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1990-06-08 第118回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月八日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 権藤 恒夫君    理事 今枝 敬雄君 理事 江口 一雄君    理事 片岡 武司君 理事 鴻池 祥肇君    理事 柳沢 伯夫君 理事 沢藤礼次郎君    理事 関山 信之君       魚住 汎英君    遠藤 武彦君       河村 建夫君    左藤  恵君       浜野  剛君    前田  正君       増田 敏男君    御法川英文君       永井 孝信君    山下八洲夫君       山元  勉君    吉田 和子君       草野  威君    辻  第一君       和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   奥田 敬和君  出席政府委員         警察庁長官   金澤 昭雄君         警察長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       徳宿 恭男君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         通商産業省機械         情報産業局総務         課長      広瀬 勝貞君         中小企業庁小規         模企業部小売商         業課長     沖   茂君         建設省都市局都         市再開発課長  安達常太郎君         建設省都市局都         市交通調査室長 矢島  隆君         建設省住宅局住         宅建設課長   梅野捷一郎君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   遠藤 乙彦君     草野  威君 同月八日  辞任         補欠選任   辻  第一君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   児玉 健次君     辻  第一君     ───────────── 六月一日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出第六八号)  自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第六九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出第六八号)  自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第六九号)      ────◇─────
  2. 権藤恒夫

    権藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案及び自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。奥田国家公安委員会委員長。     ─────────────  道路交通法の一部を改正する法律案  自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、放置車両及び転落積載物等道路における危険を生じさせ、または交通妨害となっている実情等にかんがみ、放置車両について適正な管理を行っていない使用者に対する公安委員会による指示及び運行の制限の措置を設け、並びに放置行為に係る罰金の額及び反則金限度額を引き上げるとともに、転落積載物等に係る警察署長措置に関する規定整備するほか、地域交通安全活動推進委員制度について定めること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  まず、第一は、放置行為防止に係る使用者責任等に関する規定整備並びに放置行為に係る罰金の額及び反則金限度額の引き上げであります。  これは、違法駐車車両のうち、現場に運転者等がいない放置車両は、交通妨害となる程度が特に高いことにかんがみ、車両を離れて直ちに運転することができない状態にする放置行為防止を図ろうとするものであります。  その一は、移動等措置がとられた放置車両について、その使用者放置行為防止するため必要な運行管理を行っていると認められない場合には、公安委員会は、その使用者に対し、放置行為防止するため必要な措置をとることを指示すもことができることとするものであります。  その二は、公安委員会放置行為防止するため必要な措置をとることを指示したにもかかわらず、その指示に係る自動車につき、指示をした後一年以内に放置行為が行われ、その自動車使用者がその自動車使用することが著しく交通の危険を生じさせ、または著しく交通妨害となるおそれがあると認めるときは、公安委員会は、使用者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、その自動車を運転し、または運転させてはならない旨を命じることができることとするものであります。  その三は、自動車使用者がその業務に関し下命しまたは容認してはならないこととされている違反行為放置行為を加えることとするものであります。  その四は、放置行為に係る罰金の額及び反則金限度額を引き上げることとするものであります。  第二に、転落積載物等及び交通事故に係る損壊物等除去等に関する規定整備であります。  これは、転落積載物等及び交通事故に係る損壊物等早期排除を図るため、これらの物件について警察署長または警察官が移動除去等措置をとることができることとするものであります。  第三に、地域交通安全活動推進委員制度の新設であります。  これは、違法駐車防止活動その他地域における交通の安全と円滑に資するための住民の自主的な活動を支援するため、公安委員会は、地域における交通状況について知識を有する者のうちから、地域交通安全活動推進委員を委嘱することができることとするものであります。  その他、違法停車車両に対する措置等所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律施行日は、公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。  引き続きまして、自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由説明させていただきます。  ただいま議題となりました自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、道路上の場所以外の場所保管場所確保されていない自動車道路における危険を生じさせ、または円滑な道路交通支障を及ぼしている実情にかんがみ、自動車保有者保管場所確保義務の履行を確保するため、軽自動車新規運行の用に供しようとするとき及び自動車保管場所位置を変更したときにおける保管場所届け出を義務づけるとともに、自動車保管場所標章を表示させる制度を導入するほか、保管場所確保されていない自動車運行を制限する措置について定めること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  まず、第一に、自動車保管場所継続的確保を図るための制度を設けることであります。  これは、道路上の場所以外の場所保管場所確保されていない自動車道路における危険を生じさせ、または円滑な道路交通支障を及ぼしていることから、すべての自動車について保管場所継続的確保を図ろうとするものであります。  その一は、軽自動車保有者軽自動車新規運行の用に供しようとするとき、または登録自動車もしくは軽自動車保有者保管場所位置を変更したときは、保管場所を管轄する警察署長に、保管場所位置等届け出ることとするものであります。  その二は、警察署長は、登録自動車保管場所証明書を交付したとき、もしくは軽自動車保管場所届け出を受理したとき、またはこれらの自動車について保管場所位置の変更の届け出を受理したときは、自動車保有者に対し、保管場所位置等について表示する保管場所標章を交付しなければならないこととし、保管場所標章の交付を受けた者は、これを自動車に表示しなければならないこととするものであります。  第二に、保管場所確保されていない自動車保有者に対して、自動車運行を制限する措置を設けることであります。  これは、道路上の場所以外の場所保管場所確保されていない自動車について、保管場所確保させるために行おうとするものであります。  すなわち、自動車使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、道路上の場所以外の場所自動車保管場所確保されていると認められないときは、その保有者に対し、保管場所確保されたことについて公安委員会の確認を受けるまでの間、自動車運行の用に供してはならないことを命ずることができることとするものであります。  これ以外に、この法律案では、運送事業用自動車に関する法令の適用関係明確化その他所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内客の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  4. 権藤恒夫

    権藤委員長 以上で両案の趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 権藤恒夫

    権藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡武司君。
  6. 片岡武司

    片岡委員 懸案事項でありました道路交通法改正保管場所法改正法案が当委員会に付託をされたわけでございます。自由民主党を代表いたしまして、若干質問をさせていただきたいと思います。  ここ数年、交通事故死者数が再び増加傾向に転じまして、昭和六十三年には十三年ぶりに一万人を超えたわけでありまして、昨年はさらにふえまして一万一千人以上の方が交通事故によって亡くなられたという、非常に厳しい現実が目の前にございます。第二次交通戦争と言われるような状態に陥っておるわけでありますが、当委員会といたしましても、昭和六十三年の五月十九日に交通安全対策に関する件についての決議をいたしまして、政府に対しまして広報活動充実あるいは交通安全施設整備の要請をしたところであります。政府も、昨年十一月には交通事故非常事態宣言を発しまして、さまざまな対策を講じていただいておるわけでありますが、一向に交通戦争という言葉が私たち生活の中からぬぐい去ることのできない深刻な問題となっておることは御承知のとおりであります。  そこで、特に近年でありますが、大都市におきまして違法駐車の問題が非常に深刻な問題として浮かび上がってまいりました。いわば車社会動脈硬化を起こしているというような表現も言われておるわけでありまして、経済活動あるいは社会生活に非常に大きな問題を投げかけているということは事実でございます。このたび、その対策の一環としてこの二法案が国会に上程をされたわけでありますけれども、まず最初に、この改正に至るまでの背景あるいは目的、そして必要性について、今国家公安委員長の方から御説明がございましたけれども、もっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  7. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘のように、近年、市街地における違法駐車住宅地における車庫なし車両のために都市が機能を麻痺しかねない状態にございます。まず、違法駐車交通渋滞の大きな原因一つとなっており、大都市におきましては平均速度が時速二十キロメートルを割っているなど、社会経済活動に深刻な影響を与えているところでございます。また違法駐車車両は、交通渋滞のみならず死亡事故等交通事故の大きな原因一つともなっており、また住宅地などでは路上駐車のために消火活動救急活動等支障を生ずるなど、国民の日常生活にもさまざまな影響を与えているところでございます。  以上のような情勢を背景といたしまして、違法駐車交通円滑化と同時に安全の問題でもあるということから、この問題の解決を図ることを目的といたしまして、今回道路交通法及び自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案を御提案申し上げた次第でございます。
  8. 片岡武司

    片岡委員 そういう今のお話、ちょっと具体的に伺いたいのでありますが、ニュース等でいろいろ聞いておりますと違法駐車によって死亡事故かなりふえたというようなお話があるわけでありますが、その点、もしここ数年の傾向がお手元にありましたらお聞かせいただけませんでしょうか。
  9. 関根謙一

    関根政府委員 違法駐車が直接の原因となりまして生じた死亡事故の件数は、平成元年死者数 で三百六十七名でございます。これは駐車車両に直接追突をして生じた死亡事故と、駐車車両の陰から出てきた人をひいたために生じた死亡事故を含んでおります。このほかに、駐車車両を避けようとして反対車線等に飛び出したために生じた死亡事故、これが百二十六人ございます。でございますから、昨年は総数で四百九十三人だったと思いますが、それだけの方が違法駐車原因として亡くなったということでございます。
  10. 片岡武司

    片岡委員 もう一つ団地内で火事がありまして消防車が中に入れなかったとか、そういった事例も実はあるわけでございます。近年そういうニュースが、意識的に流されるのかどうかわかりませんが、大変マスコミをにぎわしておりますけれども、この点についてもう少し具体的にお聞かせいただけませんか。
  11. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のような、団地内の道路違法駐車車両があったために、そこに救急車が入ることができなかったために救急活動支障を生じた事例消防自動車が入ることができなかったために消火活動支障を生じた事例等、多多ございます。昨年中八百件余りそのような事例があったと承知しております。
  12. 片岡武司

    片岡委員 かなりの数になるわけでありますが、今回の法改正は、いわば、はっきり申し上げれば取り締まりが先行するわけでございます。対症療法だという声も実は聞くわけでありますが、やはり違法駐車の問題は、これは交通問題合わせてそうでありますけれども、総合的な対策国家が挙げて確実にその対策を講じていかなければなくなるものではない、そういう考えを持っているわけでありますが、今回取り締まりが先行するということもございます。したがって、その後の問題の方が非常に重大な問題であります。  今回法改正については取り締まりの限界ということが、逆に言えば浮き彫りにされたような感じがするわけでありまして、総合的な対策道路の問題、建物の問題、いろいろあるわけでありますが、いわゆる主管庁である総務庁交通安全対策室というものがあって、対策本部本部長総務長官が兼ねておられるわけでありますけれども、これからやはり縦割り行政の弊害をなくしていかなければなりませんので、今回の法改正当たりまして、もっと総務庁指導力を発揮していただいて、違法駐車も含めて総合的な交通問題の対策のために指導力を発揮していただきたい、そう思っておるわけであります。改めて総務庁に御見解をお伺いしたいと思います。
  13. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 駐車対策につきましては、昭和六十三年七月の交通対策本部決定、「大都市における道路交通円滑化対策について」という決定に基づきまして鋭意推進してきたところでございます。しかしながら、現下の駐車の実態にかんがみまして、この交通対策本部決定を引き続き推進していくとともに、この問題への取り組みを総合的にやっていく必要がある、しかも緊急に取り組んでいく必要があるという観点から、五月二十八日に同じ交通対策本部申し合わせとして、「大都市における駐車対策推進について」という申し合わせを行ったところでございます。  この申し合わせにおきましては、路外駐車場整備、秩序ある駐車推進駐車情報提供充実違法駐車防止に関する広報等の各対策を総合的に推進していくことにいたしております。今後とも関係省庁十分連絡をとりながら、この申し合わせの実現に努めてまいりたい、かように考えております。
  14. 片岡武司

    片岡委員 ありがとうございました。  先ほど言いましたように、これは取り締まりが先行いたします。フォローができておりませんので、結果的にはやはり早急にその対策というものを講じていただきたい。そのための総務庁指導力を改めてお願いをしておきたいと思います。  今いろいろと御質問させていただきましたが、何遍も申し上げて恐縮でありますけれども、今回、取り締まりが先行する形であります。ここ二十年、自動車保有台数は実は二・六倍にふえておるわけでありますが、残念ながら道路の実延長はわずか一〇%以内の伸び率であります。合わせて道路がそれだけ整備されていない、あるいは片方駐車場がないという状態であるならば、車が道路にあふれてくるということは当たり前のことでございます。私は総合的な対策が必要だということを再三申し上げておるわけでありますけれども、現実は先ほど言いましたように、数字的に見てもまだまだ不十分だということでございます。  そこで建設省にちょっとお伺いをいたしますが、今建設省さんの方で標準駐車場条例改正考えておられるわけであります。まずその中身について教えていただけませんでしょうか。
  15. 安達常太郎

    安達説明員 お答えいたします。  標準駐車場条例見直しを行っているところでございまして、これは昭和六十三年度より二ヵ年間にわたりまして検討委員会を設置いたしまして検討作業を進めてまいったわけでございまして、この三月に最終報告がまとまったところでございます。  基準見直しに当たっての基本方針でございますけれども、二つございます。一つ都市人口規模建物用途地域特性等に対応したきめの細かい基準づくり二つ目には附置義務を強化する方向での見直し、この二つ基本方針といたしまして、具体的には、一つ附置義務適用を受ける建物下限引き下げ、これを具体的に申し上げますと、スーパー、百貨店、事務所等駐車需要の多い用途、これを特定用途といっておりますけれども、これに関しましては現行二千平方メートルを一千五百平方メートルから一千平方メートルに引き下げる、これが一つ二つ目には、一台当たり床面積基準引き下げを行う。特定用途に関しましては三百平方メートルを百五十から二百五十平方メートルに引き下げる。あるいは三つ目に、大規模建築物に対する基準の緩和、具体的には一万平方メートル以上の建築物に対しまして附置義務を緩和する、こういったところが基準見直しのポイントでございます。  新しいこの標準駐車場条例地方公共団体の方に通達する予定にしておりまして、来週早々にはこれを行いたいというふうに考えております。
  16. 片岡武司

    片岡委員 今回のこの改正によって、一〇〇%、例えば都心駐車場面積がふえるということはなかなか難しいと思うのでありますが、現状よりどの程度面積がふえることになるかわかりますか。
  17. 安達常太郎

    安達説明員 お答えいたします。  具体的な数字は今ここで申し上げられません。これから公共団体を適切に指導してまいりたいと思いますけれども、今回の見直しによりまして相当な効果が期待できるものというふうに考えております。
  18. 片岡武司

    片岡委員 もしわかりましたら、後から教えてください。私が聞いておる範囲では三倍ないし四倍ということを聞いておりますけれども、今でも実際には、都心部、特に大都市中心部におきまして特に民間の駐車場をやっていた方々が、逆にいえば固定資産税が非常に高いということで、あるいは経営的にも困難だということで駐車場をやめてビルにしているケースが結構あります。そうしたことを考えますと、こうした改正ももっともっと踏み込んだ形で現状に合うような、そういったこともお考えをいただきたいと思うわけであります。  また、もう一つ建設省にお伺いいたしますが、団地内の青空駐車が非常に問題になったわけであります。公営住宅に対する補助金基準の中でいわゆる住居者専用駐車場については、それが外されて、基準に入っていないわけでありますが、今後こうした青空駐車を一掃する意味におきましても、こうした集合団地については一戸当たり必ず一駐車場というような考え方というものが導入できないのかどうか、その点について御見解をお伺いいたします。
  19. 梅野捷一郎

    梅野説明員 お答えいたします。  公営住宅団地でありますとか公団団地におきます駐車スペースの問題でございますが、今御指摘のような一般的な駐車場の問題もございます し、生活と車の関連がだんだん高くなってきているという状況もありまして、駐車スペース確保にはいろいろな形で努力をしているわけでございます。例えば東京都営の場合ですと、多摩ニュータウンというようなところでもやっておりますが、あそこでは大体五〇%程度。それから、最近でございますけれども、一五ないし三〇%程度東京都でも設置していこうというようなところにあります。また公団住宅につきましては、郊外型では平均的に約七割。市街地かなり中心部でございますが、そういうところでは四割ぐらいというのが実情でございます。  駐車場につきましては、それぞれの地域なりあるいは団地によりまして利用程度ということも一つございますし、また、限られた用地の中で公的な住宅を供給しているというようなこともありまして、用地全体の利用の仕方をどうするかという実は大変な難問もございます。また費用の負担を考えますと、周辺でも、一般住宅でも大変駐車場にお困りになっているわけでございますから、そこら辺と均衡をどうするか、そんなことも考えながら今後のことを考えなければいかぬということで、義務づけ的なことまでは現状のところでは行っていない状況でございます。
  20. 片岡武司

    片岡委員 何とかその点御配慮いただきまして、少なくとも公営住宅だけでも一〇〇%駐車場確保できるような方法というものをお考えいただきたいと思うわけであります。  また、違法駐車等渋滞原因になっているということを先ほど言われたわけでありますが、そのかなりの部分が交差点付近違法駐車、これが相当渋滞原因になるわけであります。東京大学の越教授の計算によりますと、違法駐車によって渋滞が引き起こされる、これが実は経済活動を非常に阻害しておる、定かでありませんですが、GNPの一%ぐらいの経済的損失だというお話も実はあるわけであります。また、片方で、この渋滞が環境問題、特に二酸化炭素の排出量につながっておるわけでありまして、例えば東京都で平均速度が五キロ今よりも遅くなったとすると、CO2の排出量が一・五%さらにふえるというような試算もあるように実は聞いておるわけであります。いわば経済活動と環境問題、私たち社会生活に非常に大きな影響が出ておるわけでありますが、道路の構造を変えるとかあるいはビルについては確実に積み荷のおろし場を設置するとか、そういった対策というものも当然必要であるわけであります。これはもう明らかに社会資本整備だという観点から、こうした建物あるいは道路、そういったものの改造について、建設省として今すぐお考えがあるのかどうか、お伺いをいたします。
  21. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  駐車問題、大変交通事故やあるいは交通渋滞原因となるわけでございまして、いわゆる駐車対策駐車場整備等につきましては建設省としても大変重要な課題として取り組んでおるわけでございます。  先生の今の御質問の中で、いわゆる路外駐車場整備について、例えば建物の問題とか、そういうことがございました。それからもう一つ道路上の駐車の問題、この二つがあったわけでございます。特に路外駐車場整備駐車場整備というのがされるべきだと基本的には考えておりますけれども、例えば沿道の土地利用等によりまして路外駐車場整備でも対応できない短時間の駐車需要というのがございます。建設省でいろいろ調査をいたしました結果によりますと、道路上でも駐車をしているケースが非常に多いのですが、短時間駐車というのもかなり多い。もちろんこれは地域あるいは都市によっても異なると思いますが、例えば東京二十三区では三十分以内の駐車が五〇%ぐらいだ、そういうケースもございます。したがいまして、こういう短時間駐車の需要に対しまして、幹線道路交通円滑化に資するために、荷さばき駐車場を含む路上の駐車場、こういうものを何とか整備する方法はないかということで今いろいろ検討しておるところでございます。
  22. 片岡武司

    片岡委員 ぜひ進めていただいて、こういった原因をなるべく省いていただくような御努力をお願いしたいわけであります。  余り時間もございませんので、ちょっと具体的に一つだけ。  道交法の改正の中でいろいろポイントがあるわけでありますが、実は一般の方がかなり誤解しておる面が一つございます。それは、今回の改正使用者責任という項目があるわけでありますけれども、一般の方々のかなりの部分の皆さんが、車は簡単に貸せないような、そういった誤解を持っておみえになる方が結構おみえになるわけであります。この使用者責任の追及、刑事責任の追及ということについて、ちょっと具体的にわかりやすく御説明いただけませんでしょうか。
  23. 関根謙一

    関根政府委員 使用者責任ということを今回の改正案の一つの柱として考えさせていただいているところでございます。  具体例で申し上げますと、例えば大阪にあったケースでございますが、駐車場を二台分だけ持っておられる企業が実際には七十二台の自動車を運用していたケースでございます。この場合に、そのほとんどの自動車は路上に駐車をさせていたわけでございますが、現在の仕組みですと、実際に運転者に対しまして違法駐車の責任を問う仕組みでございますが、これを車の持ち主であります会社の方の責任を追及することができるようにしたいという考えでございます。  そこで、例えば友達に単に車を貸したというようなケースでありますと、これは今回の仕組みでは、その自動車運行管理に当たって放置行為防止するため必要な運行管理を行っていると認められない場合にのみ指示なり一連の仕組みを運用することになりますが、ただいま申し上げましたような友達に単に貸したというような場合ではこのような要件に当たらないということになりますので、この使用者責任の仕組みが直ちに働くことはないという考えでございます。
  24. 片岡武司

