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1990-06-15 第118回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十五日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 高鳥  修君 理事 中山 成彬君    理事 村上誠一郎君 理事 辻  一彦君    理事 松前  仰君 理事 薮仲 義彦君       金子徳之介君    小坂 憲次君       自見庄三郎君    田邉 國男君       近岡理一郎君    野中 広務君       平田辰一郎君    宮路 和明君       簗瀬  進君    有川 清次君       志賀 一夫君    速見  魁君       水田  稔君    山中 末治君       倉田 栄喜君    山口那津男君       藤田 スミ君    菅原喜重郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁防災局長 市川 一朗君         農林水産大臣官         房参事官    長良 恭行君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局防災科学         技術推進調整官 竹内 章悟君         環境庁大気保全         局大気規制課長 濱中 裕徳君         国土庁土地局国         土調査課長   上田 一美君         外務省北米局地         位協定課長   森  敏光君         大蔵省主計局主         計官      堀田 隆夫君         国税庁直税部審         理室長     本庄  資君         文部省初等中等         教育局幼稚園課         長       野角 計宏君         文部省体育局体         育課長     下宮  進君         厚生省保健医療         局疾病対策課長 松澤 秀郎君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     窪田  武君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     宮本 和美君         林野庁指導部治         山課長     弘中 義夫君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      長田 直俊君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課長   澤田  諄君         運輸省海上技術         安全局検査測度         課長      山本 圭吾君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港課長    相原  力君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      岩崎  勉君         気象庁総務部企         画課長     小野 俊行君         気象庁予報部業         務課長     瀧川 雄壮君         気象庁観測部測         候課長     手塚 雅美君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部電気通信技術         システム課長  大須賀克巳君         郵政省放送行政         局業務課長   長澤幸一郎君         建設大臣官房技         術調査室長   青山 俊樹君         建設省河川局河         川計画課長   定道 成美君         建設省河川局治         水課長     矢野洋一郎君         建設省河川局防         災課長     佐々木賢一君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松下 忠洋君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      五十嵐 武君         建設省道路局道         路防災対策室長 宮地 昭夫君         消防庁総務課長 木下 英敏君         消防庁予防課長 海老 忠彦君         消防庁防災課長 神林 章元君         消防庁震災対策         指導室長    堀内 和成君         特別委員会第三         調査室長    中島  勉君     ───────────── 五月七日  大規模地震対策に関する陳情書外八件(第一〇五号) 六月十五日  地震等非常災害時における防災広報無線整備補助制度拡充強化に関する陳情書(第一七二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ────◇─────
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。薮仲義彦君。
  3. 薮仲義彦

    薮仲委員 本日は、各党の先生の御了承をいただいて、最初に質問させていただきますことを厚く感謝いたします。ありがとうございます。  最初に、大臣防災局長資料をお渡ししたいのでございますが、委員長、よろしゅうございますか。——ことしも今が入梅のシーズン、そして九月、十月になりますと台風シーズンになってくるわけでございます。今、国土庁長官土地問題等で大変御苦労なさっていらっしゃるときに、さらにまたというと非常に申しわけないのでございますが、防災の衝に当たられる、最も災害に心を痛めていらっしゃる国土庁長官に、本日は何点か御質問させていただきたいと思っておるわけでございます。  長官にお渡ししたきょうの資料は、建設省がお持ちの長官選挙区の広島河川情報センター資料と、気象庁からいただきました雲画像等をお手元にお渡しさせていただきました。  なぜこのような資料をお渡ししたかといいますと、これからお話しさせていただきたいわけでございますけれども、大臣、ちょっとイメージしていただきたいのですが、台風シーズンになりますと、NHK、民放が台風情報を伝達いたします。NHKも夜の十二時まではやっておりますが、十二時を過ぎますと、テレビがどちらかといいますと静止画像になってまいります。あそこで映し出されますのは、例えば十二時の最後の情報のときに、今お手元にお渡しした雲画像は、気象庁国土庁長官のためにわざわざ本日午前六時の雲画像でございますから生々しいものでございますが、こういう雲画像が出まして、それから、お手 元にお渡しした資料の三枚目に台風雲画像も添付してございますけれども、このような台風のときの雲画像も映像として映し出されます。  この雲画像が出た後に、こういう資料もお渡ししております。「台風進路予報のあらわし方」、これも気象庁さんの資料ですが、このような予報円テレビ画像に出しまして、現在はここでございます、気圧が何ミリで風速が何メートル、そして、やがて何時間後には進路はこの方向で、このくらいの予報円の範囲内に台風中心が移りますよという予報円テレビ画像に出まして、その後に、私の地元資料がついていて恐縮ですが、各地の雨量が出てくるわけです。そして、テレビが終わりまして、次の一時間後のテレビ予報に十分御注意ください、こういうような画像が映りまして、そこで音楽が流れて、予報円静止画像で終わってしまうわけです。これがずっと夜中じゅう続いて、仮に朝七時ごろテレビスイッチをぽんと入れますと、残念なことに床上浸水とか土砂災害とか死者負傷者何名というニュースがぱっと出てくるわけです。  そうしますと、私たちが寝るときには、静止画像台風がこういうふうに行くのだなというのはわかるわけです。しかし、次のニュースとしてわかるのは、朝ぽんとスイッチを入れたときに、死者負傷者何名、床上床下浸水土砂災害等被害が出てくるわけです。あそこの間が我々国民情報との間が全くアクセスしていないわけです。あのテレビ画像と私たち生活がもう少しアクセスできないか。もしもあの台風が私の生活にどれほどの被害を及ぼすのかが的確にわかったらどうなるかな、これはだれしも心の中で思うことだと思うわけでございます。  そこで、きょう大臣にいろいろと御説明したいと私が申し上げたら、建設省さんや気象庁さんから、それじゃといって非常に適切な資料幾つかいただきました。  その中の幾つかを申し上げますと、例えば、大臣選挙区が広島でございますから、広島のことで申し上げた方がいいと思うのです。大臣がお住まいの広島県ですと、建設大臣が洪水を予報して、大臣指定河川として決めている河川幾つかあるわけでございます。これは水防法による指定河川です。大臣広島県では、大きな河川といいますと、西の方から小瀬川太田川、芦田川高梁川、こういう河川大臣はぴんと心に浮かぶと思うのです。  こういう河川は何がわかっておるかといいますと、「河川情報センター」というのを今お渡ししたと思うのですが、これも広島センターのパンフレットでございますが、開いて見ていただきますと、建設省の持っておる資料で、ちょうどこれの図面の真ん中の下の方に書いてあったり、あるいは上の方に絵がかいてございますけれども、何がわかるかといいますと、水位時々刻々とわかるわけです。その水系の流域でどの程度の雨が降っておるか、これは建設省レーダー雨量計で調べておりますから、本当に細かい雨量を全部つかんでおります。何時何分、上流ではどのくらい、中流ではどのくらい、下流ではどのくらいになるか、時々刻々水位の変化がわかる。この絵の真ん中あたりに「水位状況図」という家がかいてある図がございますが、こういう絵のかき方で、水位時々刻々上がってきて、堤防を越波するとかしないとかいうところまで建設省河川情報をきちんと持っていらっしゃるわけです。  ですから、例えば大臣地元で今までどんな災害があったか、これは大臣も御記憶にあると思うのですが、広島県が歴史的な大災害に遭ったのは昭和二十年の枕崎の台風です。これは大臣も御記憶にあろうと思うのです。亡くなった方が千二百二十九名、床上床下浸水が四万七千戸、大体五万近くが浸水被害に遭っておるわけです。また、昭和四十二年七月には、もうすぐ七月ですが、七月の豪雨で亡くなった方が百五十九名、床上床下浸水に三万六千戸くらいが遭っておるわけです。  だんだん近くなってまいりますと、昭和六十年六月下旬から七月、今六月ですからもうすぐですが、昭和六十年の六月下旬から七月に広島県で大雨がございました。そのときは、警察庁の調べによりますと、亡くなった方が二名で、床上床下浸水は七百八十五戸です。さらに、この近年で一番大きいと言われたのは昭和六十三年七月です。このときの集中豪雨といいますか梅雨戻りで、今出てきた太田川が相当はんらんしたわけです。土砂災害も起きました。このことによって亡くなった方が十四名、床上床下浸水を合わせますとトータルで五百九十一戸。雨によって土砂災害が起きたり、河川がはんらんして大きな被害を受けておるのが現実なんです。  ですから、雨の情報国民の側にもう少し正確にアクセスしたらどうなるか。今お話しいたしましたように、河川情報時々刻々の、例えば大臣地域で言いますと、台風は西から来ますから、小瀬川太田川、芦田川高梁川と進んでくるわけです。そのときに、あの雲画像雨量だけではなくて水位が、例えば太田川が何時何分、台風が今ここにあるときには水位がここまで来ております、それが台風の接近によって雨量がふえてこうなります、そうすると何時ごろが非常に危険です、これはもう建設省では大体推測がおできになる。ということは、広島県の大きな河川を今四つほど挙げましたが、あの河川がこれから台風雨量進路によって水位が変わってきます、堤防が決壊あるいは越波する可能性もございます、こういう情報建設省は持っていらっしゃるわけです。  もしもこれがテレビ画像で、広島県の西部、中部、東部と代表的な河川水位情報伝達で出てきますと、大臣は、ああそうか、小瀬川が今高くなってきたな、次は太田川が危ないな、次は芦田川がどうだろうかと、芦田川大臣選挙区ですから、ぴっとわかるわけです。そこで、テレビの発言の中で、大河川において水位が増高いたしますけれども、このことは皆様が住んでいらっしゃる近くの中小河川水位も同じように増高いたします、どうかこれから台風情報近所水位には十分御注意ください、こう言えば、危なくなったら逃げてしまおうという判断が国民テレビ画像を通してわかると思うのです。  あるいは、今申し上げたように、土砂災害というのは雨によって起こるわけですから、建設省土砂災害も非常に苦労していらっしゃって、土砂災害を何とか防ごうといろいろやっていらっしゃって、国民に周知徹底させようと思ってこういういろいろな絵をかいておるのです。例えば、大臣ごらんになっておわかりのように、これは非常におもしろいでしょう。「明日を創造する砂防」とかといって、建設省にしてはなかなかトレンディーなことをいろいろ書いてあるのです、そんなことを言うと怒られてしまいますけれども。  こういう絵の中で、例えば二百ミリ雨が降ったらがけが崩れますとか、こういうのを過去の災害の例やコンピューターシミュレーションで、百ミリ、二百ミリの雨のときに土砂災害が起きます、気をつけてください、過去にこういう例がありますと言う。そのときにやはりテレビの中で、百ミリ、二百ミリという台風雨量で過去にこれだけ広島県で土砂災害がありました、皆さんの御近所の裏山は大丈夫ですか、危険な急傾斜地はありませんか、あるいは渓流の異常がございませんかということを流す。そして、その付近に住んでいる人は十分御注意くださいと言えば、さっと逃げちゃうと思うのですね。そうすれば、その災害で命を落としたり悲しい事故に遭うことが非常に避けられる。  そこで、私は大臣広島県だけ例に挙げましたけれども、全国どこも同じなのですが、六月、七月から九月、十月と台風が始まってまいります。こういう情報テレビにアクセスできないかということで、先般郵政省を初め非常に御熱心に、もちろん国土庁防災基本計画に取り組んでいらっしゃいますが、郵政省中心になりまして、何とかテレビ媒体にアクセスできないかということで研究を開始してくださったのです。ですから、 きょうはこのことについて、大臣地元の例を挙げましたけれども、どうか省庁が今努力していることを、防災の最も衝に当たられ、心を痛めていらっしゃる大臣が、ことしの台風シーズンまでに何とかこれをワンショットでもツーショットでもテレビに出れば、国民がどれだけ台風に対して、あるいは集中豪雨に対して備えをして身を守れるかはかり知れないと思います。  きょうは関係省庁にも御足労いただいておりますので、順次現況を、この台風までに何とかしてほしいという希望を私は持っておりますが、郵政省のあるいは建設省のお立場、それから気象庁のお立場、順次御発言いただいて、どうか各省の努力大臣のさらなるお力で、ことしのシーズンは怖くない、避けられるという情報国民に提供できるようにお力添えをいただきたい、御尽力をいただきたい、こういうことでちょっと省庁、順次御発言いただけますか。
  4. 長澤幸一郎

    長澤説明員 御指摘の点につきましては四月二十六日の予算委員会分科会薮仲先生から御指摘を受けまして、郵政省としても研究をしていくというふうに御答弁申し上げております。  それで、五月二十三日に国土庁気象庁建設省消防庁、それにNHKにも郵政省に集まっていただいて、第一回の打ち合わせ会を開催しております。各省庁NHKとも研究を進めていこうということで意識統一ができました。防災情報ということになりますと、放送された情報国民皆様が正確に理解をして、適切な行動をとっていただけるかどうかといったような難しい問題も幾つかございます。しかし、そういうものを含めまして、現在各省庁で専門的に検討を進めていただいているというところでございます。  次回は、六月の二十日にその検討結果を持ち寄っていただいて、さらに議論を深めようということを予定しております。でき得ればことしの台風シーズンということを意識いたしまして、何か結論を出して、地域を限ったような形になるかもしれませんが、試験的な放送が実施できればということで、努力目標を置いて進めているところでございます。
  5. 瀧川雄壮

    瀧川説明員 気象庁でございます。  先生指摘のように、気象庁では、台風が近づいてまいりますと四十八時間先までの進路予想図等を発表しておりますし、また、気象衛星「ひまわり」の画像テレビ等に提供しております。さらに、うんと接近してまいりますと、台風に関する情報、注意報、警報等を発表いたしまして、それも従来よりもきめ細かく、一つの県を三つないし四つに分けて発表しております。現在、テレビ等では警報内容がかなり要約して報道されておりますけれども、もう少しわかりやすい方向放送されるならば、防災情報としては極めて望ましいと考えております。  そのほか、アメダス情報テレビ等に提供しておりますけれども、レーダーアメダス情報を合成いたしまして、五キロ四方ごと雨量分布図も提供しております。さらに、それをもとにいたしまして、大型の計算機を用いまして、三時間先まで一時間ごと雨量分布図も提供しております。こういうものが最近テレビ等でも報道されておりますけれども、この情報防災活動に極めて有効でございまして、さらに活用されることが望ましいと考えております。  このような量的な情報テレビで扱うことは困難と聞いておりますけれども、国民にとって非常に重要な情報でございますので、ぜひ工夫して報道していただきたい、そういうふうに考えております。また、当庁といたしましても、テレビ局が防災情報高度化を図るということであれば、できる限りの協力をしたいと考えております。
  6. 定道成美

    定道説明員 建設省といたしましても、国民生命財産を守るという立場から、災害時において地域の実情に即した正確な情報をより早く伝達することは重要と考えております。  先ほど先生がおっしゃいましたように、河川情報センター雨量とか水位とかダムの放流量とか、そういう情報を流しております。現在、千五百九十種類の画面を用意しているところでございます。しかし、この情報をそのままテレビに流すことは技術的に困難でございます。それで、現在河川情報センターにおきまして、これをどのように流したらいいのかを技術的に検討させております。若干時間も必要かとは思われますけれども、この秋までにはその技術的な開発を進めて、NHK関係省庁あるいは関係機関と協力して、今の御趣旨に沿ってもらうように実用化に向けて努力してまいりたいと考えております。
  7. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、今各省庁からお話ございましたように、各省庁いろいろ困難な問題を乗り越えて、国民のために何とかということで今その緒についたところでございまして、本当は六月、七月という今、大臣地元広島では梅雨戻りというのが、集中豪雨が非常に怖いわけです。特に中国地方はいろいろ被害がございまして、このことが的確に情報伝達されるということが非常に大事なことでございますので、どうかことしの集中豪雨とか台風被害が最小限に食いとめられ、人身に及ぶ被害だけはゼロになるようなためにも、防災の最も中心大臣に御尽力をいただきたい、こう思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  8. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 薮仲先生にお答えいたします。  先ほどから私の選挙区のことを例に挙げていただきまして、大変わかりやすく御説明いただき、本当にありがとうございました。厚くお礼申し上げる次第でございます。  先生の御指摘の点、よくわかりました。それからまた、関係省庁の点もよくわかりました。二つの問題があると思います。一つは技術的問題、それからもう一つは、どういう情報をどういうふうに流したらいいだろうか、この二つだと思います。技術的問題というのは、私はNHKをよく知っておりますが、世界で最高級のハイビジョンというものをつくっておるわけでございまして、恐らく技術的に可能だと私は思うのです。一遍NHK技術研究所長等を呼びまして、特に私はその関係が深いものですから、検討してみたいと思います。  そんなわけでございまして、できれば各省庁と協力しまして台風前にできるようにしたい、こんなことで努力したいと思っております。よろしくお願いします。
  9. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣の御答弁を聞いて、私も国民の一人として非常に感謝をいたす次第でございます。大臣郵政大臣の御経験がございますので、おっしゃるとおり報道関係については非常に御専門でございますので、どうか国民期待におこたえいただくよう重ねてお願いして、この問題は終わりたいと思います。  次に、こういう機会でたまたま国土庁長官でございますので、目下の緊急の課題の土地の問題を二、三、大臣の御見解を含め、国土庁はどういうお気持ちであるか、お聞かせいただきたいと思うわけでございます。  今、我々国民が一番思っておりますのは、資産格差の是正といいますか社会的公平といいますか、そういうような土地のあり方、今国土庁長官土地にどう取り組まれるか、これはもう国民が目を皿のようにして、また大きな期待を持って、地価の安定、そしてまた国民が快適な居住環境を得るためにも、長官が何とかここで獅子奮迅の力で地価をねじ伏せてほしいという気持ち国民の多くは持っておると思うのであります。  そこで、具体的な問題を幾つかお伺いしたいわけでございますが、土地税制には、取得するときと保有するときと譲渡、この三つ課税がございます。立て分ければ個人法人とあるわけでございますが、今の税体系万般拝見いたしますと、個人法人を比べた場合に、これは土地税制そのものではございませんけれども、商法の方にかかわってまいりますが、いわゆる経費として認められるという感じの処理がございます。会計上は損金算入という形で、法人はどうしても有利な面もございます。そういう個人法人を十分考え合わせながら、長官が最も熱心に取り組まれております土地基本法精神大臣は何回も土地基本法精神 でとおっしゃいます。そうしますと、あの土地基本法は、公共福祉ということと保有から利用へということが一番の中心であったと思います。  そうしますと、保有に適正な課税があってしかるべしという結論に落ちつくと思うのです。保有に着目しますと、全部の土地保有税をかけるのか、個人法人を一応分けるのか、こうなったときに、やはり個人法人をある程度分けなければならないかな。保有に着目したときに、土地保有税というのがこれからの地価に対して必要じゃないかな。土地を持っているという社会的な責任もあります。もちろん土地に対して、本来は収益還元土地の価格が決まればいいのですが、今、収益還元の原則は成り立ちません。万般あわせ考えまして、保有から利用へ、また公共福祉という立場から考えまして、保有に対する何らかの課税土地の公平を維持する上で必要ではなかろうかと私は思いますが、保有に対する課税に対して国土庁はどうお考えでございますか。
  10. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地政策の上から土地税制を考えます際に、いろいろ期待する面がございます。  一つには、土地が他の資産と比べて目減りもしない、値下がりすることも従来ないというところから来ます土地資産としての有利性、これをやはり打ち破っていくようなスタンスが必要じゃないか、そういうことで、投機的需要あるいは仮需要を抑制していくということが大変重要だと思っております。  それと、今先生指摘法人個人を通じて税負担の公平の確保を図るということは、これまた重要と思っております。昨今の値上がりの中で、持てる者と持たざる者、あるいは持てる者同士の中でも相当の格差が生じておる、不公平感が増大しておるということがございますので、この公平を確保していくことが大切と思っております。  それと、基本法にもございますように、土地を有効適切に利用する、利用を促進するための機能、この三つが特に重要じゃないかと思っております。  そういう観点から、私ども保有課税につきましては、余り重くなりますと非常に国民生活等にも影響がございます。その辺も勘案しながら、法人に対して新しい保有課税を課する可能性がないかどうかを検討しておるところでございます。加えて譲渡所得税につきましても、完全分離制とかあるいは値上がり率に応じた累進税制を採用できないか、そういったことを私どもなりに検討を進めておりますが、具体的にはなおさらに詰めていきたいと思っております。また、現在政府税調でもそういった審議が進められておりますが、そういう観点から御審議を期待したいと思っております。
  11. 薮仲義彦

    薮仲委員 この税制というのは、今まで取得と保有と譲渡という三段階の課税の仕方があるわけですが、その都度その都度、時に合ったように、どちらかというと全体として整合性を欠く場合もございました。例えば、私が一番懸念いたしますのは、保有にかけるというと、保有にかけるのだったらそれを利用にやるときの譲渡益課税を下げてほしい、こういう話が出てまいります。  今、確かに法人に対する譲渡益課税は、二年、五年、ああいう短期でいわゆる表面税率は八十数%かかっているのです。しかしこれは、大臣も御承知のように、一たんこれが赤字法人というところへまいりますと、五年を経過した土地は全部ゼロになってしまいます。個人の場合には認められない。しかし、赤字法人ですと、五年土地を持っていれば、その土地の譲渡益課税はゼロとなってしまう。しかも、黒字法人であっても、赤字法人等に土地を動かしていきますと非常に軽減されてまいります。ですから、保有に対して厳格にこの税制がきくように、譲渡益課税とは完全分離にする。保有と譲渡をすぐリンケージさせて、こっちを上げるかわりにこっちを下げるというようなやり方は、社会的公平の上からいくと非常に問題が多いと思います。この辺のお考えはいかがですか。
  12. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、一般的には、保有課税を強化することによって不要不急の土地需要を抑制するという機能があろうかと思います。そういう観点から適切な負担水準が選択されるべきだというふうに考えております。加えて土地保有課税の機能としましては、適切有効な土地利用に誘導するとか、あるいは国民生活に及ぼす影響を常に配慮しなければならないという面がございますが、やはり基本的な役割に着目しながら負担水準を考えていくべきだというふうに考えております。
  13. 薮仲義彦

