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1990-04-26 第118回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月二十六日(木曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 高鳥  修君 理事 中山 成彬君    理事 二田 孝治君 理事 村上誠一郎君    理事 辻  一彦君 理事 松前  仰君    理事 薮仲 義彦君       岩屋  毅君    衛藤 晟一君       金子徳之介君    小坂 憲次君       佐田玄一郎君    自見庄三郎君       田中 秀征君    田邉 國男君       野中 広務君    平田辰一郎君       松岡 利勝君    宮路 和明君       持永 和見君    志賀 一夫君       田中 恒利君    速見  魁君       水田  稔君    山中 邦紀君       山中 末治君    倉田 栄喜君       山口那津男君    藤田 スミ君       菅原喜重郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         国土庁防災局長 市川 一朗君         外務大臣官房外         務参事官    茂田  宏君         農林水産大臣官         房参事官    長良 恭行君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局防災科学         技術推進調整官 竹内 章悟君         大蔵省主計局給         与課長     中川 雅治君         文部省教育助成         局施設助成課長 伊田 和身君         文部省体育局体         育課長     下宮  進君         厚生省保険医療         局疾病対策課長 松澤 秀郎君         厚生省社会局施         設課長     横田 吉男君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     窪田  武君         林野庁指導部治         山課長     弘中 義夫君         水産庁研究部漁         場保全課長   吉崎  清君         運輸省運輸政策         局環境課長   川嶋 康宏君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      浅井 廣志君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      津村建四朗君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      窪田  將君         建設大臣官房技         術調査室長   青山 俊樹君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      瀬野 俊樹君         建設省都市局公         園緑地課長   曾田 欽嗣君         建設省都市局都         市防災対策室長 伊藤  徹君         建設省河川局河         川計画課長   定道 成美君         建設省河川局治         水課長     矢野洋一郎君         建設省河川局海         岸課長     葛城幸一郎君         建設省河川局防         災課長     佐々木賢一君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松下 忠洋君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤井  浩君         特別委員会第三         調査室長    中島  勉君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     松岡 利勝君   近岡理一郎君     衛藤 晟一君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     近岡理一郎君   松岡 利勝君     佐藤  隆君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団理事藤井浩君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
  5. 二田孝治

    二田委員 自由民主党を代表いたしまして質問をさせていただきます。主に大臣所信表明に関することを中心にしながらいたしたいと思います。  まず最初に、震災対策につきまして質問をいたしたいと思います。災害のうちでも、起きました場合に一番被害が大きく、また、予知の困難なのは地震ではないか、そう思うわけでございます。例えば、昭和五十八年の秋田県を中心に襲いました地震でございますけれども、日本海中部大地震国土庁長官であります佐藤大臣もこのときお見えになりまして、つぶさにその状況をごらんになりました。私も当時県会議員でございましたので、先生と一緒に、お供をいたしながら私の町にも来ていただきまして、大変御協力をいただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。このときも大変な被害でございまして、人命が数十名も失われた、そんな大きな災害であったなということを今思い出しているわけでございます。それに続きまして、昨年の十月にはサンフランシスコ地震、このときは死者六十二名、被害総額が約一兆円とも一兆一千億とも言われておるわけでございまして、大変地震に対する予知とかいろいろな問題点というのは大きなものではないか、こう思うわけでございます。  そこで、震災対策について大臣にお伺いいたしますが、長官所信表明の折に、ロマプリータ地震経験を踏まえて各種対策推進していくと言っておられますが、ロマプリータ地震の教訓を我が国震災対策にどのように生かして、どういう対策を今後講じていくのかというようなことをまずお伺いいたしたいと思います。
  6. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 二田先生にお答えいたします。  先生指摘のとおりでございまして、地震というのは大変な災害を起こすということで、特に先生から御指摘ございました昭和五十八年でございましたか、私が国土政務次官のときに秋田地震がありましたのでお伺いしまして、何かと御高配を賜り、今後二度とああいうことのないようにしたいと努力してまいったわけです。  所信表明に述べましたロマプリータ地震というのは、これはもう先生御存じのとおりでございますが、サンフランシスコで発生しました地震でございまして、公共公益施設被害に問題があったわけですが、特にこの際注目すべき対策は二つございました。一つ応急対策で、ボランティア活動が非常に重要な役割を果たしたわけでございます。それからもう一つは、実はこれもそうでございますが、被災建築物の診断が速やかに実施され、二次災害防止等が図られたことなど、これは我が国震災対策推進を図る上で注目すべき対策である、このように考えております。そんなことでございまして、このような点を今後の我が国震災対策に十分に生かすよう努めてまいりたい、このように考えております。
  7. 二田孝治

    二田委員 ありがとうございました。今後も十分な対策等お願い申し上げる次第でございます。  ところで、日本海中部地震ロマプリータ地震では液状化現象大変話題となったわけでございますが、この液状化とはどのような現象であり、またどんなところに起こりやすく、液状化対策としてはどんな取り組みをしていくおつもりであるのか、お知らせいただきたいと思うわけでございます。私もこの液状化というものの恐ろしさというものを身をもって体験しております。例えば、各種河川堤防がそのままもうすぽっと抜けたように下からさらわれてしまう。そしてまた田んぼや原野、住宅地に大きな穴がぽっかりあきまして、そこから砂がどんと噴き出してくるというような現象が各地に見受けられたのでございまして、これに対する対策や対症療法、そういうものが今後大いに必要とされると思えるわけでございますけれども、これは国土庁市川防災局長さんにお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  8. 市川一朗

    市川政府委員 お答え申し上げます。  まず、液状化現象はどういうことなのかということでございますが、緩い砂の層があります場合に、それが水で飽和されている状態になっているところに地震が起こりますと、あたかも液体と同じようになって流動化する、こういう現象液状化現象と呼んでいるわけでございますが、極めて局所的に起こる現象のようでございます。したがいまして、水で飽和されている状態といいますのは、一般的には地下水位が高い砂の地盤ということになりますので、河川周辺とか海岸の埋立地等で起こるということが多いようでございます。この液状化の問題は比較的新しい課題でございまして、学問的にも必ずしもまだ十分に解明されていないという部分もございますので、国土庁といたしましては、東大の名誉教授であります岡本さんを委員長といたします学識経験者によります液状化対策検討会というのを設けまして、学術的な面、技術的な面で検討を深めていってもらっております。それから、関係省庁によります連絡会議も設けまして、いろいろなきめの細かい対応策検討してもらったり、あるいは情報を交換したりしてもらっておるところでございます。  具体的に現在どういう措置がとられているかということでございますが、そういった意味で必ずしもまだ十分に解明されていない面はございますが、各施設管理者単位にはなりますけれども、現実に液状化が起こり得るような場所につきまして、施設をつくったりあるいは建物を建てたりする場合に、まず一つは、地盤改良を行いまして液状化が起きないようにする、もう一つは、仮に液状化が起こっても被害が生じないように基礎ぐいをしっかり打つとか、そういったようなことで現在対応しているところでございまして、この方向を深めていくというところがまず直接的な対応策ではないかというふうに考えている次第でございます。
  9. 二田孝治

    二田委員 ありがとうございました。この液状化につきましては、地震が起きました場合に付加の被害も大変多うございますので、どうかひとつ万全の措置等を講ずるようにお願い申し上げたいと思います。  次に、建設省にお伺いいたしたいのでございますが、今お説のとおり、このような軟弱地盤地域開発に際しまして、最近は河川敷とかいろいろなところに新興住宅地、新たな開発というものがどんどん進んでいっているのでございますけれども、開発業者に対し安全確保という面からどのような指導を行っているのか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 瀬野俊樹

    瀬野説明員 都市計画区域内において宅地造成等開発行為が行われますときは、都市計画法技術基準が定められておりまして、こういった地盤が軟弱な土地の場合には、地盤の沈下あるいは隆起を防ぐために、土の置きかえあるいは水抜きといった必要な措置を講じさせるということが許可の条件になっております。建設省といたしましては、宅地防災水準の一層の向上を図るために、昨年の夏に、今までのこういった危険というものを集大成をいたしまして宅地防災マニュアルというものを策定いたしまして、これを各公共団体等に通達をしたところでございます。この中におきましても、軟弱地盤対策重要性にかんがみまして、できる限り具体的に詳しい技術指針というものを定めておるわけでございます。  私どもといたしましては、今後ともこのマニュアル徹底等を通じまして、さらに防災水準向上に努めてまいりたいと存じておりますが、ただいま国土庁から御答弁もございましたように、軟弱地盤、なかんずく流動化の問題といいますのは技術的にまだ未解明の部分もございますので、今後とも関係機関の御協力をいただきながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  11. 二田孝治

    二田委員 次に、少しく地域地域の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和六十二年、秋田に豪雨がございまして、そのとき、一級河川雄物川という川が流れておるのでございますけれども、ここを中心に大変なはんらん堤防決壊があったわけでございます。また、その流域のいろいろな中小河川におきましても大変被害がございまして、総額大体三百億ぐらいの被害がございました。  雄物川治水対策についてお伺いいたすわけでございますけれども、災害後の雄物川治水対策実施状況と、雄物川流域にどんどん新しい都市ができていって、宅地開発等が進んでおるわけでございますけれども、この都市化進行地域での河川改修必要性というものが非常にございますので、どうかひとつこの辺の雄物川治水対策実施状況と、都市化進行地域河川改修につきましてお知らせいただきたいと思います。
  12. 矢野洋一郎

    矢野説明員 御説明申し上げます。  昭和六十二年八月の洪水は、下流部椿川という地点で戦後第四位の大きさの流量、毎秒約三千立方メーターという洪水を記録いたしました。このため、先生指摘のように、下流部上流部に対して、無堤部で大変なはんらん被害が発生したわけでございます。  この昭和六十二年の災害以降、災害復旧事業につきましては、昭和六十三年度までにすべて完了いたしております。また、直轄河川改修事業につきましては、昭和六十三年、平成元年の二カ年間におきまして、五十五億三千万円の改修事業費をもちまして、下流部は重点的に無堤地区であります椿川地区用地買収並びに六百メートルにわたる築堤工事実施いたしております。また、上流部につきましては、重点的に狭窄部であります西仙北地区河道掘削、それから無堤地区であります玉川地区柳田地区について改修工事実施しているところでございます。また、補助河川改修事業につきましては、六十三年、平成元年の二カ年で中小河川旭川等十三河川小規模河川姉倉沢川等二十一河川局部改良事業太平川等二十九河川におきまして、百二十六億円の改修事業費を 投じ、河道整備計画的に促進いたしております。  それから、先生指摘都市化との関連でございますが、河川改修事業は、過去の被災状況流域資産状況都市化の動向を勘案しながら、上下流左右岸とのバランスを見ながら鋭意実施してきたところでございます。特に雄物川流域におきましては、秋田市、大曲市といった既成市街地直轄堤防はほぼ概成をしております。このほか、都市化が進んでおります地域河川改修を重点的に実施する必要があることは先生指摘のとおりでございまして、直轄河川におきましては、秋田市に隣接いたします雄和町の椿川地区あるいは湯沢市の柳田地区といったところで改修を重点的に進めているところでございます。また、補助河川につきましては、秋田市では旭川中小河川で、太平川局部改良事業等で進めているところであり、重点的かつ計画的に実施をしているところでございます。今後とも引き続きまして、雄物川流域都市化が進んでいる地域につきましては重点的に河川改修実施していく所存でございます。
  13. 二田孝治

    二田委員 よくわかりました。ありがとうございました。ただ、雄物川椿川周辺、それから空港からおりました雄和町、それから刈和野、あの辺におきましてまだ河川改修が進んでいない。そして、上流部が進んでまいりました場合に水が流れてくるのが大変速くなりますので、なお一層推進お願い申し上げたいと思います。  次に移ります。  日米構造協議の中間報告におきまして、社会資本整備を促進するため、新しい総合的な公共投資計画を策定することとされておるわけでございますけれども、これに関連しまして、治水事業五カ年計画というのがございますが、現時点でこの治水事業五カ年計画につきましていかなるお考えを持っているのか、建設省にお伺いしたいと思います。
  14. 定道成美

    定道説明員 お答え申し上げます。  治水施設は、水害土砂災害対処をし、国民生命財産を守る最も根幹的な施設でございます。現在治水施設整備水準は依然として低く、当面の目標でございます五年から十年に一回発生する時間雨量五十ミリ、これにつきまして中小河川整備を進めておりますが、これが六十三年度末で二九%にとどまっております。先ほど先生も申されましたように、経済大国となった我が国として非常に立ちおくれていると認識しております。  このため、毎年水害土砂災害等が頻発して国民生活を脅かしており、経済力に見合った豊かな国民生活実現のためには、何よりその基盤となる国土の安全を確保することが重要と思います。そして、治水施設整備を着実かつ計画的に推進することが不可欠でございます。現在、西暦二〇〇〇年を目途に、中小河川浸水対策として、当面五十ミリの時間雨量に対応します整備率を五割程度までまず上げるということを目標にして、六十二年度を初年度とする第七次治水事業五カ年計画推進しているところでございます。本計画は、平成三年度末までの五カ年に八兆円をもちまして、先ほど申し上げました五十ミリの雨に対応します整備率を三二%にまで向上させることとしております。このように依然として低い整備水準にありますので、この国土根幹施設であります治水事業を着実かつ計画的に強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。
  15. 二田孝治

    二田委員 ありがとうございました。まだいっぱいお尋ねしたいのですけれども、時間が大体迫ってまいりましたので、最後の質問にいたしたいと思います。  大臣お尋ねでありますけれども、国際防災の十年というのがございます。一九八七年の第四十二回国連総会において一九九〇年代を国際防災の十年とする決議案が共同提案され、九十二カ国だと思いましたけれども、全会一致で採択されております。我が国はこの提案国になっておるわけでございますけれども、提案国といたしましてどのように防災に関する国際協力を進めるのか、また、我が国としてはどのような取り組みをしていくのか、長官の御高説のほどをお伺いしたいと思います。大体時間がなくなりましたので、どうかひとつよろしくお願い申し上げます。
  16. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  先生の御指摘のとおり、国際防災の十年というのは、国連におきまして日本中心となって提案したものでございます。そんなことでございまして、我が国防災先進国としまして、また経済大国として積極的にこれを推進する必要がある、そんなことで世界に貢献していく必要がある。このように考えております。そんなことをもちまして、我が国では昨年十一月に政府推進本部国際防災の十年事業推進基本方針を決定しました。これは三つの柱がございまして、一つ国際協力、その次は国際交流推進、それから我が国災害対策推進、この三つの柱を中心にして方針を決めたわけでございますが、今後はこれに基づきまして、地方公共団体及び民間団体等と連携を保ちながら、各省庁協力して六十年に取り組みたい、こう思っております。  なお、平成二年度には、各省庁協力しまして記念式典とかあるいは国際会議の開催、幅広い広報活動実施など各種事業を積極的に展開していく予定でございまして、先生方の御理解と御後援をお願いする次第でございます。よろしくお願いします。
  17. 二田孝治

    二田委員 この面におきましても我が国が十分に貢献をするようにお願いを申し上げたいと思います。懇切な説明、ありがとうございました。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  18. 三ツ林弥太郎

