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1990-05-24 第118回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成二年五月二十四日(木曜日)、次のとおり小 委員及び小委員長選任した。  自転車駐車場整備等に関する小委員       今枝 敬雄君    江口 一雄君       片岡 武司君    河村 建夫君       鴻池 祥肇君    前田  正君       増田 敏男君    柳沢 伯夫君       沢藤礼次郎君    関山 信之君       永井 孝信君    吉田 和子君       遠藤 乙彦君    辻  第一君       和田 一仁君  自転車駐車場整備等に関する小委員長                 今枝 敬雄君     ───────────── 平成二年五月二十四日(木曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 権藤 恒夫君    理事 今枝 敬雄君 理事 江口 一雄君    理事 片岡 武司君 理事 鴻池 祥肇君    理事 柳沢 伯夫君 理事 沢藤礼次郎君    理事 遠藤 乙彦君       遠藤 武彦君    左藤  恵君       浜野  剛君    前田  正君       増田 敏男君    御法川英文君       永井 孝信君    山下八洲夫君       吉田 和子君    辻  第一君       和田 一仁君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大野  明君  出席政府委員         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       徳宿 恭男君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君         運輸省港湾局長 御巫 清泰君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         海上保安庁次長 野尻  豊君  委員外出席者         労働省労働基準         局賃金時間部企         画室長     石川  透君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 五月七日  交通安全対策推進に関する陳情書外一件(第一〇九号)  交通安全施設等整備事業の拡充に関する陳情書(第一一〇号)  交通死亡事故防止対策強化に関する陳情書(第一一一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  自転車安全利用促進及び自転車駐車場整備に関する諸問題を調査するため小委員十五名よりなる自転車駐車場整備等に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びにその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員会におきまして参考人出頭を求める必要が生じました場合には、出頭を求めることとし、その諸手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  7. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田和子君。
  8. 吉田(和)委員(吉田和子)

    吉田(和)委員 吉田和子でございます。  この交通安全対策特別委員会では、経済成長のみに走り過ぎ、何よりも最優先にされなければならない生命が軽んじられているかのような道路交通事故多発、そして死亡事故死亡者数増加が見られるなどの状況に、何としてでも納得のいく施策を講じたいという切実な思いで所属をさせていただきました。  各所管官庁に広くかかわることは承知をしておるつもりでございますが、何分質問にふなれなこともありますので、御迷惑をおかけすることがあるかと思いますが、誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。  まず初めに、大臣にお伺いしたいと思います。  昨今、経済好景気に伴って、また深刻な人手不足など、運送業者にとって厳しい労働条件のもとで業務に携わる現状があります。特に過積載及び過労運転防止など、指導のみでは徹底できない現実状況があろうかと思われます。人々の価値観多様化、そして環境問題など、新しい時代に対応した運輸行政のあり方とはどのように認識をされているのかをまずお伺いをしたいと思います。
  9. 大野国務大臣(大野明)

    大野国務大臣 今お尋ねの件でございますが、本当に昨今の交通事故の現況を見ますと、これはもう何とか関係省庁と緊密な連絡をとりながら、この交通事故防止というものに対処しなければならないのは言うまでもございません。  そこで、労働条件改善とか過積載の話がございました。これは、一方においては確かに経済発展、そしてそのために生じておるところの労働力不足、こういうものが大きく影響していることは言うまでもないわけでございます。そのために貨物輸送改善をしなければならぬということで、本年十二月から施行いたすわけですが、一つ一つ着実に解決していきたいということで、運輸省所管のことに関しては今万全の体制をとるべく努力をいたしております。  特に、私の所信の中にもございましたが、そういうことになりますと、本当の意味での豊かさというものが実感できないというところに問題があるやに感じております。特に、先生の選挙区というかお住まいになっておる江東荒川墨田、ここら辺は地下鉄もこれからであるとか、あるいはまた、あそこへは常磐新線をつくるべく非常な熱意を持っておられることも承知もいたしております。そういうものをやっていかなければならないのに、どうも日本の場合、戦前から社会資本ストックが非常に少のうございましたので、今そこら辺を充実させるために鋭意努力をいたしております。  私どもも外国へ行ったときなんか、本当に日本よりも経済的にはかけ離れた国であっても、そういういにしえからのストックが十二分に国民生活を潤しておるような国もございます。そういうことを考えると、二十一世紀に向けて、今こそ交通労働災害等々も解決しながら、一方においては社会資本充実に邁進したい、こんな気持ち運輸行政に取り組んでおります。  運輸行政基本は何といっても安全でございますから、その安全性というものを特に念頭に置きながら、これから前向きに、早い時期にそういう御不満がなくなるようにしたい、こんな気持ちでいっぱいでございます。
  10. 吉田(和)委員(吉田和子)

    吉田(和)委員 ありがとうございます。  次でございますが、非常事態宣言までもが発せられた交通事故による死亡者数増加という事態についてお伺いをしたいと思います。  関係の各省庁また各行政が懸命な努力をされていることは国民も本当に十分承知をしているわけでございますが、その努力をしているのにもかかわらず結果として増加傾向にあるということは、何が問題なのかをここではっきりと浮き彫りにすべきだと考えております。交通運輸立場からの御見解を伺いたいと思います。
  11. 松波政府委員(松波正壽)

    松波政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど大臣からお話がございましたように、私たち運輸行政基本は安全であるという観点から毎日取り組んでおりますけれども、今先生質問ございましたように、その中の自動車問題について申し上げたいと思います。  この事故防止を図るためにソフトハード両面があろうかと思いますけれども、私たちといたしましては、ハードにつきましては車両構造規制というような見地から行っております。また、ソフトの面から見てまいりますと、自動車整備管理日常におきます維持管理あるいは事業用自動車運行時におきますところの運行管理といった点からいろいろ施策を講じてきているところでございます。  今先生御指摘がございましたように、我々一生懸命やってまいりましたけれども、昨年には一万一千人余の方々、とうとい命がなくなったわけでございます。この極めて厳しい交通実態にかんがみまして、我々、各般にわたる総合的な対策をしなければいけないということで、運輸省といたしましては、交通事故非常事態宣言下におきまして、三本の柱で、我々アクションプログラムと称しておりますけれども、今アクションプログラムに基づきまして、行動計画に基づきまして鋭意施策を進めているところでございます。  その三本をちょっとかいつまんで申し上げますと、一本の柱は、事故解析等をやりまして、いわゆる自動車構造装置に対する対策でございます。二番目の柱は、ハードに対して、ハード維持する対策でございまして、日常におきますところの定期点検の励行あるいは不正改造防止、こういった問題について全国的なキャンペーンをして対処したいと考えます。三本目の柱は、ソフト対策といいましょうか、異常時に対する運行管理充実強化、また我々といたしましては、その中でも、少し今研究中でございますけれども、限界的な運転状況、例えばスリップといったような状態につきまして経験をさせて事故防止に寄与させるような装置、まだ研究中でございますけれども、ドライビングシミュレーターというものをやっておりまして、今申し上げましたように、この問題についてハードソフト両面から万全を期してまいりたいと取り組んでいるところでございます。
  12. 吉田(和)委員(吉田和子)

    吉田(和)委員 今さまざまな施策を伺ったところでございますが、運輸省の管轄の中でこれを言うことは大変難しいことなのでしょうけれども発生件数を減らすということが私たち努力していかなければならない一番のことかと思いますが、発生件数を減らすということについての見通しは立ちませんでしょうか。
  13. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 交通事故死者数が一万人を超えて大変重大な危機を迎えているわけでございますけれども、その交通事故死内容時代を追って変わってきているというところが我々がさらに対策を練っていかなければならないことでございます。  例えば日本国車両の基準は、どちらかと申しますと、当初は歩行者とか自転車に対する加害をなくすというような方向が一つ重点的な要点でございましたが、最近におきましては、自動車事故死内容が、みずから運転される方が車の衝突等で車の中でお亡くなりになるというような形の事故死がふえている。そういうために、ただいま松波部長からも御説明申し上げましたように、むしろ今度はハード面規制強化していかなければならない、私どもも今いろいろ自動車構造装置というものにつきまして、単に事故分析という形のもの以上に、自動車をぶつけながら、いろいろな実験を重ねながらそういうものを考えていく、さらにそういった結果に基づきました情報を利用者提供していくというような形のものを突き進めながら、いわば現在、道路構造あるいはお若い方たち運転実態からいろいろ問題を生じてくる部分について特に重点を置いて対策を講ずることによって、増加傾向にあるそういう部分事故に対しまして対策を講ずる、これによって全体的な数字の減少を図っていく、こういうねらいを持って現在施策を進めているところでございます。
  14. 吉田(和)委員(吉田和子)

    吉田(和)委員 時間が大変限られておりまして、あれもこれも雑駁な質問になってしまいますが、次に、私の地元は、先ほど大臣もおっしゃっていただきました東京の下町と言われます江東区、墨田区、荒川区でございます。昨今私、母親という立場、そして老人を抱えるという主婦の立場からも、自転車利用が特に増加をしておりまして、それに伴う交通事故が大変身近で多発をしているということに大変憂慮をしているわけでございます。  高度成長から安定成長への経済構造の変化、または集中指向から分散指向への社会構造の変換、それが市民の生活意識多様化をもたらしていると思うわけでございます。我が国ばかりではなくて、国際的にも自転車の効用が再評価をされるに至っておりまして、ちなみに世界の自転車保有台数は、日本中国、アメリカに次いで三位であるというふうに聞いております。車社会に対するアンチテーゼとして、そしてバイコロジー運動の積極的な普及奨励が図られたことに加えまして、マイカー走行阻害要因増大、そしてエネルギー危機発生拡大などが利用を促しているとも考えられるわけでございますが、今後もますます自転車需要がふえるであろうと思われますので、地域の中で自治体が抱えております自転車駐車場の問題に関しまして、駅周辺駐車場に関しまして、所管外というふうな認識は持っておるのでございますが、どのような認識を持たれているのか、概略だけでもお聞かせを願いたいと思います。
  15. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 自転車駐輪場、特に駅の周辺 における駐輪場整備との関係でございますが、実は昭和五十五年に自転車安全利用促進及び自転車駐車場整備に関する法律というのが制定されております。そしてその五条で、これは原則的に駐輪場整備地方公共団体あるいは道路管理者が責任を持って行うわけでございますけれども、それらの方々から鉄道用地提供について申し入れがありましたときは「鉄道事業者は、その事業との調整に努め、当該鉄道用地の譲渡、貸付けその他の措置を講ずることにより、当該自転車駐車場設置に積極的に協力しなければならない。」という規定が置かれてございます。その法律に基づきまして、さまざまな通達等も出しまして、私どもといたしましては、地方公共団体等による駅周辺での公共用自転車駐車場整備に関しましては用地提供等で積極的に協力をするような指導を行ってきておりまして、現実相当数提供が行われているということでございます。引き続きその協力を進めていきたいと考えております。
  16. 吉田(和)委員(吉田和子)

