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1990-06-20 第118回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中島  衛君    理事 金子 一義君 理事 木村 守男君    理事 北村 直人君 理事 笹川  堯君    理事 小野 信一君 理事 木間  章君    理事 吉井 光照君       瓦   力君    杉山 憲夫君       田中 秀征君    武村 正義君       渡海紀三朗君    中山 成彬君       村井  仁君    村上誠一郎君       石井  智君    貴志 八郎君       鈴木喜久子君    常松 裕志君       土肥 隆一君    松本  龍君       三野 優美君    山内  弘君       長田 武士君    辻  第一君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         国土庁地方振興         局長      野沢 達夫君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    福本 英三君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         外務省経済協力         局技術協力課長 飯村  豊君         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 鈴木 一元君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 中山 恭子君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      高原 弘栄君         建設大臣官房技         術審議官    玉田 博亮君         自治省財政局調         整室長     香山 充弘君         自治省税務局固         定資産税課長  成瀬 宣孝君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  渡辺  尚君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 六月十五日  辞任         補欠選任   鈴木喜久子君     沖田 正人君   菅原喜重郎君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   沖田 正人君     鈴木喜久子君   米沢  隆君     菅原喜重郎君 同月二十日  辞任         補欠選任   鈴木喜久子君     常松 裕志君   松本  龍君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   土肥 隆一君     松本  龍君   常松 裕志君     鈴木喜久子君     ───────────── 六月十八日  公営住宅大量建設及び収入基準引き上げ並びに高家賃化抑制に関する請願菅原喜重郎紹介)(第一七三六号)  同(木間章紹介)(第一七八七号)  同(辻第一君紹介)(第一七八八号)  公営住宅供給拡大入居収入基準引き上げに関する請願伏木和雄紹介)(第一八七〇号) 同月十九日  公営住宅供給拡大入居収入基準引き上げに関する請願金子一義紹介)(第二〇四七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 六月十五日  都市公園整備事業費確保等に関する陳情書外一件(第一五七号)  下水道整備事業促進に関する陳情書(第一五八号)  国土開発幹線自動車道等整備促進に関する陳情書(第一五九号)  主要幹線道路建設促進に関する陳情書(第一六〇号)  近畿自動車道敦賀線早期建設に関する陳情書(第一六一号)  南九州西回り自動車道早期完成に関する陳情書(第一六二号)  国道三百十九号バイパスの延伸に関する陳情書(第一六三号)  国道三百七十七号バイパス整備促進に関する陳情書(第一六四号)  島原・天草・長島架橋建設促進に関する陳情書(第一六五号)  国道二百六十七号大口人吉間トンネル早期着工に関する陳情書(第一六六号)  第二国土軸構想推進に関する陳情書(第一六七号)  北海道東北開発公庫本店函館移転に関する陳情書(第一六八号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事渡辺尚君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島衛

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中島衛

    中島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井智君。
  5. 石井智

    石井(智)委員 おはようございます。  まず、今問題になっております日米構造協議の問題についてお尋ねを申し上げてまいりたいと思います。  日米構造協議最終報告の取りまとめで最大の焦点となっている公共投資十カ年計画についてであります。  アメリカ政府は、GNP比率の明示を要求しているとされていますけれども政府はこれにどう対応するつもりなのかということ。  それから、アメリカ政府は、日本経常黒字削減目的に、日本経済成長が予想以上に伸びた場合を想定してGNP比率にこだわっているようでありますけれども、そもそも現在の国際情勢のもとで、五年後の国民総生産を予測することさえ困難なわけであります。今後の経済運営を拘束するような妥協は絶対に避けるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。  また、現在のGNP比率六・七%から、九五年までに九%に引き上げるべきとのアメリカ政府高官の発言も伝えられておりますが、どのようにお考えになっておられるのでしょうか。  公共投資の対GNP比率要求どおりに上昇させるには、公共投資は年々一五%ずつ五年間増加させることになるわけであります。これほどの景気刺激を与えることが、日本経済はもとより国際的にも多くの影響を及ぼすと考えられますけれども、この点についてどのような御所見をお持ちであるのか、お伺いを申し上げたいと思います。
  6. 福本英三

    福本政府委員 お答え申し上げます。  現在、日米構造協議中間報告に基づきまして、今後十年間の新しい総合的な公共投資計画策定するということで、経済企画庁中心にまとめつつあるわけでございます。これは経済企画庁あるいは大蔵省中心にやっておられますので、建設省といたしまして詳細は十分承知しておらないわけでございますが、現在私どもの聞いておりますのは、そういう公共投資計画においては総額を示すということでございまして、対GNP比何%にするかということにはならないと聞いておるわけでございます。  アメリカの、その総額GNP比何%にしろという要求最初のころからあったわけでございまして、そういう要求を受けて今回の中間報告では総額を示すということになったわけでございます。現在はそういう総額でいく、その総額が何兆になるかはこれからの問題だと思いますが、とにかくそういう総額で十カ年計画をつくると聞いておりまして、私どもは現在そういうような方向で進んでいるというように理解しておるところでございます。
  7. 石井智

    石井(智)委員 日米構造協議をまつまでもなく、公共投資拡大必要性というものは今日まで叫ばれてきたわけでありますけれども、今総額でというお話でございました。  きょうも、金丸さんは四百五十兆円というお話も出されておるようであります。これほど高い年率で続けていくということになれば超過インフレ需要インフレを生むのではないかという危険を一面またはらんでいるわけでもあるわけであります。インフレを心配する余り、金融引き締めがさらに行われるのではないか、こういう点についてお伺いをしたいと思いますし、ひいては民間投資まで抑制をして、経済成長に水を差すことにつながっていかないのだろうか、こういうような観点からのとらまえ方はどういうふうに受けとめてござるのでしょうか。  また、公共投資目的配分に関しましてはさらに慎重を期すべきだというふうに思いますけれども、今後の産業基盤、そういうところへの大きな影響をどういうふうにとらまえて、また、生活関連投資をさらに拡大していくという立場で産業投資との絡みをどういうふうに考えていくのか、さらに今後の大きな課題だろうと思いますが、現時点でどのようなお考えを持っておられるのでしょうか。
  8. 林正和

    林説明員 日米構造協議関係でございますが、先ほど建設省からお答えございましたように、中間報告で、本計画支出総額を明らかにするということにされておりまして、現在、経済企画庁中心にして最終的な作業の詰めを行っているということでございます。  先生案内のとおり、中間報告におきましては、我が国としてできる最大限の措置を盛り込むということでございますので、私どもは、中間報告で述べた基本的な方針に沿った内容にするよう、今全力を挙げているところでございます。  なお、先生の御質問にございました対GNP比という問題でございますが、御案内のとおり、GNPとの対比で毎年度予算編成というものが縛られてしまいますと、結局のところ弾力的な財政運営経済運営ができないということになりますので、このような数量的な、GNPにリンクしたような目標の設定というものは受け入れられるものではないということで従来から対応しているところでございます。  先生の御主張にもございましたように、我が国公共事業というものは、経済の中におけるウエートあるいは予算の中におけるウエートというものが非常に高うございます。したがって、これがGNPにリンクするということになりますと、我が国の弾力的な経済運営のみならず、それがひいてはインフレなき持続的成長を図るという我が国のいわば国際的な責務にも反するものというように考えております。  それから、公共事業事業別配分でございますが、これにつきましては、従来から経済社会の動向あるいは社会資本整備状況等を踏まえて適切に対応したところでございまして、平成年度予算におきましても、NTT事業等も活用いたしまして、生活環境向上に資するよう、例えば下水道でありますとか公園でありますとか、再開発事業等に特に配慮したところでございます。  これは日米構造協議中間報告におきましても、公共投資配分に当たっては国民生活の質の向上重点を置いた分野にできる限り配意していくということでございますので、今後とも毎年度毎年度予算編成過程におきまして、公共投資重点化効率化ということを図りながら、バランスのとれた整備に私どもとしても努力をしていきたいと思っております。
  9. 石井智

    石井(智)委員 この日米構造協議の問題というのは、これから日本経済公共投資等関連の中で議論がさらに深まるものだろうというふうに思いますし、そういう点で、生活関連重点を置いた施策の中でひとつ中身を見つけ出していただきたい、こういうふうに思いますし、おいおいこの進展を見ながら、次の機会にまた改めて言及をしてまいりたいと思います。  次に、四全総の問題でございます。第四次全国総合開発計画が制定されてちょうど三年になるわけでありますけれども、その後どのように推移をしているのか、ちょうど策定の際に主務大臣であった綿貫長官も今ここに建設大臣としておられるわけでありますので、この機会にこれまでの経過や今後の進め方などについてお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、四全総目標としている多極分散型国土についてでありますけれども、実はこの多極分散型国土というものが一体どういう姿を想定をしているのか、そういうことがあいまいでよくわからないというのが実態ではないかと思うわけであります。中間報告から策定に至る過程の中で、東京一極集中を是正するためには多極分散型国土形成が必要である、こういうことで策定をされてまいったわけでありますが、ここに至るまでにはさまざまな対立する意見が出され、また議論もなされたと聞いておるわけであります。  あえて確認をしておきたいのでありますけれども東京一極集中を是正するその決意について述べていただくのがまず一点であります。  それから、先ほどわかりにくいと申しましたけれども、この多極分散型国土形成するために、この三年間でどのような施策をとられたのか、具体的に説明のできるものがあれば御披瀝願いたい、こういうふうに思うわけであります。
  10. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 石井先生にお答えします。  実は、私はなってまだ三月しかたっておらないものですから、経過はよく知りません。その点についてはまた後ほど御説明すると思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  先生も御高承のとおりでございまして、六十二年六月に策定されましたが、第四次全国総合開発計画普通四全総と言っておりますが、これでは豊かな住みやすい地域づくりというようなことで、地域主導地域づくり考え、そしてその基盤となる社会資本整備道路とかあるいは情報通信その他の整備に努めており、その一環としまして、先生御高承のとおり、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域開発整備等の諸施策推進しております。  また、都市産業機能分散等を図るため、おおむね五年以内に七十九機関、十一部隊の中央行政機関移転を図ろうと推進しておるということでございまして、今後ともこれら諸施策の一層の充実を図ることにより、東京一極集中の是正を図ってまいりたい、このような考え推進しております。
  11. 長瀬要石

    長瀬政府委員 四全総策定後の推移につきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げたところでございますけれども東京一極集中を是正し、多極分散型の国土をつくるということが大変重要な課題でございます。  このために関係省庁一体となって取り組むということが大変重要でございまして、そのために関係省庁から成ります四全総推進連絡会議を通じまして、各般にわたる施策推進に努めているところでございます。四全総策定後、一つ地域主導による地域づくりが重要でございますので、このような見地から、各省庁による地域づくり支援のための施策が進められているところでございますし、同時にまた地域づくり基盤になります交通通信体系整備につきましては、建設省初め、各省庁によりまして努力が進められているということであります。  同時にまた、ただいま大臣からも御答弁ございましたが、昭和六十三年には、いわば四全総実施法とも言うべき多極分散型国土形成促進法が制定されたところでございまして、これに基づきまして、国の行政機関移転でありますとかあるいは振興拠点整備でありますとか業務核都市整備、こういった施策が進められているところでございます。  さらには、本年度予算におきまして、東京からの事務所移転、これを促進いたしますために開発銀行等によります融資の制度を創設するというようなことをいたしているところでございまして、関係省庁一体となりまして四全総推進に当たっているというのが三年間の経緯でございます。
  12. 石井智

    石井(智)委員 最初の全総から現在の四全総に至るまで、その基本理念というのは、国土の均衡ある発展ということであったわけであります。言葉をかえれば、やはり魅力ある地方づくりというのか地域づくり、このことで言い尽くせるのではないかと思うわけであります。しかし、現状はどうなっておるか。東京一極集中の流れはさらに強まっておる状況ではないかというふうに思うわけであります。  そこで、原因は何といっても中央集権的な行財政のシステムにある、こういうふうに私は思っているわけであります。地方活性化させる、そのために財源政策の決定、そういう権限をやはり地方自治体に移譲する、こういう施策が今日まで幾多の機会に言われてきておるわけでありますけれども、一向にそのことが、思い切った政治決断ができないで今日まで来てしまった、このことがまた一極集中を加速しておる、こういうふうに思うわけでありますけれども自主財源拡大地方債の発行の自由化、国による規制緩和がなされれば地方自治体はもっと自由に大胆な発想のもとに政策を立案して実行に移せるのではないか。そうなれば、地方に魅力が出て、東京へ出向いていくことが心理的になくなるのではないかな、そういうような気がするわけであります。  現状地方自治体、特に市町村の場合、地方財源を持ち得ないというのが実態であるわけであります。そうなると、勢いどうしても国の補助事業によって事業量をふやすという形で、東京考えた姿が各地方ひもつきの状態で執行されていく、そうすれば東京のコピーを地方につくる形になる、そうすれば本物の方がいいに決まっている、こういうことになっているのではないかな、こういうような気がするわけであります。そして、その本物の方へ向いて気持ちも心もみんな行ってしまうために、東京へ一直線に道路をつなぐ、鉄道をつなぐ、情報網をつなぐという形で、ならば東京により近いところへ行く方がその効率、恩恵は高い、こういうことから東京集中しておるのではないかな、こういうようなことが加速をされてきたのではないかなという思いがしておるわけであります。  そこで、多極分散型国土というものを本当に地方自治体が見つめて、みずからが地方自治体の姿をつくり出していく状況を、見える姿で地方自治体が取り組める状況をつくり出していかなければならない、こういうふうに思うわけであります。それにはやはり今の東京へつながっていく一本の大きな幹線、あらゆる分野での幹線を分断をして、例えば東北地方中部地方近畿地方、四国、九州、そういうところで一つの中継点的な都市構成をする、それからそこに東京と同じ機能を持たせていく、そして、そこからまた枝葉として各市町村に――昔、二十万都市構想とか定住構想とかいろいろなことが叫ばれてきました。今市町村中心にして、三万から二十万ぐらいの都市があれば、その周辺町村をひっくるめて広域市町村圏というのを構成をして、下水道なり消防なりごみ処理なり、そういう形の事務組合的な広域的な分野がとられておる。しかし、そこで道路行政だけは広域市町村圏の中で合意する場が見つけられない。そうすると、小さな各市町村がそれぞれてんでんの事業を行う。それを統一的にしようと思うと、国の補助事業を県に策定を依頼をする。そうするとお金がついてきたものだけができ上がる。そうすると、市町村が本当に実効性のある、その地域活力に結びつくようなものができ上がるのではなくて、気持ちと離れたところの例えば道路ができ上がる。そしてそのことが地域活性化と何らつながらずに、大都市へさらに近くなる。  例えば私は伊勢市ですけれども伊勢市から見ると名古屋までの距離が近くなりました。そうすると、伊勢活力源を見出すために努力をするよりも、名古屋に近いところへ出ていった方がもっと安易な道が得られる。名古屋まで行くともう一つ東京へという形で、あらゆる分野での人の心というのがそっちへ行ってしまっているのではないか。そういう点で、やはりそこに自分たちの心を置いて、その地域活力源を求めていく。例えば伊勢の場合周辺十七町村ありますが、それを中心としながらそこに一つ圏域をつくり出す、その伊勢市を中心とした環状的な道路をつくり出す、そういう形のものが各地で生まれれば、各地のみずからの特色ある町づくり活力源というものを見出し、魅力ある地域づくりが可能になるのではないか、そうすれば、わざわざ東京へ来てウサギ小屋で二時間も三時間も通勤してという、それの方がまだいいというような感覚が地方に生まれなくなる。そうすれば、その地域に今度はまた労働力を求めて企業の側から地方へ出ていく、こうい う形がつくれないものだろうか。こういうような気がするわけであります。その辺のお考えはいかがでしょうか。  そしてまた、それを実現をするには、どうしても地方みずからが自主財源を持たない限りそういうことがなかなかできない。今、補助事業だけが主力で自主財源が二〇%、三〇%という町村、そういうところでみずから考えてみずから何をしようにも、補助事業だけを遂行していくのが精いっぱいで、自己財源は全部補助事業に充てる、みずからの単独事業ができない、こういう状況ではみずからが考え町づくりができない、こういうシステムになっているわけです。そういう点で、自己財源もあわせてフリーにみずから考えて仕事のできるような、そういう状況をつくり出していく必要があるのではないかな、こう思っているわけですが、いかがでしょうか。
  13. 香山充弘

    香山説明員 ただいま御指摘のありましたように、国土の均衡ある発展を図るということは大変重要な課題でございますので、地方団体におきましても、このような要請にこたえるべく、それぞれの特色を生かした地域づくりに積極的に取り組んでおるところでございます。  ただいま御指摘にありましたように、そういった場合には地方団体、特に住民生活に密着した市町村に大きな役割を果たしていただく必要があると私ども考えておりまして、そのための財源確保に私どもも意を用いておるつもりでございます。  御指摘にもありましたように、地方団体財源といたしましては、いわゆる自主財源でありますところの地方税充実強化を図るということが最も望ましいわけでございますけれども、一方で、税源の場合は地域に偏在するという大きな問題がありますので、この辺は地方交付税とあわせまして、地方一般財源の全体としての財源を確保するということで私ども努力をいたしております。  今後とも地方税源充実を、御指摘のとおり十分念頭に置きながらも、毎年度地方財政計画におきましては国庫補助事業に伴う地方負担というのは、それはそれとして十分確保いたしまして、その上で地域特色を生かすための地方単独事業につきましても積極的な展開が図られますよう所要の財源を確保するよう、私ども精いっぱいの努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 長瀬要石

    長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、東京一極集中を是正し、多極分散型国土形成いたしますためには、一方で魅力ある地域づくりを進めるということが大変重要な課題である、このように認識をいたしております。現在、各省庁によります地域づくり支援ということもございますが、地域創意工夫によります自主的な地域づくりがかなり進展しているように思われるわけであります。  そういう中にありまして、地方分散を図り、地域づくりが進められますためには、何と申しましても高速交通体系を初めとする基盤整備が重要でございまして、この面でも建設省を初め各省による努力がなされているところでございます。同時にまた、テクノポリスあるいは頭脳立地、こういった地方産業振興のための施策も各般にわたって進められているところでございますが、高規格道路整備というようなことと相まちまして工場の地方立地がかなり進展をいたしておりまして、南東北を初めといたしまして、全国各ブロックにおきまして工場の立地件数が増加する、こういうような傾向にあるところでございます。  そういう中にありまして、何と申しましても地方の中枢となります大きな都市を初めといたしまして、地方都市活性化し、地方都市をてことしながら、周辺の農山漁村とネットワークを図って地域全体を浮揚させていく、このようなことが大変地方活性化のために重要である、このように認識をいたしております。  そのようなことからいたしまして私ども国土庁といたしましても、関係省庁と十分連携をとりながら、そのような四全総が目指す多極分散型国土活力ある地域、こういうものに向けましてさらに努力を進めてまいりたい、このように考えております。
  15. 石井智

    石井(智)委員 今のお話、大体目指すものというのは何となく同じような気持ちがあるんだなというふうには感じたわけですけれども、では実際にそういうことをしながら、地方自治体が無気力な状態を続けざるを得ない状態というのは何かといえば、地方自治体財源の中で、少しでも事業を大きくしよう、ふやそうと思えば、補助事業拡大するしかない。補助事業拡大することによって、町自体の目指したい市町村単独事業が実質的に何も組めない状態に、反比例していってしまう、これをタイアップしない限り、その地方活力というのは生まれないだろう、こういうふうに思うわけです。  そのためには、やはり地方にどう財源をつくってやるのかが一番今大事だろうと思います。直接税、いろいろな税はあります。しかし、今の地方税の形態からいけば、地域が振興していくところほど自主財源は生まれる。何とかしたいと思っているところほど自主財源が入らない税のシステムに今なっている。これを改革しないとどうしようもないのじゃないか。  そういうことで、私ひとつ提案をしたいと思うのですけれども、今固定資産税があります。固定資産税というのは、市町村の固有の税源だろうと思うのです。これが地方の過疎につながっていく、土地の価値すら生まれない市町村と、東京のように何億もする土地と、同じその自治体の財源になれば、さらに格差を生む最大の税財源になっているのが現状ではないか、こういう気がするわけです。これを今、固定資産評価額そのものもまた問題でありますけれども、この税を五〇%全国でプールをしてみてはどうか、こういうふうに思うわけです。  例えば、東京都で今七千億以上の固定資産税が入っています。ほかの県、トータルしてもそれの一割にも満たない県が半分以上あると思う。これを半分はそのまま市町村が徴収をする、あとの半分は自治省なり国土庁なりが集めて、各自治体に面積に応じて今度は再配分をする。そうなれば、過疎地へ行くほどその恩恵が生まれて自主財源を生むことになる、こういうふうに思うわけです。  そして、今そのことを、土地の税制そのものの中で、また地価の中で、何で東京ばかりそんなに土地が上がるのか、そこの問題の解決にも一面していかなければならぬ。そういう点で固定資産税評価額そのものをやはり廃止をしてしまって、国土庁が発表している公示価格で一律に固定資産税を算出する。今千分の十四ですが、これを千分の一にしたってそのことは賄えるのじゃないか。そして、東京都の七千億は保障をしながら地方財源をさらに生んでやることができる、こんなことになると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  16. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 まず、御質問の中にございました固定資産税の評価額を地価公示価格に一元化したらどうかという御提案かと思いますけれども、御案内のように地価公示価格は現実の売買の指標でありますことから、過大な期待価格は排除いたしますものの、売買実例価額に含まれる期待価格をある程度是認することを前提としているのに対しまして、固定資産税の評価額は、保有を前提に毎年税負担を求める基準となる評価額として資産の使用収益価値を評定するものでありますことから、将来の期待価格分を含めないという形になっておりますこと。  また、技術的な事柄でございますけれども、固定資産税の場合は約一億六千万筆という大変大量の土地について評価を行っておるのに対しまして、地価公示はその対象地域都市計画区域に限定され、調査地点も約一万七千地点と、固定資産税の評価の地点数と比べますと極めて少数にとどまっており、こうしたものを固定資産税の評価に直ちに組み入れて、すべての土地について均衡化を図る、一元化を図るということはできないのではないかというふうに考えております。  また、税率の調整でやったらどうかということでございますが、仮にそうした考え方で固定資産税の評価額を地価公示価格に合わせるということになりますと、当然のことながら都市部におきます税負担が急増するという事態が想定されるわけであります。  そうした事態を避けるために、都市部に限りまして税率を引き下げるということ自体、市町村間の税負担の公平の観点から見て適切さを欠くのではないかというふうに考えております。
  17. 石井智

    石井(智)委員 都市の税が高くなるからそれを緩和しなければならぬ、こういうお話です。私は、都市に対してさらに超過課税をかけよという立場なので、そういう発想が今日まで東京一極集中を生んできたわけで、東京にいることぐらい高くつくところはないのだということをつくり出さない限り、全国が均衡ある発展を望めないのではないか、こういう立場で申し上げておるわけであります。  そしてまた、固定資産税の五〇%再配分という考え方についてはいかがでしょうか。
  18. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 固定資産税は、資産を保有するということと市町村の行政サービスとの間に存在します受益の関係に着目いたしまして、御案内のように土地家屋及び償却資産につきまして、毎年毎年税負担をお願いしておるということでございます。  固定資産税の評価というものは、先ほどお答え申し上げましたように、いわゆる交換価値ではなくて、資産の持っております使用収益価値に着目して評定を行うということになっております。したがいまして、ちょっと御質問の中でニュアンスとしてあったかと思うのですけれども、固定資産税をいわゆる追い出し税というような形で政策税制としてこれを積極的に用いるというものは、ただいま申し上げました税の基本的な性格から見て、やや問題があるのではないかというふうに思っております。  また、固定資産税の一定割合をプールいたしまして、全国的にそれを多極分散等施策に用いたらどうかというような御提案であったかと思いますけれども、やはり地方団体から上がります税収というものは、その団体の固有の財源というふうに考えるべきものであろうと思います。したがいまして、そうした財源調整等は、現在もありますような交付税等の全体的な仕組みの中で勘案されてしかるべき事柄であろうかと思います。
  19. 石井智

    石井(智)委員 今、大都会に従価税をかけていくという意味で負担を重くする、そういうふうにとられたようですけれども、そうじゃないのです。  今、地方東京の土地の価格は何倍差がありますか、固定資産税の評価額の差はどれだけですかといえば、東京ほど恵まれた固定資産税の評価、低い状態に置かれていることはないじゃないですか。この分を現在の国土庁が発表した公示価格の比率に合わせて固定資産の評価額も設定をすれば、これは国土庁みずからが公示価格ぐらい公正な判定をした価格はないんだと自負しておられるでしょう。そのことが一番平均的な考え方とすれば、それに見合った固定資産税が生まれてきて当然だと思うのです。そうすると東京が高くなるから、東京の人に申しわけないからということになれば、地方に比べたら、東京ほどいろいろな面で、さらに税でも恩恵を受けているということになっているのが実態です。これをどうするかということを考えないと、どうしようもないんじゃないですか。  今、交付税の話もありましたけれども、交付税そのものもどういう状況で判定をしていくのか、財政需要額の出し方を見たら、地方ほどその水準が上がってこないという算出の仕方になっているんじゃないですか。そのことが、今日までの大都市へ、東京への流れが加速してきた積み重ねの結果じゃないんでしょうか、こういうふうに思うわけであります。  今、例えば東京の土地の比較が出ておりますけれども、実勢価格が東京で一億九千万のところが固定資産税では千八百万、こういう状態の固定資産の評価額になっているわけです。地方へ行けばこんな額で見てくれないですよ。もっと高い比率で、実勢価格に近いですよ。そのことの差異を詰めなさい。そうすれば財源はさらに埋まるじゃないですか。そしてその分もっと税率を下げてもいいじゃないですか。そしてまた、その税を地方へ流してやればいいじゃないですか、こういうことなんですけれども、どうですか。
  20. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 お答えをいたします。  固定資産税の評価は、先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、いわゆる売買実例価額等をそのまま参考にするのではなくて、その中から固定資産税評価基準に言います不正常要素というものがございます。これは、いわゆる将来における期待価格でありますとか土地の需給アンバランスに伴います買い急ぎに伴う割高分でありますとか土地の希少性に伴います割高分、そういったいろいろな不正常要素を控除したところで、いわゆる適正な時価、固定資産税の評価額を定めるものでございます。  ただいま御指摘ございましたように、いわゆる大都市部と地方とで、例えば地価公示と比べまして評価水準にかなりばらつきがあるのではないか、大都市部の方はその評価水準が低くなっているのではないかという御指摘かと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、いわゆる売買実例価額からそういった不正常要素を差っ引きますので、ある程度不正常要素の入り方が、大都市部と地方とでは違っております。特に、地価の上昇期にはその入り方がかなり違うだろうというようなことで、ばらつきが出てくるのはある程度やむを得ないのではないかというふうに考えております。  なお、これは言わずもがなのことでございますけれども、固定資産税の評価は市町村自身がやっておる事柄でございます。
  21. 石井智

    石井(智)委員 一向に自治省のお立場というのは地方の立場に立っていないのだなということを今証明してくれたような気がするわけですけれども、ひとつ建設省国土庁の方でそのことを考えて自治省を動かすわけにいきませんか。  きょうとっぴな提案をしたわけで、なかなかそのとおりにならぬと思いますので、ひとつきょう申し上げた地方活性化の方策として、やはり地方に権限をいかに移譲して、地方自治体が、市町村単独事業をいかに組める財源を与えてやるか、そして、その地方がみずから活力あるものを見つけ出すために本気で取り組める状況を醸し出すか、そういうことだと思うのです。そのことが、やはりこの四全総地方から見て見える姿のものにしていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思いますし、また税源の問題についてはさらに今後お互いに研究してまいりたいと思うわけでありますし、聞く耳も持っていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  次に、長良川河口ぜきに関して一言だけ。これはそう難しい話ではないので、長良川をどうしろという話ではありません。長良川の、岐阜の治水連絡会議というのが四月十三日に開かれました。ここではやはり利水、治水ひっくるめて地域の要望、何としてもこの長良川河口ぜきを実現して治山治水に努めてもらいたい、こういう決議であるわけです。それは今日まで愛知、岐阜、三重、名古屋市、いろいろ協議をして、それぞれ今日までいろいろな計画の変更もありましたし、また実情に合わないところもありましたけれども、その方向に動いていることもまた事実でありますし、そのことを今どう言うつもりはございませんけれども、その席上で、水資源開発公団の中部支社の児玉文雄副支社長という方が、今後の反対運動にいかに対応していくかという課題で講演をされました。  その中で、朝日新聞の報道によりますと、「国会と裁判は正規の戦い。マスコミは、反対派と同じで避けて通っていたが、これからは本当のことを提示して理解を求める。反対派とは、消極的に対応したい。」地元の言うことだったら何でもやるという発言をしているのです。どう思われますか。
  22. 北村廣太郎

    北村政府委員 お答え申し上げます。  水公団の現地の幹部職員がそのようなことを話したというのは、記事としては書かれているわけでございますけれども、その真意あるいは話したときのニュアンス、その真に意図するところというのは、地元住民の方あるいは反対派も含めまして本当の長良川河口ぜきの必要性実態、あるいは今まで営々として調査してまいりましたサツキマスその他の貴重な生物の調査結果の実態等をよりよく承知していただきたい、こういう気持ちから発言したものと承知している次第でございまして、そういう方向で今後とも私ども水公団にも指導してまいりたいと考えております。
  23. 石井智

    石井(智)委員 今長良川の自然を守るという立場で、全国で唯一せきのない長良川、こういう形で自然保護という立場が非常に強調をされておるわけです。そのあたりというのは非常に大事な問題でありますから、こういう誤解を招くような発言の中から、このことが安全に確実に目的を達成していくということは不可能だろうと思うのです。そのあたりの姿勢の問題として、やはり今後本当に国土を守り、その地域の安全を、そして地域の住みやすい状況をつくっていくために真摯に取り組んでいるのだという姿を持ってもらいたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。  次に、建設業界の労働条件について若干お伺いしたいと思うわけですけれども、高度成長のさなかというのは一次産業、農業もそれなりの基盤があったわけです。その中で余剰労働時間というのが建設業界の主要な労働力になっていたと思うのです。今その形態のままで、この建設業界というのは来てしまっているのじゃないか。今これほど日本国土がゆとりある状況をつくり出す、そして週休二日制、三日制、余暇時間をいかにつくって人間らしい生活をしていくのか、そういう立場が、今日本の目指している道だろうと思うのです。そういう中で昔の建設業界というのは、もうちょっと中程度の位置に労働者の感覚というのはいたのではないかなというような気もしないでもないのですけれども、今これが一番行きたくない仕事、したくない仕事の筆頭になってきているのじゃないか、それが日本経済の主要な比率を占める業界の労働条件なんだろうか、こういうことを非常に心配するわけです。  今度土木工業協会の会長に就任をした柴田氏の抱負の弁の中にも、そのことが一言、業界としての恥部なんだというとらまえ方の意向の気持ちで論文を書かれておりますけれども、そのことがしかし業界の中には何ら浸透をしていない、そのことが問題なんだということもまた指摘しているような気がするわけですが、このあたりを、建設業を指導する立場にある建設省は、そういう建設業そのものの発展を期すこと、すなわち、そこの人材を安定的に誇りの持てる職人さんというのか、そういう人にしていくためには業界そのものを指導していく、そういうことが必要ではないかなという気がしているわけですが、いかがでしょうか。
  24. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設業の実態とその果たすべき役割の大きさというものの中に、いろいろな意味でのギャップが顕在化しつつあるということは、基本的に先生の御指摘と同じような考え方を持つものでございます。とりわけ、最近いわゆる若者の製造業離れという中で、特に建設業については人気が落ちているということもこれは否めない事実でございまして、私どもこの建設業の姿というものを、経過も踏まえ今後も展望したときに、これから本当に真剣に取り組まなければいかぬ時期に来ている、こういう思いで、官も民も一体に今おるところでございます。  とりわけ申し上げたいことは、建設業というのはこれは先生も御案内のとおり構造的には受注産業であるという面が否めません。それから現地での単品生産であるというようなこと等を考えますと、就業構造のあり方も、経緯としては先生がおっしゃったことも否定いたしませんけれども、やはり臨時雇い、日雇い等というものも全く皆無になるということも難しいと思いますけれども、ただ、いずれにしても今日のような技能工不足という中で今問われているのは、本当にすぐれた建設人をいかに確保していくかということに尽きると思います。  そういった意味で、我々はいわゆる技能工の確保、育成というものが最重点課題だと思っておりますが、問題は、そのためにはおっしゃったような労働条件の改善あるいは勤務時間の短縮、当然でございます。また同時に、より構造的には、俗に言われます元請と下請の関係などなど、非常に幅広い分野にわたって取り組まなければならぬ時期だと思っております。  現在、幸か不幸かといいましょうか、技能労働者が非常に不足しているということは、そういった意味で業界が業のあり方をいかにすべきかを真剣に考えるチャンスでもあります。私どもそういったときに、現在、業界あるいは建設省ともども構造改善対策に本当に真剣に取り組んでおりますが、こういった中に、冒頭に挙げましたように、今後の社会資本整備の非常に重要な基幹産業としての足腰をしっかりとつけていく今こそチャンスだと思って、精力的に取り組ませていただきたいと考えておるところでございます。
  25. 石井智