  19. 松岡利勝

    松岡委員 私は、二田先生の御質問関連をいたしまして、引き続き委員長及び理事皆様方の御配慮で、阿蘇山爆発に伴います降灰被害の問題に絞って質問させていただきます。  私の選挙区は熊本一区でございますが、その中に国立公園としても名高い阿蘇山がございます。この阿蘇山が過去にも何度となく爆発を繰り返し、その都度大変な被害をこうむりまして、阿蘇地域経済住民生活はもとより、周辺地域におきましても大きな打撃を受けてきたところでございます。その阿蘇山が御案内のとおり昨年八月から爆発を繰り返しておりまして、つい先日の四月二十日の爆発まで数えますと、通算五十回にも及んでおります。  この降灰被害状況がどんなものであるかを御理解いただきますために、四月二十日の爆発の模様を地元の熊本日日新聞の報道で御紹介いたしますと、「阿蘇中岳噴火……黒い雨」という見出しで始まり、その一部を抜粋いたしますと、「中岳が噴火したのは二十日午後五時すぎ。阿蘇谷は見る見るうちに黒いやみに包まれた。一の宮町や阿蘇町では火山灰を含んだ"黒い雨"が降り、鼻をつく硫黄のにおいがたちこめた。"黒い雨"は街を襲い、道路も家も真っ黒。走行中の車は早々とライトを点灯、前後が見えないため一時停止する車も見られた。」また「阿蘇一の宮両町約一万五千戸のうち三分の一が停電し、食事も作れず、ゴールデンウイークを目前にした観光地阿蘇はパニックとなった。」となっておりまして、さらにまた翌日の新聞では、「畜産農家火山灰による影響を心配し、放牧中の六百頭の牛馬を急遽下山させた。また、飼料作物(イタリアン・グラス)二百六十ヘクタールが収穫不能になった。」まだまだこれ以外にもいろいろな被害の内容が記されておりますが、一応被害状況の一端を御理解いただけるものと思います。  実は、私もこの阿蘇に生まれ育った者でございまして、幾度となくこの降灰被害を身をもって体験をいたしてまいりました。そのような関係から、この降灰問題に対するまさに文字どおり代弁者の立場で、本日はお尋ねお願いをさせていただきます。被害ということでは、学校活動観光事業など各分野、各方面に及んでいるわけでありまして、いろいろとお聞きをしたいわけでございますが、時間の制約もございますので、直接被害の大きい農産物被害に対する救済対策、そしてまた堆 積した降灰下流被害を与えるおそれがあることに対する対策の二点についてお尋ねをいたしたいと思います。時間がございませんので、一括して御質問させていただき、また一括して御答弁お願いする次第であります。  まず、農産物被害への対策についてでございますが、農林省にお願いを申し上げます。  まず第一点といたしまして、今日までの農林漁業関係被害状況、大まかに言ってで結構でございますが、どうなっているかということであります。  次に二点目といたしまして、被害農家は、収入の面はもとより、営農継続の上でも大変な打撃をこうむっているわけでありますが、この被害農業者に対する営農資金対策実施状況がどうなっているか。この場合、特に被害期間が長引いておりますので、限度額いっぱい借りてしまった農家に対する措置をどうするかまた償還条件の緩和についてどのように御措置をいただけるか。  三点目といたしまして、農業共済制度における対処状況はどうか。この場合、露地野菜が大変な打撃を受けております。その中で、特に阿蘇露地野菜主力商品であります漬物の原料になりますタカナ、キャベツに対する共済制度適用についての特別の御配慮、さらにまた雨よけ施設についての適用の御配慮、これは特にお願いをしたい次第であります。  四点目としまして、これだけの長い期間、しかも大量の降灰によります土壌酸性化等の問題に早急に対処しなければなりませんが、その基本としての防災営農施設整備計画の策定、実施が急務であると考えます。その取り組み状況をひとつ前向きにお答えいただきたいと存じます。  次に、建設省、林野庁関係でありますが、今回の一連の爆発では約六百万トンの降灰があったと聞いております。阿蘇熊本市を初めとする下流地帯の水源地でもあります。梅雨時期になりましてこれだけの降灰が、しかも有毒物を含んだ大量の降灰が泥流化すれば、大変な土砂災害を引き起こし、飲料水にも悪い影響を与え、市民生活にも重大な支障を来すおそれがございますので、梅雨時期を間近に控えました今日、この対策は急務であると思います。したがいまして、林野庁と建設省においてどのようにお取り組みになる予定であるかをお伺いしたいと思います。  なお、これは答弁は要りませんが、被害対策としての各般の事業の実行に当たりましては、阿蘇地域が大変な被害をこうむっていることを前提としての事業、仕事でありますので、住民感情も踏まえていただきまして、制度の許す限り、できる限り地元の住民、地元の業界の仕事の場となるようにもお願いをする次第であります。  以上の点につきまして、どうか関係各省の御答弁お願いする次第であります。
  20. 長良恭行

    ○長良政府委員 今お話がございましたように、昨年の夏以降阿蘇中岳の噴火が続いておりまして、特に熊本県の阿蘇郡を中心といたしまして、降灰による農林関係被害が発生いたしております。現在までに判明しております被害額は、私ども県から報告いただいているわけですが、熊本県が約五十六億七千万円、大分県が約一億四千万円、宮崎県が約六千万円、合計五十八億七千万円ということになっております。被害の内訳につきましては、野菜等を中心とした農作物被害が十二億七千万円、シイタケ等の特用林産物の被害が五千万円、農業施設が一億円、林地荒廃が四十四億五千万円等となっております。  それから、被害を受けられた農家の方の営農資金対策でございますが、御案内のように、制度資金としましては農林漁業金融公庫の自作農維持資金がございます。これらの資金の融資枠の確保につきましては、被害の実情でありますとか資金需要の動向を見きわめつつ、県とも十分協議の上、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  今お話がございました、一人の農家で既にかなり借りておられる、枠がきつくなっている方の枠の引き上げの話ですが、私どもそういう農家の方がどのくらいおられるか、まだ把握していないわけですが、現状ではなかなか基準を引き上げるというのは難しい状況ではございますが、県とよく相談いたしまして、そういう方々が実質的に困らないような方策はないものかどうか、検討なり指導してまいりたいというふうに考えております。  それからまた、農家がこれまで借りておられる制度資金の償還条件の緩和につきましても、既にその実情に応じまして対応するよう関係方面に指示したところでございまして、今後ともこの趣旨の徹底が図られるよう十分指導してまいりたいというふうに考えております。  それから農業共済制度でございますが、共済関係につきましては、桑園でありますとかビニールハウス、こういうものに降灰被害が発生いたしておりまして、これらの被害に対しましては損害評価を適正に行いまして、共済金の支払いを早期に行うよう農業共済団体等を指導してきたわけでございます。園芸施設共済につきましては、十一月から本年一月までに損害評価を完了したものにつきましては、十二月から二月までの間に農家に対しまして共済金が支払われておりますし、また、蚕繭共済につきましても、昨年の十二月に共済金の支払いが行われたところでございます。  それから、お話のございました露地野菜の共済の制度化ということでございますが、私どもこれまで内部で露地野菜の共済制度の制度化につきまして調査研究を行ってきたわけでございますが、御案内のように野菜、特に露地野菜につきましては一般に価格変動が非常に大きいのが特徴でございまして、災害を受けましても価格が高騰して所得が確保される場合がある、逆に豊作のときには価格が下落して所得が確保できない、こういうような場合がございます。そういうことで、災害によります収量の変動を共済事故とする本制度になじみにくいのではないかという問題が一つございます。また、野菜につきましては作付の適期が長いということから、災害がございましても再作付が可能である。それによって収穫が得られる場合が多い、こういうような問題がございまして、保険設計上幾つかの問題がございます。そういう問題がございますが、なお私ども引き続き調査検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから雨よけ施設でございますが、現在園芸施設共済で引き受けの対象としております施設は、農作物の生育条件を一定の施設によりまして調節なり管理しまして栽培する施設、こういうことになっておりまして、現在農作物を栽培するためのプラスチックハウスあるいはガラス室、こういうものを対象としておりますが、いわゆる雨よけ施設は対象となっておりません。雨よけ施設につきましては、近年、施設内農作物の品質向上のための栽培施設としまして各地で設置されている現状にございますけれども、農家の保険需要でありますとか被害の発生態様、こういうものが既存の園芸施設共済の対象施設と異なるのではないか、こういう問題がございます。それで、このような施設を共済目的とすることにつきましては、こうした施設の設置状況はどうなっているか、あるいは被害の発生状況はどうか、保険需要はどうか、こういう調査を必要としますので、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  21. 窪田武

    窪田(武)説明員 防災営農施設計画取り組み状況につきまして御説明したいと思います。  阿蘇火山の降灰に対します防災営農対策につきましては、実はこれまで二回にわたりまして、すなわち昭和五十年度から五十二年度の間、さらに昭和五十四年度から五十七年度の間、二回にわたりまして実施しておりまして、それぞれ所要の成果を上げてきたというふうに考えているところでございます。御案内のとおり、活動火山対策特別措置法に基づきます防災営農施設整備事業の実施につきましては、まず関係都道府県知事が関係市町村長なり農業団体等の意見を聞いた上で防災営農施設整備計画を作成しまして、これを農林水産大臣が承認するということになっておるわけでございまして、この防災営農施設整備計画の作成に当た りましては、知事は関係市町村におきます火山活動による被害状況等を的確に把握する、また、本事業の対象となる地域の意向をも十分踏まえていただくことが重要だと考えておりまして、現在熊本県におきましては、その作業を鋭意行っているというふうに聞いておるところでございます。  農林水産省といたしましては、知事から防災営農施設整備計画の提出がございますれば、まず該当地域におきます実被害並びに今後の火山の活動の状況なり見込み等を十分勘案し、また、該当地域におきます農業経営の発展的な継続の可能性、さらには、該当地域関係者の本事業実施にかかる意欲なり取り組みの姿勢というものを総合的に判断いたしまして、県及び関係市町村との連携を図りつつ、適切に措置してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  22. 弘中義夫

    ○弘中説明員 降灰の泥流化に伴い、下流に影響を与えるという点に関しましてお答え申し上げます。  林野庁といたしましては、阿蘇火山活動に伴う山地災害の未然防止につきましては、これまでも民有林補助治山事業あるいは直轄事業等によりまして、計画的な治山事業の実施に努めてきたところでございます。  特に、昨年七月からの火山活動に伴います泥流対策といたしましては、昨年十二月に、まず平成元年度の熊本県の治山事業実施計画を見直しいたしまして、降灰地域に治山ダム二基を追加実施したところでございます。また、平成二年度におきましては、通常の治山事業を計画的に実施しますほか、堆積した降灰が梅雨時期等の降雨によりまして泥流化し、下流の人家や公共施設等に被害を与えるおそれがございますので、緊急に復旧整備を要する箇所につきまして、災害関連緊急治山事業を実施することとしてございます。この災害関連緊急治山事業の内容につきましては、十六基の治山ダムを工事費約六億三千万円をもって予定しておりまして、順次工事に着工しているところでございます。また、今後とも現地の状況を踏まえまして適切な措置を講じ、山地災害の未然防止に努めてまいりたいと考えております。
  23. 松下忠洋

    ○松下説明員 建設省の砂防課長でございます。お答えいたします。  阿蘇山周辺におきましては、先生指摘のとおり、過去幾多の火山噴火に伴いまして、降灰等による大規模な土砂流出や火山泥流によりまして甚大な被害が発生しております。これらに対処すべく、昭和七年度より補助砂防事業によりまして砂防設備の整備を進めてきているところでございます。  阿蘇山は、昨年の七月十六日に四年ぶりに噴火いたしまして、今なお活発な噴火活動を続けており、大量の降灰をもたらしております。この降灰が次期出水等によりまして火山泥流となり、流下することが想定されておりますために、緊急的に火山泥流の流下を監視するための施設、それから既設の砂防ダム、現在あります砂防ダムからの除石を実施してきているところでございます。そしてまた平成二年度には、災害関連緊急砂防事業といたしまして、事業費三十三億円をもちまして、周辺の九渓流で十三基の砂防ダムの建設を行っているところでございます。これからも、平成元年度に火山砂防事業を創設いたしましたので、この制度も十分に活用いたしまして、この地域における砂防事業を重点的に実施していきたいというふうに考えております。
  24. 松岡利勝

    松岡委員 これまででもでございますが、またただいまもお話いただきましたように、大変御高配を賜っていることに対しましては心から感謝を申し上げる次第であります。と同時に、お願いを申し上げたことにつきまして、なお一層の御配慮お願いいたします。  と同時に、きょうは大臣せっかくお見えでございますので、こういった自然災害、大変な状態にいろいろと住民生活も含めましてなっておるわけでありますが、まだまだこれ以外にも、市町村の負担の問題とかいろいろな問題が各般にわたってございます。ひとつそういった問題に対して、そういう被害を受けた地域に対する災害対策の元締めとしての大臣の御所信を一言お述べいただければと思う次第であります。よろしくお願いいたします。
  25. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松岡先生にお答えします。  実は、松岡先生の方が私よりはるかに専門家でございます。私は、先ほど二田先生もおっしゃいましたが、昭和五十二年の国土政務次官のときに二つ火山を見に行きました。一つは桜島、一つは有珠山でございました。特に有珠山、あれは八月であったと思います。第一回噴火のときに現地に行きまして、私はいかに噴火が怖いものかということを知り、また実はその後始末をやりましたときに、いかに不十分であるかを知りました。例えば農作物の被害対策につきましても、あるいはあの辺は旅館等が多かったと思いますが、旅館全部に噴火の灰が積もって営業ができなかった。そんなこともございまして、営業補償あるいはつなぎ融資金等を含めて、やはり非常に厳しい状況にあったように記憶いたしております。  そんなことでございまして、実はその後者さん努力されて活動火山対策特別措置法という改正したのができたということでございまして、確かに先生、不十分な点が多いと思います。けれども、各省庁一生懸命やっておるということでございまして、足りない点はまた皆さん努力で補うということでございますが、またいろいろな点につきまして御協力を賜りながら、現地の皆さんが安心して生活できるように、豊かな生活ができるような形に持っていきたい、こんな努力をしたいと思います。これからも何分の御教導を心からお願いする次第でございます。よろしくお願いします。
  26. 松岡利勝

    松岡委員 どうも大変ありがとうございました。大臣、また大変ありがたいお言葉を賜りまして、本当に感謝申し上げます。本当にどうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  27. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 松前仰君。
  28. 松前仰

    ○松前委員 私は、三月の時点でこの委員会で審議抜きで国会を通過いたしました地震財特法の関連について御質問をさせていただきます。  この地震財特法の関連は、東海地震対策というようなことで始まっておるわけでございますが、昭和五十一年の地震学会で駿河湾に大規模地震の可能性あり、こういうことで研究が始まった。五十一年の十月に地震予知体制整備ですか、内閣でそういうことで始まったわけなのですが、それを契機にしてこの財特法というのが出てきて、ことしで十年という格好になるわけです。この最初の経緯から見ますと前提があるわけでありまして、この財特法によって整備をされる、これが整備をされれば災害対策はそれですべて済むかというと、そうではなくて、予知がなされることということが前提になっているということでございます。この予知がなされるということ、これが大前提ということになれば、先ほども御質問がありましたけれども、この予知について現状は一体どのようになっているかということをまずお聞きしなければなりませんので、そのことについて御説明お願いしたいと思います。
  29. 窪田將

    窪田(將)説明員 御説明いたします。  気象庁では、東海地域及びその周辺地域にひずみ計、海底地震計等を整備しましたほか、大学等関係機関の御協力を得まして、百三十三項目の観測データを気象庁本庁にテレメーターしております。これらのデータを迅速かつ総合的に処理するために、地震活動等総合監視システム、いわゆるEPOSの整備を行うなど、東海地震の短期直前予知のための常時監視体制を強化してきたところであります。
  30. 松前仰

    ○松前委員 そうしますと、今体制を整備したと言うけれども、それによって予知は可能になったのですか。
  31. 窪田將

    窪田(將)説明員 御説明いたします。  ただいま御説明いたしました地震活動等総合監視システムあるいは関係各機関の御協力による観測データを多項目取り入れる、そういった処理によりまして、東海地域における地震検知能力、震 源決定精度並びに地殻変動データの監視精度は大幅に向上しました。したがって、東海地震、いわゆる大規模地震の直前の現象については十分に監視できる体制が整っておると考えております。
  32. 松前仰

    ○松前委員 監視できる体制と予知できるというのとは違うのですよ。監視というのは観測でありますから、精度よく観測できるということは当然、当たり前の話でありまして、精度よく観測できた結果から、これで地震が起こるぞということを予知をするということが必要なのです。その間には大変な学問が必要だと思うのです。そこのところはできていますかということを私は申し上げているのです。その辺はどうですか。
  33. 窪田將

    窪田(將)説明員 過去の地震の前兆現象については、いろいろな例が得られております。例えば、一九四四年の地震の際には、直前に地殻変動で前兆現象が得られております。また、伊豆半島周辺地震に伴う各種現象もこれらの計器によってとらえられており、マグニチュード八前後の大規模の地震に伴う前兆現象は、これらの観測計器によって十分とらえられるものと考えております。
  34. 松前仰

    ○松前委員 前兆現象がとらえられるということは、予知できると言っていらっしゃるのかどうかその辺がはっきり答えられないのだと思いますけれども、いずれにしても前兆現象一つじゃないはずですね。いろいろな現象がある。非常にこれは難しいはずなのです。気象庁の範疇から外へ出なければいけないかもしれない。国土庁の方は一体この辺どういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  35. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま気象庁の方で御答弁ございましたように、マグニチュード八クラスの地震がいわゆる東海地震と想定されております駿河トラフで起きました場合には、その前兆現象が把握できるような監視体制が整っておるというふうに私ども承知しておりまして、それを前提として、先生が御指摘予知のためのいわば判定とか、そういったようなことも基本的には可能な体制になっておるというふうに理解している次第でございます。
  36. 松前仰

    ○松前委員 そうしますと、過去の例で、たくさんあった地震の中で前兆現象というものが一応観測をされている。わかっている。観測ではないかもしれないけれども、わかっている。もしそういう現象が起こったら地震予知で警報を出す。警報といいますか、体制強化というようなことを言うことができる。それが外れても仕方ないと思いますけれども、先ほどの事前の現象、これはとらえられている、こういうふうに見ていいということですね。  これについては幾ら議論したって、予知というか起こるぞと言って起こらなかったらどうするなんという話が出たりして、それじゃおかしいじゃないかなんということになるけれども、全然何も言わないで地震が起こるよりも、言って起こらない方がまだいいわけでありますので、できるだけそういう観測体制をきちっと強化をしてもらわなければいけない。現状ではEPOSというのですか、よく知らないですけれども、こういうようなシステムをまだ整備中であるということなんですが、これをきちっと整備して、さらに、しんかい六五〇〇でしたかあれでもって微小傾斜計だかそういうようなものをたしか置いてくるとかいうような話もあるし、もっともっとこの地震予知についてはいろいろなことをやらなければいけないわけですよ。ですから、その点についてやはり国土庁としては重点的に今後進めていっていただきたい。  それともう一つ、いろいろな地震が外国で起こっていますね。メキシコ地震、イタリアも随分前ありましたね。それからサンフランシスコのつい最近のロマプリータですか、こういうような地震が発生している。こういうようなところからデータを取り込んで日本として研究をやっているかということ。アメリカはやっているということはわかっておりますけれども、先ほど国土庁長官のお話ですと、日本は大変災害の研究については先進国だと言われましたので、そういうことはやはり率先して我が国はやらなければいけないと思うのですが、その辺は国土庁としてはどういうぐあいにつかんでいらっしゃいますでしょうか。
  37. 市川一朗

