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1990-06-08 第118回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月八日(金曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 中島  衛君    理事 金子 一義君 理事 木村 守男君    理事 北村 直人君 理事 桜井  新君    理事 笹川  堯君 理事 木間  章君    理事 吉井 光照君       浅野 勝人君    大石 正光君       瓦   力君    杉山 憲夫君       田中 秀征君    武村 正義君       渡海紀三朗君    東家 嘉幸君       中山 成彬君    松永  光君       村井  仁君    村上誠一郎君       井上 普方君    貴志 八郎君       鈴木喜久子君    仙谷 由人君       三野 優美君    山内  弘君       長田 武士君    辻  第一君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    福本 英三君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第二課特         別財産室長   川端 正次君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         自治省財政局調         整室長     香山 充弘君         参  考  人         (東京大学名誉         教授)     日笠  端君         参  考  人         (弁 護 士) 五十嵐敬喜君         参  考  人         (産経新聞社論         説委員)    箱崎 道朗君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   田中 秀征君     三原 朝彦君   東家 嘉幸君     野呂田芳成君   中山 成彬君     古賀 一成君   菅原喜重郎君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     中山 成彬君   野呂田芳成君     東家 嘉幸君   三原 朝彦君     田中 秀征君   柳田  稔君     菅原喜重郎君 同月八日  辞任         補欠選任   瓦   力君     浅野 勝人君   石井  智君     井上 普方君   松本  龍君     仙谷 由人君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     瓦   力君   井上 普方君     石井  智君   仙谷 由人君     松本  龍君     ───────────── 六月八日  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願(左近正男紹介)(第一六五四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)      ────◇─────
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として東京大学名誉教授日笠端君、弁護士五十嵐敬喜君、産経新聞社論説委員箱崎道朗君、以上三名の方々に御出席いただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  なお、議事の順序でございますが、まず日笠参考人、次に五十嵐参考人、続いて箱崎参考人順序で、御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず日笠参考人にお願いいたします。
  3. 日笠端

    日笠参考人 御紹介にあずかりました日笠でございます。  私は、都市計画調査研究並びに教育、これを本務といたしております。特に都市土地利用計画であるとかその実現方策等につきまして非常に関心を持っているものでございます。また、住宅を一層重視する都市計画ということは、私が四十年来と申しますか、長年申してまいったことでございます。  本日は、時間も限られているようでございますので、御依頼の二つ法案に関連いたしまして、三点ほど私の意見を述べさせていただきたいと存じます。  まず第一点は、大都市地域におきます住宅宅地問題に取り組むためには、広域的な視点が重要である、広域的な取り組みが重要であるということでございます。  国や地方公共団体一つ都府県行政区域を超えまして、大都市地域全体という視点からお互いに協力しつつ施策を講ずることが重要でございます。特に、半径五十キロにわたるというような東京圏の場合におきましては、東京都だけでは問題が解決不可能でございます。  私は、東京都の住宅政策懇談会の座長を仰せつかりまして、四月に知事に報告書を提出したところでございますが、その懇談会審議を通じましても、その点は非常に痛感した次第でございます。そのためには、国と地方公共団体合意形成が大事でございます。共通の指針であるところの、この法にあります「供給基本方針」、これを策定するということが必要でございます。  なお、これを実効あるものにするためには、実施主体でございます関係地方公共団体住宅供給計画を定めましてこの計画実現に当たる必要がございます。こういった広域のマスタープランというものがまずないといけないんじゃないかというふうに思っております。  それから二番目でございますが、住宅を一層重視した都市計画を展開する必要があるということでございます。  都市計画は、産業の発展それから居住環境改善、良好な住宅地供給、こういうことも踏まえて従来やってきておるわけでございますが、さらにこの深刻な住宅問題ということを考えますと、現行制度に一層工夫を加え、運用に工夫を加えまして、住機能の維持あるいは住宅供給ということを誘導する方向都市計画のあり方を変えていく必要があるんじゃないかということでございます。  それから、都市計画といたしましては、法第七条第四項に整備開発保全方針というのがございます。現在でもこの中に住宅関連の項目があるわけでございますけれども、これをさらに住宅市街地開発整備方針というふうにはっきり打ち出しまして、都市計画としてのマスタープランあるいは市町村レベル計画として、この住宅市街地開発整備ということのマスタープランをはっきりさせる必要があるというふうに思います。  それから、住宅政策は、従来三本柱と言われます公営あるいは公団、金融公庫といった柱がございますが、このように地価が高騰いたしますと、公的な住宅土地を買収して供給するということも非常に困難になってきておりますので、やはり民間土地の売買をせずに、地主さんに好ましい住宅を建てさせて、それを公的機関が借り上げるなりいたしまして、民間公共の共同によりまして、適正な家賃の、しかも適正な水準住宅一般方々、特に低所得者あるいは中堅階層供給していくということが新しく必要になってきていると思います。そうなりますと、一般市街地の問題になりますので、ますます都市計画が果たさなければならない役割というものが重要になってくるのではないかというふうに考える次第でございます。そういうことで、地域の特性に応じた住宅政策都市計画としても展開されるということが都市計画役割ではないかと思っております。  それからさらに、高齢者等の福祉に関連しました町づくりあるいは住まいづくりということにつきましては、かなりきめの細かい対応が必要でございますので、都府県というよりも身近な市町村施策を展開していく、そういう役割もこれからは非常に大きくなっていくんではないかということがございます。したがいまして、市町村に対しても国や地方公共団体が、住宅とかあるいは住宅地供給に関しまして援助を行うということが必要であると思います。  三番目の問題は、土地利用計画詳細化ということ。これは土地基本法でもうたわれておりますが、これが非常に大事であると私は考えておりまして、これを積極的に活用、改善をしていくことが大事であると思っております。  我が国都市は、西ドイツなどヨーロッパの都市と違いまして、建築活動が非常に活発で、激しく市街地が変化しております。したがって、当面は、ドイツでは地区詳細計画というのでほとんど都市計画をやっているわけでございますが、日本ではどうもそうはいかないんじゃないか。そうなりますと、当面は、やはり用途地域というような現行制度がございますので、これを改善しつつ規制を行っていく、そして市街地最低水準はこれで担保していくということ。同時に、必要に応じまして、必要な地区については地区詳細計画というものを我が国でも導入して、そしてより高い水準市街地をつくっていく、こういうようなやり方がやはり現実的ではないかというふうに思っております。遠い将来は、私はちょっとまた夢を持っておりますけれども、当面はそういった方が現実的だというふうに考えております。  それから、我が国市街地は、やはり欧米先進諸国市街地と異なりまして、地区整備計画の点から見ますと、現況は非常に複雑で多様な環境地区から成り立ってございます。それを大きく分けますと、例えば土地区画整理あるいは一団地などによりまして基盤整備がきちっとできている、地区施設が整っている市街地、これを私は計画市街地というふうに呼んでいるのですが、それと、地区レベル計画が全くございませんで、いわゆるスプロールの集積によってできていってしまった市街地、これを私は非計画市街地と呼んでいるのですが、そういうものに大きく分けられると思うのですけれども、それがさまざまな割合で、あるいはさまざまな形で混合している、共存しているというのが我が国都市市街地の姿ではないか、実態ではないかというふうに思っております。  したがいまして、地区整備計画につきましても、優秀な、優良市街地については、これは保全をしていった方がいいわけであります。また、地区施設が欠けている地区がございます。そういうところは、とにかく消防車も入らないというようなところは、やはり何本かの地区施設整備する必要がございます。そういうような地区もあります。また、駅前等経済力の非常に高い地区におきましては再開発が可能でございます。それから、今日また問題になっておりますような、市街化促進して優良住宅地に誘導すべき地区もございます。  そんなふうにさまざまな地区がございまして、それぞれに対応していかなければならない。西ドイツの場合を調べてみますと、どうも地区詳細計画というのはそんなに種類は要らないので、再開発の場合と新開発の場合と二つくらいあればよろしいのでございますが、我が国では非常にいろいろなタイプの市街地がありまして、これをいい方向に誘導するためにはどうしても地区詳細計画メニューが多様である必要がございます。そこで、これまでも昭和五十五年制定の地区計画制度がございますが、そのほかに沿道整備計画、それから再開発地区計画集落地区計画などというように、制度を、メニューをふやし、充実してきているのがこれまでの経過でございます。  そこで、本日の住宅地高度利用地区計画というのもその一つでございまして、再開発地区計画というのはもうできておりますが、これは大体業務地主体でございますので、これと似たような考え方住宅地に適用するというようなことが考えられ、この制度が生まれてきているというふうに伺っております。つまり、単に規制するだけではなくて、公共施設をその地区整備をしていただく、こういうことを義務づけまして、それを条件にしてそして従来の規制の一部を緩和していく、こういうことで健全な、良好な住宅市街地を形成しようというねらいを持っているものと解しております。  以上述べましたように、二つ法案に関しまして、私が冒頭申し上げたように、やはり住宅というものを重視した都市計画という筋から見まして、おおむね私の考え方と一致しております。したがいまして、そういう意味では一歩前進ではないかというふうに思っておるわけでございます。  なおつけ加えますならば、住宅問題の根底には、やはり何といっても土地問題がございます。土地基本法に基づいて土地税制を含めた具体的な施策土地対策、これを実行して、そして土地の価格を適正化をするということ、それから宅地供給増を図っていくということ、これに力を尽くすべきではないかと考えております。  大体、時間が参ったようでございます。これで終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 中島衛

    中島委員長 ありがとうございました。  次に、五十嵐参考人にお願いいたします。
  5. 五十嵐敬喜

    五十嵐参考人 参考人五十嵐です。  きょう私は法律家として、この法案について三点から意見を述べさせていただきたいと思っております。  第一は、今回の法案住宅を対象とした法律でありますけれども、住宅についての定義というものをはっきりさせるべきであるということであります。  私が考えます住宅にとって不可欠な定義は、一応六点にわたって定義することができる。一つは、日本国民及び日本に居住する人たちについて居住権というものをはっきり認めるべきであるということが第一点であります。第二番目には、住宅については一定水準というものが確保されるべきであるということであります。第三番目は、住宅費、これは家賃あるいは住宅ローンというのも含まれますけれども、これは各人の能力の適正な範囲内で設定されるべきであるということであります。第四番目は、住宅はただ建てればいいというものではありませんで、地域コミュニティーの向上に寄与するようにつくられなければいけないということであります。第五番目は、このような理念といいますか、原則といいますか、それを確保するために、自治体に対して住宅法的権限あるいは財源を確保するようにさせるべきであるということであります。第六番目は、自治体住宅計画するについて住民参加を不可欠とする、というのが、六点、私が住宅にとって必要不可欠と考える原則であります。  ちなみに、この原則について果たして国会議員先生方がどのようにお考えでいらっしゃるだろうかということを、実は土地住宅市民フォーラムという市民運動レベルで、今回の衆議院選挙の際に立候補しておられました先生方全員アンケート調査をいたしました。送付したアンケート先が八百五十三人で、そのうち回答者が四百三人、約四七%の回答率でございます。  それで、内訳がここにありますけれども、簡単に結論だけ申し上げますと、まず住宅についての居住権を保障するということについては、回答者中九一%の先生方賛成であります。それから住宅について一定水準を確保することについても八八・五%の先生賛成。以下、家賃補助等について九一・五、自治体権限について九四・五、それから計画についての住民参加について八五・三の先生方賛成であります。いわばこの国会を通じて、私が考える住宅理念というものは、国会議員先生方、党派を超えて大筋において支持されているというふうに私は理解しております。  こういう観点から見ますと、現在の住宅というのは非常に貧しい、特に地価高騰がありまして非常に貧しい状況になっておりまして、いわばこういう原則をはっきり示した上で住宅供給プロセスあるいは供給計画というものを示す必要がある。特に大都市においては緊急にそれが要請されているというふうに感じまして、そういう意味では、この法案について私は基本的に賛成いたします。  一つ一つを見ますと、大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法は、いわば住宅について、先ほど日笠参考人からもお話がありましたように、住宅基本方針を定め、その計画実施するようないろいろな定めを定めるものですから、私の言っている趣旨に合致すると思いますし、建築基準法及び都市計画法関連法案についても、個別的に見るとこれに対応するというシステムになっているのじゃないかというふうに思いまして、一応基本的には賛成です。  ただし、よく考えてみますといろいろ問題点があるということで、幾つかの問題点を挙げさせていただきたいということであります。  第一は、類似の制度余りにも多くなり過ぎて、複雑になり過ぎているのではないかということであります。例えば、大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法について言いますと、これは昭和六十三年に制定されました大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法と一体どこが違うのかということ。あるいは、これも昨年制定されたものですけれども、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備一体的推進に関する特別措置法住宅部分とどのように違うのか違わないのかというあたりが、法律を見ていても全くわかりません。ほとんどわからないという状況であります。  なお、これに関連しまして、一定住宅を誘導するについて各種事業というものがこれに必ずくっつくようになっています。この事業制度を調べましたところ、まあ読み上げてもよろしいのですけれども、市街地開発事業優良開発建築物整備事業地区開発促進事業都市防災不燃化促進事業木造賃貸住宅地区整備事業等々たくさんありまして、さらに今回また幾つかの事業がつくられる。これは一体どこにどのように当てはまるのか全くわからない。恐らく教えようによっては数十になるのではないか。建設省関係を除きましてその他の省庁を入れますと、もっと膨大な数になってくる、これが全然整理がつかないというのがあります。  次に、都市計画法及び建築基準法の一部改正に関する今回制定されたいろいろな制度について申し上げますと、いわばこれは一種の規制緩和をしまして、ボーナスをつけ加えて有効な住宅地に誘導しようというシステムでありますけれども、規制緩和について申し上げますと、まず、昨年東京都だけで申し上げましても、一般的な用途規制緩和というのが行われました。二番目には、特定街区、高度利用地区総合設計一団地都市施設などの個別制度について規制緩和が行われました。三番目には、昭和六十二年に容積率の変更を含む建築基準法一般改正されました。四番目に、昭和六十三年建築基準法都市計画法改正によって再開発地区計画という制度が制定されました。今回さらに、住宅地高度利用地区あるいは用途別容積型地区あるいは遊休土地転換利用促進地区という形で誘導措置がつくられています。これだけの措置を一体どこにだれがどのように当てはめていくか、制度を理解すること自体が困難であるという状態であります。  さらに、住宅地計画、先ほど言いました大都市法における計画ですけれども、これは百十二国会あるいは百十四国会を含めてたくさんの土地関連法律がつくられていますが、全部計画がついております。これはほとんどが住宅が入っているということがありまして、計画についてもほとんどわけがわからない。これは全体として見ますと、すべての省ごとに、あるいはすべての局ごとに、あるいはすべての課ごと法律事業がたくさんぶら下がっていて、これを体系的に理解するについては、学者が専門に調べてもほとんどわからないというぐらい複雑に入り組んでいるのが日本法体系ではないかというふうに感じます。  この一つの原因として、従来の法制度についてどの法律が有効であったか、あるいはどの法律が無効であったか、余り機能しなかったかということをきちんと点検するシステムがほとんどないから、いわば接ぎ木接ぎ木をするうちに、だんだんもとの木がなくなって、リンゴの木か桃の木かカキの木かわからないというような状態になってきているのではないかというふうに私は思います。こういう法律の現状を見ますと、一番困るのは、だれもわからなくなっているということでありまして、わからなければ参加のしようがありません。参加のしようがないということは、だれもが信用しなくなるということであります。最終的にこの法案によって一体どの場所にどの時期に幾らの値段で住宅供給されるのか、これは全く読めない。したがって、国民はこの法律について何も期待しないというようなことが起きてくるのではないかということであります。そういう意味で、こういう法体系の意図は了として賛成するわけですけれども、もう少し抜本的に整理する方向で考えられないだろうかというのが第三点目であります。  それで、幾つかこういう複雑奇妙な法体系整備するについて、抜本的改革についての私の提案とスケジュールについて申し上げたいと思います。  第一は、従来の法体系を全部一度白紙還元しまして、しっかり都市計画はだれがなすべきであるかということを考えるということであります。  これは、外国を見ますと当然のことでありますけれども、権限を握っているのは自治体であります。まず第一番目には、自治体中心として都市計画を考えようということ。これは私だけの意見ではありませんで、各国の制度がそういう形になっているということと、特に行革審等でさんざん国会に注文をつけられていることと同一意見であります。  第二番目には、自治体がこういう計画をつくる場合に、日本都市計画はついてはよく一段階計画と言われています。つまり、基本プラン余りなくていきなり用途地域が出てきて、そこに事務所が建つか住宅が建つか店舗が建つかわからない、こういう計画。これは、私は基本的な日本都市計画の欠陥だと思いまして、これを二段階システムに改めること、つまり、基本方針実施プランというものをはっきりさせて、それを二段階都市計画にするということであります。  ここも全体的に余り異論がないところではないかと思いますけれども、三番目の具体的な点、ここについて若干技術がありますし、いろいろ意見が分かれるところではないかというふうに思っております。  二段階計画にした上で、現行容積率中心としまして、これを二分の一にするか三分の一にするかは政策的考慮が必要でありますけれども、一応容積率全体のうちの二分の一あるいは三分の二を建築自由のシステム、つまり、今の確認システムに維持しよう、残りの二分の一あるいは三分の一のところを建築許可の概念に切りかえたらどうか。つまり、そこは計画的に自治体基本計画に合致しなければ確認が与えられないという形。容積率を半分ないし三分の一に割って、下の部分については建築自由、つまり現行建築基準法システム残り部分については建築許可、つまり、自治体計画と連動させるという形にしようではないかということであります。  特に、一番重要なことは、この計画許可部分について、いわゆる民活を含めてさまざまなアイデアを結集させるということであります。従来のあれを見ますと、自治体がただ紋切り型の計画を出してきたり、あるいは民活だけが一人で動き出したりということがありますので、ここに日本の持っている活力のすべてを結集する必要があるということであります。  特に、良好なプロジェクトについては、計画許可の部分現行法体制をがらっと変えるような新しいシステムで動かしたらどうか。第一番目には、まず容積制について、二つの敷地があるような場合に一つ一つの容積を見ないで容積率を一体にさせる、フレキシブルにさせる、あるいは容積率についてインセンティブを与える、あるいは基盤と上物の一体的計画を図る、あるいは複合的な用途構成を認める、あるいは段階的な計画制度を認めるというような形で、一種再開発地区計画の中にこういう思想が盛り込まれているのですけれども、あれは部分的にすぽっとやるものですから、全体的に全部の地域について計画許可と建築確認とに分けて、計画許可の部分についてはあらゆる新しい手法を導入すべきであるというふうに思っています。  なお、優良プロジェクトかどうかということを判断することが一番難しい問題でありますけれども、これは単にデザインの問題としてではなくて、まさに土地基本法で決められた理念、あるいは、先ほど言いました住宅に関する私の定義というものを満足するような計画優良とみなして、その優良とみなされるプロジェクトについては大幅なフレキシビリティーを持った空間を与えるべきである。極端に言いますと、優良を二種類くらいに分けまして、一番優良なものについては、先ほど言いました建築確認部分も場合によったら取り外してもいいというぐらいのフレキシピリティーのあるシステムとして構築できないだろうかというのが第二点であります。  特に、これを実施するに当たっては、改革のプログラムで申し上げますと、住宅に関しまして、先ほど日笠参考人から言われましたように、東京都を初めといたしまして、東京都内だけ見ましてもたくさんの実験が今実験中であります。例えば、世田谷区、中央区では住宅条例をともに定めましたし、私が調べたところ、千代田、中央、港、新宿、文京、台東、墨田、江東、品川、荒川、板橋、中野、以下ほとんどの区で住宅実験というものを行っております。こういう実験を大切にしつつ、それを国の方としては援助する方向で考えていただきたい。  二番目には、その援助する過程で、今言ったような抜本的な都市計画の再編成に向けて、一つ土地基本法と同じように住宅基本法というものを国会審議していただくと同時に、都市計画法改正に着手していただきたいというのが私の意見であります。  簡単ですけれども、終わらせていただきます。(拍手)
  6. 中島衛

    中島委員長 ありがとうございました。  次に、箱崎参考人にお願いいたします。
  7. 箱崎道朗

    箱崎参考人 御紹介いただきました箱崎でございます。若干の意見を述べさせていただきたいと思います。  私は、ジャーナリストの立場でいろいろこの問題を経験し、見聞してきましたけれども、やはり最近の住宅問題の異常さというのは大変なものだろうと思います。このままでほうっておくと、これから日本経済を背負う、あるいは福祉を背負っていく勤労者の士気が一体保てるのかどうか、そういうことを非常に深刻に思わざるを得ません。  それで、日本住宅問題、特に大都市圏の住宅問題というのは、一つは、住まいそのものであると同時に、環境整備の問題としてとらえる必要があろうかと思います。それは、大きく言うと公共事業の問題とも関連するかと存じます。私は過去二十数年間、大手町の勤務先にドア・ツー・ドアで大体一時間ぐらいのところから通っているのでありますが、この二十年間、私の住まいの環境というのはほとんど全く変わっていません。狭い道路というものが走って、そこを自動車だけがどんどんふえていきますけれども、ある意味では本当に毎日生命の危険さえ感じながら通勤しておるわけであります。歩道などももちろんなく、下水道などの整備というものはなされておりますけれども、非常に深刻な問題だと思います。  一方、私はよく地方にも出ますけれども、地方の方は非常に整備されている。県庁所在地というのは立派な近代都市となっており、常に交通も非常によくなっている。こういうのを見ますと、日本の首都圏あるいは大都市圏のベッドタウンがなぜこのように放置されてしまったのかということを非常に疑問に感じざるを得ません。  確かに東京にも、奥の方に行きますと、ニュータウンというところはかなり整備されております。しかし、それはごく一部でありまして、例えば練馬、世田谷あるいはちょっと先の都下などは、まさに昔の馬車道がそのまま実際に使われているというような状況になっているわけであります。こういうことを東京と地方を比較しますと、本当に最近は、一時都市の反乱という言葉が言われましたけれども、都会の勤労者が納めた税金が一体どこで使われているのかということをかなり不満に思い出すであろうと思わざるを得ません。  このように、東京を初めとする大阪あるいは中部という大都市圏の住宅問題が貧困のままに放置された原因は何かといいますと、実は、住宅に対する関心がある意味では本当になかったんじゃないかと思います。人間は、残念ながら、自分が住宅を取得してしまいますと、人の住宅を持つことには余り関心を示しません。ですから、東京も含めまして自治体というものは、住宅問題はメーンの政策にはなり得ません。住宅を持たない人たちはまた持たない人たちで、団結して圧力団体というような力を発揮した例はこれまでも非常にない、ほとんどないと言っていいと思います。  そういう意味では、地方に都市計画とか住宅計画というものを任せていて、本当に実効ある政策ができるのか。私は、地方自治の理念もわかりますけれども、ほとんど今までできなかったんだから今後もできないのではなかろうかと思います。今回の法案では、大都市法で大臣が供給基本方針を出して、それに都府県供給計画を定めていろいろ整備地区を定めるとか、そういう形にはなっております。そういう点では非常に前進だと思いますけれども、これが方針なのか計画なのか、本当言うと、もうちょっと強制力のあった方が望ましいのではないかという気がいたします。とにかく地方自治に任せておいて都市計画というのが一体進んだ例があるのかということを残念ながら指摘したいと思います。  もう一つ大都市圏の住宅が貧困なまま放置されたという原因には、一つ日本公共事業の運営に原因があるかと思います。日本公共事業は常に景気対策に偏重した運用をされてまいりました。一言で言いますと、景気が悪くなると発動する、そして言葉としては、東京民活で地方は公共事業で景気を引き上げますよということがよく言われます。しかし、住宅環境とか住宅対策というのは、とても民活でできるような代物ではございません。それからもう一つ公共事業が景気政策に重点を置いて運営されますと、とても都市計画あるいは住宅計画といった、着実に、安定的にやっていく施策というものはなかなかなじみにくい、そういう意味で常に放置されがちであったのではなかろうかと思います。  もう一つ公共事業のあり方について言いますと、これは住宅建設にもかかわる問題でございますが、例えば私は昭和四十七年ごろ、たまたま大蔵省担当の記者をやっておりましたけれども、例のスミソニアンの厳しい不況を受けまして、このとき当時四十七年の大型補正、四十八年にも非常に公共事業を拡大した時期がございます。その拡大をきっかけとしまして、物価は非常に高騰しまして建設資材も上がったのでありますが、このとき大蔵省の主計局の幹部の方がこう言ったことを今でも記憶しております。その話というのは、公共事業を大きくしたんだけれども、これは大工さんなどの技能工の要員の三割ぐらい需要が高まることを見越したんだ、それから二、三年前のことですけれども、たまたま昭和四十五年には大阪の万博がありました。そのとき働いた人たちがまだいっぱいいるはずであるという前提に立ったのでありますが、その後のスミソニアンに至る不況もありまして、わずか三割多く技能労働者を集めようとしたところが、実際それができなかったわけであります。それで賃金は上がり、建設資材は上がりまして、その後のオイルショック後のインフレにつながる前提の最初の物価高騰が起こったということがございます。  やはり住宅政策あるいは公共事業環境整備も含めまして、もうちょっと安定的にやらなければこれからはできないのではないか。いつでも大工さんが余っている時代は既に過去のものになっております。ですから、今後の住宅対策というのはもっと安定した長期計画によってやっていかなくてはならないのではなかろうかと存じます。  もう一つ、首都圏の、特に東京住宅をよくすることは一極集中をますますひどくするのじゃないかという声がございます。確かにそういう面もあるのですが、しかし、この問題はまた別だろうと思います。  私が思いますには、地方は一極集中というものを本当に是正しようという考えはないことが東京の一極集中を招いている原因だろうと思います。地方が、実際には人口減に悩んでいるとか東京だけが繁栄するとかいうことをいろいろ言っておりますけれども、地方の政策を見ますと、大体経済成長を高めようという政策はとっておりません。例えば東北におきましても農業県と言われるところ、あるいは九州においてもそうでございますけれども、その各自治体の予算を見ますと、第一が教育費で二〇%以上を占めておりますし、その次は公共事業費が一八%ぐらい占めておりますし、それに続くのが農政水産費、これが大体一三%ぐらいを占めているのが普通でありまして、工場を招くとか工業立県を目指すとかソフト化、サービス化を目指すための予算という商工費というのは、全予算の三%ぐらいになっております。要するに、各県は東京の一極集中というものを批判しながらも、自分たちは人口をふやすとか新しい経済に乗った道を探るというような政策は全くとっていないわけであります。  ですから、東京住宅がよくなろうと悪くなろうと、日本の一極集中は現状では変わらないというふうに思います。地方は、財政そのものがある程度補助金をもらえるものにつけているというような姿でそのままの政策をやり、いわば東南アジアの各国のように工業化を進めるというような政策をとっておりません。ですから、東京一極集中化は、ある意味では永遠にこのままで進んでいくのではなかろうかと私は思います。その中で、住宅政策というのは、日本経済を支える勤労者とかそういう人たちのことを考えますと、非常に深刻だと思わざるを得ません。先ほども申しましたけれども、この問題はもう自治体に任せておく政策ではないというふうに存じます。  私は、今回の大都市法を初めとする二法の先進性というものは非常に多く感じます。賛成でございますけれども、本当を言いますと、もうちょっと強力なものであってほしいと思います。この都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案によりますと、開発すべき遊休地の問題に絡みまして、これを指定し、勧告し、そして勧告に従わなかった場合は買い取り協議を求めることができるとなっておりますが、皆さんから意見を聞きますと、これはもっと強制力を持たせない限り効果は期待できないのではないかというような声も耳にいたしました。これは全く個人的な考えなのですけれども、これほど大きくなった首都圏というものには首都圏独自の困難な広域的な問題がたくさんございます。できれば、いわば大都市圏法みたいな、首都圏法みたいなものをつくって対応していくことが本当を言うと実効あるのではなかろうかと思います。  しかし、この法律案二法が今までなかった点を大きく埋めておることは大いに評価できると存じますし、そういう意味でおおむねいい前進だと恩っております。  以上でございます。(拍手)
  8. 中島衛

    中島委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  9. 中島衛

    中島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
  10. 村井仁

    ○村井委員 村井仁でございます。  三参考人には、御多忙のところ、大変豊富な御経験に基づきます御高見をお聞かせいただきまして、私どもの審査にとりましても大変参考になる次第でございまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。  初めに、日笠先生にちょっと一、二お伺いさせていただきたいと存じますが、少し専門的なと申しますか、細かい点に立ち入るかも存じませんが、お許しいただきたいと思います。  住宅地高度利用地区計画制度によりまして、いわゆる第一種住専地域に中高層住宅を建設するということになりますと、これは非常に問題だという指摘があるわけでございます。ある意味では、第一種住専地域というのは私どもある種のイメージがあるわけでございまして、そこににょきにょき中高層住宅が建っていく、どんなものかなという感じ、ある種の共感を覚えるわけでございますが、このあたり、先生御専門のお立場から、どんな御見解でいらっしゃるか、お聞かせいただければありがたいと存じます。
  11. 日笠端

