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1990-06-20 第118回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 近藤 元次君 理事 志賀  節君    理事 中尾 栄一君 理事 藤井 裕久君    理事 新村 勝雄君 理事 時崎 雄司君    理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    粕谷  茂君       前田  正君    阿部未喜男君       伊東 秀子君    小川 国彦君       田邊  誠君    田並 胤明君       常松 裕志君    長谷百合子君       東  祥三君    鍛冶  清君       寺前  巖君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大野  明君  出席政府委員         運輸政務次官  二階 俊博君         運輸大臣官房会         計課長     岩田 貞男君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省海上技術         安全局長    石井 和也君         運輸省海上技術         安全局船員部長 田辺 淳也君         運輸省港湾局長 御巫 清泰君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         海上保安庁次長 豊田  実君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    柏崎 澄雄君         大蔵省主計局司         計課長     設楽 岩久君         労働大臣官房審         議官      高橋柵太郎君         建設省道路局有         料道路課長   小野和日児君         建設省道路局地         方道課長    田尻 文宏君         会計検査院事務         総局第三局長  川崎 恒夫君         会計検査院事務         総局第五局長  安部  彪君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      石月 昭二君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      荘司 晄夫君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 山本  長君     ───────────── 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     常松 裕志君   長谷百合子君     伊東 秀子君   東  祥三君     鍛冶  清君 同日  辞任         補欠選任   伊東 秀子君     長谷百合子君   常松 裕志君     田邊  誠君   鍛冶  清君     東  祥三君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十二年度政府関係機関決算書  昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十三年度政府関係機関決算書  昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管)      ────◇─────
  2. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  昭和六十二年度決算外二件、及び昭和六十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長石月昭二君、同理事荘司晄夫君新東京国際空港公団総裁山本長君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺栄一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次に、運輸大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渡辺栄一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十二年度決算概要説明書                   運輸省  昭和六十二年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額二十五億九千九十一万円余に対し、収納済歳入額は二十二億五千三百六十九万円余であり、差引き三億三千七百二十一万円余の減少となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆一千七百二十九億二千百九十二万円余に対し、支出済歳出額は一兆一千三百六十一億七千九百八十九万円余でありまして、その差額三百六十七億四千二百二万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は百九十二億八千六百六十九万円余であり、不用となりました額は百七十四億五千五百三十二万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は二兆二千三百七十三億九千九百十万円余であり、支出済歳出額は四千七百四十八億七千八百十二万円余でありまして、差引き一兆七千六百二十五億二千九十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は四千五十八億三千五百十一万円余であり、支出済歳出額は四千二十一億二千二百六十五万円余でありまして、差引き三十七億一千二百四十六万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は四百二十九億九千七百九十万円余であり、支出済歳出額は三百八億八千五百二十六万円余でありまして、差引き百二十一億一千二百六十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は三千三百四十二億四千四百五十四万円余であり、支出済歳出額は二千五百六十億四千七百二十九万円余でありまして、差引き七百八十一億九千七百二十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以下、部門別重点施策について、御説明申し上げます。  まず、国鉄改革推進定着化関係について申し上げます。  第一に、旅客鉄道株式会社に対し、踏切保安設備整備費補助金として八億七千二百八十万円余、鉄道防災事業費補助として三十二億三千二百八十六万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故防止及び防災対策のための諸設備整備を図りました。  第二に、日本国有鉄道清算事業団に対し、日本国有鉄道清算事業団補助金として一千六百六十八億四千百万円、特定地方交通線特別交付金として二百九億四千三百万円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担軽減及び特定地方交通線バス転換等促進を図りました。  第三に、日本鉄道建設公団に対し、日本鉄道建設公団工事費補助金として百六十一億四千八万円余、日本鉄道建設公団整備新幹線建設推進準備事業費補助金として二十億九千七百五十四万円余、日本鉄道建設公団補給金として百十四億八千八百六十万円余を支出いたしました。これによりまして、地方鉄道新線建設及び整備新幹線建設推進準備事業を行うとともに、旅客鉄道株式会社への貸付線及び大都市圏鉄道事業者への譲渡線資本費負担軽減を図りました。  第四に、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、白糠町ほか二十三事業者に対し六億四千三百五十六万円余、特定地方交通線転換鉄道等運営費補助金として、弘南鉄道株式会社ほか十一事業者に対し一億六百三万円余、地方鉄道新線補助金として、宮福鉄道株式会社及び愛知環状鉄道株式会社に対し五億六千二百万円を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線代替輸送確保いたしました。  第五に、財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発等委託費として二億四千三百九十万円余、鉄道技術開発費補助金として四億三千九百三十九万円余を支出いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発促進を図りました。  次に、海運関係について申し上げます。  第一に、外航船舶整備のため、昭和五十四年度から五十六年度の間に締結した外航船舶建造融資利子補給契約に基づき、外航船舶建造融資利子補給金として、日本開発銀行及び日本興業銀行ほか二十九行の一般金融機関に対し二百五十八億二百八十九万円余、日本開発銀行昭和六十二年度以降の海運会社利子補給金相当額利子支払いを猶予することに伴い、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、同行に対し一億五百五万円余を交付いたしました。  第二に、船舶整備公団に対する補給金として二億六千八百六十五万円余を交付いたしました。これによりまして、政府系中小企業金融機関と同様の措置として金利の引き下げを実施しました。  次に、観光関係について申し上げます。  第一に、国際観光振興会に対し、国際観光事業費補助金として十八億九千九百八十七万円余を交付いたしました。これによりまして、海外観光宣伝事業推進国際コンベンション振興事業充実等国際観光振興会業務拡充強化を図りました。  第二に、観光レクリエーション地区施設整備費補助金として、北海道ほか十一県に対し二億五千五百万円を交付いたしました。これによりまして、国民の観光レクリエーション活動の場を確保し、あわせて地域振興に資するための観光レクリエーション施設整備促進いたしました。  次に、地域交通関係について申し上げます。  第一に、地下高速鉄道建設費補助金として、東京都ほか一県八市に対し四百二十三億百七十九万円余を交付いたしました。これによりまして、帝都高速度交通営団ほか九事業者による地下高速鉄道網整備促進いたしました。  第二に、ニュータウン鉄道建設費補助金として、神戸市及び住宅・都市整備公団に対し四億五千三百二十五万円余を交付いたしました。これによりまして、西神ニュータウン及び千葉ニュータウンにおける鉄道整備促進いたしました。  第三に、バス交通活性化対策費補助金として、遠州鉄道株式会社社団法人奈良バス協会及び阪急バス株式会社ほか七社に対し二億九千五百万円余を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービスの改善のための施設整備等促進を図りました。  第四に、鉄道軌道整備費等補助金として、伊豆急行株式会社ほか三十四社に対し八億八千三百十一万円余を交付いたしました。これによりまして、中小民鉄維持改善を図り、地域住民の利便を確保いたしました。  第五に、踏切保安設備整備費補助金として、長野電鉄株式会社ほか十七社に対し一億五百三十五万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故防止を図りました。  第六に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し九十九億二千九百三十八万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  第七に、離島航路補助金として、百十八航路を経営する百十二事業者に対し二十七億四千六百九万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路輸送力確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  第八に、自動車基準認証制度国際化対策費補助金として、財団法人日本自動車輸送技術協会に対し、自動車検査登録特別会計において九千六百八十一万円余を交付いたしました。これによりまして、自動車に係る貿易摩擦の解消及び輸入車についての検査業務合理化を図りました。  次に、貨物流通関係について申し上げます。  貨物流通対策推進するため三千百九十万円余を支出いたしました。これによりまして、物流拠点高度利用及び国際物流対策推進するための調査を行いました。  次に、造船及び船員関係について申し上げます。  第一に、特定船舶製造業安定事業協会に対する補給金として三億一千五百万円を交付いたしました。これによりまして、造船業過剰設備の処理に伴う業務の円滑な推進を図りました。  第二に、財団法人船舶解撤事業促進協会に対し、船舶解撤事業促進費補助金として七億六千五百万円を交付いたしました。これによりまして、造船事業者仕事量確保等を図りました。  第三に、最近における船員雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として十七億九千四百十六万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員雇用促進等を図りました。  第四に、財団法人練習船教育後援会に対し、船舶建造費補助金として一億三百万円を交付いたしました。これによりまして、練習船整備を図りました。  次に、港湾関係について申し上げます。  第一に、第七次港湾整備五か年計画の第二年度として、港湾整備特別会計において四千二十一億二千二百六十五万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては三千八百二十五億七千四百二十八万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百十七港、十三航路及び六海域工事港湾改修補助事業として七百四十三港の工事を実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業港湾公害防止対策補助事業港湾環境整備補助事業及び港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。さらに、港湾改修及び港湾環境整備促進を図るため、三十一港及び一海域について港湾事業資金貸付を実施いたしました。  また、特定港湾施設工事勘定においては百九十五億四千八百三十六万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として七港、鉄鋼港湾施設工事として一港、物資別専門埠頭港湾施設工事として四港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、貨物輸送合理化海上輸送安定性向上、海外に依存する各種資源安定的確保地域振興のための基盤施設整備、豊かな生活空間の形成、港湾利用高度化等を図りました。  第二に、第四次海岸事業五か年計画の第二年度として三百十四億三百二十万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業四百四十三海岸海岸環境整備補助事業として五十四海岸公有地造成護岸等整備補助事業として七海岸工事を実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等整備促進いたしました。  第三に、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として八十三億六千七百二十九万円余を支出し、直轄事業一か所、補助事業五百七十六か所の工事を実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸災害復旧促進いたしました。  次に、航空関係について申し上げます。  第五次空港整備五か年計画の第二年度として、空港整備特別会計において二千五百六十億四千七百二十九万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、第一に、新東京国際空港公団に対する政府出資として百三億円を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港整備推進いたしました。  第二に、東京国際空港沖合展開事業推進するほか国内空港整備を図るため一千三百六十二億九千六十九万円余を支出いたしました。これによりまして、東京大阪国際空港及び福岡空港はか六十八空港整備等を実施いたしました。  第三に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため二百十四億二千五百五十八万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場周辺における移転補償緩衝緑地帯整備等を行うとともに、空港周辺整備機構による代替地造成事業等促進を図りました。  以上によりまして、航空輸送力増強に対処するとともに、航空の安全の確保環境整備推進いたしました。  次に、海上保安関係について申し上げます。  第一に、「海上における捜索及び救助に関する国際条約」の発効及び国際的な新海洋秩序形成の動きに対応して、広大な周辺海域における航行安全体制の確立及び我が国の権益を確保することを目的として、広域的哨戒体制等整備推進するため二百六億三千三百六十八万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船一隻の建造及び航空機一機の整備並びに管轄海域確定のための諸調査等を行ったほか、新たに、巡視船艇八隻の代替建造及び航空機二機の代替整備を行うとともに、巡視船一隻及び航空機五機の増強に着手いたしました。  第二に、航路標識整備を図るため八十一億九千八百六十二万円余を支出いたしました。これによりまして、灯台等光波標識九十九基、マイクロ波標識局二局及び海上交通情報機構一群の整備並びに既存航路標識改良改修を行いました。  次に、気象関係について申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制強化を図るため五十四億一千三百万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星関係業務推進アメダス等地上気象観測施設及び気象レーダー観測網整備を行いました。  第二に、地震・津波対策及び火山対策強化を図るため六億七千三百五十一万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設整備等を行いました。  このほか、昭和六十三年にオーストラリアのブリスベン市において開催される国際レジャー博覧会に参加するため、一般会計において二億一千四百五十二万円余、港湾整備特別会計において七千八百七十八万円余、空港整備特別会計において八千二百六十三万円余を支出いたしました。これによりまして、政府出展準備等を行いました。  以上をもちまして、昭和六十二年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。    昭和六十三年度決算概要説明書                   運輸省  昭和六十三年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額二十四億六千三百二万円余に対し、収納済歳入額は二十四億二百十七万円余であり、差引き六千八十四万円余の減少となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額八千七百二十五億八千六百二万円余に対し、支出済歳出額は八千四百億七千六百八十九万円余でありまして、その差額三百二十五億九百十三万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は百七十九億五千二百十三万円余であり、不用となりました額は百四十五億五千六百九十九万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は二兆四千三百六十二億六千三百三十二万円余であり、支出済歳出額は四千六百二十九億九千二百六十五万円余でありまして、差引き一兆九千七百三十二億七千六十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は三千九百三十六億八千五百十四万円余であり、支出済歳出額は三千八百七十四億五千八百五十五万円余でありまして、差引き六十二億二千六百五十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は四百三十六億九千三百八十万円余であり、支出済歳出額は三百二十五億九千百九十一万円余でありまして、差引き百十一億百八十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は三千五百八十五億六千五百七十五万円余であり、支出済歳出額は二千七百五十八億二千六百三十二万円余でありまして、差引き八百二十七億三千九百四十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以下、部門別に主要な事項につきまして、御説明申し上げます。  まず、国鉄改革推進定着化対策について申し上げます。  第一に、旅客鉄道株式会社に対し、踏切保安設備費補助金として二億一千九百十一万円余、鉄道防災事業費補助として二十三億八千四百八十五万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故防止及び防災対策のための諸設備整備を図りました。  第二に、日本国有鉄道清算事業団に対し、日本国有鉄道清算事業団補助金として一千九百五十三億円、特定地方交通線特別交付金として百七億一千四百三十二万円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担軽減及び特定地方交通線バス転換等促進を図りました。  次に、空港港湾海岸鉄道等運輸関係社会資本整備促進について申し上げます。  第一に、空港整備につきましては、第五次空港整備五か年計画の第三年度として、空港整備特別会計において二千七百五十八億二千六百三十二万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、まず、新東京国際空港公団に対する政府出資として百十一億円を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港整備推進いたしました。  次に、東京国際空港沖合展開事業推進するほか国内空港整備を図るため一千五百十三億二千六百五十三万円余を支出いたしました。これによりまして、東京大阪国際空港及び福岡空港はか七十四空港整備等を実施いたしました。  次に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため百八十六億五千三百五十万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場周辺における移転補償、民家、教育施設等防音工事等を行いました。  以上によりまして、航空輸送力増強等に対処するとともに、航空の安全の確保環境整備推進いたしました。  第二に、港湾整備につきましては、第七次港湾整備五か年計画の第三年度として、港湾整備特別会計において三千八百七十四億五千八百五十五万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては三千七百十六億五千九百三万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百十八港、十三航路及び九海域工事を、港湾改修補助事業として七百三十三港の工事を実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業港湾公害防止対策補助事業港湾環境整備補助事業及び港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。さらに、港湾改修及び港湾環境整備等促進を図るため、百八港及び一海域について港湾事業資金貸付を実施いたしました。  特定港湾施設工事勘定においては百五十七億九千九百五十二万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として六港、鉄鋼港湾施設工事として一港、物資別専門埠頭港湾施設工事として三港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、貨物輸送合理化海上輸送安定性向上、海外に依存する各種資源安定的確保地域振興のための基盤施設整備、豊かな生活空間の形成、港湾利用高度化等を図りました。  第三に、海岸事業につきましては、第四次海岸事業五か年計画の第三年度として二百八十億三千二百八十二万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業四百十九海岸海岸環境整備補助事業として四十九海岸公有地造成護岸等整備補助事業として四海岸工事を実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等整備促進いたしました。  また、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として五十五億五千二百四十八万円余を支出し、直轄事業一か所、補助事業二百七十四か所の工事を実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸災害復旧促進いたしました。  第四に、鉄道につきましては、日本鉄道建設公団に対し、日本鉄道建設公団工事費補助金として百四十八億一千五百三十万円余、日本鉄道建設公団整備新幹線建設推進準備事業費補助金として二十九億四百十万円余、日本鉄道建設公団補給金として百十億五千二百九十八万円余を交付いたしました。これによりまして、地方鉄道新線建設及び整備新幹線建設推進準備事業を行うとともに、旅客鉄道株式会社への貸付線及び大都市圏鉄道事業者への譲渡線資本費負担軽減を図りました。  また、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、白糠町ほか二十六事業者に対し九億九千五百九十八万円余、特定地方交通線転換鉄道等運営費補助金として、弘南鉄道株式会社ほか十五事業者に対し二億二千六百四万円余、地方鉄道新線補助金として、阿武隈急行株式会社、樽見鉄道株式会社及び秋田内陸縦貫鉄道株式会社に対し七億七千四百万円を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線代替輸送確保いたしました。  次に、運輸関係社会資本の整備と相まって形成される交通ネットワークの整備促進について申し上げます。  第一に、地下高速鉄道建設費補助金として、東京都ほか一県八市に対し四百二十二億四千八百九十二万円余を交付いたしました。これによりまして、帝都高速度交通営団ほか九事業者による地下高速鉄道網整備促進いたしました。  第二に、ニュータウン鉄道建設費補助金として、神戸市及び千葉県に対し六億一千六十九万円余を交付いたしました。これによりまして、西神ニュータウン及び千葉ニュータウンにおける鉄道整備促進いたしました。  第三に、バス交通活性化対策費補助金として、社団法人福井県バス協会ほか五社に対し一億七千百万円を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービスの改善のための施設整備等促進を図りました。  第四に、鉄道軌道整備費等補助金として、遠州鉄道株式会社ほか三十三社に対し七億七千九十四万円余を交付いたしました。これによりまして、中小民鉄維持改善を図り、地域住民の利便を確保いたしました。  第五に、踏切保安設備整備費補助金として、新潟交通株式会社ほか十五社に対し六千七百九十七万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故防止を図りました。  第六に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し九十九億六千九百三十七万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  第七に、離島航路補助金として、百二十二航路を経営する百十六事業者に対し二十九億三千五十五万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路輸送力確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、造船・海運対策及び船員雇用対策について申し上げます。  まず、造船業経営安定対策について申し上げます。  第一に、特定船舶製造業安定事業協会に対する補給金として五億五千百九十二万円余を交付いたしました。これによりまして、造船業過剰設備の処理に伴う業務の円滑な推進を図りました。  第二に、財団法人船舶解撤事業促進協会に対し、船舶解撤事業促進費補助金として七億九千万円を交付いたしました。これによりまして、造船事業者仕事量確保等を図りました。  次に、海運対策について申し上げます。  第一に、外航海運対策の推進のため、昭和五十四年度から五十六年度の間に締結した外航船舶建造融資利子補給契約に基づき、外航船舶建造融資利子補給金として、日本興業銀行ほか二十八行の一般金融機関に対し六億八千二百七十一万円余、日本開発銀行昭和六十二年度以降の海運会社利子補給金相当額利子支払いを猶予することに伴い、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、同行に対し四億五千九百三十四万円余を交付いたしました。  第二に、船舶整備公団が行う業務の円滑な運営に資するため、同公団の借入金に係る利子の一部を補給する補給金として、同公団に対し七億五千十八万円余を交付いたしました。  次に、船員雇用対策について申し上げます。  最近における船員雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として十四億二千百四十六万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員雇用促進等を図りました。  次に、国際交流の推進・観光の振興について申し上げます。  第一に、日本人の海外旅行を促進することにより、国際相互理解の増進、国際収支のバランスの改善等を図るため、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター等に対し二億四千五百五十八万円余を支出いたしました。これによりまして、観光関係の国際協力を推進いたしました。  第二に、国際観光振興会に対し、国際観光事業費補助金として十九億一千百三十二万円余を交付いたしました。これによりまして、海外観光宣伝事業充実等国際観光振興会業務拡充強化を図りました。  第三に、観光レクリエーション地区施設整備費補助金として、山形県ほか十四県に対し二億五千百万円を交付いたしました。これによりまして、自然に親しむ観光レクリエーション活動の場としての家族旅行村と来訪外客による伝統的地域文化の体験・地域住民との交流の場としての国際交流村の整備促進いたしました。  次に、貨物流通関係について申し上げます。  貨物流通対策推進するため一千六百二十三万円余を支出いたしました。これによりまして、フレイトビラ構想を推進するための調査を行いました。  次に、運輸関係の技術開発推進について申し上げます。  財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発等委託費として三億五千八百四万円余、鉄道技術開発費補助金として八億三百六十七万円余を支出いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発促進を図りました。  また、運輸の分野における広範な人工衛星の利用を推進するため五千二百二万円を支出いたしました。これによりまして、多目的な機能を有する衛星システムの開発のための調査研究を行いました。  次に、海上保安体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、「海上における捜索及び救助に関する国際条約」の発効及び国際的な新海洋秩序形成の動きに対応して、広大な周辺海域における航行安全体制の確立及び我が国の権益を確保することを目的として、広域的哨戒体制等整備推進するため百四億二千六百五十六万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船五隻の建造及び航空機七機の整備並びに管轄海域確定のための諸調査等を行ったほか、新たに、巡視船二隻及び中型測量船一隻の代替建造に着手するとともに、巡視艇二隻の増強を行いました。  第二に、航路標識整備を図るため七十五億六千八百八十八万円余を支出いたしました。これによりまして、灯台等光波標識九十八基、マイクロ波標識局三局及び海上交通情報機構一群の整備並びに既存航路標識改良改修を行いました。  次に、気象観測体制の充実強化及び地震・火山対策について申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制強化を図るため三十六億六千三十六万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星関係業務推進アメダス等地上気象観測施設及び気象レーダー観測網整備を行いました。  第二に、地震・津波対策及び火山対策強化を図るため二億六千三百十九万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設整備等を行いました。  このほか、昭和六十三年にオーストラリアのブリズベン市において開催された国際レジャー博覧会の参加経費として、一般会計において一億五千八百三十四万円余、港湾整備特別会計において三千七百二十九万円、空港整備特別会計において三千九百十一万円余を支出いたしました。これによりまして、政府出展の事業を行いました。  最後に、昭和六十三年度の予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、誠に遺憾であります。  予算の執行につきましては、今後一層の配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  以上をもちまして、昭和六十二年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十二年度決算運輸省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。  その一は、ケーソン製作工事の積算に関するものであります。  運輸省におきましては、港湾施設整備のため防波堤、岸壁等の築造工事を毎年度多数実施しておりますが、防波堤、岸壁等の施設の本体となるケーソン製作工事の積算基準において型枠及び外足場の損料対象期間に関する規定が不備であったため、積算額が過大になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、積算基準を改訂し、工事費の積算を適切なものにする処置を講じたものであります。  その二は、航空保安施設等の警備費の積算に関するものであります。  東京航空局におきましては、航空機の安全航行等を図ることを目的として、新東京国際空港関係の航空保安施設等の警備業務を部外の警備会社に請け負わせて実施しておりますが、警備費の積算が警備業務の実態に適合していないため、積算額が過大になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、東京航空局では、警備業務の実態に適合した積算要領を定め、警備費の積算を適切なものにする処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。    昭和六十三年度決算運輸省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  これは、船員離職者職業転換等給付金の支給が適正でなかったものであります。この給付金は、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に基づき、国際協定の締結等の事態に対処するために実施された漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされている漁業離職者の再就職を促進するなどのため支給されるものでありますが、再就職していたのに受給資格があるとしていたり、申告書に記載している再就職年月日が実際と相違したりしていて申告書の内容が事実と相違しているものがあったのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったなどのため、この給付金のうちの就職促進手当、訓練待期手当が不適正に支給されていたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、自動車輸送統計調査業務に関するものであります。  運輸省では、自動車輸送の実態を明らかにし、交通等に関する政策、計画を策定するための基礎資料を作成することを目的として自動車輸送統計調査を実施しておりますが、運輸本省において地方運輸局及び陸運支局に対する指導が十分でなかったこと、陸運支局において統計調査員が現実に訪問することが困難な調査対象区域を設定している場合があったことなどのため、統計調査員は調査対象者を訪問して調査票を配布・回収することを原則としているにもかかわらず、すべて郵送で行っている統計調査員が見受けられ、これらの統計調査員の調査票の回収率が著しく低率となっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、平成元年十一月に通達等を発し、地方運輸局及び陸運支局において、統計調査員に対し、訪問により統計調査を行うことを原則としている旨を周知徹底させ、統計調査員ごとに適切な調査の担当区域を設定するなどして自動車輸送統計調査業務の適切な実施を図る処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  6. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  7. 新村勝雄

    ○新村委員 最初に大臣にお伺いします。  運輸政策、特に鉄道政策については、これは従来、国の、特に運輸省の一番大きな基本的な政策として国が推進するという形で行われていたわけであります。ところが国鉄が分割・民営化になりまして、国が直接鉄道にかかわるという性格が若干変わったと思いますが、そういう点で鉄道政策、鉄道網の配置、それから現在の国、運輸省とのかかわり、基本的にはどういうかかわりになるのか、それをまず伺いたいと思います。
  8. 早川章

    ○早川政府委員 お答え申し上げます。  従前、国鉄という形で公的な鉄道整備主体が存在しておりましたときには、その公的な整備主体を通じまして鉄道整備推進するということが行われていたわけでございますが、六十二年四月のいわゆるJR、国鉄の分割・民営化ということによりまして、営団等ごく一部のケースを除きましては、国の政策がストレートにそういう公的整備主体を通じて鉄道整備に当たる、こういうことではなくなったわけでございます。  しかしながら、運輸省といたしましては、運輸政策審議会におきまして必要な鉄道網というものの絵をかきまして、そして、これは地元の地方公共団体あるいは地方の財界あるいは必要に応じまして関連の鉄道事業者等の出資による例えば第三セクターを考えるとか、あるいは大都市等におきましては公営地下鉄がその建設推進するとか、それぞれの鉄道の性格あるいは位置づけというものによりましてまず整備主体というものの概念を決める、だれがやるかということを決める、その上で、その整備主体に対しまして、国なら国が必要な助成策をどう講じていくかということにつきまして、再度また運輸省でその助成措置のあり方について検討して推進を図る、こういうようなステップを踏みながら鉄道整備推進されるということになってきているのが現状だと理解いたしております。
  9. 新村勝雄

