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1990-03-22 第118回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月二十二日(木曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 渡辺 省一君    理事 麻生 太郎君 理事 古賀  誠君    理事 自見庄三郎君 理事 三原 朝彦君    理事 中沢 健次君 理事 中西 績介君    理事 鍛冶  清君       北村 直人君    古賀 一成君       古賀 正浩君    坂井 隆憲君       坂本 剛二君    野田  毅君       渡瀬 憲明君    岩田 順介君       緒方 克陽君    岡田 利春君       佐々木秀典君    藤原 房雄君       小沢 和秋君    児玉 健次君       高木 義明君  出席国務大臣         通商産業大臣  武藤 嘉文君         労 働 大 臣 塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業政務次         官       額賀福志郎君         通商産業政務次         官       斎藤 文夫君         通商産業大臣官         房総務審議官  関   収君         通商産業省立地         公害局長    岡松壯三郎君         資源エネルギー         庁長官     山本 雅司君         資源エネルギー         庁石炭部長   長田 英機君         労働政務次官  加藤 卓二君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    七瀬 時雄君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   小沢 和秋君     児玉 健次君 同月二十二日  辞任         補欠選任   児玉 健次君     小沢 和秋君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 渡辺省一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  この際、武藤通商産業大臣及び塚原労働大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。武藤通商産業大臣
  3. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 石炭対策特別委員会の御審議に先立ちまして、一言あいさつを申し上げさせていただきます。  我が国石炭鉱業をめぐる環境には厳しいものがございますが、最近におきましても、三菱南大夕張炭鉱閉山会社側から提案されるなど一層その厳しさが増しつつあります。  このような中で、集中閉山回避を基本とし、地域経済雇用に及ぼす影響をできる限り緩和して、生産体制集約化を円滑に行うとの考え方に立つ第八次石炭政策の着実な推進が求められており、私といたしましても、その実施全力を尽くしてまいる所存でございます。  また、炭鉱閉山規模縮小により影響を受ける産炭地域振興につきましては、関係省庁自治体とも連携をとりつつ、また当該企業指導しつつ、各般の支援を行うとともに、鉱害対策の着実な実施にも努めてまいりたいと考えております。  今後とも、委員長初め委員各位の御指導、御協力を賜りながら、石炭行政推進に努めてまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手
  4. 渡辺省一

  5. 塚原俊平

    塚原国務大臣 このたび労働大臣就任いたしました塚原俊平でございます。  石炭対策特別委員会の開催に当たり、一言あいさつを申し上げます。  今日、石炭鉱業は、第八次石炭政策に基づき生産規模縮小が進められ、これに伴い多数の離職者が発生し、平成元年度には北炭幌内炭鉱閉山三井三池炭鉱の大規模合理化が行われ、さらに三菱南大夕張炭鉱閉山提案されるなど、厳しい環境のもとに置かれております。  私は、離職者対策こそが石炭政策のかぎであるとの認識に立ちまして、全力を挙げてこれに取り組んでまいりたいと考えております。  また、労働行政に密接なかかわりを持つ産炭地振興問題等の重要な課題についても努力をしてまいる所存であります。  委員長初め委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手
  6. 渡辺省一

    渡辺委員長 次に、額賀通商産業政務次官斎藤通商産業政務次官及び加藤労働政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。額賀通商産業政務次官
  7. 額賀福志郎

    額賀政府委員 このたび通産政務次官を拝命いたしました額賀福志郎でございます。  武藤大臣のもとで、斎藤政務次官ともども石炭行政全力を尽くしてまいりたいと思います。  委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手
  8. 渡辺省一

  9. 斎藤文夫

    斎藤(文)政府委員 このたび通商産業政務次官を拝命いたしました斎藤文夫でございます。  武藤大臣のもと、額賀政務次官と力を集めまして、多難な石炭行政遂行全力を尽くしてまいる所存でございます。  委員長初め委員各位におかれましては、特段の御指導、御鞭撻を心からお願いをいたします。  ありがとうございました。(拍手
  10. 渡辺省一

  11. 加藤卓二

    加藤(卓)政府委員 このたび労働政務次官を拝命いたしました加藤卓二でございます。  先ほど労働大臣からごあいさつがありましたように、石炭鉱業を取り巻く環境には厳しいものがありますが、全力を尽くして職責を全うする所存でございます。  何とぞ、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)      ────◇─────
  12. 渡辺省一

    渡辺委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  13. 北村直人

    北村委員 日ごろから石炭対策につきまして、通産大臣労働大臣、御尽力を賜っていること、心から感謝を申し上げる次第でございます。  ただ、大変残念なことがまた起こったわけでございます。三菱南大夕張炭鉱閉山提案という、私たちにとっても悲しい、そしてまた非常に厳しいこの提案がなされております。三月の二十七日付で閉山鉱員全員を解雇という、これはもう大変厳しい内容でございます。特に、今八次策を遂行中でございます。その八次策の中で空知あるいは北炭真谷地北炭幌内、これに続く閉山でございます。特に、南大夕張炭鉱原料炭に依存をしているわけであります。この八次策で原料炭取引はゼロという、これは国の政策の中で取引がゼロという、これが閉山を招いた。この国の責任というのは私は大変大きなものがあるのではないかと思います。この件につきましても、過日自民党の石炭対策特別委員会としても、通産大臣労働大臣お願いを申し上げたところでございますけれども、この南大夕張炭鉱閉山提案をどのように両大臣は受けとめられ、今後どのように対応していかれるおつもりなのか、お話をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今北村議員から御指摘がございましたように、特に北村議員北海道の御出身でございますし、北海道としてこのような情勢というのは大変厳しいものであるという受けとめ方をしておられることには私も十分理解をさせていただく次第でございます。  実は、今回の閉山の問題が起きましたので、親会社三菱鉱業社長ともども社長にお越しをいただきまして、何とか継続できないかという要請もいたしたわけでございますけれども、残念ながら、いろいろの角度から検討し、総合的な経営判断としてもうどうしてもやむを得ない、こういう判断に立ち至りましたということでございまして、会社経営者がどうしてもそういう判断で決めた以上は、これはもう私どもとして強制して継続させるわけにはまいりませんけれども、何にしても、一つは、とにかく労使で円満な話し合いをすること。いま一つは、地域振興という点を十分考えること、特に三菱というのは三菱グループの中にあるわけでございまして、この三菱グループのほかの会社皆さんにもよく協力お願いして、炭鉱閉山した後、何か三菱グループでその地域振興に役立つ事業ができないかどうか、そういうこともひとつぜひ検討をしてもらいたい。それから、離職者については、責任を持って会社でとにかく全く職のなくなることのないようにぜひ努力をしてもらいたい。私としては大体その三点を強く要請いたしまして、両社長とも十分それは認識をし、その必要性十分認識をいたしますので、ぜひともそのような方向で努力をします、こういう約束でございましたから、私もそれは期待をいたしておるわけでございます。  いずれにしても、私ども役所といたしましても関係省庁とよく連絡をとりながら、特に自治省あたりなどとも連絡をとりながら、地域振興、とにかくこの閉山によって地域が廃れることのないようにできるだけの方途を考えていきたいということで、今後事務当局同士でその辺のところはよく話し合いをしながら努力をさせていきたい、こう考えておりますので、ひとつ地元皆様方におかれましても、ぜひその辺のところを御理解をいただき、御協力を賜れればありがたい幸せと思っておる次第でございます。
  15. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ただいま北村先生の御質問を伺っておりまして、私自身も常磐炭鉱地域で選挙をやっておりまして、常磐炭鉱高萩炭鉱関本炭鉱等々数多くの炭鉱一つ一つ閉山を見てまいりました。そういう状況の中で、このようなことを言うとまた先生からしかられるかもしれませんが、まだ常磐炭鉱地域北海道よりはある程度雇用情勢は当時よかったと思うのでございますが、それでも非常に厳しい状況の中で、経営側も、そして労働されていた方々も、本当に大変御苦労をされました。今日それぞれの皆さんの御努力で、地域においてもまた人口もふえつつあるという状況ができているわけでございますが、本日、この石特委員さんの中には、特に北海道地元委員さんも多いわけでございまして、特にその地元のこの状況というものには大変な御心配をされている、我が事のように厳しいお気持ちを持っていらっしゃるということが手にとるようにわかります。  このたびの閉山提案が行われまして多くの離職者が出ますことは大変な事態であるという認識をまず持っております。労働省といたしましては、親会社、これは三菱でございますが、親会社並びにその関連グループ、数多くあるわけでございまして、それぞれにおいてしっかりとした御満足いただけるような雇用の場を確保するように指導いたしますとともに、関係自治体ともいろいろな形で御相談をし、また万々が一、道外に出られるというようなケースの場合には、それぞれの地域においてもまた住まいを探さなくてはいけないとか、あるいはお子様の教育問題等もあるわけでございまして、そういった点につきましても関係省庁と密接な連絡をとり合いながら、離職をされる方々雇用対策に万全を期してまいりたいと決意をいたしております。
  16. 北村直人

    北村委員 両大臣から閉山提案についてのお考えをお聞かせいただきました。確かに会社経営ということはあるにしても、閉山というのは、その地域一つ地域をなくしてしまうような、そういう大きなものを抱えている炭鉱でございます。先ほど、通産大臣に三点について会社経営者責任のある方がお約束を申し上げたということでございますが、その三点については、これは通産省としてもぜひその後のお約束を守っていただけるような御指導を痛烈にひとつお願いをしたい。そしてまた、労働大臣も、今おっしゃったとおり、関連グループに対する職場の確保等、これについても労働大臣としても労働省としても強く御指導を賜りたい、こうお願いを申し上げる次第でございます。  本当に幌内炭鉱あるいは南大夕張炭鉱閉山が相次いております。そして生産規模縮小をしてきているわけでありますが、こうなりますと、貯炭を含めて八次策における需給関係に対して通産省は基本的にどう考えられておるのか、また、現在までの進捗状況を一体どう評価しているのか、そこをぜひ石炭部長さんからお聞かせいただきたいと思います。
  17. 長田英機

