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1990-06-20 第118回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 浦野 烋興君    理事 甘利  明君 理事 井出 正一君    理事 江口 一雄君 理事 奥田 幹生君    理事 古賀 正浩君 理事 後藤  茂君    理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君       木村 義雄君    小泉純一郎君       佐藤謙一郎君    斉藤斗志二君       谷川 和穗君    中谷  元君       中山 成彬君    牧野 隆守君       大畠 章宏君    加藤 繁秋君       小岩井 清君    渋谷  修君       鈴木  久君    竹村 幸雄君       水田  稔君    安田  範君       吉田 和子君    小沢 和秋君       川端 達夫君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 糸田 省吾君         公正取引委員会         事務局取引部長 土原 陽美君         通商産業大臣官         房総務審議官  関   収君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       山本 貞一君         通商産業大臣官         房審議官    横田 捷宏君         通商産業省通商         政策局次長   堤  富男君         通商産業省産業         政策局長    棚橋 祐治君         通商産業省立地         公害局長    岡松壯三郎君         通商産業省基礎         産業局長    高橋 達直君         通商産業省生活         産業局長    南学 政明君         工業技術院長  杉浦  賢君         資源エネルギー         庁長官     山本 雅司君         資源エネルギー         庁次長     深沢  亘君         資源エネルギー         庁公益事業部長 牧野  力君         中小企業庁計画         部長      高島  章君  委員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課長 入谷 盛宣君         法務省入国管理         局政策課長   坂本 栄治君         外務省経済協力         局政策課長   大島 賢三君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   坂本 弘道君         建設省道路局地         方道課長    田尻 文宏君         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     中谷  元君   江田 五月君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   中谷  元君     植竹 繁雄君   阿部 昭吾君     江田 五月君     ───────────── 六月十五日  大規模小売店舗法規制緩和に伴う中小小売業対策に関する陳情書(第一四三号)  中小企業における技術者確保養成等に関する陳情書(第一四四号)  各種スプレー缶等表示指導に関する陳情書(第一四五号)  産業廃棄物適正処理確保に関する陳情書(第一四六号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ────◇─────
  2. 浦野烋興

    浦野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
  3. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 きょうは大変限られた時間でございますので、項目を絞って御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、マクロ経済についての動向をお聞きいたしたいというふうに思います。ちょうど経済企画庁からもGNP関係統計が発表されましたが、過去最高のイザナギ景気が五十七カ月、それに迫ろうという景気拡大循環をしているわけであります。景気拡大中という解釈をいたしております。これは内需拡大日本経済を進める上で非常に大事なことだと思っております。したがいましてマクロ経済の安定的、かつ持続的な拡大を保つことは政府経済運営上責任であるというふうに思いますが、その点これからイザナギ景気を抜くほどに間違いない経済安定をしていく、そういった考え方をお聞きいたしたいと思います。
  4. 棚橋祐治

    棚橋政府委員 お答えいたします。  今斉藤委員指摘のように、昨日、経済企画庁から国民所得統計速報の一―三月が発表されまして、ちょうど平成年度経済諸指標が確定したわけでございますが、平成年度実質経済成長率はちょうど五%でございまして、一昨年、昨年の五%を超える高い成長率に次いで三年連続で五%という非常に高い成長確保することができたわけでございます。これは安定した物価水準のもとに個人消費が対前年度三・二%、特に民間設備投資が対前年度一六・五%の高水準で推移しておりまして、内需中心景気拡大局面が続いたわけでございます。この六月で四十三カ月間の景気拡大局面を続けておりまして、岩戸景気は四十二カ月でございましたが、これを抜きまして昭和四十年十月から昭和四十五年七月までのイザナギ景気の五十七カ月に次ぐ戦後二番目の長い好景気であります。  今後の動向につきましては、需要に応じた生産の増加や原油価格安定等背景物価が落ちついておりますことと、引き続き個人消費設備投資等も最近のいろいろの調査を踏まえますと堅調な推移が見込まれておりますので、平成年度内需中心成長持続することが期待されておりまして、政府見通しの四%の達成は十分可能と考えております。通産省といたしましても、今後ともこうした内外経済動向注意を払いながら、 この景気が長続きしますように適切な経済運営に努めてまいりたいと考えております。
  5. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 今マクロ経済運営についてお聞きいたしました。  次に、来る七月にアメリカヒューストンでいわゆるサミット先進国首脳会議が開催されるわけであります。特に日本への期待が高まっている中で、通産省当局としては、当然のこととして通産大臣が総理に同行して各種問題に取り組むのだと思いますが、その通産省の特に貿易摩擦ウルグアイ・ラウンド等々に関する問題についての対応、基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  6. 堤富男

    堤政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり今回のヒューストンサミットといいますのは、昨年以来東西融和という世界的な大きな流れが生じている中で一九七五年ランブイエで始まって以来大変新しい段階におけるサミットであると我々は基本的には考えております。世界経済を見ますと東側が西側に巻き込まれ始めるというような外延的な拡大もございますし、先進国の中同士ではそれなりの問題、インフレでございますとかあるいは地球的な規模での環境の問題、大変重要な問題が議論されることが予想されるわけでございます。世界的な発展を持続するためにはどうしてもこのようなサミットでのトップ同士の真剣なお話し合いというのがぜひ必要な時代になってきたと思っております。  そういう数々の重要な問題の中で、当省といたしまして我々大変重要に思っておりますのはまずウルグアイ・ラウンドでございます。これは二十一世紀を目指して貿易枠組みづくりという考え方の中で、このウルグアイ・ラウンドがことしの末が議論のデッドラインであるということでございまして、そういう意味では今回のサミットがある意味で最後の土壇場になるというふうに考えておりまして、この首脳レベルでの政治的決意を確認するということが非常に重要なことになろうかと思っております。あわせまして、地球的な規模で問題になっております環境問題に関して、通産省といたしましても、成長環境というものが両立するのはどういうことで可能であるか、それに向けての基本的方向はどうあるべきかということについて積極的に議論に参加してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、現在世界経済が抱えている問題はいずれも通産省行政に大変深くかかわっているということを深くかみしめまして、我々としても、諸問題の解決に向けまして、サミットの場におきましても万全の努力をしていきたいというふうに考えております。
  7. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 サミットアメリカで行われる、当然アメリカとの日米首脳会談も予定されていると私聞き及んでおりますが、日米間の貿易均衡についてもお聞きしたいと思っております。  最近アメリカの商務省から統計が発表されまして、これは四月ということでありますけれども、米国全体では赤字縮小が顕著になってきている、こう見られておられますが、対日だけは逆の動き、すなわち赤字拡大傾向を示しつつあるといった心配が出てきているわけであります。これはいろいろ理由があるかとは思いますが、中でもドル高円安による為替相場にその主たる原因があるのではないかと思っております。今後一ドル百五十円前後で為替相場が推移する、こういった仮定を置きますと、日本実力ぶりから見ますとまた輸出がぶり返し伸びていく、結果、貿易の不均衡がさらに拡大するのではないかと私は大変心配をいたしております。ちなみに四月のその統計によりますと米国赤字全体の三分の二が対日だということ。こういったことを踏まえて通産省はこの対策並びに為替相場、こういったものの機能について御質問を申し上げたい。
  8. 堤富男

    堤政府委員 お答え申し上げます。  昨年、一九八九年の数字を見ますと確かにアメリカ赤字世界全体に対して改善方向ではございますけれども、その改善度合いが対日に対する改善度合いよりよくなっているということにあるわけでございます。ただ、本年に入りますと逆に対日赤字の方がやや改善テンポが遠いという傾向も見られまして、三月、四月は若干イレギュラーな動きをしておりますけれども、全体としましては先生のおっしゃいますとおり確かにアメリカ貿易収支全体の赤字が縮小している中で日本数字改善テンポがやや遅いかなという感じはしております。これは一言で申しますと日本のいろいろな貿易構造等関係しているのではないかと思っております。  例えばもともとアメリカ日本貿易構造を見ますと、アメリカからはかなり一次産品を多く輸入しているという観点、あるいは最近、日本からの海外投資が非常に対米に多くなりまして、それに対する部品あるいは資本財の供給という形でやや経過的な意味輸出が大きくなっているという点があろうかと思います。もう一つは、ECとの関係でよくアメリカが引き合いに出すのでございますけれども、日本の方はなかなか五百億ドルという数字が変わらないじゃないかというようなことを言われますが、これも実は、輸出も一方で伸びておりますが、それ以上にアメリカからの輸入は非常に拡大しておるわけでございます。ただ、いかんせんもともとの輸入レベルが低いということもございまして、実際の数字にあらわれるということがないわけでございます。いずれにしましても、我々といたしましては今後日本全体としての内需拡大、あるいは最近やっております輸入振興輸入拡大のための努力というのを継続していきたいというふうに考えております。  ただ、私たちあわせて非常に重要だと思っておりますのは、アメリカ財政赤字改善ということも重要なことでございまして、日本側黒字縮小努力を続けましてもアメリカ側財政赤字が続きますとやはり日本からの資金の流出が起きてしまうということで、先生が御心配のような円安ということが起きてくるということもございます。したがいまして、構造協議等も通じまして、アメリカ財政赤字についての問題点というのも我々はあわせて指摘をしていかなければいかぬと思っております。いずれにしましても、両国間のマクロ経済政策の協調を進めながら、全体として改善が進むように努力をしてまいりたいと思っております。
  9. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 今為替の問題について触れたわけでありますけれども、日本経済がこれから黄色の信号が点滅するということになる。それはインフレにどれほど重大な項目としてウエートを置くか、こういうことになるんだと思うのです。したがいまして、経済の安定的、持続的拡大を図るには、円安にするのは余り好ましくないと私は思っております。そういう点で、経済運営当局におかれましても、ぜひ日本インフレ対策の一環としての為替動向ということについてもよく注意をしながら対応していただきたいというふうに思います。  次に、先ほど公正取引委員会が「外資系企業から見た日本市場実態」に関するアンケート調査の結果を発表いたしました。それによりますと、外資系企業の半分、二分の一が日本市場において仕事をする上に困難なしという答えを出している。残りの二分の一が困難ありという、ちょうど半分に分かれたわけであります。そして、特に困難ありの原因のベストスリーが、品質、納期、価格、こういうものを項目として挙げている。日本人の商売における競争の激しさということと、日本人のよりよきものを求める精神、芸術的とも思える限界への挑戦というものがあって、これは決して外国人だから排他的であるというのではないと私は思っているわけであります。一部には確かに取引における閉鎖性というのが指摘されることもあります。しかしながら、大部分においては日本はフェアであるというふうに私はこういったアンケート調査から見ても考えられるので、サミット通産大臣が行かれますが、こういったアンケート調査をもとに日本はフェアなのだよということを強く主張すべきだと思っております。その点、いかがお考えか、お聞きしたい。
  10. 棚橋祐治

    棚橋政府委員 お答えいたします。  公正取引委員会アンケート調査、私たちも拝見いたしております。  我が国流通取引慣行につきましては、海外から、今度の構造協議の場においてもそうでありますが、相当排他的な面が多いという指摘がなされておりますが、これらの慣行の中には、我が国における厳しい企業間競争やユーザーの製品に対する非常に高い要求水準等背景としてそういうものができ上がっており、合理的な側面が多いことも事実であります。  例えば、返品制度という慣行は、資金力に乏しく、リスク負担能力が十分でない小売業者がそのリスクを卸、メーカーにカバーをしてもらう、それによって豊富な品ぞろえが実現されて消費者ニーズにこたえるというようなm定経済合理性を持っております。また、継続的な系列取引につきましても、これを前提として、部品メーカー等品質の向上、コストダウンに努める等合理的な側面がある場合が多いわけであります。こうした日本流通取引慣行に、厳しい競争の中で合理的なものがつくられてきた、そういうことにつきましては、従来から日米間のいろいろな交渉の場においてそれを主張してまいったわけでございまして、日米構造協議の場におきましても、米側の認識を深めるべく当省としても大いに努力をしてきたわけでございますし、また、今後も努力するつもりでございます。  最近、アメリカ有力自動車メーカーが、日本自動車メーカー系列取引の持つメリットに着目をいたしまして、部品メーカーとそうした契約を結ぶことを原則とし始めたというような情報も我々聞いております。ただ、そういうことで我々も大いにメリットがあり、全体的にフェアではあると思いますけれども、やはり日本流通構造においてわかりにくい面が多いという指摘も、先ほどの公取の外資系企業の半数の中にはそういう意見もあることも事実でございまして、私どもは経済的な合理性透明性内外無差別の扱いをするという観点でのいろいろな検討努力も必要かと考えております。こうしたことから、通産省といたしましては、商慣行改善指針をつくりまして、これを産業界にお示しをして、企業の自主的な、いろいろな行動の改善を図っていただく、それから調達活動につきましても、新規参入が入りやすいように透明性確保などについていろいろ企業方針をつくっていただく一つ方向性をお示しするなどの努力もしてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、我が国流通構造について、諸外国がよく理解をし、我が国企業外国においてそれぞれ異なる流通構造において努力をしておる、そういう努力をむしろ外国企業においてもよく見習っていただいて、我が国流通構造の中に溶け込んでいただければ大いに輸入促進にも寄与するものと考えておる次第でございます。
  11. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 外国企業新規参入しやすいような環境づくりをつくる一方、日本でよいものはよい、日本のよき慣行世界慣行世界の常識になるのではないかと私は思っておりますので、よいものは伸ばし、そして直すところは直し、そしてさらに外国のいいところは入れる、こういった基本方針で臨んでいただきたいというふうに思います。  次に、労働力不足についてお伺いしたい。外国人労働者の問題でもあるわけであります。  現在、人手不足による廃業それから人手不足による納期おくれ、さらに受注の見送り、こういった問題が中小零細企業に大変深刻な問題として課せられてきておるわけであります。この労働力不足で困っている状況について、中小企業庁はどんな対応を考えているのか、御説明をいただきたい。
  12. 高島章

    高島(章)政府委員 中小企業倒産でございますが、御案内のように非常に景気拡大持続をしております。こういう状況を反映いたしまして、倒産そのものは減ってきているわけでございますが、人手不足は非常に深刻でございますので、ただいま御指摘ございましたいわゆる人手不足倒産というものは非常にふえてきているわけでございます。数字をちょっと申し上げますと、六十三年は五十七件でございました人手不足倒産が、元年、昨年では二百四十二件ということでございまして、四倍強もふえたという現状になっているわけでございます。  それでは、今御質問ございましたように、このような中小企業人手不足問題に対してどういう対策を講ずべきかということでございますが、基本的には、大企業に比して魅力が乏しいと言われている中小企業が、やはり根本に立ち戻って魅力ある職場づくりに精いっぱい努力をすることが必要であり、そのために政府としてはそういった努力への支援、助成をしていくべきであろうかと思います。  大きい柱は二つございまして、一つは、やはり大企業に比べてまだまだ人を使うという面では少しぜいたくな点がある中小企業において、合理化とか省力化といった設備投資促進をしていくことであります。もう一つの柱は、やはりこれも大企業に比べましてその差のあることが指摘されております労働時間の短縮だとかあるいは福利厚生面での充実を図っていくといった、労働環境整備を図っていくということが何にも増して大切であろうかと思います。すぐ今役に立たないのではないかという御指摘もあるわけでありますが、新しい若い人たちが働くということはそこで一生を託すということでありますから、一番そのベースになるところに着実な対応をしていくことが肝要であろうと我々は考えておりますし、そのための助成、お手伝いは十二分にしていきたいと思っているわけであります。  それから、今御指摘のございました外国人労働者問題に関連いたしまして申し上げたいと思います。  中小企業におきましても、外国人労働者に対する関心というのは、今申し上げました人手不足現状から非常に高まってきております。我々の調査によりますと、約三〇%の中小企業が、外国人労働者を採用したい、その必要性を感じているという結果が出ているわけでございます。去る六月一日から施行されました改正入管法におきまして、単純労働者受け入れは行わないという従来からの方針はもちろん堅持されているわけでありますけれども、それ以外の者につきまして、実態に応じて在留の資格の整備拡充を行ったところであります。この改正入管法施行状況の把握につきましては今後十分努めてまいりますが、この改正入管法上認められておりますいわゆる研修制度につきましては、中小企業者がこれを積極的に活用できるように、中小企業庁としては十分検討してまいりたいと思いますし、今後とも、法務省とも個別のケースにのっとりまして相談を進め、実を上げてまいりたいと思っているところでございます。
  13. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 私は、外国人労働者受け入れ拡大ということについて、もう少し知恵を出したらいいんじゃないかというふうに思っております。例えば、地方自治体の参加による受け入れ態勢拡大、こういったことを御検討いただけないだろうか。現在、全国の県や市で、姉妹都市とか友好県などの交流が大変盛んであります。大変交流拡大している。そういった多くのケースがあるわけでございまして、現在、国と国との取り決めが中心となっているこの外国人労働者受け入れでありますが、国が認めへかつ相手国の保証が得られる県と県、市と市などの地方自治体受け入れにもっと責任を果たせるように、結果、人材交流が盛んになるような、そういった御検討をぜひ中小企業庁でもしていただくことをお願いをいたしておきます。  時間の関係で次に進みます。  私の選挙区に、静岡県富士宮市というのがございます。そこで、通産省所管貿易研修センターというのがございまして、この移転問題につきまして地元大変不安視をいたしておりますし、困惑しているという現状がございます。そこでまず最初に、貿易研修センターに関して、過去の経緯 や地元状況から見て富士宮に存続すべきではないかと思いますが、そのような状況の中でなぜ移転を考えざるを得なかったのか、お答えをいただきたい。
  14. 堤富男

    堤政府委員 貿易研修センターの件に関してお答えを申し上げさせていただきます。  貿易研修センターを設立いたしましたのは既に二十年前でございますが、最近実は、研修生の減少という傾向が非常に見えております。当初、百二十名という本科コースを設立したわけでございます。現在、定員自身を百二十名から八十名という形で落としてきておりますが、実際にここに入っております人数はわずか三十五名ということでございます。こんなことも反映いたしまして収支状況大変悪化をしておるわけでございまして、六十二年度では四百万円、六十三年度になりますと約四千万円、元年度になりますと三千五百万円程度の赤字が出始めておりまして、現在のままでは、富士宮のキャンパスでの研修事業というのが維持が非常に困難になってきているということを申し上げざるを得ない状況になってきておるわけでございまして、我々としても、大変日夜これについては苦慮しているところでございます。  その背景を考えますと、確かに設立後二十年の間に、貿易業務あるいは貿易に関連した企業人材というのはそれなりに育ってきているという需要面の問題、一方、企業の方は、貿易から海外投資企業活動のグローバリゼーションという言い方もございますけれども、そういうものが進展する中で、どうも研修に対するニーズが変わってきたのではないかというふうにも考えております。そういう環境の中でいきますと、都心からの時間がかなりかかります富士宮での立地条件のもとでは、研修生教授陣、両方の確保が困難ではないかというような状況が分析できるわけでございます。そういう状況下で、我々といたしましては移転を検討せざるを得ないというのが現状でございます。
  15. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 今御答弁いただいた中で、立地的な比較が出されております。  私は実際、東京駅を起点に、その富士宮まで新幹線、乗り継ぎ、そしてさらに手配の車で行く、そういった所要時間と、今お考えの葉山までの、実際汽車に乗り、そしてさらにタクシーを利用しての時間差をはかってまいりました。そうしますと、時間的距離から見ますと、確かに以前は新幹線三島駅から乗り継ぐ必要がありまして時間がかかったということでありますが、新富士駅が設置されてから大幅な短縮がなされている。同時に、逗子駅の前でタクシーを拾うにも、大変混雑状況の中で渋滞時間等々かかると、実質的な時間における有意差、時間的距離による有意差というのはないんだというふうに私は思っていますが、その点どうですか。
  16. 堤富男

    堤政府委員 確かに新幹線を利用した場合の便利さというのは、最近、新富士駅ができて以来増加していることは事実でございます。ただ、いかんせん距離を見ますと、百三十五キロと六十七キロの差、例えばこれを車で行くとした場合の時間差は、当然非常に大きく出てくるわけでございます。一方で、新幹線と横須賀線の便数の差というのを考えますと、これもまたかなりの差があるわけでございまして、そういう意味で、時間的距離という点、やはり私たちとしては有意の差があるような気がしております。  他方、もう一つつけ加えたい点はコストの点でございますが、交通費で見ましても、富士キャンパス往復というのは今二万二千円ぐらいかかるようでございます。湘南村での往復費用というのは五千円ぐらいでございますので、コスト的にも四分の一というようなことも、これも経営をする観点からは大きいのではないかと思っております。  さらに、これは最近の若者の気質なんでございましょうけれども、富士宮キャンパスという大変静かな、研修に合ったところと我々も思っていたわけでございますけれども、どうも研修以外の時間帯の使い方ということになりますと、バラエティーに富んだレジャーを楽しむ若者にとっては、なかなかこの静かな環境ばかりというのでもうまくいかないということもありまして、我々としても大変多方面の検討をした結果、現在の状況を続けることは困難になるのではないかというふうに思っている次第でございます。
  17. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 今両者間の比較の中で、交通費等々の比較もなされました。私は地元人たちとよく話をしているのですが、地元参加の運営をすればこういったコストは十分下げられますし、そういった対応を十分組み入れてのお考えを通産省は出していただきたかったと思っております。  続きまして、貿易研修センター赤字経営とおっしゃっていらっしゃいますが、外国人研修を含めてもっと経営努力をすべきではないかと思います。もう既に通産省としては、東欧諸国から研修生を大幅に受け入れるというプロジェクトを出されている。なぜこの富士宮でできないのか、説明をいただきたい。
  18. 堤富男

    堤政府委員 お答え申し上げます。  貿易研修センター赤字経営ということで、大変過去も努力をしております。従業員の欠員を補充しないとか、研修生の勧誘を強化するとか、受託研修誘致をするとか、施設を貸すとか、大変経営の観点から努力をしてきております。  それから御指摘の点の外国人研修でございますが、これも四十九年以来実施をしておりまして、五十八年には四つのコースを設けているまでに至ったわけでございます。現在までの合計でいきますと、約一千三百三十七名の外国人受け入れ研修をしておりまして、これは日本人との比率でいきますと約四分の一ぐらいの比率でやっておるわけでございまして、決してその二十年間安穏としていたわけではございませんで、それなりの、外国人受け入れたり経営努力をしてきたわけでございます。  東欧の問題につきましては、これはもちろん、予算の区分け、あるいはそれに対する研修のなれというようなことから、海外協力研修センターでやるというのが現状でございます。これが今後拡大する過程であるいはこういうことも可能かとは思いますけれども、現在の予算の体系ではなかなか使いにくい状況になっております。
  19. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 私は、確かに外国人研修も少しずつやられてきたという説明は、今お聞きしました。しかしながら、東欧圏の問題を初めとしてもっと拡大する余地があるじゃないかということを申し上げたいわけであります。  時間がありませんので、次に進みたいと思います。  この貿易研修センターは、湘南へ移転するというお話でございますが、首都圏への一極集中の是正という政府基本方針、大きな基本方針に反するのではないかと私は思っております。今国会における武藤通産大臣の所信表明、この中に通産大臣は八項目中心に通産行政を進めるんだと言っていらっしゃいます。その第四の柱の中に「東京圏への一極集中の是正と地域の活性化であります。この課題に対処するため、工場のみならず研究開発部門、情報処理部門などの産業の高次機能の地方分散を一層促進することとし、」ということで、「地方分散を一層促進することとし、」と高らかにうたっておるわけであります。なのになぜ首都圏の神奈川の方へ行かれるのか、私は納得がいかない。説明をいただきたい。
  20. 堤富男

    堤政府委員 お話しの点は大変私たちにとっても心苦しい点でございます。貿易研修センター、もしうまくいっているのであれば、むしろそういう政策と整合性をとった形での考え方を十分とりたいわけでございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように採算を独立でとっている財団法人でありますし、毎年赤字が続いている状況では、このままでは将来の活路を見出せないという窮状にあることも事実でございまして、これをどうしても打開しなければいけないという観点も、この財団法人にとっては大変死活の問題であるというふうに考えております。  また、確かに一極集中という問題は重要でございますので、通産省としても推し進めていくとい う観点はございますけれども、一極集中というのが東京一極集中なのか、東京圏なのか、首都圏なのかというようなこともございます。今度一応候補に挙がっております三浦半島というのも、三浦半島の中ではやや未開地の丘陵地帯ということでございますので、ある意味で東京一極集中あるいは東京区部の一極集中ということを助長するというようなことではないと思っております。  いずれにしても、現在の研修センターの窮状を考えますと、我々としてもその活路を見出す必要があるのではないかというふうに考えている次第です。
  21. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 なかなかすっきり納得できるような御答弁をいただけないので残念に思います。  時間の関係で次に進みます。  それでは、通産省では他の多くの関係団体をお持ちでいらっしゃるわけですが、なぜ貿易研修センターでなければならなかったのか、逆に東京にある通産省関係団体を移してあげることが国の大きな方針の中で妥当性があるやり方ではないかと私は思いますが、その点いかがですか。
  22. 堤富男

