○井上(義)
委員 この
消費税廃止関連三法案並びに
税制再
改革基本法案、発議者の
皆さん、大変いろいろ苦労もあったわけでございますけれ
ども、発議をされて、そしてまた
審議におきましても明快に答弁をしてくださっていると、後輩の一人といたしまして
皆さんの御労苦に心から敬意を表するものでございます。で、これは参議院で既に可決をした法案でございますから、できれば一日も早くこの衆議院でも速やかに可決されることを心から期待をいたしまして若干の
質問をさせていただきたい、このように思っている次第でございます。
竹下内閣、中曽根内閣、
自民党歴代内閣がシャウプ以来の抜本的な税改正、このようなふれ込みで
国民の反対を無視をして強行した今回の税改正、その中身は一体全体どういうものであったのかということでございますけれ
ども、ここに大蔵省監修になる社団法人日本広報協会というところが発行した「新
税制…豊かな明日へ」というパンフレットなんかを見ますと、「時代の流れにあった公平でバランスのとれた
税制が誕生しました。」こういうふれ込みで、「これまでの
税制は、四十年前のシャウプ勧告をもとにしていたので、さまざまな
問題点を抱えていました。時代の流れを踏まえた公平で簡素な
税制、
所得・
消費・
資産などに対する税の間でバランスのとれた
税制の実現が求められていたのです。」こういう前提で、
税制改革には
五つの大きな柱がある。
一つが「
所得税・住民税の大幅な減税」、それから二番目が「
消費税の創設、個別
間接税制度の整理・合理化」、それから三番目が「
負担の公平の確保」、それから四番目に「国際的視点に立った法人税の軽減」、五番目に「相続税の軽減・合理化」、こういう
五つの柱であるというふうに述べられておるわけでございまして、大きくは
所得税の減税と
消費税の創設、法人税の軽減、この三つが柱であったんじゃないか、こう思うわけでございます。
それでは、
所得税というのはどうなのか。これは累進
課税をとっておりますから、毎年この減税をしていきませんとどんどん累進税率は上がってくる。
サラリーマンの重税感というものが高まる一方である。ところがそれに見合った減税をしてこなかったために、たまりにたまって、
サラリーマンを
中心とした減税の要求があった。今回のこの
所得税の減税というのは、そういうたまりにたまった減税要求というものを是正しただけであって、本来
野党が主張してまいりましたようにもっと早くやるべきであった、とても大幅な減税とは言えないというふうに言えるんじゃないかと思うわけでございます。
それから、二番目の法人税の軽減ということでありますけれ
ども、表面税率四〇%から三七・五%に軽減をしたというわけでありますけれ
ども、私はこの法人税というのは思い切った引き下げが必要ではないか。アメリカのレーガン
税制は
基本税率を四六%から三四%に一二%引き下げるというような大幅な減税をしているわけでございまして、この法人税の大幅な引き下げのためにはやはり
課税ベースの思い切った拡大が必要である。国際的な視点という
意味からいいますと余りにも小幅であって、私は
課税ベースの思い切った拡大とセットで大幅な法人税の引き下げが必要ではなかったか。いわゆる法人税は法人税の世界で解決するというのが
基本であろうと思うわけです。
こういうふうに見てまいりますと、結局
所得税はとても大幅な減税とは言えない、当然の減税であったと思いますし、法人税も非常に中途半端、国際的とはとても言えないものである。結局、抜本的な改正をした、シャウプ以来の抜本改正だ、こう言っているわけでありますけれ
ども、残るのは
消費税だけということでございまして、要するに
消費税を通すための抜本改正であったというふうに言わざるを得ないのではないか、こう思うわけでございます。
今
国民が一番望んでおります、また我が国にとって必要だと思うことは、私は三点あるんではないか。
一つは、土地
税制、
資産課税の適正化ということをぜひやらなければいけないんじゃないか。いわゆる持てる者と持たざる者との格差が非常に開いている、これを何とかしてほしいというのがやはり
国民の偽らざる率直な願いではなかろうかと思うわけでございます。それから二番目に、これからの高齢化社会ということを考えて給付と
