○網岡
委員 それで私は、機能性食品というのは
一つ運用を間違えると大変なことになるという心配を持っているわけでございます。懇談会の中間報告を読みますと、食品の中には栄養機能と味などの感覚機能があるが、そのほかに、第三の機能として体調調節機能というものがある。その体調調節機能には生体防御、体調リズム調節、疾病の防止と回復といった機能があることが発見された。問題はこの後なのですが、「科学技術の進歩による新たな製造・加工技術により、」こういうことが書いてあるわけです。こういう中間報告の
内容によりますと、これは
一つの食品に例えば生体防御の機能あるいは体調リズム調節の機能、疾病の防止の機能、こういうものを科学的な技術によって加工していく、加工技術を加えていくということでございますから、付加していくということになると思うのでございますが、そういうことになると、これは食品でなくなるという心配を私はいたしております。
現に、これは専門家の一人でございますけれ
ども、ある方は、「食品の特色と行政科学的な判断」という
一つの論文を出されておみえになります。私その論文を読ませていただきましたが、この方の論拠は、食品というものには今言われているように体調調節機能というものがあると言われているということはこの方も認めている部類の一人でございます。しかし、食品は食品としてとっていくということでなければならない。この人の言われていることは、そこの中にある今言った体調調節機能の物質、成分をそれだけ単離精製して抽出していく、取り出していくということになったとすれば、それはもはや医薬品である。そういうものを持った食品全体を食することによって人間はあるいはそういうものの効果を得るかもしれないけれ
ども、それを単離精製することで取り出してあるものに加えていくということをやると、これはもはや医薬品である。
そして、時間がないものですから私もうやめますけれ
ども、アメリカは健康表示という言葉を使いながら、六つの検討項目を出して、
意見を聞くように官報に載せられたそうです。日本は官報だと決まっているのですけれ
ども、アメリカは載せて
意見を聞くという非常に民主的なやり方をしておるようであります。そういうことからいいまして、アメリカの場合は、例えば油脂は血中濃度を下げていく効果を持っているということが言われていまして、EPAという物質があると言われているのですが、この方の言い分によると、しかし油脂なら油脂を極端に取り除いていくということになると、がんを抑制していくもう
一つの効果が油脂にはあるのだそうですが、油脂を取り除いていくことによって発がん抑制の効果を低めていくということになっているそうです。そうなると機能性食品のやり方が逆にがんの発生を高めていくというような結果になりはしないか。したがって、アメリカなどのやり方は、油脂の摂取量を減らし
カロリー換算で二五から三〇%までにせよとか、あるいは野菜、特にアブラナ科のものをとるとか、あるいは穀類の全粒の摂取をふやせとかというふうに、食品そのものをとることによって、あるいは減らすことによって特定の疾病に対しての対応を図っていくというやり方がとられている。
したがって、繰り返しますけれ
ども、ある食品の中にある成分を単離精製していくということになれば、それはもはや食品ではない、医薬品である、こういうのがこの人の論文なのでございます。そういうことでいくと、この中間報告は明らかに生体防御、体調リズム調節、疾病の防止などの科学的な技術を加えて加工していくというやり方であるのだから、これは食品ということにはならないではないか、こういう論文が書かれておるのでございます。
そういうことから言いますと、機能性食品の持つ性格というものは極めて危険なものをはらんでいると私は思うのでございます。懇談会、あるいは検討会と進んでいくわけですけれ
ども、
厚生省としては
一体この辺のところをどういうふうに踏まえておみえになりますか、お聞かせいただきたいのです。