    吉田(和)委員 私、ふなれで、あちこちこの問題は、この問題はというふうに聞きますと、これは建設省、これは通産省ということで、自転車駐車場一つをとりましても大変各省庁にまたがっている現状というふうに聞いております。一方、自転車増大に関する現状はますます生活者を圧迫をしておりますし、何としてでも各省庁にまたがる全般的な施策、そしてそれが有効適切に実施をされていくということが、国民が本当に望んでいるところでございます。施策の有機的な連携を図る、そのことを私たちこれから、自転車駐車場設置委員会というものがございますが、その中でも今後とも取り上げさせていただきまして、その問題について進めていきたいと考えております。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  17. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 以上で吉田和子君の質疑は終了いたしました。  次に、沢藤礼次郎君。
  18. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 まず最初に、交通安全対策特別委員会の持っている重要な役割ということにつきまして共通認識に立ちたいと思います。したがいまして、私、これから交通安全対策を進めていくに当たっての基本認識について三点ほど私の考えを申し上げますので、これについての大臣御所感を賜れば幸いだと思います。  一つは、交通安全対策国政の重要な柱であるという点であります。  交通戦争という言葉は余りいい響きを持っておりませんが、年間一万人を超える交通事故による死者が出るという実態を見ますと、大変な事態だということは認めざるを得ません。ちなみに日清戦争、実質約一年ですが、足かけ二年の日清戦争における日本軍死者は、台湾方面を除いて中国本土ということに限定すれば約一万三千人と言われております。日清戦争戦死者が一万三千人、交通事故による年間死者が一万人を超えるという事態は、まさしく交通戦争というものに値する実態だと思うのです。大変なことだと思うのです。政治基本的な責務というのは人命と財産を守る、幸福追求の権利を保障するという重要な責務を持っているわけで、そういった意味からも交通安全対策というのは国政の中において最重点的な施策であるというふうに理解して、各省庁一生懸命になってやってもらわなければならないと考えておるわけですが、国政の最重点課題であるという認識について。  二番目は、交通安全対策基本人命尊重、当たり前だと言えばそのとおりですが、人命尊重である。交通手段交通網等が大変多様化し、広域化し、複雑化してきております社会の中で、一つの問題を追求しようとすれば他の分野とぶつかり合ったり、利害が反したり、二律背反にぶつかったりする場合もあるわけですが、やはり交通安全対策につきましても、産業上の経済性追求とか、いろいろな面と安全確保という点で反するといいますか、せめぎ合うケースがあると思うのですけれども、その場合でもやはり基本になるのは人命をいかにして守っていくかということであろう。このことが二つ目であります。  三つ目は、交通あるいは交通手段の持っている公共性を大切に認めていかなければならないのではないか。非常に公益的公共性というものを色彩濃く持っておりますから、例えばバス運行一つ取り上げてみても、採算性経済性からいったならば過疎地帯バスはもうなくしてしまえみたいなことになってしまうわけだけれども交通あるいは交通手段の持っている公共性ということに思いをいたせば、政治全体のバランスということからして配慮を加えるというのが必要ではないだろうか。  以上、交通安全対策国政の重要な柱であるという点、交通安全対策基本人命尊重であるという点、そして三つ目交通あるいは交通手段というのはすぐれて公共性の強いものであるというこの三つ共通認識を持ちたいのですが、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  19. 大野国務大臣(大野明)

    大野国務大臣 今、沢藤委員から三つの柱についてひとつ所見を述べよということでございます。  一番目の、交通安全というものは国政の柱ではないかということでございますが、それはもう言うまでもなく、人間の一番とうといものである生命というものが失われていくわけでございますから、大変に大きな問題であると認識いたしております。交通事故等で本当に年間一万一千人余の方々が亡くなっていく、これは、いろいろな交通災害というものの、中身は違うとしても、やはりいろいろな原因があってそういう結果を生じておるということをつぶさに考えてまいりますと、結果は、やはりこれは国の福祉政策と一致していくような気が私はするのです。これは申しわけないけれども、亡くなられた方、本当に御冥福を祈ると同時に、その近親の方というか、こういう方々まで社会生活において大きなハンディキャップをしょっていくというようなことが多々あると思うのです。私も目の当たりにしておるものもございますが、いずれにしても、そういうことを考えると少しでも少なく、一日でも早くそういうようなことが実現するように種々の政策をとらなければならぬ、こういうふうに思っております。  そこで、二番目は、要するに交通多様化というようなこと、これは特に急速なモータリゼーション時代に入って、どうもそこら辺で自動車というものが走る凶器だという認識がこのごろ大変に薄れておるような気がするのです。  私は四十年前に免許証を取って、今大臣をやっていますから運転はいかぬと言われて実はとめられておりますけれども、このごろのドライバーの人たちを見ると、これはやはり免許証を与えるまでに何か一つ欠陥があるのではないか。私なども免許の切りかえに行ったときに感じるのですが、目の検査も結構ですし、何をやられてもいいですけれども、ただ単にあの悲惨な交通事故実態の映画を見せられただけではだめだと思うのですね。そういうようなこともひとつ考える時期ではないかなと、自分で免許の切りかえに行くたびにこれも感じておるのです。  そこで、一方では経済が発展する、そうすれば今日のような大変な労働力不足を招く。やはり良質な労働力をこの運輸行政の中で取り入れるということが、今先生がおっしゃった二律背反というのは、やはりそこに過労等々を含めた問題もあり、一方では規制緩和をしろというようなこともあり、規制強化もしろということもあり、そこら辺の兼ね合いの問題、これは運輸省だけというわけにはまいりませんけれども、今関係省庁と緊密な連絡をとって施策を進めていこうというところでございます。  三番目の問題は、公共性、これは言うまでもございません。特に過疎地帯において、しかし幾ら過疎過疎といってもやはりそこに住んでおられる方々日常利便性を考えると、これは経済性だけで物を論じるわけにはいかない。そのために、地方公共団体等と相図って運行に差し支えないようにバス事業者に対する補助あるいは地域の中小 民鉄に対する補助等々を行いつつ、その方々日常生活に不便を来さないようにこれも努力をいたしております。確かに公共性ということを十分に配慮しながらの運輸行政、その基本は安全、安全は福祉である、こういう気持ちで今後とも進めていく所存でございます。
  20. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 ありがとうございました。今の御答弁の中で福祉という言葉が出てまいったこと、私は大変共感を覚えます。  今申し上げた三点についてはこれ以上時間はとりませんが、特に公共性ということに関連しまして過疎地帯交通政策というものを、私は東北出身ですから常に感じておるのですが、国の政策によって、列島改造高度成長ということで主に東北九州等山村から労働力が吸収されました。そして過疎現象が進行しているわけであります。結果的には山村には老人と子供が多くなる。そうした中で乗車率が悪い、採算性が悪いということでバスの路線が切り捨てられる。あるいは盛岡以北の新幹線の敷設、駅舎の建設ということになりますと、採算性が云々ということになって、かわりに在来線東北本線は切り捨てるぞとか、駅舎の建築は地元で負担しなさいというふうな、かつてのいわゆる人口密集地帯でなされた政策よりもずっと冷たい政策過疎地帯になされる、このことは私はやはり政治欠陥だと思うのです。  福祉という言葉が出てきたことは大変救いを感じますが、私は過疎地域交通機関整備交通政策というのは福祉的な面が非常に強いと思うのです。したがって、地方バスに対する助成、補助というものの意味を十分に認識されまして、ただ単に経済性あるいは人口の多い少ないということだけで判断なさらないような温かい運輸行政を期待したいのですが、そのことについて一言お願いしたいと思います。
  21. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 地方バス維持につきましては、運輸省の極めて重点を置いた施策一つといたしまして現在まで進めてまいってきているところでございます。  その予算も、地方バス補助平成二年度予算でお願いしております数字は百三億六千二百万円でございまして、地方の方からこれと同額のお金が出て地方バス維持を図ってきている。その間におきまして、非常に地域利用者の方が減ってまいるという現象がございます。これは人口が減っていくというもののほかに、自家用車がふえてくるという形で公共輸送手段であるバス利用が減るという現象でございますが、これらにつきましても地方公共団体といろいろ相まちまして、例えば極めて路線運営が難しくなった路線につきましても、地方公共団体地元の市町村等が代替バス運行するというような場合には、その運行費につきまして補助を行う等の措置をとりまして、極力その運行維持を図ってきているところでございます。今後ともこの施策推進を図ってまいる所存でございますので、御了解いただきたいと思います。
  22. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 次の質問に移るわけですが、今の件について若干要望申し上げておきたいと思います。  先ほど申し上げました過疎バスですね、三種路線三年間助成の廃止というふうなことがあるわけですが、繰り返すようですけれども過疎地域における人口動態を見ますと、結局残されておるのは老人、子供が必然的に多くなっているわけですよ。若い者だったら自分の車で運転してぱっと病院なり勤めに行くのだけれども、おじいさん、おばあさんはそれができない。ましてや病人、子供ということになりますと、そこには公共的な交通機関の必要性というものは大都会と比較にならない要素があると思うのです。代替の手段がないわけです。この辺は運輸省だけの問題ではないと思うので、内閣全体の中でいろいろな問題を話し合うときに、大臣、ひとつこの点については、過疎地帯における運輸行政の重要性ということを十分主張なさいまして、後退のないようにお願いしたいとお願いをしておきます。  それから、お答え願った中で規制の緩和と強化という非常に難しい問題があるわけですね、バランスの問題があるわけです。この問題等についてはこれから具体的な事例で御質問申し上げたいと思うのですが、公共性ということを重視すれば、一方では自由競争の原理、これは当然だろうと思うけれども、しかし、自由競争の中で、例えばダンピングが結果的に生じて、それが不採算、そして労働強化、そしてそれが交通事故発生ということの関連性というのは、これはもうはっきりしているわけですから、そういった意味では、交通安全対策というものと今申し上げた規制緩和強化とは無関係ではない。そして、自由競争の中にも交通秩序の維持という重要な課題があるわけですから、その辺は荷主あるいは運送事業者、そして運転手、個々の意見を十分聞きながら、バランスのとれた運輸秩序というものをつくっていただきたいという願いを込めて、これから具体的な問題に入っていきたいと思うわけです。  一つは、運転手さんの方から入っていきたいと思うのです。バス、ハイタク、トラック等のいわゆる公共運輸に関係している運転手の方々の賃金水準と労働条件、際立って低率だと私は思うのですが、この実態について、労働省でも運輸省でもどちらでも結構ですが、まずお聞かせ願いたいと思います。
  23. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 私の方からタクシー、バス運転手さんの労働条件について簡単に御説明申し上げます。  これらバス、タクシーの運転手さんの労働条件、これはいわゆる実働の労働時間、この関係で申しますと、全産業に比べてやや両方とも上回るというような労働時間を働いていらっしゃる、こういう実態にありますというのが一つでございます。  それから今度は給与の面で申しますと、全産業平均に対しまして、バス運転手さんはある程度この平均を上回る給与を得ている。一方でタクシー運転手さんにつきましては、全産業平均を相当程度下回る給与というのが全国的な平均であるというような実態にあると認識をいたしているところでございます。
  24. 寺嶋政府委員(寺嶋潔)