    薮仲委員 次の問題ですけれども、これは土地基本法のときもさんざん論議をしたことでございますが、今、一物四価の中で、少なくとも一番リーズナブルな価格であってほしいと思っているのが地価公示でございます。国が出しているのは地価公示しかございません。固定資産税の評価額、一億六千万筆ありますけれども、これはプライバシーということで出てまいりません。しかし本来、登記法を改正する昭和三十五年以前はオープンだったんです。なぜあれが消えちゃったのか。これはきょうは論議いたしませんけれども、私はオープンであってしかるべしと思うのです。  今、オープンになっているのは地価公示価格しかないわけです。しかし、これは気を悪くしないで聞いていただきたいのですが、あの公示価格は高値の国の追認、そういう言われ方をされたり、あるいは売買のときは公示価格の二割アップが時価だ、こういう言われ方をしたり、公示価格より安ければ売らないとか、いずれにせよこの公示価格が一つの尺度であることは間違いございません。そうなってまいりますと、今よく言われますように、高値安定の国の追認という言われ方、これは余り好ましくないなという気もしますし、これは不本意であろうということは私十分わかります。  ですから、あるべき地価ということについて公示価格が一定の役割を果たすために、抑制効果を出すために、現在の地価公示の算定のあり方、いわゆる取引であるとか収益還元とか、細かいことはもう何回も御説明いただいてわかっておりますが、もう少し地価を抑制し、国民に適正な地価一つの指標として与えられるような公示価格のあり方を御検討いただけないものかと思いますが、いかがでございますか。
  14. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 地価公示につきましては、法律上、一般取引の指標としての役割がございますし、また公共用地を取得する際の価格の基準にするとか、あるいは土地取引を規制する際の基準としての機能を果たしておるわけでございまして、そういう役割からいたしまして、一般の市場で取引されておる正常な価格を地価公示価格として判定し、公表するという役割は今後とも必要じゃないかというふうに考えております。その際、一般取引ですから、地価上昇過程ではいろいろ投機とか買い急ぎのような事例が多発いたしまして、地価公示を決める際にそういう取引事例を採用しないように、厳に排除するように、そういう姿勢できております。  また、不動産鑑定士が取引事例から標準地等の評価をする際に、不動産鑑定評価基準というのにのっとって評価しておるわけでございますが、その評価基準もかなり古くなっておりますので、新しい社会経済情勢に見合ったものにするために、現在土地鑑定委員会で見直し作業を行っております。これは近日中にまとまると思います。  ただ、そうはいいましても、それでは地価公示価格は市場における正常な価格であって、それは市場が正常に機能しない場合の政策的に目標とすべきあるべき価格とは乖離するのじゃないか、そういうふうな御指摘があろうかと思います。その辺は私どもも問題意識を持っておりまして、つい先日総理からの諮問に応じて新しく発足しました土地政策審議会が審議を開始しておりますので、そういう審議会でこういう基本的な問題も御議論いただきたい、そういうふうに思っております。
  15. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは次の問題をお伺いしたいのですが、監視区域の指定をする制度がございます けれども、これは知恵を働かすといいますか、頭がいいといいますか、不動産をお取り扱いになる方は、大体この県でこの箇所の土地はどのくらいを認めるのかな、ぽんぽんぽんとこう出します。ああそうか、ここならばいいのだな、高値は大体この辺だなという、メルクマールというとおかしいのですが、一つのことがわかる。ただし、実際の取引は、表現はよろしくありませんけれども、裏といいますか別なところで取引が行われて、行政指導でこの価格で取引をしなさいよという指導と実態の取引の価格が現実は違うのですよということが巷間よくささやかれます。私はこのことは非常に好ましからざることだと思いますし、このことは是正しなければならないことの一つだと思うのです。  それからもう一つは、監視区域を指定した場合に、せっかく県の行政を部署が取引の実態については事細かく情報を持っていらっしゃるわけです。これがそこで終わっておるわけでございますが、これからの地価安定のために何が必要であるか。政策を的確に実施するためにも、大臣御承知のように、国が何か施策をやろうとすると、今の登記簿には明治のころの所有者が載っているわけです。そこを公共事業をやっていくことになると、相続を何代も下まで探して、何十軒の家まで行って、建設省の方や各省庁の方が御苦労して、その相続された財産について確認をしなければならない。登記簿というのは対抗要件を求めるだけであって、所有が全くわからないのです。今だれが土地を持っているのかというのがわからないのです。  ですから、例えば国が、地方自治体がきちっと施策を講じようとしたときに、土地の所有、譲渡のあり方がわかりませんので、これは非常に困難な問題かもしれません。しかし、こういうときでございますので、法務省当局の考え方が変われば別でございますが、少なくとも変わらない間は、今国土庁中心に持っていらっしゃる監視区域の土地情報がある。例えば税務当局等にリンケージできないのかな等々を含めて改善をできないものかと私は思いますが、これは大変難しいでしょうから、局長の方からごく簡単に……。
  16. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 監視区域制度を初め土地取引規制を行う際に、そういった的確な土地情報を把握をすることが非常に必要であります。取引規制だけじゃなしに、土地政策全般について土地情報の整備が必要であることは言うまでもないのですが、そういう観点から、私どもも、公共団体あるいはそれぞれ各省庁がお持ちの土地情報を活用させていただける範囲でできるだけ活用させていただきたい、そういうことでお願いもしておりますし、また現在我々の方で必要な情報、足りない情報、そういったものを整理しながら、さらに各省庁あるいは公共団体と御相談していきたいと考えております。  特に監視区域制度の運用に当たりましては、私どもも届け出後の契約状況等の報告を聴取したり、あるいは関係者への事情聴取を進める中でそれなりに情報を把握しようとしておりますし、また御指摘の税務情報の活用につきましても、現在税務当局に対しまして支障のない範囲で活用させていただけないかと、そういった要請もしております。そういうふうなことで、今後土地情報の総合的、系統的整備といいますか、そういうことには一層努力してまいりたいと考えております。
  17. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、最後に大臣にお伺いしたいわけでございますが、私のところも、静岡でございますが、いわゆる第二東名という話が出ますと、もうわさわさと、地震じゃなくて地価の方が何となく騒ぎ出すわけですね。山梨の方の方に聞いてみますと、リニアと聞いただけでうごめいてくる。今東名高速をつくろうとすると、大体キロ五十億以上かかっているのかな。これがまた地価が高騰してしまって、今度第二東名は百億前後かかったのでは、何のための公共事業か。ああいう公共のために最も必要な大型のプロジェクトは極端なことを言えば、地価を凍結するぐらいの勢いでやっていただかなければ、国民の税金をただ地主のために払うだけで、国民の利便性、利益のためには還元されないと思うのです。  そこで、素朴な国民の念願は、こういう公共性の強い大型プロジェクトには、国土庁が蛮勇を振るって、監視区域はもちろんのこと、ある意味では地価を凍結するぐらいの勢いで公共事業の進捗を速めていただく。そういうことで、長官の持っていらっしゃる国土庁の二十一世紀の四全総、いわゆる均衡ある国土発展のための交通機関の的確な完成のために、地価の安定といいますか、大型プロジェクトに対する長官の御発言や取り組みが非常に期待されるところでございますが、長官、いかがでございますか。
  18. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりでございます。今局長も答弁したようなことでございますが、まずとりあえずは監視区域の的確な運用、強力な指導、これをやっているわけでございまして、実は山梨、静岡等につきましても、三月二十七日に担当者を集めて、監視区域の総点検をお願いしました。また、私が山梨県知事等を呼びまして、特に監視区域の強化をお願いしたということでございまして、近々答えが出ると思います。  今先生のおっしゃったのは規制区域のことだと思いますが、これは私も念頭に置いてあります。ただ問題は、規制区域につきましては、先生も御高承のとおり、昭和四十九年にできまして、あの当時はすばらしくよかったと思うのですが、その後内容に改良すべき点がたくさんございます。それからまた、各県知事さんと相談しまして、実は私も規制区域をやりたいというような気持ちを持って相談したことがございますが、そのときに二つの問題で反対がございました。  一つは、規制区域を指定した場合、その地方公共団体が土地を買えないというわけです。先生御承知のように規制区域は二つの点がございますが、一つ地価の凍結、そしてもう一つは一定の取引以外は一切取引させない、事実上取引できないということ、こんなことでございまして、地方公共団体が欲しい土地が買えないということが第一点。それからもう一つは、規制区域につきましては、仮に不許可にした場合、その土地につきまして買い取り請求ができるわけです。その場合に地方自治体にはその財源はない、こんなこともございまして、規制区域の運用につきましては慎重な対応が必要で、それとともに内容をもう少し検討して改良して、できればひとつやってみたい、このように考えております。
  19. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。どうもありがとうございました。
  20. 三ツ林弥太郎

  21. 村上誠一郎

    ○村上委員 自由民主党を代表いたしまして質問させていただきます。  関東大震災が起こりましたのが一九二三年で、六十七年、約七十年近く経過しているわけでございますが、今後この南関東地域においてまた地震が起こるのではないかとかいろいう言われております。きょうはその問題につきまして各省庁の皆さん方に、それぞれの立場でどういう対策を講じているのか、また、今後行政や政治がその問題についてどのように対応していったらいいか、その点について一つ一つ問題点を提示しながら議論を進めさせていただけたらと思うわけでございます。  まず最初国土庁にお伺いいたしますが、この南関東地域の地震発生の切迫性について今どのような見解をお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
  22. 市川一朗

    ○市川政府委員 南関東地域の地震発生の問題でございますが、昭和六十三年の六月に、中央防災会議にございます地震防災対策強化地域指定専門委員会というのがございまして、そこで一つの中間報告が出されております。  その中で、その点について触れた内容がございます。南関東地域におきましては相模トラフ沿いでM八クラスの巨大地震、これは先ほど先生お話しになりました関東大地震と同じような規模の地震でございますが、そのような巨大地震が発生する可能性は百年か二百年先とされております。し かしながら、その一方で、南関東地域の直下におきましてM七クラスまでの地震が発生する可能性は、ある程度の切迫性があるとされております。  M八クラスとM七クラスの地震の規模の違いは約三十分の一ということで、地震の規模としては巨大地震に比べますとかなり小さいということは言えるわけでございます。しかしながら、そのような地震でありましても、指摘されておりますように南関東地域の直下で発生するといたしますと、局所的ではございますが、その地域は大きな被害が発生するということが懸念されますので、国土庁といたしましても、政府関係機関と相まちまして、南関東地域直下の地震対策は極めて重要で、かつ緊急の課題であると認識しております。
  23. 村上誠一郎

    ○村上委員 関東大震災のときには建物の被害が約二十三万三千棟、それから焼失棟数が四十四万七千棟ですか、それで死者が十四万二千三百三十九人、行方不明の方も含まれるわけでございますが、そういうような非常に大きな被害が出たわけでございます。  今、政治や行政をあずかる立場から、常に最悪の場合を想定して対策を講ずるべきなんですが、関東大震災クラスのような大規模な地震が起こった場合に、電気通信を含めた中枢機能への被害を含めてどの程度のどのような被害が想定されているのか、国土庁にお伺いしたいと思います。
  24. 市川一朗

    ○市川政府委員 お答えいたします。  南関東地域で御指摘のような大規模な地震が起こった場合にどういったような被害が生ずるかということにつきましては、昭和六十三年の十二月に国土庁におきまして被害想定というものを研究いたしまして、そのような地震が起きました場合にどのような対応策を講ずるべきかということを検討いたしました際に、その基礎資料となるものとして公表したものがございます。したがいまして、それは対応策を検討するためでございますので、起こり得る最大規模の地震による被害というものの全体的傾向を把握しようとしたものでございますから、今先生から御指摘がありました常に最悪の事態を想定して対応策を講ずべきだという御指摘にマッチしたものではないかなと、私も今感じておるわけでございます。  その被害想定につきましてちょっと申し上げますと、まず地震といたしましては、相模湾を震源域とするマグニチュード七・九規模の地震、これはちょうど関東大地震と同じものでございます。それを想定いたしまして、発生時刻につきましては三つのケースを想定しておりますが、その中で一番厳しいものは冬の夕方のケースでございます。これは各御家庭等でも火を使っている可能性の非常に高い時期という意味もあります。そのような地震が発生いたしますと、まず南関東地域といいますのは一部三県、東京、千葉、神奈川、埼玉でございますが、その全域の約三六%が震度六以上になる、そういう想定でございます。  したがいまして、それが前提となりまして、その地震が起きた場合による建物の被害は大破率四・五%、これは修理をしなければ使えないもの、完全に壊れるものも含めまして大破率四・五%、それから中破率が約五%、そういった想定がございます。それから焼失棟数、建物、家屋が火事で焼けてしまうものにつきましては二百六十万棟で全体の三〇%、それから人的被害につきましては、死者は十五万人、負傷者は二十万三千人、こういったような被害想定を行っております。
  25. 村上誠一郎

    ○村上委員 非常に大変な事態が想定されるわけでございますが、それぞれいろいろな機能に与える影響が大きいわけでございますが、まず最初郵政省にお伺いしたいと思います。  特に大規模地震になりますと、中枢機能への被害を考えると、電気通信施設の機能の確保というのが極めて重要じゃないかなと思われるわけでございます。その点におきまして、まず最初にどのような被害内容、状況が考えられるのかということと、二番目にこれに対する対策はどのように講じられるのか、この二点について郵政省にお伺いしたいと思います。
  26. 大須賀克巳

    ○大須賀説明員 お答えいたします。  近年、情報通信ネットワークの高度化、多様化の進展に伴いまして、社会経済、産業活動等、国民生活のあらゆる分野に情報通信の依存度が高まっているところでございます。  このような観点から、NTTを初めといたしまして電気通信事業者におきましては、大規模災害が発生した場合でも通信設備の被害を最小限に食いとどめるよう、各種の災害対策を講じているところでございます。  災害の規模、場所にもよるわけでございますが、国民生活に密接に関係している電話のふくそうあるいは電話が切れてしまうといったこと、あるいはデータ通信回線が切断することによって銀行のキャッシュディスペンサーが使えなくなってしまうとか、場合によってはJRのみどりの窓口が使えなくなってしまうといった社会的にかなり電気通信に依存している部分がございますので、その電気通信システムの中断あるいは支障を起こした場合、かなり大きな範囲にわたって社会経済に及ぼす影響は大きなものがあるのじゃないかというふうに思っております。  それで、そのような状況を踏まえまして、郵政省といたしましては、電気通信事業法あるいは有線電気通信法等の法律の中に、耐震対策あるいは電話のふくそう対策あるいは電源が切れた場合の通信をどういうふうに確保するかということにつきまして、技術基準を定めているわけでございます。郵政省といたしましては、これに基づきまして、例えば電気通信設備の耐震対策の向上方策あるいは防火対策、あるいは重要電気通信設備につきましては、一点に集めるのではなくて分散させて設置する方法、あるいは通信回線を多ルート化して、一つの回線が切れても生きているというふうなこと、あるいは最近はやりの通信衛星を使いまして、災害時における通信の途絶の防止方策などを講じているところでございます。
  27. 村上誠一郎

    ○村上委員 次に、大臣にお伺いしたいと思います。  大臣は、政治家として、防災の最高責任者としてやっておられるわけでございますが、防災の責任者として地震対策で一番肝要な対策、また守るべきは何であるかということをお伺いしたいと思います。
  28. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 村上先生にお答えいたします。  災害から国土と国民生命財産を守ることは、国の最も基本的な責務であると認識しております。特に、なかんずく人命の尊重が最も肝要だ、こう思います。  実は、我が国はかつてから大きな地震を随分経験しております。また、人命も失われているということを生かしまして、備えをどうするかという問題で、都市の不燃化とか耐震性の向上、あるいは地震が起きたときの避難地、避難路の整備、あるいは水や食料の調達、確保、救急救助医療活動体制の整備等に努力しますとともに、やはり一番大きな問題は、地震の予知をどうするかということだと思います。この間、たしか静岡市で大地震が起きた場合を想定した場合に、もし地震の予知さえ早ければ、人命の損失はゼロにしますというような答申も出ているわけでございます。そんなこともございまして、予知につきまして十分御期待にこたえるように関係省庁ともに協力してやりたい、このように考えております。
  29. 村上誠一郎

    ○村上委員 ありがとうございました。  それで、地震が起こったときにいろいろなことが起こるわけでございますが、国民の皆さん方が地震が起きたときに何が一番不安であるか、心配事であるかということでいろいろな調査が行われているわけでございます。その中で、平成元年七月の総理府の世論調査によりますと、国民の皆さん方が大地震が起きた場合の心配事として一番何が多いかといいますと、何といっても火災の発生が六三%で第一位に挙げられているわけでございます。いろいろなことを考えますと、新建材で煙が出るとか、交通、道路の状態とかいろいろな問題が起こってくるわけでございます。  まず消防庁に、大震災が起きた場合、火災に関 連するいろいろなことが起こるわけでございますが、その問題点と火災対策の方法についてお伺いしたいと思います。
  30. 堀内和成

    ○堀内説明員 お答えいたします。  消防庁といたしましては、各地方公共団体が策定しております地域防災計画の中に地震対策に関する総合的な計画としての地震対策編を策定し、消防施設設備の充実強化など、体制の整備を図るよう指導しているところでございます。地震による火災の発生への対応というのは、関東大震災クラスの地震が発生した場合におきましても、その発生の場所とか季節、時間帯などによって異なるようでございますが、いずれにしても、できるだけ火災の発生を少なく食いとめることが被害を防ぐために重要であると考えております。  そこで、私どもとしましては、公益法人の協力を得まして地震の心得のパンフレットなどを作成、配布することとしております。今年度におきましては、南関東地区を中心に配布する予定でございます。昨年度は東海地域につきまして配布いたしたところでございます。そういったパンフレットの中で地震時における火の始末についての啓発を行うとともに、毎年九月一日の防災の日には、消防団、地域の自主防災組織のみならず一般の住民の参加を得て防災訓練を実施し、地震防災意識の普及啓発を行うよう地方公共団体を指導しているところでございます。  また、不幸にして火災が発生したような場合の初期消火に備えまして、各地区に六十立方メートルまたは百立方メートルの地震が起きても壊れないような耐震性の貯水槽の整備を進めるとともに、消防団、自主防災組織に対する可搬式小型動力ポンプの整備を進めるよう指導しているところでございます。  今後ともこのような防災意識の高揚であるとか避難対策の推進、震災時に必要な消防施設設備の整備などの震災対策の充実強化を図るよう指導してまいりたいと存じます。
  31. 村上誠一郎

    ○村上委員 先ほど大臣の方からも、人命尊重ということで、特に水、食料の確保ということが大きな課題だという御指摘があったわけでございます。先ほど申し上げましたように、総理府の世論調査におきますと、国民の心配事として次に大きな課題は何かというと、やはり食料や水の確保が重要じゃないかということで、四〇%ぐらいの人が非常に心配しているというわけでございます。  まず最初に厚生省にお伺いしたいと思います。  地震が起こった場合、伝染病だとかいろいろな問題が起こるわけでございますが、何といっても水を確保できるかどうかが大きな課題になってくるわけでございます。その中で、地震が起こったときには、やはりどうしても水道管がずたずたになるわけでございますが、この水の確保対策について厚生省の見解を伺いたいと思います。
  32. 藤原正弘

    藤原説明員 お答えいたします。  水道はライフラインと呼ばれますように、人の健康に直接つながるものであり、地震時におきましては水道水を確保することが極めて重要でございます。  水道に関する地震対策といたしましては、予防対策としての施設の整備と、災害を受けたときの応急対策としての給水車の確保などの給水体制の整備という両面から対策を考えております。このうち特に予防対策につきましては、安定水源の確保、老朽施設の更新、基幹施設の耐震化、配水池容量の増強、配水系統間の連絡管敷設などの計画的推進が必要と考えております。  厚生省といたしましては、このような考え方を踏まえまして、特に古くなりました水道管を新しいものに取りかえていく事業を推進しようと考えておりまして、平成二年度予算から老朽管更新推進事業という国庫補助制度の創設を認めていただきましたので、これに基づきまして老朽化の著しい石綿セメント管の更新に力を入れていくこととしたところでございますが、今後とも本事業を積極的に推進していきたいと考えております。  また、配水池の容量につきましては、我が国の配水池の容量は一日最大給水量の八時間分程度でございます。これは欧米諸国に比べてみますと、かなりゆとりが少ないということが言えます。例えばサンフランシスコ市の水道を見ますと、これは四日分もあります。このように大きな隔たりがありまして、大地震の際などにおける給水体制に不安があります。このため、現在災害に強い水道施設をつくるために施設基準の改定作業を進めているところでございますが、この中においても配水池の容量を増強することとしておりますけれども、これを実際に進めるには、用地の手当てなど大きな問題が山積しております。なかなか容易ではございません。したがいまして、この事業が円滑に進むための施策についても検討していく必要があると考えております。  災害時における水の確保は何にも増して重要でございまして、今後ともこのための施策の充実を図っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  33. 長良恭行

    ○長良政府委員 大規模地震が発生いたしました場合に、被災者の方々の生活を維持するために必要不可欠な食料の調達、確保は、御指摘のとおり大変重要なことであるというふうに私どもも考えております。  このため農林水産省といたしましては、被災県の知事からの要請を受けまして、米につきましては、卸売業者に対しまして速やかに手持ち精米を売却するよう指示するほか、各食糧事務所を通じまして、政府保有米を供給することといたしております。それから、乾パンにつきましては、あらかじめ政府倉庫等に災害対策用の乾パンを備蓄しておるわけでございますが、これを供給することといたしております。また、缶詰等につきましては、関係業界団体等を通じまして、食品メーカー等に対しまして出荷要請を行うことといたしております。このような形で、大規模地震発生時には、被災地に対する食料の調達、供給が円滑に行われるよう措置をすることといたしております。  なお、こうした食料の供給活動が円滑に行われるよう、農林水産省といたしましては、農林水産省防災業務計画及び農林水産省地震災害防災体制整備要綱を定めておりまして、大規模震災時における食料の円滑な調達、供給、情報連絡体制、要員の確保等に万全を期しておる次第でございます。
  34. 村上誠一郎

    ○村上委員 次に、先ほども大臣が触れましたが、地震予知の問題についてお伺いしたいと思います。  地震のタイプというのはいろいろあるわけでございますが、相模トラフ沿いの大地震については海溝型巨大地震タイプ、それから、二番目の直下型地震についてはプレート境界型地震と言われています。そして三番目は、房総沖地震については震源地が沖合にある。それぞれ特徴があるわけでございますが、科学技術庁にお伺いしたいのは、地震予知というのは極めて重要と考えるのでございますけれども、現在の予知対策あるいは今後いろいろ考え得る予知対策についてお伺いしたいと思います。
  35. 竹内章悟

    ○竹内説明員 お答え申し上げます。  先生が御指摘のとおり、地震は人命はもちろん社会経済に大変影響を与えるものでございまして、我が国にとってその予知は大変重要な課題かと存じております。しかしながら、地震と申しますものは地下深部で発生する等の特性がございまして、地震予知につきましては、現在の科学技術の水準をもってしても難しい課題であると承知しております。  東海地域のマグニチュード八級の海溝型巨大地震、これにつきましては、観測、測量の集中強化ということで短期的予知、すなわち、いつ、どこで、どの程度のものが発生するかという予知が可能と考えられるわけでございます、しかしながら、その他の地域の、特にそれよりも非常に規模の小さいマグニチュード七級の内陸型地震などにつきましては、特にいつという短期的な予知は現時点では困難でございまして、今後の重要な研究 課題というふうに認識してございます。  政府といたしましては、科学技術庁長官を本部長といたしました地震予知推進本部、こちらの方を通じまして、地震予知研究等の体制を各省庁関係機関等と連携を保ちつつ推進しているというところでございまして、その中で、特に測地学審議会が建議いたしております地震予知計画というものに沿って推進しているところでございます。  特に関東ということで申し上げますと、この地域は観測研究がやや難しい状況のところでございまして、特に高精度あるいは高感度の観測のための新しい技術も含めたそういう手法等の導入が必要かと存じておりまして、政府といたしましても、そのために新しい技術を用いた観測技術の開発研究の推進も重要な課題と考えでございます。地震予知推進本部が今般決定いたしました「平成二年度の地震予知観測・研究の推進について」、これは各省庁を含めました関係者の平成二年度における実施内容を決めたものでございますが、その中におきましても、こういう新しい技術といった面に着目して、ひとつ有効な観測手段を提供するものとして開発していこうというふうな動きがございます。  そのうちの一つを申し上げますと、GPS、これは汎地球測位システムとでも申しましょうか、人工衛星からの電波を受信することによって地球上の位置を高精度で測定することができるシステムでございまして、こういう観測手法をとる、開発実用化に向けて行うことによりまして、地震の前兆現象の一つである地殻の変動を広い地域で連続的に高精度で観測することなどが可能になるということから、南関東の地震など、マグニチュード七級の内陸地震の予知研究にとって有効な観測手段の一つかと存じでございます。そのようなGPSの高精度の地殻の変動観測という新しい技術、これまでも進めてまいったわけでございますが、今後とも進めてまいりたい、力を入れてまいりたいというふうなことも私ども考えているところでございます。  また、VLBI、これは遠くの電波星からの電波を二地点で受けまして、その二地点の電波の受けぐあいを比較することによって非常に長距離、数千キロメートル離れた地点の位置を数センチないしは十数センチの高精度で測定するというふうな仕組みのものでございます。  また、SLR、人工衛星レーザー測距というものがございます。これは人工衛星を利用した同様の趣旨の目的のものでございますけれども、このような研究についても進めていこうというふうに考えております。  また、地殻の観測という点からはIBOS、穴の中に地震計あるいは地殻傾斜計、地殻ひずみ計などを一つにまとめて入れたものでございまして、こういう観測システムを開発中でございます。こういった観測項目を一点で行うことによって総合的な評価を行うことが可能になるということで、地震の前兆となる地殻の異常をより適切に把握することが可能になるはずだということで開発研究をしているところでございます。  また、平成二年度から、これまでもございましたが、地中の電磁波を捕捉する研究を充実してやりたいと思っております。  そういう新しいもろもろの関連技術の進展を考えてございますので、地震予知のための研究の充実強化も、こういったものの導入を図ってより一層進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  36. 村上誠一郎