    石井(智)委員 日本の大きなウェートを占める基幹産業の一つであります建設業そのものが、働く者も誇りが持てる、そういう状況をあわせ持って今後とも指導いただきたいことをお願いしておきたいと思います。  次に、住宅問題に少し触れさせていただきたいと思います。  六月十三日の読売新聞の記事でございますけれども「子供のいない街」「高い家賃に手が出ず 当初予想の一割」という見出しで大川端リバーシティ21の入居状況が報じられたわけです。また、その横には「「新婚さん家賃補助」大反響」という見出しで、台東区の定住対策が報じられておるわけであります。これは首都圏の住宅問題、とりわけ住宅行政のあり方を考える上で非常に示唆に富んでいると思われるのであります。その一つ二つをお尋ね申し上げたいと思うわけであります。  東京都と住宅都市整備公団、それに民間との三者共同で賃貸住宅二千五百戸が計画をされ、既に半数近い千二十二戸が入居済みとのことであります。問題はこの家賃なのでありますが、民間部分と公団住宅とで違いはあるものの、それでも十六万七千円から九十三万六千円までとなっております。入居者の平均収入は公団で一千万円、民間の方だと千三百六十万円にもなっているということであります。これではとても働き盛りの子供を持った家庭には手が出ないのが実情ではないかと思う。おのずから入居者の多くは若い共働き夫婦や高齢の夫婦など、いわゆるニューリッチ層と呼ばれる人たちだそうであります。これでは子供のいない町になるのは当然でございまして、中央区が建設に伴う児童生徒の増加を見込んで小学校の移転、改築、中学校の新設までしたというのに、リバーシティからの通学者は当初教育委員会が予測をしたもののわずか一二%にすぎないというのがこの記事の内容であります。  一方、台東区では、定住人口確保のために新婚家庭への家賃補助制度を打ち出し、月五万円の支給をしようと提案したところ、問い合わせが殺到しているとのことであります。  さて私がここで申し上げたいのは、いかに立派な住宅をつくっても、また数をそろえても、そこに入居できる人たちが限られた高額所得者にすぎないというのでは、これは正しい住宅政策とは言えないのではないかということであります。今家賃負担を最も痛切に感じているのは、子育て中の世代であるわけであります。そして忘れてならないことは、これら子供たちにとっても住環境の整備が急務であるということです。未来を託された子供たちのためにも、今後首都圏における賃貸住宅の建設に当たっては、入居の対象を子育て世代を最優先するといった方針を打ち出すことができないのかということであります。  先ごろ住宅政策についての提言で、「東京住宅政策懇談会報告」というのがございます。この中で、低・中所得層を対象とする住宅政策を次のように求めています。「第一に、施策の対象者であるが、今後特に施策を強化する必要があるのは、低・中所得層のなかでも、民間賃貸住宅居住のファミリー層など、居住水準の改善を必要としながら果たせない者」のための住宅でなければならない。「第二に、これに対応して、供給の重点を、ファミリー向けの規模をもち、しかも適正な家賃水準の賃貸住宅の供給に置かなければならない。」こう提唱しておるわけであります。いかがでしょうか、提言は、住宅政策には国の積極的な対応が必要だとも言っておるわけであります。  このあたりの対応について、建設省、いかがお考えでしょうか。
  26. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お答えします。大川端のリバーシティ21の公団住宅関連お話、それから東京都の住宅政策懇談会報告のこれから東京都が取り組もうとしているいろいろな住宅対策のお話、それから江戸川区等で行われておりますいわゆる家賃補助の問題、いずれも大都市住宅対策という面から見ますと、非常に示唆に富むお話でございます。  私ども東京圏を初めとします大都市住宅対策を考えるときに、居住水準の向上ということを考えますと、一つは、今先生が御指摘のように子供を持って子供を育てていく家庭の世帯、つまり日本経済を一番支えている勤労者でございますが、その方々の居住水準が最も低いということは非常に問題だと思っているのが一点。それから、高齢者世帯が高齢化社会に向けましてだんだんふえていくわけでございますが、その際に高齢の夫婦が残っていく、そして最後には一般的には女性お一人が残られるというような世帯が非常にふえておりまして、これが居住の安定と申しましょうか、持ち家に入って老後を迎えられた方はよろしいのですけれども、民間賃貸等で居住の安定がなかなか得られない、あるいは家賃の高騰に居住の安定が得られないというような問題がございますと同時に、居住水準面でも高齢者の二人世帯の居住水準というのは非常に悪うございまして、私ども住宅対策を進めていく上で、今申しましたこの二つのグループがこれから大きなものだと思っております。  現在、今国会に提案しております大都市法等の改正案におきましても、私どもが四百三十万の住宅供給可能量が東京圏にはあるよ、その中で新規の宅地に立地をするものは二百三十万戸くらいの土地がある、それにつきまして約百万戸は今言いましたような子供を育てていく世帯の一般勤労者、中堅勤労者の住宅ということに十分配慮をしなければならないと申しておりますのも、先生指摘のとおりの問題点を解決したいからでございます。  それで、今リバーシティ21についてお話しでございましたが、確かにリバーシティ21におきます家賃の分布を見ますと、民間も公団も高うございます。公営住宅の場合には政策家賃でございますので相当下げておりますが、したがいまして、こういう家賃ばかりの住宅東京圏で建てれば、これは住宅対策としては先生の御指摘のようなことになることは十分重々承知の上でございます。したがいまして、私ども東京圏全体、広域圏としてとらえて、今言いましたような階層に対しまして百万戸の公共住宅を何とか供給していきたいと申しておるわけでございます。  それでは公団がああいう場所で高い住宅を絶対つくってはいけないかと申し上げますと、これはまたこれなりに、それなりの住宅対策として意味があると思います。と申しますのは、大都市では相当高い世代まで共稼ぎの勤労者もおりますし、それから相当高齢者で管理職の方々もおられるわけでございます。したがいまして、そういう方々で賃貸住宅に住み続けたいといったときに、民間の非常に高いもの、しかも都市環境としてどうかというものもあるわけでございまして、そういう需要はやはり大きいわけでございますから、これは民間の方にもお手伝いいただきますけれども、公共の方でも補完をしていくということは重要だろうと思います。  それからもう一点は、そういう都心部、中心付近に良質な住宅ストックを蓄えていくということは、これは将来に向けて、賃貸住宅は十年や二十年でなくなるわけじゃございませんものですから、そうなりますと、賃貸住宅特に公共賃貸住宅というものは人が入れかわるわけでございます。そうなりますと、当初は非常に高額所得者が入っても、後々は中堅所得層が入ってくる、これは過去の公団住宅の団地をごらんいただければ当然そういう事態になっているわけでございまして、長い目で社会的なストックということで見ていただきたいという点もあるわけでございます。  したがいまして、私どもは、公団住宅、公社住宅につきましては、全体の供給の中で、ある部分、幾分かはこういう都市的な居住に対する供給もあってもいいけれども、全体としてはやはり中堅勤労者層に向けての施策重点を置くべきだ、こういう考えで臨んでいるところでございます。御理解を賜りたいと存じます。
  27. 石井智

    石井(智)委員 あとまだ幾つかお尋ねしたいことがあるわけですけれども、今時間の通告をいただきましたので質問はこれで終わらせていただきますが、せっかく綿貫大臣お見えでございます。ひとつこれからの地方分散をしていくための方策を、建設省としては地方にどう活力ある状況をつくり出すための、地方の役割が果たせる状況をつくり出してやるか。富山県も同じだろうと思うのです。東京へお見えになって、もう富山県はいいよ、東京の方が住みいいからという形に感じておられると思いますけれども、やはり早く富山へ帰って、向こうの方が生き生きしているよという状況をどうつくったらいいのかということを応援していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  28. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどから地方活性化についてのいろいろの御意見等々お聞きいたしておりました。四全総をつくりましてから、竹下内閣におきましてはふるさと創生ということで、地方にやる気を出させようということでいろいろ施策を講じられてまいりまして、そのときの総理のお考え方は、地方のやる気を起こし、国がこれをサポートしていく、こういう方針であったと思いますが、現在もそういう方向で国の行政を進めていかなければならないと考えております。  特に、東京の悪口を言って地方はよくならないというのが私の考え方であります。そのためには受け皿になる基盤地方がつくっていかなければならぬ。そのためには先ほどからお話がございますように、一つの町とか一つの県とかいうよりも、地方の連合体というかそういう形のものをつくっていかなければならないと思います。そのためには、先ほど例えば紀伊半島を見ましても、東京へ来るよりも隣の県へ行く方が遠いというような現在の交通事情でございます。これらのことをまず解消することが基本であるということから、四全総中心課題は高規格幹線自動車道というものであります。  この高規格幹線自動車道を早期に完成することによって地方の連合体というものが力を持っていくのではないかということで、建設省といたしましても、この高規格幹線自動車道の早期完成を目指して、一万四千キロにできるだけ限りなく近づくように今努力をしておるわけでございまして、従来国幹道につきましても年間二百キロというペースでございましたが、三百五十キロということで倍増するような形で今進めようとしておるわけでございます。  今後、公共事業のさらに拡大といういろいろの課題の中で、これらの問題をさらに一層掘り下げて推進していきたい、それによって地方活性化も得られるのではないかというふうに考えております。
  29. 石井智

    石井(智)委員 時間でございますので、これで終わらせていただきたいと思いますが、今高規格幹線道路網に力を入れていくというお話でございました。この三重県伊勢市も、伊勢神宮の御遷宮を目の前に控えております。世界祝祭博三重という博覧会も用意しておるわけです。それに向かって今近畿自動車道伊勢線の完成を急いでいただいておるわけですが、ここで今暫定二車線の工事が進められておるのです。二車線の高速道路という のはちょっと世界に恥ずかしいお話ではないかなという感じがしますので、これもあわせて、する場合はやはり四車線の規格道路をつくり上げるという立場でひとつ御検討いただきたいということを要望して終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  30. 中島衛

    中島委員長 山内弘君。
  31. 山内弘

    ○山内委員 まず、綿貫建設大臣の最も得意とする高規格道路から入っていきたいと思うわけであります。  まず、今後の高規格幹線道路整備の方針、これはどういうふうにやるのか、お聞かせを願いたいと思うわけであります。
  32. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  多極分散型国土形成し、魅力ある地方の振興を図るために、高規格幹線道路網一万四千キロの整備が極めて重要であるというふうに私ども認識しております。  効率的な整備を図る観点から、国土開発幹線自動車道と一般国道の専用道路一万四千キロの整備目標でございますが、従来国土開発幹線自動車道供用、年間平均で二百キロでございました。これを一般国道の専用道と合わせ、さらにスピードアップをいたしまして年間三百五十キロ、これによりまして、現在第十次道路整備五カ年計画の遂行中でございますが、この平成年度に六千キロの供用、さらに今世紀中に九千キロ、それから二十一世紀初頭には一万四千キロ、こういう整備目標を掲げて頑張っております。
  33. 山内弘

    ○山内委員 この平成年度末における六千キロメーターの供用、これはどういうふうな箇所を指して言っているわけですか。
  34. 三谷浩

    ○三谷政府委員 高規格幹線道路網は、いわゆる国土開発幹線自動車道、通常言っております高速自動車国道、それに一般国道の自動車専用道、この二つから成り立っております。現在高速自動車国道につきましては、供用延長が四千六百キロぐらいでございますから、それを第十次道路整備五カ年計画中に五千五百キロ、さらに一般自動車国道の専用道については五百キロ、合わせて六千キロ、こう考えております。  具体的には、例えば高速自動車国道で申し上げますと、いわゆる日本列島を縦断いたします縦貫道、これが九州の一部を除いてほぼ整備ができております。現在横断道路整備に主眼が掲げられております。もちろんそのほかに一般国道の自動車専用道、こういうものについても各地で必要なところを整備している、こういう段階でございます。
  35. 山内弘

    ○山内委員 そういうふうなことでございますが、総体的に見てやはり高規格道路整備というのは相当急がれなければならない、こう思うわけでございます。特に日米構造協議の問題その他いろいろの問題、特に綿貫大臣は高規格道路に対しては相当な情熱を持っておるようでありますが、これは二十一世紀までの間に整備をする、こういうふうな計画計画だけれども、これはもっと急ぐべきである。  そこで私は、ちょっと話が小さくなりますが、青森県内において高規格幹線道路整備状況というのは一体どうなるか、今後の見通し、計画をひとつお話をしていただきたい。
  36. 三谷浩

    ○三谷政府委員 青森県内の高規格幹線道路網でございますが、全部で四路線ございます。二路線が国土開発幹線自動車道としての東北縦貫自動車道の弘前線それから八戸線、それから一般国道の自動車専用道路といたしましては、津軽自動車道と八戸久慈自動車道の四路線、総延長で二百二十キロございます。これによって青森県内の幹線道路網の骨格を形成することになっております。  国土開発幹線自動車道の二路線につきまして申し上げますと、まず東北縦貫自動車道の弘前線、これは全線開通をしております。それから八戸線、これも先般、安代─一戸間の開通によりまして、八戸まで既に供用されております。それから八戸市内あるいは青森市内で一部基本計画策定されておるわけでございますが、これにつきましては、整備計画に進めるための調査を今進めております。  この調査の内容といたしましては、例えば道路整備効果であるとか、あるいは採算性の問題であるとか、こういうようなことを総合的に調査を進めております。  それから残りの一般国道自動車専用道の二路線でございます。これは津軽自動車道につきましては、この六月でございますが、浪岡から五所川原間の十五キロの環境アセスメントの手続に入らせていただきました。それから八戸久慈自動車道、これは八戸市内の八キロの区間につきましては、早期に都市計画決定の手続に入るべく調査を進めております。もちろんその他の区間につきましては、交通需要あるいは整備効果、基礎的な調査を進めております。
  37. 山内弘

    ○山内委員 この中で、今津軽道路の問題が出ましたけれども、津軽道路は特に緊急な道路でありまして、これは格段の整備を急ぐことを私は期待をするわけでございます。その点についてはひとつもう一回答弁を願いたい、こう思うわけです。
  38. 三谷浩

    ○三谷政府委員 津軽自動車道、先ほどの四本のうちの一本でございます。青森から鰺ケ沢という区間でございます。いわゆる西北五地域、一市六町七村、この区間につきまして十五キロ、基本計画区間が出ております。  整備計画、これは一般国道の自動車専用道路でございますけれども、いわゆる国土開発幹線自動車道のやり方に倣いまして、いわゆる基本計画から整備計画、こういう格好で整備を進めていくわけですが、国土開発幹線自動車道と同様に環境アセスメントが必要でございます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この六月早々にちょうど環境アセスメントの手続に入った、これは手続自身は、いろいろ市町村への公示であるとかこういうような細かな手続がございますけれども、これにある年月が要すると思いますし、それが終わって合意を得て整備計画、こういうことになって施行、こうなると思います。
  39. 山内弘

    ○山内委員 津軽道路についてはそういうようなことで、具体的に着手をしているということではいいわけでありますが、今後もっと急いでやることを要望しておきたい、こう思うわけです。  それから青森市と、これは県都でございますが、弘前市、弘前は津軽の中核都市でありますけれども、これを連絡する一般国道の七号線、これは青森地域のテクノポリスの開発ということが浮上しておるわけでありまして、この問題に対して特にこれを遂行するための重大な幹線道路であるわけでございます。青森県内の国道七号線の現況と今後の整備状況についてお知らせを願いたい、こう思うわけです。
  40. 三谷浩

    ○三谷政府委員 国道七号線は、新潟から鶴岡、それから酒田、秋田、日本海側の主要都市を通っておりまして、青森市に至ります。延長が四百九十キロでございます。  青森県の区間について御説明申し上げますと、ちょうど延長が約八十キロございます。これまでに石川バイパス、これは四・六キロ、それから青森西バイパス七・八キロ、弘前バイパス、計画延長は九・五キロ、鶴ケ坂バイパス、計画延長は七・八キロ、こういうものの整備供用を図ってきたわけでございます。さらに増大する交通量に対処するために、弘前バイパスの四車線化、常盤バイパス、計画延長は六・五キロ、それから浪岡バイパス、計画延長は十・五キロ、それから青森環状道路、これは計画延長が十三・二キロ等がございますが、こういうものの整備促進しております。なお、非常に交通混雑が青森市内でも生じておりますので、そのボトルネック、いわゆる交通混雑地点の解消を目指した古川拡幅、こういうものを事業中でございます。  非常に重要な路線でございますので、一般国道の七号の整備促進に努めてまいる考えでございます。
  41. 山内弘

    ○山内委員 道路局長、ボトルネック、こういうふうに書いておるわけですが、これは本当のネックのネックですよ。車も通れないという状態にあるわけです。この古川跨線橋の解消というのは、これは早急の課題です。ボトルネックといえば何だかすらっといくような道路のように見えますけれども、これは首締められた道路みたいなもので、最も締められているのですよ。だから、これをいつでかすかということを答えてください。
  42. 三谷浩

    ○三谷政府委員 延長として〇・五キロメートルでございます。現在用地及びその橋梁の工事を進めております。平成年度までに進めております第十次道路整備五カ年計画、この期間の完成を目途に頑張っております。
  43. 山内弘

    ○山内委員 平成年度といえば来年、再来年みたいな感じがするのだけれども、これはもう少し急げませんか。
  44. 三谷浩

    ○三谷政府委員 ちょっと失礼しました。  現在、用地それから橋梁工事を進めておりまして、十次五カ年計画期間中に推進をしておりますけれども、完成はやはり次期五カ年までかかるというふうに考えております。
  45. 山内弘

    ○山内委員 それでは、この点の完成を期待して待つとして、一般国道の三百九十四号線、これは県土を横断する道路でもあるわけであります。この点については、ここにおられる木村守男先生も非常に熱心でありまして、県土を横断することに対してなぜ木村先生も熱心なのかよくわかりませんが、そういうふうなことで、この問題に対しては、この整備状況というものは一体どうなっているのか。
  46. 三谷浩

    ○三谷政府委員 これはちょうど青森県を南部の日本海側から太平洋側を連絡して産業、観光両面に関する横断道路、こういう考え方だと思っております。したがいまして、路線も幾つかから成り立っているわけでございまして、国道百二号線あるいは三百九十四号線、それから県道の岩崎西目屋弘前線、それから七戸榎林平沼線、こういうものを県土横断道路ということで昭和六十一年から整備を進めております。  まだ整備率は決して高くはございませんで、元年度末の実情でございますけれども国道の改良率が五六・八それから県道の改良率が三八・九、こうなってきております。平成年度につきましては、百二号線の黒石市の豊岡工区、三百九十四号線の青森市の城ケ倉工区、それから県道岩崎西目屋弘前線、西目屋村田代工区、こういう工区、全部で八工区ございますけれども事業を実施しております。
  47. 山内弘

    ○山内委員 三百九十四号線は津軽と南部の接点でございますので、その点に対しては、特殊的な状況下にもあるわけでありますから、ひとつ整備を急ぐように要望しておきたい、こう思うわけです。  さらに、津軽半島全体の中で最近ようやく半島の循環道路、この整備ができておるわけでありますが、建設省の取り組みの中で、この問題がまだ完全に結びついていないというふうな状況があるわけであります。この点に対する考え方をひとつ出していただきたいと思います。
  48. 三谷浩

    ○三谷政府委員 半島循環道路等の整備についてちょっと御説明させていただきたいと思っておりますが、半島振興法の第十条に「半島循環道路等の整備」という規定がございます。この規定に基づきまして、半島循環道路、これは昨年の十二月まで、全国で二十三地域、百十六路線、五千六百キロを指定したところでございます。  それで、今先生お話のございました津軽半島につきましては、国道二百八十号線、それから国道三百三十九号線、県道鰺ケ沢蟹田線、この三路線が百八十八キロでございますが、指定をされております。したがって、これで整備をしているわけでございます。  平成年度につきまして申し上げますと、一般国道で十五工区、それから県道で二工区、合わせまして十七工区で整備を進めております。地域住民の生活の向上国土の均衡ある発展のために重点的な整備を進めてまいりたいと考えております。
  49. 山内弘

    ○山内委員 青森県における問題、いろいろあるわけでありますが、そこで、先ほど石井先生も言われましたように、地域の定住の関係活力ある地域づくり関係、これは何といったってやはり道路網の整備以外にないわけですよ。それで、そのためには国道というふうなことだけではなくて、県道、市町村道の整備が非常に重要であります。これに対して、建設省としてどう取り組んでいくのか。青森県の場合、今の定住圏の問題、それから地域活性化の問題、石井先生が非常に高邁な議論をいたしましたけれども、そういうような高邁な議論もそうだし、もっと平たく言うと、道路網の整備、私はこれが今の政治における最大の課題ではないか、こう思うわけですよ。今建設省として、こういった問題に対して、どういうふうな対応をしようとしているのか、ひとつ明確に答えていただきたい、こう思うわけです。
  50. 三谷浩

    ○三谷政府委員 道路網の構成というのは、まず高規格幹線道路網がございまして、それから国道さらに県道、市町村道、これは日常生活の基盤となるものでございますし、それから、地域幹線道路でございますから、地域振興プロジェクト、こういうものを支援をする、あるいは地域社会の活性化を図る上で大変重要でございます。  青森県について申し上げますと、県道の延長が二千四百キロ、改良率が五二%であります。また、市町村道については一万四千キロ、改良率は三九%でございます。平成年度は緊急性、公共性の高い県道、それから幹線市町村道を重点的に整備をしてまいる所存であります。  具体的には、例えば高速自道車国道とのアプローチであるとか、あるいは今青森県でみちのく有料を整備しておりますが、その整備関連であるとかあるいは空港関連であるとか、プロジェクト関連、奥地等産業開発との関係、テクノポリス関係、こういうものについて重点的に整備を進めていく、こういう考え方でございます。
  51. 山内弘

    ○山内委員 整備の仕方の問題について今お答えいただいたわけでありますが、その改良率が非常に低い。これはただ我が青森県だけではないと思うわけでありますけれども、こういう状況の中においてますます住みにくくなるという地域状況にあるわけでありますから、こういうふうな過疎問題、引き続き非常に深刻になっておるわけです。  過疎対策を推進するためにやはり地域間交流というものは非常に重要であります。特に幹線道路、この問題に対する建設省の取り組み方、これをまずひとつ聞きたい、こう思うわけです。
  52. 三谷浩

    ○三谷政府委員 新たに施行されました過疎地域活性化特別措置法におきまして、三条で、過疎地域とその他の地域を結ぶ交通の確保が重要であるということで強調されております。したがいまして、過疎地域と近隣の中心都市あるいは高規格幹線道路網、こういうものとの連絡を強化するなど、過疎地域活性化の観点から特に重要な都道府県道については重点的に整備をするということでございます。  それから、基幹的な市町村道、これにつきましては、県による代行制度の適用範囲が過疎市町村の区域外の主要な基幹道路まで拡大をされたわけでございます。こういうようなそれぞれの過疎地域の主体的な努力によって地域活性化が実現できるよう、建設省としても必要な支援をしてまいる所存でございます。
  53. 山内弘

    ○山内委員 道路局長、格段の熱意のある対応を要望しておきたい、こう思うわけです。  次に、川の問題でありますが、特に地域活性化を図るためにはどうしても基盤となる治水対策、水資源の問題、これを強力に進める必要があると思うわけでございます。その点に対する総体的な建設省の見解を聞きたいと思います。
  54. 近藤徹

    ○近藤政府委員 おっしゃるとおり、治水及び水資源の確保は国民の生命財産を水害から守り、住民生活及び産業の源となる水資源を確保することでございまして、これを通じまして安全で真に豊かな国民生活地域活性化を実現するための基盤を築く、最も根幹的な事業であると考えております。  ところで、我が国は河川はんらん域に全人口の約半分、資産の七割以上が集中するなど、水害に対しては極めて脆弱な国土条件を有しておりますし、また水資源におきましても、面積当たりの年間降雨量は世界平均の約二倍でございますが、一人当たりに直しますと世界平均の約六分の一と少ないわけでありまして、今後ともこういう状況を踏まえまして、経済大国にふさわしい安全で豊かな国民生活の実現と地域の振興のために、河川改修、多目的ダム建設、砂防等の周辺施設の整備、また水資源の確保について、一層推進努力してまいりたいと考えております。
  55. 山内弘

    ○山内委員 そこで、岩木川の改修状況はどうですか。
  56. 近藤徹

    ○近藤政府委員 岩木川は、昭和四十八年に工事実施基本計画を改定しまして、基準地点五所川原での計画高水流量を三千八百トンと策定いたしまして、これに基づいて改修を実施しているところでございます。  御承知のとおり、昭和五十年八月、五十二年八月と、相次いで大出水が発生いたしまして、特に五十二年八月の洪水では、浸水面積約一万八千ヘクタール、浸水家屋が一万二百戸という大災害となったわけでございます。  現在、このときの災害を早期に、再度災害防止の観点かち治水能力の向上を図ろうということで、まず下流部につきましては掘削、築堤、頭首工の改築等を実施してほぼ完了ということになっておりまして、なお引き続き流下能力アップのための河道掘削を下流より順次実施しておるところでございます。  また、中流部については支川対策等を実施し、現在、本川築堤及び支川後長根川等の改修を実施しているところでございます。  上流部については、やはり五十年災害に関連いたしました平川及び平川合流点上流部の本川改修を重点的に実施しているところでございまして、今後は残された区間の築堤用地の買収を促進してまいりたいと考えております。
  57. 山内弘

    ○山内委員 河川局長、後長根川の改修についておたくの方でも重点的にやるというからそれでいいんだけれども、これには一つの歴史があるわけです。  どういうふうなことかというと、かつて大水害があった昭和五十二年、この当時建設省がこれに六十億の改修費用をつけたわけです。ところが、地元でこれを拒否をして、拒否をしてというのは川の流れが激しくなれば水が多く来る、こういうふうなことでその地元民の反対によって、これは私も県会議員時代、私の地元でもありますから、わざわざ建設省にお願いをして予算をつけたら、地元がこれを拒否をしてやれなくなった、それで予算が返上された、こういう経緯があるわけですよ。  今ようやくそういうふうなことも後長根の改修ということで忘れ去る状況にあるわけでありますけれども、この点についてはそういう経緯がありますので、特に後長根の改修については注意をして、注意をしてというのは反対意見があるわけじゃないけれども、私にとってみれば歴史的な竣工であるわけでございますから、これに対しては非常に思い出多い後長根でございますので、まず大事にひとつ取り扱っていただきたい、こう思うわけです。  次に、市町村の生活に密着するためには河川整備というのは非常に重要であります。特に、そういうふうなことで市町村の河川改修事業というのも青森県は非常におくれておるわけです。この点に対する建設省の見解をひとつ出していただきたい、こう思うわけです。
  58. 近藤徹

    ○近藤政府委員 本来、一級河川は国管理及び指定区間は県管理、また二級河川は県管理となっておりますが、そのほかに市町村が管理する河川として準用河川というのがございます。これにつきましても、地域の生活に直接関連するものとして重要であるという認識のもとに、準用河川の改修事業を従来から積極的に推進しているところでございます。  さらには昭和六十二年五月の河川法改正によりまして、一級河川の指定区間及び二級河川、いわゆる県が管理している区間につきましても市町村が申し出て河川工事に参画する道を開いたところでございまして、今後も積極的に市町村の実施する河川事業推進してまいる所存でございます。
  59. 山内弘

    ○山内委員 岩木川弘前地区における河川環境整備事業、この進捗状況はどうですか。
  60. 近藤徹

    ○近藤政府委員 岩木川弘前地区におきましては、平成年度に桜づつみモデル事業というものを採択いたしまして、二百八十メーターにわたって桜の木を植える堤防を完成させたところであります。また、その全面の高水敷におきましては、平成年度から河川環境整備事業によりましてイベント広場、運動広場等を中心とした河川空間の整備を弘前市と一体となって実施しているところでございます。  今後も引き続きまして、緩傾斜階段護岸とか河川環境の向上に資する事業につきましても鋭意推進してまいる所存でございます。
  61. 山内弘

    ○山内委員 桜の堤というのは非常に時宜を得た事業であったと私も思うわけです。特に、弘前城の桜ということで、桜は弘前市にとっては代表の花ということで、この桜の堤については非常にいい事業であったと私は思うし、またこのことに対する今後のいろいろこれと附帯した川と環境ということで、そういうふうなことをより一層頑張ってもらいたいと思うわけです。  次に、青森県の平成元年における発生災害に対する災害復旧状況はどういうふうになっているか、お尋ねをいたします。
  62. 近藤徹

    ○近藤政府委員 青森県におきます平成元年災害は、被害決定額が七百五十四カ所、七十九億五千万円でございます。平成年度当初予算では、元年度と含めまして災害復旧の進度を九六・六%となるように予算を計上いたしまして、復旧事業推進中でございます。  特に大きな被害を受けました東津軽郡蓬田村の板木沢川につきましては、再度災害防止を図るために災害関連事業として採択して改良復旧事業推進することとしております。
  63. 山内弘

    ○山内委員 次に、砂防事業の対応、また青森県における対応はどういうふうになっているか。
  64. 近藤徹

    ○近藤政府委員 砂防事業は、国土の保全を図るとともに、土砂災害から人命財産を守るための重要な事業であります。近年、地域社会の活性化が叫ばれまして、地域独自の町づくり運動等が展開されている現状にかんがみまして、それぞれの地域の自然条件と特性を考慮したきめ細かい砂防事業を実施することとしております。  なお、自然、社会特性を生かした地域計画と整合を図りながら、安全で快適な生活基盤づくりを推進するために市町村が実施します砂防設備の整備を行うふるさと砂防モデル事業というのを平成年度から創設して、これの推進を図ることとしております。  青森県内におきましても、東津軽郡三厩村の増川川におきまして、この事業の対象として進めていくこととしております。
  65. 山内弘

    ○山内委員 前回も私聞いたわけでございますが、積雪対策の下水道の問題ですね、これは非常に効果的でもあるし、またこれに対する期待というのは大きいわけですよ。ですから、この問題に対しては今各都道府県ごとにいろいろやっておるわけでありますが、特に私どもの県の場合は相当下水道整備状況というものが今や問われておる段階にあるわけでございます。  下水道はもちろんそうでありますけれども下水道と融雪を加味した下水道融雪対策、これはまさに建設省のヒット事業ではないか、こう私は思うわけでございます。でき得れば全県くまなくこういう状況をつくってもらいたいというのが私の本意でありますが、今その状況の中でどこまでやる気があるか、ひとつお聞かせを願いたいと思うわけです。
  66. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えさせていただきます。  初めに、我が国下水道整備の一般論を少し申し上げさせていただきたいと思います。  我が国下水道の普及率は、六十三年度末で四〇%にとどまっているところでございまして、外国の例、例えばイギリスを見ますと九五%、アメリカは七三%というようなことで、立ちおくれた状況にございます。中でも、人口五万人未満の市町村では普及率が七%と、非常に低い水準にあって、これが下水道整備の上での一番の大きな課題となっておるところでございます。  ただいまのところ、昭和六十一年から平成年度の間の五カ年間を計画期間とする第六次の下水道整備五カ年計画に基づきまして、普及率を全国的に四四%まで上げるということを目標といたしまして、それに向かって整備促進に努めているところでございますが、おおむね達成できるのではないかと考えているところでございます。  全国的な状況は、以上のとおりでございます。
  67. 山内弘

    ○山内委員 そこで、我が青森県内におけるこの事業計画というものはどういうふうになっておるか、お尋ねいたします。
  68. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 大変申しわけございませんが、青森県内のものを調べてまいりませんでしたが、下水道を除雪に利用するということで非常に新しい事業を取り入れたりしておりますが、今大きなところを申し上げますと、流域下水道を二カ所やっておりまして、一つは岩木川の流域下水道でございます。これは昭和六十一年から既に供用を開始しておりまして、弘前市、黒石市、平賀町、尾上町、藤崎町等で事業を実施しているところでございます。また、現在馬淵川の流域下水道をやっております。八戸市を中心にするところでございますが、まだ供用を開始するところまで至っておりません。  それから、公共下水道は主な都市の十四市町村で実施をしております。  なお、小規模のものについては特定環境保全公共下水道というのがございますが、そういうところも二町村で実施をしているという状況でございます。
  69. 山内弘

