運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1990-06-13 第118回国会 衆議院 決算委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二年六月十三日(水曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
渡辺
栄一
君
理事
魚住
汎英
君
理事
志賀 節君
理事
中尾
栄一
君
理事
新村 勝雄君
理事
時崎 雄司君
理事
春田 重昭君 粕谷 茂君
阿部
未
喜男
君 小川 国彦君
田並
胤明君
長谷百合子
君
玉城
栄一
君 寺前 巖君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
防衛庁長官
)
石川
要三君
出席政府委員
内閣官房内閣安
全
保障室長
依田 智治君
内閣法制局
第一
部長
大森
政輔君
防衛庁参事官
内田 勝久君
防衛庁参事官
玉木 武君
防衛庁参事官
村田 直昭君
防衛庁参事官
鈴木 輝雄君
防衛庁長官官房
長 児玉 良雄君
防衛庁防衛局長
日吉 章君
防衛庁教育訓練
局長
米山 市郎君
防衛庁人事局長
畠山 蕃君
防衛庁経理局長
藤井 一夫君
防衛庁装備局長
植松 敏君
防衛施設庁長官
松本
宗和
君
防衛施設庁総務
部長
吉住 愼吾君
防衛施設庁施設
部長
大原 重信君
防衛施設庁建設
部長
黒目 元雄君
防衛施設庁労務
部長
竹下 昭君
委員外
の
出席者
外務省北米局安
全
保障課長
重家
俊範君
大蔵省主計局司
計
課長
設楽 岩久君
運輸省航空局技
術部乗員課長
松本
学君
会計検査院事務
総局第二
局長
澤井 泰君 ─────────────
委員
の異動 五月二十九日
辞任
補欠選任
長谷百合子
君
五島
正規
君 同日
辞任
補欠選任
五島
正規
君
長谷百合子
君 六月十二日
辞任
補欠選任
前田
正君
三ツ林弥太郎
君
阿部
未
喜男
君
北川
昌典
君
田並
胤明君
田中
恒利
君 同日
辞任
補欠選任
三ツ林弥太郎
君
前田
正君
北川
昌典
君
阿部
未
喜男
君
田中
恒利
君
田並
胤明君
同月十三日
辞任
補欠選任
東
祥三
君
玉城
栄一
君 同日
辞任
補欠選任
玉城
栄一
君 東
祥三
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件
昭和
六十二
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
六十二
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
六十二
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
六十二
年度
政府関係機関決算書
昭和
六十二
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
昭和
六十二
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
昭和
六十三
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
六十三
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
六十三
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
六十三
年度
政府関係機関決算書
昭和
六十三
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
昭和
六十三
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
〔
総理府所管
(
防衛庁
)〕 ────◇─────
渡辺栄一
1
○
渡辺委員長
これより
会議
を開きます。
昭和
六十二
年度
決算外
二件及び
昭和
六十三
年度
決算外
二件を一括して議題といたします。 本日は、
総理府所管
中、
防衛庁
について審査を行います。 この際、
石川国務大臣
の
概要説明
、
会計検査院
の
検査概要説明
を求めるのでありますが、これを省略し、本日の
委員会議録
に掲載いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺栄一
2
○
渡辺委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ─────────────
昭和
六十二
年度
防衛庁関係歳出
の
決算
に関する
概要説明
防衛庁
昭和
六十二
年度
における
防衛庁関係歳出
の
決算
につきましてその
概要
を御
説明
いたします。 まず(
組織
)
防衛本庁
の
経費
につきまして御
説明
申し上げます。 当初の
歳出予算額
は三兆一千五百八十三億九千七百万円余でありまして、これに
政府職員
の
昭和
六十二年四月以降の
給与
を
改善
するための
予算補正追加額
百七十五億三千二百万円余、高空における
放射能塵
の
調査研究等
のため、
科学技術庁
から
移替え
を受けた額二千六百万円余、
震災対策総合訓練
の
調査
のため、
国土庁
から
移替え
を受けた額五百万円余、
南極地域観測事業
のため、
文部省所管文部本省
から
移替え
を受けた額十六億七千五百万円余、前
年度
からの
繰越額
二十七億四百万円余を加え、
既定予算
の
不用等
による
予算補正修正減少額
二百六十四億九千四百万円余を差し引きますと、
歳出予算現額
は三兆一千五百三十八億四千七百万円余となります。 この
歳出予算現額
に対して
支出済歳出額
は三兆一千四十一億百万円余、翌
年度
へ繰り越した額は五十二億五百万円余でありまして、
差し引き不用額
は四百四十五億四千万円余であります。
昭和
六十二
年度
の
予算
の執行に当たっては、「
防衛計画
の大綱」に定める
防衛力
の水準の達成を図ることを目標とする「
中期防衛力整備計画
」の第二
年度
として計上された
予算
を効率的に使用して
計画
を着実に実施し、実質的な
防衛力
の
整備
を進めることを主眼といたしました。 以下陸・海・空各
自衛隊別
にその主な内容を申し上げます。 一
陸上自衛隊
につきましては、七四式
戦車
五十六両、七三式
装甲車
二十三両を
取得
し、新たに
昭和
六十三
年度
以降
取得予定
の七四式
戦車
五十二両、七三式
装甲車
二十三両の
購入契約
をいたしました。 また、
航空機
は、対
戦車ヘリコプター
八機、
観測ヘリコプター
十二機、多
用途ヘリコプター
五機、
輸送ヘリコプター
三機合わせて二十八機を
取得
し、新たに
昭和
六十三
年度
以降
取得予定
の対
戦車ヘリコプター
八機、
観測ヘリコプター
十二機、多
用途ヘリコプター
八機、
輸送ヘリコプター
四機合わせて三十二機の
購入契約
をいたしました。 二
海上自衛隊
につきましては、
昭和
五十八
年度
計画
の
護衛艦
二隻、
昭和
五十九
年度
計画
の
潜水艦
一隻、
昭和
六十
年度
計画
の
中型掃海艇
二隻、
昭和
六十一
年度
計画
の
輸送艇
一隻、
支援船
二隻、
昭和
六十二
年度
計画調達
に係る
支援船
二隻合わせて十隻を
取得
し、新たに
昭和
六十三
年度
以降に
竣工予定
の
護衛艦
二隻、
潜水艦
一隻、
中型掃海艇
二隻、
補給艦
二隻、
支援船
五隻合わせて十二隻の
建造契約
をいたしました。 また、
航空機
は、対
潜哨戒機
八機、
訓練支援機
一機、
計器飛行練習機
一機、対
潜ヘリコプター
十機、
救難ヘリコプター
一機合わせて二十一機を
取得
し、新たに
昭和
六十三
年度
以降
取得予定
の対
潜哨戒機
九機、
電子戦データ収集機
一機、
訓練支援機
一機、
初級操縦練習機
二機、
連絡機
一機、対
潜ヘリコプター
十七機、
掃海ヘリコプター
二機、
初級操縦練習ヘリコプター
二機合わせて三十五機の
購入契約
をいたしました。 三
航空自衛隊
につきましては、
要撃戦闘機
十七機、
輸送機
二機、
高等練習機
四機、
輸送ヘリコプター
一機、
救難ヘリコプター
四機合わせて二十八機を
取得
し、新たに
昭和
六十三
年度
以降
取得予定
の
要撃戦闘機
十二機、
輸送機
三機、
中等練習機
二十機、
輸送ヘリコプター
二機、
救難ヘリコプター
四機合わせて四十一機の
購入契約
をいたしました。 また、
地対空誘導弾ペトリオット
一個
高射群分
の
購入契約
をいたしました。
昭和
六十二
年度
の
防衛本庁
の
職員
の
定員
は、
自衛官
二十七万三千二百七十八人、
自衛官
以外の
職員
二万三千四人でありまして、これを前
年度
の
定員
に比べますと、
自衛官
については五百十人の
増員
であり、
自衛官
以外の
職員
について百六十五人の
減員
となっております。 また、
予備自衛官
の
員数
は、四万六千四百人でありまして、これを前
年度
の
員数
に比べますと一千五百人の
増員
となっております。 次に翌
年度
への
繰越額
五十二億五百万円余は、
計画
及び
設計
に関する諸
条件等
のため、
工事等
が遅延したことによるものであります。 また、
不用額
四百四十五億四千万円余は、
外国為替相場
の変動があったこと等により、
航空機購入費
を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。 続いて(
組織
)
防衛施設庁
の
経費
につきまして御
説明
申し上げます。 当初の
歳出予算額
は三千五百八十八億六千五百万円余でありまして、これに
駐留軍等労務者
の
労務管理事務委託職員
の
昭和
六十二年四月以降の
給与
を
改善
するための
予算補正追加額
五千万円余、前
年度
からの
繰越額
百六十九億七千四百万円余を加え、
既定予算
の
不用等
による
予算補正修正減少額
六億八千七百万円余、
防衛施設周辺
の
障害防止事業等
に要する
経費
として
移替え
をした額、
農林水産省所管農林水産本省
へ十億九千五百万円余、
建設省所管建設本省
へ十七億五千四百万円余を差し引きますと、
歳出予算現額
は三千七百二十三億五千三百万円余となります。 この
歳出予算現額
に対して
支出済歳出額
は三千四百九十九億一千六百万円余、翌
年度
へ繰り越した額は百九十四億三千七百万円余でありまして、
差し引き不用額
は二十九億九千九百万円余であります。
支出済歳出額
の主なものは、
調達労務管理費
につきましては、
アメリカ合衆国軍隊等
が使用する
駐留軍等労務者
の
労務管理
、
離職者対策
、
福祉対策等
に要した
経費
三百八十二億円余、
施設運営等関連諸費
につきましては「
防衛施設周辺
の
生活環境
の
整備等
に関する法律」等に基づき、
自衛隊施設
及び「
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
相互協力
及び
安全保障条約
第六条に基づく
施設
及び
区域
並びに
日本国
における
合衆国軍隊
の
地位
に関する
協定
」等に基づく
提供施設
の
維持運営等
に関連し必要な土地の
購入
及び
借上げ
、
施設
の
整備
、各種の
補償
、
障害
及び騒音の
防止措置
、
飛行場等周辺
の
移転措置
、
民生安定施設
の
助成措置等
に要した
経費
二千八百四十九億一千五百万円余、
提供施設移設整備費
につきましては「
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
相互協力
及び
安全保障条約
第六条に基づく
施設
及び
区域
並びに
日本国
における
合衆国軍隊
の
地位
に関する
協定
」による
日米
間の合意に基づき、現在
提供
中の
施設
及び
区域
の返還を受けるため、
当該施設
及び
区域
を集約移転するのに要した
経費
十四億四千四百万円
余等
であります。
昭和
六十二
年度
の
防衛施設庁
の
職員
の
定員
は、三千三百九十九人でありまして、これを前
年度
の
職員
の
定員
に比べますと、十人の
減員
となっております。 次に、翌
年度
への
繰越額
百九十四億三千七百万円余は、
計画
及び
設計
に関する諸
条件
、用地の
関係
、
アメリカ合衆国軍隊等
の
事情等
のため
工事等
が遅延したことによるものであります。 また、
不用額
二十九億九千九百万円余は、
返還財産補償
が少なかったこと等により、
施設運営等関連補償費
を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。 以上をもって、
昭和
六十二
年度
における
防衛庁関係歳出
の
決算
の
概要説明
を終わります。 なお、
昭和
六十二
年度
決算検査報告
におきまして(
組織
)
防衛本庁
で
是正改善処置
の要求を受けた
事項
がありましたことは誠に遺憾であります。
処置要求
を受けた
事項
につきましては、指摘の趣旨を踏まえ、所要の
改善
を行う所存であります。 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
昭和
六十三
年度
防衛庁関係歳出
の
決算
に関する
概要説明
防衛庁
昭和
六十三
年度
における
防衛庁関係歳出
の
決算
につきましてその
概要
を御
説明
いたします。 まず(
組織
)
防衛本庁
の
経費
につきまして御
説明
申し上げます。 当初の
歳出予算額
は三兆三千二百八十七億七千五百万円余でありまして、これに
政府職員
の
昭和
六十三年四月以降の
給与
を
改善
するため等の
予算補正追加額
五百二十三億六千五百万余、高空における
放射能塵
の
調査研究等
のため、
科学技術庁
から
移替え
を受けた額二千六百万円余、
震災対策総合訓練
の
調査
のため、
国土庁
から
移替え
を受けた額五百万円余、
南極地域観測事業
のため、
文部省所管文部本省
から
移替え
を受けた額十六億五千七百万円余、前
年度
からの
繰越額
五十二億五百万円余を加え、
既定予算
の
不用等
による
予算補正修正減少額
二百四十四億五千万円余を差し引きますと、
歳出予算現額
は三兆三千六百三十五億八千五百万円余となります。 この
歳出予算現額
に対して
支出済歳出額
は三兆三千百七億八千八百万円余、翌
年度
へ繰り越した額は百四十三億四千六百万円余でありまして、
差し引き不用額
は三百八十四億四千九百万円余であります。
昭和
六十三
年度
の
予算
の執行に当たっては、「
防衛計画
の大綱」に定める
防衛力
の水準の達成を図ることを目標とする「
中期防衛力整備計画
」の第三
年度
として計上された
予算
を効率的に使用して
計画
を着実に実施し、実質的な
防衛力
の
整備
を進めることを主眼といたしました。 以下陸・海・空各
自衛隊別
にその主な内容を申し上げます。 一
陸上自衛隊
につきましては、七四式
戦車
五十二両、七三式
装甲車
二十三両を
取得
し、新たに
平成
元
年度
以降
取得予定
の七四式
戦車
五十二両、七三式
装甲車
二十三両の
購入契約
をいたしました。 また、
航空機
は、対
戦車ヘリコプター
八機、
観測ヘリコプター
十二機、多
用途ヘリコプター
八機、
輸送ヘリコプター
四機合わせて三十二機を
取得
し、新たに
平成
元
年度
以降
取得予定
の対
戦車ヘリコプター
八機、
観測ヘリコプター
十一機、多
用途ヘリコプター
八機、
輸送ヘリコプター
五機合わせて三十二機の
購入契約
をいたしました。 二
海上自衛隊
につきましては、
昭和
五十九
年度
計画
の
護衛艦
三隻、
昭和
六十
年度
計画
の
潜水艦
一隻、
昭和
六十一
年度
計画
の
中型掃海艇
二隻、
昭和
六十一
年度
計画
の
訓練支援艦
一隻、
昭和
六十二
年度
計画
の
支援船
五隻合わせて十二隻を
取得
し、新たに
平成
元
年度
以降に
竣工予定
の
護衛艦
一隻、
潜水艦
一隻、
中型掃海艇
二隻、
支援船
四隻合わせて八隻の
建造契約
をいたしました。 また、
航空機
は、対
潜哨戒機
十機、
救難飛行艇
一機、
初級操縦練習機
三機、
連絡機
一機、対
潜ヘリコプター
十三機、
初級操縦練習ヘリコプター
二機合わせて三十機を
取得
し、新たに
平成
元
年度
以降
取得予定
の対
潜哨戒機
九機、
救難飛行艇
一機、
訓練支援機
一機、
電子戦データ収集機
一機、
初級操縦練習機
三機、対
潜ヘリコプター
十二機合わせて二十七機の
購入契約
をいたしました。 三
航空自衛隊
につきましては、
要撃戦闘機
十四機、
輸送機
二機、
中等練習機
十二機、
輸送ヘリコプター
三機合わせて三十一機を
取得
し、新たに
平成
元
年度
以降
取得予定
の
要撃戦闘機
十二機、
輸送機
二機、
中等練習機
二十機、
輸送ヘリコプター
三機、
救難ヘリコプター
三機合わせて四十機の
購入契約
をいたしました。 また、
地対空誘導弾ペトリオット
は、一FU(〇・二五個
高射群相当
)を
取得
し、新たに
平成
元
年度
以降
取得予定
の一個
高射群分
の
購入契約
をいたしました。
昭和
六十三
年度
の
防衛本庁
の
職員
の
定員
は、
自衛官
二十七万三千八百一人、
自衛官
以外の
職員
二万二千八百五十六人でありまして、これを前
