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1990-03-27 第118回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月二十七日(火曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 石橋 一弥君 理事 今井  勇君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 野中 広務君 理事 中沢 健次君    理事 元信  堯君 理事 小谷 輝二君       愛野興一郎君    小坂 憲次君       古賀 一成君    田辺 広雄君       中谷  元君    長勢 甚遠君       福永 信彦君    古屋 圭司君       星野 行男君    前田  正君       増田 敏男君    松岡 利勝君       小川  信君    小林  守君       須永  徹君    谷村 啓介君       筒井 信隆君    安田 修三君       河上 覃雄君    伏屋 修治君       吉井 英勝君    神田  厚君       高木 義明君  出席国務大臣         自 治 大 臣 奥田 敬和君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         警察庁刑事局長 中門  弘君         警察庁警備局長 城内 康光君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治大臣官房審         議官      紀内 隆宏君         自治大臣官房審         議官      小島 重喜君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         外務省国際連合         局社会協力課長 辻本  甫君         大蔵省主税局税         制第二課長   野村 興児君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         厚生大臣官房政         策課長     横尾 和子君         厚生省薬務局麻         薬課長     市川 和孝君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   高橋 朋敬君         建設省建設経済         局総務課長   六波羅 昭君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   松岡 利勝君     古賀 一成君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     松岡 利勝君   高木 義明君     神田  厚君     ───────────── 三月二十六日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第一一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第一一号)  過疎地域活性化特別措置法案起草の件      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。奥田自治大臣。     ─────────────  地方税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担軽減及び合理化等を図るため、個人住民税について所得割非課税限度額及び個人年金保険契約等に係る生命保険料控除額引き上げ等を行うとともに、特別地方消費税免税点引き上げ等を行うほか、三大都市圏特定市の市街化区域における特別土地保有税特例適用期限延長等所要改正を行う必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人道府県民税及び市町村民税につきましては、低所得者層税負担に配慮するため、所得割非課税限度額引き上げ等を行うことといたしております。また、個人年金保険契約等に係る生命保険料控除控除限度額を三万五千円に引き上げることとするほか、一定損害保険契約等に係る保険料または掛金について、所得控除を設ける等の措置を講じることといたしております。  また、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、基盤技術開発研究用資産等に係る特例措置適用期限平成五年三月三十一日まで延長することといたしております。  その二は、事業税についての改正であります。  事業税につきましては、新聞業等七事業に係る非課税措置の廃止に伴う経過措置を一年度間延長することといたしております。  その三は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、特定地方交通線に係る不動産を無償で譲り受ける場合の非課税措置等特例措置について整理合理化を行うとともに、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用して民間都市開発事業として第三セクターが取得する公共施設用地に係る非課税措置を二年間延長する等所要措置を講じることといたしております。  その四は、特別地方消費税についての改正であります。  特別地方消費税につきましては、免税点飲食等に係るものにあっては七千五百円、宿泊等に係るものにあっては一万五千円に引き上げるほか、外国の大使等に対する特別地方消費税について、一定要件のもとに非課税とする等の措置を講じるとともに、道府県から市町村に対し、その収入額の五分の一に相当する額の範囲内における額を交付することといたしております。  その五は、自動車税及び自動車取得税についての改正であります。  自動車税及び自動車取得税につきましては、昭和六十三年または平成元年排出ガス規制に適合したトラックバスについて、昭和五十四年排出ガス規制前のディーゼルトラックディーゼルバスを廃車した者が当該自動車にかわるものとして取得した場合には、その税率を二年度間に限り軽減するほか、メタノール自動車に係る税率特例措置を二年度間延長する等の措置を講じることといたしております。  また、自動車取得税につきましては、自動車取得平成二年四月一日から平成五年三月三十一日までの間に行われる場合に限り、免税点を五十万円に引き上げることといたしております。  その六は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税及び都市計画税につきましては、振動防止設備に係る固定資産税課税標準特例措置を廃止する等特例措置整理合理化を行うほか、特定粉じん処理施設について非課税とする等の措置を講じることといたしております。  その七は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、三大都市圏特定市の市街化区域内において取得される一定規模以上の土地に係る課税特例措置適用期限を二年間延長する等の措置を講じることといたしております。  その八は、入湯税についての改正であります。  入湯税につきましては、その使途に観光の振興に要する費用を加えることといたしております。  その九は、事業所税についての改正であります。  事業所税につきましては、公害防止事業団から譲渡を受けた一定の建物に対する資産割に係る非課税措置適用期限を二年間延長する等の措置を講じることといたしております。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 島村宜伸

    島村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 島村宜伸

    島村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。星野行男君。
  6. 星野行男

    星野委員 まず本題であります地方税法の一部を改正する法律案につきましてお伺いをいたします。  今回の改正案のポイントの一つは、個人住民税中心といたしますきめ細かな減税措置でございます。いま一つは、現下内政の最重要課題でございます土地対策一環としての土地税制見直しであろうかと存じます。  土地税制につきましては後ほどお伺いすることといたしまして、まず減税関係についてお伺いをいたします。  ただいま大臣から提案理由の御説明をちょうだいいたしましたし、あるいは改正案内容を子細に検討してみますと、個人住民税につきまして、社会経済情勢変化生活水準向上などに配慮した所得割非課税限度額引き上げを図っていることや、あるいは寡婦控除などの適用要件でございます所得限度額を三百万円から五百万円へと大幅に引き上げを図っていることなど、いわゆる社会的弱者に対する温かいきめ細かな配慮が加えられております。また、今後の高齢化社会の伸展に対応して住民自助努力を支援するため、個人年金保険料に係る保険料控除限度額を三千五百円から三万五千円へと大幅に引き上げてございますが、これらはいずれも時宜を得た適切な改正であろうと考える次第であります。  ただ、この減税に関連いたしまして三点ほどお伺いをまず申し上げておきたいと思います。  その第一点は、個人住民税改正損害保険料控除の創設が含まれていることであります。所得税と違いまして住民税には損害保険料控除は今までなかったわけでありますが、これがこのたび新設をされました理由は那辺にあるのか、まず御説明をいただきたいと思います。  質問の第二点でありますが、今回特別地方消費税につきましても免税点引き上げによる大幅な減税が図られております。この点につきましては、さき税制改革の際、免税点の大幅な引き上げを行ったばかりでございますが、今回さらにその引き上げを行うのはどういう理由によるものか、また今回の見直しがいわゆる消費税見直し一環をなすものかどうか、これにつきましてもあわせてお答えをいただきたいと思います。  質問の第三点でありますが、こういう減税措置はまことに結構だと思いますけれども、地方財政の点から見ますと、やはり地方団体にとりましては大幅な減収となるわけであります。今回の減税措置による都道府県並びに市町村のそれぞれの減収額がどのくらいになるのか、あわせてその減収の補てんをどのような方法で行うのか。この三点について、まず自治省側の御説明を求めます。
  7. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方税減税関係につきまして、一つ一つ説明を申し上げたいと思います。  まず、個人住民税改正の中に損害保険料控除を創設したという点につきましての御質問でございます。  この点につきましては、ただいま御指摘のとおり、所得税におきましては、従来から損害保険料控除というものがあったわけでございますけれども、住民税におきましては、この保険というものが生命保険とはやや性格を異にして、特に損害保険の場合には消防などの事務を市町村が行っている、このために損害保険料負担軽減されているのではないかというような趣旨から、損害保険料控除住民税におきましては行っていなかったわけでございます。しかしながら、最近の損害保険というものの状態を見てみますと、単に火災保険というだけではなしに、むしろ火災保険のシェアというものはだんだんと低下しておりまして、他方、例えば昭和六十一年には医療費用保険でございますとか、あるいは平成元年には介護費用保険というようなものも発売が許可されているというようなことで、損害保険そのもの性格が従来の火災保険というものから次第に生命保険の領域といいますか、境がだんだんわからなくなってくるというような状況になってきているわけでございます。  こういうことを踏まえまして、今回住民税におきましても、損害保険多様化ということを考え、また今後の高齢化社会への対応のために自助努力も必要であるということから、損害保険料控除を創設することにしたわけでございます。それが第一点でございます。  それから第二点は、特別地方消費税免税点につきまして、実はさき税制改革におきまして大幅にこの免税点引き上げを行ったわけでございますが、さらに今回引き上げお願いしようとしている理由でございます。  この点につきましては、最近の国民消費動向というものを見てまいりますと、所得水準向上などによりまして、消費一般につきまして消費拡大あるいは消費態様多様化あるいは消費内容の質の向上というものが見られるところでございます。この特別地方消費税課税対象になっておりますのは、宿泊飲食二つでございますが、これらの利用法につきましても、ただいまのような消費状況というものを反映いたしまして、例えばグルメブームでございますとかあるいは旅行ブームというような形で、消費内容が非常に高度化する傾向を示しているわけでございます。また他方、週休二日制の普及というようなこともございまして、広く国民の間にゆとりのある生活を求めるということも非常に強くなってきているのは、御案内のとおりでございまして、そういうことで外食とかあるいは旅行機会というものが最近著しくふえてきているという状況でございます。  こういうような動向を考慮いたしまして、こういう外食とか旅行等機会を多く持っている方々のための一層の負担軽減というものを図るために、また、この税制の円滑な定着化というものも考える必要があるということで、今回の免税点の大幅な引き上げを行うことにしたわけでございまして、宿泊につきましては一万円を五割引き上げまして一万五千円に、飲食につきましても五千円を五割引き上げまして七千五百円に引き上げるということにしたわけでございます。  そして、この特別地方消費税というのは、従来は料理飲食等消費税という名前で呼ばれていたものでございますが、この税は地方行政サービス、例えば保健所行政でございますとか、そういうような行政サービスと密接な関連を有しているということから、高額な飲食宿泊等につきまして都道府県課税していたものでございまして、いわば都道府県の固有の税制として従来から定着していたものでございます。そういう意味で、いわゆる消費税のような、消費一般に広く薄く国が課税するという消費税とは課税趣旨課税団体も異なっているわけでございまして、全く別の税制でございます。  この税制につきまして免税点引き上げたということは、先ほど来申し上げましたような最近の消費動向消費態様変化というものを考慮いたしまして、この利用を行われる方々の一層の負担軽減を図るという趣旨から行ったわけでございまして、国の消費税見直しとは全く関係のないものでございます。  なお、今回の地方税法改正案によります地方税減収額につきましては、平年度ベースで、道府県税で一千七十九億円、市町村税で四百二十三億円、合計千五百二億円と見込んでいるところでございます。  なお、この補てん問題につきましは、財政局長から御答弁お願いします。
  8. 持永堯民

    持永政府委員 税制改正によります減収分についての財政問題でございますけれども、明年度減収につきましては、数字は今税務局長から申し上げたとおりでございます。  そこで、税制改正につきましては毎年度いろいろな形で行われるわけでございますが、その都度増減収も立つわけでございます。そこで、さき税制改革税制抜本改革のような、よほど大きく地方税財政影響が出るような場合におきましては、制度上の手当てをするということで対応をしてまいっておりますが、通常年度改正の場合におきましては、そういう税制改正によります増収あるいは減収を含めた形で毎年度歳入歳出を的確に見込む、その上で全体としてバランスをとるというようなことで対応してきておるわけでございまして.明年度におきましてもそうした考え方で、平成年度地方財政計画の策定を通じまして全体として収支バランスをとる、そして地方財政の運営に支障がないようにしてまいる、こういうことで処置をしているところでございます。  また、個別の地方団体によっても当然減収が出るわけでございまして、減収の出方がまた団体によって違ってくると思いますけれども、その点につきましては地方交付税計算上、基準財政収入額計算に反映されますので、そちらの方で調整されてくる、こういうことでございます。
  9. 星野行男

    星野委員 御説明、了解できるわけでありますが、ただ地方財政が大変逼迫している状況にございますので、この減収分手当て交付税できちっと手当てをしていただくようにお願いを申し上げておきます。  次に、関連いたしまして、地方財政問題点につきまして二点ほど御質問を申し上げさせていだきたいと存じます。  その一点は、国庫補助負担率一括引き下げ復元の問題であります。  これにつきましては、御承知のとおり、昭和六十年度年度限りの暫定措置ということで始まったものでありますが、その後、国の財政の事情によりまして昭和六十三年度まで三年間延長されたわけでありますし、さらにその後、平成年度まで二年間再延長されまして、結局六年間実施をされることになるわけであります。これによる地方への影響額が総額六兆六千億円という大きな額に上っております。しかも中間で、例えば学校施設整備費補助金とか生活保護費負担金などのように国庫補助率あるいは負担率を引き下げて恒久化されたものを昭和五十九年度以前の従前の率で計算いたしますと、七兆一千三百億円を超えるはずであります。  こういういわゆる国費ベースの削減が地方財政に大変悪い影響を与えたことは申すまでもないわけでございまして、これは国の方の財政再建協力をするということで、地方としてもやむを得ないこととしたわけでありますけれども、その国の財政再建も、御案内のように平成年度赤字国債発行ゼロという一応の目標を達成することができたわけであります。  同時にまた、今問題になっております日米構造協議などでこれから公共投資拡大をするということになりますと、当然地方自治体協力なくして不可能であり、公共事業などは当然その補助裏負担が大きなものになってこようかと思います。したがって、財政力の弱い市町村では公共事業を伸ばすにもなかなか補助裏負担ができなくてこれは実施できないというようなところが出てきやしないかという危惧を持つわけでありますが、やはりこれからの新しい国づくりの中で国と地方との信頼関係協力関係を緊密に持っていくということは必要なことでありまして、そのためにはやはりルールを守り、約束を守るということが基本であろうと思います。  そういうことも兼ね合わせまして、これについての平成年度、少なくとも投資的経費につきましては、完全復元地方団体は強力に要望しているわけでありますが、これにつきまして昨年十月、大蔵、自治建設などの関係省庁間で検討会が持たれるようになった、こういうふうに聞いておりますが、まず自治省の方からその検討会検討経過とか見通しなどについて、大臣の御答弁をいただく前にまずお聞かせを願えればありがたいと思うのであります。
  10. 持永堯民

    持永政府委員 今お話ございましたように、平成年度予算編成に当たりまして一部のものについては決着をつけまして、そして公共事業中心にして公共事業関係についてはあと二年間暫定でいく、そして、平成年度以降の扱いについては、その際に、検討会をつくって検討するということになっておりまして、現在検討会を開きまして、各省間で数回会議を持ちまして検討を進めておる段階でございますが、まだ今までのところは、率直に申しましてどういう方向に持っていくかというところまではいっておりませんで、これまでの公共事業内容の問題でございますとかいろいろな経緯の問題でございますとか補助率がどういうふうになってきたかとか、そういう今までの事柄について勉強をしているという状況でございまして、まだ具体的に今後の方向づけまで議論が至っていないという状況でございます。  この見通しでございますが、これは協議でございますから、最終的に、結論が果たしていつまでに出るかという見通しは難しいわけでございますけれども、一つ目標としては明年度概算要求の時点、つまりことしの夏というのが一つ目標であろう、このように考えております。
  11. 星野行男

    星野委員 わかりました。  ただ、この決定につきましては、やはり大きな政治的な決着が必要かと思います。そういう点で奥田大臣政治力に御期待を申し上げているわけでありますし、地方団体もかねてからの実績を踏まえまして、奥田自治大臣に大変御期待申し上げるところが大きいと思いますが、大臣の御決意のほどをひとつお伺いを申し上げておきたいと存じます。お願いいたします。
  12. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生、ついこの間まで自治体の首長としてこの問題については大変精通しておられますし、私が釈迦に説法みたいに一夜漬けの勉強をして申し上げるのはまことに僣越ですけれども、確かに補助率カット自治体皆さんにここ随分御迷惑をかけてまいりました。特に、地方にとっては主幹産業である公共事業にも大変な影響が出ておったことは事実でございます。既に続いてまいりまして平成元年度、平成年度、これも暫定措置でこれを受けざるを得ないということです。  地方にとっては財政は非常に厳しい、しかし一定事業量は確保したいというそういった財政状況の時代でございましたから、泣く泣く受けなければいかぬということで努力されてきたと思っております。それでまた自治省としても、こういった臨時の財源に関しては特例債等々やって、できるだけ元利償還等についても自治体に最小限の迷惑という形で努力をしてまいったことは御存じのとおりです。先生の御指摘のように、平成三年、暫定期間が過ぎたら通常ベースに戻せという御意見だと思うのです。もちろんその方向に沿って努力いたします。地方団体の御意向もよく踏まえて、そういった方向関係省庁間の検討会の中でも主張してまいります。  ただ、今地方団体の御意向を十分尊重してということは、やはり事業量拡大を望まれる、そういった形も強いわけですし、三年度から前のベースに戻す、約束だからきちっとさせるという方向努力を踏まえながらも、他方自治体に必要ないろいろな環境整備も含めて残っておりますから、そこの点でまた御相談してまいりたいと思います。  ただ、基本姿勢平成年度からは復元するという方向できつくやっていく、他方事業量拡大して地域自治体皆さんの御期待にもこたえる、そのあんばいの点をまたこれから相談してまいりたいということでございます。
  13. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。地方自治体の方も、いわゆる経常経費分についてはこれはある程度我慢しよう、こういう考え方に傾いておると思いますが、投資的経費につきましては先ほど申し上げたとおりでございますので、ひとつ大臣、最大限の御努力お願いを申し上げたいと思います。  それから第二点は、同じく財政関係でありますが、地方交付税税率引き上げの問題でございます。  現下、この地方交付税税率につきまして厳しい御論議があるということも承知をいたしております。しかしながら、御案内のように四十八年のオイルショック以来、我が国はいわゆる輸出と公共事業二つを柱とする景気対策実施をしてまいりました。あるいはその後第二次のオイルショック等もございまして、地方団体も国の景気対策に足並みをそろえて、いわゆる財政主導型、自治体単独事業等で起債を大変増発いたしまして仕事を進めてきたわけであります。また、その後御案内の六十年度からの国庫補助負担率一括引き下げに伴いまして、財政特例債等々の建設地方債を多額に発行して、現在の地方債の発行残高が約六十七兆円という大きな額になっているわけであります。  私は、自治省におきましてこの対策として交付税でそれぞれ元利償還措置をする、こういう考え方はそれなりに評価をいたすものでありますけれども、しかし本来でいいますと、特に国庫補助負担率一括引き下げは、国の財政上の理由でその分を地方にしわ寄せをした、地方に借金をさせた、こういうことでありますから、その元利償還というのは地方の固有の財源である交付税財源ではなくて、別の財源で措置をするのが本来筋ではないか、私はそう思っているわけであります。しかしながら、諸般の事情で交付税で元利償還措置をするということがやむを得ないといたしますれば、やはり交付税の財源の枠をもっと拡大をする必要があるのではないか。  それから、御案内のように六十二年の六月に四全総が策定をされました。これによりますと、東京一極集中を是正して多極分散型の国土形成を図る、こういうことでございますし、そのためにはいろいろな高速交通ネットワークの整備などを初めとして地方の受け皿の整備をする。そのためにはやはり地方財政需要もふえてくるわけであります。これから国土の均衡ある発展を図っていくあるいは四全総の目標を達成するためには、地方財政力も強化をしていかなければならない。そういうことを考えますと、このあたりで地方交付税税率を、消費譲与税の問題は別にいたしまして、国税三税の三二%というのを、地方自治の振興あるいは地方自治を守るというお立場の自治省であり、また地方団体が大変親のように慕っておられます自治大臣でございますので、この際交付税税率引き上げによる地方の安定財源を確保する、しかも今後の四全総の目標達成に努力をしていく、そういう意味で地方交付税税率引き上げもこの辺でテーブルにのせて大いに論議をし、早期に実現を図るべき課題ではないか、そんなふうに思うわけでありますが、この点につきましては、ひとつ大臣の御答弁をちょうだいしたいと思うのであります。お願いいたします。
  14. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおり地方の時代といっても、本当に自主的な財源というものを確保させる、他方、今言った交付税によってできるだけ財源の安定的確保に努めてまいるということが一番肝要であることは申すまでもないと思っております。  国税の三二%、お触れになりましたし、また消費税も、これが定着していく過程においては、御存じのとおり譲与税なり交付税で、大体が消費税の四割というのは地方のふるさとおこしに役立つ大変大切な貴重な財源ですから、これらについても御理解をいただきながら努力したいと思っておるわけでございます。ずばり交付税税率引き上げにお触れになって、引き上げ努力せよということですから、もちろん担当大臣として努力は当然でございます。これが地方自治の安定につながる、自主的な財源につながるということでございますから、その方向努力することは当然でございますけれども、この問題は及ぼす影響が非常に大きゅうございますから、ここで今先生の発言に余りいきな答えを出しても、これは全般の財政状況の推移を見ながら考えなければならぬことですから、しかし、自主的な財源確保のために交付税率の一段のアップを目指して努力をするということで、御勘弁願いたいと思います。
  15. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。  それでは、土地税制についていま一点お伺いを申し上げます。  土地基本法が成立し、また政府税調でも来月早々から小委員会を開いて土地税制について本格的な検討に入る、こういうことでありますが、今回の地方税法改正について、これは総合的な見直しの手始めとして期限切れとなるミニ保有税の延長を行うもの、こういうふうに理解するわけでありますけれども、土地に係る地方税について、今後どのような観点で見直しをしていこうと考えておられるのか、地方税に係る土地税制見直し方向についてお聞かせを願いたいと存じます。
  16. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 私から事務的な御説明をさせていただきたいと思います。  ただいま御指摘のとおり、最近の東京都心に始まりました地価の高騰というものが次第に地方に波及しているというような状況のもとで、土地を持っている方と持っていない方との間に資産格差が非常に大きくなってきているというような問題が一つございます。こういうものに対して、負担の公平というものを税の面からどういうふうに考えていくべきだろうかという議論が最近いろいろなところで出ているわけでございます。他方、もう一つの観点は、やはり最近の地価高騰等を踏まえて、国民の大多数の方々が住宅を取得できないというような状況になっているということから、土地問題というものを何とかもっと大きな立場から見直していかなければならないだろう。こういうような考え方二つからこの土地問題が出ていると思うわけでございますが、そういう趣旨から、昨年の暮れに土地基本法が制定をされまして、国民共通の土地に対する認識というものが確立されたわけでございます。  この土地基本法は、基本的な認識ということで、あくまでも理念的な法律でございますので、これに肉づけを今後していかなければならないわけでございますが、これは単に土地税制というだけではなしに、土地利用の問題あるいは投機的な取引の抑制の問題等を含めて総合的な対策というものが必要になっているのではないかということが言われているわけでございます。政府部内一体となってこの土地対策をやっていくということでございまして、土地税制というものもその一環として総合的な見直しを図っていくということで、現在検討を進めているところでございます。  なお、総合的な見直し内容等につきましては、ただいま先生も御指摘のとおり、政府税制調査会が四月からはいよいよこの土地問題につきまして検討するということでございますので、そういうものを踏まえて平成年度中には成案を得るような、そういう努力を今後してまいりたいと思っているところでございます。
  17. 星野行男

    星野委員 どうもありがとうございました。
  18. 島村宜伸

    島村委員長 安田修三君。
  19. 安田修三

    ○安田(修)委員 それでは、大臣にお尋ねいたします。  一昨年税制改革が行われたわけでありますが、税制改革を行うという点からしますと、個別の国の税制なり地方税制の改革という観点はもちろんのことでございますが、国と地方との税財源の配分について、当然これは触れるべきことでありましょうし、また、私は、自治省皆さんも実際はそうだと思っていらっしゃると思います。そうでなければ、通常やっぱり地方の問題はと、こうおっしゃるというわけにはいかなくなるわけでありますから、私たちともどもそういう思いだろうと思うのであります。  しかし、一昨年の税制改革では、消費税の導入によって、財源の比率という問題からしますと、地方の方は手当てはされたということになっておりますし、実際の比率面からしますと、そういうことも言える点があるのでありますけれども、しかし、実質的には地方の立場が弱められた、こう実は私は思っているところでございます。  それはなぜかといいますと、地方の独立税財源の方が少なくなっていったから、こういう点からしてもそのことは言えるのではないか。また、いろいろ交付税の操作その他にもその点が言えるのではないかと思っているところです。  一つは、お金の量の問題でございますけれども、本来は地方と国との事務事業に合わせたお金の配分がなければなりません。現在、事務的には地方が七〇、国がおおよそ三〇の割合でありますから、これが一つの基準として税源の配分が行われるのが私は筋ではないか、これは筋論でございます。  さて現状は、租税収入の割合は国が六四・三%、地方が三五・七%、こういうことになっておりまして、交付税地方譲与税などで調整された後といいましても国が四五・二%、地方が五四・八%であります。ちなみに申し上げておきますと、これは自治省皆さんの方の平成元年度補正後の数字が入っておりますので、データからすれば、当初予算だけの比較ではございませんので、一番新しいということになりますが、国と地方との租税収入の配分割合、六十三年度は国税が六三・四、地方税が三六・六、これが元年度は国税が六四・三、地方税が三五・七と地方関係が上がったようになっておりますが、二年度、今度は来年度地方財政計画なんかからいきますと、国税は六五・七、地方税は三四・三ということに下がってまいります。このことは地方交付税等による調整後の場合を見ましても、地方税関係は上がった上がったと言いながらも、六十三年度、元年度それから二年度、こういうことを比べますと実は下がっていっているわけでございます。  そういう点で、量的な問題からしましても実は問題があるのじゃないか。今年度は量的には地方交付税等の調整後には、前年度よりも先ほど言いましたように一応伸びたということにはなっておりますが、これは二年度のときにまた論議いたしますが、来年度は小さくなっていくわけであります。  それから自主財源率、これは自治省の方は盛んに自主財源率が高まったということをおっしゃるわけでして、このことは私も数字の上からいえば確かにそうでございますが、しかし、これも国庫補助負担率の削減等によりまして、そういう点のお金の量が減ってまいりますから、外的要因によって実は自主財源率そのものが押し上がってきたということも見逃がすわけにいかない。そういう点で私は、交付税も大変伸びておるし、金は豊かなようだが、実際は、地方は決して豊かではないという点を一つ置いておかなければならぬと思います。  二つ目には、お金の質の問題です。地方税収入の普遍性、応益性、自主性などの原則を尊重しまして、地方の独立税財源を拡大していくことが最も大切であります。ところが、今年度は逆に三六・六%から先ほど言いましたように三五・七%に少なくなりますし、来年度は三四・三%ということで独立した税財源が縮まっておるわけでございます。このことは自治大臣自身、出身地等の事情等お見えになれば一番よくおわかりのことでございます。そういう点で、先ほど言いました量的にも問題があるが質の方からしますと余計縮まっておるぞと。これは自治省として大変なことでございます。ぜひここら辺は毎年声高にこの点の改革を言ってもらわなければならぬということになるかと思います。  三つ目には、自治体間の財政調整機能を適正に行うことが必要ですから交付税制度があるわけですが、特に市町村に重点を置いた税財源の配分というものを考慮するときにはどうすべきか、そういう点では現行の交付税算定を改革すべきといいましょうか変えるべきといいましょうか、とにかく変えていくという工夫が必要ではないか。日本の場合は大変精巧につくられておりますが、それ自身が今現状の行財政に適合し得るかといいますと、いろいろと問題が出てまいっておるのじゃないか、こう思っておるところでございます。  そういう点で、自治大臣にこうした諸点から自治省のきちっとした財政に対する対応についての所見をまず私はお伺いしたい、こう思います。
  20. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生から大変数字を挙げての御指摘でございまして、もう私は今それには全面的にお答えするということはなかなかできにくいので、所見だけ申し述べますけれども、確かに自主財源、地方自治体にとってここの充実が一番大切なことであるということはよく認識いたしております。そしてまた、今は、先ほども申しました地方の時代、自分の個性豊かな、そして潤いのある町づくりというのを各自治体とも競争されておりまして、福祉活動を含めて大変な、自治体にとってはお金の物入りなことばかりが続いておる。そういったことで自治体の首長さんの御苦労はよく理解できるところであります。  それで、今先生指摘のように、国から地方へのこの税源の配分のシフトが、この間の税制改革で逆にだめになったじやないかという御指摘もございました。確かに電気税なんかがゼロになると言ったらおかしいですけれども府県分の手取りがゼロになるわけですが、ガス税もなくなる。先生のところは電気に大いに関係ありますけれども、私のところと言うと失礼ですけれども、私の選挙区は石川県でございますけれども、今度料飲税あたりが低くなるのでこれはまた困る、いろいろなことがあるわけです。ですけれども、これは決して先生に反論する意味で申し上げるのではありませんけれども、国と地方とのお金の配分率だけで見ますと、今言いました消費税税制改革でだめになった分はありますけれども、他方、これは消費譲与税なり地方交付税で大体消費税の約四割というのが地方に還元されてまいりますから、こういったことで比較いたしますと、大体財政配分は国が四七・二に対して平成年度においては地方が実質的配分率は五二・八という数字で、これは六十三年のときに比べても実質的には高くなってきておるということは御理解願いたいと思うのです。  この数字に対して先生の反論に答えるすべはありませんけれども、財政局長なり税務局長からまた補足して説明させたいと思います。
  21. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 補足してお答えさせていただきますが、御案内のとおり、さきに成立いたしました税制改革というのは、国・地方という立場から離れて、税を納める国民、国税も地方税も納める方々国民でございますが、この国民方々がいかに公平に税を負担してもらうかという立場から税制改革が行われたというふうに私どもは理解しているわけでございます。  そういう意味から申しますと、例えば消費税が創設されることに伴いまして、地方税におきましては電気税、ガス税あるいは木材引取税の廃止の問題もございましたが、同様に国におきましても、物品税だとか入場税だとかいうような税目が廃止されている。あるいは地方税においては娯楽施設利用税だとか料理飲食等消費税というものが調整されておりますが、同じように国におきましても、酒とかその他の税につきましても調整減税が行われているというようなことで、あくまでも今回の税制改革というのは、国民の立場に立って税負担をいかに公平にするかという立場で行われたというふうに理解しているわけでございます。  したがって、その結果として国と地方がどのような配分になるかということは、税そのものから見ると必ずしもはっきりしなかったわけでございますが、そこの増減につきましては、消費譲与税の創設でございますとか、あるいは地方交付税の算定項目に消費税を加えるというようなことで、全体の国と地方の税の配分につきましては、一応現行の配分というものを前提にして地方に手厚く行うということで処理がされたというふうに理解をいたしております。  ただ、この国・地方の財源の配分というものは、今後も国・地方間の事務配分のあり方とか、その他の国・地方間のいろいろな制度の問題と絡んで関連いたしまして幅広い観点から検討していく必要がございますし、地方における財政需要というものが今後どのような形で推移していくかという点も考えまして、今後とも十分にこの点についての検討をしてまいりたいと思うわけでございます。  また、国と地方との関係の財源の比率につきましての具体的な数字等につきましては、実は現在まだ税制改革が進行中でございます。平成年度には住民税減税がまだ約半分残っているとかというようなことで、国税の減税地方税減税が進度が多少違っているというようなこともございまして、この各年度だけで判断をするということはいかがかなという感じもするわけでございまして、平年度ベースで見る限りにおきましては、先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、国よりも地方に財源がややシフトしているということが言えるのではないかというふうに考えているところでございます。
  22. 持永堯民