    ○新村委員 従来の鉄道のウエート、特に交通政策の中における鉄道のウエートというものは極めて高かったわけですね。交通政策といえばイコール鉄道という時代が長く続いたわけでありますが、その後、交通の状況がかなり変わったということもあると思います。それからまた、鉄道が国の責任ですべて推進をされるという時代は過去のものとなったわけであります。しかし、現在の交通体系、特に全国をいかに均等に発展をさせるか、あるいはまた大都市圏内の交通問題をどう解決をするかということになりますと、やはり鉄道の使命は極めて重いわけであります。そういう意味では、鉄道の使命は決して過去の鉄道オンリーの時代に比較をしても軽くなったとは言えないと思います。  そういう状況の中で、いかにして鉄道網を均等に発展をさせるかという点から考えますと、少し現在の体制は歯がゆいといいますか、どこを押したら適切な政策が出てくるのかということが大変わかりにくいという状況であります。そしてまた、このことが現在一番問題になっている東京の一極集中の問題、これをどう解決するかということについても、やはり鉄道網をどう配置するかということが大きな意味を持ってくると思います。そういう点で、運輸省におかれても、鉄道政策、鉄道網をどう配置するかということについては、状況が変わったにしても、やはり運輸省が決断をし、運輸省が積極的にこれを推進しなければなかなか進まないという状況があります。  そういう点で大臣にお伺いしますけれども、特に鉄道網の適正配置ということについての運輸省の強力な指導、リーダーシップの発揮ということが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  10. 早川章

    ○早川政府委員 多少事務的なところをまず私からお答えさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のとおり、現在は、国鉄というものがなくなりました後のいわば国鉄当時から考えられていた線等を今後どうやって整備主体をつくっていくか等の問題が実はまだ解決しておりません。一方で、従前国鉄等に投じていた資金が一体どんな流れで今後そういう新しい第三セクター等に流れるのかという点についても、六十二年の分割・民営化以来、私どもの方で十分なシステムと申しますかあるいは考え方が確立していないといううらみがあることは御指摘のとおりだと思います。また、そういうことが現在話題になっておりますいろいろな鉄道整備に実はまだ方向性が見出せないというところになってきているということかと存じます。  またもう一つ、国がどんな形でそういう鉄道を助成していくのかということにつきましても、六十二年の国鉄の分割・民営化以来の新しい事態の出現に対してうちの方の政策ができていない。一方、当時は、御承知のとおり財政上の非常に制約がございまして、既存の地下鉄等に対する補助も繰り延べざるを得ないような状況でございましたので、新しい政策を打ち出すに至らなかった、こういう実態にあるという点が恐らく先生のただいま御指摘のようなことが問題とされる、こういうことになってきているのかと存じます。  あとの政策につきましては、大臣の方からお答えがあるかと思います。
  11. 大野明

    ○大野国務大臣 鉄道というものがある時期において、自動車等の非常な勢いでの発達によって、疎外というわけじゃございませんが、一時的にそういうようなことになったこともございますけれども、今日の首都圏等における道路の混雑の状況、ふくそう状況、こういうことを考えると、やはり大量輸送機関というものをきちんと整備しなければ、都市機能も失われますし、また同時に、近郊からの通勤通学の方々の問題もございますし、また一方、やはり国土の均衡ある発展のためには高速鉄道網、こういうようなものもきちんと整備を一日も早くしなければならぬということも考えた上で、運輸省としては今鋭意努力をいたしております。  先生が先般の予算委員会でも私に御質問いただいた常磐新線、こういうことも今一日も早くやらなければならぬということで、先般、私はラッシュアワーに北千住の駅へ視察に行ってまいりました。北千住を通過するわけですから、やはりそういう意味で、北千住の混雑ぶりにプラスアルファまた常磐新線が北千住に入ってくるというようなことになったときにはどうなるだろう、今からあそこの駅及び周辺整備しなければならないというようなことを痛感しながら帰ってきたところでございます。  そういうものを含めて今後の鉄道政策というもの全般につきましては、先ほど地域交通局長の方から答弁させていただきましたように、今日は国鉄と言われた時代とは変わりつつあるところでございますので、そういう意味で、助成にしろ何にしろ、やはりする以上は国ももっと先に立ってこれからの鉄道政策を進めていきたい、こんなふうに考えております。
  12. 新村勝雄

    ○新村委員 ローカルの問題に入りますが、大臣、常磐新線について前にお願いしたことを記憶してくださっていたことは大変頼もしいと思います。そこで、これはローカルの問題にして、しかもローカルの問題ではないと思います。東京の一極集中をある方面から解決をする一つのアプローチということも言えるわけでありまして、そういう点から常磐新線の早期実現をぜひお願いをしたいわけであります。  この問題については、きのう実は各党の超党派の推進機関が議員中心でありますけれどもできまして、当局にこれから強力にお願いしたい、こういうことになったわけでありますが、常磐新線については既にこの話が始まってからかなり時間がたつわけでありまして、約四年になりますか、運輸政策審議会で答申をしております。そのときも答申の中でも最も緊急性のある線として答申をされておるわけでありまして、当時の調査によりましても、常磐線、千代田線、その混雑率がピーク時には三〇〇%に近い、定員の三倍近く押し込まれているわけでありますから、大変な混雑ぶりであります。  これについてはやはり歴史的な経過があると思うのですね。御承知のように日本の文化というのは関西から関東に次第に及んできたわけでありますから、西から東にすべての文明、すべての施設、社会資本も移ってきたという経過があります。そういう経過もありまして、東京の東側については鉄道網が極めて疎である、まばらであるということが言えます。地図を開いていただけばすぐわかるわけでありますけれども、東京の東側には東京に乗り入れをする放射線は常磐線一本しか現在ございません。たったの一本しかないわけです。同じ千葉県でも南の方には何本もある。私鉄もある。それから、西についてはこれは特に至れり尽くせりといいますか、十分とは言えないまでも、極めて密な鉄道網が敷設をされているわけでありますが、東京の東側については常磐線が一本である。その周辺に私鉄はありますけれども、その私鉄がいずれも常磐線に接続をしておりますから、乗客はすべて常磐線に乗りかえて東京に入るということですから、東京に入る最終の線は常磐線一本、常磐線が、川に例えれば、いろいろな多くの支川を吸収して最後には常磐線一本になって東京に入っていくということであります。  この問題については、早くからこの地域の住民の強い要望であったわけです。しかし、残念ながらそれが今日まで見送られてきたということであります。そこで、運政審においても一番緊急性のある線として答申をされているわけでありますから、その点を大臣においてもぜひ御認識いただいて、一日も早い着工をお願いをしたいわけであります。  ところが、先ほど申し上げたように、鉄道事業は現在は国、運輸省直轄事業ではない、直接管轄をする仕事ではなくなっている、分割・民営化になったということもありまして、鉄道網の整備についてこれを推進する上において、あいまいというとおかしいのですけれども、どこにお願いしたらいいのか。例えば常磐新線でありますけれども、いまだもって実施主体が決まらない。地元の自治体を中心にして第三セクターにするという話がありますけれども、地元の自治体へいきますと、いろいろ計画はありますけれども、要するに金をどうするのかということで最大の障害にぶつかってしまう。また、国の方にお願いすると、これは今は鉄道は国営ではないというようなことで、どこにお願いしたらいいのか、どこを押したら回答が出てくるかはっきりしないという実態があるわけですよ。しかし、いずれにしてもこれは早晩というか至急にやらなければならない事業でありますし、国としてもその責めを免れることはできないと思います。  そこで、この問題を推進するかぎはやはり何といっても国、運輸省、大臣の決意一つで推進できるかどうかということ、そのかぎを握っているのは大臣なわけですよ。きのうも新しくできた推進協議会で論議があったわけですけれども、国はどういう考えであるのかどうもはっきりしない、こういうようなことが盛んに言われたわけであります。しかし、第三セクターでやるにしても、第三セクターで考えられるのは地方自治体、そしてJRが当然入るでしょう、それから民間の金融機関というようなことになると思いますけれども、実際につくるのは鉄建公団がやる以外にはないと思うのですね。そして、その計画を基本的に推進をし資金の手当て等をするのが、これは政府以外にはないわけであります。したがって、この問題は、昔のように国鉄ではないけれども、これを推進するのは何といっても運輸省、そして大臣の御決意いかんということになると思いますけれども、いかがでしょうか。大臣の御決意のほどを伺いたい。
  13. 早川章

    ○早川政府委員 最近のように、公的な整備主体でない形のものを整備主体としてそれに運輸省がかかわっていくという場合におきまして、そのかかわり方というのが、従来の国鉄というような形のものがございましたときよりは大分直接的でない、非常に間接的と申しますか、実質的には、関与させていただきましても、意思決定あるいはその基本的な考え方というものの整理とかは、まず運輸省がやって押しつける、それから地方公共団体なり財界にやってもらう、こういうふうに申し上げていくよりは、地方公共団体の側からあるいは財界等からそれなりの考え方を示されて、そういうものの方向づけをしていただきながらやっていくという形になっていくというふうに理解をいたしておるわけです。例えば、開発利益の吸収というような仕組みにつきましても、地方公共団体が主体的にやっていただきながらこの鉄道整備の基本を考えていただく。  ただし、そういうような場合に、では第三セクターを構成する地方公共団体等に自由にやっていただけばいいんだということではなくて、もちろん国の政策、運輸政策審議会が出された答申路線というものの推進整備でございますので、国としては、技術的な問題というのはもちろんでございますけれども、あるいは関係者間の調整というようなことももちろんでございますが、財政上の助成措置とか金融、資本、資金調達のあり方とかにつきましては十分御相談に乗り、また必要なものは財政当局にお願いをしというような形でもちろんやっていくべきである、そういう意味のかかわり方は当然持っているというふうに理解をいたしておるところでございます。
  14. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣のお考えはどうですか。
  15. 大野明

    ○大野国務大臣 いずれにしても、今日までもやっておりますが、助成制度の中において税制上の問題とかいろいろあるわけです。そういうものを含めて今後検討すべきものがあると思いますけれども、国が現在では突出するわけにはまいりませんけれども、やはり一緒になって考えていくことがたくさんございますので、その中において私として強力な指導をしていきたい、こういうふうに考えております。  いずれにしても、今後こういうような形のものが今度の常磐新線に限らずあるわけですから、そういう長期的な物の見方もしながら、この第三セクター方式になって今御指摘のように資金なんかもいろいろと問題視されておりますが、そういうものも十分相談に乗っていこう、こういう前向きな姿勢でおります。  それから、常磐線にみんな東京の東の地区の私鉄交通機関なんかが乗り入れるという話でございますから、そういうことも考えて、ひとつそういう鉄道網の整備のためにはやはり国が中心になってどうあるべきかというものもあわせて考えてやっていくということを私は強力に推進もするし、できる限りの指導もしていきたい、こう考えております。
  16. 新村勝雄

    ○新村委員 現在、この事業についての取り組みといいますか、それは一方では地方自治体がありまして、一都三県の地方自治体が真剣になって取り組んでいるわけであります。一方、運輸省では、運輸省の地域交通局がおやりになっているということでありますけれども、これが別々に検討されておるようでありまして、これが一体になってこの仕事を推進する、そして国が決断をする、こういうことになるわけでありましょうけれども、現在は決断していくその体制ができていないという感じがするわけです。  前には常磐新線整備検討委員会というものがありまして、この中に運輸省の大臣官房の審議官が入って、そこに関係一都三県、JR東日本、これらが参加をしてこの組織をつくっていたようでありますけれども、現在この組織が機能していないようであります。それからまた、この下にワーキンググループをつくって週一回程度の検討をしていたということでありますが、これも現在はストップの状態ということでありますから、現在のような形で推移すると、これはいつになっても結論が出ないということになります。  そこで、もう機が熟しているわけでありますから、地方自治体もある程度負担をしてもやるというところまで決意をしているわけでありますから、もう検討あるいは審議の段階ではなくて、最終の決断を国が下すべき時期になっていると思うのですね。ですから、ぜひ大臣には、この問題についてぜひお取り組みをいただいてゴーの決断を下していただきたい、その時期になっていると思うのですが、その点を特にお願いをしたいと思います。
  17. 大野明

    ○大野国務大臣 先生今御指摘のように、なかなかいろいろな事情がふくそうしておって、今日まで時間もかかり、また同時に、どこが主体というようなことの、これは地方自治体と国との間においてもなかなか難しい問題があるところへ、昨日常磐新線建設促進議員連盟ができ、先生も副会長として御参加いただいておるということは私にとっても非常に大きな応援団ができていただいたようなものでございまして、また、この議員連盟の先生方の御意見も一度承りながら近い将来決断すべきはさせていただこう、こういうふうに考えております。
  18. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひ大臣の決断を御期待をいたします。  それでは、政務次官がせっかくおいでになっておりますので、この問題について、今事情をお聞きになったと思いますけれども、ぜひ政務次官のお立場から推進にお力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 二階俊博

    ○二階政府委員 常磐新線の整備については、先ほど既に大野大臣から御決意のほどを述べられたわけでありますが、首都圏における住宅地需要への対応、通勤通学の際の激化する交通混雑の緩和、さらには通勤時間の短縮のために極めて重要な役割を果たすものであると考えております。  現在、関係機関の間で用地の確保の問題、多額の建設資金の調達等に関する基本的な問題の解決を図るための協議が進められております。また昨日、先ほど大臣もお述べになりましたように、超党派による推進議員連盟もできたことでありますから、御協力をちょうだいしながら、運輸省としては、運輸政策審議会の答申及び大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法の趣旨に沿って、常磐新線の整備に向けてさらに積極的に努力してまいる所存であります。
  20. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひ御努力をいただきたいと思います。  次に、東京湾の人工島の問題でありますが、これは運輸省だけではなくて建設省等も関係しているわけでありますが、東京湾の開発についてはかねてからいろいろ論議があったところであります。  というのは、東京湾については既に江戸時代以来ずっと埋め立てが進んでおりまして、当初の湾の面積からしますと約一八から一九%ぐらい既に埋め立てが進んでいるということが言われております。  東京湾の環境に及ぼす影響、これは主として気象の影響もあります。それからまた、湾内の魚の資源の保護というようなこともありますが、特に周辺の地域に及ぼす環境の影響はかなり大きいものがあると言われております。例えば、冬は千葉県側に北から風が吹くわけですけれども、その風を暖める作用がありますので、そのために千葉県の房総地帯が温暖になる。また、夏は海から吹きつける風で東京の市街地の部分が二度程度温度が下がる。こういう周辺にいわゆる海洋性の気候の影響を与えるという自然の作用があるわけですね。こういったことがありまして、湾を保全すべきであるということは、これはイデオロギーの問題ではもちろんございませんで、周辺の住民の生活を守るという意味からいっても、これ以上埋めるべきではないという意見が強いわけですね。  そういう点からいたしますと、今いろいろ多くの開発の計画がありますけれども、こういった開発の計画について基本的にはどう対処すべきであるかということが一つのやはり地域開発の課題であると思うのです。  既にこれは発足をいたしておりますが、東京湾横断道路、それからみなとみらい21計画、川崎シビルポートアイランド計画、その他市川の第二期埋め立てあるいは木更津沖の人工島、あるいは湾の真ん中にも人工島の計画があるというようなことが言われておりますけれども、運輸省としては、木更津沖あるいは富津沖、ここに相当大きな人工島をつくるという構想がおありのようでありますけれども、その構想についてまずお伺いをしたいと思います。
  21. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 木更津沖の沖合人工島の構想についての御質問でございますけれども、この構想は数年前に調査を開始いたしたわけで、六十一年からでございますけれども、そしてその目的はいろいろございますが、その一つは、台風等の荒天時に東京湾内の船舶の避泊地が不足する、それにどういうふうに対応できるかということが一点、それから、今後ニーズが非常に高まってまいります大水深バース等の整備をそこにしていこう、三つ目には、これもやはり非常にニーズの高まりの高い海洋性レクリェーションに対応してそこをどう使っていくか、あるいは国際化の進展とともに国際交流施設というようなものをここに整備していくことを主目的にする構想でありまして、六十一年から運輸省においてフィージビリティースタディーを行ってきているものでございます。  現在ではいろいろな意味で調査が進展してきておりまして、今後これらの検討を踏まえながら関係する自治体などと十分連絡調整を行って、今後の具体化に向けて検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  22. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、それをつくることによって湾の持つ機能、湾の本来の持つ機能にどの程度の影響があるのかないのか、いわゆる環境のアセスはどの程度やっておるのか。それから環境という点からすると環境庁の所管になると思いますが、環境庁とは十分連絡をとっておやりになっているのかどうか。それからこの人工島の規模、面積等をお教えいただきたいと思います。  それから、今船舶の避難のときの対策というお話がありましたけれども、東京湾には荒天のときに横浜あるいは横須賀から避難してきて湾内に投錨する、いわゆる錨地が配置されているはずなんですよね。その錨地との関係がどうなるのか。現在既に横浜あるいは千葉港等沿岸の港に入港している船が、荒天の場合に、暴風雨の場合に沖に出て錨地に仮泊をする、その場合の錨地の数が既に現在でも足りないというふうに言われておるわけですね。その錨地がさらに一層減るということになりはしないかという、そういう点からの心配もあるわけでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
  23. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 そのフィージビリティースタディーの中で、環境に与える影響も一応の段階の調査をしております。今手元にそういう数値を持ち合わせておりませんけれども、そこで環境に与える影響がそう大きいものではない、軽微であるというふうに方向が出ておりますけれども、これを実際に具体的に具体化していくときには、さらに詳細な環境影響アセスメントということをやる必要があろうかと思っております。なお、まだ構想の段階でございますから、環境庁と協議をしている、こういうようなことはございません。  それから台風時の避泊のことでございますけれども、台風等が参りますと、大きな船は、横浜とか東京におります船は湾外というか、あるいは湾内に出てそこで台風に備えるわけでありますけれども、そういう面積が船舶の増大とともに不足してきている、それに対応するためにこの沖合人工島のところで係留して避泊ができないか、こういうような構想でございます。その船を強い岸壁あるいは風を遮れるような岸壁に係留して避泊する場所をふやすことができないか、こういうのが沖合人工島における避泊地の確保ということになるわけであります。
  24. 新村勝雄

    ○新村委員 建設省では別に計画をお持ちのようでありますけれども、建設省はおいでになっておりますね。建設省所管の計画を伺いたいと思います。
  25. 小野和日児

    ○小野説明員 今、東京湾で人工島計画東京湾横断道路に関する人工島だけでございますけれども、先生御承知のように、東京湾横断道路は神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ延長約十五キロの幹線道路でございまして、川崎側約十キロがトンネルでございまして、木更津側約五キロが橋梁となっております。それで人工島が二カ所ございまして、このトンネルと橋梁を連結するための人工島が木更津側にございます。木更津人工島と申します。それからトンネルが十キロございますので、そのちょうど中間ぐらいに人工島がもう一つございまして、これを川崎人工島と申しております。それで、トンネルと橋梁とを連結する木更津人工島は、これは盛り土式人工島でございまして、それから、主として換気用につくっております川崎人工島、これは円筒形のコンクリート構造物でございます。道路に関する人工島は今のところこの二つだけでございます。
  26. 新村勝雄

    ○新村委員 伝えられるところによりますと、郵政省も湾内に人工島を計画をしておるというような話がありますけれども、これはお聞きになっておりますか。
  27. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 私がお答えすべきものかどうかわかりませんけれども、私の知っている限りではそういう人工島はないような気がいたします。郵政省で御検討になっている東京湾における人工島というものはないのではをいかと思います。
  28. 新村勝雄

    ○新村委員 例えば、その人工島にしても埋め立てにしても、ある部分については運輸省さん、ある部分については建設省、ある部分については地元の自治体ということで、それぞれ別の計画で、事業主体も別に推進をされているというのが実態ですね。そうしますと、東京湾の将来についてどうするかという構想が全体計画としてはないという感じが実はするわけでありますけれども、その点はいかがでしょう。
  29. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 東京湾の中には幾つか大きい港がございます。その港の港湾計画というのはそれぞれ港湾管理者、県でありますとか市というところが港湾管理者になっておりますけれども、そういう港湾管理者が長期的な港湾計画を立て、その計画にのっとって各種の整備を進めていくということでございますけれども、先生がおっしゃいますように、東京湾全体ばらばらに動いては困るということで、私どもの方では東京港湾計画の基本構想というのをつくっております。これは昭和六十三年につくりましたけれども、その中で東京整備の大体の方向というものを出しておりまして、それを参考にしながら各港湾管理者が港湾計画をお立ていただければ、整合性を持って港湾計画がつくられていく、東京湾の中も整合性を持った使い方がされていく、こういうふうに考えております。
  30. 新村勝雄

    ○新村委員 港湾の問題、東京湾と一番関係の深い行政庁は何と言っても、港湾の関係がありますから運輸省だと思います。そういう点で、運輸省さんが湾全体を管理するといいますか計画を立てるといいますか、そういう立場にいらっしゃるとすれば、他の省庁とも十分連絡をとられて、東京湾全体の開発計画はどうであるのだということを、運輸省さんが元締めのような立場で全体を管理をする、計画をする、あるいは開発を統制するというところまではまだいっていないと思うのですが、そういう体制がないと、環境の面からしてもあるいは湾内の安全性からいっても、それからまた沿岸の市町村の開発計画という点からいってもそごを来す場合があります。それからまた意外な環境破壊がいつの間にか進んでしまうというようなこともありますので、別の機関をつくるという構想もあるでしょうけれども、当面は運輸省さんが湾全体の構想をおつくりになることが必要ではないかと思いますけれども、どうお考えでしょうか。
  31. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 おっしゃるとおりだと思います。東京湾の水面積の相当な部分が港湾区域で覆われている、こういうことから、やはり東京湾全体の開発・保全というようなあり方は我々が考えておかなければいけないという立場から、東京港湾計画の基本構想というのをつくっております。趣旨としてはまさに先生のおっしゃるとおりの意味合いを持っていると思っております。今後も十分調整がとれるように図ってまいりたいと思っております。
  32. 新村勝雄

    ○新村委員 時間がありませんので、もう一つの問題はまとめてお伺いします。  それは、自動車損害賠償責任保険の制度がございます。この問題について、実は私も最近痛切な経験をしたわけであります。その制度は大変いい制度であるし、交通事故が絶無にならない限りはこの制度を充実していかなければいけない。この制度の充実ということは一面からすれば事故が多発することを予想するような響きになりますけれども、そうじゃなくて、やはり事故を完全に絶滅するまではこの制度は必要だと思いますね。ところが、この制度は補償の額において、あるいは制度において必ずしも十分でないという気がするわけであります。例えば、この制度の死亡事故に対する限度額は二千五百万ということでありますね。それから、この保険金の限度額の計算についてもいろいろ問題があると思うのです。  まず、死亡限度の二千五百万という額が現在の経済情勢に照らしてみて適当であるかどうかということです。これは一見してみてどうも少ないという印象を受けるわけであります。命を失うわけでありますから、その失った命の代償というとおかしいですけれども、命を償うという意味で保険金を出す。それが二千五百万限度、これが限度でありますからこれ以上ない。限度というのはちょっと少な過ぎるのではないか。最低でも二倍程度に引き上げる必要があるのではないか。民間の保険に依存するという点はありますけれども、やはり国として政策として行う限りは二倍程度の保険金を支給することがいいのではないかというような気がするわけであります。  それからまた、もう一つはこの保険保険金の算出の基礎でありますけれども、死亡については特に逸失利益というものが基礎になっているわけですね。その人が事故に遭わなければ生涯どの程度の所得があったであろうということの計算であると思いますけれども、その点から計算をすることはある程度は必要であろうと思いますが、そうしますと若い人と老人との命の評価が全く違ってくるというわけでありますから、人の命をそういう面からのみ評価していいのかという疑問があるわけであります。若い人の命、老人の命、これは経済的な面から見れば老人の命はもうゼロだ、逸失利益はゼロだということにもなりかねないわけであります。そういう意味から言って、逸失利益本位の計算方法が果たしてどうであろうか。これは倫理的あるいは道徳的に見ても大変疑問のあるところですね。ですから、逸失利益ということはある程度は見るにしても、さらにそのほかに慰謝料というか命を失ったことに対する償いという意味で、大きなウエートをその部分に置くべきではないかという気がするわけであります。そういう点で、計算の方法についての疑問が実はあるわけですね。  それから、保険金を上げれば当然保険料も上げなければいけないということになるわけでありますけれども、自動車を操縦し、あるいは自動車を所有しているということは、現状からすればそこに相当の危険をはらんでいるわけです。車を所有しているということ、車を運転しているというその行動の中に危険が内蔵されているわけですね。そういう行為について、あるいは自動車を所有するということの中には危険を伴っているということから考えれば、ある程度の保険料の上昇はやむを得ないのではないかというような気もするわけであります。また、今の日本は自動車産業で世界一であります。したがって、そういう意味から企業の負担をお願いすることはできないか。何でも企業ということじゃありませんけれども、自動車については、自動車があるということ、自動車の存在と事故というものとの因果関係が極めて明白でありますから、そういう意味で自動車業界の協力は得られないものかどうか、そういった点で検討の余地があるのではないか。  いずれにしても、現在の保険金は安いということが言えると思います。  それからもう一つは、事故でありますけれども、これが何十万件という事故が起こっているわけであります。死亡事故だけでも年間に一万数千件起こっておるわけでありますが、この事故に対する処置がなかなか適切にはできない。事故に遭った被害者あるいは加害者にしても、事故が一遍起きますと、被害者についてはそれこそ茫然自失、それから加害者についてもそれと全く同じ、ろうばい自失してしまうわけですね。そういう場合にどうしたらいいかわからないという状況が、加害者にしても被害者にしてもあるわけですよ。そういう場合に、手続はこうしなさい、この点についてはこういう対策がありますよというようなことを、具体的に一切を指導してくれる公的な機関が実は今ないわけです。事故センターというセンターはあるようですけれども、そこまではやっていないようです。ですから、そういうことまでやるべきではないか。こういうことを警察に聞いても、これは警察は教えてくれません、そこまでは私どもの守備範囲ではありませんよということになりますから。そういう一たび事故が起こった場合の関係者を指導する公的な機関、これを充実することができないだろうかというようなこと。  まとめてお伺いいたしましたけれども、お答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
  33. 早川章