    長田政府委員 先生からもお話ございましたように、昨年の九月に幌内炭鉱閉山をいたしまして、今回また本件が仮に閉山するということになりますと、平成元年度に二山閉山するということになるわけでございますが、平成元年度から平成年度にかけましてこの二山の閉山による生産減少要因は約百二十万トン程度になるというふうに、これだけとりますとそう考えられます。もちろん、平成年度需給につきましてはこれから関係者話し合いによって決まりますので、総量幾らかということは確定的には申し上げられませんが。  この二山の閉山と八次策のイメージとどういうふうにつながるのか、どういう関係になるのかという点でございます。そのため、八次策のイメージを申し上げますと、昭和六十一年度におきますところの生産雑炭による供給量は約千七百万トンでございました。このほかにその年の年度末に約二百七十万トンの過剰貯炭がございました。こういう状況で八次策、六十二年度から出発いたしまして、一方、八次策の最終年度である平成年度におきます状態を見ますと、おおむね一千万トンの需要量、これに見合う供給規模ということになるとともに、その年度末に過剰貯炭をゼロにしていこう、こういう物の考え方でできているわけでございます。  したがいまして、この間にどういうふうに推移していけば雪崩閉山であるのかないのかということが、これは数量的になかなか難しい問題なんでございますが、また、どういうふうに推移していくかはそれぞれ毎年毎年の需要供給話し合いによって決まるものでございますから、一概には言えないのですが、大ざっぱにモデル的に試算をして見ますと、こういう考え方もあるかなと思いますのは、生産雑炭による供給というものが、現実にこうなるかどうかは別議論として、年間おおむね二百万トンぐらい減少していくかな、このような減少をしていっても八次策の見地からはおかしくないのかな、そういうふうに考えられるわけでございまして、こういう点から申しますと、今の二つ閉山につきましても、特に八次策のイメージから逸脱したものではないというふうに考えているわけでございます。
  18. 北村直人

    北村委員 逸脱はしていないということでございますが、半年のうちに二つの山が閉山をしているという現況を見たときに、八次策の基本的な考え方をしっかりと踏まえた中でぜひこれからの残されている八次策において御指導をいただきたいと思いますし、またしっかりとした指導もしていただきたいと思うわけでございます。  そうしますと、ポスト八次策というのでしょうか、九次策と呼んでもいいのじゃないかと思いますが、石炭に関する企業の多くの方々ポスト八次策の動向に関して非常に関心を寄せていると私は思います。通産省としてポスト八次策についてどのような展望を持っておられるのか、また日程的にはどのようなことを考えておられるのか、そこら辺もまたお聞きをしたいと思いますし、それと同時に、従来、閉山後の地域対策雇用対策というのは私から見ると後手後手に回っているように思われます。こうした傾向に対して何らかの是正策が必要ではないかと私は考えますが、それらについて労働省のサイドとしても御意見をお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
  19. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 昭和六十二年度から五年間の対策期間としてスタートいたしました第八次石炭政策、ちょうど現在第三年度目が終わろうとしているときでございます。したがいまして、まず最初に私どもが心がけておりますのは、何としてでも、第八次政策の第四年度目、第五年度目をぜひ全力を挙げて計画に定められているとおり遂行したいというのが現在の最大の課題となっているわけでございます。  今先生指摘ポスト八次策、九次策となりますか、ポスト八次策の問題でございますが、これにつきましては、第八次策の推進状況を見ながらまだその段階で十分な検討を続けなければいけないと考えております。  お尋ねの中にスケジュールというお話もございましたが、これにつきましては予算の要求の兼ね合い等もございまして、できればことしのうちにでも何らかの形の、八次策以降をどうすればいいかというようなことを、例えば石炭鉱業審議会等がございますから、こういうところを活用しながら、時期がおくれることのないように十分の対策を立てていきたいと考えております。  なお、地域振興策などが後手に回っているおそれがあるのではないかという御指摘でございました。これにつきましては、産炭地域振興対策として従来から、閉山地域は当然ではございますが、これだけではなく、稼行炭鉱地域におきましても当該地域の自律的なプロジェクトに対していろいろ支援をしたいということで施策をとってまいりましたし、現在お願いしております平成年度予算におきましても、例えば地域振興公団の出資の機能を追加するとか、あるいは産炭地域振興臨時交付金の拡充を行う等の施策を一応盛り込んでお願いしている段階でございまして、今後とも私どもとしてできる限りの対策を、後手に回らないような形で何としてでもやっていきたいということで現在考えている段階でございます。
  20. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま、雇用対策後手後手に回っているのではないか、こういう御指摘がございましたが、確かにこれまでの地域における閉山合理化によりまして多数の離職者が発生し、また、今なお求職中の方々が多数おられるという現状はございます。私どもといたしましては、こういった炭鉱離職者をめぐる雇用状況が非常に厳しい、また離職者方々地元就職の志向が非常に強い、あるいはまた石炭に依存してきた地域において地元における雇用機会が十分でない、そういった現状をにらみながら、今後、この地域における地元雇用開発という観点から、地域雇用開発等促進法を最大限に活用いたしまして閉山後の雇用対策に取り組んでまいりたいと考えております。  また、地元における雇用開発と相まちまして、私どもといたしましては、離職者の再就職先確保につきまして、積極的な再就職の援助あるいは職業訓練の機動的な発動といった形でさらに積極的に再就職対策に取り組んでまいりたいと考えております。
  21. 北村直人

    北村委員 私に与えられた時間がそろそろ参りますので、最後お答えは結構でございます。私からの御要望ということで、ぜひ両大臣もお力添えをいただきたいと思います。  今回の南大夕張炭鉱閉山に伴います夕張市の地域対策について、地元夕張市や関連の町村からいろいろと要望が出ていると私は思っておりますし、また聞いてもおります。例えば夕張川の多目的ダムの建設ですとか、あるいは今北海道は、道道夕張芦別線というのがございますが、それを完全に舗装して国道へ昇格してほしいというような要望も出ているように聞いております。こういう公共事業というのはある意味では地域振興に大変大きなインパクトを与えるものだと私は思います。これらに関係する省庁方々にも横の連携をとっていただきながら、地域振興にぜひインパクトを与えていただきたい。そのためにも両大臣から各関係役所にぜひお力添えをいただきたいということを最後に御要望申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  22. 渡辺省一

  23. 中沢健次

    中沢委員 私の時間も余り多くございませんので、具体的な幾つかの問題を指摘して質問させていただきたいと思います。  その前に、きょうは傍聴席に、閉山提案を受けて今条件をめぐって連日労使交渉をされております三菱労働組合関係者もたくさんお見えでございます。私の聞いている情報では、明日、労働組合としては全山の二十四時間のストライキを配置をして、それを背景にして労使交渉を煮詰める。したがって、きょうの石特は、関係労働組合はもちろんでありますけれども地元夕張市にとりましても非常に関心を寄せなければいけない大事な委員会でございます。  私も夕張出身でありまして、既に三つの山の閉山、非常に過酷なそういう体験をさせられました。残念ながら夕張は、最盛期には二十四の炭鉱がありました。しかし、これはもう三菱一山になっている。人口最盛期に十二万五千を超えていたのが今日では二万三千を超えるという状況でございます。したがって、夕張出身であるがゆえに少し露骨な質問をするかもしれませんけれども、その辺はひとつ政治家として御配慮をいただいて、できるだけ簡潔に具体的なお答えをぜひお願いをしたい、このように冒頭まず申し上げておきたいと思います。  さて、通産の方にまずお伺いをいたしますけれども、八次政策スタートをしてこの三月でちょうど三年間時間的な経過がある。その間、残念ながら国内炭は大幅に生産体制縮小になっている、こういう事実は厳然としてございます。そこで、まずこの間の国内炭生産について、どういう推移をしているか数字的にまず明らかにしていただきたいと思います。
  24. 長田英機

    長田政府委員 今先生から生産という御質問でございましたので、いわゆる純粋な意味生産だけ申し上げますと、六十二年度の実績が千二百五十八万トン、六十三年度千百十万トン、平成元年度は、計画ベース見通しでございますが、九百七十万トン。なお、生産供給という分野に雑炭を入れて膨らめますと、概念を広げますと、六十二年度千四百三十七万トン、六十三年度千二百七十六万トン、元年度見通しでは千七十万トンというふうになっております。
  25. 中沢健次

    中沢委員 今数字についてお答えがあったわけでありますが、私なりにその数字をもう少し現実問題に展開をしてみて、以下大臣の方から見解を聞いておきたいと思います。  第八次政策スタートをする昭和六十一年末の生産体制は、大手、中小と雑炭を入れまして千七百十一万トンございました。つまりそこから第八次政策スタートをした。そして平成元年の見込みでいいますと、雑炭を入れて一千七十万トン。単純に計算すると既に六百四十一万トン生産体制縮小になっている。ただ問題は、この数字には昨年の北炭幌内閉山数字と今回出されている三菱数字はもちろん入っておりません。仮に三菱閉山が、最終的に結果として閉山になったということを想定をして申し上げますと、幌内三菱を合わせて約百二十万トンを超える。そうすると、その分を結果的に平成元年の三月――つまりことしの三月いっぱいで三菱が仮に閉山をしたということを想定いたしますと、実に七百六十万を超える生産体制縮小になる。  私はもうこの委員会で何回も同じような立場で発言をしておりますけれども、基本的に八次の石炭政策というのはやはり間違いである。百歩譲って、通産が言っているように緩やかな生産体制縮小、もっと言えば雪崩閉山は起こさないんだ、こういう観点からいっても、この間の大変な大量な生産体制縮小三つの山が閉山になって今もう一つ閉山提案が出されている、こういう状況を考えますと、非常に残念であるというよりも、八次政策に対する大変な憤りを持っているわけです。ここのところを議論いたしますともう幾ら時間があっても不足をいたしますから、そこのところは一応また別な機会に議論することといたします。  大臣に具体的に聞きたいのは、もうここまで八次政策で実質一千万トンの生産体制を割っている、こういう現実問題を認識した場合に、三菱については残念だけれどももうこういう時代である、しかし残っている炭鉱というのは、私の出身空知管内でまだ内陸炭鉱三つ残る、釧路の太平洋も残る、九州でも二つ炭鉱が残っているわけですよ。ですから、少なくとも八次政策がこれから二年間続く期間は、これ以上の生産体制縮小、具体的に閉山ということはもう通産大臣としても極力回避をしたい、こういう決意を含めて、私はそういう御答弁を期待したいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  26. 長田英機