    持永政府委員 地方交付税の問題についてお触れになりましたので、お答えさせていただきます。  地方交付税制度は、今お話がありましたように、今の地方財政の仕組みの中で財源調整機能としては一番基幹的な仕組みである、このように認識をしておりまして、同時にまた、そういった本来的な財政調整機能を果たしてきておる、こういうふうに認識をしているわけでございます。  例えて申し上げますと、六十二年度の決算でございますが、大都市と町村と比較した場合に、歳入に占める地方税税収の割合というのは、大都市の場合は四七・八%、町村は二五・四%でございますけれども、これに地方交付税あるいは地方譲与税を加えた一般財源ベースで考えますと、大都市では一般財源の割合が五六・五%、町村では五九・八%になっておりまして、かなりそういった点でもこの財政調整をしているかなという感じを持っているわけでございます。  それからもう一点、今後の市町村の問題でございますが、確かに市町村住民に一番身近な自治体といたしまして、これまでも大変重要な役割を持ってきたわけでございますけれども、特にこれから高齢化社会対応しての福祉の問題でございますとか、あるいは地域づくりの問題でございますとか、そういったことを考えますと、これから一層市町村の役割というものは高まっていくだろう、このように考えているわけでございます。そこで、交付税計算におきましてもそういった時代の要請と申しましょうか、あるいは行政需要あるいは財政需要の推移と申しましょうか、そういった点を的確に把握をいたしまして、市町村についてきちんとした計算をしていく。同時にまた、県はやはり何といっても懐はやや大きいわけでございますし、市町村はどうしても小さな懐でございます。そういう点も考慮して市町村を重点的に考えていくという点については、私どももそういう認識を持っておりますので、そういう方向で今後努力をしてまいりたいと考えております。
  23. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、税財源比率の問題は、これからまだまだ先の長い議論でございますし、また皆さん自身も地方の問題を論ずるときは決して現状でいいとは思っていらっしゃらないだろうと私は思います。ただ、財源の比率だけからすれば、先ほど皆さんおっしゃるように、確かに地方交付税と譲与税、こういう関係の調整後は、地方税関係では六十三年度は五二・六、元年度が五四・八、そして二年度が五二・八と大体六十三年度ベースにまた戻っていくわけでありますが、そういった意味からすると確保されておるじゃないか。それから、自主財源率からしましても、来年度を見ましても一・三ばかり上がるし、そういう点ではいいじゃないか。先ほど大臣もおっしゃられたように、料飲税等がなくなる、そのかわりに地方譲与税で石川なんかは埋めてあるという点では、量的には確保されておるわけです。  ただ問題は、独立した税財源そのものが、先ほど言ったように六十三年が三六・六、元年度が三五・七、二年度、来年度は三四・三ということに下がっていく、これは逆じゃないか。この点は、やはり自治省としては絶えずこの問題について注意を喚起し、政府部内では地方の独立した税財源をどのように掘り起こして地方に配分していくか、そういう面の税制の改革というものを、私は絶えず出してもらいたいし、また当然やってもらいたい。そういう点で、大臣は実力のある大臣でございますので、ぜひひとつこの際地方のそういう関係について旗振りを頑張っていただきたいと思うわけであります。これはこの程度にとどめておきます。  さて、次に、社会資本の充実が強調されておりますし、総理の施政方針にも下水道初めこの種の投資に意欲が示されております。特に、日米経済構造協議では重大な関心にもなっております。  そこで、今までの地財計画からしますと、今日まで義務的経費が大体五〇%程度、投資的経費がおおよそ三〇%程度の水準で、これは例でありますが、目の子勘定で言うとおおよそこのような推移になっております。これは、行政運営の上からしますと、投資的経費が三〇程度で義務的経費が五〇も占めているということは、財政基盤が余り強くない、こういう点を実は指摘できるのではないかと思います。平成年度、来年度の場合、ちなみにちょっと見ますと、投資的経費が三一・八%、これは平成元年度、本年度の場合は三二・八%という計画になっておったわけでありますが、それからしますと一%ばかり減っていっております。なぜ減ったのだろうか。一つは私は、財源対策債の償還金などこういう関係の資金に流れていったという点からも比率としては下がってきたのではないか。それから、公共事業が横ばいである程度抑制されてきておるという点も出ておるのじゃないか。  ちなみに、これは、例えば自治省は来年の地財計画、税制問題があって行ったり来たりしますけれども、単独事業と盛んに強調しておられます。しかし、実際の投資的経費からしますと、補助事業が来年の場合、参考に言いますと〇・一%伸び、単独が七%伸び、投資的経費については三・九の伸びということで、余り大きい伸びにはなっておりません。御存じのように、全体の財政の伸びからしますと七%でありますから、今言いましたように、財政的基盤の強化という点からすると、日本の池財計画の中には投資的経費というのは本来はもっとふえていいのではないか。そういった意味では、財政再建途上と言われたときから地方財政計画の中に支出がぎゅっと締められてきたという経緯がまだ続いているのではないか。もちろん、巨額の借金があるという前提はありますけれども、それにしてもちょっとそういう点の締めが強いのじゃないか、こう思うのですが、どうでございましょうか。
  24. 持永堯民

    持永政府委員 ただいま御指摘いただきました計数等については、その御指摘のとおりでございまして、明年度におきまして投資的経費の割合は一ポイント下がることになっております。その原因は、お話ございましたように、確かに財対債の構成比が若干上がったということもあるわけでございますけれども、やはり一番大きなところは補助事業の量が、若干ふえておりますけれどもほぼ去年と横ばいということでございまして、単独につきましては七%の伸びを予定しておりますので、構成比は同じ割合を確保できるわけでございますけれども、そこらが一番大きな原因だと思っております。  そこで、これをもっと増強すべきであるという御意見だと思いますが、そういったことで単独事業については最近数年間かなりの伸びを確保してまいってきておるわけでございますけれども、補助事業の方は、これは何せ大蔵省の方の予算で決まってくるわけでございまして、国の財政事情もいろいろあると思います。また同時に、現在の経済状況からして公共事業をそれほどふやす必要があるかどうかというような議論もあろうかと思います。  そういったもろもろの観点から決められてきているものでございますし、同時にまた、全体として投資的経費が三割程度というものはやや少ないと申しましょうか、そういう御意見もあったわけでございますけれども、これはやはり全体の地方財政の役割、つまり教育、福祉、そういったところで人件費とかあるいは義務費が多いわけでございますので、そこらとのバランスをどう考えていくかという大きな問題でございますので、これは三割がどうかということはなかなか端的に評価するのは難しい面がございますけれども、私ども基本的には公共事業、国の予算にかかわる部分はともかくといたしまして、単独についてはやはり身の周りのいわゆる細々したきめの細かい施策も必要であるということで、なるたけふやすという方向努力をしてまいっておりますし、今後ともそういう努力をしてまいりたい、こういうような考え方を持っているわけでございます。
  25. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、むやみにふやすということもいいわけではございませんが、こういう現下の情勢からしても、ずっと締めつけられてきた基調というのはまだ続いておるのじゃないか。地方債についても、地方債をなるべく増発しないようにということで抑制しておるのはわかりますが、そのことは地方債の中身を見ますと、個別の事業の中身を見ていきますと、そういう点ではやはり今の投資的経費の抑制とほぼ一緒のパターンが動いているのじゃないかという感じもいたします。  そこで、交付税の特別会計の借入金の返済は、今年度は今の補正で六千九十六億円、平成年度には一兆四千百六億円、これらを合わせましてここ最近ずっと交付税特別会計の返済は四兆五千七百三億二千万円と、非常に多額の量を実は返してきたわけであります。そこで特別会計の残高は、平成年度の計画分を返しますと一兆五千七百四十億三千五百万円という数字になるようであります。これは地方債の返済と異なって、交付税特別会計の場合、本来私たちからしますれば国が手当てをすべき財源——先ほども交付税率を引き上げる必要があるんじゃないかということの質問さき委員からありましたように、かつて五十年代の財政が苦しかったときに、当然交付税比率は交付税法に従って引き上げるべきでないかという議論があったわけでございますが、当然それは国がそういう点で手当てすべき財源であった。したがって、今このように大量に返済すべき時期ではまだないのじゃないか。これだけの金は地方がきちっと運用して、工夫して、そして地方がみずから考えみずから行動する地方の時代だと言われるときに、地方事業をやらせるべきではないだろうか、実はこういう考えを持っておるのです。  そういう点で、先ほどからの問題と関連して、交付税特別会計の場合にも、これほど毎年じゃんじゃん返していくが、もちろん借金は返すということは本来いいのだが、しかし特別会計の場合は質的に違うのじゃないかという点で、そこら辺は私はこういう考えを持っていますけれども、自治省どうでしょうか。
  26. 持永堯民

    持永政府委員 特会借入金の返済につきまして、これは本来国が責任を持つべきだという御意見でございます。これは御承知のとおり、五十年代いろいろな議論がなされてまいりましたが、結果的には、借入金については基本的には二分の一負担ルールということでまいっておるわけでございまして、そういった形で法律もずっと成立をさせていただいてきたわけでございますので、これは厳に返済をしなければならないという現実があるわけでございます。  そこで、そうはいうものの余り早く返す必要もないのではないかという御意見もごもっともな点はあると思います。ただ、私どもとしてもまずは毎年度地方財源の所要額というものは、的確に歳入歳出計算をして、きちっと毎年度財政需要に対応できるだけの財源を確保することを大前提といたしまして、その上で財政事情が許す範囲で将来の財政負担軽減ということに備えて、たまたま現在おかげさまで税収も非常に好調なものですから、そういうときに返済をしておこうという考え方でございまして、地方財政需要を切り込んでまいると申しましょうか、不足するような状態に置きながら優先的に借金返しをするということではございませんで、やはり必要なものは必要なものとして確保した上でこういう措置をとっておるということでございますので、御理解をいただきたいと思っておる次第でございます。
  27. 安田修三

    ○安田(修)委員 地方に金のあるときは、ひとつふかふかと気持ちよく仕事をやらせた方がいいと私は思うのです。  さて、今回の住民税改正案所得割非課税限度額引き上げが実は提案されています。  改正案によれば、夫婦子供二人の標準世帯の給与所得者の場合は二百三十万七千円ということになってまいります。これは元年度生活保護基準が二百二十八万八千円だそうでありますので、大体この水準に置かれたのだろうと思うのでありますが、この点お聞きしたいということと、この限度額の算出の仕方、これは大臣わかりますか。  実は私ちょっと専門の方を役所の関係から呼んで、やはり計算をやっている人でないと、そうずばりわからないのですね。私は方式を書いていただきました。なるほどと感心いたしましたが、それでも私よう理解できません。皆さんの論文を見ますとちゃんとうまいこと書いてありますが、それは数字の計算の基礎にはなってこない。なぜかということだけはわかる。これはみんなだれでもわかるようなことになればいいんだなと私は思うのですね。まずひとつこの水準と限度額の算出の仕方を……。
  28. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 住民税におきます所得割非課税措置は、特に低所得者層税負担を配慮するということから設けられているわけでございます。そういう観点から非課税限度額の水準というものを、住民税につきましては前年所得課税であるということから考えまして、前年の生活保護基準額の水準との関連で一定の水準を設定するということで、従来からこの基準額を決めさせていただいているところでございます。  現行の非課税限度額を見てみますと、夫婦子二人の給与所得者の標準世帯につきましては、この非課税限度額が二百十九万二千円でございます。ただいま御指摘のとおりでございます。個人住民税課税最低限というのを見ますと、平成年度では大幅な減税が行えた関係で二百七十二万二千円ということでございます。そういうことでございますと、別に非課税限度額を設けなくても、個人住民税課税最低限が効いてしまいますから、住民税課税はされないということになるわけでございまして、そういう観点から見るともう既に非課税限度額というものが、ある意味では必要ないのじゃないかなという議論も実はあるわけでございます。  ただ、所得割非課税限度額を据え置いた場合に、今私どもが試算したのは夫婦子二人の給与所得者でございますけれども、それ以外の例えば子供三人の父子世帯を考えてみますと、配偶者控除、配偶者特別控除などの恩典がございませんから、非課税限度額を設けておきませんと、そういう世帯の場合の低所得者については住民税課税されてしまうこともございまして、今回も一応標準世帯を前提にいたしまして、前年の生活保護基準と比較をしながら基準額を設定したわけでございます。  この設定額の決め方等につきましては、一種の代数のような計算で決めてまいりますので、一般的にちょっとわかりにくい点もあろうと思います。収入ベースで大体幾らぐらいの方々非課税限度額の対象になるという点につきましては、税の計算から逆算すると出てまいるわけでございますが、御指摘のように税の計算そのものが極めて複雑でございます。例えば給与所得の場合、給与収入から給与所得控除計算するとかいう技術的な問題もございますので、簡素化すると申しましても限度がございます。できるだけ今後ともわかりやすいようなやり方を心がけて、非課税限度額というものを検討してまいらなければいかぬと考えるわけでございます。
  29. 安田修三

    ○安田(修)委員 何で私がこういう珍論みたいなことを言うかといいますと、例えば扶養控除一人三十万円なら三十万円を三十五万円にしました、あるいは四十万円にしました、これだったらわかるのですけれども、ここの場合は基礎になる三十二万円が三十四万円に上がった、ではそれは扶養控除額かというとそうではない。だから私わかりにくいと言うのです。そうするとどうなんだ、生活保護基準から逆算してこういう数字が出るのだろうか。そこでいろいろ専門の方に数値を出していただいた。代数計算のような数値はちゃんと出していただいたけれども、なぜなるかというと、私はよくわからない。まして選挙民の人から、これ何でしょうかと言われれば、代議士は何でも知っているものだと思われるけれども何もわからない。そこであえて税務局長さんに算出の仕方を一遍お聞きしておこう、こう思ったのですけれども、とにかくわかりにくいですね。  だから私思い切って、それでは国税のように扶養控除をこれこれでこうだからとぱっしり計算できるものならわかりやすい。この際、限度額もそういう点では思い切って上げていただいた方がわかりやすい。何か生活保護基準額とすれすれに出さなければならぬような数字になってみえるから余計わかりにくい。そういう点で、どうでしょうか、この限度額、まだ引き上げるわけにはいかないのですか。
  30. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいま御指摘のように非常に計算しづらい点は、私どもよく反省しなければいけないと思いますけれども、基本的にはこの基準額は所得を基準にして考えるものですから、所得の計算をする上で、では収入に逆算したら幾らぐらいになるのかというふうに逆算の方式で計算をしていく関係で、今御指摘のようなわかりにくさが出てくるわけでございます。この点について、もう少しわかりやすい方法があればひとつ検討したいと思いますが、現段階ではなかなか難しいわけでございます。  また、御案内のとおり、住民税におきましても基礎控除とか扶養控除とか配偶者控除というものは、それぞれ一応機能しているわけでございます。しかし、その機能しているものとは別のものとして非課税限度額を、いわば免税点を設けて、そのどちらかにかかれば税が優遇されるという住民税独自のシステムを持っているということで、むしろ非課税限度額というものは、国税にはなくて住民税だけにある住民にとっての優遇制度であるというふうに逆に御理解をいただければと思うわけでございます。  ただ、この非課税限度額をこの際思い切って上げたらどうかという御指摘でございますけれども、御案内のとおり、住民税というのは、もともと市町村あるいは都道府県の経費の負担をみんなで分担していこうという思想でございますから、国税の場合とは違って、できるだけ所得階層の低い方々でも負担をしていただきたいということが根底にあるわけでございまして、そういうことを踏まえながらこの非課税限度額というものを考えてまいりますと、やはり生活保護基準というものが一つの基準になるのではないか。それを大幅に上回る非課税限度額というものを決めることは、これは逆に負担分任という建前からいっていかがなものかなという感じがするものでございますので、毎年毎年この生活保護基準との比較をしながら検討をさせていただいているということが現状でございます。
  31. 安田修三

    ○安田(修)委員 それでは、次に固定資産税関係で。  固定資産税税率採用状況は、今年度市町村三千二百四十六団体のうち、標準税率の採用市町村数が二千八百七十六団体、全体の八八・六%、超過税率の採用市町村数が三百七十団体で一一・四%、実は自治省の出されている数字はこういうことになっております。都道府県別で見ますと、標準税率採用市町村が八〇%以上、例えば何々県で標準税率をやっている市町村が八〇%以上、こういう意味でございますが、八〇%以上に及ぶ都道府県の数は三十六都道府県に及んでおりまして、全体の七七・七%ということになっております。各市町村がそれぞれ不均一の税率採用で税率適用をやっておられるということは、これは地方自治体の妙味で当然なのでございますけれども、日本というのはこういう狭い国でございますので、一つ隣の家から隣の県というところがやはりあります。  さて、標準税率採用市町村の極端に少ない県というのは、一体何か特別な事情があるのだろうか。不均一であることはわかるけれども、大体どこでも似たり寄ったり、〇・一違ったりあるいは同じようなものが並んでいる、こういう狭いところでありますから割合そうなんですけれども、非常に標準税率の採用の少ない市町村を持っている県というのは、何かそこに特別の事情でもあるのだろうかと思うのでございますが、そういう点は自治省は何か調査しておられますか。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕
  32. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税のいわば超過課税をしている団体というものを都道府県別に見てまいりますと、かなり偏りがあることは御指摘のとおりでございます。この偏りがある中でさらに分析してみますと、現在の標準税率は一・四%でございますけれども、一・五%の税率を採用しているところ、それから一・六%の税率を採用しているところが超過課税をやっているところの約七割以上を占めるということでございまして、この辺に何か原因があるのじゃないかなということで一つは考えてみたわけでございます。  実は固定資産税が創設されたときの税率が一・六%でございました。これが昭和二十九年に一・五%になり、三十年に一・四%になったという事情がございます。二十九年から三十年でさらに税率が下がったのは、二十九年に不動産取得税が新しく道府県税としてできたということもございまして、これとの税率調整というようなこともございまして固定資産税税率が二十九年から三十年にかけて下がって、それで現在に至っている、こういう事情がございまして、恐らく当時の財政事情、昭和二十九年、三十年という時代は、地方財政にとっては極めて大変な時代で、再建団体がたくさんてきたという時代でございますので、こういう時代に税率が下げられたのをそのまま維持している市町村というものがかなりあるのではないかという感じがするわけでございます。しかも、それが特定の県に偏っているという点が、どうも私どもも正直言ってどういう事情があるかということが余りはっきりしないわけでございます。  いずれにしても、超過課税をやっているということは、標準的な税負担以上に住民税負担お願いするということでございますので、これを長期間見直しもしないで継続をするということは、 これはやはり問題があろうかと思います。やはり慢性化しないようときどきの見直しをし、そしてその税率が適正かどうかというものをそれぞれの市町村が御判断いただかなければならないわけでございますが、私どもは、一般的には超過課税につきまして慢性化しないように、既得権化しないように、ときどきの節目節目には見直しをしていただきたいという御指導を毎年させていただいているところでございますので、この点につきましても、特に偏っている都道府県につきましては、今後私どもも事情をよく調べまして善処してまいりたいと思うわけでございます。
  33. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、固定資産税見直しがいよいよ来年ということになってまいりました。異常な土地価格の高騰があり、そしてまた、土地取引がなされている反面、サラリーマンあるいはまた小規模商業などで地価高騰に関係なく生活している人たちにとりましては、固定資産の評価というのは極めてこれまた注目されるところでございます。自治省の方も固定資産の評価についてはいろいろと研究もしておられるようでございますが、さて、この評価に対して適切な方法をどういうぐあいに考えていかれるのか。昨年の七月一日が基準日ということになってまいりますが、いよいよあと来年の一月一日までだんだん具体的な日程に入っていくわけでございますので、そういう点でひとつ考え方を聞いていきたいと思います。
  34. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税の評価がえは三年に一回ということで、来年の四月が評価がえの時期に当たるわけでございます。その地価の基準になりますのは、この評価がえの時期のほぼ一年半前というものが一つの基準になりまして、それから、三年前の地価の動向というものを見ながら評価がえの作業を進めていくということを従来からやっているわけでございます。  今回の状況を見てまいりますと、御案内のとおり、東京都心あるいはその周辺に端を発しました地価の高騰というものが、次第に東京あるいは首都圏だけではなしに近畿圏とか中部圏に及び、さらに地方中枢都市と言われるところにまで地価が上昇してきているというような状況でございます。  他方におきまして、それ以外の地方の都市におきましては、それほど地価が上昇をしていないというデータが出ておりまして、今回の地価の動向の特徴というのは、完全に二極化しているということが言えるのではないかと思うわけでございます。その点が従来の地価上昇と非常に様相を異にしているところでございまして、これらの地価の動向というものをどういう形で固定資産税の評価に反映させていくかということは、極めて難しい問題がございます。特に地価が高騰している地域というものが、その地価というものが果たして実質的な地価と申しますか、収益力を伴うだけの地価の上昇なのか、あるいは投機的な要素でございますとか期待利益というような要素で地価が上昇しているのか、そういうようなものも固定資産の評価の中に入れてまいりますと、これは固定資産税負担が過重になってしまうという問題もございますから、こういう地価が高騰している地域の評価というものをどのように考えていくのかというのが、これが実は私どもの頭の痛いところでございます。  もう一年に迫っている作業でございますが、現在こういう状況を踏まえて、地方公共団体との間でいろいろと御相談をしながら、今後のあり方というものを考えていかなくてはならないと思っておりますが、基本的には現在のこういう地価の動向というものに配慮しながら、他方で、固定資産税というものは継続して保有をしていくということを前提にして税を負担してもらうということ、それからまた、市町村の基幹的な、安定的な税源としてこれは今後とも維持していかなければならないという固定資産税性格というものを十分考慮しながら、この地価公示の問題とか、そういうようなものとの関係も十分配慮しながら評価の均衡化、適正化というものも推進していかなければならないと思っているわけでございます。  それで、その際の明年度の評価がえに当たってのもう一つ私どもが考えております点は、従来評価した価格というものは、各都道府県に一カ所ずつのいわゆる基準地の評価額の公開しかしていなかったわけでございますが、この評価につきましては、もう少し評価の公開というものを今後検討していくべきではないか。そういう中で評価の均衡化、適正化というものも一層図られるのではないかということで、この点につきましても現在検討を進めているところでございます。
  35. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、ただこれだけ極端に地価が上がったところ、それから余り上がらないところ、こう出てまいりますと、問題は、土地評価には適正な時価、それを見なきゃならぬ。かといって、今局長が述べられたように、不正常な要素というのは極力抜いていかなければならぬ。将来の期待感その他、そういうものはどの程度かということを推しはかって、そして不正常なものは抜いていく。しかし、それにしてもちょっといわゆる従前とは違った差というのが出てしまっている。そうしますと、やはり押し上げた方が妥当というような見方のところも当然たくさん出てくる。それはそれでいい。ところが、今度はまた一方、初め言ったように通常のサラリーマンやあるいは細々と商売をやっていて、それ以上別に土地をどうのこうのというんじゃなくして、ずっと永続的に持っているという人にすると、今度は固定資産税の評価というのは大変つらくなってくる。急激に上がらないようにという激変緩和といったところで、それは三年間ただなだらかに上げるだけで、もともと上がることには変わりはない。こういう二つの層が極端に分かれてくる。したがって、こうなってくると、今の固定資産税のあり方そのものが今のままでいいのかどうかということ自身に触れなければならぬのじゃなかろうか。  よく収益的価値に目をとどめてというのは、これは固定資産税の論議からしてなじまないということが以前から言われたのだけれども、現代ではもうそういうことを言っている時代でもない。何らかの新しい方法というのが当然出ざるを得ないか、もしくは固定資産税は永続的に市町村の安定した財源として一定の水準を保っていくのなら、別の土地対策の税金、今の土地保有税その他、それとは変わった別のものを何か考えるべきか、何らかの方法がないと、大変均衡のとれにくい時代になつてきておるのじゃなかろうかなと思うわけです。役所の方も大変やりにくいんじゃないでしょうかね、これは。  そういう点で、今局長のおっしゃったことは、理屈の上では確かにそのとおりなんですけれども、では、それを現実にやるときには、両方満足させてやるか、こうなりますと、なかなか難しい問題ですね。だから、これは思い切って固定資産税そのものを現状のような形で、今局長がおっしゃったような形で不正常要素を抜き、時価も見るということでそのままいく。しかし、一方極めて高騰したものについて、しかも土地、移動するには、今短期の譲渡その他についてのミニ土地保有税その他あるけれども、それとは別個にもう少し何か普遍的なもので税制を考えるべきか、あるいは固定資産税そのものにそういうものを織りまぜた行き方をすべきか、何らかの節目に来ておるのじゃなかろうかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  36. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のとおり、今回の地価高騰を踏まえて固定資産の評価あるいは固定資産税負担を考える場合には、大変難しい問題がいろいろございます。こういう地価高騰というものがそれほど毎回毎回あるというふうには考えられないわけでございまして、極めて異常な時期に固定資産税の評価がえを迎えるということで、この異常な時期という点は、やはりある程度考慮に入れた評価がえを考えていくべきではないかなという感じが私にはするわけでございます。  いずれにしても、今御指摘のとおり、固定資産税についてはまず評価の問題と、その評価に伴って税負担がどうなるかという税負担の問題とを一応切り離して、評価は評価として適正に評価しなければ、これは税負担の不公平というものが出てくるわけでございますから、この評価は適正な評価ということで、次回の評価につきましてもよく検討した上でやってまいらなければいかぬと思うわけでございます。  しかし、その結果どういう格好で、例えば三大都市圏とその他の地域におきましては地価の上昇ぐあいが違うわけでございますから、恐らくそれが反映されて評価が、伸び率が大きく違ってくるというような場合には、それがそのまま税負担に反映されてくるということになった場合に、今御指摘のようにずっと住宅を持って住んでおられる方々が、給与収入もふえないのに固定資産税だけがどんどんふえていくということが起こった場合に、これは大変な問題になるということも頭に入れてこの作業をしていかなければならないわけでございますので、この評価と税負担との兼ね合いというものをどう組み合わせて考えていくかという問題が一つございます。  それと同時に、今御指摘のように、特別土地保有税でございますとかその他の保有課税、といっても通常固定資産税のように市町村の安定的な普遍的な税制のほかに、特殊な、遊休地でございますとか、そういうものに対する税負担の強化というものを組み合わせて税負担を求める、こういう考え方他方にあろうかと思います。この辺は、私どもも今直ちにこういう方法がいいということがなかなか言えないわけでございます。  実は四月から税制調査会が本格的に土地税制検討してもらうということで発足の準備を今進めていただいておりますので、こういうところでよく議論をしていただきまして、一方では、税負担が過重になってその不動産を手放さなければならなくなってしまうというようなことのないように、また遊休地で含み資産をたくさん持って、税が安くて過大な利益が出ているというようなこともないような、そういう保有課税というものをこれから考えていかなければならないのじゃないかと考えております。
  37. 安田修三

    ○安田(修)委員 さてそこで、事業税関係で、これは事業税の外形標準課税について皆さんの方で研究を進めておられるということは、昨年もお話しになっているわけでありますが、法人の約半分は赤字ということで、ほとんど法人事業税を免れておる。そこで、外形標準課税というのはそういう点では安定した都道府県税収入という点で以前から言われておることでございますが、研究は大体どのような経過になっておるのでございましょうか。
  38. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 事業税につきましては、たしか昨年も安田委員からお話がございまして、この事業税についての税の性格論あるいは税収というものが各都道府県に安定的に確保できる、そういう税制度にするべきではないかというようなことから考えますと、外形標準を導入するということが一番望ましい考え方だということでお話をいただいたわけでございますが、この問題については昨年も申し上げましたとおり、企業関係税とかあるいは間接税などの税制全般とも非常に関連するという問題でございますので、従来は課税ベースの広い間接税との関連で検討するということで検討がなされてきたわけでございますけれども、先般の税制改革におきまして、新しいタイプの間接税、消費税が誕生したわけでございまして、その際に、事業税につきましては、別途この問題については検討をするということにされたわけでございます。  そこで、その別途検討するに当たってどういう視点からいろいろな問題を議論するかということで、今お話しのような外形標準の問題でございますとかあるいは分割基準の問題がこれで適正かどうか、あるいはこの事業税そのものの性格論といいうものをもう少し詰めておく必要があるのではないかというような問題等を含めまして、この実務者レベルの方々で研究会をつくって今鋭意勉強会、研究会をやっていただいているところでございます。  昨年も申し上げましたが、この研究会は一応予定としては二年間を予定いたしておりまして、明年度中にはその研究成果というものを出してもらいたいと思っているわけでございますが、現在は関係方面の意見をいろいろと聞いたり、外形標準の問題でございますとかあるいは先ほどの分割基準の問題でございますとか、そういうような問題点の洗い出しというものを中心にして検討が行われているところでございまして、現状の分析、そういうものを主にやっております。二年度目からは、そういう現状分析を踏まえてどういう方向づけがあり得るかということにこの論点を移していく予定になっているわけでございます。
  39. 安田修三

