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島村委員長 次に、
過疎地域活性化特別措置法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来各党間において御協議を願ってまいりましたが、協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。
この際、
委員長から本起草案の
趣旨及び
内容につきまして御
説明申し上げます。
まず、本起草案の
趣旨について御
説明いたします。
御
承知のように高度経済成長とともに深刻化した過疎問題に対処するため、
昭和四十五年に過疎地域対策緊急
措置法が、さらに
昭和五十五年に過疎地域振興特別
措置法が、それぞれ超党派で議員立法として制定され、総合的、計画的な過疎対策が積極的に推進されてきております。その結果、過疎対策は着実にその成果を挙げつつあります。
しかしながら、近年、東京一極集中が進む中で、全国
市町村の約三分の一、全国土面積の約半分を占める多くの過疎地域においては、人口の著しい減少に伴って地域の活力が低下していると言わざるを得ない現況にあります。
このような
状況にかんがみ、国土の均衡ある発展を図る観点に立って、現行の過疎地域振興特別
措置法がこの三月末日をもって失効することに伴い、新たに過疎地域活性化特別
措置法を制定し、すべての
住民が魅力と安らぎを感じつつふるさとづくりにいそしむことができるような積極的な活性化対策を講ずる必要があります。
このような見地から、人口の著しい減少に伴って、地域社会における活力が低下し、生産機能及び
生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を
実施するために必要な特別
措置を講ずることにより、これらの地域の活性化を図り、もって
住民福祉の
向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与するため、ここに本案を起草した次第であります。
次に、本案の
内容についてその概要を御
説明申し上げます。
まず第一に、過疎地域の範囲についてでありますが、国勢調査の結果による人口の減少率が
昭和三十五年から
昭和六十年までの二十五年間に二五%以上、または人口減少率が二〇%以上で高齢者比率が一六%以上、または人口減少率が二〇%以上で若年者比率が一六%以下の地域で、かつ、
昭和六十一
年度から
昭和六十三
年度の平均
財政力指数が〇・四四以下の
市町村の区域としております。
なお、今後
実施される国勢調査の結果により新たに人口減少率等の人口
要件に該当することとなる
市町村については、その時点における直近三
年度の平均
財政力指数が〇・四四以下の場合には、さらに過疎地域の
市町村として追加していくこととしております。
第二には、過疎地域活性化対策の
目標についてであります。
新たな過疎対策の推進に当たっては、地域における創意工夫を尊重し、産業基盤の整備、観光の開発等による産業の振興及び雇用の増大、交通施設及び通信施設等の整備による交通通信連絡の確保、
生活環境の整備及び高齢者の福祉の増進等による
住民生活の安定と福祉の
向上、基幹集落の整備等による地域社会の再編成の促進を
目標として推進することとし、国において必要な支援
措置を講ずることとしております。
第三は、過疎地域活性化対策の計画的な推進についてであります。
過疎地域活性化対策は総合的かつ計画的に推進する必要がありますので、
都道府県知事が内閣総理
大臣と協議して定める過疎地域活性化方針に基づき、
市町村及び
都道府県知事がそれぞれ過疎地域活性化計画を策定し、相互に緊密な連携により過疎地域活性化対策
事業を
実施していくこととしております。
第四は、過疎地域活性化のための
財政上の特別
措置についてであります。
その一は、国の
負担または補助割合の
特例についてでありますが、これまで講じられてきた小中学校の統合のための校舎及び屋内運動場、保育所及び消防施設に対する補助
負担率のかさ上げ
措置等はすべて継続することとしております。
その二は、過疎対策
事業債については、現在対象とされている
市町村道等の
市町村の基礎的公共施設の整備
事業等に加え、過疎地域の活性化を図るため、若者定住促進を
中心とした産業振興のための生産加工施設等の整備
事業、高齢者のための多様できめ細かい生きがい・福祉関連施設の整備
事業等、対象
事業の
拡大を図ることとしております。
第五は、過疎地域活性化のためのその他の特別
措置についてでありますが、従来から
実施されてきた基幹的な
市町村道等の
都道府県による代行整備、
都道府県による無医地区対策の
実施、農林漁業金融公庫等からの資金の貸し付け、過疎地域における
事業に係る
税制上の
特例等の特別
措置を引き続き行うこととしております。
以上のほか、新たに、地域の経済社会の広域化に
対応するため、過疎地域とその他の地域を連絡する
市町村道等を
都道府県による代行整備の対象とするほか、介護支援機能及び居住機能等を有する小規模の複合型施設の整備
事業を補助の対象とする等、特別
措置の拡充を図ることとしております。
第六は、この法律は、
平成二年四月一日から施行し、十年後の
平成十二年三月三十一日限りでその効力を失うこととしております。
また、現行の過疎地域振興特別
措置法に基づく過疎地域の
市町村のうち、本法では対象とならないものに対しては、五年間過疎対策
事業債の発行を認めるほか、
関係地域の
市町村道等の
都道府県による代行整備について
経過的な
措置を講ずる等により、
財政上の激変を緩和するとともに、既に着工した
事業の完了を図ることとしております。
なお、本案施行に要する経費としては、
平成二
年度約四百十億円の見込みであります。
以上が、本起草案の
趣旨及びその
内容であります。
最後に付言させていただきますが、本起草案を取りまとめる過程におきまして、現行の過疎
市町村のうち非過疎
市町村となるものに対しては、
経過措置の期限を切ることなく、当分の間本法を全面的に適用すべきであるとの意見がありましたが、起草案のとおり取りまとめることといたしました。
以上が、本起草案の
趣旨及び
内容であります。
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過疎地域活性化特別
措置法案
〔
本号末尾に掲載〕
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