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1990-06-05 第118回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月五日(火曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 石橋 一弥君 理事 谷  洋一君    理事 西田  司君 理事 野中 広務君    理事 中沢 健次君 理事 元信  堯君    理事 小谷 輝二君       愛野興一郎君    今津  寛君       岩屋  毅君    小坂 憲次君       田辺 広雄君    中谷  元君       長勢 甚遠君    福永 信彦君       星野 行男君    増田 敏男君       松岡 利勝君    山本 有二君       小川  信君    小林  守君       須永  徹君    谷村 啓介君       筒井 信隆君    安田 修三君       河上 覃雄君    伏屋 修治君       吉井 英勝君    神田  厚君  出席国務大臣         自 治 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         警察庁警務局長 仁平 圀雄君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         消防庁長官   木村  仁君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局補償課長 平山 英三君         労働省労働基準         局職業病認定対         策室長     安孫子律夫君         参  考  人         (地方公務員災         害補償基金理事         長)      柳澤 長治君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   古屋 圭司君     岩屋  毅君   前田  正君     今津  寛君 同日  辞任         補欠選任   今津  寛君     山本 有二君   岩屋  毅君     古屋 圭司君 同日  辞任         補欠選任   山本 有二君     前田  正君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)  地方財政充実強化に関する件      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は、去る五月三十一日に終了いたしております。  この際、本案に対し、野中広務君外三名より、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議及び民社党の四派共同提案に係る修正案提出されております。  修正案提出者から趣旨説明を聴取いたします。野中広務君。     ─────────────  地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  3. 野中広務

    野中委員 私は、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議及び民社党の四党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨内容について御説明申し上げます。  御承知のように、さきの税制改革における消費税創設に伴い、その約四〇%が地方交付税及び消費譲与税として、地方団体行政運営財源となっているところでありますが、今国会には、消費税に関して、政府からいわゆる見直し法案及び野党会派から廃止関連法案提出され、税制問題等に関する調査特別委員会中心審議が行われることとなっております。  このような状況にかんがみ、今回の税制改革に伴って地方団体財政運営に支障が生ずることのないようにする見地から、本修正案提出したものであります。  修正案内容は、政府原案の附則に次の一項を加えることとするものであります。すなわち、「消費税に係る今回の税制改革に当たっては、平成二年度及び平成三年度以降において、地方交付税法趣旨に基づき、地方財政の円滑な運営に資するため地方交付税総額の安定的な確保が図られることとする。」ものであります。  以上であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 島村宜伸

    島村委員長 以上で修正案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 島村宜伸

    島村委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  6. 中沢健次

    中沢委員 私は、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議及び民社党の四党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する四党共同提出修正案について賛成討論を行うものであります。  現下の地方財政は、過去最高の六十七兆円を超える累積した多額の借入金残高を抱えるとともに、各地方団体公債費負担増大し、その負担比率が一五%以上に達しているものが全体の五割を占めるなど依然として厳しい状況が続いております。また、地方団体間の財政力格差拡大傾向を示しております。  一方、地域振興住民福祉の増進を使命とする地方団体行政需要は、近年、高齢化国際化情報化等社会経済情勢変化に伴い、増大かつ多様化してきております。  さて、今回政府より提出されている地方交付税法等の一部を改正する法律案は、平成二年度分の地方交付税総額について、特会借入金返済等特例措置を講ずるとともに、平成二年度分の普通交付税算定について、地域振興に要する経費公共施設整備に要する経費教育施策に要する経費福祉施策に要する経費等財源措置するほか、財源対策債償還基金費の計上その他各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財 源を措置するため、単位費用を改定すること等を内容とするものであります。  これらの措置は、地方財政の現状や地方団体行政需要動向等にかんがみ、おおむね妥当なものであり、本改正案賛成するものであります。  次に修正案について申し上げますと、今回の消費税に係る税制改革に当たっては、地方団体の円滑な財政運営を図る見地から地方財源の安定的な確保が図られる必要があり、賛成の意を表するものであります。  なお、今後、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」等に伴う地域福祉充実日米構造協議に基づく下水道等生活関連施設中心とした公共事業拡大等地方団体財政需要増大が見込まれるとともに、多極分散型国土形成を目指し、国土の均衡ある発展を期するため、各地方団体においてそれぞれの地域の特性を生かした主体的な地域づくりが強く要請されておりますが、政府においては、これらの地方団体行政経費増大地域づくり推進地域福祉充実等地方団体、特に市町村の役割の重要性増大にかんがみ、地方団体に対する地方交付税による財源措置の一層の充実を図るとともに、その原資を安定的に確保するよう強く求めるものであります。  以上をもちまして、私の賛成討論を終わります。
  7. 島村宜伸

  8. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案並び自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党共同提出修正案反対討論を行います。  まず政府案についてであります。政府案では今年度の交付税総額十三兆七千五百九十四億円のうち一兆二千七百六十八億円を消費税原資としております。消費税は昨年十二月十一日参議院で廃止法案が可決され、二院制をとる我が国の一つの院で廃止という国民の意思が反映されたのであります。そして、衆議院でも廃止について議論が行われるであろうことは法案作成の過程で予想できたはずであります。にもかかわらず、消費税前提とし、消費税財源を求めた地方交付税法案提出することは、主権者である国民の声に挑戦するものと言わざるを得ません。今年度について言えば、消費税財源を求めなくても、本来国が責任を持つべき交付税特別会計借入金返済に充てる財源を、交付税交付金として地方配分する措置をとれば地方団体には何ら迷惑をかけずに済むものであります。従来の政府交付税配分方法前提にしても、消費税財源を求めるのでなく地方財源確保する方法があるにもかかわらず、そうした措置をとらずに、消費税存続前提としての財源措置を行っているのであります。これが反対の第一の理由であります。  反対の第二は、国保財政における地方負担の導入であります。改悪に次ぐ改悪で、「基本的には国の責任である」との政府の見解に反して、国保財政に占める国庫負担割合は年々減少し、八三年度五六・一%を占めた国庫支出金割合は、五年後の八八年度決算では三九・五%と四割を切り、割合だけでなく絶対額でもマイナスとなっているのであります。逆に、当時の厚生大臣に「限界に近い状況にきている」と言わしめた保険料負担は年々上がり、滞納者が続出して、保険証をもらえずに病院にも行けずに死亡するという事態も起きているのであります。この結果、実質収支赤字団体も八三年度百二十四団体から八八年度二百六十一団体に倍増し、赤字額も二百三十五億円から一千百四十七億円に約五倍にふえております。こうした国保財政抜本的解決のためには国庫負担充実こそが望まれているのでありますが、政府は、二年間の暫定期間を経て保険基盤安定制度を制度化して、国保財政地方負担を導入する方向でこの危機打開を図ろうとしているのであります。これは、従来、地方への負担転嫁反対していた自治省の方針にも反するばかりでなく、国の財政地方財政との関係等に関する基本を定め、国は、地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならないとした地方財政法にも反するものであります。  反対の第三は、本来国が負担をすべき交付税特別会計借入金返済を、地方共有財源である交付税で返還していることであります。七五年度以降地方財政財源不足を補てんするために借りた交付税特別会計借入金は、政府交付税法第六条の三第二項に基づいてしかるべき措置を講じてこなかったことによるものであります。今回も、その償還地方共有財源である交付税で行うことにしていますが、従来からこうした措置については野党全体が反対していた問題であります。  第四は、財政需要を的確に算入していない問題であります。交付税基準財政需要額算定実態と乖離して、政府の「あるべき財政需要」との説明でも納得のいく事態でないことは、野党委員がこぞって当委員会でたびたび指摘してきた問題点であります。特に、臨調行革路線のもとで、地方財政全体を圧縮する攻撃がかけられ、乖離が是正されるどころか拡大さえする傾向にあります。単位費用引き上げ等財政需要を的確に算入する抜本的な改正を行うべきでありますが、今回の改正でもそうした措置がとられておりません。  最後に、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党会派共同修正案についてでありますが、この修正案では政府案指摘した消費税を除くものにはなっておりませんので、反対の態度を表明して、討論を終わります。
  9. 島村宜伸

