時間も延長していく、こういう状況にある、そして職員はどんどん減らしていく、一体そこで何が起こるのか、私は非常に心配であります。  今、日放労に働く皆さん方の賃金が民間より低いというお話を聞きました。調べてみますと、大学卒初任給でNHKの方は十五万六千円、キー局のところで例えばTBSですか十七万五千五百円、こういう開きがあると聞いております。また、四十五歳を例にとってみますと、NHKでは約四十万円、キー局では四十五万八千円、年間比較いたしますと、NHKは六百九十三万、キー局の方々は一千百十八万、こういう開きがあるというふうに聞いているわけであります。  そういう状況の中で、六年に二百億を人件費を減らす、こういう状況ができた場合にはかなりの人数を減らしていくか、もしくは労働条件を今以上に悪くするか、こういう現実しか出てこないのであります。しかし、先ほど申し上げておりますように、仕事はいろいろな波があり、それを充実強化をしバラ色の方向をとっておられる、そういう状況の中で一体可能なのかどうか。結局このことが商業化への道、もっと言えば委託、そういうことをどんどん進める、こういう方向しかないのではないかと私は思うのですが、その点についてお聞きをしたい、こう思うのです。ですから、先ほど申し上げますように、どのくらいの職員数になるのか、このことを明確にしていただかないと、私たちはどういう運営になっていくのかということについて頭に描けないという現実が出てくることを申し上げて、御指摘申し上げたいと思います。
  265. 植田豊

    ○植田参考人 先生指摘のとおり、先発民放あるいは大手新聞社と比較いたしまして、NHKの給与が、一般職平均で月例給与で約一割、年収にしますと一割から二割低いという現実でございます。同業他社との給与格差の是正を含む処遇改善につきまして、従来とも厳しい財政状況の中で努力をいたしてまいりました。今後も労働組合と誠意を持って十分に話し合いたい、最大限の努力をいたしたいと思います。  ただ、NHKが同業他社との対比の上で非常に苦しんでおるのは事実でございますが、一方受信料制度によって成り立つNHKでございます。全国民の理解の中で私どもの職員の処遇がなければ、NHK国民と離れた存在になっていくのではないか、この点についても私どもは労働組合とも十分今後とも話し合ってまいりたいというふうに考えております。  なお、特にマスコミに関しましては、このような現状の差が人材確保という点から苦しいのも一面また事実でございますので、社会全体の給与水準とのバランスも一方で意識しながら、一方でなおかつNHKならではの人材確保のために最大限の努力を重ねてまいりたいというふうに思うわけでございます。  なお、今後の処遇のありようにつきましては、一方で最大の節減あるいは要員の見直し、これらを含めまして、全体として私どもが最大限の努力をいたしてまいりたいというのが今回の経営計画でございまして、二百億円の過去五年を上回る人件費節減努力の中で私どもとして最大限の職員の処遇を考えてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  266. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 答えになっていないですよ。何人かと聞いているのだ。どのくらいだと目安を言ってくれ。数字を言ってないですよ。
  267. 植田豊

    ○植田参考人 先ほども申し上げましたことで恐縮でございますが、一方で人材の確保の必要が非常に高まってございます。一方で、我々はぎりぎりの節減努力もしなければならぬというふうに思います。かつて、率直に申し上げますが、千五百人、一万五千人といった数字がいわば経営目標のように私どもは掲げたのは事実でございます。こういった、人を減らすこと自体がいわば企業目標、企業の最大の経営課題といった位置づけでなく、私どもとしては何としてもNHKならではのサービスをまず確保するんだ、仕事が先だという中で、しかし人件費の点では国民の皆さんにきちんとお答えをしていこうというのが私どもの決意でございます。この点の御理解をいただければまことにありがたいと思います。
  268. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今理解をせいと言われても理解できぬわけです。二百億を減らすんでしょう。労働条件が悪いから上げにゃならぬでしょう。仕事はたくさんあるのでしょう。整合性がないんです。その点を指摘しているわけでございます。  私はなぜこんなことを言うかと申しますと、私の地域にかつて二人のNHKの記者の皆さんがいらっしゃいました。それが一人に減ったんです。そのことによって地域におけるいろいろなニュース、あるいは地域における祭り事、そういうものがどんどんブラウン管から消えていった、こういう現実というのを見ているわけです。地域に密着した、このように事業計画の中にうたわれています。しかし、人というのは非常に重要だということを感じておりますから、あえて申し上げさせていただいているところでございます。  御案内のとおり、おっしゃったとおり、本当に人と仕事の関係は労働組合との間で十分話し合ってやるのは当然のことじゃございませんか。しかし、皆さん方の方でこういう方向で行くという数字が示されないんだったら示されないでいいんですよ。そうはっきりおっしゃってくれたらいいんです。そういうことを言わないで理解せい理解せいと言って、この内容は理解できないですよ、こういうように申し上げておきたいと思います。  さて、そういう状況が参りますと、私はあえて申し上げますけれども、外部委託の拡大、こういうことが出てくる、これ以外にないと思います。とするなら商業化への道をNHKはたどっていく、そこでは公共放送というものが損なわれる現実を迎える、このように危惧するんですが、その点についてどうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  269. 島桂次

    ○島参考人 先生指摘の点もよくわかるのでございますけれども、私から申し上げたいことがあるのは、最近の放送技術というのはまさに革命的な進歩を遂げているわけでございまして、具体的な例を挙げますと、例えばニュースセンター、これは恐らく世界の放送局の中で一番進歩したシステムを採用しておりますけれども、そういう際には、仮に今までニュースを出すために十人要る人間が七人で済む、この技術革新というものと人間という関係が一つあるわけでございます。これは一つニュースセンターの例を申し上げていることでございます。したがって、これから先ますます、つまり機械が人間にかわっていくということ、これはこの五年間にかなりの数でそういうものが出てくるのじゃないかということが一つあるわけでございます。  それからもう一つは、これは今衛星第一チャンネルをごらんになっていただけばわかりますように、大体世界の主な放送局の主なニュースを同時に見せる、これは決して公共放送の質を落とすということではなくて、そういう新しい放送のアイデアといいますか、やり方というのがかなり変わってくる。それから、大きな番組、例えばNHKでつくった「シルクロード」とか「大黄河」とか「人体」とかいろいろありますね。こういったものにつきましても、NHKの人間だけがやるのではなくて外国の放送局と共同制作をする。つまりこういう側面から、NHKの人間が何から何までやるということではなくて、全世界的な広がりの中で質のいい番組をかなりつくれるという例もいろいろあるわけでございます。  ここで先生に私の方からはっきりお約束できることは、一体どういう業務量が五年間にあるのか、その業務量に見合う人間、これは絶対確保しなければその仕事もやれないし、現に労働組合の理解を得るわけにはいきません。ですから、その辺は、この五カ年計画で私どもが一応の試算として皆様方にお示しした数字に従いまして毎年毎年労働組合その他と十分話し合い、また、我々のやったことを郵政省初め国会の皆さん方から一年ごとにその辺の問題につきましてはいろいろ御意見なりなんなり承ってこの五カ年計画を完成したい、こういうふうに考えておるわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  270. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 平成六年を想定して衛星放送を一千万戸にしたい、こういうふうに言っておられます。このことは、今研究が漸次進んでおりますハイビジョンがプラスされる中でそのハイビジョンの普及、こういうことをも考慮に入れた事業計画になっているわけでございます。そうなりますと、今まさに財政的には構造的収支不均衡が起こっている、平成六年には勢いハイビジョンに対して有料化、こういうことを皆さん既にお考えの中へ入れていらっしゃるのかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  271. 島桂次

    ○島参考人 ハイビジョンにつきましては、先ほどほかの先生質問に答えたとおり、この五年間これを本格的に放送しまして、ハイビジョンの受信料を取るという考え方は今のところ私は全くございません。その五年たった後、先ほど先生の御指摘のあった巨大化の問題も含めまして何がNHKとして本当に適正な規模かということを、五年たった段階で改めて政府を初め国会の皆さん方の御意見を聞き、国民の理解を得るような形に持っていきたいというのが現段階の私の希望でございます。
  272. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣にお聞きしたいと思います。  今の討論の中でもおわかりいただいたと思います。今、我が国放送体制というものが一体どうなっていくのかということについて、私は非常に心配をいたしておるわけでございます。したがいまして、公共放送事業体としてのNHKをどのように位置づけられていくのか、また国民費用負担のあり方、このことについても検討を加えざるを得ないときが来ると思います。また、メディアの適正化についても、七波を八波にする、どんどんふやしていくという方向だけでなくて、公共放送ということで充実するのはこれこれだ、こういう使命を持ってやるんだということで思い切ってメディアも削減をしていくということがあったっていいのではないか、このように思うところでございます。その辺についての監督官庁としてのお考えをお尋ねしたい、こう思います。
  273. 深谷隆司

    深谷国務大臣 我が国放送は、受信料を中心にいただきながらやっていくNHKと広告料収入等で営業していく民放と二つあるわけでありますが、私は、この位置づけはこのままでいくのではないか、このままで競い合いながら進めていくということは必要なことではないだろうか、そのように思っております。  それから、NHK、つまり公共放送メディアがこのように多くなることはどうなんだという意見については、既にいろんな角度から議論がなされているところでありまして、数をふやしていくということは逆に財政難の状態を考えると適切でないという御意見も非常に強いわけであります。御案内のようにNHKは、テレビジョン地上系二波、衛星系二波、中波放送二波、FM放送一彼等の放送メディアを現在保有しているのでありますが、これから民間がさまざまに発展をして放送ニューメディアの発達等、その環境が変わってまいりますと、当然NHKもこのように多数のメディアを保有していなければならないという理由はなくなってくるわけでございますので、そこらは例えば郵政省放送の公共性に関する調査研究会の中間答申にもございましたように、メディアの見直しはこれからぜひ進めなければならない方向ではないか、そのように理解しております。
  274. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 NHK、どこへ行く、こういうことにならないようにお願いをしたいと思いますが、ただ、それがNHKに対していろんな意味で介入をするという意味でないということについても御理解をいただいておきたいと思います。  二つ目の問題、受信料料金の値上げについてお尋ねをしたいと思います。  最初にお尋ねしたいのでありますが、今回の事業計画の中に消費税というものが加わっているのは数字の上では当然のことと思います。そういう意味で、値上げ後の受信料、カラー月額千三百七十円、衛星カラー二千三百円、こういうふうになっていますけれども、消費税分というのは幾らなのか。また、NHKの予算案で事業収入のうち消費税分というのは一体どれくらいなのか。また支出としては一体どうなのか。結果として税務署への納入分はいかほどになるのか。少し参考にお聞かせをいただいておきたいと思います。
  275. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えいたします。  千三百七十円にさせていただきたいというふうにお願いしておりますが、このうち消費税は四十円でございます。  それで、平成二年度予算における消費税、先生のお尋ねについてでございます。売上消費税、つまり受信料収入にかかる消費税でございますが、これが平成二年度は百三十八億円でございます。それから一方、仕入れ消費税、物品・サービス購入価格に含まれる消費税でありますが、これが七十・四億円でございます。差し引き納入いたします納付の消費税は、この売上消費税から仕入れ消費税を引きました残りの六十四億円が納付する金額でございます。
  276. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 数字を教えていただきまして、このことが、いわゆる消費税がNHK事業に適用されておる、こういう現実の中で受信料値上げの大きな要素になっているということを一つは言いたいわけであります。したがいまして、逆進性が強い消費税というふうに言ってきましたが、ここでもそのことを申さねばならない、このように思います。  それから、二つ目に申し上げてみたいと思いますのは、学校等の受信料免除、さらに大臣命令などによる国際放送、こういう問題について経費が多少出ているとあります。NHKの方で海外放送をなさっている分についてはNHKが持っていらっしゃる、こういうことでございますが、そういう意味で、受信料免除分というのが百五十億あるのだという資料をちょうだいしたわけであります。すぐれてこれらの問題については、これほど厳しい状況の中でありますから、NHKに対して国が負担をする、軽減分とか海外への放送分については国が負担をする、こういうことはお考えになっているのかいないのか、お聞かせいただいておきたいと思います。ただ、私はわかりませんけれども、衆議院、参議院でこのことについては附帯決議ということで既にされている、こういうふうに聞いておりますから、その点についても明らかにしていただきたいと思います。
  277. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 NHKの受信料は、NHK放送を受信することのできる受信設備設置したすべての人から徴収する公平負担というのが原則でございます。そういう観点から、逓信委員会におきましても附帯決議でしっかり取るようにというようなお話があったときもございました。この原則に基づきまして、NHKは段階的に見直しをやってまいったところでございます。高等学校とかそういうレベルまではいただくというようなことに今現実にはなっておりますが、現在は小中学校とかあるいは社会福祉施設等が免除として残っております。この点に関しましては文部省、厚生省に私ども郵政省からもこの財源の措置等をお願いした経緯がございますが、来年度の予算の場合にも計上されなかったという経過がございます。そういうことでございますので、今後とも関係各省との調整を行うなど、免除の廃止という方向で進めてまいりたいと思っておるわけでございます。     〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
  278. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 財政が硬直化をしているということはよく御存じのはずでありますから、私はあえてここで、免除についても、あるいは国際放送についてはすべて国が責任を持つ、こういう態度が望ましい、こう思っていることを申し添えておきたいと思います。  衛星放送の問題あるいはハイビジョンの開発普及、このことは公共放送の先導的役割、こういうふうにおっしゃっています。向こう五年間でハイビジョンにかかる経費はどのくらいになるのか。私はこのことを、先ほども触れましたように、結果として聴視者のいわば求めざる方向という、ある意味では聴視者が犠性になってハイビジョンの有料化へと進む懸念を感じますので、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  279. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えいたします。  今先生指摘のように、放送の先駆的な役割、新しい分野を開拓しなさいという放送法上の役割がNHKに与えられておりますので、ハイビジョンにつきましても一生懸命頑張らせていただきますが、この五年間でハイビジョン関係にかかる実施経費は四百八十七億円を考えております。
  280. 島桂次

