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1990-05-29 第118回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十九日(火曜日)     午後一時二十二分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 石橋 一弥君 理事 谷  洋一君    理事 西田  司君 理事 野中 広務君    理事 中沢 健次君 理事 元信  堯君    理事 小谷 輝二君       小坂 憲次君    田辺 広雄君       中谷  元君    長勢 甚遠君       福永 信彦君    古屋 圭司君       星野 行男君    前田  正君       増田 敏男君    小川  信君       小林  守君    須永  徹君       谷村 啓介君    筒井 信隆君       安田 修三君    河上 覃雄君       伏屋 修治君    吉井 英勝君       神田  厚君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     奥田 敬和君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁交通局長 関根 謙一君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治大臣官房審         議官      小島 重喜君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   木村  仁君         消防庁次長   島崎  実君  委員外出席者         警察庁警備局公         安第一課長   杉田 和博君         総務庁行政管理         局管理官    松村 雅生君         総務庁行政監察         局監察官    坂野 泰治君         総務庁行政監察         局監察官    堀江 正弘君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 細野 光弘君         厚生省健康政策         局指導課長   澤  宏紀君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   坂本 弘道君         厚生省保険局国         民健康保険課長 大塚 義治君         建設省都市局都         市再開発課長  安達常太郎君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     松井 大悟君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 委員の異動 五月二十五日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     鈴木 俊一君   小坂 憲次君     中村正三郎君   田辺 広雄君     住  博司君   長勢 甚遠君     山本 有二君   筒井 信隆君     五島 正規君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 俊一君     愛野興一郎君   住  博司君     田辺 広雄君   中村正三郎君     小坂 憲次君   山本 有二君     長勢 甚遠君   五島 正規君     筒井 信隆君     ───────────── 五月二十九日  重度身体障害者固定資産税減免に関する請願(林義郎君紹介)(第一三八八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伏屋修治君。
  3. 伏屋修治

    伏屋委員 私は、交付税に入る前に、今論議を呼んでおりますところの道交法の問題、それから車庫法の問題について少しお尋ねをしたいと思います。  今の都市機能を麻痺させる交通渋滞、これを何とか解決しなければいけないというので、警察庁が鋭意この問題に取り組まれて英断を振るわれて今回の二法が出てきた、こういうように思いますが、そういう面においては非常に評価をするものでございますが、一面、遅きに失したという感じもなきにしもあらずでございます。  そういう面につきまして、今回の道路交通法の問題、車庫法の問題についてその特色等を御説明いただきたいと思います。
  4. 関根謙一

    関根政府委員 今回私ども改正考えております道路交通法及び自動車保管場所確保等に関する法律の案の主な特徴点でございますが、まず道路交通法につきましては、現行法では違法駐車につきましては運転者反則金を科するのみで、違法駐車車両使用者、これは車両管理者等でございますが、この使用者には何ら責任を問えないものでございます。これを、今回法の改正をお願いいたしまして、違法駐車車両のうち特に運転者がその車両にいない状態にある放置車両につきまして、その使用者責任を追及することができるような仕組みを設けさせていただきたいということが一つでございます。それからさらに、放置行為につきましてその運転者刑罰及び反則金を科することとしておりますが、その額を引き上げることとしたいということでございます。その他、従来民間のボランティアの方々の活動といたしまして違法駐車対策を講じてこられたところでございますが、その方々に対する法的な根拠を与えることとしたいと考えております。  以上が道路交通法改正案の主な特徴点でございます。  それから、保管場所法特徴点でございますが、現行法では軽自動車を含む自動車保管場所の継続的な確保義務の履行を担保するための仕組みがございません。そこで今回の改正によりこのような仕組みを設けさせていただきたい、このように考えているところでございます。  以上が保管場所法の主な特徴点でございますが、これら二つの法律案によって駐車秩序の確立を図ることができることを期待しているところでございます。
  5. 伏屋修治

    伏屋委員 今回の二法につきましては、昨日ですか、閣議決定をされまして、政府内の交通部会等々でも議論になったところであるようでござい ますけれども、四月に発表になりましたこの道交法とそれから車庫法ですね、保管法、これよりかなり後退した、こういう印象を免れないわけでございますけれども、そのあたりどのように変わったのか、どのように後退したのかということを御説明いただきたいと思います。
  6. 関根謙一

    関根政府委員 四月に私ども発表いたしましたのは、広く国民方々の御意見を聴取したいと考えまして、警察庁交通局試案という形で発表をさせていただいたものでございます。そこでは、例えば道路交通法関係でありますと、刑罰をやめて行政制裁金というような仕組みを設けたいということでありますとか、それから車庫法関係でありますと、軽自動車につきましても普通自動車と同じように車庫証明の手続をとってもらうといったようなことを考えていたところでございます。  その後、私ども試案発表した後、いろいろな有識者方々やら関係方々から御意見をいただきました。それで、当面私ども緊急の措置として講ずべき施策を主な内容としたいということで、まずこの道路交通法行政制裁金の問題は法体系全般にかかわる大きな問題であるということから、これは次の改正の際の大きなテーマということで残すことといたしました。それから、車庫法の方の軽自動車についての車庫証明の点でございますが、軽自動車につきましては現在何らそのような仕組みがないわけでございます。そこで、今まで何もなかったところに高度のそのような仕組みを設けていいかどうかということも内部的にいろいろ検討いたしました結果、今一番負担をかける程度の少なくて、しかも安定的に車庫を持っていただくような仕組みといたしまして、届け出制ということを考えたところでございます。さらに、この改正法適用関係でございますが、これも例えば軽自動車関係では全国一律ということとせずに、当面違法駐車が非常に大きな問題となっております大都市から適用していくこと等を現在検討しているところでございます。  以上、申し上げましたように、当初私ども試案として発表をいたしましたのは、広く国民方々有識者方々から御意見を聴取することを目的としたものでございまして、その御意見をいただきました結果、おおむね私ども考えて無理のない姿と考えた案を過日お示しをしたところでございます。
  7. 伏屋修治

    伏屋委員 最初の試案は、広く国民の啓発に当たるという意味で、かなり厳しい内容試案を提示した、しかしその後いろいろな世論を参考にしながら今回の法律になった、こういうようなことでございますけれども、やはり今の大都市都市機能を麻痺させておるということは確かでございます。この問題につきましては全国至るところで起こっておる問題でございまして、二重駐車とか三重駐車という問題は、私の選挙区の岐阜県においてすら、四十万都市岐阜市においてすら、そういうことは本当に目に余るものがあるわけでございます。そういう意味において、私も試案を拝見したときにはかなり期待をいたしたわけでございますけれども、その後新聞発表を見ますと、東京二十三区と大阪市に限定する、こういうことになっておりますし、またその軽自動車につきましても、本法二法が施行後の車ということになりますと、何か期待が大きく裏切られたというような感じもするわけでございます。  現在、大きな団地へ行きますと、ほとんどがセカンドカーとしては軽四輪を持っておりますので、それだけでもう満杯の駐車状況にある。そして、そこへもってきて私ども岐阜県でいいますと、地方でございますので車なしでは生活が用立たないということから、御主人が車で出勤する、それが夜帰ってくると、大体一戸当たり二台の車が駐車する。もう満杯という状況でございますので、そういうような面で私も期待をしておったわけでございますが、聞きますと、かなりいろいろなところの、業界からのかなりの圧力があったということも耳に入ってまいりますし、いろいろなそういう関係者の方のプレッシャーがかかったのではないかなと憶測されるようなことも耳に入ってまいりますので、そのあたりをもう少し明快に御説明をいただきたいと思います。
  8. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、各都市自動車があふれるような状態にあるということは私どもも承知しているところでございますが、今回の私ども法律案は、これをある程度規制を強めることによってそのような状態を解消したいという内容でございます。  そこで、これを急激に直ちに全国適用するということになりますと、かなりの混乱が生ずるおそれがございます。私どもといたしましては、比較的時間をかけて秩序ある状態に徐々に回復していっていただければそれがベストであるという考えでございます。そのような徐々に秩序回復していくようなシステムとして、どのようなシステムが一番適当であるかということを検討検討を重ねた結果、私どもが到達したのが現状の案でございまして、決してどこかの一つ方々の御意見によって考えを変えたということはございませんので、どうか御了承を賜りますようにお願い申し上げます。
  9. 伏屋修治

    伏屋委員 新聞記事にも、やはり軽四輪メーカーはこの最終的な案が発表されたことによってほっと一息ついた、こういうような記事もあるわけでございまして、そのあたりからすると、何かそういうような推測もされるのではないかな、こう思って今お尋ねをしたわけでございます。  ちまたでは、こういうような非常に多額な罰則金になりましたし、そこで違法得ということが、もう逃げられない、逃がさないようにしたというような非常に厳しい内容になっているわけでございますけれどもちまたの声の記事を読みますと、やはり法律を変えて罰金を重くするだけでは違反が減るとは思えない、こういうようなちまたの声もあるわけですが、そういう声に対してはどう対処されますか。
  10. 関根謙一

    関根政府委員 私どもも単に規制を強化するというだけで秩序ある駐車状態に立ち戻れるとは考えておりません。今回の改正案は、この改正案に合わせまして、さらに駐車規制のあり方につきましてもめり張りのきいた規制となるように再検討をするということでありますとか、取り締まりの点につきましても交差点中心、あるいはバス専用路線中心といったような、流れをよくするように取り締まりの重点をさらに一層強くするという点でありますとか、さらにまたドライバーの方々のモラルの向上を期するために運転者教育の充実を期するとか、こういったことをあわせて、それで秩序回復を図りたいと念じているところでございます。  あわせまして、政府全体といたしましても、過日、十八省庁で構成しております交通対策本部におきまして、駐車場増設を含めて総合的な都市駐車対策について御決定をいただきました。これらをすべて総合いたしまして、現状よりも少なくとも一歩も二歩も進めた駐車秩序回復ということを念願しているところでございます。
  11. 伏屋修治

    伏屋委員 これが決まったから完全にそれをかたくなにというのではなくて、めり張りのきいた運用の仕方をしていきたい、こういうようなお考えを聞きましたので、そういう面では運用方法というものをもっと柔軟な形でやっていただけたらと思うわけでございます。  というのは、やはりこの東京あたりでも一番交通渋滞を起こしておるのは、先ほど御説明あったような交差点あたりですね。そこら辺に駐車しておる車というのは全体の五%ぐらいしかないわけで、その五%が渋滞の大きな因になっておるということからすれば、それには厳重に処分という形でも臨んでいかなければならぬ、あとの九五%の方はそう渋滞の因にはなっておらないということからすれば、そこら辺は運用方法によって考えていっていただきたい、こういうようなことを思うつわけでございます。  総務庁が一昨年ですか、大都市における交通円滑化対策ということで短期、中期、長期にわたってのいろいろな対策というものを出したわけ でございますけれども縦割り行政のまずさからかどうかわかりませんが、一向にそれが進展していないのが実情ではないかと思うわけでございますが、今回の道交法あるいは車庫法に対して各省庁がどういうような対応考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  12. 関根謙一

    関根政府委員 私からお答えするのは僣越かと存じますが、昨日、総務庁長官を長といたします政府交通対策本部、これは私どももそのメンバーとして入っているものでございますが、この交通対策本部におきまして「大都市における駐車対策の推進について」ということで、十八省庁の申し合わせをいたしました。これは先生御指摘の、一昨年の「大都市における交通円滑化対策について」という交通対策本部決定に基づきまして、今回新たに大都市における駐車対策を強力に推進するため申し合わせることとしたものでございます。この中で、駐車場増設を担当いたします部局におきましては、駐車場増設を図るような政策を講ずるということでありますとか、それから車庫確保で、自動車販売等に際し関係業界保管場所確保されるように指導をするということでありますとか、それぞれの所管省庁所管行政の範囲内で駐車問題を解決すべくそれぞれ今後の方針を取り決めたものでございます。これによりまして、縦割り行政という御指摘がございましたが、政府が全体として円満に駐車対策を推進することができるようにということになろうかと存じます。
  13. 伏屋修治

    伏屋委員 その対策部会で、駐車場増設に対しましては公的補助もする、あるいはどこに駐車場のあきがあるのかという情報システム考える、こういうようなことが話し合われたようでございますが、駐車場建設省が、その前にも既にもう大型の駐車場確保するということで動いておられたようでございますが、建設省の方の関係の方、お見えですか。
  14. 安達常太郎

    安達説明員 お答えいたします。  自動車駐車場整備につきましては、渋滞の著しい道路交通円滑化を図り、都市における中心市街地活性化を図る上で極めて重要な課題であるということと認識しております。建設省といたしましては、まずこの駐車問題が深刻化しております都市において、今後とも総合的な駐車場整備計画を策定し、これをもと整備を推進してまいりたいというふうに考えております。また、有料道路整備資金や、NTT株式売却収入を活用した無利子貸付制度等助成策の活用によりまして、さらに一層民間によるものも含めて市民に広く利用される公共駐車場の計画的な整備を推進してまいりたいというふうに考えております。  第二に、昭和六十三年度より二カ年にわたり附置義務基準の見直しのための調査検討を行ってまいりました。この三月に最終報告がまとまったところでございまして、これをもと関係機関の御意見を聞いた上で新しい標準駐車場条例案を近々地方公共団体に通達し、これを活用してまいりたいというふうに考えております。  第三に、沿道土地利用等により、路外駐車場では対応できない短時間の駐車需要、荷さばきに代表されておりますけれども、短時間の駐車需要も存在いたしますので、これらの駐車需要対応についても重要課題としてこれから検討してまいりたいというふうに考えております。
  15. 伏屋修治

    伏屋委員 建設省駐車場基準というものは、昭和三十八年当時から今まで全然変わっておらない。近いうちにその基準が改定になる、こういうことでございますが、余りにも建設省対応の仕方が遅きに失したのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。マイカーというのは、ここ十年の間に五三%ふえておるわけでございます。また、ことしの二月までの一年間でも二百八十五万台という数でございます。それに引きかえまして道路整備というものはこの十年間で三・一%の伸びにすぎないわけでございます。こういうようなことであるので、いわゆる後追い行政ということはもう否めない事実ではないか、このように思うわけでございます。このような道路一つでも後追いでございまして、道路整備すればさらにまた車がふえるというような悪循環になってくるというようなことを考えますと、この駐車場の問題も同じようなことを繰り返すのではないかな、こういうような懸念もされるわけでございますが、そのあたりはどういうふうにお考えですか。
  16. 関根謙一

    関根政府委員 車庫関係で申し上げますと、現在の自動車保管場所確保等に関する法律第三条の規定の趣旨は、それぞれの自動車はそれぞれの車庫を持たなければいけないという思想でございます。今回、私ども改正をお願いしようと考えておりますのは、この法律の精神を実行できるような仕組みを設けさせていただきたいということでございます。そこで、仮にそのような法律改正をお許しいただくことになりますと、車庫対応する自動車ということになりますので、車庫の数以上に自動車がふえるということは原理的にあり得ないということになろうかと存じます。そのような意味で私ども今回この改正をぜひお願いしたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
  17. 伏屋修治

    伏屋委員 それから、警察庁建設省との意見食い違いがあるという問題で、いわゆる都道、都の道路ですね、そういうものに対してのパーキングメーターというものは警察庁かなり精力的に設置をしたわけでございますが、いわゆる国道、国、建設省管轄道路というものにパーキングメーター警察庁かなり設置を要望したけれども、なかなか建設省が頭を縦に振らない、こういうような実情があったようでございますが、そのあたりはその後かなり話し合いがされ、円滑に進められる状況になっておるのかどうか。
  18. 関根謙一

    関根政府委員 パーキングメーター等設置いたしますためには、道路管理者の御承認をいただくことが必要でございます。道路管理者といたしましては、道路の効用が最大限に発揮できるように、その最適使用方法確保することが責務でございます。パーキングメーター設置等につきましても、道路管理者と私ども常に御相談をしながら、私ども最適考える箇所に最適考える数を設けさせていただいているところでございます。決して意見食い違いということではございません。しかしながら、今回建設省は、これは私から申し上げるのはおかしいのでございますが、極めて駐車問題に従来にも増して比重を移してきていただいているような感じがいたします。その結果は、我々の最適考え道路利用の仕方についても多少変化はあることと存じます。
  19. 伏屋修治

    伏屋委員 この問題は国会へ提出されてまた鋭意論議をされるところでございますので、最後に、こういう公共交通機関を重視した総合的な交通体系政策というものの転換にこれからは踏み出していかなければならないのではないかな、こういうふうに考えるわけです。いわゆる西ドイツとかあるいはスイスとかアメリカ等々でも、自動車からだんだんと公共交通機関、こういうものを重視した政策に転換しつつあるように聞いておるわけでございますが、そういうような方向へ転換することにつきまして、局長あるいは大臣の御所見もお伺いしたいと思います。
  20. 関根謙一

    関根政府委員 公共交通機関、特に大都市におきましてバスでありますとか地下鉄でありますとかこういうものを整備いたしまして、マイカー利用期待する度合いを少なくするということは大事な考え方であろうかと存じます。私ども警察庁といたしましては、そのような公共交通機関定時定速に運行ができるように規制等について工夫をしてまいりたいと存じます。
  21. 伏屋修治

    伏屋委員 あと一つお尋ねしたいと思いますが、一番今問題になっております車の販売合戦でそれが過熱しまして、車庫飛ばしというような新しい言葉まで生まれてきたわけでございますが、その車庫飛ばしの現状、それの対応について最後お尋ねしたいと思います。
  22. 関根謙一

    関根政府委員 車庫飛ばしと申しますのは、現在自動車保管場所確保等に関する法律規定によりまして、自動車を登録する際に警察署長車庫証明を添付するという仕組みになっております。それによって実質的に車庫があることを確保するというシステムでございますが、これが、警察署長車庫証明が一回限りのものでありますところから、そこで使用者名前他人名前利用することでありますとか、他人車庫利用する場合に使用承諾書が必要でございますが、その使用承諾書を偽造するということでありますとか、それから現在の車庫法適用地域以外の地域に自分の住所を移すことを仮装いたしましてその土地自動車を購入するといったような形態で、いわば車庫がなくて自動車を購入する、そういう犯罪でございます。この種の犯罪昭和六十年から本年三月までに二千六百件ほど検挙しております。人員にいたしますと約八百人ほどでございます。  これに対する対策でございますが、今回私どもがお願いをしようと考えております車庫法改正案では、このような車庫飛ばしをしにくくするようにするため、まず車庫場所を変えたときにも警察署長に届け出ていただくような仕組みを設けるということ、それからその車庫証明を得た時点あるいは車庫の変更があった時点、これは届け出ていただくことにしておりますが、その時点でそれぞれの車庫のおおよその位置を示すシールを張っていただくというような仕組み考えております。これによって車庫飛ばしというものは大幅に減少するものと期待しております。
  23. 伏屋修治