    長田政府委員 今先生から、二山閉山いたしますと一千万トン体制を割っていくというお話がございまして、これについて議論しているといろいろな議論があると申されましたが、一言申し上げさせていただきたいと思いますのは、八次策のおおむね一千万トン体制と私どもが言っておりますのは、平成年度需要に見合う供給規模一千万トン体制ということで私ども考えておりまして、そういう意味におきましては一千万トン体制を割っているという状態にはないということを申し上げさせていただきたいと思います。  しかしながら、既に四山が閉山し、さらにまた今回一山の閉山提案ということで、石炭関係者には非常に厳しい状況であるわけでございます。これから生産体制がどうなっていくかという点につきましては、経営者判断あるいは需給両業界のいろいろな話し合いということに関連するわけでございますが、閉山による生産縮小といいますのは非常に大変なことだということと我々も認識しておりまして、極力坑内炭の生産への影響を少なくしていくように、雑炭などの縮小を図るというような面の努力をしてまいりたいと思います。
  27. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今石炭部長から申し上げましたように、この一千万トンという問題についてはいろいろと議論があるようでございますが、それはともかくといたしまして、いずれにいたしましても今八次策で一生懸命私ども努力をいたしておるわけでございますので、今後それをまじめに遂行していくということから考えれば、なるべく閉山はない方がいいのは当たり前の話でございます。ただ、今度の問題もそういう点で私どもはなるべく閉山は避けられないかということで、会社側と二回にわたって話をしたわけでございます。しかし、最終的にはやはり会社経営者判断という形で、やむを得ないものがあったと私ども判断いたしたわけでございます。今後どういう事態が起きるかわかりませんけれども、せっかく政府でつくった八次政策でございますから、できる限りこれが円滑に推進できるように努力をしていくというのが当然私の責務だ、こう受けとめて努力をしてまいりたいと思っております。
  28. 中沢健次

    中沢委員 重ねて大臣の方のお答えをいただきたいと思いますが、歴代の大臣とも随分いろいろやりとりをやっておりますけれども通産の八次政策の基本的なスタンスでいいますと、雪崩閉山は極力回避をする、緩やかな縮小をやる、これが通産ベースの基本的な八次政策の態度だというふうに、終始いろいろな議論をやっていますが、そのように私は受けとめているし、またそういう発言もされているわけです。この二点については、同じような見解を大臣としては持ってこれから石炭対策を基本的にやろうとしているのかいないのか、そこのところ、非常に大事な問題でありますから、お答えをいただいておきたいと思います。
  29. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 雪崩というか集中閉山というか、とにかくそういうことは極力ないようにというのが従来の基本姿勢でございますから、当然私もその基本姿勢を踏襲してまいりたいと考えております。
  30. 中沢健次

    中沢委員 次の具体的な問題について、関連もありますけれども質問をさせていただきます。  実は、平成二年の国内炭需給問題について今関係業界といろいろ話をされている、私どもなりにそのことは承知をしております。ただ、平成元年のとりわけ原料炭需給問題でいいますと、これはもう石炭部長は体験をされておりますから、いたくいろいろなことをお持ちだと思いますが、例えば鉄鋼向けで言うと、六十三年度八十万を元年はその半分の四十万にしてしまう、それがガス、コークスに連動いたしまして原料炭は大変厳しい状態にあった。これについては随分議論をいたしましたけれども、結果的にはそうさせられてしまったわけです。  問題は平成二年、この四月以降一年間の原料炭あるいは一般炭の需給問題がどうなるか。私は最低でも前年度原料炭を半分にしたということは絶対避けてもらいたい、二年続けてそういうことになってくると、ますます原料炭は客観的にも非常に厳しくなる、このことをまず指摘をして、見通しについて一体どうなのか、まだ最終的なところまでは行ってないとは思いますけれども見通しの問題としてお示しをいただきたいと思います。
  31. 長田英機

    長田政府委員 先生指摘のように、平成元年度は原料炭が七十万トンになったわけでございまして、うち鉄鋼が四十万トンでございます。  平成年度需要量につきましては、これは石炭業界と需要業界と話し合ってこれから決めていくわけでございますが、両業界それぞれ接触はし合っておりますが、これから両業界の本格的な交渉が始まっていくと思われます。  先生今具体的な数字で半分にはしないようにするべきだというお話がございましたが、あくまでもこれは両業界の話し合いで進めていく状況でございます。今回は、平成年度ということで最後需要量の折衝になろうかと思いますが、通産省としましては、当然なことではございますが、需要業界に最大限の理解協力を得るように働きかけてまいりたいと思います。また、石炭の業界の方も、ことしは何とか数量を多くするんだということで、一生懸命やるというふうに聞いております。
  32. 中沢健次

    中沢委員 確かに両業界で自主的に話をする、それは一種の建前だというふうに私は思うのです。そこにはやはり通産省の監督官庁としてのいろいろな意味での行政指導あるいは話し合い、橋渡し、技術は別にいたしましてそういうさまざまな関係団体との話の中で今まではずうっと決まってきた。これはもう、この事実は関係者でいえば否定のしようがない。ですから、平成二年の需要についても、恐らくそういう通産を入れた、建前ではなくて本音の部分のいろいろな話がされているし、これから最終的な局面に向けてやると思うのですよ。ですから、あえて私が申し上げたのは、昨年と同じように半分にぶった切るような乱暴なことは絶対避けてもらいたい。それを避けていかなければ、今雪崩閉山だとか緩やかな縮小だとかということを言っておりますけれども、結果的にまたまた平成二年でどこかの山がおかしくなるということにもなりかねないわけでありますから、そこのところをひとつしっかり通産の方も受けとめて、今度の平成二年の需要問題についてはぜひひとつ私の言うような立場に十分立脚をしていただいて、お願いをしたいと思うのです。  さて、次の問題に移りますけれども、実は八次政策では貯炭対策ということを、新しく財源的な問題も含めてスタートいたしました。しかしながら、貯炭状況が一体どうなっているか。数字的にはあえて質問いたしませんが、依然として平成元年の三月末で三百六十万トンも貯炭が異常な状態で残る。かねてから私どもとしては、やはり貯炭の解消のために特別対策をやるべきである、こういう主張をしてまいりました。たまたま平成二年の石炭の政府原案を見ますと、三池炭の過剰貯炭対策ということで約四億円程度のボイラーの改造費助成といいましょうか、そういう予算が組み込まれておりますけれども、例えばこの四億円の貯炭対策の効果が単年度でどの程度上がるのか、まずそのことをお示しいただきたいと思います。
  33. 長田英機

    長田政府委員 平成年度予算案の中に新たに低品位炭の引取円滑化交付金制度ということを入れてございますが、これによりまして、電源開発株式会社二つの発電所を対象として、何とか設備等の改造を行って低品位炭を増量してたけないか、こういう趣旨のものでございます。  先生の御質問の点に関しましては、平成年度の電源開発の引き取り量がどれくらいになるかということとも関連しているわけでございまして、そういう需要面あるいは技術的にどれくらい入るかというようなこと、さらに本件の予算通産省が要求している予算でございまして、まだ電力関係者と本件をどういうふうに使うか、決まっているわけではないのでございますが、そういうこれからの需要等の話し合いを通じて、この予算を現実的に動くようにしていきたいということでございまして、今具体的に何万トン増量になるのかということが決められないような、今検討しているような状況でございます。
  34. 中沢健次

    中沢委員 今のお答えは、わかったということよりも、そういう状況については、まだ予算が最終決定もしていないわけでありますからやむを得ないと思いますけれども、恐らく今度の予算をつけることによっても三池炭を大量に、貯炭対策ということでは消化することがなかなか難しいのではないか。素人なりに考えましてもそういうことを思っているわけですよ。そうするとやはり抜本対策がどうしても必要ではないか。きょうは時間がありませんからこれ以上のことは申し上げませんが、私どもの社会党という立場でも抜本対策の具体的な提言をしておりますから、あれをまたひとつ積極的に受けとめていただいて、第八次政策というのはあと二年で終わるわけでありますから、二年間でこの貯炭対策をしっかりやって貯炭を解消する、これが基本原則にもなっているはずでありますから、そこのところはしっかり踏まえてやっていただきたい、このことを特に希望として申し上げておきたいと思います。  さて、いま一つの問題は、実は産炭地振興関連をいたしまして少しくお尋ねをしたいと思います。  産炭法については来年の十一月期限切れになっておりまして、そのことを通産側としても十分踏まえて研究会をスタートさせて、十数回にわたって関係者がいろいろ議論をした、こういう話を聞いております。問題は、その研究会のまとめがいつ出されるのか、そして産炭法の審議会がいつからスタートをするのか。  同時に、私はかねてから委員会でもあるいは関係者にも直接お願いをしておりますけれども、今の産炭法というのは網羅的で非常に総花的であって、本当に炭鉱閉山になった、あるいは集中的な合理化を受けて自治体も住民も大変な犠牲をこうむっている、そこには制度、予算も含めて相当なてこ入れが必要ではないか、そういう意見を申し上げております。恐らく研究会でもその種の論議があったというふうには聞いておりますけれども、そういう研究会のまとめ、審議会がいつからスタートをするか、産炭法見直しの重点を、私が今言ったようなことも含めて議論をされようとして用意をしているかどうなのか、そこのところを具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  35. 長田英機

    長田政府委員 先生が今御指摘になりました研究会でございますが、これは地域公団に置かれておりまして、産炭地域現状あるいは施策、それの評価、さらに今後どういうふうにしたらいいだろうかということを勉強している研究会でございますが、現在この報告書を取りまとめ中でございまして、何とか本年度中をめどに完成をしたいというふうに公団の方から聞いております。なお、この研究会の中で大いに議論がございましたのは、今先生お話がございましたが、閉山などをして非常に深刻な影響を受けている地域については、これから施策をもう少し手厚くしていく必要があるのではないかという意見が非常に強い意見としてございました。そういうような意見を踏まえて現在取りまとめ中ということでございます。  それから、産炭地域振興審議会、これは産炭法が平成三年十一月で期限切れになりますために、そろそろ審議会を開いて次の産炭地域振興施策はどうしたらいいかということを検討する必要があるわけでございます。この四月ないし五月ごろからひとつ審議会を開いて、こういう研究会の成果も踏まえていろいろと関係の有識者の方に議論をしていただきたいというふうに考えております。
  36. 中沢健次