    堤政府委員 これは誘致される側と誘致する側というのがあるわけでございますが、我々としては、これまで富士宮でお世話になっているということも考え、そこでの存続を一つの前提と考えていたわけでございますが、状況が大変苦しくなってきたという中で、さらに地の利のいいところはないだろうかということを考え始めた時期でございまして、一方で神奈川県の方は湘南村を中心といたしまして一つの誘致を考えているということで、両者のいわば希望がたまたま合致したということでございまして、神奈川県の方でも何でもいいというわけではないと思いますし、我々の方でもどこでもいいというわけではなくて、それぞれが真剣に考えた中での一つの歩み寄りというのがこの辺になってきたのではないかと思っております。神奈川県の方の立場を、誘致理由がなぜこれがいいのかということを私の方から申し上げる立場にはないとは思っておりますが。
  23. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 通産省の方に神奈川県の話を聞くのは担当外かという感じもいたしますが、神奈川県はマンモス自治体でございます。同時に、横浜博もされた実力の持ち主がなぜ独自でそのようなセンターをお持ちにならないのか、私は大変疑問に思っているわけであります。加えまして、もう既に第三セクターで学術文化センターというのを設立されておる。そういった受け皿があるのになぜ改めて貿易研修センターを持ってこなければならないのか、非常に疑問に思っているところであります。  時間の関係がありますので、次に進みます。  実は、あの貿易研修センターは、二十万坪ありまして、うち十万坪が貿易研修センターの所有になっております。通産省の御説明では処分並びに売却はしないという方針だということでお聞きいたしておりますが、その経緯、例えば二十年前地元の人が売った、それは業務の遂行のためにということで相場より三分の一も安い値段でお譲りしているわけであります。そういった過去の歴史、経緯がある中で、もしどうしても移転をしなければならないというのであれば、あの土地について地元に返還すべきではないかと私は思っておりますが、いかがですか。
  24. 堤富男

    堤政府委員 おっしゃいますとおり、所有地につきましては、現在貿易研修センター地元財産区から十万坪の土地を完全に所有をして、という経緯がございます。この土地につきましてまだ移転の方針が正式な意味で決まったわけではございませんけれども、移転をするということを決めた途端にすぐに売り出すというようなことをするつもりはないことは申し上げられると思っております。  将来この土地をどうするかという点でございますけれども、地域開発計画が具体化した場合には、貿易研修センターといたしましても静岡県なり富士宮市の地元関係者と十分相談をいたしまして、土地の有効活用を考えていくということは当然のことだと思っております。
  25. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 通産大臣は、たびたび飛ぶ鳥跡を濁さずという言葉をお使いになっていらっしゃる。私はその前にやはりなすべきことがあるんだと思うのですね。地元富士宮の意向を十分考慮してくれる、そして十分酌んでくれるかどうかということ、加えて地元の将来の繁栄と発展につながる代替案提示がなされるかどうか、なされる方が私は先だというふうに思っておりますが、その点いかがですか。
  26. 堤富男

    堤政府委員 お答えさせていただきます。  貿易研修センターの移転問題につきましては、移転先との関係もございまして、あるタイミングでは移転の決定をせざるを得ないという意味におきまして地元との完全な合意が前提条件となるというところまでは申し上げられないわけでございますが、飛ぶ鳥跡を濁さずという考え方で可能な限り地元の御理解を得られる努力は続けてまいりたいと思っております。  貿易研修センターが移転した場合における代替案でございますが、これにつきましては通産省あるいは貿易研修センターといたしましても静岡県あるいは富士宮市との協力も行いながら、地域の活性化なり公益性、国際性、事業性の確保に配慮しながら、しかるべき代替案づくりが円滑に進むよう、我々としても努力をしてまいりたいと思っております。
  27. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 重ねて、地元富士宮との合意ということに最善の努力を尽くしていただくことをお願いをいたしておきます。  もう時間が参ったのでありますが、せっかくきょう国立国会図書館から、武藤通産大臣の本が五冊あそこに入っておりまして、二冊をお持ちいたしましたが、その中の一冊の「対外経済協力への道」という大変博識に富んだ内容のある本を読ませていただきました。せっかく外務省に来ていただいたので、あと一つだけ、質問だけさせていただいて終わりにしたいと思います。  今、ODAに関して発展途上国の国力向上に寄与するというのが大変重要な、そしてテークオフさせるということが非常に重要な課題であります。そのために、ハードとソフトの援助が必要でありますけれども、やはりテークオフには教育水準の向上というのが広く世界的に認識されているわけであります。その目安として文盲率とか非識字者の数というのが挙げられるわけであります。私は教育の普及、それは教科書の全生徒、全児童への配付とか、そういったことがODAの中身としてもっと検討される必要があるのではないかと思っております。特に発展途上国の教育庁なり文部省が認めている教科書を日本または現地で大々的に刷り増しをして子供一人一人に配っていく、そういったことの方が、ハードと同時に大事なのではないかと思うのでありますが、外務省、いかがですか。
  28. 大島賢三

    ○大島説明員 開発援助におきます教育分野の援助でございますけれども、今先生指摘がございましたように、全世界には九億人以上に上る非識字者がいるとユネスコの調査では判明しております。また、小学校に上がるべき年齢にありながら小学校に行っていないという児童が一億人以上いると言われております。  そういうことで、教育分野におきます援助の重要性が言われておるわけですが、従来、我が国の援助におきましても、また、ほかの援助国におきましても事情は似ておるわけでございますが、どちらかといいますと高等教育の分野にやや偏る嫌いがございまして、いわゆる基礎教育に対する教育援助が十分でないということが言われております。これは反省をされておりまして、基礎教育分野においてもっともっと対応を強めるべきであるということでございます。我が国もそういうことで最近は小学校、中学校の建設あるいは青年海外協力隊の派遣によりまして、特に理数科の分野に対します協力でございますとかいうようなことも始めておるわけでございます。アジア、例えば最近でございますとフィリピン、それからアフリカのザンビアとかマラウイ、そういうところで始めておりますが、なお非常に不十分であると思って おりますので、この分野に対する協力をどういうふうに強めていけるかということで国際協力事業団、外務省の中に研究会を設けまして、文部省の人の協力も得ながら検討を続けておるということでございますので、今御指摘のございました教科書の点等も含めましてさらに研究をして拡充に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  29. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  30. 浦野烋興

    浦野委員長 安田範君。
  31. 安田範

    ○安田(範)委員 私は、宇都宮市の大谷町の大谷石材採掘跡地の陥没事故、この問題についてひとつお伺いいたしたいと思いますし、さらにまた加えて、今日の中小企業の経営安定等を含めまして、中小企業問題あるいはまた人手不足対応、こういう問題等について質問いたしたいと考えます。関連をして建設省あるいはまた法務省、それぞれ御答弁いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  初めに、大谷石の採掘跡地の陥没事故の問題でありますけれども、これにつきましては、既に通産省も十分経過については御理解いただいているかと思うのでありますが、ちょっと前置きを申し上げますと、栃木県宇都宮市大谷町を中心にいたしまして賦存する凝灰岩、通称大谷石と呼ばれるわけでありますが、この大谷石は古くから土木、建築用材として採掘をされてきたものであります。この宇都宮地域の採掘場は、昭和四十六年の六月の採石法の改正時までは、国が直接所管をして指導監督を行ってきたわけでありますが、全国的に採石災害が多発をしている、さらにまた大型化をしている、こういう状況の中におきまして、それまでの行政運営上の災害規制を法律上の規制対象とする、さらにまた監督体制の強化を図る、こういうことで都道府県に直接的な規制権限を委譲をした、こういうことで現在はあの大谷地区の石材採掘については、栃木県知事の認可を受けて操業している、こういう状況なのであります。  こういうことで推移をしたわけでありますけれども、大変お気の毒なことに、御承知のように平成元年二月十日に第一次の陥没事故が発生をいたしました。これは面積約三千三百平米、深さが大体二十メートルから三十メートルぐらい、こういう状況があって、さらにまた引き続いて同じく平成元年の三月五日、これは陥没規模といたしましては、面積約六千七百平米、前回のものと合わせますと約一万平米、深さ同じように二十メートルから三十メートル、こういうことで陥没が続いたわけであります。引き続いて、陥没というところまではまいりませんけれども、平成元年三月十八日、面積にしまして六百平米、深さが最大十メートル、こういうことの陥没がずっと続いてまいったわけであります。さらにまた平成二年になりましてから、大型の陥没を来す。こういうことで、崩落を入れますと、四次にわたる陥没が継続をしてまいった、こういう関係であります。  したがいまして、これらにつきまして、地元といたしましてはもちろん、大変な不安を感じている状況でありますし、同時にまた、あの大谷地区におきましては古くから、私ども記憶がありますのは昭和二十九年ごろからでありますけれども、多くの陥没があり、そしてまた人命にかかわった時期もあるわけでありますが、そういうことを踏まえまして、早急にそれの安全対策確保しなければならない、こういう状況に今来ているわけであります。  もちろん県、宇都宮市、あるいはまた当該地区の石材協同組合等々、それなり努力は続けているわけでありますけれども、なかなか復旧に対するめどあるいは具体的な作業、こういうものは進展をしない、こういう状況にあるわけでありますので、この際、一日も早く万全の体制を整えて、住民の安心感を確保する、あるいはまたその地域の安定を図る、こういうことを含めまして、国もあわせて特段の努力をしてもらえないか、こういう意味を含めて質問いたしたいと思うのであります。  それで質問の第一点になりますけれども、まず基本的な認識といたしまして、通産省は今次の陥没に至るまでの経過を踏まえまして、なぜあのような陥没が起こったのであろうか、このことについてどのようなお考え方か、まずお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  32. 深沢亘

    ○深沢政府委員 お答え申し上げます。  今先生の御指摘は、陥没事故の原因についてどう認識しているか、こういう点かと思います。昨年、陥没後、大谷石採取場跡地陥没事故対策委員会が開かれまして、そしてそこにおきまして調査が行われたわけでございますけれども、そこでも言っておりますように、採掘方法が構造的に適切なものではなかったと推定される。それからまた、委員指摘のように陥没地が拡大しているわけでございますけれども、その拡大につきましては、第一次の陥没が周囲の柱とか天盤に影響を与えたために、その傷んでおりました柱や天盤が倒壊して陥没が拡大していった、こういうふうに推定される、こういうふうに事故対策委員会でも調査の結果を中間報告で出しておりますけれども、当方といたしましてもかような認識でおる次第でございます。
  33. 安田範

    ○安田(範)委員 一言で言えば、ただいま言われたように、採石の方法、これについて問題があったのではないか、こういう状況で受けとめられると思うのでありますけれども、いろいろこれから指摘をしてまいりたいと思いますが、そういう状況の中で、今考えまするのに、あの大谷地区を安定した地域にする、こういうことになりますると、今日の大谷地区の廃坑、これについての認識というものが基盤にならなければいけないと思うのです。  廃坑の実態というものを把握するのは非常に難しい。これについては県の議会の方でも随分議論になったところでありますけれども、実は相当前から県としても廃坑の実態を把握しようということで努力はしてまいった。一定の図面というものはできているとは思うのでありますが、この陥没以降私どもいろいろな議論をする中で、今までの廃坑の調査結果を公表すべきだ、こういう主張をしてまいったわけでありますけれども、県当局といたしましては、この図面を公表することによって一層地域住民の不安を駆り立てる、こういうことで公表されなかった経過があるわけであります。  したがって、そういう面からしますと、ある一部は理解できる論理ではありますけれども、今日の状況といいますのは、御承知のようにボーリング調査などもいたしまして、後で申し上げますけれども、県道の下が空洞でありましたり、あるいは一級河川の下が空洞でありました、こういうことが公表されている時期なのでありますから、そういう意味では、県が従前申しておりましたように住民に不安を与えるというようなことでの言いわけはきかないような状況になってきているのではないか、こんなふうに判断されるわけでありますから、そういう面で、やはりその実態はこの際公にすべきものはする、そういう中から一日も早く適切な対応を図るべきであろう、こういうふうに私ども考えるわけでありまして、そういう面から通産省としましては、あの大谷地区の廃坑の実態あるいは図面等についてどの程度把握をされておるのか、この辺について状況、御認識をひとつ承りたい、かように思うのであります。
  34. 深沢亘

    ○深沢政府委員 廃坑の実態についての把握の状況でございますけれども、当省が県等から入手した情報によりますと、坑内掘りによります大谷石採石場の廃坑というのは百七十九カ所程度存在しているというふうに認識しております。ただ、大谷石の採掘が、先生の御指摘の中にもありますように、非常に長い歴史があるということ、それからまた、明治、大正時代ぐらいから坑内掘りも行われ始めてきていること等々ございます。それで、個々の廃坑の深さとか広がりが一体どのぐらいになっているかとか、これは十分に把握できていないというのが確かにその実情でございます。  ただ、廃坑の中に、もう釈迦に説法でございま すけれども、入坑不可能なものが非常に多いわけでございます。地上からその実態を把握すると今努力をしようとしている最中なわけでございますが、非常に困難を伴う場合もございます。したがいまして、重力探査とかそれから地震探査とか、それから従来もやっておりますけれども、ボーリング等の手法を活用しまして、可能な限り正確に実態を把握していく、これが必要だ、これが重要であるというふうに当方認識しておる次第でございます。  それで、通産省といたしまして、県が行っております廃坑の実態調査を支援するために、平成年度補正予算におきまして、県の緊急調査に対しまして補助金を交付させていただいております。それからまた平成年度予算としまして、岩石資源調査費、大体千七百万円程度になりますが、それを計上いたしまして県が行ってまいります実態調査を支援していこう、こういう姿勢、やり方をしておるところでございます。何はともあれ、非常に難しい点はございますけれども、実態の把握ということを行っていくことが緊要の課題だ、こういうふうに考えております。
  35. 安田範

    ○安田(範)委員 今答弁をしていただきましたけれども、実際には、今後の対応ということになりますると実態の把握、これが基礎になるわけでありますから、どうしても一日も早くその実態を把握をしなければならない、こういう御認識はおありのようでありまして、それに合わせて補正予算で緊急予備調査ということで御審議いただいた、こういうことについては私も承知をしているわけでありまして、これについては評価をしているというふうに考えるわけであります。  ただ、私ども考えますのに、それほど広大な、昔の城山村という村でありますから、その中の大谷地区ということでありまして、ある一定の地域、こういうことになるわけでありますから、でき得ればこの際、今の一千七百万という話もありましたけれども、一層財政的な支援も含めて、一日も早い実態調査を完了していただきたいというように考えるわけであります。  一応そういうことで平成年度以降も調査をされるという話なんですけれども、目安としてはいかがなものですか。一応の廃坑の図面をつくろうではないか、あるいはまたひとつ実態を把握をしようという目安についてはお考えございませんか。この辺でひとつしっかりした図面をつくる、そしてその次の段階に移る、こういうことが一番望ましいわけでありまして、そういう面からいかがでしょうか、ちょっと今日の見通しなんかにつきましてお答えいただきたいと思います。
  36. 深沢亘

    ○深沢政府委員 今、県でちょうど緊急の調査をしているところと聞いております。それで、これが七月ごろにはもうそろそろ結果が出てくるのではないかと思いますけれども、要するに、これは今後どういう手法をこういう地区の調査としてやっていったら一番有効であろうか、それからそれがどのぐらいの費用がかかっていくだろうか、それから年間どのぐらいできるであろうか等々考えながら、今ちょうどいわば調査設計を立てておるところでございますと聞いておりますが、こういう動きの中で平成年度の予算として先ほど申し上げました岩石資源調査費千六百万強、千七百万弱ぐらい計上してございますけれども、県が行ってまいります、これから計画的に進められる調査の一環みたいな格好で、これを通産省としましても実質的に御支援をしていく、こういう姿勢でおります。  したがいまして、お尋ねのいつまでにというのは、もう少し県のその調査のやり方等どうするかということを含めての検討ということが必要ではないかと思いますけれども、御指摘のように、調査というのは一日も早くでき上がれば、そういう意味から推進をしなければならないという姿勢においては、当方ともその認識は同じでございます。
  37. 安田範

    ○安田(範)委員 その面につきましてはわかりましたけれども、これからとりあえずは調査の方法をいかにするかということを含めて七月ごろに結論を出したいという話、それから具体的な調査、こういうことになろうと思うのでありますが、今立て坑で穴があいていて中の実態が把握できないというのは二十二カ所ぐらいある、こういうふうに言われているわけであります。しかし、その二十二カ所というのはいつごろ掘ったのかもわからない、ところによってはだれが掘ったのかもわからない、こういうような事情がありますから、非常に困難な仕事であろうとは思いますけれども、ただ、今日の科学技術その他を含めて、ひとつ住民たくさんおるわけでありますから、そういう意味で最大限の努力を払って、まずは廃坑の基礎調査というもの、これを徹底して終了させていただきたい、早急にやってもらいたい、このことをまず申し上げておきたいと思うのであります。  次いでお尋ねいたしますけれども、これまでボーリング調査なんかもやってまいりました。そういう中で出てまいりましたのは、新しく出てまいりました採掘基準、この採掘基準をクリアしない地域が大分ある、こういう状況なんであります。これは御承知のとおりだと思う。  実は、この地域の不安と申しまするか、危険性と申しますか、そういうものを排除するために何よりも大切なのは埋め戻し、言葉をかえて言えば充てんをすること、こういうことに尽きるようでありますが、この埋め戻しの具体的な事業ということになりますると、これは一体だれがやらなければいけないのかということになりますと非常に難しい問題でありまして、今日までの県の機関なんかを通じて議論した経過を踏まえて申し上げますると、まず第一義的には採掘業者、これが責任があるのではないか、こういう指摘がありました。しかしながら、まさに古い歴史を持つ大谷石の採掘場でありますので、この間に採掘業者がいなくなってしまった、目下不明である、こういう場所も相当あるわけであります。したがって、そういうところこそ非常に調査が難しいということになっているのでありますが、そういうところも非常に多いということで、採掘業者に埋め戻しの義務を負わせるということは非常に困難ではないかという議論がありました。  それではどうするかということになりますると、次に指摘をされるのは地権者だという話になってまいりました。地権者は確実にいることはいるわけであります。それで、県の方の考え方、これは通産省考え方もそうではないかと思うのでありますが、この採掘跡の埋め戻しについてはまずは、行政が直接埋め戻しをするということではなくして、採掘業者あるいは地権者にその責めを負わせる、こういう方向でずっと一貫しておったわけでありますが、実はそれは言葉の上あるいは議論の中での、論理的と申しまするか、そういうことでは話としてはわかる話なのでありますが、現実の問題としてはそれは全く現実に即さない、こういう状況があるわけであります。採掘業者がいなくなったのは、わからないのですから当然なんですが、地権者にその責めを負わせるということになりましても、地権者はその廃坑を充てんするだけの、あるいは埋め戻しをするだけの財力は全然ない、こういう状況が今、大谷の実態だ、こう理解をしてよろしいかと思うのであります。  同時にまた、地権者といいましても、確かに現在は、百坪、百五十坪ぐらい購入をいたしましてその上に家を建てた、それも確かに地権者なんですけれども、その人が土地を購入したときには下が廃坑になっているなんというのは全然気がつかないで買って家を建てた、こういうことですから、その人は現実には今は地権者に違いないのですけれども、この人に埋め戻しの責任を負わせようなんていったってこんなことは現実に合わないことは御理解いただけると思うのであります。そういう面からしますると、今までの議論というものはやはり一つ線を引いて、この際、行政でも何らかの関与をせざるを得ないんじゃないのか、こういうふうな考え方が私に持てるのでありますが、この辺の考え方はいかがでしょうか。
  38. 深沢亘

    ○深沢政府委員 廃坑になっているもので採掘基準をクリアしていないものが出てきておる、それに対する充てん等に対する考え方はどうかという ことだと思いますが、廃坑の実態調査が進んでまいりますにつれてその辺のところの事情がかなり明らかになってくると思いますけれども、その採取場の跡地のうちで、認可されました採取計画に違反しているようなケースが例えばあるのだろうと思います。そういった場合には採掘を行った業者に対しまして採石法によりまして、これは充てんということも一つのやり方になり得る場合があると思いますけれども、そういったものを含めて、災害防止のために必要な措置をとるべきことを知事が命令するということが可能でございます。したがいまして、こういった厳正な運用ということもやはりまず原則ではやっていかざるを得ない。その点についての指導をこちらとしましてもやっていきたいと考えておるところでございます。  それで、第一義的には採石業者、それから土地所有者がという先生の原則論的な御指摘もあったのですけれども、まずそういう対応をする場合に、例えば平成年度補正予算によりまして、これは財団法人でございますけれども、大谷地域整備公社に基金が創設されました。それで、この採石業者なり土地所有者が行います充てん等の安全対策事業に必要な資金を例えば市中から借り入れをするような場合、この基金が中心になりまして債務保証を行うことができるようなシステムがスタートしておるわけでございます。だから、いろいろケースがあると思いますけれども、可能な限りこういうような制度の活用ということが前進するといいと思っているところでございます。  しかし、それにしましても、先生指摘は、危険な廃坑というのを放置していいのだろうか、こういう御指摘なんだろうと思います。この廃坑の危険性等につきまして、実態調査の結果が今まだきちっと出ておるわけではございませんので、明確に申し上げることができないのですけれども、例えばこの実態調査が精力的にずっと進められまして、それから観測システムなんかが完備されまして、それによりまして、例えば陥没の危険が切迫し、住民の生命に危険が及ぶと判断されるようなケースになりますと、これはやはり県、市におきまして避難命令、立入禁止等のいろいろ具体的な措置がとられていくのだと思いますが、いずれにしましても、それ以外のケースも含めまして、この実態調査の結果を踏まえまして、陥没地域の安全対策につきましては、やはりこれは県等とも具体的な相談をまた受けさせていただきながら対応の方法ということを考えていかざるを得ないだろう、こう思っております。
  39. 安田範

    ○安田(範)委員 大変短い時間なものですから、いろいろ触れたいことはあるのですが、触れられなくて困ってしまう話なんですけれども、ただ、今お話ございましたように、とりあえず廃坑の実態というものを把握できてから、これからの話になるようであります。  ただ、今基準がクリアされていない、いるの話が出ましたけれども、実際には昭和四十六年が一つのポイントになるわけでありまして、それ以前は届け出、それ以前は事後届け、こういう状況でありまして、そのクリアすべき基準などというのはなかったわけですね。そういう時代に掘られた坑道、これについては後になって基準に合わせるという形になっておるのですが、実際には掘られた後でありますから、合わないのは当たり前なんです。しかし、そういう合わないところが危険区域だということになりますると、しかも採掘業者がいなくなってしまったというような状況になりますると、それではだれが安全を確保するのかということになりますると、これは整備公社ができたことは私も承知をしておりますけれども、整備公社だけでそのことに十分対応できるのかということになりますと、これまた非常に困難な状況があると思うのであります。  基金の設立についても、県の方で七億五千万ですかいろいろ基金等も拠出を願った、こういう経過にあって、これも感謝を申し上げているところでありますけれども、ただ、今後将来にわたってあの大谷の地域をきちんとした安全な地域にするという立場からしますると、歴史的な経過がありますから、これではなかなか十分だとは言い切れない。今現実に生きている山といっては悪いのですが、採掘を続けている事業場、これについては十分に基準を適用させるということで、強い指導も何でもできるわけでありますけれども、それ以前の問題となると非常に難しい面が出る。そういうことになりますると、住民の安全やそういうものを勘案した場合に、これはもう手をこまねいたり、あるいは手を引っ込めているような状況ではない、こういうふうに私は判断せざるを得ないのです。したがいまして、国あるいは県において積極的なこれに対する取り組み、特に、技術的には当然でありますけれども、財政的な面におきましても可能な限りいろいろ研究をされて十分な対応をしていただきたい、このことを強く申し上げておきたい、かように思うのであります。  それで、お聞きをいたしておきたいのは、今基準になっております技術指針というものがあります。これは東京通産局で作成したものでありますけれども、あの技術指針というものは大分膨大でありまして、これがそうなのでありますけれども、これをずっと見ますると、いろいろ今日までの経過とかあるいはこれから採掘をする方法等々について詳述されております。これは結構な話だと思うのですが、ただ、指針というものは一体どういう性格なのだろうか。言うならば法的な裏づけ、あるいはもしそういうものが実施をされなかった場合に行政としては何をすべきか、あるいは行政としてやらなければならないことは何なのか、こういうことについてもこれは法的な裏づけというものが感じられないのですね。あくまでも指針でありまして、こうしたらいかがでしょうか、こうしなさいよという一つ方向を指し示したもの、こんなふうに認めざるを得ないのですけれども、それ以外に大谷の採石については採石法が対象になる。これだけの話なのですね。採石法と技術指針だけなのですね。したがって、ただいまのような大型の陥没が起きたりなどしますると、それをどのように担保をし、そしてそれを解消していくかという問題についての責任が明確でない、こういう問題が出てきているわけであります。  この辺が非常に問題なのでして、一つは、技術指針というものの性格は一体何なのか。同時にまた、これがもし不完全であるとするならば、法的な後ろ盾と申しまするか、あるいは自治体にとっての義務的な条項であるとか、あるいはもちろん採石業者は採石業者としての責任というものを明確にしていかなければなりませんけれども、そういう何らかの制度的なものが必要になってくるのじゃないのかな、こんなふうに考えるわけでありますが、いかがでしょうか。所見を承りたいと思います。
  40. 深沢亘