    島村委員長 以上で討論は終局いたしました。     ─────────────
  10. 島村宜伸

    島村委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、野中広務君外三名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、野中広務君外三名提出修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 島村宜伸

    島村委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  14. 島村宜伸

    島村委員長 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、地方財政充実強化に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、先般来理事会等におきまして、各党間で協議を重ねてまいりましたが、このたび、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議及び民社党の四党間で協議が調い、お手元に配付してあります案文がまとまりました。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     地方財政充実強化に関する件(案)   平成三年度以降における公共事業拡大及び高齢化社会対応する福祉充実緊要性にかんがみ、政府は、左記の諸点について善処すべきである。  一 公共事業に係る国庫補助負担率暫定措置廃止等を図り、国庫補助負担制度充実を期すること。  二 下水道等をはじめとする生活基盤投資に係る地方交付税配分充実を図ること。  三 福祉基金創設等地域福祉財源充実を図ること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。  お諮りいたします。  ただいま読み上げました案文を本委員会決議とするに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 島村宜伸

    島村委員長 起立総員。よって、地方財政充実強化に関する件を本委員会決議とするに決しました。  この際、奥田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥田自治大臣
  16. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  17. 島村宜伸

    島村委員長 お諮りいたします。  ただいまの本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 島村宜伸

    島村委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  19. 島村宜伸

    島村委員長 内閣提出地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。奥田自治大臣。     ─────────────  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  20. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府は、国家公務員災害補償制度につきまして、人事院意見申し出に基づき、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を、今国会提出いたしておりますが、地方公務員災害補償制度につきましても、これとの均衡を考慮して、同機の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、年金たる補償の額の完全自動給与スライド制への移行であります。  年金たる補償の額の算定基礎として用いる平均給与額について、年度ごとの四月一日における国の職員給与水準変動に応じて計算することとしております。  第二に、長期療養者休業補償平均給与額への最低限度額及び最高限度額の設定であります。  療養開始後一年六月を経過した職員休業補償算定基礎となる平均給与額については、その職員の年齢に応じて自治大臣が定める最低限度額を下回り、または最高限度額を超える場合には、この最低限度額または最高限度額を、その職員平均給与額とすることとしております。  なお、これらの限度額は、労働者災害補償保険制度において用いられる額を考慮して定めることとしております。  その他、関係法律の規定の整備等を行うこととしております。  以上の改正は、平成二年十月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決賜りますようお願い申し上げます。
  21. 島村宜伸

    島村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  22. 島村宜伸

    島村委員長 これより質疑に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長柳澤長治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 島村宜伸

    島村委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
  24. 小林守

    小林(守)委員 それでは早速、ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に関しまして、一般的な質疑を行いたいと存じます。  まず初めに、公務災害補償あり方については、地方公務員災害補償法の第一条の目的に明確に示されてありますように、公務災害補償の迅速かつ公正な実施の確保のための基金の設置、もって地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとありまして、それに尽きるものと私は思いますが、補償の問題だけにとらわれましては木を見て森を見ずとなり、本末転倒の議論になるのではないかと考えるところであります。最も大切なことは災害発生未然防止であり、発生してしまった公務災害については、その原因究明等再発防止対策の徹底、強化にあると考えます。  そこで、まず、公務災害発生の最近の動向と過去数年間に見られる特徴的なあらわれ方について伺いたいと存じます。     〔委員長退席野中委員長代理着席
  25. 滝実

    滝政府委員 最近における公務災害状況でございますけれども、過去五十九年から大体五年間程度の推移で見ますと、毎年公務災害認定件数は三万件ないし四万件近い認定件数で推移いたしているところでございます。このようなことから申しますと、特に大きな内容的な変動はないわけでございますけれども、基本的には、従来言われておりました警察職員あるいは消防職員あるいは清掃職員、そういうような比較的災害発生しやすい職種につきましてはそれなり対応策を講じてきておりますけれども、それにいたしましても、それを著しく減少させるというのはなかなか難しい状況にあるのではなかろうか、こういうふうに考えられております。しかし、例えば清掃事業で申しますと、皮膚炎発生件数は相当程度減少しているとか、対応策によってはやはりそれなりの効果は上げてきているものと私ども考えているところでございます。
  26. 小林守

    小林(守)委員 最近の動向について触れられていないと思うのですが、職場環境労働環境の急激な変化によって疾病構造が変わったり、それからいわゆる目に見える災害というのでしょうか、明らかに転落事故とかそれから打撲の事故とかやけどとか、そういうような災害性のはっきりした災害が従来多かったわけですけれども、今日の労働環境変化等によって新たなタイプ公務災害発生してきているのではないか、その点についてはどうお考えになっていますか。
  27. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるとおり、新しい機器発達によりまして、例えば事務機器発達ということで目の障害と申しますか、そういうものが出てきているおそれがございます。それからまたストレスによる疾病ということが著しい状況ではなかろうか、こういうことに対する対策が必要だろう、こういうふうに考えております。
  28. 小林守

    小林(守)委員 今、今日までの過去五年間における災害発生状況、その特徴的なあらわれ方、さらに今日における新たなタイプ公務災害発生傾向についてのお話をいただいたわけですけれども、私は過去五年間の公務災害発生する職員の区分、事業所ごと状況で見ますと、清掃事業 所の職員さらには警察消防、この順序は常に変わらない。特に清掃事業所職員発生率が際立って高い、こういう現象があるわけでありまして、このような構造が明らかである以上、公務災害発生防止という観点から相当強力な取り組みが必要だったのではないか。なぜこのようなパターンが変わらなかったのか、これらについてそれなり対応はしてきたというようなことでございますけれども、少なくともこういうパターンが明確に特徴としてあらわれているからには、発生の率の顕著な職場職種に対しては強力に取り組むべきではなかったのか、そのように考えます。また、新たな非災害性の、目にはなかなか見えづらい部分での新たな公務災害という問題につきましても、積極的な対策をとらなければならなくなるのではないか、そのように思います。  これらの災害の最近の動向と、それからさらに公務災害補償あり方という観点だけではなくて、防止対策観点からこの問題については基本的に考えるべきだ、そういう私の問題のとらえ方について、ここでちょっと大臣にお聞きしたいと思うのですが、大臣は、このような公務災害発生状況や最返の動向、さらに公務災害について問題を考える場合は、どうとらえていくのか、そして今後どう対応していったらいいのかという点でどのようにお考えになっているか、基本的な認識をお伺いしたいと思います。
  29. 滝実

    滝政府委員 大臣に御答弁いただく前に、最近の状況についてのお尋ねでございましたから、それにつきまして若干の御説明を申し上げさせていただこうと思います。  確かに清掃事業あるいは消防職員警察職員大変事故が多発している職種というのはございます。そういう意味では、例えば清掃職員に限って申し上げますと、最近では交通事故による災害というのが特に清掃事業の場合には不可避的な状況になってきている。それに関連いたしまして、例えば車からの墜落、転落、車あるいはその他の器具による挟まれとか巻き込まれ事故、こういう点が特に清掃事業については目立っているわけでございます。したがって、御指摘にもございましたけれども、私どもとしては、過去に三カ年にわたりまして、例えば清掃事業でございますと事故防止に関する研究会を設けまして、事故調査実態あるいは再発防止対策、こういうようなことを調査してまいりまして、結果的には例えばごみ収集車改善対策、あるいは収集車の切りかえをする際の財政措置交付税で見ていただくとか、そういうような防止対策を現在講じてきている、こういうような実態がござい萎す。  それからまた、第二番目にお尋ねがございました事務機器の進歩に伴う問題、あるいは非災害性と申しますか、例えば腰痛であるとか頸肩腕症候群でありますとか、そういうような全般的に非災害性疾病、こういうような健康障害につきましては、やはりこれからの環境変化に応じた対策が必要だろう、こういうふうに私どもとしても考えておりまして、例えば新しい事務機器の登場に伴う労働安全衛生につきましては、労働省動向等も踏まえましてかねがね特別な推進対策を特に明示して講じている、こういうことが実態でございます。  これらを踏まえての基本的な対策につきまして大臣からの御答弁がありますので、私どもとしてはただいまそういうような状況だけを申し上げたいと思います。     〔野中委員長代理退席委員長着席
  30. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今御指摘ございましたように、清掃職員災害が非常に多い、また警察消防職員等にも常に危険の伴う職種だけに、こういったパターンが続いていることを憂慮されている御発言でございました。私としても、これらの対策に関しましては、常に現場職員の身になってそういった環境整備あるいは労働の条件、また第一線の人たちの健康管理、こういった形に不断の注目をして、そういった立場の人たちの身になってそういったことを管理していくという姿勢が大事だろうと思っております。事故が起きないような最善というか、そういった施設管理も含めてでございますけれども、やはり管理者自体のそういった仕事に対する理解と温かい不断の思いやりがとても大切であろうと認識いたします。
  31. 小林守

