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1990-04-19 第118回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月十九日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 畑 英次郎君    理事 粟屋 敏信君 理事 伊吹 文明君    理事 自見庄三郎君 理事 丹羽 雄哉君    理事 持永 和見君 理事 池端 清一君    理事 永井 孝信君 理事 貝沼 次郎君       今枝 敬雄君    今津  寛君       小沢 辰男君    岡田 克也君       片岡 武司君    古賀 一成君       古賀  誠君    坂井 隆憲君       鈴木 俊一君    住  博司君       平田辰一郎君    三原 朝彦君       宮路 和明君    山口 俊一君       山本 有二君    網岡  雄君       伊東 秀子君    岩田 順介君       沖田 正人君    川島  實君       川俣健二郎君    五島 正規君       外口 玉子君    渡部 行雄君       石田 祝稔君    大野由利子君       児玉 健次君    柳田  稔君       菅  直人君    岡崎 宏美君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 津島 雄二君  出席政府委員         厚生政務次官  野呂 昭彦君         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生大臣官房審         議官      伊藤 卓雄君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 岡光 序治君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省保健医療         局長      長谷川慧重君         厚生省生活衛生         局長      目黒 克己君         厚生省薬務局長 北郷 勲夫君         厚生省社会局長 長尾 立子君         厚生省児童家庭         局長      古川貞二郎君         厚生省保険局長 坂本 龍彦君         厚生省年金局長 水田  努君         労働省労政局勤         労者福祉部長  松本 邦宏君         労働省労働基準         局長      野崎 和昭君  委員外出席者         社会労働委員会         調査室長    滝口  敦君     ───────────── 四月十八日  麻薬取締法等の一部を改正する法律案内閣提出第五一号) 同月十九日  高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  厚生関係基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 畑英次郎

    畑委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。
  3. 岡田克也

    岡田(克)委員 第百十八回国会社会労働委員会審議に当たり、最初質疑者として厚生大臣初め厚生行政に責任ある立場にある皆様質問をさせていただき、大変光栄に思います。  私は、さきの衆議院選挙で初めて当選をさしていただいたわけでありますが、選挙活動を通じて、例えば年金生活者、体の不自由な方あるいは母子家庭の方など、社会福祉行政対象となる方々からいろいろな生の声を聞かされました。これらの方々社会福祉行政の今後に対し大きな期待を抱いていることを痛感したわけであります。本日は、その経験を踏まえて質問をさせていただきます。  第一に、消費税社会保障制度の関連についてお尋ねをしたいと思います。  消費税そのもの必要性については、近く到来する高齢化社会に備えるため必要な税制であるとの理解国民の間に得られつつあると思います。しかし、消費税所得や資産の多少にかかわらず一律に課される結果、例えば寝たきり老人母子家庭やあるいは消費税導入に先立ち行われた所得税減税恩恵に浴さない所得の低い方々などのいわゆる社会的弱者方々に対し大きな負担になるとの批判があります。この点につき政府はどのような配慮を行ったのか、説明を願いたいと思います。
  4. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 ただいまお尋ねのありました消費税逆進性緩和等のそういう恵まれない方々に対する措置でございますが、一般的に申し上げまして、消費税のような間接税には逆進的な面があるということは事実でございます。税制所得配分機能という点では、税制の全体を見て見ていただくということは今先生おっしゃったとおりでございますが、こういう観点から、今回の一連の税制改革におきまして所得税住民税課税最低限の大幅な引き上げ、あるいはパート減税というものが実施されておりまして、消費税導入影響配慮されているわけでございます。  また、御指摘がありましたいわゆる所得が少なくて減税等恩恵が及びにくい層の方、あるいは寝たきり老人方々などきめ細やかな配慮を要しますいわゆる社会的に弱い立場におられる方々に対しましては、まず消費税導入時の影響配慮いたしまして、在宅寝たきり老人の方あるいは福祉年金受給者などの方々対象といたしまして、臨時福祉給付金支給というものを導入時の影響緩和措置として平成元年三月に行っておりますほか、生活保護を受けておられる方々に対しまして、平成元年四月から生活扶助基準を四・二%引き上げまして、これによって消費税導入時の激変にも対応できるようにということを考えております。そのほか、年金に対しましても所要の措置をとったところでございます。
  5. 岡田克也

    岡田(克)委員 ただいま年金について少しお話があったわけでありますけれども、特に年金生活しておられる方々からは、消費税導入によって実質的に年金支給額が目減りをしたという批判を随分いただきました。こうした批判に対して、消費税導入に当たり政府としてどの程度年金給付改善を行ったのか、また、どのような税制上の特別措置を講じようとしているのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  6. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 年金関係につきましては、消費税導入されました平成元年度におきまして、その元年の四月からいわゆる物価スライドによって〇・七%引き上げるというものを行いました。また、政府の原案におきまして、年金財政再計算時の改正におきまして六・二%の実質改善を十月分から行うこととしておったわけでございますが、昨年の国会におきまして与野党審議の結果合意を得まして、この改善をさらに四月にさかのぼって実施するということにされたところでございます。また、平成年度からは完全自動物価スライド制導入されまして、平成元年物価上昇率二・三%に対応する年金支給額二・三%引き上げというものが行われておりまして、これは平成元年におきます消費税影響額も含んで物価上昇に対応するものでございます。  それから、税制の面からも、年金受給者税負担の軽減の見地から公的年金等控除額引き上げられまして、これによりまして六十五歳以上の夫婦の所得税課税最低限というものは、改正前の三百一万八千円から三百二十一万八千円になったところでございまして、このようにさまざまな措置を講じておるところでございます。
  7. 岡田克也

    岡田(克)委員 今の御説明消費税導入の悪影響を最小限にとどめようという政府努力についてはよくわかったところであります。ただ、政府がせっかくこれだけの措置をとったとしても、それが国民十分理解をされない、あるいは伝わっていないことが不必要な不安やあるいは誤解を招くことになったと思います。今後とも、国民納得のできるわかりやすい説明あるいは広報の努力を継続していただきたいと思うわけであります。  さて、消費税導入に当たり政府は、消費税高齢化社会への対応のために必要な税制であるという説明をしてまいりました。また、大臣は先日の所信表明の中で、「現在の我が国社会経済最大課題一つは、活力ある長寿福祉社会実現」であるというふうに言われました。具体的に政府高齢化対策をどのように進めていく考えか、大臣の基本的なお考えをお聞かせ願います。
  8. 津島雄二

    津島国務大臣 最初岡田委員に申し上げたいのでありますが、新進気鋭政治家方々国民福祉の問題について真剣な関心を持っていただいている、厚生大臣として大変ありがたいと思っております。また、本委員会のこのたびの委員の方方を拝見いたしますと、そのような大変フレッシュな感覚で私どもに御鞭撻をいただける方々与野党でおそろいでございまして、どうか心からの御協力お願い申し上げたい次第でございます。  さて、今岡田委員指摘のとおり、二十一世紀我が国高齢化がピークに達してまいります中で、活力のある長寿福祉社会を構築できるかどうかはまさに国民的な課題でございます。この国民的な課題に対応するために、政府といたしまして、昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱閣議決定をいたし、これを踏まえまして昭和六十三年の十月にいわゆる福祉ビジョン提出をいたしまして、年金とか医療とか福祉について具体的な姿をお示ししたわけでありますが、今般、その展開といたしまして高齢者保健福祉分野今世紀中に実現しなければならない十カ年の目標を掲げて、その強力な推進を図ることといたした次第であります。これがいわゆるゴールドプラン、すなわち「高齢者保健福祉推進十か年戦略」でございますけれども、この目標を達成することは非常に大きな仕事であり、また困難を伴うことも予想されますけれども、何としてもこれを実現をいたしまして国民の御期待にこたえなければならないと私は決意をしておるところでございます。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
  9. 岡田克也

    岡田(克)委員 今大臣お話の中に出てまいりました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランは、今世紀中に実現を図るべき十カ年の施策目標を具体的に設定したものとのことでありますが、その具体的内容について御説明を願いたいと思います。
  10. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 ゴールドプランについて御説明申し上げます。  ゴールドプランにつきましては、ただいま厚生大臣から申し上げましたように長寿社会対策大綱、さらに福祉ビジョンを踏まえまして、今後十カ年に達成すべき高齢者保健福祉推進目標、それから具体的な数値等を掲げたものでございます。  まず、いわゆるゴールドプラン内容は、ホームヘルパー十万人の確保等いわゆる在宅三本柱の飛躍的な充実、それから在宅介護支援センター整備等市町村におきます在宅福祉対策緊急整備というものを一つの柱にしております。また、第二といたしましては、今後寝たきり老人を新たにつくっていくというようなことのないような各般の施策を講じていくということで、寝たきり老人ゼロ作戦を展開してまいるということが第二の柱でございます。また第三には、在宅福祉充実のための長寿社会福祉基金を設置するということにしておりまして、これは在宅福祉のための環境整備を図ってまいるということでございます。さらに施設整備につきましても、特別養護老人ホーム老人保健施設等緊急整備を図ってまいりまして、待機者をゼロにしてまいりたい、こういうことなど七本の柱から成っております。  また、これらの具体的な政府目標を設定しているものにつきまして総事業費を試算してみますと約六兆円強の規模になる見込みでございまして、初年度分といたしましては社会福祉医療事業団に対します追加出資、これを加えまして三千六百億円程度になるものというふうに考えております。
  11. 岡田克也

    岡田(克)委員 ゴールドプラン考え方やその内容は大変高く評価され、また高齢者やその家族にとって大きな期待を抱かせるものであると私は思います。しかし、幾ら野心的な計画であっても、それが財政面その他の理由により実現されないのでは意味がありません。例えばホームヘルパー平成元年度三万人から十年間で十万人にするという目標は、その実現に大変な努力が必要であるというふうに思うわけであります。ゴールドプラン実現を万難を排してやり抜くという厚生大臣の御決意をお聞かせいただぎたいと思います。
  12. 津島雄二

    津島国務大臣 岡田委員指摘のとおり、十カ年戦略実現することは非常に大きな事業でございますから、容易ならざる決意が必要であると考えております。特にマンパワー確保ホームヘルパーを初めとして必要な方々に力強く支えていただかなければならない。それからまた、施設等整備を初めといたしまして相当の予算が必要である。こういうことをやり遂げていくために、私どもとしても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。また法律制度改正も必要でございますので、後ほど本委員会にも必要な法律改正の御提案を申し上げたいと思ってございます。  いずれにいたしましても、このゴールドプランを中核といたします長寿福祉社会形成されるかどうかは国民的な支えがなければできないと私は思っております。国民皆様方意識革命お願いをする、すべての仕事分野でたくさんの高齢者方々が我々の社会の中で生き生きとしてお働きいただく、生きがいのある生活を送っていただく、そういうことを目標努力を積み重ねていく、その運動の先頭に立って私もやっていきたいと思っております。
  13. 岡田克也

    岡田(克)委員 高齢者に対するゴールドプランを初めとする社会福祉制度充実が、高齢化社会を迎えて極めて重要であることは言うまでもありません。しかし同時に、既に仕事を退職した方々社会一員として生きがいを持って生活をしていただくためには、従来の知識経験を生かして社会的に活動していただくことが重要であると思います。こういった広い意味での高齢者のための対策について厚生省はどのような施策考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  14. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のように、高齢者が豊富な知識経験を生かして社会一員として積極的に社会活動に参加をしていくというのは大変重要であると思っております。御指摘のとおりだと思っております。そのために従来から老人クラブ活動の助成であるとか促進であるとか、あるいは高齢者の能力を生かすためにふさわしい職業の紹介であるとか、そういうことで条件整備に努めてきたところでございますが、平成元年度におきましては高齢者生きがい健康づくり推進事業というものを始めたところでございまして、この推進事業を中心に御指摘のような社会活動促進を進めていきたいと考えております。  この推進事業は国それから都道府県、市町村の各段階でそれぞれふさわしい事業展開をして、要するに高齢者のイメージといたしまして、いわゆる援護、介護対象者というふうにとらまえるのではなくて積極的な活動主体としてとらまえる、そういう高齢者像と言うのでしょうか高齢者観というものをつくり上げたい、そんな気持ちも含めておるところでございます。
  15. 岡田克也

    岡田(克)委員 高齢化社会が今後急速に到来する我が国にあっては、厚生年金制度の将来のあり方が大きな問題になってまいります。年金支給額に一定の水準確保し、また国民負担できる範囲に限りがあるとすると、支給開始年限引き上げることは長期的には避けて通れない課題であると言われております。将来のこの課題に対し国民に十分な理解納得がいただけるよう説明を尽くすことが必要であることは言うまでもありません。それと同時に、こういった事態に備えるために高齢者雇用対策がどうしても必要となってまいります。この問題は政府産業界協力も得ながら一体となって取り組むべき重要な問題でありますが、特に労働省厚生省政策面での連携が大変重要となってまいります。厚生大臣、この点についての御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  16. 津島雄二

    津島国務大臣 高齢化が進展する中で年金を健全に維持をしていくということは大変重要な仕事であり、また難しい仕事でございます。我が国社会変化を見ておりますと、高齢化の進展と並んで出生率低下をしておりまして、そういう意味人口構成年金維持に非常に厳しい姿になりつつあるということを私ども大変心配をしておるところでございます。  そういう中で、今保障しております高齢者に対する給付水準維持をしていきたい、そしてまた、お働きになっている方々負担を過重なものにしないようにしたい、こういう二つの要請を踏まえて考えますと、やはり一つの選択肢といたしまして、六十歳から六十五歳までの方々の中で元気で社会活動をされる方、お働きになれる方については活躍をしていただく、そういうことで厚生年金支給開始年齢を漸次引き上げていくということを国民皆様方と議論していく必要があるのではないかと思ってございます。  いずれにしても、この問題は負担給付をどのように考えるか、そして国民皆様方がどのような姿を望まれるかという国民合意形成が必要でございますから、厚生大臣としての私の立場からも、そのような合意形成のために努力をしてまいりたいと思っております。しかし、いずれにしても六十歳を超えた方々が元気で社会活動をしていただけるための環境整備が必要でございまして、そのような意味で、今委員指摘のとおり、労働省労働政策連携をとりながら進めていく必要があると存じます。  本国会に六十五歳までの再雇用についての努力義務などを内容とする高年齢者雇用安定法改正案提出されておりますが、この法案の決定に当たりまして、一昨日開催されました年金雇用に関する閣僚懇談会におきまして、私からも労働省に、今回の改正を契機に六十歳定年の早期定着はもとよりのこと、六十歳代前半層就業確保が計画的に進むように強くお願いをしたところでございます。これからも労働政策との連携を密接なものにするために厚生省労働省一体となって進んでまいりたいと思います。
  17. 岡田克也

    岡田(克)委員 次に、児童対策についてお伺いをいたします。  近年出生率低下女性社会進出の増大など、児童家庭を取り巻く環境は著しく変化をしております。子供は国の宝であり、二十一世紀の日本を考えた場合に、次代を担う子供たちが立派に育つ環境づくりを進めることは、国の政策の根幹であります。今後児童対策をどのように充実していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。また、その際、労働省との連携も重要であると考えますが、この点についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 古川貞二郎

    古川政府委員 御指摘のように、最近子供家庭を取り巻く環境というものは大きな変化を遂げてきております。特に、出生数で見ますと、昭和四十九年以降大幅な低下を続けておりまして、例えて申し上げますと、昭和四十八年に二百九万人の出生であったものが昨年は百二十四万というふうに、ここ十四、五年で八十五万人の減少、こういうふうな状況になっております。また、子供を持つ家庭の八四%が一人または二人、こういうふうな状況でございます。また、御指摘のように、有配偶の女子の方、この方々就業率は五割を超している、こういうふうな状況でございますし、一方、核家族化とかあるいは都市化による子供遊び場減少、こういったことが指摘されているわけであります。  このような子供家庭を取り巻く環境変化というものは、私ども子供自身にとりまして、創造性が欠けるとか乏しいとか活力に乏しい、あるいは社会性が身につかない、あるいは人の心の痛みがわからない、わかりにくいというような、そういう子供の健やかな成長自身にとっても問題がある。と同時に、家庭養育機能の問題とか将来の高齢者扶養負担の問題あるいは人的資源の問題あるいは社会全体の活力というような、いろいろの憂慮すべき事態考えられるわけでございます。  したがいまして、このような状況を踏まえて、私ども、何といっても大事なことは、子供が健やかに生まれ育つ環境づくり、こういうことを進めていかなければいかぬ、かように考えているわけでございます。具体的には、子育てに対する相談体制相談援助活動充実、あるいは経済的な支援でございますが、児童手当制度見直しとか、あるいは乳児保育、一時的保育などの保育事情多様化に応じました対策、サービス、そういったものの拡充あるいは地域ぐるみ遊び場づくり健全育成対策推進、あるいは母子保健対策充実等々のこういった総合的な施策展開していかなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。  また御指摘のように、こういった問題については、これは私どもだけで対応できるというものではございませんで、労働省とかあるいは文部省とか、他省庁とも深くかかわり合いを持つ問題でございますので、こういったところとも連携を密にし、対策推進してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  19. 岡田克也

    岡田(克)委員 これに関連しまして、児童手当制度あり方について御質問したいと思います。  児童手当制度あり方につきましては、昨年の七月に、早稲田大学の平田先生を座長とする六人の大学の先生から成る、児童手当制度基本問題研究会報告書が取りまとめられたと聞いております。その後、児童手当制度についてどのような検討状況にあり、制度改正についてどのように考えておられるのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 津島雄二

    津島国務大臣 児童手当制度につきましては、平成三年五月までの措置として、特例措置所得制限の強化であるとか、サラリーマンに対する特例給付支給ということが実施をされております。  今後、この児童手当をどうするかということにつきましては、出生率が下がってきているとか、また女性社会に進出して大いに御活躍をいただかなければならないとか、そういう社会変化、それからまた児童家庭を取り巻く環境変化などを踏まえまして、児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを進める一環として、今申し上げました特例措置をどうするかということを初め、制度見直しを行わなければならない段階に来ておると思います、重要な課題になっておると思います。このため、現在中央児童福祉審議会において、具体的な改正の方向について幅広い観点から審議を行っておるところでございます。  厚生省としては、二十一世紀社会を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを進める一環として、広く国民合意を得ながら、審議会の御意見を踏まえつつ、今後の制度あり方を検討してまいりたいと思っております。
  21. 岡田克也

    岡田(克)委員 児童手当制度につきましては、本日は十分な時間もございませんので、ここまでにしておきたいと思います。今大臣の御答弁の中にもありましたように、今後とも関係方面意見を幅広く聞いていただくことを要望したいと思います。  次に、健康づくり対策についてお伺いをしたいと思います。  現代人生活は、経済的に豊かになった反面におきまして、例えばカロリーとかあるいは塩分、脂肪のとり過ぎや、カルシウムの不足に見られる食生活面のアンバランス、あるいは運動不足や過労によるストレス等健康面から幾つかの問題点指摘をされております。厚生省はこういった事態に対して具体的にどう対処しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  22. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、現代社会がいわゆるカロリーのとり過ぎ、あるいは運動不足によりまして、国民の健康にいろいろ問題があるんじゃないかという御指摘に対しまして、私どもいろいろの対策を講じているわけでございますが、今先生お尋ねにございましたように、食生活の面について申し上げますと、いわゆるバランスのとれた食生活を普及するために、従来からも保健所あるいは市町村保健センターを通じまして、いろいろ住民に対する指導等を行っているわけでございます。そのためには、栄養士さんあるいは保健婦さん等のマンパワーの養成と、配置に努めているところでございます。  それからまた、これらの事業をさらに進めますために、いわゆる食生活改善推進員というような地域ボランティアの養成なり、そのボランティアの活動の助成等も行っているところでございます。  さらに、具体的な栄養指導のための技術的な指針といたしましては、食生活指針やあるいは年齢、性別、日常の運動量に応じました栄養所要量といいますものを作成いたしますとともに、国民の栄養状況を把握するための国民栄養調査といいますものを行いまして、総合的に食生活対策を進めているところでございます。  それから、運動不足あるいはストレスの問題でございますが、運動習慣の普及を民間活力を利用しつつ行うことといたしておりまして、マンパワーの養成や健康増進施設といいますものの認定を行っておりますほかに、休養のあり方の検討なども行っておるところでございます。  いずれにしましても、こういう国民の健康問題はこれから非常に重要な課題でございますので、いろいろの対策等を考えながらさらに努力してまいりたいというぐあいに考えております。
  23. 岡田克也

    岡田(克)委員 特に国民運動不足、これは成人病の原因にもなり、大きな問題であると考えるわけであります。健康づくりを推進する立場から、この運動不足の問題についてどのように対処していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  24. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 先生からお話しございましたように、適度の運動といいますものは、心肺機能を高めまして血中コレステロールの値を抑制する等、成人病を予防いたしまして健康を保持増進する上で効果があることが認められております。しかしながら、国民の中では現実の問題といたしましては運動不足となっている者が多くございまして、適切な運動機会の普及は健康づくりにとって緊急の課題というぐあいに考えておるところでございます。  このために、運動を適切かつ安全に行う機会の拡大を民間活力を利用いたしながら行うことが重要であるというぐあいに考えておりまして、この観点から健康運動指導士、健康運動実践指導者の養成を行っておりますほか、一定の設備やマンパワーを有します民間スポーツ施設を厚生大臣が健康増進施設ということで認定した上に、認定施設に対しましては、社会福祉医療事業団の融資等を行うことによりまして適切な運動の場の提供に努めているところでございます。  また、現在御審議いただいております平成年度予算におきましては、新たに都道府県を実施主体といたしまして、民間の協力も得まして健康運動習慣の普及推進のための行動計画の策定、あるいは指導者の養成、また運動の場の提供あるいは運動体験の巡回車といいますものの配置等を行うというような事業を行うことといたしております。  いずれにしましても、こういうことで私ども、特に運動不足運動習慣の普及にはかなりいろいろ知恵を絞りまして対策を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  25. 岡田克也

    岡田(克)委員 長寿社会を迎え、国民が生涯を通じて健康に過ごすことができるように成人病の予防、さらには健康の積極的増進を目指して国民健康づくり対策に取り組むべきではないか、そういうふうに思うわけでございますけれども大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 津島雄二

    津島国務大臣 本格的な長寿社会活力のあるものにしていくためには、長い人生を健康に過ごせる社会環境をつくっていく必要がございます。若いうちからそのことに留意をして健康づくりを積極的にやっていただく、そういう気風をつくっていく必要があると思います。このために、国民の日常生活においてバランスのとれた栄養をとる、それから適度な運動をする、それから十分な休養をとるということを内容とする健康的な生活習慣を確立していくことが必要であります。私どもなどには大いに耳の痛い点がたくさんあるわけでありますが、私も厚生大臣に就任をいたしまして、改めて健康づくりを大いにやらなければいかぬなと感じておるところであります。  それで、厚生省では、従来から生活習慣を、今申し上げました栄養、運動、休養のいずれの面においても健康的なものにすることを目指して総合的な施策を進めてまいりましたが、特に六十三年度から運動習慣の普及に重点を置いた健康づくり対策を、アクティブ80ヘルスプランと銘を打って進めておりますが、平成年度予算においてもその充実を図ったところでございます。今後とも積極的に進めてまいりたいと思います。
  27. 岡田克也

    岡田(克)委員 まだまだ質問したいことはたくさんあるわけでございますけれども、時間も参ったようでございますので、きょうはここまでにさせていただきたいと思います。  最後になりますけれども厚生大臣は先日の所信表明の最後に、行動する厚生省をモットーにしてこれからやっていくんだということを言われました。厚生大臣の御活躍を心より期待を申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。丁重な御答弁、大変ありがとうございました。
  28. 畑英次郎

    畑委員長 網岡雄君。
  29. 網岡雄

    ○網岡委員 私は、きょうは医薬分業の問題と、新しい新機能食品ということでかなり宣伝をされております機能性食品の問題点につきまして、以下若干厚生省考え方をお聞きしたいと思います。  まず最初でございますが、医薬分業について御質問させていただきたいと思います。まず最初に、厚生省は現在、医薬分業の施策について、一体今日までどのようなプログラムを持って推進なさっておいでになったか、これは簡潔に、時間が五十分という質問時間でございますので、簡潔にお答えいただきたい、項目的で結構ですから。
  30. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 分業の率でございますが、現在ほぼ外来の一〇%ということになっております。これまで、分業推進の懇談会を設置いたしましたり、あるいはいわゆるモデル事業を実施いたしました。それから、国立病院におきます院外処方せんの発行の促進あるいは薬剤師さんの生涯教育のためのセンターの設置、こういったことをいたしております。
  31. 網岡雄

    ○網岡委員 今、日本薬剤師会が分業の受け皿といたしまして、その分業の事業の中核を担っていく機能を持ちます基準薬局というのを設定しようとしているわけでございます。四月一日実施を期して今精力的に取り組んでいるところでございますが、この基準薬局について厚生省一体どういう評価をなさっておみえになるか、その点の所見を賜りたいのです。
  32. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 分業を進めていくに際しまして、薬局サイドの受け入れ態勢というのは非常に重要でございます。患者が処方せんを持っていって薬がない、あるいは薬剤師がそこにいない、こういったようなことは非常に困るわけでありまして、そういった意味で分業を進めていきます上で、薬局の体制整備ということは非常に重要で、そういう中で日本薬剤師会及び都道府県の薬剤師会が、今回基準薬局というような仕組みの中で体制整備努力をされるということは、分業を進める一 つの前提を構成するものでございますので、私どもは高く評価するものでございます。
  33. 網岡雄