    ○早川政府委員 まず、現行の限度額二千五百万円、これが実態的に非常に低いのではないかということでございます。  この二千五百万円は、昭和六十年四月以前は二千万円でございまして、それを今二千五百万円に引き上げたわけでございます。その引き上げに際しまして、これをどういうふうに引き上げるべきかどうかという判断には、例えば消費者物価指数の変異であるとか、あるいは賃金指数であるとか、そういう指標を用いて常時監視をしながら、この限度額が適正であるかどうか、こういうことを見る。あるいは、裁判例等でそういう水準がどうなってきているかという水準を見る。こういったようなことを勘案してやっておるわけでございます。  六十年四月から既に四年ほどたつわけでございますが、このような水準が被害者の保護に欠けることのないよう、もちろんそういう観点に立ちまして十分検討してまいりたいと考えているところでございます。  それから、保険金額は、何と申しますか、これはいわばホフマン方式と申しますか、あるいは逸失利益ということでございますから、これはどうしても自動車損害賠償保障法第四条ということで、民法の規定によってそもそも損害の内容を定めるということでございますから、おのずから個々人の収入、地位、年齢等に応じまして責任額は違ったものになってくるということ、これはちょっとやむを得ない実態にあろうかと思います。  そこで、これに対しまして慰謝料というような形で、そういう人の命の基本的なところを同じような形でとらえるべきではないか。これは実は自賠の支払い基準の中にも、死亡御本人に対します慰謝料というようなものが一律三百万円というような形で、この金額がどうかという点は御議論があるかと思いますけれども、その方の地位とか年齢とかに関係なくお出しする、こういうような仕組みで一応その慰謝料等を考えている。こういう形で対応しているということかと存じております。  それから、その財源に対する自動車メーカー等の負担の考え方、こういうことで御質問がございました。  自動車が存在すること自体が非常に危険なことを醸し出しているのだというような観点というのはないわけではないのかもしれませんが、やはり自動車を所有すること、あるいはその自動車を運転すること、そういうことの責任としてこういう損害賠償の体系ができ上がっているというふうに考えれば、現在のように保険料の支払いと保険金の支払いというものをバランスさせながらこういう保険というものを考えていくということは、やはり非常に実態的なものではないかと考えているわけです。そこで例えば、現在は、収入が少なくて保険金が非常に足りない、保険金が払えないというふうな実態にはございませんで、かなりの滞留資金を抱え、その運用益も毎年相当額発生している状態にございますので、保険料を引き上げなければならない、その分を引き上げを抑制しながらメーカーに負担を求めていかなければならないというような実態には、現在の保険会計はなってないということでございます。  それから、被害者の増加に伴います賠償請求等の手続の問題でございます。  一般的に、事故が起こった場合にどういうところで御相談いただくかということについては、都道府県とか政令指定都市には交通事故相談所というものが設けられている、あるいは、警察署にも事故相談係というのがございます。それからまた、日弁連も事故相談センターを設けている。あるいは財団法人交通事故紛争処理センターとか、全日本交通安全協会というようなもの、それぞれが窓口を設けております。また保険会社も窓口を設けている。実は、事故の相談というのは、結果的には、賠償請求手続あるいは賠償額の御相談とか取り立ての方法とかいろいろな形で、実際には民事の中にかなり食い込んでいくケースがございます。その辺について、現在自動車事故対策センターが運輸省の機関としてございますが、この事故対策センターというのはむしろハード面あるいは運転者に対する教習等、そういったものを中心に安全対策を講じてきておりまして、これを事故相談まで持っていくということになればかなりのマンパワーを必要としてくるとか、そういうような形で、ちょっと実態的に対応が不可能になるのではないか。  現在のこういう各種の機関が設けておりますものが果たして十分かどうかというところは、私どもよく関心を持って見守り、被害者の保護に欠けるようなことになれば、もちろん日弁連等にまた御相談してもっとしっかりした機関を設けてもらう、あるいは窓口をたくさんつくっていただくというようなことはいろいろお願いしてまいりたいと思っておりますが、直ちに国の機関が乗り出すという形は今のところ考えていないということでございます。
  34. 新村勝雄

    ○新村委員 終わります。
  35. 藤井裕久

    ○藤井委員長代理 伊東秀子君。
  36. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 社会党・護憲共同の伊東秀子でございます。  私は、三年前に成立した国鉄改革法諸立法のその後の執行、運用段階において、不当労働行為が顕在化してたくさんの地労委命令が出されている、それにもかかわらず放置され、かつ、この三月には千四十七名という大量の清算事業団の解雇者が出たという事実に関して、運輸省及び労働省にお伺いしたいと思います。  まず、昭和六十一年の国鉄改革に関する国会審議において、当時の中曽根総理は、「総理の責任ある答弁」ということで、次のように答弁しております。   これだけの大改革をやっておるのでございますから、政府もそれ相応の責任を持っておるわけでございます。したがって、例えば健康のぐあいであるとかそのほかの欠格条件があるという場合はこれはやむを得ませんが、そうでない方に関しましては一人といえども心配をかけないような体制をつくり上げるために、政府も責任を持って全力を注ぐ決心でおります。  こういう大変確信を持った答弁をしているわけでございますが、現実に六十二年四月のJRの発足に当たりましては、たくさんの不採用者が出されました。  例えば北海道の場合、一万七千六百二十七名の希望者に対して不採用者が四千三百九十三名出ております。この事実は、法律の成立後JRの発足まで四ヵ月余りあったわけですから、当然政府としても掌握していたであろう。このような不採用の理由とか所属組合別の不採用者等について政府は調査を行ったのか否か、その調査結果についてどのような具体的な指導を行ったのかについて御答弁願います。
  37. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 JRへの職員の採用は、国鉄改革法第二十三条の規定に基づき行われたわけでございますが、JRの設立委員の示しました採用基準に従って、旧国鉄、当時の国鉄が新会社の職員となるべき者の名簿を作成して、設立委員がこの名簿に記載された者のうちから職員を採用することとされたわけでございます。  国鉄においては、設立委員の示した採用基準に従って、新会社の職員となるべき者を客観的かつ公正に選定した旨の報告が設立委員会に行われておりまして、新会社の職員として採用する旨の通知を受けた者は設立委員の採用基準に一致した者であると考えております。その結果、再就職未定となった者、全国で約七千六百名が日本国有鉄道清算事業団に承継され、そこで三年間の再就職対策期間において再就職対策業務が行われたという結果でございます。
  38. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 私の質問に具体的に簡潔にお答えいただきたいと思います。私が質問したのは、一人たりとも心配をかけないような体制をつくると責任ある答弁を首相がした。しかし七千数百名の不採用者が出た。一人たりともというには余りにかけ離れた数である。  この不採用について政府は理由を問いただしたか否か、調査したかどうか。さらに所属組合別における差別についても調査したか否か。この二点についてお答え願います。
  39. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 客観的、公正な採用基準に基づいて採用が行われたと承知しております。  また、組合差別が行われたかどうかについては、今申し上げたような客観的な採用基準に基づいて行われた結果、そのようなことはなかったと承知しているわけでございます。
  40. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ということは、政府として、採用するに当たって事前に積極的な調査はしなかったということですか。直截に答えてください。
  41. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 今申し上げたように、客観的、公正な採用基準に基づいて行われたというように承知しておりますし、また、そのような結果は我々としても認識しているわけでございます。
  42. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 承知しているということの意味は、そちらで積極的な調査をした結果そのような口頭の報告があったという趣旨なのか。質問に明確に答えていただきたいと思います。
  43. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 私どもとしては、客観的、公正に採用が行われたものと当時として把握したわけでございます。
  44. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 私は、調査の有無を聞いているわけです。それに対して、掌握しておるということの意味がどういうことなのか、はっきり答えてください。
  45. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 この採用につきましては、国鉄改革法二十三条に基づいて行われましたので、その二十三条の手続に基づいて公正に行われたと政府として理解しているわけでございます。
  46. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 原稿を読むような答弁は今後はちょっと御容赦願いたいと思います。私が聞いていることに簡潔に責任者の言葉でお答えください。  次に、六十二年の四月の採用におきまして、所属組合別における採用差別が行われている。例えば北海道の場合ですと、国労の所属組合員の五二%が不採用になった。九州の場合は約五七%が不採用になっておる。こういう組合別の採用差別が行われているわけです。ところが、国鉄改革法が国会で審議されるに当たっては、採用差別は行ってはならないという形で発議され、審議がなされております。  例えば、この点に関して当時の橋本運輸大臣は、「所属する労働組合によって差別が行われるようなものであってはならないと思います。」というふうにお答えしておりますし、さらに平井労働大臣は、「ずばり申し上げまして、特定の労働組合の組合員であるとか、また労働組合の正当な行為をしたこと等を理由に新会社への採用を拒否されるというようなことは絶対にあってはならぬと考えております」というふうに、はっきり答弁しております。  さらに、参議院の附帯決議におきましても、附帯決議の第九項でございますが、「各旅客鉄道株式会社等における職員の採用基準及び選定方法については、客観的かつ公正なものとするよう配慮するとともに、本人の希望を尊重し、所属労働組合等による差別等が行われることのないよう特段の留意をすること。」というふうな附帯決議がついております。附帯決議というものは政府が法律を執行、運用するに当たっての基準となる大変重要なものだというふうに言われているわけですが、このような大臣の答弁及び附帯決議を現実に履行するために、政府は国鉄に対してどのような指導を行ったのか、具体的にお答え願います。
  47. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 先ほども申し上げましたように、国鉄改革法第二十三条に基づいて、法律に基づく手続を行い、またその際に、採用基準につきましては客観的、公正なものであるということで行われましたので、結果的に問題はなかったと承知しております。
  48. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ということは、非常に短く聞きますので短くお答えいただきたいと思いますが、それではこのような組合別差別の事実については政府は承知していなかったということなのかどうか、そして承知したのはいつの時点であるかについてお答え願います。
  49. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 当時、附帯決議もあり大臣答弁もあったとおりであり、その趣旨で採用が行われたと現在でも承知しております。
  50. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ということは、組合別差別は現在でも行われていないと政府は考えているということですか。そのような判断をしているということなんでしょうか。
  51. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 個別の案件につきまして、この件に関して中労委で係争中の案件については私どもコメントは差し控えたいと思いますが、当時の採用については客観的、公正に行われたと承知しております。
  52. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 承知しているという言葉の中身を、私は先ほどからもう少し具体的に答えていただきたいというふうに言っているわけでございます。政府としては当時も現在も所属組合別による採用差別は行われていないというふうに認識しているのか。それは調査の結果なのかどうか。その二つについてお答え願います。
  53. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 何度も繰り返しますが、当時は客観的、公正な採用基準に基づいて国鉄が名簿を作成したものと理解しており、今日でもそのような手続が行われたと思っております。ただ、個別の案件については現在係争中でございますのでコメントは差し控えたいと思います。
  54. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ちょっと質問を変えて伺いますが、昭和五十七年前後のことですが、当時国鉄の職場規律が乱れているということで、運輸省が先頭を切って、昭和五十七年の三月から六十年の九月までにわたり、第一次から第八次にわたって職場規律総点検指示というのを行っておりますが、この事実について間違いないですか。
  55. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 具体的な資料は今手元にございませんが、そのような規律の点検が行われたということは聞いております。
  56. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 これは神奈川の運転士配属差別事件における一九八九年七月二十一日松田昌士JR東日本常務取締役の証言なんですが、それによりますと、「運輸大臣が国鉄に対して職場規律の総点検を行うように、どういうものがいったい乱れているのかしっかり把握をし、直していくようにということの強い指示を行いました。」「総点検は八回にわたって行いまして、最後はたしか六十年だったと思いますが、いずれにしても八回にわたって総点検を繰り返し行いまして、それについての是正を各現場に対して指示をし、実際に乗り込んで指導をするという形をとりました。」という、当時の国鉄の職場規律に対する指導についてはこのような大変な意気込みで政府は行っているわけでございますが、この附帯決議及び大臣答弁の履行状況について、このような文書による指示及び現場に乗り込んでいくような調査を行ったか否か、お答え願います。
  57. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 ただいまの文書を私も今初めてお聞きしましたが、今の文脈からいえば、職場に乗り込んでいったというのは国鉄自身の言葉ではないかと理解しております。
  58. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 質問にお答えしておりません。  五十七年から六十年に行ったような点検を、本件附帯決議及び大臣答弁の履行のために文書で指示を行ったか否か。さらに、その履行状況を確認するために現場まで出向いていったことがあるかどうか。この二点について聞いているのでございます。
  59. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 今、詳しいことは調べないとわかりませんので、後ほど別途報告をさせていただきたいと思いますが、私の理解では、運輸省としましては報告は受けたかもわかりませんが、現場にしょっちゅう乗り込んだというような事実はなかったと思います。
  60. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 報告は受けたかと思うということですが、文書による報告を受けたのか、逐次会合等を開いてこの附帯決議を守られるような報告を受けたのか、具体的にお答え願います。
  61. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 附帯決議と直接関連しているかどうかはわかりませんが、そのような労使関係については基本的に当事者に任せる問題でございますから、私どもがしょっちゅう会合を開いて指導したとか、そういう事実は聞いておりません。
  62. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 附帯決議及び大臣の答弁は、行政府が法律が適正に運用されるように守っていく基準になるものだということなわけですけれども、それを当事者に任せるということは、政府はその附帯決議の履行及び大臣答弁の履行状況について任務を放棄したというふうに考えていいことですか。
  63. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 附帯決議や大臣答弁は当然私どもその後尊重して、また、これを我々の行政の範囲内で履行しなければならないものと理解しております。  ただ、労使関係そのものについては第一義的に当事者の問題だということもまた事実でございます。
  64. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 私は労使関係の中身を聞いているのではございません。この附帯決議が守られるためにどのような指導を行ったかということについて、調べなければわからないとお答えになったので、しかし報告は受けたような記憶があるとおっしゃいましたので、その報告はどのような報告であったのか、さらに報告を受けるときの状況について伺っているわけでございます。
  65. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 今直ちにお答えするだけの資料を持ち合わせておりませんので後ほど調べたいと思いますが、ただ、附帯決議、大臣答弁ということにつきましては、これは国鉄からJRに改革されますときの採用の問題だと理解しております。これにつきましては、先ほどから何度も申し上げておりますように、国鉄改革法の第二十三条に基づいて採用基準の制定、それに基づく採用というのが適正に行われたものと理解しているわけでございます。
  66. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 同じ棒読みのような回答は私は望んでおりませんし、質問をよく聞いてお答えになってください。  私が聞いているのは、附帯決議が付され、大臣答弁がなされたのは六十一年の十一月である、しかも採用が決定したのは六十二年の四月である。つまり、その間に四ヵ月以上の期間があって、その附帯決議や大臣答弁が守られるように四ヵ月間にどのような指導をしたかを聞いているわけでございます。それに対して先ほどから同じような回答しかしておりませんので、今後調べるということで、時間もございませんから、まず文書により指導を行ったか否か。さらに、職場総点検指示を八次にわたって、その前は国が行っているわけですけれども、そのときに行ったような強い指導やあるいは現場に乗り込むような事実があったか否か。この二点について必ずお答えいただきたいと思いますが、いかがですか。
  67. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 いずれにしましても、先生御指摘の点は六十二年四月改革前の話だと思いますので、今の附帯決議、大臣の答弁は、国鉄改革に当たって附帯決議の趣旨を尊重するということで、それにつきましては、先ほどから御答弁しておりますように、第二十三条に基づいて公正かつ客観的に行われたということについては私どももその事実を認識しているということでございます。  それ以前の問題につきましては、若干お時間をいただいて調べなければ正確なお答えはここでできませんので、御了解いただきたいと思います。
  68. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 今のことに関連いたしますけれども、橋本運輸相が当時、JRの設立委員の示す基準に従って国鉄が行う選定行為の性格は何かという国会質問に対して、   承継法人の職員の具体的な選定作業は設立委員などの示す採用の基準に従って国鉄当局が行うわけでありますが、この国鉄当局の立場と申しますものは、設立委員などの採用事務を補助するものとしての立場でございます。法律上の考え方で申しますならば、民法に照らして言えば準委任に近いものでありますから、どちらかといえば代行と考えるべきではなかろうかと考えております。というふうに、国会に責任を負う国務大臣の答弁として答弁しているわけでございます。このような大臣答弁に対して、平成元年二月十六日付長野地方労働委員会提出のJRの代表取締役住田氏の陳述書によりますと、この大臣答弁から見れば、   採用は国鉄が設立委員に代わって行った、また一体となって行ったという見方もこれによっているもののようである。法律の解釈に当たり、立法者の意思は解釈の資料となるものではあるが、これは通常政府委員の説明や起草委員の解説書を中心としてなすものであり、大臣答弁は一般的な理解を助けるための便宜な表現を用いることもあるから、解釈の基準とすることは殆どない。  というふうに、大臣答弁は法律解釈の基準にはなり得ないという、非常に愚弄するような文書を地方労働委員会という行政機関に出しているのでございます。これに対して、憲法六十六条三項に基づいて国会に責任を負う国務大臣としてはどのように思うのか、大臣にお答え願います。
  69. 大野明

    ○大野国務大臣 大臣答弁というものは、やはり各省におるというか各行政機関の長として、その当該行政機関の意思の表明、こういうふうに思っております。
  70. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 つまり大臣答弁は、憲法六十六条三項に基づけば、内閣は国会に対して連帯して責任を負う、この内閣は総理大臣以下国務大臣を指すわけですが、最終的な法運用上の責任を示すものというふうに解釈されるわけですが、そのように解釈していいということでしょうか。大臣にお答え願います。
  71. 大野明

    ○大野国務大臣 そのように考えております。
  72. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ついでに、大臣にお答え願います。  附帯決議について、さまざまな立法において附帯決議が付されておりますが、これは法を責任を持って執行、運用する立場にあるものがその基準を示すものというふうに解されておりますが、そのように大臣もお考えか否か、お答え願います。
  73. 大野明

    ○大野国務大臣 附帯決議というものは国会の御意思でありますから、私どもはその趣旨を尊重していくべきものと思っております。
  74. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 今の大臣の御答弁で、附帯決議及び大臣答弁というものが国会審議において大変重要な位置を占めるというふうに解釈されるということがわかって安心したわけでございます。  さらに大臣にお答え願いたいのですが、採用に当たって、このような附帯決議及び大臣答弁に反するような組合差別、組合間の差別のある採用が行われたということが各三十五地労委において認定されているわけですが、このような事実に対して今の答弁の関連からいってどのようにお考えでしょうか。
  75. 大野明

    ○大野国務大臣 現在、中労委において係争中でございますので、私としてはコメントを控えさせていただきたいと思います。
  76. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 地方労働委員会の決定というものは、地方労働委員会は行政機関でありまして、行政行為に当たるわけでございます。つまり行政処分でございます。行政処分というものは、権限のある行政庁が職権でもって取り消すとかあるいは一定の争訟手続によって争った結果取り消されたというまでは、相手方はもちろん、行政庁、第三者についても拘束力がある。そうしなければ行政目的の迅速かつ確実な達成ができないということから、このような行政行為の公定力と言われるものが付されているわけです。ということは、今中労委で争われていても、この地労委の決定は法律上有効であり、行政庁としてはその行政目的、国家目的を積極的に実現するための努力をしなければならない、こういうふうに言われているわけですが、この点について大臣はいかがですか。今の行政行為の公定力との関連で大臣にお答えを願います。     〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 大野明

    ○大野国務大臣 労使問題でございますので、今労働省から答弁させます。
  78. 高橋柵太郎

    ○高橋説明員 先生既に御案内のように、地労委の救済命令につきましては、これに不服がある使用者は行政訴訟を提起することも、中労委に再審査の申し立てをすることも認められているところでございまして、その場合、裁判所によって緊急命令が出される場合を除きましては、使用者に命令の履行を強制する仕組みにはなっていないところでございます。こういう労組法の体系でございますので、これを総合的に勘案いたしますと、地労委の救済命令については、いまだ確定しない間は使用者の任意の意向にまつべきものというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、JR各社に対する地労委の救済命令については現在中労委等で係争中でございますので、とかくの見解を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  79. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 中労委で係争中のことは公知の事実でございますが、地労委の決定が行政行為であり、現在も有効である。強制的に履行させることはできないにしても、行政府としては当然守るように指導しなければならない立場にあると思いますが、JR各社に対して指導を行ったか否か、行っていないとすればその理由についてお答え願います。
  80. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 運輸省としましては、係争中の案件でございますから、コメントを差し控えるという立場から指導等は行っておりません。
  81. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ということは、行政処分が現在も有効である、しかも、有効である行政行為を履行させるための指導監督等を全く行っていないということでしょうか。もう一度確認的にお伺いいたします。
  82. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 中労委で現在係争中の案件でございますから、指導その他は行っておりません。
  83. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 北海道議員団及び国鉄清算事業団の家族、当該労働者、たくさんの者が陳情に行ったりいろいろな動きをしたと思うのですが、運輸省としては、JR各社に対して何らの指導を行っていない。理由はともかく、その事実についてそういうふうに受けとめていいのですね。
  84. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 私のところにもいろいろ要望、陳情においでになりました。そして、その段階においてはまだ再就職対策期間でございましたから、私ども、最後の一日まで再就職対策について万全を期す旨お答えしたわけでございます。
  85. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 陳情団に対してそのようにお答えしただけであり、JR各社に対しては積極的な指導は行っていないということですね。
  86. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 係争中の労使関係の問題でございますから、我々の立場としてはとかく指導すべきでないと考えております。
  87. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 事実に対しては事実をもってお答え願いたいと思います。では、指導は全く行っていないというふうに受けとめていいということで、次に進めます。  次に、各地労委及び中労委に上がったところでも、JR各社は当事者適格を争っているわけです。つまり、国鉄の行った採用における選別とJRへの効果帰属は別だということで当事者適格を否認しているわけでございますが、これは先ほど読み上げた橋本運輸大臣の答弁、つまり国鉄はJR各社の代行というような形で、民法的には準委任という形で選別行為を行ったという、この大臣答弁と反するJR各社が主張を行っているわけですが、これについて運輸省としてはJRにこの問題についての指導を行ったか否か、この事実についてお答え願います。
  88. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 行っておりません。
  89. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ということは、大臣答弁と反するJRの主張についてもそのまま放置しているというふうに考えていいということですね。
  90. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 現在法律解釈が争われておりますが、大臣答弁に反するかどうかというようなことについて争われているかどうかについては承知しておりませんが、その問題は係争中でございますのでコメントを差し控えたいと思います。
  91. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 それでは直接的にお伺いします。大臣答弁及び地労委の決定、行政処分として有効性を持った地労委の決定はこの当事者適格を認めたわけですが、それについて運輸省としてはどういうふうにお考えなのか、はっきりお答え願います。
  92. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 大臣答弁について直接的に認めたかどうかというようなことについては、私そのような解釈があるとは存じておりませんが、それに関連して二十三条が争われているとすれば、その解釈は現在係争中でございますので、コメントを差し控えたいと思います。
  93. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 そういうことを聞いているのではなくて、大臣答弁に対してじゃあなたは否定する、つまり大臣答弁もおかしいのではないかというふうに考えたということなのか、さらに有効な行政処分である地労委の決定に対しても疑問を持っているという趣旨なのか、そのどちらか、はっきり答えてください。
  94. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 大臣答弁、先ほど御指摘の点につきましては、法律上の考え方で申しますならば、民法に照らしていえば準委任に近いものでありますから、どちらかといえば代行と考えるべきではなかろうかと考えております。このような大臣答弁は現在も当然大臣の答弁として生きているものと私ども理解しておりますが、これが係争中の案件にどのように解釈されるかということについては、コメントを差し控えさしていただきたいということでございます。
  95. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 係争中であっても、この地労委の決定は大臣答弁をそのまま認める形で決定が出ており、それが法律上は有効であるという現実があるわけですよね。それに対してコメントをしないということはどういう趣旨なのか。全く考えていないということなのか。コメントを差し控えるということは、行政府として義務を履行する立場の任務の放棄だと思いますが、大臣にこの橋本運輸相の大臣答弁及び地労委の決定における所見をお願いいたします。大臣にお答え願います。
  96. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 労使関係の紛争処理につきましては、地労委、中労委というような機関がございますので、そこで争われている場合においては、労使関係という問題の性格から、私ども、今までも答弁をさしていただいてまいりましたようにコメントを差し控えるというのが適切だと考えております。
  97. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 時間がないので次に進みますが、さらに清算事業団はこの三月大量な解雇を行ったわけでございますが、このような解雇に当たって政府は事前に清算事業団から相談や報告を受けていたかどうか、そして受けたとすればどのような指導等を行ったかについてお答え願います。
  98. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 清算事業団に対しては最後まで再就職対策に万全を期するように指導いたしましたし、また、その再就職期間が過ぎた場合には解雇することもやむを得ないということで、この解雇については正当な手続で行うということについては清算事業団からも説明を受けていたわけでございます。
  99. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 ということは、千四十七名の解雇者が出るということについて、運輸省としては事前に報告を受けていたということでしょうか。
  100. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 人数につきましては、今申し上げましたように、最後の一日まで一人でも多くの再就職者が出るように努力するように指導したわけでございます。
  101. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 北海道の場合を例にとりますと、現在でも基本計画から見て七百三十八名の欠員がおります。しかしJR北海道は採用せずに五百二十一名を解雇した。しかもこの冬、昨年の十二月からことしの二月にかけてですが、保線区要員が大変激減したために例年の三倍以上の踏切事故が多発している。ことしがたまたま一昨年、その前の年よりも若干雪が多かったというだけでこのような事故が起きている。この事態について運輸省としてはどのようにお考えなのかお答え願います。
  102. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 まず安全というのは輸送の基本でございますから、一方で、特にJR北海道等の場合には、今後鉄道の経営を安定化していくためにはできるだけ効率的な運営をしなければならないのも事実でございますが、安全対策については絶対手抜きをしないということで指導しているところでございます。  また、最近JR北海道でも今指摘されましたような踏切事故が出ておりますが、踏切事故につきましてはいろいろな対策、もちろん保安設備整備等も必要でございますが、同時に一種踏切でも事故が生じているということで、踏切における交通安全ということについて、関係省庁と十分協議してその対策に万全を期すように指導しております。
  103. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 最近、中央労働委員会が国労及びJR各社に対して和解勧告を行ったということが伝えられているわけですけれども、JR各社からこの和解についての相談を運輸省は受けているかどうか。さらに、この和解勧告についてどのような指導を行っているのか。次いで、時間がないので三つ目には、このような事態に対して最もいい具体的な解決はどのような形であるというふうに考えているのか。労働省、運輸省、両方からお答え願います。
  104. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 最近、中労委で関係者から事情聴取が行われたということは承知しておりますが、和解勧告が行われたということは聞いておりません。また、そういうことでございますから今具体的にJRに対して何ら指導その他を行っておりませんし、和解も含めて中労委で行われていることについては、労使間の問題でございますから、これについては私どもコメントを差し控えるという立場でございます。
  105. 高橋柵太郎