    市川政府委員 お答え申し上げます。  この間発生いたしましたロマプリータ地震に際しましては、御案内と思いますが、政府といたしましても各省庁から成る、専門家から成ります政府調査団を派遣いたしまして、現地へ行きまして相当詳細に調査してまいっておりますし、少なくともあの地震に関しましては、それ以外に大学の研究所の方とかいろいろな方々が行きまして、相当子細に研究しておりまして、その前に起きました地震等も含めまして、かなりの問題につきまして相当のデータ等の集積と、それに基づく研究は行われておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。  ただ、先ほど来話が出ておりますように、予知の問題までまいりますと、地震の規模がマグニチュード八クラスの非常に大きなものでありますと、前兆現象と言われるものがある程度出てくる、それから、そういったものにつきましてかなりしっかりした監視体制ができておるといったようなことが前提になるようでございまして、そういった監視体制の整備まで含めまして万全であるかといったような点で考えますと、必ずしもまだ我が国全体がそこまでは行っていない。しかし、諸外国のレベルで比較いたしました場合には、やはりここまで進んでおるのは我が国はトップレベルである。そういう意味で大臣防災先進国と申し上げておるというふうに私どもは認識しておる次第でございます。
  38. 松前仰

    ○松前委員 こればかりやっていますと時間を食いますけれども、要するに予知というのは、東海地震が起こって初めて予知の研究が完成するというのでは困るのでありまして、東海地震が起こるかという、そのところにおいても予知がきちっとできていなければいけない。それには諸外国でいろいろな災害が起こっている。こういうデータをきちっと分析をして、そして日本災害に備えることが必要だということなんですね。東海地震のものが、これが実験台になっては困るわけですよ。大体今やっていることは、予知がなされていることを前提として、人が死ぬことがなくなるということを言っているのですからね。だから、そういう意味で先ほどから諸外国の、サンフランシスコのデータなんかもきちっと日本で把握して、共同研究でもいいですよ、予知についてしっかりやらなければいけない。国際防災の十年ですか、こういうことで国連でもやろうと言っているのですから、それの主導権を握るぐらいのことは日本がやらなければいけないのじゃないかと思うのです。橋が壊れるのを壊れないようにするというのは、これは話は簡単ですよ。予知というのは大変に難しいですから、その辺をやってほしいということなんです。国土庁長官、お答えいただけるような感じなんで、よろしく。
  39. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松前先生にお答えいたします。  先ほど防災局長がお答えしたとおりでございますが、予知というのは非常に難しいと思っております。ただ、ロマプリータも一緒に含めて、いろいろな外国の調査もしておるということでございますが、予知につきましてはいろいろな前提条件があるようでございまして、一〇〇%という予知はなかなか難しいというのは聞いております。いずれにいたしましても、先ほど先生がおっしゃったようなことですが、間違っても人命を助ける、こんな言葉は悪いですが、そんなことでいろいろな条件を踏まえて最終的に私は決断した次第で、基本的には人命尊重で進みたい、このように考えております。
  40. 松前仰

    ○松前委員 この強化地域に指定されたところは、予知さえあれば、人間の誘導やら何やらも全部やれるように訓練をしているわけですね。パニックにはならないです。ですから、予知というか地震が起こるぞと言って地震が起こらなかった、仮にそうなってもパニックにはならないはずなんですよ。それは多少はなるかもしれないけれども、すごいパニックにはならない。何にも予報 しないで地震が起こるより、予報して起こらなかったときの方がいいのだから、一〇〇%というのは無理かもしれないけれども、とにかく地震予知の技術というものをもっと向上してほしいというのが要望でありますので、ぜひともその方向で国土庁の方から指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。これは随分時間を食ってしまいましたが、予知については一応このぐらいにさせていただきたいと思います。  それから、十年間この対策が講じられたわけでありますけれども、対策後、これは非常に難しいと思うのだけれども、強化地域の六百十六万人ぐらいですか、この地域の人たちの何%ぐらいが予知がなされなかった場合には亡くなるか、負傷をするかというようなこと。これから先、対策をしなければいけないということがあるわけですからね。現状で一〇〇%もう大丈夫なのか、それともまだ不十分なはずですから——これはやはり人命というものが非常に重要でございますから。建物が壊れるのが何%なんというのはわけない話です。これは壊れたって逃げればいいのですからね、本当のことを言うと。そう言ってはいけないけれども、壊れない方がいいんだが、壊れても逃げればいいんです。現状では一体この対策で十年間にどれだけ被害が減ったか、被害想定というのは大体どうなっているかということですね。  これは一番最初に静岡県が被害想定を出したですね。これはちゃんと出したです。予知がない場合には死者一万九百人、負傷者一万一千五百人、予知がある場合に死者、負傷者はなしということを言ったわけです。被害率は、建物の半壊、全壊、火災、津波流失を全部含めて、予知がないときに三八・五%、予知がある場合には一五%、こういうようなデータが一番最初に出ているわけですよ。そういうことからすれば、この対策を講じたら恐らく死者も負傷者も減っているはずなんですね。どのぐらいになっているか想定はされておりますか。
  41. 市川一朗

    市川政府委員 地震対策緊急整備事業を今まで十年間やってきたわけでございますが、先生御案内のとおり、この事業は、避難地、避難路を整備いたしましたり、あるいは津波に備えまして堤防や水門を整備する、それから公立の小中学校あるいは社会福祉施設、病院等、いわば義務教育課程の学童とかあるいは病人等が収容されているような施設につきましていろいろと改築等の補強措置を講ずる、こういったような事業をやってまいってきておるわけでございまして、御指摘のとおりまだまだやるべきことは残っておるわけでございますが、一歩一歩対策といたしましては進展してきておると考えておる次第でございます。  特に、十年間の今までやってきた事業を考えてみますと、十年間の計画事業量として計上されておりました約五千六百五十億円の事業費ベースではほぼ一〇〇%の事業が行われておりまして、価格差等を見まして、実質的事業量で厳密に見ましても九〇%近くは進捗しておりますので、計画どおりの事業が推進しておるという意味では、かなりの成果を上げていると私どもは評価しておるわけでございますが、ただいま直接的に御指摘ございました、それではどれくらいの被害の軽減が図られると見ているのか。昭和五十三年に御指摘のとおり静岡県が被害想定をしておりまして、予知ができれば死者は出ない、予知ができない場合には一万九百人の死者が出るという指摘がされておりまして、この十年間で一万九百人がどのくらいに減ったのか、あるいは静岡だけでなく、強化地域全体で六百数十万人の住民のどれくらいが本来は危なかったのが救われるようになったのか、こういうような問題にきちっとお答えできればよろしいのかと思う次第でございますが、まことに申しわけございませんけれども、現在のところそこまでのきちっとした分析はしておりませんので、一歩一歩の前進を御評価いただきたいとお答え申し上げる次第でございます。
  42. 松前仰

    ○松前委員 詳しくきちっと出せと言ったってこれは無理な話でありますが、大ざっぱにつかまないと対策の評価というのはできないわけですよ。本当にこの対策はよかったのか悪かったのかこの次あと五年間延長させるべきかさせない方がいいのかというようなことも、全部そういう評価でもっていくわけなのであります。現状ではなかなかそこまで手が回らないということでありましょうけれども、今後はこういう問題についても、そういう姿勢で評価をしながら進んでいっていただかなければ、やはり市民の税金を出す側においても、一体何に使われたのかなんという感じにもとられかねない。ですから、そういうのを公表することによってみんなは安心してやってくれるわけで、その対策強化地域の人たちも、ああそうか、じゃおれたちは胸を張ってどんどんやっていけるな、こういうことになりますので、ぜひともその辺はこれからの仕事としてやっていただきたい。要望しておきたいと思います。  個々の問題でございますけれども、重点的なところだけ質問させていただきます。  先ほど私が予知さえできれば死者ゼロ、負傷者ゼロ、これは避難地、避難路というものがまず整備されていなければいけないわけですね。大体この避難地、避難路というのが、この十年間ずっとやってきたわけなんですけれども、非常に進捗率がよくない。避難地は六〇%程度、避難路は八〇%ということなんですね。この原因はいろいろあると思いますが、土地の値上がりが非常に大きいのだろうと思います。そういうような問題がある。ですから、これは引き続いてやらなければいけないということになっております。  この都市防災というものを考える場合、都市でも地域でもですけれども、これから全般的にこの防災を考える場合に、ただやるということはいいけれども、しかし、外部の条件、土地だとかこういうものの上昇というものについて、これが現状では御承知のようにだんだん地方においても値上がりをしてくるということになる。そうなると、本当に最初予定していたことができなくなってくるということがありますね。だから、こういうことについて、やはり国土庁防災についての指導の考え方を持っていかなければならぬと思うのでございます。その辺についてのお考えを聞きたいと思いますが、時間がありませんのでずっと質問を並べますので、順番にお答えいただければと思います。  それから、細かい話になりますけれども、津波を防ぐ堤防があるわけです。いろいろなところでやっております。東海地震は、特に津波が発生すると五分間ぐらいで津波が来てしまうということで、何メートルですか、すごい高い津波が来るということでありますけれども、いろいろなところに水門ができたりしております。こういう水門というものは、津波は防げるということで設計したでしょうけれども、大地震には耐えられる設計になっているかどうか、まだその評価がなされていないように感じております。今のは建設省ですね。  それから公立の小中学校、これは文部省だと思いますけれども、この整備はかなり進んだということでありますけれども、今後さらに改築が必要な部分もあろうと思います。それにまた、これからやらなければいけない補強事業計画の基本的な考え方というもの、これをお聞かせいただきたい。  それから、先ほどお話がありました社会福祉施設、公的医療機関の問題ですが、今後の耐震性強化というような問題、今後の改築の計画ということについて考え方を教えていただきたい。これは厚生省だと思います。それから肢体不自由児、身体障害者、それに伴うボランティア、こういう人たちに対しまして安全対策というものがきちっとなされているか。これは恐らく先ほどのお話にありましたが、不十分であろうと思います。寝たきり老人の対策とか介護を必要とする弱者に対する対策というもの、これもきちっとした体制ができているかどうか。ボランティアといいますか、地域では一生懸命考えてはおるけれども、なかなか十分には進まないというようなこともあるようでございます。この辺についての現状とそれから将来の計画、こういうことについて、厚生省だと思 います、お聞かせいただきたいと思います仁  以上、順番にお答えいただきたいと思います。
  43. 伊藤徹

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  避難地、避難路の整備の点でございますが、先生指摘のとおり、地震対策緊急整備事業計画の中で、実質の進捗率が避難地については約六二%、避難路については七五%と非常に進捗が悪い状況でございます。何分既成市街地の中で、特に避難地等につきましては大規模な土地を取得する必要があるということで、土地の値上がりだけではなく、市街地の環境にふさわしい代替地を必要とするとか等の問題がございまして、なかなか理解が得られず、こういう状況になっておるところでございますが、何といっても避難地、避難路の整備は、現在のいわゆる避難体系を前提とする対策の中では最も緊要なものでございます。そのため、関係地方公共団体に対して、地元との調整をなお一層進めるというようなことで、その円滑な整備が実現できるように一層の努力を重ねてまいるように指導しているところでございます。  なお、全体的な都市防災対策としては、私ども建設省都市局としては、昭和六十一年度に、避難地、避難路等を含みます都市防災施設計画的な整備のためのマスタープランとしての都市防災構造化対策事業計画というものの策定を関係公共団体に指導しているところでございまして、こういったものによりまして計画的な整備と、それから住民に対して事前にその計画内容を明らかにして進めていくという点によって、円滑な整備を確保していきたいというふうに考えております。
  44. 葛城幸一郎

    ○葛城説明員 御説明いたします。  海岸堤防、水門等の海岸保全施設の設計につきましては、海岸法第十四条に定めます「築造の基準」に基づきまして実施をしております。この際、地震に対しまして安全な構造のものでなければならないというふうにされてございます。では、実際具体的にどういう設計を行っているかということでございますが、海岸保全施設の耐震設計は、一般の土木構造物と同様に、地域地盤等の特性に応じて設計震度を定めまして、構造物の転倒、滑り並びに地盤の支持力、そういったものに対しまして安全なように設計を行っております。関東大震災、新潟地震等の既往最大級の大地震に対しても、施設自体に大きな被害が生じないように設計をしてございます。  以上でございます。
  45. 青山俊樹

    ○青山説明員 土木工事の設計基準についてお答えさせていただきます。  土木施設の設計は、その施設の目的、機能等に応じまして、地震等の外力を適切に考慮した技術基準に基づいて行っておりまして、今後ともこれらに基づき、安全で良質な公共施設整備に努めてまいりたい、かように考えております。
  46. 伊田和身

    ○伊田説明員 公立の小中学校の今後の改築、それから補強についての考え方でございますけれども、公立の小中学校の建物に係ります地震防災対策につきましては、大規模地震対策特別措置法の制定以来、同法に基づきまして関係市町村におきましてその推進が図られてきているところでございます。  文部省といたしましては、いわゆる財特法に基づきまして、危険な校舎の改築並びに校舎の補強につきまして、補助率のかさ上げ、つまり改築につきましては一般値は三分の一でございますが、これを二分の一とする、それから補強につきましては、二分の一ないしは財政力指数が低いところにつきましては三分の二にする等の措置によりまして、その推進を図っているところでございますけれども、先ほどお話がございましたように、ほぼ計画どおりの進捗状況でございます。ただ、まだ実質残事業とか追加事業がございますので、このたび地震財特法が五年延長されることとなりまして、現時点で関係市町村におきまして事業計画の変更申請の準備をしている次第でございますが、今後立案されます事業計画が可能な限り円滑に実施されますよう、私どもとしてはその促進を図ってまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  47. 横田吉男

    ○横田説明員 御説明申し上げます。  社会福祉施設の耐震性の強化については、これまで地震対策緊急整備事業計画に基づきまして推進してきたところでございますが、本年三月、地震対策特別措置法が平成七年まで延長されたことに伴いまして、現在この計画の見直しを行っているところでございます。私どもといたしましては、この見直しを踏まえまして、今後とも社会福祉施設の耐震性の強化に努めてまいりたいと考えております。  また、民間の老朽社会福祉施設の鉄筋づくりへの改築等につきましては、国庫補助等を優先して行うことによりまして、施設の耐震性の強化に努めてまいりたいと考えております。  公的医療機関につきましても同様に、緊急整備事業計画に基づきましてこれまで耐震性の強化に努めてきたところでございますが、今回、計画の見直しを行うこととしておりますので、これに基づきまして引き続き事業の推進に努めてまいりたいと考えております。  また、社会的に弱者でございます身体障害者、寝たきり老人などにつきましての安全対策についてでございますが、社会福祉施設に入所している場合におきましては、先ほど申しましたように、施設の鉄筋づくりへの改築等構造面からの強化を図っていくということと、非常用通報システムの整備を図っておりますが、そのほか施設の職員や入所者に対しまして、定期的に避難、救助訓練等を行うよう指導してきているところでございます。  それから在宅の身障者、寝たきり老人等の場合でございますが、これらの方々につきましては、毎年の総合防災訓練におきまして、高齢者、障害者に重点を置いて避難訓練等を行うよう努めてきているところでございますが、今後ともこうした点に注意しながら、安全対策につきまして努力してまいりたいと考えております。
  48. 松前仰