    日笠参考人 私から意見を申し上げますが、一種住専地域住宅地高度利用地区計画をかけて中高層の住宅が建つということで、景観的にも機能的にも、一種住専というのは低層住宅による良好な環境ということでできた制度でございますから、そこに問題はないかという御質問だと思います。  私はこういうふうに思うのですが、確かにおっしゃるとおり、一種住専地域というのは、この制度ができまして、これが指定された時期におきましては我が国地価も今日のような異常な状態ではなく、正常な――正常かどうか知りませんが、今日のようなことはなかったわけでございまして、私たちも学生に教えますのに、町の中心部は高くて周辺に行くに従って低層になって田園的な環境につながっていくというふうに教えておったわけでございます。  特に東京圏におきます異常な地価の高騰、異常と申し上げるのは、ヨーロッパの諸国ではこういうような地価の高騰はないわけでございまして、都市が発展し国が発展し地価は上昇するわけですけれども、東京のような異常な上昇はないわけでございます。ところが我が国では、特に東京圏におきましてはそうなっておりまして、そこで今まで一種住専に指定した地域、これはもう地価から申しますと当然中高層を建ててもなおかつ家賃が高くなる、そんな異常な状態でございますから、全部二専にしたらどうかというような意見もないことはないと思います。  しかしながら、地域地区制というものは、これを緩和いたしますと、それによりまして縛りがほとんどない、つまり敷地単位にばらばら家が建っていってもいいわけでございますので、非常にそこの地区環境というのは悪くなるということでございます。したがって、用途地域改正におきましてもできるだけ一般的な緩和というのはしない、ただし、そこに二種住専並みの、道路とか公共施設整備されているところは二種住専になっているわけですが、そういうものがないところは用途地域を変えないと一種住専のままで今まで来ているわけですけれども、そういうところでもし公共施設整備するならば、二種住専並みに建てさせてもいいじゃないかというところがたくさんあるわけでございます。  そういうところにつきましては、今日の情勢ではほうっておきますと一種住専でもミニ開発になってしまう、公共施設整備なしに家が立て込んでしまうということが十分予想されるわけでございますので、それとの比較考量と申しますか、それによりまして、もしそこの地区方々、地主さんとか権利者が合意されて、この新しい制度にのっとってそこに地区施設整備するということであれば、やはりそれは二種住専並みには緩和してもよろしいのではないか。  現に、私もこの間多摩地域をずっとヘリコプターで飛んだのでございますが、東京の内部市街地には二階建て、平家建ての住宅地がいっぱいございまして、逆に郊外に参りますと中高層の団地、公団団地とかいろいろ高度利用した地区がむしろ多いのでございますね。そういうふうな現況になっておりますので、一つ一つ地区について計画的に市街地とするならば、やはり緩和をしてもよろしいのではないかと存じます。  ただし、それをやりました場合に、特に北側は、周辺は一種住専のままでございますので、したがって地区計画の中身で周辺の市街地には日照その他環境を阻害するようなことのないように計画をつくっていく、これが条件でございますが、それであればこの制度を適用するということは適当ではないか、適切ではないかと私は考えておるわけでございます。  以上、お答えを申し上げます。
  12. 村井仁

    ○村井委員 どうもありがとうございました。  それから、続きまして日笠先生にもう一点お伺いさせていただきたいのは、遊休土地転換利用促進地区制度、これで工場跡地などの有効活用を図るということで、これはまた大変画期的な、ある意味では大都市内に残されました大規模開発可能地域として非常に貴重なものでございますが、これをやります上で留意すべき点を、先生の長年の御経験から御高見をお伺いできればありがたいと存じます。
  13. 日笠端

    日笠参考人 お答えいたします。  遊休土地につきましては、何が遊休土地かというあたりが大変難しい問題でございます。これは農地は含めて考えていないようでございますが、おっしゃるように工場の跡地でいつまでもあけておくというような土地があるわけでございまして、こういう土地に関しましては遊休土地とここでは考えておるようであります。そういうことでございますので、私も、建設省の方でもいろいろお考えだと思いますが、周辺の土地利用の現況に対してその土地の利用が余りにも低利用である、あるいは遊休と言えるような状態にある、こういうような土地についてこの制度を適用するということだと思います。  その場合に、例えば西ドイツでは、そういう場合には必ず地区詳細計画が指定されておりまして、何に対して遊休かというと、地区詳細計画を決めたにもかかわらずいつまでもそのとおり実施しない、それに従って開発をしない、こういうことで遊休というのだと思うのですが、私が希望いたしますのは、我が国でもやはりそういう地区については何らかの地区計画をセットしまして、それは合意の上でつくるわけですけれども、それに対していつまでもある宅地がほってある、こういうものに対してはこの勧告制度は適用してよろしいのではないかと考えます。ですから、余り一般的に、とにかくあいているからというのでどんどんそういうものを指定していくというのは、私は余り賛成じゃないわけで、そこに何らかの計画地区としてつくってからやるということではないかと思います。  それから、西ドイツではそういう場合に命令が出せるのですね。建築命令というのを出せるわけでございます。ところが、我が国では、そういう御意見もあるかと思いますけれども、命令というのはまだちょっと厳しいのではないか。遊休土地に対して、都市計画としてその利用を促進するように勧告するというのは全く初めての制度でございますので、この程度でスタートしてみて、それから後でまた考えるというのでよろしいのではないかと存じます。
  14. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  参考人お三人とも、この法案そのものには積極的な評価をお与えくだすっておるわけでございますが、しかしながら、これからの政策という点では若干微妙な差があるようにお伺いいたしまして、大変勉強になったわけでございます。  そこで、私は、五十嵐先生のお話をお伺いしておりまして、例えてみますと、今の形、今の制度というのはレディーメードの洋服がいろいろな種類が取りそろえてある、先生のお話をお伺いしてみますと、これを若干オーダーメードにしたらどうだ、こういう御見解のように伺うわけでございます。ところで、一方箱崎先生はまた、オーダーメードにした場合にというか、あるいはレディーメードの状態でもあれ、そもそも洋服を売る側にと申しましょうか洋服を見立てる側にと申しましょうか、自治体の側にそういう能力があるのかというような根本的なところから御疑問を呈していらっしゃるわけでございまして、この辺のところ、私は、主体がどうあるべきか、それからその主体にそういうことをゆだねた場合に、一体本当にそれをこなす能力がありやなしや、それから望ましき住環境というものを整えていく上に、今お示しの五十嵐先生の御議論、これはある意味では大変積極的な形で御提示になられたわけでございますが、一つ方向ではあると思いますので、それぞれ三参考人から御見解を、五十嵐先生にはまた再びというのもちょっと失礼でございますが、箱崎先生の御意見なども踏まえまして御見解をお伺いできれば大変ありがたいと思う次第でございます。お願い申し上げます。
  15. 五十嵐敬喜

    五十嵐参考人 分権システムといいますか、これについては箱崎参考人が言われておりましたように、いつもこういう議論が出てまいりますし、その側面があることも事実であると思います。ただ、私自身はやはり地価高騰を経まして日本は新しい国に変わらなければいけないという時代に入ってきていることも事実だろうと思いまして、その中で世界の先進資本主義と比べまして一番立ちおくれているのは、住宅を含めた都市計画ではないかと思っております。  確かに地方自治体箱崎参考人が言われたような能力やらの懸念もなくはないと思いますけれども、これはなぜそうなったかといいますと、やれる権限とか財源が全然ないからできないということがあって、それが輪をかけて、それが原因となって地方自治体の意気込みをも若干減退させてきたのではないかと思います。  特に住宅について見ますと、先ほど申し上げましたように、東京二十三区では偉大なる実験が徐徐に各区で開始されておりまして、恐らく地価高騰後これが全国に広がるだろうというふうに私は見ております。つまり地方自治体からしますと、住宅の問題を手当てしなければ、極端に言いますと自治体の存立そのものができなくなる。存立できなくなる内容について三種類ぐらいありまして、一つは過疎化ということですね。これは地方だけではありませんで、都心区も過疎がある。もう一つは、世田谷区周辺地区といいますと、ファミリー層といいますか、一番生産能力のある若手の人たちが入り切らないというのがあります。ちょっと周辺に来ますと、地方自治体のキャパシティーを超えてあふれるぐらい宅地開発が出てきているということもありまして、これは自治体ごとに対応しないと一つ法律ではとてもできない。大都市新法の中にも、大臣が、国が方針を定めて自治体がこれに対応するとなっていますけれども、恐らく中身は全く違ったものになってくるだろうというふうに思います。そのときに、地方自治体権限と財源を一回集めてみてそれを実験させてみるというぐらいの時代には入ってきているのだろうと私自身は思っております。  特に重要なことは、個別制度、個別事業、税制を含めまして非常に複雑なシステムになっておりますので、これを一本にまとめて、例えば事業費について言いますと、何とか事業、何とか事業というように、自治体としてはトータルでいって幾らぐらいあるか、これを自治体に合わせて、自治体が独自に判断して使えるというようなシステムをつくっていただきますと、自治体の方ももっと活性化するのだろうと思います。つまり逆から言いますと、卵が先か鶏が先かということについて、若干今までは自治体権限がありませんでしたので、バランスをとる意味でも思い切って自治体の方にシフトしていくと、もうちょっと健全な日本住宅あるいは都市計画ができるのではないか、こういう考えです。
  16. 箱崎道朗

    箱崎参考人 今まで自治体は、いろいろな計画を含めましていろいろな権限を持っておりましたけれども、実際にはやりませんでした。東京なども、三鷹の近辺はいわば緑地帯というふうな形で構想されながら、実際にはスプロールに任せてしまったとか、そういうことを見ますと、やはり自治体にこのままおんぶにだっこしていくということは難しいのではなかろうかというふうに存じます。  それで自治体にも、もう一つ住宅問題に対しては熱意がないのではないか。本源的な熱意が出てくるような原因もなく、また住民からもそう住宅に対する、例えば早い話、住宅問題に取り組まないと都会議員の議席は確保できないよというムードはないのではなかろうか。各県、近隣の県におきましても、住宅を建てろ、建てろとだけ言われるのはかなわないという事情がございまして、今度の法案でも、いわば建設大臣が供給方針をつくりまして、それに従ってもらうというふうな姿が出てきたのもそのためだろうと思います。  しかし実際には、果たしてこれは言ってみれば強制力というものがどの程度あるものなのか私はよくわかりませんけれども、そういうことを考えていくと、国はやったよ、地方も一応こたえたよという形で、紙の上で、実態は進まないおそれがあるのではなかろうかというふうに存じます。やはり、一国の住宅政策というのは国の福祉でありあるいは経済発展の礎でございますので、これは国がもっと責任を持って、だれにやらしてもいいのだけれども、最終的な構想というものは国が持ってよろしいのではなかろうか。今のように首都圏も非常に広域化した複雑な問題がありますと.交通政策を含めまして何らかのそういう国の役割というものを充実していいのではなかろうかと存じます。
  17. 日笠端

    日笠参考人 今のお二人の御意見、多少おっしゃるようにニュアンスが違っている。五十嵐先生の方は、やはり住宅というのは市町村というか自治体の行政として位置づけるべきだ。それからそれに対して、住宅は国が責任を持てという御意見だったと思いますが、私は両方とも決して間違っていないというふうに考えます。  やはり住宅供給ということについては、これはイギリスなんかもそうですけれども、国が国策として、西ドイツもそうですが、そういう国民住宅という問題については国が責任を持ってやる、こういう姿勢がありますし、それを受けて地方公共団体住宅を実際には供給していくというわけでございますが、これも自治体だけに任せるというのは、やはり日本だけそういうことができるかというと、国が力を入れていただかなければいけないと私は思います。その中で、国ができることとそれから自治体ができることとは違うというふうに思います。  それから、住民のお話がさっきございましたけれども、住民の意見も、住民というのと都民というのと国民というのがありまして、それによって意見が違うわけでございます。したがいまして、住宅の不足、住宅の問題の深刻化、こういう問題に対しましてそれぞれの意見は聴取するとしまして、その意見の採択というか、それはやはりそれぞれの立場を考えて採択をしていくというのがよろしいと思います。  例えば例を挙げますと、東京の効外等で住宅地が不足しておる、そこに例えば大きく農地があいているという場合につきましても意見が違うわけでございます。付近の住民の意見を聞きますと、あそこはあいている方が風通しもいいし日当たりもいいので、いつまでもあけておいてほしい。そういう意見が出てくる。  一方、今度は都民といいますか、東京に職場はあるけれどもその周りの地域から通っている、遠距離通勤を余儀なくされている方もおりますし、あるいはこれから大阪や名古屋から東京へ入ってこようという方もおるわけでございます。そういう方にとっては、ああいうところをあけておいてもらっては困る、我々が住む住宅を建ててほしい、こうなるわけでございますから、世論の調査というのも、住民と都民、国民とかいろいろな段階がございますので、それらをしんしゃくされまして、やはり国が大きく判断をされる。  それから、それを受けて地方公共団体そして市町村がきめの細かい整備をしていくわけでございますが、その場合は付近の住民の方の意見を十分入れていくということでいい町になると思いますから、それぞれの段階で責任を持って一貫してやっていただくのが正しい方向ではなかろうかと考えます。
  18. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。時間を超過いたしまして申しわけございません。
  19. 中島衛

    中島委員長 木間章君。
  20. 木間章

    ○木間委員 社会党の木間章です。  三人の先生方には大変お忙しいところ、私どもの法案審議委員会に御出席をいただきまして、けさほどから示唆に富んだ御意見をちょうだいをしております。心から感謝を申し上げながら、少し御質問をさせていただきたいと思っております。  三先生のお話を聞いておりまして、ニュアンスの差はあるわけでございますけれども、住宅問題については国が責任を持ってやるわけだろう、こういうことについては一致いただいておると私は判断をしております。私たちは、現下の住宅事情につきましては、法律もたくさん整備をいたしまして国も積極的にやっておろう、こうは思いつつも、その内実は民力に頼っておるといいましょうか、国民の自助努力にかなりおんぶをしておる面があるわけです。私たちはかねがね、住宅問題は次の世代の日本を背負っていく上からも、とりわけ大都市においてはサラリーマンの皆さんの住宅事情は大変厳しくなってきておりますし、七千万、八千万あるいは億ションでないとなかなか手に入らないという悩みがございますので、目下内政面の一番重要な課題になっておろう、こう受けとめておるところです。それで早くから、国は住宅保障法をつくって国民住宅を提供しなさい、こういう考え方国会にも積極的に法律案を出しながら臨んできたわけであります。  そういった立場で若干お伺いをしたいと思っておりますが、箱崎先生は、住宅問題については国がやることで正しいんだ、そしてこれからも大都市に人口が集まるであろう、このようにおっしゃっておられます。私たちは今の姿勢を転換をして、安くて良質な住宅都市住民に、サラリーマンに提供するには公団あるいは公社が、公共住宅を積極的につくっていこう、それにはやはり住宅基本法、さらに進んで住宅保障法をつくるべきであろう、私はこのように感ずるものでありますが、まず箱崎先生の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。
  21. 箱崎道朗

    箱崎参考人 お答えいたします。  住宅保障法というのがどういう内容になるのか、私よくわかりませんので、法的に国に対して一種の義務を持つものなのか、あるいは農業基本法のように一つの精神的なもの、土地基本法もかなり精神的な面が強いと存じますけれども、そういうものなのかということになりますが、もしその程度のものなら、まあそれほどあっても悪いことはないだろうと思います。  ただ、公団公社によって供給責任ということになりますと、またこれは別な問題があるのではなかろうかと思います。今、住宅都市整備公団は地価の上昇で非常に参っておりまして、個々の住宅家賃も平均しまして十万円になったと言われております。これは、勤労者の所得の二割と言っておりますけれども、かなりきつい負担であろうかと思います。しかも、この十万円の家賃でさえ、実際には財投、それから国の補助金とか、公団が宅地を分譲した場合、住宅を分譲した場合の利潤の一部も入れているというような話でございまして、実際それがなければもっと大変である。問題は、公団にも入れない人に対して、公団に入っている人だけをそういうふうに助成していいのかという悩みがあるということを言っておりましたけれども、やはり公団公社だけで対応できる課題ではなかろうと思います。  それからもう一つ、持ち家をどう考えるかという点がございますが、国民のニーズというものは持ち家に非常に強い志向がございますので、できればこれにもこたえていく必要があるのではなかろうかと存じます。そういう意味では、どこまでできるかということがありますけれども、長期的な取り組みを積極的にやっていく必要があろうかと存じます。
  22. 木間章

    ○木間委員 国民一〇〇%の住宅公共、公団などが準備をするという考え方ではございませんで、国は少なくとも二五%ないし三〇%程度の皆さんにこたえる住宅を持つ必要があろう、このように私たちは考えておるところであります。  それで、五十嵐先生の先ほどのお話を聞いておりまして、国民なり日本に居住される人たち居住権を保障すべきなんだ、そして現行土地住宅制度を白紙還元するような気持ちで、もう一遍一から出直すべきでないだろうか、このような御意見をちょうだいいたしました。私も、二十一世紀に備えて今こそ大転換をしなければならない、このように感ずる一人でございまして、そういった意味では、先ほど最後に先生が力説されました住宅基本法をつくるべきであろう、全く同感でございます。私たちも、これからも困難ではありますけれども、住宅基本法あるいは住宅保障法の制定について努力をしていかなければならない、重ねて決意を新たにしたところでございます。  日笠先生に一点お尋ねをしたいのでございますが、都市計画の御専門家とも承っております。それで、国も財政事情等がありまして、国公有地の処分の問題などについても、近年まで民間活力の活用ということ等もありまして競売に付してきたわけであります。しかし、私は、都市において、とりわけ大都市において国公有地の活用というのは都市計画上極めて重要なポイントを持っておりますし、とりわけ国公有地を拡大することこそ今日の大都市問題を解決するまず手始めになるのではなかろうか、このように感ずるものでございますが、この国公有地のあり方について、どのようにお考えを持っておいででしょうか。処分をしておるわけでございますけれども、私は、処分をすべきではない、むしろ拡大をして昨今の住宅問題に、国民の負託に、都市住民の負託にこたえていくべきであろう、このように感ずるものですが、御意見をちょうだいしたいと思います。
  23. 日笠端

    日笠参考人 国公有地の問題でございますが、都市計画のサイドから私は意見を申し上げたいのです。  都市計画を進めてまいります中で、国公有地がどのくらいあるかということが大変関係がございます。諸外国におきましても、特にヨーロッパにおいても、ある時期に国公有地をふやしていく、これは買収方式でどんどん先買いをしていくわけでございますが、そういうものを地価高騰の際に計画に従って利用していくということをやってきた国もあるわけでございますし、今日なお国公有地をどんどん買収してふやしていっている国もあるわけでございます。そういう意味で、土地問題から申しますと、国公有地がある程度多いということが、地価の高騰も抑制いたしますし、またいい計画実現していくのに大変役に立つわけでございますから、国公有地はできるだけふやしていくのがよろしいかと思います。ただ、最近の東京のような事情でございますと、とても地価が高騰してございますから、国公有地を新たに買収していくことが非常に難しくなっているということもございます。  それからなお、おっしゃいましたように、現在あるJRの土地であるとかそういうものを処分していく。これは、直接それを処分いたしますと地価の高騰につながるということで今は抑制していると思いますが、それの利用につきましては、私は立地条件によると思うのです。特に都市計画から見ますと、その土地がどのように使われるのがふさわしいか、それによってその利用が決まってくる。最近は、都心にあるからすべて業務というのではなくて、やはり都心部にも住宅を確保する必要がございまして、ニューヨーク・マンハッタン等におきましても、あれだけ業務施設が高層建築によって建ち上がっておりますけれども、その付近にはかなりの量の都心部の住宅地というものが確保されているわけでございますから、東京等におきましても、都心には必ずしも業務だけということではなくて、都心部にも住宅を確保するということがございますが、一方におきまして、その土地が郊外にあるような場合、例えばそこには公園が非常に不足している地域であるとか、あるいは住宅がふさわしい土地であるとか、そういう場合には専ら住宅にこの土地を転用していくのがよろしいのではないかということで、その土地の立地条件によりまして主たる用途が決まる。しかし、今日の情勢におきましては、そのいずれにつきましてもやはりできるだけその中に住宅を、一部でもよろしゅうございますから確保していく、こういうことが必要になってきているのではないかと考えております。
  24. 木間章

    ○木間委員 最後に、先生方から一言ずつお尋ねしたいことがございます。  それは、この土地神話をこのままで続けていいかどうか。先生方それぞれ土地高騰に対して大きな怒りを持っておいでだろう、このように推察をするところであります。総理大臣も、先日の土地政策審議会の冒頭に、何とか皆さんのお知恵で土地神話を崩したい、このようにお訴えになっておるところでありますが、この土地神話を崩しますと、土地がもうかるのだからということで金融機関もかなり多くの融資を行っておるところでありますが、これをぶち壊すとあるいは日本経済に影響が出るのではなかろうか、このような御意見も聞こえてくるわけでありますが、日笠先生五十嵐先生箱崎先生から、この土地神話を崩すことにどのような御意見をお持ちでしょうか、お伺いしたいと思います。
  25. 日笠端

    日笠参考人 お答えいたします。  土地神話を崩すということ、最初に申し上げたいのは、今度の地価の異常な高騰というのは、都市計画並びに住宅政策に非常に大きなマイナスでございまして、これがために非常に都市計画も進まなくなったし、住宅政策も従来の機能が発揮できなくなったわけでございますから、私は、やはり地価は下げるべきであるというふうに考えております。地価はこのまま安定すればいいというようなお考えもあるようですけれども、私は下げるべきだというふうに考えております。  それで、下がったときにどうかという、日本の経済はおかしくなるんじゃないかという御質問でございますが、そういうことを言う方もおりますけれども、私はやはり地価が下がるためには、今の異常な地価の高騰というのは大部分は私は土地投機によるものだと思います。実勢価格として上がっていく分にはこれはやむを得ないと思うのですが、投機によって上がっている分だけは私は下げるべきだと思っております。  それがもし下がるといたしますと、多分投機的な行為が無意味である、もうからない、そういうようなことがあって初めて下がってくるのだと思うのですが、そのときに急激に下がるかあるいは徐々に下がって軟着陸をするかあたりのところは、後の方に、私は経済の専門でございませんので、日本の経済に与える影響というのはここではちょっと申し上げられないのでございますが、素人考えとしては、政策のあり方によってはそんな急激に下がるというのではなくて、徐々にいろいろな情報が入って、金融機関もそんなに貸し出さなくなって次第に地価が下がっていくというようなことになれば、余り日本の経済にそう影響はなく地価は下げられるのではなかろうか、そんなふうに考えております。
  26. 五十嵐敬喜

    五十嵐参考人 地価高騰が起きた原因というのがありまして、一番現象的には土地投機であります。それを囲むようにしまして都市計画と税制の問題がある。三番目には、一極集中の問題がある。これを、三つの要因を短期及び中期に分けて、それぞれ対策を考えるべきであるというふうに思っております。  まず、土地投機につきましては、これは完全に銀行の過剰融資が原因しておりますので、これは総量規制をどんどん強めることというのが一つです。  二番目は、現在の国土利用計画法に基づく監視区域を地域に限定しませんで、一度全国土に全部一斉に指定すること、今は土地の売買について百平米以上の届け出になっていますけれども、これをすべての取引を全部役所に届けること、つまり一回戒厳令をしくということであります。そこで決められた価格というものを全部土地登記簿謄本に写しまして、全国土の土地について価格を明らかにすること、土地登記簿謄本に記載することによって全部価格を明らかにする、つまり情報公開をするということです。これが短期的な土地投機に対する対策で、これはすぐできることだというふうに私は思っております。つまり、これは土地についての情報を公開し、かつ管理を徹底するということが土地投機をとめる即効薬的な手段だと思うのです。  これだけではもちろん問題は解決しませんので、次に、土地税制都市計画を同時に抜本的に見直すべきであるというふうに思います。土地税制については、今回土地税調で随分審議なさっておられるようでありますけれども、本当であればここに提出されている二法案とも恐らく税制と連動しなければ、これだけでほうまくいかないだろうというふうに思っておりまして、土地税制を根本的に変える、特に保有に有利な税制を、利用に有利な税制に変えることだということが必要だろうと思います。  現在、報道されています税制の問題でいきますと、遊休土地あるいは農地が取り上げられておりますけれども、あれは全身が病んでいるときにできたおできをさわっているような感じがしまして、おできから税制改革に持っていったら政治的には意味がありますけれども、やはり根本的な解決にならない、おできを通してなぜおできを生んでいるかという根本的なところまで踏み込むべきであるということです。これは中期的にやるべきであろうというふうに思います。  ただ、若干懸念されますのは、新聞報道にもよりますけれども、都市計画とのリンクなしには税制改革だけでは全然成功しないというふうに私は思っております。先ほど日笠参考人からも話が出ましたけれども、例えば遊休地の認定がありまして、これは税制だけで処理しようと思いますと、いっぱい脱法といいますかあらゆる対策、つまり知恵比べ競争になります。先ほど私が言いましたように、根本的には自治体計画に適合しているかしないかによって遊休かどうかを決めるべきであろう。駐車場にしようとテニスコートにしようと、自治体計画によってそこはテニスコートであれば遊休ではない、しかし、自治体計画によってそれが住宅地であればそれは遊休であるという形にしたらいい。つまり、税制からの攻め方では遊休地の認定は不可能である。したがって、そういう意味でも、都市計画改正と連動しなければ税制改革は効果を上げないというふうに思います。  この都市計画の方について見ますと、先ほど申し上げましたように、やはり日本の場合には建築事業を前提としまして不都合なところをどんどん直していくという形になりますから、接ぎ木接ぎ木になりまして全部わからなくなるという状態になっておりますので、これを先ほど言いましたように、自治体計画権限中心として二段階計画に切りかえるべきである、これは都市計画を含めて若干中期的な対策として改革しなければならないと思います。  最後は一極集中、これを解体しなければ土地税制都市計画だけでも問題は解決いたしません。一極集中を分解するといいますか解体するについて今が一番好機だろうと私は思っております。それは、日米構造協議における土地問題でも言われておりますように、公共投資のプログラムについて日本国は恐らく抜本的に改革しないとできないだろうというふうに私は思っておりまして、この公共投資の仕方を多極分散型国土形成のために集中して、場合によったら傾斜して使うというように、金の流れ方を地方に優位にするようにつくりかえること、及びこれを法的に担保するために、現在の多極分散型国土形成促進法を抜本的に改正すること、この三つ、つまり、短期的には土地の投機抑制、中期的には都市計画と税制改革、三番目には一極集中の解消、それぞれの法案改正してこれに対処すべきではないか、そうしたらとめられるというふうに私は思っております。
  27. 箱崎道朗

    箱崎参考人 お答えします。  現在の高地価というものがどうなるかというのは、本当言うと、かなり難しいのじゃないかなという感じを抱いております。  それで、地価を下げるということ自体はある程度は可能かもしれませんが、日本経済が、いわばジャパンマネーに象徴されますように、非常にマネーの上で踊ってしまった、それを抑えるということはかなり難しいのではなかろうか。銀行を抑えることはできますけれども、銀行から流れていったノンバンク部門の金はちょっと抑えられない。ですから、規制によって地価を安定させようということになりますと、やはり保有税をかけるとか税制によるものとか、あるいは網をかけるという規制かと思いますけれども、現在のような網のかけ方がいつまで本当にもっていくのかということも一つの悩みではなかろうかと思います。すべて土地の取引をずっと許可制にするということが可能なものなのかどうか、いつまでこれがたえるのかということは、やはり将来、問題があるのではなかろうか。  もし地価が非常に下がった場合、日本経済に極めて深刻な影響を与えるのではなかろうかという意見がございますし、国土庁などもかなりそれをそう考えていらっしゃるように伺っております。しかし、私は、そんなに急激に日本の経済に打撃を与えるような下げ方、規制というのは実際にはできない、できないというかそういう手段はないのではなかろうかと思っております。やはり地価の問題はもっと真剣に考えて、真剣にといいますかいろいろな手法で考えていくしかないのではなかろうかと存じます。
  28. 木間章

    ○木間委員 ありがとうございました。
  29. 中島衛

    中島委員長 吉井光照君。
  30. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 本日は、参考人先生方には大変御多忙の中を当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見の開陳をしていただきまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。  それでは、まず箱崎参考人からちょっとお尋ねをしておきたいのですが、公共投資のあり方についてでございます。  御承知のように、日米構造協議の柱の一つであります公共投資の拡大について、今月下旬のいわゆる最終報告で政府は今後十年間の公共投資総額の明示を迫られているわけでございますが、これに伴いましていろいろと報道されているところによりますと、政府は大体四百兆円程度の規模で公共投資十カ年計画の策定を予定しているようでございます。  そこで大事なことは、この二十一世紀に向かっての公共投資のあり方でございますが、戦後経済の復興とその後の高度成長期を通じまして、今日までの経済優先、それから企業優先のいわゆる社会資本整備が進められてきたわけでございまして、反面、生活基盤の整備ということが大変おくれてきたわけでございます。その結果、日本に対するところの世界の評価は、世界一の経済大国と評せられるようになったわけでございますが、それにふさわしいところのいわゆる豊かさを実感できる生活大国になっていない、これが実情でございます。  特に指摘されておるのがこの住宅政策でございます。したがって、今こそ公共投資「社会資本の整備のあり方について根本的な転換期に来ている、私はこのように思うわけですが、どのような基本姿勢で臨むべきであるのか、またどのような方法、手順で進めていくべきであるのか、さらにはこの公共投資の質、量はどうあるべきか、以上三点についての御所見をまずお伺いをしたいと思います。
  31. 箱崎道朗