年度
の
定員
に比べますと、
自衛官
については五百二十三人の
増員
であり、
自衛官
以外の
職員
について百四十八人の
減員
となっております。 また、
予備自衛官
の
員数
は、四万七千九百人でありまして、これを前
年度
の
員数
に比べますと一千五百人の
増員
となっております。 次に翌
年度
への
繰越額
百四十三億四千六百万円余は、
計画
及び
設計
に関する諸
条件等
のため、
工事等
が遅延したことによるものであります。 また、
不用額
三百八十四億四千九百万円余は、
外国為替相場
の変動があったこと等により、
航空機購入費
を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。 続いて(
組織
)
防衛施設庁
の
経費
につきまして御
説明
申し上げます。 当初の
歳出予算額
は三千七百十三億七千六百万円余でありまして、これに「
行革関連特例法
」等に基づく
国家公務員等共済組合
に対する国の
負担金
を払い込むための
予算補正追加額
二億五千九百万円余、前
年度
からの
繰越額
百九十四億三千七百万円余を加え、
既定予算
の節約による
予算補正修正減少額
二億四千三百万円余、
防衛施設周辺
の
障害防止事業等
に要する
経費
として
移替え
をした額、
農林水産省所管農林水産本省
へ九億五千六百万円余、
建設省所管建設本省
へ十六億八千二百万円余を差し引きますと、
歳出予算現額
は三千八百八十一億九千万円余となります。 この
歳出予算現額
に対して
支出済歳出額
は三千五百七十七億二千八百万円余、翌
年度
へ繰り越した額は二百六十七億一千百万円余でありまして、
差し引き不用額
は三十七億五千万円余であります。
支出済歳出額
の主なものは、
調達労務管理費
につきましては、
アメリカ合衆国軍隊等
が使用する
駐留軍等労務者
の
離職者対策
、
福祉対策
、
従業員対策等
に要した
経費
四百二十五億四千六百万円余、
施設運営等関連諸費
につきましては「
防衛施設周辺
の
生活環境
の
整備等
に関する法律」等に基づき、
自衛隊施設
及び「
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
相互協力
及び
安全保障条約
第六条に基づく
施設
及び
区域
並びに
日本国
における
合衆国軍隊
の
地位
に関する
協定
」等に基づく
提供施設
の
維持運営等
に関連し必要な土地の
購入
及び
借上げ
、
施設
の
整備
、各種の
補償
、
障害
及び騒音の
防止措置
、
飛行場等周辺
の
移転措置
、
民生安定施設
の
助成措置等
に要した
経費
二千八百八十四億六百万円余、
提供施設移設整備費
につきましては「
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
相互協力
及び
安全保障条約
第六条に基づく
施設
及び
区域
並びに
日本国
における
合衆国軍隊
の
地位
に関する
協定
」による
日米
間の合意に基づき、現在
提供
中の
施設
及び
区域
の返還を受けるため、
当該施設
及び
区域
を集約移転するのに要した
経費
六億三千三百万円
余等
であります。
昭和
六十三
年度
の
防衛施設庁
の
職員
の
定員
は、三千三百八十九人でありまして、これを前
年度
の
職員
の
定員
に比べますと、十人の
減員
となっております。 次に、翌
年度
への
繰越額
二百六十七億一千百万円余は、
計画
及び
設計
に関する諸
条件
、
アメリカ合衆国軍隊等
の事情、用地の
関係等
のため
工事等
が遅延したことによるものであります。 また、
不用額
三十七億五千万円余は、
事業計画
の
変更等
により、
提供施設等整備費
を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。 以上をもって、
昭和
六十三
年度
における
防衛庁関係歳出
の
決算
の
概要説明
を終わります。 なお、
昭和
六十三
年度
決算検査報告
におきまして(
組織
)
防衛本庁
で
意見表示
を受けた
事項
がありましたが、これにつきましては、その趣旨も踏まえ、直ちに
処置
を講じたところであります。 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。 …………………………………
昭和
六十二
年度
決算防衛庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十二
年度
防衛庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を御
説明
いたします。
検査報告
に掲記いたしましたものは、
意見
を表示し又は
処置
を要求した
事項
一件及び本院の指摘に基づき当局において
改善
の
処置
を講じた
事項
一件であります。 まず、
意見
を表示し又は
処置
を要求した
事項
について御
説明
いたします。 これは、
海上自衛隊
の
艦船
の
国有財産台帳価格
に関するものであります。
防衛庁
におきましては、
アメリカ合衆国
の
武器輸出管理法等
に基づく
対外軍事販売
により、
米国海軍省
から
艦船
に搭載する
装備品等
を
物品
として
前金払
で
購入
しており、六十二
年度
に、三隻の
艦船
の新造及び
改造工事
に際して、これらの
装備品等
を、
工事
を請け負った各
造船会社
に官給するため払い出しており、これらの
装備品等
が
艦船
に搭載されますと
国有財産
に編入されることになっております。 そして、
国有財産
に編入した
装備品等
の
価格
についてみますと、
国有財産
に編入するに当たり適用すべき
円貨換算レート
、計上すべき役務の
範囲等
に関する明確な
基準等
がなかったことなどのため、
物品管理簿
に記載する際には
取得
時の
支出官レート
で円貨換算した
価格
によっているのに、
国有財産
に編入する際には、
前金払時
の
支出官レート
で円貨換算した
価格
によっていたり、
国有財産
の
価格
に編入すべきではない
役務費
や
部品費等
が
国有財産台帳価格
に混入していたりなどして、原則として一致するものである
物品管理簿価格
と
国有財産
に編入される
物品
の
価格
とがかい離しており、
国有財産台帳価格
が正確なものとなっておりませんでした。 したがいまして、
防衛庁
に対し、
物品
の
管理
及び
国有財産
の
管理
の
整合性
を図るため、これらの取扱いに関する
基準等
を設けさせるなどの
措置
を講ずることにより、
艦船
の
国有財産台帳価格
の
適正化
を図るよう
是正改善
の
処置
を要求いたしたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において
改善
の
処置
を講じた
事項
について御
説明
いたします。 これは、
F15型要撃戦闘機用エンジン
の
構成品
の運用に関するものであります。
航空自衛隊
におきましては、
F15型要撃戦闘機用エンジン
の
構成品
である主
燃料ポンプ
の
定期交換
時間が
延長
されたのに、
延長
が決定される前に従前の
定期交換
時間に基づいて取り外し
寄託保管
中の主
燃料ポンプ
について、
定期交換
時間の
延長
を適用する旨の規定を明確に定めていなかったため、これらに
延長
後の
定期交換
時間を適用しないままこれらの
オーバーホール等
を実施する
契約
を締結しておりましたが、
寄託保管
中のものは良好な状態で保管されていて性能、
信頼性等
の面で何ら問題はないのでありますから、
延長
後の
定期交換
時間に達するまで使用し効率的な運用を図る要があると認められました。 この点について当局の見解をただしましたところ、
航空自衛隊
では、六十三年十一月、
定期交換
時間を
延長
した場合には
寄託保管
中のものにその
延長
を適用することを明確にする規定を設けるなどして、主
燃料ポンプ等エンジン
の
構成品
の効率的な運用を図ることとする
処置
を講じたものであります。 以上をもって
概要
の
説明
を終わります。
昭和
六十三
年度
決算防衛庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十三
年度
防衛庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を御
説明
いたします。
検査報告
に掲記いたしましたものは、
意見
を表示し又は
処置
を要求した
事項
一件であります。 これは、
防衛大学校
を卒業した
幹部候補者
に対する
退職手当
の支給に関するものであります。
防衛庁
では、
防衛大学校
を設置いたしまして将来の
幹部自衛官
となるべき者を
教育訓練
しており、
防衛大学校
を卒業した者は、卒業と同時に
自衛官
に任用され、さらに陸上、海上及び航空各
自衛隊
の幹部候補生学校において
初級幹部
としての
教育訓練
を受けることとされております。しかしながら、
防衛大学校
を卒業した者の中には、
自衛官
に任用されることを辞退する
者等
、いわゆる非
任官者
が多数おりまして、これらの者には
退職手当
が支給されておりません。これに対しまして、
自衛官
に任用された者の中には、任用後六月未満の短期間のうちに退職した者がおりまして、これらの者には
退職手当
が支給されることとなっておりました。しかるに、早期に退職した者は
防衛大学校
で修得した知識、
技能等
を
自衛官
としての職務にほとんど生かしていないという点で非
任官者
と同様と認められますことから、早期に退職した者に対する
退職手当
の支給は
合理性
を欠くものと認められましたので、
防衛庁
において適切な
処置
を講ずるよう
意見
を表示いたしたものであります。 なお、本件につきましては、
平成元年法律
第七五号によりまして
防衛庁職員給与法
の一部が改正され、二年三月の卒業生からは早期に退職した者に対して
退職手当
が支給されないこととなっております。 以上のほか、
昭和
六十二
年度
決算検査報告
に掲記いたしましたように、
海上自衛隊
の船舶(
艦船
)の
国有財産台帳価格
について
処置
を要求いたしましたが、これに対する
防衛庁
の
処置
状況についても掲記いたしました。 以上、簡単でございますが
説明
を終わります。 ─────────────
渡辺栄一
3
○
渡辺委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
新村勝雄
4
○新村
委員
防衛庁
及び
防衛施設庁
に関する件について、順次御質問したいと思います。 まず最初に、米軍の駐留費の問題であります。 米軍駐留費、六十二
年度
は日本負担分が約三千百六十億、そのうち特別
協定
分が百六十五億、六十三
年度
は三千二百七十九億、そのうち特別
協定
分が二百八億ということでありますが、これは日本の負担分でありますけれども、両
年度
の米軍駐留費全体は幾らであるのか、そして、そのうちの日本負担分が何十%であるのかという点について、まずお伺いしたいと思います。
重家俊範
5
○
重家
説明
員 お答えいたします。 在
日米
軍
経費
のうち日本側の負担額でございますが、
昭和
六十三
年度
につきましては約三千二百七十九億円でございます。それから米側の負担額でございますが、これは一九八八米会計
年度
の入手可能な最新の数字でございますけれども、約四十五億ドルということになっております。したがいまして、
日米
間で会計
年度
の差が若干あるわけでございますが、単純に
昭和
六十三
年度
と米国の八八会計
年度
を足しますと約六十九億ドルということになるわけでございます。それで、先ほど申し上げました六十三
年度
の我が国の負担額のドル換算額でございますが、約二十四億ドルでございますので、いろいろ注意する必要はございますけれども、単純に比較しますと約六十九億ドルのうち二十四億ドルを日本が負担している、
昭和
六十三
年度
につきましてはそういうことであろうというふうに考えております。
新村勝雄
6
○新村
委員
決算
書によりますと、総額しか示されていないわけでありまして、例えば六十二
年度
、
調達労務管理費
、
駐留軍等労務者
格差給等
給与
、
駐留軍等労務者
特別
協定
給与
、合計百六十五億四百万、こういう表示しかないわけでありますけれども、これが具体的にどういうことに使われたのかというようなことについては、資料は出していただけますか。
松本宗和
7
○
松本
(宗)政府
委員
駐留
経費
でございますが、我が国政府が負担しております分につきましても、
防衛庁
が支出しておるもの、各省が支出しておるもの等がございます。また、
防衛施設庁
が支出しておるものにもいろいろな項目がございます。この
内容
につきましては、お求めがございましたら、資料として御提出させていただきます。
新村勝雄
8
○新村
委員
それでは、資料として後でお願いしたいと思います。 そして、そのいわゆる思いやり
予算
でありますが、これについてはかなり多岐にわたっていろいろな
施設
ができておるというふうに聞いておりますけれども、主要なものにはどんなものがありますか。
松本宗和
9
○
松本
(宗)政府
委員
駐留
経費
の負担でございますが、まず
提供施設
の
整備
という項目がございます。
提供施設
の
整備
につきましては、これは
地位
協定
二十四条の二項に基づきまして米軍に
提供
しております
施設
について、私どもが自主的に判断しながら、その必要性を見て
経費
を負担しておるというものでございます。また労務費につきましては、駐留軍従業員の
経費
の一部を負担するという形で、
給与
の一部、それから
福祉対策
費、
労務管理
事務費等について
経費
を負担しております。
新村勝雄
10
○新村
委員
労務
関係
についてはわかるわけでありますが、そのほかの
施設
等についてこれを負担するあるいは
提供
するというような場合には、あらかじめ向こうさんから
要求
があって、その
要求
に基づいてこっちが積算するあるいは支出するのか。大体そうだと思いますけれども、こういうことをやるのだという、それを決める経過について伺いたいと思います。
松本宗和
11
○
松本
(宗)政府
委員
提供施設
整備
につきましては、先ほども申し上げましたように、
地位
協定
二十四条の二項に基づきまして、基本的には我が国政府が負担するということで
各種
のものについて
経費
を負担しておるわけでございますけれども、これにつきましては、安保条約の有効性を確保するという目的から、米軍の要請を受けまして、安保条約の目的とのかかわり合い、財政状況、それに政治経済状況と申しますか、そういうような諸般のものを考慮いたしまして、我が国政府として自主的に個々の案件について決定しておるという状況でございます。
新村勝雄
12
○新村
委員
そういたしますと、安保条約の目的を
達成
する、あるいは駐留を円滑にするためにやる、基本的にはそういう考えに基づいて具体的な施策を決めていく、あるいはまた向こうさんからの希望ももちろん考えるわけでしょうが、それで決めていくということですね。 そういたしますと、直接軍事的な
施設
あるいは軍事目的を
達成
するための必要な
施設
ということであろうと思いますが、思いやり
予算
の実施状況は、聞くところによりますと、必ずしも直接軍事的な要請でないものもかなり含まれておるというふうに聞いておりますけれども、それも間接的には必要だという理屈がつくかもしれませんけれども、直接軍事目的でない
施設
には例えばどういうものがありますか。
松本宗和
13
○
松本
(宗)政府
委員
私どもが
整備
しております
施設
でございますが、どちらかといいますと、むしろ後方
関係
と申しますか、米軍が我が国に駐留する上で必要といたします、例えば隊舎でございますとか宿舎でございますとか、そういうような
施設
がむしろ中心になって大部分を占めておるという状況でございます。
新村勝雄
14
○新村
委員
報道によりますと、沖縄基地のキャンプ・コートニー、それから牧港住宅地区、ここに米軍用の教会が日本の
経費
でつくられているということを聞いておるわけでありますけれども、それは事実ですか。これはいつ、
経費
はどのくらいでできておりますか。
松本宗和
15
○
松本
(宗)政府
委員
キャンプ・コートニーで
工事
をいたしました教会でございますが、これは
昭和
五十八
年度
から五十九
年度
にかけまして実施しております。これに要しました
経費
は約三億六千六百万円でございます。
新村勝雄
16
○新村
委員
牧港は幾らになりますか。
松本宗和
17
○
松本
(宗)政府
委員
牧港につくりました
施設
、これは
昭和
六十二
年度
、六十三
年度
にわたりまして
整備
いたしましたが、直接教会という形ではございませんで、米軍
関係
者の情操教育を主目的といたしました教育
施設
ということになってございます。これに要しました
経費
は五億六千二百万円でございます。——
年度
は、
昭和
六十二
年度
から六十三
年度
にかけてでございます。
新村勝雄
18
○新村
委員
そうしますと、キャンプ・コートニーの分は最初から教会ということですね。それで、牧港は教会の目的ではないけれども、後で教会に転用したということですか。
松本宗和
19
○
松本
(宗)政府
委員