    ○網岡委員 重ねてこれは厚生省の最高の責任者であります厚生大臣から、改めて基準薬局の評価について所見をお聞きしたいと思うのです。
  34. 津島雄二

    津島国務大臣 医薬分業は世界じゅうで行われておる制度でございますが、日本では大変立ちおくれておると私は思っております。これを進めることが必要でございますけれども、そのために薬局側の受け入れ態勢の整備とともに、私の考えでは、国民全体が医薬分業はもう基本である、そういう気持ちになっていただく必要があると思います。そういう意味で、このたび打ち出されました基準薬局制度というのは大変に期待されるし、結構な制度であるというふうに思ってございます。  そういう立場から、これが決定をされましたときに私は談話を発表させていただいておりますけれども、その中で、日本薬剤師会及び都道府県薬剤師会が基準薬局制度を発足させたことは、医薬分業はもとより、日本の医療を進めていく上で大きな意味を持つものと思われますと申し上げておるところでございます。私といたしましては、この制度国民の間に定着をいたしまして、医薬分業が飛躍的に進展することを期待をしておるところでございます。
  35. 網岡雄

    ○網岡委員 大変示唆に富んだ、しかも適切な御答弁をいただきまして、私も分業にだれよりも関心を持っている一人といたしまして、厚生大臣の御答弁を評価をさせていただきたい。厚生省としてますます分業に向けて推進をしていただくように要望を申し上げるところでございます。  それで次に、これからのプログラムについてもお尋ねをしていきたいと思うのでございますが、その前に、現状について若干私の私見を申し上げてみたいと思うのでございます。例えば国立病院の処方せん発行、三十七施設の実施について厚生省努力をなさっておるわけでございますが、現状は私どもが見ておりますと必ずしもスムーズにはいっていないような嫌いがございます。これはせっかく厚生省がそういう方針を持ってやられたところでございますから、その発行の目標について一定の年度目標も設定をされてなさっておると思うのでございますが、その目標達成のためにやはり相当な努力をしていただきたいというふうに思うわけでございます。この辺について一体厚生省は現時点でこの目的達成についてどれくらいの確信と自信をお持ちになっているのか、ちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
  36. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の国立病院におきます院外処方せんの発行につきましては、私どもかねてより国立病院長会議あるいは病院課長通知という形で促進を図ってきておりました。特に従来は一〇%目標という形で参っておりましたけれども、昨年度からは、施設の状況にもよりますけれども、十ないし三十という形で具体的にモデル施設を決めて、目標を定めさせ実行させるという段階に参っております。  ただ、この実施に当たりましては、私どもだけが目標を立てるだけではございませんで、やはり地域の日本薬剤師会でそれをどう受けとめていただくか、その応需体制の問題がございますが、これは個別に各地域の日本薬剤師会と病院とがつながりを持てるような形にさせていただいておりまして、これは薬務局の御指導も得まして各地の薬剤師会で責任者を決めていただく。病院側は、これは病院長以下責任者を決めて具体的に話をしていく。これを病院側の注文に対してどう受けられるか、具体的な薬品の補充計画等も詰めていただいておるということでございますので、各施設によって十ないし三十、目標は違いますが、これはここ数年の間にぜひ実現させたいと思っております。
  37. 網岡雄

    ○網岡委員 もう少し詳しく聞きたいのですが時間がございませんので、厚生省が積極的に取り組んでいかれるという決意がうかがわれますから、ぜひひとつそういう姿勢で推進をしていただきたいということを申し上げます。  そこで次に、今後のプログラムについてお尋ねをしたいのですが、やはりこれは、今の日本の現状というのは任意分業になっておるものですから、結局出す方が積極的な姿勢にならないとなかなか進まないわけでございます。そういう意味では今回とられている厚生省の国立病院の一定の、平均で三〇%というふうに言われておるのでございますが、処方せんの発行というのはその意味で大きな意味を持っているというふうに私どもは評価をしています。したがって、こういう形の国立病院の処方せんの発行というものをさらにパーセンテージを上げていくように今の目的を遂行していただくと同時に、次の段階ではそれをアップしていただく、そして国立病院は九十五施設だとか聞いておるわけですが、それは全施設にわたって処方せんの発行に踏み切っていただくように次の将来計画の段階では厚生省としてひとつぜひやっていただきたい。  それから次は、比較的厚生省が指導または指針を出せばボールを受ける可能性がある病院といえば、これは公立病院だと思うのでございます。聞くところによりますと、一部の県では、福井県などでは公立病院も発行をやっている。私のところの愛知県でも多少県立病院はやっておるわけでございますが、そういう公立病院の処方せんの発行というものを、これはできるだけ早い時期に、地方自治体との協議の中で厚生省が早く割り切っていただくことが必要ではないかなというふうに思うわけですが、ハード面での医薬分業というものの一つのプログラムの中では、やはり公立あるいは国立病院の処方せんの発行というのはかなり大きなウエートを持っているだけに、ぜひひとつその辺のところを厚生省としても考えていただきたいというふうに思っておるわけでございますが、そのことも含めて、将来のプログラムとして医薬分業を推進していく具体的なプログラムというものを今厚生省でお持ちになっているならば、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
  38. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 どの地域で何%というふうな具体的な目標は現在ありませんが、今先生おっしゃいましたような公立病院なんかについては当然検討の対象であります。ただ、私が今考えておりますことは、今御指摘の国立病院で三十七、こうなっておりますが、例えば名古屋の地区で面分業ということで、薬剤師、薬局サイドの体制ができますと、せっかくできたそういった体制をその地域の他の病院に使ってもらう、名古屋地区での、愛知地区での他の公立病院にまず使っていただく、こういうことが一番現実的ではないかというように考えております。したがいまして、国立三十七病院で体制をつくるという面分業の体制ができるということは非常に意味が大きいわけでありまして、そういう薬剤師会との話し合いを通じてその地域の薬局の体制を整備して、その地域の病院に利用していただく、こういうところからスタートしたい、こういうように考えております。
  39. 網岡雄

    ○網岡委員 それから次に、国立病院の処方せん発行、院外処方せん発行の問題について、これはちょっと個別に厚生省の見解といいますか考え方をお聞きしたいと思うのでございます。  先ほど審議官から御答弁がありましたように進んでいるわけでございますが、私ども一部仄聞するところによりますと、国立院病の院外処方せんを外へ出すことによって病院全体の収入が減る、こういうことによって病院側の、事務局側といいますか、そういうところでは収入を心配する余り、ともすれば院外処方せんの発行についてややブレーキがかかるというようなことが心配されている向きがあるわけでございます。先ほども御答弁をいただきましたように、国立病院の院外処方せんの発行というのは厚生省自身も一定の数字を目標にしながら推進をされる方針になっているわけでございますので、もし私が前段で申し上げたような弊害といいますか、事務局側、事務側の意向というものは、私はないと思うのでございますが、もしあったとしたら、これは厚生省の方針とも逆を向くことになるわけでございますから、この際、厚生省側の確たる意向というものを確認しておきたいわけでございます。そういう事務局側がかげんをして、処方せん発行についてとめるとかかげんをするとかいったようなことはあるのですか、ないのですか、これは明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  40. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 国立病院が院外処方せんの推進を図るに当たりまして、歳入減を恐れて手控えているのじゃないかというような御趣旨の御指摘かと思いますけれども、実は、院外処方せんの発行を促進する、これはメリット、デメリットというのはいろいろな意味で御案内のようにあるわけでございます。患者サイドもありますれば病院サイドも、あるいは薬局側もあるわけです。病院サイドでいいましても、収入その部分だけ見れば若干減るのかなという漠然とした不安をお持ちの方があるかもわかりませんが、トータルで見ますとやはりいろいろな意味での、まず薬品購入費が減る、それからいろいろな意味でのコストが減るという形で、トータルで見ますとこれはメリットが多いわけでございます。それから、これも御案内のように診療報酬の面でも病棟の指導にシフトしていくことができるようになっておるわけでありますが、そちらの面でもカバーされるということで、トータルで見て心配ないと私ども考え推進に踏み切っております。既に進めておるところはそういう点は余り心配しておりませんので、恐らく漠然とした心配であるとするならば、きちんと説明をして不安を取り除いていくというふうに指導してまいりたいと思います。
  41. 網岡雄

    ○網岡委員 これは重要な事項でございますので、ひとつ厚生大臣としても御決意のほどを聞かせていただきたいわけです。先ほど御答弁がありましたように、厚生省が一定の率を持って院外処方せんの発行をやるという計画を立てているわけでございますから、その計画遂行について厚生省推進をしていく。したがって、いやしくも現場でそういう院外処方せんの発行についてかげんをするようなことは厚生省としては考えていないということを、今も御答弁があったわけですから、私は了といたしますけれども厚生省の最高の責任者である厚生大臣のこの点についての御答弁を、ひとつ簡単で結構でございますからいただきましょう。
  42. 津島雄二

    津島国務大臣 医薬分業につきまして推進をしていくという立場から網岡委員のお示しになりましたこれからのスケジュールと申しますかお考え、私どもと軌を一にしております。それから、分業によってメリット、デメリットがあり得るということでありますけれども、私どもはメリットが大幅に上回るという認識を持っております。そういう立場から、国立病院における対応を初めといたしまして一般の方々理解という面にまで私ども考え方を浸透させていく、積極的に進めていくということでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  43. 網岡雄

    ○網岡委員 わかりました。  それでは次の質問に移りたいと思いますが、分業をこれから進めていく場合に、現場の段階の薬局といったようなところでは、医薬品の供給の形の中で、御案内のようにこん包が行われているわけでございますが、小口の場合と大口という普通のものと二つあるわけですけれども、小口のあれでいきましても大体薬局で扱っていきます場合にはかなり量が多いわけです。大体錠剤でいけば、物にもよりますけれども百錠とか百グラムとかいったものでも既に多い状況でございますが、少なくともメーカーや卸に要求していく場合には、小包装品の扱いというものはやはり現在のものよりももっと、さっき言いましたような百グラムとかそういう程度のものにさらに小分けをしていくような品物をかなりの量で供給していただきませんと、やはり薬というのはある一定の年限がたちますとこれは全部捨てなければいかぬ代物でございますので、したがって、そのことが一つの阻害となって分業の進行をとめている嫌いがなきにしもあらずでございます。したがって、小包装の供給というものを従来のものよりももっときめ細かくといいますか、少量のものに小分けをしていくような配慮を、これはさきに厚生省が、五十九年でございましたか、メーカーや卸に指示をされておいでになるわけでございますけれども、一層もっと細分化されるような方向で指導していただきたい。  それからもう一つは備蓄センター、これは薬剤師側が用意をしておるわけですが、備蓄センターとか薬局間の分割販売というものを実際にやっているわけでございますが、これが実は地域の分業における非常に大きな役割を果たしております。その場合に、手続上の問題でございますが、医薬品の表示規制というものが非常にきめ細かく厳密でございまして、手続が非常に多いのでございます。結局その備蓄センターから持っていく人はだれかといえば、薬剤師である薬局でございます。その薬剤師が薬局へ帰ってきて、そして一般の方方に渡していくということになるわけでございます。備蓄センターから薬局に渡っていくところでは、これはお互いに専門家でございますから、したがって、今の規定よりももっと簡素な、例えば薬品名、使用期限、ロット番号、メーカー名あるいは品質管理上特に必要なものを記載する、これぐらいの簡単なものにして、備蓄センターから薬局側に渡す場合には配慮をしていただくような弾力的な運用というものができないものかどうか、この二つについて厚生省側のお考えをお聞きしたいのです。
  44. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 まず第一点の小包装の問題でありますが、おっしゃいましたように五十九年にメーカーに対していろいろ要請をいたしております。しかし、最近とかく大包装が横行して小包装が出回らないという声もまだ聞いておりますし、小包装はどの程度のものが必要か、これは分業して実際にやってみて、どれくらいの単位が必要かということはわからない面がまだたくさんあるものでございますから、実際の動きを見ながらどのくらいのところまで必要かというようなことを考えて進めてまいりたいと思っております。分業を進めます際に、御指摘のような細かい話がいろいろございまして、障害となる一つの重要な問題点であります。  それから、第二点目のお話も関連した話でございまして、実際の場面では卸さんからあるいは備蓄センターから薬局に必要な量だけ届ける、その都度届けるというような姿が外国、ヨーロッパでは行われているわけでありまして、そういう形に持っていきたいと思っておるのでありますが、その場合今おっしゃいましたように、専門家同士の間でありますから表示はおっしゃいましたような、私は一番大事だと思いますのは有効期限、ロット番号、メーカー名、こんなところがしっかり押さえられればいいのではないかと考えます。ただ、現行の法規制上の問題もありますので、そういった取り扱い方についてはもう少し工夫をしてまいりたいと考えております。
  45. 網岡雄

    ○網岡委員 御答弁いただいてあれですが、ぜひひとつその方向で法律の定めと整合性を保ちながら弾力的な運営をやっていただくようにお願いしたい。分業の一つの大きなかぎでございますからぜひお願いします。  次の質問に移りたいと思います。  保険の報酬支払基金審査委員会の審査委員国民健康保険の場合は薬剤師が入っているわけでございます。しかし、社会保険の支払基金審査委員会には薬剤師が委員として入っていないわけでございます。同じ性格の保険でございますけれども、片一方は薬剤師が入っていて社会保険の審査委員会の場合には入っていないということはどうも理屈が合わないのでございますが、これは何か理由がございますか。
  46. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険の調剤の報酬をどのように審査するかという問題に絡むわけでございますが、この問題は、基本的には調剤は医師の処方せんに基づいて行われるものであるということから、従来社会保険診療報酬支払基金においては、処方内容を前提として調剤をしているということにかんがみまして直接の審査というものは行いませんで、支払いの方だけを行ってまいりました。したがって、保険者から徴収する手数料もこの審査分は含まれないで支払い分だけを含んで徴収する、こういう方式をとっております。国民健康保険の場合には、実は国民健康保険団体連合会というものが各都道府県ごとにそれぞれ独立の機関として設けられておりまして、ここで薬剤師を審査委員に入れているケースと現実には入っていないケースと、これはさまざまでございます。一方、社会保険診療報酬支払基金は全国を通じて一つの公法人でございまして、これは本部があり、各都道府県支部がある。こういう形態が少し異なっております。  最近、社会保険診療報酬支払基金におきましても高額の調剤の件数が出てまいりましたので、保険者から申し出がありましたもので二万五千円以上の調剤のレセプトについては、六十三年六月の診療分から医家の診療のレセプトと照合して審査する方式を開始いたしております。これに伴いまして、先ほど申しましたように全国を通じて一つの法人でございますので、本部に薬剤専門役を置きまして、そして各支部との連絡、指導というようなことで現在一つの体制を整えております。私どもとしては、当面この薬剤専門役を活用いたしまして調剤報酬の審査の適正化を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  47. 網岡雄

    ○網岡委員 大分時間がたってきておりますが、こういう資料があるのです。調剤報酬の額が、四十九年を一〇〇といたしますと六十三年はたしか十七倍ぐらいに膨れ上がってきておるわけです、ある意味ではやはりそれぐらい分業が進んでいるということの裏返しかもしれませんが。したがって、調剤報酬の審査の量というのはどんどんふえているというのが現状です。今御答弁がありましたように二万五千円からは処方せんと照合してチェックをする、こういうことになってきたわけでございますから、そうなれば薬剤師としての技術的な面からチェックをしていく目というものがありませんと、診療報酬の正しい請求がされているかどうかという観点の審査というものは正確にはできないような嫌いがあると私は思うのでございます。したがって、そういうふうに調剤の量もふえてきておりますし、報酬の金額もふえてきている現状でありますし、御答弁があったような状況ですから、国民健康保険の場合には薬剤師が入っておるわけでありますから、ぜひ社会保険の審査会の方にも薬剤師が入るように厚生省として早急に検討していただきたいということを考えているわけです。重ねてお尋ねをいたしますので簡潔に御答弁をいただきたいのです。
  48. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 社会保険診療報酬の審査は基本的には保険者が行うべきものでございますが、これを効率的に行うために社会保険診療報酬支払基金あるいは国民健康保険団体連合会に委託をしておるということでございます。したがいまして、この問題につきましては将来調剤の報酬をどのように審査していくか、さらに、費用負担等も含めまして保険者あるいは診療担当側がどのように考えていくかという問題にかかってくるわけでございます。このような面もございますし、また今後の分業の動向というものも関連してまいりますので、多くの角度から私どもは慎重に検討していく必要があろうかと考えております。
  49. 網岡雄

    ○網岡委員 もう少しやりたいのですが時間がございませんので、これは検討課題ということでぜひひとつ取り組んでいただきたいということを要望しておきます。  次です。これは簡潔に御答弁をいただきたいのですが、在宅でいる薬剤師がかなり多いんですね。一説には二万人とも言われていますし、薬剤師自身で登録をしてない人間もおるということでございます。そういう者を含めますと在宅の薬剤師というのはかなり多いわけでございます。看護婦の場合にはそういう在宅の看護婦資格を持った方に対する研修制度というのは進んでおるわけでございますが、将来分業というものが進んでいく状況の中では薬剤師が足らないという事態も早晩やってくる可能性がございます。ぜひこういう在宅の薬剤師の研修制度として一つ制度厚生省として指導、助成などをしていく推進の役目を果たしていただきたいと思うのでございますが、この辺についての厚生省側の御見解をお聞きしたいのです。
  50. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 在宅薬剤師の研修についても検討すべき時期にあると考えております。
  51. 網岡雄

    ○網岡委員 それではよろしくお願いします。  最後ですが、今までの質問を通じての総括のまとめとして、大臣に御答弁をいただきたいと思うのです。  分業が進んでない国としては先進国ではもう日本だけ、こういう状況に入ってまいりました。隣の韓国は今、国が踏み切って強制分業にする、こういう状況に入っているやに聞くわけです。若干問題があるそうでございますけれども、しかし、これらは相当時間が詰まってまいりましたならば、医師会側と薬剤師側の間には問題が解決していく可能性が専門家の見方によりますと多いと言われております。そうなりますと、政府主導の形で韓国も分業に踏み切っていくことになるわけですが、先進国で、しかも世界一の経済大国と言われる日本が分業がいまだに進んでいないということでは、これは国際的な立場から見ましても整合性を失うことになりはしないかと思うのでございます。  聞くところによりますと、アメリカの在日商工会議所というのがあるのだそうですが、そういうところから中医協などとの懇談会の中でかなり分業という問題についての指摘があったということでございます。こういう形で、民間の段階でございますが在日米国商工会議所というところから指摘があるということは、今、日米構造協議の問題も二百項目とかいって個別の問題指摘がございますけれども一つ間違えば将来こういうものが項目の中に入ってくる可能性もあると思うのでございます。そういう国際的な流れなども考えてみましたときに、韓国の事情ももう一つあるわけでございますが、そういう点を眺めながら日本の分業について厚生省としてどういうお考えを持っておみえになるのか。最後でございますが厚生大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  52. 津島雄二

    津島国務大臣 医師と薬剤師のそれぞれのお立場から専門性を生かし、医療を質の高いものにするということが医薬分業の目標でございまして、これは進めるべきであるという基本認識では委員と私と食い違いはございません。また、いろいろなメリット、デメリット言われておる中でも、注目されなければならないのは、薬剤師さんによる薬歴管理を通じまして薬剤の重複投与や相互作用を避けるという意味で一般国民に対しても非常にプラスになる面があるわけでございます。  そういう意味で医薬分業はぜひ推進したいと思うわけでありますが、日本の何と申しますか、これまでの歴史的なもの、あるいは環境が外国とやや異なっていることは委員指摘のとおりでございまして、まず、そういう日本の環境を早く医薬分業が推進できるようなものに変えていく。そのためには関係者でございます薬剤師さんと医療の側の方々の信頼関係を醸成して、そしてまた国民がこれを理解する、当然のことであるというふうに理解するという雰囲気も醸成していかなければならないと思います。私どもはこういう方々の御理解と御協力を得て、積極的に医薬分業を推進してまいりたいと思っております。
  53. 網岡雄

    ○網岡委員 時間がございませんので、次に移りたいと思います。あと十分しか時間がなくて、細かい質問を行うことができないのでちょっと困っておるわけですが、二つ目の質問といたしまして、機能性食品の問題について若干質問をさせていただきたい。これは絞って御質問を申し上げます。  機能性食品の認証制度というのが、厚生省の方では懇談会を通じて中間報告が答申されまして、そして今度は機能性食品の検討会に移った、そしてこの検討会の結論を待って対策を進めていく、こういうことを聞いておるわけですが、この検討会の結論を待って対策を進めるというのは、機能性食品の検討会で一定の結論が出たら対策に移るということは、直ちにこれは機能性食品としてオープンにする、こういう段取りに進んでいくと理解していいのでしょうか。
  54. 目黒克己

    ○目黒政府委員 御指摘の機能性食品の制度化の検討状況でございますが、先生が御指摘になりましたような方向で進んでおります。  この件につきましては、四月から新たな検討会をまた設けておりまして、引き続き検討いたしておるところでございますが、当然、私どもこの検討会の御意見を踏まえまして制度に踏み切りたい、このように思っているところでございます。
  55. 網岡雄

    ○網岡委員 それで私は、機能性食品というのは一つ運用を間違えると大変なことになるという心配を持っているわけでございます。懇談会の中間報告を読みますと、食品の中には栄養機能と味などの感覚機能があるが、そのほかに、第三の機能として体調調節機能というものがある。その体調調節機能には生体防御、体調リズム調節、疾病の防止と回復といった機能があることが発見された。問題はこの後なのですが、「科学技術の進歩による新たな製造・加工技術により、」こういうことが書いてあるわけです。こういう中間報告の内容によりますと、これは一つの食品に例えば生体防御の機能あるいは体調リズム調節の機能、疾病の防止の機能、こういうものを科学的な技術によって加工していく、加工技術を加えていくということでございますから、付加していくということになると思うのでございますが、そういうことになると、これは食品でなくなるという心配を私はいたしております。  現に、これは専門家の一人でございますけれども、ある方は、「食品の特色と行政科学的な判断」という一つの論文を出されておみえになります。私その論文を読ませていただきましたが、この方の論拠は、食品というものには今言われているように体調調節機能というものがあると言われているということはこの方も認めている部類の一人でございます。しかし、食品は食品としてとっていくということでなければならない。この人の言われていることは、そこの中にある今言った体調調節機能の物質、成分をそれだけ単離精製して抽出していく、取り出していくということになったとすれば、それはもはや医薬品である。そういうものを持った食品全体を食することによって人間はあるいはそういうものの効果を得るかもしれないけれども、それを単離精製することで取り出してあるものに加えていくということをやると、これはもはや医薬品である。  そして、時間がないものですから私もうやめますけれども、アメリカは健康表示という言葉を使いながら、六つの検討項目を出して、意見を聞くように官報に載せられたそうです。日本は官報だと決まっているのですけれども、アメリカは載せて意見を聞くという非常に民主的なやり方をしておるようであります。そういうことからいいまして、アメリカの場合は、例えば油脂は血中濃度を下げていく効果を持っているということが言われていまして、EPAという物質があると言われているのですが、この方の言い分によると、しかし油脂なら油脂を極端に取り除いていくということになると、がんを抑制していくもう一つの効果が油脂にはあるのだそうですが、油脂を取り除いていくことによって発がん抑制の効果を低めていくということになっているそうです。そうなると機能性食品のやり方が逆にがんの発生を高めていくというような結果になりはしないか。したがって、アメリカなどのやり方は、油脂の摂取量を減らしカロリー換算で二五から三〇%までにせよとか、あるいは野菜、特にアブラナ科のものをとるとか、あるいは穀類の全粒の摂取をふやせとかというふうに、食品そのものをとることによって、あるいは減らすことによって特定の疾病に対しての対応を図っていくというやり方がとられている。  したがって、繰り返しますけれども、ある食品の中にある成分を単離精製していくということになれば、それはもはや食品ではない、医薬品である、こういうのがこの人の論文なのでございます。そういうことでいくと、この中間報告は明らかに生体防御、体調リズム調節、疾病の防止などの科学的な技術を加えて加工していくというやり方であるのだから、これは食品ということにはならないではないか、こういう論文が書かれておるのでございます。  そういうことから言いますと、機能性食品の持つ性格というものは極めて危険なものをはらんでいると私は思うのでございます。懇談会、あるいは検討会と進んでいくわけですけれども厚生省としては一体この辺のところをどういうふうに踏まえておみえになりますか、お聞かせいただきたいのです。
  56. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先生指摘の点でございますが、機能性食品は健康の維持増進に役立つ食品であるとともに、食品として通常用いられる素材や成分から成りまして、食品としての形態を有するということでございます。したがって、その表示に当たり、薬事法に抵触しないように十分に配慮する必要がある、こういう認識を私どもは持っているわけでございます。  したがいまして、私どもはこの検討の過程に当たりまして、生活衛生局といたしましても従来からこれは薬務局と調整をずっと行ってきているところでございまして、薬事法との関係で問題が生じないよう、今後とも十分調整してまいりたい、このように考えているところでございます。
  57. 網岡雄

    ○網岡委員 時間がさっき超過しましたから、あと二分ぐらいあると思うのでございますが、もう時間がございませんので、私の考え方を申し上げておきたいと思います。  今の御答弁ならば私はいいと思うのですけれども、中間報告の中身というのは実際は今の御答弁と大分違っているのですよ。そこが私、一番心配をするところでございまして、それは食品という形で、やはりアメリカがやっているように食品として摂取をする、食品として減量する、こういうようなやり方でいくならば、特殊栄養食品の運用と同じことになるわけでございます。今の御答弁によりますと、特殊栄養食品としての範疇の中で、こういうふうにおっしゃっているわけでございますが、しかし食品の中に一つのものを、成分を、成分といえば、この人のさっきの論文のあれでいけば医薬品ということになるわけですが、それを特殊な技術を使いながらオンをするということになれば、これは栄養改善法による食品にはならない、こういうふうに私どもは思うわけでございます。したがって、これはぜひひとつ、今後そういう点を国民によくわかるように、明確に検討を重ねていただきたいし、その疑いがある場合にはやはりアメリカのように、もう五年も六年もかかってアメリカはやっているわけですが、食品ですから、そういう時間をかけて間違いがないようにしていただきたい。  それから、この検討会のメンバーの中に、機能性食品の賛成者ばかりではなくて、検討会の中にはやはりそのこと自身に異論を持つあるいは警戒心を持つ、そういう人も入れて、大臣、これは検討会の中に入れないと、昔の大政翼賛会のように賛成の人だけ集めて、国民の健康食品をこれからやっていくわけですから、一つ間違ったら大変なことになるわけですが、その辺の構成については一体どういうお考えを持っているのか、この際、明確にしてください。
  58. 目黒克己