    ○松前委員 それぞれのお話を聞いたわけですけれども、委員会でこうやってやってもなかなか実態を把握することはできませんので、ぜひともこれは一度委員会で視察するとか、そういうようなことを考えていただきたい、そういうふうにお願いしておきたいと思います。  それで、国土庁は、この財特法五年延長ということになりまして、まとめ役の窓口ということになって、その推進について責任を持ってやってくださるわけでありますけれども、この計画を現状ではまだまとめていらっしゃらないと思いますが、いつごろまでにこの計画の全貌をきちんと取りまとめるかということについてお答えをいただきたいと思います。  それからまた、この財特法というのは五年間ということでありますけれども、普通のものとはちょっと違って、五年間平均にやるということでなく、これは災害対策ですから、なるべく前倒しにしていかなければいけないという原則があるわけです。地域の労働者の不足という点もあろうと思いますけれども、できるだけ前倒しにするよう地域から要望が出たら、これはその方向で努力していただくということを国土庁としては考えていただきたい、そのように思います。  それから、先ほど民間の寝たきり老人のところのお話もありましたけれども、民間の設備、建物、こういうものについて対策がほとんどなされていないという感じですね。というのは、これは指導はされているけれども、みんな民間の人はお金を持っていない。対策が十分にできないということが多いわけです。こういうものについて国土庁としてはどう考えていかなければいけないのか、どう考えるべきか、どう考えているかということですね。その辺について最後にお答えいただきたいと思います。
  49. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  先生の御質問、最初の寝たきり老人という問題がございましたが、厚生省、各省から連絡がございましたが、お聞きしますと、私は平素の訓練が大切じゃないか、こう思っております。静岡市から私が聞いた報告では、例えば地震予知ができれ ば死者ゼロにします、負傷者もゼロにします、それから火災も出しません、こんなふうに聞いているわけでございまして、いかに予知が大切であるかということを感じておるわけでございます。静岡などは五十三年に予知のができておるわけですが、大体年に最低二回から訓練しておりまして、かなり訓練が行き届いているということでございまして、できればそういう訓練をしながら、民間の人にも、特にこういうときはボランティア活動も必要だと思います。そんなことで被害がないようにいたしたい、こう思っておるわけでございます。  また、先ほどの財特法の延長でございますが、これは現在関係省庁と事前の調整を行っておりますが、大体五月いっぱいには具体的な内容が固まるようにいたしたいということでございます。現在、地震対策緊急整備事業の趣旨を踏まえまして、関係県の要望に十分耳を傾けながら、関係省庁と連絡をとりながら必要な事業の推進に努めたい、実はこのような考えでやっておるわけでございます。
  50. 松前仰

    ○松前委員 時間が参りましたのでもう終わりたいと思いますけれども、とにかく財特法五年延長ということで、これからまたさらに整備が始まるわけですが、地域から出てきた地域の声というものがやはり本物なんですから、官庁の皆さんもできるだけ言うことに耳を傾けていただいて、そして十分手当てをしていただけるように要望をいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  51. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 倉田栄喜君。
  52. 倉田栄喜

    ○倉田委員 倉田栄喜でございます。公明党・国民会議を代表して、質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、長官所信表明にも触れてありますけれども、全国の活動的な火山にかかわる防災体制についての具体的な対策及び今後の展望並びに問題点等について、大臣の御所見をお伺いできればと思います。
  53. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 倉田先生にお答えいたします。  活動火山対策特別措置法に基づきまして、対策としては、火山の爆発により著しい被害を受け、また受けるおそれがある地域について緊急に行うべき措置を講じておりまして、阿蘇山等五火山について鋭意実施している状況でございます。五火山は、もう先生御承知のとおりでございますが、桜島、阿蘇山、有珠山、大島それから十勝岳、この五火山に限られておりますが、そんなことで鋭意努力しておるところでございます。
  54. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そこで、今大臣から御答弁いただきましたけれども、私の方からは火山対策関連をして何点かお伺いをしたいと思っております。  まず、先ほど地震についての予知の問題がございましたけれども、火山についての予知の問題、既に御承知のことでありますが、現在阿蘇山が噴火をしておりまして、この火山活動による被害は大変なものであります。予知という点に関連して申し上げてみますと、阿蘇中岳の大噴火においては、四月二十日五十回目の噴火をしたわけでございますけれども、これは火口周辺の一キロ以内への立ち入りが規制されてから約三時間後に噴火をしておるわけでございます。ふだんは観光客の登る火口口の広場まで、人の頭の大きさぐらいの砕石、噴石等を含めて、相当多数の噴石、砕石が飛散をしております。三時間前に規制ができておりましたから何とか被害は出なかったわけでありますけれども、この規制が仮におくれておりましたら、五十四年九月六日の第一火口の噴火による観光客三人が死亡、十一人が重軽傷、そういう悲惨な状況を再現させるような可能性もあったわけでございます。  そこで、そういう危険な現状ということも踏まえて、火山爆発のための研究観測体制の整備、またあわせて降灰量の観測等々についてどのような対応がなされておるのか、お聞きをしたいと思います。
  55. 津村建四朗

    ○津村説明員 御説明申し上げます。  気象庁は現在、全国約七十の活火山のうち、活動的な十八の火山につきまして常時観測を実施しております。その他の火山につきましては、機動観測を行いまして火山活動の監視に当たっており、適時適切な火山情報の発表に努めているところでございます。現状ではまだ噴火予知技術は十分完成しておりませんので、こういう活動状況に応じて適切な火山情報を発表するというのが最善の努力かと考えております。
  56. 倉田栄喜

    ○倉田委員 予知という問題は非常に重要な問題でございますので、ぜひとも力を入れてお願いを申し上げたいとともに、また、これは非常に地味な分野のようにも思います。この点におけるいわゆる予知研究者といいますか若干人材対策といいますか、その辺のところについてはどのようにお考えでございましょうか。
  57. 津村建四朗

    ○津村説明員 現在、第四次噴火予知計画の趣旨に沿いまして、関係機関、大学が噴火予知技術の向上に努めているところでございますが、気象庁に関した部分で申しますと、気象庁は全国十八火山の常時観測実施官署及び本庁、管区気象台に火山専門の担当官を配置いたしまして火山の観測を行うとともに、気象研究所には研究官を配置いたしまして、火山噴火予知等の研究を行っております。近年には管区気象台に火山専門の担当官を動員するとともに、本庁においても伊豆大島の火山専門の担当官を動員するなど、専門家の確保に努めているところでございます。また、部内の研修内容を充実いたしまして職員の技術の向上を図り、専門家の育成にも努めているところでございます。
  58. 倉田栄喜

    ○倉田委員 火山対策は活動火山対策特別措置法に基づいておると思いますので、この火山対策特別措置法に関連してお伺いをさせていただきたいと思います。  御案内のように、この法律は、昭和四十八年に制定された活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律が昭和五十三年に改められまして、新たに降灰防除事業、それから降灰除去事業、防災事業、漁業経営施設整備事業、治山治水事業防災体制の整備等に関する規定が加えられたように理解をしております。  ところで、降灰除去事業については法第一条に規定があり、その中でまず活動火山対策特別措置法施行令第一条によりますと、幾ら灰が降ったかという基準の問題でございますが、「建設大臣が定めるところにより測定した量が一平方メートル当たり千グラム以上」こういう規定がございます。この規定についてお伺いをしたいわけであります。これは昭和五十三年に制定をされて、その後そのままになっておりますけれども、この「一平方メートル当たり千グラム」というのは大体どのような根拠で制定をされておるのか。それから、同時に施行令の第三条第二項では「多量の降灰」、こういうふうに規定をされておるわけでございます。勉強いたしましたところ、これは二千五百グラムという数字がどうも出てくるようでございます。制定当時どうしてこういう数字になったのかということについての根拠をあわせてお伺いしたいと思います。
  59. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  制定当時、十年以上前になるわけでございまして、詳細な資料というのは正直言いまして残っておりません。ただ、当時の状況、いろいろな計算書等の資料から推定をいたしますと、この特別措置法施行令制定当時、昭和五十三年七月でございますが、それまでの過去およそ三十年間の桜島火山の降灰の実績を調べまして、これの約二五%確率というような計算をやっている痕跡がございます。その結果が一平米当たり約千三十五グラムということでございまして、これを丸めて千グラム・パー・平米・一年というような計算をしたように推定されます。  それから、実施要綱の十に定めます二千五百グラム・パー・平米というものにつきましては、この三十年間のデータの中でいわゆる最大値といいますか、昭和五十二年に二千七百五十グラムというのがございますが、これは約三十年に一回である。これを一つの異常値というふうにとらえ、ま た、例えば自動車のスピードが降灰状況によって落ちるわけでございますが、例えば五十グラムくらいの降灰が一週間に一度くらいあると非常に交通に支障があるというような実績を調べまして、その結果、当該道路がその機能を十分に果たし得ないというような判断をいたしまして、これを道路交通に著しい支障を生じ、また生ずるおそれのある状況というふうにしたものであると推定しております。
  60. 倉田栄喜

    ○倉田委員 建設大臣が定めるところにより測定をするというふうに書いてあるわけですが、具体的な測定の方法、例えばいつからいつまで測定をするのかという点についてお伺いをしたいと思います。
  61. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  具体的にそれぞれの降灰防除といいますか降灰のそれぞれの指定されております市町村がございますが、そのある定点におきまして観測点を設けております。そこで一平方メートル当たりに積もったものをある一日とか一週間とかとっておきまして、その間に降った量の重さを実際にはかりまして、その結果を一応市町村からは県知事に対して翌月の十日までに報告をする、その後速やかに建設大臣に対して報告をするというようなシステムでやっております。
  62. 倉田栄喜

    ○倉田委員 済みません。もう一度お伺いいたしますけれども、期間は一月から十二月までの間ということでございますか。
  63. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 そのようになっております。暦年でやっております。
  64. 倉田栄喜

    ○倉田委員 例えば阿蘇山の場合を例にとって考えますと、昨年の七月に噴火をして現在に至るまで続いておるわけでございます。一月から十二月までとした場合、例えば翌年にかけて起こったような場合の問題がある。今、桜島を一つの例として規定したということでございますけれども、昭和五十三年の規定でございます。制定当初の状況から比べると、いわゆる道路等々いろいろな整備状況は比べものにならないだろうと思いますが、そのことも含めて降灰量自体について見直しをする必要があるのかどうか、この点について気象庁としてはどのようにお考えでございましょうか。
  65. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  前段のところでございますが、暦年で切っているというのは、補助の事務の都合上というふうに御理解をいただいてよろしいかと思います。これは災害復旧事業の中で流用するというような予算措置をしておりまして、災害復旧事業は暦年で起こったものに対して補助をする。その都度その都度金額を定めてということではなくて、あくまでも精算的に補助をするという形になっておりますので、そういう仕組みになっております。  それから、基準の見直しにつきましては、現在の桜島、阿蘇山、こういったところでの適用状況等を勘案いたしますと、一応現在妥当なものというふうに考えております。しかしながら、この降灰除去事業が今後どのようになっていくか、その辺の実情を十分調査しながら、必要に応じて対処してまいりたいというふうに考えております。
  66. 倉田栄喜

    ○倉田委員 また阿蘇山を例にしてお伺いをしたいと思いますけれども、現在阿蘇山周辺の市町村で降灰除去事業が適用されてない市町村はございますでしょうか。
  67. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 現在八町村がこの指定になっております。阿蘇町、一の宮町、高森町、それから波野村、産山村、白水村、長陽村、久木野村、こういうことで現在指定されております。
  68. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今のは除去事業の方でございますね。  あわせて降灰防除事業についてお聞きをしたいと思います。同じような質問でございますが、この防除事業については現在適用されてない地域はございますでしょうか。
  69. 市川一朗

    市川政府委員 お答え申し上げます。  活動火山対策特別措置法によりまして降灰防除地域を指定してございますのは、現在のところ桜島と阿蘇山でございまして、その指定されている地域は先ほど阿蘇山につきまして建設省の方から御答弁があったところでございます。五十五年三月に指定してございます。したがいまして、私どもの理解といたしましては、指定すべきところは指定しておる、そういうふうに理解しておるわけでございます。
  70. 倉田栄喜

    ○倉田委員 防除事業というのは、防除事業の指定ということで理解してよろしいわけですか、そういうことで。
  71. 市川一朗

    市川政府委員 ただいまのお尋ねは、防除地域として指定しているところを先ほど申し上げましたが、地域指定をしてないところで降灰の除去事業をやっているところがあるのではないかという御質問でございましょうか、大変申しわけございませんが。
  72. 倉田栄喜

    ○倉田委員 この周辺地域で除去事業と防除事業、二つあるわけでございますけれども、この指定を受けてない、あるいはまだ適用になっていない地域というのがございますか、こういう質問でございます。
  73. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 ちょっとお答えになるかどうかわかりませんが、先ほど申し上げましたのは、活動火山対策特別措置法十二条第一項の規定に基づく降灰防除地域ということで指定されておりますので、これがすなわち防除事業に対する地域指定というふうに御理解いただければよろしいと思います。
  74. 倉田栄喜

    ○倉田委員 わかりました。降灰除去事業ということに関してのお答えというふうに受け取ります。  そうすると、昭和五十五年三月二十一日に指定をされておる、こういうことでございますね。そうしますと、その中でたしか蘇陽町というのは指定をされておらない、こういうふうに思います。本年一月に参議院の方で現地視察にたしか見えられたと思いますけれども、このときの資料記録によりますと、蘇陽町の方にも八百八十七グラムぐらいの降灰量がある。これは高森、久木野、白水の近辺でございますが、町界を境にするような場合について、そういう指定されるところと指定されないところが出てくる。不公平と言っていいのかどうか、行政の必要性の問題もございましょうからわかりませんけれども、こういう点はどのようにお考えになられますでしょうか。
  75. 市川一朗

    市川政府委員 十分なお答えになるかどうかわかりませんが、先ほど来お話が出ておりますように、活動火山対策特別措置法におきまして、火山の爆発に伴う降灰によりまして住民の日常生活に著しい支障を生ずる、または生ずるおそれがある地域で、その当該支障を防止し、または軽減するための施設等を整備する必要がある地域といったものにつきまして、内閣総理大臣降灰防除地域として指定することができることになっておりまして、先ほど御答弁申し上げましたように、阿蘇山につきましても桜島につきましても関係市町村が指定されているわけでございますが、今お話に出ました蘇陽町の降灰状況につきましては現在のところ詳しい報告を実は受けてないわけでございまして、地元県等に問い合わせたところでも、必ずしも正確な把握、特に今回の四月二十日の状況等よくわかってないといいますか、十分把握されてない部分もあるようでございますので、私どもといたしましては関係機関と密接な連携をとりながら、今後こういった問題についてどういうふうに対応したらいいかということを検討しつつ、適切に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  76. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その周辺町村の境の問題等も含めて、また降灰量の基準について、現在の段階でもなお適切なのかどうかということを含めて、ぜひ御検討を願えればと思っております。  そこで、続きまして降灰の除去事業についてお伺いをしたいと思いますが、現在阿蘇が活動しておりますけれども、この除去事業についてはどのような事業が現在なされておりますでしょうか。これは建設省の担当でございましょうか。
  77. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  まず一つは、市町村が道路それから公園とか宅地とか、そういったようなところにたまった灰を 取り除く、その事業に対する補助をやっております。それから、機械関係でロードスイーパーとかそういったものの貸し出しまたは補助、そういったものをやっております。
  78. 倉田栄喜

    ○倉田委員 活動火山対策特別措置法によりますと、十条から十六条に関して施設整備事業というのを規定をしてございます。  この施設整備事業に関連して厚生省にお伺いをしたいと思いますが、阿蘇管内における福祉施設から、例えばソーラー設備が機能していない等、また暖房費等々が高くなる、そういう陳情が寄せられておりますけれども、こういう問題に対してどのように対応されておられますでしょうか。
  79. 横田吉男

    ○横田説明員 御説明申し上げます。  阿蘇山に係ります降灰防除地域には、社会福祉施設、これは保育所が三十ヵ所、老人福祉施設が四ヵ所、その他の社会福祉施設が五ヵ所、計三十九ヵ所ございます。これらの地域におきます施設降灰防除設備につきましては、例えば換気設備でございますとか窓枠でございますとか、そういったものの整備費につきましては特別の補助を行っているところでございます。  先生が今御質問ございました光熱費等について特別の基準等があるかということでございますが、施設の運営費につきましては、全国的な一定の基準に基づきまして、施設運営に必要な人件費、それから事務費、事業費、これらを含めましてまとめて施設に補助することにいたしております。地域によりまして暑いところ寒いところ、さまざまあるわけでございますが、通常はそれらの地域に、これらのいわゆる我々措置費と呼んでおりますけれども、弾力的に使用いたしまして対応していただいているところでございます。今回の光熱費等につきましても、施設におきますいろいろな工夫によりまして、一応対応していただけるものではないかと考えております。私どもといたしましても、この運営費の補助につきましては、今後とも改善に努めてまいりたいと考えております。
  80. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これらの方々は社会的には困難な状況下に置かれている方々ですので、ぜひとも制度の運用については弾力的に運用を図っていただきたい、こういうふうに思います。  あわせて施設等に関連いたしまして、学校等に降灰等が相当降り続きましてプール等が使えない、こういう問題が現実にあるわけでございますけれども、こういう学校の屋内プール等に対する補助等々についてはどのようになっておるのでしょうか。
  81. 下宮進

    ○下宮説明員 お答えいたします。  学校のプールにつきましては、文部省で一定の補助をいたしております。阿蘇山に係ります降灰防除地域の小中学校では、現在のところ屋内プールの設置はございません。しかしながら、過去に降灰が激しかった時期、五十五年、五十六年にかけまして、阿蘇山地域ではプールにプールクリーナーを設置いたしまして降灰の除去を行い、プール使用にこたえていたということでございます。
  82. 倉田栄喜

    ○倉田委員 続いて、今回は火山ガスが実は問題になりまして、観光客の中では、この火山ガスの関係がどうか明らかではありませんけれども、三人ぐらいお倒れになって、そのうち一人が死亡されております。そこでお伺いいたしますけれども、火山ガスあるいは降灰、これらのものの人体に対する影響、こういうことに関してはどのような調査研究がなされておりますでしょうか。
  83. 松澤秀郎