    片岡委員 ありがとうございました。  もう一つ保管場所法改正で、これはあくまでも私の耳に入ってきた範囲でありますが、当初案よりもかなり後退したという意見を実は聞くわけでございます。しかし、今の社会生活あるいは国民の皆さんの経済活動、そういった中で恐らくかなりの意見を聞いた上で今回の改正がなされたのだろうと思うわけでありますが、例えば車庫の位置の問題で、住居地から五百メートル以内であったものが二キロに緩和されているわけであります。その点についてもう一度具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  25. 関根謙一

    関根政府委員 保管場所法につきまして当初案よりも後退したのではないかとのお尋ねでございます。私ども当初試案という形で広く国民各層の方々から御意見を承りたいと存じまして、案を発表させていただきました。その結果、各界の方々の御意見を賜り、コンセンサスを得られたものとして、現在御提案中の案を取りまとめさせていただいたものでございます。私どもはこれがベストとは考えておりませんが、国民のコンセンサスをいただいた案ということで、可能な限りの案であると考えております。  それからもう一つの点でございますが、保管場所位置使用の本拠の位置から広げた点でございます。これは、現在は保管場所の定義規定の解釈といたしまして、使用の本拠の位置からおおむね五百メートルの範囲内ぐらいに保管場所があることが望ましいということで、そのような運用をしているわけでございますが、いろいろ事情を承ってみますと、さらに広い範囲内で車庫を持つことを認める必要があるという結論に達しましたので、今回はその基準政令で定めることとし、その政令ではおおむね半径二キロメートル以内に保管場所確保していただくようにしていただきたいということを考えているところでございます。
  26. 片岡武司

    片岡委員 ありがとうございました。  もう時間がございませんので、最後に、せっかく国家公安委員長にお越しいただいておりますので、お考えだけお伺いしたいと思います。  今回の改正は、いわば現代社会に大きな問題を 提起したと思いますし、先ほど言いましたように、取り締まりの限界を逆の意味で証明をしたような感じがするわけであります。しかし、我々は最終的には車と一体の生活をしていかなければならない、したがって、町もそういう構造にしなければならぬわけであります。最初に申し上げましたように、総合的な対策ということが急務でございます。この後のフォローも含めまして、国家公安委員長の御見解をお聞かせいただければ幸いに思います。
  27. 奥田敬和

    奥田国務大臣 委員から最初に御指摘のあったとおり、大都市部の状況というものは、あなたの表現をかりれば動脈硬化、私もまさにそういう認識でおります。今日の第二次交通戦争、十五年ぶりの一万一千人以上の死亡者、さらにことしはその数字を上回るような形で事故がふえておる。その原因を追及していくときに、もちろん最初に御指摘なさいましたように行政の立ちおくれ、果たしてこういった急激な車社会に対応してきたかどうか、まさにこれは今御提案申し上げておる二法も含めてでございますけれども、これらに出口論の応急的な形で、私たちは今早急な形でやらないとこのままでは車社会がだめになってしまう、我我の生活に本当に利便を与えてもらうべき、しかもこういった時代に対応していくのにこのままでいったらだめになってしまうという形の危機感から立ち上がったと言ったらおかしいですけれども、これは国民の世論の御認識にこたえていかなければいかぬという形で御提案申し上げておるところでございます。  もちろん、これは各省庁にまたがる大変重要な問題でございますし、この法案をまとめるに当たりましても、建設省はもちろんのこと、通産、それに地方自治体である自治あるいは公共交通の担当者である運輸、これらをして、単に取り締まるたけが能じゃない、駐車場もないあるいは路線のそういった形の公共の施設も充実していない、あるいは建築基準法においてもオフィスビル一つに対しても一定の駐車施設が果たしてこれまで確保されてきたかどうか、すべての行政が総合的な力を発揮してこそ目指す車社会が実現できるのだ、そういったことで各省庁の大変な御協力と御協議をいただいたわけです。  今まで縦割り社会、縦割り行政という形の中で、網の中で、横の協力を得るために、短期間ではございましたけれども大変な御協力を実はいただいたわけです。それだけに各省とも、今日の交通事情に関しての深刻な認識はまさに一致しておるということであります。したがって、この法案でも激変緩和的な措置もとられております。いろいろな形で、今御批判のあったように何か緩くなったんじゃないかということはありますけれども、しかし余りにも急激な形に対応していくために、私たちは今日段階ではこういった形で、基本的には、各省庁の横の連絡ももちろんでありますけれども、ドライバーのマナーも向上してもらわなければいけません、メーカーだって、いわゆる販売の方の人も含めまして、国民が本当にあるべき車社会をつくるために基本的にはモラルを高揚していただく、こういったことで総合的に取り組ましていただきたい。  どうか、この両法案の御審議当たりまして、先生方の本当に真摯な御討議と同時に、御協力を心からお願いするものでございます。
  28. 片岡武司

    片岡委員 ありがとうございました。終わります。
  29. 権藤恒夫

    権藤委員長 次に、関山信之君。
  30. 関山信之

    ○関山委員 ただいまの片岡委員の御質問の中にもございましたように、ここ一両年、当交通安全対策特別委員会はまさに第二次交通戦争を迎えてそれぞれが党派を超えて真剣な取り組みを進めてきたところでありますし、また、関係省庁の皆さんも大変な御努力を重ねていらっしゃるところと承知いたしておるところでございます。なかなか決め手がないということですけれども、しかし、こういう状況の中で、先ごろの道交法の改正に引き続いて今回の駐車関係の二法の改正というのは、大変大きな問題を投げかけると同時に世間の注目を浴びているところであることは御案内のとおりでありますが、おおむね世論の動向もこれを積極的に支持して車社会を見直さなければいかぬということのようでありまして、私どもも基本的にはそういう立場に立つものであります。ただしかし、そうは言いながら、事が大変重要な問題でありますだけに、この問題について慎重な議論をしなければいかぬということも私どものスタンスであるわけでございます。  私は、きょう、この問題をめぐって改正の経緯と背景、そしてこの二法の改正位置づけ、この大きな二つの問題に集中をしてお尋ねをしていきたいと思うのでありますけれども、今もお話がございましたが、法案提出の経過について、若干唐突というと少し語弊があるのかもしれませんけれども、やはり準備不足の感は否めないんじゃないかという指摘もございますし、また事実そういう部分もあるのだろうと思うのです。この辺についてはどういう御認識をお持ちか、まずもってお尋ねをいたしておきたいと思います。
  31. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  私ども、先ほども御答弁申し上げましたように、現在の都市部における違法駐車の問題は、このまま放任しておきますと都市機能を麻痺させかねないような事態に立ち至っているという認識を持ちまして、今回このような二つ法律案を御提案させていただいたところでございます。  その経緯でございますが、先ほど総務庁から御答弁がございましたように、昭和六十三年の七月に交通対策本部決定でございます「大都市における道路交通円滑化対策について」、この決定に基づきまして、関係十八省庁それぞれに、この決定の線に沿って大都市における交通円滑化対策のための施策を講じてきたところでございます。その過程で、やはり現行の法律のみをもってしては対処し切れないという問題が出てまいりました。そこで今回の御提案という運びになったわけでございますが、その際、手順の問題がございます。先生の御疑問の点は、取り締まりがまず突出をして、それから次に駐車施設の拡大といったようなことが出てくるような印象を与えることになるところから、あるいはそのような各省間の調整に不足があったのではないかとのことではないかと存じますが、私どもは、とにかくできるところから順次やっていこうということで、各省庁との協議を重ねたことはもちろんでございますが、広く各界の御意見も伺いまして、当面これが応急の措置としてとり得る一番の措置ではないかということで御提案を申し上げたところでございます。
  32. 関山信之

    ○関山委員 最後の、応急の措置という側面はありますけれども、しかし、この法案は単に応急では済まない部分を延長線上に持つだけに、その辺の基本的な部分での準備不足はないのか。私は、取り締まり先行であるかどうかという議論はもう一つ別にあると思いますけれども、私の心配しておりますのは、一般的な駐車問題に対してこのままでは大変なことになるぞという認識そのものは何も今に始まったわけではないのでありまして、昔からみんな持っていらっしゃるんだけれども、一つ法律にまとめて、そこでこの問題を総合的に、何と申しましょうか、そこに集中して解決を図ろうという一点で、ある意味では内部の意思統一やらさまざまな準備というものが当然あってしかるべきであったろうと思うものですから、そこのところで準備不足の心配はないかと念を押しておきたいわけです。あわせて、この問題をめぐって交通対策本部会議が開かれたことがあるかどうか、この二つをもう一遍念を押しておきたい。
  33. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 駐車問題が大変大きな現在の社会問題になっておるということで、五月二十八日、交通対策本部におきまして「大都市における駐車対策推進について」ということで総合的な対策申し合わせを行ったところでございます。今回提案されております二法案はこの申し合わせの中の重要な柱でございまして、この法案の成立によりまして駐車問題の解決が進展することを期待しているところでございます。
  34. 関山信之

    ○関山委員 いみじくも二十八日に交通対策本部申し合わせがなされて、その中で法改正を検討するというのが入っているのですよ。まさに、ここに各省庁間の合意形成が極めて不十分だったのじゃないかという心配を感ずるものですから、私は、そのことはそのこととして、この時点においては、どうであれ、法案を出す以上は各省庁の少し中長期にわたった基本的な合意形成はやはりとっておかなければならぬということだと思います。もう既に法案は出ているわけですから。  そこで、今この法案提出に至る公安委員会並びに総務庁お話は伺いましたけれども、改めて各省庁間のすり合わせ、また今後の施策推進についてそごを来す心配がないのですねというふうに念を押しておきたいと思います。それは、後ほどいろいろ議論も出てくるところでありましょうが、今回の法改正については幾つかの不十分さや将来課題としている部分もあるわけでありまして、いわばこれは、一つ球を投げれば、その球を投げた延長線上には必ずそういう事態を解決しなければならぬという部分もあるわけでありますので、この際総務庁建設省、運輸省、通産省、それぞれ順次お答えをいただきたいと思います。
  35. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 違法駐車の問題は大変広範な問題と深くかかわりがございまして、その早急な解決というのはなかなか困難だとは思われます。しかしながら、先ほど申し上げました交通対策本部の総合的な対策申し合わせ、これを着実に推進することによりまして事態の改善に資するものというふうに考えております。
  36. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  建設省といたしましても、自動車保有台数あるいは道路交通の急速な増加に伴いまして、違法駐車の蔓延が大変に交通渋滞あるいは慢性的な交通混雑の一因となっているということは認識しております。従来から渋滞対策あるいは駐車場整備というものについて拡充に努力をしてまいりました。駐車場整備は時間も要し、また地元の理解と協力が不可欠でありますけれども、いずれにしましても、違法駐車対策というのは単に規制あるいは取り締まりの強化のみならず、駐車場整備を初めとする総合的な対策で講じられるべきというふうに私どもも認識しておりまして、先ほどお話のございました五月二十八日の交通対策本部申し合わせ等に基づきまして、今後とも総合的な駐車対策推進してまいりたいと考えております。
  37. 早川章

    ○早川政府委員 運輸省は、まず保管場所法につきましては共同請議の責めを負っておりますが、この案件につきましては、従前から例えば車庫飛ばしというような、車庫証明に関します問題点が指摘されておって対策が必要であった。さらに軽自動車につきましても、私ども、これは登録がございませんけれども、届け出等の際に、実は全国の軽自動車の販売業の関係で手続を代行しておるところから、軽自動車新規購入者に対しましてぜひ車庫を持ってもらいたいというお願いの文書をつける等の措置をとってまいりましたが、そういったものについてさらに的確な措置がとられるということで、基本的に私どもの保管場所法の精神がより充実されたものになるという観点から、この改正を進めていくことになってきたものでございます。また、これにつきましては十分警察庁と御相談をした上で対処いたしていくという形になっております。  それから一方で、不法駐車の問題でございますが、私ども、大都市あるいは地方のバス等の公共輸送対策を進めるに当たりまして、道路環境の悪化ということが常々、特に例えばバスの運転士さん等の組合等の方から非常に指摘されておりまして、そういう形で、運輸省としてもぜひとも積極的に取り組むべきであるというお話もあり、私どもも従前から例えばバスの活性化の補助金等という仕組みで、多少十全ではございませんが、いろいろと関係方面にお願いしながらバスの優先レーンをつくっていただくとかという措置をとってきておりますが、今回の違法駐車取り締まりといいますか、問題の解決を図っていただくという御方針と、私どもまたその際に公共輸送手段になるべくお客様を吸収していく方向、こういう形が非常にバランスがとれて展開できるのではないかということで、この法案につきましてもぜひともその方向でお願いしたいという立場で対処してきたものでございます。
  38. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 通産省でございますが、通産省といたしましても、大都市を中心としました駐車の問題あるいは交通渋滞の深刻化について関係の省庁と問題意識を一にしておりまして、今回決められました総合対策についての申し合わせ、あるいはこれに基づく関係法令、今提案をさせていただいております法律改正等につきましても十分議論させていただきましたし、同じ気持ちで、今後決められたことに十分な対応をしてまいりたいと考えております。
  39. 関山信之

    ○関山委員 それぞれ各省庁にお尋ねした趣旨は、申し上げましたように、先ほど運輸省などの御発言もありましたけれども、届け出制で軽自動車をスタートさせていますけれども、論理的にそれでいいのかという、将来へのさらなる展開なり対応の強化という問題も出てくるでしょうし、そのようなことも踏まえて、基本的な立場だけはぜひひとつしっかり踏まえていただきたいということをこの際強くお願いを申し上げておきたいと存じます。  ところで、もう一つ観点は、今までも駐車対策については何もやらなかったんじゃないので、お話がございましたように、法改正も幾たびか行われておりますし、あるいはまた、たびたびお話に出ております八八年の円滑化対策というようなものもあるわけでありまして、それはそれぞれそのときどきに大きな期待を持たれているわけなんでありますが、必ずしもそれが十分でないというところから今回の措置に踏み切られているのだろうと思いますが、この際改めて、実施結果はどうだったのか。  全体、一々やっておりますと大変時間のかかることでございますので、まずはお伺いしておきたいのは、一つは八六年道交法改正、パーキングメーターの設置の問題がございましたが、これについてはどういう実施結果、どういう総括をなさっていらっしゃるのでしょうか。
  40. 関根謙一

    関根政府委員 昭和六十一年にお願いをいたしました道路交通法改正におきましては、パーキングメーター及びパーキングチケット発給設備のシステムを整備することにより、短時間における路上駐車施設の仕組みを拡充しようということを考えたところでございます。  その結果でございますが、昭和六十一年、この改正法が施行される前の状況では設置基数一万五千台弱分のパーキングメーターがございましたが、現在は三万台余りのパーキングメーター及びパーキングチケット発給設備ということで拡充をしてございます。しかしながら、まだこれのみでは必ずしも十分でないという認識でございます。
  41. 関山信之

    ○関山委員 次に、八八年の円滑化対策、これはかなり抜本的かつ網羅的に対策を打ち出したものであっただろうというふうに私どもも承知をしておるわけでありまして、道路交通容量を増大をさせる、つまり入れ物を大きくする対策、そして道路交通需要を軽減をさせる対策、そして三番目に円滑化に関する広報、四番目に円滑化に対する調査研究と、かなり体系的な施策が方針として決定をされておるわけでして、片っ端から伺いたいところなんですが、そうもいかないでしょうから、一つは、先ほど来御議論がございます路外駐車場整備ですね。これはどれほどの進行を見せたのでしょうか。  実は、私どもがいただいております調査室の資料では、円滑化対策決定をされました八八年、六十九万四千四百台余りという数字がございますが、その後のわずか二年間ですからどれほどのことができたということにもならぬでしょうけれども、どういう展開があったのかお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 安達常太郎

    安達説明員 お答えいたします。  路外駐車場に対するお尋ねでございます。私どもで把握しております路外駐車場、これは都市計画駐車場届け出駐車場、この二種類でございま して、交通対策本部決定後の数字を申し上げますと、昭和六十三年三月三十一日現在、この路外駐車場、六千百五十九ヵ所で約八十一万台分であったものが、平成元年三月三十一日現在、六千四百九ヵ所で約八十六万台分の整備がなされておりまして、約五万台分の増加となっております。  この間におきまして、融資制度の面で、六十三年度におきましては、有料道路融資制度の貸付限度を事業費の二五%から四〇%に拡大し、あるいは第三セクターの行う都市計画駐車場整備に対するNTT株式の売却収入の活用による無利子制度の創設等々の融資面の改善がなされております。  また税制面では、平成二年度におきまして、地下式の都市計画駐車場に対する固定資産税と不動産取得税の軽減措置適用期限の二年延長、こういった措置がとられているところでございまして、さらに申し上げますと、六十三年度におきましては、市街地再開発事業におきまして商業・業務プロジェクトの附置義務駐車場整備を補助対象に追加する、こういった補助の制度につきましても拡充に努めてまいったところでございます。
  43. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと私失礼しました。最初六十九万台と申し上げましたが、今の建設省路外駐車場というのは、都市計画駐車場届け出駐車場二つですね。いただいております資料だと七十三万——そんなものでしょうかね。つまりこの間五万台ばかりふえたというふうに承知しておけばいいでしょうかね。  それでは二番目に、荷さばき施設の整備というのはどの程度進んでおりましょうか。
  44. 安達常太郎

    安達説明員 荷さばき施設につきましては数字を持っておりません。持っておりませんけれども、この五万台分の中に当然含ましめられるものというふうに考えております。
  45. 関山信之

    ○関山委員 円滑化対策の中では路外駐車場整備と荷さばき施設の整備というのは別に分けられているのですが、これだけじゃ私どももちょっとわからないのですけれども、どういう概念でこれは当時方針が決定されているんでしょうか。
  46. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 路外駐車場整備という点は、文字どおり、先ほど建設省の方からお答えのあったところでございます。  それで、荷さばき施設というのは、商店街等におきまして物資を搬入したりあるいは搬出する作業の際違法駐車を招きやすいということから、路上ではなくして別のところに荷さばき施設の整備が必要であるという観点から別に盛り込んだものでございます。ただ、今後はこうした荷受け人側の荷さばき施設の整備ということと並んで、新たな荷さばき施設等の整備、こうしたものも検討が必要になってくるのではないかというふうに考えております。
  47. 関山信之

    ○関山委員 よくわからないんだけれども、これはつまり所管官庁は建設省なんですか、運輸省なんですか。それとも協議の上処理していく代物なんですか。  それから、先ほど建設省の御答弁では、この都市計画駐車場届け出駐車場の中に当然含まれると言われていますけれども、少し違う概念なんじゃないでしょうか。——時間をとられても困りますので、総務庁、つまりそういうことのフォローアップがもう少しきちっきちっとやられていないと、やはりやることをやってないからということに話がなるんで、まあ役所の皆さんのおやりになることだからそれはそれなりの説明はつくようにできているのかもしれませんが、それじゃ困るわけでして、まあ八八年ですから、一年や二年で解決のつく問題じゃない、この二つ対策は中長期施策というふうにもなって知りますから、今ここでできていないことについて文句をつけようというんじゃないんだ。どれだけ進んだかということの評価をしようとしているんじゃないんです。こういう問題について、先ほども御指摘がありましたように、一点集中で十分な各省間の突き合わせがされている中で展開されているかどうかというシステムの問題としてお尋ねをしておるわけでございますから、そのように御承知おきの上対処を願いたいと思うのです。そういう問題として、きちっと対応ができていないならいないなりに、そういうものの準備を直ちに始めていただかなきゃならぬということだろうと思います。  それからもう一つございますが、道路交通の需要軽減対策、今回の法律改正にもかなりかかわる問題なんですが、持ち帰り車というのは実情どうなっているのか。この対策については具体的にどういう施策が展開をされてきたのか、お尋ねをしたいと思います。
  48. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 持ち帰り車対策につきましては、例えば環境庁が中心となって毎年十二月に行っております大気汚染防止推進月間の中でも、重点目標ということで広報、啓発を行っております。そのほか関係の業界に対しまして、それぞれの関係省庁から持ち帰り車の自粛ということにつきまして要請等を行っておるところでございます。
  49. 関山信之