お答えいたします。 この牧港の
施設
は、主たる目的が情操教育の
施設
ということでございますが、この教育
施設
の中に教会が含まれておるというものでございます。
新村勝雄
20
○新村
委員
キャンプ・コートニーは純粋に最初から教会、牧港については教育
施設
というお話でありますけれども、写真で見ますと内部の構造は完全に教会の構造になっておるわけですね。正面にアルコーブというのですか引っ込みがあって、そこに十字架が安置してあって、手前に座る席があるわけでありますから、完全に教会のレイアウトということでありますから、これは教会として使われているということだと思います。 そうしますと、この教会、あるいは牧港は教会ではないとおっしゃいますが、この建設は
施設
庁でつくって米軍に貸与というか与えた、こういうことになりますか。
松本宗和
21
○
松本
(宗)政府
委員
御
指摘
のとおりでございます。
新村勝雄
22
○新村
委員
そうしますと、これは
日本国
内であれば当然憲法八十九条に抵触すると思いますけれども、このケースはどうなりますか。
松本宗和
23
○
松本
(宗)政府
委員
先ほども御答弁申し上げましたように、
提供施設
の
整備
につきましては、
地位
協定
二十四条の第二項の
規定
によりまして、すべての
施設
、
区域
をこの
協定
の存続期間中、合衆国に負担をかけないで
提供
するということとされておりまして、安保条約の目的を
達成
いたしますために必要な米軍の
施設
につきましては、我が国がその
経費
を負担して
整備
するというものでございます。 個々の
整備
につきましては、先ほど申しましたように、条約の目的の
達成
との
関係
でございますとか、我が国の財政負担との
関係
、社会経済的な影響を考慮いたしまして自主的に決定しておりますが、
当該施設
につきましては、米軍に対する
施設
提供
の一環といたしまして米軍人、米軍属及びその家族の日常生活に必要不可欠とされる
施設
であるというぐあいに判断いたしまして
提供
したものでございます。したがいまして、宗教に対する援助、助長等を目的といたしますものではございません。また、この
施設
の
整備
のために国費を当然支出いたしておりますけれども、これは米軍への
提供
ということで支出いたしておりまして、宗教上の
組織
または団体に対する財政援助的な支出とは言えないというぐあいに判断しております。
新村勝雄
24
○新村
委員
地位
協定
二十四条では「
日本国
は、第二条及び第三条に定めるすべての
施設
及び
区域
並びに路線権をこの
協定
の存続期間中合衆国に負担をかけないで
提供
」するとありますが、これは安保条約の是非とは別に、駐留米軍が日本で目的を
達成
するために必要な協力をする、その
経費
を負担する、こういう
趣旨
だと思うのです、二十四条は。ですから、そこから考えた場合に、教会が安保条約に基づく米軍駐留のための必須の
施設
であるというふうには考えられないと思うことが一つです。 それから、米軍に
提供
したのであって宗教活動に
提供
したのではないという論旨でありますけれども、教会の目的というのはキリスト教の信仰のための
施設
でありますから、明らかに宗教
施設
ということが言えると思いますし、この点についても実は争う余地はないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
松本宗和
25
○
松本
(宗)政府
委員
この
施設
を
提供
するに当たりまして私どもいろいろ検討しておるわけでございますが、最終的には、先ほども申しましたように米軍人、米軍属及びその家族の日常生活、これは米軍が我が国に駐留するために当然伴ってくるさまざまな
施設
がございますが、その家族の日常生活に必要不可欠な
施設
として通常設置されておるというものでございまして、私どももその必要性からこの
施設
を
整備
し
提供
することが適当であろうということで、
経費
を支出し、建設し、
提供
したものでございます。
新村勝雄
26
○新村
委員
そうしますと、教会の持つ宗教性、宗教性というか教会は宗教そのものでありますから、その点からの解釈はどうなるのですか。
松本宗和
27
○
松本
(宗)政府
委員
私ども、この
施設
につきましては、その目的が、先ほども申しましたように米軍に
提供
するということを第一義的に考えておりまして、しかも米軍の日常生活には必要不可欠なものであるというような判断の上に立っておりますので、その目的において宗教的な意義を有さず、また、このような側面にかかわりを持って、その側面から特定の宗教を援助、助長するような効果を生ずるものというようには解釈しないということで、この
施設
を
提供
したということでございます。
新村勝雄
28
○新村
委員
宗教
施設
とは考えないということでありますけれども、教会が宗教
施設
でないという論旨はどうも理解できないのですよ。それと、これが安保条約を円滑に遂行するために必須な、不可欠なものであるということについても理解できないわけです。もしもこれが国内の要請として、例えば
自衛隊
の周辺の対策として神社をつくったということであれば、これは当然問題になるし、違憲の議論が必ず出ると思います。しかし、米軍に貸与する、あるいは贈与するということであればそれは違憲性を免れるということについては理解できないわけであります。 それで長官、いかがでしょうか、長官にこの御相談ありましたか。この件について、教会を建ててやるということについての御相談がありましたか。
石川要三
29
○
石川国務大臣
私が就任したのがまだ三月ばかり前でございまして、本件についてはまだ相談されるべき対象ではございませんでしたから、相談はございません。
新村勝雄
30
○新村
委員
こういった問題です。宗教
施設
等について日本がやることについて、長官に対する御相談があったということの引き継ぎもなかったですか。
石川要三
31
○
石川国務大臣
事実
関係
だけ申し上げますと、教会を建設する、こういう費用の援助といいますかそういうことについては、私、まだ一度もそういう具体的な面の相談は受けたことはございません。
新村勝雄
32
○新村
委員
前任者からもなかったわけですね。——そうしますと、この教会の所有権はどうなるのですか。
松本宗和
33
○
松本
(宗)政府
委員
所有権という形では日本政府でございます。
新村勝雄
34
○新村
委員
会計検査院
にお伺いしますけれども、この費用の性質あるいは違憲性というようなことについては検討されますか。
澤井泰
35
○澤井
会計検査院
説明
員 突然の御質問なので用意しておりませんでしたけれども、そうしたような問題も含めて
検査
をしてまいりたいと私どもは思っております。
新村勝雄
36
○新村
委員
この件については、
検査
の際の印象、それから検討した
内容
はどうですか。
澤井泰
37
○澤井
会計検査院
説明
員 突然の問題でありますので、今回の、ただいまお尋ねのものについて特に具体的に検討した覚えはございません。
新村勝雄
38
○新村
委員
この件について法制局の御見解を伺いたいと思います。
大森政輔
39
○大森政府
委員
お尋ねの教会用建物、これは先ほども
防衛施設庁
の方からるる
説明
がございましたように、安保条約の効果的
運用
のたの米軍の駐留を円滑ならしめることを目的としている、そして米軍に対する
施設
提供
の一環として米軍人、米軍属及びその家族の日常生活に不可欠とされる
施設
、そういう観点に着目してこれを建設し、
提供
したものであると、私どもも従前からそのように伺っております。 そういう事実
関係
を前提といたしますと、こういう教会用建物の建設、
提供
といいますものは、その目的において宗教的意義を有しない、そしてまた、このような側面でかかわりを持っても、その効果におきまして特定の宗教を援助、助長するという効果があるとは考えられませんので、私どもの検討の結果におきましても、お尋ねの建物の
提供
は、
日本国
憲法第二十条三項及び第八十九条、いずれの
規定
との
関係
でも問題はないと考えている次第でございます。 なお、若干敷衍して申し上げますと、先ほどのお尋ねで、教会というのは宗教
施設
じゃないかというお尋ねがございました。これは私はそのとおりだと思います。したがいまして、国がそれを建設して米軍に
提供
するということは、宗教とのかかわりを持つ行為であることは否定できないと思います。それは否定できないのでございますが、現行
日本国
憲法は宗教に対して国はどのような態度をとるべきであるかということを
要求
しているかという問題にかかわるわけでございまして、
委員
御承知のとおり、最高裁判所の
昭和
五十二年七月十三日の有名な津地鎮祭判決というものがございます。そこにおきまして最高裁判所は、憲法が国及びその機関が行うことを禁止している宗教的活動とはどのようなものであるかということに関しまして、この
規定
は国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を禁止しているものではないのだということをまず言いまして「当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう」のである。もう一度敷衍しますと、宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を禁止しているのではない、こういう目的、効果を有する行為を禁止しているのである、このように判示しております。 したがいまして、先ほどお尋ねの教会用建物、これは米軍人、米軍属及びその家族の日常生活に必要不可欠とされる
施設
、そういう点に着目して、そういう日常生活に必要不可欠とされる
施設
を
提供
するのだという
趣旨
で
提供
されるならば、これは最高裁判所の判示に照らしましてもいまだ憲法に違反するものではないというのが私どもの判断でございます。
新村勝雄
40
○新村
委員
憲法の禁止
規定
は、国の公金あるいは公の財産、これを宗教上の
施設
に支出をしてはいけないということですよね。今の御
説明
ですと、教会は宗教
施設
ではないというお話であったと思いますが、これは了解できないわけですよね。 それから、米軍人軍属、家族の日常欠くべからざる
施設
であるといっても、それはまさに拡大する解釈であって、安保条約の円滑なる運営機能ということからしても、これはまさに拡大解釈そのものだと思うのですね。 それと、宗教
施設
、宗教活動を助長する、あるいはそれを積極的に援助をするという意思ではないということを言われましたけれども、この憲法八十九条というのは、国が特定の宗教にかかわることを禁止しているわけでありますから、宗教の布教あるいは拡大、そういうことを目的とするのではないとしても、宗教とかかわり合いをすることをこれは明らかに禁止をしているというふうに考えられるわけです。そういった場合に、宗教
施設
を
提供
することがこの条文に違反しないというのは、まさに詭弁というふうに思われるわけですよ。国が宗教にかかわることをこれは禁止していると思うのです。 その点はいかがでしょうか。
大森政輔
41
○大森政府
委員
先ほどのお答えと重複して恐縮でございますが、私どもの考え方によりますと、憲法二十条あるいは八十九条というものは、国が宗教といかなるかかわり合いを持ってもいけないという
趣旨
ではないというふうに理解しております。これは先ほど紹介いたしました最高裁判所の津地鎮祭判決で明確に判示しているところでございまして、そのかかわり合いがその目的及び効果において最高裁判所の判示するような基準を超えた場合に、それが憲法によって禁止されるのだということでございます。 したがいまして、先ほどもお答えいたしましたように、こういう教会
施設
を建設いたしまして米軍に
提供
するということが、ある一定の範囲内で宗教とかかわり合いを持つ行為であるということ自体を否定しているものではございません。ただ、そのかかわり合いの程度が最高裁判所の判決の基準に従いますとそれは許容範囲内の問題であるという、そういう私どもの
意見
でございます。 なお、若干敷衍いたしますと、憲法八十九条、これはまさに「宗教上の
組織
若しくは団体」に公金を支出してはいけないというふうに端的に書いているわけでございます。この八十九条との
関係
をもう少し詳しく御
説明
いたしますと、この八十九条の「宗教上の
組織
若しくは団体」というものは一体いかなるものを意味しているのかということがまず問題になるわけでございまして、これにつきましては学説上は広狭両説があるようでございます。すなわち、文字どおり
組織
または団体に限るというそういう説と、それから事業または活動に着目いたしまして、宗教上の信仰、礼拝ないし普及を目的とする事業ないし活動を広く意味するのだという、両方の説がございます。 まず、狭い方の宗教上の
組織
もしくは団体に文字どおり限るのだということになりますと、米軍自体は、これは戦闘集団ではございますけれども、その宗教上の
組織
もしくは団体というものに当たらないことは明白でございますので、したがいまして、米軍に
提供
する教会
施設
を建設してそれを使用に供しましても、これは憲法八十九条が禁止する宗教上の
組織
もしくは団体に当たらないということは、一義的に明白ではなかろうかと思います。 ただ、先ほど紹介いたしましたように、そういう
組織
、団体ということで形式的に区切るのではなくて、そういう宗教上の信仰、礼拝ないし普及を目的とする事業ないし活動というものに実質的に公金を供するということ自体をやはり禁止しているのであると解すべきだという立場に立った場合にどうなのかということも、私どもとしては念のためもちろん検討しております。この点に関しましては、最高裁判所の明確な判例がございませんが、やはり広い立場に立ってもセーフかどうか、そういう観点から検討いたしましても、なお先ほど申しましたように憲法八十九条に違反するものではないという結論に達したわけでございます。その要点は、先ほどお答えいたしましたように、こういう
施設
提供
の
趣旨
が特定の宗教を援助、助長するという
趣旨
ではなくて、米軍人、米軍属及びその家族の日常生活に必要不可欠とされる
施設
を
提供
して、その家族生活が平穏に行われることを確保するという
趣旨
ならば、決して憲法が禁止しているところではないのだということでございます。
新村勝雄
42
○新村
委員
その交付する対象の問題ということがありましたけれども、この対象は、米軍は宗教団体ではありませんからそれはいいと思うのですけれども、ただ、教会というのは宗教活動を行う場所ですから、それをつくって貸与するということ自体は国が宗教に深くかかわるわけですよね、深くかかわって、しかもそこへ金を出すわけですから。援助、助長ではないと言っても、もちろんそれは米軍あるいはアメリカでは宗教が日常化していますから生活と
関係
はあるでしょうけれども、宗教と国とのかかわりを禁止するということはこの八十九条は明らかなわけです。それを果たして今の論理でクリアすることができるかどうかということは極めて疑問だと思うのですよ。援助、助長ではなくとも、宗教とかかわり合うこと自体を禁止していると思うのです。 それともう一つは、これは米軍相手であるから、安保条約あるいは国防というそういう機構と政策の中でやっているのだからいいというのか。同じケースが国内であったらどうかということになりますと、これは最高裁といえども、国内でこういうことがあった場合はセーフとは言えないと思いますよ。国内で国費で神社をつくって、あるいは貸すのだか交付するのだかわかりませんけれども、そういうことを仮にした場合、これは絶対にセーフとは言えないと思います。そういう点で今の論理には承服できないわけです。 別の観点から伺いますけれども、日本の各基地の中に米軍のチャペルは全国では幾つありますか。それで、そのうち日本が貸与した、建てて貸したのは二ヵ所というふうに伺っておりますけれども、いかがですか。
松本宗和
43
○
松本
(宗)政府
委員
全体の米軍の
施設
、
区域
の中に何件あるかということにつきましては、ちょっと突然の御質問でございますので、今教会という
施設
に限りましてその数字を正確に把握しておりませんが、私どもが
提供施設
の
整備
という
関係
で
提供
いたしました教会ないしは、先ほど牧港補給地区ですか、それで申しましたようないわゆる教育
施設
と教会とが併設されたようなものを数えますと、現在までに五件でございます。そのほかにいわゆるリロケーションと申しておりますが、
提供施設
の移設でございます。これは例えば
施設
の
返還
とかに伴いましてそこにある
施設
を別の場所に移すというようなことで建設した実績がございますが、これは八棟でございます。
新村勝雄
44
○新村
委員
法制局にもう一回伺いますが、国と宗教とのかかわりをすべて禁止してはいないということは、それはそのとおりだと思います。公務員が宗教と全く
関係
を持ってはいけない、あるいは国が全然
関係
を持ってはいけないということはこれはあるいは言えないかもしれませんが、国がその宗教のために国費を出すという問題をクリアできるかどうかということが疑問なわけですよ。明らかに国が宗教団体のために国費を出してはいけないという
趣旨
が八十九条でありますから、今回のケースがそれを完全にクリアできるかどうか、これについての先ほどの御
説明
は大変不明確だと思います。もう一回お願いします。
大森政輔
45