    ○目黒政府委員 ただいまの検討会のメンバーでございますが、今般四月からスタートいたしました新しい検討会には、まるっきり反対というふうには私ども承知しておりませんが、いわゆる客観的な、極めて先生の御趣旨に沿うような形の方も入っているというふうに私ども認識をいたしておるわけでございます。したがって、必ずしも反対とか賛成ということではなくて、従来のような形のものをさらに、より客観的に御議論をいただけるような方を私どもはさらに加えて新しいメンバーをつくった、このように認識をいたしておるところでございます。
  59. 津島雄二

    津島国務大臣 網岡委員から、極めて専門的なお立場から、食品と薬という古くして新しい、難しい問題についていろいろな御指摘をいただきました。  私ども、いわゆる機能性食品の問題については、健康の維持、増進に役立つという本来の趣旨に反することのないように、特に安全性の確保も十分配慮しなければならないという問題意識を持っておるわけでございます。このために、先ほどから御指摘の、本年三月に発足いたしました検討会において専門的に十分検討いたしまして、先生のお言葉をかりれば、時間をかけてしっかりとした結論を出すように努力をしてまいりたいと思います。
  60. 網岡雄

    ○網岡委員 質問を終わります。
  61. 畑英次郎

    畑委員長 外口玉子君。
  62. 外口玉子

    外口委員 外口玉子でございます。  四月十七日の社会労働委員会におきまして厚生大臣所信表明をお伺いし、大臣が、我が国の高齢社会への対応を最大の重要課題として取り上げられたことを大変に心強く思いました。大臣が冒頭におきまして、特に御自身の御経験を生かされ、厚生行政をライフワークとされると言明された点、また、行動する厚生省をモットーに、現場で働く人たちと対話をしながら進めていきたいと決意を述べて締めくくられておられた点など、積極的に受けとめたいと思います。  といいますのは、私自身これまで保健所において、また、病院において、さらに、ここ数年間は地域ケア福祉センターにおいて実践を積み重ねてきたものでございます。それを通しまして、我が国厚生行政の貧困さと、また、保健、医療福祉の現場の声が行政施策に反映されにくいということを身をもって痛感させられてきたからでございます。  そこで、今回は現場経験を踏まえながら、大臣が示された施策の具体的な内容についてお伺いいたしたいと思います。  さて、所信表明の中で取り上げられましたそれぞれの施策制度、すべてに共通する何よりも重要な課題は、保健、医療福祉サービスに従事する人たちの育成と確保、すなわちマンパワーの問題であると考えます。これには、どなたも御異存はないことと思います。このマンパワー確保ができるかどうかこそが、それぞれの施策制度を生かすかどうかということにかかわっていると考え立場から、本日は、このマンパワーの点のみに絞りまして、幾つかの側面からお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、大臣は、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」において、在宅福祉サービスの大幅拡充、そして、寝たきり老人ゼロ作戦を強調されております。これらの計画を具体化するためのマンパワー対策として、ホームヘルパー確保を挙げておられます。例えば十カ年戦略では、ホームヘルパー、十カ年で十万人という計画が出されています。これらの計画を出されるに当たりましては、これまで既に試みられてこられましたホームヘルパー確保計画が実際にはその所期の計画どおりに実現できたかどうか、もしできなかったとしたならば、それを阻んだ要因は何であったのかの検討がなされた上での計画をされたことと受けとめております。したがって、まず、これまで試みられましたホームヘルパー確保計画の達成度、また、現状の分析について大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  63. 津島雄二

    津島国務大臣 二十一世紀に本格的な高齢化社会を迎える、そのときに活力のある長寿福祉社会が私どもに与えられているかどうかということがまさに国民的な課題であるということについてお訴えをしておるところでございますが、外口委員から御評価いただいて大変ありがたいと思っております。  特に、この計画を進めていく上で何よりも大切なことは、それぞれの地域社会に根をおろした、本当に中身のある計画に仕上げていかなければならないわけでございますから、外口委員のように、この点でいろいろな経験、また抱負をお持ちの方々の御指導、御鞭撻を私どもは虚心坦懐にいただいてまいりたいと思っております。  そういう中で、課題が幾つかございますけれどもマンパワー確保というのが恐らく最大の課題でございましょう。これから我が国は、ますます人手不足と申しますか、労働力の不足が叫ばれておるわけでありますから、非常に難しい問題に取り組まなければならないと私どもは思っております。  そういう中で、まず一般的なことを申し上げますと、ホームヘルパーを初めといたしまして、在宅介護であるとか、老人福祉であるとか、また医療もそうでございますけれども、それぞれの面で参加をしていただく方々確保する上で、待遇の改善はもとよりでございますが、やはり国民的な理解が必要だ、そういう仕事についての本当の理解と評価というものをつくり上げていく必要があるのではないかと思います。  まず冒頭に、一般的な私の気持ちとして、その点で一生懸命やっていきたいということを申し上げ、外口委員の具体的な御質問については政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。
  64. 岡光序治

    岡光政府委員 ホームヘルパーの数の推移でございますが、近年の状況を申し上げますと、昭和六十二年総数で二万五千三百人でございます。翌年の六十三年には二万七千百人、約千八百人近くふえたわけでございます。平成元年につきましては三万一千四百人ということで、こういう数字的な推移になっております。  私どもは、大臣が今お話を申し上げましたように、処遇の改善をするとか、ホームヘルパーの利用形態というのを、市町村の職員であるというほかに、例えば特別養護老人ホームの職員にお願いをするというような、つまり委託の方式とか、そういういろいろな利用形態を考えて工夫をしてみる、そんなふうなこともあわせて考えております。それから、身分、資格の問題としましては介護福祉士の制度をこしらえるとか、そういうふうなことで、こういう仕事を一生懸命やっていただければ資格を取得し得る道も開く、こんなふうな総合的な対応を現在までしてきたつもりでございます。
  65. 外口玉子

    外口委員 今回は十カ年計画ということで、長期しかも大規模だとうたわれておりますけれども、八九年当初は西暦二〇〇〇年にホームヘルパー五万人体制をということで、緊急整備三カ年計画として四千三百人の増員計画を出されましたが、八九年度予算ではそれが執行し切れなかったと伺っております。九〇年度になって十万人体制と新たに計画されていますが、このたびはそのようなことが生じないような具体的な手だてを行って確保されようとされているのか。また、どのような見通しを持たれて十万人と打ち出されたのかについて御見解を伺いたいと思います。
  66. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、平成元年度四千三百人程度確保ということで予算上計上いたしましたが、これはほぼ達成できるのではないだろうかというふうに考えております。おっしゃいますように現在三万一千人体制でございますが、その約三倍の人数を十年間で確保しなければいかぬということでございます。  ただいま申し上げましたように、処遇の改善、利用形態をいろいろ工夫する、あるいは大臣お話を申し上げましたような社会的評価につきまして向上させるとか、仕事内容につきましてもイメージアップを図るとか、いろいろな工夫が要るんだろうと思っております。そういう工夫を通じながら、どうしても達成しなければいけない目標に向かって努力をしてまいりたい、こういうつもりでございます。
  67. 外口玉子

    外口委員 はっきり申し上げて、必ずしも計画どおりに進んでいないという現状があると思うのですが、その現実を踏まえませんと今度の十カ年計画も絵にかいたもちになる懸念というのは関係者の中に多くあります。  そこでお尋ねしたいのですが、これまでの確保計画が達成できなかった理由を、今幾つかイメージアップなど工夫を挙げておられましたが、もう一度理由についてはっきりとお出しいただきたいと思います。それを踏まえてから今回の新しい計画の実現性を一緒に考えてまいりたいと思います。
  68. 岡光序治

    岡光政府委員 いろいろ反省点もございます。一つは、在宅福祉サービスそのものにつきまして、まず、それを利用するサイドの認識も少し欠けている点があるのじゃないだろうか、それからまた、その在宅福祉サービスを実施するサイドにもその構えというふうなことについても欠ける点があったのではないだろうか、率直にそんな反省をしております。  特に現在の我が国のお年寄りをめぐる状況につきましては同居の率が高いわけでございまして、そういう家族環境の中にホームヘルパーが入っていくということに対しては受ける側にもかなり抵抗感があったのではないだろうか。ざっくばらんに申し上げまして、世間体をはばかるような気持ちも否定はできないのではないだろうかと思っておりますが、そういうことにつきまして、まず意識改革をする必要があるのではないだろうか。そして、家庭でそういう介護をしているような状況のときにヘルパーさんにいろいろと手助けをしてもらう、それは当たり前のことなんだ、こういう気持ちをつくり上げていく。そして、供給サイドの市町村におきましても、どういう地域にどんなお年寄りが生活をされていてどんな家族環境で、そのためのサービスとしてはどんなものが要るのかということをもう少し正確に把握した上でサービスを的確に届けるような仕組みをきちっとこしらえていく必要があるんだと思いますが、その点若干欠ける市町村もあるのではないだろうか、そんなことがこれまで余り普及をしてこなかった原因ではないだろうかと考えております。
  69. 外口玉子

    外口委員 ただいまの答弁の中で、すなわち需要の面と供給の面から、利用するサイドと実施するサイドから問題を挙げられましたが、まず需要の問題について私の見解を述べ、御意見伺いたいと思います。  すなわち、この制度が活用されない、ニーズが掘り起こせない状況があるとの御見解でしたが、現象面からはそのように言えるかもしれませんけれども、もう一歩進めて考えてみますと、本来住民のニーズ、要求、要請というものは、どのようなサービスがどういう体制でどういう人たちに提供されているかということによって初めて住民が自分の身近で役立つサービスを提供してくれる人と出会って、その出会いを積み重ねていくことによって住民が自分の必要としている援助に気づき、活用することを動機づけられていくものだと思います。そういう意味では、行政としての責任においてニーズの掘り起こしをもっとすべきではなかったのかというふうに考えます。すなわち、利用するサイドに十分な認識がないということは、それに向けての行政の側の努力が足りなかったという裏返しではないかとも受けとめられますが、大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  70. 津島雄二

    津島国務大臣 ただいまの外口委員の御指摘は、私はもっともだと思われる面がございます。実は昨日もちょうど一日国会のスケジュールがなかったので、東京都内のある地域の在宅介護状況を見てまいりましたけれども、甚だしく問題があると思いますのは、同じような状況にある方々に適時適切にサービスがいくかどうか、つまり需要の掘り起こしについてかなり欠けるところがあるのじゃないかという印象を受けました。  そういう意味で、今回私ども提案しております在宅介護支援センターというような仕組みをつくってまいりまして、そしていつでもどこでも電話をいたしますとそういう介護が提供されるのだということを、需要と供給側のマッチングをしていかなければならぬのではないだろうか。とにかく、今後最も努力の必要な問題点がその辺にあるという認識を私も持っておるところでございます。
  71. 外口玉子

    外口委員 もう一つ私にとって非常に重要な件、これは国民全体の悲願だと思いますけれども、財源の裏づけ、すなわち労働条件の劣悪さ、その労働の質に比べて非常に賃金が低い、しかも身分保障がされていないパートタイマーの方がほとんどである。しかも、そういう人が人に直接サービスを提供する仕事というのは大変対人関係上のトラブルも多く、心身ともに疲れやすい仕事の性質を持っておると思いますが、そのような直接的なケアを担う人たちを支える体制、すなわちスーパーバイズする人あるいはコーディネートする方あるいは困ったときに相談できる人、そういう正規の職員あるいは指導を行える十分な知識、技術を持った人との組み合わせ方、そういうサポートシステムが十分になされていないのではないか。  今申し上げたことを三つまとめますと、一つは賃金の低さ、もう一つはその身分保障のなさ、それから支える体制のなさ、そのようなものを裏づける十分な財源、予算の確保がなされていないことが問題なのではないかと考えますが、その点について御見解を伺いたいと思います。
  72. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、先生御存じのとおりでございますが、ヘルパーの手当につきましては毎年度内容改善を図ってきているところでございます。例えば、これからお願いを申し上げる平成年度の予算案におきましても、平成元年度に比べまして、二百三十六万円余りであるところを二百四十三万円というふうに手当額の引き上げ考えるとか、あるいは活動費につきましても元年度では三万六千円のところを五万円にするとか、そういうふうな内容に応じた給付改善というのでしょうか、処遇改善考えたいというふうに思っております。  それから、おっしゃいますように、仕事をしていくときに、スーパーバイズをするとかあるいはコーディネートをするとか、そういうサポート体制が必要だというのは御指摘のとおりだと思っております。私どもは、ヘルパーさんが仕事をなさるときにチームで対応していただけないだろうか、保健婦であるとかあるいはOT、PTであるとかあるいはそのほかのいろいろな職種がございますが、チームで対応していただくようにということでチーム方式を私どもは目指しております。そして、そういうがっちりとしたチームワークをつくっていただき、かつ仕事を進めるに当たっていろいろトラブルであるとか迷いであるとかそんなものも生じると思いますが、そういったことを仲間でもっていろいろ話し合いながら解決をしていくというふうな体制をとりたいと考えております。  それから、身分保障という点につきましては、私どもは、それぞれの職種というのでしょうか、勤務形態に応じて考えなければいけないだろうと思っておりますが、市町村の常勤の職員である場合と非常勤である場合、それから例えば社会福祉協議会等を初めとするような関係団体の職員というものであるとか、それぞれの立場があろうかと思っておりますが、特に外部で働かれている人々についての身分保障につきまして、市町村職員と均衡を失しないような格好でいろいろ工夫をしていかなければいけないだろう、そんなふうに考えております。
  73. 外口玉子

    外口委員 今お話しされたことに関しては、後日また条件整備、そういうことについて検討を進めたいと思いますので、次の質問に移らせていただきます。  先ほど大臣が答弁された中で、在宅介護支援センターについて触れられましたが、そのことについて、私の見解が違いますのでもう一度お尋ねします。  在宅介護支援センターは独立して設置されるのではなく、特養ホーム、老人保健施設あるいは病院等に付設するということで、私どもとしては、大変にうたわれている割には実質的な中身が不足なのではないかというふうに懸念しておりますが、その点についてお話を伺えればと思います。
  74. 岡光序治

    岡光政府委員 在宅介護支援センターというのは、先生指摘のとおり在宅介護に御苦労されておる家族あるいはお年寄り御自身、それから公的なサービスを提供する市町村、この間を結びつけていわばコーディネートしてもらうという役割を果たしていただこうというわけで、今回それを創設したいという発想で御提案をしているものでございます。  要するに、日々お年寄りのお世話をしている場合にどんなふうな世話の仕方が必要なのだろうか、あるいは世話をする際にどんな介護機器が使えるのだろうか、あるいは市町村に行けばどんなサービスが受けられるのだろうか、そういういわば身近なところでの相談体制ということがどうしても必要なわけでございます。そうすると、ある一定の資格あるいは経験を持った人がその相談を受けなければ不十分な相談になる可能性がございます。そうすると、一定の身分、資格、経験あるいは具体的なサービスを提供するその方法、そういったことに熟知をしている人が必要でございます。そういう意味在宅介護支援センターというのは、その体験あるいは知識経験が十分得られておる場所にお願いするのが最も適切なのではないだろうか。したがいまして、御指摘がありましたように身近な特別養護老人ホームであるとか病院であるとかあるいは老人保健施設であるとか、そういった能力のあるところにいわば二枚看板でお願いをして、その能力を相談なりコーディネートする際に引き出してもらって運営をしていくのが最も効率的なのではないだろうか、こういう発想で既存のそういう施設にお願いしたらどうだろう、こう考えておるところでございます。
  75. 外口玉子

    外口委員 ただいまのお答えの中にもありましたように、既存の施設を利用するということは、ただいま既存の施設においてもマンパワー不足は叫ばれておりまして、それを組み込んでマンパワー政策考えているとしたら大変にその点については懸念するところがありますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  76. 岡光序治

    岡光政府委員 この在宅介護支援機能を果たしてもらうためにはどうしても体制を整える必要がございます。したがって、既存の施設の職員を活用するのではありませんで、プラスをしてソーシャルワーカーとか保健婦さんとかあるいは看護婦さんとか介護福祉士であるとか、そういう一定の資格、身分を持って能力のある人たちをプラスアルファで配置をしようということを考えております。
  77. 外口玉子

    外口委員 その点につきましては、次の看護職員に関する需給の見通しについての質問のところで改めて検討させていただくことにしまして、ホームヘルパーについてのもう一つの十カ年戦略における問題についてお尋ねします。  平成年度の予算には四千五百人と計上され、大変に少ないのですが、十カ年で十万人という行政目標を達成するのに、初年度においてたったの四千五百人をプラスするということは、私どもが見ても非常に問題だと思うのですが、それはなぜなのでしょうか、御見解を伺いたいと思います。
  78. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のとおり平成年度では四千五百名の増を予算上計上したいと思っておりますが、私どもは申し上げましたように、これまで大体二千人弱の増員でやってきておったわけでございますが、今の三万一千人体制から十万人体制に持っていくためには、相当なスピードで毎年の増を図っていかなければいけないだろう、こう考えております。でも、今までの水準が大体二千名弱の水準でございましたので、それを倍以上にしたわけでございますが、いずれにしましても、そういう世の中全体のマンパワーの推移も考えなければいけませんし、それから、この在宅福祉サービスの仕事が定着をして皆さんに理解されるということがまず前提になりますので、そういった定着度合い、それから世の中のそういう雇用状況、そういったものを総合的に考えて進めていく必要があるだろう。そういう意味で、初年度における四千五百人の増というのは、これまでの推移から考えましてまあまあのボリュームだろうと私は思っております。しかし、これを十万人体制に向けてどんどんふやしていかなければならぬわけでございますから、相当の工夫が要るだろうと思っておりますし、毎年毎年の増員はなおこれの上にレベルアップをしていく必要がある、こう考えております。
  79. 外口玉子

    外口委員 ただいまのお話では、従来までは二千人だったのでその倍をということですが、これでは十カ年戦略ゴールドプランと名づけたこの施策が余りにも乏しいと私は受けとめます。もっと抜本的な改革なしには相当数の確保の見通しは持てないのではないかと考えますが、その見通しはおありになるのでしょうか、お聞かせください。
  80. 岡光序治

    岡光政府委員 私ども、自分のうちで他人からの介護を得ながらお年寄りが生活をなさる場合に、どんな支援の仕方をしていけばお年寄りが生活の質を保ちながらずっと自分のうちで生活が続けられるんだろうかということを模索をしているわけでございます。そして、先ほども質問にお答え申し上げましたが、現在の階段ではなかなか在宅福祉サービスについての理解度も低いわけでございます。ところが、これが普及定着をしていけば、おのずと需要も拡大していくと思います。そういう需要拡大に対応しながら、そのマンパワーの例についても充実を図っていかなければいけない。需要拡大とマンパワー確保というのはパラレルな関係にあるのではないだろうか、そんなふうに考えておりますので、まず在宅福祉サービスというものはこんなものなんだということを御理解をいただくところから出発をしていかなければならないのではないだろうか、そう思っております。
  81. 外口玉子

    外口委員 ただいまお答えになりましたように、私もパラレルな問題だと考えております。そこで、だからこそ身近に住民が活用できる、そういうマンパワーホームヘルパーに出会わなければ、そのようなサービスを充実させよう、あるいは社会全体がこのようなサービスを私たち人間の暮らしにとって必須の仕事だと位置づけ評価していく運動、動きというものは起こり得ないと思うのです。もし、そのような価値の転換を二十一世紀に図ろうとする政府のお考えがあるならば、抜本的な予算確保をしなければならないと思いますが、それにしては非常に乏しいと受けとめます。その点は、大蔵省、自治省との関連で厚生省がお困りなのでしょうか。その辺を率直にお伺いしたいと思います。
  82. 岡光序治

    岡光政府委員 身近に利用できるということで、まず市町村に大いにPR、啓発活動をしてもらおうと思っておりますのと、先ほど御答弁申し上げました在宅介護支援センターでは身近に相談できる体制を組むことにしておりまして、こういう仕事があるのよ、サービスが受けられるのよということで、かつ、そのサービスを受けたい場合にも、受けとめ手が直接市町村に出向かなくても、その支援センターの人が市町村に出向いて、こういう困った人がいるのだからサービスを出してくださいという、まさにコーディネート役を果たしてもらおうと思っております。  それから、高齢者の総合相談センターというのがございます。いわゆるシルバー一一〇番でございますが、私どもいろいろ内容を反省しまして、例えば電話番号も全県でばらばらでございますので、短縮電話の#形で八〇八〇「ハレバレ」というふうな電話番号を確保したり、そういう意味で身近に相談し、利用できるような体制をつくっていくということでは努力をしてきているつもりでございます。  それから、大蔵省、自治省との間で十分な財源確保を図れ、こういう話でございますが、それは私ども、この十カ年戦略というのを打ち出したわけでございますので、その事業実施のためには必要な金は必ず確保するという心構えで臨んでいきたいと考えておりますし、大蔵省、自治省ともこれは合意の上でつくったプランでございますので、それは確保できるであろう、そういうふうに確信をしておるところでございます。
  83. 外口玉子

    外口委員 例えば先ほどの介護支援センターの場合でも、既存の施設に付設するということになりますと、一体その職員を正規で採るのか、あるいはパートタイマーなのか、また兼任なのかということは非常に重大な問題でして、そのような、ただうたわれただけ、あるいはセンターとして設置するということだけで、今おっしゃっているような方向を目指すには中身が十分に保証されていないのではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  84. 岡光序治

    岡光政府委員 在宅介護支援センターに改めて増員をしようというソーシャルワーカーであるとかあるいは保健婦、看護婦、介護福祉士であるとかの方々は正規の専任の職員で考えたいということで、予算もそのようなスタイルで計上している中身でございます。
  85. 津島雄二

    津島国務大臣 外口委員の御心配、承っておりまして大変重要な問題点であろうかと思います。  そこで、厚生大臣としての認識を申し上げますが、マンパワー確保につきまして、予算よりもそういう方々をきちっと養成をする、そのことの方が難しいし大切なポイントであろうと私は思ってございます。どこに問題点があるかと申しますと、まさに委員が御指摘のように、それぞれの地域の具体的な努力在宅介護の必要な方と、それを提供する行政の方とがうまくスムーズに協力し合える状況をつくることが大事だな。例えばこの在宅介護の問題で各地を見て歩いてみますと、率直に申しまして地域によって大分ばらつきがございます。はっきり言いますと、熱心に細かくやっておられる地域の方々はこれは将来かなりいけるなという感じを私に与えてくれるわけであります。しかし、その地域の末端における努力不足をしているなというところもないではない。そこで私ども、今度これから委員会にもお諮りをいたしますけれども法律改正を含めまして、宅在介護をやはり市町村に責任を持って、何というのか私どもと一緒に歩いていただくという体制をつくりたいと思っております。その地域社会におきまして、本当に在宅介護は自分たちの社会の自分たちの地域の大問題であるという気持ちになって組み立てていっていただけるとだんだんと体制ができてくる、それに対して私どもがどういう応援を予算上でも定員上でもやっていったらいいかという展望が開かれてくるのではないだろうか、こういうのが私の認識でございます。
  86. 外口玉子

    外口委員 ただいま大臣の御答弁の中にありましたように、朝日新聞の四月十七日付の社説ですが、「市町村の時代を福祉から」という社説がございますが、その点と関連していると思います。そこでは私も大変、市町村への委譲ということは、確かに大臣が今おっしゃったようなさめ細かなサービスを地域ごとにしていくというメリットはありますが、もう一つ非常に危惧することとしては、市町村が、「高齢化率の高い町村ほど税収が乏しい傾向がある。財源について国の責任を明確にする必要がある」とうたっているように、一つは権限の委譲に伴う国の責任逃れがないような、すなわち公的責任を後退させないというお約束を最低限していただかないと、これは非常に市町村負担になり、市町村は民間委託していく、自分たちの負担をまた民間の委託にしていく、そのような状況ではサービスの質の低下は必然だと思います。そういう意味では質の向上、質の維持確保するためには、国の公的責任の明確な線を打ち出さなければならないというふうに考えます。  もう一つ、二点あります。ぜひその点はお約束していただきたいと思いますが、この社説にも書いてありますように、確かに身近な市町村ほど、どこに、どのような困難を抱えた人が、どんなふうに暮らしているかが的確につかめる、また「土地がらや人情にあった政策を立案できる」というメリットはあるが、「ただし、実効をあげるには、予算の裏付けが不可欠である。日本では、高齢者のための医療費は五兆五千億円。施設福祉費用が三千億円。それと比べて在宅福祉サービスの費用は六百億円とケタはずれに乏しい。」と指摘しております。厚生省が第一に挙げているこのゴールドプランの中の重要なマンパワーに関して、その費用が他の医療費、施設福祉費用と比べてけた外れに乏しいという点について、私はその財源の保証については大変に危惧するものです。  その二つのお約束をぜひ最低限ここでしていただきたいと思います。
  87. 津島雄二