    ○関山委員 関係省庁が関係業界にというお話だけじゃ困るのでありまして、この持ち帰り車が、例えば仮に東京都区内に限ってどの程度あるのかというような調査などは取り組まれたんでしょうか、取り組まれていないんでしょうか。
  50. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 持ち帰り車の実態というのは非常に難しくて、例えば都心部を離れた郊外部におきましても、果たしてどれが持ち帰り車であり、そうでないのかといった判別は非常に難しい状況にございますので、こうした具体的な数量等の調査についてはいまだ行っておらないところでございます。
  51. 関山信之

    ○関山委員 数量を調べたかどうかじゃなくて、そういうものの実態について具体的に、総務庁なら総務庁は調査をなさったんでしょうか。数字が出たか出ないかじゃないのです。
  52. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 ただいまのような数量の問題も含めまして、まだ実態というものの調査は行っておりません。
  53. 関山信之

    ○関山委員 はい、わかりました。  今後とも、この法案背景になる当然やられていなければならない施策についての継続した作業というのは、当然進められるわけでありましょうが、ぜひひとつしっかりとフォローしていただきたいと思います。  ところで、この円滑化対策には見られないのですけれども、今回の法案提出をめぐって御指摘のある事柄ですが、駐車場法に基づく、これは建設省でも、附置義務駐車施設というのでしょうかね、これがそういうことになるのでしょうか。これは、いまだ条例化をしていない都市などがあるというふうにも伺っているのですけれども、この実態はどのようなものがあるのか。  それからあわせて、私もかねがねこれは早目早目に、特に、大都市はもはや無理だとしても地方の中核都市あたりではぜひ取り上げなきゃならぬと思っている問題にパーク・アンド・ライドの方式があるんですけれども、この二つの問題について、駐車場法の方は建設省でしょうが、パーク・アンド・ライドも建設省なのかどうか、所管官庁を明らかにしながら、現状等対応についてお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 安達常太郎

    安達説明員 お答えいたします。  附置義務条例の制定の状況でございます。平成元年三月三十一日現在でございますけれども、全国で百三都市において附置義務条例が定められているところでございます。人口二十万人以上の都市について言えば、平成元年三月三十一日現在九十八都市中六十二都市において条例が制定されております。また、県庁所在地について言えば、四十七都市中三十四都市で条例が制定されているところでございます。未制定都市につきましては、今回の附置義務基準見直しを機会に、制定するよう、さらに指導してまいりたいと考えております。
  55. 三谷浩

    ○三谷政府委員 後半の御質問のパーク・アンド・ライドのことについて一応御説明をさせていただきます。  もう先生御案内のとおり、パーク・アンド・ライド・システムというのは、大都市の郊外部におきます交通利便性の向上と都心部交通混雑の緩 和を目的といたしまして、鉄道駅などの周辺に駐車場を設けまして、自家用車による都市内への乗り入れ交通を公共交通機関に転換を図ろう、こういうシステムでございます。実態的には、駅周辺部の遊休地を暫定的に利用しているものが多くて、民間を主体として整備をしておるわけでございますけれども、建設省といたしましても、例えば郊外部の鉄道駅など公共機関に近接をして計画的に公共駐車場整備するということが必要というふうに考えております。  例えば、一つの例でございますが、平成二年度に、パーク・アンド・ライド用の駐車場に対しては、有料道路整備資金によります無利子貸付制度を設けまして、その制度推進を図ることとしております。例えば、半田市あたりでもこういう例を予定しております。  それから、少し違う観点でございますけれども、道路と鉄道の交通結節点というものの整備手法といたしまして、私ども、道路と鉄道ということでロード・アンド・レール事業と言っておりますけれども、高速道路と鉄道を有機的に活用する駐車場、こういうものを一体的に整備をして公共交通への転換を考えて実施をしたいというふうに考えております。現在、関係機関と協議を進めておるところでございます。
  56. 関山信之

    ○関山委員 ちょっとつけ加えて、パーク・アンド・ライドというのが全国的にどの程度の箇所でやられているかおわかりでしょうか。おわかりでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  57. 三谷浩

    ○三谷政府委員 代表箇所については、細かく箇所ごとに全部載っておりますので、後でまた御紹介させていただきますけれども、全体数というのは、駅周辺の遊休地を暫定的に駐車場として利用しているケースがあるものですから、確実な実績は把握しておりません。
  58. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。  いずれにいたしましても、一つは、従前の対策についてやれることはもう精いっぱいやっているという状況は、今日の時点でなお一層強力に推し進めていただかなければならない課題だと思いますので、頑張っていただきたいと思うのです。  ところで、締めくくり的に、締めくくり的にと申しますか、今回の法改正のいわば受け皿としての駐車スペース保管場所をというのは、車の量と駐車スペースの関係でいきますと、これは全体数字をきちっと押さえることは面倒でしょうし、大変部分的な感じにもなるのかもしれませんけれども、一体どういう実態にあるのか。それからもう一つは、車庫法の関係で言えば、車庫なし車両の予想台数はどのくらいのものとして把握をされているのか。それぞれについてお答えをいただきたいと思います。
  59. 関根謙一

    関根政府委員 全体の数はわかりませんが、東京都二十三区内での数字を申し上げますと、瞬間の駐車需要は約二十六万台ほどかと存じます。そのうち駐車施設の方でございますが、時間貸しの駐車場が六万二千台分、それからパーキングメーター、パーキングチケット発給設備等の施設が一万四千台分ほどでございます。でございますから、これで二九%ぐらいが駐車できるという感じでございまして、残り七一%ぐらいが違法駐車になってしまうということになろうかと存じます。  それから、車庫の関係でございます。ことしの四月に、東京団地等の周辺道路を対象として、保管場所法違反を犯した車両保有者につきましてアンケートをいたしまして伺った結果でございますが、全部で三千五百人ほどの方でございます。路上に違法駐車をしていた方のうち約二〇%ぐらいの方が車庫をお持ちになっていないということでございました。  以上でございます。
  60. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと済みません。全体の二〇%ぐらいが車庫を持っていないという数字になるのですか。
  61. 関根謙一

    関根政府委員 アンケートの結果では、路上駐車をしていた者のうちの二〇%ほどが車庫を持っていないということでございました。
  62. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと全体の目安がつけにくいのだけれども、そのアンケートでいいのですが、何ですか、三千五百人のうち車庫を持っていなかった人がどのくらいのパーセンテージか。
  63. 関根謙一

    関根政府委員 アンケート対象が三千五百人でございます。その対象となった方というのは保管場所法違反で検挙をした人でございます。その検挙をした人のうち車庫を持っている人が八〇%ほどでございまして、持っていない人が二〇%でございます。
  64. 関山信之

    ○関山委員 わかりました。二〇%、それがはっきりすればいいわけで、大体目安もなしに議論するわけにもいかないだろうと思いましてお尋ねしているのです。  いずれにしても、今五千万台、二〇%とすれば一千万人が車庫を持っていない、それと直ちに結びつけるわけにはいきませんけれども。あるいは、建設省の数字は五千二百五十三万台に対して、これは個人の車庫が入ってこないからわかりませんけれども、さまざまな駐車場施設等で一万台当たり百二台分しかないという数字などがあるのですが、やはりかなりな乖離があるという認識でこの問題に対応するということになるのでしょうかね。この辺はどうなのですか。今のアンケート調査の数字も一つですけれども、建設省の方、いかがでございますか。こういう数字ですか。
  65. 安達常太郎

    安達説明員 建設省で把握しております駐車場の数につきましては、先生指摘のとおりでございます。平成元年三月三十一日現在で、全国で約百四十四万台分が整備されておるところでございます。自動車保有台数が五千二百五十万台余を超えているわけでございますので、単純にこれを比較いたしますと、自動車一万台当たり二百七十三台分の駐車スペースということが言えるかと思います。  これに対してどういうふうにしていくかということでございますけれども、従来から駐車場整備当たりましては公共と民間の役割の分担のもとに進めてきておりまして、これまでに整備されております時間貸し駐車場にあっては、全体の約八割が民間により整備されているところでございます。しかしながら、近年都市部の地価高騰等によりまして、民間の方々によります駐車場整備の進展に陰りが見られるため、公共側による整備の重要性も高まっているというふうに認識しております。したがいまして、これからは広く市民に利用される公共駐車場に関しましては、駐車場整備に関する官民の連携を強化し、有料道路整備資金やNTT株式の売却収入を活用した無利子貸付制度等の充実を図り、積極的に駐車場整備推進してまいりたいというふうに考えております。
  66. 関山信之

    ○関山委員 そうでしたね、二百七十三台。どうも失礼しました。わかりました。  いずれにせよ、やはり車と保管場所との間に大変な乖離があるという認識であるということになるのだろうと思いますが、今度の車庫法改正によってかなり車の保有台数と車庫に関しては数字が出てきますので、この辺はぜひ実態の把握を先行させて、きちっとした根拠のもとに対策を立てるようにしていただきたいと思います。  時間がなくなってしまって残念なのですが、改正案が当初より後退したことについての御指摘がありました。いろんなところで世論の指摘があるわけでございまして、先ほど、いろいろあったけれどもこれで国民的なコンセンサスが得られた、ベストを尽くしたとおっしゃっておるのですが、周りはそう見てないのでありまして、業界とのコンセンサスがようやっとできたのではないか、こう見ておるわけですよ。ですから、この点につきましては国民的なコンセンサスなどという言葉はお取り消しをいただきたいと思いますし、一体何が試案から後退したのか、幾つかあると思うのですが、この際、ひとつ後退をしたという事項について、まずそちらからお聞かせください。
  67. 関根謙一

    関根政府委員 後退というよりも、私どもの案と御提案申し上げました法律案との相違点を申し上げたいと存じます。  一つは、軽自動車につきましても当初車庫証明制度というもので対応してはいかがかということ で各界の御意見を伺っていたところでございますが、軽自動車につきましては従前そのような仕組みが一切なかったものですから、庫庫があることを簡単に保証できるような仕組みとして届け出制……
  68. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと済みません。どうして後退したかの話はいいです。何と何と何が、後退というのがぐあい悪ければ試案と違ったでもいいですが、項目だけ挙げてください。
  69. 関根謙一

    関根政府委員 車庫証明制度ということを検討した段階もございますが、それを届け出制といたしました。  それから、あとは、後退というよりも、経過措置ということで順次順を追って、もしお認めいただければ法律となりますこの改正法を施行することとしたいということで、その二点かと存じます。
  70. 関山信之

    ○関山委員 後退であるか激変緩和措置であるかはこれからの議論に任せることにして、試案と最終的な法案との間に食い違い、食い違いというか、違いが出てきているのは、まず適用地域の問題、それから今おっしゃっている届け出制の問題、施行前購入免除の問題、そして罰金を行政罰に切りかえて処理をしようというふうに当初出ていた問題、それからシールの問題、それから法律ではないけれども五百メートルを二キロにした問題、ほかにもあるのかもしれませんが、私どもとしてはこの六つくらい、非常に重要な問題を抱えておりまして今後の議論にゆだねるわけですが、その辺が少なくとも試案とは違った状態になって出ざるを得なかった、こういうふうに理解をしていいわけですね。
  71. 関根謙一

    関根政府委員 行政制裁金の問題は道路交通法の方の問題でございますが、これはそのとおりでございます。それから、その他の点では、体系として整備すべく当初の考えの不十分な点を補充した点でございます。
  72. 関山信之

    ○関山委員 例えば適用地域東京、大阪に限ったのは、不十分だったから補充したと言われたって周りは納得しないわけですよ。緩和措置としてとられたことは認めるにやぶさかじゃないのですが、ただ私は、激変緩和措置であるのと業界のコンセンサスを得るために譲った部分とはやはりしかと区別をしておいて、この時期にスタ一トすることが大事ですから、それはそれでいいのだけれども、しかしそこはしかとはっきりさせておかなければならぬ部分だと思うものですから、今中身の子細について議論するのは、同僚の山下議員などが手ぐすね引いて待っていますので、いずれの議論になるのだろうと思いますから、私はただ、項目的にまず確認をしてほしい、そういう事態にあったということをまず認めてほしいということを申し上げているわけです。  五月二十八日の新聞を見ますと、警察庁は一時風前のともしびだと思ったというような記事が載ってみたり、ありとあらゆる新聞は、おおむね世論は一致しているのですよ。巻き返し工作に遭って一定のものが後ろへ下がった。これは皆さんはなかなかそういうことをそうだとは言いにくいでしょうけれども、それはしかし、下がるには下がるなりの理由があって下がっていらっしゃるのだから、別に今このスタート時点でそのこと自体を問う——それはやむを得ないことなのであって将来に向けてきちっとしていくということがあればそれでいいのだろうと思うのですが、この辺は大臣、いかがでございますか。
  73. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生御存じのとおり、この保管場所法制定から、昭和三十七年と聞いておりますから随分時間が経過しておるわけですけれども、その間、その当時の軽自動車の台数が百万台、それが今日千五百万台という形で、台数では十五倍に膨れ上がってきておるという実態があります。そして、その車の中で、どのくらいの数字かは別として、先ほどアンケートの数字で交通局長が示しておりましたけれども、保管場所もない、いわゆる青空駐車的な、青空駐車と申しますか、そういった形の台数が相当台数いることだけは間違いありません。  そうすると、この法施行によって、直ちに車を廃棄するか、そういった形に追い込まれるという形の中で、いろいろな要請があったことは事実でございます。したがって、これは何とかして、距離を延ばすことによって保管場所確保していただく。そしてまた、将来、車の更新期には必ずそういった形での青空駐車を、青空というか保管場所のない形を一掃したいということで、現実状態というものとこれから近き将来にかけるそういった車に対する保管責任なりコストなり、そういったものをよく勘案した結果、そういう形に落ちついたというふうに聞いております。
  74. 関山信之

    ○関山委員 先へ進ませていただきます。  そういう意味で、今回の改正法が提出された位置づけというものをどういうふうに押さえておくかということが基本にあるのだろうと思いますが、その位置づけの問題について言えば、少し観点を変えてといいましょうか、今回実は車庫法の第一条「目的」について、従来の「道路使用の適正化及び道路交通円滑化」という問題に加えて、「道路における危険の防止」という項目がつけ加わったわけです。広く車社会というもの全体をにらみますと、やはりそれだけでは、せっかくこういう法律改正をするわけですから、もう少し広いスタンスで考えるべきではなかったのかと実は思うわけでございまして、これは奥田大臣が御みずから御発言があるようですけれども、本当にこのまま放置すれば都市機能は窒息してしまうというような観点からいえば、都市機能の確保、住環境の整備という問題もございましょうし、先ほど片岡議員がちょっと触れられておりましたように環境問題という側面からも、これは車庫法に関してですけれども、車社会に対する位置づけというものをそういう観点からもやはりきちっとしておくべきだったのではないだろうかと考えるのですけれども、この点についての御見解はいかがでございましょうか。これは大臣にお伺いしましょう。
  75. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は今日の都市交通状態考えるときに、一番考えるのはやはり最低のマナーと申しますか、乗る人、売る人、つくる人、こういった形が車社会で一定のコストも負担してもらわなければいけませんし、車社会の秩序を形成するために、そういった負担というものは車を持つ人、乗る人の当然のマナーの原点でなければいかぬと思っておるわけです。  それと同時に、この問題を一挙解決するということは口で言うべくしてなかなか至難な問題がたくさん横たわっておることも、先ほど先生の御指摘で勉強させていただきました。確かに道路事情の完備も必要ですし、また建設省が今検討していただいておる一応道路の路面のそういった形での開放、車に対する、駐車施設に対する開放等もありますし、またそれぞれの都市政策の中で公営的な駐車場施設の立ちおくれもございますし、あるいは商店街等における積みおろし場のそういった形の施設の未整備もございますし、また大きく言えば公共交通充実という面が、今も車庫なし車でもどうしても出ていかなければいかぬ、なぜか、原点はやはりもっと深夜運転もかけた形の公共交通整備も必要でしょうし、あらゆる形がこういった総合対策の中に含まれてくると思うわけでございます。  ですから、今この二法ですべての問題が解決するとは全然思っておりません。しかし、何らかの形で今ここで乗り出さなければこれは大変なことになるという一つの危機認識を持って、この法案、警察だけのマンパワーだけでとても解決できる問題ではありませんけれども、何とか市民の御協力も得ながら、基本的には交通マナー、交通モラルの高揚も含めて、先ほど言ったような形で何とかこの解決の糸口にしたい、しなければいかぬという危機感に基づいて御提案申し上げておるわけでございます。これだけで解決という気持ちは毛頭持っておりません。
  76. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと御質問の趣旨が届かなかったのかもしれませんが、今やこの車の問題は車庫法、道交法にとどまらず、車社会に対するスタンスというのは、単に円滑化交通安全という側面だけではなくて、住環境、環境対策というところまで含めなければだめなのじゃないかということですので、後の答弁でいただきたいと思っておりますが、時間がございませんので先に進ませていただきます。  特に私は、しばしば論議の種にはなっておりますがタブーでなかなか手がつかない総量規制という問題について、これはやはり具体的な検討を始めなければならない、分析を含めてやらなければならないところに来ているのじゃないだろうかという気がするのです。例えば二、三日前の環境庁のNOxの排出総量抑制方策検討会も、車の販売規制も含めて環境面からこの問題に対処しなければならぬといったような方向を出し始めているようであります。  確かに今日までの日本経済の成長の過程で車が果たした役割というのは非常に大きかったし、そのこと自体を否定する何物もありません。しかし依然として車の売れ行きはすばらしくて、八年連続で市場最高。これは業界にとってはすばらしいことではあっても、そして過去において日本の産業界に貢献をしたいわば基幹的な産業であったということを認めるにしても、もはやそれをそのまま認めるわけにはいかないといった社会の状況が迫っている。先ほどもお話があったようですけれども、開発銀行の調査などでも、そのことだけで一兆円の経済的な損失がある、つまり車の渋滞という側面からいって。そういうような問題もありますし、先ほどの大臣の御発言の、都市機能は窒息してしまうという側面もありましょうし、我々はどこまで車を許容できるのかという問題意識をもう持たなければならない時期に来ているのではなかろうか、こう思うのですね。  そこで、そのことについての御認識と、またこの問題は、ぜひそういう議論をする場所をもう持っていただかなければならぬという意味で、そういうことについての対応の場所をぜひ考えてほしいということを申し上げて、大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。
  77. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これはいわゆる大きく、ひいては単に交通問題のみにとどまらず自分たち生活環境問題にまで波及する大きな問題で、今日問題としてとらえなければならぬという気持ちは私も全く同感でございます。  それで、これは私にはなかなか難しい質問でお答えにくいのですけれども、いずれにしてもこのままでほうっておいたら車社会は崩壊してしまう。そして、これはメーカーもディーラーも節度を持ってもらわないと、それが総量規制という言葉に続いていく形は、私は今この場で使うことは控えたいと思いますけれども、いずれにしても、自由な選択で豊かな生活をしたいという国民みんなの気持ちはよくわかります。ただそれだからといって、豊かな利便的な形で求めた車が逆の方向になって、車社会の崩壊につながっていくという形になれば何も意味がないわけですから、結果的には、ドライバーもつくる人も売る人も節度を持った形になっていってもらわなければ困ると私は思います。  したがって、今度の法改正がある程度の総量規制的な方向に通ずるといったことの御批判は受けると思います。しかし、これもまたあるべき社会のために仕方ないことなのではないか。間違っているでしょうか。私はそういった形で、今度の法案には、本当にある程度のあるべき方向を示す大事な出発点、そしてまた、買う人も乗る人も売る人もすべてが一定のモラルとコストを当然払う責任があるのだということを感じてもらえたら、もらわなければならぬという気持ちでおるわけでございます。
  78. 関山信之

    ○関山委員 時間が終わりましたが、せっかくそこまでおっしゃっているのですから、今総量規制というものの是非を大臣に御答弁をいただこうとは思いませんけれども、この法案の持っている論理的な帰結というのは、車の量と車を動かすあるいは保管をする場所との間には絶対的に乗り越えることのできない乖離が存在をするということになるのです。数字がなかなか出てきませんが、しかし、そのことはスタート台なんでありまして、それから発生する問題というのは、まさに豊かな社会における新しい損失であり新しい貧困であり新しいいわば社会の崩壊への道を予見せざるを得ないような課題を持っていますから、ぜひこういう問題について議論をする場所をつくってほしい。つくらなければならないのじゃないかということについて、先ほど総量規制は御批判とありましたけれども、必ずしも御批判ばかりではないのですから、いや応なしに議論しなければならない局面にあることも事実だろうと思いますので、重ねて大臣の御決意をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  79. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そういった問題を含めて御論議願わなければいかぬ状態に来ておるという形は同感でございます。そして、プラスを目指したものがマイナスにかかっておるこの現状点の認識においても、率直に言わせていただければ先生の認識と一緒でございます。
  80. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。
  81. 権藤恒夫