    ○深沢政府委員 御指摘の大谷石採石技術指針につきましては、この背景等につきましては時間等の関係もございますので申し上げませんけれども、御指摘のように法的な拘束力を有するものではございません。まさに技術面から示唆、助言をしている、そういう性格のものでございます。本当でございますと、こういう指針というのは地域なりそういったいろいろな岩石なり周囲の状況なりに応じてそれぞれみんな違うべきものなのかもしれません。こういった指針という場合には、私どもでつくっております、またこのケースでいきますと東京地方採石技術委員会というところで検討し、発表されている、こういった指針というものにつきましては、ある意味で一般化した議論でございます。やはりどうしてもその地域、地域に応じてどういうものでなければならないかということにつきましては、もっと詳しい議論というか、そういったものが必要なのだろうと思います。  県におきましては、内規等を踏まえまして、またいろいろな考え方、それから採石業者の方々の考え方もありますでしょう、そういったものを踏まえていろいろ内規などをつくりながら、具体的には採石計画の認可とかそういった中で具体的にケース・バイ・ケースでそれぞれのケースごとに判断している、こういうことになろうかと思います。  回りくどくなってしまいましたけれども、この技術指針というのはそういったものに資するように、全体的に広い立場から見てどういうような問題があるか、どんなふうに考えていったらいいであろうかという広い立場からの、大変恐縮でございますけれども、法的拘束力を持つものではない、技術面からの示唆、助言というものでございます。
  41. 安田範

    ○安田(範)委員 それはわかりました。ただ、大谷の採石場の現状からいたしまして、採石法でなじむのか、将来とも安全性を確保するという意味でなじむのかということになりますると、非常に懸念されるべき面が多い、こういうふうな印象を強くしているわけであります。  したがいまして、例えば採石法の一部改正であるとかあるいは鉱山保安法、こういうものの適用を受けるとか、いろいろな方法があると思うのです。そういう面において、あの地域は、全国にもあれほどの大規模な地下採掘場というものはただ一カ所、こういう状況だというふうに聞いておりますものですから、そういう面では特殊な地場産業ということにもなりましょうけれども、これからも地域の安全あるいは地域住民の不安を解消する、こういう意味で何らかの制度的な裏づけといいますかな、そういうものが必要ではないかというふうに強く考えるものですから、この辺については、大臣もちょうどお見えになったものですから、ひとつ今後十分に検討をしていただくというような方向でいかがなものか、こう思うのです。大臣、せっかくですから……。  それと、先ほどずっと議論してまいりまして、大谷の緊急予備調査ということで所定の御支援をいただいている。これについては平成年度の予算においても組まれている。このことは承知をしているのですが、実際問題としては、大型の調査であったりあるいは事業の問題もあるものですから、平成年度の予算だけではなかなか困難ではないか。同時にまた、国の方から県と同じように七億五千万ずつ出しまして基金を二十億ほど造成しましたが、これは市も出しておりますから二十億になっているのですが、その二十億の基金、そしてその果実約一億円、これの使用方法というものは観測システムの管理運営、こういうことになっているわけでありまして、これだけでは、今もし地域の整備公社が充てんをするという場合には債務保証もしよう、こういうようなことなものですから、そういう面ではこの基金というものも、やはり現状から見て二十億ではちょっと不十分ではないかというふうに考えられるわけなんです。したがって、今後財政的なものも含めて、今の法的な問題、これについて大臣からひとつお答えをいただければというふうに思うわけであります。
  42. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 大谷石の陥没事故というのは、地元では本当に大変なことだと私も承っております。  お話のように二十億の基金で今やっておりますけれども、これはとりあえず平成年度の補正予算で組みましてやっただけの話で、発足したばかりでございますから、これから将来のことは何とも、事実関係、実際どれだけそういう面にお金が要るのかも私わかりませんけれども、本当に足りないときは、やはり基金をより充実していくために国からも出さなければならないと思いますし、あるいはまた、今お話のございました平成年度に引き続いて平成年度においても栃木県がまだまだ調査をしていかなければならないということであるならば、それに対しても国が助成をするというのは当然だと私は思っております。その点は、もしそういうことであればその財源の確保にはでき得る限り努力をいたしたいと思います。  なお、法律の関係でございますけれども、今御指摘のは、どういう点が今の採石法だけで不十分なのか。まあ今度の陥没事故によって採石法の施行規則も一部改正をいたしまして、将来の廃坑に向けて配置図なんかを全部出すようにしたりいろいろやっているようでございますから、少なくとも、この一月にこれはまだ改正しただけでございますから、やはりせっかく改正をいたしましたので、一遍それの運用を見ながら、なおかつこれでも不十分というときにはまた次の措置を考えていき、場合によれば法律改正も必要かもしれないと思いますし、そういう施行規則だけでいけるのかどうか、その辺も将来の問題としては、要は、こういう事故が起きないように、あるいは将来そういうところが廃坑になったときに本当に地元でお困りにならないようにするということは当然のことでございますから、それに必要ならば法律改正なりあるいは施行規則なりいろいろ変えていくというのは私は当然のことだと思っております。
  43. 安田範

    ○安田(範)委員 ぜひ、今後の問題として十分期待をさせていただきたいと思うのです。  ちなみに、こんなことがあっては困るのですけれども、ちょっとお知らせをしておきたいと思うのですが、昭和二十七年からの統計なんですけれども、陥没事故は無数にあります。それで、人命に関する事故も発生をしておりました。昭和三十五年には死亡、重傷一名。その死亡者は通行人、中学一年生が道路を歩いていて陥没のために亡くなった、こういうような事例もあるわけであります。そういうことも幾つかありまして、ともかく大谷地区で労働災害ということで死亡事故が八十七件あるわけですね。加えまして、休業ということで休まなければならない、これが五千二十二件も発生しておるのです。非常に、こういう事態から見ますると、あの大谷の石材採掘場というものは、よその石材採掘と違った様相を呈している。こういうことについても御認識を深めていただいて、今後、人命はもちろんでありますけれども、財産等の保全等につきましても万全を期す、こういうことで、ひとつ復旧のためにも最大限の御理解をいただきたい、このことを申し上げて、大谷の関係については終わらせていただきます。  時間が非常に少なくなりましたので、実はきょうは、建設省の河川とそれから道路と両方の方々がいらっしゃっているような話でありますが、いろいろと話もいたしました。先日もいろいろお話を申し上げましたが、率直に申し上げまして、管理は、県道あるいは一級河川でありますけれども、知事の管理ということになっておりますから、知事の所管ということになろうかと思うのでありますが、しかし建設省側としましても、あの県道あるいは一級河川の下が、ボーリング調査の結果空洞だということが明らかになっているわけでありますから、周辺の民地の空洞の部分と、十分にそれらを見きわめながら、お互いにそこだけ、言うならば県の所管だけ、あるいは建設省の所管だけ充てんをするというわけにはいかないような地域的な条件というものは私どもは承知をしておりますから、そういう意味では、周辺の空洞地域というものと並行して安全対策を強化をしてくれるように、これは特に強調しまして、御理解をいただいて、この質問についてはいたさない、こういうことにさせていただきたいと思うのであります。よろしくどうぞお願いいたします。  あと少々しか時間がございません。中小企業問題についていろいろと考えておったわけでありますが、残された時間の範囲内でお答えをいただきたいと思います。  この委員会でも先ほど御指摘がありました今日の労働力の不足、その労働力の不足というものが日本経済を支えている中小企業に大変な影響を及ぼしている、これはもう御承知のとおりでありまして、この状況から考えまして、中小企業が非常に前途真っ暗、こういうようなことが指摘できると思うのでありますが、特に、私ども経験の中で、景気浮揚対策ということで前倒し公共事業の発注、こういうようなことをやった時期も数年前にあるわけであります。そのときに、受けた自治体でも大変このお金が多いということでてんてこ舞いをしましたり、あるいはまた業者自身もこれは受けられないというような事態があったわけであります。  そういうようなことから判断しますると、今日の人手不足状況に加えて、今度は御承知のように日米構造協議、こういう中で出てまいっております十年計画の、まあ四百五十兆になりましょうか、五百兆になりましょうか、その辺は定かでは ありませんけれども、言うならばトップレベルでこの公共事業を四百兆、五百兆、こういうことで決めたにいたしましても、それを消化するだけの労働力というものがあるのかどうか、きちんとそれが消化できるのかどうか、私は、今日の状況から見ますると、極めてこれは困難なわざではないか、こう判断せざるを得ないのであります。  したがいまして、今後の労働力、特に、日米構造協議の中での公共事業の投資、これと絡んで労働力の提供が可能なのかどうか、あるいは事業を消化することが可能なのかどうか、この辺について最後に承っておきたいと思うのであります。これは大臣からひとつお願いします。
  44. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私の方はもう質問は来ないかと思って、えらい失礼いたしました。  今の日米構造協議の公共事業の関係で、それはこれから十年間のことでございますから、どういう形になっていくのか。例えば、建設省も来ておられるようですが、いろいろ工事をやっていくにも、省力化ということもこれからもっと進んでいくでありましょうし、今のままで人手間が、同じような一つの単位に対して同じ人手間が要るとも限らないと私は思うのでございます。その点は、当然これは省力化が進んでいくと思うのでございます。  そういうことがあってもなおかつ大変じゃないかというのはよくわかるわけでございますが、これは正直、今どこまで詰まっているか、いろいろやっておりましても、金額の方だけ先に進んでしまっておりまして、あの公共事業は一体土地の価格が入っているのかどうかということさえはっきりしないわけですね。だから、例えば土地の価格が入ってくるというと、私は、相当数量的に制限されるんじゃないかなあという感じもしているわけでございまして、なかなかその金額というのは一体どういう――いわゆる金額だけ本当に先走っていろいろ言われておるものでございますから、まだまだそれはこれからの問題だろう。いずれにしても、そういう形で具体的に十年間の一つの目標が最終的に固まりましたときには、当然労働力の問題もかみ合わせながらいろいろ細かい点をやっていかなきゃならないと思っております。
  45. 安田範

    ○安田(範)委員 時間が終わりましたのでこの程度にいたしますけれども、実は、大変失礼なことをいたしましたのは、法務省にも労働力の問題で、特に外国人労働者の問題等について、今日の中小企業の窮状からいたしまして何らかの打開策があるのではないか、こういうことを含めて意見を申し上げたりしたいというふうに考えまして御出席をいただいているはずなんですけれども、その時間がございませんので、次回に、ひとつその辺につきましては十分質問させていただく、こういうことで御了承いただいておきたいと思うのであります。  いずれにしましても、昨日来、いろいろな説明会なんかも含めまして、今日の中小企業人手不足、これはもう目に余ると申しまするか、聞くにたえないような今日的な状況があるわけでありますけれども、この中小企業が今日の日本経済成長を支えてまいったということからしますると極めて緊急な問題だ、こういうふうに私どもは理解せざるを得ません。この問題等についてさらに一層当局の御努力をいただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  46. 浦野烋興

    浦野委員長 渋谷修君。
  47. 渋谷修

    ○渋谷委員 先般の通産大臣の所信表明に対する質問の中で、大店法問題を中心にしながら御質問を申し上げたわけでありますが、そのときに、アメリカにおける例えば大きな店舗の出店についてはどういう取り扱いがされているんだろうかということで御質問申し上げまして、多分通産省の方も調べているのではないかなということから資料などをお願いしたわけでありますが、一般にはなかなか出していないということで、この質疑の中では大まかなものしかないという話だったのですけれども、早速通産省の方からお持ちいただきまして、こういう立派なレポートが実は上がっておりまして、聞きましたら、昨年の十月ぐらいから企画をして、十一月ですか、十二月ですか、アメリカに人を派遣して調査をされておったということであります。  当然大臣の方もこの内容についてはレポートの報告があったと思うのですが、アメリカでもそういう大きな店舗あるいは大規模な開発について自由気ままにできるというわけじゃありませんで、当然土地の利用規制、いわゆる一般にはゾーニングといいますが、ゾーニングという観点から商業の立地などについても調整が行われている。調整法といった大店法のような法律はないということでこの前お話があったわけでありますが、この本の「初めに」のところに、「ゾーニング制度にもとづく商業施設の出店規制」という表現などもあるわけであります。  このことについては大臣の方も、アメリカでもそういうぐあいにして行われているんだということでの御認識をいただいたと思いますし、現実に、出店計画からその大型店が開店するまでに二年かかる。あるいは私の方で調べたこの前申し上げた事例でいえば、五年もの歳月を要して出店される。したがって、日本だけが大店法があるために出店手続がおくれるということではないんだということだと思うのですね。したがって、こういうレポートがある以上、当然日米構造協議におきまして、アメリカとのやりとりの中でそういう主張も多分されたんではないかなというぐあいに思うのですが、それらについてもう一度お伺いしておきたいというぐあいに思います。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  48. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘ございましたアメリカの制度でございますが、アメリカの場合は、そのレポートでもございますが、やはりゾーニングということにつきまして、日本の都市計画法なりあるいは農業振興地域の整備に関する法律、その他自然公園法、いろいろな開発規制法がございますが、その体系に比べますと、ゾーニングという感じがちょっと強いようには確かに報告の結果からも見受けられます。ただ、その場合、アメリカの場合は、大規模店というだけじゃなくて、ゾーニングの場合すべて、例えば劇場をつくるにしてもサービス産業関係の施設をつくるにしても、どこはやはりいけないとかそういうようなゾーニングは、若干日本に比べて大規模店も含めて厳しい対応がある。それを大規模店に着目して私ども調べたものですから、いかにも大規模店についてというふうになっているかもしれませんが、全般的なそういう制度になっているわけでございます。  日本でも、御承知のように、例えば第一種住専地域はこういう建物をつくってはいけない、あるいは自然公園区域ではつくってはいけないとか、いろいろな規制がございます。その規制の考え方について開発規制法では若干考え方が違う、そういうふうに受けとめております。かつ、向こうの、アメリカの運用では、法律の建前からいっても、既存中小小売業者からの直接な意見を聞くという体系というより、やはり地元の公聴会という立場を通じて中小小売店の方々も意見を言っておられる、そういうふうに理解しております。
  49. 渋谷修

    ○渋谷委員 今お答えもありましたし、また他の国の事例をここで長々と申し上げていくつもりはありませんけれども、フランスでは日本の大店法よりもさらに厳しいロワイエ法といった法律があります。都市計画委員会の決定イコール命令でありまして、そこには地域住民もあるいは地方議員も入りまして、行政当局も入って、それで審議をいたしまして、その決定イコール命令、こういう厳しい法律もありますし、あるいはその他のイギリスやイタリアや西ドイツなどにおきましても、決して大型店が野放しではないのですね。  日本ではたまたま今日米構造協議でシンボリックに大店法問題が取り上げられまして、話をはしょって申し上げますと、大店法については来年法改正、その改正案を提案いたしまして、二年後には一部地域においては適用除外、つまり大店法を廃止していく、廃止した後どうなるんだろうか、どこでも気ままに大型店が出てこれるのか、野放 しになるのかと地域の中小小売業者心配しているわけであります。この辺について、大臣の御見解を伺っておきたいと思うのですが。
  50. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 諸外国との比較のお話がまずございました。これは、アメリカとヨーロッパの国では、いわゆる流通に対する従来の形態が相当違っていると私は思うのであります。どちらかというと、ヨーロッパ各国は中小小売商を中心とした流通形態であり、アメリカはどちらかというと大型店を中心とした形態で流通形態がずっと来たと思うのです。その辺も、やはりそういう背景がございますから、それぞれ法律も違うのではないかな。特にアメリカの場合には、今ゾーニングのお話もございましたが、私の承知しているのは連邦法ではなくてそれぞれ州法だと思うのでございます。そういう面で違いがあり、しかも今お話のありましたように、その州法のゾーニングというのは、いわゆる都市計画の中で、こういうものはいいよ、こういうことはいけないよとか、ここはこの程度にすべきだとか、そういう都市計画における調整が主体の法律であろう、いわゆる大店法のような形の法律ではないと私は思っております。  それはそれといたしまして、一体今後どういう方向で行くのかということでございますが、私、前から申し上げておりますように、今回の大店法の関係は、一つはやはり従来の法律の目的にもございます消費者の利益を配慮する点が、同じ目的の中にある中小小売商の事業の確保を図るということとこう見ますと、どちらかというと中小小売商の事業を確保するという方にややウエートが置かれておったのではないか。もちろん消費者のことも考えてはいましたけれども、どちらかというとウエートはそちらに置かれておったのではないか。これからはこの同じ目的を解釈する上において、解釈は何も変わらないのでございますが、ウエートの置き方を、私どもは中小小売商のことも当然考えていかなければならないけれども、同時に、今まで以上にこれからの日本の行政というのは消費者を重視した行政をやって、そして国民の生活を質的向上を図っていくということが大変大切になってきたということだけはぜひ御理解をいただかなければならないんじゃないか、こう思っておるわけでございます。  そういう観点から、今の運用改善、あるいは将来の法改正もそういう観点から私は進めていきたいと思っておるわけでございまして、いろいろ今御指摘ございましたが、来年の通常国会においてはぜひ御審議を願いたい法律案をこれから詰めていきたい。場合によれば私は新法もお願いをしなければならない。そして、大体この間から申し上げている中身というのは、いわゆる従来の商店街はどちらかというと横の長い商店街であった。これは私はぜひこれからは縦に長い、空間を利用した商店街にし、そしてできるだけ多くの土地利用ができるようになり、駐車場その他の、あるいは都市公園とか文化施設とかいろいろなものを兼ね備えた商店街というものをつくっていくことがその地域の発展あるいはその地域の住民の皆さんにプラスになるのであり、また同時に、小売商におかれましても、私は、中小小売商の大型店と違ったものは、いいものを非常に持っておられると思うのです。例えばアフターケアというような面は、大型店よりずっと中小小売商の方が、心の通った商売をやっておられますから、そういうアフターケアなんかは大型店より中小小売商の方がいいと私は思うのです。そういういい面はこれからもぜひ持続をしていっていかなければいけない。  しかしまた、一面、消費者から見ると非常に選択の幅が欲しいという希望が多いわけですから、そうするとやはり中小小売商だけではその点は十分にそれに対応できない。そういう点で、大型店と中小小売商がうまくかみ合っていくような商店街が今後でき上がっていくのならば非常にいいことではないかな、こんなふうに思いながらこれから詰めていきたい。特に、これは地方の公共団体の御協力も得なければなりませんし、そういう考え方でまいりますと、場合によると建設省の従来の都市再開発との関連で進めなければならぬ点もあると思いますから、今どこまでを通産省独自でいくのか、どこはあるいは建設省と一緒になっていくのか、あるいは建設省が主体となってやっていただくのか、あるいはどこまで地方公共団体に中心になっていただくのか、今詰めている最中でございまして、大体そんなような方向に持っていったらいいのではないかと思っているわけであります。
  51. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣から、来年の通常国会に大店法の改正案、さらには新法も考えているというお話がありましたが、それについては後ほどもう少し詳しくお話を伺いたいというぐあいに思っているのですけれども、その前に、日本では大店法があるために調整手続が、例えば一つの表現で言いますと五年もかかって仕方がない、十年もかかるというような議論が行われているわけですね。審議官、そもそも大店法本来の手続からいけば一体何カ月で、例えば私が出店者だとすれば、建物設置者、三条の届け出をしましていわゆる大店法の法律どおりでいけば何カ月で出店できますか。
  52. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 大店法の手続では何カ月というようなことはきちっと決めておりませんが、ただ、三条の届け出をしていただいてから何カ月はそこで小売業を開設してはならないという規定がございまして、そういう意味での最低待っていただく期間の明示はございます。それから後、勧告、命令の期間につきましても、勧告は四カ月のうちに、それから場合によっては四カ月延長して八カ月のうちにということになっておりまして、命令はそれにあと一カ月、そういうのが大店法で定められた手続でございます。ただ、スムーズにいった場合は、今申し上げましたような手続でいきますと、極端なことを言えば一年以内で、問題が起こらなければ十分手続ができるわけでございます。
  53. 渋谷修

    ○渋谷委員 審議官、三条の件については三カ月と言いましたか――七カ月でしょう。いや、訂正はいいですよ。七カ月間は建物を設置をしましてその中での商売はやることができませんという制限があるわけですね。ですから、三条の建物設置者の届け出と、五条の営業者の届け出というのは実は法律的にはこれは別個です。ですから、三条の建物設置者の届け出をやりまして五条の営業者の届け出を一緒にやることだってできるのです。いずれにせよ、三条の建物設置者の届け出がありまして、七カ月間はその建物の中で商売をやることができないという制限があるだけでありまして、七カ月過ぎたらそれに対する一切の制限がないのです。その中で商売をやる小売業者の方は、今言いました手続でいいますと勧告期間、行政が勧告できる期間が四カ月ということで定められておりまして、さらに四カ月延長して八カ月ですね、命令であと一月、ですから、短ければそれこそ八カ月後には、やろうと思えば出店できるんですね。  実は、この前のやりとりで、なぜこんなに延びるのか、手続がかかるのかというやりとりがありました。私はこれは大店法によるものじゃないということを申し上げたわけです。大店法の本来の手続ではもっと短く出店できるわけですから、なぜ延びるのだということを申し上げまして、ちょっとやりとりの中で、後から他の委員からもやゆされまして、大分私憤が質問の中にまじっているんじゃないか、そんなことを言われましたのでちょっとそのことを申し上げておきますと、実際の調整手続の中でいろいろと疑惑が生じたり、それこそ出店工作資金として札束が乱れ飛んだりということがあるわけですね。  広島県のフジという大型店の出店問題については、実はこの委員会でも取り上げられたことがありますから、私の方で調べて、実は亡くなりました塩谷代議士と一緒に広島まで行きまして、自民党の県会議員を経験された方です、商調協委員になっておりました。その商調協での出店調整問題に当たりまして、商調協委員のところに出店者が菓子折りと一緒にお金を持ってきたんですね。菓子折りをあけてみましたら封筒が入っていまして、お札を数えたら三十万あった。冗談じゃない ということで突き返した。これは塩谷さんと一緒に行って聞いたんです。その後、広島通産局とのやりとりをやりましたけれども、小売業者が行きまして非常に不明朗な商調協の運営じゃないか、菓子折りを持って、お金を持っていくなんてけしからぬ。そうしたら、これは私が直接話を聞いたわけですが、広島通産局は、お金を持っていったという事実はない、事実をどうやって確認したんだ、出店者から聞いた、じや菓子折りは持っていっただろう、菓子折りは持っていったようであります。それはおかしいじゃないの、それは訪問するときの日本的な儀礼の一つでありますということで通産局は答えた経過があるのです。これはここで、委員会で問題になったのです。そんなことは改めて繰り返して申し上げません。  あるいは静岡の場合もそうですが、今回の通達のかかわりもありますけれども、商調協の委員の中に、例えば利害関係人として出店者と取引のある方がいる。これについては今度の通達ではどんな規定になっていますか。
  54. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 取引のある利害関係人は、私どもとしては御遠慮していただくのが基本だと思っております。通達の中で明確には規定はしていないかと存じますが、運用では、できるだけそういう場合は審議から外れていただくようにということを言っております。
  55. 渋谷修

    ○渋谷委員 今の審議官の御答弁でいいのですね。利害関係のある人は商調協の審議あるいは手続の透明性確保するという点からいって、これは排除しなければならない。本来はそうですね、大臣。ところが、今度の通達でも、「利害関係を有することが判明した場合には、当該委員をその調査審議に参加させないものとする。」ということで、各項目がありまして、一番最初に出てくるのが「大型小売業者への専属的納入業者」とあるのです。この専属的納入業者というのは一体何ですか。
  56. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 専属的というか、主としてその納入業者が当該大型小売業者に納入しておるということでございまして、私どもとしては、ほぼ五割以上納入しておれば専属的納入業者と考えられるのではないか、そういう運用を現場ではお願いをしておるところでございます。
  57. 渋谷修

    ○渋谷委員 今お話がありましたように、商調協の審議、ここは一番重要な透明性をいかに確保するかということが一番問題になっているにもかかわらず、専属的納入業者でなければ商調協の審議には参加できるのですよ。そうでしょう。五割以上であれば専属的納入業者だけれども、例えば売り上げが十億で、その出店する大型店と三億の売り上げだったら、専属的納入業者じゃないからいいのでしょう。そういうことですね。
  58. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 そういう意味で書いております。
  59. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、こういうことで果たして審議の透明性というのは確保されますか。
  60. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私も実は概要だけで、細かいところまでは見ていなかったのですが、正直、できる限り商調協のメンバーというのは極力いわゆる第三者的な立場にある人の方が私は望ましいと思っております。ぜひそういう方向でということで指示をしたのでございますが、今お話を聞いておって、それは売上金額によってそういう形になっているというのは、私も実は細かいところまで承知をしていなかったのですけれども、ひとつ私も検討してみますが、通達を出してしまったわけでございますから、できる限りこれから運用の面で、少なくともそういう金額によってではなくて、やはりあくまでもその人が多少関係があっても、少なくとも公正な立場で判断できる人であるかどうかということでメンバーを選んでいただくようにすることは、私は今の通達の中でもできると思いますから、できる限りそんなような指導をひとつさせていただきたいと思っております。
  61. 渋谷修