    ○安田(修)委員 それで次に、私、消費税関係でちょっと途中に入れますけれども、今年度の地財計画の中に含まれる歳出等あるいは歳入等に占める消費税関係は幾らかということは、昨年もお聞きしておるところでございますが、先般、地財計画等をいただきましたが、一体二年度のこの地財計画等では、消費税歳入歳出ともにどの程度含まれているか、こういう点をお聞きしたいわけですが、聞くところによれば、まだ出してないということでございますけれども、そういう点、ちょっとおわかりのところをお聞きしたいと思います。
  40. 持永堯民

    持永政府委員 平成年度地方財政計画におきます消費税の金額でございますけれども、実は平成元年度の場合におきましては、消費税分が歳出で約六千億、歳入では二千六百億程度あるということをお示しをしたわけでございますけれども、二年度の場合におきましては、これは実は消費税もいわゆる平年度化をいたした状態になっておりますし、また平成元年度で既にいろいろな経費の中に消費税分も溶け込んだ状態になっておるわけでございまして、そういった溶け込んだものを前提にして、それをベースにして明年度歳入歳出の増加額を見込むというようなやり方をいたしておりまして、この消費税に関連する部分が歳出歳入でどの程度入っているかということについては、算出することは非常に難しいことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  41. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、私、織り込みで溶け込んでおるからということなんでございますが、しかし、例えば一般行政経費あるいはまた投資的経費等見ても、消費税もなかなか大きい。今もおっしゃったように、歳出では昨年はおおよそ六千億円、歳入では二千六百億円。ですから、仮に一兆円の仕事と言っても中身は一体どれなんだ、風袋抜いたら幾らなんだ、こうなってくるわけですね。  ですから、これは私たちも、例えば私先ほど投資的経費三〇%、来年は三一・八%、こういう問題を言いましたが、ではそのうち中身としては一体どれだけの仕事をやれるんだ、こうなりますと、やはりこういうものを抜かなければわからない。したがいまして、私はこれは計算して出してもらいたいと思います。当局にも要求していきますし、委員長、これは地方行政委員会としても正式に自治省の方に要求していただきたいと思います。去年は出ておったのですから、消費税論議がずっと、これは外税としてこういうことでありますし、それから消費税論議がずっといく以上は、毎年この問題は免れるわけにはまいらないと思いますし、もしこれが出てこないようだったら中身が明らかでないということで、審議ができない事態も私はあり得ると思うわけです。  そういう点で、来年度財政計画その他はまだ本会議にも提案されておりませんので、きょうはそこまでは触れることはありませんが、事務当局にはそれはひとつ出していただきたい、それから委員長には、委員会としてそれは理事会で御相談の上、当局に提出を求めていただきたい、こういうことを申し上げておきます。  さてそこで、国民健康保険制度の見直しについて、何となく三年後に送られた感じになったわけでありますが、いつもいじくり回しているうちに国の負担分が少なくなって、そして地方負担分が多くなるというようなことになっていくのじゃなかろうか、こういう懸念がされてくるわけであります。  今回の見直しで老人保健医療費拠出金に対する国庫負担率の調整ということで、国庫負担率が五一一・三%から五〇%になって国庫負担が三百二十二億円減となっています。全体の調整では国保料の負担も少なくなっているわけでありますが、だからといって国保事業に対する国の責任回避になった場合は大変だ、あくまで国保事業というのは国の事業である、そういう点では国の負担額、負担率、そういう点の柱というものはやはりしっかりしておかなければならぬ。それから、医療制度全般の見直しがあって、そうした中にいわゆる方向性が出るのなら、これはそれなりにまた論議をしていかなければならぬ、こう思うのでありますが、さて、先送りになった、そしてまた、今回の場合大臣も、選挙もあり、かわってしまっているわけでございますが、今後の見通しについてどういうぐあいに考えておられるか。
  42. 持永堯民

    持永政府委員 国保の問題につきましては、いろいろ経緯もございますので、私の方からまずお答えをさせていただきます。  今お話ございましたけれども、六十三年度に二年間の暫定措置ということで二年間やってまいりまして、今回見直しをいたしたわけでございます。今回の見直し内容としては、一つ暫定としてやってまいりました保険基盤安定制度、つまり軽減保険料に対する補助金の問題でございますが、これについては国の負担も実質的に充実をするという措置をとりまして、それとあわせてその制度化をきちんとするということにいたしたわけでございます。  それから、今お話がございました国庫負担金の調整も確かにございました。一方で、老人保健制度の中で加入者按分率の引き上げの問題も行われました。結果としては、全体として今回の見直しで、国民健康保険保険料負担が八百五十億円程度軽減になるというようなことになっております。そうした中で、いわゆる高額医療対策としての高額医療機器共同事業、つまり再保険事業でございますが、これにつきましては、実は地方団体の間でもいろんな意見がございまして必ずしも意見がまとまらない。いろんな評価も違います。そういったこともございましたものですから、これについてはさらに三年間暫定を続けて、その状況を見て三年後にひとつもう一遍考えようということにいたしたわけでございます。  今回の見直しに当たりましても、今もお話の中にございましたように、やはり保険医療制度の一元化の問題でございますとか、あるいは医療費の適正化の問題でございますとか、そういう基本的な問題をまずやるべきではないかという御意見も多々あったわけでございます。確かにそのとおりでございます。がしかし、現状におきましてそういう本当に基本的な問題までやっていくということにつきましては、なかなかこれは保険制度の間でも利害が反する面もあるということもございまして、現実問題、すぐに解決ができないという問題があることもまた事実でございます。  そういったことで今回の見直しは、今の情勢の中で、現時点で考えられる必要な改善措置をとった、こういう理解でございまして、今後さらにこの全体の基本的な問題がどうなっていくのか、そういう状況の推移を見ながら、さらに国民健康保険のあり方についても、その安定化を図るためにいろんな方策を考えていく必要がある。これで決しておしまいではない、こういう理解をいたしておりますし、同時にその際に、今お話ございました、国保というのは基本的には国の負担保険料でやっていくべきものである、そういう基本的な性格を踏まえてさらに十分将来検討していく問題である、問題はまだ残っておる、こう考えておるところでございます。
  43. 安田修三

    ○安田(修)委員 ちょうど時間になりましたので、以上で終わります。
  44. 野中広務

    ○野中委員長代理 小林守君。
  45. 小林守

    ○小林(守)委員 新人議員の初の質問に当たりますので、包括的なものになろうかとは思いますが、大臣及び関係の局長等の皆さんには、懇切丁寧な御答弁のほどをお願い申し上げておきます。  まず最初に、昨年の十二月二十日に内閣総理大臣に提出されました臨時行政改革推進審議会、いわゆる新行革審の答申がなされたわけでありますけれども、それを踏まえまして新しい大臣の九〇年代の国と地方関係のあり方についての基本的な所信をまずお伺いしたいと思います。特に、地方の時代という九〇年代に向かって、国民の大きな課題と期待を担っている地方自治の確立、これらについては既にお触れになっておりますけれども、地方税財源の確保、拡充が大きなそのポイントになろうと思いますし、もう一つは、地方の自主性や主体性の確立と権限の移譲も含めまして地方への分権、そういう観点からの地方自治の確立というものもあろうかと思います。この二点を踏まえましての九〇年代に向かっての国と地方関係等についてどのようにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。
  46. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生指摘のとおり、魅力のある地域づくり、私たちはふるさと創生を端緒にしてのふるさとづくりを推進していくということが、今緊急の当面の課題であると思っております。特に、御指摘のように九〇年代はまさに地方の時代でなければならぬと思っております。したがって、行革審答申にもお触れになりましたけれども、事務権限、地方に対する権限移譲の問題も指摘されております。もちろん国の権限譲与は府県に対しても必要でございますし、また府県から地方自治体市町村自治体への権限譲与も必要でございますし、目指すところ、個性あふれる、しかもそれぞれに誇りを持てる、潤いのある自治体であってほしい。  そのためには、御指摘のように自主的な財源確保、これにも当然協力してまいらなければなりませんし、また交付税の増額等々の問題点も、先ほど安田先生もお触れになりましたけれども、これらにも努力いたしまして地方の行財政基盤を強化していく。そして地方分権が一層進んでいくという形の中で、実は自治省平成年度体制に関しましてもいろいろなメニューをたくさんつくりまして、自治体にも大いに知恵を出してほしい、そしてその知恵の出した努力によって私たちはうんとこれにお手伝いをさせていただくという形で、今後のふるさとづくりにてこ入れ、後押しをしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  47. 小林守

    ○小林(守)委員 地方税財源の確保という点での造詣の深い御答弁をいただいているわけですけれども、この新行革審の答申の中には、「地方財政運営の基本的指針の設定」という項目の中で、「中長期的にみて、財政の健全性を確保し、国民負担率の増大を抑制するため、国と同様、地方財政についても、適度の経済成長率が維持されていることを前提に、地方財政計画の歳出規模の伸び率は名目成長率以下とすることを原則とする。」そして第二点は、「地方財政状況等を踏まえ、財源余剰が見込まれる場合にあっては、引き続き、交付税及び譲与税配付金持別会計の借入金の償還等に優先的に充当するものとする。」こういうことが踏まえられて、第三点としましては、「地方財政状況の推移等に応じて、地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」このように書かれているわけであります。  特に今回問題にしておきたいなと思いますことは、いわゆる地方自治体から見るならば決して財源余剰とは言えるような状況ではありませんけれども、国の方の地方財政計画の観点からするならば、ここ一、二年いわゆる財源余剰的な計画になってきていると見ざるを得ないわけであります。その中身がいわゆる借入金等の償還に優先的に充てられてきている、そういう点にあらわれているわけでありますが、今後このような状態が続くならば、第三点で申し上げましたような「地方財政状況の推移等に応じて、地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」この辺のあり方、運用についてどうなっていくのか、大変心配な面もあろうかと思います。というのは、地方は財源が余剰なんだというような方向に認識が進んで、さらにいわゆる借金の返済が進んでいくという状況の中にあって、地方財政状況の推移を見た場合にはどのような財源調整がされるのか、そういう心配の方が今出てきていると思います。この問題についてどのようにお考えになっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  48. 持永堯民

    持永政府委員 御指摘の答申の問題でございますけれども、一つは、「財源余剰が見込まれる」云々というような表現がございますけれども、私どもとしては、現時点においても決して財源剰余があるとは考えておりません。といいますのは、借金はまだいっぱいあるわけでございますから、借金返済も必要であるということまで含めて、全体として考えれば決して財源余剰ではない。ただ、単年度の財源措置については、必要な財源措置を見込んだ上で適切な歳入歳出を見込んで、そして交付税総額を確保して、その上で財政事情が許せば借金返済に充てていくというやり方をしているわけでございます。そういった意味では、「優先的に」というふうに書いてございますけれども、必要なものは必要なものとして確保した上で借金を返済する、こういう考え方対応しているわけでございます。  それから第三項と申しましょうか、国・地方間の財源調整との関係でございますけれども、確かにこの地方交付税法の規定によりますと、引き続きある程度の交付税総額が必要な額と実際の額とに乖離が出た場合には、財源調整をするという法律があるわけでございます。その法律は法律として当然あるわけですから、法律は守るべきものでございますけれども、現在の見通しということから考えますと、高齢化社会の問題あるいは地域振興の問題等々ございますけれども、恐らく今後とも地方団体財政需要はさらにふえていくだろうということもございます。  一方におきまして税収の方につきましても、たまたまこの数年間はある意味では一過性の税収の好調ということもございますし、普通のときにはないような要因の税収の伸びもあったわけでございます。いつまでも税収のこんな伸びが続いていくということはなかなか予想をしにくい面もございます。これからの経済情勢いかんによりますけれども、いつまでもそういう税収が好調ということはないだろうということも考えますときに、歳入歳出両面考えると、今お話ございました第三項の事態になるというようなことは、遠い先のことは別といたしまして、私どもが頭の中で考え得る限りにおいてはそういうことはないだろうというふうに考えております。
  49. 小林守

    ○小林(守)委員 一応安心をさせていただいたわけなのです。しかし、各地方自治体におきましては、基金の創設等が非常に多くなってきておりまして、一般的に見るならば、そこへ財源を留保しておくというようなやり方、それから年度間調整のためにとっておくというような基金もあります。さらには、いろいろな新規事業のための基金制度をかなり設けてきているような状況を考えますと、やはり財源の余裕といいますか、そういうものについて適切な使い方が進められていないのではないか。社会資本整備等においてもっと緊急にやらなければならないものがあるにもかかわらず、どちらかというと基金的なものとしてとっておく、そんな感じがいたしておるわけですけれども、それらについてどうお考えになっておられるか。  それからもう一つは、特に社会資本の整備を進めていくためには、やはり基準財政需要額の単位費用のアップというか、それを充実させていくことが極めて大事なことだろうと思います。それを抑えておくことによっていわゆる財源余剰だというような話が出てきてしまうのではないか、そのように思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  50. 持永堯民

    持永政府委員 一つは基金の問題でございますけれども、各地方団体でいろいろな形の基金をつくっておりまして、確かに決算等を見ますとそれがふえてきておるのは事実でございます。この基金の中にも、借金返しのための基金でございますとか、例えば将来県庁舎をつくるとか市役所をつくろうというためのそういう特定目的の基金もございますが、そのほかに一般的な、いわゆる財政調整基金というものがあるわけでございます。  私どもとしては、財政調整基金を持つなということまでは言えないわけでございますけれども、今おっしゃいましたように、やはり基本的にはなるたけ必要な事業住民の福祉の向上なり地域の環境整備のための事業を積極的にやってもらいたいということは、日ごろから指導をさせていただいているわけでございますけれども、率直に言いまして、昔、昭和三十年代の初めごろに財政再建になったとか、あるいは五十年代に非常に苦労したとかいう経験等もあるものですから、なかなか慎重に対応されているところもあるのは事実でございます。しかし、基本的には、毎年度財政運営につきましては、よほど特異な団体は別といたしまして、通常の仕事をやっていただいている団体におきましては、毎年度の財源については毎年度地方交付税なり地方財政計画を通じて措置をするということになっておるわけでございますので、そういう点も御理解をいただきながら、おっしゃいましたようになるたけ積極的な投資をやっていただきたいということは、これからとも指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから単位費用の問題でございますが、これは投資的経費の単位費用についても年々必要な見直しをしてまいっておりまして、これからまたいろいろな、例えば五カ年計画が改定されるとかいうようなこともあると思います。そういった投資の規模等をにらみながら、必要に応じてまた改定をしてまいりたいと思っておりますが、そのことが単位費用が上がらないから貯金が多いということに結びつくかどうかは別といたしまして、やはり基本は、さきに申し上げましたようなことで各団体でも積極的な対応お願いしてまいりたいというのが基本でございます。
  51. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは地方税財源の問題については、最後にもう一つだけ確認をさせていただきたいのですが、交付税法の第六条の三第二項の条文の中に、「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き各地方団体について算定した」いわゆる基準財政需要額と基準財政収入額の「額の合算額と著しく異なる」、そういう場合には、制度の改正または税率の変更を行うものとするという条文がありますけれども、これについて「引き続き」ということと「著しく異なる」、そういう状態が続く場合には、その税率の変更も含めて検討するんだということがあるわけです。これについては昭和二十九年の地方行政委員会答弁にも触れておりますが、今日も変わらないというふうに考えていいのかどうか、それを確認したいと思うのです。
  52. 持永堯民

    持永政府委員 二十九年の答弁をちょっと持ち合わせておりませんで、そのとおりかどうかあれでございますけれども、私どもの現在の考え方は、恐らく同じだと思いますけれども、「引き続き」といいますのは、二年間そういう状態が続きましてさらにその次の三年目においても同じように見込まれるとき、こういう解釈でございます。「著しく」というのは、普通交付税の総額が各地方団体ごとの財源不足額を集計したもの、合算額と比べましておおむね一割程度の、一割以上の過不足がある場合、こういう解釈をとっておるわけでございます。
  53. 小林守

    ○小林(守)委員 大変すばらしく勉強されている方だと思いますけれども、全くそのとおりでございますので安心をいたしました。  それで問題は、その当時の認識というのが、「引き続き」というのは赤字の状態が引き続きというような調子に考えているんですね。それから「著しく異なる」というのも、やはり交付税所要額が、一割以上税源が足りないということを想定した場合に、税率の変更を考えるというような背景のもとに解釈されている答弁だと思いますけれども、今回の場合は、今度は逆に赤字というような状態でないことを想定した場合にどうなのかということが心配なんだということなんです。  この二十九年当時の質問等の背景には、財政赤字、地方税財源の赤字というものを前提にしての質問でありましたから、そういうことで二年間赤字であって三年目も赤字が想定されるという場合に、「引き続き」という状態なんだということ。それから「著しく異なる」というのは、やはりそういう財源が一割以上足りないということを前提にして交付税率の変更も考えるというようなことを背景にして答えているのですが、今の状態はちょっと逆になってきていると思うのですけれども、その辺についてどうでしょうか。
  54. 持永堯民

    持永政府委員 先ほどの答申とも若干関連があるかと思いますけれども、現在の状態といいますのは、先ほど申し上げましたように借金返しというのは、やはり余っているわけじゃないわけでございまして、借金を返すことは必要なわけでございますから、それは余ったとは我々思っておりません。ただ地方財政計画、今年度地方団体に交付する交付税交付税の原資を比べれば、確かに借金返しの分だけ開きがありますから、それは今年度だけ見れば余っているという言葉を使えないことはないかもしれませんけれども、全体からすれば余っているわけではない。したがいまして現在の、ことしの時点で、平成元年度あるいは平成年度におきましてもそれに該当するような事態ではない、こう理解をしております。  それから、さらに先のことでございますが、これは先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますので簡単に申し上げますが、これから地方団体財政需要もふえていくだろう。一方財政収入、税収の方も現在のような非常に高い伸びがいつまでも期待ができないだろう等々を考えますときに、そういう規定に該当するような事態が、まだずっと先のことはともかくといたしまして、私どもが考えられる範囲ではそういうことはないだろう、このように考えております。
  55. 小林守

    ○小林(守)委員 次に、いわゆる地方の自主性、自立性の観点から、地方分権の推進という観点からお聞きしたいのですが、今日、日米構造協議の問題の中で大店法の問題、大規模小売店舗法の廃止圧力が極めて強くかかってきているわけです。しかしながら、自治体におきましては条例等によりまして、中小小売店等の保護のために横出しとか上乗せの規制を行っているわけです。  この辺について、例えば法改正というものがあるのかどうかわかりませんけれども、その条例を通達や指導によって廃止するようにとか、運用を大幅に緩和するようにというような強力なものがあった場合に、自治体と国との分権に関する問題、地方自治の問題について、自治立法権の問題も含めまして大変大きな問題に発展するのではないか、そのように心配をするわけです。これらについて、地方自治体の自主性、自立性の尊重という観点からどのように対応していくのか、お聞きしたい、そのように思います。
  56. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 大店法の問題でお尋ねがございました。  委員指摘のように地方公共団体におきまして、当該地域の独自性、特殊性等を反映いたしまして、かなり多くの団体でいわゆる横出し、上乗せの規制をやっておることは事実でございます。これは、翻って考えてみますと、仮に大店法がありましても、地方団体の独自の立法権と申しますか条例制定権というのは、法令に違反しない限りにおきまして憲法及び地方自治法によって保障されておるわけでありまして、一概にその地方団体の条例自体が直ちに違法だ、こういう問題ではなかろう、こう思います。依然として地方団体にはそれらの権限が残っておる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。  ただ問題が、この大店法の行方がどうなるかよくわかりませんが、いずれにいたしましても規制緩和の方向が時代の趨勢でございます。地方団体の中で合理的でないと認められる程度のものまで規制を加えるということは、これはややもいたしますと、一方では消費者の利益をないがしろにすることにもなりますし、その意味である程度の見直しをする必要がある場合も出てこようかと思います。ただ、これはあくまでもケース・バイ・ケースの話でございまして、私どもの方で一般的にすべての地方団体の条例、規制が適当でない、こういうことは申すつもりはございませんで、地域、地域の実情に応じてそれらは考えていくべきもの、こういうふうに考えております。
  57. 小林守

    ○小林(守)委員 地方自治基本的な護民官をもって任ずる自治省のかたい決意というか、なおかつ、やはり日本全体の経済の今後のあり方も含めまして大変難しい問題だと思いますけれども、とにかく強権的な指導については我々は認められない立場に立って、そして、なおかつ大店法の持っている問題点もあるわけでありますから、住民の参加の中で、消費者の参加の中で、なおかつ小売店の利害の調整の中で、この問題については十分に地方自治の原則を守りながら解決の方策を見出していっていただければ、そのように考えているところでございます。  次に、NTTの株式売り払い収入による無利子貸付制度に係るいわゆる第三セクターの問題に触れてお伺いしたいと思うのですけれども、今度の不動産取得税改正の中でも、第三セクターの取得する公共施設用地に係る非課税措置の二年間延長が入っております。直接これとは違うわけですけれども、今日第三セクターの活用については地方団体において極めて積極的な新しい行政手法として注目され、また、その活用の仕方によっては極めて有効に地域の活性化等にも寄与できる、そういう評価もされると思うのです。  問題は、民活ということで民間資本の導入も絡んできますので、一つにはその経営責任と、さらに公共性の確保はどうなのかというような問題、特に監査指導機能についてはどういう制度的な保障があるのか。そしてもう一つは、例えばそこに地方公務員等が派遣される、そういう状態も当然あるわけでありますけれども、その人事的な管理面で身分の問題はどうなのか。さらには、その職員が持っている、また行政主体が持っている行政情報が私物化されるおそれはないのかどうか。そういう点、さまざまな問題を抱えている現状にあろうかと思いますので、これらについてやはり明確な行政の責任体制の確立を急ぐ必要があるのではないか、そのように考えるところであります。  今日の第三セクターについての自治省考え方と、責任体制の確立についてはどのようにとらえられているのか、それについて最初にお伺いしたいと思います。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お答えいたします。  ただいま委員おっしゃいましたように、第三セクターでございますが、地域開発等の分野におきまして、直営方式にかわる民間活力を利用した新しい行政手法として活用されるケースが非常に多くなってきているわけでございます。こういう第三セクターの適正な運営が確保されますならば、これは多様化し、また高度化してまいります住民ニーズにこたえていきながら、さらに効率的に住民福祉の向上に貢献し得るということでございますので、基本的にはその特性を生かしつつ健全な育成を図っていかなければならないだろう、こういう認識でおるわけでございます。  そこで、ただいまお触れになりました経営責任の問題というものが確かに挙がってまいるわけでございます。第三セクターの運営に当たりましては、経営責任の所在というものは明らかにしてまいらなければならないと思いますし、確固たる責任体制に基づきまして組織の編成でございますとか業務運営、また人事管理等ということも行いまして、最大限効率的な運営が図られますように、地方団体側としても配慮してまいらなければならないだろうというふうに認識をいたしております。  そこで、御質問がございましたが、そういう公共性を確保するときにどういうことになっておるかということでございます。第三セクターの業務運営におきまして、現在私どもの方では出資比率ということで一つ関与いたしておるわけでございますが、地方公共団体の出資割合が五〇%以上の場合には、地方公共団体の長による関与でございますとか議会による関与がなされることになっております。それから二五%以上になって、二五%出資ということの場合には、監査委員による関与というものも行われておるわけでございます。さらには、それより下回る場合にも、株主としての権限ということで、いろいろその第三セクターに関与しているといったような仕組みで今運営がなされておるということでございます。  以上でございます。
  59. 小林守

    ○小林(守)委員 そこで、特に問題だと思いますのは、四分の一未満の出資比率の第三セクターというものが非常に多くなってきている。小さな出資の第三セクターをつくって、行政はちょこっと顔を出しているというような感じのもので運営されているのが目立ってきているのではないか。そういうことになりますと、公共団体が関与している第三セクターという一つの社会的信憑性というか信頼性というか、そういうものに寄りかかったやり方をとって、なおかつ実質は私企業的な性格を非常に強くしてきている、そういうものが出てくるおそれがあるのではないか、そういうふうに心配するわけです。いわゆる二五%未満、四分の一未満出資の第三セクターに対する監査指導機能というのですか、それについては株主という立場での関与があるのだということなのですけれども、実際に野放し的な状態になっているのではないか、そのように考えますけれども、何らかの監査権限というものはないのかどうか、それらについてどのようにとらえているか、お伺いします。
  60. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいまおっしゃいましたように、二五%を下回る出資をしておるという場合が出てきておるわけでございますが、これは一つには、まず出資をする場合に議会で予算を審議していただきますが、その段階で十分議会の意思が反映されるということはあると思います。それからただいま申し上げましたように、例えば株主としての権限でございますけれども、百分の一以上でございますと検査役の選任の請求とか、それからまた一定の事項を株主総会の目的とする請求権、こういったものもあるわけでございますから、そういうものを通じて十分コントロールをしていかなければならない面が出てくるだろうと思います。  しかし、そういう商法上なりの問題を超えて、地方団体としてそういう第三セクターに対しては必要な場合には、やはり非公式な面でもいろいろそれは情報をとるなりコントロールするなりという必要はあるだろうと思いますが、いずれにいたしましても、そういう出資が二五%を下回る第三セクターにつきましても十分配慮をしてまいらなければならないというふうに考えております。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕
  61. 小林守

    ○小林(守)委員 一つは、例えば最初つくる時点では四分の一以上の出資の比率になっている、しかしながら、途中で増資をするとか何かのことを進めていった場合には、とても公共団体でそこまで今度はつき合っていられないという状態になりますと、出資比率が四分の一未満になってくるという状態も当然考えられると思うのですね。  そういう形で、そのセクターをつくるときには一応公共団体の責任というものを明確にする意味で、四分の一以上の出資比率を確保する、そういう姿勢はあるかと思いますけれども、しかしながら、時代の推移の中で、社会情勢の中で、出資比率が民間がどんどん高くなって公共団体の出資比率が少なくなる、そういうことは当然考えられるわけですけれども、そうなった場合に一番心配されるような問題が出てくると思うのですよ。そういうことも踏まえて、やはり基本的には行政の監査権限、監督権限が及ぶ四分の一以上出資をしなければならないということとか、それ以下についてはとにかく第三セクターとしての設立は行政は関与できないというぐらいの姿勢を示していかないと、極めて野方図な財政運営になっていくのではないか、そういう心配があるのですが、いかがでしょうか。
  62. 芦尾長司

    芦尾政府委員 先ほども申し上げましたように、第三セクターの利点を生かしていって、そしてその地域の活性化を図っていくということは、これは一つ大きな命題があるだろうと思うわけでございますが、その第三セクターをいかにうまくコントロールしていくかということが地方団体のこれからの大きな課題でもあろうというふうにも思うわけでございます。私どもといたしましても、そういう点につきましてこれからも十分研究を重ねていかなければならないだろうというふうに考えております。  しかし、いずれにいたしましても、第三セクターに対する地方団体の関与のあり方として、一回出資をしてしまえばあとはもう第三セクターに任せておくとかといったようなことではなくて、やはり絶えずそれは第三セクターとの間の意思疎通というもの、情報の交換というものもやっていかなければならない、それが地方団体の大きな課題であろうと思うわけでございます。
  63. 小林守