    伏屋委員 では、その問題につきましてはそれで終わりまして、次に地方交付税の問題について少しお尋ねしたいと思います。  ふるさとづくり特別対策と呼ばれるいわゆる地域振興事業というものを実施する地方団体に対しまして、その財源として地方債の発行を許可し、その元利償還費を交付税の財政需要に上乗せして交付しようとするという問題が一つあります。それからまた、ふるさと財団、これも企業誘致をする、そしてその必要費用の二〇%を無利子で一応出す、それの元利償還も交付税で手当てする、あるいはふるさと市町村圏の基金を設置しこの振興を図ろうとしておるわけでございますが、この広域市町村圏を構成する市町村がこれに対して出資をする、その出資金を交付税で手当てする、こういうようなことがあるわけでございますが、こういうことが本来の交付税の趣旨からしまして、企業誘致できるところはいいですけれども、できないところと、あるいはまた特別にその地域一つの振興事業を興すというところと興さないところということにおいて非常に公平さを欠いてくるのではないかな、こういう心配をするわけでございます。また、そういうような地方債というものを媒体にしながら何か補助金と同様の性格になっていくのではないかな、こういうようなこと等、またあるいは地方交付税というものが地方の一般財源、こういう性格が失われていくのではないか、こういう心配をするわけでございますが、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 持永堯民

    ○持永政府委員 御指摘のこのふるさとづくり関係の一連の事業があるわけでございまして、今お話がありましたようなことで運営をしているわけでございます。これは御承知のように地方団体がそれぞれの地域実情に即しまして地域の創意工夫を生かして地域の振興を図っていく、この事業を支援しようということでやっているわけでございまして、地方団体の方からも非常に強い要望があってやっているわけでございます。  そこで、今御指摘交付税のあり方、補助金化あるいは一般財源との関係あるいは公平の問題等々御指摘でございますけれども、これは普通交付税の算定につきましては基本的にはやはりいろいろな客観的な指標に基づいて配分をするというのが原則であろうと思っております。その点について御趣旨を否定するわけではございませんけれども、ただ、現実に普通交付税を配分するに当たりまして、今申し上げましたようなふるさとづくりだけの問題ではなくして、例えばこの投資的経費等で現実の各地方団体の財政需要と交付税の計算というものが必ずしもマッチしないという面がどうしても出てくるわけでございます。例えば小さな町村で小学校一つつくるというのは大事業でございますけれども、それを通常の交付税のベースで措置いたしましてもなかなかできないということで、そういう場合には現実に市町村が必要とした金額に着目して計算をする、こういうやり方をしておるわけでございまして、そういう手法を幾つかの経費について用いているわけでございます。  そこで、今のふるさとづくりの問題につきましても、考え方としてはそういう考え方に基づきまして、ある意味では各地方団体の現実の財政需要といいましょうかそういうものに着目して措置する、こういうことになるわけでございまして、そのことはそういうことでございます。同時にその具体的な方法としては地方債の元利償還という形でその元利償還費の一部を交付税で見ていく、こういう仕組みをとっているわけでございますが、しかし、元利償還の一部を見ること自体が直ちに補助金化なり一般財源の性格を変えるというものには必ずしもならないと思っておるわけでございます。やはり現実の地方団体の財政需要に着目して算定せざるを得ないという部分もあるということを御理解を賜りまして、このやり方についても御理解いただきたいと思っておりますが、そういう交付税の性格論も当然十分踏まえてやっていく必要があるわけでございますけれども、同時にこういうやり方というものが、ある面では一つ地方団体地域の創意工夫を生かしてやっていくという意味で、例えば国がその使い方を決めて渡す補助金よりもむしろこの趣旨にかなうのではないかというような面もあるわけでございます。  同時にまた、こういうやり方をすることが結果的には、今随分いろいろな議論がございますけれども、いわゆる格差是正、つまり財政調整をもっと強めろという御意見が非常に強いわけでございますが、そういう意味からしても、こういうやり方をすることが結果的に比較的財政力の弱い団体に交付税が措置されるような結果になりますので、そういう面でも有効に作用しているということもあるかなという感じも持っているわけでございまして、御指摘のように交付税の基本的性格を忘れてはならないと思います。それは頭に置きながら、それと理論的なあり方とやはり現実の財政需要というもののギャップを調和していく、その間に地方団体のいろいろな御意見も含めて調和を図っていくという観点からやっているものだということで御理解いただきたいと思う次第でございます。
  25. 伏屋修治

    伏屋委員 先日の委員会でも御指摘があったわけでございますが、国庫の補助負担率の引き下げ、これを平成三年度に六十一年度の水準に復元するということについて大蔵省は難色を示しておるというようなことで質問がございましたが、そのときに自治大臣のかたい決意もお聞きしたわけでございます。それはその決意どおりにやっていただきたいというふうに思うわけでございますが、こういうように国庫補助率が今まで三回も引き下げられてきた。そしてこの財政のしわ寄せというのは地方自治体に大きなしわ寄せになってきた。そういうような措置として、いわゆる特例加算というような形で地方交付税の中にそれを計算させるというようなこともやってこられたわけでございますが、やはり地方の一般財源の交付税という考え方からすると、いささか問題があるようにも思います。  また、地方自治体にしますと、補助率を引き下げられても、そういうような形で特例加算によって財源を補てんしてもらえるという安易な考え方になってまいりますと、いわゆる補助金依存の体質というものを改善する努力が地方自治体で起こってこないのではないか。あるいはまた、補助金制度に対して、これは行革審も補助金を洗い直さなければならぬということを言っておるわけでございますが、こういう補助金制度に対する改革の焦点というものがぼけてしまうのではないかな、こういうふうに心配をするわけでございます が、そのあたりはどうお考えですか。
  26. 持永堯民

    ○持永政府委員 いわゆる補助金カットが現在行われているわけでございまして、その部分について、お話がございましたように、当面地方債で手当てをして、そして後で元利償還を交付税で措置するというやり方をしておるわけでございます。このやり方につきましては、これはまさに暫定措置としてやっているわけでございまして、安易にそれを穴埋めするのはいかがかという趣旨の御発言もあったわけでございますけれども、現実問題として、地方団体にしてみれば、補助金が切られているわけでございますから、それは何とか手当てをしなければならないというのが私どもの立場でございます。そのことは、補助金の一括法を昭和六十年度、六十一年度あるいは平成元年度、三遍にわたりまして御審議いただきましたけれども、その法律の中でも、「国の負担又は補助の割合の引下げ措置の対象となる地方公共団体に対し、その事務又は事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとする。」つまり、補助率が下がった分は何か手当てをしろという法律規定もあるわけでございまして、その法律規定に基づいて今そういう措置をとっているわけでございます。  それで、これもお話ございましたように、交付税の性格の問題をまず御指摘でございます。これもやはり現実にそういう形で起債で手当てをする限りにおきましては、どうしても元利償還というものは地方団体責任が出てくるわけでございますので、それに着目をしてその元利償還について財源措置をしていくことは、ほかの地方債につきましても幾つかの地方債でそういう元利償還の措置をしているものがあるわけでございます。それは交付税の計算上、合理的なやり方の一つであるというふうに御理解いただけるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。仮にそういう計算をするにいたしましても、そのこと自身によって交付税のその部分の使い道が決められてしまうということにもなるわけではございませんから、一般財源であるという交付税の性格は変わりがないと思っているわけでございます。  それから、補助金の整理合理化との関係での御指摘でございますが、この補助金の整理合理化については、これはやはり基本的にさらに進めていく必要がある問題でございます。その問題は問題として考えていく必要がありますけれども、この補助金カットについての手当ての問題と補助金の整理合理化を進めていくという問題は、やや次元の違う問題ではなかろうかというふうに理解をいたしておりまして、その問題はその問題として、地方の自主性なり自律性を強化するという観点から、今後とも引き続き整理合理化をやっていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
  27. 伏屋修治

    伏屋委員 地方交付税が成立してからもう既に三十年たっておるわけでございますし、その間における日本経済の構造も大きく変わってまいりましたし、地域の問題もいろいろ様相を変えてきておるわけでございます。  今申し上げたように、それは確かに地方財政の円滑化を図るために交付税で手当てした、こういうお話でございますが、何か補助金化あるいは一般財源という意識が希薄になっていくという心配をするわけでございますが、この交付税運用面の複雑さというものは、配分の面における重要な要素を占めるいわゆる基準財政需要額、この算定方法にあるのではないかなと思うのですけれども、この算定の基礎というのが非常に細かいわけでございます。これが細かくなればなるほど、自治体の側にとっては歳出の基準を示されたものとして受けとめる傾向があるのではないだろうか。また、複雑になればなるほど地方自治体における財政担当者以外の人にはわかりにくい、財政担当者しかわからない、こういうようなことになってまいります。まして一般住民の方々交付税というものの内容なんぞはほとんどもう御存じない。こういうふうなことになってまいりますと、交付税のそういう成立したときの精神とか機能というものがだんだん薄れていってしまうのではないかな、その辺を心配するわけですが、そのあたりはどうお考えですか。
  28. 持永堯民

    ○持永政府委員 確かに交付税の計算が年々難しさを増しておりますことは御指摘のとおりだと思います。今ちょっとお話がございましたけれども、例えば歳出の基準を示すようなことになるのではないかということでございますが、これはあくまで一般財源でございますので、その点は地方団体方々も十分御理解されて対応していただいていると思っております。  それから、わかりにくくなっているという点でございますけれども、確かに制度発足以来長年にわたりまして、その間に地方団体からいろいろな要望もございました。例えば高齢化が進んでいる問題でありますとか、産炭地の問題でありますとか、積雪寒冷地の問題でありますとか、あるいは隔辺地の問題等々いろいろな問題がそれぞれの地域でございまして、それを一つ一つなるだけ的確に交付税の計算に反映させてもらいたいという要望がございますものですから、一つ一つおっしゃってこられることはもっともなことでございますけれども、それを全部はなかなか消化しないにしても、やはりある程度普遍性のあるもの、合理性のあるものについては対応していかなければならないというようなこともございまして、そこでだんだん複雑になってくるというのが実態でございます。  私どもとしても、率直に申しまして余り複雑なことがいいと思っているわけではございません。正直言いまして簡単な方が私どもの作業も楽なんでございます。しかし、今申し上げましたように地方団体から、あるいは関係省庁からも、こういう点を見てくれ、ああいう点を見てくれといういろいろな御意見につきまして余りむげな対応もできないという面もあるわけでございまして、率直に言ってつらいところでございます。そういう意味で、算定を簡素化していく、わかりやすくしていくということは必要でございますけれども、おのずから限度があるということも申し上げざるを得ないと思います。  しかし、今お話がございました点は、私どももそういうことは必要性は十分感じておるわけでございますので、これからもこの需要の算定につきましてはそういう点も考えながら、なるだけ適切な算定をする、地方団体の実態に見合った計算をするということと、一方でなるだけ簡単にあるいはわかりやすくするという両方のどこに接点を求めていくかという問題に尽きるかと思いますけれども、いずれにしてもその両面を考えながら、なるだけ改善するように努力はさせていただきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  29. 伏屋修治

    伏屋委員 交付税についてはそれぐらいにしておきたいと思います。  建設省の方、来てみえますので、下水道の問題について一、二問お尋ねしたいと思います。  日米構造協議でも大きな問題になっておるところの生活関連社会資本の整備、とりわけ日本は下水道が先進国中でももうほとんど最下位ぐらいの普及率である。四二%ですか、そういうようなことで、第七次下水道整備五カ年計画で普及率をだんだんとアップしていくという考えを持っておられるようでございますけれども、その見通し等につきまして、一部では大蔵省が建設省の予算に対して、予算要望に対して難色を示しておるというようなことも聞いておりますので、お尋ねをしたいと思います。
  30. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  現在建設省が第六次下水道整備五カ年計画を推進しておりますが、平成二年度がその最終年度に当たります。したがいまして、建設省といたしましては平成三年度を初年度とする第七次下水道整備五カ年計画の準備を現在進めているところでございます。この計画規模、内容等につきましては、現在都市計画中央審議会に諮問いたしまして御審議いただいております。特にこの整備水準等につきましては、この答申を待ちましてその実現 に努力をしてまいりたいと思っております。
  31. 伏屋修治

    伏屋委員 具体的な審議会の答申を待ってというような御答弁でございますけれども、下水道においては後進国並みというような現状から一日も早く脱却していきたい、こういうことからもこの第七次下水道整備五カ年計画が着実に実行されるようにさらなる御努力をお願いしたいと思います。  また、普及率の拡大だけではなくて生活の質の向上に重点を置く、こういうことも聞いておるわけでございますが、具体的にはどういうようなことを指しておられるのか。
  32. 松井大悟

    ○松井説明員 私どもが現在都市計画中央審議会に諮問しております内容は、まず普及率の向上でございまして、それは特に地方都市におきます下水道整備の水準が低いものですから、これの普及を図るということをまず主眼に置いております。  次に、大都市等におきましては、下水道の質の向上と申しますか、下水処理施設の向上であるとか雨に強い町づくりであるとか下水処理水の有効利用だとか、そういった質の向上を次の五カ年計画で実施するように今御審議を願っておるところでございます。
  33. 伏屋修治

    伏屋委員 こういうことではないかなと私は自分で判断しておるわけですが、私の選挙区の方に木曽川が流れておるわけでございますが、その木曽川に、今岐阜県の大型プロジェクトとしまして木曽川右岸下水処理場、終末処理場を建築中でございますが、その場所一つの公園化して、あるいはグラウンド等もそばに設けて、あるいは公園化することによってその下水処理場のイメージを変えていこう、こういうようなお考えもあるように聞くわけであります。下水道の終末処理場というものは、やはり誘致される住民にとっては全く心外だといって反対するのは普通でございまして、私どもの木曽川右岸の下水処理場も、大きな反対運動の中でやっと今着工し進行しておるところでございますが、そういう面からも住民の生活のニーズに合うようなそういうものを取り入れて、終末処理場の青写真というものを住民の皆さんに納得のいくようなものを示すことが生活の質向上ということでないのかな、このように私は思うわけでございますが、建設省はそれ以外にもお考えがあるのですか。
  34. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  下水処理場につきましては、どうしてもイメージの上からなかなか快く従来まで迎えられていない面があったことは事実でございます。建設省におきましても、このイメージをできるだけ和らげるために、親しまれる下水処理場ということを目標にいたしまして緑化、修景等の努力をするように指導をしてまいりました。これからもできるだけ下水道が、終末処理場が住民に親しまれるような雰囲気をつくるように応援をしてまいりたいと思っております。
  35. 伏屋修治

    伏屋委員 次に、下水道に直結するいわゆる水洗便所、それから下水道終末処理場、こういうし尿処理の仕方もありますし、また自宅浄化槽の処理あるいは非水洗でくみ取り、こういうようなし尿の処理もあるわけですが、今現在日本は下水道四二%という普及率の中でこういうし尿処理の状況はいかがなものか、お尋ねしたいと思います。
  36. 坂本弘道

    ○坂本説明員 お答えいたします。  私どもの方で調べました昭和六十二年度の水洗化人口でございますが、これは下水道、し尿浄化槽を入れまして六〇%、あと非水洗化人口、いわゆるくみ取りと申しますか、それが三九・九%ございます。  このくみ取りし尿の内訳でございますが、いわゆるし尿処理施設をつくっておりますけれども、これでやっておりますのがそのうち七八・六%ということでございます。あと下水道のマンホール投入だとか農村還元、それから自家処理、海洋投入もございまして、これが全体のくみ取りし尿のうちの九・四%で、これは徐々に下がってきておる、こういう状態でございます。
  37. 伏屋修治

    伏屋委員 今地球環境の保全ということで環境問題が大きな焦点になっております。そういう意味からも下水道が普及しておらないし尿処理、その中でとりわけ一番問題になるのは自宅浄化槽の処理、これはいわゆる浄化槽で処理をして一般の側溝や川に流すということでございますが、その間、し尿バクテリアで分解浄化した上でこれを側溝、川に流すわけでございますが、下手をしてこれがオーバーフローしたりあるいはバクテリアの機能が果たせなかったとするときには、いわゆる水質汚染がそこに引き起こってくる心配があるわけでございます。  また非水洗方式、くみ取り方式ですと、いわゆるし尿を一カ所に集めて海洋投棄をしておるということを今御説明がありましたが、これが年間約百五十万キロリットルというものが、東京ドームの一・五倍分ですか、それくらいの量になるようでございますが、それが海洋投棄されておると海洋汚染につながってくる、こういうあたりをどう指導をされておるのか、お尋ねしたいと思います。
  38. 坂本弘道

    ○坂本説明員 ただいま二点お話があったかと存じます。  一つは自宅の汚水がどういうふうに流れていくかというような面でございますが、浄化槽といいますものに二つございまして、一つは水洗便所のし尿だけを集めてやっておりますもの、単独処理浄化槽がございます。それからもう一つは台所だとかおふろ、ああいうところの水も一緒に処理する合併処理浄化槽がございます。下水道の未整備地域といいますか、下水道がまだ引かれていないところでやっておりますトイレを水洗化するという場合には、し尿処理だけのものじゃなくて、家庭から出てくる雑排水も一緒に含めたような処理施設をつくっていこうということで、私どもの方でも補助金を導入いたしまして全国的に大々的に、川をきれいにするという観点も含めた浄化槽づくりに努めていこうということでございます。これが第一点。  それから二つ目の海洋投棄の問題でございますが、確かに以前から海洋投棄はやっておりまして、遠い昔には、例えば瀬戸内海だとか東京湾におきましても、し尿を海洋投棄しておりました。いろいろ問題がございまして、入ってくる船から、日本というのはジパングというのですか、黄金の国だと思えば海まで黄色いのかというようなことを言われた時代もあったやに聞いておりますけれども、最近はそういうところでやっているのじゃなくて、日本の陸地から五十海里というのですか、大体九十二、三キロ離れたところにこのし尿を持っていって、しかも速やかに拡散するように、それから海面に浮かないように、中で溶かすように、こういうようなことをやっておりまして、先ほどお話ございましたが、それが大体全体の九・四%ぐらいございます。  このし尿の海洋投棄に関してでございますが、くみ取りし尿そのものの処理につきましては、し尿処理施設によって適正に処理することが原則でございますので、そういうし尿処理施設の整備をただいまも進めておるところでございますし、先ほど建設省の方でお話ございました五カ年計画、私どもの方でも廃棄物の五カ年計画を同じくつくっておりまして、平成二年度から第七次の計画づくりに入っております。この中でもこのし尿処理施設につきましては重点的に対応していきたい、かように考えております。  地球規模の環境保全というようなことが叫ばれておる現在、このまま海洋投棄を続けていくのかという御指摘だと思いますが、いろいろ過去のいきさつ等難しい問題もございますけれども、今後の方向といたしましては、できるだけし尿の海洋投棄を減らしていくという観点に立ってし尿処理施設の整備を図っていきたい、かように考えております。
  39. 伏屋修治