    箱崎参考人 お答えします。  日本公共事業がいわば生産重点になされてきたという面は確かだと思いますし、それが日本の高度成長を支えてきた力でもあったということもそのとおりだろうと存じます。それで私は、今後はしかし生活基盤重視で進んでいくべきではなかろうかと考えております。  ただ、日本公共事業というのは極めて縦割りに、いわば既得権化してまいっております。同じ建設省の所管の事業でも、ダムをつくるものと河川を守る予算とはそれぞれ分野が異なって、またそれも厳しく実績主義に乗っているというような感じがいたします。近年、極めて実績主義を排除して必要なものに公共投資の重点を振り向けるべきだという考え方がありますけれども、その事業事業には関係事業者がついておりまして、なかなか改善しにくいという面があります。しかし、こうした面はやはりどんどん改めていくべきだろうと存じます。  生活基盤の整備というものが特に首都圏、大都市圏ではおくれているのではなかろうか。例えば農村におきましても下水道の問題などいろいろありますけれども、今、農村においてはかなり潤沢に公共事業がなされているんじゃないかと存じます。例えば、今日本の農家を例にとりますと、農家戸数は四百二十万戸でありますけれども、実際に農家らしい農家というものは四、五十万戸しかおりません。一・五ヘクタールくらいでとったものでも七十万戸がせいぜいであります。国と地方の公共団体が使う農業予算というものは大体七兆円くらいありますから、毎年、農家一戸当たり大体七百万円くらいの資金を国、地方からつぎ込んでいるということになります。それに対して、大都市の生活基盤というものは、私がさきに触れましたように、この二十年間変わってないところは全く変わらず放置されているという問題があろうかと思います。  そういう面からいいますと、やはり政治が姿勢を変えてくれることがまず重要ではなかろうかと存じます。それによって住宅の基本政策も出てきますし、公共事業の基本政策も出てくるのではなかろうかと思います。それから、今回の法案にもありますようなきめ細かい施策を実際に実効のある形で進めることによって、公共事業、社会資本整備の充実ができるのではなかろうかと思っております。
  32. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 どうもありがとうございました。  では次に、五十嵐先生にお尋ねをしたいんですが、私権制限の件についてちょっとお尋ねをしておきたいのです。  御承知のように、今日の異常なまでの狂乱地価及び住宅問題、これを解決するには、ひとえに昨年末に成立をいたしました土地関連の憲法ともいうべき土地基本法、これをどこまで具体化していけるか、これにかかっていると思います。すなわち、その基本理念でありますところの土地についての公共の福祉優先、裏を返せばいわゆる私権制限、これにどこまで踏み込めるか、この点について憲法上また土地基本法上どこまでを想定していると考えられるのか、この点についてちょっと御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  33. 五十嵐敬喜

    五十嵐参考人 御承知のように、日本国憲法では所有権について絶対的所有権という考え方に立っています。つまり、内容的に言いますと、使用、収益、処分のいずれの機能についても原則として自由であるということであります。第二項がありまして、この権限、絶対所有権については公共の福祉に基づいて法律によって制限することができるという形に書いてありまして、土地基本法はそれを踏襲したという形になっていると理解しています。  問題は、何のために、だれの私権を制限するのかということがありまして、ここの論点をほじくりますと、実は公共の福祉による私権制限の内容に正反対の解釈が生まれてくる。つまり、同床異夢の法律になっているというのが今の土地基本法に対する一般的な理解の仕方ではないかと私は思っております。  私の考えを申し上げますと、地価高騰による資産格差を含めた不公平、不平等というものが非常に発生しております。例えば東京都だけで見ますと、おおよそ八〇%の人たちが三百平方メートル未満の土地しか持っていない。その資産が約一・五億であります。片一方、一万平方メートル以上持っている個人がおりまして、これは千億を超えるくらいの資産格差が出ております。また、法人と個人を比べますと、法人の方が、わずか一万平方メートル以上の企業、これは千数社だと思いますけれども、恐らく二千億近い資産格差になっているという形になっています。  私権制限というときに、個人も法人も、大土地所有者も小土地所有者も、あるいはそもそも土地を持たない人たちも一律に私権制限という論理が働くかどうかということが問題でありまして、ここを区分けすべきであると私は思います。つまり、眠りながら発生した不労所得、それによって肥大する部分についてはきつい制限をかけるべきである。逆に、持たない者、持てなくなった者、あるいは持っていても少しの者については私権制限は考えるべきである。むしろ、これを共同して価値を豊かにするような私権拡大の方向に持っていくべきである。  具体的に言いますと、三百平方メートル未満の人たち土地所有については、これを共同して利用するためのメリットを法律上考えていくべきである。つまり、ここは私権拡大すべきである。しかし、眠りながら非常にふえた資産についてはきつい私権制限をすべきであるというふうに私は思っています。つまり、私権制限というときに、すべての個人、すべての法人に一律平等ではなくて、不労所得によってもたらされた権益の是正、別な言葉で言いますと、所得の再配分に向けての権利の制限と権利の拡大というものをやっていくべきではないか。つまり、日本の社会の中に、法的に言いますと、正義とか公平とか平等とかというものを持ち込んでいくことが新しい意味での公共の福祉と私権制限の問題であるというふうに私は考えております。
  34. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 ありがとうございました。  じゃ、最後に、日笠先生にお尋ねをしたいのですが、都市計画のあり方、また、線引きの見直しという点でございますが、御承知のように、きょうはいろいろと御意見の開陳の中にもございましたけれども、この土地対策の基本というのは、これは何といいましても土地税制の改革、そして金融政策、そして都市計画の見直し、この三点でして、これが一体化されていることだ、このように土地基本法にもうたっているわけですが、私も全くそのとおりと思います。しかしながら、これは大変な決意と実行がなければできないことでございまして、都市計画一つをとってみましても、今までの企業優先の都市計画であったがゆえに今日のこうした住宅難を引き起こしているわけでございます。  先ほど先生は、住宅を重視する都市計画、これを非常に主張されていたわけでございますが、私も全く同感でございます。これを国民優先の、生活者優先の都市計画に移行させていく、そのためにはどのような手法というものがまず考えられるのか。また、政府の総合土地対策要綱でも触れているわけでございますが、この線引きというものをどのように見直していけば生活者重視の都市計画と言えるのか、これらの点についてひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  35. 日笠端

    日笠参考人 都市計画の見直しというかその方向についてという御質問だったと思うのでございますが、私は、先ほど五十嵐参考人もおっしゃったかと思うのですけれども、都市というのはやはり一段階では整備できない。おっしゃったような住宅優先の都市計画にしましても、そういう健全な市街地をつくっていくというのが都市計画の主たる目的でございますが、その場合に一段階では無理だということですね。必ず二段階で都市計画というのは整備すべきものだというふうに私は考えております。  それで、都市計画の中身は非常にいろいろなところがございますし、主として土地の利用計画と施設の整備計画が主たるものでございますが、それを進めていく場合に、やはり一つ都市計画区域というものがありますと、その全体の骨組み、これは道路とか河川とか鉄道とかそういうものがございます。それから、肉づけとしての土地利用計画がございますが、これが一つでございますね。それから、その部分部分を占める地区ごとの整備計画というものがあって初めて健全な市街地が形成されるというふうに考えます。  それで、私研究者なものですから、諸外国の制度、ヨーロッパ、主としてイギリス、西ドイツとかフランスあるいはアメリカ、この制度日本都市計画制度の相違点というものを比較する、そういうようなスタディーをやってきているわけでございますが、公共施設、道路とか鉄道とか公園とか、そういうものの整備についてはシステムとしては余り変わりがないわけでございます。計画が違いますし、予算のっけ方が違う、それによって違いが出ているわけでございますけれども、つくっていく面においてはシステムとしては変わらないように思います。ただ、土地の利用計画、これについては非常な違いがあって、それで彼らの場合には、やはり全体のマスタープランに当たるものがございまして、そこで根幹的な施設の整備はしてしまうわけですけれども、その肉づけの部分が、我が国では用途地域であるとか、おっしゃるような線引きであるとか、これを私は枠組み規制と言っているのですが、線で囲みまして、この中で、こういう条件ならいいけれどもこういうのはいかぬ、こういった規制の仕方をするわけでございますね。それによって土地利用計画実現していこうというわけですが、これは非常に緩い制度でございまして、その中でいろいろなものが出てくるわけです。  ところが、最近の、特にヨーロッパでございますけれども、地区レベル計画というものは戦後非常に厳格なものになってきておりまして、土地の利用計画にしましても、向こうでは線引きというのはないわけでございますね。そして、我が国市街化調整区域に当たる部分については、具体的な用途によって決めているわけです。例えば、農地であるとか森林であるとかあるいは自然公園であるとかいうふうにして、調整区域というような線引きではないわけでございます。  それから、今度は市街化区域に当たる部分でございますが、これは一つ一つ地区詳細計画というのをつくりまして、その計画ができて地区施設が入り、そこに基盤が整備された段階で建築を許していく、こういうふうなシステムになっております。したがいまして、ばら建ちのスプロールというものがほとんど抑えられているということ、そのことが地価の高騰と関係があると私は思っているのですけれども、それが抑えられているわけですね。そこのところが非常に違うので、我が国の場合には要するに枠組み規制でございますので、線引きの中でまた用途地域が決まっていて、その中でもばら建ちのスプロールが認められている。そのために非常に異常な期待がございまして、そこで投機的な土地の取引というようなものがばっこするというようなことで、土地の値上がり、実勢よりも非常に高くなっている。  こういうことをやはり少しずつでも改めていくという方向になりますと、地区詳細計画というのが今必要な場合となっているのです。今度の法律もそうでございますけれども、必要なところでは地区詳細計画ができるけれども、やらないところもたくさんあるわけでございます。そうじゃなくて、将来は、少なくとも新市街地を形成していく部分については必ず地区計画を義務づけていく、それから、既成市街地の中で大きな土地利用転換をする場合には、用途地域だけじゃなくて地区計画を必ずつくって、そこで土地利用転換を果たしていく、こういうふうなシステム、つまり、全体の計画部分計画、大きな都市計画と小さい都市計画といいますか、そういった二段階の計画システムに移行させるべきではないか。  最近そういうことがかなり合意されまして、我が国でも地区計画制度を充実していく、そういうような経過になっているのではないかと思いますが、この方向をさらに進めるべきであるというふうに私は考えております。
  36. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 貴重な御意見をどうもありがとうございました。以上で終わります。
  37. 中島衛

    中島委員長 辻第一君。
  38. 辻第一

    ○辻(第)委員 お三方の参考人先生方には、お忙しいところを御出席いただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、本当にありがとうございました。これからお尋ねさせていただきます。  まず、お三方にお尋ねしたいのですが、今度のこの法案では、住宅地住宅を提供するということでの法律だと思うのですけれども、実際問題として本当に勤労者が手に入れられる住宅地住宅あるいは家賃になるのか、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。  日笠先生から順番にお願いいたします。
  39. 日笠端

    日笠参考人 さっき申し上げましたように、最近私は東京都の住宅政策懇談会のまとめ役を仰せつかって、その中での論議も拝聴して皆さんの意見をまとめていったわけでございますが、今おっしゃったような住宅政策というものはこれからどういうふうな方向に持っていくべきかということをめぐりまして、従来は低所得者中心ということで、先ほどの住宅政策の三本柱が十分機能してきたと私は思うのですが、最近は特に地価の高騰によりまして、所得だけでなしに資産の格差が非常に大きくなっている、それから所得も、中堅所得層までとても住宅が手に入らぬというような状態になっております。そこで、低所得者、中堅所得層も含めまして、すべてじゃなくて、真に住宅に困窮する人たちに優先的に住宅供給していく、これがこれからの方向ではないかというふうに、私は思います。  ただ、それは、それらの方々を選定するのが非常に難しいことなんです。従来ですと所得だけでやっておりますからいいのですけれども、資産までということになりますと大変難しいことではございますが、筋としてはそういうことでございます。  それから、おっしゃるように、住宅の質を下げますと家賃は幾らでも下げられるわけでございます。かつての木賃アパートがそうでございました。あのころは世帯数に対して戸数が足りなかったのでございまして、とにかく雨露をしのげる家が欲しい、こういうときには、いいことではありませんけれども、質がかなり下がりましたけれども、とにかくあれが機能したわけでございます。  ところが、今は時代が違っております。それから、二十一世紀に向けまして、我が国都市環境、ストックということを考えますと、悪い住宅をどんどん供給するようなことは到底考えられないわけでございますので、最近の常識である住宅一定水準、これは家族数によって違いますけれども、そういったものを踏まえた上でなおかつ家賃が払える、アフォーダブルハウジングと申しますけれども、そういったものを供給していくことが大事ではないか。そのときに、先ほども申しましたことと重なりますけれども、公的な主体土地を買収しまして現物を建てて供給していくことには限度がございます。ところが、民間では土地を持っている方はたくさんいるわけで、また、住宅の経営をしようという中小の地主さんもおるわけでございまして、そういう方々公共とタイアップして、土地を売買せずに自分で家を建てる、そして貸すのだけれども質は余り下げてほしくないということを公共サイドからお願いする、そうすると家賃が若干高くなる、その分を公共がカバーすれば、あるいはアフォーダブルハウジングに合致するのではなかろうか、そういうような民間公共のタイアップによる手法を入れていくということで、おっしゃるような一定水準で、しかも家賃が払える住宅供給する方向に転換すべきじゃないかなということでございます。
  40. 五十嵐敬喜

    五十嵐参考人 議論の前提として、土地と空間は十分に余っておるということをまず確認すべきだろうと思うのです。  空間についていいますと、東京でいきますと、法定容積率の四〇%しか使われておりませんで、六〇%が余っておるということでございます。つまり、いい悪いは別にいたしまして、今指定されておる容積だけでも東京の倍の都市空間、現状の倍以上が残っておるということが一つです。  それから土地についても、農地あるいは低・未利用地というのを入れますと、四全総で想定しておる宅地供給量をはるかに超える量が残っておるということをまず国民の前にアピールすることです。  第二番目は、それをアピールした上で、そこをどうやって住宅供給していくかということをはっきりさせることです。今回の法律では仕掛けはできましたけれども、全く見えません。恐らくこのままいきますと、一般的に言われておる年収の五倍とか、月収の三分の一もしくは四分の一での家賃とかいう住宅は絶対供給できません。それは民間がコントロールするに決まっておるからです。  つまり、こういう仕掛けのもとで住宅を出そうとしても市場操作が民間に残っておりますので、これは絶対にできないと私は思っております。これを逆転する必要があると私は思っております。逆転する方法として、空間の使い道を公が主体となって、時期、場所、値段をはっきり明示することです。そうすれば、国民の方では買い急ぐという現象は少なくともなくなります。買い急ぎ現象がなくなりますと、土地は、今でもバブルですから必ずがたんと下がると私は思います。国民の方も地価をつり上げておる現象があります。何か出ますとすぐ買い急ぐ、四千倍、五千倍というふうにいくものですから、地価はとめどもなく上がっていく状態だろうと思いますので、これを公的操作、つまり、どこに、いつ、幾らで出るかということを明示することによって買い急ぎをやめさせることというのが第二番目です。  第三番目は、これを法的に担保するために、先ほど申し上げましたように住宅基本法をはっきり成立させるということと、一番重要なことは自治体が、つまり、どこと言いましても、首都圏と言われたって全然わかりませんので、埼玉県何々市あるいは東京都何区というところに幾つ、いつまで、幾らで建ちますよということを自治体が明示してわかりやすくするということがあれば、アフォーダブルな適正な家賃あるいは適正な売買価格で国民住宅取得することが可能になると私は思っております。  一番基本的に大切なことは、住宅なり空間が余っておるにもかかわらず供給主体が全然見えていないということで、このシステムを変えることが一番重要だと私は思っております。
  41. 箱崎道朗

    箱崎参考人 わずか七年ぐらい前でございましたけれども、公団は遠くて高くて狭いという応募者がいない時代がありまして、新聞は非常にむだなことをやっておるじゃないかと強く批判したことがございました。ところが、最近はそういう住宅も、出してみると何十倍という形になってしまっておる。これは、五十嵐参考人が今述べられましたように、確かに東京近辺も、空間ももちろんでございますけれども、土地は非常に余っておると思います。しかし、それじゃ地価神話は簡単に崩れるのかというと、それは保有に対する義務とか、そういうものが何らかの形で進展しなければならないのではなかろうかと思います。  現在公団は、先ほど申し上げましたように、一世帯当たりの平均家賃が十万円だそうでございますけれども、これは大手の、例えば今ウオーターフロントと言われるところにできておりますかなり勉強した民間家賃に比べて三割くらい安いのだということを言っておりました。それは国の助成もございますし、いろいろあってそうなっておるのですが、その公団でさえ宅地の取得が非常に困難になっておるということでございますので、地価対策というものを優先しなければならないのではなかろうかと思います。そして、地価対策につきましてはやはり何か強力な政治の力で、リーダーシップでやっていただく以外何もないのではなかろうかというふうに存じます。
  42. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり住宅問題は、極端に言えば私は地価の問題だというふうに思います。狂乱ともいうべき、世界にも本当に例のない、そのような状態だと思います。そういう状況の中で、良質で安価な住宅をという長年の国民の皆さん方の願い、殊に大都市ではまず普通の勤労者では手に入りませんね、そういう状態になってしまいました。私は何としても地価は下げるべきだ、ここへ最大限の努力を払うべきだというふうに考えております。  先ほど五十嵐先生から、地価を下げられる、下げるべきだ、下げる手だてはこうだというお話を聞かせていただいて、私もそうだそうだというふうに思って聞いておったわけであります。その問題はお尋ねをしようと思っておったのですが、先ほどお聞かせいただいたので省略をさせていただいて、今箱崎参考人もおっしゃいましたように、強力な手だてで何としても地価を下げるべきだということを改めて認識をいたしました。  さて、都市計画といいましょうか住宅計画といいましょうか、そういう計画を策定をしていく、これまではいわゆるトップダウンという状態ではなかったかと思います。ボトムアップという考え方が非常にこのごろ、前からも言われていたのでしょうけれども、最近特に言われているわけでございますが、その点について、五十嵐参考人からお考えを伺いたいと思うのです。
  43. 五十嵐敬喜

    五十嵐参考人 ボトムアップの典型例としまして、世田谷区住宅条例というものを御紹介したいと思います。これは本年三月に施行されたのですが、ここでは世田谷区民に対して住宅に対する区民の居住権というものを保障しようということを前文でうたいまして、居住権を保障するについて、個別の手法と都市計画的な手法を二つ同時につくっています。  都市計画の手法からいきますと、住宅マスタープランというものを区がつくりまして、これを個別地域に分けまして、個別地域の特性に応じて住宅供給システムを考えるという形になっています。今回の法案との関係でいきますと、国と都道府県との関係ではなくて、都道府県からさらに区におりてきまして、区が住宅マスタープランを全部つくるようにしまして、それを都に持っていきまして、それを広域調整しまして区と調整する、こういう形に変えるべきだというのが一つです。これは既に世田谷区の場合は条例で決めておりますので、多分実施されるというふうに思っております。  もう一つ住宅の手当てについて、家賃補助あるいは住宅の借り上げ等々さまざまな手法が今ございまして、これを開拓中でございます。これも恐らく多面的に展開されるであろうと思っております。問題は財源と権限でありまして、この借り上げなり家賃補助をするときに、区の財源とは何か、これほかなりどの区でもピンチになる、つまり特殊財源を持っていませんので、これは一つ問題です。  もう一つは、家賃補助等をする場合に上限を制限しないと、とめどもなく市場相場が上がっていくという形がありますので、公正家賃制度を含めて、上限を設定するという形が何か考えられなければいけません。  そういう住宅をコントロールする自治体側の権限とは何かということを見ますと、これはほとんど皆無であります。したがって、住宅条例をつくりますときに、法的に言いますと、全部宣言規定とか努力規定にならざるを得ない。つまり、もっとわかりやすく言いますと、行政指導形式にならざるを得ないということですね。先ほども申し上げましたように、ここについて国あるいは都道府県に属している権限自治体まで下げてもらうと、かなり有効な手だてが法的にできるだろう。つまり、住宅条例について私自身も関与しておりましたけれども、どうもいつも権限と財源の点で問題になるというふうに思っております。  それで一つの方法は、全体の法案を通じて、もう一つ今回の法案について関連して言いますと、土地基本法の中の重要な原則一つである受益者負担とかあるいは開発利益の還元というものが、最近の百十二国会、百十四国会、それから今国会を通じて、すべてすっぽり実は落ちています。この財源が自治体に回るように誘導システムを考えると同時に、ある一定程度以上の利益が生じた場合にはこれを自治体に還元するシステムというものを考えないと、誘導ばっかりするという形になるのではないか。  そういう意味では、韓国の開発利益の還収に関する法律日本も非常に参考にされるべきだと思いまして、ここで一つだけ言っておきますと、その開発利益については自治体が五〇%、国が五〇%、その金を集めまして、社会的に必要なランクを定めまして、そのランクごとにその金を使っていくということがはっきり法律でうたわれております。そういうものもあわせて住宅についても考えるべきではないか、それを自治体の財源にしたいというふうに私は思っています。
  44. 辻第一

    ○辻(第)委員 日笠参考人にお尋ねをいたします。  住宅を重視した都市計画というお話がございました。それから、西ドイツのように詳細計画を非常にお進めになるようなお話がございました。そこで、ヨーロッパ諸国は自治体の先買い権を非常に活用して都市計画を進めていっている。それが住民参加、詳細計画ですか、そういう方向で立派に成功しているというふうに聞いているわけでございますが、その自治体の先買い権と詳細計画というのはどういうふうな形になるのか、お尋ねをしたいのです。
  45. 日笠端

    日笠参考人 我が国でも先買い権は法律にございますですね。ところがうまく機能していないというか、それが問題であろうと思います。そして、特にこういうふうに地価が高騰いたしますと、公共が先買い権があるにもかかわらず価格で折り合わないというようなことでしり抜けになってしまうということがございますね、買い取り請求にしてもそうですけれども。西ドイツの場合には、やはり地価がそれほど高騰しておりませんのでこういう制度が非常にうまく機能するのだろう。先ほどもおっしゃいましたように、土地問題が基本なんでございますね。地価がこれだけ高騰しますと、すべてがうまくいかなくなってしまう、こういうことが一つあろうかと思います。  それから、先ほど五十嵐参考人が利益者負担の話をされましたが、これがやはり日本では問題があるというふうに私は思っております。というのは、詳細計画実現していく場合に、我が国の場合の地区計画という制度では、地区施設の築造の責任、だれが地区施設整備していくのか、その費用をどう負担するかということが決められておりません。そこで、この辺の問題を検討する必要がある。  西ドイツの例を申し上げますと、地区詳細計画における地区施設整備につきましてはルールがございまして、専らそこの地区の方が利用されるようなスケールの道路、公園等につきましては、これはもう利益者負担ということなんですね。法律では、一〇%までは公共が負担をするけれども九〇%は地元負担ということになっておるわけです。ところが、それではやはりうまくいかないらしいのでございます。そこで、三割くらいは公共が負担し、七割は地元が負担をするというわけでございますね。そういうようなルールがきちっとできておる。それから学校その他、もっと大きな、広域にサービスする施設については公共の責任、こういうふうに区分がちゃんとはっきりしているわけでございます。  我が国では、利益者負担につきましてはさまざまなケースがございまして、例えば土地区画整理というのは減歩でもってそういう地区施設部分を出しますから、分譲するときにはその分は含まれているわけですね。ですから、負担していることになります。それから団地なんかの場合も同じでございまして、団地の分譲価格あるいは賃貸料にはそういった地区施設分を含んでおると思うのでございますが、先ほど申しましたような、農地の間にばらばら家が建っていく、この場合にはほとんど負担がない。自分のうちの敷地の前に四メーター道路さえ確保すれば、それは私道になっている場合が多いわけでございますけれども、それでもって家が建っていってしまう。そしてだんだん集積してきて、いよいよ困ってから非常にお金をかけて区画整理をしたり、公共施設を後追い的に整備をしたり、これが非常なむだであると思うのですね。それから、そういう負担の公平からいいましても非常におかしいというように思いますので、この辺もやはりそこにルールを確立する必要があるというように思います。  それから今度の法律でも、住宅地高度利用の場合に、地区施設については今までの地区計画制度と全く同じでございますが、その中間の二号施設というのが入るのですね。都市計画道路と地区施設との間ぐらいの、十メーターぐらいの道路でしょうか。こういうものが入ってきた場合に、再開発地区計画制度ではこれは地元の負担というのが原則になっておりますが、郊外の住宅地で地主さんにそれまで負担させることがどうかということがございますから、これについては若干公共が援助をしなければ成立しないかもしれないというふうに考えています。  その辺は都心部の業務地住宅地の違いだと思いますけれども、その辺のルールもちゃんと決めてやっていきませんと、せっかく制度をつくりましても実現していかない、隘略になってしまうおそれもございますので、その辺が非常に大事だと思っております。
  46. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうもありがとうございました。
  47. 中島衛

    中島委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十二分休憩      ────◇─────     午後二時五十七分開議
  48. 中島衛