    ○島参考人 ちょっと補足させていただきます。  ハイビジョンにかかる金額はただいま説明したとおりでございますけれども、私が先ほど申し上げましたとおり、ハイビジョンは放送以外の分野かなり多面的な利用ができるわけでございます。したがって、映画制作とか印刷とか医療器具だとか、あらゆる分野にこの技術を利用するとによってかなりのある意味での収入が当然この五年間に図られるというふうに考えております。したがって、ハイビジョンにかかる費用は、全部とは申しませんけれども、我々の目標として少なくとも七、八割はそういったものを得まして、それを聴視料に還元するというふうに考えておるわけでございます。  それともう一点は、衛星放送につきましては独立に地上波とは別な形で会計をやっておりまして、当然のことながら一年度、二年度は赤字でございますけれども、一二年目くらいでとんとん、四、五年で衛星放送自体としてその費用を何とかしようということでございまして、地上波の方々の聴視料をそういった形でできるだけ負担させないという形で進めておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  281. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ハイビジョンの欠陥は、要するに小型化できない、機動性が悪い、こういう状況がありますから、今会長がおっしゃったような方向になればそれほどすばらしいことはないと思いますけれども、研究の段階とおっしゃっておるわけですから、もしそのことが我々の聴視料の助けになるなどということになると、今申し上げたようなことが進んでいかなければならぬ、こういうふうに思っておりますので、ぜひひとつその点について私はあえて、聴視者の犠牲の上でハイビジョンを真剣に進めるべきかどうかについては、先ほど申しました疑問を持っていることについては明確にしておきたい。  次に、放送衛星の問題であります。  BS2X失敗をしました。もう多くは申しません、端的に言います。百四十五億円かかったと言われております。経理上の処理はどうなっていくのかお尋ねしたいと思います。
  282. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  百四十五億円かかったわけでありますけれども、内訳をちょっと申し上げますと、実はこの百四十五億円のうち、成功報酬といいまして、衛星が無事軌道に乗りまして安定運用に入った後で払う報酬が十二億円あるわけでございまして、これは打ち上がった後に支払うお金でございます。したがいまして、NHKとGEとの間で契約時に払ったお金は百三十三億円ということになっております。  それで、ただいまお話がございましたように、打ち上げに失敗したわけでございまして、この百三十三億円のうち約百六億円がNHKに戻ってくる、こういうことになっております。このお金につきましては、この年度内にNHKに納入されまして今年度の決算で処理をする、こういう予定で考えております。
  283. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 いずれにしても、保険で返ってくる、こういうことがあったとしても、二十七億の保険料は国民負担になるわけであります。  BS2b、この打ち上げのときには国は四〇%、NHKは六〇%というふうに聞いておるのです。そして、今後打ち上げられるであろうBS3についても、宇宙開発事業団、これは国の機関だと思いますが、それとNHKあるいは通信放送衛星機構、こういうことでの比率が出ているわけであります。なぜBS2XのみNHKで単独に打ち上げられたのか、私は疑問に思うわけであります。そういう意味で、この問題について、いわばリスクを少なくする方向というのは何としても追求しなければならない課題だと思うのです。衛星に寿命がある限り上げていかなければならぬという現実があるわけであります。  そこでお尋ねしたいのであります。  私はそういう意味で、後続機の打ち上げについてリスクを少なくする、こういうことの中で郵政省は、通信衛星の中の中継器、いわゆるトランスポンダーをNHKのユーザとしてリースできるような法制化を早急に進めないのか、私にはわかりませんのでお尋ねをしておきたい。  それから、日米構造協議、こういうことの中で人工衛星の調達問題が通信衛星のところで起こっておりますが、放送衛星についてはどのようなことになっているのか明らかにしていただきたい、こう思います。
  284. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 先生質問の、構造協議におきまして衛星問題が話題となっているという御質問でございますが、現在はCSに関しまして、これがスーパー三〇一条の関連で問題になっているということでございまして、BSについては何ら問題になっているわけではございません。
  285. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 それでは、難聴対策の問題について少しく質問をしてみたいと思うのです。  テレビばかりが注目を浴び、私たちの国民生活にとって家庭の中ではかけがえのないものになってきていますが、カーラジオについてお聞きしたいのです。  カーラジオというふうに言いますけれども、車に乗りますとそれに頼る以外に道はない、こういう現実も生まれているわけであります。私は、車に乗りながら山間僻地に参りますと、かなりの部分でラジオが入らない、こういう経験をいたしておるわけです。NHKとしてこの問題について何とか考えてもらえないかという住民の声も大きいわけであります。  さらにラジオの関係でいいますと、私は兵庫五区でございますから海岸線でございます。その部分では夜間になりますと他国の電波がどんどん入ってまいりまして、NHKの電波がかき消される、こういう現状で難聴の実態が出ているわけであります。これらについても検討していただくことができないのか、お尋ねをしてみたいと思います。
  286. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  NHKの中波放送につきましては、昼間においてはほぼ全国世帯をカバーしてございます。全国の高速道路につきましても、昼間においてはおおむね良好に聴取可能というように考えておるところでございます。しかしながら、先生指摘のとおり、夜間におきましては近隣諸国の電波が混信をしてまいりまして、対策の必要な地域もございますが、これを対策していくに当たりましては、世界の中波放送は、一九七五年に締結された各国別の放送局の電力でございますとか周波数でありますとか設置場所等に関する地域協定で決められております。したがいまして、この国際協定上の制約を強く受けておるわけでございます。  このような困難な状況にはありますが、NHKはこの十年間で二十六局の小電力局の置局を完了し、三十八局の増力、六局の周波数変更を実施して、少しでも聞こえるように対策を講じてきているところでございます。引き続き平成二年度も一局の置局を予定して、混信の大きい既設局の増力でありますとか周波数変更について検討を進め、受信改善を目指しているところでございます。
  287. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 カーラジオのことですが、高速道路があるところはよろしいわ。高速道路のないところは、今のお話でいきますとあかんということですから。国道の周辺だって私の地域では聞こえないところがいっぱいあるのですよ。ポケットベルでも自動車電話でもその方向で努力しているのです。NHKも、やろうじゃないかという気持ちでしていただけないのか、お尋ねします。
  288. 中村好郎

    中村参考人 ただいま申し上げましたように、いろいろな制約条件の中で、許される範囲でやっておるわけでございます。そういうような陳情の多いところも現実に全国に何カ所かあるということも承知しております。この厳しい財政あるいは今言いましたように国際協定の制約、そういうものを乗り越えながら、少しでも改善に努力をしてまいりたいというように思います。
  289. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 やろうと思えばできると思いますから、ぜひ努力をいただきたいと思います。  私は今いろいろな問題を申し上げてみましたけれども、料金値上げを含む内容について疑問に思ったからであります。  さて、そういう状況に加えて、最後に質問させていただきたいと思います。ラジオでもテレビでも、視聴者の権利について制度化をしていただくということができないだろうかということです。視聴者放送の単なる受け手であります。消極的な立場に置かれているわけであります。受信契約を結ぶ義務こそあれ、NHKの経営に参加したり番組にアクセスするという道はほとんどありません。放送の自由は放送事業者の自由ではないはずであります。視聴者の知る権利、こういうことも認識をしてもらいたいと思います。  そういう立場で、先ほども出ておりましたけれども、まずベールに包まれた経営委員会内容の公表、このことを義務づける、こういうことはできないのか。そしてまた二つには、放送法第一条で放送による表現の自由の確保ということがうたわれていますけれども、聴視者の知る権利というものを規定していく、こういうことはできないのか。まず二点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  290. 深谷隆司

    深谷国務大臣 放送法は、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的」としております。これを受けまして現行放送法では、訂正放送とかあるいは取り消しの放送について規定するほか、放送番組の政治的な公平あるいは論点の多角的解明を定めて、あるいはまた番組基準の公表を義務づける等、視聴者の意向の尊重にもかなり配慮していると思っております。そういう意味では視聴者の権利、利益については一応配慮はなされているというふうに理解しております。  また、各放送局とも視聴者からの苦情の処理の窓口を設けてこれに当たっていると認識をしております。国会における予算とか決算の審議あるいは定期的な世論調査についても公表を行っておりますし、経営あるいは情報についても公開されていると思いますが、今度の料金の値上げに際して、私はNHKにあえて、放送などの方法によって、合理化とか効率化の実施状況を含む経営の概要を受信者に明白に知らせるように努力すべきだということを申し添えているところでございます。  経営委員会の公表については、私は経営委員会独自の御判断にお任せすべきではないだろうかなというふうに思っております。  以上の点から、ただいまの吉岡委員の御発言は貴重な御意見として承っておきたいと思っています。
  291. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣がおっしゃることについても理解をしますけれども、いずれにしても視聴者の立場というのは、先ほど言いますように放送者に向かってアクセスするということが本当にできない、こういう状況でございます。わずかにアクセスできる方法が一つあるわけであります。それは受信料不払いが今だと受信者の権利だ、このように思わざるを得ないのです。それ以外に今受信者の声を実効的にNHKに届ける方法がないからでありますが、その点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  292. 島桂次

    ○島参考人 私は、公共放送であるNHK先生指摘するような状態になっては大変だと思いまして、やはり国民の信頼、国民、聴視者とのコミュニケーションをもっと図らなければいかぬ。事実私どもがそういう意味での努力が十分でなかったということを反省しておりますがゆえに、これからはNHKの番組その他でできるだけ多くの視聴者の意向を取り入れた番組なりそういうものを、大臣の御指摘もありますから、精いっぱいやっていく。いずれにしても国民の信頼の上に成り立たなければやっていけない事業でございますので、その点十分注意してやっていきたいというふうに考えております。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  293. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今お答えいただきましたので、一生懸命やっていこうという姿勢を持っておられるのですが、いかんせんそれではどうかといいますと、苦情を言ってもナシのつぶて、こういう現実というのがやはりあるわけでしょう。したがって、放送の苦情処理委員会設置するだとか、あるいはNHKの蓄積情報を本当に公開する、こういうことも含めて考えていただきたいと思うのです。かつて消費税の世論調査の結果が明らかにされないなどということは、まさに放送主権をみずからが崩すものである、そしてまた視聴者に対して大変失礼、こういうように私は思っているわけであります。  ですから、そういうことが横行するということになるとするなら、私は、先ほど申し上げますような方法しか物は言えないのかという気持ちにもなるわけでありますし、もしそうでないとするなら、先ほど言いましたように、真剣に視聴者の知る権利というものを規定化していく、あるいは法律の改正を図っていく、こういう方向に持っていかざるを得ない、このように思うところでございます。再度決意のほどを伺っておきたいと思います。
  294. 島桂次

    ○島参考人 先生のおっしゃる御趣旨はよくわかっておりますので、精いっぱいこれからその実現のためにいろいろ努力したいというふうに考えております。
  295. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 以上、問題点をいろいろ質問させていただきました。いろいろな御回答をいただいたわけでございますが、そのことを本当に真剣にお考えになって検討いただき、さらに実のあるものにつながっていきますよう心から祈念を申し上げ、視聴者という立場での我々の生活、このことを通して問題を提起しましたことについてよろしくお受けとめいただきたいと思います。ありがとうございました。
  296. 上草義輝

    上草委員長 次に、上田哲君。
  297. 上田哲

    上田(哲)委員 NHK経営責任とじっくり議論をしてみたいと思います。  まず、NHKと商業化。基本的な理念、原理としてこれはどのような関係であるべきか。私は、NHKと商業化というのは絶対に相入れない方向ではないか、こう思うのですが:::
  298. 島桂次

    ○島参考人 御指摘のとおりでございます。
  299. 上田哲

    上田(哲)委員 NHK、つまり公共放送。公共放送という言葉のニュアンスは、営利的でない、金もうけしない、こういう言葉。長く薄謝協会などとも言われていました。しかし、今日NHKの商業化というのは避けて通れない課題になってしまっているとお考えですか。
  300. 島桂次

    ○島参考人 私はそう思っておりません。
  301. 上田哲

    上田(哲)委員 民放連から、NHKの商業化黙視しがたいという発言が寄せられたと思います。いかがですか。
  302. 島桂次

    ○島参考人 中川民放連の会長さん以下二、三の方から、そういうことがあってはならないという話は伺っております。
  303. 上田哲

    上田(哲)委員 それはNHK現状に対する批判ではない。あるべき姿へという指摘だけですか。
  304. 島桂次

    ○島参考人 現状につきましても、民放側から見るとNHKが商業化に走っているような面もあるのではないかという御指摘でございます。
  305. 上田哲

    上田(哲)委員 その現状については、会長はどのように認識しますか。
  306. 島桂次

    ○島参考人 私はそのようなことは、全くとは言いませんけれども、あってはならない、こう考えております。
  307. 上田哲

    上田(哲)委員 全くとは言えないというところが実は気がかりなのでありまして、その傾向が進むかもしれないというような懸念はありませんか。
  308. 島桂次

    ○島参考人 ここで上田先生に、もうこれは釈迦に説法かもしれませんけれども、ちょっとお話ししておきたいのは、最近の情報化社会とかニューメディア時代というのは、今まで上田先生NHKにいらっしゃったころと違いまして、NHK放送、我々のつくる放送素材がそのままで終わるということではなくて、これがいろいろな形で利用され、もちろんインターナショナルに日本国内だけではなくて、そういう時代になってきたわけでございます。したがって、我々が、例えばすぐれた放送番組をつくりこれを外国の放送局でやっていただく、あるいはこれを別の外国のCATVに流していただくということで、当然のことながらその見返りとして若干の金が入ってくるわけでございます。  しかし、これは、我々は株式会社の利益と違いまして、その金がそのまま聴視料に還元する、つまり十円の費用を使って番組をつくる、その結果八円のそういう見返りがあれば二円の放送番組の支出で済むというようなことで、聴視者の皆さんから預かった貴重な聴視料を有効に使うという側面がいろいろな形であるわけでございます。その行為が、何かこう聴視料以外の収入という形でそれをひっくるめて商業化という形に結びつけられるというようなことは、それは当たらないのじゃないか。そういう面での誤解がかなり民放方々の一部にあるのじゃないかということを私は懸念しておるわけでございます。
  309. 上田哲

    上田(哲)委員 言葉を整理しましょう。  商業化というのは、NHKにおいては金もうけを主にするなということ。文化の創造のために全力を尽くすことを中心に置かなければならない、こういうことでいかがです。
  310. 島桂次

    ○島参考人 そのとおりでございます。
  311. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで第二に大きな問題は、NHKの巨大化ということなんです。商業化という問題ともう一つ巨大化ということが憂えられていると思います。一つにはテレビの四波、ラジオの二波、FMの一波、合わせて七波、巨大な波を持つ。そして値上げで三割ほど事業規模も広がっていく。こういう立場でいうと、その影響の大きさを含めてNHKのとめどもない巨大化ということが指摘をされるのではないかと思います。これはいかがですか。
  312. 島桂次

    ○島参考人 今までのほかの先生方質問にもお答えしたわけでございますけれども、確かに自由主義社会において一つの放送機関、一つの情報機関が巨大化するということは、これは常識になじみません。  しからば、NHKがどの範囲が適正規模であるかということは、先生御存じのように、これからニューメディア情報化社会というのはどんどん音を立てて今変わりつつあります。したがって、私は当面この五年の間、主として、具体的に申しますと、衛星放送がどのぐらい成熟、普及していくかという模様を見きわめながら、これはやはり何といっても国民の皆さん方あるいは国会議員の皆さん方が基本的には判断する問題ですね、NHKが適正であるかどうか。そういう問題ではありますけれども、ここ五年の間は少なくともそういった客観情勢の変化を見ながら私どもは当面仕事を進めていきたい。  つまり、もっと具体的に申し上げますと、テレビ、ラジオの波を今すぐ削るという考え方は今のところ持っておりません。この五年の間にいろいろなメディアがいろいろな形で発展していくと思います。現に衛星放送も、日本で許されているチャンネルは八つあるわけでございます。そのうちBS―3を含めまして、今のところNHK二波、日本衛星放送が一波、まだ余っているものがあるわけでございますね。CATVの普及、パッケージメディア普及、いろいろな形でこれから本格的に情報化社会が進んでいくわけでございます。その中で公共放送NHKがどの程度の波、どの程度の仕事量が一番適当かということは絶えず耳を傾けながら、当面この五年間は私どもはそれをやりながら考えていくということを私は申し上げておるわけでございます。
  313. 上田哲

    上田(哲)委員 今、適正規模という言葉がありました。適正規模を常に検討をしていくと言われる。郵政省なりNHKなりの検討のプロセスを見ますと、このままではどうも適正と言えないことになるのではないかという懸念がある。具体的にそのプロセスでいうと、最近大変注目されるのは、八八年十二月の郵政省の「放送の公共性に関する調査研究会」の中で「NHKメディアについて検討を要する」こういう発言がありました。九〇年の二月に「NHK長期展望の提言」が行われる。そして九〇年三月にNHKの五カ年の「経営計画」が出ました。この中にこれまでにない言葉が出ているわけです。これは非常に抽象的な言葉なのでありますけれども、「事業範囲、メディアのあり方の検討」というところで云々された後、最後に「総合的な検討を進める。」こう書いてあります。この文言は、多くの議論の末たどり着いた表現であって、これは一波を減らすことを検討するということを意味していると理解されています。五年間はという話がありましたけれども、そうした流れ、視野の中でいうと、一波を減らすという検討が含まれているということですか。
  314. 島桂次

    ○島参考人 審議会の御意見の中にも、先ほど先生おっしゃられました郵政省の機関の話し合いの中あるいは日放労の話し合いの中で、テレビの一つのチャンネルを手放したらどうだ、そういう意見が出ていることは事実でございます。しかし、衛星放送の成熟をもうちょっと見守りながらあるいはほかのニューメディア進展を見ながら、当面は少なくともこのまま続けていくというのが私の考えでございます。
  315. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで三番目に、私はもう少し具体的に話を進めたいと思います。番組制作に絞って問題を展開いたします。  NHKの商業化、巨大化と大きなテーマを述べましたけれども、それが非常に具体化されていく問題は、番組制作のありようの中にいろいろな変化が出てきていることです。端的に言うと、NHKが自主制作するものと委託ないしは購入するもの、後の二つを一緒にしますが、委託・購入をする、つまり外で制作するものと内で制作するもの、この外のものと内のものとの比率がかなり変わってきていると思います。この数字を申し上げると、八五年度は委託がありませんで、外国映画などの購入が三・三五%でありました。これがだんだんふえてまいりました。ざっと申し上げると、委託は八六年度から一・四五%、五・一〇%、七・五五%、昨年は一〇・一%、そして九〇年度は一四・六%。購入は、三・三五%が三・四〇%、二・八〇%、二・九〇%、四・四〇%となって九〇年度は五・一%。つまりこれを合わせますと、八五年度に三・三五%だったものが、今年度八九年度は実に一四・五%になっている。そしてこのままいきますと、九〇年度はNHKの試算では一九・七%までになる。つまり二割を外で賄う、こういうふうになってきている。こういう傾向は好ましいのでしょうか、好ましくないのでしょうか、やむを得ないのでしょうか。
  316. 島桂次