    伏屋委員 一層の御尽力をよろしくお願いいたします。  次に、情報公開とオンブズマン制度について少しお尋ねしたいと思います。  日本の情報公開制度というのも形式的には全国的潮流になったと言えるわけでございますが、そ の現状をお聞かせいただきたいと思います。
  40. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 情報公開の制度化をいたしております地方公共団体が年々ふえておりますが、平成二年四月一日現在で百七十八の団体が情報公開を制度化いたしております。内訳を申し上げますと、都道府県が三十四、市区町村が百四十四でございます。
  41. 伏屋修治

    伏屋委員 各自治体でそれぞれ情報公開が広げられているわけでございます。ついせんだっても東京の文京区で体罰の問題についての報告書に誤りがあったというようなことで情報公開のもとに訂正をした、全国で初めてのケースが生まれた、こういうようなこともございます。この制度が日本においてまだまだ速やかな進展を見ない。そういうことはどこに大きな問題があるのかなと思うわけですが、その問題点はどうお考えですか。
  42. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 今御指摘いただきましたように、行政情報の公開につきましてはいろいろな問題点があろうかと思いますが、私なりに整理して申し上げますと、一一つの側面から考えていく必要があるのではないかと考えております。一つの側面は、行政側から積極的に情報を住民に提供し公開していく、こういう側面があろうと思いますし、他の一つは、住民の開示請求を保障し、それに応じた情報の提供、公開をする、こういう側面があろうと思います。  それで、第一の側面、言うなれば行政側からの積極的な情報の提供、公開という問題につきましては、これまで文書管理の適正化を図りますとか、あるいは閲覧窓口を整備するとか、それぞれの地方団体におきましても格別の努力をいたしておるわけでございますが、今後ともこれは着実に進めていくことが肝要であろうと思います。  それから第二の側面の、住民の開示請求の保障とそれに応じた情報の提供、公開という側面でございますが、この点につきましては大変難しい問題がございまして、一方では住民の方々の公文書の開示を求める権利というのを十分保障しなければいけない、こういう点があろうかと思いますけれども、他方では個人に関する情報がみだりに公にされてはならないというプライバシーの保護の問題があろうかと思います。  そういう意味合いにおきまして、例えば開示請求をするその請求権者の範囲をどう定めていくかとか、あるいは開示しない場合にどういう救済手続があるか、あるいは開示しない文書の範囲というのをどういうふうに決めていくか、こういういろいろな問題点がなお残されておるのではなかろうかと考えておりますが、いずれにいたしましても、私ども地方団体から相談がありました場合には、技術的な面につきまして助言指導をさせていただいておりますし、今後ともそういう方向で進めてまいりたい、こう考えております。
  43. 伏屋修治

    伏屋委員 総務庁は今情報公開法の制定というものについて積極的に取り組もうとしておられるわけでございます。参議院の方では議員立法で情報公開法を提出しようという動きもあるので、総務庁としても国会の方へ出したい、こういうような努力をされておられるようでございますが、今後の見通しなどについてお聞きしたいと思いますし、また、オンブズマン制度も過去に検討部会のようなものを設けられまして検討されたようでございますけれども、実施には至らなかった。どういう大きな理由があったのかという、二点目ですね。それから三点目は、川崎市においてはオンブズマン制度というものを設置しておるわけでございますが、そういう設置の経韓とそれらの問題点等々もお答えをいただきたいと思います。
  44. 松村雅生

    ○松村説明員 お答えいたします。  我が国における情報公開法の制定等制度化の問題につきましては、臨時行政調査会の最終答申におきまして、行政に対する国民の信頼を確保する観点から検討すべき課題である、このような指摘を受けております。これを踏まえまして私どもでは研究会を開催し、我が国の関連する諸制度、それから諸外国の制度運用等についての専門的な調査研究を進めておるところでございます。しかしながら、この情報公開法の制度化の問題というものは、我が国にとって新たな分野の事柄であります。また、国政とか行政運営それから社会経済活動に与える影響が大きゅうございます。そういうことでございますので、制度化の是非及びそのあり方について結論を得るためには、幅広く諸問題について検討を行っていく必要があると考えております。  それで、先生お尋ねのどのような問題があるのかということでございますけれども、例えば裁判の公開制度等関連諸制度との関係をどうするかという問題とか、あるいはまた公務員の守秘義務とか一定情報の開示、公表を定めた他法令というのがいろいろございますけれども、こういう現行の法令との関係をどのように整理するか、それからまた制度の実施に伴いまして行政の中立性、公正性の確保への支障とか、あるいは第三者利益の侵害の問題、制度の乱用の問題、このような問題がいろいろ予想されるところでございます。このような問題がいろいろございますので、総務庁といたしましては引き続き情報公開法の制定等を含めた制度化の問題について鋭意研究を進める、こういう考え方でございます。
  45. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 川崎市におきますオンブズマン制度の導入の問題につきましてお答えいたします。  御承知のように、本年の五月七日、川崎市の市民オンブズマン制度研究会が提言をいたしました。現在、同川崎市におきましてその導入について検討しているというふうに聞き及んでおります。  この研究会の報告によりますと、オンブズマンの主要な機能は三つございまして、一つは市民からの苦情を処理する、一一つ目が行政を開示していく、三つ目が行政改善に係る意見を述べる、こういう三つが主要な機能というふうにされております。  先ほど申しましたように川崎市におきまして現在その導入について検討しておると聞いておりますので、私どもも川崎市からの御相談に応じましてできる限りのお手伝いをさせていただきたい、かように考えております。
  46. 堀江正弘

    ○堀江説明員 お答えいたします。  オンブズマンの関係でございますが、いわゆるオンブズマン制度につきましては、臨調、行革審の答申におきまして、既存の苦情救済制度の活性化とともに我が国の風土に合った制度の導入についての検討の必要性が指摘されております。そして政府といたしましては、その検討方について累次の閣議決定を行ってきたところであるわけでございます。  昨年の十二月末に決定いたしました平成二年度の行政改革大綱におきましては、「オンブズマン等行政監視・救済制度」につきまして、「民意の反映等を図るなど、既存諸機能の活性化を推進するとともに、その実績を踏まえ、我が国の実情に適合したその在り方について、」「既存語機能等との関連性に留意しつつ、結論を得るべく更に具体的な検討を進める。」こういうぐあいになってございます。  こういうような方針に基づきまして、現在、総務庁におきましては、総務庁行政相談機能の活性化を図るため、申し出られた行政苦情等のうちから、行政の制度あるいは運営の基本にかかわるようなものにつきまして高い識見を有する公平な第三者による国民的立場からの意見を聴取するという考え方から、その的確かつ効果的な処理を推進するということで、民間有識者によります行政苦情救済推進会議というものを開催しておるところでございます。  オンブズマン制度につきましては、今申し上げました行政苦情救済推進会議の実績を踏まえて、既存のいろいろな制度との関連などに留意しつつ検討していく必要がある、こういうことで今やってきております。
  47. 伏屋修治

    伏屋委員 情報公開、オンブズマンはそれぐらいにしておきまして、次に救急業務についてちょっとお尋ねしたいと思います。  消防庁、お見えになっておると思いますが、我 が党の同僚議員である草川代議士が予算分科会でこの問題について質問をいたしましたし、昨日は参議院の予算委員会で我が党の常松参議院議員が質問したところでございますが、私もこの問題には非常に深い関心を持っておりますので、二、三お尋ねをしたいと思います。  消防庁が考えておられるパラメディック的なもの、または厚生省が考えておられるところのドクターズカー、こういう対応の整合性、また現場においての一次救急、救命救急、緊急蘇生法、こういう実施について、予算委員会の分科会等でも質問されており、答弁としては、検討する、こういうようなことでございますが、その後の検討、それからどう進んでおるのか、今後どのように具体的に取り組んでいくのか、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたい。
  48. 木村仁

    ○木村政府委員 今般、救命率向上の必要性の共通認識に立ちまして、厚生省及び自治省消防庁において救急対策連絡協議会を設け、そこで検討いたすことにしております。  ドクターカーにつきましては、これは私どもは、救急隊員のパラメディック的な応急処置の拡大というものと二者択一を迫るものではなくて、地域実情に応じ弾力的に組み合わせて活用していくべきものと考えておりますし、厚生省におかれましても、二十四時間体制で救急の専門医を確保して完全なドクターカーを運行することの困難性は十分認識され、したがいまして救急隊員のパラメディック的な活動につきましても極めて積極的、前向きに考えていただいておりますので、今後できるだけ早い機会にこの協議会を場として望ましい結論を得たいと考えております。
  49. 伏屋修治

    伏屋委員 具体的にはどういうふうに進めておられるのかということもお聞きしたのですが。けさのテレビを見ますと、救急隊員が東大の医学部で救急処置を学んでおるというようなものも放映されておりましたけれども、そういうような具体的な方策というのはそれ以外に何かあるのですか。
  50. 木村仁

    ○木村政府委員 この問題につきましては、自治省消防庁におきましても、年来、救急業務の将来像を考える懇話会等で審議をしてきたところでございます。また東京消防庁におきましては、救急業務懇話会におきましていろいろ検討されました結果、一つ試案として、第二次的な応急処置を拡大するという答申を出されまして、私どもにもそれを問題提起として出され、かつ全国の消防長会が消防庁に対する要望として提出をいたしております。そういうことで、現実には西宮等でドクターカーを試みたり、あるいはそれに伴って若干応急処置を拡大する努力をしたりしている実績もございます。そういう意味で、昭和五十三年に定めました応急処置基準、これは消防庁が定めているわけでございますが、それを拡大することを検討する時期が熟してきているというふうに私ども考えております。  そこで、厚生省との協議会で検討しつつ、同時にまた自治省の消防庁としても、救急業務研究会が今休んでおりましたので、これを再開してそこでも検討を重ね、同時並行的にできるだけ早く共通の結論を見出していきたい、そういうことで応急処置の拡大について議論を始めたところでございます。
  51. 伏屋修治

    伏屋委員 いわゆる医療対策が施せない救急車が走っておるのは日本ぐらいだ、このようにも言われておるところでございますので、よほど覚悟を決めて消防庁も、救急車の救急隊員のパラメディック的な教育訓練も、厚生省と寄り寄り検討しながら、医師法に触れないような範囲で、しかも人命の救助、救命率を高めるという面での努力を一層していただきたいと思います。緊急事態が起こったときに救急車が走る、三分か四分で行けるかどうかわかりませんが、そこへ行ったときに心臓が停止しておる、そのときに蘇生法を施したならば人命も救われたのに、その患者を救急車に乗せて病院までまた五分か七分走る、病院に着いたときにはもう完全に死者になっておる。こういうような事態からしますと、第一次の救急処置がいかに重要であるか、このことが救命率を高めることであるということから考えれば、やはりパラメディック的なものも力を入れて教育していかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  それで、これからの救命率を向上させるために、いわゆるプレホスピタルケアの充実というもので、先ほども御答弁ありましたけれども、救急隊員の資質の向上、あるいは応急処置のあり方、あらゆる角度から検討されなければならないと思うわけでございます。現状、教育体制の整備とか救急情報ネットワーク、あるいは救急自動車の規格、構造等の問題とか消防ヘリコプターの活用、民間救急に対する指導育成、住民に対する応急手当ての普及とか救急医療体制の整備、いろいろな問題があると思います。それらの現状と、これからそれをどう進めていくかを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  52. 木村仁

    ○木村政府委員 おただしの点が多数にわたっておりますので、簡潔にお答えさせていただきます。  まず教育でございますが、現在、都道府県及び指定市の消防学校で百三十五時間訓練を受けることによって救急隊員の資格といたしております。これに対して、救急隊員の資質向上に関する調査研究委員会が本年三月に、さらに百十九時間の隊長教育をやるようにという答申を出しておりますので、私どもはまずはこれを実施してまいりたいと考えております。さらに、パラメディック的な応急処置を認めていただくということになりますと、さらに相当多くの時間の教育が必要であります。それは現在あわせて研究してまいりたいと思っております。  それから、救急情報ネットワークと申しますのは、主として救急車と医師との交信の問題であろうと思いますが、最近、人口五十万以上の都市の五十三消防本部を対象として調査いたしましたところ、そのうちの四十七消防本部が何らかの形で救急車と医師との交信ができる形をとっており、また自動車電話を備えたもの、あるいは東京消防庁では映像及び音声によって心電図等を医師に報告できるようにしたもの、そういうものが整備されつつあります。こういうものを全国的に及ぼしてまいりたい、こういうことでございます。  それから、救急自動車の規格、構造につきましては、現在四千五百二十一台ほぼ同じ規格のものがございますが、御承知のように、もし応急処置を拡大するとすればこれでは恐らく足りないだろうということで、消防機器の研究会で新しい救急自動車の規格を示したりしておりますので、次第にその普及を図っていく段階に来つつあるかなというふうに考えているわけでございます。  それから消防ヘリにつきましては、現在指定都市で十九機、それから防災として県が持っているのが三機ございます。この指定都市の消防の十九機で昨年、平成元年度に救急に使いましたものは百六十四件に限られております。これは指定市でありますので余り離島等がない、こういうことで救急に余り使っていない、こういうふうなことであろうと存じますが、今後救急の面でもヘリコプターの活動する可能性は極めて高いと存じます。そこで、昨年三月に消防審議会から、少なくとも二十一世紀の初めまでには十五分でいずれの地域にもヘリコプターで行けるように全国体制を整備せよ、こういう答申が出ておりますので、研究会を設けましてその実現について鋭意検討中でございます。  それから、民間救急の指導育成につきましては、昭和六十三年十二月に運輸省で患者等輸送に限定される一般乗用旅客自動車運送事業免許が与えられ、現在ほぼ三百業者、五百台のそういう運送車が走っていると聞いております。ところが、消毒の問題でありますとか感染防止対策等が不十分であるとか、あるいは容体が急変したときの消防との連絡が悪いとか、そういう問題点がございましたので、昨年十月、患者等搬送事業指導基準を作成いたしますとともに、患者等搬送事業認定基準、いわゆる患者運送車のマル認マークという のをつくることにいたしまして全国に通達をいたしました結果、現在十消防本部で二十二社、二十三事業所の認定を行って指導しております。これを今後進めてまいりたいと存じます。  住民への応急手当ての実態につきましては、全国的には相当やられているわけでございますが、現実に使えるようなことになっておりませんので、さらに検討させていただきたいと思います。  救急医療体制につきましては、厚生省が昭和五十二年度から初期、第二次、第三次救急医療体制の整備強化を図ってこられました結果、随分全国的に充実されてまいりました。しかし、搬送を担当します消防隊の方から申しますと、もう少し救急指定病院がいろいろな科目をやってほしいとか、あるいは夜間体制が十分じゃないとか、さらに三次救急病院をもっとつくって配置すべきであるとか、そういう意見が出ているように聞いております。  以上、極めて走り飛びでございますが……。
  53. 伏屋修治

    伏屋委員 ありがとうございました。  サンフランシスコの大地震のときには、アメリカの国民の皆さんはボランティア活動、飛び込んで被害者を救出に当たった、こういうことを聞いておるわけでございますが、どちらかというと、日本というのは、交通事故等に遭いましてもできるだけかかわりたくないというので皆散っていくというのが日本の現状ではないか、このような思いをするわけで、本当に寂しい思いをするわけでございますが、先ほども申し上げましたように、事故に遭われたその最初の第一次救急がとても大事であるということからするならば、やはり一般国民に対する救急蘇生法、こういうものの普及を具体的に提起しながら、これを徹底していくことが大事ではないのかな、このように考えるわけでございますが、どういうふうに厚生省あるいは消防庁、自治省、お考えでしょうか。
  54. 木村仁

    ○木村政府委員 私どもの統計資料によりますと、消防機関が行います救急措置に対する一般住民の教育だけでも年間十一万二千八百十二回、参加した人の延べ人数が一千百六十八万三千二百七十人、こういう数字になっております。ところが現実には、先ほど先生おっしゃいましたように、かかわりたくないという気持ちもあるでしょうし、また実際血がほとばしり出たり、人が倒れていたりするのに駆け寄っていってそれを実施するほどの実践的知識にもなっていないということがあって、大勢の観客の中で有名なバスケットボールの選手が倒れたのにだれ一人として駆けつけなかったというようなことで国際的にも非難されるという事態になったりしております。したがいまして、現在そういった応急処置の教育は日赤もやっておりますし、医師会もやっておりますし、消防機関もやっているわけでありますが、やはり学校教育から始まるかなり実践的なカリキュラムを取り入れて実施していく必要があると反省いたしておりますので、実は専門家による研究会の答申等も昭和五十九年度応急手当普及啓発研究委員会報告とか出ておるのであります。実践に結びつくよう努力していきたいと考えております。
  55. 澤宏紀

    ○澤説明員 救急患者を救命するためには、先生おっしゃられますように、まず現場に一番早く、一番機会の多いと思われます一般の方々に救急のための知識と技術を知ってもらうことが非常に必要ではないかと思うわけでございます。このため、昭和五十七年に制定されました救急の日、これは九月九日、九九ということで、その九月九日を挟みました救急医療週間の機会等を通じまして、住民に対し救急医療体制の体系的な仕組み利用の仕方及び心肺蘇生法の応急処置の教育等啓発普及に努めておるところでございます。今後とも機会をとらえまして、また医療関係団体や日本赤十字社、救急医学会等の協力も得まして、応急時の処置に関し必要な知識を広く普及するよう努力してまいりたい、そういうように思います。
  56. 伏屋修治

    伏屋委員 時間が来たようでありますので、あと過疎化対策について、あるいは第三次行革審についてお尋ねをしたかったところでございますが、もう時間もオーバーする可能性が強いですので、国土庁、せっかく来ていただきましたけれども、質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  57. 島村宜伸

    島村委員長 吉井英勝君。
  58. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、まず質問に入るに先立ちまして、せんだって、四月十七日の当委員会で奥田自治大臣からいただきました答弁に関連して最初に伺っておきたいと思うのです。  ちょうどここへ会議録を持ってきておりますので、若干関係した部分だけ紹介をして、少し思い出していただきたいというふうに思うわけです。  これは、「兵庫県の山南町農業委員会がことし二月二十三日に米市場開放阻止に関する要望書を全会一致で決議したことについて、兵庫県警柏原署の警備課員が、決議のいきさつ、農業委員会の構成などを聞きに来た」「そのことについて実は山南町農業委員会は抗議文を決議しております。」その後はちょっと省略しまして、「要請の内容やいきさつ、送付先を警察官により事情聴取された事実は、当委員会への不当な介入であり、強く抗議するものであります。」という決議だったわけですね。  私の方から、そこで、警察が決議の経過や委員の構成などについてとやかく聞いて回るということ、これは明らかに農業委員会の活動に対する侵害となる、この点についての大臣のお考えを伺いたいと質問しまして、これに対して奥田大臣の方から「厳しい答えになるかもしれませんけれども、」「警察が農業委員会に介入したと考えたのは誤解であったという旨の再決議を農業委員会ではされたという報告を受けております。したがって、農業委員会に不当介入したという形は当たらない」「しかしながら、先生の質問の御趣旨もあり、私の方では念のため調査することをお約束いたします。」そういう御答弁をいただいております。若干長くなりましたが、紹介させていただきました。  実は私は、四月十七日に質問するに先立って、その前日も調査いたしまして、そういう再決議の事実というのはないということを知っておったわけでありますが、しかし大臣が自信を持って答弁をいただきましたので、私ども委員会が済んですぐ調査いたしました。山南町の農業委員会の事務局長も農業委員会の副会長も、再決議など全くやっていないという明確な回答をいただいております。念のために農業委員会の副会長の方から文書でもいただいておりますが、三月二十日の三十六回農業委員会、ここでは抗議を取り消すなどの決議はしておりません。四月二十日開催の三十七回委員会でも取り消す決議はしておりません。実は本日も念のために改めて問い合わせをしまして、再決議をやったという事実は全くないということを私は確認をしております。  そこで、大臣の方は、私の方も念のために調査をするとお約束いただいておりますので、その答弁の内容が正確なものであったのかどうか、調査されてどうだったのか、この点だけ少し思い起こしていただいてお答えいただきたいと思います。
  59. 浅野信二郎

