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1990-10-05 第118回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十月五日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 大石 正光君 理事 高鳥  修君    理事 中山 成彬君 理事 二田 孝治君    理事 村上誠一郎君 理事 辻  一彦君    理事 松前  仰君 理事 薮仲 義彦君       金子 一義君    金子徳之介君       木村 守男君    小坂 憲次君       住  博司君    近岡理一郎君       野中 広務君    平田辰一郎君       宮路 和明君    簗瀬  進君       山本 有二君    有川 清次君       池端 清一君    志賀 一夫君       田中 恒利君    水田  稔君       山中 邦紀君    山中 末治君       倉田 栄喜君    山口那津男君       藤田 スミ君    菅原喜重郎君       江田 五月君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     田中 基介君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         外務大臣官房審         議官      河村 武和君         厚生省社会局施         設課長     松本 省藏君         農林水産大臣官         房参事官    山田 栄司君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     岡本 芳郎君         林野庁指導部造         林保全課長   村田吉三郎君         林野庁指導部治         山課長     弘中 義夫君         水産庁漁政部協         同組合課長   二木 三郎君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部保安課長   高重 尚文君         気象庁総務部企         画課長     小野 俊行君         気象庁予報部予         報課長     櫃間 道夫君         気象庁観測部測         候課長     手塚 雅美君         郵政省放送行政         局業務課長   長澤幸一郎君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      瀬野 俊樹君         建設省河川局河         川計画課長   定道 成美君         建設省河川局治         水課長     日野 峻栄君         建設省河川局防         災課長     佐々木賢一君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松下 忠洋君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      小川 祐示君         建設省道路局道         路防災対策室長 宮地 昭夫君         自治大臣官房参         事官      長澤 純一君         消防庁消防課長 中川 浩明君         消防庁防災課長 神林 章元君         特別委員会第三         調査室長    下野 一則君     ───────────── 委員の異動 八月六日  辞任         補欠選任   遠藤  登君     速見  魁君 十月五日  辞任         補欠選任   佐田玄一郎君     木村 守男君   谷  洋一君     山本 有二君   持永 和見君     住  博司君   阿部 昭吾君     江田 五月君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     佐田玄一郎君   住  博司君     持永 和見君   山本 有二君     谷  洋一君   江田 五月君     阿部 昭吾君     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(平成二年九月十一日から二十日にかけての台風第十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨による災害等)      ────◇─────
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、平成二年九月十一日から二十日にかけての台風第十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨による災害等について、政府から説明を聴取いたします。国土庁鹿島防災局長
  3. 鹿島尚武

    鹿島説明員 お手元に配付しております資料に基づきまして、平成二年九月十一日から二十日にかけての台風第十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨による災害について御説明申し上げます。  まず、Iの気象概況について要約して申し上げます。  日本付近に停滞していた前線活動が九月十三日ごろから活発になり、各地で連日大雨となっておりました。一方、台風第十九号は、十七日には沖縄諸島近海に達し最盛期を迎え、中心気圧八百九十ミリバールの近年まれに見る大型で猛烈な台風となりました。その後、北東に進み、十九日二十時過ぎに和歌山県白浜町の南に上陸しました。台風上陸後、近畿、東海、北陸、東北を通過して二十日十二時前に岩手県から三陸沖へと進み、十五時に三陸沖で温帯低気圧となりました。台風の接近、上陸によって前線活動はさらに活発になり、前線台風による降雨が重なって、沖縄から北海道の広い範囲で大雨となったわけであります。特に四国、近畿の一部で十一日から総雨量が千ミリを超えました。  次に、二ページをお開きいただきます。IIの被害状況についてでございます。  一般被害につきましては、十月三日現在の調べで人的被害として死者が四十一人、行方不明者が二人、負傷者が百七十九人となっており、住宅被害として全壊二百四十二棟、半壊七百二十九棟、一部破損二万四千二百五十一棟、床上浸水七千六百四十四棟、床下浸水四万六千七百九棟となっております。さらに道路で一万三千十三カ所、橋梁で三百六カ所、河川で一万五千四百三十カ所において被害が生じており、二千四百五十九カ所においてがけ崩れが、六十七カ所において鉄道不通がそれぞれ発生いたしました。  施設等関係被害につきましては、現在関係機関等において鋭意調査中でございますが、判明しているものを資料の二ページ中ほどから掲げてございます。  建設省関係では、公共土木施設で約二千九百八十四億円となっております。同じく建設省関係都市施設状況でございますが、約十四億円となっております。  次に、三ページをお開きいただきます。  農林水産省関係では、公共土木施設で約三百九十億円、農林水産業関係で約一千六百十億円、合計して約二千億円となっております。  文部省関係では、公立学校施設公立社会教育施設など約十八億円の被害が、そして運輸省関係では、公共土木施設で約三十八億円の被害報告されております。  厚生省関係では、保育所等社会福祉施設水道施設廃棄物処理施設医療施設などに被害を受けております。  四ページへ参ります。  また、通産省関係では、中小企業関係兵庫県、岡山県等で合わせて約六十億円の被害報告されております。  交通関係につきましては、鉄道関係では、JRについてほぼ全国的に築堤崩壊道床流出倒木等被害が生じましたが、十月四日までにJR東海紀勢本線の一部を除き復旧しました。不通区間については、バス代行輸送を実施しており、九月二十日に現地災害復旧対策本部を設置するなど、復旧に努めております。  道路関係については、台風通過地域中心に全国的に被害を受け、全国における一般県道以上の全面通行め箇所数は約千九百三十カ所に達しました。これらの箇所については、その後復旧作業を進めた結果、十月三日九時現在、百十カ所となっております。  電力関係については、北海道電力を除く中部、関西、九州など合計九電力管内で約百四十八万戸の停電が発生しましたが、復旧作業に努めた結果、九月二十二日には復旧を完了いたしました。  通信関係については、被害地域は二府三十二県に及び、約四万四千の電話に回線故障等の影響が生じましたが、九月二十五日九時現在で被災加入者の中で家屋が倒壊している等により設置不可能の場合を除きほとんど復旧いたしております。  次に、五ページをお開きいただきます。  IIIの講じた措置等についてでございますが、災害対策本部鹿児島県初め十四県、七百三十二の市町村において設置されました。  また、災害救助法は、宮城兵庫岡山鹿児島の各県の十八の市町村に適用されました。  政府といたしましても、九月十九日に災害対策関係省庁連絡会議を開催し、応急対策に万全を期するため重点的に実施していく事項について申し合わせるとともに、特に、既に各地において多量の降雨となっておりましたので、台風の進路に当たる地域はもとより、その他の地域においても、被害未然防止と軽減を図るため、厳重な警戒を行うなど万全の対応を図ることを申し合わせました。また、二十五日にも第二回の災害対策関係省庁連絡会議を開催し、引き続き住民生活の安定のための各般の対策に万全を期するため重点的に実施していく事項について申し合わせをいたしました。  また、現地派遣につきましては、特に多数の被害が生じました鹿児島奄美大島、そして岡山県に災害発生直後関係省庁担当官を派遣いたしました。  次に、財政金融上の措置といたしまして、住宅金融公庫は、住宅被災者に対し、九月二十七日から災害復興住宅資金融資申し込みの受け付けを開始いたしました。また、宮城県、兵庫県、岡山県、鹿児島県に対し九月二十八日付で政府系中小企業金融機関災害復旧貸し付け発動をいたしました。  以上でございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡をとりつつ対策に万全を期してまいりたいと考えております。  なお、台風二十号関係被害につきましては、関係機関等において現在鋭意調査中でございますが、現在までに報告を受けております主な被害について、お手元に配付申し上げております資料に基づきまして御報告申し上げます。  人的被害といたしましては、死者五名、行方不明者一名、負傷者二十四名となっております。  また、住宅被害といたしまして、全壊二十棟、半壊三十五棟、一部破損六百七十三棟、床上浸水三千五百四十九棟、床下浸水一万一千九十七棟となっております。  また、三つの県及び二百十七の市町村災害対策本部が設置され、宮崎県下の三市町に災害救助法が適用されております。  施設等関係被害につきましては、現在被害額等詳細について調査中でございますが、現在までに建設省関係公共土木施設で約二百二十六億円、農林水産省関係公共土木施設で約五十億円等の被害が出ているとの報告を受けております。  交通関係につきましては、一般県道以上の全面通行め箇所数は約五百十カ所に達しましたが、復旧に努めた結果、十月三日現在四十六カ所となっております。  また、JR東海JR九州等築堤崩壊土砂流入等施設被害が生じましたが、十月四日までにJR東海紀勢本線の一部を除き復旧をいたしました。  台風二十号関係被害状況につきましては、簡単でございますが、以上でございます。  以上をもって報告を終わらせていただきます。
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  5. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。
  6. 木村守男

    木村(守)委員 質問に入るに当たりまして、まず、今回の台風十九号及び二十号暴風雨秋雨前線による災害によりお亡くなりになりました方々の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。また、被災地被害を受けられた方々にも心からお見舞い申し上げるものであります。  政府におかれましては、佐藤国土庁長官を初め関係機関方々が真剣に二次災害防止並びに復旧のために寝食を忘れて御努力されてまいりましたことに、しかも迅速に対応されている現状を承知しているだけに、心から敬意を表し感謝申し上げるものであります。  また、我が党におきましても、既に党本部から被災現地に急行いたしまして、先輩の方々がそれなりに対応されていることをこの際御披露申し上げておきたいと思っております。  今回の災害は、ただいま鹿島防災局長からの御説明によりますと、概略承知しておりますが、昭和三十六年当時の第二室戸台風以来の大型台風のようでございまして、我が国の四十六都道府県全体を包む被害をもたらしました。しかも、そのコースは本土を横断しまして、地域によっては九月十一日から二十日の間で千ミリを超える降水量があったと言われております。被害額も、兵庫県、岡山県、岐阜県等極めて甚大な被害をこうむった県もございます。また、鹿児島奄美大島岡山県、愛媛県等においても、特に土砂崩れなどによりまして、あるいは一級河川等の未改修地域において、人命、農産物の被害も甚大なものがございました。  東北地方でも、岩手県、宮城県でそういうことでございまして、先ほどの防災局長の御説明によりますと四十一名のとうとい方々が命を失っているということでございます。また、私ども青森県でもかなりの住宅公共施設農作物等被害が出ております。県から取り寄せました資料によりますと、床上浸水百五棟、床下浸水六百三十二棟、農作物関係では水田で約二十ヘクタールに土砂が流入し九百ヘクタールが水につかる等の被害が出ているのであります。  私から言うまでもなく、災害調査段階が進むにつれて被害が大きくなっていくのが通常でございます。こういう段階で何が大事かというと、二次災害を防ぐということ、それから民生安定に民心の安定が必要であります。そういう意味からいきましても、何としてもこの際正確な資料、あるいは現状把握を待たずしてもおおむねの第二次調査等が終えられているやに承知いたしておりますから、この段階でどうぞ大臣におかれては、行政が積極的にこれに取り組んで救済に当たっているのだという姿勢を明らかにする意味で、行政上は具体的には激甚指定あるいは天災融資法発動に対して農林当局等との協議がもう内々始まっていると思われますので、この際佐藤長官からその方向づけをお示しいただきたいと思います。
  7. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 木村先生にお答えいたします。  まず第一番に、今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を改めて衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心よりお見舞い申し上げます。  最初に、先生から大変ありがたいお言葉をいただいたわけですが、国土庁なり防災関係者に丁重なお言葉をいただき恐縮しております。当たり前のことでございますが、今後とも全力を尽くして頑張りたい、こう思っておりますので、何分の御理解と御協力をお願いする次第でございます。  また、先ほど先生の御指摘のとおりでございまして、結局二次災害では民心の安定が非常に大事であります。それには私たちの心構えが大切だということは御指摘のとおりでございますので、そのつもりで対応しているつもりでございます。  今回の台風十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨によります災害被害状況については、現在関係地方公共団体及び関係省庁で鋭意調査を進めているところでございますが、確定的な数字がまとまるにはいましばらく時間がかかる、こう思っております。現在災害対策関係省庁連絡会議等を通じまして把握している被害状況からしますと、昨年の災害に対する適用例等から見ましても、農地等災害復旧事業については激甚災害としての基準を超える可能性が高いのではないかと考えております。被害額等の精査を急ぎ、指定について早急に関係省庁との協議を進めるなどしてまいりたい、このように考えております。
  8. 木村守男

    木村(守)委員 ただいまの大臣のお言葉で、激甚天災等方向を踏まえて今鋭意努力しているということでございますので、これからの手順があるようですから、どうぞ一日も早く閣議決定まで持ち込まれましてその方向が速やかに実施されんことを御期待申し上げて、お願いしておきたいと思っております。  さらに、この機会にお願いをいたしますが、特に今回の災害の中で一級河川あるいは都市河川の未改修いわゆる無堤部地区のはんらんあるいは決壊等によるいわゆる天災災害であると同時に、ある意味では行政上のおくれをもたらしている、大きくしている嫌いがなしとしません。そういう意味において、我が国日米構造協議等で四百三十兆円の公共事業投資を行うということで十カ年計画が示されてまいりましたけれども、その中で生活関連経費として二千億の重点化枠を設けるということでこれからの予算編成に動いていっているわけであります。ここまでのいろいろな話し合いの中で下水道あるいは住宅公園等社会資本ということが非常に強く叫ばれて、また明記されてきている。  ただ、河川についてはどうしても声が小さいような気がしてなりません。私は、今度の経済企画庁がおまとめになったあの中でも、河川行政がどうしても弱いような気がしてなりません。生活関連環境整備を守り充実させようとすれば、安全が基本であります。安全が生活関連基本であって、そうだとすればダムをひっくるめる河川行政充実が特に重視されるべきである、こう思っております。  そういう意味で、例えば今回の災害で私の青森県の場合も、岩木川中流あるいは馬淵川決壊等々も行政のおくれがこういう結果にもなってきているということでございますから、建設省の方からも岩木川中流部についての、あるいは津軽ダムにしても、これからの対応、見通しを明らかにしてほしい。これが今までに進んでおったらこれだけの災害にはならなかった、私は現場を見てそう思っております。  それから、長官建設省もそうですが、この河川行政が、これからの十カ年計画の中でもあるいは通常行政のサイドから見ても、さらに充実が必要だという認識はお持ちのはずでありますから、決意のほども示していただきたいと思います。
  9. 日野峻栄

    日野説明員 御説明をさせていただきます。  先ほど先生が申されました岩木川あるいは馬淵川改修状況でございますが、その前に、今回の台風十九号によりまして岩木川あるいは馬淵川で無堤部から浸水をいたしました。岩木川では浸水面積七百ヘクタール、浸水家屋が二百三十一戸、馬淵川では、浸水面積二百三十ヘクタール、浸水戸数が三十一戸というふうに報告を受けております。この岩木川本川家屋浸水がありました三世寺地区につきましては、支川の後長根川合流部改修を重点的に実施しております。また、その他の浸水した地区でございますが、種市の地区とか、あるいは青女子の地区等につきましても築堤用地買収に順次着手しているところでございまして、今後とも岩木川中流部改修を推進していきたいというふうに考えております。  また、馬淵川木川の浸水のありました一日市地区でございますけれども、これも用地買収あるいは築堤を重点的に実施しているところでございます。  岩木川馬淵川改修につきましては、県管理区間も含めまして、本川上下流バランス、あるいは本川支川バランスを見ながら無堤部の未改修区間の解消を計画的、重点的に実施する予定でございます。
  10. 定道成美

    定道説明員 津軽ダムにつきましては、現在昭和六十三年度より実施計画調査に着手しております。できるだけ早期に建設に着手するよう、今後とも事業を進めてまいりたいと考えております。
  11. 木村守男

    木村(守)委員 委員長のお許しをいただいて、大臣に写真をお渡ししたいのですけれども、よろしゅうございますか。
  12. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 はい、よろしゅうございます。
  13. 木村守男

    木村(守)委員 ありがとうございました。  最後に、時間もありませんので、いつの場合もそうですけれども災害のときに現場で命がけで二次災害を防ぎながら、あるいは危険状態を顧みず現場に急行されて頑張っている方々がおる。警察当局であり、あるいは市町村関係者であると同時に、第一線には消防団がおります。今回の災害も、私ども地域でも消防団方々災害の人災を防ぐために懸命の努力をされておったことを承知いたしております。  そこで、消防庁人事院勧告を受けながらも、営々消防団員処遇改善に努力しておることは承知しておりますが、昨年からことしにかけても一般団員で千円、あるいは幹部職で二千円ぐらいのアップだけであります。それはパーセンテージにすれば人事院勧告よりは上回っているとかということに相なるようでございますけれども、元来が、人事院勧告方々がどういう専門家がなっておるかわからぬけれども現場でのあの苦労は余り知ってないのではないか。一般の公務員とかあるいは我々もひっくるめて、そういう方々に対する感覚アップの比率などを決めている嫌いなしとしない。これは間違いであります。あくまでも現場におってのあの現状にかんがみて、どうぞ経済ベースだけの感覚ではなくて、命をかけて携わっている消防団員処遇改善を強く求めたいと思います。消防庁並び国土庁長官のお心ある御答弁をお願いします。
  14. 中川浩明

    中川説明員 お答えをいたします。  消防団員処遇改善につきましては、従来から地方交付税上の措置を行っておりまして、それぞれの市町村消防団員報酬及び出動手当を支出する、こういうことになっているわけでございます。この地方交付税上の算入額につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、順次引き上げを行っておりますけれども、何分人事院勧告ベースといたしておりますので、その引き上げ額はそれほど多額にはなっておりません。  現在のところ、報酬について見ますと、団長については六万一千円、団員につきましては二万五百円、こういうことになっておりまして、消防団活動に関連させて考えてみますと、必ずしも十分な額であるとは考えておりません。今後とも御意見等も踏まえながら、積極的に改善を図るように努めてまいりたいと思っております。
  15. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  消防職員とか団員待遇改善につきましては、今消防庁から申したとおりでございますが、私も現地を視察しましてあなたと同じような感じをいつもしておるということでございまして、一緒になりまして待遇改善に努力したい、こう思っております。  それから、先ほどの治水事業についての必要な予算措置でございますが、これは関係省庁と協力して十分対応したいと思います。ただ、先生が先ほどおっしゃいましたけれども、私は治水関係応援団はすばらしいものがあると思います。例えば、名前は言いませんが、一番自民党のドンと言われる方が会長をやっておるところでございまして、その意味におきましては、声は低いとは思っておりません。むしろ高過ぎると思っておりまして、よろしくお願いする次第でございます。
  16. 木村守男

    木村(守)委員 日本列島災害列島とも言われる、地勢的にもあるいは歴史的にも否めない事実だと思います。委員長並びに長官にもお願いしますけれども、どうぞこの日本を守るためにさらなる使命感に燃える御尽力を心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  17. 三ツ林弥太郎

  18. 山本有二

    山本(有)委員 猛威を振るいました台風十九号は中心気圧八百九十ミリバール、高知県室戸岬で最大瞬間風速六十一・二メートル、総雨量高知県馬路村魚梁瀬で千百十三ミリという、昭和三十六年の第二室戸台風に匹敵する猛烈な台風でありました。著名な物理学者であり、エッセイストの寺田寅彦台風銀座と言われます高知県の出身者でありますが、「天災は忘れたころにやってくる」という至言を述べております。まさに台風対策に疎くなってしまった今日、警鐘を鳴らして余りある教訓を残し、十九号は北の海に去ったのであります。  さて、九月二十七日現在、消防庁の調べで、死者四十名、行方不明二名、負傷者百五十七名に上る戦禍並みの被害でございます。  我々は事に当たって調査計画、実行、反省というプログラムに沿って物事を処理しなければならぬ政策任務を負っておりますが、この台風被害に当たりましてもしかりでございます。災害にこのプログラムを当てはめてまいりますと、予知予測、来襲時の緊急対策、直後の応急対策、さらに復旧対策、そして将来対策となろうと存じます。  そこで、このプログラムに沿いまして御質問申し上げます。  まず予知予測でございます。台風十九号と秋雨前線によりまして九月十七、十八、十九と三日間、高知市の小中学校は休校となりました。商店街も店を閉じ、タクシーも運休いたしております。さながらゴーストタウンと化しました。けれども、大山鳴動ネズミ一匹、高知市内には風も雨もさほどのものではなく、被害も軽度でございました。先の備えは過度に過ぎるという批判もありました。これをもって結果論と片づけるのはたやすいところであります。けれども、より正確、より適切、より緻密な気象予測が可能となればむだを省くことができ、さらに備えなきところに備えを十分ならしめることができるわけであります。  そうした意味で、台風の進路、規模、影響などについての気象観測体制の実態と取り組みにつきまして、気象庁にお伺いをいたします。
  19. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  気象庁では、台風の進路予報に関して従来は二十四時間先までであったものを、スーパーコンピューターの導入によりまして昨年から四十八時間先までに延長して実施しております。元来、台風の進路予報というのは気象予測の中でも最も難しいものの一つでありまして、最後まで不確実さがつきまとうものであります。このため、予報の表現としては、予想される誤差を半径としました円で発表しております。すなわち予報円であります。現在、この予報円の中に台風中心が実際に入る確率というのは、実際の成績を調べてみますとおよそ六〇%となっております。円の大きさというのは、そのときの予報の難しさの程度によりまして若干変えて、易しいときにはもっと小さくするといった努力をしておりますけれども、平均してみますと、二十四時間予報では大体半径二百キロぐらい、それから四十八時間予報では四百キロ程度となっております。これは皆さんは大きいとお考えかもしれませんけれども、この数値は世界のトップクラスに位置しておりまして、すなわち日本台風予報技術というのは世界最高の水準にあります。  それから雨につきましては、レーダーとアメダスを合成して正確な雨量を求めまして、五キロ四方ごとの雨量分布図をつくって発表しております。この図をもとに、大型計算機を用いて三時間先までの詳しい予想図も各地の気象台から発表しております。これらはまた、コンピューター通信で報道機関へも提供されております。これらの図は、最近頻繁にテレビでも放映されるようになりまして、台風の接近時には深夜でも放送されております。この情報は防災上極めて有益なものでありますので、今後各方面での一層の活用を希望しております。  最後に、気象庁では今後とも、台風について観測データを蓄積して、予報の一層の向上を図りたいと努力したいと思っております。
  20. 山本有二

    山本(有)委員 より正確になってまいりますと、どこで雨が何ミリ降るというぐらいまで行き着くと思います。そういうことを、今日の科学の進展でありますから、努力目標にぜひひとつお願いしたいと思います。  次に、今回も土砂崩れによって多数の人命が失われましたが、このように人家の裏山等が豪雨で急に崩され、災害が発生するケースが多いわけであります。建設省におきましては、予知、予測に基づいて、従来以上に危険箇所の把握と早期の防災工事の実施が必要であると思いますけれども、どのように対処するおつもりか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  21. 小川祐示

    ○小川説明員 建設省の傾斜地保全課長でございます。  御説明申し上げます。  がけ崩れの災害から国民の生命財産を守るため、建設省といたしましては従来から急傾斜地崩壊対策の実施に努めてまいったところでございます。がけ崩れの災害を防止するためには、対策工事の実施が大切だということは十分認識しておるわけでございますが、その危険箇所につきましては六十二年の調査によりまして、全国で七万七千カ所ということでございまして、その整備率につきましては、平成元年度末におきましてまだ二〇%という低い状況でございます。  御承知のように、がけ崩れの発生のメカニズムと申しますのは極めて複雑な現象でございまして、解明が十分なされていないのが現状でございます。建設省の土木研究所等において鋭意調査研究を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、がけ崩れの災害を未然に防止するためには、警戒避難体制の整備も含めました総合的な対策が必要だということでございまして、危険箇所の把握、住民への周知等、ソフト対策対策工事の実施が極めて重要だと考えておりまして、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えておるわけでございます。
  22. 山本有二

    山本(有)委員 お願いいたします。  次に、来襲時の緊急対策でございます。  死者が出た土砂崩れ地区の場合、避難勧告が役場の広報車のみで行われたと聞いております。豪雨の中、小さなスピーカーで知らせても、果たしてテレビ、ラジオを聞いている戸内の人たちに徹底し得たか否か、極めて疑問であります。さらに、道路不通になった場合、いかにして広報車が機能し得るか、論をまつまでもありません。この点、避難勧告、誘導の行政実態と取り組みにつきまして、関係省庁にお伺いいたします。
  23. 神林章元