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。
  49. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 総理大臣に伺いたいと思ったのですけれども、それはいけないということなので、今回申しわけありません、建設大臣にかわってお答えをいただくような形になると思います。よろしくお願いします。  今回のこの二法案法律改正の目的については、優良住宅供給ということにあると思っているのですけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。
  50. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 総理大臣にかわってお答えします。  御指摘のとおりでございます。
  51. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 一番初めの国会のときに、土井委員長の質問に答えて海部総理の方からの御答弁で、年間百万戸の住宅供給するというようなお話があったわけです。その内容は大変具体性に欠けていましたし、こういうことではわかりません。  そこで今の問題になるのですけれども、これまでのいわゆる四全総と言われるところの住宅政策というものは、生涯の最後においては通勤可能なところで一軒の家を持つ、いわゆる持ち家制度というもの、家を持たせようじゃないかということででき上がっていたものだと考えているのです。それが今回の法改正では、家を持たせよう、一人ずつが家を持てるようにしようということでなくて、もう少し快適な住まいを与えよう、要するに貸し家というもの、賃貸を重視するというような政策への転換があったのではないかというふうに思われるわけです。  これについて、その転換というものは結局、持ち家主義が破綻したということから従来の住宅政策に変わりが出て、今までの政策が失敗に終わったということを意味しているのでしょうか。私はそう思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  52. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 従来からも建設省の住宅政策につきましては、約三割が賃貸住宅というようなことで、全部持ち家にするというような政策でなかったと思っております。  今回も、先般テレビでもある主婦の方が、ローンでマイハウスを取得するのと、賃貸住宅に入ってある程度ゆとりのある生活をするのがどちらがいいのかというような計算をしておられる方もございまして、私どもも賃貸住宅と持ち家制度と両方を相まってやっていくという従来からの方針には変わりはないというふうに考えております。
  53. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今のお答えですと、これからも持ち家制度というものも五分五分の関係でやっていこうというふうにお考えだというふうに理解してよろしいのでしょうか。  それにあわせて伺うのですが、この政策そのもの全体を通じまして、一極集中ということについてこれを排除するという政策があったはずなんですが、それとの関連ではどのようにお考えでしょうか。
  54. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先ほどから御指摘のように、四全総に示しております多極分散型の政策というものは、これはぜひ進めていかなければならないというふうに考えております。そのためには住宅政策のみならず、いろいろの社会資本の整備を行っていくということがその方向に沿うものだと考えておるわけであります。  なお、住宅につきましては、特に最近大都市圏を中心にいたしまして深刻な状況になっておりますので、これにさらに供給面でバックアップをいたしまして、バランスのとれた居住環境をつくっていくということを目的にして、ただいま政策を進めておるところでございます。
  55. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今の御答弁で十分だと私は思いませんけれども、大変先を急ぎますので、今までの従来の政策というものが非常に破綻したために、ここでもって賃貸というふうに方向転換を図られたという形は、なかなかその疑いは抜けないところでございます。ただ、それでは一体この政策ほどうなるか、具体的にこれから伺っていきたいと思います。  けさほどからの参考人の方の意見にもありましたように、ほかの類似の法律というものがたくさんある、こういう中で今度の法案改正というのがどれだけ重要なもので、どんな位置を占めていくかということに関しては、具体的な見通しというものが重要であると思います。この基本方針の中で目標とされている戸数、これは前回でしたか、省の方でいろいろとお答えいただいたと思うのですが、そこの何万戸という中の内訳をちょっと伺いたいと思います。  公的なものと民間ものとどのぐらいこの十年間の間に建てられるかということ、そしてまた、その中でこれは共同住宅なのか戸建ての住宅なのか、それがどのぐらいずつの割合であるのかということ、それからまた、住宅の床面積というものが大体どのぐらいのところで、そして適正な水準としての家賃ほどのぐらいのことを考えておられるのか、どういうものを国民のために供給することができるという見通しを立てておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  56. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お答えします。  今回のこの二つ法律が目指しておりますのは、大都市地域住宅住宅地供給促進するという観点からでございますが、中身はごらんいただきましたように、住宅のための土地利用を進めていこうということに主眼があるわけでございます。その際に東京都の例をとれば、東京都を超えた広域圏の中で、お互いの公共団体が共通の意思を持って、全体どのくらいの住宅供給しようかということで十分に話し合いながらその戸数を決め、その戸数をどこでどういうふうにどの地域で分担をしていくかという大まかな分担を決め、かつ土地利用の上からいきまして、こういう地域住宅を重点的に供給していこうということを決めて、それを都市計画の場に移していただくというところまでが今回の法律の中身でございます。  したがいまして、今おっしゃいましたように、戸建てであるか共同住宅であるか、あるいは幾らの住宅が何戸建つかというような問題というのは、その土地利用の中で具体的に、事業主体が地主である場合もありましょうし、公共団体である場合もありましょうし、公団である場合もあるわけでございますが、それぞれが事業を起こして初めて具体化していくものでございます。  一方、各事業主体ごとに、どれだけの地域ごとにどれだけの住宅供給すべきかというのは別途住宅建設五カ年計画というものがありまして、そこで各事業主体ごとにノルマを課し、公的金融公庫等の機関に対してもノルマを課しておるわけでございます。したがいまして、今回の法律土地、即地的なところに主眼があって、その上で住宅建設五カ年計画に基づいて各事業主体が仕事をしていくというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。  それ全体を通じてどういう考え方かということでお答えするとすれば、せんだって来申し上げておりますように、一般勤労者向けの住宅に重点を置くということは全体を貫かれると思います。その際に、どういう住宅価格であるとか家賃であるとかということにつきましては、平均的な勤労者については所得のおおむね五倍ぐらい、あるいは家賃については月々の収入の二〇%というようなことをめどにして供給すべきではないかというふうに、私どもは考えておるわけでございます。  さらに、今おっしゃいましたように、戸建てであるか共同建てであるかにつきましては、土地利用の中で、大都市圏でございますので全体の都市計画を決めていく際に当然のことながら中高層の割合が高まることはそのとおりでございますし、それから、需要面から見ましても、大都市圏は賃貸住宅のウエートが高まることも当然でございましょう。そういうことにつきましては、今後五カ年計画でそういう割合、戸数等を決めまして、具体のプロジェクトで実現をしていく、こういう手順になろうかと思います。  なお、五カ年計画は平成三年度から第六期の五カ年計画になる予定でございまして、現在、作業中でございます。
  57. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 ただいまのお話ですと、所得の五倍ぐらいの値段で家が手に入ることを目指す、もう一つが月収の約二割ぐらいの家賃のような住宅供給することを目的としておられる、そういうことを伺ったわけです。そして、その戸数としては、この間五カ年計画の中で伺いましたが、具体的にもう一度教えていただきたいと思います。  そこの、たしか十年で四百何十万戸ぐらいだったと思いますが、その点を伺わせていただきたいと思いますが、それでよろしいのでしょうか。一応そこで確認をさせていただきます。そしてこれは、一応大都市であれば中央のところから通勤時間としてどのぐらいのところまでを地域としては考えておられるでしょうか。
  58. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今回の大都市二法で考えております地域は、首都圏の場合は六十キロ圏まで到達するような地域の広い、広域的な地域でございます。したがいまして、その中でそれぞれの業務核都市もございますれば、都心地域もあれば副都心地域もありますし、いろいろなところにお勤めの方があるわけでございます。したがいまして、そこの通勤人口等の配置を考えながら住宅の配置を考えていくということになろうと思いますので、一概に申し上げませんが、できるだけ通勤時間には無理がないようにということで考えたいと考えております。
  59. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 戸数をお知らせいただきたい。
  60. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 この前の委員会で申し上げましたように、東京圏については一都四県の五十ないし六十キロ圏で四百三十万戸、これにつきましては既存の建てかえも含んでおります。それから、新規宅地につきましては、二万九千ヘクタールということでございます。  それから、近畿圏につきましては、同様にしまして建てかえも含みますが百九十万戸、宅地供給につきましては一万三千ヘクタールということでございます。  それから、中部圏につきましては、住宅関係が九十万戸で、宅地関係は九千ヘクタール、いずれも供給見込み量といいますか、これだけ施策を講ずれば供給可能であるという数字でございます。
  61. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 このような形で、初めに大臣は持ち家と五分五分だとおっしゃいましたけれども、ここではかなり全体の中で賃貸住宅の割合がふえてくるということは間違いがないことだというふうに思います。  そうしますと、いわゆるライフスタイルといいますかそういうものの中で考えたときに、一生、人が自分の家でなくて賃貸で借りながら過ごしていく、最後に死ぬときもそういう形で死んでいくというような形がこれから先考えられていくと思うのです。そうなりますと、老人世帯となった場合にもずっと賃貸でいなければならないということになると、家賃の問題として年金収入だけで住み続けることができるのかどうか、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  62. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 おっしゃるように、これから高齢化社会に向かいまして高齢世帯がふえる、あるいは土地利用の変化が非常に激しい場合にはそこでお住みになりました御老人の方々が出ていかなければならない場合もあるというようなことでいろいろな問題が議論されております。ただ、私ども全体の枠組みとして考えますと、それは老人あるいは老人世帯の生活全体の問題でございます。生計の問題でございます。したがいまして、その中の一部の住居費の問題であろう、かように存じます。  例えば公団住宅とか、いろいろと政策住宅がございますが、低額所得者ということでどうしてもお困りの場合には公営住宅ということでお入りいただくというのが今の制度になっております。したがいまして、若いとき住んでおったところに収入が減って資産もなくてそのままずっとおるけれども、おるためにそこに住めるということは今の市場の中ではできない場合があろうか、つまり家賃が高くなって住めないということがあろうかと思います。  その場合に、最終的には現状の福祉政策は、東京で言いますと五万円強の家賃まで住宅扶助の対象にしておりますので、そういう家賃までは本当に生活がお困りであるならば福祉体系の中で救っていただけるということに相なろうかと思います。そのほかに、一般的に民間賃貸住宅へ老人の方が移ろうと思っても老人の方と契約するのが嫌だとか、そういう市場の問題がございまして、これに対する対策は別途いろいろ講ぜなければならぬと思いますが、一般的には公営住宅と福祉対策がベースにあって、あとはそれぞれの資産あるいは所得で、自分の選択の中で賃貸住宅にお住みになるというのが原則であろうと思っております。  建てかえその他個別の問題として、高齢世帯、老人世帯をどう扱うかは、これは別の問題だということでそれぞれまた手当てを考えていかなければならぬと考えております。
  63. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今こういう法律ができてこの法律の中で考えていくときに、今おっしゃったのは非常に冷たい言い方だと思うのですね。  一つは、年金生活になった、収入が足りない、今までずっと住んできたところにもう住めないような収入になったからそこから出ていって、もっと低い家賃のところがあるからそこに住めばいいじゃないか、これが一つです。  それから、民間にずっと住んでいてやはり同じように住めなくなった場合には、なかなか公的なところにすぐに入れてやることはできないから、そういう場合には何とかしなくちゃならないだろうけれども、そのときに考えよう、そういうお答えのように聞こえるのですけれども、長年働いてきて社会のために貢献してきて、そして二人の老人世帯になったときに、今まで住んでいたところにも住めない、そのような形が最初からわかるようなそういった政策を立てるということは、非常におかしなことではないかと思うのです。  そしてもう一つは、現在起こっております、昭和三十年代に建てました公団住宅が建てかえの時期に来た、それによって、普通のすんなりと上がってきただけの家賃が、傾斜的に上がってきたということだけでなく、建てかえの後には現在の家賃の数倍の家賃になってしまうという急激な値上がり、これによって結果的には追い出されてしまうお年寄りが現在も出てきている。そしたら、こういうふうなこの政策というものを進めていったならばますますそういう形の御老人が多くなるんじゃないか。それが目に見えているのに、何かやらなければならないと思っておりますという御答弁だけでこの法律というものを始めることはできないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど申し上げましたのは、全体を通じての枠組みのお話を申し上げました。個別の建てかえの問題の場合に、既存の住宅の中にお住みになっておられました高齢者の方々をどうするかという問題は、これは別途の問題だということで申し上げたわけでございます。  今現在どういうことをやっているかと申し上げますと、公団住宅につきましては、一定の要件に該当をされます老人世帯、つまり収入も非常に低いというような方々につきましては、激変緩和の観点から、家賃住宅扶助限度額を超えた場合にはその超える部分を五年間減額する等の特別措置を講じておるところでございます。さらに、まだまだ家賃が高くてどうしても自分はこういうところに住むのは嫌だというお考えがある場合には、入居者の生活状況に応じまして、それは住宅変更制度というのがございまして、近くの、古くても狭くてもよろしいというのであれば、そういう団地に同じ公団住宅の中で変更できるというお世話も申し上げているわけでございます。  さらには、所得、資産からいってどうしても公団住宅家賃ではどうにもならない、こういう場合には、別途公営住宅のあっせん等も考えているところでございます。
  65. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 こうした問題は、これから先もずっと出てくる問題だと思います。土地が高くなり過ぎてもう持ち家制度というものはほとんど用をなさなくなってきた時代においては、賃貸で一生を終わる方の人生の最後の方に向かっては、だんだん何だか非常にしりすぼみな寂しい人生を最後考えるということになるのはとても情けないことだし、そういうことでない、もう少しバラ色の最後を迎えたいと私たちも思っているわけでございます。何とかこの点、この法律ができた後も、そういうことも考えた、三十年後、四十年後を考えた施策というものを、現在のことだけでなくお考えいただきたいと思います。  次に移ります。  大都市法なんですが、大都市法の三条の六の中で、調整区域ということについてもこれを重点地区に指定して開発するというようなところがあるんですが、これは市街化調整区域というものを一応設けたことの趣旨に反するのではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
  66. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  大都市法第三条六の「住宅市街地開発整備方針」において定めます重点地区は、住宅市街地として整備開発すべき、いわば戦略的な拠点地区としての性格を持つものでございまして、市街化区域だけでなく市街化調整区域においても、良好な住宅市街地として計画的に開発することが適当と認められる相当規模の地区については指定することができることといたしております。  市街化調整区域は、申し上げるまでもなく市街化を抑制すべき区域ではございますが、永久的に市街化をしないという性格のものではございませんで、従来から、将来の人口の見通し等を勘案して、住宅宅地供給を図るために計画的な町づくりの見通しとあわせて、必要に応じて逐次調整区域から市街化区域の編入をしてきたところでございます。  今回の市街化調整区域における重点地区につきましては、農林漁業の視点から見ても、計画的な町づくりという観点から見ても、良好な住宅市街地として計画的に開発することが適当であると認められる地域で、公共施設整備土地区画整理事業実施等、市街地整備を積極的に行うことによって将来市街化区域に編入することが適当と認められる地区について定めることとしているところでございまして、市街化調整区域の趣旨と矛盾するものではないと考えております。  なお、市街化調整区域における重点区域につきましては、この改正後の大都市法三条七の規定を設けておりまして、これによりまして国土法の監視区域を積極的に指定して、地価増勢の抑制を図ることといたしたいと考えております。
  67. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 ぜひとも今おっしゃったことを守っていただいて、これから先そういう調整区域などで甘い汁を吸う人のないような形で考えていっていただきたいと思います。甘い汁を吸うだけ、吸われるだけ庶民がそれだけ泣くわけでございますから、どうぞその点は気をつけてやっていただきたいと思います。  その次に、建築基準法部分でございますけれども、容積率緩和ということがある一定の条件でなされております。都心部について考えますと、この容積率というものは現在でも余っているというような状況もございます。これもけさほどの参考人意見の中にもあったところでございますけれども、都心部というのは大変道路が狭いまま整備余りされずにおいてあります。ですから、道路についてのその幅からの高さ制限というものについて今回何の緩和もされていないということになりますと、現在でもその容積率目いっぱい建てようと思いましても、道路幅の関係からいきまして建てられない。おまけに日照の問題もございますから、上の方にいきますとかなりこそげ取ったような形の建物しか建たない。そういうことになると、容積率は現在幾ら緩和されても、もうこれ以上建つということができない。これは、これ以上その規制緩和しろということを言っているという意味ではないのです。こういうふうなことで、そこだけ容積率緩和するからこれによってかき上げした部分住宅を建てられるだろうというお考えについては、ほとんどの場合、都心ではそれは役に立たないのではないかというふうに思われるのですが、いかがでしょうか。
  68. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生御指摘のとおり、非常に狭小な道路に沿って密集している市街地で、今回御提案申し上げているような地区計画の特別な形で、用途別容積型の地区計画と私ども申しておりますが、こういうものが活用できるかということに対しましては、おっしゃるとおり活用できないというお答えが出てまいるかと存じます。つまり、私ども考えておりますのは、都心部及び都心部の周辺で公共施設がちゃんと整備されていて、道路があって、なおかつ敷地も相当きちっと広い敷地があるというようなところにつきまして、環境保全しながら、そういうところが全部業務地域になっていったのでは都市の構造としてどうだろうかということで、そういうところをまず住宅として活用させていただきたい、住宅と業務のバランスを回復させたいということからこの制度を考えておりまして、基盤施設が整った地区において本制度を活用することを考えているわけでございます。  なお、六十二年度の法改正でいろいろな手当てをしておりまして、広い道路からつながった枝の道につきましても、容積率について、その広い道路まで到達する距離が短い場合には高い容積率が使えるという格好のこともやっておりますので、そのおっしゃるようなところでも広い道路に近接しておれば可能なところも出てくるかと存じます。そういうこともやっておりますので、いろいろなことを工夫しながら、公共施設整備されているところで住宅供給してまいりたいと考えているわけでございます。
  69. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 私が寡聞にして知らないのだと思いますけれども、具体的に言いますと、一体どの辺の地域のことが頭に浮かぶのでしょうか。これは第一種住専は入らない、第二種住専はたしか入らないですよね。これはたしか住居地域または準商業地域とか近隣商業とか、そういうところじゃなかったでしょうか。  そのあたりのことだとしますと、一体どういう地域が、きれいに基盤が整備されて、土地が大きな道路に面していて、しかもそこにはほかのものを建ててもらっては困るような環境整備がなされている、そういう部分というのは一体どういうところをイメージとしてわかせる、この東京でいいますと例えばどんなところなんでしょうか。
  70. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 ちょっと計量的にきちっと出ておらないのですけれども、例えばベースの容積率が二〇〇でございまして、今回用途別容積制で住宅を三〇〇にするというような場合には、道路幅が大体七・五メートル以上ありますと一〇〇%使えるということに相なります。したがいまして、二〇〇%の容積率のもので道路幅が七・五とか八メートルぐらいのところを探せばいいということになるわけでございます。  したがいまして、そういうのがどのくらいあるのかというので、道路と容積とのクロスで量的な把握はできませんが、今言いました二〇〇という容積は相当な広い面積、四割ないし五割ぐらいの面積は指定されておりますので、その中から道路の七メートル、八メートルあるのがどのくらいあるか、こういうような感じになってくるかと思います。雑駁で申しわけございませんが、そういうことでございます。
  71. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 それでは次に行きます。  都市計画法についてですが、この住宅地高度利用地区計画というものの活用をしますと、この地区計画の内側の方はきれいなところがいろいろできます。中の道もきれいにできます。町づくりとして割と広い地域というものが全体的に整備されるわけですけれども、その場合に、こうした場合開発許可の場合と同様ですが、その周辺の部分についてもいろいろな公共施設整備というものも必要になってくると思われます。その場合には、その周辺の部分についての地方の自治体が、それだけ下水道にしろ学校にしろ道にしろ、いろいろな負担を負わなければならないような事態が出てくると思うのですが、それについての特別な財政的な手配とか措置とかいうものは考えておありなんでしょうか。  それと、それに関連して、きのうの夕刊をたまたま見ておりましたらば、建設省がこれから考えるということで、都市事業所に新税を考えようというような記事が載っておりました。そうすると、いかにもこの問題について、私の今の質問の前にもあったのかもしれませんが、こういう質問を受けてからこういうことを新たにいろいろお考えになってでき上がった税金の考え方ではないかというふうに思われると、非常に何か泥縄的な感じもしなくはないのですが、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  72. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 私ども住宅供給することを仕事としております者から見まして、インフラと申しましょうか、基盤整備が十分でないために住宅が建てられないというところが極めて多ぅございます。したがいまして、住宅供給しようと思いますと、まずは基盤整備だというふうに問題意識を持っているわけでございます。  したがいまして、従前から住宅宅地関連公共施設整備促進事業でありますとか直接施行でありますとか立てかえ施行でありますとか、いろいろな制度がございまして、まずは国の補助金を確保して国の負担分をそれで補い、かつ、公共団体負担分につきましては特別の割賦でお払いいただくというような制度を持っているわけでございます。  今回の、今お尋ねの住宅地高度利用地区計画の場合にも、この内外、地区の中もそうでございますが、外も、もしも基幹的な公共施設整備されずに、そこの新しい地区計画地域がうまく利用できないという場合には、当然ながら今までのこういった制度を活用して、施設を整備したいと考えております。  それから、平成二年度予算で創設されました大都市農地活用住宅供給整備促進事業というのが、これは住宅局所管の事業でお金をいただきました。これは市街化区域内農地の中を、そういうふうに公共施設、道路を整備する際に、四メートルまでは自己負担をしていただきまして、四メートルを超える部分の用地費、それから四メートルを含めました全体の施設の整備費につきまして補助を用意するという新しい制度もつくりました。そういうことで、基盤整備は非常に重要だと思いますので、今までの制度を活用してまいりたいと存じておるわけでございます。  それから、今最後に言われました点は、実はこの今回の大都市住宅宅地対策を考える際に、土地の利用を促進するという観点からの税、それからもう一つは、広域的な都市圏全体を、今のインフラ整備を含めまして財源整備ということから、やはり非常に大きな課題として用意をする必要があるのではないかという論点、建設省としては前前から持っておったものでございます。たまたま税制に関連しまして建設省全体の意見開陳の場がありましたので、総務審議官の方からそういう発言をしたということでございまして、泥縄と言われるといささか心外でございまして、これは延々と長い間、建設省の中で考え方としてはあったものでございます。
  73. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今の新聞記事の中を読みますと、これからの十年間に建てかえたり新設したりする戸数が書いてありまして、そのために「住宅宅地開発には、道路や下水道の整備など関連公共施設整備が必要となるため、新保有税を財源に充てることで」ということでこの問題は書いてありますので、私の方はそれをそのとおりに受け取ったわけでございます。この点、もしそうでないならば、またこの税制の始まる前のところでいろいろと議論しなければならない問題だと思います。  それから、このことにつきまして地方の自治ということで考えますと、これは地方交付税とも関連がありますので、同じ問題について自治省の方に伺いたいと思います。
  74. 香山充弘

    ○香山説明員 御指摘ありましたように、宅地開発等が行われますと、地方団体の方でも公共施設整備を迫られることになります。先ほど住宅局長から御答弁ございましたように、国庫補助金等の配分、あるいは立てかえ施行制度、こういったことが行われますけれども、いずれにいたしましても、地方団体にかなりの財政負担が生ずることになります。  これにつきましては、事業の進捗状況に合わせまして地方債を適切に配分すること等を通じまして、関係地方団体の財政運営に支障が生じないよう対処してまいる所存でございます。
  75. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 その点よろしく御配慮をお願い申し上げます。  では、その次に参ります。これは全部の法律に関して言えるのですが、いろいろな意味規制緩和ということが行われますと、このことによってやはりどこでも地価の上昇に拍車をかけるのではないかと思われます。この点についてどのような御配慮をされておりますでしょうか。
  76. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 今回の法律の関連で申し上げますと、例えば住宅地高度利用地区計画がその例になろうかと思いますが、この制度は運用上は、農地等の所有者が地価の顕在をもたらすという形を避けて、業者への転売という形でなくて、みずから土地を有効利用して住宅供給する場合に活用されるということを念頭に置いて制度の活用を期待しているところでございまして、税財政の措置等もこういう方向に向けて手当てをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  一般論としてでございますが、土地を高度利用するということは、全体から見ますと、土地の利用度が上がることは住宅宅地供給促進の増大につながるということで、地価の抑制に貢献し得るものというふうに考えております。  さらに、大都市におきましては監視区域が指定されておりまして、例えば首都圏におきましては既成市街地及び近郊整備地帯のほとんどが、全域にわたりまして監視区域に指定されているのでございます。  また現在の地価水準から見ましても、これは都市計画に基づきます土地の利用可能性ということによる一般的な収益性その他ではとても説明できないような高さに達しているということですので、今の高地価都市計画上のものを超えておる別のファクターが働いているというふうに考えております。規制緩和が直ちに地価上昇につながるものではないというふうに考えておるところでございます。
  77. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども、まず、もう値段が上がり過ぎているほどに上がっているのだからもうそれは上がることはないであろうということと、それから高度利用地区計画というので、農地を持っておられる方が自分の土地を手放さずにそこに建物を建てるということを期待しているので、だから土地は上がらないだろうということ、もう一つが国土法による監視区域、私が今ちょっと理解したのではこの三点が今のお答えの骨子であったかなと思うのですが、そうでしょうか。まだありましたでしょうか。
  78. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 骨子はそうでございますが、その中で、もう上がっているから上がらないということではなくて、用途地域とか規制緩和とか都市計画上のものがそこに大きなファクターとなるような状況にはないと考えている、こういうことでございます。
  79. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 そんなことがあるかということを私たちは思うのですね。その土地が今どのぐらいしているかということで敏感に業者たちが反応するのは、その土地が現在ほかの地価から比べてどのぐらい割安であるかということ、それがこれだけの利用ができればどれだけになりますか。要するに容積率が上がっていますね、建ぺい率が上がっています、そういうことが一つのファクターとなってこれまでの坪当たりがすぐに一・五倍、二倍というような上がり方をするわけでございまして、その点は非常におかしいことだと思います。  それからもう一つ、監視区域ということについては日本全国に監視区域の網がかかっているわけではございません。現に宮崎県においては非常に大変な問題が起こって、監視区域でなかったばかりにいろいろなところで虫食いのような状態が起こってくる、土地は上がる、町は寂れる、その上に国公有地の払い下げまで起こって大騒ぎしている。そういうような状態が起こってくるわけでございまして、それは何も考えておられて起こってきたわけではないでしょうけれども、そういう状態があるわけでございます。  今回、たしか後ろの方でもそのことで参議院の連合の先生方もいらしてお話を聞いておられると思うのですけれども、そういうところがありますと、地価の抑制をこういうことでできる、何でもかんでも監視区域があれば済むというような、そういう水戸黄門のこの印籠が目に入らぬかみたいな感じで監視区域があったところで、そういうのでは根本的な解決にも何もならない。そしてこれだけのことをやったために、甘いあめをしゃぶらせたために地価が上がった場合には、建設省はどういうふうにこれから先されるか。これが私の取り越し苦労であればよろしいのですが、もしそうなった場合には、ただ御免で済むとお思いですか。
  80. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 まず監視区域はオールジャパンでかかっているわけではございませんで、法律の要件を充足する地域についてのみかかっているわけでございます。  現状を申し上げますと、先ほど申し上げましたような地域でございまして、キロ数で申しますとおおむね五十キロ圏の内外ぐらいなところで監視区域はかかっております。そしてこれが、監視区域が一つの政策的な手段として役に立っていることは申し上げられると私どもは思っております。  それから容積率について、部分的にそういう現象が生じているということも十分承知しておりますが、だからといって、じやどこも何も高度利用をしないでほうっておくことが地価対策としていいのかというと、それは結局その地域に集まるニーズにどう対応していくかということで、そのニーズに対する供給をふやすことによって物の価格は安定するというのが大原則だと考えておりますので、それに対応することが一般論、長期論としては地価の安定につながるというふうなことで御説明申し上げた次第でございます。
  81. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 この問題については、ここでこれから議論をして私自身の意見を開陳するだけの時間を与えられれば大変ありがたいのですが、そういうわけにもいきませんので、なおこの地価の抑制についてはいろいろと御努力いただきたいと思うということだけ申し上げておきます。  では、その次の問題で、こういうふうな形がとられていくということの中では、どうしてもこの大都市圏の中に土地、空き地が本当にないという状況があるからだと思います。その中で、国公有地の利用というのは一番重大な問題になってくると思います。民間土地を活用する、そして民間土地を利用してそこにビルを建てさせる、そこに住宅をつくらせる、それを賃貸として貸させるということを一つの目標とされているような場合ばかりでなく、これはやはり民間にそういうふうに言うからには、国が持っておられる財産については国みずからその範を垂れていくということが必要であると思います。  これは写真週刊誌の中に載っていた例ですけれども、例えばこの官邸裏の土地について国民は大変気にかけているところであると思います。この中で国公有地について、都市計画法の十条の三においては遊休土地転換利用促進地区というふうに指定をすることができるわけでございますけれども、それがなぜか、五十八条の六というところで遊休土地であるというふうに国に対して言ったとして、これはだれが持っているものか、いろいろな各省庁が持っているものだと思いますが、そういうのにそこで指定しても、遊休土地であるというふうにしてそれから通知したり、いろいろな義務がその場合にはかけられるわけです。そこで通知をして、あなたのところは遊休土地であるよと言ったさきから、それは一体どのように使うのかと言って、使うのかということにお返事がなかったらどうするかということが五十八条以下にずっと書いてあるわけで、しかもそういった届け出義務違反については罰則の規定まであるような規定になっておりますけれども、こういうことについて、そこには官公庁は除かれているわけでございます。  たとえ国が遊休土地を持っていても、民間の遊休土地とは違って、その点ほついてはそういった五十八条以下の条文が適用されないということになっている、その趣旨はどういうところにあるのでしょうか。私は大変おかしいところだと思っているのですが……。
  82. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 実際の条文の書き方は、今委員がおっしゃったとおりになっております。  考え方は、都市計画というものは都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために必要なものを必要な場所に定めるというものでございまして、その決定に当たっては、その土地の所有者がだれであるかということは考慮する必要はない、考慮しないという立場に立つために、地区計画とか都市施設とかいうものと、他の都市計画皆そうでございますけれども、国公有地もまた遊休土地転換利用促進地区の対象とするというふうにいたしました。  しかし、一方都市計画に基づきます具体的な制限であります都市計画法の二十九条の開発許可とかあるいは地区計画の区域内における行為の届け出、これは都市計画法の五十八条の二で規定しているところでございますが、これは国や地方公共団体は適用除外とされているというのが現在の立法でございまして、これらの規定と同機に、「遊休土地である旨の通知」以降の規定は適用除外という書き方にいたしたものでございます。  しかしながら、遊休土地の転換利用促進地区にあっては、国や地方公共団体につきましても民有地と同様に有効利用の責務を負うということで、都市計画法五十八条の四第一項で規定しておりますほか、五十八条の四第二項におきましては指導及び助言に関する規定というのを設けておりまして、これらを用いることによりまして有効利用を図るよう要請することができることといたしておりまして、低・未利用の国公有地につきましても、有効利用を促進する手段としては十分に活用し得るというふうに考えているところでございます。
  83. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 先ほど私は、官邸の裏のところにある、あれは完全に遊休の土地であると思うのですが、そこの土地のことを指摘いたしました。このほかにも、千代田区というここの周辺のところを見ますと、利用していないわけではないのですが、非常に低利用としか思われないような形での官庁の所有地というものが多くあります。宿舎というものが非常な低利用しかされていない、しかも、もう建てかえもしなければならない、本当に倒壊寸前のような形で住んでおられる、そういうふうな建物もたくさんあります。現に目にしていますし、耳にもしております。  こういったことについては、地元の千代田区あたりでも議会とかその他においてはいろいろ問題にされていますし、こういうところについてはその長が各省庁に行って、こういうところ何とかできないでしょうか、それは何も売っていただかなくても、せめてそこに立派な宿舎を建ててたくさんの公務員の方に住んでいただくということでも結構だから、利用できないだろうかというような訴えをする方向で考えているというふうに聞いております。  こういうことで、そういった官庁とかの低利用地、また遊休の土地というものについて、今のお答えは、そういうふうな助言等によってそういうところの区長等が行った場合、または東京都知事が行った場合には、聞いてもらえるであろうということをお考えになっておられるわけでしょうか。
  84. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えします。  そういう場合についての対応策として、先ほど申し上げたような条文を設けているということでございまして、これらの規定の活用により、この法律の目的が達せられるというふうに考えております。
  85. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 それでは、大蔵省の方に伺います。  例えば現在の場合ですが、この官邸裏の遊休土地についてはどのような利用法を考えておられるのか。  それからもう一つ、港区全体ということを考えた場合に、具体的に言いますと、やはり港の埋立地のあたりにはかなり大きな、何千坪という、何万坪に当たるかもしれないそういう所在の国有地がそのままあるというふうになっておるところがあると思うのですが、これは大蔵省の持ち物だと思うのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  86. 川端正次

    ○川端説明員 官邸裏の国有地のことでございますが、これは電子技術総合研究所永田町本部跡地などでございまして、新しい首相官邸用地などとして利用することで処分を留保しているところでございます。  それから、ただいま港区にも、ほかにも国有地があるのではないか、そういうお話がございましたけれども、一般的に、国有地は国民共有の貴重な財産でございますので、公的部門において活用することを基本としておりまして、特に都心にありましては、残された貴重な空間でございますので、地元、地方公共団体などの利用要望にも十分配慮しつつ、極力公用、公共的利用を図ることとしているものでございます。
  87. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今の官邸裏のところについては、お答えがそういうことだということで十年以上過ぎているわけでしょう。大体民間土地で、十年、ここにアパート建てるつもりですと言ってほっておいて、そうなった場合にはそのまま、そのままではない、いろいろな罰則が科される、税金が課されるということがあるのに、大蔵省が持っておられればそういうことはなくて、十年間、またこれから先いつ建つかわからないものについてもそのままにしておくということがあるのでしょうか。大蔵省の方のお考えはいかがでしょうか。
  88. 川端正次