    小林(守)委員 今大臣の方から、現場職員の身になって、特に思いやりのある態度での、姿勢での対応によってそういう問題についての適切な対応が図られるだろうというようなお話をいただきました。現場職員の身になってということが極めて大切なことだというふうに私は同感をいたしているものでございまして、感銘をいたしたところでございます。  先ほど公務員部長の方からお話がありましたように、清掃事業所職員については交通事故による災害が非常に多いのだ。これは道路での収集という作業がございますので不可避的な問題かもしれませんか、交通事故という言葉そのものも、現場の職員の立場からしますと、一生懸命収集をしているところに車が突っ込んでくる、そういうことでこれを交通事故と見られるのがやはり現場職員からするとちょっと納得がいかないというような感覚も持つのではないかと思うのです。やはりその辺も常に現場職員の身になって考えるという発想を持つならば、交通事故というよりも、これは相対の問題になるならば交通事故かもしれませんけれども、やはり作業をしている職員にとってはこれは交通事故ではない、そういう感覚でいるのではないか、そのように思いますが、これはひとまずおいておきまして、警察消防署の職員等に対してもやはり高い発生率を示しておりますので、今までどのような対策等をとってきたのか、それから主にどういうところで発生しやすいのか、その辺をお話しいただきたいと思います。
  32. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 まず発生状況でございますが、昭和五十九年から昭和六十三年までの五カ年に都道府県の警察官で公務災害と認定されたものは約三万一千件に上っておりまして、年間にいたしますと約六千件でございます。  これを職務態様別に見ますと、最も多いのが柔剣道、逮捕術などの術科訓練中のものでございまして、これが全体の六七%、二番目が逮捕、護送など捜査活動中のものでございまして、これが六・三%、三番目が交通の指導取り締まりや交通事故処理中のものでございまして、これが五・七%等となっておるわけであります。このうち最近におきましては、交通の指導取り締まりや交通事故処理中の事故が増加の傾向にございます。  原因といたしましては、大別いたしますと、一つは避けることができないようないわば不可抗力によるもの、二つには警察官の不注意によると認められるもの、三つには遵守すべき基本が守られていなかったためと認められるもの等でございまして、これらがそのほとんどでございます。  次に、再発事故防止対策でございますが、まず、術科訓練中の事故防止といたしましては、入念な準備運動の励行とか指導者を配置しての訓練とか参加者の体調のチェック等を行わせておるところでございます。また、職務執行中の事故防止といたしましては、職務執行の態様に応じたところの実践的な教育訓練の実施とか装備資機材の有効活用に努めているところでございますが、例えば犯人逮捕に際しましては、警棒等武器の活用とか制私服員の緊密な連携等、また交通事故の処理に当たりましては、資機材の活用とか監視員の配置など、さらに職務質問等に際しましては、対象者との間合いを適切にとるというようなこと、警棒等の活用あるいは身体捜検の徹底等について指導教養の徹底を図っておるところでございます。
  33. 木村仁

    ○木村政府委員 消防につきまして公務災害の認定状況でございますが、昭和六十三年、これは暦年でありますけれども、死者六名、負傷者千七百十七名、計千七百二十三名となっております。  死傷原因を形態別に見ますと、火災の鎮圧に当たっている際に死亡または負傷したものが四百五十一名、うち死者二名でございまして、全体の二六・二%で最も多くなっております。それから、演習、訓練によるものが三百五十名、うち死者一名で二〇・三%でございます。また、救急搬送中 等によるものが百四十九名で八・六%となっております。幸い、死傷者の認定の数は、過去十年総数としては少しずつではありますが減少の傾向に向かってきております。  御承知のように、消防は、危険が伴うというよりは危険そのものを処理する仕事でございますので、その安全管理体制には最善の努力を尽くしているところでございます。過去の事故事例等をすべて参考にしながら、昭和五十八年七月二十六日付の消防課長通達で安全管理規程及び訓練時の安全管理要綱を定めるように通知しております。同時に訓練時安全管理マニュアルを出しております。また、五十九年八月八日には警防活動時における安全管理のマニュアルを示しております。これがそれでございまして、かなり詳細をきわめた安全管理マニュアルであります。また、全国消防防災主管課長会議あるいは全国消防長会を通じて事故防止の徹底を図っております。  また、事故発生いたしますごとにその個々の事故について十分原因を検討し、再発の防止に努める。例えばはしご車で人が亡くなられましたが、その場合にははしご車の傾斜が余りにも急であったためという原因を追求して、そういったことがないようにマニュアルを直すという作業を続けて安全管理に努めている次第でございます。
  34. 小林守

    小林(守)委員 警察消防職員に対しましてもより一層の災害防止対策等について御尽力のほどをお願いしたい、そのように考えております。  そこで、先ほどの問題に戻りますが、清掃作業中の危険防止対策という観点で、作業中に車が突っ込んできてしまう、そして挟まれて死亡事故にまでつながるような事故が出ているわけです。実は五月十一日に、社会党の廃棄物対策特別委員会が主宰いたしまして、東京都議団と一緒に東京都内における清掃作業中の実態調査を行いました。ちょうど銀座かいわいでの収集作業中の調査だったのですが、たまたま分別収集が行われていないものを収集車に圧縮して回収する、そういう作業中に生ごみの袋が破裂いたしまして、まさに逆噴射ですか、パッカー車から逆噴射をして、もちろん清掃作業員三人に対しましてもその生ごみの汚物が降りかかるというアクシデントもありますし、見学をしていた我々国会議員の何人かの方にその汚物が降りかかってきた、そういうアクシデントもあったわけで、その御苦労たるや本当に身につまされるというかそういう感覚を持ったわけであります。そういう危険というかそういう問題のほかに、大変交通の頻繁なところでの回収作業ということになりますと、先ほども申したとおり、いわゆる交通事故の問題が非常に心配されておりますし、そういう事故発生も多いわけでございます。  そういう点から、そういう仕事に携わっている人たちの中で、ごみ収集車改善対策として黄色いランプを車に点灯させるというようなことをしてもらえないかという要望、運動も起こっているようなんですが、これについて道路管理上の問題というのでしょうか、そういう観点から多少困難な問題もあらうかと思いますが、いずれにしても、ここで清掃作業をしているのだということを、土木作業をしているのと同じように、性格は違いますが、明確に運転者に知らせるという機能を果たす意味で黄色いランプの点滅というのでしょうか、そういうものを車につけさせてはどうかと私も思うのですが、いかがでしょうか。
  35. 滝実

    滝政府委員 かつて清掃車につきましては、その回転板への巻き込みの防止等の問題で清掃車の改造をいたした経緯もございます。したがって、ただいま御提案のございました黄色いランプにつきまして、確かに事故防止上そういうものは有効な点も考えられますので、私どもとしても関係方面と十分接触させていただきたいと思っております。
  36. 小林守