    ○高橋説明員 現在、中労委ではJR関係の再審査申し立て事件の処理の仕方について非公式に関係者から意見を聴取しているというふうに聞いているわけでありますが、具体的には既に五月十六日に国労、五月十八日に全動労、六月五日にはJR各社から意見聴取をしているというふうに聞いております。  なお、JRからの個別的な報告、相談等は現段階では直接受けていないところでございます。  労働省といたしまして、JR各社の労使紛争、これは当事者間の話し合いを基本とした円満な解決が図られることを望んでいるところでございます。JRの労使関係については、御承知のように全国にわたりまた複雑、微妙な問題を抱えている現状でございますが、ただいま申し上げました中労委の動向を見守りながら、円満な解決に向けて環境整備のために引き続き誠意を持って当たってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  106. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 今の点に補足的なんですが、JRでは、そのような労働省の方針にもかかわらず当事者間の円満な解決の団体交渉をかたくなに拒んでいるという事実がございますが、それについて労働省の方で団体交渉を持つように指導しているのかどうか、今後の姿勢も含めて最後にお答え願います。
  107. 高橋柵太郎

    ○高橋説明員 ただいま先生から御指摘がございました団体交渉あるいはその拒否云々の事実につきましては、詳細は承知をしていないところでございます。  労働省としまして、先ほど申し上げましたように、中労委の動向を注意深く見守りながら円満な解決に向けて引き続き細心の注意を払って、糸口を探る努力を続けていきたいというふうに考えております。
  108. 伊東秀子

    伊東(秀)委員 終わります。
  109. 渡辺栄一

  110. 常松裕志

    常松委員 引き続きまして、清算事業団における千四十七名の就職未内定の方々に対する極めて過酷な解雇につきまして、御質問をいたしたいと存じます。  清算事業団の石月理事長にお伺いをいたしたいわけでありますが、ことしの三月三十一日の前杉浦理事長の談話については恐らく御承知だろうと存じますが、その中で杉浦理事長はこんなふうに申しております。「とりわけ、地方労働委員会命令にとらわれ、自身の雇用確保に向けて決断の機会を失った職員が数多くいたことは遺憾であります」、こういう趣旨の談話を発表いたしておりますが、これについて御承知をしていらっしゃるかどうかということが一つ。  同時に、この談話は、本来事業団法第一条によって清算事業団の目的とされた再就職促進業務について、みずからの責任を放棄して、そしてその責めを職員の方々に帰す、こういう中身でありますし、同時に、地方労働委員会の決定に対して批判的といいますか、少し強く言えばこれに背く形で、遵守の立場ではなくてこれに背くという趣旨の談話になっていると承知をしておりますけれども、石月理事長も、このような談話の趣旨について同様のお考えを持っていらっしゃるのかどうかという点についてまずお伺いをいたします。  と同時に、清算事業団として職員の再就職につきまして尽くすべきことは尽くし切った、こういうふうにこの決算委員会の席上で、いわば三年間を振り返って尽くすべきものは尽くし切った、こういうふうに断言できるのかどうかという点をひとつお伺いをいたします。
  111. 石月昭二

    石月参考人 事業団は、発足以来、政府を初め関係各方面の御理解のもとに、職員の再就職のために最大限の努力を果たしてきたわけでございます。議員既に御承知でございますから細かいことは申し上げませんけれども、私どもとしてはやるべきことはすべてやってきたというぐあいに確信をいたしております。  杉浦理事長がどういうお考えでこういうコメントをされたかということは私が申し上げる立場にはございませんけれども、私が推測いたしまするに、杉浦前理事長も、やるべきことは全部やった上での感想としてこのような発言があったのではないかと受けとめておるところでございます。
  112. 常松裕志

    常松委員 談話についてもう一つだけ伺いますが、地方労働委員会の命令に対して、最も穏やかな表現でも、この地方労働委員会の命令に対してやや批判的、そして千四十七名の方々の解雇については責めは職員の方々にある、このように私は読み取れるのですけれども、この点について、御同様に理事長がお考えかどうかという点について伺います。
  113. 石月昭二

    石月参考人 杉浦前理事長の発言は、地方労働委員会の命令を批判したものだとは私は考えておりません。  いずれにいたしましても、長年働いてこられた職員の皆様方に生活と雇用の安定が大事であるということを非常に強く考えておる、しかし、たまたまそこで地方労働委員会の命令が出たので、すぐまた原職に戻れるのではないかというような気持ちを持った人がおるのではないか。地方労働委員会の命令はさておいて、ともかく生活と雇用の安定のために、我々のあっせんする再就職を受け入れてくれることを望んでおったというぐあいに私は受けとめております。
  114. 常松裕志

    常松委員 石月理事長の御答弁は極めて私は納得いくわけでありまして、まさに職員の方々は、あの地方労働委員会命令が出たときに、この地方労働委員会の命令があるならばJR北海道に採用されるであろうというふうに期待をしたわけであります。したがって、その後そのことを期待をして約一年間ぐらい生活をしてきたわけでありますけれども、その後、石月理事長がおっしゃるような形で本当に再就職活動が行われたかどうか、その点を後で具体的にただしたいと思います。  しかし、その前に、先ほどの伊東さんの質問もございますので運輸省に少しお尋ねをいたしますが、先ほど伊東さんからもお話がありましたが、昭和六十一年十一月二十五日に、安恒参議院議員の特別委員会における質問に対して、橋本運輸大臣の答弁があります。つまり、所属する労働組合による差別は行ってはならないという答弁であります。同時に、附帯決議その他は先ほど来議論されているとおりですけれども、さてそうだとしたら、その清算事業団の発足時において、北海道あるいは九州において所属労働組合による採用差別が行われたのではないか、こういう趣旨の伊東さんの質問だったのですけれども、ぜひひとつ運輸省から、JR北海道及び九州の採用における所属労働組合別の状況を資料としてお出しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 私、今までそういう資料を見ておりませんので、あるかどうか調べてみたいと思います。
  116. 常松裕志

    常松委員 大塚さんも御存じのとおり、この採用に当たっては何らかの文書が採用の基準として用いられたというふうに私は理解をしております。それは申し上げるまでもなく、採用に当たっての職員管理調書でありますけれども、この職員管理調書に基づいて採用が行われた、あるいは基準にされたという点については運輸省も御存じのとおりです。したがって、この管理調書によって十分この点については明らかにすることができるのではないか、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  117. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 私どもが認識している範囲におきましては、これは先生も御案内のような採用基準というものが設けられまして、この公正、客観的な採用基準に基づいて国鉄が採用名簿をつくったということでございます。
  118. 常松裕志

    常松委員 したがって、そういう調書があるわけですから、所属労働組合別の採用状況について委員会に報告をすることができるはずだと思います。御報告をしていただけるのかどうかという点について御答弁をお願いいたします。
  119. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 私も組合がつくったようなものを見た記憶はございますが、委員会に御提出できるようなものがさかのぼってあるかどうかについて調べてみたいと思います。
  120. 常松裕志

    常松委員 この点が、先ほどから伊東さんと大塚さんとの間の議論がありますけれども、運輸省の方からきちっと出してもらわない限り、幾ら抽象的なやりとりをやっていても明らかにならないと思うのです。つまり、大臣答弁に基づいて実施されたその採用が差別なく行われたかどうかということにつきましては、当然その資料をつくることができるだけの材料は運輸省あるいはJRは持っているわけですから、それに基づいて報告をすることができるはずでありまして、きょうできなければ、しかるべき決算委員会に報告をするというふうにひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  121. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 私が調べてみると申し上げましたのは結果的に組合別にそういう資料が出ているかどうかでございまして、我々が知る限りにおいて組合別の資料に基づいて採用基準が決められた等ということではないと理解しておりますので、そういう意味での資料というのは現にないと私ども理解しております。
  122. 常松裕志

    常松委員 これは余り長くやっていてもしようがありませんから、国鉄労働組合が作成した、そして国鉄労働組合が組合別のJR北海道と九州の採用状況を調べた表が、資料がございます。委員長、お許しをいただければこの資料を大臣及び委員の皆様に御配付をいただきたいのですけれども、ひとつお願いいたします。
  123. 渡辺栄一

    渡辺委員長 結構でございます。
  124. 常松裕志

    常松委員 ただいま配付をしていただいている資料は、ただいま申し上げましたように国鉄労働組合が作成した資料であります。  まず最初に北海道、九州における採用状況について記載がされております。  北海道の場合には、総数一万七千六百二十八人の方々がJR北海道に採用されることを希望した。その中で鉄道労連が八千十六人、国鉄労働組合が五千八百五十一人、鉄産労が二千七百四十八人、全勤労が一千十二人、こういう希望者を合計して一万七千六百二十八人でありますが、そのうち不採用になった方、鉄道労連はわずか四十七名、これに対して国鉄労働組合は三千四十四名、鉄産労五百七十四名、全勤労七百二十八名ということで、鉄道労連は採用率が九九・四%、国鉄労働組合は四八・〇%、鉄産労は七九・一%、全勤労二八・一%ということです。九州の場合はさらにひどく、鉄道労連の採用率は九九・九七%、国鉄労働組合は四三・一%、鉄産労は八四・四%、全勤労は三二・〇%の採用率ということで、この国鉄労働組合がつくった採用状況調べによれば労働組合による差別は歴然としている、こんなふうに思います。  さらに、右側にあります表はJR北海道における追加採用の際の採用実績の表であります。これを見ても追加採用、つまりJRが発足した後の採用で、採用率だけを読み上げますと、国労は四・三%、全勤労は一・一%、鉄産労は三八・五%、鉄道労連が三八・三%ということで、明らかに採用において労働組合別の差別が行われているというふうに、私はだれが見ても明らかだろうと思います。  そこで、運輸省にお尋ねいたしますが、この資料につきましてぜひ調べていただきたい。この資料が語っているような状況であるかどうかという点について運輸省に調べていただいて、そして委員会に御報告をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  125. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 先ほども申し上げましたように、過去にさかのぼった資料でございますので、よく調査させていただきます。
  126. 常松裕志

    常松委員 先ほどから申し上げておりますけれども、運輸省は資料を出さない。出さないと言っていませんけれども、そこで私の方でこれを出した。これについて正確かどうか、あるいは傾向だけでもいいです、正確かどうかという点についてお答えがない限り、大臣答弁の、労働組合による差別は行われなかった、清算事業団の三年前の発足時にそういう採用差別は行われなかったということが明らかにならないと思うのです。そうしませんと、清算事業団のこの三年間の業務の中身について私はただすことができません。つまり、清算事業団発足時に清算事業団に配属された当時の国鉄職員の方々が、清算事業団職員の方々が一体どういう状況だったのか、どういう心理に置かれていたのかという点は、この採用状況において国鉄労働組合あるいはそのほかの労働組合による差別が行われていたかどうかという点がはっきりしませんと、私は清算事業団の理事長だけの責任がどうかという点が審議ができないと思うのです。  委員長、お願いでございますけれども、運輸省に、ただいま私がお配りをした資料が正確なものであるかどうか、全く正確でないにしても傾向として正確であるかどうか、この点については幾らだって調べる方法はあるはずですから、ぜひ委員長の御判断で運輸省に指示をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  127. 大野明

    ○大野国務大臣 今資料をちょうだいいたしましたが、私どもの方としてもでき得る限り調査をさせていただこうと思います。
  128. 常松裕志

    常松委員 委員長に要望しておりますから、ひとつ理事会で諮っていただいて、運輸省に対してこの資料について回答するようにお諮りいただけませんでしょうか。
  129. 渡辺栄一

    渡辺委員長 大臣が今答弁をしておられますから、それでいかがですか。それでは理事会で協議いたします。
  130. 常松裕志

    常松委員 それでは理事の皆さん、ぜひひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、清算事業団の業務についてお尋ねいたします。つまり、先ほど石月理事長の冒頭の答弁にかかわるわけでありますが、その前に、今私はこのような採用差別の実態の中で清算事業団が発足をした、特に北海道において発足をしたというふうに考えているわけであります。したがって、全体として、清算事業団としては非常に困難な状況の中で、いわば職員の皆さんの非常に不信感といいますか、あるいはなぜおれが首切られちゃったんだろう、どうしてJRに採用されなかったんだろうと、そういう非常に不信感の積もった心理的な状況で、三年前の三月十六日から四月一日を迎えたことだろうと私は思っているのです。  結果として、清算事業団の再就職の活動の対象となった職員の方々は七千六百三十人いらしたわけですけれども、理事長、そのうち千四十七名の方々が結局就職しないで解雇されたわけです。これだって七名のうち一人ということですから相当高率でありますけれども、全国の支所の中でいわば解雇者の比率が非常に高かったといいますか、あるいは再就職をしていった方が最も比率的に見て少なかったという支所の一つとして、稚内の清算事業団の支所はそういう支所だというふうに聞いているのですけれども、そのとおりでしょうか。
  131. 石月昭二

    石月参考人 稚内では百十六名が再就職の対象の要員としておったわけでございますけれども、就職をしました人はそのうち約三十四名でございます。全般的に見て、稚内の場合は就職した人が非常に少なかったということが言えると思います。
  132. 常松裕志

    常松委員 そこで、私は、稚内を一つの例として清算事業団の業務全般について稚内だけで全体をはかるのはやや酷かなという気持ちはいたしますけれども、しかし、逆に言うと、稚内で非常に解雇者が多かった、再就職をされた方が少なかったということは、清算事業団の業務のいわば問題が集中的に稚内にあらわれているのじゃないか、そんなことがございますので、少し稚内の問題を取り上げてお尋ねをいたします。  稚内の職員は三月十六日に清算事業団の職員として配属されたのですが、理事長、そのときに、先ほどの私の運輸省に対する資料要求ともかかわりますけれども、その清算事業団に配属された職員の方々は、いわば心ならずも配属をされた、本来だったらJRの北海道に行きたかったのだけれども、心ならずも清算事業団に配属をされたというふうにお考えでしょうか。あるいは希望して喜んで清算事業団に、稚内に、あるいは稚内だけじゃありませんけれども、これは全般的に配属をされたというふうにお考えでしょうか。過去のことを、あるいは他人の立場になってみると言っても少し酷かなという気はいたしますけれども、御認識として、つまりそういう事業を推進するに当たって七千六百三十人の方々に、清算事業団の最高責任者、当時で言えば杉浦理事長ですけれども、どういう気持ちで対していたかということでありますので、その点をひとつお伺いしたいと存じます。
  133. 石月昭二

    石月参考人 当時稚内に配属されました百十四名の方々は、三月十六日に委員御指摘のように配属されておりますけれども、これは当時の国鉄が配属したものでございまして、JR北海道に移行するに当たり、JR北海道に採用されなかった方々でございます。
  134. 常松裕志

    常松委員 ですから、それはわかるのですけれども、その方々は、JR北海道を希望していたけれども心ならずも稚内の清算事業団に配属されたというふうに、これは稚内だけではありませんで全般的にですけれども、各支所全般として、この七千六百三十人の方々に対する清算事業団の本部の考え方としてそういう考え方であったか。つまり、喜んで清算事業団に来たんだということだったのか、それとも、本当はJRで、鉄道で働きた、かったのだけれども心ならずも清算事業団に配属をされてしまった、そういう心理状況にあるなというふうに推測をしながら清算事業団の再就職あっせんの活動が始まったかどうかという点ですので、その点の御認識をひとつお伺いをいたします。
  135. 石月昭二

    石月参考人 稚内の雇用対策支所が発足しまして再就職活動をいろいろやったわけでございますけれども、多くの職員がJRの原地原職に返せという要求をずっとやっておりましたので、そういう事実から判断をいたしますと、希望して行ったわけではないと思っております。
  136. 常松裕志

    常松委員 それはまた先の話でありまして、発足をしたときの認識を聞いているのです。発足をしたときの認識として、配属された職員の方々は心ならずもだったんだというふうに認識しているかどうかですから、理事長、端的に答えてください。
  137. 石月昭二

    石月参考人 ほとんどの人、中には退職をしまして自営業を選ぶとかほかの民間企業に就職するという人もおられたわけでございますが、ほとんどの人がJRを希望して採用されなかった人が行ったわけでございますので、喜んで行ったというぐあいには考えておりません。
  138. 常松裕志

    常松委員 本当にそのとおりだと思うのです。そこから、そういう認識のもとに清算事業団が恐らく再就職の事業を始めなければおかしかった、そういうふうに私は思うわけでありますけれども、この稚内の場合、これは八七年の五月二十一日に安恒参議院議員が参議院の運輸委員会でお取り上げになっていらっしゃって、私もこの議事録を最近読んで驚いたのですけれども、実は三月十六日に稚内の支所が開設されたときに、そこに労働安全規則の六百条で言えば三十二人しか入れることのできない部屋に百十八人もの方々を押し込んだ、そして稚内の支所が発足をした。  これについて安恒議員が取り上げまして、またそれ以前に、稚内の清算事業団の職員の方々が当時の支所長に対して改善をしろという要求をして、それが聞き入れられるところとならず、そして労働基準監督署に訴え、労働基準監督署からの命令その他で、四月二日ですから約半月余りたってようやく一部の改善がなされた。しかし、最終的にこの問題について改善をされるのは、安恒議員が国会で質問をなさった後で、それまで改善がされずに残ったというこの事実があるのですけれども、こういう状況について、安恒議員がその発言の中でこう言っています。  事業団は一体どういうつもりなんだ、「気持ちよく職業訓練が受けられて、一日も早く再就職ができるように温かい配慮」、こういうふうに安恒議員は言っているわけです。そういう配慮をしろという発言をこの労働安全規則の違反問題に絡んでなさっています。そして、それについて橋本運輸大臣も、また当時の杉浦総裁も、その御趣旨に沿って努力をするという趣旨の答弁をしているわけです。  しかし、じゃ一体稚内においてその趣旨に従ったような改善が当時なされたかどうかという点について、清算事業団の経過をお伺いいたしたいと思います。
  139. 石月昭二

    石月参考人 御指摘のように、当時の国鉄から三月十六日に百十六名の人が旭川管理局の総務部勤務ということで、清算事業団の雇用対策支所の建物として四月一日以降に使われた建物に来たわけでございますが、そちらは労働安全衛生規則によりますと約三十四名の収容能力しかなかったということは事実でございます。清算事業団が発足いたしまして直ちにその改善に取りかかりまして、四月三日には労働安全衛生観則の基準に適合するように直してございます。
  140. 常松裕志

    常松委員 それは違います。それは理事長、違いますから、後で調べてください。四月三日には一部の改善はされましたけれども、最終的に改善をされて安全規則どおりに職員がそれぞれの部屋に入るようになったのは、安恒さんの国会における追及の後です。これはもう調べればわかることですから。と同時に、運輸省あるいは委員の皆さんにそういう実態が稚内において行われたということをぜひ御理解をいただきたいわけです。そこで、その稚内ですけれども、時間がありませんから問題だけ申し上げますと、一番典型的な問題は、運輸省が努力をして第一次から第四次までの広域採用を行いましたね。稚内においては広域採用に応募する数が極端に少のうございました。なぜかなと思って私が調べましたところ、二次、三次、四次とも当時の稚内支所においては個人面談が行われていない。つまり広域採用に応募してくれというふうなことで、当時の支所長と職員の方との間の対面点呼、毎朝顔を合わせて「ひとつこうやってくれ」ということも行われていませんし、全職員を対象としての個人面談も行われていない。こういうことですから、二次、三次、四次、政府がどんなに努力をしたって職員から応募が出てくるわけがないのです。政府は、あるいは杉浦総裁は、就職をしようとしなかった方が悪いと言うのですけれども、稚内では二次、三次、四次の広域採用、いずれも事実問題として、清算事業団の支所としては職員の方々に対して個人面談、したがって就職を具体的にあっせん・指導する、こういったことは行われていないということがありますけれども、いかがでしょうか。
  141. 石月昭二

    石月参考人 稚内支所におきましては、地元のJR北海道への採用に固執する方が非常に多うございまして、面談に応ずる人が非常に少なかったことは事実でございます。  しかし、現実には、事業団といたしましては個人面談を極力進めまして、JRの第二回の広域追加募集等に応じている人もいるわけでございまして、全然ないというわけではございません。最大限の努力をいたしてまいりましたけれども、応ずる人が少なかったというのが事実でございます。
  142. 常松裕志

    常松委員 石月さんにお聞きをするのはあるいは酷なのかもしれませんけれども、私がお尋ねをいたしておりますのは、事実問題として、二次、三次、四次の広域採用が、稚内においては、全職員の方々を対象にしてのとにかく対面点呼さえ行われていないのですから、全部文書だけですから、掲示だけですから、一人一人の職員の方々とひざを突き合わせて、二次、三次、四次の広域採用に応募してくれとか、せっかく政府のやったこういう施策だからということで、就職の指導・あっせんがされていなかったではないかということを聞いているのです。だから、やっていたか、いなかったかだけを答えてくだされば結構です。
  143. 石月昭二

    石月参考人 先ほども申し上げましたように、稚内の支所では国鉄の民営・分割に反対するという考え方の方が多うございましたので、それで北海道地労委のJR北海道に対する地労委命令が出たころから抗議行動が非常に激しくなりまして、管理者がなかなか部屋に入れない、つるし上げを食う状態になりましたので、やむを得ず、求職事項とかそういう伝達事項につきましては掲示による点呼をやってきたわけでございます。そういうことで情報の提供は極力やってきたところでございます。  それから、面談につきましてやっていないという御指摘でございますけれども、面談には二種類ございまして、一つは計画面談と申しまして、時間を決めて一人一人来ていただいて就職相談をするという面談、これは先生御指摘のように全員が拒否をしたケースがずっと続いております。しかし、随時に個人を呼び出して面談をした実績は相当ございまして、合計で延べ六百七十七人の面談をやっております。  計画面談につきましては、ただいま申し上げましたように全員が拒否をするというような状態でございましたので、第一回目に二十七人、第二回目に一人、最後の第十五回目に一人と、わずかに二十九人の計画面談が行われたにすぎません。
  144. 常松裕志

    常松委員 理事長、それは違います、それはぜひ調べてもらいたいのですけれども、事実が違います。  まず、今お話があっただけでも二つ事実が違います。地方労働委員会の命令が出たのは八九年一月二十日です。しかし、稚内で対面点呼及び個人面談を中止をしているのは一月九日からですよ。地方労働委員会の命令が出る前ですよ。前から個人面談と対面点呼は中止になっているのです。しかも、その対面点呼を中止する、個人面談を中止するという方針を稚内支所に対して旭川の支部が指示をしたのは十月二十一日のことです。前の年の十月二十一日にもうそれはやるなという指示をしているのですよ。しかも、その十月二十一日に旭川雇対支部長西村氏がそういう指示をした際に、こういう指示までしています。稚内については資格の取得について制限をしろ。これまでは希望者に対してはほとんど資格の取得をさせてきた。ところが、この十月二十一日以来、西村支部長は稚内支所長椎各氏に対して、稚内については資格についてはほかとは別途だ、そしてしかも、民間に就職をする内定の出ている者以外は資格の取得をさせるな、こういう指示をしています。  こうなりますと、これは二つの点で政府がつくりました基本計画にも反していますし、ましてや清算事業団の実施計画にも反していますし、しかもこの国会で審議をされた、安恒さんが非常に御苦労なさって気積、空間問題を取り上げて以来、順調にやるためには温かい配慮をもって臨めと言ったことに反して、清算事業団の方が対面点呼を中止し、個人面談を中止しているじゃありませんか、これが稚内の実情じゃありませんか。
  145. 石月昭二

    石月参考人 対面点呼の中止、個人面談の中止というのは、先ほど申し上げましたように抗議行動が激しくて管理者が危険を感ずるというような状態が続いたからだというぐあいに理解しております。(常松委員「では、それは地方労働委員会の命令の後だというのですか」と呼ぶ)それは後ほど調べます。  それから資格取得についての教育でございますが、これにつきましても受講を拒否する人が非常に多うございまして、その結果、受講者が少なかったということは事実でございますけれどもゼロではございませんで、稚内支所におきましても二十四名が延べ三十九の資格取得等の教育訓練を受講しておるところでございます。
  146. 常松裕志

    常松委員 受けていることはそのとおりですよ。個人面談を受けていますよ。資格の取得もされている方はいますよ。みんなが拒否していたわけじゃないのですよ。そういう方々はちゃんと資格の取得もしているし、個人面談だって応じているのですよ。そういう形で稚内だって進んでいる。ただ問題は、清算事業団の方が資格の取得について八八年十月二十一日から制限したのです。これはもうはっきりしています。そして一月九日からは、地労委命令の出る前ですよ、対面点呼をやめたのです。つまり、基本計画及び国会の審議に従って職員の皆さんに対して本当に万全の配慮をしながら就職あっせん活動を行うというこの趣旨が稚内においては行われていなかったということでありまして、ぜひこれは食い違っておりますから御答弁いただきたいのですが、時間がありませんので最後に一言だけ。  そういうわけで運輸大臣、非常に稚内では異常な事態です。その中で七十三名が解雇された。私は七十三名の方々は本当に犠牲者だと思っているのです。JR北海道には今、基本計画の人員と現在のJR北海道が擁している人員との間には随分差があります。七百四十名ぐらいの差があります。ここにそういう稚内の方々も含めて全員採用する。それは地方労働委員会の命令でもあるわけですから、そして国会における一人も路頭に迷わせないという約束でもあるわけですから、そして今私と石月さんとがやり合ったように、そうした異常の事態の中で生じてきた解雇者であるわけですから、ぜひひとつ運輸大臣、JRを指導していただいて、この方々をJR北海道に採用していただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。  あと、石月さんの方からは文書その他で御回答いただければと存じます。  終わります。
  147. 渡辺栄一