    ○寺嶋政府委員 トラックの運転者につきまして御説明申し上げます。  まず労働時間でございますけれども、トラック運転者の年間総労働時間は平成元年で二千六百十六時間でございまして、全産業平均の二千八十八時間と比較いたしまして極めて長時間でございます。  また、賃金の水準でございますが、時間当たり収入で比べますと、全産業平均が千八百九十五円に対しまして、トラック運転者は千四百四十五円ということでかなり低い水準になっております。  したがいまして、人手不足の克服という見地からも、長時間労働の是正など、労働条件の早急な改善が必要であると考えております。
  25. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 今お答え願った範囲でもかなり際立った特徴が出ているわけです。いろいろな統計のとり方なりあるいはいつ時点の調査かによって数字は違いますけれども、大ざっぱな私の方での資料には、例えばハイタクの労働者についていえば、年収において他産業に働く労働者の賃金に比べて百万円は低いという数字があったわけですね。年間労働時間においては五百時間も長く働いているという数字もあります。  これは労働省サイドから出た数字ですけれども、一九八九年の六月における総実労働時間の比較を見ますと、全産業の平均が百八十九・五時間、それに比べて道路貨物運送が二百三十二・六時間、大変高いですね。道路旅客運送でも二百十二時間というように二百時間を超えていますね。  賃金の方を見ますと、さっき言ったとおり極めて安い。したがって、一時間当たりの賃金を比較しますと、全産業が千六百八十三円なのに、道路貨物運送は千三百六円、道路旅客運送が千三百七十六円、実労働時間は長いのだが賃金は安いという際立った特徴といいますかが出ているわけです。  これは結局、若者たちの職業に対する意欲、魅力を失わせている。したがって運転者も毎年高齢 化していく。それから疲労も重なる。そして事故発生につながっているという相関関係は明らかだと思うのです。この問題を解決するとなったら、一体どうあったもいいかというポイントについてお考えをお示し願いたいのです。
  26. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 先生からただいまお話のございましたように、特にハイタク、トラック等につきましては、長時間労働であり、かつ給与が低い、バスはやや違うかと思いますが、そういったような実態にございます。ただ、運輸省で把握しております事業用自動車事故発生状況という点から見ますと、過労運転が直接に事故原因になっているとまでは推定される事故が出ているという形には理解をいたしておりません。  しかしながら、先生御指摘のようにいろいろ問題があるということは事実だと考えておりまして、私どもといたしましては、例えば今回の東京都区部のタクシーの運賃改定というような件につきましても、今回の値上げの増収分をすべて運転手さんの給与改善に充てる等の措置をとるように、さらに、労働省からも既に時短ということが言われておりまして、その時短措置の適用がこの道路運送関係につきましては三年間猶予されているわけでございますが、それにつきましても、ハイタク等については一年早く速やかに東京都区部については実施するようにという東京の労働基準局長の御指示もあり、我々もそれに対応するよう事業者を指導しているところでございます。労働時間の短縮、給与水準の改善というような措置をとりまして、先生が御指摘のような実態にある、どんどん毎年老齢化していくタクシーの運転手層等の問題点の展開を図って、若年労働者の方にも魅力のあるような職場になるように努力を重ねていきたいと考えているところでございます。
  27. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 時短はもう世界の趨勢であり、日本の大きな課題になっています。週休二日制とか週四十時間労働というのは目の前に目標設定されているわけですよ。この実態から余りにも遠い。そして、しかも連続して休憩時間はほとんどとらずにという実態もあるわけです。後で触れますけれども、長距離輸送の場合、休息する施設がない、あるいは車をとめたくてもなかなかとめる場所がなくなってきているというふうなこともありまして、荷主との関係もあったりして、非常に長時間の連続運転という実態も残っています。それからタクシーの場合は、やはり歩合制が大きくとられているところと基本給と併給の場合とでは、労働時間もかなり違ってきていますね。こういった点については、今後賃金水準も労働時間についても改善の方向に各省庁力を合わせて進めていただきたいということをお願いを申し上げて、次の質問へ進ませていただきます。  参議院の運輸委員会で昭和五十八年四月二十一日と平成元年の十二月十二日に、トラック運送に関する法案審議の際に附帯決議がついています。これはただ単にトラックだけじゃなくて、運輸関係運転手共通の課題というふうに受け取っていいと思うのですが、たくさんの項目がありますけれども、二つの附帯決議に共通している問題を幾つか抽出して、その後の取り組みあるいは経過、効果、残された課題というふうなものをお聞きしたいと思うのです。  まず一つは、過積み、過積載の問題があります。これは、運転手が好きこのんで過積みをしているということはまずないわけであります。やらざるを得ないという状況に追い込まれる。これは荷主と事業者との関係にも出てくると思うのです。それが交通事故の原因になっている、あるいは遠因になっている場合も多いわけです。  さて、これを解消するためにいろんな論議があったようです。そして附帯決議の中には、地方における対策連絡会議を開いたらどうかということで、交通事故防止や公害防止の徹底を図るというふうな決議がなされておりますが、この実施状況、効果等についてはいかがでしょうか。
  28. 寺嶋政府委員(寺嶋潔)

    ○寺嶋政府委員 五十八年四月二十一日の参議院運輸委員会の決議第三項で過積載防止対策がうたわれているわけでございます。過積載防止はトラック輸送の安全確保を図る上で非常に重要な課題でございまして、運輸省といたしましては、自動車運送事業等運輸規則に基づきまして、違法行為の取り締まりと是正のための指導に努めているところでございます。  ただいま御指摘ございましたように、過積載防止につきまして関係省庁による総合的な対策推進が必要であるとされておりまして、中央におきましては、総務庁、警察庁等関係省庁と連携をとりながら指導と取り締まりを行っておるところであります。また、各地方におきましても、各都道府県単位に警察、都道府県、陸運支局の三者から成ります過積載防止対策連絡会議を設けまして、それぞれ相互の連携を図りながら対策推進に努めておるところでございます。  運輸省といたしましては、警察等と連携を密にしながら、過積載実態把握等、安全確保に係る事項に重点を置いた事業者監査を実施するよう地方の運輸局を強力に指導をしておるところでございまして、その結果、過積載防止についての処分案件、処分件数は、六十一年度千九百三件、六十二年度には三千百一件、六十三年度三千百四十九件というふうになっております。六十二年度からは、なお過積載状況がよくならないということにかんがみまして、過積載運行重点にした監査を実施しておりまして、違反事業者に対する処分につきましてもさらに強化をしたところでございます。
  29. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 また後でもう一度触れさせていただきますが、次に、過労運転による事故防止という点で、自動車運転者の労働時間の改善基準というのが、たしか昨年出されたわけですね。平成元年ですか。これは前進的な内容が含まれているわけで、運転者にとっては一つの目標といいますか、目安になると思うので、これの趣旨徹底、遵守ということについての手だて。これは旧基準もあったわけですね。昭和五十八年でしたか、たしか新基準の前にありましたね。五十八年でしたでしょうか、ちょっと指摘してください。その旧基準と新基準と延長線にあるわけですが、旧基準時代から新基準時代に移行して、全部ひっくるめて、トータルとしてこれの趣旨徹底あるいは遵守させる具体的な行政指導というものがどのように展開されてどのような効果があらわれているか、これについてお示し願いたいと思います。
  30. 石川説明員(石川透)

    ○石川説明員 先生御指摘のとおり、自動車運転者の労働時間等につきましては、従来から局長通達、これは昭和四十二年に労働基準局長名で出した通達でございますが、それに基づきまして実作業時間の規制をやってまいったところでございます。その後交通事情の変化、それから国際的な動き等も踏まえまして五十四年にこの通達を改めまして、拘束時間につきまして規制をするという形に改め、それに基づきます監督指導を進めてまいったところでございます。  その後、労働時間短縮のための労働基準法の改正が検討されるに際しまして、自動車運転者の長時間労働の問題、これをどうするかということが中央労働基準審議会で議論になりまして、この問題につきましては、関係労使も入りました中央労働基準審議会小委員会というものをつくりまして、改善基準のあり方について一年半にわたりまして御検討いただいたわけでございます。その中で労使一致いたしまして、これまでの通達から大臣告示という形で、また労使もその作成に当たりまして参画したということで、一層強力にその遵守をやっていこうということで昨年二月にこの大臣告示ができたわけでございます。  この告示に基づきまして、私ども関係事業者団体等に対しまして周知徹底に努めているところでございますが、単に周知徹底するのみならず、私ども地方出先機関でございます労働基準監督署において個別の事業場に対しまして臨検監督をし、守られているかどうか、それを厳しくチェックするということをいたしておるわけでございます。これからも計画的、重点的な監督指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  31. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 本当は法的拘束力があればもっともっ といいんじゃないかという気もしますが、これはまた後で論議します。  今取り上げました過積載にしても、あるいは労働時間、実労働時間の短縮という課題にしましても、荷主の理解度がかなり大きなファクターになっているように私は感ずるわけです。これこれの荷物を何時まで、しかも運賃安くというふうなのが荷主の一つの願い、望みであるわけですから、そこにいろいろな自由競争の中の一つの弊害としてダンピング競争が生まれてくる。結局運賃が安く抑え込まれますと、どっかで取り返さなきゃならない。それが労働時間になったり、あるいは普通の国道を走らないで高速道を走る、しかし高速料金については荷主は負担しないというふうな問題も指摘される。こういった荷主の態度、態度といいますか、経営方針というふうなものと交通安全とが幾つかの点でぶつかり合っているように思うのです。適正運賃ということが守られていれば、ある程度それは原価に見込まれますからね、運転者の待遇にしても。ところが自由競争、経済原理だというふうなことで、規制緩和ということでわっと業者がふえる、競争が行われて適正運賃が守られていない、こういう実態を指摘されるわけであります。これについての実態把握と、それから指導の方針というものがあったらお示し願いたいと思います。
  32. 寺嶋政府委員(寺嶋潔)