    権藤委員長 次に、山元勉君。
  82. 山元勉

    ○山元委員 新人議員の山元でございます。交特で初めて質問をさせていただくわけでございます。高次な質問、意見とならないかもしれませんけれども、前向きの真剣な御答弁を最初にお願いをしておきたいと思います。  今度の法改正が、第二次交通戦争とも言われるような異常な時代の中で緊急にこういう提案がされたということで、例えば車庫法でいえば二十八年ぶりの抜本改正だそうでございますけれども、そういう点については私ども必要だということで評価をいたします。  しかし、お尋ねですけれども、こういうふうに二つ法律改正をして、今の状況の中でいかほどの効果が期待できるのか。駐車違反の問題や交通事故の激増の状況に対してどういうような効果を期待していらっしゃるのか、少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
  83. 関根謙一

    関根政府委員 今回御提案を申し上げております二つ法律改正案とあわせまして、先ほど来各省庁からの御答弁にございますようなさまざまな施策が相まって機能を発揮するようになれば、近い将来、違法駐車によって都市の機能が麻痺することになりかねないといったような現状は打開できるものと確信をいたしております。
  84. 山元勉

    ○山元委員 先ほど大臣も、これだけでは解決にならないというふうにおっしゃいました。今の答弁では麻痺が打開できると確信するとおっしゃるわけですけれども、私は今度の法改正というのは一つの部分だけの改善というか措置であって、全体的な対策がぜひ必要だろうと思うわけです。  そういう意味からいうと、今も関山先生から話がありましたように、後退したことについては大変残念な思いがしてならないわけです。国民の皆さんがどれほど今交通状況について不安や不満、危険に思っているかということについての認識からすれば、本当に近い将来というか、私どもから言えば、直ちに麻痺状態が解決できる、打開できるような方策というのは見えなければならぬわけです。そういう点について、私どもは多少というよりも大きな不安をこの法改正について、評価をしながらも持っているということを最初に申し上げておきたいと思います。直接的に命にかかわる問題ですから、きっちりとした見通しなり方法なりというものが確立していないと、将来についての確信が持てないと思います。  そこで、そういう立場からもですが、五月二十八日の対策本部申し合わせについて少し私もお尋ねをしておきたいわけです。一昨年の七月になされた本部の決定によって申し合わせをしたとあるわけですけれども、この法案改正とこの五月二十八日の申し合わせ事項との関連がよくわからないわけです。悪い言葉で言えば、お役所仕事をされたのではないかと疑わざるを得ないようなこともあるわけです。  具体的にお尋ねをしますけれども、例えば「法改正について検討する。」あるいは「取締りの強化を図る。」というふうに出ているわけです。この 「法改正について検討する。」というのは五月二十八日の時点でおっしゃっているわけですが、この法案と関係があるのか、別の法案を検討していらっしゃるのか、そこのところをお伺いいたします。
  85. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 駐車対策につきましては、昭和六十三年の交通対策本部決定大都市における道路交通円滑化対策について」というものに基づきまして鋭意推進してきたわけでございますが、さらに現在の違法駐車の実態が大変な事態であるという認識から、五月二十八日に緊急的に、そして総合的にとり得る総合的な対策を取りまとめたということでございます。  それで、その中にございます法改正の検討をするという内容でございますが、それは、当時警察庁におきまして道路交通法あるいは自動車保管場所確保等に関する法律改正作業を進めておられるということを承知しておりますので、当然申し合わせの中の重要な柱として盛り込んだということでございます。
  86. 山元勉

    ○山元委員 私が申し上げた、この「検討する。」ということを申し合わせて四日後に今国会に提案されるということですね。ですから、ここに書いてある事柄が、今まで取り組んできたことあるいは既に予定をしていることが羅列してあるのではないかというような危惧を持つわけです。  そこで、もう少しお尋ねしますけれども、例えば、これは四つの柱になっているわけですが、その四つの柱のうちの三番目に路外駐車の問題で、「都市計画駐車場などの整備を公的助成により積極的に推進する。」こうあるわけですけれども、この二十八日の時点でどういうふうに予定をされたのか、既にあった計画について述べていらっしゃるのか、その点お伺いをいたします。
  87. 安達常太郎

    安達説明員 都市計画駐車場等に対する公的助成の推進についてのお尋ねでございますけれども、この問題は建設省といたしましても従来積極的に取り組んでまいったところでございますが、申し合わせの中のこの事項につきましては、平成三年度の予算要求あるいは建設省の新しい施策の検討、こういった中でこれから具体的に、予算に絡む問題が大分出てまいりますので、これから取り組んでいくということでございます。  先ほどの関山委員に対する答弁の中で申し上げたとおりでございますけれども、近年、都市部の地価高騰等によりまして、民間の方々による駐車場整備の進展に陰りが見られるということで、公共側による整備の重要性が高まっていると我々認識しております。したがいまして、今後は、広く市民に利用される公共駐車場に関しましては、駐車場整備に関する官民の連携を強化し、有料道路整備資金やNTT株式の売却収入を活用した無利子貸付制度等の充実を図り、駐車場整備推進してまいりたいと考えているところでございます。
  88. 山元勉

    ○山元委員 そうすると、お聞きをした限りでは、十一月二十八日に非常事態宣言が発せられた、六月一日からは新しい法改正についての審議を期待する、そういう状況、非常事態、緊急事態についての申し合わせであり、具体性を持った緊急措置申し合わせということにはなっていないと思うのですけれども、その点について、全体的にこの申し合わせについて総務庁としてどのように考えていらっしゃるのか、例えば五月二十八日前後から新たなアクションを起こされたのかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
  89. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 駐車問題につきましては大変大きな社会問題となっておりますので、先ほど申し上げました昭和六十三年七月の交通対策本部決定に基づきまして関係省庁がそれぞれの施策を強力に推進してきたところでございます。ただ、さらに緊急的にやれることをやっていこうという必要性から関係省庁と再度急遽協議をいたしまして、当面やれる総合的な対策ということで取りまとめを行ったものでございます。
  90. 山元勉

    ○山元委員 こういう事態ですから、くどいようですけれども、精神規定だとか形式的な申し合わせでは事態の解決にはならないわけです。ですから、今の駐車場整備助成についても三年度予算、それではいつその効果が出てくるのかということは非常に心もとないわけです。そういう意味では、私は急いでの対策をぜひ期待したいと思います。  そこで、法案の中身ですけれども、二つ法案共通しているところは、自動車によっての危険あるいは渋滞等を解決するためにということが共通の目的になっているわけです。その中の円滑な交通とするための施策なのですが、このためには幾つかの要件がもともとあろうと思います。  例えば道路交通量、許容量というのですか、安全にスムーズに多くの車を流すという道の質を高める問題、それから一方では、道路使用の抑制といいますか、先ほどありましたパーク・アンド・ライドのように、都市の中に車を余り流れ込まさないような、そういう車の量の問題、それからもう一つは、マナーの問題があろうと思います。そういうことが総合的に図られなければならない課題だ、要件だと思いますし、その一つ駐車違反だと思います。これはその駐車違反も含めて総合的に施策を立てなければならぬと思うわけですが、そういう総合的に解決しようとする努力は、今ありましたような交通対策本部のほかにどういう機構なり組織が現在機能をしているのか、努力をされているのか、お尋ねをいたします。
  91. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定されまして、その中で、内閣総理大臣を会長とし、関係の十七の国務大臣から成ります中央交通安全対策会議というものがございまして、ここにおきまして交通安全についての長期的、総合的な施策の大綱を定めることになっております。これに基づきまして五年ごとに交通安全基本計画というものをこの会議におきまして策定いたしまして、そしてまたそれに基づきまして関係省庁が各年ごとの業務計画を作成し、そしてまた地方にありましては都道府県が長期的な計画を策定することになっておりまして、国・地方を通じまして総合的、計画的な交通安全対策推進されるような仕組みになっております。
  92. 山元勉

    ○山元委員 そういう対策本部的な組織についてはわかりましたけれども、先ほども関山先生からありました縦の行政での弱点というものがあろうと思います。私は、こういう生きている車社会に対応していくような、あるいはこれからますます車の量もふえる、人口もふえる、あるいは産業も拡大していく状況の中では、今おっしゃいましたような対策本部的なものでは将来にわたって対応できないのではないか。私の思いつきではありませんけれども、総合的な交通安全の研究所というような大きなものが一つ国としても要るのではないか。そういうところを一つの拠点にして対策研究等をしなければ、この問題については将来、そのときそのときの行き当たりばったりと言っては失礼ですけれども、そういう対症療法しかできないのではないかと考えるわけです。そういう意味で、今私が申し上げましたような交通安全対策のための研究所というようなものが現在あるのか、あるいは持とうとするのかどうか、お尋ねをいたします。
  93. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 確かに、交通安全対策推進のためには道路交通の安全に関する各関連分野の協力による総合的な研究開発というものを一層推進する必要があると考えております。今でも国立の研究機関であるとかあるいは財団法人による研究機関であるとか、あるいは民間の研究機関であるとか、いろいろのものがございます。ただ、いろいろある試験研究機関について、研究開発を総合調整するあるいはそれぞれの試験研究機関相互の連絡協調をしたものの強化を図っていくというようなことが今後重要であろうというふうに考えております。御指摘の総合的な研究施設の設置というような問題につきましても、このような観点から貴重な御提言といたしまして慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  94. 山元勉

    ○山元委員 私は先日、この委員会の皆さんと一緒に自動車研究所というところへ視察に行かせていただきました。いい勉強をさせてもらいまし た。しかし、あの施設は何といっても自動車そのものの安全とか効率とか、そういうことの研究です。すばらしい機械も使いながら大きな施設で研究していらっしゃる。けれども、私が残念に思ったのは、やはりあの研究所で、例えばカーブミラーの研究だとか歩道の研究だとか標識の研究だとか、そういうものが余りなかったような気がするのです。ああいうふうに自動車が強くてあるいは快適で、あるいは速くてという総合的に大きな研究をしていらっしゃる。それと同じ、いやそれ以上の安全に関しての研究所を持つべきではないかというふうに思うわけです。  現在、建設省の皆さんあるいは運輸省の皆さんがそれぞれ努力していただいている、道路を設置するについてはどうだ、さくについてはどうだ、踏み切りについてはどうだ、それぞれ縦で研究していらっしゃる、その努力は地方にあっても見られます。新しいミラーが出てくるとか新しい報知機が出てくるとか新しいシステムが見えますから。けれどもそれは何としても総合的なものではないというふうに思えてならないから、これについては今検討するというふうにおっしゃいましたけれども、ぜひ前向きに、二十一世紀の車社会に対応する研究は組織的にやらなければならぬという認識をお持ちいただきたいと思います。  それから、それと同じような観点からですけれども、日本の交通事故の場合、例えば処理の仕方でいいますと、警察の方が来て、どちらが悪い、人命がどうだというふうに犯罪捜査のような形で交通事故が処理をされるわけです。一体道路の欠陥がどうであったか、人の気持ちがどうであったのか、周りの状況がどうであったのか、交通全体についての検討を一つ一つの事故で行う体制になっていないわけです。その点は国民の意識も今そうなっているんだろうと思いますけれども、それではだめで、これからの車社会に生きていく国民としてあるいは行政として、一つ一つの事故を分析して、事故がない、同じ事故が起こらない、そういう制度をつくるべきだというふうに思うのですが、一番先に警察官の皆さんの姿勢が見えるわけです。そういう点で、一つ一つの事故の処理のあり方についてお伺いをいたしたいと思います。
  95. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、現在、交通事故の調査の際に、関係者の過失の度合い等を中心とした調査、分析がなされる傾向がございます。そこで私ども、ただいま先生指摘のように、そういうそれぞれの関係者の責任の分担の割合ということとあわせて、車の構造の問題でありますとか、道路環境の問題でありますとか、さらに救急医療体制の問題でありますとか、そういうことを総合的に調査分析を行う必要があると考えておりまして、現在、そのような調査分析体制をとることができるように、その実施に向けて関係省庁と検討を進めているところでございます。
  96. 山元勉

    ○山元委員 ぜひ、そういう広い立場といいますか、研究なり対応について改めて検討していただきたいと思いますが、最後に大臣、今申し上げましたように、国としてしっかりとした新たな研究機関、施設を持つということについてどうでしょうか。無理なことを私は申し上げているのでしょうか。大臣に少しお気持ちをお伺いしたいと思います。
  97. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は大変貴重な御提言だと思います。もちろん、交通総合対策の主官庁は総務庁でございますけれども、本当にこの問題は広範な省庁にわたりまして、今先生指摘のような縦割り行政の欠陥も我々は率直に反省しなければならぬと思っております。したがって、今御提案ございましたような、いろいろな意味での安全な車社会の建設のためにはそういった広範な研究所も必要だと思います。単に車の性能、利便性、快適性だけを追求するのではなくて、今御指摘のありましたように、安全性の確保、人命の問題はもちろんでございますけれども、環境問題も含めそういったことは確かに今一番求められている大事なことだなと思っております。それと、御指摘ありましたけれども、警察のこういった安全対策、事故対策に対する対応、やはり原因の分析、道路事情、環境も含めてのそういった形での問題点の御指摘も大変大事な、勉強になった御提言で、感謝しております。
  98. 山元勉

    ○山元委員 ありがとうございました。  それでは、次の問題に入りますが、予算の問題です。交通安全対策関係の予算の中身についてお伺いをしたいと思います。  まず、平成二年度の予算について、交通安全対策関連予算の全体的な規模だとか特徴について御説明をいただきたいと思います。
  99. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 平成二年度の陸上交通安全関係の予算につきましては、第四次の交通安全基本計画、これは昭和六十一年度から平成二年度までの計画でございますが、この計画の趣旨に沿いまして、一つには道路交通環境の整備二つには交通安全思想の普及、三つ、安全運転の確保、四つ、被害者の救済及びその他必要な調査研究等を推進するということで予算計上が行われております。  平成二年度の予算案につきましては、陸上交通安全対策関係予算といたしまして一兆二千九百四十五億円が計上されております。その主な内容は、道路交通環境の整備に一兆一千五百二十四億円、交通安全思想の普及に二億九千万円、安全運転の確保に四百三十七億円、被害者の救済に九百七十億円、それから交通安全に関する調査研究等に十一億円ということになっております。
  100. 山元勉

    ○山元委員 今、主な項目をおっしゃっていただきましたけれども、前年度対比ではどうなっていますか。
  101. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 全体といたしまして、前年に比べますと四十七億円の減、わずかでありますが、〇・四%の減というふうになっております。
  102. 山元勉

    ○山元委員 そうですね。今私どもは、非常事態宣言も出た交通問題あるいは二十一世紀を目指した車社会の対応の問題で論議をしているわけですけれども、予算で見てみると、わずかという言葉がありましたけれども、マイナス○・四%ということになっておるわけです。去年夏からこの予算策定の作業が進められたのでしょうけれども、非常事態宣言を発出するような事態の中で、ことし、特にその時点でとりわけ努力をされた部分があるわけですか。
  103. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げました第四次の交通安全基本計画に従いまして、それぞれの項目に従いまして、所管する省庁が予算獲得に鋭意御努力をいただいたものというふうに承知いたしております。
  104. 山元勉

    ○山元委員 少し具体的にお尋ねをいたしますが、今申し上げましたように、非常事態宣言を発出しているのに予算が減になっている。例えば道路交通環境整備というのは第一の柱でした。けれども、前年度比九十九億九千九百万円減になっているわけです。およそ百億円減っているわけです。  その大きなものでいいますと、まず建設省にお尋ねをしますけれども、踏切道の立体交差化等のところで三十六億も大きなマイナスになっているわけです。そのことについて少し理由をお尋ねいたします。
  105. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  踏切道の立体交差化等の事業は、これは踏切道改良促進法に基づきまして昭和三十六年から立体交差について千八百九十五ヵ所の指定を行いまして、千四百十六ヵ所が完成しておりました。そこで、その一環といたしまして、平成元年度に東急の池上線それからJRの札幌駅のところの大規模な立体交差事業がおかげさまで完了したわけでございます。  この立体交差化事業というのは実は十年以上かかりまして、いずれも十一年あるいは十四年というふうにかかっております。そこで、ちょうど平成元年にそれが終わりまして、平成二年の予算につきましては新規の箇所を入れたわけでございます。立体交差事業を遂行するに当たりまして、ずっと十年ぐらいにわたって行うわけでございますけれども、事業当初はどうしても地元調整、最後に工事がピークに至って、その工事が進んでちょうど終わったのが実は平成元年でございます。し たがいまして、そういう全体の大規模事業の流れとしてそういう数字になったということでございます。もちろん、こういう事業につきましては新規も積極的に採択をして、鋭意進めていく所存であります。
  106. 山元勉

    ○山元委員 そうすると、事業が終わった、ことしは事業を始める谷間にあるということですか。それでは、その継続的、計画的にどんどんと前向きに事業を進めていくということにはならぬのです。ことしはちょっと少のうて三十六億円減だ、大きなマイナス要因になっている、こういうときに、例えば私は滋賀ですけれども、滋賀県にも幾つもの踏切が、あかずの踏切、これは全国で使われる言葉だろうと思いますけれども、あかずの踏切というのが今はたくさんあるわけです。早く何としてでもやってほしい。三台、五台の違法駐車があるところの比ではない、交通渋滞を招いている、そういう箇所が全国でわんさとある状況の中で、私は、これは計画的、継続的でないというふうに思います。ぜひこのことについては検討して、もっと前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。  それから、その予算の中でもう少し個別ですけれども、先ほども言いましたように、安全についての調査とか研究とかいうのは今本当に総合的にやることが大事だと思います。そういう中で縦割り行政が大きな弱点になっているということを申し上げました。その弱点の中でも、例えば一兆何ぼの予算の中でですけれども、安全調査等についての予算が軒並みにマイナスになっているわけです。総務庁交通安全調査、これもマイナス、交通管理技術の調査研究、警察庁、これもマイナス、陸上交通の安全に関する調査研究、これも大きく二億円マイナス、こういうふうになっているわけです。  大事だ大事だ、調べなければならぬというふうに言いながらも、ことしこういうふうに予算がマイナスになっていることについて、総務庁、警察庁、運輸省、それぞれの事情を御説明をいただきたいと思います。
  107. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 運輸省の調査研究費の減のことについて御説明申し上げます。  運輸省の調査費で減になっておりますのは、鉄道の新規の技術開発を行う際に、安全面における検討も加えなければいけないというような意味で、一つのプロジェクトとして調査を行っていた案件があるわけでございますが、それがたまたま前年度に終了した、したがいまして、今回はその調査がなくなったということが二億円の減になってございます。
  108. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 総務庁の分につきましては、平成三年度から交通安全基本計画が第五次に入りますので、その策定のための調査研究ということで前年度、交通事故の長期予測及び基本的対策の評価検討に関する調査というものを行いました。それが終了いたしましたために、平成二年度では四百万円の減ということになっておる次第でございます。
  109. 関根謙一

    関根政府委員 警察庁の安全関係予算でございますが、本年度は百三十四億円で対前年比八億円の増、六・六%増でございます。ただ、調査研究の関係で六百万円ほど減ということでございます。
  110. 山元勉

    ○山元委員 文部省はお見えになっていますか。今の状況というのは、交通事故死者のうち特徴的に激増しているのは若者と弱者、高齢者と子供ということになっていますけれども、そういう若者の教育というのは非常に大事だと思います。十五歳から十九歳までの青年の死亡の原因の五割が交通事故でトップだ、こういう状況になっているわけです。ですから、青年あるいは子供たちに対する交通安全についての指導というのは徹底してやらなければならぬと思うのです。それについて、今年度予算では、交通安全教育指導等で、学校における交通安全の予算が二千四百万円となっているわけです。一体、今の事態を見て、学校における交通安全教育の充実強化を図るためという予算が二千四百万円というのはいかにもお粗末過ぎると思うのですけれども、一体何をこれでされるのか、ことしの計画を教えてください。
  111. 石川晋