    ○村上委員 このような地震発生が懸念される東京というのは、世界の三大金融市場として非常に発展しつつある。そういう中で活動が二十四時間化が進んでいる。「二十四時間戦えますか」というコマーシャルが非常によくはやっておりますが、そういう中で、今後二十四時間化に伴う防災上の課題と防災対策についてお伺いしたいと思います。
  37. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘がございましたように、現在、東京が世界の三大金融市場の一つとして発展しつつございまして、私どもが眺めましても、東京の株式市場、為替市場等が閉鎖いたしましてから、次はロンドン市場があき、ニューヨーク市場があくというようなところで、大体二十四時間フルタイムで世界の金融市場がどこかがあいておって、それに東京を中心とする日本が深くかかわっておるというような状況でございます。  そういった状況の中で、例えば一つのデータでございますけれども、過去五年ぐらいを見まして、小売業の店舗数はほとんど横ばいでございますが、終日営業の小売業だけは約四倍ふえておるといったようなことからも、今、私どもの都市活動が二十四時間化しておるということがうかがわれるのではないかと思っております。  そこで、この問題に対します防災上の課題はいろいろあるわけでございますが、最も基本的な部分は、夜間の防災体制の問題ではないかと思っております。かいつまんで申し上げますと、例えば事務所ビルにつきましても、通常は夜間は人がいないという前提になっておりますが、こういう二十四時間型では、かなりの職員等がビルの中で働いておるという実態もあるわけでございまして、そういった夜間の状態で例えば情報通信機能等がストップいたしました場合でも、昔のように朝まで待つといったようなのんきなことは許されないといったような実態があろうかと思います。したがいまして、私どもは、こうした問題は新しい防災対策の課題ということから、真剣に取り組む必要があるということで取り組んでおるわけでございますが、基本的には、そういった夜間の防災体制についていろいろきめ細かい対応を図る必要があると考えております。  もう一点は、夜間の面も含めまして、いろいろな情報通信施設あるいはライフライン関係のルートの多元化を図りまして、一つやられてももう一つ生きている部分があるといったような問題、それから、万が一被害を受けました場合の極めて迅速な応急復旧体制の強化、こういったようなことがとりあえず早急に取り組まなければならない問題ではないかというふうに考えている次第でございます。
  38. 村上誠一郎

    ○村上委員 昨年サンフランシスコで発生したロマプリータ地震が我が国の地震対策に与える示唆というのは非常にあると思うのですが、その経験をどのように生かしていくか、国土庁に簡単に御説明いただきたいと思います。
  39. 市川一朗

    ○市川政府委員 昨年サンフランシスコで発生しましたロマプリータ地震で私どもが一番関心を持っておりますのは、何といいましても、近代都市におきまして都市構造が地震が起きた場合にどうなるかといったようなテーマといたしましては、なかなか実例が少ないわけでございまして、そういう意味では極めて重要な一つの被災事例が出ておるといったようなことではないかと思います。  具体的には、高速道路とか長スパンの橋梁等が被害を受けましたとか、建物の問題、ライフラインの問題、そういったいろいろなところで被害を受けたものもありますし、被害を受けずに済んだものもございます。そういったようなことにつきまして詳細にいろいろ検討することが、我が国の、特に都市における震災対策上極めて重要な示唆を与えられたというふうに認識しておる次第でございます。
  40. 村上誠一郎

    ○村上委員 大臣にお伺いしたいと思います。  世界都市東京の地震対策の重要性について、大臣の認識と今後に取り組まれる御決意をお伺いしたいと思います。
  41. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  先生が先ほどから御指摘のとおり、仮に南関東地域に大規模な地震が起きますれば、これは国内的にも国際的にもはかり知れない被害がある、非常に大変なことであると認識しております。  そんなことでございまして、その対策としては、先ほども申し上げましたが、大きく分けて三つあると思います。一つは、都市の不燃化、建築物等の耐震性の向上、二つ目には、情報通信の拠点機能やライフラインの供給ルートの多元化、それからもう一つ大切なのは地震予知の推進、こんなこと等各般の対策を一層推進いたしますととも に、基本的には、どうして人口密度を少なくするかということでございまして、それが人命の被害を少なくするということでございまして、そういうことで、四全総の東京圏への人口、諸機能の過度の集中を避けまして、多極分散型の国土構造の形成を図ることが必要である、このような考えを持っており、その認識のもとにこれらの対策に取り組んで全力を尽くしておる、このように御理解願いたいと思うわけでございます。
  42. 村上誠一郎

    ○村上委員 最後に、地元の課題に触れさせていただきたいと思います。  災害対策、復旧についてはいつも農水省に大変お世話になっておるわけでございますが、我が国の地形というか、地質、土壌及び気象の上からも、災害が非常に生じやすい状況にあると思うのです。それは、特に近年の急速な地域開発の進展や集中豪雨の多発がこれに拍車をかけておるのではないか。  そして、我が愛媛県でも、四国山脈を背後に、瀬戸内海や宇和海に向かって非常に急な斜面が連続しておる。特に西日本を縦断する中央構造線が東西に走って、複雑で非常に脆弱な地質を形成しておる。また、梅雨のときから台風のときにかけて、非常に多くの人命や財産が失われておるのが現状でございます。その点において、農業経営の安定と、特に最近見直されておる農地の国土保全管理機能を確保するために、農地、農業用施設の災害未然防止対策と早期復旧対策についてどのように対応していただけるか、していただくようになるか、農林省にお尋ねしたいと思います。
  43. 宮本和美

    ○宮本説明員 お答えいたします。  農地、農業用施設の災害を未然に防止し、農業経営の安定を図るとともに、国土の安全に資するため、従来から地すべり対策、急傾斜地の農地保全整備、ため池等の整備を初めとする農地防災事業、海岸事業等の推進に努めてきたところでございます。平成二年度には農地保全整備事業の拡充等も行いまして、事業内容の一層の充実を図ることとしております。今後ともこれら防災事業の積極的な推進を図ってまいりたいと存じます。  また、農地、農業用施設の災害復旧事業につきましては、早期に復旧することといたしまして、被災から三カ年で復旧することとしております。平成二年度におきましては、昭和六十三年発生災害についてすべてが完了するようにいたしまして、平成元年発生災害についての復旧事業につきましては、復旧事業の促進を図ることとしてございます。また、本年発生の災害につきましても、地元準備が整い次第早期に査定を実施し、早期復旧に努めてまいりたいと存じます。
  44. 村上誠一郎

    ○村上委員 きょうは、今後予想される南関東における地震の災害についてお尋ねさせていただいたわけでございますが、災害というのはイデオロギーと関係ない問題でございますので、今後とも各党の皆さん方と一緒に全力投球で頑張っていきたいと思うわけでございます。そういう面で、きょうはこの貴重な質問時間をいただきまして本当にありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきます。
  45. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 有川清次君。
  46. 有川清次

    ○有川委員 桜島火山活動に関する災害対策についてお伺いをいたします。御案内のとおり、桜島は文明、安永、大正の大爆発で多量の溶岩と火山灰を噴出しており、昭和に入ってからも、二十一年の噴火と三十年に爆発を開始いたしましてから今日まで、毎年噴火、噴煙活動を継続しており、多量の噴石、火山灰、火山ガスが噴出しているのが現状でございます。火山の寿命は百万年から三百万年と言われておりますが、桜島は今ようやく一万三千年の歴史でありまして、火山としてはまだ非常に短い、幼年期と言われておるわけであります。  こうした活動的な火山と同居しており、あるいは一面火山と闘っておる周辺住民の対策については、国、県、市、町で恒常的に十分な対応及び長期にわたる対策が必要だというふうに認識いたしております。  その現状を申し上げますと、ガス、降灰等による健康上の問題、営農対策あるいは漁業対策、降灰堆積による土石流の流出、山地崩壊、生活面では住居の破損、屋根がわらの下まで降灰が詰まったり、といが詰まり腐食する、家庭での降灰除去作業あるいは洗濯物の干し場対策、家屋のサッシ取りつけ、冷房施設、池のコイの死亡あるいは庭園の保全対策、商店街での商品の品質確保、道路、歩道等の降灰除去、堆積した降灰によるスリップ事故、風の日の火山灰の吹きさらし、労働の制限など、数えれば切りがないほど生活面に及ぼす影響が極めて大きいのが現状でございます。  最近では、最高を記録したのが昭和六十年度でございまして、爆発回数四百七十四回、地震六万一千四百四十七回、降灰量十アール当たり二万二千五百四十九キログラム、こうなっております。元年度でも、爆発回数は四十四回と大きく減少したようですけれども、地震回数は二万三百七十八回、降灰量も十アール当たり六千百九十キログラムとなり、本年度はまた活発な大型の活動が続いて、噴煙が続いておるのが現状でございます。  そこで質問申し上げたいのは、まず健康問題でありますが、降灰や火山ガスが住民の健康に及ぼす影響に関しては、これまで調査研究、監視体制、健康診断等は、昭和五十三年度から厚生省、国土庁及び県単独事業等で実施されているのが現状でございます。平成元年から三年度まで火山灰等環境影響調査事業を実施中でありますけれども、これまでの調査結果と今後の対応について厚生省にお伺いをしたいと思います。  あわせて、昨年七月に台風十一号が吹いた際に現地調査を私もいたしましたが、ビワ等は、被覆を取ったものについてはなり口がだめになっておりました。これからいたしましても、人体にもかなりの影響があるというふうに考えるのですが、どうなのか、お答えを願いたいと思います。
  47. 松澤秀郎

    ○松澤説明員 桜島の降灰による人体への健康影響につきましては、委員御指摘のとおり、昭和五十三年度から専門家から成る研究班によりまして調査研究を進めてまいりました。これまでのところ、降灰、ガス等と直接因果関係がある疾病等は認められておらないけれども、引き続き健康状態を把握していく必要があるという結論をいただいております。  また、今後の対策につきましては、桜島の活動が活発化、長期化の傾向がありますので住民の不安が強いということから、過去の調査結果を参考にしつつ、火山灰等による人体への影響については、長期的な視点に立って今後も総合的な調査研究を推進してまいりたいと考えております。
  48. 有川清次

    ○有川委員 因果関係が見当たらないということでございますが、目に及ぼす影響あるいは胸に及ぼす影響など十分考えられるところでございますから、今後とも必要な経費の確保を図りながら、詳細な調査の充実を図っていただきたいというふうに要望申し上げておきたいと思います。  次に、環境庁にお伺いいたしますが、世界的に今問題になっております酸性雨についてであります。  先般NHKが、桜島降灰地域において酸性雨の実態がある旨報道をしておりましたけれども、実情と人体への影響、または自然環境汚染との関係についてお伺いいたします。
  49. 濱中裕徳

    ○濱中説明員 お答えいたします。  環境庁におきましては、酸性雨の全国的な状況を把握いたしますために、第一次酸性雨対策調査というものの一環といたしまして、昭和五十九年度から六十二年度まで、全国十四の都道府県二十九地点において酸性雨の分析を行ったわけでございますが、その結果、各地点の年間の平均のpH、酸性の度合いを示す指標でございますが、これが四・四から五・五の範囲にございました。九州地方におきましては、長崎県の二ヵ所、これは長崎市及び大村市でございます。それから鹿児島県二カ所、これは屋久島の屋久町、それから太忠岳というところでございますが、そこで測定を実施してございますが、pHは四・五から五・〇の範囲ということになっております。  この酸性雨の原因となります硫酸イオンの年間 の降下量を見てまいりますと、主に日本海側あるいは屋久島で多いという結果が得られておりまして、ただいま申し上げました屋久島太忠岳で一立方メートル当たり年間七・四グラムというようなことで、これが全国の最高値でございました。  一方、最近でございますが、九州地方の地方公共団体の試験研究機関が共同で実施されました調査におきまして、平成元年六月の一週間降雨の測定結果によりますと、pH四未満の値も国分市などで観測されております。鹿児島県が五十八年度から五十九年度にかけて行った調査及び平成元年度に行った通年の調査結果によりますと、平均値でpH四・一から五・四、桜島周辺で四・五以下というようなぐあいになってございます。  一般に研究者の間におきましては、桜島からの火山ガスの中には亜硫酸ガスあるいは塩化水素ガスが含まれているというふうに言われておりまして、桜島周辺で降水中の塩素濃度が高い、これが降水の酸性化に大きく関与している、あるいは桜島からの亜硫酸ガスが広範囲に運ばれまして、九州北部地域にまで影響を及ぼしているというような研究報告がございますが、こうした火山ガスが酸性雨の生成に具体的にどの程度影響しているかということにつきましては、現在まだ必ずしも十分に明らかになっていないというふうに考えております。  そこで、私ども環境庁といたしましては、六十三年度から第二次酸性雨対策調査を実施しておりまして、その一環といたしまして、酸性雨の発生を定量的に予測できるモデルの開発を行っているところでございます。このようなモデルを確立することによりまして、火山ガスが酸性雨の生成に及ぼす影響の程度あるいは範囲というものについても明らかにしていくことができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  50. 有川清次

    ○有川委員 NHK調査資料はどういう方向から流れたのかわかりませんが、今の観測地点を聞きますと極めて降灰の少ない地域のようでありますから、十分今後対応して調査研究をし、地域に及ぼす影響が事前に防げるような対策を要請しておきたいと思います。  時間がございませんので次に移りますが、連日の克灰に悩んでおる住民が降灰除去専用機などをみずから購入しておるわけです。この購入に当たりまして、所得税の雑損控除などの適用を受けられるように地元から強い要望があるところでございますが、国税庁の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  51. 本庄資

    ○本庄説明員 お答えいたします。  ただいま委員の方から、降灰除去専用機器の購入費用につきまして、所得税の雑損控除を適用すべきではないかという御趣旨のお話でございますが、御案内のとおり、雑損控除と申しますのは、事業用の資産を別といたしまして、もともと生活上の資産そのものにつきまして災害等によって損害が生じた、そういう場合に納税者の担税力が減殺されることになるというので、この点を考慮いたしまして、これを調整するというために設けられた制度でございます。  御指摘のように、降灰除去専用機器の購入費用につきましては、なるほど災害等に関連して支出された金額である場合もありますが、その支出の結果といたしましてその機器という資産が取得されているということになりますと、いわば現金がそういう機器という資産にかわったということでございますので、その限りにおきまして、全体といたしましてバランスシートを見た場合に損失が発生したということにはならないわけでございますので、そういう機器の購入ということだけをもって納税者の担税力が減殺されたということは言えないということから、この制度の趣旨に照らしましてもなかなか雑損控除の対象といたしますことは難しい、こういうふうに考えておるところでございます。
  52. 有川清次

    ○有川委員 水道の大変な利用、それから降灰除去作業、生活面に及ぼす影響も非常に大きいわけであります。また今後研究をして、御努力を願いたいと思います。  次に、専用機器の関係につきまして建設省にお伺いいたしますが、鹿児島市では、町内会や通り会、十人以上のグループ等が機器を購入する場合に、限度額五万円の二分の一を補助としておるというのが現状でございます。既に二百四十三台購入されているようでありますが、他の激甚降灰市町村もあるわけでありまして、全体的にそうしたことが実施できるように国としての助成はできないのか、御見解をお伺いいたします。
  53. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  先生御承知のように、活動火山対策特別措置法ということでこの制度があるわけでございますが、制度的に申し上げますと、これは市町村が行う市町村道に対しての当該除去事業、これに要した費用ということでございます。いわゆる除去作業並びにその作業に必要な機械器具の購入というものは含まれているわけでございますが、現在、市町村以外のいわゆる町内会といったところで購入したものにつきましては、この制度の中では補助の対象になっていないということでございます。市町村がこれを行った場合には補助の対象になるというところに境目がございまして、大変冷たい言い方になるかもしれませんが、それが現状の制度でございます。  また、地元の方を調べてみましたら、現在鹿児島市だけでそういったことをやっているということでございます。  一応現状の御説明ということでお答えさせていただきます。
  54. 有川清次

    ○有川委員 となれば、市町村が購入した形をとればいいような感じもするのですが、それはさておいて、今後個別にまた御相談をしていきたいと思います。  次に、文部省にお伺いをいたします。  公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づきまして、学校、校庭等の降灰除去につきまして、降灰収集費、降灰運搬費、降灰処分費などが支給されておるわけですが、私立幼稚園、保育所等は災害復旧法の対象外になっております。これらは幼児でありまして、特に健康上の問題、あるいは除去に当たる子供もいないわけでありまして、先生方の負担も極めて大きいところでありますが、これが除外となった理由と今後の対応、考え方等についてお聞かせください。
  55. 野角計宏

    野角説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、公立幼稚園におきます降灰除去に要します経費につきましては、小中学校と同様に、公立学校施設災害復旧費国庫負担法による負担制度のほか、公立諸学校建物其他災害復旧費補助金によりまして、同法の対象とならない降灰除去についても、一定の基準以上のものにつきまして国庫補助の対象としてきております。これに対しまして、私立幼稚園につきましてはこのような制度がないわけでございます。  私ども、鹿児島県を通じまして、私立幼稚園におきます降灰除去の状況調査をこれまでいたしておるわけでございます。昭和六十一年度から六十三年度までの平均でございますが、降灰除去に要します経費が、一年間に一幼稚園当たり平均で約四万九千円という状況にございます。その額が極めて少額であるということで、これに対する補助は零細補助ということになるわけでございます。先生御承知のように、昭和五十七年、五十八年の臨時行政調査会答申、あるいは昨年十二月に出されました臨時行政改革推進審議会の国と地方の関係等に関する小委員会報告、これには補助金の整理合理化あるいは零細補助の合理化といった趣旨がございます。これに反するということで、現状におきましては、これらに対しまして新たに補助制度を創設することは極めて困難である状況にございます。  なお、私どもといたしましては、県を通じまして、今後とも降灰除去の状況につきまして必要に応じまして実情を把握して、検討してまいりたいというふうに考えております。
  56. 有川清次

    ○有川委員 法人になっておるわけでありますし、金額は少ないわけですが、行革の中でそういう答申があったとしても、よその地域にない特別 の鹿児島のこうした実態、向こうに住んでごらんなさい、大変な状況です。そういうことをしっかり踏まえて、温かみのある政治ということが重要だと思います。まあ検討はしたいということでありますので、十分検討をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、五十三年度から教育機関のプール等に上屋建設をするようになっており、対象校の七十九校中既に七十三校に実施をされており、今年度二校予定をされておるのですが、あと四校残るわけです。この実施が決まってからもう既に十二年たつわけでありまして、同じ教育機関で先にやったところと後からというのは、もう子供は卒業して次の人もまた卒業する、こういう状況になるわけでありまして、公平、公正を欠くのではないか、このように思うわけです。来年度には残りの四校全校実施するような御努力を要請をしたいと思いますが、見解をお伺いしたい。  さらにまた、二市三カ町という激甚地域だけになっておりますが、激甚地域に隣接したところで同様の悩みを訴えておる学校等があるわけでありまして、そうした地域に若干拡大をする必要もあると思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  57. 下宮進

    ○下宮説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、文部省では五十三年度からプールの上屋につきまして補助をやってきたわけでありまして、あと幾つか残っております。鹿児島県を通じて計画の整備を聞きますと、来年度以降、各一校ずつ整備したいという希望を聞いております。なお督励いたしまして、早期にプールの上屋が建設されるよう私どもも指導してまいりたいと考えております。
  58. 有川清次

    ○有川委員 枠の拡大についてはお答えがなかったですが、これはまた検討を含めて要請をしてまいりたいと思います。  次に、防災営農対策についてでございますが、農作物については、野菜、果樹、お茶、花木、養蚕、飼料作物その他被害が出ておりまして、昭和六十年度で七十二億三千万円、平成元年度で五十一億一千万円、こういう被害が出ておるところであります。特に防災営農施設整備計画の対象地域は鹿児島県の重要な農業地帯でありまして、食料供給基地としてその中核をなす産地であり、県としても非常に力を入れておるところであります。これらに対して平成二年度から四年度まで三カ年間、六次の計画が決まったところでありますが、その内容を見てみますと、多面にわたり努力され、配慮してもらっていることに対しては、まず感謝を申し上げたいと思います。  なお、今後さらに計画的な事業費の増加と枠拡大、あるいは継続的な事業促進を要望しておきたいと思いますが、特に激甚地域の二市三カ町の対策費がもっと欲しいなというのが地元の要望でございます。事業決定がなされた直後ではございますけれども、こうした営農対策についてのコメントがあればお聞かせ願いたいと思います。
  59. 窪田武

    ○窪田説明員 先生指摘のとおり、桜島火山周辺地域においては農作物等に著しい被害が発生しておりまして、農業経営に多大な影響を及ぼしているということでございます。  このため、先ほど先生も言われましたように、鹿児島県並びに宮崎県におきまして、それぞれ、鹿児島県においては五次、宮崎県においては二次にわたり防災営農対策事業を実施しているところでありまして、平成二年度からは、引き続き活発な桜島火山の活動状況を踏まえまして、鹿児島県では第六次目の、また宮崎県では第三次目の防災営農施設整備計画を作成したところでございます。  内容については既によく御存じのとおりでございますが、特に今回の計画では、対象地域の拡大を鹿児島県では四市町、宮崎県では二市町行っておりますし、また、事業種目につきましても、従来の事業種目に加えまして、たばこの洗浄施設とかあるいは木骨のビニールハウスとかいうものに拡大しておるところでございますし、また、計画期間中の両県における事業費も、総額六十四億円余ということで事業実施を予定しておりますので、その事業の中のいろいろな配分等につきましても、今後とも十分行わしてまいりたいというふうに思っております。
  60. 有川清次

    ○有川委員 時間がありませんので、林野庁と建設省に続けてお伺いいたします。  桜島の治山事業、順次行われて、国は元年度で大体七〇%達成した、こういうふうに言っておるのですが、なお拡大の状況を見て、今後見直しを行っていきたいとしておるわけでありますけれども、現実には六月八日夜に集中豪雨がございました。野尻川のはんらんで交通遮断、山地の各所で崩壊が見られるところでございます。林野庁の方で治山対策について今後どのような見直しをされ、努力されようとしておるのか、まずお伺いをしたいと思います。  なお、建設省につきましては、垂水市の小浜地区が崩壊をしたわけでありますが、ここは桜島フェリーが十五分置きに発着して、常に大量の車が往来する地域でございます。一応の防護さくはございますが、山が非常に高いことと勾配が急なことで、少量の雨で土砂崩れをして、国道二百二十号を交通遮断をするという状況もあるわけでありまして、抜本的な崩壊防止対策をしないと、やがて大きな人災が起こるのじゃないかと心配をしております。この辺の対策について建設省の考え方をお伺いしたいと思います。
  61. 弘中義夫