    ○島参考人 私は、やむを得ないという言葉よりも、そういう形で展開するのが新しい公共放送のあり方であると考えているわけでございます。  なぜならば、例えば今全世界、インターナショナルな放送のネットワークというのは、十年前に比べますとかなり飛躍的に変わってきております。例えばニュース一つにしましても、我々が独自で全世界に特派員を派遣してニュースを取材するという形でやってきたものが、例えばアメリカのABCとかCNN、BBCとか、その放送、ニュース自体が丸ごと同時にNHKの中に入ってくる、それを聴視者の皆さん方に見せる。衛星第一放送なんかがその例でございます。あるいはアメリカ大リーグとかアメリカンフットボールとか、外国の放送会社が制作するものをある程度生であるいは準生で我々が受け取るというようなことで、十年前には全くなかった、いろいろな意味での単純な委託とか購入とかを離れた、必然的にそうなる番組なりそういうものが非常にふえてきている。  もう一つは共同制作。これも両方が同じように人、物、金を出し合ってつくるという共同制作もありますけれども、例えば我々のプランでディレクターが一人外国の放送局へ行って、外国の放送局でつくった作品をNHKで放映するという場合もあるわけでございます。  したがって、我々は確かに昔は番組というのは九十何%かはNHKの職員の手でみずから生み出したものでやっていたわけでございますが、これだけ放送自体が多元化し、多メディア化し、いろいろ情報の伝達手段が変わってきますと、当然のことながら質のいい番組、より聴視者にとって興味のある番組をできるだけ効率よく出す、聴視者の負担を軽くということ、さらに放送のインターナショナルという問題を考えますとかなりそういった意味での、先生指摘NHK自身でつくるものとそうじゃないものとの比率が時代とともに変わってくる。少なくとも五年後には二〇%くらい、これは衛星、地上波、ラジオ、テレビ全部含めてでございますけれども大体そんな割合になる方が、むしろ私は時代の趨勢に合っているのではないかという考え方を持っているわけでございます。
  317. 上田哲

    上田(哲)委員 五年後には二〇%くらいとおっしゃったのだけれども、一九九〇年は一九・七%になるというのがNHKの試算なんですよ。五年後ではなくて、もう間もなく二〇%になるのです。どこまでいくのかということをNHKがお出しになった五年間の経営計画の中に書いてあるのを見ますと、これもまた非常にわかりにくい表現なんですけれども、「すぐれた外部のソフト制作能力との連携を強め、多様ですぐれた番組の確保を図る。その他の業務についても外部機能の活用を進める。」という表現と、「民間の優秀な人材・プロダクションの活用、多様ですぐれた海外番組の購入など、番組の外部制作や購入を拡大する。」という表現があります。この表現を翻訳いたしますと、つまりはこれからの五年間で、今言われた二〇%ではなくて、ざっと三〇%くらいまで持っていこうというふうに討議が進んでおるように伺っております。そういうことではないですか。
  318. 島桂次

    ○島参考人 今私が二〇%と申しましたのは、先生指摘の購入とか委託とかというような数字を主として私は申し上げたのです。  私ども例えばNHKクリエイティブとかNHKエデュケーショナルとかいう関連会社をつくっているわけでございます。これは九九%NHKの人間が参画して、NHKの人間が出向してつくっている番組でございます。これはNHKの本体でつくるよりもより効率的につくり、なおかつそれが先ほど申し上げましたようにメディアミックスにつながるようなものをそういう形でやっておりますので、私はその計算を実は入れていなかったので今二〇%と三〇%で差が出ましたけれども、そういうものも、厳密にNHK本体以外のものでもあらゆるものがすべて含むということになると、先生指摘の数字になると思います。
  319. 上田哲

    上田(哲)委員 私は全部一貫制作で、NHKの中だけでつくれという時代ではないとは思います。しかし、言論の自主性とか自由というのは放送全体について放送局が一貫責任を負い得るかどうかというところにあります。全部自社制作でなければいけないとは言わないけれども、その比率の増大には量的にも一定の見解というか認識が必要だと思うのです。BBCなんかはこれを二五%としています。NHKはその二五%を超えるか超えないかということで言うならば今一九%だ、そして五年間で三〇%だということになると、もちろんBBCが絶対ではありませんけれども、一つの例として考えることになれば今判断時点です。二五%を超えるか超えないかというのが非常に大事な制作の姿勢の判断だろうと私は思うのです。いかがですか。
  320. 島桂次

    ○島参考人 先生のお考え方も一つの見識だと思いますけれども、もう一つの要素があるのじゃないか。我々NHKは厳然として編成権を持っているわけでございます。例えば委託番組にしても購入番組にしても、これを採用するかしないか、そこで我々の放送の自主的な一つの立場をきちっと貫けるわけでございます。したがって、二五%くらいが適正かあるいは三〇%までいくのは邪道か、そういう問題は別にしまして、いずれの場合でも我々に編成権がきちっとあり、これをとりこれをとらないという権限が我々に与えられているわけでございます。それを十分駆使すれば先生の御心配なされる点はある程度なくなるのじゃないかと考えておるわけでございます。
  321. 上田哲

    上田(哲)委員 まさに編成権なり制作の自主性なりがどのように確保できるか。それは、抽象的に言えば文化の創造とか報道の自由とかということになるだろうと思うのですが、例えばこういうふうに外注の数字がふえていくことの背景を考えますと、さっき御指摘の例えばエデュケーショナルというふうな会社ができた。NHKと大変密接な関係にある、人的交流もある、資本関係もあるけれども、明らかにこれは外部の会社であって、NHKの統括の中にどうあるといっても編成権そのものはない、そこにはそこの編成権もあり、そこの制作態度といいましょうか、そういうようなものができていってそこでつくられるものと、NHKの中でつくられるものとやはりそれは違うわけです。そういうものがふえていくのは、具体的に例えばメディアミックスの問題でありますとか、初めは外部に移転しやすいものとかいろいろな事情があったわけですけれども、だんだん外部の会社に乗せていくことを安易にしていく、コストの面でありますとかその他の面で楽な方にいってしまう流れというものがあるからではないかという心配を禁じ得ないのですね。その辺のところを、外郭団体だから編成権が必ず確保されているというのは少し強弁になりはしないか。その辺の心配はいかがですか。
  322. 島桂次

    ○島参考人 それは全く逆でございまして、エデュケーショナルにしてもクリエイティブにしましても、最終的に採用するしないは我々の決定でございます。ですから、彼らは我々に採用してもらえないものを仮につくった場合があれば、それをほかに流すなりほかにするほかない。我々は、エデュケーショナル、クリエイティブでつくったからやむを得なくそれを使うということは考えておりません。  まず今現実にやっていることは、密接な打ち合わせをし、こういう企画のこういうものをこういうふうにして幾らぐらいの予算でやりたい、これでNHKは使ってくれるかくれないかという折衝を絶えず密接にやった上で、クリエイティブなりエデュケーショナルが制作しているわけでございます。それでそれに合わないものは、場合によってはNHKで使わなくてもやるという場合があるかもしれませんけれども、今までのところ、ほとんどないはずでございます。
  323. 上田哲

    上田(哲)委員 では具体的に伺いますけれども、例えば今のエデュケーショナルでつくっている番組というのが実は大変人口に膾炙している有名番組でありまして、例えば「日曜美術館」、「きょうの健康」、こういう大変人々に見られていて評価もされている番組をNHKの中でつくらないで外部の会社につくらせる方がどこがいいのですか。
  324. 島桂次

    ○島参考人 それは先ほど申し上げましたように、そういう極めてすぐれた素材は、NHK放送だけではなくていろいろ外国の放送局とか、いろいろのほかのメディア、CATVとかパッケージとかそういうメディアミックスになじみやすいわけですね。そういうものはやはり初めからエデュケーショナルでつくらせた方が、NHK自体がつくってそれを供給販売会社に渡すよりも一元化して、それが非常に便利であるということでやっているわけでございます。
  325. 上田哲

    上田(哲)委員 一元的には理解しがたいのです。そうしますと、NHKでつくるよりもそういう外部会社でつくらせた方がいいものができるという言い方になってきます。NHKの中にいる優秀な人材をどんどん外部会社へ出して、そしてそこで番組をつくらせるという傾向にならないか。ひところアメリカに向かって言われた頭脳流出みたいな、局外才能流出みたいな傾向ということになることはありませんか、そう言われている部分もあることを懸念するのです。
  326. 島桂次

    ○島参考人 確かに今までの経緯を見ますと、御指摘のような傾向がなかったわけではございません。ただ、同時に先生お考えいただきたいのは、我々長い間、悪い言葉ですけれども、親方日の丸的なイージーな物のつくり方、そういうものがなかったわけではございません。したがって、先生御存じのように、今までNHKには長い四十年間の番組のつくり方とか、もろもろございます。そういうものをもう一遍再検討するという意味もいろいろ実はあったわけでございます。  そこで、そのより効率的なつくり方がNHKの編成権の及ぶ範囲内、あるいはNHKの番組として採用できるものを主としてつくる株式会社なるものをつくれば、NHKの内部でつくるよりもより効率的で質のいい番組ができるかどうか、その辺をひとつやってみようじゃないか。一つは、まずNHKの内部自体でより効率的な、よりいい番組をつくるということ。もう一つは、やはり形を変えてひとつやってみたらどういうことになるかということで、いわば二、三年前から本格的にそれを実験的にやっている面がございますので、これは当然のことながら人、物、金の交流がございますから、そこへ行ったら行ったきりではない、あるいはその人間の交流も十分図れますので、御指摘のような懸念はまずないのではないかというのが私の考え方でございます。
  327. 上田哲

    上田(哲)委員 踏み込みますけれども、会社が別になっている、いかに人的交流、資本的交流があったとしても、会社が別になってつくらせるんだということになれば、そこにも自主的な制作態度、方針がなければなりませんね。そこに十分な編成権があるんだというつながりというのは具体的にはどういうことですか。
  328. 島桂次

    ○島参考人 当然会社には自主性がございます。ただ、会社の自主性と私どもの編成権というのは、ある場合、一致する場合もあれば相反する場合もございます。したがって、先ほど申し上げましたように、我々の編成権になじまないものは自主的に番組をつくり、そういう場合が仮にあったにしても、それはそのエデュケーショナルならエデュケーショナルなりが別のところへそれを流してやるということだってこれは起き得る場合がある、こういうふうに考えているわけでございます。
  329. 上田哲

    上田(哲)委員 結局、会長の自由になる子会社だということになるのですか。
  330. 島桂次

    ○島参考人 子会社、親会社というのはちょっとそれが適当かどうかわかりませんけれども、いずれにしましても、NHKの質のいい番組をできるだけ効率よくつくるいろいろの方法を試してみるという意味合いで、別な組織、つまりNHKから独立した株式会社方式でやった場合にどうなるかという意味合いでございます。
  331. 上田哲

    上田(哲)委員 どうも私はのみ込み切れません。納得できないのですけれども、もう一歩進めます。  実験というのは、放送に関してみだりな実験は許されないと思いますね。そういう面で実は、今出た子会社というのではなくて、NHKの中でも今そういう制作上の態様が非常に大きく変えられようとしている。具体的には、番組制作局が抜本的に改組されようとしていますね。来月ぐらいには固まって、早ければ七月の組織改正が行われるというふうにも聞いておるわけでありますが、この番組制作局のプロダクション化、十一のプロダクションになるという。これはまだ煮詰まった名前ではない、仮称となっていますが、仮称十一のプロダクションに番組制作局が分かれる。この考え方は、今の話のような実験ということになるのでしょうが、ここではいろいろ細かいことは討議されているようです。突き詰めて言うと番組制作という筋で縦割りにして、そこにCPといいましょうか、次長級という人たちのレベルで人事権、編成権、予算権というようなものを専属させる、こういう考え方だというふうに理解しているのですが、それでいいですか。
  332. 島桂次

    ○島参考人 上田先生御存じのように、NHKは、戦前は別にしましても、戦後四十何年間に随分管理機構といいますか、それが膨大になりまして、なかなか現場の第一線のディレクターなりなんなりが本当の意味で自主的なクリエーティブなあれがなかなかできにくくなってくる、全部管理体制が二重、三重になってしまっている。そういう意味から我々は、質のいい番組をできるだけ効率よくつくることがNHK本体でも要求されているわけですから、かなりの部分、今までの管理部門が持っていた人、物、金に関する権限、それをできるだけ現実に自分で番組をつくっているセクションにある程度自由に権限を付与して、そこで新しい本当の意味でのクリエーティブなものをいろいろつくってもらおう、つまり中にある、二重、三重になっているいろいろな管理機構をもっとシンプルにしてしまう、その方がつくりやすいのじゃないか。そこで、そういう方針に従って放送担当の役員以下に今そういう形があり得るかどうかということでいろいろ検討させていることは事実でございます。まだ最終的な結論は得ておりません。
  333. 上田哲

    上田(哲)委員 それで七月改組ということになりますか。
  334. 島桂次

    ○島参考人 私の希望としては七月を目指しておりますけれども、これはまず部内の共通項、いわゆる共通した認識を皆が持たなければいけませんし、労使関係もございますし、いろいろなことがありますけれども、私は先ほど申した趣旨でまず徹底的にやってくれということを今指示している段階でございます。
  335. 上田哲

    上田(哲)委員 かなり踏み込んだ御発言です。私は実験という側面はできるだけ前向きにとらえてもいいですよ。しかし、これは内容的には大変な実験になるだろうと思います。NHKにこれまでなかったような思い切ったやり方になると思うので、当然懸念も十分にある。詳細を言うと、これはグッドモーニングプロダクション、グッドイブニングプロダクション、経済情報プロダクション、母と子のプロダクション、学校放送プロダクション、ベターライフプロダクション、サイエンスプロダクション、カルチャープロダクション、ドラマプロダクション、エンターテイメントプロダクション、音楽&FMプロダクションと十一あります。この項目を読むだけでもNHKの番組制作の大変な全面転換ということになるのですね。  簡単に言いまして、現場への分権という言葉はきれいだけれども、実際には非常に縦割りがきつくなり過ぎないか。トータルコストシステムです。言ってみれば請負ですね。だから、言葉として言えば、裁量枠は来るけれども、その範囲の中で必ずやりなさいということに実はなるわけです。  具体的に言いますと、大体これまでの制作の分類というのは、キャッシュ四〇%、人件費四〇%、スタジオ施設費などその他二〇%。今度CPが全責任を負って、一つのプロダクションを持つということになると、今まではキャッシュ四〇%分だけを持っていた分を全部持つということになる。裁量が非常にふえたようでもあるけれども、総枠を任せられるという立場からすれば経営側からは非常に締めやすくなるということもある。これは結局、NHKの外につくった子会社をNHKの中にも子会社をつくるということになるようだったら問題だなと思うのです。そういう懸念はありませんか。
  336. 島桂次

    ○島参考人 先生の御懸念も全くないわけではございませんけれどもNHKは御存じのように今大きな転換期に来ておるわけでございます。関連団体自体につきましても、私は二十幾つかの責任者に全部やめていただきました。新しい体制を組んでいるわけでございます。これは、本当に難しい局面に来たこの公共放送が本当に生き残れるかどうか大変な転換期に来ている。きょうも三百円の負担増ということを皆さんにお願いしているのも、今までの考え方の延長線上ではとても国民の皆さん方に御認識していただけないということもございまして、何回も繰り返しますけれども、多少の懸念はありますけれども、貴重な聴視料を極めて有効に使うという意味でまさに抜本的な試みを今いろいろやっているところでございます。
  337. 上田哲

    上田(哲)委員 これは、ただ勇気を持ってとか野心的とか実験的というだけでは済まない問題なんですね。放送という、文化創造という問題、そしてNHKの大きな影響力ということからいって非常に慎重に検討しなければならない、これは当然だと私は思うのです。そういう立場でいいますと、繰り返しますけれども、CPなり次長クラスという責任者が、プロダクションという言葉が象徴するわけですが、技術者からキャスターから何もかも全部抱えるということは、大変権能が与えられたようであるけれども、それなら全体のコスト計算の中で熟練者を切って若い方にかえてこっちのコストを浮かそうというようなことが出てきて熟練技術者などが排除されていくという心配も十分にあると思うのです。例えばそういう点はどうですか。
  338. 島桂次

    ○島参考人 私は、できるだけ早く、七月までに新しい体制を組みたい、こう申し上げておりますけれども、今先生の御懸念されているような問題も多々あるわけでございます。無理をしてやれば混乱を招きます。ですから、混乱を招かないようにできるだけの措置をしながら、できるだけ前へ進めていくということでやっておりますので、今先生が御指摘になっておるいろいろのプロダクションとかなんとかというのは、実は僕も今初めて聞いたわけでございまして、私は方向については指示しておりますけれども、具体的な成案というものは私はまだ見ていないわけなんです。私の基本的な考え方は、新しい方向を目指しつつ着実に、混乱を招かず、文化性の発展という先生のワーディングに沿うべく私はやっていくつもりでございます。
  339. 上田哲

    上田(哲)委員 間もなく四月なんですね。それで七月からできればやりたいと言われるわけですね。これだけ大きな改革、横を縦にしてしまうようなことなんですから、そういうのが会長のところまで行ってないというのでは、これは実に暴走になる心配があると私は思います。  例えば私のところにこれだけの成案資料があります。これは具体的にいっぱい書いてありまして、「プロダクションの専門性」「プロダクションの事業目標」「事業計画関連のプロダクション」「管理スパンとの関連」等々いっぱい出ているわけですよ。  ですから、これは会長にそこまで資料がいってなければ、関連の担当重役でも結構ですから、きょうは貴重な機会でありますから、私が述べた二、三の問題については、専門的な立場からぜひお答えをいただきたいと思います。
  340. 遠藤利男