    ○渋谷委員 この件は何もきょう改めてここで議論するという話じゃなくて、それこそあれほど混乱した静岡のケースでも、商調協委員の中に取引業者がいて、そういう議論の中に専属納入業者という問題があって指摘をしたのですが、一体何が問題なのか。その方の学識経験はとても豊かで、行政も判断してそのとおりだ、幾らそう言ったって、地元で直接その問題にかかわる中小小売業者が、例えばそういう利害関係人がいる、半分売り上げがあるかどうかなんてそれは行政の決めた話で、自分たちにはわからない話でしょう、取引があるということは。それで取引があるということがわかった、おかしいじゃないかという議論になったときに、当然その商調協の調整手続に対して文句言いますね。混乱する原因になりませんか。  これ以上この問題についてのやりとりはしませんから、せっかく大臣からお話がありましたので、このことはひとつやはり検討していただきたいのです。  余り時間がありませんので後の問題に移りたいと思うのですが、先ほど来大臣も消費者の利益という言葉を何回かお使いになりまして、この前の御答弁の中でも、大型店が本当に消費者の利益につながり、中小小売商が本当に消費者の利益につながらないならば、これはやはり中小小売商の皆さんには反省をしていただかなければなりません。もちろん、その後言葉をつなげまして、中小小売商に対する配慮のお話もいただいているわけでありますが、こういう議論を見ましても、消費者利益ということがこの問題についての非常に重要なキーワードになっているんですね。ところが、消費者利益とは何ぞやということについてきちんと詰めていない。定義がないんです。消費者利益とは何ぞやと事務当局にこの前宿題を出しました。これについて、ひとつわかりやすく箇条書きで御答弁いただけますか。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 確固たる定義というものは大変難しいと思いますが、私どもの大店法を考えるに当たって基本としておる頭の整理を申し上げますと、やはり消費者ニーズは多様だと思いますが、一つは、商品の価格品質、それから品ぞろえ、サービスのよしあし、それから、買い物の時間的距離的便宜性といったようなものが消費者の利益のまず基本的なところだと思います。ただ、最近ライフスタイルの変化等によりまして、消費者ニーズはますます多様化しております。そういう意味で、現在は消費者は選択の幅を一層広く求めるという傾向にございまして、それを私どもとしては強く考えなければいかぬかな。そういう意味で、大型店も含め、中小小売店も含め、それぞれのよさなりニーズへの対応の能力をそれぞれ発揮していただいて、両方相まっていくことが消費者の選択の幅を広げることになると思っております。  なおかつ、さらに、最近というか、これからより考えなければいけないこととしては、消費者も地域生活者でございますので、買い物に合わせましてさまざまな時間的、空間的アメニティーを求める、それに対してどう考えるかという問題もございます。そういう意味で、周辺の交通渋滞の問題、あるいは町の中における位置づけなりそういうのも含めて、商店街というものを含めたものが一つの広い意味での地域生活者、消費者ニーズだと存じ上げる次第でございます。
  63. 渋谷修

    ○渋谷委員 今、審議官のお答えの中で地域生活者という言葉を使っていただけましたので、非常に評価をしたいと思うのですが、これはなかなか熟していない言葉でありまして、一般には消費者であるとかあるいは地域住民であるとかという言い方をするのですが、消費者ということになりますと、これはまさに生産、流通、消費ということで、経済用語の中で一方的受け身の立場で位置づけられた言葉でありまして、そうではない、まさに生活者ということで、地域の中で生活するその人たちの利益ということを一体どう考えるのかということで、実は今、大型店の問題もそうですが、議論を整理するべきであろうというぐあいに私は考えています。  大型店が出店するときに大体標榜しますのは、消費者の利益のため。自分の会社がもうけるためというのはなかなか露骨に言いません。消費者の利益のため。行政の側も幾つか、例えばこの大店法の問題絡みで施策を打ち出すときに、あるいは 大臣の所信表明の中にも、消費者利益ということがどうしても頭から出てくる。今お話しいただきましたように、消費者利益をどう整理するかということはいろいろ議論がありましょう。しかし、少なくとも今幾つかありました価格――もちろん物は安ければそれにこしたことはないわけでありまして、しかし安かろう悪かろうというわけにはいきません。品質の問題が大事です。さらには、例えば子供たちがいて地域で生活をしている生活者の立場でいえば、買った品物が安全でなければなりません。食料品なども含めて安全ということも大事でしょう。しかし、安全か、あるいは安いか、品質がよいかということはその商品に対する情報がなければいけません。ですから、情報がきちんと的確に提供されるということも、まさに地域生活者の利益ということではとても大事な話であります。もちろん消費行動にとりましてコストが安い、つまり、先ほど言いました距離的時間的という問題はそのことですね。このことも大事なことです。  さらには、例えば宮城沖地震のときにもありましたように、地震がありました、スーパーは従業員が働いていますから、棚から物が落ちてつぶれちゃってすぐ物を売るなどということはできない。地域の商店は、近所の人たちがトイレットペーパーを買いに来る、あるいは石けんを買いに来る、そういうことについては対応できるという、そういう意味での日常品を常に供給できるという安定供給ということは地域の生活者にとってはとても大事な話であります。  また、最近ではやはり環境の問題というのが大事でしょう。例えばスーパーは、消費者のためにじやなくて、みずから企業の利益のためにトレーという品物を載せる皿をやめるわけにはいきません。ラップでくるんで売らざるを得ないのです。規格化して統一して売らざるを得ないのです。これはごみの問題でしょう。どう処理しましょうか。一般小売店だったらまだ、もちろん同じようにパックして売っている場合もありますけれども、はかり売りでもあるいは小分けにして売ることもできるわけですね。こういう環境の問題、ごみの問題だけじゃありません。駐車場の問題やその他の問題があります。こういったことも消費者利益の中には位置づけられるべきだろうというぐあいに思います。  そのほかに、余り演説ばかりしていてもしようがないのですが、大型店が出ることでまさに地域に与える影響、経済面で与える影響があります。これは一言のやりとりだけでいいのですが、スーパーが一日売り上げを上げますとその売上金がありますね、審議官。その売上金は一体どう処理すると思いますか。
  64. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 大変恐縮でございますが、ちょっと質問の御趣旨がよくわからないのですが、売り上げを処理するというか、売り上げがあれば、もしスーパーが幾つもあるとすれば本社全体で総合的な売り上げになり、かつ総合仕入れをしているとすれば総合仕入れがあり、それに対して諸経費を引いてという計算というか、そういうことを各社がやるんだろうと思います。ちょっと御趣旨がわかりませんので恐縮でございます。
  65. 渋谷修

    ○渋谷委員 質問が唐突でまことに申しわけなかったのですが、その日の売り上げは銀行を通じてその日に本社に送金しますね。町の小売店だったらどうしますか。もちろん銀行に持っていくかもしれません。都市銀行を使うかもしれませんけれども、信用組合や信用金庫や地銀に預けるというケースが多いのですね。  私は何を言いたいかというと、スーパーで売り上げたお金というのは、売り上げてその日のうちに本社に送金されて、つまり地域では資金循環しないのですよ。地域の小売商が一生懸命働いて、半年先、一年先、これから商売やっていくということになれば店舗改装にも回るし、町で生活していますから生活費にもお金が回る、資金循環するのですね。確かに大きな店舗ができて町が発展したように見えますけれども、その実、そこで大型店が売って年間何十億円という売り上げをいたしますけれども、その分は、地域に落ちるお金もありますけれども、パートの賃金だとかそういう部分で落ちる部分もありますが、ほとんどの部分というのは中央に吸い上げられていくのです。その意味では地域経済の地盤沈下につながるのですね。  この議論を余りやっておりますと時間がありませんから、そういったことも含めて、地域に与える影響ということを総合的に考えた形で地域生活者の利益ということを定義するといいますか、考えるべきだろうというぐあいに私は思うのですね。  大型店が出る場合に、それでは今個々に申し上げましたすべての点を満足させて出るのかということになります。例えば、一番最初に問題になりました価格の問題でありますけれども、これは東京の地婦連が調査をした価格調査ですが、もちろん全部がという乱暴な話は申し上げません。大臣、青果物については小売店の方が全部安いのです。スーパーが全部高いのです。ちょっと表が小さくて見えないと思うのですが、それこそ、各一キロでありますけれども、キュウリ、ナス、トマト、キャベツから始まりまして全商品、小売店の方が安いのです。もちろん全部がというわけじゃありませんよ。食肉関係なんかでいえばスーパーの方が安いというのはあります。あるいは特売品、これは東京都の生活文化局が調べた中でも、特売品でも小売店の方が安いというものがあるのですね。  そのほかいろいろ資料はありますが、価格ということ一つとりましても、かつてはスーパーは、登場したときは価格の破壊者、消費者の味方ということで登場したわけでありますけれども、今は、マスコミの報道ではもちろんですが、学者などの話の中でも決してスーパーは安くないということになっているのですね。そういう面でいいますと、スーパーの出店イコール、例えば価格という問題についていえば、決して消費者利益を増進させるあるいは消費者利益にプラスになるということにはならないというぐあいに思うわけです。幾つかの項目がありましたからそのある部分では確かに消費者利益を増進させるかもしれませんが、ある部分ではマイナスになる、そういう意味でのバランスシートを考えながら大型店の位置づけというものをしていくべきではないか。  それなのに消費者はなぜ大型店というぐあいに言うかといえば、多分あるのはワンストップショッピングという先ほど言いました消費行動のコスト、この便宜性、あともう一つはスーパーの持っている、かつての目玉商品での安売りということでの神話です。スーパーの商品はみんな安いという神話です。行政がそれに加担しては絶対にいけないのですよ。ましてや中小企業行政にかかわるところがそういう神話に加担する形で、大型店は消費者利益を代弁し、中小小売商を守ることは消費者利益に反するなどということを例えば末端の行政のレベルで行ったのでは、中小小売業者はとてもじゃないけれども浮かばれないというぐあいに思うのですが、このあたりで大臣の御答弁をいただいておきます。
  66. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 渋谷さんの話を聞いていて、何も大型店を育成するために大店法の改正をやろうと思っているわけじゃないので、ちょっとこの点誤解のないようにお願いしたいと私は思うのでございますね。ですから、消費者のことを考えるということは即大型店を進出させるということではないということ。私は先ほども申し上げましたように、中小小売商の皆さんの方がより消費者のことを考えておられるところも現実にあるわけですから、そういう心のこもった取引というのはなかなか大型店ではできない。中小小売商の方がかえって、特に地方へ行ったら、ああ何屋さんのおやじさんとか何屋さんの奥さんとかいって親しく話をしながら商売をやれるというのは日本のいいところだと私は思うのですね。そういうものを私はこれからも育てていきたいと思っているわけです。決して大型店だけを育てようとかそんなことは全然考えておりません。  ただ問題は、消費者にとりまして、そういうものもいいけれども、やはりたまにはきれいな店で買いたいという消費者の心理もあると私は思うのです。そうすると、先ほど申し上げた、今の商店街、今大分活性化しつつありますけれども、地域によっては昔ながらの非常に古い商店街で、そして、後継者がなくてもう夕方六時になってしまったらみんな店が閉まってしまうというような、そういうようなところは果たしてその他域の住民の皆さんのためになるだろうかということを例えば考えれば、もう少し何かそこは改革をしなければいけないのじゃないかということであります。  いま一つ、先ほど私ちょっと答弁で触れましたけれども、やはりいろいろのものを選択したいという消費者の意欲というのは今非常に強くなってきていると思うのです。自分で選びたいという物に対する選択、こういうものに対しては中小小売商だけではなかなか不十分であって、そういうものにとってはやはりある程度大型店の方がより多くの選択の幅を持たせることができるんじゃないだろうか、商品を並べるにおいて。ですから私は、こんなことを考えると、今度は大型店とその地域の中小小売商の皆さんがなるべく一緒になっていけるような、共存共栄ということを一番考えていく、今度の大店法の改正においてはその辺を一つの重要な視点として考えて改正に取り組んでいきたいと実は思っているわけでございます。
  67. 渋谷修

    ○渋谷委員 時間がほとんどなくなってしまいましたので、あとはまた箇条書きで申し上げますので、これは事務局の方でできればメモにしていただけますか。  一つは「地域経済社会との調和等の観点に十分配慮して」という、これは通達の方です、通達の方にあるのですが、大店法では調整四項目しかないのですね。ところが「地域経済社会との調和」云々というと、先ほど消費者利益の話もしましたけれども、これは相当幅広い話です。具体的にどうするのか。通産省の権限を越えた話だってあるじゃないですかということも言えると思うのですが、この件が一つ。  それから、通達の中に、チェーンストア協会等に出した中に、嫌がらせや過大な出店はやめなさいよといった趣旨のことがあります。これは過去に例えばそういう事例があってこういった通達の内容になっているのではないか。大臣がいたところで本当はやりたかったのですが、それはいいでしょう。  あと、小規模市町村です。小規模市町村が前は自粛を指導するということになっていたのですが、この部分消えましたね。ところが、消えたのですが、相当水準に達している都市あるいは小規模市町村については、これは一体今度の他の地域における指導とどう違うのか。これはちょっと今答えてもらいましょう、この部分は。  それからもう一つ輸入品の問題です。輸入品というのは一体何かということをきちんと定義づけてもらいたい。というのは、通達はありますけれども、輸入品とは何ぞやということは出ていないのですね。これがやはり大事なところだと思います。  それからもう一つ輸入品については百平米までの店舗は「おそれなし」としてこれを認める。先ほど言いましたように、大店法は調整四項目ということで、おそれあるやなしやというところが一番大事な、この大店法の基本的な部分です。おそれあるかどうかということは、まさに大店審に図り、大店審が幾つかの手続を経まして、おそれあるという場合には勧告をするという法律の手続になっておるわけですね。ところが、五百平米以上が調整対象面積なんですが、五百平米の店舗に百平米といったらえらい話でしょう、大きさといっても。そういう意味で、この百平米を「おそれなし」ということで輸入品だけなら認めるという話は、通達は本来法律の範囲内で出すべきの話でありますけれども、これはどうも法律の範囲を超えている。率直に申し上げまして、私は立法権の侵害だと思っています。法改正案も何にも出さずにこういった形での通達を出すのはおかしいというぐあいに思っています。  これらを申し上げまして私の質問は終わりますが、今申し上げました相当水準、小規模市町村の問題と輸入品のところだけ御答弁いただいて、あとは事務当局から資料をいただくようにいたしますので、よろしくお願いします。
  68. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 第一点の小規模市町村あるいは相当水準市町村でございますが、私どもとしては今後ともこういう制度というか、そういう市町村を分けてその他の市町村とは別の運用をするという枠組みは残すということでございますが、届け出の自粛指導をする、届け出を受け付けないというような点は、法律上いろいろ問題もございます。アメリカからも批判もございます。そういう意味で、枠組みは残しますが、制度としては地元の御意見を出店予定者に伝えるということにいたしております。かつ、その後、届け出を受けた後に地元において、あるいは市町村、商工会、商工会議所等において、あるいは事前商調協での審議は、他の地域に比べて厳しい対応が行われるということは十分あり得ることだというふうに考えておるわけでございます。  それから、輸入品の定義につきましては、輸入品としてというか、通関されたものをということでございますが、あと解釈通牒というか、そういうようなものは私ども今持っておりますが、基本的に輸入品、その当該物品の価値を変えない、抽象的に申し上げますとその程度のもので、基本的に価値を変えるような加工をしたものは除くという程度の定義でございます。後でそのあたりの解釈についてもう少し詳しいところを御連絡申し上げたいと思います。
  69. 渋谷修

    ○渋谷委員 ありがとうございました。
  70. 浦野烋興

    浦野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  71. 浦野烋興

    浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大畠章宏君。
  72. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。私は今回、産業廃棄物の問題と電力の問題について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に廃棄物の問題でありますが、いわゆるごみであります。このごみの問題、非常に社会的な大きな問題になってまいりまして、最近ではマスコミですとか新聞ですとかいろいろな形で取り上げられております。このごみの問題で重要なことは、ごみをどう処理するか、結果論としてどう処理したらいいだろうという、そういう問題もありますけれども、やはりごみをいかに減らしていくかということが大変私は重要な課題じゃないかと思うわけであります。  その具体的な対策一つとしては、最近とみに目につくわけでありますけれども、例えば商品の過剰な包装、もういろいろの商店街に行きまして商品を見ましても、本当にこれだけ包装するのが必要だろうかというぐらいにたくさんのこん包といいますか包装がされております。これは消費者の方がそういうものを好むということかもしれません。あるいは消費者ニーズに合わせて製造する方でもやっているのだということかもしれませんけれども、行政として、また私たち政治に携わる者として本当にあの状態を見過ごしていいのだろうかという感じがしているわけであります。そしてそういうものはほとんどが廃棄物、ごみということになりますので、結果的にはそのごみを行政が処理しなければならない、言ってみれば国民の皆さんから預かった税金を使って処理するのに一生懸命対応しているというのが実態だろうと思います。  そういうことで、ごみになるものは大部分のものが海外から輸入されたりしているわけでありますので、地球の自然環境の保護の立場からも、日本として過剰包装対策とかあるいはなるべく資源をリサイクル化していくこと、これは大変重要なものだと考えております。  そこで最初に、これはどのセクションになるかあれですけれども、日本におけるごみの発生量、それから現状、それから今後どうなるのだろうかという、非常に漠然とした質問でありますが、そのことについて現在どうなっているか、そういうことについてお伺いをしたいと思います。
  73. 坂本栄治

    坂本説明員 お答えいたします。  我が国のごみの発生量でございますが、昭和六十年代以降増加しておりまして、昭和六十三年度には前年度を三・九%上回る過去最高の四千八百二十八万トンを記録しております。これは家庭から出てくるごみとか事業所から出てくる、いわゆる一般廃棄物と言っておる部分でございます。これの比重を〇・三と仮定いたしますと、東京ドーム約百三十杯分ということでございまして、前年度に比較いたしますと約五杯ほどふえておる、こういうことでございます。  ごみの増加の原因でございますが、オフィスオートメーション化に伴いますコピー用紙等の紙ごみの増加、それから使い捨て容器等に用いられておりますプラスチックの増加、それから消費の旺盛化に伴います廃家電製品の増加等、多岐にわたる原因が考えられております。  ごみの処理の基本は、先ほど先生おっしゃいましたように、まず焼却だとか埋め立てだということでございますが、ごみの減量、再資源化というようなことが大変大事じゃないか、かように考えておるわけでございます。現在ごみの約七〇%が焼却処理されておる、こういう状態でございまして、今後ともごみの減量、再資源化を推進するとともに、必要な施設の整備に努めることによりまして適正処理確保してまいりたい、かように考えております。
  74. 大畠章宏

    ○大畠委員 概要についてはわかりました。  次に質問で、これは日本特有だと言っているのですけれども、過剰なこん包対策ですね。これを単に、先ほど私申しましたとおり、消費者が求めるからそのニーズに合わせてやっているんだ、そうしないと今の商売上の競争に勝てないということで、消費者と提供側のニーズに合った形の状況をそのまま認めていいのだろうかどうか。アジアの問題あるいはヨーロッパの問題、アメリカの問題、いろいろな資源の問題ですとかあるいは価値観の問題がありますが、日本だけが過剰な包装をしてそういう状況を続けているということが世界のモラル上許されるのだろうかという感じがするのです。このこん包といいますか包装については欧米ではどういう対応をしているのだろうか、あるいはそういう状況を見て、これからの包装といいますか、こん包はどういう形で指導していこうとしているのか、そこら辺をあわせてお伺いしたいと思いますし、また資源のリサイクル化という問題もございます。資源のリサイクル化ということも後ほど質問いたしますので、まずこん包対策についてお伺いしたいと思うのです。
  75. 南学政明

    南学政府委員 例えば欧米諸国のデパートにおける包装の現状でありますが、贈答品に用いられるような特別な包装サービスは商品の売買とは別建てになっておりまして、消費者が希望するような場合に別料金でこのような包装を行っているのが一般的であると聞いております。  我が国の包装の現状につきましては、先生指摘のように基本的には消費者の生活様式あるいは価値観を反映したものになっているという面もあろうかと思いますし、また何が過剰であるか判断するのは極めて難しい面があるわけでありますが、御指摘のように、ごみ処理の円滑化あるいは省資源の推進といった観点から、過剰包装による弊害が生じないよう、我々としては関係方面とも相談しながら適切な対応を図ってまいりたいと考えております。  なお、紙のリサイクルという観点からお話し申し上げますと、包装紙の需要というのは紙の需要の中でごくごくわずかな量でございますが、この分野におきましても最近再生紙の利用というのが一部の百貨店で行われつつあります。最近消費量が急増し、かつ分別回収がほとんど進んでいない問題の分野というのは情報用紙の分野でありまして、この分野については分別回収、再生紙の利用というのを進めるべく政府が一丸となって今努力をしておりますし、関係業界にも働きかけを行っているところでございます。
  76. 大畠章宏

    ○大畠委員 今こん包の問題でいろいろありましたけれども、私も商店、デパートとか何かに入りましても必ず厳重に厳重にやってくれるのですね。それで、今お話があったようにラッピングコーナーをきちっと設けて、本当に贈答品とか何かにする場合にはそちらでやってください。そのかわりサービスでなくてお金を取ってもいいと思うのですよ。その分、ただの包装紙というのはないわけですから、ラッピングしたり何かするサービスには必ずお金が入っていまして、結局それが商品といいますか値段に入っていると思うのですね。だからラッピングしない分だけ、例えば安くするとか、そういう意味でも、とにかくそういうラッピング要りませんよと言うと少し安くなるとか、あるいはどうしても必要な方はラッピングコーナーに行ってくださいという習慣づけを指導すべきだなと私は思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  77. 南学政明

    南学政府委員 御指摘のように、過剰包装防止のためには消費者の理解と協力を得ることも極めて重要でありますので、先生指摘の点を踏まえて今後どのような対応をすべきか、大いに勉強してみたいと考えております。
  78. 大畠章宏

    ○大畠委員 ぜひそれを検討していただきたいと思います。消費者も、例えば包装でなければ三%安くなりますよというような話でもすれば、それは包装要りませんわ、こういうことになるかもしれませんので、ぜひそういうものを含めて検討していただきたいと思います。  それからリサイクル化の問題でありますけれども、資源のリサイクルというのはヨーロッパではかなり進んでいるという話がございます。そういうことで、欧米ではどういう形で資源のリサイクル化が進んでいるのか、現状と、これから日本ではそういうリサイクル化を進めるためにどういうことをやろうとしておるのか、そういうことについてお伺いしたいと思います。
  79. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 資源のリサイクルの問題でございますが、現在地球規模での環境問題の議論が高まっておる中でございますので、できるだけ廃棄物を再資源化するということが大事な考え方であるというふうに思っているわけでございます。  特に、我が国のように資源を大部分海外に依存している場合には、資源の有効利用という観点からもこれを進めなければいけないということで、通産省といたしまして廃棄物の資源化のための対策を従来から講じておるところでございますが、今後とも再資源化のための技術開発を進める必要がある、あるいは個別の廃棄物についてのリサイクルを進める必要がある、また先ほど御指摘ありましたような啓蒙、普及というような、消費者との接点における努力も必要だというふうに思っております。  また、御質問の、諸外国はどういうふうにしておるかということでございますが、実態として紙、段ボールあるいはガラスについてどのくらいの回収率かというデータが手元にありますので披露させていただきますと、我が国におきましては、紙、段ボールが大体四八%の回収率になっている。これを上回る国といいますとスウェーデン、オランダ等でございまして、そのほかの国はこれよりもずっと下回った回収率になっている。例えばアメリカは二八・五%という数字でございます。ガラスの回収の数字を見てみますと、我が国は五四・四%という数字でございますが、これを上回る国はオランダが六二%という数字がありますほかは、いずれもこれを下回っているということで、この二つについて見ますと、我が国は諸外国よりはまだ回収が進んでいる段階ということかと思いますけれども、さらに一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  80. 大畠章宏

    ○大畠委員 今リサイクル問題で日本は諸外国に比べてかなりきめ細かな対応をしているというお話がございましたけれども、私もそういう傾向で あるというのは承知しております。  ただ、最近リサイクルがしにくいものがどんどんふえているというお話に移らせていただきたいと思いますけれども、いわゆるワンウエー容器、使い捨て容器がどんどんふえてきていますね。最近話題になってきているのは、例えば一升瓶というものがだんだん市中に回らなくなった。一升瓶というのは町内会なんかでもみんな集めてそれを廃品回収業の方に引き取っていただくということで町内会の費用とか何かしてたというところなんですが、最近はその廃品回収業者の方が一升瓶を引き取ってくれない。どうしてかというと、見に行ったら一升瓶がその廃品回収業者の方の倉庫にごっそりある。どうしてですかと言ったら、メーカーの方がとってくれないのですという話が出ています。では、なぜその一升瓶のニーズがなくなってしまったのかというと、いわゆるプラスチックの使い勝手がいいような容器が出回ってきまして、しょうゆでもお酒でもそういうふうになってきていまして一升瓶というもののニーズがなくなったという話なんですが、これがどんどんふえてくるんじゃないかと私は思うのですね。  結局、それは廃棄されてごみになってくるわけなので、いわゆるワンウエー容器と言われておりますけれども、この問題についてこれからどうされようとしているのかなと思うのですけれども、このワンウエー容器に対する現在考えていらっしゃること、このままこの現状を何ら手を加えないでいいんだろうかと私は非常に危惧しているのですが、この問題についてはどうでしょうか。
  81. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 リサイクル容器、リサイクル可能な容器一般についての普及を図っていくということは大変重要な政策であるというふうに思っております。そのような観点から、通産省といたしまして、例えば回収された瓶を洗う装置があるわけでございますが、これにつきましては税法上の特別な優遇措置を講ずるというような措置を講じまして、できるだけそういう設備が普及するようにという対策をとっているわけでございますが、このようなことを通じまして、資源の有効利用という観点から、できるだけ容器についてもリサイクルが進むようにということを考えておる次第でございます。
  82. 坂本栄治

    坂本説明員 使い捨て容器の増加というのは、散乱ごみの原因ということのみならずごみの増加の一因として大変困った問題だというふうに考えております。  厚生省では、従来より、清涼飲料水に用いられる使い捨てプラスチック容器の用途拡大を自粛するように関係業界を指導しておりまして、例えばペットボトルにいたしましても一リッターより小さいのは出回ってないわけでございます。かつまた、昨年の十二月に経団連を初めとする三十六団体に対しましてごみの減量、再資源化の推進について要請を行っているところでございます。  また、散乱ごみの問題につきましては、住民意識の向上が重要な問題と考えておりまして、春には環境美化行動の日、秋には環境衛生週間等を設けまして、公園、海岸等の空き缶の一斉清掃、住民の啓発活動等を推進しておるところでございます。  今後とも、ごみの減量化を推進する方法について事業者責任のあり方等を含めて引き続き検討してまいりたい、かように考えております。
  83. 入谷盛宣