    ○神林説明員 緊急時におきまする避難勧告、誘導の行政実態と取り組みについてお答え申し上げたいと思います。  消防庁といたしましては、かねてから地方公共団体に対しまして、災害時における避難体制の強化について指導を行っているところでございまして、去る五月にも風水害対策の強化に関連しまして長官通知を発して指導したところでございます。  内容といたしましては、気象情報、警戒巡視等によって得られる情報、また過去の災害事例等を勘案しまして状況の分析を継続的に行いまして、その結果住民の生命身体に被害が及ぶおそれがあると判断されるときは直ちに避難の勧告、指示を行うこと、また避難の勧告、指示につきましては、災害状況あるいは地域の実情に応じまして効果的な伝達手段を複合的に活用して、対象地域の住民に迅速かつ的確に伝達するよう指導を行ったところでございます。  そこで、具体的な伝達手段でございますが、住民の皆さんに対します避難勧告、指示の伝達は、通常の場合同報系の防災行政無線と広報車の巡回、サイレン、半鐘あるいは消防職団員の巡回等によって行っているわけでございますが、最近の災害事例では、御指摘のように広報車だけでは行き渡らない、また迅速かつ確実な伝達手段として防災行政無線が極めて有効に機能しておると聞いておりますので、私どもといたしましてもその整備促進に努めておるところでございます。以上でございます。
  24. 山本有二

    山本(有)委員 次に、緊急対策の中で、道路の防災性についてお聞きいたします。  高知県を例にとりますと、一般国道五十六号を初めとする国道の四路線には、連続雨量二百五十ミリで事前に通行規制が行われる箇所がございます。今回の台風でも、これらの四路線におきまして五カ所で九月十八日から二十日にかけて約五十時間、丸二日間にわたって通行どめが実施されました。また、台風豪雨のたびごとに事前の通行規制以外にも斜面崩落等により通行どめがなされる場合もございます。高知県西部のように陸路に頼る以外にないところでは、まさしく国民生活に多大の影響を及ぼしております。高知県を初めとする災害の多い県では、道路の防災性を高めるため、県下の道路の防災点検を行い、早期に防災措置を講じ、災害に強い道路づくりを積極的に進めるべきではないかと考えますが、これに対する建設省対応と方針をお伺いいたします。
  25. 宮地昭夫

    ○宮地説明員 御指摘のように、台風時には落石や土砂崩壊が発生し、各所において通行どめを実施せざるを得ないのが実態でございます。台風のような異常気象時の道路交通の安全を図ることは重要な施策と考えておりまして、防災対策事業の推進を図っております。  防災性を高めるために、建設省においては昭和四十三年から全国の落石や土砂崩壊等のおそれのある箇所の防災点検を数次にわたり実施しまして、予防工、防護工の設置、防災改築等の事業を緊急かつ重点的に行っております。しかし、道路整備の歴史は浅く、また地形、地質の複雑な、また厳しい自然条件の中で道路整備を進めなければならず、また今回のような台風等による豪雨等の厳しい条件を有することから、まだ多くの防災対策必要箇所が存在しておるのが実態でございます。  今年度の防災対策事業費は、対前年比一・〇六に当たる二千百九十一億円の事業費を計上し、約五千八百カ所の対策を図っております。今後とも全国の防災点検と防災対策事業を実施し、一層の道路の防災性の向上を確保するよう努めてまいる所存でございます。
  26. 山本有二

    山本(有)委員 来襲直後の応急対策に移ります。  そこでは、農林省に金融措置をお伺いし、また建設省に対しまして住宅金融公庫等の低利融資などについてもお伺いいたしたいところでありますが、時間の関係上自治省に財政措置、地方公共団体の財政援助すなわち激甚指定ももちろんのこと、普通交付税の繰り上げ交付や特別交付税の重点配分をぜひやっていただきたい、お願いをするとともに、そのお考えをただしたいと思います。
  27. 長澤純一

    長澤(純)説明員 被災しました地方公共団体におきましては、災害復旧事業を初め多大の財政負担が生じるものと見込まれますので、自治省といたしましても地方債あるいは交付税を通じましてできる限りの配慮をしてまいりたいと考えております。  お話のありました特別交付税につきましては、災害復旧事業費、被災世帯数、農作物被害面積等を指標といたしまして算定を行い、財政運営上支障の生じないように適切に措置してまいりたいと考えます。  また、普通交付税の繰り上げ交付につきましては、現在関係市町村被害状況等を取りまとめているところでございまして、所定の基準を超えるものにつきましては、関係地方公共団体の意向等も踏まえながらできる限り速やかに対処してまいりたいと考えております。
  28. 山本有二

    山本(有)委員 最後でございます。将来対策をお伺いいたします。  防災担当大臣としての国土庁長官の今後の災害復旧及び将来に対する御決意をお伺い申し上げます。
  29. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 山本先生にお答えいたします。  改めてまず、今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。  今回の台風第十九号及び秋雨前線暴風雨による被害に対しては、災害発生直後、国土庁建設省、農林水産省、消防庁、警察庁の担当官を特に被害の大きい鹿児島奄美大島岡山県に派遣し、被害状況調査しました。現地被害状況から見て、引き続き被災者の救済、救護の万全を期するとともに、早急に復旧作業を進める必要があり、このため既に関係省庁においては九月十九日及び九月二十五日に開催した災害対策関係省庁連絡会議の申し合わせに基づきまして所要の対策を推進しているところでございます。今後とも関係省庁や地元の地方公共団体と密接な連携をとりながら政府として対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。よろしくお願いします。
  30. 山本有二

    山本(有)委員 どうもありがとうございました。
  31. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 中山成彬君。
  32. 中山成彬

    ○中山(成)委員 今回の審議は台風十九号を重点的に審議するということになっておりましたけれども、その後二十号がやってまいりました。我が宮崎県は十九号、二十号両方災害を受けたわけでございまして、きょうは特別に委員の皆さん方の了解をいただきまして緊急質問させていただくことになりました。大変御迷惑をかけましたけれども、心から感謝申し上げる次第でございます。  まず、十九号、二十号、たくさんの人命、財産が失われたわけでございますけれども、亡くなった方々に心からお悔やみを申し上げ、また災害を受けられた方々にお見舞いを申し上げたいと思うわけでございます。  十九号もそうでございましたが、二十号も風よりも雨の方が災害をもたらしました。特に宮崎県では気象観測上二番目という大量の雨が降りました。特に一時間に六十ミリとかあるいは場所によりましては九十ミリというような雨が降ったわけでございまして、あっという間に河川が増水いたしました。床下浸水から床上浸水ということで、さすがに災害になれた宮崎県の方々も家財道具を運び出す間もなかったというふうな状況でございました。  そういった中で行政当局の方々、大変迅速な対応をしていただきました。災害救助法の適用を初め、不通になりました国道等につきましてもとりあえず片道通行だけは確保するというふうな緊急措置がしてあるわけでございまして、あとは本格的な復旧工事を待つということでございます。私も先日地元に参りまして現地を見せていただきましたけれども現地サイドからは何とか激甚災の指定をお願いしたいという強い要望がございました。十九号、二十号合わせて一本ということも考えられるかもしれませんけれども、この激甚災の指定につきまして国土庁長官、見通し、そしてお願いをしたいと思うわけでございます。
  33. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 中山先生にお答えいたします。  まず、改めて今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心よりお見舞い申し上げる次第でございます。  先ほどの被害状況等については、現在関係地方公共団体等において鋭意調査を進めておるところでございますが、激甚災害指定の問題についてはこれらの調査の結果を待って適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  34. 中山成彬

    ○中山(成)委員 建設省にお願いでございますが、国道二百二十号線というのがございます。いわゆる日南海岸線でございますが、これが三年前から毎年不通になるわけでございまして、三年前は半月以上も不通でございました。この道路は宮崎と日南を結びます非常な幹線道路でございますけれども、観光道路としてあるいは市民の生活上非常に重要でございます。鵜戸神宮のございます鵜戸の地域方々、時には病気になりましても病院にも行けないというふうな状況でございます。大変不安に駆られているわけでございます。建設省非常に努力していただいておりまして、たくさんの予算をつけていただいておるわけでございますけれども、この二百二十号線を災害に強い道路にするために、ぜひとも早期の完成をお願いしたいと思うわけでございますが、この見通しについて建設省の方にお願いしたいと思うわけでございます。
  35. 宮地昭夫

    ○宮地説明員 お答えいたします。  一般国道二百二十号は、宮崎市を起点とし、日南市を経由して鹿児島県国分市に至る延長百八十五キロの幹線道路でありますが、海岸線の屈曲が著しく、地形的に急傾斜でありまして、また地質的にも特殊な地層、宮崎層といいますが、その地域を通っておりますので、宮崎県内の延長九十二キロのうち三十二キロが異常気象時における通行規制区間に指定されております。  本区間のうち、過去災害発生の集中しております小目井、立石の二地区災害発生の危険性の高い鵜戸地区についてトンネル、橋梁により危険箇所を迂回する抜本的な対策を講じることとしております。今年度は十六億六千万を投入し、鵜戸地区、立石地区について三年度完成を目指し工事を進め、また小目井地区については早急に事業を実施すべく調査を進めております。残りの区間についても同様の地質でありますので、逐次必要な防災対策を進め、今後とも一層の事業促進に努めてまいります。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  36. 中山成彬

    ○中山(成)委員 どうかよろしくお願いいたします。  それから、今回大変な農作物の被害が出たわけでございまして、ハウス野菜あるいは大根、田んぼは冠水しているわけでございます。十九号で二十五億円と言われていましたが、今回は五十億円を超える農作物の被害が出ているわけでございます。私も現地に参りまして、本当にもうあと二、三日で出荷するばかりであったメロンが四、五時間水につかっただけで腐り始めている、そういった姿を見て茫然としておられる農家の方々を見まして、何と言ってお悔やみ申し上げていいかわからなかったわけでございます。もう中には農業をやめたい方もいらっしゃるわけですけれども、たくさんの借金がある、あるいは立ち上がってもう一回やろうとしてもこれまた資金が要るわけでございまして、そういう意味で、今までの借金の延べ払いの問題とかあるいは新しい資金枠、自作農維持資金の貸付枠の拡大とか、そういったことで、本当に自然を相手にして頑張っておられる農家の方々を力づけるような、そういう措置を農林省の方々にどうしてもとっていただきたい、こう思うわけでございますが、よろしくお願いいたします。
  37. 山田栄司

    ○山田説明員 被災農業者に対します制度資金としましては、今お話のございました農林漁業金融公庫の自作農維持資金等がございます。融資枠も十分ございますので、被害の実情等を見きわめながら県とも十分協議して対応してまいりたいというふうに考えております。
  38. 中山成彬

    ○中山(成)委員 次に林野庁にお願いでございますが、今回の災害を見ておりますと、雨が降りますと一、二時間のうちに市街地の方に洪水が起こる、こういうようなことでございます。せっかく河川改修等ができておるわけでございまして、昔に比べればそのようなところは随分強化されているはずでございますけれども、どうしてだろうかと疑問を感ずるわけでございます。  今回、日南、串間の方に行ってまいりましたけれども、山は本当にきれいに植林されております。杉とかヒノキとか、美林とも言うべきものでございますが、やはりこれは全国どこでもそうだと思うのでございますけれども、最近の林業不振といいますかあるいは農林業の不振と申し上げてもいいかと思うのでありますけれども、そういったことから地方の方に若い人がいなくなった、山の手当てをする人がいなくなったということがむしろ山の怒りを買っているのじゃないか、そんな気すらするわけでございます。  ことし宮崎県では、諸塚村というところで国土保全森林作業隊、こういうようなものをつくりました。地方公共団体として山を守っていきたい、そういうような制度が発足したわけでございまして、宮崎県でも同じようなものを考えておるわけでございます。これは全国どこでもそうだと思うわけでございますが、今後日本の国土を保全するという意味で、何らかの形でそういった制度を国としても考えていただきたいものだ、このように思うわけでございます。  さらにそれにあわせまして、やはり森林整備といいますか、今、山が本当に荒れておるわけでございます。森林整備という観点から、これから十年間せっかく四百三十兆円という公共事業をやろうというわけでございますから、地方の活性化という意味も含めまして、森林整備のためにどのようなことを林野庁として考えておられるのか、お考えをお聞きしたいと思うわけでございます。
  39. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御説明申し上げます。  森林につきましては、洪水防止、渇水の緩和等水源涵養機能等の公益的機能を有しているものでございます。これの高度発揮のために必要なものにつきましては、水源涵養保安林等にして森林の保全に努めているところでございます。  また、その機能の拡充という点につきましては、水源地域におきます森林整備及び山地保全のために水源地域緊急整備事業や集落水源山地整備事業等の治山事業、あるいは森林開発公団によります水源林造成を積極的に実施するとともに、森林総合整備事業等の造林事業により森林の諸機能の高度発揮を図っているところでございます。  先生指摘のように、現在林業を取り巻く状況はますます厳しくなっているところでございます。こういう背景を踏まえまして、今後とも労務対策あるいは林業振興対策を実施するとともに、森林の整備につきまして長期的な視点から計画的に実施できる制度、そういうものの創設も必要かと考えておりまして、現在林野庁でも長期的な計画に基づいて計画的に森林の整備が進められるよう努めてまいっているところでございます。
  40. 中山成彬

    ○中山(成)委員 台風二十一号も近づいているということで、大変心配しているわけでございますけれども、今後とも災害対策につきまして関係当局の一層の御尽力を心からお願いする次第でございます。ありがとうございました。
  41. 二田孝治

    ○二田委員長代理 有川清次君。
  42. 有川清次

    ○有川委員 大型で強力な台風十九号の災害に関連いたしまして本日の委員会が開催されましたが、その後九月二十九日には台風二十号が襲来をいたしました。我が鹿児島県の場合は、地域によっては二重のパンチで、大きな災害をもたらしております。よって本日はこの二つの台風に関連して質問をいたしますが、また二十一号も接近をしている状態で大変心配をしておるところでございます。  台風十九号は九月十八日未明から昼過ぎにかけて鹿児島県の最南端奄美大島地方で猛威を振るいました。死者十二人を出した大島郡瀬戸内町古仁屋では、十八日午前九時から三時間に二百二十一ミリ、一時間の最大雨量は、午前十時から十一時までに九十一ミリというけた外れの豪雨でありました。また瞬間最大風速も五十二メートルを記録しており、レーダーやアメダスでは直径二百五十キロの暴風雨圏域となっており、これと重なり、本島に近づくにつれてスピードが落ちまして、その分長時間にわたり中身の凝縮した暴風雨圏に取り込まれたのがさらに被害を大きくしたとも言われておるところであります。古仁屋の高丘地区では最大雨量時の十一時半ごろに二カ所で山崩れを起こしまして土石流がゴーっという轟音とともに民家になだれ込みました。また、隣接した大湊地区では十一時五十五分、一人暮らしの老人を土砂が襲いました。総勢百五十人という警官、消防団、地元住民らの手作業で救出作業が進められましたが、直径一メートル以上の木の根や石で遺体も損傷が非常に激しく、作業者も思わず絶句したと言われます。改めて故人の御冥福をお祈りする次第であります。  私たち社会党は、県本部で早速調査団を編成いたしまして四日後の二十二日に現地に乗り込み、つぶさに実情の把握と被災者の生の声に耳を傾けてきたところであります。  東側の国道五十八号が交通遮断となっておりましたために、西側の県道を通って名瀬から二時間五十分もかけて古仁屋の被災地を訪れました。しかし、この県道も至るところでずたずたにがけ崩れや道路決壊等があり、台風災害のつめ跡を激しく痛感させられたところでございます。  その前日、国土庁が音頭をとられまして各省庁の代表の方々現地調査をされ、建設省は緊急調査のため査定官を残されたと伺いました。迅速な対応にまず感謝をする次第であります。  私たちの調査団は、笠利、竜郷、名瀬、瀬戸内町そして古仁屋の被災地現場を視察すると同時に、各自治体の意見も聞きながらビデオ等も見せていただきました。台風通過後四日目というのにまだ足を踏み入れられない孤立した集落もございまして、正確な被災状況の把握が困難でもあったところでございます。  九月二十九日現在の被災状況では、人的被害が、死者十三人を含む重軽傷者六十一人、住宅被害は、全壊百四十六棟、半壊四百十六棟を含む四千四百三棟、非住家で、全壊四百四十五棟を含む一千六百三十七棟、被災総額では百六十四億八千九百八十一万円ということで、その主なものは公共土木の六十二億、農業関係の五十九億、こういう形になっておるところでございます。  以上の実態を踏まえながら、住民の声を参考にしてまずお伺いをしたいと思いますが、国土庁、各省庁で現地調査をされましたけれども、そのときの感想とこれからの対策あるいは見解についてお伺いをいたしたいと思います。
  43. 田中基介

    田中説明員 今回の台風十九号による災害の中で多数のたっとい犠牲者が出るなど大変大きな被害が生じました奄美大島に、九月二十一日関係四省庁の担当官と一緒に参りまして、被災地を目の当たりにいたしました。また、県、町などの関係者から実情を詳しくお伺いいたしました。被害が予想以上に大きく、改めて災害の恐しさ、それからまた防災対策の重要性を痛感した次第でございます。  現地被害状況等から見まして、被災者の救済、救護に万全を期するとともに、早急に復旧作業を進める必要があるということで、帰りまして早速状況大臣報告いたしますとともに、九月二十五日に第二回目の災害対策関係省庁連絡会議というものを開催いたしまして、ただいまの現地調査の結果等を踏まえて、引き続き住民生活の安定のための各般の対策に万全を期するため、申し合わせを行ったところでございます。  奄美地域につきましては、台風の常襲地帯ではございますが、台風がやってきても災害は起こらない、そういうように、地域の実情を踏まえた、災害に強い地域づくりをこれから一層進めていく必要があると強く感じたところでございます。  以上でございます。
  44. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  ただいま先生からお話がございましたように、政府合同の担当官派遣に引き続きまして、建設省といたしまして、引き続き災害査定官を現地に残しまして、二十二日から二十四日にかけて緊急調査を実施してまいりました。その時点で奄美地区で判明しておりました災害は二百五十二カ所ということでございました。私どもも新聞、テレビ等で被害の概況は承知しておりましたが、担当官が帰りまして、つぶさにその結果報告を聞きまして、被害の甚大さを改めて痛感いたしました。早期復旧の必要性ということをまず第一に感じた次第でございます。  以下、若干対応等につきまして御説明をいたします。  緊急調査はとりあえず当時準備ができておりました十八カ所につきまして実施をいたしました。  その内訳は、応急工事を指示したものが四カ所、それから災害復旧工事の査定前の着工を認めたものが十二カ所、さらに復旧工法等の指導をしたものが二カ所ということでございます。  その主なものを申し上げますと、瀬戸内町の土砂流出災害につきましては応急対策の指示をしてまいりました。それから国道五十八号線の地すべり災害については、交通機能を早急に確保するための仮設道路工事を指示してまいりました。それから二級河川の小宿大川、こちらは民家に接近して河岸決壊等がございました。これらの二次災害を防ぐための復旧工事の査定前の着手等について指導してまいりました。  以上でございますが、現時点で奄美地区災害は三百四十二カ所、二十七億五千万というふうに報告を受けております。なお、引き続きまして県等から相談のありました内容につきましては、現地調査をいたしました査定官も交えて適切な指示をし、現在応急復旧等を進めている状況でございます。  以上でございます。
  45. 有川清次

    ○有川委員 大臣の方に写真を示しておりまして、大きい方は被災の大きかった高丘地区災害状況でございます。そのほかにもたくさん写真をそろえておりますので、生々しい現地の写真を見ながら十分な対応を要請しておきたいと思います。  今御回答がございましたが、特に緊急な応急四カ所の対策が示されたわけでありますが、非常にありがたいというふうに感謝いたします。  ただ、災害のあった高丘地区は、導流堤もなくて砂防ダムも一切なかったわけでありますが、大湊地区は、一人死亡のところは砂防ダムがございました。ここも満タンになっておりますけれども、次の大きな、高丘地区のような土石流が来ればひとたまりもないのじゃないかという心配がありまして、もう一つ大きな堤防が必要だなということを痛感したところでございますが、そうした点について建設省の意見、御判断はどうだったでしょうか。
  46. 松下忠洋

    ○松下説明員 御説明申し上げます。  奄美大島の瀬戸内町におきましては、先生お話しのとおり、台風十九号によりまして三カ所で土石流が発生いたしまして、特に高丘地区におきましては死者十一名、家屋全壊十戸という悲惨な被害が発生したわけであります。このような土石流災害から人命や貴重な財産を保全するために砂防ダム等の建設による整備を実施してまいりましたけれども、これにあわせまして、警戒避難体制の整備に役立てるようなソフト面の対策も加えて総合的な土石流対策を推進してきているところであります。  この高丘地区におきましても、今後も、対策といたしましては、今回の豪雨によって発生いたしました大量の不安定な土砂がまだ山腹等に堆積しております。そして、次期出水等で土砂の流下が予想されるために、鹿児島県からの申請もあって、再度災害発生防止のための措置を、ハード対策それからソフト対策あわせて早急に検討して実施してまいりたいというふうに考えております。
  47. 有川清次

    ○有川委員 奄美の土壌は、現地を見られた方はよくわかっていると思いますが、赤い岩石が粉々に砕けたような状況の積み重ねの箇所が非常に多くて、私たちも行きましたけれども、県道沿いの至るところで、擁壁があればその上の土砂が下の方に崩れてくる、網が張ってあれば網を押し出して崩れてくるということで、その連続の状況でございまして、あらわになった山肌も同じような土壌のようでありました。こうなってまいりますと、この地形、地質に合った思い切った対策道路建設する場合も必要だと思いますが、その辺の研究あるいは対策についてどのような考え方を持って帰ってこられたのか、お伺いをしたいと思います。  また、あわせて二十号の関係で、大隅半島の南部がずたずたに交通遮断などをやられたのですが、写真に示してあるとおりに、直径一メーター、二メーターもあるような大変大きな丸石がどっと流れ出して、建設省が設置した国道の上の落石防護さくなどは非常に大きなものでありますけれども、それを簡単に打ち砕いて、国道を越えて海側に突き出すという状況があります。これは火山灰土の中に大きな丸石が各所に山積しておる、こういう状態の土壌でございまして、それが各地で崩壊したという状況になっております。  そのことなどを考えますと、この辺の、その地域に応じた十分な防護対策をしないと一般的な対処ではとても追いつかないのじゃないのか、こういう心配をするわけですが、その辺のことについての見解をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  48. 宮地昭夫

    ○宮地説明員 お答えいたします。  道路の構造物は地質に合わせまして設計施工しております。初めの奄美地方でございますが、奄美地方の地層は四万十層と呼ばれますが頁岩、砂岩を主体とする地質構造となっております。頁岩につきましては、水を含むと粘土化しやすい。奄美地方に限らず土木構造物の設計施工に際し注意を要する地質とされております。  具体的な工法としまして、擁壁につきましては、奄美地方は雨が多いためわき水が多い箇所での井げた擁壁の採用に留意しております。また、のり面につきましては、土質に応じたのり勾配を採用する。状況に応じてコンクリート枠工、コンクリート吹きつけ工ののり面処理工、またロックネット、ストーンガード等の落石防止工等の施工により、のり面崩壊を防ぐよう努めております。  また、大隅半島の問題でございますが、大隅半島にはシラス、真砂土等の雨に弱い特殊土壌が多く、豪雨によって落石が生じやすい箇所が多くあります。災害の発生が懸念される箇所につきましては、従来から防災点検を実施しまして、計画的な防災対策の実施に努めております。  具体的な工法としまして、コンクリートのり枠工等ののり面処理工、ロックシェッド、ストーンガード等の落石防護工等の施工によりまして、落石等の防止に努めております。今後とも一層の防災対策を図ってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  49. 有川清次