    ○石川説明員 お答えいたします。  二千四百万円の中身でございますけれども、柱にいたしますと五本ほどあります。文部省の場合には、この問題に関しましては、物をつくるとかということではなく、ソフト省庁ですから、人に対してどう指導するか、あるいは資料をつくるかとか、かような観点から予算を計上しているわけであります。  まず二千四百万円のうち、金額からいきますと交通安全教育指導者養成講座、これは小学校から高等学校までありますが、先生方それに教育委員会の関係者を含めまして中央研修会及び各都道府県の研修会を開催する費用でございますが、これが九百一万円でございます。これについては、各都道府県分については各都道府県分のプラスアルファもある、こういうことでございます。  それから、同じく管理研究協議会、これは交通安全教育、先生方の研究会の問題がございますけれども、これにつきまして研究協議会を開催する県について補助をするということで、わずかですが七十二万円の予算を計上しております。  それから、交通安全の教育のための調査研究、これについて百七十五万円計上しておりますが、これは毎年会議を開きながら、交通安全教育の実態を調査しながら先生方の交通安全の指導の手引書をつくっていく。現在まで小中高の手引書、あるいは高等学校の場合であればさらに二輪車の指導の手引書とか、こういうものをつくってきているわけでありますが、そういった調査研究をしております。これが百七十五万円であります。  それから次に、交通安全教育推進地域事業。と申しますのは、交通安全教育というのは学校で行っているわけでありますけれども、学校だけではなかなかできない問題がある、地域ぐるみで進めなければいけない点がある。かようなことから、モデル地域をつくりまして、学校と地域が一体となった交通安全教育を進めていくということで八百八十万円計上いたしまして、何ヵ所か箇所づけをしながら推進していくというような事業を行っております。  最後に、今年度新規事業といたしまして、高校生二輪車運転教育に関する調査研究事業というものを三百八十二万円計上しております。これは今先生の御指摘にもありましたけれども、子供たち交通事故のうち特に目立つのは高校生該当年齢のところである、しかも内容的に見れば二輪車事故等がふえてきている、こういう交通社会を背景にいたしまして、現実に小中高で行われている交通安全教育というのは歩行者あるいは自転車教育が中心で、運転者教育というのは具体的に、皆無ではないけれども全体としてはなかなかやられていないという傾向がある中で、高校生における運転者教育のあり方というものを調査研究し、指導の手引であるとか実態調査を行いながらこの問題に取り組んでいこうということで新規計上したものです。  大体内容は以上であります。
  112. 山元勉

    ○山元委員 これは大臣にお尋ねしますけれども、今の状況をお聞きになって、文部省の方たくさんおっしゃいました。確かに教師も教育しなければならぬ、高校生も教育しなければならないといったくさんの項目がありましたけれども、細かいことで言うと、指導者の研究会のために国家予算で七十二万円。これで本当に今の若者の交通指導、子供の交通指導はできるとお考えですか。二千四百万円というのは、人件費で言えば二ないし三人分でしょう。こういう事態の中で本当に真剣になって国民の意識を変えていく、積極的にそのことについて理解をし行動するということを植えつけていく大事な教育の部分で二ないし三人分、二千四百万円で、しっかり頑張ってくださいということに私はならぬと思うのです。  そういう意味で、私は今申し上げました全体、安全調査の問題やあるいは踏切立体交差の問題や予算がマイナスになっている、非常事態宣言を発して、真剣になって国民的な課題としてやらなけ ればならないと言っているその裏打ちの予算としてはいかにもお粗末ではないかというふうに思うわけですけれども、今後の努力も含めて大臣からこのことについての見解をお伺いしたいと思います。
  113. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今文部省の方からのお答えがございましたけれども、文部省の場合マナーとかモラル、そういったソフトの面の対応としての予算の説明でございましたから、その金額の多い少ないに関しては今先生の御指摘のあったとおりで、私も、所管は違いますけれども、今後そういった形は側面からこういった安全教育に関する予算充実にお手伝いしなければならぬなと実感をいたしております。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  いずれにしても、ハードに重点を置いた安全対策であったように思います。また、ハードの面も、今立体交差なりそういった面はこれからも継続的に大きな投資を必要としていくことは当然でございますけれども、今御指摘のようにソフトの面、安全教育、マナーの面、これが若者の死を少しでも少なくしていく、これからを担っていかなければいかぬ若者がこういった形で年々大変たくさんの死亡増という形になっている形は、ハードの面ばかりではなくて、何としてもソフト面からの重視が大変大切である、私もそう認識し、またそういった面で協力したいと思っております。
  114. 山元勉

    ○山元委員 ぜひ裏打ちとなる財源についての御努力をお願いしたいと思います。  時間も何ですから、個々の問題について二、三お尋ねをしておきたいわけですが、先ほど取り締まり先行という言葉もありましたけれども、今度大幅に罰金についての引き上げがございました。一つの抑止力を働かすという意味もあるのだと思いますけれども、今度の場合、点数については措置がされていないわけです。重ければいい、減点が大きければいいということではありませんけれども、私はどちらかといえば、今の状況は、先ほど説明にもありました二台分の駐車で七十二台持っている、もし捕まれば罰金払えばいいという、金による制裁についての痛みよりも、例えば私も免許を持っていますけれども、点数が減になって免停になるのが一番怖いわけです。営業していてもあるいは日常生活で車を使っていても、免停が一番怖い。そういう状況で、点数というものについての考え方、今回どういうふうにお考えになったのか、伺っておきたいと思います。
  115. 関根謙一

    関根政府委員 運転免許の行政処分点数は政令で定めることとしておりますので、政令段階で検討すべきことかと存じます。しかしながら、現在は、駐車違反は単純な駐車違反と駐停車禁止場所違反と二つございまして、単純な駐車違反につきましては一点、駐停車禁止場所違反につきましては二点という取り扱いでございます。今回特に車両を放置する行為、放置行為につきまして重く処罰するという思想も法律上取り入れさせていただきたいと考えておりますので、これとの比較考量上、さらにスピード違反等他の違反とのバランスを失することのないように勘案しながら必要な点数の引き上げも検討してまいりたいと存じます。
  116. 山元勉

    ○山元委員 次の点ですけれども、この法改正はもともと悪質な駐車とか、そういう逃げというものも含めて厳密にやろうという意図は見えているわけですけれども、なおかつ警察官の配置について少しお伺いしたいわけです。  確かに全国的に行政改革の波で警察官が大変不足をしているという声を聞きます。一般庶民から見ると警察官がふえることのよしあしというのはいろいろな考えがあるわけですけれども、最低の治安等についてはやはり一定の確保が必要だと思います。  私、滋賀県ですけれども、滋賀県からも要望書を先般受け取りました。例えば人口が滋賀県の場合でいうと急増していて、全国で第三位の急増県だ、あるいは県外の方が滋賀で事故を起こす比率というのは東京に次いで全国二番目に高いんだ、人口割や面積割で警官が配置されている状況から見ると、県外車の事故処理についてあっぷあっぷ言っているんだということで、警察官をふやしてほしいという要望がございました。ここは陳情の場ではございませんからなんですけれども、確かに、全国平均警察官一人当たりの人口というのは五百五十人というのが平均だそうですけれども、こういう状況の中で配置の基準見直し、増員というのが願いですけれども、見直し等についてお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  117. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 警察官のいろいろな仕事の配分、その他苦労につきまして御理解を賜っておりましてありがとうございます。  滋賀県の場合には、確かにお話のように大都市の周辺ということでいろいろと難しい問題がございます。また、今回のこういう法案が通りますと、これに伴う事務量もふえるということで、負担量はますます厳しくなってくると思います。ただ、今回のこの法律案が通った場合の事務量の問題からいきますと、これはいろいろコンピューターを利用するなり事務の合理化というようなことでできるだけ効率化について配慮をしてまいりたいと思います。また二つ法律案影響ということで、モラルの向上であるとか罰金反則金の引き上げというようなことでの違反の抑止力の効果というようなことも考えますと、この法案で直ちに増員を私どもの方も考えるということまでは今考えておりません。ただ、一般的に負担が非常に高いということはよく承知しておりますので、これはこれでまた改めて検討をしてまいりたいと思っております。
  118. 山元勉

    ○山元委員 大臣にお伺いをしておきたいわけですけれども、先般、京都で警官のいない派出所が二ヵ所爆破されるという事故がございました。そのときに、京都などでは警官がいない派出所についての不安と不満というのが出ていました。今もありましたけれども、滋賀でも派出所も駐在所もつくれないんだ、そういう状況。新たにこういう仕事が出てくるんだということでの増員あるいは見直しについて、公安委員会として積極的に取り組んでいただきたいと私は思うのですけれども、その点、どうでしょうか。
  119. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 大臣は自治大臣の立場もございますので、私の方から答えさしていただきますが、今お話しがございましたように、人口の急増、特に団地の新設によります派出所、駐在所の勤務員の負担増というものは非常に大きいものがございます。そういったことで、ことし平成二年度予算におきましては、首都圏で、埼玉、千葉、神奈川というところでそういった点での手当てをいたしましたが、これは全国的にあちらこちらでそういう問題が起きております。特に滋賀県の場合にも私どもの方にも再三いろいろと詳しい要請がございます。そういったことも踏まえまして、全体の問題として検討さしていただきたいと思います。
  120. 山元勉

    ○山元委員 これは犯罪捜査のみでなしに、今審議をしております法案の完全な実施のためにもぜひ御検討いただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  最後にもう一点ですが、この道交法の中で、地域交通安全活動推進委員というのをつくるとあるわけです。これが少しよくわからないのです。例えば「名誉職とする。」というような言葉もあるわけですけれども、一体この推進委員さんは何をするのか、どういう権限を持つのか、この推進委員について御説明をいただきたいと思います。
  121. 関根謙一

    関根政府委員 地域交通安全活動推進委員につきましてお尋ねでございます。  現在、駐車問題で困っておられる商店街等を中心といたしまして、違法駐車対策のために、それぞれ駐車対策協議会でございますとか交通安全協会等のリーダーの方でございますとかが駐車対策についていろいろボランティア活動として活動中でございます。そういった方々の活動に法的な根拠を与えたいということが今回のその改正案のねらいでございます。  そして、その活動内容でございますが、これはそういった地域におきまして住民の方々に駐車 問題等について理解を深めていただくような運動を推進していただく。例えばビラ配りをしていただくことでありますとか町内会等でそういう活動をする場合にリーダーとなっていただくこと等、そのようなことを行っていただきたいと考えております。  そして名誉職という点でございますが、これはその主たる活動についての俸給等を支給しない職という考えでございます。
  122. 山元勉

    ○山元委員 わからない。勉強が足らぬのかわかりませんけれども、ボランティアに法的根拠を与えて金は払わない、だから名誉職なんだ。わざわざ法律にこういうふうに名誉職として、そしてその後では「推進委員が能率的にその任務を遂行するために必要な事項」、こういう言葉遣いがしてあるわけですね。ボランティアと言い、名誉職と言いながらも任務を遂行するというふうにしているわけです。そしてその任務の中身については一向に書いていないわけです。一体この人たちはどういう権限を持つのか持たないのか、あるいはだれが町内、地域で認定をするのか。例えば警察の署長がぱっと名指しで決めるだけで力になるとは思わぬのです。そういう意味では地方自治体との関連とかいろいろな関連がないと、このことは、あああの人は好きで名誉職をやっているんだというだけで、何の権限もないし行動力も伴ってこない、形だけの組織をつくることになってしまうんではないかと思うのですが、いかがですか。
  123. 関根謙一

    関根政府委員 この地域交通安全活動推進委員を委嘱するのは公安委員会でございますが、それぞれのこの法律の定める要件に適合する方を委嘱をするということで、恣意にわたることのないように運用は気をつけてまいりたいと存じます。  それから活動の中身でございますが、住民の集会の開催、チラシの配布、ポスターの掲出等によって、地域における駐車問題等、道路交通上の問題やその解決策を地域住民に訴える広報啓発活動、自治会等の活動として違法駐車防止交通事故防止等を取り上げるよう働きかけたり、地域におけるイベントの主催者等に対し駐車対策その他交通安全対策を講ずるように働きかけたりする協力要請活動等でございまして、権限といたしまして特に他の一般人と異なる特別な強い権限を持っていただくということは全く考えておりません。一般の方々と同じ立場で以上のような仕事をしていただきたいわけでございます。  それから、先ほど名誉職で無給ということを申し上げましたが、ただし、その活動の実費等を支給することは可能でございます。さらに、災害を受けた場合でございますが、特に駐車対策ということで道路に出て活動する場合には、災害を受けやすい立場にございます。その場合に、地方公務員災害補償法の規定に基づく都道府県の条例で災害補償の対象とするということが考えられるわけでございます。
  124. 山元勉

    ○山元委員 先ほどからも繰り返して申し上げていますけれども、形式的な場当たり的な措置では今の状況はどうにもならない。しっかりとした展望を持てるような、そして継続的な対策考えなきゃならぬということについて考えると、この委員さんの任命、有効な手だてだということについては確信が私も持てぬし、当局も持てないのではないか。実際にこの人たち地域の中にあって我我の地域の将来の車社会をどうしていくんだということが真剣に考えられるような、取り組めるような、そういうものでなければ、気休めだと言ったら失礼かもしれませんけれども、なってしまうだろうと思うのです。そういう点で、これからもこのことについては相当地方自治体とも協議をしていただいて、民主的に実効あるものにしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  最後にもう一遍、対症療法的なことではだめなんですし、縦割りの仕事ではだめだということを十分御認識をしていただいて、ひとつ力を入れて申し上げましたのは、総合的な交通安全のための国の機関、しっかりとした施設、研究所をつくってもらいたいということを申し上げたわけですけれども、そういう行政姿勢に立っていただくことをお願いを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  125. 片岡武司

    片岡委員長代理 この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ────◇─────     午後二時五十七分開議
  126. 権藤恒夫

    権藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  127. 草野威

    草野委員 午前中に引き続きまして両法案について質問をさせていただきます。  この両法案につきましては、ドライバー初め多くの国民の方々、また産業界からも非常に強い関心が持たれている法案であろうと思います。交通安全ということにつきましては、当然のことでございますけれども人命の尊重が第一であろうと思います。しかし、非常に残念なことでございますけれども、昨年は交通事故による死者が一万一千を上回っておる、そしてまた、ことしも昨年のペースを上回っているような状態である、こういうことも伺っているわけでございまして、現在の交通問題というのは非常に憂慮される面が多々あろうと思います。そういう中で今回のこの法改正でございまして、当然規制の強化という面もあるわけでございますけれども、私もそういう面につきましては基本的にはやむを得ないのではないか、こういうような感じを持っているわけでございます。  そんな中でまず一番初めにお尋ねをしたいことは、両法案改正当たりまして、どういうような趣旨でこの法案改正されようとしているのか、まず初めにお尋ねをしたいと思います。
  128. 関根謙一

    関根政府委員 両法案改正趣旨でございますが、現在における特に大都市を中心とした違法駐車が、交通事故を初め交通渋滞その他社会生活にさまざまな影響を与えていることにかんがみまして、そのような影響を排除し、本来の車社会に回復すべく、応急の措置として、違法駐車及び住宅地域における車庫なし車両をなくするような仕組みを設けたいということが今回の両法案改正趣旨でございます。
  129. 草野威

    草野委員 マスコミ等の報道によりますと、警察庁は、今度の法改正はマイカーいじめではない、ねらいは企業絡みの違法駐車、それから道交法の改正の主眼についても物流システムの改善にある、したがって、マイカーより営業車両の規制に重点が置かれている、このように警察庁の運用姿勢について報道がされております。また、スーパーなどの量販店の荷さばき所を確保させるためには使用制限という非常に強力な力も必要だ、こういうようなことで、この法案改正のねらいは個人よりも企業に重い、こういう法のシステムであるというようなことが報道されておりますけれども、このとおりでしょうか。
  130. 関根謙一

    関根政府委員 個人か企業かということは特に考えておりませんで、違法駐車を排除することができるように、違法駐車使用者、つまり車両管理責任者につきましても、違法駐車、特に放置車両でございますが、その放置車両についての管理責任を負っていただくような仕組みを設けるということでございます。個人か企業かということを特に念頭には置いてございません。
  131. 草野威

    草野委員 個人、企業関係なしということでございますが、今度の法案の特徴の一つとして使用者の責任ということが非常に強く問われている内容になっておりますが、この使用者の責任ということを具体的な例を引いてお示しをいただきたいと思います。
  132. 関根謙一

    関根政府委員 今回の法案考えております使用者の責任の仕組みは、一つ指示ということであり、もう一つ車両使用制限というものでございます。  指示をする事例でございますが、午前中も例を申し上げました、車庫を二台分しか持っていないで実際には七十二台の車を運営していた会社がございますが、そのような会社が車の使用者でござ います。現在の仕組みですと、車を運転した方、つまり運転者が違法駐車の責任を負うことになり、刑罰ないし反則金によって責任を果たすことになるわけでございますが、今回の考えでは、企業あるいは会社、使用者が車の運行管理について責任を負うべきものと考え、特に駐車のあり方につきまして責任を負ってもらうこととするというのが基本的な考えでございます。これが七十四条の改正点でございます。これを前提といたしまして、違法駐車について運行管理上の責任を果たしているとは認められない使用者につきまして、まず指示をするということでございます。これは駐車場のあるところに駐車をするように運転者を教育してくださいとか、行った先の駐車料金を持たすように運転者を送り出してくださいといったような内容指示でございます。  このような指示を何回か受けてもなお引き続き放置行為をするという場合には、その車の使用者に対しまして三月以内の期間を定めて車両使用制限をすることとするというものでございます。これは公安委員会の命令でございます。そして、企業が特に違法駐車をしてこいというふうに命令した場合、あるいは違法駐車をした場合には金は全部会社が払ってやるということで容認した場合には、使用者に対しても刑罰を科することとしその場合には使用制限は六月以内の範囲内で期間を定めて使用制限をする、こういう仕組みでございます。
  133. 草野威

    草野委員 第二次交通戦争、この言葉を使われたのは昨年金澤長官でございますが、あれから一年近くたつわけでございますけれども、残念ながら、ことしは去年のベースを上回るような状態で事故が発生している。極めて残念でございます。交通安全対策に総合的に取り組む必要があるということは、大臣を初め今までいろいろとお話がございましたとおりでございます。このように車が道路にあふれている。あふれているというような表現がぴったりのような状況の中で、これからの対策道路整備だとか駐車場の問題だとか安全教育だとか、また救急救命の体制だとか、さまざまな問題があろうと思います。  そこで、まず初めにお尋ねしたいことは、金澤長官が宣言をされましてから小一年たつわけでございますけれども、現在のような状況を率直にあなたはどのように受け取っておられますか。
  134. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 昨年、私が第二次交通戦争ということを申し上げました。その状況と、今手元にありますきのう現在での死者の数で比較してまいりますと、きのうまでに死者が四千四百十九人、去年に比べまして二十三人増、○・五%の増でございます。去年が、先ほど来話が出ておりましたように十五年ぶりで一万一千人を突破したという、状況としては非常に悪い戦争の状況であったわけですが、ことしは今現在でそれをさらに上回った厳しい状況になっておる。したがいまして、去年言いました状況よりももうちょっと厳しい状況というふうに認識をして、それでできるだけ早急に緊急に対策を行いたいということで、今回の法案の提案もそういう趣旨で行ったものでございます。
  135. 草野威

    草野委員 総務庁にお尋ねしたいと思いますが、今長官の話のように、第二次交通戦争、また政府として非常事態宣言を昨年十一月にされたわけでございますけれども、こういうものを発しただけで何となく、事足れりということじゃないと思いますが、現実はそういう状況になっているわけです。  交通安全対策基本法の第十四条、第十五条の中で、内閣総理大臣を長とする中央交通安全対策会議が設置をされているわけですね。こういうものが設置されているわけでございますけれども、第二次交通戦争宣言、非常事態宣言、この後どういうような会議が開かれておりますか。開かれていれば、その内容について発表していただきたいと思います。
  136. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 中央交通安全対策会議は内閣総理大臣を会長といたします会でありまして、主として交通安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱でありますところの交通安全基本計画を策定するために開催されるものでございます。現在、第五次の交通安全基本計画の策定の準備を進めているところでありますが、本年度中には中央交通安全対策会議を開催いたしまして第五次の交通安全基本計画を策定し、非常事態ともいうべき厳しい交通事故に対処してまいりたいと考えております。
  137. 草野威