    ○川端説明員 先ほど申し上げましたように、国有地は公的利用ということを主体といたしております。  こうした公的利用の場合、私ども大体地方公共団体を相手に処分するわけでございますけれども、相手方における関係機関とか地元住民とかの調整、それから資金計画などから、場合によりましては処理に長期間を要しているものも見受けられますけれども、かような場合はできる限り速やかに計画的に処理されるようお願いしているところでございます。今後ともそういう努力を続けてまいりたいと考えております。
  89. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今のをちょっと具体的に言ってください。  今、私が名前を出したのは、首相官邸裏と港区の港南にある割と広大な土地について言っただけです。そのほかのところについて極力御努力されることはわかりますけれども、いつ幾日あそこに官邸を建てる予定があるのですか。ただ、予定があるからといって、そこでわっとそこにプールしておくということを民間でも許すのだったらともかく、そうではないのですから、国としては早急にそこにどうされるかというお答えをいただきたいと思うのですが、大蔵省のお考えはいかがでしょうか。
  90. 川端正次

    ○川端説明員 新しい官邸につきましては、昭和六十二年五月十五日の閣議了解において決められたものでございます。私どもはこの全体の計画が進捗するのを待っている、そういうところでございます。
  91. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 本当に何年待つのかわかりませんけれども、今お答えをいただきましたから、これからもう少しの間見ていようと思います。具体化しなければまた何回でも取り上げていきたいと思います。  では、その次に参ります。  私たちが関心を持っておりますのはそこばかりではございません。多極分散ということの一つのあらわれとしまして筑波への移転ということが行われたわけでございますけれども、各省庁が筑波に移転した後の跡地について、そこがまだ低・未利用地のままでほったらかしになっているところが多いのてはないか。それについて大蔵省の方はどういうふうに考えておられ、また、そこについていろいろとほかの省庁等についても考えなければならないところがあると思いますけれども、大体において大蔵省がそれについてはもうお持ちになっておられるということでございますので、その点を伺いたいと思います。  筑波移転については、聞くところによりますと六十四カ所の跡地があるということでございます。二十三区内ばかりでなく、もう少し広い東京都の市部、それから関東の各県等々も入っているようでございますけれども、これらについてどのような御処分をこれまでになさってきたか、お聞きしたいと思います。
  92. 川端正次

    ○川端説明員 筑波移転跡地につきましては、昭和五十五年に国有財産中央審議会におきまして、跡地利用の基本方針という答申をいただいております。それから、主要な跡地、都内にございます大きな跡地のようなものでございますけれども、主要な跡地につきましては、これもまた国有財産中央審議会におきまして、個別に五十五年から六十年にかけましてそれぞれ答申をいただいております。また、それ以外の跡地につきましては、関東地方審議会におきまして個別に答申をいただきながら利用計画を定めてきた、こういうことでございます。  こういう形で今までのところ処理を行ってきてまいりまして、処理状況ほどの程度かと申しますと、大体全体の面積で申しまして八割方が処理済み、こういうふうな状況でございます。
  93. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 もう少し具体的に伺いたいと思いますけれども、東京二十三区でそのようなところはありますか。処理されていないところはありますか。
  94. 川端正次

    ○川端説明員 二十三区内でも、処理されていないところは若干でございますが、残っております。
  95. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 どこそこで残っているかをお伝えいただきたいと思うのですが、具体的におっしゃってみていただけますか。
  96. 川端正次

    ○川端説明員 渋谷区西原にございます東京教育大学体育学部の跡地の一部がございます。それから、杉並区井草にございます機械技術研究所本所跡地というのがございます。それからあとは、先ほどお話のございました電子技術総合研究所永田町本部並びに分室の跡地でございます。
  97. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 このことを一つ一つ聞いていきたいと思うのですが、時間がもうあと五分ですというのが来てしまって、なかなか全部聞けないと思うのですが、二、三聞いてまいります。  千葉県千葉市にあります畜産試験場六十八・一ヘクタールはいかがなっておりますでしょうか。
  98. 川端正次

    ○川端説明員 畜産試験場六十八ヘクタールは千葉市青葉町でございますが、千葉県に対して、公園、道路として処分しております。また千葉市に対しまして、小学校拡張用地、それから道路でございます。それから住都公団に対しまして、区画整理の種地という形で処理いたしております。未処理が九・四ヘクタールほど残っております。
  99. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 これについて全部聞いていきたいのですが、時間がありませんので、こういうものについての一覧表というのは私たちの方にいただくわけにいかないのでしょうか。  これは国民として、ここが一体どうなっているのかというのはやはり見ておきたいと思います。それは私たち国民の意思でもあり、また義務でもあるのですが、こういうものは大蔵省の方では出していただけない書類なんでしょうか。今までにどうなったかという処分も含めて、そういうものを出していただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  100. 川端正次

    ○川端説明員 ただいまの資料提出の件につきましては、後ほど十分検討させて御返答させていただきたいと思います。
  101. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 これは資料要求を私の方としてはぜひともしたいと思います。そうしなければこれから先できないと思いますので、この点本当にお願いいたします。委員長、よろしくお願い申し上げます。  この資料というものについて、中にもう一つだけ聞きたいことがあるのですが、これの売買価格でございますが、これは公共団体などに払い渡されるときにどのようにして決められて、一体、今の千葉ので結構でございますが、大体幾らぐらいのものなんでしょうか。それをお聞かせ願いたいと思います。
  102. 川端正次

    ○川端説明員 国有地の評価額は、公示価格を規準にいたしまして、付近の売買実例等を参考にして定めております。  千葉に売りました値段が幾らか、こういうお話でございますけれども、私どもの国有地の売買契約は私法上の契約でございますので、相手方の了解を得てから御返事させていただきたいと思っております。
  103. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 売買契約はもしかしてそうかもしれません。そのとおり私法上の問題であるかもしれませんけれども、ここでは国公有地でございます。しかも、これについては競売もできない。国土法の網のかかっているところは競売もできないところだと聞いております。そうしますと、専権的にそこに売られるときに、公共団体は非常に高い土地を押しつけられて困っているという話を聞いております。そのためにも、そこで一体幾らぐらいで、それが市価で見るのか、また公示価格を参考にされるのか、それともその他の標準がおありなのか、それもあわせて、一般論で結構ですから伺いたいと思います。その上で金額というものについては考えていただきたいと思いますが、教えていただきたいと思います。
  104. 川端正次

    ○川端説明員 お答えいたします。  私どもの評価額は、近傍の売買実例、それから公示価格を規準にして決めております。御承知のように、土地と申しますのはそれぞれの個性がございますので、公示価格そのものを、公示価格と評価地との関係というのをよく調べる。これは私ども公示価格を規準にしてと申しておりますけれども、そういう形で評価いたしております。  以上でございます。
  105. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 時間が来ましたので、残念ですがこの辺で打ち切らなければなりません。ここの売買価格も含めまして、一覧表の提示を強く求めます。よろしくお願いします。  最後に、一番最後ですけれども、今回の法改正大都市住宅宅地対策というものを推進していくことについての大臣の御決意を伺います。
  106. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 この法律を提出いたしました趣旨にも書いてございますように、住宅宅地供給策を推進してまいりたいと思いますが、そのためにも土地税制というものの裏打ちが必要だと思いますので、今後税制調査会においてこれを十分バックアップしていただくような税制ができることを心から望んでおる次第であります。
  107. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 終わります。
  108. 中島衛

    中島委員長 井上普方君。
  109. 井上普方

    井上(普)委員 都市計画法改正があるというので、実は昭和四十三年の都市計画法の議事録を全部目を通してまいりました。いかにも建設省というのは仕事しておらぬなという感じであります。この審議の途中に約束したことが果たして守られておるかということでありますが、例えて言いますならば、新都市計画法をつくった昭和四十三年の際に、これは都市のスプロール化を防ぐんだ、あるいはまた古い、はっきり言えば天皇制のもとでつくった法律を、憲法ができたのでともかく民主的に直すんだというようなことが書かれておりますし、言われております。  しかし、その当時指摘せられたことは、この都市計画法で一番大きな問題は何だったかというと、都市計画法がつくられても、依然として政府原案というのは明治憲法下の都市計画法ではないか、これには住民参加という言葉がないじゃないかということで、実は私もその審議に入ったのであります。今考えてみますと、野党でこの審議に加わったのは私一人しか残っていませんので、あえてここに私は質問の機会を得させていただきました。  こういう考え方で、当時の保利建設大臣でございましたが、自分の町をつくるのに、自分の地域を発展さすための都市計画をつくるのに、自分の、住民の意思というのが入らないのはおかしいじゃないかということで、私どもは特に社会党は強くこのことを要求いたしまして、そして住民参加の方法として公聴会であるとかその他の手法が実は修正の形で入ったのであります。  今思い起こしてみますと、その都市計画法が施行せられまして一周年という記念事業がございました。当時、皇太子御夫妻が参られまして、そして華々しく一周年記念というのをやったとき、真嶋君、あなたはどこにおったか知らぬが、おったと思うのであります。  そのときに、この新都市計画法の一大特徴は何だといえば、住民参加ということが書いてある。麗々しくそれを大きく横断幕に書いてあった。私はあきれて物を言えなかった。野党が修正させて、そして住民参加ということを入れたけれども、それを麗々しく役人というのは書くものだ、えらい厚かましいやつばかりそろったもんだな、こういう感じが実はしておったのであります。  しかし、その後つくられておる諸立法を見ますと、依然として住民参加ということが行われていない。特に、公害問題の環境整備法でございましたか、こういうような問題が起こったときにも、政府原案には住民参加というものがない。住民参加をしたことによってどんな弊害が起こったのか、私にはわからない。建設省も、この都市計画法住民参加について形骸化しておるのではなかろうか、各地においてそういうトラブルが起こっておるのはそこから出てきておるのではないだろうかと私には思われてならないのでありますから、ひとつ具体的に、その住民参加をどのように発展させていったか、その方法並びに手法についてお伺いいたしたいのです。
  110. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  現行都市計画法制度、内容については委員熟知のことでございますので、説明は省略させていただきます。  その後、都市計画法改正を私どもは行いました。例えば地区計画制度というようなものも入れてまいりました。都市計画としては、その内容は次第に詳細化方向に向かっているというふうに申し上げてもいいと思いますが、その中で一つ方向として、住民の意見を必ず聞くというこの思想を受け継いで実行してきているところでございます。
  111. 井上普方

    井上(普)委員 それが不徹底であるがために私は起こっておるんじゃないかと思うのです。  実は今、日米協議におきましてアメリカ側は、都市施設が非常におくれておる、特に下水道なんかはともかくもっと銭を出せなんて言って、日本の主権にまでかかわるようなことを平気で言うような日米関係になって、日本はいつアメリカの植民地になったのかいなという感じが私はしている。  しかしこれは一理ある。といいますのは、この昭和四十三年につくった都市計画法のときには、都市のスプロール化を防ぐんだ、そして市街化区域に限定したところの都市設備を全部やるんだ、だから下水道の普及率は十年後には市街化区域においては六五%になるでございましょう、昭和六十年においては一〇〇%の下水道の普及率ができるようにいたしますという約束を実はいたしておるのであります。  なぜこういうことができなかったのか、ひとつその辺の事情をお伺いいたしたいのであります。
  112. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 公共施設整備状況のうち特に下水道をお取り上げいただきましたので、御説明いたします。  下水道の現在の全国の用途地域内の普及率は四三%となっております。東京二十三区では八六%まで参っておりますが、しかしこれは、用途地域外とかそういうのに比べますと、用途地域外では一一%でございますから、かなり努力をしているところはお認めいただけると思います。  当初の予定より実情がこういうものであることはまことに残念でございますけれども、これから先、おくればせながら、これを達成するために全力を挙げていくということでやらせていただきたいと思っているところでございます。
  113. 井上普方

    井上(普)委員 日米協議でやられるぐらい恥ずかしいことはない。しかも、四十三年のこの法律改正のときに、十年後には市街化区域の六五%は下水道は完成いたします、昭和六十年には一〇〇%という言葉を使っています、一〇〇%できる。こう言って建設省はこの当時答弁いたしておるのであります。  なぜできなかったのか。それは理由が、今のお話では私はわからない。また今後やりますと言っても、これだけ違ってきているんだから。もう昭和六十年ははるかに過ぎていますよ、それで全国で四三%。これは野党の側からいいますと、いかに自民党政府というのは住民の、あるいは市民の、国民の生活に無関心であったかということが言えるのです。  私は、そうは申さない。なぜこういう原因になったんだ。その当時は確かに、する意気込みだったんでしょう。そうでなかったら、こんな法律をつくりゃしない。そして次から次へとほかの仕事を拡張していっている。  ひとつ大臣に私は言いたい。日本で非常に不思議な法律が毎年毎年つくられていっている。しかし、その法律というものができて、その後どういうふうにこれが使われておるか、フォローアップというのができていない。これも一つ申せましょう。  土地のことばかり言ってまことに申しわけないのだけれども、この宅地造成につきましては、メニューをたくさんつくりましたといって五、六種類の法律をつくっている。しかし、この法律によって適用は二カ所であったとか三カ所であったというような法律もできているのです。まあ一つできれば立派なことだけれども、しかし、そういうんじゃだめだと私は思うのだな。  当時私は、これは西村英一さんという立派な建設大臣がおったときに、このごろ役人というのは法律ばかりつくるじゃないか、昔、満州国をつくったときに、日本人は法匪だと言われた、法律の匪賊だと言われた、昔から法は三章あれば足りるという言葉がある、たくさんつくる、これは一体原因はどこにあるんだ、役所が暇だから法律をつくっているんじゃないかと言いましたら、西村英一さん、そういう趣なきにしもあらずとおっしゃった。まことに正直だと思う。それはもう余談になりますから、この程度にしておきますが。  それから、もう一つ問題は、この都市計画法をつくったときには、もしこの都市計画法というのをつくった場合には地価が上昇するんじゃないか。昭和三十九年に地価安定に関する国会特別決議が行われている。三十九年からできている。この原因は一体どこにあるのだといえば、これは高度成長政策という政策によって行われて、しかも土地対策がなかったからだ。  保利茂建設大臣という人は非常に素直な方で立派な政治家であった、私は今もって実に立派な人だと思っていますが、このことをはっきりと、あれはやはり土地政策の裏づけがなかったからだ、こうおっしゃったのですよ。  そこで、この法律をつくるときに、一体それでは土地政策、地価政策というものは、あなたはどう思うんだ、どうすればいいんだ。確かに今度の場合、たっぷりと市街化区域をとったならば、宅地の上昇というものも抑えられるでございましょうというお話であった。それだけではだめじゃないか。税制を考えなければだめじゃないか。ちょうど今の議論と同じなんですよ。そうすると、ここになってくると保利さんもお役人の知恵を借りざるを得ない。税は地価対策の補完的な意味合いを持つので、今税制調査会で調べております、譲渡所得税についてはこう考えます、こういうようなお話であったのです。読んでいただいたらわかる。二十三年前と同じことをあなたは言っているんだ、建設大臣は。  地価対策というのは、原因は大蔵省にあると私は思っている。建設省がやろうとしても大蔵省が反対して、補完的な意味合いがあるんだからということでサボってきた責任がある。税もしかり、金融もしかりです。現在地価が上昇している、もう物すごく上昇している。その原因は一体何だ。突き詰めて言えば、これは金融です。  しかしそれに対しまして適切な手を政府は打ち立てない。それは大蔵省に一番大きな原因があるし、また土地問題の主管官庁が大蔵省に対して十分な物を言えないところに原因があるんだろうと私は思う。税制、土地、金融、こういうのは全部大蔵省が握っておるところなんです。  この間も土地対策特別委員会において参考人意見を聞いた。聞いておると、道路公団の宮繁君がやってきて話をしていました。総合的に行政機関が対処してほしいということを言った。それを聞いていて私はおかしくなった。道路公団の総裁をやっているから役人だな、よう言われぬのだな。言いたいのは、これは大蔵省を初めとして、大蔵省が主導的役割をとって総合対策をやらぬから土地は上がるんだと本人は言いたいんだけれども、言えないんだ。おまえら理解せいと言わんばかりの言い方をしている。  ここなんです。当時そのときにもそのようにおっしゃっているのです。逃げ口上したらもういかぬところまで来ているのですね。さあ土地対策閣僚会議ができました。同じですよ、二十三年前と。土地政策につきましては、政府がまさに無策であったと言わなければならない。一つの政策をやるには土地が値上がりすることはわかり切っておるときに、それに対する対策を講じなかった、サボった。政府がですよ、建設省とは申さない。ここに大きな土地高騰の原因があると思うのでございますが、建設大臣、いかがでございますか。
  114. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 井上先生は非常に古くからの歴史を御存じでございまして、今御指摘の点等々私も考えておりましたが、今御指摘のような点につきましては、そういうことなきにしもあらずというふうに私も思います。  しかし、土地の問題、大変に難しい問題でございまして、そのときそのときやはり、私が国土庁長官のときに土地が暴騰いたしておりまして、何とかこれを鎮静化させなければならないということで、例えば短期譲渡のものに対しては重課税を課する、一〇〇%近い税金を取るんだということで御提案を申し上げたわけでございますが、早くやってもらえば早くやってもらうほど効果があると言ったのですが、与野党ともそのときは、これは税制の一環であってそれだけ抜き出してやるわけにいかないんだということで、だんだんじんぜん日を経て余り効果がそのとき出なかったということを思って、私は、自民党のみならず野党の皆さん方にもあのときむしろやってもらえばよかったなというような気がしております。  そういう点もございまして、大変難しい問題もあるということも私はよくわかっております。
  115. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、これは同じことを二十数年間言ってきているのですよ。土地問題はこれは国土庁に変わっておるけれども、一番影響が及ぶのはあなた方でしょう。だから、ここらあたりをもう少し真剣になってやっていただかなければ、しかも元凶は大蔵省だと私は言っているんだから、建設省じゃないと。  それはそうでしょう、虎ノ門から今度は汐留まで道路をつくるのでしょう。その計画が何と七千億円要るのです。もっとですか。わずか一キロですよ。工事費は幾らといったら百億じゃないですか。それだけあったら四国の橋がもう一本つく。四国は三本つくってぜいたくだぜいたくだと世の中言うけれども、わずか一キロの道路をつくるのに七千億も八千億もかかるような時代になっている。これはまさに、ともかくどういうこっちゃいな。  だから、ひとつ東京を遷都しようじゃないかという話も出てくるのは当然。この遷都論は今ごろ出てきているんじゃないのですよ。私も議事録をずっと見てみますと、高知県の田村良平さんは、昭和四十三年に、こないにお江戸に金かけられてたまるか、ひとつ遷都しようじゃないかという論議をここでやっておる。私はそのとき欠席しておったのか聞いてなかったんだが、私が遷都問題に取り組み出したのは昭和四十九年から取り組んでおるんだけれども、わずか一キロ足らずの道路をつくるのにそれだけかかる。それはともかくといたしまして、こういうことであります。  それから、もう一つの問題として大問題になったのが開発利益の吸収であります。道路をつくる、橋をつくる、学校をつくる。皆さん国民の税金でそういう施設をした場合に、周辺の土地がほんと値上がりする。この値上がりというのは当然不労所得なんだから、これは社会に還元さすべきだという考え方は当然に起こってくる。  日本ではこれが起こるのが遅かった。イギリスでは一九〇二年、イギリスのロイド・ジョージがこういうことを言い始めているのですよ。非常におくれてはおるけれども、開発利益の吸収ということがこの都市計画法をつくる際には大問題になった。そのとき建設省はどういう答弁をしたか。やはり大蔵省の責任に逃げ込んだのであります。これは譲渡所得税をひとつその際につくってもらわなければいかぬ、税制審議会か何かに今かけようと思っておりますということで逃げておるのであります。どうです。しかも、当時の佐藤内閣の最大の実力者であった保利茂建設大臣が言ったこと、約束したこと、それすら実現できなくて今日に至っておるのであります。  まだまだ申し上げたいことはある。こう筋を引っ張ってみますと、なるほどな、地価問題とか今の問題は昭和四十三年に指摘しているのだな、同じことだな、日本の行政というのはまさに安楽に過ごしてきたのだな、真剣さが足らぬのだなという感じを、私はこの二、三日前から四十三年の議事録を拝見いたしまして、そういう感をいたしておるのであります。  だれかこれに対して言いわけか抗弁があるなら、ひとつ聞きましょう。
  116. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先ほどから御指摘の点につきましては、私もある程度理解することができます。  それで、今回この法律を出しておりますのも、今度土地税制というものを本当に裏打ちしてもらわないとこの法律だけでは実効は出ないわけでありまして、今度は私ども建設省としてもぜひこの土地税制についてはいろいろの希望も申し上げていきたいと思いますが、これについて、土地税制というものは必ず裏打ちをされるものだと私は信じておりますので、よろしくお願いします。
  117. 井上普方

    井上(普)委員 土地税制というのは割に簡単なんだ。不労所得は取り上げるという考え方に終始すればいい。ただ、日本の今の経済発展は、私はどこでも言っているのですけれども、昭和三十七年に笠信太郎さんという方が「花見酒の経済」というのを言っている。私も拝見した。金本位制ではなくて土地本位制になって担保が担保を増大するためにこの経済発展ができたのだ、こういう説であります。この土地の高騰の原因は、そういう面からいたしましても、企業が発展いたしましたのも一つ土地だという考え方、そのしわ寄せが住民に来ている、国民に来ている、こういう感がいたしてしょうがないのであります。  そこで建設大臣、あなたは道路をつくったり、橋をつくったりするのです。ところが、開発利益の吸収というのは、今行政何やら要綱というあんなおかしげなものでちょろまかしておるんだ、市町村は。これじゃなくて正規のルールに戻そうといたしませんか。指導要綱ということでちょろまかしているのですよ。ごまかしているのですよ。抜本的にここらあたりを直して、国は出すべきものは出す、こういう立場に立たなければ、私は本来の行政とは言いがたいと思うのですが、いかがでございますか。それには税金で開発利益はいただく、こういうもとの考え方に戻らなければならないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  118. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 今、税制調査会で土地税制というものに真剣に取り組んでいただいていますが、そういう問題も含めてお考えいただけるものだと私は思っております。
  119. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、あなたそれはそのくらいで済まそうと思ったら間違いだ。  あなたも国土庁の長官をやったのだ。しかも今度は公共事業実施大臣である建設大臣。今のお話を聞いてどう思いますか。虎ノ門と汐留との間の土地に道路をつくろうと思えば七千億も八千億もかかるような世の中になっている。しかもそれは不労所得だ。それに対してどういう措置をとっていこうとするのか。工事費用はわずか百億に足らぬのですよ。ここらについてのこれからの考え方をぴっしりしなければ、税制調査会がやってくれるでしょうというような悠長なことでは、あなたは歴史に汚名を残しますよ。どうでございますか。
  120. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 環状二号線のことで現在進めていることをちょっと申し上げますが、今までの手法でやれば膨大な用地費がかかるということは私どもも十分承知しております。  それで現在考えておりますのは、区画整理と立体道路で今の土地の所有者をそのまま残した形で用地費に事業費が使われるのをできるだけ少なくするような努力をしているところであり、このための法律もさきの国会で通していただいたところでございます。
  121. 井上普方

    井上(普)委員 区画整理というのは時間がかかる。恐らくあそこをやるのに二十年かかるだろう、この道路一本つくるのに。二十年でできたら早い方だ。それは利害が錯綜するから難しい。土地区画整理というたら、いかにも今の資本主義の世の中で利益を受ける者と受けぬ者とがぴしっと分かれてまことに立派な、公平な手法であることは私も存じておる。しかし、これをやってごらん。二十年やってもできぬということをあなた方は知っているのだ。何年でやりますか。あなた、何年でできますという約束ができますか。できないんですよ。真嶋局長、あなたは、この前私が予算委員会で質問したら、戦災復興都市計画事業が四十何年たってまだその道路は残事業が七%あると、こうおっしゃっていた。都市計画法によるところの都市計画道路は恐らくまだまだ残っておるのだろうと私は思う。しかし、それはもう時間がないからこの程度にしておきますが、ここでもう一つ問題が出てくる。  さっきの質問に関係するのだが、空閑地税というのはそのときにも問題になった。二十三年前に空閑地税というのは論議せられておるのですよ。′そうしますと、ここでは、もうそういうようにやらなければいかぬというように、まあこれも税制調査会に渡すけれども、やらなければ不公平が生ずるし、土地利用ということが十分できないので、そのことは重々感じてやりますということをおっしゃっているのですよ。いまだにできない。  だから、政府のこういうような地価対策に対するあるいは土地開発に対する不熱心さというものが今日の都市計画である、その政府はといえば自民党内閣であるということだけ申し上げまして、私の質問を終わります。
  122. 中島衛

    中島委員長 木間章君。
  123. 木間章

    ○木間委員 ただいまは井上大先輩から、二十三年前に都市計画法の全文改正を扱われたその生き残りの一人として、既に二十年後の今日を見通したいろいろの論議が交わされ、私たちにも大きな苦言を呈していただいた、このことを肝に銘じながら大演説を聞かせていただいたわけであります。これからも私たち自身襟を正して国民生活にさらに親しんでいただけるような建設行政を進めていかなきゃならぬ、このようにかたい決意をしておるところであります。  本論に入りますが、株価の変動が激しい今日でございますけれども、株が上がってもあるいは下がっても暮らしにはそんなに響かない、私はこのように感ずるわけでありますが、一たん土地となりますと条件は全く異なりまして、庶民生活には直接響くのであります。地価の異常高騰のもとでは生涯働きずくめでも住宅を持てない、こういう現状になってまいりまして、今や土地住宅政策は政治そのものの力量が問われておる、最大の政治課題になった、このように認識するものであります。  しかし、建設省もこの間各局総動員をされまして、あるいは民間の力も得ながら住宅政策に取り組んできた、私はこのように感じ取っておる一人であります。住宅戸数は世帯数を既に上回りまして一・一一倍になっておりますし、戸当たりの面積もこの二十年間で七十四平方メートルから八十九平方メートルに拡大をしております。また、設備の向上もあって居住水準が高まっておろう、こう思っております。また、土地住宅にかかわる法律案もこの十年間に二十六本処理をしてきております。  他方、私たち国会議員の間でも、この間、衣食の問題とあわせまして住の問題は国民生活に大変大事な欠かせない問題であろうと、委員会のたびに論議が高まってきたわけであります。社会党も、国民生活の根幹であります土地住宅問題について積極的に国会法律案をも提案をしてきました。住宅関係では住宅保障法を昭和五十五年三月、五十七年五月、六十一年五月に提案をしてまいりましたし、土地問題でも基本法を六十三年五月に提案をしてまいりました。  政府は昨年末、ようやく土地基本法を提案するところになりまして、成立を見たわけであります。しかし、これは宣言法でございまして、個々具体的施策については今後日を追って充足されていかなきゃならぬと思いますし、私たちもそのような気持ちで臨みたいと思いますが、住宅保障法についてはいまだに示されていないのであります。  土地住宅政策について、みんなで努力をしてきたのでありますが、近年の土地の異常高騰によってついに赤信号がともってまいりました。その決定的な対応は、国民生活の問題であった土地住宅問題を経済問題に置きかえてしまったところにあったのではないでしょうか。  建設大臣にお尋ねをするわけでありますが、役所も議会もそれなりに努力をしてきたわけでありますが、大臣は役所の今日までの努力をどのように理解をいただき、評価をされていますか。また、政権党の実力政治家として、この異常な土地高騰と国民の今の気持ちについて、どのような理解を持っておられましょうか、まず大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  124. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 住宅政策につきましては、建設省も五カ年計画等々を通じまして、その供給策に今まで努力してきたところだと思っております。最近の地価高騰住宅宅地の問題は一緒になっておりまして、地価対策につきましては今木間さん御指摘のように、昨年末、与野党共同して土地基本法を成立させたところでございまして、この地価対策あるいは住宅宅地対策につきましては、この高騰を抑えるという意味で金融面から、あるいは規制面から監視区域とかいろいろございますが、もう一つはやはり供給面からこれを安定させるということが極めて重要だというふうに認識をいたしておりまして、このだびその面におきましての法律を出させていただいたわけでございます。  このようにいたしまして、今後土地税制につきましても、これを裏打ちしていただけるものと思っておりますので、今後土地住宅供給策の面から、さらに庶民の住宅に対するニーズを少しでも満たしていき、また地価が安定するようにこれから努力をしていきたいと考えておるわけでございますし、そのような方向づけができるものだと考えておる次第でございます。
  125. 木間章

    ○木間委員 先月末、土地対策を進めるために、総理の諮問機関であります土地政策審議会が発足、活動を始めたところであります。この土地政策審議会が何をされようとするのか、どういう課題に取り組まれていくのでしょうか。土地問題の目指すものは何でしょうか、お示しいただきたいと思います。
  126. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 土地政策審議会は、土地基本法により新たに設置された審議会でございまして、内閣総理大臣の諮問機関といたしまして、土地に関する総合的かつ基本的な施策、それと国土利用計画法の利用に関する基本的な事項について調査、審議することとされている審議会であります。五月二十四日に初めての会合を開きまして、会長の選出、総理大臣に対する各委員意見開陳などを行いました後で、土地基本法を踏まえた今後の土地政策について総理から諮問が行われたわけであります。そのほか国土調査事業十カ年計画、それといわゆる土地白書の案に対する審議会の意見聴取が行われたところであります。  このうち今後の土地政策についての諮問に関しましては、基本法に基づく総合的、基本的な事項という非常に間口の広い重要な問題を御審議いただくことになっておりますので、まず企画部会を設けまして、これから審議すべき事項を具体的に論点整理等もいたしまして、具体のテーマを決めていただいた後に、この企画部会を中心にさらに審議を進め、できるだけ早い時期に答申をいただくようお願いしておるところであります。
  127. 木間章