    中沢委員 いずれ委員会で産炭法の法律については当然議論をしなければいけないと思いますけれども、私の希望をまず申し上げたいのは、審議会に諮問をして答申を受ける、この間やはり委員会としても、相当大事な問題でありますから何回か委員会を開いていただいて、産炭法を中心にした委員会、法案としてはまだ成案になっていない段階であっても、審議会でいろいろ議論をしている最中であっても、これはやはり早目早目にこの委員会でも議論をする。つまり、先ほど北村委員から指摘されましたように、産炭地振興というのはだれが考えてもちょっと後手後手に回っている。私も率直にそのように思います。そうならないためにも国会で相当事前の審議が必要ではないか。その辺の配慮については関係者の方でぜひお願いをしたい、このことをまず希望として申し上げておきたいと思うのです。  さて、そこで三菱の南大夕張閉山問題中心に幾つかお尋ねをしたいと思います。冒頭申し上げましたように、関係者傍聴席にもお見えでございますから、いろいろな点について大臣関係者の方からもお答えをいただきたいと思います。  さて、今度の提案は、多く申し上げませんけれども、六十二万トンの生産をしていた炭鉱閉山をする、三月二十七日閉山予定日、きょうが恐らく労使の大詰めの交渉になるであろう、非常に緊迫したそういう環境下におけるこの委員会でございます 会社から出されました内容は、とにかく全員解雇をする、それは鉱員、臨時、下請を含めて。解雇者の数でいいますと、下請を全部入れますと千三十三人、これは大変なことだと思います。夕張は真谷地の閉山が二年六カ月くらい前にあったわけでありまして、その離職者就職も思うように進んでいないという状態。そうすると、労働省のレベルでいうと、地域が全体に雇用不安があるにもかかわらず千名を超える炭鉱離職者が発生をする、これはもう大変なことである。  通産のサイドからいうと、地域振興問題にも関連をいたしますけれども、例えば八次政策スタート以前に閉山をいたしました三菱の高島、政策決定後閉山をした北海道上砂川町の三井砂川、会社地元の行政と関係労働組合といろいろ知恵を絞りまして、結論からいうと、炭鉱が長いことお世話になった、あるいはこれからも離職者を含めて地域にはいろいろなお世話をしていただかなければならない。初めてのケースで、高島の場合は十億円の高島町に対する地域振興基金というのを三菱企業が提供をした、三井砂川も、若干時間的にはかかりましたけれども、やはり十億円、三井の企業自治体に提供をする、こういう具体的な事実、これはもう両大臣もよく御承知だと思います。  さて問題は、三菱最後の山であり夕張としても最後の山であります南大夕張に限って言いますと、地域振興策というのはいろいろありますけれども閉山する三菱企業責任として、前にもそういう実績を持っている十億円問題についてどうするかというのが非常に関係者にとっては頭が痛いというのでしょうか、なかなか、どういう知恵を絞ってやったらいいかということで今苦労をされている最中であるということをよく聞いております。  これは労働組合サイドでいいますと、退職条件と雇用問題と地域問題が三つそろわなければこの交渉については妥結をしないという大前提があるものですから、勢い地域問題とかいいながら、三点セットというふうに僕らは言っておりますけれども、同時決着の必要性があるわけですね。そうすると、この十億問題についていいますとまだ途中経過でありまして、関係者の間で完全に合意に達していない。  そこで、この問題について通産大臣にずばりお願いをしたいし、見解も聞きたいのでありますけれども、もう労使交渉が大詰めを迎えている。今石特委員会をやっていろいろ議論をしている。十億問題も、いろいろあるけれども、非常に大事な問題でありますので、大臣からの会社に対する最後の働きかけというのをやっていただいて、それをもって労使がどういう状態で決着をするかは、これは労使の問題でありますけれども、よくわかりませんが、そういう意味では大臣のこれからの動きというのは非常に注目をされるし、重要だと思うのです。いかがでしょう。
  37. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、三菱鉱業セメント、いわゆる親会社の方の社長も一緒にお越しをいただきまして、二回にわたって私は話をしたわけでございます。私どもからは十分理解をしてもらえたもの、こう判断をいたしております。  今の問題、実は私、まだ詳しく承っておりませんので、ここで具体的に金額のことまで申し上げるというわけにはまいりませんけれども、その経緯を踏まえれば、私としては労使が円滑にいくようにということが条件だということも言ってあるわけでございますから、そういうことが、私、また後ほどいろいろ具体的なものを承れれば、ぜひそれが円滑な方向にいくように指導してまいりたい、こう考えております。
  38. 中沢健次

    中沢委員 それでは大臣、今申し上げましたようにもう時間がないのです。時間がないものですから、今のようなお答えで私はそれなりにわかりますけれども、この十億円問題についても決着をいずれにしてもつけなければならないという非常に大事な問題ですから、今までも大臣関係社長を呼んでいろいろ話をしたということはよく承知をしておりますけれども、この段階でありますので、ぜひ、その問題も含めて最後の詰めといいましょうか、働きかけをやっていただきたい、重ねてお願いを申し上げたいと思うのですが。
  39. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 必要とあれば、私は電話でも何でもできるわけでございますから、それも必要とあればやりますし、とりあえず、石炭部長、きょう委員会が終わりましたら、早速私指示をいたしまして、とにかく円滑な方向に進むように指導をしてまいりたい、こう考えております。
  40. 中沢健次

    中沢委員 非常に大事な問題でありますので、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、いま一つそれに関連をいたしまして、夕張としてはとにかくもう人口が十万以上も減ってしまっている。地域振興策をどうしたらいいか、いろいろ今知恵を出しながら、最後の山がなくなった時点でどうするかということは地元的には大変苦労をしている最中です。いろいろありますけれども、やはり国として何ができるかあるいは何をしなければいけないか、私はそれが問われると思うのです。  今度の閉山もいろいろ理由がありますけれども原料炭は八次政策でゼロになる、先行きの需要見通しが立たない、それ以外にもいろいろ理由がありますけれども、したがって閉山提案ということにつながった。私流に言うと、これは非常に政治的な背景があっての閉山である。そうすると、直接通産大臣としては所管でないかもしれませんが、例えば緊急雇用の受け皿ということでは大型の公共事業を持っていくと非常に効果がある。もっと言いますと、昨年の北炭幌内閉山の際に、その事後の対策でありましたけれども、幾春別の総合開発事業というのを国が決断をして、平成二年の予算で約五百八十億つけていただいた。あるいは、つけていただくには関係者がいろいろ努力をした結果がそうなった。今度の三菱の場合も、まだ閉山が確定をしたわけじゃありませんけれども、いずれにしても大型の公共事業の誘導というのは非常に大事だ。私も地元の市長、関係者大臣にもお目にかかってその問題で直接お話をしたことがありますけれども、先ほどもありましたが、大夕張ダムの建設の問題、それから道道を国道に昇格をするという問題も含めて、通産大臣の所管ではもちろんない、それはよくわかっておりますが、建設大臣だとか農林大臣だとか北海道開発庁の長官だとか、そういう閣僚レベルの働きかけというのをぜひひとつお願いをしたい。できれば八月、平成三年の概算要求の時期でもありますから、それに向けて通産大臣としてぜひひとつしっかり決意をしてやっていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  41. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今先生からおっしゃったとおりで、この間夕張の市長からいろいろ御一緒のときに御要望も承っておりますので、今事務的にできるだけ、それについてはそれぞれの行政官庁の事務当局と話を進めさせております。その調整の結果、大臣に直接言う必要がある場合には建設大臣あるいは農水大臣などに私から強く話をいたします。それはお約束をさせていただきます。
  42. 中沢健次

    中沢委員 まだいろいろ通産側にもお尋ねをしたいことがあるのでありますが、時間も切迫をしておりますので、以下大体労働省を中心に幾つかお尋ねをしたいと思います。  労働大臣、先ほど私が申し上げましたように、今度の閉山提案でいうと千名を超える離職者が発生をする。しかも夕張的には、真谷地の閉山のまだそういう職についていない人もたくさんいる。もっと言うと、二年前、三年前にさかのぼって、三菱が大きな合理化をやった、その滞留者もかなり夕張にとどまっている。こういう状態などを考えますと非常に事態は深刻である、改めて申し上げたいと思うのです。  そこで、具体的には労働省の担当の方からお答えをまずいただきたいと思いますが、八次政策スタートをいたしまして、山の閉山企業合理化、大変な離職者が発生をしている。離職者の数とそのうち就職をした人たちの数、全国レベル、北海道レベル、そして私の出身三菱のこの問題が持ち上がっている夕張市、この三つのレベルに限定をして、離職をした数、就職をした数、まず明らかにお聞かせをいただぎたいと思います。
  43. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 お答えいたします。  第八次石炭政策に基づく閉山合理化によりまして、ことしの一月末までに全国で一万一千名、それから北海道で七千二百名、夕張地区におきまして約二千五百名の炭鉱離職者が発生いたしております。そのうち全国で約五千三百名、北海道で三千二百名、夕張地区において千三百名余りが就職している、こういう状況にございます。
  44. 中沢健次

    中沢委員 今の部長のお答えなんでありますけれども、私がいただいていた資料によると、実は夕張はそういう実態になっていないのですよ。夕張市が三菱合理化、真谷地の閉山、これは今度の三菱閉山に伴う数字は入っていませんが、離職者が二千四百五十八、就職したのが六百八十、こういう数字なんですけれども、資料的にはどうなんでしょう。
  45. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 当然のことながら今回のケースは労使交渉中でございますので入っておりませんが、三菱南大夕張のこれまでの六十三年の五月の合理化につきまして千百三十五名の離職者が発生いたしておりまして、そのうち五百五十名が就職をしている、こういう状況でございます。  それから、北炭真谷地につきましては、千三百二十三名の離職者のうち七百四十九名が就職しておりまして、合わせますと千三百名余が就職している、こういう状況でございます。
  46. 中沢健次

    中沢委員 若干資料の取り違えがあったようでありますが、今の部長の数字はわかりました。  さて、あわせて有効求人倍率、これは全国でどうなっているか、北海道がどうであるか、それと夕張職安の数字がどうなっているか、改めてお答えをいただきたいと思います。
  47. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 有効求人倍率につきましては、ことしの一月の状況で全国平均で一・四一倍でございます。北海道は〇・六四倍、特に夕張地区は〇・四三倍となっておりまして、極めて厳しい状況にあると認識いたしております。
  48. 中沢健次