    小林(守)委員 そういう方向でしっかりと取り組みのほどをお願い申し上げたいと思います。  それでは次に、災害統計の関係なんですが、今日までの職員の区分につきましては、負担金率の区分で分類をされて統計をしてきたという経過がございます。しかし、現実にはこれには潜ってしまって明らかに出てこない職場職員の問題が指摘されております。特に、社会福祉施設の職員とか学校給食の調理員等の職種職員におきましては、災害発生率が極めて高いのだということが指摘されております。しかし、現状ではこの統計数字上は「その他の職員」の欄に入ってしまうことになりますので、正確な実態の把握が不十分であると同時に、科学的な災害発生防止対策を確立していく上では不十分なのではないか、そのように考えております。特に学校給食調理員等の災害発生状況は、清掃事業職員に次いで高いんだというふうにも我々の調べでは言われているんですが、こういう状況についてどのように把握されているのか。さらに、今後より実態に即したデータを把握する、そして科学的な防止対策を確立する意味で、この統計区分を改める必要があるのではないか、そのように思いますけれども、いかがでしょうか。
  37. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるとおり、公務災害の統計につきましては、従来九種類の職種に分類いたしましてデータを整理してまいったわけでございます。このもとになりましたのは、母数と申しますか、その職種全体の人数を確認する統計処理上の問題がございますので、余り細かい分類というのはなかなか難しい点がございまして、従来九種類でやってきたものですから、確かにおっしゃるように、給食職員その他の特に事故が多いじゃないかというふうに推測される職員についての処理が必ずしも十分でないというのが今までの実態でございます。  これにつきまして、実は最近におきましては、こういうような過去の反省に立ちまして、現在、十六種類にそれを広げましてこのデータをもう一遍整理し直そう、こういうような作業を開始しようとしておるところでございます。十六種類でも新しい状況についていくためには必ずしも十分と言えないわけでございますけれども、とりあえず十六種類に範囲を広げましてやってみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 小林守

    小林(守)委員 それでは次に、災害発生未然防止、そして健康で安全な職場環境づくりのために、労働安全衛生法に基づいた管理体制の整備が極めて重要であります。しかし、今日の自治体職場におきましては、事業の種類や職種が非常に広範囲にわたっていること、そしてまた、残念なことに、当局におきましては労働基準法や労働安全衛生法等の認識が低いのではないかというような実態もあります。さらに、労働基準監督機関の調査や指導がこちらから告発でもしない限りほとんどないという現状、こういうことから労働安全衛生面での法律違反が平然と横行している実態にあると言わなければならないわけであります。労働安全衛生法は安全衛生対策の最低基準を規定しているものでありまして、罰則つきの法律であるわけであります。それにもかかわらず、自治体におきまして違法な状態が非常に多いというふうにも指摘されておりますが、その実態をどのように把握されているか、お伺いしたいと思います。
  39. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるとおり、労働安全衛生法はいわば安全管理の最低というか、それを保障する枠組みというふうに私ども理解をいたしております。そういう安全法の定める枠組みの中で要求されているいろいろな安全上の体制があるわけでございますけれども、この体制で申しますと、例えば総括安全衛生管理者の設置でありますとかあるいは安全管理者の設置、こういうような安全管理者の系統の設置は比較的充足してきている、法律の目的に達しているということが言えるわけでございますけれども、一方、御指摘のございましたように衛生管理者でありますとかあるいは産業医の設置でありますとか、要するに資格を持たなければならない人がいないとどうもその組織が動かない、こういう体制もあるわけでありまして、この点については残念ながら大変おくれているというのが実態でございます。  私どもとしては、しかしこれをこのまま放置するわけにもまいりませんので、実は平成元年度か ら交付税措置をやりまして、資格試験に挑戦するような職員をできるだけふやそう、こういうことで現在やってきております。それから産業医の問題についても、やはりこれを設置していくということで何らかの対策を講じていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  40. 小林守

    小林(守)委員 今の、特に衛生管理者の選任や産業医の設置、そして安全衛生推進者の選任、これについては極めて問題が多いというような指摘もされましたし、また衛生委員会の設置等につきましても、衛生管理者の資格を持った人の確保が難しい現状であるというようなことからなかなか進まないんだというようなお話もありましたけれども、使用者責任という観点に立つならば、資格が取れないからとか、そういう人がいないからとかということによって見逃されているという実態が何ともこれは理解しがたい、そのように思うのですね。  極端な言い方かもしれませんけれども、例えばラスパイレス指数が一一〇を超える団体については、公表までして強烈な指導を行ってきたというような経過もありますけれども、こういう問題についても、義務であるにもかかわらず、衛生委員会の設置なんかについては、むしろ設置率が五三%ぐらいしかできていないのですね。さらに衛生管理者の選任については六六%くらいしか成っていない。産業医の設置については六二%ぐらい。こういう数字を見ますと、これらの団体については公表して強烈な指導をやらない限りなかなか進まないのではないか、そのように思います。そういう点で罰則もあるということを厳しく認識してもらわなければならぬと私は思っておりますけれども、この罰則はどんな内容か、ちょっとお示し願いたいと思います。
  41. 滝実

    滝政府委員 ただいま申しました総括安全衛生管理者あるいは衛生管理者、こういうような設置が義務づけられているわけでございますけれども、この設置義務違反につきましては三十万円以下の罰金、こういうような状況でございます。
  42. 小林守

    小林(守)委員 そういう罰則もあるわけでありますから、これは深刻に考えてもらわなければならぬ問題だと思うのです。どうも自治体については何かこう法律を守るのが当たり前の職場で通っているわけなんですが、内輪の問題になりますとこういう実態がある。また監督署そのものも、まあ役所だからという形で、自治体だからということでの仲間意識というのでしょうか、言ってもしようがないという認識があるのでしょうかどうかわかりませんが、非常に甘いのではないか、そのようにも考えているところでございますけれども、こういう問題について、民間企業だったら大変な問題として社会問題になってくるんだと思うのですが、自治体だからなってこない、そういう現象もあろうかと思います。自治大臣どうですか。こういう罰則があるにもかかわらず達成されていないという問題について、本腰を入れてやらなければこれはどうにもならぬだろうという観点でここで決意をお聞きしたい、そのように思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 滝実

    滝政府委員 大臣の御答弁をいただく前に、私どものやっております状況について若干御説明をさせていただきたいと思います。  先生のおっしゃるように、地方団体だからといってこういうような法律上の設置義務が免れるわけではないわけでございまして、私どもも先生のおっしゃるような方向で実はこの二、三年努力をしてまいりまして、六十三年度につきましては、特定の県を選んで市町村の設置状況について個別にヒアリングをやってまいりました。それから元年度につきましても、残りの県につきまして、特に市町村に照準を合わせたヒアリングをやってまいりました。私どもとしては、こういうような個別のヒアリングを当分の間続けてこの辺の注意を個別に喚起してまいりたい、こういうふうに考えております。  これは罰則の問題というよりももう少し真剣に、先生のおっしゃるような使用者責任というものを、法律上で決められた、そういう状況の中で環境整備していくということはまず必須の条件でございますから、そういう意味で私どもとしては努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  44. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、政府委員の答弁を聞いておったのですけれども、それは法律は労働安全衛生法に基づいていろいろ管理責任もあるのでしょうけれども、私は先ほどから委員の御論議を聞いておって、長い間自治体行政の中で仲間と一緒に経験なさったその苦労の結果が結晶されて、地方自治体に働く人たちのそれぞれの立場に対して委員御自身が深い愛情を持って、いろいろなそういった衛生管理責任も含めて、単に法律がどうだからとかこうだとかいう、形式的に配置してあるしてないという論議を超えて、私は、くどいようですけれども、そういった作業環境、いわゆる労働条件すべてを含めた総合的な管理の思いやりの中から、そういった精神的ストレス、そういった形も事故未然防止の一つの大事なことでございますから、平素からの職場環境がいかにあるべきかという形で、やはりそれぞれのコミュニケーションと思いやりがなかったら、法律だけでやっていてもなかなかあれだなと、先ほどから委員のそういった経験に基づかれた御論議の中で、当然法に基づく管理責任は配置すべきでありますし、その上にまだ何かが必要だなということを感じております。
  45. 小林守