    ○有川委員 ただいま御回答いただきましたけれども、今度の災害の後、奄美の道路を通られた方はおわかりだと思いますが、その工法がほとんど生かされてない、役立っていない。ずたずたにやられているではないですか。だからもっと検討せにゃいかぬ。そして大隅半島の場合も、防護さくがどんどん飛んでいくような災害を起こす、そういう状態が繰り返されたのでは困るということで私は申し上げておるわけでございまして、その点十分な今後の検討、対策をお願いを要請しておきたいと思います。  次に、国土庁長官にお伺いいたしますが、災害復旧対策並びに被災者の救済については、地元自治体でも十分全力を挙げて頑張っているところでありますけれども被害が極めて甚大でありまして、早期復旧が急務だというふうに感じておりますし、またそうした見解も述べられたところでございます。激甚災害の適用が強く望まれておるところでございますけれども、先ほど来の前任者の答弁を聞いておりますと、十分調査をした上でということで御回答がありますけれども、現実にある程度の調査も終わっておりますし、そしてこれまでの実例などを考えますと、当然奄美大島の場合は激甚災害を適用して早期対策をしなければならない地域だというふうに私は思いますが、大臣も恐らくそう理解をされておると思いますけれども、見解を、特にこの地域に絞って、しかとお答えをお願いしたいと思います。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 有川先生にお答えしますが、まず今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。  今、先生指摘激甚災害指定につきましては、もうこれは先生御存じのとおりでございますが、災害被害状況に応じまして行うものでございまして、今回の台風十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨による災害被害状況については、現在関係地方公共団体及び関係省庁において鋭意調査を進めているところでございますが、確定的な数字がまとまるにはいましばらく時間がかかると思っております。  そんなことですが、現在災害対策関係省庁連絡会議等を通じまして把握している被害状況からしますと、昨年の災害に対する適用例等から見ても農地等災害復旧事業については激甚災害としての基準を超える可能性が高いのではないか、このように考えております。被害額等の精査を急ぎ、指定について早急に関係省庁との御協議を進めるなどしてまいりたいということでございまして、大体先生の理解と同じ、このように御理解していただいたらよろしいと思います。
  51. 有川清次

    ○有川委員 ありがとうございました。  そうした見解ですが、現地の生の声がありますから、また実態がありますので、あしたの生活があり、あしたの命がありますから、ぜひ早い機会にそうした判断をして、十分な対応をしていただきますように強く御要請申し上げておきたいと思います。  次に、時間の関係で農林関係についてまとめてお伺いをいたしますので、それぞれ簡潔に御答弁をお願いを申し上げたいと思います。  一つは、災害を受けた農林水産業の経営を早急に安定させるために天災融資法の適用、自作農維持資金の融資枠の確保、現在の貸付制度資金の償還条件の緩和など制度資金、金融対策についての見解、二番目に、サトウキビ等非常に大きな被害も受けておるわけでありますが、共済資金等の速やかな支払い、三番目に、災害復旧に対する査定を急いでもらって早期復旧を図ること、四番目に、人家、公共施設、田畑地に重大な被害を与えた山腹崩壊地の早期復旧を図るため緊急治山事業の採択をしてほしいこと、五番目に、防潮、防風林の倒壊、倒木等が非常に大きかったわけでありますが、樹木の選定や今後の対策についてどうされようとしておるのか。以上五点について順次簡潔に回答をお願いしたいと思います。
  52. 山田栄司

    ○山田説明員 お尋ねの第一点は天災融資法の問題でございます。御案内のとおり天災融資法発動につきましては、農作物等被害が著しく、かつ国民経済に及ぼす影響が大であると認められる災害に限って発動するということになっております。したがいまして、発動に当たってはその天災による農作物等被害の規模、深度等を総合的に勘案して検討する必要がございます。  ただ、今回の台風十九号それから秋雨前線によります豪雨につきましては、全国的に被害を受けている、それから農林水産業全般にわたる被害であったというふうなことにかんがみまして、私どもとしても天災融資法発動については検討していかなきゃならぬというふうに考えております。ただ、個人に対する融資が中心でございますので、現在融資需要等につきまして調査を進めているところでございますので、その結果等を踏まえまして対応してまいりたいというふうに考えております。  それから、自作農維持資金等の融資の問題でございます。自作農維持資金の融資につきましては枠がございますので、県とも十分相談いたしながら対応さしていただきたいというふうに考えてございます。  それから、既に貸し付けております制度資金の償還条件の緩和でございますが、これは農家の申し出によりまして対応するものでございますが、既に九月二十九日に関係機関に対しまして十分相談に乗るようにというふうな指導をしているところでございます。  それから、サトウキビの農業共済金の支払いでございます。サトウキビの被害につきましては、現在農業共済団体等におきまして見回り調査等をやっておるところでございます。この見回り調査を受けまして損害評価を適正に行った上で、できるだけ早期に共済金が支払われるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  53. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 農地、農業用施設災害復旧についてお答えいたします。  農地、農業用施設の災害につきましては、これまで被害、被災状況の把握に努めてきたところでございますが、さらに応急工事等の実施について指導を行ってきております。  今後の災害査定につきましては、全国規模での応援体制を組むこととしておりまして、復旧計画書の作成等地元の準備が整い次第早期査定を行い、被災箇所の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
  54. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御説明申し上げます。  今回の台風十九号、二十号によります被害につきましては、十月四日現在、林野庁関係で約五百九十二億円に達しております。被害が起こりました直後に、特に被害の大きかった鹿児島奄美大島を含めまして、関係県に林野庁の担当官を派遣いたしまして現地の実態を調査するとともに、応急及び復旧対策等の指導を行ってきたところでございます。このような被害状況の把握にあわせまして、山地崩壊箇所のうち次期降雨等により人家、公共施設等に被害を与えるおそれのある箇所につきましては災害関連緊急治山事業等により、また小規模な人家、裏山等の崩壊地の復旧につきましては、今回の災害激甚災害指定された場合には、林地崩壊防止事業により早急に復旧を図ることとしております。また、林道施設や治山施設の被害につきましても、現地の準備が整い次第早急に現地の査定を実施したいし、再度災害の防止に万全を期していきたいと考えているところでございます。  第五点目のお話でございました奄美大島におきます防風林、防潮林の被害復旧対策でございますが、今回の台風によりまして防風林、防潮林の倒木等被害があったということでございますが、現在鹿児島県において、その実態について鋭意調査中でございます。倒木等被害が保安林である場合には、保安林改良事業等により植栽、保育を実施してまいる予定でございます。また、保安林以外の普通林であった場合には、被害地の被害地造林等により植栽を行う事業がございまして、現地調査の結果を踏まえ適切な対応を図っていきたいと考えてございますが、適地適木という観点に立ちまして今後の復旧を図っていくことが必要であるというふうに考えております。
  55. 有川清次

    ○有川委員 それぞれ適切な、前向きな取り組みを、構えを示した答弁がありましてありがとうございました。その方向で努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、災害救助法の適用の関係でありますが、奄美を回りまして、各自治体の方からそれぞれ御意見がございました。算定基準の中に、床上浸水は〇・三見られておるけれども、一部破損はゼロになっておる。ところが現実には、壁が破れたり屋根が飛んで家財道具ほとんど台なしになって、床上浸水並みのあるいはそれ以上の災害を受けておる現場もたくさんあるのだ。とすれば、最低基準の中で〇・二ぐらいはこれを査定の中に入れたらどうか、こういう要請が強くありましたが、御見解をお伺いいたします。
  56. 松本省藏

    ○松本説明員 御説明を申し上げます。  今回の台風十九号で奄美大島五つの市町村災害救助法が適用されたわけでございますが、災害が発生いたしました際の応急救助でございますが、これは先生既に御承知のとおり、まず第一義的には市町村対応することになるわけでございますが、市町村対応し切れない大規模な災害という事態になりますと災害救助法発動されて、それに基づいて応急救助が行われる、こういう仕組みになっているわけでございまして、その際の大規模災害の判断の基準として被害状況をどう把握するかということになっているわけでございます。現在住家の被害状況につきましては、国全体として統一的な扱いをしているわけでございまして、御承知かと思いますが、まず全壊それから半壊床上浸水床下浸水、それから残余の一部破損、こういう整理になっているわけでございます。  今申しましたように、災害救助法という法律に基づいて救助を行うべき大規模災害の認定の際のメルクマールと申しますか、それにつきましては現在、全壊半壊床上浸水、この要素をもって基準としているわけでございます。被害認定の国全体の統一基準の中でさらに一部破損の中を区分をいたしまして特別に扱うというようなこと、現実に災害が起こっている現地状況等、事務的な対応その他考えますと、これは先生の御指摘ではございますけれども、なかなか難しい問題があるのではなかろうかと考えておるところでございます。御理解を賜りたいと思います。
  57. 有川清次

    ○有川委員 時間が少なくなりましたので、二十号台風の関係について若干質問を申し上げたいと思います。  二十九日に種子島、屋久島の近海を通って大隅海峡を抜け、北上しながらまた宮崎県など各地災害をもたらしたわけでありますが、種子島、屋久島、大隅半島はまさに二重のパンチを受けた状況になりました。瞬間最大風速は四十七・六メートル、そしてまた二十九日の雨量は甫与志岳で三百二十六ミリ、高山町で二百八十五ミリ、佐多町で二百七十六ミリ、大変雨の強い台風で土石流が流出したり、あるいは農地をずたずたに土砂で埋め尽くす、こういう状況が生まれてまいりました。たまたま皆さん方の機転によりまして埋まった人二人は直ちに救出ができた。あるいは根占町の大浜では、がけ崩れがあるぞということで一人の人が七軒電話をして、飛び出した途端にがけ崩れで、間一髪助かったというなど、前の災害を教訓にしながら大変機転のきいた皆さんの努力によって、死亡事故こそありませんでしたが大変な状況だったというふうに理解をしておりますし、私も三日間駆け回りまして、写真も示しておりますが、それを見ていただけば一目瞭然だというふうに思います。  人的被害は重軽傷七人程度でございますが、農業関係の四十八億円を筆頭に百十三億八千万程度の被害が見積もられておるわけでありまして、まだ進むにつれて大きくなってくるだろうと思いますけれども、これもまた激甚災害についての取り扱い、ぜひ十分な調査の上、大隅半島は二重のパンチを受け、農地復旧等がもう非常に困難になっております、高齢化しておりますし、そのまま放置されたら中山間地域はどうにもならない状況があろうかと思いますので、大臣の御努力を要請をしたいと思いますが、一言見解だけお聞かせください。
  58. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生仰せられましたとおり、激甚災害指定に先立ってまず調査が先決でございます。現在関係地方公共団等において鋭意調査をいたしてございますので、調査結果を待ちまして対処してまいりたいと存じます。
  59. 有川清次

    ○有川委員 林野庁にちょっとお伺いしますけれども、根占町から佐多町に至る海岸沿い、非常に急峻な山岳地帯が海に迫っており、中山間地域の段々畑があり、その間に住宅があるわけでありますが、道路が寸断されておりまして近づけなかったので、私船からずっと見て回りました。ところが、がけ崩れがした主な地域はほとんど伐採が進んでおりまして、山肌があらわになっておる、そういうところががけ崩れをしておる。調査してみますと、ほとんど民有林だという状況でありまして、森林保全あるいは自然環境を守る、災害を防ぐという立場からこうした対策についてどのような指導がされておるのか、考え方なりお聞かせを願いたいと思います。
  60. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御説明申し上げます。  鹿児島県の根占地区におきます山地崩壊の現状でございますが、鹿児島県からの報告によりますと、十月四日現在で今回の台風二十号により三十カ所の山地崩壊が発生しているとのことでございます。なお、現地状況等につきましては、詳細につき現在調査中でございますので、詳しいことは申し上げられませんが、報告によりますと、主として海岸の急傾斜地に残っております天然林で発生したというふうに聞いてございます。そういう災害防止のための森林整備のあり方につきましては、林野庁におきましては、従来より普通林につきましては森林計画制度、保安林につきましては保安林制度に基づきまして適切な森林施業が行われるように指導するとともに、特に公益的機能発揮の要請の高い森林につきましては、皆伐を行わない複層林施業や育成天然林施業の導入を図るよう指導しているところでございます。  今後とも立地条件を踏まえまして、適切な施業により、国土保全等森林の公益的機能が確保されるよう指導してまいりたいと考えております。
  61. 有川清次

    ○有川委員 時間がございませんので、はしょって要望めいて申し上げてみたいと思いますが、高山の漁協で養殖業、六十六基が県や国の指導基準に基づいて係留しておったけれども、全部浜に打ち上げられまして、周りにある定置網もずたずたになって、大体損害額が十数億円というふうに見込まれております。カンパチ、タイなど六万五千九百匹、これは二年物。一年物で六万六千三百八十四匹というのが無残にも死骸が横たわるという状況があるわけでありますが、今後の対策につきまして漁業近代化資金、農林漁業金融公庫資金あるいは漁業経営維持安定資金など融資枠の拡大と今までの借入金の償還等の緩和措置等の緊急な対応が必要だというふうに思うわけでありまして、こうした対応をぜひしていただきたいということを申し上げ、御見解をちょっとお伺いをしておきたいと思います。  なお、最後に宮崎関係、先ほど中山委員から質問がございました。私も宮崎には足を踏み入れませんでしたけれども現地の方と連絡をとりながら状況をいろいろ見聞きしてまいりましたけれども、どうしてもここも農産物の被害が非常に大きい、こういう状況下にございますので、激甚災害の適用、こういうのをばぜひ対応してもらうように要請を申し上げますと同時に、酒谷川、細田川、広渡川、福島川というところがダム工事中あるいは前から言われておりながらも、なかなか工事が進まずはんらんをして床上浸水を来し、あるいは田んぼを河原のようにした、こういう状況下にあるようでありますから、土木、建設関係の緊急なそうした対応をこれは要請しておきたいと思います。  さっきの質問をちょっとお願いします。
  62. 二木三郎

    ○二木説明員 お答えいたします。  今回の災害に対しまして、水産庁といたしましては、既に公庫資金とか近代化資金の借入金の償還の困難となった人に対しましては、その人の実情に応じまして償還猶予等償還条件緩和の措置がとられるよう、既に関係機関に対しまして指導を行ったところでございます。またさらに、今後被害状況の明らかになった段階で、被害漁家等の要望を踏まえまして、いろいろな制度資金、適切な融資対応がなされるよう県等に対しまして必要な指導を行ってまいりたいと思っております。
  63. 有川清次

    ○有川委員 以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
  64. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 倉田栄喜君。
  65. 倉田栄喜

    ○倉田委員 まず、十九号、二十号の関係で被災されました方々に心よりお見舞いを申し上げますとともに、政府におかれましては、被災者に対する十分な救済、また被害箇所復旧工事、それから先ほどから出ております激甚災害指定、また防災対策の強化等々十分な対策を講じていただきますようお願いを申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。  先般、七月十二日のこの災害対策特別委員会で、私は、災害直後の被災者方々のいわゆる人心の安定と申しますか、不安感を取り除くという意味で窓口の設定、そういうことを御質問を申し上げさせていただきました。そのことに対しましては、本部体制の充実を含め、指導を徹底してまいりたい、こういう御答弁をいただいておるわけですけれども、この点に関して、例えば前回の災害のときにつきましても、各市町村ごとに窓口が設けられたところあるいは設けられておらないところ、いろいろありましたようでございます。  また、災害救助等々のいろいろな手続的なところに関しましても、非常に手続が、書類を理解するのさえ難しい、そういう声も私は聞いたところでございますので、この災害直後の窓口の設定、またその後の救済手続における相談に関しては、その後いかなる進展があっておりますか、お伺いをしておきたいと思います。
  66. 神林章元

    ○神林説明員 御指摘のように、被災者からの御要望、御相談に適切に対応してまいりますことは、非常に重要な課題であると認識しております。  そういう意味で、私どもといたしましては、中央防災会議決定を受けました六十三年三月の長官通知等におきましても、救護対策の迅速かつ弾力的な実施について指導を申し上げているところでございます。この場合、御案内のように市町村がまず第一義的に被災者の要望、相談に応ずることになるわけでございますが、今後とも研修会の開催等によりまして、関係職員の知識の向上を図りながら、それぞれ団体の実情に即しました対応を図られますよう、都道府県を通じて指導してまいりたいと思います。  なお、この際、九月七日に熊本県さんが全市町村の担当課長を集めまして、被災者の救済に関する研修会を開催いたしたわけでございますが、これは非常に高く評価されたわけでございまして、その成果は今後十分に活用してまいりたいと考えております。
  67. 倉田栄喜

    ○倉田委員 例えば今回の台風二十号の場合ですけれども、ちょうど九月二十九日夜半から豪雨が生じたわけでありますけれども、二十九日土曜日、それから三十日は日曜日ということでございます。こういういわゆる休日に災害が起こった場合について、現在の対応はどのようになっておるのかお伺いをしておきたいと思います。
  68. 神林章元

    ○神林説明員 一般的に申しまして、日曜日等に災害が発生した場合も含めまして、各地方公共団体の防災体制については、それぞれの地域防災計画において具体的に参集基準が定められておるわけでございます。なお、御指摘の消防職団員等の緊急招集につきましては、特に各消防機関において事前に具体的な非常招集連絡体制が定められておりまして、これによって対応し、実際の職員等に対する連絡手段は個別の電話あるいはサイレンなどを鳴らす等によりますほか、テレビ、ラジオ等で情報を覚知した職員につきましては命令がなくても登庁するという体制となっております。
  69. 倉田栄喜

    ○倉田委員 どうか自治省におかれましては、窓口の設定あるいは休日等の対策等々も含めて、新しい体制を検討することを含めてもひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして、建設省の方にお伺いをしたいと思うのですけれども台風による豪雨によって道路に水があふれてしまう。これは記録的な豪雨の場合についてはそういう事態は個々生じるわけでございましょうけれども、仮に記録的な豪雨に至らない状況においても道路に水があふれてしまう、そういうケースがよく見かけられるわけでございます。道路に水があふれるということについて、側溝、排水溝でございますね、これは現在どのような考え方で設置をされておられるのかお伺いをしておきたいと思います。
  70. 宮地昭夫

    ○宮地説明員 お答えいたします。  道路構造令第二十六条で「道路には、排水のため必要がある場合においては、側溝(こう)、街渠(きょ)、集水ますその他の適当な排水施設を設けるものとする。」と定めております。本政令に基づきまして、道路敷地内に降った雨水を排出することを目的とした道路の排水溝の整備を図っております。道路の排水施設は雨などの影響による道路の劣化を防ぎ、また路面の冠水を防ぎ、道路交通の円滑化に役立つものでありまして、非常に重要なものであります。適切な構造を定めまして施工しております。排水施設の構造につきましては日本道路協会におきまして道路土工、排水工指針を作成しており、その中において側溝についての断面決定の考え方が示されております。各道路管理者はこの指針を参考とし施設の構造を定めております。  以上でございます。
  71. 倉田栄喜

    ○倉田委員 関連をいたしまして、都市計画法による開発許可を求められる場合ですけれども、それについての排水あるいは集水の計画は大体どのような考え方で現在許可がおりているわけでございますか。
  72. 瀬野俊樹

    ○瀬野説明員 御答弁申し上げます。  都市計画法上の開発許可におきまして開発区域の排水施設の関係でございますが、開発区域の規模あるいは当該区域の地形あるいは予定されている建築物の用途あるいは当該地域降雨量といった要素を勘案いたしまして、そこから想定される汚水及び雨水を有効に排出できるように管渠の勾配あるいは断面積を定め、これを下水道、河川等に接続するようにということで技術基準が定められております。なお、この排水施設の管渠の勾配及び断面積は五年に一回の確率で想定される降雨強度値以上の数値を用いて算定して、有効に排出することができるものとするように規定がなされているところでございます。
  73. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先ほどの御答弁ですと、道路道路に降った分だけの雨量というものを計算して側溝を設ける、それから開発許可を必要とする場合には、これは恐らく下水道、河川に直接ということで、道路には直接流さないようにはなっていると思うのですけれども、開発規模が許可基準以下の場合、それから最近の宅地開発等々によりますれば、いわゆるアスファルト化されて、浸透水が道路に集まってきているような状況になっているのではないのかというふうに思うわけでございまして、その点を考えますと、道路の排水溝等々が現在の状況でいいものかどうか非常に疑問に思うわけでございますので、その点検討していただくよう御要望申し上げますとともに、また都市開発の許可基準については指導の徹底をお願いしたいというふうに思います。  続きまして、今回の二十号の関連でございますけれども、例えば宮崎市内を流れる一級河川の小松川がはんらんをいたしております。さらにほかのところでもはんらんをした箇所があると思いますけれども、この小松川等を初めとする改修計画というものは現在どのようになっておりますでしょうか。
  74. 日野峻栄

    日野説明員 御説明申し上げます。  小松川につきましては、大淀川との合流点に排水機場をつくりまして、これは今直轄事業でやってございます。それから補助事業としましては、小松川そのものの改修を中小河川改修事業で実施いたしております。直轄事業として建設中の排水機場、十五トンの排水量を持っておるわけでございますが、これは六十二年度に着手をいたしまして今年度末に大体の概成を図りまして、来年度の出水期には稼働させる予定で今鋭意工事を進めているところでございます。小松川の中小河川改修事業の方は昭和六十一年度に着手をいたしておりまして、小松川の掘削とか護岸、それから中流部から大淀川へ放水路をつくろうということで、現在その用地買収を進めているところでございます。今後とも計画的に改修を促進いたしまして、小松川流域の治水安全度の向上に努めてまいりたいというように考えております。
  75. 倉田栄喜

    ○倉田委員 以上、ただいま御質問申し上げました点を含めまして強く要望を申し上げまして私の質問を終わり、後の点は我が党の薮仲委員の方にお願い申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
  76. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 薮仲義彦君。
  77. 薮仲義彦

    薮仲委員 質問に際しまして、今回の災害で亡くなられた方々に対しまして心から御冥福を祈りつつ、さらに被災された方々が一日も早く元気に再建の途につかれますことを心から期待しつつ質問をさせていただきます。  最初に、台風十九号の関連でございますけれども岡山県の我が党の県本部から特に、刀で有名な備前市とか長船町等の河川改修の問題で要請がございました。かわりまして私が御要望をしておきたいのでございますが、千町川、干田川、油杉川、こういう河川が非常にはんらんしております。あの地域は非常に標高が低いといいますか、水位の勾配もなくて、河川改修に非常に苦労していらっしゃるということも十分承知いたしております。同時にまた、私の地元静岡県の三島市の大場川、これはテレビでもごらんになったと思いますけれども、目の前で家屋河川の中に流出するという事態でございました。我々も何とかという気持ちもございましたし、その衝に当たられる建設省初め関係の省庁の皆さんのお気持ちも大変苦しいものがあったと思うのでございますが、いずれにしましてもこの大雨による、想像以上の大雨であったことは事実でございます。しかし、国民の側からいいますと、何とかこれを安全な河川にしてくれないかという要請もございます。  そこで、ただいま申し上げました千町川、干田川、油杉川あるいは三島の大場川、もう二十一号が目と鼻の先に来ております、そうしますと、国民の側、町民の立場では応急復旧を急いでください、それから再度災害を起こさないようにしてください、さらには完全な治水計画に基づいた河道の改修をやっていただけませんか、これが一番の切なる願いだと思います。特に、現在二十一号も近づいておりますので、緊急に安全な、できる限りの、万全といってもこれはこの時間でできるわけではございませんけれども、今できる最善を尽くして再度災害を防止するように私は心から期待し、その努力をお願いしたいわけでございますが、いかがでございましょう。
  78. 日野峻栄

    日野説明員 御説明を申し上げます。  先生ただいまお話しの千町川、干田川につきましては、昭和五十一年度に実は大きな出水がございまして、そのときに激甚災害対策特別緊急事業、通称激特事業と言っておりますが、その採択をいたしまして、五十一年度から五十五年度までの五年間におきまして、千町川におきましてはポンプ十トンをつくりました。それから吉井川への放水路約千四百メートルでございますが、これを施行いたしました。また干田川におきましてはポンプ十五トン、それから吉井川への放水路もやりまして、河川改修も千五百メートルを当時実施してございます。その後も千町川につきましては局部改良事業とかあるいは中小河川改修事業で放水路の護岸整備あるいは用地買収を実施してきております。干田川につきましては、支川香登川を含めまして、中小河川改修事業用地買収や掘削、護岸等を実施してきております。それから油杉川につきましては、昭和五十六年度より局部改良事業用地買収を完了いたしまして、下流より掘削、護岸を実施してきているところでございます。  今回の出水の被害でございますけれども、まず総雨量が四百ミリを超えるという非常に大きな雨でございまして、特に五十一年のときの災害に比べまして、一時間雨量あるいは二時間雨量が今回相当上回っております。それから、整備された区間におきましては浸水決壊被害はなかったわけでございますが、未改修区間の流下能力がどうしても低うございますので、そこから浸水したものと考えられます。しかし、この被害状況は、五十一年から比べますと、浸水家屋数あるいは浸水面積にしましても大体半分ぐらいになってございます。  いずれにいたしましても、治水対策と申しますのは、人命、財産を自然災害から守ることによりまして、人間生活とかあるいは地域社会の存立を可能にする、国民の生活基盤の中で最も優先的に整備されるべき根幹事業と考えておりまして、平成三年度概算要求におきましても、生活関連経費重点化枠要望として、浸水被害を生じた地域において緊急的に河川改修を実施いたしまして再度災害防止を図る生活防災対策事業、こういうものを要望しておりまして、治水事業予算の確保に努めているところでございます。千町川、干田川等につきましても、今回の出水状況にかんがみまして、岡山県とも協議をいたしまして、再度災害防止のための対策を検討しているところでございます。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  79. 薮仲義彦