    ○寺嶋政府委員 ただいま先生御指摘のように、過積載あるいは過労運転ということにつきましては、荷主側からの要請に基づいてトラック事業者としてやむを得ずそういうことをするという側面があることは事実かと考えております。  そこで、昨年十二月に成立いたしました新しい貨物自動車運送事業法におきましては、この徹底につきまして新しい制度を設けておりまして、その第六十四条におきまして荷主への勧告の規定を設けております。これは、トラック事業者が新しい法律に基づきます違反行為がありまして、端的に言えば過積載のような事態によって処分を受けた場合に、それが荷主の指示に基づいて行われたことが明らかである場合等につきましては、当該違反行為の再発を防止するために、当該荷主に対しましても適切な措置をとるべきことを運輸大臣が勧告することができるという規定が入っております。これは全く新しい制度でございまして、新法の施行とともにこの規定が発効いたしますから、この面におきます過積載防止等の効果が期待されるものと思っております。  それから、運賃につきましても、現在は認可制、新しい法律のもとでは届け出制になりますが、一たん届け出たからには当該事業者はそれを遵守する義務がございますので、当局としてもその遵守について引き続き指導していきたいと思っております。
  33. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 荷主への勧告規定がトラック事業法第六十四条に盛られたということについては、前進的な内容だということで評価いたしたいと思います。もちろん論議の中では罰則規定が欲しいという論議もあったのですけれども、これは今後の課題としてやはり前向きに取り組んでいただきたいということを特に申し上げておきたいと思います。  そこで、私は、荷主と事業者あるいは運転者が対立的に火花を散らすことを歓迎するという意味じゃないのですよ。むしろこういう声もあるのです。せめて二部上場以上の企業は余裕のあるはずだから適正な運賃で応じてもらえないだろうか、あるいは高速道を利用せざるを得ないような日程で注文が来た場合は、高速料金をその中に織り込んでもらうということも配慮していただいていいんじゃないか、そういう事業主からの声もあるのです。せめてそういったことで、大企業を目のかたきにするつもりはもちろんありませんが、余裕のあるある程度の企業、事業主からこういう交通秩序をきちんと打ち立てていく、これが望ましいんじゃないかと思うのです。そのことをひとつ要望申し上げておきたいのですが、それについての御所見を最後に賜りたいと思います。  それに関連して、そういった意味を込めまして、荷主と事業者とのいろんな懇談会というのが各地で開かれているはずですね。その実施状況、簡単で結構ですから、ありましたらお知らせ願いたいと思います。
  34. 寺嶋政府委員(寺嶋潔)

    ○寺嶋政府委員 運賃につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、現在では認可制でございますが、その中で、路線運賃につきましては高速道路料金も込みにした運賃設定になっております。それから、区域の運賃は事業者が所要の高速料金を別建てで取ることができることになっております。現在の認可運賃につきましては、上下一〇%それぞれ幅がございますから、その中で荷主とトラック事業者が交渉をいたしまして値段を設定するということに相なりますが、先ほど申し上げたように、あくまでこれは認可された運賃の幅の中で適用すべきものであるという見地から、その遵守を督励しておるところでございます。  届け出になりましても同じことでございまして、届け出運賃はトラック事業者としては遵守しなければならないということは同様でございます。  荷主との懇談会は、現在のように非常に労働力不足で物流サービスの提供がなかなかままならなくなっているという事態についても、荷主の御理解を得る必要がございますので、当局としても、業界に対してこういうような懇談会の場を設けて十分説明するように督励をしておるところでございます。ただいまのところ、ちょっと手元に開催の件数は持っておりませんが、引き続きこれを推進していきたいと思っております。
  35. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 事前にお話し合いしてなかった点の質問が入りましたので、恐縮していますが、懇談会が各地で開かれている実態というのは私もある程度お聞きしたんですけれども地域によってかなり差があるようです。ただその場合に、今後の問題として留意していただきたいのは、その荷主との懇談会をだれが主催しているかということを見ますと、トラック協会主催が多いのですよ。当局側から呼びかけてというのはまずほとんどないですね。そして、その懇談会が開かれても、連絡をするんだけれども、警察なり運輸当局の方に参加していただくあるいは臨席していただくという機会も、全開催回数の半分以下というふうに私は聞いているわけです。ポイントがどこにあるかということでは論が分かれるかもしれませんけれども、荷主と業者との契約が一つのポイントになると思うので、この種の懇談会について当局としても今後意を用いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 寺嶋政府委員(寺嶋潔)

    ○寺嶋政府委員 先ほどお尋ねの荷主懇談会の開催状況数字がございますが、昭和五十七年には二百四十七回でございましたのが、その後漸次ふえてまいりまして、六十年には年間三百九十二回開催されております。主催は、御指摘のとおりトラック協会と荷主側の団体の間ということで進められておりますが、当局といたしましては、このような懇談を奨励するという意味から、できる限り当局側からのオブザーバーとしての参加をさせていきたいと考えております。
  37. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 時間が迫ってきましたので、そろそろ締めくくりの方向にいきたいわけですが、今までずっとお聞きしましたとおり、いわゆる運送業にかかわる発注者と受注者との関係、それの内容、運賃を初めとする諸条件、それから関連して労働条件の問題、運転者の賃金あるいは労働時間、それから聞いてみますと、やはり疲れる、高速道を飛ばしますとつい眠くなる、そういった場合に、場所によってはセンサーか何か使ってぱっぱっと発光信号か何か送ってくれるところがあるそうですね。トラックの場合は、速度が八十キロですかね、それを超えますとぱっと光って警告してくれる装置があるんだそうですが、それがあると助かるなという声もあるのです。それから、さっき触れました、休憩したい、仮眠をとりたい場合にとめる場所が少なくなってきているという悩みがあります。それから、荷主からジャストタイムというのかな、この時間というふうに指定されますと、交通渋滞があると大変だということで、どうして も早目に行って待機しているとか、かなり運転時間に対する影響も大きいとかいろいろな問題が出てくる。これらはやはり総合的に取り上げて交通運輸行政も進めていただきたいし、したがって交通事故発生を抑えていただきたいということを念願を込めて要望申し上げておきたいと思います。  最後になりますが、一つ。これは海の交通安全に関連しまして、港湾計画の改定の時期を迎えているわけですが、湾口防波堤が新しく設置されたことによって津波の防災は進んだが、漁船なり小型船舶の運航にこうこうこういう障害が生じているというふうないろいろな問題が出てきていますので、港湾計画の策定は、港湾によっては管理者が県であったりということになると思いますけれども、ひとつ監督官庁として港湾計画策定に当たっては航行の安全の確保と同時に、港湾の背後地がどんどん都市化することによって湾内の汚染度が、海水の汚染が進んでいるということとか、水産業に対する影響とか、いろいろな複雑な要素が一つの湾の中に集中してきております。これらを港湾計画の中で他省庁とも十分連絡をとりながら、現地に対する指導もいただきながら、よりよい港湾計画の策定を進めていただきたいと思うのですが、大船渡湾についてこの前ある委員会で提起しておきましたので、その後どのような進捗状況になっているか、あるいは今後の指導のあり方についての御所見を賜りたいと思います。
  38. 御巫政府委員(御巫清泰)

    ○御巫政府委員 大船渡湾、大船渡港のお話でございますけれども、大船渡湾全域がほぼ港湾区域というような大きい港湾でございますけれども、これの整備につきましては、先生のおっしゃいますように港湾計画をしっかり立てまして、開発とか環境保全とかあるいは安全とかそういう面から十分な内容を持ったものを策定してきております。  ただ、現在大船渡港につきましては、新たな港湾計画をつくろうということでありまして、港湾管理者であります岩手県が計画改定のための作業を進めております。そして、おおむね今後一年くらいでこの計画改定作業を終え、改定をしよう、こういうことになっております。  大船渡湾は津波という非常に危険な要素もあり、それに対応するために湾口の防波堤をつくっている、あるいはそれにより安全が図られるとか、あるいは地域の振興が図られる等々いろいろな面もございますし、防波堤の陰で静穏な水域ができますと、水産養殖等のためにも非常に有効になってくる。一方では水の汚染が起きてくるとかいろいろそういう状況がございますけれども、水の汚染は大体負荷が周辺の都市化とともに増してきているというようなことが主体になってくるかと思いますが、そういう内容まで十分どう対応できるかというようなことを考えて港湾計画を立派なものをつくっていくように、港湾管理者であります県に対しまして私ども指導していきたい、こういうふうに思っております。
  39. 沢藤委員(沢藤礼次郎)

    沢藤委員 質問時間が終了したということですが、一つだけ、要望だけを申し上げて終わらせていただきたいと思うのです。  きょうは運輸省ということですから、他の省庁。との問題についてはまだ深めたいと思うのですが、交通安全について指摘されております事柄の中に目立っておりますのは、自治体で置いている交通指導員の役割、これを正しく評価してほしい、それに対する手だてが欲しいという声がございます。それから、学校教育の中に正課として安全教育というものを盛り込めないだろうかという指摘もございます。それから、東北地方で今話題になっておりますスパイクタイヤをどうするかという問題があります。  これについてはひとつこれから各省庁と十分御検討願って、いつかの機会に御意見をお聞きしたいと思うのですが、スパイクタイヤの件についてだけ一言申し上げておきますと、旅客輸送の安全に万全を期するためには、いろいろな問題があるけれども、仙台的な土地と岩手県北、青森的な土地とではかなり事情が違う、滑りぐあいとか安全度とか。したがって、専門家であるタクシーとかトラックの運転手さんの中からは、緊急車両と同じ扱いとして厳冬期におけるスパイクタイヤの使用を認めるという方向で検討願えないだろうかという声があります。参考のために今後の問題として提起しておきますので、今申し上げたようなことを各省庁といろいろ話し合っていただきたいということを要望申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  40. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 以上で沢藤礼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤乙彦君。
  41. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 公明党・国民会議遠藤でございます。  大臣の所信に沿いまして幅広く質問をさせていただきますので、大臣及び政府委員におかれましては、ひとつよろしくお願いを申し上げておきます。  まず、所信に対する質問に入る前に一つぜひお聞きしたい点があるのですが、それは現在大変大きな社会問題になっておりますいわゆる違法駐車の問題でございます。これは特に交通安全対策の面からも大きなテーマになっておりますが、私の感じではこの違法駐車の問題は、日本の、特に戦後の生産者優位かつ生活者軽視というシステムの象徴的な問題ではないかと考えております。  本来、車がふえるのであれば当然それに比例して駐車スペースがふえなければいけないというのは当たり前のことなんですが、その点が非常にアンバランスなためにこういった問題があるわけで、違法駐車車両によりまして事故増大し、また交通混雑の激化あるいは消防車や救急車が路地に入れない、こういった大きな問題になっておるわけでございます。これは現在警察庁においては違法駐車の根絶を目指して道交法ないし車庫法の一部改正を作業中と承知をいたしておりますけれども、運輸大臣のお立場から違法駐車の問題をどのようにお考えになっているか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 大野国務大臣(大野明)

