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高橋参考人 税制問題について
お話しする機会を与えられましたので、日ごろ私が考えておりますことの一端を、時間の許す範囲内で述べさせていただきたいと思います。
今、我が国
日本は、第三の開国というようなことが言われておるわけなんですけれども、明治維新、それから終戦に続く
平成の開国ということで言われておるわけです。その最大の眼目といいますか
中心、ポイントになる点は、明治以来続いてきた企業優先といいますか生産者優先といいますか、そういう社会構造を
消費者を重視した
仕組みに切りかえていくということが言われておるわけです。
そういう観点から考えてみますと、
税制面においても企業、法人優位の
税制の
仕組みというものができ上がってしまっているのだということを痛感しておるわけです。たまたま確定
申告がこの二月に始まった直後に、私二月二十五日付の紙面で、一面の「座標」というのを書いたわけですけれども、そこで、「確定
申告の死角」ということで、法人に比べて個人がいかに損しているかというのはおかしいわけですが、個人に比べて法人がいかに優遇されているかということを書きました。そうしましたら、三十通ぐらい読者の手紙が参ったわけなんですけれども、いずれも、全くそのとおりである、そういう企業本位といいますか、法人を優遇した
税制を何とか改めてもらいたいということが言われておったわけです。
それで、その最たるものの
一つは、最近問題になっております企業の含み資産に対する
課税問題というのができ上がってきまして、これは昨今いろいろ
マスコミをにぎわせていることでもありますし、恐らく午前中の
参考人も何らかの形で触れたかと思いますので、これ以上私は触れません。しかし、そういう形で何となくといいますか、今まで当然だと考えられていたことがそうではないというふうな形になってきたということについては、この後どういうふうな決着がつくかわかりませんけれども、立法府の皆さんがこの問題に対して積極的に取り組んでいただけることを私は期待しておるわけです。
もう
一つ、私がこの際言わせていただきたいと思っておりますのは、最近そういう
意味で、企業の文化活動でありますとか、
日本が余りにも生産効率第一主義できた反省から、そういう文化活動に対する企業あるいは個人の寄附なんかの問題が出てきておるわけなんです。これにつきましても、個人と法人にはいろいろな面といいますか差があるわけでありまして、その私の書いた記事の中でも、たまたま新宿の
土地の地上げといいますか、それで思いがけない
お金が入ったものですから、その金を少しでも役立てたいということで、
自分の出身の、これは長野県の方なんですが、中国人の留学生の寮をつくって
自分の村に寄附した。その方は、戦争中満州へ行っていろいろな中国人に世話になったりしたことがあったものですから、その恩返しをしたいという気持ちであったわけなんですけれども、一億二千万という金を
自分の
土地を売って得た
お金の中から寄附した。ところが、個人の寄附については二五%、厳密には二五%ないのですけれども、
所得の二五%しか控除できないということであったわけです。ところが、法人の場合には公共団体に対する寄附金というのは全額控除になるということでは、法人と個人で憲法の
もとで平等というのは成り立たないのではないかということで提訴して、今裁判にかかっておるわけです。
この話は新聞でもごらんになった方もあるかと思いますので、
一つそういう例があるということを申し上げたいと思うわけなんですけれども、実は法人と個人に寄附の差というのはある。なぜあるかということについては、いろいろな見方があるわけですけれども、例えば法人の場合には、利益を上げた後でその利益の処分については、取締役会であるとかそういう一定の機関の意思決定というものが入る。それに対して個人の場合には、
自分一人の恣意的な気持ちでそれができるのであるというようなことがあって、もし高額
所得者が勝手に
自分の金を
自分のやりたいところへ寄附してしまったら国の
税収は減ってくる。要するに、もうとにかく何でもかんでもできるだけ
自分の国のところへ集めて、国が言うとおりに配分するのが一番いいんだというような発想だろうと思いますけれども、そういうことで個人には限度が設けてあるということであるわけです。
ところが、私、実は