    ○浅野(信)政府委員 ただいまの件につきましては、本日関係政府委員等参っておりませんので、ちょっとこの場でお答えできませんので、また調べた上で御返答いたしたいというように思います。
  60. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 これは実は私は、大臣からいただく答弁というのは、大臣責任持ってやっていただいておりますので、その点をお聞きしたかったわけなんです。だから警察の方の御答弁はどうでもいいと言ったら言い方がおかしいですが、それを求めたくて言っているわけじゃないのです。大臣が自信を持って答弁されたのだが、しかし調査してみれば、実は再決議というのはもともとされていなかったというのが事実なんです。この点で、これは大臣が悪意でうその答弁をされたとは決して私は思っておりません。これは大臣、私もそう思っているのです。それはないと思うのです。やはり大臣にうその報告をした者がいるというところに、これはとんでもない問題があると思うわけです。国会での質疑をゆがめてしまうと か、いわば大臣に満座の中で恥をかかせるようなことをした、これはけしからぬことだと思うのです。この点につきましてはその後調べていらっしゃらないようですから、この点も調べていただきますとともに、やはり大臣にうその報告をしたということについては厳しく御調査をされて、そして対処をしていただきたい。そうでないと、やりとりも信頼関係ですからね。この点だけはよろしいね。
  61. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 私も、御答弁申し上げた事実を今記憶いたしております。そういった点で、委員が再度調査の上、私の発言内容に間違いがあったとすれば、それはこちらとして十分調査いたしましてから御返事させていただきたいと思います。
  62. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 いずれにしろ、大臣にうその報告をするというのはとんでもない話でありますし、そういう点では大臣自身また調査をされて、うその報告をした者については厳しい処断をしていただきたいというふうに思うわけです。  本論に入りたいと思うのです。  岐阜県環境整備事業協同組合の業務放棄の問題に関連して、実は岐阜県の各市町村がかなり損害をこうむっているわけでありますが、これが特別交付税の方でその分が補てんされておった、岐阜県全体で、各市町村の分が約二億四千六百万円ほどに上るのですが、そういうところの措置の仕方などについて私は最初にお伺いしたいのです。この岐阜県環境整備事業協同組合、いわゆる岐環協の業務放棄と申しましても、聞いていただいている方は何のことかよくわからないわけでありますから、若干御説明をしながら、最初に厚生省にお伺いしたいと思うのです。  これは岐阜県下の各市町村の許可業者となったりあるいは市町村と委託契約をしてし尿の収集、ごみの収集、運搬を行っている業者で構成されている岐環協という団体がございますが、ここの顧問というのは浅間山荘事件の残党の京浜安保共闘のメンバーということで、県議会等でもそのことは紹介されているわけでありますが、この団体が昨年十二月五日から業務放棄を行って、お正月を前にしてくみ取りに来ないわけです。ですから、市民の皆さんの間ではまさにパニック状態という大変な事態が起こったわけでありますが、この岐環協というのは全国環境整備事業協同組合連合会の傘下にある中小企業等協同組合法に基づく団体でありますが、まずこの団体を所管しておられる厚生省の方から、一体どういう事態が起こったのか、どのような対応をされたのか、この点について最初に伺いたいと思います。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕
  63. 坂本弘道

    ○坂本説明員 お答えいたします。  この事案は、岐阜県下の市町村においてし尿の収集、運搬を行う許可業者等で組織しております岐阜県環境整備事業協同組合傘下の組合員が、岐阜県下約七十五市町村において昨年十二月五日から同二十二日までの間し尿等の収集、運搬業務を行わなかったものでございます。これは先ほど先生お話しいただきました点でございます。  岐阜県環境整備事業協同組合におきましては、昭和六十三年ごろから組合内部における対立や組合員以外の処理業者との間での営業上の対立等がございまして、それが市町村における一般廃棄物処理業の許可事務の運用に対する要求にまで拡大された結果、今回の業務放棄となったものでございます。  今回の業務放棄につきましては、それが行われた市町村においてし尿の収集、運搬が滞る等の影響が出たところでございますが、当該市町村及び岐阜県において、バキュームカーを購入したり臨時に人を雇い入れたり市町村職員が収集を行うなど、業務放棄による支障の防止のための緊急の措置をとったほか、業務放棄を行っている処理業者に対する指導を強力に行ったところでございます。  厚生省といたしましても、問題の解決のため、岐阜県からの相談に応じまして指導助言を行ったほか、岐阜県環境整備事業協同組合の上部団体でございます全国環境整備事業協同組合連合会を通しての指導も行った、こういう経緯でございます。
  64. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 概要について今お話があったわけでありますが、とにかく年末、正月を前にしてくみ取りが進まない、これは大変な話でありまして、岐阜市の場合ですと、この間千八百八十六件の苦情とか、何とかしてくれとか、あるいは終わりの方になりますと、市も大変だろう、頑張ってくれという激励に至るまで電話等があったということであります。  当時の十二月二十四日付の朝日新聞の報道をここに持ってまいりました。例えば、「大垣市では、職員がくみ取り作業に当たってきたが、二十二日までに苦情は三千二百七件に上り、処理できたのは一千五百三十軒分。不慣れな作業で手間取り、職員もくたくた。し尿を全身に浴びた職員が二人いた。」それから高山市では、友好都市などから車を借りたり、新たに二台購入して処理をした。「三千六百万円の予算を組んだ。市職員が処理に当たり、ここでも、し尿をかぶるなどのハプニングもあった。」「恵那市の場合は下水道の普及率が約七〇%とあって、し尿処理は全面的に業者へ委託している。対象戸数は約五千五百戸。各部から係長クラスも出て、当初は借り上げバキュームカー二台、日曜日は四台で対応したがとても追いつかなかった」など、本当に大変な事態に発展しておったことが伝えられております。  そうした中で、実は市の方においてもいろいろな対応をされまして、例えば、十二月六日には、市の方からちゃんとくみ取りをやるようにと仮処分申請を出してこの方が裁判所によって決定される。ところが、それをやってもちっとも言うことを聞かない。ですから、今度はさらに仮処分をちゃんとやらせるようにということで間接強制の決定の申し立てを行う。もしそれでもやらないときには、業者は一日に百五十万円の割合の金員を払えと。これは随分業者の方も参ってしまったようで、動揺が始まったようでありますが、そういうふうにして法的にも対応しながら、十二月十五日には新聞各紙に、岐阜県と岐阜県市長会、町村長会が連名で、こういう新聞広告で、県民の皆様へと、今回の問題についてアピールもされる。  同時に、十二月九日に全市町村により次のことが確認された。やはり、こういうことが繰り返されないためにも、改めて市町村の固有事務であるし尿くみ取りなどについて、直営方式の検討とか、許可または委託の取り消しを検討することとか、再許可を不許可にすること、あるいは委託の不更新を行うことなど厳しく毅然として対処するのだ、そして本当に市町村として責任がとれるようにするのだという表明が行われ、それからまた岐阜県の県議会におきましても、各党の議員の皆さんが一般質問でこれを一斉に取り上げて、最終的には全議員一致の議会決議も行われるなど、昨年の年末というのは、岐阜県におきましては大変な事態であったのですが、最終的にこの決着がついたときに、せっかく毅然としてやってきた話がどこかでがたがたと崩れてしまったところがありまして、その結果、合意が交わされたものの、実は新聞意見広告などの中では直営方式の検討とか許可、委託の取り消しの検討どもやりますよということであったのですが、それも取り下げてしまいましょう、それから問題が解決しないうちから間接強制の申し立ても取り下げてしまうということで、岐環協の方が心配しておったことは全部消えてしまったということで終わったという形になっているのであります。こういうことになると、あのときは業者の方が心配する事態まで随分追い込まれたけれども、結局最後はうまいこといったじゃないかということで、こういう事態が繰り返されてはまた大変なわけなんですよ。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕  先ほども若干お話がありましたが、もともとなぜこういうことが起こったのかと言ったら、これは岐環協という団体が出しているビラを読むと、彼らが十二月二日に出した「県民の皆様へ」という文章があるのですが、全日本自由同和会岐阜県連合会の会長である橋本某氏が岐環協の組合員を 脅したり、あるいは不正に自治体からし尿浄化槽の清掃事業の許可をとったなどという理由が述べられてはいるのです。そのいきさつそのものについてはここでおいておくとして、要するに根本原因というのは業者間のトラブルなのですね。利権をめぐるトラブルから始まってこんなひどいことになったのですが、こういうことが本当に繰り返されないためにも厚生省から若干概要の話がありましたが、今後業界に対してどういう指導を本当にやっていくのか。  厚生省は恐らく御存じだと思うのですが、これは今回だけじゃないのですね。岐阜県の岐環協の場合、こういったことが繰り返し従来よりいろいろな形であって、それで随分県下では問題になっているのですね。それがあいまい決着のままでは本当の解決にならないわけですから、こういう点では、まず厚生省の方は今後どういう指導をしていかれるのか、この点を改めてお伺いしておきたいと思います。
  65. 坂本弘道

    ○坂本説明員 このし尿のくみ取り等につきましては、一日たりとも休んでいただくわけにもいかないという点もございます。そういうことからいきまして、岐阜県のこの問題につきましては、あくまでもやはり県の方でやっていただく指導ということではございますが、私たちも厚生省といたしまして県と連絡をとりながら今後そういうことのないように十分対応していきたい、かように考えておるわけでございます。
  66. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 しっかりやってもらわなければ困るわけですが、実は、この業務放棄によって、さっきも御紹介しましたように、バキュームカーを借り上げるとか新たに購入するとか、それから人件費の支出、こういったもので、県下の市町村によってそれぞればらばらなのですが、少ないところで数十万円から、多いところでは何千万円という新たな財政支出がなされました。岐阜県の取りまとめでは約二億四千六百万円、これだけ損害が出ているから補てんしてもらいたい、こういう要望が出されたということでありますが、これに対して、これを特別交付税で措置したというのですね。  自治省にお伺いしておきたいのですが、この支出は地方交付税法の特交についての一体どの条項の対象になるのか。明らかに業者が損失を自治体に負わせて、それに対して、自治体の方が業者に対して請求するのじゃなくて、自治省が特交で措置して面倒を見る、こういう形をやると業者はちっとも痛くもかゆくもないのですね。これはどういうことなのですかね。
  67. 持永堯民

    ○持永政府委員 いろいろいきさつ等お話しでございますけれども、いずれにしてもそういう経過がありまして、その結果として市町村がバキュームカーを買ったり借りたり、あるいは職員が大変苦労したりして対応したという事実はあるわけでございます。したがって、それに伴って必要な支出があったということも事実でございます。  そういう意味で、そういう財政需要があったということに着目をして、特別交付税を算定する際にそういう事情を配慮したということでございまして、法律上の文言としてはまず地方交付税法の第十五条に特別交付税規定があるわけでございますけれども、ポイントだけ申し上げますと、要するに特別の財政需要がある場合においてそういった当該事情を考慮して特交を交付する、こうなっております。したがって、バキュームカーを買ったりいろいろ金が必要であった、そういう事情を考慮した、特別交付税の算定に当たりましてその点を配慮して交付額を決めた、こういうことでございます。業者との関係ということは別といたしまして、我々はその市町村に平成元年度においてそれだけの金がかかったという点に着目をしておる、こういうことでございます。
  68. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 十五条のお話やら、それから特別交付税に関する省令もありますね。これは本当のところ法律上どこにこれが適用されるのですか。とにかく業者が業務放棄をやった、原因ははっきりしている。自治体が損害を受けた。自治体の中には損害請求をして、させているところもあるのですよね。しかし、最後は自治省の方はむにゃむにゃと言ってしまって、それならば実際にそういう事態もあったんだから特交で補てんしましょう、法律上どこと言われてももう一つ明白にはならない、そういうことでこれはいいのですか。
  69. 持永堯民

    ○持永政府委員 業者との関係、損害賠償云々という御指摘もございましたけれども、我々としては損害賠償があるなしということは別といたしまして、損害賠償の問題につきましても確かにそれはある場合もあると思いますが、それはまだ具体的に確定している状況ではないと思います。そういった段階で平成元年度の決算時期を迎えるということになるわけでございますから、平成元年度の単年度収支という観点から見たときには、その市町村がそれだけ金が必要である、業者から損害賠償をとる、とらないということは別として、その年度においてはその金が必要であるということは事実でございますから、そういう点に着目して、今省令のお話がございましたけれども、省令で申し上げますと省令の八条でいろいろ書いてございますが、要するに各条文によって算定した額がなおいろいろな事情があることによって過少であると認められるときにはその事情を考慮して特別交付税の額を増額することができるという規定がございます。その条文に基づいてそういう特別の財政需要があったということをとらえて算定する際に配慮をしたということでございます。
  70. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 岐阜市、ここは岐阜クリーン株式会社というところに対して賠償請求を出しているのですね。「別紙納付書により三月三十日までに納付してください。」ここは五百十三万円納付されているわけです。同じく岐阜市の水道及び下水道管理者水道部長から東海公営というところに対してやはり損害金の賠償請求ということで、これは額は少ないですが、四十七万円ですか、三月十二日までに納付しなさい。これは納付の領収書がありますね、納付しているのです。  これは、さっき八条をおっしゃったが、五条の方の「市町村に係る三月分の算定方法」に基づいて三月分は算出されるわけですね。実際に原因者が明らかであり、そしてそれは委託であれあるいは許可業者の場合であれ、損害について契約上きちっとうたっている場合、損害についてうたっていなくても、ちゃんとそこは市長なり町長なりの指示に従うことという契約を交わして年間を通じての許可業者となって仕事をしておって、それが損害を与えた。そうすると、損害を償うというのは当たり前のことなんですね。しかし、そこは請求しないで、とにかく何かあったからむにゃむにゃと言ってどんぶり勘定をして、最後は、ほい自治省、特交で措置、これは今後もこれでいいというお考えなんですか。
  71. 持永堯民

    ○持永政府委員 先ほども申し上げましたように、今具体的に岐阜市の例をお挙げになりましたが、岐阜市は損害賠償が収入されているということでございますけれども、私ども特交の算定をされる時期までにおきましては、県の報告としては、先ほどお話がございました二億数千万という金が必要であったという報告を受けて決めたわけでございまして、多分その時点ではまだ収入のめどが立っていなかったのではなかろうかと思います。  いずれにしても、先ほど来申し上げておりますように、平成元年度においてそれだけの金を市町村は出さなくてはならないという事実に着目して措置の対象にしたわけでございまして、今御指摘ございました損害賠償の問題、特交で配慮したから損害賠償をうやむやにしたということではございませんで、それは全く別の次元の問題である、このように思っておりまして、契約上その他から損害賠償請求をするべき立場に市町村がある、それは別途の問題として損害賠償を請求していただくということに当然なろうと思います。
  72. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 県庁のほかに、ただ一つバキュームカーが集結してきた市があるのですね。これは岐阜県の可児市というところですが、その市長さんが十二月十四日に県下の市町村長や議会 議長に配った文書があります。それを読むと、「本市庁舎駐車場に十二月四日深夜からバキュームカー等二百五十五台を集結し、占拠したまま現在に至っています。」十日間、二百五十五台のバキュームカーで市役所が占拠されてしまったのですよ。これは本当に激しい大変な話なのですが、その二百五十五台の中に何と株式会社多治見市衛生公社の十台のバキュームカーが含まれているのですね。この株式会社多治見市衛生公社というのは多治見市が四〇%出資しているのですね。市がお金を出して出資している公社が、同じく業者の利権をめぐるトラブルに参加して、業務放棄をやって可児市、自分のところの市ではありませんが、よその市で十日間バキュームカーで駐車場を占拠して頑張る。そして、多治見市も大変なことになって損害をこうむっているわけですね。市民の皆さんからじゃんじゃん電話がかかってくる。市の職員の人もなれないことですから、し尿を浴びながらでも一生懸命頑張った。それで、そういうところに対する指導も何もなしに、これでとにかくマイナスがあったのだから特交で措置しましょう、こういうふうなやり方では国民の納得というものは得られないと私は思うのですよ。  そこで、私は、こうした例については後ほどまた厚生省にもお伺いしますが、こういう市町村の固有事務について市町村が本当に断固としてやり抜く、責任を果たすことと、そしてこういうふうな場合については損害をちゃんと賠償させるなりなんなりして、あいまいにしてどんぶり勘定で特交で措置、そういうやり方を繰り返すというのはやはりうまくないと思うのですね。  私、大臣にもバキュームカーの話を随分お聞きいただいたのですが、聞いていただいておって何ともこれは理解に苦しんでいらっしゃるのじゃないかと思うのですけれども、こういうことを交付税のあり方として、ここはきちっと正すべきは正していくという点については、大臣としてもよく御検討をいただいて、またそういう指示をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  73. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先ほどから聞いておって、住民の人は大変なことだし、まことに臭い話で、解決の仕方もいいかげんな形でやったなという思いです。確かにどういう事情があってかストライキを起こしたわけでしょうが、他方、それによって市町村自治体が大変な出費を強いられた。自治体として当然当事者間での損害賠償をめぐる法的な手だてはやるべきです、住民にそれだけの被害を与えたわけですから。  他方、恐らく県が中に入って特交で措置をしてくれという泣きが入ってきたのじゃないかと思うのですけれども、先ほど来の財政局長の話を聞いていると、現実に不時の出費で自治体としては大変困った、そういうことで交付税の趣旨からいってそういった形で特別措置をしたというような話でございましたけれども、法的にどうこうとは別として、これはすっきりした話ではないように思います。それは自治体としてもあるべき姿で相手方に対して正当に損害賠償を請求して、そして新たに認可して事業を再開させるならさせる、どういう形で決着するかは別として、けじめはつけるべきであろうと聞いておりました。
  74. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私がくどく申しましたのも、この後の処理もなかなか大変だと思うのです。と申しますのは、本来岐阜県の知事さん、県議会議長さん、市長会長、町村長会長さんなどとそれから岐環協の間で合意が交わされているわけですからそれだけでいいわけなのですが、直接のそういう当事者という団体から性格が少し異なるそれぞれの市のし尿関係の情報交換をする部長さんなりのクラスで、当然よくどこの市町村でもやります、研究会その他やりますが、そういうものの一つとして岐阜県市町村廃棄物処理事対策協議会というのがつくられているのです。ここは当事者ではないわけですから、情報交換だけの組織なのですが、ところが、ここがまた岐環協とその後確認書というのを交わされているのです。そういうところから、従来の京浜安保共闘で名をはせたような人物が顧問に入っているこの団体が、確認書に基づいていろいろと画策をする余地も残してしまっているという点を、実は岐阜県の中でも心ある人たちの間ではやはり心配だということが語られておりますから、私はもうこの点についてはおいておきますが、こういう問題の処理というのは、せっかくいいところまで行っておってもあいまいさを残したためにまた蒸し返しておると、あそこは繰り返しやってきておるものですから、今後特に厚生省などはしっかり指導をやっていただきたいというふうに思うわけです。  次に、随分時間をとりましたので、あと簡単にこの問題に関連して厚生省の方にお伺いしておきたいのは、し尿収集の料金というのは本来どのように決定されるのかということと、もう一つ、自治体が直接収集する場合、それから業者に委託する場合、これはし尿くみ取り料というのは市町村の条例で決めるのです。ところが民間業者に許可を与えて、民間業者が収集を行うという場合については、このし尿くみ取り料金については特に規制はないようです。それがまたいろいろ問題を起こしているようなのですが、一体なぜ規制がないのか、この点は厚生省の方に伺ってみたいと思います。
  75. 坂本弘道