    ○弘中説明員 治山対策について御説明申し上げます。  桜島の治山対策につきましては、昭和五十一年度から桜島町におきまして国の直轄事業として事業を開始しておりまして、平成元年度までに事業費約百九十五億円をもって、荒廃渓流の整備あるいは山腹崩壊地の緑化等に努めてきたところでございます。  最近、桜島の火山活動が活発化していることにかんがみまして、平成二年度は事業費約十八億五千万円をもって、土石流の発生防止のための治山ダム工及び緑化工等の事業を実施しているところでございます。また、平成元年度に同地区の山地保全計画調査を実施しておりまして、全体計画の見直しを含めて検討を行ったところでございます。本年度中には全体計画の改定を行うこととしておりますが、今後とも本事業の緊急かつ計画的な実施に努めてまいりたいと考えております。
  62. 宮地昭夫

    ○宮地説明員 お答えいたします。  鹿児島県内の一般国道二百二十号は、大隅地域の重要な幹線道路であります。しかし、垂水市海潟から同市前崎に至る延長三・六キロにつきましては、異常気象時の通行規制区間となっております。過去に土砂崩落が生じております。  御指摘の小浜地区につきましては、垂水市海潟から同市早崎の間二・五キロにつきまして、早崎防災として事業化しております。本事業につきましては、昭和六十一年に地元の方々に説明を行いまして、その後、昭和六十二年、六十三年、地質調査を行ってございます。その地質調査の結果、当事業区間におきましては、技術的により慎重な検討が必要であるとわかりました。このため、平成元年度より土木研究所の専門家にも依頼しまして斜面調査を行い、安全な交通を確保するための抜本的な対策について検討を進めているところであります。今後早急に計画を取りまとめ、地域の方々を初め関係機関の協力を得て、安全で災害に強い一般国道二百二十号にするため一層の事業促進に努めてまいりたいと考えております。
  63. 有川清次

    ○有川委員 小浜地区については思い切った再検討がされておるようでありまして、事故のないうちに早い調査とその対策を要請申し上げておきたいと思います。  それから建設省の方にもう一点、軽石が堆積した東部があるわけです。この東部地区、軽石がどんどん雨のために流出して大変困惑しており、皆さんの方でもボラ対策については対処されておるのですが、非常に困難な面もあって、効果的な技術の開発と事業の促進を図ってほしいというふうに思いますけれども、今後の対策と見通しをお聞かせ願いたいと思います。  あわせて私、林野庁にもあと質問しておきますが、この間、六月の八、九日に九州南部地方に災害がかなりありました。八日の朝から九日の午前六時までの雨量が屋久島で三百八十ミリで、内之浦で二百八十七ミリ、佐多町で二百十ミリという状況でありました。ちょうど私、飛行機で種子島に行きましたのでこれを上から見ましたら、桜島の北部あるいは佐多、内之浦方面の山地崩壊、これがもう歴然としてわかりましたので、慌てて翌日現地調査等いたしてまいりました。ここに今写真も持ってきておりますが、時間がありませんのでお見せしませんけれども、どうしても現地を見た状況では、民有林、国有林を含めまして、広葉樹林が伐採されて幼木があるような山が次々とがけ崩れを起こして大災害を起こしている、こういう状況下にあるわけであります。今後の対応を十分してもらわなければならぬと思いますが、林野庁の見解と被害状況、対策をお伺いをしたいと思います。  なお、林野庁にもう一点は、ここに辺塚というところがあるのですが、佐多町辺塚川の河口に大きな中州があって、町の主要道路約五十メートルを完全にもぎ取ってしまいまして、ガードレールが宙に浮く状態がありました。その隣は住宅がいっぱいある、また、その道路の奥には漁協等があって、途中で慌てて車が一台、運転手だけは飛び出したそうですが、車はすぐ濁流にのまれた、こういう状況になっております。ところが、その真ん中に中州がありまして、調べてみたらこれが国有林だ、防災林だということを聞きました。早速これは除去すべきではないかという意見を申し上げておったのですが、既に樹木は伐採をされた模様でありまして、機敏な対応に感謝申し上げます。  きょうからあしたにかけてまた集中豪雨があるということで心配をしておるわけですが、中州全体をこの際早急に除去する、こういう対応が必要だと思いますが、その辺の見解をお聞かせ願いたい。
  64. 松下忠洋

    ○松下説明員 御説明申し上げます。  桜島の東山腹のことでございますけれども、桜島の砂防事業でございますが、昭和十八年から開始しておりまして、特に火山活動が活発になってまいりました昭和五十一年から一部を直轄事業に入れまして、直轄砂防事業として実施して今日に至っているわけであります。  桜島の東斜面の黒神川でございますけれども、特に軽石等の火山噴出物の流出が多いことから、砂防ダム等を施工して、災害防止にずっと努めてまいったところでありますけれども、昭和五十三年からは、付近に小学校がございます、それから集落もございますので、そこの安全を確保するという必要もありまして、導流堤等の砂防工事を実施してまいってきたところであります。  ところが、特に昨今のように火山活動が非常に活発になってまいりまして、火山灰等の火山噴出物が間断なく生産されて、出水のたびに流出するという状況になっておりますので、軽石を含む土砂の流出、これを完全に防止するということは極めて困難ではなかろうかというふうに考えておりますけれども、昨年度、火山砂防事業というのを創設いたしまして、そういうこともありまして、こういった軽石等の火山噴出物による泥流災害防除のために、技術的に可能な限り知恵を絞りまして対応してまいりたいというふうに考えております。
  65. 弘中義夫

    ○弘中説明員 先生から御指摘ございましたように、六月八日から九日にかけまして、活発な梅雨前線の影響を受けまして、鹿児島県佐多町を含めまして非常な雨量集中豪雨があったわけでございます。このため、住宅あるいは道路等への被害とあわせまして、林地におきましても崩壊の被害が発生してございます。主な林地崩壊、山地災害の箇所でございますが、垂水市、佐多町、中種子町が中心となっておりまして、鹿児島県全体で九十九ヵ所、被害額で十四億九千万円に及んでございます。  先生から御指摘のございました崩壊地と森林の取り扱いとの関係でございますが、今回のように一時期に大量の集中豪雨がございますと、山林の植生の状況ではこれをのみ込むことがなかなか難しゅうございまして、生育している樹種とかそういうものよりも、そういう雨量の影響というものが非常に大きくなっております。また、その場合でありましても、植生の状況とか地形、地質、降雨量等いろいろな要因が複合して発生するわけでございますが、一般的には今回のような日雨量あるいは時雨量ということでの大きな集中豪雨になりますと、避けられないものと考えでございます。  しかしながら、このような山地災害に対しまして、次期降雨等によりまして人家や公共施設に影響を与えることのないように、緊急に災害関連緊急治山事業等により復旧整備を図るよう指導しているわけでございまして、鹿児島県からの復旧申請があり次第、関係機関等とも実施計画の協議を行いまして、早急に着手できるように努めてまいりたいと考えております。また、人家裏山の小規模な箇所につきましては、林地崩壊対策事業により復旧に当たることとしたいと考えております。  それから、最後に御指摘のございました中州の件でございますが、先生の御指摘もありましたように、関係町長より要請がございまして、立ち木につきましては既に伐採をして除去して、次の洪水時の流路確保のための措置をとったところでございますが、中州全体を除去する件につきましては、本来、河川管理者の考え方によりまして、水路を確保するために必要ということでございましたら、そういう要請を受けまして林野庁としても協力してまいりたいと考えております。
  66. 有川清次

    ○有川委員 時間が来ましたから終わりますが、この中州について写真も持ってきておりますから、最大の障害になっておりますので、ぜひ除去をしていただきたいと思います。
  67. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、暫時休憩いたします。     正午休憩      ────◇─────     午後一時十分開議
  68. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。速見魁君。
  69. 速見魁

    ○速見委員 私は、まず初めに、この特別委員会では若干なじみが薄いとは思いますが、御承知のように長崎県は台風の常襲県でありまして、海上交通での災害も港内で多く発生しております関係上、災害予防という見地から、今日佐世保の湾内に保管されております海上の弾薬集積の問題についてお伺いしたいと思います。本日は運輸省、海上保安庁、外務省からも御出席をいただいておりますので、逐次質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、火薬類取締法の第五十条では運輸省令にゆだねられておりますので、危険物船舶運送及び貯蔵規則の原則、それから構造なり設備、係留の位置等について御説明を願いたいというぐあいに考えます。
  70. 山本圭吾

    ○山本説明員 火薬類の貯蔵船につきましては、貯蔵中の火薬類によります災害を防止するため、その構造、設備、係留位置、防災設備につきまして、危険物船舶運送及び貯蔵規則によって規制しております。  具体的には、構造及び設備につきましては、一層の甲板を有すること、水密性があること、避雷装置及び適当な防げん材を有していること等、また、係留位置につきましては、航路、泊地、船だまり等から原則として七百メートル以上の距離をとること、防災設備につきましては、液体消火器または泡消火器等の消防設備を備えつけることといった義務がかかっております。
  71. 速見魁

    ○速見委員 それでは、弾薬を集積しております物体、ライターと呼ばれておりますが、バージ二隻にライター十六隻、そのほかのブイに十四隻、計三十隻のライターというものに弾薬を集積されておるわけでありますが、このライターという構造物の定義についてはどのようにお考えでしょう。
  72. 山本圭吾

    ○山本説明員 一般的に浮揚性、移動性及び積載性を有するものを船舶として考えており、火薬な どの危険物を搭載する貯蔵船につきましては、船舶安全法の規制の対象となっております。
  73. 速見魁

    ○速見委員 それでは、陸上でコンテナがあるわけでありますけれども、これも海に浮かべれば船舶という定義ですか。
  74. 山本圭吾

    ○山本説明員 一般的に浮揚性、移動性及び載荷性を有すればそのようなことだと思います。
  75. 速見魁

    ○速見委員 それでは、このライターというものの出現の問題でありますが、一九七一年、横浜にラッシュ船が初めに入りました。そのときにこのライターというものが初めて横浜港に来たわけであります。  ここにライターの略図を私は手に入れました。長さ十八・七メートル、幅九・五メートル、高さが四・三メートルという、とにかく大型でございます。これは要するに自走能力を持たない一種の構造物でありますが、このような一番危険な弾薬を貯蔵しようとする構造物について船舶という定義、しかもこれは重箱みたいに四角になっておるのです。そして、係留するロープをつけるところとか、そういうものも全然持っていない。しかも船で全部横に挟んで航行させる、こういうような代物でございまして、今言われる船舶という定義には当てはまらないのではないかと私は思いますけれども、その点についてもう一度御答弁願います。
  76. 山本圭吾

    ○山本説明員 繰り返しになりますが、一般的に浮揚性、移動性及び載荷性を有するものを船舶と考えております。また、火薬類など危険物を搭載する貯蔵船につきましては、船舶安全法の規制の対象になっております。
  77. 速見魁

    ○速見委員 それでは海上保安庁にお伺いいたしたいと思います。  これを海上保安庁と外務省の方にお渡し願いたいと思います。委員長、この図面をお渡ししたいと思いますが……。
  78. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 はい。
  79. 速見魁

    ○速見委員 先ほどは船舶という定義でございましたけれども、私はその見解とは若干意見を相違するところでございますが、ただいまお渡しいたしましたのは佐世保湾内における地図であります。これは大きく拡大しております。ここに航路があります。要するに、弾薬貯蔵船はこのC水域というところに停泊しておるわけです。しかも、この一つのライターの最大積載量は三百七十六トンであります。喫水が二・六メートルということでございますから、私は現地で確認してきましたけれども、今、満杯の状況でございます。恐らく最大の積載をしておるというぐあいに考えます。この地図にありますように、航路は横瀬−寄船−大島−五島の生活航路でありますし、この地点の南側は全部漁業の許可を受けた水域であります。こういうようなところで貯蔵されておる。  先ほど、貯蔵規則の三百七十七条で、海上に貯蔵する場合には七百メートル以上の距離を置かなくちゃならない、こういう貯蔵規則を言われましたけれども、この問題について海上保安庁としてはどのように港則法上もお考えになっておられるか、お伺いいたします。
  80. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  まず、船舶かどうかという件でございますけれども、御承知のとおり、港則法は、港域を適用海域とした海上衝突予防法の特別法でございます。したがいまして、港則法上の船舶は海上衝突予防法上の船舶と同意義でございます。そこで、海上衝突予防法では、船舶を「水上輸送の用に供する船舟類」というふうに規定しております。具体的には、人また物を積載して水上を移動できるものと解しております。したがいまして、港則法上、一般にこのような要件を有しておりますライターと言われるものも船舶に該当すると考えております。  それから、二番目に御質問のいわゆる火薬類の貯蔵船の件でございますけれども、仮に火薬類の貯蔵船というものが佐世保港内に停泊する場合には、いわゆる危険物船舶運送及び貯蔵規則等の関係法令を踏まえた上で、港則法に基づく停泊場所の指定を行うということになると思います。一般的に危険物を積載した船舶につきましては、港則法の五条及び施行規則三条におきまして、それぞれの特定港内、周辺海域の航行環境を踏まえまして、特定港内の停泊区域とそこに停泊すべき船舶が定められております。佐世保港内におきましては、具体的に、係留施設に係留する場合には、港内にございます第一区、第二区または第三区の一部、それから、係留以外の場合、これは第三区の一部の海面に停泊しなければならない。したがって、港長は、二十二条一項の規定に基づきまして、危険物船舶の大きさ、停泊期間等々を勘案しまして、今申し上げました海面においてその船舶の停泊場所を個別具体的に指定するという制度でございます。
  81. 速見魁

    ○速見委員 いや、私が聞いているのは、航路と停泊位置、七百メートル以上離れているのですか。もっと近いですよ。それは漁業権の水域のすぐそばなのですよ。ここはいつでも自由に航行できるのです。要するに、七百メートル以上離さなければいけない、距離を持たなくてはならぬという貯蔵規則にこれは抵触しているのじゃないですか。
  82. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 御指摘の案件が火薬類の貯蔵船に該当するかということだと思いますけれども、先ほど御説明がございましたように、貯蔵船に関する規制というものは規則でなされております。当庁は同規則を所管しておりませんので、コメントするという立場にはございません。
  83. 速見魁

    ○速見委員 いや、だから私は言っているのじゃないですか。貯蔵規則三百七十七条では、要するにそれだけの距離を持たなくちゃならぬということになっている。港則法上も、安全確保という意味からも、海上保安庁としてはそれだけの物を申さなくちゃならぬじゃないですか。要するに、安全であるという条件を海上保安庁としては確認しているのですか。  それでは、ちょっと聞きますよ。航路からこの貯蔵している地点まで何メートルあるのですか。
  84. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 繰り返してございますけれども、火薬類の貯蔵船に該当するか否かということにつきましては、米軍艦船にかかわる問題でございます。米軍艦船につきましては、御承知のとおり、港則法に基づきます入出港届を要しないこと等とされております。そういうことで、詳細につきましては承知してないということでございます。
  85. 速見魁

    ○速見委員 この問題だけを長くやっておるわけにもまいりませんから、それでは、海上保安庁としてこれは確認しているのですか。先ほどの貯蔵規則の中で、防災設備その他義務づけられたものがありますね、こういう防災設備とかなんとかをこのライターには備えつけてありますか。
  86. 森敏光

    ○森説明員 海上保安庁に対するお尋ねでございますが、まず、本件につきましては在日米軍の活動でございますので、私の方から少し御説明させていただきたいと思います。  一般国際法上、外国の軍隊につきましては、特別の合意がある場合を除きますほか、接受国の法令はそのまま適用されることはないということになっております。また、この点につきましては、まさに在日米軍についても同様でございます。したがいまして、現在、先生が御指摘の米軍の活動につきましては、これはまた提供された施設、区域内での活動でもございます。このような米軍の活動に対しまして、我が国の国内法令がそのまま適用されるということはございません。
  87. 速見魁

    ○速見委員 それは国内法は適用が除外されるということは知っていますよ。しかし、地位協定の十六条において、日本の国内法を尊重するという規定があるじゃないですか。尊重するということになれば、公共の安全を守るということになれば、少なくとも国内法に準拠してこういうものをすべきが妥当じゃないですか、外務省。
  88. 森敏光

    ○森説明員 先ほど御説明いたしましたように、在日米軍に対しまして我が国の法令をそのまま適用することはないわけでございますが、他方におきまして、先生指摘の地位協定第十六条にもございますとおり、在日米軍が我が国の法令を尊重 すべきものであることは当然であるかと考えます。しかしながら、国内法令を具体的にいかなる形で尊重すべきかという点につきましては、安保条約、地位協定に基づいて行われております米軍の活動、その活動の必要性と我が国における公共の安全に対する影響等との関係を総合的に勘案しつつ、具体的なケースに応じで判断されるべきであると考えます。
  89. 速見魁

    ○速見委員 それでは聞きますが、先ほど申し上げましたように、この最大積載量は一隻で三百七十六トンです。これが湾内に三十個浮かんでいます。しかもこの写真、先ほど外務省の方にもお見せしたかわかりませんが、こういうような形なのです。真ん中にバージを置いて、このそばに要するに十六個積んでいるのです。ほかのブイにもある。三十個となりますと一万トン以上ですよ。一万一千二百八十トン。この一万トン以上の弾薬が佐世保の湾内に貯蔵されているのです。そういうようなものがただ単に米軍の活動、運用ということだけで見逃していいのでしょうか。安全上、仮に台風が来た場合どうしますか。
  90. 森敏光

    ○森説明員 本件につきましては、佐世保市当局等から、地元住民の皆さん方からの不安等につきましては承知しております。私どもといたしましても、これらの地元からの声を踏まえまして、これを米側に伝えまして、米側に対しては、このような不安に対しては十分な配慮を払うよう申し入れを行っております。米側からは、従来より米軍の活動につきましては、船舶の航行、漁船の操業等を含みます我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動してきておりまして、今回の作業に当たりましても、漁民の方々の不安というものについては十分に承知しておる、それを真摯に受けとめておる、さらに米側は、今回の作業を安全面で最大限の配慮を払っで行っているというふうに我が方に伝えてきております。  先生お尋ねの、例えば台風がやってきた場合どのような対応をするのかという点でございますが、このような点につきましても、必要な場合は係留されているライターを特別の避難区域に移すということも含めまして、適切な対応をとる体制が整備されている、かように米側より伝えてきております。
  91. 速見魁

    ○速見委員 それじゃ、適切に避難するという避難場所はどこですか。
  92. 森敏光

    ○森説明員 ただいま申し上げましたとおり、米側よりは、特別の避難区域に移すことも含め、適切な対応をとる体制が整備されているということでございます。具体的にどこであるかという点につきましては、米軍の運用の詳細にかかわる問題でありますので、承知しておりません。
  93. 速見魁

    ○速見委員 そんな詭弁を言っても私には通用しませんよ。この港の中で避難する場所はありませんよ。しかも、三十個というライターをどういうぐあいにして避難をするのか。そういうような詭弁は私には通用しません。  しかし、そのことだけを申し上げておっても時間がございませんから、それじゃ今言われた公共の安全、これは地位協定三条三項にありますが、この公共の安全という定義は一体何ですか。これも私が先ほど申し上げましたように、日本の国内法を遵守するというのが一つの建前でなくてはならぬと思いますけれども、公共の安全という定義、基準はどうですか。
  94. 森敏光

    ○森説明員 先ほど御説明いたしましたように、地位協定三条の三項は、先生指摘のとおり、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」ということを規定しております。この「公共の安全」の内容につきましては、個々の具体的な事例に即して、地位協定の趣旨に照らしてそれぞれ判断されるべきものと考えております。
  95. 速見魁

    ○速見委員 ちょっと角度を変えて再度質問いたしますが、かつてなかったことなんですね、海上における貯蔵というのは。過去あったことがございません。輸送船も入ってきています。そういうような形の中で、しかも一万トン以上の弾薬を海上に貯蔵するというようになってくると、これは完全な安保条約六条に基づく、あるいは交換公文に基づく装備の重要な変更ということに私は受けとめているのですが、この点はいかがですか。
  96. 森敏光

    ○森説明員 安保条約第六条の実施に関する交換公文の規定によりまして事前協議の対象とされております事項の中に「軍隊の装備における重要な変更」というのがございますが、この具体的な内容につきましては、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設の場合ということでございまして、今回のような作業は該当いたしません。
  97. 速見魁

    ○速見委員 これはまた弾薬の種類の問題になるわけでありますが、地元では特に核弾頭がこの中にあるのではないかという不安と危惧を持っています。それでは、核弾頭が入っておったとすれば、これは当然装備の変更ということになりますね。いかがですか。
  98. 森敏光

    ○森説明員 先ほど申し上げましたとおり、核の持ち込みは事前協議の対象でございます。私ども米側よりこのような事前協議を受けておりません。したがいまして、政府として、核が持ち込まれているということはあり得ないと考えております。
  99. 速見魁

    ○速見委員 時間がございませんので、最後に一、二点お尋ねしておきます。  実は、一昨日から回収作業に入っておりますが、先般、呉の司令官の方が海上保安部に答えておる中では、今回限りではなくて継続的に弾薬船を集積させる、こういうような発言があっておるようであります。今、回収作業に入っておりますからなんですが、この弾薬集積船というのは今回限りというぐあいに受けとめていいのですか。
  100. 森敏光

    ○森説明員 先生指摘のとおり、現在の佐世保におきます作業は、既にライター等の積み込み作業が開始されているということでございます。間もなくこの作業は終了するものと承知しております。  お尋ねの将来の作業の点でございますが、これは米側の運用にかかわる問題でございますので、私ども承知しておりません。ただし、これまで我が方から米側に対しまして地元の不安等について伝えてきたことについては、御説明申し上げているとおりでございますが、その際、米側より、漁民の方々の不安を減ずるため、将来の作業に当たっては、いかなる代替策がとり得るのか等について検討しているというような説明はございました。
  101. 速見魁

    ○速見委員 それでは、最後に意見を申し上げて、この項は終わりたいと思います。  先ほどから私が問題を提起いたしておりますように、この海上のライターというものに積んでおります弾薬、要するに三百七十六トンという大きなものであります。しかも、これが三十個。ただ、佐世保だけではございません。これは実は呉にも入っておるわけでございまして、こういうものが海面に貯蔵されるということについては、その周辺の漁民や一般航路を使う船舶あるいは通勤船、こういう人たちが非常に不安を持っているわけであります。  先ほど外務省の方からございましたように、この問題については代替策を考えておるということでございますけれども、いずれにしても、このような危険物を海上保管されることについては、住民が非常に不安を持っておる、納得できないでおる、このことをひとつ十分考えていただいて、災害予防という見地からも、これはやはり将来熟慮されるように最後に要望して、この項については終わりたいと思います。運輸省、外務省、海上保安庁、大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。  それでは次に、防災無線の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  冒頭申し上げましたように、私は長崎県でございまして、長崎県は災害の常襲地帯でもございます。五十七年には七・二三、十二号台風で長崎は大変痛手を受けたわけでございますが、これに対 しては直ちに復旧作業をやっていただきまして、感謝を申し上げております。  そういう状況から考えていくならば、防災無線網というものは、災害予防、避難、そういうものについて非常に大事な役割を持っているのではないだろうか、このような気がいたしています。この防災無線網についてどのような現在の対応と今後の対策を持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  102. 神林章元