外国ではどうなっているかということを調べてみたのですけれども、西ドイツの場合には個人と法人に差がないのです。つまり、個人の場合も法人の場合も寄附金の
課税上の取り扱いというのは全く同じであるわけです。それから、これはいろいろ算定の規準の仕方も違いがあるかと思いますけれども、
アメリカについて見ますと、公共性の強い団体、つまり国とか地方公共団体でありますとか教会とか病院とか、そういうところに対する寄附金は、個人の場合には
原則として
所得の五〇%を限度として
所得控除できる。これに対して今度は法人の方は、
課税所得の一〇%が限度というわけですから、形の上からだけ比較しますと、個人よりも法人の方が厳しいということが言えるだろうと思うのです。大なり小なり個人と法人で差を設けている国がありますけれども、先ほど申しましたように、西ドイツのように個人と法人が全く同じであるというところもあるということは、知っておく必要があるのではないかと思った次第であるわけです。
それで、ともかく法人と個人の差があるということに目をつけて、
日本では逆に同族法人でありますとか、節税のために法人成りにするのも幾つもあるわけです。あるいはまた、青色
申告におけるみなし法人というのがあるわけですけれども、そういう人たちというか、一応法人となっておるのですが、いわゆる私的な
消費というものがいろいろな形で、一般の
サラリーマンとの不公平という形で問題になってきておるのは御存じのとおりであるわけです。早い話、家族の下着だとかその手のたぐいまで一切合財経費で出しておる。そういうのに対して一般の
サラリーマンは、全くそういうことはできないということで、常日ごろ出ておったことは御存じのとおりであります。
これを直すためにどうすればいいかということがよくあるのですけれども、そんなこと言ったって、私的
消費というのはなかなか税務の執行面において捕捉しがたいんだということが
一つあるわけです。朝から晩までつきっきりで監視していない限り、わからない。仮に納税者番号を入れても、これは捕捉が不可能であるということになってきておるわけです。結局、そういうふうに入ってくる方に目をつけてやるのじゃなくて、入った以上必ず使うわけだから、その
消費の面で
課税したら少しでも
公平性が確保できるということで
消費に
課税するという面でいいますと、今の
消費税のたぐいの問題が出てくるだろうと思うわけです。その
意味で、
消費に
課税することによる
公平性の確保ということが、私はそれを
支持した
一つの
理由として挙げたいと思うのです。
そこで、いわゆる大型
間接税の問題について
意見を述べさせていただきたいと思うのですけれども、私は今、財政、
税制問題を担当しておるものですから、新聞社の仕事で社説を書いておるのですが、朝日新聞は別に大型
間接税には反対していませんよということをよく言っておるのです。つまり、将来の福祉財源として大型
間接税が必要になる時期が来るということは、必要性は認めているんだ。しかし、今の
消費税はいろいろ欠陥があるので、それはやはり直してもらいたいということを主張しておるわけなのですが、そのことについて若干述べてみたいと思います。
では、現行
消費税とどういうふうに違うのかという問題があるわけですが、既に言われておりますように、これは堕落型というふうな形で、これを直すべきだというようなことが一番の問題点で、我々もこれは導入するときから言っておるわけなのですけれども、とにかく導入しさえすればいいというような形でスタートしたこの
税制についての批判というのは、税に対する不信感は根強く、税に対する不信感というのは、結果的には政治、行政に対する不信感ということになるかと思いますが、そういうことの出発点になっているのじゃないかと思うわけです。
いわゆる三点セットというようなものについて、もうこれは具体的に触れることはしませんけれども、三点セット、プラス
帳簿方式という問題については、これは五月に
消費税の納税が一巡するのを待って
見直しをするんだということを政府も約束しておるわけなのですが、導入するときに既にわかっていた問題のはずであるわけですね。しかも、こういうのは直すべきだということは、とにかく各方面から似たような
意見というものは出てきたわけなのです。ですから、導入する時点でわかっていながら、とにかく導入すればこっちのものだという形でやったことに対する不信感というものが根強く残っておる。
それから、納税しても、納税義務者は