    ○坂本説明員 ただいま二点ございます。一つは、いわゆる市町村がやるというものについては、これは条例で定めるということでございます。それから許可業者にお願いしている分だとか市町村がやっている分だとか混合した場合もありますし許可業者だけの場合もございます。これにつきましては、その地域の実態に応じまして市町村が業者等と相談をしながら決めておるというのが実態でございます。
  76. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 事前にちょっといろいろお聞かせいただくと、厚生省の方は、許可業者についてこの条例で値段を決めないというのは、民間の自由競争を縛るような料金設定というのは独禁法に抵触するおそれがある、実際は一定の基準がつくられてそれに沿った料金が設定されるのだが、そういうこともあって規制をしないのだというふうなお考えのようでありますが、実は今回の岐阜県下の場合、この標準料金というのは、先ほど少し出しました岐阜県の廃棄物処理対策協議会というところは各市町村が寄り集まって、そしていろいろ話し合いをして標準料金みたいなのを決めるようなのですが、ところが、ここが岐環協に押し切られてしまって、ここが高い料金を設定しているのです。  そうすると、岐阜市などは直営と委託ですから条例で決めているのですが、そこの方が安過ぎる。だから高い方に合わせという圧力を加えられてうんと高いものにしている。その結果、私ちょっと調べてみたわけですが、実はこの岐阜県と周辺の県との間でこのし尿くみ取り料金の平均値がどれぐらい違うかというのを調べてみますと、愛知県の平均というのは百十六円で岐阜県より六十九円安いのですね。三重県は八十五円で百円安く、静岡県は百四十八円で三十七円安い。滋賀県は百六円で七十九円安く、長野県は百四円で八十一円、それぞれ岐阜県より安いのですね。岐阜県下の市町村のし尿収集料金というのは近隣の県に比べてうんと高いわけなのです。これは実際は独禁法に抵触するような形で料金設定がなされて、しかも高い水準でやられている。私がこのことを実は取り上げましたのは、従来民間にすれば安くなるのだという議論があったのです。しかし、民間任せにしてしまったら実は高いじゃないか。この岐阜県であらわれている問題というのが一点。  もう一つは、資料によりますと、全国のし尿の収集形態がどうなっているか。地方公共団体によるもの、つまりそれには直営と委託がありますが、直営が昭和五十七年の一一・五%から現在九・二%と下がり、委託も二六・五%から二二・六%、つまり市町村が固有事務でありながら直営にしろ委託にしろ扱っている部分は比率がうんと落ちているのです。これに対して、市町村がかかわらない許可業者がやっているというのが、五十七年の六一・九%が六十二年には六八・二%と大 きく伸びているのです。つまり、岐阜県のように市町村が責任を持ってやる体制というより民間業者任せになってしまったところでは、今回のような問題が起こったときには結局十分な対処はできないということが今回の件で出てきたわけです。  私は、そういう事実を指摘した上で考えていただきたいと思うのは、現行法では業者に対してしかるべき責任をとらせるということは十分できない形になっておりますが、やはり最終的に行政責任を持つ直営方式を中心とする収集形態にするべきなんですが、しかしそれができなければ、最小限でもこの許可制度というのを改めて、少なくとも行政が契約を結ぶ委託方式などで最終的に市町村が責任を負って、こういう固有の事務というものについては責任を果たすことができるというそういう体制を考えるべきだと思うのです。私は、この問題の最後はひとつ大臣にお伺いして締めくくりとしておきたいと思います。
  77. 坂本弘道

    ○坂本説明員 ただいまのし尿処理料金が市町村なり地域によって違うという問題につきましては、これはそれぞれ地域の実態と地形、収集のやりやすさ、やりにくさ等々ございますので、その辺も含めてそういう形になっておるのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それと直営にするか委託かということにつきましては、これにつきましては必ずしも私どもの方は委託の方にやるようにというような指導をしておるわけではございませんで、その辺は市町村の独自の判断によってやっていただいているというのが実態でございます。
  78. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今のお話を伺っておりまして、岐阜県下の問題となりますと限られた地域ですから、厚生省の方十分な御研究をなさっていらっしゃらないというのもわからぬでもないのですが、今回なかなか深刻な事態でしたから、これを機会にうんとよく研究していただいて、そして対処していただきたいと思いますし、私が言っておりましたのは、許可業者なんですから少なくともそれに対しても委託業者並みに、市町村の固有事務としての責任を果たせるような体制というものを検討するべきだ、これはよく研究していただきたいと思います。  時間が大分たってきましたので、次の問題に移りたいと思いますが、今度は国民健康保険の問題について伺いたいと思います。  今回の国保制度の改正に関連して、国保制度に対する自治省の従来の考え方というものに変更がないのかどうか、この点をまず冒頭に伺ってみたいと思います。
  79. 持永堯民

    ○持永政府委員 平成二年度からの見直しでございますけれども、いろいろ議論してまいりましてその結果につきましては先般来御報告申し上げておりますが、基本的な考え方としては変わっておりません。
  80. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 暫定制度であった保険基盤安定制度を恒久化するのですね。そしてその財源負担として都道府県四分の一、市町村四分の一の地方負担を制度化、これに伴って医療費に地方負担はないとされた国保について、暫定的じゃなくて恒久的な制度として地方負担の導入。国と地方の財政負担の基本的な原則を定めているのはもちろん地方財政法でありますし、これはよく御存じのように「国の財政と地方財政との関係等に関する基本原則を定め、もって地方財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資することを目的とする。」となっているわけでございますが、今までは医療費に地方負担はないとされた国保は、暫定的じゃなしに恒久的な制度として地方負担導入となれば、これは地財法の規定を一部変えるということも今度入っているわけですが、明白に変更なんですよね。それで、当然ながら従来の国保に対する考え方から一定の変更があると私は思うのですけれども、この点はどうですか。
  81. 持永堯民

    ○持永政府委員 従来、数年前から、医療費について国が現在基本的には半分持っているわけでございますけれども、その一部を例えば都道府県に肩がわりしたらどうかというような意見が財政当局等からあったことも事実でございます。そういう際におきましては、国民健康保険の医療費というものは国の負担と保険料負担で賄うべきであるという考え方で対応してまいりまして、現在もその考え方は変わっておりません。  ただ、その保険基盤安定制度の問題につきましては、保険料の世界に突っ込んだという理解ではなくして、私ども考え方としてはあくまで低所得者、つまり保険料負担ができない低所得者にかわって公費でこれを、いわば保険料を負担する、低所得者の負担を公費で肩がわりする、そういう発想で措置をしようということでございまして、そういう意味ではいわば福祉の観点からこの低所得者に対応する政策である、こういう理解でございます。  そこで、従来は低所得者に対しては保険料を軽減しておりまして、軽減保険料のしわ寄せが結局ほかの被保険者に行っておりましたから、結果として中堅所得者の保険料が非常に高いという結果になっておったわけでございますけれども、いわゆる低所得者、保険料を払えない方の負担を中堅所得者層に持たせるというのは無理があるということから、そこは福祉という観点で割り切って、その低所得者の払えない部分については公費で負担するという考え方を導入したということでございまして、我々としてはそのことが医療費の世界に地方負担を導入したということではない、こういう考え方、前提で対処をしているわけでございます。
  82. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 国民健康保険法の第一条、よく御存じのように、これは「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」こちらは変えていないのですよね。この法律は最初から「もつて社会保障」ということはうたっているわけです。今は何かそこまでは変わってしまったから、福祉的要素が入ってきたから地方が負担してもいいのだというふうにも聞こえるのですが、そうじゃなくて、この国保法は変わらずに、結局あなたのお考えの方が変わって、これまでは地方は負担しない、しかし今度は一部負担するのだ、そういうふうに考え方を変えていらっしゃるのじゃないですか。
  83. 持永堯民

    ○持永政府委員 国保全体の経費、もろもろあるわけでございますけれども、その一部について地方が負担することになったという意味では、変わったと言えると思います。ただ医療費について、医療費の責任というのは国と保険料で賄うべきであるという考え方については変えていない、あくまでこれは福祉という観点からやっているということでございます。
  84. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 これはこれまでの自治大臣の答弁の流れを見ておりましても、基本的な考え方に変わりないとおっしゃりながらやはり変わってきているのですね。  八六年十月二十八日の葉梨自治大臣、「国民健康保険も国の責任において行われる国民皆保険の一環をなすものであります」「ほかの医療保険同様に保険料並びに国庫負担によって支払われるべきものであると考えるところでございます。」そして八七年八月二十一日に同じく大臣が答弁しておられることでありますが、「自治省といたしましては、国民健康保険につきまして医療費の国庫負担の一部を地方にさせるということはすべきでないと考えている次第でございます。」  しかしだんだん変わってきまして、八八年四月の梶山自治大臣の時代くらいから「付随的に補完的に地方自治体からこれに口出しして、なんとか国保財政がうまくいくように、そして一元化ができるように、給付水準が同様になるように自治体側からもチェックをしていきたい、そういう心情でございます。」とか「国保財政の危機的な状況、それから内容、そういうものに向けて市町村や都道府県がこれにもっと関与しなければ改善できないであろう。地域医療という特殊性から見ましても避けて通れない問題でございますから、我々も知恵を出し合おう、そういうことで、一義的には国の責任でございますけれども、我々地域問題としてこれをとり上げざるを得ない環境に立ち至り ましたので、幾つかの問題に対して提案を申し上げ、これから二年間を暫定期間として」云々と。あと紹介しますと長くなりますからおいておきますが、やはりスタンスが変わってきているのですね。基本的には国の責任と言いつつも、地方負担はさせるべきでないとおっしゃった前の大臣から、国保の財政は火の車であるから緊急避難的に地方負担を導入するのだと梶山自治大臣の時代に変わってきているのです。この論理でいきますと、これは今確かに国保財政は市町村によっていろいろありますが、大変なところがたくさんありますから、そうすると地方負担はますます増大するということが懸念されるわけです。  そこで、こういう形で地方負担も大変になりますが、現在、国保加入者の負担能力という面から見たときには現在の国保の状態はどういうふうになってきているのか。後ほど厚生省にも伺いたいのですが、自治省はこの点どういうふうに見ておられるか。負担能力の問題です。
  85. 持永堯民

    ○持永政府委員 保険料負担というのは各市町村によって随分開きがございますから一概には申し上げられないと思いますけれども、一部の地域においては非常に高い負担になっておる、ほかの健康保険に比べても負担が高い、所得との相対的な関係もございますけれども高いというふうに認識しております。そういうことがございますから、先ほど来申し上げておりますように、従来は低所得者の分までいわばかぶっておった。その分は保険料の世界から分離をして対応していこうという考え方をとったわけでございまして、ただいま葉梨元大臣の御答弁も引用されましたけれども、医療費について地方が負担するということについては、そういう考え方は持っていないということは御理解いただきたいと思います。
  86. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 現在、国保の負担が非常に厳しい状況になっていると思うのですが、厚生省の方の御認識もこの機会に伺っておきたいと思います。
  87. 大塚義治

    ○大塚説明員 私ども国保の事業を担当しております立場からいたしますと、負担能力をどのように見るか、それ自体大変難しい問題であろうと思います。例えば全国平均で見ますと、世帯当たりの平均所得という計数をとってみますと、他の制度とそう大きな違いは出てこないという数字もございます。しかし、国保の加入者の場合には低所得層の占める比率が高い状況がございますので、どうしても中間所得層に負担の比重がかかってくる、そういう構造がございますので、中間所得層の負担感が相対的に重いということはあろうかと思っております。  一方、ここ数年、国保の保険料自体がかなり大幅な引き上げが行われてきたということは事実でございまして、そういう意味で相当厳しい状況にあるということは認識をいたしております。しかし、これも最直近の、ここ一、二年の状況を見ますと、従来に比べかなり落ちつきを見せてきておりますし、何よりもまず保険料あるいは保険税は国保の事業運営の基本でございますので、引き続き被保険者の方々の御理解を得られますように私どもも十分努力をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  88. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 社会保障制度審議会の報告書の中でも、「国保においては、保険料負担能力が相対的に減少してきているので、増加する保険給付費に見合って保険料収入を確保することが難しくなっている。」それから、自治省の方が調べられた「昭和六十三年度国民健康保険税に関する調」によりますと、「所得のないものが二二・一%であり、三百万円以下が八八・八%となっている。」所得の低い階層が国保の世帯の中で非常に比率が高くなって、財政が全体として非常に深刻な事態になっているということが明らかにされておりますし、そうした中で、特にこの六十三年度の国保税の調べでも負担が限界に来ているということははっきりしているわけですね。また、歴代の厚生大臣も負担が限界に来ているという認識を示しておられますが、こういうふうに、既に国民健康保険料金というのは非常に、もう耐えられないくらいの負担のところへ今来ている。医療費は今後ともふえ続ける。その財源として国保料と国庫補助金があるわけですが、保険料収入の確保が難しいとなれば結局国庫補助を充実させなければいけないですね。ところが、国保財政の歳入に占める保険料と国庫補助金の割合の推移を見てみると、必ずしもそういうことにはなっていないですね。これはどういう傾向にあるか、ひとつ厚生省の方から説明してほしいと思います。
  89. 大塚義治

    ○大塚説明員 まず計数的なことから申し上げますと、いろいろ計数のとり方自体はございますけれども、例えば決算ベースによりまして収入に占める国庫支出金の割合というふうに整理をいたしてみますと、例えば六十年度国庫支出金のシェアは四六・一%、六十一年度は四四・五%、六十二年度が四二・四%、六十三年度は三九・五%という数字でございまして、この国庫支出金のシェアは比率としては下がってきておるということは事実でございます。  この背景でございますけれども、国保制度につきましては、これまで老人保健法の創設を初めといたしまして一連の制度改革を実施してきたわけでございまして、そうした制度改革を通じまして国保のいわば財源構成が相当大きく変わってきているところであります。これに対します国庫負担額につきましても、そうした財源構成の変化を踏まえまして所要の見直しを行ってきたわけでございます。したがいまして、歳入に占める国庫負担率という数字で申し上げましたけれども、全体の財源構成の変化によるものでございまして、単に国庫負担のみを削減してきたというものではないと考えております。
  90. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 これは厚生省からいただいている資料ですが、全国の財政の状況を見ますと、昭和五十八年と六十三年をとってみると、国庫支出金というのは二兆二千九百四十六億円が二兆二千三百二十七億円へと六百十九億円減っているわけですね。構成比は五六・一%が三九・五%へと減っている。これは事実ですね。ですから、医療費が膨らんで国保財政が大変になってくる。ところが、国の補助金が削られてきている。だから、いよいよ地方は大変だというのが今の実態だということを指摘しておきたいと思います。  私、この間大阪で寄ってきました東大阪市、これは国保財政の大変なところなんですが、昭和五十四年から五十八年にかけては歳入に対する国庫支出金の割合は大体五七、八%から六〇%を超えたときがあったのですね。これが退職者医療制度の導入された昭和五十九年以降、五十九年から六十二年までは五三%から四七%へ毎年落ちてきて、六十三年度以降は国庫支出金が四〇%ですね。つまり、これは本当に国の方のさっき言いました資料の絶対額でも落ち込み、比率でも減少している、これが実際の姿だということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、自治省の方、国が五百億円を超す財政負担をするとして今度の改正を評価しているわけですが、国庫支出金が総額としても、また国保の歳入に占める割合も、本当にふえることになるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  91. 持永堯民

    ○持永政府委員 最近この国庫の割合が決算上減少しておるということにつきましては、いろいろな制度改正の結果も影響している、こういうことでございます。今の、今後国庫がふえるかどうかということでございますけれども、これはいろいろな制度の改正等もあるいは今後あるかもしれませんし、一概に申し上げるわけにはいきませんが、少なくともこの保険基盤安定制度の見直しによって実質的に国費がその分を負担することになった、その点に関して申し上げれば、それは国の負担がふえるというふうに申し上げることができると思います。
  92. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 国庫支出金というのは実際全体としてふえることにならないのですね。減らしていくことにこの制度改正のねらいがあるのじゃないですか。  ところで、自治、厚生、大蔵三省の合意の中に「保険料負担の平準化を進めることとし、その具 体的な方法、これに伴う応益保険料の軽減制度の拡充等については、今後地方公共団体意見を尊重しながら、平成三年度実施を目途に検討を進める」ということになっておりますが、これは週刊「社会保障」にも厚生省が平準化の検討会を発足させたことなどが伝えられておりますね。ちょうど大塚課長さんが出席されていろいろお話をいただいているようであります。特にその中では、この三省合意に基づいて保険料の負担の平準化を進める、この平準化の中身の方なんですが、それを次回のテーマとしては「応益割・応能割保険料のあり方をテーマにする予定。」というふうになっていて、そして「以上の厚生省試案考え方は、現在の国保保険料の賦課額を算出する基礎となる応能割と応益割の比率(六四%対三六%)を五〇%対五〇%にまで応益割を高めていこうとするものである。」というふうに伝えられているわけでありますが、現在厚生省の方はこの五対五という方向へ持っていこうということで作業を進めていらっしゃるのですか。
  93. 大塚義治