    遠藤参考人 放送現場を預かっておる遠藤でございます。  確かに私ども、ここ数年かけて番組制作の新しいあり方はどうあったらいいのかということをいろいろ議論してまいっております。その中で、今先生が御指摘になったような考え方の方向でまとめつつありますし、それからただいま会長が申し上げましたような現場の活性化、管理構造の簡素化、そういうことによってもっともっと独創的な文化性の高いソフトをつくり出す、そういう仕組みは一体どうやったらできるのだろうかということをずっと腐心しながら考えてきてまいっているわけでございます。ただ、このソフトをつくるということは非常にデリケートなところがございます。ソフトの制作に参加する全員のモラールの問題、そういうものが低下したらいいソフトはできないわけでございます。  ですから、そういう諸問題をいろいろ勘案しながら、理想の姿は一体何だろう、そこへ到達するには一体どういう道筋を立てて、何年間かかけて到達するのがいいのか、あるいは一挙にやるのがいいのかというのも目下議論している最中でございます。そういうことで、私どもは、今年度は何らかの番組制作体制の変更について提案したいというふうに思っております。
  341. 上田哲

    上田(哲)委員 全然これでは私は心配です。こんな調子でばあっといかれては大変だと思いますよ。これはちょっと時を改め、場所を改めてでもしっかり議論しなければだめだな。  先ほど来私が具体的に申し上げた、グッドモーニングプロダクションだったら三十六人。グッドイブニングプロダクションの五十五人から始まってずっと各プロダクションの人数まで、こんな端数の単位まで全部出ている。ここまで議論が進んでおるわけですから、これでその程度の、何とか勘案してなんという抽象的な話で、あと百日足らずでスタートしてしまう。そういうところでつくられる番組というのには、私は大変不安を持たざるを得ない。  時間の範囲で具体的に一つだけ聞いておきますね。例えば、出されているさまざまな資料によると、今番組制作費が足りなくなって、「趣味の園芸」とか「NHKスペシャル」なんというのは切り下げを行っているという。制作単価でいいますと、「趣味の園芸」は九十万円が八十八万七千円、「NHKスペシャル」は千三百二十四万円が千三百八万二千円と、えらい細かい数字まで全部出ているわけです。例えば「のど自慢」などの地方公開派遣番組が、八四年には三百三十本だったのが、八九年度は二百六十本になってしまった、地方サービスもできないというようなことが出ているわけです。  非常に大まかな質問を一つしますけれども、例えば今度値上げが行われる、それを背中に負いながらこうした大変革としての縦割り十一プロダクションが発足をしたらこういう状況はもとに戻るのですか。プロダクションに対する制作費はふえるのですか。端的にお答えいただきたい。
  342. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘の点でございますが、今度の経営計画は当然第一目標に放送内容の充実ということを掲げてまいっております。三百円の値上げが約五千億円の資金になるわけですが、その中のかなりの部分を地上波の充実ということに掲げてまいっておるわけです。ですから、私どもはもちろん効率的に資金を使い、一番低廉にしかも品質の高い番組をつくるという努力をするわけですが、そういう資金計画の中で充実したいというふうに思います。
  343. 上田哲

    上田(哲)委員 効率的に低廉にだけではよくわからない。  じゃ具体的にもう少しだけ聞きますよ。例えば「趣味の園芸」「日曜美術館」「NHK日曜スペシャル」こういうものの制作費が戻るのか。経費減でなくなったと言われている人形劇の「三国志」「ひげよさらば」。あるいはドラマの番組が八三年の六百九十三本が四百五十七本に減った。仕方がないから時代劇から現代劇に変わったとか、それが戻るのか。派遣番組が二百六十本になっているのが例えば三百三十本台に戻るのか、外国映画の単価の問題も解消するのか、あるいは芸団協、レコード協会との交渉の問題も前進するのか。こういうことがなければ、ただ金が足りない、あるいはプロダクションにすれば制作意欲がわくだろうという抽象論では、こんな実験をNHKがしてもらっては困る。具体的に答えてください。
  344. 遠藤利男

    遠藤参考人 番組の価格、コストというのはその時代時代、視聴者のニーズによって変わってくるものと私は思います。ですから、私は基本的にはもとに戻るというよりも、もとよりも増強されると考えますが、それは番組の内容いかんでございまして、私たちは、全体にばらまくというよりはきちっと重点を置きまして、皆さんからいただく受信料を有効に使いたいと思っております。  それから、出演料についてでございますが、これも長い間出演者の皆さんにずっと我慢をしていただいておりますし、民放との格差も非常に開いております。ここのところ値上げをしなかったために出演料の値上げも出演者の方々あるいは関連の団体の方々に毎年毎年多くの我慢を強いてまいっております。そういう点についてもきちっと是正したいと思っております。
  345. 上田哲

    上田(哲)委員 全く納得いたしません。そんな抽象論じゃ困る。出演料の問題なんというのは、私はなぜかNHKには出してくれませんから一向に実感がありませんけれども、制作費というものはもう少し具体的でないと困る。番組のケース・バイ・ケースによるなんと言われたのでは、私は納得できないし、値上げ分はどこに使うのだということにならざるを得ません。  まとめて伺っておきます。ケース・バイ・ケースでなく、全部トータルとして含めて伺うからきちっと答えてくださいよ、これは会長に答えていただこうと思うが。  番組制作関係経費はこれによって百八十億円ふえるということでいいですか。
  346. 島桂次

    ○島参考人 今先生がお持ちになっている資料は恐らく現場でいろいろの案をつくっている中の一つでございますので、まだ目下その辺については経営としての最終的な決定は事実やってないわけでございます。しかし、当然のことながら、ある程度の番組に対する増強といいますか補強といいますか拡充はやらなければいかぬ。ただ、その百八十億云々という数字はまだ私の手元へ来ておりませんので、その辺も含めましてこれから七月にかけて鋭意検討します。  重ねて申しますけれども、私は、現場の混乱とか番組の質の低下とかそういうものがあっては、これは角を矯めて牛を殺すようなものでございますから、そういうことを避けながら最大限のことをやるということだけをはっきり申し上げておきます。
  347. 上田哲

    上田(哲)委員 もう一点、退職金を含めて人件費千五百六十億円以上の増額という約束がなければ話にならぬと思いますが、いかがですか。
  348. 植田豊

    ○植田参考人 今後とも受信者の理解を得るために私どもが人件費の節減努力を一生懸命やらなければいかぬという側面については先生十分御承知のことと思います。一方で、職員の処遇については最大の努力をいたします。今おっしゃいましたように今回の改定の中では最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  349. 上田哲

    上田(哲)委員 具体的な数字をここでやりとりをするのは無理だろうとは思うし、私が今持っている資料は何の資料だと申し上げるつもりはないが、あなた方が精査しているいろいろな数字の当たらずといえども遠からざるところに来ているということは間違いないはずですよ。私はそれを最低限として、この数字は受信者に対して社会的な約束でなければならないだろうということを申し上げたいわけです。その限りでは組織の縦割り、横割りもこれから議論をしましょう、番組制作のあり方も考えましょう、それはこれから長い議論にゆだねるとしても、値上げを含む予算案審議の場で少なくとも今目に見える保証は当然です。制作費が減ったまま親方制作方式でプロダクションでやりなさいと言われたってこれではよい番組ができなくなるのは当たり前で、内も外もみんな子会社になってしまうわけです。もう一つ、外務職員が一生懸命頑張っている受信料収納やパラボラアンテナ探しの努力からいっても、千五百六十億円ぐらいは専門家であるならわかる数字であるはずです。この数字をオウム返しに言えとは言いませんが、会長、番組制作関係費の百八十億、人件費の千五百六十億というのをわかる言葉で御答弁をいただきたい。
  350. 島桂次

    ○島参考人 おっしゃるとおりの数字を目標にしてやっていきたいと思っております。
  351. 上田哲

    上田(哲)委員 最後に衛星放送について伺いたいのですが、時間の関係から絞ってお伺いをいたします。  衛星第二に絞るのですが、衛星放送は八九年六月の新編成以来大きく変わったという問題を指摘しないわけにはいきません。衛星放送について長い議論をぜひしたいのでありますが、私はきょうの論点の中心を難視聴解消ということにまず絞っておきます。  難視聴解消というのは、これはNHKの本来業務である。放送法七条に照らすまでもなく、NHKが公共放送の姿勢とプライドにおいて最後までいかなる者の手もかりずやり遂げるというのが私は当然のことだと思っています。これは確認するまでもないことですが、改めてしかと確認しましょうか。
  352. 島桂次

    ○島参考人 そのとおりでございます。
  353. 上田哲

    上田(哲)委員 そうなると、今非常に困難な状況になっているということはわかるのですけれども、基本的に難視聴解消のありようの全き姿は、地上波をもってやることなんですね。この地上波が物理的にあるいは経費的にできなくなってきたとなれば、可能な限り衛星第二によってやろうというのが今までの方針であったはずですね。だからもともと衛星放送では完璧ではない。完璧ではないのだが、その衛星第二にかけられていた期待、つまり具体的に言えば衛星第二の編成方針というものが八九年六月の新編成以来、そこにかけられていた期待というものとさらに乖離が見られる、ここが私は非常に問題だと思っています。この点についてはまず郵政省から、その辺をどう考えているか聞いておきたいと思います。
  354. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 衛星第二放送におきましては、難視聴解消目的を損なわない範囲内で一部の独自編成による放送を行うことといたしました。NHKにおいてその趣旨に沿った運用が行われていると存じております。
  355. 上田哲

    上田(哲)委員 そう行われていると思っているのですか。  郵政は、第二が八九年六月三日に十九時間からハイビジョンを含めて二十四時間放送になったときに、番組名でいえばトゥデーを含めて地上波の放送を六〇%確保せよという、これは何というのですか、指示ですか、要望ですかをされた。これが一つのあり方になっているはずであります。そういうふうな趣旨からすると、郵政としてはこれでいい、満足している、今の言葉のようにその趣旨に沿って十分に行われているというふうに考えているわけですか。
  356. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 そのような趣旨に沿った運用が行われることを私は期待しておるわけでございます。
  357. 上田哲

    上田(哲)委員 そんな答弁、だめだよ。郵政が期待しているのは当たり前なんだ。だからその実態をどう見ておるのかとさっきから聞いておるのだ、局長
  358. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 この番組編成に当たりましては、国民生活に非常にかかわりの深い番組を中心に総合及び教育放送から混合編成をする、この難視聴解消のための番組とともに、台風等の気象情報災害時のいわゆる緊急放送ども行っているわけでございます。今後とも難視聴地域視聴者のニーズに的確にこたえていただくことも同時に期待をしているわけでございます。
  359. 上田哲

    上田(哲)委員 こういう役所の答弁は時間のむだだからもうやりませんが、実際にさまざまな不満が出てきているわけです。私は、これはNHKがぜひ真剣に受けとめなければならないことだと思っています。まあ、監督官庁がああいう腕抜けのような話をしていますから、郵政との関係はそれでいいでしょうけれども。しかし例を挙げるなら、小笠原からの苦情、やはり東京中心でつくった番組編成しかもその時期から変わった二十四時間放送。これはいい言葉で言えば独自編成、別な言葉で言えばエンターテーメント、娯楽志向というものが非常に問題になってきているという証左だと私は考えています。NHKはその後若干の修正などをされたから、それはそれなりに一つの接点にはなっていると思いますけれども、しかし従来一三%から一五%の独自放送枠であったものがここまで広がってしまった、私は、モーニングサテライト、キッズアワー、衛星スペシャル等々、それぞれに理由はあるとしても、全体としてNHKは、衛星第二放送は難視聴解消というところにもっと大きなウエートを置いていくべきであって、その配慮は十分ではないんじゃないかということを申し上げておくのだがいかがですか。
  360. 島桂次

    ○島参考人 先生の御趣旨もよくわかっておりますし、具体的に指摘された春日局を飛ばすなんというのはとんでもないわけでございまして、必要にして十分なものをできるだけ出したいというふうに考えております。
  361. 上田哲

    上田(哲)委員 春日局論争というのが適切かどうかと思いながら、小笠原の人の気持ちを考えて指摘しているわけでありますが、小笠原などからの要望というのは、春日局を見ようと思ったら突然オペラの番組が入ってきたというところに問題があるわけで、春日局の時間に急にそこにオペラが出てくるようなのはこれは一体どういうつもりで番組編成をして放送しているのかということになる。台風が近いのだから気象情報をしっかりやってくれないかと。ところが、そこにオペラが出てくるというような放送は難視聴解消なんという話とは全く違うあり方なのだというところを具体的に指摘したいのです。  その問題はさらに具体的な課題として先に譲っておくとして、どうしても指摘しておかなければならない最後の問題は、いわゆるNHKコマーシャルですね。放送までかませ、風船飛ばしたり小学校の校庭で人文字をつくらせて放送するなどという放送そのものを使っての衛星放送PR。言葉はよくないけれどもかなりえげつなくこれでもかこれでもかと出されるNHKコマーシャル。特に有識者の指摘するところは、夜七時のニュース、これはNHKにとっては信頼のポイントのはずです。その夜の七時のニュースの後の三分間をテレマップなどということで番組宣伝をやる。ニュースの信用度にコマーシャルを乗っけるというのはNHK本来の姿を商業化し過ぎているのではないかという批判は免れないのではないか。NHKのために惜しむ。  こういう点でいいますと、スポットというのが、八九年一月から見てみましても、例えば八九年の四月、二百一回でありました、スポットだけです。これがずっとふえているんですが、奇妙なことは、八九年の十一月、十二月には何とこれが二倍、五百四十五回、五百三十三回などという大きい数字になる。これはなぜかというと、ボーナス時期なんですね。サラリーマンのボーナス時期をねらって、それパラボラを買いなさい、ぜひ衛星を見た方がいいですよ、ノーカットで懐かしの外国映画を見せますよというようなのは、NHKの純度のために少しやり過ぎではないか、私は、NHKもまたコマーシャルかと陰口をたたかれるようなやり方をするのは正しくないのではないかということを惜しんで言いたいわけであります。この数字は私は一考を要すべきものだと思いますが、いかがでしょう。
  362. 島桂次

    ○島参考人 私が衛星放送普及発展ということを強調した余り現場で先生方指摘のような、やはり私が見てもこれはやり過ぎかなということがあったことは事実認めておりますし、それはこれから是正していきたいと思っておりますけれども、ただ、一言だけわかっていただきたいのは、NHK放送は時間いっぱいまである番組をやってその次またすぐ次の番組が始まるということよりも、一種の句読点的な役割、こういうものがスポットにあるんだ。これは全世界の編成技術を見てみましても、コマーシャルステーションはもちろんそこへコマーシャルが入るわけでございますけれども、そうじゃない我々、例えば長時間番組を組みますと、休憩時間みたいな音楽を五分間流すというような効果もやり方によってはスポットにあるんだ。ですから、スポットをふやすということが絶対に悪いんじゃなくて、問題はそのスポットの内容が、NHKの商業化を疑わせるような内容はいかぬ、そういう一つの側面もあるということを御認識願いたいと思っております。
  363. 上田哲

    上田(哲)委員 今ボーナス時期と言いましたけれども、もう一つつけ加えるなら、六月、八月が三百五十六回、三百八十四回などと多くなっているのはちょうど番組改定と衛星料金を取ることになった月なんですね。そういうときにばあっとスポットをふやすというのはちょっとNHK的でない。お認めになっているんだから、ぜひそれらしくやっていただきたい。私は、NHKは、公共放送とは何かを追求し切ってもらいたい。言葉は難しいけれども放送とは文化論であって、本当のすぐれた放送を出していくというところに中心を置くべきだ。それがNHK発展あるいは経営論にもなるのだということをぜひ言いたいわけです。  民放を例に出してはいけないけれども、例えばあるテレビ局は一時九〇%まで外注した。しかし、それがこのごろ自社制作に戻ってきていますね。こうやって自分のところで責任を持って一貫制作をしていくのが文化創造の一つの条件だということを考えてみるべきです。商業放送から出発したアメリカの例もそうですから、ぜひそういうところへ向けて努力をされるべきではないか。  最後に一つ提案です。難視聴地域解消ということがきょうこの場でも大きく議論されてきました。衛星第二を見直すことです。これだけ七波も持っているNHKだし、一つぐらい考えてはどうかという議論まで五年のスパンの中で起きているときでありますから、ここで一遍立ちどまって衛星第二は二十四時間ではなく十八時間、十九時間という放送の中で密度をしっかり凝集しながら難視聴解消のために本道を歩いてみるということはいかがでしょうか。最後にその点を提案します。
  364. 島桂次