    津島国務大臣 私どもがこのたびゴールドプランを世に問うということは、一歩も逃げない、最終的な責任を国として負うということを内外に宣明したわけでございまして、しかもこれを、厚生省ばかりでなく大蔵省、自治省それぞれの合意のもとに発表しておる大変に真剣な政策表明であるというふうに受けとめていただきたいと思います。  そこで、市町村に責任をもう少し持っていただくということについて、外口委員は恐らく誤解はされてないと思うのですが、私どもが申し上げているのは、国の責任はいささかも逃れようとは思っておりません。国は、最終的にあれだけのことを申し上げた以上最後まで、予算もすべての点で一生懸命やっていくと申し上げているのでありますが、この仕事に対しまして市町村もひとつ地域社会の実情に応じた知恵を出し、一緒にやってくださいということを申し上げておるわけでございます。  委員御承知のとおり、やはり福祉の末端を見てみますと、地域社会の実情に合わないことを幾ら中央でデスクプランでやってもこれは届いていかないのです。ですから、そこは国、県、市町村一体となって末端まで届く福祉介護のシステムをつくり上げようという私どもの真剣な姿勢でございますから、どうか御理解をいただきたいと思います。
  88. 外口玉子

    外口委員 ありがとうございました。今後、その点についてぜひ御努力いただきたいと思います。また後日その点については検討させていただくことにしまして、高齢化社会に積極的に対応するためのもう一つの重要な柱として保健婦、看護婦等の看護職員の計画的な養成確保が求められていると思います。そこで、この問題と関連して、残された時間、幾つかの点についてお尋ねしたいと思います。  まず第一に、今後の看護職員確保対策推進する上である程度の中期的な見通しを明らかにしていく必要があると思われますが、この点については平成元年五月に厚生省が看護職員需給見通しというものを発表されていますから、この見通しそのものについて幾つかの疑問点がありますので、その点について政府考え方、大臣考え方をお聞きしたいと考えます。  まず、「看護職員の需要」という項目のところでは、複数夜勤体制の普及、労働時間の短縮等、非常に今社会的な問題になっていること、そのような要素をすべて考慮した上でこのような需要の見通しを立てているのでしょうか。私ども関係者にとっては全体として需要数を極めて低くしか見込んでいないのではないかという感がありますが、その点について御答弁いただきたいと思います。
  89. 仲村英一

    ○仲村政府委員 お尋ねの需給見通しの需要数の関係でございますが、私どもといたしましては、先生も御承知だと思いますが、かつて第一次看護婦需給計画、第二次需給計画ということで、四十九年から五十三年、五十四年から六十年ということで需給計画を策定いたしました。このときは全国一本の需給計画でございまして、数字的にはこの段階では計画数を上回ったわけでございますが、現在御承知のようにいろいろの医療需要の変動がございまして、各県ごとに需給バランスも非常に違っておる。ある県では実際上一〇〇%以上上回っている県もございましたものですから、私どもといたしましては、需要数といたしましても全国一律に、全国病床に何分の一を掛けてというふうなことでは実情に合わな、ではないかということから、一次、二次の看護婦需給計画とは別のやり方をして、各県の需給見通しをおつくりいただいて、それを全国的に集めて、なお全国的な調整をするという必要部分を加えた上でこの見通しをつくったわけでございます。  したがいまして、実現可能性ということを非常に重視しておるという点がございますので、全国ではこの需給でごらんいただきますように平成六年で需給がバランスするということになっておりますが、地域別に見ましてまだ一〇〇%いかない地域もあるということも認めた上で、このような実現可能性の非常に高い計画を推進していくということにしたわけでございますので、今お尋ねのように一〇〇%何がどうなるという形での需要を全部見込んでないということは御了解をいただきたいと思うところでございます。
  90. 外口玉子

    外口委員 時間がございませんので、その点については私と意見が異なりますので、また後日一緒に検討させていただきたいと思います。  続いて、この見通しの中での看護職員の供給面についてどのように考えているのかを見てみたいと思います。  ここでは、供給数に大きく影響を与える新卒就業者数について、今後毎年少なくとも四百人程度養成力を増強すると、極めて消極的な看護婦養成計画を示しておきながら、その一方でナースバンク事業の強化により再就業促進し、再就業者の数をほぼ倍増させるということで、どうにか平成六年には約九十三万五千人に達すると見込んでいます。しかしこれは、だれが見ても極めて甘い見込みだと言わざるを得ません。一たん病院に就職した看護婦がなぜ途中で退職せざるを得なくなってしまうのでしょうか。この点について大臣は、政府及び厚生省はもっと真剣にこの実態を把握する必要があるのではないかと思いますが、その点についてより実効性のある看護職員の供給計画を策定し、実行すべきではないかと思います。この点について大臣の積極的な答弁をお願いいたします。
  91. 仲村英一

    ○仲村政府委員 看護婦さんが離職するという実態はまさにあるわけでございまして、私どもも、それが看護職員の確保対策の重要な対策一つだというふうに考えておりまして、もう先生も御承知だと思いますが、ナースバンクその他離職防止ということでもやっております。ただし、実際問題といたしまして、結婚でございますとか育児でございますとか、いろいろな家庭状況変化等によってどうしてもおやめになるという方があるのも事実でございまして、私どもといたしましては、ただし、この対策の中にもうたってございますけれども、離職の防止という観点でいろいろなすべき部分あるいは潜在看護力をさらに活用するための施策等、いろいろの工夫をしていきませんと、やはりつくるだけで、つくる方をたくさんふやすだけで、この看護需給対策が満たされるというふうには考えておりませんので、そういうふうな計画にさしていただいているわけでございます。
  92. 外口玉子

    外口委員 その点については私が手元に持っております資料で、最近女性一般が、他の分野女性たちが結婚、出産、退職後、子供を育て終わって再び仕事に復帰するケースがふえておりまして、それが今四十代の女性の再就職率、再び仕事に復帰する率は、パートを含みますが七〇%に近いという総務庁のデータがございます。これについて、看護の仕事に復帰する人というのはこれに比べて非常に少ないんではないかと私は今までの経験で予想されますが、その点についてどうぞお調べいただき、具体的な対応を続けていただきたいというふうに思います。  時間がございませんので、もう一点どうしてもお聞きしたいことがございますのでお話し申し上げます。  平成年度厚生省予算案の中では、看護職員確保緊急五カ年計画を打ち出していますが、このこと自体は積極的に評価したいと思いますけれども、残念ながらその中身について極めて不十分であると考えます。例えば看護婦等養成所運営費についてはもっと大幅なアップを考えるべきではなかったのでしょうか。具体的にはその補助単価や実習施設、謝金のあり方の検討も含めてさらに検討を進める必要があると思います。特にこの検討作業の中では自治体立養成所についてより積極的な位置づけが必要と思われます。これが先ほど大臣が答弁された国の公的責任をとるということであると考えます。どのような施策をお持ちなのかをまた後日ぜひお伺いしたいと思います。  それから有子看護婦確保経費、これは病院の院内保育所に対する補助金がその中身だと思いますが、全国の病院が約一万施設、自治体病院だけでも約千施設ある中で、来年度から増額されているとはいえ、わずか数百カ所分では余りにも少な過ぎると思います。これらの点を含めてより積極的な看護職員確保計画が必要だと思われますが、厚生省の打ち出した緊急五カ年計画の中身について、その全体像がはっきり見えてきませんので、ぜひここで御答弁いただき、また後日、具体的なデータがありましたら、資料がありましたらお出しいただきたい、そのことをお願いして、看護職員確保対策に関する質問を締めくくらせていただきたいと思いますが、大臣お願いいたします。
  93. 津島雄二

    津島国務大臣 看護職員の確保は、御指摘いただきましたとおり、大変重要であり、かつ困難を伴う問題であろうと思っております。外口委員から御専門の立場から大変厳しい御指摘を受けまして、私どもといたしましても全力を挙げて五カ年計画の目標を達成し、不足のない状況をつくりたいと思っておりますが、そのためにはもう御指摘のとおり、今、平成年度において全面的な見直しをして四本柱を立てましたけれども、なおこれで十分とは言えない状況かもしれない、かように思っております。どうか、今後におきましてもいろいろな面から御専門の立場から御提言なり御指摘をいただいて、私どももこれを真剣に受けとめさせていただきまして一生懸命やってまいりたいと思います。  どうもきょうはありがとうございました。
  94. 外口玉子

    外口委員 デビューですので、どうもありがとうございました。
  95. 畑英次郎

    畑委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ────◇─────     午後三時二分開議
  96. 畑英次郎

    畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部行雄君。
  97. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まず、厚生省にお伺いいたします。  廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び政令についてでありますが、清掃事業は本来地方自治体の固有事務でありまして、基本的には自治体の直営で実施すべきものと考えていきたいと思いますが、厚生省としての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  98. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先生指摘のように一般廃棄物の処理につきましては市町村がその固有の事務として行っているところでございます。しかしながら、その廃棄物の処理の形、委託についてでございますが、直営でやるものもあり、委託によって行うものもあり、その他に許可業者によるものもあるのでございます。したがいまして、市町村はその実情に応じましてこれらの一つまたはこれらを組み合わせて一般廃棄物の処理を行うこととされているところでございます。
  99. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今言われた三つのやり方は知っておりますが、最後の責任は市町村にあるということを確認していいでしょうか。
  100. 目黒克己

    ○目黒政府委員 市町村はその区域内におきます一般廃棄物の処理につきまして固有の事務として責任を持っているのでございます。
  101. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、この廃棄物は、現行法では民間委託で事業をやることを認めておりますが、だからといって安易に民間委託を許すべきではないと思います。仮に民間委託で実施する場合であっても、直営で実施していると同じように廃棄物処理法の目的に沿って行政責任が十分に確保できるようにしなければならないと思いますが、こういう認識で間違いないでしょうか。
  102. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先ほど申し上げましたように一般廃棄物の処理の形態としては三つあるわけでございますが、厚生省といたしましては生活環境の保全上支障が生じないように廃棄物を適正に処理することを基本といたしておりまして、行政サービス水準維持市町村の責任体制の明確化、労働安全衛生の確保配慮しつつ、地域の実情に応じた最適な方法を採用すべきであると考えておりまして、今後ともこの考え方に基づいて地方公共団体を指導してまいるつもりでおります。
  103. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、この廃棄物処理法及び政令によれば、「一般廃棄物の収集、運搬及び処分の委託の基準」というものがありますが、この中で「市町村以外の者に委託する場合の基準」を定めておられます。これは厳格に守られなければならないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  104. 目黒克己

    ○目黒政府委員 廃棄物処理法の政令におきまして、「市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準」が定められております。この基準は政令の四条におきまして、「受託者が受託業務を遂行するに足りる施設、人員及び財政的基礎を有し、かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する者であること。」二番目に、要約いたしますと、廃棄物処理法等に違反して刑の執行、行政処分、許可の取り消し等を受け、二年を経過しない者でないこと、それから「受託者が自ら受託業務を実施する者であること。」が定められているのでございます。
  105. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今読まれたとおりでありますが、この中の例えば「受託者が受託業務を遂行するに足りる施設」とは具体的には一体どういう施設を、どのくらいのものを指して言うのか。「人員及び財政的基礎を有し」ということについてはどういうことを具体的に言わんとしておるのか。「かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する」という、この「相当」というのは一体どのくらいのものを「相当」として認められるのか。その点についてお伺いいたします。
  106. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先生指摘のこの受託の条件のそれぞれにつきましては、厚生省といたしましては廃棄物を適正に処理することを基本として行政サービスの水準維持する等々の先ほど申し上げました基本に従いまして、各市町村がそれぞれ先生指摘のようなどのような人員、施設等々という判断の基準を定め、あるいはそれに従って行っているものと私ども理解をしているのでございます。
  107. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この政令というものは市町村がそれぞれの条件に照らして勝手に解釈していいものでしょうか。こういうものは全国一般に一つの普遍的な基準というものを示されて初めて政令としての効果が発揮できるのではないか、私はこういうふうに思いますが、大臣、その点はいかがでしょうか。
  108. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先に事務的にお答えをさせていただきます。  先生がおっしゃいました政令等につきましては、市町村が固有の事務であるということと、この業務自体を市町村がそれぞれ責任を持って行うということでございまして、先ほど申し上げました厚生省としての原則の範囲内において各市町村がそれぞれのやり方で行うということで私ども理解をしているところでございます。
  109. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 だから私が言っているのは、その原則というものは具体的にどういうことを言っているのかと聞いているのですよ。例えばこの職務を遂行するに足る人員とした場合に、その人員が一人でもいいのか二人でもいいのか、あるいは三人以上とか五人以上とかあるはずだと思います。だから、それは勝手に市町村長が決めていいものなのかということなんです。あるいは、業務の実施に関し相当の経験を有するというものは、そのときは経験がなくとも後から研修させることによって経験した職員とみなすというようなことをされてもいいのかどうかという問題が具体的に出てくるわけです。それを市町村が勝手にやったならばこの政令というものはないと同じになってしまうのですよ。原則というものが全く無視されてしまうから、私はそこをかたくお聞きしているわけです。
  110. 目黒克己

    ○目黒政府委員 ごみの処理の仕方というものにつきましては、それぞれの地方におきましてそれぞれの実情があるわけでございますので、やはり市町村が先ほど申し上げました原則であると判断をしたことによりその市町村が判断できる、私どもはそのように考えているところでございます。
  111. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、なお後で具体的にお聞きしますが、清掃事業をする上で収集作業については、これは作業自体が道路上の作業が主であり、また、その他の業務についても非常に危険が伴うわけであります。したがいまして、この業種は非常に災害の多い業種でございます。そこで、これらの事業を実施する上で労働省から出ている清掃事業における安全衛生管理要綱というものがありますが、当然のことながらこれは民間労働者の場合も自治体職員の場合と同じように厳守されるべきものと思いますが、この点は一体いかがなものでしょうか。また、事業者も当然これを守って事業を進めるべきだと思いますが、その点は労働省からお伺いいたします。
  112. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 先生指摘のとおり、清掃事業におきましては従来から酸素欠乏症とか硫化水素中毒による死亡災害あるいはごみ収集車による挟まれ、巻き込まれといった災害が多発しておりますので、労働災害防止に係る重点業種として特別にただいま御指摘の清掃事業における安全衛生管理要綱を定めまして監督指導に努めているところでございます。この要綱につきましては、清掃事業を行う事業者である限り、市町村のみならず民間事業者でも当然遵守すべきものでございまして、今後とも本要綱の遵守徹底につきまして、民間事業者も含めて監督指導に努めてまいるつもりでございます。
  113. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大変明快な御答弁、ありがとうございました。  次に、一九八五年に厚生省から「廃棄物処理事業における事故防止対策マニュアル」が出されておりますが、これも当然に民間の清掃労働者及び事業者もともに厳守されなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  114. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、今先生が御指摘の点の労働上の問題につきましては、原則として同じように適用していくということでございます。
  115. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは具体的な問題でお聞きしますが、福島県喜多方市における清掃事業の民間委託問題についてのトラブルでございまして、地元から陳情を受け、内容を調査した上で、この間厚生省に対しこの問題に対する適正な調査と指導をするように要請しておりましたが、その後、厚生省が県や市に対してどのような指導と対応をなされたのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  116. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、現在この喜多方市におきます収集運搬業務連絡の委託という事件につきまして、今事情を聴取しつつあるところでございます。
  117. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 事情を聴取しているところでありますと言われても、具体的にこういう事件が発生しているわけでございます。それは喜多方市が平成二年二月二十一日に民間に委託するために指名競争入札をやって、その際に全然基準を満たしていない業者が落札するということが起こったわけです。しかも、その落札の基準が満たされていないので、そして職員に経験者もいないので、そこの会社の職員を市役所に一たん臨時雇用として雇わせて、それから今度はそれを経験者としてその基準を満たそうという、こういうでたらめなやり方をして、そして、それを今度は自分の会社にまた雇い入れる、こういうことが許されるでしょうか。入札時には何の基準を満たす業者でもないのに入札させてしまって、落札してから今度徐々に基準を満たしていこう、こういうやり方は許されるでしょうか。
  118. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、喜多方市で行政改革を推進するために喜多方市行政改革推進委員会を発足させまして、その答申に基づいて本年四月からごみの収集を民間に委託したというのを聞いております。  なお、先ほど来お答え申し上げておりますように、この一般廃棄物の処理は市町村の固有の事務でございまして、私ども、喜多方市におきましても市の判断により適切に委託が行われたものと県の方から聞いているのであります。
  119. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、これは全く不思議でならないのです。それでは、なぜ法律の六条や政令第四条があるのですか。なぜこれが必要なのですか。今の答弁ならば、まるで市町村任せでしょう。それじゃ、こんな法律は要らないじゃないですか。この点はどういうふうに思いますか。
  120. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども県の方から、申し上げたようなことを聞いてはおりますけれども、なおいろいろ先生方からの御指摘もあり、私ども今再度事情を聞いている、こういうことでございます。
  121. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それじゃ、まるっきりあなたは指導というものをしてなかったのじゃないですか。指導していたと言うけれども、今調査中ですと言っているけれども、調査もしてないのじゃないですか、何もわかってない。まるっきりあなたは地方自治体の言うなりになって、それで厚生省としての権威が保たれますか。  大臣、どうでしょうか。こういう態度に対して大臣から一言御答弁をお願いしたいのです。
  122. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、先ほど来申し上げておりますように、一つは、市町村の固有の事務であり、地方自治体が責任を持って行うということと、それから、県の方からそういう情報は受けてはおったわけでございますが、再度慎重にこの件につきまして事情を聴取しているということを申し上げた次第でございます。  また、私ども厚生省は、先ほど来申し上げました原則に従いまして、地方自治体はその原則の範囲でそれぞれ行われているというふうに理解をしているわけでございます。したがいまして、先生が御指摘の件を踏まえまして、私ども今後この調査を続けてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  123. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これから捜査を続けてまいりたいというのは、どういう捜査でございましょう
  124. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、主として県からこの情報を得たと先ほど来お答え申し上げたとおりでございますが、再度県に対しまして具体的なことをもう少し細かく、先生の御指摘の件も含めまして聞いてみたい、このように思っている次第でございます。
  125. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 本当に現地に行って調べてくださいよ。大体財政的基礎ということについても、そんな安く事業ができるはずがないというのが、その種の一般的な見方が出ておりますし、それから、初めから全然清掃の経験もない、そういう仕事経験もない者がただちょっと市役所に行って臨時雇用で雇われて、それを経験者とみなして基準を満足させようとするこのやり方は、しかも、本当にだれが見ても経験者であり技術者であるというなら話はわかりますが、全くの素人でそんな簡単に経験者となり得るだろうか。あなたの言う経験者とは一体どのくらい業務に携わった人を言うのですか。
  126. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、先ほど申し上げましたように委託の基準につきましては政令で非常に大ざっぱに書いてございますが、その内容先生の御指摘の方向のものについては、先ほど来申し上げております原則に従って各市町村の判断に任せているわけでございます。先生指摘の点につきまして、それも含めてまた私ども具体的に実情を調べてまいりたい、このように思っている次第でございます。
  127. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私の調査によれば、喜多方市の本件委託事案はどう見ても法令違反と思わざるを得ないわけです。これは市側の対応のずさんさもそうですが、法令の基準も満たしていない業者を指名競争入札で落札させた、そして、それが先ほど言ったような状況でその後でだんだんと条件整備をやろうとしておるという、ここにまた市民の深い疑惑を生んで、市民が混乱しておる。まさに奇々怪々と言わざるを得ないのでございます。したがいまして、原則によってと言われましたが、その原則を明確に提示して、そしてそれに照らして、あなたの良心に従ってきちっと最後の結論を出してください。こういうのをいいかげんにすれば、このごみ処理問題、その他の廃棄物に関するいろいろな事案がございますけれども、そういう問題に対する厚生省の今までの努力は何であったのか、こう私は問わざるを得ないのでございます。そういう点をひとつよろしく考えていただきたいのでございます。  そして、このごみ処理問題は県も市もなかなか政治的に動けないような半面もあるわけでございますから、むしろ厚生省がきちっと指針を出して一つ一つ指導する必要があろうかと思いますが、そういう点では今後どのようにされるおつもりですか。そのようにやっていただけますか。
  128. 津島雄二

    津島国務大臣 廃棄物の処理は市町村の固有の事務であり、また最終責任を負っておるわけであります。しかし、直轄でなくしてこれを行う場合についていろいろな心配される問題があり得るということで、先ほどから御説明いたしておりますように、政令において一定の基準をお示しをしておるわけでございます。もとよりその基準に該当するかどうかということは、責任を持って市町村でおやりになる建前でございますけれども、私どもとしては、やはり我々がお示しをした基準が満たされるということが必要でございますから、そういう立場から指導はしなければならないというのが私の考え方でございます。  なお、具体的な今の案件につきましては、調査を行いまして適切に処理をさせたいと思います。
  129. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは、大臣のような気持ちでやられることは非常に大事だと思いますけれども市町村の固有の事務には間違いないけれども、その固有の事務に法律、政令をかぶせていくということは、それは何をやってもいいということでないからそうするんですよ。そしてこのごみ処理の問題、いわゆる一般廃棄物処理の問題にしましても、なぜこういう法律、政令が出ているかというと、それは今これらの問題は住民福祉生活、生命に影響するわけですよ。それはあなたの言う固有の事務だからということでほってはおけないのです。最終的には国の責任なんですよ。そのことをまず念頭に置いてかかってやらないととんでもないことになりますよ。その点ひとつ確認しておきたいと思います。
  130. 津島雄二

    津島国務大臣 法律の解釈の問題は別といたしまして、委員指摘のお考え方は十分理解をいたしております。
  131. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、産業廃棄物の不法投棄に対する対策についてお伺いいたします。  この不法投棄はますますひどくなっているのでございます。このまま放置されればやがて大変な事態を招くことになるのではないかと心配されるのでございます。そこで、これらに対して今のうちに厳しく管理、監督、指導を強化して、特に不法投棄について厳格な取り締まりをやっていかないと大変なことになるのではないか。これらについてその対策、どのようになされようとしている とにかく不法投棄というのは、夜中に何トン積みのトラックでどんどんと谷間や道路のくぼみなどにぶちまいていくわけですから、雨が降るとそれが溶けて流れて地下水に入って、そしていわゆる有毒な水となって流れてくる、こういう事態が現実にありますから、これらに対してはどのように対策をしようとしておられますか。
  132. 目黒克己

    ○目黒政府委員 御指摘の不法投棄と申しましょうか、そういうものにつきましてはかなりのものがあるのは事実でございます。私ども、このような不法投棄の事案がないように関係方面協力をいたしまして、関係業界あるいは地方自治体等々と協力をいたしましてこれらのようなことが起こらないように今後とも指導を徹底してまいりたい、このようは思っている次第でございます。しかしながら、産業廃棄物の処理のシステムにつきましては従来から各方面からいろいろの御意見があることは承知をいたしているところでございまして、この辺についても今後とも私ども、勉強し、あるいは検討してまいりたい、このように思っている次第でございます。
  133. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、この産業廃棄物あるいは医療廃棄物またはごみの処分場とか、そういうものについては一省庁に任せておくべきではないと考えるものであります。というのは、これらは厚生省が中心になって、環境庁あるいは科学技術庁、通産省、こういうものととにかく協議をしながら、日本列島全部を眺めて、ごみはどういうところに、産業廃棄物はどういうところにその処分場をつくるべきであるか、水の問題あるいはその他緑の問題、または美観を損ねない、そういう問題とあわせて、あらゆる角度から検討する必要があると思うのですよ。あるいは、この廃棄物も、廃棄しただけでなくて、それをさらにどういうふうに逆にリサイクルさせて何かに利用する、そして最後に残る廃棄物はこのくらいに小さくしていこうじゃないか、そういういろいろな検討が必要だと思うのです。  これを一都道府県や市町村に任せておいてはいけないのではないか。とにかく、産業廃棄物は都道府県が主体になりますが、これも業者との契約がなかなか厳格に守られていないために住民に大変な損害を与えている、不安を与えている、これは生きる不安ですから大変なものなんです。だから、こういうものはやはり国が国の責任で日本全体を眺める、そして、ここは産業廃棄物を処分する処分場としても適当であろう、そういうものを地域住民理解のもとに進めるようなシステムをつくる必要があるのではないだろうか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  134. 津島雄二

    津島国務大臣 現行の産業廃棄物の処理の問題は、委員が御指摘のとおり、国民の健康、福祉そして環境全体にわたる非常に大きな問題をはらんでございます。そういう中で、排出量がどんどんふえてくる、そして今御指摘の不法投棄のような不適正処理事例も発生をしておる。それから、処分場が不足いたしまして広域に移動をしてくる。そういう中で、廃棄物の受け入れをさせられるという北海道、東北六県等に見られるように、大変な住民の関心の高まりがございます。委員の地元においても当然そうであろうと思いますが、最近では私の地元の東北の北の方まで、やはり相当な問題になってございます。  そういう点に顧みますれば、廃棄物処理制度をめぐる問題点をやはりもう一遍本気で洗い直して検討してみる必要があるのではないだろうかというふうに私は思っております。その際には、廃棄物の発生量の増加とか内容多様化にどう対応するか、不法投棄や不適正な処理の発生を未然に防止するにはどうしたらいいか、処分場の不足、広域移動について受け入れを制限する動きがございますが、これをどう評価するのか、それから、今御指摘の減量化とか再利用という社会のシステムをどうしたら定着していけるか、また公共関与、国の関与についてどこまでしっかりやることが必要か、こういう問題点を把握をした上で、法律改正を含めて、廃棄物対策について今幅広く検討を始めたいと私は思ってございます。きょうの委員の御指摘を踏まえまして早急に始めたいと思ってございます。
  135. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最後に、医療廃棄物の処理、処分についてでありますが、これは何回か事故を起こしたりしてきましたけれども厚生省昭和五十八年十月にB型肝炎医療機関内感染対策ガイドラインあるいは平成元年四月にHIV医療機関内感染予防対策指針、それから平成元年十一月七日には医療廃棄物処理ガイドライン、こういうものを発表しながら、それぞれ関係機関や業者に対して指導に乗り出しておられて、大変御苦労されておるようですが、やはりこういう前向きの姿勢で取り組んでおられることは高く評価します。特に現大臣は非常にそれらに対して勉強されておりますし、良心的な方でありますから、私も将来大きな期待を持って見詰めていきたいと思いますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  これで終わります。
  136. 畑英次郎