    大野国務大臣 本当に現在の違法駐車、目に余るものというか著しいものがあることは、毎日実感しておるわけでございます。ただ、運輸省はそれを直接取り締まるところではございませんが、私は一ユーザーとして、マイカーを運転しているときなんか、本当に国会議員という立場で違法駐車はしちゃいかぬな、こんな気持ちでなるべく——なるべくですよ、しないようにしていますけれども、ついついしてしまうときもある。  そのようなことを考えますと、これは石川五右衛門じゃないですけれども、浜の真砂は尽きるとも世に駐車違反の種は尽きまじで、この原因はやはり道路政策とか、建築するときに建築基準法とかいろいろなことで制約があって道路整備が追っつかなかった、あるいは今言ったようなことでもってなかなか駐車場、特に大都市においては地価もこれだけ高いと、駐車場をつくるために何坪とられるということがこれまたほかのものにはね返ってくるというようないろいろなこともそれはあるかもしれませんけれども、この間、どこでしたっけ、町田の方で何か火災が起こったけれども入れなかった、私はこれが一番問題だと思うのですよ。  そういうことを考えると、駐車違反というものをなくすためにいろいろ各省庁連絡をとりながら今日の異常事態を将来解決しなければならぬという気持ちで取り組んでおります。しかし、運輸省としてはそれにはやはり交通網の整備、地下鉄等々を早く建設するというようなことによって公共輸送機関、バスなんかでも運行しているのを見ると、ラッシュだけはともかくとしても昼間はほとんど乗っていないのが見えますよね。だからそういうものをもっと活用してもらうようにしなければいけないし、そういう観点から運輸省としてはどうあるべきかということで、それを総合して皆様方の利便に供すると同時に、駐車違反もなくすような対策をとりたいということで、アクションプログラム等を組んで、これからより一層可及的速やかにやっていこうということで頑張りたいと思います。
  43. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 この違法駐車問題、大変広がりの大きな問題でございますので、ぜひ今大臣の言 われたように、運輸省としても強い問題意識を持って取り組んでいただければとお願いをしたいと思っております。  次に、自動車の安全対策についてお伺いしたいわけですが、我が国の交通事故は数年来著しい増加傾向にありまして、第二次交通戦争と言われておりまして、昨年ついに政府が非常事態宣言を発するに至ったわけです。交通事故をめぐる状況はまことに重大な局面を迎えておりまして、本年に入っても深刻さはいささかも変わっていないと私は感じております。  まず大臣、こういった状態についてどういった認識をお持ちか、お考えをお聞かせいただければと思います。
  44. 大野国務大臣(大野明)

    大野国務大臣 私は大臣就任と同時に、運輸行政基本は安全であるということを申し上げました。しかしながら、昨今といいますか昭和六十三年あるいは平成元年の交通事故による死亡者数が一万人を超えた。先ほどの御質問の中でも、日清戦争で一万三千人だった、こういうようなお話もございましたけれども、本当に憂うるべき状態であるということは言うまでもございません。特にこのごろ、いわゆる一般自家用車の若い人たち事故による死傷というようなことが毎日新聞を見るたびに起きております。これには無謀運転その他もあるかもしれませんが、いずれにしても、そういうようなものを含めての安全対策、これを十二分にやらなければならないと思っております。  しかし、現在の、何というか高速道路を走るマナー一つが大変に悪いのです。私の実感からいくと、後からできたところの方がまだいい方であって、一番早くできた東名なんかは非常に悪いのですね。それはやはり、その地域の人の変ななれかもしれないような気がするのです。ですから、そういうような一つ一つの事例を十二分にデータをとって、その上でどうしたらそういう事故がなくなるかということも勉強して、そして交通事故死方々が一人でも少なくなるように万全を期したいと考えております。
  45. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 平成元年中の交通死亡事故を形態別に見ますと、自動車乗車中の死亡者数が四千二百五十二人と、全死者数の三八・四%を占める状態になっておりまして、近年の交通事故自動車乗車中の事故中心の、いわゆる欧米型に移行しているというのが一つ傾向であるかと思います。  大臣も所信の中で触れられておりますけれども自動車構造装置に係る安全規制強化ということが、こういった自動車乗車中の死亡事故の減少につながるのかどうかということにつきまして、運輸省の御見解をお願いしたいと思います。
  46. 松波政府委員(松波正壽)

    松波政府委員 お答えをいたします。  今先生御指摘ございましたように、事故は我々一件でも減らそう、一人でもなくそうということで安全輸送の確立に取り組んでおりますが、今御指摘がありましたのは、ソフトハード両面のうちのハードの問題について御指摘があったかと思います。  我々も、やはり自動車構造装置に対する問題ということは大変重要な問題だと認識しておりますし、今御指摘がございましたように、最近の事故状況を見てまいりますと、まだ欧米型までは近づいておりませんけれども先生御指摘のあった三八・四%くらいといいますのは、少しではございますけれども自動車乗車中の事故がふえてございます。そういう意味でこれから我々も、今までも取り組んできておりますが、事故実態調査等、関係省とも連絡しながら、どういうところに事故の原因があるか、これらを構造装置にフィードバックすべく、今我々アクションプログラムの中で、一つ対策でございますが、構造装置の拡充強化方向につきまして今後検討をしてまいりたいと考えております。
  47. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 今の問題とも関連しますが、最近テレビの放映等で西ドイツ車の安全面における優秀性が広く報道されておりまして、私も大変印象づけられた一人ですけれども、最近西ドイツ車の輸入が年々増加しておりまして、昨年の場合十二万台を超えております。  ただ、これは単にユーザーの舶来志向、ブランド志向ということのみならず、やはり西ドイツ車の車づくりにおける能動的安全性、要するに走行の安定性あるいは操作安全性といった問題と、受動的安全性といいますか、ぶつかった場合の損傷軽減策といった両面から非常に積極的アプローチがなされておる、こういったことがユーザーの安全志向にマッチしたものであると考えられるわけでございます。  私も、西ドイツ車の印象としまして、設計思想あるいは安全哲学というのが大変徹底しておるという感じを持っておりますけれども、こういった西ドイツ車の安全性に比べて我が国の自動車構造装置等の比較をどのようにお考えか、ひとつお聞きしたいと思います。
  48. 松波政府委員(松波正壽)

    松波政府委員 お答えを申し上げます。  西ドイツ車と日本の車との比較についての御質問でございますけれども、安全という場合に、今先生御指摘ございましたように、アクティブなセーフティーとパッシブなセーフティーという両面があろうかと思います。いわゆる衝突後の安全あるいは衝突しないような安全の両面があろうかと思います。  そこで、今御指摘のございましたように、自動車安全性について自動車構造装置で比較をしてまいりますと、純科学的に厳密に比較するのは大変難しいかと思いますけれども、我々が調べたところの範囲では、例えば排気量とか車両重量といったような、俗な言葉で言いますと同一車格と言いましょうか、こういうところで比較をしますと、安全性にかかわるところの構造装置はおおむね同等ではないかと考えておりますし、その中でも、例えば衝突安全というような問題について比較をいたしますと、これは西ドイツの自動車ユーザーの連盟あるいは米国連輸省等におきますところの調査データがございます。一定の評価試験方法がございますけれども、その中におきまして日本車あるいは欧米車を比較してまいりますと、例えば人体、これは模型で実験をするわけですが、頭部への影響度あるいは車に着目しましたところの車体の変形量等の面におきましても、同等以上の内容だという評価を得ているというふうに承知をいたしております。
  49. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 私ども専門家ではございませんので、比較する議論の根拠を余り持ちませんけれども、いずれにしましても、特に西独あるいは北欧系の車というのは安全面では大変行き届いている面があると思いますので、国際的にすぐれた面はぜひ学んでいく、取り入れていくということを心がけていただければということをお願いしたいと思っております。  次に鉄道事故の問題に移りたいと思いますけれども、鉄道事故は最近件数及び事故者等においても減少傾向を示しておりますが、一たび事故が発生すれば当然重大な被害になるわけでして、その防止のためには万全を期さなければならないことは当然でございます。  この点で、昨年の十月に発生しました常磐線の事故は、言えば常識では考えられないような基本的動作の励行が全く見られなかったことがその原因となっております。この貨物列車の脱線転覆事故は、もう既に御承知とは思いますが、レールの更換作業において、一本前の貨物列車の通過を最終列車と勘違いして駅に通報して、駅においてもその通報に何の疑問も持たなかった結果、レールを取り外したところに列車が入ってきて転覆したという事故だったわけです。  またもう一つ事故は、信号担当者のポイント切りかえミスと、それから運転手が信号確認を怠ったことによって違う線である武蔵野線に誤って進入した事故であります。幸い人身事故には至らなかったわけですけれども、一歩間違えば大事故につながっていた可能性があるわけでございます。  こういったように、鉄道事故の場合、全く初歩的な、基本を忘れた事例が非常に目立っているわけでございますけれども、安全対策において、ハードの面では確かに非常に進んだと感じておりますけれども、他方、ソフトの面で士気の低下、規 律の緩み、基本的なヒューマンエラーが非常に目立ってくる状態でございまして、今後の鉄道事故防止に当たって、ぜひともハードに見合ったソフトの面での充実、これが大変重要ではないかと考えるわけでございます。まずこの点につきまして大臣の御見解をぜひお聞きしたいと思っております。
  50. 大野国務大臣(大野明)

    大野国務大臣 今御指摘の常磐線の事故、これは本当に考えられないというか、人為的なミスがああいうような大事故につながったわけでございます。安全性とかなんとか口で言っていてもしょうがないので、それよりもやはり我々がやっておる仕事というものに対する認識を高めるということですね。それにはやはり心というか愛というか、精神的なものが物質文明の中でどうも衰退していくというような話をよく聞きますが、本当にそのとおりで、私は、自分がやっていることに、きちんとやれば事故もないし、人命にしても何にしてもおれが預っているんだぐらいの意識を持ってもらいたい、こういうことで、あの直後にJRに対しても、本当に考えられない事故だと言って、そうして安全性の確保のための諸施策というか、訓練とかそういうものを十分やるように強く申し上げておきました。  これはまた余談になるのですが、今先生、車の話をしていましたでしょう。私は本当にカーキチで、若いときから世界じゅうの車に乗ったと言っても過言ではないのですよ。ところが、日本の最高速度は百キロと決められているのですよ。にもかかわらず二百キロ、三百キロ出る車が本当に町の中を走っている。必要があるのかどうかという問題。こういう点を指摘してもらいつつ交通安全の話をしてもらいたいな。運輸大臣よりもそっち側に行きたいな。なぜかというと、最近三ナンバーの方が多くなりつつある傾向でしょう。一方では軽自動車がはやるでしょう。このスピードの非常に大きな変化が交通事故をもたらすのです。だから、一瞬ぱっと出るのは交通事故は確かに少ないけれども、それにはそれなりのきちんとした免許証を与えるときからの問題を論じて——いや同じ岐阜県人だし慶応の後輩だし、ひとつ頑張ってもらいたいと思いまして……。よろしく。
  51. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 今の大臣の御指摘、肝に銘じてこれから勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。  続いて、鉄道関連ですけれども、トンネル内でのいわゆる内壁接触事故、それから線路間隔の不足による列車接触事故等も発生しておるわけでして、今こういったことについて運輸省のもとに総点検が行われていると承知しておりますけれども、その結果、及びその後対策はどうなっているか、あるいはまた最終結論は出ていないかもしれませんけれども、中間的なとりあえずの結論ないし見通しでも結構でございますので、この点ひとつお考えをお聞かせいただければと思います。
  52. 大塚(秀)政府委員(大塚秀夫)