    ○小林(守)委員 いずれにしても、早急に行政の責任体制を確保する意味で、また公共性を確保する意味で、監査指導権限機能のシステムをしっかりと確立してほしいというふうに要望をさせていただきます。  それで、もう一つは、職員の問題について身分上の取り扱い、さらには、公共団体からの派遣というような場合には、その職員が持っている、第三セクターの中で公共団体が持っている情報を好きに使えるといえばおかしいのですけれども、その行政情報が正しく使われているのかどうか、公共的なサービスのために使われているのかどうか、これがいつの間にか私企業的な情報の提供になってしまうのではないか、そういう心配があるわけですけれども、職員の身分の問題と行政情報の保護の問題についてどのように考えていくのか、お伺いします。
  64. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 第三セクターに地方団体の職員が事実上出向して仕事をしておる、こういう例は数多くあるわけでございます。ただ、その身分取り扱いを見てみますと、職務専念義務の免除という形で行っております場合もありますし、あるいはまた、休職という形をとって行っておる場合もありますし、あるいは単なる事実上の業務命令という形で行っておる場合もございます。いろいろな形で出向しておるわけでございますが、いずれの方式をとりましても、それぞれにつきまして問題点があるわけでございます。例えば、退職手当の通算期間が短くなるとか、災害の起こった場合にその補償をどうするかとか、こういう難しい問題が出てまいります。そこで、私どもの方でかねてから、第三セクターの職務に従事する地方公務員につきましての身分取り扱いに係る研究会のようなものを発足させておりまして、現在、その審議が大詰めに来ておる段階でございます。いずれこの研究会の研究成果をまちまして必要な措置等を講じていきたい、こういうふうに考えております。  それから、情報のコントロールが難しいという御指摘がございました。地方公務員であります以上、地方公務員につきましてはいわゆる守秘義務というのがございまして、みだりに情報が他の者に漏れることはない、こういうふうな規定が地方公務員法に定められておりまして、現実にもそれが遵守されておるところでございますが、ただ、第三セクターの中に民間の方がいらっしゃいまして、その民間の方が得ました情報を漏らされるという場合には、これは当然のことながら地方公務員法は及ばないわけでございますので、その辺のコントロールが難しいかと思います。  先ほど委員もお話がございましたように、いわゆる第三セクターの管理につきまして公的な規制を加えるということも一つの方法でございましょうし、あるいはまた、第三セクターであります以上、逆に今度は余り公的な規制を加えるとその自由な活動が阻害されるこういう面もございます。その辺、非常に難しいところでございますが、情報がみだりに外部に漏れてそれが第三セクター、ひいては地方団体に損害が及ぶことのないように、これからも十分注意をして指導をしてまいりたい、かように考えております。
  65. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは次に、今回大きな問題になっている特別地方消費税の問題につきまして、先ほど星野委員の方からの質問に対しまして、国の消費税見直しとは関係ないというような御答弁があったわけですけれども、決して私は関係ないとは思えないわけでありまして、その導入の経過等について振り返ってちょっと御説明をいただきたいと思います。  今回、去る昨年の七月の参議院選や、本年の二月の衆議院選では、まさに国論を二分しての選挙戦の争点として争われたわけでありますし、野党四党は今国会で廃止法案、三法案を出そうと予定しているわけでありますし、それの代替財源としましても、地方税改正でこの特別地方消費税も含んで提案を予定しているわけでありますから、それ以前にこういう形で平成年度地方税の枠組みが決まってしまうということについては、我々は同意できないわけでありますし、少なくとも分離して考えるべきだ、論議すべきものだ、そのように考えておりますけれども、国の消費税見直しとは関係ないという論点についてもう一度明確に御説明をいただきたい、このように思います。
  66. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 特別地方消費税は、地方行政サービスと密接な関連を有するということから、従来から高額な飲食宿泊等消費行為について都道府県課税することにしていたわけでございます。これは昔は料理飲食等消費税という名称でございましたけれども、先般の税制改革によりまして税の名称は、特別地方消費税という名称に変わりましたけれども、基本的にはその考え方はそのまま踏襲され、道府県の固有の税であるというふうに私どもは考えているわけでございまして、ただこの点、この特別地方消費税に改められた段階におきましては、御案内のとおり、消費税を創設するということによって国民税負担が二重になってはいけない、あるいは過重になってはいけないということで、税の調整を行うということによって、特別地方消費税につきましても免税点を大幅に引き上げまして、そして消費税との税の調整を行ったというところでございます。  これは、特別地方消費税に限らず、他の残された間接税、たばこでございますとかあるいは酒の税でございますとか、そういうものもすべてそういう形で調整が行われたわけでございまして、この点でこの消費税とは全く課税趣旨も、それから課税団体はもちろんこれは都道府県でございますので、国ではございませんで、課税団体も違うということで、全く別個の税制度として現在も運営されているわけでございます。  そして今回、免税点引き上げを行おうとする趣旨は、最近の消費動向とかあるいは消費態様変化等を考えまして、いわば最近のグルメブームというものとかあるいは旅行ブームというような国民消費行為というものの質が非常に向上している、その質の向上対応いたしまして、国民税負担を幾らかでも軽減をしよう、こういう考え方で都道府県税独自の判断として免税点引き上げを行おうというものでございますので、国の消費税見直しとは全く関係のないものでございます。  そういう趣旨で、私どもはこの特別地方消費税を今後末永く都道府県の税として維持し、そしてまた都道府県住民皆さん方に理解をしてもらう、こういう趣旨からこの税制を今後とも大事に育てていく、そのために今回の税負担軽減ということを行ったということでございますので、この点をぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  67. 小林守

    ○小林(守)委員 一つは、この導入は昨年の四月からということでいいと思うのですけれども、それからまだ一年たっていないのですが、どうして例えば免税点の五割アップというものが出てきたのか。消費生活動向とかそういう理由対応して改正するんだということでありますけれども、全く消費税とは別個だというような論点として挙げておりますけれども、最近の消費動向ということで、では五割もアップする理由があったんでしょうか。少なくとも一年にならない前の時点で、飲食については五千円、宿泊については一万円という形での免税点が引かれたわけですけれども、それが数カ月の間に五〇%上げるような最近の消費動向が著しくあったのかどうか、どうも納得がいかないということです。  その点について、先ほどの星野委員質問に関連して、答弁の中ではこの特別地方消費税の円滑な定着のためにこういうことを、免税点引き上げを行うのだということもありましたけれども、どうも消費税との絡みはないんだということを説明するには納得がいかない、そのように思いますけれども、いかがでしょうか。
  68. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 前回の税制改革の際に、名称を料理飲食等消費税から特別地方消費税に変え、そして免税点引き上げたというのは、これは先ほど申し上げましたように、消費税を導入することによって国民税負担が過重になってしまう、二つの税が課税されるわけですから、これは過重になってしまうので、それを過重にならないように調整をするという趣旨免税点引き上げたのが前回の免税点引き上げでございます。  今回の免税点引き上げは、そうではなくて、今後この特別地方消費税というものを税負担をしていただくに当たりまして、最近の国民消費動向というものを考えますと、消費水準の向上に伴って消費者の消費拡大とかあるいは消費態様多様化、質の向上というものが見られ、そういうものに対する対応という形で、国民の一層の税負担軽減を図るために今回行ったものが、免税点引き上げという形で行ったわけでございます。  なお、この免税点引き上げというのは、そういう意味で過去におきましても、数回、何年か置きに行いまして税負担軽減を図るということを従来からもやっておるわけでございまして、その一環として今回やらせていただこうというものでございますので、これは消費税の問題とは全く次元の違う話であるわけでございます。
  69. 小林守

    ○小林(守)委員 いずれにしても納得できかねるわけですけれども、この問題については、地方の固有の自主財源がいわゆる国の消費税、それから特別地方消費税という形で分割されるような形で地方財源が弱体化させられた、そういう観点で我々は考えているわけでありまして、これらの問題については今後当委員会理事会において再度御検討いただいていく、そういう方向お願いを申し上げたい、そのように考えているわけであります。いずれにしても我々としては廃止法案、関係法案を出していくわけでありますし、その代替財源の一つとしてこの特別地方消費税も含んで考えていく、そういう観点に立っておりますので、ぜひとも分離の方向で御検討いただければありがたい、そのように考えているところです。  もう一つはいわゆる日付の問題で、十月一日からということになっているわけですけれども、そういう点で考えるならば、日切れ法案と一括してやるべきものではなかろう、そのように思いますけれども、これについてもう一度お話をいただければと思います。
  70. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 この特別地方消費税免税点引き上げに当たりましては、この改正を円滑に推進するために、旅館の経営者の方々あるいは飲食店の経営者の方々に税を特別徴収していただくわけでございますが、この特別徴収義務者の方々あるいは利用者との間にトラブルが生じないようにするために、国や都道府県におきましてポスターとかチラシとかあるいはパンフレットなどをつくってPRをする、あるいは説明会を開催するというような周知徹底を図る必要がございます。それからまた旅館や飲食店などの方々には、この説明会を受けて、例えば会計機のプログラムの変更をしなければいけないとか、あるいは職員に対してその改正内容の周知徹底を図るというようなことをする必要があるということが考えられますので、従来から事前の準備期間を相当確保する必要があるということが言われておりまして、従来の免税点引き上げを行った際にも、その準備期間としてほぼ半年程度、長い場合には九カ月という場合もございましたけれども、半年程度の猶予期間をいただいて、そしてそのPR、事前準備というための期間として十月一日ということを施行の期日とさせていただいているということでございます。  そういう意味で、今回一緒に御審議をいただきまして一緒に成立をさせていただいて、これを各都道府県が条例化し、それをもとにしてPR活動その他の準備行為をするという必要がございますので、その点をひとつよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
  71. 小林守

    ○小林(守)委員 この問題については先ほども申しましたとおり、理事会の方で再度御協議のほどをお願い申し上げたい、このように思います。  それでは次に、個人住民税におきます個人年金の控除限度額引き上げ、さらに損害保険料の控除制度の創設に絡みまして、その趣旨説明の中に高齢化社会への対応というようなお話がありました。そのための自助努力なんだというような御説明が先ほどの答弁の中にもありましたけれども、この高齢化社会への対応という形の中で、自助努力というものが言われているわけですけれども、これについては個人住民税における個人年金控除、それから損害保険料控除基本的な考え方として、自助努力なんだという観点で法がつくられてきた、改正されてきたのかということを確認させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  72. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 住民税のような所得課税を行う場合に、いろいろな政策的な配慮から所得控除を行っているわけでございます。その中で、基礎控除とか扶養控除だとかあるいは配偶者控除というような一般的なものもございますけれども、今御指摘のような生命保険料控除でございますとかあるいは損害保険料控除というものも行っているわけでございます。  こういうものを行っている基本的な考え方というのは、今御指摘のように、やはり今後の高齢化社会というものを踏まえた場合に、公的年金だけを中心にして所得を得るということはなかなか難しいということで、公的年金を中心にしてその他の企業年金でございますとかあるいは退職金でございますとかあるいは個人年金でございますとか、そういうような個人資産と公的年金というものを適切に組み合わせることによって老後の生活を確保していく、こういう考え方基本的にあるのではないかと思うわけでございます。  そういう意味で、住民税におきましてもこの生命保険料控除を今回大幅に引き上げるとか、あるいは従来ございませんでした損害保険料控除を新しく創設するという考え方をとったわけでございます。一方、これは地方税法を直接改正はいたしておりませんけれども、公的年金控除につきましても所得税法におきまして、今度この控除の限度額引き上げております。これは自動的に住民税にはね返ってくる問題でございますので、これは住民税の方では改正はございませんけれども、公的年金控除もそういう形で控除の引き上げを行う。他方で、公的年金を補完する意味でのこういう年金関係につきましても控除を引き上げる、こういう形で総合的に今後の高齢化社会というものを見据えて今回の改正を行わしていただいたものでございます。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 小林守

    ○小林(守)委員 国民世論の中でいわゆる将来の高齢化社会に向かっての福祉を考えていく場合に、国民の多くの意向というのは、どちらかというとアメリカ型のいわゆる自助努力型の福祉ではなくて、ヨーロッパ型の福祉のパターンを希望している動向が強いのではないか、そのように思いますけれども、これは厚生福祉に関係することになりますが、高齢化社会に向かっての基本理念としては、自助努力というものを加味したものとして考えているのかどうか、その辺をお聞きしたいと思うのです。  というのは、なぜこういうことがちょっとひっかかっているかといいますと、消費税の導入の際に、高齢化社会に向かっての適切な財源確保なんだというようなことが常に強く言われてきたわけでありまして、さらに福祉目的税なんという言葉まで出てきているわけでありますから、そういう点では高福祉もやむを得ないのかな、高負担もやむを得ないのかなという考え方も持たされるわけでありますけれども、逆に自助努力というものがこういうところには出てくる。そういう点で持てる者にとっては極めて結構な話でしょうけれども、持たざる者にとってはますます格差が広がっていくようなシステムになっていくのではないか、そのように考えますので、基本的な福祉のあり方、高齢化社会に向かってのあり方について整理をして、消費税の導入の背景も踏まえてお答え願いたい、そのように思います。
  74. 横尾和子

    ○横尾説明員 社会保障における公的な施策と自助努力とのそれぞれの役割あるいはそれらの構成についてのお尋ねというふうに考えるわけでございますが、消費税について御論議をいただきました昭和六十三年十月に、厚生省と労働省がこれからの長寿・福祉社会を実現するための基本考え方目標という形で、いわゆる福祉ビジョンと言われるものを国会に御説明を申し上げた経過がございます。その中で、まさにお尋ねの自助努力と公的施策の関連につきましては、一つは自立自助、それからもう一つの公的施策に関しましては社会連帯の考え方、その両方の考え方に立ちながら、国民の基礎的ニーズについてはしっかり公的な施策で進める。さらに、それを上回る個々の個人の御要望にこたえるために自助努力、あるいは民活が促進されるような条件整備を図る、こういう考え方で長寿社会の福祉実現に臨みたい、こういうふうに述べておるところでございます。
  75. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは、時間も参りましたので以上で終わりにしたいと思いますが、先ほど申しましたとおり、この特別地方消費税の問題については、理事会の方でひとつ再度練っていただきたい、このように思います。ありがとうございました。
  76. 島村宜伸

    島村委員長 午後一時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ────◇─────     午後一時四十一分開議
  77. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。筒井信隆君。
  78. 筒井信隆

    ○筒井委員 端的に具体的にお聞きしたいと思いますので、端的にかつ具体的にお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、今度の政府案の個人住民税所得割非課税限度額についての質問から入ります。  三十二万円から三十四万円に引き上げたということでございますが、これは前年の生活保護基準を非課税限度額が下回らないように設定したんだろうとお聞きをしておりまして、最低生活費を非課税にするという趣旨から生活保護基準よりも上回るようにした。その場合に夫婦子供二人の生活保護費は一級地で二百二十八万八千円というふうに聞いておりますが、夫婦子供二人の場合の非課税限度額は幾らになるのかをお答えいただきたいと思います。
  79. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の改正案によりまして、夫婦子二人の給与所得者について所得割非課税限度額は二百三十万七千円ということになります。
  80. 筒井信隆

    ○筒井委員 今の二百三十万七千円という、給与所得者で夫婦子供二人の場合の非課税限度額の内訳でございますが、これは三十四万円に引き上げたことによって三十四万掛ける四人プラス九万で百四十五万円、こういう部分と、給与所得控除の部分二つが含まれている、こういうふうに理解してよろしいですか。
  81. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 そのとおりでございます。
  82. 筒井信隆

    ○筒井委員 給与所得者の場合の非課税限度額が二百三十万七千円としますと、生活保護費二百二十八万八千円より上回っていることになるわけでございますけれども、自営業者の場合の非課税限度額はどうなりますか。
  83. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 所得では、今お話しのとおり三十四万円に家族を掛けてそれに九万円を加えるということでございますが、自営業者の場合には、御案内のとおり所得等に伴う経費はどれくらいかかっているか、これは業態によって違うわけでございますので、給与所得のように一律に幾らというふうに数字で示すことはできないわけでございます。
  84. 筒井信隆

    ○筒井委員 自営業者の場合には、所得としては百四十五万円超の人にこの所得割がかかる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  85. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 所得ベースでは百四十五万円でございます。
  86. 筒井信隆

    ○筒井委員 所得としては百四十五万円を超した途端に所得割の税金がかかる。もし生活保護費二百三十万七千円を最低生活費として考えた場合に、自営業者の場合、今度の非課税限度額の設定によっても最低生活費部分にまで食い込んで所得割の税金がかかっている、こういうことになるのじゃないでしょうか。
  87. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 その辺の収入ベースと所得ベースとの考え方の違いでございますけれども、給与所得者につきましても一部には経費的な要素というものもあるわけでございまして、そういうことは非課税限度額の金額をどの程度に置くかという一つの指標として念頭に置いてやっているということでございます。
  88. 筒井信隆

    ○筒井委員 給与所得控除非課税限度額の金額の計算にまで入れるということ自体にそもそも問題があるので、それは後ほどまたお聞きしたいと思っているのですが、所得の中から最低生活費を出すわけで、その最低生活費には少なくとも課税しないというのが最低生活非課税の原則だと思うのです。だけれども今の場合、所得で考えた場合に百四十五万円という少ない金額を超した途端に課税される。これは最低生活費自体に所得支出として食い込んでいるのではないか、そういう質問なんです。
  89. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 最低生活費をどういう基準で定めるかということはなかなか難しい問題がございますものですから、一応の指標としては生活保護費というものをめどにしているわけでございますけれども、住民税課税限度を基本的に幾らにするかという問題と生活保護費の保護基準というものは、御案内のとおり考え方は別なわけでございます。ただ、非課税として、いわば住民税免税点をどこに置くかということを考える場合に、一応生活保護費というものを一つのめどとして基準をつくったら、こういう考え方でこの非課税限度額はできているというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  90. 筒井信隆

    ○筒井委員 だから最初に確認しましたように、生活保護基準を下回らないように非課税限度額を今までもやってきているはずだ、その事実は認められると思うのです。最低生活費を幾らに決めるかというのは確かに難しい問題ですが、現時点では生活保護基準を最低生活費として考えている。生活保護基準は二百二十八万八千円ですから、自営業者の場合にはその所得の範囲内についてまでも課税されているという事実はお認めになられるでしょう。
  91. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 計数的に見ると仰せのような問題もあろうかと思いますけれども、少なくともほとんどの世帯は今回の非課税限度額引き上げという点で恩恵をこうむるところはなくて、実際は課税最低限の方が大幅に引き上がっているということでそちらの方が効いてまいりますので、実際の税負担は所得の高いところの方々でもかかってこない、こういうような状況一つございますものですから、この辺の事情を踏まえて非課税限度額の決め方というものを、今までの考え方で一応設定をさせていただくということでやらせていただいたものでございます。
  92. 筒井信隆

    ○筒井委員 繰り返しても仕方ないですから一点だけ確認しておきますが、最低生活費には課税しないという方向で今までもやってきたし、これからもやっていく、これは間違いないですね。
  93. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 基本的には、住民税というのは市町村の行政の行政経費をみんなで分担しようという考え方でございますから、所得の少ない方々にもできるだけそれなりの負担お願いするというのが基本的な考え方だと思うわけでございます。しかしながらそうはいっても、やはり所得の少ない方々にはそれなりに税負担の配慮をするという考え方で従来から来ているわけでございますので、そういう点ではこれからもそういう考え方でこの税負担というものを考えていかなければならないというふうに考えております。
  94. 筒井信隆

    ○筒井委員 明確な答えじゃないですけれども、非課税限度額課税最低限の制度と比較して適用対象者は少ないんだということを言われましたね。この非課税限度額の制度を課税最低限とは別に設けているというのは所得税ではない制度で、地方税だけにある制度ですが、これを特別に設けている趣旨をちょっと御説明いただきたい。
  95. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 これは仰せのとおり所得税にはない制度でございまして、住民税だけに設けられているわけでございますが、そのそもそもの発端は、たしか住民税の各種控除が思うように引き上げることができない時代に、生活保護費を下回る方々にも住民税が、課税最低限がその生活保護費よりももっと低くなったというような時代がございまして、そのときに、それではやはりお気の毒だということで、昭和五十六年度に少なくとも生活保護基準を一つの目安として、それに至らない程度の御家庭にはこういう住民税負担というものは免除しようじゃないか、こういう考え方でできたわけでございます。そういう意味で、当時は、まだ所得税は、そういう課税最低限におきましても生活保護基準をかなり上回っていたという記憶がございますが、住民税についてはそういう生活保護基準よりもむしろ下回ってしまった、こういう一つの契機がございまして、それがきっかけでこの制度が設けられているわけでございます。  そういう意味からいくと、今回の住民税減税によりまして、先ほど申しましたように、課税最低限が標準世帯の場合には大幅に引き上げられたわけでございますから、もう既にこの非課税限度額の役割というものは終わったのかなという感じはするわけでございます。しかし、夫婦世帯でない、例えば父親と子供が三人というような世帯になりますと、配偶者控除の適用がないとか配偶者特別控除の適用がないとかというようなことで、非課税限度額によって税負担軽減されるという方もいらっしゃるので、やはりそういう意味からこの制度は当分存続をすべきかなということで、今回この基準額の引き上げお願いしているわけでございます。
  96. 筒井信隆

    ○筒井委員 今、例えば父親と子供二人、こういうふうな場合には非課税限度額の方が課税最低限より高くなる、だから存在理由がある、これはそのとおりだと思うのですね。ただ、それは課税最低限の方が低くなるから非課税限度額の存在理由があるということなので、これを所得税と同じような水準に課税最低限をすれば、非課税限度額の設置の理由は全くなくなりますね。
  97. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 課税最低限を所得税と一緒にするということになれば、現在の住民税課税最低限よりまたさらに上回ることになるわけでございますが、この点につきましては先ほども申し上げましたとおり、個人住民税というのは、市町村の行政経費をできるだけ広くその住民負担をしていただこうということで設けられている制度でございますので、所得税課税最低限ほど引き上げるということは適当ではないのではないかというのが今までの一般的な考え方でございます。そういう意味で、住民税所得割課税最低限は、現在でも所得税をかなり下回ったところで決めさせていただいている、こういうことでございます。
  98. 筒井信隆

    ○筒井委員 質問に端的にお答えいただきたいのです。  今、所得税と同じ課税最低限にするべきじゃないかという質問をしたわけじゃなくて、そうすれば非課税限度額設置の理由は今もないし、以前もなかったであろう、そういう質問なんです。その後で今お答えしたことについてはまたお聞きするつもりだった。  いま一度確認しますが、課税最低限を所得税の水準と同じにすれば、非課税限度額を特別に住民税についてだけ設置する必要性は少なくとも現在まずないですね。
  99. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 所得税の場合には課税最低限がかなり高いですから、まずそういうことはないかもしれませんが、これはしかし、世帯の構成によりまして適用の出てくる方もいらっしゃるかもしれません。これは一概にありませんということもちょっと言えないわけでございます。
  100. 筒井信隆

    ○筒井委員 一概に言えないということですか。では、それはそういうふうにお聞きしておきましょう。  先ほどそちらが前もってお答えになった部分なんですが、住民税所得税趣旨が大分違うんだということを先ほどから強調されているのですが、しかし、所得再配分の役割がある点においては、所得税住民税だって、両方ともそういう役割があることはこれもはっきりしていると思うし、それからなるべく能力に応じて地域にかかる費用を分担する、これはもちろん国の場合には能力に応じて国にかかる費用を分担する、その点は違いがあったにしても、なるべく能力に応じてみんなで負担し合う、こういう趣旨は国税においても地方税においても一緒だと思うのですが、その点もう一度ちょっとお答えいただきたいと思います。
  101. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 住民税におきましても能力に応じて税を負担していただくという考え方はとっているわけでございますけれども、住民税の場合には、広く薄く経費を負担し合うという考え方から、国税のような所得再配分機能というものは大きく薄めて、そして税率構造につきましても、極めてなだらかな税率構造で住民税というものはでき上がっているわけでございまして、そういう意味で、住民税において所得再配分機能を余り強調することは、従来から私どもやっていないわけでございます。
  102. 筒井信隆

    ○筒井委員 この所得控除の制度は、今は地方税所得税もそうなっているわけでございますが、所得控除の制度のおかげでどういう結果が出てくるのか、これを税額控除にすべきではないか、こういう観点からちょっと幾つかの質問をしたいと思います。  まず、今度の地方税における控除制度のおかげで、例えば配偶者特別控除が平成年度から三十万円になりましたね。三十万円という配偶者特別控除が存在するおかげでどういう結果が出ているかというと、年間課税所得が百二十万円以下の人というのは、三十万円の五%、一万五千円という減税のメリットを受けていることになる。逆に、五百万円超の人は、三十万円の配偶者特別控除のおかげで、三十万円の一五%、四万五千円の減税のメリットを得ていることになる。これは低所得者層に配慮した所得控除の制度の趣旨であるはずなのに、そのメリットの絶対額としては、百二十万円以下の人は一万五千円のメリットを受けているだけなのに、五百万円超の人は四万五千円、ちょうど三倍のメリットを受けている。それについての意見は後でお聞きしますが、まずこういう事実自体はどうですか。絶対額において高額所得者の方がメリットの額が大きい、この事実はお認めになられますか。
  103. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 累進税率構造をとっている以上は、そういうことは出てくるわけでございます。
  104. 筒井信隆

    ○筒井委員 そうしますと、最低生活費の心配を余りする必要のない方がメリットを受ける。これは低所得者層税負担に配慮した制度の趣旨から見てどうですか。
  105. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 税額において、今御指摘のように軽減がされる額は違うわけでございますが、もともと税負担の額そのものは高額所得者の方々負担しているわけでございますから、そういう意味からいけば、減税率という点から見てやはり低所得者の方々に有利に働くということになるのではないかというふうに思うわけでございます。
  106. 筒井信隆

    ○筒井委員 これを、所得控除ではなくて税額控除にした場合ならばそういう問題点は生じてこないし、地方の方の財源もふえる、こういうことが言えるんじゃないかと思うのですよ。今の三十万円という配偶者特別控除を税額控除にするとしたら、その最低税率五%を掛けた一万五千円の金額で全部税額控除する、こういう制度に変えた方が公平で、かつ地方自治体財政の観点から見てもいいんじゃないかと思いますが、どうですか。
  107. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 いわゆる所得課税のあり方というものについてでございますが、今お話しのように、すべてのものを税額控除で行うのがいいのか、あるいはいろいろな個別の事情を所得計算上から控除していくのがいいのかという問題であろうかと思うわけでございますが、今までの所得税住民税課税の仕方ということは、担税力を客観的に示す課税所得というものをまず把握して、これに税率を適用して税額を算出していく、こういう考え方で、いわゆる垂直的公平の見地というものを保っているというふうに私どもは理解しておるわけでございます。  そういう場合に、課税所得の捕捉に当たりましてそれぞれの方々の特殊な事情、奥様がおられれば配偶者控除とか、あるいは子供さんがおられるところは扶養控除というような形で、所得の段階でそういう控除をしていくというのが、現在の所得課税の垂直的公平の見地から見て私どもは適切なのではないかというふうに考えているわけでございます。
  108. 筒井信隆

    ○筒井委員 税額控除にしたらどこが不適切になりますか、その点、説明いただきたいと思います。
  109. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 所得税住民税は所得に対する課税というのが基本でございます。ですから、その所得というものをどういう形で客観的に捕捉していく、把握していくかというのが所得税住民税課税基本になるのではないかと思うわけでございます。そういう点からいきまして、やはり所得課税である以上は、その課税所得というものの段階でそういう特殊ないろいろな事情というものを考慮に入れて課税所得というものを計算する、これがやはり基本的な考え方であり、諸国におかれましても基本的に行われているやり方だというふうに理解をしているわけでございます。
  110. 筒井信隆

    ○筒井委員 答えになっていないけれども。  所得控除を現在やっているわけですが、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、この四つの制度があるせいで全体としては幾ら減収になっていますか。
  111. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成元年度べースでございますが、今御指摘の基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、この合計は控除額で二十九兆円でございまして、これらの所得控除による減収額は二兆三千億ということになっております。
  112. 筒井信隆

    ○筒井委員 先ほど言いましたように、これを全部最低税率を掛けた税額控除でやった場合の減収額は幾らになりますか。
  113. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 仮に、この所得控除額二十九兆円に一律五%の税額控除を行うとすれば、減収額は一兆四千億程度になるわけでございます。
  114. 筒井信隆

    ○筒井委員 そうしますと、税額控除にした方が今の制度のままでも九千億円の増収になる、こういう差し引きになります。  もう一度聞きますが、今の制度のままで九千億円という増収になるこの税額控除の制度のどこが不都合なのか、先ほどからそれを聞いているのだけれども、所得控除が当たり前なんだという一般的なことを言われているだけなので、税額控除にした場合の不都合が何かあるのか、あるとすればどこが不都合なのか、それをちょっとお答えいただきたいと思います。
  115. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、所得課税というのは所得を捕捉してその所得に対して税率を掛けて税額を計算する、これが基本でございます。ですから、その課税所得というものをどういうふうに計算するかというところでこの所得の税額を決めていく必要があるわけでございますから、税額を計算した上で税額控除していくというやり方というのは、基本的には所得課税のあり方というものと食い違ってくるのじゃないか。確かに九千億円という差は出てまいりますけれども、それは所得の高い人は高い人なりにやはり減税の効果を受けなければ、その減税を受けた率としては低所得者の方々よりも低いわけでございますから、それなりのメリットというものを所得の高い方々にも受けさせて、そしてこの減税の効果というものを広く及ぼすという必要がやはりあるのじゃないかという気がするわけでございます。
  116. 筒井信隆

    ○筒井委員 確認しておきますが、この課税最低限、基礎控除の制度、これは低所得者層に配慮した、そういう趣旨のある制度である、この点はよろしいのですね。
  117. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 基本的には、課税最低限というのは低所得者に対する配慮かもしれませんけれども、同時に、所得控除というのはすべての方々に適用されるわけでございますから、御家族が何人いれば何人の控除になるということでございますから、必ずしもこれは低所得者に対する配慮だけではなしに、所得の計算上、そういう計算方法をすることが合理的だということで認められているものだというふうに理解をしているわけです。
  118. 筒井信隆

    ○筒井委員 先ほどから申し上げておりますので同じ質問は繰り返しませんけれども、いずれにしろ、低所得者層に対する税負担を配慮した趣旨、この制度が一番強いことはみんなも指摘していることで間違いのないことだと思うのです。その結果、受けるメリットが絶対額としては高額所得者であればあるほど大きくなる、これを解消するために税額控除を主張しているわけなので、ぜひ引き続いて検討をいただきたいと思います。  次に、特別消費税の方の質問に移ります。  一般的に言って、減税が善で増税が悪ということは言えないというふうに考えております。本当に正当でかつ必要な増税であるならば行うべきで、逆に正当な根拠づけができないような減税は行うべきでないというふうに一般的には考えております。今度の特別消費税免税点引き上げ自体に反対ではございませんけれども、飲食宿泊についていずれも一・五倍にした具体的な根拠があるのかないのか。なければいいのですが、あればどういう根拠なのか、その点のお答えをいただきたいと思うのです。例えば、先ほどの住民税非課税限度額については生活保護基準よりも上にする、こういう具体的な根拠があったわけですが、一・四倍とか一・六倍ではなくて、一・五倍にした具体的な根拠があれば、なければないと言っていただきたいのですが、あればその説明をいただきたいと思います。
  119. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 この免税点の金額、引き上げ額を決めるに当たりましては、最近の国民消費動向等を考えまして、より消費内容の質の向上というものに対応した税負担を求めるべきだという考え方から、この免税点引き上げお願いしたわけでございますが、具体的に一・五倍の数字をこういう根拠で、こういう数字とこういう数字を掛け合わせて一・五になったというものではございません。やはり総合的に勘案いたしまして五割ぐらいの引き上げというものが現段階で適当ではないかということで、今回五割の引き上げお願いしているわけでございます。
  120. 筒井信隆