    ○山内委員 こういう状況の中で建設省関係は追われていると思いますが、特に先ほども綿貫大臣、高規格道路については格段の情熱があるようにお見受けしたわけですが、特に我が県を含めて、道路整備に対して、この構造協議下における建設省というのはこれから相当忙しい役所になると思うわけでございますけれども、その辺の所信をひとつただしておきたいと思うわけです。
  70. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 地方活性化のために、高規格幹線自動車道というのは極めて重要な意味を持っておるというふうに先ほどからも申し上げておりますが、建設省では六十一年に「国土建設の長期構想」という中で、二〇〇〇年に高規格幹線自動車道の九千キロ開通ということを申し上げてきたわけでございますが、ただいま日米構造協議等によりまして、公共事業拡大というようないろいろの方向が検討されつつございます。私どもとしては、できるだけこの長期構想の達成あるいはそれ以上の達成ということを考えて、今後とも努力していきたいと考えておるわけでございます。
  71. 山内弘

    ○山内委員 国土庁に入りたいと思うわけです。  特に、国土庁長官はきょうお見えになっております。前回も聞きたい聞きたいと思っておりましたが、一体、むつ小川原開発というのは当初の第二次基本計画どおりやっておるのかどうか、やっておるとすればどういうふうにやっておるのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  72. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 お答え申し上げます。  むつ小川原開発でございますが、御案内のとおり、工業開発を契機といたしまして、産業の振興あるいは住民生活と福祉の向上に寄与する、そういう目的計画されたものでございます。青森県が五十二年に策定しました第二次基本計画を参酌しつつ、国土庁を事務局といたしますむつ小川原総合開発会議、これは局長クラスで構成されておりますが、ここで開係省庁と調整を図りながら総合的な推進を図っているところでございます。  計画の進捗状況というのですか、立地業種について申し上げますと、二次計画、五十二年計画では、当初、石油シリーズと申しますか、石油を主とした業種を想定しておりました。その後、二次にわたります石油危機あるいは我が国経済構造が激しく変化した、こういった状況から、この当初の想定業種については、当面立地を期待することは難しい状況になってきているところでございます。そうした中で、国家石油備蓄基地が立地しておりますし、また、原子燃料サイクル施設等が現在立地を予定している、こういう状況でございます。  御案内のように、むつ小川原地区は、我が国でも数少ない非常に貴重な大規模工業適地でございます。また、地域振興の上からも大変重要なプロジェクトでございます。今後とも、基幹資源型の工業の立地にとどまらず、長期的な視点に立ちまして多角的な企業立地を進め、また基盤整備も進めてまいりたいと考えているところでございます。
  73. 山内弘

    ○山内委員 この問題は、一時間二時間で語り尽くせないという大きな問題でもあるし、私自身も地方議会において、この問題に十年間取り組んできた経緯もあるわけでございます。  特にむつ小川原開発という、国土庁長官、教えておきますけれども、青森県でむつという名前がつくと全部だめなんです。戦艦陸奥もそうだけれども、むつ製鉄、むつ製糖、「むつ」原船、むつ小川原開発、全部だめなんです。むつ市に失礼だけれども、むつという名前がつくとだめになる、そういう経緯があるわけですよ。それにまた、これは自民党は一生懸命むつがいいんだと言っているけれども――いやむつという名前のつく開発計画ですよ、私はむつ市民にというのじゃなくて、そういう経緯がある。  それで、むつ小川原開発というのは今や不毛の開発である、こういうふうに言われておるわけです。しかも、核燃サイクルが来て、青森県がこういう危険物を持ってこられて、ごみの山を持ってこられて、それでいいのか、絶対こういうふうなことに対して県民はだめ、こういうふうに言われておるわけです。それで私のような者が代議士になってきた、こういう経緯もあるわけです。ですから、やはりこのむつ小川原開発というのは県民の合意を得ていない開発である、しかもまた、これは青森県をばかにした開発である、そういうふうなことで青森県民は非常に憤激をいたしておるわけです。  そこで、国土庁長官、まだ立たなくていいですよ。最後に立ってもらうから長官は立たなくていいですよ。そちらに聞くけれども、おたくはそういうふうなことで、今むつ小川原開発というのがその理念どおりに行われておると信じておるわけですか。一言所感を申し述べてください。
  74. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、昭和五十二年に青森県の第二次基本計画策定されまして、関係省庁会議でこれを受けまして、以来これをもとにして進める、閣議口頭了解もありまして進めているところでございます。  その後の状況でございますけれども経済情勢の変化、石油危機等で、石油関係については想定業種どおりの立地が進んでいないという状況にあることは事実でございます。しかしながら、そういった中で原子燃料サイクル施設等が立地しているわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、我が国で非常に数少ない貴重な大規模な工業基地でございます。そういった基地にこういった業種が入って、工業開発を基本として今進めておるわけでございます。県民の皆さんにいろいろと不安を持たれながら今進めておりますが、ぜひ理解を得ながらこういった事業を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  75. 山内弘

    ○山内委員 進めてまいりたいと思いますというのは聞かなくてもわかっているんだ、やっているんだからね。  それで、要するにこのむつ小川原開発というのは今や完全な失敗策なわけですよ。第二次基本計画によって何をやるかというと、石油化学、火力発電、石油精製、こういうふうなのが当初の目的であったわけです、これは言わなくてもわかるだろうと思うけれども。それが、今やむつ開発五千ヘクタールに及ぶあの土地は、人も行かない、訪れる者もない、漂うものもない、吹くのは風だけ、こういう状況にあるわけですよ。そういう中 で、なおかつ国土庁の方では皆さん、これは貴重な土地であるからここを放さないんだ、こう言われても、ここに住んでいる人は一体どうなるかということです。  それじゃ、核燃サイクルに入る前に、これに要した経費というものは一体どのくらいかかっているか、一応出していただけませんか。
  76. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 むつ小川原地区には港湾、道路等の事業を実施しておりますが、そういうような事業によりましてこれまで投下した事業費を申し上げます。  まず、むつ小川原港湾整備事業でございますが、平成年度事業費として約七十二億円、それを加えました平成年度末までの事業費は、累計七百七十三億円に相なります。それから、小川原湖総合開発事業を実施しておりますが、これは平成年度事業費が約十億円、元年度末の事業費累計が約百三十六億円でございます。また、道路整備事業でございますが、平成年度事業費が約十二億円、平成年度末までの累計が約八十八億円でございます。これら公共事業事業合わせた総額でございますが、平成年度末で累計九百九十七億円ということに相なっております。
  77. 山内弘

    ○山内委員 それはおたくの方でかけた金でしょう。そうじゃなくて、このむつ小川原開発が始まって以来使った金は全部でどのくらいあるかということを聞いているんですよ。  例えば北東公庫から借りている金もあるだろうし、それからまた青森県でむつ小川原公社をつくった当時の経緯、それにかかっておる金、借金、全部でどのくらいあるかということを聞いているんですよ。わからないの。
  78. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 恐縮でございますが、先生のお尋ねの全体的な経費というものは把握しておりませんが、北東公庫等からむつ小川原開発会社に融資している事業がございます。その融資額が約六百億円弱。現在その会社がほかに銀行等からも借り入れておりますが、借り入れている残高が千五百億円弱、こういった状況になっております。その他については早急にまた調べてみたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  79. 山内弘

    ○山内委員 これは青森県の借金だけでおよそ二千億ありますよ。それから、五千町歩の土地を買って、売れた土地というのは十分の一、五百ヘクタール、それは前の備蓄基地になったわけです。それで今の、核燃サイクルの議論はきょうは私はしたいと思いませんからしないけれども、この問題に対してまた売った土地というのがあるわけです。しかしこれは時間がないから、あと五分か十分で言える話じゃないからやめますけれども、問題は、それ相当の借金があって、どうにもならなくて核燃が来たということですよ。  それで、核燃というのはおっかないものであるか、危険なものであるか、そういうふうなことについては全くわからなかった、これが県民の素直な気持ちです。来てみたら大変だということであわてふためいておるというのが今日の現状、まさにこれは悲劇の開発なんです。非常にかわいそうな状況の中で、長官、この土地を縛りつけながら行っておるというのが今日の現状なわけです。  ですから青森県はそういうふうなことで、まさに次の知事選挙というのは、私はあえて豪語するわけじゃないけれども、今の知事は到底当選できないだろう、これは予言しておきます。それからまた、ここの科学技術庁長官の偉い先生が私と交代したわけですが、これだって青森県へ行ったら殿様ですよ。綿貫大臣なんというものじゃない、もっと偉い大臣ですよ。そういう人が落ちているのです。ですからこれはゆゆしき問題だろうと私は思うんですよ。別に前の大臣が悪いというわけじゃないけれども、そういう状況下にあるということを率直に腹の中にぶち込んでもらわないといけないのではないか。  借金の問題で、借金で首が回らなくなって、そして核燃に身売りをしなければならない、まさに現代の物語ですよ。長官わかると思うけれども、現代にこういうふうな、昔のように身売りしなければならないという悲劇は大変なことでしょう。今現実にこれが行われておるわけです。ですから、やはりこれを正しく認識をされて、この問題に対して、特に核燃の問題については「付」という、あなたの方で書いた第二次基本計画の中で「付」、「付」って何ですか。それも聞きたいけれども時間がないから聞かないけれども、「付」でやっているのです。こんな人をばかにしたやり方はないでしょう。これだけの国策であり、国のためにどうしても必要欠くべからざるものであるとするならば、海部総理大臣が青森県へ来て平身低頭して、青森県は国のために犠牲になってくれ、ここまで言わなければならないんじゃないですか。それでもどうだかわかりませんけれどもね。  だから私は、そういう状況というものがあるということを十二分に認識をしなければならない。また認識をしても、今の状況ではどうにもならない。国策だから青森県百五十万県民が犠牲になってもいいんだ、そういう論理は今の日本の国内で許されますか。植民地じゃないんですよ。夷狄蛮族のたぐいのように考えられているようだけれども、それは青森県民として極めて不快感の、おもしろくない状態なわけでございます。  時間も来たようでございますから、ひとつまず国土大臣の答弁を、これに対してどういうふうに考えられておるか、またどう対応するつもりでいるのか、一言で言ってください。
  80. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 山内先生にお答えいたします。  私も実は国土政務次官を、五十二年のときに、一度豪雪対策を兼ねて、むつ小川原、現地へ行ってまいりました。  先ほどから地方振興局長話しておることでございますが、このむつ小川原地区の開発の目的とかあるいはそれに対する国土庁の役割等はもう局長が話したから話しませんが、私は、原子燃料サイクル施設の立地については、先ほど先生からいろいろお話ございましたけれども、一番問題なのは、広く県民の理解と協力を得られるよう、厳正な安全審査の実施等安全の確保に万全を期すことが大事、そんなことでございまして、今後、関係省庁、地元青森県等と連携調整を図りながら、各種基盤整備、多角的企業立地の促進等を進め、むつ小川原地域の振興に努めてまいりたい、このように考えております。
  81. 山内弘

    ○山内委員 これからも時間をかけてゆっくり議論しましょう。終わります。
  82. 中島衛

    中島委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  83. 中島衛

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土肥隆一君。
  84. 土肥隆一

    土肥委員 きょうは差しかえで、少し質問させていただきたいと思います。  実は、大阪で花の博覧会が大変盛況に行われているようでございますけれども、その花博の中にあります一つの問題を取り上げさせていただきまして、きょうは少し質問させていただきたいと思います。  まず、いかがなんでしょうか、花博は何か非常に事故が多いというふうな新聞等の報道もございましたけれども、お客さんというか観覧の皆さんは、数字としては順調に伸びているのでしょうか。その辺の状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  85. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  花博の開幕当初から事故が続いておりまして非常に申しわけなく思っておるのでございますが、入場者数はおかげさまで順調に伸びておりまして、きょうの午前中で既に九百九十万人台まで来ておりまして、きょう、あすにでも一千万人になろうというところでございます。御支援について感謝をいたしております。
  86. 土肥隆一

    土肥委員 実は、この花博の中に一つ、私にとっては非常に不思議なパビリオンがございまして、それは「の~んびり村」というパビリオンでございます。  実は私は物特の委員でもございますので四月に視察に参りまして、これは万博会場でどんな物品販売が行われているか、それが適正な値段であるかどうかというようなことで行ってまいりました。実は私も前からこの「の~んびり村」については若干注目をしておりまして、それはほかのパビリオンとは違いまして私にとっては非常に不思議なパビリオンと言っていいかと思います。  その四月の視察のときにでございますけれども、この「の~んびり村」に入るときに、村ですから入村、こういうふうに言うわけですが、入村のためのいわば申込書といいましょうかあるいは登録書といいましょうか、住所、氏名、年齢それから血液型、あるいは好きな花、好きな色というようなことまでアンケートをとりまして、そしてそれで「の~んびり村」の会場に入りますと、そのアンケートカードに基づいて若い男女を結び合わせるのですね。これが二十一世紀型の愛のあり方というふうに言っているわけですけれども、結び合わせまして、そして今度はブライダルファッションデザイナー桂由美さんの結婚衣装を着せまして模擬結婚式みたいなことをやるのですね。ついでに披露宴までやるのです。  このパビリオンの中にはレストランがございまして、費用は恐らくそのカップルになった人が払うのだと思いますけれども、そういうふうなことが終わりまして、結婚すれば今度は自分の子孫が残るわけですから、その子孫に、百年後に手紙を出しましょう、こういうことで手紙を書かせるわけですね。その百年後の自分の子孫というのはだれかわからないわけですけれども、百年後に届けますというわけです。そういう趣旨で、百年後の切手代として二千円徴収するわけですね。そうやってパビリオンを出ていくというわけです。  私は、まずその入村カードに住所、氏名から年齢、血液型まで、血液型も非常にプライバシーの問題なんですけれども、これまで詳しく書かせるのはおかしいというようなことを言っておりましたら、どうも万博協会が注意をしたようでして、その入村カードをやめさせました。そのときの新聞記事によりますと、入村カードを発行しているパビリオンの館長が、何のためにやったのだと聞いたら、物品販売に使うのだ、こう言うわけですね。物品販売のリストにしようとしたというわけで、何ということかというふうに思うわけですけれども、どうでしょうか、その入村カードは万博協会がとめたというのですが、とまっているのでしょうか。
  87. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 委員お話しになりましたような入村カードの受け付けは、四月一日からやっておったようでございます。しかし、問題があるということで四月十六日から中止をさせたということで、現在中止をされております。  それから、参考までに申し上げますと、四月十五日までにこの村が預かりました入村カードは、密封の上、現在花博協会が預かって保管しておるというふうに聞いております。
  88. 土肥隆一

    土肥委員 入村カードはとまったということになりますと、その先プログラムが全部消えていくわけですね。その中のシステムといいましょうか、未来の結婚式の模擬結婚式をやり披露宴までやるというようなことが消えてしまうわけですが、その辺はどうしているのか、また一度行ってみたいと思っておりますけれども。  もう一つお聞きしますけれども、百年後の手紙というのは郵送代が二千円というのですが、どれくらい手紙の申し込みがあったか、お調べいただけましたでしょうか。
  89. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 百年後に届く手紙につきましては、まずこれも四月十六日から二千円を預かるということは中止をしておりまして、当初預かったその二千円については、申込者各人に返還をしたというふうに聞いております。  それで、四月十六日に中止するまでの間に参りました手紙の数は七十六通というふうな報告を受けております。
  90. 土肥隆一

    土肥委員 私は、この手紙も大変問題だと思いました。それは、結局自分の住所、氏名、電話番号を書くわけで、そしてその電話番号がいわば百年後の登録番号になるというふうな考え方でございますから、これもおかしいというふうに思っておったのですが、そうなりますと、いわば出口も入り口もみんなとめてしまったということになるわけで、このパビリオンは秋までもつのかなというふうに思いますけれども、私としては常識的なところに改善されたというふうに思うのです。  しかし、なぜこういうパビリオンが万博協会と契約をしたのだろうかということを考えざるを得ないのであります。万博協会というのは非常に重要な世界的な団体でもあるし、今度のテーマが「花と緑と人間生活のかかわりをとらえ、二十一世紀へ向けて潤いのある豊かな社会の創造をめざす。」こういうふうにうたっているわけでありますけれども、どうもそういうにおいはほとんどしないパビリオンだというふうに思うわけです。今後どうするかということはまた見守っていきたいというふうに思うわけでありますけれども、それにしても「の~んびり村」が発行しておりますいろいろな文書、リーフレット、あるいは「の~んびり村」のパスポートというのを発行しているわけでありますが、それを見ますと、万博協会と契約をしました経営主体はだれなのかということがもう一つはっきりしないわけであります。建設省の方として、この契約主体はだれであるかをお答えいただけますでしょうか。
  91. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えします。  「の~んびり村」の契約の参加の主体は、未来指向型企業グループ代表川合善大、それから財団法人の国際花と緑の博覧会協会会長斎藤英四郎との間で行われております。
  92. 土肥隆一

    土肥委員 この未来指向型企業グループというのは、何か財団法人とか社団法人とか法人格を持っているのでしょうか。あるいは持ってないとするならば、このリーフレットでうたっておりますように、中小企業者が集まったグループだと、そしてこれは今まで大企業しか万博に参加できなかったけれども、中小事業者も参加できる道が開かれたので画期的なパビリオンだというふうに言っているわけですが、このグループはグループとして何か法人格を持っているのでしょうか。そして、万博協会は法人格がなくてもこういうグループと契約を結ぶことができるのでしょうか、お尋ねいたします。
  93. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 まず、未来指向型企業グループは法人格を持っておりません。それで、法律上はそこの代表の川合さんと契約をしているということでございます。  中小企業が入っているというのはパビリオンはこれが唯一のものでございまして、そういう形のものでひとつパビリオンをということについて、協会側も意欲を持っていたというふうに聞いております。
  94. 土肥隆一

    土肥委員 実は中小企業者の集まりであるこの企業グループが市民一般に出資を求めまして、そしてこれを市民参加型のパビリオンだ、こういうふうに言っているわけです。出資は一口三万円、何口でも結構だということですが、この出資の口数はおわかりでしょうか。
  95. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 まず、三万円の出資募集ということは行っていました。それで一つは、このグループの関係会社の役員等を対象としたもので集めているのがございまして、これでは約三千口の応募があったと聞いております。  それから新聞等に報道されたことの影響もございまして、一般からの応募者が約百名あったというふうに聞いております。
  96. 土肥隆一

    土肥委員 こういう方法も万博協会としては問題ないのでしょうか。いわゆる市民参加型だといって、一般にパビリオンにかかわる費用を賄うということだと思いますが、募集しても構わないような組織というか規約になっているのでしょうか。
  97. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 適切でないと協会側では判断をして、現在までに出資につきましては、返さないでもいいという方もないではございませんけれども、ほかの方にはお返しをしているということに しております。
  98. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、もう入り口から出口、そして金目の物まで適切でないということになりまして、これは本当に何か適切でないということで、表も裏も中もなってしまっているのではないかというふうに思わざるを得ないのであります。そういうパビリオンがあるということが、私はそれでいいのかなというふうに思うわけです。  実は今、中小企業者の集まりである未来指向型企業グループというのが契約者の相手側だということでございましたが、どういう会社なのでしょうか、おわかりの範囲で教えてほしいと思います。
  99. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 それではメンバーについて読み上げさせていただきますが、日本電気保安協会、株式会社コスダン、株式会社デン・テック、株式会社近畿ロイヤルプロダクツ、トリヤマグループ代表企業鳳山建設株式会社、関西化成株式会社、日米礦油株式会社、株式会社エフエスケー、ARSグループ代表企業株式会社シップスマーケティングカンパニー、東邦パーライト株式会社、株式会社一〇〇年クラブ一口オーナー出資グループ、株式会社亜細亜技術協力会日韓トンネル委員会、OSGグループ代表企業株式会社大阪三愛、株式会社コノミヤ、株式会社大阪ゴマルゴ、オルゴ株式会社、株式会社万代ということになっております。以上でございます。
  100. 土肥隆一

    土肥委員 今局長がおっしゃいましたリストは、いただけますのでしょうか。
  101. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 提出いたします。
  102. 土肥隆一

    土肥委員 非常に興味あるリストでございまして、全然わけのわからないというか、少なくとも私は全然知らない会社もございましたけれども、幾つか特徴的な会社が出てまいりました。一つは日韓トンネル委員会という、これは会社になっているのですか、株式会社ですか。
  103. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 日韓トンネル委員会は、財団法人亜細亜技術協力会日韓トンネル委員会ということでメンバーになっております。
  104. 土肥隆一

    土肥委員 それでよくわかりました。  実は、この「の~んびり村」のリーフレットによりますと、契約者は未来指向型企業グループ、今お読みになった代表である川合さん。ところがその十二社の中に日韓トンネル委員会というのがございまして、それは亜細亜技術協力会という財団法人がありまして、その中に日韓トンネル委員会というのがあるということになります。このリーフレットの中には、財団法人亜細亜技術協力会花の万博出展実行委員会に申し込み、先ほどの出資金だとかなんかあるいはお問い合わせはここにしてくださいと書いてあります。この中でアニメが出てまいります。  ちょっと先ほどアニメを申し上げるのを忘れたのですが、アニメがあって結婚式があるわけですけれども、そのアニメはどんなアニメかと申しますと、皆さん御承知の方もあるかもしれませんけれども日本と韓国の間にトンネルを掘ろうというアニメでございます。そして、そのトンネルは済州島に上陸いたしまして、朝鮮半島を北上して中国へ至り、そこからずっと西へ行って最後はドーバー海峡を渡ってイギリスまで続く壮大なハイウエー構想というのが、このアニメで十五分ほどでございますけれども上映される。そういうことで、いわばこのリーフレットにもはっきり書いてあるのですが、この「〃国際ハイウェイ構想〃の理念を一層深めいただき、広範囲にわたる国民的な賛同の論を広げることのできるPRの場」となっておりますと、こう書いてあります。  私は、このパビリオンの主たる目的は、このアニメを見せるということではなかろうかというふうに思います。なぜならば、今この中小企業代表と言いましたけれども、その財団法人亜細亜技術協力会の日韓トンネル委員会もそこに入っておる、出資しているということですね。そしてその亜細亜技術協力会というのがいわば中心的な役割を果たしているように思うのでありますが、そしてこのアニメを制作いたしましたのは国際ハイウェイ建設事業団、それからこの全体の企画を考えましたのは国際ハイウェイ・プロジェクト、日韓トンネル研究会、そしてお金を振り込むのはまた財団法人亜細亜技術協力会万博実行委員会、こうなっておるわけです。これを見ますと、いろいろな団体が次から次に出てくるわけです。そして、そういう団体がどういう役割をしているのかということをずっと追っかけていきますと、だんだん筋が読めてくるわけであります。  その前にちょっと確認しておきたいと思います。亜細亜技術協力会というのは外務省が認定した財団法人だということでございますが、どういう財団なのか、そしてかなり古い法人というふうに私は認識しておりますけれども、昭和でいいますと四十九年にできておりますが、この財団の主たる目的、あるいは法人監査をなさっただろうと思いますが、理事長、あるいはわかる範囲で理事のお名前、それから監査の結果どういう活動をしているのか、御報告いただきたいと思います。
  105. 飯村豊

    ○飯村説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御質問のありました亜細亜技術協力会は、御指摘のとおり外務省の認可の公益法人でございます。  右公益法人は、昭和四十九年十月二日に外務省が設立を許可しておりまして、十月十五日に設立されております。  財団の設立の目的といたしましては、「日本及び韓国等アジア諸国との近隣友好を基調にし、アジア諸国の経済発展に必要な人材育成と技術水準向上」を図るというのが財団の設立の目的になっております。  役員につきましては、五月三十一日現在、理事長として金山政英そのほか十五名の役員がおります。この十五名につきましては今御報告申し上げてもよろしゅうございますが、あるいは後ほど……(土肥委員「ざっと読んでいただけますか」と呼ぶ)  私ども承知しておりますのは、植木光教、許弼セキ、金鶴鎮、古田元男、小柳定夫、重光武雄、金海坤、金坪珍、李基寿、李承魯、佐々保雄、梶栗玄太郎、大江益男、金容太、以上十五名でございます。
  106. 土肥隆一

    土肥委員 日本及び韓国等アジア諸国との近隣友好を目指す、そしてアジア諸国の経済発展に寄与するというふうに書いてあるわけですが、実は今、梶栗玄太郎という名前が出てまいりました。この理事会は韓国籍あるいは韓国人名の方、朝鮮人名の方がかなり参加していらっしゃるということは一つわかるわけですけれども、その中で、梶栗玄太郎さんというのが理事にいる。実はこの亜細亜技術協力会の理事長は金山さん、これは元韓国駐在日本大使金山政英さんですね。それから、実は理事の梶栗玄太郎さんは、この亜細亜技術協力会の中に日韓トンネル委員会というものをつくりまして、その委員長であるわけですね。  この亜細亜技術協力会ですけれども、例えばトンネルを掘るというような事業を行う主体としては、この財団法人はそういう仕事ができるのでしょうか。外務省の方、お願いします。
  107. 飯村豊

    ○飯村説明員 お答え申し上げます。  財団法人の事業といたしまして、先ほど申し上げました目的のもとに幾つかの事業を想定しておりまして、重立ったところを申し上げますと、一つは技術研修者の招聘、研修受け入れのあっせんが一つございます。それから二番目には、機材の供与及び専門家の派遣というものがございます。それから三番目には、産業・科学技術者の招聘及び派遣、さらに科学技術の振興と協力に関する調査研究及び発表というものがございます。  したがいまして、例えばトンネルの研究等につきましては、財団の説明によりますと、科学技術の振興と協力に関する調査研究、発表ということで行っているとのことでございます。
  108. 土肥隆一

    土肥委員 実はこのパビリオンで、いわば国際ハイウエーの未来像を見せて、そして大いにこの国際ハイウエー構想に日本の皆さん協力してください、御理解くださいというふうなPRの場となっているわけですけれども、実はこのパビリオンの主たる目的は、先ほどから私が申し上げておりますように、アニメを見てもらう、そして国際ハイウエー構想の宣伝の場にするというためにの みつくったのではないかと思わせるような感じがするわけです。実は、この国際ハイウェイ建設事業団だとか国際ハイウェイ・プロジェクト、日韓トンネル研究会だとかいうものがここで堂々と名前が出てくるわけでありますが、この国際ハイウェイ建設事業団というのはどういう事業団なのか、おわかりでしょうか。
  109. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 御指摘ございました国際ハイウェイ建設事業団でございますが、建設省としては承知をいたしておりません。どういうことかは承知をいたしておりません。
  110. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、どういう事業団かわからないし、その理事会がどういうふうな構成なのか、会長がだれなのかということもおわかりにならないということだと思いますが、実はこの国際ハイウェイ建設事業団というのは、もう既に今から八年前、一九八二年四月一日に設立されておるわけです。そして、この事業団の理事長は、先ほど言いました梶栗玄太郎さんでございます。この梶栗玄太郎氏というのは、今私が知る限りでは、株式会社世界日報の社長でございます。それからこの建設事業団の会長は、これもまた驚くべき方で久保木修己さん、日本の統一神霊協会の会長さんであります。  ですから、その国際ハイウェイ建設事業団が日韓トンネル委員会をつくりまして、そして、先ほど言いましたように国際ハイウエー構想というものを推進するためにつくった、それを大いにPRするためにつくったパビリオンではないかと想像するわけでありますけれども局長の御感想はいかがでしょうか。
  111. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 花博協会の方に「の~んびり村」の出展が申し込まれたときの考え方は、花と緑と人が共存する二〇九〇年の「の~んびり村」の世界へ誘導するような出展を行う、あるいはその関連するイベントを実施するものということで、出展に対して許可を与えたものでございます。  現在の状況の中で、今のアニメーションが行われていることは承知をいたしておりますが、そのほかにも、先ほどちょっと申し上げました手紙の件も、問題になったところを除いてひとつやろうじゃないかということで、住所、氏名を書かせるとかお金を取るとかいうことはやめて、また再開しているようでございますし、そのほか、少しくつろげるような状況を体感させるというようなことに努めているというような報告を受けております。
  112. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、この日韓トンネル委員会というのがあって、そして国際ハイウェイ建設事業団というのがあることも承知しておられないということでありますれば、その事業団が今までどんなことをやってきたかも御存じない、こういうふうに理解してようございますか。
  113. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 承知しておりません。
  114. 土肥隆一

    土肥委員 建設省の方も御存じないような事業が、実は佐賀県あるいは長崎県で非常に活発に、地質調査を初めボーリング、それから試掘用の斜坑用トンネル等も掘られております。これを日本の建設関係の役所であります建設省が全く知らないということになりますと、どういうことになるのかなというふうに私は思うわけです。  実は、ちょっと私が調べますと、これは全部このトンネル委員会から出された公式の文書でありまして、何も秘密の文書ではございませんで、「本郷路」という新聞に出ているわけです。「本郷とは人類の本当の故郷(地上天国)という意味です。従って、本郷路とは地上天国実現のための道路です。」と書いてあるわけですけれども、この新聞にも詳しく書いてあるわけです。  そして、一九八二年十月一日から佐賀県呼子町でボーリングが開始され、十月四日には海域部の第一次音波探査が行われ、実は船を三隻用意してありまして、これは全部定安丸というのですが、それには精密音響測深機が積んであります。実際にボーリングをして地質調査をやっておりまして、現地事務所が唐津にもできておりますし、対馬にもできておりますし、壱岐島にもできております。そして、佐賀県鎮西町というところでは試験用の斜坑が掘られております。これは一九八三年十月二十四日付で開始となっておりますが、トンネルも掘られている。今度は空からセスナ機が、これはいろいろな調査用の航空機だそうですけれども、それを飛ばしまして空から調査をする。対馬なんかはもう六カ所もボーリングをして掘っております。  私は、実際このトンネルを見に行ってきた方の報告書も持っているわけでありますけれども、百分の二十五の勾配で、そして四百メートル掘るんだ、第一期工事で二百メートル掘っていて、今第二期工事をやっているんだというふうな話が出てまいります。つまり、この事業団は次から次に日韓トンネルを掘り続けるために、あらゆる調査をし、そして金もつぎ込み、本当に朝鮮海峡と申しましょうか日本海をトンネルで通そう、その起点が、どうも先ほど言いましたように佐賀県の鎮西町というところであるようでございます。  こういうことは全然御存じないのでしょうか。
  115. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 今、委員指摘のように、陸海空からそういうようなことが行われているということについては、私どもは承知をいたしておりません。
  116. 土肥隆一

    土肥委員 これは私、ちょっと問題ではないかと思うのです。もちろん自分の土地に穴を掘ろうが、自分の海というのはないでしょうが、船を浮かべて調査をするというのは自由かもしれませんけれども、少なくともあっちこっちにボーリングをするというようなことは、普通はどういうふうなことになるんでしょうか。建設省として、例えばある土地をボーリング調査をしたいというようなときに、役所としてはどういう手続が必要なんでしょうか。全く必要はないのでしょうか。お聞きいたします。
  117. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 十分に調べた上での御返事ができなくて恐縮でございますが、その土地についての利用権というものが恐らく何らかの形で設定されている、あるいは鉱業法上の問題なんかもクリアされているということであれば、自分の権利行使の範囲内であるということになれば、それは自由ではないかというふうに今は思っておりますが、詳細の調査をした上での答弁でございませんので、お許しいただきたいと思います。
  118. 土肥隆一

    土肥委員 もう少し詳しく聞きたいと思いますけれども、それをはしょらせていただきまして、この「の~んびり村」のそもそもの成り立ちから、どうして万博協会はこの「の~んびり村」を採用したんだろうか。プログラムが変更され、そして行政指導がなされ、万博協会からも指導されて、あれもだめです、これもだめですというようなことが後から出てくるわけですね。事前審査でそういうことは全くとんちゃくしなかったと思われますけれども、そして、実はこの日韓トンネル構想というのが佐賀県あるいは長崎県で極めて活発に行われていて、しかも建設省はそれを御存じないということでございます。  私は、この「の~んびり村」のことを知るにつけ、何か背筋が寒くなる思いがするのでございます。なぜならば、せんだっておいでになりました盧泰愚大統領がすばらしい格調の高い演説をなさって、我々もしばしば拍手をしたわけでありますけれども、彼の最後のメッセージを聞いて、私はどきんといたしました。こう書いてあります。「来る世紀には東京を出発した日本の青年が海底トンネルを通過して、ソウルの親友といっしよに北京とモスクワに、パリとロンドンに、大陸を結び世界をひとつに繋ぐ友情旅行を楽しむ時代を共に創造しましょう。」と書いてあるんです。私は、別に盧泰愚大統領を勘ぐるつもりはございませんけれども、トンネルという話を聞いたときにはびっくりいたしました。盧泰愚大統領にもやはり日韓トンネル構想があるんだなというふうに思うわけです。――大臣、ちょっと御感想をお聞きしまして、終わらしていただきます。
  119. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今そこからもお話がございましたように、いろいろヨーロッパの大陸に国境を越えて橋をかけるという話もあれば、こういう一つの夢というのはどこの国にもあるんじゃないかと 思いますが、その夢が今パビリオンの中にあったということで、現実の問題として建設省も関知していないということでございますので、その辺は感想としてそれだけ申し上げておきます。
  120. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  121. 中島衛