    ○大塚(秀)政府委員 まず先生御指摘の第一点のトンネル内における車両接触事故につきましては、その後直ちに、昨年暮れの運輸省交通安全総点検に際しまして車両限界の抵触の有無を点検項目に追加して調査させたところでございますが、この総点検の結果におきましては車両限界に抵触する車両はないとの報告を受けております。ただ、このような安全対策というのは極めて重要でございますので、今後とも車両の適正な保守管理を行うように一層指導を徹底していきたいと考えております。  それから、もう一つ事故の、これは軌道中心間隔について基準を満たしていないところが全国的に約二千カ所あったという結果についてでございますが、これらの箇所は既に線路、車両の使用制限等により安全は確保されておりますが、改修の都度、現行基準をクリアさせることとしておりまして、既に約七百カ所については基準を守るような改修が行われたという結果で、今後とも基準を遵守していくように常に点検していくことをJRに指導していきたいと考えております。
  53. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 ぜひこの調査結果、しっかりしたものをつくっていただいて、そのフォローアップをお願いしたいと思っております。  次に、例の凝固剤手抜き事故により東北新幹線の東京駅乗り入れの時期が大幅におくれたと報道されておりますけれども、この工事の見通しにつきましてお伺いをしたいと思います。
  54. 大塚(秀)政府委員(大塚秀夫)

    ○大塚(秀)政府委員 JR東日本の御徒町のトンネル事故については、大変遺憾な事故だと考えておりますが、JR東日本では直ちに社内に事故究明検討委員会を持ち何度か検討を重ねた結果、一応五月十六日に施工方法について結論を出しまして、この結論に基づいて、工事について凝固剤の再注入あるいは気圧の減圧等の対策を講じることとし、東京都に対し工事中止命令の解除のための協議を行っているところでございますのできるだけ早く工事を再開することが望ましいと考えておりますが、東京駅乗り入れの問題につきましては、工事再開から完成までの工期、さらにはダイヤ改正の時期等営業面からの検討を行った上で決定しなければなりませんので、現時点で最終的な結論を申し上げることはできませんが、平成三年春の開業ということはかなり厳しい状況になっているものと考えております。
  55. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 続いて、海の交通安全につきましてお伺いしたいと思っております。  海難事故の場合、全般的には減少傾向にございますけれども、唯一、マリンレジャーのいわゆるプレジャーボートの事故増加傾向にあるわけでございまして、これは近年のレジャー志向の高まり、それに基づくいわゆるマリンスポーツの普及等で当然予見されることでございます。現在、国内にはプレジャーボートが二十六万隻と言われております。モーターボートが二十万隻、ヨットは六万隻ということでございまして、十年前と比較しても四四%の増加ぶりであります。当然、これに伴ってこのプレジャーボートの海難事故がふえることは予見されるわけでございます。  マリンスポーツというのは、日本が豊かになってライフスタイルが変わって、こういった豊かさを求める一つの大きな分野であろうかと思っておりまして、もともと日本人は、海洋国家と言われまして水とか海とか船には大変強い愛着を感じておるわけでございまして、働きバチと言われる日本人が今後、労働時間の短縮、さらにさまざまな環境整備さえあれば、このマリンスポーツに急激な増加が見込まれるということは私も感じております。そういった意味で、他方、安全面での対策は大変重要であると考えております。  特に、こういったプレジャーボートの操縦に必要な小型船舶操縦士免許の取得者は平成元年度末で百九十三万人と言われております。中でもレジャー用モータボートの大半を占める五トン未満の船舶の操縦免許であります小型四級免許の取得者が百二十八万人でありまして、この五年間で二十八万人以上も増加となっております。  こういったマリンレジャーブームの一方で海難事故も急増しておりまして、昨年一年間で救助を要する海難事故に遣ったプレジャーボートは五百五十五隻となっておりまして、全海難事故の二八%を占めております。こういった原因としまして、レジャー船の気安さから天候を無視して無謀な出航をするとか、知識、技術の未熟さ、機材の取り扱いの不なれといった基本的なルールやマナーの無視、また、小型の四級免許が比較的簡単に取得できるということから、その安易さが安全軽視につながったのではないか、あるいはまた短期間に操船技術、安全意識が十分に身につけられるような教習課程となっているかといったような問題が指摘されております。最近も、御承知のとおり、千葉県の九十九里海岸で二家族の乗ったモーターボートが転覆しまして、子供五人が死亡して一人が行方不明という痛ましい事故が発生したわけでございますけれども、この事故の場合も、地元の漁師も出漁を見合わせるほどの天候なのに出港したという無謀さ、また救命胴着をつけさせなかった判断の甘さといったようなものが災いしたものと考えられるわけでございます。  こういった、いわゆるプレジャーボートの事故が大変急増することが予見されるわけでありまし て、この面での事故防止が急務であると私は考えるわけでございまして、ぜひこの点につきまして運輸省の御見解をお伺いしたいと思っております。
  56. 野尻政府委員(野尻豊)

    ○野尻政府委員 海上保安庁におきましては、近年伸展の著しい海洋レジャーの安全を確保し、その健全な発展に資するように、プレジャーボートの安全対策を講じているところでございます。具体的に、私どもが講じております施策内容について二、三御説明申し上げます。  第一に、海難防止強調運動、これを毎年九月の中旬から下旬にかけて行っておりますが、こういったような強調運動を通じ、あるいはまたそれ以外にも随時に、海上保安官が船を訪れたり、あるいは現場で指導するというようなことをしておりますし、また海難防止講習会を開催したりしております。こういうような機会をとらえまして、海上交通ルールの周知あるいは気象・海象情報の早期入手、その他の安全確保のための基本的事項の遵守等の指導を行っております。  第二点目は、海洋レジャーの安全確保というのは、今、先生も御指摘がありましたけれども、まず愛好者みずからの自覚と努力に負うところが大きいわけでありますから、その点に留意いたしまして、民間の自主的な安全活動の組織母体となる小型船安全協会、今もかなりの協会ができておりますが、さらにこの設立を促進いたしまして、こうした組織を通じて、例えば海上安全指導員、安全パトロール艇などによる自主的な安全指導体制を整備する、あるいはまた無線設備の設置等、連絡体制の整備促進するといったようなことによりまして、プレジャーボートの海難の未然防止に努めているところでございます。  プレジャーボートの活動は、個々人が安全意識を十分に持って、基本的な運航ルールやマナーを遵守すべきことは言うまでもないことでございます。当庁といたしましては、今後ともこのような認識のもとに、随時海上保安官による安全運航の励行の指導あるいは運航ルールやマナーの周知等を行うとともに、民間の自主的な安全活動の組織であります、今申し上げました小型船安全協会を通じまして、プレジャーボートの海難の未然防止を図るための活動を活発に行ってまいりたいと思っております。  なお、先生もう一つ、海難救助体制についてはどうかという御質問でございましたが、海洋レジャーの活発な海域、時期におきましては、巡視船艇、航空機によるパトロールを強化いたしまして、事故情報の収集、それから救難即応体制の確立を図るとともに、沿岸海域におきます迅速、効率的な救難体制を確立するために民間救助組織の整備を進めておりますが、今後さらに民間海難救助体制の充実強化を図るために必要な措置について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  57. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 特に海の場合には、今後のレジャーのトレンドから見て最も力を入れていただかなければならないと思いますので、今の御説明に沿ってぜひとも強力な取り組みをお願いしたいと思っております。  最後に、航空面での安全につきましてお伺いをしたいと思っております。  今、世界全体で航空機の機材が世代交代期に入っているわけでございまして、日本もその例外ではございません。他方、また、それにかわるいわゆるハイテク航空機が導入されるわけで、世界全体で航空機がいわば端境期にあるわけでございます。経年航空機の場合には、金属疲労あるいは亀裂等が発生しておるわけでございまして、そういったことから航空機事故の発生確率が非常に高まることが当然想定されるわけでございまして、こういった問題について今後どのように対応していくのか、そういう点につきまして運輸省の御見解をお願いしたいと思います。
  58. 中村(資)政府委員(中村資朗)

    中村(資)政府委員 航空機の経年化に伴う安全性の問題でございますが、例の昭和六十三年四月の米国アロハ航空の737の事故を契機といたしまして大変大きくクローズアップされたわけでございます。この飛行機はたまたま八万九千回以上の飛行経歴を持っていたということもございまして、経年化の飛行機であるということで問題になったわけでございます。いち早く米国の連邦航空局が経年機の対策会議を世界的に開催するというような運びになりまして、世界的に航空機の経年化対策の検討が進められてきております。  運輸省といたしましては、従来から各航空会社に対しまして航空機の点検整備強化あるいは改修の促進等の指示を的確にするなど所要の対策を講じてきておるところでございます。今後とも、世界的な対策会議が進んでまいりますので、そういう進展を踏まえて点検改修の指示あるいは航空機の整備方式の検討等所要の対策を進めてまいりたいと思っております。
  59. 遠藤(乙)委員(遠藤乙彦)

    遠藤(乙)委員 質問時間が終了しておりますが、最後に一点だけお願いをしたいと思います。  航空機の関係でもう一つお聞きしたいのは、自家用操縦士の免許のことなんですが、最近、レジャーブームの伸展、円高の影響等もありまして、いわゆる自家用操縦士の免許を海外で取得する者が大変ふえております。平成元年中の自家用操縦士免許取得者の、全体で九百三十二人のうち六百十五人、すなわち六六%が海外、しかもほとんど米国での免許取得でございます。海外の方が安いということ、また時間数も少ないのではないかといったことも言われております。  こういった自家用操縦士免許、ふえることは結構なことなんですけれども、海外で取得した免許日本で切りかえる際、実技試験等が課せられておりません。他方、海外での免許取得は、必ずしも日本の空の気象とか地理的条件あるいは風土条件等を十分に反映していない点も考えられるわけでございまして、こういった点、今後何らかの安全対策強化していく必要があるのではないかと考えますけれども、この点につきましてお伺いをしたいと思います。
  60. 中村(資)政府委員(中村資朗)