    ○松澤説明員 御説明いたします。  桜島火山の周辺におきます火山灰等の人体に及ぼす影響につきましては、昭和五十年代より十年余にわたって調査を行っております。この調査の一環といたしまして、周辺住民の健康診断を実施しております。これらの調査の結果を見ますと、現時点におきましては、降灰、ガス等と直接因果関係があるとされているような特異的な疾病を認めてはおらないところでございます。
  84. 倉田栄喜

    ○倉田委員 阿蘇の方において現在健康診断等々を実施してみる、こういう計画はございますでしょうか。
  85. 松澤秀郎

    ○松澤説明員 御承知のとおり、阿蘇火山の周辺におきます火山灰等の人体に及ぼす影響につきましては、現在のところ国としては健康診断を実施しておりません。この問題につきましては、今後どうするかにつきましては、阿蘇火山の活動状況等を注意深く見守りながら、地元と調整しながら検討してまいりたいと考えております。
  86. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大分時間もなくなってまいりましたので、多少はしょって質問をさせていただきますが、先ほど松岡委員の方から農災害被害についての御質問がありました。地元の農家の方々にとっては非常に緊急、重大な問題であろうと思いますので、ぜひとも適切な対応策お願いをしておきたいと思いますけれども、その中で、いわゆる農業共済制度について、共済資金の支払いは露地栽培については現在のところ適用されておらず、調査検討中である、こういうお答えがありました。  そこでお伺いをしておきたいと思いますけれども、いわゆる阿蘇地方の露地農家の方々は実は大変な規模でやっておられます。いろいろな問題はあろうかと思いますけれども、共済制度の中に入れるのかどうかということも一つの関心事であろうと思いますので、はっきりとした御答弁お願いできればと思います。これは共済制度の対象になり得るかどうか、見通しとしてはいかがなものでございましょう。もしその見通しの内容次第で難しいということであれば、ほかにどのような救済手段というものがあり得るのか、あわせてお伺いできればと思っております。
  87. 長良恭行

    ○長良政府委員 農林関係被害を受けられた方々に対する対策といたしましては、金融制度と農業共済制度等があるわけでございますが、金融制度につきましては営農資金等の制度資金がございます。共済制度でございますが、阿蘇被害につきましては、桑園でございますとかビニールハウスは制度の対象になっておりますので、早期に共済金の支払いを行ったわけですが、今お話ございましたように、露地野菜につきましては、現在まだ制度の対象となっていないということでございます。  私ども内部で調査なり検討をしてまいったわけでございますが、露地野菜は天候によりまして生産が変動して、価格も非常に変動する。天候不順なときには値段が高騰しやすい。したがいまして、価格が高騰した場合に、平年以上の収入があるのに共済金が支払われるような事態が起こったり、あるいは価格が低下時には、共済金を受けた農家の方が災害を受けなかった農家より収入が多くなったりというようなアンバランスが予想されますので、私どもなお引き続き検討しなければいけないということでございます。保険設計を仕組む上で、これは全国的な農家が掛金を掛けまして、それを相互に危険分散する、こういう制度でございますので、農家の方々の保険需要がどのくらいあるか、こういうことも見きわめなければいかぬわけでございますし、技術的に、作期が長いものですから、災害が起こりましてもすぐ植えてまた収穫ができるというような問題がございまして、こういう問題がどういうふうに解決されるかということを私どもなお引き続き検討していかなければいけないというふうに思っております。
  88. 倉田栄喜

    ○倉田委員 端的にお答えを願いたいと思うわけですけれども、現在の段階で保険対象の可能性ありや否やという観点で考えるならば、これはいかがなものでございましょうか。なり得るのでしょうか。
  89. 長良恭行

    ○長良政府委員 農業共済制度につきましては、これまでいろいろな作物が対象になってきておるわけでございますが、いずれにしましても、保険設計として仕組む上には、過去の被害率のデータでございますとかどういう仕組みがいいかあるいは実態調査等もございますので、これまで果樹共済でございますとか畑作物の共済とか新しい制度を仕組む場合にはかなりの時間がかかるというのが実態でございます。そういうことで、私どもなお難しい問題がいろいろあるわけでございますが、いろいろ調査なり検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  90. 倉田栄喜

    ○倉田委員 どうもよくわからないわけでありますけれども、要するにまだ調査検討のための時間がかかる、こういうふうに理解をしたわけです。ということは、すぐには実施できないし、また実施できるかどうかもあわせて未定、こういうことでございましょうか。
  91. 長良恭行

    ○長良政府委員 露地野菜につきましては、先ほども申し上げましたようなほかの作物と違う特徴がございますので、制度の仕組み方なりについてかなり慎重な検討を要すということで、今すぐにとか、あるいは近いうちにというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えておりますが、なお検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  92. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ぜひともそういう方々の救済手段になり得るように御検討お願いしたいと思いますけれども、それでは、そういう制度が実施されるかどうか、期間があるというわけでございますので、その間、現実にこういう露地野菜農家の方々が非常にお困りになっておられる現状があるとすれば、こういう方々に対してはどういうふうな救済措置というのを今考えておられるわけでございましょうか。
  93. 長良恭行

    ○長良政府委員 災害を受けられた農家の方々の経営を維持安定させるためには、私ども農林漁業金融公庫の自作農維持資金というのがございまして、低利の長期資金を用意してございますので、これによりまして、そういう農家の方々の経営が維持継続できるように配慮してまいりたいというふうに考えております。
  94. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ぜひとも適切な措置お願い申し上げたいと思います。  続いて、火山対策降灰対策一つとして、防災営農施設整備計画というのが先ほどお答えになっておられましたけれども、この具体的な中身というのは現在どのようなことがなされておるわけでございましょうか。
  95. 窪田武

    窪田(武)説明員 阿蘇山降灰に対する防災営農対策につきまして、先ほども申し上げましたように、既に二次にわたり実施しておりますが、現在のところは当事業は実施しておりません。ただ、昨年来の活発化した阿蘇山降灰による被害を踏まえまして、熊本県が中心となりまして、新しい防災営農施設整備計画を作成するための作業を行っている段階であるというふうに聞いております。
  96. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いわゆる土壌改良という点については、どのような取り組みあるいは対策がございましょうか。
  97. 窪田武

    窪田(武)説明員 実際の活動火山周辺対策、営農対策事業のメニューの中身といたしまして、先生指摘降灰地域における土壌等矯正事業というのがございます。その事業につきましては、一つは、降灰による農地の酸性を矯正するために、施用を必要とする石灰質の資材の購入を行う事業でございます。もう一つは、酸性の矯正のみでは農作物の生育阻害を防止し得ないと認められる農地につきましては、施用を必要とするような有機質資材の共同購入を行う事業もメニューとして入っているところでございます。
  98. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その点もあわせて、ぜひとも適切な対策お願い申し上げておきたいと思います。  最後に、もう時間がございませんので申し上げておきたいと思います。農作物の被害については、先ほど松岡委員からの御質問がありました。これは四月二十日の爆発等々の分についてはまだ含まれていない数字であると思いますし、降灰の継続性という観点から考えますと、まだまだ被害額はふえる、そういうふうに思います。こういう点をぜひとも御考慮いただきまして、農家の方々が困らないような適切な対応策お願い申し上げたい、そういうふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  99. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 藤田スミ君。
  100. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まず最初に、大臣の所信の中の問題で一点だけお伺いをしておきたいと思います。  ことしから国際防災の十年が始まっておりますが、大臣所信表明防災先進国、先ほどからも何度もその言葉が大臣のお口から出ておりますが、防災先進国として日本がその役割を果たすのだ、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。しかし私は、災害の方は確かに日本は先進国で、災害のデパートだと言う人がおりましたけれども、にもかかわらず、この災害に追いついていくという意味では、決して先進国とは言えないというふうに思うわけであります。  何しろ我が国は台風の常襲地帯であり、そして山国で急斜面が多く、地震のエネルギーと活火山の数では世界の一割を引き受けているというような国であります。このことは防災白書でも言われているわけですが、その白書を見ますと、大河川の戦後最大洪水に対する防御区域は五八%、それからさっきも出ましたが、中小河川は時間雨量五十ミリに対する浸水対策は二九%しかとられておりません。そしてまた、土石流の危険箇所七万カ所のうち整備率はわずか一七%、また地すべりで危険箇所の整備率も一七%、急傾斜地崩壊危険箇所は六万カ所のうち整備率は一八%、大変お寒い状況だ。自分のところに来ないように祈るだけしかないというような状態じゃないかと思うのです。  私はこの委員会にずっと以前から所属しておりますので、その立場上、地震の危険地域地震計がない測候所を見たり、あるいはまた火を噴いている十勝岳の足元で赤外線カメラもない、そういう観測所の実態も見てまいりました。もちろんここの赤外線カメラの方は予算をいただいたわけですが。加えて大臣は、南関東直下の対策で、避難地、避難路の整備を真っ先に挙げていらっしゃるわけです。私もそのことはもう大賛成ですが、この地価高騰で避難地、避難路の整備が一体どう進んでいくのかと考えますと、これは東海地域の緊急整備でも結局ここが一番おくれているということでも明らかなように、非常に難しい。だから逃げ場がないわけです。ところが、安全抜きに、地価高騰と土地の高度利用の追っかけっこに振り回されているというのが現状じゃないかと考えるわけです。だから、私は防災途上国だというふうに言わざるを得ません。そして、この災害の危険に懸命に立ち向かうことこそ今の日本の国際的な貢献だ、私はかねてからそのことを当委員会でも、国際防災の十年を迎えるに当たってそこがとても大事なところだというふうに強調してきたわけですが、もう一度大臣のお考えをお聞かせください。
  101. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 藤田先生にお答えいたします。  我が国は、先生御存じのように、近年防災体制の整備等によりまして、災害による被害は減少傾向にあると思います。そんなことで、今一番大きな問題は、東海地震等の大規模地震の発生が懸念されますとともに、土地利用の変化による災害、これを大変心配しているわけでございます。先生は地価の高騰の話をされましたけれども、たしかことしの一月の国土庁の地価公示におきましても、全国で一七%アップ、各地で四〇から五〇%も上がりました。そんなことでございまして、何とか地価を安定化にやりたいというようなことで土地基本法を昨年つくりましたし、また土地対策関係閣僚会議を開きまして、十項目で宅地供給を含めて土地対策をやっておるということでございます。  そんなことでございまして、とりあえずは監視区域の強化、より的確な運用ということで地価の安定に努める、そういう形の中に国公有地とか低・未利用地をうまく活用しながら避難地等をつくりたい、このような考えで今進めているわけでございまして、関係各省と協力しながらそういう点につきましては十分対応したい、このように考えているわけでございます。
  102. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 防災先進国だとおっしゃったことに対して、私は防災途上国だと申し上げたことについて直接の御答弁をいただいていないと思いますが、この問題は一つ一つ具体的に議論をしていかないと抽象論に終わりますので、私はその点だけ指摘をして、次の問題に移りたいと思うの です。  今、土地利用の変化という大臣のお言葉がございましたけれども、災害を防ぐことと同時に、まさに土地利用の変化、乱開発や安全対策の手抜きから災害を起こすことがないようにしていくということは、大変重要な事柄であるというふうに考えます。  そこで、まず最初に、東葉高速線の習志野台トンネル工事における凝固剤の手抜き問題についてお伺いをしたいわけであります。  凝固剤というのは、砂地盤などで掘削に際して作業の安全を確保するために、そして地上の住民の安全を守るため、地盤を一定の強度まで固める役割を持ち、トンネルの工事において極めて重要な位置を占めています。これまでは凝固剤を設計量より減らすことによって莫大なお金を浮かす、こういう不正、利権問題として社会問題になっていたわけですが、これが事故という結果に出たことは大変重要な問題だというふうに考えるわけです。去る一月二十二日、JR発注の新幹線御徒町トンネル工事で、道路陥没事故が発生しました。これも凝固剤不足が原因の一つとされ、計画的な手抜き工事があったことが暴露されています。そして今回の鉄建公団の習志野台トンネル工事の問題であります。  実は、私は一昨日この現場に行ってまいりました。きょう鉄建公団から藤井理事にお見えいただいていると思いますが、大変お世話になりました。私の調査によりますと、公団は既に三月末に、地盤沈下が少し多い、それから掘削面がせり出していると内部告発があって、現地の所長が直接手抜きの事実を聞かされたというようなことから、御徒町の直後でもあり、作業をとめて試験ボーリングを始めた、こういう経過だと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 藤井浩

    藤井参考人 お答えいたします。  先生今御指摘のとおりでございまして、御徒町の事故以来、私ども薬液注入の事故につきまして、施工管理をさらに厳重にチェックしてまいったわけでございます。それで、私どもの方でチャート等を検討しておりましたら、一部不自然なところがあるというようなこともございまして、いろいろと検討しました結果、事故を未然に防ぐために、トンネル工事の掘削を三月二十七日に中断いたしたわけでございます。それ以来、チェックボーリング等を行いまして現段階に至っているわけでございます。
  104. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 二十八本のチェックボーリングの地点と結果は鉄建公団からいただいております。設計どおり注入されたと見られるコアが六三%、あとは強度不足で、うち八・七%は全く注入されていないと見られる、こういう結果でございますね。
  105. 藤井浩

    藤井参考人 私どもがチェックボーリングを行いました本数は二十八本でございまして、二十八本のボーリングから百三個のサンプルを採取いたしました。そのサンプルにつきまして公的機関で圧縮強度の試験を行いました結果、注入によりまして私ども地盤改良目標としております強さが一平方センチメーター当たり〇・七キログラムでございますが、その供試体で強度を上回ったものが六十五個ありまして、先生指摘のとおり六三%でございました。それから、この地域地盤につきましては、薬液を注入する以前の強さが一平方センチ当たり〇・三キログラム程度の地山の強度を持っておりますので、薬液注入を行いましても〇・三キロにいかないものにつきましては、ほとんど注入がなされていなかったと判断しております。その供試体の数が九個、八・七%でございます。
  106. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 公団は、注入後掘削前に強度を調べる抜き取り検査をすることになっておりますね。そのときは合格していた、こういうことでございますね。
  107. 藤井浩

    藤井参考人 この該当地域につきましては、トンネルの外から注入を行いました。そうして、私どもはそのときに注入剤の浸透効果を確かめるために、三ヵ所ほどチェックボーリングを行うということで、位置を明示したわけでございます。この位置を明示しました目的は、注入剤の注入の効果は、チャートとか現場の写真、持ち込み材料等によって判断できると考えましたので、チェックボーリングによりまして手抜きの有無を調べようという意図ではなかったわけでございます。今回の事態を招きましたことは、請負工事契約の基本である信義と誠実の原則にもとっていると考えております。今後さらに未掘削区間につきましてチェックボーリングを行うわけでございますが、それにつきましては抜き取り検査という方法で実施したい、そのように考えております。
  108. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私が調査に参りましたときに、習志野台の場合は、チェックボーリング箇所があらかじめ元請の熊谷組に伝えられていたというのです。私はあえてどなたがおっしゃったかということをここで申し上げませんが、非常に印象的であったのは、そのとき、大体試験の前に問題を教えてやるというのですか、この場合は場所を教えてやるのでは試験にならない、抜き打ちが原則なんだが、遺憾ながらある事情で明らかにされていた、こういうお話だったと思いますが、もう一度御説明ください。
  109. 藤井浩

    藤井参考人 注入の事実をチェックするためだけですと、先生のおっしゃいましたとおり抜き取り検査をするのが普通でございます。したがいまして、今後未掘削の部分につきましては、注入位置、もう既に注入を完了いたしておりますので、監督員の指示によって抜き取りボーリングチェックを行う予定でございます。先生の御指摘のとおり、今回の場合については、薬液注入の浸透効果を確かめるためにあらかじめ位置を明示したわけでございますが、先生ただいまおっしゃったような印象があるわけでございますので、今後抜き取りボーリングで位置を明示しない方法で作業を進めていきたい、かように考えております。
  110. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 何か浸透効果そのものを見るためなら、前もって言っておいてもいいんだみたいな言い方は大変心外ですよ。チェックボーリングというのは、そのものずばり浸透効果も調査をするということですからね。もう少し率直におっしゃった方がいいのじゃないかというふうに思うのです。私が言ったのじゃないのです。わざわざそういうふうにおっしゃったのです、試験の前に問題を出すような試験はいかぬと。だから、これからは抜き打ち原則ということであらねばならない。残念ながらこれまではそういうふうにしていなかったんだということをおっしゃったわけです。  あわせて、昨年の今ごろ、チャート、つまり注入の記録紙、公団が四六時中工事に立ち会えないかわりにチャート、記録紙を点検するわけですね。そのチャートというのも見せていただきました。このときも、私は素人目に見ても、こっちとこっち、右と左と比べて、これはおかしいですね、でき過ぎのチャートは怪しい、つまり偽造ですね、そういうこともお聞きしたのですが、専門家ならこんなものはチェックをすればすぐにわかるのだというふうにも感じました。そして、あわせて今後の改善策としてそこでおっしゃったことは、チャートに通し番号をつけていきたい、まとめて受け取っていたチャートを今度は即日提出させるようにしたい、現場の確認を判こだけでなくサインにするんだというような検討もお伺いいたしました。公団のチェックは今後そういうふうに改善されるのでしょうか。
  111. 藤井浩