    草野委員 こういうような非常事態の中でございますので、当然そういう緊急な会議が開かれて何らかの対策をお持ちになったのではないか、私はこのように思ったわけですけれども、これから開くということで非常に残念な気がするわけでございます。  引き続き総務庁にお尋ねをしたいと思いますが、第四次交通安全基本計画の中で駐車対策というものはどんな形で取り上げられておりますか。また、先ほど来お話が出ておりますけれども、自動車関連企業が交通事故抑止活動等を行うべきことはこの中で明記をされているんでしょうか。
  138. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 第四次の交通安全基本計画におきましては「駐車対策推進」ということで項目が盛り込まれております。読み上げてみますと、   都市部における無秩序な路上駐車を抑制し、道路交通の安全と円滑を確保するため、駐停車禁止等の交通規制の適切な推進を図る。その一環として、短時間駐車の需要、路外駐車場整備状況等を勘案しつつ、パーキング・メーターの設置を推進する。また、違法駐車車両の指導取締りの強化と体制の整備を図る。 次に、   道路交通の安全と円滑を図り、都市機能の維持及び増進に寄与するため、駐車場整備地区の指定、大規模な建築物に対し駐車場の設置を義務付ける条例の制定等を通して、各都市において交通計画、土地利用計画等に見合った適切な路外駐車場整備を促進するとともに、既存の駐車場の有効活用を図る。 というふうに盛り込んでございます。
  139. 草野威

    草野委員 後段の部分については御答弁がなかったわけでございますけれども、先ほどのお話の中で、第五次交通安全基本計画の作成作業が現在進められている、こういうお話でございました。その中でこの自動車関連企業の交通事故防止対策及びその駐車対策に対する積極的な参加、また抜本的対策を盛り込むべきではないか、このように思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。この点につきましては、先ほど午前中の質疑の中で奥田大臣の方からも、車に乗る人、売る人、つくる人、それぞれが共同の責任を持たなきゃならない、こういうようなお話もあったわけでございますけれども、この点については総務庁はどのように考えておられますか。
  140. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 今策定を進めております第五次の交通安全基本計画の策定に当たりましては、関係の各方面から幅広く御意見を聴取することにいたしております。これまでの基本計画の策定においてもそうでございますが、ユーザー団体それから交通安全関係団体あるいは身障者の関係団体であるとか、労働組合の代表者であるとか、また自動車のメーカー団体等々、各方面の方の御意見を聴取いたしまして基本計画を作成し、それに反映させるようにいたしております。  また、それぞれの責務につきましては、交通安全対策基本法それ自体に明記されております。例えば、車両等の製造事業者の責務という点につきましては、第六条におきまして「車両、船舶又は航空機の製造の事業を営む者は、その製造する車両等の構造、設備及び装置の安全性の向上に努めなければならない。」という規定がございます。また、車両等の使用者の責務という点につきましては、第七条におきまして「車両等を使用する者は、法令の定めるところにより、その使用する車両等の安全な運転又は運航を確保するため必要な措置を講じなければならない。」以下、道路交通にかかわる当事者のそれぞれの立場において果たすべき責務というものが交通安全対策基本法においてうたわれております。
  141. 草野威

    草野委員 今の答弁はちょっとピントがぼけていますね。私が質問したのは、自動車関連企業が交通安全対策また駐車対策、こういうものについては積極的に参加するように、そういうことを盛り込むべきではないのか、こういう質問なんですね。ちょっとぼけていると思うのですね。  私どもはなぜこういうことを言うか。これは言うまでもないと思いますけれども、これから、やはり駐車問題ということについては非常に大きな社会問題にもなっていくわけでございますので、自動車メーカーについても積極的にこういう問題について参加をさせる、こういうような姿勢で総務庁としても取り組んでいただきたい、こういう気持ちで申し上げていることをぜひとも理解していただきたいと思います。  次の問題に入ります。  青空駐車という問題でございますけれども、警察庁にお尋ねしたいと思います。特に団地ですね。住宅団地内での青空駐車の問題というのが今非常に大きな問題になっているわけでございますが、特に東京都内の住宅団地における青空駐車の実態といいますか、こういうものについておわかりになればお伺いしたいと思います。
  142. 関根謙一

    関根政府委員 個々の実態はつまびらかにしておりませんのですが、ことしの四月に東京都内の団地周辺の道路保管場所法違反の取り締まりを行いました結果、約三千五百人ほどの保管場所法違反者を取り締まったわけでございます。その方方にアンケート調査をいたしまして車庫があるかないか聞きましたところ、そのうちの二〇%くらいの方々が車庫を持っていないということを答えております。このことから、その団地周辺の道路には車庫のない自動車かなり駐車されているのではないかということが推測されるところでございます。
  143. 草野威

    草野委員 今のお話のように、二〇%くらいの人たち青空駐車をしている、車庫を持っていない、こういうような数字がわかったということでございますが、この車庫法の第八条、第九条関係で、車庫を確保していないと認められた車の運行制限、これは文書で通達することになるわけでございますが、この場合、車の前面の見やすい箇所に標章を張りつけるものとする、こういうふうになっているのですね。この場合の標章というのはどんなものなんですか。
  144. 関根謙一

    関根政府委員 使用を禁止する旨の大きな用紙を張りつける。大きさはまだ考えておりませんのですが、一見してそれが公安委員会使用制限の処分を受けた車両であることが明らかであるような標章を取りつけたいと考えております。
  145. 草野威

    草野委員 そのような車の運転者に対して、警察から恐らくこれは呼び出しがあって、公安委員会の聴聞、これは第十条の関係ですが、こういう形になっているわけですね。  その聴間でございますけれども、公開の聴間で釈明の機会を与えられることになっているわけでございますが、実際に住宅団地に住む人たちの話を聞いておりますと、以前は車庫を持っていたけれども現在はなくなってきてしまっている、こういう話をよく伺います。その理由として、例えば、移転をしてきた、転勤をしてきた、こういう理由。また、団地駐車場についても、毎年抽せんが行われるので、今までは持っていたけれどもこの年から駐車場がなくなってしまった。また、付近に契約している駐車場、これが突然相手方から断られてしまった。さまざまなケースがあるわけでございますけれども、そういう人たちは実際に非常にまじめな人であるにもかかわらず、実際はこういうことで非常に困っている例がたくさんあるようでございます。公開の聴聞の席でこういうような釈明をした場合、今私は三つほどの例を挙げましたけれども、こういうような事情の場合には正当な理由としてこれは取り上げられるのでしょうか、それとも、これも却下されるのでしょうか。
  146. 関根謙一

    関根政府委員 この改正案の十条で考えております聴聞は、法文にありますとおり、釈明及び証拠の提出の機会を与えるために公開で行うものでございます。ただいま先生がお挙げになりました事例は、いずれも車庫を、道路上の場所以外の場所保管場所をお持ちにならない例であろうかと存じます。そうだとしますと、やはり使用制限ということになろうかと思います。  釈明として可能である場合と申しますのは、例えば、車庫を現に持っているけれども、それが工事なんかの都合で一時的に使えなくなったので公安委員会届け出ている車庫以外の場所を一時的に借りているといったような、あるいは、どこか空き地等道路上の場所以外の場所保管場所を持っているといったような事例かと存じます。
  147. 草野威

    草野委員 大変厳しい状況になるわけでございますね。そうしますと、現在東京都内の公営団地駐車場の設置状況というのはどんなようになっておりますか。
  148. 梅野捷一郎

    梅野説明員 お答え申し上げます。  公営住宅団地あるいは公団団地というような公的団地の場合の駐車場の設置につきましては、従来から大変問題になっております重要な課題でございまして、それぞれの立地条件に合わせて従来はスペースの確保に努めてきたというのが実態でございます。  最近は、例えば東京都などで見ますと、郊外型のニュータウンでございます多摩ニュータウンというようなところでは大体五〇%程度設置しております。その他、ごく中心を除きまして中層の一定規模の団地につきましては、めどとしては三〇%ぐらいということでございますし、関連する住都公団等におきましては、郊外型で約七割ぐらいというような設置の状況でございます。
  149. 草野威

    草野委員 都内の大規模団地における車庫、駐車場の需給状況を調査したものがございますけれども、これは光が丘ニュータウン、それから八潮ニュータウン、この二つの例でございますが、こんなような状況になっております。  光が丘の場合は、昭和六十二年で七千九百三十九世帯入居している。そのうち、駐車場の設置率が二六・四%、二千台ほどでございます。それに対して、車を実際に保有している世帯の割合は六八・六%、五千四百台余りでございます。したがって、団地以外に何らかの方法で車を持っておる者が四二%、三千三百五十台、こういう数字になっております。  それから、八潮ニュータウンの場合は、五千百七十六世帯入っておりまして、駐車場の設置率が三八・三%、千九百八十二台。車を保有している世帯が六七・五%でございまして、三千五百台ほどになります。したがって、ここも団地駐車場以外に二九%の人がとめている。千五百台ほどになるわけでございます。  それで、こういう数字でございますけれども、問題は、公団団地の場合は今のお話のように、多摩ニュータウンの場合でも約五〇%、そのほかで七〇%、三〇%といろいろな団地があるようでございますが、都営住宅の場合はゼロだと思います。この光が丘ニュータウンの場合も、千八百四十八世帯の都営住宅がございますけれども、実際に車を持っている人は六八%おります。それに対して駐車場はゼロ、こういう状況です。それから、八潮ニュータウンの中の都営住宅、千三百五十三世帯おりますけれども、これも車の保有世帯率が六五%、それで、駐車場の設置率はゼロ、こういうような数字が出ております。これが実態であります。  これから見てみますと、所得の多い少ないにかかわらず団地における自動車の保有率というものはほとんど同じである、こういうような数字がこれでわかるわけでございます。また、今後車を新しく保有をしたい、こういう希望を持っておる人が光が丘で一〇%、八潮では十六%、このように非常に高い数字になっておりまして、これを全部合計いたしますと、八割内外の人たちが車を持っているか、またこれから持とうとしている、こういうような数字がこれによってもわかるわけでございます。しかし、現在駐車場の設置状況というものはお話があったとおりでございまして、まことに少ないという状況になっております。  そこでお尋ねしたいことは、一つは、今後この公営住宅駐車場建設に対してどういうような方向で臨まれようとしているのか、それからもう一つは、既設の団地駐車場問題についてどのようにお考えになっているか、この二点をお尋ねしたいと思います。
  150. 梅野捷一郎

    梅野説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたような、今いろいろお話しございましたような実態もあるわけでございますが、今日の住宅生活と車の関係でございますとか、今回も議論になっておりますような全体的な駐車場の問題というものにも真剣に対応しなくちゃいけないということで、先ほどちょっと申し上げましたのは、例えばそういう郊外のニュータウンの場合には少なくとも五〇%ぐらいを目標に整備をしていこう、あるいは五十戸以上の中層団地につきましては、東京都におきましても三〇%ぐらいの駐車スペース確保に努める、そういうことが実情でございます。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  限られた用地の全体的な利用の中でそういうものを考えなきゃいかぬということでもございますし、また、費用の負担を一体どうするべきであるのか、各地域におきますそれぞれの必要量というものをどういうふうに把握していくべきかというようなこと、いろいろ難しい問題もございますけれども、ただいまのような車と生活の関係というようなことを勘案しまして、今後極力前向きに検討していきたいということでございます。  また、既存の団地につきましては、いろいろな生活の実態が過去から積み上がっておりますので、現在の敷地の中で工夫をするという形では今申し上げたような水準にはなかなか上がっていかないというのが実際問題としての現状でございますけれども、現在建てかえというようなことも積極的に進めておるところでございますので、そういう機会もとらえながら同様の対応をしていきたいというのが現在の状況でございます。
  151. 草野威

    草野委員 非常にこれは困るのですね。  大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、お聞きのように、青空駐車に対してはたとえいかなる理由であっても警察はびしびし取り締まる、こういう感じですね。やむを得ない理由があっても、これはもうすべて取り締まりの対象になりそうな感じでございます。そういう中にあって、住宅団地駐車場状況というものは今申し上げたとおりでございまして、公団団地であろうと都営住宅であろうと七割、八割の人たちが実際に車を持つか持とうとしている、こういう状況です。実際に駐車場があるのは三割か四割、都営団地についてはゼロ、こういう状況です。この人たちはこれから車に全く乗れなくなる。売却するかどうするか。その車を使用制限ということで持っていかれてしまうと有料の駐車場に入れられてしまう、大変なことになります。  今の建設省お話を伺っておりましても、せいぜいこれからつくるものについて三〇%くらいをめどにしてやろう、こういうことでございまして、現実の問題としてこれは非常に大きな問題になろうかと思います。総務庁お話を伺っていましても、例えば自動車の関連産業といいますか、メーカーについても何らかの形でこういう駐車場問題について積極的に参加させる、そういう考えがあるかどうかということでお尋ねしましたけれども、これも現在の時点では余りないようでございます。  こういう状況の中で、今このような厳しい法改正を行った場合一体どうなるか。非常に大きな問題が出てくるような感じがしてならないわけでございますが、こういう問題につきまして大臣としてどのようにお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  152. 奥田敬和

    奥田国務大臣 現状先生の御指摘のとおりだと思います。  現状において違法駐車は、先ほども数字の提起がございましたけれども、違法駐車当たり前で、先般来、東京、大阪でのいわゆる瞬間時の放置車両の実態数というのは八九%近くがそういう違法駐車という形で、はっきり言って、お金をきちんと払ってパーキングなりパーキングメーターの備わっている路上なりというところでとまっている車はわずかというのが実態でございます。  しかし、このような実態がこのままいったら大変だという形の中で、まさに交通渋滞、先ほどから動脈硬化の現象あるいは窒息寸前というような状態にこのままなっていったのでは、健全な車社会という形から、自分らの手でこれがだめになってしまう。何としても今ここでやらなければ健全な車社会維持は将来にわたってもできないという危機感に立って、今度の法改正をお願いしているようなわけであります。  しかし、今先生から御指摘いただきました、これは総合的な各省多岐にわたる問題点を含んでおりますけれども、総合対策はそれぞれの省でこの問題に真剣に取り組んでいただきまして、今協力をお願いし、新しい法的措置も今各省でこれを準備なさっていただいておるというような段階でございます。  今、具体的に団地における青空駐車の問題を取り上げられました。先般、団地救急活動消火活動にもう本当に大きな問題になる寸前のところで話題になったような団地もございます。こういった形で、この違法駐車が、結局極端に言えば、団地の住民の生命、安全を脅かすという事態にまでなっているほどの現実も、これはお認めになっていただけると思います。  かといって、今車と日常生活の密着度、しかもここ二十数年の間に、軽自動車一つ取り上げてみても、先ほど数字を言いましたが、百万台が千五百万台、十五倍になっておる現状、そしてほとんどが青空駐車、車庫がないといった形ですから、今直ちにこの法律を、単に違法という形だけで摘発していったら、それはとても、今お話しのとおり車を手離すなり、あるいは車庫のない人たちに対する対応においては大変な事態が想定されるわけであります。ですから、届け出義務を新規購入の車両からそういった形でさせる、暫定的に義務化をさせるということで、それと同時に、建設省にもお願いしてあります、市町村、自治体、特に今度の場合は大都市部の東京、大阪でありますけれども、ある程度のパーキングの道路の面、そして公的な施設拡充の面、商店街はそれぞれの対応する面で諸施策を講じていこうということであります。  今のところ駐車摘発は、その駐車によって多くの人が迷惑をこうむり、路上交通の流通を阻害するといった悪質な駐車を重点に置いて取り締まっていく。そして、これから買う人も売る人も、そういったきちんとした交通社会をつくるためには、一つの車庫保管の責任を持った人、そして売る側もいろいろな形で手助けして、そういった形の助長をすることを防ぐという形の中で、私はここ数年間のうちに新しい車社会の秩序ができるのじゃなかろうかということで、特に軽自動車に限って、私は先ほど激変緩和という言葉を使いましたけれども、そういった形で対応していかざるを得ないのじゃないかということでお願いしているわけであります。
  153. 草野威

    草野委員 新しい車社会、またそれに伴った秩序をつくらなければならない、こういうお話でございまして、取り締まりについても悪質なものからというようなお話のようでございます。いずれにいたしましても、車を減らすかそれとも駐車場をつくるか、こういうことだろうと思うのですね。  それで、この駐車場の問題は午前中からいろいろと議論が出ておりますけれども、問題は、現在の車が今後は減っていくのか、将来ふえ続けていくのか、こういう問題もあろうと思います。都内では今車があふれている。ある数字によりますと、これは非常に単純な数字でございますけれども、道路延長と車の関係を見ると、四・二メートルに一台ずつ車がある、神奈川県においてすら七メートルに一台というような数字でございまして、車と車が道路の上で重なってしまうような感じでございまして、これは本当にひどい状態でご ざいます。そういう中で、駐車場問題というのは非常に重要だと思いますけれども、通産省にお尋ねしたいと思います。  現在、車は原付を含めて七千六百万台ぐらいあると言われておりますけれども、例えば十年後、我が国の自動車保有台数全体でどのぐらいになる見通しを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。これが一点。  もう一点は、先ほど来繰り返しておりますけれども、自動車のメーカーとか自動車の販売会社は、自動車を製造したり販売するだけではなくて、自動車関連企業の責任として駐車場整備交通事故防止対策を積極的に進推するべきである、このように私は考えておりますが、通産省の立場での御意見を伺いたいと思います。
  154. 沖茂

    ○沖説明員 お答え申し上げます。  まず第一点目の自動車の需要の見通してございますが、通産省としては現在のところ国内自動車の需給見通しを取りまとめたものは持っておりません。しかしながら、昨年六月に機械情報産業局長の私的懇談会が取りまとめたものといたしまして、自動車の国内需要は、一九八〇年代における長期的な趨勢を踏まえまして、二〇〇〇年までには、年ごとの変動はあるものの、中長期的には二%程度の伸びが予想されるというようにしているところでございます。  御質問の第二点目の方でございますが、自動車業界はこれまでも、交通安全キャンペーンの実施、ドライバーに対する普及啓発活動の実施等を通じて大都市交通問題に取り組んできているところでございますが、今後とも本問題に対し一層積極的に取り組むよう、当省としても業界を指導してまいりたいというように考えているわけでございます。
  155. 草野威

    草野委員 次に、保管場所標章、車庫法の第六条の関係でございます。標章、いわゆるシールでございますけれども、シールの問題についてお尋ねしたいと思います。  このシールというのを今度表示することになったわけでございますけれども、どういう理由でこのシールを張ることになったのか、それから、このシールにはどういう事項が記載されるのでしょうか、また、そのシールの形だとか色だとか、そのシールはどこに張るのか、有料なのか無料なのか、そこら辺のところをお答えいただきたいと思います。
  156. 関根謙一

    関根政府委員 標章を貼付していただくことの理由でございますが、保管場所を変更した場合に届け出ていただきますし、軽自動車の場合には、新規に購入した場合に届け出ていただくことになります。また、登録自動車につきましては、登録時に車庫証明を添付していただくことになりますが、それぞれの手続を経た旨を表示する趣旨での標章でございます。  このシールに記載すべき事項といいますのは、どこの警察署が発行したものであるかという点、大体どこら辺の行政区域に所属するものであるかといった点等が一見してわかる程度のものとしたいと考えております。  それから、色、形等でございますが、これはまだ具体的に考えておりませんが、ただ、それぞれの地域の特性に応じたものを比較的弾力的に選ぶことができるようなものを工夫できれば工夫したい、私ども内部ではそういう意見がございます。
  157. 草野威

    草野委員 この車庫証明制度でございますが、昭和三十七年から我が国で実施されておるわけでございます。この車庫証明制度というのは恐らく諸外国にその例はないというふうに聞いておりまして、日本独特の制度のようでございます。この車庫証明制度は、例えば新車を登録する場合に陸運事務所に持っていってナンバーを交付してもらうわけでございますが、そのときに警察発行のその車庫証明書を一緒に持参して、車庫があるのだということがそれで証明された場合にナンバーが交付される、簡単に言えばこういうふうなことであると思います。そこで一つ思うことは、これは陸運事務所関係の仕事でございますので当然運輸省関係の仕事だろうと思いますが、なぜ運輸省はこういう性質の全然違った仕事を一緒にやっておられるのか、こういう気が一ついたします。それから、今回この車庫証明制度に追加する形でシールの制度が乗っかってきたわけですが、先ほどもお話を伺いましたけれども、車庫証明ということとこのシールの制度ということとは非常に似通っておるのです。何か追加してというよりもダブっておるような面もあるような感じがしてならないわけでございまして、もしそういうことであれば、ユーザーに新しい負担を強いるような性質じゃないかという感じがするのです。そこで、何も二つもやらないで、今までの車庫証明制度はこの際廃止してシール制度一本で行っても、警察庁が考えられておるその目的を十分に達成することは工夫さえすればできるのではないかと私は思うわけでございますが、いかがですか。
  158. 関根謙一