    中村(資)政府委員 外国政府の授与いたしました資格証書を有する者の我が国航空法での技能証明の切りかえでございますけれども、これに当たりましては、我が国と同等以上の試験を行っているという外国政府が発行しました資格証明書であるということを確認しておりますし、飛行経歴などにつきましても、我が国の基準に適合しているということを確認した上で試験の全部あるいは一部を免除しておるわけでございます。  現在、運輸省では、外国免許の切りかえ者につきましては、我が国の技能証明を交付する際に、我が国特有の山岳の多い地形だとかあるいは気象条件、訓練空域の問題とかあるいは管制のやり方の問題につきましても注意を喚起しておるところでございまして、安全講習会等の機会を通じまして安全指導を行っておるところであります。特に今先生御指摘のように、外国で操縦士資格を取得して切りかえる例がふえてまいりましたので、当局といたしましては、さらに今後一層こういう講習会等の機会をふやしてまいりたいというふうに考えております。
  61. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 以上で遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  62. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 何点かお尋ねをいたします。  まず最初に、バスの安全対策についてお尋ねをいたします。  交通事故増加している中で、事業用自動車事故死者は増加をいたしております。昭和六十三年度の事業用自動車の重大事故を見ますと、バス事故が一一・二%を占めております。五月十七日も、東北自動車道で観光バスが道路公団の作業用車両に追突をする、一人亡くなり、四十五人が重軽傷という大きな事故がありました。新聞の報道を見ますと、現場は見通しのよいところだったようでありますが、なぜこうした事故が起きたのか、その原因及び事故状況についてお尋ねをいたします。
  63. 松波政府委員(松波正壽)

    松波政府委員 お答えをいたします。  今先生具体的に、五月十七日に発生しました事故状況とか原因についてということでお答え申し上げます。  まず状況でございますけれども先生御指摘のあったような十七日の午前十時十分ごろに、日本交通株式会社の貸し切りバスが東京城北共栄たのしみ会、この会員の方々をお乗せいたしまして、福島市の高湯温泉に輸送するため福島県白河市の東北自動車道下り線を走行中に、今御指摘がございましたように、線引き作業のための車線変更の表示板をつけて走行車線を走行中の大型散水車に追突をいたしまして、その弾みをもちまして中央分離帯に衝突し、先ほどお話がございましたように、死者一名、負傷者四十五名という大変痛ましい事故が発生をいたしたのであります。  原因の方でございますけれども、現在事故原因につきましては調査中でございましてまだ判明をいたしておりませんが、我々運輸省といたしましては、この二十二日でございますけれども、当該事業者に対しまして特別監査を実施したところでございまして、今後この自動車事故再発防止を図るため、この監査結果に基づきまして適正な措置をしてまいりたいと考えております。
  64. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 まだ原因は調査中ということでありますが、また後日聞かせていただきたいと思います。  それで、運輸省はこれまで、昭和六十三年十一月に運行管理充実強化過労防止の徹底など事故防止の徹底を図っておられる。平成元年にも高速道路における事故防止について指導をしておられる。事故防止にとって重要なポイントの一つ過労防止ということだと思います。この問題は、「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」という昭和五十四年の通達など基準が示されていることを承知しております。  さて、今回の事故運転者の場合を見てみますと、私どもの聞いたところでは、これは出庫から入庫までの時間でございますが、五月十日は都内の修学旅行で六時二十分から二十二時十分、十五時間五十分。十一日、都内の観光、六時から二十時十分、十四時間十分。十二日、TDL観光、六時三十分から二十二時、十五時間三十分。十三日は休日。十四日は福島温泉旅行、五時半から十八時三十分、十三時間。十五日は都内修学旅行、六時半から二十時、十三時間三十分。十六日は都内修学旅行、六時二十分から二十時四十分、十四時間二十分。十七日は福島温泉旅行、六時四十分から、そして事故、こういう状態であります。  しかも、これは出庫から入庫まででございますが、それ以外にまだ会社にちょっと残っておられるのですね。十六日の退社は二十一時五十三分だった。それから、十七日の出社は午前五時二十六分だった。これがタイムカードの記録なんですね。もちろん、遠いところは二人乗務でありますとかあるいは休憩の時間とかいろいろなことがこの時間の中にはあると思うのですが、しかし、結局この時間、休憩だとか二人乗務だとかいっても拘束をされているということになると思うのですね。全くフリーの時間ではないわけであります。改善基準をクリアしているかどうか、ちょっと私はそのところまだわからぬのですが、しかし、一般的に言いまして本当にきつい勤務の状況ではないか、このように思います。運転者の労働時間の問題についてさらに事業者に対する指導を徹底する必要があるのではないか、このように考えるわけであります。  昭和六十年にも、これは当委員会だったか、運輸委員会でしたね。長野県の国道十九号線で三重交通のスキーバスが転落をして二十五名の方が亡くなるという事故がありましたね。この運転手さんのケースは、十四日連続勤務という状況がありました。二週間の総拘束時間は百六十一時間、こういうこともありました。事故が起こる、そして、その労働時間、労働条件を見てみますと、背景にはこういうことが多いのではないかというふうに思うわけでございます。殊に、シーズンになりますと一層長時間過密の労働ということになっているのではないかと思うのですが、このケース、先ほど申し上げましたような出庫と入庫の時間で見てみましても大変な状況だなというふうに思うのですけれども運輸省、労働省、このような状態についてどのようなお考えか、今後ともどのように御対応いただくのか、お尋ねをいたします。
  65. 松波政府委員(松波正壽)

    松波政府委員 お答えをいたします。  今先生具体的に日にちと時間のお話がございましたが、私の方も、ちょっと急なお話だったものですけれども、手元の資料を見ますとほぼ同じような内容になっているかと思います。しかも、この勤務状態が果たして、先ほど御指摘ございましたように、平成元年二月労働省から出されておりますところの先生御案内の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準がございますけれども、これに照らしてどうかという点については、少し精査をしないと、ここでは即答は差し控えたいと思います。  いずれにいたしましても、過労という点につきましては、安全輸送の見地から大変重要なことであろうかと思っておりまして、これまでもこの問題につきましては、この防止をするために、お話もございましたが、運転者の勤務時間とか乗務時間の設定あるいは交代運転者の配置あるいは休息施設の整備等、いろいろの機会、例えば運行管理者の研修だとかあるいは事業者監査などを通じまして指導をいたしてきておりますけれども、今後ともこれらの問題につきましては関係者に対し厳正にいろいろな面で指導をいたすよう努力をしてまいりたいと考えております。
  66. 石川説明員(石川透)

    ○石川説明員 事故を起こしました観光バスの会社におきます改善基準の違背状況でございますが、現在調査中でございまして、まだ確定的なお答えをできない状況でございます。ただ、先生の申されました数字につきましては、運輸省が申し上げましたとおり、私どもが把握している数字とおおむね合致いたしているところでございます。  それから、バス会社の運転者の労働条件の問題でございますが、従来から自動車運転者につきましては労働時間が長いという実態がございまして、四十二年以来の通達、それから昨年四月からは大臣告示に基づきまして、先生御案内の改善基準でございますが、これに基づきまして重点的な監督指導をいたしているところでございます。特に、今回の改善基準につきましては、関係労使も参加して作成されたものであるということでございますし、また、従来の局長のいわば行政の方から一方的に出した通達ということではなく、労使も参加してつくり、かつ大臣告示という格も高いものとしてできたものでございますので、ぜひとも遵守していただきたいというふうに考えているところでございます。  労働省といたしましては、事業主団体を通じましてその周知徹底に努めてまいるとともに、計画的な監督指導をいたしまして、改善基準の遵守、労働時間の改善が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
  67. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 いろいろと御対応いただいているということもわかるのです。しかし、実際は皆さん方のお考えどおりにいっていないというのが現状だと思うのです。なかなか難しいところがあると思います。しかし、さらに御努力をいただいて、かけがえのない命を預かっていただいておる仕事でありますから、過労にならないように、労働時間、労働条件を本当に改善していただくように、運輸省も労働省も力を合わせてやっていただきたい、重ねてお願いをいたします。  最近は、長距離バス、深夜急行バス、深夜中距離バス、こういうバス路線が増加しております。また、冬のスキーバスや夏の行楽地へのバスなど、事実上路線バスのような運行形態のバス増加しておりまして、運転者の労働条件を厳しくする傾向にあるわけであります。運転者の労働時間の問題、過労防止、安全対策について一層適切な対応をしていただきたい、繰り返しお願いをいたします。  それから、高速長距離バス路線の乗務員に一般路線の乗務員の皆さんを、あるいは貸し切り運転、いろいろ運用されるようであります。これはやはりサービスの面でも安全の面でも問題点があるのではないかな、このように思うわけであります。そういう点を頭に入れて御指導いただきたいなと思 うのですが、簡単にお考えを伺いたいと思います。
  68. 松波政府委員(松波正壽)