    藤井参考人 お答えいたします。  現地で先生の方に、注入の自動記録でございますチャートの方をお見せいたしました。それで、私ども公団の方は、注入の管理につきましては、請負業者から提出されますチャート紙、それから機械についております流量計、材料の使用量の照合等、並びに施工しましたときの写真等をもって行ってきたわけでございます。しかし、今回このような事態が発生しておりまして、四月十七日に運輸省の方からさらに十分な対策を講じるようにとの御指示もいただいておりますので、注入の管理をさらに強化したいと考えております。先生が おっしゃいましたサインをする、また一連番号をつける、そういうようなものも常に実施しておりますが、それもその注入管理の一環として御理解いただきたい、かように考えます。
  112. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 実施をされたのは極めて最近のことであって、逐一これから報告されるという言葉の裏返しを考えても、これは今まで相当ためて報告を受けていたというふうに考えますし、それから通し番号を打つんだということも、ひっくり返せば、どんなものでも提出すればオーケー、オーケー、こういうふうになっていた。なっていたから結局こういうことを特に強調して、チャートは一番ポイントですからね、検査のポイントになりますから、写真とかなんとかいっても、そんなにしょっちゅう毎日横でカメラを構えて写すことできませんし、やはり重要な一番の大もとになるポイントのところを強調されているわけであります。  こういうふうに考えますと、結局私は公団の態度というのは、事実上発注しながら、そういう検査、監督という点では何もしなかったと言ったら少し感情的になるかと思いますが、しかし、それにしても相当の怠慢があったというふうに言わざるを得ないわけです。だから、何でこういうことが起こったんだということは、相当なメスを入れて検討していただかなければならないと思いますが、もう一度御答弁ください。
  113. 藤井浩

    藤井参考人 建設公団の行っております施工管理の体制、検査のやり方につきまして先生から御指摘があったわけでございます。私どもとしましては、やはり注入を証明するものは注入のチャートでございますので、チャート紙、流量計、材料の使用の照合等で厳格に行ってきたわけでございますが、かかる事態を招きましたので、運輸省の御指導もありまして、さらに十分な対策を講じまして、不信感を抱かないような管理をいたしたい、かように考えております。
  114. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 建設省にお伺いをいたします。  凝固剤をめぐる不正は、つかみ切れないとか、土の中でわかりにくいんだとか、つかみどころがないんだとか、こういうようなことが今まで言われてきましたし、私も実は現場を見るまでは、まあそういうことかなというふうに考えないでもありませんでした。しかし、私は今回の調査で、国や公団がごく当たり前のことを日々やっていれば起きない事件だったというふうに考えるわけであります。建設省は、手抜き防止へ研究会をつくられるそうですが、一番確実なのは、やはり建設省としてあるいは監督官庁としてもっと立ち会いを強化すること、あるいはチャートを国なり、災害となれば直接関係する地元自治体まで提出させること、抜き取り検査を直接行う、あるいは試験問題を教えてやるというようななれ合いではなく本当の実力テストをやる、そして再発防止を図ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  115. 青山俊樹

    ○青山説明員 お答えいたします。  建設省におきましては、薬液注入工事を実施する場合、市街地土木工事公衆災害防止対策要綱、これによりますほか、薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針、これは土質調査、地下埋設物調査等の方法、設計、施工に当たっての注意事項等を定めているものでございますが、この二つの通達に基づきまして請負者に対して設計、施工方途を選定させるとともに、これらの遵守を徹底しておるところでございます。  また、今回の事件を受けまして、薬液注入工事における手抜き防止の観点から、工事中の施工管理手法について検討させるために、関係団体に対しまして検討会の設置を指示したところでございます。この検討会では、注入管理手法の改善策及び注入効果確認手法等を検討することといたしております。  また、先ほど先生指摘の手抜きの防止をするために実力テストをやったらどうかということでございますが、私ども建設省直轄事業におきましては、会計法、予決令等によりまして「契約の適正な履行を確保するため必要な監督をしなければならない。」とされておりまして、このため建設省におきましては、国の判断、確認等を必要とする事項につきましては、必要とする国の職員みずからが重点的に実施し、その他補助的業務については、必要に応じ外部委託等を図るなど種々の工夫を凝らして、より的確な監督が行われるように努めているところでございます。  以上でございます。
  116. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その的確な管理が行われるようにと言いながら、次々とこういう凝固剤の問題が起こっているわけです。安全チェックというのは取引関係の仲間内だけでは不十分だ。災害は第三者が受けるわけです。労働者も受けます。したがって、凝固剤問題は公団任せあるいは元請任せ、下請任せ、業界任せということではなしに、行政が責任を持って手抜きが起こらないように解決をするべきだということを私は最後にもう一度申し上げておきたいと思います。  次に、ゴルフ場の開発災害の問題についてお尋ねをいたします。  現在、第三次ゴルフ場ブームと言われる開発ラッシュが続いております。それが農業汚染問題とか国民共有の自然環境を破壊していく問題だとかいうことで、大きな社会問題になっています。その中で、これまでも開発が引き金となって災害が発生する事例が幾つも出ているわけですが、いよいよ開発ラッシュによってこれが増大しないかということも住民の中の大きな不安になっているわけであります。  これは一月前の新聞ですが、ここでも全国で今現在ゴルフ場、既設のが千七百六、造成中が三百二十五、今後計画があるのが千、だから三千以上ですね。大臣、物すごい面積なんですね。日本国土の〇・八%、東京都に匹敵する広さになるというのです。それだけのものがゴルフ場として使われるというのです。ゴルフ場災害でちょっと新聞記事を拾ってみましても、造成中の事故の多発というのはまた多くて、栃木で八九年の九月、さらに十月もう一件起こって、こっちの方は一名死亡しております。八八年八月に日立、八六年八月に町田市、この町田市は作業員が三名死亡しております。そういう災害はこれからますます考えられるわけです。それから、ゴルフ場と関係した災害という点では、九〇年一月の多摩市、八九年九月の愛知、岐阜の豪雨で、これは二人死亡、一人行方不明と報ぜられております。八九年七月には山梨などで、こういうふうな例がずっと続いているわけですね。  きょうは科学技術庁にお越しをいただいておりますが、八一年の台風十五号による長野県須坂市の土石流災害調査報告を防災センターでお出しになっています。この中で、ゴルフ場の開発による集水条件変化によって多量の水を供給し、崩壊発生、土石流化にかかわりを持ったと見られておりますけれども、確認をしてください。
  117. 竹内章悟

    ○竹内説明員 お答え申し上げます。  御指摘調査につきましては、防災科学技術に関する資料の収集、整理の一環といたしまして、昭和五十六年九月に実施したものでございますが、その報告書の中におきまして、先生指摘のようなことが推定される、そういう記述があると承知してございます。
  118. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、ここに八二年二月に出された「いわき市水害白書」というのを持っております。わざわざ水害白書というのをつくるくらいですから、水害の常襲地帯で、たくさんの被害記録がこの中に載っているわけです。これを見ますと、大規模住宅団地やゴルフ場の造成によって「雨水の保水機能や表面抵抗が減少し、下流低平地に対する雨水流下時間の短縮、流出量の増大を招き、加えて排水不良地帯である低平地へ鉄砲水となって流れ出して来ています。」こういうふうに書いております。ゴルフ場の開発前後の流出機構の変化がイラストでずっと示されているわけですが、ここでは七一年から五年間に行われた大規模開発の八〇%がゴルフ場でありました。こういう指摘がありながら、一方で今のゴルフ場ブームで、このいわき市でも既存の三倍のゴルフ場を造成中ないしは申請中というのですから、これはまことに 大変なことであります。  そこで、国土庁にお伺いをいたしますが、被害の実態を踏まえたこうした自治体の認識あるいは住民の声をよくつかんで、政府としてもゴルフ場の開発による災害は重要な問題であるということで、しっかり現状をとらえて、規制の強化あるいは防災対策にもっと本腰を据えた万全の対策を期すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  119. 市川一朗

    市川政府委員 ゴルフ場を含めましていわゆる開発行為が行われる際には、土砂災害等に対する防災上の配慮が十分必要ではないかというふうに私ども認識しておるわけでございます。開発行為を行う際に、そういった災害が生じないように、それぞれの開発行為者の段階できちっとした対応がとられるよういろいろな対策が講じられておるわけでございますが、特に土砂災害につきまして、一昨年、政府といたしましては中央防災会議で土砂災害対策推進要綱というものを定めまして、国と都道府県段階におきまして土砂災害の防止に積極的に取り組んでおるところでございます。今後ともこういった方向できちっとした対応をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  120. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 昨年の夏、千葉県茂原市で集中豪雨による災害がありました。私はここに写真を持ってまいりました。その災害のさまをぜひ大臣に見ていただきたいと、住民の方から預かってまいりました。地図も載せておりますが、この集中豪雨による被害というのは、住民の皆さんはゴルフ場も原因しているんだということをしきりに言っていらっしゃるわけです。だから、私は現地に行っていろいろ見てきたわけです。この集中豪雨の災害で、茂原市の真ん中を流れております一宮川という川のはんらんの後、激特事業ということで、五十億円をかけて下流に調整池をつくるというふうに言われているわけですが、こういうふうに一方で乱開発を野放しにしながら、果たして五十億かけてその調整池を実現することができるのか、今そういう点では住民の協力を求めてもなかなか理解が得られないということで、関係者は大変苦悩していらっしゃるわけです。建設省、どういうふうに受けとめられますか。
  121. 矢野洋一郎

    矢野説明員 お答え申し上げます。  昨年七月三十一日から八月一日にかけての台風十二号に伴います集中豪雨によりまして、千葉県茂原市内を流れる一宮川が越水し、破堤、はんらんし、茂原市におきまして約二千四百戸が浸水するという甚大な被害をこうむったわけでございます。一宮川の河川改修につきましては、昭和四十六年度から中小河川改修事業として着手をいたしておりまして、現在河口から新一宮大橋までの約一キロ区間が完成をしている段階でございます。それより約十キロ上流の茂原市街地の河道は、当時毎秒二百二十トン程度の洪水を流下させる能力しか持っておりませんで、これは上流域の時間雨量に換算いたしますと、降雨の分布によって多少ばらつきはございますが、時間雨量でせいぜい二十ミリ、あるいは多くても三十ミリ台ぐらいであったと想定されます。一方、昨年八月の洪水におきましては、上流域を代表いたします水上観測所というところでこれをはるかに上回る時間雨量五十三ミリを記録するなど、上流域全域に大きな降雨があったために、洪水はんらんが生じたものと考えております。  一方、ゴルフ場開発につきましては、千葉県においてゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱を設けまして、これに基づいて治水に支障を及ぼさないための調整池の設置等を義務づけるなど、適切な行政指導を行っていると伺っておりますし、流域内のゴルフ場開発が昨年八月の洪水の原因になっているというふうには考えられないわけでございます。
  122. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 直接因果関係を解明するのはなかなか難しいと思うのです。それから、ゴルフ場に調整池をつくるというようなことはもうやっているのです。やっていながらこういう問題が起こってくるのです。山手のゴルフ場の建設で保水能力がなくなっていて、調整池をつくったところで水は流れるわけですから、そういうことで災害が広がっていくというのは、これはもう当たり前な話なんですよ。  大臣、ごらんいただきましたようなこういう水害状況が出てしまいました。ところが、一方では宅地化も進み、またゴルフ場の開発も進む。地図を見ていただきましたらすぐおわかりいただけると思いますが、一宮川の青く塗ってあるところが既設、赤く塗ってあるところがこれから計画していく、そういうことで、ここも倍以上に造成が計画されているところです。だから皆さんはこう言うのです。激特事業ができたころ、つまり、一宮川のそばにゴルフ場の調整池ではない一宮川のはんらんを防止するための調整池を五十億かけてつくったところで、しょせんゴルフ場ラッシュで、でき上がったころにはまた災害が広がる条件が広がっているだろう。さっきのいわき市もそうですし、全国でこういう状態があるわけです。だから、住民が安心して住めるように、ゴルフ場の災害が続発しないよう国としてきちんとした対応を私は望みたい。今手を打たなければ、さっき申し上げましたように、あとまだ千もつくるというのでしょう。二千のところをまた千つくって三千にして、東京都の面積にする。これは大変なことですから、いよいよ国土庁は乗り出すときだというふうに考えます。大臣、いかがですか。
  123. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  ゴルフ場の件につきましては、実は今我々で問題になっておりまして、所管は通産省ということでございますが、何か十分連絡がついてないので、通産省が中心になりまして関係省庁集まりまして、お互いに打ち合わせして、今の土砂災害等を含めて、農業等たくさんございますものですから、この対策を講じようとしておるのです。ただ問題は、ゴルフ場の許可は地方自治体というようなことがございます。また、保安林の解除等は林野庁ということがございまして、それを一体どうするかということでございます。  実はゴルフ場につきまして、今先生指摘のとおり、たしか千五百ちょっとあると思いますが、現在建設中のものが四百幾つで約二千、それから現在計画中のものが約五百弱、二千五百ということでございます。非常に困っておりますのは、国土庁は、自然状況を保持しながらどうして地域開発を図るかということで、四全総の地域の振興づくりをやっておるというわけでございますが、地域の振興を図るのは、一番核はゴルフ場になるのです。それを一体どうしてバランスをとったらいいのかということにつきまして非常に苦慮しているわけでございます。とにかく、先ほども言ったようなことですが、地域住民の皆さんの声を十分聞きながらこのような問題に対処したい、このように考えております。
  124. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間がありませんので、最後に国土地理院の旅費の改善の問題についてお伺いをいたします。  もう既に請願が提出されておりまして、私のところにもこういうふうに請願をいただいております。国土地理院について記憶に新しいのは、あの伊豆大島の火山噴火のときの活躍であります。地震や火山活動をとらえる上でも、あるいは国土を測量して情報を的確に提供し、災害予知のために大いに役立てていくという点でも、いろいろな意味で大切な活躍をしていらっしゃいます。ところが、端的に言ってこの地理院の職員の日当、宿泊費は、普通旅費と呼ばれるそれは、ことしの三月末までの価格ですが、七千三百円に対して一日五千六百二十円、これは三級以下の人が三十日未満の出張をした場合のいわゆる日額旅費が充てられているわけであります。一日行動して、御飯を食べて旅館に泊まって五千六百二十円、今どきそんなところは本当にめったにありませんよ。  大蔵省にきょうはお見えをいただいておりますが、まず最初にお聞きしたいのは、普通旅費だろうが日額旅費でやろうが、足りない分は自分でというようなことはあり得ないと思います。これはかかった経費はちゃんと補償するというのが大原則だと思いますが、いかがですか。
  125. 中川雅治