事業者になっておるわけですけれども、実際に納めるのは
消費者である。しかし、
消費者が払ってもそれが全部が全部入るのではなくて、
事業者の懐に残ってしまう。この額四千八百億円とも、一説には一兆円を超えるのじゃないかという説もありますけれども、これは
事業者にとってはもうけになる益税であるという話になってきておるわけでして、そういうことが定着させたかに見える
一つの原因になっているのであるということは、かねて指摘されておるとおりであります。とにかく導入する時点で既にわかっていたことばかりなわけですから、早い話、
免税点は二年間、あるいは限界控除
制度なら三年間とか、
簡易課税、
帳簿方式の問題は五年間とか期間を区切って、最終年は五年たったらきちんとした姿になるんだというふうな青写真を示した上で導入してくれたらまだよかったのだろうと思っておるわけです。
それから、自民党の方も
見直し案を出しておるわけですけれども、例えば
食料品の
小売段階非課税、あるいは卸売段階までの一・五%の
軽減税率というような問題を考えてみましても、これはやはり本質的な
見直しではないと言わざるを得ないわけです。皆さん御存じのことばかりだと思いますけれども、
帳簿方式への移行でありますとか三点セットの是正でありますとか、そういうことをやろうとしたってできないんだ、だからこそ廃止してしまえというのが、恐らく野党の廃止案だと思うのですが、これは本質的な
見直しができないことを前提にしてやめてしまえということを言っておられるというふうに私は
理解しておるのですけれども、これについてもまたそれでいいのかという問題は、後で若干述べてみたいと思っておるわけです。
では、
食料品の
非課税要求ということを
マスコミも書いたし、
国民は要求しているんじゃないか、そういう要求をしたからそういうふうにしたんだ、恐らくそういうことを言われるのだと思いますけれども、これはもし
非課税制度を考えるならば、
物品別ではなくて用途別にやらないと非常におかしなことになる。つまり、帝国ホテルでビフテキを食った場合も小さな店屋で飲食した場合も同じように食品が
非課税になるということは、本来
消費税というものが選択できる税であるにもかかわらず、そういう面で一律に
課税されるということの矛盾というものがあるのではないか。帝国ホテルで食事するような人は
非課税になることを期待して入ってきちゃいないわけですから、それで
非課税にしてもらいたければ、
非課税の安い店屋というのはあるわけですね。
実は私ども資料をもらいましたけれども、例えばフランスの場合、
標準税率一八・六%、
食料品なんかは五・五%になっておりますけれども、例えば同じホテルにしても四つ星以上の高級ホテル、あるいは宝石とか毛皮とか香水とか乗用車なんかになりますと、割り増しも三三・三%、相当高率な
課税になっておるわけですね。それで、同じホテルでも
三つ星以下のホテルならば
軽減税率七%が適用されるわけです。あるいは新聞、雑誌とか、公共の交通料金でありますとか医薬品とかいうものは七%。さらに、一般の
食料品とかそういうものが五・五%になっておるわけなんですが、御存じのようにフランスなんかですと、水を買っても
お金を払わなければいけない。その場合に、当然自宅で買う水は本来の五・五%の特別
軽減税率なんですけれども、ホテルで飲む水というのはそれ以上の
税率がかかって、サービスの提供ということがあるわけですから、当然それより高い
税金。つまり、
食料品は
食料品というふうな形を、
物品別ではなくてどこでやるか、その場所あるいは用途別に
課税といいますか、免税あるいはゼロ
税率を適用する場合に、そういう方面から考えていくのが筋じゃないかということが第一点、言いたいところであるわけです。
それで、実はそちらに
委員長の許可を得て資料をお配りしたので見ていただきたいと思うのですけれども、「朝日新聞世論
調査から見た
消費税問題」というのがここに、ことし三月の時点でやった世論
調査なんですけれども、「今回の総選挙は、
消費税問題が最大の争点といわれました。自民党が安定多数を取ったことは、自民党の
見直し案が
支持されたことを
意味する、と思いますか。そうは思いませんか」。これは、ここにありますように「そうは思わない」というのが五六%になっておるわけです。
それから次の、去年の十二月にやった
調査なんですけれども、「自民党が
消費税の
見直し案をまとめました。あなたは、この
見直し案をどの