    ○島参考人 貴重な意見でございますので、十分検討させていただきます。
  365. 上田哲

    上田(哲)委員 終わります。
  366. 上草義輝

    上草委員長 次に、草野威君。
  367. 草野威

    ○草野委員 きょうは、午前中からNHKの本年度の予算につきましてかなりの論議がございました。私もできるだけ重複を避けたいと思いますが、一部重なるところもあろうと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。  まず初めに、NHKに対してお伺いしたいと思いますが、最近のNHKに対するイメージの問題でございますけれども、以前と比べますと、NHKのイメージがいろいろと変わってきているようでございます。この世論調査の結果を見ますと、平成元年度の九月に行ったものでございますけれどもNHKに対するイメージにつきまして、昭和五十五年、十年前に比べますと、新鮮味ということにつきまして、五十五年が四七%、今回は三八%に減少している。新鮮味があるということが十年間でこれだけ減少している。もう一つは古臭い。これは昭和五十五年が二四%、今回は三九%へ増加しているわけでございます。新鮮味が今までと比べてなくなった、そして今までに比べて古臭くなった、これが最近のNHKに対するイメージとして世論調査の結果出ているようでございます。  こういう結果につきまして、今回のNHKの長期展望に関する審議会、この提言を受けてどのようにNHKとしてはこれから改善をなさっていくつもりでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  368. 遠藤利男

    遠藤参考人 十年前に比べて新鮮味が足りなくなったあるいは古臭いという意見がふえたということは、私ども非常に残念に思っております。私たちの番組での努力がまだまだ足りないなと痛感しております。そういう面で、これからいろいろな番組の運営については一層改善の努力をしていきたいというふうに思います。
  369. 草野威

    ○草野委員 今のお話を伺っておりますと、我々の努力が足りなかった、これからもいろいろ改善、努力していく。ありきたりの答弁ですけれども、こういうことに対してはもう少し深刻になって受けとめてもらいたいと思うのです。きょうも、朝から番組の問題についてもいろいろ議論がございましたけれども、もう一歩踏み込んだお答えをいただきたいと思います。あなたの個人的な感想でも結構です。
  370. 遠藤利男

    遠藤参考人 その新鮮さとか古臭さというのは、一つは、私ども世の中のいろいろな潮流というものと関係しているというふうに思います。私どもが公共放送としてしなければならない仕事をするということが、今の世の中で古臭いとか新鮮じゃないと思われる面もあるかもしれません。しかしながら、私どもが送り出す情報というのは、絶えず新鮮にあるいはその人たちに興味を持っていただいて、生き生きと伝わるあるいは深く物事を考えてもらえるように伝えるということが私どもの使命であると思います。そういう意味で品質の高いソフトをしかも豊かに、たくさんつくることによって私たちのイメージを変えたい、変えることが番組を任されている私の使命であるというふうに思っております。
  371. 草野威

    ○草野委員 放送の中立性という問題についてお尋ねをしたい思います。  平成元年度の予算の審議の際に、この逓信委員会におきまして附帯決議を行っているわけでございます。その中で「放送の不偏不党と表現の自由を確保すること。」このようにあるわけでございますが、一昨年の五月のあの大型間接税、これについて世論調査が隠されていた、こういう問題が一つありました。また最近では、消費税に関する世論調査の結果が紹介されなかった、こういう事態も起きているようでございます。また、不偏不党の報道する立場の方が特定の候補の応援を行う、こういうことで当委員会の決議を軽視していると思われるような点がございますけれどもNHKはこれらの点につきまして、今後どういう姿勢で臨まれるか、会長の決意を伺いたいと思います。
  372. 島桂次

    ○島参考人 ただいまの先生から御指摘された消費税の問題とか間接税の問題については、私が聞いている限りでは若干一般的に誤解がございまして、私ども放送の上ではそれをきちっと出しているというふうに聞いております。ただ、討論会の中でこれを紹介するということが途中一部変更になりまして、その結果いろいろの誤解を世の中の有識者の方に与えてしまったということがございますけれども、そのようなことのないように私もこれから慎重に現場によく指示しなければいかぬと思っております。  また、特定候補云々の問題につきましては、やはりこれは記者のあり方の基本的な問題でございまして、私ども、以後こういうことが起きないように、厳重に注意していくつもりでございます。
  373. 草野威

    ○草野委員 先ほども出ておりましたけれども、先月行われました衆議院選挙の開票速報の問題でございますが、これにつきまして、テレビ、ラジオ、全国のマスコミが大活躍をされたわけでございます。その結果、一部のテレビ、ラジオが誤報をされた、NHKも含めてということでございます。先ほど会長のお話の中で、この問題につきまして、NHKとしても非常に重大な問題と認識している、民放の報道に今後は惑わされないようにやっていきたい、次から二度とこういうことを繰り返さないように全力を挙げていきたい、こういうような趣旨お話がございました。  この件につきまして郵政省にお尋ねをしたいと思いますが、郵政省は、この件につきまして、NHK全国民放約百六十社に対して事実関係調査報告を求めた、このように報道されております。どのような調査が行われたか、その内容についてはどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  374. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 私どもがあのいろいろな報道があったときにやはり正確な事実は知っておくべきじゃないかというようなことから、私どもの事務連絡というものがございますが、そういうもので各地方にございます電気通信監理局にお手紙を出しまして、そして、そこから先は自由にその地域のコミュニケーションというようなことで、実際の実情はどうだったかというようなことをお聞かせ願ったわけでございます。こういう照会に当たりましては、これは任意のものでありまして、個別の内容については公表をいたさないということで、私どもお話をお聞きしたということでございます。国政選挙の投票結果に関する放送でもございますし、件数も相当数に上っておりましたものですから、その実態把握が必要と判断してやったものでございます。
  375. 草野威

    ○草野委員 いずれにいたしましても、放送内容にもかかわるものでございますので、こういう問題につきましてはぜひとも慎重を期していただきたい、このようにお願いをしたいと思います。  次に、難視聴対策の問題でございますが、私の方から、特に都市の難視聴対策につきましてお尋ねをしておきたいと思います。  それで、きょうは午前中に新しい法案が成立いたしまして、特に僻地の難視に対しましての助成が決まったわけでございます。このけさの審議を伺っておりましても、緊急とはいいながら、約十万の僻地の難視聴に対しまして今後約十年もかかるということでございますし、年間にするとわずか六千件程度の対策しか講じることができない、また、既にアンテナをつけた八千件ほどに対しましては、これは法施行以前であるということで対象にならない、また、今後早くつけたいけれども、もう待てないという人で、先につける人も出てくるかもしれませんけれども、恐らくそういうものも対象になるかどうかわからない、こういうような問題もあろうかと思います。  特に、年間約六千件程度しかこれから進んでいかないわけですね。それで、これから約五万円というものが助成されることがこれで決まったわけでございますので、ともかくこれから五年も七年も待っておることはできないということで先につける人も出てくると思いますが、こういう人たちに対してはどういうような取り扱いになりますか。
  376. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 都市難視に関しましては全国的に六十七万世帯ほどあるというふうに推定されておりますけれども、今後ますます増加をするのではないかと私どもも考えているわけでございます。  この都市難視は、現在では原因負担ということで、高層ビルなどをお建てになった建築主がいろいろとその方策を考えまして、CATVであるとかあるいは一部ではSHF放送というような形での救済をしておるわけでございます。今後技術革新もどんどん進むと思いますし、都市難視ということに関しましては基本的にはやはりCATVというような有線系のネットワークでやることが多チャンネル化という時代の要請にも合ったものではあろうかと思いますけれども、今後の技術開発を、都市難視の救済に向けて私どもも検討を進めてまいりたいと考えております。
  377. 草野威

    ○草野委員 僻地の場合は、約十万世帯に対して今後十年程度で解消していきたい、こういうようなお話でございましたけれども、都市の難視聴対策について今六十七万というお話でございます。これについては大体何年程度で解消していくおつもりか、この辺のところをひとつお示しいただきたいと思います。
  378. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 高層ビル等がどんどん建っていく時代でございますものですから、この都市の中での難視聴は増加の一途をたどっていくのではないかと思うわけでございます。しかも、原因負担ということで現在救済をしておるわけでございますけれども、複合障害といいまして、なかなかその原因者がわからないというような状況が多々ございます。そういうような現実を考えてまいりますと、これは何年で救済ができるというような・ことを的確に申し上げられないのが実情でございます。  しかしながら、このCATVというようなものも、多チャンネル化という現代の時代の要請にこたえた形で都市型のCATVが非常に発展をしておるわけでございまして、この都市型のCATVの発展によりまして都市内での難視聴対策に対処することが一番いい方法ではないかというふうに考えているわけでございます。
  379. 草野威

    ○草野委員 今の局長お話は理解できないわけではございませんけれども、ともかく六十数万という大勢の方々が難視で苦しんでいる。今お話があったように、原因負担ということで、地域ではかなり難儀をしております。どうかひとつ、新しい技術の開発、そういうことを含めまして、できるだけ早くこういう問題を解決するように郵政省としても努力をしていただきたい。お願いを申し上げておきたいと思います。  それから、今回のNHK平成二年度の収支予算につきましては、いろいろと御説明等を伺ったわけでございますが、いずれにしても、大幅な受信料の値上げを含んだ収支予算案でございました。慢性的な赤字経営体質のNHK、これまで赤字が膨らんでまいりますと受信料を値上げする、こういうことで今まで乗り切ってきた、その場しのぎの対策を繰り返してきた、このようにも言われているところでございます。  今NHKに求められることは、何といっても長期的な視野に立った徹底した経費の節減、それから経営方針、そして効率的な経営をやっていっていただきたい、こういうことでございますが、こういう点がやはり明確になっていなければ、今回のこの値上げにつきましても国民からの理解というものはなかなか得られることは難しいのではないか、このように考えているわけでございます。そこで、今回のこの値上げにつきまして国民にわかりやすく、端的に、どうしても値上げをしなければならなかった、こういう理由につきましてお答えをいただきたいと思うわけでございます。  昨年もこの値上げ問題が出たやに伺っておりますけれども、これは何かNHKの前会長のいわゆる失言問題等によって流れた。そしてそのかわりとして昨年の八月から衛星放送有料化が実現をされた。しかし、またことしの二月、その補完衛星の2Xが失敗してしまった。いろいろなこういう問題がある中での今回の値上げでございます。国民はどちらかというと首をかしげている人が多いのじゃないかと思いますが、そういうことを含めまして会長からこの問題につきましてのお答えをいただきたいと思います。
  380. 島桂次

    ○島参考人 先生おっしゃるとおり、今度の聴視料値上げということが聴視者の皆さん方にとって大変な御負担になるということを私どもはいたく痛感しているわけでございます。ただ、私どもの言いたいことは、新しい時代の新しい公共放送を構築するために、やはりどうしても必要不可欠ないろいろの体制、組織づくりあるいは番組をかなり今までより広範にインターナショナルに、いろいろな意味で拡充発展させなければいかぬ。そういう中でもちろん徹底した効率化、徹底した合理化もやっておるわけでございます。  そういう意味で、簡単ではないということをこれから先本当に国民の皆さん方に知ってもらうためには、何年かごとに赤字を積み重ねて、それで値上げしていただくことによって解消するというような、こういう体質を根本的に変える方法は何かないかということで、番組のつくり方とかあるいは仕事の全般的な進め方、こういうものに徹底的にメスを入れて、何といいましても、なるほどNHKは変わってきたなという姿をこれから先国民の皆さん方によくわかっていただかなければ、仮に値上げが決まったってその料金はいただくわけにはいかぬ、まさに私どもは、ある意味での非常事態に今公共放送は来ているという認識を持っておりますので、何分その面につきましての御理解と御協力をお願いしたいというのが私の偽らざる現在の心情でございます。
  381. 草野威

    ○草野委員 NHKの今後のそういう御努力というものに御期待申し上げたいと思います。  今回のこの五カ年の経営計画につきまして、財政の収支見通し、これを立てていらっしゃるわけでございます。これを見ますと、最初の三年間、これは収支が黒字、残りの二年間で生じる収支の差のマイナス部分をカバーしよう、このようになっているわけでございます。そこで、事業収入、特に受信料収入が見通しどおりになる、そういう根拠はどこに置いていらっしゃるのでしょうか。また五年後は料金値上げにつながっていくのではないか、こういうような考えに立っての計画を立てていらっしゃるのではないか、このように思いますが、この点はいかがなんでしょうか。
  382. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 今度の経営計画の基本となっております受信料収入の点でございますが、この五カ年間の中で、平成二年度は総数で三十三万件の増加を私どもは目途としておりますが、平成三年度以降四十三万件の総数の増加を図るということによって今回料額改定をさしていただく中での収入の確保というものを当然目指したいと思っております。  それで、この数でございますけれども、過去のNHKの契約増加が昭和五十九年から六十年の料額改定の三カ年計画の後の四十三万件を超える数字の実績がございます。ただ、これからの多メディア時代の中でNHKに対するいろいろな見方が出てくるわけでございますので、そういう中でこの数字を確保することは、NHKの収納体制といいますか受信料制度に対する御理解を今まで以上に求めていかなければならない、そういう努力を経営としても一層努めなければならないことになるだろうということは我々としても当然覚悟を決めておるところでございます。
  383. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 先生指摘の五年後にまた値上げを頼んでくるのじゃないかということについてお答えします。  私ども、経営計画を立ててその期間内に収支を均衡するということで、今回は五年間ということをお願いしております。しかし、先生指摘のようにこういう受信料というものは国民の皆さん方からいただく大切なものでありますので、今後五年間の中で我々に与えられます、放送の向上ということはもちろんでございますけれども、その使い方につきましては、組織、業務体制を刷新いたします。それから、情報システムに順次かえていって、この点についてもきちんとやりたいと思います。それから、先ほどから議論がありますけれども、節度ある関連企業への展開とか、国際的に外国の放送局と協力しながら放送費を安く上げますとか、そういったあらゆる努力をやってまいります。みずから厳しく律することによりまして、安易に五年たったから次に値上げというような簡単な考えでいないということを申し上げておきたいと思います。
  384. 草野威

    ○草野委員 この長期展望の審議会の答申でございますが、この中にいろいろなアンケートの結果が出ております。それで、今も受信料につきまして、今後とも契約の増加に努力していくということでございますが、この調査によりますと、こういうような記事が出ておりますね。三十五べ!ジに「NHKの仕事に必要な経費は、ほとんど受信料でまかなわれている」これは今回四五%という数字でございます。「NHKの予算の半分ぐらいは、国が負担している」これば二〇%、それから「受信料が足りないぶんを国が負担している」これは一九%、こういう数字が出ているのですね。これは国民の感覚だと思います。  それから、その前の三十三ページには「NHKの性格についての理解」、NHKをどう見ているかというと、「国営の機関」と見ている人が二五%、「半官半民の団体」が三一%、こういうような数字が幾つか並んでおります。これは非常に興味ある数字だと思いますが、皆さんはこういう数字を見てどのようにお受けとめになっておりますか。また、例えば受信料の点につきましてどの程度までこのパーセンテージ、例えば「NHKの仕事に必要な経費は、ほとんど受信料でまかなわれている」現在四五%でございますけれども、これをどの程度まで期待していらっしゃるか、こんなことを含めまして、ひとつ御感想を述べていただきたいと思うのです。
  385. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたのは、NHKが調べたものでございます。NHK国民に自分の企業体のあり方、それから一番大切な、これでもうすべてが賄えると言っていいほどの受信料の取り方について理解の求め方が足りないという点は痛感しております。そういう調査の結果もみずからわかりましたので、これからどういう形にするかというのは私どもに検討させていただきたいと思いますが、できるだけ御理解をいただくような方策をあらゆる手だてで講じていきたいと思っております。
  386. 草野威

    ○草野委員 大臣にお尋ねをしたいと思います。  今回のこのNHK平成二年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして郵政大臣は、「おおむね適当なものと認める。」と大臣意見を付しまして国会に提出をされていらっしゃるわけでございますが、これはどういう面から見て大臣は「適当」このように判断をされたのか。その理由をひとつ御説明をいただきたいと思います。これが一つです。  それからまた、受信料額の改定額につきまして、「やむを得ないものと考える。」このようにおっしゃっております。受信料については「やむを得ないものと考える。」これにつきましては、昭和五十九年度の改定のときには平均一五・五%でした。そのときよりも今回は大幅な値上げで二八%ということでございますが、これを「やむを得ない」と判断したのはどういう理由でしょうか。これが二点目でございます。  第三点目、さらに事業計画等の実施に当たってということで、「合理化、効率化の実施状況を含む経営の概況を受信者に対して随時明らかにすること。」とございますけれども、これは具体的にどういう方法をとられるのでしょうか。  以上三点、お願いしたいと思います。
  387. 深谷隆司