    ○神林説明員 お尋ねの消防防災無線網でございますが、私ども、国と都道府県を結びます系統につきましては、四十七都道府県すべてに地上系がありますほか、事業団の衛星を使いまして東海及び南関東地区の六県と結ばれ、さらに二県整備中でございます。都道府県の防災行政無線につきましては、ことしの三月三十一日現在、四十四都道府県が運用中でございます。  それから、市町村と管下集落とを結びます市町村防災無線につきましては、現在一斉放送ができる同報系が千四百八十三団体、携帯無線機を使います移動系が二千二百六十二団体となっております。それぞれ約四五・四%と六九・二%という整備率になっておりまして、私どもといたしましては、未整備団体の解消を図るべく、補助金及び防災まちづくりの起債事業等の活用を進めているところでございます。
  103. 速見魁

    ○速見委員 私は、特に移動式よりも同報系の方が非常におくれていることを実は危惧するのです。実際問題として、移動式でやってみましても間に合わない。しかも町村、田舎では同報系が非常に進んでおりますけれども、市部に同報系がない。このことについては今後非常に憂慮すべき問題ではないだろうか、このようにも私は考えます。同時に、例えば同報系でも、今は家屋の構造の関係で、家の中まで聞こえない部分というのが多分に出てきています。そういう意味で、同報系の場合でも戸別受信機の普及を図っておられるようでありますけれども、これはぜひそういうことで進めていただきたい。時間がございませんので、これは要望にとどめておきたいと思います。  次に、これまた長崎県、特に急傾斜地の多い地域でありますけれども、急傾斜地崩壊対策事業について、その現状と今後の対策についてお伺いをいたします。
  104. 五十嵐武

    ○五十嵐説明員 お答えいたします。  急傾斜地崩壊危険箇所、いわゆるがけ崩れの危険箇所は、昭和六十二年度の調査によりますと七万七千二百四十二ヵ所ございまして、このうち急傾斜地崩壊危険区域として指定しております箇所は、昭和六十三年度末現在一万六千四百九十四カ所となっております。これらのうちから崩壊防止工事を必要とするものにつきまして、緊急性の高いところから順次計画的に実施するよう都道府県を指導しておりまして、平成元年度末には整備率約二〇%となっております。今後さらに人命と国民の財産を保護するため、危険箇所の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  105. 速見魁

    ○速見委員 もう時間が参りましたので、最後に大臣に決意のほどをひとつお聞きをしたいと思うのです。  今の防災無線あるいは急傾斜地の崩壊問題につきまして積極的な御回答をいただいたわけでありますが、特に長崎の場合の急傾斜地、産炭地県でありましたので、炭鉱の跡の鉱害というものも非常に多いわけでございます。風水害に弱い地域でもありますから、住民の生命と財産を守る上からも、あるいは国土保全という意味からも、この急傾斜地防災事業あるいは消防無線等の問題については積極的に進めていただきたいな、このようにも思っておりますが、最後に大臣の御決意をお伺いをしておきたいと思います。
  106. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 速見先生にお答えいたします。  私の記憶では、長崎県というのは五十七年度でしたかの災害が非常に記憶に残っておりまして、たしか死者、行方不明者三百名でしたか、被害総額三千億というようなことがございました。一年置きに起きているというようなことでございます。  そんなことでございますが、我が国というのは地震、台風豪雨、豪雪、火山噴火など、多くの災害を受けやすい自然的条件に置かれています。このような災害から国民生命財産を守ることは、国の基本的な責務であると考えております。このため、政府におきましては、治山治水事業を初めとする各種の災害対策を推進しているところではありますが、国土庁は大災害時の非常災害対策本部の運営の中心となるなど、政府の災害対策の中枢機関であり、今後とも関係省庁と連絡をとりまして災害対策推進のために全力を傾けてまいりたい、このように考えております。
  107. 速見魁

    ○速見委員 終わります。
  108. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 藤田スミ君。
  109. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、まず最初に関西国際空港の埋め立ての問題についてお伺いをいたします。  空港は、当然のことながら、高度の安全性が求められるものであります。ところが、今、泉州沖で建設中の空港島の埋立地で予想外の沈下が起こっていることが明らかになり、空港会社は、埋め立ての土砂を千七百万立米ふやし、三・五メートルのかさ上げをし、事業費も百七十億円ふやすということを決めました。もともとこの工事は、計画の段階から、世界的にも前例のない深い水深、海底は軟弱な地盤、したがって豆腐の上に金塊を乗せるようなものだ、こういうふうにまで言われていたわけであります。だから、これは私の地元にあるわけですが、沈下や不等沈下は初めからわかっていたことじゃないか、こういう思いを持たざるを得ません。  ところで、今回なぜこういう沈下が起こったか。昭和五十八年に土質工学会関西支部関西新空港土質研究委員会が運輸省に提出した報告書では、さまざまな土層モデルを想定しまして、最小九メートル弱から最大十三メートルの圧密沈下を予測していたわけであります。ところが、その土層モデルの予測の最小想定よりもっと低い八メートルが沈下するんだというふうに想定をして埋立計画を立てて、今回やはり誤算だった、こういうことになったわけであります。結局、沈下の想定を大きくとるとコストが多くかかる、だから安全率よりも事業費の抑制を優先させた結果だと思いますが、運輸省はこの沈下の原因は何にあると認識していらっしゃいますか、そして、どういうふうに反省をしていらっしゃいますか。
  110. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  関西国際空港株式会社におきましては、昭和六十二年の一月に着工いたしまして、平成四年度末の開港を目指して現在埋立工事等を鋭意進めておるところでございます。現在、五百十一ヘクタールのうち、約百四十三ヘクタールほど陸地ができ上がっておる状況でございます。  埋立地の沈下の問題につきまして今先生から御指摘があったわけでありますが、当初から、沈下につきましては、平均水深十八メートル、それからその下に非常に軟弱な粘土層があるということで想定をいたしておりまして、必要な対策を講じつつ工事を進めてきたところでございます。また、関空会社におきましては、当初から埋立調査工区というのを前もって前広につくりまして、沈下の状況を計測いたしておりました。これは昨年五月からでございます。その計測結果をもとに沈下予測を見直したわけでございますが、その結果をことしの四月二十三日に公表いたしました。それによると、当初計画より沈下量が大きく予測されることになったわけでございます。  先生の御質問にもございましたが、当初計画では開港後五十年目に、五十年ぐらいの非常に長いタームをとっておるわけでございますが、沈下量八メートルという予測できたわけでございます。これは、先生の御質問にもございましたように、当時学会の専門家の先生方の意見も参考にして、五十年後には沈下量八メートルという予測を立てたわけでございますが、現時点での見直し計画において、開港後五十年目までの沈下量が十メートルということに見直しがされたということでございます。これを踏まえまして埋立計画の見直しを行いまして、埋立土量といたしましては約千七百 万立米増加させる必要が生じたということで、これについては埋立免許の変更等の所要の手続が必要になりますが、これを今後行って、開港のスケジュールには影響がないようにしていくということで現在進めているところでございます。  なお、御質問にございましたが、事業費の削減等の観点で、必要以上に沈下予測を過小に見積もったというようなことは全くございません。当時の技術で予測される最大の範囲で予測したのが、その後の埋立調査工区の現実の状況を計測した結果、若干の修正が必要になったということでございまして、今後の安全対策はもちろんのこと、開港へのスケジュール等にも影響がないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  111. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 経費を節減するために低く見積もったのじゃないとおっしゃっても、結局はそういうことなのです。経費を安く——これがもしも最初から最大予測をとってごらんなさい。五メートル多く沈下するというふうに考えたら、最初から土砂はもっと要るということになるでしょう。そうすると、事業費はもっと上がるということになるわけです。しかも、埋め立ての土の圧密、要するに圧縮の沈下量ということも全く最初は見積もっていなかったわけですから、そういう点で私は大変問題があるというふうに言わざるを得ません。  この空港島は、今後おっしゃるように長期にわたって沈下していくわけです。しかも北東側は特に沈んでいる、不等沈下が甚だしいというようなことも言われています。だから、一期工事完成後、新たな埋め立てで生ずる段差の問題など、複雑な問題はこれからますます出てくるというふうに言わざるを得ないわけであります。  こういう問題にこれからどういうふうに対応していくのか。特に今現場で心配されているのは、土を海の中に入れていくわけですが、一定の量を入れますと、その土がずっと下へある程度沈んでいくというのですか、そういう圧密されるような期間というものをきちっと設けて、順次一定に固まったら上から入れていくというやり方を繰り返しているわけですが、さあ工事がおくれているし、それから新たに土を入れなければならぬという状態が出てきますと、この圧密期間というものを縮めて、そしてどんどん土を上から入れていかなければならないということになってまいりますと、これは新たな不等沈下の問題が起こってくるのではないか、こういうふうなことも言われておりますが、これはどうですか。
  112. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、埋め立てにつきましては、一遍に全体の土砂を同時期に入れるということではございませんで、何段階かに分けまして埋め立てをして、その後圧密のために置いておく期間をしばらく設けてございます。これにつきましては、今回沈下が予測よりも大きくなったということはございますが、その期間をそのために短縮するというようなことは一切考えておりません。  先ほど申しました埋立土量が増加することに伴っても、開港工程には影響しないようにしたいということは、月別の土量を従来考えていたよりも増加するという方向で対処することを考えております。したがって、埋め立てした後に鎮静化する時間を置くものにつきまして、必要以上に短縮するというようなことは一切考えてございません。安全上全く問題のないように措置をしてまいりたいと思っております。
  113. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この点で約束をはっきりとしてください。この土量をふやしていくということで、地元で土砂採取をやっている阪南町なども、最近二時間、七時までの土取りを九時までにするということになりました。そのために、粉じんとか騒音というような公害問題も新たに拡大をしていく心配があるわけです。そういう問題とか、開港時期に間に合わせようということを急ぐ余り、それを優先して公害対策とか安全性が犠牲にされてはならない。それは絶対にしないということだけははっきりと約束してください。
  114. 相原力

    ○相原説明員 お答え申し上げます。  関西国際空港につきましては、先生十分御承知のとおり、現在の伊丹国際空港の騒音問題等に対処するために建設が開始されたという原点がございます。したがいまして、その建設に当たりましても、地元住民の方々に環境上等の問題で御迷惑がかかるようなことは一切しないという基本的な考え方で実施しているところでございます。  なお、今御質問にございました阪南地域における土砂の採取に関する作業時間の延長の問題につきましては、六月五日から延長による工事開始がなされたところでございます。この問題につきましては、土砂採取事業の事業実施主体、大阪府企業局でございますが、大阪府におきまして、大阪府の環境影響評価要綱に基づいて、地元の意向を尊重しつつ、アセスメントの関係手続を経て実施しているところでございます。環境上の配慮は十分になされているものと理解しておりますし、今後ともそういう精神でやっていきたいと思っております。
  115. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 土砂量の需要がふえるわけで、現在各地から土取りに必要な許可を得ているわけですが、そういう面での追加とか変更、あるいは新しい予定地を見つけていくということはあるのですか。
  116. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  現在の埋立計画におきましては、山土として一億六千六百万立米の土砂を大阪府の阪南地域、それから和歌山県の加太地域、それから兵庫県の淡路島等から調達することになっております。追加的に必要となる千七百万立米の土砂につきましても、これらの地域から調達が可能であると考えております。
  117. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは少し納得できないのです。その採取量は一億六千六百万立米でしょう。今度また新たに千七百万立米要るのでしょう。そうしたら、大阪府、兵庫県、和歌山県とずっとありますが、全部合計で一億六千六百万立米、こう採取量が決められていて、さらに千七百万立米多くかかるようになっておるのです。それがなぜその中から可能だという計算になるのですか。一割ほど土量は多く要るわけですよ。
  118. 相原力

    ○相原説明員 お答え申し上げます。  先ほど詳細な説明を省略して申しわけございませんでした。  現在の埋立免許の中身には、山土の総量として一億六千六百万立米というのがございます。ただし、その内訳が府県別にあるわけでございますが、それぞれの府県から採取できる限度量がそれぞれ書いてございます。例えば大阪府は五千万立米、兵庫県が六千三百万立米、和歌山県が六千五百万立米、あと徳島、香川、岡山を合わせまして五百万立米、これを合計いたしますと一億八千三百万立米にたまたま限度量としてはなってございますので、総量は一億六千六百万立米からあと千七百万立米増加する必要があるわけでございますが、それぞれの府県の限度量としては、現在の限度量いっぱいを使えるとすればその範囲内で可能である、そういう意味合いでございます。
  119. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 公有水面埋立法の施行規則三条五項では、埋立免許の添付図書として「埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」を添付する、こうなっているのですね。そこには御説明あったように、大阪から徳島まで六県で一億六千六百万立米とこうなっているのに、限度量は一億八千三百万立米とれるのだ、こんな世の中信用のならぬ話がまかり通ったら、全く理解に苦しむのですよ。そんな考えというのは通用する話なのですか。そうすると、これだけしか分量をとらないけれども、実際にはこれだけあるのだというような、話がすごくでたらめになってしまうと思うのですがね。
  120. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  埋立免許の添付図書といたしまして、山土の総量としては一億六千六百万立米というふうに書いてあるわけでございます。ただし、各府県別から幾らとれるかという問題につきましては、その山元の方の出方の問題でございますが、どれぐらい 搬出できるかということで、必ずしも確定的なスケジュールが組めていなかったということがございます。  したがって、計画としてはそれぞれの地域の目いっぱいの計画を出しておいて、それで出せるところから優先的に出そう、スケジュール的に間に合わないところは最終的には限度量よりも若干少な目になるかもしれないという前提で、各府県別には少し多目の限度量を設定したわけでございます。したがって、その各府県別の限度量をトータルいたしますと一億八千三百万立米ということで、若干余裕がある数字になるわけでございますが、それは今後の埋め立ての実績等を勘案しつつ、最終的にどこからどれだけ搬出されるかということが決定される、そういうふうに理解をした上で埋立免許の手続がなされているということでございます。
  121. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 結局は、追加のときはよろしくと頼んであるけれども、それは民間ベースのことで、後、新たに土をとるとしたらしかるべき許可をすることもある、こういうことですよね。うなずかれましたので、そういうふうに理解いたします。そこはどこなんだということを聞きたかったのですが、まだそこまでいっていないということなら、それは後でおっしゃってください。  最後に、最近新聞の報道によりますと、この問題に関連して、予算を圧縮するためと今後の埋め立ての土砂が非常に確保が困難になるために、今後というのは第一期工事の次の全体構想に向けての問題提起ですが、そのときには土砂の確保が困難になるために、内水面の埋め立てのところは産業廃棄物で埋め立てるという計画が打ち出された、運輸省もそういう方針を決めた、こう書かれているのです。これはもう私ども地元の者にとってはとんでもない話なのですよ。だから、その真偽のほどをお伺いをしたいわけであります。  新空港の原点というのは、公害問題を解決するのだというのが原点です。それから空港島は瀬戸内海にあり、そして、瀬戸内海の中でも特に汚れている大阪湾は海水がずっとよどみやすくなっているので、特別に注意を払っていかなければならないよという場所に今空港島がつくられているのです。その上に地盤沈下の問題もあります。だから、私はこういうことはあってはならないと思いますが、真実かどうか、おっしゃってください。
  122. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  関西国際空港は公害問題を解決するのが原点であるという先生のお話、全くそのとおりでございまして、私どもそれを当初より肝に銘じて関西空港の建設を推進しているわけでございます。  ただいま先生から御質問ございました件につきましては、関西国際空港のこれからの計画、いわゆる全体構想に関連する事柄でございますが、全体構想につきましては、昭和六十三年度から近畿圏における航空需要予測等の基礎的な調査を実施しておりまして、今後、その基礎的な調査の結果、それから別途現在の大阪国際空港のあり方、この存廃について結論を出すということになっておりまして、その検討結果等を踏まえまして、明年度から始まります第六次空港整備五カ年計画を策定する過程で、その取り扱いについて検討するという段階でございます。現在、航空審議会におきまして、第六次空港整備五カ年計画の検討の一環として、この関西国際空港の全体構想の取り扱いについても審議されているところでございます。したがいまして、全体構想につきましては、そういう取り扱いについてはどうするかということは、まだ検討段階ということを御理解いただきたいと思います。  先生の御質問にございました、一部の新聞報道に、内水面を埋め立てる、それも産業廃棄物で埋め立てるというようなことを運輸省の方で方針を決めだというような感じで報道が出されたわけでございますが、このような内水面を埋め立てるとか、あるいはそれを廃棄物により行うというようなことについて、運輸省が方針を決めたという事実は一切ございません。いずれにいたしましても、空港建設の推進に当たりましては、地元の意向を十分に尊重して実施すべきものと考えております。
  123. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 運輸省、ありがとうございました。  それでは、次の問題に移りたいと思います。アメダスの更新の問題についてお伺いをいたします。  四月十四日に気象庁の観測現場を私、見せていただきまして、関係者の皆さんとも懇談をさせていただきました。気象庁の方、その節は大変お世話になりました。地域気象観測システム、いわゆるアメダスの更新についてなんですが、アメダスといえば、天気予報のときに、この地域はこうだからあしたはこういうふうなことになるだろうということで、茶の間にまで大変浸透しておりまして、おかげで私どもの気象に対する知識も大変豊かになりまして、ありがたく思っております。  実は、このアメダスは全国で千三百十三カ所あるわけですが、寿命が来ております。これは私が勝手に申し上げているわけではありませんで、気象庁の説明文書を見ましても「有線ロボット気象計は、昭和四十九年度から整備を始めて十五年を経過し、老朽化が著しく、観測の維持に支障を生じてきている。このため、早急に更新を行う必要がある。」、こういうふうに言われているわけです。こういうことから、雨量、風向風速、気温、日照の四要素を観測している有線ロボット気象、計六百八十五のうち、八九年と九〇年で五十四カ所更新されたわけですが、私どものいただいております資料を見ましても、来年十五年を迎えますところが二百一カ所、再来年になりますと二百十六カ所、その翌年が二百二十カ所が著しく老朽しているところになるわけです。いよいよ更新の正念場を迎えていると思います。これからの取り組みについて気象庁に御説明をお願いします。
  124. 手塚雅美

    ○手塚説明員 お答え申し上げます。  アメダスの更新計画でございますが、有線ロボット気象計につきましては平成元年度から更新を開始いたしたところでございますが、今後も順次計画的に更新することといたしております。また、無線ロボット雨量計につきましては、昭和五十八年度から平成二年度に更新いたしました。現在のところ順調に稼働いたしておりまして、今後、施設の稼働状況を見て更新計画を検討してまいる所存でございます。自記雨量計につきましては、今後老朽化の著しいものから計画的に順次更新することといたしております。
  125. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 古くて故障が出るから更新というなら、それは本来遅いものだと思うのです。そもそも機能がダウンしては困る器械、それがアメダスであるわけであります。だから、具体的に来年十五年を迎えるこの二百カ所、もう皆さんも十五年を経過して老朽化が著しいと言っているこの二百カ所に絞ってお答えください。これはどうされるのですか。
  126. 手塚雅美

    ○手塚説明員 お答えいたします。  アメダスの更新は、十五年を一応の更新の目安といたしておりますが、業務運営に支障を来すことがございませんよう、老朽化の著しいものから順次計画的に更新することといたしております。
  127. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 順次計画的にというのは、それはそうなんですが、しかし、その計画が、がばっと二百カ所来ているから私は心配しているのです。その次の年ももう来ているから心配をしているのですよ。しかも、今は順調にいっているということについては、私は、いや、いっていないとは言いませんが、皆さん自身がもうそういうふうな支障を生じてきている、だから早急に更新を行う必要があると位置づけていらっしゃるので、だったらこの二百カ所はどうするのかというふうに聞いているのです。具体的に数が言えないのだったら、この二百カ所というのは当面の大事な宿題だというふうには思っていらっしゃいますか。
  128. 手塚雅美

    ○手塚説明員 お答えいたします。  気象庁といたしましては、設備の稼働状況等を 勘案いたしながら、気象庁予算全体の中で所要の予算措置を講じてまいる所存でございます。
  129. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 気象庁の全体の予算の中で、こういうふうにおっしゃったのですが、九一年度二百カ所更新するということになりますと、ことしの例で三十八カ所で一億三千六百万円かかっておりますから、そこから推しはかっていきますと七億円以上のお金がかかるわけです。全体の予算を見てやりくりするというようなことになりますと、これはもうとても更新は進んでいかないだろうと心配になってくるわけです。  しかも気象庁は、微小地震計にしろまだ更新の計画を持っていますし、ことしから始まりました計測震度計も、百十五カ所の計画の中のたった四カ所、千百九十四万円が予算化されただけで、あとの四年、毎年八千万円以上のお金をかけていかないと、この百十五カ所の計画というものもうまくいかない。しかも一方では舞鶴の海洋気象観測船、これはもう二十六年、四半世紀過ぎているわけです。だからこれも早くつくらなければならない、こういうふうなことでたくさん持っているのですね。  ところが、大臣気象庁の予算というのは情けないのですよ。重要事項といって、平たく言ったら人件費と経常経費を除いた予算は四十億あるのです。四十億の中の三十二億までが気象衛星にとられるのです。だから八億しか残らない。その八億で全国千三百何カ所かのアメダスは更新せんならぬ、地震計は更新せんならぬとか、船はかえんならぬ、本当にやらんならぬことが山ほどあるわけですね。だから、気象庁の予算というのは防災対策の上でも一番大事な基礎的なところですから、こういうふうにせっかく重要項目の予算ということでどんと四十億ある、こう言っても、ふたあけたら三十二億までが気象衛星に食われているというようなものじゃなしに、気象衛星の三十二億などはでんと横へ置いて、それはちゃんと予算確保したらいいのですが、ちょっと横へ置いて、そして、本当に細かく整備をしていかんならぬものについては、もっとスムーズに事が運ぶように力を入れていかなければならない。そういう点では国土庁長官としてもぜひお力添えをいただきたいと考えるわけですが、いかがでしょうか。
  130. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 藤田先生にお答えいたしますが、先ほどからの老朽化している機器の更新等については、従来から必要な措置が講じられていると思っております。  実は、私も昭和五十一年に運輸政務次官をやりました。そのときに気象計器につきましていろいろ話したことがございますが、基本的に考えましたのは、機器と人とがバランスをとらなければいかぬわけですね。そんなことでございまして、そこら辺がいろいろあると思っております。今のお話を聞いておりまして、どうも五十三年に整備されたのが十数年そのままというのも、これはいかがかという感じもするものでございますから、私も防災行政を預かる者として、関係省庁の話をよく聞いた上で必要があれば応援してまいりたい、このように考えております。
  131. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ぜひ大臣のバックアップをお願いをしておきたいと思います。  それから、大蔵省に来ていただきました。大蔵省の方もアメダス更新の重要性を十分理解してくださっておられる、私はそういうふうに受けとめております。しかし、聞いていただきましたように、まだまだ力を入れていただかなければなりません。だから、予算の面からも国民に心配をかけることない、大丈夫だというふうにひとつ特段のお力添えをいただきたい。それをお願いしたいために大蔵省にお願いをいたしました。
  132. 堀田隆夫

