○持永
政府委員 各種の公共施設の中でも特に下水道
関係の事業はおくれているわけでございます。そこで、今後下水道事業を初めとしたいわゆる下水処理については大変重要な問題だと認識をいたしておるわけでございますが、まずこの下水道の種類と申しましょうか、そういうものでございますけれ
ども、いわゆる汚水を処理するものとしては
建設省所管では公共下水道がございます。農林水産省の所管で農業集落排水施設というものがございます。同時に、農林水産省で漁業集落排水施設がございます。厚生省の所管でございますけれ
ども、コミュニティープラントと合併処理浄化槽、こういったものがあるわけでございます。そのほか、それに該当しないいわゆる単独事業も若干ございますけれ
ども、そういったものがあるわけでございます。
そこで、それぞれの事業の
内容でございますけれ
ども、公共下水道は原則として市街地において
整備をされておりますし、農業集落排水事業あるいは漁業集落排水事業については農村
地域あるいは漁村
地域におけるいわば小型の汚水処
理事業という性格でございます。それからコミュニティープラントにつきましては、一定の
地域、限定された
地域について、例えば住宅団地等においてその区域内で処理をしようという汚水処
理事業でございます。それからさらに、当面そういった下水道でありますとかあるいは集落排水でありますとかそういうものの予定がない
地域におきましては、これは個人個人で合併処理浄化槽を
設置する、こういうような
仕組みになっておるわけでございます。私
どもといたしましては、やはりさまざまな下水処
理事業があるわけでございますので、
地域の
実情に即してこれを導入していくということが必要だろう、このような
考え方をとっているわけでございます。
汚水処理率につきましては、全体としては、今申し上げましたもろもろの汚水処理を含めた処理率が私
どもの調査では現在四五・四%という
状況になっておるわけでございます。
それから次に、市町村の財政に対する影響が非常に大きいということでございまして、下水処理
システムをどう
指導していくかということでございますが、確かに下水道事業というものは非常に大きなお金がかかります。それだけに財政への影響が大きいわけでございまして、特にほかの施設と違いまして建設費だけじゃなくして維持管理費が非常に金がかかりますので、両方の面で大変財政負担が大きい事業でございます。そういったことで重要なことは、やはり
地域の
実情に即した効率的あるいは経済的なやり方をしていく必要があるという
考え方を持っておりまして、公共下水道が適するところは公共下水道、あるいは農村
地域においては小ぶりの農業集落排水事業、そういったものを選択していくことが必要であろうと思っております。
そういうことで、自治省といたしましてもそれぞれの
地域に見合った、適した下水処
理事業をやるように
指導しているわけでございますけれ
ども、そのために
地方団体に対しましては、今申し上げましたいろいろな
仕組みがございますので、それぞれの
仕組みの特性、特徴とかあるいは財源の
仕組みがどうなっておるか、そういうことを十分徹底をするために下水道財政モデルをつくったりいたしまして、そういう資料の提供、情報の提供をいたしておるわけでございます。
それから同時に、この下水道事業は公営企業という形でやっておりますので、経営
状況をヒアリングしたりいたしますが、その際に、やはりそれぞれの市町村の中で、どの
地域は例えば公共下水道でやる、あるいはどの
地域は農村集落でやる、そういう振り分けと申しましょうか整理をしていただくようにお願いをしているわけでございますし、また、市町村におきましては廃棄物の処理及び清掃に関する
法律に基づきまして一般廃棄物の処理基本計画をつくることになっておりますが、それをつくる際に、やはり今申し上げましたように、市町村の区域の中でどの
地域はどういう事業でやっていくかということを十分お
考えいただいてその割り振りをして計画的に進めていただくように、これは市町村でもそういう
対応をするようにお願いしておりますし、同時に、
関係の各
省庁と
もとも
どもにそういった
指導をしてまいりたい、このように
考えておるところでございます。
それから、特に小規模な事業についての財源措置の問題でございます。確かに従来は、どちらか
といいますと公共下水道につきましては
かなり充実した財源措置をしておったわけでございますが、農業集落排水事業でございますとかあるいは漁業集落排水事業等については、そういう事業が始まったばかりだったということもあろうと思いますけれ
ども、かつては余り的確な財源措置をしていなかった、率直に申し上げましてそういう事実があったわけでございます。
しかし、今の農業集落排水事業につきましては、
昭和六十一年度からいわゆる公共下水道と同じような形での
地方債及び
交付税を使った財源措置をするようにいたしておるわけでございます。もう
一つの漁業集落につきましても平成元年度から同じような措置をすることにいたしておりまして、いわば公共下水道並みの措置をするというふうなことで財源措置の充実をするようにしたわけでございます。あわせまして、先般の当
委員会で御提案いただきました新過疎法に基づきましても下水の処
理事業について過疎債の対象にもするというふうにしていただいたわけでございます。そういった面でも財源の充実が行われると思っております。それから、個人個人がつくります合併処理浄化槽につきましても、従来は特に財源措置をしていなかったわけでございますけれ
ども、これは国も補助を一部いたしますので、そういったことから都道府県なり市町村が一部負担をする場合におきましては、これは平成元年度からでございますけれ
ども、特別
交付税によってこれを措置するようにいたしたわけでございまして、逐次小規模な下水処
理事業についても財源を充実してまいってきておるところでございます。
そこで、今後の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように公共下水道を含むいろいろな事業によりまして汚水処理率を上げていくというのが一番重要な
課題でございますので、たまたまと申しましょうか、下水道
整備の五カ年計画が平成二年度で一応終わりまして、明年度、三年度から
改正になるわけでございます。これを契機といたしまして、現在の下水道事業につきましての財政措置のあり方につきましてもいろいろ見直しをする。といいますのは、今まではどちらかといいますと公共下水道というのは
都市部で、比較的大きな
都市でやっておりましたので、いわゆる大きな
都市向きの財政措置の
仕組みになっておったわけでございますけれ
ども、これからは
かなり地方の小
都市あるいは町村等においても行われるわけでございますので、やはり財政の
仕組みについてももう一度見直しをして、小さな団体でも
対応できるような
仕組みに変える必要があるだろう、こういうことを
考えております。
そういうことで、公共下水道についての財源措置のあり方の見直しをしたい。その際に、あわせましてそのほかの農業集落あるいは漁業集落等の下水処
理事業についても財源措置を同じ形で充実するような方向で見直しをするように
検討してまいりたい。これは今後の問題としてそういうふうに
考えているわけでございます。