    ○入谷説明員 環境庁では、リサイクル、特に瓶のリサイクルに関連いたしましては、環境保全に役立つ商品を推奨する仕組みといたしまして、環境庁の助言と指導のもとに財団法人の日本環境協会がエコマーク事業を実施しておりまして、リターナブルな瓶に「ちきゅうにやさしい」「何度も使える瓶」という言葉の入ったマークをつけて国民に推奨するという制度をとっております。  それから、リサイクルの推進のために、これは先ほど来先生が御指摘のように国民の消費生活、行動様式に深くかかわりのある問題ですので、環境庁としては環境に優しい暮らし方を広く国民に普及していくという観点から環境教育を推進しておりますが、その一環として、昨年「環境にやさしい暮らしの工夫」という冊子を取りまとめまして、その中で日常生活で実践できるようなさまざまな工夫を示すとともに、日常生活での取り組みを支えるような社会システムについても提言を行っております。  それからさらに、ことしの五月に環境白書を閣議決定して発表したところでございますが、過剰包装の自粛とかリサイクルの推進、環境に優しい商品の選択といったようなことについて具体的な提言を行っているところでございます。
  84. 大畠章宏

    ○大畠委員 今それぞれのセクションからこの問題についての取り組みのお話がございましたけれども、要するに利便性とその結果の後始末との綱引きみたいなところがあるのですけれども、それぞれお願いしたり指導したりということだけで本当に今のプラスチックの使い捨て容器の対策ができるのかなという感じがするのですね。例えば、アメリカの方ではもうプラスチックの使い捨て製品を規制する法案が自治体レベルで続々と提案されるというようなことが報道をされております。またヨーロッパの方では、最近では使い捨ての容器に対しては大変高い税金がかけられて、製造する方も買う消費者の方も自然とリサイクルできる容器の製品を買うようにしているということが報道をされているわけでありますけれども、日本でもう一歩踏み込んで、例えばヨーロッパで主流になってきておりますリサイクルできる容器の方が安く消費者の手に入るというような、国の指導をちょっと越えますけれども、法的な対策、製造をする方も消費者の方も自然にリサイクルできる容器の方を購買する、そういう工夫をそろそろすべきではないかと私は思うのですけれども、この問題、いかがでしょうか。
  85. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 先生指摘のリサイクルの必要性ということにつきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように認めるところでございますが、今お話しのような法的措置をとるかどうかということにつきましては、さらにまた慎重な検討が必要ではないかというふうに思っております。いずれにいたしましても、リサイクルが適切に進むように幅広い検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  86. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本に来ているアメリカの御婦人の方なんかは、最近ではお店に行ってもプラスチックの容器のものではなくて瓶の容器のものをください、そういう話をしながらジュースを買ったりしているという話も聞いていますので、これは国民の方の意識も大変重要な課題だと思いますので、含めてぜひそういう検討の開始をお願いしたいと思います。  それから、ちょっと缶のお話になりますが、最近町の中でも缶が大変見受けられます。廃品回収業といいますか、焼却炉で作業をされている方から、焼却した後に缶がたくさん入っている、それでその処理が大変なのだという話を聞いているわけでありますが、すなわち缶には、缶はくずかごへ、とか、ごみかごへ、こう印刷された缶が随分目立つのですが、その作業の方は缶はごみじゃないんだと言っているんですね。缶はごみじゃないんです、缶は缶なんです、ごみと缶を区別してください。したがって、駅とかあるいは町の中でも普通くずかごはありますが、缶入れの容器ですとかに区別をして捨てていただきたいというような形の国民の皆さんに対する指導といいますか、そういうものもこれから大変重要な課題だと思うのです。  その缶について、そういう指導とともに缶のあけ方ですね。いわゆプルリングという方式のものがありますけれども、これが大変自然環境とか人間も傷つけているということがいろいろ言われております。既にアメリカの方では、州によって違うところがありますけれども、アルミ缶なんかはほとんどステイオンタブといいますか、そういう感じのものにしているということなんですが、日本においてはプルリングをできるものからステイオンタブの方に切りかえさせるべきだと私は思うのですが、この件についての現状を教えていただきたいと思うのです。
  87. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 御指摘の飲料缶のふたでございますけれども、我が国の場合にはプルリング方式ということで引き上げてあげる方式で、それが散乱をいたしまして環境に悪い影響を与えるのではないか、今委員からこういう御指摘でございますけれども、我が国メーカー並びにこれは基本的に缶をお使いになるユーザーたるボトラーの意向というのが非常に強いわけでございますけれども、一部のボトラーにおかれてはそういうことで導入しているということでございます。飲料缶は全体で約二百五十億缶ございますが、このうちの一%以下くらいが今御指摘の押し込み式のふたという状況で、アメリカではこれが九〇%くらいという状況になっております。他方、押し込み式のふたにつきましてもいろいろ問題点がございまして、例えば衛生面でどうかということで、あけるときに押し込むということでごみが中に入るのではないかというような点あるいは強度の点で非常に問題があるということもございまして、現段階で一概にこの押し込み方式に移行させるというのは必ずしも適当だとは言いがたいのではないか、こういう感じがするわけでございます。  いずれにいたしましても、環境上の問題あるいは消費者がどう考えるかというのも大事でございますし、またメーカーあるいはボトラーの考え方もございましょうから、ボトラーを所管する関係省庁とも相談いたしまして、そういった全体の観点を今後検討していく考えでございます。
  88. 大畠章宏

    ○大畠委員 今衛生上の問題等の話がございましたけれども、それはほとんど理由にならないと思うのですよ。缶をあけたってみんな結局口をつけて飲んでいるわけですし、そういう低次元の答弁をするようではまだまだだめですね。例えば調べてみますと、缶は約二百億缶あるのですね。その九五%はプルタブになっておりまして約百九十億個。例えば一個のプルリングが〇・五グラムとすると、計算すると何と九千五百トンのものが捨てられているのですね。これはアルミニウムがどのくらいかわかりませんけれども、全部アルミニウムだとすれば九千五百トンというアルミニウムになって大変な資源になっているのですよ。そういうことで既にアメリカ等では、例えばコカ・コーラでありますとかビールでありますとかほとんどそういう方式になっておりますし、今御指摘になった二つの理由をベースとして、適切じゃないと思うなんて答弁をすること自体がもう意識が古いと思うのですよ。もっと重要な段階になっていますので、この件については、そういう意識ではなくて、環境の問題ですとかそういう問題を含めてぜひとも積極的に対応すべきだと私は思います。まだ何か答弁したいようなそぶりでございますけれども、時間がないので申しわけないのですが、にこにこされておりますので、大体その方向でやってくれるのではないかなと思いますので、ぜひもっと積極的にこの件については対応していただきたいということを要望して次の質問に移らせていただきます。  次は電力の問題でございますけれども、これから夏を迎えまして、毎年夏になりますと電力が大変心配になってまいります。いつぞやは停電したこともございまして、あれは操作ミスからだということなんですけれども、ことしの夏の電力のピークと夜間電力というのは、ピークはどのくらいあって夜間電力はどのくらいなんだろうか、その見通しを少し教えていただきたいと思うのですが。
  89. 牧野力

    牧野(力)政府委員 まず、今先生指摘のピークとボトムの差でございますが、昨年の最大電力を記録いたしましたのは八月二十二日でございますけれども、これが一億二千八百万キロワットでございます。その日の夜間が五千七百万キロワットということで、ピークとボトムの差が二・二倍ございます。なお、年間を通して一番低かったのは冬、これは一月でございますが、これが三千九百万キロワットでございますから、大体夏の一番高いところと三倍ぐらいの差があるということでございます。  さらに御質問でございますが、ことしの電力の需給でございますけれども、現在平成年度の電力供給計画というのがございます。これに基づいて今見ていますと、最大電力が一億三千四十九万キロワットということでございますが、それに対する供給電力が一億四千三百三十三万キロワットということで、千三百万キロワット弱の予備力、大体九・八%くらいの予備率がございます。この予備率は、従来偶発的な事故が起こるかどうかというのを統計的に確率で計算をして、大体予備率が八%から一〇%ぐらいあれば、よほどのことがない限り需給は大丈夫であるということでございます。なお、ことしの気温の状況等にもよりますけれども、まず私どもとしては大丈夫であるというふうに現在のところは考えております。
  90. 大畠章宏

    ○大畠委員 ことしになって私も雷を何回か聞いておりますが、落雷して送電線がストップしたとかそういうことを考えたり、あるいは発電所も必ずしもずっとパーフェクトに発電できないでトラブルもございますし、ダウンすることもありますので、そういうことから考えると、町の中では最近では病院では電気メスで手術していますし、またいろいろなシステムが電気を組み込んでありますので、停電なんかあると大変なパニックになりますので、ぜひともそういうことが起こらないように、通産省の方としても、資源エネルギー庁の方でも努力をして乗り越えていただきたいということをお願いしたいと思います。  ところで、今、夜間電力と昼間の電力とのかなりのでこぼこがありますが、私は電力供給能力をふやすように努力するとともに、昼間のピークをどうやって下げたらいいか、そういう努力も一方では非常に重要なものだと思います。そういうことでは、例えば昼間必ず使わなければならないというものじゃないものは夜間に使用してもらう、そういうことも環境として整えることが一つだと思いますが、そのためには、例えば今、電気温水器なんかを夜間安くしていますので電気温水器は大分使われていますが、それと同じように、夜間電力をもっと安くすべきじゃないかと思うのです。例えば電話でも最近は夕方になりますと安くなりますので、遠くへは夜かけてくださいとかありますが、それと同じように、昼間は使わないで夜の方に回してもらうことを考えたり、あるいはサマータイム制なんかも私は導入すべきじゃないのかな、検討すべきじゃないかなと思うのですが、その件についてはどうでしょうか。
  91. 牧野力

    牧野(力)政府委員 ピークをならすということは、現在の電力を考える場合に最大の問題でございます。今先生が御指摘になりましたことはもっともでございます。  まず季節別あるいは時間別の料金を導入するということでございますが、一部産業用にはこれを導入をいたしております。まだ家庭用には導入はいたしておりませんが、電力会社におきまして、これを今般あたり検討を始めるということでございます。  なお、そのほか夜間で使える機器を開発しますとか、新しいシステムを開発するといったような技術開発が必要であることは御指摘のとおりでございまして、そういう線で今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  92. 大畠章宏

    ○大畠委員 ぜひとも積極的にそういう環境づくりをしていただきたいと思うところでございます。  まだちょっと時間がありますので、缶のプルリングの件で何かぜひとも答弁したいというような感じがございましたので、ぜひそういう意味で答弁をお願いします。
  93. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 答弁の機会を与えていただきまして感謝を申し上げます。  御指摘の点、私どもも十分に配慮してやっていかなければいけないと思うわけでございますが、実態の面で数年前に、例えば食料メーカーがこの押し込み式にかえたところ、消費者から、これは不衛生である、あるいは使いにくい、あけるのがなかなかあけにくい、あるいはどうも手を切りそうだ、安全でない、そういうようなことで全然売れなくなってしまったということで、また元へ戻 してしまったという事例などもございますので、やはり消費者の意識もそういう環境保全の方に向けていかなければいけないし、全体として資源を大切に使おう、こういう考え方を定着させていく必要があろうかと考える次第でございます。
  94. 大畠章宏

    ○大畠委員 何か答弁の機会を与えるべきじゃなかったなと思うのですが、いずれにしても、今のお話はまさに国民に対する教育が足らないのですよ。こういう実態だからこれを理解してくださいよ、手を切ったらバンドエイドで縛ればいいじゃないですか。危ないからというのでやめてしまうのじゃなくて、今の環境問題とかなんとかからいったら、ぜひ協力してくださいと、もっと――今御答弁されたのは御自分の努力が足らないということを御自分でおっしゃったような感じがするのですが、そういう意味でもっと努力をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  もう時間が参りました。いろいろお話を申し上げましたけれども、電力の有効利用並びに電力を効率的に使うことができるように今後とも努力をお願いしたいと思いますし、最近の廃棄物の問題についてはいろいろな新素材が出てきておりますけれども、その製造メーカーに対しては、新しい製品、新しい素材というものをつくれば必ずそれはごみになるわけですから、どういう形で廃棄したらいいのだろうか、どういう形で焼却といいますか廃棄すべきなのか、そういうことも含めて検討するように、通産省の方からもあわせて御指導されるように要望して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  95. 浦野烋興

    浦野委員長 小岩井清君。
  96. 小岩井清

    ○小岩井委員 私はエネルギー問題について質問をいたしたいと思います。  総合エネルギー調査会では、六月五日に「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」と題して、長期エネルギー需給見通しを中間報告としてまとめましたけれども、この内容につきまして、問題を挙げながら質問いたしたいと思います。質問は多岐にわたっておりますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。  長期エネルギー需給見通しの中で、主な留意事項として、炭酸ガス、CO2の排出量の抑制を挙げております。一九八八年度のCO2排出量は二億九千四百万トンであったものが、二〇〇〇年には三億四千万トンで一六%増、二〇一〇年には三億四千五百万トンで一七%増としておりますけれども、これは省エネと非化石エネルギーの導入によって横ばいになる数字として見通しがされておるわけであります。  そこで伺いたいわけでありますけれども、質問項目が多岐にわたっておりますから、一点、二点同時に伺いますが、第一点としては、二〇一〇年の一次エネルギーの総供給量を六億六千六百万キロリットル、省エネルギー目標を一一・二%としております。これはCO2排出量が横ばいとなるよう抑えた数字になっているのではないか、もっと高いレベルにいくことはないのかということを率直に感ずるわけでありますけれども、この点について、第一点として伺いたいと思います。  同時に第二点も質問いたしておきますが、省エネルギー目標を二〇〇〇年六・〇%、二〇一〇年一一・二%としておりますけれども、エネルギー需要のGNP弾性値をこれは幾らとして計算をされておりますか。最近、これは八七年度、八八年度平均で〇・九八でありますから、一程度と言われておりますけれども、目標設定にこれは無理はないのか、明確に数字を挙げて御答弁いただきたい、こう思います。これが一点目、二点目の質問であります。
  97. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 ただいま御指摘の二点でございますが、この二点とも計画をつくるときに私ども大変苦慮した項目でございます。  第一点の炭酸ガスの排出量につきましては、今御指摘のように、二〇〇〇年で一六%増、それから、二〇〇〇年以降ほぼ横ばいになりまして、二〇一〇年に一七%増という数字になっております。これを達成するためには、御指摘のように非化石燃料の割合を一〇%ポイント以上上げるという形にやっておりますし、さらに、省エネルギーというのは最大限に見込んだ数字でございます。したがいまして、二〇〇〇年以降こういう形で推移するというのは決して容易なことではございません。したがいまして、私どもといたしましては、現在見通し得る最大限の努力を国民にもお願いいたしまして、私どもも努力いたしまして、何とか達成可能であるぎりぎりのところをこの数字でまとめていただいた、そういうのが実態数字でございます。  それから、第二点目のGNPに対するエネルギー消費の弾性値でございますが、御指摘のように、この三年ほどはほぼ一の水準で推移しております。現在のいただきました見通しですと、二〇一〇年までの平均的なエネルギーのGNP弾性値は〇・四二という数字になっております。  先ほどの一一・二%という省エネルギー率でございますが、私どもといたしましては、実はGNPを算出するのに使うエネルギーの量は、一九八八年に比べまして二〇一〇年には三六%少ない水準に何とか持っていきたいということで考えております。一一・二%という数字は、実は今のような形で産業構造も少しずつ省エネルギー化するという、いわゆる自然体ケースというのを算出いたしまして、その自然体ケースからさらに強力に努力をして省エネルギーを進めるためにさらに一一・二%省エネルギーをして、合計で八八年と比べまして三六%省エネルギーを達成していただきたい、こういう数字でございます。したがいまして、エネルギーのGNP弾性値の〇・四二というのは決して生易しい数字ではございませんで、大変な努力をした上で何とかこれを達成したい、そういう数字として考えておるような次第でございます。
  98. 小岩井清

    ○小岩井委員 大変苦慮した数字だということが、今御答弁ありましたけれども、可能性ぎりぎりということで、これはもちろん需給見通しを立てるからには、これは可能性があるというふうにお立てになったんだろうというふうに思いますけれども、かなり無理な数字じゃないかなという感じを受けるわけですね。  それと、今エネルギー量のGNP弾性値について〇・四二ということをおっしゃられましたね。今一ですから、これはほとんど不可能じゃないかと思うのですが、どうですか、できるんですかね。その辺お答えいただきたいと思います。
  99. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 これは今までの経緯を申し上げますと、実は第一次石油危機以前はこのエネルギー弾性値が一ないし一・二ございました。しかし、エネルギー危機が二度にわたりまして、大変な省エネルギーあるいは産業構造の変革がございまして、日本のGNPとエネルギー消費の弾性値はほぼゼロかマイナスになった年もございます。したがいまして、この過去の十五年間というのは大変異常な事態であったかと思われます。ところが、これからそういう産業構造の変革というのも非常に難しくなってまいりましたし、さらにエネルギー価格というのは基本的には安定してほしいと願っておるわけでございますから、そういう中でこの〇・四二というのを達成するというのは非常に大変な事態であろうかとは思われます。  ただ、念のために申しつけ加えますと、現在持っております二〇〇〇年までの、これは一九八七年につくられました長期エネルギー需給見通しでは、需要は一応弾性値〇・三という数字ではじいてはおりましたが、それが今申し上げますように一近い数字になって非常に大幅に狂ってしまっているというのが現状でございまして、これからはまたこの〇・四二を目指して何とかあらゆる手段を講じて省エネルギーを強力にお願いしなければならない、こういう数字でございまして、それができればこれは何とか達成可能なぎりぎりの数字ではないかというように考えておるわけでございます。
  100. 小岩井清

    ○小岩井委員 長期エネルギー需給見通しの二〇一〇年の数字についての考え方はわかりました。大変難しい数字だなというふうには考えられますけれども、次の質問に移りたいというように思い ます。  今回の報告について閣議決定がなされておりませんけれども、通常はこれは閣議決定されるんではないのですか。国としてこの報告をどう扱うのか、お伺いをしたいと思います。  それから、地球環境問題が前提でCO2の抑制ということを言われているわけですけれども、IPCCの気候変動に関する政府間パネル第一部会、この最終報告については、二十一世紀の地球温暖化の脅威がはっきり指摘をされておりますし、二十一世紀末には気温三度、海水面六十五センチ上昇すると警告されておりますね。この点から考えて、地球環境問題ともあわせて環境庁との協議、さらには国際的、対外的な長期需給見通しの位置づけ、評価、反応についてどうなのか、この点についても経過と現状の対外的な対応についてお伺いしたいというように思います。
  101. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 この長期エネルギー需給見通し、またそれを中心といたします長期エネルギー政策につきましては、御高承のとおり、総合エネルギー調査会から答申、中間報告をいただいたわけでございます。御指摘のように、今までの例で申し上げますと、過去三回ほどは、この答申を受けまして、それに基づきまして閣議で代替エネルギーの開発及び導入についての目標、代替エネルギーの供給目標というのをお決めいただいたのは事実でございます。私どもといたしましては、今回この答申をいただきまして、これに沿いまして最大限の努力をしていきたい、基本的な方向はこうであろうと考えております。  ただ、閣議でこれをもとにしました代替エネルギーの供給目標というのを決めますのは、実はそれはまた別の代替エネルギーの供給目標という作業が必要でございます。しかし、これをやる場合に、今先生指摘のような最近の国際的な非常に大きな動きがございます。国内的には、これも実はこの前、内閣で地球環境対策関係閣僚の会合がございまして、秋に向けて炭酸ガス問題を中心とする環境問題を鋭意検討しよう、こういう状況になっております。したがいまして、私どもといたしましては、そういう内外の情勢を見きわめまして、できるだけ早い機会に代替エネルギーの供給目標という形でこれも閣議の方におかけしたいということを考えておりますが、当面はそういう内外の情勢を見きわめながら進むというのが現在の状況でございます。  それから二番目に、環境庁との関係の御指摘がございました。これは、担当の立地公害局長も来ておりますから、後ほどお答え申すかと思われますが、私どもといたしましては、このエネルギー見通しにおきましてどうしても化石燃料がふえますから炭酸ガス排出がふえてしまう。したがって、省エネと非化石燃料の割合を上げるということで全力を挙げましたけれども、どうしてもこれがふえてしまうというのは事実でございますから、このエネルギーそのものではなくて、あと残る例えば社会制度であるとかあるいはほかの、いろいろ他の経済政策等を踏まえまして、どういう形で炭酸ガスあるいは温暖化問題を全体としてまとめていくかというのは、今後鋭意政府部内でも検討されるもの、あるいは私どもも検討したいと考えております。  三番目に御指摘の国際的な反響、評価でございますが、実はこれにつきましては正式な動きはまだございませんが、私どもこれを出す過程では事実上関係国ともいろいろ情報交換はしております。実態的には、大変な省エネ努力だなとかあるいは大変な原子力の問題もあるなとか、いろいろな感想は受けておりまして、これが非常に厳しいぎりぎりのところではなかろうかというのが関係諸国の、主としてこれはエネルギー関係者の反響でございますが、今後とも、いろいろの情報交換を通じてこのようなエネルギー見通しについて、日本の国内だけではなくて国際的にも理解されるように私どもは努力してまいりたい、このように考えております。
  102. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 先生質問の第二点の、国際的な動向を踏まえて環境庁とどういう議論をしているかという点について答弁させていただきますが、先生指摘のようにIPCCの第一部会で科学的解明が行われております。そこでは先生が御指摘のような数字が挙げられておりますが、その科学者グループもその報告書の中で、まだ依然として不確実性が多く残っているということも指摘しておるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど来御議論がございますこの長期需給見通しでは、経済の安定的な発展と地球環境をどういうふうに両立させていくかという観点から、エネルギーの消費から出てくるCO2の排出量を極力抑えるということから積算しておりますのが一六%、二〇〇〇年、一七%、二〇一〇年という結果になっておるわけでございまして、この温暖化防止という国際的な動向も踏まえながら議論をしていこうということでございます。  そのようなことで政府部内で大いに議論をいたしました結果、十八日に関係閣僚会議の申し合わせが行われたわけでございますが、この申し合わせの線に沿いまして、この秋の早い時期までに政府としての行動計画をまとめるということを考えておるわけでございまして、この長期需給見通しというものを十分踏まえまして、これに経済的影響その他国際的動向も踏まえながら、環境庁も含めまして関係省庁と十分調整をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  103. 小岩井清

    ○小岩井委員 過去三回の答申については閣議決定している、今回は代替エネルギー供給目標についてまだこれから策定をされる、炭酸ガスについての環境について内外情勢、国際的動きを見きわめなければいけない、こういうことでしたね。閣議決定はするのですかしないのですか。ちょうど大臣がいますから、これは大臣答えてください。
  104. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 先ほど長官が答弁いたしましたように、時期は別といたしまして、いずれ閣議決定をしなければいけないと思っております。
  105. 小岩井清

    ○小岩井委員 続いて新エネルギーと未利用エネルギーについて伺いたいと思いますが、限られた時間でありますので簡潔に伺いたいと思います。  新エネルギーについては、二〇一〇年までに一戸建て住宅の約半数に太陽電池等が設置されるものと想定をして見通しがつくられています。ところが、技術開発、実用化など大きな問題がある。短期間に新エネルギーとして導入できる根拠、この具体的対応策を伺いたい。  それから、未利用エネルギーについては、これは地域熱供給など積極的な導入を図るとしております。これまた技術開発、実用化について短期間での導入は困難ではないかというふうに思いますけれども、この具体的な対応とあわせて、都市廃熱の利用についてどの程度新エネルギーの中で見ているのか。八八年度実績、二〇〇〇年、二〇一〇年、それぞれ数字を挙げていただいて、具体的に都市廃熱についての実用化について見通しを明確にしていただきたいと思います。
  106. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 新エネルギーにつきましては、御指摘のように八八年度は、これは原油換算でございますが、六百二十万キロリットルでございます。これを二〇一〇年には三千四百六十万キロリットルにしたいということでございまして、全体のエネルギーに占める比率は一・三%から五%を超える水準ということでございます。これは確かにおっしゃいますように大変技術開発も必要でございますし、その普及のためにも、実は現在例えば太陽光発電などは最初設備投資、イニシアルコストが高うございます。したがいまして、経済的にもまだまだこれから大量生産等をやりましてコストを下げなければなりません。したがいまして、具体的な施策という御指摘でございますが、一つはやはり技術開発をさらに進める。それからコストを下げるように大量生産を何とかできるような形に持っていく。三つ目には、これは現在もやっておりますけれども、何らかの形の例えば税制、金融、補助金等の形でこれを導入しやすくするという、言ってみますと三つの方策をあわせて何とかやっていきたい、このように考えております。  それから二番目に、未利用エネルギーを活用し た熱供給でございますが、これは現在熱として捨てているものを何とか利用したいということで、下水道の熱とかさらには川の熱とか、こういうようなものを何とか利用していこうということで、技術的には実はこの面ではほぼ解決を見ております。しかし問題は、地域全体の熱の需要をうまくまとめてどのような形で、ある意味では都市の再開発とも一緒になった形でプロジェクトとして組めるかというのが最大の問題でございます。この点でも相当イニシアルコスト、ある意味では公共事業的な熱の供給あるいは配管等も必要となってまいります。したがいまして、私どもといたしましては、今まである各省庁の公共事業の制度も活用していただき、また私どもといたしましても何らかの形で、熱の供給センターなりそれからの配管につきましても、ある程度経済的なコスト高を補正するような形でできないものだろうかと考えております。  ちなみに熱供給そのものでございますが、具体的な数字というお話でございましたが、一九八八年は原油換算で実は非常に少のうございまして二十万キロリットル程度でございましたが、二〇〇〇年にはこれを五百十万キロリットル相当、二〇一〇年には千二百五十万キロリットル相当の熱供給をしたいと考えておりまして、そのうち二〇一〇年では相当程度を未利用エネルギーの活用という形で、ほぼ一千万キロリットル程度はこれから賄いたい、このような野心的な計画を持っているわけでございます。
  107. 小岩井清