○大森政府
委員
お尋ねの
趣旨
はよくわかるのでございますが、憲法八十九条と申しますのは、結局、二十条三項で国及びその機関がいかなる宗教的活動も行ってはならないと定め、いわゆる政教分離の原則を二十条全体として
規定
しているわけでございますが、それを財政的な観点から担保を裏打ちする
規定
であるという
趣旨
でございます。そのように理解されるわけでございます。したがいまして、結局、国及びその機関が許容される限度を超えて宗教とかかわり合いを持つということになるような財政支出、財政的な援助を八十九条は禁止しているというふうに解されるわけでございます。
委員
御疑問の点についてあるいは御理解の一助になろうかと思いますが、御承知のとおり、我が国におきましても、神社、仏閣に対する重要文化財の観点からの補助というものは、相当な金額が国から、すなわち公金が支出されているのが現状でございます。これは文化財保護法第三十五条で
法律
にその
規定
がある補助でございます。これも見方によりましたら宗教上の
施設
あるいは
物品
に対する公金の支出という観点があるわけでございますが、これについては国民の中でも、それがけしからぬ、宗教と過度のかかわり合いを持つからやめるべきであるという
意見
は余りないんじゃなかろうかと思います。 それはなぜかということを考えてみますと、結局、相手は一定の宗教法人、お寺とか神社に対して公金が渡るわけではございますけれども、それが決してその特定の宗教に対する援助、助長という目的ではないんだ。すなわち重要文化財、そういう側面に着目しまして、これらに認められる歴史上または芸術上の価値に着目している、それを保存、修理するための金だから問題ないんじゃないかというのが社会通念上の、社会一般の受け取り方ではなかろうかと思います。そういう考え方と今回の考え方は同じ次元でのものであるというふうに御理解いただければ、あるいは私どもの考え方も御賛同いただけるのではなかろうかと思うわけでございます。
新村勝雄
46
○新村
委員
今、
部長
の御
説明
を伺いまして、これはますます疑問を深くしたわけですよ。というのは、文化財に対する保護のための補助、これは
説明
によっては宗教活動ではないと言えると思いますよ。神社、仏閣あるいはお寺の文化財としての価値を保存するための補助だということであれば、これはクリアできる部分があるかもしれませんけれども、今お伺いしているのは、キャンプ・コートニーにしても牧港にしても、日本がそれをつくって米軍がキリスト教を信仰するために使うわけでしょう。キリスト教を信仰するために使うのですから、まさにこれは宗教活動なわけですよ。アメリカの人たちは宗教が日常化しているといいましても、やはりキリスト教はこれはれっきとした宗教ですから、その宗教活動をするための
施設
ですから、津の地鎮祭訴訟とか今御引用になったそのケースとこのケースを比較した場合には、量的にも質的にもまるっきり違うと思うのですよ。これは三億あるいは五億という国費を出して
施設
をそっくりつくってアメリカさんに使ってもらうということですから、これは宗教との
関係
を禁止した、特に財政面から規制をした
規定
に真っ向から違反する、真っ向からぶつかると思うわけですよ。その事態を御
説明
になるために文化財補助を御引用になったとすれば、これは全く御
説明
にはならない。いかにこのことが違法性がはっきりしているかということをあなたがみずからお認めになったようなものでしょう。だって、文化財に対する補助はこれは宗教活動ではないと思いますよ。宗教活動そのものではないと思いますよ。宗教活動に関する
施設
に対する補助ですから、宗教活動ではないということは言えると思います。ところが、これは宗教活動そのものをそこで行うために国費を使って、三億、五億という国費を使ってつくるわけですから、これは全く理解に苦しむわけで、今
部長
がおっしゃったその諭旨ではこれはとてもクリアできない。だから、完全にクリアできる別の論旨があるんだったら別の論旨を出していただきたいと思います。
大森政輔
47
○大森政府
委員
別の論旨、理由づけを考えろ、こういう話でございますが、私どもといたしましては、最高裁判所の判決の示している基準に従うというのが行政の場にあるもののあるべき態度であろうと思いますし、今までるる御
説明
いたしましたことによって理由づけは十分であると私どもは考えております。 ただ、この問題は人によって本当にいろいろな考え方が成り立とうかと思いますけれども、私どもとしては、最高裁判所が示している判断基準に従えば、本件については憲法二十条三項との
関係
でもまた八十九条との
関係
でも問題はないんではなかろうか、御理解いただけるんではなかろうかと考えている次第でございます。
新村勝雄
48
○新村
委員
先ほど津地鎮祭訴訟を引用されましたけれども、これもまた全くケースが違うと思うのですね。これは、地鎮祭訴訟というのは幣帛料というのですかそれを出したということですから、宗教
施設
を全部国費でつくってそれを
提供
したということと、それから神社に対してのおさい銭をあげた、あるいは幣帛を供えたということとは、これは質的にも量的にもまるきり違いますよ。質量ともにまるきり違います。ですから、最高裁の判例とこの件とでは質量ともに違う、次元が違うと思うのですよ。ですから全く納得ができませんけれども、これ以上やりとりしてもしようがありませんから、これで打ち切ります。
施設
庁にお伺いしますが、
施設
庁は、米軍が駐留してその本来の目的を
達成
するために、それを円滑にするために出すんだということでありますけれども、その駐留の目的を
達成
するためということ、仮にその観点から考えた場合にもそれはおのずから限度があると思いますよ。アメリカが
要求
するものは何でも出すということではないでしょう。 しかも私は憲法違反だと思うのですけれども、この憲法はアメリカさんが起案したのですよ。アメリカさんが起案して日本がそれを承認したわけですけれども、アメリカさんが起案した憲法に国家権力と宗教とは完全に分離しなさいということで、それも結構だろうということで日本がこれを承認したわけですから、そういう点から、宗教と国家権力とは憲法の
規定
に従って厳しく峻別していかなければいけないと思うのです。ところが今のような御議論、これは御議論にはならないと私は思いますけれども、全く納得できませんけれども、そういう極めて薄弱な論旨でそれを正当化するということは大変残念だと思います。 そこで、
施設
庁にお伺いしますけれども、安保条約の目的を
達成
するために、円滑にこれを実施するための
施設
を日本が協力するんだということであれば、それはその
施設
一つ一つについてこれが果たして安保条約の目的のために必要不可欠であるかどうかということを検討しなきゃいかぬと思いますね。この教会なんかは必要不可欠とは思えませんよ。これはアメリカさんがみずからの努力で、あるいは本国政府から金を出してもらう、本国政府が金を出さないのだったら国内で寄附を集めればいいんですよ、それでつくるべきものであって、日本の費用で、日本の国費で出すべきものではないというふうに、これは
法律
論は別としても、政治論としてだと思いますが、その観点から
施設
庁の長官から伺いたいと思います。
松本宗和
49
○
松本
(宗)政府
委員
先生御
指摘
のとおり、
安全保障条約
の目的を
達成
するために必要という観点を念頭に置きまして、個々の
施設
につきまして自主的に判断しておる次第でございます。
地位
協定
の二十四条二項をとりますと、これは非常に広い範囲で
提供施設
につきまして、我が国政府の負担において、つまり文言では米軍に負担をかけないで
提供
するということになっておりますが、これを受けまして、私どもは、安保条約の目的を
達成
するために必要であるかどうかということを念頭に置きながら、米軍の要望を個々に厳密に審査をいたしまして自主的に決定しておる次第でございます。 したがいまして、この
施設
につきましても、米軍が我が国に駐留する、その家族を我が国に駐留させる上で真に必須の
施設
であるかどうかということをよく念頭に置いて検討した上で、必要であると判断して採択したものでございます。
新村勝雄
50
○新村
委員
この問題についてはまだ引き続き御検討をいただきたいと思いますし、私の方も勉強したいと思いますから、保留にしたいと思います。 次に、
防衛庁長官
にお伺いいたしますが、長官は先般東南アジア各国を訪問されまして、いろいろと各国首脳と
意見
交換をされたということでありますが、特に東南アジアをお選びになったその意図、目的をまず伺いたいと思います。
石川要三
51
○
石川国務大臣
今回、私が連休を利用いたしまして東南アジアを訪問したわけでありますが、なぜ東南アジアを選び、いかなる目的かということを申し上げたいと思います。 一つには、私も就任前から、我が国の防衛費の、要するに規模、
予算
額の面から見ればかなり大きいわけでありますが、そういうようなことから近隣諸国、特に東南アジアの地区におきまして軍事大国化の懸念がある、こういうことを私も耳にしておりました。したがいまして、そういうことの実態をまずみずから知りたいという気持ちが一つでございます。 なおかつ、やはり防衛というものは、国民の理解はもとより外国にも理解してもらう、特に近隣のアジア諸国の国々には、私どもの防衛政策というものがしっかりと理解をされる必要がある、かように考えまして、東南アジアの三国へ行ったわけでございます。 目的と、なぜ東南アジアを選んだかということにつきましては以上でございます。
新村勝雄
52
○新村
委員
今世界情勢が非常に激動というか大きく変わっておるわけでありまして、特にヨーロッパから発した情勢の変化の大波が今世界じゅうを覆おうとしているわけですが、そういう状況の中で、まずヨーロッパの緊張緩和というか、両勢力の対決の状況が大きく緩和をされたということに関連して、アジアにおいてもやはり世界情勢の流れの影響を大きく受ける、あるいはやがて受けるだろうと思いますけれども、そういう中でアジアの中における日本、特にアジアの中における日本の軍事力というようなものが今アジアから注目をされている、あるいは関心を持って見られているというふうに考えるわけでありますが、東南アジアの諸国が、今の世界情勢あるいはそれから関連をしてアジアの情勢、特にアジアの軍
事情
勢、そういったものに対してどういう認識を持っておられますか、長官の印象として伺いたいと思います。
石川要三
53
○
石川国務大臣
先ほどお答えいたしましたように、特に私は、東南アジアの諸国が我が国の防衛政策にいかなる認識をされているかそういう点をみずから確かめたいというふうなことで出かけたわけでありますが、たまたま時期が、今、先生が御
指摘
のような世界じゅうが非常にデタントに向かっての大きな
変動
をしている中でございます。そういう中で、これらの国がまたどういうふうな認識をしているかということも大きな関心事でございました。したがいまして、オーストラリア、タイ及びマレーシアの、特にオーストラリアにおきましてはホーク首相、レイ国防大臣、タイにおきましてはチャチャイ首相、チャワリット副首相兼国防相、さらにマレーシアにおきましてはガハール・ババ副首相、リタウディン国防相などと国際軍
事情
勢、防衛政策につきまして率直な
意見
交換をしたわけでございます。 そして、その中から感じられましたことを申し上げますと、まず今回の私の訪問でございますが、これらの各国へ訪問したのは現職の日本の
防衛庁長官
としては初めてでございまして、そのこと自体にも意義深いものがあった、かように思っておりますし、加えて、我が国の防衛政策についてより一層の理解を各
関係
国との間に深めることができたと確信をしております。今後、防衛分野における人的交流なども促進していくことの重要性についても
意見
の一致を見るなど、極めて有意義なものがあった、こういうように認識をしたわけでございます。さらに、今回の訪問を通じまして、この地域における米軍の存在というものがやはり平和と安定に大きく貢献しているということの基本的な認識では一致をいたしました。また、我が国が
防衛計画
の
大綱
に従って防衛努力を行っていることも賢明な選択であったというような言葉もちょうだいしたわけでございまして、私は、出かける前に想像していた以上に実は非常にそういう国々の御理解を得た、こういうふうに確信を得たわけでございます。 しかし、御承知のとおり今日のような国際情勢の変化には、おのずから各自が、各国とも真剣に 大きな関心を持って注目をされていることも事実であります。立地的な違いもあるせいか、特に豪州などにおきましてはどちらかというとインド洋などにもかなり関心が示されていたように感じられます。それからタイにおきましては、何といってもカンボジアのあの状況につきましては大きな不安要因であるというふうに認識をされましたし、またマレーシアにおきましては、二国とややスタンスが違っているなという感じもいたしました。それは申し上げるまでもなく非同盟・中立政策をとっておりますので、どちらかというとアメリカの強力な基地化にはやや懸念を示されておった、こんなような若干の相違点がうかがわれたわけでございます。 いずれにしましてもそういうようなことで、私どもはこれからも太平洋の平和のためにはそれぞれの立場でひとつお互いに協力しよう、こういうような
意見
の交換もあったわけでございまして、私は極めて有意義であった、かように考えているわけでございます。
新村勝雄
54
○新村
委員
東南アジア諸国から日本を見た場合、特に日本の軍事力が現在ではかなり大きくなっていることに対する懸念があるというようなことも言われていたわけであります。長官が今おっしゃった、理解を深めたというのはどういう意味があるのか、もう少し詳しく伺いたいわけでありますけれども、日本の軍事力に対して東南アジア諸国がどういう印象を持っているのか、そこらを中心にして、理解を深めたという
内容
をもう一回伺いたいと思います。
石川要三
55
○
石川国務大臣
冒頭で申し上げましたように、よく先生方も言われることでありますけれども、我が国の軍事費というものが東南アジアの軍事費から比べれば非常に大きいわけであります。これは事実でありますが、そういうようなことから、どうも日本が昔のような軍事大国になりはしないか、軍国主義になりはしないかと言わんばかりの、ことが言われている。こういうことを私も耳にしていたわけでありますから、特に大臣になったら早々に、まず第一にこの真実を確かめたいというのが実は私の旅行した一番大きな目的でありました。そういう意味からいって、我が国の基本政策、そのよって立つ理由、こういうことをいろいろとお話をいたしますと、非常によく理解をされたという意味で私は申し上げたわけでございます。 特に豪州などにおきましては、ある意味においては我が国と防衛政策が非常に似通っております。先生御承知のとおり、豪州の防衛政策というものはいわゆるセルフディフェンスというものが大きな前提であります。そういう点では専守防衛と相通ずるものがある。レイ国防大臣なども、日本の防衛政策というのはグッドポリシーだ、こういう言葉も吐かれた。こういうようなことから、今私がここで申し上げましたように、私が想像していた以上に成功したな、自画自賛かもしれませんが、そんな感じを持った、こういうことでございます。 ただ、確かに実際問題としてそういう声は絶対ないとは言ってないようであります。それはいわゆる民間の一部、あるいはまたマスコミなどの一部にはそういう懸念の声というものはかなりあるよという御
指摘
もあったことも事実であります。 以上、御参考までに
内容
について御
説明
いたしました。
新村勝雄
56
○新村
委員
最近アメリカの国防総省が出しているアジア・太平洋周辺における戦略的枠組みですか、その中にはかなりアメリカのアジア政策の変更を示唆する記載があるようですね。一口に言うと、アジアからはある程度漸進的にアメリカの兵力を引き揚げていって、日本、韓国にそのかわりをしてもらうのだというようなことが書いてあるわけでありますが、そういったアメリカの新しいアジア政策というか、アジアの戦略の変更、そういったことに対してアジア諸国はどういう印象を持っているでしょうか。
石川要三
57
○
石川国務大臣
先般発表されたアメリカの例の再編成の
内容
でございますけれども、その中で十年
計画
、十年間をもちまして三段階で、特に最初の三年の間には一割程度の削減という案を発表されました。そういうようなことで、今後はそれは国際情勢の推移によってもかなりまた変化もあろうかと思いますけれども、そういう発表があったわけですが、その
内容
につきまして、直ちにこれが、日本に肩がわりしてもらうというような意思は私にはあの中では読み取れない、そういうことが
指摘
されているというふうには私は理解をしておりませんので、その点はちょっと認識があるいは先生と違うかもしれませんが、そういうことで私は受けとめております。 ただ、その問題について、じゃアジア諸国はどういうふうにこれを受けとめているだろうかということでございますが、少なくとも私が歴訪いたしました三国につきましては、まだ発表された直後でございましたし、具体的なものを示されたわけでもございませんし、一つの方向というかそういう見解を示されたわけでございますから、極めて慎重に注意深くこれを見守っているというのが共通的なことではなかろうかな、こういうふうに思って伺っております。 ただ、強いて言わせていただければ、先ほど申し上げましたように、マレーシアの見解が若干ニュアンスが違っていたというふうに認識をいたしました。それは何かというと、やはり基本的に、アメリカの強力な基地化といいますか、そういう前方展開のこれ以上の増大というものについてはむしろ余り賛意を示されておらなかったように私には理解がされたわけでございます。