    中沢委員 それで、労働大臣にこれからお尋ねをしたいと思いますが、今数字のやりとりを若干やりました。離職した数、就職をした数、しかも有効求人倍率についても改めてお示しをいただきました。大臣、くどいようですが、これに加えて今度三菱閉山の一千名余が出てくるわけですね。確かに炭鉱の場合は黒手帳という制度があってそれなりの効果があるということは私も承知をしています。しかし問題は、これほど大量に一時期離職者が出る、そして今までの実績からいうとなかなか思うように就職が進んでいない。せいぜい四割から五割程度。今度出される一千名を超える離職者のうち、会社提案では三菱グループあるいは親会社地元企業を含めて相当程度の受け皿を用意をした。ただ、地元夕張でどの程度の雇用機会をつくるかというと三百六十人という数字なんですよ。  そういうことなどを考え合わせますと、大臣としてこの事態についてどういう認識を持っているのか。今日のような労働行政で十分であると思っているのか、あるいは不十分な部分はこういうところはこう直したい、こういうことをお考えであるか、まず基本的な認識と見解をお示しをいただきたいと思います。
  49. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 先ほど申し上げました数字から考えてみまして、確かにこれまでの離職者方々の中で未就職の方がかなりおられるという状況とか、求人倍率、雇用情勢の厳しさ、そういった問題がありますので、もし今回また新たに千名余の離職者が出るということになれば、これは大変厳しい状況にあるというふうに認識いたしております。したがいまして、私どもといたしましては、親会社あるいは関連グループを中心とした受け皿につきまして、さらに私どもの立場から十分指導をしてそういう場を用意するように、あるいは提案された計画を完全に履行するように指導してまいるとともに、私ども自身の立場でこれらの方々の再就職について最大限の努力をする、また職業訓練の機動的実施に努める、こういうことが必要になってくるのではないか、こういうふうに認識いたしております。
  50. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ただいま高対部長が御答弁いたしましたが、これは本当に厳しい雇用状況にあると思うのですね。特に、全国平均一・四一の有効求人倍率に対して〇・四三ということでございますから、ましてや、今まで閉山に伴う再就職が残っていらっしゃる方が大分いらっしゃるところに、また新たに閉山が予定をされているということであります。  当然、まず一つ雇用の場を、当たり前のことですが、きちんと確保しなければいけないということでありまして、大前提は、たびたび申し上げておりますが、親会社並びに関連会社関連グループが、挙げてしっかりとした雇用の場を用意する、これは至極当然のことであると思います。  私どもに参っております報告では、人数的には、一応皆さんそれなりにお仕事についていただけるというような人数の余裕はある程度あるというふうには伺っているのですが、今、中沢先生指摘のとおり、やはり皆さんどうしても地元にお住みになりたい、これはもう至極当然の人情でありますし、長い間の生活環境、生活実態を崩すということは、そう容易にできるものではございません。そういう状況を考えますと、非常に厳しい環境にあるということが言えると思います。新しく仮に企業をつくっていただくとか、あるいは地方自治体夕張の市長さん、中沢先生あるいは渡辺委員長等とお見えいただきましたときも、夕張市としても新しい仕事の場の創設をしているんだ、そういう中で、労働省も大分お手伝いができているというようなことも伺って、少しはこう安堵したところもあるのでございますが、そういった一つ一つのことが順調に動くようにこれからやっていかなければいけないと思うのです。  ところが、私が労働大臣就任いたしまして、冒頭北村委員質問にもございましたように、一番最初に御陳情いただいたのがこの北炭夕張の問題でございまして、その後、中沢先生渡辺先生から、夕張の市長さんもおいでいただいて、お話を伺わせていただく、そしてその後、社会党、連合、民社党の先生方からまたお話を伺わせていただくということで、その都度かなり具体的な点で非常に有意義な議論をさせていただきました。役所の方も、非常に厳しい、なかなか御要望どおりに沿えない点というものもその中に多々あるわけでございますが、そういった点についてもできる限り勉強させていただいて、一つ一つ先生方の本当に御体験の中から出てきた実感としての御提言について、少しでも前向きの御返事ができるようにしたいということで、今一生懸命行政の可能な範囲での検討努力はいたしておる最中であります。  しかし、何と申しましても、非常に限界、限度というものがございまして、そういう中では、離職をされる方の本当の希望がそのとおりかなうのはかなり厳しい環境の中にあるということも考えなければいけないので、今私が申し上げました数点につきましてこれから精いっぱい努力をしていきまして、厳しい中にも少しでも御満足いただけるような状況がつくれるように、労働省としても一生懸命頑張ってまいりたいと決意をいたしております。
  51. 中沢健次

    中沢委員 大臣の方から決意のほどがございました。厳しいという認識、できるだけのことをやるということでありますから、幾つか課題が残りますけれども、ぜひまたよろしくお願いを申し上げたいと思うのです。  ただ、大臣会社提案では確かに数でいうと離職者の予定数を超える一つの受け皿を用意をした。ただこれは、地元のほかに北海道全体、日本全体のそういう受け皿なわけですよ。私も夕張に古くから住んでいますけれども、やはり炭鉱の人というのは、いろいろな理由があって、そう簡単にそこの住んでいたふるさとから離れるということはいろいろな問題があって難しい、どうしても地元志向型になる、つまり地元で再就職機会を得たい。ところが、肝心の地元では、いろいろやるけれども、なかなか思うように企業立地ができない。三菱の場合も、俗に言う天下の三菱でも、いろいろ努力をしたけれども夕張企業立地するのは今のところ八社で三百六十人。私はかねてから、会社にも言っているし関係者にも言っていますけれども、これはもう少しかさ上げ、上積みをしてもらわなければ、やはり労使交渉だって円満にいかないのではないか、そのことは強く言っております。  ですから、先ほど通産大臣に、地域の問題で最後の詰めをやっていただきたいということをお願い申し上げましたけれども、問題は違いますけれども、やはりこの地元雇用機会をたくさんつくる。これは交渉事とはいいながら非常に大事な内容でありますから、ぜひひとつ労働大臣としても、もう時間が余りありませんので、そういう立場に立って、地元雇用機会をできるだけ会社としてもぎりぎりまで努力をしてほしい、こういう話、そういう働きかけというのをぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  52. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 会社側提案の中の雇用の場ということにつきましては、相当の数を準備しておるということでございますが、ただいま先生が御指摘になりましたように、炭鉱方々のいろいろな状況を考えますと、地元にできるだけ多くの雇用ということが必要だろうと思いますので、今後、会社側に対する対応につきましても、極力地元雇用の場をという立場を貫きながらやってまいりたいというふうに思っております。
  53. 中沢健次

    中沢委員 そこで、もう一つ具体的にお尋ねをしたいと思うのでありますが、例えば昨年の三笠の幌内炭鉱閉山のときの職業訓練問題。できれば現地に臨時の教室でも持っていってやってもらいたいという話をいろいろやりましたけれども、たまたま三笠は、雇用促進事業団のセンターが岩見沢に大きなものがありまして、通勤をして訓練校に通ってもらう、どうしてもそれができないところは、特殊の科目に限定をして現地で何とかしようというふうに今話は進行中です。  さて夕張は、この岩見沢にありますあのセンターからは距離が相当遠いし、毎日バスで学校に通ってくるというのはなかなか難しい、地理的なハンディを持っていると思うのですね。そうすると、これから先の話でありますけれども離職をされた方が積極的に職訓校に行きたい、しかしバスではなかなか大変だ、勢い地元に、三笠以上に強い要請として上がってくると思いますが、地元に臨時の職訓校の教室をつくってくれと、恐らくこうなると思うのですよ。そうした場合に、やはり労働省としては、現実対応としてはそのことに積極的にこたえていく、出先の北海道ということもいろいろあるでしょうけれども、そういうところとも十分連携をとって、地元の意向に沿うように積極的に対応する、こういうふうにしていただきたいと思いますが、これはいかがでしょう。
  54. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 離職者が出ました場合に、会社側の再就職計画を的確に実施してもらうためにも、あるいは私どもの立場で再就職を促進するためにも、職業訓練が大変重要なことであると認識いたしておりますし、また、その職業訓練の内容あるいは実際に実施する場所その他が、機動的、弾力的に実施されなければならない、こういう認識に立っておりますので、私どもとしては、委託訓練制度なども活用しながら、そういうニーズにこたえていきたいというふうに思っております。  実際に地理的な状況を考えた場合に、先生指摘のように、地元にいわば臨時の訓練施設をということにつきましては、そういうふうな皆様方要望を十分把握した上で、そういう期待にこたえ得るように前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
  55. 中沢健次

    中沢委員 具体的な質問は以上で終わりますけれども、いずれにしても労使交渉が大詰めである。通産大臣にも労働大臣にも個別の問題について急いでやっていただきたいとお願いをいたしました。しかし、いずれにしても残された課題というのは物すごくたくさん残ってくると思うのです、くどいようですが、それぞれ自分の縄張りではない、自分の所管ではないとは言いながら、少なくとも通産大臣としては石炭についての所管大臣でありますから、労働大臣も含めて、十分ひとつ今後地元のいろいろな要請に積極的にこたえていただきたい、このことを特にお願いを申し上げて、それについての両大臣の所見といいましょうか、見解があれば改めてお尋ねをして終わりたいと思います。
  56. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど関係省庁の話は申し上げましたが、企業に対しても、必要な場合には私から強く要請をして、できる限り地元皆様方、また今までお働きをいただいている皆様方が御心配にならないように、極力努力をさせていただくことをお約束させていただきます。
  57. 塚原俊平

    塚原国務大臣 労働大臣として、でき得る限りの努力を精いっぱいさせていただきます。
  58. 中沢健次

    中沢委員 以上で終わります。
  59. 渡辺省一

    渡辺委員長 藤原房雄君。
  60. 藤原房雄

    ○藤原委員 時間もわずかでございますので、何点かにつきまして、南大夕張炭鉱閉山提案につきましての御質疑を申し上げたいと思います。  会社提案ではこの二十七日ということでございます。労使交渉につきましてもいよいよ大詰めということで、またもうわずかの時間で決断をしなければならぬ大事なときを迎えて、本日のこの委員会というのはそういう点では非常に大事な意義を持っていると思います。今も同僚委員から各般にわたりましての問題の提起がございましたし、またそれらのことにつきましての大臣の所見もございました。重複する点もあろうかと思いますが、確認も含めまして二、三点申し上げたいと思います。  一つは、通産大臣もこのたびの提案についての事情についていろいろ会社にお聞きになられて、最終的には企業判断ということでお話を承ったということでございます。石炭産業全般につきまして、時間もございませんから長いお話もできませんが、八次政策が三年目を迎えてこういう時点にございます。その八次策を着実に進めるという通産省の立場はあろうかと思いますが、国内の唯一のエネルギーであります石炭エネルギーというものにつきましては、今日までもいろいろな角度から議論をされてまいりましたし、そういう立脚点の上に立ちましてこの八次策につきましても各党それぞれの思いがあったわけでございます。原料炭は別といたしましても、一般炭につきましてもおおむね一千万トンということになりますと、先ほど数字の上から雑炭等を含めてのお話がございましたけれども、国内の固有のエネルギーと言われながらもう後がないといいますか、非常に究極的なところにだんだん迫りつつある、こういう状況にあろうかと思います。国際情勢のいろいろな変化もさることながら、国内のエネルギーとして石炭の持つ役割というものは、ここに参りますと一度問い直してみなければならない、そういう時点にあるのではないか、こんな思いがしてならないわけであります。  先ほども同僚委員からの質問につきまして、次のポスト八次策、こういうことについてのお話もございましたが、後の対策もやはりいろいろな角度から議論をして、誤りのない方向性というものを見出さなければならないだろうと思うのであります。そういう手続や、またいろいろな審議会の審議を通しての誤りのない方向性、長期的な展望、こういうものも十分にお話ししていただかなければなりませんが、まず、このたび就任いたしました通産大臣労働大臣、この石炭の持っております、もうぎりぎりのところへ参りました現状からしまして、この意義というものをどのように御認識していらっしゃるのか、数字上これからどういう方向に進むかということ等は別にいたしましても、石炭エネルギーの持ちます、日本の今与えられております役割というものについての認識をお尋ねしておきたいと思うのであります。
  61. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 日本のエネルギーの見通しは短期、長期いろいろございますが、その中で正直日本固有のエネルギー源というのは大体この石炭以外には、例えば水力発電あるいは地熱発電、こんなものもございますけれども、長い歴史を持ち、また今のエネルギーの見通しの中で石炭の占めている、特に国内炭の占めているシェアというものも十分私ども認識をいたしておるつもりでございます。この需給関係で難しい点は先ほどもいろいろ数字の点でございましたけれども、やはりそのような固有のエネルギー源というものを我々はしっかりと認識しながら、これからのエネルギー見通しについても考えていかなければならない、こんなように私は考えております。
  62. 塚原俊平