    ○大塚説明員 いわゆる保険料の平準化という問題につきましては、現状かなりの市町村間の格差があるということから、これをできるだけその格差を縮小し、同じような医療費の水準にある場合には同じような所得の方については保険料がほぼ同じになるというような方向を目指すべきではなかろうかというような発想で関係者と議論をしておるわけでございますけれども、まず昨年来の制度改正の過程でも関係省庁あるいは関係者といろいろ議論をいたしましたが、この問題につきましてはまた同時にさまざまな御意見があるということで、今後地方公共団体の御意見を十分お聞きしながら具体的な検討を進めるということになりまして、現在、御指摘地方公共団体関係者から成ります検討会を設けて検討しておるという状況でございます。  その中で、私ども議論の過程といたしましては、先ほど申し上げたこととも関連するわけでございますが、中堅所得層、中間所得層の負担が全体として非常に過重になっているのではないかという一つの実態がございますので、そういう点を考慮しながら応益保険料、応能保険料のあり方ということを考える際に、応益保険料の水準というものが全体としては比率がもう少し高まってもいいのではないかという考え方のもとに議論をした経過がございました。  ただ、これにつきましてもさまざまな御議論があるようでございますから、引き続き関係者意見を広くお聞きしながら今後検討してまいりたいということでございます。
  94. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今中堅が大変だというお話があったのですが、低所得者も大変なんですね。  私はこの間大阪の松原市というところで、松原市の国保の制度でいけば実際にどうなるかということで低所得者の方たちとお話をしておりまして、ある試算をさせていただいたのですが、例えば現在夫婦子供二人の四人家族で生活保護を受けた場合、昨年の住宅扶助が四万円まで出ますからこれで計算しますと、すべてのものを合わせると、年間生活保護費の合計というのは二百九十三万四千五百九十円となるわけですね。仮にそれが事業所得だとしますと、国保の所得の場合には二十八万円をこれから引きますから、これで計算すると、松原市では国保の所得割の率が一二・八%ですから何と三十三万九千七百八十八円なんです。国保の最高限度額は三十八万円なんですね。あともう四万円しか差がないのです。この所得割分に世帯割の二万六千六百二十円がついてきたら、もうこれはほとんど最高限度額へ来ているのですね。ですから現実には中堅も大変。しかし、低所得者も生活保護基準の所得で、既にこの所得割だけでも最高額に近づいて、これで世帯割、人数割、平等割、均等割分を合わせれば完全に最高限度額を突破する。今日の地方自治体における国保の大変さというのはそこにあるんだということ。ですから、平準化の議論でどっちをいじくったら解決するというようなそういうところにはないということ。仮にこの応益割をふやせば、既に応能割で最高限度額に近づいているわけですからますますひどいことになる、これが今の実態だということをぜひ認識しておいてもらわなければいかぬと思うわけです。  保険料軽減制度を拡充するといっても、収入のない人がふえているのですから、六割軽減を七割に、四割軽減を五割にするという試案は示されておりますが、その財源というのは現行では地方が二分の一負担となっているわけですが、こうなると、軽減措置をやるが、全体として負担能力は大変だというところに来ているわけですから、そうすると結局ますます地方の負担がふえざるを得ない。地方に二分の一の負担ということになれば、ますます地方の負担がふえざるを得ない、こういうところに来ていると思うのですが、この点いかがでしょうか。
  95. 大塚義治

    ○大塚説明員 先生のお示しの具体例につきまして私ども個別に試算する材料はございませんので、それ自体についてお答えを申し上げることは控えさせていただきますけれども、応益割保険料と応能割保険料との相互の関係についてだけ一言申し上げますと、保険料の賦課すべき総額というのは当然一定の医療費、一定の財政事情のもとで一応決まってまいるわけでございますので、応益保険料のシェアが高まれば応能保険料のシェアが下がってくる、そういう相互の関係にあるということをお答え申しておかなければいけないと思う点が一点でございます。  それから後段の御質問につきましては、これも先生御紹介いただきました厚生省試案なるものにお示しのような案があったことは事実でございますが、これにつきましても一つ考え方だろうとは思いますけれども、今後関係者とさまざまな議論を交わして今後の方向を見出していくという段階でございますので、御理解を賜りたいということでございます。
  96. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 国が基本的に責任を持つ制度であるのですが、財政が火の車だからということで地方負担を導入する、こういう説明がなされてきたわけですね。そういう一方で、基本的に責任を持つ国の負担割合が、調べてみればどんどん減ってきている。そして保険料と地方負担がふえているというのが現在の状況なんです。国の負担割合や負担額はふえているというならばそれなりに説明がつくわけですが、逆にこれが減っている、一方で地方負担がふえている。そして、ますます地方の国保財政というのは大変になってきている。こういうところにあるわけですから、私は、この点では、国は「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とした地方財政法二条の物の考え方にこれは明らかに逆行した考え方だということを指摘しておきたいと思うわけです。  そして、国保を再生していくその道というのは、国が本来の責任を果たして、その負担割合を、かつて四五%を三八・五%にカットしたわけですが、やはり国の負担をもとへ戻していくということ、その取り組みこそ今一番大事だと思うのですが、これについてはどういう取り組みをしていらっしゃるのか。地方自治体の深刻な状況というのは自治省はよく御存じなので、この補助金カットをもとへ戻すことについてはうんと取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、この点についてのお考えを伺っておきたいと思うわけであります。
  97. 大塚義治

    ○大塚説明員 先ほども御答弁いたしたことと重なるわけでございますけれども、これまでの一連の改正によりまして財源構成が変化をしたということを申し上げました。その中には、国保のいわば歳出に当たります例えば老人保健拠出金、そういうものの歳出あるいは国保の財政負担そのものが軽減されるという改正も含まれておるわけでございます。そういう全体の改正の中で結果的に国庫負担のシェアが先ほどお示しした数字になっておるということでございまして、必ずしも国庫の削減というふうに私ども考えておりませんし、御指摘ではございますが、この補助率をもとに戻すということは考えておらないところでございま す。
  98. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 そういう厚生省のお考えでは、国保財政はいよいよ大変になる。これは地方自治体も国保加入者も救われない。一方で、例えば財政調整交付金の給付費を一〇%から一五%に引き上げよう、そのときには逆に定率の国庫負担を給付費の四〇%から三五%に削ることを考えてみたりとか、片方ふやして片方減らして結局全体としては、さっきから数字を挙げましたように絶対額でも率でも落ちている、こういう事態では本当に地方自治体は救われない、こうしたやり方については抜本的に改めてもらわなければならぬということを申し上げて、次の問題に移りたいと思うわけです。  次は、昨年の十二月二十日に新行革審が都道府県や市町村の連合制度、道州制の検討など、現行地方自治制度の改編に踏み込んだ提案を行っておりますが、財政制度についても見過ごすことのできない提言を行っております。  例えば「地方財政の制度・運用の改革と団体間財政格差の是正」という中の「改革方策」で「地方財政の制度・運用の改革」「地方財政運営の基本的指針の設定」として「地方財政計画の歳出規模の伸び率は名目成長率以下とすることを原則とする。」「財源余剰が見込まれる場合にあっては、引き続き、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の償還等に優先的に充当」、それから「地方の財政状況の推移等に応じて、地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」こういうふうにしているわけでありますが、私は、ここでこの地方交付税法第六条の三第二項の問題についてまず総務庁の方に伺っておきたいのですが、この点については一体どんな議論がなされたのか、この点をまず伺いたいと思います。
  99. 坂野泰治

    ○坂野説明員 新行革審におきましては、国と地方を通じて、全体として行財政の適正なあり方を実現する見地からいろいろ検討が行われたわけでございます。地方財政につきましても、国と並ぶ規模と重要性を持つというところからその健全性や効率性を確保し、また歳出規模の拡大についてもこれを適切な水準にとどめて国民負担率の増大を抑制する必要があるという考え方から、御指摘のような提言がなされたものと理解をいたしております。
  100. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 その第六条の三の二項のところについて深めていきたいのですが、これの少し前の「考え方」のところに「地方交付税制度を通じた格差是正には限界があり、今後、国庫支出金等の配分を通じ、更には地方税制面等における是正方策の推進が必要である。」つまり交付税による財政力格差の是正は行わない、つまり交付税はふやさない、こういうふうに受け取れる表現があるわけですね。  また、答申のもとになった国と地方関係等に関する小委員会というところの検討資料というのがありますが、その検討資料を見ておりますと、「中期的な財政需要・税収動向等を踏まえた交付税率の弾力的な見直し、」というのが示されておるのですね。つまり、この「地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」と言っているのは、これは議論全体を見れば、交付税率の変更も検討の対象になるということにしているのじゃないかと思われるのですが、総務庁どうですか。
  101. 坂野泰治

    ○坂野説明員 答申におきましては、地方財政の状況の推移等に応じて現行の地方交付税制度に従った措置をとるように求めたわけでございます。地方財政の状況が今後どのように推移するかにつきましては、むしろ地方財政当局からいろいろお聞き取りをいただくべきこととは存じますが、当時の新行革審の議論としては、その段階では直ちにどういう状況になるか即断する段階にはないということから、本来の制度の建前に沿った措置をとるように求めたものと理解をいたしておるわけでございます。
  102. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 まず、今も言いました小委員会の方の検討のメモというのがありますね。この検討の資料の中で「中期的な財政需要・税収動向等を踏まえた交付税率の弾力的な見直し、」というのがあって、これを踏まえていろいろな議論があって、そして出てきたのが、小委員会の方でも「改革方策」ということで「地方財政運営の基本的指針の設定」というのを、ア、イ、ウと三つ挙げておりますね。これと全く同じ中身のものが臨時行政改革推進審議会の答申の中に文言も全く同じで出てきて、そして、十二月二十九日に、これは国と地方関係等に関する改革推進要綱ということで閣議決定となっているわけです。つまり、閣議決定の中で、「地方の財政状況の推移等に応じて、地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」一連の流れというのは、交付税率の弾力的な見直しということを踏まえて一連の流れとなってきているわけです。  そこで、私は自治大臣に伺いますが、この閣議決定というのは当然のことながら各省庁の施策を縛るものになると思うのですが、この点は大臣、どうですか。
  103. 持永堯民

    ○持永政府委員 閣議決定そのものはやはり政府の方針を決めるわけでございますから御指摘のとおりだと思いますが、ここに書かれました文章の意味につきましては、先ほど総務庁からもお答えがございましたけれども、この記述があるからといって直ちに現段階で交付税率の変更を即断するという段階ではない、そういう考え方でございます。
  104. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 この部分は、私は非常に大事なところだと思うのですね。自治大臣も参加されて閣議決定となったわけですが、一連の流れからすると、先ほど来二、三回繰り返しておりますが、もともと交付税率の弾力的な見直し、」ということを踏まえて新行革審でずっと討議が行われて、そして答申がまとめられ、その答申の文言そっくり閣議決定にしたのがこの部分ですね。私は自治大臣に伺っておきたいのですが、大臣自身が閣議に参加していらっしゃる、その上での決定でございますし、この文言というのは交付税率の変更を含んでいるものだ、こういうふうに理解していらっしゃるかどうか、この点はどうでしょう。
  105. 持永堯民

    ○持永政府委員 その前にちょっと御説明申し上げたいと思いますが、この文章は確かに御指摘のように書いてあるわけでございます。我々の理解といたしましては、この文章につきましては、これは当然法律にある規定でございますから、法律に現にある規定によって財源調整を行うということを、ある意味では法律どおりのことを書いたわけでございまして、いわば当然のことを書いた、こういうふうに理解しているわけでございます。  文章の上ではそういうふうに理解しておりまして、同時に実態的な面から申し上げますと、現在の地方財政の状況というものは、確かに最近若干以前に比べれば改善はしていると思いますけれども、現時点状況をもってして財源余剰が出ておるとかいうことではなくして、今後、将来の歳出の増というものも考えますときに、そういうことも含めて考えたときには、決して財源余剰があるとか、あるいはこの六条の三第二項の規定に基づいて交付税率の変更、つまり引き下げを行う、そういう実態ではない。財政の実態からしてそういう理解はしてないということでございまして、あくまでこの文章は、法律に書いてあることをいわば確認的と申しましょうか、当然のこととして書いた、こういうような理解で自治省としては考えておるわけでございます。
  106. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 冒頭の質問に対する答えの電報が今来ておったものですから、これを答えようと思って見ておって、失礼いたしました。  地方財政の実情は、確かに改善の兆しは見られてきておることは事実です。しかし他方、今も局長が答えておりましたけれども、巨額の借金もまだ抱えておるわけでございますし、むしろこれから大変な、多様な、高齢化社会対応を含めて財政需要が見込まれるという現状考えるときに、この六条三の規定は、むしろ財源不足のときに交付 税を上げるということなら納得しますけれども、とてもそんな、余剰があって下げるというような形は論議のさたの限りではない、私はこのように考えております。  ちょっと先ほどの御質疑に返りますけれども、十七日の地方行政委員会の吉井委員の質問を受けて、私が再調査をするというお約束をいたしたわけでございますから、今改めて向こうの山南町の農業委員会の決議の内容について柏原警察署長の木村からの報告を受けておるわけでございますが、簡単に言いますと、山南町農業委員会では、警察に抗議した後改めて総会において全委員がこの件に関しては誤解であったと決議された。一遍抗議したことは事実ですから、それに関してやりとりの形はありますけれども、後でまたこれを受けた政府委員から説明させますが、はっきり言って、私が十七日に答弁した内容は再調査の結果間違いないと……(吉井(英)委員「再決議していないのです」と呼ぶ)いや、ところが決議しているということの報告で、これに関してはまた報告させます。私今受けたばかりで、今委員のまた再質問に答えるということはできませんが……。
  107. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ちょっと委員長、今こっちの話に入っていますので、そこで入ってしまうと、私も持ち時間との関係で話がややこしくなってしまって——いや、延長していただけるなら、その分また後ほど時間をちょっといただけるなら結構でございますが。
  108. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 はい、わかりました。後で説明させます。
  109. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、今の大臣のお話は、それは警察の話で、農業委員会の事務局の方からもちゃんと調査をしておいていただかないと正確を欠きますので、再決議という決議はありませんので、私もちゃんとそれは事務局長からも副会長からも聞いているのですから。それをここでやり出しますと、警察の話は警察の話、私は農業委員会に聞いているので、それをやり合っても時間があれですから、それはちょっとここでおいておきますが、少なくとも再決議をしたという事実は、そういう決議文があったらまず決議文を出していただいたら結構ですから、まず決議文を出していただくということを再調査の結果というふうに見ておきたいと思います。  それで、時間があれですので、まず、先ほど財政局長からお話ありましたが、臨調答申や行革審答申の中にも、交付税制度に関連した答申というのは今まであるのですが、しかし、六条の三第二項に具体的に言及した答申というのは、これは今回初めてですね。それから、行革大綱としてこの部分を含めた閣議決定をやったというのもこれまた今回が初めてなんですね。  そういう点では、この問題というのは、まさに今の財政状況を踏まえて、特にちょっと見ておきますと、昨年度の普通交付税十一兆七千四百二十一億円に対して当初と補正の分で組んだのを合わせますと、交付税特別会計への繰り入れ償還金や財源対策債償還基金への積み立てなどで合計二兆七千六十一億ですから、これは二三%に当たるのです。それから九〇年度当初について見ておきますと、普通交付税の十二兆九千三百三十六億円に対して、交付税特別会計への繰り上げ償還分とそれから財源対策債償還基金への積み立てと合わせると三兆四千八百五十九億円で二七%ということで、こういう状況がさらに続くと、先ほどちょっと触れていらっしゃいました「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なる」というこの「引き続き」や「著しく」の解釈ですね。これまでの大臣答弁から見ても、これはこの条件にちょうど当てはまるわけですから、そうすると制度改正交付税率の引き上げか、こういう問題になってくるわけですね。  そこで、来年度、仮に今年度と同じような事態になると、これはこの法律六条の三第二項に該当するという事態になりまして、いよいよ制度改正か、それとも交付税率の変更か、しかもこういう状況ですから税率の引き上げということはなくて、税率ですと引き下げかという事態になるわけでありますが、この点については財源の余裕が生じている事態に実際になってきているわけですね。しかし、交付税率の引き下げとかとんでもない話だ、そういうことは絶対やらないんだ、そういう点が大臣の閣議の中での主張とか、また現在のお考え、こういうふうに理解しておいていいですか。
  110. 持永堯民

    ○持永政府委員 先にやや技術的なと申しましょうか、解釈の点について申し上げます。  今御指摘ございました六条の三第二項の交付税総額と合算額が異なったときというその意味でございますけれども、今先生の御指摘は、平成元年度あるいは平成二年度において借入金を返すとかあるいは財対債への基金を積むとかいうものはまさに合算額に入らない外の、合算額以外のものだというふうな御理解でのお話だったと思いますけれども、我々としては、これはまだ各団体の合算額を積み上げて、その中のものである、こういう理解でございますので、したがって今の時点というのは、あるいは平成元年度の時点というのは総額と合算額が異なった状態にはなってないということでございまして、そういう意味で平成元年度あるいは平成二年度において六条の三第二項に言う事態には該当していない、こういう解釈でございますから、仮に万が一来年度異なるという事態が発生したとしても、それは初めて来年出てくる問題でございますから、それをもって直ちに交付税率の変更というこの条項が当てはまることにはならない、こういう理解をしているわけでございます。
  111. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先ほども申しましたように、大変多額の借り入れ残高を抱えて、多様な財政需要の増大が見込まれている現状で、地方交付税法六条の三第二項適用について議論する状況にはないという認識でございます。
  112. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 先日来の議論を聞いておっても、このほか公債残高の問題だとかいろいろ議論をしていらっしゃるわけですが、そういうものが、仮に財源余剰が出てきても、公債残高があるうちはまだ余裕があるとはみなせないというふうなお考えを持って主張をしておられるのかなとうかがわれる部分もあるのですが、いずれにしろ時間がちょうど来ましたので、重ねてお伺いしておきたいのは、今日の財政状況もとでは、閣議決定された文章などを見ておりますと、ずっと一連の新行革審の議論からながめてきますと、これはもともと交付税率の変更がうたわれた上での議論でありますから、一番そこが気にかかる部分でありますが、交付税率の引き下げあるいは制度の改正による交付税の減額はしない、この点は必ず貫いていくんだ、こういう大臣のお考えだということで理解して終わらせてもらっていいですね。この点だけもう一遍伺っておいて終わりたいと思います。
  113. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 そのとおりで結構でございます。  なお、ちょっとはっきりしておいた方がいいですから、報告だけは聞いていただけないですか。
  114. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 いや、時間がいただけるんだったら……。
  115. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 あなたが副会長さんから聞いたと言われるんですから、こちらは会長から聞いたということで、お願いします。
  116. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 事務局長からも聞いています。
  117. 杉田和博

    ○杉田説明員 四月の十七日の御質疑の後、委員から改めて当方に御照会がございましたので、県を通じて農業委員会の会長に確認をいたしました。その結果、三月二十日には山南町の農業委員会が緊急総会を開きまして、警察が農業委員会に介入したと考えたのは誤解であった旨の決議を行ったという回答を得ております。
  118. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 決議は行っていないのです。そうしたら、決議文を出してください。私はもう時間が来ましたから、御迷惑をかけてはいけませんので、決議文を出していただくということで質問を終わりたいと思います。
  119. 杉田和博