    小林(守)委員 それでは続きまして、本日参考人として御出席いただきました地方公務員災補償基金理事長の柳澤さんにお伺いしたいと思います。本日は、お忙しいところを大変ありがとうございます。  まず第一点は、基金の認定業務については、今日、被災者救済という大原則を忘れて、疑わしきは認めず。疑わしきは罰せずというのが言葉なんですが、どうも疑わしさは罰するみたいな、疑わしきは認めずという立場を強めているのではないか、そういう指摘がされております。そしてまた、昭和六十年六月十三日の地方行政委員会におきましても、地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議がその際に付されております。その中に、「地方公務員災補償基金審査会及び同支部審査会の運営の適正化を図るとともに、審査案件の処理の迅速化に努めること。」というような附帯決議も付されておりますが、「審査会の運営の適正化」という中にそういうニュアンスのことも入っているのだと思います。  特に今日の問題として、そのような、どうも基金本部に認定の問題が上がっていくとだめになるケースが非常に多いというようなことを考えますと、支部の独自判断ではなくて本部との協議を義務づけている通達があるわけですけれども、「支部長から理事長に協議すべき事項の指定」というような問題、そして「支部長から理事長に協議すべき事項の取扱いについて」という中では、脳疾患や心臓疾患についても、当分の間は支部長の判断ではなくて、理事長に協議しろというような文書の通達も出ているわけでありまして、このような問題を考えますと、本部に協議することによって疑わしきは認めずの方向に動いてきているのではないか、そのように私も感じているところでございます。  しかしながら、この法の趣旨からいたしますと、先ほど申しましたとおり、被災者や遺族の生活の安定や福祉の向上が最大の目的でありますから、そういう観点に立つならば、できるだけ被災者に身近なところに権限を移譲する、そういう観点で支部の権限を強化していく。そして特定案件については本部に協議しろというような従来の通達にはやはり問題があるのではないか、見直すべきなのではないか、そのように感じておるのですが、いかがなものでしょうか。
  46. 柳澤長治

    柳澤参考人 お答えいたします。  基金の基本的な考え方は、公務災害の迅速な補償と公正な補償という基本点を持っております。それから、今お話がございましたように、被災職員につきましては最大限救済するという基本的な 立場を持っております。  そこで、今御指摘の本部協議の問題でございますが、認定業務の大部分につきましては、今御指摘のように身近なところで認定するということが迅速にもなりますし、また、適正な運用ができるだろうということで、ほとんどが支部長に委任されております。ただ、具体的なケースといたしまして、社会情勢の中でいろいろ複雑多岐な問題がございまして支部では認定ができない、こういう問題もございまして、これは支部の方から本部に相談に来ております。  それから、最近社会問題になっております脳・心事案等あるいは過労死の問題につきましては、医学的判定が非常に難しい、あるいは、医学的な知見が確立されていないというふうなことがございまして、これにつきましては、全国一律の医学的判断で認定するのが適当ではなかろうか、こういうように考えておりますので、それらの点につきましては本部協議という形にしておりますが、大部分は支部でやっていただく。なおかつ、現在の本部協議につきましても、御主張のような点がございますので、なるべく縮小する方向で努力してまいりたいと思っております。
  47. 小林守

    小林(守)委員 それでは次に、現在の認定請求に際しましては、任命権者の意見の記入の欄があります。しかし、この任命権者の意見の記入については、非常に誤った理解がされている事例もあるわけであります。任命権者がいわゆる認定権者というのでしょうか、そういう立場にあるかのようにみずからがその認定判断をしているような記載の例も私は見受けたことがあります。例えば、この職員災害発生については業務との関連は認められないとか業務起因性は認められないとか、そんな記載まで所属長というか任命権者の意見の欄に入れてしまっているような、何とも理解しがたいようなことも事実あるわけなんですが、これらについてその認定請求の際の任命権者の意見の記入の欄はどういう性格のものなのか、お示し願いたいと思います。
  48. 柳澤長治

    柳澤参考人 任命権者の意見を聞くという規定がございますが、これは最も身近にある上司になりますので、むしろ被災職員のために有利な意見を出していただけるのではないかと私の方は期待しております。  ただ、上、外の問題につきましては、それは医学的判断とかいろいろ難しい問題がございますので、そこまで任命権者の方が書くということはやや早計かな、こんな感じがいたします。
  49. 小林守

    小林(守)委員 被災者に有利な記載が当然考えられるという立場での御発言をいただいたわけで、その線をやはりもっともっと周知徹底を図ってもらうべきだ。少なくとも、使用者責任考えるならば、自分の部下なり職員が不利になるようなことをわざわざ任命権者が書くようなばかげた話というか、それが公正意識なのかどうかわかりませんけれども、少なくとも認定判断するのは別の機関にゆだねているわけですから、そこで早く救済されたい、そういうことを、現実に疾病なり障害で困っている職員実態は変わらないわけですから、それが業務によって起こったのかそうでなかったのかということは、任命権者は無過失責任という観点から考えるならば問題ないはずでありますけれども、どこか履き違えているというか、その辺の理解が不足しているのではないか、そのように思いますが、その辺の周知徹底、これをもっとしっかりとやってもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  50. 柳澤長治

    柳澤参考人 任命権者はおやじみたいなものですから、そういう立場で意見を出していただきたいと思いますし、それから、任命権者の問題につきましては、職員が自分だけで資料を出すということではなくて、職員がいろいろな事情で認定請求の手続がとれないという場合には任命権者がそれに対して助力しなければならぬという助力義務が施行規則に書いてあります。そういう点で、そういう趣旨を任命権者側の担当職員に私たちは常に周知徹底しているところでございますが、今後とも努力したいと考えております。
  51. 小林守

    小林(守)委員 何か協力義務や助力義務について認識不足というか、履き違えておりましてそうしてしまうみたいな、そういう任命権者もいないとは言えない実態がありますので、そういうことでしっかりとこれについては周知徹底をさせていただきたい、そのように思います。  次に、現在の法制度では業務遂行性と業務起因性について被災者の立証責任を負っている原則になっていますけれども、さらに、業務起因性については基金の方からは相当な因果関係の立証が求められている、このようになっておりまして、これが非常にネックになっているのではないかと思うわけです。法の趣旨や事務の効率化という観点から考えましても、相当因果関係の立証というものについては、むしろ任命権者の方が積極的な反証、そうではないのだというようなことを明確に証明する、そういうことがない限り業務起因性はあるのだという前提で進める方が、被災者救済主義の原則に立つ考え方ではないのかと私は思うのですけれども、いかがでしょう。
  52. 柳澤長治

    柳澤参考人 現在の公務認定の考え方は、公務と災害との間に相当因果関係があるということが必要でございます。これは、労災、国公災ともに同じ立場をとっております。そういう点で、そういう因果関係があるかどうかの判断の上に立ってやっていかなければならない、かように考えております。  なお、今職員だけ立証責任を負わせるのは酷ではないかという御指摘がございましたが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、任命権者も職員と一緒になって自助努力をするという法律上の義務がございます。それから、基金の方も任命権者とかあるいは医療機関等に対しまして、いろいろな資料を集めまして、なるべく職員の有利になるような資料を集めてやるというふうな努力をしておりますので、御理解いただきたいと思います。
  53. 小林守