    深谷国務大臣 草野委員の御質問にお答えいたします。  まず、NHKが経営計画五年間をきちっと立てて今後の経営のあり方について方向を示している。それから、外部の有識者によって長期展望審議会というのがございましたが、そこの提言も踏まえて慎重に検討した結果でございまして、そして、その経営計画にのっとりまして平成二年度の予算が組まれている。受信料の改定についてはできる限り抑制すべきと私は心得ておりますが、今回の改定は、合理化や効率化を徹底してもなお不足する収入、それからこれからの方向というものを示しながらつくり上げたもので、そういう意味でやむを得ない状況であるかな、そのように理解したわけでございます。  それから二つ目の、NHKは随時放送を通して経営の合理化とか効率化の現況を伝えるようにとこう指示しましたが、具体的にどういう形でという、これはもうNHKにお任せしたいと思っているのです。  ただ、料金値上げを含めて国民皆様負担をかけるわけでありますから、十分な理解と納得をいただくということを大前提にしなければなりません。それには、ふだんからNHKがどんなふうな合理化や効率化を図っているかということをきちんと国民利用者にわかっていただくということが最も大事だと存じまして、その努力を常に頭に入れてやっていただきたい、そういう希望を申し入れたわけでございます。
  388. 草野威

    ○草野委員 収支予算の中身でございますけれども、もし値上げをしないとすると、平成二年度収支不足額が四百八十四億円、五年間トータルで五千四十八億円のマイナスになる、こういうことでございまして、これを値上げによりまして、平成元年度の予算と比べますと受信料収入は九百二十九億円ふえておりますけれども、これによりましてプラス三百三十一億円、衛星のマイナス分を含めましてプラスになる、こういうような結果になっているようでございます。また、この事業計画等を拝見いたしましても、国内放送におきましても国際放送におきましても非常に意欲を持って取り組むという姿勢がここにあらわれているわけでございまして、私はこれはこれなりに評価をさせていただきたいと思います。  そこで、この収支の支出の方を見てみますと、事業支出の総額が四千四百八十一億円、このうち放送番組の制作等につきまして六八%、約三千四十七億円をかけているわけでございます。それに次いで大きいのが、契約収納につきまして一五・一%、六百七十六億円、こういうような数字が示されているわけでございます。私も初めてこのNHKの予算書を今回拝見させていただきまして、契約だとかそれから集金に要する費用事業費の中のともかく一五%以上を占めている。随分これは大きな金額だなということを率直に感じました。この金額も六百七十六億ということでございまして、NHKの収支全体の規模の中に占めるこの集金のための費用というものが、何か知らないけれども物すごい額だな、こういうことを私は率直に感じましたので、きょうはその中身につきまして若干お尋ねをさせていただけたらと思います。  率直にいろいろとお伺いしたいと思いますが、まずこの六百七十六億円というのは収納それから契約、こういうようなための経費だと思いますけれども、先ほどのお話の中で約八〇%は人的経費である、こういう御説明でございました。  そこでまずお尋ねしたいことは、集金とか契約、こういうものに当たる人たちは全部外部に、外部という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、個人、個人の契約によって約三千三百人くらいの人にお願いして集金活動をやっていただいている、こういうことでございますが、まずこれに関する経費というものはこの六百七十六億円のうちどのくらいかかっているのでしょうか。二番目に、この収納契約に携わっているNHKの職員の方は何人ぐらいいらして、それに関する経費というものはこの六百七十六億のうちどのくらい占めているのでしょうか。また、その他の経費がございましたら、この三点につきましてお示しをいただきたいと思います。
  389. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お答えいたします。  最初に、収納に当たっている外部の委託集金員にどの程度の金がかかっているのか、その人数はどのくらいかということでございますが、今年度、平成二年度の予算で私たちが予定しておる陣容は三千三百四十六人ということでございます。これは元年度に比べますと百二十九人減らすという格好になっておりますけれども、そういうような人数になっております。そういうようなもので、そのほかにもいわゆる地方の委託所といいますか、NHKが集金員関係者を含めましてもなかなか収納がしづらい地域については、郵政省に対するお願いだとか、あるいはその地域方々に委託所として収納をお願いしておる部分がございますが、そういうものを合わせまして平成二年度総額六百七十六億円のうちその種のいわゆる必要経費というものは四百三十六億円でございます。その他これにかかわるNHKの職員等々で二百三十九億円の人件費を見ております。内訳はそういうような格好になっております。(草野委員「何人ですか」と呼ぶ)職員数ですか。職員は予算では二千三百五十九人を一応、これは年間の平均でございますので、定年でやめていくのもございますから、そういうことで計算しております。
  390. 草野威

    ○草野委員 今のお話の中で、外部委託の関係ですね、約三千三百人、これに対する四百三十六億円を支払っているということでございますが、この三千三百人という方はどういう形の契約をされていらっしゃるのでしょうか。それからこの三千三百人の人たちに対する四百三十六億というのはこれは即賃金、こういうことなのでしょうか。
  391. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 これは歩合制でもって私どもはお仕事をお願いしておりまして、一定の担当していただく地域を指定しまして、その中でいわゆるNHK視聴者あるいは新規にそこに転入して新しくNHKが契約を結ばなければならない、お願いしなければならない人たちのいわゆる管理といいますかそういうものを含めまして、一般的に言うところの私どもとしては事務費といいますか基本的な部分のことで、あとは歩合制で出来高払いというような契約形態になっておるわけであります。
  392. 草野威

    ○草野委員 ちゃんと金額を言ってくださいよ。
  393. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 平成二年度で申し上げますと、そういうような事務費関係は二百六十一億円でございます。
  394. 草野威

    ○草野委員 この六百何十億の内訳はちょっとはっきりしないのですけれども、事務費という今表現ですけれども、事務費というのは賃金というふうに考えていいのですか。そうしますとこれはどういうことになりますか。三千三百人に対する賃金が二百六十一億、こういうふうにとってよろしいのですか。
  395. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 私どもは直接の雇用契約ではございませんので賃金ではございません。あくまでも請負制による出来高払いの契約をしておるということでございます。
  396. 草野威

    ○草野委員 だれが払っているのですか。NHKが直接雇用しておるのではない、請負契約でやっておるのだということですね。そうすると、集金をされる個人の人とNHKというのはどういう関係になっているのですか。だれがその賃金を払っているのですか。
  397. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 支払いは当然お願いした仕事に対して報酬という格好でNHKが払うわけです。
  398. 草野威

    ○草野委員 じゃ、一人一人の方にNHKが支払っている、今の御答弁だとこのように解釈してよろしいのじゃないかと思いますね。そうすると、三千三百人の人に対して年間で二百六十一億の賃金を払っているということは、これは歩合給を含めてでしょうけれども、一人当たりにするとどのくらいになるのですか。
  399. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 これは平均でございまして、非常に成績のいい方はかなり取る方もいらっしゃいますが、平均ですと年間約五百万円ぐらいになろうかと思います。
  400. 草野威

    ○草野委員 じゃ、あわせて平均年齢それから平均の勤続年数、これもわかっていたら教えていただきたいと思います。今のお話ですと二百六十億、三千三百人ということになると五百万ということでございますけれども、これは単純に計算しますと平均で七百八十七万円、こういうふうになるのじゃないでしょうか。ともかくお一人お一人平均して七百八十七万円という金額になりますか、これは間違っていますか。
  401. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 最初の方の御質問でございますが、委託さんの平均年齢は現在五十二歳でございます。  それから、平均勤続といいますか、NHKとの関係でいえば大体七年ぐらいのところでございます。  それから、今私が申し上げました五百万というのは六十三年度の実績でございまして、平成二年度の予算ではそのくらいになるかなという見込みで予算は一応計上しておるということでございます。
  402. 草野威

    ○草野委員 会長、ちょっと聞いてください。  今の御説明によりますと、この外部委託に出している部分、平均年齢が五十二歳それから平均勤続年数が七年、そしてことしの予算によりますと一人当たり年間で七百八十万の賃金をお払いになる予定である、月割りにしますと六十五、六万円になるでしょうか、こういうような数字が出ております。NHKの一般職員の平均賃金、平均勤続年数はどのぐらいでしょうか。
  403. 植田豊

    ○植田参考人 一般職平均給与を平成元年度のベースで申し上げますと、世帯給等を含みました基準賃金で三十一万三千六十円でございます。なお、基本給のみで申し上げますと……(草野委員「結構です」と呼ぶ)以上でございます。
  404. 草野威

    ○草野委員 NHKの職員が一般職で平均給与が三十一万三千円という御説明でございました。  もう一つ伺いたいと思いますが、この集金業務に携わっているNHKの職員、先ほど数が二千三百五十九人というようにおっしゃいました。その人たちに支払われている給与が二百三十九億円ということでございますが、これはお一人に換算するとどのくらいになるのでしよか。
  405. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お答えの前に一つ、先ほど私の答弁が十分でなかったので誤解を与えていると困りますので、一部もう一回補足させていただきたいのです。  人件費、先ほどの事務費二百六十一億円の中にはNHKが契約しているいわゆる集金委託員のほかに、辺地の部分については郵政省にも収納契約業務をお願いしております。これが全国で三千カ所ぐらいございますが、そういうものもございますし、そういうものを合わせての金額でございますので、七百万にはならない。実績では五百万円、平成二年度では五百四十万円ぐらいになるかなということでございますので、これは一部訂正させていただきます。  それから、賃金系統につきましては時間外とかその他細かいことがございますので、詳細なるデータは今手元に持っておりません。
  406. 草野威

    ○草野委員 どうも数字がはっきりしなくて残念なのですけれども、今あなたがおっしゃったのは二百六十一億以外のことを言っているのじゃないですか。二百六十一億以外にあと百五、六十億の金がありますね、これがそういうものに使われているのじゃないですか。  それから、このNHKの職員の場合、二千三百五十九人で二百三十九億ということですから、単純に割れば一人一千万ですよね、こういうところがわからないから聞いているのですよ。もっと正確に答えてください。
  407. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 残りの金額につきましては、今申し上げました部分につきましては、二百六十一億円というのはこれはほとんどが全く私どもの委託集金員に払おうとしておる金額でございます。そのほか足りない部分で百五十五億その他については例えば口座を維持するための経費だとかあるいは衛星放送の対策費だとか、そういうものを見込んでおるわけであります。そういうものを当然営業経費として我々は計算しておるということでございます。
  408. 草野威

    ○草野委員 冒頭のお話の中で請負契約である、こういうお話でございました。例えば訪問で集金している場合、それから銀行に口座を切りかえてもらう、こういうお仕事をなされていると思います。こういう仕事をされると一件についてどのくらいの請負収入というのですか歩合が入ってくるのでしょうか。それから通常集金した場合、訪問で集金した場合は幾らの歩合が入ってくるのですか。
  409. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 集金は大まかに言いますと一件百五十円ぐらいでございます。口座については二百円ぐらい。
  410. 草野威

    ○草野委員 会長に率直に申し上げたいと思います。  私はなぜきょうこんな細かいことを、失礼だと思いましたけれどもお伺いしたのは、実は私のうちもまだ訪問集金をされておる方なんです、何年も何年も。ただの一回も集金員の方は、口座へ切りかえてくれ、こういう話は聞いたことはありません。今お話を伺ってわかったのですけれども、ともかく一件切りかえすれば二百円もらえる、一件集金すれば百円の手当をもらえる、これでは集金をする人は黙っているわけです。これを切りかえてしまったら自分の収入は翌月からなくなってしまいます。当然だと思います。これは当たり前のことだと思います。そういうことで私は、新規の契約それから集金、口座への切りかえ、こういう業務がなかなか思うように進んでないのではないかな、こういう気がいたしました。  それからもう一つは、ともあれ若干の数字の誤差があるかもしれませんけれども、三千三百人の集金員の方がいらっしゃる、それに対して年間で二百六十一億円の賃金をお払いになっている。僕は高いからとか安いからとかそういう意味で言っているのじゃありません。ともかくこれを単純に計算しますと一年間で七百万以上の金額になる、この点について会長はどのようにこれを見ていらっしゃるか、これが一つ。  それから、一般職員の賃金が平均で三十一万三千円という御説明でございました。この集金に関係しているNHKの職員は年収一千万円になる、これは一体どういう説明があるのでしょうか、まずそれについてお答えをいただきたい。会長はどのようにこれを思っていらっしゃるか。
  411. 島桂次

    ○島参考人 ただいま高橋理事の方から説明した中でやや誤解を与えているような点があるのじゃないかと思いますのは、営業経費というのは即請け負っておられる方に払う金額だけではなくて、いろいろの集金のための対策の費用が相当含まれておりまして、私ちょっと試算してみましたら一人当たり五百四十万ぐらいだ。七百八十万と答えた中に、これは物理的に人数で割るのじゃなくて、実際にかかっている営業経費の中にはそういった請け負っている方に対する支払い以外にいろいろな要素があるわけでございまして、一人当たり大体五百四十万ぐらいの収入になっているというふうに御理解願いたいと思うのです。  この営業経費につきましては、もう毎国会、国会の諸先生方から、非常にかかり過ぎてやしないか、つまり全体の集める金の中で口座による支払いというのが非常にふえておりまして、現在も七六%を超えておりますし、この五カ年計画では八九%ぐらいに持っていくということで、直接訪問して集金する人たちをできるだけ少なくするように今やっているわけでございます。そういうことをやっているさなかに、今先生指摘のような矛盾があるじゃないかと言われますと、まことに申しわけないのですけれども、長い間の経緯の中での約束事とかいろいろの今までの矛盾がございまして、これもおいおいこれから至急に先生指摘のような矛盾点というものはやはりなくしていかなければいかぬということで、いずれにしましても、貴重な聴視料のかなりの部分が一軒一軒訪ねて歩く、そういった集金のための経費に使われるということは、できるだけ緊急課題として何とか解決しなければいかぬということで、これからいろいろ五カ年間にどうするかということについて検討しているわけでございます。  この問題につきまして、いろいろ御指摘の数字を間違えたり、あるいは十分な説明をしなかったことをおわびしますけれども、いずれにしましても、先生がおっしゃるようにこの集金の経費というものがいかにNHKの財政を圧迫しているか、あるいは本当にいい放送を出すための経費をいかに少なくしているかということは十分認識しておりますし、この問題については経営の重点項目として極めて合理的にできるだけ安い経費で集金するように万全を期したいと思っているわけでございます。
  412. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたので、最後にもう一つだけ申し上げたいと思います。  一つ残念なことは、会長がみずからおっしゃったように、集金の経費が非常にかかっている、何とかしなければならぬ、こういうふうにおっしゃっておきながら、その詳細について把握をされていらっしゃらないような感じがいたします。今一人平均五百何十万と言いましたけれども、七百何十万になるのです。そのほかに対策費として百五、六十億円のお金があるのです。そういうお金がそっちの方のお金に使われているわけです、私が説明を受けたところによりますと。ですから、そういうところについてもう少し詳細に会長がひとつ把握をしていただきたい、このようにお願いしたいと思います。  それからもう一つは、訪問集金二五%ですね。二五%といいますと約八百万軒になります。八百万軒の訪問集金をやっているわけですね。三千三百人の人たちがNHKの職員も含めてやっているわけです。それに対する総経費が幾らかかるかというと、六百七十六億でしょう。六百七十六億のお金をかけて八百万軒の家庭を訪問して集金の努力をしている、新しい契約も含めてやっている。一軒当たり幾らになると思います。つかんでいらっしゃらないでしょう。単純に計算すると八千四百五十円です。NHKの料金を、一カ月分は千七十円ですか、二月合わせても二千幾らですね。毎月毎月この一軒当たりに八千四百五十円の金をかけて、そして千円ちょっとの金を集金している。こんなことをしておったらNHKが赤字になるのは当たり前じゃないですか。どうしてこんなことをNHKの経営者陣は気がつかないのですか。それはわずかな金額ならいいですよ。全支出のうちの一五%以上も占めているような大変な集金の費用じゃないですか。こんなことはだれが見たってわかる簡単なものです。こういうことを今まで野放しにしておいて、そして今度平気でこれを出してきて、それで三百円の値上げを認めろ、認めることできません、こんなずさんなやり方やったら。お答えください。
  413. 島桂次

    ○島参考人 先生の御指摘される面もやむを得ない点もあるかとは思いますけれども、大部分の集金というのは口座でほとんど集めておるわけでございます。つまり、口座で集まらないということは比較的非常に難しい――もちろん先生のお宅にはそうじゃないケースがあったようでございますけれども、非常に難しい、何遍か足を運ばなきゃいかぬという事情もございまして、残されたいわゆる一軒一軒訪ねていきながら金をいただくということの難しさは十分わかっているのですけれども、これに対して金を余りかけ過ぎている。これはここ一、二年だけじゃなくて、この十年来の我々の大きな懸案事項であったわけでございますし、新しい営業構想というものを立ててその辺を何とか合理化できないかということでいろいろやっておるわけでございます。  ただ、私どもとして非常につらいのは、聴視料というのはやはり国民の皆さん方全部からいただくのが建前でございまして、少なくともどんなに悪くても九十何%か集めませんと、今度は払わなくても済むというようなことがもしできますと、もう聴視料、NHK全体の重大な問題になるので、何回か何十回か足を運ばなきゃいかぬ、そういうところがかなりありますし、またそれを運ばないと聴視料全体が崩壊してしまうということもございます。いろいろ困難な点もございますけれども、決して私どもはこの先生指摘された問題につきましていいかげんに、あるいはずさんに取り組んでいるわけじゃなくて、一生懸命今までもやってきたつもりでございますけれども、これからもそれが本当の、もうこの数年来絶えずこの国会の場所でも指摘されて、それがなかなか改善がうまくされていないということも十分認識しております。  いずれにしましても、これからはできるだけの方法をいろいろ考えまして、例えばスーパーストアであるとかあるいはそのほかの集金業務とうまくドッキングさせるようなこともできないかという意味で、新しいそういう金を集める、集金を中心とするような関連会社みたいなのをつくった方がより効率的なのかどうか、今そういう新しい試みを幾つかいろいろ鋭意検討さしているところでございますので、何分もうちょっと時間をかしていただけないかというのが私の気持ちでございます。  いずれにしましても、先生指摘のように、我々集金問題について決していいかげんな形でやっておるわけじゃございませんので、ひとつその辺のことを十分お酌み取り願いたいな、こう考えておるわけでございます。
  414. 草野威