    畑委員長 川島實君。
  137. 川島實

    ○川島委員 本委員会における厚生大臣所信表明の中で、高齢化時代に対応する強い決意を聞かしていただきました。人生八十年時代を迎え、世界一の長寿国になる、この本格的な高齢化社会を、国民生きがいを持ち、安心して生涯を暮らせるような明るい活力ある長寿福祉社会としていくことは、世界的に見ても大きな挑戦であり、我々の責務である、この認識の下に今から周到な準備を積み重ねていく、質の高い医療と安定した医療保険、安心して頼れる年金老人、障害者に対するきめ細かな福祉サービス、生涯を通じた健康づくり、快適な住みよい暮らし、環境づくり、このことを非常に期待をしておるわけでございます。具体的には、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の策定で進められていく。  そこで、本年度の日本の財政の中に占める社会保障関係費でございますが、十一兆六千百四十八億円、前年度対比六・六の伸び。内訳は医療費が五兆一千八百七十二億、年金三兆四千四百十億、その他福祉二兆九千八百六十六億。これに対して、国民負担を含めると四十四兆円と言われております。  そこで、この国民負担率についてお尋ねをしたいわけでございますが、今後どのように伸びていくのか。我が国国民負担率は、前年度では三九・九%、二年度の予想では四〇・四%と言われておりますが、今後の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。  さらに、きょうの新行革審によれば、今後この負担率を五〇%以下に抑えるべきだという提言をいたしておりますけれども、これに対してどのように取り組んでいくお覚悟か、この点についてひとつまずもってお伺いをしたいと思います。
  138. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 厚生省におきましては、国民負担率の見通しと申しますか、試算を昨年いたしております。これは、一定の前提を置きまして、制度が、年金でございますとか、医療制度でありますとか、現在の制度を前提といたしまして、このまま推移いたします場合には国民負担率がどのように推移するかということ、また、経済成長率が四%ないし五・五%で推移する、そういう前提を置いております。また、国民負担率の内容は、社会保障の負担と租税の負担となっておるわけでございますが、この場合は、租税負担につきましてはこれを算定いたしました六十三年度状況でおおむね推移する、ただ、社会保障負担影響いたします租税の分については、その分は増額されていく、こういう考え方で試算をしたものでございますが、これによりますと、平成十二年度におきまして社会保障負担率で一四ないし一四・五程度、これらを含めました国民負担率で四一ないし四一・五程度、さらに、平成二十二年度におきましては、社会保障負担及び租税負担から成ります国民負担率が四四ないし四七程度、こういうふうになっております。  また、行革審におきまして、平成三十二年、ここのところで高齢化がピークになるわけでございますが、そのときでありましても、国民負担率を五〇%以下に抑える、こういう目標を答申されております。我が国社会保障制度を含めます、長寿社会を迎えるに当たりましては、活力維持していくという観点からは、この御提言というものはやはり最大限度努力して守るべき御示唆であるというふうに考えております。
  139. 川島實

    ○川島委員 守るべき御示唆、こういうことでございますので、その辺はひとつ十分心して今から準備をしていっていただきたいと思います。  次に、ゴールドプランの中の戦略一つとして、長寿科学研究の推進がうたわれておりまして、元年度五億八百万円ですか、二年度が十億二百万円が計上されております。そこで、名古屋地域におきます学術研究開発機能の強化ということで言われておりまして、地元の長寿科学研究センターの建設について今どのような進行状況にあるのか、その点について具体的にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  140. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 長寿科学研究センターの関連の作業状況でございます。厚生省といたしましては、かねてから高齢化の急速な進展に対応いたしまして、活力ある長寿社会確立のためにそれらの諸施策の基盤になります長寿科学研究、これは非常に大切なものであるということで、保健、医療福祉を初めといたしまして幅広い観点から整理してまいるということで検討してまいったところでございます。  この長寿科学研究の中核といたしまして、長寿科学研究センターを位置づけておりまして、昨年十一月に学識経験者の方々で組織されます検討会から御報告をいただきました。それによりますと、自然科学から人文科学に至るまでの幅広い分野で取り組む研究施設、それから臨床施設、そういうものから成ります国立機関を設置すべきであるということになっております。場所といたしましては、この検討会におきまして、愛知県の大府市を予定地域として九〇年代の半ばまでに発足させるということが求められております。今、先生おっしゃいましたように「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の七つの柱のうちの一つということでこの長寿科学研究の推進が掲げられておりまして、国立のセンターをつくり、また、それに協力いたしまして全国的に長寿科学を進めてまいる財団の設置ということが掲げられております。  厚生省といたしましては、こうした報告書内容を踏まえ、また「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を踏まえまして順次その設立に向けて取り組むこととしておりまして、本年の四月一日から省内に国立長寿科学研究センター創設準備室というものを設置いたしまして、センター準備に向けての基本構想を現在検討しておるところでございます。
  141. 川島實

    ○川島委員 次に、ある老人の随想で、こういうことを言っているわけです。  高齢化社会がやってくるぞと国は口裏をそろえる。なにか年をとるのが悪いみたい。以前は老人を大切にと云う敬老の日を設定した……考え方もいつか軽老となり老人の初診料が有料となり束の間倍額となり、選挙が終わればまたぞろ負担が増えそうだ。 こういうことを心配をいたしておるわけでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、今後老人医療における本人の負担はどのような形でふえていくのか、この辺のところをひとつお示しをいただきたいと思います。さらに、今回の老人医療の関係で、拠出金で各組合健保が準備金をほとんど使い果たして運営が行き詰まっておる、こういう悲鳴を上げておるわけでございますが、厚生省はこれらに対してどのように対応すべきとお考えになっておるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。  さらに、各保険組合の保険料に占める拠出金の一人当たりの割合、これは一体どれくらいが適正なのか、この辺のところもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  142. 岡光序治

    岡光政府委員 老人保健制度の一部負担金の問題でございますが、現在はお年寄りにとって無理のない範囲内で定額の仕組みで負担お願いしているところでございまして、かつまた、所得の低い方々にも配慮しているような仕組みにしております。この一部負担金の今後のあり方でございますが、老人保健審議会が関係の審議会でございますが、こういった審議会の場あるいは国会での御議論を通じながら、どういうふうに今後持っていくか、幅広く御議論をいただくことを期待しておりまして、そういった状況を踏まえた上でそのあり方について方向を決めていきたいと考えております。  それから、二点目の老人医療費の拠出金で健康保険組合の運営が非常に困難になっておるではないかという御指摘でございますが、そういう傾向もうかがえますので、特にまたこの四月からは、いわゆる加入者按分率が一〇〇%に移行するということになっております。それに伴いまして健康保険組合を初めとするいわゆる被用者保険グループが拠出金の負担増ということになりますので、先般の補正予算をもちまして当面の負担緩和策の暫定対策を講じていただいたところでございまして、もちろん平成年度においても、また百五十億円の特別の配慮をしようという予算もお願いをしたいと思っておりますが、そういったもろもろの策を講じまして当面の対策考えていきたい、こんなふうに考えております。  それから、これから将来どうするのだということでございますが、一部負担金のあり方、国庫負担あり方、拠出金をどういうふうにするか、こんなふうなことを全体的に費用負担をどういうふうに持っていくのかという議論の中で明確にしていきたい、そんなふうに考えております。
  143. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 健康保険組合の保険料のうち拠出金が占める割合についての御質問がございました。現状を申しますと、昭和六十三年度におきましては、健保組合の保険料に占める老健拠出金の割合は約二六%程度、ほぼ四分の一という水準でございます。これが何%ぐらいが適正と考えるかというお尋ねでございますが、数字的に一定の率が適正であると申し上げるのはなかなか困難でございまして、要はこの医療保険の全体の負担との関連において被保険者に過重な負担とならないように心がけていかなければならない、こういうことであろうと思うわけでございます。  老人医療費につきましては、いずれにしても国民全部で共同して負担をしていこう、各医療保険の保険者もそういう立場で今後保険を運営していただきたい、こういう考え方もございますので、そういう意味で、各保険者が公平に、無理のない負担をして制度を運営することができるように私どもも留意してまいらなければならない、こう考えておる次第でございます。
  144. 川島實

    ○川島委員 次に、拠出金がおのおのの健保組合の運営を非常に圧迫いたしておりまして、会社の負担増を依頼をしているわけですけれども、どうも当局は二分の一が基準だからということで逃げているようでございます。厚生省としては、これらの負担割合についてどのように受けとめておるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  145. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 健康保険は事業主の福利事業というものではなくて、直接の受益者である被保険者と、さらに被保険者の健康の維持増進によって間接的にあるいは直接的に利益を受ける事業主とが共同して運営するという建前になっております。日本における医療保険の保険料の負担割合は原則労使折半、こういう姿になっておるわけでございますが、健康保険組合につきましては、自主的な運営を基本とするという性格にかんがみまして、労使の合意によって事業主の負担割合を引き上げることも法律上認められております。  ただ、その場合でも、健康保険組合を組織しておりません政府管掌健康保険との公平を考慮いたしまして、法令上支出が義務づけられている給付費、さらに老人保健等の拠出金に要する費用については少なくとも折半で負担することが望ましいという指導を私どもはしているところでございます。  この指導に際しましては、健康保険組合と話し合いの姿勢で臨むということにしておりまして、健康保険組合関係者の意見を十分聴取いたしまして、この保険料の負担割合を、私どもとしては折半が望ましいと考えておるわけでございますが、さらに健康保険組合の理事会あるいは組合会で十分検討いたしまして、労使合意の上で最終的な意思決定として負担割合を折半以外のものにすることになった場合には、これを尊重するということも考えておる次第でございます。
  146. 川島實

    ○川島委員 次に、ある開業医からの新聞等の訴えでございますが、この中で、今回の診療改定による老人医療の差別化が一段と進んだということで、次のような点を挙げているわけです。  点滴技術料が、一般は七百五十円に対し老人は二百円。二つ目は、七十歳以上の老人が六〇%以上入院すると入院費の医学管理料が極端に安くなり、老人の追い出しが行われる。三つ目は、同じ病院に老人が一年以上入院していると薬代が制限される。月三万六千円以内。四つ目は、老人には入院中の簡単な検査は認められない。以上の差別を指摘をいたしておるわけでございますが、これを聞いたお年寄りの皆さんは非常に心配をしております。こうしたお年寄りの心配を取り除いていただきたいと思いますが、これに対してのコメントをいただきたいと思います。
  147. 岡光序治

    岡光政府委員 老人の診療報酬につきましては、老人の心身の特性に対応したような仕組みにしようではないかということで、御指摘のような一般の診療報酬とは違う部分を組み立てているわけでございます。  基本的な考え方は、不必要な長期入院を是正したい、そしてできるだけ入院医療から地域及び家庭における医療への転換を促進をしたい。それから投薬、注射、点滴等よりも日常生活に重点を置いて、日常生活についての指導を重視した医療を確立したい。それから、主としてお年寄りのみを収容している病院については、それにふさわしい診療報酬を設定をしていきたい、こんなふうなことで老人診療報酬体系を組み立てているつもりでございます。  まず、今回四月からの診療報酬の改定の中での点滴に係る部分でございますが、経口で、口から食事がとれる人については、まず口から食事をとっていただきたい、点滴に頼らないで食事をとれる人はそれでやっていただきたい、私どもは基本的にそういうふうに考えまして、その場合の点滴の量あるいは薬剤の量について制限を加えたものでございますが、考え方としましては、食べられる人は口から食べていただきたい、こういうのが基本的な考え方でございます。いずれにしましても、私どもはお年寄りの心身の特性に対応した適切な医療が提供されるようにということで老人診療報酬を組み立てているつもりでございまして、決して差別的な取り扱いをしている考え方ではございません。
  148. 川島實

    ○川島委員 次に、これも新聞投書ですが、年金の受給についての配慮を要請しているわけでございます。「十五日が支給日に変わった。十五日が日曜なら十六日、土曜なら十七日にならないと、受け取れない。」こういう年金生活者の非常に苦しい家計の要望をしておるわけでございます。今日、企業や官庁は土、日が入ると前の日にさかのぼって支給をするというようなこともここに書いてあるわけでございます。この辺について配慮ができないのかという点について答弁を求めたいと思います。
  149. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 年金受給者方々はそういう収入の源が限られております方も非常に多いわけでございまして、年金受給者方々につきましては、昨年の年金法の改正におきましても年金支給回数をふやすといったようないろいろなきめ細かな配慮をしております。今先生がおっしゃいました支給開始日が休日に当たりますという場合には、ある程度のそういう配慮というものは考慮されておるのではないか、今直接の担当がおりませんけれども、そこは今後関係の部局に連絡をいたしまして研究いたしてみたいと思っております。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  150. 川島實

    ○川島委員 次に、国民健康保険の関係について以下具体的にお尋ねをしていきたいと思います。  一つは、医療費通知がここ数年ずっと行われてきて、ある一定の効果を期待しておるわけでございますが、具体的にいろいろな人たちから通報がございまして、この通報を受けて市町村なり県がそれを調査をするわけでございます。休日に診療したとか水増し請求だとか一割負担の関係で、かかった本人にはよくわかるわけでございますが、これらについてどのような対応をなされておるのか、簡単で結構でございますがお答えをいただきたいと思います。
  151. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 医療費通知の目的というのはいろいろございまして、一つは被保険者に医療費の額を通知いたしまして健康に対する認識を深めていただく、あるいは正しいコスト意識を醸成していただいて、これによって医療保険事業の健全な運営に資することを目的とするというようなこともございますが、同時に被保険者に対する医療費の通知の結果、被保険者の方から疑義が通報されまして、それに基づいて調査をするということも可能でございます。したがいまして、そのような疑義が通報されました場合には、保険者においてレセプトを点検いたしますとともに、必要に応じて支払基金等に再審査を申し出る、またさらに、医療機関にも不審な点について直接照会をするということも行えるわけでございます。また、それ以上に問題があるような場合におきましては、各都道府県において保険医療機関への指導監査を実施する、こういうことも行われるわけでございまして、幾つかのケースにおいては指導監査、あるいはさらに、その結果によって保険医療機関の取り消しというようなところまで到達するということもございます。
  152. 川島實

    ○川島委員 次に、市町村におけるレセプト審査過誤調整等が行われているわけでございますが、今市町村では、そういう審査に対して人を加えれば加えただけの効果がある、これは厚生省の方も奨励をしておるのだろうと思いますけれども、私が非常に疑問に思いますのは、これらの行為でいろいろ過誤が生じてくるわけでございますが、お医者さんに対するいろいろな信頼関係にひびが入るのじゃないかという気がするわけでございます。こういう問題があるのならば、医者を集めて教育をするなり、もっと連絡を密にして、こういうことが行われないような指導を強化する、今毎年一兆円にも上る医療費の上昇ということを考えると、こういうことが非常に大切になってくるのじゃないかと思いますが、この点についてどういうふうに受けとめておるのか、お伺いをしたいと思います。
  153. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 レセプト点検は医療費の効率的な使用あるいは経営努力といった観点から行われておりまして、これは保険者として極めて重要な業務でございます。私どもも積極的な実施について指導をしておるわけでございますが、むしろ保険医療機関において請求上誤りなきを期すということがさらに重要でございますので、保険医療機関に対しましてはできるだけ医療保険に関する知識を涵養していただきまして、その事務処理が適正に行われるように期待をしておるわけでございます。そのため従来から都道府県におきまして、医療機関に対して集団的指導あるいは個別指導というものを実施いたしまして、保険診療の取り扱いについて十分周知徹底を図っておるわけでございます。  また、保険診療全般に関しましては、中央におきましても厚生省と日本医師会あるいは日本歯科医師会、こういう関係団体との共催によりまして保険診療に関する指導講習等も行っておるわけでございます。今後とも、このような方法によりまして保険診療に対する正しい知識の修得が行われるように努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  154. 川島實

    ○川島委員 次に、市町村の国保の保険料のあり方についてお尋ねいたしたいと思います。  大体医療費の高いところの四つの県をずっと回ってお聞きをさせていただきました。そこでいろいろ問題になりますのは、例えば百五十万の所得の人、資産が大体百五十万、そして子供二人、四人家族ですね。この人が年間九万一千八百円、これは一つの県ですね。ところが、そのお隣りの部落では二十万二千円、これだけ格差がございます。それから、もう一つの県は、一つの市で今と同じ百五十万の年収で十一万一千円、そのお隣りの市では二十五万二千円、こういう格差がございます。これが一つの例でございまして、もっと医療費の高いところは、高いところと安いところを出しなさいと言っても表に出してくれません。平均で十九万七千五百八十円というデータを提示をしてくれているような状況でございます。  このように状況を見ますと、日本の国の中で、これらの所得の百五十万という非常に低い人たちでございますけれども、このような格差に泣いているわけでございまして、これらについてどのように受けとめておるのか、そして、前もって通告いたしておりますので、国の調査における最低と最高はどのくらい開いておるものか、ひとつまずもってお聞かせをいただきたいと思います。
  155. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民健康保険の保険料について市町村によって相当な開きがあるということは、私どももかねがね認識しておるところでございまして、できるだけその均衡化を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  実態といたしましては、例えば、今御指摘ありましたような、所得百五十万円、資産百五十万円、四人家族の場合でどうかというような比較をすることは、市町村によって所得に対する税率に相当の差がありまして、これを今直ちに税率の最高、最低を拾い出すということはなかなか困難でございますが、仮に全国平均の税率を用いて、今御指摘になったような場合についての国保の保険料を計算いたしました場合には、約二十万五千円というような結果も出るわけでございます。  そのほかに、保険料の金額の差を一つの指標として取り出してみますと、昭和六十三年度の国保の一人当たり保険料で、最高が年八万三千九百円、最低が一万二千四百円というように、六・八倍の格差があるというのが実態でございます。このような格差というものは、やはりできるだけ縮小いたしまして、国民全体が公平な負担医療を受けられるように、今後ともいろいろな対策を講じていかなければならないと私どもは認識しておる次第でございます。
  156. 川島實

    ○川島委員 答弁は非常に不満があります。なぜなら、私は、収入は百五十万と言いましたね。資産が百五十万ときちっと言っているのですよ。どこの県へ行ってもきちっと出ますよ。おのおのの基礎控除や課税対象額、算定額、県によっては、市町村によっては控除額所得割の関係だとか人頭割の関係が少し違っているところもありますけれども、これは収入と資産をやれば、大体その金額はちゃんとどこでも出てきますよ。これで言っているのですよ。お隣り同士の県で、隣り同士敷地が一緒で部落が違うだけで十万円ぐらいの差、一カ月に直しますと約一万円の差でしょう。これを、こういう不公平な状況のままを、これからゴールドプランだとかおっしゃいながら、こうした形のものを放置していくということは非常に勉強不足ですよ。国民の気持ち、お年寄りの気持ちを、先ほど私がなぜああいう言葉をちょっと出したかというと、こういう不公平さをなくしてほしいという願いをなぜ率直に受けとめて努力をしようとしないのか。その答弁に私は非常に不満です。何かコメントがありましたらもう一度答弁してください。
  157. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 最初に金額の問題でございますが、所得百五十万円、資産百五十万円、このケースにつきまして保険料の計算をする際に、それぞれの市町村がどのような所得に対する税率を用いているか、これをまず決定する必要がございます。全国三千幾つの市町村がそれぞれ所得税率で違った税率を用いておりますので、これは時間をかけて各市町村の税率を拾い上げれば、そのうち最高の税率が幾ら、最低の税率が幾らということはわかるわけでございますが、ちょっと時間がかかるという意味で、今直ちに金額としての把握は難しいと申したわけでございます。  それにかわるものといたしまして、例えば一つの例でございますけれども、ある市によって、保険料として相当全国的に高い市について、その市の税率を適用した場合にはどうなるか、あるいは保険料として最低の市町村の税率を適用した場合にはどうなるか、こういう例示はできるわけでございます。例えば富山県滑川市というところが保険料としては最も高い、しかし、ただ税率は、これは確認しておりませんけれども、ここの税率で仮に計算をいたしますと、先ほどお示しになったような例では大体二十六万円をちょっと超えるということでございます。それから沖縄県の粟国村というのが保険料としては一番低いところでございまして、税率はこれが最低かどうかまだ確認はできませんけれども、ここの税率で算定をいたしますと十万円ちょっと、これで二・六倍程度の差、こういう一つの試算はございます。  それから、このような実態に対してどうするのかという問題でございまして、確かに私どもも何とかしてこれは均衡を図っていかなければならないと真剣に考えておるわけでございます。そこで、実は平成年度対策といたしまして、国民健康保険法改正をいたしたいと考えておる次第でございます。これは、国の国庫補助の拡充、あるいは保険基盤安定制度の確立、さらに財政調整機能の拡大、こういう内容を盛り込んでおりまして、既に国会には御提出いたしておりまして、これを御審議いただいて、私どもとしては国民健康保険制度の保険料負担の不均衡是正に少しでもこれを活用いたしてまいりたい。さらにそのほかにも、平成年度を目途といたしまして、各都道府県や市町村意見も十分伺いながら今後保険料の負担の平準化に向けて対策を講じていこうということで、いろいろとこれから新しい検討を始めよう、こういう考え方を持っておるということでございます。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 川島實

    ○川島委員 今は百五十万の所得でいきましたね。これが、本人が二百五十万、奥さんが二百万、五百万の収入です、家族で。それで、資産が五百万、これでいきますと、富山県の場合は四十四万円になるわけです。そうすると、今三十九万円で限度額が決められておりまして切られる。ところが片っ方では、百五十万の所得で資産が百五十万で非常に低いにもかかわらず限度額がございませんので、この率でいくと十九万七千円、二十万近くになる。この不公平さ、格差。片っ方は上が切られて非常に助かるわけですね。五万円も切られる。この辺のところの配慮一体どのようにお考えにたっておるのか、ひとつその辺もお聞かせをいただきたいと思います。
  159. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民健康保険の保険料につきましては、最高限度額が設けられておりまして、余り過重な負担にならないように制度が仕組まれておるわけでございますが、これは一世帯当たりの最高限度額という決定の仕方をいたしておりますので、世帯の総所得がほぼ同じであれば最高限度額も同じように設定できるわけでございます。ただ、世帯人員等の差によりまして一人当たりの保険料という形になってまいりますと、その中間段階においては差が出てくるということは確かにあろうかと存じます。  この国民健康保険の保険料の決め方、これは非常に複雑になっておりまして、また、各市町村ごとにそれぞれ被保険者の実情でありますとか医療費の状況でありますとか異なっておりますので、基本的には、国ができるだけ標準的な考え方を示しつつ、なお市町村においてその実情に応じて実際の額を決めていくという仕組みになっております。このような制度あり方につきましては、今後ともいろいろと研究いたしまして、どのような方法が最も望ましいか、これも将来に向けて十分検討していきたいと考えております。
  160. 川島實

    ○川島委員 この問題につきましては、将来に向けての検討じゃなくて、即実情を調査をしていただきましてお年寄りの願いをかなえてあげていただきたいと思います。これほどまでに不公平さがあると、安い方はいいですけれども高い方が大変なことでございますので、予算措置を講じて安くしてあげるとか、標準的な価格に設定ができるように各都道府県と打ち合わせをして、十分な御指導をお願いをしておきたいと思います。  次に、国保の健保組合に対する補助金の関係についてちょっとお聞かせをいただきたいわけでございます。  東京都は非常に多くの都内の被保険者に対しての補助金を出しておるわけでございますが、他の府県につきましては、これを見習って補助を出すように陳情を各県で行っておるわけでございますが、一向にこれがなされないわけでございまして、その格差が余りにもひど過ぎる、こういうことでございますので、その辺についてどのようにお考えなのか、現状はどのようはなっておるのか、ひとつ例を出して御答弁をいただきたいと思います。
  161. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民健康保険に対する都道府県の補助の問題でございますけれども、これは法律上の補助ではございませんで、都道府県が任意に補助をしているものでございます。ただいま御指摘がありましたように、東京都は確かに全国で最高の補助をしておりまして、六十三年度におきましては一人当たり約三千六百円という補助でございます。そのほかに補助額の高いところは、二番目が大阪府で一人当たり千五十七円、三番目が福井県で九百四十七円、それから低い方といたしましては補助のない県ということもございます。大体全国的に平均しますと二千百五十四円という数字が出ております。  この問題は、私ども立場からいたしますと、地方自治体としての都道府県の自主的な補助ということになっておりますので、国の方で直接この補助についての指導と申しますか、意向を示すということはなかなか難しいわけでございます。したがって、これは国としては国としての組合に対する補助について的確に実施をしたいと考えておりまして、都道府県におきます補助は自治体としての都道府県の判断にゆだねるほかはないのかな、こう考えておる次第でございます。
  162. 川島實

    ○川島委員 次に、厚生省医療の一元化ということでいろいろ計画をなされておるわけでございますが、今日でも医療費の割合が、国民は十割給付を非常に望んでおるわけでございますが、それが財政上難しいということで九割という形で指導なされておるわけでございますけれども、現在でも十割の給付を行っておるところがあるのかどうか、そしてまた、これらについての医療費の補助は、十割分をきちっと補助しておるのかどうか、この辺のことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  163. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 医療保険におきます給付率につきましては法律にそれぞれ定めておるわけでございまして、例えば国民健康保険の場合には被保険者に対して七割の給付というのが法律上の規定でございます。しかし、現実には、例えば国民健康保険組合などでは自主的にそれより高い給付率を採用しているところもございまして、少数ではございますが十割給付という給付を行っているところもございます。そのほかに九割あるいは八割というような各段階ごとに給付を定めておる組合がそれぞれ幾つかあるわけでございます。  そこで、給付割合を高めている組合に対する補助をどうするかという問題でございますが、まず基本的には、国民健康保険に対しましては給付費の三二%を定率分として国庫補助をいたしまして、さらにこれは各組合全部を合わせた給付費総額の一五%の範囲内で組合の財政力に応じてさらは補助を行っているわけでございます。その際に、十割給付を行っている国保組合につきましては、国庫補助の公平な配分という観点から、一定の調整率を乗じまして給付費を若干低目に算定をいたした上でその七割に対する補助を行うという姿にしております。これは給付率が高まりますと、単に給付費が高くなるというだけではなくて、医療費総額がふえていくという一つの昔から実証されました数理的な理論がございますので、その辺を勘案いたしまして、医療費総額についての調整を行った上で本来の給付率である七割の給付費に見合う補助を行う、こういう考え方に基づいておるわけでございます。
  164. 川島實