    塚原国務大臣 先ほど高対部長の方からも数字の御説明がございましたが、細かな数字の御説明がございましたが、細かな数字じゃなくても、第八次の石炭政策といたしまして離職された方が一万一千名を超える、そういう中で四千名を超える方がまだ再就職もされていないというような状況にございます。ただいま藤原先生お触れになっておりましたように、石炭政策については本当に数多いいろいろな問題があるんだと思うのでありますが、現実的には何といっても雇用対策が一番であるわけでありまして、そういった状況の中で労働省といたしましては、再就職の援助施策実施をする、職業訓練の活用をするというような対策をこれまで一生懸命講じてまいりました。できるだけ多くの方が早期に再就職ができますように、これらの対策を今後とも一生懸命積極的に講じてまいりたいと考えております。
  63. 藤原房雄

    ○藤原委員 労使の交渉が今大詰めに来ておるということでありまして、先ほども同僚委員も話をしておりましたが、これは円満な妥結といいますか話し合いがつくことを私どもも心から願うわけでありますし、また通産省労働省におきましても同じことだと思います。そういうことから、もう時間もない今日でありますから、ぜひひとつこの話し合いの決着ということに通産省労働省指導性を発揮していただきたい、このことを申し上げたいと思うのであります。  それから、下請の方々に対する問題、これはまだはっきり労使の間の話し合いが決着していない前ではございますが、当然、閉山ということになりますとそれに派生いたします下請の方々に対する問題が出てくるわけであります。下請離職者退職支援金制度、昨年ですか、できたわけでありますが、これらの制度等によりますいろいろな対策についてもお考えのことだと思うのですが、下請の方々に対する対処についてお伺いしておきたいと思います。
  64. 長田英機

    長田政府委員 今回南夕が閉山するといたしますと、下請の離職者が百九十人ぐらいと見られております。ちょっと正確ではないかもしれませんが、百九十人ぐらいと考えられておりますけれども、こういう人たちのうち一定の要件を満たす人に対しまして、さらに離職する人でございますが、下請の支援金の対象になるというわけでございます。  なお、下請労働者の再就職の問題につきましても、企業に対しまして十分に意を払うように私ども指導しているところでございます。
  65. 藤原房雄

    ○藤原委員 雪崩閉山、八次を定めるときにいろいろ議論がございました。今日のこの三菱南大夕張閉山をもってどう見るかということはいろいろな議論のあるところだと思うのであります。全国的な出炭量の中で三菱南大夕張閉山、こういう観点、視点での議論もあろうかと思いますが、夕張という一つ地域の中での問題ということになりますと、六十二年十月の北炭真谷地に続きましてのこのたびの南大夕張閉山ということになります。夕張の地方自治体また地域、こういうことからいいますと、これは非常に集中的な、地震でいえば本当に直下型と言えるような大きな問題である、こういうことが言えるだろうと思うのであります。これは、それぞれの地方に分散されていることならいざ知らず、夕張の町の中で、しかも二十四あった炭鉱最後になる、こういうことでありますから、連続して厳しい状況の中に置かれるということからしますと、これは今までの一市一山、そういうところの閉山への対応、また労働大臣が言っておりましたように、いわきのように地域にいろいろな企業があって、それぞれの就職の場があるところと違いまして、夕張という一つの奥まったところで、あと行きどころのない、そういう地域の中で最後の山の灯が消えるということでありますから、そういうことからいいますと、これは、ほかのところとは違った、地域に対する施策というものを懇切丁寧にきめ細かにしなければならない。  とかく今日まで夕張の中田市長さん、産炭地のいろいろな変化の中にありましても、ほかの地域の模範になるような、そういう産炭地としても、国の援助をいただき、指導をいただき、地方自治体としても最大の努力をしてやればこうなるんだというものをつくりたいということを常日ごろ言っておりますが、その下地をつくりながら今日まで来たと思います。  地方自治体からのいろいろな要望につきましては、もう私が長々申し上げることもないだろうと思うのでありますが、それらのものを含めまして、これは自治省を初めとしまして、通産省にも地方自治体に対するいろいろな援護措置があるわけでありますが、地元要望を聞きますと、現在の交付税やいろいろな考え方の枠をはみ出すような非常に大きないろいろな要求が出ているわけです。こういう集中的な状況等を考え、そしてまた、最後の山の灯が消えるということからしますと、当然相当な財政的なてこ入れをしませんと、地域振興というのは言葉だけあって実質的な推進というのは非常に難しいのではないか。私は要望書をいただいて見まして、本当にそう思うわけであります。  過日、通産大臣に私ども公明党としましても閉山に伴います申し入れをいたしました。いろいろなお話をしたときにも申し上げたことでございますが、ぜひこの地域振興、そしてまた地方自治体の援護といいますか、いろいろな施策に対する最大の御努力をいただきたい、このことを大臣に再度お伺いをしておきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  66. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどからお答えもいたしておりましたけれども、それぞれ私の所管以外のものも市長さんからの御要望の中には相当ございますので、事務当局間でまず詰めさせまして、その結果、事務当局間で詰めるものは詰め、どうしても大臣ベースで話をしなければいけないものについては私からそれぞれ所管の大臣に強く要請する、こういう考え方で進んでいきたいと思っております。
  67. 藤原房雄

    ○藤原委員 その話の進め方ですが、今までと同じような枠の中でじゃなくて、もっと強いバックアップがなければならぬということであります。また、中小企業や商店街のことにいたしましても、企業誘致の話もございますが、具体的には商店街等につきましても中小企業にしましても、従来の対策は融資ということでございますから、借りたものは返さなければならぬ、その間、事業がどういうふうになるのか非常に不安な要素がたくさんあるわけで、抜本的な施策が必要であります。そういう点では、最後の山がなくなる、一市一山の山がなくなると同じことで、六十二年の北炭真谷地鉱の離職なさった方々がまだ就職できずにおるような状況の中でまたこのたび引き続き三菱南大夕張閉山ということでございますので、特段の配慮をしてお力添えをしていかなければならぬ、こう思うわけであります。  時間もありませんから次に移りますが、地元から公共事業のいろいろな要望の来ていることはもうよく御存じのとおりでございまして、先ほど同僚委員からもお話ございました。先ほど私も申し上げましたが、夕張は、最近はようやく道路網も少しずつでき、トンネルもでき、交通の便利も昔から見るとよくなったということなのかもしれませんが、地理的にほかの三笠やなんかと違いまして行き詰まりみたいな状況の中にあることは御存じのとおりであります。  今、北海道の横断道の計画もございますが、これができますと千歳から四十分か五十分で行くような状況になりまして、それがまた十勝の方に乗っけるということでございますから、この高速道路につきましてはいろいろな法的な制約もあるのですが、ぜひ産炭地振興という大きな命題の上に立ちまして早期の着工と、地域振興のために資するような御配慮をいただきたい。  それから、三笠-芦別にわたります道道につきましても、先ほどお話ございましたが、こういうことが着実に進められるということが大事だと思います。札幌-夕張間につきましても、今工事中でございますが、今までの概念でいきますと年度計画や年次計画でいくのかもしれませんが、閉山というのはもうすぐ参るわけですから、行政はどうしても対応に時間がかかるのかもしれませんけれども、この推進につきましてはぜひひとつ早くに進めていただく。  また、地域環境整備やいろいろなことについても市の計画がございますが、公共事業ということでできるだけそこで働きの場をつくる、こういうことも念頭に置きまして、ぜひ公共事業等についてはお進めいただきたい。  それから、先ほどもお話ございましたが、夕張川の多目的ダムにつきましては、これは過日大臣にも申し上げたところでございますが、これは大夕張ダムのかさ上げ、五十年、五十六年に大水害がありまして地元から要望になっているわけでありますが、多目的ということで農林省、建設省共管ということでその折り合いがつかぬものですから、なかなかこのかさ上げ事業ができない。省庁間の縄張り争いのために地元要望がなかなか実現できない。勘ぐるところによりますと、こういうことをしますと、あちこち全国にいろいろな箇所があるのかもしれません。しかし、これは産炭地の今生き延びるための一つの大きな事業として、また地域のためになくてはならないこととして地元からの長年の間の要望になっておるわけでありますし、治水という上からいいましても非常に重要なことでございます。武藤大臣は農水大臣もやっていらっしゃったわけでありますから、ぜひひとつ、これは建設省、農林省、そういう中にありまして各省庁間の連絡会議でもいろいろなお話が進んでいるのだろうと思いますけれども、この大事な問題につきましては、大臣ひとつ御決断いただき、閣僚の一員としましておまとめをいただきまして、地元の熱い要望でございます公共事業、このかさ上げの問題等につきましては地元のために推進をしていただきたい、このように思うのでありますが、大臣、ひとつ決意のほどをお伺いいたしまして終わりたいと思います。
  68. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、今のダムの問題も含めて市長さんの方から要望を私はいただいておりますので、今各省庁間でこれを詰める方向で、閉山が決定してから、これはもう決定いたしますれば相当そのスピードアップをいたしまして進めてまいりたいし、場合によれば各省の協議機関みたいなものを設けまして、そういう形で事務的に詰めさせまして、しかしどうしても話がつかない、今のようなダムの問題、今までと同じように依然として農水省と建設省の縄張り争いというようなことがありますときには、この私が責任を持って農水大臣それから建設大臣と話をして調整の役割を果たさせていただきたい、こう考えております。
  69. 渡辺省一