    ○小岩井委員 野心的計画ということは理解をいたしますけれども、かなり大きな数字で、しかも技術開発をさらに進める、あるいはコストを下げる、それから未利用エネルギーについては技術的には解決を見ているけれども、これからだということですが、野心的な見通しとは思いますけれども、かなり難しいのではないかというふうに考えております。これについては積極的な対応を期待いたしておきます。  続いて原子力について伺いたいと思いますが、八八年度実績二千八百九十万キロワット、二〇〇〇年については五千五十万キロワット、二〇一〇年には七千二百五十万キロワットとして、実に二・五倍の需給見通しになっています。これを実現させるには、稼働中の三十九基の原発に加えて新たに四十基新設しなければならない計算になると言われています。地球環境問題からCO2抑制策として非化石エネルギーとしての原子力、これについての傾斜が顕著になった長期見通しであると思いますけれども、地球環境に優しいエネルギーとして原子力をどう位置づけているのか、CO2だけ極端に見てはいないか、原子力立地の厳しさ、さらには用地について、周辺環境について、廃棄物の処理について、安全性の問題についてなど、地球環境に優しいエネルギーとして断定していいのかどうか、国民のコンセンサスが今ないというふうに思うわけであります。このコンセンサスがない中で国民のコンセンサスをどうするのか、この点について御答弁いただきたいということが第一点です。  それから、エネルギーのベストミックスという面から今回の需給見通しはどうか、見解をお示しいただきたいというのが二点目です。  三点目は、エネルギー業界からも、厳しい目標だ、達成には多大の努力を要する、容易ではないなどの声が上がっているというふうに聞いています。これをどう受けとめているのか、御見解を伺いたい。以上三点。
  108. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 第一点の原子力でございますが、これにつきましては、地球環境との関係では昨年のサミットでも一つの有力な手段であるというように位置づけられてはおります。しかし、私どもといたしましては、原子力は単に炭酸ガスの優位性で進めるということではございませんで、むしろ原子力発電の持っている技術的な優位性あるいは全体としてのベストミックスという二番目の御質問との関連での電源構成の問題等総合的に考えてこれを推進しなければならないと考えているわけでございます。ただし、この原子力開発につきましては御指摘のようにまず何よりも安全性に最大の力点を置かざるを得ないと思います。さらには、地元、国民の皆様方の御理解を得ながら、何としてでも着実に進めていきたいということでございます。ただ、この開発そのものはなかなか難しいというのも現実でございますから、そういうあらゆる要素を考慮に入れながら今後とも積極的に対応したいというように考えておるわけでございます。  二番目のベストミックスでございますが、私どもといたしましては、これはいわゆる国内エネルギー資源に乏しい我が国といたしましては何としてでも一番供給の安定性のある形で、しかもそれが短期ではなくて長期的な観点からいろいろのエネルギー源を確保しなければならない、このように考えておりまして、現在の比率は、いろいろ電源構成としてもございますし、それをもとにしたエネルギー全体の構成がございます。その最後の形といたしましては、石油の依存度が現在まだ五七%を超す水準にございますから、これを二〇一〇年には何とか五割を下回る形で、四六%程度に持っていきたいということで全体のバランスを組んでいるような次第でございます。  それからさらに、御指摘のコジェネレーションにつきましては、これは炭酸ガスの関係あるいはむしろ省エネルギーといいますか……(小岩井委員「まだそこまで聞いていないです」と呼ぶ)エネルギーの効率的な利用ということで、基本的にいろいろの観点から推進していきたい、このように考えているわけでございます。
  109. 小岩井清

    ○小岩井委員 長官は大分気が早いようでございまして、まだ聞いていない答弁を出すところでございましたが、お急ぎのようでございますからそちらの方に移りたいと思います。  コジェネレーションシステム導入について伺います。  CO2の発生を極少化するシステムとして、現状規模十五万キロワットを二〇〇〇年には二十二倍、三百二十万キロワット、二〇一〇年には七十倍の一千四十万キロワットとしておりますけれども、これは積極的姿勢と受けとめておりますが、この需給見通しにとったコジェネ導入を促進する具体的施策、これについて伺いたいと思います。  あわせて、時間が迫っておりますから、天然ガスについても伺っておきたいと思いますが、天然ガスについては、化石エネルギー資源の中ではCO2排出においては最も優位にあるエネルギーとしております。一九八八年度の実績四千六百十万キロリットル、二〇〇〇年には六千五百万キロリットル、二〇一〇年には八千万キロリットルとして、七四%増として需給見通しは出されております。  導入上の課題克服の対策もこの長期需給見通しに出ておりますが、一として、契約形態の弾力化、新たな価格形成の構築、二として、LNG船の建造、港湾、貯蔵施設、パイプライン網の整備、輸送用代替燃料としてメタノールへの転換等新規用途の拡大、地方都市ガスの天然ガス化促進等天然ガス導入のための条件整備、三として、我が国資本による内外の天然ガス開発の促進、この三点が挙げられております。  以上のような課題克服について、特にパイプライン網の整備、さらに地方都市ガスの天然ガス化促進などをどう進めていくのか、民間と国の役割についてどう考えていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  110. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 最初のコジェネレーションの推進の問題でございますが、これは電気だけではなくて同時に熱需要を総合的に利用いたしまして、全体のエネルギー効率の向上に資したい、こういうような考え方でございます。  ただ、これは積極的に進めたいとは考えておりますが、やや制約要因もございます。それは一つには、やはり熱需要、蒸気需要が十分あって、それから電気の需要もあるという両者のバランスのあるところが必要でございまして、時間的にも地理的にもこのようなバランスのとれた需要地をどのように見つけるかという問題がございます。それ からもう一つは、在来型の石油なりガスをたいてのコジェネレーションになりますと、窒素酸化物問題等の別の環境要因もございます。したがいまして、このような制約要因を何とか、例えば燃料電池などを使います技術開発で克服しながらこのコジェネレーションというのは積極的に導入したいというように考えているわけでございます。  それから二番目の御指摘のLNGの導入でございますが、その中の特に二点、パイプラインの整備と地方都市ガスのLNG化でございますが、御指摘のようにパイプラインの整備というのは大変資本投資を必要といたしまして、容易なことではございません。現在までのところ、やはりガス事業が主体となって、企業が自己の責任においてパイプライン網を広げていくという形になっておるわけでございます。特にLNGにつきましては、需要が、ある程度量がまとまりませんと設備投資にもなかなかたえられませんし、経済的な単位にも乗らないということで、ガス会社につきましては、中央三社と申しますか、大きな東京、大阪、名古屋の三ガス会社については、現在、導入が非常に進んでおりますが、これからそのほかの都市の都市ガス事業に何とかこれを導入していきたいということで、現在企業も懸命に努力しておりますし、私どもも普及のためのいろいろな施策を現在用意し、実行に移している、そのような状況でございます。
  111. 小岩井清

    ○小岩井委員 LNGの導入については大変な資本投資が必要だということを今おっしゃられました。これはガス事業が、企業が自己の責任で今までパイプラインを進めてきたということでありますけれども、大手三社の導入は進んでいるけれども、その他の企業に対する普及のために施策を進めていきたい、こういうことでありますけれども、答弁、大変具体性に欠けているのですね。私は民間と国の役割についてどう考えていくのかというふうに伺いましたけれども、この点について、普及のための施策を進めていきたい、では具体的にどういう施策を進めていくのか。これは国の施策がパイプライン網の整備のかぎになってくると思うのです。この点についてどうお考えになりますか。  特に欧米や韓国や台湾などでもパイプラインによる輸送体制の確立が行われて、これは不可欠だというふうに言われているのですね。この点について、LNGの導入は二〇一〇年まで七四%増という需給見通しが出されていますけれども、これはパイプライン網の整備にかかってくると思うのですね。それが先ほど申し上げました地方都市ガスのLNG化、天然ガス化にも直接かかってくると思うのですけれども、施策というふうに答弁を承りましたから、具体的施策について御答弁いただきたいと思います。
  112. 牧野力

    牧野(力)政府委員 やや具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。  現在、地方都市ガス事業に対するこの天然ガス化促進のために、例えば利子補給を行うとか、これは三%の利子補給を行っております、あるいは日本開発銀行、北東公庫等の政府金融機関から、いわゆるスーパー特利、一般の特利よりもより低いスーパー特利で資金を貸し出すというような対策を講じております。  先ほど長官も申し上げましたように、大手ガスはほぼ一〇〇%に近く天然ガスが導入されております。地方ガスがまだまだでございますが、これも現在三〇%弱まで進んでまいりまして、着実に進んでいるというふうに認識をしております。ただ、まだ三〇%でございますので、これを今後促進させる必要がございます。  今申し上げましたような政策をベース、柱に進めていきたいと思いますが、ただ、地方ガスが非常に細分化されていて、なかなか一社では導入が難しいといったような問題、あるいはこれは民間企業の民間事業でありますから、政府が行うこの助成はあくまでも今申し上げました金融、財政を中心に、金融的措置あるいは税制あるいは財政的なバックアップという点で行うべきとは思いますが、なおこの導入を一層促進するためにどういった問題があるか、今後さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  113. 小岩井清

    ○小岩井委員 今御答弁いただきましたが、パイプライン網整備並びに地方都市ガスの天然ガス化促進については、普及のため積極的な施策の推進を要望いたしておきたいと思います。  時間が迫っておりますので、最後に、エネルギーに対する国民の理解と協力が必要だと思うのですね。特に、今回の長期需給見通しについては、省エネということがこの中心でありますし、CO2の削減、抑制という地球環境問題も前面に出ているわけでありますから、そういう面では特にそういうふうに思うわけであります。  この見通しの目標を達成する上で、どう国民に理解を求めていくのか、それからさらに、教育の中でどうエネルギー問題を入れていくのか、今エネルギーについての教育というのはほとんどされていないのではないかというふうに思いますけれども、この点についてどう考えていくのか、御答弁いただきたいというふうに思います。
  114. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 大臣が基本方針お答え申し上げる前に、私からやや具体的なことで。  最後に教育の点にお触れになりましたが、確かに現在、一番私ども感じておりますのは、やはりエネルギー問題というのは、本当に国民一人一人の皆様方に考えていただいて、一緒にこれを解決していくというのが重要だと思います。その意味では、教育のところに、こういう実態をよく理解していただくために、実は副読本などは今までもいろいろ用意しておりますが、それよりもなおかつ広くこれからは学校教育の中にも、こういう実情を理解していただくように、必要があれば文部省などとも相談しながら、もう少し力を入れてやっていきたい、このように考えているわけでございます。
  115. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 全体の問題といたしまして、それじゃ私から最後にお答えをさせていただきます。  先ほど来事務当局から御答弁申し上げておりますように、今回のこの見通しは非常にタイトなものだと思うのでございます。なかなか容易に達成が難しいという感じがするわけでございますが、しかし、先ほど来言われておりますように、地球環境の問題あるいは将来のエネルギー源確保の問題いろいろからいたしまして、どうしてもこの程度はお願いをしたいということでございまして、これから思い切った啓蒙活動を一生懸命努力をいたしますとともに、先ほどもちょっとお話が大畠さんからございました、例えばサマータイムの導入なんということはぜひ私は実現をしていきたい。やはりそういう思い切った新しい施策をやることによって、ひとつ国民の意識革命をぜひお願いをしたい。何か今はどうも、エネルギーというのはそう心配しなくても幾らでも供給は受けられるんじゃないかというような感じが国民の中にあるんじゃないか。これは非常に問題でございますから、やはりサマータイムみたいなものを導入することによって国民の意識革命をしていくというようなことをしてでも、思い切って省エネ対策を考えていきたい。  また原子力対策につきましても、なかなかこれから、これだけの原子力発電を将来考えるということは、これは容易なことではないと私は思うのでございます。この点については、今たまたま福島の原子力発電はああいうことになっておりますけれども、やはり今後は、本当に安全性の確保ということについてはもっともっと厳しくひとつ対処していきたい。そして、原子力というのは安心しておられるというような意識を国民に持っていただけるところまで思い切った安全対策を強化していきたい。私は、そういうようなことをいろいろ含めて、何とかこの目標が達成されるように努力していきたいと思っておるわけであります。
  116. 小岩井清

    ○小岩井委員 お聞きしたいことはたくさんあるわけでありますけれども、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  117. 浦野烋興

    浦野委員長 和田貞夫君。
  118. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 二時間ほどの質問の量を三十分ほどでやらなくてはなりませんので、極めて答弁を簡潔にしていただきまして、ひとつ質問に御協力をいただきたい、このように思うところでございます。  ここ、建設投資の急増のためにセメント産業はその需要が大幅に伸びておりまして、むしろ供給に事欠くというほどに今好況であります。ところが、依然といたしまして、産業構造転換円滑化法の適用を一昨年の九月に受けて、そして第二次の産業構造改善事業ということで保護をされておる。まことにこの面を見てみますと、通産省はセメント産業に極めて甘いのではないか、甘やかしているんじゃないか、こういうことを言われてもいたし方ないんじゃないかと私は思うのであります。  そういうような中で、今月の九日の新聞報道によりますと、業界の、しかも大手の各メーカーが販売数量のやみカルテルを結んでおったというこの疑いで、大手の各本社や業界団体やあるいは販売のための業界がつくっておる共同事業会社等々に立入調査を行っておるわけであります。公正取引委員会が今回その辺に調査の立ち入りをすることになったのは、再三再四にわたる警告の結果今回踏み切ったんじゃないかと思うわけであります。  あの昭和五十九年の八月に、当時構造不況の中で、今指摘をいたしました共同事業会社というのを設立をしておるわけでありますが、これは通産省が当時指導しておるわけであります。しかし、公正取引委員会としては、この共同事業会社を設立するに当たって、例えば、共同組合に参加しておらないアウトサイダーの中小の生コン業者、これにセメントを提供しないとかいうようなことで差別を行えないようにという指導のもとに、業界の方から公正取引委員会に上申書が出ておるわけであります。にもかかわらずこのことが繰り返されて、今や共同事業会社が独占禁止法の違反の温床にもなっておる、こういうことじゃなかろうかと思うわけでありますし、昭和六十一年五月に、既にこのことを含めまして公正取引委員会が今後なおこのようなことを継続するならば、この共同事業会社の見直しを含めて厳重な措置をするぞという文章を盛った警告書が発せられての今回の立入調査だと思うわけでございますので、公正取引委員会にお尋ねいたしますが、そのことを含めて、その調査の結果対処していこうとお考えになっておられるのかどうかということをまずお聞かせ願いたいと思います。
  119. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 ただいま委員お尋ねの件でございますけれども、セメント製造業界に共同事業会社というものが昭和五十九年でございますけれども、特定産業構造改善臨時措置法に基づいて設立されておりまして、私どももこの法律に基づきまして、この設立が独占禁止法上どうなのかということで意見を求められ、回答してきたいきさつがございます。もちろん、その当時厳正に審査いたしまして、いろいろな面を考えまして競争の自主的制限があるというようには直ちには認められなかったわけでございますから、この設立について特段意見がなし、ただし今後とも独占禁止法違反といったことを引き起こすことのないように十分に注意してもらいたい、あるいは公正取引委員会としてもその点を十分に監視していくということで、この設立について私ども意見を申し上げた経緯がございます。  その後、今委員指摘のように、業界から上申書といったようなお話もございましたのですが、上申書云々という話につきましては、個別具体の話でございますから詳細は差し控えさせていただきますが、当然のことながらこの共同事業会社がスタートするに当たりましては、独占禁止法に違反することのないよう十分注意していくといった申し出が公正取引委員会に対してなされているということもまた事実でございます。  その一方で、今回独占禁止法違反の疑いで私ども、このセメント業界に対して今審査を開始したところでもございます。で、この関係があるのかないのか、あるいはどうなのかということに次はなろうかと思いますけれども、いずれにしましても現在審査を行っている真っ最中でございますので、審査の結果を見た上でしかるべき対応を考えていきたい、かように思っておるところでございます。
  120. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間がありませんので、ひとつ厳正な審査と措置を要求しておきたいと思います。今後このことを繰り返さないためにもぜひとも必要であると思うのです。  先ほど申し上げましたように、あと時間がだんだんと迫ってくるわけでございますので、また時間がありましたらひとつ通産の方に関連する質問をさせてもらいたいと思いますが、取り急ぎセメント産業とのかかわりで生コンクリートの品質問題についてこの際質問をしたいと思うわけであります。  というのは、あの山陽新幹線が建設されてまだ二十年もたたないのに、随所にコンクリートが剥離するというような姿がある、あるいは鉄筋がむき出しになるというような姿、この一例を挙げましても極めてコンクリートの構造物というのは、単に新幹線だけじゃなくて高速道路もそうでございますし、あるいはマンションもそうでございますし、あるいはビルもそうですし、公共施設もそうですが、市民の生活にとって国民の生活にとってかけがえのない大事な素材の一つであるからあえて質問させていただくわけであります。  通産省が発行されました一昨年の「生コンクリート製造業の中小企業近代化計画の説明資料」、これを見てみますと、「生コンクリートは我が国の社会資本の整備に不可欠な建設基礎資材であり、その品質確保は生コンクリート業界の最重要課題といえる。」あるいは「生コンクリートの品質については、現行日本工業規格に定める基準を上回る水準の確保に努めるものとした。」ということで、その他この冊子の中に品質管理あるいは品質確保、高品質品質保証、こういう文字が随所にあらわれておるわけであります。それほど品質管理というものが品質保証のために必要であるというあらわれであろうと思うわけであります。  そこで、この品質管理ということについて通産省としては特にどのようなことを強調されるのか、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  121. 杉浦賢

    ○杉浦(賢)政府委員 お答えをいたします。  今御質問のございました品質の管理、確保、保証といったような点からJISについて御説明をしたいと思います。  生コンは、規格上の名前ではレデーミクストコンクリートと呼んでおりますが、いわゆる生コンでございます。これは工業標準化法第十九条に基づきますJISマーク表示対象品目に指定されておりまして、現在、全国で約四千の生コン工場が表示許可を受けております。このJISマークの表示をいたしました生コン工場につきましては、通商産業省は法に基づく立入検査、公示検査などを行っておりまして、品質確保、維持に努めているところでございます。  JISではどういうことを規定しているかということを御説明いたしますと、生コンのJISにおきましては、生コン工場でセメント、骨材、水などを混入いたしまして運搬するわけでございますが、荷おろし地点まで配達される生コンにつきましてはその品質を規定しております。もう少し具体的に申し上げますと、強度、スランプ、空気量、塩化物量、材料の配合、製造設備、試験方法などについて規定しておりまして、私今申しましたスランプと申しますのは、まだ固まらないコンクリートのやわらかさをあらわす量でございます。  このような観点からコンクリートについての規格を定めております。
  122. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 でき上がる構造物の強度、そのためには、今御説明がありましたスランプというのは非常に大事なことです。したがって、それをさらに私なりに具体に申させていただくならば、製造工場から現場に運ぶ運搬車、ミキサー車、これは自然に攪拌をしながら現場へ届ける。そのためにはやはり一定の積載の容量というのがあるの ですが、その範囲内であれば自然に攪拌して現場へ品質が低下しないように届けられるようになる。容量以上に、いわゆる過積載、こういうことになってまいりますとやはり品質の変化というのがその途中であるんじゃないか。そのために、過積載というのはないように、これはもう品質管理だけじゃなく、道路運送法あるいは道路運送車両法、その法律からいっても過積載はいかぬということになっておるんです。このことが一つ挙げられるのじゃないか。  あるいはこの工場現場で、現場の者からちょっと二十階、三十階という高いところに吸い上げるためにはかた過ぎる、水入れい、こういうふうに言われたら、これはやはり今言われたように断る、もう混入したそれ以上に水を入れるというようなことはやったらいかぬ。あるいは現場で残った残コン、これは一たん捨ててしまう。これにさらに新しい生コンを上積みをして他の現場に持っていくということはやったらいかぬ。あるいはスランプを守るために工場から現場まで大体九十分程度の範囲内で運べ、こういうようなこともJIS規格の中に、やはり守らなくてはならない要素だというようになっておると思うのです。  私は、今も指摘いたしましたように、この四つが、ぜひとも品質を現場に届けてこれを低下しないための、ただ製造工場で材料を入れて製造する、そういう品質の管理じゃなくて、運搬を通じて現場に届ける、そういう品質管理というのはそのようなことじゃないですか、お尋ねします。
  123. 杉浦賢

    ○杉浦(賢)政府委員 今先生からいろいろな御指摘がございましたが、まず長時間輸送の問題でございますけれども、JISにおきましては九十分ということを規定してございます。配達されました時点で生コンの品質が低下していないことが確認されたときはこの限りでございませんけれども、おっしゃるように、品質が低下しないように九十分以内ということはJISで規定しておりまして、そういうことでやる方向で規定をいたしております。  それから、過積載の件について御質問がございましたが、これもこの点につきましてはJISには規定がございませんけれども、むしろこの点につきましては、別途道路交通法などで検討されるべき問題ではないかと考えております。  それから、水を加える加水行為について御質問がございましたが、加水をするということはコンクリートの品質に大きな影響を与えますので、このようなことがないように考えておりますが、このような不当行為がもしございましたら、関係の各省庁の御指導なども期待していきたいと考えております。  それから残コンにつきましても、これはその特性が悪くなるような形で残コンを利用するというようなことは慎むべきだと思っておりますが、出荷前とそれから到着いたしましたときにどのような検査をするかということを規定してございますので、その規定を守っていくように指導をしていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、現在、御指摘をいただきましたことはコンクリートの耐久性あるいは安全性にかかわる極めて重要な問題でございますので、私ども通産省といたしましては、関係する方々の御協力を得ながら、品質の保証という点では努力をしていきたいと考えております。
  124. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 特にきょうは建設省を呼んでおりませんが、通産省の方から建設省を中心に自治体に至るまで、少なくとも公共事業として国や自治体が発注する場合に、その発注者に対して今お答えいただきましたようなことは厳重にひとつ下達をいただきたい、こういうように希望しておきたいと思います。いいですね。  ところが、そのようにならないのがこの業界なんです。過積載やったらいかぬ、これは品質管理だけじゃなくて、今も御指摘があったように道路運送法、道路運送車両法、これにも違反なんです。私は率直に申し上げますが、大方の生コンクリート販売会社はこれに違反しておる。これに違反しないで、これを断じて守って商売やっておる、販売をやっておるというのは、そういう会社の方が少ないんじゃないかと私は言いたいわけであります。  例えば京都に本社のございますある生コン業者でございます。これは小野田セメントの販売を一手に引き受けておる特約店であります。京都市を中心に販売のシェア六〇%、生コン業界では大手と言われる部類の会社なんです。そこも相変わらず過積載の事例というのが私の手元にたくさん届いております。それだけじゃないのですよ。やってはいけない加水、現場で言われれば、運んだ運転手はだめだと断わるように、加水をやったらいかぬというように運転手に指導しなくちゃならぬのに、現場の方で言われたらそれに従え、こんな通達が会社の中に張られているのですよ。だからやむなく運転手は、良心に反して会社の言うとおりに現場で――しかも、私は時間がありませんので指摘しませんが、地下鉄の現場だ、あるいは公立の病院の建物だ、そういうところにこういう問題が起こってきているんですよ。  あるいは残コンの問題にいたしましても、私のところにこんなに来ている。一つ例を挙げましても、これは京都市の障害者スポーツセンター、この現場にも、ある現場の残コンに新しいものを上積みして納めているのですよ。九十分をオーバーして、これが百分だとか百十分だというのはまだ少ない、三時間も四時間も。運転手の日報が私の手に入っているのです。正直なものであります。工場から出たときには何時何分、現場で打設したときには何時何分、はかりましたら三時間も四時間も。  私が申し上げたいのは、これだけ業界で模範にならなくちゃならないこういうような業者があるとするならば、市民の目から国民の目から業界全体が不信を招くということになりはしないかと思う。そんなことを放置いたしますと、山陽新幹線どころか日本じゅうの高速道路から鉄道からすべての建物、もう安心ができないというような状況になるほど、このコンクリートの管理というものは重要だということを通産省の書類にちゃんと書いてある。このとおりやってもらわなければいけない。今後は、こういうような具体例を挙げたわけでございますが、どのように御指導なさろうとしておるのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  125. 南学政明