    中島委員長 貴志八郎君。
  122. 貴志八郎

    ○貴志委員 私は、一昨年、社会党の大谷石採取跡陥没事故調査団に参加をいたしまして、事故の概要について見聞をいたしてまいりました。  その中で、まず最初に目に飛び込んでまいりましたのは、現地へ行きますと立入禁止の立て札それから立入禁止のフェンスが張りめぐらされまして、私どもがフェンスの中に入りますと、鋭い亀裂が道路の中を通っている、足元には広い陥没のつめ跡とでも申しましょうか、白い土壁が目の前に、陥没の中に浮き上がっている、さらにかなたの山の竹林は横倒しになって、崩落のすさまじさを訴えておるようでもありました。あるいは目の前の家々、主なき家となりまして、茂るに任せた夏草がやがてその屋敷を覆い尽くすであろう、そういうわずかの期間に荒れ果てた姿を目の当たりに見てまいりました。  本来、自然と人間が共生すべきものでありますが、聞くところによりますと、千年来掘り続けてきたその採石跡の陥没というふうな事故によって、人間がもうその上には住めない、今は住めない、立ち入りが禁止されている、こういうことになっているわけです。  一体、その責任はだれにあるのだろうか。法律のない時代あるいは法が制定されてから以後も、果たしてそういういわゆる坑道掘削というふうな採石方法を想定した法律がつくられていたのだろうか、そういうふうなことを思いますときに、これはやはり法律上あるいは行政上、いろいろな面から見て責任を持ってこれに対応していかなければならぬ、そういう課題ではなかろうかということを私はまず思いましたが、そういった単に小さな目で、訴えられていることに対する法律責任が国にあるのか県にあるのかということではなしに、もっと大きな目で、地上の自然を守り得なかったその採石工法に対する法律的な指導、そういった面について、政治責任と申しますか政治としてやらなければならなかった面が確かにあったということをお認めになるかどうかということを、基本的にまずお尋ねをしておきたいと思います。
  123. 高原弘栄

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  大谷石の採掘跡の災害でございますけれども、この問題につきましては、御案内のとおり、これまで採石法に基づきまして、この法律ができまして昭和二十五年に施行されましてから、何度かその法律の体系が整備されてきたわけでございますけれども、こうした中で災害の対策、それがその規制の中で強化され、かつ同時に、その執行につきましても、昭和四十六年の採石法の強化に際しまして県に機関委任をいたしまして、国と県と、また地元と共同いたしまして、安全な採掘が実施できるように、これまで努めてきたわけでございます。  御指摘の大谷石の災害につきましても、原因について、現在地元と国が協力いたしながらその現状の把握に努めてまいりますとともに、その対策につきましても、今後、国、県一致いたしまして地元と御協力いたしまして、また、業者を含めまして、その将来のあるべき姿について検討しているところでございます。
  124. 貴志八郎

    ○貴志委員 時間がありませんので余り細かい質問は避けますけれども、いずれにいたしましても、五十年前あるいはもっと前にも陥没事故があって、道を通っていた自転車がそのまま地面に吸い込まれていって死亡して、今日に至るもなおその遺体が発見できないというふうな事故があったと聞いております。  そういう事故があってかなりたってから、戦後、二十五年に初めて法律ができた。三十何年かに改正され、四十七年ですか、最後の改定が行われるわけですが、それらの法律をそのとおりに守ったとしても、過去千年も前から掘っていたけれども、その当時は露天掘りだということですが、明治に入っていわゆる坑道掘りをするようになって、以後、埋め戻しをさせていない。だから、大谷の敷地の下はクモの巣のようにたくさんの坑道跡がそのままになっている。これに対して、法的に埋め戻しを義務づけないで先へ先へ掘る、施設をすれば掘ることが認められる、そういう法体系、法律そのものに、今日の陥没事故を想定する、そういうものがなかったということが容易に想像されるわけです。  ですから、もしここで、今の古い坑道を含めてどんな坑道図が今ここに提出することができるかということを質問申し上げて、今ここでお答えになれないと思うのです。なれないことは私は申しませんけれども、そういった実態があるということは、やはり政治的にこの問題について、それは百年前に掘った人の、今はもう既にどこかへ行ってしまっていない人に責任を追及したってしようがない。やはりそこに法律が及んでいなかったということは、やはり政治的な責任というものを果たしていかなければ、そこに住んでおる人、また、大谷石を使って、それを建築石材として使ってまいりました日本全国のすべての人々がかかわりを持つわけでありますから、政治責任というものをやはり果たしていってもらわなければならぬ、こういうことを思うわけであります。  そこで、具体的に質問をしておきますが、今日まで埋め戻しや古い坑道の処置について政治的に何らかの指導を行ってきたことがあるか、実施されてきたことがあるかということについてお尋ねをしておきたいと思います。
  125. 高原弘栄

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  大谷石の採掘につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、採石法は二十五年に施行されたわけでございますが、それまでは法律がございませんで、いわば自由に採掘されておったわけでございます。  その埋め戻しをするかどうかという点につきましては、これは技術的にいろいろ岩石の状態等によりまして、採掘を実際に基準どおりにいたしますと埋め戻しが必要かどうかということにつきましては、技術的に必ずしもそうでもないというようなものも出ておりまして、それは状況によっていろいろ違うわけでございます。採掘と埋め戻しが常に裏腹になっているかと申しますと、必ずしもそれはそうなっていないというような状況でございます。
  126. 貴志八郎

    ○貴志委員 鉱山保安法という法律があるそうでありまして、いわゆる石炭や非鉄金属などの坑道跡、タヌキ掘りというのがあるそうでありまして、ちゃんとした許可を得ないで掘った坑道跡というのは炭鉱なんかに随分たくさんあるそうなのです。それが、いわゆる陥没事故やそんなものを起こすから、鉱山保安法、もちろん鉱害の問題やらいろいろありますけれども、そういった陥没事故が起こることを想定して、ちゃんとそれをフォローできるように炭鉱などではできているということにお伺いしております。しかし、この採石については、掘削方法についてそういう坑道によって行うということがごく最近指導がなされておるのでありまして、それ以前は、まるで法ができましてから二十年ほどはほとんど関与していないという実態もこれあるわけでありまして、そこらが大変な問題になるわけであります。  そこで、私は、今度の事故は単なる事故ではなしに、災害的な要素を持っておるという建前から、これを災害防止という観点と、災害を復旧するという観点で扱うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。     〔委員長退席、木村(守)委員長代理着席〕
  127. 高原弘栄

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  今、先生最初の段で御指摘ございましたように、地下資源の開発につきましては、災害防止について、採石法の体系と鉱山保安法の体系がございます。  鉱山保安法の場合について申し上げますと、鉱業法という法律に基づきまして鉱業権を、これは国が与えるわけでございますが、与えたものについて、その後の保安、安全等について非常に細かく規定しておりまして、それに基づいて採掘し、安全を確保していくという体系になっておりますけれども、採石法については、民法上の私権の問題でありまして、体系が非常に違っていたわけでございます。  しかしながら、今御指摘ございましたように、四十六年に採石法を抜本的に強化いたしまして、これまでの届け出から認可制になったわけでございます。こうした中で、その安全性等につきましての厳しいチェックをするようになっております。  鉱山保安法の適用はどうかというような趣旨のお話もあったかと思いますけれども、私どもは、現在では、この採石法の現在の仕組みをしっかり実施することによって所期の目的が達成できるのではないか、また、そのために我々も最善の努力をしたいと考えております。
  128. 貴志八郎

    ○貴志委員 現行の採石法では、これからのことは考えられるけれども、今までのことはどうにもならぬということははっきりしていると思うのです。  そこで、建設省関係に質問したいのでありますけれども、実はこの事故が起こってから、県が中心となりまして、ボーリング調査など掘削坑道跡がどういうふうになっているかという調査をいろいろとされました。その中で特徴的な問題を申し上げますと、まず河川、恐らく河床の下に幾つかの空洞、掘削跡がある。これは、姿川という一級河川の河床の下に、ボーリングを九カ所やって四カ所も大きな空洞があるということが既にはっきりした。あるいは、一般県道の直下にも、これは八カ所のうち、たしか四カ所あったはずであります。  そうなってまいりますと、例えば道路に重量運搬車両が走る。折あしくマグニチュード七の地震が起こった。私は、災害の材料にはなっていかないだろうかということを心配します。あるいは、出水時に姿川に水が満々とたたえられ、折あしく地震が起こった。果たして、その河床の、あるいはその河床付近の坑道の崩壊ということがないだろうかということを真剣に心配をしなければならぬ。もう既に空洞があることがわかっていて、建設省がその一級河川、道路に何らの手当てを行わなかったということになってまいりますと、それは大問題になっていくだろうと私は心配をするのでありますけれども、御当局の方では一体どのようにお考えになっているか、ぜひお伺いをしたいものであります。
  129. 近藤徹

    ○近藤政府委員 陥没箇所の近くに一級河川姿川というのがございますが、これは県が管理しております。  現在、県ではボーリングその他による調査をしておりまして、今後また空洞の広がり、地質の強度試験等土木研究所の専門家等の協力を得ながら進めているということでございますので、これらの結論を得られ次第、またその対応等についても県の方の方針を見守ってまいりたいと考えております。
  130. 貴志八郎

    ○貴志委員 今の御回答でございますと、さっきの通産省のお答えもそうでありますが、どうも県が県がというふうなお答えであります。現地へ行ってまいりますと、県の方はややへっぴり腰のような感じで聞いてまいりました。当該市の方は大変心配をしておる、そういうふうな構図になっておるのであります。  こういう国土の問題でありまして、河川なり道路なりというふうなものは、仮に県道であれ県の管理の河川であれ、基本的に保安上の問題、安全上の問題の基準というふうなことになってまいりますと、県だけにそれを任すというわけにはいかぬのじゃないか。その辺を建設省としても関与して調査を早期に完了させる。今の調査、実を言うと完了したのと違うのですよ。わずかにボーリングは点の調査をやっただけなんです。この点の調査をやって、まだ全体が把握されてない。もっと詳しく調べていくと、もっと網の目のように河床に穴があいているかもわからぬ。それを早く調べるために、建設省も黙って手をこまねいていないで、そういうことについては積極的に指導したりあるいは調査の費用を負担したりしながら、地域の人、それから通過する人々を含めての安全といったことについて配慮をすべきであると考えますが、いかがでありますか。
  131. 三谷浩

    ○三谷政府委員 県管理であります道路とか河川につきましてボーリングをやりました結果、数字等はもう少し正確に申し上げなければいけませんが、要は、そこについての調査を早く国も協力してやったらどうだ、こういう御質問だと思います。  道路について申し上げますと、私ども道路関係しておりますのは一般県道の大谷観音線でございます。ここに空洞が幾つか存在をいたします。現在道路には異常は認められませんが、もちろん道路の管理上の問題もございますので、道路沿いの大谷石層に地震計を設けまして、大谷石にもし仮に何か変位があれば感知するようにして、もちろんその場合は通行どめなどの安全対策をとらなければいかぬと思っております。  それから、今調査を県がやっておるわけでございますが、安全性を確認しないと対策もその後出てこないわけでございますが、その調査をしております空洞の広がりの問題、あるいは地質の強度試験、こういうものもございます。これについての建設省としての技術的な協力、例えば土木研究所の専門家を協力させて早急に結論が出るよう協力をしてまいる所存でございます。
  132. 貴志八郎

    ○貴志委員 最後に、建設大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  まず、この大谷石は千年の歴史を持つ伝統的産業でありますが、今度の事故を通してその将来が大変危惧をされるわけであります。  それから問題点としては、この大谷地域は観光の地域でもあったそうでありまして、年間何十万人かの修学旅行生などの観光もあったと聞いております。これが事故以来ゼロということになっておるそうであります。  そこで、この大谷地域のイメージを回復するためにはやはり安全を確保させなければならない。安全確保は何かというと、我々素人考えでは埋め戻しだ。要するに古い坑道もちゃんと埋めてしまって、後もう陥没が起こらないようにする、そういうことや、そのためにはまず全体を把握しなければならぬという調査があるでしょう。そういった問題の中で、被害者が昨日訴訟を起こしたということであります。一日も早くこの地域の安全宣言をできるように各省庁の力を合わせて努力を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  133. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほど道路局長がお答えいたしましたように、それぞれ管理をしておる責任者が今真剣に調査をしておるということでございますから、その調査状況を見ながら判断をしていかなければならないというふうに考えております。
  134. 貴志八郎

    ○貴志委員 終わります。
  135. 木村守男

    ○木村(守)委員長代理 長田武士君。
  136. 長田武士

    ○長田委員 まず最初に、国有低・未利用地の活用問題についてお尋ねをしたいと考えております。  建設白書によりますと、昭和六十三年の新設住宅着工戸数は百六十六万戸、史上第四位との数字を記録をいたしております。その内訳を見てまいりますと、公営、公団合計で五万九千戸、全体の三・六%、これにとどまっております。住宅金融公庫からの借り入れ住宅もあるとはいいますけれども、この数字はいかにも我が国住宅政策が民間に依存の体質から依然として脱出してない、こういう数字が物語っておる、私はこのように考えております。事実、政策の中身は促進策あるいは逆に規制策、ともに民間住宅、住居にかかわる事項がいかに多種多様にわたっておるか、御承知のとおりであります。  そこで考えることは、今後も民間の住宅供給に依存する体質で果たして住宅問題は解決するのかどうか、この点、私は大きな焦点であろうと思います。つまり国としてこれ以上の講じる手だてというものは果たしてないのだろうかということでございます。加えて、何をもってか国有の遊休あるいは低・未利用地を有効利用して宅地の供給をできないものかというような国民の素朴な考えもございます。  以上の観点から何点かにわたり質問をいたすわけでありますけれども、特に大都市圏における宅地はもう限界に達しておる、そういう状況であろうと思います。  建設白書の「大都市住宅問題への対応」の中で、「公的主体による良質な住宅供給を推進する」こううたわれております。また、宅地政策に関しましては、「今後、積極的かつ総合的な宅地供給対策を一層強力に推進し、計画的宅地開発の推進及び土地の有効利用の促進を図ることが必要である。」このようにもうたわれておるわけであります。この内容は、そのほとんどが制度面でのバックアップを中心といたしました施策でございまして、国有地の有効利用にかかわる方途といいますか具体例、その方策というものは示されておりません。  そこで、まず、大都市圏における国有の遊休、低・未利用地の実態について、大蔵省にお尋ねをいたします。
  137. 中山恭子

    中山説明員 大蔵省所管の一般会計、特特会計合わせまして、普通財産のうちの未利用地でございますが、一千平米以上、一億円以上のものになりますが、大都市地域、首都圏、いわゆる整備法で指定しております首都圏で約六百ヘクタールございます。それから、同じく整備法で指定しております近畿圏に約十ヘクタール、同じく中部圏に約二十ヘクタールございます。これらの大部分のものにつきましては、既に取り扱い方針が決まっておりますものですとか、現在検討中のものが大半を占めております。  国有地は、国民共有の貴重な財産でございますので、これらの未利用地については、公用、公共用優先の原則のもとに適正な管理処分に努めてまいります。それから、個々の未利用地の周囲の環境等広く考慮に入れて、都市機能の改善等に資するような利用を図ってまいりたいと存じております。
  138. 長田武士

    ○長田委員 大蔵省の国有財産中央審議会が本日十時に大蔵大臣に答申を提出いたしました。ニュースで先ほどやっておりました。  これによりますと、今回の答申は、これまで国有地の売却益を財源の一部に充てようという大蔵省政策を七年半ぶりに大きく転換をいたしております。特に大都市での国有地の有効利用に主眼を置きました答申のようであります。どうしてこのような政策転換を図ろうとしたのか。私はおよそ見当はついておりますけれども、具体的にお答えをいただければ……。
  139. 中山恭子

    中山説明員 最近、都市部において土地の有効な活用に対する社会的要請が高まっております。特に国有地は、国民共有の貴重な資産であるということから、このような要請にこたえて有効な活用を図っていくことが従来にも増して必要となっております。また一方、都市部の未利用国有地は、これまで積極的に処分しました結果著しく減少しておりまして、大変残り少なくなっております。  このような情勢を踏まえまして、これまでの大量の未利用国有地の存在を前提として処分の促進を図りました昭和五十八年の答申の基本方針を今後とも続けていくことは適当でないということで、これを見直しまして、今後は長期的視点に立って公用、公共用の原則をさらに徹底させ、未利用国有地の実情に即した適切な管理処分を行うこととされたものでございます。
  140. 長田武士

    ○長田委員 答申の内容を私ずっと見たのでありますけれども、特筆すべき点に国有地の土地信託方式の公共施設建設が挙げられております。  具体的には、一昨日、関東財務局長の諮問機関でありますところの関東地方審議会の席上了承されました港区三田にあります低層郵便局を八、九階建ての高層ビルに建てかえる、一、二階部分を郵便局に、残りをオフィス、住宅用地に活用しよう、そういう内容になっております。国有地に官民同居ビルを建てる今回の初の試みは、大都市住宅問題を解決する切り札として私は大変注目される、このように考えております。  また、きょう昼間のテレビでやっておりましたけれども、これは厚生省でありますけれども、国立医療施設用地活用検討会、この中間報告が提出をされました。これは国立王子病院の、立川病院に移りますから、移転後の跡地をケーススタディーといたしまして検討いたしたものであります。それによりますと、土地信託の方式をもちまして医療機関充実であるとかあるいは老人ホームをつくるとかいろいろな老後施設等を中心といたしまして公共施設をつくりたい、こういう方式のようであります。  そういう点を考えますと、私は、こういうタイプの建物をどんどんふやしていったらどうだろうかという提案でございます。今後、各省庁によりまして土地信託方式というものがどんどん推進されるのではないか、このように考えております。これに対しまして大蔵省は積極的に受け入れる考えがあるのかどうか、その点はどうなんでしょうか。
  141. 鈴木一元

    鈴木説明員 先生おっしゃるとおり信託を使った国有地の有効活用というのは、基本的には私ども今後とも進めていきたいと存じております。  御存じのとおり、現在土地問題、特に地価が高いということで、現実に大都市圏では私どもが一般に処分をするときに入札は今差し控えているわけでございまして、そういう地価の顕在化というのを防ぐ意味からいっても信託というのは非常に意味があると存じております。  ただ、信託にはそういういい点と、そうはいっても、またもう一つ実際に今後国が直接その土地を使いたいというような行政需要があったときに、たまたまそれが住居になっていたりあるいはほかのものになっていた場合に、いわゆる借家権が生じたりしますものですから、そこら辺の見通しというのもしっかりしなければいけないと存じております。ですから、いずれにしろ、そういったいい点、悪い点を比較しながら、それで適切なものがありましたら今後とも信託は進めていきたいというふうに存じております。
  142. 長田武士

    ○長田委員 いずれにいたしましても、今回の国有財産中央審議会の示しましたこの答申は、建設省国土庁が推進しておりますところの住宅宅地の供給対策と今後非常にかかわり合いが出てくるわけですね。この点、国土庁それから建設省、前向きに推進をされますか。
  143. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 大都市地域における国有地につきましては、先生御承知のとおり政府でも土地対策関係閣僚会議等におきまして昨年末、その使用状況を今年度中に点検いたしまして、その状況によりまして土地再開発の用地あるいは公的な住宅プロジェクトの用地として積極的に有効利用を図っていこうということにしております。現在大蔵省その他関係省庁でも実施しております。  現実の事業については、いろいろな利用の仕方があると思います。先生指摘のそういう信託方式の活用等も地価を顕在化させないような一つの方法であろうかと思いますし、そういうことで積極的に私ども関係省庁等とも相談してフォローアップに努めたい、そういうふうに思っております。
  144. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 地方公共団体が建設します公営住宅あるいは公社住宅、それから住宅都市整備公団が建設します公団住宅等におきまして、今までもできるだけ国有地の低・未利用地を、公共団体の方にお話があるわけでございますが、そういう機会をできるだけとらえまして、住宅の立地として適正なものにつきましては大蔵省、担当の財務局になりますけれども、そういうところに話を持ち込みまして、積極的に利用するという態度で協議をしてきたところでございます。  今現在でも、東京都内の新宿百人町の建築研究所跡地とか、横浜市の公務員住宅跡地とか、江東区の林野庁の東京営林署等につきましては、今プロジェクトが動いておるところでございます。  今後の問題でございますが、国土庁の答弁のように、今現在国有地につきまして点検中でございますので、この点検を待ちまして、その結果を踏まえ、関係機関に対しまして住宅用途への積極的な活用を要請してまいりたいと考えております。
  145. 長田武士

    ○長田委員 それでは建設省にお伺いしたいのでありますけれども、先ほど大蔵省がお示しになりました低・未利用地、三大都市圏でも膨大な敷地でございます。そのような土地に対しまして、建設省として国有地の中で住宅建設にふさわしいと思われる土地はどの程度あるのでしょうか、あるいは具体的に大蔵省と折衝しているのでしょうか、この点についてお尋ねします。
  146. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど大蔵省の方からお話しになりました大蔵省が所管しております普通財産あるいは特特会計の土地というのは、先ほど御説明ございましたようにその使い方なんかが既に大体決まっておるものがほとんどでございます。私どもは、今後出てまいりますものの方を大いに期待をしておりまして、これは出てきた段階でその土地の立地状況を見ながら積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。
  147. 長田武士

    ○長田委員 建設大臣、このような低・未利用地が相当膨大にあるわけですから、大蔵省がもうこれはこういうふうに使うんだということじゃなくて、土地住宅対策の上からも、大蔵省と総合的に具体的に折衝して、こうすべきだ、ああすべきだということを具体的に提示して、そして要求を通すというぐらいの積極性が必要じゃないでしょうか。その点どうでしょうか。もう既に決まっちゃっているからこの次にというような感じでは、ちょっと住宅手当て、住宅土地対策には間に合わない、そう思いますが、どうでしょうか。
  148. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先日衆議院で議決をしていただきました、今回提出の低・未利用地等の宅地化を促進する法律の趣旨にのっとりまして、これは民間のみならず国公有地についてもこの方向でぜひ努力すべきであるということは私ども申し上げておりますので、今後積極的にいろいろと協議を続けていかなければならないと考えております。
  149. 長田武士

    ○長田委員 大蔵省ばかりではないのです、各省庁にまたがりますから。そういう点、縦割り行政のために横の連絡が省庁はどうも苦手のようであります。そういう点で、もうちょっと連携を密にして、国土庁が中心となり、そして協議機関を設けて具体的に推進する方向というのはできないのでしょうか。
  150. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は昨年暮れに、先生が御存じのように土地基本法ができました。それからまた、それを踏まえまして土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後やるべき重点事項を十項目決めたということでございまして、国土庁が中心になりまして調整を図っております。  今の国有地の問題につきましては、実は首都圏で六万三千ヘクタールぐらいございます。そのうちには国公有地、それから法人の低・未利用地、農地等がございますが、その中で国公有地は特に模範となるべきであるということで、土地局長が答えましたけれども、現在国公有地の総点検をしてもらっております。そんなことでございまして、この結果によりましては、土地対策関係閣僚会議にかけましていろいろお願いしたい、このように考えております。
  151. 長田武士

    ○長田委員 どうかひとつ国土庁が中心になられまして、その協議機関というのは何か不定期で会合を持っているようですけれども、土地対策関係閣僚会議ばかりではなくて、省庁の実務者が具体的に討議し合う、協議をするという機会をどうかひとつ頻繁に持っていただいて、協議をしていただきたいと思っております。  次に、四全総での報告を受けまして、特に首都圏の一極集中を排除すべく、国土庁が中心で、去年の八月だったでしょうか、国の機関移転推進連絡会議、この移転対象の行政施設を発表いたしました。こうした移転候補地になっている土地も宅地として大いに期待できるのではないか、このように私は考えておりますが、その移転先の推捗状況はどうなっておるのか、またこれらの土地を移転後どのように利用されるのか、この点はいかがでしょうか。
  152. 三木克彦

    ○三木政府委員 国の行政機関移転につきましては、昨年八月に移転対象機関七十九機関、十一部隊等の移転先地等を取りまとめたところでございます。  この推進につきましては、三月二十三日に開催されました土地対策関係閣僚会議におきまして、国土庁長官が土地対策担当大臣として各大臣に対しまして、おおむね五年以内を目標に具体化し、かつ完了するようにという要請をいたしたところでございます。既に税関研修所及び宇宙科学研究所の二機関につきましては移転を行っておりますし、東京外国語大学など十三機関、十一部隊等についても、移転の具体的な措置が講ぜられているところでございます。ただいまお話のございました国の機関移転推進連絡会議を開催いたしまして、各省庁と相談をして移転の具体化に向けて条件整備を図っているところでございます。  移転跡地についてでございますけれども、この移転跡地を総計いたしますと、賃借などを除きまして、跡地として利用ができると思われる用地を合わせまして約三十六ヘクタールございます。跡地利用の考え方につきましては、六十三年七月の閣議決定におきまして、「財源としての活用を図りつつ、移転の趣旨を踏まえ極力公共・公益的利用を図る等適切な利用・処分を行うものとする。」というふうに決められております。また、平成元年八月の先ほど申し上げました移転先地の取りまとめにおきましても同様の趣旨の確認を行っているところでございます。  跡地の利用に関しましては主務官庁は大蔵省でございますが、関係省庁とも協議をいたしまして、移転の趣旨に沿った利用が図られるように国土庁としても努力をしてまいりたいと考えております。
  153. 長田武士

    ○長田委員 そうしますと、このような国公有地を移転をする、それで跡地の利用については今お話がございましたとおりいろいろ方法があると思いますけれども、具体的に移転する目的は何だったんでしょうか。
  154. 三木克彦

    ○三木政府委員 東京一極集中を是正し、地方への分散を図るという考え方が基本にございます。そのための一つの有力な手法として国の行政機関等を東京都の二十三区の区部にあるものを外へ移転をする、こういうことによりまして分散促進を図ろうとするものでございます。
  155. 長田武士

    ○長田委員 移転先をずっと調べてみますと、その中でいわゆる首都圏が非常に多いのですよね。そういう意味で首都圏の問題解決にはなり得ない、そういう感じを私は受けますが、どうでしょうか。
  156. 三木克彦

    ○三木政府委員 七十九機関十一部隊のうちには関東ブロックを主管いたします機関が二十一機関ございます。これにつきましては、当然のことでございますが、移転をします場合でも管内にとどまらざるを得ないということでございまして、大宮、立川、こういったところへ移転をするということに決めてございます。  その他の機関につきましては、御指摘のように全国にわたって移転をすべきであるというのが一番いい方向かと存じますが、残念ながら関東地域以外に出ましたのは四機関ということでございます。しかし、まだ別表第一、第二の機関についての決定でございまして、その他今後検討することになっております機関がございます。こういったものにつきましても引き続き検討するということでございますので、分散の趣旨が生かされるような方法で移転を将来にわたって検討していく、こういうふうに考えてございます。
  157. 長田武士

    ○長田委員 長官は土地問題の専門家ですけれども、そういう移転先については御異論ございませんか。立川へ移るとかあるいは千葉県に移るとか埼玉県に移るとか、浦和に移るのもあるんですよね。そういうようないわゆる東京近郊、首都圏としてとらえている、その問題をさらに悪化させる状況になるような感じが私はするんですよね。そうなってくると、首都圏の移転という点については何となく基本的に問題が解決しないという感じがしますけれども、長官はそういうことを御相談にあずかっているのですか。
  158. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は、私が国土庁長官になりましたときにこれは既に決まっておったわけでございまして、私それを聞きましたところ、一つ問題がありましたのは、期間がはっきりしてなかった、七十九機関十一部隊の地方移転は決まっておりましたけれども、期間が決まってなかったということで、いろいろ議論があったのですが、おおむね五年以内に完了するという方針を決めたわけでございます。  そんなことで今進めておるわけですが、実は私、今度の地方移転の問題につきまして解決すべき問題が前提に二つあると思うのです。  まず、住まいと教育です。これを解決しなければなかなか難しい、正直こう思います。したがって、関東地域にしか行けないという理由もわかるのです。例えばお互いに子供を持っている場合に、率直に言いますと、ちょうど子供が中学、高校のころだと思います。それが移転する場合、まず子供の教育をどうするかという問題です。それからもう一つは住まい。正直言いますと、これもやはり例えば地方移転する場合、住まいは確保します、退職金ぐらいで確保できるようにしてやらなくちゃなかなか行きにくいと思います。  そんなことでございまして、いろいろな議論がございますが、私は、首都機能移転等を踏まえた場合に、住まいと教育をどう解決するか、こういう問題を解決しないとなかなか前進しない、このように考えております。
  159. 長田武士

    ○長田委員 長官、それじゃ後ろ向きじゃないのですか。教育問題と住宅問題が解決しなかったら移転できませんよということならば、初めからこれは画餅じゃありませんか。
  160. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今私が申し上げましたのは、そういう方向で努力しないとなかなか難しい。だから現実に、先生も御高承のとおり、形の話はできますが、本当、本音の話をしますと、そこら辺を片づけないと進まないということを申し上げたわけでございまして、その点特に御理解願いたいと思うわけでございます。  したがって、そのうちの一つ、ちょっと時間をいただければ、国会移転というのが問題になっています。やはり国会が範を示す、まず国会移転する、その場合には住まいと教育をどう解決するか考えないとこれもなかなか難しいわけですが、そんな国会移転等を踏まえて政治的配慮が特に必要、そういう形の中にそういう配慮も必要ではないかということを申し上げたわけでございます。よろしくお願いします。
  161. 長田武士

    ○長田委員 私たちは、一極集中を排除する、一極集中がやはり土地の高騰、暴騰を生んだ大きな要因だと思っているのです。それを何とか排除するというのが我々国会議員の任務なんですよ。それを長官がどうも後ろ向きだと私たちは非常にやりにくいですよね。  そういう点で、どうかひとつ国土庁長官はそういう面での先見性を持っていただいて、思い切ってあなたが新しい提言をするようなそういう立場で施策推進していってください。条件としてはいろいろあります。教育問題もあれば住宅問題もある。そういういろいろな問題をハードルを乗り越えてやろうというのが今回の移転じゃないのですか、そうでしょう。
  162. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  御理解願いたいのですが、私は本当の姿を話したわけです。格好では幾らでもできますけれども、それは本当の解決にならぬわけです。そんなことでございまして、実は私は、この問題はもう国会議員全員の大きな命題だと思っておりまして、逆にそういう本音を話して先生の御理解と御協力をいただく、こう思っておるわけでございますから、よろしくお願いします。
  163. 長田武士

    ○長田委員 去年八月に決定をいたしました移転施設、今申し上げましたとおりですね。そのほかにも国有地内で地方移転できる施設というのはたくさんあるだろうというふうに私は考えております。例えば国立大学が挙げられるわけですね。  私も、文京区の本郷にいました関係で、東京大学があります。これは百二十九ヘクタールありまして、広大なキャンパスを有しております。私はあの学校へ行ってみまして、必ずしも文京区でなくてはならない、あるいは都心でなくてはならない、そういう状況じゃないだろう、都心の雑踏から離れまして、よりよい環境の中で勉学にいそしむということも学生の皆さん方は喜ばれるではないかというふうに感じております。  そういうことでございまして、この国立大学等についての移転というものをもっと真剣に国が考えたらどうなんでしょうか。地方へ行きますと、アルバイト先とか問題は多々ありますけれども住宅の手当てさえきちっとできれば十分対応できるのではないか。緑のある、すばらしい環境で、静かなところで勉強するというのは、長官、これはすごいですよ。そういう点では、こういう問題を徹底的に、長官、やったらどうでしょうか。
  164. 三木克彦

    ○三木政府委員 国の行政機関等の移転は、今お話しのように分散に大きな役割を果たすということでございますし、大学が非常に大きな敷地を持っておりますので非常に効果的であるということにつきましては御指摘のとおりでございます。  現在、東京都内に国立大学が十二ございます。そのうち八つが二十三区内にあるということでございますが、この中では今回は東京外国語大学が二十三区内から二十三区外に出るというふうなことでございます。また、筑波研究学園都市につきましては、東京教育大学が筑波大学と改組いたしまして、先ほどお話しのように緑に恵まれた環境のところへ出たというふうなこともございまして、国立大学の移転につきましては積極的に推進すべき事柄であろうというふうに考えておるわけでございます。  昭和六十三年七月の閣議決定におきましても、国立大学等につきまして、「高等教育機関地域的な配置の在り方、教育・研究環境の整備等の観点から」文部省におきまして別途に問題を検討するということになっております。必要に応じまして先ほどお話しの推進会議にも報告されておるわけでございまして、国土庁といたしましても文部省と密接な連携を持ちまして、この問題の前進に当たりたいと考えております。
  165. 長田武士