    ○筒井委員 結局、全体的な抽象的な一般的な理由づけはあるけれども、なぜ一・五倍にしたのか具体的な根拠としては特別なものはないというふうにお聞きして、質問を終わります。  この結果、減収額が平年度で四百九十四億円という額になるというふうにお聞きしているのですが、この減収額も含めて今度の税制改革で全体で千五百二億円の減収、これに対して先ほどもちょっと何かいろいろなことを説明されておりましたが、具体的にこの減収について特別の財源措置は一切とっておりませんね。
  121. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 例年のことでございますが、地方税につきましても地方税負担軽減のためにいろいろな減税措置を講ずることがあるわけでございますが、基本的には地方税減税でございますので、その減税地方財政全体で処理をしていただくということでございまして、今回の場合にも、減税を行った結果、それを具体的な補てん措置という形で補てんをしたものはないわけでございます。ただ、全体の地方財政計画の策定を通じまして収支バランスのとれた形で地方財政の運営に支障がないような、そういう財政計画をつくっていただいて、それによって運営していただこうというものでございます。
  122. 筒井信隆

    ○筒井委員 それは先ほど聞いたので、私が今端的にお聞きしたのは、特別の穴埋めの財源措置はとっていない、今そういうふうに答えられたというふうに私の方では受け取っております。結局、地方財政における自然増収とかあるいは行政改革とか、こういうものによって穴埋めができるであろう、こういうふうに見込んだというふうにお聞きしてよろしいですね。
  123. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 基本的にはそういうことだと思います。  歳出の問題、歳入の問題、それぞれ一つ一つ精査をした結果、最終的に地方財政計画ベース収支バランスがとれるということでこの減税お願いしているわけでございますから、そういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  124. 筒井信隆

    ○筒井委員 それとほぼ関連するのですが、消費税導入の際に、これも先ほどちょっと出ましたが、税固有のものとしては、差し引き地方自治体全体で八千八百億円くらいの減収が見込まれた。これについても特別の財源措置はとっていなかった。これもやはり、この八千八百億円の減収部分に対しても自然増収とか行政改革でもって穴埋めができる、そういうふうに見込んだとお聞きしてよろしいですね。
  125. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 税制改革のときの財源補てんの問題は、基本的に二つございますので、ちょっと今のような端的なお答えは無理かと思います。といいますのは、地方の間接税を廃止したり、あるいは調整をして減税をした部分につきましては、これは国の責任で全額補てんをしてもらうということで、消費譲与税を五分の一いただくことにしたわけでございます。また、国税の減税に伴って交付税の減る分については、これは残りの消費税の二四%、これを交付税に入れてもらうということで補てんをしてもらう。結果的に残ったのは住民税減税分、その一部も補てんをしてもらいましたけれども、住民税減税の大きな部分は、これは先ほど来申し上げておりますように、地方財政において負担をして減税をすべきものでございますので、そういう意味でこの住民税減税地方財政負担減税をした、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  126. 筒井信隆

    ○筒井委員 そういう項目は全部含めた上で、差し引き八千八百億円の減収になったわけで、この減収に対してこれは特別の財源措置はとらなかった、その点の確認と、やはり八千八百億円については、これは自然増収とか行政改革、これによって穴埋めができるであろうというふうに見込んだ、そういうことだろうというふうな質問なんです。
  127. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 八千八百億については、それに伴う増税措置も何もしていないわけでございますから、そういう点では何もそういう具体的な措置という形ではやっていないわけでございます。そして、それが最終的に地方財政の運営に支障の生ずることのない範囲であるということが確認できたから、そういう減税措置を講じたということでございます。
  128. 筒井信隆

    ○筒井委員 だから、なぜ支障にならないというふうに見込んだかといえば、自然増収とか行政改革でもってその点は穴埋めができると見込んだということでしょう。
  129. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 最終的に地方財政の収支がバランスするかどうかというのは、単に自然増収とかあるいはそういう行政改革とかということだけではないと思います。やはりいろいろな行政需要というようなものを全部勘案した上で、歳出歳入のバランスというものを決めていくわけでございますから、仰せのように自然増収という問題もあろうかと思いますけれども、それだけでもないし、また行政改革という、そういう二つだけの要因でこれを片づけるということも無理があるんじゃないかという気がするわけでございます。
  130. 筒井信隆

    ○筒井委員 今それで全部だとは言ってないので、自然増収とか行政改革とかそういうものを財源措置として見込んだんだろうという質問なんで、今のお答えはそれを認められたというふうに受け取って、もう一つ関連するのですが、こういう税制に関しての増減税減収と同時に歳入歳出でも、先ほどこれはお答えされましたけれども、差し引き三千三百億円程度の歳出超過が消費税の導入によって生じてくる、こういう先ほどのお話でしたね。歳出が六千三十四億円で歳入が二千六百億円ぐらい、差し引きすると三千三百八十億円になるわけです。
  131. 持永堯民

    持永政府委員 これは平成元年度の地方財政計画ベース計算しておりますけれども、歳出で六千億強、歳入で二千六百億程度増加になりますので、差し引き三千四百億円程度、アバウトでございますが、三千四百億弱になっております。
  132. 筒井信隆

    ○筒井委員 この歳出増、これも地方自治体としては消費税の導入に伴う税制改革の結果、この分出るのが大きくなった、この三千三百八十億円についても、やはり先ほどから説明されているのと同じ方法で地方財政計画の中で何とかなるだろう、そういうふうに見込んでおられた、こういうふうにお聞きしてよろしいですね。
  133. 持永堯民

    持永政府委員 先ほど来税務局長からお答え申し上げておりますように、私どもとしては、最終的には地方財政全体の収入支出のバランスをとるという形で調整を行いまして、地方財政の運営に支障のないようにしているところでございます。
  134. 筒井信隆

    ○筒井委員 そういう抽象的なことを聞いているのではなくて、大体これだけ巨額な減収があって歳出増がある、これについて財源措置を全然一切してないわけだから、それは、じゃ何で見込んだかといえば、自然増収とか行政改革とかそういうものでもって何とかなるだろうというふうに見込んだこと以外にないので、そのことを確認しているのです。そうであるのか、それともそうじゃないのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  135. 持永堯民

    持永政府委員 毎年減税等による税の減収でございますとか、あるいはいろんな面で歳出がふえるというような問題は毎年あるわけでございますけれども、もろもろの問題に対しましては、個々具体にこの分の財源措置はこういうふうにしたとかいう措置は、とる場合ももちろんございますけれども、多くの場合はそういうことではなくして、全体としてバランスをとるという形で対応をしている、こういうことでございます。
  136. 筒井信隆

    ○筒井委員 先ほどから、今回の地方税の改革と消費税に伴う改革の際の財源問題についてお聞きしてきましたが、その中で自然増収を少なくとも見込んできた。見込んだということは一部認められたわけですが、自然増収を財源措置として一部としても見込まれたこと、これについてはどうお考えでしょうか。  野党が自然増収を財源措置として二年間、暫定期間だけで見込んだら物すごい非難がされたわけですけれども、この地方税において一部においてもそういうことを見込まれたことについてはどうお考えなのか、その点ちょっと。
  137. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 税の賦課徴収に当たりましては、これは毎年度年度財政支出との関係というものを一つ頭に入れながら、もう一つは、やはり国民税負担というものをいかにどのくらいの水準でお願いするかということが問題ではないかと思うわけでございます。  そういう場合に、例えば所得税住民税もそうでございますが、累進税率を適用している税目というものは、経済成長よりもそれ以上に税収は入ってくるということになるわけでございますから、そういう場合にどこかで調整減税をして国民税負担軽減していきませんと、これはどんどん税だけがふえていってしまう、こういう結果になるわけでございますから、適時適切に減税というものを行って、国民税負担を適正な水準に置いておくという必要があるわけでございます。  その場合に、一々その分の減税をしたからそれじゃその補てん措置をどうするのかということになりますと、それをまた別の税でいただくとすれば、税負担は同じように変わらないということになるわけでございますから、そういう経済全体との見合いというものも考えながら税負担のあるべき水準というものを考えていく。そういう中で、具体的な財源措置がなくても減税というものをやっていかなければならない、あるいは、そうすべきときもあるし、それ以上にやっていく必要がある場合も出てくるかもしれません。一応、基本的にそういうような考え方減税というのは成り立っていると理解していただけないかと思うのです。
  138. 筒井信隆

    ○筒井委員 消費税導入に伴う税制改革の際には、税固有で八千八百億円、歳入歳出の差で約三千四百億円、合計すると一兆円を超す減収部分についてそういう考えをとられたわけで、そういう意味でいうと、金額は一兆円を超すような場合でも財源措置を特別とらないで自然増収等を見込む、こういうことはあり得るというふうにお聞きしてよろしいですね。
  139. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 八千八百億の減収をした際にはそういうことができたわけでございますけれども、しかし、それが常にそれぐらいのものができるというものではなしに、減税というものはやはり全体の経済の状況あるいは財政収支の状況、そういうもの全体を勘案しながら決めていくべきものであると思うわけでございます。
  140. 筒井信隆

    ○筒井委員 端的にお答えいただきたいのだけれども、今の趣旨でよろしいでしょう。  それから、特別地方消費税なのですが、以前は旧料飲税があって、飲食宿泊については旧料飲税だけがかかっていた。消費税導入と同時に特別地方消費税消費税二つ飲食宿泊にかかるようになった。その結果どういうふうになったかといえば、旧料飲税の場合には二千五百円以下の飲食と五千円以下の宿泊非課税だったのに、今度はそれが課税になった。消費税がかかるようになった。それから、二千五百円超の飲食とか五千円超の宿泊については消費税特別地方消費税の導入によって以前より安くなったわけですね。そういう意味では、安い飲食宿泊の方が増税になって高いものの方が減税になった。これは当たり前の話なんですが、そうですね。
  141. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 そのこと自体はおっしゃるとおりだと思うわけでございますが、しかしそのことだけで物事は見られないわけでございまして、その他に先ほどから申し上げた所得税住民税減税がございましょうし、あるいは歳出面でも国においてはいろいろと工夫をされたと聞いておりますし、そういうこと全体で御判断いただくというのが今度の税制改革趣旨だと思うわけでございます。
  142. 筒井信隆

    ○筒井委員 しかも、今度の税制改革趣旨全体と言われますけれども、ほかの分野でも、少なくとも間接税分野は全部そういう結果を来している。例えば通行税に関しても、これが消費税に吸収された結果、グリーン車とかA寝台は減税となって普通車は増税となった。それから、物品税が吸収された結果、宝石とか毛皮類に関しては減税となって食料品とか水道料金の方に関しては増税になった。それから、酒税と消費税が併課されることになった結果、特級酒とか一級酒は減税となって、しょうちゅうとか二級酒は増税となった。少なくとも間接税分野に関しては、こういうふうに安いものが増税となって高いものが減税となった。そういう結果を来していることは事実でしょう。
  143. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 私は国税の関係については答弁する資格がございませんけれども、基本的には従来の個別間接税というものを維持している以上は、やはり特定消費行為あるいは特定の物品に対して課税されるわけでございますから、そういうものを今回の消費税の改革によりましてなくしていく、あるいは軽減をして二重課税あるいは税額の調整をするということは当然やらなければならぬ話でございますから、その限りにおいて税負担のでこぼこは当然起こるわけでございます。しかし、それが全体として税制度として合理的なものだというふうに理解をしていただいて、今回の税制改革が行われたと理解をしているわけでございます。
  144. 筒井信隆

    ○筒井委員 全然合理的とは思わないから質問しているわけです。生活必需品の方が増税となって、いわゆる奢侈品と言われている部分について減税になった、これが今度の消費税導入に伴う税制改革の本質だと考えているので聞いているわけですけれども、それはまた言い合いになるだけですからそれだけにしておきます。  自治体消費税との関係ですが、一般会計の場合には、仕入れに係る消費税額と売り上げに係る消費税額は同額とみなすという形で、納付税額はないというふうにされているわけですけれども、特別会計の場合にはそうではなくて、納付義務がある。この特別会計の場合に仕入れ業者が、例えば下水道工事の業者でもいいですが、免税業者とか限界控除の業者あるいは簡易課税の業者であるときは、そのときに自治体としてはどうしているのですか。三%丸々つけて課税業者と同じように払っているのですか、それとも厳密に一部だけ払っているのか、それとも三%丸々払ってないのか、その点はどうでしょうか。
  145. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答えいたします。  ただいま下水を例に引かれましたが、ほかも一緒だと思いますので下水の例でお答えいたします。  消費税法の導入に伴いまして入札価格の決め方について関係方面から税抜きの入札をしてほしい、そしてそれに三%を確実に転嫁できるような仕掛けにしてほしい、円滑な実施のためにはそれが必要だということもございまして、国の場合もそうですが、地方公共団体におきましても当初見積もりました価格から三%を引いた価格を入札価格にしていただきまして、そして何人か出た中でそれが一番安いものを落札する、その場合の契約価格は、今申し上げましたように当初に三%を引いておりますので、それに三%を掛けたものをもって既契約価格とする、これが一般的なやり方として私どもは指導をいたしております。
  146. 筒井信隆

    ○筒井委員 結局今の説明ですと、免税業者が入札価格に三%丸々転嫁してきた場合でもそれを認めて三%を払っているということになると同時に、また免税業者が当初の入札価格に三%丸々上積みしてこない場合には、上積みしてこない部分を最終的には払う、こういう形になるわけですね。
  147. 小島重喜

    ○小島政府委員 考え方といたしましては課税業者であると免税業者であるとにかかわらず、言うならば入札の条件といいますか、基準を一緒にしなければ不公平が起こるだろうということでございまして、そういう意味で条件を、言うならば間尺を合わせるといいますか、そういう格好で取り扱いをしていただいているということでございます。
  148. 筒井信隆

    ○筒井委員 その趣旨はわかるのですが、結局三%の消費税分を免税業者等に対しても自治体は払っているのかどうかを確かめたいのです。
  149. 小島重喜

    ○小島政府委員 それは今申し上げましたように、免税業者の場合には結果的には消費税は上乗せされないという格好になると思います。
  150. 筒井信隆

    ○筒井委員 その場合に、特別会計の方で仕入れ税額控除をする際には、免税業者に対して支払ったものについてもやはり課税業者と同じように仕入れ税額控除はするわけですか。
  151. 小島重喜

    ○小島政府委員 これは消費税法の施行の問題でございますので、私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、私ども承知している限りでは、そういう免税業者からの仕入れにつきましても、御案内のとおり税法上仕入れ税額控除の対象とされておりますので、これは地方公共団体だけでなくて広く事業者の税務処理の簡素化を図るため、そういう趣旨から今お話しのような税額控除が行われる、こういうことになっております。
  152. 筒井信隆

    ○筒井委員 仕入れ税額の方が売り上げにかかる消費税額より多いときは国から還付されるわけですが、今みたいな計算をして、免税業者に払っていなくても課税業者と同じように払ったものとみなして仕入れ税額を出して、その金額の方が高くなれば国から還付されるわけで、そうすると、実際は払っていないのに払ったものとみなして国から還付されるという結果になりますね。
  153. 小島重喜

    ○小島政府委員 結果的にはそのようになると思います。ただ、地方団体の場合には別にそれでもうけるということではございませんで、さらにはそれが国から還付いただきましても私のものになるわけでございませんから、例えば下水の場合ですと、別途下水の財源に充てるとかいうことになろうかと思います。
  154. 筒井信隆

    ○筒井委員 税に対する信頼感の問題を言っているんで、国に何も納入されていないもの、そして自治体が払ってもいないものを国に納入したものとみなして、また自治体が払ったものとみなして国から還付する、こういう制度はその制度自体でも税制に対する信頼感を失う一つ理由になるんじゃないですか。
  155. 野村興児

    ○野村説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の点は、まさに中小零細事業者に対しますところの特例措置、中でも免税点の話であろうかと思います。この免税点を設けました趣旨先生もう御存じのとおり、零細事業者について事務上の過酷な負担を強いないようにということでございます。  今お話ございました、例えば三%ということで、特会の関係で業者の取引がある、こういった場合につきましても、実は免税事業者自身についても免税事業者自身がいろいろなものを仕入れをしているわけでございます。この仕入れが、通常マージンが二割だといたしますと、その八割の部分は既に消費税が原材料等にかかっているわけであります。したがいまして、仮にその八割のものに三%といたしますと、二・四%の部分の消費税はどこかに負担してもらわなければならない。これが特会において仮に仕入れ控除ができないとなりますと、零細な事業者がまさにその負担を強いられてしまうといった事態も考えられます。一体どの程度の額が適正妥当なものであるかということは、個々の業者、マージンそれぞれ違いますので、そのあたりについては仕入れ控除が行われているというのが実は実態であるかと思います。あくまでも趣旨は零細事業者に対しますところの事務負担等の軽減措置であるということでありますので、その事情をぜひとも御賢察いただきたいと思います。
  156. 筒井信隆

    ○筒井委員 先ほど申し上げましたように、この税改革に基づいて全体として結果一兆円を超すような減収を来させていると同時に、今度は逆に、今みたいに払ってもいないものを払ったものとみなして国から還付される、こういうこと自体を私は問題にしているので、その金額が少ないとか多いとかではなくて、そういう事実が制度的にあること自体で、もう税に対する信頼感を失うんじゃないかということを言っているわけです。中小零細業者についての保護ということを言われますが、こういうふうな形で払ってもいないものを払ったものとみなすというふうな制度は、諸外国の大型間接税で一つでもとっているところがありますか。
  157. 野村興児

    ○野村説明員 諸外国の例で申し上げますと、欧州諸国はそれぞれ各国の実情、国情に合わせましていろいろな特例措置を設けております。簡易課税制度に似たものも当然設けられておりますし、また免税点に似たもの、あるいは限界控除に似たもの、これもそれぞれの国の実情に応じまして設けられているところでございます。  それで、先ほど来言っておりますように、これらの制度につきましては、今の地方公共団体に絡めてのみならず、一般的に簡易課税あるいは免税点、いろいろな御議論がございます。したがいまして、こういった御議論をまさに今私ども真摯に受けとめておりまして、今現在の消費税の実態を申し上げますと、五月の末に消費税の申告納付というものは一巡してまいります。その結果を見て今後そのあたりの実情を十分考えていきたいということで、先般一月の閣議決定におきましてもその旨がうたわれているところでございます。
  158. 筒井信隆

    ○筒井委員 質問に端的にお答えいただきたいのですが、私は、免税業者の制度とか限界控除の制度とか簡易課税の制度が諸外国でとられているかどうかをお聞きしたのではないのです。それは額は全然少ないけれども形が似たものがあることは承知しているのです。  私がお聞きしたのは、払ってもいないものを払ったものとみなして還付してしまう、こういう結果、これが制度的に認められていること。それから、税金として消費者が払ったものが途中で消えてしまう、税の利益化というふうな現象が制度的に生じていること。この二つが生じるようなそういう制度が諸外国の大型間接税にあるかという質問なんです。
  159. 野村興児

    ○野村説明員 お答えします。  免税点、免税事業者という制度は、実は我が国と同じような制度が例えばフランスにも設けられておりますので、その限りにおきましては同じような結果、すなわち今先生指摘のような関係のものというのは、当然結果としては出てまいると思います。
  160. 筒井信隆

    ○筒井委員 免税業者、簡易課税、限界控除の制度、それに似たものが額は低いけれどもあるということ、これはいいのです。そうではなくて、税金が途中で消えてしまう、そして払ってもいないものを払ったものとみなして還付する、そういう制度が外国にあるかという質問です。今の答えはあるという答えですか。
  161. 野村興児

    ○野村説明員 そういう免税事業者におきましてもインボイスを発行できるという、そういった仕組みは例えばフランスにございます。したがいまして、先生おっしゃっておられますように例えば金額の多寡、それはいろいろな意味での御指摘はあるかと思いますけれども、やはりそこは各国の実情によりまして、中小零細事業者に対する措置というものは、それぞれの角度から検討し、創設されているところでございます。
  162. 筒井信隆

    ○筒井委員 何回も同じことを聞いているのだけれども、外国に免税業者の制度があっても伝票方式ですから、インボイス方式ですから、課税業者と免税業者とは全然違う仕入れ税額控除をやっている。日本は帳簿方式だから、全部一緒くたにして仕入れ税額控除をやっているから、だから途中で税金が消えてしまうとか、払ってもいないものを税金を還付する、こういう制度があるので、端的に先ほどから——これは重要なのでもう一度お聞きしますが、免税業者の制度とかなんかがあるかどうかじゃなくて、税金が途中で消えてしまうとか、払ってもいないものを払ったものとみなして還付してしまう、そういう制度が外国にあるかという質問です。
  163. 野村興児

    ○野村説明員 諸外国におきましては、御承知のとおりインボイス方式が原則になっておりますが、中小零細事業者に対する特例といたしましては、そのインボイス方式の例外もあり得る、現にあるということを私申しているわけでございます。一般的には、我が国が帳簿方式であるのに対し諸外国、先進国におきましてはインボイスがとられている、それは確かに御指摘のとおりでございますが、その中小零細事業者の措置の中には、そのようなものもあるということを私は申しているわけでございます。
  164. 筒井信隆

    ○筒井委員 何回も繰り返してもあれですからやめておきますが、いずれにしろ、税の利益化といいますか、税金が途中で消えてしまうとか、実際に払ってもいないものを払ったものとみなしてしまう制度、こういう制度自体は、もし消費税を前提とするにしても変えなければいけないと思いますが、その点はどうでしょうか。最後の質問です。
  165. 野村興児

    ○野村説明員 先ほど来御説明しております中小零細事業者に対する特例措置、これらについては、我が国はこういった消費税のようなタイプの税というのは、実は全く初めての経験でございますので、それがゆえにいろいろな意味で事業者に対する措置ということで講じておりますけれども、導入以来まさに国民皆さんのいろいろな意味での声がございます。そういったものを踏まえまして、先ほど来申しておりますように実態を十分把握した上で、これらの制度をどう見直すか十分検討の上その考え方を提示する、こういうふうなことで、先般一月に閣議決定を見ておるところでございます。今回の見直し案におきましてもその片りんがあるわけでございますので、その点につきましては御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  166. 筒井信隆

    ○筒井委員 時間が来ましたので、消費税は大型間接税の一種ですが、諸外国の大型間接税とはまた全然質が違う堕落型で物すごい大きな欠陥にあふれている、だから、たとえ大型間接税を認める立場にしてもこの消費税は認めるわけにいかない、どちらにしても消費税というのはやはり廃止すべきである、こういう意見を最後に申し述べて、質問を終わります。
  167. 島村宜伸

    島村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時四十一分休憩      ────◇─────     午後三時四十四分開議
  168. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伏屋修治君。
  169. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今回の地方税法の一部改正によりますと、初年度約五百億円、平年度約一千億円の地方税減収することとなっております。一昨年の税制改正では約七千億の減収になったことに引き続き、今回の改正ではさらに地方税源が縮小を余儀なくされております。租税総額に対する国税、地方税の配分割合を見ると、国税は昭和六十三年度実績見込み六二・四%が、平成元年度の見込みで六四・四%と二ポイント上昇しているのに対して、地方税は逆に二ポイント減少しており、地方税に対する配分割合は年々減少を迫られているのであります。地方は三割自治と言われているように、国税七に対し地方税は三という状況に迫られておる。今後、生活者重視の政治を進めていくためには、自主財源である地方税の財源の充実強化ということが最も大事であり、国税の大幅地方移譲を行うべきであると考えるものであります。  そこで、まず大臣地方税充実に対する具体的な施策をお伺いしたいところであります。
  170. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生からおしかりをいただくかもしれませんけれども、三割自治という実態はもう返上しなきゃならぬと思っております。これは現実に地方税自治体に占める平均値ですけれども、既に四六%くらい地方税で賄っておられるという自治体の現状でございますので、これは大変結構なことだと思っております。  先生から具体的な施策を問うということになりますと、新しい地方税充実のための財源施策、おまえ持っておるかと言われると、まことに残念ながらまだそういった構想は持つに至っておりません。  御存じのとおり、府県は事業税と県民税ですかに頼っておる。市町村自治体は、自主財源といえば固定資産税住民税ということが大宗をなしておるわけでございますので、これに地域の格差、偏在をできるだけなくして、それぞれが個性ある豊かで活力のある自治体ということの努力をなさっていらっしゃる。そのためには何としても欠かせないのがいわゆる交付金でございますから、交付税は自主的に使える財源ですから、これは自主財源と広義に言ってもお許しいただけるんじゃないかと思うのです。したがって、地方自治充実のために自主財源強化に努めるとともに地域の偏差をなくする、そして時代の要請にこたえる個性の豊かな自治体として繁栄していただくために、交付税を財源調整の中で使っていただくということで充実、活用をお願いしたいと思うわけでございます。
  171. 伏屋修治

    ○伏屋委員 常々大臣は民主主義の根幹は地方自治にある、こういうふうにおっしゃっておみえでございますので、そういう面での今後の具体的な施策を詰めていっていただきたい、こういうように心から念願するものであります。  続きまして、来年の固定資産税評価額が大幅に上昇することが予測されておるわけでございます が、こうした場合、固定資産税負担緩和措置をこれまでもとられてまいりましたけれども、来年度固定資産税評価がえに伴う負担緩和についてどのような方針で臨むのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  172. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税の評価がえは三年に一回ずつお願いしておりますが、来年の四月がその評価がえの時期になるわけでございます。そして、今回の評価がえの一番大きな問題は、地価が極めて高騰している地域、特に三大都市圏中心にいたします地価が高騰している地域がある反面、その他の地域では比較的地価が安定しているというような、地価の動向が二極化しているという今までにない状況になっているわけでございます。そういう中で現在評価の作業を進めているところでございますけれども、なかなか従来の評価がえのような単純な作業ではいかない面がいろいろあるということで、今いろいろと地方団体皆さん方とも御相談をしながら作業を進めているところでございます。  そういう形でともかく評価がえを実施していくとすると、その効果として税負担が一部では急増するということも考えられるわけでございますが、この点についてはどの程度の評価がえの状況になるかという点がまだはっきりいたしませんので、何とも申し上げられないわけでございますけれども、従来も、評価がえに当たりましては税負担が一挙に増加しないように、なだらかないわば負担調整措置というものを講じているところでございまして、平成年度の評価がえにおきましてもそういうものも一つの視野に置きながら、しかし他方、評価がえは評価がえとして適正な評価をしていかなければならないという点もございますので、その評価の適正化と負担の急増をどういうふうに緩和していくかということの二つをにらみ合わせながら、今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。
  173. 伏屋修治