    ○杉田説明員 いわゆる採決というものはしておりませんけれども、決議をしたというふうな回答を得ております。決議をしたことは間違いないと承知しております。
  120. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 前段に決議文があるのです。それを覆すには、覆す決議文があって決議をしたとみなすのです。その決議文は、再決議文というのはないのです。私は事務局長からも副会長からも確かめております。会長の御報告はあったのです。それは、警察からこういう報告を受けましたという報告はちゃんと委員会でありまして、それに対して報告があっただけで終わっているのですよ。それは認めたものでも決議したものでもないのです。ですから、決議文を出されることを求めておいて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  121. 杉田和博

    ○杉田説明員 ただいま申し上げましたとおり、誤解であったという旨の決議を行ったということについては間違いがございません。
  122. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 だから、その決議文を出したらどうですか。会長はそう報告されて、報告を聞いた方はいらっしゃる。しかし、それで了解があったということじゃないのです。だから、決議文を出してください。それで理解したいと思います。
  123. 島村宜伸

    島村委員長 もう一度この件に関して、杉田公安第一課長
  124. 杉田和博

    ○杉田説明員 再々恐縮ですが、決議文というものが存在するということは承知しておりません。決議はした……(吉井(英)委員「再決議文はないのでしょう」と呼ぶ)決議をいたしたということを確認いたしております。恐らく議事録がございますので、議事録を確認するということは……。
  125. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 だから、再決議文を出していただいたらよくわかるので、片方は決議文があって私はお示しをしたのです。
  126. 杉田和博

    ○杉田説明員 決議文という形の文章はないというふうに承知していますが、決議はいたしたということには間違いございません。
  127. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 では、議事録を出してくださいよ。終わります。
  128. 島村宜伸

    島村委員長 神田厚君。
  129. 神田厚

    ○神田委員 それでは、地方財政の問題につきまして御質問を申し上げたいと思っております。  今年度の地方財政対策及び地方財政計画のポイントはどうなっているのか。特に地方財政の健全化に関し、いわゆる借金返済は幾ら行われ残高は幾らになったか、また一般財源の比率はどうなったのかをお知らせをいただきたいと思います。
  130. 持永堯民

    ○持永政府委員 平成二年度の地方財政対策でございますけれども、細かい点はいろいろあったわけでございますが、主なポイントにつきましては四点あったかと思います。  まず第一番目が、国民健康保険制度の見直しの問題でございまして、これは平成二年度から見直しをするような形でこれまで暫定措置できておりましたので、その見直しの問題。二番目が、平成元年度におきまして国庫補助負担率の見直しが行われましたけれども、その際に二年間の暫定措置とされましたいわゆる公共事業等に係ります補助負担率の引き下げについてのその分の補てんの問題。三番目が、いわゆる歳入歳出の面でございますけれども、例えば地方単独事業を拡充するといったような歳出面において的確に必要な額を見込む、同時に歳入面におきましても所要の一般財源を確保するという問題。四番目が、地方財政の中期的な観点からの健全化を図る。その四つであったろうと思っております。  最初の国保の問題につきましては、暫定措置できておりました保険基盤安定制度についてこれを安定的な制度化をするということでございますとか、あるいは高額医療費共同事業については引き続き暫定で継続する問題でございますとか、それらに伴う所要額については地財計画に計上して財源措置を講ずる、そういった対応をいたすことにしておるわけでございます。  それから、補助率のカットの分につきましては、八千五百億円ほどでございますけれども、これは基本的には平成元年度と同じような形で補てん措置を講ずることにいたしているわけでございます。歳出につきましては、例えば「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づきます国の事業に対応する地方負担等々を初めとして、各種の国の施策に関連する地方負担についても的確に計上するということは当然でございますけれども、単独面についても、新しく地域づくり推進事業をつくりますとか、あるいは投資的経費の地方単独事業も拡充いたしますとか、あるいは福祉関係についても単独の経費を充実するとか、そういうような措置をとる一方で交付税等についてもそれに見合った額を確保するというようなことをいたしているわけでございます。  最後に、健全化の問題でございますけれども、これはたびたび申し上げておりますように大変累積した多額の借金の残高がございますので、中期的な地方財政の健全化を図るという見地から借金の返済を一部行うというような措置をとっているわけでございます。  二番目に御質問がございました健全化に関してどの程度の措置をしたかということでございますけれども、平成二年度におきましては、一つ交付税特別会計の借入金の返済、これが一兆四千百六億円でございます。それから財源対策債の償還基金の積み立て、五十八年度、五十九年度に発行したものの返済分でございますけれども、これが二兆七百五十三億円を措置することにいたしておるわけでございます。そこで、この二つの交付税特別会計の借入金なり財源対策債の残高について申し上げますと、平成二年度末の残高でございますが、これは両方で約一兆九千億程度になる見込みでございます。  それから、もう一点御指摘ございました一般財源の比率でございますけれども地方財政計画ベースで見た場合に一般財源の割合が全体のうちで六九・一%ということでございまして、前年度を一・三ポイント上回ることになっておりまして、従来にない高い比率にはなっているわけでございます。  そういったことでございますけれども、この交付税特別会計の借入金なり財源対策債の残高、これは確かに減ってきておりますが、全体として借入金がまだ六十数兆円あるわけでございまして、その一部にすぎないわけでございます。したがいまして、確かに交付税の借入金なり財対債そのものを見れば減ってきておりますけれども、全体としてはまだ随分残っておるということ、それからまた現在の時点において明年度、平成三年度以降の地方財政の収支というものがどうなるか、これは経済の動向にも影響されるわけでございますが、将来にわたって近年のような税収の伸びが見込まれるかどうかということについては必ずしも楽観は許されないだろうという感じがいたしております。同時にまた、歳出面におきましても、高齢者対策を初めとする福祉関係のいろいろな経費、あるいは日米構造協議にも関連があるわけでございますけれども公共投資の拡大、そういったことを考えますときに、歳出面での圧迫といいますか需要の増というものも出てくることは当然予想されるわけでございます。  そういったもろもろのことを考えますと、やはり今後とも必要な財源措置は当然していかなければなりませんけれども、同時にまた引き続き財政の健全化というものも一方で図っていく必要がある、そういう状況にあるというふうに認識をいたしておるわけでございます。
  131. 神田厚

    ○神田委員 地方財政は国の財政のように一本ではなくて三千三百の地方団体の集合体でありますから、平均よりよい団体も悪い団体もあるわけであります。  起債残高の比率の高い団体の状況はどうなっているのか、またこれらの団体に対してはどのような対策を講じる考えであるのか、お伺いいたします。
  132. 持永堯民

    ○持永政府委員 起債残高の比率の高い団体という御質問でございますけれども、我々いつも使っております公債費負担比率という率を用いましてこれを御説明させていただきたいと思いますけれ ども昭和六十三年度の決算におきます公債費負担比率というものが地方団体全体で見ますと一二・四%となっておりまして、この一二・四という数字は、昭和五十九年度と昭和六十年度が一四・三という、これがピークだったわけでございますけれども、それ以降、近年は若干低下傾向にはあるわけでございます。地方財政が大幅な財源不足の状態に入りました昭和五十年でございますけれども、その以前の、いわゆる財源不足に陥る前の昭和四十九年度で見ますとこれが五・二%という数字でございまして、それに比べると依然としてまだ高いという率になっておるわけでございます。  それから、御指摘ございましたように地方財政はマクロだけではなくして三千三百というミクロの団体の問題でございますので、そういう観点から申し上げますと、都道府県と市町村、両方を合わせまして公債費負担比率が二〇%以上の団体、二〇%というのは一つのいわば赤信号という見方をしているわけでございますけれども、その団体が昭和六十一年度で見ますと全体で千八十二団体ございまして、全団体の約三分の一という割合になっておりました。しかし、これも六十一年度をピークにして若干その後減少してまいりまして、昭和六十三年度の決算では六百七十二団体ということで、全体の団体の約二割に減少はしております。しかし、二〇%以上というのは非常に厳しいところであるわけでございまして、もう一つ下のランクの、いわば黄信号というのを一五%で見ているわけでございますけれども、一五%以上ということで見ますと、その団体数が六十三年度におきましても千六百五十五団体ということで、全体の約半分あるわけでございます。これが先ほど申しました地方財政が財源不足に陥る以前の昭和四十九年度で見ますと、この一五%以上の団体というのがわずか五十しかなかったというようなことを考えますと、個別の団体におきましても公債費の負担は非常にまだ重くなっているということが言えるかと思います。  そこで、それらに対する対策でございますけれども、公債費負担の特に重い市町村に対しましては、まず自主的に公債費負担を適正化するための計画をおつくりいただきまして、これは歳入の増あるいは歳出の減、そういうことをもくろんでいただいてそういう計画をおつくりいただきまして、それに基づいて公債費の負担を軽減していこうという場合におきましては、その計画期間中の起債の償還の利子の一部について特交で措置をするというような措置をとっているわけでございます。同時にまた、そういった公債費負担の比率が高くて公債費の負担が重い団体というのは何も仕事をしないというわけにもまいりませんので、やはりそういう団体に対しましては、元利償還の際に交付税による措置が伴っております過疎債でございますとか辺地債でございますとか、あるいは地域総合整備事業債でございますとか、そういうものをなるべく優先的に配分をして償還負担を軽減すると同時に、新しい仕事も有利な資金を使ってやっていただくように、そういうものを優先的に措置するように、こういう対応をしているわけでございまして、今後ともその個別団体の点につきましても十分意を用いながら財政の運営に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  133. 神田厚

    ○神田委員 平成二年度までとなっております国庫補助負担率引き下げの暫定措置、いわゆる補助率カットにつきましては、国の財政も好転しており、三年度から完全に復元すべきと考えますが、どのように考えておりますか。
  134. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 補助率カットについては五十九年のカットのなかった水準にまで戻したいというのが基本的な私の考えでございます。ですけれども、平成三年度からとりあえず六十一年水準ということでの大蔵大臣との覚書もございます。他方、自治体が一定の事業量の増大を大変望んでおるという声も、期待も大きいわけでございますから、それらの自治体の動向も踏まえながら、また意向も聞きながら検討してまいりたいと思っております。
  135. 神田厚

    ○神田委員 次に、今回の交付税改正のポイントはどういうふうになっておりますか。
  136. 持永堯民

    ○持永政府委員 現在御審議していただいているわけでございますけれども、この改正案改正のポイントは二つあろうかと思っております。  一つは平成二年度の地方交付税の総額の問題でございまして、つまり地方団体に総額幾ら交付するかということでございます。その計算といたしましては、まず一般会計から国税の一定割合で入ってくるわけでございますけれども、それが十五兆二千七百億ばかり入ってまいります。その中から特別会計で借入金がございますので、先ほどちょっと申し上げましたがその償還として一兆四千億余りを償還いたしまして、同時に借入金の利子を払うことになっておりまして、それが一千億強でございます。したがいまして、一般会計から入ってくるものから借入金の返済と借入金の利子を除きました額十三兆七千五百九十四億円を地方団体に交付をさせていただきたい、こういう内容一つでございます。  もう一つは、平成二年度の交付税算定のための単位費用の改定、つまり配分の仕方の改正でございます。大きく申し上げますと二つございまして、一つは国のいろいろな施策といいましょうか補助事業にかかわる経費、先ほどちょっと申し上げましたけれども、例えば「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づきますいろいろな事業の地方負担について的確に交付税の上でも算定をする、そういった内容を初めといたしまして、教育とか福祉とかあるいは公共事業とか各般の国の施策に伴う経費を、まずきちんと国の予算と整合性を保った形で算定ができるように改正をお願いしているのが一点でございます。  それからもう一点は、地方団体が単独で行います事業、地域づくり推進事業でございますとか、あるいは地域経済の活性化でございますとか、いろいろな施設の整備でございますとか、福祉事業の展開でございますとか、そういうもろもろのものを単独で行うものについてもなるべく実態に即して措置をしていこう、こういうことでの改正、以上の二点がいわゆる配り方の改正でございます。  その中で、特に本年度におきましては、今申し上げましたように補助関係では十カ年戦略の関連の経費としておおむね八百億円地方負担が出てまいりますので、そういったものを措置をする。それから、単独事業につきましては福祉関係を初めとして地域づくり推進事業、これが三千三百億円と予定しておりますけれども、そういったものでございますとか、あるいは先ほど来お話ございました財源対策債の償還基金の設置に要する経費、そういったものを財源措置していく、その辺がこの主な内容でございます。
  137. 神田厚

    ○神田委員 交付税に関しまして私どもは、地方団体にとっても重要な財源でありますし、早期に決定しないと地域経済、ひいては国全体の経済にも大きい影響を与えるという考え方を持っております。交付税決定がおくれた場合には地方団体の財政運営にどのような影響を及ぼすのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  138. 持永堯民

    ○持永政府委員 交付税は、今御指摘ございましたように地方団体にとって非常に大きな重要な財源でございまして、先ほど申し上げましたように、平成二年度におきましては十三兆七千億ばかりを措置する予定にしておりまして、地方の総収入に占める割合もおおむね二割程度になるわけでございまして、大変重要な一般財源でございます。特に財政力の弱いところほど交付税に依存しているわけでございまして、税収よりも交付税の方が多いという市町村が実は三千二百四十五団体の中で約二千団体、六割強にも上がっているわけでございまして、こういった団体ほど毎年度交付税がどう決まるかということがその団体の財政運営を左右するような話にもなるわけでございます。  そういうことでございますので、地方団体として見れば年間の計画的な財政運営をするというためには、やはり法律でも決まっておりますよう に、交付税の八月決定がどうしても必要であるということでございます。それは、通常地方団体におきましては、予算が上がりまして後、六月、七月、八月ごろになりますと大体各省のいろいろな補助事業の内示もほとんど出そろいます。一方、通常でいきますと八月には交付税も決まってくる。そういうものを受けまして、九月の各地方議会の定例会でいわば肉づけ予算的な補正予算を編成するというのが通常のやり方でございまして、そういった意味におきましても、改正案によります交付税決定が八月中にできませんと、仮にできないというようなことになりますと、地方団体におきましては九月の補正予算をいわば安心して組めない状況になる、安心した見積もりができない状況になるわけでございます。  そういったことで九月予算の編成に支障が出てくるおそれがあるわけでございまして、仮にそういうことになりますと、恐らく地方団体にしてみれば、やはり交付税決定がない限りにおいてはどうしても歳入の見積もりというのはある程度安全目に、控え目にせざるを得ない。そうなりますと、国の予算が一方で成立をして各省がいろいろな事業を執行しようといたしましても、それを受け入れる地方の側がそれに見合った予算編成がどうもしにくいということになるわけでございますので、そういった意味から、いろいろな事業の円滑な執行ということからすると支障が出てくるということが当然予想されるわけでございます。そのことがひいては、御指摘のございましたように地域の経済なりあるいは国全体の経済にもいろいろな影響が出てくるという心配が当然あるというふうに考えておるわけでございます。特に積雪地帯でございますとかそういうところにおきましては、九月補正で予算を組まないことには、仮に十二月で予算を組んでみても現実問題仕事ができないという実態もあるわけでございます。  今いろいろ申し上げましたけれども、そういう点をぜひ御理解賜りまして、今年度におきましても、法律に決まっておりますように八月中に普通交付税決定ができますように改正案の成立をぜひお願いしたいと考えている次第でございまして、そのことは当然のことながら各地方団体も強く望んでいるわけでございますので、御理解を賜りまして、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  139. 神田厚

    ○神田委員 それでは、ただいまのそういうふうなことで、私どもとしましてもできるだけ早くこの問題を地方に送りたいというふうに考えております。  次に、公共投資の拡大問題とも絡んで、下水道普及率が四〇%、整備がおくれております。下水道は地方行政の大きな課題でありますが、現在建設省の下水道のほか、各省においてさまざまな下水処理事業があると聞いておりますが、この点に関しまして以下三点ほど御質問を申し上げます。  まず、さまざまな下水処理事業を有効に活用することが重要であると考えますが、具体的にどのようなものがあるのか、またこれら各種下水処理事業を含めた汚水衛生処理率はどうなっているのか、お答えをいただきたいのであります。  さらに、今後下水道の事業量が拡大すれば市町村の財政に対する影響は大きなものと懸念されております。地方団体の健全な財政運営を担当する立場の自治省として、各種の下水処理システムについてどのように指導していくのか、お考えをいただきたいと思います。  さらに、下水道の過大な投資をなくすには、特に小規模な農業集落排水施設、合併処理浄化槽などについて充実した財政措置が必要であるというふうに考えておりますが、この点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  140. 持永堯民