    ○堀田説明員 お答えいたします。  先生指摘アメダスの整備更新経費につきましては、従来から気象庁の要求を踏まえまして、施設の稼働状況等を勘案しながら十分に配慮をいたしまして、所要の予算措置を講じてきているところでございます。  今後十分に配慮せよというお話でございますが、今後の問題につきましては、現在の予算編成システムにおきましては、まず気象庁、運輸省が運輸省の概算要求枠の中で要求をつくりまして、財政当局に出してこられるわけでございまして、その予算要求枠の中でどのように要求を織り込んでこられるかというのが予算編成の出発点になりますけれども、気象庁、運輸省から要求が出ましたら、それを踏まえまして、この施策の重要性も十分勘案いたしまして検討してまいりたいと思っております。
  133. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これも気象庁関係をいたしますが、温暖化問題に移りたいと思います。  ことしは国際防災の十年の最初の年ということで、今言われております地球環境問題と災害という点では非常に密接な関係があるわけです。地球の温暖化が言われ、それが我々に何をもたらすかということがいろいろ指摘をされています。やがて気温が二・五度、三・五度も上がり、海面が上昇する、そうすると現在の穀倉地帯が干ばつに見舞われるというような懸念も指摘されておるし、雷雨や低気圧がやたらに発達しやすくなるということも言われています。  建設省は八九年の八月に、地球環境問題検討委員会で、地球温暖化による海面上昇により、河川行政にどういう影響があるかということをまとめていらっしゃるわけです。それを見ますと、海面が一メートル上昇した場合、ゼロメートル地帯は現在の二・四倍に進み、七十三兆円の資産が洪水の危機にさらされるであろう、大変なことを言っているわけですが、こういうかなりスケールの大きい災害というものについて国土庁はどういう御見解をお持ちか、お伺いをいたします。
  134. 市川一朗

    ○市川政府委員 地球温暖化の問題は、ここ数年非常に重要な問題として取り上げられておる問題でございまして、私ども国土庁防災を預かるという立場防災行政を預かっている立場からも、そういった問題が災害の発生その他にどういう影響を与えるかどうかという観点から、絶えず緊張を持ちまして関心を持っておるといった状況でございます。
  135. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 海部総理も、人類の生存を脅かす温暖化と取り組む、こういうことを言っていらっしゃるわけであります。  また、私はここに気象審議会の答申を持っておりますが、ここには大規模な温暖化問題に取り組むに当たっていろいろ配慮が必要だ、まず第一に必要なことは、「大規模な気候データの蓄積、管理及び精密な数値モデルによる地球規模現象の研究には、それを遂行する能力を持った高速電子計算機が不可欠であり、気象研究所の計算機利用体制の効率化、最新上位機種への早期更新に努力すること、」こういうことを書いてくれています。速やかに温暖化に対して取り組んでいこう、そのためにはこういうふうにコンピューターの整備が必要なんだというふうに言っているわけです。  しかし、その温暖化の問題を基礎的に研究している気象研究所では、実はさっきから施設の古いことばかり言っているのですが、ここでもコンピューターの更新が見送られているのですね。非常に効率が悪いそうです。だから、新たな研究分野が入ったのですが、昼夜を分かたずコンピューターを使えるということで、コンピューターを目いっぱい使わなければいかぬそうです。そうすると夜の仕事がふえるわけですが、冬なんかになると、夜の仕事がふえると今度は暖房費が高くつくぞというようなけちな話が横から飛んできたりしまして、とても仕事がやりにくいのですね。  これは、聞けばリース料五億七千万近くかかっているそうですが、それと同じくらいの値段でもっと効率のいい、何倍も速いスーパーコンピューターというものを確保することができるというふうにも言われておりますから、こういうのは、もう早く温暖化対策と大分看板だけは大きく出しているわけですから、その看板にふさわしい体制というものを早く進めなければいけないというふうに思っています。気象庁、いかがですか。
  136. 小野俊行

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  気象庁は、この温暖化問題につきまして、大きく分けまして三つの点を中心に対策を進めており ます、一つはモニタリング、観測でございますけれども、観測を強化する。二番目は温暖化の予測を含めまして研究体制を拡充する。三番目は情報提供でございます。  それで、一番目の観測及びモニタリングの整備につきましては、元来、気象庁は過去百年以上にわたりまして通常の気象観測を重ねまして、それが現在の知見の重要な基礎になっておるわけでございますけれども、さらに近年、温室効果気体、二酸化炭素等でございますけれども、そういったものの観測体制を強化してまいっております。  それで、今先生の御質問の気象研究所のスーパーコンピューターでございますけれども、これは気候に関します研究を進める上で、特に将来の予測を行っていく上で気候モデルというものが決め手になっておりまして、特にこの研究を進める上で非常に重要な役割を果たしているもの、このように認識しておるわけでございます。現在、気象研究所で用いておりますスーパーコンピューターは、昭和六十年度に整備して運用中でございまして、先生指摘のように、コンピューターの性能も近年非常に速いものが出てまいりました。そういったコンピューターの性能あるいは価格、そういった状況、その動向を調査いたしながら現在検討中でございます。  ただし、平成三年度要求に当たりましては、気象庁の他の重要施策とともに総合的に検討いたしたい、このように考えております。
  137. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで質問を終わりますが、私は、一機百億以上もするような軍用機を平気で何十機も買い入れるような今の日本政府の予算の組み方を見ましたら、気象庁の予算をわずか四十億というようなみみっちい予算で四苦八苦するというようなことではなしに、国土庁長官としても防災を本当に前進させる意味で、きょう取り上げました気象庁の施設整備が前進するように特段の御配慮、お力添えをいただきたいということを最後にお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  138. 三ツ林弥太郎

  139. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 災害対策についての質問の前に、災害対策の報告、正確な地点あるいは復旧処理、その他に関連いたしますし、諸般の行政にも近代的な対応の求められております国土調査について、政府の見解をただしておきたいのであります。  国土調査事業は、昭和三十六年の国土調査制度制定以来、これまで三次にわたって国土調査事業十箇年計画が推進されてまいりました。しかしながら、国土調査に対するニーズは大きく変化しているにもかかわらず、目標達成までにはまだまだ相当の期間を要するので、これではいけないと懸念しておりますし、先般もこのことについて質問を申し上げているわけでございます。  特に地籍調査については、これまでのペースでまいりますとあと百年以上もかかるのではないかと思われると、平成元年七月に提示された国土調査問題懇談会報告書に記載されてもいるのであります。御承知のように、地籍調査の成果は、土地区画整理事業、圃場整備事業、林道開設・改良事業等の公共事業の円滑な実施、土地利用・管理、課税の公平化及び適正化等、また不動産登記、災害復旧、公有財産管理の行政上にも広範に利活用されるのであります。  それで、国土調査問題懇談会報告書を拝見いたしまして、国土調査に関するいろいろな問題点や情勢分析が掲載されているのでありますが、国土庁としてはこの報告書をどのように受けとめて第四次国土調査事業十箇年計画を策定されたのか、まずお伺いいたします。
  140. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  国土調査事業は、国土の開発及び保全並びにその利用高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図ることを目的として、昭和二十七年より実施しておりますが、ただいま先生指摘のとおり、この調査事業の開始以来、我が国の社会経済情勢、測量技術、情報処理技術、いずれをとりましても、国土調査を取り巻く環境及び国土調査に対するニーズは著しく変化しているものと考えられます。したがいまして、改めて今日的観点から、国土調査事業の今後のあり方について、昨年国土調査問題懇談会を設置しまして検討してまいりました。  この懇談会の報告書の結論を簡単に申し上げますと、今後遅くとも地籍調査事業を約三十年の期間内に、国土の開発及び高度利用あるいは土地に関する施策の総合的かつ効率的な実施のために必要と考えられる地域について、他の公共事業等の類似調査等も含めまして全面的に完了させることとしまして、特に今後の十年については、第四次国土調査事業十箇年計画により推進することとしまして、特に地帯別には、人口集中地域以外の平地、つまり農地でございますが、こういうところでは公共事業など他の確定測量等の類似の調査を含めまして相当部分完了させること、また、人口集中地域につきましては、新たに都市部地籍調査促進事業を導入しまして、約三十年ぐらいをめどにして完了させる、また、林地につきましては、開発及び林業利用高度化の観点から、必要な地域についてこれも約三十年ぐらいをめどに完了させること、このような対策を検討する必要があるという内容の懇談会報告書をいただいております。  第四次十箇年計画は、この報告書の内容をほぼ全面的に踏まえて策定しておりまして、先般閣議決定がなされたところであります。国土庁といたしましては、今後ともこの十箇年計画の達成に努めてまいる所存でございます。
  141. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、国土調査に関する先進国の実態把握をどのようになされているか、お伺いいたします。
  142. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  地籍調査におきましては、主としてヨーロッパ、ヨーロッパの中でも特に北欧諸国において古くから調査が進められておりまして、当方でもいろいろ調べておりますが、例といたしまして二、三の外国におきます地籍調査の実施状況の概要を御紹介させていただきます。  特に進んでおりますフランスにおきましては、国家事業として経済財務省が担当して実施しております。フランスの地籍調査事業はナポレオン地籍として有名でございますが、ナポレオン時代の一八〇七年に始められまして、一八五〇年に一応完了しております。その後、国土の開発が進みまして、一九三〇年から全国的な再調査を始めております。現在、再調査はほぼ終了しまして、一部の不十分な地域に対する補足調査を実施しているようでございます。また、最近の動向といたしまして、このような地籍情報の事務処理をコンピューターにかけるよう促進していると聞いております。  また、西ドイツでは、地籍調査は国家ではなく、各州の州政府により実施されておるようでございますが、全国的にはおおむね完了しており、維持・修正の段階と聞いております。特に最近の動向としましては、地籍簿及び地籍図の情報のディジタル化を相当進めておりまして、こうしたディジタルデータをコンピューターで他の種々の情報と組み合わせて利活用していく、いわゆる土地情報システム構築が進んでいると聞いております。  最後に、アメリカにおきましては、州により事情は相当異なるようでございますが、我が国のような登記制度をとっておりませんので、統一的な地籍調査はございませんが、課税という目的で課税用地図は十分整備されておりまして、近年はコンピューター化に合わせて課税用の地図の整備がなされていると聞いております。また、これとともに、地籍情報を基礎とした土地情報システムの構築も相当進められようとされておると聞いております。
  143. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今御報告のように、先進国、フランスでは既に一八〇七年、ナポレオン時代にこの調査に取り組み、一八五〇年に一応の完了を見ている。さらに、一九三〇年に再調査もし、現在これを終了し、コンピューターにもかけているという ことでございます。西独も大体全国で完了している。  しかし、日本では現在まだ三五%でございまして、先ほど言いましたように、このままの推移では百年もかかる。こういう経済一流大国でありながら、全く近代国家ならざる実態でございます。殊に今回の十箇年計画、一応三十年をめどにして計画完了するような計画設定のようでございますが、今までの例を見ますと、第一次計画での達成率が四五%でございます。第二次計画でも四五%、第三次計画、昭和五十五年から平成元年までが五五%の達成率ですから、どうも政府の計画表は、過去の実績を見ますと全く当てにならないわけでございます。しかし、事は全く緊急を要している問題でございますので、この点本当に三十年をめどに、今回の第四次計画が完了できるのかどうか、その辺について見解をお伺いいたします。
  144. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  従来の長期計画が十分に進捗しなかった点につきましては御指摘のとおりでございますが、調査そのものの内容が非常に正確な調査を必要としておりまして、厳密な手続を要するために多くの時間と労力を要すること、また、実施主体であります市町村にこの行政需要増についていけるだけの能力がなかったとか、予算の抑制下の中にあったというようないろいろな要素がございますが、今後の十箇年におきましては、それぞれに適切な措置を講じまして、達成されるよう努力してまいりたいと考えております。
  145. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は、この報告書にもありますが、やはり市町村、特に一般国民の国土調査にかける熱意の足らないことも事実でございます。しかし、地方自治体におきましては、これは予算が伴う問題でございますので、結局、問題は予算がないところから来る意識の低下があることも事実でございます。  現在、国土調査法第十九条五項による指定で、公共事業の基盤整備、あるいは各公共事業によるところの道路その他の測量、あるいは民間もこれに類似する地籍調査を行う場合、申請による指定で正確な座標軸のとれる調査ができるようになっているわけでございます。それで、大半がそのような申請でこれに対応しているわけでございますが、これはどうも法律じゃなくして通達でそういう対応ができるようでございます。これを法律で対応できるように指定していくことが今後できないのかどうか。  そういうことでもしない限り、予算の面でも、予算配分で今の枠内の配分を大蔵省から受けているような段階では、とても今回の第四次計画も達成率が一〇〇%は難しいと思っておりますので、このことに対する法律での規定ができないかどうか、またそういう考えがないのかどうかをお伺いいたします。     〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
  146. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、国土調査法第十九条第五項の指定制度は、公共事業等で作成される類似測量成果についても同項の指定を行うことにより、国土調査成果と全く同様の取り扱いを受けまして、各種土地行政の基礎資料となることとなっております。この指定を受けるためには、各種公共事業で実施される測量につきまして、四等三角点に基づいている等の国土調査基準による実施が必要であります。したがいまして、これを法的に義務づけいたしますと、他の事業主体に新たな負担となるおそれもございます。  このような観点から、国土庁としましては、事業主体の負担を軽減しながら指定の促進を積極的に図るため、昭和五十二年度から公共事業等確定測量のための基準点を設置しておりまして、また、農林水産省、建設省関係機関の協力によりまして、同項の指定面積は実績がふえておりまして、今後とも基準点の設置、同項の指定制度の普及により、指定の積極的促進を図っていきたいと考えております。
  147. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 民間が正確に調査を行う場合、それは負担の増高を強いるものでございますから、法でこれを規制するのもどうかと思いますが、しかし、事公共事業となりますと、これは公費でやっておるわけでございますから、これを法で規制してもいいんじゃないか。そして、やはり大蔵省から予算を自動的に流させる、そういう対応が必要だと思うのですが、この点についての御意見はいかがですか。
  148. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  負担の増と申しましたが、形式的なもののほかに、非常に厳密な手続を得るため、そういう手続的な負担等も含まれておりまして、実際には基準点の設置等も順調に行っておりますし、また各省との連絡を密にして、現実に問題のないように運用しておりますので、この方向で今後も積極的に促進を図ってまいりたいと考えております。
  149. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうも答弁を聞いていると、国土調査にかける熱意、殊に地籍調査に対する熱意のほどが全く緩いように思われるのですが、まあこのことは国土庁に聞くより、むしろ大蔵省の方に聞いていきたいと思うわけでございます。きょうは大蔵省の主計官の出席の要請もしておったのでありますが、ちょっと忙しくて出られないというようなことでございます。しかし、文書で後からぜひ大蔵省の所見も伺わさせていただきたいと思いますので、一応質問していきます。  国土調査問題懇談会の報告書では、やはり財源確保の面でその困難性を指摘もしております。したがいまして、国土調査の重要性については今さらちょうちょうするまでもありませんが、一流近代国家、経済大国と言われる日本が、いまだ明治初期に行われた地租改正のための土地調査、字限図という極めて不正確なものをよりどころとしている。先進国として全く恥ずかしい実態ではないかと思うのですが、大蔵省の予算査定の政策的物差しはどのようなものかをひとつ伺いたいと思います。また、このことを大蔵省にも伝えていただきたいと思います。  それから、この問題につきましては、過般、土地特で私は長谷川参考人にも土地基本法の問題に関しまして質問しております。参考人は私に一応こういうことを回答してくれました。「私は、台湾の政策で一番立派だと感心いたしたものは、少なくとも、地はその利を尽くし、地の利はともに享ずるというはっきりした土地思想があるということだと思います。」ということでございます。このために台湾の制度は、これを支えるために実は土地に関する行政の積み重ねをやってきた。   例えば登記の問題とか地籍の問題とか評価の問題、これが実に客観的、合理的にできていることであります。一物四価なんていうことはございません。それから、台湾の土地については全部コンピューターで管理が行われております用地籍は東経百二十何度何分何秒、そういう形で土地に全部座標軸を打ってあります。したがって、都市計画の図面と土地登記の図面とは同じ図面に重ね合わせることができるわけであります。   日本ではそういう基礎的なものが実はできておりません。一体日本に土地所有者何人いるんですかと聞いても、これは正確に答えられる人は一人もいないはずであります。 また、どのくらい土地が移動したのか、何%移動したのか、災害が起きても、こういう観点からいいますと、何%どういう災害になっているかわからぬというわけですね。こういう合理的数字がないということが一番問題だと言っているわけです。ですから、私もこの参考人に対しまして、よく政府に対策を要望していきたいと答えております。  実は、大蔵省が予算査定に、ぜひはっきりこういうことへの対応は決意して今後対応させないといかぬ、こう思っているわけでございます。ですから大蔵省に、この緊急性を考慮して、短期日に実行するとすれば予算規模は幾ら必要なのか、また国土調査問題懇談会報告書で、今後遅くとも三十年くらいの期間内に地籍の明確化の完了をすべきだ、こう提示しているわけでございますので、これにこたえる予算化への決意をどう思っている のか、これをひとつ伝えていただきたいし、この点に関して国土庁でもう一度どう考えているのか、所見をお伺いしたいと思います。
  150. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  御指摘の点につきましてはお伝えすることとしまして、国土庁といたしましては、地籍調査土地に関する調査といたしましては最も基礎的なものでありまして、早急に完成する必要がありますが、都市部等権利のふくそうしているところでは非常に難しい面もございまして、現在のまま推移すれば完了までに相当長期間を要するという見方もございますので、今後は確固とした長期展望のもとに、計画的に実施していく必要があると考えております。また、土地情報システム等の構築についても、十分検討していく必要があると考えております。  最後に、特に十箇年計画につきましては、計画的に達成されますよう最大限の努力をしていきたいと考えております。
  151. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 重ねて大蔵省の方にもひとつ伝えておいていただきたいのですが、実は山林なんかは、実測しますと二〇%、三〇%の縄延びがしている、そういうのがざらにございます。そうなりますと、正確に国土調査をしたところのいわゆる土地保有者は、税の公平な負担という角度から見ましても全く不公平なんです、近代化をかえって進めたところが固定資産税、保有税等においても。ですから、これはゆゆしい問題でございますので、ひとつ強く大蔵省の方に私の質問要旨を伝えておいていただきたい、こう思います。  それでは、次の質問に移ります。  私は、前回も申し述べておりましたが、災害復旧は緊急に対処されるべきでありますが、限られた予算を有効に活用するためには、むしろ防災工事がより的確に行われるべきであることを指摘し、国土全体を通じて土砂災害が危惧される箇所についてお尋ねしたところ、建設省所管で土石流危険渓流で七万渓流、地すべり危険箇所約一万カ所、がけ崩れの危険箇所が約七万七千カ所、合わせて十六万カ所あるということ、林野庁の把握では、山腹崩壊八万四千カ所、山腹土砂流出箇所八万六千カ所、地すべりが五千カ所、計十七万六千カ所という報告でございます。この対策は、もちろん緊急を要するものから逐次実行するわけでありますが、こうした危険箇所に対する計画的な事業実行の優先度といいますか、どのような要件に基づいて実施していくのか、若干詳しくお伺いしたいと思います。  なお、このような災害が予想される箇所、地域の存在については、災害からとうとい人命と貴重な財産を守る上からも、地方自治体はもとより、当該地域住民の方々に周知徹底を図ると同時に、万が一の事態に際しての対処についても周知させるべきだと思うわけでございますが、その点、行政サイドとしてこういう一般市民に対する通知あるいは認識のさせ方等どのような方法を講じているのか、あわせてお伺いいたします。
  152. 松下忠洋

    ○松下説明員 御説明申し上げます。  建設省が把握しております土砂災害の危険箇所でございますけれども、土石流危険渓流、それから地すべり危険箇所並びに急傾斜地崩壊危険箇所、いわゆるがけ崩れの危険箇所でございますけれども、合わせて全国で約十六万カ所に上っております。これらの危険箇所の整備に当たりましては、地形の条件でありますとか地質の状況、それから特に過去の災害の発生の有無、そういった災害の履歴等によりまして、災害発生の危険度、それから保全対象の重要度といったものを総合的に勘案いたしまして、緊急性の高いものから整備を行っているというところでございます。  それから、こういった災害危険箇所の地域住民に対する周知徹底、それから啓蒙活動ということでございますけれども、こういった事柄に関しましては、都道府県や市町村の地域にかかわります地域防災計画というのがございまして、その地域防災計画に土砂災害危険箇所を組み込むように都道府県知事等にお願いしているところでございます。  それから、毎年六月一日から三十日までの一カ月間、ちょうど現在その月に当たっておりますけれども、この一カ月間を土砂災害防止月間として、国としての大きな周知徹底や啓蒙活動に当てております。特にその中の一日から七日までの一週間は、がけ崩れの防災週間として位置づけておりまして、災害危険箇所の巡視等を全国で行っておりますし、ポスターやパンフレット等によりまして、地域住民に対する防災知識の普及に努めているところであります。特にことしは、この六月の十三日に前橋市で建設大臣を初め全国の防災担当者約千五百名が集まりまして、土砂災害防止全国大会を開催いたしまして、土砂災害の根絶を全員で誓ったところであります。
  153. 弘中義夫

    ○弘中説明員 山地災害危険地区に対します対応につきまして御説明申し上げます。  基本的には、第七次治山事業五カ年計画に基づきまして、自然条件あるいは経済社会条件から山地災害を未然に防止するため、緊急を要する箇所から治山事業を実施してきているところでございます。特に危険箇所が相当数存在している箇所につきましては、その地域全体の安全度の確保向上を図るという観点から、治山施設の整備のほか、災害防止機能の高い森林を整備していくこと、あるいは山崩れ発生予知施設の設置等を総合的に行うことといたしまして、危険箇所数あるいは保全対象人家戸数等に応じまして、地域防災対策特別整備治山事業、重点保全地区総合治山事業、土砂崩壊流出防止総合治山事業等を実施しているところでございます。  さらに、地元対策との関連もございますが、こういう危険地域については住民に関心を持っていただく必要もあるという観点から、面的な広がりを持って流域保全のための荒廃森林の整備を行います水源地域緊急整備事業、あるいは集落の周辺等にございます森林を対象といたしまして災害防止機能の高い森林を整備すると同時に、地域住民の憩いの場としての森林整備も行っております生活環境保全林整備事業等を実施して、総合的な山地災害予防対策を推進してきているところでございます。  住民等への地元対策といたしましては、都道府県知事へ通達をもって、都道府県あるいは市町村が立てます地域防災計画へ山地災害危険地区対策を組み入れていただくこと、市町村長から地域住民へ山地災害危険地区を周知徹底していただくこと、地域住民の警戒避難体制を確立していただくこと等を指導してまいっているところでございます。  さらに、六月でございますが、梅雨時期に合わせまして、毎年、山地災害危険箇所の点検整備を行うように、都道府県知事等へ通達をもって指導しているところでございます。
  154. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一応いろいろな対策を講じていただいていることの報告を受けたのですが、実は先ほど私が提示したこの危険箇所、防災箇所の数、これが本当の実態でございますともう大変な予算を食うわけでございます。ですから、こういう予算を食う問題、殊に建設省、農林省、国土保全のためには、もう各省庁間で縄張り的にやっていたんでは、予算の獲得もできないようなそういう実態でございます。かつて水源税とかあるいは流水占用料、二省から出されて、これが廃案になっておりますので、実は何かこういう予算獲得のためにも、建設省、農林省、国土庁が音頭をとって、一体となった予算の対応策が法でできないものか、こういうことを実は前回も国土庁長官に要望してあったわけでございますが、考えてもらえれば日本の国土保全に対して有効な法適用をしていくことができるんじゃないか、こう思いますので、これは要望しておきます。ひとつそういうことを考えて、縄張りじゃなく、争いを捨てまして、国土庁建設省、農林省が力を合わせて予算の獲得を法律化すること、ひとつ努力してもらいたいな、こう思うわけでございます。  次の質問に移ります。  先般、サンフランシスコで発生したロマプリータ地震の実態調査を通じて、関係省庁間で非常 にきめの細かい問題点を詰めている、そういう質問に対する答えでございましたが、お伺いしたその報告に沿うて今までどのような各省庁間での詰めがなされたのか、このことをお伺いしたいと思います。
  155. 市川一朗