    ○中川説明員 国家公務員の旅費につきましては実費弁償が原則でございますので、今藤田委員指摘のように、足りない分を自分で負担するというようなことがないように法律の上で手当てされております。具体的には、旅費には国家公務員の旅費に関する法律で定額が定められておりますけれども、この法律の四十六条で、実際にその旅行の性質上困難な場合には調整規定が設けられておりまして、そういった形で、実際に実費を自分で負担するというようなことがないように仕組まれております。
  126. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大変矛盾しているのは日額旅費が低過ぎるということで、十日以内の出張は普通旅費七千三百円を適用しておりますが、十一日以上になると日額旅費で計算し直すのです。だからトータルをとりますと、十日の出張、十日で切っても六万七千百円を支給されるわけですが、何か天候の変化があったとか、火山の噴火が続いているとかいうようなことで地理院の皆さんが仕事上十二日間出張するというふうになると、今度は日額旅費に切りかえられてしまって六万四千九百円で、長くおりながら帰ってきたら二千二百円逆に返さんならぬ、返納せんならぬというような矛盾を抱えているのです。  こんな矛盾はもう皆さんも十分御承知だと思いますし、日額旅費の問題では、改善を検討するということを既に参議院の吉川春子議員の質問建設省も答えていらっしゃるわけですが、改めて日額旅費の撤廃、少なくとも普通旅費に大きく近づける改善のために本当に今度こそ御奮闘いただきたい。もう二十年前から大蔵省はお聞きのように大変積極的なんです。建設省が全く消極的なんです。こうしてこんな矛盾をずっと引きずってきたのです。だから今度はその矛盾を解決する、そういうお立場で最後に御答弁をいただきたい。
  127. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えいたします。  国土地理院の日額旅費につきましては、旅費法の二十六条で日額旅費になじむものという規定がございまして、これは恐らくは一般的な長期間の旅行でございますと、宿泊料等ある程度合理的にできるのではないか、そういう考え方によって旅費法自体が定められたわけでございます。それ以後、国土地理院の測量旅行等につきましては、日額旅費になじむという形で運営をしてきております。今般、四月一日から旅費法が改正をされたわけでございまして、普通旅費の日当とか宿泊料の定額の改定が十年ぶりに行われた、こういう条件も踏まえまして、現在日額旅費の定額の改定の作業を進めているところでございます。今後作業を進め、できるだけ早く改正を行いたい、こういうふうに考えております。
  128. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたのでもうこれでやめますが、日額旅費はなじみませんよ。実態と全く合いませんよ。それこそヨーロッパヘ行ったら、地理院の職員なんていったら物すごい待遇なんですよ。どうして日本は一番国土保全の最前線で働いている人にこんなひどいやり方をして、仕事で出張したら旅費を値切ることばかり考えられるのか。しかも、群発だとかなんとかいって長引くな、十日過ぎるなと思ったら、まずそこから、もとから精算されるわけですからね。だから、値切ることばかり考えられるなんて、こんなのそれこそ災害先進国、防災先進国という名にふさわしくない待遇なんです。  私は、もう時間が参りまして、行儀悪うなったらいけませんので、あえて大臣に御答弁を求めませんが、大臣、これは国土庁の仕事にも大きなかかわりがあるわけですから、ぜひ大臣からもひとつ応援をいただいて、今度こそ、本当に今度こそこういうような矛盾を解決し、地理院の皆さんが安心して仕事に専念できるように解決をしていただきたい、このことを申し上げて終わりたいと思うのです。ありがとうございました。
  129. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻一彦君。
  130. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の方は、さきに松前委員地震問題等につきまして大事な点を質問しましたので、若干それらを補足しながら幾つかの問題に触れたいと思います。  なお、今御発言がありましたが、ちょっと私もこの機会につけ加えておきますが、地理院の問題ですね。これは今詳しくお話がありましたので多くは申し上げませんが、地理院の皆さんが調査に行く場合にはかなり期間が長い。一カ月を超すような場合、一カ月ぐらいという出張が随分あるようでありますが、いかに若い人といっても、五千円ちょっとでは一カ月もなかなか大変だというのが実態でありますので、今度旅費が四月以降改定されるわけでありますが、それを機会に今までの問題点を少し洗い直して対処していただきたい。これは大臣答弁が残っておったようでありますから、ちょっとそれについての気持ちを聞かしていただきたい。
  131. 市川一朗

    市川政府委員 今の日額旅費の問題でございますが、先ほど来大蔵省、建設省答弁しております政府側の答弁に現時点では尽きると言わざるを得ないと思いますので、お話としてきょうはお聞きさせていただきたいと思う次第でございます。
  132. 辻一彦

    ○辻(一)委員 お話としてわかったのじゃいかぬので、具体的にやってもらわなければいかぬ、働く人は大変なのだから。そこらはひとつせっかくの機会だから、今も御質問があったのだから、その改善をするとかしかるべき答弁があっていいのじゃないかと思うが、いかがですか。
  133. 市川一朗

    市川政府委員 旅費全般に絡む問題等でございますので、私どもも問題の存在があることはただいまある程度理解できましたけれども、それをどういうふうに対応するべきかということにつきましては、関係省の御努力もございますので、その辺も含めながらきょうはお話を承っておきたいと思う次第でございます。
  134. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今すぐどうするとはなかなか言いがたいでしょうが、実情をもう一遍よく調べて、一カ月も五千円ちょっとでやるのはいかに若い方が行かれたにしても大変だと思いますから、改善を図っていただきたいと思います。  そこで、地震の問題は今、松前委員がお触れになりましたので多くを申し上げませんが、地震財特法がこの間、議員立法でありましたが五年間再延長になりました。その中で、避難地等において、用地の買収や計画性事業の地元との調整等の理由によっておくれておるところもある程度ある。  例えば長野県の防災に関する地震対策緊急整備事業の実施状況というのをちょっと拝見したのです。これをずっと見ると、地震対策緊急整備事業の残事業、追加事業についてというのでずっと調べられてありますが、避難地というところが全部空白なんですね。なぜここが空白になっているかということを若干聞き合わせてみると、長野の場合は南信、南長野地方が強化地域に入っておるのであるが、その地域は山間地方といいますかもちろん飯田市であるとか伊那市という市があるのですが、全般としては山の手の方になる。だからもともと土地が狭い。そこで市街の中に十ヘクタール基準の公園であるとか、足りなければ一部公共施設を加えて十ヘクタールにして避難地をつくるというのですが、その用地を確保するのになかなか土地も上がっているからという点で難しさがある。そういう点で、基準はここに十ヘクタールとありますが、これの運用について、地方の実態を聞いて柔軟な対策をやっていただきたい。  この要望は、静岡を初め六県の事務局該当者が集まっていろいろ論議をしたときに、そういう問題があるので近く本部の方にも要請をしたい、そういう論議がなされておったということであります。せっかく私ちょっと資料を見ましたので、そういう点の柔軟なる対策、また特定の山の手の方ならば基準を少し緩和をして、面積が少し足りなくてもやることができるのか、あるいは十ヘクタールという基準はそのままにして柔軟な対応をするか、いずれかが必要ではないかこう思います。地震は起こらないようでいつ起こるか、あす起こるかもわからない。こういう意味で大事な問題ではないかと思いますので、これの所見をお願いいたしたいと思います。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
  135. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 御説明申し上げます。  先生の今の御指摘は、地震防災対策強化地域内の地震対策緊急整備事業計画における避難地の基準のことについてだと存じますが、これにつきましては、防災対策上の必要性、それから避難地としての安全性、到達性といったような観点から主務大臣が基準を定めておりまして、個別の箇所につきましては、これらの基準をもとに、今申し上げましたような観点から勘案をいたしまして判断しているところでございます。
  136. 辻一彦

    ○辻(一)委員 柔軟な対応はできるのですか、結論的に。そんなに長い説明じゃなしに、それはどうなのですか。
  137. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 基準の中に幾つかの条件が書いてあると存じますが、はっきりと数字でぴしっと書いてあるものもあれば、そうでない判断のできるものもあるわけでございまして、安全性、到達性とか、そういう観点で個別に判断していくことが必要ではないか、こういうふうに考えているところでございます。
  138. 辻一彦

    ○辻(一)委員 わかったようでわかりにくい。要はいろいろな条件を勘案して、それは当然でしょうが、早くやった方がいいわけですから、柔軟に対処できるということであればそれでいいのですが、柔軟にできるということですか。
  139. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 今御説明申し上げましたとおり基準というのがございますので、基準の読める範囲で対応できるということでございます。
  140. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣、ちょっと一言いかがですか。余り役所答弁だけじゃどうかと思う。
  141. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えします。  曾田課長の言っているのは、先生の意味を言っていると思うのです。だから、彼は役所の立場がございまして、いろいろ規制があると思うのです。その形の中において柔軟に対応したいということでございますが、今先生おっしゃるように、避難地ができなければだめなのです。それから、地震はいつ起こるかわかりません。だれも予測できない。あした起きるかもわかりません。そんなことでございまして、早くという気持ちは同じだと思います。恐らく僕は先生の気持ちを理解しながら答弁している、こう理解しておりますが、よろしくお願いします。
  142. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣答弁と事務局答弁を含めて、柔軟に対応してもらうということを強く期待しております。  それから、大変簡単なことですが、地震対策緊急整備事業計画について、再延長後新たな要望として必要となった追加事業、事業費ベースでどれぐらいになるのかちょっと参考に聞いておきたい。
  143. 市川一朗

    市川政府委員 まず現在の地震対策緊急整備事業計画、これは十カ年計画で一応終わっているわけでございますが、そこに含まれておりましてまだ残っております残事業が七百億円余りございます。そのほかに東海地震関係地方公共団体代表者会というところから、大体千六百億円程度の追加事業の要望があると承知しております。
  144. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一つ地震対策緊急整備事業計画の変更についての今後のスケジュールがあれば、ちょっと聞かしてください。
  145. 市川一朗

    市川政府委員 先ほど大臣の方から、具体的な内容を固めるのは五月いっぱいまでにするようにしたいという御答弁がございました。私ども基本的にはそういうところで、五月いっぱいを目途に関係省庁関係地方公共団体との具体的な事業の内容の詰めをいたしたい。それを受けまして、あとは決裁手続等をできるだけ急ぎまして、前回、五年前でございますが、それにおくれることのないようにできるだけ早目にやりたい、そういうふうに思っている次第でございます。
  146. 辻一彦

    ○辻(一)委員 地震のことは松前委員も触れましたから、これで切り上げたいと思いますが、本法施行に当たって、何といっても取りまとめは国土庁長官ですから、長官の決意だけをもう一度一言伺って、終わりたいと思います。
  147. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  地震対策緊急整備事業の趣旨にかんがみまして、関係県の要望に十分耳を傾けながら関係省庁とも連絡をとり、必要な事業の推進に努めてまいりたい、こう考えております。
  148. 辻一彦

    ○辻(一)委員 第二に、国際防災の十年の問題を若干伺いたいと思います。  国際緊急援助隊の派遣に関する法律が昭和六十二年に制定されて、物資の援助はどういう形で行われておるのか、特にシンガポール、メキシコ、イタリー等における緊急のための備蓄基地の状況がどういう状況にあるか、ちょっとお伺いしたい。
  149. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  国際緊急援助隊に関する法律は、先生指摘のとおり昭和六十二年に成立させていただきまして、この法律に基づきまして、災害が起こった場合に緊急に援助を必要とする物資というのを国際協力事業団を通じて調達をしております。  その実行のあり方ですけれども、先生指摘のとおり、備蓄基地を海外に三カ所設けてございます。一つはシンガポール、いま一つがメキシコ、それから三つ目がイタリアのピサというところに備蓄基地を設けております。備蓄されておりますのは、テントとか毛布、発電機、それから食品セット等でありまして、これを備蓄基地の周辺災害が起こった場合にすぐさま持っていけるような形をとっておるということでございます。  備蓄基地の概要ですけれども、シンガポールにおきましては民間の倉庫を賃借しております。メキシコにおきましても同じ形をとっております。イタリアにおきましては国連災害救済調整官、UNDROという機関がございますけれども、そこの倉庫を賃借しているという形になっております。
  150. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大規模な災害が起こると情報の収集ということが非常に大事なのですが、国際的にそういう災害における情報収集の体制がどのようになされているか、ちょっとお伺いしたい。
  151. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  外務省の災害発生時の情報収集体制がどうなっているかということですけれども、海外において大規模な災害が発生した場合には、まず第一に、我が国の在外公館を通じて被災状況、援助要請の有無等につきまして、被災国の政府に連絡をとって情報を入手するという体制をとっております。それから、国際的に緊急災害援助の調整を行っております国連災害救済調整官事務所、ジュネーブにございますけれども、ここからもいろいろな国際的な災害の発生に関連しましては、常時テレックスによりまして、外務省の方に情報が即座に入ってくる体制というものになっております。ただ、外務省の受け手の方の体制ですけれども、これに関しましては、外務省としては迅速な対応がとれるように、災害に関する情報が来たときに担当の部局に連絡できるように、二十四時間体制、当直体制ですけれども、これをとっております。
  152. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いろいろ資料を調べると、各国のアメリカ大使館には、大使のもとに担当者を特に決めて、情報の収集であるとか緊急時の対応に常に備えておるという資料があるのですが、我が国も在外公館にそういうような同様な機構が確立しているのかどうか、その点はいかがですか。
  153. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  外務省在外公館におきましては、災害情報に関する専門的な職員というのは特にございません。外務省大使館員がほかの職務とあわせてこれを行っているということでございます。米国の場合には、米国本国の国務省の方に災害関係の室があるというようなこと、それからフランスの対外関係省においてもそういう室がございます。  在外公館ではなく外務本省の体制ということで申し上げますと、外務本省の中に災害担当の企画官というのを経済協力局の政策課に置いておりまして、その企画官のもとに政策課に一名、無償資金協力課に一名の職員を配置しております。それから、実務を担当しますJICAの方には、やはり災害を専門に扱う調査役を一名置いておりまして、その下に災害を専任に扱っている職員を二名置いてございます。  以上でございます。
  154. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国際防災の十年は、もともと我が 国がいろいろな助言を受けて、国連の場で提案をして具体化をした、こういう経緯があります。それと、日本災害がほかの国に比べて割と多いわけでありますから、そういう意味ではいい経験がどうかわかりませんが、かなりな経験を積んでおる。こういう点で、国際社会の中でも防災問題については先進的な、先駆的な役割を果たすべきであると思うのですね。  そこで、体制が一体どうなっているか。外務省は担当課といいますか中に一部あるようでありますが、アメリカでは既に一九六四年に国務省の国際開発庁に海外災害援助室を設置している。それからフランスの場合は、八五年ですか、対外関係協力開発局のもとに緊急援助警戒室、これを設置しておりますね。日本大臣の先ほどのお話のように、いわゆる防災について国際的に先進的な国であるとするならば、国際防災に対して外務省であるとか、あるいは事業団であるかあるいは国土庁か、いろいろありましょうが、そういう担当課、担当室を置いて対処する、こういうところが必要じゃないか。アメリカでは大使館にも専門の防災官といいますか名前は正式に何と言うかわかりませんが、専門家を置いてやっている。我が国の場合は、各大使館も兼任でだれかがやっているという。随分体制の違いがあるので、これではどうも防災でそれほど世界に誇れるようにも思わないのです。そういう意味で、しかるべき機関に担当課なり担当室を設けて、十分ひとつ取り組むということが必要ではないかと思いますが、これはどこが答弁かな、外務省ですかな。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、日本災害の多い国でございますし、かつ、災害の問題というのは国際的にも非常に重要な問題でありますから、我が国としてこれには非常な積極性を持って取り組んでいくべき問題であろうというふうに考えております。  ただ、我々今現在行っている体制、すなわち外務省に企画官を置いて職員を配しており、国際協力事業団の中に調査役を置いてその下に職員二名を配している。それに加えまして、実際に緊急援助を行う場合には関係省庁協力を大変得ておりますし、それからその他の災害関係者の協力も、民間の方々の協力も得てこれを行っているということでございます。これまでの我々の経験では、現在の体制において、特に日本の緊急災害援助がほかの国に比べて遅くなっているというような意味での支障というのは、今のところは見られておりません。したがいまして、当面のところは現在の体制の充実を図って、国際緊急援助の迅速かつ円滑な実施の確保に努めていきたいというふうに考えております。
  156. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今も御発言がありましたが、ほかの国に比べて遅い災害援助であるということ。前にどこですか、日本が行ったけれども、今ごろということで、せっかくお金をかけて努力をしても、タイミングを失えば余り効果が上がらないわけですから、災害には早く対応するということが大事だ。そういう点では、どうも片手間の体制ではいかないのじゃないか。これは官房長に、外務省に電話したのですが、きょうは分科会でかち合っているのでやむを得ませんが、参事官で十分御答弁できるということですから、新しい部屋をつくるとか担当課をつくる、こういう問題についてどうお考えかちょっとはっきり聞かせてちょうだい。
  157. 茂田宏

    ○茂田政府委員 現在のところ省令職の企画官を外務省に置いておりまして、その下に職員が二名配置されているということは私先ほど申し上げましたけれども、我々は今のところ現体制の充実を図っていくということで対処できるだろうというふうに考えております。それで、JICAの方に関しましても、調査役というのは管理職でございまして、この管理職の下に二名の職員が専任で担当しているということで、当面は現体制の充実強化を図っていくということでいけるのではないかというふうに考えております。  先生指摘のとおり、災害援助に関しましては迅速性というのが極めて大切でございます。国際緊急援助隊法ができました後、我が国は二十四件の援助を行っておりますけれども、その援助のケースの中で、八件に関しましては日本が一番早く対応したという実績がございまして、我々は今の現階で、今の体制上遅くなっているという問題は生じていないだろうと思っております。ただ、充実強化は図っていきたい、このように考えております。
  158. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官、これは機構上は外務省のことですが、災害については国内においては本部長で一番責任者ですから、国際的にも日本が先進的な役割を果たすには、やはりそういう体制を今までよりも強化してもらうことが大事だと思うのですね。そういうことで、国土庁もひとつ外務省と相談をしてもらって、そういう体制強化を考えてもらいたいと思うのですが、それについてはいかがですか。
  159. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、先生の御指摘のとおりでございまして、実は今度の国際防災の十年も日本国連提案国一つになっているところでございまして、アジア諸国十数カ国を昨年集めまして、防災関係のいろいろな指導をしているということでございます。そんなことでございますし、また先ほど先生から御指摘ございましたが、日本が現在防災の先進国として、また経済大国として世界に貢献するという立場もございますので、そんな形で努力してみたい、このように思っているわけでございます。
  160. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国際防災の十年は、日本国連へ提案して、そしてモロッコですか、共同提案をして多数の国の賛成を得て成立をしたという経緯がありますから、そういう発言、提案をした以上は、体制においても鋭意強化をして、発案者として恥ずかしくない取り組みをしてもらいたい。これは強く要望しておきます。  それから三つ目ですが、原油の流出事故について二、三お尋ねしたいのです。  丹後半島に外国のタンカーが座礁して、丹後半島から私の出身であります若狭湾の方にも相当の油が入ってきたわけですね。これは漁業資源、漁業にも影響を与えておりますし、それから海水浴場に随分影響が出る心配があるのです。そういう点で、ちょっと簡単な数字で結構ですが、現在のところどれくらいの漁業資源あるいはその他に被害があるのか、まだ取りまとめの途中というか整理がなかなかつかないと思いますが、わかれば御報告をいただきたい。
  161. 吉崎清