負担のバランスということをやはり明確にしてもらいたい。二十一世紀、国が
国民に対してこういう給付をしますよということをまず明確にする。そのためにはこれだけの予算が要る、だからこれだけの
負担をしてほしいということであれば、私は
国民が納得するんじゃないか。この給付と
負担のバランスということをぜひ明確にしなければいけない。それから三番目に、やはり
経済の活性化、国際化のためにも法人税を欧米並みに引き下げるべきであらう。これは先ほど言いましたように
課税ベースを思い切って拡大をして、法人税を思い切って下げる、いわゆる法人税は法人税の中で解決する。こういう三つの点が、これからの税
改革にとっては一番大事なことであろうと思うわけでございます。
そういう
意味で、先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、参議院で一たん可決した法案でありますし、この衆議院でも一日も早く可決をいたしまして、
国民税制改革協議会でこういった問題を含めて十分に検討して、ぜひとも
国民の期待にこたえられるような
税制改正をやっていただきたい。最初に、このことをまずお願いしておきたいと思うわけでございます。
前置きが多少長くなりましたけれ
ども、本題に入りまして、まず
消費税ということにつきまして、私は選挙中を含めて町を回っておりまして、
消費税ということについていろいろお話をしますときに、母子家庭でありますとか生活保護世帯でありますとかあるいは年金生活をしていらっしゃるお年寄りの方とか、そういった方が
消費税の廃止ということを強く望んでいらっしゃる。
消費税の構造的欠陥と言われておりますいわゆる逆進性、生活が大変な人ほど
負担が重い。このことはこの税を考える上では一番大事な問題じゃないかな、こう思うわけでございます。
少なくとも従来の物品税のような個別
消費税でありますと、
消費者の、本人の自由な選択に基づいているわけでございます。例えば外に出て食事をするという場合でも、多少高くてもうまい物を食べたいという人は、
消費税、旧来でいいますと飲食税を払うことを覚悟して食べていただく。一方、税金を払いたくないという人は、免税点以下の食事をする。このどちらを選ぶかというのは、個人の自由であったわけであります。ところが、
消費税は食事をすればすべてに税金がかかってくる。言ってみれば強制的に徴収される税であるわけです。この辺が
消費税と従来の個別
間接税の決定的な違いでありまして、
消費税は強制的に取られる税でありますから、社会的弱者であれ高額
所得者であれ、すべて一律に
課税される。したがって、低
所得者ほど
負担が大きい。
この問題は、私も三月二十二日の本
会議で取り上げまして海部総理の所信を伺ったわけでありますけれ
ども、そのときの答弁でも、税の
仕組みそのものでは逆進性は解消できないということを認めていらっしゃるわけでございまして、「
税制面のみならず歳出面も含めたさまざまな
措置」というような言い方をされておりまして、いわゆる
消費税の逆進性については歳出の問題とあわせて考えるべきだ、こういう論理で答えていらっしゃるわけでございます。しかし、これは
議論の意図的なすりかえじゃないか。財政の
所得再分配機能というのは確かに存在するわけですけれ
ども、税の不公平の代替機能ではなくて、やはり独立した
経済福祉政策の問題として財政というものは考えなければいけないと思います。財政出動のあり方いかんにかかわらず、やはり税は公平でなくてはならない。その公平さの一番の
基本をなすものは、
応能負担ということじゃなかろうかと私は思うわけでございます。つまり、
所得の多い人ほど
税負担をお願いする、
所得が少なければそれに応じて少なくという、この
原則はやはり税の鉄則にしていかなければいけない。
そういう
意味からいいますと、廃止、見直しかの
議論を今されているわけでありますけれ
ども、この
議論というのは、逆進性というものを税の中に認めるか否か、言いかえれば、税の
応能負担というこれまでとってきた鉄則を放棄するか否かの大事な選択である、そういうふうに思うわけでございます。この逆進性、そしてまた廃止、見直しというこの
議論の重要性について、発議者がどのようにお考えでいらっしゃるか、この辺をまずお伺いしたいと思います。