    南学政府委員 先生指摘のとおり、生コンの品質の問題というのは極めて重要な問題であります。御指摘の中で過積載の問題がございましたが、これは工業技術院長から答弁をいたしましたように、基本的には運輸省あるいは警察において指導すべきものと考えますが、通産省といたしましても機会あるごとに業界指導を行っているところでございます。例えば、平成元年、昨年の四月に窯業建材課長名で文書をもって、生コンクリート工業組合連合会あるいは協同組合連合会にこのようなことのないよう指導を行ったところでございます。  一般的に生コンの品質管理については、従来から通産省ではJISの厳正な運用を中心対応してきております。残念ながら一部の生コン業者により、生コンのJISの信頼を失うような行為が見受けられるところでありますが、本年度におきましては、原則として生コンのJIS許可全工場に対しまして、公示検査等を行うこととしておりまして、同検査の結果を踏まえて、必要に応じ適切な対応を図っていきたいと思います。また、品質の向上のためには、業界の構造改善事業を強力に推進する必要がございますので、この点につきましても積極的な対応を図ってまいりたいと思います。
  126. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それで、今お答えありましたが、セメント業界に対しましても、あるいは生コン業界に対しましても、余り甘い行政のやり方では逆にこんな状態が出てくる。だから、あなた方の措置というのは、極めて丁寧に、甘い措置をすればするほど、セメント業界が生コンの、しかも中小の企業をいじめる、協同組合に入っておらないアウトサイダーの中小の生コン業者にセメント売ってやらぬ、あるいは少ししか売らぬというような いじめをやったりやるのですから、それが業界全体を悪くしていく原因にもなっておるのですから、甘い行政のやり方というのはかえっていかぬ。何回も繰り返しますが、このセメントなり生コンというのは国民の生活にとってかえがたい大事な基礎資材、建材なんです。であればあるほど、厳格に厳正にひとつ対処し、そして業界の指導というものに当たっていかなければならないと思うのです。  特に生コン業界というのは、一人の運転手が現場へ運んでいくわけですから、会社と従業員との関係企業労働者の関係がやはり円滑にいかないと、これは会社自体の信用を低下さしていく、ひいては品質管理がおざなりになってしまう、そして、品質を低下させるようなものを公共事業にも売り飛ばす、こういう結果になっていくわけでございますので、その点はひとつ十分肝に銘じて処置をしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございますので、大臣、ひとつそのことについて、セメント業界並びに生コン業界に対しまして通産省としての今後の指導の決意のほどを、この場を通しましてお述べいただきたいと思います。
  127. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 実は、私も生コン会社を一つ持っておりまして、今は経営にタッチいたしておりませんけれども、かつては私自身生コンの会社の経営をしたこともございます。  通産省といたしましてやはりJISの関係が一番責任があると思います。生コン工場は大体JISの規格を受けるようにいたしておりますので、まずJISの規格を受けるときにきちんと指導してやることと、また、報告を出させておりますけれども、これもきちんとさせて、生コン工場が本当に規格に合ったものを出すということがまず第一だと思います。  それから、先ほど来お話のございましたように、輸送の時間、これも大変大切な問題だろうと思います。  それからもう一つは、現場において、先ほどお話がございましたが、せっかくいい規格のものを持っていっても、そこで水をまぜろと言われてやるようなことがあってはいけないわけでございまして、これは、たとえそういうことが施主の方から言われようとも、やはりそれはお断りをしなければいけないという毅然たる態度で――これはモラルの問題だと思うのでございます。できるだけその辺は毅然たる態度で、モラルをきちんと持って相手にも言わなければだめですよ、結果的に、いわゆる業者はそれでよかったとしても、今度はでき上がったものを利用する人たちが安全の面からいって非常に心配な点というようなことになってはいけませんので、そういうようなことのないように、できるだけひとつモラルの問題も相手にまで訴えるくらいにするように、できるだけ指導してまいりたいと考えております。
  128. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この不届きな業者に対しましてはこの際ひとつ的確な指導をお願いしたいと思いますが、よろしいですか。
  129. 杉浦賢

    ○杉浦(賢)政府委員 JISの運用につきましてはしっかりとやっていきたいと考えております。業者への指導もしっかりとやっていきたいと思います。
  130. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 終わります。
  131. 浦野烋興

    浦野委員長 森本晃司君。
  132. 森本晃司

    ○森本委員 私、エネルギーと環境問題についてきょうはまたお尋ねをしたいわけでございますが、エネルギーと環境問題、極めて重要な問題でございまして、今国会、この商工委員会で三度目、その問題について問うことになりますが、よろしくお願い申し上げます。  政府は、去る六月十八日、地球環境保全関係閣僚会議で、CO2等温室効果ガスの排出について、二〇〇〇年までに増加をとめて一定レベルに安定化させるための地球温暖化防止行動計画を秋までに策定する方針が出されました。我が国は、先般のこの委員会でも申し上げましたが、この環境問題あるいは温暖化防止のために取り組む姿勢が非常に弱いとかねがね世界各国から言われてきておるわけでございますが、我が国が今般CO2の凍結の時期を具体的に明示したというのは初めてのことでございまして、それについては私は一歩前進と評価をしているわけでございますが、ただ、安定化させるレベルは具体的には一体どの程度のものなのかということがこの間の閣僚会議でも今はっきりしていない。  それからもう一つは、私はこれは一体どういう水準になるのかなと思わざるを得なかったのは「極力低いレベルで」という言葉が使われております。極力低いレベルとは一体何をもって、何を基準にして極力低いレベルというのか。また、これは本来ならばもう少し具体的に言わなければならないものがなぜこういうあいまいな表現になっていったのか、抽象的な表現になった理由についてもあわせてお尋ねしたいと思います。
  133. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 先生お尋ねの、一昨日、十八日に閣僚会議で決定いたしました行動計画の件でございますが、ここでは本年秋の早い時期をめどに極力低いレベルで安定化させるよう十分検討を行おうということを申し合わせたわけでございます。どのレベルであるか、レベルそのものはこの申し合わせの中に出ていないわけでございますが、先ほど来御議論がございましたエネルギーの長期需給見通しというものを踏まえまして、裏づけのある十分実現可能なものということを考えていく必要があるというふうに思っておるわけでございます。  具体的には、今回申し合わせが行われました行動計画の中にも示されているわけでございますが、この炭酸ガスの問題と申しますのは経済活動全般に絡むものでございますし、また科学的な知見の集積も待たなければいけないものだということもございますし、これは我が国の置かれている国際的な位置づけということも勘案しながら検討していかなければならない。さらに、国民のライフスタイルそのものにも絡んでくる問題だということに加えまして、御議論もございました国際的動向も踏まえなければならない。このようなことをすべて勘案しながら、具体的にどのようなレベルで安定することが可能であるかということをこの秋までに議論をしていこうということであるわけでございます。確かに具体的なレベルを示していないという点におきましては抽象的でございますが、「極力低いレベルで」という言葉の中に、先ほど申し上げました観点を踏まえながら、政府挙げて具体的な対策検討していこうということを申し合わせたわけでございます。
  134. 森本晃司

    ○森本委員 極力低いレベル政府を挙げてやろうという言葉の表現になったということでございますが、どうもそれは納得できないですね。政府を挙げてやることがなぜ極力低いレベルということになったのか。かいま聞きますと、環境庁が一九九〇年のレベルという問題で話をする、通産省は二〇〇〇年のレベルで安定化させようとしている、その間をとって極力低いレベルとなったのではないだろうかというふうに思うわけですが、どう聞いても先ほどの御回答は、政府を挙げてやることが極力低いレベルということとつながってくるとは感じられないのですが、その辺はどうでしょうか。
  135. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 御推察の点は大体当たらずとも遠からずという感じがするわけでございます。事務当局、一生懸命努力をいたしておりますが、正直なかなか通産省環境庁との意見がまだ食い違いがございます。  先ほどいろいろと答弁がなされておりますように、通産省考え方では、今度の長期エネルギー需給見通しにおきましても、省エネをやり、あるいは新エネルギーを開発し、あるいは廃熱利用をし、いろいろの手だてをやりましても、やはりこれだけの国民生活のレベルアップ、経済成長を考えますと、どうしても今の一九九〇年のままで凍結をするということは非常に難しい。先ほどの話で、一六%ぐらいはどうしても伸びていくのじゃないだろうか、そして二〇一〇年で一七%という形において、二〇〇〇年になってくると何とか安定してくるのじゃないかという計算をいたしておるわけでございます。その辺環境庁の方は、もう 今のままでいいのではないかということでございまして、どうしても通産省としては経済成長のことを考えるとなかなか難しい。その辺の意見の調整を正直、今まだやっておるところでございますので、何とかこの秋までにその辺を意見調整して、政府として統一した見解がなされるようにしていきたいというのが真相でございます。
  136. 森本晃司

    ○森本委員 経済大国日本がいつまでもあいまいな態度で秋の国際会議等々に臨んでいくということはやはり私は許されない問題であると思います。同時に、経済の発展もこれは大事な問題でございます。それ以上に大事なのは、やはり地球をみんなでどう守っていこうかということでございますので、十分なる協議、検討をして、むしろ世界の中で我が国環境問題についてリードしていくのだ。確かに省エネへの力、またそれを実践してきたこと、これはもう国際的に日本が一番すぐれたわけでございます。したがって、そういう立場にある日本が技術開発も同時に行って協力していくという形であらなければならない、同時にこういった目標設定のときに明確にしていくことが大事なことではないかと思うのです。  次に行動計画でございます。秋までに行動計画を立てようということでございますが、その概要、それから同時に、それを実現可能にするには中長期的な、財政的な、また法的な措置の裏づけがなければならないと思うわけでございますが、具体的にそれをどうしていくのかということをお尋ねしたいと思います。  私たちが生活している以上、また企業や人間の活動、これはすべてがやはりCO2の排出とのかかわりがある以上、どこかで痛みを感じ、あるいは犠牲を強いなければならないのは、地球を守るという立場から考えて痛みを伴うことは当然のことではないかと考えるわけであります。そのための財政的措置はどうするのか、あるいは法的措置で、誘導しながらやっていく法的措置、あるいは先般、規制措置をとらないのですかと大臣にお尋ねいたしましたら、規制措置はとるつもりはないというお考えでございましたけれども、果たしてそれでいけるのかどうか。また、この行動計画を立てる場合に、すぐに実践可能なものは何と何があってやっていくのだ、そして中長期的な目標を定めて具体的にはどうしていくのだ、こういうものを出していかなければやはり世界の人々が納得をしないのではないかと思いますが、行動計画についての答弁を承ります。
  137. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 もう一つ私がぜひ御理解いただいておきたいと思いますことは、先ほど環境庁と通産省の話を私は申し上げましたけれども、正直、今世界先進国の中でCO2の排出の問題が、GNPとの比較でまいりますと、今御指摘のとおりで技術が進んでまいりまして公害対策が進んできておりますから、日本はもう極めて低い数字になっておるわけでございます。それをまたより一層という点でございますから、大変難しいということを私ども申し上げているということをまず御理解いただきたいと思います。  それから、この間新聞にもちょっと出ておりましたが、フロンガスを加えれば、二〇〇〇年には今よりもずっと低くなるという数字も出ておるわけでございまして、この点はちょっとつけ加えさせていただいて、御理解をいただきたいと思います。  それから、そういうようなことで努力をしてまいりますが、今後財政的な裏づけであるとかそういう面、やはり新しい技術開発をどんどんやってまいります、あるいは森林を守っていくとかいろいろな面が出てくると思うのでございますけれども、そういう点で財政的な裏づけが必要なことがあれば、当然それはその都度財政的なものだけはきちんと確保していかなければならないという決意でございます。
  138. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 ただいまお尋ねの行動計画の具体的な点を補足させていただきます。  行動計画は二十年というタームを考えておりまして、一九九一年から二〇一〇年までに講ずべき施策を整理をしようということでございます。その中身といたしまして、温暖化効果ガスの排出抑制対策ということが一つでございますが、このほか造林、緑化等の温室効果ガスの吸収源の保全、整備対策あるいはCO2の固定化、有効利用技術の開発及びその普及あるいはこれらの施策の普及、啓発といったような対策を盛り込むことといたしておりまして、二十年と申し上げましたが、必要に応じて区分を設けながら、御指摘のように短期的に講ずべきものと中長期的なものというのが区分されてまとまってくるということが予定されております。  このような検討に当たりましては、エネルギー対策だけでなしに交通政策、都市政策あるいは農水産政策も含めまして幅広く議論をすることになっておりますが、これらを進めるに当たっての具体的措置につきましては、法的措置、財政的措置という御質問がございましたが、それらも含めて検討の中で煮詰められていくものというふうに考えておる次第でございます。
  139. 森本晃司

    ○森本委員 そこで、安定化させるレベル、それから行動計画とエネルギー政策との関連について尋ねたいのですが、私はエネルギー政策の変更が今回の閣僚会議を受けて行動計画を立てていく中で必至にならざるを得ないのではないかと思うわけです。先般の長期エネルギー需給見通し再改定のための検討を早急に行えるのかどうか、あるいは一つ一つもう一度チェックをされるのかどうか、その点を伺いたいと思います。  私は、この閣僚会議あるいは行動計画が具体的になっていくと、直ちにエネルギー政策というのは検討、見直しをしなければならない、そうでないと行動計画との整合性がとれないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  140. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 御指摘の長期エネルギー需給見通しにつきましては、現在までのいろいろの政策あるいは環境条件を、与件を前提といたしまして、先ほどもほかの委員お答え申し上げましたとおり、省エネ努力とかさらには新エネルギーの開発とか、最大限の努力をして何とか達成していきたいという民間の御努力、それから政府の協力、いろいろ含めました最大限の姿をあそこで描いていただいたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在のところではあの長期エネルギー需給見通しが最善のものだと確信しております。  ただ、この前も先生お答え申し上げましたように、現在のエネルギー需給見通しは二つの大きな前提のもとに行われておりまして、一つは、一定の経済成長を行うということで、二〇〇〇年までは一応四%、その後三%程度の経済成長を前提にしております。それからもう一つは、今も御指摘がございましたように、いわゆる規制的な措置をとらずに市場経済の中でその当事者の最大限の努力でやっていただくという二点を大前提にしております。したがいまして、今回の行動計画がどういう形でまとまりますか、これから政府部内で懸命な関係各省庁担当者の努力もやって検討するわけでございますが、その中には、今お答え申し上げましたように交通政策とか都市政策とかさらには農林水産政策とか、いろいろ関係の社会的なほかのシステムの政策などもあるわけでございます。  したがいまして、エネルギー政策そのものといたしましては、先ほど申し上げましたような前提が変わってまいりますれば、あるいは国際的な動きに大きな変化がございますれば、それに応じた必要な再検討というのは必要に迫られるかもわかりませんが、現在のところで前提が変わらなければ、今の姿が最大ぎりぎりの線ではないか、このように考えております。ただ、これはいずれにしましても、これからの行動計画、三カ月なりあるいはもう少し時間がかかりますか、懸命に検討されるわけでございまして、その中でこのエネルギーの関係も全体の動きを見ながら必要があれば検討する、こういう形になろうかと考えております。
  141. 森本晃司

    ○森本委員 先般の私の質問の中でも、国際会議に臨んで、その情勢が変わってくるならば、見直 し、検討するという御回答をいただいたわけでございますけれども、今回、行動計画我が国みずから決めるものでございますので、そういった国際環境状況が変わればという形ではなしに、むしろ日本が積極的にリードしていく考え方でエネルギー政策等々の検討に入っていかなければこの行動計画と合ってこないというふうに私は思います。  そこで、この行動計画に基づいて秋の環境問題に関する国際会議に臨まれるわけでございますけれども、行動計画だけにこだわることなく、日本環境問題に取り組んでいる一流国家である、またそれにふさわしい対応が必要になってくるのではないかと思うわけでございます。  去る六月五日から十四日まで、我が公明党の海外環境調査団がスウェーデン、西ドイツを中心にしてオランダ等々ヨーロッパ各国の環境調査に行ってまいりました。酸性雨でやられた森を見、あるいはスウェーデンで十万湖のうちの約二万湖の湖が酸性雨でもうやられてしまって、五千湖ほどの湖は魚がすむこともできないという状況を目の当たりにしてまいりました。  その調査に行って帰ってきた我が方の議員が、そういったスウェーデンの十万湖のうちの二万湖の湖が酸性化されている、しかもそれはスウェーデンの国から起きた酸性化の問題ではなしに近隣の国から起こした問題でそういう状況になっている、そこで、やはりスウェーデンとしては積極的に取り組もうということでございますが、こんな取材をしてまいりました。「スウェーデンで注目されるのは、CO2の削減目標を掲げる一方で、二〇一〇年には原発を全廃するという注目すべきエネルギー政策を打ち出していることだ。この二つが矛盾するのではないかと、日本のマスコミなど各方面が指摘しているが、この論点に対し、パウルソン長官は「すべては可能である」「どんなに高価であっても、その代金を支払う覚悟が、われわれにはある」「計画を実行するには、血の汗を流すことも必要だ」等と、ズバリと語っていた。」こういう報告を帰ってきてしてくれているわけでございます。  この環境問題に取り組むのに、お見えいただいている大臣初め、それぐらいの覚悟で取り組んでいかなければならないし、さらにまた、我が国は技術の面で、先ほども申し上げましたように省エネルギーの技術、大変なものでございます、そういった国際的な技術協力をやっていかなければならない。また、経済の面でも、技術協力、技術開発を国際的にやっていかなければならない。先般、メキシコ大統領がお見えになりまして、首相官邸で講演されまして、私もその中に出席していたわけでございますが、最後の中で、メキシコの大気汚染について日本の協力を賜りたいという話も四十二歳の若き大統領からもございました。非常にこれはもう国際的なレベルで考えていかなければならない。経済大国の通産大臣として、国際地球環境に取り組む問題への決意をお伺いしたいと思います。
  142. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 確かに日本経済大国にはなりましたけれども、経済大国になって、今度は世界が公害に遭ってもいいということじゃございません。あくまで、経済の大国であればあるほど、経済成長と地球環境の保全というものが両立するように考えていかなければならない、行動していかなければならない責任が、私は日本にあると思います。  そこで、先ほど来いろいろとお話が出ておりますように、私どもといたしましては、今後それでは経済がマイナス成長になってもいいのであろうか。やはりまだまだ世界人たちの、より国民生活の水準向上、質的向上というようなことを考えれば、経済は依然として成長は続けていかなければならない。しかしながら一方において、今御指摘のようないろいろの面があらわれてきておりますので、これ以上地球の環境が悪くなるようなことだけは絶対に避けなければならない。  そこで、例えば今もお話がございました公害対策にいたしましても、その他、技術においては日本の技術レベルは最高のものになってまいりましたので、この技術を積極的に、国際的にお使いをいただくという意味において、技術の移転を積極的にやっていかなければならないということが一つだと思います。いま一つは、やはりなお一層新しい技術を開発をして現状を打破していくという努力をこれからも続けていかなければならないのがいま一つだと思います。  それから、スウェーデンの原子力の話がたまたま出ましたけれども、原子力発電というのは決して、その管理が不十分であれば非常に危険でございますけれども、十分な管理のもとに行われれば必ずしも危険ではないのではないか。しかも、これはいわゆるCO2の関係からいけばクリーンエネルギーでございますから、やはり十分これからも安全という面においてはもう本当に気を使いながら、ある程度これも私どもは今後とも推進はしていかないと、世界経済成長を支えるエネルギーの供給という面においては、どうもその辺は困難になるのではないかな、こんな感じがいたしておりまして、スウェーデンのお話がございましたけれども、私といたしましては、少なくとも原子力というものにつきましては、今後安全というものが絶対の条件である、前提であるということにおいて、ある程度世界の人の御理解、日本の国民の御理解も得ながら進めていかなければならないと考えておるわけでございます。
  143. 森本晃司

    ○森本委員 続いて、電力のピーク時の問題を解消するための家庭用電気料金への季節別料金導入制度についてお伺いをしたいと思います。先ほど社会党の大畠先生からもその辺の問題についてお話がありましたが、私の方からも数点お尋ねをさせていただきたいと思います。  六月十三日の新聞に、「電力九社は年内にも、家庭用電気料金に、夏の暑い時期の昼間の料金を現在より高くし、夏の夜と冬の一定時間を安くする季節別・時間別料金制度を導入する方針を固めた。」という記事が大きく載っておりまして、見出しは「夏の昼間は割高に」「年内にも試行へ」ということでございます。社長会でこの方針を固めたということの報道でございますが、エネルギー庁はこの点について今日まで相談を受けておられましたかどうか、御承知、了解をされておられるのかどうか、それをそのまま認められるかどうか、お伺いしたいと思います。
  144. 牧野力

    牧野(力)政府委員 この季時別料金につきまして、後ほどいろいろ御質問があろうかと思います。  まず事実だけ申し上げておきますと、先生指摘のように、六月十三日の新聞報道にそういうのがあったことは事実でございます。私どもといたしましてこれを直ちに確認をいたしましたが、まず事実といたしましては、この季時別、季節別あるいは時間別料金を、家庭用電気料金へその制度を導入することができるかどうか、あるいはするとすればどうしたらいいかということの検討を、電気事業連合会、電気事業者の間で始めたということでございまして、いつまでにどういうことをやるかとかあるいは内容はどうかというようなことは全く白紙であるというふうに私どもは承知をいたしております。
  145. 森本晃司

    ○森本委員 それじゃ、この新聞報道とは違うのですね。新聞報道は決めたとなっていますね。事実は検討したということですか。いかがでしょう。
  146. 牧野力

    牧野(力)政府委員 私どもの承知するところでは、検討を開始することを決めたということでございます。さように承知をいたしております。
  147. 森本晃司

    ○森本委員 私も先般の八日の委員会でも、ピーク時、これが年々非常に角度が厳しくなってきておりますので、そういった夏の八月末のピーク時、それから夏の昼、こういったのを何とか抑制する必要がある、そのために電力の有効利用を図らなければならない、そういった意味で、ほかのサマータイムとかあるいは甲子園の問題等々申し上げたわけでございますが、僕はこの新聞報道を見て思ったのは、このピーク抑制、そのシフトを料金だけで対応していくということについて非常に遺憾に思ったわけです。それを、家庭用料金にそのシフトをしく、それでピーク時を下げるんだ、 負荷平均化をするんだ、これは私は余りにも唐突な感じがするわけであります。  なぜこの季節料金が、今の回答では社長会で決定されたというのではなく検討されたというのですが、非常に唐突に出てきたのか理解しがたい。国民生活が、夏の冷房を我慢し、その電力の負荷平均化をすることの必要性は感じますけれども、生活パターンを夜に変えていかなければならない。これは必ずしも合理的でない生活パターンを無理に強制されるような形が、国民のコンセンサスなしに、そして、そうしていくとどれだけ負荷平均化されますよ、料金がどれだけ安くなりますよ、何の検討もされずになされていったならば、私は、これは余りにも電力会社は横暴ではないかな、九社の決定というのは、というように思うのです。  そのことを申し上げますと、二本立てで選択をしていただくことになっておりますということです。二本立てで選択をするといっても、約五千万件の家がほとんどその料金に変えていかなければ実際は割安にならないし、あるいはこのピークを下げるという効果は働かないんだというふうに私は伺っているわけです。それで、また同時に、そのときの記者会見で、電気料金がこの季時別料金にしていきますと割安になりますよということは、裏返せば、現行料金でいくと割高なんですよということです。これは二者を選択できるといっても、消費者は選択できる余地がない。選択は、その料金が導入されればもうそれに従っていく以外ないのではないかというふうに思うわけです。  そう検討されたということでございますが、この家庭用料金の新しい制度導入についてどう考えておられるか、お伺いしたいと思うのです。
  148. 牧野力

    牧野(力)政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在、電源開発が非常に難しくなっておる、一方で、家庭用需要等を中心に電力需要が非常にふえておるという中で、電力の効率的な使用をしていくことが非常に大事になってきております。そういう意味で、電力のピークをならしていく、いわゆる負荷平準化ということは非常に大事な問題でございます。ただ、今先生おっしゃいましたように、これを料金だけで負荷平準化を図る、あるいはこれが最大の手段であるというふうに考え、これを一方的に押しつけるということはあってはならないことでございまして、私どもも全くこれは不合理であろうと思います。それはお説のとおりであります。  ただ、これは新聞にはそれほど書いてないのかもしれませんが、従来から負荷平準化のためには、例えば電気温水器のような夜間に使える機器をなるべく普及開発をいたしますとか、あるいは需要家の負荷集中制御をあるシステムをもってやるとか、あるいは蓄電システムあるいは蓄熱システム、長期的には超電導というのもその一つであろうと思いますが、こういった技術開発を鋭意資源エネルギー庁におきましても、工業技術院、通産省におきましても、あるいは民間においても進めておるところはまた一つ事実でございます。そのピークをならす負荷平準化の一環として、料金の季時別制度を導入するというのはやはり一つの方法であるということもまた事実であろうと思います。現に六十三年から産業用には季節別時間別の料金制度を導入いたしておりまして、負荷平準化にある程度寄与しているというふうに思っております。  これは今先生指摘がありましたが、これにつきましても当然のことながら、総括原価の枠内でそれをやるということでありまして、しかも選択制でありまして、この選択を有利だと思えばそっちの方を選択する、不利だと思えばそちらをとらず従来どおりということでございまして、これは強制をするようなものではないわけでございます。  ところで、冒頭の御質問と繰り返しになりますが、電気事業者は、そういった産業用に導入されております季時別料金を家庭用に導入できるか、あるいはした場合どうしたらいいかという検討を開始することを決めた、こういうことでございますので、その結果がどうなるかは今後の事業者の検討待ちでございますが、これが仮に、その結果が出てまいりましてこういう料金制度を導入したいということになりますと、これは当然資源エネルギー庁が一つ一つ認可をするわけでございます。その場合には、当然のことながら総括原価の枠内できちんと原価主義を守っているかどうかということを見た上で認可をするわけでありまして、また認可をするに当たりましても、当然のことながら消費者あるいは関連の方々に十分に御説明をいたしまして、その御理解を得てこれを導入、認可するという運びになろうかと思います。
  149. 森本晃司

