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村山(富)
委員 私も全く同感であります。今
政府が出している見直し案、これがいいのか悪いのか、それから今残されている
消費税がいいのか悪いのか、こういう点がはっきりしないと廃止をすることになりませんからね。私は、そういう
意味で検証する必要があると思うのですね。
そもそも、今
お話もございましたけれ
ども、
消費税の持っている最大の欠陥というのは、構造的な欠陥というのは、見直しではだめなんですね。どこにあるかといいますと、これは言われますように、やはり逆進性が強いということでしょう。所得の高い者も低い者も、全然所得のない子供さんだって、同じ物を買えば同じ税率で税額は払わなければいかぬのです。同じ金を払わなければいかぬのです。だから、これほど弱い者いじめの税金はないというのが、もうこれは定評ですよね。こういう弱者いじめの、逆進性の強い欠陥というのは、今度の見直しの中では直っていませんよ。
例えば、分娩費は非課税にしました、これは当たり前の話ですよ。保険を使ってお産をすれば非課税、そうでなければ
消費税がかかります。こんな扱い方というのはないですよ。赤ちゃんがおぎゃあと生まれた、はい
消費税、こんなばかな話がありますか。これは当然の話ですよ。だから当然の話を当然に直しただけですよ、私に言わしたら。教育費だって同じですよ。授業料は非課税ですよ、入学金は課税ですよ、同じ教育費で。こんなばかな話があるかと言うの。だから、これは見直しに値しませんよ。当然の話を当然に手直ししたにすぎないんですよ。今言いましたような逆進性なんというものは全然直りませんよ、改善されませんよ。
これは、そうは言っても、できるだけ逆進性を緩和するというために今度の見直しをされた、こう言っているわけですが、これをちょっと調べてみますと、例えば静岡大学で分析をされたものがありますけれ
ども、今の
消費税の年収別
負担率では、最も所得の低い年収二百九万以下の層で一・四九%ですね。最も高い年収千三百四十万円以上の層で〇・六三%です。これが今度の見直しの中でどういうふうに変わってくるかということを検証しているわけですけれ
ども、最も低い層で一・二一%、最高所得層で〇・五一%、その差は二倍以上ある。ですから、ほとんど改善をされていないという結果が出ておるわけです。私は、こういう
意味から申し上げまして、先ほど来申し上げておりますように、今度の見直しではこの逆進性というものはほとんど改善を見られないというふうに言っても過言ではないというふうに思うのです。
さらに、先ほど来ずっと
お話もございましたように、この
消費税の持っている構造的、本質的欠陥というのは、やはり簡易課税方式をとったとか、あるいは免税点が高過ぎるとか、あるいはまた限界控除
制度を採用したとか、こういうところに問題があって、先ほ
ども答弁の中にもございましたけれ
ども、消費者が
負担をした税金が国庫に入らない金が五千億くらいあるというふうに言われているわけですよ。これではやはり
国民が納得するわけないですよ。こんな問題は全然解消されてないですよ。
ある業者の意見を聞いてみましたら、価格に転嫁できないと言うのですよ。価格に転嫁しましたらこう言われたと言うのです。おたくは年間売り上げ何ぼありますか、こう聞かれましたから、いやまあ家族一生懸命働いて二千五百万から二千万ぐらいです、こう言ったら、ああそうですか、それでは免税業者ですね、免税業者で何で
消費税を取るんですか、こう言われたら、いえそれは、商工
会議所の方も通産省の方も、仕入れに税金がかかるんだから転嫁してもいい、こういう指導を受けています。指導は指導かもしれぬけれ
ども、私から取った
消費税はあんたはどこに持っていくんですか、こう聞かれたらもう
答弁ができぬものですから、いや、もうお客さん、結構ですと言っていただかなかった。こうして困っている業者もおるんですよ。第二事業税になるというふうに言っている業者もありますよ。
そうかと思いますと、これは、
制度の運用によってもうかる、得をする業者もあるんです。預かった
消費税を運用することによって、無利子の資金として使えるわけですからね。また、うまく使えば運用益が生まれてきますよ。これは新聞に書いてありますけれ