    ○木間委員 私は、今日の土地住宅問題を根底からつくり上げていただく、見直していただくということで設けられたのだろう、こう考えますときに、基本的には例えば土地取引の規制の問題、公有地の拡大の問題、開発利益の社会還元の問題、税制の問題、土地評価の一元化、適正化の問題あるいは土地と金融関係の問題、こういったものもぜひ論議をいただきたい、こう思っておるのでございます。ぜひそのように企画部会でも取り扱っていただけないでしょうか。  土地の異常な高騰は、大都市のみならず、今日地方圏にも広がりつつありますし、国土庁の御努力、各市町村長の御努力で監視区域の指定も各地区に広まっております。しかし、その中身は届け出、勧告、違反があった場合の公表という行政指導の範疇でしかないのでありまして、これではやはり強制力を持つには限界があろう、こう考えるものであります。  国土利用計画法第十三条、先日の委員会でも建設大臣は、予算委員会で竹光じゃないだろうか、こういったことが話題になったというお話もあったわけでありますが、この十三条の発動が今日なされていないのであります。これは内閣が行うということになっておるわけでありまして、この発動のなかった理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
  128. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 先生もよく御存じのとおり、規制区域の指定は、一次的には都道府県知事に機関委任事務として任されている事務でございます。知事は、土地取引あるいは地価の動向等を踏まえて、地域の具体的な事情を十分勘案の上この制度を運用するということでございます。やはり知事が地域の実情に一番精通しておるということで、その一次的な判断は知事の判断にゆだねるべきものだと考えております。  ただ、国土利用計画法十三条におきましても、御指摘のとおり内閣総理大臣が場合によっては知事にかわってこの権限を指示代行できるということになっておりますけれども、やはり最大限、地方自治の本旨にのっとり知事の権限が尊重されるべきだ、そういう観点から、これまでこの指示代行権は極めて非常、例外の場合に限定して行使が考えられるべきものだというふうに私ども理解しつつ今日に至っておるわけでございます。  なお、この国土利用計画法を制定いただく際の国会審議におきましても、この十三条の適用につきましては、地方自治の本旨にのっとり、公共団体の長の権限を最大限尊重するものとし、その行使は慎重になされるべき旨、国会の方からも意見が出されまして、政府としてもそのように運用していくという意思表示をさせていただいております。そういうこともありまして、できるだけ知事の立場、権限を尊重しながらこの制度の運用に当たっておるところであります。     〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
  129. 木間章

    ○木間委員 冒頭申し上げましたように、今日土地問題、住宅問題は既に経済問題にすりかわっておるわけです。確かに、一義的には都道府県知事の権限になるわけでありますが、都道府県知事が怠慢だったとは申し上げませんけれども、なかなか発動しにくかった、そういった側面もあるだろうと推察は申し上げますけれども、しかし今日のような狂乱地価といいますか異常な高騰には、もう知事さんだけの御判断では通らないわけでありまして、国家国民のためにそれこそ十三条の発動をすべきだったのではないか、今からでも遅くはないのではないか、実はこういったことを判断をするところであります。  そこで、綿貫大臣にもお伺いをしたいのでありますけれども、この間、国土庁長官もお務めになりました。国土庁長官の時代にも土地狂乱、土地がウナギ登りに上昇を続けておった時代でもありますし、今住宅政策を積極的に担当される建設大臣に御就任になったわけでありますから、大臣在任期間に閣議でこういったものが話題になったのかどうか、あるいは長官時代に積極的に発動しようや、このような御提言があったのかどうか、その裏話めいたものをお聞かせいただきたいと思います。
  130. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 実は、この国土利用計画法の十二条、十三条というのは大変厳しい法律でございまして、私が国土庁長官のとき、あるいはそれ以前にも、東京都と国土庁が真剣にこれを発動しようかどうかという協議をなされたと聞いております。  私のときにもそれを検討したときもありましたが、この法律の発動はつまり土地の凍結でありまして、すべて取引は許可制になるわけでありますから、いわばこれは一種の統制経済的な形になるわけであります。局部的にしろそういう形をとりますと、それの発動を解いた場合にどうなるのか、あるいは波及する問題はどうなるのかというような問題等々考えますと、極めていろいろ国民生活あるいは経済上大きな影響がある。しかも大きな影響というのはマイナスの影響もあるのではないかということから、この発動についてはいろいろと慎重に今日まで対処しておるわけであります。  しかし、例えば今の日本地価の高騰と韓国の地価の高騰は相当違います。韓国のように大暴騰するということがさらにこれからあるようであれば、これは一罰百戒という意味もありましてそういうことは十分検討される時期があると思いますが、現状においてはこの法律の発動によって起こるマイナスの方が大きいのではないかというような見解を私どもは今持っておるところであります。
  131. 木間章

    ○木間委員 発動したときに経済活動を含めてさまざまな弊害が起こるであろう、あるいは一たん発動しますと、いつかは終結になるわけでありますが、そのときの影響もまた見通さなければならない、このような御発言だったわけでありますが、五年間、施行いたしまして五年後に同じような状況であればまた延長もできるわけであります。もう国民生活から離れてしまったこの土地価格問題、やはりこの時期に判断を誤ってはいかぬのではないだろうか、このように感ずる一人であります。  衣食住足りてようやく国民生活が成り立つわけでありまして、その部分がこういう状況でございますので、先ほども申し上げましたけれども、建設省各局、力を総結集してやってきておるのにもう手も足も出ない、国民生活のみならず公共事業を振興しようといっても、おおよそ予算の八割前後が土地価格に持っていかれるわけでありますから、一体何をしておるのか、後世に私たちは汚点を残すのではなかろうか、このように感ずる一人でありまして、ぜひこの発動問題について、慎重でなければならぬわけでありますけれども、大胆に展開をいただくようにこの機会に求めておきたいと思っております。  先日の委員会で、大蔵省は金融機関の不動産貸付残高について、銀行関係でおおよそ四十八兆円、そして生損保関係で三兆四千億円、その他ノンバンク分も報告いただいたわけであります。国土庁も委員会では、この土地異常について金融政策にもあった、このように申されておりますし、日銀もこの間認めてこられたところであります。  大蔵省にお尋ねをしたいのでありますが、この金融の行き過ぎについていかなる手を打っておいでるのか、お聞かせいただきます。
  132. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  大蔵省におきましては、金融機関の土地関連融資、これを二つの面から行政指導いたしております。  まず第一点は、これは昭和六十二年以降とってまいったわけでございますけれども、特別ヒアリングと称しまして、金融機関に対して大蔵省が個別にサンプル的に、この取引はどうなんですか、投機的な土地取引に関する融資ではないのか、あるのか、こういうことを一つ一つ詰めてまいったわけでございます。これは個別のアプローチでございます。この措置、六十二年以降とってまいりましたけれども、さすがに各金融機関の土地関連融資においては、まずほとんど影を潜めたと私は思っております。しかしながら、金融機関の関連会社とか、あるいは金融機関がノンバンクに貸し、ノンバンクが土地投機取引に手を貸す、この部分についてはまだまだ指導の余地があるというふうに思っておりまして、現在も特別ヒアリングを強力に実施しておる過程にあるわけでございます。  もう一つの流れは、土地関連融資の量的規制でございます。これは昭和四十八年、今から十七年前に地価が高騰いたしましたときに、量で抑えないといかぬのではないかという判断に達しまして実施されたものとほぼ同じような形で、ことしの三月に通達を出しまして四月から実施されております。四―六月の計数は八月に出る予定でございまして、この実績というものを私どもは大変注目しております。中間的に金融機関にこの量的規制というのがうまく行き渡っているのかどうかということを聞く限りにおいては、今のところは順調に動いているのではないかというふうに私は認識しておりますけれども、しかし、これも仕切ってみませんと予断を許さない面もあろうかと思います。  こういうことでございまして、個別案件ごとの行政指導、それから全体についての行政指導、両面にわたって現在実施しておるわけでございます。  その際考慮しなければいけないと思いますのは、地価の問題は、良質な住宅とかあるいはオフィススペースの供給というものも大事でございまして、そういう良質なものに対して金融機関の融資が滞るようになりますと、これはこれでまた問題を生ずる。したがいまして、土地関連融資を抑制しつつ、上物と称しますか、土地が有効に利用される融資にどう誘導していくか、この辺が大変難しい問題なのではないかというふうに考えております。
  133. 木間章

    ○木間委員 総理は、先月二十四日の土地政策審議会の冒頭のごあいさつで、土地を持っていればもうかるという土地神話をどうしても打ち壊したい、このことは極めて大事である、このように発言をされたようでございます。土地神話を壊すわけでありますから、今おっしゃられたように不動産融資すべてではございませんで、やはり土地転がしに利用されるであろうこの不動産融資は何としてでも中止をさせていただかなければならぬ、私はこう実は考えておるわけです。当然総理のこの発言の中にそういったものが込められておろう、こう判断をするところであります。ですから、思い切ったそういったものをぜひ発動いただきたい、このことを強く要請をしておきます。  最近、もうかる土地神話を崩そう、こういう御意見と、一方では地価が下がると日本経済に悪影響をもたらすんじゃなかろうか、こういったものも実は聞こえてくるわけでありますが、大蔵省はそのことについてどういう認識を持っておられましょうか。
  134. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  先ほどのお答えと重複してしまうわけでございますけれども、良質な住宅スペース、オフィススペースの提供という面、あるいは景気における住宅投資のウエート等から考えまして、経済全体と調和がとれた形で建設投資等が行われていく必要もあろうかと思います。日本経済というのは構造的にそういうプロジェクト等を要求している面があろうかと思うわけでございまして、それを金融で強引に締めていくということはいかがなものかというふうに考えております。しかし、金融機関の融資というものがそういう全体の総貸し出しのバランスを超えて土地にとうとうと流れていくという問題になりますと、これはひずみが顕在化いたしてまいりますので、その辺の均衡をどうとるかが私どもの一番関心のあるところでございます。  そこで、御質問の、それではもし逆に地価が暴落した場合、その場合に金融機関あるいは日本経済等に対してどういう影響を与えていくかということでございますけれども、今般の状況はそこまでいけば大したものでございまして、地価の騰勢というものをどうとめていくか、土地神話というのがやはり存在すると私ども思っておりますので、その辺にまず精いっぱいの努力を傾けていくべきだというふうに考えております。
  135. 木間章

    ○木間委員 この二つ法案によって上物の建設が進むわけでありますが、そういった良質なものについてはこれからも融資をやっていただきたいのでありますけれども、土地転がしのような悪質なものは徹底的にストップをかけてもらいたい。そうしなかったらこの異常な土地問題というのは解決できないだろう、私はこう思っておりますから、逆の土地神話になるように、大蔵省にもぜひしっかりとやっていただきたい、こう要請をしておきたいと思います。  建設省や国土庁の所管の関係をもう少しお聞きしたいのでありますけれども、皆さんの仕事の関係から、不動産の売買あるいは鑑定の業務が密接に絡んでおります。その部分だけで異常な地価騰貴になったのではないのでありますけれども、やはり関連をしておるのじゃなかろうか、こう実は私は思っております。仲介業をされる皆さんはAさんからBさんへ移るときお世話をしてその仲介料を得られればいいのでありますけれども、値段がそのたびに高くなってきたのがまた今日の現状でありましょうし、また鑑定業務をされておる皆さんにいたしましても、抑えるという側にはなかなか立っておられないだろう、こう判断をするわけでありますが、建設省あるいは国土庁はそういった業界に対して、この異常な地価高騰との関係でどういう指導をされてきておりますか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  136. 望月薫雄

    ○望月政府委員 最近の異常とさえ言われるような著しい地価高騰の理由としては、先生先ほど来るる御発言されるように大変いろいろな要因が絡んでおります。  これは繰り返しませんけれども、そういった中で、今御指摘の宅建業者、不動産業者のいわば立ち居振る舞いといいましょうか、営業のあり方というものが少なからずいろいろな面で影響をもたらしておるということも私ども厳しく受けとめなければならぬと思っております。多くの業者、まじめに仕事をしておる者も大変おるわけでございますが、中に心ない業者の心ない行為というものが地価の高騰に投機的取引という場を通じて大変に影響しているという面は無視できないわけでございまして、私どもそういった意味で、六十一年の暮れから毎年のように建設経済局長通達を発出しまして、言うならば投機的取引の防止について指導を繰り返してまいっております。  このこと自体、毎年毎年通達というのはある意味では形骸化していないかという御批判もありますが、私ども申し上げたいことは、いささかも目を離さないでそういった指導を繰り返してやってきておるし、また単なる通達でなくて、通達をベースにしながら、あらゆる場を通じながら指導に努めているという現実でございます。  そういった中で、とりわけ昨年の暮れに土地基本法が制定されたわけでございますが、この中に「事業者の責務」ということが大変大きく位置づけられました。私ども、そうなりますと、不動産を専ら扱うことを主たる業務とするこの不動産業界というものに対する指導は、従前以上にまた新しい取り組みをしなければならぬということで、それまではどちらかといいますと業の適正な運営ということを軸にしておりましたけれども、それに加えまして事業者の責務という、この辺をベースに今、通達、指導を強めておるところでございます。  具体的に私どもこれから毎年毎年、半年ごとに、当面は建設大臣許可業者を中心にいたしますけれども、不動産取引の動向等についても報告を徴して具体の指導にも入ってまいりたい、こんなふうな取り組みを今しているところでございます。今後ともそういった姿勢で取り組ませていただきます。
  137. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 国土庁といたしましても、不動産業界等に対しまして、昭和六十年度以降ほとんど毎年、投機的取引を慎み、適正地価形成に協力していただくようお願いしてきておるところでございます。  また、不動産鑑定士及び業界に対しましては、不動産鑑定が投機的な取引や思惑的な要素のある取引を排除して公正的確な評価をされるということが地価形成を図る上でも非常に重要でございます。そういう意味もございまして、不動産鑑定士は大部分の方が不動産鑑定協会の会員でもございますし、その協会にはそれぞれ支部がございますので、そういうところで総会等がございますたびごとに我々関係者が出向きまして、そういう趣旨のお願いをしてきておるところでございます。  また、鑑定評価は、不動産の鑑定評価に関する法律及び地価公示法に基づいて行われておりますし、その関連で決められております不動産鑑定評価基準に基づいて具体の鑑定評価が行われておりますので、これらの法律、基準の充実整価に努めてまいっておりますし、また、これらの基準等をその都度周知徹底を図りながら的確な鑑定評価に努めておるところでございます。  また最近では、現行の鑑定評価基準がかなり古くなっておりますので、新しい社会経済情勢の変化等に対応するために、現在この鑑定評価基準を見直しております。六十三年の十一月に国土庁長官から鑑定評価委員会に対しまして諮問を行っておりまして、現在鋭意見直しについて調査、審議が進められておりまして、近いうちに中間答申が得られるというふうに聞いております。
  138. 木間章

    ○木間委員 不動産の鑑定評価に関する法律で鑑定業務などをされておるわけでありますが、宅建業法あるいはこの法律などによって地価高騰の下支えにならないように、ぜひ両省ともきちっと業界の指導をしていただきたい、こうお願いをしておくところであります。  土地局長、この機会にちょっとお尋ねしたいのですが、私もいろいろ法文を、斜め読みでありますけれどもこの間してまいりました。不動産の鑑定評価に関する法律、どういった内容になっておるだろうか、目を通したわけでありますけれども、鑑定士の資格の関係あるいは登録の関係のみに終始しておるわけです。そうなってまいりますと鑑定評価の基準というのは別の制度でやられておるということになるわけでありますが、名は体をあらわすと私どもは習ってきたわけでありますけれども、名称にそぐわないということを指摘せざるを得ません。  例えば、建設省の所管に建築基準法がありまして、それを受けて民間の建築士、一級建築士なり木造建築士なりが各地区で御活躍をいただいておるわけでありますけれども、この鑑定に関する法律を見ておりますと、そういう建設省の今の内容と異なった印象を私は受けるわけであります。鑑定基準の見直しをされておるようでございますが、今後そういった法律面での整備もぜひお願いをしておく必要があろう、こう考えるところであります。ぜひお願いをしておきます。  それから、行政は総合的に機能することが極めて大事でありますし、これからの大都市土地政策、住宅政策を進めるには税制も同時に考えていかなきゃならぬ問題であります。こういったことにも今日まで議論がありました。本法の改正では税制問題も当然提起をされるだろう、こう思ってきたのでありますが、税制調査会なり土地政策審議会で今諮問中、このような御報告でございますけれども、私は、土地税制についてはそのような態度は今さらという印象を実は強く受けるわけであります。  先ほど、大先輩の井上さんから、二十数年前の都市計画法立案のときに議論になったともおっしゃっておいでますし、また、既に中曽根臨調が発足いたしまして今日引き継がれておるわけでありますが、そのたびに土地と税制の関係は議論になってきたわけでありますから、メニューがすべてそろっておる、要は皆さん方の御決意次第なんだ、私はこのように申し上げざるを得ないのであります。  この委員会法律案審議するときにも、片手落ちの中身で本当に十分に議論ができるだろうか、あるいは、大都市の皆さんが待っておいでる、とりわけサラリーマンや庶民の方々が待っておいでる安くて質のいい住宅がつくられるのだろうか、このように実は危惧をする一人であります。  ですから、土地問題、土地と税制問題というのはやはり皆さんの腹にかかっておる、このように指摘せざるを得ないのでありますけれども、その点のお考えをお示しいただきたいと思います。
  139. 望月薫雄

    ○望月政府委員 私ども、今般法案を御提案申し上げるに当たりまして一番心にかけておりますのは、制度整備と同時に税制面での充実改善が車の両輪として一対のものである、こういう認識に終始立っております。そういった中で今般法案を御提案しているときに、具体の税制については今先生御指摘のように同時提出ということはできておりませんが、これは申し上げるまでもなく、税制は、土地税制万般にわたって政府税調を中心に今これを目指して研究検討が進められているさなかでございます。  そういったときに当たりまして、私どもは、まず制度面を具体的に提案しよう。というのは、もう内容は繰り返しませんけれども、農地の問題あるいは市街地におきます低・未利用地の有効活用の問題などなど、直接これは税制にかかわるわけでございますが、私ども、そういった中で税制の議論をしっかりと掘り下げていただき、また具体的に実行に移していただくためにも、我々はまず制度を明確に御提示申し上げる、これを具体的に進めるための税として不可欠のものである、こういった構えで私どもは政府税調なり関係方面への努力を具体的に進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  140. 木間章

    ○木間委員 ここまで来たのでありますから四の五の言っても仕方のないことであろう、こう思っておりますが、ただ、そうは言いながらも、毎日毎日大都市住民はその陰で泣いておるのだ、このことをしっかりと受けとめていかなきゃならぬわけでありまして、のんべんだらりの審議というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、的確なものを早く出していただくように要請をしておきたい、こう思っております。  問題は、この法律を施行されまして本当に大都市のサラリーマンに手が届く住宅ができるんだろうか、ぜひつくっていかなきやならぬ、こう考える一人でございます。  それで、住宅政策も年々努力をされておるのでありますが、やはりその中に民間の力を利用する部分が非常に多いということであります。公的住宅といってもそのかなり多くの部分が融資住宅でありまして、これも個々人の努力がないとできないわけでありますから、私は、やはりもっと公団、公社、そして公共住宅をつくらなきや国民の期待にこたえることができぬのじゃないだろうか、実はこう考えるわけです。  そこで、いろいろの手法で容積率をアップしよう、そこに住宅を乗せよう、こういうお考えでございますけれども、私は、それも民間の力でやるんじゃなくて、公団、公共住宅をそこに乗せることができないだろうか、積極的に皆さんの姿勢を示していくべきではないだろうか、実はこう感ずるわけであります。  どうしても民間になりますと、融資の条件もありましょうし、あるいは成り行き任せになりましょうし、それではせっかく大改正をしても意味がだんだん薄くなるんじゃなかろうか、こう考えるものです。午前の参考人先生方からもそういう指摘があったところであります。ぜひこの上乗せになる部分について、公共、公社、公団の住宅を積極的に取り込んでいくような姿勢をひとつ見せていただきたい、こう思っております。
  141. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生仰せのとおり、今回の大都市対策で最終的には一般の勤労者の住宅をどうやって確保するかということが一番の核でございます。したがいまして、私どもは、住宅供給する基盤となります土地が今回の体系の中で大量供給をされ、そこに優良住宅プロジェクトがいっぱい育つということをもくろんでおるわけでございます。その中で、例えば工場跡地でありますとか国公有地でありますとか市街化区域内農地でありますとか木造住宅の密集地であるとか、いろいろなケースがあろうかと思いますけれども、できるだけ公共的な機関、公団、公社が積極的にプロジェクトをそこでつくっていくというのがまず一番大事であろうと思っております。  それからその次に大事なことは、最近の地主さんの動向もそうなんでございますけれども、地主さんが自分で今回の大都市法あるいは都市計画法建築基準法改正のいろいろな手法を活用しまして、その範囲内で自分で賃貸住宅を経営されるというのを大きな柱の一つとして考えておるわけでございます。一番期待いたしておりますのは市街化区域内農地になろうかと思いますが。その際に、公的な主体がそういうプロジェクトをアレンジする、イニシアチブをとってリードするということもこれから場面がふえてくるだろうと思います。  それで、その際に、貸し家経営については専門家である公団、公社に借り上げてもらってもいいよというケースもありましょうし、さらには土地をお貸ししましょうというケースもありましょうし、そういう形で公共的なイニシアチブをとりながら、本来は民間供給だけれども結果的に公的なコントロールの範囲内に入ってくるという住宅の分野をできるだけふやしていきたいな、こういうふうに考えておるわけでございます。  そうは申しましても、そのシェアが供給します住宅全体の五割になる六割になるというのはなかなか大変だろうと思います。したがいまして、その場合にはやはり全体の住宅の大量供給の中で価格の安定というのが非常に大事でございますので、そういう中で公共的な部分が核となって、サラリーマンの手が届く住宅、入居できる住宅というものができるだけ大量に供給されるという姿に最終持っていきたいと考えているところでございます。
  142. 木間章

    ○木間委員 価格の安定あるいは家賃の低廉なものといいましょうか、大変心配になるわけでありまして、土地所有者が建築をされる場合にもそういったものが極めて大事でございます。せっかくできたけれども億ションではどうにもならぬわけでありまして、やはり安いもので質のいいものでないといけない、こう考えるわけであります。  そこで、仮に民間がおやりになる場合でも、その販売価格なりあるいは家賃価格について公的介入をぜひ求めたいと思うのですけれども、このようなことに対しての御決意を、あるいはその手法、内容などについて既にお考えがあればお知らせいただきたいと思うのです。
  143. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど申しましたような全体の供給の体系の中で、私ども、民間が建てて経営をする賃貸住宅についてコントロールをできる手法としては、融資の条件でありますとか補助の条件で限度を決めてコントロールするという手法を今現在持っております。したがいまして、例えば今回のようにその中からさらに公共的な主体がその民間のものを借り上げる、これは東京都の懇談会なんかでも提言されておりますが、そういった方式、あるいは土地自体を借り上げていく方式、それから公共主体が借り上げてさらに公共主体に対して家賃補助をする方式等々、現行手法、芽は相当いろいろなものがあるわけでございます。  こういうものをさらに拡大いたしまして、できるだけコントロールの範囲を広げて、先ほど五割、六割になるのは大変だと申しましたが、そういった形でそのウエートを増していきたい、かように考えているところでございます。
  144. 木間章

    ○木間委員 私は、この土地問題、住宅問題を考えるときに、総理の御発言じゃございませんけれども、やはりもうかるんだという土地神話を崩していかなければならぬ、こう思っております。東京地価はもう上がらないぞ、下がりつつあるぞ、こういう認識を国民の皆さんに持っていただくことが極めて大事であろう、そういった世論形成ができればこの現下の状況の中で土地住宅政策方々歳であろう、こう私は考えるのであります。  したがいまして、かねてから我が党は住宅保障法の提議をしてきたわけでありますが、今こそそのために住宅保障法あるいは住宅基本法を設けるべきときが来たのではなかろうか、私はこう考えるわけであります。この基本的な考え方について建設省の今のお考えをお示しいただきたいと思います。
  145. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 過去、住宅基本法の議論というのが幾つかございまして、社会党を初め公明党などで関係の法案が提案された、いろいろ議論になったということは承知をいたしております。  ただ、いろいろ中身を見せていただきますと、住宅政策の目標、それから今保障という言葉が出ましたが、そういった国の責務をどう考えるか、住居費負担のあり方、それからその目標とする居住水準等々、各党間でまだまだ非常に格差がございます。私ども、こういうものが格差がなくなって、皆さん意見が一致して、やろうではないか、こういう考えでいいではないかというふうにコンセンサスが形成されることが非常に重要だと思っております。  専任宅はやはり国民生活の一番大事な基盤でございますので、殊さらに各党間のこういったコンセンサスの形成というのは重要だと思います。その格差が余りにもありますとこれはなかなか難しいので、ぜひともこういった格差がなくなる方向で議論が進んでいただきたい、かように存ずるわけでございます。  建設省自体も、昭和五十六年当時、内部的には基本法の検討に入って一応政府の立案をしたこともあるわけでございますので、そういうことで、いろいろと各方面で論議が深まることを期待しておるところでございます。
  146. 木間章

    ○木間委員 この法律が施行されますと、地方自治体にも少なからず影響が及ぼされるわけであります。地方自治体も、この間、財政運営に大きな努力をされてきたところでありまして、ぜひ地方自治体への財政上のしわ寄せがネックにならないように十分な手当てをしていってもらいたい、この機会に要請をしておきたいと思います。  いま一つ気をつけなければならないのは、本法の改正案が早く成立するようにお考えになっておるデベロッパーもあるやに実は承るわけであります。せっかく環境も整ったすばらしい住宅をつくろう、こういう御努力をされておるところでありまして、そういった皆さんのしたいほうだいができないように、乱開発にならないように、そういう町づくりをしていかなければならぬわけでありまして、そういったことに対する御決意をひとつお願いをしたいと思います。
  147. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お説のとおり、これからの大都市圏での住宅宅地供給を的確に進める上で一番神経を張らなければいかぬのは、地価の高騰といいましょうか、投機的取引の横行等の問題でございます。  そういった観点から、今般御提案申し上げております法律案の中におきましても、国とか地方公共団体の責務といたしまして、言うなれば土地の投機的取引の抑制に対しまして関係者は努力しなければならぬというような条文を第三条の二項という格好で入れさせていただいております。言うまでもございませんけれども、こういった努力規定というものを具体的にどういうふうに努めていくかということに尽きようかと思います。  私ども、そういった中で国土利用計画法の適正な運用もぜひ努めさせていただきたいと思いますが、あわせまして税制上の措置、これも大事でございます。さらに、先ほども出ましたけれども、不動産業者等に対する適切な指導、こういうことも十分努めてまいりたいと思います。  とりわけ今般の法案の中にございますいわゆる重点地区考え方、こういったところが、即地的に明確に引くものではございませんけれども、おおよそのエリアとしてそういったものを浮き彫りにすることに今回の制度を考えさせていただいておりますが、そういった制度を入れているだけに私どもは一層の注意を払ってまいりたいと考えておるところでございます。
  148. 木間章

    ○木間委員 今後税制問題等についても制度が準備されていくわけでありますけれども、この間の議論を聞いておりましても、例えば遊休地あるいは低・未利用地、未利用地という御発言を随分と聞くわけであります。私たちそれぞれ頭の中で想像はするわけでありますけれども、これまた各人によって異なるわけでありまして、こういったものについてどういう定義をお考えなのか、物差しを持っておいでになるのか、この機会にお聞かせいただければ、こう思っております。
  149. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  遊休地の概念でございますが、まず遊休土地転換利用促進地区という制度を設けさせていただこうというふうに考えております。その地区定義は、相当期間にわたり低・未利用であること、周辺地域計画的な土地利用の増進を図る上で著しく支障となっていること、有効かつ適切な利用を促進することが都市機能の増進に寄与すること、おおむね五千平方メートル以上の規模であること、市街化区域内にあること、この五つのすべての要件に該当する土地の区域について定めるものでございます。  この場合、まず低利用ということが今お尋ねのことでございますが、この要件といたしましては、政令におきまして、何らかの用途には供されているが、その利用の程度が周辺地域の同一または類似の用途の土地の利用の程度と比較して、著しく劣っていると認められる場合を指すということで定める予定でございます。  この場合の比較の基準となる周辺地域の同一または類似の用途と申しますのは、周辺地域におきます都市計画の内容、一般的な土地利用の状況一般的な建築物等の整備状況等を総合的に判断して、都市計画上適正な土地利用であると認められる同一または類似の用途をいうものと考えています。  したがいまして、仮設、一時的な建築物の敷地、著しい低利用地、整備水準、管理の状況、使用の頻度等から見て通常の利用とは認められないもののほか、さらに通常の利用がなされている場合であったとしても、例えば、二、三具体的に申しますが、青空駐車場については、周辺地域における駐車場としての利用形態が立体駐車場によることが一般的であり、また、都市計画上も高い容積が指定され、高度利用が適正な土地利用と認められる地域においては、その場合でも低利用となる場合もあり得る。  資材置き場も問題になることが多いのでございますが、周辺における資材の保管方法が倉庫によることが一般的であり、都市計画上も流通業務系、工業系の土地利用が予定されており、倉庫による保管が適正な土地利用と認められる地域においては、この場合も低利用となる場合があるというふうに考えているところでございます。
  150. 木間章

