○堀
委員 委員長、御退席いただいて結構でございます。
そこで、
大蔵大臣にちょっと
認識をしておいていただきたいことが
一つあります。それは、
日本の
金融業、
証券業というのは大変収益も上げているし、その市場における株式の時価総額というものが大変大きな順位を占めておるということであります。
そこで、
アメリカとちょっと比較をしてみますと、
アメリカの全企業の中の時価総額の上位二十社というのを一九七九年と八八年で調べてみますと、全部言いませんが、上の方は、IBM、エクソン、GM、アムコ、シュランバーガー、モービル、GE、AT&T、こんな格好です。その次も、IBM、エクソン、GE、AT&T、GM、フィリップモリスというようなことでして、
金融機関が時価総額で頭を出すのは、五十番目に初めてシティコープが頭を出すというのが
アメリカの実情です。ところが
日本の場合は、一九七九年十
二月には、まだ、一番トヨタ、二番日産、三番日石、四番東電、五番松下、六番新日鉄、七番三菱商事、日立が八番、その後に
銀行がずらずらっと出てくるわけです。数で言いますと、
銀行は九番、十番、十一番、十二番、十三番、十八番の六行、それから証券が
一つ十六番目に入っている。一九八八年末になりますと
日本は、
銀行が一番、二番、四番、六番、七番、八番と入って、証券が十番目に顔を出す。信託
銀行が十四番、十六番、十七番、十八番、十九番というふうな格好です。要するに、
アメリカの産業
会社に比べて
日本では産業
会社が大変しっかりやっているけれ
ども、時価総額においては
金融機関がずらっと上の方を占めている。
その結果、
銀行も証券も含めた
金融機関の給与が非常に高くなってきた、格差が出てきているわけです。産業
会社と
金融機関との格差が出ておるものですから、テクノロジー
関係の大学卒がどっと
金融機関や証券へ行くという問題が起きているということでして、これは日経連の鈴木さんあたりも、適当でないのじゃないかと言っておられる。
関係者に言うと、それほどは来ていませんと言われますけれ
ども。
金融機関の大きいところはいずれも実は相当な収益を上げている。それがさらに収益を上げるような方向に
金融制度を変えて、それで果たしていいんだろうかという大きな疑問が私はあるわけであります。
ですから、時間がありませんから余り申しません、どうせそのうちに一般
質問等でありましょうから詳しい
論議をいたしますけれ
ども、少なくとも現在、
銀行、証券
関係は、先ほど角谷証券
局長が答えましたように、五%の持ち株であっても関連
会社を使ってやれば系列にできるわけです。この前新聞を見ると、東京都民
銀行、これはある意味で
地方銀行ですね、この都民
銀行がやはり五%持ち株で新しい系列証券
会社をつくったというのが報道されているわけであります。
独禁法上そういうふうに認められておるのに、なぜ一体一〇〇%持ち株の子
会社を
銀行が証券についてつくらなければいかぬのか。一〇〇%持ち株の子
会社と今ある子
会社は一体どういう
関係になるのか極めて不明確な問題。そしておまけに、
競争原理、市場経済論ですから、この前
橋本大蔵大臣から、ちょっと社会党が言うのはおかしいじゃないかと言われているのですけれ
ども、それは別の話として、ともかくも競争論だけれ
ども、ある特定のものが非常に大きな力を持って支配力を持つということは、独禁法の
立場から厳に排除されなければならぬ。独禁法第一条で公正な競争というふうに書いてありますね。
大臣のこの問題についてのお考えを承りたいと思います。