    ○川島委員 次に、国保連合会におけるレセプト点検、審査の関係でございますけれども、各県とも非常に医療費の増がふえ続けておりまして、審査委員一日当たりの枚数が莫大な数になっておるわけでございますが、現在、東京都における審査委員一人当たりのそういう点検枚数というのは一体どのくらいになっておるのか、厚生省としてはその現実をどう受けとめておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  165. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 東京都の例で申しますと、審査委員一人が審査を行う日一日当たりに取り扱う件数といたしまして、平成元年五月の実績でございますけれども、三千三百七十七件という数字がございます。全国平均では三千八十件ということになっております。このように一人の審査委員が扱うレセプトの枚数が大変多いわけでございまして、なかなか的確な審査を行うという上で問題がございますので、いろいろとその審査方法についても工夫を凝らさなければならないということになるわけでございます。  そこで、現在では一律に同じように審査をするのではなくて、特に高い医療費のレセプトを重点的に審査をするという方法をとっております。現在、例えば十万点、つまり金額にいたしますと百万円以上、こういう内容のレセプトにつきまして、特にこれを別にいたしまして重点的に審査するという方法によって医療費の審査内容充実を図っております。ちなみに、この十万点、つまり百万円以上のレセプトだけを取り出してみますと、東京の場合には委員一人一日当たりの平均枚数が百五十九件でございます。それから全国平均が二百五十三件、こういう数は少のうございますが、金額の高額なものについてできるだけ集中して審査を行うことによって全体としての審査の効率を上げるようにと考えております。また同時に、これからも医療費の適正化ということに対しましては、あらゆる角度から対策を講じていく必要があるわけでございますが、こういった審査委員の体制の充実についても十分意を用いてまいりたいと考えておる次第でございます。
  166. 川島實

    ○川島委員 お尋ねをしておりますのは、審査委員一人当たり、お医者さんが何枚見るかということを聞いているのですよ。金額のことを何も聞いてません。非常に莫大な枚数を審査しておるので問題にしておるわけであって、なぜ隠すのですか。お互いに知恵を出し合って、これからの時代を、長寿社会をよくしていこう、努力していこう、こういう指摘をしているのですよ。皆さんが現場のいろいろな細かいことについて余りにも、知っているのか知らないのか知りませんけれども、放置がなされているから言っているわけです。まだたくさんあるわけでございますから、余り時間がございませんので、簡潔に言ってください、簡単に。あとの問題やりますので。
  167. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 先ほど申し上げました数字、東京の審査委員一人一日当たりの数字、三千三百七十七件でございます。枚数でございます。全国平均では三千八十件と申し上げております。
  168. 川島實

    ○川島委員 次に、現状の医療の中で、私どもが見ておりますと、入院患者が亡くなる前に病状がふえるという問題がありますね。カルテの中で、二つの病状が、亡くなる一カ月か二カ月内に六つないし七つ、医療費が通常から百万ぐらい高くなるという状況が非常に出ておるわけでございますが、これらの問題についてどのようにお考えになっておるのか。  それから、口を開けばすぐ医者の優遇税制、税の不公平のことでよく出てくるわけでございますけれども、これらについて厚生省としてはどのように受けとめておるのか。  さらにまた、退院までの患者一人当たりの医療費、最高と平均、どのくらいの費用がかかっておるのか、この辺のところもひとつお聞かせをいただきたいと思います。  それから最後に、高齢化時代を迎えて、厚生省労働省の方につきましても余暇の利用についていろいろなレクリエーションセンター等の問題があるわけでございますが、今日いろいろとレクリエーションの施設や何かが、民間でリゾートホテルだとかリゾート施設についていろいろ出てきておるわけでございますが、健保組合初め多くの皆さんが、民間のどこが信頼できるのかということは非常に難しいわけでございまして、過去にあるクラブが会員権をとって逃げていったとかつぶれたとか、そういう例も聞いておりますので、これからの時代にぜひひとつ、第三セクターでも結構ですが、労働省なり厚生省なりが力を合わせながら、こうしたリゾートの情報を国民にもっと十分に提供していただいて、長寿社会における健康なワークづくりにひとつお力添えをいただきたいと思うわけでございます。  以上、簡単でございますけれども質問を終わらせていただきます。
  169. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 最初に、死亡直前に非常に高い医療費と申しますか、病名が多くなるケースがあるではないかということでございます。これはやはり一般論から申しますと、死亡が近くなりますと、肺炎でありますとか腎不全あるいは心不全、こういう身体の各部におきましていろいろな支障が生じてくるというのは通例でございます。特にまた、死の直前、重篤な状況になるということで、病名が多く、医療費も高くなるということは言えるわけでございます。ただ、個別のケースによって、果たしてその医療内容が適切であったかどうか、これはまた別問題でありますので、内容の審査ということは十分行う必要があろうかと考えております。  それから入院から退院まで、一人当たり医療費の最高額はどれくらいか。一人の人間につきまして入院から退院までをずっと追跡したというケースが実はございませんので、申しわけございませんが、そういう形での費用というのはなかなかつかみにくいわけでございます。ただ、例えば健康保険組合連合会が調査いたしました結果を見ますと、昭和六十三年度におきまして、一人一月当たりの最高額は、死亡した六十三歳の男性患者で千八百十四万円、こういう結果が出ております。
  170. 仲村英一

    ○仲村政府委員 今のお答えの追加になると思いますが、末期医療の問題も含まれると思いますので、その部分についてお答えを申し上げたいわけでございますが、私どもは、末期医療につきましては昨年の七月に実は検討会を設けていろいろ検討いただいたわけでございます。  その中で、やはり単なる延命医療というものを考え直す時期に来ておるのではないか。それは、その患者さん個人の尊厳の問題でございますとか家族にとっての精神的苦痛とか、いろいろな問題の御指摘がございまして、その報告書については一般に発表いたしまして、特にお医者さんたちにも十分そういう診療行為についての見直しと申しますか考え方の整理をしていただきたいということでの報告書をお出ししたことを追加させていただきたいと思います。  それから、医師優遇税制についてのお尋ねであったと思いますけれども、私ども従前から、医療は、日本の社会におきましては人間の生命でございますとか健康にかかわる、公共性が非常に高いということで理解をしているわけでございまして、そういう点では医療法にも非営利ということをうたっておるわけでございます。また同時に、社会保険医療というのは、国民健康保険という制度協力をしていただいて、社会保険の診療報酬という公的な価格のもとに国民に必要な医療を提供するということで、高い公共性を持っておるというふうに考えておりますので、現行の税制の基本的枠組みは維持されるべきだと考えておるわけでございます。
  171. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 今御質問のありましたうちで、健康づくり等々あるいは休養施設などについてでございますが、特に社会保険の福祉施設としての保養所その他あるいはスポーツ施設、そういうものにつきましては、従来からも都道府県担当部局ないしは社会保険関係の団体等を通じまして各種のPRと内容の広報にも努めております。今後とも十分な御利用の便が図られるようなPRに努めてまいりたいと思いますが、またさらに健康づくりの観点からは、平成年度からいわゆる健康休暇のあり方につきまして検討を行うことにしております。その中で、リゾート地などにおきます余暇の健康的な利用のあり方とかあるいは温泉の利用とか、運動実践ができる健康増進施設の普及あるいは国民に対する情報提供の方法などにつきましても、御趣旨を参考にいたしまして検討してまいりたいと考えております。
  172. 松本邦宏

    ○松本(邦)政府委員 先生指摘のように、労働省では時間短縮も一方では進めておりまして、その中で余暇の有効活用というのは大変大きな問題になっております。  我々勤労者の立場からいろいろ余暇を見ておりますと、労働省でもいろいろな施設をつくっているわけでございますけれども、大企業の方は企業の保有のいろいろな施設等をお持ちになっておって非常に恵まれている面がございますが、中小企業労働者という点でまだ不十分なところがございますので、そういった人たちに対する施設を今後とも充実していきたいと思っておりますし、それから今おっしゃいました情報提供の問題、やはり低廉で良質な施設の情報を提供をする、これも非常に重要だと思っておりますので、私どもでも検討してまいりたい、かように考えております。
  173. 津島雄二

    津島国務大臣 川島委員の、長年の経験を踏まえた、大変ポイントを絞った御質疑をいただきまして、私も感銘深く聞かせていただきました。質疑の中で、私の方から特に最後に補足をいたしたいという点が二、三ございます。  その第一点は、国保の保険料につきまして、大変ばらつきが大きくて、結果として国民の間に不公平感を来しているのではないかというのはまさにそのとおりでございまして、私のように非常に広い地域を選挙区にいたしておりますと、その選挙区の中でも非常に大きな差がございまして、また場合によりましては、財政力の弱い僻地の方ほど高い保険料を払わなければならないという実情は、私どもよくわかっておるわけでございます。  今さら私から申し上げるまでもなく、こういう市町村格差というのは、市町村医療水準状況であるとか、それから被保険者の所得水準状況とか、それから市町村財政力の状況とかがおのずから出てくるわけでございますけれども、しかし、これを大きい格差のままに放置しておくことは、これは到底許されないということは私どもも強く感じて今までいろいろな施策を可能な限りでやってきておるわけでございますね。そういうことの中で今度これからお願いをいたしますのは、国庫助成を拡充いたしまして、低所得層の方方についての配慮を、保険基盤安定制度を今まで暫定的にやっておりましたのを恒久制度としてやるとか、それからまた、調整交付金の制度をもう少し積極的に活用するとかいうことを法改正お願いをいたしたいというふうに考えておるところでございます。現行の格差をできる限り是正をすると同時に、保険基盤を安定するということは我我の大きな課題でございますので、一生懸命取り組んでまいりたいと思いますが、どうか御支援をいただきたいと思います。  それから、もう一点でございますが、一番最初の方で御質問がございました、高齢化社会がやってまいりますとおのずから財政需要がふえていくであろう、そういうことの中で、今度のポスト臨調のような報告書が出ているが厚生省としてどう考えるかという御質問でございます。  基本的には、我々は高齢化社会に備える必要な予算はしかと確保しなければならない。そういう意味で、ゴールドプランにつきましても、厚生大臣ばかりでなくて大蔵大臣、自治大臣ともども合意をしたというところをどうか御理解をいただきたいと思います。しかし、国民負担全体が一定の水準以上になりますと、社会全体が活力を失って、結果としてはやりたい福祉制度もやれなくなるという面もあるわけでございますから、いろいろな工夫を国政全体でしてまいりまして、国民負担を全体として一定の水準以上上がらないようにするという報告書の趣旨は、私どももこれは理解できるところだと思ってございます。  いずれにいたしましても、二十一世紀高齢化社会が世界一の高齢化社会であると同時に、やはり世界に冠たる長寿福祉社会である。これこそ日本の福祉国家の姿だと言えるようなことを何とか実現をしていきたい。一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
  174. 川島實

    ○川島委員 どうもありがとうございました。
  175. 畑英次郎

    畑委員長 石田祝稔君。
  176. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 公明党・国民会議、高知全県区選出の石田祝稔でございます。今回初当選でございますので、何とぞよろしくお願いをいたします。  まず最初に、大臣にお伺いしたいと思いますが、任期中にこれだけは絶対にやる、身命を賭してやるんだ、こういうことがたくさんあろうかと思いますけれども、ぜひ明快にお答えをいただきたいと思います。
  177. 津島雄二

    津島国務大臣 最初に私の方から申し上げたいと思いますのは、当委員会委員として御出席をいただいた新進気鋭政治家皆様方から積極的な御質問、御提言をいただきたい、ともどもに手を携えて福祉の向上のために努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  私が任期中にやりたいこと、これはとりあえず二つ申し上げたいと思います。  その第一は、二十世紀の残された十年間、その最大の仕事高齢化社会に備えた「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を現実のものにするということに尽きると思うわけでありますが、その初年度としての平成二年、そしてまた来年度の予算に向けまして全力を挙げてこの仕事のよき出発をいたしたいということが第一でございます。  それからもう一つは、所信表明でも申し上げましたように、本当に中身のある福祉制度をつくり上げていくためにはやはり現場の声を重視をしなければならない。それぞれの地域社会における具体的な要望、またその中で生まれてくるいろいろな知恵を私どもはくみ上げまして、本当にそれぞれの地域にふさわしい福祉の定着を図ってまいりたいと思っております。それが私が唱道しております行動する厚生省ということでございますが、この二つのことはまずもって私の任期中にできるだけのことを努力をしてみたいというふうに心に誓っておる次第でございます。
  178. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 明快なる御答弁、ありがとうございました。大臣も明快に二点おっしゃっていただきました。これからいろいろとお聞きしたいと思いますけれども、ぜひとも簡潔明快にお答えをお願いしたいと思います。  私は、先日の大臣所信表明演説、大変うれしく、また頼もしく拝聴いたしました。それはなぜかと申しますと、大臣は所信の中で「国民福祉の増進をライフワークとして取り組んできたところであり、このたび厚生大臣を拝命し、大変うれしく思うとともに、責任の重さを痛感しております。」このように述べられておりました。まことに大臣の強い決意のほどがうかがわれるからであります。私も、これからの日本を考えたときに福祉は非常に大事だ、また、選挙戦を通しまして県内をくまなく歩きまして、国民福祉の増進が肝要である、このようにますます痛感をいたしました。そして今回、ぜひともとお願いをいたしまして、私も社会労働委員会に所属をさせていただいたわけでございます。これからいろいろとお伺いしたいと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  まず最初に、明快にお答えをいただきましたけれども、この所信表明演説、毎国会大臣がやられるというふうに私はお聞きをいたしております。果たしてこの所信表明演説、会期が終了したときにもう一度見直して、この点はどうだったか、あの点はどうだったかとか、そういうことを検討されたということを私は寡聞にして聞いたことがございませんので、屋上屋根を重ねるようでまことに申しわけないのでございますけれども大臣のいま一度のこの所信に対する強い決意表明をお聞かせ願えれば国民皆様も安心をされるのではないか、このように思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  179. 津島雄二

    津島国務大臣 委員会審議の冒頭に所信を述べさせていただいたその重みは大きいものがございます。そしてまた、これを現実のものにしていくという重い責任を負っておるわけでございますから、この所信を踏まえましていろいろと御質疑をいただく、そして制度改正お願いをする、そして予算を執行していく、そういうことの中から、また翌年度の予算をどうしたらいいだろうか、そして翌年度にことしの所信を踏まえてどういうお話をすべきであるかということを一つの継ぎ目のない仕事として私は心がけてやってまいりたいと思います。
  180. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 さて、我が国は世界第一の長寿国となり、今後急速に高齢社会に移行しようとしております。大臣にお伺いいたしますが、大臣はこの二十一世紀我が国の高齢社会に対してどういうイメージを持っておられるのか、また、それに対してどのように対処されるのか、お伺いをしたいと思います。  聞くところによりますと、この高齢社会、非常に暗いイメージで宣伝をされているような部分があると私は思います。お年寄りがふえて大変だとか、そういうふうなこともあちこちで聞くわけでございます。その意味で、大臣が所管の厚生省の長として高齢者社会に対してどのようなイメージを持っておられるのかお聞きをしたいと思います。
  181. 津島雄二

    津島国務大臣 このたび世に問うております「高齢者保健福祉推進十か年戦略」は、いろいろな柱を立てて二十一世紀に向けて準備をしていくということでございますが、一言で申し上げますと、在宅高齢者方々を中心として、必要のある場合には、どこでもいつでも質のよい介護等のサービス、医療のサービスが得られるという社会をつくりたいということでございます。  そういう社会ができ上がっていったときにどういう背景が必要であるかと申しますと、ごく自然に社会の中に若くて活発に働いている方と肩を並べて高齢者方々がおられる、お元気な方は負けずに社会活動をしておられるし、また、不幸にして体にぐあいが悪い点がある方には配慮が十分行き届きつつ自然と社会の中の一つの風景になっておる、障害者の方もそうだ、そういう方々が全体として織りなす社会の姿というものが活力のある、明るい、生き生きとしたものであれば、いい高齢者社会ではないであろうか、こういうふうに思っております。一生懸命頑張ってやらないとなかなかそこまでは行けないのではないか。また責任の重さも感ずるわけでございます。
  182. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 大臣から決意を述べていただきまして、いわゆる福祉のノーマライゼーション、こういう観点からイメージを描かれている、こういうことはよくわかったわけでございます。  次にお聞きをしたいと思いますが、委員会は違いますけれども先般の大蔵委員会、この席上で、大蔵大臣が日本の社会保障の将来について次のように発言をされております。  今我々は本当に高齢化社会に向かってばく進をしておるわけでありますけれども、その中において将来の社会保障というものについての国民的な合意というものがまだ形成されておりません。もっと正確に申し上げるならば、高齢化社会に対して我々が備えをつくっていく場合に、所得保障に中心を置いて考えていくべきなのか、医療保障に中心を置いて考えていくべきなのか、あるいは公共福祉サービスに重点を置いて考えるべきなのかという視点であります。 このように発言をされております。  他大臣の発言を出しましたけれども厚生大臣としましては将来の高齢社会に対して国民合意が今現在形成されているとお考えになっておられるのか、それともいまだ国民合意形成はされていない、このように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。もし形成されていないとすれば、厚生省がリーダーシップを発揮して国民合意形成に向けて行動されるのか、この点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  183. 津島雄二

    津島国務大臣 我々の目の前にございます高齢社会というのは、ある意味ではこれまで世界の歴史にない経験が強いられるということでございまして、高齢化比率が高いということにとどまらず、そこに至る道筋がまことにスピードが速いということでございます。そういう意味で、これに備えて所得保障の面、医療保障の面その他でどういうふうに進めていったらよいであろうか、特に給付負担との関係で、どういう給付を求め、その給付に応ずるためにはどの程度負担まで国民皆様方が応じていただけるかということになりますと、今委員指摘のとおり、私は国民合意形成が十分にできているとはいえないと思います。  例えば所得保障の面で申しますと、年金のこれからの基盤の安定のために、当面はいろいろな五年ごとの再計算に伴う措置お願いをしておりますけれども年金支給開始年齢をどうするかという問題につきましてはなお議論が残されておるわけでございます。これは同時に、現在の年金水準維持し、そしてまた、お働きになっておられる方々に過大な負担をかけないということを考えた場合に、どの程度の姿であれば国民はこれを受け入れていただけるかという合意ができてないからでございましょう。それから老人保健制度につきましても、当委員会で御議論がたくさんございますように、将来の基盤の確立という点についてはなお多くの問題が残されておるわけであります。  私の考え方は、国民合意形成する過程で、私どもはまず問題を提起をする、そして御議論をお願いをする、そして、その御議論を踏まえた上で合意形成を図っていくという辛抱強いプロセスが必要だと思いますけれども、そのためにやはり厚生省は先頭に立たなければならないというふうに考えておるところでございます。
  184. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今答弁をお伺いしまして、国民合意がまだできておらない、こういうふうなお答えだったろうと思います。この国民合意ができておらないということは、将来に向かって、高齢化社会の時点でどういうふうに国民が例えば国に期待をするのか、そういうことがわからないままにこれからの諸施策が進んでいくというふうに私は思いましたけれども、この点はいかがでしょうか。
  185. 津島雄二

    津島国務大臣 私どもがしなければならないのはまさにその点であろうと思います。十分な議論の材料をお示しする、そして、必要な場合には我我としてはこういう姿がいいのであろうということをお示しするということがなければ、国民皆様方合意形成に戸惑われるのであろうと思います。そういう意味で私の責任も非常に重いと思っておりますが、それぞれの問題に即しまして憶するところなく率直に事実を示し、議論をお願いをするという姿勢でやってまいりたいと思います。
  186. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きまして「高齢者保健福祉推進十か年戦略」についてお伺いをしたいと思います。  先ほどの大臣答弁をお伺いをしておりまして、まさしくその問題を提起すること自体がある意味では今の一番大きな仕事、そういうふうに私も感じましたけれども、そういたしますと、この「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものも、これは実行しようとするものなのか、ある意味では、こういう十カ年の計画を国民の前につまびらかにして、そしてその中で計画も、いろいろな批判をいただきながら御意見をいただきながら変えていく、そういう可能性がある計画なのか、これはどうなのでしょうか。
  187. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 いわゆるゴールデンプランでございますが、ここまで到達いたしますまでには、御案内のとおりでございますが、昭和六十一年に長寿社会対策大綱というものが閣議決定されまして、これに基づいて長寿社会対策の閣僚会議も設定されております。また、これの一つの発展といたしまして、昭和六十三年に福祉ビジョンをお示ししたところでございまして、今回さらにその具体的な展開といたしまして、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定したところでございます。いずれも、政府といたしまして来るべき高齢化社会に備え、総合的な対策を進めていくためには何が必要であるかということを関係省庁も含めまして議論をし、そのための方向づけをし、そのための進め方も明らかにし、さらに進めていく、こういう形での一連の展開でございます。  このゴールデンプラン推進十カ年戦略につきましては、二十一世紀高齢化社会を迎えますに当たりまして、今後十年間にできるだけ具体的な方向と具体的な目標数値をお示ししたところでございます。また、この実施に当たりまして、もちろん現在関係の予算も御審議をいただいております。関係各方面の御意見伺いながら、円滑な実施をしてまいりたいということではございますが、政府としての一つの、二十一世紀を迎えますに当たりましての高齢化社会に対応するプランということでお示ししているわけでございます。
  188. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 次にお伺いをしたいと思いますが、私はここに厚生省の広報誌の「厚生」という本をいただきまして読ませていただきました。ここに、いわゆる十カ年戦略につきましてこういうふうに書いているのですね。ちょっと呼んでみますと、「この「十か年戦略」が初めて議論・検討の場に登場したのは、昨年」平成元年ですけれども、「一二月一日に自民党がまとめた「消費税見直しに関する基本方針」においてのことであった。この党の基本方針に沿って、ただちに党から政府に検討要請があり、これを受けて厚生省を中心に「十か年戦略」の検討を進め、平成年度予算大蔵省内示の直前の一二月二一日に、厚生・大蔵・自治の三大臣の間で具体的な施策とその目標について合意がなされた。」以下ずっと合意内容とか書いています。  私がお伺いしたいのは、この十カ年戦略というのは、これからの二十一世紀までの十年間、また、さらにそれ以降二十一世紀、本格的に高齢社会になります二〇二〇年、これを目指して大変重要な施策だと私は思いますけれども、それがわずか二十日間ででき上がった。そして、これは関係各位が並み並みならぬ御努力をされたことに敬意を表しますけれども、幾らたたき台的なものがあったといたしましても、二十日間で議論、検討を始めて各省庁に根回しをやった。これはいかにも短過ぎるのではないかと思うのです。  また、所信の中で大臣は、保健福祉分野ではこのような計画はかつてなかった、このように十カ年戦略を評価されておりますけれども、こういうかつてなかったものがわずか二十日間でできた、ではなぜ今までこういうものがなかったのか、これは私が素人に毛がはえたようなものでございますけれども、感じるわけなのですね。そうすると、これまで何をやっておったのか、そういうふうに素朴に私は感じるわけでございます。  この広報誌に書かれております、十二月の一日に話が出て二十一日にすべてまとまった、これは事実かどうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  189. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 今回のゴールデンプランの取りまとめの前には、先ほどもお話し申し上げましたように長寿社会対策大綱を初めとし、またさらに、それ以前にも厚生省あるいは関係の各分野高齢化社会の到来あるいは高齢化社会に向けて何をなすべきかということは広く議論されてきておるところでございます。したがいまして、長寿社会対策大綱、さらに六十三年に出しました福祉ビジョン、それらの考え方というものはずっと流れがつながってきているわけでございます。  ただし、具体的な目標値としていわゆる計画と言えるまでに具体的な積み上げをなされたというのは、やはり今回のゴールドプランであろうと思います。ただし、その前の段階で、もちろんその下地と申しますかそういうものは、福祉ビジョンのときにおきましてもいわゆる在宅三本柱の緊急整備等につきましては、各党にも御相談申し上げまして、公党間の合意により繰り上げて緊急に整備をするとかいろいろな事前段階のものもあるわけでございまして、そういうものを踏まえまして昨年十二月一日に党の方からの要請はもちろんご ざいました。それに対応する体制というものは、やはり私どもとしてはそれだけの体制はあったというふうに言えるかと思います。  さらに、そういうものを踏まえて至急に各整備目標等を定め、予算の要求段階におきまして三省の合意、これは予算というよりは十年間の目標値について合意をした。さらに具体的な平成年度の予算の編成段階におきまして平成年度の分の予算について盛り込みがなされた、こういう経過でございます。
  190. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ちょっと抜けているように思いましたのでまたお聞きをしたいのですが、なぜ今までできなかったかということを私はたしか聞いたと思いますけれども、わずか二十日でできたものが、なぜ今まで具体的な目標等を設定したものが今日までつくられずにきたのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  191. 津島雄二