    ○持永政府委員 各種の公共施設の中でも特に下水道関係の事業はおくれているわけでございます。そこで、今後下水道事業を初めとしたいわゆる下水処理については大変重要な問題だと認識をいたしておるわけでございますが、まずこの下水道の種類と申しましょうか、そういうものでございますけれども、いわゆる汚水を処理するものとしては建設省所管では公共下水道がございます。農林水産省の所管で農業集落排水施設というものがございます。同時に、農林水産省で漁業集落排水施設がございます。厚生省の所管でございますけれども、コミュニティープラントと合併処理浄化槽、こういったものがあるわけでございます。そのほか、それに該当しないいわゆる単独事業も若干ございますけれども、そういったものがあるわけでございます。  そこで、それぞれの事業の内容でございますけれども、公共下水道は原則として市街地において整備をされておりますし、農業集落排水事業あるいは漁業集落排水事業については農村地域あるいは漁村地域におけるいわば小型の汚水処理事業という性格でございます。それからコミュニティープラントにつきましては、一定の地域、限定された地域について、例えば住宅団地等においてその区域内で処理をしようという汚水処理事業でございます。それからさらに、当面そういった下水道でありますとかあるいは集落排水でありますとかそういうものの予定がない地域におきましては、これは個人個人で合併処理浄化槽を設置する、こういうような仕組みになっておるわけでございます。私どもといたしましては、やはりさまざまな下水処理事業があるわけでございますので、地域実情に即してこれを導入していくということが必要だろう、このような考え方をとっているわけでございます。  汚水処理率につきましては、全体としては、今申し上げましたもろもろの汚水処理を含めた処理率が私どもの調査では現在四五・四%という状況になっておるわけでございます。  それから次に、市町村の財政に対する影響が非常に大きいということでございまして、下水処理システムをどう指導していくかということでございますが、確かに下水道事業というものは非常に大きなお金がかかります。それだけに財政への影響が大きいわけでございまして、特にほかの施設と違いまして建設費だけじゃなくして維持管理費が非常に金がかかりますので、両方の面で大変財政負担が大きい事業でございます。そういったことで重要なことは、やはり地域実情に即した効率的あるいは経済的なやり方をしていく必要があるという考え方を持っておりまして、公共下水道が適するところは公共下水道、あるいは農村地域においては小ぶりの農業集落排水事業、そういったものを選択していくことが必要であろうと思っております。  そういうことで、自治省といたしましてもそれぞれの地域に見合った、適した下水処理事業をやるように指導しているわけでございますけれども、そのために地方団体に対しましては、今申し上げましたいろいろな仕組みがございますので、それぞれの仕組みの特性、特徴とかあるいは財源の仕組みがどうなっておるか、そういうことを十分徹底をするために下水道財政モデルをつくったりいたしまして、そういう資料の提供、情報の提供をいたしておるわけでございます。  それから同時に、この下水道事業は公営企業という形でやっておりますので、経営状況をヒアリングしたりいたしますが、その際に、やはりそれぞれの市町村の中で、どの地域は例えば公共下水道でやる、あるいはどの地域は農村集落でやる、そういう振り分けと申しましょうか整理をしていただくようにお願いをしているわけでございますし、また、市町村におきましては廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして一般廃棄物の処理基本計画をつくることになっておりますが、それをつくる際に、やはり今申し上げましたように、市町村の区域の中でどの地域はどういう事業でやっていくかということを十分お考えいただいてその割り振りをして計画的に進めていただくように、これは市町村でもそういう対応をするようにお願いしておりますし、同時に、関係の各省庁もとどもにそういった指導をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。  それから、特に小規模な事業についての財源措置の問題でございます。確かに従来は、どちらか といいますと公共下水道につきましてはかなり充実した財源措置をしておったわけでございますが、農業集落排水事業でございますとかあるいは漁業集落排水事業等については、そういう事業が始まったばかりだったということもあろうと思いますけれども、かつては余り的確な財源措置をしていなかった、率直に申し上げましてそういう事実があったわけでございます。  しかし、今の農業集落排水事業につきましては、昭和六十一年度からいわゆる公共下水道と同じような形での地方債及び交付税を使った財源措置をするようにいたしておるわけでございます。もう一つの漁業集落につきましても平成元年度から同じような措置をすることにいたしておりまして、いわば公共下水道並みの措置をするというふうなことで財源措置の充実をするようにしたわけでございます。あわせまして、先般の当委員会で御提案いただきました新過疎法に基づきましても下水の処理事業について過疎債の対象にもするというふうにしていただいたわけでございます。そういった面でも財源の充実が行われると思っております。それから、個人個人がつくります合併処理浄化槽につきましても、従来は特に財源措置をしていなかったわけでございますけれども、これは国も補助を一部いたしますので、そういったことから都道府県なり市町村が一部負担をする場合におきましては、これは平成元年度からでございますけれども、特別交付税によってこれを措置するようにいたしたわけでございまして、逐次小規模な下水処理事業についても財源を充実してまいってきておるところでございます。  そこで、今後の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように公共下水道を含むいろいろな事業によりまして汚水処理率を上げていくというのが一番重要な課題でございますので、たまたまと申しましょうか、下水道整備の五カ年計画が平成二年度で一応終わりまして、明年度、三年度から改正になるわけでございます。これを契機といたしまして、現在の下水道事業につきましての財政措置のあり方につきましてもいろいろ見直しをする。といいますのは、今まではどちらかといいますと公共下水道というのは都市部で、比較的大きな都市でやっておりましたので、いわゆる大きな都市向きの財政措置の仕組みになっておったわけでございますけれども、これからはかなり地方の小都市あるいは町村等においても行われるわけでございますので、やはり財政の仕組みについてももう一度見直しをして、小さな団体でも対応できるような仕組みに変える必要があるだろう、こういうことを考えております。  そういうことで、公共下水道についての財源措置のあり方の見直しをしたい。その際に、あわせましてそのほかの農業集落あるいは漁業集落等の下水処理事業についても財源措置を同じ形で充実するような方向で見直しをするように検討してまいりたい。これは今後の問題としてそういうふうに考えているわけでございます。
  141. 神田厚

    ○神田委員 次は、土地税制に関する問題について質問をいたします。  東京都心部に端を発しました今回の地価の高騰は、国民の住宅取得を困難とするなど、土地を持つ者と持たざる者の資産格差を拡大させ、国民の公平感に重大な影響を与えております。また、企業にとっては、地価高騰に伴い短期的にはその含み資産を増大させるなどの効果もありましたが、中長期的には企業としての本来の事業活動を著しく阻害し、投資効率を低下させることが予想されております。さらに、用地取得が著しく困難になるなど社会資本の整備にも大きな支障を及ぼすなど、我が国の社会経済に重大な問題を引き起こしております。  このような土地問題に適切に対処するため、昨年十二月土地基本法が成立し、土地についての基本理念として、一つ、公共の福祉優先、二つ、適正かつ土地利用計画に従った利用、三つ、投機的取引の対象としないこと、四つ、利益に応じた適切な負担など明らかにされたところでありますが、今後は土地基本法を踏まえ、国民の理解と協力のもと、需給両面にわたる各般の土地対策を総合的に推進することが重要であると考えております。そして、この総合的な土地対策の推進に当たって、その一環である土地税制の果たすべき役割は大きいものがあると考えております。  土地問題を考えていく場合、まず国民の意識として、土地ほど有利な資産はないといういわゆる土地神話が形成されていることを指摘したいと思っております。企業においても個人においても、土地の値上がり期待が大きいことから、土地を適正に利用するものと考えるよりも、むしろ投機または投資目的で土地を保有する傾向が強いということであります。こうした土地神話を打破し、土地利用側面を重視する土地基本法の趣旨を十分に踏まえて土地税制のあり方を検討すべきものと考えるが、そのためには土地の資産としての有利性を減殺し、キャピタルゲインねらいや節税目的の土地需要を抑制することが大切と考えられます。その際、特に法人は、現に土地を取得、保有、譲渡することにより土地利用、地価形成に大きな影響を与えていることに十分留意する必要があると考えます。  また、土地の有効利用が十分に図られていないことも土地問題の大きな課題であるというふうに考えております。特に大都市地域において、本来住宅地または業務用地として活用されるべき土地が、未利用地や資産保全目的の農地として保有され、投機の対象になっているという問題がございます。  以上のように、土地問題の解決は最大の国民課題一つとも言える状況にありますが、これを踏まえ、次の四点について見解をお伺いしたいというふうに考えております。  一つは、今回の地価高騰の大きな原因として、法人の投機または投資目的での土地取得が増大したことが考えられるが、特に法人については、含み益が存在するなど土地を資産として保有することが有利だと考えられております。こうした法人の所有する土地についてはその含み益について課税すべきと考えますが、それらについてどのように考えられるか。  二つ目は、法人所有の低・未利用地に対する保有課税の強化が必要と考えるがどうか。  三つ目には、三大都市圏の市街化区域内農地に係る固定資産税の宅地並み課税のあり方についてどのように考えているか。  四番目には、土地の有効利用の観点も大切だが、居住用住宅地に係る固定資産税については一層の軽減措置を講じるなど、住民の追い出し税とならないように配慮する必要があるというふうに考えるがどうか。  以上四点についてお答えをいただきたい。
  142. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今御指摘のとおり、法人の土地保有は本当に地価高騰の大きな原因ということで指摘されておりますのは、私も当然そのような見解でございます。個人の場合と異なりまして本当に、相続税がかからないということや固定資産税が損金算入されるということや、法人の土地保有には個人と違って大変利点があります。今御指摘のように多大の含み益があるということでへ土地保有に関してどういった形で税として捕捉するかということについて今真剣に政府税調でも検討しておりますし、この平成二年度内にこの問題の結論を出そうということでございますから、これに基づいて対応していきたいと思っております。  なお、引き続き御指摘ございました法人所有のいわゆる低・未利用地に対する保有課税を強化するという御提案でございますけれども、これも御指摘のとおり、今大変な住宅地難で困っておる、そういった土地を持つ者、持たざる者の資産格差の状態考えるときに、この問題は税制の総合的見直しの中でも最重点的にやらなければいかぬだろう。ただそのときに、遊休地であるかどうかという制度、定義、これを今建設省が一生懸命やってくれておるわけですけれども、これらの制度創設と相まって、土地保有税のこういった未利用地に対する課税強化に関して結論が出るだろう。これもやはり今年度内に、平成二年度内に見直すと いうことで一致しておるわけでございます。  なお、市街化区域内、大都市区における農地に関しましても平成二年度内にはっきりした区分明確化の措置を行いまして、今年度内に結論を出して平成四年からきっちりした対応で実施しようという形で、目下政府税調の方でも重点問題として真剣に計画しておるところであります。届け出だけで宅地化されるという形についての、今宅地に困っておる人たちからの厳しい批判も踏まえてこれらをやるべきであろうと思っております。  なお、最後に御指摘ございました固定資産税の問題に関しまして、これは居住用住宅には余り強化するなというような御指摘だったと思いますけれども、固定資産税は確かに保有の継続を前提とした税でございますし、また、毎年課税される市町村の基幹税でもございますから、これらは余り土地税制のこういった、追い出し税という形で御指摘ございましたが、そんな形でする税ではございませんから、そうあってはならないということを基本的に考えております。  なお、個人用の住宅地に対しての軽減措置でございますけれども、これらの趣旨は十分わかりますが、市町村の基幹税であるということも踏まえまして慎重に検討させていただきたいと思っております。
  143. 神田厚

    ○神田委員 次に、地方分権、地域振興につきまして御質問を申し上げます。  ふるさと創生とかそういうことでいろいろとやられておりますが、どの駅におりても同じような駅前風景ではなくて、それぞれの地域において個性ある、また魅力ある地域づくりを進めていく必要があるわけでございます。また、日本が経済発展を続けていくためには東京一極集中では行き詰まる、この発展を続けていくためにも地方分権、地域振興が必要であるというふうに考えております。  そこで、ふるさと創生一億円事業の実施状況は現在どうなっているか。また、自治大臣は一億円事業をどのように評価しているか。さらに、一億円事業を一過性のものとすることなく、継続発展させるためにどのような施策を講じる考えか。さらに、地方への権限移譲はどのように進んでいるか。以上四点ほどお答えをいただきたい。
  144. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 私は、この一億円事業というのは最近の政策展開の中で本当に効果のあった施策であったなと思っております。まあ自画自賛ですが、このアイデアは本当にすばらしいものであったと思っております。  それで特に、私も先般鹿児島、京都での一億円事業の代表的なところを見てまいりましたけれども、ソフトの面でこの資金を活用して文化的な町おこしに使っておるところもありますし、またハードの面でも、いろいろな歴史を掘り起こしてやっておるところもございましたし、そして感銘を受けた一億円事業を数多く見てまいりまして、本当にこれはふるさとおこしの起爆剤になったなと心から思っております。一番いいことは、市民や町民がいつもにないアイデアを出して参加して、そして自分たちがみずから考えて、みずから行動して、みずからつくり上げていく意欲というのはすばらしい形で燃え上がってきたなと思っております。  まず一番大事なのは、今委員が御指摘になったように、単発でこのまま終わったのでは意味がないので、これをいかに継続させてこの個性あふれる活力というものをどう地方自治体の中で伸ばしていくかということがとても大事な要素であろうと思います。そういうことで、ことしの予算措置の中でもいろいろ多彩な形でメニューをつくったというか、そういった意味で単独事業も含めましていろいろな事業展開を図っておるところでございます。細かくは政府委員からまた説明させますけれども、こういった一億円事業を一過性のものにすることなくて、これを継続発展させて、そしてまかれた芽から枝が茂って花を咲かせるまでに持っていかなければ意味がないわけですから、そういう面においては今後とも真剣にこの芽を大事にしていきたいと思っております。  政府委員から諸事業に関して説明させます。
  145. 芦尾長司

    芦尾政府委員 一億円事業をフォローアップする意味で、平成二年度にふるさと創生関連施策として考えておりますものを簡単にかいつまんで御説明させていただきます。  一つは、新しく地域づくり推進事業、先ほど財政局長からも御答弁ございましたが、ソフト事業、ハード事業合わせて事業費ベースで五千三百億円のものを考えておるわけでございます。さらには、継続事業でございますけれどもふるさとづくり特別対策事業、これは地方団体の単独事業を支援する事業でございますけれども、事業費ベースで二千九百億円程度のものを考えております。それからさらに、民活事業ということになりますけれども地域総合整備財団、ふるさと財団の支援によります資金貸し付けといたしまして、地方債ベースでは三百八十億円でございますけれども、事業費ベースで二千億程度のものを考えております。さらに、広域市町村圏ベースでのふるさと市町村圏の振興整備ということで、おおむね平成二年度二十圏域、事業費ベースで二十億円程度のものを考えておる、こういうことで一兆円構想として展開してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
  146. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 権限移譲につきまして申し上げたいと思います。  昨年の十二月新行革審から答申をいただきまして、政府におきましては改革推進要綱を閣議決定いたしておるところでございます。その答申の中には、個別の事務権限の移譲等につきまして七十五項目の指摘をいただいております。これらの項目につきましては、それぞれ所管する省庁においてできるだけ早い時期に必要な措置を講じてもらうようになると理解をいたしておりますが、既に公有水面埋め立て関係については実施されておりますし、残されておるものにつきまして、例えば農地転用の許可とかあるいは都市計画に係る権限とか、地方団体が非常に強く要望しておりますものを中心にいたしまして、今後一括法の形で実現が図られるのではないかと期待をいたしておるわけでございます。私ども、今後とも全力を挙げて努力してまいりたい、かように考えております。
  147. 神田厚

    ○神田委員 次に、地方行革におきまして三点ほど御質問をいたしたいと思います。  地方団体における行革の進捗はどうなっているか。次に、ラスパイレス、給与の是正状況はどうなっているか。次に、地方公務員数の増減状況はいかがであるか。
  148. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 地方団体における行政改革の推進状況でございますが、まず地方公務員の給与水準を申し上げますと、平成元年四月一日現在では一〇三・〇でございます。ピーク時が昭和四十九年、このときが一一〇・六でございましたので、七・六ポイントの減少ということになっております。  地方公務員の総数につきましては、ピーク時の昭和五十八年に比べまして総体で一万二千九百人弱の減少になっております。  それからまた、事務事業の民間委託も積極的に進められておりまして、し尿とかごみの収集あるいはコミュニティーセンターの委託など着実に成果が上がっておるというふうに理解をいたしておりますが、行政改革というのは不断に行わなければいけないものでございますので、今後ともなお一層これを推進してまいりたい、かように考えております。
  149. 神田厚

    ○神田委員 それから消防庁に来ていただいておりますので、まず、昨年三月の消防審議会の消防ヘリコプターに関する答申、内容はどうなっておりますか。また、現在の消防ヘリコプターの導入状況はどうなっておるか。三番目に、今後全国整備をどのように進めていくか。お答えをいただきたい。
  150. 木村仁

    ○木村政府委員 消防審議会の消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方に関する答申、昨年の三月でございますが、まず、ヘリコプ ターの活用が林野火災等における消火活動、高層建築物等における人命救助、災害時の情報収集、離島、山村、僻地等からの救急患者搬送等の救急業務への適用という面において極めて有効であり、その整備全国的に推進していくべきであるとしております。  その方策としては、おおむね五十キロから七十キロ、これは救急を目途といたしまして、おおむね十五分で到達する範囲でございますが、その範囲に少なくとも一機、それを遅くとも二十一世紀初頭までには各都道府県の地域で配置するようにしたい、そのために四十ないし五十機の消防ヘリコプターの導入が必要である、したがって、市町村を超えた広域的な活用が望ましい、こういう勧告でございます。  現在はどうなっているかと申しますと、東京消防庁が五機持っておりますほか、指定市がそれぞれ持っているものがありまして、現在十九機でございます。平成二年度には札幌市が一機導入の予定でございます。それから、都道府県のいわゆる防災ヘリコプター、これは北海道、静岡県、兵庫県が各一機ずつ保有いたしておりまして、三機でございます。平成二年度には埼玉県が一機導入の予定でございます。  今後どうしていくかということでございますが、現在、消防ヘリコプターの広域的な有効活用に関する調査研究委員会を平成元年度に設置いたしまして、その第一次の報告が出されておりますが、その報告の中には、技術的な諸問題、例えば操縦士の確保の問題でありますとか、整備運用のあり方の問題でありますとか、配置の全体構想でありますとかが検討され、引き続き平成二年度にはそれをどのような機構で導入するか、例えば広島とか大阪では市が購入して、それを全市町村が運営費を分担して全部で使用するというようなこともやっておりますし、あるいはまた、県が防災ヘリコプターとして導入して市町村にも使っていただくというような方法もありますし、幾つかの代替案を示してそれを平成二年度で詰めていく、こういうことにいたしております。現在、各県のヒアリングをしながら、いわば奨励的ヒアリングと申しますか、できるだけ早く導入されるようにということをやりながらヒアリングを行っておりますが、国庫補助による導入も次第にスピードが速まっていく傾向にございます。
  151. 神田厚

    ○神田委員 次に、救急関係でございますが、救急患者の救命率はどうなっているか、それから、救命率向上のために救急隊員による医療行為の実施あるいはドクターカーの導入が必要かと思うが、消防庁はどう考えるか。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 木村仁

    ○木村政府委員 救急救命率の問題でございますが、これにつきましては、実は正確な数字は統計としては従来ございません。  そこで、消防庁におきまして、平成二年一月十日から二月九日までの全国の心肺蘇生処置を行った救急患者、傷病者の数を調べてみまして、その中で一週間以後に生きておられた方々を調べてみましたところ、約六千人のうちで六・八%の方が一週間後に生存しておられました。東京消防庁が調べた同じような数字、これは六十三年でございますが、その数字は七・二%、平成元年では六・九%となっておりまして、おおむね六、七%、つまり心臓、肺がとまった方に心肺蘇生処置を講じたその総数の中で六、七%の人が一週間後に生きておられる。東京都でこれをさらに詳しく調べますと、完全に治癒して社会復帰された人は一・七%程度であるというような数字も出ております。  そこで、そういった状況はなぜ起こるかと申しますと、御指摘のように、現在救急隊員が行うことのできる搬送中の応急手当てが一次蘇生処置プラス若干の二次蘇生処置程度のことであって、アメリカの例えばパラメディックがやっておりますような除細動器を用いる除細動でありますとか、気管内挿管でありますとか、マギール鉗子によるもち等の異物の摘出でありますとか、そういうことができないことが救命率を著しく低くしているのではないかと考えられるのでございます。  その対策としては、ドクターカーを、つまり救急車にすべてドクターに乗っていただいてやるという方法がございます。これは最もいい方法でありますが、現在幾つかの消防本部で実施しておりますが、完全な形ではほとんど実施することが不可能でございます。そのために、かえって搬送に時間がかかるとか、なかなかお医者様が来ていただけないとか、いろいろな課題があって、二十四時間体制でドクターカーを運行することには極めて困難がありますので、地域実情によってこれを取り入れていく必要があると存じます。  そういたしますと、やはり救急隊員がもう少し進んだ応急処置を講じて救命率を上げるということが一つの基本になりますので、救急隊員の教育訓練をさらに高度化して、そういった救命のための応急処置の拡大を図っていこうと考えております。そのために、今般救命率を上げようという共通の認識に立ちまして、厚生省と消防庁とで救急対策連絡協議会を設置して、そこで研究することにいたしております。
  153. 神田厚

    ○神田委員 よろしくお願いをいたします。  以上で終わります。
  154. 島村宜伸

    島村委員長 次回は、明三十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十七分散会