    ○草野委員 これで終わります。会長の御努力を期待いたします。  大変申しわけございませんが、数字がどうも正確にわからなかったもので、正確で詳細な数字を書いて出していただきたいとお願いして終わりにいたします。
  415. 上草義輝

    上草委員長 次に、伊藤忠治君。
  416. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 夜も更けてまいりまして最後の発言者になったわけでございますが、皆さんも相当お疲れのようでございますが、これもすべて日切れ法案というふうに決まりましたせいでございますので、最後までひとつ御協力をいただきますようにお願いをいたします。  今も草野委員の方から御指摘がございましたが、料金値上げの問題についてでございます。提案をされておりますとおり、財政五カ年計画を前提にした今回の値上げ案になっているわけでありまして、値上げ率は二九・四%、こういうことになっております。率直に思いますに、なぜこの五カ年計画を前提に料金値上げの設定になったのかということが一つ私は疑問に思っているわけでございます。それは、過去も六年間値上げをせずに努力をされて今日まで到達されたわけですね。その間には要員の抑制策あるいは資産の売却、さまざまな工夫をなさって財源確保のために努力を続けられて、しかしどうにもならなくなって、向こう五年間、今後を見通した場合にはもうやっていけないので三百円の値上げ、こういうことだろうと思います。一口に言えばそういうことではないかと思うんですが、受信料を払う利用者の立場に立ってみますと三百円という、率で二九・四%になりますが、その値上げというのは非常に大きなものとしてやはり受け取らざるを得ない、そういう感じが非常に強いと思うんですね。  で、NHKという一つの事業体の性格からいきまして、これは一般の企業と違いますから、収益を上げて、そして利用者に還元をするというような格好にはなかなかならない。つまり、受信料が財源の大宗を占めているわけですから、どうしてもそれに頼ってNHKの使命を果たさなければいけないというのがNHKの一つの性格であろうし、それが特異性であろう、私はこのようには思うんですが、そのように考えましても、なぜ五年間を見通して三百円ということになるのか、もっと別の方法はなかったのか。  例えばそれでは五年間はもう値上げは絶対せずにやっていけるのかどうか、そういう確信のある、言うならば財政展望というものをお持ちなのかどうか、またそれに対する自信はどうなのかということをお伺いもしたいんですが、私なりに考えますと、やはりこの中期計画でもって、それを前提にした三百円というのはちょっと期間としては設定が長過ぎるんじゃないか。つまり、後からまた具体的に申し上げますが、NHKの依存します受信料の大宗を占めるこれからの可能性が一番多いのは衛星放送ですから、衛星放送に依存する度合いが大きければ大きいほどリスクが伴うんじゃなかろうか、私はこういう気持ちを強く持っていますだけに、今言ったような考え方をついしてしまうわけですが、その点についてどうでございましょうか。
  417. 島桂次

    ○島参考人 NHKの経営につきましては、従来、計画を大体三カ年くらいつくりまして、その都度赤字が出ますと料金改定ということを繰り返してきた歴史が残念ながらあるわけでございます。  去年もおととしもこの国会で附帯決議として出たのは、これだけ激しい情報化社会、ニューメディア時代の中でNHKは一体これから先何をやっていくんだ、どういうふうにしていくんだ、もっと長期の一つのスパンというものを考えてみたらどうだというような御意見が非常に強かったわけです。今までの三年計画ということじゃなくて、私は本当はもうこれから先の未来永劫に続くNHKのデッサンを描きたいのですけれども、当然のことながらこれだけ変化の激しい時代ですと、十年先を見通すなんということは全くできない、七年も無理だ。五年くらいだったらある程度こんな形でこういうふうにしてやっていきますということを皆さん方にお示しできるんじゃないかということで、私はその五カ年計画を立てて、この間は、今までも六年間値上げしなかったわけですけれども、我々の皆さん方にお示ししているような五カ年間の計画でその値上げを絶対この五年間はしない、さらに五年たってもこの次の値上げができるかどうか、これもできないかもしらぬという、そういう覚悟で我々は鋭意一生懸命になってこの五カ年間のやるべきこと、それにかかる経費というものをいろいろ計算したわけでございます。それが結果として三百円の御負担増ということになったわけでございますけれども、この金額が決して容易なものではないということは、我々NHKの経営者としていたく感じております。  しかし同時に、やはりこれから先の日本に私は公共放送は必要だと思っていますし、この公共放送を何とか維持するために、もちろん我々は全力を挙げて経営の合理化、効率化を進めますけれども、これは必要最小限度、何せ長い間値上げもしなかったし、これから五年間というのは物すごい勢いで我々放送を取り巻く環境は変わってくるわけでございます。その中での精いっぱい我々がやった結果が三百円という数字になっておりますので、そのことがいかに聴視者にとって大きな負担かということを十分わかりながら、なおかつそこをお願いしたいという、この私の苦しい立場も若干理解されていただきたいなというのが偽らざる私の心情でございます。
  418. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしても、三百円という値上げ案というのは私は大幅だと思いますね。それが公共料金の中で一つの大きなファクターをつくる、これは間違いないと思いますし、利用者の立場からしますと、公共料金全体が上がっていく中で、今回NHKの受信料がこれも上がるかということになりますと、やはり消費者の生活実態からしてNHKの受信料値上げについては、これは厳しい目で見る、私はそう思いますね。  ですから、会長が切々と訴えられる中身については私たちもそれなりに理解はできるわけですが、しかしなぜ三百円が必要なのか。それじゃ、五年間はそれで絶対にやっていけるのか、しかも公共放送としての使命が果たせるのか。一方では、衛星放送にその受信料の大宗をこれからさらに依存度を強めていかなければならぬ中で、本当に安定的に運営が図っていけるのかどうか、さまざまな不安も入りまじると、余計やはりそういうふうな感じというのは私は強くならざるを得ない、このように思っているわけでございます。  ですから、関連をしてお尋ねをしたいと思うのですが、受信料の伸びの大きい部分は、衛星放送の受信料ですね。これは収納率そのものを上げるということももちろんありますが、目標としては五年間で七百六十二万ですか、これを何とか拡大をしたいということですけれども、それは衛星放送サービスが安定的に行われていることが前提でなければ受信者はふえないわけですから、ここがやはりどうも私は決め手のように思えてならぬわけです。ですから、お聞きをしたいのですが、衛星放送というのは今後とも安定的なサービスが提供できるのかどうか、この点をお聞かせをいただきたい。
  419. 島桂次

    ○島参考人 衛星放送は、今まで地上波もNHKは二波持っておりますし、民間放送もキーステーションが五つあるわけでございます。その中で、さらに新しい二つのチャンネルをつくりまして、これを本当に国民の皆さん方に利用していただくためには並み大抵ならぬ努力が必要だ、つまり本当にこれを見たい、あるいは見る必要があるという番組内容をどう開拓するか、まさにこの点に私はかかっていると思っております。したがって、極端に言えば、NHKの命運はこの衛星放送普及発展のあり方にあるということがある程度先生がおっしゃるように言えるんじゃないかというぐらい重大に、私はこの衛星放送の将来については考えておるわけでございます。  ただ、先生の御発言の中で、衛星放送NHKの地上波を圧迫する云々というような表現がございましたけれども、これは地上波は地上波としてきちっとカウントしまして、衛星衛星で独自にハード、ソフトとも五カ年計画をつくりまして、衛星のしわが地上波によらぬように、これは絶対避けなければいかぬという建前でやっております。したがって、地上波からの金を使えないだけに、この衛星放送が私どもが今計画しているようなスピードで普及発展していきませんと、これが別な意味NHKの命取りになるという意味では先生の御指摘のとおりであると思います。  この問題につきましては、鋭意我々の総力を挙げて、やはり見ていただくだけの内容を持った放送、こういうものを何とか新しくクリエートしようということで今までもやってまいりましたけれども、今までのようなつくり方ではまだ不十分だ、もっと新しい、もっと意欲的なクリエーティブなものをこれから全力を挙げてつくる、こういう覚悟で今やっているところでございます。
  420. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 放送内容の問題について私がお尋ねしたというよりも、むしろ星がリスクなくこれからもずっと衛星放送を流してくれるだろうかという、メカの部分での言うならばリスク、危険度の問題を指摘したかったわけです。まあ結構ですが、関連しますけれどもBS2Xですか、これが二月二十三日にアリアンロケットで打ち上げられましたけれども失敗したわけですね。それほど星はまだまだ技術的にも不安定な部分を含んでいると思うのです。  これも既に議論があったわけですが、打ち上げ総経費が百四十五億ですか、その内訳は、打ち上げ経費が百六億、保険が二十七億、成功報酬が十二億。そうしますと、これは失敗したわけですが、NHK経費の面でどれだけの損をなさったのか、その内訳はどうなんでしょうか。
  421. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  現在の衛星が安定かという御質問がちよっとその前にございましたので、現状を御報告いたします。BS2bで今放送を継続しておりますけれども、この2bは、これまで幾つかのふぐあいがございましたけれども、現在は極めて安定に働いております。  それから、2Xの経費の内訳でございますが、トータル百四十五億でございます。うち成功報酬十二億でございますので、これはまだ払っておりません。したがいまして、NHKからGEに支払った金は百三十三億でございます。このうち、二十七億が内訳としては保険ということになっておりますので、今回の失敗によりましてNHKに戻ってくるお金は百六億ということになろうかと思います。  私、今円で申し上げましたけれども、今回の契約はすべてドル建てでやっておりますので、最終的に決算時に、正確な数字はその時点でまた御報告できるかと思います。
  422. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 再度打ち上げる計画はお持ちなんでしょうか。
  423. 島桂次

    ○島参考人 ただいま中村技師長が御説明申し上げましたとおり、BS2bは安定的に来年の一月ごろまで放送が続くわけでございます。ことしの夏、八月に3aという星を上げる予定でございます。ただ、私が2Xを失敗しましたけれども上げましたのは、やはり先生指摘のように、衛星というのは今の衡星の技術的段階においてはまだまだ補完するものが必要ではないかという必要性というものについては、2Xは残念ながら失敗しましたけれども、私はその必要性というものは感じております。3aが順調に上がればいいのですけれども、そうじゃない事態というのも当然我々も考えなければいけません。  ただ、それならばおまえたちは失敗にも懲りずにまた新しい衛星を上げるのか、こういうことになりますと、これはNHK一存ではもちろんまいりませんので、政府とか国会の皆さん方とよく御相談しながらこれからのいろいろの対策を考えなければいかぬな、こう考えておるわけでございます。
  424. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 BS2bの寿命が三年の一月ごろですか。(島参考人「来年の一月です」と呼ぶ)そうですね。それから、BS3aというのはことしの夏ですか。そういうことですか。
  425. 中村好郎

    中村参考人 BS2bは来年、平成三年の一月ごろに寿命が来るだろうという予測でございます。それから、3aは八月打ち上げというようになっておりますので、打ち上げた後約三カ月程度試験的にいろいろなテストがございますので、運用開始できるようになるのはことしの十一月かあるいは十二月ごろになるだろうというように考えております。
  426. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうしますと、2bが飛んでいる間に3aが上がって、うまくやっていけるから、2Xの失敗はあったにしても、失敗したのですが、やっていける、こういう意味ですね。
  427. 島桂次

    ○島参考人 私どもはそういう形でつながっていくということを確信しているわけでございますけれども、ただ、衛星は、アリアンの例に見るごとく一〇〇%というわけじゃございません。したがって、何かの補完措置といいますか、2Xでやったようにそういうものをやる必要があるのではないかということを私は考えておりますけれども、これはNHK一存でいく問題ではございませんので、政府初め関係当局と御相談してこれからいろいろ考えていかなければいかぬなということを今言っているわけでございます。
  428. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうしたら、なぜ2Xはこういう格好で打ち上げる必要があったのですか。
  429. 島桂次

    ○島参考人 ですから、私は今上がっているBS2bあるいはことしの夏上げる予定の3a、これで普通すべて順調にいけばつながっていくわけですけれども、万一ということがございますと大変だということで、政府その他の皆さん方にお願いして、さらにこのバックアップする衛星を上げる必要があるということで、全部NHK費用負担しまして2Xを上げたわけでございます。しかし、それが残念ながら失敗に終わりました。失敗に終わりましたけれども、状態としては同じ状態になっているわけですね。順調にいけば、これはつながっていくわけで問題ないわけですけれども、やはりバックアップというのは、もう既に二百万以上普及している段階で、あしたから急に放送が見られなくなるという事態は、我々放送事業者として避けなければいかぬ。したがって、今ある計画をさらにバックアップし、補強する必要があるという考え方については、2Xを上げたときと現在と同じ状態である、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  430. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 だから、結局バックアップ体制をとるためにBS2Xを打ち上げたけれどもうまくいかなくて、BS3aが稼働するのはことしの十二月、それからBS2bの寿命が来年の一月、するとバックアップ体制がないわけですね。今回やろうと思って、それが失敗に終わった。すると、これは事実上BS3a一本で飛ぶことになりますからね。これもバックアップ体制がないわけですから、非常に不安なんですね。やりたい気持ちは持っている。しかし、お金の問題もあるし政府とも関係の協議もやらなければいかぬから、やりたい気持ちはあるけれども実際に今のところは方針が固まっていない、こういう理解でいいのですか。
  431. 島桂次

    ○島参考人 NHK会長といたしましては、やはり何らかのバックアップ体制をとらなければいかぬという考え方でやっているわけでございますけれども、何せ衛星とかロケットとかいうのは急にあした頼んでできるというものではございません。日本国内はもちろん、全世界にそういうバックアップとしてやれる範囲の中で新しいロケット、新しい衛星が調達できるかどうか、NHKとして至急調べております。その調べた結果をいずれ郵政省政府関係機関その他と御相談しまして、今いろいろ考えようじゃないかと思っているわけでございますけれども、今全世界をいろいろ調査している最中でございます。
  432. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 前回も議論がございまして、たしか私も質問をさせていただいたという記憶があります。そのときに、非常に値段が安かったわけですね。それでいいのか、大丈夫かという議論もございました。しかし、こういうチャンスというのか掘り出し物はめったにないので、ひとつこれを何とか成功させてバックアップ体制をとりたい、たしか公式の場ではなかったと思いますが、会長さんの発言が私は耳に残っているわけです。果たして大丈夫かなと心配を最後まで申し上げた記憶がございますが、結果はうまくなかった。  しかし、2Xを打ち上げるまでに随分事前の調査なり準備なりがあってああいうふうなアクションになったと思いますね。だから、今御答弁がございましたとおりバックアップ体制をとるためにこれから一生懸命その対策を立てようとしても、実るまでには相当時間がかかると思うのですよ。ですから、その間は単独飛行みたいになるわけですよ。そういう意味では非常に不安といいますか、残りますね。それを持ちながら衛星放送サービスしなければいかぬという状態は変わらないわけです。これは私は非常に危険が伴うと思えてならぬわけですが、余り悲観的になるな、星は非常に安定的に飛んでいる、こういうふうに答弁は返ってくるんでしょうけれども、実際に過去の歴史をずっと見ますと、決してそうは思えない、不安という気持ちがぬぐい去れないわけです。どうですか、バックアップ体制かなり積極的にとられるというお気持ちなのか、それとも、難しい状況であれば一つの星に頼ってやっていかざるを得ない、そういうおつもりなのか、これは大変ポイントだと思いますが、どうでございますか。その辺をもう一度。
  433. 島桂次