    津島国務大臣 確かに石田委員指摘のような、これだけ大きな計画が短期でまとまったかという御疑問があるかと思いますが、先ほどから政府委員が御答弁申し上げておりますように、昭和六十一年六月の長寿社会対策大綱閣議決定とか六十三年十月の福祉ビジョンとか、これはいずれも本院におきまするさまざまな論議を踏まえて行われたものでございますし、特に在宅三本柱という今度のゴールドプランの中心になっておるところにつきましては、緊急整備等について公党間の合意があったわけでございますね。ですから、そのような踏み台があって、かなりの期間にわたって問題点が浮き彫りにされ、皆様方の御議論が集約をしていったところに今度のゴールドプランがあった、そういうふうに私どもは受けとめておるところでございます。御理解お願いしたいと思います。
  192. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 引き続いて、予算の面でちょっとお伺いをしたいと思います。  この十カ年戦略はたしか総事業費が私の記憶に間違いなければ六兆円というふうに言われております。これは十年間で六兆円ということで、それ以前の十年間はたしか一兆七千億ぐらいではなかったかと思いますが、この六兆円というのはある意味で言えば、これは間違いなく国民の大切な血税でございますし、この血税を使うということと、また二十一世紀に向けて非常に大事なプランであるということで、失敗は許されない、これは厚生大臣も同じような御決意だろうと思います。  それで、私は一つ提案がございます。と申しますのは、例を自分の出身県にとって申しわけないのですけれども、私の出身の高知県は六十五歳以上の人口、お年寄りが総人口に占める割合が一五%を超えております。全国平均約十年間高齢化が進んでいる、このように言われておるわけでございます。その意味で、こういう高齢化の進んだ県、そういうところに計画を前倒しにして実施をして、そして実際に計画をやってみたときにどういうプラス面があるのか、どういうマイナス面が出てくるのか、こういうことを、ある意味で言えば試験と言ったらおかしいのですけれども、テストプラント、パイロット的にやっていける部分があるのではないか、そういうふうにして高齢化の進んでいるところでそういう計画を前倒しにやるようなお考えはないのかどうか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  193. 津島雄二

    津島国務大臣 石田委員の御指摘は私どもにとっては最もありがたい御指摘でございまして、私も先ほど御答弁で申し上げましたが、福祉あるいは在宅介護医療サービス、いずれをとりましても、それぞれの地域の実情に一番合ったやり方を積み重ねていくという手法が望ましいわけでございます。私ども国の立場から申しますと、そのような地域のイニシアチブを国が全力を挙げてサポートをしていく、それに必要な予算を確保してさしあげるという姿になって物事は前に進んでいくと思いますので、そのような意味で、地域におきまして、県や市町村におきましていろいろな工夫をしていただく、我々に御提案をいただくというのは大変ありがたいことだと思います。どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  194. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それではちょっと確認みたいになりますけれども、例えばある県で、うちの県は高齢化が進んでいるから、十年の計画だけれどもみんなで頑張って三年、四年、五年でやってしまおう、こういった場合に、いわゆる予算的なお金の面で助けていただけるというか、そういうふうに期待はしてもいいのでしょうか。
  195. 岡光序治

    岡光政府委員 予算の配分に当たりましては、おっしゃいますように高齢化の進んでいるところを重点的に考えなければいけないと思っております。全国的な公平も考えながらそういう重点配分というのは十分考え得ると私ども考えております。
  196. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ありがたいお答えをちょうだいいたしました。時間がございませんので、この十カ年戦略につきましては、また関係法案が出たときに詳しく私は聞かせていただきたいと思います。  最後になりますけれども大臣所信表明の中で「私は、行動する厚生省をモットーに、」このようにおっしゃられておりました。この行動の具体的な計画等がございましたら一、二お聞かせいただきたいと思います。
  197. 津島雄二

    津島国務大臣 やはり現場を見て理解をする、問題点を正しく把握するということに尽きると思います。そのような意味で、私も就任以来まだ日は浅いのでございますが、国会の日程の許す範囲内で地域にお邪魔をいたしまして、実は昨日も行ってまいりましたが、いろいろ具体的な問題点を視察をさせていただいております。こういうことを積み重ねてまいりたいと思います。
  198. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ともかく現場との往復で物事をやっていこう、我が党もいわゆるツーウエーということを言っておりますけれども、現場との双方通行、ツーウエーでぜひとも現場を把握していただいて計画、施策を行っていただきたいと思います。  もう時間になりましたので、私の質問は終わります。大変丁寧な御答弁ありがとうございました。
  199. 畑英次郎

  200. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公明党の大野由利子でございます。委員皆様、よろしくお願いいたします。  私は、今月の二日に厚生省がアミノ酸の継続摂取に御注意という御通知を出されました、その御通知に関連しまして消費者保護の立場から質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、必須アミノ酸の一種でありますLトリプトファンはどのような効果、また働きがありますか、わかりやすく教えていただきたいと思います。
  201. 目黒克己

    ○目黒政府委員 Lトリプトファンの食品としての効果ということでございますが、Lトリプトファンを含みます食品は必須アミノ酸の補給を目的としているものと考えております。Lトリプトファンは、通常の食品にも含まれている必須アミノ酸の一つでございまして、体内で合成できないために食事として毎日摂取しなければならない重要なアミノ酸でございまして、人体の構成成分として生命の維持に不可欠な栄養素でございます。
  202. 大野由利子

    ○大野(由)委員 我が国でLトリプトファンを含む食品または飲料水で一般的に健康食品と思われていますそういう製品がございますかどうか、もしございましたら具体的に教えていただきたいと思います。
  203. 目黒克己

    ○目黒政府委員 Lトリプトファンを含む食品にはどのようなものがあるかというお尋ねでございますが、このLトリプトファンは一般の食品にも広く含まれているということが一つございます。それから、特に人為的にLトリプトファンを含む食品といたしましては、清涼飲料水や菓子等に栄養強化の目的で食品添加物として添加されたものや錠剤等の形でLトリプトファンのみ、あるいは大豆たんぱく等のたんぱく質にあわせて含有をさせているもの等がございます。
  204. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アメリカの食品医薬品局、いわゆるFDAでこのトリプトファンを含みます健康食品に対してどのように対応をしていますか、教えていただきたいと思います。
  205. 目黒克己

    ○目黒政府委員 Lトリプトファンを含む食品を摂取している人々の間に筋肉痛とかあるいは関節痛を特徴といたします健康障害が出ているといったようなこと、これはアメリカのFDA等で報告をいたしておりまして、これらに対しまして、これらの食品の使用を中止するような警告を出したといったような情報を私ども承知いたしておるのでございます。また、FDAはその後このLトリプトファンを含みます食品の自主回収の指示あるいはLトリプトファンの原体及びこれを含みます食品の輸入の差しとめ等の措置を講じたといったようなことも聞いております。米国では、このFDAを中心にその原因の究明に努めておりますが、現在のところ原因は判明していない、このような米国の状況を私ども承知しているのでございます。
  206. 大野由利子

    ○大野(由)委員 どのような理由でアメリカが全面回収をしたか、若干今お話があったように思いますが、もう一度どのような事故があったのかについて明快に教えていただきたいと思います。
  207. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、新聞報道でございますが、千四百名中十九名の死亡があったといったような事故があったということについて報告を聞いているのでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、このような事故と言われているものを契機といたしまして、このような措置に踏み切ったものではなかろうかというふうに私ども理解をいたしているところでございます。
  208. 大野由利子

    ○大野(由)委員 FDAが全面回収を行ったのに対しまして、我が国におきましては、厚生省はどのような対応をなされましたかお伺いしたいと思います。
  209. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先ほど申し上げましたように、米国におきますLトリプトファンを含有いたしております健康食品による健康障害について、アメリカの衛生当局の調査によってもその原因は現在不明ということでございます。したがいまして、私ども厚生省は、この問題が重要なことであるということは認識をいたしております。米国において発生をした事例について、直ちに学識経験者から成ります健康食品衛生対策検討会というものを開催をいたしまして、その原因等について検討をいたしたわけでございますが、原因解明には至っていないというのが現状でございます。しかしながらまた、特定のアミノ酸を高濃度に含有した健康食品を継続的に摂取いたしますと、アミノ酸バランスを損なって健康に悪影響を及ぼすおそれが考えられますという報告がなされましたので、本年の三月三十一日に都道府県等を通じまして、これらの健康食品につきまして注意を喚起したところでございます。  なお、この特定のアミノ酸を高濃度に含有した食品を継続的に摂取することによる健康への影響ということにつきましては、私ども今後とも研究を続けていきたい、このように思っているところでございます。
  210. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ここに厚生省が出されました通知がございますが、この通知の中にはトリプトファンということが一言も出てきてございません。アミノ酸を含有する健康食品を継続的に摂取すると健康に悪影響を及ぼすおそれがある、そういった観点でしかこの通知の中には書かれておりませんけれども、この通知をいただいた人が、受け取った人がそのことによって理解ができるかどうか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  211. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私どもは、必須アミノ酸ということでございますし、このLトリプトファン等につきましても高濃度のアミノ酸というものも当然含まれているわけでございますし、Lトリプトファンという特定のものについてのみならず、このものにつきまして総合的な形で、全部含めた形で、一般的に高濃度のものを服用することについての危険性というものを警告いたしたわけでございます。
  212. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アメリカも現在原因を解明中、究明中ということで、アメリカも今原因はつかめてないわけでございますが、そういう状況の中にありましてアメリカは全面回収を決めております。それに対して日本は、継続摂取の禁止を通知しただけ、そのような大きな差がございますが、この継続摂取の禁止、どうしてこれでとめられたか、その理由を伺いたいと思います。
  213. 目黒克己

    ○目黒政府委員 これは米国側の報告にもございますし、また私どもも、この原因がはっきりしていないということと、それから必ずしもLトリプトファンによるものかどうかということ、あるいはそれの副次的なものではないか等々、今調査している段階でございまして、私どもの方もこの原因の究明が終わるまでは、やはり私どもは摂取について先ほど申し上げましたように注意を喚起するということにとどめているのでございます。これはあくまでも原因がはっきりしてからというのが私ども考え方でございます。
  214. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今、原因がはっきりつかめたら対応をするとおっしゃいましたけれども、原因がはっきり究明できるのには非常に時間がかかると思います。その間にまたアメリカと同じような被害者が出たら一体どうするのか、そのようなことに関してお尋ねをしたいと思います。
  215. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども原因究明をいたしておりますものの一つの中に、このような被害者について、あるかどうかということを含めて私どもこの健康障害についても調査をしているということでございます。
  216. 大野由利子

    ○大野(由)委員 非常に対応が弱いのではないか、私はそのように思います。過去のいろいろな事件がございました。クロロキン、サリドマイド、スモン等、厚生省の対応が非常に遅かったために大きな問題になった、そういう例がいろいろございます。事生命に関することは、疑わしきものは使用しない。その原因が究明できるまでは、因果関係が明確になるまでは使用を禁止する、製造を禁止する、そのように取り組むべきではないか、そのように思いますが、厚生大臣にお答えをお願いしたいと思います。
  217. 目黒克己

    ○目黒政府委員 ただいまの点でございますが、専門家の御意見等も踏まえて私どもこのような結論に到達したわけでございます。
  218. 津島雄二

    津島国務大臣 ただいま委員指摘の米国におけるLトリプトファンによる健康障害の発生については私ども重大な関心を払っております。このために、先ほどから政府委員が御答弁いたしておりますように、対策検討会等の意見を踏まえて、とりあえず注意を喚起したわけでありますけれども、今後とも情報収集、調査研究等を一生懸命いたしまして、間違っても健康障害の実例が発生しないように努力をしなければならないというふうに思っております。
  219. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今とりあえず注意を喚起した、そのようにおっしゃいましたけれども、各都道府県にこのような通知をなされたわけでございますけれども、この通知を受けて都道府県がどのような対応をしているか、その辺を掌握していらっしゃいますでしょうか。
  220. 目黒克己

    ○目黒政府委員 関係団体等含めまして都道府県がそれぞれ、私どもの出しました通知を周知徹底をしているというふうに私ども聞いているのでございます。
  221. 大野由利子

    ○大野(由)委員 何と申しましょうか、一般の消費者のところにまでこうした注意事項が全く届いていない、そういうことを厚生省の方はよく知っていただきたい、そのように思います。で、この通知もアミノ酸の継続摂取という、そういう漠然とした表現になっておりますし、また一消費者にまでこの注意喚起が行き届いていないがゆえに、アメリカと同じような事故が起こり得る可能性があるということをしっかりと認識をしていただいて、早急に取り組んでいただきたい、そのように思います。  また、健康食品の原料のもとになっています我が国のメーカーに、アメリカが患者側から損害賠償を求める訴訟を起こしている、そのように聞いておりますが、これは事実でございましょうか。
  222. 目黒克己

    ○目黒政府委員 事実でございます。
  223. 大野由利子

    ○大野(由)委員 これは、薬品を認可された厚生省の責任はどのようになるんでございましょうか。
  224. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私が今お答えを申し上げましたのは、あくまでも医薬品ということではなくて健康食品といいますか、食品という範囲内のことでお答えを申し上げたわけでございます。
  225. 大野由利子

    ○大野(由)委員 医薬品ではいかがでしょうか。
  226. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 Lトリプトファンも医薬品には一部ございます。主として輸液でございますが、効能としては、低たんぱくあるいは低栄養状態、あるいは手術の前後、こういったときにほかのアミノ酸類と一緒に、主として点滴液の中に入れているものでございますが、一部ございます。  それから、顆粒剤としては一種類、これもやはり同じような効能、効果ということで承認をされておるところでございます。
  227. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今、原因を究明していらっしゃる、そのように伺いましたけれども、いつごろまでにこの原因が究明されるのか、それをお尋ねしたいと思います。
  228. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 医薬品の方の関係につきましては、報道されましてすぐ心配されますのは、副作用が出ているかどうかという点でございまして、私の方はつくっているメーカーがわかるわけでございますので、それからメーカーは売り先がわかるわけでありまして、企業から各医療機関で副作用が生じていないかどうかということを調査をいたしております。この結果は、若干メーカーによっていろいろございますが、恐らく一カ月ぐらいのうちには全部わかる。早く報告が入るものについては早目に報告をまとめて、そういうことが生じているかどうかということを早くつかみたいと考えております。
  229. 目黒克己

    ○目黒政府委員 健康食品等食品のサイドにおきましても、できるだけ早く早急に結果が出ますように、薬務局あるいは日米ともども協力しながら、できるだけ早く出すように努力してまいりたい、このように思っておるところでございます。
  230. 大野由利子

    ○大野(由)委員 現在のところ、幸いに被害が出ていないにいたしましても、これから多量摂取によってアメリカと同じような被害が起こり得るという可能性が考えられないでしょうか、万が一の可能性かもしれませんけれども
  231. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 食品と医薬品と双方であるわけでありますが、アメリカで現実にそういう事例が起こっているわけでありますから、日本でもそういう危険性は決して否定できない。ただ、アメリカの場合、非常に摂取量が多いと言われております。日本の場合、医薬品はもちろん、食品についてもそれほど大きな摂取量はないわけでありますので、そういう意味でアメリカと日本では違う点がございます。しかし、決して否定できないという態度で臨んでおります。
  232. 大野由利子

    ○大野(由)委員 決して否定できないという認識に立っていらっしゃるにしては、対応が非常に弱いのではないか。本当に一消費者までもっと徹底しないと、万一被害が出たときに厚生省はそれに対して責任をとられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  233. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 医薬品につきましては比較的把握がしやすいということがあるのでありますが、食品につきましてはなかなかつかみづらい点がある。しかし、医薬品については早くつかむ、あるいは食品についてもできるところからやる、こういうようなことで食品、医薬品、連係してやれば早目につかむことは可能だ、こういうふうに考えております。
  234. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先ほど厚生大臣が行動する厚生省とおっしゃいましたけれども、まずこれから行動する厚生省になっていただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。
  235. 津島雄二

    津島国務大臣 大野委員指摘の本件につきましては、政府委員が御答弁いたしております調査研究を積極的に進めまして、必要な場合に遅滞なしに措置がとれるように万全の配慮をいたしたいと思います。
  236. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大変ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。  もう一点、別な角度から御質問をさせていただきたいと思います。児童扶養手当に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  厚生省におきまして、六十三年十一月に全国母子世帯調査を実施されました。その結果がつい先日発表になりましたけれども、母子世帯の平均収入が幾らぐらいか、五年前に比べてどれぐらいふえているか、そうした状態について御発表をお願いしたいと思います。
  237. 古川貞二郎

    古川政府委員 お答えいたします。  昭和六十二年の年間収入の状況でございます。これは六十三年の調査は、六十二年の収入を調査いたしてございますが、平均収入金額が、総数でいきますと二百二万円、これを死別と離別に分けますと、死別の世帯では二百四十二万円、離別の世帯におきましては百八十五万円、こういうふうな状況でございます。
  238. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この母子世帯は二百二万円というのが、五年前に比べてわずか二万円しかアップをしていない。実際的には実質ダウンという状況にあるように思います。一般世帯の平均であります五百十三万円に比べまして、平均で四割。離別の場合は百八十五万円の収入ですと、一般の三分の一強。そうした大変な状況に母子世帯はございます。  調査の中でも、現在困っていることがある母子世帯七五%、その内訳に、家計が三三・五%、健康が二一・二%、そのように出ております。日本は大変豊かになった、経済大国と言われながら、母子世帯の実に三分の一が家計で困っている。そういう実態をどのように認識をされていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
  239. 古川貞二郎

    古川政府委員 お答えいたします。  私ども先生今御指摘のように、この離別あるいは死別の母子世帯につきましては、この実態からいきましても所得が非常に低い。所得が低いのみならず、例えば母子世帯におきましては、子育ての悩みとかあるいはしつけの悩みとか経済的な悩み、いろいろな問題がございまして、私どもはこういった世帯に対する所得の保障なり、あるいは相談体制の問題なり等々を十分重視していかなければならない、こういうふうに考えております。
  240. 大野由利子

    ○大野(由)委員 全国の母子世帯の総数は、五年前に比べまして、総数としまして一八・三%、母子世帯の総数がふえております。現在、八十四万九千二百世帯になっておりますが、それに比べまして児童扶養手当の受給者数がどの程度伸びておりますか、数とパーセントを教えていただきたいと思います。
  241. 古川貞二郎

    古川政府委員 お答えいたします。  昭和六十三年度の母子世帯等調査によってお答え申し上げたいと思うのでございますが、児童扶養手当の受給状況は、全体で受給いたしております方々が六四%、それからしておられない方が三六%ということでございまして、これを離別世帯で申し上げますと、受給しておられる方が八一・三%、受給していない方は一八・七。それから死別母子世帯でいいますと、受給しておられる方が一五・四%、しておられない方が八四・六というふうな数字になってございます。
  242. 大野由利子

    ○大野(由)委員 受給者総数の変遷をお尋ねしているのです。受給者総数と、また扶養手当の総額、それをお教え願いたいと思います。
  243. 古川貞二郎

    古川政府委員 児童扶養手当の受給者数の変遷でございますが、六十年度から申し上げますと、受給者数は、六十年度が六十四万七千六百六、それから六十一年度が六十三万四千百九十七、六十二年度が六十二万八千六百二十、六十三年度が六十一万八千百二十八、平成元年度が六十二万四千二百六十二、これは予算でございますが、総数でございます。それから、予算額でございますが、六十年度が二千六百十二億、六十一年度二千六百十六億、以下二千五百二十四億、二千三百五十七億、二千二百十三億というふうに減少いたしております。
  244. 大野由利子

    ○大野(由)委員 母子世帯が大変ふえていますのに比べまして受給者数が伸びてないのではないか、また受給総額が伸びていないのではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。
  245. 古川貞二郎

    古川政府委員 実態はそういうふうな状況になってございます。それは、いろいろの理由があろうかと思うのでございますが、児童の数が減ってきているとかあるいは離別世帯の推移なり死別世帯の推移なり、そういうものがトータルとしては減ってきているというような状況等もございまして、増減がございます。大体は子供の数が非常に減ってきているというのも一因ではなかろうかと考えております。
  246. 大野由利子

    ○大野(由)委員 子供の数が大変減ってきているとおっしゃいましたけれども、今児童扶養手当は子供が二人目のときの加算額は五千円になっております。三人日以上は二千円、この加算額は昭和五十五年以来据え置きになっておりますが、そういった意味からも、この子供の数が減ってきているから総額が減るということはちょっと理解がしがたいのです。  それともう一つは、子供の数が二人目五千円、三人目以降は二千円というこの加算額がずっと据え置かれている、この理由をお尋ねしたいと思います。
  247. 古川貞二郎

    古川政府委員 御指摘のように、児童扶養手当の場合の加算額は、二子目が五千円それから三子以降が一人二千円、こういうことでございまして、昭和五十五年以来据え置かれているわけでございます。  そこで、児童扶養手当につきましては、考え方としては、一人一人の児童について支給をするというよりも世帯単位に支給されるというようなことで、支給額はいわゆる手当の本体額と加算額によって、つまり多子加算額によって成っているわけでございますが、児童扶養手当の引き上げについては児童扶養手当のいわゆる本体を引き上げていくというような考え方から加算額は据え置かれている、財政事情等の問題もございまして据え置かれているというような状況は事実でございます。私どもは、多子加算の額が昭和五十五年以降据え置かれていることにつきましては、今後その取り扱いについて検討課題ではないか、かように考えております。
  248. 大野由利子

    ○大野(由)委員 実際に母子家庭で二人、三人のお子さんを育てていらっしゃる家庭は、大変な思いをして子供を育てているわけでございます。そういった意味で、今おっしゃいました加算額の検討、見直しというものをぜひお願いしたい。ちょうどこれから三十年後の高齢化社会の中で老人を支える、そういう子供を一番一生懸命育てている、母子家庭で大変つらい中で育てている、そういった家庭に対する配慮というか思いやりを全く欠いているのではないかと思いますので、この児童扶養手当に関しましてぜひよろしくお願いしたいと思います。この児童扶養手当に関しまして、私も質問したいことがまだたくさんありますが、また次回にいたしますが、どうか前向きに取り組んでいただけますようによろしくお願いいたします。  時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  249. 畑英次郎

    畑委員長 児玉健次君。
  250. 児玉健次

    ○児玉委員 厚生省のことしの方針の中に、質の高い医療のために一層の努力を重ねる、こういうくだりがございます。当然その中には現在非常に深刻な状態に追い込まれている看護職員の問題、私はこの後仮に看護婦さんというふうに言葉を使わせていただきたいのですが、その部分の拡充強化の課題があるだろうと思うのです。  私は、この点は厚生大臣伺いたいと思っていたのですが、今予算委員会に行っていらっしゃるから席に戻られたところで伺うことにいたしまして、きょうはこういった分野で大変造詣の深い野呂政務次官がおいでですから、政務次官からまず伺いたいと思います。
  251. 野呂昭彦

    ○野呂政府委員 児玉先生指摘のとおり、医療の質の向上ということは大変大きな課題だと認識をいたしておるところでございますが、その質の高い医療サービスを供給するために、私ども効率的な医療供給体制の構築ということも大きな課題でありますけれども、同時に、その医療従事者につきまして高い資質を有する、そして量的な確保というものが大変必要である、こういうふうに認識をしております。特に御指摘の看護関係につきましても、慢性疾患の患者の数が大変増加しておるというようなことなどから、看護業務を担いますところの看護職員の確保ということは大変重要な問題だと考えておるところでございます。  厚生省は、御承知のとおり昨年五月に看護職員需給見通しというものを策定いたしておりますけれども平成二年におきましても、その確保対策を大幅に拡充するということで全力を挙げて取り組んでおるところでございますので、どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。
  252. 児玉健次

    ○児玉委員 昨年、厚生省は、看護婦さんの複数夜勤一カ月八日以内、いわゆる二・八体制といいますか、それがどこまでいっているか、到達点を独自に調査中だとお答えになりました。その調査の結果を明らかにしていただきたいと思います。
  253. 仲村英一

    ○仲村政府委員 六十三年六月現在で看護職員の夜勤体制、その他の勤務体制について、お尋ねのように調査をしております。しかしながら、まだ最終的に分析を終わっておらない段階でございますので、全体的な数字を申し上げるまでには至りませんけれどもお尋ねの一部につきまして、概数と申しますか、述べさせていただきます。  複数夜勤についてのお尋ねでございますが、これは看護単位別に見ますと、一般病院で九五・一%ぐらいが複数夜勤を実施しておる。それから、夜勤の回数でございますけれども、一般病院で四八・七%ぐらい、複数が八回以内という数字が把握されておりますが、今後さらに解析を続けたいと思っております。
  254. 児玉健次

    ○児玉委員 昨年、厚生省が、もちろん数字は違いますが、いわゆる二・八体制がどのように実施されているか。そのことで去年も仲村局長ですが、これ全体を掛け合わすと云々というふうに言われましたが、今の中間的な発表を私たちなりに計算してみますと、一般病院で二・八体制は四六・三%、精神病院では四二・三%、そういう到達点になると思いますが、いかがですか。
  255. 仲村英一

    ○仲村政府委員 確かに昨年に私がお答えいたしました数字で、複数夜勤が四三%、八回未満が三七%で、これを掛け合わせると一六%という数字を申し上げましたけれども、このときの答弁も実は舌足らずでございまして、数字的に言えば一六%という数字は出ますが、実情は若干これと異なるのではないかということも含めて実は調査をしております。ただし、これももう御承知だと思いますが、八回未満の夜勤回数をしておる施設が三七%のところが、そのうちのまた四三%が複数夜勤ということではないので、そういう意味で申し上げますと、この一六%という数字が実態をあらわしていないということで、そういう意味では誤った答弁をしたような格好になっておりますことをぜひお許しいただきたいと思います。
  256. 児玉健次

    ○児玉委員 皆さんの中間的な集計を拝見させていただいたわけですが、一般病院で一人夜勤が三・六、準夜、深夜いずれも一人夜勤一・三、その部分が残っておりますし、そして十・一日以上月に夜勤をしている部分が一三・〇%に及んでいる、この結果に違いありませんね。
  257. 仲村英一