新村勝雄
58
○新村
委員
あの中を流れる一貫した考え方は、これはやはり、直ちにではないでしょうけれども、漸進的にではありましょうけれども、アジアに展開している米軍、特に
陸上
兵力を徐々に減らしていくということが随所に出ているわけですね。数カ所にそういうことが書いてある。それから、沖縄基地にしても横田にしても横須賀の使命にしても、これは再検討というようなことの意味があると思うのですね。 そういったことで、大きな流れとしては、アメリカにかわる日本の役割を期待するということが書いてあるし、特に日本、そしてまた韓国も経済的にかなり強力になっているのだから、バードンシェアリングを当然すべきだということがあるわけです。そういったアメリカの一方の考えと、それからまたアメリカとしても日本にバードンシェアリングをさせようという一つの考えと、それから日本が軍事大国化あるいはアメリカと競争するような軍事力を持つようになることについての懸念はもちろんあると思うのですが、そういったアメリカとしても二律背反というのですか矛盾に悩んでいるという面が実はあると思うのです。しかし、当面のアメリカの考えとしては、できるだけ日本に負担を肩がわりさせていこう、この方向は動かしがたいと思うのですよ。こういうことに対する日本の短中期的な対応をどうするかということが大きな問題だと思うのですね。 これは長官、恐らく近い将来、長官の頭を悩ます大きな問題になってくると思うのですけれども、こういったことについて基本的には日本はこうするのだというお考えがあればお伺いしたいと思います。
石川要三
59
○
石川国務大臣
この問題は大変重要な問題でございますから、まず二十一世紀に向かってのアメリカのいわゆる再編成といいますか、先般発表されましたその具体的な
内容
について、防衛
局長
から詳しく一度
説明
、回答をさせていただきたい、かように思います。 ただ、私の認識としては、そういう慎重なアメリカの一つの削減
計画
、こういうふうに私は総体的には受けとめているわけでありますが、だからといってこれにかわることを我が国に求めているというふうに私は思わないし、また現実に憲法の上からいってもアメリカの削減を穴埋めをすることは不可能でありますから、禁止されておるわけですから、それはいたしかねるわけであります。 そういう認識を持っているわけでございますが、せっかくの機会でございますから、二十一世紀のことにつきましてもう一度ちょっと防衛
局長
の方から
内容
について答弁させたい、かように思います。
日吉章
60
○日吉政府
委員
先般、アメリカ政府が米議会に対しまして報告いたしました「アジア太平洋地域の戦略的枠組み」副題としまして「二十一世紀に向けて」と書かれております報告書の
概要
でございますが、基本的にはただいま
防衛庁長官
からお話し申し上げましたことに尽きているかと思います。そういう意味で重複をいたすかと思いますけれども、若干敷衍して御
説明
をさせていただきます。 この基本的な考え方は、米国はグローバルな役割と同盟国に対するコミットメントというものは今後とも果たしていくのだということで、そういうことのために引き続き前方展開戦略を維持する、こういう基本的な考え方は一貫して貫かれていると思います。 ただ、米国は
委員
御案内のように財政状況等の制約等にも見舞われておりますものですから、その中にありましても、できるだけ前方展開戦略の合理化といいますか、その中に含まれております兵力の再編成というようなものをしていかないといけないということは出ているわけでございます。そういう意味で、十年間・三段階に分けまして再編合理化を図るということが書かれているわけでございます。しかし、その手法は、東アジアにおきます情勢が非常に不透明でございますから、その情勢を十分に見きわめながら、かつ、この地域の安定に配慮しながら、非常に慎重に段階的にその再編合理化を進めていくということであろうかと思います。 したがいまして、再編合理化を進めていく過程におきまして、日本に対して何を求めているかということでございます。その点は、ただいま大臣からもお話を申し上げましたように、引き続いて日本の役割としての日本独自の固有の防衛努力の向上を奨励、期待をいたしておりますけれども、これまで米側がグローバルな観点から果たしていたロールズ・アンド・ミッションズといいますか、役割を日本にかわってほしいというふうな考えは全くございません。兵力投入能力といいますか、進攻能力の発展等はディスカリジすべきである、むしろ抑制すべきであるというような
指摘
もあるわけでございます。 なお、米側は財政的な困難等にも見舞われておりますので、バードンシェアリングといいますか、駐留米軍
経費
等に対しまして日本側のさらなる努力を期待いたしていることは事実でございますが、それも、米側がグローバルな安全保障努力をしている中で日本側が絶大な利益を享受していると思われるので、そういうことを勘案してさらなる
経費
負担についてのバードンシェアリングといいますか、リスポンスビリティーシェアリングといいますか、それの努力を日本側に期待するというようなことが書かれているかと思います。 基本的な考え方と日本に対します部分は、今私が述べましたようなところが根幹になっていようかと考えます。
新村勝雄
61
○新村
委員
あの文書はかなり矛盾が多いのです。明らかに、日本あるいは韓国も経済力がもう大きくなったからバードンをシェアリングしてもらいたいということを一方で言っているわけです。同時にまた、日本の軍事力についてはそんなに多くを期待しないというような意味のことがある。要するにリーディングルールからサポーティングルールになるのだ、アジアの軍事力をアメリカが指導的に維持していくということから、これをサポートする立場に変わっていくんだということをはっきり言っているわけです。そうなってくると、アメリカのアジア戦略というものは質的にあるいは量的に一つの転換期に来ているのではないかという印象をあの文書は与えるわけですけれども、一方また、日本に対する一定の抑制というようなことも配慮しながら、できる限り日本にバードンを渡していこうという意図がはっきりあるわけです。 そういうことからすると、例えば先ほどいろいろお伺いしたような問題についても、駐留
経費
についても、軍事的なものではなくて宗教的なもの、あるいは日常的なものまで日本に負担をさせるという傾向があるわけですから、そういった点からしても、アメリカの戦略というよりはむしろ費用の面での戦略に大きな転換期を迎えているということが言えると思うのです。そういうことが教会をつくるなんということにあらわれているのではないかと私は思うのです。 そういった点で、日本の政策は一つの一定の基準と毅然とした基本的な方針、これがないといつの間にか流されていくという危険があると思うのです。そういった面で、基本的なお考えはどうであるかということをもう一回伺いたいと思います。
石川要三
62
○
石川国務大臣
私も、今回のあの米軍の報告に対しては、先ほど申し上げましたような認識を持っておるわけであります。したがって、繰り返すようでございますけれども、米軍がある程度の削減をしても、それの穴埋めはない、そういう要請もないし、それはできるものでもない。しかし、今先生御
指摘
のような、今回のあの削減
計画
というもの、そういうものの再編成という案も枠組みも、根本の一つの大きな原因はやはり財政的な面があると思うのですね。そういう面から見ても、要するに、当面我が国に対しての駐留軍
経費
の分担などのいわゆるバードンシェアリングといいますか、そういう面の要請が強くなる、また強くなっていくということが書かれておるわけでありますから、そういう認識を持っているわけであります。 しからば、そういうものに対してどういうふうな基本的な姿勢なり考えを持っているか、こういうことでございますけれども、これも抽象論ではございますけれども、我が国の平和と安全は、基本的な防衛政策というものは何といっても一つには
日米
の安保体制、こういうことがあるわけであります。したがいまして、この
日米
安保体制のもとの
日米
安保条約のさらなる効果的な
運用
というものは当然考えていく必要があるわけでありますから、そういう範囲内で自主的な判断をしていく。しかし、何でもかんでも言いなりというようなことはあってはならない、かように思いますが、ますます中身をよく検討し、できるだけの自主的な範囲内で努力すべきものはするという基本姿勢は堅持していきたい、かように考えておるわけでございます。
新村勝雄
63
○新村
委員
東南アジアの御視察に関連をして、東南アジアの諸国が今おっしゃったようないろいろなお話があったということでありますけれども、基本的に
日米
安保条約をどう見ているのか、またその将来に対してどう展望を持っているのか、あるいはそれに対してプラスの印象を持っているのかマイナスの印象を持っているのか、そこらの点はいかがですか。
石川要三
64
○
石川国務大臣
間もなく安保条約締結三十周年の日を迎えるわけでありますが、今マスコミなどでも、安保条約の効果などについては、各界の名士が、今までの三十年を振り返っての特集番組でいろいろと論じられていることも報道されております。 私の見解でございますが、簡単に申し上げますならば、今日の
日米
安保体制、そして
日米
安保条約による日本の平和と安定の上においての効果というものは大変大きい、かような基本的な認識を私は持っておるわけであります。ただし、三十年もたち今日のような世界情勢の大きな目まぐるしい変化の中におきましては、十年は昔の百年に当たるような社会変化のある中でございますので、当然こういったようなものでも大きな意味においては質的にも変化をしてくるであろうし、安保条約というものを一層有効ならしめるにはどうあるべきかということがこれからの大きな政治課題であろう、このように思って、いろいろと真剣に勉強もしていきたい、かように考えておるわけでございます。
新村勝雄
65
○新村
委員
それは長官のお考えですけれども、そうじゃなくて、それと同時に、東南アジアの諸 国が
日米
安保条約についてどう考えているか、その評価ですね。
石川要三
66
○
石川国務大臣
この点について特にテーマとして話し合ったことはございませんから憶測に過ぎぬわけでございますが、いわゆる我が国の安保条約の評価は、今、これは東南アジアももちろんでありますが、むしろ
日米
安保条約の体制の中に日本が置かれた方がいい、一般的に何かそういうような評価をされているというふうな理解を私は持っているわけでございます。ただし、これはいろいろな情報による私だけの一つの判断でありますから、特別にそういったテーマによって話し合ったわけではございません。
新村勝雄
67
○新村
委員
今のお話は長官のお考えでしょうから、この点については、東南アジアの各国の真意を外交ルートを通ずるなりあるいは政府のあらゆるルートを通じて始終キャッチをしていく必要があるのではないかと思いますね。そういった御努力もぜひお願いしたいと思います。 次に、いわゆる文民統制についてお伺いをしたいと思います。 この問題は、日本の近代史といいますか、明治以来の日本の歴史の中で一番大きなテーマであったと思うのです。明治維新以来、これは学者の言うことによりますと、明治の初期においては政治家が軍事を完全に支配していた時代がある、日露戦争までは大体文民が軍人を抑えていた、その時代には国全体としてうまくいっていたのですが、太平洋戦争になって、その直前から、
昭和
に入ってから文民統制というか政治が軍事を統制する力が全くなくなって、そのかわり軍人が第一線に出てきた、それが失敗のもとであったということが言われております。そういったこともあるし、敗戦ということもあって、現在の日本の体制は文民統制ということになっております。 文民統制というのは、軍事に対する政治の優先、軍事力に対する民主主義的な統制だということ、これは議論の余地はないと思うのですが、現在、
自衛隊
の運営が果たしてシビリアンコントロールが完全に効いているのかどうかという問題については、いろいろな点で不十分な点あるいは疑問な点があると思うのです。もともと日本の憲法には軍事力を
規定
しておりませんので、軍事力に対する統制をどうするかということについては当然憲法に
規定
されるべきものでありますけれども、日本には軍事力がないということで憲法には文民統制の
規定
はありません。ないと思います。ただ、総理大臣以下大臣は文民でなければならないという
規定
がありますけれども、それ以外には軍事に対する統制の
規定
は憲法にはない。軍事力がないということになっているのですから当然そういうことになると思うのですけれども、そういった点で国会の軍事力に対するコントロールが弱いということが言えると思うのです。 国会は防衛出動等について承認を与えるということがありますけれども、そのほかには
予算
で統制をする、あるいは諸法案で統制をする、それから
自衛隊
の
定員
、
組織
等についても国会の統制がありますけれども、具体的な軍事力についての国会の統制ということになりますと極めて弱い。弱いということの一つの原因は憲法の
規定
がないということ。と同時に、国会に対して防衛
関係
の資料がほとんど
提供
をされない、防衛に関する秘密はすべて政府が一手に握っておって国会が関与できないというのが実態だと思います。そういった中から国会の文民統制が極めて弱いということが言えると思います。 これを救うためには、何といっても国会に対して、防衛
関係
のすべての資料とは言わないにしても、最大限の資料を
提供
していただいて、国会が本当の意味で防衛についての議論ができる、あるいは軍事力を統制できる体制が必要だと思うのですけれども、そういう点が非常に弱いわけですね。 こういった点について、それを救うには何といっても資料の
提供
と秘密を最小限にしていくという運営が必要だと思うのですけれども、大臣はそこの点について、現在の日本の文民統制が完全に機能しているかどうかということについてはどうお考えですか。
石川要三
68
○
石川国務大臣
民主主義政治といいますか、民主主義の今日の日本の中においては、文民統制というのはもう確立されている、このようにまず私は認識をしているわけでございます。 今、先生が、国会のコントロールが弱い、その証拠としてどうも
防衛庁
は秘密主義だ、余り資料も
提供
されていないというお話でございますが、私は、出して差し支えない資料というものは十二分に提出をしているというふうに思っているわけであります。具体的にまた御
指摘
をいただければ十二分にひとつ御
意見
は承りたいわけでありますが、しかし全体的に、出すべき資料、必要とするものは隠す必要もないし、また提出されている、このように私は認識をしております。 ただ、言いわけをするわけではありませんけれども、何といっても
防衛庁
という防衛を所管する役所でございまして、そういうことから見て当然これはある程度の機密があるわけでありますから、それは御要請があってもどうしても守らなければならないわけであります。ただ、それが、国会という立場とまた防衛をつかさどっている役所という立場でスタンスが違いますから、ある一定のところでは交わるわけでありますけれども、その交わる交差点が低いか高いかという問題は当然いつまでも続く問題ではないか、かように思いますけれども、できるだけ十二分に国会の機能を高めていただくためにもできるだけの資料の提出は決して拒否すべきものではない、私はこういう見解を持っております。 ただ、では我が国はこんなにシビリアンコントロール、国会コントロールというものが弱いかといえば、実は私はそうは思わないのですね。例えばいろんな法案でもなかなか一遍には通りませんし、いろんな角度から見ても、諸外国を見ても、日本の国会が、どうも
防衛庁
の力が強過ぎてどんどん先へ進んでしまって心配だというふうな状況では少なくともないんじゃないかな、私はこんなふうな感じがするわけでございます。 むしろ、例えば安保条約の問題をとってみても、あるいは
自衛隊
の憲法との
関係
などをとってみても、最近は野党の先生方も正直なところ言ってかなりスタンスというものは変わってきているのではないかな、私はこのように思うのです。 しかし、いろんな外国の国会の実態を見ても、防衛と外交との問題については与野党というものはほとんどすき間がない。この間三国を訪問いたしましたが、どの国におきましても防衛に関しては与党も野党も全く
意見
が一致している、こういう姿を見たとき、今先生の御発言でございますが、我が国と随分違うものだな、むしろ私は逆に国会の方のシビリアンコントロールの方が少し強過ぎるのかなというふうな感もしたわけでございますので、その点は先生と私は見解を多少異にしているような感じがいたします。
新村勝雄
69
○新村
委員
日本の場合に与野党の差があり過ぎるというようなことがありますけれども、これは日本の歴史、特に戦後の、一九四五年以降の歴史が特殊なものでありますから、それからその前の、
昭和
に入ってからの一九三〇年ごろからの歴史がこれまた外国と違うわけでありますから、これは特殊な歴史の中で形成された一つの状況でありますから、それを一概に与野党が一致しなければいけないということは論理の飛躍だと思います。そういう状況の中でどうするかということを考えなければいけないわけでありますね。 そこで、シビリアンコントロールに関してでありますが、いわゆる統帥機構、今は統帥機構という言葉は使いませんか。昔は統帥機構という言葉を使いましたね、天皇から参謀総長。現在は、