  148. 田並胤明

    ○田並委員 田並でございます。  きょうは、例の国連障害者十年の行動がいよいよ最終年まであと二年でございますので、運輸省にかかわる障害者対策、特に障害者が健常者と同じように移動・交通の権利が保障されるという立場から、今日までの運輸省の取り組み並びに総理府の中にあります推進本部、これらの取り組みについてお聞かせを願いたい、このように思います。  きょうは忙しいところ総理府の皆さんにもお越しを願いまして、大変ありがとうございました。  まず総理府の方にお聞きをしたいのですが、今申し上げましたように、障害者の完全参加と平等を実現をするために一九八三年、昭和五十八年を初年度とする国連障害者十年という行動が始まったわけでありますが、いよいよ最終年まであと二年ということに相なったわけであります。そこで、この間、政府の方では昭和五十七年、内閣総理大臣を長とする障害者対策推進本部をつくりまして、具体的な長期計画を策定をされて、障害者対策を総合的、全般的に進められてきたわけであります。もちろんこれは国民の皆さんの理解と協力なくてはできないわけでありますが、一定の成果を上げたというふうに私ども評価をするわけであります。  さらに、この長期計画年度途中で、十年の行動計画の中の中間年次で、中央身心障害者対策協議会から、これまでの実施の評価であるとか今後の重点施策について意見具申を受けて、長期計画の後期重点施策を策定をされて、一層の障害者対策を今日まで推進をしているわけであります。この後期重点施策の中で特にお尋ねをしたいのは、障害者の健常者と同等の移動・交通の権利を保障するために、所管庁の一つである運輸省に対して、総理府の方は、総理府というよりも障害者対策本部として、運輸省に何を期待をされ、どのような具体的な項目について要請をされているのか、まずお聞かせを願いたいと思います。
  149. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明をさせていただきたく存じます。  私ども総理府、関係の十九省庁から成ります障害者対策推進本部というのがございまして、それの庶務を担当させていただいておりますので、その立場から先生のお話のありました後期重点施策につきまして御説明申し上げさせていただきたく存じます。  お話もありましたように、この後期重点施策は、国連障害者の十年の後半期におきます重点の施策を中央心身障害者対策協議会の御意見を踏まえまして作成したものでございまして、その最終年であります一九九二年に向けまして、関係各省庁がそれぞれの所掌に応じまして現在施策の推進に御尽力をいただいているところでございます。  本部は十九省庁から成るわけでございますが、運輸省の方におかれましては、この後期重点施策の中の移動・交通対策の推進という部分がございまして、全体で五項目ほどございますが、その三項目に関連し施策の推進に当たっていただいているわけでございます。障害者対策の推進の中における一つの重要な部分を担っていただいているというところでございます。  その三項目と申しますのは、ちょっと長くなりますが、公共交通機関におけるターミナル施設、車両等の整備に当たっては、障害者の利用に配慮するとともに、障害者への的確な情報の提供、介護体制の充実などを図ること、あるいはリフトつきバスの設置等移動・交通手段サービスの普及、充実を図ること、あるいは移動・交通に係る経費負担については、一般利用者との均衡にも配慮しつつ必要な軽減措置に努めること、こういうことになっておりまして、この後期重点施策を踏まえ、それぞれ御努力いただいているという情勢でございます。
  150. 田並胤明

    ○田並委員 そこで、つい最近の新聞はお読みになったと思うのですが、アメリカではことしの五月に下院でADAという法律をつくったのですね、心身障害を持つアメリカ人のための法。これは障害者も健常者も生活のすべての場面で平等の機会が均等に与えられる、こういう基本的な理念に基づく法律なのです。この法律は大統領が署名をすると発効するそうですが、間違いなく発効するだろう、このADAというのは。そうすると、この法律を見てみますと、公共輸送サービスヘの規定の中で、この法律が制定された一ヵ月以降に購入する新しいバスだとか列車は障害者にとって利用可能なものでなければならない、あるいは駅のターミナルだとか水飲み場だとかトイレだとか、すべての面にわたって健常者と同じように利用可能でなければならないという規定が入っているのですね。  今、総理府の方から御説明をいただいた中で、運輸省に対する重点的な推進事項として、公共交通機関におけるターミナル施設、車両等の整備に当たっては障害者の利用に配慮する。これはかなり違いますね、配慮するのとやらなければいけないのとは。配慮するというのはどういうところまで期待をしているのか、それを聞かしていただきたいのです。
  151. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明さしていただきます。  各省庁それぞれこの重点施策を踏まえて御推進いただいているわけでございまして、そのような観点から、障害者の自立と社会参加の促進のために、ただいまのような、例えば改札口の拡張等各種の施設整備とかあるいは車両等の問題、障害者の利用に配慮が進むための各種の施策というふうに私どもは理解いたしております。
  152. 田並胤明

    ○田並委員 わかったようなわからないような答弁なのですが、要するに配慮するというのはあくまでも要望であって、何とかしてほしい、できなくても仕方がないのだという意味もあるのですね。積極的な配慮の方と消極的な配慮というのがあるのでしょうが、可能な限り総理府の方も積極的な配慮の方に重点を移して、各省庁、十九省庁が入って総理大臣を長とする推進本部なんですから、国連の障害者十年の理念である障害者の完全参加と平等という観点で、あと二年、その以降ももちろん障害者のための施策が不十分ならば続けてやらなくてはいけないのでしょうが、十年という一つの区切りをつけて障害者に対する具体的な施策を進めるように、これは国際的にやっているわけですから、経済大国になった日本が人権小国なんて言われないように、ぜひひとつ十分な配慮をお願いをしたい、このように思うのです。  そこで、総理府さんにまことに申しわけないのですが、続いてもう一回聞きます。  障害者対策推進本部が、後期重点施策の実施状況を点検されて、平成元年の九月にこれを出されまして、読ませていただきました。それぞれの省庁が大変御努力をされて、関係の各団体や個人の皆さんの御協力をいただいて実施が推進をされているようであります。特に今も言われました各項目について点検をした結果、運輸省の所管する項目についてこの実施状況をどう評価をされているのか。この推進本部というのは総理大臣が長なんですから、そういう意味では障害者対策のためのかなり権威のある推進本部だ、そういう立場で私は見ているものですから、横並びじゃなくてもう一つ上の段階で推進本部ができているという立場でとらえていますので、総理府の方でどのような評価をされているかをぜひひとつ端的に教えていただきたい、このように思います。
  153. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきます。  先生御指摘のように、昨年九月にその段階におきます各省庁所管の実施の状況を中間的に作成いたしております。運輸省におかれましては、先ほどの移動・交通対策の部分につきまして各種の施策をお進めいただいておるわけでございまして、例えば改札口の拡張等の施設整備、あるいは利用しやすい車両の導入等の交通事業者等への御指導、あるいは心身障害者、高齢者のための公共交通機関の車両構造に関する御調査、あるいはリフトつきバスの導入、そしてまた、身体障害者等に対する公共交通機関における運賃料金の割引等の施策をお進めいただいているところでございまして、国連障害者の十年、最終年一九九二年でございますが、各省庁さん、運輸省さんも含めまして、この最終年に向けまして、後期重点施策を含め施策の一層の推進に努力しているというのがただいまの状況でございます。
  154. 田並胤明

    ○田並委員 総理府の方の今の評価については、また後ほど運輸省の方にちょっと聞きたいことがありますので、その中でまた判断をさせてもらうことにして、次に運輸大臣にその決意なり取り組みを聞こうと思ったのですが、これは最後にお聞きをすることにして、具体的な事例を二、三申し上げて、その対策を運輸省に聞きたいと思うのです。  一つは視覚障害者、これは厚生省の調べて現在三十万七千人いらっしゃるようでございます。いわゆる民間の私鉄、JR、それから営団地下鉄、それぞれが経営の効率化という名目でもって自動券売機、それから自動改札、それから自動精算機、これは健常者にとってはあるいは便利なのかもしれないのですね。ところが視覚障害の人にとってみると、まず行き先までのがわからないものですから、とりあえず券売機でもって一番近いところの料金だけ入れて切符を買う。それで自動改札機で自動改札をして、今度は目的地の駅へ行って精算するわけですね。その目的地の駅へ行って精算をするときにまた自動精算機なんですよ。そういうところがあるのですね。そうなると、非常に不便を来しているというわけです。例えば自動券売機であっても、最終の目的地の駅でもって自動精算機じゃなくて人が配置されておって、視覚障害の方の場合には点字ブロックか何かでもって自動的に精算の窓口へ行けるようなシステムでもできていればいいのですが、一遍に自動券売機、自動改札、自動精算機、こうなってしまいますと、目の不自由な視覚障害の人にとってはどういうふうにしていいのだろうか。これは現実に視覚障害の方から聞いた話でありまして、この辺は移動・交通の便が非常に悪いという指摘を受けているわけですよ。  それともう一つは、これは例えばJRにしても私鉄にしても、主要な駅というのはほとんどプラットホームに点字ブロックがついています。その点字ブロックをまたいでしまってホームから転落をするという事故もあるのですね。これはどういうふうにして防いだらいいかというのは私にもちょっとわかりませんけれども、ところがローカル線へ行きますと点字ブロックがないとこみがあるわけですよ。現実に平均して一年に一人は視覚障害の方がホームから転落をして列車にひかれて死ぬということがあるようですね。本年の二月にも何か赤穂線の赤穂駅で女性の方が点字ブロックがないためにホームから転落をして死亡された、こういう痛ましい事故があったようであります。  これらについて、確かに便利になるのはいいのですが、あくまでも障害を持っている人も健常者も同等の基本的な権利を有するのだ、このことを基本に据えた対策を立てていただかないといけないのじゃないだろうか。もちろん運輸省が直接やるわけじゃなくて、JR各社あるいは私鉄に対して協力要請をするわけですから、その辺のことも含めて今後の対策について聞きたいということが一つです。  それと、もう一つは、聴覚音声言語障害者、耳が全然聞こえない、口がきけない、こういう方が全国で三十五万四千人いらっしゃるそうです。実はこれもその方から切々と話を聞いたのでありますが、これはJRが直接やるのかあるいはNTTにやってもらうのかは別として、ほとんどの障害を持っている方の自宅にはミニファクスというのがあるのですが、とにかく旅行された場合に、旅行へ行った先で、きょう何時何分にどこどこの駅を出発した、これは言語障害を持っているわけですから電話じゃかからないわけですよ、そのためにファクスで自宅へ送りたい。もちろんうちにいる家族の人も、今ごろはうちの娘、うちの息子がどの辺を旅行しているのだろうか、あるいはどこへ出張してどの辺にいるのだろうかということを知りたい。ミニファクスはみんな持っていますから、JRの主要駅あるいは私鉄の主要駅あるいは空港、こういうところにできればファクシミリサービスというものをぜひやってほしいと言うのですね。  私は、先週の土曜日から日曜日にかけて関越自動車道をちょっと走ったのですが、サービスエリアに寄りましたら大きなポスターが張ってありまして、高速自動車道の主要なサービスエリアではみんなファクシミリサービスというのをやっているのですね。一回百六十円ぐらいという使用料が書いてありましたけれども、これも運輸省が直接やる仕事じゃないのですが、障害者の移動・交通を保障するという一つの方法としてこれらについてもお考えになっていただいたらどうだろうか、そういう御指導を関係会社にぜひしていただけないだろうか。  この二つの事例を申し上げて、考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  155. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいま先生御指摘の第一点の方でございます。  鉄道の駅の自動化というのはいろいろな形で進んでいるわけでございますが、基本的には、健常者と同じように障害者の方が利用しやすい鉄道にすべく努力をすべきだと私どもも認識をいたしております。  ただ、現実の問題として、確かに自動化というのは時の流れと申しますか、そういう方向へ進むことはやむを得ないと思うわけでございますが、その際、視覚障害者の方ができるだけ利用しやすいような方法を考えていかなければいけない。  自動券売機につきましては、いわゆる点字テープを張ってあるという駅はかなりの割合で多うございますけれども、今後自動改札が進んでいく場合にやはり問題が生ずる可能性もある。現在はできるだけ、自動化を進める場合にも自動改札を進める場合にも、一人は駅員を置こうということで計画しているというふうに承知しておりますが、いずれにいたしましても、本日の御指摘もございますし、視覚障害者にとって確かに非常に問題があるだろうということは私も認識いたしておりますので、今後なおいろいろな方法を勉強してまいりたい、また指導してまいりたい、かように考えております。  それからファクシミリでございますけれども、ファクシミリにつきましては、現在の段階では、特にJR、民鉄につきましてはやはり設置している駅が少ないというのは事実であると思います。これは鉄道営業というよりはやはり通信事業というのが基本的な立場だとは思いますけれども、利用しやすい鉄道ということの見地から、通信事業者にも十分理解を求めて、そういった便利を、聴覚障害者にとってできるだけ利用しやすいものにするよう私どもも努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  156. 田並胤明

    ○田並委員 ぜひひとつ今の答弁に基づいて積極的な検討と推進をお願いをしたい、このように思います。  最後に、運輸大臣の方から、障害者対策の後期の重点施策運輸省にも要請をされているようでありますから、それについての取り組みの決意についてお聞かせを願って、質問を終わりたいと思います。
  157. 大野明

    ○大野国務大臣 近年、障害者の方々の社会参画ということが非常に多くなってきたことは喜ばしいことだと思っております。しかし、そのためには、やはり移動する機関というのはどうしても運輸省所管のものが大変多うございます。そのために先ほど来ターミナルの問題その他お答えさせていただきましたけれども、私はちょうどこの国連の障害者十年の初年度に当たる五十八年に労働大臣をやっておりまして、非常に関心深く見守ってまいりました。そしてまた、私自身社労の委員長をやったりして自分では承知いたしておるつもりでございますけれども、いずれにしても、今度は運輸省所管の分という点につきまして、私も所管のものをいろいろと尋ねたときに、これはもう少し可及的にやらなければならない部分もあるし、また同時に、それによって、障害を持っている方々も明るい社会生活、社会参加を行っていただくように、これから先私は頑張ってやらさせていただく所存でございます。
  158. 田並胤明

    ○田並委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  159. 渡辺栄一

    渡辺委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  160. 渡辺栄一

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川国彦君。
  161. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、運輸省決算におきまして、まず最初に中小民鉄対策、それから地方バスの補助金助成の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、大野運輸大臣にお伺いしたいと思います。  中小民営の鉄道対策及び地方バスの助成については、運輸省当局も大変努力をされてきていることは多とするものであります。中小民営鉄道に対しましては、毎年約十億円の補助金が交付されているわけであります。その内訳は欠損補助、近代化補助、踏切補助となっておりますが、この三項目の補助支出の形態というものは、実質的に補助金額が減少してきているものでございまして、事業者数で七十五、営業キロで二千八百六キロ、輸送人員で三百七万人、こういう実績を持っているわけでありますから、この中小民鉄の救済に対してはもっと抜本的な助成の改善策を図るべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点まず大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  162. 大野明

    ○大野国務大臣 地域における公共の交通機関というものは、ただ単に足の確保でなく、本当に日常社会生活に必要欠くべからざるものと、私も自分の郷里等でも多々感じておるところでございます。いずれにしても、運輸省としては、今先生から御指摘いただいたように、現在、地方公共団体と協力しながら、鉄道については欠損補助あるいは近代化補助あるいはまた踏切補助等をいたしております。また一方、バスにつきましては、地方バス補助等の対策を講じております。  これらの制度につきましては、創設以来状況の変化に対応しながらやってきたわけでございますけれども、今後ともやはり、均衡ある国土の開発というようなことをよく言いますけれども、そういう均衡をとるためにも、輸送機関というものの大切さを十分認識しながら進めていきたいと考えております。
  163. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この補助制度でありますが、なるほど欠損補助というのは、中小民鉄の赤字に対しまして、国が二分の一、地方自治体が二分の一と赤字を補てんしているわけであります。額はともあれ、中小民鉄を維持していく一つの力になっていると思うわけでございます。しかしながら、この欠損補助というのは、その性格上やはり後追いの補助金、後追いの政策となっているのではないか。経営に苦しんでいる中小民営鉄道にとって、近代化、合理化の経営改善促進させていく上では、むしろ近代化補助に力を入れてやるべきではないのか。その意味では、現行制度が、欠損補助を受けた民鉄は近代化補助が受けられない、こういうふうになっているそうでありますが、こういうことでは片手落ちではないのでしょうか。欠損補助を受けながらも営々として何十年と中小民鉄の路線を守ってきている、経営努力をしている中小民鉄に対しては、欠損補助と近代化補助、この両方の補助が受けられるようにならないのかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。
  164. 早川章

    ○早川政府委員 地方中小民鉄に対する三本立ての補助制度、このうち特に欠損補助と近代化補助というものにつきまして、一方の対象であれば他方が絶対に対象にならないかということにつきましては、必ずしもそういうルールでやっているというわけではございません。ケース・バイ・ケースで、その近代化補助が非常に有効であろうという仮に欠損補助を受けざるを得ない企業体があった場合であれば、そういう補助をダブルで出すことも絶無ではない。現に、平成元年度には二件についてそのようなケースを認めてきておりますので、両方とも出すのがむしろ当然のような形にはなっていないのですけれども、そのいずれか一方だけに偏る、ある一方だけしか認めないということでやっているということではございません。
  165. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私のところには、昭和六十三年度の資料があるわけでありますが、これによりますと、蒲原鉄道というのは昭和五十九年、六十年と欠損補助を受けてきたのでありますが、六十一、六十二、六十三年は欠損補助がなくなっているのですが、これはどうなっているのでありましょうか。
  166. 早川章

    ○早川政府委員 蒲原鉄道につきましては、鉄道網は赤でございますが、全事業で黒という状態になりましたので、補助要件上補助が出せなかった、こういうことでございます。
  167. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今局長の答弁では、平成元年になって欠損補助のほかに近代化補助を認めたものが二件とおっしゃいましたが、これはどこの鉄道で、どういうような目的にこの近代化補助がなされたのでありましょうか。
  168. 早川章

    ○早川政府委員 近代化補助の対象というのは今ちょっと数字というか中身を持っておりませんが、上田交通と弘南鉄道の二社に対しましてそのような措置をとりました。
  169. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その近代化補助の補助された事業の内容は、どういう趣旨に対して補助がなされたのでしょう。
  170. 早川章

    ○早川政府委員 弘南鉄道につきましては、保守作業の合理化その他、それから上田交通につきましては、保守作業の合理化、サービス改善施設整備その他ということが補助対象でございます。
  171. 小川国彦

    ○小川(国)委員 弘南鉄道と上田交通。それは欠損補助は幾らで、近代化補助は幾らか、それぞれ数字を示してください。
  172. 早川章

    ○早川政府委員 まず欠損補助でございますが、弘南鉄道に対しましては二千二百二十四万二千円、上田交通につきましては二千百八十五万五千円でございました。それに対しまして、先ほど申し上げました近代化補助でございますが、弘南鉄道につきましては千十億六千円、それから上田交通につきましては千四百九十三万六千円でございます。
  173. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ちょっと弘南鉄道の近代化の数字をもう一度言ってくださいませんか。
  174. 早川章

    ○早川政府委員 弘南鉄道に対しましては千十万六千円でございます。
  175. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いずれにしましても、赤字の電鉄会社の欠損補助、これに対しては国と地方自治体から二割ずつですか補助金が出るようになっておりまして、それで見ますと、津軽鉄道、弘南鉄道、栗原電鉄、上田交通、上毛電気鉄道、銚子電気鉄道、加越能鉄道、野上電気鉄道、一畑電気鉄道、土佐電気鉄道、この十社の電鉄会社が私の資料では五十九年からずっと継続して欠損補助、赤字のために国や自治体の補助を受けて至っているという状況がわかるわけです。  では、この十社がいわゆる赤字で言葉は悪いですがしりぬぐいをしてもらっている。しかし、それから何とか脱却して、近代的な事業を取り入れて効率的な事業をやって、そして電鉄事業として何とか住民の足を守って発展していこうというふうに考えると、施設の近代化、駅舎なり車両なり電鉄としての諸施設を近代化していこう、そして赤字克服の方向を考える、これは当然だと思うのです。そのときに、近代化補助事業事業者というのが南部縦貫鉄道という北の方から始まって熊本電気鉄道に至るまで三十四社あるのですけれども、近代化補助を受けている事業者の中には欠損補助を受けている事業者は残念ながら少ないわけですね。  それで、私の資料になかったが、平成年度に入りましてから弘南鉄道と上田交通の二社がそれぞれ一千万円を超える近代化補助を受けたというのは、私はこれは一つの前進であるというふうに考えるわけでありますが、今後、赤字の補てんをしてやるだけではなくて、赤字の補てんをせざるを得ない事業者というのは、そこにさまざまな地域的な事情、交通的な背景の状況があると思うのですね、だからそれだけに、欠損補助に加えて近代化補助を積極的に取り入れて、両々相まって中小の民鉄の経営が安定向上していくような方策というものがとられるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、この二社の取り入れた近代化補助をさらに積極拡大して、こうした恒常的な赤字の続く地方の民鉄を活性化させていく、そういう方針は今後おとりになるお考えはあるのかどうか。
  176. 早川章

    ○早川政府委員 平成元年度にそのような欠損補助と近代化補助を両方補助させていただく、こういうことにいたしました趣旨は、欠損が出ている、欠損補助の対象であるということでとかく経費節減等を専らとする、こういう形になりがちなわけでございますが、そういう鉄道につきましても、地方自治体あるいは利用者からは、車両の更新をしてほしい、あるいは駅施設の改良が必要だというようなサービス改善等の要望が非常に強く出されている、そういうような施設改善等を行うことによってむしろ逆に地域住民の方の利用が促進されるというようなケースがないわけではないという認識に立ちまして、むしろ早期自立というようなことも期待できるというような観点に立ちまして、こういうような設備投資が行われるということであれば並行する補助もケース・バイ・ケースで検討していこう、こういうポジションから、平成元年度あたりからそういうような考え方に立ってこの措置をとったものでございます。  今後とも、そういったような形の、欠損補助が将来むしろ少なくなるであろうというようなことが期待できるような近代化投資と申しますか、そういったものにつきましてはケース・バイ・ケースで認めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  177. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういう改善を今後に期待しながら、次に地方バスについてお伺いしたいと思います。  地方バスにおいては、路線維持を目的に国庫補助金の予算が組まれているわけです。最近十年間においてこの予算はわずかながら増加して、平成二年度では百三億円余となっているわけです。ところが、この補助制度の内容を検討しますと、生活路線維持にかかわる補助のうち、第二種生活路線、すなわち平均乗車密度が五人以上十五人以下の路線において、一日の運行回数が十回以下のものにかかわる補助制度を見ますと、国庫補助の内容は、非競合路線の場合、国庫補助が六分の一、都道府県補助が六分の一、市町村補助が六分の一となっているわけです。しかし、実質的には、この補助と経常収益を合計したものでは経常費用を賄い得ないというのが現実の姿としてあるわけです。  国として、この点の補助政策を積極的に改善すべきではないかと思うわけでありますが、この点はどのようにお考えでございましょうか。
  178. 早川章

    ○早川政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、地方バス補助制度につきまして、経常収支率が、第一類の事業者及び第二類の事業者の非競合路線というような路線では三分の二、第二類の事業者の競合路線で四分の三を下回るというような、つまり経常収益が基本的な形よりも下回っているようなものにつきましては、その下回る部分について、市町村の補助及び必要に応じて県の対策というものが実施されるということでこの制度ができております。  地方バス補助の仕組みは、結局、地域のため、地域住民の福祉の確保の観点から、地方公共団体がまず主体となって実施する補助について国が補助をする、こういう制度でございまして、五人以上十五人以下の路線というような形で、いわば第二種生活路線ということで言えば、相当な需要があるにもかかわらず一定の経常収支率が確保できない、何らかの理由で一定の収支率にいかないというような路線については、地方公共団体の側で市町村・県が一定の対策をとっていただく場合に国としても補助する、こういう考え方に立っているわけでございます。  このような措置によりまして、言ってみますと地方に対する国の補助、地方バスの運行の維持について地方が行うところの助成に対して国が補助をする、こういう仕組みを構成してきているところでございまして、私どもとしては、このような措置によって必要な地域の足の確保ができていくものと考えているところでございます。
  179. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私が指摘したいのは、この補助率の割合が、国庫補助も都道府県補助も市町村補助もそれぞれ六分の一で、同じ負担割合になっているわけですね。これは今の財政力からいって、バスの乗り手がどんどん少なくなってくる、五人以上十五人未満、あるいは五人未満になっていくというのは、過疎地ですよね。過疎の、人口が少ない、産業が乏しい、財政力もない、そういう市町村と、国と県と市町村の負担割合がそれぞれ六分の一ずつ同じというのは、これはいかがなものかと考えるわけです。やはり財政力のある国が少なくとも六分の二の補助率を持って、それから県なり市町村が六分の一というならわかるのでありますが、この点は改善さるべき問題点ではないのか。  同様に、第二種生活路線維持費補助でも、競合路線、他社のバスが入っている、同じバス会社でも二系統のバスが入っている、こういう競合路線の場合には、国庫補助がやはり八分の一、都道府県補助が八分の一、市町村補助が八分の一と補助率も低く、しかも国も都道府県も市町村も同じ割合になっているわけですね。財政力の大きさからいって、当然に国の補助率を八分の三程度に引き上げてもよいのではないか、こういうふうに思うわけです。  現在、第二種なり第三種なりの生活路線運行費補助金を受けている自治体は、いずれも過疎地の財政力のない自治体でありまして、こうした自治体では市町村が市町村補助の負担金に対応できなくなってきている。結局その負担が出せないから路線を廃止せざるを得ないというところに追い込まれていっているわけです。こうした市町村補助の負担に対してもこれをなくしていく方向が思い切ってとられるぐらいの措置がなされていいのではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがでございますか。
  180. 早川章

    ○早川政府委員 基本的に考えまして、先生の御意見の中で、仮に地方のこういう過疎地のバスの最終段階での維持と申しますか、そういうものにおいて非常に市町村等の負担が多くなっている、こういうことについてどう考えるかということにつきましては、いわば地方バスの補助制度の仕組みが、バスとして、つまり乗り合いバスとして交通手段を維持するということがどこまで適切か、逆に申しますと、福祉とかあるいは別途のアプローチでこのような交通手段をその地域の住民の方に確保していくという手段と、この乗り合いバスというような、一般にただバスが走っていればお客さんがついてくるという仕組みのバスに対する補助、そういうものを維持していけばバスが利用されていくのだという補助の仕組みの接点あるいはその境目から、どちらに考えるかということであろうかと実は考えているわけでございます。  この辺大変議論として難しいところでございますが、私どもは、地方の乗り合いバスを地方がどのような形で維持されたいということに対して、国がどう助成していくかという仕組みを従来まで考えてまいりました。その中で、ただいま先生が御指摘のような、例えば経常収益が、それぞれの路線ごとによって違いはありますが、それがある規模に達しないときに、通常であれば国庫補助と都道府県の補助で考えていくものに、さらに必要に応じて市町村の補助をお願いする。その数字が、例えば第一類及び第二類の非競合路線についてはたまたま六分の一国が出す、六分の一部道府県が出す、市町村も六分の一以内という形で出てくるわけでございますが、その数字は私どもが市町村ても大臣のお取り組みを願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  181. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま空港公団の副総裁が御答弁申し上げましたように、騒音対策のための防音林、防音堤の設置の問題につきましては、空港公団初め私どもも大変重要な問題と認識いたしております。それで、具体的ないろいろなやり方につきましては、空港公団が前面でやっておるわけでございますので、私どもも空港公団に対しましても適切に設置できるように指導してまいりたいと考えております。
  182. 小川国彦