    関根政府委員 シールの問題でございますが、今回のこのシールを含めました保管場所法改正で私どもがまず念頭に置いておりますのは、登録自動車についてはいわゆる車庫飛ばしといったような脱法行為をしにくくするような仕組みを設けたいということでございます。そこで、保管場所を変更した場合にも届け出ていただくようなことを考えたところでございますが、いずれにいたしましても自動車保有者の方々にとりまして若干の負担増になろうかと存じます。そこで、なるべく簡単な手続でそのようなことを考えたいと存じます。車庫飛ばしというようなことをしにくくするような仕組みということでございますので、この車庫証明制度とシールというものをあわせて運用することによってその目的を達成したいという考えでございます。
  159. 草野威

    草野委員 有料ですか。
  160. 関根謙一

    関根政府委員 シールにつきましては、実費程度の費用をいただきたいと考えております。
  161. 草野威

    草野委員 実費程度というのは、例えば印刷費とか紙代とか、そんな程度ですか、それとも、大体どのくらいの金額を今考えておられるのですか。
  162. 関根謙一

    関根政府委員 これは法律事項ではございませんで、各公共団体、都道府県で条例で定めていただくことになると考えておりますが、従前から条例で定める金額というのは実費程度ということでございますので、今先生言われましたような一切の額が含まれるのではないかと存じます。
  163. 草野威

    草野委員 実費程度である、それから、各都道府県の条例で決めるものである、こういうことですね。  現在の車庫証明の交付制度でございますけれども、これの手数料を見ますと、一番安いところが秋田県、福井県、千二百円です。高いところが警視庁それから大阪、兵庫、これは二千円、こういうような状況になっているようでございます。この交付件数が平成元年度では一千百万件余りでございまして、その手数料収入は百七十億円、こういうような報告をいただいております。そうしますと、今度のシールについてもこの程度の金額でいくということですか。
  164. 関根謙一

    関根政府委員 車庫証明の手数料は、警察官が現場に見に行きましたりさまざまな手数がかかりますのでそのような金額になっているものかと存じます。その半額程度になるのではないかとただいまは考えておりますが、具体的にはもうしばらく検討させていただきたいと存じます。
  165. 草野威

    草野委員 半額程度というお話でございます。  先ほどのお話にございましたけれども、この標章制度を追加したのは、その目的は、一つは車庫飛ばしの対策、それから、住所変更をした場合にわかるようにすることがねらいであるということですね。ですから、こういうことが目的であるならば、今の車庫証明制度というものはなくしても、このシール制度一本で十分対応できるのじゃないですか、ちょっと内容を変えてみれば。できませんか。同じような制度を何も二つくっつけることはないと思うのです。シール制度一本で十分にこれはできるのじゃないですか。
  166. 関根謙一

    関根政府委員 車庫証明をとられた方につきま して、とられた旨を表示するシールを張っていただきたいということでございますので、車庫証明をとられない方についてのシール制度というのがうまく機能するのかどうか、ちょっとまだ未検討でございます。
  167. 草野威

    草野委員 ぜひ検討してください。  それから、さっき伺った中で、このシールはどこに張るのかということについてのお答えがなかったもので、後からまたお答えをいただきたいと思います。  それから、これは任意の制度、義務づけるけれども罰則なしというような制度のようでございますけれども、車庫証明を持っているということをはっきりわからせるためにシールをつけるんだ、しかしそれは罰則の適用も何もない、張るところはどこかわかりませんけれども、今度の運輸省関係の改正は何もないので、恐らく少なくとも前面だとか両わき以外のところじゃないかと思いますが、そうだとすると余り見えないところ、随分何かシールの位置というものが軽んぜられているような感じがしてならないですね。そこら辺のところをひとつまた伺いたいと思います。ではその点だけお願いいたします。
  168. 関根謙一

    関根政府委員 シールを貼付する場所はただいま検討中でございますが、やはり運転に支障のないような箇所ということで、先生おっしゃいましたような後面のガラスの方になろうかと存じます。  ただ、それによってどういう効果があるかという点でございますが、やはりシールを張ることによりまして、そこで示されている場所以外の場所に車庫を持つことでありますとか、あるいは全く車庫を持たないでシールを張るということを心理的に抑制する効果を持つことを期待しているということでございます。
  169. 草野威

    草野委員 私はそんなこと関係ないと思いますね。実際に車庫証明の控えを車検証と一緒に必ず持つような制度にでも改めれば、そんなことは十分対応できるのじゃないか、わざわざ張るのならば車庫証明の方は外してもいいのじゃないかと思います。  それで、この件に関して一つ思うことは、手数料そのものについては東京でも二千円、それに今度このシール代が追加されるわけですね。それ自体はさっき半額ということですから、両方合わせても三千円くらいですか、こういうことなのでしょうけれども、実際は、多くのユーザーの人たちは車庫証明の手続をするときはほとんどディーラーに頼んでおります。ディーラーがその費用を取るときは恐らく一万何千円か取っていると思います、ディーラーによって違いますけれども。その一万何千円というのは全部ディーラーの懐に入っていってしまう、そして国民の負担はかなり大きなものになっているわけですね。現実はそうですね。この国民の負担というのは大変ですよ。この金額というのは、年間で一千数百億円になるわけですね。これは国民、ユーザーが負担して、そのお金の大部分はディーラーの懐に入っている、これは現実ですよ。そんなもったいないことをするよりも、国民がどうせ負担しなければならないのならば、そのお金は例えばさっきから問題になっている駐車場の建設の財源の方に回しても決しておかしくないのじゃないかな、こういうことを考えることはできませんか。
  170. 関根謙一

    関根政府委員 ディーラーの方がどのように収入を得られているかということについてはつまびらかではございませんが、私どもは、車庫証明手続をとることによって負担されるユーザーの方々の負担をなるべく少なくしたいということから、この車庫証明の手続等も今後検討して簡素化してまいりたいと考えております。
  171. 草野威

    草野委員 まだ答えになっていません。
  172. 関根謙一

    関根政府委員 そのディーラーの方が得られた利益を駐車場建設に充てるということは一つの政策的御判断かと存じますが、私どもの所管外のことでございますので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  173. 草野威

    草野委員 時間が来ましたのでこれで終わりにさせていただきますが、今の問題はまた引き続きひとつ検討もしていただきたいと思います。私もまた質問させていただきたいと思います。  きょうはこれで終わります。ありがとうございました。
  174. 片岡武司

    片岡委員長代理 次に、和田一仁君。
  175. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは、まず大臣に御質問させていただきたいと思います。  私は、チグリス・ユーフラテスの流域に人類の文化の花が咲いて以来、人と人の行き来、物の流れ、こういうものを中心に社会というものは発展してきた、こういうふうに思っております。そのことは今日もまた同じ状態だと思うのですね。ところが、それがだんだん時代を経るに従って、より利便さを求めて、川の流れに身を任すだけではなくて、より速く、より大量にと人の行き来も物の流れもいろいろ改善、工夫が重ねられて今日に来ている、こう思っております。ところが、そういう流れの中で今日の社会が築かれてきておるんですけれども、今の日本の大都市現状大都市周辺、大都市だけではないかもしれませんが、特に大都市周辺の現状というものを見ておりますと、最初に集落をつくってだんだんと都市化してきた、そういった人類の歴史の中でもこれだけ大きな、巨大な集団の都市機能というものが、せっかくできてきながらももはや機能しなくなってきつつある、都市都市としての機能を失いつつあるのではないか、こういう気がするわけでございます。  大臣も、一年のうちほとんどをこの超過密都市東京活動されておりますので、その実態は日日体験されておると思います。くるくる回して走るときは別ですけれども、そうでなく私的においでになるときには一般市民と同じように大変な渋滞の中に生活しておられると思うのです。そういう実感の中でいろいろなことをお考えだと思いますけれども、きょうは初めに、そういった中で自動車交通実情について、そういう関係の法案でございますので、現状から見て将来一体どういうふうな交通政策を求めるべきか、大臣の基本的なお考えをまずお聞かせいただきたい、こんなふうに思います。
  176. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は、今先生が冒頭御指摘なさいましたように、この車社会によってもたらされた恩恵、人と人の行き交い、物の動きも含めて、これだけ急激な形の中で経済の進展も見ましたし、また我々は車の利便によっていろいろな、多様な楽しみ方も経験もいたしましたし、今日状態において、車なくては我々の現代生活考えられないというような現実が一方にあります。  しかし、現状指摘をすれば、まさに、私は決して好きじゃありませんから率直に言うのですけれども、人間の住む環境でなくなりつつある、そういった形の中で、我々が求めてきたあるべき車社会というのがむしろ機能を麻痺させ、自分たちの環境破壊、ひいては生命、安全、健康にまで関係するような憂うる状態にまでなってきたという事態はこのまま放置はできない状態じゃなかろうか。しかも、私はドライバーの経験はございませんからあれですけれども、恐らく車を運転される方は、この東京、大阪の大都市現状で運転されれば、後ろに乗っている私でもいらいらしてストレスがたまるということですから、そういった意味においては、これは経済価値に還元するだけではなくて、私たちが目指してきた車社会とは全然反対の方向にこのまま放置しておいたらなるだろう。  だから、今のうちにあるべきモラルを、あるべき車社会のマナーをみんなが身につけて、これは何も一人一人の、個人のドライバーの責任だけではありません、つくる人も売る人もと私は先ほど表現いたしましたけれども、それとともに、行政の対応も果たしてこれから目指す車社会に対応してきたかどうか。もしその対応に誤りありとせば、今のうちにはっきりと、個人のモラル回復だけではなくて行政の対応も、そういった形での、安全、快適な施設も含めてスタートしなければ大変だという危機意識に立ってこの法案を御提案申 し上げておるところでございます。
  177. 和田一仁

    ○和田(一)委員 後ろに乗っておられる大臣でそれだけいらいらされるのですから、実際にハンドルを持ち、また運輸を仕事にしている人たちにとっては、これは本当に大変な毎日ではないかと思うのですね。  今大臣いろいろなことをおっしゃいました。車社会への対応をきちっとしていくためにモラルを身につけるというお言葉も出ました。それも非常に大事だと思いますが、しかしモラルだけで解決できる今実情でないことも大臣は付言されました。何といってもやはり全体的な取り組みが必要だな、こう考えておりますね。     〔片岡委員長代理退席、江口委員長代理着席〕  今度の改正は、改正点だけを見ますならば、非常に原因になっている違法駐車を何とかなくそう、置き場所をきちっと確保させるということは当然のことなんですが、それがルーズになっている点をもう少しきつくしようというような改正点だと思うのですが、今おっしゃった全体の都市周辺交通実情をこれだけではなかなか、これですべてオーケーというわけにはいかないと思うのです。しかし、現状をほってはおけない、今大臣は緊急の措置というお言葉を使われましたけれども、本当にぎりぎりのところで緊急の対症療法として、こんなに痛みがあるひどいものは何とかしなければいかぬという手当てにすぎない。私はもっと抜本的な、体質を変えるくらいのところから取り組まないと、また同じような現象に追っかけられてくるのではないか、こういう感じがしておるのです。  今回の改正案、これがもうすべてだと思っていないとは思います。この改正案をとりあえず出された、緊急の対応と大臣はおっしゃった。だとするならば、これがすべてではなく、そのほかのことも当然お考えだと思いますが、少なくもこの改正案をつくるに当たって、先ほど来いろいろお聞きになっておられますけれども、関係各省庁との協議というもの、相談というものは一体どの程度やってこられたのか。私はこういうことはそれぞれの行政ももう既に当然気にしてはきたと思うのですが、それがなかなかここまで来なかった。やはりどこかの役所が中心になって動き出さないとできない。これが今日少し手おくれになってきて、緊急だと大臣の口から出るぐらいにせっぱ詰まっちゃったのだと思うのですね。私は、これははっきり言って日本の行政の縦割りの弊害だと思う。それぞれの所管の中に閉じこもって、全体的なものを見るという視点に欠けるからこそこういうふうに手おくれになって、せっぱ詰まって、緊急の対策というようなことにならざるを得なかったと思うのですが、ここまで改正案をつくるに当たっての各省庁との相談の経過等について御報告いただきたいと思います。
  178. 奥田敬和

    奥田国務大臣 縦割り行政の弊害と申しますか、対応のおくれというのは御指摘のとおりであると反省いたしております。  もちろん交通総合政策、総務庁が所管をいたしまして、毎年厳しい交通事情の実態と対策を検討しておられるわけでありますが、やはり第二次交通戦争、一万一千人以上の死亡者、そしてまた、ことしはさらにそれを上回る勢いにあるという実態にかんがみまして、各省庁の、大臣も含めてこれほど危機感を持って真剣にこの問題に取り組まなければならぬという形で御協力願ったことは、まあ私はまだなって百ヵ日の間に経験した限りではありますけれども、これだけ各省庁の御協力体制をいただいた問題はないのじゃなかろうかと思っております。  建設省の方におかれましても、道路管理者である立場から、交通支障を来さないという状態の中で道路の一部をそういった一時的な駐車にも開放しなければならぬということを検討していただいておりますし、都市政策の中でも、あるいは建築基準法の中でも、早速建築基準法の改正と申しますか、そういった形でオフィスビルなり事務所ビルに対して百平米当たり一台の駐車というような形、これも都市区によって違うようでございますけれども、そういった段階別な検討で、やはりビルには一定規模の駐車施設という形がきちっと法制化されていく形で検討なさっておいでになるわけでございます。また、公的な駐車場設営に当たっても、都市計画の一環としてこれを正面から取り上げていただいております。  また、自治省の立場から申し上げますれば、地方の自治体を含めて、こういった公営的な駐車施設、先ほど来御論議の過程にもございましたけれども、公営団地あたり等々に関しての一定量の駐車スペース確保とか、例えば通産省でも、商店街の形での駐車場育成に関して、これは大店法絡みの件もあるでしょうけれども、商店街活性化の今一番の悩みの種はこういった駐車施設の問題が第一義の点でございますから、これらに関しても、お互いの補助体制も含め、そういった形でやろうということ。  また、運輸省は運輸省で、むしろ都市渋滞一つ原因でもあります公共輸送機関を改めて充実していくために、ある程度の時間延長をしたような運転あるいは早朝運転等々も含め、いろいろな点で総合検討を開始していただいておる等々、本当に各省庁の大変な御協力、それは、根っこには、今日の状態がこのままではだめだ、何とかそれぞれお互いに縦割りのこれを破ってでも解決の方向に持っていかなければいかぬという、そのお互いの熱意と危機感のあらわれであろうという形で認識をいたしております。
  179. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣のその御決意でぜひ取り組んでいただきたいわけなんですが、かつて昭和四十五年に大変な交通の災害というか、死傷者がふえたピークのときがございました。死者だけでも一万六千八百人を超え、負傷者九十八万人を超えて、百万人を超えるような交通災害があって、その昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定されましたね。こういう大変な災害を背景にできたのがこの基本法でございましたけれども、その基本法ができて、それによって対応が始まって、この四十五年、基本法ができたところをピークに、対応のよさというか、だんだんと死傷者が減ってきている、統計上それが見えます。  その基本法の十四条に「中央交通安全対策会議の設置」というのがございます。「総理府に、中央交通安全対策会議を置く。」こういうふうになっておりますが、この中央交通安全対策会議についてちょっとお尋ねをしたいのです。  まず、これが今日もあると思いますが、どんな機能をしているのか。「会長は、内閣総理大臣をもって充てる。」あと「委員は、指定行政機関の長のうちから内閣総理大臣が任命する者をもって充てる。」ということになっておりますが、この「指定行政機関の長」というのを具体的にひとつ教えていただきたい。まず、それから教えていただきたいと思います。
  180. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 御指摘のように、中央交通安全対策会議は、内閣総理大臣を会長といたしまして十七名の国務大臣から成っております。ただいま御質問の内閣総理大臣が指定する指定行政機関という項でございますが、申し上げてみますと、国家公安委員長、警察庁、総務庁、北海道開発庁、防衛庁、科学技術庁、沖縄開発庁、法務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、水産庁、通商産業省、運輸省、海上保安庁、気象庁、郵政省、労働省、建設省、自治省、消防庁ということでございまして、これは指定行政機関の名を挙げましたので、同じ大臣がこのうちの幾つかを兼ねておる場合がございますので、国務大臣といたしましては十七名の国務大臣から成るということでございます。
  181. 和田一仁

    ○和田(一)委員 国務大臣だけでも十七名、省庁の機関としてのお名前はもっと多いわけでございまして、交通安全対策には行政全般が取り組んでいかないとだめなんだという、その認識がはっきりここに出ていると思うのです。ですから、こういうものをつくって、これが機能していれば、日本の行政機関は挙げて交通安全対策のために力を糾合して発揮できるはずでございますけれども、 この会議が年間どれぐらい開かれておりますか。最近はいつごろ開いて、どういう相談をされたか伺いたいのです。
  182. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 実は、この中央交通安全対策会議は内閣総理大臣を会長として今申し上げましたような十七の国務大臣より成っておりますので、この会議は主として総合的かつ長期的な施策の大綱であります交通安全基本計画を策定するために開催されております。特定の分野に係るもの、あるいは短期的に緊急的に対応しなければならない問題につきましては、総務庁長官を本部長といたしまして十八の関係省庁の事務次官から成りますところの交通対策本部におきまして対応をいたしておるところでございます。  したがいまして、この中央交通安全対策会議の開催につきましては、基本法ができて以来しばらくの間は基本計画の作成以外についても開催されたことがございますけれども、最近は五年ごとに基本計画を策定するときに開催するということになっております。
  183. 和田一仁

    ○和田(一)委員 五年間の基本計画を立てる、それをつくるときにだけですか。五年に一遍ですね。もったいないですね。これだけ緊急だという、さっき大臣のお言葉も出たようなときに、こういう機関があって、私の手元にあるこの交通安全基本計画、六十一年の三月にこれは策定されておりますね。ですから、五年というともうそろそろ見直しの時期に来ているのですが、新しい基本計画を立てるための会議が予定されているのはいつごろなんでしょうか。こういう緊急でという大臣の言葉も出て、せっぱ詰まったという言葉も出ている、そういう中でこれだけの機関があって五年に一遍、これは本当に仏つくって魂入れずですよ。関係省庁どうしようかというときにはこういうのを一遍くらい開いてもらって、閣議を開くぐらいのつもりでぱっと開いてもらって、基本的な縦のあれを、それぞれの省庁にさっと活力を入れてもらいたいのですよ。どうなんでしょう。次の基本計画を策定するためにいつごろどういうふうにやるか、計画ありますか。
  184. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 交通安全基本計画は交通安全対策基本法に基づきまして、交通の安全に関する総合的、長期的な施策の大綱を定めるということになっておりますので、長期的なということになりますと、今の変化の激しい社会におきまして十年とかあるいはそれ以上という期間は問題でございましょうし、それからまたある程度長期的な視野で計画を立てるということになりますと、やはり五年程度が適切なる期間ではないだろうかということから、五年ごとにこの基本計画を策定するということになっております。  現在第四次の交通安全基本計画の期間でございまして、平成三年度から第五次の交通安全基本計画の時期に入るわけでございます。現在の状況でございますが、長期的な施策の大綱を策定するための基礎資料となる交通事故の発生状況平成七年度までにどうなるだろうかというような予測の調査を行いました。それからまた、有識者から成る交通安全に関する懇談会というものも開催いたしまして広く御意見を伺っているところでございます。また、関係の各方面からも御意見をちょうだいするということが大変重要なことでございますので、従来からも、交通安全団体、ユーザー団体、運輸団体、あるいは労働組合の方々、身体障害者団体、そしてまた自動車メーカーの団体等々から御意見を伺ってきたところでございますが、このたびの策定に当たりましても幅広く御意見を伺うとともに、関係省庁と緊密に協議を行いまして、適切な基本計画の策定に努めてまいりたいということで準備を進めているところでございます。
  185. 和田一仁