防衛庁
の機構としては総理大臣が最高の責任者、次に
防衛庁長官
、それから内部部局、部局の
局長
さんがいらっしゃいますね。これは参事官、参事官が
局長
を務めるということで、その下に統幕議長あるいは各三軍というか陸海空の幕僚長がいる、その下に軍事部門がある、こういうことになっていると思います。ですから、その場合に、内部部局の方々、参事官の方々、こういう方々が軍の首脳部と接触をするわけですね。軍の首脳部は軍人としての専門的な知識から防衛政策なり戦術上の
要求
をいろいろ出していく、これに対して内部部局がそれを文民という形で統制していく、こういうことになっていると思うのですが、それでよろしいわけですか。
児玉良雄
70
○児玉政府
委員
防衛庁
の中におきますシビリアンコントロールを確保するための機構として、まず長官の政策統制を確保する仕組みとして、政務次官、事務次官が長官を補佐することを初めとして、
防衛庁
の基本的な方針の策定については、今先生が言われましたいわゆる文官である参事官が政策面から補佐をするということにしております。内部部局には官房そのほか各局がございますけれども、この官房、各局が
自衛隊
の業務全般をカバーしておりまして、
自衛隊
の業務の基本的な
事項
につきましてはそれぞれの所管に応じて担当することとしております。そして、この官房、各局の長である
局長
等は参事官が充てられるという仕組みになっております。
新村勝雄
71
○新村
委員
その場合に、軍人の立場からの
要求
あるいは戦術上の
意見
あるいは防衛政策を軍人の立場から組み立てていくわけでしょう、それを文官が調整をし統制をする、こういう機構になっていると思うのですが、その場合に、軍人の場合には、今の幹部の方々もそうでしょうけれども、防衛大学に入るのは二十歳前、十八歳ぐらいで、後はずっと専門の領域で知識を磨き、あるいはみずから訓練をし行動をしていく、そういう軍人としてのキャリア、軍人としての経歴・経験を積んで、五十歳を超えることになりますか、
自衛隊
の最高幹部になるには。そういう知識と経験の両方を軍事の専門の中で鍛えられていくわけですね、三十年を超えて。そういうことで、軍事に関してはまさにエキスパート、専門家ということになります。内局の方々は、これは失礼な言いようでありますけれども、ほかの省庁から来られる方が多いのですね。
防衛庁
のいわゆるプロパーという方は極めて少ない。特に政務次官は政治家ですけれども、次官、参事官、
局長
という方々も、防衛については専門家ではありましょうけれども、制服の皆さんとでは軍事の面では対抗できないでしょう。例えば大蔵から参事官になって来られる、あるいは事務次官になって来られるということですかも、軍事の面については最初は素人です。それで勉強されるわけでしょうけれども、そしてまた、参事官あるいは次官になる方々はこれは国民のうちでもすぐれた頭脳の皆さんが集まるわけですから、そういう能力の点ではこれは十分でありましょうが、軍事の面については最初は素人である。それで、その任についてから数年間一生懸命勉強されるわけでしょうけれども、三十年以上も軍事の世界にあって心身ともに鍛錬をした人と半年か一年勉強した人とでは、軍事に関してはとても対抗できないと思うのですね。 そういった意味での
防衛庁
の人事あるいはそういう人の面からの統制、制服に対する統制というと制服を無理に抑えてしまうということではないのですけれども、制服の方の観点あるいは制服の方のスタンス、それから文官のお考え、文官の防衛に対する構想という点ではこれは当然違わなければいけないし、そういう違うものがぶつかり合ってそこで初めて統制ができるわけですから、そういうことを考える場合に、現在の
防衛庁
の人事で本当の意味でのシビリアンコントロールが機能するのかどうかという点で、我々外部から見てみますとそういう懸念もないわけではないわけです。 そういった点についてまず長官はいかにお考えですか。
石川要三
72
○
石川国務大臣
まだ就任して日も浅いわけですから、事細かなことまで熟知しておりませんからなかなか正確なこともわかりませんけれども、ただ、私は今いろいろと先生の御質問を聞きながら思いますことは、軍事的な狭い意味の軍事知識とか軍事技能とか、そういった狭い軍事的なこととか知識については、これは確かにシビリアンよりもユニホームの方がまさっていることも事実だと思うのです。しかしやはり、防衛政策というものはそれだけでは成り立つものではないし、世界情勢の分析あるいはまた我が国の経済
事情
、社会
事情
、そういう総合的な問題の中で確立されなければならないものでありますから、部門的には確かにそういう比較をすれば決して当たらないこともないと私は思いますが、最終的には総理大臣が総責任者であり、その下に私がおり、その下に私をサポートする事務次官そして参事官、こういう制度がありますから、その中で、確かにユニホーム組とシビリアン、背広組とのいろいろな葛藤もあるでしょう、当然あると私は思うのですね、そういう議論を物すごく闘わせることもあると思いますが、それが最終的には、いわゆる防衛政策の確立という中におきましてはやはり
防衛庁長官
の判断、そして最終的には安保
会議
を通じ、そしてまた総理の
意見
、そういうものが固まり、さらにそれを成案化したものが国会で提案されて議論される、こういう幾重にも網を通るわけでありますから、そういう点では、文民統制といいますかシビリアンコントロールというものは現時点におきましては十分に機能を果たしている、このような私は認識を持っているわけであります。 しかし、世の中の変わりようによっては、かなりこちらが強くなったりあちらが強くなったり、そういうことも現実に過去の歴史を見ればあるわけでありますから、そういう中では、一応今の先生のような御
意見
も頭に置いてよく注意をしなければならないと思いますが、何といっても、シビリアンコントロールでなければやはり民主主義の政治でもないし、また、そういうことの機能がはっきりしていれば絶対に戦争は起こらないと言っても過言ではないことだと私は思っているわけでありますから、私どもの日本のこれからの政治の上からいっても、こういう文民統制というものをしっかりと根づけていくように私どもは努力をしていかなければいけない、かように思います。
新村勝雄
73
○新村
委員
理屈から言えば、これは内局の皆さんはコントロールする立場ではないのですね。コントロールする立場ではなくて、むしろコントロールされる、統制をされる立場にいらっしゃると思うのですよ、内局の皆さんは。その内局の皆さんと制服全体を統制するのが大臣であり総理であるわけですから、政治家ですから、失礼ですけれども内局の皆さんは政治家ではありませんから、あくまでこれは内局ですね、内局ですから、もちろんその内局の文官のグループと第一線から上がってくる制服組の
意見
あるいは
要求
、それとがぶつかり合うと思うのです。これはぶつかり合わなければおかしいです。ぶつかり合わなければこれは統制はないわけですから、ぶつかり合って、そこで最も合理的な政策が——我々は
防衛力
を基本的に否定している立場ではありますけれども、現に
自衛隊
がありますから、その現にある
自衛隊
をいかに統制するかということでありますと、やはり内局の方がしっかりして制服の方と対等の議論ができなければいけないし、対等の知識がなければいけない。対等の立場で、そこでぶつかり合って、内局の立場から制服の
要求
なり制服の考えなりをそこで消化をしていただく。消化をしていただいて、
防衛庁
の事務部局としての
意見
をそこで決めていただくわけですが、それをさらに基本的に統制するのが大臣であり総理であるわけですね。その体制をさらに統制するのが国会だと思うのです。ですから、第一次的に統制するのが政治家である長官あるいは総理ということになるわけですが、そういった点からしても、やはり文官の
防衛庁
の中における
地位
は非常に重いし、任務も重いし、文民統制という体制の中における任務、責任が極めて重いと思うのですね。 そういった意味から
防衛庁
の人事について実はさっき疑問を呈したわけでありますけれども、
防衛庁
の制服でない専門家、制服でない軍事の専門家あるいは戦略専門の文官、こういったものの養成、これが現在の体制を現にあるものとして考えた場合には必要じゃないかということなんです ね。 それから例えば、後でお伺いしたいと思いますが、次期
防衛力
整備
計画
、
整備
構想、これが日程に上ると思いますけれども、その日程に上る場合に、果たして次にどういう兵器を
整備
するのか。例えば空中給油機をどうするのかとかあるいはAWACSをどうするのか、そういったことについての戦術的な、戦略ではなくて戦術的な専門家、専門知識、そう言っては悪いのでしょうけれども、内局にこれを完全に消化をし、その構想についての検討をするだけの知識が蓄積されているかどうかということになりますと、確かに内局の皆さんは非常に頭はいいですよ。それは最高の教育を受けておられるし最高学府を出ておられる、国民の中の優秀な方の集まりですけれども、それでもやはり三十年間苦労した人、三十年間制服で飯を食った人と、ほかから来て三ヵ月か半年のレクチャーを受けた人とでは全く質的に違うと思うのです。そういった点での
防衛庁
内部における文民統制が果たして、それは機能しているとは思いますけれども、これは現に
自衛隊
があるわけですから、その
自衛隊
を本当に統制していくにはどうすればいいかということも考えなければいけないわけで、そういった意味から申し上げるわけですけれども、現在の内局体制がこれでいいのかどうなのかということについて、もう一回伺います。
児玉良雄
74
○児玉政府
委員
今、
自衛官
は三十年間軍事を勉強してきておるとおっしゃっておりましたが、
自衛官
が戦術・戦法あるいは部隊の指揮・訓練とかいうことに詳しく通暁していることは当然でございます。この意味で、幕僚長は長官に対する専門的
事項
についての、隊務の専門的な
事項
についての助言者ということになっておりまして、ここが文官である参事官等と違うところでございます。しかし参事官なども、戦術・戦法などは直接的には必ずしも
自衛官
と同じようにはわかりませんけれども、日常の業務を通じて軍事的な
事項
についても基本的な問題については把握しておりますし、また行政経験も相当に積んでいる者が当たっておりますので、私どもとしては長官の補佐には遺漏がないと思っております。
新村勝雄
75
○新村
委員
大丈夫であることを期待するわけですが、例えば空中給油機を導入しようというお考えが今あるやに聞いておりますけれども、この空中給油機を導入することによって戦闘機の行動半径が飛躍的に広がるわけです。そうしますと、その場合に、そのことが専守防衛の基本的な
自衛隊
の方針に反するのか反しないのかということについての部内の検討なり文民統制なりというものが本当に効くためには、軍事の専門家でないとこれはなかなかできない、そうでないと制服に押し切られてしまうわけです。これはどうしても必要なんだ、これがなければ専守防衛できませんよと言われれば、そうかなということになったのではまずいわけです。そうかなと言う前に、専門的な知識、軍事技術あるいは戦術の面から制服と十分対抗できる体制あるいは知識、力量がなければいけないと思うのです。そういう中で制服と文官とが十分ぶつかり合って、そこで徹底的に議論して、それでこの兵器は採用しましょうということになればいいのですけれども、なればまだいいのですけれども、そうではなくて、制服の
要求
がそのままストレートに通ってしまうというようなことでは、文民統制が機能しないということになるわけです。 それから、最近は
日米
の軍事協力がかなり進んでいるようでありまして、共同作戦研究とか共同演習というようなものが行われている。それから制服同士の接触もあるでしょう。そこで、制服同士の
日米
の接触に対してこれを文民の立場からどうコントロールしていくのかということになった場合に、アメリカに対する統制はもちろんできませんからこれまた甚だ心もとないということが言えます。そうしますと、
日米
共同作戦という一つの行動がある、こういったことに対する文民統制はどうするのか。 それから、共同作戦等について日本がどういう立場で、どういうふうにかかわり合っていくのか。よく言われるように、
自衛隊
がアメリカの世界戦略の一環に完全に組み込まれたというようなことが言われておりますけれども、それではまずいわけですから、完全に一環になったのだとは思いませんが、そういう意味も大いにあるわけです。例えばP3Cを百機配備する、これが日本の専守防衛についてどういう意味があるのか、日本の専守防衛というスタンスからした場合にこのP3Cの百機態勢が果たして合理的かということになりますと、これは議論百出だと思います。そういったことについての内部の体制、結論を出していく内部の体制が、どうしても
日米
の軍人、
日米
の共同作戦あるいは制服組の考え方がストレートに表面に出ていくのではないかという心配が国民には確かにあるわけです。そこのところを内局で十分にチェックして、さらに長官あるいは総理がまさに文官の統制という立場からこれを統制していく、必要なものは必要でしょうし、必要でないものはそこでろ過していく、そういう体制が必要だと思うのです。 そういった点で二つの疑問があるわけです。制服組が強過ぎるのではないかという心配が一つあります。それから、
日米
共同ですからアメリカに対しては文句を一言えないということになりますと、
日米
共同でやったことについてはそれがそのままそっくり日本の国策あるいは防衛政策に入っていくのではないか、採用されていくのではないかそういう点から日本の文民統制にはしり抜けの点があるのではないかという感じがするのですけれども、長官いかがでしょうか。
石川要三
76
○
石川国務大臣
大変核心を突かれておる質問でございます。 確かに今、私も先ほど申し上げましたように、文民統制、シビリアンコントロールには段階的に幾つかの網があるわけでございますから、そういう網の
組織
的なことがまずきちんとしてなければいけない。またその網も、今言った制服組と内局とが対等の、イコールの力がなければこれは網に穴があいておるようなものでありまして、ノーチェックで通ってしまいますから、そういう意味で網が穴があいていないようにしっかりとなっておるかどうかということ。その点については、私から言うのもおこがましいわけでありますが、現在の我が
自衛隊
の内局も相当優秀な人材と相当の行政的なキャリアが備えられた方々でありますから非常にしっかりしたチェックが効いておる、このように私は信頼しておるわけであります。しかし、先生の御心配も当然だと思いますので、今後そういう点でお互い努力していかなければいけない問題ではないか、かように思います。 それからもう一つの点は、今言った
日米
関係
の問題もあろうかと思います。これは極めて高度な政治的な問題であろうと思いますので、当然、
防衛庁長官
あるいは総理といった者の政治的な判断力と勇気、決断というものが要請されるわけでありますから、この点についても、私どもは大いに反省もしながら、国民にその懸念を持たれないように政治的にも自分自身をしっかりと鍛え、磨いていかなければいけない、かように思うわけでございます。 そういう所見を申し上げまして、回答にかえるわけでございます。
新村勝雄
77
○新村
委員
「日本の防衛」、いわゆる防衛白書には、シビリアンコントロールの
内容
として、文官が統制しておるからいいのだ、これでコントロールができておるのだというような書き方でありますけれども、実際に正確には間違いだと思うのです。文官は、文官といえども統制するのではなくて統制される方ですから、制服組と調整するわけでしょうけれども、しかし文民統制ということになれば、文官であっても
局長
さんとか参事官さんとかいう立場の方は統制する方ではなくて統制される方なんですから、これを統制するのが長官あるいは総理ということですから、そこらについては防衛白書の記載はちょっと見当違いだと思います。これは長官なり総理が統制する、それをさらに統制するのが国会であり、それをさらに統制するのが国民だということに理論的にはなります。 そういう点で、なお一層内局の皆さんに、私は防衛体制を強化しろという立場ではありませんけれども、現に
自衛隊
があるわけですから、その
自衛隊
が間違いを起こさないようにするためには、内局の皆さんにしっかりしていただくし、同時にまた、これを統制する政治家である長官あるいは総理にしっかりしていただかなければいけない、こういうことをお願いしたいと思います。 それから次に、次期
防衛力
整備
計画
、これは三
年度
から新しい
年度
になりますね。それで、次期防についての新しい構想を固めなければいけない時期だと思うのですけれども、これについての基本的な考え方を伺いたいと思うのです。これは申し上げるまでもなく、世界情勢の非常な変化の中で、日本の防衛を短中期的にどう考えるかということが非常に難しい問題として今浮上してきていると思います。 それからもう一つは、それに関連をして、さっきのあれとも
関係
がありますけれども、新鋭兵器を幾つか導入するというような話もあります。
早期
警戒機AWACS、あるいはOTHレーダー、空中給油機というようなものが新たに導入されるようなことも言われておりますが、それらについての構想はどうなっておりますか。
