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橋本国務大臣 今ちょうど公共投資の十カ年計画の作業を
経済企画庁において急いでいただいております。そしてその中において、まず第一に
お答えを申し上げておきたいことは、今後の公共投資十カ年の総額を私
どもは明示をいたします。そして
住宅を含めました十五本の長期計画があるわけでありますが、
平成二
年度において終期を迎えるものについては三
年度以降の五カ年計画を急いでつくる、それからまだその後に続いておりますものは、その計画の切れた時点で残る年数の計画を当然明示をしていくことになるでありましょう。これは今、日米構造協議に関連をし対米折衝の最中でありまして、私
どもも企画庁の作業の詳細を存じておりません。
そのほかに、その中には都道府県を含めた地方の単独事業が入り、また第三セクター等々のものがどういうふうに組み込まれるのか、まだ未知数であります。ですから、例えば
住宅等につきましては、これを踏まえて、今後のそれぞれの
年度の予算編成の時点で、やはりそのときそのときの経済環境、財政
状態を見ながら予算を計上してまいるということ以上に申し上げることはできないと思います。
ただ、もう
一つここでお考えをいただかなければなりませんことは、まさに先刻来
委員が
指摘をされております長寿
社会というものを考えます場合に、我々として今後の方向の見定めのつかない
部分がございます。それは何かと言えば、我が国の非常に大きな特色の
一つは、世代間同居志向が強いということであります。今随分、ひところから見ればその
数字は下がってまいりました。しかし、なお欧米諸国に比して世代間同居に対する志向が強いという特色は基本的には変わっておりません。となりますと、これから先例えば
住宅を考えます場合に、やはり世代間同居を前提にした
住宅整備を行うのか、あるいは
高齢者の御夫妻あるいは高齢単身者の世帯、これをどう考えていき、その
住宅の目標の中に設定をしていくのか、これは現時点では
数字がはじきようがないわけであります。先ほど
委員が
住宅整備の目標についてお尋ねがあり、建設省からそういう意味での
数字はつくっていないという答弁がありましたが、事実そういう将来に向けての我が国の
社会の姿というものが我々として想像し切れていない、ここに大きな問題が
一つあるということは御
理解をいただきたいと思うのであります。
と同様に、中で、例えばいわゆるゴールドプラン、「
高齢者保健福祉推進十か年戦略」の
部分については、
数字を明示し、目標を設定し、それに対する経費も計上しておりますが、同じような
視点から、実は
所得保障、医療保障についても
数字を確定し、制度の将来のあり方まで踏み込んでその中には記載はいたしておりません。少なくとも、従来から国会等の御
論議の中で将来図を明示しろと言われたような形でのものにはなっておらないわけであります。これは、
社会保障をこれから充実していかなければならないことは間違いないわけでありますが、その場合に、一体家族形態がどう変わるかによってその
社会保障という
一つのパイの中の
所得保障に充当すべき分野がどの程度なのか、医療保障に充当すべき分野がどうなのか、公共福祉サービスに投入すべき分野がどうなのか、この辺が確定しないからであります。
少なくとも、しかし私
どもは、
昭和四十年代の前半まで施設整備をすることに
社会福祉関係の重点を置いてまいりました。施設に入所できるようにしてさしあげることがいいことなんだという気持ちが、これは我々皆あったのです。しかし、実は結果としてその政策はうまくいきませんでした。そして、やはり家族とできるだけ一緒に過ごせる
状態をつくってさしあげることの方が、これはお年寄りもそうですし、体の不自由な方、いろいろな意味でのハンディを持っている方々にとって幸せなのだということを、我々は高い授業料を払って経験しました。そうなりますと、まさに、例えばそれが奥さん方やお嫁さんやお嬢さんの
負担に全部かかってしまったら、それは家庭は参ってしまいますから、在宅福祉というものに重点を置いて我々は整備目標を定めなければならない
状態になりました。むしろ在宅福祉というものは、その意味では施設
中心主義よりは非常にコストは高くつきます、
社会的コストは。マンパワーも、量的な確保、質的な確保に非常に大きな責任を行政は負うことになります。
そういうことを考えた上で、今我々として一番力を入れなければならない
部分、どう
社会が変わるにせよ、在宅福祉の
必要性は廃れることはない、こうした
視点から重点的に「
高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものを定めて、それに向けて
政府自身が努力をしていこうとしている、それが今回の特色だと御
理解をいただければ非常に幸いです。