  70. 児玉健次

    児玉委員 昭和四十年代の初頭に、政府は鉄鋼資本の要求を受け入れて巨額の国家資金を投入して、三井有明、北炭夕張三菱南大夕張原料炭の山として開発されました。  さて、八次策を策定したときのこの委員会の論議を私はまざまざと思い出すのですが、鉄鋼資本は八次策の策定時に、みずからの経営の厳しさを理由として国内産の原料炭の引き取りに難色を示した。むしろ拒否をしたと言ってもいいぐらいだったと思うのです。その当時通産大臣をされていた田村さんと私はこの点で随分議論をしたこともありました。結局八次策は、経営の困難を理由とした鉄鋼資本の要求を受け入れて、原料炭の引き取りを漸減していく、結局はゼロにする、こういう形で八次策がつくられました。私たちが八次策に反対した理由の大きなものがここにあります。  そこで伺いたいのですが、今鉄鋼資本がどのような状況にあるか。大変な活況を迎えております。鉄鋼大手五社がこの三月十六日に発表したことし三月期末の決算見通し、五社の経常利益は五千三百八十億円に上ります。これは空前の数字です。そしてこれは鉄鋼みずからが発表した数字ではないが、私たちの調査によれば、昨年九月中間決算で鉄鋼十社の内部留保は二兆五千九十一億円、これは一昨年同期に比べて四千百六十二億円、一九・九%の積み増しになっています。状況は明らかに変わりました。そうであれば、八次策の途中ではありますが、鉄鋼資本に対して原料炭の引き取りついて見直しをするように求めるべきだと私は思うし、通産省としてその点で果敢な指導を行うべきだと考えます。通産大臣のお考えをまず伺います。
  71. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 石炭対策の八次策につきましては、今先生指摘のように、ちょうど三年前、今が三年目の終わりでございますから四年前の時点で大変な関係者の協議、それから大変な折衝の結果まとまったものでございます。  その当時確かに、今御指摘のように、原料炭の引き取りの一番大きな業界である鉄鋼業界は大変な苦しい事態にあったことは確かでございます。最近は、鉄鋼業としましては、全体の景気の問題あるいは企業努力によりまして経営環境が変わってきている、よくなってきているということも事実かと存じます。  ただ、私どもといたしましては、原料炭あるいは石炭全体でございますが、基本的にはやはり関係業界、供給需要サイドの民間ベースの取引に基づいて決まるものであるというのが基本的な考え方になっております。八次策におきましても、基本的には関係業界の話し合いによって、売る方と買う方とで需給バランスをとるものであるという考え方にのっとってはおりますけれども、さはさりながら、当時の国内炭と輸入炭の価格差などがございまして、やはり需要業界に何とかして引き取ってほしいということで決めたのが八次策の需給バランス、需要数字になっております。  最近その見直しというお話関係方面から出てきているということは私ども存じてはおりますけれども、やはり大変な努力の結果ぎりぎりの線として決めました八次策をとにもかくにも何とか円滑に推進したいというのが現在の懸命の努力のベースになっておりまして、現在時点でこの八次策そのものを見直すということは大変難しい状態であると考えております。
  72. 児玉健次

    児玉委員 今のお話なんですが、八次策の当時に比べて状況が変わっている、その点では同じ認識だと思うのです。そして、この原料炭については売り手と買い手の話し合いの結果だとおっしゃったけれども、結果はどうなっているかといいますと、昭和六十一年、六十二年、六十三年、六十四年、鉄鋼の国内炭引き取りがどういうペースで少なくなっているか。六十一年から六十二年で五十四万トン、六十二年から六十三年が四十一万トン、六十三年から六十四年が五十三万トン、直線的な状況国内炭の引き取りは少なくなっていますね。今の事実について、そのとおりかどうか簡単に答えてください。
  73. 長田英機

    長田政府委員 六十二年度鉄鋼引き取り量百二十万トン、六十三年度八十万トン、平成元年度四十万トン、これは両業界の話し合いでそのように決まっております。
  74. 児玉健次

    児玉委員 そこで私は、やはりこの問題については大臣に伺いたいのですが、先ほど大臣お話の中で、何とか山を継続させられないだろうか、そういうふうに武藤大臣は、親会社というべき三菱セメントと子会社である三菱鉱業社長に対してお話しになった。私たちも三月の初めに大臣にお会いして、この点についてはかなり率直な議論をしたことを覚えております。何とかこの三菱の山を継続させたい、山がつぶれなければそれが一番いいとお考えになっているのがきょうおいでの地元皆さん方ですよ。状況が変わったのだから、電車道みたいに、八次策の示したレールに従って突っ走るのが通産省の仕事ではないと思うのです。現に日本の鉄鋼資本は海外炭の領域で、昭和六十三年の段階では六千四百三十五万トンの輸入炭を原料炭で仰いでいますよ。その中で三菱夕張の産出くらいは微々たるものです。そこについて鉄鋼が引き取れ、こう言って通産省として示唆ないし指導をする、ぜひそれをやっていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  75. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私どもは今、先ほど申し上げたように、でき得るならば企業炭鉱を閉鎖しないで継続してもらえないかということは、申し上げましたことは事実でございますが、何といってもこういう自由主義経済体制の中でありますので、今御指摘のようにおまえのところは何でもいいからとにかく海外炭の輸入をやめてでも継続しろ、こういうようなわけには、なかなか今の体制の中ではいけないわけでございますので、この点だけは強制をするわけにはまいらないということだけは御理解をいただきたいと思います。
  76. 児玉健次

    児玉委員 現在の企業の仕組みの中で、政府が鉄鋼の申し入れに従って原料炭開発のために行った努力というのは大変なものですよ。大臣、合わせて二百八十三億円のお金を二十年間無利子ですよ。しかも最初の七年間は据え置きです。こういう条件でこれだけの巨額の国家資金を導入できる企業はほかにあるでしょうか。それでこの三つの山はできたのですよ。  さて、今また大変な活況を迎えている。であれば、私は何も六千四百三十五万の原料炭を全部なくしろなんというようなことを言っているのじゃないんで、そのうちのほんの一部、それを国内炭から仰ぐ、その点で指導するというのは十分に行政の範囲の中だと思うのですが、いかがですか。
  77. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 これは先生の方はよく御存じでございますけれども原料炭は今年度たしか四十万トン、鉄鋼関係でございます。来年度は漸減の方向で関係者が話し合うということになっておりまして、それが現在話し合いのまさに真っ最中で、これから詰めに入るかと思います。したがいまして、その両者の話し合いの過程で行政として必要があればその具体的な話し合いを見ながら必要なアドバイスをするというのが実は私どもの基本的な立場でございますし、現在の私企業の自主性を尊重しながらやる私どもの運営の限度ではないかというように考えておるところでございます。
  78. 児玉健次

    児玉委員 その点については大いに議論が残ります。  さて、これも事実について端的に答えていただきたいのですが、三菱鉱業セメントは三菱石炭鉱業株式会社の株の何%を現在所有しているでしょか。
  79. 長田英機

    長田政府委員 四五%でございます。
  80. 児玉健次

    児玉委員 まさしく親会社です。そこで、三菱鉱業セメント、これも私たち可能なだけの調査をしてみましたが、八八年度の経常利益が百四十六億、引当金、準備金等の内部留保が、これは推定ですが七百六十五億。  さて、セメントは石炭を消費する点で有力な企業ですが、そのセメントが、従来は重油を使っておりましたが、最近石炭に大幅に燃料を切りかえたと思いますが、その点の事実の有無を聞かせてください。
  81. 長田英機

    長田政府委員 そういう傾向にあるのは事実だと思います。
  82. 児玉健次

    児玉委員 傾向ではなくて、皆さんの書かれたものによれば、従来重油一辺倒だったものをほぼ全面的に石炭に切りかえた、こういう状況です。  そこで、三菱セメントの年間の石炭の消費量は約百万トンです。親会社である三菱セメントが子会社の大夕張から年間何トン引き取っているのか、その点お聞きしたいと思います。
  83. 長田英機

    長田政府委員 三菱鉱業セメントが三菱石炭から何トン引き取っているかという御質問でございますが、これは私企業ベースの商業取引でございますので、具体的な数字につきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。
  84. 児玉健次

    児玉委員 通産省はそう述べる。この前、三月の初めですが、三菱セメントの方にお会いして、そして三菱石炭にも会って、幾ら引き取っているか、幾ら引き取ってもらっているか聞きました。今に至るも返事がありません。妙なベールに包まれている。しかし、私たちが調査しているところでは、三菱セメントの三菱石炭鉱業からの年間の引き取りは約五万トンです。使っているものの五%でしかない。それから同じく三菱系列の三菱化成、コークスをつくっています。ここは五百万トン以上の石炭を消費している。その中で三菱石炭から引き取っているのは使用量の二%でしかないようです。これで企業としての社会的責任を果たしていると言えるでしょうか。  あえて私は、重ねて大臣に伺いますが、継続して三菱の大夕張を守ろうということであれば、親会社が使う石炭を何がしかふやすことで閉山させなくて済む、どうしてその努力をしないのか、大臣いかがでしょうか。
  85. 長田英機

    長田政府委員 親会社だからもっと引き取れないかというお話でございますが、内外炭の価格差が三倍あるという状況におきまして、その親会社の引き取り量が非常にふえてまいりますと、その経営をいろいろ圧迫していく、そういう実情がございまして、親会社だからといって大量にどんどん引き取っていけということはなかなか難しいことだと思います。  なお、今先生の御発言数字につきましては、私どもとしてもよく調べてみたいと思います。
  86. 児玉健次