    ○森本委員 それでは大臣にお尋ねしたいわけでございますが、さっきの和田先生の話は、導入してはどうかというような、たしか御質問であったと私も横で聞いたわけですが、いずれにしても、家庭用電気料金への季節時期別料金の導入については、私は何も全面的に否定するものではございません。これは十分な検討をするに値するものだというふうに私も思っております。  ただ一点は、料金制度が非常に複雑になっていくということ。第二点は、現行の三段階料金、少なければ安いという三段階に分かれておりますが、これがある程度その機能を有しているのではないかという点。第三番目は、導入するにしても適用期間、時間帯の設定、それから料金格差をどの程度にするのか、あるいは料金メーターが信頼性やコスト面でたえ得ることができるのかといった問題。さらに四番目には料金体系の変更によって国民生活が無理やり夜型に変わって、変えていこうということへの反発もあるかと思いますし、あるいはそう変えていくことによる効果も多々あるかと思います。  いずれにしましても、今主な点を四点挙げさせていただきましたが、料金決定権、電気料金の許可権を持つ通産大臣として、この問題については十分に時間をかけて国民的論議を煮詰めた上で慎重なる導入へ向かっていかなければならないと思いますが、電力業界への指導方針を賜りたいと思います。
  150. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 細かい点は公益事業部長からお答えさせていただくといたしまして、私といたしましては、やはり電気料金は適正な料金でなければなりませんし、また今お話のございましたように、しかし一方においては省エネの問題であるとか電力を効率よく使っていただくという点もございますから、そういう点においてそれを踏まえた料金体系が、しかもわかりやすい料金体系ができ上がることが大変いいのではないか、そのように私は指導してまいりたいと思っております。
  151. 森本晃司

    ○森本委員 結構です。次の質問に入らせていただきます。  そこで、ピーク需要を抑制し負荷平均すること、今料金の問題もありましたが、同時に、ピーク需要への対応が化石燃料を消費する火力電力に頼っているところがやはり今日の状況であるかと私も推察しておるところでございます。結果的にCO2をたくさん出すということになります。その点については、先般の電気事業審議会需給部会中間報告書にも書いてありますが、「高負荷時の需要を異なるエネルギー間の協調により賄う対策も重要と考えられる。」というように書いてありました。私もその点については全く同感でございます。負荷平準化さしていく、先ほどは料金の問題でございましたが、もう一つの問題として、環境への負担が比較的少ないと言われているLNGを燃料とするガスによる冷房装置、地域冷房を積極的に展開していくことが必要ではないかな。今現場では、電気業界とガス業界が激しい競争をやり合っているわけですが、私は必ずしもガス会社の味方をするわけではありませんけれども、ピーク時の需要を負荷平均化するという点から考えると、やはりガス、それからCO2の排出量等々から考えてもやはりガスを使うのが非常にいいのではないだろうかというふうに思うわけです。ちょうどガスはこの時期は、冷房の時期はガスにとって一番ボトムに入る時期でございますから、ピークとボトムのそれぞれの異なる燃料を使ってやっていくこと が非常に、電力業界にとってもメリットも大きいことだと思いますし、国民経済的にも非常に意味あることだと思いますが、これに対する見解をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、古賀(正)委員長代理着席〕
  152. 牧野力

    牧野(力)政府委員 エネルギー間の相互補完と申しますか協調と申しますか、によって電力の負担を軽減をしていく、なかんずく夏場に非常に電力を食います冷房についてガスを活用するということについては、全く私どももお説に賛成でございます。  ガス冷房も徐々にそのウエートが高まってまいりまして、現在一一%強になっておりますが、これにつきまして当省といたしましては、この普及促進のためにいろいろな政策を講じてきております。特に平成年度におきましては、日本開発銀行の融資対象を拡大いたしまして、住宅用及び中小業務用のガス冷房に対してこれを対象にする利子補給制度を創設いたしまして、中小の事業者に対してこのガス冷房の導入を一層助成するといったような手段を講じてきておりまして、こういった手段によりまして今後このガス冷房の一層の普及促進を図りたいというふうに考えております。
  153. 森本晃司

    ○森本委員 きょうは公取の皆さんにも来ていただいているかと思いますが、日米構造協議の中間報告で景品の規制緩和を行うことになっておりますが、実際どのようなものを緩和されようとしているのか。  それから、あわせてお尋ねを申し上げたいわけでございます、ちょっと時間がなくなってまいりましたので。新聞のクーポンつき広告は本年の夏もしくは秋までに実施できるようにとされておりますが、雑誌は既に六十二年秋からクーポンつき広告をされているわけですけれども、新聞業界が今日までおくれてきてアメリカ指摘があったわけで、それがあったから踏み切ろうというわけではございませんが、今日まで実施できなかった理由は何でしょうか。
  154. 土原陽美

    ○土原政府委員 景品規制に関しましては景品表示法に公正競争規約という制度がございます。これはそれぞれの業界の実情に応じまして事業者が自主的に景品を規制しようというものでございまして、現在五十一の規約がございます。この中にはかなり年数がたったものがございまして、この間経済環境等いろいろ変わっているわけでございますので、この際今の時点にマッチしているかどうか見直しをするよう要望しているところでございます。  その検討の中で、ことしじゅうに緩和を予定されているものが九つあるわけでございまして、その九つのことを中間報告で明らかにしているわけでございます。  具体的に申しますと、カメラ、これは製造業と卸売業の二つございます。それからチューインガム、ビスケット、凍り豆腐、カレー・こしょう、ドッグフード、新聞、チョコレートの九つでございます。  この中で、今御指摘ございました新聞のクーポンつき広告でございます。今お話がございましたように雑誌は既に実施できるようになっているわけでございますが、新聞がまだ実施されておりませんのは、やはり新聞業と雑誌業における競争の違いと言っていいかと思います。と申しますのは、御案内のように新聞につきましては拡材とか無代紙といった不当な景品による勧誘活動というのが依然としてなかなかなくならないわけでございまして、クーポンつき広告が実施されますとそれがまた新聞の拡張販売に利用されないかという問題があったわけでございます。その辺の見通しと、それからそういう拡張販売に利用されないための方策などにつきまして慎重に検討する必要があったわけで、それで現在に至っているわけでございます。
  155. 森本晃司

    ○森本委員 時間が参りましたので、この問題についてちょっとまとめてお伺いしたいと思います。  新聞のクーポンつき広告について公取はどのような考え方を持っておられるのか。また日米構造協議指摘されましたが、実施するとするならばいつの時期を目標に置いておられるのか。それから、実施するクーポンつき広告の内容はいかなるものなのか。具体的な実施方法についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  156. 土原陽美

    ○土原政府委員 今説明いたしましたように、クーポンつき広告が新聞の販売の勧誘に利用されるということであると好ましくないわけでございまして、もしそうでないならば、このクーポンつき広告というのはむしろ進められていいだろうと思っております。  と申しますのは、クーポンつき広告は、一つの形は広告主が広告欄に割引券を印刷するというようなもの、もう一つは見本等の商品そのものがもらえる券を印刷する、新聞の購読者がそれを切り取って小売店に持っていけば割引なり商品がもらえるというものでございまして、これは広告主の間の競争をむしろ活発にする効果がございますし、また消費者にとっても安いものが手に入るといったメリットがあるかと思っております。  中身をそういうことができるということを定めるわけでございますけれども、同時に、先ほど来お話ししておりますように新聞の販売に利用されてはいけないということで、新聞社がそのクーポンつき広告に関与してはならない。例えば、共同で企画をするとかクーポンつき広告がありますということを読者に新聞社が広告をすることはいけないといったような内容になろうかと思います。  具体的な点につきましては、現在新聞業界におきましていろいろ検討しているところでございまして、その案を見て私どもとして対処したいと考えているところでございまして、この夏じゅうにでも実施できるようにしてもらいたいということで私どもは考えているわけでございます。
  157. 森本晃司

    ○森本委員 消費者にとってもメリットのあるクーポンつき広告でございますので、またアメリカからの指摘でもございます、私は一日も早くそれが実現されることを思って、質問を終わらせていただきます。
  158. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員長代理 川端達夫君。
  159. 川端達夫

    ○川端委員 きょうは、先般から非常に大きな話題になっておりまして、これからも大きな課題となる大店法を中心にお尋ねをしたいと思うのです。  五月二十四日付で、大規模小売店舗法の運用に関する商務流通審議官通達集というかなり膨大な通達が出されました。この背景というのは、当然ながら日米構造協議に端を発したいわゆる大店法のあり方、消費者サイドに立って、あるいは住民、町づくりの立場に立って、そして小売業にとってこれからどういうふうな流通のあり方がいいのかという部分で、今までの反省に立つ中で非常な御努力の中でお出しになったというふうに理解をしているわけです。  時間が限られておりますので、簡単にこの通達の目的とするところ、それから、構造協議の中間報告でもいわゆる法改正というものを約束しているわけですけれども、この通達でいろいろ運用改善をされるのと同時に、法改正というものによる予定の項目というのですか、かねがねからこの大店法と現状の、実際でいうと法律に書いてないところの運用通達が非常に多過ぎるということの指摘がありましたし、私もそう思いますが、通達を非常にたくさん掲げられたということで、なお法改正しなければいけない課題として考えておられる点についてまずお尋ねをしたいというふうに思います。
  160. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 次の通常国会の法改正で私どもが一応考えておりますことは、一つは、今度の運用改善でも出店調整期間の短縮を図りましたけれども、それをなお一層進めるということ。いま一つは、輸入品売り場の問題を今の百平米以下を、今度の通達で実質的には届け出だけでいいという形にいたしましたけれども、これを法律改正の中では相当の面積まで届け出だけでよろしいことにしようという問題。いま一つは、商調協その他透明性確保しなければいけない、今度の通達でも相当その辺は配慮したはずでございますけれど も、なお一層その辺を透明性確保し、場合によれば商調協のメンバーは準公務員並みの扱いにすべきではないだろうか。それといま一つは、地方自治体の規制がいろいろなされておりますけれども、これについても法律の改正に伴ってその点の地方自治体の規制についても緩和をしていただくというようなこと。それらが法律改正の中で大体考えていることでございます。     〔古賀(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございます。  大臣今おっしゃっていただいたとおり、透明性確保地方自治体が独自の地方自治の条例によっていろいろするという部分が、いわゆる地方の権限という部分で法的にも非常に難しい問題をはらんでいるわけですけれども、実質的にはその部分が随分大きな影響を与えるということは事実であります。ぜひともにその部分、法改正に向けて取り組んでいただきたいと思うのですが、特に透明性という部分では、現状の一般の国民の皆さんの認識が、大店法というのはスーパーが来ないようにするためにあるがごとき認識をお持ちになり、なおかつ三条届け出の前に立地する場所に看板を立てるということで、ああ、ここにスーパーが来るというのかなと思っていたけれどもいつまでも実際には進出しない、そして何かもめているようだというだけで、具体的にどういうところでどういう争点のもとに議論がされ、そして出店がおくれているのかということが消費者の立場あるいは地域住民の立場でいうと全くわからない。そして審議というものもよくわからない中でいわゆる事前商調協あるいは事々前商調協の同意ということで、場合によっては、余りいい話ではないのかもしれませんが、やみの中でボスが動いて何か手を打ったみたいなことで事前説明の前に大体協定が結ばれて、後は形として商調協が開かれ、そこから後は一瀉千里にいってしまうということで、法の中で動くということ以前のところで全くブラックボックスでやられるということが一番大きな問題があるのではないか。本当に調和のとれた商店街と大規模店の町づくりという観点から見ても、まさに今回のいろいろな議論の中で消費者、住民というものは置き去りにされているところに一番大きな問題があると私は思います。  そういう意味で、今回通達がたくさん改定あるいは新しく出されました。そういう中で、きょうは限られた時間でありますので、一回かなりの御努力をいただいて踏み込んだ通達をお出しいただいているのですが、透明性という部分で前のようなことが起こってはいけないという意味で確認をしたいことを幾つかお伺いをしたいというふうに思います。  従来から、三条届け出という部分の条文というのを幾ら読んでも今の実態がどうしてこういうことになるのかということがよくわからないという話が出るのですが、そういう店をつくろうとする人は、三条においては、その建物の見やすい場所に通商産業省令で定めるところにより表示を掲げるとともに、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出なければならない、こう書いてあるだけで、いわゆる看板をぶら下げて書類を出せばいいというはずなのに、事前説明あるいはその事前説明は同意がなければいけないなどという話になってしまっているのが実態であります。  例えば公取でいろいろ調査をされた部分でも、ある事例では五十一年十二月に出店表明をして、いわゆる事前説明が終了するまでに、五十八年十一月ということで七年間、説明するだけで七年間かかっているのだ。実際はその中で協定書を締結してその後に三条の届け出がされている。ですから、もう話が全部ついてから届け出がされる。法律を読んでもそういうことになっていないわけなのですが、今回そういう部分で随分踏み込んだ期間短縮ということで通達をお出しいただいたのですが、その中で出店表明の時期から一年半というものが一つの目安として出されました。この出店表明というものの定義と、それから、例えば先ほど言いました三条の届け出ということでいうと、法律では幾ら読んでも三条の届け出ということでは出せばいいのだなということなのですが、その前にいろいろかくかくという通達が出されたという意味で出店表明という部分の定義と、そこが起点になるのだということの確認と同時に、これは評価したいと思うのですが、若干の懸念として、出店表明を通産省に出した時点がスタートだという、その出すスタートの前提条件というのは何かあるのかどうかというのを確認しておきたいと思います。
  162. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 出店表明をどこからスタートするかという問題でございますが、私ども今度の通達でも明らかにしておるのですが、出店予定者が建物の所在地、構造あるいは店舗面積、小売業者の氏名等の具体的な出店計画の内容につきまして書類をもって通産局に説明をされて、それが確かに説明を受けたと通産局が認めた日をもって出店表明の日と考えておりまして、そのほかの事前の要件は必要ございません。
  163. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございました。この分からがスタートということで、その後にいわゆる事前説明というものがあるわけです。本来の法体系でいいますと、事前説明というものがどうして必要なのかということがかねがね議論になっていたわけですが、従前の合意まで実質的には必要とされてしまっている事前説明から見れば、随分この通達の内容というのは前進をしたという部分で評価をしたいと思うのですが、この事前説明の中で、出店の説明を通産省にされたときがスタートになるわけですが、あと市町村、商工会議所、都道府県にもこういうものをということで説明をする。それを受けて商工会議所が中小小売業と消費者に対して通知をしていわゆる事前説明をやるというふうなこと、要するに中小小売業者及び消費者への事前説明ということで、会議所を介してそういうものに説明をするということが通達で書いてあるわけですけれども、この場合の小売業あるいは消費者というものの固まりというものを、ここでは通産省などと相談をしながらというふうに書いてあるわけですが、実際、公取がいろいろ調査をされた部分でも、事前の説明ができないとか拒否をされたとかいうケースが非常に多くあるわけですね、実際今までの例でいいましても。そういう部分で事前説明が一応義務づけられているという部分でいったときの中小小売業そして消費者というその部分の対象というものの定義というのをはっきりとお聞かせいただきたいというふうに思います。
  164. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  今先生も御指摘ございましたが、事前説明の対象者としましては、出店予定地の市町村、商工会議所または商工会、それから中小小売業者及び消費者でございます。  特に、中小小売業者消費者につきまして具体的にどういう方々が対象になるのかというところが問題になろうかと存じますが、通達にも書いておりますが、商工会議所あるいは商工会がその当該出店案件によりましてそれによる影響の程度を考慮しまして関係団体を含めて指定するということに書いております。その際、疑問があったら通産局等に相談していただいて結構です、そういうふうにしております。そういう意味で通達ではきちっとしているわけではございませんが、私どもとしては、できるだけ関係の皆様方に御説明できるように指導をしてまいりたいと思うわけでございます。
  165. 川端達夫

    ○川端委員 後の質問とも関連するのですが、これは非常に難しくて、本来事前説明というものがどういう性格なのかということ、そして必要なのかどうか。必要というのは、そういう方法も含めて若干疑問にも思うわけですが、例えば、消費者に説明をするという消費者の部分、ある町にできるというのは、その町の住民というのは基本的には消費者ですから、そういう部分に関してどういう人をフィックスしたらいいのか。あるいは小売業の場合でも、いろいろな例で言いますと、事前説明で、地元に商店会連盟が存在しないため、商工会内に設けられた地元商店を守る会に対して実施というと、何か見方によっては完全に利害が対 立するような人が対象になるという部分で、実際の運用が難しいという部分もかねがね残っているわけです。そういう部分でこういう形で義務づけをするのであれば、その中身はまさに事前に説明をするということに重点を置くべきであろう。  通達の中でも、これは合意を得るためのものではないと明記をされておりますので、かなり担保はされているというふうに思うのですが、そういう背景と思った中でも、事前説明がなかなか終了しないということは容易に考えられるわけです。説明会をやりたいと言ったら、聞く耳持たないからやりたくない、あるいは、消費者の団体を、聞いてもらう対象を探しているんだけれども、うまくそういう対象が決まらないからということでおくれるとか、いろいろあると思うのです。そういう部分のときに通達の説明書の中で、「事前説明が終了していない要因が出店予定者の事情によるものでないと認められる場合」には、二カ月以内で広告するなり何なりでいいというふうにされておるわけですけれども、具体的に通達の中でも、別紙で、こういうことで説明会をやったという報告書を出しなさい、日時とか場所とか出席者とか中身とかいうことで出しなさい、こういう内容のものをやるのに関して出店予定者の事情によって終了していないというふうな要因というのは、サボってやらない以外に何かあるのかなと思うのですが、どういうことを想定されておるのでしょうか。逆に言えば、ほとんどないのではないかというふうに思うのですが、どうでしょう。
  166. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 通達の中に、今先生言われました「出店予定者の事情によるものでないと認められる場合」というのを予定しております。要するに、ボイコットされたりあるいは説明を妨害をされたというような場合を想定しておるわけでございますが、そういうような事情で説明されない場合で、予定の、今度六カ月でございますが、四カ月プラス場合によって二カ月ということでございますが、最初の四カ月が聞いていただく方の事情で過ぎてしまったというような場合には、地元の四者協で御相談をして、それをその次の段階に進めてあと二カ月説明していただこうということで、その場合でも六カ月で済むようにという手続を規定しているわけです。  ただ、全く説明されないで進むのも問題でございますので、そういうような事態が起こった場合には、説明を受ける側にもしかるべく現場で御指導をお願い申し上げますし、それから逆に、出店者の側にもさらに努力をしていただくというふうにお願いをすることにしております。
  167. 川端達夫

    ○川端委員 本来この事前説明の趣旨が、書いてありますように合意を求めるものではなくて、こういう内容で、こういう計画のお店をつくりたいということで届け出をしますということを説明するという性格のものであるならば、対象に関して事前説明をするということは可能であれば丁寧にするという方がより望ましいということでありますが、その部分に関してやや回りくどく不透明な部分、例えば四者で合意を、諾否をやったかどうかというものを認否をする、その一部に当事者が入り得るわけですから、そういう部分では、私は透明性という部分でここで議論をするわけではないわけですから、透明性という部分ではこの届け出に至るまでの手続というのが、この通達でも相当の御努力で前進をしているのですが、私はもっと簡素であるべきではないかなというふうに思います。  時間が限られておりますのでそれぐらいにしまして、次にもう一点確認をしたいことは、いわゆる今回の通達で第一種大規模小売店舗の出店水準が相当に達していると認められる市町村、いわゆる特定市町村というのですか、等々のいわゆる自粛というものが緩和をされたということで、従来の昭和五十九年の二百四十一号通達ですか、いわゆるそういう特定市町村に対しては「各都道府県知事を通じてその届出の自粛を指導されたい。」というふうな部分が今まで出されておりました。それが今回は通達によって、意見を聞くという形の中で、しかしそういう場合もすべて一年半以内の枠内という部分で処理をするというので同じですよという部分では、これはそういうふうに前進をしたというか、出店自粛地域という部分が実質的にはなくなったと解釈していいのかなというふうに思っているのですが、この場合の第二種の部分に関しても同様に一年半という範囲が入っているわけですけれども、そういう意味で今回の通達によっていわゆる特定市町村に対して手続的にというか、市町村、都道府県に意見を聞くということが加味されたにしろ、通常の一年半という部分の枠で同じように処理をしなさいという意味では自粛という部分、あるいは特別に取り扱うということはなくなったと判断をして解釈をしてよろしいんでしょうか。
  168. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 たびたび申し上げておるのですが、今回の相当水準市町村あるいは小規模市町村におきます取り扱いの手続の変更でございますが、従来の枠組みと申しますのは、そういう特定の市町村とその他の市町村を分けて手続を異にするということ、それから現地というか実際の調整手続において差が生まれるという点については、その限りでは従来と同じだと考えております。  ただ、従来届け出を受けつけないようにという、あるいは出さないようにという指導をしておったのを、法律上の問題も、あるいは対外的な問題も配慮いたしまして、その手続は、先ほど先生も御指摘ありましたように意見を伝える、通知するという仕掛けに変えたわけでございます。届け出を受けた後、事前商調協の手続が進むわけですが、その当該地域におきましては、ある意味では現地において厳しい審査なり討議がなされることは私どもとしては想像しておる次第でございます。
  169. 川端達夫

    ○川端委員 実際の審議の中身は別にして、入り口での部分ではなくなったということで解釈をしておきたいと思うのですが、そういう同じような観点で特定大規模小売業に対する自粛指導、いわゆる企業主義という部分があるというふうに伺っているのですが、今までの実態としての御見解をお伺いしたいと思います。
  170. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  昭和五十七年の一月に「大型店問題懇談会報告」というのが出まして、その報告の中で先ほどの特定市町村というか、俗称出店抑制地域についての指導と、それからもう一つ、今委員指摘いただきました特定の大手小売業者についての出店抑制指導、二つ提言を受けております。これを受けまして昭和五十七年に御承知のように先ほどの通達が出されまして、かつ、その年一年間、特定の大手小売業者について個別企業ごとに出店計画を伺いまして、出店指導というかそのような要請をしたことがございます。  ただ、それは一年間でございまして、現在、特定大手小売業者について出店の動向を私どもとして把握するために、全体の需給を把握するためにヒアリングというか御説明は伺っております。伺っておりますが、出店の計画あるいは届け出が抑制されるような指導ということは全く考えておりませんで、データをいただくだけ、ヒアリングをするだけということにしております。
  171. 川端達夫

    ○川端委員 今お触れいただきましたけれども、いわゆる「大型店問題懇談会報告」の中で「大型店の出店抑制策について」ということで、〔イ〕〔ロ〕〔ハ〕三つの中で〔ロ〕と〔ハ〕ですね。〔ロ〕というのが「大型店の出店が相当水準に達していると認められる地域への大規模小売店舗の新設の届出については、特に理由があると認められる場合を除き、自粛を指導すること」「小規模市町村への大規模小売店舗の新設の届出については、特に理由があると認められる場合を除き、慎重に取扱うこと」ということで、これは先ほど申し上げた通達としてお出しになっている。それで、〔イ〕ということで一年間だけだったということでございますが、「特定の大手大型小売業者については、通商産業省において」、これだけなんですね、通商産業省において、とはっきり書いてあるのは。「個別企業ごとに出店計画を聴取し、大規模小売店舗の新設の届出が抑制されるよう指導すること」、こういうふうに書いてあって、実質的には通達は何も出ずに、そし て一年間ということでしたけれども、そういう部分で、どういう表現が適当かわかりませんけれども、調整をされて、実質的には抑制がされた、そしてその後も出店計画の聴取を行われているという部分でありますが、そういうふうに、これはこの業界ではいわゆる暗やみ通達というふうに言われるときもあるのですけれども、やはり監督官庁でございますので、そういう部分でどうなのと言われると何かその力は非常に大きいなという部分と、通達に出る部分と出ない部分があったのですね。今度〔ロ〕と〔ハ〕の方も通達に出ていた部分が違う通達に置きかえるということではっきりとなった。このことに関しては、もうそうすると一切そういうことはないというふうに今の御答弁で理解をしておきたいというふうに思います。それでよろしいですね。
  172. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 データを収集するという意味でお聞きしているだけでございまして、出店抑制的あるいは出店調整、届け出自粛といったような色彩は全くございませんし、そういうふうにも現在企業から受けとめられてないと確信しております。
  173. 川端達夫

    ○川端委員 時間が終わってしまいましたけれども、私これをお伺いしたのは、本来の大店法で規定している役割というのは、あくまで大規模それから中小規模小売業両者の協調的な発展と同時に消費者の利益を保護するという観点での議論がきちっとした手続の中で透明性を持ってやられるということが一番大事なことである、それがよく見えないところでやられてしまうという部分でかえってゆがめてしまっているという部分が今までの反省であったと思いますし、それが随分改善されていることは評価を高くしております。そういう意味で、今回やられる部分に若干の懸念がある部分だけはないようにという部分で御質問を申し上げたわけでありますが、そのほかにもいろいろ確認したいことがたくさんあったのですが、時間が終わってしまったようでありますので、これで終わりたいと思いますが、法改正、先ほど大臣言っていただきましたけれども、いわゆる透明性の部分、本当に国民の立場に立って大事なことであると同時に、やはり地方自治体ですね。通達の中でも、地方自治体に対しても、自治省の方からは、そういうことを趣旨をよく踏まえて協力してほしいというふうなのが出ていますけれども、やはり実際の動きとして見ますと、地方自治体における個別の動きというのがやはりいろいろな部分でまた住民にとってよくわからないということを生み出しているように思います。そういう部分での通産省としての自治省への働きかけ、それから協調というものも特段にお願いをして終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  174. 浦野烋興

    浦野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会