    ○市川政府委員 ロマプリータ地震に関連いたしまして関係省庁間で詰めておりましたテーマは十数項目に及ぶわけでございますが、その中で、約五点ほどにつきましてそれぞれ具体的な対応策を検討しておる次第でございます。  一つ一つ申し上げますと、一つは、公共、公益施設の耐震性の向上でございます。これは我が国は非常に進んでおる分野でございますが、さらに万全を期そうという観点でございます。  それから二番目は、地盤の液状化対策の推進でございます。これは学問的に未解明の分野をも含めまして、具体的な液状化可能性の予測方法等も含めた各種の対策を検討しております。  それから三番目が地震予知の推進でございます。これにつきましては、このロマプリータ地震も残念ながら予知ができなかったものに入るわけでございますが、地震予知の推進は、災害をできるだけ軽減するという観点からも極めて重要であるともともと認識しておるテーマでもございますので、特に重要課題として、例えば地震予知の実用化のための観測、研究の一層の推進といったことに取り組んでおるところでございます。  それから四番目は、応急対策としてのボランティア活動の促進でございます。この点につきましては、我が国も従前より消防団、水防団あるいは自主防災組織、さらには日本赤十字社等類似の組織、団体等がございますが、サンフランシスコの例を見ますと、極めて若い人、学生まで含めた若い人たちがボランティアとして災害応急対策に非常に活躍していただいておる。この辺のテーマは我が国にとっても非常に重要なテーマであるという認識をしております。  それから五番目は、被災建築物の被災度判定実施体制等の整備ということでございまして、平たく申し上げますと、建築物が被害を受けました場合に、二次災害の防止を図りますために、このままで安全なのか危険なのか、あるいは修理が早急に必要なのかという判定を早急に行いまして、その建物の今後の使用にとりあえず応急的に対応させようということで、サンフランシスコの場合は、ボランティア技術者の協力も得まして極めて早急に大量の被災建築物について判定がなされ、行政措置がなされたといった点がございまして、この点は我が国はまだおくれておる分野と認識いたしまして、いろいろ検討を急いでおるといったような状況でございます。
  156. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もう時間が来ましたからやめますが、昔から災害は忘れたころにやってくると言われておりますので、ひとつ十分の対応をなされていくように要請いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  157. 村上誠一郎

    ○村上委員長代理 阿部昭吾君。     〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 自治大臣の所信の演説だと思うのでありますが、消防行政についてでありますけれども、「住民、事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみの消防防災体制を確立することが重要」、また、ずっと来まして「消防団の一層の活性化対策の促進」、これが所信表明演説の中に毎年毎年入るのであります。全く同じ文言がずっと毎年入っておるのであります。私、何度も実は地域におけるボランティアな消防団の活動というものに触れておりまして、非常に熱心にやっていらっしゃいますけれども、消防団活動というのもだんだん難しい問題がたくさん出てきておる。このところ、恐らく消防行政という面でいえば、ずっと毎年毎年同じ文言の所信表明、こうなっておるのだろうと私も実は感ずるのであります。  今後一体このボランティアな消防団活動というものにどういう見通しを持っていらっしゃるのか。だんだん高齢化人口がふえていく、こういう日本の社会の流れであります。この中で、しかも職業的には大体この消防団というのは草の根の活動でありますから、どっちかというと第一次産業とかあるいは既存の商店とか、こういう昔からの地域社会の体制の中で、草の根の消防活動というのはそこに基盤を置いてきた。だんだんサラリーマンが多くなって、長い通勤時間にもまれながらという社会の変遷になってきた。こういう意味では、ボランティアな消防団活動というのは、草の根の基盤というのが非常に難しい状況になってきておるということだと私は認識しておるのである。そういう中で、この消防団活動というのは非常に多くの困難を克服しながらやってきておる、こう私は思っているのであります。  しかしながら、時代の流れはそういう基盤の上にあります。将来一体我が国の消防団活動というものを、消防機関というのは私の郷里などでいえば常備消防と言うのでありますけれども、専従消防活動の方に順次もっとボリュームを強くしていかなければならぬ、こういうことになっていくのか、その見通し。ただ、今のように毎年毎年同じような所信表明演説をやっておるというのは、私と同じような草の根の消防団活動というものの基盤が変化をしておるということの中からの認識だろう、こう思いますわけで、一体この消防団活動というものの将来、どういうふうに見通しを持っておられるのかということを伺いたい。
  159. 木下英敏

    ○木下説明員 消防団活動についての今後の見通しはどのように考えているのかという趣旨の御質問であろうかと存じます。  御承知のとおり、消防団は年々団員数も減少の傾向にございますし、特に、団員の確保というのが現在極めて困難な状況になっているのは事実でございます。したがいまして、現に団員の減少傾向が相当続いております。過去十年間で六万七千人も減っている。つまり、年平均七千人近くも減少しているという状況でございます。もっとも、その減り方は過去に比べまして鈍化はしておりますものの、減っている。一生懸命各市町村におきましても団員の確保に努力はしているわけでございますけれども、御承知のとおり、特に過疎地におきましては高齢化の減少がございまして、若い人たちがなかなかいないという絶対数の不足がございますし、また、都市部におきましては、何と申しましても自治意識がどうしても希薄しているということもありまして、なかなかその確保が難しい。こういったことに対応いたしまして、私どもいろいろな観点から、この団のあり方というものを考えているわけでございます。  それで、過去いろいろな観点から検討いたしておりまして、一つは、広報活動と申しますか、これはありきたりの話かもしれませんが、地域活動、広報活動の充実を図って、とにかく団に対する住民の理解というものを深めていってもらうということ。二つ目には、消防団員の処遇の改善をとにかく積極的に図っていくということ。三つ目には、消防団の施設装備、やはり現実の活動を行わなければいけない消防団のための装備が必ずしも十分でないというところもございますので、そういう施設装備の充実強化を推進していくということ、こういったことからさまざまな方策を講じているところでございます。  特に、団員の処遇の改善につきましては、これは交付税で措置しておりますけれども、毎年引き上げを図っているところでございますし、また、団の施設なり装備の強化につきましては、例えば平成二年度におきます消防団員に対する団の活性化総合整備事業というのを行っておりまして、元年度に比べまして三八%の増加を補助金として見ているというようなことでございまして、今後ともこうしたことを通じまして、団の魅力を高めるための努力をしてまいる所存でございます。  それからもう一つ、元年度におきましてちょっと検討してきたわけでございますが、女性団員を積極的に活用していこうということを考えております。どうしても地域によっては団員の確保がなかなか難しいということがございまして、女性を積極的に活用していこうではないかというような観点から、その問題の検討も行いまして、今後と も各地域におきます団員の確保の一環として、女性団員の採用を積極的に行っていく。そしてまた、そのために、つまり、女性の採用に伴い必要となるような施設の整備等も積極的に進めていくための施策も講じていこう、このようなことも考えているわけでございまして、団の活性化のために今後とも必要な努力を図っていきたいと思っております。  いずれにしましても、常備消防と消防団という、常備といわゆるボランティアの二つの要素そのものは、常備消防ができていたとしても、団の重要な地位というのは今後とも変わらないものと考えておりますし、消防団の今後一層の発展のために、私ども今後とも努力を尽くしていく所存でございます。
  160. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 よくわかりました。ただ、全国的には、消防団の団員数、組織の流れから見ますと、都市化された地域の方はだんだんその地域の人口の割合に対する団員の数は減っていく、私の方の東北や九州や、まだ地域の草の根のそういう住民の自治的な体制のあるところは組織率が非常に高い、こうなっておるのであります。  そこで、今いろいろお話が出たのでありますけれども、なかなか今の時代というのは、そう単純な一筋縄の時代とは違ってきた。したがって、単なる住民の自治意識、ボランティア、草の根、これは重要なことではありますが、しかし、消防という非常に多方面な活動分野、これをボランティアだからそこに依存していいんだというわけにはならぬのだろうと思う。これは重要な部分です、ボランティアは。しかし、それならばそれで、このボランティアをどうやってもっと、お話にあった処遇とか装備とか、いろいろな面で力を入れていくのかということがなければいかぬと思うのです。  私は、最近見ておりますと、ボランティアでありますから非常に安上がりなわけですね。常備消防を置くよりは非常に安上がりなんですよ。そこで、何とか組織を後退しないように維持しなきゃいかぬというわけで、いろいろな試みはやっておるようでありますが、消防の集まりに参りますと、例えば勲章をあげるとか感謝状をあげるとかというのが物すごく多いのです。今までは感謝状や勲章でこのボランティアが、みんなやはり草の根の住民意識がありますから、犠牲と献身と時間的にも非常に大変な仕事に参加してきたわけですよ。今度はそれだけじゃいかぬ時代になってきつつあるなというのが、長年消防活動というものを私は肌で見ながら感じておるのです。  したがって、常備消防が正規軍というのなら、消防団というのは義勇軍みたいなものですね。こっちの方に今お話に出ました処遇とか装備の面とか、いろいろな意味でもっと本腰を入れた対応を急がないと、農村的な地域、商業組織や何かもまだ古い町並みの体制が残っておるような地域でも、消防団組織というのは、活性化、活性化と何年も言い続けても、そう簡単にまいらぬ時代になったなというのが私の認識なんです。これはぜひひとつありきたりではなくて、根本的な対策を立ててもらいたい。例えば、こういう活動こそ五カ年計画なら五カ年計画、十カ年計画なら十カ年計画で、予算や何かの面でも相当大胆な要求をすべき一つの角度なんではないか、こういう認識を私は持っておるわけです。これが一つ。  それからもう一つは、消防団の活動というのは、対象というか行動範囲は非常に広いわけでありますけれども、最近火事が起こると必ず人が死ぬのですね。関東大震災のような大災害は別にして、一件、二件小さな火災が起こっても、必ず人が死ぬというのが最近の傾向であります。これはいろいろなことが言われるのでありますけれども、消防活動の中で火災と死亡、人が死ぬ、この問題をもうちょっと対策の仕方としては切り込んでみる必要があるんではないかと思うのですが、いかがですか。
  161. 海老忠彦

    ○海老説明員 火災による死者の状況を最近十年ほど眺めてみますと、総数が大体二千人前後でございます。うち自殺者を差し引きますと、大体千から千二、三百ぐらいの数字になっておるところでございます。それで、その死因を見てまいりますと、約四割が一酸化炭素中毒ないしは窒息で亡くなっておられます。あと五〇%、約五割が火傷、いわゆるやけどでございますが、火傷で亡くなっておるという数字でございまして、大体こういう傾向はこの十年間ほぼ同様の傾向が続いておる状況でございます。  こういった状況で、今後高齢化が進む中で、いわゆる災害弱者と言われるお年寄りの方が非常にふえていくということで、私どもとしては、この死者を低減するというための努力を種々考えて取り組んできておるところでございます。  そういった過程の中で、今御指摘になりました例えば家庭の火災でよくお亡くなりになるというケースがあるわけですが、そういった住宅の関係の防火につきましても、いわゆるソフトだけではなくてハード面での、つまり、家庭の中に家庭用の防災機器を少し普及していくといったような方向での努力にも今後取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  162. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 五カ年計画とか十カ年計画とか立ててということは答弁ありませんか。
  163. 木下英敏

    ○木下説明員 質問の趣旨を私このように理解したのでございますが、消防団員が活動中に、例えば火災等によって……
  164. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そんなことじゃない、そんなことを言ってない。じゃ、もう一遍言いましょう。  全体からいって、毎年毎年この活性化のために努力しなければならぬとか、いろいろ同じことを言いながら、やはり依然としてボランティアの住民自治の上に立つ消防団活動というのは、いろいろな意味で難しい時期に来たという認識を持っていながら、どうするかということは今幾つか挙げられましたけれども、その挙げられたお話も私はずっと前から聞いているのですよ。世の中どんどん変わっていくでしょう。住民自治とかボランティア、農村部や何かではそういうことで成り立ってきたけれども、一番火事や何かで大変な都会の方は、消防団なんかなかなかやりにくい社会環境になってきましたね。  そういう意味では、消防の正規軍ともいうべき消防機関、我々の言葉で言う常備消防、それからもう一つはボランティアの消防団というものの関係を五カ年なら五カ年、十カ年なら十カ年の将来にわたってどのように——単なる火事の対策だけじゃないわけです、消防というのは。そういう意味で、どのように見通しを立てて、計画を立ててやっていくかということがなければいかない時期に来ているのじゃないか。そのために予算が要るというなら、やはり予算要求でも何でも少し中長期的なものをはっきり出してやっていくべき時期なのではないか、こう聞いたのです。そんなことで首をかしげるようでは消防はどうにもならぬじゃないか。勲章や感謝状だけではどうにもならぬぞ。
  165. 木下英敏

    ○木下説明員 常備消防につきましては、職員数を含めまして現在一定の財源措置等を行っておりまして、人員のみならず、装備を含めました順調な整備がなされているところでございます。  一方、団につきましては、先ほど来申し上げておりますように、団員数を含めて、御指摘のある意味での停滞というものが確かにあるわけでございますが、ただ、これはあくまでボランティアとして一生懸命活動しておられる方でございまして、それじゃ例えば報酬を一定額以上にすれば人が集まってくるのだろうかということにつきましては、なかなかそこら辺は難しい問題があるわけでございます。あくまでそこはいわゆる職業人としての消防ではないわけでございますので、どの程度まで処遇してやれば世間が納得する状況になるのかという点については、なかなか難しい面がございます。  今、そういったことを含めて、五年計画とか十カ年計画を立てて何らかの措置を講ずべきじゃないかという御指摘につきましては、貴重な御提言として、今後私どもは何らかの形で、また消防団の今後のあり方について検討してまいりたいと存 じております。
  166. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 百万人という大枠のボランティアの消防団が組織されておる。条例や何かでは百万人ぐらいだろうと思うのですが、実定数は五、六%割ってきつつあるのだろうと思うのです。割る割らぬの問題よりも、これからはますます難しくなる。  しかし同時に、日本のような状況の中では、この消防活動というのは、正規軍である常備消防と百万人を擁する消防団の活動というのは全く一体となりながら、ある意味では、従来でいえば消防団の方が主力で、常備消防は後から出てきたという関係が日本の消防の歴史だと思うのです。しかし、今だんだん常備消防が整備されていくならいくで、それはここ五年、十年の間で一体どこまで持っていこうとするのか、消防団の方は付随するボランティアなものとしてどのような状況を維持しようとするのか、これがちゃんとあってしかるべきではないかと思うのです。これはぜひ御検討願いたいと思います。  時間がございませんので、きょうの私のもう一つのテーマであります治水の問題、特にその中で長良川の河口堰の問題について、二十何年間の国会の中で私は建設委員会に相当長い間おりましたので、その意味で、この長良川の河口堰の問題は非常な関心を持って見てまいったのであります。  なかなか役所というのは、みんな縦割りのいろいろなあれがある。したがって、一つの計画や一つ方向が出ると、いろいろな意味が現場で出るわけです。相当いい意見が出たとしても、そう大胆な取り組み、取り入れはなかなかできない、こういう性格を役所というのは持っておるのだと私は思うのです。  ただ、私のかかわった問題で、霞ヶ浦に高浜入というのがあるのです。これは霞ヶ浦のある一つの相当大きな湾みたいなところなんですけれども、今から三十年ぐらい前だろうと思うのですが、そこを干拓をやろうという計画が出ました。ところが、四十年代に入ってこれがいよいよ具体化しようという段階になったら、どうも霞ヶ浦の相当部分を干拓やろうなんてはかな話はいかぬぞという議論が噴き出してきた。私の記憶では、漁業補償とかなんとかいろいろなもので、恐らく二、三十億の投資をしたのだろうと思う。しかし、霞ヶ浦を干拓するようなばかなことをやってはいかぬというので、農林省は大胆に、あの干拓計画に金をつぎ込んだにもかかわらず、中止をしたのです。  私は、今の長良川河口堰は、いろいろな専門家の意見も何も相当割れておりますが、割れておるままで昨年来いよいよ具体化という段階になってきておることに、はてな、これでいいのかなという認識を持っております。きょうは建設省もおいでになっておると思うのでありますが、今私が指摘いたしましたことに対しまして、お考えを簡潔に聞かせてもらいたいと思います。
  167. 定道成美

    定道説明員 お答えいたします。  先生も御承知かとは思いますけれども、長良河口堰は、治水を目的と同時に利水を目的としております。その治水と申しますのは、いわゆる河道を掘削いたします。計画高水流量七千五百トンという数量でございますけれども、これを掘削してこの河道を流す。これは戦後の最大洪水でございますけれども、この洪水を流そうとしております。そのためには、どうしても膨大なしゅんせつを伴うわけでございます。とすると、膨大なしゅんせつをいたしますと、どうしても下流の海から、現在は河口から十五キロまででございますけれども、潮が入ってきております。そのために周囲の田んぼに塩害を生じさせておるわけでございますけれども、しゅんせつをいたしますと、その倍のはるか三十キロまで潮が遡上いたします。そのために、今まだ地下水の塩水化はされていない地域までも塩害が生じるようになるということで、その塩害を防止するために河口堰をつくっておるものであります。治水をどうしてもやらなければその塩水を吸い上げられないという、いわゆる紙の裏表の関係になっておるわけでございます。  それから、利水につきましては、今その潮どめをいたしますので、その上流側は一つの潮どめぜきでございますので水がありますが、その真水は利水に回して利用するということで、現在、治水を最優先事項として事業を進捗させておるところでございます。
  168. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、今課長のおっしゃる意見も一つだろうと思う。それは私は否定しないのです。しかし、もっと違った方法があるという意見、これも相当の専門家から出されております。  それで、恐らくこの事業は莫大な予算を必要とする事業だろうと私は思います。私もこの数年間、あそこの揖斐川、長良川、木曽川、このあたりを随分歩いてまいりました。いろいろな意見を聞きました。また、いろいろな専門家の意見も聞きました。その中では今課長がおっしゃる——課長も専門家だろうと思うよ、河川局は全国で随分いい仕事もたくさんやっておるので。そのあなたの専門家としての認識も確かに有力な一つであることは間違いない。しかし、相当の専門家で、あなたとまた異なる方法を言っておる専門家もたくさんいるのです。  その意味では、認識として言えば、長良川の水系の周りに今ゴルフ場をつくることを私は決して否定しないのです。ゴルフ場などもあった方がいいと思うのでありますけれども、現在十五ぐらいあるだろうと思います。さらにもう十五カ所くらいつくろうという動きもあるようです。あるいはスキー場とか、いろいろな意味で保水力の高い森林を全部伐採して開発するという動きが進みつつあるわけです。私はこれらの開発を全部否定などしないのですよ。いろいろな意味で条件が整って、整合性があるのならば開発も必要、こういう認識なのでありますけれども、今この長良川の場合でいえば、今のような違った意見、課長の意見のような意見、いろいろある中で、全体の整合性は整っておらぬなというのが私があの地域を随分、四、五年間回って感じ取っておる感じなのです。したがって、役所というのは、あなたの意見も有力な意見ではあるけれども、もっと異なる立場の意見というのも丁寧に熟読玩味をしていくようなことがないといけないのじゃないかというのが私の認識なのです。  確かにあの地域はゼロメーター地帯ですね。そこで、今お話しの、相当長い時間的なスパンの間で物すごい水害が起こった、雨が降った、その場合でも大丈夫という状況をどうつくるかというのが、建設省のその分野を担当しておる——特にあのあたりでは、この前の水害から相当たちましたが、何かそのときに、人災でなかったかとか、建設省の責任ではなかったかという大変な裁判が起こった。だから非常に真剣になって、急いでやらねばならぬという気持ちも私よくわかるのですよ。しかし、今あなたの方でやろうとしておる計画だけが唯一無二のものかということになると、違った意見がいっぱいあるのですよ。  そこで、長良川の水系治川の森林面積がやはり相当の速度で切り倒されていきつつある。これの関係はどういうふうに把握していらっしゃいますか。今言った十五ぐらいゴルフ場があって、まだもう十五ぐらいのゴルフ場とかスキー場とかいろいろなものが計画されておる。これはどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
  169. 定道成美

    定道説明員 お答えいたします。  長良川というのは、流域面積が約でいきますと二千方キロでございます。正確には千九百八十五と言っておりますけれども、二千方キロということで覚えていただいて、そのうち森林面積が千五百六十万キロ、約四分の三が森林で占めております。これは昭和六十三年の資料でございますけれども。  岐阜県の中で森林等を主に開発する場合で大きなものとしては、やはり先生の御指摘のゴルフ場は大きなものの一つと考えております。ゴルフ場は私の所管じゃないのですけれども、人のところを調べてちょっとまずいのですが、一応ここで岐阜県の資料等を調べさせていただきましたら、大 体二十平方キロメートルぐらいの大きさのゴルフ場があります。そういうことから、いわゆる二千平方キロメートルに対して二十万キロぐらいの大きさの開発がなされている、大体百分の一ぐらいの面積が開発されているということでございます。  もう一点、今の先生の認識の中で、森林をゴルフ場に変えた場合、普通の常識といたしまして、洪水がたくさん出てくるのじゃないのかというものがございます。岐阜県もそれにつきましては認めておりまして、その流出の増加量、大体一割ぐらいがふえるということを決めておりまして、それについては調節池を設けなさい、もともとの自然の持っている量を復元させるということで設置を定めておりまして、それに対して指導をしているということで行っているところであると聞いております。そういうことからも、オーダー的に百分の一の面積が開発されているのじゃないかというぐあいに認識しております。
  170. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、あそこの場合には河口堰という方法をとらずに、例えば堤防などをもっと高くする。今ならば技術的にいえばもっと強い堤防なども幾らもつくれるという時代になってきた、そういう専門家の皆さんの意見等もある。したがって、建設省も相当長い期間かかって、さてどうやってやろうかなということで始めたんだろうと思いますけれども、しかし、今のような時代になると、今課長のおっしゃるような方法だけが絶対唯一のものという認識は、やはりもっといろいろな意見を持っておる人々の技術的に異なる意見というものもちゃんとよく聞きながら、まとめをつけていくというのが役所の態度でなければならぬのじゃないか、私はこういう認識を持っていますが、それはどうですか。
  171. 矢野洋一郎

