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遠藤参考人 放送を担当しております役員といたしまして、今
先生御
指摘のように、長期ビジョン
審議会の中で示されました
放送の質の向上ということは、私
どもにとって最も重要な
課題だというふうに思っております。しかもそれが、受信料を財政基盤としている公共
放送の
NHKでなければできない仕事というものがこの多
メディア時代の中でたくさんあるというふうに
先生方からも御
指摘いただいております。そういう線に立ちまして、
平成二年度以後私
どもの番組をどのように運営するかということも考えております。
その基本の一つは、やはり事実に基づいて多面的な的確な
情報を迅速に提供するということだと思います。それからもう一つは、本格的で高品質な番組を先見性を持って
開発していくということだと思います。もう一つは、多様な
分野にわたっていろいろな少数者の
方々にも
サービスをするという番組をつくって編成するということだと思っております。
この高品質というものを私
どもはどう考えているかといいますと、今やテーマというのは日本国内だけにとどまらないで、一つのテーマをとらえますと世界的な規模でその問題を解明しなければならないという状態になっていると思っております。そういう
意味で、世界的な広がりの中でいろいろな問題をとらえるということを機動的に編成していく、制作していく。それからもう一つは、日本の
情報を世界に出すということにおいても、私たちの品質というものが世界的なレベルに達してなければいけない。そうしなければ、世界各国で私たちの
放送を使ってくれる、あるいは見てくれるということにならない。そういう
意味でも、私たちの制作のあり方というものを基本的に考え直して、それを世界的なレベルに達せしめたい。そうするためには、一つには、世界のいろいろな
放送局あるいは番組プロダクションあるいは映画等を含めました制作会社と協同して、品質の高い番組あるいは
情報というものをつくり、あるいはそれを交互に交換して私たちの
内容を豊かにしていくということが大事だというふうに思っております。
例えば、私
どもは
平成二年度の番組の中でも考えておりますけれ
ども、これから五年間の中で非常に重要だと思っておりますのは、二十一世紀へ向けて、日本国内でも
国民的な
課題あるいは世界的な
課題というのがたくさんございます。例えば経済摩擦もあります。世界の地球環境の問題もございます。あるいは
高齢化社会が目の前に迫っておりまして、
高齢化社会の中での福祉の問題もあります。あるいは東西問題、南北問題というものもございます。そういう二十一世紀へ向けて解決していかなければならない
課題に積極的に取り組んで、これを集中的にあるいはそのときそのときに機動的に編成をして、
国民の
皆様にいろいろな判断の材料を提供していきたいというのがございます。これは例えば二十一世紀への提言シリーズというような形で私
どもは行っていきたいというふうに思っております。
それからもう一つには、二十世紀というもので人類が一体どういうことをしてきたのか。これは政治も経済も文化もすべて含めて、私たちがもう一回それを総括して二十一世紀に受け渡していく、そういう番組をきちっとつくりたいというふうに思っております。
もう一つには、二十一世紀の人たちに向けて、今私たちは例えば映画というものを大変楽しんで見ておりますけれ
ども、そういうように二十一世紀の人たちに向けて、今私たちが二十一世紀に残すべき文化というものを創造していくことが大事であるというのが一つのポイントでございます。
それから、先ほ
ども申し上げましたようにいろいろな多様な番組を提供するということは、少数の趣味趣向を持った
方々あるいは身体障害者の
方々、そういう
方々にもきちっとした
情報の提供をしなければいけない。そういうことでは聴力障害者の
方々に毎日ニュースを提供するというようなことも教育
テレビで始めたいと思っておりますし、あるいは長く望まれておりましたけれ
ども手話講座というようなものも、ボランティアを望んでいる
方々にも向けて開始したいというふうに思っております。
そのほか、生涯学習に向けて、幼児から高齢者に至るまで一生を心豊かに送るためのいろいろな学習の番組を、教育
テレビで積極的に編成するということによって
国民の
皆様方の御期待にこたえていきたいというふうに思っております。