    ○島参考人 放送事業者としてのNHK責任者としては、これはどうしてもバックアップ体制が必要だという認識に立ちまして、全世界の、日本を含めて、ロケットメーカーとか衛星事業者と今いろいろ相談をしている最中でございます。これを上げる場合は、つまり3aあるいは今上がっている2bが単独飛行じゃない形にしたいというのが私の希望でございます。しかし、先ほどから申し上げておるように、これは私一存でいく問題でございません。NHKが金を負担すれば勝手に上げられるという問題じゃございません。ここにいらっしゃる郵政大臣以下政府関係者あるいはその他いろいろの方々の御意見なり御意向を聞いた上じゃないとそれはできませんので、それを決めていただくためにも、まだ今いろいろ一生懸命になってリサーチをしているわけでございますけれども、全世界の衛星とかロケット、一体いつ、どういうものがあるのかということを調査しているわけでございまして、その結果が出なければ相談しようもございませんので、今できるだけ早く全世界のリサーチを、結論を出すように鋭意進めている段階でございます。
  434. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 衛星放送、非常に派手に宣伝をされていますし、確かに関心も高いわけですよね。よかったという人が口伝えに言えばお皿もどんどんふえて、視聴者もだんだん拡大しているわけです。ところが、どういうのでしょうか、綱渡りのような格好をやっておるわけですね。もしこれがパンクしたら大変なことになりますよ。すべてがオジャンになるのですね。その放送の中身の問題じゃないのですよ、もう電波そのものが流れないわけですから。だからやはりもっと関心を持って、衛星放送を是認をするんだったら、それを裏打ちするだけの万全の体制をとらなければ、これは視聴者に対してうそをつくことになると思いますよ。大変な背任行為を犯すことになりますから、ここのところは声を大にしてはっきり、やはり危険性は危険性、不安定な要素があるんだということを訴えないと、いい面ばかりを、日の当たる部分ばかりを訴えたって、もしそうなったときに大変な混乱がこれは起こると思いますよ。そのことを私は絶えず心配をしておる一人なんですが、今お聞きしまして、まあNHKとしてはバックアップ体制をとるために続けて努力をしたい、こうおっしゃっているわけですが、主管庁であります郵政省としては、この実態は十分御承知なわけですから、どのようにそれの対応をされようとしていらっしゃるのか、ちょっと見解を伺いたいと思います。
  435. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 BSXは残念ながら失敗に終わったわけでございますが、これもやはり2bのバックアップとしての価値があったからでございます。あの衛星を購入するに当たりましても、国会の御承認も得まして、予算案の中にも組み込んで、そして打ち上げという準備をすべてやっておったわけでございます。残念ながらロケットの異常ということで失敗をしてしまったわけであります。私どもは、幸いにBS2bは今安定に運用がなされておりますので、これが来年の一月まで無事にお務めを果たしていただけるように、私どもといたしましても万全の体制をとっていただけるように、NHKあるいは通信放送衛星機構等にお願いを申し上げているところでございます。  ことしの八月にはBS3aが打ち上げられます。そうなりますと、お互いにバックアップ体制ということにもなりますし、来年の八月にはまた3bという衛星が打ち上げられるわけであります。そうなりますと、きちっとバックアップ体制ができるということでございます。したがいまして、現在、会長が調査をしておられるというようなお話を先ほどお聞きいたしましたけれども、私ども具体的にこういうのがあるというようなこともお聞きしていないのが現状でございます。私どもは、3aが無事に打ち上がり、3bがさらに打ち上がるということを期待しているところでございます。
  436. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 両者の見解が少々違うようですけれども、時間の関係がございますので次に移りたいと思いますが、いずれにしても綱渡りの状態だと私は思いますね。起こらなければいいのですが、何か起こったときにはそういう格好になりますから、私の懸念だけは申し上げさせていただきたい、こう思います。  次に、日米構造協議と衛星調達の問題なんですが、これの交渉の経緯、それから今後の見通し、課題ですか、その点について郵政省の方から説明をいただければ、こう思います。
  437. 深谷隆司

    深谷国務大臣 衛星問題は構造協議ではなくてスーパー三〇一条の関連でございます。アメリカ側は、我が国衛星開発について研究開発と言っていながら商業用の開発をしているではないか、そのことが結果的には政府等の外国衛星調達の道を閉ざしているという言い分を繰り返しているわけでございます。  私どもといたしましては、将来の例えば宇宙ステーションの時代などを想定いたしますと、宇宙開発技術というのは独自のものを持っていなければならぬものでありまして、どうしても相乗りの形で進めたいという考え方を持っていたものでありますから、そこが日米対立の焦点になっていたわけでございます。我が国はしかし、そうはいっても相手のあることでありますから、自主的な技術基盤の確立に支障を及ぼさない範囲で何とか交渉はできないのかというので、目下日米間で交渉を続けている最中でございます。つまり、鋭意話し合いを継続中であるということでございます。  その中身についてはしたがいまして申し上げられる段階ではないのでありますが、自主技術基盤の確立に支障を及ぼすことのないように努力するように指示をいたしておるところであります。
  438. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、それはCSですか、BSですか。
  439. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 個別具体的な人工衛星について一々問題になっているわけじゃないのですけれども、目下議論の素材に上がっているのは、CS4という計画がございますので、それがよく例示的に上がっていることはございます。
  440. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 感じとして、交渉に実際に当たられてみえます当局ですからお聞きするのですが、CS4から始まってきているのですが、これがBSにまで広がっていくのでしょうか。だから私は見通しと今後の課題というふうな言い方をしたのですが、それは感じとしてはどうなんでしょうか。
  441. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 アメリカの主張しているところは、日本の政府等が調達をしている衛星の調達というものが、研究開発衛星を上げるという形で実は打ち上がったものが実利用されているじゃないか、実利用されているために市場が閉ざされているんだ、実利用に供されるような衛星は、これは市場を開放すべきじゃないかというのがアメリカの基本的な考え方であります。  私どもは、これは米側も認めているところであるわけですが、研究開発衛星を打ち上げるということは、国の役目としてRアンドDをやることは結構ですよ、アメリカもこれは認めているところでございます。ただ、日本のRアンドD衛星というのは、経費効率的な使用あるいは資源の有効利用という立場から、研究開発の要素を持っているものがうまく成功すれば、それを実際に実利用に供することが非常に経費効率使用にもなるわけでありますから、そういったいわば開発と実用の相乗りという形でこれまで進めてまいったわけであります。  したがいまして、日本の主張というのは、研究開発の要素があるかないかということで研究開発衛星かどうかということを区分けをすればいいということですが、アメリカの立場は、利用目的が、研究開発の要素がありましても実際にそれが実利用に供されるものであるならば市場開放すべきじゃないかということで、いささかその辺、主張に食い違った面もあるわけですけれども、先ほど大臣お話をいたしましたように、私ども我が国の宇宙開発の自主的な技術、基盤確立のために支障が起きない形で現実的な解決の方途を探していかなければならないと考えております。
  442. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 よくわからなくなってきたのですけれども、結局、アメリカが言っているのはどういうことなんですか。我が国開発計画に基づいて星がつくられ打ち上げられていくわけですね。それは研究開発であればいい。いわゆる商業衛星であれば市場開放しなさい。市場開放するということはどういうことを意味するのでしょうか。
  443. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 アメリカの主張を端的に申し上げますと、研究開発衛星というのは純粋に研究開発だけを目的とした衛星にしなさい、いわゆる研究と実用の相乗りという形はやめなさいというのがアメリカの主張でございます。(伊藤忠)委員「それはいいですよ。市場開放しろというのはどういう中身ですか」と呼ぶ)中身は、実用に供される衛星は内外無差別に調達をしなさい、日本は今は相乗り衛星ということで自主技術開発を進めるために、国の力で、いわゆる国産になっているわけですが、それを実用衛星という立場から内外無差別に市場を開放しなさいというのがアメリカの基本的な主張でございます。
  444. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 だから、市場開放したとしても我が国の、開発計画といいますとこれはまたおかしくなるのですが、打ち上げ計画には支障は及ばないわけですか。市場開放の要求に我が国が応じたとしましても、例えばBS3aはいつ打ち上げる、BS3bはいつ打ち上げるという打ち上げ計画には支障は来しませんか。
  445. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 今の相乗り衛星という立場からいきますと、それは主として研究開発目的でございますので、外国に打ち上げていただければいい、製作をしていただければいいということにはならないわけであります。日本の国の自主的な技術、基盤を確立するということは日本の技術でそれを開発をするということが主眼でありますので、開放するということになじまないということでございます。
  446. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、NHKが計画していますこの3aだとか3bというのはその計画の中に入っているのですか、入っていないのですか。
  447. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 具体的にBS3aとかbにつきましては、これは契約も終わっておりまして開発が進んでいるわけでありますから、アメリカ側も特にそれを問題にしているわけではございません。
  448. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 早い話が、星はアメリカから買いなさい、こういうことですか。
  449. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 実用に供される星については内外無差別の市場開放をしなさいというのがアメリカの主張でございます。
  450. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 内外無差別にやったら、実際に製品として持っているアメリカが価格的にも技術レベルからいっても有利な立場におりますね。
  451. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 今までの開発の実績等からいいますと、そういった点があると考えられると思います。
  452. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 時間の関係がございますからお聞きをした上で大臣にお願いをしたいのですが、市場開放、今は構造協議ということになっていますが、言うならば貿易摩擦、市場開放だと思います。そういう角度から、こういう問題でどんどんと市場を広げていったら、我が国の研究開発あるいは技術力をいかに向上させるかという計画にまではっきり言って大きな支障を来すと思います。それは国益に反するし、我が国の主権の問題にかかわると言わざるを得ないと私は思います。  フェアに競争するのはいいのです。しかし、比較をして、商業衛星に限ってみたらはっきりするわけですからね。そのハンディのあるのを、日本に市場開放を求めてそれを義務づけるというのは、実際はそうなるわけですから、そんなふうにやられてくるというのは私は納得できません。そういう点については主管庁として、郵政大臣としても代表者でございますから、その辺は毅然たる態度でこの問題の解決に当たっていただきたい。でないと、だんだんと広がってきまして、結局今議論をしております衛星放送の問題についても陰に陽にいろいろな問題を含むと私は思いますので、その点についての態度をお聞かせいただきたいと思います。
  453. 深谷隆司

    深谷国務大臣 これからの宇宙時代に備えて我が国が技術的な開発とかそういう研究を重ねていくことは非常に大事なことでございます。そういうふうな開発研究に支障を来さないような結論を得るために、伊藤委員の御意見を大事にして、しっかり頑張りたいと思います。
  454. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 次の問題は、上田哲議員も詳しく触れられまして、理解を深めたところでございますが、長期審でもNHK所有波のあり方について五年くらいを展望に見直すというふうな表現といいますか、提起をされているわけですが、この目的はお聞きしていてなおわからないのですが、その見直す目的というのは一体どこにあるのでしょうか。
  455. 深谷隆司

    深谷国務大臣 NHKは御案内のように、公共放送として放送全国普及とかあるいは豊かでよい放送番組を通じた我が国の文化水準の向上とか放送番組や放送技術の面における先導的役割というものをし、また国際放送実施などしてまいったわけであります。NHKはその使命を果たしていくためにたくさんの放送メディアを保持していたわけでございます。しかし、民間放送も発展してまいっておりますし、NHK自身の厳しい財政状況もございますので、そんなにたくさんメディアを持っている必要があるのかという一つの意見もありますので、そういう点を踏まえながら見直しの方向に進み始めているというのが現状であります。
  456. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 NHK郵政省の間でこの問題の具体化を図るために連絡協議会というのですか、そういうふうに私聞いておりますが、設置をされている模様、そう聞いておるわけですが、実際はそうなんでしようか。どのような具体的な話が行われているのでしょうか。
  457. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 いわゆるメディアの見直しというのは、やはり一方的にこれをこうしろというようなことは大変問題であるというふうに私自身思っております。しかしながら、いろいろな中間報告やら報告書等におきましてもNHKの肥大化という指摘がございますし、十分これは検討しなければならぬと私どもは考えているわけでございます。したがいまして、郵政省ではNHKからいろいろな御意見を聞くという場としまして「NHK保有メディアの在り方に関する連絡会」というものを設けまして、この連絡会の中で意見の交換を真剣にやってまいりたいと考えております。
  458. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そういう場として設置をされている、こういうふうに理解をいたしました。そうすると、そのメディアというのは七波を言うのですか、国際放送や多重放送を入れれば九つ、こう見ることもできますし、さらにハイビジョンの実験放送で、現在は2bの難視波帯ですか、それを使っていると思うのですが、これがもし衛星機構からリースという格好になってNHKが専用するということになればこれもメディアとして一本ふえるというふうに見るのか見ないのか、疑問が出ます。私はそういうふうに理解しているのですが、その辺は七波ということを前提に今の話が進んでいるのですか、検討の基礎はそこなのですか、その辺についてお伺いします。
  459. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 数と申しますのは、文字放送ども入れますといろいろカウントに、九つとかいうようなことになるわけでございますが、そういうようなものすべてをひっくるめましてNHKが保有すべきメディアというもののあり方というものを根本的にやはり検討していく方がいいのではないかと私は考えております。
  460. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 時間がなくなってもう最後になりますが、映像情報の海外提供です。これは外国に行ってみまして、日本の姿をもっと知ってもらいたい、あるいは文化も正しく理解していただきたいという意味では、積極的に海外提供というのはいい意味で私は必要であろう、こう思っております。長期審の中でもこの資金調達のために法人をつくるという表現になっているわけですが、具体的な構想はどうなっているのでありましょうか。
  461. 青木賢児

    ○青木参考人 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、映像情報の海外提供というのは焦眉の急でございまして、これは世界的に今映像化が進んでおる中で、あらゆる先進国がそういった面で努力をしている。特にアメリカ、イギリス、西ドイツ、こういった国々では映像による海外情報の提供というのを盛んに進めておりますが、日本は御指摘のとおり大変におくれておりまして、日銀の貿易統計によりますと映画、テレビあるいはビデオ、これの輸出入のバランスというのは一〇〇対三・六。輸入一〇〇に対して輸出は三・六というまことにりょうりょうたる実態でございますので、我々としても何とか世界じゅうに映像による情報提供をやりたい。  NHKでは海外放送機関との協力協定、あるいは公的基金利用した番組提供、あるいはビジネスによる販売というような形で海外に対する提供を続けておりますが、六十三年度におきましては年間千七百四十本の無償提供を外国に対して行っておりますが、ビジネスとしては年間四千本ぐらいの販売をしております。これを今後五年ぐらいのうちに一万本ぐらいの提供に上げていきたい、レベルアップしていきたい。そのために、国際情報センターというような第三セクターの組織をつくって今後大いに海外に対する映像情報の提供に力を尽くしていきたいというふうに考えているところでございます。
  462. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 思いつきの域を出ないので失礼かもわかりませんが、海外青年協力隊でしたか、先週も私はジャカルタへ行って皆さんとお会いしました。長い人で三年、随分と頑張ってくれているわけですが、青年諸君が訴えるのは、生活を毎日ともにしながらいろいろな特技を教えるということが中心なんですけれども、それはその範囲なんです。日本を紹介するというのは自分を通じて紹介することはできても、やはり全体を見てもらおうとかまた映像、視覚で感じてもらおうということとは別だと思うのです。  そういうふうな意外と現地の人たちの希望が多くて、あればやりたいというふうなことが出ていましたけれども、そういう場合には生かしていくというか活用していけるような道というのはほかにないものでしょうか。一般のビデオを買っていってどうのこうのというのは、ちょっとそれにふさわしいものはそう簡単には見当たらないと思いますけれども、そうすると、こういう一つのライブラリーのような格好で映像が編成をされていて、日本の姿というのをそういう皆さんが先駆者として伝えてくれる。現実にそういう一つの道具なんかあるわけですから、そんなことを実際に訴えられてどうしたものかなというので私は胸に秘めて帰ったのですが、思いつきの発言で恐縮なんですが、どうでしょうか。
  463. 島桂次

    ○島参考人 今先生指摘の問題も含めまして、やはり公共放送であるNHKのこれから五カ年間の一番重要な課題として、NHK並びに日本の映像をどうやって全世界にキャリーするか、こういうことに今いろいろ全力を挙げてその対策に取り組んでいるところでございます。できるだけそういうシステムでやりたいというふうに考えております。
  464. 大瀧泰郎

    大瀧政府委員 関連して。  私ども郵政省といたしましても、調査研究会の開催であるとかアジア放送交流促進フォーラムというようなものも昨年開催いたしまして、これらを通じまして番組提供の促進のための施策というものを検討しているわけでございますが、さらに外務省と共同で開催しておりました放送番組の海外提供促進に関する調査研究会の報告書がこのたびまとめられましたものですから、こういうようなものを十分今後土台にいたしまして、この放送事業者間の交流の促進であるとかあるいは番組提供にかかわる体制整備を図ってまいりたいと考えております。
  465. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そういう立場で推進をいただきたいと思いますし、実際に現地へ行ってみますと、こういう場面で協力ができれば本当にこれは広がるなというか有益だなというのは随分あります。ですからODAの、これまでも役立ててきているわけですが、真にまた庶民の社会に溶け込んでいけるような、役立つようなODAの使途、そのための見直し、こういうふうなことが非常に重要ではないか、私はかようにも思っておりますので、機会がございましたら私も提言させていただきますが、ひとつ皆さん方でも御検討いただいて、積極的な施策をお進めいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  466. 上草義輝

    上草委員長 次回は、明二十八日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十分散会