    ○伏屋委員 固定資産税が地価の急騰によりまして非常に上がっていくということは予想されるわけでございますので、過激な負担にならないように適正な評価、緩和策を考えていただきたい、このように思うわけでございます。  続きまして、私どもの党の生活者を中心にした立場という政治姿勢から考えますと、そういう生活者の立場に立った政治というものを推進するためには、固定資産税については、一定規模以下の居住用の土地及び建物については、基礎控除方式を導入し非課税とすべきものであると考えておるわけでございます。また、長期的な展望に立って資産を用途別、所有形態別に区分して、固定資産税負担の適正化を図るべきであると考えておるところでございますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  174. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税は、固定資産自体の持っている価値に着目して、その資産の使用収益し得る価値に応じて課税をするという意味で、通常物税と呼んでおります。その所有者の方々がどういう方々かということを一応抜きにして、そこに土地があるあるいは建物があるということを前提にして、その価値に応じて税を負担していただくという考え方になっているわけでございます。  したがいまして、御指摘のように基礎控除というような考え方、これはむしろ所得課税のように、それぞれの人の状況というものを踏まえて課税をするやり方とこの固定資産税の税の性格というものが基本的に違うものでございますので、これについて基礎控除というようなものを導入するということは非常に難しいのではないかと考えるわけでございます。  また、資産の用途別、所有者別という点で税負担の差を設けられないかという点につきましても、用途別という点では例えば農地、山林、宅地というような形での用途別の税負担、評価の違いはございますけれども、例えば宅地一つとった場合に、その宅地の用途別によって税負担を変えるということがなかなか外形的な税であるだけに難しい。特にまた所有者の状況というものをそこに加味するということになりますと、その土地なり建物は常にその方が持っておられるとは限らずに、どんどんと転々と譲渡されていくということもございますので、そこを捕捉するのもなかなか難しいというようなことがございまして、こういう用途別あるいは所有者別に税負担に差を設けることは、税の性格上非常に難しい問題がございます。  ただ、従来からもやっております居住用の固定資産につきましては、住宅政策の観点から住宅用地については二百平米までは四分の一、それ以上の住宅用地は二分の一に軽減をする、あるいは新築住宅につきましても一定期間軽減措置を講ずる、こういうような形での軽減措置を図っているところでございまして、そういう形での外形的な軽減の仕方ということで、ここのところはひとつ御理解いただければと思うわけでございます。
  175. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私どもは選挙を通じながら、生活者の立場というものを堅持して、土地が非常に上がったということから、こういう一定規模土地、建物についての税額控除ということを訴えてきたわけでございますが、今の税体系にはなじまないというような御答弁もありましたけれども、今後にわたる一つの研究課題として積極的に取り組んでいただきたいと思います。またこれに並びまして、今都心における家賃の非常な高騰等もございます。そういう家賃の高騰に対しましても、一定額以上の家賃に対しては、こういう控除方式というものを用いることによって住民負担軽減する、そういうことの今後の課題としても研究を進めていっていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。  次に、この問題は数次にわたる税制調査会等々で問題にされておるところでございますが、社会保険診療報酬にかかわる事業税特例、これは毎回の税制調査会において、これを廃止すべきである云々という言葉が前文にありまして、けれどもということで全然これが改正されておらない、こういうことでございますけれども、もういいかげんにこれは廃止してもよいのではないか、このように考えますが、そのあたりはどのようにお考えですか。
  176. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 社会保険診療報酬に対する課税のあり方という問題については、いろいろな観点からの御議論がございますが、この前行われました税制改革におきましては、国税、地方税を通じてこの社会保険診療報酬の特例についての見直しを行ったわけでございます。  その結果、現在社会保険診療報酬の特例として、所得税住民税あるいは法人税という所得課税についての概算経費率の特例というものが一つございます。それともう一つは、事業税の実質非課税というこの二つのものがあるわけでございますが、このうちの前段の所得課税におきます概算経費率につきましての所得計算特例見直しを、この前の税制改革では行ったわけでございます。そして、診療報酬の収入金額が五千万円以下の医師に限って特例を設けるということで、それ以上の方々については今回概算経費率についての特例は一切なくなった、こういうことを今回やったわけでございます。  この結果、所得税住民税等につきましての影響が非常に大きくて、この特例の適用を受けていたお医者さんの割合が全体で六割から四割に減少するというふうに見込まれているところでございまして、かなりの見直しの効果というものがあったわけでございます。そういうことも踏まえまして、今回の税制改革では、事業税の実質非課税については、これは当面所得の概算経費率を見直すことによって、事業税の方は一応もう少し検討すべきではないかという御議論がございまして、事業の公益性、公共性などに照らしまして、一般の営利事業とは同一視できないという御意見も一方に強くございまして、最終的に事業税見直しにつきましては意見の一致を見なかったわけでございます。  こういうような状況におきまして、ただいま御指摘もございましたように、税制調査会の答申では毎回毎回御指摘はいただいているわけでございますが、社会保険診療報酬に全く手をつけていな いというわけではなく、所得課税についての概算経費率の見直しというのは、地方税にとりましても非常に大きなメリットのあった問題でございますので、この辺もよく勘案いたしまして、今後の見直しに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  177. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この事業税をめぐる問題点としては、今の社会保険診療報酬ともう一つは外形標準課税の導入、これがいつも問題になるわけですけれども、いつもこれが先送りされておるというのが現実でございます。自治省の中に今後における事業税課税のあり方等に関する研究会というものが設置されておって、その中でこの問題点を明らかにしておられるようでございますけれども、外形標準課税の導入を含め、今後の事業税のあり方、そういうものの検討状況をお教えいただきたいと思います。
  178. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたとおり、事業税都道府県の税収の基幹的な税目になっておりまして、この税目の性格、あり方ということは、地方団体にとりましても企業にとりましても非常に大きな関心があるわけでございます。そして、この事業税につきましては、基本的にこの税を都道府県課税する根拠といたしまして、事業活動を行っていることと、地方行政サービスを受けているその受益関係に着目して事業税負担していただこうという考え方で、現在の税制ができておるわけでございますが、と同時に、都道府県税の税収の非常に大きなウエートを占めている税でございますけれども、反面、現在の所得課税でいたしますと、景気に非常に左右されて、税収の変動が非常に大きいという問題もございまして、ただいま御指摘のように、外形標準課税によってこの事業税負担をしてもらうべきではないかという議論が古くからあるわけでございます。  この問題につきましては、最近まで企業関係税とか間接税全体とも関連する問題だということで、たまたま課税ベースの広い間接税等が検討されていた段階では、その課税ベースの広い間接税との関連を考慮しながら検討すべきだというふうにして、一緒になって検討してきたわけでございますが、今回の税制改革におきまして消費税ができまして、この事業税の外形標準課税の問題については、今後別途検討していく必要があるということで切り離されたわけでございます。  そういうことがございましたので、昨年から、この事業税のあり方というものをもう一度見直そうではないかということで、実務者レベルの方々の参加をいただいて研究会をつくりました。そこで現在この事業税の問題についてのいろいろな方面からの検討をしているところでございます。平成元年度におきましては、主としてこの事業税問題点あるいは現況というようなものにつきまして把握、分析をいたしまして、できれば明年度において、これを踏まえて一定方向づけというようなものが研究会からいただければ非常にありがたいなということで、今研究会に検討お願いしているところでございます。
  179. 伏屋修治

    ○伏屋委員 ここでまた今の問題とはちょっと変わりますけれども、午前中もある委員からもお話がございましたが、今回の地方税制の改正の中の創設部門で、住民税にも損害保険料控除を設けてあるわけでございますけれども、その根拠をもう一度お伺いしたいと思います。
  180. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 損害保険料についての控除制度は、従来から所得税ではあったわけでございますけれども、住民税には従来ございませんでした。それは、損害保険というものにつきまして、地方の立場から見ますと、例えば消防行政というものを市町村がやっている、結局そういう消防行政によって火災の件数が少なくなるし、損害保険料負担も結果的に軽減されるということで、そちらの方からの寄与が地方の場合には大きいのではないかということで、住民税におきましては損害保険料控除は適用しなかったわけでございます。  ただ、しかしながら、最近のこの損害保険状況を見てまいりますと、火災保険のシェアというのが大分下がってきておりまして、逆に、例えば六十一年には医療費用保険でございますとか、平成元年には介護費用保険だとかいうようなものが許可をされまして、損害保険におきましても生命保険と非常にダブっているところ、境目がだんだんなくなってきたというような状況が出てきたわけでございます。そういうようなことを踏まえまして、損害保険がいろいろ多様化してきた、それから今後の高齢化社会への対応のために、公的年金だけではなしにこういう自助努力も必要だということとあわせまして、今回損害保険料の控除の制度を設けることにしたわけでございます。
  181. 伏屋修治

    ○伏屋委員 続きまして、土地税制の問題でございますが、これは今後ともに土地基本法等の推移を見守らなければならないところでございますが、一番問題になるのは市街化区域内の農地の宅地並み課税、この取り組みであると思いますが、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  182. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 市街化区域内の農地に対します固定資産税課税の問題につきましては、先生案内のとおり非常に古い歴史がございます。この市街化区域内農地の線引きが始まって以来、固定資産税課税のあり方につきましては制度が二転三転をして、昭和五十七年度税制改正で今の制度が一応続けられているわけでございます。しかしながら、この制度につきましてもいろいろな御批判もございまして、昭和六十三年の六月に総合土地対策要綱という形で閣議決定した中におきましても、この市街化区域内農地につきましての施策についての提言が行われております。  その提言の中身としましては、まず東京などの大都市地域の市街化区域内の農地を、宅地化するものと農地として保全すべきものとを明確に区分をしろ、区分した上で、宅地化すべき農地につきましては、これがスプロール化しないように、あるいは良質な宅地化ができるような、公共事業というものもきちんとやった上で宅地化するような、そういう実効ある制度、施策を講じるということを前提にいたしまして、土地税制の全体の見直しの中で市街化区域内の農地の課税の問題についても検討しようということにしたわけでございます。  昨年の十二月に土地基本法が制定されまして、それを受けたその直後の土地対策関係閣僚会議におきましても、今申し上げました総合土地対策要綱の方針に従いまして、税制調査会に諮って検討をしながら平成年度中に成案を得て、所要法律案の提出を図って、そして現在の長期営農継続農地の期限が来る平成年度から、この円滑な実施に移れるような検討を今後鋭意やってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  183. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その次に入湯税についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、この入湯税昭和五十三年に現行税率が設定されて、非常に長い間ずっとそのままになっておるわけでございますけれども、こういうような定額により課税されるというものが長期にわたった場合には、やはり所得水準の推移、それから地域社会との受益関係、こういうものを考慮しながら見直すべきであるという御意見もあるようでございますが、そのあたりはどうお考えでございますか。
  184. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいま御指摘のとおり、入湯税は現在百五十円という定額の課税になっているわけでございます。これが決められましたのは、昭和五十二年度でございまして、昭和五十二年度に百円から百五十円に引き上げられましてそのまま今日に至っているということでございますので、かなり長期間この税率がそのままになっているわけでございます。ただいま御指摘がございましたとおり、物価水準の状況などを考えますと、こういう定額課税につきましては実質的に税率が薄まってくるということがございますので、やはり適時適切に見直すべきであるということは、基本的に仰せのとおりでございます。  ただ、現在の状況を見ますと、入湯税につきましては最近の観光ブームと申しますか、そういうような状況の中で、温泉地の観光客数も非常に増加しているという問題が一つございますし、また、現在の百五十円というのは標準税率でございますが、市町村によってはまだこの百五十円に至らない税率課税をしている団体がかなりございまして、こういうような状況を考えてみると、これを直ちに引き上げるのが適切かどうかという点で、実は私どもも今回はこの引き上げを見送ったわけでございます。  今後、入湯税というものが温泉所在地の市町村の貴重な財源であるし、これを使っていろいろな観光開発などをやっていくということを考えてみますと、やはり今後とも適時適切な見直しということをやってまいらなければいけないというふうに考えているところでございます。
  185. 伏屋修治

    ○伏屋委員 それに関連してでございますけれども、この入湯税が適正に課税されておるのかどうなのかというところが大きな問題点でございまして、入湯客数の把握、こういうものが非常にあいまいになっておって、いわゆる申告に頼って課税する、こういうことでございまして、課税の適正化が保持されておるのかどうか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  186. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 この入湯税税制度は、いわゆる特別徴収制度をとっておりまして、旅館などにお願いをしてこの税を利用者から徴収していただく、こういう仕組みをとっているわけでございます。その関係で、この特別徴収義務者の方々にいろいろと課税の適正化についてのお願いを当然市町村からしているところでございますけれども、制度的な担保といたしましては、このほかに例えば質問検査権でございますとか、あるいは必要がある場合には質問のほかに帳簿書類その他の検査をすることができるということで、制度的にはそういう調査権というものが市町村に担保されているわけでございますけれども、やはりこういう税制でございますので、特別徴収義務者の方々市町村との信頼関係というものが非常に重要ではないかと思うわけでございます。そういう中でこの税の適正な確保という点で、両方がよく協力し合いながら税収の確保についてひとつお願いをしたいというふうに考えているところでございます。
  187. 伏屋修治

    ○伏屋委員 地方税についてはそれぐらいにしまして、あと警察関係の問題をお尋ねしたいと思います。  警察庁では、昭和六十三年から刑事警察について語る会というものを開催し、刑事警察の運営に関する率直な意見、要望等を受ける機会を設けたと聞いておるわけでございますが、その会の運営及び構成メンバーはどんなふうになっておりますか。
  188. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの刑事警察について語る会は、各界の有識者から捜査の実情やあるいは捜査を取り巻く社会環境等につきまして率直な意見を承りまして、これを刑事警察の運営に反映させようということで、昭和六十三年の五月から開催しております懇談会でございます。  この会のメンバーは、現在学者、弁護士、報道関係者、評論家等の部外の有識者十二名の方でございまして、これに私ども警察庁から長官、次長、それから私以下刑事局の課長クラス以上等の職員が出席をしております。  この会は現在まで六回開催しておりまして、そのテーマにつきましては、例えば広域事件対策でございますとか暴力団対策でございますとか犯罪の国際化対策などなど、そのときの情勢に応じたテーマにつきまして二時間ぐらい懇談いたしまして、そこでそのメンバーの方々の御意見を承りまして、それを今後の刑事警察活動の参考にさせていただくということでやっておるわけでございます。
  189. 伏屋修治

    ○伏屋委員 六回開かれたそうですけれども、そのうちの第二回目の会合において、広域犯罪対策について警察庁側の説明に対して、日本警察の捜査において県境を越すということは、外国における国境を越えて捜査を行うことと同じぐらいの困難を伴うのか、こういうような趣旨の意見が述べられたと聞いておるわけでございますが、それについてはどのような認識をされておりますか。
  190. 中門弘

    ○中門政府委員 恐らく警察が最近の犯罪の広域化あるいはスピード化というふうなことに十分に対応できているのかどうかという観点からの御指摘であったかと思います。  確かに犯罪者にとりましては都道府県の境はないわけでございますが、捜査する側につきましても、そういうものが捜査の支障になるということでは困るわけでございまして、私どもといたしましては、捜査の際に都道府県間の捜査情報をより緊密に交換すること、また、捜査指揮につきましても、都道府県警察間の調整等によりましてこれに的確に対処するということの必要性を痛感しているところでございます。  したがいまして、例えば都道府県警察間の調整という問題につきましては、昨年の春から警察庁に広域捜査指導官室を設置いたしまして、警察庁の指導調整機能を強化しておりますし、また、各都道府県警察にも広域機動捜査班というものを設置いたしまして、広域的な連携体制を整備いたしまして、また、この機動捜査班の合同捜査訓練を行うことによりまして、都道府県間の連携捜査体制の一層の強化を図っているところでございます。
  191. 伏屋修治

    ○伏屋委員 過去に幾たびかありました幼女誘拐殺人事件等々の捜査のミス等もいろいろ指摘されておるところでございまして、そういうことのないように、そういう広域指導官あるいは広域機動捜査隊というものが今後とも効率的に運用されていかなければならぬ、こう思います。  その次に、こういう会を六回持たれたそうですけれども、そこに出てきた意見、要望あるいは具体的な捜査等に当たってこれが何か反映されたものはありますか。
  192. 中門弘

    ○中門政府委員 この刑事警察について語る会で部外の有識者の方々からいただきました意見等につきましては、これを警察庁の内部で十分検討しました上で可能な限り施策に反映させるということにしているわけでございます。  例えば広域捜査力の強化の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、このほかにも、例えば暴力団対策につきましては、取り締まりのあり方等につきまして市民の考え方等の意見調査を行いましたほか、海外の組織犯罪に対します法制研究というふうなこともやっておりまして、この結果によりましては、我が国の法制等に導入することが可能なものがあるのかないのかというふうなことの検討も行っておるところでございます。また、国際捜査力の強化につきましては、捜査員の語学教育の充実でございますとか、あるいは部外の通訳要員の確保の問題というふうなことにつきましても施策を推進しているところでございます。
  193. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今出ました重大なテロ事件対策について今度はお尋ねをしたいと思います。  極左暴力集団が今組織的に、警察の発表では三万四千人、公安調査庁の発表では約一万八千三百人、こういうふうになっておるのですが、どちらがより正しい数字なのか、お聞かせ願いたいと思います。
  194. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  警察庁は、極左暴力集団の勢力を約三万五千人と計上しております。  この集計方法は、成田闘争など全国集会に参加する極左暴力集団の動員状況とか、地域、大学などで開催される集会あるいはビラ配布活動等の街頭活動に動員されている参加者を集積して算定したものであります。いわば総結集勢力というような見方をしておるわけでございます。警察庁といたしましては、犯罪の予防とかその他警察の任務を遂行する上で、そのような勢力を集計することが大変目的にかなっておるということでそうしておるわけでございます。  公安調査庁の方では、その任務にかんがみまして構成員を計上しておる、こういうふうに承っておるところであります。
  195. 伏屋修治

    ○伏屋委員 公安調査庁の数というのはそういう構成員ですね。はいわかりました。警察庁の方は 動員数で見ておるということですね。  次の問題に入ります。  最近のテロ、ゲリラ事件の特色の一つとして、強力な設置式爆弾を攻撃対象施設に仕掛けて爆発させるなど、爆発物を使用する傾向が見られるけれども、第二ハザマビル工事事務所爆弾事件以来五年余り、昭和五十五年から五十九年まではほとんど鎮静化しておったわけでございますが、また六十年から、六十年は七件、六十一年が五件、六十二年が十一件とだんだんふえる傾向にあるわけでございますが、これはどういう背景があるのか。また、今後エスカレートすることが非常に心配されるわけでございますが、その辺はどうお考えですか。
  196. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘がありましたように、昭和六十年以降爆弾事件が再燃しておりまして、これまでに三十七件ほど発生しております。最近、例えば一月八日に常陸宮邸及び京都御所に対する同時ゲリラ事件などが発生しておるところでございます。大変悪質な事件でございまして、こういう過激な闘争手段に訴えるということは、言ってみればそれだけ勢力が弱くなってきておるということでございます。  テロ、ゲリラというのは弱者の兵法でございまして、力が弱くなると過激になる、過激になると大衆が動員できなくなって、あるいは新しく入ってくる者が少なくなって、それで弱くなる、弱くなると過激になる、こういうことではないかというふうに考えております。それが背景についての御説明でございます。今後ますますエスカレートしていくのではないかというふうに考えておるところでございます。
  197. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この極左暴力集団の当面重視する闘争課題というのは、成田闘争が挙げられると思います。その成田闘争について、二期工事の大枠完成目標というのは政府公約どおりと考えてよろしいのですか。これは運輸省ですか。
  198. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  いわゆる成田空港につきましては、最近航空需要が大変大幅に伸びておりまして、現在の供用施設では限界に達しておるという状況でございます。また、現在乗り入れております三十七カ国四十九社の航空会社からも増便の要求がございますし、さらに三十九カ国から新たな乗り入れの希望がございまして、早く完全空港化をしなければいけないというふうに思っておるところでもございます。このため第五次空港整備五カ年計画に定められました平成年度概成、この目標を目指しまして現在二期工事区域のほぼ全域で工事を実施しております。  一方、空港敷地内及びその周辺には、空港に反対するいわゆる過激派が常駐しておりまして、空港施設、関連事業者に対してロケット弾の発射ですとか放火とか、違法なテロ、ゲリラ活動を繰り返しております。さらに、六十三年の九月には千葉県の土地収用委員会の会長を襲撃し、重傷を負わせたといったことがございますし、昨年からことしにかけましては、千葉県の職員の家あるいは運輸省の幹部職員の家、ごく近々では建設会社の社長、航空会社の会長、社長宅といったところに放火をいたしまして、その行動は次第にエスカレート、無差別化しているというふうに思っております。  こういった状況の中で、運輸省といたしましては、過激派に対しましては毅然たる態度を示すべく、昨年の八月から九月にかけまして、空港の内外に存します団結小屋の十カ所につきまして、新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法、いわゆる成田新法と略称しておりますが、その規定に基づきまして使用禁止命令を発しました。さらにその後、この使用禁止命令の違反が明白でありました三つの団結小屋につきましては、除去または封鎖の措置を講じたところでございます。さらに昨年十二月十九日につきましては、政府声明を閣議決定いたしまして、新東京国際空港の完全空港化とそれから極左暴力集団に対する毅然たる対処といったことにつきまして、政府としての積極的な取り組み姿勢を示したところでございます。  今後は完全空港化を早期に達成するために、残る未買収地二十一・三ヘクタール、全体の約二%でございますけれども、この取得が最大の課題となっておりまして、政府声明に従いまして話し合いを積極的に進めるなどあらゆる努力を講じまして、平成年度概成に向けて全力を傾注してまいりたい、かように考えております。
  199. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今未買収用地というのが二十一・三ヘクタールあると言われましたけれども、この用地問題の解決の見通し等はどうなのですか。
  200. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  未買収地の取得につきましては、地権者である農家の方々と話し合いによる解決、これを基本方針にいたしまして、これまで政府、公団は積極的な努力を重ねているところでございまして、去る一月三十日におきましては、運輸大臣がみずから反対派農民と現地で直接話し合いの場を持ったところでございます。今後とも農家とは話し合いによる解決を目指し、千葉県等地元自治体協力を得ながら早期に用地を取得し、完全空港化を実現するようあらゆる努力を払ってまいりたいというように考えております。
  201. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今現在残っている農家八戸、十六・二ヘクタールの土地について、前の江藤運輸大臣はそういう話し合いを進めるという姿勢で臨まれましたが、今後もそういう話し合いを進めていくというようなお話を今承ったわけでございます。しかし、これがどうしてもとんざしたときは、やはりまた強制収用に踏み切るのかどうなのか、そのあたりはどうですか。
  202. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 お答えいたします。  未買収地の取得につきましては、千葉県など地元の公共団体協力を得まして、現在話し合いによる解決を基本方針に全力を傾注いたしております。したがいまして、今後も引き続き誠心誠意この方針で努力してまいりたいと思っております。
  203. 伏屋修治

    ○伏屋委員 千葉県では成田空港に反対するセクトによる襲撃あるいは脅迫、今お話がございましたとおりいろいろな被害を受けておるわけでございまして、収用委員会の全委員が現在は委員辞任しておって委員が不在である、こういうような状況が長期化しておるわけでございますが、こういう収用委員会再建のめどというものについてはどうお考えですか。これは建設省の関係ですか。
  204. 六波羅昭

    ○六波羅説明員 昭和六十三年の九月二十一日に、成田空港二期工事に反対する過激派によりまして、千葉県の収用委員会の会長が襲撃され、その後も委員全員のみならず、家族の皆様方に対しましてもあるいはその職場に対しましても執拗に脅迫あるいは嫌がらせが行われるというような状況の中で、同年十一月二十四日に委員及び予備委員全員辞任のやむなきに至ったわけでございます。その後、委員全員が欠けたままとなっておりまして、現状は収用委員会が機能し得ない事態となっております。この点御指摘のとおりでございます。  収用委員会は、土地収用制度における基本的役割を担う委員会でございまして、欠けたままにしてはおけないものでございます。したがいまして、現在千葉県とよく連絡をとりながら、できるだけ早くこれを再建できるように努めているところでございます。
  205. 伏屋修治

    ○伏屋委員 収用委員の方が仮にもう一度任命をされたとしましても、こういう極左暴力団、過激派は、今後も収用委員に対する脅迫あるいは襲撃等を続けていくであろう、こういう心配をされるわけでございますが、そういう委員に対する身辺警護を含めてどういうふうにお考えになっておるか、お聞かせいただきたい。
  206. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  収用委員が選任されました場合には、警察は総力を挙げて身辺の警護に当たる所存であります。
  207. 伏屋修治

    ○伏屋委員 そういうふうにしていただきたいと思います。  それにしましても、極左集団はもう無差別に暴力に訴えてくる。そして、団結小屋の除去、こういうようなことになってきますと、そのセクトの存亡をかけて死に物狂いの抵抗をするだろう、こういうふうに思うわけでございますが、そういうテロ、ゲリラ事件というものが想定されるということは、近隣の方あるいは空港に来られた方々にもその被害が及ぶ心配もあります。そういうことからも非常に憂慮されるところでございますが、政府としてはこれに対してどのように対処していく方針なのか、お聞かせいただきたい。
  208. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  最近、運輸省が成田新法に基づきまして団結小屋を封鎖、除去いたしましたが、その際、やぐらの上に立てこもった極左暴力集団が火炎瓶を投てきしたり、鉄筋を短く切ったものを洋弓とか強力なパチンコによって部隊に向かって発射するなどの違法行為を敢行したわけでございます。私どもは、こうした違法行為に対しましては毅然として対処するということで対処しておるわけでありますが、私どもといたしましてはその中でできるだけ工夫をいたしまして、各種装備あるいは資器材を活用して警備の手法を工夫して、できるだけ負傷者を出さないようなやり方で制圧するということを基本にして警備をしておりまして、また、今後とも毅然として取り締まる、しかし、できるだけけが人を出さないように対処いたしたいというふうに考えているところであります。
  209. 伏屋修治

    ○伏屋委員 そのように御努力を続けていただきたいと思います。  先回は、何かテレビで拝見しておりますと、鳥かごみたいなものでやりましたが、断固とした姿勢でテロ、ゲリラ事件を鎮圧しなければなりませんが、やはりそういう流血事故だけは避ける、こういう方針で臨んでいただきたいと思います。  また、極左暴力集団の成田の問題と同時に、今年は即位の礼、大嘗祭、こういうものがございます。そういうものに向けて、過激派がみずからの主張を強めていることも予断を許さないところでございます。こういうような状況の流れの中で、今後こういう動きに対する当局のお考えは、どういうお考えを持っておりますか。
  210. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  極左暴力集団は昨年の春、いわゆる九〇年天皇決戦路線というものを設定いたしまして、反皇室闘争への取り組みを一段と強化しておるわけであります。とりわけ中核派は、昨年四月二十八日に宮内庁宿舎自動車爆弾事件、またことし一月八日には、先ほど申し上げましたように常陸宮邸及び京都御所に対する同時ゲリラ事件を敢行しておるわけであります。今後とも、極左暴力集団は即位の礼、大嘗祭を最大の山場として、これに成田闘争などを絡めて爆弾等殺傷力の強い武器を使用したテロ、ゲリラを引き起こすおそれが強いと思われます。大変厳しい情勢にあります。  このため、警察庁及び各都道府県警察におきましては、即位の礼、大嘗祭に向けての警備対策委員会をそれぞれ設置いたしまして、警察の総力を挙げて各種警戒を徹底し、また各種アジトなどの摘発、検挙ということに取り組んでおるところでございます。
  211. 伏屋修治

    ○伏屋委員 皇室闘争の過程で成田闘争と絡めてより強力な爆弾が使用されるおそれがあると考えられるわけでございますけれども、そのあたりはどう予想しておりますか。
  212. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  極左暴力集団は、最近の反皇室闘争において見られますように極めて強力な爆弾を使用しておるのであります。しかし、私どもといたしましては、例えばことし一月二十九日に埼玉県下で革労協狭間派という過激派の軍事アジトを摘発いたしまして、その際、対人殺傷用の新型爆弾あるいは手製のけん銃などを大量に押収しておるわけでございます。  極左暴力集団は、今後無制限、無制約のゲリラというようなことを言っております。したがって、爆弾闘争をさらにエスカレートさせてくるのではないかというふうに厳しく受けとめておるわけでございますが、先ほど申し上げましたようにいろいろな総合施策を講じて、また、そういう警察のいろいろな対策について国民各位の御理解、御協力を得ながら強力に施策を推進してまいりたいと考えている次第でございます。
  213. 伏屋修治

    ○伏屋委員 皇室闘争に伴うこの闘争で極左集団が過激な闘争をする、それに対して右翼が皇室を守るという立場から今度はテロ行為に走る、こうなってまいりますと非常に深刻な事態につながってまいりますし、治安を左右する大きな問題になってこないか、こういうように心配をするわけですけれども、その辺の手当てはどういうようにされておりますか。
  214. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  右翼は極左暴力集団による皇室関連施設に対するゲリラに大変危機感を強めておりまして、これまでにも極左暴力集団の事務所に街宣車を突入させるとか、あるいはけん銃を撃ち込むといったような対決事件を引き起こしているところであります。片や、極左暴力集団は、こうした右翼からの攻撃に対して報復を宣言しておるところであります。  今後も、この秋に予定されておる即位の礼、大嘗祭をめぐりまして左右の対決事件というものが懸念されるところでありますので、警察といたしましては、右翼、極左暴力集団双方に対して視察、警戒、取り締まりということを強化いたしまして、重大事件の未然防止と徹底検挙を進めてまいりたいと考えております。
  215. 伏屋修治

    ○伏屋委員 右翼団体も左翼と同じことで非常に危険分子でございます。その右翼団体の対策でございますが、長崎の本島市長が右翼団体幹部に短銃で撃たれたというようなことがございますし、また最近では、言論とか表現における右翼の嫌がらせ、暴力というものが全国的に非常にはびこっておるわけでございます。そういうものに対してどういうふうなお考えを持っておみえですか。
  216. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  右翼は最近、目的達成の道をテロ、ゲリラなどの直接行動に求めようとする大変危険な傾向を強めておるところであります。こうした傾向の背景には、目的達成のためには爆弾闘争も辞さないといった過激な主張を展開しているいわゆる新右翼と言われるようなものの影響、さらにこれに加えて静穏保持法ができまして、街頭宣伝活動に対する規制あるいは取り締まりが強化された、したがって、一部にはもはや街頭宣伝の時代は終わった、これからはテロだというように考えを表明する者もあるわけでございまして、こうしたことからテロ、ゲリラ化の傾向が大変顕著になってきております。  特に最近目立ちますのはけん銃を使用した、ただいま御指摘がありましたように、本島市長に対する襲撃もけん銃を使用したわけでありますが、本年になりまして既に四件右翼によるけん銃使用事件が発生しております。昨年は一年間で四件でございます。その前は二件でございますので、既に四件というのは大変大きな数字であるというふうに思いますが、これは右翼団体の多くが暴力団と密接な関連を持っているというようなことに原因があるというふうに見ております。  私どもといたしましては、いかなる立場からであれ、絶対に違法行為は看過できないということで厳正に対処しておるところでございます。特にけん銃の問題については、私どもも大変憂慮いたしまして、二月十五日に全国の警察に通達を発しまして、現在警察の総力を挙げてけん銃の集中取り締まりを実施しているところでございます。
  217. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今の答弁の中にもありましたけれども、新右翼と言われるこういう団体が出てきたわけでございますが、これがかなり右翼の間に強い影響力を与えておる、こういうように言われておるわけでございますが、その主義主張とか団体数はどの程度あるのですか。
  218. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  いわゆる新右翼と言われる団体は、反共を重視して体制寄りになった戦後の右翼運動から脱却して、ヤルタ協定とポツダム宣言によって規定されたいわゆる戦後体制を打倒して、右翼の本質である反体制、国家革新の原点に立ち返ることを主張して、目的達成のためには爆弾闘争も辞さないとする過激な右翼団体でございます。こうしたグループは現在約三十団体、三百人ぐらいというふうに見ておるところでございます。
  219. 伏屋修治