    ○木間委員 都市局長のお話をメモすることもちょっとできなかったので、後ほど会議録をぜひ拝見させていただいて、また次の機会に議論もしたいと思っております。  最後に、本法成立後、皆さんの努力などなどもあって、特に首都圏でも住宅が建っていくだろう、このことに大きな期待をするものであります。  ただ、私もかねがね委員会で申し上げてきましたけれども、四全総の中の国土の均衡ある発展、そして一極集中を排しよう、こういう方針一つは頭から離れないわけです。東京住宅開発が進んでいきますと、居住条件がよくなっていくでありましょう。そうなりますと、また集中に拍車がかかるのではなかろうか、このように大変気になるところでございます。この間、国土庁も中心になられまして役所の官庁関係の移転も努力をされてきたところでありますが、私の目に映るのは、本当にやる気があってやってこられたのだろうか、こう思えて仕方がありません。どことどことは申し上げませんけれども、声は大きかったけれども出てきたのは何だったのか、私どもは本当に疑問に思うわけであります。  少なくとも、今後官庁をおつくりになる場合でも、せめて民間の皆さんに範を示すという意味で絶対に東京につくらない、そういうことをひとつこの機会に決意をお示しいただけませんか。
  151. 三木克彦

    ○三木政府委員 御指摘のように、東京一極集中を是正し、多極分散型国土の形成を図るために、業務機能等の諸機能を分散させるという施策を講じていくことが必要でございます。  その一環といたしまして、国の行政機関等の東京都区部からの移転の問題がございます。昨年八月に、七十九機関十一部隊の移転先を決定いたしました。五年以内に具体的な移転を行うというふうな形で推進をしようとしているところでございます。  また、ただいまお話しの今後新設が行われます国の行政機関等につきましては、多極分散型国土形成促進法に基づきまして、その形成に配意をしなければならないということで法律上定められておりますし、第四次全国総合開発計画におきましても、今後新たに設置する全国的な文化研究施設については、原則として東京外への立地を図るということとされているところでございます。この趣旨にのっとりまして、分散法や四全総の趣旨が生かされますように、引き続き努力をしていくべきものと考えております。
  152. 木間章

    ○木間委員 今まで議論をしてきましたけれども、建設省も国土庁もその時期、時期に力いっぱいやってきた、私はこう思っております。しかし、皆さんの考えておいでになるような、あるいは国民の期待に沿うような状況下でないわけでありますから、この機会にお互いにもっと前向きに土地住宅問題を掲げていかなければならぬわけです。そして、そのこともまた建設省のエリアだけで、国土庁のエリアだけでの御判断では、この異常な高騰問題についてはメスを入れることはできません。  ですから、皆さん方のエリアからあるいは離れておるかもしれませんけれども、金融政策についても、あるいは国土利用計画法の十条から十三条の扱いについても、もっと大胆に積極的にぜひ知恵を出し合って、この間国民の期待にこたえていかなければならぬ、こう思っております。また、私たち議員もそういう思いで一大反省の時期、こう受けとめておりますので、今後とも土地政策、住宅政策が円滑に進みますように心から期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  153. 桜井新

    ○桜井委員長代理 長田武士君。
  154. 長田武士

    ○長田委員 今回提案の二法案、すなわち大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部改正案と都市計画法及び建築基準法の一部改正案について質問をしてまいりたいと考えております。  最初に、法案の質疑に関連をいたしまして何点か大臣にお尋ねをいたします。  きょうの報道によりますと、建設省はきのう、住宅金融公庫の貸し付け基準金利を〇・二%引き上げ、現行の年五・三%から年五・五%に改定することを決めたという報道がなされております。  大都市中心といたしまして住宅の価格が非常に高騰いたしております。そういう意味では、一般のサラリーマンはもう手が届かないというのが住宅購入に対する考え方であります。そういう中にありまして、私たち今この法案審議している中では、いろいろな点を改善してサラリーマンにも住宅が十分供されるような政策をしようというのが基本的な考え方であろうと考えております。  住宅金融公庫法のその目的でありますところの第一条にも次のようにうたわれておるわけであります。「住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」  一般の市中銀行では金利が高くてどうも採算が合わないというような状況下にあって、金融公庫というのは低利で一般に供するのだというのがその目的であります。  そういう状況下にありまして、御案内のとおり建設大臣、長期プライムレートなんか五月の末ですか、〇・三%引き上げております。七・一二五です。私は元銀行員ですから。そういう状況下にありまして、実勢金利が下がっておる。その中にあって、いわゆるこれは前回の金利が上がった分ですよといいましても、金利を上げるということは、何となく住宅政策におきまして逆行するような建設省の物の考え方である。これはどうも八月から実施する、ことしの第二期分の募集から実施をするというような考え方でありますけれども、将来においては現在実勢が下がっておりますから下げます、こういう考え方であるようでありますけれども、今までの金利の状況を見てまいりますと、平成こ年の三月十九日、四・九五に引き上げました。平成二年の四月一日に五・三%にいたしました。そして八月から五・五%、一年に三回も引き上げるという異常さ。  こういう点を考えますと、私は、一般民間の金融機関では借りられない、そういうところで金融公庫があるのだといいましても、国民は納得できないと思います。この点、思いとどまって現状の金利にする考え方はありませんか。
  155. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 事務的なお話ですので申し上げたいと思いますが、公庫法の目的をお読みいただきましたが、そういう目的のために公庫法では五・五%を基準金利の上限にいたしております。したがいまして、金融情勢がどういうふうに変わって長プラがどう変わろうとも、財投金利がどんなに高くならうとも、五・五%よりは上がらない、こういう政策金利体系をとっておるのが金融公庫法でございます。  そして、財投金利が六・五%から下がった場合には、そうは言っても五・五との間で利子補給の幅がだんだんと狭まりますから、その際には五・五%を下回った基準金利にしましょう、こういう運用をやっているわけでございます。  たまたま今回財投が六・七ということで、この六・五%を上回った財投金利になりましたので、この連動で上限にひっかかることに相なりまして、五・五%ということにいたさなければならないことになったわけでございます。したがいまして、今後は、どんなに上がっても五・五%はそのまま堅持されるものでございます。それから、六・五%から財投が下がりますれば、その幅に応じて当然に五・五%の基準金利は下げられるというルールになっております。  したがって、私どもはこういうルールに従って事務的にやってまいりたいと考えているところでございます。
  156. 長田武士

    ○長田委員 将来の含みといたしまして、プライムレートが下がっておりますから財投の金利も下がるのは当然なんです。そういうことも踏んまえて、私は、ここで〇・二%上げる必要はないのじゃないかと言っているのです。大臣、どうでしょうか。私の意見は正しいのじゃないですか。
  157. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 これはこの前の段階からちょっといきさつがございまして、実は先ほどの四・九五に上げる際に、本来ですと五・三近くまで上げなければならないところを、ちょうど第四回目の募集時期でございましたので、この際上げないで一ランク踏もうということで、四・九五を五・三として上げてきたわけでございます。  今後の財投金利の動向でございますが、これもいろいろな見方がございまして、長プラは現在下がっておりますけれども、その後どうなるかということも非常に不分明でございます。したがいまして、一応現時点でこの五・三まで上げましたものを現在の財投金利にすり合わせておこう、こういうことに相なっておるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、将来長プラが下がったり国債の市場価格が上がったりいたしますれば当然ながらこの公庫の財投の金利も下がってまいりますので、その際には下げるということでございます。
  158. 長田武士

    ○長田委員 私は、住宅金融公庫の貸付金利というのは、やはりサラリーマンにとっては金利負担という点では非常に軽減されておりまして利子補給しておるわけですから、そういう点ではサラリーマンの最後のとりでだというふうに考えております。そういうとりでをこのつい半年ぐらいの間に三回も金利を上げなくちゃならない、この異常さについて私はどうも納得できない。  そして含みとしては、またプライムレートも下がっておるから引き下げますよというような含みがある。それだったらば、事務手続もこれは大変なことなんですよね。〇・二%上げるといったって、事務手続というのはこれは大変です。そういうむだな経費を削減するために、私は現状で何とか我慢しておくべきだというふうに考えておるのです。  建設大臣、やはりそういう点は、国民の要望にこたえるという思い切った政策というのは必要じゃないでしょうか、どうでしょうか。
  159. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 住宅金融公庫昭和二十五年に設立されたわけでございますが、今日まで一千百万戸の住宅に対して融資を続けてまいっております。非常に国民住宅政策に大きく寄与してきたところでございますが、今住宅局長から申し上げましたように、上限金利ということで法律で決められておりまして、今金利のシステムについて申し上げたわけでございますが、その辺には多少弾力的な、時の金利の情勢に応じてやっていくということでございまして、今回財投金利が上がったということから最上限の五・五%になったということでございまして、これはまた場合によっては下がる場合もあるわけでございますが、その辺の金利システムということから来ておるというふうに私は理解いたしております。
  160. 長田武士

    ○長田委員 それでは本題に戻りたいと考えております。  土地住宅問題、私たち国会議員といたしまして、この問題については重要課題として常に論議をいたしておるところでございます。そういう状況にありまして、特に大都市における地価の高騰、もう非常にこれは異常でございまして、サラリーマンが住宅を購入しよう、あるいは一戸建てはもう夢の夢ですし、マンションを購入しようといたしましても、これは簡単なものじゃありません。  民間の調査機関であります日本不動産研究所が市街地地価指数を明らかにしておるわけでありますけれども、全国平均の地価は、昨年九月に比べまして、商業地九・二%、住宅地七・七%、工業地七・九%」全用途平均では八・三%も上昇しておる、このように調査機関は発表いたしております。  地価は、昭和六十二年九月に急上昇してから鎮静化したわけでありますけれども、また昨年九月時の調査から上昇を示してきておりまして、今回の調査はさらにその傾向が強まっていることを示しておるわけであります。六大都市の上昇率は、商業地一三・三%、住宅地一七・一%、工業地一三・〇%、そして全用途平均一四・五%と非常に高い上昇率を示しております。  こうした異常な地価の高騰に対しまして、その原因と処方せんについてさまざまに論議が重ねられておるわけでありますけれども、私は、この土地問題を解決する上で首都圏への一極集中の是正が大きな課題であろう、このように考えております。  四全総では多極分散が掲げられておりまして、政府は一極集中を何とか是正をしようと一省一機関の地方移転を進めておるわけでありますけれども、その移転候補地は神奈川、埼玉、そして千葉県、一番埼玉が多いのですね。そういう状況で首都圏にとどまっておりまして、いわば首都圏の一極集中の是正には何ら役立っていないというのが現状であります。  そこで私は、一万以上と言われております国の許認可権限、こういうものを大幅に地方に移譲すべきである、どうしてもそれを移さない限り一極集中というのはどうも避けられないんじゃないかというふうに考えております。その上で土地住宅、首都圏機能の移転がばらばらではなくて、この三つが同時に決行できるといいますか実行できる、そうでなければ効果が上がらない、このように私の持論としては持っておるわけであります。  そういう状況でございますので、この地価の高騰の原因と処方せんにつきまして、大臣のお考えを簡単でいいですからお示しをいただければと思います。
  161. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 この地価の高騰は、今御指摘のように、昭和六十一年、二年ごろに東京中心にして起こったわけでございますが、このときは、言われておりますように情報化、国際化ということが進みましてオフィスビルの需要がふえたことに端を発しまして地価高騰が起こったわけであります。それに加えまして、今度は金余り現象からこれを投機の対象にして土地あさりがあったこともこれは事実でございます。  そういうこと等々によりまして地価が高騰したわけでございますが、監視区域制度実施とかあるいは短期譲渡に対する重課税を行うとかいうことで一応鎮静化したわけでありますが、今度はそれが東京以外のところに飛び火をいたしております。しかし、例えば熊本のように、監視区域ができましたときに熊本では、知事が一番先に市街地の一番中心に監視区域をかけるとか、地方の行政におきましては先手を打っておるところもございます。そういうこと等々も加えまして、今、地価の高騰の原因はそこにあったと思っております。  しかしこれは、規制のみならず需要と供給の問題もございますので、この供給面について、地価鎮静化あるいは住宅宅地供給に資していこうということで今回この法律を出させていただいておるわけでございまして、今御指摘の地価高騰の原因というものについては、そのように分析をさせていただいておるところであります。
  162. 長田武士

    ○長田委員 また、東京の深刻な住宅事情の原因について、よく東京にはもう土地がないんだ、そのように言われておりますけれども、私はその点についてはどうも納得しかねております。  建設省の「首都圏宅地利用動向調査」によりますと、都心から十キロから二十キロメートル圏内の土地の利用状況を調べてみますと、農地は一〇・二%、空き地が八・六%、工業用地が六・一%、そういう状況であります。さらに二十キロから三十キロ圏では、農地は二五・五%、空き地が八・六%、そういう状況であります。都心から二十キロから三十キロといえば、都心への通勤時間は大体一時間ぐらいであります。例えば千葉県では船橋とか習志野、柏、埼玉県では越谷、浦和、大宮、朝霞、志木が大体一時間圏内、東京都下では小平とか国分寺、東久留米等が大体一時間以内の通勤時間、このように言われております。     〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕  一方、経企庁の「民間活力に関する研究会中間報告書」では、東京湾沿いの工業用地約一万ヘクタールのうち半分程度は十分に利用されていないとも言われております。この十分に利用されていない工業用地の面積は、都心三区、港、中央、千代田、この三区の合計面積の四千二百ヘクタールを上回ると言われておるわけであります。  また、政府関係機関の地方分散計画の具体化等に伴いまして、東京都内には新たに跡地利用のできる国有地も相当生まれてくるだろう、私はこのように期待をいたしております。  これらの土地に集合住宅中心住宅を建設いたしますと、東京住宅問題というのは一気に解決できるのではないかと考えております。世界都市東京住宅問題を解決するには、総合的な手だてを講ずれば決して不可能ではない、私はこのように考えております。  海部総理も六月三日、北九州市での記者会見では、特に土地政策に全力を挙げ、解決に向け一歩でも二歩でも具体的な前進をしていきたい、このように強い決意を述べられております。住宅行政の主務所管大臣であります建設大臣が強力なリーダーシップを発揮して進めれば可能であると私は考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
  163. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 今御指摘のございましたように、宅地住宅供給ということで、今の住宅問題あるいは土地問題のニーズにこたえていきたいということで、今回、今御審議いただいております法律を出しておるわけでございまして、この法律を成立させていただき、さらに、申し上げておりますように土地税制というものがこれにさらに相乗効果を発揮いたしますならば、今の御指摘のような方向に大きく近づいていくものだと信じております。
  164. 長田武士

    ○長田委員 日米構造協議の場でも、特にアメリカ側からは日本の高い地価そのものよりも、それをもたらしている土地政策の誤りと、その結果としての土地利用の異常さを大きく問題にしております。  そして、地価規制によって引き下げるのではなくて、土地供給と有効利用の促進によって、結果として地価を安定させるべきである。このように日米構造協議では述べられているわけであります、アメリカの提案といたしまして。その上で、外国からの新規参入者や国内の一般サラリーマンの利益を実現しようとしているわけでございます、アメリカの提案といたしまして。  今回の改正案は、こうした米国の対日改革の提案に沿ったものであろうと考えておりますけれども、まず米国側の対日要求をどのように受けとめていらっしゃるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  165. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私は、いつも基本的に日本というのは狭いところに人間がたくさんいて、しかも高密度に大変国土というものを密度高く利用しておるということは宿命的な問題でございまして、例えば日本はアメリカの二十五分の一でございますが、アメリカと同じ人口分布にいたしますと日本列島の中に八百万人おればいいということになるわけであります。それからさらに山が六八%ありますから、可住面積だけ比べますと日本の国は三百五十万人ということになる。オーストラリアに比べますと日本には七十万人おればいいということになるわけでありまして、そういう点で、外国から見ますと日本は非常に異常に見えると思います。  日本の国の中というものは、そういう一つの大きな宿命によって国土と人口のバランスというものがこういうふうになっておるんだと思いますが、これをできるだけ地価を安定させて、お互いに国土を平等に利用して社会公共の福祉、それぞれの福祉を求めていかなければならないわけでありまして、これは日本の国自身が考えるべき問題だと思います。  しかしアメリカとしても、よく日本地価高騰というものに大きく注目しておられるということでございますが、アメリカから指摘されるまでもなく、日本の国全体として、今申し上げましたように国土というものが公共の福祉のためにも大いにもっと枠を広げるべきであるというのが昨年の土地基本法にも示されておるとおりでございまして、その方向に向かって今前進しようということで、この法律も出させていただいているわけでございます。
  166. 長田武士

    ○長田委員 国土庁、来ていますか。国土庁にお尋ねいたします。  長官は所信表明の中で総合的な土地対策の必要性を述べられました。また強力にその政策の推進の決意を述べられております。ただいま取り上げました日米構造問題協議でも米国側から特に土地問題については一項目取り上げられているほど重要課題であろうと私は考えております。  こうした中で、さきの臨時国会では、今大臣がおっしゃっておりました土地基本法が成立をいたしました。その基本理念のもとに具体的な施策が進められなければならないわけでありますけれども、平成二年度の税制改革大綱では何ら即効性のある政策というものは見当たりません。少なくとも住宅事情の厳しい三大都市圏については、大企業保有の遊休土地宅地化や、土地増価税の創設で大企業保有地の含み益の社会還元など早急に効果的な施策を講ずるべきであると私たちは主張いたしております。  この点について、効果的土地政策は全然見当たりませんけれども、今後どのようにされるつもりなんでしょうか。
  167. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 昨年末の土地基本法の制定を踏まえまして、さらに需給両面にわたる総合的な土地対策を進めなければならないわけです。ただ、具体的な措置としまして、政府でさきに閣議決定しております総合土地対策要綱、また昨年末土地関係閣僚会議で申し合わせました「今後の土地対策の重点実施方針」、これに基づきましていろいろな施策を展開しております。  日米構造協議におきます中間報告におきましても、この閣僚会議申し合わせ事項十項目が中心になって内容が定められておるというふうに理解しております。その中には、大都市地域における住宅宅地供給促進、あるいは土地税制の総合的な見直し、国公有地の利活用の促進、そういったことが重点的な事項として盛られておるわけでございます。建設省から御提出になっております二法案もその一環として位置づけられるものとして、私どももこの法案の成立に期待をかけておるところでございます。  なお、さらに、基本法を踏まえて、総合的、基本的な土地政策のあり方につきましては、まだまだ踏み込んだ抜本的な課題が残されているんじゃないかということで、基本法に基づいて設置が定められております土地政策審議会も先日第一回の会合を開いたわけであります。  この中で総理大臣から土地基本法を踏まえた今後の土地政策のあり方について諮問されまして、早速企画部会が設けられまして、非常に大きな幅広い重要な課題でございますので、この企画部会で具体的な審議事項を詰めまして、できるだけ早く個々のテーマについて検討するということになっております。  土地利用計画の充実、あるいは計画実現するための規制事業手法、さらには土地の負担に関する問題、税制措置もありますし受益者負担的な問題もあろうかと思います。さらには公的評価の問題、土地情報の問題、まだ課題はいろいろ残されておると思いますので、審議会で早急にこの辺を詰めていただきまして具体の施策に結びつけていきたいというふうに考えております。
  168. 長田武士

    ○長田委員 そういう意味で、どうかひとつ具体的な施策を早く実現をしていただきたい、このように考えております。  今回、大都市法改正案の中で次のように述べられておるわけであります。  「第四 供給基本方針」「建設大臣は、首都圏、近畿圏及び中部圏の各圏域ごとに、当該圏域における住宅の需要及び供給の現況及び将来の見通しを勘案して、大都市地域における住宅及び住宅地供給に関する基本方針を定めるものとすること。」その基本方針のもとに今度は、「国及び関係地方公共団体は、供給基本方針及び供給計画の達成のため、住宅又は住宅地供給に関する事業実施、相当規模の住宅又は住宅地供給事業を行う者に対する援助等を行うよう努めなければならないものとすること。」このようにうたわれておるわけであります。  そこで、お尋ねいたしたいのでありますけれども、首都圏を初め大都市地域では、この異常な地価高騰によってマイホームを持つことは現実的に絶望的であります。加えて、地価高騰に伴う家賃の上昇は、都市で生活をする人々の家計を著しく圧迫をいたしておる状況でございます。こうした深刻な土地住宅問題を抱えております中で、大臣はいかなる基本方針を作成し、どの程度の住宅住宅地供給を目標とされていらっしゃるのか、この点はいかがでしょうか。
  169. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 大都市法におきます供給基本方針では、当然ながら一般勤労者に対して重点を置きながら良質な良好な環境住宅供給する、あるいは都道府県と国との協力関係をしっかりやっていくというようないろいろなことが書かれると思いますが、今お尋ねの住宅宅地供給量も、目標量を掲げるわけでございますので、一つの大きなポイントでございます。  ただ、目標量につきましては、当然のことながら法律に定められている手続を経ますので、関係行政機関の協議等が必要でございます。その後建設大臣が正式に決定をする、こういうことでございます。したがいまして、今の時点で建設省が内部的にどのくらい供給可能であるかというようなことではじいてみたものがございます。それが今後十年間で、東京圏では建てかえを含めまして四百三十万戸、近畿圏では百九十万戸、中部圏では九十万戸の住宅供給が可能ではないかという試算でございます。  さらに、住宅地につきましては、同様に今後十年間に新たに、東京圏で二万九千ヘクタール、近畿圏で一万三千ヘクタール、中部圏で九千ヘクタールの供給が可能である、こういうふうに見込んでおるところでございます。
  170. 長田武士

    ○長田委員 今、首都圏では四百三十万戸、近畿圏では百九十万戸、中部圏では九十万戸、これは十年間で達成をしたい、こういう計画のようであります。こういう数字は前に当委員会で伊藤住宅局長が発表されたようであります。建設省が初めて十年間の長期にわたる住宅供給戸数を示したことは非常に画期的であろうと私は大変高く評価をいたします。この勇気ある発言にはどういう背景があるのか、ちょっと教えていただきたい。
  171. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 私ども、今回の大都市対策というのは、やはり一般勤労者が住宅を買えない、あるいは適正な水準の賃貸住宅がなくてなかなか入れない、こういう現実を非常に重く見まして、それと同時に、住宅政策から考えますと国民全体の居住水準というのは着実に向上しておりますけれども、その中で大都市地域、とりわけ東京圏の居住水準というものが跛行的におくれておるという現実がございます。したがいまして、先ほど来いろいろ御議論ございましたように、一極集中を排除し、多極的な分散型の国土形成をしながらその中で大都市圏の居住水準をどうするかというのは、やはり任宅対策としてはとっていかなければならないということでございます。  そういう中で私どもは、まず大都市圏におきます住宅価格、家賃の安定ということが非常に重要だろう、その中で経済が成長しますし、収入もふえますから、次第に所得とのバランスも回復する、まずは中長期にわたって安定することが大事である、そのためにはどうしたらいいかということで、供給対策としては大量供給以外に手はないわけでございます。  そこで、先生冒頭にいろいろ御指摘ございましたように、それでは東京土地があるか、名古屋に土地があるか、近畿圏に土地があるかということで、建設省各局を挙げまして土地を探したわけでございます。その結果、低・未利用地、国公有地とか工場跡地でございますとか市街化区域内農地、それから新市街地、ニュータウンでございますが、そういったところを調べ上げまして、そしてその中から現時点での事業の執行能力を今回の大都市法その他の法律、予算、諸制度の充実によりましてアップできるだろうということで事業のスピードアップを考える。  ですから、土地もあり、事業も行う、こういうことではじきますと、今申しましたように十年間で新規宅地供給分としまして二百三十万戸、それから既存の住宅がございますが、これが民間で自発的に、あるいは公共団地なんかでも建てかえをやっておりますように建てかえがあるわけでございますが、その建てかえ分が約二百万戸ぐらいある、こういうことでございまして、先ほど言いましたような未利用地とか市街化区域内農地でありますとか、新市街地は主として新規の宅地供給の中で二百三十万戸、両方で四百三十万戸供給が可能である。  そうしますと、首都圏につきましては、将来の世帯の増加であるとか建てかえとかといった需要面から押さえまして、十年ベースに直しますと三百八十万戸になるわけですが、三百八十万戸の需要があるからこれに見合う住宅建設が必要だ、こういうふうに四全総はなっておるわけでございますけれども、これを上回る土地があるではないか、したがいまして、これに目がけて大量供給をすれば価格安定に相当資するのではないか、こういう発想でございます。元気の出どころはそういうところでございます。
  172. 長田武士

    ○長田委員 今お話がありましたとおり、これは四全総を受けてさらにそれを上乗せしたということのようであります。  それでは、さらに細かく伺いたいのでありますが、例えば首都圏について四百三十万戸という供給数はかなりハイペースなんですね。建設省はこの建設計画には相当自信があるようですけれども、それでは具体的に、首都圏の各都府県別にどのくらい考えておるか、この点はどうでしょうか。
  173. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今先生が言われましたそのハイペースというのはどういうことを根拠に言われたのかちょっとわかりませんが、今現在の単年度におきます一都三県の住宅建設量というのは五十五万戸でございます。ここ三年これが続いておるわけでございます。したがいまして、それは若干多目としましても、年間四十万戸というのは基本的なべースだと思っております。したがって、四全総は非常に妥当な数字でございますし、私どももそれを若干上回る程度でございますので、そんなに大きな数字ではないと思っております。  それで、今都府県別の戸数はどうかというお話でございますが、先ほどお話ししましたように、今後都府県と話し合いをして具体的に決めていくわけでございまして、今の段階で四百三十万戸の内訳はございません。ただ、念のために申し上げますと、第五期の現行の五カ年計画、平成二年度で終わりでございますが、この五カ年間にどのくらいの住宅建設を目標にしておったかと申しますと、一都四県で二百一万戸でございますから、年ベースにして四十万戸ということでございます。したがいまして、現状の住宅建設のスピードは、ここ三年間この四十万戸を大きく上回っている供給量になっているところでございます。
  174. 長田武士

    ○長田委員 今回の改正案では、特に都市計画や建築基準などによる土地利用規制緩和するための手法が幾つか盛り込まれております。  すなわち、都市計画法及び建築基準法改正案の中で、第一種住居専用地域内の農地を活用した中高層住宅供給促進のための住宅地高度利用地区計画でございます。また、住居地域、商業地域などで住宅供給促進するために、用途別容積型地区計画に加えまして、低・未利用地の有効利用を図るために、遊休土地転換利用促進地区を創設いたしておるわけです。  このような制度の創設が今国会に提案をされておるわけでありますけれども、私はむしろ遅きに失したという感じを否めません。もっと早く効果的な住宅土地政策が進められなければならなかったのではないかというふうに考えております。  昭和五十九年に東京の都心商業地に端を発しました土地の高騰は、昭和六十一年九月にピークを迎えました。今や全国の大都市地域にまでこの高騰というのは及んでおるわけであります。東京住宅事情は、御承知のとおり公的住宅供給が思うように進みません。加えて、東京都の全住宅地の四割を占めております民間賃貸住宅に住む人たちは、地価上昇によりまして家賃の高騰あるいは建てかえ後の高家賃という切実な問題に直面し、生計が大変圧迫をされておる状況であります。こうした中で、この制度に期待する声は大きいものがあると思います。本気で取り組まない限り画餅に終わってしまう、そういうことを私は危惧をいたしております。  例えば、今都心では、地価が高いから、その地価にふさわしい土地利用へ転換することを大義名分といたしまして大規模な地上げが行われておる現状でございます。住民は高い地価ゆえに転居を強いられております。地価に追われて住民は次々と転居して都心から追われております。たとえそこに再開発をいたしましてマンションを建てたといたしましても、高い地価のために家賃も分譲価格も高額になってきておりまして、とても普通のサラリーマンでは手が出ない、入居ができないという状況でございます。専ら採算性の高いオフィスピルやヮンルームマンション等々にどうしても建築が走る。そのために、私たちが一番望んでおりますサラリーマンの住宅に供しない、そういう側面を抱えておる、このように考えております。  こうした高い地価ゆえに人の住めないという実にゆがんだ都市が形成されているわけでありますが、今回提出の改正案によりまして、こうした問題に対しまして、普通のサラリーマンが住める住宅供給が本当に可能であるかどうか、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  175. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 一般勤労者が住める住宅ということでは、先ほど申しましたように六十キロ圏全体を通じての対策になろうかと存じます。  それで、今のお話は、都心地域でどんどんと住宅が減少している、そういうところに今回の制度用途別容積型地区計画というのは、非常に考え方はいいけれども、本当にそういう住宅供給されるのだろうか、こういう御質問かと存じます。  御指摘のとおり、今回の地区計画でございますが、都心部等の住宅減少地域におきまして、環境を保ちながら住宅容積率の割り増しを行うことによりまして、住宅立地が業務開発と一緒に残っていくということを図ろうとするものでございます。したがいまして、大都市地域全体を通じての大量供給の一環としてこの住宅供給が働くことは当然かと思いますが、それでは個々の住宅が果たしてどのくらいの価格になるかということでございます。  ただ、これは立地次第であろうかと思います。都心の三区のこういう場所でと言われても、それはなかなか手の届くものにはならないだろうと思います。したがいまして、どういう地域にこの地区計画をお願いするかということが一点あろうかと思います。  それからもう一点は、いずれにしましても、住宅は、価格、家賃を決定をするあるいは下げるという手法は、公共的な賃貸住宅にする、公的な融資をするあるいは補助金を出す、そういうことで価格コントロールをするという仕組みになっております。したがいまして、今言いましたようないろいろな事業手法の活用ということで、できるだけこれらで供給されます住宅に低利融資をしたり補助金を出したりしながら家賃コントロールをしよう、こういうふうに考えておりますし、それから、プロジェクト自体に公共サイドからアプローチをして公共的な主体参加をするということができれば、公共住宅もそこでは可能だろうと思います。  いずれにしましても、土地柄とそういった住宅事業の手法がこれに絡んで初めて実現されるものと考えております。
  176. 長田武士