    小林(守)委員 それでは、最後の質問に移らせていただきます。  昭和六十三年の八月に労働省から発表されました労働基準法研究会災害補償関係の中間報告には、療養開始後一年六カ月後に休業補償を打ち切り、そして、そういう方向で症状固定がした、それはいわゆる治癒だというような問題で、そうではない、治癒はしていないのだというような判断の違い、医師そのものの判断の違いなんかでいろいろ問題が多いわけですが、症状固定イコール治癒という問題への今後の対応を検討したいというような報告がありましたけれども、これについては、特に慢性病症状を有している被災者には大きな不安を与えているというふうに言えるわけであります。そして、今回のこの改正法では長期療養者、いわゆる一年六カ月を超えた者の休業補償にかかわる平均給与額の年齢階層ごとの最低、最高限度額を設定するということになるわけですけれども、この問題は私も了解したいというふうに思いますが、実態的な運用の中で、どうも症状の固定イコール治癒という形で療養補償の打ち切りというような方向へ運用が強められているのではないか、そういう実態も幾つか聞いていることがあります。これらについて、地公災の制度の運用においてそのような打ち切りの方向での運用改悪というか、一年六カ月過ぎればもう症状は固定したのだ、もう治癒したのだという形で療養補償を打ち切っていくというような動きがあるのかどうか、どのように把握されているのか、そのようなことがあるならば大変問題でありますけれども、そのような声を聞いておりますので、確認しておきたいと思います。
  54. 滝実

    滝政府委員 ただいまの問題は、基金の問題にも関連するわけでございますけれども、制度的な問題でございますので、私の方から御説明させていただきたいと思います。  確かに先生御指摘のように、二年ほど前の労働基準法研究会では、その中間報告の中で休業補償の問題について提言がありまして、さようなことが議論されたように私どもも承知いたしております。しかし、その後、慎重に検討すべきだ、こう いう結果、さらにこの研究会でその後の検討をした結果、この問題についてはもう少し慎重な検討がなされるべきであろう、こういうようなことでございまして、それを受けたことでもあるだろうと思いますけれども、昨年末の労災保険審議会においても、この問題については取り上げられなかったという経緯がございます。  したがって、私どもとしては、制度的に打ち切りという問題は、少なくとも現在のところ考えていないというふうに言い切って差し支えないものと理解いたしております。したがって、個々の認定に当たっても、そのようなことは少なくとも今の制度の中ではないというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
  55. 小林守

    小林(守)委員 終わります。ありがとうございました。
  56. 島村宜伸

    島村委員長 伏屋修治君。
  57. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私は、先ほども質問がございましたが、長期療養者休業補償基礎になるのは平均給与額の決定であろうかと思います。その平均給与額算定に当たって、いわゆる期末・勤勉手当以外の手当が含まれることとされておるわけでございますが、調整手当とか特殊勤務手当について、制度あるいは運用について不適正なものが一部の地方団体に見られることから、これらについての是正状況及び自治省として是正に向けて強力な指導をする必要があるのではないか、このように考えるわけでございますが、その辺の御見解をお伺いします。
  58. 滝実

    滝政府委員 確かに、年金の問題にいたしましても、休業補償にいたしましても、その基礎になるものは平均給与額でございます。この給与額につきましては、被災職員が被災時において得ていた所得を補償する、こういうことでございますから、この中には給料本俸以外にその他の手当が当然入ってまいる、その中には今御指摘のような調整手当あるいは特殊勤務手当が算定基礎に含まれるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、この調整手当あるいは特殊勤務手当の実際の支給状況の問題で御意見がございました。確かにおっしゃるとおり、従来からこの問題については是正問題が懸案になっておりまして、私どもとしても、これの適正水準と申しますか整理につきまして、たびたび注意を喚起してまいっております。  具体的に申し上げますと、例えば特殊勤務手当につきましては、過去五年くらいの間で、延べにいたしまして大体二千団体についてこの手当の整理を行ってまいりました。今の段階でその結果が十分満足のいくものであるというふうには必ずしも当たらないと存じますけれども、少なくとも二千団体においてこの努力をし、廃止統合あるいは支給額の見直し、こういうことをやってまいっております。したがって、こういうふうな点については、今後ともなお引き続き検討をお願いしてまいりたいというふうに考えております。また調整手当につきましては、昨年の人事院勧告におきまして、従来の制度について若干の見直しがなされた点でもございます。私どもは、こういうような制度見直しを踏まえて適切な見直しを行っていただくように、こういう点から、調整手当についても昨年来御指導いたしておるという状況でございます。
  59. 伏屋修治

    ○伏屋委員 時間もございませんので、次の問題に移りたいと思いますが、過労死の問題について少しお尋ねしたいと思います。  認定申請中の過重負荷を判断するに当たっての「異常な出来事」あるいは「日常業務に比較して、」質的にもしくは量的に「特に過重な業務」というのは具体的にはどのような場合を想定しておるのか、労働省の方にお答え願いたいと思います。
  60. 安孫子律夫

    ○安孫子説明員 御説明申し上げます。  「異常な出来事」とは、具体的に申しますと、例えば就業中に交通事故に遭ったとか、あるいは工場の火災とか事故とか、そういうような場合でございます。そういうような場合につきましては、強度の精神的、身体的負荷を強いられる突発的または予測困難な異常な事態、こういうような場合をいうと思います。  それから「日常業務に比較して、特に過重な業務」とは、業務量、業務内容、例えばその方の責任の重さとか作業の形態とか、そういったものを業務内容と言いますが、それから作業環境等を総合的に判断いたしまして、通常の所定の業務内容に比較いたしまして特に過重な精神的、身体的負荷を生じさせたということが認められる場合を過重負荷、日常業務に比較して特に過重な業務、こういうことだと思います。
  61. 伏屋修治

    ○伏屋委員 労働省の方では、新聞記事にもなったわけでございますが、過労死認定という場合、先ほど参考人の方からも、こういう脳血管疾患あるいは心臓疾患というものの認定は非常に困難であるというようなお答えがあったようでございますが、この脳疾患あるいは心臓疾患等によっての過労死認定のマニュアルとも言うべき内部資料が新聞に出たわけでございます。資料によりますと、過労死は死の直前の一週間に続けて平常時のほぼ二倍以上、または前日もほぼ三倍以上働いていないと労働災害として認定されないとも読み取れる内容となっておるわけでございますが、認定の枠を広げたとはいえ認定はむしろ厳しくなっておるのではないか、その辺の御見解を労働省にお聞かせ願いたいと思います。
  62. 安孫子律夫

    ○安孫子説明員 一部の報道で指導要綱、いわゆるマニュアルとも言われたものにつきましては、新認定基準ができたとき、これを部内の職員用に説明するために図をつくりまして、そこで説明したというようなことでございます。この図のどれに当たれば業務上になるとか、あるいは当たらなければ業務外というようなものではございません。したがいまして、新聞で報道された図につきましては、指導要綱というものではございません。  また、二倍とか三倍の問題でございますけれども、前日の場合には通常の業務の三倍とか、あるいは一週間の範囲で通常の業務の二倍が必要であると言われておりますが、決してそうではございませんで、私ども認定する場合につきましてはその方の労働時間のみならず、業務内容とか作業環境等、あるいはそれを踏まえまして専門医の意見を聞きまして総合的に判断するというようなことをしております。
  63. 伏屋修治

    ○伏屋委員 人事院は、労働省のマニュアルというか、こういう認定についての基準について、一応国家公務員災害補償について関与しておられると思いますが、その辺の御見解はどうですか。
  64. 平山英三

    ○平山説明員 お答えいたします。  人事院の所掌いたします国家公務員災害補償につきましても、労災との均衡というものが補償法上義務づけられておりますので、労災との均衡ということで実施をいたしておりますが、私ども労働省からいろいろお聞きしているところによりますと、あれはマニュアルといったものではなくて、そういった一つの例であるということでございますけれども、私どもといたしましても、職務の実態、勤務の内容、そういったものをつぶさに精査いたしまして、その結果公務上のものであるかどうかということを判定しておりまして、その辺はなかなか画一的にできないということでございます。  そういうことでございますので、我が方といたしましても、難しいものにつきましては私どもの方に御相談をいただきまして、全体として医学的な見解を専門のお医者さんに求めながら判断をしておるというところでございます。
  65. 伏屋修治

