○長良
政府委員 今お話がございましたように、昨年の夏以降
阿蘇中岳の噴火が続いておりまして、特に
熊本県の
阿蘇郡を
中心といたしまして、
降灰による農林
関係の
被害が発生いたしております。現在までに判明しております
被害額は、私ども県から報告いただいているわけですが、
熊本県が約五十六億七千万円、大分県が約一億四千万円、宮崎県が約六千万円、合計五十八億七千万円ということになっております。
被害の内訳につきましては、野菜等を
中心とした農作物
被害が十二億七千万円、シイタケ等の特用林産物の
被害が五千万円、農業
施設が一億円、林地荒廃が四十四億五千万円等となっております。
それから、
被害を受けられた
農家の方の
営農資金対策でございますが、御案内のように、制度資金としましては農林漁業金融公庫の自作農維持資金がございます。これらの資金の融資枠の確保につきましては、
被害の実情でありますとか資金需要の動向を見きわめつつ、県とも十分協議の上、適切に
対処してまいりたいというふうに考えております。
今お話がございました、一人の
農家で既にかなり借りておられる、枠がきつくなっている方の枠の引き上げの話ですが、私どもそういう
農家の方がどのくらいおられるか、まだ把握していないわけですが、現状ではなかなか基準を引き上げるというのは難しい
状況ではございますが、県とよく相談いたしまして、そういう方々が実質的に困らないような方策はないものかどうか、
検討なり
指導してまいりたいというふうに考えております。
それからまた、
農家がこれまで借りておられる制度資金の
償還条件の緩和につきましても、既にその実情に応じまして対応するよう
関係方面に指示したところでございまして、今後ともこの趣旨の徹底が図られるよう十分
指導してまいりたいというふうに考えております。
それから
農業共済制度でございますが、共済
関係につきましては、桑園でありますとかビニールハウス、こういうものに
降灰の
被害が発生いたしておりまして、これらの
被害に対しましては損害評価を適正に行いまして、共済金の支払いを早期に行うよう農業共済団体等を
指導してきたわけでございます。園芸
施設共済につきましては、十一月から本年一月までに損害評価を完了したものにつきましては、十二月から二月までの間に
農家に対しまして共済金が支払われておりますし、また、蚕繭共済につきましても、昨年の十二月に共済金の支払いが行われたところでございます。
それから、お話のございました
露地野菜の共済の制度化ということでございますが、私どもこれまで内部で
露地野菜の共済制度の制度化につきまして
調査研究を行ってきたわけでございますが、御案内のように野菜、特に
露地野菜につきましては一般に価格変動が非常に大きいのが特徴でございまして、
災害を受けましても価格が高騰して所得が確保される場合がある、逆に豊作のときには価格が下落して所得が確保できない、こういうような場合がございます。そういうことで、
災害によります収量の変動を共済事故とする本制度になじみにくいのではないかという問題が
一つございます。また、野菜につきましては作付の適期が長いということから、
災害がございましても再作付が可能である。それによって収穫が得られる場合が多い、こういうような問題がございまして、保険設計上幾つかの問題がございます。そういう問題がございますが、なお私ども引き続き
調査検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
それから
雨よけ施設でございますが、現在園芸
施設共済で引き受けの対象としております
施設は、農作物の生育
条件を一定の
施設によりまして調節なり管理しまして栽培する
施設、こういうことになっておりまして、現在農作物を栽培するためのプラスチックハウスあるいはガラス室、こういうものを対象としておりますが、いわゆる
雨よけ施設は対象となっておりません。
雨よけ施設につきましては、近年、
施設内農作物の品質
向上のための栽培
施設としまして各地で設置されている現状にございますけれども、
農家の保険需要でありますとか
被害の発生態様、こういうものが既存の園芸
施設共済の対象
施設と異なるのではないか、こういう問題がございます。それで、このような
施設を共済目的とすることにつきましては、こうした
施設の設置
状況はどうなっているか、あるいは
被害の発生
状況はどうか、保険需要はどうか、こういう
調査を必要としますので、今後
検討してまいりたいというふうに考えております。