    薮仲委員 大場川の答弁がございませんでしたけれども、しっかりやってください。——結構です、時間ございませんから。  私は、先般来、大臣初め関係省庁にお願いをしまして、防災上の観点から詳細な情報を国民に提供してほしい。行政がすぐれた情報を持っております。そのすぐれた情報は各地方自治体まで行っておるわけです。そこから我々住民の側へアクセスしてもらう。国土庁なら国土庁の持っている情報、建設省の持っている情報等を国民にわかりやすく、しかも緊急の対応ができるような形でアクセスしてほしい。そういうことで先般長官からも心強い御答弁をいただきました。テレビに河川情報を流しましょうという御答弁をいただいて、その後関係省庁が相寄り協議を重ねてくださいまして、見事台風十九号、二十号ではそれぞれ警戒水位の情報あるいは土砂災害に対する教育的な放映をしてくださいました。私は国民の一人として本当に関係者の御努力に心から敬意を表しておるものでございます。また、このことは将来のために非常に大事なことだなと。長官国土庁の防災局あるいは郵政省の放送行政局がキーステーションになって関係省庁と鋭意協議をしてくださった。建設省河川河川計画課は、何とか河川情報を提供しようと努力をしてくださった。また、河川局の砂防課を中心に気象庁や自治省の皆さんが知恵を出し合って土石流の情報整備に一生懸命努力してくださった。それを受けてNHKや民放の皆さんが第一歩を踏み出してくださった。私は今回の第一歩は非常に貴重だと思うのです。やがてこれが、五年、十年、五十年という時間がたったときに国民がテレビを通じて本当に安心して対処できるような情報に完成されることを心から期待をしつつ、重ねて関係者の御努力に対して感謝と敬意を表するものでございます。  私は、きょうはこのことを通じて大臣ともう一歩論議を進めさせていただきたいと思うのです。それは何かといいますと、きょうは余り時間がございませんから、先ほど大臣に水位の情報の写真などをお届けさせていただきました。それから、きょうここで大臣にも見ていただきたいのは、これは紙芝居のようで恐縮ですけれども建設省河川局砂防課が中心になって、気象庁や関係省庁と御協議いただいて、土砂災害をどうするか。今度も一番被害の多かったのは土砂災害です。これは全国ネットで放送されたのです。三十日の午前三時、日本気象協会中村次郎さんの画像が出ておりますけれども、これは何が出ているかといいますと、我々はよく、雨が何ミリ降りますと、言葉ではわかるのですけれども、雨って何ミリ降るとどうなるのかということ、生活の関係がわからないわけです。しかしこれは、何ミリということはどういうことか、雨の目安を教えてくれているわけです。五ミリから十ミリですと雨の音が聞こえ水たまりができますよ、十ミリから二十ミリになりますと一面に水がたまって、雨の音で電話が聞きにくいですよ、それから、二十ミリから三十ミリ降りますと激しい雨で、小河川ははんらんしますよ、そして大雨注意報が気象庁から出されますというような画像になっているわけです。それから、こうなってきますと土砂災害の危険が出てきます、斜面から小さな石がおっこちてきますよ、斜面に亀裂が発生しますよ、山鳴りや地鳴りがしますよ、わき水が異常に出ますよ等々の前兆現象を教えて、避難は早くしましょう。これはいわゆる台風の情報として非常に貴重なデータだと私は思うのです。  というのは、大臣、この画像をイメージしていただくのに、通常の朝のテレビが放映されている状態をおいておいて、今台風二十一号がもう沖縄に近づいております、きょう大臣がおうちにお帰りになって、夜の十二時を過ぎますとNHKは台風情報を四画面で流します。その四画面が終わりますと音楽が流れて、一時、二時、三時。異常がない限り定時放送が始まるわけです。あの時間を想定していただきながら台風に関しての話を私はしているわけですが、台風というのは、マリアナとかフィリピンとかグアム島で発生して、十九号はグアム島ですが、近づいてくるのに十時間、二十時間という時間があるわけです。きょうあたりから各報道機関台風について報道を流します。きょうの十二時からもNHKは夜通しやると思うのです。その期間にこういう情報をきちんと流してもらえないか。さっき大臣に事前にお渡ししたのは、今全国ネットで定型化されているのはもう大臣御承知のいわゆる雲画像ですね。これは台風二十号の雲画像です。それからこちら側には予報円、それから雨量。この三つは定型化された画像として、我々国民はテレビを見るときに、雲画像が出るな、次は予報円だな、アメダス雨量計でこういう雨量のビルが立ち上がるな、この三つはわかるわけです。ただもう一つ、そこで私はあの時間の中で考えていただきたいのは、やはり河川情報というのは非常に重要だ。避難するにしても土砂災害にしても雨の量と水位の移行というのは非常に大事ですから、NHKの全国ネットの定型化された放映の中に何とか、今まで御努力いただいてきているわけですから、河川情報も自然と放映していただけないだろうかというのが私のきょうの一番の希望でもあるわけです。  なぜこれを申し上げるのかというと、台風というのはじわじわじわじわ来ますから、例えば沖縄にいるとき、九州の河川はどうなのかな、四国の河川はどうなのかな、そして中国、中部の河川はどうなんだろうということが水位の状態としてわかりますと、ああ台風が近づいてくる、ああ九州の水位が上がってきたな、あるいは今度四国が上がってくるぞ、中国だぞ、東海だぞとわかりますから、そうすると逃げる用意もきちっとできるわけでございます。そういう意味で、水位の情報をもう少し何とか考えていただきたい。これが一つなんです。  と同時に、大臣、もう一つ大事なことがあるのです。  今度の台風十九号あるいは二十号を通じてマスコミの報道を全部集約して何が言われたかといいますと、大きな教訓が幾つかあったのです。その一つは、昭和の三大台風と言われます室戸、枕崎、伊勢湾、これは最大、最高に大きかった台風です。いわゆる中心気圧が九百十ミリ、十一ミリとかそういう大きな台風ですね。このときの亡くなった方は、残念ながら室戸台風のときは三千六十六名、枕崎は三千七百五十六名、伊勢湾台風は五千百一名の方が亡くなるなり行方不明になっているわけです。しかし、第二室戸と同じと言われた十九号台風のときに亡くなった方は、非常に残念ですけれども、四十数名いらっしゃったわけです。これも本当に残念です。でも、この中で言われていることがあるのです。何が言われたか。なぜこれだけ被害が少なくなったか。一つは建設省初め地方自治体の努力によって河川の治水対策が進んだ、二番目は通信情報網が格段に進歩した、三番目は防災情報が豊富になった、マスコミのいろいろな社説や何かを読むとそういうことが言われているわけなんです。  それからさらにもう一つ、これは長官に今後のために考えていただきたいのは、この社説にもございますけれども「早くから防災関係者が厳重な警戒態勢をとった。」今度の台風はまれに見る大型だぞと関係省庁が万全の態勢に早くから入った。このことによって住民の避難が徹底された。ということは、準備と避難が徹底されたことによって非常に被害が少なかった。  残念なことに、ここに読売新聞の記事があるのです。「急げ土石流対策 台風十九号の教訓」というところなんですが、ここに、今回最大の犠牲者を出した鹿児島奄美大島の瀬戸内という地区ですが、そこでは住宅が十三戸のみ込まれ、十人が死亡し、一人が行方不明になったのです。このとき何があったかというと、奄美大島の当局は、雨は強かったがまさか土石流が起きるとは思わなかった。その油断が避難勧告を出す時期をおくらせ、住民は逃げるタイミングを失った。一方、同じとき香川県小豆島池田町では、六百六十四ミリも雨が降ったのに、しかも町民六千三百人のうち危険地帯に住む千人が逃げちゃった。一人も死ななかったのです。いかに用意と対応が大事か。これは奄美のことを申し上げて非常にお気の毒で申しわけないのですが、「奄美大島の場合、災対本部が町内見回りの消防車を巡回させたのは、山が崩れ出す寸前。目の前で発生した土石流にあわててポンプ車のスピーカーから避難を呼びかけた」これは新聞の記事です。私は現地を知りません。でも、これは真実に近いと思うのです。ということを見ましても、やはり情報そして避難。小豆島には何があったかというと、これは建設省御苦労さまと言いたいのですが、建設省の労で昭和六十二年から推進している土石流発生監視装置があった。ですからこの見出しも、「明暗分けた避難勧告「監視装置」有力な判断材料に」避難の判断材料さえあれば千人からの人が命を失わないで済んだ。片やそれがおくれたために多くの方が死んでしまった。  また、新聞をずっと読んでいきましたら、伊勢湾台風のことが書いてあるのです。伊勢湾台風で最大の被害地愛知県は、前回は物すごい被害に遭ったのです。ところが今回は死者、行方不明はありませんでした。このように、行政側の対応と避難勧告がありますとこれは十分対応ができるのかなということを私は今回のあれからしみじみ感じておるわけです。  と同時に、消防庁資料にもございますけれども、もう長官御承知のように今回の死亡者のほとんどは土石流なんです。土石流でほとんどの方が亡くなっている。このことについて新聞の記事をそのとおり読みますと、土石流は「毎年確実に人命を奪っている。土砂災害のメカニズムは世界の防災科学をもってしてもいまだに解明されていない。」ある程度はわかっている。ならばどうしたらいいか。今七万カ所も危険なところがあるのです。一挙に直せといって砂防課長が一生懸命やったって間に合わない。じゃどうしたらいいんだ。今さしあたってということで新聞の書いてあることは、危険箇所の周知徹底と警戒だ、地域の人はどこの山が、どこが危ないかわかっているんだ、周知徹底させてやったらいいのだ、そしてあとは避難の体制をしっかりすることが人命を救うことじゃないのかというこの報道の指摘があるのですが、私がここでかねてから長官にもお願いして、防災マップを推進してください、これは今モデルがどんどん進んでいます。同じように、私の地元の静岡市では国土庁のものをモデルにして全戸に防災マップが来ました。うちへも来ました。あれを見ると、限りなくマグニチュード八に近い大地震で波高六メーターの大津波が来ても、ああ津波の被害はここなんだな、ススキの穂を見てお化けと思わなくていい。行政の持っている確度の高い正確な情報を住民がもらうと、そうだ、うちは津波で逃げなくてもいいんだ、ほかのことをやればいいんだ、津波という大きな被害もここまでなんだな、こうわかるわけです。そういう意味で私は、きちんとした整備、そういう意味で防災マップについて国土庁消防庁頑張っていらっしゃる。さらに私は努力していただきたいと思う。それから、土石流を一挙に直せというのが無理だったら避難箇所を地方自治体も徹底的に研究をして、危ないときには逃げる、これを何とかできないか。  それから、今申し上げたように災害対策本部というのは災害対策基本法によって設置しなければならない。非常に重みのあるものです。今度も災対本部ができて避難命令を出した、出さないといろいろありますけれども、それは私はきょうはやめておきます。私はそういうことよりも、台風が来たらば、もう来ているのですから、各県でアンテナを立ててしまう。もう建設省も、あるいは建設省河川道路も、あるいは消防庁も全部、台風が来ると三日も四日も寝ないで張りついているんですね。それだけ頑張っているのだったら私は、各県が、二十一号が来た、よし、消防も警察も河川道路も集まって一回打ち合わせをしよう。災害対策本部以前に各県で一回関係部局が集まって打合会を開いておいて、何かあったらお互いに連絡をとり合おうな、態勢をしっかりやろうなとやっておいていただければ、いざのときにさっと災対本部にかわると思うのですよ。  ですから私の申し上げたいのは、やはり防災についても防災マップ等を通じて国民に徹底してほしい。二番目は、土石流の危険を一挙に直せといっても無理ならば何とか危険な箇所は住民に周知徹底してほしい。三番目には、早く各県が、災害対策本部をつくったつくらないなんてみっともない話じゃなくて、今度も二十一号が来たのですから、長官が全国へ号令をかけて、コースに当たるところは態勢をとれ、やろうというのがあってほしいと私は思うのでございます。  以上の三つは、きょうは本当に時間がないものですから要点だけで結構ですから関係省庁、まずすぽんすぽんと答えてくれませんか。長い答弁はきょうだけは勘弁してください。要点だけびっとコンパクトにお願いします。
  80. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生指摘のとおり、自然災害による被害者が近年減ってきましたのは施設の整備がそれなりに進んでまいったこと、そしてまた体制の整備が図られてきたこと、そしてまた防災の情報を早く伝達をいたしまして、啓蒙に努めてきたこと、この三点にあろうと思います。  そういう中で、国土庁におきましては、ことしの防災白書におきましても訴えました。最近の自然災害死者の中で、土砂災害の犠牲者というのが大変比率として多いわけでございます。例えば死者行方不明者を伴うような顕著な災害が発生します割合というのが、日降雨量が百ミリを超える場合には約五割程度になるというような気象庁の数字を分析した資料を白書で提供もいたしてございます。  そこで、私どもまずもって、第一点でありますが、事前の警戒、避難に役立たせる、そのために的確な情報を提供するということがまず第一義であろうかと思っております。先生の御指導も得まして、テレビの放送の中で一部実施可能なものにつきましては、河川の水位の情報等を提供いたしたわけでございます。国土庁といたしましては、防災行政を総合的に推進をするという立場から、関係省庁と連携を保ちながら、さらに努力をさせていただきたいというふうに考えます。  それからまた、もう一点御指導賜っております防災マップの件でございます。  今日まで六十三年度から私ども災害の類型別にテーマを設けまして、モデルをつくってまいりました。これを各地方自治体に配布をさせていただくというようなことをさせていただきたいと考えております。それによりまして、地方公共団体におきまして、この普及を図っていただきたいというふうに考えております。このモデルマップにつきましては、平成三年度以降も例えば台風常襲地帯というようなものを例にとりまして、さらに分析を進めさせていただきたいというふうに考えております。
  81. 定道成美

    定道説明員 先生先ほど御指摘のとおり、河川情報センターの情報を今回NHKのテレビを通じまして、関係省庁並びにNHKの御協力を得まして、放送を初めてすることができました。今もう少し事前のときから台風の情報を流せというように私は受け取ったものでございますけれども、そういうことを今後ともより一層、画面のメニューと申しますか、そういうメニューを工夫を凝らして、また関係省庁とも議論しながら、より一層改良を加えてまいりたいというように考えております。
  82. 長澤幸一郎

    長澤(幸)説明員 防災情報を放送によって提供するということについて、関係省庁と御相談をさせていただいて、先般先生がお話しになりましたように実施をさせていただきました。今後ともどんな情報をどういったタイミングで、全国規模で出すのか県単位で出すのか、そういったことをさらに検討を進めまして、より防災に役立つような情報の放送による提供に努めてまいりたい、かように思っております。よろしく御指導いただきます。
  83. 神林章元

    ○神林説明員 御指摘のように、当面は的確な避難勧告を行いますことが、土砂災害による人命損失のために極めて有効であると考えております。私どもといたしましては、かねてから地方公共団体に対しまして、災害危険箇所を的確に把握いたしますとともに、これを避難施設、避難路あるいは防災機関のありか等とともに、地図や図解によって、住民の皆様方にわかりやすく周知徹底するよう指導しているわけでございまして、この観点から御指摘の防災マップの普及につきましても、私どもといたしましても、今後できる限り努力していきたいと考えております。  その次に、台風に対します早期警戒態勢の確立につきましては、かねてから地方公共団体に対しまして呼びかけているところでございますが、先般の秋雨前線豪雨に次ぎます大型台風十九号とまた一週間後の台風二十号の接近に際しましても、あらかじめ警戒方を呼びかけたところでございます。御指摘のとおり、災害対策本部の設置に至らない場合におきましても、台風の動向等を十分踏まえながら、それぞれ地域の実情に即しまして、関係機関相互の緊密な連携を確保していくということが非常に肝要であると思いますので、今後とも地方公共団体に対しまして適切な対応を図るよう指導してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  84. 松下忠洋

    ○松下説明員 ただいま先生から、私ども防災担当者にとりまして大変励みのあるお話をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。集中豪雨のたびに多くの方々土砂災害で亡くなられるという悲惨な災害が起こりますけれども、またこのたび、お話がございましたように、香川県の小豆島の池田町では、早目に避難されて、そしてそれも自主的にいろいろな情報を自分たちで考えながら避難されたということが大きな励みになったわけでございます。これからも、土砂災害対策にはハードな対策に加えてソフトな対策も十分必要でございますし、特に今お話がございましたように、いろいろな危険な箇所について市町村資料を提供するというようなこと、それからテレビ、ラジオを通じてこういった土砂災害の発生に深いつながりのある雨の情報であるとか前ぶれの現象といったようなものを適宜提供して、住民の皆さん方を啓蒙していくということも非常に大事だろうというふうに思っております。今後とも御指導いただきながら力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは時間がなくて本当に残念でございますが、最後に長官にまとめて御答弁いただきたいのですが、その前にもう一言だけお願いしたいのは、私は静岡で安倍川の水位警報をいただいて感謝しておるのですが、東京なんかの場合ですと目黒川とか神田川とか、ああいう中小の河川がございますが、上流、中流、下流部で水位が多少違うわけでございます。ですから、今郵政省の長澤課長から、全国で何、ローカルで何、非常にありがたいお話でした。と同時に、私は映像の中身の中で河川情報について一工夫いただきたいと思うので、計画課長、いかがでございましょう。
  86. 定道成美

    定道説明員 建設省には、先生のおっしゃいました水位、河川の水位でございますが、上流から下流まで、全国では二千五百カ所の水位観測所を持っております。これはすべてがテレメーター化されているわけではございませんけれども、リアルタイムで水位の情報が入ってくるようになっております。これはそのまま報道機関等にも提供することができますので、先ほどの郵政省の長澤課長が答弁されましたように、それなんかとも一緒に検討させてまいりたいと考えております。
  87. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、最後に大臣に、きょうもっといろいろなことを質問したかったのですが、もうこれでやめますけれども、やはり長官が防災の一番の衝に当たる中心大臣でございます。また二十一号が来ておりますが、どうか被害を最小限に食いとめ、しかも全国民が安心できるような体制づくり、また情報伝達の方途等をいろいろ申し上げました。どうか大臣の十分なる対応を最後にお聞かせいただきたいのですが、その前に、運輸省の方、お呼びしてJR東海のことを質問しようと思ったのができなくて済みません。どうかJR東海が雨に強くなって、そしてまた回復も早くなって、委員長も大分、十数時間苦労したようでございますが、回復や何かにいろいろとケーススタディーをつくってやっていただきたいと思っております。  では最後に長官、私の意のあるところを含んで御答弁いただいて、終わりたいと思います。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 薮仲先生にお答えいたします。  たしか六月十五日でございましたか、先生のこの災対の御質問、早速NHKをこちらへ呼びまして、そしてそれがスタートをしまして、実は先生から今お言葉をいただきましたけれども、やっと緒についた、というのは河川の警戒水位の情報が流れたというところでございますが、今のお話は御指摘のとおりでございます。早速私は、NHK、郵政を集めまして——私も実は国土庁長官になりまして気象予報というのを初めてまじめに見ております。非常に台風を心配し、しかも御指摘のようにNHKは十二時以降は朝まで音楽が鳴っておるだけでございまして、この活用は本当に私は考えるべきだと思います。ただ、いろいろな人の問題とか各省庁の情報の量の問題とか建設省にどういう情報が集まるか、いろいろ問題がございますが、一遍詰めてみたい。そんなことで、今一番大切なことは、正確な情報を流す、そして、危険な箇所を周知徹底させる、そして避難を早くするということが一番大切であります。これが人命、財産を守る大きな道だ、こう考えております。  そんなことでございまして、大変いいお話でございましたので、早速きょうから行動に移っていきたい、でき得れば今年いっぱいには答えを出していきたい、こう考えておりますので、よろしく御指導をお願いします。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  90. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 藤田スミ君。
  91. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 去る九月十三日からの秋雨前線豪雨と、それに追い打ちをかけました台風十九号、さらには二十号によって全国に大きな被害がもたらされました。私は、質問の初めに、これらの災害によって犠牲になられた皆さんの御冥福を心からお祈りをいたしますとともに、被災を受けた皆さんにも心からお見舞いを申し上げたいと思います。  とりわけこの台風十九号は、昭和三十六年九月の第二室戸台風に匹敵すると言われ、十三年ぶりに大型台風を受けました奄美大島などでは深刻な被害を受けております。  我が党は、早速にこの奄美大島にも、また岡山県にも調査団を派遣いたしまして、現地の皆さんの声もつぶさに聞いてまいりました。何よりも一日も早い、一刻も早い復旧のために激甚災害法を適用すること、また深刻な被害に苦しむ農家経営を再建させるために、天災融資法を適用することが急務であります。当然被害状況の把握あるいは復旧事業の査定が前提になるものではありましょうが、被災自治体や農家ではそれを待っていたのでは間に合わない、そういう思いでいっぱいであります。  したがって、その可能性あるいは適用する方向であることをまず明らかにして、復旧に全力を尽くせるようにしていただきたいと思います。まず、大臣の御決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
  92. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 藤田先生にお答えいたします。  まず、今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々にこれをお見舞い申し上げます。  私は、災害復旧に一番大切なのは、恐らく激甚災の指定ということじゃないかと思います。そんなことでございまして、これはもう災害状況に応じて行うわけでございまして、今回の台風十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨による災害被害状況については、現在関係地方公共団体及び関係省庁において鋭意調査を進めておるところでございますが、まだ確定的な数字がまとまっておりません。いましばらくの時間を要すると思います。が、現在災害対策関係省庁連絡会議等を通じて把握している被害状況からしますと、昨年の災害に対する適用例とか見ましても、農地等災害復旧事業については激甚災害としての基準を超える可能性が高いのではないか、このように考えております。  そんなことで、被害額等の精査を急ぎ、必要に応じて早急に関係省庁との協議を進め、そして早く復旧に努力したい、こう思っております。
  93. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、ここに奄美大島の振興研究協会の副会長を務めていらっしゃる徳さんという方の地元新聞への投書の文章を持っていますが、この中でも、数千万円の借入金をつぎ込んで作付をしてきた圃場は全滅をしてしまった、そして、これまでに築いてきた成果はすべて水の泡と化した、これによって半年間は無収入で、被害総額は一千万を超えるものとなるだろう、こういうふうにるる訴えられまして、このような災害復興は、一個人はもちろん地域住民の方々による復興能力をはるかに超えているということで、国がこれまでのいろいろな災害復興のための融資制度の枠を超えて特段の手を差し伸べてほしいということを切々と訴えていらっしゃるわけです。この訴えは、奄美大島を初め今回被害を受けた農家の皆さんの切実な声だと思います。とりわけ今米の輸入自由化問題をめぐりまして本当に大きな不安を抱えている中で今回連打された被害でありますから、私はそういう点で本当に農家の皆さんを励ましていただきたい。そういう立場で大臣が一層応援をしていただくことをここで心からお訴えをしておきたいと思います。  それでは、私は、先ほどからハードな対策とソフトの対策ということでいろいろ質問がありましたけれども、アメダスの問題から質問に入っていきたいと思います。  アメダスといいますのは、もう言うまでもありませんが、集中豪雨など局地的に刻々変化する気象現象を把握する上で重要な役割を果たしております。奄美大島瀬戸内町の古仁屋地区では土石流によって十二人の人命が失われました。ところが、ここに設置されていたアメダスが十八日の十三時から翌日の十七時までの間データが送られなくなって、またこのアメダスに付随している記録部が修理に出していたためになかった、こういうことで観測データもないというような状態になりました。  そのほか喜界島、徳之島などに設置されていたアメダスもデータの送信が行われないという事態であったわけであります。警報を発すれば後はもうどうでもいいというものではありません。その後の気象情報の更新あるいは警報注意報の解除など防災上きめ細かな対策をとる上でアメダスの即時的確な情報収集は不可欠であります。一体こういう事態の原因はどこにあったんでしょうか、気象庁。
  94. 手塚雅美