    ○長田委員 申し上げるまでもなく、東京、大阪などの大都市地域中心といたしました住宅家賃の高騰も大変深刻であります。  私の調べたところによりますと、本来都市サラリーマンのための公共住宅であります公団住宅家賃も異常に高くなっておる状況でございます。例えば東京都港区の団地コラム南青山、そこでは家賃が月額二十八万三千四十四円、広さは専用床面積は六十六・九四平米、また東京都千代田区の団地リバーシティ21ーストタヮーズでは家賃が月額二十六万八百九十九円、専用床面積は百四・九八平米、こういう異常な家賃でございます。  建設大臣、このような異常な高い家賃の公団の住宅へ一体だれが入居できるのでしょうか。サラリーマンはとても入居できませんけれども、我々国会議員だって入居できません。だれが入居するのですか。
  177. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 それは所得の高い人しか入居できません。  それで、今先生言われましたコラム南青山とかリバーシティ21とかいうそういう高い住宅は大体十五戸ございます。しかし、実際には新規供給は、例えば首都圏では賃貸住宅の場合には年間二千戸程度だと思います。そのぐらい新規供給がございますが、その平均が十万六千円でございます。失礼しました、公団賃貸住宅の場合には首都圏の一都三県のベースが十万六千円でございますが、これは二千戸ぐらいでございます。  さらに、空き家家賃でございますけれども、空き家募集というのがございますが、これが年間どのぐらいあるかと言いますと、首都圏で二万五千あるわけでございます。先ほど先生が指摘された高い家賃は十五戸でございます。それから二千戸と二万五千、この二万五千の方の空き家家賃の方は約四万円でございます。そういう家賃住宅が年間に供給されていることをよく御理解賜りたいと存じます。
  178. 長田武士

    ○長田委員 私が申し上げたのは、やはり公団というのは公共性の高いものですし、公共の福祉に供するということが一つの目的ですから、例えば高いところを挙げたわけです。  加えて、低所得者のための公共住宅であります公営住宅についても相当高い家賃になっていますね。例えば都営住宅で私の地元にあります光が丘団地、これは家賃は五万二千七百円です。さらに、公営住宅と同様に国庫補助を受けて建てる地域特別賃貸住宅というのがあります。これは多摩ニュータウンでありますけれども、七十平米のものが十万九千五百円という家賃であります。このような低所得者のための公共住宅である公営住宅地域特別賃貸住宅の高い家賃については、これでよいのかと私も本当に疑問を持つわけであります。この点についてはどうなんでしょうか。
  179. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今の御答弁に入る前にちょっと訂正しますと、新規供給二千戸と申し上げましたが、首都圏で元年度四千六百戸でございました。  それから公営住宅でございますが、六十三年度の東京都の公営住宅の当初家賃の平均は四万九千円でございます。東京都の場合には、ほかの公共団体でも同じでございますが、公営住宅は低所得層に対する政策家賃をとっておりまして、施策対象層の収入月額のおおむね一六%ということで頭打ちにしております。その際に、立地補正といいましょうか、規模補正といいましょうか、若干規模の大きいもの、質の高いもの、立地のいいものにつきましては一六%より若干高くなりますけれども、そういうことで政策家賃をとっておりまして、負担上は問題がないと思います。二種はさらに低くなっておるわけでございます。  それから地域特賃の住宅の場合には、これは公団住宅と同じ並びのものとお考えいただければよろしゅうございまして、公営よりも上の層を考えておりますので、ほぼ公団住宅の先ほど申しました数字と合ってくると思います。
  180. 長田武士

    ○長田委員 また、この改正案に示された用途別容積型地区計画制度、これはオフィスビルの上にマンションを併設するなど市街地住宅供給に効果を期待しているところでありますけれども、実際に住宅を建てた場合に高い地価を反映させない価格で本当に供給ができるのかどうか、この点が一番関心事であります。  東京住宅政策懇談会の中間報告にも明らかでありますけれども、東京都内の分譲マンションの価格は昭和六十三年の上半期で三・三平米当たりの平均分譲単価は五百九万円で、全国平均百八十八万円の二・七倍にも達しておるわけであります。また、供給戸数の約四分の三を占める一億円未満の住宅の平均価格をとってみましても五千百三十七万円と、都内勤労者の平均年収の八・二倍にも上っておるわけであります。勤労者が都内に住宅を取得することは、これでは極めて厳しいんじゃないかという状況であります。  こうした深刻な状況の中で供給可能な住宅について、果たしてどの程度の価格を想定されていらっしゃるのか、この点についてはどうでしょうか。
  181. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今申されましたように、都心といいましょうか、二十三区内で例えば戸建てであるとか、そういうことは、一般勤労者の収入を考えますと、収入だけでは不可能ということはすぐわかるところでございます。私どもは中高層のマンションで可能かどうかという検証、あるいは家賃、これは市場家賃が相当広い範囲に成立をしておりまして、その家賃とのバランスで新規に供給すれば、当然にその種家賃にすりつく形で家賃をとるわけでございますが、そういう家賃の分布がどうかということを考えますと、まだまだ六十キロ圏の範囲内では一般勤労者の収入程度で住める住宅地域というのはあり得ると思っております。  したがいまして、その場合の基準でございますが、いつも申し上げていますように、勤労者の収入の五倍の住宅価格あるいは月収の二〇%以内の家賃というようなことをめどにいたしまして、可能性の高い地域で大量に住宅供給していきたいというふうに考えておるところでございます。
  182. 長田武士

    ○長田委員 また、この用途別容積型地区計画制度、これによって供給される住宅について、建設省はどのようなタイプの住宅を想定しているのでしょうか。規制緩和して建てた住宅が、本当に住宅に困窮しております一般のサラリーマン世帯が住める住宅でなくては意味がないと私は考えます。  例えば、東京都心部での住宅とオフィスの土地の利回り、すなわち収益率、これを調べてみますと、大体オフィスの方が収益率が三倍くらい高いのですね。中には住宅とオフィスを兼ねた建築物や、いわゆるワンルームマンションのような単身者用の建物も非常に利回りがいい、このように言われておりまして、ともするとこうした傾向の建物がどうしても多くなるのではないか、このように考えられます。  公共住宅では特に二DK、三DKが主流のようでありますけれども、今回の計画に当たっても、こうしたファミリータイプの建物を住宅として規定すべきではないかというふうに考えております。この点はどうなのでしょうか。
  183. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど来申しておりますように、一般勤労者対策としては六十キロの全体を考えているわけでございますが、その際の一番の眼目は、やはり一般世帯用、つまり子供が何人かおりまして子供を育てる世帯というのが、一番住宅難と申しましょうか住宅事情の悪い階層でございます。したがいまして、その人たちに質のいい住宅をというのが今回の大都市対策の一番の眼目でございます。  先生御指摘のように、それを都心地域でどうか、こういうお話でございます。用途別容積型地区計画は、今回のこの制度は都心及び都心の周辺で業務開発住宅ができるだけバランスをして人が住める町をつくっていこう、こういうことで都市計画並びに建築基準の制度としてつくろうとしているものでございます。どちらかといえば非常に地価の高いところでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、全体の住宅の大量供給という中で役割は十分果たし得ると思いますが、そこで出てまいります住宅全部がファミリー向きといいますか、一般世帯向きにはなり得ない、かように存じます。  したがいまして、立地、それがどこの場所かということと、それから公的ないろいろな住宅事業手法、融資でありますとか補助でありますとか、そういうものが入り得るかどうか、できるだけそういうものを入れてファミリー賃貸にしていきたい、こういうことでどのくらい確保できるかということでございまして、全部が全部ファミリーになり得るものとは思っておりません。  と同時に、やはり大都市中心部でございますので、共稼ぎでありますとか非常に忙しい方、いわゆる大都市居住型のいろいろな職業の方がおられるわけでございます。それと同時に、ファミリー賃貸みたいな単身者用のものも相当需要があろうと思いますので、そういうものも相当なウェートで入ってくるということは、これは当然にあり得ると考えております。
  184. 長田武士

    ○長田委員 さらに、本法施行後にファミリータイプの住宅かどうか、それをどこまでチェックできるか、行政指導できるかが非常に重要であるというふうに私は考えております。  私が心配しておりますのは、民間デベロッパーの住宅建設に利用されてしまう可能性が多分にあるのではないか、そういう点を危惧いたしております。結果的にはやはり高い分譲価格あるいは賃貸価格につながるだけで、何かデベロッパーにだけ利するようなことであっては相ならぬと思います。  こうした観点から、今回の規制緩和対象になる地区住宅建設を行う場合は、公共住宅を優先的に建設させるように十分監視する必要がある、このように私は考えておりますけれども、建設省としてはどういう指導を考えていますか。
  185. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今回いろいろな制度をお願いしてございますが、土地の有効利用、高度利用のために創設されます制度は、都市計画、建築基準の制度としてでき上がっておるものでございまして、その中でこれを公共住宅にするということはできません。したがいまして、これは別途住宅対策として行っております各種の公共機関が行っている住宅建設事業あるいは低利融資、補助金といったもので条件をつけるということしか手段的にはございません。  したがいまして、先ほど来申しておりますように、いろいろな手法で出てまいりますプロジェクトに、できるだけこういった住宅サイドのチェックが行われるような事業手法を活用していただきたいということと同時に、公団でありますとか公社でありますとか公共団体が今まで以上にイニシアチブをとって事業に参入をしていくことを心がけなければならないのであろうというふうに考えているところでございます。
  186. 長田武士

    ○長田委員 住宅局長、私は、地方公共団体がイニシアチブを握れるようなそういう対応というのを強力に指導していただきたいということなのです。  さらにお尋ねしたい点は、建築物と都市環境、この調和をどのように図っていくかということが大きな課題であろうと思います。用途別容積型地区計画という新たな地区制度をつくるわけでありますが、当然考慮されるとは思いますけれども、ただ単に容積率を引き上げ、高いビルやマンションを建てればいい、そういう問題ではないと私は思っております。欧米の町づくりを引き合いに出さなくとも、美しい快適な町という普遍的な価値を人々が求めるのは当然と考えております。良好な都市、良好な住環境、それをつくるためにこの改正案における計画都市環境との調和をどのように考えておられるのか、この点はどうでしょうか。
  187. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  一般論として住宅のボリュームが増加することが市街地環境に支障が生ずるおそれがないかということでございますが、今回の制度によって住宅を含みます建築物の容積率の制限の特例が講ぜられますのは、良好な環境市街地を形成するために地区計画という詳細計画によりまして容積率の最低限度、敷地規模の最低限度、壁面の位置の制限が定められた区域に限られているということでございます。  また、今回の制度は、あくまで容積率制限についての特例のみを設けるものでございまして、斜線制限その他の建築物の形態の規制緩和は行うものでございません。したがいまして、敷地の単位を見ますと、その環境は十分に確保されているものと考えております。  なお、実際の運用に当たりましては、道路等の一定公共施設が整っているところにおいてのみこの制度を適用することを考えているところでございます。
  188. 長田武士

    ○長田委員 また、こうした中高層建築物の建築に際しまして住居地域あるいは商業地域の場合に当然起きてくる問題といたしまして、周辺住民とのいわゆる調整問題、これが大きな問題になるだろうと私は考えております。特に、日照権であるとか振動、騒音、電波障害、こういうものが予想されるわけでありますけれども、こういう問題に対しての対応は考えておるのでしょうか。最近住民運動が非常に高まっておりまして、特に住民の皆さん方も、日照権の問題とかあるいは振動あるいは騒音、さらには電波障害等、大変大きな問題が現実に東京都内では起きております。こういう問題の対応はどうなのでしょうか。
  189. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 建てられる中高層の建築物と周辺地域との調和でございますが、今度の御提案申し上げております住宅地高度利用地区計画を例で御説明させていただきますと、これは通常の都市計画の決定と同様に、公聴会を開催する、その計画案の公告及び縦覧を行う、関係市町村の住民及び利害関係人の意見書の御提出を願う、それから都市計画地方審議会の議を経て行うということでございますが、さらにこれに加えまして、この高度利用地区計画の案につきましては、その区域内の土地所有者、その他利害関係を有する方々意見を求めてから作成するということでございまして、このような高度利用地区計画の決定には住民の意思をくみ上げるように十分尊重して調整して決定するという手続を用意しているところでございます。
  190. 長田武士

    ○長田委員 いずれにいたしましても、現在の高い地価のもとで、大都市に住む人々は住宅問題の早期解決というのは大きな課題でございます。また期待も寄せております。これにこたえて現在とり得る施策を効果的、積極的に展開していかなければならない、そのように考えております。  そこで、今回の改正案、特に都市計画法及び建築基準法改正案に示されました住宅供給のための新しい制度にどのように具体的に取り組むかということが大きな課題だろう、私はこのように考えております。  東京住宅政策懇談会は、六十三年十月に中間報告を、平成二年四月には最終報告をまとめておりますが、その中で、第一番目には、低所得者のみならず中堅所得層の住宅問題も深刻である、第二番目には、収入基準との関係で公営住宅には入居できず、新規家賃が高額化した公社・公団住宅にも入居が困難な層への対応が必要、第三番目には、高地価のもとでは、地価を反映させない賃貸住宅供給がきわめて重要、第四番目には、不足しがちなファミリータイプの住宅供給を促すとともに、規模や設備、環境の向上を図ることが必要。特に、負担可能な家賃住宅として提供されることが重要であり、それを誘導するための施策を推進、以上四項目にわたりまして提言をいたしておるわけであります。  この新しい形の、東京都民住宅と呼ぶのだそうでありますけれども、この打ち出しというのは画期的であろう、私はこのように考えております。そして、この施策東京都は早ければ来年度から実施する方針のようであります。  この都民住宅のあり方につきましては、第一には、民間住宅を借り上げる方式、第二には、土地信託による方式、第三には、都有地を活用した方式、以上三点が具体化されております。この都民住宅という考え方は、今回の改正案の趣旨を先取りしたものである、私はそのように考えておりますけれども、非常に具体的な施策であり、これは非常に効果的であろう、私はこのように考えておるわけであります。  この東京都の都民住宅構想、建設省はこの点についてはどのように受けとめていらっしゃいますか。
  191. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 東京都が都知事のもとで長い間有識者との懇談会を開きまして、そこから出てきた最大の施策でございます。私どもも、その都民住宅の広い考え方に対しまして大変いいのではないかと思います。地方公共団体がそれぞれの地域住宅問題の解決に向けまして、既存の公共住宅に新しい工夫を加えた試みとして評価できるものと考えております。今回の大都市法に基づきます大都市地域住宅の大量供給政策の中で、都民住宅が大きな役割を果たしていただけたらありがたいと考えているところでございます。
  192. 長田武士

    ○長田委員 この東京都の都民住宅は、特に民間賃貸住宅に住んでおりますファミリー層が対象なんですね。これまでの公的住宅制度は、低所得者向けには公営住宅、その上の層には公社、公団という輪切り型だったわけですけれども、土地問題などでこれらの三者の直接供給量が減りまして、中堅層を中心住宅難が非常に広がってきた、そういうような状況から新たに考え出した方式だと言われております。  民間住宅を借り上げる方式はその具体策の一つで、公社または区、市が民間住宅を借り上げて高齢者や母子世帯を含めて幅広く供給する、そういう形をとっております。東京都は利子補給、共用部分への補助などで後押しをする、家賃は長期傾斜割引方式です、割高じゃないんです、上げるんじゃなくて割引方式です、などを導入すると聞いておるわけであります。この制度が普及すれば木造賃貸住宅の更新、市街化区域内農地の活用、オフィスビルへの住宅附置などに相当弾みがつくだろう、私はこのように考えておりますけれども、建設省はどうでしょうか。
  193. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど申しましたように、都民住宅の方式は非常に有効だと思います。特にその中でも委員御指摘の民間住宅を借り上げる方式というのは極めて有効だろうと思います。  国において同じような政策がないかということなんですけれども、国におきましても、地方住宅供給公社を活用いたしまして地域特別賃貸住宅B型というのがございます。そういう制度があります。それから公団の特別借り受け賃貸住宅制度というのがございますが、いずれもこの制度を使って大量の住宅供給するというところまでなかなかいっておりません。というのは、地主さん、家主きんの協力が非常に得がたいということでございます。したがいまして、東京都の方で新しい都民住宅でそういうことをやられる際に、どういう手法でそこの地主さん、家主さんの意向に沿った形で成果を上げ得るか、私ども大いに注目いたしたいと考えております。
  194. 長田武士

    ○長田委員 今の高い家賃あるいは高いマンション、住宅土地に影響するところが大なんですね。そういう意味では、この都民住宅の発想というのは土地の価格に即反映しない家賃というところにねらいがあるわけで画期的な施策であろうと考えておりますから、こういう点の施策については建設省としても大いにバックアップすべきだと思いますが、この点どうでしょうか。
  195. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 東京都との協議をいたしております。  それで、今現在の考え方でございますが、都民住宅は、先ほど来御指摘のように所得階層分布八〇%以下ということで、非常に広い、中堅、低所得階層を相手にいたします。ところが、建設省の国の政策の方は、地域特賃B、Aともに二五ないし四〇%の中堅所得層のねらいということになっておるわけでございます。したがいまして、建設省が援助しておりますのは、例えば地域特質Bでまいりますと二十年間、家主に対する家賃補助でございますが、基準家賃と入居者、対象層の負担を考えた間の差額を二分の一国が補助をするとなっておりますので、建設省のこの補助の体系に乗り得るものは東京都もこれを使っていただこうということになっております。したがって、今後はこの地域特賃AとかBとかいう体系をできるだけ拡充する方向で私どもは努力をしてまいりたいと考えております。
  196. 長田武士

    ○長田委員 現在、都民住宅は全事業費の約四〇%ほどしか実は住宅金融公庫の融資を受けられないのですね。しかも金利は先ほどちょっと申し上げましたけれども五・三%から五・五%と値上げされる。こうした状況に対しまして国は財政上の支援ができないかというふうに私は考えております。  例えば、都民住宅の支援策といたしまして、住宅金融公庫の全額融資と地方公共団体の利子補給、それを組み合わせて新しい形の公社賃貸住宅制度の創設などを検討してはどうかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  197. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 地方住宅供給公社に対します公庫融資は、ほかの例えば民間が行います賃貸住宅に対する側資と違いまして、償還期間も長うございますし、それから段階金利の適用がないといったような相当有利な条件になっております。  先生今御指摘のように、実効融資率と申しますか、そういうものは確かに大変低いので、先生の御提案は、民間の金融とそれから地方公共団体の利子補給というものを組み合わせて何とかできないか、こういうお話でございますが、確かに国と地方公共団体役割分担の一つのあり方だろうと思いますので、御提案も参考にしながら供給公社の賃貸住宅供給促進策の強化に努めてまいりたいと考えます。
  198. 長田武士

    ○長田委員 また、都民住宅の具体策である土地信託方式、それから都有地等活用方式による住宅供給は、既に東京都は実施いたしております。  土地信託方式による住宅は、墨田区両国二丁目に六十戸、平成元年十一月に着工いたしております。また、戸数は未定でありますけれども、中央区勝どき一丁目にも平成二年度以降に着工の予定であります。加えて、都有地活用方式による住宅は、港区海岸三丁目に百五十五戸、これは平成元年度末には着工いたしております。それから江東区の東陽六丁目には二百五十戸、これは平成二年度着工予定となっておるわけであります。  こうした都民住宅家賃については、上限額を政策的に抑えまして、例えば三LDKで広さは七十五平米の平均タイプで大体十二万円から十四万円ぐらいの家賃に抑える、こういうふうな試算をしているようであります。同じ立地条件で同じ広さの公団、公社の住宅よりかなり格安であるということは確実であります。  こうした東京都の取り組みを踏まえましたときに、国は今回の法改正を待つまでもなく、もっと積極的に具体策というものを講ずるべきである、私はこのように強く訴えるわけであります。大都市地域にどのようにすれば住宅住宅地をもっとふやすことができるか、あるいは普通のサラリーマンがゆとりをもって住めるような住宅ができるか、この問題が今の政治に課せられた最大の課題であろう、私はこのように考えております。  そこで具体的にお尋ねいたしますが、国は、国有地、旧国鉄用地等を積極的に住宅用地に利用できるようにすべきだ、私はこのように考えております。また、その処分に当たっては、地域づくりに責任を持つ地方公共団体が優先的に活用できるようにするとともに、処分条件を緩和することも当然必要であろう、私はこのように考えております。さらに、中堅所得層が負担可能な住宅供給ができるようにするためには、譲渡価格などの面でも配慮すべきであると考えております。この点についてはいかがでしょうか。
  199. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 私どもも、国公有地あるいはJRの用地につきましては、住宅適地のものはできるだけ活用させていただきたいというのが基本線でございます。  政府全体の意向でございますが、総合土地対策要綱あるいは「今後の土地対策の重点実施方針」におきまして、公共住宅プロジェクトの用地として活用することに配慮するということになっておりまして、大蔵省を中心に国有地の総点検に入っておるところでございます。したがいまして、私どもは、その結果に大いに期待しているところでございます。  建設省といたしましても、今後この方針に沿って、国公有地について住宅建設プロジェクトの用地として活用が見込まれるものがないかということを常に検討しながら、積極的に取り組んでまいりたいと存じております。
  200. 長田武士

    ○長田委員 また、公共住宅の着実な供給を進めるために、東京など大都市の実情に合わせて各種の基準等を改善すべきである、私はこのように考えております。  例えば、全国一律になっております公営住宅の入居基準、収入によって入れる入れないが決まるわけでありますけれども、そういう点では東京の実情にどうも見合ってないのではないか、このように考えております。つまり、もっと多くの人々が都営住宅に入居できるように収入基準の上限を引き上げるべきである、私はこのように考えております。  また、都営住宅や公社住宅の建かえを促進するためには、建てかえ対象の拡大や公社住宅についての制度整備を講ずるべきである。この点についてはどうでしょうか。
  201. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 まず第一点目の公営住宅の入居基準でございますが、先生御承知のとおり、公営住宅というのは公営住宅法に基づいて低額所得者に対して政策的な住宅供給しているわけでございます。したがいまして、いわゆるナショナルミニマム的な制度でございますので、今現在は各地域間を通じて全国統一的な整合性のある基準になっておるわけでございます。この基準をできるだけ国民全体の所得の向上等に合わせまして実情に応じて引き上げていくということをやっておりまして、今現在は六十一年度の七月一日施行の基準になっておりますが、定期的にこれを見直して引き上げていきたいというふうに考えております。  それから二点目の、公社あるいはその他の住宅の建てかえ問題でございますが、制度的になかなかこれから重要な問題でございますので、建てかえが円滑にいくように、特に従前居住者対策を含めて制度の中身を今後とも充実をしていきたいということでございます。
  202. 長田武士

    ○長田委員 次に私は、特に金融公庫の融資の条件について、東京などの地価の実情に応じた対応というのが必要であろう、柔軟性というのはもっと持つべきである、このように考えております。  例えば、総務庁がことし五月にまとめました「住宅に関する行政監察」、この報告書によりますと、昭和六十三年度に東京都内で新築マンションを買った場合は、平均分譲価格は七千六百五十八万円、平均専用面積は七十四平米だったわけでありますけれども、七十平米クラスの新築マンションの公庫融資限度額は千八百二十万円でございます。これはどうも実態と合わないのじゃないかというふうに私は考えております。このため、勧告では、融資限度額の引き上げ、返済期間の延長を初め、新築、中古を問わず融資条件の大幅な改善が必要と指摘をいたしているところでございます。住宅金融公庫の融資条件の改善については建設省はどういうふうに考えていらっしゃるのか。  話はかわりますけれども、最近、住宅事情が深刻な全国の地方自治体で、住宅条例を制定する動きが活発化いたしております。東京では世田谷や中央区で既に制定されておりますし、また兵庫県尼崎市では昭和五十九年に住宅環境整備条例を制定をし、その条例の第一条では、「住環境整備について必要な事項を定めることにより、良好な住環境の形成を図り、秩序ある都市環境実現に寄与する」と目的条項を明示いたしまして、市、事業者、市民の責務や開発協議制度住宅整備方針などを明確にいたしておるところでございます。  私は、このような地方自治体の働きについては、地方自治の尊重、市民生活の福祉向上のためにまことに結構なことであろう、このように考えておるところでございます。できれば建設大臣にこの御所見を伺いたいと思っております。
  203. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 まず、公庫の融資条件の改善のお話でございます。  先生御案内のとおり、平成二年度におきましては、一定の共同住宅について融資額を、東京圏において四百万円、大阪圏においては百万円の特別加算を行うこととしたところでございます。今後とも大都市地域におきます公庫の融資条件の改善については引き続き努力をいたしますが、特に私ども考えておりますのは、借入金をふやせば住宅が買えるというものではないと思います。先生おゃしゃいましたように償還期間の問題もございますが、償還期間をふやしてもなかなか償還額というものは減るものでもございません。したがいまして私どもは、計画的な貯蓄というものをどうやってするか、それを融資制度とどういうふうに結びつけるかというところがポイントではないかと思っておりまして、そういう方向で大いに充実をしてまいりたいと考えております。  それから、二番目におっしゃいました住宅条例のお話でございますが、特に大都市圏の東京都におきましても、各区で、それぞれの区の中の住宅対策といいますか、区民の居住水準の問題を真正面から取り上げた条例がいろいろできております。私ども、それぞれの地方公共団体市町村、区が住民のための住宅政策を考えていく傾向にあるということに対しまして、非常に敬意を表しているところでございます。国全体の住宅政策方向に沿って、それぞれの公共団体が地域の実情に応じた住宅対策を今後とも立てていただきたい、かように存ずるところでございます。
  204. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 このたび御審議いただいております大都市法改正につきましても、この住宅のプランを広域的に立てて、それについて各自治体も御協力いただくというような方向になっておりますので、今御指摘のような点につきまして、国または地方自治体挙げてこの方向にともに努力をしていくべきだというふうに考えております。
  205. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間が参りましたので最後に、今、地方自治体がこのように住宅問題から市民を守るためにいろいろな条例をつくっております。それはどこに起因しているかといえば、やはり国の施策が非常に甘いということが指摘されるのではないかというふうに私は考えております。  そこで、我が党がかねてより主張してまいりました住宅基本法、この制定がぜひとも必要であると私は考えております。  我が党は、昭和四十四年から都合七回提出をいたしております。すなわち、住宅基本法を制定することによりまして国、地方公共団体の責務を明確にいたしまして、住宅問題に対する具体的な方途を講ずるべきである、このように考えております。その意味で、住宅の憲法とも言われております住宅基本法を早期に制定すべきである、私はこのように考えておりますけれども、大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わります。
  206. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 これまでに社会党から住宅保障法案、公明党さんからは今お話のございました住宅基本法案が提出されてきたことは私どもよく承知いたしておりますが、この住宅基本法につきましては、それぞれまだコンセンサスが得られていないということでございまして、この論議が深まって、コンセンサスが早く煮詰まっていくことを私ども見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  207. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  208. 中島衛

    中島委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  209. 中島衛

    中島委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  210. 中島衛

    中島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  211. 中島衛

    中島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  212. 中島衛

    中島委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対し、桜井新君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。木間章君。
  213. 木間章

    ○木間委員 ただいま議題となりました大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   過去、住宅宅地に関する各般の施策が講じられてきたにもかかわらず、大都市地域中心とした地価の異常な高騰によって通常の所得の範囲内での職住近接の住宅確保が困難となり、土地を持つ者と持たざる者との資産格差が拡大し、社会的不公平感が増大する等、東京圏をはじめとする大都市地域における住宅宅地問題は深刻化している。   このため、両法の施行に当たっては、一般勤労者の手に届く住宅を確保することを主眼として、政府は一丸となって施策間の有機的連携のとれた実効ある対策を早急に講ずることとし、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 大都市地域等における住宅宅地供給促進とあわせて、大都市地域への一極集中を是正するため、地方部における都市基盤の整備に格段の配慮を行うなど、大都市地域における人口集中を助長することのないよう努めること。  二 供給基本方針及び供給計画の策定、住宅市街地整備及び開発並びに地区計画及び住宅地高度利用地区計画による建築制限の緩和が、新たな地価の高騰を招くことのないよう十分配慮し、土地の買い占め、投機的取引を厳に抑制すること。  三 大都市地域における一般勤労者の住宅及び住宅地需要に応えるため、住宅及び住宅地供給にあたっては、できる限り公的住宅供給を優先することとし、一般勤労者が手の届く価格または家賃の良好な住宅に入居できるよう努めること。  四 住宅及び住宅地供給に関連して必要となる公共公益施設の整備に際しては、地方公共団体の財政負担が過大とならないよう十分配慮すること。  五 地区計画制度及び住宅地高度利用地区計画制度により住居の用に係る容積率緩和する場合には、周辺の住居環境の悪化をもたらさないよう十分配慮すること。  六 遊休土地転換利用促進地区制度については、適用要件について十分に配慮し、その積極的な運用を図ること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  214. 中島衛

    中島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  215. 中島衛

    中島委員長 起立総員。よって、桜井新君外三名提出の動議のとおり、両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。綿貫建設大臣。
  216. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに、本法案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  217. 中島衛

    中島委員長 お諮りいたします。  両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 中島衛

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  219. 中島衛

    中島委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十九分散会