    児玉委員 これまた大いに議論が残るところで、会社に対しては非常に遠慮深いというのが私の感想ですね。  それで最後に申したいのですが、国内炭、輸入炭を合わせての日本経済の石炭の消費量は既に一億トンを上回っております。今までこの点、幾ら皆さんから資料をいただきました。その中で、国内炭の占める比率というのは今限りなくゼロに近づきつつあります。昨年、この石炭特別委員会でヨーロッパのエネルギー事情を調査に参りました。いろいろありましたが、例えばイギリスなどで電力業界で石炭を使う、エネルギーの効率を一%引き上げることがイギリスの石炭産業の将来を支える、大変な国を挙げての努力で熱効率アップの基礎研究をしていますね。  そういう努力を見るにつけ、この後、日本において国内石炭産業の発展強化、九次策がどうのこうのと、私はそういう政策的な議論に閉じ込めようとは思わないので、国内の石炭産業をこの後どうやって進めていくか、ヨーロッパの先進各国の真剣な努力や国際的なエネルギー機構の警告的な発言などを受けとめながら、国内の石炭産業をどうしていくのか、この点で大臣の率直な御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 大臣お答えの前に、現在の私ども考え方は、国内炭の位置づけに関しましては、エネルギー政策上相応の役割を果たすべきものと考えられるが、その程度は従来に比べて変化しているものと認識すべきであるというのが今の公式の考え方でございます。  なお、今後につきましては、現在たまたま総合エネルギー調査会で、全体のエネルギーの中の石炭の位置づけ、さらにはその石炭の中で国内炭をどうするかというのは議論をいただきますし、さらにはもちろん第八次策の後どうするかということで、改めて検討することにはなるかと思いますが、現在のところは先ほど申し上げましたような考え方に立っておるわけでございます。
  88. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今長官から答弁いたしましたように、総合エネルギー調査会でいろいろ議論をしていただいておりますので、今の時点で私からとやかく申し上げるということ、コメントは差し控えておいた方がいいと思いますので、大変恐縮でございますが、私は今のところ、総合エネルギー調査会の議論を見守っている、こういうことでお許しをいただきたいと思います。
  89. 児玉健次

    児玉委員 この際、思い切った石炭政策の転換を行うべきだということについて私は強く主張して、質問を終わります。
  90. 渡辺省一

    渡辺委員長 高木義明君。
  91. 高木義明

    ○高木委員 今回の南大夕張炭鉱閉山提案につきましては、大変厳しい、そして私たちにとっても寂しい限りであり、深刻な問題と受けとめております。特に、現地での関係者皆様方の実情を考えるとき、本当に言葉もないくらいでございまして、ただただその御労苦に対しまして深く敬意を表する次第でございます。この際、政府に対し可能な限りの適切な対応をよろしく要請するものでございます。  私は、今回の閉山問題につきましては、南大夕張炭鉱にとどまらず、石炭産業全体の各方面の方々に大きな波紋を投げておるものではないかと考えております。最近でも昭和六十一年十一月に三菱高島、六十二年七月に三井砂川、六十二年十月に北炭真谷地平成元年九月、北炭幌内閉山がございました。一方、合理化につきましても、三井三池の大幅人員削減を初めといたしまして、炭鉱の全従業員数は六十一年度末で二万六百二十五人であったものが、平成元年十二月末では九千六百四十八人の、半分以下に縮小されておるのであります。第八次政策では、なだらかなペースでの縮小、これが基本とされておりますが、この状況では平成年度を待たずして約一千万トン体制になるのではないか、今後予想を超えた厳しい対応が迫られるのではないかとの危惧がなされるわけでございます。  そこで、基本認識につきまして通産大臣にお聞きをいたします。  第八次政策が策定されたとき、当時の田村通産大臣は、八次政策の大きな柱である安定供給とセキュリティー、国内資源の有効活用、あるいはまた雇用産炭地対策等々について、役所として全力を傾けて努力をする、そういう認識を申されておりますが、これに変わりはないのか。  先日、通産大臣就任記者会見の中で、日経新聞によれば、一千万トン体制は維持する必要はない、価格の高い国内炭はどんどん減らすべきであると言われておりますが、通産大臣として、国内石炭対策についてどのように考えておるのか、改めてお伺いいたします。
  92. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今は、八次政策はおおむね一千万トンの供給体制ということになっておりますから、当然私は通産大臣としてはそれを維持していくという努力をすべきであると思います。  ただ、記者会見で申し上げましたのは、私としてはエンカリッジする意味で、ぜひ将来においては、石炭というものについては、できるだけいいものをできるだけコストを安くするという努力をそれぞれ石炭業界はしていただきたい、こういう思いがございましたから、そういうことを申し上げたわけでございますが、将来においては、当然これからポスト八次の問題が出てくるときにはいろいろ議論がなされると思いますけれども、私はぜひひとつ石炭業界も努力をしていただきたいということを心から願っておるわけでございます。
  93. 高木義明

    ○高木委員 私は、この際、第八次石炭政策の論議を踏まえて、血の通った国の対策を求めておきます。  次に、石炭需要関係についてでございます。  最近の景気動向は、内需の拡大で好調が持続しているのは御承知のとおりでありますが、当然電力需要も大きく伸びておると言われております。一方で、円安、そしてまた原油価格の上昇も徐々に進んでおるのではないか、こういう見方の中で、今後国内石炭需要動向はどうなるであろうか、これが私たちの大きな関心事でございます。現状における需要見通しにつきましては、全産業的に好転に転じる、そして石炭需要量は増加傾向にあると私は考えております。当時、六十一年円高不況の真っただ中、その八次政策策定時とは比較にならないのではないか、このように考えるわけであります。したがって、需要量、今おおむね一億トン以上あるわけでありますが、このような情勢の中で電力業界だけに依存するのではなくて、情勢の変化にかんがみて他の業界、他のユーザーにも負担の公平化という意味で強く働きかけ、協力を求めるべきではないかな、このように考えるわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
  94. 長田英機

    長田政府委員 需要量につきましては、八次策を策定いたしますときにユーザー業界とのぎりぎりの調整、その結果、ユーザー業界の精いっぱいの協力を得まして、平成年度需要量をおおむね一千万トン、これに対応した供給規模に持っていくということの関係者の合意を見たわけでございます。  その後の推移といたしましては、毎年度それぞれの業界が交渉いたしまして、そしてその需要量を決めてきているということでございます。その間におきまして、通産省といたしましても需要業界に対する協力を要請してきているというわけでございます。  さて、世の中の状況が大分変わってきたというお話でございますが、例えば石炭の外炭と国内炭の価格差は八次策を立案した当時とほぼまだ同じような価格差がございます。さらに、鉄につきましても、鉄の業界が構造的に厳しい状況というような問題もございます。そういうようなことがございまして、私どもといたしましては、八次策の当初決めた需要政策のラインに沿ってこれを遂行していくことが適当ではないかと考えているわけでございます。
  95. 高木義明

    ○高木委員 時間もありませんので先に進ませていただきますけれども、先ほどからも出ておりましたが、過剰貯炭対策についてであります。  過剰貯炭につきましては、八次策中にゼロにすると言われておりますが、本当にゼロになるのか、大変心配をするところであります。もし、電力用の一千万トン、この内数で対応するとなれば再び現存の炭鉱におきましては生産量の大幅な縮減、これで対応しなければならないわけであります。特に、多くの貯炭を抱えておる三井三池、松島は大幅に生産縮小せざるを得ないと考えるわけであります。特に、三池につきましては三年続けて合理化を行っておりますし、七次策中から見れば生産量は五百万トンから二百五十万トンへ、人員も直轄従業員五千名から千九百名程度まで減少しております。したがって、過剰貯炭対策につきましては、一千万トンの枠外を基本として、第七次石炭政策遂行中に過剰となったこのいきさつも踏まえられて、政府、ユーザーあるいは石炭業界三位一体となった政策を講ずべきと判断をいたしますが、今日段階、当局のお考えはどうなのか、お聞きをいたします。
  96. 長田英機

    長田政府委員 先生の御質問は、平成年度の一千万トンの中に貯炭からの供給が入ると坑内炭が圧迫を受けるではないか、こういう御質問の大筋の趣旨だと理解いたしますけれども、まず八次策におきましては、平成年度におきます供給規模一千万トン、これはその当時の需要量おおむね一千万トンに見合う供給規模ということでございまして、先生からお話ありましたように、この供給規模の中に過剰貯炭からの供給というものが入り得るわけでございます。したがいまして、この構成といたしまして、生産雑炭貯炭からの供給というもので構成されるということになろうかと思いますが、その具体的な構成の内容、どういう構成になるかということは、それぞれ需要供給両業界のこれからの話し合いと今後の推移によって決まっていくということでございます。ただ、私どもといたしましては、特にその中の雑炭につきましては、今までも随分努力してまいりましたが、これからも努力してまいりまして、坑内炭に対する影響、これを極力少なくしていくようにしていくべきではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、もう一点の貯炭対策の点でございますが、そういうことで平成年度末までに貯炭をゼロにしていきたいというつもりで臨んでいるわけでございます。ただ、これはなかなか難しい問題であることは事実でございます。しかしながら、私どもといたしましては、平成年度に低品位炭の引き取りの円滑化補給金制度をつくるとか、いろいろそういうような工夫もいたしまして、何とか貯炭が減っていくように努めていきたいということでございます。したがいまして、私どもはこの貯炭も八次策の枠内で解消に向かって減少していくというふうに考えておりまして、八次策の枠外の特別の対策をやるというは関係者のコンセンサスを得るのがなかなか難しいのではないかというふうに理解しております。
  97. 高木義明

    ○高木委員 次に労働大臣にお伺いをいたしますが、いわゆる雇用地域対策ということであります。  先ほどの御答弁の中にも、八次政策実施後約一万人程度の離職者が出ておりますけれども、実際に就職された方々はその約半数であり、あとの半数はまだ就職されてないという統計が出ておるわけでありますが、このところが現実の雇用対策に関するポイントではなかろうか、このように思っております。そういう意味を含めまして、今後これらの地元での雇用対策、あるいはまた新しい仕事をつくる代替事業、こういったものにつきましてどのように考えておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  98. 塚原俊平

    塚原国務大臣 半分よりはちょっと、大体一万一千よりちょっと多くて四千ですから、ほんのちょっと、まあ大した数字の違いではないのですけれども……。  先ほども御答弁申し上げたのでございますが、まず再就職援助施策実施をしていく、それから職業訓練を活用して対策推進していく、これを今まで私ども一生懸命やってまいりました。さらにそのことに対して積極的に対策を進めてまいりたいと思いますし、また、地域におきましては、これも前に高対部長の方からも御答弁ございましたが、地域雇用開発促進法というのがございまして、これに基づきまして産炭地域はほかの地域に比べて手厚い措置が講じられております。こうした制度を活用いたしまして、閉山後の雇用対策というものに今後ともでき得る限り御満足いただけるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  99. 高木義明

    ○高木委員 時間も参りましたので、要望を、先ほど御意見を申し上げましたとおりでございますので、どうぞ格段の取り組みをお願いをして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  100. 渡辺省一

    渡辺委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時十五分散会