    ○手塚説明員 測候課長です。お答えいたします。  今回の台風による豪雨が最も激しかったのは、先生の御指摘のとおり九月十八日であります。アメダスの集信不能箇所は、午前七時まではありませんでした。午後一時から電話線の切断による奄美地方の三カ所、その間再三にわたり適切な予警報の更新や情報の発表は実施しており、アメダスの一部集信障害は予報業務の遂行には支障はなかったと考えております。  なお、福岡管内のアメダス観測地点は百八十三カ所でありますが、今回の場合、集信不能箇所の最も多かったのは九月十八日午後九時及び十九日の全体での五カ所であります。その理由といたしましては、電話のふくそうによりますのが二カ所、停電によりますのが二カ所、先ほど申し上げました電話の引き込み線の断によりますのが三カ所、それからその以前から故障しておりました箇所が一カ所、以上でございます。
  95. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大体アメダスによって観測されたデータというのは、近くの測候所だとか気象台に行くのではなしに、NTTの一般通信回線を通ってアメダス情報センターの方に行くわけです。そして、情報センターから今度は気象台の方にその情報が返される、こういうふうなことになっているわけです。そのために、NTTの回線を使ったアメダスデータの東京への集中の過程の中でこういうふうなNTT回線のふくそうによる通信障害というようなものが出てくるわけなんです。そして、データが集まらないというような問題が出てまいります。この電話線の切断の問題も対策がとれないわけではないのです。したがって、今回のこういう問題が、別に今回に始まったことではなしに、実はこの前の台風のときも九州でありました。だから私は、このアメダスの通信回線が一般の加入電話回線を使用しているということに、アメダスの持っているすばらしい機能を十分発揮できない限界をつくっているというふうに一つ思うわけです。  NTTの方に聞きましたが、一般の電話回線は災害が発生すると通話規制の影響を受ける、だからアメダスのあの通信も規制の影響を受けていくわけです。それだけではありません。回線の復旧工事も公共機関などの回線復旧を終えた後でなければアメダスの加入している回線に手がつけられないのだ、NTTの方はそうおっしゃるわけです。だから、アメダスは公共機関として位置づけさえされていないのではないか、これはNTTのことです、NTTのことで公共機関として位置づけられていないのではないか、こういう問題が一つあります。  この問題を解決するためには、NTT局から東京の情報センターの方に送る情報は専用回線にしていけばいいわけです。それから、観測装置とNTTのところへつないでいく間というものは、これは非常時のときだけでも無線が使えるようにかえていけば、こういう問題は解決できるわけです。父島やブイロボットあるいは気象観測船のデータを気象衛星を使って送信しているように、そういうふうに対策をとればアメダスの持っている能力を最大限に引き出していくことができるではないか。  もう一つありますが、私は、とにかくそういうことで、気象庁はそういうことをどう考えているのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  96. 手塚雅美

    ○手塚説明員 測候課長です。お答えいたします。  公衆回線にかえて専用回線にしたらどうかという御指摘でございますが、気象庁といたしましては、アメダス以外にも気象衛星やレーダー観測資料を利用しておりますほかに、近年レーダー・アメダス合成図を作成いたしまして雨のきめの細かい監視及び予報を行っております。特に、レーダー・アメダス合成図は地域的に連続に表現しているものでございまして、仮に一時的にアメダスデータの集信が一部不能でありましても、予報業務の遂行に支障を来すことはなくなってきております。雨の監視には、以上述べましたような手段を活用することによりまして対応が可能と考えております。
  97. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは言いわけにすぎぬですよ。一時的な支障を来しても全体としては予報情報の伝達に支障はないんだ、こういうふうに言われましても、それは弁解ですよ。第一この奄美大島の中にあります名瀬測候所の管内でアメダスは三つ情報を欠落したわけでしょう。  だから、こういうふうに考えたら、せっかくあるアメダスを何で専用回線化しないんだ、そういうふうなことを考えるのは常識じゃありませんか。要は物すごく費用がかかり過ぎるからそこまでできない、それならそれとはっきり言ってください。
  98. 手塚雅美

    ○手塚説明員 測候課長です。お答えいたします。  今先生指摘のように、お金がかかるというのは確かに事実ではございます。しかし、先ほど申し上げましたように、気象庁といたしましてはそのほかのいろいろなデータあるいは製品を使いまして十分予報業務の遂行に支障を来すことがないと確信しておる次第であります。
  99. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは、こういうふうなアメダスの状態の中で支障を来したなどということを言うこと自身、皆さん方の名誉にかけてそういうことはなかなか言いにくいと思うのです。だけれども、おっしゃったようにお金の問題がある、財政上の制約があるということは事実なんです。だから、東京の情報センターから地方の気象台あるいは一部の観測所にその情報を送るときは専用回線、宅内装置と言っておりますが、専用回線を使っているのです。そこはやはり情報がとぎれては大変だということで専用回線を使っていらっしゃるわけですね。  ところで、一部の測候所にその宅内装置によって、つまり専用回線で情報が送られているということを申し上げましたが、その測候所の近くにアメダスがあるわけです。名瀬の測候所はその近くにアメダスを持っているわけです。ところが、その持っているアメダスの情報を測候所の方はつかむことができないのです。これは東京情報センターに行ってから気象台に来る。名瀬の測候所は宅内装置を持っておりますからキャッチできますが、そういうふうな宅内装置を持っているのは全国九十九の測候所の中のたった五カ所しかないのです。つまり九十四の測候所は気象台の方に、うちの近くのアメダスの情報はどうやなと言って聞かなければならぬようなこっけいな姿になっているわけです。したがって、住民の方からどうですかと測候所の方に問い合わせがあっても、時々刻々の情報を送ることができない。測候所としては、住民への情報提供サービスあるいは自然現象を監視する拠点であるという測候所本来の役割に照らしても、目と鼻の先にあるアメダスがはかった雨量だとか風速もわからないというのは、まことにこれまた逆さまの姿じゃないかと考えるわけです。したがって、アメダスのデータを東京へ直送するとともに測候所にもすぐ送っていくというふうなことにして貴重なデータを確保し、住民サービスに貢献する、こういうことが大事だと考えますが、いかがでしょうか。
  100. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  府県予報区担当官署及び指定地区測候所に対しては、先生指摘のようにレーダー・アメダス合成図などの各種気象データが配信されております。これらの官署のうち予報上必要なところには測候所といえどもアメダスデータを直接受信できるアメダス宅内装置が整備されております。したがって、適時適切な対応が可能となっております。  また、その他の測候所に対しても、親官署である地方気象台などから適切な情報が必要に応じて伝達されておりますので、住民サービスには適切に対応できると考えております。
  101. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どうしてそんなふうにおっしゃるのですか。これによって測候所の方が大変苦労しているというようなことをどうして理解して積極的に持てる機能を一〇〇%発揮して先ほどから言われているような予報、情報の提供にもっともっと力を出していこうというお立場に立たれないのでしょうか。私はそういうふうに大丈夫だ大丈夫だというような姿勢が、現場の皆さんの御苦労にも、それから国民の期待にもまだこたえ切れない部分を残しているということをとても残念に思います。そのことをまた後でお答えをいただきたいと思います。  奄美大島台風の常襲地帯であります。ここでのデータはその後の日本全土にわたる防災対策上でも極めて重要な意味を持つわけであります。昨年政府が決定しました新奄美群島振興開発計画においても「気象観測体制の強化を促進する。」ということを明記しております。ところがアメダスの配置というのですか、展開というのですか、そういう状況を見てみましても、名瀬市と瀬戸内町の古仁屋というところにそれぞれ一ヶ所あるだけで、あとは喜界島とか徳之島とか沖永良部島とか与論島とかいうふうな、もう奄美大島本島から離れたところでそれぞれ一カ所ずつというような状態であります。したがって私は、アメダスの観測点をここのところではもっと増設をしてきめ細かなデータを収集する必要があるというふうに思うわけです。そして吐喝喇列島から与論島まで南北で三百キロメートル以上、これはほかの県の地方気象台の予報担当区域というのですか、そういうものと比較をしてもはるかに超えるような区域を持っている名瀬の測候所が、今あくまでも測候所なんですね。そのために十分な体制になり切れないという弱さを持っています。だから地震や津波も含めた観測予報体制の強化をここでしっかり固めていくために、名瀬の観測所というのはやはり気象台に昇格をしていく、そういうふうにしてこの振興開発計画にもこたえられるようにしていくということが大事だと思いますが、気象庁はどうお考えですか。
  102. 小野俊行

    ○小野説明員 企画課長でございます。  名瀬の測候所は現在指定地区予報区担当官署という形で奄美諸島の予報警報業務を担当しております。注意報、警報といった災害防止に非常に直結する重要な情報を出しております。同測候所はこれらの業務を行うに当たりまして、鹿児島県全域を管轄いたしております鹿児島地方気象台の基本的な支援を受け、さらに気象レーダーでございますとかあるいは先生先ほどからおっしゃっておりますアメダス宅内装置等、異常現象の監視機能を整備しております。また、他の指定地区測候所に比べまして、これはおっしゃいましたような台風の常襲地帯というところがございますので、そういったところを考慮いたしまして予報官を増員してつけております。こういった体制を整備いたしておりまして、同測候所は奄美大島地区の気象業務を遂行する上で十分な体制を有していると考えております。
  103. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 十分な体制を有しているなら名もそのとおりにしたらいいじゃないですか。名実ともという言葉がありますが、実はもうしているんだ、実の方はもうなっているのだと言うのだったら名も変えればいいじゃないですか。名を変えないというのはそれだけまだ名を変えるにふさわしい実(み)になっていない、こういうことを意味するものであります。だからこの点でも私は今の御答弁は極めて不満です。  ところで、アメダスの問題でもう一つだけ聞いておきたいのですが、アメダスは、先ほど言ったように災害のあった古仁屋地区ですね、ここはもう本当に更新しなければならない、そういう状態になっているのじゃないか。記録する部分がつぶれて修理に出しているうちに台風が来て、あとどうなったかということを把握することもできないというようなそういう状態です。これは更新していただけますか。
  104. 手塚雅美

    ○手塚説明員 測候課長です。  古仁屋観測点のアメダスを更新というお話ですけれども、これは万一機器が故障して使えないとか、そういうふうにひどくなっている場合はオーバーホールするなりあるいは修理するなりして、これはほかの観測点も全く同様ですけれども、気象庁としては常に故障を最小限にするように努めております。古仁屋観測点も全く同様に扱うつもりであります。
  105. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、今お聞きのようになかなか苦しいのです。この前私はアメダスの問題で、全国でもう十五年以上もたったものが二百カ所あって、来年の予算にはぜひこれを更新するように応援をしていただきたいということをお願いしました。あのとき大臣は、実情をもう少しよく調べて、そして応援したいというお言葉をいただきまして、おかげで概算要求には百九十五カ所更新するということで大変ありがたく思っています。この場をおかりしてお礼を申し上げておきたいと思います。ただ、せっかくのアメダスもこういうふうに大変限界を持っているわけです。したがって、この限界はやはり財政の問題を克服していけばこれは解決できない話じゃないわけですから、そういう点では限界が超えられるように、ひとつ大臣のさらなるお力添えをお願いをしたいと思うのです。いかがでしょうか。
  106. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 藤田先生にお答えします。  実は私は三日前まで運輸大臣代理をやっておりました。そんなことでございまして、今気象庁の話を聞いておりまして、気象庁というのは非常にまじめなんです。それで何かアメダスの問題もそうなればいいという感じしながら苦しい答弁をしておるというような感じがしているわけでございますが、今聞いておりまして、もちろん一部アメダスの資料がなくても雨の予報には心配ないということですが、あった方がこの上ない、その方が地域住民は安心をする、こう思います。そんなことでございまして、私は恐らく課長じゃ——長官とよく話してみたいと思います。そんなことをもちまして、このアメダスの問題をひとつどうしたらいいのだろうかということを含めて、一遍大臣長官と相談してみたい、ちょうど私も三日前までやっておりましたから少しは物を言う権限もある、こんなことでしてみたいと思います。  それから先ほどの名瀬の観測所の問題ですが、これは実は御存じのところで、恐らく内容は全く充実していると私は思います。けれども、結局、機構その他というのは何かと大変厳しいわけです。そんなことでございまして、恐らく今企画課長はああいう答弁をした、こう私は思っておりまして、内容は恐らく気象台と同じじゃないか、このような御理解をお願いしたい、こう思っておるわけでございます。
  107. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次に、台風十九号の中心気圧について、アメリカの航空宇宙局の航空機による観測データと気象庁の発表したデータが食い違うということが起こりました。詳しい観測状況を米国に照会した結果どういうことになったのですか。九百十ミリバールという気象庁の当時の発表、アメリカ航空宇宙局の観測では八百九十一ミリバール、これは台風の質がどう違うのですか。
  108. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  御存じのように、気象庁では気象衛星ひまわりの雲写真のほかに地上、海上、それから高層の観測データなどから台風中心位置、中心気圧、最大風速などを解析して発表しております。  一方、今回問題となったのは、アメリカ航空宇宙局がその同じ台風について研究観測をしておりまして、その値が先日報道されたものであります。その研究観測というところを、通常台風作業に使いますルーチンの観測とは別であるということを御理解いただきたいと思います。  それで、御質問の後段の方でありますが、観測データは、普通やっていることなのですけれども、後日再解析をしまして正確な台風の位置、中心などを記録として残しております。といいますのは、通常の観測は時間観測とかそれから位置決定、発表というのは時間に追われた作業ですので、その時間だけに入ったデータによって行うわけですけれども、特に外国の気象電報などはかなりおくれて入ってくるものがあります。そういったデータを使って先ほど申しました再解析を行っているものであります。今回、通常の再解析のデータのほかにアメリカの研究観測のデータもこちらから照会いたしまして、それを入手しました。そのような非常にたくさんのデータを総合的に検討した結果、御指摘の八百九十一ミリバールという値を気象庁としては採用することにいたしました。以上です。
  109. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いろいろ言われるけれども、結局はアメリカの航空宇宙局の発表した数字が正しかった、こういうことになるわけですよね。そして、私の質問に答えられませんでしたが、九百十ミリバールというのは、これは強さの分類の上では非常に強い。しかし、八百九十一ミリバール、今日発表されたもので言うと、分類の上では猛烈な台風。これはやはり、なるべく台風の吹いているときに猛烈な台風と言ってもらうのと、そのときは非常に強いと、猛烈よりもちょっと弱いと言うのと、それを受けとめる側の心構えが違ってきますからね。だから、やはり情報はより的確にということがおのずとここでも言われるわけです。  先ほどもお話がありました。進路の予報の精度を上げるために予報円というものを採用しているけれども、実際に台風中心が入る可能性は六〇%、それから、最近十年間の二十四時間後の台風中心の予報の平均誤差は日本付近で大体二百キロメートル、東京—浜松間の距離に匹敵する、これぐらいのものになっているのです。  私は台風の観測についてどうなっているかということをちょっと調べてみたのですが、八七年の九月までは米軍機による台風の実測を行ってきたのです。ところが、米軍の方の一方的な通告で観測がとりやめになって、そして今日はそれを観測する航空機はありません。過去に問題になったこの問題での議事録を見ますと、昭和四十一年当時気象庁の長官が「飛行機は、大体台風観測といたしましては七機ないし八機必要としている」、一機もないのですが、このときに「七機ないし八機必要としている」と答弁されて、航空機による観測の必要性を指摘されているわけであります。  それからもう一つ、「気象」という雑誌一九八五年十二月号を見てみますと、ここでも「それは上空三万五千八百キロメートルの彼方、つまり地球をとりまく雲のうえの観測で得られるものであって、」これは何を言っているかというと、気象衛星などによって観測精度を高めると言うけれども、気象衛星のデータというものはそういうものなのだ、はるか上のものだということを言っているのですね。「台風の眼を中心とした、気圧・気温・風速などを知り、中心位置の決定、進路の予想に役立てるには、やはり近くで観測できる航空機の存在が現在でも必要である」こういうこともまた言っているわけであります。したがって、気象観測用の航空機を今現在でも大学や研究機関はしきりに要求をしております。しかも、気象庁の場合は台風だけではなく、海氷観測だとか火山の観測だとかあるいは地球環境の温暖化、酸性雨、オゾンの破壊の観測というふうに研究用の航空機も求められているわけです。したがって、私はこの際、経済大国と言われるのに観測用の航空機一機もないというのは、総理大臣の飛行機はあるけれどもなんというそんなみっともない話はやめにして、やはり気象用の航空機が必要じゃないかというふうに考えるわけであります。大臣はうなずいて賛成の意を表明してくださっておりますが、気象庁。
  110. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  飛行機観測は、先生指摘のように以前は台風観測に使われておりました。特に、データが少ない海の上に台風がある場合に行われておりました。しかし、現在では気象衛星の観測データから台風中心位置、気圧、風の強さなどを求める技術が既に開発され実用化されております。それから、気象衛星ひまわりは昭和六十二年三月からですけれども、定常的に毎時観測を実施しておりまして、台風の大きさや強さなどについても継続的にかつ安定的に解析できる体制になっております。以上です。
  111. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いろいろと聞くたびに弁解をされますが、私は気象庁の問題を取り上げるときに、解決は財政上の問題がネックだということをさっきから何遍も言っています。  この間、毎日新聞が八月三十日の日に地震観測機器の老朽化の問題を取り上げた中で、最後の言葉に「防衛庁が来年度、三隻目を予算要求しているイージス艦(一隻千三百億円)に比べれば」ということで、こういうふうな防災対策というのは聖域にしてはならないのだということを言っているわけです。私は国民が払っている税金がこういう災害防止のために使われる、特に災害の多い我が国でできるだけそういうふうなところを開発して世界にも貢献していくというところにお金をかけることに対して、国民はだれも反対をしないということを肝に銘じていただきたいというふうに思います。  時間がなくなりましたので、最後に大臣に、先ほど私が申し上げました奄美群島の振興開発計画の問題ですが、今回、瀬戸内町で犠牲を出した高丘地域につきましても、県が建設省の要綱に基づく土石流の危険渓流としてリストアップしているのを、町が災害が発生して初めてそこにリストアップされていたことを知るというようなことになっているわけです。だから、地域防災計画のあり方が改めて問題になっています。  また、先ほども言われましたように、防災行政無線というものがなかったために、住民にそれが全く伝わらないで多くの犠牲者を出すというようなことに相なりました。この計画では防災行政無線の整備というものも挙げております。したがって、具体的にいつ、どの範囲までその防災行政無線を整備されるおつもりなのか、この点についてお答えをいただきたい。  それから、今回の災害は奄美群島の振興にとって、防災対策を最優先の課題として推進することの必要性を余すことなく示したと思うのです。それを抜きにして産業の振興だとか本土との格差是正とかいうようなことはあり得ないんだ。奄美大島を含む鹿児島県全域は台風常襲地帯として指定されているわけでありますから、特別措置の対象となるべき災害防除事業も内閣総理大臣によって指定されているところであります。したがって、この振興開発計画を初め各種の開発計画にもっと防災の位置づけを飛躍的に高めていかなければならない。県がリストアップしているのを町が知らなかったというのは、やはり町の責任というのも町議会で問われておりますが、防災無線にしても、本当にまだ必要とするべき計画八カ所のうちの二カ所、これは開発振興計画平成五年以降にやっと二カ所見えているだけで、あとの五カ所は全くそういう対象になっていないという状態ですので、私は防災の位置づけというものをひとつ明確にし、省庁の枠を超えた対応をなされるようにお願いをしたいわけであります。大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  112. 神林章元

    ○神林説明員 私どもの所管につきましてお答え申し上げたいと思います。  まず防災行政無線でございますが、私どもといたしましても、都道府県を通じまして市町村に対して、補助金及び防災まちづくり事業等を活用して施設整備を積極的に行うよう指導してきたところでございます。御指摘のように瀬戸内町にはないわけでございますけれども、もし御希望がありますれば御相談に応じていきたいと考えております。  それから、防災計画の見直しの点でございますけれども、これにつきましては、私どもといたしましてはかねてより地方公共団体に対しまして、防災機関等を初め十分に協議いたしまして、地形、地質、土地利用の状況災害履歴等を勘案して再点検を行う、その結果を地域防災計画に明示するとともに周辺の住民に周知徹底するよう指導しておりまして、その際の技術的手法につきましてもマニュアルを示しているわけでございます。  また、被災した市町村につきまして、都道府県を通じまして適切な技術的な指導助言を行ってまいりたいと考えております。また、市町村災害危険箇所等の防災情報を地図によって住民に周知するということで、地区別防災カルテ等を整備する場合には所要の財政措置を行っておりますので、御利用いただきたいと思っております。  以上でございます。
  113. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  奄美群島の振興開発につきましては、地域の特性を生かした産業の振興、快適で住みやすい生活環境の確保、群島内各地域の均衡ある発展を基本計画とした奄美群島振興開発計画に基づき、各種振興開発事業を推進しているところでございます。  御指摘のように、奄美群島が特に台風の常襲地帯であるという厳しい自然的条件のもとにあることにかんがみ、今後ともこの計画にのっとり、治山治水等の国土保全事業を積極的に推進いたしますとともに、防災行政無線の整備、気象観測体制の強化等、防災体制の整備についても関係省庁鹿児島県、地元市町村ともより一層連携を深めながらその充実強化を図ってまいりたい、こう思っております。  それから最後に一つ、気象庁についていろいろ御質問がございました。実は私も気象庁の予算を随分取り扱いました。先ほども遠慮深く言っておられましたが、気象庁というのはよその省と違いまして機材、資材の整備とともに人が伴わなければいかぬわけですね。この辺が二つそろわなければいかないということで、まじめに守ってやっておるということでございます。その点は特に御理解をお願いしたい、こう思うわけでございます。
  114. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が過ぎましたので、ため池の問題について質問をすると通告しながらできなかったことをお許しいただきたいと思います。担当委員ですので、また当該委員会で取り上げさせていただきます。どうもありがとうございました。
  115. 三ツ林弥太郎

  116. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、地元の災害について質疑をさせていただきます。  御承知のように、今回の台風十九号は九月十九日午後八時ごろに紀伊半島に上陸大型、並みの勢力を保ちながら二十日午前九時ころ岩手県南部を通り、昼ごろに三陸沖に抜けました。このため、岩手県内全域、被害を受け、増水の河川転落死一、行方不明一、冠水田畑三千八百ヘクタール、その他、住家の損壊、浸水、河岸の決壊道路の損壊、農地、農業用施設の流出、損壊、農作物の流出、埋没等の甚大な被害をこうむり、被害総額は十月四日現在で百六十億円を超えるに及んでおります。  このため、質問通告に先立ってまず最初に、この県の災害に対する国の特段の配慮として、土木施設関係、農業関係の復旧に、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律が速やかに適用されるよう強く要望いたします。  また、災害復旧費等の地方負担の増大に対する特別交付税、地方債等必要な財源措置を講ぜられるよう、これもあわせて強く要望いたします。  また、水産関係において、被害漁業者の経営再建を図るため、農林漁業金融公庫及び漁業近代化資金等、各種制度資金の円滑な融資が行われるよう、その配慮をお願いしておきます。  さらに、林業関係については、山腹崩壊が発生した危険箇所を早急に復旧できるよう、災害関連緊急治山事業の採択と、被害を受けた林道施設について、これまた早期に災害査定を実施し、早急に復旧できるよう特段の配慮をお願いいたします。  以上の項目を強く強く要望しますが、この際、補足願えることがございますれば、関係省庁の方からお願いします。
  117. 鹿島尚武

    鹿島説明員 御指摘激甚災害指定の件につきましては、今回の台風十九号の暴風雨及び秋雨前線豪雨によります災害被害状況の把握を現在鋭意進めてございます。数字がまとまり次第その指定につきまして各関係機関協議を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、先生仰せられましたいろいろ施設の復旧関係につきましては、既に二度にわたりまして関係省庁連絡会議を私ども開催させていただきました。その中で、復旧につきまして迅速にこれを進めることを基本といたしまして申し合わせをいたしてございます。今後とも復旧に万全を期させていただきたいと考えております。
  118. 山田栄司