    ○和田(一)委員 専門の方の意見を懇談会形式で広く聞いているという話でしたけれども、この対策会議そのものに専門委員というものを置ける条項がありますが、専門委員というのはあるのですか。
  186. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 基本法にございますように、専門委員をお願いいたしております。この専門委員という方は各専門分野から選ばれておりますので、私ども随時必要に応じましてその専門家の御意見をいただきながら、それぞれの計画策定等の準備を進めておるということでございます。
  187. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうしますと、三年からの次期計画ができるというのですから、そして長期の予測を今立てつつあるという御答弁でしたけれども、私は一つお願いをしておきたいと思うのです。  今御答弁の中で、専門の皆さん、特にメーカー、ユーザー団体、運輸、労働組合、身体障害者等々、そういった関係民間団体の名前が挙がりましたけれども、今の交通安全基本計画、六十一年三月に策定された計画の中にも「交通の安全に関する民間交通安全団体等の主体的活動推進」という項がありました。ひっくり返して見ましたけれども、まこと抽象的な文言で、これで民間の力もかりながら交通安全対策に何をどう取り組もうとしているのかさっぱりわからない。こんなものではなくて、新しい計画を策定されるならば、今おっしゃったような団体の意見を組み入れるのはもちろんですけれども、これは、官と民が一緒になって日本の交通安全の対策を立てないと、官が旗を振っているだけではなかなかいかないと思うのですよ。そういう意味ではもっともっと巻き込んで、そして一緒にやれるような計画の策定をぜひお願いしたいと思うのです。きょうは総務庁長官お見えになっておりませんが、室長の方でこれはぜひひとつ私からの要望としてお聞きいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  188. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 確かに基本計画というのは国が定める計画でございますので、実はこの基本計画に従いまして都道府県それから市町村におきましてまた総合的、長期的な計画をつくることになっておりますし、国の各省庁におきましても毎年度、今度はこの基本計画に基づきまして業務計画というものをつくり、それからまた都道府県、市町村におきましても実施計画を毎年度つくっていくことになっておりまして、こうした各省庁あるいは地方の毎年度の計画の中でもっと具体的な計画がつくられるようになっておるわけでございます。御指摘の点は十分に承りまして、各関係省庁なり、あるいはまた地方公共団体を指導してまいりたいというふうに考えております。
  189. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣、これは総理大臣が議長でしょうが、筆頭はやはり公安委員長で、さっきも冒頭にお名前が出ました。非常に大事な会議だと思うので大臣にもちょっとお考えいただきたいのですが、ここを見ますと「救急医療体制の整備」というのがございます。今交通事故死が大変な数になってきて、これを減らそうというためにいろいろなことを考えているわけですが、今にでも起きている事故、今にでもけが人が出ているかもしれない。それの救急体制というものを見ると今非常におくれていると私は思うのです。これは、西ドイツあたりの救急医療体制というのもマスコミで紹介されたものがございました。  なるほど今救急は現場まで平均二十二分くらいで行くのですか、二十分くらいで行くのかな。だがしかし、せっかく着いてもそこで収容した負傷者を何の手当てもできずにそのまま指定される病院に運ぶ。それにまた二十分くらいかかるかあるいはたらい回しでもっと時間がかかる、そういう中で手当ての一番大事な時期がおくれる。このことのために死亡率は相当に高いというふうにも私は考えるのです。  これを何とかするというのは、さっき言ったように縦割りの行政で何ぼやってもだめなんだ。ヘリコプターを使いたいと言えば、それは運輸省からああでもないこうでもないときつい規制がかかってできない。救急隊員に初期の医療行為をやらせたらどうだと言えば、それは厚生省の方でなかなかうんとは言わない。では訓練してやればいいじゃないか。西ドイツでやれることが我が国でできないわけはないのです。  そういう意味で大臣、ぜひそういうものも具体的に取り組めるような新しい計画にしていただきたいと私は思うのです。せっかくみんなが何とか したいと思いながら今ある縦割りの行政の中ではできないものをやれるのはここしかない。ここが本気になればやれるのですよ、これだけの省庁の大臣が一緒になって会議できるのですから。それを機能させるということは私は非常に大事だと思いますが、大臣いかがでしょう。
  190. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今の御提言、本当に私もそのとおりだと思います。  今日ほど救急医療体制を含めての大事さというか、パラメディカルというのでしょうか、あるいは西ドイツがやっているようなドクターズカーとかヘリコプターでのああいった形での救急医療体制の充実ぶりを聞くにつけ、残念ながら今日の我が国の救急体制の手おくれ、遅い面を感じております。  ですけれども、私もこの問題の御指摘をいただきましてから、早速すぐやろうということで、今厚生省も実務クラスの審議、協議を消防庁と開始することになりました。そしてもう今何回か会合を開いておりますけれども、医師会等々の御意見聴取もございます。しかしこれもつい最近、私と厚生大臣の折衝でお互いの協議機構ができ上がったわけでございますけれども、これを非常に前向きに今検討しております。おくれてはおりますけれども、一歩でも二歩でもそういった体制に近づこうという真摯な努力をやっております。  もちろん、こういった救急体制の、何というか隊員養成のために、実務的な研修も含めて年月をどうするか、あるいはどういう措置でやるかという具体的な内容も検討いたしておりますけれども、こういった形は確かに御指摘のとおり、もっと早く手をつけなければならぬ問題だったのですが、遅まきながら前向きの方向で、医師会の方も協力体制をやってくれそうな方向で検討しておりますので、頑張ってみたいと思っております。もちろん総理にも、今言いましたように、こういった本部体制の中での基本的な総合政策に関しても、私は提言いたしたいと思っております。     〔江口委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ぜひひとつお願いしたいと思います。  毎日現場で負傷者を収容する救急隊員の方が、ここで注射一つおれが打てればという思いで、どんどん容体が悪化するのを見ながら運んでいる思いなんというのはとてもたまらないものだと思いますよ。そういう緊急の手当てができるだけの資格も、これはもちろん訓練してきちんと勉強した上で与えればいいことなのですから、ぜひ工夫して実施していただきたい。お医者さんが乗れるようになればなお結構ですが、ぜひひとつそういう対策をしていただきたい。  私の乏しい知識でも、DVRというのですか、ドイツのそういう機関があって、これは交通安全評議会というふうに訳されているようですが、これは政府機関と別ですけれども、事故が起きますとすぐチームをつくって行って原因調査をやる。そのチームの中には、お医者さんとメーカーと事故調査をやる専門の警察官とか、そういうものがチームになってすっ飛んでいく。そういうことで原因を調査し対応しながらどんどん事故を減らしてきているというふうにも聞いておりますので、ぜひ総合的な取り組みをお願いしたい、こんなふうに思います。  警察庁長官もきょうはお見えでございまして、こういった法案をまとめてお出しになられました。これが今まで言っておりますように、我が国の国民生活、経済、こういうものに与える影響は少なくないと思います。この法案が実施されることによって出てくる影響、効果、こんなものをどんなふうに想定してまずこれをやろうとお考えになったか。経済効果というのは数字では難しいでしょうけれども、長官としての大綱のお考えをお聞かせいただきたい。
  192. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 この法案の効果は幾つかあると思いますが、一つは、これは直接の効果としてドライバーを初め車の所有者、使用者に至るまでの車の関係者のモラルの向上の問題があると思います。今の交通事故状況を見てまいりますと、基本的にはこのモラルの問題が大きな問題として存在いたしておりますので、放置車両保管場所、その辺の手当てをすることによりまして、車に対するモラルの問題の向上があると思います。これは事故防止に大きく役に立つと考えております。  それから、経済効果の方はどういうふうにあるか。これは学者の方々のいろいろな御意見もありますが、渋滞解消というのが今回の一つのねらいであります。その渋滞解消によりまして車の流れ、経済効果というものは相当高まるであろう。これは数量的にはちょっと難しいわけでございますが、これは効果は必ずあると思います。  それにあわせまして、車社会のいろいろな問題の中のハード面につきましても、政府全体として相当にバランスのとれた進歩があるだろうと思います。私の方は取り締まりが中心でありますけれども、それ以外のハード面の方での進歩、これが国全体としては相当プラスに働いてくるだろうと思います。  そういうようなことで、いろいろな面のプラスの面を考えますと、今回この二つ法案が成立すればその意義は非常に大きいものと考えております。
  193. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは、この法案に直接関係して、ちょっと細かいことをお聞きしたいと思います。  車を持つからには置く場所考えて所有するのは当然のことだと思うのです。うちに冷蔵庫があるが、少し小さいから大きいのに買いかえよう、最近大きいのがはやっているといって買っちゃって置き場所がなかったという人はまずいないと思うのです。ですから、これは公道というか公共の路上を走る道具ではありましても、置いておくことは必ず置いておくのですから、置いておく場所を買う人みずから、持つ人みずからが考えて判断するのは当然のことだと思うのです。  それにしても、行った場所、そこまではだれも持てないわけですから、用足しのために使う道具である自動車が、行った先でまた置く場所がなくて使えないのでは何の意味もない。したがって、駐車場をスペースとしてどう確保するかが非常に大事で、そうでないと、先ほども質問の中にもありましたが、これは結論として総量規制、数を減らせばいいんだよという方向に行かざるを得ないのです。そうではなくて、今この車社会、モータリゼーションの中で何としても事故を減らし渋滞を減らし、経済効率も上げていこうということを考えるならば、これはやはり置く場所確保が非常に大事だと思います。  ところが、自分の家にちゃんと屋根つきの車庫は持っていても、行きたいと思うところに置く場所がない。郊外なら結構ですが、特に用件の多い都市部でそれができない。これは使う人の責任ではそこまではとてもできない話ですから、これは何とかしない限りだめです。  これをどうしてやってもらうかが非常に大事だと思うのですが、このことについてそういう総合的な判断をすべき機関を本当は計画の中できちっと示してほしいのです。特に都市のそういうための用地がなくなってきました。したがって、今ある道路とか公園とかの地下を利用するとか、立体的な利用というものを考えない限りなかなか難しいと思うのです。これは建設省の方かな。そういうようなことを含めた都市計画とか新しい町づくりというものの指導をしているのか、しようという考えがあるのか。ヨーロッパ等にはもう既にちゃんとできている町もあるというくらいに聞いておりますが、どうでしょうか。外国にもまだないからやらないのか、そういうものを見ながらこれから計画しようとしているのか、その辺をちょっと教えてください。
  194. 矢島隆

    ○矢島説明員 御質問にありましたように、都市におきましては土地の有効利用、高度利用の促進が大変大事だという認識は十分に持ってございます。このために、最近におきましては、都市計画法や建築基準法を一部改正いたしまして、幹線道路とか駐車場整備建築物と一体となって行うような立体道路制度というものも創設して、現に 動かそうとしているところでございます。また「地下の公共的利用の基本計画の策定等の推進について」という方針を出しまして、今後地下の利用推進していきたいというふうに考えておるところでございます。
  195. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大変な大事業になると思いますが、そういうことを進めていただくと同時に、また民間が持っている土地に、これだけ車が大変ならば、じゃ駐車場をつくろうかという人もおりますが、そういった駐車場をつくろうと思っても、今いろいろある規制で許可ができないからというようなことはできるだけ早く規制を緩和していただきたいし、それから大臣、そういう面に対して制度上の優遇措置も、これはまたひとつ御配慮いただきたいと思います。そういうことで、助成あるいは優遇措置、こういうものが相まって少しでもスペースが広がらないと、これはもう本当に、世界じゅうの進展の中で日本の都市だけが機能を麻痺するというようなことにつながっていってしまいますので、ぜひお願いしたいと思います。  今回のねらいの一つには、そういった都市渋滞の解除と同時に、いろいろ指摘されておりますが、置く場所においても、せっかく公共の住宅を提供して、アパート、集団住宅団地等を造成して住宅は提供されるのですが、これの附帯設備としての駐車場がどうも少ない。今これだけモータリゼーションの時代ですから、ほとんど一戸で一台半ぐらいにもう間もなくなるのじゃないかと思うぐらいですが、そういう対応がおくれているのじゃないかと思うのですね。都市部で渋滞だから地方の方はそれほどではないのだというようなのではなくて、そういう集合住宅団地であるとか、こういうところをこれから提供するときにはもっと駐車の施設をふやす、それから民間にも必置の、必ず置けという義務化をもっと進めるべきだと思うのですけれども、その辺の指導はどうでしょうか。
  196. 梅野捷一郎

    梅野説明員 お答え申し上げます。  公的な住宅の供給につきましては、低廉な家賃で住宅をできるだけ供給しようということを重点に従来から進めてきたこともございまして、今日のような状況に必ずしも対応してきていないという実情でございます。新しい住宅につきましては、現在の生活と車の関係、あるいは今日、今現に問題にされておりますような状況を十分考えていこうということで、まだ必ずしも完全、十分というレベルに——今申し上げましたような住宅の、団地の中の費用の問題でありますとか、住宅駐車場についてどういう土地の利用考えをとるかというような非常に困難な難しい問題もございますけれども、今申し上げましたような車と生活の関係等を考えまして、今後検討を進めさせていただきたいと思っております。
  197. 和田一仁

    ○和田(一)委員 いろいろ聞きたいことがたくさんあるのですけれども、渋滞の方で、私も昭和十八年から車を運転していまして、今でも毎日車を運転しています。渋滞の実態を見ていますと、流れている道路がどこで詰まっているのかなと思うと、大概これは交差点の付近での違法駐車なのですね。これを重点的になくしただけでも随分違うと思うのですよ。交差点のその周辺は法的には駐車禁止なんですから、これを徹底させていただきたい。それには人手が、とても各交差点に張りついてそれをとめるというわけにはいかない。また、違法駐車してしまったらこれは渋滞原因になってしまうので、させないことが大事だと思うのです。  この間新聞を見ましたら、たしか九州の方だと思うのですが、交差点にテレビカメラをつけて、そしてモニタリングして、そこの警察でそこにスピーカーをつけて、駐車しそうな人に、ああ、そこはだめだめだめ、そこへあなたがとまるとすごく混雑してしまうからとめないで、こう言うと大概びっくりして、ああと、きょろきょろしながらすっと行くと新聞に出ていました。これは非常にいいと思うのですね。大した経費じゃないと思うのですよ。  私も警視庁の交通管制のあの部屋を見せてもらいました。枢要な交差点にはモニタリングできるようにカメラがつけてありました。あれをズームして見ればナンバーから顔までわかると思うのですが、あれにスピーカーをくっつければ随分違うと思うのですね。人手はないのですから、そういうことをまずやって、まず違反させない。してしまってからの取り締まりをするのでなしに、させないという方向でこれはぜひやっていただきたいと思うのです。これは長官の方はもちろんやりたいでしょうけれども大臣、それは取り締まりの方がやればいいんだじゃなくて、行政全体の立場でそういうことも考えられると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  198. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全く先生の御提言には感謝申し上げます。私も一番先に、いわゆる悪質駐車の最たるものはそういった交差点周辺にとまっておる横着な車、まずこれから摘発しなければだめだという形で、今それを、とりあえず東京の都区内でも重点的にその形をやらせておるところでございます。  今言われたような、テレビカメラを通じまして、そして音声で指導する、それがだめだったものは行ってレッカーで引き揚げるというような形のシステム化を今一生懸命にやっておって、長官とも相談しているのですけれども、全国でも一部例がある形を、今後もそれらを入れるような形でいろいろ検討しておるというところで、今年度の予算にも相当織り込まれておるはずでございますけれども、新しい年度の概算要求に当たっても、今先生の御指摘の点を踏まえて、マンパワーの限界であるということも十分踏まえた上で、そういった方向で能率的な、悪質なものの取り締まりに、摘発に重点を置いた形でやっていきたいと思っております。
  199. 和田一仁

    ○和田(一)委員 いろいろ聞きたいことがいっぱいあるのですが、交通安全活動推進委員というのを委嘱する、こういうお話がございまして、先ほどの御質問もありまして答弁も聞きました。ボランティアに法的な資格、地位を与えるのだ、俸給はない、公安委員会が委嘱する、こういうようなことで、具体的な活動はどういうことかな、こう思っておったら、チラシ、ビラ等の配布をして地域住民に訴える、交通安全の教育、宣伝にも活動してもらう、こういうことですが、全国的にどれぐらいの人数をお考えになっているのか、一管轄でどれぐらいの人なのか、制服は着せるのか着せないのか、そして権限を与える、地位を与えるというけれども、どういう法的な地位になるのか、具体的に毎日路上に出て駐車違反車をチェックして歩くのか、簡単にひとつ御答弁いただきたい。
  200. 関根謙一

    関根政府委員 数でございますが、一警察署当たり十人程度という考えで、全国で一万数千人程度考えております。現在、警察署の数が千三百余りございます。  それから地位でございますが、非常勤の特別職の地方公務員ということになります。法律上特別な権限を付与されず、一般人が行うことができる範囲内で活動をしていただくということでございます。  それから制服等でございますが、そのようなものは一切考えておりません。
  201. 和田一仁

    ○和田(一)委員 伺いたいことばかりいっぱいありましたが、時間が来てしまいました。  一つだけ最後に質問させていただいて終わりますので、お許しいただきたいと思いますけれども、シールですね、これは先ほども、まだ色、形は未定だし、張る場所も未定だ、いずれはっきりするのだろうと思いますが、車庫を幾つも持っている人にはその数だけ出るのかどうか。例えば、私、今車で行ったり来たりしていますが、もちろん地元に置く場所をきちっと持っておりますし、こちらにも持っております。どちらの場所を登録したらいいのかなというのが具体的にすっと頭に出てくるのですが、そういう場合はどうするのか。  それから、届け出が変わったときには、これは全部ユーザー側の負担でお願いをするのだろうと思うのですが、警察でやるのか安全協会でやるの か、どういうところでやるのか、これも一つお聞きしたいことがございます。  それから、最後に大臣に伺いたいのですが、この現状で大臣は、息が詰まるようだ、もう人の住む場所じゃない、こんなに都市が麻痺してきて、もういらいらしてストレスがたまるよ、こういうようなお話もございました。最初に私は、そのための自動車交通対策はお聞きしました。こういうことになった原因はやはり一極集中、巨大都市への集中化が進むから、これは東京だけでなしに大阪も近畿圏も同じです。もっと抜本的に、この一極集中をどうしたらいいかという発想は出てくるのか、こないのか。私は、この一極集中に対してももうそろそろ考えてもいいのではないか、こんな感じがしております。政府としてそういう内々の御相談があるのかどうか。私ども民社党は、まず国会ぐらいがどこかへ引っ越したらどうかな、こんな感じすら持っておるのです。今そのために具体的な作業も始めております。そうなればほかの附帯した設備も動く。東京でなければならないものは仕方がありませんけれども、そうでないものは一極集中でなく多極分散をもうそろそろ考えていくべきであり、そういうことも総合的にやるのは、これは内閣そのものがやらなければできないですよ。  ですから、先ほど言ったような総理大臣を長とする会議がこういう交通問題を中心にそこから発想してやったっていいのですよ、別のところからやらなければいけないものでも何でもないのだから。そういうお考えが今大臣におありかどうか。ひとつ先ほどのシールの方からお答えいただいて、最後にこれをお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。
  202. 関根謙一

    関根政府委員 自動車を二カ所で使われる場合の例をお挙げいただきました。このシールは、自動車使用の本拠の位置を中心として保管場所確保していただいた場合に、その保管場所位置を管轄する警察署長が交付をするという考えでございます。でございますから、どちらか一カ所でございまして、そして、交付をしますのは安全協会ではなくて警察署長でございます。しかしながら、この警察署長の事務の一部を安全協会に委託をすることもあり得ると考えております。
  203. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私が先ほど個人的見解で、もう東京、特に東京を中心とした形の都市形態というものは、もはや人間が快適に住む環境とはほど遠い形で、私は個人的には、これ以上なったら、頭でっかちで、脳溢血でぶっ倒れてしまうような状態だという形で形容いたしましたけれども、これは形容を変えれば、一極集中がこれ以上、車の渋滞も含めてこれ以上度が進めば、まさにこれは都市機能を失った、巨大であったがゆえに大変なことになるだろう。  私は個人的には全く先生と一緒の考えで、まさに九〇年代は地方の時代に持っていかなければいかぬ、そしてそのことは、目指すところはやはり手足が強くなる多極分散型の国土形成が日本の生き残る道でなければならぬ。我々はこの日本の四つの島で、いかに経済大国、そういった意味の経済力がついたとはいえ、生存の条件はこの四つの島でございますから、その一点集中の弊害がまさにこの車の洪水によってもう限界に来ておる。しかし、限界に来ておる東京をおぼれさすだけが能じゃありませんから、これでは政治はないということになりますから、できるだけ、最大限のこれからの努力によって、少しでもそういった機能回復に努めなければいかぬということは当然でありますけれども、私は、この機会に、むしろ本当に首都移転も含めて、引っ越すくらいの大胆な政策転換は必要であるというのが、私は、個人、政治家としての持論でございます。
  204. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ありがとうございました。いらいらしない、空気のいいところで政治を語りたいと思います。  きょうは、これで終わります。
  205. 権藤恒夫

    権藤委員長 次回は、来る十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会