    ○小川(国)委員 空港公団の副総裁の先ほどの御答弁でも、基本的には防音堤、防音林という考え方の上に立ってということを認めておられますので、これはもう空港の発足当初からの計画でありますし、大臣においても、来年の予算折衝が始まるという時期でございますから、この点もあわせて大臣の御見解も承っておきたいと思います。
  183. 大野明

    ○大野国務大臣 今も公団の副総裁あるいはまた局長から御答弁申し上げたところでございますけれども、やはりこの防音対策というものは大変地域住民に対しては敏感な問題であろうと思いますし、私どもも、その他の空港においてもそういうこともあるので、鋭意そのような障害が起こらないように努力をさせていただいております。  成田については、私も視察をさせていただきまして十分承知いたしております。これから予算の時期にかかりますので、そのときに大いに努力をさせていただきたいと思います。
  184. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、成田空港周辺における航空機からの落下物の問題についてお伺いをしたいと思います。  昭和五十五年から平成元年までの十年間におきまして、成田空港における航空機からの落下物件数は七十五件となっているわけです。このうち、氷塊という氷の塊の落下物が四十八件、航空機部品の落下物が二十七件です。また氷塊について言いますと、ここ数年二、三件でありましたのが平成元年度では十四件も氷塊が落下する。これは一体どういう理由に基づくものであるか、その原因についてどういう調査をなさっていらっしゃるのか。  落下物の内容を見ますと、その被害発生状況が、ビニールハウスに被害を与えたり、駐車中の車両のボンネットに落ちたり、民家の屋根の一部、お寺の屋根の一部とか、そういうさまざまな被害を与えて、金額の大きいものは七十万ぐらいの被害額にも及んでいるわけです。これが物件被害で今日まで推移してきているわけでありますけれども、この事故が一たび人体に及んだときには一体どういうことになるのか、この重要性を考えますと、運輸省、空港公団はこれら関係飛行会社に対してどのような指導を行ってきているのか、この点についての御見解を承りたいと思います。
  185. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生御指摘の航空機からの落下物の問題でございますけれども、私どもの方といたしましても、成田空港周辺の落下物の発生というのを重視しておりまして、昭和五十六年五月に本省と現地に専門の委員会を設置いたしまして、それらの落下原因の究明とか再発防止対策、そういうことにつきまして検討を進めてきたところでございます。  それで、これまでのところ、今先生がおっしゃいましたように大きく二つに分けられる落下物のうちの氷片、氷のかけらの問題につきましては、その発生原因は航空機の水漏れだと考えられますので、その水漏れの防止のため、航空会社に対しまして点検整備の励行というのを指導いたしております。それから航空機部品の問題につきましては、例えばフラップ保護シートなどというのが落下したことがございますけれども、その取りつけ方法の改良といったようなことを航空機メーカーにも要請しているところでございます。  それから、関係国の国際会議におきましても各国の航空当局に対しまして注意を喚起いたしております。  それから、物損の損害賠償の問題につきまして、損害賠償制度を創設するというようなことの対策を講じているところでございます。  ただ、残念ながらまだ落下が全部なくなったというような話はございませんので、その後もその落下物が続いているという状況でございます。それで各航空会社に対しましては、成田の空港長、新東京国際空港長でございますが、それから繰り返し、成田空港航空会社運営協議会、AOCと言っておりますが、そういう協議会を通じまして落下物防止に万全を期するように要請を行うというようなことなど、あらゆる機会をとらえまして落下物防止のための注意を行ってきているところでございます。  さらに本年度には、落下物の発生原因を解説いたしました啓蒙パンフレットを作成するなど、そういうきめ細かい対策も講じることとなっております。
  186. 小川国彦

    ○小川(国)委員 非常に、異常に落下物の数が多いわけですね。成田空港航空機からの落下物件数は四十八件で、これは全国の空港の氷塊落下物件数の十五件から見ると三倍ですね。全国の空港の三倍。それから航空機部品でいえば、全国の空港の集計三十七件に対して成田空港だけで二十七件という数字になっているわけですね。  だから、これは今運輸省当局が大変厳重な御指導をされているようでありますけれども、これが人命に及んだときには取り返しがつかないわけでありますから、この点についてはやはり、こういう落下物を落としている航空会社、初犯ではなくて再犯、三犯も犯しているようなのはもう飛行させないというぐらい厳しい指導監督の措置をしないと、落下物の数は減っていかないと思うのですね。最近の異常なふえ方から見るとやはり思い切ったそういう指導措置をとりませんと、事故が一朝人命に及んだときは大変なことになるわけでございますから、その点の取り組みに対する考え方をもう一遍確かめておきたいと思います。
  187. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 落下物は平成二年度に入りましてから三件発生しておりますが、それは全部氷のかけらということでございます。今までの発生件数は大体一けたの数字であったわけでございますが、それに比べますと平成元年度は十八件ぐらい起きております。  それで、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたように、発生したときごとにできるだけ、どこの航空会社がどういうようなことでそういう結果が出たかというようなことを関係の委員会で調べることをやり、それから、それがどこの航空会社かということがわかった場合は、もちろんその航空会社に対して厳重にその改善方を指示いたしておるところでございます。
  188. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今後の厳重な監督指導をさらに要望しておきたいと思います。  最後に、運輸省の進めている国際空港の進め方なのですが、成田の新東京国際空港では、完成後の発着回数が最高ですと約二十二万回、旅客数は三千三百万人、大阪の関西国際空港では、発着回数が約二十六万回、旅客数は約三千万人、こういうふうに見込んでいるわけです。さらにまた、羽田の東京国際空港の第三期計画というものが完成してまいりますと、これは国際、国内を含めてですが、約二十三万回になっていく。こういうふうに見てまいりますと、全国の国際空港が全部整備されてまいりますと大変な旅客人員を見込んでいくことになって、将来の需要を大幅に上回るような空港の過剰施設になるのではないかという、素人的な数の上だけの判断なのですが、そういう懸念を感じるわけであります。  この点の一つ一つの空港の旅客人員見込みというものと国全体の需要がどうなのかというところの整合性というのを、運輸省としては追求されているのでしょうか。
  189. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま航空審議会を開催していただきまして、そこで来年度から始まる予定の第六次の空港整備五カ年計画の策定作業に向けましてのいろいろな御審議をいただいているところでございます。  その御審議の前提といいますか出発点につきましては、これからの国際線、国内線の旅客、貨物の分に補植するとともに、これに隣接する駒井野地区の防音林約五ヘクタールの植栽を行うべく準備を進めている。」こういうふうに回答されているわけでありますが、その後の状況を見ますと、この回答書どおりの実行がなされていないようであります。  やはり地域住民の信頼をかち取るためには、騒音対策において防音堤、防音林の建設計画計画的に、年次的に、着実に実行されていくべきではないか、こういうふうに私ども考えるわけでありますが、この点、運輸省なり公団はこの問題に現在どういうような取り組みを持ち、そして今後これを着実に実行していく計画はお持ちになっているのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
  190. 山本長

    山本参考人 お答え申し上げます。  防音林、防音堤というものは、騒音の遮へい効果が非常に高いものでございます。また、緑を維持するという意味からも、地域環境整備という面からも役立つものでございます。この防音堤あるいは防音林の整備というものにつきましては、公団としては非常に重要な地域対策といいますか、環境対策の柱として位置づけておるものでございます。  先生御指摘の、先ほどの地元との関係につきましては、Aランウエーの西側の部分の防音堤、防音林のことであろうと思います。また、これが、現在運用しておる空港の騒音の特に民家への影響というものを防ぐ意味においても、その地域の防音堤、防音林の整備ということは極めて重要であるというふうに認識しております。  現在までのところ、A滑走路西側につきましては約二キロ、二千メートル、面積といたしまして八万平米、八ヘクタールにわたりまして防音林、防音堤が整備済みでございます。このAランウエーの西側の防音堤、防音林につきまして、これでいいものではございませんで、なお、現在のところ、その北側に延長約一・七キロメートル、面積にいたしまして九ヘクタールの防音林の整備を進めていく計画でございます。この計画は進行中でございますが、現在までのところ、その九ヘクタールのうち六ヘクタールにつきまして整備してまいったところでございます。  なお、面積にいたしまして三ヘクタール、計画に対して未整備という状態でございます。この二千メートルの北側につきまして、既に整備されたところにつきましても連続して防音林、防音堤ができているというわけではなく、ところどころがすき間があると申しましょうか、そういった状態でございます。こういったところにつきましては、早急に防音林を整備いたしまして埋めていくという必要があると思います。これにつきましては、現在公団が持っております土地につきましてはほとんどその植林が終わっております。  残るところは、土地を公団が買収いたしまして整備をしていくという必要があるところでございまして、地域の方々の御協力も得ながら、できる限り土地を買収し、同時に防音林の整備をしていく方針でございます。
  191. 小川国彦

    ○小川(国)委員 実は、今副総裁がお答えの防音林計画のところの隣接地に帯水地ですね、帯水地の用地買収が行われたわけですが、そこに植わっていた樹齢六十年、ここにちょっと写真を持ってきたので、遠いから見えないと思いますが、後ほどごらんになっていただきたいと思います。切り株の太い、樹齢六十年もの杉の木を全面伐採してしまったわけですね。これは防音林としての役割を果たしていたものだということを地元の方々は言っておられるわけです。帯水地といっても、当該の防音林の所在地は常識的に水面下に入るところではない、この木の生えていたところは非常に高いところですから。それなのに公団は、これらの年数を経た樹林を約一ヘクタールぐらい、本数にして八百本ぐらいの樹木を伐採してしまったというのですね。地元ではこの結果、騒音度が大きくなって被害が増大している。まことに無神経な周辺対策じゃないのかというふうな指摘がなされているわけですね。それだけに防音堤というものをきちっとつくるべきではないか。  防音堤が十メートルの高さでつくられてその上に防音林の木が植えられると、これは相当の高さになって音を遮断するわけです。今、飛行機の離発着に伴う噴射音といいますか、この音が大変住民の安眠や静ひつを脅やかしているわけですね。それだけにこの防音堤に対する要望は非常に強いわけですけれども、滑走路が四キロの長さがあるのに、先ほど副総裁の御答弁のありましたように二千メートルしかできていないわけですね。だから、四キロの滑走路があるのに二キロしか防音堤ができていない、こういう状況に今残っている。今の御答弁だと、残ったところに防音林を植えるというのですが、地域の人たちは、当初からの国の方針では四キロの滑走路に沿って全面的に防音堤をつくり、その上に防音林をつくっていく、こういう計画ではなかったのかと。防音堤の幅は最大の幅で九十メートル、最小限で六十メートルという幅で、空港公団の職員の皆さんの住んでいらっしゃる職員住宅のところから始まってずっと来ているわけです。それが途中でとまってしまっている、こういう状況になっているわけです。  ですから、昭和四十七年にA滑走路の西側の防音堤や防音林の植林工事をやったときに同時に実施していたら、もう今日まで十八年も歳月を経ているわけですから、防音堤の上に植えた木も現在まで行った二キロのところはもう相当の高さの木になっているわけです。それが今日まだもう二キロ残されたまま、防音堤もなければ防音林もちらほらしかない、こういう状況なんですね。もう既に四キロは供用されて、年間二千万人の乗客を運ぶ飛行機が離発着している。ところがその滑走路のそばに住んでいる住民は、半分以上の方がこの防音堤が未完成のために騒音の中で暮らしている。こういうことは、私はやはり、地元民の信頼を大切にするという上からは一日も早く防音堤と防音林の工事があわせて施工されなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この点について運輸省、公団の御見解を承りたいと思います。
  192. 山本長

    山本参考人 防音林、防音堤について、基本的な計画として望ましい計画という面からは、先生がおっしゃるとおりだと存じます。残されておりますところの部分につきましても、公団といたしまして、防音堤、防音林を整備していくということにつきましては、極めて重要なことであると考え努力はいたしておるところでございますが、一番問題であります土地そのものの入手という問題が、先生おっしゃるように十数年前やっておけば土地が買えたではないか、こういう御批判が確かにあろうかと思いますが、現在時点に立って見ますと、土地の入手というものが大変難しい問題でございまして、この問題につきまして地域の方々の御理解を得ながら進める必要がございます。こういう面につきまして、公団としてもこれから格段の努力をいたしていくところでございます。それから、防音堤と防音林の二つの関係につきましては、現在二キロございますが、そのうちの千百五十メートルが防音堤でございまして、防音林が八百五十メートルということで、この点につきましては、土地の形状その他におきまして、防音林、防音堤のいずれがいいか、できれば防音堤プラス防音林という形がいいと思いますが、その辺のところにつきましては地域の実情に応じて計画をしていく必要があろうというふうに考えております。
  193. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これはもう、地元の方々の一致した意見は、やはり四キロの滑走路と平行した四キロの防音堤の建設、その上に防音林の設置、こういうことになっているわけでありますから、この点の基本は、住民の意思を十分体して、これはもう運輸省運輸大臣もおいでになりますが、運輸大臣も就任早々成田空港の現地を御視察なすったと思いますが、こういう地元対策の機微に触れる点も十分御検討願って、この防音堤、防音林の工事が完結するように、少なくとも供用しているこの四キロの隣接する地域の住民にとっては毎日の生活における防音対策というものが生活を守る重要な一環になっておりますから、この点についが、この講習と実技の時間、大体どれくらいの時間なのか、その時間を消化するのは大体何日くらいで終わるのか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  194. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 四級小型船舶操縦士の場合でございますと、講習時間は学科講習が十五時間、実技が十二時間、計二十七時間でございまして、修了審査が二時間二十分程度ございます。連続して受講いたしますと、おおむね一週間程度の日数が必要でございます。
  195. 春田重昭

    ○春田委員 さらに費用負担は大体どれくらいでしょうか。
  196. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 講習の受講料といたしましては、九万二千七百円でございます。
  197. 春田重昭

    ○春田委員 このように指定養成施設に入れば、大体約十万弱で、一週間足らずでほとんどの方が合格するわけです。ここに私は、現在の免許制度が非常に甘いのではないか、ここに事故の原因が一つあるのではないか、こう思うわけでございます。  例えば、大型船の受験要件は船舶の操縦経験が三年以上必要である、これに比べて小型船舶、特に最近急増している四級のクラスについては非常に甘い、こういったことで事故が急増しているのではないか。また、講習に比べて経験といいますか実技の時間も少ない。四級クラスは平水上を操艇しながらそういった実技があるそうでございますが、一たん海へ出れば必ずしも平水とは限らないわけでございまして、荒れる日もあります。波の高い日もあるわけです。また、海の地域によっては湾内であっても非常に波の高い地域もあるわけです。  そういったことから考えて、私は、現在の四級資格の要件といいますか、これについては一考を要するのではなかろうか。もうちょっと厳しくして、講習も一般論ですから、それよりも実技といいますか経験といいますか、そちらの方に重きを置いた受験制度であるべきではないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  198. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 四級小型免許の取得に際しての教育内容をもう少し厳しくしたらどうかという御指摘でございますけれども、現在の講習内容をもう少し詳しく申し上げますと、所定の時間の中で、一般常識、船舶の概要、航海、運用、機関、法規、実技に必要な時間等を十分勘案して、この時間数を決めてございまして、これらのいずれの方法によっても、免許を取得した場合には、小型船舶を安全に操縦する上で十分な知識と能力を得ている、私どもといたしましてはそう判断しております。  しかしながら、航行の安全を確保するためには、操縦者一人一人が十分な海技知識及び能力を有していなければならないことはもちろんでございますので、個人の心構えも非常に重要となってくるわけでございまして、今後とも、各種講習会等を通じまして航行の安全に係る意識の高揚に私どもといたしましては努めてまいりたいと考えております。
  199. 春田重昭

    ○春田委員 重ねて大臣にお伺いしたいと思うのですが、自動車事故も最近年間一万人以上死傷者を出していますね。最近、塩崎総務庁長官の方に自動車事故に対する審議会の答申なり意見が出ているのですが、これと同じような制度で、車の場合は自動車学校というのがあるのですね。これも一定のカリキュラム、講習と実技がありますが、実技の時間が非常に少ないのではないか、もうちょっと経験を積ませて免許証を発行すべきではないか、こういった答申が出ているわけでございます。  それと同じような考えで、モーターボート、ヨット等の操縦資格も経験や実技に重きを置いた試験制度に変えるべきではないか、私はこう思っておるわけでありますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思うのです。
  200. 大野明

    ○大野国務大臣 近年、自動車事故が急憎いたしておりまして、私どもも大変に憂い、安全対策に力を注ぎたいと思っておるところに、今度は海の問題としてプレジャーボートなどの事故が大変にふえておるという現況を見ますと、私が自動車免許証を取得したのが昭和二十三年でしたが、そのころは本当に楽な試験というか、それだけ免許を受ける人が少なかったということですね。ですからそれで済んでいた。ただいまの海技試験の方は、今聞きましたら、昭和四十九年からこういう制度ができたそうです。そういうことを考えると、やはり当時から比べると今日大変急憎いたしておりますから、ここら辺は先生御指摘のように考えなければならぬ時期が来たのかなという思いをいたしております。  また同時に、今の自動車事故を見ておりましても、自動車を運転する者の自覚、そういうマナーとかルールとかを守るように政府としても啓蒙いたしておりますけれども、なかなかそれが徹底しない部分もあるのでしょうか。あるいはまた、私はボートのことはよくわからないのですけれども、今の若い人たちはボートでも自動車でも飛ばすことがうまいのだという何か変な感覚を持っていますから、そういうようなものも、やはり交通安全は、自分の事故という意味でなく、社会の福祉、こういうとらえ方で、これからも安全対策に十分力点を置くと同時に、今の先生の御指摘の点につきましても一度考えてみたいと思っております。
  201. 春田重昭

    ○春田委員 時間がございませんので、質問したかったわけでございますが、一応指摘しておきます。  このように、一応免許証を取る、ところが技能は未熟、また、先ほどもお話がございましたように基本的な海上ルールの無視、こういった点で、免許を取ってから後の安全指導もやはり大事なんですね。ところが現在、安全センターなるものがありますけれども、免許取得者をきちっと把握していない、掌握していない、したがって完全な安全指導がなされてない面もあるわけですね。そういった面で私は、今後、免許取得者数をきちっと把握する、そういったことや、安全センターの機構改革等、また免許取得時においても安全指導に重点を置くことも大事じゃないかと思っておりますので、意見として述べておきます。  さらに登録の問題ですが、現在、五トン以下の船舶につきましては登録がされてないわけです。そういった点で、登録ナンバーとか証明書の携帯を義務づけて行うことが事故を最小限にすることにもつながっていくのではないか、こう思っておりますけれども、小型船舶、特に五トン以下の船舶につきましての登録制度について運輸省はどうお考えになっていますか。
  202. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 船舶法上、船舶の登録制度は、国際航海に従事し得ると考えられる総トン数二十トン以上の日本船舶の国籍を国際的に公証することをその目的としております。また、五トン以上二十トン未満の小型船舶の船籍の証明制度につきましては、日本国内全域にわたって航行する船舶を特定し、船名を明らかにすることを目的とするものでございます。したがいまして、このような制度の目的に照らしますと、主として非常に限定された海域のみを航行すると考えられます総トン数五トン未満の小型船舶につきましては、このような制度を導入する必要性は薄いものと考えておりますけれども、御指摘がございましたようにいろいろと問題がございますので、昨今の社会情勢等にかんがみまして、総トン数五トン未満の船舶の特定制度につきましても重要なことと認識をいたしておるところでございます。  ただ一方におきまして、それに伴う所有者に対する新たな義務づけ等の負担増のほか、行政面においても体制の強化等解決すべき問題が多くありまして、慎重に検討する必要があると考えておりますが、適切な規制のあり方につきまして今後勉強させていただきたいというふうに考えております。
  203. 春田重昭

    ○春田委員 幾つかの問題点があろうかと思いますけれども、ひとつ前向きに対処していただきたい、こう思っております。  次に救命胴衣の問題です。船舶には救命胴衣の設置が定員数に合わせて義務づけられております需要予測が当然そのベースとなる、一番出発点となる部分でございまして、それにつきましては、日本全体の国際線旅客の伸びあるいは貨物の伸び、それから国内線の旅客、貨物の伸び、そういったようなことをマクロ計算としては当然やるわけでございますが、そのほかに具体的な各空港整備の候補地があるわけでございますので、その空港ごとにこれからどういう形の需要が出てくるかということも個別に私どもの方としては一応の推計をして、今先生おっしゃるような、全部足してみたら全体の予測よりも相当上回ってしまうとかいうようなことのないように考えてやっております。
  204. 小川国彦

    ○小川(国)委員 何かその辺の整合性についてまだ納得のいく説明がされておりませんので、これは今後運輸省当局からまた個別にでも納得のいく説明をお願いしたいと思います。時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。
  205. 渡辺栄一

    渡辺委員長 春田重昭君。
  206. 春田重昭

    ○春田委員 何点かにわたりまして御質問を申し上げたいと思います。  最初に、海洋レジャーにおける諸問題についてお伺いしたいと思います。  モーターボートとかヨットを使うプレジャーボート等が盛んになってきております。週休二日制、リゾート開発といった流れの中で着実に広がっているわけです。レジャーに使えるモーターボート、またヨットの保有台数を調べてみますと、昭和六十一年末で約二十六万隻だったのが、昭和六十二年末では二十六万五千隻、昭和六十三年末で約二十七万隻となっております。この増加の勢いていけば、いわゆる二十一世紀の初頭におきましては約四十万隻と言われております。確実にプレジャーボート等が大衆化されていっているということがこのヨット、ボート等の増加でもうかがえると思うわけでございます。  そこで、レジャーの広がりとともに海難の事故が相当ふえておるわけですが、この事故の件数とその内容、また事故の原因とその対策について、一括して御答弁をいただきたいと思います。
  207. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えいたします。  プレジャーボートの海難の発生状況でざいますが、平成元年度一年間に五百三十五隻、これは台風とか異常気象以外の場合における発生でございますが、それでも五百三十五隻という状況で、全海難の隻数の約三割近い数字になっております。  近年、海難全体としては減少傾向にあるわけですが、その中にありまして、このプレジャーボートの関係は、例えば昭和四十五年当時を見ますと、現在の五百三十五隻に対応する数字が百八十一隻ですから、かなり増加しているという状況にあります。ちなみに、一般の貨物船の海難隻数が平成元年度で二百三十四隻という状況ですから、それを大幅に上回る発生状況になっております。プレジャーボートもいろいろ種類がございますが、中でも件数が多いのはモーターボートということで、これがプレジャーボート全体の中の海難の約四割を占めているという状況でございます。  それで、海難の中身としましては、機関故障という件数が百十七隻ということで一番多くなっております。  私どもとしては、こういうようなプレジャーボートの海難の発生につきましては、まず海上の一般的な交通ルールというものをよく知っていただくということと同時に、気象とか海象の情報、これを速やかに入手していただくというような面をまず第一に強調いたしまして、私どもの海上保安官が現場に訪船したり、あるいは講習会というような場面でこの点を徹底させるようにしております。  安全問題の基本は、やはり海洋レジャーの場合その愛好者みずからの自覚と努力というのが基本にあると思いますが、こういう面では、民間の自主的な安全活動の組織母体としまして、小型船安全協会というものをつくっていただきまして、これを中心に今安全指導というものを徹底するようにいたしております。
  208. 春田重昭

    ○春田委員 海難事故は、やはり車の事故と違いまして命を落とす率が非常に高いものですから、そういった面では防止策を万全にしていかなければならない、こう思っているわけでございます。特にプレジャーボート等が海難事故のうち約三割を占めているというお話でございます。そういったことで、これから相当これが大衆化されて広がってまいりますので、その防止策について真剣に考える必要があろう、こう思っております。  事故の要因、今お話がございましたけれども、その中の一つとして私は免許制度があるのではないかと思います。そこで、この小型船舶、モーターボート等、一級から四級まで免許制度がありますけれども、どういう制度なのか。また、現在この免許を取得している人は大体何名くらいいるのか。この点について御説明をいただきたいと思います。
  209. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 小型船舶操縦士の免許の制度でございますけれども、まず一級小型船舶操縦士というのがございますが、これは海岸から二百海里を超える水域を航行区域とする総トン数二十トン未満の船舶の船長の免許でございます。次に、二級小型船舶操縦士というのがございますが、これは海岸から二十海里以内の水域を航行区域といたします総トン数二十トン未満の船舶の船長の免許でございます。三級小型船舶操縦士がございますが、これは平水区域または海岸から五海里以内の水域を航行区域といたします総トン数二十トン未満の船舶の船長の免許でございます。それから四級小型船舶操縦士でございますけれども、これは平水区域または海岸から五海里以内の水域を航行区域といたします総トン数五トン未満の船舶の船長の免許でございまして、この免許の取得者の数でございますが、これは平成元年度末現在でございますが、まず一級が五十二万四千百十三人、二級が五万七千九百九十一人、三級が二千二百七十四人、四級が百三十四万五千九百五十四人、合計いたしますと、百九十三万三百三十二人という現状になっております。
  210. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま御説明があったように、小型船舶につきましては一級から四級まである。特に四級の取得者が全体の六割以上あるわけです。しかも、この伸び率を見ても、この四級の免許取得者が近年非常に伸びております。五年間でも約二〇%の伸びを示しているのです。四級の場合は、非常に手っ取り早く免許が取得できるという制度にもあるのではなかろうかと思っておるわけでございますが、この免許取得、免許資格を取得するシステムについて御説明をいただきたいと思います。
  211. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 四級小型船舶操縦士の免許を取得するためには、財団法人日本モーターボート協会の実施する試験、これは筆記試験と実技試験、それから身体検査がございますが、この試験を受験する方法と、指定船舶職員養成施設の課程を修了いたしました後に、この財団法人日本モーターボート協会の実施いたします身体検査を受ける方法の二通りがございます。
  212. 春田重昭