    ○山田説明員 農林省といたしましても、農地、農業用施設につきまして現在鋭意査定を進めているところでございます。現地査定を終了し次第早期復旧に努めてまいりたいと思います。また、被害漁業者とか農業者の経営安定のために各種の制度資金がございます。そういうものにつきましても、現地の実情に応じ、関係県とも協議しながら対応してまいりたいと考えております。
  119. 弘中義夫

    ○弘中説明員 林野庁といたしましても、現在、県における被害状況調査にあわせまして、山腹崩壊箇所につきましては災害関連緊急治山事業、林道、治山施設等につきましてはその復旧事業に鋭意努めてまいりたいと思っております。  なお、岩手県の林野関係の被害は三億八千六百万円でございます。
  120. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは個々の質問に移りますが、第一に北上川治水対策遊水地事業の促進についてであります。  一関地方は、宮城県境に抜けて流れる北上川が狭窄部を形成しているため、洪水常襲地帯であります。このことにかんがみまして、長年の検討の末本堤を築造して遊水地をつくり、居住地を水害から守る工法がとられ、現在、海水位から二十三・五メートルの暫定堤防工事高になっているわけであります。今回の台風による増水位は十一・〇二メートルとなり、海水位からは二十一・五九メートルでありましたから、わずか一メートル九十一センチの差で洪水常襲居住地が守られたのであります。ここにその効果がはっきりした写真が出ているわけでございます。後日提示いたしますので、これをごらんになっていただきたいと思います。  このように、この本堤築堤は暫定高といえども大変な効果をあらわしましたため、半信半疑のまま遊水地事業に反対してきた人々もこの事業の促進に賛成の意を表しております。これは喜ばしいことでありますので、小堤の位置の決定促進とともに本堤の完工を一日も早く進めてもらいたいと思います。何せ今回の増水量は十年確率のものでありますので、この本堤の促進についての所信をお伺いいたします。
  121. 日野峻栄

    日野説明員 御説明を申し上げます。  一関遊水地は、先生御案内のとおり昭和五十六年八月に大きな出水があったわけでございますが、とりあえずこの出水に対処できるような高さにしようということで、洪水から人家の浸水を防ぐために第一遊水地の周囲堤を一応の暫定の高さで鋭意施行中でございまして、平成二年度で概成をする予定にしてございます。先般の九月十九日から二十日にかけました十九号の台風によりまして、先ほど先生申されましたような水位に上昇したわけですけれども、一関市の市街地への浸水が防止できたわけでございます。  来年度以降どのようにやっていくかということでございますが、実は、戦後最大の被害があった昭和二十三年九月のアイオン台風がございましたが、その水位に対応できるように、ですから今やっている暫定の高さよりも高くしてこのかさ上げを鋭意進めていきたいというふうに考えております。
  122. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、本堤の平泉町地内にかかる一部未完成の部分については、早期に用地問題を解決し促進するよう強く要望いたします。出水の都度この部分に消防団が土のうを積んでここからの洪水の溢流を抑えているわけでありますので、よろしく対処されるよう望みます。  さらに、前沢町北上川左岸母体地区堤防の完工はこの三月突貫工事でなし遂げられたようでございますが、このことでいつもなら洪水になるところがその被害を免れたと、住民は大変感謝しております。しかし、内水対策を今後どうするのかと、喜びながらも不安を抱いているわけであります。今回の増水でも本流の方が一メートル五十も水位が上がったようでございますので、この対策についてどのようにお考えなのか。また、左岸下流赤生津地区についても今後どのように対応していくのか。  今までの要望事項も含め、もし所信がありますならばお伺いいたします。
  123. 日野峻栄

    日野説明員 まず内水対策でございますが、現在先生御案内のように北上川の上流部は無堤部が残念ながらまだ多いわけでございます。この無堤部解消を段階的に進めているわけでございますけれども、内水対策につきましては、堤防の整備の進捗状況とかあるいは内水被害状況等を総合的に勘案して、今検討しているところでございます。  また、先ほどの下流部の件でございますが、無堤部解消を図るために現在築堤用地買収を促進してございまして、その上流部、二・八キロほどございますが、そこは小規模河川改修によりまして掘削、築堤計画的に今実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも引き続き上下流のバランスを見ながら重点的かつ段階的に改修を促進いたしまして、北上川流域の治水安全度の向上に努めてまいる所存でございます。
  124. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、北上川狭窄部に位置する川崎村地区の治水対策であります。ここも一関同様の洪水常襲地帯でもあります。北上川支流の砂鉄川、千厩川の合流点でもあり、いつも洪水被害を増大させているところでありまして、昭和六十二年に砂鉄川の一級直轄河川区間を完全バック堤にして災害から守るようその事業計画が採択されたことは、感謝にたえないわけでございます。概略、全長六・七キロメートル、五百億円の総工事のようでありますが、この工事の促進についても特段の配慮をお願いいたします。  御承知のように、この合流地点の右岸、一関側は水害予防の完全な堤防を既に完成させているのに、こちら側、左岸は全く無防備で、いつも洪水、通行遮断となっております。さらに、一関遊水地も関連し、洪水の際は冠水時間が長く、今回も丸二昼夜冠水が滞留しております。このため、農作物の被害も甚大であります。平成二年度も砂鉄川バック堤の用買費がついたようでありますが、総工費から見ますと全く些少であります。予算の特別枠が考えられないものか、これらの点をお伺いいたします。
  125. 日野峻栄

    日野説明員 御説明申し上げます。  この川崎村の北上川左岸に合流をいたします砂鉄川でございますが、先ほど先生おっしゃいましたとおり六・七キロの区間を直轄管埋区間といたしておりますが、ここにおきましても無堤部が多うございます。この無堤部を解消するために現在用地の買収を促進中でございまして、いずれにいたしましても、この北上川の全体の治水の安全度の向上を図るためには、やはり上下流のバランスなんかも見ながら重点的にやっていきたいというふうに考えております。
  126. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、この砂鉄川合流点の被害箇所はいつも非常に甚大をきわめておりますので、この促進方をまた重ねて要望いたします。同時に、千厩川の溢流堤、三十年確率の堤高のようでございますが、この完工も速やかに進められまするようにあわせて要望いたして、次の質問に移ります。  本年六月から七月初めにかけて九州北部各県を襲った集中豪雨は、人命を初め住家等に多大の被害をもたらしたわけであります。私も早速質疑を行いましたが、被害の総括及び復旧現状についてどのように把握し、またどのように処置されたのか、お伺いいたします。また、豊肥本線の復旧についてもどのようになっているのか、お伺いいたします。
  127. 鹿島尚武

    鹿島説明員 六月二十八日から七月二日にかけまして、九州地方を中心として梅雨前線豪雨によります災害被害が生じました。人的被害として、死者二十七、負傷者百一でございます。家屋被害で、全半壊四百九十六棟、床上浸水九千九百六十七棟、床下浸水三万五千四十棟、道路で九千九百五十カ所、河川で七千六百十二カ所等の被害が発生いたしました。施設被害関係では、建設省関係公共土木施設で約一千五百六十一億円、農林水産省関係公共土木施設関係で約四百五億円、農地、農業用施設等で約九百八十四億円の被害が発生いたしました。  災害復旧につきましては、緊急を要する応急対策等が既に完了をいたしてございまして、現在公共土木施設、農地、農業用施設等を中心関係省庁において鋭意災害査定等を実施し、早期復旧に努めておるところでございます。  また、強い御要請のございました激甚災害指定につきましては、被害状況調査及び所定の手続等を急ぎまして、去る九月四日閣議決定をいただきました後、九月七日に激甚災害指定する政令の公布が行われたところでございます。  その他の措置につきましても、関係省庁において現在積極的に取り組みがなされているところでございます。
  128. 高重尚文

    ○高重説明員 JR豊肥線の復旧状況について御説明いたします。  今回の豊肥線の被害の特徴は、広範囲にわたって山林、河川等が壊れまして、それが鉄道施設に甚大な被害を及ぼしていることにあろうかと思います。特に、豊後竹田—宮地駅間におきますように、阿蘇外輪山の山が崩れまして、それらの材木、土砂鉄道線路を押し流しているところが随所にございます。このため、線路の復旧には、鉄道用地のみならず路線沿線を含めた山林、河川等総合的な対策を講じる必要がございまして、現在JR九州では大分県、熊本県の担当部署と協議を進めております。  今回のJR豊肥線の被害は、橋梁流失、築堤崩壊、線路流失等八十八カ所に及んでおりましたが、その後復旧工事で十四カ所は復旧対策が完了しております。残りの箇所につきましては、関係機関協議を進めつつ工事の着手あるいは工事計画を進めているという報告を受けております。  ただ、この豊肥線の全区間の復旧時期については非常に相当な時間を要するというふうな説明を受けております。運輸省としましても、JR九州に対し、関係機関との調整を引き続き進めながら早期復旧に努めるよう指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  129. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、豊肥線の復旧につきましては、鉄道軌道整備法の適用、運建協定の適用などもお考えいただきまして、その早期の復旧方を強く要望しておきます。  次に、さきの本委員会におきまして崩壊地対策について建設省、農水省にそれぞれお伺いしたわけでありますが、現在我が国には山腹崩壊、崩壊土砂流出、地すべり等の危険地区が農水省所管内だけで約十七万六千カ所あるわけでございます。今回、台風上陸地点、経路が全く同一のケースは約三十年ぶりの記録だということでありますが、十九号、二十号台風による被害がこれらの危険地域ではどのような被害状況にあったのか、また危険地域被害対策をどのように講じる考えでいるのか、お伺いいたします。  このことにつきまして、実は私は、災害防止にもつながる森林施業技術、林相保全育成等に関する技術、その改善について詳しく質疑しておりましたが、林野庁としてどのようにこの件について対応しているかもお伺いしたいと思います。
  130. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御説明申し上げます。  先生のお話にもございましたように、林野庁で現在山地災害危険地区ということで指定しておりますのは全国で約十七万六千カ所ございます。今回の十九号、二十号台風にかかわります各都道府県の調査結果によりますと、十月四日現在で約三千四百六十カ所の林地荒廃箇所がございましたが、このうち人家、公共施設等に近接し、直接被害を与えるおそれがあるとして把握されている山地災害危険地区においては、約千四百九十カ所ということになってございます。この林地荒廃箇所復旧につきましては、再度災害防止のために災害関連緊急治山事業等により早急に復旧するとともに、平成三年度以降は治山事業五カ年計画に基づき計画的な復旧、整備を図っていくこととしてございます。  また、さきの委員会で先生から御指摘のございました、災害に強い森林造成に関し植栽、枝打ち、間伐等林相育成のための技術革新を進める必要があるという御指摘でございましたが、この件につきましては、それ以降各都道府県の担当者を集めました打ち合わせ会議等におきまして、先生の御指摘の趣旨を踏まえまして災害に強い森林の造成に努めるよう指示したところでございます。さらに、治山事業の実施に当たりましては、複層林の造成あるいは育成天然林の造成というようなことも含めまして健全な森林の育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  131. 松下忠洋

    ○松下説明員 御説明申し上げます。  台風十九号、二十号によりまして発生いたしました土砂災害でございますけれども、土石流等が全体で三百七十五カ所で発生しておりまして、二十一名の方々が命を失われております。建設省所管の土砂災害危険箇所でございますけれども、人家五戸以上に限って調査しておりますが、全国に約十六万カ所という数字を把握しております。  これらの地域に対しまして、こういった土砂災害からとうとい人命や貴重な財産を保全するというために、砂防ダム等の建設による整備を実施するとともに、警戒避難体制の整備に役立てるためのソフト対策もあわせた総合的な土砂災害対策を推進しておりまして、今回の被災地域に対しましても再度災害防止のために流木対策等も含めた土砂災害対策を実施していくというふうにしております。  以上でございます。
  132. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 林野庁に要望いたしますが、今回の台風で流木災害を六月の北九州の災害のように起こさなかったのは幸いではございますが、しかし、密植弊害による流木災害、植林地の崩壊危険は、これは各地に造成されているわけでございますので、万全の策を講ずるようお願いしておきます。  さらに、両庁にお伺いいたしますが、本年度予算でこれまでの災害復旧が十分措置できるのかどうか、あわせて答弁をお願いいたしたいと思います。
  133. 弘中義夫

    ○弘中説明員 林野庁といたしましては、災害復旧に要する経費について、今年度の予算で不足する額については、その追加財政措置につきまして財政当局と十分協議をして措置してまいりたいというふうに考えてございます。
  134. 松下忠洋

    ○松下説明員 建設省の砂防課長でございますが、今回の災害に関しましては、既に現地の被災された県の方々とも十分打ち合わせを進めておりまして、できる限り早い時期に緊急の対策事業を進めていきたいというふうに考えております。  また、災害復旧に関連いたしましても、十分に調整をとりながら進めていきたいというふうに考えております。
  135. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 中近東問題でも国の出費が高じている折からでございますので、ぜひ予算の確保には万全の対応をしていただきたい。また、国土庁長官につきましては、この災害復旧の早期の実現にこれまた万全の努力をしていただきまするように要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  136. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 江田五月君。
  137. 江田五月

    江田委員 ことしは台風の当たり年といいますか、随分次から次とやってまいります。きょうは、十九号あるいは二十号台風について質疑を行うわけでありますが、冒頭、一連の台風被害で命を落とされた方も大勢おられ、また、さまざまな被害が生じているわけですが、被害者の方々に心からお見舞いを申し上げ、また、日夜を分かたずこの復旧のために御努力くださっている皆さんに心からお礼を申し上げておきたいと思います。  今また台風二十一号の接近のおそれが伝えられているわけでありますが、質問の初めに、十九号、二十号で被害に遭った皆さん、今本当に冷や冷や、はらはらというところかと思いますが、二十一号への警戒態勢、十分なされていることと思いますが、一言伺っておきたいと思います。
  138. 鹿島尚武

    鹿島説明員 災害対策基本は、まずもって事前の対応にあることも仰せられるとおりでございます。そういう中で、警戒の態勢をあらかじめ講じておくということが大変重要であろうと考えております。関係省庁こぞり合いまして、そういう対応をさらに進めてまいりたいというふうに考えます。
  139. 江田五月

    江田委員 十九号、二十号の被害につき、一連の要望が既に同僚委員からもずっと出されました。また、関連の役所の皆さんのところにも各自治体その他からさまざまな要望が出ていることと思いますので、この点はもう一々繰り返しませんが、ひとつよろしく御高配のほどをお願いしたいと思います。  さて、今回の特に台風十九号は非常に大型で強い台風で、日本を縦断し、そして各地で大きな被害を出しました。私の地元は岡山県でございますが、中でも大きな被害を出した地域でございまして、私もごく一部分だけですが被災地を回ってみました。住民の方々の話も伺いました。別に私が伺っただけではなくて、多くの皆さんが、とにかく災害復旧については単なる現状復旧ではなくて、現状のままだと、同じことが起きたらまた同じ被害が出るわけですから、そうではなくて、二度とこうした被害が起きないように改良復旧といいますか、今までよりも災害を防止する力が強化される方法で復旧させてほしい、こう希望しておられる。  そこで、まず建設省にお伺いしますが、ぜひ基本的な復旧の考え方として、改良復旧、防災力強化で復旧に当たる、こういう考え方を持つことをお約束いただきたいのですが、いかがでしょうか。
  140. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 御説明申し上げます。  今回の台風十九号は、先ほど来御説明いたしておりますように、極めて激甚であったと認識しております。民生安定のためには何よりも早期復旧、そして二次災害防止、さらに、ただいま先生指摘のように再度災害防止ということが大切だと認識しております。  私どもとしては、原形復旧だけでは事業効果が限定される地区につきましては、県または市町村等とも十分打ち合わせをしながら、未災箇所を含んだ一連の施設について改良復旧事業を行いまして、過去においてもそれなりの効果を上げているところはたくさんあることも我々認識しておりますので、そういった改良復旧事業をやっていくという決意でおります。
  141. 江田五月

    江田委員 同じことを農水省の方にもお伺いします。
  142. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 お答えいたします。  被災農業用施設の災害復旧に当たりまして、再度災害を防止するため、未被災の脆弱な部分をあわせて改良する災害関連事業制度というのがございます。これを積極的に活用いたしますよう県、市町村を指導するとともに、地元の意向を踏まえて改良復旧を図っていきたいと思っております。
  143. 江田五月

    江田委員 国土庁はこの事業官庁ではありませんが、国土庁の方が災害ということについては中心の役割を担っていただかなければいけないので、国土庁にも同じ質問をいたしたいと思います。
  144. 鹿島尚武

    鹿島説明員 再度災害発生防止のために、原形復旧だけではなしに改良復旧事業が行われることが好ましいということは仰せのとおりであろうかと思います。  今回の災害に際しましても、九月二十五日でございますけれども、第二回の災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、再度災害の防止のため被災箇所の早期復旧等を図ることを申し合わせまして、現在、各省庁においてその推進に努めていただいておるところでございます。今後とも、現地調査の結果あるいは地元の御要請等を踏まえまして、関係各省庁の御協力を得ながらそういう方針で推進してまいりたいと考えております。
  145. 江田五月

    江田委員 先ほど、今回の台風十九号は激甚なる災害を引き起こした、こういうお話でございました。既にもう同僚委員から伺ったことかと思いますが、大きな被害を受けた地方自治体から災害対策基本法に基づく激甚災害指定の要望が強く出されております。激甚災害というのはいろいろな指定の方法があるというふうに伺っているわけですが、例えば今年七月の九州北部の集中豪雨、これは農水の分野では激甚災害指定、本激というのだそうですが、商工分野について大分県高田市が局地激甚災害指定、局激というのだそうですね、これを受けたと聞いておりますが、こうしたものと比較をして今回の台風十九号の被害はまさるとも劣らない。  そこで、今回の台風十九号の現段階での被害の概要は先ほど御報告がございましたが、そうした被害の概要にかんがみ、激甚災害指定は一体どういう見通しになるか。繰り返して恐縮なのですが、農水関係、その他の関係、いわゆる本激というのですか、これの指定、あるいは局激の指定、そうしたことに分けて要約してお答えを願いたいと思います。
  146. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 江田先生にお答えいたします。  まず、今回の災害により亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心からお見舞い申し上げます。  先ほどの激甚災の指定の見通しでございますが、実は先ほどから同じ答弁を繰り返したということでございますので簡単に申しますと、もう少したたないといろいろな数字がはっきり確認できないと思っておりますが、今までの災害対策関係省庁連絡会議等を通じまして把握しておる被害状況からしますと、昨年の災害に対する適用例等から見ても、農地等災害復旧事業については激甚災害としての基準を超える可能性が高いのではないか、こう考えております。被害額等の精査を急ぎ、指定については早急に関係省庁との協議を進めるなどしてまいりたい、こう考えております。詳しいのが必要ならば各省に答弁させますが、総論はそういうことでございますから、よろしくお願いいたしたいと思います。
  147. 江田五月

    江田委員 詳しくは後、現段階ではこの程度という数字がいろいろ出てきたり、しかし鋭意調査の上というようなことになるのじゃないかなと思うのですが、それ以上に、こういうことだけは特にこの際お伝えしておかなければというようなことがあればちょっとお教え願いたいのですが。——これは今の段階ではそういうことだろうと思いますが、ぜひひとつ市町村単位のきめ細かな被害の把握、そして適切な対応というものを、言わずもがなですが、これは強くお願いをしておきたいと思います。  さて、これはどうも自分の地元のことで恐縮なのですが、がけ崩れが起きまして、岡山市横井上という地区などで死亡者が出ているわけでございます。死亡者までは至らないのですが、例えば岡山県牛窓町などでも急傾斜地でがけ崩れが起きているとか、岡山だけではなく、ほかの地域でも起きている例がございますが、こういう急傾斜地などのがけ崩れ対策、あるいはこれと同様の地すべり、土石流、こうした危険箇所は今全国で一体どの程度把握をされておるのか、その対策現状というものは一体どうなっておるのか、今後の整備の方針はどういうことになっているか、これをまず総論的に伺いたいと思います。
  148. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げます。  建設省におきまして、悲惨な土砂災害から国民の生命、財産を守り、かつ豊かな国土づくりを行うということで、従来から土石流、地すべり、がけ崩れの対策について推進に努めてまいったところであります。しかしながら、現在では全国に土石流の危険渓流が七万四百三十四渓流、地すべりの危険箇所が一万二百八十八カ所、それから急傾斜崩壊危険箇所が七万二百四十二カ所となっておりまして、合計では十六万カ所もあるわけでございます。また、その整備状況でございますが、それぞれ約二割弱というような極めて低い状況になっておるわけでございます。  建設省におきまして、今後とも土石流、地すべり、がけ崩れの災害から国民の生命と財産を守るため、土石流対策と地すべり対策につきましては第七次の治水事業五カ年計画、それからがけ崩れ対策については第二次の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画に基づきまして整備の推進に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  149. 江田五月

    江田委員 これは我が国の国土の特殊性ということもあるかもしれません。あるいはこういう狭い国土にこれほど多くの人間が住んで、しかも盛んな経済活動をやっているということもあるかもしれませんが、いずれにしてもこれほどたくさんの危険箇所があって、しかもそれがまだ二割弱しか手当てされていない状態というのは、とてもGNP世界第二位という経済大国の名にふさわしいとは思えませんので、ひとつこれは大臣、全力を挙げていただきたいと思います。  ところで、そういう大方針のもとで具体的なことを伺いたいのですが、今回横井上地区、いわゆるマスカット団地という団地がありまして、この団地の土砂が崩れたわけです。私も行ってまいりましたが、土砂が崩れてその上に建っている民家が崩壊したということはないのですが、一つは崩れた土砂がその下の民家を押しつぶして、そこで三名の死者が出た。それから崩れた上ですが、民家が建っていて、その民家の庭先が崩れて、家の窓から下を見るとどっとがけが下へ落ちているわけですね。もちろんこれは大変危険ですのでこの皆さんは今避難をされておるということですが、しかしその周辺は危ないのじゃないかという場所でもまだ人が住んでいらっしゃるようなところもあるわけです。これは原因ということになるといろいろ原因があるかとも思いますけれども、とにかくこういう状態を放置するわけにいきませんね。土砂が崩れるのも自然の調整作用だから、しばらく崩れて安定するまでほっとけという考え方があるいはあるかもしれませんけれども、しかしそれにしても民家がすぐ上にあり、さらにその奥にはもっと民家がずっとあるわけでありまして、放置をしていたらこれはどこまでいくかわからないわけです。  私は実は政治家になる前に裁判官という仕事をやっていまして、裁判というのは早くしろとかゆっくりやれとかいろいろ意見があるのですが、やはり被害の回復というのはおくれてから幾ら大金を賠償でもらったってだめなんですね。一番必要なときにさっと被害を回復しないと被害の回復にならないということがございまして、もう一刻も早く崩壊した箇所についてはこれを回復しなければいけないと思うのですが、どういう事業になるのですか、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業というようなことをちょっと聞いたのですが、正しい名前かどうかわかりませんが、そうしたことでぜひやっていただきたい。地元の地権者の同意をとらなければならぬとかいうようなことを言われて町内会長さんが当惑しておったりというような状況があって、そんなことはひとつ役所の方でちゃんとやってもらいなさい、こう言ったのですが、伺いますと、現況の調査であるとかあるいは可否の判定であるとか測量であるとかいろいろなことがたくさんあって、手順も手間がかかるような、こんな紙切れもあるのですけれども、一刻も早く超特急で、地権者の皆さんの同意などはこういう場所を早く直すという迫力で、もう同意はいただくという気迫でこの工事はやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  150. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から御質問ございましたところは岡山市の小幸田地区ということで承っている地区かと思いますが、ここにおきましてがけ崩れによりまして甚大な災害をこうむったわけでございますが、現在岡山県におきまして早急に調査を進めているところでございまして、私どもといたしましても再度災害の防止という観点から県の調査に基づいて的確に対応してまいりたいと考えているわけでございます。  それからまた、御質問の中の隣接の地域というようなところでございますが、これも県に調査をさせております。県の調査の結果を待って検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  151. 江田五月

    江田委員 隣接の地域はこれから質問をしようと思っていたところで、前もってお答えいただいてしまいまして、これは困ってしまうのですが……。  調査調査とおっしゃるのですが、どっちみちこれは調査の結果工事をしなければならぬわけですね、もう目の前で落ちているわけですから。一日おくれればそれだけ地元の皆さんも冷や冷やしているわけで、しかもこれで二十一号が来ているとか。ですから、調査を待ってというのですが、調査調査で、しかし同時に、工法の検討であるとかあるいは予算の手続であるとかいろいろなことを進められたらどうですか。それだけの気迫が必要だということを言っているのです。
  152. 小川祐示