程度、評価しますか」。これも、「大いに評価する」「ある
程度評価する」を入れても三七%で、「あまり評価しない」三九%を下回っているという結果が出ておるわけです。それに対して、野党は
消費税廃止、
税制やり直し法案を
国会に出している。この法案に賛成ですか反対ですかと問いますと、賛成が五八%になっておるわけです。
それから、だんだんさかのぼっていくわけですけれども、次に十月の
調査時点で、「
消費税は今後、どうしたらよいと思いますか。
見直した方がよいですか。廃止した方がよいですか。今のままでよいですか」というのに対して、「
見直した方がよい」、これが「廃止した方がよい」を上回っておる、
見直しの方が廃止を上回っているということで、参議院の選挙が終わってだんだん衆議院の選挙に近づくに従ってこういう結果になっていったという、御存じのとおりであるわけです。それから、「
消費税を見直す場合、どの
程度の
見直しが必要だと思いますか」というのに対して、ここにもありますけれども、「生鮮
食料品を
非課税にする」とか「
非課税範囲を広げる」とありますが、一番多いのは、「
課税方式を含め抜本的に」やれというのが三〇%あったということであるわけです。
それから、これも去年の九月の
調査なんですけれども、「これからの
高齢化社会を支えるためには、あなたの
税金が増えても、やむをえないと思いますか。そうは思いませんか。」というのに対して、「やむをえない」というのが「そうは思わない」を上回ってきておるわけでして、これは八八年三月の
調査に比べれば、「やむをえない」がふえておるわけです。それから、「今の
消費税をどうするかは別として、「物やサービスに広く
課税する
間接税は、将来の
高齢化社会のために、いずれ必要になる」という
意見があります。あなたは、この
意見に賛成ですか。反対ですか。」という問いに対して、「賛成」であるというのが五二%で、半分以上あったということであるわけです。
そこで、去年の九月十六日の社説で「「反税」ではない
国民の良識」というのを書いたわけですけれども、新税を好きか嫌いかで分ければ、どうせ反対するに決まっているという
意見が強かったわけです。それで書いたわけですけれども、ここから浮かび上がる
国民の意識というのは、将来の
高齢化社会の財源として物やサービスに広く
課税する大型
間接税の導入は必要だ、税
負担がふえるのはやむを得ないということだということを書いておきました。
そういう前提から考えますと、現在の
消費税が定着しているかどうかということに対しては、いろいろなデータがありますけれども、定着していないと言わざるを得ないだろうと私は思います。なぜかといいますと、第一点は、地方公共団体で転嫁していない自治体は幾つもあるわけでして、中には一たん転嫁しながら途中でやめてみたり、それから途中で市町村議会の構成が変わったりして、一たん取った税をその四倍も五倍も返却費用をかけて返したなんという、何のためにやっているのかわからないような自治体というのがあるわけです。
何よりもここで強調しておきたいことは、それでは一般の民間企業はどうなのか。これは、定着したというデータが出ております。きょうの夕刊を見ますと、
国税庁が二十七日、
消費税の確定
申告の状況を発表しておるわけですが、大体九九%がやっておるのだということが書いてあります。これは税務
調査をしていないから言える話でありまして、つまり税務
調査をこれからもやらないというのだったら恐らく定着するでしょう。今は税務
調査をやらない段階で、言ってみれば仮免みたいな状況であるわけですね。これはならし運転中、つまり厳密な
意味での税務
調査をやらないということでやっておるわけですから、これは当然なわけですけれども、もしこの仮免のまま路上に出れば、それこそ駐車違反で続々とっ捕まるというような形で、同じように税務
調査をやり始めたら、定着したなんて言えないような結果になるだろうと僕は思います。これからも将来税務
調査をやらないというのなら、恐らく定着するでしょうけれども、恐らくそういうことにはならないだろうということであります。
ただ、私はここで今皆さん方にお願いしたいことは、先ほどうちの世論
調査の結果を示したわけですけれども、今内外にやらなければいけないことがたくさんあるわけなんです。それで、
経済はボーダーレスエコノミーなんて言われておるわけですけれども、政治の
世界に限って言いますと、これは