    ○伏屋委員 もう一つ、右翼団体による国民の言論、表現活動に加えられる暴力あるいは威迫事件というものが後を絶たないわけでございますが、こういうように全国に広がっておる状況の中で、日ごろ右翼のスピーカーや町じゅうでの運転の傍若無人さ、こういうものに対して一般の市民は、彼らは相当なことをやっても警察のお目こぼしにあずかっておるのではないかという市民の思い込みもあるようなわけでございまして、その辺のところは警察の甘さを指摘する声もあるわけでございます。そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  220. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  右翼による拡声機騒音は近年特に悪質化しておりまして、日教組大会糾弾とかあるいは企業糾弾といったような形あるいは北方領土の日とか反ソデー、そういったような機会に大変騒がしい音を出しておりまして、大きな社会問題というだけでなくて、さらに事によっては国際問題にもなっておるという状況でございます。これらに対して警察といたしまして取り締まりに努力しておるわけでございますが、頼りないというような感じで御質問がございましたのですが、一般的に申し上げますと、騒音の取り締まりに有効な法令はいささか整備されておらないという状況がありまして、警察の取り締まりが国民期待どおりに成果をなかなか上げられないという状況にございます。  少しく詳しく説明させていただきたいと思いますが、警察は軽犯罪法を適用して取り締まりに努力しておるわけでありますが、軽犯罪法は警察官の制止に従えば違反とならないわけでございます。また、違反が成立いたしましても罰則が軽いので、現行犯逮捕できる場合が限られておるというようなことで、なかなか現場措置として適当でない。また、公害防止条例につきましても、拡声機の使用について規制のないものとか、あるいはあったとしても商業宣伝目的の使用に限られるというようなことで、右翼による拡声機騒音の取り締まりについて有効なものはほとんどないわけでございます。  こうしたことから、国会議事堂やあるいは外国公館等の周辺につきましては、特に静穏保持の必要があるということで、一昨年十二月に静穏保持法が制定されました。それからまた、このほか岡山県では昭和五十九年に拡声機等による暴騒音の規制条例が制定されまして、一定の効果を上げておるところであります。しかし、これらは地域が限られたことでございますので、まだまだほかに問題がある。最近の動きといたしましては、石川県あるいは岐阜県でそれぞれ条例を制定いたしまして、そういった暴騒音を条例によって規制する、こういう動きが出ておるわけでございます。警察といたしましては、こうしたものも含めてあらゆる法令を駆使して対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  221. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次に、薬物の事犯のことについてお尋ねしたいと思います。  これまでほとんど問題になることがなかったコカイン、ヘロイン事犯が昭和六十年ごろから急増の兆しを見せておるわけでございます。とりわけ平成元年、コカインが十三・七キログラム、ヘロインが二十七・四キログラム、これは史上最高と言われておるわけでございますが、こういうように急増したその背景というのはいずこにあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  222. 市川和孝

    ○市川説明員 御説明申し上げます。  現在我が国において薬物乱用の主たるものは覚せい剤でございまして、その検挙者は毎年二万人前後という状況でございます。一方、ただいま先生指摘になりましたコカイン、ヘロインにつきましては、現在のところ乱用状況という点で見ますと、欧米のような状況ではございませんが、先生指摘のように最近これらの事犯が増加の傾向にございます。  その背景といたしましては、日本が例えば東南アジアからのヘロインの中継地として利用されていること、あるいはコロンビア等のコカインの密売者が我が国へ密輸を図ろうとしているというようなこともございます。さらに近年、ヘロインあるいはコカインというようなものにつきまして、外国における乱用が著しく増加しているということとあわせまして、海外旅行者が非常に増加しております。そういう機会を通じまして、海外においてこれらの薬物を入手する、あるいは経験するというような機会がふえていることも、コカインあるいはヘロイン事犯が増加してきている背景にあるものと考えておりまして、今後我が国としても十分警戒をしていかなければいけないというふうに考えております。  以上でございます。
  223. 伏屋修治

    ○伏屋委員 従来は日本というものはアメリカ、ヨーロッパへの密輸入の中継地点、中継基地、こういうように考えられておったわけでございますけれども、南米コロンビアの麻薬組織というものが、アメリカのコカイン市場が頭打ちになっておるということからヨーロッパに手を伸ばし、今度は日本へも本格的な進出を企てておる、こういう指摘があることからしましても、非常に憂慮にたえないところでございます。今後ともそういう面での厳しい取り締まりをお願いしたいと思います。  そういうような取り締まり、麻薬の常習とかそういうものに対する国際的な面において、一九八八年十二月に国連で採択された麻薬新条約は、コントロールドデリバリーの実施とマネーロンダリングの規制等を主たる内容とするものでありますけれども、この同条約の履行はこういう不正取引を防止するに寄与するものであると思うわけでございますが、日本はこの条約に署名はしておりますけれどもまだ批准はしておらない、こういう状況でございます。そのめどはいつごろにあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  224. 辻本甫

    ○辻本説明員 御説明申し上げます。  我が国政府といたしましては、この条約の趣旨に賛同いたしておりまして、昨年十二月、先生指摘のとおり署名を了しております。この条約を実際に締結いたしまして実施していくということになりますと、国内法の整備が必要になるということが見通されておるわけでございますが、我が国といたしまして、各国がとっている考え方等を確認しながら条約の解釈や詳細を確定いたしますとともに、国内法を所管する関係省庁検討も得ながら速やかに締結できるよう努力いたしたい所存でございます。
  225. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その批准に向けて国内法の整備等々各省庁の連絡を密にしながら進めていくということの御答弁でございましたが、平成二年の二月十五日の日経新聞の報道によりますと、そのマネーロンダリング、不正資金の洗浄浄化、これを防止するために一九九一年を目途に麻薬資金洗浄防止法、これは仮称ですけれども、これを制定する方針を固めた、こういうような報道がされておるわけでございますが、その中身というようなことについてわかる範囲、教えていただきたいと思います。
  226. 辻本甫

    ○辻本説明員 御説明申し上げます。  先生が今御指摘なされましたいわゆるマネーロンダリングの取り締まりにつきましても、現行の国内法制ではカバーされないものでございますので、今現在外国の立法例等も調査中でございますが、こういった調査検討を鋭意進めていきたいということでございます。
  227. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この日経新聞の内容を見ますと、大蔵、法務、厚生、警察ですか、その関係省庁で連絡を密にしながら具体案を煮詰めて、四月のサミット準備会にこれを提出する、こういうようなことが新聞に報道されておるわけですが、それは事実ですか。
  228. 辻本甫

    ○辻本説明員 御説明申し上げます。  マネーロンダリングにつきましては、昨年のアルシュ・サミットにおきましてその取り締まりの重要性が指摘されるとともに、金融活動作業グループというものをつくって、本年の四月までに報告を取りまとめるということを経済宣言でうたったわけでございまして、先生が先ほど御指摘になられました記事は、まさにその報告のことを指しているわけでございます。そして、我が国もこの報告作成の作業に先進国の一カ国として加わりまして検討をしてきたわけでございますが、この報告書を我が国としてもエンドースしたということでございます。
  229. 伏屋修治

    ○伏屋委員 まだ幾つか問題点聞きたいのですけれども、もう時間も来たようでございますので、以上で終わりたいと思います。
  230. 島村宜伸

    島村委員長 吉井英勝君。
  231. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 せんだって、三月二十三日に一九九〇年地価公示価格というのが公表され、各紙を見ておりますと、一斉に大阪圏は五六%強の急騰とか東京圏再上昇とか、そういう見出しで報道されておりますが、一昨年の東京での地価の暴騰が、このときに有効な手を打っていなかったということがやはり全国に波及していったものだと思います。  ちょうどこの発表があった三月二十三日に土地対策閣僚会議が開かれましたが、わずか三十分というふうに報道されております。土地対策は現内閣の最重要課題ということに位置づけられてきているわけでありますが、こういう点では、短い限られた時間での会議というんじゃ、地価高騰で苦しんでいる国民の気持ちがわかっていただいているのか、あるいは地価高騰の後に続くマイホームの夢が崩され、打ち破られ、そして家賃の値上げであるとか固定資産税都市計画税などの負担増の問題ですね、国民がこの後さらに苦しむことになるわけですが、そういうことについてよくわかっていただいているのか、こういう疑問も出てくるわけでありますが、そこで土地対策閣僚会議の一員である自治大臣に二点お伺いしたいと思うのです。  一点目は、地価高騰が全国に波及する事態についてどのようにメンバーの一人としてお考えなのかということ、もう一点は、どのような対策が必要であるというふうにお考えになっておられるか、まずこの二点をお伺いしたいと思います。
  232. 奥田敬和

    奥田国務大臣 さきの地価対策閣僚会議で確かにいろいろな意見は出たわけでございますけれども、新聞に報ぜられたとおり、時間が限られておったために皆さんの御意見、なかなか意が尽くされなかったようでございます。  私が閣僚会議で発言いたしましたのは、やはり土地政策の所管は国土庁でございますから、国土庁が時宜に応じて適切に指示をしていただければ、監視区域等々の問題で地方自治体の全面協力を積極的にこれから行っていかなきゃいかぬという形で、むしろ所管官庁の図土庁を激励したような形になったわけでございます。  確かに大阪の地価上昇は、私もあの数字を見て大変異常であると思っております。東京があれだけの値上がりをして、やがては続く大阪あたり、近畿圏の大都市、地価上昇ということは当然ある意味においては予測しなきゃいかぬかった。はっきりと言えば、事前に監視区域の徹底化も目指してそういった措置を講じておれば、あれほどの急激な価格上昇は防げたかなと思っております。その反省の上に立って今いろいろな土地の総合対策をやろうということで、先生が御指摘のように、内閣にとっての最重要政治課題であるという認識の上に立って今やっておるわけであります。  私も先生も認識は一緒だと思いますけれども、所得水準は随分、世界のトップクラスに高くなってきた、年間に一千万人も外国へ皆さんが出かけられるくらいの豊かさになってきた、しかし、何ともこの豊かさが自分たちの実感として持ってこれない、その大きな理由は幾つかもちろんあると思いますけれども、まあ物価も流通面の改善をしなければならぬでしょう、そういうところに問題はあると私は認識しています。しかし、何といっても根源は、やはり土地住宅問題に尽きるんじゃないかと思っております。  特に私たちの選挙区なんかを例にとると、まだもう少し土地も比較的価格安定もしておりますし、働く人たちの若い人たちももちろんマイハウスを持つ夢というのはそんな至難なことではありませんけれども、特に東京を中心にした地域、大阪圏、大都市圏のこの土地状況を見ますと、全く土地を持たざる者と持てる者の資産格差、今御指摘あったとおり、若者に夢がなくなる、こういったことを大変深刻に受けとめておるわけです。  一方、またこういうこともある意味においては一極集中という形から脱却するチャンスでもあるわけです。これは確かに私たちの郷里を含めて、もう皆さん先生方のそれぞれの地域がまさにこの機を逃がさないで、活力のある今のうちからある程度きちっとした土地政策を各自治体も含めて対応していけば、若者にとってはむしろ魅力あるのは地方であるという、そういったことを反面期待してもおるわけでありますが、いずれにしても土地の総合施策というものを徹底的に、しかも早急にやっていかなければならぬなと思っております。  政府としても、もちろんいろいろあるわけですが、自治省の立場からいいますと、やはり当面は今、明年に控えておる固定資産税あたりの適正な見直しももちろんその一環にあります。それと、宅地並み課税と申しますか、農業の生産適地と住宅適地というものの区分をやはり明確化していく必要があります。特に、三大都市圏においては待ったなしの状態だと私は認識します。したがって、これについては平成年度中に結論を出す。実施平成四年実施という一つ目標値が立てられておるわけですから、これに向かって全力を注いでまいります。また、遊休地の定義あたりも今建設省がせっかく検討中でございますから、これの結論も、遊休地とは何ぞや、工場跡地利用、政府の国公有地活用、こういった形の施策も大変大事であろうと思います。  土地税制全般に関して、私たちは今全力を挙げて監視区域の拡大強化、これらも自治体の応援をせっかく得て、先手先手に手を打たなければ大変なことになるという重大認識において頑張っていこうと思っておるところでございます。
  233. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、その当日の閣議の後、伝えられているところでは、総理から大蔵、建設自治大臣土地対策を改めて指示したというふうに伝えられているのですが、特に総理からどのような指示があったのかを伺っておきたいと思います。
  234. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そんな難しい指示じゃないのです。ただ、認識の重大さというものを総理としては強調したかったということと同時に、やはりこの土地問題というものは、先生御存じのように一省庁だけでやれるものじゃありません。基本認識がみんな一つになって、建設省、国土庁、農水省あるいは自治省というそれぞれの立場でえこじを張っておってもだめなんで、ですからそのときもともかく仲よくせっかくやってくれということでございましたけれども、私はむしろそのときに国土庁の長官に、もうあなたのところがやはり土地の所管の責任官庁として私たちにどんどん、とりあえずの段階で言えば、監視区域の増大とか拡大とかそういった問題もあるわけですけれども、そういうのを遠慮なく指示しろ、そうすれば積極的に対応して協力もする。東京に次いでの大阪の上昇、またこれを第三、第四に波及することがないようにせっかく対応しようということでございました。
  235. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 なぜ地価が高騰したかということが大きな問題、やはり大企業、大銀行があり余る資金力に物を言わせて国際金融都市東京で有利な位置を占めようということで、特に都心部の買い占めに走り、地価つり上げ自体が大きなもうけの種になったわけですが、八七年度末で都内二十三区の二千平方メートル以上の土地所有者というのは、数では全体の二・二%ですが、その所有している面積では四四・七%ですね。少数者への土地の集中が進んでいるということが一つの大きな特徴だと思いますが、特に全国的にも今問題が出ているのは、ビッグプロジェクトだとか民活だとか叫ばれているところで地価が上がっておるのですね。実は大阪もそうなんですが、そこで土地買い占めの資金提供者は、これはまた金融機関でありますが、大蔵省の銀行局に来ていただいていると思いますので、銀行、それから信用組合、最近二年間で不動産融資の実績とその伸び率がどうなっておるのか、この点についてだけ伺っておきたいと思います。
  236. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  全国銀行というベースが銀行の場合ございますけれども、それで見ますと、過去十年間、昭和五十五年三月末で全国銀行の不動産業向け貸出残高というのを見ますと、これが十一兆円でございます。それが平成元年三月末、十年後で四十二兆でございまして、約三・八倍でございます。  御質問のありました信用組合ですけれども、これにつきましては都道府県が監督いたしているところでありまして、都道府県がその権限に基づいて報告を徴しているかと存じますけれども、大蔵省としては全国を集計したものは承知いたしておりません。
  237. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 特に今回地価の大きな伸びを見せた大阪圏なんですが、中でも大阪圏は対前年比で五六・一%の伸びなんですが、特に関西新空港建設予定地、例えばそのうちの泉南市というのは八一・七%、一年間で二倍近いですね。その周辺の都市もいずれも大体七〇%から八〇%台という異常な急騰です。ですから、ビッグプロジェクト周辺での民間デベロッパーによる土地投機、思惑買い、それから金融機関の不動産業向けの融資、ここに非常に大きな問題の一つがあるわけですね。  今もお話がありましたが、私、二年間だけでとってみても、十年もそうなんですが、八七年末と昨年十月の約二年の間で見ても、全国平均、銀行の不動産貸し付けが一・三九倍に対して、大阪は一・六六倍なんですね。大阪の信用組合についても私は地方自治体関係で調べたのですが、一・六六倍。それから、いわゆるノンバンクがまた不動産に貸すのですが、そのノンバンクへの銀行の貸し付け、これはちょっと四年ほどの比になりますが、やはり一・六三倍、この点では銀行への指導は十分ではなかったんじゃないか、こういうふうに思うのですが、今後どういうふうにされる予定でしょうか。
  238. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  金融機関の土地関連融資につきましては、通達の発出とかあるいは特別ヒアリングの実施、これはヒアリングと称しておりますけれども、実際には行政指導でございます。そういう個別の案件を通じまして投機的な土地取引、例えば短期の転がしに対して融資していないかどうか、あるいは買い占めに対して融資をしていないかどうか等々につきまして、これを排除するべく厳正な指導を行ってきたところでございまして、さすがに何年間かの指導によりまして、基本的にはこの指導の趣旨は着実に浸透していると考えております。  しかし、そういう投機的な取引に対する規制に加えて何かできないものだろうかということで、大蔵省といたしましても、金融面で従来の措置からさらに一歩踏み込んだ措置を講ずる必要があるという判断に至りまして、本日午前中、閣議後の記者会見におきまして大蔵大臣から、不動産業に対する金融機関の融資、これを総量規制を行うという大変強い措置を公表いたしまして、本日通達を発出したわけでございます。総量規制でございますから、極めて強い措置でございます。その趣旨は……(吉井(英)委員「いただいておりますけれども」と呼ぶ)そういうことでございます。
  239. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 非常に強い措置と今おっしゃったのですけれども、先ほども大臣おっしゃったように、事前にもっと監視区域を徹底しておけばよかったとか、大蔵省の方はきょうに至って総量規制という強い指導だとおっしゃるのですが、やはり随分後手後手に回ってしまっているということは大きな問題だと思うのです。ですから、きょうこういう通達を出されたわけでありますが、これは本当に徹底してもらいたいというふうに思うわけです。  特に、関西で今計画、構想中のプロジェクトというのを見てみますと、一ヘクタール以上で事業費一億円以上の計画は五百六十六件あるのです。これは計画総額二十二兆円になります。そのうち大阪湾に関係したプロジェクトだけで九十一件の十一兆円に及ぶのですね。これらが今地価高騰の要因になってきて、しかもこういうものに対して事前に土地対策を十分にとらなかったならば、地価高騰はどんどん続くのだということをまず御認識いただきたいと思うわけなんです。  大阪市内の住宅地の公示価格というのは、この三年間で二倍になりました。これがまた相続税、固定資産税に連動してきて大変なわけですが、そうした中でいよいよ来年は評価がえの年に当たりますが、現在その作業中ですね。きょうも朝からその議論がありました。このままその地価高騰が反映すると、いわば二倍以上の引き上げという大変な事態が今大阪で起ころうとしているわけでありまして、この高騰した地価をそのまま反映させるのか、それともこれを抑えていくという措置をとられるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  240. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税の評価がえが来年の四月を目途に今作業を行っているわけでございますけれども、ただいま御指摘のように、最近の地価の動向は、三大都市圏中心にしまして非常に高騰している地域、それから他方では、地方におきましては比較的地価が安定しているという二極化の傾向を示しているわけでございます。  そういう中で明年度の評価がえを行うわけでございますけれども、一つには、地価高騰地域における土地の評価というものをどのような考え方でやっていくかという点が、私どもも非常に頭の痛いところでございます。現実の売買取引価格というものには、かなり投機的な要素でございますとか期待利益というようなものが入って地価が形成されているというふうに考えられるわけでございまして、そういう要素は、従来から固定資産税においては不正常な要因として排除するということにしているわけでございまして、そういうものが一体どの程度あるのかということ、これは定性的には議論ができるわけでございますが、どの程度の量が数字として出てくるかということはなかなか難しい問題でございます。こういう点につきまして今地方団体の皆様方ともいろいろと協議をしながら、この地価の高騰している地域の評価がえの作業の手順といいますかやり方ということを鋭意協議しているという段階でございます。
  241. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 実は前回の評価がえのときに、それに対応するさきの三年間の地価公示価格の上昇というのは八・二%で、ところが前回評価がえのときの宅地全体の上昇割合は一一%で、固定資産税の方が公示価格より高くなっている。これは昨年三月二十三日の当地方行政委員会での税務局長の御答弁でありました。ところが、その三年前のときよりも今度はさらに深刻なんですね。三年前のときも、ちょうどその前の三年間の公示価格をもとにしてはじき出されている。今度はそれはもっとひどくなって、今度の評価がえに対応する三年間を見てみますと、前年比の伸び率で、宅地の場合、六十二年度ですと七・六%増、六十三年度が二五・〇%、昨年度が七・九%。これは前回のときは大体二、三%台だったものですから、大体三倍以上の伸びなんですね。これがこのまま反映するとなると大変なことなんですが、そこのところが非常に懸念されるのですが、いかがなんでしょうか。
  242. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のとおり、前回の評価がえの場合におきましては、それに使いました地価の変動率というものは比較的低かったし、また全国的にも大体同じような傾向をとっていたということだったわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、今回の評価がえの際に使います変動率は、元年の七月以前三年間の変動率というものを見ますと、三大都市圏と一般の地方都市とでは大きな違いが出てきているということでございまして、この大きく高騰した地価というものがそのまま固定資産税の評価額と言えるのかどうか。これは、固定資産税というのは継続して土地を保有することを前提にして税負担お願いするということでございますから、その中に将来の期待利益でございますとか投機的な要素というものは排除して評価額を出すことを基本的な考え方としてやっているわけでございますので、そういう不正常な要因がどの程度あるのかということが一番大きな問題になろうかと思います。  そういう点につきまして現在地方団体皆さん方とも協議をいたしまして、この実際の——実際と言っては語弊がありますが、実質的な固定資産税の評価額にたえ得る地価をどの辺に持っていくかということで、今鋭意協議をしているというところでございます。
  243. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 昨年成立いたしました土地基本法の第五条に「その土地に関する権利を有する者に対し、その価値の増加に伴う利益に応じて適切な負担が求められるものとする。」というのがありますね。これが固定資産税の評価がえに影響を及ぼさないかという点、つまり固定資産税に関しては五条に言う負担増を求めないということをはっきり言われるのか、これも連動してくるものなのか、これを伺っておきたいと思います。
  244. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 土地基本法の第五条に規定しておりますのは、いわゆる開発利益の負担という問題ではないかと思うわけでございますが、固定資産税におきましては、三年ごとに評価がえをするという場合には、その土地利用価値というものが上がればその分だけは評価額が上がってくるという意味では、これは開発をしてその土地の価値が上がれば、それが評価額に反映してくると思うわけでございます。そういう意味におきましては、その税負担は、これは固定資産税で求め得るというふうに考えるわけでございますが、開発利益というものが非常に大きいものである場合に、固定資産だけでそれを吸収できるかどうかという点につきましては、この開発利益の吸収そのものに非常に大きな議論が現在まだあるわけでございますので、この辺については今後の検討課題ということになろうかと思います。
  245. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 評価がえの基準となる三カ年についてちょっと見ておきますと、今度の場合、勤労者世帯の家計費収入の伸びというのは八・二%、それからこの間の年金額の引き上げというのは、この三年間対前年比〇・六%とか〇・一%増とか一一・三%増といった三年間で推移しております。この間に、固定資産税都市計画税の方は合計して一一・四%伸びておるわけでございますが、これは来年度評価がえで一層大変になるという、本当にこれは今深刻な事態に来ておると思うのです。  そこで伺っておきたいのですが、一九七三年に住宅用地の課税標準を価格の二分の一とする特例制度を設けられ、七四年にはさらに二百平米以下の小規模住宅用地については四分の一とする特例制度というのが導入されておりますが、この導入はどういう理由からであったのか。また、特別の軽減措置をとったその理由はどこにあったのか。この点を次の質問のためにちょっと伺っておきたいと思います。
  246. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 昭和四十八年、四十九年におきまして、住宅用地についての特例措置が導入されたわけでございます。  そのいきさつをまず申し上げますと、四十八年度の住宅用地について、まず二分の一の軽減をするという特例措置が講じられたわけでございます。これは、実は昭和三十九年に固定資産税の新しい評価基準ができまして、それに基づいた第一回目の評価がえが三十九年に行われたわけでございますが、この際に宅地の平均の価格が六・三倍という非常に大幅な評価額の上昇があったわけでございます。しかしながら、評価額をそんなに高くしたといっても税額を六倍以上にするというようなことはとてもできませんので、税額については毎年度なだらかに上昇していくということでの負担調整措置をずっと講じてきたわけでございます。ところが評価の方は、さらに四十五年、四十八年というふうに評価がえをしたわけで、どんどん評価額そのものは上がっていく。ところが税額はそれに全く追いついていかない、いわゆる評価額課税に至っていないというような状態が約十年間も続いたというようなこともございまして、昭和五十年度からはこの評価額に見合った課税をしていこう、こういうことにしたわけでございます。  そうしますと、一度に税負担がふえるという問題が出まして、四十八年度に住宅用地については二分の一の措置を講じて、その税負担軽減を配慮しよう、こういうことにいたしました。同様に四十九年におきましても、その上昇率がさらに大きくなるというようなことが予測されましたので、二百平米以下の住宅用地については四分の一の軽減を図る、こういう形で現在に至っているわけでございます。
  247. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 大分迫ってまいりましたので、少し簡単にいきたいと思うのですが、要するにこの両年度にわたる特例の導入のときに、当時の税務局長答弁の中でも、直接的な収益を生まないところの住宅用地というものについては、他の事業用の資産と区別して税負担を求めるべきではないだろうか、この観点、それから小規模住宅地の負担軽減いたします場合に、住民にとりまして住居を構えますのに一応最低限度必要な土地という考え方で基準を設けた、要するに直接収益を生まない宅地については区別する、それから生活に必要な最低限度の面積については特別に配慮する必要がある、この二点ですね。  この点が今度もまた評価がえに当たって特に配慮されるべきではないかということですね、割合は別として。さらに、公費の扶助を受ける者については、条例によって固定資産税の減免を受けることができるとしているわけでありますが、担税力、負担能力という点から見て、住民税非課税限度額制度が生保基準を基準にして導入されているように、一定面積以下の土地や建物について非課税にするという措置はとられていいのじゃないか、こういう二点について特段の配慮というものが今度の評価がえに当たって必要ではなかろうかと思うわけでありますが、この点についてのお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  248. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 住宅用地についてはただいま申しましたように四分の一、二分の一という大幅な軽減を現在も続けているわけでございますが、これに伴う税の減収額が一兆四千億というふうに見込まれております。これだけの軽減をいたしております関係で、住宅用地についての軽減というものは、私どもとしてはこれが一つの限界ではないかというふうに考えているところでございます。また、一定面積以下の用地については非課税にすべきだという点につきましても、これは固定資産税が物税であるという観点から考えまして、外形的な判断で一律に財産価値に応じて課税するという点から見ますと、そういう一定面積以下の非課税という点についてもいかがかなという感じがするわけでございます。  いずれにいたしましても、これからの作業で評価額がどういう形になるのか、それに伴う税負担というのがどうなるのかというようなことをよく見きわめた上でいろいろなことを検討していかなければならないというふうには考えておりますけれども、現段階でこれとこれというようなことで予断を持って検討するという時点にはまだ至っていないというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  249. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  250. 島村宜伸

  251. 高木義明

    高木委員 私は、これまで地方議会の場でそれぞれの課題に取り組んでまいりまして、今回新しくこのような場で大臣を前にいたしまして御論議ができることに対して大変光栄に存ずる次第でございます。今でも地方に光を、ふるさとに活力を、こういう気概はさらに高まるものがございます。よく八〇年代は地方の時代、こういうことで言われておりましたけれども、十年経過をいたしまして果たしてそうであったのかということを考えてみますと、ほとんどの改革は行われていなかったのではなかろうか、こういうふうに私なりに感想を持つわけであります。したがいまして、何とか真の意味で地方の時代が来ることを願って、私たちの立場から以下お尋ねをしていきたいと思います。  まず、地方税に関連をしてでありますが、平成年度地方財政におきましては、一般財源比率は六九・一%、このようになっておりまして、昭和三十年以降最高となっております。しかし、歳入の構成比の面におきましては、歳入全体に占める地方税の割合は四五・九%と極めて低い状態でございます。地方交付税や国庫支出金等をどのようにとらえるかによって論議は分かれるわけでありますけれども、地方税地方の自主財源でございますので、地方の自立、自主の観点から見ても、地方税の充実を図ることは異論はないと考えるのであります。したがって、一般財源比率が伸びることは結構なことでありますけれども、その場合、交付税や国庫支出金等の過度の依存に頼ることなく、地方税の充実強化、これが今当面大切な課題ではないか、このように考えておるのであります。  そういう立場に立ってお尋ねをいたしますけれども、以上の観点から、地方税の拡充強化を図るために具体的に新しい立場としてどのように対応をされておるのか。特に、さき消費税の導入等の税制の抜本改正の際、地方税の自主財源の拡充についてもっと力点を置くべきではなかったのか、このように強く感じるところでございます。したがって、地方税の拡充強化についてどのように考えておられるのか、その辺の御所見をまずお聞きをいたしたいと思います。
  252. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のとおり、今後におきます我が国の経済社会の進展に伴いまして、地方公共団体の役割はますます増大していくということを考えますと、地方自主財源の充実を図るということは極めて大切なことであると考えるわけでございます。  しかしながら他方におきまして、都市と地方の間の税収の格差、あるいは経済力の格差と申しますか、そういう問題が地方税の場合には常にございまして、地方税だけを拡充してまいりましても、一定の地域ではそれは充実いたしますけれども、地方税源のない地域におきましては、制度として充実いたしましてもそれが税収に結びつかない、こういう問題がございまして、常に、地方税の充実強化を図るということと裏腹に、財源調整制度と申しますか、地方交付税という制度をあわせて強化していきませんと地方全体の財源が拡充できない、こういう悩みがあるわけでございます。  そういう意味から、地方自主税源を強化するということを今後とも極力努力をいたしますが、それと並行いたしまして、財源調整制度である地方交付税の充実というものもあわせて実施していく、こういうことをこれからも考えていかなければならないのではないかと考えるわけでございます。  また、さき税制改革におきまして、地方税源の拡充にもう少し力点を置くべきではなかったかという御指摘でございます。  実は、この前成立いたしました税制改革というものは、税を納めていただく国民にとっていかに公平に税負担をしてもらうかという観点から改革が行われたわけでございまして、税を納める方は国税も地方税も同時に納められる方でございますから、国税、地方税というものは一応抜きにして、税負担というものをいかに公平に負担していただくか、こういう観点から税制改革が行われたと私どもは理解をいたしております。  その結果、国と地方の税源の配分につきまして変動が出てきた場合には、とりあえず現行制度を踏まえた上で税源を配分するということで、消費税の創設に伴って地方の間接税を廃止したり調整したりした部分につきましては、消費税の一部を消費譲与税として地方に配分する、あるいは国税の減税に伴う部分につきまして交付税ではね返って減収になってくる部分については、これも消費税の一部を交付税に算入するという形で、当面の税財源の配分といたしましては地方に手厚くやっていただいたわけでございますが、今後の地方税財源の配分という問題はこれからの問題でございまして、この税制改革を受けて、今後地方の税源をいかに強化していくかということは、地方の今後の事務配分の問題でございますとか国庫負担金制度の問題とか、地方制度の総合的な見直しの中で充実強化というものを図っていかなければならないと考えているところでございます。
  253. 高木義明