    ○小川説明員 先生の方から早急にというお話でございましたが、急傾斜の崩壊した場所というのは非常に危険でございまして、崩壊した後というのは測量にもなかなか近づけない、それから次に台風が控えている、豪雨になった場合に二次災害が生ずる、それを覚悟の上で県の方で計画なり測量なりそれから施工の仕方なり、現在早急に調査計画を立案しているところでございまして、それを受けまして私どもとしても的確に対応してまいりたいと考えている次第でございます。
  153. 江田五月

    江田委員 ひとつ気迫と迫力を持ってやってほしいと思います。  そこで、そしてその次なのですが、このマスカット団地というのはかなり大きな団地で、今崩れているところは民家三家屋のすぐ足元が崩れているわけです。かなり広い範囲ですが、団地自体はもっと大きな団地で、しかも急傾斜地というのはもっとずっと広がっているわけですね。今現に崩れている場所が崩れているということは、ほかの場所もやはり崩壊予備軍だということだと思います。しかも、現に小さな土砂崩れが起きている場所、亀裂が入っている場所があるわけです。そうしますと、現に今崩れているところは直ちにということですが、同時に、その関連する箇所全体をよくにらみながら、先ほどの改良復旧という点でいうと、関連する傾斜地を一体として考えて改良復旧をしなければいけないのではないかと思いますが、その点を伺おうと思ったらお答えが先に出てしまったのですが、ちょっともう一遍伺わせてください。
  154. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げます。  先生の方からその周辺の箇所ということで、先ほど私、一歩先んじてお答え申し上げたのですが、その辺はまだ詳しく情報をいただいておりません。県の方としても、崩れていないところの周辺にも多少影響があるのではないか、したがいまして、これから調査することによりまして崩れたところと同等のところと扱えるかどうか、それも含めて的確に対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  155. 江田五月

    江田委員 同じような急傾斜地がずっとあって、その上に団地がつくられていて、ある場所が崩れたわけですから、ほかのところも当然崩れるのではないかとみんなが心配するのは当たり前のことですよね。現に、今崩れている場所が崩れる前にその近くのところがちょっと崩れて、そこはすぐ市に通報して崩れた場所に排水の細いパイプを引きまして、細いといっても直径二十センチもあるでしょうか、それで水を通すことによって土砂崩れがどんどん起きるのを防止したという場所がありまして、ここなどは、そこへ住んでいる人が崩壊がちょっと始まった段階でまだ気がつかずに放置していたらそれこそやられてしまうかもしれない。そういう地域の皆さんの防災についての協力があって、幸か不幸か今の程度の崩壊で免れているようなこともあるので、ぜひひとつ地域の皆さんのそうした防災の熱意にこたえるためにも、その地域を一体として改良復旧をしていただきたいと思います。  さて、これはまた別のケースですが、岡山県だけでなくて他の地域でも、個人の所有地、自分が持っている土地だからいいだろうというので、山を削って家を建てるとか沢を埋めて家を建てるとかやって、これが崩壊して災害となったというようなケースがあるようです。個人責任といえば個人責任ですが、しかし個人個人では危険箇所というものがよくわからないというケースがあるわけでして、そういう個人が自分の責任で小さな開発をしているというようなケースについてもぜひ危険箇所を十分調査し危険であることを周知させいろいろなアドバイスをする、そういう行政活動が必要なのではないかと思いますが、地域防災計画といったものもあるようですが、いかがでしょうか。
  156. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げます。  先生から今がけ崩れの危険箇所ということについて御質問があったわけでございますが、いわゆるがけ崩れの危険箇所、私どもは急傾斜地崩壊危険箇所と呼んでおりますが、これにつきましては従来から調査、点検を実施して危険箇所の把握に努めてきたところでございます。また、がけ崩れそのものの現象というのが、地形や地質、降雨等の複雑な自然現象が相互に関連し合っているため、メカニズムの解明については極めて難しいものと私どもも考えておるわけでございますが、建設省の土木研究所におきましてその辺のところを鋭意研究しているわけでございます。精度の向上にも努めてきたところでございます。  それから、警戒避難という意味から考えますと、危険箇所の住民への周知というのが必要でございまして、地域防災計画書への登載など県への指導の徹底方について努めてまいってきたところでございます。これからもこの辺についての徹底方という指導を続けていく考えでございます。  それから、社会情勢の変化によりまして人が住むところがふえ出してくる、そういったところで危険箇所がふえていくような状況もございますので、その辺も踏まえまして見直し調査の実施を検討しているところでございます。
  157. 江田五月

    江田委員 次に、岡山県東備地区河川災害について伺います。  今回、岡山県では備前市、和気町、邑久町、牛窓町、長船町、一市四町が災害救助法の適用を受けて八千世帯以上の床上、床下浸水被害が出ました。また、佐伯町でも道路が寸断をされました。  そこで、建設省に伺いますが、この地域の油杉川、千町川、干田川、さらにその他中小河川被害状況と今後の改修方針について、地元からは河川激甚災害対策特別緊急事業の採択の陳情書も出ておりますが、初めに伺いました改良復旧という観点からもどういう方針で取り組まれるかを伺いたいと思います。
  158. 日野峻栄

    日野説明員 御説明申し上げます。  まず、千町川でございますが、実は五十一年に非常に大きな出水に遭われまして、激甚災害対策特別緊急事業、通称激特事業と言っておりますが、その採択をいたしまして、五十一年から五十五年度までの五年間で十トンのポンプを設置いたしました。また、吉井川への放水路が一・四キロほどございますが、これの暫定改修を実施してございます。その後もずっと河川改修を続けてきておりまして、昭和六十一年度までに局部改良で護岸をやってきまして、また六十一年度からは十二・二キロほどの区間でございますが中小河川改修事業にいたしまして、この改修で現在用地買収とか築堤、掘削を行っております。  また、干田川の方でございますが、これは昭和四十四年から、下流の方から七・八キロほど中小河川改修事業改修を進めてきております。この干田川も先ほどの千町川のように五十一年にやはり出水被害を受けられまして、同じように激特事業を採択いたしまして、こちらの方はポンプ十五トン、それから吉井川への放水路、それから一・五キロの河道改修をやりました。その後ずっと改修を続けておりまして、干田川の本線あるいは支線の香登川を含めまして中小河川改修事業築堤、掘削、護岸等を実施しております。  また、油杉川につきましては、昭和五十六年度から、二キロ弱でございますが局部改良事業でやってございまして、用地買収は完了いたしまして、下流から二百六十メートルの区間は河道が整備されでございます。  今回の出水にかんがみてどうするかという御指摘でございますが、ただいま県と相談をしておりまして、再度災害防止のためにどうやったらいいのかということを今協議中でございます。
  159. 江田五月

    江田委員 地元の皆さんは、昭和五十一年の第十七号台風被害に遭って、今の激特事業ですか、それをやっていただいていることには大変感謝をしておりまして、この点はまずお礼を申し上げなければならぬと思います。ただ、これは下流から順次やっていくという、しかしまだ十分上流まで行き着かないうちに次が起きてしまったということなのですかね。全体の計画でいうと何%ぐらいのところが終わっていたのでしょうか、おわかりですか。
  160. 日野峻栄

    日野説明員 御説明申し上げます。  千町川につきましては大体一・四キロぐらいでございます。それから、干田川につきましては大体三キロ程度完成をしております。千町川の方、結構長うございまして、全体で十一キロぐらいですから十何%ぐらいになります。それから干田川の方は、全体七・八キロぐらいですから二十数%ぐらいになろうかと思いますが。
  161. 江田五月

    江田委員 五十一年の台風、そこで激特事業にしていただいて、平成二年、何年たったのですか、十四、五年ですか。それで十一キロ中一・六キロというのですから、余りスピードが速いとはなかなか言えないことで、これはひとつ頑張っていただかなければならぬと思いますが、よろしくお願い申し上げます。  この地域の水害は、内水被害といいますか、溢水もしているわけですけれども、外水に特っていけない。とにかくどうしようもない。水を川へ流すといったって、川はさらに先へ特っていったらそこがもっとふえているので、どうしようもないという状態のようですが、こういう内水被害を防止をしていく分野というのは建設省、農水省、それから国土庁あるいは自治体、いろいろ権限が重なり合っているようですね。これは国土庁としてはやはり調整官庁、そういういろいろな役所の権限が重なり合っているところを調整をしていく国土庁としては、内水被害についてどんな大きな方針をお持ちなのでしょう。  私は、国土庁はとにかくこれから四百三十兆の公共事業という大変な時代を迎えるわけですから、国土庁としてこういう内水の被害であるとか、あるいはさっぱり進まないというと怒られるかもしれませんが、急傾斜地等の崩壊防止であるとか防災行政、防災予算についてひとつ国土庁がリーダーシップを発揮して、大いに予算もとり、災害のない国土をつくるために力を発揮するという意気込みを持ってほしいと思いますが、いかがですか。
  162. 鹿島尚武

    鹿島説明員 我が国は、その自然的条件からいたしまして地震、台風豪雨などいろいろ自然災害を受けやすいところに位置しているわけでございます。このような災害から国土と国民の生命財産を守っていくということは、これはまずもって国の基本的な責務でございます。  そこで、政府におきましては、かねてから事前の対応といたしまして科学技術の研究、そしてまた災害の予防、そして国土保全事業の実施を行うとともに、万一災害が発生いたしましたときに、災害応急対策復旧対策を進めておるところでございます。そのためには前提といたしまして、先生が仰せられますとおり、もちろん予算を伴ってまいるわけでございます。各省庁とも十分連携をとり合いまして、治山、治水事業を初めとして災害に強い国土づくりを行うという見地から、防災関係予算につきましても充実、確保をしっかりと図っていきたいというふうに考えております。
  163. 江田五月

    江田委員 世間では、国土庁というのは調整官庁で、実際に事業をやるのは建設省であったり、農水省であったり、予算もそっちがやることで、どうも国土庁があれこれ言えないのじゃないか、国土庁というのはやはり弱いのじゃないか。そんなようなことが言われるわけですが、しかし、これからはそうであってはいかぬと思うのですね。国土庁とかあるいは環境庁、こういうような調整官庁というのがもっとリーダーシップを発揮して、各省庁をいわば引っ張っていくような、予算も、予算の配分は大蔵省だというのじゃなくて、もちろん決定は大蔵省ですが、この防災関係、こういうことをしなかったら四百三十兆の名が廃るというくらいの意気込みでやってほしいと思いますが、これは大臣いかがですか。
  164. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  実は先ほど先生のお話で、例えば急傾斜地の問題、地すべりの問題ですが、私の選挙区で尾道というところがございまして、やはりこれが実は地すべりを起こしまして、まず水抜きと土砂取りをやりました。約二千立米取りまして、あと水取りをやりまして地下水を少なくする、それで足りなくてまた四千立米取るわけで、これは建設省、非常によくやっていただいているわけです。  これで考えますのは、十六万カ所あるわけです。そこの二割、約三万少ししかできていない、まだ危険箇所が十万幾らある、一体どうするかということなんですね。これは予算等の問題とかみ合うわけです。実際、私が考えておりますのは、この間も現地に行ってみまして、雨が降ったら水がしみる、それが地下水になるわけです。では雨が降ったら水がしみないようにしたらいいわけですね。そうすると非常に助かる。そんなこともございまして、そんな意見を述べる人もございますが、何らかのそういう方法を考えないと、今の予算では難しい。  例えば河川ですが、これは実は笑い話で先生お聞き願いたいのですが、ある事務次官をやめたのがおりまして、係長のときに河川改修現地に行ったそうです。それで彼が事務次官をやめてもう一遍行ったらまだ改修中であった、こういうわけですね。河川というのはまだできたのがないそうです。ただできたのは多摩川一つだそうでして、できた河川が同じに事故を起こす。そんなことでございまして、大変河川には膨大な予算がかかるわけです。そんなところを含めてどうするかということでございます。  先生御存じだと思いますが、今度四百三十兆の構造協議から公共投資、あれは四百十五兆プラス弾力運用十五兆ですが、ずばり言って完成するものは、道路河川一つもない。これをどうしたらいいかということを含めてですが、今先生がおっしゃったようなことですが、国土庁とすれば、そういう意味におきましては今度第四次全国総合開発計画、その中の整合性をどうするかということの中に、今先生がおっしゃったような問題を含めまして、これから大いに努力したい、こう思っておりまして、何分の御理解と御後援をお願いいたします。
  165. 江田五月

    江田委員 時間が来まして、最後の質問です。  先ほどの内水被害もそうなのですが、農地の宅地化といいますか、あるいは都市化といいますか、どんどん都市部が広がってきまして、今まで農村であったところが宅地になっていく。そうすると、残った農地に水がたくさん入り込んできて、農地は狭くなる、水はたくさん来る。そこでこれをどんどん外へ出さなければならぬというので、この内水被害、溢水被害というのが起きる地域が随分ふえてきているような気がするのですね。これはどんどん外へ水を出せばいいということなのか、それとも日本の国土というのは広い水田があって、そこに水が十分保たれて、そういう水田の保水能力というものがあって国土が守られてきた。今それがどんどん都市化していく状況では、また別の何か考え方が要るんじゃないか。水を外へ出すだけじゃなくて、例えば遊水施設をつくるとか、学校の校庭を水がたまるようにするとか、いろいろあるようですね。あるいは水がしみ込むような道路にするとか、水路なども三方を全部コンクリートで囲むのではなくて、二方だけで下へ水がしみ込むような水路にするとか、これは農水省の関係かもしれませんが。そういう意味で、環境問題も含めて水の問題というのを総合的に考えていく、公共投資四百三十兆の使い方もそういうところに求めるといろいろ有意義な事業があるかと思いますが、総合的な治水対策が必要と思いますが、その考え方を伺いまして私の質問を終わります。
  166. 定道成美

    定道説明員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいました、特に都市化が非常に激しい流域がまさしく問題でございまして、流出が大きくなる、下流から治水工事をやっていけばとても間に合わないという事態を招いている河川がございます。こういう河川につきまして、昭和五十一年でございますけれども河川審議会の中間答申を得ておりまして、総合的な治水対策を推進しているところでございます。その中身は、先生も先ほどおっしゃいましたように流域を三つの区分に分けております。そして流出抑制あるいは盛り土抑制、あるいは市街化調整区域をできるだけ保持しようとか、そういう施策を展開しているところでございます。
  167. 江田五月

    江田委員 終わります。
  168. 三ツ林弥太郎

  169. 水田稔

    水田委員 全体的なことは後で私どもの辻理事からお伺いいたしますが、私今の江田委員と同じ岡山でございまして、災害のあった後、二十二日、二十四日、二十六日と現地調査に入りました。そういう限定したことでの質問をさせていただきたいと思います。  今江田さんからも質問がありましたように、県の東部の三つの河川の問題であります。例えば油杉川というのは昭和二十一年に一遍決壊して災害復旧しておる。聞いてみると、改良復旧というけれども、実質はほとんど原形復旧みたいなものなんですね。五十一年に大災害被害を受けて、先ほど答弁のあったような復旧をやっておる。そこへまた五カ所決壊して流れていっておる。調べてみると、その下流の干田川の、下流から改良していくのですが、十五年たって拡幅がどれだけできておるのかというと、さっきは二百六十メーターと言われたのですけれども、私ども現地で聞いたのでは百五十メーター。金がたくさんかかることはわかるけれども、二十一年、五十一年、そして今度と、一人の一生の間に三遍も田んぼから家から全部の被害を受ける。そういうことが起こって、なお金がないからということでこういうことが起こっておる。あるいはまた千町川の上へ行きますと、恐らく五年かけて災害復旧をやっておる。しかしそれは、川幅を見ると大体三メートルぐらいのところを三方護岸で、そして昔のままの型で、流量計算も何もやってないのではないかという復旧なんですね。そこへどういうぐあいに流れたかというと、四日間で五百ミリの雨が降っておるわけです。県道と山すその間が大体五十メーターぐらいあるのですが、それが全部川になって吹っ飛んでいった、そういう状況にあるわけです。  そこで、与えられた時間わずかですから、まとめて申し上げますと、一つはそういう被害を受けるところについては、確かに長官も言われたように予算上今大変難しい点はあるけれども、これだけ受けるところは最優先的に治水予算を回してやるということは政府として当然考えるべきじゃないだろうかというのが一つ。  それから、先ほど激特について江田さんからも聞かれたのですが、今浸水家屋二千世帯以上というので、この地域だけで五千世帯を超すのははっきりしておるわけですから、そこらは今調査中というのではなくて、ぜひそういうことでやってもらいたい。  それからもう一つは、二十号が幸い岡山を外れたものですからよかったのですが、二十号が来ておったらさらに再度の災害をこの地域は受けておっただろうというぐあいに思うわけです。まず、その二点についてお答えいただきたいと思います。
  170. 日野峻栄

    日野説明員 御説明申し上げます。  第一点の予算に関する件でございますが、先ほど国土庁長官からもお話がございましたように、今非常に予算的にも制約があるわけでございますが、全国の状況を見てみましても、当面の目標として時間雨量五十ミリで雨が降っても被害が起こらないようにという目標を立てても、それに対しても全国でまだ四二%、そんな状況でございまして、今回のように時間雨量が三十五、二時間六十五とか、相当大きな雨が降りますと、完全に守れるかといいますとなかなかそういう状況にはなってないのが現状でございます。もちろん我々もこの災害を未然に防止するために予算の獲得にも一生懸命努力をいたしておりますし、事業の進捗も図るように努力をしておるわけでございます。また、今後ももちろんやっていかないといけないというように考えております。  それから第二点目の、ただいま県の方で調査をしているところでございますが、できるだけ早くこの調査を終えて、再度災害防止のための対策を検討していこうということで、県ともそういう段取りでやってございます。残念ながらまだ調査は完了しておりませんが、できるだけ早く協議を進めたいと考えます。
  171. 水田稔

    水田委員 私は二十一年と五十一年と今回と申し上げた。しかも、油杉川を例に挙げて申し上げると、今回も五カ所決壊しておるのです。二十一年のとき、下の方は一メーターほどをブロックで、あとは土盛りなんです。刃金土を使ってないのです。そういう復旧をあのときにしておる。それが五十一年にも吹っ飛び、そして今回も飛んでおるのですね。先ほど江田さんからも改良復旧を原則にしてもらいたいという話があったのですが、原形復旧、改良復旧しても下流の拡幅が、改修ができなければ同じことを繰り返すわけです。十五年たって百五十メーターということで、金がないからということで済ますのか。このテンポでいくなら、これから十年、十五年でまた同じ災害が起こるのです。こういうところについては改良復旧や治水予算を思い切ってつぎ込むということでなければ、実際には、これだけ経済的に豊かと言われながら、命の不安を感じながら毎日暮らす、そういう社会になるわけです。そこらの、たちまちすぐというわけにはいかぬでしょう、全国的には額が大きいですから。しかし少なくとも、人の一生に三遍も四遍も同じような災害を受けることを国がどうにもできぬのか。それは数字の上でこうなんですということでは、国民は納得しないと思うのですね。ですから心づもりでも決意でもいいですから聞かせていただきたい、そういうぐあいに思います。
  172. 日野峻栄

    日野説明員 御説明申し上げます。  この激特制度を昭和五十一年に実はつくったわけでございますが、そのときまではこういう制度がなかったわけですので集中投資がなかなかやりにくかったということで、やはり一度大災害を受けて、できるだけ次の被災を受けないようにということでこの激特制度を設けまして、御案内のようにもう毎年のように大災害を受けていますから、毎年のようにこの激特制度で全国的に方々箇所をやっているわけですが、なかなか激特をやってもまだ次もう一つ大きい雨が降るとまた災害を受けたりするということで、全国的に一番多いところで三回激特を受けているようなところもございまして、なかなか私たちも、二度と災害のないようにとは常々思っているわけですが、実情はそういうところにございますが、我々も一生懸命頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  173. 水田稔

    水田委員 十五年間で百五十メーターというのは象徴的ですから、やはり我々も努力しますが、治水が命にかかわるもの、財産にかかわるもの、そういう全体的な意識統一をしながら、ぜひ治水予算をふやすための努力をいただきたいということでこの点は終わりたいと思います。  次は、これも江田さんから質問された岡山市の横井上の小幸田地区というのが、マスカット団地の下なんです、これは当然傾斜が三十度以上ですから、緊急急傾斜地崩壊対策事業、そういう手当てが県から上へ上がってくればすぐできると思うのですが、応急対策をやろうとしても、これは大きな排水パイプを一本入れたのですけれども、全体がずれているからそれだけでは、上の団地の落ちてくるのはそれでとめられても、ほか全体崩壊しておる土石流をとめるわけにいかぬ。下に家があるわけですから。応急措置よりはできるだけ早く本格的な災害復旧ができるようにしなければ下の方は安心して暮らせないというのが一つです。  それからもう一つは、落ちたところの東と西に両側に家があるのですが、西側は十数戸の古い集落があるわけですが、そこは既にもう亀裂が入って、とにかくシートをかぶせておるわけですね。ところがこれは、私は当然急傾斜地の崩壊対策地域指定をしてもらいたい、こういうぐあいに思うのですが、どうも傾斜が三十度ないんじゃないか、そういう問題があります。そうするとだれがやるのか、これは災害復旧、そこはできてもその周辺は人が安心して住めない。これからどこか、市がやるのか県がやるのか、単独でやらなきゃならぬ。そういう点は今のところ調査の結果どういうぐあいになっておるのか、周辺、その小幸田地区の横について聞きたいと思います。  それからもう一つは、時間の関係で猿場も一緒に言いますが、猿場については幅が四十メーターか五十メーターありますね。そして上からずっと下まで百メーターを超すあれでしょう。それが全部ずれて一軒飛んで二人亡くなってそしてその崩れた家と土砂とが隣の家へのしかかっていっておるわけですね。次に降ればずるっといってしまうわけで、これもどうも三十度ないから急傾斜のあれができないかということになると、実は池の中へ土石流が全部流れ込むわけですから、そういう復旧等の問題が起こってくるわけです。それがもし急傾斜でできないとするならば、林野庁の方のいわゆる砂防ダムのようなことででも何かやってもらわないと、後その周辺は人が住めないということになると思うのです。あわせて林野庁も含めてお答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、大石(正)委員長代理着席〕
  174. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げます。  水田先生から今岡山市の小幸田地区のがけ崩れのあったところの対策ということで、先ほど江田先生にもお答え申し上げたのですが、今県の方で早急に対策工法などの調査を進めているところでございまして、再度災害防止の観点から、私どもといたしましては県の調査を待って関係機関協議の上対応してまいるという考えでございます。  その周辺地区につきましては、三十度というような角度でちょっと微妙な問題が考えられるものですから、その辺は岡山県を通じて調査しているところでございます。  それからもう一つ猿場地区の問題でございますが、御質問あったわけでございますが、急傾斜地崩壊対策事業と申しますのは傾斜度が三十度以上のところで実施するということになっておりまして、当該地区につきましては三十度未満だ、十五、六度という報告を受けておりますので、急傾斜地崩壊対策事業で実施するというのが極めて困難な状況でございます。
  175. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御説明申し上げます。  岡山県の山地災害につきましては、非常に激甚であるということから、十月の二十六日、二十七日にかけまして林野の担当官現地に派遣いたしまして現地調査を行うとともに、応急及び復旧対策等について指導したところでございます。この際に、先生の御質問にございました横井上地区につきましても現地調査をしてございますが、当該箇所復旧対策につきましては現在岡山県において復旧事業の検討を行っております。  治山関係の事業としては、一つには災害関連緊急治山事業ということが考えられます。また激甚災害指定された場合には林地崩壊防止事業ということも考えられますが、林野庁としましては、県からその復旧事業のどちらの事業でやるかも含めまして復旧事業の申請が提出され次第復旧対策協議を行い、関係機関と打ち合わせの上適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
  176. 水田稔

