○大須
政府委員 まず、偽造事件の概要でございます。
警視庁の現在までの捜査によりますと、昭和六十三年三月から
平成二年一月までの間に国内のコイン業者三社によって輸入された偽造の可能性のある金貨の枚数は、約十万五千枚であります。このうち二万二千枚については警視庁が押収していると聞いております。また、残りのものについてでございますけれ
ども、造幣局は、日銀がとりあえず正式鑑定が必要と判断したもの約二十万枚、これは実は十万五千枚以外のものが含まれておるわけでございますけれ
ども、その問題となっている時期に還流したということで二十万枚選んでいるわけでございますが、その二十万枚について鑑定を行っているというのが現状でございます。
それから、窓口の混乱という御
指摘があったわけでございますけれ
ども、これは実は事件発覚後、例えば関税局において各税関において輸入の際十分調べるよう
措置をしたとか、あるいは特に
金融機関の窓口について言えば、二月九日に日本
銀行から全銀協等に対しまして、窓口における入金、引きかえ依頼等は真偽の判別をした上で従来どおり応じる、こういうようなことを通達してございます。それから、それを受けて二月十三日には、全銀協から全国
銀行等に対しまして、十万円金貨の受け入れ等については従来どおり取り扱うということでございます。なお、疑義のある金貨について
預金の申し込みがあった場合には、受け入れ時に一たん別段
預金とするけれ
ども、真正と判明した時点で、当初受け入れ時から顧客が依頼していた種類の
預金とする、そういう扱いもやってください、こういうようなことでございまして、その他いろいろ国税庁から税務署に依頼したものもございますし、それから、私
どもの方から通産省を通じまして、一般の百貨店等で受け入れていただくものについてもそうしたところでございます。
そういうことがございまして、今現在のところ、窓口における混乱は生じていないというふうに聞いておるわけでございます。
それから、新しい御
即位記念貨幣の偽造防止策ということでございますけれ
ども、これは私
ども造幣、印刷局の専門家あるいは日銀、
金融機関の専門家その他有識者などを集めまして検討会をやっていただいたわけでございまして、その検討会を三月から四月にかけて四回開いております。
その結果を受けまして偽造対策をまとめておるわけでございますが、その偽造対策の骨子は、一つは、
貨幣の本体について行うもの、それから二番目は、その
貨幣を覆っております、これはブリスターパックと言っておりますけれ
ども、プラスチック製の覆いがございますが、これについて行うものと、二
段階に行う予定としておるわけでございます。
まず、その金貨の本体について申し上げますと、第一点は、仕上げを非常に入念にするということ、いわゆるブリリアント加工と専門家は言っておるようですけれ
ども、非常に光沢が強い仕上げとする、そういうことによりまして、まず基本
的に見分けがつくようにするということでございます。
それから二番目は、これは大量偽造に対する対策ということで特に
考えておるわけでございますけれ
ども、金貨の表面に、パール紋様と申しまして周辺に丸い突起が、今回の金貨の場合ですと九十個を予定しておるわけでございますが、その九十個の突起のうち二個を形を変える、具体的には大きくするという案が有力でございますが、そういうことにするわけでございます。そのようにいたしますと、その組み合わせによりまして、計算上約四千通りできるわけでございます。それを幾つもつくることによりまして、いわゆる大量の偽造ということが今後起こっても発見されることを期待しておるものでございます。
それから三番目が、金貨に特殊の物理的、化学的な処理をいたしまして、それを特殊な機械にかけることによりまして真偽の判別をいわば機械的に即時に行うことができる、そういう装置も
考えているところでございます。そんなことがまず金貨の本体についてでございます。
次は、金貨の覆いのパックでございますけれ
ども、そのパックにつきましては、印刷局の特殊印刷の技術を使いました紋様を印刷した紙を中に封入するわけでございますが、その封入する紙の裏面には通し番号を記載する、こういうこともしておりまして、また、その特殊印刷は拡大鏡等によって容易に真偽の判別ができるものでございます。
そんなことでございますので、そのパックをつけて還流をしてきた場合に、
金融機関の窓口において、まずパックで確実に真偽の判別ができるようになっておりますし、また仮にパックがとれてきた場合でございますけれ
ども、それも今のブリリアント加工等でまず判別ができる。それから、特に大量に持ち込まれた場合に、先ほど申し上げましたパール紋様の二カ所がそろっておるかどうか、ふぞろいであればこれは非常に真貨である確率が高くなってまいりますけれ
ども、それがそろった場合には非常に偽貨である可能性が高いというようなことでございます。
そういうことでまず真偽の判別を可能にしているわけでございますし、また、先ほど申しました特殊加工によりまして機械的に判別するというのは、これを例えば日本
銀行であるとかあるいは主要な税関であるとか、そういうところに置くことによって、いわばどちらとも言えないものを、最終的ではございませんけれ
ども、さらに判別する、こういうようなことを
考えているわけでございます。