    ○仲村政府委員 一般病院の一人夜勤のことでございますが、三・六ということで、最終的ではございませんが、途中経過ではそういう数字が出ております。
  258. 児玉健次

    ○児玉委員 やはり現状というのは非常におくれていると言わざるを得ません。私は、ここに厚生省の幹部の方々がよく投稿なさっている「厚生の指標」ことしの三月号を持ってきておるのですが、そこに皆さん方の何人かの方が「日本の医療と欧米の医療の比較」というのを論文で明らかにされております。それを拝見すると、人口十万人当たりの看護婦数、これはいずれも正看護婦であるという点をはっきりさせておかなければなりませんが、日本は人口十万人当たり二百七十四、スウェーデンでは八百四十六、フランスは七百四十八、アメリカが六百六十一、病床百床当たりの看護婦数は、日本が十八・三、アメリカが五十五・一、フランスが六十九・一、正看護婦に限定した比較ではありますが、そういう結果が出ています。国際的に見ても、日本の看護婦の数というのは非常に劣悪だと言わなければならないと思いますが、この点いかがですか。
  259. 仲村英一

    ○仲村政府委員 ある国のヘルスマンパワーにつきまして比較するのは、私どもとしてはいろいろな条件をそろえるということが先生も御承知のように必要だと思います。しかしながら、今おっしゃった数字は、数字的に言いますといろいろな文献からの引用でございますので、恐らく書かれた方はそういうことで御理解をしておられると思いますが、例えばOECDの調査でございましても、OECDで条件をそろえてお調べになったものだと思いますけれども、百ベッド当たりの看護職員の数、米国が九十三・五、英国で百四・三、フランスで四十四・二、西ドイツ三十一・一、スウェーデン五十七・〇ということでございますから、そういう意味で比較いたしますと、日本の百床当たりの看護職員の数が必ずしも多いとは言えないことは事実だと考えられます。
  260. 児玉健次

    ○児玉委員 これをお書きになっているのは皆さん方の課長補佐であり係長であり課長さんなんですから、私はそれぞれお一人お一人の幹部が御自分の所信に従って論文をお書きになるというのは大いに発揚されるべきだと思いますから、その点むしろ評価するのですが、そういった状態であるということを私ははっきりさせておきたい。  そこで次の問題なんですが、物事には率先垂範といいますか、自分からやらなければいけないということがあります。厚生省が所管されている国立病院・療養所、そこで一番新しいデータをお願いしたいのですが、一人夜勤と平均夜勤日数は現在どうなっておりますか。
  261. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 国立病院・療養所ひっくるめまして平均の夜勤日数、これが九・〇日になっております。ただいま一人夜勤の率というお話でございますが、四・五%。なお複数率については、その逆でございますので、九五・五%ということでございます。
  262. 児玉健次

    ○児玉委員 全医労は、昭和四十年五月の人事院の判定、これはよく御承知のものでして、それを速やかに実現させるということで、厚生省とこれまでさまざまな協議、交渉を進めてきております。厚生省は第三次増員計画を出されておりますが、この未達成数は現在何人でしょうか。第三次増員計画自体が非常に不十分なものだと私は思っておりますが、未達成数と、ここ三年における看護婦の増員数はそれぞれ何人になっているか、お答えいただきたいと思います。
  263. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 国家公務員の定員の事情、大変厳しいことは先生御案内のとおりでございますけれども、この中で毎年私どもは看護婦の定員増に努力してきております。ただいま三年というお話でございますけれども、過去三年におきましては、具体的に言いますと、六十三年度は百九十七名、元年度二百十一名、それから二年度二百十一名という形でほぼ二百名程度の増員をいただいております。  なお、過去十年間におきましては、五十五年度から平成元年度までの十年間でございますが、二千百九十四人の増員という形になっております。(児玉委員「未達成数は何人ですか」と呼ぶ)失礼いたしました。これは若干毎年の状況によって変わりますけれども、ほぼ千百名程度というふうに見ております。
  264. 児玉健次

    ○児玉委員 大体一年に二百人ちょっと、未達成数が千百だとすれば、あと数年かかりますね。人事院の判定自身は昭和四十年の五月のことですから、ちょっとテンポが低過ぎやしないか、この努力は抜本的に強化すべきではないか、そう思いますが、この点いかがでしょう。
  265. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども大変厳しい定員事情のもとで、これは各省さんでは大変な削減努力をしていただいている中で、私どもも私どもなりに削減努力の一方で先ほど申し上げたような数字の配分をいただいておるということでございます。  先ほど先生ちょっとおっしゃいましたが、目標との関連でございますが、実は当初は国立病院では達成率を七五%、それから国立療養所では五〇%という形で当座の目標を立て、今日では目標達成率を国立病院で一〇〇%、国立療養所で七五%という目標にできるだけ近づけたいと思っておるのですが、それに対する実施率が国立病院では九二・七%、国立療養所では七二・三%ということで、かなりの努力をしておる結果があらわれておると思っております。
  266. 児玉健次

    ○児玉委員 全く努力をしていないとは言いませんので、なおかつ千百人残っておる、そこのところを早く進めていただきたい。この点は強く要望いたします。  さて、厚生省の看護職員需給見通し、先ほど野呂次官からお話がありましたが、昨年、田中美智子議員の質問に対して、最終年の一九九四年、平成六年に二・八体制は病棟の七三%まで、そして週四十時間労働は完成年度で四〇%の実現とお答えになった。看護婦さんたちの慢性的な不足、深刻な長時間過密労働はこれでは解消できません。加えて、母性保護の諸権利、育児休業の問題、産前産後休暇の完全取得、妊産婦の深夜労働の禁止など重要な問題があります。厚生省はこの需給見通しでよしとされるのかどうか、はっきり伺いたいと思います。
  267. 仲村英一

    ○仲村政府委員 月八回未満の達成率はおっしゃるように七三%を今現在目標にしております。  それから週四十時間の問題は、あの答弁で四〇%と申し上げましたのは実は若干経緯がございまして、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、需給見通しをつくるについては、各県の実情をにらんだ上で、実施可能なものも含めて国へ出していただいて、それを全体見まして、実は勤務時間の短縮を見込んでなかった県がございますので、そういうものについてはもっと見込むべきだということで若干の調整、やりとりをしたあげくの果てに、その見込んでなかったものについては最低四〇%を実現するということで調整した数字を四〇%と申し上げたわけでございまして、全体でいいますと、私どもとしては、週休二日制で四十時間労働を実現する率は四七%ということで計画しておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  268. 児玉健次

    ○児玉委員 一九九四年、平成六年で週四十時間の達成、去年はそういうふうにおっしゃった。今若干の訂正がありましたが。いずれにしろ、この部分については平成三年から完全週休二日制を年一〇%のテンポで達成していく、そのような方針で各都道府県に見通しをつくるようにと、その結果がこういう数字になったんだと私は承っているのですが、どうですか。
  269. 仲村英一

    ○仲村政府委員 先ほど申し上げましたように、労働時間の短縮を見込んでない県もございましたものですから、そこについては最終年次四〇%に到達するようにということで調整をいたしましたが、一挙に四〇%というのは実現可能性が低いので、年率一〇%ずつで四〇%に到達するようにという指導と申しますか調整をしたということでございます。
  270. 児玉健次

    ○児玉委員 さて、ことしの四月一日に診療報酬の改定が実施されました。ここで看護料が引き上げられました。その幅が十分だとは私は申しません。厚生省は今度の看護料の引き上げについて次のようにおっしゃっていらっしゃる。医師、看護婦などすべての医療従事者が四週六休を実現できるよう手当てをしている、これは保険局の医療課長さんのお言葉ですが、医師、看護婦すべての医療従事者について四週六休を実現できるよう手当てをしている。四週六休というのは週四十二時間です。五十床を仮に十七人とします。そうすると二時間時間が減りますから三十四時間、一人四十二時間、週四十二時間とすると十七人プラス一名がどうしても必要です。これはもっと係数を多くして計算すると四・七六%の増ということになります。ところが、先ほどの局長の御答弁からも明らかなように、そのようにはなっていない。完全週休二日制にしろ四週六休にしろ、いずれにしろ平成三年からのスタートということになっている。これでは患者の方は少なくとも月六回休んでいる看護婦さんに面倒見てもらえると思っているのだけれども、実際はそうはならない。見通しを変える必要が出てきているのではないか、いかがでしょうか。
  271. 仲村英一

    ○仲村政府委員 保険局の方の御説明がどのようであったか、私直接聞いておりませんが、今回の看護料の引き上げに関しましては社会全体の労働時間の短縮の動向、四週六休制の普及等を勘案して引き上げを行うということで、所要の引き上げが行われたというふうに承知しております。したがって、私ども将来的には四十時間にするのが政府の方針としても当然だと考えておりますが、段階的な実施ということもございますので、今おっしゃられたようなことで考えますと、いろいろの条件が変わってきておることも事実でございます。  午前中も御質疑ございました在宅の問題でございますとか老人保健施設のゴールドプランに基づく増設でございますとか、そういうことから考えますと、私ども考えました需給見通しにつきましても、当初から恐らく見直すべき要素というものがこの五年間にも起こるのではないかという想定のもとに、当面実現可能性の商い数字ということでああいう数字を組みましたけれども、そういういろいろの条件が変わることによりまして、私どもとしても国民医療を守る立場から、当然のことながら状況変化に対応するということを考えることはやぶさかではないと考えております。
  272. 児玉健次

    ○児玉委員 津島大臣にここのところはぜひ私は伺いたいのですが、昭和六十三年の五月の閣議決定で、これは労働基準法の論議を踏まえてのことですが、平成年度中、一九九二年までに四十時間労働時間制の実現を期す、それにはおおむね期間中というちょっと留保がありますが、ともあれおおむね一九九二年度中に四十時間労働制の実現を期す。ところが、厚生省の需給見直しのテンポでいけば、そこまでに二〇%、さっき到達度が四七%とちょっと微調整がありましたが、いずれにしろ、そのわずかな部分しか実現しない。厚生大臣の先輩でいらっしゃる当時の厚生大臣も参加されて、そして平成四年までに四十時間労働時間制、完全週休二日制を達成すると言っているのに対して、この見通しは余りにもテンポが低い。それが一つ。  今も厚生省のお答えがありましたが、きょう午前中のいわゆる十年戦略、その中で高齢者保健福祉推進十年計画、老人保健施設は二十八万床までふやすことになっています。そこに向けて五万人から八万人の差、三万人で足りるのかという問題も深刻に出てきています。ですから、今厚生省はそれを見直すのにやぶさかじゃないとおっしゃった。その言やよしです。そうしてほしいのですが、これは速やかにやる必要があるのじゃないか。この点私は大臣決意を聞かせていただきたいと思います。
  273. 仲村英一

    ○仲村政府委員 大臣のお答えの前に若干補足と申しますか、労働基準法の改正の問題につきましては、政府の全体の方針として雇用対策基本計画等で方針が決定しておるのは御指摘のとおりでございますけれども、猶予規定を持っておるものとか特例が許されておるものとかいうこともあることもありまして、そこら辺のところを、今後どういうふうになるかということも見きわめる必要はあると思いますが、できる限り私どもとしても、政府全体の方針として労働時間の短縮の方向というのは当然考えるべきではないかと思いますし、新しい需要動向その他も見直すことについて、繰り返しになりますがやぶさかではないということで考えておることを御了解いただきたいと思います。
  274. 津島雄二

    津島国務大臣 看護職の確保という問題は、二十一世紀に向けて福祉医療についてのマンパワーをどうやって確保するかという問題のうちでも最大の課題であろうかと思っております。今、厚生省としてお出しをいたしました計画について労働政策との整合性に問題があるのではないかという御指摘でございますが、それは労働政策上の目標を完璧に達成できるかどうかという確かに課題はあるかと思います。我々といたしましては、できるだけ良好な条件でお働きをいただくということも含めて、これからの需給計画をつくっていかなければならないと思いますし、また現実に良好な労働条件を確保してさしあげなければ必要な看護職の方の確保が難しいという問題がございますから、そういう意味で真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  275. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  276. 畑英次郎

    畑委員長 柳田稔君。
  277. 柳田稔

    ○柳田委員 民社党の柳田稔でございます。  本日は、当委員会におきまして初めての質問をさせていただきます機会を与えていただきましたことを、委員長初め先輩委員各位に感謝申し上げます。また、大臣初め政府委員各位におきましては、今後とも厚生行政につきましていろいろと御指導を賜りたいというふうに思います。  さて、私に与えられた時間は十九分という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいのですけれども高齢化社会にどう対応していくかという観点から数点質問をさせていただきたいと思います。  何といっても、今我が国の抱える諸課題、いろいろなことがあるかというふうに思いますが、その中でも一番大きな課題が、大臣が所信の中で一番最初にお触れになりましたように、高齢化社会への対応ということになるのではないかというふうに思っております。我が国の人口高齢化はその速度は極めて急速である。それからピーク時における老齢人口比率が極めて高い、こういうことで、これまで世界のどの国も経験したことのないようなものであるだけに十分な対応が必要だというふうに私も考えております。あと十年もしますと二十一世紀を迎える、その二十一世紀までの十年間の対応が、その中でも極めて重要なものになるのではないかなと思います。  その意味から考えますと、厚生省が策定されました十カ年戦略、いわゆるゴールドプラン、これは非常に時を得たものではないかなというふうに評価しているわけでございますけれども、一方このプランが果たして実現できるのだろうかという不安も実は持っているのも私一人ではないのじゃないかなという気がいたしております。この戦略、プランが絵にかいたもちというもので終わってほしくはないという気持ちからなんですけれども、来年度以降の財源措置が明確になってないのではないかな。または、先ほども少し触れられましたけれどもホームヘルパーの増員の予算、裏返しますとホームヘルパーの人が本当に集まるのだろうか、そういうふうなことで、とかくこのプランについて疑問を持っているというのは大臣も御存じかというふうには思うのです。  そこで、まず最初にお聞きしたいのは、このような批判もプランにあるわけですけれども大臣自身としてこの辺の批判に対してどのようにお考えになっておるのか、またこの十年間で、十カ年戦略ゴールドプランを必ず実現するんだという決意のほどを承りたいと思います。お願いします。
  278. 津島雄二

    津島国務大臣 柳田委員指摘のとおり、二十一世紀は世界で類例を見ない高齢化社会に突入をいたす、その日本の高齢化社会はスピードにおきまして歴史上いまだかつてなかった姿になるわけであります。  そこで、残されました二十世紀の十年間というのは限りない重みを持っておるわけでございまして、我々としてはこの十年間を存分に生かして本格的な高齢化社会の準備をしなければならないということで、ゴールドプランを世に問うたわけでございます。委員から評価をいただいて大変ありがたいと思っておりますけれども、これを何とかして現実のものにいたしまして、世界に類例を見ない高齢化社会だけれども、しかし、世界に類例を見ないすばらしい高齢福祉社会であるという私ども目標に向かって進んでいきたいと思ってございます。  しかしながら、これを具体的に実現するには多くの課題がございますのは御指摘のとおりでございまして、その第一は予算を確保するということでありますが、この点では今回の十カ年戦略は私厚生大臣ばかりではなくて大蔵大臣、自治大臣の同意のもとに、ある意味では連名で打ち出したものでございますから、これが実現のために関係大臣の十分な御協力があり得るものというふうに考えてございます。  この予算のほかにまた多くの課題がございますが、その一つが御指摘マンパワー確保できるかということであります。これらの課題を乗り趣えてまいりますためには、もちろん厚生省として全力を挙げなければなりませんけれども、同時に関係各省の御理解や、そればかりでなくて国民の御協力、意識改革が何よりも大事であろう。地域社会の隅々に至るまでの大きな運動のうねりが上がってきましたときに、ゴールドプラン実現が保証されるということになるのではないだろうか。そういう意味で非常に難しい、大きい問題でありますけれども委員各位の御理解を得て、私も先頭に立って一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  279. 柳田稔

    ○柳田委員 どうもありがとうございます。  今大臣お答えになりましたように、厚生行政という分野において非常に重要な問題であり、また、やらなければならないという決意をお伺いしたわけですけれども、この高齢化社会に対応するためには単なる社会保障制度の拡充というだけではならないのではないかな。福祉にしても医療にしても、やはりその根本は人の心といいますか、そういう問題があるのではないかな。そういう意味考えますと、高齢化社会に対応するためには学校教育のあり方も非常に重要な問題になると思っておりますし、また同様に雇用対策もあるだろうし、住宅政策そしてスポーツ、余暇対策、この辺も含まれてくるんではないかな。あらゆる施策高齢化社会の視点から見直していかなければならない。そうしますと、年金雇用在宅福祉、住宅、ボランティアと教育、こういうふうにいろいろな施策連携を持った総合的な高齢者対策を進める必要があると私は思っております。そのためのプランづくりも今から始める必要があるんではないかな。そのプランづくりをするかなめは、ほかの省庁でなくてやはり厚生省であろう。そういうふうに考えてまいりまして、そのかなめである厚生省大臣として、総合的に進めていくプランをつくるということに対して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  280. 津島雄二

    津島国務大臣 このたびのゴールドプランは、高齢化社会に向けてのいわば骨組みをお示ししたわけでございますが、この骨組みが本当に肉づけられ生き生きとしたものになるかどうかは、今柳田委員が御指摘のとおり、諸般の政策の総合的な動員が必要である、いや、むしろそれをするためには、先ほど私も申し上げましたように、国民の意識改革が必要だ。まず学校教育から始まりまして、あらゆる仕事考えるときに、高齢者のことあるいは障害者のこと、要するに社会全体のこれからのあり方のことを頭に置きながら仕事をしていただく。例えば住宅一つつくるにいたしましても、公営住宅は五階まではエレベーターなくてもいいというのが当然のように今まで行われていたのでありますけれども、そこに高齢者としてお住みになる方のことを考えますとこういうことも変えていかなければならない。これはその衝にある方々がやはりそこに心を配っていただかなければならない。そういう意味で、ある種の国民運動を起こし意識改革をお願いするということが一番大切であろうと思います。そういう意味で、私どもゴールドプランを着実に進めてまいりますと同時に、そのような運動の先頭に立ってまいりたいということを申し上げておる次第でございます。
  281. 柳田稔

    ○柳田委員 そこで、提案になるかどうかわかりませんけれども、かつて臨時行政調査会というのもございましたし、また臨時教育審議会というのもあったわけでございます。行政改革、教育改革というのは、今回のゴールドプランと同様に一つの省庁で対応し切れる問題ではない。ゴールドプランといいますか、高齢化社会へ向けての対応というものは一つの省庁で対応し切れない、それほど幅の広い、根の深い問題であると私は感じております。としますと、総理大臣のもとに全省庁挙げて取り組むべき必要があるのではないかな。そういうふうに考えますと、今回も必要じゃないか。  ただ、今までの臨調方式というやり方をいろいろと見ておりますと、各方面から批判も出ております。その特徴が、歳出削減をするための臨調じゃないかとか、聞いておって余りイメージがよくないわけです。ただ、以前ありました行政改革、教育改革を進めるに当たりまして、縦割り行政の弊害を埋めて役割を果たすという観点から見ますと成果は上がっていると私も感じておるのです。  そこで、先ほども申しましたが、今回の高齢化社会への対応という課題、まさに行革や教育改革に匹敵するような国民課題であり、また早急な対策を必要とするという意味からも、福祉臨調なるものを設置して高齢化社会対策を強力に推進していくという方法を選択するという道もあるのではないかな。突拍子もない提案になるかと思いますが、こういう選択肢について大臣、どのようにお考えになるか教えていただきたいと思います。
  282. 津島雄二

    津島国務大臣 委員の御提案でございますけれども、行政の縦割りの弊を打破いたしまして総合的な取り組みをするための大変貴重な御提言だろうと思います。ただ、いわゆる臨調方式については、今御指摘の点にとどまらず、行政調査会を置くという段階はもう終わっているというのが私の判断でございます。つまり、調査会をつくって政府以外の方の御意見を伺うという段階でなくて、私厚生大臣を先頭としてみんながやらなければならないところへもう来ているというふうに思っております。そこで、大変ありがたいお励まし、御提言をいただきましたが、むしろ私が先頭に立って、関係閣僚の協力を具体的に引き出して進んでいくことが何よりも大事であろう。そのために、御案内だと思いますけれども長寿社会対策大綱閣議決定が行われましたときに、既に長寿社会対策関係閣僚会議というものができておりまして、十八省庁の閣僚が参加をいたしております。もう既にこういう連携体制ができておりますので、むしろこれを生かして具体的に前進してまいりたいと思います。
  283. 柳田稔

    ○柳田委員 最後になりますけれども高齢化社会における福祉サービスと費用負担あり方についてお伺いをさせていただきたいと思います。  さきの税制改革消費税導入した際に、政府はその理由として高齢化社会への対応ということを挙げておりました。また総理も、消費税福祉目的税のようなものにするんだというふうな就任前の発言もあったかというふうに思います。  この高齢化社会を迎えるに当たって、国民の持っている不安というものはどんなものがあるだろうか。私まだ若いわけでございますけれども、自分の老後も考えまして、果たして自分の老後というのはどうなるんだろうかという気持ちが先にあるわけです。その際に、公的年金でどの程度の暮らしが保障されるのかな、さらには国や自治体がどれぐらい面倒を見てくれるのかな。そうしますと自分の負担はどれぐらい必要なのか、そのためにどれぐらいためなくちゃいけないかというふうな素朴な疑問もあるわけなんです。こういった国民の不安、疑問に答えていくのもまた政治や行政の責任ではないかなという気がしているわけでございます。高齢化社会政府や自治体がどのようなサービスを提供し、そのための財源はどう調達するのか、またどの程度の個人負担が必要になってくるのか、できればはっきりと知りたい、そういうことで国民に個人負担をはっきり示す必要がもうそろそろあるのではないかなという気もいたしておるのですけれども、この点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  284. 津島雄二

    津島国務大臣 高齢社会を迎えまして、そのための財政需要がふえていくことはある程度やむを得ないわけでございますし、また私ども必要な経費、必要な予算は是が非でも確保しなければならないという基本的な考え方を持っております。その一方で、他国に例がございますような余りにも高い国民負担を強制するということになりますと、社会自体の活力が失われて、進めていきたい福祉政策もかえってできなくなるという心配すらあるわけでございます。そういうことを考えに入れまして、国民負担を一定の水準のところに抑える全体としての努力をしながら、必要な予算を確保していく、そして老後の所得保障の柱である年金制度の確立あるいは医療保険制度の確立ということを進めていかなければならないわけでございます。  結局、この課題に取り組むためには国民理解を得なければならない、給付負担水準についての国民合意を得なければならない。柳田委員の御指摘は、そのような合意形成のためにひとつ大いに努力をしてほしいということであろうと思いますので、私も年金年金福祉福祉で具体的な問題点を率直にお訴えをいたしまして、国会の内部はもちろんのこと、国民に対しましても問題点をお示しをして議論をする、その議論の中から国民合意形成してまいりたいと思っておるところでございます。
  285. 柳田稔

    ○柳田委員 初めての質問に丁寧にお答えいただきまして、本当にどうもありがとうございました。  以上で終わります。      ────◇─────
  286. 畑英次郎

    畑委員長 この際、内閣提出国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。津島厚生大臣。     ─────────────  国民健康保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  287. 津島雄二

    津島国務大臣 ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国民健康保険制度は、我が国国民皆保険体制の基盤をなす制度として重要な役割を果たしておりますが、近年における社会経済変化や人口の高齢化等により、低所得者や高齢者の加入割合が著しく高まるなど、制度の構造的な問題によってその運営が不安定なものとなっております。  国といたしましても、これまで老人保健制度の創設など一連の制度改革を実施してきたほか、昭和六十三年には国民健康保険制度改正を行ったところでありますが、その改正事項の多くは昭和六十三年度及び平成元年度の二年間の暫定措置とされており、また高齢化の進展が続く中で将来に向けて制度運営の安定化を図っていくことが求められております。  このため、制度が構造的に抱えている低所得層問題について、国、都道府県、市町村協力して財政援助を行う仕組みを確立するとともに、国庫助成の強化等を図ることにより、国民健康保険制度の運営の安定化を図ることを目的として、この法律案提出した次第でございます。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、保険財政基盤の安定化措置であります。昭和六十三年の制度改正におきまして、市町村が、一般会計から、低所得者に係る保険料軽減相当額を国民健康保険特別会計に繰り入れるとともに、国はその二分の一を、都道府県はその四分の一を負担する措置を講じたところでありますが、二年間の暫定措置となっていたことから、この措置の確立、制度化を図ることとしております。  第二は、国庫補助制度の拡充等であります。  まず、療養の給付等に要する費用に対する国庫負担につきましては、昭和六十三年の制度改正におきまして、保険財政基盤の安定化措置に係る国の負担と調整を行い、両者を合計して療養の給付等に要する費用の五〇%を負担することとされておりましたが、このような調整措置を廃止して、保険財政基盤の安定化措置に係る負担とは別に、療養の給付等に要する費用の五〇%を負担することとしております。  次に、ただいま申し上げた措置に伴う国庫負担の増額分につきましては、財政調整交付金に重点的に配分する仕組みとして、市町村間における財政力の調整をさらに進めることといたしております。  また、老人保健医療費拠出金に対する国庫負担につきましては、保険財政基盤の安定化措置等を通じ、国民健康保険の財政負担が軽減されることから、国庫負担率を老人以外の被保険者に係る給付費に対する国庫負担率の水準に変更することといたしております。  以上のほか、国民健康保険医等の登録の事務の所管を原則としてその者の勤務地の都道府県知事とするなど所要の改正を行うとともに、高額医療費共同事業につきましては引き続き国及び都道府県の助成を行うこととしております。  最後に施行期日でありますが、保険財政基盤の安定化措置等につきましては本年四月一日から、国民健康保険医等の登録に関する改正等につきましては平成四年四月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  288. 畑英次郎

    畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十二分散会