    ○長田委員 どうかひとつ進めていただきたいと思っております。  私が調べたところでは、東京二十三区に所在する国立大学の、先ほどの東京大学を初めといたしまして、東京医科歯科大学、東京外語大学、東京芸術大学、東京学芸大学、東京工業大学、東京商船大学、東京水産大学、お茶の水女子大、一橋大学、これらを合わせますと敷地面積は二百六十九・八ヘクタールあります。もちろん、これらの大学すべて私は移転可能だというふうに考えておりません。おりませんけれども、大学を適当な地方分散することを私はぜひ前向きに検討すべきだ。それはひいては地方活性化にも大きく役立つわけですね。  そういう意味で、むしろ地方を頭脳拠点にすべきだというふうに私は考えておりまして、私立大学なんかそういう点では非常に思い切った施策を講じておるわけですね。ただ、国立大学のみが何となく後ろ向きということであったのでは、先ほど長官も言いましたけれども、国がこれまでやっておるんだから民間もというような、長官のおっしゃっていることと逆なんですよね。そういう点は、長官、この国立大学の移転にもその先頭に立つ勇気はおありでしょうか。
  166. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  今、三木局長が答えたとおりでございまして、文部省と連絡をとりながら大いに推進したい、このように考えております。
  167. 長田武士

    ○長田委員 移転問題に関連しまして、先ほど長官がちょっと申しておりましたけれども、現在超党派の国会議員でつくっております新首都問題懇談会、私もその一員でございますが、国会の地方移転促進の国会決議をやろうということで、現在各党で検討中でございます。  確かに、政府機関地方移転を進めている国が率先して範を示すということが私は重要である、このように考えております。しかし、関係省庁移転はどうなるのか等々の問題がございまして、簡単なものではないということはよく承知をいたしております。これにつきまして、国会決議は恐らく次の国会になると思いますけれども、国会議員、皆さん前向きのようでございます。それに対して長官、それから建設大臣、御意見がございますれば。
  168. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  大変うれしい話でございまして、実は超党派の議員により、先生もその一員と聞いておりますが、新首都問題懇談会において昭和五十年より自由で活発な議論がなされていると承知しております。  国権の最高機関であります国会の移転については、同懇談会などの場での議論国土庁としても注目しておるところでございますが、国土庁としては第四次全国総合開発計画を踏まえまして、議論の具体化を図る第一歩として、本年一月から国土庁に首都機能移転問題に関する懇談会を現在まで二回開催し、国土政策の観点からの首都機能移転問題について幅広い分野の方々に議論を願っておりますが、先ほどちょっと申し上げましたように、私はやはり土地問題を含めましても二つの点が大切だと思います。  一つは政治的配慮、もう一つ政策的配慮。その政策的配慮の中に税制、宅地供給をどうするかというような問題が全部入っておりますが、政治的配慮は国会移転とかそういうものだと思っています。五十八年の一月に国土庁が首都機能移転に関する調査をしました。遷都、分都、展都とございまして、展都は幅広い展都、狭い展都。狭い展都の基本は国会移転でございます。  そんなことでございまして、やはりひとつ心理的な影響としましても、国会が範を示すという意味におきまして、ぜひそういう決議をお願いしたい。そうすると土地も安定するし、地価も安くなると思います。ぜひよろしくお願いします。
  169. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま国土庁長官からもお話のあったところでございますが、国会の移転ということは大問題でございますが、もし実現すれば多極分散型の国土づくりに非常に大きく寄与するだろうと思います。今、国会で熱心に御討議いただいておるわけでございますが、ちょうど国会開設百年ということでございまして、その機会にいろいろの議論が煮詰まっていくことを期待いたしております。
  170. 長田武士

    ○長田委員 この問題に関連をいたしまして、実は私よりも提案をしたいと考えております。現在、東京都で総力を挙げて取り組んでおります中に合築推進計画と呼ばれている計画がありますが、大臣御存じでしょうか。
  171. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 東京都の都知事が議長になっております住宅対策推進本部が平成二年四月十六日に決定をしたものでございまして、平成二年、ことしの秋を目途に計画づくりをしようということでございます。  中身は、四十六年度以前の施設、低・未利用地、更地、それから平成十二年度までに移転の構想がある施設、そういうものを総ざらいいたしまして、その上にどういうふうに住宅を建てていくかということを十年間の長期の計画を立ててやっていこうということでございます。
  172. 長田武士

    ○長田委員 長官は御存じですか、この問題、こういう新しい推進をしているという合築。
  173. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  私は、きょう初めて聞いたわけでして……。
  174. 長田武士

    ○長田委員 建設大臣は……。
  175. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 東京都でこういうことが推進本部をつくって決定をされたということは聞いております。
  176. 長田武士

    ○長田委員 余り細かい御説明は私は避けたいとは思いますけれども、簡潔に申し上げますと、東京都の公共施設上に公営住宅を建てようということなんですね。  御承知のとおり、東京都は新規の住宅用地の取得が非常に困難である、また非常に高いものですから、家賃にはね返ってしまう。そういうような現状にかんがみまして、特に二十三区部では一千平米以上、それから都市部においては三千平米以上かつ六メートル以上の公道を有しておるというところ、そのところに施設をつくろうというのが一つのねらいでございます。そして、先ほど大蔵省が土地信託方式による低層施設の高度利用を開始しようというお話をいただきましたけれども、私は大都市住宅供給の手段といたしまして、東京都のこのような施策というものは非常に参考になるのではないかというふうに考えております。  そこで、建設省にもぜひこういうような新しいユニークなものを研究をしていただきたい、このように考えております。ひとつ建設大臣、こういう新しい施策というものを建設省もお考えになったらどうなんでしょうか。
  177. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 東京都の方においても基本方針だけが今決まったということでございまして、これからどういうふうに煮詰めていかれるのか今見守っておりますが、建設省としても非常に興味深く見守っております。
  178. 長田武士

    ○長田委員 ぜひひとつ前向きに御検討いただきたいと考えております。  このように各自治体も現在住宅が不足をいたしておりまして、どうやって解決しようかということが大変大きな課題でございます。そういう意味で、私も各自治体にお邪魔をすることがたびたびございまして、住宅政策担当者といろいろ懇談する機会がございます。そういう中で、とにかく私たちは国の法律でがんじがらめです、公営住宅の建設あるいは都市計画等々の一から十まで建設省の御意見伺いながら進めています、もっと自治体に裁量権を移譲してもらいたい、そういう声が非常に多いということもまた事実なんです。そういう点で私は、程度の差こそあれ、各自治体の住宅担当者、推進をされて苦労されておるそういう方々は大体このようなお考えでいらっしゃるんじゃないかというふうに考えております。  そういう点で私は、建設省にいたしましても国土庁にいたしましても、そういう問題については思い切って地方にゆだねる、地方自治体に裁量権を与えるということの方がもっとユニークな発想で都市づくりができるんじゃないかというようなことを考えますが、この点、長官、大臣、いかがでしょうか。
  179. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 現行の都市計画の体系は、基本的にはそういう枠組みに立っておりまして、都市計画町づくりの基本的な方向を定めるものでございますので、その決定に当たりましては地方公共団体の立場が十分に尊重されるという思想に立っております。  具体的に申しますと、広域的、根幹的なものは都道府県知事が、そしてその他のものは市町村が決定することといたしております。そのうち、知事が定める都市計画のうち、国道等、国の利害に重大なかかわりのあるものに限って建設大臣が認可するという仕組みにいたしております。具体的なその範囲につきましては、経済社会情勢の変化に応じて適宜見直しすることをこれまでもやってきましたし、これからもございますけれども、基本的には現在の枠組みで進めてまいりたいと考えているところでございます。  なお、公営住宅の建設でございますけれども地方公共団体、国に対して公営住宅法の規定に基づきまして建設費の補助、それから建てかえ事業等を行うための必要最低限の手続ということで実施しているところでございます。
  180. 長田武士

    ○長田委員 建設大臣にぜひお伺いしたいのですけれども、私の地域にも都営住宅がたくさんございます。象徴的なものは光が丘団地一万二千戸であります。これは公団公社も入っておりますけれども、そういう団地群をたくさん私は目の当たりにしております。  そういう中にありまして建設業界の皆さん方がよく言いますことは、東京都のいわゆる都営住宅の設計というのは、この二十年間全然変わってないというのですね。もう古い工法で、とてもじゃないけれども新しい建築技術をもってして何でこんなことやっているのだろうというようなそういう疑問がほうふつとしてわいてきます、何でこういう住宅を建てなければならないのか建設業界の 皆さんが疑問を持っているのです。非常に古い形の住宅を現時代に建てようという、そういう時代錯誤というのは相当あるようです。  何と言いましても、日本住宅というのは余りにも粗末である、ウサギ小屋である、随分批判をされております。そういう意味で、私は国の政策としてあるいは公共施設として、もっともっと良質な住宅に大きく転換をするというようなそういう時代に入ったのではないか。二十年前の設計図でそのまままた住宅を建てる、こういうことがいいのでしょうか。
  181. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今のお話は、私としてもそういうことはないと断言します。  と申しますのは、私の知っている限りでも、例えば埼玉県では非常に斬新な……(長田委員「いや、東京都の話」と呼ぶ)東京都も最近は高層住宅面では、江戸川区の新しい住宅では最新の技術を取り入れたものをしております。今までは確かに東京都の場合には公営住宅を建てる必要が非常にあったものでございますから、大量生産という形から従来のかまぼこ形のものが多かったかとも思いますけれども、ごく最近の超高層にはそういうものはございません。  それから地方に行きますと、ホープ計画と申しまして、それぞれの地域の事情、地元の産業に適合した木造住宅あるいは地元の産業のかわらを使ったり、れんがを使ったり、そういったものを使った新しい斬新な公営住宅がたくさん建っておりますので、ぜひごらんいただきたいと存じます。
  182. 長田武士

    ○長田委員 それから公営住宅にエレベーターがないのですね、エレベーターが。私のよく行きます上石神井団地、大きな団地群であります。四階建て、そういう住宅がほとんどでありますけれども、非常にお年寄りが多くなっております。何でお年寄りが多いかといいますと、所得制限で引っかかっております。そういう意味で、所得制限の問題これあり、お年寄りが大勢いらっしゃる、そういう団地群にエレベーターがない。そういうようなことで、やむを得ず一日じゅううちにこもるというケースが非常に多うございます。  そういう意味で私は、公営住宅基準、それについては少なくともエレベーターぐらいは設置してあげるというようなこと、それから、これから家賃も多少高くなる傾向がございますから、もちろん収入基準引き上げとかそういう問題についても私は手をつけるべきである、このように考えますが、どうでしょうか。     〔木村(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今エレベーターのお話が出ましたが、公営住宅建設基準に基づきまして、六階以上の高層住宅は設置が義務づけられております。それから中層の公営住宅につきましても六十三年度、ごく最近でございますけれども、やっと予算で認められまして、老人同居向け、老人対策のための公営住宅あるいは心身障害者世帯向け公営住宅を含む五階建てのものに対しまして、初めてエレベーターの設置に対する工事費の増額ということが認められております。  公共団体によりましては、先生の御指摘のとおり個別に検討に入っておりまして、一般的に五階建ての中層住宅にエレベーターを設置するという公共団体がふえております。建設省としましては、今後中層住宅についてのエレベーターの設置のあり方等につきまして十分公共団体とも打ち合わせをし、検討してまいりたいと考えております。
  184. 長田武士

    ○長田委員 どうかひとつこの点も、余りかたくななことをおっしゃらずに、国民生活の中で最も住宅が大切でありますし、これからゆとり宣言をしようなんということを言っておるわけでありますから、幾ら決議をいたしましても、我々の生活がゆとりが持てないようであったのでは、国会決議も何にもならないと私は思っているのです。  公営住宅に住んでいる皆さんは、中へ入ってみますと非常にもう油煙で汚れておりまして、ウサギ小屋ではないのですよ、炭焼き小屋みたいなんです。そういうところに住んでいらっしゃる方が大勢いらっしゃる。建設大臣もあるいは長官も、そういうことはよく御存じだとは思いますけれども、実際そういう場に行きますと政治の貧困さというものを私は感じるわけであります。そういう意味で、どうかひとつ日本ウサギ小屋だとか何小屋だなんて言われないような良質な住宅の転換を、ここでこれから建てる住宅は思い切って良質なものにしよう、そのぐらいの政策がなかったならば私は依然としてその問題は解消できない、こう思っております。  この点、今後公営住宅を建てる場合においては思い切った良質なもの、本当に人間として住める、そういう住宅の供給ということが我々に課せられた大きな責任ではないかと私は思いますが、長官、大臣、どうでしょうか。
  185. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今、住宅の五カ年計画をさらに新たに策定しようという時期でございまして、居住水準の引き上げ等々も今検討いたしております。  なお、先般住宅金融公庫が四十周年を迎えました。昭和二十五年に初めて住宅金融公庫が開設されましたときには、衣食住はまさに乏しい中でとにかく何でもいいから住める家をつくろうということでスタートして今日まで一千百万戸の融資をしてきたということであります。今四十年たちまして、住宅の戸数といいますか、その点ではある程度満たされたと思いますが、これから質的転換を図る時代に来たということは私どもも深く認識をしております。
  186. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  今建設大臣が答えたとおりでございますが、その前に一つ先生にお答えしたいと思います。  先ほどの合築ですが、あれは新聞で読んだ記憶を先生説明で思い出してきました。そのときに感じたのをひとつ申し上げますと、家賃はどうなるのかと考えました。恐らく、サラリーマンの平均所得で住めるのだろうか、これを感じたことを申し上げておきます。  それから先ほどの件でございますが、実は私へリコプターで東京都内を視察しました、九公団。それからまた一つ歩いてきましたけれども先生指摘のように五階建て以下エレベーターがついていない。その場合に大切なことは、いろいろな計画がございますが、中に入っておる人の理解も得る必要があるわけです。実は居住面積をよくしていい環境をつくりたい、建て直したいといいましても、家賃が高くなるわけです、それは困ると。だから、この辺を含めて検討すべきだと思います。実は住宅整備公団十五万戸全国に持っておりますが、その旧マンションといいますか五階建て以下でエレベーターがついてないのが随分ございますが、それはむしろそういう形で入っている人の理解と協力が得られればかなりよい良質の住宅ができる、このように私は考えております。
  187. 長田武士

    ○長田委員 私は両大臣にぜひ聞いていただきたいのですけれども、やはり土地住宅問題、これにつきまして、私たちが土地を求め住宅を建設することは首都圏では恐らく夢物語、サラリーマンの皆さん方は恐らく絶望的な感じを持っていらっしゃると思う。そういう中にありまして、住宅、土地、この問題について、基本的にはやはり住宅であろう、せめて住宅問題をまずきちっと手当てすることが土地政策の基本である、このように私は考えております。  そういう中にありまして、実は公営住宅を大量に建設をいたしまして、低廉なそして良質な住宅を建設をする、そういう供給をがちっとやることによって、土地を求めようあるいはその上に建設をしよう、家を建てようなんという私たちの気持ちが、恐らくそういう気持ちが出てこないと私は思います。むしろ公営住宅の方が安い、低廉で非常に良質であるということになりますれば、だれも土地を求め、家を建てようなんという考え方がなくなりますから、そういう意味で住宅というのは、白書にも出ておりましたけれども、もう民間依存で、公共住宅なんというのは本当に微々たるものである、そういうのじゃなくて、民間依存でなくて、思い切って公営住宅を大量に建設して供給をするということになれば、それを実行すれば必ず土地は下がる、このように私は思うのでござ いますが、両大臣どうですか。
  188. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は、全国で今持ち家を持っていらっしゃる方が約六割ございます。東京で住まいを持っている人が四割ちょっとだと思います。そんなことの中に、今先生が公営、公設とおっしゃいましたけれども、本人によっては住まいを持ちたいあるいは公営住宅に住みたい、そういういろいろな希望の人があるわけでございます。  そんなことでございまして、今私の立場で考えておりますのは、本人の選択によりまして住まいを持ちたい人あるいは公営住宅に住みたい人等は、例えば年間所得の数倍程度で住まいを持てるように、それから公営住宅に住めるような形に何とか持っていきたい、こんなことで、先ほどちょっと申し上げました土地基本法をつくりましたし、土地対策関係閣僚会議もつくって、海部内閣の最重要課題として全力を挙げております。そんなことでございまして、この問題は全国会議員の問題だ、こう思っております。そんなことで前進しておりますゆえ、本当に所得の数倍で何とか本人の希望によって土地を持てるようにぜひしたい、こんなことで頑張っておりますので、何分の御理解と御後援を心からお願いする次第でございます。
  189. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先日もテレビで、ある主婦の方が、マイホームを持った方がいいのか、それとも低廉で豊かな空間のある借家に住んだ方がいいのか、マイホームを買って一生ローンに苦しむよりも生活費を豊かにした方がいいのじゃないかというようなことを計算しておる方もたくさんあるようであります。  そういう点で、この賃貸住宅というものを供給していくことは住宅政策の大きな柱だというふうに考えております。今回提出し、先日衆議院で議決していただきましたいろいろな住宅供給関連の法律、さらにこの後、生産緑地法の改正等も出させていただきたいと考えておりますが、それらの中には、新たに賃貸住宅を民間でも供給をふやしてもらいたいということも含めて願っておるわけでありますが、官民合わせて今後賃貸住宅の供給をさらに高めていくということも極めて大切な政策だというふうに考えております。
  190. 長田武士

    ○長田委員 それでは、きのう政府税調の土地税制小委員会が土地税制見直しの論点といたしまして中間とりまとめを発表いたしました。きょうこれはテレビでやっておったのですけれども、同案は法人の土地保有税の創設、含み益、大規模所有地への課税等、特に法人の土地所有に対しまして実は厳しい対応を迫る内容となっておるわけであります。土地白書同様、地価高騰の原因はやはり法人であることがさらに鮮明になったような感じが私はいたしております。  そこで長官に、この中間取りまとめ案に対するお考えと、また十月に答申が出されますね。それに対する期待といいますか、この点について何かございますれば……。
  191. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  税制につきましては、土地政策上、税は大変重要な役割を果たしておる、こう考えております。そんなことでございまして、三つの観点からお願いしてございます。  一つは土地の資産性としての有利性を減殺する、そして土地等の仮需要、投機を抑制する。それから第二番目には個人と法人の税負担の公平を図る。三番目には土地の高度利用を図る。こんな観点から実は政府税調の小委員会にお願いしてございます。そういうことでございまして、取得、保有、譲渡、各段階において積極的見直しをお願いする、こんな立場で税調にお願いしてございます。  それからまた、十月末とおっしゃいますのは恐らく土地政策審議会だと思いますが、これは実は十月末までに税を含めて土地政策の基本方針を打ち出してもらう、その方針に基づきまして平成年度に向かっていろいろな施策を展開したい、こんなように考えております。
  192. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間がなくなりましたから最後に、土地基本法が制定をされました。私は、大きなポイントというのは私権の制限というところにあるのだろうという感じがいたしております。しかし、法体系は何にもできておりませんで、精神的なものであると言われております。そこで、これから具体的に検討しなくてはならない点は以下、次のような問題であろうと私は考えております。  具体的には、土地所有権を使用権、それから収益権、さらには処分権に分類をいたしましてそれぞれ、使用権には都市計画、それから土地利用計画など利用規制を強化することが第一点ですね。第二番目の収益権では、土地の譲渡所得、それから資産税の強化、開発利益の還元、この三つかなという感じがいたしております。第三番目の処分権では、土地の収用それから自治体の先買い権など発動しやすくする内容等が考えられる、このように考えておるわけであります。  土地基本法の精神を体して、こういう具体的な法整備が必要であろう、このように考えておるのですけれども、長官の忌憚のない御意見をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  193. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 お答えいたします。  確かに、基本法の制定を踏まえまして、さらに突っ込んだ総合的な土地政策のあり方を土地政策審議会で審議開始をしていただきました。私どももその中で、基本法でも所有よりもむしろ適正な利用を推進する、あるいは投機的な取引を抑制したり適切な負担を求める、そういうふうな理念が規定されておりますので、そういう基本理念等にのっとりながら具体的な私権制限のあり方が詰められていく、そういうふうに期待しておりますが、確かにおっしゃいましたように、取引に当たりましては取引規制のあり方というものもあろうかと私は思います。所有、利用に関しましては、より合理的な土地利用計画のあり方をさらに詰めないといけないでしょうし、その負担につきましても、譲渡あるいは保有にかかる税負担のあり方、公平の確保の観点も含めまして、そういった面での詰めがさらに心要だと思われております。  そういうことで、基本理念に沿った私権制限のあり方がさらに審議会で具体的に詰められるということを私どもも期待しておるところであります。
  194. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間が参りましたので最後に一点、長官にお尋ねいたします。  大深度地下法という話が出ましてもう二、三年になります。実は私の地元で地下鉄十二号線の建設工事を進めております。本来的には来年の四月にいわゆる供用するという方針だったのですけれども地方鉄ですから道路の下ばかり通れない、やはりどうしても個人の土地の下を掘るというケースが随分あるわけですね。そういう点で、地下権をめぐりましてちょっと紛糾いたしまして一年おくれてしまう、実はそういう状況に追い込まれております。そういう点について、大深度地下法の問題について長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  195. 望月薫雄

    ○望月政府委員 御指摘のように、大深度地下利用に関する法制の整備ということで、このところずっと関係省庁でもいろいろと勉強させていただいております。今日まだ法案という成案を見ておりませんが、この問題を考えていく上でいろいろとクリアしなければならない問題点があるのも率直に言って現実でございます。  何といいましても大変に大事な、貴重な地下空間である、これは各省とも同じコンセンサスを持っておるわけでございますが、ならばその地下をどういうふうに利用するか。端的に言うとどういう分野の利用に焦点を当てて考えていくか。また同時に、計画的利用というものをしっかり担保するシステムをどうするか、こういった一つ計画部分の問題があると思います。もう一つは、今先生おっしゃっているような私権との調整問題というのは、はっきり言ってこれはかなり精緻な議論を詰めなければいかぬ面が残っております。  私どもも一昨年に、お亡くなりになりましたけれども林修三先生に座長をお願いしまして、関係の民法学者、公法学者に御努力いただきまして懇談会を持たしていただきました。その結論を申しますと、やはり所有権は大深度地下に及んでいないというような結論に短絡することはできないという一つの御見解もいただいております。ただ、通常利用しないような地下空間であることにかんがみますと、要するに無償でも使える、ここのところは一つの方向としてある。くどいようですけれども、所有権は及んでいるが、その利用は経済的利益が現実に及ばないところであるから無償で使えるという認識もできる、こういう方向づけの結論をいただきました。  そうなりますと、具体的にこの使用に当たって、所有権との権利調整手続というものが非常に重要だと思っております。特に今、先生おっしゃった十二号線というお話がございましたが、これは通常我々が概念しております大深度地下というそんな深いところでない、もっと浅い、浅深度地下といいましょうか、こういうことも考えられまして、御案内のとおり半蔵門線もそうでございますけれども、そういうところなど今までは土地収用手続によって事業を進めてきている、こういった制度との接合の問題もございます。  ともあれ、大深度地下については今申しましたような基本スタンスで私ども建設省は勉強させていただいておりますが、現在各省庁からいろいろな考え方もありまして、内政室が中心になりまして調整中でございます。建設省もできるだけ早くこの結論が出るように一生懸命その調整の中に入らしていただいているという現状でございます。
  196. 長田武士

    ○長田委員 大蔵省銀行局の皆さんにおいでいただきましたけれども、時間がなくなりましたので、次回に譲りたいと思います。  以上で終わります。
  197. 中島衛

    中島委員長 三野優美君。
  198. 三野優美

    ○三野委員 若干質問させてもらいたいと思います。  まず最初国土庁長官にお尋ねするわけでありますが、長官は、就任以前、時々私は新幹線の中でお見受けをして、非常に勉強家であるし努力家だなということをよく知っておるわけであります。自民党の中にもこんな立派な人がおるのかと思ったら、今度国土庁長官になって、おつき合いできることを非常に光栄に思っています。  さて、まず最初に長官に聞きたいのは、土地基本法に基づいて土地白書が閣議で決められた。この土地白書を斜めに読んでみたのです。いろいろな形から書かれているけれども、とにかく地価が上昇している。特に、いわば企業がかなり投機的に土地を買いあさっているという部分はお認めになっているようですね。例えば抵当権設定を見ても、大都市地方も含めまして、八五年と八九年を比べてみると二十五万件も担保がふえている、こういうことが出ているわけです。これは、恐らく東京なり大阪なり大都市の高い土地を担保にして、それで金融機関から融資を受けて、そして地方都市まで出ていって土地を買いあさっている、これがこういう形であらわれているんだろうと思うのであります。  率直に言って、私の方の四国の高松のような田舎の都市でも、もう地元の不動産業者は呼ばないと言うわけです。ほとんど京阪神から来て、ぽんぽん買うわけですね。地元業者が考えているよりも三〇%あるいは五〇%、時によるともう一〇〇%も高い価格で買う、現金をぶつけられる、こういう形が次々と起こっているわけであります。これは恐らく、だれが買ったかわからぬというように、特に都会から来る。そういうような一つの形態として、こういう都市部における土地のいわば抵当権設定というものがふえている、こういうふうに考えられると思うのです。  どうですか。この白書をおつくりになった立場からしてみて、この土地問題についてどこに問題があったとお考えになっておるんでしょうか。土地問題というのは、もちろん過去七、八年ずっと議論されてきて、ああでもない、こうでもないと言いながら政府も随分努力したんだけれども、一向に鎮静化しない。一時したかに見えても、さらにまたちょっとの時間を置けば東京は高騰した。東京で終わったのかと思ったら、地方都市まで行ってしまった。もう三大都市だけではないわけですね。どこに問題があるとお考えになってみえられましたか。これをちょっと聞いておきたいと思います。
  199. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 三野先生にお答えします。  おほめいただいて大変恐縮でございますが、よろしく御指導をお願いする次第でございます。  今の土地高騰の問題というのは、地域によって違うと思いますが、土地白書にもきちんと書いてあると思いますが、一番問題はやはり金融の問題、これが一番大きな原因。それからもう一つは、企業の買った土地、例えば東京などでは、十年ぐらい前は大体土地を買った場合の比率が企業は一0%ちょっとでしたが、昭和六十三年度では四五%ぐらい、昨年度三七%ぐらいになっている。そんなことで、この二つが大きな原因になった。東京と大阪、各地とも違います。先生は御存じのことですが、地価公示でも全国で一七%ぐらいアップしております。東京都内は横ばい、安定しています。首都圏は三〇から四〇%、大阪は五七%上がったということでございまして、これは皆基本はやはり金融緩和ということ。それから、いろいろな需要とともに、やはり土地神話が残っておる。こんなことが大きな原因になっておると思っておるわけでございます。  したがって、基本的にはやはり金融の緩和、それから企業の買い占め、買い占めというか企業が金が余っておったからということで土地を買った、こんなことが大きな原因になっておる。また、それとともに、東京が高いので割安感の大阪へ行った。また、大阪が高くなると逆に地方へその金が出ていったというようなことで地方も高騰した。このように考えているわけでございます。
  200. 三野優美

    ○三野委員 今日まで政府がさまざまな土地政策をとってきたけれども歯どめにならなかったということになると、政府がとってきたさまざまな土地政策機能しなかったということですね。それはお認めになって、さて機能しなかったその原因はどこにあるのか、このことはどう思っているのか、白書の中では明確でないわけです。機能しなかったその原因はどこにあったのか、さてこれからどうしなければならないかと続いて方針が出ないとうまくないと思うのですが、それはどうでしょう。
  201. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  実は、これは大変よく監視区域の強化ということで地価の安定に努めております。  この監視区域というのは、先生御存じのことでございますが、地方の団体が責任を持ってやってくれているわけでありまして、乏しい財源と、非常に乏しい人員で大いに努力してくれているということでございますが、実はこの監視区域を強化しまして努力しておったのですが、やはり民間の知恵と力と利潤追求が役所よりもまさっておったわけですね。その辺が一つあったので、今度、六月十一日にガイドラインをつくりました。したがって、例えば地価が一〇%上がればすぐ監視区域に指定する、それから、二〇%上がれば届け出面積を百平米にする。こんなことをしましたから、今度はそういう後手に回らない、こういう感じがしているわけでございます。  それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、税制の問題、土地神話をどうしてなくすか、このことを含めて今、宅地供給、それから税制、それから金融の総量規制、そういうもの。ともかく監視区域の強化でやっておるということでございまして、それからもう一つ、実は緊急対策としては監視区域の総点検と金融総量規制をやっておったわけですが、国土庁では金融総量規制は大蔵省にお願いするだけで、実はそれだけなんです。本当言いますと、国土庁でその金融総量規制の材料が持てるといいわけです。  そんなことでございまして、実は、いろいろ議論ありましたけれども、監視区域のときに、土地の売買のときに、届け出するときに資金計画も入れるように、こういうことで今運用で検討しております。資金計画がとれれば、Aという銀行がどこに幾ら融資している、こんなことがわかるとかなり金融の総量規制ができるのじゃないか、そうするとかなり実効が上がってくる、このように考えております。
  202. 三野優美

    ○三野委員 今長官は、一年間の地価上昇率が一〇%程度上がった地域は早急に区域指定をしてしまう……(佐藤国務大臣「監視区域です」と呼ぶ)ええ、監視区域指定をする。それから二〇%以上のところについては百平米まで下げて監視区域に指定する、こういうわけですね。もう一つ出ていたのは、リゾート整備や大規模開発のプロジェクトが予定される土地については計画段階から監視区域に指定してもいい、こういうことが言われているのです。  ここでまず一つ聞いておきたいのですが、過去一年間に一〇%上がったところのすべてを監視区域に指定するとすれば、日本列島の国土の何%が該当しますか。去年かなり上がっているのですが、どうですか。
  203. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 ガイドラインの通達と前後しまして、実は長官の指示もございまして監視区域の緊急総点検を行ったわけでございますが、一年間に一〇%以上の地価上昇が見られる市区町村は、今年の地価公示によりますと全国で百六十九市町村あったわけです。この百六十九市町村は一〇%以上の地価上昇が見られ、かつ監視区域の指定を行っていなかったものであります。だから、既に先行して指定しているところは六百余の市区町村があったわけですが、この百六十九市町村、三十一都道府県にまたがっておりますが、この市町村につきまして総点検をし、かつ早急にガイドラインの線に沿って、これはまだガイドラインは出ておりませんでしたけれども、ガイドラインの線に沿って指定するようにという趣旨で指導してまいりましたが、四月から今日までで八十二市町村が指定を行っております。この結果全国で監視区域に指定しております市区町村数は七百七十五に上っておると思います。  全国の面積でどれぐらい占めるかというのは明確にはわからないのですが、六月十日ぐらいの時点では、全国の市街化区域面積の約六割が監視区域に指定されているというふうな現状になっております。
  204. 三野優美

    ○三野委員 市街化区域の六割が監視区域の指定になっているというのですけれども、例えば今日リゾートブームあるいはゴルフ場というのは各地においてうわさに上っているわけです。どうもまゆつばみたいなものもあるわけですね、ゴルフ場にするのではないのではないかというような。とにかく村じゅうどこの村でも、ゴルフ場とかリゾートの名前が挙がらぬところはないほどなんですね。それで突然に上がってきているわけでしょう。このままいくと、恐らく特定の地域を除いたら日本列島全部一〇%アップになっているのではないかとさえ思われるほど、今土地が非常にうわさになっている。こういう状況でありますから、そこのところはかなり重視していかなければならぬと思うのです。  私がさっき三番目に言った分の、大規模の開発プロジェクト予定地は計画段階から区域指定を検討する。計画段階というのはどこを言うのか知らぬが、これはまた後で聞かせてもらいますが、計画段階とは具体的に実施計画ができたときなのか、あるいはこういうことが想定されたときなのかを聞いておきたいと思う。これは非常に重要だ、それをやらなければ歯どめがきかないと思うのです。  さてそこで、一つの例としてお尋ねしておきたいのですが、例のリニアモーターカー実験線建設が六月八日に発表された。新聞なんかに出ておりましたが、山梨県境川村、人口わずか四千三百人ですね。この一年間に同村の宅地が六九%、約七〇%上昇したと言われるわけです。東京の不動産業者は農地にも所有権の仮登記をして、あるいは二重価格が一般化している、県が把握している価格の約六〇%高ではないか。こういうことが表に出ているわけでありますが、このリニアモーターカーの実験線が議論される段階で、あるいはこの発表時点か、発表以前か、発表後に、この周辺についてはもう監視区域に指定をしているのでしょうか、していないのでしょうか。したとすればそれはいつなのか、聞いておきたいと思います。
  205. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 山梨県におきましては、監視区域の指定が六十三年の十二月から順次行われてきておりまして、また、地価の動向によりましては届け出対象面積の引き下げ等も行ってきております。現在リニア実験線の建設予定地周辺の二十五市町村において監視区域が指定されております。なお、御指摘のようになお上昇が見られますという現状を踏まえまして、監視区域の取り組みが後手に回ることのないように、先ほど申し上げました三月二十七日の緊急総点検の中でも山梨県にさらに厳重なチェックを行うように指示いたしましたし、また、四月二十七日には直接国土庁長官から山梨県知事に対しまして積極的な監視区域への取り組みを要請したところでございます。
  206. 三野優美