    ○春田委員 取得方法には二通りあるということでございます。ストレートに国家試験を受ける方たちの合格率は大体何%ですか。
  213. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 この指定船舶職員養成施設の課程を修了して免許をいただく者の合格率ですが、これはおおむね九割以上でございます。
  214. 春田重昭

    ○春田委員 それと、指定養成施設ではなくてストレートに国家試験を受けていく方法がございますね。この方たちの合格率は何%でしょうか。
  215. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 もう一方の、モーターボート協会の行う試験をストレートで受けましてこれを合格する者の率でございますけれども、これは平成元年度で五六%でございます。
  216. 春田重昭

    ○春田委員 このように、取得の方法には二通りがある。ストレートで受ける制度の合格率は五六%、もう一方の指定養成施設を修了して受ける取得者については九〇%ということで、大変な合格率の違いがあるわけです。  そこで、指定養成施設の問題について若干お伺いしたいと思いますが、この施設では講習と実技を設けまして受験資格を与えるようでございますに当然のようにお願いしているということではなくて、本来ならば経常収益がそのような市町村の補助を必要としない程度のものをバスとして考えていきたい、こういうことから国の補助として制度ができているものでございますので、あとは、そういったものについてはたまたま六分の一あるいは八分の一という数字が共通でございましても、市町村等についてはこれを八分の一以内とか、必ずしもそういう全額をお願いしているわけではございませんで、必要な範囲でお願いする、こういう仕組みになっているわけでございます。  全体の話と個別の話が少し入りまじりましたけれども、そのような考え方で対応している、こういうことでございます。
  217. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いずれにしても今のまま進んでまいりますと、日本の地方バスというのはどんどん足切りが行われて、交通網が切られてなくなっていく。現在でもマイカーの自動車がふえてきた、増加した、ミニバイクがある、自転車利用がある。交通手段が多様化していく中で若い人たちは全部マイカーで行ってしまう、残された御婦人、お年寄り、子供、これがバスを利用していく、さらに障害者、高齢者の利用もバスは多い。そういうふうに考えてみて、その残された人たちで子供の場合には通学定期がある、障害者には割引運賃がある、そうすると割引の客しか乗ってないというような状況も考えられるわけで、そうすると、ではそれを運賃値上げで補いなさいと言っても、現状は過疎バスで利用者が少なくなっているところへ運賃を値上げしたら、また利用者が減っていくという悪循環があるわけですね。そういう意味では、今度は、ある意味の教育政策なり厚生政策の社会保障政策を交通手段は受け持っていくのか、それを民間のバス会社に負担させていくのかというふうにもとられかねないわけですね。  ことしの地方の民鉄は全部赤字で、さっきの鉄道と同じように運賃値上げはもうできない、これ以上上げたらなお客が減る、そうすると自治体もその負担金がもう出せない、ならば利用者が減ってきているバスヘの補助金をなくそうか。今おっしゃる皆さんの考え方でいくと、地方自治体がバスを運行していくのだからそこに国が援助するのだという考え方でいけば、その補助金を出せなくなった、負担が苦しくなった地方自治体がそのお金を出さなければ、結局そのバスの路線はなくなっていくということになるわけですね。そうすると、今いろいろ言った児童の通学の手段であり、あるいはまたお年寄りや御婦人の通勤なり、そういう交通手段である足がどんどん切られていく、そして過疎がますます過疎になっていくという状況になるわけです。これは、今まで果たしてきた運輸政策がある意味では社会政策的な役割を持ち、そのためにこそ補助金を出してきたという考え方を持つならば、やはり建前だけでいくのではなくて、実態を見きわめて、しかも国民の交通手段を守る運輸省が、そういうところをどうしたらしっかり守っていけるのかということを積極的に考えるべきじゃないのか。市町村がやめていったらやめていっていいのだというのでは国の運輸政策としては成り立たないではないか。やはり国の運輸政策としては、そこを踏み込んで一体どうするのか。アメリカのように大都市と大都市をつなぐバスがあればいい、スクールバスがあればいい、そして市内バスがあればいいということで、日本のように地域と地域をつなぐこうした地方交通というものがこれだけ立派にヨーロッパのように完備しているのにそれがどんどんなくなっていく傾向というものを深めていっていいのかどうか、これは運輸省地方の交通政策の大きな分かれ道にも立っている。アメリカのような道を選ぶのか、ヨーロッパのような道を選ぶのか、そういう大局的な判断も迫られている問題だと思うのですね。  そういう点で運輸省はどういう方向をたどろうとしているのか、その点をはっきりお示しいただきたいと思うのです。
  218. 早川章

    ○早川政府委員 我が国の過疎地域と申しますか、地域における老人の方あるいはお子様等の居住の実態からして、アメリカのような形で足をどんどん切ってしまう、自家用車等で走れる人は走る、これで済むという形のものでないということは、十分認識をいたしておるところでございます。その上に立ちまして、しかしある範囲までは経済合理性も絡めたといいますか、経済合理性も加味した仕組みで、ぎりぎりのところまではいわば基本的な通常の乗り合いバス等の輸送形態を維持し、それに対して必要があれば助成を行っていく、こういうことでございますが、そこからさらに過ぎまして、もう一歩踏み込んだ形で、ほとんどお客が乗らない、お客様はほとんど自家用車あるいは周りの方の車に乗せていただいて動いている、こういう形になりますと、バスの方は回数が減るとかでますます役に立たない、あるいは御利用が不自由なバスの形になってしまう、こういう形の悪循環が出てきている、こういう問題点は十分認識しておるところでございます。  これをしかし、交通政策の観点からだけ一方的に進める、維持していく、こういうことはなかなか難しいという理解をいたしておりまして、現在、運輸政策審議会の地域交通部会で、いわば大都市の鉄道問題とあわせて地域のこういった公共輸送の維持対策ということの議論を検討させていただいております。その中でも決して議論は単純でございませんで、特に地方が実施されているところの文教政策とか社会福祉政策の一環として自動車を運行させていらっしゃるという実態がございますので、そういったものと、これらのその他一般の御老人の方等がお乗りになる一般バスとの関係、あるいは無料パス等のあり方等についていろいろ先生方から御議論をしていただき、ぎりぎりの線でどこまで運輸政策として踏み込んでいけるのかというところを見きわめてみたいと考えているところでございます。
  219. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最後に大臣に、この交通政策の問題は、今は地方のバスでいえば百億、それから中小民営鉄道でいけば十億ですね、百十億です。これによってかなり全国の過疎地域の住民の足が守られている。ですから、私は、運輸省の年々ふえてきている予算の中からいえば、これは維持し強化していける予算ではないか、しかも大事な国のいろいろなひずみを直していくという意味では、この百十億をふやしていくということは大きな意味のある予算措置だというふうに考えるわけですが、この点大臣としてこういうことに積極的に取り組むお考えをお持ちになるかどうか、お伺いしたいと思います。
  220. 大野明

    ○大野国務大臣 今日までマイナスシーリングの中でもふやしてきておるということで、非常に運輸省としても力を入れてやっておりますが、いずれにしても来年度の予算についてのシーリングも始まるわけでございますから、その中で大臣として、地方の皆様方の生活の足として大切な事業でございますから、頑張ってやりたいと思います。
  221. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、私は成田空港における地元対策、その中の騒音対策の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  成田空港が今日まで二十四年という長い年月を要しながら今工事が進められているわけでありますが、その中で地元対策というものがいろいろな意味で重要視されているわけであります。空港周辺の住民を騒音から守る、こういう意味で防音堤というものがつくられて、いわば音を防ぐ堤防がつくられ、それが十メートルの高さで土盛りが行われ、その上に木を植林していく、植栽が行われる、こういう防音堤、防音林の整備というものが行われているわけでございます。  この防音林の整備につきましては、昭和五十五年十二月二日、成田市長から中村大造空港公団総裁あてに要望書が出されているわけです。これに対して、昭和五十六年三月九日、公団総裁より成田市長あてに次のような回答が出されているわけです。「防音堤、防音林の整備について」「現在、A滑走路西側に延長約二千メートルにわたり防音林、防音堤等を整備しているが、今後とも空港に隣接する土地は極力これを買い取り、防音林を整備していく考えである。まず、昭和五十五年度においては、既設防音林の松くい虫による被害部けれども、しかし、さきの千葉県の九十九里沖の海難事故に見られますように、救命胴衣を着用していれば今まで落とすことはなかった、このように言われております。  したがって私は、船に乗るすべての人が着用しろとは言いませんけれども、またすべての船舶ということは言いませんけれども、やはり海が荒れていた場合とか泳ぎが達者でない幼児とか女性に対しましては、船長の指示によって救命胴衣を義務づけるということも考えていいのではないか。これからプレジャーボートの急増とともにこういったこともあわせて考えていく心要があるのではないか、こう思っておりますが、この点どうでしょうか。     〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
  222. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 五トン未満の小型船舶が例えば荒天時に出港すべきではないこととか乗船中は常時救命胴衣を着用すべきこと、こういうことにつきましては小型船舶の運航に当たりまして一般常識であると思いますが、こういうことを指定船舶職員養成施設における講習や免状の更新時の講習におきまして十分指導、教育してまいりたいということで、今後とも各種のそういう機会をとらえまして指導を強化していきたいと考えております。
  223. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、これから、夏本番でございまして、プレジャーボート活動、これは沿岸レジャー、ダイビングやいろいろなものとともに、これからますます盛んになってまいります。そういったことで事故がないように万全の体制をつくっていただきたい、こう要望しておきます。  ヨットやボート等を保管する場所、係留地、こういった問題とかその他何点かについて御質問する予定でございましたけれども、時間の制約上、この問題は省略させていただきたいと思っております。  続いて大阪の問題につきまして、何点か要望を踏まえまして御質問をさせていただきたいと思っております。  まず第一点はヘリポートの整備でございます。このヘリポートは最近非常に需要が高まっていると聞いているのですが、運輸省のヘリポートに対する御見解をお伺いしたいと思います。
  224. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ヘリポートの問題でございますが、先生のお話のようにヘリコプター自身の登録機数というのは大変ふえてまいりまして、本年度に入りまして一千機を超えるという状態でございます。  それで私どもは、そのヘリコプターの使うヘリポートのうち特に公共用のヘリポートの整備、そういうものを促進するために、昭和六十二年度からNTT株の売却益を活用しまして、地方公共団体が整備します公共用ヘリポートの整備費の三〇%を無利子貸し付け、そういうことを行う制度を創設いたしました。それで平成二年度予算、今年度予算でも十五ヵ所のヘリポート整備費の無利子貸付金としまして十億円を計上している、こういう状態でございます。
  225. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま御説明があったようにヘリポートは地方自治体が主体として整備していく、国の助成もそういった形でなされているわけでございます。  そこでお伺いしますけれども、大阪、京都、奈良の領域に及ぶ関西文化学術研究都市、通称関西学研都市と言いますが、現在進められておるわけでございまして、二十一世紀の初頭にはほぼ完成すると言われております。また一方、関西のプロジェクトとして関西新空港がございます。順調に進めば平成五年の春に開港となっております。現在急ピッチで工事が進められています。この関西学研都市と関西新空港、これは関西のみならず日本の代表的な施設なんです。したがって海外の方も多くの方が今後完成とともにお見えになる。ところがこの学研都市と新空港の距離は約六十キロから七十キロございます。時間にして車と鉄道を利用したとしても三時間前後かかってしまうのですね。大変な時間です。そのためにアクセスの整備がやはりどうしても必要になってまいります。  そこで私は、この学研都市と新空港を最短距離で結ぶヘリポートの設置を関西学研都市側に要望したいと思っております。先ほどの御説明のように地方自治体が主体として整備となっておりますが、もし地元でそういった要望がありましたならば運輸省としては前向きに考えていただきたい、このように要望いたしますが、この点どうでしょうか。
  226. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 関西文化学術研究都市のヘリポートの問題でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、私どもの方としましては、ヘリポートの重要性、特に公共用ヘリポートの重要性ということを十分認識いたしております。そういうことで予算的にも道を開いているわけでございますので、今、現実には関西文化学術研究都市のヘリポート整備についての具体的なお話をお伺いしておりませんけれども、地元におきまして計画がまとまりまして、それで関係地方公共団体からの整備要望がございますれば、私どもの方としても適切に対応してまいりたいと考えております。
  227. 春田重昭

    ○春田委員 よろしくお願いいたします。  続いて第二点といたしまして、地下鉄の問題です。現在花と緑の博覧会が開催されておりましてこの開催に合わせまして交通アクセスの整備の一環として地下鉄鶴見緑地線が新設されました。この地下鉄につきましては、平成元年の五月三十一日、運輸政策審議会の十号答申がなされております。大阪圏における交通網の整備、この中では将来、京橋から鶴見まで来ている地下鉄を、鶴見から茨田、そして交野方面に延伸が計画されております。今後、この延伸に係る具体的な計画についてどうお考えになっているのか、運輸省の御見解をいただきたいと思います。     〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
  228. 早川章

    ○早川政府委員 先生御指摘のように、運輸政策審議会が、第十号答申といたしまして、平成元年の五月三十一日に「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」というのを答申いたしました。その中におきまして、七号線というふうに申しておりますが、鶴町からスタートを切りまして京橋、鶴見緑地、それから茨田、交野方面、こういう路線がそこでもって取り上げられておるわけでございますが、その中で先生御指摘の茨田、交野方面、この部分につきましては、まず鶴見緑地から茨田の整備につきましては、「茨田地区の再開発の進捗状況及び道路の整備状況等に合わせて着手する。」こういういわば着手のタイミングにつきましての方向づけがなされております。  この鶴見緑地と茨田間につきましては、西暦二〇〇五年までが一つの目標年次でございますが、そのうち西暦二〇〇五年までに整備に着手することが適当であると答申は見て、その際におきまして、「茨田地区の再開発の進捗状況及び道路の整備状況等に合わせて着手する。」こういうふうにコメントがつけられているわけです。  さらに、茨田から交野方面への延長につきましては、「沿線地域の開発状況、当該開発に伴う新規需要の規模、京阪本線、JR片町線の輸送力増強及びこれらの路線へのフィーダー輸送機関の充実による対応等を総合的に勘案して、路線整備の必要性について検討する。」ということで、これはちょっと専門の仕組みですが、点線と申しまして、まだ実線になってない部分になってきている、こういう位置づけの線、部分でございます。  このいずれにつきましても、具体的な整備のタイミングにつきましての判断は、この七号線を整備するという整備主体でございますところの大阪市交通局の御判断、そして地域の状況等を見ていただいてお申し出をいただき、私どもとしては、これらの地下鉄につきましては補助等の仕組みがございますので、その採択と申しますか、そういう補助採択というような形を通じて、具体的な整備推進が図られるものと理解しております。
  229. 春田重昭

    ○春田委員 今後の沿線の開発状況を勘案して検討するとなっておりますけれども、この交野方面の人口増は最近とみに著しいわけですね。また、地元ではその実現に大いに期待している面もございます。運輸省の一層の御努力をいただきたいと思っております。  続いて、第三点の要望でございますが、深夜バスの問題です。大阪の深夜バスの導入について若干お伺いしたいと思います。  深夜バスにつきましては、現在東京で昨年から実施されているのです。現在、深夜急行バス、深夜中距離バスとして二十六路線が運営されていると伺っております。大阪東京に次ぐ大都市でございますし、深夜バスの必要性は高いと私は思わざるを得ません。また大阪は、先ほどお話があったように関西新空港が平成五年には開港される。開港されますと二十四時間都市になってまいります。  そうしたことを考えたとき、交通機関の整備が絶対必要になってくるわけでございまして、運輸省としても大阪における深夜バスの導入に前向きに考えていただきたいし、取り組んでいただきたい、こう思っておりますが、運輸省の御見解をいただきたいと思います。
  230. 早川章

    ○早川政府委員 先生御指摘のとおり、最近東京大阪もそうだと思いますが、大都市等におきましては大変都市の活動が深夜に及ぶ、こういう現象がございます。さらに、その都市で働いていらっしゃる、あるいはそこでもって活動されている人たちの居住の地域が都心部から外縁の方に移ってまいりまして、したがってそういう方の輸送といいますか足の確保というものが深夜までかなりの距離について必要である、こういう実態が出てきているということだと思います。  そのために、東京におきましては、まず一つのパターンといたしまして、都心部と申すよりむしろ山手線沿線のターミナルからでございますが、ターミナルから中間部分で高速道路を利用して、そして住宅地にお客様をお運びする深夜バス、こういう仕組みが出てまいります。それからまた、例えば新宿で申しますと中野あたりまでのタクシーにかわるような乗リ合いバス、さらにその中間を行くような、高速は利用しなくて中距離であるけれどもお客様をお運びするバスというのが幾つか、そういう形が出てまいります。場合によりまして、非常にそういう需要が多い場合には、さらに深夜にまたがりまして鉄道の運転時間の延長というような議論もございますけれども、とりあえずは、需要的に見れば深夜バス、深夜急行バス等の整備が必要である、こういうような状況がまず出てきて、それに対する対応が必要だ、こういうふうに考えております。  大阪につきましても、これは昨年の十月からキタ、ミナミというような繁華街でございますが、まずタクシーの計画配車を始めてタクシーがつかまりやすくする、さらにこの年末でございましたが、乗り合いタクシーの運行を実施していただく、こういう形で、徐々にそういう深夜輸送力につきましての確保を図ってきているところでございます。  大阪の深夜輸送需要の実態がどういうことであるかというところについては、まだ本省では十分に認識しているところではございませんけれども、例えば大阪から奈良方面に広がる住宅地等への輸送とかそういうもので、例えば学園都市と申しますかあの辺に運ぶというような構想は、事業者の段階ではかなりあるというふうに伺っておりますので、そういった形で、深夜急行バス等が事業者の方、これは実は東京都の例を見まして非常に事業者の方が着目している輸送分野でもございますので、大阪等でそういう計画が進めば我々としては積極的にそれを認めていきたいと考えているところでございます。
  231. 春田重昭

    ○春田委員 ぜひとも実現方に御努力をいただきたいと思います。  最後になりますけれども、同じくこの交通アクセスの整備の一環として、河川にかかる橋梁の建設についてお伺いしたいと思います。これは建設省の方に御質問いたします。  大阪府には、近畿八百万人の水がめと言われる淀川があります。この淀川を挟んで大阪府内には右岸の北摂地域、そして対岸であります左岸の北河内地域がございまして、位置的には相対しているのです。北摂地域の中心であります高槻市、現在人口が三十六万ですが、将来は四十万となって参ります。北河内地域の中心であります枚方市は現在人口が三十九万ですが、将来計画では四十五万人の都市を目指しております。このように、この両域の地域は、両市の発展とともに目覚ましい人口増加と交通量の増加ともなっているのです。  この両域を結ぶ橋梁は、現在、枚方大橋とお隣の市の京都府の八幡市にかかる御幸橋というのがあります。距離的に約十キロあるのですね。そういったことで、朝夕のラッシュ時はもちろんのこと、平時でもこの既設の橋は交通渋滞のネックとなっております。  昭和四十四年、この両橋の中間位置に相当する箇所に、両域を結ぶ橋梁の計画が決定されております。しかし、二十年経過した今日でもまだ事業化されてない。これが交通渋滞の大きなネックになっております。建設省は、この計画決定された橋梁建設につきまして今どう進めているのか、お伺いをしたいと思います。
  232. 田尻文宏

    ○田尻説明員 先生御指摘の橋梁につきましては、交通需要も大変大きいだろうということは十分予想されますが、この橋梁につながりますアクセス道路、これが非常に問題でございまして、枚方側の道路につきましては何とか進められるかとは思うのですが、高槻側の道路がちょっとめどが立たない。それで現在、この橋梁に取りつけますアクセス道路としましては、大阪高槻京都線、主要府道でございますが、これにアクセスしようということを計画いたしております。  それで、この大阪高槻京都線の現在は、大阪の中央環状線から国道百七十号線までを事業化いたしておりまして、これが八・六キロございます。そのうちの四・九キロは既に供用いたしておりまして、残り三・七キロですが、これは現在鋭意整備を進めております。それで、この三・七キロにつきましてめどが立ちましたら、百七十号からいわゆる北側、この橋梁にアクセスする部分を事業化いたしたい、こういうふうに考えております。  ところが、いわゆる用地取得あるいは環境問題等、問題がまだ少し残っておりまして、この三・七キロの供用のめどがまだ立っているとは申し上げられない状態でございます。したがいまして、それがめどが立ちましたら、百七十号から北側、いわゆる橋梁へのアクセス部分について事業化し、これの進捗に合わせてこの橋梁も整備していきたい、こういうふうに考えております。
  233. 春田重昭

    ○春田委員 右岸地域には国道の百七十一号線、それから百七十号線が走っております。左岸地域には国道一号線、また旧一号線、将来には京阪第二国道が計画されまして、おのおの大阪から京都に縦に走っているのです。ところが、この道路を結ぶ横の道路がないということで、この橋梁建設の構想が浮かび上がってきていると思うのです。現在そういった形で御努力をいただいているということでございますが、早急にこの橋梁建設が実現できますようにひとつ今後とも精力的に御努力をいただきたい、こう思っております。  以上、大阪の問題点、四点でございますが、要望を踏まえて御質問させていただいたわけでございまして、運輸省建設省もひとつ前向きで取り組んでいただきたいことを強く主張いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  234. 渡辺栄一

    渡辺委員長 鍛冶清君。
  235. 鍛冶清

    鍛冶委員 きょうは決算委員会で運輸省の皆さん、お時間を少しいただきまして、私の地元で今一番大きな問題で、またその開港が期待されております新北九州空港の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  この新北九州空港については、もう私が申し上げるよりも運輸省の皆さん、関係者の皆さん、お詳しく内容を御存じだと思います。地元では、地元の浮揚を含めて、また国際化という時代の流れの中で一日も早く完成をしていただきたいという要望が強くございまして、私もこの問題につきましては過去何回か、予算委員会の分科会でございましたが、御質問をさせていただきました。運輸省からは懇切な御答弁をその都度いただき、またこの開港へ向けて大変な御努力をいただいておりまして、私はこの席をかりて地元を代表いたしまして心からお礼を申し上げたいと思います。  そこで、新北九州空港、私が一番最近御質問をさせていただきましたのは、昭和六十三年三月九日の衆議院予算委員会第七分科会の中でございました。この折にも、御答弁いただいた中で、地元の私どもにとりまして非常に朗報として受けとめさせていただいたのは、開港の時期について、いろいろな条件はございましたけれども、大臣や航空局長から御答弁がございました。特に航空局長はそのとき、新北九州空港の必要性につきましては十分認められるという前提に立ちながら、その立地については周防灘が非常にすぐれておる、また投資効果の面から考えましても、既に造成が進行中であり、またさらに計画中の土砂処分場を活用するのが最も適当である。また、この新北九州空港の開港見通しにつきましては、新門司沖の土砂処分場の推移、さらには自由にどこからでも進入ができるというMLSの進入方式の開発状況、こういったものを見ながら、順調にいけば、当時は昭和七十年代中ごろという御答弁がございましたが、現在ではたしか平成十二年ごろだと思います、西暦で言いますと二〇〇〇年、このときになるのではないか、こういうような見通しを含めた御答弁をいただきました。  これを繰り返して御確認をするというのは大変失礼かもわかりませんが、一日も早く、また確実に開港を進めていただきたい、こういう思いを含めまして大臣に最初にお尋ねいたしたいのですが、そのときに御答弁をいただきました運輸省の考え方、これは現在も変わっていないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  236. 大野明

    ○大野国務大臣 新北九州空港につきましては、今るる経緯をお話しいただきまして、また私もその点については承知をいたしております。当時と何ら変わることはございません。特に、現在の北九州空港、地形あるいはまたその周辺の土地の取得等困難でございますから、いずれにしても苅田沖に土砂処分場をつくろうということに変わりません。  ただ、空域等の問題がございますので、これはMLSの開発状況等もございますし、処分場の進捗状況等を考えても、今先生御指摘の西暦二〇〇〇年ぐらいをめどに頑張って、何とか大型ジェット機が着くような空港をつくることによって、北九州周辺の利便と同時に、やはり経済性も高めるというようなことを考えた上で、十分今後もやらさせていただきたいと考えております。
  237. 鍛冶清

    鍛冶委員 大臣、大変ありがとうございました。ぜひひとつその方向でお進めをいただきたいと思います。  そこで、私が御質問をさせていただいたときに、当時の航空局長から、今大臣もちょっとお触れになりましたが、ほぼ三点について条件が整備できればという前提がございましたが、その一番目は地元の合意の形成、また漁業補償等も完全にひとつ遺漏のないようにやっていくことが一つあるというふうなこともございました。それからさらには土砂処分場の完成というものも順調に進めていかなければならない。これは運輸省の第四港湾建設局が関係をしていただいておるわけでございまして、建設局とも力を合わせながらこの処分場を早く完成するようにということで、地元の北九州市、苅田市等も含めまして福岡県も一緒になりまして、その条件整備はやっているわけでございます。  さらに漁業補償についても、これは平成元年三月二十五日に豊前海区の十七漁業協同組合の漁業補償につきまして説明もし、交渉を実質的に開始をいたしております。その経過の中でいろいろと問題のございました漁業補償、これは土砂の埋め立ての補償とは別個に切り離してというようなことだったようですが、漁業協同組合の皆さんはぜひ一緒にという御要望が強かったようでございますけれども、この点につきましては平成元年の九月に福岡県知事が、この漁業補償の交渉問題につきましては新空港建設のための漁業補償も一括して交渉の対象とする、こういったことを県議会の場で答弁をいたしておりまして、その後、第四港湾建設局を中心といたしまして早期妥結ということで話が進み始めておる、こういう状況がございます。  その中で、今、私ども地元でもちょっと手がつけられなくて、この推移を見守って一番心配しておる点は、さっき申し上げましたMLSの問題でございます。この開発状況は現在一体どういうふうになっておるのか、どの程度進んでおるのか、この点について運輸省の方で御確認されていることがありましたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  238. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 MLSの開発状況の問題でございます。  私どもICAOと言っております国際民間航空機関の定めました進入着陸援助システムの一つでございますが、それの国際標準によりますと、一九九七年、平成九年十二月三十一日までは現在使っておりますILSという機器を主システムといたしまして、一九九八年、平成十年一月一日から以降はMLSの方を主システムとして実施していくということに定まっております。  それで、これを受けまして、私どもの方の研究の関係は、運輸省電子航法研究所がMLSの機器の開発評価研究を進めております。昭和六十二年度から平成元年度まで熊本空港での試作装置によります性能評価を行っておりましたが、それに引き続きまして、現在は試作した装置を仙台空港に移設いたしまして、本年度と来年度の二年程度をかけましてその管理運用面での調査研究を進めることとしておりまして、今そういう段階でございます。
  239. 鍛冶清