    ○伏屋委員 労働省の横並びとはいうものの、人事院の「「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の公務上の災害の認定について」の取り扱いについて」という通知の中に、三項目目「認定指針2の例示について更にいえば、次のような場合が考えられる。」労働省としては発症前日までの認定というのが発症一週間前までというように枠を広げられたわけでございますが、その範囲で労働省のそういう認定の基準というのですかそういうものが出ておるわけですが、この人事院の項目を見てみますと、「例えば発症前に週数十時間にまで及ぶ超過勤務 を一箇月間にもわたって行っている場合」、こういう項目があるのですが、その辺はどういうような解釈でこういう項目を入れられたのですか。
  66. 平山英三

    ○平山説明員 お答えいたします。  一週数十時間にわたりまして一カ月以上ということでございますが、週数十時間と申し上げますのは二十時間ないし三十時間、それが一カ月でございますから、大体月八十時間から百二十時間くらいというものを考えております。ただ、それは八十時間以上なければだめだというものではございませんで、その他のいろいろな精神的な負荷でございますとかそういったものとあわせ考えるということでございますので、八十時間がなければだめだということではございません。
  67. 伏屋修治

    ○伏屋委員 時間もございませんので、それ以上深くは入りませんが、先ほど労働省の御答弁の中では、これは職員研修用の参考資料で、これを基準に判定するよう指導したことはない、こういうような御答弁があったわけでございますけれども、新聞記事によりますと、東京の品川労基署は四月のある事例に関して資料を参考にして判断した、こういうようなことを明言しておる報道がされておるわけでございますが、この辺についてはどうお考えなのか。また、このように労働省の認定マニュアルというものが出ておるということであるならば、もっとはっきりと国民の前にこれを具体化して明示してもいいのではないか、このように考えますが、労働省、どうお考えですか。
  68. 安孫子律夫

    ○安孫子説明員 御指摘の図につきましては、先ほども申し上げましたように職員研修用に新認定基準を説明するためにつくったということでございます。  なお、私どもとしましては、一般の方々にいわゆる過労死の認定の基準の内容につきましてわかりやすいような資料を現在作成中でございます。したがいまして、でき次第、必要な方にはそういう資料を配布して一般の方に理解をいただきたいというように思っております。
  69. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後になりますが、この過労死の問題というのは非常に微妙なところがあるというような御答弁もさきにありましたけれども、微妙であると同時に、その被災者にとっては非常に重要な問題でございます。過労死というのは、発症前日あるいは発症前一週間、こういうことに限られたことではなくて、長年の疲労というものが蓄積してきて、そして起こることが十分に考えられるわけでございますので、そういう面で過労死の認定にこのような日にちを切ったというよりももう少し幅を持たせた、本当に長年の疲労というものが原因になっておるということも考慮して認定基準を改良したらどうなのか、こういうようなことも考えるわけでございますが、その辺はどうお考えでしょうか。
  70. 安孫子律夫

    ○安孫子説明員 いわゆる過労死で業務上とされるものにつきましては、基礎疾病である動脈硬化とかあるいは動脈瘤がある状態で業務による過重負荷により必然的経過を超えて急激に血圧の上昇や血管を収縮させ、血管が破裂したりあるいは閉塞するという場合だと思います。基礎疾病の必然的経過を超えて急激に悪化させる負荷というものは発症に近いほど影響が大きいという医学的知見に基づきまして、発症前一週間としたということでございます。発症前一週間につきましては、それは付加的要素として考慮していくということに認定基準は明記されております。  長期間の疲労の蓄積につきましては、まだ医学的知見が明らかにされておりませんですから、私どもといたしましては、医学的知見の収集あるいは分析等に努力していきたいというように考えております。
  71. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  72. 島村宜伸

  73. 吉井英勝

    吉井(英)委員 きょうは補償基金理事長さんにも来ていたたいておりますが、どうも御苦労さまでございます。  実はきょうは、ここでお目にかかる前にけさの朝刊の方で既にお目にかかっておりまして、私、質問に入るに先立って、経済人が普通の経済活動としていろいろなさるということについて、それをここでとやかく言う気は全くないのですが、特に補償基金というのは公正で迅速な業務が求められる、その公正さが求められる基金理事長さんが、特に仕手戦とか株の買い占めとか、会社乗っ取りとなりますか、そういういわゆる光進グループの問題、そしてそれに対する国際航業の側の、株の買い占めに対する対抗措置として買い戻そうということで、何ですか新聞を見ておりますと、理事長さんのお名前とか、その理事長さんがまた行政通信社の小林社長を御紹介されて、この社長が国際航業の方から一億円のお金をもらったとか、不明朗な話が随分あれこれ出てくるわけです。  私、やはりこれは公務員にいわば準ずる立場に立ってもらっておると思うわけでありますし、とりわけ公正な業務をやっていただかなければならない基金理事長さんとしては、やはりこういう問題というのはきちっとしたことを御自分自身、反省していただくと申しますか、自分で自分を厳しく見ていただかなければならない問題じゃなかろうかと思うのですが、この点について最初に、質問に入る前に一点お考えのほどを伺っておきたいと思うのです。
  74. 柳澤長治

    柳澤参考人 私まだ、けさ早くて新聞を見ておりませんので、中身は全く知りませんが、プライベートなことでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  75. 吉井英勝

    吉井(英)委員 何か関係者五人で同席されたり、いろいろ認めていらっしゃることもありますが、私はさっきも言いましたように、経済人の方の経済行為についてあれこれここで伺う気は全くありません。しかし、あなたが、この補償基金理事長として特に公正な業務が求められる方が、特に今お金の流れなどについて損害賠償を求める訴訟が新しい経営陣から提起されておるなどと出ておりますが、そうした不明朗な行為にかかわっていたということについては非常に重大な問題でありますし、プライベートなことで差し控えるということだけでは済まない、これは厳しい反省をしていただくとともに、やはりみずからの手でみずからに対してけじめをつけていただきたい、これを最初に申し上げておきたいと思うわけです。  次に、具体的に質問に入りたいのですが、過労死などの問題が今深刻な社会問題になっておりますが、脳・心臓疾患の認定などに当たって一九八七年に脳・心臓疾患の認定基準が緩和されましたが、認定件数はそれによって拡大されている状況にはありません。緩和されても認定がふえていないということになるわけですが、脳・心臓疾患の認定で業務過重性が明らかなものは、基金本部の理事長通達で、すべて基金本部との協議事項となっております。認定されているものは全部協議事項のものばかりなんです。支部の方にも医師などを含む専門家が、認定審査会にも、またその前段階にもかかわっているわけでありますし、ここは全国共通の八七年認定指針に基づいて判断するのであるならば、支部で認定できるわけですね。協議するにしても、支部で独自に認定することについて拒むということではないはずだと思うのですが、この点について伺っておきたいと思います。
  76. 滝実

    滝政府委員 基金理事長も出席しておられるわけでございますけれども、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  確かに認定業務については迅速に処理するという基本原則でございますから、全般的にいえば、その判断につきましてできるだけ支部長に委任するということは一つの理想的な姿だろうということは、おっしゃるとおりでございます。ただ、今問題になっております脳・心の問題については、先生からいろいろ具体的な御指摘があったわけでございますけれども、基本的には、件数としてどこの支部にも年に何件かという、今のところ極めて少ない件数でございますから、具体的にそれの積み重ねと申しますか、判断の積み重ねが非常に少ないという制約があることは御承知のとおりでございます。  そういうような観点からと、それから先ほどか ら問題になっておりますように、全国的にある程度一律的な判断基準というものに基づいてやらなくてはいかぬ。しかし、それは先生のおっしゃるように、認定基準があるんだから画一的になるんじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、やはりこれは中身の具体的な事実認定の問題と申しますか、具体的な判断の問題でございますので、今の段階ではやはり本部協議を経て認定をするというような扱いをせざるを得ないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。したがって、この辺のところは今後のそういうものの判断の積み重ね、こういった点によって相当程度変わってくる点もあり得るのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  77. 吉井英勝