    ○三野委員 指定したのが六十三年の十一月とかいうのは、これは間違っていませんか。六十三年からでしょう。六十三年の秋に指定したにもかかわらず、このように一年間に六九%も上がってしまったわけです。指定がしり抜けになるのですが、これはどうしてなんでしょうか。私は、実はこのことを一番気にしているわけです。各地方において指定はしているけれども、指定しても何のその、どんどん上がってしまうわけです。何の効果もなしに筒抜けになっているのですが、これはどうしてそうなったのでしょうか。六十三年の十一月に指定したけれども、なおかつこの一年間に六九%、七〇%。この原因はどこでしょうか。
  207. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 一つは、これは監視区域制度の限界のようなものがあろうかと思います。と申しますのは、監視区域は著しく地価上昇が認められる地域につきまして指定をし、取引に先立って届け出をしていただきまして、その価格が著しく適正を欠くというときに行政指導を加えるということでございますので、地価を完全に凍結し切れない、そういうふうな弱みがございます。  ただもう一点、監視区域を指定する際には一定の面積以上の取引を届け出るようにと、それぞれ知事が決めるわけです。山梨県の場合、甲府市の市街地部分、中心部分は三百平米以上を届け出対象にいたしましたが、その他の地域、沿線につきましては五百から三千平米とかなり甘い面積を設定していた、その辺が一つ問題、甘かったのではないかというふうな反省をしております。  そういうこともございますので、できるだけ実態を見て、この面積を早急に引き下げるように指導しておるところであります。
  208. 三野優美

    ○三野委員 私は率直に申しまして、まことに言いにくい話でありますけれども、行政官の皆さんが考えて知恵を出す以上に業界の方はさらに細かい策を練るわけです。これは別に山梨県だけじゃないのです。どこでもそうなんです。  例えばこういうことでしょう。高松市の番町一丁目何番地で、例えば平米百万だと一応指定しましょう。決めましょう。ところが、三百平米とした場合、それならば百平米のものはその届け出必要ありませんから、例えばそこで百五十万なり二百万で売買する、それが実勢価格になるわけですね。今度は一挙に、それはもう全体に実例ができたよということになってしまうわけです。百平米にやったらば、五十平米の売買場所をつくってしまうわけです。それも何倍かにはね上がっている。  実例ができたらそれが右へ倣えになってしまう形の中で、結局は業者の手によって、政府なり行政官の皆さんが考える以上のことを実は編み出してこういう事態になっている。いわばこれは、監視区域制度というものをつくったけれどもまさにしり抜け。  聞いてみると、山梨県の境川村なんというのは、失礼だけれども、リニアの問題が出るまではだれも手をつけないところだった。それが、発表する前から地元はよく知っていますから、政府からかどこから漏れるか知らぬけれども、発表する何年も前から知っているものですから、それでどんどんやってしまう。こういうことになるものですから、リゾートなり大規模開発プロジェクト予定地を計画段階でするというのは、一体どこの計画段階でするのか。  あるいは、この際一つ聞いておきたいのですが、けさも議論になっておりましたが、花の万博周辺の土地の高騰が一応問題になっているのですが、ここはどういう経過がありましたか。その監視区域の指定と土地上昇との関係というのはどういう経過がありましたか。ひとつ聞かしてもらいましょう。
  209. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 監視区域制度につきましては、先ほど申し上げましたように、価格の抑制という面では効きますが、凍結というまでには至らないということでありますが、ただ、抑制機能としましては、早目に指定する、それと的確な届け出対象面積を設定する、それと実際の行政指導に当たりまして厳格にやる、この三つがそろえば相当抑制効果があると思っております。  特に面積につきましては、これは地域によって異なりますが、例えば都市部ですと、三百平米以上の取引だけを対象にしたのでは取引の一五%前後ぐらいしか捕捉できないと思います。これを百平方メートル以上にしますと五、六割は捕捉できる、かなり地域の取引価格に影響力を行使できるというふうに見ておるわけです。そういう意味で、手おくれにならないように、しかもやるときは厳しく、そういうのがこの制度の運用の要諦かというふうに考えております。  お尋ねの大阪府も非常に上がっておるわけですが、万博周辺地域につきましては、六十二年八月に監視区域制度が創設されたわけでございますが、それ以後順次指定してきておりますが、特に周辺地域では、大阪市鶴見区で六十三年四月、守口市等で六十三年一月から四月にかけて順次指定を行ってきております。  それで、これはごく最近でございますが、そういう意味では少し後手だというおしかりも受けるわけでありますが、現在、その周辺地域を含めた大阪府下全域の市街化区域で、届け出対象面積を百平方メートルとして運用しておるところであります。
  210. 三野優美

    ○三野委員 一年間にどのぐらい上がったのですか、土地の上昇、それを聞いているのです。
  211. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 鶴見区の住宅地で平成元年、といいますのは前年一年間の変動率でございますが三七・七%、平成二年で四〇・八%、城東区で同じく住宅地三七・五%、四〇・〇%、守口で三三・二、二年が六六・一%という非常に高い上昇になっております。
  212. 三野優美

    ○三野委員 今言われたように、実際にはもっと高いらしいですね本当は。ですから、結局監視区域の指定というものも、必ずしもこれですべてがおさまるという状況にはない。  そこで、一般的には、もうこれは土地の所有権、利用権の問題、そこまで手をつけない限りどうにもならないのじゃないかという意見さえ出ているような状況ですね。利用権は認めてもいいけれども、所有権というのはどうなんだ、空き地でそのまま置いて値上がりだけを待つというようなことまで出ている状況ですから、この点についてはひとつ国土庁も、これでは結局、これは市民の悲哀ですからね。土地を持っている人はいいけれども、持っておらぬ人は被害者なんですから。国民全体の、ほとんどの勤労者は被害者なんですから。そういう立場でこの問題をもう一遍検討し直してもらいたい、このことをお願いしておきます。  二つ目は建設省にお尋ねをしますが、コンクリートの建造物についてこのごろいろいろと言われているわけです。コンクリート工法による建造物、事務所なり学校なりマンション、橋梁等が築後十年ないし二十年ぐらいで鍾乳洞で見られるようなつらら状のものができるということが言われているわけですね。  この点については、専門家の皆さんですからもう御承知のとおりでありますが、いわば私は素人でよくわからなかったのですが、炭酸カルシウムの沈殿物だそうなんですね。マンション等で、購入された人はまだローンの支払い途中で、わずか十年か十五年で既にもうそういう現象が生まれて、手を入れなきゃならぬ、こういうことが出て、これは手抜き工事じゃないのか、あるいは不良建造物ではないかということが言われているわけであります。  建設省は、これらの建設についての建設基準あるいはこれらに使う建設資材の規格なりというものについて指導をしているわけでありますが、この問題についてどんなことをお考えになっているのでしょうか。例えば、入居者の中には、十年や十五年でこんなことが起こるのであれば、建築基準法に基づいて建築を許可し、あるいは立派なものだということで売った業者や国を相手に損害賠償の訴訟をしなきゃならぬという話も出ているのですけれども、これについてどういうふうに考えていますか。
  213. 玉田博亮

    ○玉田説明員 まず私の方から、酸性雨つららにつきましてただいま先生からお話がありましたが、その発生の原因はいかなるものかという点につきましてお答え申し上げます。  ただいま御指摘がありました酸性雨つららというふうに最近報道されているものでございますが、これにつきましては、コンクリートにある意味では特有の現象といたしまして以前から、特に漏水の多い箇所で見られるというものでございます。  その原因でございますが、コンクリートが硬化をする、固まるときに、コンクリートの中で水酸化カルシウムが形成されますが、これが水に溶けまして、例えばクラックを伝わってコンクリートの外へ流れ出てくる。その際に、そこで大気中の炭酸ガスに触れるわけでございまして、それと反応していわゆる炭酸カルシウムに変化し、それが付着するものであるというふうに言われております。したがいまして、原理的には酸性雨等に限らず、コンクリートへの浸透水によりましてはそのような箇所で発生し得る性格を持つというものでございます。  なお、近年、酸性雨による影響ではないかという御指摘もあるわけでございますが、私どもといたしましては、よい材料が使われ、適切に施工されているコンクリート構造物につきましては、現在の酸性雨の酸性レベル、pHが四・五から五ぐらいでございますが、この状態ではまず安全ではないかというふうに考えられております。しかし今後、酸性雨の酸性のレベルが上がってくる、こういうふうなことになれば、私どもとしても十分な注意が必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
  214. 三野優美

    ○三野委員 それでは建設省は、今の程度の酸性雨であれば、これが継続的にずっとコンクリートのいわば割れ目部分に入ってきても、その影響はないという見解ですね。今の程度であれば問題ありませんよという見解で間違いないですか。そうですね。  それからもう一つ聞いておきますが、さて、あなたはいいコンクリートを使えばということを言われました。いわばコンクリート工法の場合の骨材として、かつては川砂利が使われておったのだが、これが不足しまして海砂利を採取している。海砂利も塩分を抱えているからこれはうまくないよ、強度については問題があるという話があったわけですね。ところが、しばしば石灰石を骨材として使っている、こういう話がよく出ているわけです。私も新幹線の中から見ても石灰石の出るところ、随分骨材を出しています。骨材に石灰石を使うことによってコンクリートの強度が早く上がるというのです。これは後で専門家のあなたに聞きたいのですが、したがって、セメント量は少なくていい、これは一番経費が安く上がるし、業者はいい。ところが、強度が早く上がるのと同時に亀裂もまた早いというのですね。その亀裂したところに、石灰石が酸性雨に弱いものですから酸性雨が入って変質し中性化していく、こういう話もあるのですけれども、この見解について建設省はどういう考え方を持っているのでしょうか。
  215. 玉田博亮

    ○玉田説明員 石灰石をコンクリート用の骨材にかなりの量使用しているわけでございます。ただいま先生から御指摘のありましたような問題点も私どもとしてはいろいろ耳には当然入っているところでございまして、私ども建設省の土木研究所あるいは建築研究所におきましてコンクリートを専門に研究する部門が昔からございますから、そこで専門家が十分な研究をしてございます。  それで、私どものただいまの考え方は、石灰石は、先生指摘の点、これは炭酸カルシウムでございまして、酸に対して実は石灰石は弱いのでございます。欧米で報告されているとおり、大理石の彫刻が最近酸性雨で侵されているというような報道もございます。したがいまして、石灰石を野ざらしにしておきますと腐食することは間違いないところでございます。  しかしながら、コンクリートの骨材に使います場合には、この周囲に石灰石に比べましてはるかに酸と反応しやすい水酸化カルシウムという、これはアルカリの性質を持ちますが、これが非常に豊富にございまして、いわゆる酸性成分が中和されるということから、骨材に石灰石を使用をした、これだけの理由で特段浸食が起こるということはないというのがただいまの私どもの専門家の中におきます通説でございます。  ただいま御指摘のありましたコンクリートの品質全般に関する問題と密接な関連があるのではないかというふうに思います。コンクリートの品質は先生お話がありましたように水の量、セメントの量、そういったものに非常に大きく左右されますので、適切な施工がなされている限り、石灰石が有害な骨材であるということはないと私ども考えておるところでございます。
  216. 三野優美

    ○三野委員 いや、私の聞いた範囲では、むしろ石灰石を使用することによって、率直に言ってセメント部分は強度が上がるのが早いものですから、セメントを少なく使っても強度が強まる。ところが、強度が強まるものですから、逆に言えば、早いものですから、亀裂が起こりやすい、時間がたたなくても。逆に亀裂も早い。そこに酸性雨なりそういうものの侵食によって、こういう現象が起こる。こういう説を聞いたわけなんですが、それはあなたの方とのちょっと違いはあるが、いずれにしてもこういう事態が起きて、一般的サラリーマンなどは、それこそ長期のローンで借金をしながら退職金まで突っ込んで買ったものが、こういう事態が起きているわけですね。  したがって、これに対して建設省としては、早くその原因の究明と、もし問題がないよと言えば別としても、いずれにしても問題がないと言ったって問題が起きているわけですから、現実には、建物の中には起きているわけですから、ないでは済まないわけです。石灰石が原因ではない、あるいは工法に何かほかにでは問題があるのかということについては、あなたの方は、石灰石に問題がないとすれば他に何の原因があってこういう事態が起きておるのでしょうか。そうして、買ってからわずか七年や十年で補修しなければならぬ、これではないということになると、それならその原因は一体どこに求めるのですか。どこにあるのですか。
  217. 玉田博亮

    ○玉田説明員 私は、現場における施工の条件と申しますか適切に施工されているということが、よい品質の土木構造物、建築構造物をつくる第一条件であると存じます。したがいまして、設計施工に際しましては、そういった施工管理をきちんと行っていくということが基本でございます。それから、完成後におきましても常に点検を怠らず、もし例えばクラック等の異常が認められれば、例えば公共施設等につきましてはクラックはすぐ補修をする、そういったメンテナンス、管理の問題であろうと存じます。したがいまして、常日ごろの点検、それに対する保守、こういったものに十分力を注いでまいりたいということでございます。
  218. 三野優美

    ○三野委員 これも私、聞いた話なんですが、素人なんですけれどもアメリカなどは建造物ができた後の維持費、補修費というのは日本よりも四倍ないし五倍の費用を使っている、こう言うのですね。日本は、後の管理、補修は余り金をかけないということもよく言われております。いずれにしても、私の聞いた範囲とあなたの見解とは石灰石に対する物の考え方は少し違うようですけれども、こういう事態が全国的に、橋梁も含めまして問題になっている。ですから、そういう点では早く調査をして、明確な指導をしてもらって、住民に被害を与えないようにお願いをしておきたいと思います。  さて、次にお尋ねしたいのは、先ほどから住宅問題が出ておりますが、住宅問題の中で、昭和六十三年十月の調査では三千七百八十一万世帯に対して住宅は四千二百一万戸、違っておったら御指摘ください、そういうことを言われているわけです。四百二十万戸は上回っておるわけですね。いわば世帯数よりも四百二十万戸も上回っているにもかかわらずなお住宅難が解消されないで大変問題になっているわけです。一体これはどこに原因があるんだろうかということをひとつお尋ねしたいのであります。  そこで、四千二百一万戸の全住宅の中で、セカンドハウス、私も残念ながら持っていませんが、セカンドハウスの所有者というのは一体どのぐらいあるのか。山間離島等の僻地において、もう空き家になって住む人がいない、そういう空き家の数というのは一体幾らくらいあるのか。あるいは山間離島、僻地ではないけれども、居住に耐えない老朽家屋、これは一体どのくらいあるのか。四つ目には、四千二百一万戸の中で最低居住水準未満の家屋数。それぞれの分についてひとつ教えていただきたいと思うのです。
  219. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 非常に専門的なお話で大変恐縮でございますが、おっしゃいましたように住宅総数は四千二百一万、総世帯数は三千七百八十一万でございます。そして、今おっしゃいましたように、六十三年の統計上、空き家と言われておりますものが四百五十九万ございます。  このうち、先生最初にセカンドハウス、別荘と言われましたけれども、統計上は二次的な住宅というのがございますが、これが三十万戸ございます。  それから僻地等で云々と言われましたけれども、統計上はそういうものはちょっとございませんで、入院などのために居住世帯が長期にわたって不在の住宅、それから建てかえなどのために取り壊しを予定をしておってそのまま住んでない、例えば木賃アパートなんかで一戸だけ残って、あと十戸はあいているというのがあります。その十戸分に当たるわけでございますが、こういったものが百三十一万戸ございます。  それからそのほかに、一週間のうちに、ある時間だけとか、昼間だけいるとか、夜はそこにいないとかというようなことで、一時現在者といっておりますが、それは住宅として真っ当に使っていないということでございますけれども、これが四十四万戸でございます。  それから建築中の住宅、これは建てている最中でございます。これが二十二万ございます。  先ほど四百五十九万と申しましたが、空き家からこういうものを引いていくわけでございますが、そのほかに残ったのは何かといいますと、賃貸用に借家人を今募集をしておる、それから分譲住宅でまだ売れないで残っている、あるいは中古住宅で、売りたいのだけれども残っている、こういうものが二百三十四万戸ございます。  それで問題は、先生は先ほど最低居住水準未満というお話ございましたが、私ども、この二百三十四万戸の、家主さんとしては貸したいし売りたいと思っている住宅がどういう住宅かというのを東京と大阪で実際に調査をしたわけでございます。そうしましたら、国が定めております最低居住水準というのがございますが、単身世帯、一人でもそこに住んではちょっとどうかな、こういう住宅、十六平米未満でございますが、こういうもの、それから老朽度が非常に大きくてとても住めないだろうといったものもその中にございまして、これが大体三〇%ぐらいございます。これは東京と大阪の数字でございますので、全国的に当てるのはどうかと思いますけれども、これを先ほどの二百三十四万戸の、目下人を募集しておると いうものに掛けますと、残りの百六十万戸が使えそうだ、こうなるわけでございます。  それから一方、住んでおります住宅があるわけでございますが、人が現に住んでおりますものが、三千七百四十一万戸ございます。最低居住水準というのは先生御承知のとおり、三人の場合には何平米、四人の場合は何平米としておりますけれども、例えば六人家族では最低以下だけれども、その同じ住宅に三人家族でいけばオーケー、こうなるものですから、単身世帯でも最低居住水準には達しない、こういう住宅をこの中で、三千七百四十一万の人の住んでいる住宅から除きますと、六十万戸ぐらいそういうものがあるということになります。  それで結果的に、今申しましたように、空き家の中から人の住めるものを出し、それから住んでいる住宅から人の住めそうもないものを除きまして足し算しますと、三千八百四十一万戸という数字が出てまいります。したがいまして、総世帯数三千七百八十一万でございますが、これに対して六十万戸ぐらい住宅がオーバーをしているということでございます。
  220. 三野優美

    ○三野委員 ということになると、今の局長の話によると、世帯数に対して現在のいわば生活水準、文化水準で住み得る住宅は数の上ではあるよ、こうなってしまうわけです。ところが住宅不足があるということになってしまうと、それはかなり地域差があるということなんだろうと思いますね。地域差があるということになると、大都市ということを言いたいのだろう。ところが、地方でも必ずしもそうではない。余って、もう新築は全然できてないよなんてことはないのですね。  ということになると、そこらのことがどうもやはり私どもがこれを議論する場合に明確でないのですけれども、数の上ではある、居住可能なものはあるにもかかわらず、なおかつ足らぬというのはどういうように理解したらいいのですか。
  221. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今言いましたように、物理的な数というのはあるわけでございます。例えば、これは大分前に試算したことでございますけれども、最も住宅難と言われております東京圏で、面積の大きい住宅から順番に並べまして、一番小さい住宅まで並べるわけでございます。そして、強制的に一番家族の多い人は一番広い住宅に入れるという形で入れかえたとします。完全に自由に入れかえられるとしますと、これは各世帯の人数の構成に応じてほぼ住宅はあるということになります。  したがいまして、問題は、現在小さい住宅に住んでおって、子供が生まれる、子供が育つ段階で、広い住宅が欲しいというのが一点でございます。そういうことで、住宅というのは、その人にとって狭くなれば出ていきたいということで必ず需要が発生する。  それからもう一点は、結婚とか転職とか就職とかということで新しい土地に行って住宅が要るわけでございます。そうしますと、その分はストック数としては世帯数増という形でふえるわけでございます。  それからあと問題は、古くなった住宅を建てかえる、これも建てる需要になります。それから、今セカンドハウスの問題が出ましたが、外国では非常にセカンドハウスがふえております。日本並みの先進国では相当なセカンドハウスがある。日本はこれからそういう時代になると思いますが、そういうものでもふえます。それから、大都市の生活で、例えば遠くに家族が住んで、御主人が東京都内の賃貸住宅に住むとなりますと、これは一戸の需要が発生する。  いろいろな需要で、単純なわけにはいかないということでございます。
  222. 三野優美

    ○三野委員 そうすると、戸数はあるんだけれども、今日の社会的な文化的生活水準に達してない部分が随分あるということですな、結果的には。  さてそこで、あなたの方は、第六期住宅建設五カ年計画で、当面平均的床面積九十五平米というのですね。九十五平米にすれば、これから五年間の日本の文化的、経済的水準に到達する。九十五平米のものに該当する戸数といったら今の日本の三千幾らの中でどのくらいあるのですか。ついでに二〇〇〇年のも言ってください。
  223. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 わかりました。  今先生九十五平米と言われました。多分新聞を見ておっしゃったんだと思いますが、私ども、次の五カ年計画は二十二日に実は答申をいただく予定にしておりまして、それに基づいて、それから五カ年計画をつくりますので、まだそういう数字は決めておらないところでございます。  そして一方の二〇〇〇年の百平米というのがございますが、これは四全総で決まっておるものでございまして、二〇〇〇年において戸当たりの平均居住専用面積が約百平米になるということを目標にするということでございます。これは、百平米というのは全ストックを戸数で割っている数字でございまして、全ストックの数でございます。したがいまして、百平米のものをこれからつくるという意味じゃございませんで、二〇〇〇年に建ちかわっていくわけでございますが、建てかわっていって最終のストックができ上がったときに戸数で割ったら百平米になるような状況になりたい、こういうことでございます。  それで、今お尋ねの九十五平米でございますが、例えば御質問のとおり、九十五平米を上回る規模の住宅が六十三年現在どのくらいあるかということを単純に統計上の操作で計算をしてみますと、千三百八十二万戸ございまして、全体が三千七百四十一万戸ございますから、三七%ぐらいあるということでございます。
  224. 三野優美

    ○三野委員 さてそうなると、これは三七%ですから、思い切って猛スピードで走らないと追いつきませんわな。  さてそこで、この際ひとつ聞いておきたいのですが、そうなりますと、今度の二〇〇〇年目標に行くために、到達するために、今の例えば公庫の融資基準というものはどう変えればいいのか、あるいは公営住宅の一種、二種の構造別の標準床面積というものを、昭和六十五年以降変わってないのですが、これをどういうふうに変更すればいいのか、聞いておきたいと思います。
  225. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど申しましたように、今でも広い住宅、狭い住宅、いっぱいあるわけでございます。そして、広い住宅にはどちらかというと多人数世帯が住み、それから新婚さんとか子供の小さい方は小さい住宅に住んでいるというのが現状なわけでございますが、それが順々に古くなって建ちかわっていくわけでございます。それから、新しい世帯、初めて住宅を持ちたいという人はまた小さい住宅を探して入るということで、順々にかわっていくわけでございます。したがいまして、その新規のフローをつけ加えるときにその最終二〇〇〇年で分布の全体の平均値が百平米になる。  それで、もう一つは、これは住宅計画上の目標でございますけれども、誘導居住水準以上の方が全世帯の半分以上になるように、こういうことでございますので、そういうような世帯人数別にその分布を考えてやっていきますと、これからつくるものは全部すぐ百平米つくるというのではなくて、確かに三十平米とか四十平米の小さなものは建てかえるときにはできるだけ大きいものをつくらなければいけませんけれども、持ち家等につきましては誘導居住水準的なところをねらい、賃貸住宅については最低水準と誘導居住水準の中間をねらうというような形で、おおよその考え方でございますが、そういう考え方でいきますと分布的には非常にいい形になりまして、百平米近くなってくるということでございます。  それから先ほど、大変難しい、こう言われましたが、過去の傾向を見ますと、四十三年当時は戸当たりの床面積は七十三・九でございまして、二十年たちました六十三年では八十九・三でございますので、残りの年月は十年ございますから、そう完全に不可能とあきらめるものではなくて、手の届くところにあると考えております。
  226. 三野優美

    ○三野委員 さっき六十五年と言ったが、五十六年から公営住宅の床面積は変わっていないのですね。  そうすると、まず公的機関がやる公営住宅が誘導しなきゃならぬわな。これがまず先頭に立たなきゃいかぬわけ。これは五十六年からずっと変わっていないのですが、ここのところはどう変えますか。それをまず聞いておきます。
  227. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 公営住宅の規模は変わっていないというお話でございますが、実質はどんどんと上がっておりまして、中層の貸家でいきますと、これは全国でございますけれども、三十年代は第一種で四十平米ぐらいでございます。それが今現在どうなっているかといいますと、七十一平米まで上がってきております。これは現実に建っておるものの平均でございまして、相当規模は上がっております。  それで、今後の住宅政策公営住宅の規模をどういうふうに持っていくかというのは、先ほど申しましたように二〇〇〇年に向けてその居住水準を引き上げ目標がございますので、それの中で公共住宅あるいは公庫住宅はどういう役割をすべきかということで、今現在、住宅宅地審議会で議論している真っ最中でございます。したがいまして、その結論を待ってそういう基準が効果的に達成されるように私ども政策を立てていきたいと考えております。
  228. 三野優美

    ○三野委員 ですから、こういう計画建設省は立てるわけですから、やはりまずみずから公営住宅が先頭に立って誘導していかなきゃ、民間、民間といって常に民間ばかり期待したっていけませんから、そのことはしかとひとつ合理的な方針を出してもらいたいということをまずお願いをしておきたいと思います。  これはむしろお願いなんですけれども、勤労者の所得がずっと上がっていったものですから、公営住宅の入居基準、さっきもちょっと出ておりましたけれども、零細企業で働いている人の賃金というのはそう上がっていないわけ。上を上げるときに最低も上げちゃうものですから、下の方がこぼれちゃうのですね。ところがやはり一般的には上がっていますから、上の部分、一種の最高限度額を上げなきゃいかぬ、これは県や市町村からよく言われるわけなんです。下は据え置いたままでこれをやってもらわないと広く拾えない、こういうことを言われておりますので、この点についてひとつ最後に聞いておきたいと思います。
  229. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生御承知のように、公営住宅公営住宅法で「住宅に困窮する低額所得者」こういうことで対象者を決められております。今現在までも全体の国民の所得の動向を勘案しながらその時期その時期に応じて全体の入居水準を変えてきております。それで、今現在のものは六十一年にやったものでございます。その前は五十七年にやっておりまして、その前の改定は五十四年にやっております。  したがいまして、全体の所得の動向、最近は所得の伸びが余りございませんけれども、そういう動向とか、入居層のシェアがだんだん下がっておりますが、そういう状況を見ながら適切に判断をし、関係省とも協議をいたしたいと考えております。
  230. 三野優美

    ○三野委員 河川局長にお尋ねしますが、あなたが生まれたのはどこですか。あなたにはふるさとというのがあるはずだけれども東京の人だったらもうしようがないけれども、あなたの生まれたところに川は流れておりましたか。それをちょっと聞いておきたい。
  231. 近藤徹

    ○近藤政府委員 役人の息子でございますので転々としておりますが、生まれたのは奈良県の十津川でございまして、十津川が流れております。ただし、二歳までぐらいしかおりませんので、記憶がございません。
  232. 三野優美

    ○三野委員 川を知らない人に川のことを聞いてもしようがないと思うのだけれども、私は山の奥の徳島県との県境なんですね。私の生まれたところには川があり、その川には魚がおり、蛍が飛び交うところであったわけ。ところが、建設省の方が今度何か河川の改修に伴って多自然型河川パイロット事業というのをおやりになるようですね、どういうのをやるか知らぬけれども。このごろは建設省が力を入れて河川をやってくれればくれるほど、蛍もおらぬようになるし、魚もおらぬようになるのですけれども、これはどういうことですかな。  今度のこの多自然型河川パイロット事業というのは蛍や魚も戻ってくるの、ちょっとそれを聞いておきたい。
  233. 近藤徹

    ○近藤政府委員 自然はふだんは大変穏やかなわけでございますが、一たん集中豪雨等できばをむきますと大災害をもたらすわけでございまして、従来河川改修を進めるに当たりましては、洪水という自然の暴威から人命と財産を守るべく、限られた予算、限られた用地の中でその整備を進めてきたところでございます。  しかしながら、今日、潤いと安らぎを求める住民の気持ちというものもございますから、水辺空間はそういう貴重なオープンスペースとして地域の中でも極力確保するよう努めようというところから、それぞれの地域のいろいろなアイデアを出していただきながら、多自然型の川づくりを進めようとしているわけでございます。蛍に対して努力される方もおるでしょうし、また、ふちと瀬の確保をしながら魚類の生態系の保全に努めるところもありましょうし、地域の中でモデル河川でこれから皆さんのお知恵を出していただきながら、限られた予算の中でございますが努力してまいりたいと考えております。
  234. 三野優美

    ○三野委員 建設省は都道府県に対して、河川改修をする場合に、中小河川などについてもある一定区間だけ例えば堤防の傾斜を二割勾配にしろなんということで御指導になっていますか。
  235. 近藤徹

    ○近藤政府委員 何割勾配にしろという指導はございませんが、堤防につきましては基本的には二割以上が望ましいということで指導しております。また、河岸につきましては、用地その他で五分というようなところもあるわけでございますが、いろいろ安全の面から考えればやはり緩やかなのが望ましいということで、地域の用地取得等のいろいろな制約の中で安全な河川づくりができるように指導しているところでございます。
  236. 三野優美

    ○三野委員 御承知のとおり用地の取得が非常に難しい状況の中で、それは二割勾配とれたらいいけれども、なかなか難しいわな。だから、そんなことを言い出したものですから、河川によると五分勾配でやっているところがあって、あるところに来たら二割勾配にしちゃうとかということで、なかなか用地の取得もできないし、地域住民からも合意が得られないというような難しさもあるわけですよね。  これは建設省の指導なのかどうか知らぬけれども、例えば河川改修するでしょう。それが上流部分に行くとずっと岩石がありますわな。実はそれは川の魚にとってみると自分の家なわけですわな。それから、草が生えたりヨシが生えていると、そこを魚は上っていくわけですわね。ところが、空っぽにしちゃって、コンクリートにしてしまって、しかもたまたまある岩、それまで外へ出してやっちゃうわけなんですね。私は、やはりあるものはもっと本当は使った方がいいだろうと思う。それをたまたま外まで出してやってしまって、コンクリにしてしまって、魚もすめなければ蛍もいないわなんていうことにしてしまったのが今日までの河川行政であるように思えてならぬわけです。  玉石が残っていると、それを全部出しちゃうんですよね。どうしてあるものは従来のまま使わないんですか。出したものはまた土建屋さんがよそへ持っていって売ったり、あるいはほかの人がまたそれを拾ってきて自分の庭石にしたりしているのに、せっかくあるものを出しているわけですね。  ですから私は、ふるさとを残すということになると、従来あった河川の状況というものをできるだけ再生していく、そういうことをお考えになる方が合理的だろうと思うんです。ところが、なかなか役所の方はそうはいきませんで、コンクリートブロックならコンクリートブロックで全部やっちゃうということになってしまうわけです。そこで、もうついに、我々が子供のときの思い出に残るふるさとの川には、魚もおらなきゃウナギもおらなきゃドジョウもおらぬ蛍もおらぬということになってしまうわけですね。  ですから、そういう点について、もう少しやはり何というか、従来の河川の現状というものをどう生かすのか、そこにある資材をどう使うのかということを考えた方がいいだろうと思いますので、この点についてはぜひひとつ検討してもらえぬだろうか、こういうふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
  237. 近藤徹

    ○近藤政府委員 冒頭に申しましたように、ふだんは川というのは非常に穏やかでございますので地域の皆さんに愛されるわけでございますが、一たん集中豪雨になりますとはんらんを起こすわけでございまして、はんらんを起こさないためには川を流れる河道の面積、河積と言っておりますが、その確保が最大のテーマでございます。用地の問題あるいは資金の問題、いろいろな制約の中で、従来治水の安全度をできるだけ早く上げるという努力をしてきたわけでございますが、一方で現今の水辺に対する住民の皆様の寄せる思いというものもございますから、そこらとの総合的な判断の中で多自然型的な川づくりについても努力してまいりたいと考えております。
  238. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。終わります。
  239. 中島衛