    ○矢野説明員 御説明申し上げます。  大きな洪水を今の川で受けるときに、今の川の実力以上の洪水が来たときに当然水位が高くなります。その高くなった水位堤防を高くすることによって処理してはどうか、そういう代替案があるのではないかという御指摘だと思いますが、代替案としては確かに考えられます。しかしながら、大きな洪水を高い水位で迎えるということは、もし堤防が切れた場合に、先生指摘の日本でも最大のゼロメートル地帯でございますので、低い水位で迎えるよりは高い水位堤防が切れた場合には被害の大きさを助長するということになりますので、私どもとしてはこの方法は適当な方法ではない。  そこで、しゅんせつという方法は、大きな洪水を迎える際に、川底を下げて、水位を低くして洪水を処理するということになりますので、万が一のことがあっても従来よりは災害を助長することはないだろう。さらに、堤防をかさ上げしますとさらに用地を買収しなければならない。もう一つは、今かかっている橋を全部上げなければならない。それから、内水排除といいまして、ポンプ場がございますが、堤内地の水を洪水時に河川の中に吐くそのポンプ場も全部づくりかえなければならないというようなことになりまして、非常に膨大なお金がかかります。そういうことを考えますと、そういう安全性の面からも費用の面からも、やはりしゅんせつという方法が最も適切な方法だというふうに私たちは考えております。
  172. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今、二千方キロがある意味でいえば長良川のあの水系の流域だと言われましたですね。その中で、例えば今河川局は方々にダムなどをつくる、調整池をつくるというのを随分全国規模で展開されておる。私はあのかいわい回ってみると、そういう方法はまだまだ追求されるべきではなかったのかという気がいたします。そういう意味で、冒頭申し上げましたように、あなたの方も大変な専門家、相当の専門家もまたいろいろな状況を踏まえながら、専門的な立場で異なる意見を展開しておる。  私は今、例えば堤防をもうちょっと補強したらというのを一つだけ言いましたけれども、そのほかにもあると思いますよ。今のこの河口堰だけが唯一だという認識は、私はどうも建設省は少し独善的と言うといけませんけれども、そうではないか、こういう認識を持っているのです。農林省がかつて、霞ヶ浦の何分の一になるのか知らぬが、高浜入を干拓しようという大計画を立てて、既に相当の投資をやったにかかわらず、いろいろな専門家の意見や何かが相当たくさん出てきて、高浜大干拓というものを中止をして、逆に水資源か何かをどうするかという角度のところに今切りかえておる。したがって、そういう柔軟な対応の仕方があっていいんじゃないか、こういう気がいたします。  私は、この問題はきょうだけで終わりということではなくて、また現地も何度も回っておりますので、河川局の皆さんが全国規模で展開しておるいろいろな成果と努力を評価しておることはたくさんありますけれども、しかし、長良川の河口堰問題は少し功に走ったな、こういう気がしておるわけです。いずれまた改めて議論をしたいということを申し上げたいと存じます。  特に消防の関係につきましては、これは単なる消防庁任せではなくて大臣の方も、ボランティアの消防団活動というものが我が国の火災のみならず、たくさんの防災活動で果たされてきた歴史的役割は非常に大きい。順次ボランティアだけに頼り切っていけるような時代ではなくなってきておる。そういう意味で全体の枠組みを、防災全体の体制を人的にはどのように組み立てていくのかということをぜひひとつ、消防庁だけじゃなくて、防災全体のかなめに立っておられる国土庁におかれて、大臣中心に各省と連携しながら御努力を願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  173. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 志賀一夫君。
  174. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 せんだって、先月ですか、平成二年度の防災白書が出されたわけでありますが、この白書にかかわる部分で、これからの防災対策はどうあるべきなのか、私はその一点に絞ってお伺いをいたしたいと思います。  まず、今回出された白書につきまして、長官から、一体どんな特徴があり、そしてどういう経緯を経られて公表されたのか、そういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  175. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 志賀先生にお答えいたします。  本年の白書につきましては、先生も読んでいただきまして御高承のとおりでございますが、我が国の自然条件等から見て防災は重要な国民的課題であり、特に最近では、国土利用の変化とかあるいは都市化社会の進展等に伴い、災害の態様も変化してきておる、これに対応していく必要がある、このような視点のもとに取りまとめたところでございます。  もとより災害を防止しあるいは被害を軽減するためには、国民の一人一人が防災についての正しい知識を持ち、備えを怠らないことが重要でございますが、本白書がその役に立てば幸いと存じております。
  176. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 この白書の趣旨を書いたものがありますので、これをざっと見てみますと、災害対策というものは起こったことに対する対策だというような印象にとられるような項目がほとんどであります。そういうことももちろん大事だと思いますが、これからの防災対策の中で私の考えますのは、予見できない、予期せざる災害というものが突然にしてある日起こってくる。そういう場合に対応できるような一つ災害予防対策、こういうこともまた当然防災対策として極めて重要な問題としてとらえていくべきではないだろうか。私は、そういう視点でこれから御質問をするわけであります。  とりわけこの白書の中で、昨年度において予防対策という意味での予算はどれくらいおとりになったのか、全体の対比の中で数字をお示しいただければと思う次第であります。
  177. 市川一朗

    ○市川政府委員 災害対策につきましては、御指摘ございましたように、災害応急対策あるいは災害復旧といいますような災害が起きた場合の対応というもののほかに、災害を事前に防止するための施策ということが極めて重要でございまして、 私どもも政府を挙げまして、この問題につきましてもかなりの力を入れておるつもりでございます。  ただいま予算のお尋ねがございましたけれども、今私の手元では今年度、平成二年度の予算額というものを用意してございますが、平成二年度の災害関係の予算のうち、災害応急対策とか災害復旧等を除きましたいわゆる災害予防対策という分類に入りますものは、総額で約二兆一千五百六十七億円でございます。この内訳といたしましては、まず何といいましても地震や台風等の予知、予測、あるいは災害防止技術の研究といった科学技術の研究部門、これが約三百五十一億円、それから防災施設設備、いろいろな気象レーダーとか無線とかでございますが、そういったものとか防災訓練も含めます防災体制等のいわゆる災害予防という名前で位置づけております経費が約五千九百三十五億円、そのほかに、災害が起きました場合に被害が生じないようにということで行っております治山治水事業を中心といたしますいわゆる国土保全事業、これはほとんどが公共事業でございますが、一兆五千二百八十一億円でございまして、これらを合わせまして、先ほど、申し上げました二兆一千五百六十七億円ほどの予算が計上されております。
  178. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今、世界的にも問題になっておりますのは酸性雨であります。酸性雨が森林を枯らし、魚のすめない湖沼にしてしまうなど、地球環境の大きな課題となっているところであります。この問題については、ヨーロッパやアメリカ、カナダ等でかなり広範囲にその被害もあると同時に、またこの対策も進められているというふうに聞いておるわけでありますが、環境庁では、最近二回にわたりましてこの酸性雨の全国的な被害の状況等についての調査をなされた、こういうふうに聞いておるわけであります。その結果と、またさらにはこれからどのような対応策を考えていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  179. 濱中裕徳

    ○濱中説明員 お答えをいたします。  酸性雨の現状とその影響を把握するために、環境庁におきましては、昭和五十九年度から六十二年度まで、第一次酸性雨対策調査の一環といたしまして、全国十四の都道府県二十九地点で酸性雨の成分の分析調査をいたしました。その結果につきましては、全国の多くの地点で年平均値の雨水のpHが四・幾つという、四台の降水が降っていることが観測されたわけでございます。これは欧州や北米に比較いたしますと、若干それよりは酸性度が弱い程度のところでございますけれども、同時に観測いたしました硫酸イオンの降下量など、酸性降下物と申しておりますが、そういうものの降下量につきましては、欧米とほぼ同水準の量が観測されております。  調査結果の詳細を若干申し上げますと、各地点のpHの年平均値は四・四から五・五の範囲内にございまして、地域的には、北海道、東北の各地点に比べまして西日本の一部で低い傾向があるということもございましたけれども、顕著な差は見られておりません。それから、イオン成分の降下量について見ますと、硫酸イオン降下量につきましては、主に日本海側あるいは鹿児島県の屋久島で多いというような結果が出ておりますし、また、硝酸イオンの降下量につきましては、首都圏で高い傾向が見られております。  私ども環境庁におきましては、現在引き続き第二次酸性雨対策調査の一環といたしまして、全国二十三カ所の国設大気測定網におきまして酸性雨の常時観測をしておりますほか、六カ所の離島に酸性雨測定局を整備したいということで、元年度から整備を進めているところでございます。また、酸性雨の発生を予測できるモデルも開発したいということで、鋭意調査検討を進めているところでございます。
  180. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 我が国では酸性雨の被害が具体的に出るのは、西日本で約十年後、関東では四十年後だ、こういうことが実は文部省の重点領域研究で将来予測をいたした結果であります。これは戸塚東京農工大教授が言っておるわけでありますが、そのような将来予測の結果としては、現在植生している杉の大木には影響はないけれども、将来大木となる若木が育たなくなる、こういうことを言っているわけであります。さらにまた、西ドイツなどで起きている現象を見ると、我が国でも今から何らかの対策をとらないと森林というものがなくなってしまうのではないか、こういう極めてショッキングな発言などをいたしておるわけであります。  これらの研究等を見た場合に、環境庁では、酸性雨の発生原因というのが我が国においてはどのようなところから来ているのか、また今後どういうようにしたいと考えておられるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  181. 濱中裕徳

    ○濱中説明員 お答え申し上げます。  私ども、基本的には、酸性雨の原因といいますものは、工場や自動車から出てまいります硫黄酸化物あるいは窒素酸化物といった大気汚染物質にあると考えておりまして、その排出をできるだけ減らすことが重要であると考えているわけでございます。我が国におきましては、これらの物質について、既に公害対策の見地から、欧米に比べて極めて厳しい規制を実施しているところでございまして、例えばアメリカと比べましても、硫黄酸化物の排出量は現在日本は約二十分の一、窒素酸化物では約十四分の一という状況でございます。また、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなど主要なヨーロッパ諸国に比べても、我が国の排出量は少ないという状況でございます。  また、現在、窒素酸化物によります大気汚染が大都市地域中心に改善がはかばかしくないという現象がございますので、自動車からの排出ガスの一層の低減を図るべく、新たな対策についても現在進めつつあるところでございます。  しかしながら、先生指摘の欧米等で見られておりますような酸性雨によります湖沼や森林等の自然生態系への影響といいますものは、長期的かつ慢性的なものでございまして、一たび影響が発現いたしますと、これを原状に回復することは極めて困難であるというふうに言われておるわけでございます。そういうようなことでございますので、先ほど申し上げましたとおり、私どもが過去に実施いたしました調査においても欧米にかなり近い水準の酸性雨が観測されておりまして、今後私どもとしてはさらに酸性雨の実態調査を進めるとともに、その生態系などへの影響についても監視あるいは予測を行い、酸性雨による影響の未然防止に努めていくことが必要だと考えております。  このため、環境庁におきましては、先ほど申し上げましたように、現在第二次酸性雨対策調査を実施しているところでございまして、私どもとしてはその結果を踏まえ、今後適切な酸性雨対策を講じ、その影響の未然防止に努めてまいりたい、このように考えております。
  182. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今、手元資料がありませんが、国会図書館からいただいた資料などによりますと、東京都内ではある特定な場所以外はほとんど杉が見られなくなってしまった、こういうふうに書いてあったわけであります。そういうことだといたしますると、酸性雨もかなり以前からあったのではなかろうか、また酸性雨ばかりではなくて、ほかの原因が何かあったのかなというふうにも考えられるわけでありますが、そういう状況についてどのように把握されておりますかをお伺いしたいと思います。
  183. 濱中裕徳

    ○濱中説明員 お答えいたします。  先生指摘の杉などの樹木への影響についてでございますが、関東地域におきます杉枯れの現象等につきましては、昭和六十年度、六十一年度の両年度にわたりまして調査を実施したわけでございます。その調査によりましては、杉の衰退度と酸性降下物量との関係については、明確な結論を得るには至っておらないような現状でございます。さらに、最近一部で、森林の衰退が酸性雨の影響ではないかという御意見も出ておるわけでございますけれども、現段階ではまだその原因は特 定されていないような現状でございます。  しかしながら、私どもといたしましては、単に狭い意味での酸性の雨だけではなくて、雨が降っていない場合でも、種々の大気汚染ガスでございますとかあるいは硫酸や硝酸のイオン、あるいはその塩類といったものがございまして、そういうものが乾性降下物というようなことで専門家の間で言われておりまして、そういったものの影響も含めて、総合的にとらえていく必要があるというような御指摘があるわけでございます。私どももこういった御指摘も踏まえまして、先生指摘のような杉枯れ現象等の原因究明について今後さらに鋭意調査を進めてまいりたい、このように考えております。
  184. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 酸性雨とのかかわりを持ちながら、次にコンクリート構造物についてお伺いしたいと思います。  二週間ほど前の日曜日でありますが、NHKの九時のスペシャルで酸性雨についての報道がありました。その後いろいろ建設省などと話し合いをいたしますと、酸性雨による直接の被害であるかどうかは今の段階ではわからぬけれども、ないということは言えない、そういうようなお話でした。  なぜ私がこのコンクリートの問題を取り上げてきたかというと、私は、福島県田村郡滝根町といいまして、実はあぶくま鍾乳洞の町、あぶくま洞のある町であります。四国にも岩手にもあるいは岡山の方にもありますけれども、私のところも東洋一ということで、非常にバラエティーな景観に富んだものだ、こう誇っていますが、あれをよく見ますと、鍾乳石、石筍が空気中の炭酸ガス等に溶けてできる状態が、NHKテレビを見ますとそれと同じような状況が放映されましたので、私にとってはこれは大変なことなんだなあと実は感じていたわけであります。  直接的にはああいういろいろ報道されたようなつららが、酸性雨つらら、新聞でもテレビでもそういうふうに言っていますけれども、建設省の方はそうは言えない、こういうふうにおっしゃっているわけであります。実は、つららができる過程というのも同じだし、組成分も同じなのです。そういうことになりますと、特にこういう鍾乳石などは、わずか一センチが伸びるのに百年あるいは二百年、大変な時間がかかる。そういう状況を見るにつけて、このつららがわずか五年なり十年もたたないうちにいっぱい下がるということになりますと、これはコンクリートの構造物の中に何か大変な状態ができてくるのではないか、それが再び災害を起こすもとになるのではなかろうかな、そういうことを考えましたので、構造物の問題についてお伺いしたいな、こういうふうに考えたわけであります。  それで、外国の例などを見ますと、酸性雨を原因とする建築、文化財の老朽化が急速に進んでいるということが、ヨーロッパにおいてもあるいはアメリカ等においても、そういう事態が進んでいるということがいろいろな文献なり報道なりでは言われているわけであります。また、全国的にもそういう例はいただいた資料の中には幾つかあるわけであります。上野公園の「乙女の像」、これはセメントによってつくられた彫刻でありますが、大変なひどい状態になっているとか、先ほども若干申し上げましたが、大阪の高槻市の中学校の軒先からつららが下がっていたり、あるいは神戸市内歩道橋、高速道路等にもそういうつららができているというようなことも現実にあるわけであります。  そういうことから考えますと、酸性雨ということに限定されなくとも、いろいろな要因がふくそうして、そして一つのコンクリート構造物の劣化現象が出てきたら、これは大変なことになる。今日、コンクリートによる構造物というものは日本の近代化を大きく支えているわけでありますから、この構造物に対して厳しい点検あるいは調査あるいは補修すべき場合は補修をする、こういうことが必要ではないだろうか、そういうふうに思うのであります。  具体的な例でありますが、昭和五十六年、五十七年の二年間に建設省ではコンクリート橋を二千九百九十一カ所調査したところ、その約六%が補修をしなければならない箇所だというふうに調査結果を明らかにしています。さらに建設省では、長さが十五メートル以上の橋で二万カ所も大変な橋があるわけでありますが、これらを常時点検、維持補修をしていく、そうなると大変な予算がかかるのではなかろうかと思うのでありますが、その現況等についてお知らせをいただければと思う次第であります。
  185. 青山俊樹

    ○青山説明員 お答え申し上げます。  今酸性雨の問題、それからコンクリートの問題、またコンクリート構造物の保守点検の問題等について御質問をいただいたわけでございますが、まず、コンクリート構造物に対する酸性雨との関係を若干御説明させていただきたいと思います。  コンクリートの中に水が入りまして、それがコンクリートの成分を溶かしてつららになるわけでございます。これは具体的に申し上げますと、若干専門的になるわけでございますが、コンクリートがかたくなったとき、硬化したときは水酸化カルシウムといいますものが非常に大量に発生いたすわけでございます。その水酸化カルシウムというものは水に非常に溶けやすい。これは炭酸カルシウム、いわゆる石灰石に比べて溶けやすい。その水酸化カルシウムが溶けましで、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとして結晶した、これがつららでございます。  それから、先生あぶくま洞のお話がございましたけれども、鍾乳洞で石灰石、これは化学記号で申し上げますと、つららと同じ成分である炭酸カルシウム、これが石灰石そのものでございますが、それが酸性の水に溶けまして、そのまま固まったというものが鍾乳洞でございます。そういった意味で、一たん水酸化カルシウムが水に溶けるのか、炭酸カルシウムが溶けて、そのまま固まるという差はあるわけでございます。ただ、でき上がったつららにつきましては、先生指摘のとおり、同じ炭酸カルシウムというものでございます。成分は同じでございます。ただ、時間的な差があるのは、そういうふうなプロセスの差があるということでございます。  それから、私どもといたしましても、コンクリートの劣化要因といたしまして一番主なものと申しますか注意しておるものは、塩害とアルカリ骨材反応でございます。これも簡単に申し上げますと、塩害は、コンクリート中の塩分の影響を受けまして鉄筋が腐食するという現象でございます。また、アルカリ骨材反応につきましては、これは骨材中のある種の成分がセメントの中のアルカリ成分と反応いたしまして、それが水を含んだ場合には膨張するということでございまして、コンクリートにひび割れを発生させるという現象でございます。酸性雨の影響につきましては、よい材料を使いまして適切に施工しまして、また、的確な維持管理を行っているというコンクリート構造物の場合には、現在の酸性雨の酸性レベルにおきましては、急速なコンクリートの劣化は起こりにくいだろうと認識いたしております。  ただ、そうは申し上げましても、保守点検が非常に大切でございまして、特に原理的には、コンクリートの中のひび割れに雨水が伝わっていくことをとめるということは非常に大切でございますので、そのひび割れにきっちり水がしみ込まないようにするとか、表面をしっかり塗って水がしみ込まないようにするというふうな対策は、塩害の場合、アルカリ骨材の場合、もしくはいろいろな水が原因となって支障が起こる場合の対策として広くとっておるところでございます。今後も道路橋の保守点検、特にコンクリート橋につきましても十分心砕いていくつもりでございます。
  186. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 建設省所管にかかわります高速道路とかいろいろな建築物等、コンクリートによる構造物というのは非常に多いわけでありますが、これらに対して、今一部お話がございましたけれども、具体的に定期的な点検あるいは保守、 そういうものをそれぞれどのような形で進めてやられておられるのか、そのために全体的にどれくらいの年間予算をとっておられるのか、もしおわかりであればお話をお伺いしたいと思います。
  187. 青山俊樹

    ○青山説明員 橋梁のうちのコンクリート橋についてどういうふうなことになっておるかという意味での予算の整理は、現在手元資料もございませんし、また、整理もいたしておりません。  ただ、コンクリート橋の補修時のみの区分した統計はございませんが、コンクリート構造物の補修のほとんどはコンクリート床版の補修でございまして、また、点検につきましては、必要な点検を適宜実施して橋梁の安全性をチェックするとともに、要対策箇所につきましては、直轄事業は維持修繕費、補助事業は橋梁補修費等をもって対応しております。また、点検の要領等も定めまして、十分な点検をしておるところでございます。
  188. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 建設省、今も申し上げたわけでありますけれども、高速道路がたくさん都会にもありますし、地方にもあります。地面と密着している部分についてはそう極端な問題はなかろうと思うのでありますが、高架橋と言われるようなところでは大変問題だと思うのであります。それからまた公団住宅、そういう住宅が年々だんだん高層化している。これがコンクリート構造物が非常に多い。特に私どもの聞く範囲では、五十年代につくられた構造物について幾つかの問題点も出ておるということでありますから、やはりコンクリート構造物については、その原因はともあれ、大きく劣化の問題としてとらえて、厳しい調査なり点検なり、あるいは強い指導ということがどうかわかりませんが、そういうことをやらなければいけないのではないだろうか、私はそういうふうに考えておりますので、そういうことに対してどのような対応を建設省としてやっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  189. 青山俊樹

    ○青山説明員 お答え申し上げます。  主要コンクリート構造物でございます道路、それから建築物はコンクリートとのかかわりが非常に強いわけでございますが、このコンクリートの劣化による災害拡大の防止策につきましては、まず第一に、コンクリート構造物の品質、耐久性の確保を図ることが基本であると認識いたしております。  建設省といたしましては、まず調査でございますが、コンクリート構造物の品質、耐久性を確保するために、総合技術開発プロジェクトというのがございまして、この総合技術開発プロジェクトとしてコンクリートの耐久性向上技術の開発を行ったところでございます。  また、新設の道路のコンクリート構造物に関しましては、これは海岸沿いでございますが、波しぶき等の飛来する塩分による塩害の対策としましては、コンクリートのかぶり厚さの増加等を、また、海砂等により混入される塩分への対策といたしまして、コンクリート中の塩化物総量規制を行っておりますし、アルカリ骨材反応につきましては、コンクリート中のアルカリ総量の抑制等の対策をとっております。  また、既存の道路のコンクリート構造物に関しましては、定期的に点検を行いまして劣化の早期発見に努め、劣化が発見された場合には、表面被覆工法等により必要な補修を行っておるというのは先ほど述べたところでございます。  また、建築物でございますが、新設の建築物につきましては、建築基準法等の法令に基づきまして、コンクリート強度等について規定したコンクリート構造物の品質の確保を図るとともに、塩害やアルカリ骨材反応の対策につきましては、特定行政庁というのがございますが、この特定行政庁を通じて指導を行っておるところでございます。  また、既存の建築物につきましては、法令等に基づき、所定の建築物について、所有者等が定期的に建築物の状況を有資格者に調査させまして、特定行政庁に報告するということになっておりまして、特定行政庁ではこれに基づき必要な補修等を指導しているというところでございます。
  190. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 時間もなくなってきましたので、次に運輸省にお伺いをいたしたいと思います。高速交通時代で、新幹線を初めとした総合交通体系の中で運輸行政の果たす役割は重いわけであります。中でも新幹線やあるいは私鉄交通など非常にスピードアップ化される中で、コンクリート構造物に多くを依存している場合、その保守点検というのは極めて大事なことではないかと思うのでありますが、それらに対して日常どのような対応をやっているのか、点検をやっているのか、そのことについてお伺いいたしたいと思います。
  191. 澤田諄

    ○澤田説明員 お答えいたします。先生先ほどからの御指摘のとおり、コンクリート構造物の劣化の問題等につきましては、鉄道構造物も同様に重要な問題と考えておりまして、私ども、鉄道構造物につきましては、運輸省令におきまして定期的な点検を規定しております。また、その定期的な点検を踏まえてさらに変状のある場合には、随時点検を行うというようなことを鉄道事業者に行わせるよう指導しております。また、その変状が生じた場合においては保守を行うということで、鉄道の運転の安全の確保につきましては、常日ごろから鉄道事業者を指導しているところであります。  特にコンクリートの劣化の問題につきましては、ひび割れということが発生しました場合、ひび割れ部分からの水の浸入あるいは空気、炭酸ガスの浸入等による劣化の進行を食いとめるために、保守ということでひび割れの除却、あるいはシールドするというような形で保守を行っているところであります。
  192. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 通産省にちょっとお伺いしたいと思いますが、年間でどれくらいのコンクリートによる構造物がつくられているのだろうか、お伺いをしたいと思います。
  193. 長田直俊

    ○長田説明員 お答えいたします。生コンクリートという形での出荷ということでお答えしたいと思いますけれども、全国生コンクリート工業組合連合会の推計によりますと、昭和六十三年度で一億八千八百十六万立米、平成元年度で一億九千二百四十八万立米の生コンクリートが出荷されております。これらのものにつきましては、最近のデータによりますと、例えば建築部門でおよそ五一%、土木部門で三一%ぐらいが使用されているということでございます。
  194. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 もっと御質問したい予定でいましたけれども、時間がなくなりましたから、最後は長官に一言要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  今もお話がございましたように、コンクリートによる構造物は我が国の今日の高速交通体系を大きく支えている、いわば近代文化を支えている、こう言ってもよろしいかと思います。したがって、これが安全管理をされていくことは非常に重要なことでありますので、私はこのことに関して災害予防という視点から、これからの防災対策の一環としてぜひ取り上げて、災害が起こってから、しかももし震災、地震等が起こったら、もし不完全なコンクリート構造物であればより一層災害を倍加させないと限らない、こういうことを考えますと、コンクリート構造物について厳しく点検調査をしながらしかるべく予算化もする、あるいはまた、場合によってはコンクリート関係についても十分予算をとって、そのための安全性を考えた研究体制の整備をする、こういうことも極めて重要だと思いますので、今後とも十分な対策を強めていただきますように心からお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  195. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会