日吉章
78
○日吉政府
委員
お答え申し上げます。 次期
防衛力
整備
計画
につきましては、一昨年十二月の安全保障
会議
におきます討議を踏まえまして、国際情勢なり軍事技術の動向、あるいは経済財政
事情等
を勘案しながら、安全保障
会議
を中心に政府全体として逐次総合的な検討が進められるということになっております。
防衛庁
も、
防衛庁長官
が安全保障
会議
のメンバーであります。そういう意味で、
防衛庁
といたしましても、現在政府
計画
の策定の参考に資するための作業を実施しておるところでございます。 現在の状況を申し上げますと、中期防によりまして
防衛計画
の
大綱
が
目標
としております
防衛力
の
整備
水準
がおおむね
達成
されることになっておりますことと、それから国際情勢の現在の流動的な状況、そういうようなことを考えてみますと、総じて言いますと、
防衛力
の量的拡大を図るというよりも、後方分野を含めまして全体として、中期防期間中までに
整備
をいたしました主要正面装備等を中心とした
防衛力
を効率的で均衡のとれたものにしていくということが基本的な方向としては適切ではないか、かように考えているところでございます。まだ具体的に個々の装備の
内容
等につきまして詳細に検討が進んでいるわけではございません。したがいまして、今
委員
から御
指摘
になられましたようなAWACSとか空中給油機とかあるいはOTHレーダーの次期防におきます取り扱いにつきましては、定かな方針が決まっているわけではございません。 ただ、空中給油機につきましては、中期防
計画
におきましても、空中給油機の性能、
運用
構想を含めまして空中給油機能に関する研究を推進することとされておりますので、そういう観点からの検討結果を踏まえまして、どのようにするか、今後も検討を続けていく必要があろうかと考えております。 それからOTHレーダーにつきましては、中期防におきまして既に
調査
費等をお認めいただいておりまして、米側が既に
運用
実験を開始いたしておりますものの性能なり
運用
状況等の
調査
を始めておりますし、もし設置をするといたしました場合に、どこに設置をするのが適当であるか、あるいはまたそのためにはどのような事柄を検討する必要があるかというような
調査
は既に進めているところでございますが、具体的に次期防期間中にこれを設置するのかしないのか、あるいはどのように設置をするのかというような点につきましては、今私が申しました中期防期間中からの検討経緯等も踏まえましてこれから判断を下していくということになろうかと思います。 いずれにいたしましても、まだ
防衛庁
内部の検討過程でございますし、具体的に今
委員
が御
指摘
になられましたような装備等につきまして、これを次期防期間中に
整備
する、あるいは
整備
しないというような結論を出しているわけではございません。
新村勝雄
79
○新村
委員
防衛計画
の
大綱
、これが日本の防衛の基本になっていると思います。ただし、これも未来永劫に変わらないものではなくて、世界情勢の変化によっては当然変わるわけでしょうけれども、それからまた別表についても同じでありますが、このいわゆる
大綱
について、短中期的に現在及び近い将来における
大綱
に対する考え方はいかがですか。今世界情勢が非常に変わりつつある中で、
大綱
のレベルを下げるとか、そういったことについての検討はなされておりますか。
日吉章
80
○日吉政府
委員
ただいまも御答弁申し上げましたように、次期防
計画
そのものは政府レベルで政府全体として検討をし判断をしなければならないことでございます。したがいまして、
大綱
の取り扱いにつきましても当然安保
会議
を中心としました政府レベルとして判断、検討がなされることになるわけでございますが、現時点におきます
防衛庁
としての考え方を御参考までに申し上げたいと思います。
大綱
は、
委員
既に御案内のように、
昭和
五十一年、すなわちデタントと一般に言われた時期に策定されたものでございまして、その
大綱
が前提としております国際情勢につきましては、現象面におきましては現時点と非常に違っております。非常に違っておりますけれども、その
大綱
が前提としました国際情勢の物の考え方といいますものは今も適応するのではないかというふうに考えます。 と申しますのは、国際情勢につきまして
大綱
が総括して書いておりますことは、核相互抑止を含みます軍事均衡や各般の国際
関係
安定化の努力によりまして、全面的な軍事衝突とか大規模な武力紛争が生起する可能性は少ないんだという国際認識に立っております。これは今私はグローバルな観点から申し上げました。また
大綱
は、我が国周辺につきまして、今申しましたような大国間の均衡的な
関係
、それから
日米
安全保障体制の存在というものが我が国に対する本格的な侵略の防止に大きな役割を果たしているということで、大規模な武力紛争あるいは我が国に対する本格的な侵略がない、非常に可能性が少ない、こういう認識に立っております。 したがいまして、我が国が
防衛力
を
整備
する際にも、一次防から四次防までにおいて、我が国は局地戦においてそれに効果的に対処し得るような
防衛力
を持ちたいということで
防衛力
を
整備
してきたわけでございますけれども、その考え方を改めまして、憲法が認めております自衛権の範囲内で、なおかつ、平時から我が国が独立主権国家として保有すべき基盤的な
防衛力
、そういうふうな平和の国際情勢を前提にしてもなお国家として基盤的に持っておるべき
防衛力
というものを
整備
することを
目標
にすべきである、こういう考え方に立っております。したがいまして、この考え方は、当時
防衛庁長官
は坂田長官であられたわけでございますが、冷戦または冷戦的な発想からの脱却を意味したものだというようなことを当時発表をされておられます。 そういうようなことでございまして、今考えますと非常に先見性があったといいますか、ある意味では、今日の国際社会を先取りしたような物の考え方で
大綱
というものはできているのではないか、かように考えております。したがいまして、次期防を策定するに当たりましても、私どもはこの
大綱
の基本的な考え方、基本的な国際情勢の認識というものを前提といたしまして
防衛力
整備
計画
を進めていってもよろしいのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、この点は、冒頭にも申し上げましたように、最終的には安保
会議
を中心としました政府全体で御判断をお願いすることだ、かように考えております。
新村勝雄
81
○新村
委員
この
大綱
及び別表ができた当時と現在とでは世界情勢がかなり変わっておりますよね。これはデタントの時代だとはいいますけれども、当時のデタントの状況と現在の世界状況は大変に違うと思います。それから、将来の見通し、展望においてもかなり違うと思います。そういったことを考えた場合に、世界情勢を考慮に入れながら、
大綱
そのものあるいは別表そのものについても検討するというようなお考えはありますか。
石川要三
82
○
石川国務大臣
今防衛
局長
から
内容
につきまして
説明
させたとおり、同じデタントでも十五年前と今日のデタントの状況、ボリューム、スピード、いろいろな面で非常に大きな差があるわけであります。それはもう
委員
に申し上げる必要のないことでございまして、その傾向はまだまだこれからもさらに前進をしていく、私はこのように期待もするし、思っております。 そういうことでございますけれども、しかし、くどいようでございますが、そういう中におきまして、基本的な情勢分析、国際情勢の分析をした結果は、一つには、要するに全面戦争はないだろうということがまず一つですね。それからもう一つは、何といっても三十年たった
日米
安保条約の効果というものは今後も必要性がある、私どもはこういう考えに立っているわけでありますから、そういうことから見て、
大綱
というものはそういう前提のもとにどの程度の
水準
でやっていくか、こういうことです。そういう前提のもとに、しかも憲法の精神を酌み、そして国の基本政策である専守防衛という政策から見てどの程度やるべきか。全く真っ裸でいいのか、いや、それはかえって危険だということで、平時においての必要最小限度のレベルにしよう、これが
大綱
の
水準
ですから、私は、先ほど言ったように基本的にはこの考えというものは堅持してもいいのじゃないか、こういうふうに思うわけです。 そういうことで、当然これから開かれる安保
会議
の中で私が特に強調したいのは、やはり今これだけの情勢の変化ですから、最初に何を買うとか買わないとかそんなことよりも、精力的に時間を費やして検討すべきことは、今日の国際情勢、軍
事情
勢、そして将来の展望、ここらが一番大きな問題であるし、その中で今までのような基本的なものを堅持していくとするならばどうしたらいいかそしてまたそれがどういうふうに変化があるべきか、こういうことになっていくのではなかろうかな、私はこんなふうに思うわけであります。
新村勝雄
83
○新村
委員
これは、長官の政治的な政治家としての御判断にまつわけでありますけれども……。 それで、
大綱
にしても別表にしても、これは
防衛力
の縛りという点からすると必ずしも縛りになっていないわけですよね。この実質的な、質をどうするかということが非常に問題なわけでありますから、例えば別表にしても、十八万人体制、十二師団、二混成団、ずっとありますけれども、その枠も単なる数字的な枠を決めてあるだけであって、質的な縛りにはなっていないということですね。
海上自衛隊
の対潜水上艦艇が六十隻、
潜水艦
が十六隻とあります。この
潜水艦
は全部シュノーケルでしょうが、これを原子力に変えることについての縛りはこれにありますか。それからほかの機甲師団についても、
戦車
の性能を飛躍的に増大する、あるいはまた火砲の性能を飛躍的に増大する、あるいは
航空機
の性能というようなことになった場合に、性能という面からするとこれは縛りになっていないわけですよ。そうでしょう。ですから、そこのところが、さっき申し上げた文民統制がここで働いていないと、この別表の範囲の中であっても戦力は飛躍的に拡大するという可能性もあるわけですから、そういった点についての縛りはどうなりますか。
日吉章
84
○日吉政府
委員
お答え申し上げます。 まず基盤的な
防衛力
整備
でございますが、これはあくまでも国家として平時から保有すべき基盤的な
防衛力
ということでございまして、周辺諸国の軍事力に対しまして直接対抗し得る能力を持つというようなものではない。大臣が今申されましたように、とにかく我が国が
防衛力
の
整備
を怠ったがために力の空白が生じて、この地域におきます不安定要因となるようなことを避けよう、こういうふうな考え方で基盤的な
防衛力
が考えられているということをまず御理解を賜りたいと思います。 それの一つの枠組みといたしまして、
大綱
が策定されましたときに、現に保有しておる、あるいはそのときに保有することを予定しております装備を念頭に置きましてつくりましたのがその別表でございます。しかし、国際軍事技術というものは日進月歩でございますので、その過程で我が国もその国際軍事技術の動向に対応したような形で近代化を図っていくのは当然でございまして、これが縛りになっていないのではないかという
委員
の御
指摘
でございますけれども、これはそのときそのときの国際軍事技術というものの
水準
がそういう
水準
を示しているわけでございますから、別表の量的あるいは編成の枠の中で、自衛権の範囲内において認められ得るそのときにおきます国際軍事技術を十分勘案したようなものを装備するということは当然のことではなかろうか、また許されることではないか、かように考えております。
新村勝雄
85
○新村
委員
大綱
及び別表の運営については、すべて文民統制と大臣の政治家としての最終的な判断にまつ、こういうことでございますので、ぜひ適正なというか、常に賢明な御判断をいただきたいと思います。 あと一、二のことについて伺いますが、核の持ち込みであります。米軍に対しては核の持ち込みは事前協議の対象になっているわけでありまして、事前協議がなければ核は持ち込まない、こういうふうに政府は
説明
しておられるわけでありますが、米軍以外の核搭載可能
艦船
が入ろうとする場合、これはどういうことになりますか。
重家俊範
86
○
重家
説明
員 先ほど先生御
指摘
になりましたように、アメリカとの間では事前協議という制度がございまして、それによりまして、
艦船
によるものも含め、核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象になるということになっておるわけでございます。他方、米国以外の国々とはこのような事前協議の制度はございません。これは先生御
指摘
のとおりであります。 したがいまして、我が国としましては、非核三原則に基づきまして、外国の
艦船
によるものも含めてでございますが、我が国への核兵器の持ち込みが行われる場合にはこれを拒否する所存であるというのが基本的立場でございます。これらのアメリカ以外の国々につきましては、いずれにしましても我が国の非核三原則は既に内外に周知徹底されているところでありまして、先ほど御
指摘
のありましたイギリスの
艦船
の場合もそうでありますが、友好親善の目的で日本に参っておるわけであります。そういう意味で、我が国の基本的な政策を尊重する立場で行動しているというのが当然前提となっていると考えておるわけでありまして、これらの軍艦が核兵器を持ち込むことはそもそも想定されていないというふうに考えておるわけであります。そういう立場に立ちまして、イギリス等の
艦船
については対処しておるということでございます。
新村勝雄
87
○新村
委員
対処といいますと、何か事前に問い合わせをするとかそういう手続をするのかどうか、それとも何にもやらないで相手の公正な判断にすべて任せるということであるのか。
重家俊範
88
○
重家
説明
員 先ほど申しましたように、イギリスの場合も含めまして友好国の
関係
にあるわけであります。したがって、お互いに信頼
関係
に立って行動することを期待されている。したがって、先ほど申し上げましたように、日本の基本的な政策を尊重した上で行動しているというのが当然の前提でありまして、事前に特別の手続をとっておるということではございません。
新村勝雄
89
○新村
委員
それからもう一つ、NLP、いわゆる夜間離発着訓練ですか、この点については実は私の近所にもそれを心配している飛行場があるのでございますが、その後の状況はどうなっておりますか。
松本宗和
90
○
松本
(宗)政府
委員
米軍の艦載機の夜間離着艦訓練でございますけれども、これは当初、先生御案内のとおり、三宅島が適地であるということで三宅島に設置することで努力をしておったわけでございますが、これにつきましてはなお地元の情熱もございましてかなり長期間を要するということで、現在、昨年の一月でございますが、米軍との
合意
に達しまして、暫定
措置
といたしまして硫黄島に艦載機着陸訓練に必要な
施設
を
整備
するということで、現在その
整備
を進めておるところでございます。 なお、この
整備
でございますけれども、完了は
平成
四年末というぐあいに大体見込んでおりまして、この時点で、現在厚木の飛行場で行っております艦載機着陸訓練、つまりNLPでございますけれども、これの相当程度が硫黄島で実施し得るようになるのではないか。またさらに、米軍の方では、硫黄島の
施設
が完全に完成しなくても、使える状況になった段階で部分的にでも使用を開始したいというぐあいに言っております。 以上でございます。
新村勝雄
91
○新村
委員
硫黄島は暫定使用というふうに聞いておりますが、最終的に長期にわたって使うところは三宅ということになるのですか。それとも、三宅については非常に難しい状況もあると思いますが、三宅がだめな場合には首都圏のほかへ行く可能性もありますか。
松本宗和
92
○
松本
(宗)政府
委員
ただいま御
指摘
のように、硫黄島につきましてはあくまでも暫定ということで
施設
を
整備
しております。と申しますのは、地理的に非常に遠うございますのでいろいろな点で十分な訓練には適当でないという点もございます。 三宅の件でございますが、これは過去いろいろ検討いたしまして、地理的に申しましても地形的に申しましても最適の場所であるという考えについては現在も変わっておりませんで、何とか地元の御理解を得られるように努力をしながら、三宅島につきましてNLPの
施設
を設置すべく努力を続けてまいりたいというぐあいに考えております。
新村勝雄
93
○新村
委員
首都圏の中には単に使用するというだけであれば最適のところがほかにもあると思いますが、少なくとも首都圏あるいは内陸の飛行場を使うことについては非常な困難があると思いますよ。ですから、三宅を一応指向しているということでありますが、それ以外の首都圏については全く考えていないということでよろしいですか。
松本宗和
94
○
松本
(宗)政府
委員
現在私どもが考えておりますのは、三宅が最適であるということで、三宅について何とか実現したいということでやっておるということでございます。
新村勝雄
95
○新村
委員
終わります。
渡辺栄一
96
○
渡辺委員長
午後一時三十分から
委員