  240. 木間章

    ○木間委員 公団住宅の建てかえと入居者、とりわけ高齢者の関係について若干私の考え方を申し上げ、そして皆さんのお考えをお尋ねしたいと思うのです。  住都公団は古い住宅から順次建てかえをやっております。六十一年度からこの事業を始めまして、今や年間一万戸を目指しておるのであります。建てかえそのものは狭さの解消あるいは居住性の向上などなど時代の要請に合った事業であろう、このように認識をするわけでありますが、しかし入居者の希望も反映をしていただかなきゃならぬのであります。現在の進め方は強引だとお話に聞きますし、また新たな家賃は民間企業並みのもうけ主義じゃないだろうか、こういうお話も聞くところであります。大臣は所信表明の中で、一人一人が心にゆとりと安らぎを持った住宅行政、建設行政を進めます、このように表明されておるのでありますが、建てかえは時と場合によっては、とりわけ高齢者世帯を恐怖にさらしていくんじゃないだろうか、こう危惧をするものであります。  公団住宅はもとより中堅階層の勤労者向けに設けられておるのでありますが、入居された当時は働き盛りであったでしょうけれども、当然のことながら年々年を重ねていくのも当然のことでありまして、三十年代初頭に建築された住宅、既に三十五、六年たっておるわけでありますが、三十五歳の人、今何歳になっておいででしょうかあるいは四十歳の方、今何歳になっておいでるでしょうか、私の方から申し上げなくてもよいと思いますが、こういった方々のほとんどは五十五歳で定年を経験されておりまして、今日では奥さんと二人であるいは単身で年金暮らしを細々とやっておられます。元気な方はボランティアその他に一生懸命毎日飛び回っておいでるわけでありますが、そういう日暮らしの状況であろう。  しかし、繰り返しますけれども、働き盛りの方々の公団住宅とはいっても、長年経験をされますとそういうのが一般の状態でもあるわけであります。ですから、建てかえそのものは時代の要請もありますけれども、高齢者にとっては過酷な仕打ちにならざるを得ぬ、そういう局面も出てくるわけです。先月末に大変不幸な心中事件が起こっております。私はきょうはこの問題に焦点を当てた議論にしようとは毛頭思っておりませんけれども、もともと公団家賃の値上げに端を発しまして、いろいろ裁判闘争などへも進んでいった結果、奥さんと無理心中されたというニュースであります。去年の六月、建てかえそのものが原因で自殺をされたというお話も聞くわけでありますから、ぜひ特に高齢者世帯にとっての配慮がなされなきゃならぬわけです。  そこで、まずお尋ねをいたしますけれども、新家賃の計算方法、いろいろの項目があるわけですけれども、中には用地費の算入もあるだろう。用地費といっても、三十数年来住み続けて家賃を払ってきておるわけでありますから、あるいは今日のトータルでは用地費は既に清算が終わっておるんじゃないだろうか、こういうことも想像いたしますし、また土地狂乱の昨今こういったものが一つ基準になっておるんじゃないだろうか、このように心配をするわけでありますが、この用地費の関係と家賃の新設定の問題とちょっとお尋ねをしたいと思います。
  241. 渡辺尚

    渡辺参考人 建てかえ後の住宅についてでございますけれども、これは御説明するまでもないと思いますが、既存の住宅を撤去いたしましてそこに新たに建設して供給するものであります。したがいまして、それ以外の通常の形で供給されております新規の住宅の家賃と均衡がとれたものでなければならないというふうに考えておるわけでございます。  具体的には、まずその建物の建設に要した費用というのは、通常の新規供給の場合と同様に七十年で年五%以下、現在はほとんど三・五%でございますが、場合によっては四%という、対象によって違いますが、そういうもので償却いたしまして、それに修繕費あるいは管理事務費、それから損害保険料、そういったもの、それらのものにつきましては、建物の建設に要した費用、これをベースにして通常の新規供給住宅と同様の算定を行っておるということでございます。  それから、いわゆる地代相当額の問題であると思いますが、これにつきましては現在のその土地の使用価値ということでございますので、現在価格を適正に評価いたしまして、これをベースに通常のこれも新規供給住宅と同様でございますが算定を行って出しておるということでございます。  なお、つけ加えますと、用地費を土地の時価とすることにつきましては、建設大臣の承認を得て行っているところでございます。
  242. 木間章

    ○木間委員 土地の時価を見ておるということでありますが、これはまた後ほど同僚常松議員の方からの話もありますから先へ進ましていただきますけれども、用地費を、しかも大変高いこの用地費を中へ入れるところに一つは無理があるんじゃなかろうかという心配もするわけであります。  続きまして、戻り家賃と申しますか、現在入居されておる方が建てかえられた住宅に引き続き入られるときにどういう配慮がされておりますか、少しお伺いをしたいと思います。特に高齢者の問題についてお尋ねをします。
  243. 渡辺尚

    渡辺参考人 建てかえ事業を円滑に進めていくためには、現在お住まいの居住者の方々の理解と協力がなければ、これは進めてまいるわけにはまいりません。非常に重要なことでございます。  先ほどもちょっと御指摘がございましたように、建てかえ後の住宅の家賃というのはどうしても高くなる。設備が新しい、あるいは広さも多少広いということもありますが、どうしても高くなるということがございます。  そこで、我々通常十項目と言っておるわけでございますが、戻りの方々に対して、あるいは本移転という形でその当該団地から他の方に移転される方等につきまして、いろいろの施策を行っているわけでございます。特に高齢者ということでございますので、かいつまんで申し上げますが、一般的には家賃について七年間の激変緩和措置というものをとっておりまして、初年度の公募家賃から六五%を差し引いた、つまり三五%の家賃でお入りいただくという形になっております。これは一般の方々に対する、先ほどの十項目のいろいろな措置の中の一つでございますが、特に老人、高齢者、生活保護世帯でありますとか、それから一定の要件に該当する老人あるいは母子世帯、身障者世帯、これらの方々につきましては、公団が収入基準というのを定めておりますが、その収入基準未満のそういった世帯につきましては、特別措置と我々が呼んでおりますものを適用しておるわ けでございます。  その第一は、他の公団住宅にその方々が移転を希望される場合でありますが、現在の住宅となるべく同程度の家賃の住宅をあっせんするということでございます。これは、三十年代の団地というのは基本的に建てかえをやっていこうという計画になっておりますから、主として四十年代の団地になると思います。  それから、高齢者等に対する特別措置の第二点でございますが、戻り入居される方、あるいは他の公団の賃貸住宅移転される方、そういう方々につきまして、先ほど申しました収入基準等があるわけですが、住宅扶助限度額、これを超えることになる場合には、五年間ではございますが、その超える部分を減額するという措置をとっております。  それから、特別措置の第三点でございますが、これは建てかえの賃貸住宅に戻り入居された方々についてでございますけれども、特別措置の期間、先ほど申しましたように五年間でございますが、その間に新しいところがいいということで住んでみたけれども、やはり家賃負担等から見て他の公団の賃貸住宅に移りたい、そういう希望がある方につきましては、そういったあっせんをいたしております。  といいますのは、これは通常の場合、戻りをどのくらい希望されて入ってくるか、これはほかの方々の生活設計等がございまして、一度設定した戻りとかそういうのを後で変更するというのは非常に影響があるわけでございますが、先ほど申しましたように高齢者の方々につきましては、特にそういう措置を講じておるということでございます。     〔委員長退席、笹川委員長代理着席〕
  244. 木間章

    ○木間委員 一つは他の住宅へのあっせんというお話も聞くわけでありますけれども、皆さん方それぞれ御両親をお持ちの方々が多かろう。しかし、世帯分離がどんどん進んでおりますから、必ずしも同居の皆さんは多くはないだろう、こう思っておりますが、お年寄りの気持ちから申し上げますと、現在住みなれて友達がたくさんできて、そして世帯が分かれておる中では、隣近所が唯一の老後の楽しみの団らんの場、こう申し上げましょうか、それを新しいところへ移るというのはなかなかしっくりいかない今の気持ちじゃないだろうか、こう想像いたします。ですから、あっせんをあっせんをとよく耳にするわけでありますけれども、努めてやはりそのところで住んでいただくというのが一番ベターであろう、こう考えます。  いま一つ、五年間の限度を区切って軽減をしておるということでございますけれども、聞くところによりますと、七十歳を超えた方、七十歳から五カ年間軽減していただいて、七十六歳以降どうなるんだろうか、もとの一般並みの負担率に上がるわけでありまして、これはやはり高齢者に対する一つ施策であっていいのだろうか、こう疑問を持つものであります。  それと、いま一つはっきり御答弁はいただけなかったのでありますけれども、生活保護法の中の住宅扶助費、これをいただいておりますということでありますが、都内は五万九百円であります。この五万九百円の負担というのはかなりきついわけでありまして、特に先ほども申し上げましたように、今から二十年余り前に定年退職されて年金暮らしの方々、物価スライドは若干なってはおりますけれども、年金額はそう大きいものではないだろう、こう想像するときに、生活保護費の五万九百円を一つ基準にされた、この考え方を少し明らかに示していただきたいと思います。
  245. 渡辺尚

    渡辺参考人 七十歳ということ、御指摘ございましたように生活保護基準、我々が収入基準というのは生活保護基準をとっておりますから、そういうことから同基準に規定する老齢加算の要件である七十歳というのをとっているということでございます。  それで、もちろんその住宅というのは広い意味では福祉政策の中に入ると思いますけれども、例えば生活保護費を出すとかそういう形での、そういう意味での狭い福祉ということになりますと、公団にはおのずから限界がある。むしろそういったものは国なり公共団体が中心となって、それぞれの関係機関が役割分担しながらやっていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、そういう意味で確かにいろいろな御要望等々我々の制度の中で、あるいは与えられた条件の中で、あるいは与えられた予算の中でそれに対応できればそれが一番いいのかもしれません。しかし、現実としてそれぞれ役割分担によって限界があるわけですから、そういう意味では我々としては、現在精いっぱいの努力をしてこのような対応をしているということを御理解いただきたいと思います。
  246. 木間章

    ○木間委員 他の住宅へのあっせん、あるいは七十歳から五カ年間、さらに五万九百円、こういった問題については、公団は渡辺理事おっしゃるように企業体でございますから限界がないでもないと思いますけれども、後ほど建設省にもお尋ねをしたいと思っておりますが、高齢者の方々に家賃の減額をやっておりますよと胸を張っておっしゃっておいでるようでありますが、私なりに実は計算機をたたいてみたのです。  指が太くて、あるいは押し間違いもあったと思いますけれども、例えば柳沢団地の一DKの住宅で、七年間七階段方式で、普通世帯の皆さんで二百十九万六千円の七年間の減額になるようであります。それから、十年間七階段方式では二百二十万八千円、十年間定額方式で二百十六万円、おおよそ二百十万程度の減額になっております。ところが、高齢者世帯はいずれも該当しないのであります。五年間で打ち切りになるものですから、この軽減方式、お年寄りの減額方式というのは一DKでは当てはまらないという私の計算であります。  それから、久米川団地の二DKでどうだろうか、一般世帯の七年間七階段方式では三百二万四千円、十年間七階段方式では三百一万二千円、十年間定額方式では三百万円。高齢者世帯はどうだろうか、七年間七階段方式では三百十八万二千四百円、十年間七階段方式では三百二十九万一千六百円などになります。  両者を比較しますと、高齢者世帯に軽減をやっております、企業の限界もあります、確かにそうでございましょうけれども、この差額を計算してみますと十七、八万から二十五、六万ぐらいにしかならないわけです。五年間六十カ月で二十万前後。大変高齢者向けにやっておるとおっしゃいますけれども、私は腑に落ちないのです。ですから、もっと思い切った公団なりの施策があっていいのではなかろうか、このように考えるわけでありますが、私の計算が間違っておれば間違っておるとまた指摘をいただければ結構でございますけれども、この両者の比較についていかがでしょうか。
  247. 渡辺尚

    渡辺参考人 先生指摘のように、確かに住宅扶助限度額以下になりますとその対象になりません。それでかつ一DK、二DKあるいは三DKという、それぞれ細かい数字はいろいろ計算されたのだと思いますが、我々も持っております。  それよりか、むしろ私は今申し上げたいのは、先ほどちょっと申し上げましたようにいわゆる国によって措置さるべき部分、それを超える部分を公団としては減額、これはもちろん全体の中での減額でございますけれども、そういうふうにするのが妥当であるという考え方でございます。もし仮にそういう方々が、生活保護を受けておられる方、あるいは受けておられない、しかし収入が少ない方というのがあると思いますが、そういう方がもし仮に生活保護を受けられたら国から出るであろうというようなものについて公団が負担するというのは、そういった国全体の制度の整合性からいったらいかがなものだろうかということでございまして、要は、申し上げたいのは、型式等によって確かに計算しますと数字は差が出てくると思いますが、それはあくまでも今申し上げましたような趣旨から出てくるのだということを御理解いただきたいと思います。
  248. 木間章

    ○木間委員 生活保護法との関係で五万九百円なのだ、こういうお話のようですが、国から住宅扶助費をもらって、それでそれを負担をしてもらうのは当然のようなお考えのようでございますけれども、私は各団地で生活保護世帯の状況は正直言って調べておりません。けれども、かつて地方公務員時代にケースワーカーを四年余りやった経験がございます。それで、公団でお住まいになって五十五歳の定年で退職をされる、あるいは夫婦二人のお年寄りの場合に、病気その他がありましょうからないとは言い切れませんけれども、恐らく生活保護世帯というのは少ないのではなかろうか、このように実は思っておるところであります。ですから、扶助費をもらってそれをいただくのは当たり前のようなお考えだったら、私は大きな間違いを起こしておりますと指摘せざるを得ないと思います。  それから、公団独自でできることを幾つか提案をしてみたいと思います。例えば一団の団地を建てかえされようとするときに、一棟か二棟かは別といたしまして、お年寄り向けに残されたらどうだろうか。外装、内装を近代的なものにリフォームされるとしても、そこにお年寄りに入っていただく、よそへあっせんするよりも同じ団地で友達が近くにおいでの中で入居をいただく方がいいのではなかろうか。あるいはまた二戸一といって、かつて住宅局長をされておりましたからおわかりいただけると思いますが、二戸を一戸につくりかえるとかそういうようなやり方で公団自体ができるのではなかろうか。これが高齢化時代に向けた住宅政策ではないだろうか、このように考えるものでございますけれども、公団のお考えをお尋ねしたいと思います。
  249. 渡辺尚

    渡辺参考人 端的に申し上げまして、建てかえ事業目的というのが敷地の適正利用、それから居住水準の向上なわけでありますけれども、おっしゃいますような一部残したらどうかという問題でございますが、まず基本的に今申し上げました二つの問題からしますと、必ずしもそれは取り得ない。かつ、いわゆるレイアウトといいますか新しい住宅をなるべくたくさん供給したいということの計画上の問題も非常に大きいわけでございます。したがいまして、一部残してというのはなかなか難しいというふうに思っております。  それから二戸一の問題でございますが、二戸一の主たる目的は広さの確保だと思います。その場合に、どうしても家賃一戸分でいいというわけにまいりません。その分、欠損になります。したがいまして、家賃の問題、高くなりますが、しかしそれよりも前に、二戸一というのは現在四十年代以降、主として四十年代でございますが、その住宅についていわゆるストック改善として行っているものでございます。したがいまして、今着手しております三十年代の住宅につきましては、これを基本的には建てかえていくということでございますので、せっかくの御指摘でございますが、なかなか難しいというふうに考えております。
  250. 木間章

    ○木間委員 渡辺理事は依然としておかたい方だと先ほどから伺っております。  確かに現代風に駐車場もとりたい、いろいろの条件も要請としてはあるにはあるわけでありますけれども、やはり昭和三十年代初頭から今日まで公団経営にせっせと家賃を払って協力をされた方々でありますから、しかも老後を楽しく安心して暮らせるように、大臣も総理大臣も所信表明でされておるわけでありますから、公団は公団としての企業体は認めますけれども、私は正直申し上げまして、建設省が本来住宅行政を進めなければならぬのを公団という企業体をつくってそこへ移管されたのでありますから、政府の出先に間違いないのでありまして、だから渡辺理事住宅局長をされてそこへ行かれたわけでありますから、私は延長だろう、こう思う一人であります。ですからかたい、今までの主張はよくわかりますけれども、やはり時代に合ったようなものもぜひ取り入れていただきたいな、こう思っております。  最後に建設省建設大臣にお伺いをいたしますけれども、今申し上げましたように住宅行政にいろいろな意味で御協力があった、また経済発展にも努力をされた御年配の方々でありますから、邪魔者扱いは絶対に容赦できません、されないように公団の方からもお話がありましたけれども、公団としての限界があるやにも判断するわけでありますが、今度は本省として政府としてどうお考えなのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  251. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今の住宅政策の全体の体系からいきますとその世帯の属性、つまり身障者であるとか寡婦であるとか老人であるとかというようなそういう世帯の非常な特性に着目をして住宅でお困りになっている場合に手当てをするということを目的にしておりますのは公営住宅だけでございます。それであとの公社公団につきましては、法律上からも、法律の中でも明らかにはしてないわけでございます。  したがいまして、現在の住宅政策体系の中で先生が御心配のように、そこのコミュニティーとして一生そこで送れるようなそういう住宅政策をとれ、こういう思想はないわけでございます。あるとするならば、建てかえの際にできるだけスムーズにいく、再開発や建てかえをする場合にスムーズにいくためにどういう政策が要るか、そしてそこに長年住まれた方に対してどの程度のお手伝いができるかということで、これはいろいろな政策がございます。したがいまして私ども先生指摘のような問題は非常に高邁な思想に基づく住宅対策に対する新しい御提案としては受けとられますけれども、今の制度の中でこうできますああできますということはとても申し上げられない非常に大きな問題でございます。したがいまして、公団としては自分の与えられた務めの中で、私どもから見ますれば非常な努力をされているということで、むしろ大変だな、こういう感じでございます。  それじゃどうするのかというお話でございますが、いずれにしても、これから高齢化社会に向かいます際に、高齢者の生活の安定、居住の安定というのはやはり住宅政策上大きな課題であるというふうに思います。そういう問題も含めて、次の五カ年計画等に向けましてどうしたらいいだろうかということを今審議会で議論している最中でございます。  確かに、今までの住宅が非常に不足しているときにはそういうところまで思いが至らなかったかもわからぬけれども、これからはそういう高齢化社会に向けての高齢者世帯の居住の安定ということも配慮すべきである、こういう方向に議論が進むことを期待しておりまして、その結果を待って検討いたしたいと考えております。
  252. 木間章

    ○木間委員 私も長年建設委員会に所属をいたしまして、年々皆さんの方からたくさんの一部改正法律案を提起いただいて、議論にも参加をしてきたところであります。どんどん社会が変化をし、国民の期待もニーズも移り変わっておりますし、まさに高齢化社会真っただ中と言っても言い過ぎでないくらいの高齢化時代に入っております。法律が時代に合っていなければ、皆さんの方から改正案を出されればいいのですよ。皆さんが出されないなら私の方でまた準備をさせていただきますけれども、そういったことで、建設行政日本の政治から離れておるわけじゃ決してございませんで、これは内閣総理大臣のもとに全部行政を担当されておるわけでありますから、現行法がどうもひっかかるんだということでは済まされない問題であります。  最後に、このお年寄りと住宅行政のあり方について綿貫建設大臣のひとつ明快な御答弁をお願いして、終わりたいと思います。
  253. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 高齢者に対する住宅政策というものが極めて重要な課題だというふうに認識をいたしております。特に、先ほどから御指摘のように、体の機能の低下等に配慮しながら、高齢者が家庭や住みなれた地域社会で安心して生活が送れるような居住の安定の確保を図るということが大変望ましいことだというふうに考えております。  ただ、先ほどからいろいろお話がございますが、このごろ価値観の多様化、またニーズもそれぞれ高まっておりますが、私どもとしても無原則というわけにはまいりませんので、やはりある程度の原則に従ってこれらの政策を進めてまいりたいと考えております。その中で、どうしても基準に例外があるとかいうものについてはまたいろいろ配慮をしていくということでございます。  もうとにかく、来年度から第六次の住宅五カ年計画を立てなければならないところに来ておりまして、先ほども住宅局長がお答えいたしましたように、ただいま住宅宅地審議会におきましていろいろときめの細かい政策を盛り込んだ御答申をいただけるだろうと思っております。それらの内容等も勘案しながら、御趣旨の点は十分考えて今後の住宅政策に臨んでいきたいと考えております。
  254. 木間章

    ○木間委員 住宅審で、高齢化社会に対応した住宅行政もできるようにぜひ十分御検討いただいて、また御提示を願いたいと思います。  常松さんに引き継ぎます。ありがとうございました。
  255. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 常松裕志君。
  256. 常松裕志

    常松委員 公団の建てかえの問題に絞りまして、再び建設省並びに公団にお尋ねをいたします。  私自身もかつて鶴川団地に住みましたり、あるいは多摩ニュータウンの中にある分譲の永山団地に住みましたり、団地の生活が長うございまして、この建てかえの問題にはひときわ関心を持っているわけであります。  それだけでなくて、先ほど木間理事の御質問の中にもございましたが、私の選挙区でございます東村山の久米川団地で遠塚谷さん、この新聞によりましても御近所の方々が、非常に正義感の強い人だ、こう言って残念がっている遠塚谷さんが御夫婦無理心中なさるとか、あるいは府中団地で御高齢の御婦人がやはりこの建てかえの問題に伴う将来に不安を持ってみずから命を絶たれるとか、そういう問題が起こっているわけです。  私、最近東京多摩の自治協の総会に初めて呼ばれまして皆さんのお話を伺ったのですが、そのときに、公団多摩の自治協の特別決議の中に「居住者追い出しにつながる建替え計画の抜本的見直しを要求し、」こんな一節があります。そのときに東伏見という団地、これも建てかえ対象団地になっておりますが、そこの自治会の方々が「私たちの意見を聞いて下さい」という、こういうビラを配っていましたけれども、その中にはこういう一節があります。建て替えにあたり、泣く者を一人も出さないでほしい、こういうビラが配られておりました。  あるいは今建てかえの対象になっております久米川団地の自治会の総会にも先日呼ばれましたが、その中では、一九九〇年は久米川団地建てかえの関が原の年だ。久米川の自治会としては公団に対して幾つもの要求をなさっているようですが、その第一として、最終家賃、これは分譲価格も含めてですが、それを引き下げるように検討してもらいたい。二つ目に、御高齢の方々の家賃優遇措置は満六十歳以上、夫婦終身に拡大をしてもらいたい。あるいは四つ目に、経済的理由から高家賃になって困る人に対しては特別の措置をやってほしいというような趣旨の要求が決定をされておりました。  そしてきょう、実は後ろにこの建てかえの問題を非常に心配されて、多摩の自治会の皆さんが三十五名ですか、木間先生の発言、質疑を見守っておいでになる、こういうことで、自治会の総会などを見ても、あるいはきょうこうして熱心に傍聴にお見えになるというようなことを見ても、公団の今回の建てかえで非常に多くの方々が将来に対して不安を持っている、私はこんなふうに思うのでございますけれども、公団はそうした御認識であるのか、それともそうじゃなくて、順調に進んでいる、何の不安もないのだ、こういうふうなお考えなのか。その辺の御認識についてまず冒頭お伺いいたします。
  257. 渡辺尚

    渡辺参考人 先ほども申し上げましたように、現在住んでおられる方々の理解と協力を求める、建てかえ事業を進めていく上でこれは非常に重要なことであります。したがいまして、我々はそういうことも含めて、建てかえ事業についてのいろいろな措置あるいは高齢者等に対する特別措置、こういったものを随分議論をして構築し、それによって建てかえ事業に入ったわけでございます。したがいまして、そういうことを当然だとか考えてないとか、そんなことは全くございませんで、そういうことを真剣に考えた結果が現在のいろいろな措置であるということでございます。  いろいろな点で御議論があると思いますし、御満足いただけない点もあるかもしれません。それは立場、立場がございます。主張、主張がございます。しかしながら、先ほどからも繰り返し申し上げておりますように、我々としては我々の置かれている立場あるいは役割分担等々から精いっぱいの努力をして現在のような対応をしているということで御理解をいただきたいと思います。
  258. 常松裕志

    常松委員 御意見についてその点でのやりとりもしたいのですけれども、三十分の時間ですから先に進ませていただきます。ただ、今の理事の答弁から、とにかくこれからも不安を持っている方々の御意見をくみ上げて、そして円滑に建てかえを進めていきたい、そういうふうにお考えであるというふうにはぜひ受けとめさせていただきたいと思います。  そこで、現在進んでいる建てかえ事業の進行状況について四つほどまとめて質問いたしますが、時間の関係がございますので簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず第一に、ことしの予算が大分おくれましたけれども、この間通りました。前回の質問のときに渡辺理事からは、予算が通ったら発表できる、こういうお話だったのですけれども予算も通りました。そこで、今年度の建てかえ予定はどこなのかということをまずお話しをいただきたい、これがまず第一でございます。  それから二つ目が、既存の亀有とか蓮根では既に建てかえが実施されているわけですけれども、御高齢の方々の本移転状況ですね。この本移転というのは、結局そこに住み切れなくなって心ならずもほかに移ることというふうに私自身は受けとめておりますけれども、蓮根、亀有だけで結構ですから、御高齢の方々の本移転状況についてお示しをいただきたい。前回私はこう言いました。調べたところ六十歳以上の方々が世帯数の二割ある、だから恐らく五人に一人は今の公団の施策では建てかえ団地に住み切れないだろう、したがって二〇%ぐらいは他に移らざるを得ないのじゃないかというふうに御質問していますけれども実態がどうなっているかを二つ目にお話しをいただきたい。  三つ目に、ことしの対象団地であります久米川団地と府中団地ですが、久米川団地に絞ってで結構です。実は説明会の参加者が非常に少なかったというふうに聞いています。あの団地は選挙区の中ですから私がいつも行きますと、テラスハウス式の建物ですし、中に二棟ですけれども既に公団が建て増しを実施しているところもありますね。ですから一般的に言うと、久米川の方々からすると何も無理して建てかえてもらわなくてもいいというふうにお考えの方がたくさんいるのじゃないか。例えば習志野の大久保団地では、あそこは建て増しの済んだところで、説明会への参加者や希望調書の提出も非常に少ないというふうに私は聞いておりますけれども、同じような事情が久米川団地についても言えるのじゃないかな、そんなふうに思っています。特にここでは、非常に御近所に人望のあった遠塚谷さんの事件もありました。そういうことで、久米川の成り行きについてはいろいろ私なりに心配をしているわけです。  そこで、久米川団地における希望調書が既に出て、集めていらっしゃるわけですが、その状況についてぜひお話しをいただきたい。そして久米川団地につきまして、非常に困難が伴うだろうと私は思うのですけれども、今公団が実施しようとしている特別措置について、見直してそして実施をするおつもりがあるかどうかという点についても、あわせてお尋ねをいたしたいと思います。  四つ目になりますけれども、今度地域リロケーション計画住宅が今年度予算で決まりました。その概要について、これも手短に御説明をいただきたいと存じます。一体どこに何戸、家賃はどのくらいになるのか、いつごろから入居可能になるのか。この辺のめどにつきまして、公団が行うリロケーションということで結構です、都営住宅の方までは聞きませんから、これについてお示しをいただきたい。どうぞ手短によろしくお願いをいたします。
  259. 渡辺尚

    渡辺参考人 できるだけ手短に申し上げます。  第一点で、平成年度の建てかえ事業について、どこでやるのか、いつ発表できるのかということでございます。これは前にも申し上げましたけれども、いろいろな条件を整備した上で、後戻りといいますか、要するに設定した上で公表したいというふうに考えております。したがいまして、現時点ではまだ御容赦いただきたいと思います。もうしばらくお待ちいただきたいと思います。(常松委員「済みませんが、しばらくの時期はいつごろかめどを」と呼ぶ)今何カ月と言うのはなかなか、準備の都合もございますので、ここで申し上げてもかえって御迷惑をかけるかと思いますので、御容赦いただきたいと思います。  それから第二点の亀有と蓮根は、これは既に一〇〇%の同意をいただいているわけでございますけれども、高齢者の本移転状況ということでございます。高齢者の年齢でございますが、我々が特別措置を講じているのが七十歳以上ということでございますので、七十歳以上で申し上げさせていただきます。  まず本移転の、これは完全に終わっているわけではございませんので、いわゆる希望ということも含まれますが、三六・八%でございます。そのうち、公団の他の賃貸住宅に移られる方が一九・二%、公団分譲住宅に移られる方が0・八%、それからいわゆる民間に移られる方が一六・八%でございます。ただ、この民間の一六・八%でございますが、これは実数にしまして十八名。これは蓮根の場合でございますが、十八名でございます。そのうち九名の方はいわゆる親族と同居される。それから、亀有につきましては三名おられますが、その三名の方々はすべてが親族と同居されるという状況でありまして、いわゆる民間の賃貸住宅に移られた方は、蓮根、亀有両方合わせて一世帯ということになっております。  それから三番目でございますが、久米川の説明会の出席状況でございます。これは元年の九月に四回ほど説明会を行いまして、その結果の数字は四六・八%でございました。それから、いわゆる住宅希望調査というものを出していただくようにお願いしてございますが、これはことしの五月末現在で、全体で六一・三%でございます。その内訳は、いわゆる戻り入居を御希望になっておられる方々が五〇・三%、その他本移転の御希望の方が一一・〇%という数字になっております。  ただ、ここで一言申し上げたいのでございますが、このいわゆる移転期限というのは来年でございます。平成三年の九月なわけでございます。そういうことから、説明会というのはまず最初にそういう形で開きまして、現地には職員が張りついておりますから、個別にいろいろ御相談に乗っていただいて、そして対応を具体的に考えていくということをずっとやっていくわけでございます。それから、調査表の方もまだ出していただくようにお願いしておるわけでございますから、現時点でこれらの数字で評価するということは、過去の実績から見ましてもいかがなものかというふうに考えております。  その関係で特別措置を見直せというお話がございましたが、これは繰り返しで大変申しわけございませんが、先ほど木間先生の方に申し上げましたように、現在の特別措置につきましては、国のいろいろな制度との整合性あるいは公団の役割等々から我々が精いっぱい努力した結果であるということで、これを見直すことは極めて難しいというふうに考えております。  それからリロケーションの制度の概要、場所、いつごろ、何戸ぐらい建つのかということでございます。これは建設省が制度としていろいろ御検討になっているものでございますので、私から御説明するのはいかがかと思いますが、要は公営、公社公団の各公共賃貸住宅団地で良好なストックの形成あるいは既成市街地内に残された貴重な空間資源としての有効活用、こういう観点から建てかえの増進に努めているわけでございますが、その推進を一層強力に図っていくというために、公共賃貸住宅の総合的あるいは計画的な事業実施体制の強化あるいは従前居住者対策の充実を図るという目的を持っておりまして、そのうちのいわゆる従前居住者対策、この拡充ということであると考えております。  それで、いつごろ、どこで、何戸というお話でございますが、現在その制度の細部について建設省で御検討になっているわけでございますので、その検討の結果を待って我々としても具体的に対応を考えてまいりたいと考えているところでございます。
  260. 常松裕志

    常松委員 いろいろやりとりはしたいのですけれども時間がありませんが、今の点で建設省の方から、この地域リロケーション計画について渡辺理事お話はまだ検討中ということですから、なるほどそうかなという気もいたしますので、建設省として具体的にいつごろから何戸くらい、これは今度は日本全体の話になるかもしれません、公賞も含んだことになるかもしれませんけれども、その点についてお話をいただけないでしょうか。その点でお願いします。
  261. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 公共賃貸住宅の建てかえというのは、非常に古いストックが多うございまして、それぞれの住宅自体も質が問題なところが多いわけでございます。それと同時に、土地の利用という面から見ましても低利用が多いということで、私ども公共賃貸住宅を何とか拡充したいという政策をとっておる者からしますと、どうしてもこれを建てかえ政策によって新しい住宅に建てかえていくということは非常に重要だと思っております。  そこで、公営だからとか公社だからとか公団だからということで個別にやっておったのではなかなかスムーズにいかないだろう、それから土地も非常に合理的な利用ができないだろう、こういう観点から前々から公共賃貸住宅の総合再生事業ということで地域地域で各事業主体が連絡をとり合って総合計画を立てていく、こういうことをやってきたわけでございます。  これをさらに一歩進めまして、リロケーション住宅ということで今年度予算で新しい制度が認められました。従前居住者を移転住宅ということでしばらくここに住んでいただくというものでございます。ただし、今申しましたように相手のある話でございまして、公営住宅事業主体、東京でいいますと東京都との話し合いが当然必要でございますし、東京都と公社と公団とが話し合っていくということで、事業主体が相手があるという話、それからどこで建てかえが行われているかというその立地状況を全部判断しまして、この場所はリロケーション事業をやるに非常にふさわしい建てかえ需要が集まっておるというようなことで、どこにリロケーション住宅を置くかというような手はずが要ります。  それから、これは非常に事務的で恐縮なのですけれども、制度要綱といいますか、制度の詳しい中身につきましてまだ政府部内できちっとまとまっておりませんので、この話も早急にやっていかなければならぬということで、先生非常に具体的な御質問でございましたが、そこまでお答えする段階にないということでございます。精力的に、今後活用について公共団体を指導してまいりたいと考えております。
  262. 常松裕志

    常松委員 局長、ではいつぐらいになったら現実に建物ができ上がる、そのくらいのことは示せないのですか。これだけたくさんの方が心配して見えているわけです。そういう方々に対して、いつぐらいからだったらこの新しい制度で現実に建物が建つのだということを示していただきたいと思うのです。
  263. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今現在のところ、東京圏につきましては全くまだ話ができておりません。
  264. 常松裕志

    常松委員 わかりました。そこももう少し促進をしていただきたいのですが、そのことだけ申し上げまして次に進ませていただきます。  五月に総務庁の行政監察局が「住宅に関する行政監察結果報告書」を出しました。この中に公団の住宅の問題で二つのことが触れられています。一つは、とにかく公団の建てかえを促進をして賃貸住宅をもっとたくさんつくれということ。もう一つは家賃の低減化のために、そこのところだけ読みますと、「このように建て替え後の家賃の高額化は、居住水準の向上が図られること、新規建設住宅の供給家賃との均衡を図る上からやむを得ないことではあるが、今後は可能な限り低減化に努めるとともに、家賃抑制のために必要な措置を講ずることが必要である。」と言っているわけです。つまり、もっと低減化しなさいということを家賃の問題で言っていますし、そして建てかえそのものを促進しなさいというのがこの監察局の結果報告書です。  そうすると、今の御答弁ですと全然変わらないというのですから、変わらないということになりますと、この行政監察局の報告書が指摘していることについて前に進まないということになるわけですけれども、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  265. 渡辺尚