    松波政府委員 お答えをいたします。  先生御指摘ございました長距離高速バスが路線が非常にふえておりますが、この問題につきましては、今乗務員の運用の話も出ましたけれども、我々としましては、何とか事故が出ないように、昨年の七月でございますが、警察庁との連名をもちまして、日本バス協会に対しまして事故防止徹底対策の検討をお願い申し上げまして、関係者で検討を重ねられて、高速バス安全運行マニュアルというものをつくりながら、実態に即した安全運行のために努力をしてまいりたいと考えております。
  69. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 よろしくお願いいたします。  次に、タクシー労働者の労働条件改善の問題についてお尋ねをしたいと思います。  私は、昭和五十五年から四回ほどタクシー労働者の労働条件改善の問題をお尋ねしてまいりました。大体、労働条件改善するために努力をいたします、私はそのときは、ああこれでしっかりやっていただけるなと思って非常に喜ぶのですが、実際はもう一つどもの思うほど改善が進まぬというのがこの十年間私の経験でもあるわけであります。  タクシー労働者の労働条件改善するということは、交通安全の面でも、またサービスを向上する上でも、もちろん労働者の生活や権利を守る上でも非常に大切なことであると思います。また、今人手不足状況ですね。奈良県あたりでも、今運転手さんが足りないので、大体平均すれば二割の車が車庫で休んでいる。奈良で千二百三十二台、その二割と申しますと大体二百四十六台が、今タクシーが足りないという感じのときに休んでいる実態があるということであります。私も、駅前でタクシーの方がたくさん並んでおられるときは、ああ大変だなという思いもするのですが、また、もう長い間待たなくてはタクシーが来ないというところもたくさん経験をするわけです。どうもこのごろタクシーが足りないのではないか、あるいは時間帯その他いろいろでなになのですが、私はそういう印象を持っております。その裏には、このような車庫に休んでいる車もあるのかなというふうに思うわけであります。  タクシー労働者の労働条件というのは非常に厳しいですね。十年前、私が初めて質問させていただいたときは、今どきこんなことがあるのかというような、それは官がちゃんと認可をしてやっておられる業者が、いろいろな法律その他約束事があるのにそういうものが無視をされた形でやられているところが、本当にひどいというのがありました。私どもも一生懸命お願いをする、労働者も一生懸命運動をされるという中で一定の改善をされてまいりましたけれども、まだまだほど遠いというのが実態です。今のタクシー労働者の労働条件、賃金の面と労働時間の面、そのあたりで運輸省の御認識伺いたいと思います。
  70. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 先生長い間タクシー労働者の方の労働条件につきましてたびたび御熱心なお話がございましたこと、私ども地域的にも現地でよく存じておりますが、昭和五十五年の第二次オイルショックの後の状況につきましては、御承知のとおりタクシーは、お客様の需要の実態運転手さん側の供給の実態というもののバランスで事実上運転手さんの稼ぎが決まってくるという問題がございまして、第二次オイルショック後決して十分思わしい形で——むしろ景気が冷えましたのでお客がついてこない。それに対しまして運転手さんが他の産業から出てきて、運転手さんもふえるといいますか、車の稼働が上がるという実態の中で一人一人の運転手さんの給与水準が上がらなかったという実態がずっと続いてきたのだと思います。現在でも、六十三年ぐらいの数字でいきますと、全国の全産業の平均に対しまして年間で七十万ぐらいは平均的にも低い、地方のそれぞれに個々別々な地域がございますが、奈良県なんかではさらにもっと低いというようないろいろな実態になってきておったということは事実だと思っております。  しかしながら、最近時点になりますと、いわば需要がふえてきております。それにむしろ逆比例する形で労働力がタクシー業界から離れていくという形になってまいりまして、奈良県なんかでも、車の実働率といいまして、百台あるうちの車が何台寝ているかという寝ている方の数字がふえてくる、したがって稼働している車が少ないという実態になってきて、その分、従来は多数の車が駅等で待っていた実態が解消してきている、こんなような実態になり、多少とも運転手さんの実際の売り上げもふえてきているということになってきているのかな、こういう認識をいたしております。
  71. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 もうそんなに時間がありませんのでなにしますが、非常に労働時間が長いですね。いろいろデータがあるので、平均すれば年間二千七、八百時間ではないのかというのが私の認識です。賃金も、今七十万円というような話がありましたけれでも、百二十万円ほど違うというデータもあるのですね。いろいろあるのですが、やはり相当低いですね。私も身近にたくさん運転手さんの知り合いがあるので具体的に聞きますと、やはり低いですね。ボーナスも少ないですし、大変なんです。  そこのところで、今度、運賃の値上げの問題が出てまいります。既に東京とか横浜はもう認可されたのですか、その認可をされた、どういう点でお認めになったのか、どういう条件でお認めになったのか。これからまだ多くのところでその問題が出てくる。もう出てきているのですけれども、どのような方針でやっていかれるのか、お伺いいたします。
  72. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 東京等では最も典型的にタクシー運転手さんの不足といいますか、タクシー離れと申しますか、そういう現象になってきておりまして、急速に車の稼働が落ちている、こういう実態がございます。一方で、深夜輸送等を中心に、東京におきましては非常に需要が毎年毎年上昇してきているということでございまして、そういう意味では、輸送力を確保するためにも相当程度労働条件改善されないと運転手さんが来ない、こういう形でございます。  一方で、一億円以下の事業者が全事業者の九六%に至るというような中小企業を中心としたタクシーでございますので、そういった労働条件改善に使う原資というものはやはりお客様からいただかないと対応できない、こういう実態が顕著に出てきておりますので、私どもといたしましては、東京につきましては、良質な運転手さんの確保を通じまして東京におけるタクシー供給の確保を図るという趣旨から、このたび運賃改定につきまして認可をいたしているところでございます。  全国各地につきまして、現在いろいろ申請が出てきております。それぞれの地域ごとに労働力確保の実態は違うかと思っておりますが、現在の申請事由はいずれも労働条件改善を図って運転手さんを確保する、稼働を上げていく、こういう申請事由になっているかと思います。したがいまして私どもといたしましては、申請の事由が事由でございますので、本当に運賃の改定分が運転手さんに渡るのかどうか、これにつきましてはいろいろな方法で確認を図りながら、実質的にきちっといくことをお願いもし、また我々としても見きわめながら、認可をするべきものは認可をする、こんな対応が必要なのではないかということで、各地の運輸局について指導をいたしておるところでございます。  現在、よくございますような景気の波動で一時的に運転手さんが離れて、また運転手さんが戻ってくるだろうと期待するには、年齢構成の上昇等で非常に実質的に難しいような感じがいたしておりまして、良質な労働力の確保ということにつきましては、基本的に、事業者自身の腰を入れた対応が必要だということになっていると思いますので、この点は十分指導してまいりたいと思っているところでございます。
  73. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 先ほどの他の同僚議員への答弁の中で、東京では事業者と労働組合の確認書ですか、それでは、今回の運賃改定により増収分についてはすべて全従業員の賃金、労働条件改善に充当 する、賃下げなしの労働時間短縮を実施する、こういうようなお話がありましたね。こういうのが一つの物差しになって全国的に御指導されるというようなことではないのですか。すべてというのがここに入っているのですが、すべてまでいかないとしても、うんとそこのところに重点を置いていただく、しかも本当にやっていただけるということでないとだめだと思うのですが、その点簡単にひとつ。
  74. 早川政府委員(早川章)

    早川政府委員 東京では労使間でそのような措置をとられたということでございまして、労使の問題でございますので、これが全地域必ずこうでなければいけないと私の方で申し上げるという問題ではないと考えておりますが、基本的な面での待遇改善というのが運転手さんの確保につながることだと思っておりますので、労働条件改善方策について、私ども、いわゆる査定といいますか認可に当たる者がきちっと了解し納得できるものでなければならないということが私どものポジションでございます。
  75. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 労働省、ぜひひとつこの機会に、運輸省協力をして労働条件改善に十分な対応をしていただきたいと思うのです。来年から新しい基準が適用されるということになるのですね。そういうことも含めて御対応いただきたいと思いますが、御所見伺います。
  76. 石川説明員(石川透)

    ○石川説明員 運輸省からも御答弁ありましたとおり、今回の運賃改定は特に労働条件改善を目的としてなされたものというふうに理解いたしております。  労働条件の問題は労働省の所管でございますし、従来から問題がある業種ということで、いろいろな形で監督指導等に努めてまいったところでございます。特に今回の運賃改定に当たりまして、物価問題に関する関係閣僚会議で決定されておりますが、その中でも、労働時間の短縮を含む労働条件改善を図り、良質な労働力の確保に努めることについて事業者を強力に指導するというふうになっているところでございます。私どもといたしましては、これを受けまして、今回の運賃改定による増収分が労働条件改善に向けられるよう事業主団体を通じまして要請すると同時に、事後にどういうふうに労働条件改善に向けたか報告を求めることにいたしておるところでございます。また、今後の臨検、監督に当たりましても、この労働条件改善状況につきましては把握するように努めてまいりたいと考えているところでございます。  それから、改正労働基準法が施行されまして、三年間自動車関係は週所定労働時間四十八時間ということになっておりますが、来年四月以降は少なくとも四十六時間以下になるということになっているところであります。特に労働時間の短縮の面で労働条件改善が図られるよう労働省も希望しておりますし、そのための指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  77. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 ぜひひとつ労働条件改善について本腰を入れてやっていただく、後のフォローアップをしっかりやっていただくことを重ねてお願いし、次に移ります。  最後に自動車メーカーの安全責任と車庫飛ばしということでお尋ねをいたします。  日本自動車販売協会連合会が四月三日に発表いたしました八九年度の新車販売台数は、軽自動車を除いてですが、五百八十四万四千四百八十二台。前年比一七・四%増。三年連続して史上最高を更新。初めて五百万台を超えたということでございます。そのうちトヨタが四一・七%、日産が二三・七%、二社のシェアが六五・四%ということであります。  ところで、自動車メーカーが安全問題に真剣に取り組んでいただいているのかどうか。例えば自動車登録の際に虚偽の車庫証明を取るいわゆる車庫飛ばしは、この五年間で判明した分だけで約二千七百台。その八割が自動車販売会社などによる組織的な犯行だったというようなことが警察庁のまとめでわかったというふうに聞いております。年間一千万も登録申請があるようですが、判明分は氷山の一角である、このようにも言われております。最近、トヨタ系自動車ディーラー札幌トヨペットでありますとか、あるいは東京の日産サニー東京販売なども、いわゆる車庫飛ばしといいますか、そういうことで司直の手が入ったという報道があるわけであります。  それで、メーカーの交通安全に対する社会的責任について私は前回の委員会でも取り上げたのですが、政府もメーカーや業界に協力を申し入れたいという態度を示しておられました。しかし、先ほど申しましたような車庫飛ばしというのは、交通安全の上で大変重要な車庫の確保、その車庫法に違反して自社の製品の売り込みに血道を上げていたというようなことであります。これは許せない問題だと思うのです。  そこで、運輸大臣に最後にお尋ねをするのですが、先ほど来お聞きをいたしますと運輸大臣自動車については大変な権威を持っておられるように認識をしたのですが、自動車メーカーの交通安全に対する社会的責任についてどのように考えておられるのか、またメーカーに対して、この非常事態にある交通安全のために協力をもっと強力に要請をしていただきたい、このように考えるわけであります。前後するわけでありますが、例えばテレビのコマーシャルですね、メーカーさんはもっとその中で交通安全についての訴えといいますか、そういうものがあってもいいと私は思うのですが、まだ残念な状況だなというふうにも思うわけであります。こういうことで、メーカーの交通安全に対する社会的責任についてどのように考えておられるのか、また今後、この非常事態にある交通安全のためにどのように協力を要請されるのか、お伺いしたいと思います。
  78. 大野国務大臣(大野明)

    大野国務大臣 初めに、いわゆる車庫飛ばしの問題でございますが、この点については関係法令等を厳しく遵守するように当省としてはいろいろ努力をいたしております。  しかし、この問題もさることながら、やはりテレビのコマーシャル、私は気が短いせいか、コマーシャルになるとほかの番組へやってまた前へ戻すというようなことをやっていますので余り見ませんけれども、ユーザーも今まではスタイリングとかそういうことばかり気を使ったのですね。しかし、今これだけ交通事故がふえてきたからやはり安全性というものについてユーザー自体の方が大きく認識を新たにしたので、それにこたえてでは本当は逆の発想ですけれども、メーカーも最近は安全というものに非常に力を入れてきたということは私もよくわかります。しかし、これだけではまだまだ行き足らないし、例えばベンツなどはエアバッグがオプションでなくついてしまっているとか、そういうようないろいろなものを見ますと、車というのは、私に言わせれば、運転未熟とかそれは個々の問題ですから別として、ハンドルとブレーキとタイヤ、足回りさえしっかりしていれば大丈夫なのですが、格好ばかりにとらわれてきた面は今直しつつあるということは十分承知いたしておりますから、先ほどもちょっと御質問あったようですけれども、これから先、いいものはどんどん取り入れたらいいではないか、その姿勢を私どもが持つことによってメーカーに対しても大きく物が言えるということでございますから、私は本当にカーキチと言われるくらい、あと三十年若かったら鈴鹿サーキットを走っているぐらいの人間ですので、十分心得て、在任中に少しでも、一歩でも二歩でも進むようにいたしたい、かく考えております。
  79. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。
  80. 権藤委員長(権藤恒夫)

    権藤委員長 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会