    水田委員 小幸田地区の西側の問題については今後問題が残ると思いますので、それはもちろん県、市でも対応をこれから我々も要請してまいりますけれども、やれる方法があればぜひ受けていただきたい。  それからもう一つ、自治省おいでになっていると思うのですが、一つは、災害復旧に関して全部が全部国の制度へのるということにはならないので、そういう場合に市町村単独というのも大分あると思うのです。そういう点の財源については従来いわゆる特交で見るというようなことですが、特交は本来枠があるわけですから、本来特別な事情に応じて出すのを災害でそっちへとってしまえば本来の特交の役割が果たせぬわけですから、そういう点では別途災害で単独の自治体の費用が要る場合にはちゃんと国が面倒を見る、そういう制度というか仕組みをつくるべきではないかと思うのです。時間がありませんのでもう全部言ってしまいますが、お答えをいただきたい、そういうぐあいに思います。     〔大石(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 長澤純一

    長澤(純)説明員 お答えをいたします。  災害により被害を受けました市町村におきましては、災害復旧事業を初め多大の財政負担が生じ、お話のありましたように国庫補助を勘案いたしましてもなおその負担額は多額に上るものと見込まれます。そのため、自治省といたしましても、このような市町村が単独で実施いたします災害復旧事業につきましては単独災害復旧事業債等を措置いたしておりまして、このような地方債につきましては、市町村の財政力に応じ元利償還費の普通交付税算入をいたしております。また、お話のありましたように、被災市町村に対しましては、従来から災害復旧事業費、被災世帯数などを指標といたしまして特別交付税の算定に当たり特別な措置を講じておるところでございますが、今後とも被害状況及び財政状況等を勘案いたしまして、財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいりたいと考えております。
  178. 水田稔

    水田委員 それでは、農林関係で現地へ行きまして、例えば田毎の月のような段々畑の小さいのではなくて、一反ぐらいの広さの田んばがずっと千町川の流域にあるわけです。全部吹っ飛んでいますから、これは土砂をのけるのは大変だろうなと私も思ったのですが、これは農家負担というのは全部かかるわけですね。五〇%、六五%という農地と施設についての国庫補助があり、それからいろいろ増高があるけれども、実際には八〇とか九〇%で、一割とか二割を負担するわけです。それまでして、その農家収入がそれで後、補償されるかといったら余りないものですから、もうやめた、こういうことを言われる人も何人もおるわけですね。農地を荒らすことは決していいことじゃないわけですね。  それから老朽ため池についても、例えば岡山県では堤塘の決壊が五カ所、五つの池です。それからのり面の崩壊等が四百三十三あるわけですね。そういうものも結局は災害復旧でも一割ぐらいは受益者負担ということで取られる。大変だと思うのですね。  そういう点で、制度として受益者負担、私有財産だからという物の考え方があるわけですけれども、やはりこれからの農業というのを考えれば、農家負担が軽くなるような配慮を最大限すべきじゃないか、そういうぐあいに思うのですが、いかがなものでしょうか。
  179. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 農地に係ります国の補助率でございますが、一応暫定法では基本が五〇%となっております。それに農家の負担軽減等のために被災の程度に応じましてかさ上げ措置がございます。さらに激甚災害に査定されますと、より以上補助率が引き上げられることになっております。今回の場合も相当な軽減が図られるのではないかと考えておりますが、過去の例から見ますと、農地災害でございますが、基本五〇%に対し暫定法で八二%まで上がり、さらに激甚によって九三%まで上がっているという格好になっております。こういったものを極力適用して、農家負担の軽減に努めてまいりたいと思います。
  180. 水田稔

    水田委員 そういう点では、ぜひやれる配慮は全部やってほしいと思います。  消防庁、おいでですね。  実は、災害が起こって、常設消防がふえるごとに消防団団員というのは減ってきた。それから、社会の構造が変わってきたものですから、消防団は若い人をその地域で集めてということがなかなかできない状況になっていますね。こういう今度のような災害が起こると、そうではない周辺の人が行ってやらなければならぬ。また市町村も、例えば女子の消防隊、これは消防団じゃないのですね。あるいはまた自衛防災組織とか、そういうものもある。実際にそれらがやった場合、銭金の問題ではないのですけれども、ここで、猿場でもあったのですが、実は二人家の下になって土が落ちてくる。中で奥さんが助けてくれと言うのが聞こえておるわけです。その地区の人が下の穴がある中から入って、それをこっちへのけていく、そうすれば助かるかもしれぬというので入ったときに、上から土砂が全部来たら自分は死ぬという思い、それは、おれは軍隊経験があるからやった、しかし普通の場合、消防団ならちゃんと賞じゅつ金で決まりがある、そうでなければおれがそういうあれをやったとしても、それは普通の災害に遭った場合の世帯主三百万、世帯主でなければ百五十万、そういう見舞い金の形になる。それは銭金の問題じゃないけれども、現実に社会の構造が変わってきておるのであれば、その中で防災活動なり消防活動というのはそういう周辺地域の皆さんでやっていかなければならぬ状況だから、何かそういう点を考えるべきじゃないか、そういう御意見も聞いたもので、確かに私ども見ておって、もちろん基本になるのは消防署員であり消防団員ですけれども、それを支える態勢、その人たちがやれる条件もつくってあげるべきじゃないか、そういう思いがするのですが、消防庁の方はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  181. 神林章元

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  一般の住民の方が、市町村長あるいは消防職団員、水防管理者等の従事命令によりまして防災あるいは救助作業に従事した場合、死亡、負傷、疾病、障害の状態になりましたときには、政令で定める基準に従いまして、各地方公共団体の条例に基づきまして療養補償あるいは休業補償、遺族補償等の補償がなされるわけでございます。しかしながらこれらの制度は、市町村長等の従事命令あるいは協力命令というものが要件となっておりまして、自発的に災害応急対策に参加した方がどうなるかということについては実は規定がないわけであります。しかしながら、今後ボランティアの活用などを考えた場合には、これは非常に重要な研究課題だと認識いたしております。
  182. 水田稔

    水田委員 意識するだけではなくて、やはりそれに対して、社会の仕組みが変わってきているわけですから、従来の形のものだけでなくて、やろうという意欲のある者がやった場合に助かる場合もあるわけですから、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  時間があと二分しかありませんので、長官、最後に一つ。  岡山がそうだったというのではないのですけれども岡山市で、二カ所の、五人死んだところです。これはいろいろな省庁の危険地域指定されていないのです。そこで起こるのです。危険地域も完全には手当てができていないのです。新しい社会の中で新しい団地ができる。古い時代は全く規制がなかったという問題があります。あるいはまた産業廃棄物を捨てるというのは、許可を受けた受けないでいろいろなものがあるのです。そういう危険地域調査。  あるいはまた、ため池について、今度災害にならなかったけれども、危ないなというのは、いわゆる係の田んぼ、受益の面積が減ってくるわけです。そうすると守りをする人が減ってくる。従来なら、雨がどっと降ってくると、樋守がおってちゃんと水を少なくして、それで雨を受けるということをやるのです。ところが、人が減るものですから、そういうものが十分できない。そのために堤塘が危険になるとか、そういうところがたくさんあるわけです。災害のたびに老朽ため池というのは問題になるのですね。ですから、一つは、農水省はそういう点についてどういうぐあいにお考えか、それからもう一つは、宅地造成とか、あるいは今危険地域指定されていないところを全体的に調査をしてもう一遍対応を考え直すべきだと私は思うのですが、長官はどのようにお考えかお伺いして質問を終わりたいと思います。
  183. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 水田先生にお答えします。  先ほどお聞きしまして、やはり問題点は幾つかあるかと思いました。その一つは、例えば災害を受けた河川が、同じ状態で、しかも昭和二十一年、五十何年と、これは大変なことですね。そんなことでございまして、これは一遍河川の計画課長なんかと相談しまして、そういうところを選んでみる。災害が起きたところには起きるべき欠点があるわけです。それからまた台風の進路であるとかいろいろあると思うのです。その辺をやはり重点的に特別予算をやる必要があるのではないか、こんな感じがしました。  それから、ため池につきましては、実は私がおしかりをこうむっている感じで、私は全国ため池協会の会長をやっておりまして大変いろいろおしかりをこうむっている、また抗議をいただいておる、こう思ったわけです。実は、ため池は岡山県は二万近くあると思いました。広島県も二万ちょっとで、大変たくさんあるわけです。そんなことでございまして、今先生の御指摘のような点は農水省とも十分検討しておるわけですが、実は現在ため池は、水田が減っているものですから利用者が減っております。そんなことで、ある程度利用権者の同意が得られれば、まあ率直に言いまして、多目的に活用できるというようなことも含めて、今老朽ため池の健全化を図っておるということでございます。それからまた、実はこれも予算が少ないのですよ。そんなことでございまして、先生のおっしゃるようにしたいのですが、ぼつぼつ基準を下げていく、広くしていきたいということで努力しておりますから、何分ひとつ御後援をお願いしたい。そんなことで、何かまたため池の活用について御意見があれば教えてもらいたい、また、お手伝いしたい、こう思っております。  また、危険箇所等につきましては、やっぱり一番問題は情報ですね。ここは危険であるということを早く連絡する、そして早く避難するわけです。いずれにいたしましても、急傾斜地等を含めて、一番大切なことは、雨が降った場合にその雨が浸透しないようにするにはどうするか。実は先ほどもちょっと言いかけてやめたのですが、だから、いろいろな人の中に、逆に言えばビニールをかぶせたらどうか、ビニールというのは大変水に溶けにくい、そんなことでございまして、何らかの予防措置を講じないと。しかも例えば各国有林あるいは民有林あるいは組合林、いろいろございます、市町村もございます。それが地元負担をしながらどうしてやるかを国と考えないとなかなか防ぎにくい、私は正直こんな感じをしながら先生の御指摘を聞いておったのですが、大変勉強になりましたので、先生の趣旨を踏まえてこれからも努力したい、こう思っておりますので、よろしくお願いする次第でございます。
  184. 水田稔

    水田委員 終わります。
  185. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻一彦君。
  186. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官今非常にお急ぎのようでありますから、先にちょっと一問だけ御質問したらお帰りいただいていいと思います。きょう私は土石流の対策と林道災害とヨルダン難民の救済問題、三点についてそういう順序で伺うつもりでおりましたが、長官の都合からヨルダン難民救済について一言先に伺いたいと思います。  実はこの七月の下旬にここの三ッ林委員長ともどもにイタリアのピサにあります国連の災害救済物資の日本備蓄基地を訪ねました。それから、この間来ましたエサフィ氏をいわゆるジュネーブの国連救済調整官事務所に訪ねた。そういう中で、当時はイラン震災地向けに毛布、テント、水の供給容器あるいは医薬品が送られておったという状況でありました。  今中東問題の中で非常に大きな問題は、ヨルダンにおける滞留する難民救済であろうと思いますが、それについて、これは外務省に聞くといいのでありますが、時間がないのでその点は後にしますが、二千万ドル程度こういうUNDRO、いわゆる国連の災害救済調整官事務所を通して我が国は援助をしておるわけでありますが、今言われるところの四十億ドルに上る膨大なる中東支援貢献策から見ればまことに微々たるものでないかと思われる。  実は一日の夜でありますが、長官もおられましたように、国際防災十年の記念式典が横浜であって、私も行きましたが、ジュネーブで会いましたエサフィ国連次長、いわゆる救済本部の調整事務官と再会をしたわけであります。そのときにいろいろ話をしましたら、彼はいわゆるUNDROに対する日本の難民救済についての援助を感謝していると言っておりました。ただ、四十万、五十万というヨルダンにおける難民の現状は極めて厳しいということ、さらにひとつ日本の援助を期待したいという意味のことを発言しておったわけですよ。私はそれらを総合して、やはり日本は軍事的な面よりもむしろヨルダンの難民救済であるとかいう民生上に最大限の努力をすべきであると思いますが、外務省の見解は後として、災害本部本部長である所管大臣の所信をひとつ聞いて、お帰りいただいていいと思います。
  187. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 辻先生にお答えしますが、実はお話を聞きながら日本の財政事情を考えておったわけです。日本というのは豊かなように見えて実は百数十兆の借金を持っております。この借金をどうするかというのは大きい問題で、いつも赤字国債を出されるようなことで財政再建をやっておるわけです。そういうこともございまして、その中でこの二千万ドルという金は、もちろんいろいろ比較の問題もあると思いますが、外務省がどう答弁するかわかりませんが、かなり出しておる、私はこう思うのです。中東貢献策に四十億ドルと、ちょっと意味が違うと私は思います。これは御存じと思いますが、日本は油の約七〇%を中近東から買っております。したがって、もし油がなくなったら日本はどうなるか、そんなことがございまして、中東貢献策四十億ドルというのが、特に日本は自衛隊派遣等の問題もございまして、経済的に四十億ドルを支出せざるを得なかったということでございます。そんなことでございまして、私は、外務省がいろいろなことを考えまして恐らくそうしたと思うのでございまして、多いか少ないかという議論は別として、比較すればよくしておるのではないか、こう思っておりますが、よろしくお願いします。
  188. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間をお急ぎでしょうから多くは尋ねませんが、ひとつ所管大臣としてうんと頑張っていただきたいということを要望して、お帰りいただいて結構です。  順序はちょっと逆になりましたが、外務省の方に一応伺いたいと思います。大体二千万ドルというような要請は、向こうの要請に基づいてどういうような経緯で決められておるのか、それから今後、この間エサフィ氏にも会いましたが、そういう希望等があればこれに十分応ずる用意があるのかどうか、この点を伺いたい。
  189. 河村武和

    ○河村説明員 お答え申します。  ジョルダンにおきます避難民問題については、我が国としても、先生御存じのとおり現在まで二千二百万ドルの援助をしたわけでございますけれども、八月二十四日に赤十字の国際委員会が援助をしてほしいというアピールをいたしまして、世界全体で二百八十五万ドル支出してほしいというアピールをいたしました。それに対しまして、日本が応じましたのが二百万ドルでございます。さらに八月二十七日に国連災害救済調整官事務所が千五百万ドルのアピールをいたしました。これも世界全体に対するアピールでございましたけれども、それに対しまして日本政府が八百万ドルという拠出を決定したわけでございます。このアピールは二つほぼ同時に行われたわけでございますけれども日本政府は計一千万ドルを出しました。アピール全体の五六%を占めたという状況でございます。  さらに、その後ジョルダンにおきまして避難民がふえてきたということで、本国の帰還活動支援のために緊急援助をしてほしいというアピールがやはりUNDROから行われることになりまして、九月四日に二千三百四十六万ドルのアピールが行われました。これに対しまして日本政府が千二百万ドルを提供するということを九月七日に決定したということでございまして、パーセンテージで申しますとアピール全体の五一%を日本政府が拠出するということになったわけでございます。  今後のことでございますけれども、現在ジョルダンに滞留しております避難民数は約四万人ということで、一時の状況に比べますと比較的落ちついた状態にございます。とりあえず混乱状態は収拾されたということは言えるわけでございますが、他方、状況はまた日々刻々変わっておりまして、今後避難民がふえるということも十分予想されます。必要に応じて我が国政府としても追加的な救済措置ができるかどうかということを状況を踏まえつつ検討していきたい、このように考えております。
  190. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一時ヨルダンに滞留した四十万とも言われた難民が、いろいろな各国の協力で移送等によって相当それぞれの母国に帰った。今の数は必ずしもそれほど多くないわけでありますが、それにしても全体としてはなかなかな難民の数だと思います。我が国の立場としては、なるほど要請があればそれの半分ほどはこたえる、こういう立場でありましょうが、さらにひとつ積極的に難民救済には拡充をして当たってもらうように強く要望をいたしておきたいと思います。  十五分という私の時間はすぐたちますので、第二問に入ります。  土石流の災害問題ですが、六月下旬の九州の水害は、集中豪雨で阿蘇の外輪山が崩れるという、流木もろとも流れ込んで大災害を起こしました。今回の場合はかなり特徴があって、全国に広く災害が広がったという点が一つと、それから局所的には土石流によって貴重な人命の非常に痛ましい犠牲が出た、こういうことが特徴であると思います。  そこで、先ほどもお話がありましたが、奄美大島の場合には土石流によって十数名の犠牲者が残念なことに出た。小豆島の池田町はかなり大きな流れにもかかわらず犠牲は出さずに済んだ。これは少ないほど結構なことでありますが、防災対策からいってこのような相違はどのようにして起こったかと建設省見ておられるか、この点をひとつ聞きたい。
  191. 松下忠洋

    ○松下説明員 砂防課長でございます。  先生がお話しいただきましたように、今回の台風では、奄美大島では多くの方々が亡くなられ、小豆島の方では千人余りの方々が避難されて命が助かった、そういう対照的なケースがございました。これは確かに対策工事をやっていたかどうかということももちろんその基本にはございますが、我々といたしましては、午前中にも薮仲先生の方からもお話がございましたけれども、やはり対策はいろいろなことを考えてやらなければいけないのではないか。ハードな対策に加えましてソフトと申しますけれども、やはり事前にいろいろな台風情報や雨に関する情報を皆さん方にわかりやすく啓蒙するようなことをテレビやいろいろな電波を通じてやっておく、あるいは土砂災害というものはどのような前兆現象や前ぶれで起こるのかというようなことを、繰り返し繰り返しわかるように皆さん方に啓蒙していくというようなことも非常に大事だなというふうに思った次第でございます。  我々、小豆島におきましては五十九年からいろいろな施策をやっておりまして、総合土石流対策や警報装置等も実施してまいりましたけれども、そういうこととあわせましてやはり事前の情報をしっかりとわかってもらうようにしていくということが大事だなというふうに今回も思った次第でございます。
  192. 辻一彦

    ○辻(一)委員 新聞等もいろいろ報じておりますが、きょうの論議を私伺いましても思うのでありますが、この広範な災害の予知は、気象等のこういう情報は非常に大事だ、当然であります。土石流の場合はそれが起こったときに知ったのではもう手おくれなので、現場でどう予知をするかということと、それから予知されたならば適切なる時間に避難勧告をどう指導するかというこの二つが欠かすことのできない要点であろうと思うのでございますが、そういう点でこれからの、全国における非常にたくさんの危険な場所がある。さっきは十六万カ所とも聞きましたが、しかし住宅が割と密集している場所で、危険な場所というのはまたある程度限定されると思うので、そういうものを十分に調査をして、台風、集中豪雨が来れば、土石流等の起こる危険場所では事前に予知を、対策を強化をするということと同時に、どうタイミングよく大事なときに避難勧告の指導体制を打ち立てるかということ、この二つが大事だと思いますが、時間の点から何問も聞けませんから、この二点について担当の方からそれぞれひとつ考えるところをお伺いいたしたい。
  193. 松下忠洋

    ○松下説明員 砂防課長でございます。  今回の台風に関連するいろいろなことが起こりましたけれども、一方では大きな反省をいたしましたし、一方ではまた大きく勇気づけられたわけでございまして、御指摘のようにそういった情報を的確につかまえて流す。それから我々の持っている技術を駆使してできる限りの装置あるいはいろいろなものを開発いたしまして、事前に土石流を予知するような、雨とのかかわり合いをしっかりとつかまえて、そして予知してそれが連絡できるような形のものをしっかりとつくっていきたいというふうに思っております。このことは力を入れて全国で進めていきたいというふうに考えております。
  194. 神林章元

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  避難体制の指導につきましての一般的なお答えは、午前中山本先生にお答えしたとおりでございますが、今回の問題に絞って申し上げますと、まず現在情報という点では、気象庁さんからの気象情報あるいは建設省さんからのそういう河川情報とか市町村においては非常に判断材料が従来より豊富になっております。そういう点も勘案しまして、こういう兆候等をつかんだならばぜひ積極的に避難の指示、勧告を出すようにということで今後とも強く指導してまいりたいと思います。  また、特に御指摘の小豆島の事例につきましては、土庄町で二百八十六名、池田町で千十三名、整然たる避難が行われまして、生命の損失を未然に防いだ点につきましては、以前にございました小豆島水害の経験を十分生かした措置であるという点でございまして、こういう経験をまた広く全国に広めていきたいと考えております。
  195. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いかに予知をするか、それからいかに台風についての指導体制を確立するか、これをひとつ十分検討して今度の災害をいい経験にして生かしていただきたいと思います。  最後に、時間がもう来たんですが、もう一つだけ林道問題についてせっかくでありますから、ちょっと二、三分時間をいただいてお願いをしたいと思います。  今回の災害で、全国的に災害が広範に出たために全国の林道あるいは林道関係の施設等の被害はかなりな額に上がっておると思います。そういう点では早急にひとつ査定をやって災害林道等の復旧をやっていただきたい、取り組んでほしいとまずは要望いたします。  次に私はこの間、この二、三日前ですが、福井県の美山という非常に有名な山林経営をやっている町があります。全国からもよくいらっしゃる。五十二年の豪雪時にも、私参議院の災害委員長をやっておりましたので、北陸四県の委員派遣に行ったときにそこの木の倒伏状況、雪の中の倒伏状況を調べて論議をしたことがありますが、そういうところをこの間もちょっと見てまいりました。  そこで、林道の次に作業道というのがあります。これは、林道をつくりたいんだが、予算の点で十分の一くらいで済むところの、造林等の作業をする道を早いところつくって山の経営を進めたい、そういう要望にこたえるためにできた作業道であります。これが、行ってみますと六月ごろの水害で、夏の水害でかなり崩れているのですね。これは建設して四年以内でありますから災害復旧の対象になるので、査定を受けてやれば復旧をする。ところが、作業道は五年以上たちますともう目的は終わった、こういうことでこれは災害復旧の対象にならない、それを大変心配している。この町では例えば今まで作業道のないところは歩くと谷合いを一時間半から二時間かかって山に上がった。それが作業道が開かれたために十五分から二十分で四輪駆動で行けば上がる。これなら若い人も何とか山へ行ってくれる。林業後継者の定着のためにもやっぱり車が使えるということが大変大事である。ところが、この作業道がこれからの災害等でもし消えたり崩れたときに災害復旧の対象にならないとすると、せっかく定着しかかった若い人も山へ行かなくなってしまう。こういう点を考えると、何か作業道についても本当にやろうとするような林業地帯では災害復旧の対象にすべきでないか、こういうふうに思いますが、これについての見解をお伺いいたしたい。
  196. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明申し上げます。  造林の作業道、先生指摘のように、植えつけあるいは保育、間伐等の造林事業に附帯しまして、一時的、臨時的な施設ということで作設しているわけでございますが、この造林事業が完了いたしましたときに、作業道だけが被災をしたというような場合、事業がないのに作業道のみの復旧をやっていくということは困難ではございますが、しかし、現に造林事業を実施しているというような場合にこの作業道が被災したという場合には、当該造林事業によりまして復旧をしていくというような措置をいたしているわけでございます。  なお、四年で終わるという先生の御指摘でございますが、仮にそこで造林事業、植えつけ、保育をいたしまして、また何年かいたしまして除伐、間伐をするというようなことで事業が行われますれば、その事業の中でまた復旧をしていくということが可能でございます。このようなことでございますので、私どもは現実に即してまた適切に措置をしてまいりたい、このように考えております。  それから、なお、この作業道のうち作設後に長期間にわたってまた使用を継続させていく、例えば林道のような形で使っていくというようなものにつきましては、一定の規格、構造を満たすように所要の改修を行いまして林道として維持管理をしていく、このようなことも可能でございますので、こうしたことを含めまして適切に措置してまいりたい、このように考えております。
  197. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一、二、簡単に伺いますが、林業の経営等の事業を継続するというその中に、毎年行われる下草刈りとかこういうものは入るのですか。今例示されたと思いますが、もう一度念のために。
  198. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明申し上げます。  造林の補助の対象は、先生今お話のございました下刈りのようなものも入っております。
  199. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それでは、今の答弁によれば、作業道といえども造林後、下草刈り、除間伐等の林業経営に必要な仕事が続けばこれはまた復活し得るという見解になると思います。いいですね、それで。
  200. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明申し上げます。  そのとおりでございます。
  201. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それからもう一点。  激甚災害発動された場合に、その作業道は、いわゆる一般の林道ならば二分の一、それからひどいところならば六五%という線がありますが、激甚災害の場合には九九%ぐらい林道については助成がされるということになりますが、この作業道についても激甚地区激甚指定になった場合には同様の扱いになるかどうか、この点いかがですか。
  202. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明申し上げます。  作業道だけの問題ではございませんが、森林が全体的に激甚な災害を受けました場合には、一定の要件を満たしました場合には、森林災害復旧事業という制度がございまして、これでの復旧ができるような制度になっております。
  203. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、これで終わりますが、時間の点から意を尽くせない感じがするのでありますが、林道の面も林業家にとっては非常に大事な点でありますので、災害復旧とあわせてこれが拡充に努力をいただくように強く要望をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  204. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十四分散会