    ○吉崎説明員 御説明いたします。  今回の油流出事故におきまして、当該貨物船マリタイム・ガーデニア号が座礁しておる丹後半島の沿岸一帯及び若狭湾内沿岸に流出油が漂着をいたしました。漂着いたしましたC重油は、海上保安部、海上災害防止センター及び漁業者等の防除、清掃作業により大部分が回収されましたが、残念ながらイワノリなどのいその資源に被害が発生しております。現地では、京都府漁連及び福井県漁連が中心となって被害状況の取りまとめを行っているところでございますが、海中の水産資源への影響を正確に把握することはなかなか困難な面があり、現在までのところ、被害の数量及び被害金額が確定されるまでに至っていない状況にございます。
  162. 辻一彦

    ○辻(一)委員 数字がわからないので論議がなかなかしにくいのですが、この船は大分おんぼろ船であって、償却費が二百万しか残ってないという古い船、聞くところでは保険の限度額が二億円ぐらい、だからそれを超えた場合一体どうするんだという問題があります。これはどこでどう論議するのか、なかなか難しい問題ですが、これからいろいろとタンカーの事故が起こる懸念が十分にあるので、こういう限度額等を超えた場合に一体どうするのかということは研究課題として提示しておきますので、検討をいただきたいと思います。  そこで今、日本海の丹後半島から若狭湾の方で心配しておりますのは、まだ船が海の中に沈んでいるわけですね。そして、その中にまだ油が残っておる。それが夏、外に出てきて海上に流れて海 水浴場等の中に入る。これは大変なイメージダウンになるのですね。これは漁業の被害も心配なんですが、夏、例えば若狭湾あたりは五百万からの海水浴のお客さんが来る。こういう人が、もし夏でも油が浮いてくるというようなことがあれば大変なことになると思うのですね。例えば高浜という町では、常住人口は一万二千人ですが、夏の土曜、日曜は二十一万人くらいに膨れ上がるという海水浴場です。したがって、町の人が延べ三、四千人総出で海岸に出て、極めて原始的ですが、全部岸壁で油をしゃくですくい上げ、海岸に上がった黒い油の塊を全部手で集めて、袋で何千袋か広島の処理場へ送った、こういう経緯があるのですね。そういう意味では非常に心配をしている。だから、もし夏、そこから油が出てきて、これが海水浴場に流れ込んできたら大変なことになるので、そういうことのないようにするというのが今非常に大事な問題だと思うのですが、これに対しての対処策をどういうふうにやっていらっしゃるか、ちょっと簡単で結構ですが、伺いたい。
  163. 浅井廣志

    ○浅井説明員 お答えをいたします。  先生指摘のマリタイム・ガーデニア号でございますが、現在サルベージによりまして油の抜き取り作業が行われております。これに伴いまして若干油が流出しておりますけれども、私ども見ておりますところでは、大量の油が流出するおそれはないものというふうに考えております。なお、万全を期します意味で、私どもの船艇を含めて監視、それから万一の場合の防除には万全を期しておる、こういう状況でございます。
  164. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ヘリコプターを飛ばして大分見ておってもらったのだが、なおひとつ夏のこういう海水浴に向けてヘリ等を出して、そしてもし油が海面に出てきたら、岸に着くまでに沖合で処理をしてしまう。海岸近くになれば薬剤の処理は非常に難しい、いろいろの影響がありますから、沖合で早く発見をして処理をする、そういう体制をぜひ整えておいていただきたい。一言で結構ですから、いかがですか。
  165. 浅井廣志

    ○浅井説明員 ただいまも御答弁申し上げましたとおり、海上保安庁といたしましては、万一の場合に備えまして万全の体制で取り組みたい、このように考えております。
  166. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この油は日本の沿岸だけではなしに、大量の原油を中近東からオイルルートを通って、マラッカ海峡等を通って日本に運んでおるので、大規模の重油タンカー等の事故がありますと海洋の広範な汚染を起こすおそれがある。そういう点で、国際的に貢献するなら、こういう問題に対する対策を早く打ち立てるということが大事であると思います。これは運輸省の方で、国際的な観点からシンガポール等を中心に、オイルルートを中心にそういう防災体制の構想があるということを聞きましたが、どういう構想を持っていらっしゃるのか、ちょっとお尋ねいたしたい。
  167. 川嶋康宏

    ○川嶋説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、昨年の三月のアラスカでのエクソン・バルディス号の事故を契機といたしまして、世界的にもこういう事故に対処するという動きが高まっておりまして、現在IMOと呼んでおりますが、国際海事機関で国際的な条約づくりというのを進めておるところでございます。  それに関連いたしまして、私どもの運輸省の方でも、ASEAN海域を中心にしまして大規模な流出事故が起こった場合の対策、緊急対策と申しますか、そういうものの整備を図ろうということで、検討を開始したいというふうに考えております。具体的には、平成二年度におきましてはそういう体制づくりのフィージビリティースタディーをまず実施したいというふうに考えておりまして、平成三年度以降につきましては、具体的に防除資機材の備蓄ターミナルでありますとか、それに臨みます専門家のトレーニングといいますか養成、そういったものを行っていきたいというふうに考えておりまして、私どもの方では、いわゆる大規模な油流出事故への備え及び対処に関する国際協力計画という名前で呼んでおりまして、英文でその略称をOSPARというふうにして、OSPAR計画というふうに呼んでおるのですけれども、そういう計画推進していきたいというふうに考えております。
  168. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国内の防災体制は、取りまとめとして国土庁長官のところですね。国土庁で行っているわけですが、国際的になるとまたこれ多少ばらばらな感じがするので、今言った海外における緊急援助の基地もあります。それから、これからはまた東南アジアの方に今言ったようなオイルルートに沿ってそういう基地をつくる。国際的な防災体制というものが、活動がだんだん活発になると思うのですが、それらをどこでどのようにまとめるかということですね。こういうこともひとつ十分検討して、国内と同じようにしかるべききちっとした、国際的に働きのできるまとめ役が整備をされるように期待をしておきたいと思います。要望しておきます。  最後に、時間がもう五分しかないのですが、原子力の防災問題です。五分間では余り論議になりませんから、もう多くは言いませんが、私は六十三年の二月の二十七日と二十八日か、その二、三日後、衆議院の予算の総括とそれから一般質問で、二時間余り原子力の安全性と防災問題をかなり詳しく論議をしたのですね。  災害対策基本法の中に例示されている災害の項目に、暴風等から噴火に至るまでが並んでおるのですが、この原子力災害というものは、そういう意味から特にチェルノブイリ以来やはり非常に大きく関心を持たれているし、起これば大変なことなんですから、あの災害対策基本法の噴火という後に、原子力災害もしくは放射能の大量放出に伴う云々というように一つつけ加えて並べるべきだ、こういう意見を申し上げてただしたのに対して、時の奥野国土庁長官は、災対法を見直すときにその問題は改めて検討したいということを二回繰り返して答弁をしているのですね。だから、早く見直しをするのかと言ったら、それは見直すときに、こういうことですが、見直しをするような時期があるのか、もしなければ一体どうするのか、ちょっとそれをお伺いしたい。
  169. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 辻先生にお答えいたしますが、実は先生指摘のとおり、原子力災害というのは大変なものでございまして、これは十分な対処をする必要があると思っております。そんなことで、実は奥野長官がいろいろおっしゃったわけでございますが、実はこの災害対策基本法を今のところ近いうちに改めるという予定はございません。そんなことでございまして、先生の御指摘もよくわかりますが、実は放射性物質の大量放出は、先生指摘のとおり政令事項ではございますが、災害対策基本法上の災害として位置づけられております。したがって、万一そのような事態になった場合には、現在でも災害対策基本法により必要な措置がとられることとなっており、実質的には問題はないのではないかと考えております。
  170. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうはそう深くは論議できませんが、予算委員会で総括質問とそれから一般質問を通して二時間半ぐらいこの論議をやって、そこに国土庁長官もずっと出て、その論議の最終段階で今私が申したような発言があったので、十分、二十分ちょっと論議をしての答弁とは違うわけですね。かなりな論議を踏まえて、担当閣僚としてどう考えるかということをただしたのに対しての答弁であるのですね。だから、今の長官のお話はそれなりに伺いましたが、これはもう一遍議事録等を精査して、どういう状況の中で論議がなされたか、それを踏まえてどうするのかということをもう一遍検討していただきたい。このことを強く望んでおきます、きょうはこの問題についてはこの程度にとどめておきますから。  二十八分ですから時間が来たようですから、なお残る問題はまたの機会に譲って論議をしたい。今申し上げたことをなおひとつ事務当局を含めて長官も御検討いただきたいと思います。  終わります。
  171. 三ツ林弥太郎

  172. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 国土庁長官所信表明について御質問いたします。  我が国はほぼ毎年のように台風による被害、群発地震、火山噴火による災害が発生しているわけでありますが、今後特に予測されます大震災について、国民の生命と財産を守るという国政の立場から綿密な対策が必要であります。国土庁としても詳細な調査をされていると言われますが、米国のサンフランシスコを襲ったロマプリータ地震についての調査の結果、それに学ぶ日本地震メカニズムと比較し、新たな対応策としてどのようなものがあったのか、お伺いしたいと思います。
  173. 市川一朗

    市川政府委員 お答え申し上げます。  昨年サンフランシスコで発生いたしましたロマプリータ地震でございますが、御案内のとおり公共公益施設被害が見られたわけでございますが、そのほかに応急対策といたしまして、ボランティア活動が極めて重要な役割を果たしてまいっておりましたことや、被災建築物の診断が速やかに実施されまして二次災害防止等が図られていたことなど、我が国震災対策推進を図る上でも極めて注目すべき対策が講じられていたわけでございます。  そのほかに、現象といたしましては地盤液状化現象も生じておりましたし、それから、何よりもサンフランシスコといういわゆる近代都市に発生した地震という意味では、地震の歴史上も今までなかなか例の少なかったものでございます。近代都市における都市構造が地震が起きた場合にどうなるのかといったような一つの実例が生じたわけでございまして、我が国が抱えております大規模地震対策の極めて重要なファクターを提示されたというふうに私ども理解いたしております。この教訓を十分生かしながら、今後の震災対策に十二分に効果を発揮していけるように努めたいと思っておる次第でございます。  具体的に、関係省庁と非常にきめ細かい問題点政府調査団の調査結果に基づきまして一つ一つ進めておりますところも、御報告申し上げておきたいと思います。
  174. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、火山対策でありますが、特に桜島の噴火による降灰被害はほぼ連続的に発生しているわけであります。国土庁としてどのような対策を講じてきたのか、お伺いいたします。
  175. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたします。  先生も御存じのとおりでございますが、実は私も五十二年、国土政務次官のときに桜島に一回視察に行きまして、大変だな、こう感じたわけでございますが、活動火山対策特別措置法に基づく対策として、火山の爆発により著しい被害を受け、また受けるおそれがある地域について緊急に行うべき措置を講じておりまして、桜島等五火山について鋭意実施しているところでございます。
  176. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 民社党でも独自調査をして、私もかつて現地を見ておりますので、関連いたしまして農水省に三点ほどお伺いいたします。  桜島火山噴火による最近の農作物、林害も入れまして被害の実態がどうなっているのか、桜島に係る防災営農対策事業の実施状況及び平成二年度以降の措置方針などどうなっているか、桜島地区における治山対策はどのようになっているか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  177. 長良恭行

    ○長良政府委員 桜島の火山噴火に伴います最近三カ年間の農作物の被害につきましては、県からの報告によりますと、合計で約二百五億八千万円というふうになっております。その内訳につきましては、六十二年が約六十三億円、県別に申しますと宮崎県が約十四億四千万円、鹿児島県が約四十八億六千万円、六十三年は約七十億四千万円でございまして、宮崎県が約十九億円、鹿児島県が約五十一億四千万円、平成元年は約七十二億四千万円でございまして、宮崎県が約二十一億二千万円、鹿児島県が五十一億二千万円ということになっております。作目別に見ますと、野菜でございますとか果樹の被害が多いようでございます。
  178. 窪田武

    窪田(武)説明員 桜島火山周辺地域におきます防災営農対策事業につきましては、鹿児島県におきましては五次にわたり、宮崎県におきましては二次にわたり実施しておりまして、所要の成果を上げているところでございます。  平成二年度以降につきましては、依然として続いております桜島火山の活動状況を踏まえまして、新たに平成二年度から四年度の三カ年を対象に、鹿児島県としては第六次、宮崎県としては第三次の防災営農施設整備計画を作成し、降灰地域の土壌矯正、降灰防止、降灰除去施設整備、灰に強い作物の導入等、鹿児島、宮崎両県合わせまして総額六十四億円余の事業を行い、農業経営の安定を図ることとしております。
  179. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御説明申し上げます。  桜島の治山対策につきましては、従来から計画的に実施しているところでございますが、特に昭和五十一年度からは、桜島町におきまして国の直轄事業としての事業を開始してございます。平成元年度までに事業費約百九十五億円をもって、荒廃渓流の整備及び山腹崩壊地の緑化等に努めてきたところでございます。最近桜島の火山活動が活発化していることにかんがみまして、平成二年度は事業費約十八億五千万円をもって、土石流等の発生防止のための治山ダム湖及び緑化工等の事業を実施する予定でございます。今後とも本事業の緊急かつ計画的な実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  180. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 林務作業や何かを見ておりまして、特殊手当のような対応策はどうなっておりますか。林野庁の方にお伺いいたします。
  181. 弘中義夫

    ○弘中説明員 私の課の担当ではございませんが、林野庁としてお答え申し上げます。  降灰によります労務の問題につきましては、特別な措置が必要ということで、必要な措置を講ずるとともに、今後も検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  182. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 やはり降灰地帯の作業も非常な困難を極めているようでございますので、いろいろな点での対応策を手厚くしていかれますように望んでおきます。  次に、土砂災害について建設省と林野庁にお伺いします。  国土全体を通じて土砂災害が危惧される箇所はどの程度あるのか。また、治山、治水、砂防事業を通して災害復旧のウエートが高いというのが実情だとは思いますが、経費の面からはもとより、災害から人命と財産を守る意味でも、防災工事がより的確に実行されることが不可欠と考えております。この点について建設省と林野庁双方から御意見をお伺いしたいと思います。
  183. 松下忠洋

    ○松下説明員 御説明申し上げます。  我が国はお話しのとおりそのほとんどが急峻な山地でございまして、地質も大変もろく、その上大雨が降りやすい条件を有しているために、毎年のように土石流、地すべり、がけ崩れといった土砂災害が各地で発生しておりまして、多くのとうとい人命と貴重な財産が失われております。  土砂災害の危険箇所でございますけれども、土石流危険渓流といいますのが全国で約七万渓流ございます。それから地すべりの危険箇所、これが約一万カ所ございます。それから急傾斜地崩壊危険箇所、いわゆるがけ崩れの危険箇所でございますけれども、約七万七千カ所ということでございまして、合わせて約十六万カ所に及んでおります。しかしながら、その整備率はまだ非常に低い水準にとどまっているということでございます。そういうことでございまして、土砂災害から人命財産を守るために、国土を保全してこういう砂防関係事業というものを鋭意推進しているところでございまして、これからもなお一層努力してまいりたいと考えております。
  184. 弘中義夫

    ○弘中説明員 林野庁が把握しております山地災害危険地区でございますが、山腹崩壊につきまして八万四千カ所、山腹土砂流出の箇所につきまして八万六千カ所、地すべりが五千カ所、計約十七万六千カ所でございます。今申し上げました数字は昭和六十年、六十一年度に実施した結果でございますが、国土開発に伴いまして、現在でもこの山地災害危険地区はむしろやや増加の傾向にあるかと考えております。  この山地災害危険地区に対しまして、災害を未然に防止するために、緊急を要するものから順次 治山事業を実施してきているわけでございますが、平成元年度末までの着手率は約六万四千カ所で、全体の三六%に当たるわけでございます。したがいまして、今後の対策といたしましても、山地災害の危険性の高い地区を対象としまして、地域全体の安全性の確保のために、治山施設、山崩れ発生予知施設等の整備を総合的に行う地域防災対策特別整備治山事業を初めとしまして、各種治山事業を実施することとしております。今後とも第七次治山事業五カ年計画における重点事項としまして、山地災害危険地区の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  185. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 全く日本災害を起こす箇所の数字は大変なものでございます。これに対するところの防災事業あるいは諸事業も予算を食うわけでございますが、私かつて、基本的には災害を防ぎ得ないといたしましても、植物、植生によるところの防災能力を利用した対応をもっと日本で研究すべきじゃないかということを要求したことがございます。今後ひとつこういう面でも、対応できないところには何か種だけまいても、いろいろ緊急的な対応ができるのじゃないかと考えておりますので、この点の研究をぜひ進めていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  186. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会