アメリカもそうですけれども、どうも内向きの政治の場面においてはそういうことが非常に多過ぎるのじゃないかと思うわけです。当然内外に対応を迫られている事柄が山積している中で、この問題を引きずったまま臨時
国会で決着をつけるというようなことになっておるように観測されておりますけれども、私は、少なくとも二年間凍結して、とにかく法律はそのままで、二年間ゼロ
税率にして凍結したらどうかという考えを持っておるわけです。これは事務的には可能だけれども、去年の四月の混乱を再現するものであるというふうな
意見が
一つあるわけです。あるいはまた、一たん導入したわけだから仮に外したところで値段が下がらない、いたずらに上がったり下がったり問題が起こるだけだというような御
意見もあるわけなのですけれども、そういう技術的な問題点は克服するすべがないわけではない。
いずれにしても、
消費税の問題を少し冷却期間を置いてもう一度考え直してもらいたい。それで、
平成五年から新たに
福祉目的税として出直すようにしたらどうかと思っておるわけです。といいますのは、売上税から
消費税に至るいろいろなプロセスで出てきた話というのは、これをなぜ入れるか、そもそもの問題の出発点が財源問題だけだったわけですね。これは大平内閣のときから十年以上やっているのだという説もありますけれども、とにかく最終的に法案が通ったのはおととしの十二月で、実施したのは三カ月間しか期間を置かずに四月からやっているというふうな、とにかくこれほど
国民をばかにした話はないのじゃないかと私は思うのです。しかも、歳入欠陥であるとかあるいは
減税財源にするというような形で導入してきたところが、思いがけない自然増収。しかも、巨額の自然増収が三年も続いてくるという形で、状況が変わってしまっている。根本的な欠陥というのはそのままにしておいて、継ぎはぎだらけの
見直しを
幾らしても、これはなかなか
国民の納得が得られないのじゃないかと思うわけです。
では、その二年間やっている間の財源手当てをどうするのか。景気も下降局面で、
平成四年ぐらいに恐らく法人税も落ち込みがあるのではないかという
意見もあるわけですけれども、いずれにしましても、例えば国とか地方公共団体の、これは本来
消費税の底に
一つあるわけですけれども、税で
税金を払っているような面があるわけでして、例えばその分だけでも去年の段階で一兆三千億ぐらいあったと思いますけれども、そういう問題。あるいは国有財産の売却とかNTT株の売却のときにいろいろ問題が起こったわけですが、いずれにしてもこの手だてというのは、これだけ六十兆円規模を超す予算の中で、その一割ぐらいの歳入の手当てというのができないはずがないだろうというふうに思っておるわけです。
一番いけないのは、とにかく物にかけるわけではないわけですね。つまりカボチャとか大根に税をかけるわけじゃなくて、
国民にかけるわけであります。
商品にかけるわけなんですけれども、タックスペイヤー、いわば
国民の心にかけるという、そういう配慮が欠けているのじゃないかという気がするわけです。私は、
新聞記者として大蔵省の担当が一番長かったわけですし、大蔵省に知っている人もいるものですから、先生の皆さん方の中にも知っておる方が何人かおりますけれども、会うたびにこういう問題があるということはかねて指摘してきておるわけなんです。納税者、
国民が税に対する不信感を持ったままでこのままやっていくことがいいのか、あるいはもう一度凍結――方法はほかにもいろいろあるかと思いますけれども、一たん導入したからこのままとにかく定着したといって強引にやっていくのがいいのかと考えますと、恐らくその答えはじわじわとボディーブローみたいな形で、これから選挙
制度の改革もあったりして世の中が変わっていくきっかけができたと思います。結果としてそういう方向で、
国民、納税者の意識が、一たんやって
もとに戻して、またそんなことを認めてくれるのかどうかという向きがあるかと思いますけれども、先ほど示しましたように、世論
調査の結果を見ても、
国民の意識としては、
高齢化社会のためにいずれ必要になるという意識はとうに持っておるわけですから、そのためにはみんなの納得できる形の大型
間接税にした上で実施してもらいたい、そういうふうに思っているわけです。
いずれにしましても、とにかくカボチャにかけるのではない、要するに納税者の、タックスペイヤーの心にかけるのだというふうな、まずもってそういう意識でやっていただきたいと思う次第です。とりあえず……。(拍手)