○網岡
委員 先ほどの御
質問の中にもあったわけですが、今言われましたように、
薬物事犯というのは、その件数もそれから被害の幅といいますか、
内容も非常に大きなものになりつつございます。
昨年、
薬物乱用白書というものが発表されております。私もこれを拝見いたしまして痛感をしたところでございますが、
コカイン、
ヘロイン、
大麻といったような
麻薬が昨年一年間で非常に顕著になってきたということが、
薬物乱用白書の中に示す
麻薬の事案でいきますと非常に特徴的にとらえられているところでございます。特にこれから問題になるというのは、白書の中にも言われておりますが、
コカインというものが、今後
日本が
一つの標的になっていくのではないかという点で、警察庁の方もそのようにマークをされておられるようでございます。
多少の事案を申し上げますと、八九年の七月に、先ほどの以外のところでは、神戸港で十二キロのいわゆる
コカインがボストンバッグで流されていた。これは恐らく、捕まっちゃいけないので落としたのか、あるいは意識的に事前に通信をもって流したのか、どちらかだと思いますが、手口が非常に巧妙になっていることと同時に、そういう事案について注目すべきところだと思います。しかも、
捜査の結果は、やはり当局側がつかんでおみえになりますけれ
ども、
コロンビアのシンジケートの手先でやられたということが明確になっているというふうに言われております。それから、先ほどの四十二キロの
コロンビア貨物船の事案ということなどから見まして、明らかに
一つの傾向は、供給源であります
コロンビアのシンジケートが
日本を
一つの大きなターゲットとして、標的として、
国内における
受け入れ側の団体といいますか、暴力団の
受け入れ組織とも連携をとりながら
一つの動きが出てきているというふうに思われるわけでございます。
さらに
コカインの問題でいきますと、これから注目されるのはクラックと言われる、かなり簡単に精製できると言われるのですが、
コカインのフリーベースによる精製をしたものであって、吸引の方法も非常に簡単だということで、
アメリカでは非常な速度で流行したというふうに言われております。この
日本でも六十二年のときに麻布のある一室の部屋で、最初は
覚せい剤で検挙をしたのでございますが、その部屋を捜索しているうちにフラスコの中にクラックの粉末が付着していたということによって発見をしたと言われておりまして、
日本でクラックの発見というのはこれが最初のような感じだと言われておるわけでございます。
いずれにいたしましても、こういう実際に売られていく商品の目玉と言われるクラックが既に現実に出てきていて、その原料という
コカインが年年非常に多量に
日本に密輸をされている。こういう
状況から見ますと、
麻薬に対する恐怖というのは非常に大きなものになりつつあるわけでございますが、そういうことなどの情勢というものをつかんだ上で判断をいたしました場合に、やはりこれを取り締まっていく体制の
強化というものがどうしても必要だというふうに思うわけでございます。
そこで、まず、
麻薬取締官の
制度というものが厚生省の直轄の組織としてあるわけでございますが、これはおとり
捜査をすることができるという点で
一つの大きな目玉的な役割を持つ特権を持っておるわけでございまして、そういう意味ではやり方によってはかなり大きな効果を上げていくと思うのでございます。
そこで、
質問させていただきたいわけでございますが、四十七年のときに十名増員をされまして、その増員の理由は、沖縄が
日本に入ったということによる理由をもって十名の増員がされておるようでございます。それ以外は、三十年代に一度ございますけれ
ども、ほとんど増員がされていない、四十七年からいきますと約十八年近くやられていないというような
状況であるわけでございますが、これでは、先ほど
薬物乱用白書の中にも
指摘をされておりますような
一つの流れというものを的に見た場合には、この体制ではとても太刀打ちのできない
状況ではないか、したがって、この体制の
強化というものはやはり目下の急務じゃないかなというふうに私は思うわけでございます。
それから同時に警察側でございますが、
日本における検挙の数の中で全体の九〇%を占めるという役割を担っておいでになったのでございますけれ
ども、その
内容を私
どもが見させていただきますと、
東京警視庁、
大阪府警というところにはそれぞれ独立した課がありまして対応がやられておるわけでございますが、そのほかにそれに次ぐものといたしましては、愛知県に
麻薬対策室、それから埼玉県に
麻薬対策室と全国で室が二つある、こういう
状況でございます。しかし、
押収量のランクからいさますと
東京、
大阪、神奈川、福岡、埼玉、愛知、静岡、兵庫、北海道、これは
覚せい剤の量で判断をさせていただいておるわけですが、多少の違いはあるかもわかりませんけれ
ども、大体そういうところがベストテンの中に入る県だというふうに私
ども考えるわけでございます。そうだといたしますと、これもやはり少なくとも愛知県、埼玉県に倣っていわゆる
麻薬対策室的な機構に拡充をいたしまして、それぞれの
対策をとっていくということでないとおくれをとっていくのではないかという気がいたしてなりません。
アメリカの例が端的に示しているわけでございますが、今
アメリカでは
コカインは、
乱用者が千二百万人と言われておるわけです。その中で、先ほど言いました問題のクラックは八一年に南カリフォルニアで発見をされまして、八五年にはニューヨークで初めてそのクラックというもののブツを押収したわけでございますが、一年たった八六年の段階では
乱用者は百万人に達する、わずか五年であっという間に百万を数えるというところに来ている、この厳粛な事実というものを私
どもは直視しなければならぬと思うのでございます。
そういうことを
考えてみますと、現に
コカインの原料というようなものが、大量なものが密輸の形で
日本に上陸しつつあり、クラックという製品が既に現実に発見をされているということから見ますと、この
アメリカの例から見てやはり早急に
対策を整えていかないと、時期がたつともう手おくれになる、こういう気がいたしてならないわけでございます。そういう意味からいいまして、今二つの
指摘というものはどうしても
取り締まり上クリアをしていかなければならないものだというふうに私思うのでございますが、厚生省、警察庁、それぞれの立場からひとつお
考えをお示しいただきたいと思うのです。