    鍛冶委員 この点も一日も早く実用化されるように期待をいたしたいと思いますし、また運輸省も、そういった実験等を含めましてひとつ強力にお進めいただきますようにお願いをいたしたいと思います。  さらに、この空港整備につきましては、第六次空港整備五ヵ年計画、これは来年度、平成三年から七年までの間の計画に当たるわけでございますが、その策定のための準備を今進められておるというふうに伺っておりますけれども、この新北九州空港につきましては六次の計画にぜひ採用していただきたい、こういう思いでございますが、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。同時に、この計画というのは一体どういうスケジュールで、いつごろ発表されるようになるのかもあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
  240. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、新北九州空港も含めまして、第六次の空港整備五ヵ年計画を来年度から実施するための策定作業を、航空審議会におきまして関係の学識経験者の方々を中心に今御議論をいただいているところでございます。それで今後、ことしの八月に中間取りまとめというのを航空審議会でしていただくことを予定しております。  個別の空港の問題につきましては、八月の段階では成田の新東京国際空港というような大空港、大規模プロジェクト、そういったものは八月の段階で具体的にいろいろと今後の見通しみたいなことを取りまとめていくわけでございますけれども、そのほかの空港では、八月の中間取りまとめをいただいた後に個別に検討に入ることとしておりますので、新北九州空港につきましてもその中で検討を進めてまいりたいと考えております。
  241. 鍛冶清

    鍛冶委員 これは今までも調査費をつけていただきずっと進んできておりますので、この中での採用をぜひやっていただきますように強く御要望を申し上げておきたいと思います。私ども地元の思いとしましては事業採択までしてほしいということなんでございますけれども、現実にいろいろな工事が進んだり条件が整備される中で、いよいよ運輸省として空港としての手をつけていく時期と重なってくるのだろうと思います。あるいは難しいのかもわかりませんけれども、そういうことを含めて、さらには来年度の予算にも従来どおり調査費をつけていただくという流れを考えましても、計画の中にはぜひ織り込みをしていただきたい、強く御要望を申し上げておきたいと思います。  さらに、最初に大臣から、六十三年当時の考え方と全く変わってない、これは開港に向けて力強く進めたい、こういう御答弁をいただきまして、私どもも極めて力強く思っているわけです。この新北九州空港は、言うまでもなく地方空港としての位置づけになっているわけでございますけれども、地方空港でありましても、やはり地域の国際化、特に北九州はそういうことを目指してやっておりますし、歴史的に見ましても、東南アジア方面を含めて非常に意義ある歴史を重ねてきたところでございますから、そういう動きも今活発になってきておりますし、さらには、福岡県の中でも多少振興がおくれておりましたけれども、今みんなの協力によりましてだんだんと上向きに向かいつつあるのだろう、こう思っております。そういうことを踏まえながら、地方空港ではございますけれども、国際線が入るような空港に育てていくという努力を私どもしなければならないのではないかという思いもいたしておるわけでございますが、この国際線の乗り入れということにつきまして運輸省の御見解を承りたいと思います。
  242. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 我が国の最近の国際化の進展に伴いまして、いわゆる地方空港におきましても国際線の定期便あるいはチャーターフライト、そういう両面での国際線の利用というのが盛んになってきつつございます。  それで私どもといたしましては、地方空港の国際化ということにつきましては、地方における国際交流あるいは地域経済の活性化、そういったものを進める観点から積極的に推進することとしておりまして、新空港ができた場合にも、地域において需要の喚起を図り、チャーター便の実績を積むとか海外に対して空港のPRを行うなど、そういう努力が行われて国際線の利用が増進されるということは非常に有意義であると考えております。
  243. 鍛冶清

    鍛冶委員 最後の御質問になりますが、お尋ねしたいと思います。  新空港が開港するまで、当初私は六十三年に御質問申し上げたときは、地元では昭和で言いますと六十年代の終わりごろにぜひ開港ということを願って運動もしておったし期待もしておったのですけれども、七十年代半ば、西暦で言えば二〇〇〇年というころになるだろうというお話があって、急遽運輸省の方にも地元から話が持ち上がりまして、運輸省に御相談をいたしまして、新空港が開港するまでの間、現北九州空港に定期便を就航させるというために運動が起こってまいりまして、そういう方向で今運輸省にも御努力いただき、予算もつけていただいておるわけでございます。この点もお礼を申し上げるわけでございますけれども、この現北九州空港のジェット化のための工事の進捗状況及び完成の見通し、こういったものについてまずお尋ねをしたいと思います。  さらにもう一つ、現空港工事が完成いたしますれば、それも地元では東京便を少なくとも最低一日二便は就航をさせるようにしたいという皆さんの熱意がございますけれども、要望もあるわけでございますが、この見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
  244. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず、現北九州空港のジェット化のための工事の進捗状況と見通しということでございますけれども、平成元年度からスタートいたしまして、元年度は主として盛り土などの用地造成工事ということを行ってまいりました。引き続きまして今年度は滑走路などの舗装工事とか航空保安施設等の工事を行う予定でございまして、現在のところ工事は順調に進んでおります。したがいまして、当初の予定どおりの平成二年度内には完成の見通しということに考えております。  それから、現空港工事が完成した場合の東京便の問題でございますが、国内の航空路線の開設の問題につきましては、空港に制約がございます羽田、成田、大阪、そういった空港を除きましては、それに対応します需要がある限りは、空港制約のないところにつきましては、航空会社がその乗り入れを希望するという場合は、その希望、申請に応じまして認めていくことをずっとやってきております。  ただ、今のお話の北九州空港東京ということでございますが、東京の羽田は今御存じのとおり大変厳しい状況でございまして、そういう意味では空港制約がございます。それでまた、全国各地の地方公共団体からの東京便の増便のお話というのが随分参っております。また当然航空会社からもそういう要望が出ております。  それで、ことしの夏休みのダイヤから今までに上乗せの三便の増便ということを図ることといたしておりますが、発着枠が今ほんのわずかしか残っておりませんので、そういう意味では相当制約が厳しくなっているということ、それから北九州の関係では福岡-東京線というのが一日二十三便行っておりますが、そういう二十三便の運航をさせているという事情も総合的に勘案いたしまして、今後、空港ができるまでの段階で、工事が完成するまでの段階で検討してまいりたいと考えております。
  245. 鍛冶清

    鍛冶委員 もう時間も参りました。一日二便就航につきましてはぜひひとつ御理解いただいて、実施できるように御要望をさせていただきまして、私の質問を終わります。  大臣初め、大変ありがとうございました。
  246. 渡辺栄一

    渡辺委員長 寺前巖君。
  247. 寺前巖

    ○寺前委員 私は二問聞きたいわけです。  一つは、今日までの私の人生の中で大変びっくりした問題というのは、御徒町のトンネル工事の手抜きです。手抜きの話というのは昔からよく聞きます。砂利を食うた、何を食うたという話を聞きますけれども、大量の輸送機関が動かされている時代に、トンネルで薬注が食われておったということは大変なものだ。これでは、いろんな海底トンネルをつくったりしておるのだけれども、安心して乗っていられるのかいな、こういうことを私、つくづく思いました。  ちょっと最近のニュースを考えてみるだけで、千葉県の国道百二十七号線の小山野トンネルというのですか、はげてきたということで天井崩落事故というのが本年二月四日にありまして、ここだけかいな、大丈夫かいなと言っておったら、建設省もばあっと全国的にすぐ調査にかかる。えらいこっちゃ。国道のトンネルと鉄道のトンネルをつくる人は違う人やとは言えませんからな、同じことをやっている人が商売やっているんですからな。だから、道路の方で崩落事故が起こってくると、やはり鉄道の方だって崩落事故はないのかと、すぐ見なかったらうそだと思うのです。  そこへ持っていって、去年の十一月六日に、北千葉導水事業水没事故というのが起こっています。これは発表されるまでに時間がかかり、半月間隠されておった。これも例の凝固剤の手抜き事故やったのです。そして一月二十二日でしょう。また、三月二十七日には東葉高速鉄道習志野台トンネルでしょう。これは本当に日本のトンネル大丈夫かいな。また日本だけじゃなくて、このごろ外国にまでODAの関係で出ていっていますわな。  人命にかかわるようなこういう問題について、さて運輸省所管においては、私みたいな人間でもすぐにばっと関心を持ち気になるのですから、どういう調査をおやりになったのだろう、対応されたのだろう、その結果はどういう事態に今日なっているのだろうか、御説明をいただきたいと思うのです。
  248. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 先生御指摘のとおり、鉄道工事におきまして、凝固剤の注入不足等が原因となって、御徒町のトンネル陥没事故、また鉄道建設公団習志野台における問題が生じたことは、まことに遺憾であると思っています。  そこで私どもとしましては、早速四月十七日に、日本鉄道建設公団とJRの各社を初めとします全国の鉄道事業者に対し、凝固剤を使ってトンネル工事を行っているところについて全部点検をするように指示したところでございます。  まだ現在調査中でございますが、既に御徒町と習志野台については検討結果が出まして、現在凝固剤の注入不足について是正を行わせつつあるところでございます。
  249. 寺前巖

    ○寺前委員 報道によりますとこういうことが出てますね。凝固剤納入量を工作するため、空のタンクローリーを動かして、現場のタンクから薬液を吸い取って一定時間置いて再び納入したり、チャートや写真、納入伝票も設計に見合うように偽造されていたことが、御徒町トンネルのケースで判明した。しかもそれだけじゃない。これは昭和五十年代前半の発注の事業から現場で行われておって、発注者側がチャートの偽造を勧めるケースもあるとさえ、こう書いてありますねんやで。そうなってくると、今までのもの全部見直さなあかんということや。  二ヵ所は今おっしゃった。もうあとは疑わしきものはありませんか。
  250. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 凝固剤の工事というのは、トンネルを掘る前に凝固剤をトンネルを掘る周りにパイプで注入して、トンネルの穴があいたときに土砂が崩れないようにというための工事でございます。したがって、目に見えないところで行われるということから、従来もいろいろなチェックで十分な凝固剤が注入されるように監督していた経緯がございます。その一つが、パイプを中に入れたときにどれだけ凝固剤を入れたかということをチャートで把握する、ところがそのチャート自体が偽造されたという事実が今回出てまいりました。  そういうことで、私ども、この凝固剤につきましては、トンネル工事が終わった後、トンネルの中のコンクリートを固めて、その周りの凝固剤というのは一年くらいしますと自然に溶けてなくなります、トンネルのコンクリートそのものは目に見えますのでこれは検査が簡単でございますが、今までのトンネル工事の際に凝固剤が十分だったかどうかは、もう既に溶けてなくなりますので発見ができない状態でございますが、少なくとも、今工事を行っているところについては全部点検するように指示したところでございます。
  251. 寺前巖

    ○寺前委員 いつまでも点検しておってもろたって、点検というのはやはり区切ってやってもらわないけません。大体いつになったら総点検が終わりになりますか。
  252. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 今申し上げましたように、パイプから凝固剤を入れるときにチャートをつくる、あるいはトラックの写真を撮るというのも不正を防止するためでございましたが、そういうものまで偽造されるという段階でございますので、今後、再発を防止するためにいかなる対策をとるかということを至急鉄道事業者に検討させておるところでございます。したがいまして、この再発防止策についてできるだけ早く確立するように現在指導しております。
  253. 寺前巖

    ○寺前委員 次に、JRの経営のあり方について聞きたいと思います。  決算書を見ると、JRの収益は空前の収益になっておる。例えば西日本を見ても、八九年度決算では鉄道事業部門で営業利益八百八十六億円の黒字を記録、八八年度と比べて百億からの上回り、こういう決算が出てきています。そこで私、こういう決算状況を見ながら、最近こういう事態に直面したわけです。  六月一日から、関係自治体が嫌だと言うのに、二十四市町村の反対を無視して、不採算路線の中でも特に収支が悪い土地域で賃金、人事、企画の権限を持つ独立採算部門としての鉄道部というのをJR西日本でつくっているわけです。もう出発しました。これは不採算部門ということでまたつぶすということになるんかいな。そういう意図のもとにこれが行われているのだろうか。これは一体どういう意図のものになるのでしょう。
  254. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 先生御指摘のとおり、約十の路線についてJR西日本が六月一日から鉄道部を設置しましたが、これは従来、そのような路線についても本社から例えば各電車区なら電車区、駅務なら駅務という縦割りで指揮監督しておりましたものをその線区ごとに鉄道部というまとまった組織にしまして、全体的に効率的に、かつ、地元の意見も十分反映できるような運営を行うというために設置したと聞いております。したがいまして、これは鉄道をつぶすというようなことではなしに、逆に鉄道を生かすための組織だというふうにJR西日本からは報告を受けているところでございます。
  255. 寺前巖

    ○寺前委員 では、改めて大臣に確認をしておきたいと思うのですが、八六年十一月二十五日、国鉄改革特別委員会において、この国鉄改革審議の中で、国鉄の分割・民営化は地方ローカル線の切り捨てになるのではないかという質問が出されたときに、橋本運輸大臣は、特定地方線から幹線まで一遍に廃止されるような言い方はちょっと事実と違います、こう言って、当時の林国鉄再建総括審議官も、地方交通線はこれを抱えても会社の効率的な経営をやれば十分将来にわたって企業経営ができる、こういう立場を宣言しておられるわけです。すなわち、分割・民営のときに、特定地方線はもうそれぞれ処理をしてしまって会社にした、会社にしたときにまた小さい不採算部門が出てきたときにどうするんだ、こういう問題です。そのときには、全体としての効率的な経営をやれば十分将来にわたって企業経営ができるという立場をとるんだから、つぶすという態度はとらないんだという意味の発言をしておられるわけですよ。  私、今の審議官の発言を聞きながら、もう一度大臣に確認をしておきたいのですが、まさか前のようにつぶすという立場をとるということではないんでしょうね、不採算部門だからといって。全体の経営の中で十分対処するという態度をあの審議のときにとったんですから、その点を確認していただけますか、大臣。
  256. 大野明

    ○大野国務大臣 現在のものを廃止するつもりもございませんし、先生おっしゃるとおりです。
  257. 寺前巖

    ○寺前委員 ところで、こういう不採算部門の線で鉄道部をつくっていくことに伴って、新しい問題がまた出てきているわけです。  私、この間、土曜日の日でしたが、この土地域の一つに関西本線がありまして、加茂-亀山間に行って乗車してきたんです。子供さんが、京都の相楽郡南山城村・村立大河原小学校児童約九十人が大河原という駅で乗って月ケ瀬という駅まで行きました。運賃百八十円でした。それで一緒に乗りながら思ったのですが、この子供さんたちを安全に送っていくために、加茂駅にセンターがあっでそこから助役さんなんでしょうか、金線の入ったJRの職員の方が駅のホームで整理をしておられて、そして親切に乗せてくださっておりました。ああ、これでいいな。何しろ一人乗務で運転をやられるようになるのですから。それで、これは子供さん大変ですわ。電車が入ってくるときになっているのに暴れ回っているんだから「ちょっと、ちょっと」と言って整理してやらなかったら、本当に私もびっくりしましたわ。だから非常にいいことをやってくれているな。そうでなかったら、一人運転にして不採算部門だからとほったらかしておいたら、安全性に重大な影響がある。  ところが、これまた乗降口を今度は一つにしてしまう。そうするとこれは時間がかかりますわ。それてどうしても二つドアをあけなあかんということになりますわな。ところが計画では乗降口は一つやということになるんでしょう。そうすると、これはダイヤにまた重大な影響を及ぼしてきよるな。どないするつもりやろか。差し当たってはそういう人が一学期間面倒を見られるそうです。なれてもらったらもうなしになりますんやという説明でした。お母さん方に聞いたら、ぜひこれは今のままで続けてくださいよ、一学期だけで終わるようなことせんといてください、なれてきた方がかえって危ないですわ、こういう話だ。だから、不採算部門におけるやり方の問題、安全性を欠くようなことになるんじゃないだろうか。  現地の人の希望を聞きましたら細かいことを言っておられました。一斉下校日の水、土は車掌を配置してほしい、月、火、木、金の十六時三十九分のときに車掌か少なくとも指導員を置いてほしい、一学期だけでなく、一年を通して実施してほしい。  私は本当に、不採算部門だという経営問題だけではなくして、全体として黒字をつくっているこの中で、細かいところまで目を持っていく、これはそういうJRでなければできない仕事だという使命感に燃えて、親切にこの要望を聞いて運営をするようにやってほしいな。経営主義になって安全を侵すようなことになってしまったら、そうしたらJRの不名誉この上なしということになると思うのです。いかがでしょう。
  258. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 先生御指摘のとおり、鉄道を維持するために、一方では効率化も図らなければなりませんが、効率と安全は両立しなければならないと思います。  ただいま御指摘の加茂-亀山間のワンマン化につきましても、先生も言われましたが、乗降時の旅客の安全確保のためにいろいろな努力、気配りをしておりますが、今後とも安全に支障のないように、西日本を十分指導していきたいと思います。
  259. 寺前巖

    ○寺前委員 ぜひとも、地元の親御さんが要求しておられる点について、しっかりと守っていただきたいということを重ねて要望しておきます。  同時に、この国鉄の経営の問題で関連事業の問題があります。これは会社法の十条で、関連事業をやっていく場合に、「その営む事業が地域における経済活動に与える影響にかんがみ、その地域において当該会社が営む事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、又はその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮しなければならない。」こうなっています。  現在、JR西日本についていえば前からの計画でもあったわけですが、天王寺のターミナルビルの建設というものがあります。あるいは京都駅ビルの問題もあります。これらについて、JRとして、それぞれ五一%の出資会社とかあるいは六〇%の出資会社とかいう形でもって既に準備活動が始まっています。こういうことについて出資を運輸省として認めておられるのですか。だから、何をやるかということについてはこれはもう先刻御存じのことであろうし、またそれをやらそうということになるわけでしょうけれども、しかし、こういう出店活動をあそこのところでおやりになったら重大な地域的影響を及ぼすであろうということは想像にかたくないと思うのです。現に、例えば大阪の天王寺について言うと、既にあそこには近鉄が大きな「あべのベルタ」というものを出した。そのことによって、中小零細企業ばかりで構成されている中道市場は、五十五店あった同市場の店が四十店に減ってしまうという事態で、減店になるとまた歯抜けになってくる商店街になって、またさびれていくというような影響が現に起こっていますし、京都においても、京都の駅前に「アバンティ」という再開発ビルができました。その再開発ビルができたために、そこから百メートル離れた東寺道の商店街というのがつぶれてしまいました。そこから八百メートル離れているところの洛南トップセンター二十五店がつぶれてしまいました。あるいは九条市場というのが、同じく八百メートルですが、売り上げが半減するという事態が生まれるというふうに、ちょっとこういうビルができるだけでそれだけの影響を与えていくことになるわけです。そこに輪をかけてこういうものができてくるということになってきたときに、さて、そういう鉄道事業の関連事業というものが果たして地域住民のいい役割をするんだろうかと考えさせられることになってしまうわけです。  ですから、こういうものについては慎重にならなければならないと思うのですが、どういう対処をしておられますか。
  260. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 JRにとってその事業の活性化のために駅ターミナルの再開発を進めることは極めて重要であると思いますが、一方、十条で中小企業に配慮するという規定があることにかんがみ、その精神から、できるだけ地元と調整していくように従来から指導しているところでございます  ただいま御指摘の京都駅ビルあるいは天王寺ターミナルビルについても、十条の精神にのっとって地元の意見を十分酌み、地元、特に中小企業と調整するようにJR西日本を指導していきたいと考えております。
  261. 寺前巖

    ○寺前委員 同じようにあの駅のコンコース、構内にたくさんのお店が、最近、東京でもそうですが、大阪でも京都でもできるようになってきました。ずっと鉄道沿線の各駅にそういうものが、従来の売店とは違って営業面から急速にふえてきている事態を見ているわけです。  これを聞いてみたら、駅の構内におけるところの店があったってこれは一つの市場とは違いますのやという扱いでどんどんできているようですけれども、これまたこういう野放しにしておいたら、一番便利なところにできてくるのですから、これの与える影響は大きいと思うのですが、それに対する対処はどうしておられますか。
  262. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 このような各地の開発がむしろ地元の活性化になるように工夫し、また地元と調整していくように、JR西日本、その他のJRを指導していきたいと考えます。
  263. 寺前巖

    ○寺前委員 これは、本当に十分注意してもらわないと大変なことになるというふうに私は思いますのであえて提起しておくわけですが、同時に、こういうふうに収益事業、迷惑をかけるようなことが一方で出てきながら、一方で、これで採算とれるかいなというような事業も行われていることも事実です。  最近私は、大阪の茨木にあるところのバラ園を見てきたのです。バラ園というのは格好よろしいけれども、七百平米のところにバラを五百株栽培しているのです。それで聞いてみたら、ここに管理職が二人と職員が七人おるというのです。もう一カ所の電車区の跡のところでも経営しているというのです。五百株で一本二百円で売ったとしても、年に五回しかとれないし、一株に五個としても収益全体で計算すると二百五十万しかならへん。そうすると、そこで働いている人の平均賃金、三百万か四百万か五百万か知りませんけれども、大変な金額ですよ。それなら採算とれへんがな。採算とれへんのに何人かの人を配置しているし、それじゃ皆さん専門家ですかと聞いたら、専門家じゃないと言う。それなら管理職の人は専門家ですか。いや、私らもわかりませんのや。それじゃどないしてるのや。それはもう肥料やったら育ちますやろと言うわけ。それは確かに育っているけれども、商品としては値打ちないですよ。そうしたら、結局昔の国鉄時代の人活センターと全く同じ感覚でそういう人たちを使っているではないか。経営面から言うたらこんなひどい経営なんてあったもんじゃない。つくづく私はそう思いました。もういいかげんに考え方を改めたらどうなんだろう。  JRになってこうやって片一方で胸を張って言っているときに、こんな経営の仕方、それは世間の人から笑われる経営ですわな。しかも、労働者の方はどうやといったら、運転免許を持っている立派な人なんでしょう、経験豊かな人なんですよ。この人たちは、私をもとの職場へ帰してくれということの申請を労働委員会にも出していやはりますがな。もう全国でたくさんの人が元の職場に帰りなさいという救済命令を受けているわけでしょう。その人たちをそういうふうに戻してあげたら、世間からも立派な経営に変わったなと言われる。僕は花をつくったらいかぬとは言わない。花づくりは花づくりの専門家でやっていくようにしたらいいだろうし、何でそう合理的にやれないものなんだろうか。  きのうも福知山の人が私のところへ来られた、中央労働委員会で不当労働行為の最終の結審でございますので。そしてこういう話をしていた。今どうなっているのやと聞いたら、実は私のところで運転士さんが、いつだったか二月の何日かに胃潰瘍で血を吐いて、しかし休んだらほかの人に迷惑がかかるというので、休まぬと運転してきました。ついに駅で血を吐いて倒れてしまった。急いで運び込んで、いまだに職場へ来れへん。で、不補充ですから、私どもはまたみんなで分けて、もう休めぬようになっています。こういう話。  本当に、片一方ではそういう事態になっていて、片一方では運転できる人もほったらかしてある。ところが、四月になったら百人の人を募集して、これから一年計画でもって運転士さんを勉強させるのだということだ。立派な能力を持っている人をほったらかし、地方労働委員会でも救済せいと言われており、そして現場はそうやって血を吐くような事態が生まれている。そして一方では、やらせている仕事は全然違う、希望もないような仕事についておられる。私は、このような不合理な話をいつまでも残しておくというのはおかしいと思うよ。  運輸大臣、どうですか。本当に腹をくくって、この際このような事態は全部完了させます、救済命令があったらまずは救済命令に従いなさいと、大胆にそのぐらいのことをおっしゃらなかったら、私は、立派な仕事をやったと、大臣にそういう評価を決算に当たってつけるわけにはいかぬと思うわ。  大臣の答弁の前に審議官から、一体救済命令とか申請はどれだけ出ているの。いわゆる採用差別とか配属差別とか出向差別、いろいろ不当労働行為として出されているのがありますね。あの申請件数は何件あって、そのうち救済命令が今までどれだけ出ているのか、救済命令が出なかったのは何件あるのか。ちょっとそれを報告してくださいよ。  そして大臣には、それを聞かせていただいた上で、この問題の処理を、経営の面からも労働者の扱いの面からも抜本的に改善してもらいたい。大臣の決意を聞きたいと思います。
  264. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 最初にJR関係、労働委員会にかかったものの概要を申し上げます。  地方労働委員会に係属したJR関係の不当労働行為事件の累計は、四十一地方労働委員会、二百六十一件、うち二十八件については取り下げということになっております。また、採用時のものに関しましては、十九件、三千百三十八名について地労委の救済命令が出て、すべて現在中労委で審査中でございます。
  265. 大野明

    ○大野国務大臣 国民の足としてのJR、やはり健全企業として発展してもらうことがそこに働く人たちの雇用あるいはまた生活の安定につながるというふうに考えますと、一概に先ほどのお話がすべてじゃないとは思いますけれども、これらの点においてまた何かあったらひとつ指導はしていきたいと考えております。  また、いわゆる労使問題についての地労委の問題等々あるわけですが、現在それは中労委において係争中ですから、私としてはコメントを差し控えさせていただきます。
  266. 寺前巖

    ○寺前委員 お約束の時間が来たのでこれでやめますが、もう一回だけ。  係争中であったって、地労委で出たものは直ちに従うというのが法の建前だと僕は思いますよ。それと、このような採算にも合わぬような経営などというのは異常だという問題についても、指導性を発揮して正さなければうそだと思いますよ、その点だけもう一回、いかがですか。  地方労働委員会で救済命令が出たら、中労委に申請しているからその間はだめなんだ、そんなばかなことはないですよ。そういう解釈は間違っていますよ。私ははっきり指摘しておきたいと思うのです。いかがですか、大臣。
  267. 大野明

    ○大野国務大臣 今申し上げましたように、中労委で係争中の労使間の問題については、私からのコメントは差し控えたいと思っております。
  268. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは時間が来ましたので、残念ですが、ここで終わります。
  269. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会