ども、半年間で十億円の売り上げがあると仮定しますと、三千万円の運転資金があるわけです。逆に言えば、こんないいものはないということだって言えるわけですよ。もっと売り上げの高いものについては、もっと何億と言われるような運用資金もあるわけです。それを運用したら、運用益だってそれは大したものですよ。
こう考えてまいりますと、これは消費者の立場はもう完全に無視されておる。業者の立場に立って考えてみても、この
消費税が
導入されたことによって得をする業者もあるんですよ、率直に言って。因っている業者もあるんですよ。こんな不公平を拡大するような
消費税はないと思いますよ。
私は、ここで率直に申しますけれ
ども、私のところに手紙が来ているのです。これはきのう届いた手紙ですから、ちょっと読んで紹介しますけれ
ども、これは商売をされている方です。
私は、年間売上高七千五百万円(七月決算見込み)、従業員はパートを含んで七人の小々企業(一九八八年一月法人化)で、魚の養殖と食堂を経営しています。売上げの内訳は成魚の販売五千五百万円、食堂での売上げ二千万円です。
ですから、七千五百万ですね。
当然、売上高によって課税業者となりますので、簡易課
税制度の適用を選択しました。
消費税実施前に
自分なりに試算してみました。単純な計算方法で恐れ入りますが、
基本的な
内容は変らないと思います。
総売上高に対して
消費税をとれば七千五百万円掛ける三%で二百二十五万円となり、仕入れ等で支払う
消費税対象経費二千五百五十万円掛ける三%は七十六万五千円、簡易課税による納税額七千五百万円掛ける〇・六%は四十五万円で、実際に納税する額は、七十六万五千円プラス四十五万円で百二十一万五千円となり、
こういう
制度がなければ、二百二十五万円に百二十一万五千円ですから、この
制度を取り入れますと百三万五千円差益が残ると言うのです。私の商売でもこれだけ残りますと言うのです。これは大変良心的な業者でしょう。
そこで私は、成魚の販売では三%の
消費税はいただくけれ
ども、食堂での売り上げについては
消費税はいただかないということにしました。
これだけ差益が残るわけですから、取っちゃ気の毒だというので取らないことにしたと言うのです。成魚の販売による
消費税が五千五百万円掛ける三%で百六十五万円です。それから、食堂の売り上げによる二千万円は、これは
消費税を取らぬわけですからゼロですね。そして、仕入れに係る支払い二千五百五十万円掛ける三%は、先ほど言いましたように七十六万五千円です。簡易課税による納付は七千五百万円掛ける〇・六%で四十五万円です。こういうふうにして、食堂で売り上げた売り上げには
消費税は取らないということにしてみましても、百六十五万円マイナス七十六万五千円マイナス四十五万円で、四十三万五千円が残ると言うのですよ、こういう方式をとっても。この程度と言っては失礼だけれ
ども、七千五百万円程度の売り上げしかない業者でも、この
制度を運用することによってこれだけのものが残るのですよ。ですから、この人はこう言っていますよ。
消費者から預った
消費税を商売人が
自分のふところにしまいこむ。現存の
制度としては当然かも知れませんが、自らも消費者としての立場にたてば到底許されるべきことではありません。
消費税の逆進性は申すに及びませんが、全く合理性と消費者無視の
消費税は絶対に廃止させて、合理的でしかも情の通った新しい
税制の確立に向けて頑張ってください。
こういう手紙ですよ。私は、この手紙に、今、
消費税の持っている欠陥というのは端的に証明されておると思うのです。
そこで、お尋ねしたいと思うのですけれ
ども、こういう欠陥というのは、これはもう今の見直しの中では全然問題になりませんね。これはやはり廃止するよりないのではないか。そして、やり直すということ以外に是正の方法はないのではないかというふうに思うのですがね。同時に、先ほ
ども話がありましたけれ
ども、
福祉に使うのだ、
高齢化社会に備えるのだ、こういう
お話もございましたね。今の
消費税の税収、将来の
福祉政策の費用等を考えた場合に、とてもじゃないけれ
ども、これは届きませんよ。そうしますと、これは外国の例に見るまでもないと思うのですが、いずれにしても、この三%という税率は必要に応じてやはり引き上げていかなければならぬ、こういう性格のものだというふうに思いますけれ
ども、今
お話し申し上げましたような一連の今の
消費税の持っている欠陥、そして税率はどうなっていくかという予想等々に対して、どういう見解をお持ちですか。