    渡辺参考人 家賃の低減化につきましては、我々決して高い家賃がいいなんて思っているわけではございません。できる限りいろいろな形で努力しているわけでございます。例えば具体的に戻り居住者の方々に対する住宅の型式も、いろいろ工夫してなるべく家賃が安くなるようにやっている。それから、それは公共団体のいろいろ方針もありますが、例えば法定容積率になるべく近づけるように、つまり目いっぱい使えるようにいろいろ設計上の工夫あるいはレイアウト上の工夫をするとか、いろいろな形で家賃をいかに低減化するかということは努力しているわけでございます。
  266. 常松裕志

    常松委員 時間がありませんから渡辺理事に三つだけ聞きます。  一つは、建てかえに当たって、建てかえを理由として強制的な立ち退きをさせることは法律上は絶対にできないと考えておりますけれども、強制的に建てかえを理由にして立ち退きさせることは絶対にしないということをこの際お約束をいただいて、御高齢の方々に安心をしてもらいたい、そしてそのことを前提にして話し合いを進めてもらいたい。  二つ目に家賃の問題ですけれも、これは建設委員会の決議があります。あるはずです、公団の家賃につきましては。そこで、これは運輸委員からのこのこ出てきた私が言うのもなんなので、建設委員会に、公団として既に建てかえが完了になっている大阪の臨港第二団地あるいは一部建てかえが終わっている小杉御殿、亀有、こういう団地の原価を報告をして、そして国民の皆さんや居住者の皆さんの合意、納得のもとに進める。今までは裁判所にも出さないということを鉄則にしてきたようですけれども、こういう行政監察局の指摘もありますから、この際は、建てかえ後の家賃を引き下げるためにも、そうした国民の皆さんの納得のいくような形で公表したらどうか、そういうお考えがないかどうか、建設委員会の皆さんにお示しをする気はないかどうかということが二つ目。  それから三つ目は特別措置についてですけれども、何らないということでございましたけれども、私は前回の質問の中で、例えば七十歳というのは根拠がない、そうではなくて、今日日本では少なくとも六十五歳というのが政府の中での御高齢ということになっているはずだというようなことであるとか、住宅の扶助限度額についてはこれも基準となるのはおかしいというようなことを申し上げました。  これらについて、御回答は困難なのかもしれませんけれども、ぜひひとつ公団としても検討してもらいたい。そして、建てかえがスムーズにいくように検討ができないかということを公団の方にお聞きをいたします。
  267. 渡辺尚

    渡辺参考人 まず第一点でございますが、建てかえを理由に強制的な立ち退きをしないという約束をせよということでございます。  せっかくのおことばで大変申しわけないのですが、我々は二年間をかけて誠心誠意お話し合いをしていろいろな対応を考えながらやっているわけでございます。今までの実績から見ますと、ほとんどの方々が御協力をいただいているという実績があるというふうに考えておりますけれども、もちろん今後ともさらに誠心誠意、お話し合いに誠意を持って対応するという努力をすることはそのとおりでございますが、やはり最後にどうしても残る、どうしても嫌だという方がおられるとした場合、これは既に協力をしていただいて、それなりにそれぞれの方々の生活設計を立てられて、いつになったら戻れるというような生活設計を立てられている方々のこともあるわけですから、そういう意味で今御指摘のようなお約束はしかねるというのが私の答弁でございます。  第二点でございますが、原価を出せというお話でございます。  これも御存じの点だと思いますが、公団の家賃は建設原価をベースにして算出される額を基準にしまして、先ほどもるる申し上げましたが、他の公団の住宅等との均衡を考慮しながら決定しているわけでございます。したがいまして、それぞれの団地の原価というのを公表いたしますと無用の誤解あるいは混乱を生ずるというおそれがあるわけでございます。  それから、先ほどもお触れになりましたが家賃改定、過去たくさんの裁判をやっておりますが、その中でもそのことが議論されまして、我々としてはこういう理由で提出できないんだということを申し上げ、これは裁判官の方々の御理解を得ているわけでございます。そういうこともございますので、ひとつその点は御容赦いただきたいということを御理解いただきたいと思います。  それから、三つ目でございます。  七十歳は根拠がない、あるいは住宅扶助限度額を使うこともおかしいというお話がございました。繰り返しませんが、我々は我々なりに検討した結果として現在のものが精いっぱいである、あるいはいろいろな制度の整合性等々から最適なものであるというふうに考えておるわけでございます。その点をぜひ御理解いただきたいと思います。
  268. 常松裕志

    常松委員 最後の発言になりますが、ただいまの理事の御発言については甚だ遺憾で、そういうことでありますとそのすべてに反論しなければなりませんけれども、それではこの建てかえという大事業はなかなかうまくいかないと思います。そのためには建設大臣建設省のバックアップがぜひ必要であります。  例えば、一つだけ提案をいたします。  この行政監察局の報告書の中にもございますが、従前居住者対策に特に力を入れるようにということがございます。この住宅公団の建てかえを実施する場合に、そこの中で、御高齢の方々の場合など、結局この家賃ではとても入れないということが出てまいります。そのようなことをかんがみるに、公営住宅を公団住宅の中に併設をするというようなことにこの際踏み切って、そして従前居住者対策にもう一歩道を開くということが検討できないか。この点はぜひ要望させていただきたいと私は思います。いかがですか。
  269. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほども申しましたように、公営、公団、公社の建てかえというのは、相当これから計画的にやっていかなければいかぬわけでございます。その際に、お互いの事業主体が合意に達すれば、それは先生おっしゃいますような御提案はできるわけでございますが、それぞれ事業主体ごとにやはり自分の土地で、自分の土地は自由にいろいろと建てかえをしていきたいというのがございますので、なかなかこれは合意が得られないところでございます。  したがいまして、今後その立地の状況等も勘案しながら、できるところがあるかどうか検討してみたいと思います。
  270. 常松裕志

    常松委員 質問を終わります。よろしくお願いします。
  271. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 吉井光照君。
  272. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今から若干の質問をさせていただきますが、私の質問で今国会の最後の質問になるわけでございます。今国会は土地、住宅の問題、こうしたものを中心に、法案審議、また一般質問、こうした質疑が繰り返されたわけでございます。ひとつ、それらのおさらいの意味で、いろいろと重複する点もあると思いますけれども、よろしくお願いをしておきたいと思います。  まず、先ほど我が党の長田議員も申し上げましたが、いわゆる国会の地方移転の問題でございます。  御承知のように、超党派の国会議員で構成をする新首都問題懇談会、これは東京への一極集中を是正をして、多極分散によるところの国土の均衡ある発展推進する立場から首都の地方移転を検討していたわけでございますが、最終的には国会を地方移転する国会決議ということでまとめようとしておるわけでございます。御承知のようにこの東京の異常なまでの地価高騰、これをどのようにして是正をしていくか、いろいろな角度、いろいろな面から検討をしているわけでございますけれども、やはりその場合どうしても浮かび上がってくるのが国会の地方への移転ということでございます。これを移転をすれば東京の地価高騰にも大きな歯どめになり、また状況も一変とまではいかないまでも大変な効果があるんではないか、こういうことが言われておるわけでございます。  しかし、この国会移転ということも、先ほど御答弁もいただきましたように、そう簡単にできそうな問題でもございません。しかしながら、先ほどは両大臣から非常に前向きな御答弁もいただいたわけでございます。行政府としても、この国会の地方移転ということについてひとつ精力的に論議を進めていただくことを、まず御要望をしておきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  次に、公共投資のあり方についてお尋ねをしたいわけです。  御承知のように、今月の二十五日から第五回の日米構造協議が外務省で始まるわけでございますが、最終報告に盛り込む公共投資十カ年計画、この策定作業がやはり最大の焦点になることは明らかでございます。  我が国が一人当たりの国民総生産、GNPでは世界一位、経済大国と言われながら、反面、国民一人一人がその豊かさを実感できない、生活小国となった大きな原因の一つとしては、やはり社会資本整備の立ちおくれ、これが内外から強く指摘をされているわけでございます。現に、一人当たりの住宅床面積でも二十五平米、西ドイツの三十二平米より狭い、アメリカの六十一平米の半分以下ということでございます。さらに、下水道の普及率におきましても四〇%。西ドイツは九一%、アメリカは七三%。これらから比べますと、同じ先進国でありながらやはり大きな隔たりがあるわけでございます。社会資本全体として日本は欧米諸国の三分の一程度の水準と言われるゆえんがここらにあるのではないか、このようにも思うわけでございます。したがって、さきの中間報告で示されました公共投資十カ年計画は、我が国社会資本整備に大きな使命を担うことになるわけでございます。  そこで、この社会資本整備に当たって重視すべき点は何かということでございます。  私は第一に、これまでの道路、鉄道、港湾、こうした産業基盤整備を優先するのではなくして、住宅下水道公園、こうしたいわゆる生活環境整備重点を置くべきである、この点については異論はないと思うのです。問題は、昭和四十七年の列島改造論、このような公共事業拡大による地価高騰、インフレの二の舞になりかねない状況にあるとの声も非常に強いわけでございますが、どのような長期ビジョンでもって対応をしていくつもりなのか。  それから第二点目としては、今最大の政治課題一つである住宅対策をとってみましても、これは単に建設省のみで解決できる問題ではないわけです。自治省、運輸省、国土庁など関係省庁の横の連携がとれたいわゆる総合的な協力関係の上に立った整備がぜひとも必要であると思います。また、これと関連して、いわゆる公共事業費の各省庁の枠、これも全体としては国民のニーズ、また時代の変化に対応して、この施設整備重点そして優先を決めるような柔軟性を持たせるべきではないかと思います。したがって、今までの公共事業といえば何といっても産業基盤整備が主体であったということは否めない事実でございますが、これは先ほど申し上げたとおりでございます。  第三番目に、十カ年計画の総事業費として、これも再三論議されておりますが、四百兆円程度を政府考えていらっしゃるようでございます。これらの資金の確保についても、国・地方それから公社公団、こうした予算だけではなくして、今民間にだぶついているところの金を社会資本に積極的に投入させるいわゆる誘導策は何かないだろうか、これをやはり考えるべきではないか、私はこのようにも思います。  以上三点について、大臣それから長官のお考えをひとつお聞かせ願いたいわけでございます。またあわせまして、この四百兆に上るところの財源を握る大蔵省のお考えもお伺いをしておきたいと思います。
  273. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 吉井先生にお答えします。  三つの問題点ですが、一つは土地高騰を招かないためにどうしているかという対策だと思います。  社会資本整備の場合に土地高騰が一番大きな要点になると思います。よく公共事業につきまして用地買収費が約一五%くらいと前言われておりました。仮に事業費がふえても土地が上がれば事業量はふえないで同じということでございまして、これは一番大きな問題。そんなことでございまして、現在国土庁としては総合土地対策をやっておりまして、基本的には、大規模プロジェクトに対する先行的指定の実施等、監視区域の的確な運用と強化、それから諸機能地方分散、土地税制の活用、金融機関等に対する指導の徹底、土地利用計画充実等、総合的な土地対策をあわせ講じるなど、社会資本整備の適切な推進に努めておるところでございます。  それとともに、第二番目の質問につきましては、今までは産業基盤を重視しておりましたが、生活基盤重視に変える必要があるのじゃないだろうか、こんな御質問であったと思います。  そんなことでございまして、現在公共投資十カ年計画というのを経済企画庁中心に鋭意取りまとめておりますが、我が国土庁としても、四全総の趣旨に沿いまして基本的には国土形成とか活力に満ちた快適な地域づくり推進交通、情報、通信体系整備等を総合的に推進し、国民生活の質の向上を図っていくことが重要である、こう考え国土庁としてはこのような趣旨を踏まえまして関係省庁と十分連携調整を図っておるところでございます。  第三番目の質問につきましては、実はこれは今、公共投資十カ年計画の金額の総額についていろいろ言われておるけれども、公的部門だけではなくして民間部門を、民間資金を入れたらどうか、こんな御質問であったと思うわけでございます。  先ほどもちょっと申し上げましたが、公共投資十カ年計画については現在経済企画庁中心に鋭意取りまとめられておるところでございまして、国土庁としては、四全総の趣旨を踏まえまして、公的部門と民間部門の連携を図りつつ国土基盤投資を積極的に推進することが必要と考えており、このような考え方に立ちまして関係省庁と十分連携調整を図ってまいりたいと考えております。
  274. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどの生活関連産業投資との区分というようなことでございますが、私ども建設省で行っております公共事業はすべて生活関連だと思っております。道路、これは産業道路、生活道路と分けるわけにはいきませんし、また治水事業にいたしましても、洪水で災害が起これば 今までの民生が一遍に破壊されるわけでございますから、私ども行っておりますものはすべて生活関連の投資だというふうに私考えております。  なお、長期目標につきましては、既に昭和六十一年、国土建設に対する建設省の二〇〇〇年における長期ビジョンもつくっておるところでございまして、これを一つの基本にして私どもは今後の投資を考えていきたいと考えております。  今総額四百兆云々とございましたが、先に総額ありきというような考え方もございますけれども、私ども建設省といたしましては、ただいま申し上げましたような長期構想を基本に、骨にいたしまして、さらにそれの拡大ということを中心考えていかなければならないと考えております。  なお、民間資金の活用等々につきましては、先ほど来いろいろ御熱心に御討議いただいております住宅宅地の供給とかその他の面につきまして、民間資金のさらに大いなる活用によってこれらが充足されることを私どもも心から期待しておる次第であります。
  275. 林正和

    林説明員 今後の社会資本整備につきましては、二十一世紀を見据えまして着実に社会資本整備を図っていくということが私ども考え方でございまして、その旨、日米構造協議における中間報告にも盛り込まれ、御案内のとおり、現在今後十年間の支出総額について経済企画庁中心として最終報告に向けて鋭意作業がされております。  私ども社会資本整備に関する考え方は基本的にはこういうことでございますが、ただ各年度ごとの進め方につきましては、そのときどきの財政事情あるいは経済事情等を見ながら弾力的、機動的に運用していくということが必要だろうと思っております。  それから、先生指摘事業別配分でございますが、これまでも経済社会の動向あるいは国民のニーズのあり方というところを踏まえて対応してきたところでございますけれども平成年度予算においても、御案内のとおりNTT事業の活用等によりまして、生活環境向上に資するよう、下水道でありますとか公園あるいは再開発事業等に特に配慮してまいったところでございます。今後とも公共投資重点化効率化を図りつつ、バランスのとれた整備に努めていきたいと思っております。  なお、地価の高騰でございますが、これは私ども、先ほど申し上げましたように現在我が国経済は内需を中心とした持続的な拡大局面にございます。労働需給の引き締まり基調は見られますが、物価の動向は引き続き安定しておりまして、今後ともインフレのない成長の長期かつ安定的な確保を図ることが肝要だと思っておりまして、今後とも各年度の具体的な進め方について、インフレ、景気過熱を招かないように留意していくということが大事かと思っております。私ども、物価動向、労働需給、これらに十分注意いたしまして対応していきたいと思っております。     〔笹川委員長代理退席、委員長着席〕
  276. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では次に、いわゆる開発利益の還元制度の導入について、そのお考えをお尋ねしたいのですが、建設省は、来年度からスタートする第六期住宅建設五カ年計画、これに盛り込むところの整備目標を決められたわけです。  主な内容は、一戸当たりの平均床面積を現行水準の八十九・三平米から九十五平米に引き上げるとともに、公営住宅の建設戸数を三百八十万戸程度とすることのようでございます。住宅地を大量供給することは、やはりそれに伴った鉄道それから道路、こういった社会資本整備というものが不可欠でございますが、その建設計画が発表されると、きょうも質問にたびたび出てまいりましたように、すぐ投機的な資金がそこに繰り込まれる。それで地価が高騰し、事業が中止するという例は枚挙にいとまがないわけでございます。  こうした社会資本整備を妨げる病根、これはやはりどこかで断ち切らなければならない。そのためには、公共投資によって生まれたところの開発利益の一定割合を社会に還元をする開発利益還元のシステムづくりというものが私は必要ではないかと思うのです。  参考例として西ドイツは、地価が上昇したのはいわゆる公共の投資によるものだから、その分をいわゆる社会に還元させるのは当然である、こうした立場から、再開発によって土地の価格が高まると、その地価上昇分の一定割合を自治体が徴収する、こういう開発調整金制度というものがございます。  また、御承知のようにお隣の韓国でも、やはり開発事業者や地主が開発利益を国に還元する内容の開発利益還収法と土地超過利得税法、こういったものがことしの三月からスタートしているわけでございます。  我が国の土地基本法第五条では、土地の価値が社会的経済的条件の変化により増加する場合には、その土地の権利を持つ者に対し、利益に応じて適切な負担を求められる、このようにうたってあることも考え合わすならば、やはり私は韓国の諸制度、特に開発利益還元制度の導入については大いに参考にしてもいいのじゃないか、このような気もするわけですが、いかがでしょうか。
  277. 福本英三

    福本政府委員 建設省関係のそういった開発利益の考え方について御説明を申し上げたいと思います。  現在、社会資本整備関連してそういった負担を求めている例といたしましては、税金以外には、土地区画整理事業における減歩とか、下水道事業に関する受益者負担金制度などがあるわけでございます。しかし、開発利益の還元ということになりますと、そういったある程度区域がはっきりしているような事業はそういうものになじむわけでございますが、一般的には、受益者の範囲とか受益の程度の特定が非常に難しいという問題などがありまして、実際に適用しようと思うとなかなか難しい問題がいろいろあろうかと思っております。  しかし、当面、例えば東京臨海部の開発構想のような大規模プロジェクトなどにつきましては、受益の範囲や受益の程度というものが特定しやすいものでございますから、大街区方式の土地区画整理事業などの活用を図って、そういうようなことにも対処してまいりたいと思っております。それから、今先生の御指摘のございましたように、昨年成立した土地基本法にも「社会資本整備関連する利益に応じた適切な負担」に関する条文というのが盛り込まれておるところでございますので、私どもといたしましても、引き続き広範囲に検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  278. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 お尋ねのありました韓国の開発利益還収に関する法律や土地超過利得税法等幾つかの法律が本年の一月から三月にかけて施行されておりますことは承知しておりまして、私どもも韓国の土地問題に非常に積極的に取り組む姿勢は大いに評価しておるわけですが、ただ、どうもこの制度を直ちに日本に取り入れるには少し社会経済情勢が違う面があるのではないかというふうな気がしております。  例えば、韓国では現在でも土地開発、宅地開発面では土地開発公社等公的機関ウエートがかなり高いわけでございます。そういうこともございますし、また、先ほど建設省から御答弁ございましたように、受益地域の特定とか受益の範囲、韓国の場合は値上がり後の、開発後の価格から平均上昇率のようなものを差っ引いたりしながら対応しようとしておられるようですが、その辺の技術的な問題もさらに詰めないといけない問題が多々あると思います。  そういう意味で、現在はできるだけ既存の制度、受益者負担制度等を活用するほか、税、固定資産税とか譲渡益課税等も一部そういう開発利益の還元という意味合いの性格を持った税でございますので、その辺を適切に活用するということも大切と思いますが、ただ、基本法でそういう大きい方向を打ち出していただいておりますので、新しい制度につきましても、今度審議をスタートしました土地政策審議会の一つの大きな課題としまして詰めていただこうというふうに考えております。
  279. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では次に、これもさっき出ましたが、大深度地下利用基本法の制定についてお尋ねをしておきたいのです。  日米構造協議中間報告日本側主張の中に、この大深度地下の公的利用に関する制度につき検討を進める、こういうことがございます。建設大臣も所信の中でそのように決意を表明していらっしゃるわけですが、これは今大きな社会問題となっている違法駐車の解決、こうした面にも大きく貢献できるし、また、汚水処理施設等の地下化によってその上の空間を公園などにも有効利用もできる、これは大深度とも言わないかもしれませんが。  我が党はこの点に関して、常磐新線の予定しているところの東京都心部について、この大深度地下の有効利用によるところの早期開通を目指しているわけですが、この具体化に先駆けまして、大深度地下利用基本法、こういったものを制定して、そして環境アセスメントの完全実施を前提に大深度地下の秩序ある開発と保全を図るべきだと主張をしているわけでございます。  この際、建設省なり国土庁なりがひとつ音頭をとって、各関係省庁意見調整をやったらどうか。先ほど御答弁の中で、各省庁なりにいろいろと論議は重ねられているということでございますが、こうしたいわゆる地下利用というものは、私は今から急速にその必要度を増してくると思うのです。やはり今までの政府のこうした問題についての対応の仕方は、いろいろ省庁でずっと検討して、そしてあげくの果ては内政審議室、こういうふうな格好が非常に多いわけでございます。そんな内政審議室も結構ですけれども、それはやはり格をうんと上げて、大深度地下利用計画推進協議会とか、そうしたものを設置して推進をしたらどうか。本当に必要度が高まって、どうにもこうにもならなくなって、こうしたものができてくる。  行政というものは先手先手を打っていかないと、今までの我が国の行政というのはどうしても後手後手に回った嫌いが非常に多い。こういったことで、こういういわゆる大深度に対するところの問題についてお考えをひとつお願いしたいと思います。
  280. 三木克彦

    ○三木政府委員 御指摘がございましたように、大深度地下は貴重な空間でございまして、土地所有権等との調整を十分図った上でその利用を進めることは社会資本整備の上でも必要でございますし、総合的な土地対策を推進する上でも極めて有効であるというふうに考えております。  大深度地下の公的利用に関する制度につきまして、ただいま御指摘もございましたように、内閣の内政審議室を中心に、関係省庁省庁でございますが、ただいま検討を進めておるわけでございます。現在の検討の状況は、いろいろな法制度の面につきましてそれぞれ問題点を洗い出す、こういうふうな検討をしているわけでございますが、協議会をつくったらどうかという先生の御指摘も含めまして引き続き検討を進めまして、政府全体として調整のとれた成案が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
  281. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では、金融対策についてお尋ねをしておきたいのですが、まずここ数年の地価の高騰、これは明らかにいわゆる金余りを背景とした土地の投機が原因であると言われております。昭和五十八年以来の高騰で地価が四倍近くはね上がったわけですが、その間、銀行だけで約五十兆円、それからリース、信販などのいわゆるノンバンクの金融機関も含めますと約百兆円、こうしたお金が土地に融資をされた、こういうように言われております。  この膨大な貸付金、これを回収するのは並み大抵ではないと思います。したがって、これ以上の過剰不動産融資の競争は健全な銀行経営を危うくするとの判断から、大蔵省は銀行の倒産防止のために、昭和四十八年のいわゆる列島改造ブーム以来十七年ぶりに土地融資の総量規制に乗り出したと見る向きも多いわけでございます。  この総量規制の効果として、東京の土地取引全体のおよそ六〇%を占めるところの中小不動産業者は資金力の限界によって在庫の投げ売りが出て地価が暴落すると見通す人もおりますし、また消費者の取得能力の範囲まで徐々に下落をすると言う人もおりますし、またインフレや根強い需要で現行水準を維持すると見る人もいるわけでございます。さらには、この規制によって、取引は落ち込んで宅地供給の減少につながり、そして将来には地価の上昇にはね返る、こういう考えの人もいらっしゃいます。  先の見通しですから、どうも我々にもわからないわけですが、大蔵省としては、この総量規制の効果についてどのような見方をしていらっしゃるのか、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  282. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  大蔵省では地価問題を大変重視いたしておりまして、これまでは個別の案件ごとに、行政指導の一種でございますけれども、特別ヒアリングと称しましてサンプル的に各銀行ごとに地価上昇につながっているのではないか、あるいは買い占め、短期の転がしというものに金融機関が手をかしているのではないかと思われるような案件について逐一金融機関にそれをただしておったわけでございます。六十二年以来やってまいりました。しかし、それはそれで着実に効果を上げているというふうに私どもは認識しておりますけれども、それだけでは不十分であるということで、本年三月に総量規制に踏み切ったわけでございます。  先生指摘のとおり、昭和四十八年以来十七年ぶりということでございますし、行政というのは民間の活動に過度に介入してはいけない、活力を失わせることにもなりますので、というような考え方もございましたけれども、地価問題の重要性にかんがみまして総量規制に踏み切ったわけでございます。総量規制の考え方というのは、経済のノーマルな伸びというのがあるでしょう、それを金融機関の総貸し出しという形で表現するとしますと、その総貸し出しの伸びに対して金融機関の不動産業向け貸し出しをそれ以内に抑える、こういう考え方でございます。昭和四十八年にとられました総量規制も同じ考え方でございました。  先生の御質問は、その総量規制というのはどのぐらいの効果を発揮するのかというような御質問でございます。  最近の新聞等では、この総量規制が不動産業者の資金繰りに実質的に影響をかなり与え始めたという記事もある一方、まだまだいろいろな迂回ルートを通じて不動産業等に金が流れているではないか、このような記事も混在しておるわけでございます。  私どもの悩みといたしましては、ノンバンクと称します金融機関の外にあります貸金業者、これにつきましては規制をする大蔵省として権限を持った法律がないわけでございます。しかし、ないといって、そのノンバンクから不動産業に流れる資金について、これを全くさわらないというわけにもいきませんので、銀行局長からノンバンクの個々の団体に対しまして、自主的に同じ精神で量的規制の考え方でやってもらいたい、こういう要請をいたしておるわけでございます。個々のルートについては残念ながら確たることを申し上げられないわけでございますが、金融機関に対する量的規制については中間的な段階のヒアリング等を考えますと、ほぼ順調に推移いたしておるのではないかというふうに考えてはございます。  ただ、経済は生き物でございますし、私ども一つ一つの取引について完全にそれを規制しているわけでもございませんので、自主的な分はもちろん十分ございますものですから、今後とも慎重にその推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えてございます。  具体的な影響はどうなのかにつきましては、責任ある立場でございますので何とも申し上げられないわけでございます。
  283. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今御答弁をいただきましたノンバンク対策、これも今おっしゃいましたように、ノンバンク研究会、こうしたものを発足させて、そしていろいろと検討されているわけでございます。ところが、一年後にこの研究結果を検討する、これでは本当に遅いのじゃないかと私は思いますよ。地価の高騰を抑制するということは現段階では即効性がなくちゃいけない、これにはあらゆる手段、方法を講じていかなければならないと思います。  今御回答いただきましたように総量規制、これは確かに効果をあらわし始めていると思うわけでございますけれども、こういったノンバンクに対する対策ももっと早めて大蔵省の監視をさらに徹底をしていただきたい、このことを特に御要望を申し上げておきたいと思います。  それから、住宅基本法の制定でございますが、これもいつも私たちが言っているわけですが、土地基本法が昨年十二月に成立をいたしました。この存在意義は、今後の土地対策を積極的に推進していく上において大変重要であると思います。  一方、土地とともに住宅に関する憲法も必要ではないか、これが私たちの考えでございます。豊かさが実感できる国民の住宅権を保障する国の責務というものを明確にして、住宅に対する国と地方の供給体制の明確化、適正な居住水準と住居費の設定、所得の低い人に対する住宅供給、老人母子家庭、身障者、こうした方々のための福祉住宅の供給、宅地供給、財政金融措置、住宅白書の国会提出、そして住宅問題解決への基本的な方途を明確にした住宅基本法の早期制定がぜひとも必要ではないかと私は思うのです。  聞くところによりますと、東京都もこうしたたぐいのものを今検討中ということでありますし、また都内の二、三の区においては既に住宅基本条例といったものもつくっていると聞いておりますが、この住宅基本法制定についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  284. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 社会党からは住宅保障法案、公明党さんからは住宅基本法案等が提出されておることは私もよく存じております。  今御指摘のように、住宅の居住水準の向上とか、あるいは福祉対策を盛り込んだ住宅、あるいは計画的な住宅の供給とか、そういうことの御指摘でございますが、建設省といたしましても、五カ年計画を基本にいたしまして、それらの点をある程度踏まえて今日までやってまいっておりますが、いよいよ来年度からは、さらに第六次の住宅五カ年計画を実施することになりまして、ただいま住宅宅地審議会において今御指摘のような点等を盛り込んで恐らく近く御答申をいただけるものと思っておりますので、それらを基本にしてひとつ政策を進めていきたいと思っております。  なお、それらの政党間においてコンセンサスが得られますならば、住宅基本法というものの制定にぜひ踏み切っていただきたいということを心から期待いたしております。
  285. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 最後に、公営住宅の件について一、二点お尋ねをしておきたいのですが、まずその一つは入居基準についてでございます。  これも御承知のように全国一律ですが、この入居基準については各事業主体に任せるべきではないか。御承知のように現在、地方大都市圏では所得の格差に随分開きがあります。したがって、私は、やはり地方大都市かで、きめ細かな区別があってしかるべきである、このように考えているわけですが、この点はどうでしょうか。  それから、現在の入居基準は、一種が十六万二千円、二種が十万円、この算出の根拠についてお尋ねをしたいと思います。  それから、駐車場の件でございますが、都営住宅の場合でも原則として駐車場は設置をされません。なぜかとなれば、この地価急騰の中で一戸でも多くの住宅を提供して、しかも低料金の住宅供給を目指しているからということでございます。ところが、東京都は、今年度から都営住宅にも駐車場を戸数の二、三割程度つくることにした、こういうことでございます。しかし、団地の路上駐車はそれでは一掃できないわけでございまして、また住都公団が三十年代に建てた住宅には駐車場が全然ありません。現在の車社会の現状考えた場合、やはり駐車場は必要ではないかと思います。したがって、土地に余裕がないといった場合には、立体駐車場をつくるとか地下駐車場を確保するとか、こういった今後の公営住宅建設の場合の駐車場との関連についてお尋ねをしておきたいということ。  三点目は単身者、これはもう今、公営住宅に入れないわけでございますけれども、最近、単身者が非常にふえております。単身者といえば、御承知のように所得も低いわけでございまして、やはりある程度のスペース、部分を単身者に当てるようなことはできないものだろうか。この三点についてお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  286. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 一点目の公営住宅の入居基準でございます。  先生案内のとおり、公営住宅公営住宅法で、「住宅に困窮する低額所得者」ということで対象層が決まっておるわけでございます。考え方としてはいわゆるナショナルミニマム的な発想での対策となっているわけでございます。したがいまして、そのナショナルミニマムという趣旨からしますと、全国的な一律基準という従来の考え方が出てくるわけでございます。先生がおっしゃいましたように、地方地方でいろいろな要望があることは私どもは十分に承知しているところでございます。  それから、収入基準を見直すべきではないかということでございますが、これも全国の世帯収入の動向等を勘案して、必要が認められれば適宜改定を行うということできておりまして、過去の改定は五十四年、五十七年、六十一年ということになっております。したがいまして、その趣旨に沿いまして、社会経済情勢の変化に応じて適宜見直していきたいと存じております。  それから二点目は、公営住宅の駐車場問題でございます。  先生案内のとおり、最近におきます公営住宅あるいは公団住宅につきましては、それぞれ事業主体ごとに方針を定めまして、できるだけ地域の実情に応じた形で駐車のスペースをとるということで努めているところでございます。公営住宅につきましても、例えば東京都の都営住宅では、多摩ニュータウンでは五〇%程度は設置しておるということでございまして、先ほど言いましたようにその他の地域についても三〇%ぐらい確保したいというようなことで努力をしているようでございます。  そのスペースがないので地下とか立体駐車場ということでどうだろうかという御提案でございますが、公営住宅の場合には家賃であるとかそういうものに、建設事業費にはね返るわけでございまして、平面駐車場に比べますと立体駐車場、さらには地下駐車場というのは相当なコストがかかるわけでございます。このコストをどういうふうに負担するかという大問題があろうかと思います。したがいまして、公共団体が自前でやるようなことは可能かと思いますけれども、それぞれの事業主体の方で今後ともこの問題は必要に応じて検討していただきますが、非常に難しい問題であろうかと思います。  それから三番目に、単身者の公営住宅入居が認められていないのではないかというお話でございますが、現在は、男性につきましては六十歳以上、女性につきましては五十歳以上の高齢者の単身者は認めております。  住宅対策全体の考え方からしますと、民間賃貸住宅ではなかなか最低居住水準が達成できないような世帯に公共住宅に入居していただく、こういう政策的な考え方をとっておりまして、そういう意味からしますと、単身者の場合には全国的に見まして民間賃貸住宅市場で相当な規模で供給がされております。賃貸市場全体としてはむしろこれで供給過剰な状況にございますので、政策的にプライオリティーの高いのはやはり高齢者であろうということで、単身者につきましても高齢者から入れたということでございます。そういうことでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  287. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 以上で終わります。
  288. 中島衛

    中島委員長 次回は、明後二十二日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散