    吉井(英)委員 時間が余りありませんので、すぱっとお聞きしておきたいのです。  協議する、相談することがあるにしても、私はそれはだめと言っているのじゃないのですよ。相談することはあるにしても、支部で独自に認定することを拒むものではありませんねということ、この点を一点確認しておきたいのと、いま一つ、労働省の例のマニュアル、これは研修会資料ということで、自治省の方から既にお聞きしているところでは、あれは参考にもしていなかったというお話であります。労働省の方は、あのマニュアルについてはせんだっての社会労働委員会で我が党の児玉委員の質問に対して、明確に破棄するという答弁をしていらっしゃいますので、今後はあのマニュアルについては破棄もするし、補償基金としては参考にもしない、こういう点で理解してよろしいかどうか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  78. 滝実

    滝政府委員 まず最後の点の問題でございますけれども、これは私どもも労災法に準拠するという立場をとっておりますから、あのマニュアル、私ども見ていないのは甚だ残念なのでございますけれども、私どもとしてはそういうものは一切使用しない、こういうことでございますし、今後とも、労働省が破棄する、こういうふうに宣言されているわけでございますから、私どもも当然そういうものは参考にする余地はない、こういうふうに考えております。  それから先ほどの支部認定の話でございますけれども、私どもとしては、支部が支部の立場でいろいろな御検討をいただき、御判断いただくということはあるだろうと思うのでございますけれども、やはりこの問題については本部に協議をしていただきたい、今の段階ではそういうふうに申し上げざるを得ないということを御理解いただきたいと思うのでございます。
  79. 吉井英勝

    吉井(英)委員 終わります。
  80. 島村宜伸

    島村委員長 神田厚君。
  81. 神田厚

    ○神田委員 ごく短い時間ですので、二、三御質問をさせていただきます。  まず第一番目に治癒の認定についてであります。  今回の改正で、長期療養者休業補償に係る平均給与額に年齢階層ごとの最低・最高限度額を導入することとしておりますが、長期療養者は何人程度いるのかということであります。同じく、療養期間が何年にも及ぶという事例が多数あるというのは常識的でないように思うのでありますが、治癒の認定は適正に行われているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  82. 滝実

    滝政府委員 病気療養期間が一年六カ月間を超える人たちというのは、私どもの現在の資料では百十二人ということになっております。  それから、療養期間が何年にも及ぶということについてのお尋ねでございますけれども、この問題は、私どもとしてもそれなりにそのときそのとき確認をさせていただくという方式をとっておりまして、療養開始後一年六カ月たった段階で主治医の判断を求めてその状況についてチェックをさせていただく、以後毎年毎年その資料に基づいて私どもなりに傷病の状況を把握させていただく、こういうことをやってきておりまして、そういう意味では、主治医とそれから認定に当たります基金支部あるいは本部双方で確認をさせていただきながらまいっているわけでございます。結果的に大変長い人がそれなりにおるということは大変残念なのでございますけれども、これは治癒ということを前提とする以上はやむを得ないものと考えておるわけでございます。
  83. 神田厚

    ○神田委員 認定及び審査の迅速化についてでありますが、過去の地方公務員災害補償法改正についての審議で、認定や審査の迅速化について幾度も指摘がなされております。昭和六十一年の改正についての附帯決議においても「基金運営の改善に努めること。」とされておりますが、認定及び審査の迅速化について自治省はどのように改善を進めておるか、御説明をいただきたいと思います。
  84. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるとおり、できるだけ迅速な処理をする、こういうことでやってきておりまして、私どもの把握しているところでは、請求受理後大体一月以内に認定されているということがほとんどでございます。しかし、先生の御指摘のように大変長くかかるのも中にはございます。それは、発症時と認定時の間で相当な期間がずれているというような問題等につきましては、資料を収集する手続上それなりの時間がかかってしまう、結果的にやむを得ない事情があるわけでございますけれども、私どもとしては、できるだけ迅速にやる、こういう前提で物事を進めてまいりたいと思います。それから、この審査に当たる支部の陣容につきましても、私どもとしてはそれなりに力を入てまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 神田厚

    ○神田委員 労働安全衛生施策についてでありますが、昭和六十一年の附帯決議で「地方公務員職種の多様化等に伴う各種公務災害の的確な未然防止対策を講ずるため、公務災害発生状況に関する綿密な調査を早急に実施すること。」とされておりますが、この点についてはどのように取り組んでいますか。
  86. 滝実

    滝政府委員 これにつきましては、私どももそういうような御趣旨を受けまして、二つにわたると思いますけれども、一つには、これからと申しますか最近取りかかるわけでございますけれども、統計の処理を細かにやってまいりたい、こういうふうに考えている点が一つでございます。  それから、これは先ほど来問題になっておりますように、諸種の、特に災害発生する件数の多い業種を特に取り上げまして、これについての実態把握あるいは予防策、こういった点についての研究報告をまとめて、それなりの注意を各地方団体にお願いしていく、こういうようなことをしてまいっておるわけでございます。
  87. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  88. 島村宜伸

    島村委員長 以上で本案に対する質疑は終了をいたしました。     ─────────────
  89. 島村宜伸

    島村委員長 この際、本案に対し、吉井英勝君より日本共産党提案に係る修正案提出されております。  修正案提出者から趣旨説明を聴取いたします。吉井英勝君。     ─────────────  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  90. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方公務員災害補償法改正案に対する修正案についての提案理由内容説明を行います。  政府提出法案は、休業補償額の基礎になる平均給与額最高限度額最低限度額を設けようとするものでありますが、最高限度額設定は、給付水準の低下をもたらす結果となることは明らかであり、働くことの困難な高齢の被災者の給付費を削減することとなることは歴然としております。  しかも、限度額の設定が賃金構造基本統計調査 に基づき定められ、五十五歳を超えると平均給与額が下がり、六十歳以上は最高限度額が急低下する傾向にあることは、給付費削減のしわ寄せを働くことの困難な高齢の被災者に押しつけるものであり、到底容認することはできません。  最高限度額を設定することによって給付が削減されるのは、現在対象となることが予定されている被災労働者の実例について見てみますと、最高の人で日額二千六百五十円、最低の人でもわずか日額百九円であります。なぜこんなわずかな額を削ってまで高齢者をいじめなければならないのでしょうか。  そもそも本法による災害補償制度の目的は、自治体労働者が公務で被災しても、被災労働者とその家族が、人たるに値する生活を営むことができるようにすることにあります。この制度の目的からするなら、平均給与額の六割を基礎にするという、極めて不十分な現行の休業補償そのものの改善こそ必要であり、最高限度額を設定して休業補償水準を引き下げるなどということは、本法の補償制度の趣旨に逆行するものであり、制度の後退であると言わざるを得ません。  特に、最高限度額の設定によって、労働者によっては休業補償が労働基準法で定めた平均賃金の六割を下回るという労働者が発生するような法改正は、労働基準法に反するものと言わなければなりません。  修正案は、こうした最高限度額の設定部分を削除するものであります。  委員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。  以上です。
  91. 島村宜伸

    島村委員長 以上で修正案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  92. 島村宜伸

    島村委員長 これより原案及びこれに対する修正案について討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、吉井英勝提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  93. 島村宜伸

    島村委員長 起立少数。よって、吉井英勝提出修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  94. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  95. 島村宜伸

    島村委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外四名から、五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。元信堯君。
  96. 元信堯

    ○元信委員 私は、この際、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議日本共産党及び民社党の五党を代表し、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について所要の措置を講ずべきである。  一 災害の予防及び職業病の発生防止のために、良好な職場環境の保全、健康管理についてなお一層努力するとともに、公務災害の審査及び認定については、現在懸案中のものを含め、事務処理の一層の促進に努めること。  一 高齢化社会の進展にかんがみ、重度障害者等に対する介護に係る補償あり方を含め、被災職員の介護施策について積極的に検討すること。  一 脳・心臓疾患に係る突然死の公務上外の認定については、医学的知見の動向等を踏まえ、適切な運用に努めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  97. 島村宜伸

    島村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  98. 島村宜伸

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、奥田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥田自治大臣
  99. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  100. 島村宜伸

    島村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 島村宜伸

    島村委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  102. 島村宜伸

    島村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十七分散会