    高木委員 今回の地方税平成年度の伸び率を見ますと、都道府県の一〇・五%の伸びに対しまして市町村は五・〇%、このようになっております。今回、特別地方消費税の五分の一を市町村へ交付する制度を新たに導入しようということが考えられておりますけれども、都道府県市町村の税収のあり方について基本的にどのように考えられておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  254. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方税のうち道府県税は、現在では住民税事業税二つの税目を柱にいたしまして、それにその他の税が組み合わさってできております。市町村の税は住民税固定資産税を柱にいたしまして、それにその他の税を組み合わせる形でできているわけでございますが、この基本的な考え方は、市町村の税収は景気に左右されないで比較的安定的に確保できるような税制が望ましい、そういう意味で、固定資産税は景気に左右されずに安定的に課税できるという点で、市町村税にとっては非常にすぐれた税制ではないかと考えられるわけです。逆に道府県税につきましては、道府県財政というのは市町村に比べると規模も大きいし懐も深いということで、景気の変動には多少左右されるかもしれないけれども、景気のいいときには税収の伸びが期待できる、こういうようなことで道府県税にしているという関係があろうかと思います。  したがって、過去の十年間を見てまいりますと、前半の五年間は比較的景気が安定している、あるいはむしろ停滞していたというような時代には市町村税の伸びが大きくて、市町村の税のウエートがだんだん高くなってきたということは言えたかと思います。最近になりまして景気が非常に上昇し、法人関係税が非常に好調になってきたということになりますと、道府県税の方にそれが影響してきて伸びがよくなってくるというような感じがこの十年間の傾向になっているのではないかと思います。したがいまして、十年間を見た結果ではまだ市町村の方のウエートが高くなっておりますし、そういう傾向は長い目で見れば続くのではないか。これもこれからの税制の仕組み方のいかんにもよると思いますけれども、今までの状況を見てみますとそういう状況が一応出ているわけでございます。
  255. 高木義明

    高木委員 さきの一連の税制改革は、税率のフラット化により比較的広範囲の所得段階まで減税となっております。その結果、ある試算によりますと納税者一人当たりの住民税の減少率は、昭和六十年を基準にいたしますと、大都市が一〇・七%であるのに対しまして、その他の都市では一二・〇%、町村では一三・六%の減収となっております。したがって、現在は地方大都市圏との税収の格差が縮まるどころか拡大をする中にあり、今回の税制改正は都市圏と地方との税収格差をさらに助長するのではないか、このように指摘されております。この点どのようにお考えになっておられるのか。
  256. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の税制改革におきまして住民税減税を行ったわけでございますが、この住民税減税のやり方は、一つ税率構造をできるだけフラット化していくというやり方で減税をする、もう一つは基礎控除でございますとか配偶者控除、扶養控除という各種控除の引き上げによりまして減税をしていく、この二つのやり方を組み合わせまして減税をするということにしたわけでございます。しかも、できるだけ中所得者、低所得者に対してその減税の恩恵が受けられやすいように、こういうような配慮で減税が行われたわけでございます。  そうした場合に、例えば各種控除を引き上げるということは、これは全市町村にその影響が出てくるわけでございます。すべての納税者にこの恩恵が得られるわけでございますが、そういう点で は全市町村減収効果が出てくるということになります。  逆に、税率構造の変更というものは、例えば税率の高いところを削っていくとすれば高額所得者の多い大都市が、大都市にたくさん高額所得者がいるわけでございますからその分だけ税収が減るということで、むしろこれは高額所得者の多いところに影響が出てくる、こういうような格好になろうかと思います。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕  それをまあ二つを組み合わせながら中所得者、低所得者に対してできるだけ減税を図っていく、こういうことをやったわけでございますので、一概に大都市が有利だ、あるいは中都市が有利だ、地方が有利だということはなかなか言いがたいわけでございます。それぞれの地方の実情によりまして、その所得階層の方々、どこのところが一番多いかというようなことによって減収影響というものが出てくるのではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、今回の住民税減税というのは個人個人の、中所得者、低所得者の方々に対してできるだけ税負担を低くしようということでございますから、これとそれから市町村間の税源格差を是正するということは、これは二つを一度に追いかけるということはなかなか難しい問題でございます。  ですから、目的が中所得者、低所得者の方々税負担軽減をしていくということであれば、多少今御指摘のような税収の格差が出てくるということも結果としてはやむを得ないというふうにも考えられるわけでございますが、そういうことが極力ないようなそういう税率構造なりあるいは諸控除の引き上げというものを考えながらやったつもりでございますけれども、一市町村、それぞれの市町村ごとに見る限りでは、そこの影響は微妙に違ってくるのではないかというふうに考えております。
  257. 高木義明

    高木委員 確かに現実にそのような実態はあるわけでありますが、とりわけ今回の税制改革によりまして地方税減収に対しては御案内のように消費譲与税あるいは地方交付税措置をされておる、こういうことになるわけであります。ただ、その後でも減収分に対してはいわゆる地方税の自然増収で充てる、こういうふうになっておるわけでありますが、しかし、地方によりましては地方税収の割合の大変低いところがございます。また、全国平均に比べまして極めて低い伸び率の団体もあるわけでありまして、こういう団体は自然増収でカバーできないという懸念もあるわけであります。こういう減収補てんにつきましてどのように考えておるのか、手だてをするお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  258. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の税制改革に基づいて、住民税の大幅な減税あるいは地方間接税の整理と調整ということによりまして、それぞれの地方団体によって非常な影響が出てきていることは事実でございます。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、最終的にはそれらを含めまして地方財政計画ベースで収支のバランスをとって、そして全部の地方公共団体財政運営に支障のないように、地方財政計画で収支のバランスをとったわけでございますから、あとはそのバランスに従いまして、減収の大きいところにはそれなりの財源措置を講じていくというようなことが可能になるはずでございます。  具体的には地方交付税の配分等を通じて地方税減収影響というものを減殺していただくような、そういう措置がとられるような結果になっているのではないかと思っているわけでございます。
  259. 高木義明

    高木委員 その地方交付税等の措置で十分である、このようにお考えですか。改めて傾斜配分的なものの御配慮は出てこられないものかどうか、その辺についてお伺いします。
  260. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 税制改革に基づいての減収につきましては、最終的には今申しましたように、地方財政計画歳入歳出バランスがとれるような措置が講じられたわけでございますから、その枠の中で地方交付税を通じてそれぞれの地方団体に適正な財源配分が行われる、こういうふうに理解をしていただければいいのではないかと思うわけでございます。
  261. 高木義明

    高木委員 シャウプ税制なんですけれども、「地方自治の進歩を望むならば、地方団体がこのため必要とする追加財源を算出しなくては、勧告は有効なものだとは言えない。地方自治の発展の必要上、強化を必要とするのは都道府県よりもむしろ市町村であるからである。」これは引用でございますけれども、市町村の自主財源の強化を述べておるわけであります。  こういうことにつきましては、地方財政法の二条二項についても言及をされておりますが、しかし、今の実情の中では補助金、交付金等の削減を図らないために、むしろ今大きな問題となっております陳情行政あるいは利益誘導政治、こういったものがどうしても断ち切れない、このように言われておるのが現実でございます。ここでよく言われております補助金、交付金等の削減、合理化、こういったものについて国・地方の事務の配分の適正化を含めてどのように取り組んでいこうとされておるのか、御所見を賜りたいと思います。
  262. 持永堯民

    持永政府委員 補助金の問題につきましては今いろいろ御指摘がございましたけれども、基本的には私どもといたしましてもこの整理合理化を進めるべきである、こういう考え方を持っているわけでございます。  そこで、まず事務事業の廃止あるいは縮小等を行うことによりまして、それに関連する補助金等を廃止をしていくという問題、あるいは今日では地方団体に任せてもいいような仕事については、やり方その他を含めて地方団体にお任せをして、これは事務配分の問題も絡んできますけれども、補助金をやめてそれに対応する一般財源措置をするという方向、あるいは零細な補助金でございますとか、今日もう意義がなくなったような補助金については整理をする。また、一方で補助金として残るものにつきましても、なるたけ統合メニュー化なりあるいは弾力化等を行いまして、効率的な運用ができるようにする、こういうことを進めていくという基本的な考え方を持っておるわけでございまして、この点につきましてはこれまでもたびたび地方制度調査会なり、あるいは昨年の末に出ました新行革審の答申でもそういう点が述べられているわけでございまして、実は年々改善も行われてきておりますけれども、率直に申しまして改善が十分とは言えないのが現状だろう、こう思っております。  そこで私どもといたしましては、毎年度予算編成に際しまして、各省に対しましても今申し上げましたような趣旨に基づいて、補助金の整理合理化を進めていただくように申し入れをしてきておるところでございますけれども、今後ともそういう点につきまして努力を重ねてまいりたいと思っております。
  263. 高木義明

    高木委員 そこで、地方分権とのかかわり合いも強いものがございますので、その立場に進んでいきますけれども、本年三月二十日に行財政改革推進委員会の報告が出されましたが、これによりますと、多様で自立的な地域社会の実現を目指して地方分権を推進する、あるいはまた、地方への権限委譲等を進めていく、このような推進の方向が述べられております。税制関係につきましては、先ほど質問をしたところでございますが、地方分権のために権限委譲等今後具体的にどのような手順で進めていこうとされておるのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  264. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 今お話しのように、臨時行政改革推進審議会、いわゆる新行革審から昨年の十二月に国と地方関係等に関する答申が行われました。権限委譲等に関する広範囲な提言がなされております。この提言に基づきまして、既に改革推進要綱というものを閣議決定をいたしておるところでございまして、その中には権限委譲等の四十七項目、関与の是正等の項目が二十八項目、こういうものが含まれておるわけでございます。この項目につきましては、既に関係各省庁におきましてその具体化のための検討が進められておるように心得ております。私どもといたしましても、これらができるだけ速やかに実現されるよう努力をしてまいりたいと思います。  それからまた、三月二十日の行財政改革推進委員会の報会で、広域行政体制の整備の問題が述べられております。経済社会の発展に伴いまして、広域的な行政需要がますます増大する、その受け皿といたしまして、地方制度の面から何か考えればいいではないか、こういう指摘でございます。具体的には、新行革審では地方公共団体の連合制度などの提言が行われておりますけれども、私どもといたしまして専門的な審議機関であります地方制度調査会等の御審議等も得ながら、今後十分検討を行いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  265. 高木義明

    高木委員 財政法十六条におきましては、国庫補助金の交付については限定的に規制し、国の財政的支配や干渉を極力排し、地方財政の自主性を確保しようとしております。地方財政の自主性の観点から申しまして、補助金の合理化等による、今ある財政法を先ほどの趣旨に沿って将来抜本的に改正をする必要があるのではないかというふうに私は考えますけれども、その点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  266. 持永堯民

    持永政府委員 御趣旨は理解できたわけでございますけれども、抜本改正のどういう内容改正かという点につきましては、あるいは若干御意見を取り違えているかもしれませんが、仮に、十六条が限定的に書いてある、しかしその運用というものが、現実というものが必ずしも十六条の趣旨にかなうかどうかという点について疑問があるのではなかろうか、あるいはこういう御意見かと思います。  そういうことで、例えば十六条を廃止したらどうかということかと存じますが、そうなりますと、基本的には先ほど申し上げましたようになるたけ整理合理化は必要でございますけれども、やはり国として新しい時代、新しい施策が必要となるような場合に、この補助金を活用して奨励をしていくという施策も必要であることは中にはあると思いますし、また十六条の補助金の中には、いわゆる財政援助的な補助金、後進地域に対するかさ上げの補助でございますとかいろいろな特例的なかさ上げの補助もございまして、そういうものについても全部否定するということは、なかなか現実難しい面があるのではなかろうかという感じがいたしております。  そういった意味で、十六条の運用をもっと厳格にするということは必要であろうと思いますし、その具体的な方法としては、先ほど申し上げましたようなことで整理合理化を進めるということは必要でございますが、十六条そのものを例えばなくしてしまうということまでは、そう急にそういう措置をとることについては相当慎重に考える必要があるのではなかろうか、このように感じておる次第でございます。
  267. 高木義明

    高木委員 時間もころ合いがよくなりましたので……。  私は、先ほども冒頭に述べましたように、八〇年代は地方の時代だというのが盛んに叫ばれたわけでありますが、そのような中身はほとんど出てきておらない。したがって、今後は九〇年代はまさしく地方の時代だ、こういう意味で新しく自治大臣の決意がそれなりにおありだと私は思うわけです。とりわけ高齢化社会における主役はどうしても地方の場でございます。お年寄りが暮らしをしていく上でその舞台は各市町村でありますし都道府県であるわけです。そういう意味で、これまでの地方制度の抜本的な改善強化を私は切に望むわけであります。  終わりになりましたけれども、その点につきまして大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  268. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生指摘のように、八〇年代は地方の時代というのはちょっと早かった思いがしますけれども、まさに九〇年代は地方の時代であることは間違いないと思っております。  現に、税収面の伸び、非常に国税の税収の好調にも支えられておるわけですけれども、私たちは本当に思い切った形の施策を地方自治体がやっていただけることを期待しております。先般のあの一億円事業にしても、本当に各自治体が自分たちの自治体に誇りを持って原点を見直していただいて、そして新しいあすへの活力をあれで生んできたと思っております。大変ないい事業計画が着々実行されてきつつありますし、今般の平成年度予算編成においても、そういった意味の形を継承しながら、前大臣は一兆円構想ということで、いろいろなメニューを特別な形で皆さんにも発表されたと思いますけれども、確かに九〇年代は地方の時代であり、その時代を築くために自治省としては各自治体財政の健全化も応援をしていきますし、知恵を出してほしい、各自治体がみずからの知恵を出して、そして活性化を図ってほしい。それに対しては自治省はもういろいろな意味でお手伝いをして、活性化、健全化に努力しますという形で取り組みたいと思っております。
  269. 高木義明

    高木委員 終わります。
  270. 島村宜伸

    島村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  271. 島村宜伸

    島村委員長 この際、本案に対し、中沢健次君外二名から、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党の共同提案に係る修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。中沢健次君。     ─────────────  地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  272. 中沢健次

    ○中沢委員 私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その概要と趣旨を御説明いたします。  まず、修正案の内容でありますが、政府提出の地方税法の一部を改正する法律案中、特別地方消費税に係る改正につきまして、これを削除するというものであります。  次に、趣旨について御説明いたします。  政府改正案は、本年三月三十一日で失効するものもありますが、そうでないものも含まれております。この特別地方消費税は、施行期日が本年十月一日であることからも明白なように、いわゆる日切れではありません。政府は施行に準備期間が必要と強調されておりますが、旧料理飲食等消費税がこの現行特別地方消費税へと大改正されたときは、準備期間はわずかに三カ月でありました。  日切れ法案として審議を簡略化して法案を成立させようというのは、あくまで与野党合意を前提とする便宜的なものであり、このこと自体につきましても国会審議の形骸化という批判があり、法案提出方法、時期の改善などを求める声が強いのであります。したがって、私たちは、少なくとも今回の場合、この日切れでもなく、消費税問題とも係るこの特別地方消費税についてはとりあえず政府提出案として残し、この部分を分離処理するよう強く主張いたしました。ところが、政府・自民党は、近年、みずから提出した地方自治改正案地方税法改正案の二度にわたり、審議日程の関係からその一部を分離処理を求め、改正点を抜き出して議員立法で成立させる手法を用いたにもかかわらず、今回はかたくなにこれを拒否しております。このような姿勢は私たちには信じがたいものでありますが、数度にわたる折衝、説得にもかかわらず、自民党も政府も態度を改めようといたしておりません。したがって、ここに至り、私どもは修正案の提案を余儀なくされたものであります。  したがって、提案者は、本修正案につきましてやむを得ず提案に至っている点を十分関係委員に御理解いただきたいと存じます。  日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党は、政府・自民党の消費税導入に一貫して反対の立場をとり、消費税の強行導入後はこれを廃止して国民が求める不公平税制の是正を中心とする税制の再改革を行うよう強く主張してまいりました。そして、私たちは、参議院選挙に示された民意を反映させるため、社会民主連合、連合参議院と共同して消費税廃止、税制再改革のための九法案を立法化し、参議院に提出し、実に八十四時間余にわたる御審議をいただいてまいりました。その結果、全法案は参議院において可決され、参議院提出案件として当院に送付されましたが、残念ながら自民党によって審議未了、廃案とされてしまいました。私たちは、これを国民の声を無視するものであるとし、再び消費税廃止法案の衆議院提出を公約し、先般の衆議院総選挙を戦いました。結果、自民党は過半数を維持しましたものの、消費税強行導入の裏づけとなっていた三百議席を大きく下回り、国民消費税に厳しい批判を持っていることが改めて証明されました。  私どもは、先般の総選挙公約を果たすため、消費税廃止関連法案を今国会に提案するため、現在、鋭意立案作業を進めており、税制審議が始まる前に提出を予定しております。したがいまして、平成年度税制のフレームは、今後慎重な国会審議を通じて定められるべきものであります。特別地方消費税問題も、今後与野党の提案と議論のもとで結論が出されるべきであります。政府改正案に限定して、いわゆる日切れという名目で簡便に一括審議で決められるべきものではないのであります。  衆議院における自民党三百議席は過去のものとなり、参議院においては与野党逆転をいたしております。与野党が歩み寄らなければ法案の処理はできないという現実があるにもかかわらず、みずからの提案のみに固執する自民党の姿勢は極めて遺憾であり、野党は混乱を回避するために最大限の提案と努力を重ねてきたものでございます。  以上、修正案の概要とその趣旨を御説明申し上げ、委員の皆様の御賛同をお願いをいたしまして、提案理由説明を終わります。
  273. 島村宜伸

    島村委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  274. 島村宜伸

    島村委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。野中広務君。
  275. 野中広務

    ○野中委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対し賛成をし、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の共同提出に係る修正案に反対の討論を行うものであります。  まず、政府原案について申し上げます。  長年の課題であった税制改革につきましては、第百十三回国会において関連法が成立し、その実現を見たところであり、当面はこの新税制の円滑な定着を図っていくことこそが肝要であると考えております。  明年度地方税制改正につきましては、個人住民税において所得割非課税限度額及び個人年金保険契約等に係る生命保険料の控除額の引き上げ、並びに損害保険料控除制度の創設等による減税を行うとともに、特別地方消費税についても免税点引き上げ等による減税を行うほか、土地税制の総合的見直しの手始めとして、三大都市圏特定市の市街化区域における特別土地保有税特例適用期限の延長等を行うこととしております。また、地方税負担の適正合理化のための非課税等特別措置整理合理化も行うことといたしております。  これらの改正は、最近における社会経済情勢等にかんがみるといずれも適切妥当なものと考える次第であります。  次に、修正案について申し上げます。  特別地方消費税免税点引き上げは、最近の消費動向及び消費態様変化等を考慮し、なお一層の負担軽減を行うものであり、国の消費税見直しとは全く関係のないものであります。さらに、国民減税に対する期待を裏切るものであります。  このような観点により、私は政府原案に賛成をし、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の共同提出の修正案に反対の討論といたします。(拍手)
  276. 島村宜伸

    島村委員長 元信堯君。
  277. 元信堯

    ○元信委員 私は、修正案を提案をいたしました日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の地方税法の一部を改正する法律案につきまして反対をし、修正案に賛成をする討論を行います。  政府原案に反対し修正案に賛成する理由は、以下のとおりであります。  第一は、本案件が多くの重要問題を含んでいるにもかかわらず、十分な審議期間も保障されないまま、いわゆる日切れ扱いで簡便な処理が行われようとしている点であります。私どもは、内容に応じて慎重な審議を行うため、法案の内容を日切れとそうではない部分とに区分し、与野党一致で日切れ扱いとして処理することが適当な部分は、これを便宜的ではありますが処理し、与野党一致を見ない部分については、なお審議機会を残すように主張してまいりました。このような方法はむしろ過去、与党から二度にわたり要請され、本委員会として受け入れたものであります。ところが、与党においては今回に限りこれを受け入れず、国会を法案処理のエスカレーターのごとくに考え、一括処理を譲りませんでした。このような政府・与党の姿勢は極めて遺憾であり、法案提出の当初から審議の時間を考慮せず、ただただ成立のみを期する国会軽視の象徴と言わざるを得ません。  第二に、本案の総体は平成年度地方税の枠組みを決するものでありますが、平成年度税制においては、消費税の存廃をめぐりこれから本格的な審議、議論が始められるところであります。政府の消費税見直し法案、これから提出されるであろう野党四会派の消費税廃止法案がこれから議論されようというとき、それをかいくぐるように税制の枠組みを決めてしまうことについては到底承服できません。  第三に、本案においては消費税の導入に際して大改正が行われ変質した特別地方消費税改正が含まれておりますが、これは昨年参議院において提案した我々野党の消費税廃止に係る代替財源法案と全く主張がすれ違っております。私どもは、間もなく本院に提出すべく準備している消費税廃止関連法案において、政府とは異なる政策体系をもって臨んでおります。したがって、免税点市町村への交付等の是非の前に議論すべきことがあると考えます。  以上が反対の主たる理由でありますが、私どもは、毎年度の政府の地方税法改正案について一貫して反対してまいりました。今日においてもその趣旨に変更はありません。ただし、今回、今後消費税をめぐって税制の大きな枠組みの議論が行われようとしているとき、その議論の余地が保障され、私どもの主張する内容に応じた分離処理に与党が応ずるなら、今回に限り本案に賛成する予定でありました。しかし、残念ながら与党がこれを受け入れないために、修正案の提案に至ったものと承知をいたしております。この結果、平成年度税制にもたらされる混乱は、挙げて政府・与党にその責任が帰結し、野党は混乱回避に最大限の努力を払ったことを最後に申し上げて、討論を終わります。(拍手)
  278. 島村宜伸

    島村委員長 吉井英勝君。
  279. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました社会、公明、民社三党の地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成、政府提出の地方税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  まず、政府提出法案についてであります。  反対の第一は、担税力のある大企業に対する優遇制度をそのまま延長していることです。  政府は、従来、地方税における特例制度については、その適用期間が終了するものについては制度の見直しを行い、必要でないものについては廃止を、まだ必要なものについても適用期間の短縮や特例措置内容の縮減を行うとの説明をしてきました。ところが、改正案では、外国貿易用コンテナに対する特例、国内航空機に対する特例、民活法に規定する特定施設の特例など、固定資産税不動産取得税におけるこれら課税標準特例措置が、その内容の縮減を伴うことなく延長されているのであります。固定資産税だけでもこうした事例が九項目ありますが、うち五項目は大企業が主にその恩恵を受ける特例措置であります。こうした特例措置の適用を受けるのは、主に私鉄や電力会社、NTTなど担税力のある大企業であり、特例措置の延長ではなく、廃止こそが望まれているのであります。  反対の第二は、天皇の納税義務を免除し、新たな非課税措置を導入していることです。  法案は、皇室経済法第七条に規定する「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」について、それに係る固定資産税不動産取得税非課税にするとしています。さらに附則で、固定資産税非課税措置については八九年度以前の年度分にもさかのぼって適用するとして、課税漏れに対する遡及適用を遮断する措置を行っていますが、こうした改正を行わざるを得ないところに憲法の主権在民の原則と天皇制との矛盾の一つがあります。  さらに法案では、「由緒ある物」すべてを非課税にするのではなく、皇位の継承と一体のものとして引き継がれる物を非課税にするとしていますが、このことは、天皇という特定の人物に着目した非課税制度の創設を意味します。従来、政府は、固定資産税について、所有者の人的要件は考慮されず、その物的要件のみが考慮される物税であると性格づけをしていますが、今回の非課税措置の導入は、固定資産税についての政府の見解にも反するものと言わなければなりません。  反対の第三は、特別地方消費税改正であります。  特別地方消費税は、誕生そのものが消費税絡みてあり、今回の改正特別地方消費税そのものを見直すというのではなく、存続を前提とした消費税見直しの中でその廃止が問題になり、地方団体の存続の要求を受けて改正案のようになったものであります。したがって、特別地方消費税改正は政府自民党の消費税見直し一環であり、免税点引き上げや税収の一部を市町村に交付する制度の創設など、住民自治体が受け入れやすい改正内容となっているのは、特別地方消費税の定着をまず図り、あわよくば消費税そのものの存続、定着をねらったものと言わなければなりません。  以上、政府提出法案に対する主な反対理由を述べましたが、社会、公明、民社三党共同修正案は、政府提出法案のうち特別地方消費税の部分を削除するものであり、賛成を表明するとともに、いわゆる日切れ以外の改正部分については分離をして、審議を尽くすべきであることを申し添えて、討論を終わります。
  280. 島村宜伸

    島村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  281. 島村宜伸

    島村委員長 これより採決に入ります。  地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、中沢健次君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  282. 島村宜伸

    島村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  283. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  284. 島村宜伸

    島村委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  285. 島村宜伸

    島村委員長 次に、過疎地域活性化特別措置法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各党間において御協議を願ってまいりましたが、協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。  この際、委員長から本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。  まず、本起草案の趣旨について御説明いたします。  御承知のように高度経済成長とともに深刻化した過疎問題に対処するため、昭和四十五年に過疎地域対策緊急措置法が、さらに昭和五十五年に過疎地域振興特別措置法が、それぞれ超党派で議員立法として制定され、総合的、計画的な過疎対策が積極的に推進されてきております。その結果、過疎対策は着実にその成果を挙げつつあります。  しかしながら、近年、東京一極集中が進む中で、全国市町村の約三分の一、全国土面積の約半分を占める多くの過疎地域においては、人口の著しい減少に伴って地域の活力が低下していると言わざるを得ない現況にあります。  このような状況にかんがみ、国土の均衡ある発展を図る観点に立って、現行の過疎地域振興特別措置法がこの三月末日をもって失効することに伴い、新たに過疎地域活性化特別措置法を制定し、すべての住民が魅力と安らぎを感じつつふるさとづくりにいそしむことができるような積極的な活性化対策を講ずる必要があります。  このような見地から、人口の著しい減少に伴って、地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の活性化を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与するため、ここに本案を起草した次第であります。  次に、本案の内容についてその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、過疎地域の範囲についてでありますが、国勢調査の結果による人口の減少率が昭和三十五年から昭和六十年までの二十五年間に二五%以上、または人口減少率が二〇%以上で高齢者比率が一六%以上、または人口減少率が二〇%以上で若年者比率が一六%以下の地域で、かつ、昭和六十一年度から昭和六十三年度の平均財政力指数が〇・四四以下の市町村の区域としております。  なお、今後実施される国勢調査の結果により新たに人口減少率等の人口要件に該当することとなる市町村については、その時点における直近三年度の平均財政力指数が〇・四四以下の場合には、さらに過疎地域の市町村として追加していくこととしております。  第二には、過疎地域活性化対策の目標についてであります。  新たな過疎対策の推進に当たっては、地域における創意工夫を尊重し、産業基盤の整備、観光の開発等による産業の振興及び雇用の増大、交通施設及び通信施設等の整備による交通通信連絡の確保、生活環境の整備及び高齢者の福祉の増進等による住民生活の安定と福祉の向上、基幹集落の整備等による地域社会の再編成の促進を目標として推進することとし、国において必要な支援措置を講ずることとしております。  第三は、過疎地域活性化対策の計画的な推進についてであります。  過疎地域活性化対策は総合的かつ計画的に推進する必要がありますので、都道府県知事が内閣総理大臣と協議して定める過疎地域活性化方針に基づき、市町村及び都道府県知事がそれぞれ過疎地域活性化計画を策定し、相互に緊密な連携により過疎地域活性化対策事業実施していくこととしております。  第四は、過疎地域活性化のための財政上の特別措置についてであります。  その一は、国の負担または補助割合の特例についてでありますが、これまで講じられてきた小中学校の統合のための校舎及び屋内運動場、保育所及び消防施設に対する補助負担率のかさ上げ措置等はすべて継続することとしております。  その二は、過疎対策事業債については、現在対象とされている市町村道等の市町村の基礎的公共施設の整備事業等に加え、過疎地域の活性化を図るため、若者定住促進を中心とした産業振興のための生産加工施設等の整備事業、高齢者のための多様できめ細かい生きがい・福祉関連施設の整備事業等、対象事業拡大を図ることとしております。  第五は、過疎地域活性化のためのその他の特別措置についてでありますが、従来から実施されてきた基幹的な市町村道等の都道府県による代行整備、都道府県による無医地区対策の実施、農林漁業金融公庫等からの資金の貸し付け、過疎地域における事業に係る税制上の特例等の特別措置を引き続き行うこととしております。  以上のほか、新たに、地域の経済社会の広域化に対応するため、過疎地域とその他の地域を連絡する市町村道等を都道府県による代行整備の対象とするほか、介護支援機能及び居住機能等を有する小規模の複合型施設の整備事業を補助の対象とする等、特別措置の拡充を図ることとしております。  第六は、この法律は、平成二年四月一日から施行し、十年後の平成十二年三月三十一日限りでその効力を失うこととしております。  また、現行の過疎地域振興特別措置法に基づく過疎地域の市町村のうち、本法では対象とならないものに対しては、五年間過疎対策事業債の発行を認めるほか、関係地域の市町村道等の都道府県による代行整備について経過的な措置を講ずる等により、財政上の激変を緩和するとともに、既に着工した事業の完了を図ることとしております。  なお、本案施行に要する経費としては、平成年度約四百十億円の見込みであります。  以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。  最後に付言させていただきますが、本起草案を取りまとめる過程におきまして、現行の過疎市町村のうち非過疎市町村となるものに対しては、経過措置の期限を切ることなく、当分の間本法を全面的に適用すべきであるとの意見がありましたが、起草案のとおり取りまとめることといたしました。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     ─────────────  過疎地域活性化特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  286. 島村宜伸

    島村委員長 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。佐藤国土庁長官
  287. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 本法律案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対して深く敬意を表するものであります。  政府といたしましては、過疎地域の現状にかんがみ、本法律案に異存はございません。御可決いただきました暁には、その御趣旨を体して適正な運用に努め、過疎地域の活性化を図るため、なお一層の努力をしてまいる所存でございます。
  288. 島村宜伸

    島村委員長 お諮りいたします。  過疎地域活性化特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  289. 島村宜伸

    島村委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  290. 島村宜伸

    島村委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十四分散会