会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 ────◇───── 午後一時三十一分
開議
渡辺栄一
97
○
渡辺委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。小川国彦君。
小川国彦
98
○小川(国)
委員
私は、我が国の防衛政策のあり方につきまして、
防衛庁長官
あるいはまた
防衛庁
当局
に御質問したいと思います。 日本の安全保障体制、安全保障政策、それを取り巻く状況というのは大変変化してまいりまして、特に冷戦の終えん、終わりというような状況を迎えつつある現今の中で、
防衛庁長官
に大局的見地から、今の基本的な国際情勢をどう見ているか、また日本周辺の東アジアにおける国際情勢をどう見ているか、この辺の御判断を最初に伺いたいと思うわけです。 それは、さきの米ソ・サミットで、米ソ冷戦態勢は終わった、また、昨年末のマルタの会談あるいはまた先日のワシントンの会談等を見てまいりまして、米ソの超大国としての
地位
の下落というものが一つ見えるのではないか、そういうふうな感がするわけであります。日本の安全保障も、冷戦構造の変化なり米ソ二極構造の変化に対応して大きく変えなければならないときに来ているのではないか。現に、米ソの諸
協定
を見ますと、米ソ間の紛争の可能性はさらに少なくなった。政府は東アジアにおいて不安定要因が多いというふうに言っているわけでありますが、サンフランシスコにおける韓ソ会談というものを見ますと、実質的な国交回復とも見られる会談がなされたわけでありまして、朝鮮半島にも大きな変化が起こってきているのではないかというふうに見られるわけです。 こういう状況を見ますと、米ソというものは軍事力の経済的負担に耐えられなくなってきている、同時にアメリカの世界戦略の大きな変化というものが起こってきている、そういう状況を踏まえますと、日本の安全保障なり
防衛力
のあり方というものについて基本的に考え直す、組み直す、その枠組みのあり方を考え直すときが来ているのではないかというふうに思うわけでございますが、この点、
防衛庁長官
なり
防衛庁
当局
の御見解をまず伺いたいと思います。
石川要三
99
○
石川国務大臣
最近の国際情勢、あわせてアジア太平洋地域における国際情勢、軍
事情
勢等の大きな変化の中で、我が国の防衛政策について見直したらいかがか、こういうような御質問でございますが、こういう大同小異の御質問につきましては、もう再三、衆議院の
予算
委員
会、参議院の
予算
委員
会、あるいは内閣
委員
会等におきましてもいろいろと承りまして、その都度、私の方からもその見解につきましてはお答えを申し上げてきたわけでございますので、あるいは重複する点も多々あろうかと思います。 先生も御承知のとおり、最近、ソ連の変化あるいはまた東欧諸国における民主化への動きというものは、第二次世界大戦以後、かつてない好ましい変化であるわけでありまして、このような中で、東西間におきましては、STARTあるいはCFEの進展に見られますように、かねてから続けられたこういった対話、協調への努力というものが実りつつあるように見受けられるわけでございます。 米ソ間におきましても、昨年末のマルタ会談に引き続きまして、先般ワシントンにおいて米ソ首服
会議
が行われ、新しい協力
関係
の成立に向けて、米ソ間の対話、協調という路線が一層定着をした、世界の平和と安定にとって非常に意義深いことである、かように私は評価をするわけでございます。 しかしながら、アジア太平洋地域の情勢というものにつきましては、ゴルバチョフ大統領自身が記者会見の席におきまして述べられてもおりますように、複雑かつ多様であって、欧州におけるような変化はいまだ生じていない、また、この地域においては膨大な軍事力の蓄積を有する極東ソ連軍というものが現在依然として存在をしている、そして質的な強化も継続をしている、このようなことから、この地域の安定化を図り信頼を醸成するためには、まずソ連がその膨大な極東のソ連軍について早急に質的に、かつ、大幅な削減というものを実施してしかるべきである、かように考えているわけでございます。 また、朝鮮半島におきましては、今先生も御
指摘
されましたように、緊張状態は続いておりますけれども、先般サンフランシスコにおいて初めて韓ソ首脳会談が行われたなど注意すべき動きも生じているわけでございまして、このような動きを通じまして朝鮮半島の緊張度が緩和の方向へ向かうことを期待をしているわけでございます。 いずれにしましても、このようなグローバルな、そしてまた、特にアジア太平洋地域におきましてもこれからますますデタントに向かっての動きというものは進展するであろう、私はこのような認識は持っております。 しかしながら、他方、我が国の基本的な防衛政策につきましては、もう先生も十二分に御承知のとおり、私どもは今日までいわゆる防衛
大綱
というものを掲げ、その
水準
達成
に努力をしてまいったわけでございます。この
大綱
の
水準
というものは、これも繰り返すようでございますが、いわゆる
大綱
の前提
条件
としての世界情勢の認識でございますが、それは一つには、いわゆる核抑止によっての今後の東西
関係
というものの全面的な戦争は起こり得ないだろうという前提、もう一つは、我が国の防衛政策としての
日米
安保体制というものによって今日まで平和も続けられてきたし、今後もまたその平和の構築は可能である、こういうふうな認識のもとに、いわゆる平時においても最低限の防衛をすることの方が、要するに地域の安定の上からもそれが正しいあり方だ、こういうようなことで、
大綱
の
水準
に向かって今日まで努力をしてきたわけでございます。そういうようなことから見て、確かに、前段るる申し上げましたような国際情勢の変化というものは当然今大きく揺れ動いているわけでありますけれども、我が国の防衛政策の性格から、これが直ちに変更を来すというふうな必要性というものは、当面、今現在におきましてはうかがわれないわけでございます。 しかし、何といっても世界じゅうが今そういう大きなデタントに向かって動いているわけでありますから、そういう情勢は当然将来においては日本の防衛にもやはり非常に大きく影響されることもあろうと思いますが、当面の今の時点におきまして直ちに大幅な影響を受けるというふうな性格のものではない、こういう認識に立っているわけでございます。
小川国彦
100
○小川(国)
委員
米ソがワシントン会談の中で大幅な軍備削減についてのさまざまな
協定
を結んだ、そういう背景には、やはりそれぞれの国情の中で経済政策の上での大きな行き詰まりということが考えられるのじゃないか、そういうふうに思うわけです。 アメリカの貿易収支の赤字を見ましても、一九八九年で千八十九億ドルの赤字がある。財政赤字はまた二兆八千六百六十二億ドルという多額なものに上っている。そういう中で、大体二八%前後の軍事費というものが国の
予算
の中で組まれてきている、こういうふうに見られるわけです。同じふうにソビエトも、国の
予算
の中で、
予算
書で見られますものではやはり一五%ぐらいの軍事費が組まれてきている。これは、アメリカにおいてもソ連においてもこの軍事費の財政負担というものが国の経済全体を圧迫してきている。これがやはりデタントに向かわざるを得ない大きな要因になっている。こういうふうに考えるわけでありまして、そういう中で軍事費の削減ということも当然両国において方向として出てきているわけであります。 そういう中で、我が国のみがひとり防衛費の増額の方向を進んでいくというのはいかがなものかこういうふうに考えるわけですが、そういう財政的な経済政策上の御判断はどういうふうにお考えになっておりますか。
石川要三
101
○
石川国務大臣
今小川先生が御
指摘
されましたように、今日の米ソの大幅な軍備削減といいますか軍縮に向かっての方向というものは、一番根本的な原因、理由というものは、今先生も御
指摘
されたような経済的な事由による、私はかように認識をしておるわけであります。 特に米ソは、要するにグローバルな立場で、自由主義陣営あるいはまた社会主義陣営のリーダーとして今日までお互いにやってきたわけでありますから、そういう対峙の中で、一時的にはかなり軍拡競争というものも行われたわけであります。その結果が、今御
指摘
のような国民経済を非常に圧迫した。これは事実の現象であるわけでありまして、これ以上はもうとてもではないけれどもこのままでは経済も維持できない、そういう中からお互いにやはり見直すというか、今まで歩いてきた道を振り返り、そして軍縮というものにお互いがコンセンサスができ上がり、そして着々として軍縮の道を今日までたどってきた。それが最近の、特に米ソの首脳会談においての一つのあらわれではないかな、このような認識に立っているわけであります。 そういうようなことでありますけれども、先ほど来、くどいようでございますが、我が国は実は逆といいますか、憲法の精神にのっとっていわゆる専守防衛という性格、そして、その方向に基づいての適正な規模の
防衛力
を今日まで努力をしてきたわけであります。したがいまして、私どもに言わせれば、むしろ私どもの選択は間違っていなかった、こういうことも逆説ではございますが
指摘
はできるのではなかろうかな、私はこんなふうに考えるわけでございます。 もっとくだけて言わせていただければ、米ソ両国は要するに今まである意味においては軍拡競争をしてきた、その結果が見直されて今日のような行動に移っているわけでありますが、よく考えてみれば、国民の税金によってお互いに軍拡をやって、またそれが今度は軍縮に向かっては、さらには核兵器を中心とするいろいろな化学兵器においてもそれを削減するのにまた税金を使って削減する。考えてみれば、我が国にとってはそういうことはないわけでありまして、彼我を比較するならば、私たちの選択というものも間違っていない一つのよき選択ではなかったかな、私はかように思うわけでございます。 そういう意味で、性格的にも質的にもかなり違う防衛政策でありますので、直ちに米ソのそういう削減というものがダイレクトに私どもの政策を転換するような、そういうものとはいささか違うものではなかろうかな。今後も軍縮に向かって努力することは当然でありますけれども、しかし米ソのそういったものと比べては同一に論じられない面もあろうか、私はかように思うわけでございます。
小川国彦
102
○小川(国)
委員
防衛庁
当局
は、米ソのそれぞれの財政負担は国の財政の中でどのくらいのウエートを占めている、数字の上でそれぞれ何%程度というふうに把握されておりますか。
日吉章
103
○日吉政府
委員
大ざっぱな数字でございますが、
予算
全体に占めます国防費のシェアにつきましてはただいま
委員
の方からお話がございましたので、GNPに対しますシェアという形でお答え申し上げるとよろしいかと思います。 そういたしますと、アメリカの場合は、漸次下がってはきておりますけれども六%程度ではないかと思います。それからNATO諸国の主要な英、独、仏というような国は三%前後ではないかと思います。御案内のように日本の場合はおおむね一%ということでございます。ソビエトの場合につきましては、GNPそのもの、それから国防費そのものがどういうものであるのかなかなか正確にはわかりませんが、自由主義諸国の中では一般に一六、七%、一五%から二〇%以内の間ぐらいに相当しているのではないかというふうに言われております。
小川国彦
104
○小川(国)
委員
そういった財政負担がいずれの国をもして軍縮に向かわざるを得ないという状況の中に、先ほどの
防衛庁長官
の見解はいささか——そういう中で毎年五%、六%と年々増大の一途をたどっている日本の防衛費のあり方というものは、そうした米ソ二大国の軍事費の増大による国の財政的な行き詰まり、これは長官もお認めになったわけですが、そういうことをお考えになれば、日本の今の防衛費の枠組みの進み方はやはりこの辺で歯どめをしっかり考えなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけです。 今アメリカが今までの前方展開戦略というものを大きく変えようとしている。四月に公表されたアメリカ国防総省の報告、東アジア太平洋地域の枠組みにおいてというのにも変化があらわれてきているわけです。アメリカが米軍削減のための経済的な肩がわりを日本に求めてきている、またその反面で、日本がこれ以上軍事的に大きくなることも懸念している、こういう状況なんです。そういう中で、沖縄の在
日米
軍司令官がワシントン・ポスト記者に話しましたように、在
日米
軍は日本の軍事大国化防止への
措置
であるというような発言もあったりしておりますし、また
石川
長官自身が東南アジア訪問の際には、タイ紙の報道などでは非常に日本の軍事大国化が懸念されている。日本の
防衛力
、軍事力の肩がわり増大ということに対しては、一様に東南アジア諸国からの警戒を持たれておるわけです。 そういう中で、アメリカが防衛費、軍事費を削減していく中で、アメリカがそれだけ減らしてき たならば、それだけ
日米
安保の体制における軍事費を削減していっているわけですから、米軍が削減したものはそのまま削減していけばいいものを、日本がこれを肩がわりして引き継いでいくというのは、こういうデタントの大きな流れから見ていかがなものであろうか、こういうふうに考えるわけです。 そういう中で、
日米
安保及び
協定
に基づくところの日本側負担というものがあるわけでありますが、今日までその
経費
の全額、全貌というものが明らかにされてきたことが一度もないというふうに伺っているわけです。これは米側の負担、日本側の負担いずれも国民の税負担によるものでありまして、特に
予算
の支出でございますから、これについては支出の全額がやはり報告されるべきだ、こういうふうに思うのでございますが、この点はどういうふうに対処されてきておりますか。
日吉章
105
○日吉政府
委員
委員
お尋ねの点でございますけれども、四月に米国は議会に対しまして、アジア太平洋地域の戦略的枠組みという報告書を出したわけでございますが、それによりますと、米国は財政的ないろいろな制約があるにもかかわらず前方展附戦略は基本的に維持する、こういうふうな考え方に立っていると思います。そうしてその際に、日本側に対しまして米側の役割の肩がわりを迫っているということはございませんで、これまで日本が独自に日本の防衛のために努力をしてきたと同様の努力はこれからも続けていくことを要請いたしておりますけれども、日本側に対しまして米側が、グローバルな観点からの役割を担っている部分につきましての日本への肩がわりというようなものは求めていない、かように理解をいたしております。 なお、ただいまお尋ねのこの
経費
でございますが、それが、日本に駐留いたします米軍の
経費
のうち日本側がどれだけ負担をしているのかというお尋ねであるといたしますれば、約四千四百億円程度日本側が負担をいたしておりまして、八八年で申し上げますと、米国が駐留米軍に支出いたしております
経費
の約三五%程度が日本側の負担になっている、かように理解をいたしております。
小川国彦
106
○小川(国)
委員
この八八年の三五%と言われる日本側の負担は、金額的に各費目、項目、款項目になりますか、費目別にすべての金額が、日本側の負担の支出はこれだけである、こういうことは全部明白になっているのでございますか。
松本宗和
107
○
松本
(宗)政府
委員
日本側が負担しております金額でございますが、
昭和
六十三
年度
で三千二百七十九億円ということになっております。これはトータルでございますが、このうち、
防衛施設庁
の方で
提供施設
の
整備
あるいは労務費の一部負担等として支出いたしておりますのが二千三百五十八億円。そのほかに他省庁分が若干ございます。そして、
提供
しております
国有財産
がございます。これを一応借り上げ資産という形で試算をいたしましたものを加算いたしまして、ただいま申し上げましたような数字になっておるということでございます。
小川国彦
108
○小川(国)
委員
私の方の、ちょっと観点が違うかと思うのですが、昨年の八月、アメリカの
会計検査院
の報告では、駐留米軍の費用負担について国防省のまとめたものが発表されているわけです。これによりますと、八七年は二千三百四十億円というふうになっているわけですね。八八年も同程度になっている。この駐留
経費
の支出額と負担割合は明確になっているのでしょうか。アメリカ側の負担は金額でこれだけ、日本側の負担は金額でこれだけ、そして項目的にはこういう項目での支出である、これは全部明らかになっているのでございますか。
重家俊範
109
○
重家
説明
員 まず私の方から、アメリカが負担している額について御
説明
させていただきたいと思います。 アメリカが公表しております最新の数字は、一九八八会計
年度
の在
日米
軍
経費
の額は、トータルで約四十五億ドルということになっております。 内訳でございますが、軍人軍属等
関係
人件費が約二十三億ドル、
運用
維持費が約二十億ドル、軍事建設費が約〇・二億ドル、燃料油脂費が約二億ドルというふうに承知しております。
小川国彦
110
○小川(国)
委員
今アメリカ側から聞いた数字を述べられているのですが、これは本来総体的な
経費
の支出がありまして、例えば主たるものでは思いやり
予算
とか在
日米
軍の労務費であるとか、その他もろもろの項目の支出があって、総トータルが幾らになる、その中で米側の支出がこれだけ、日本側の支出がこれだけということを、アメリカ側から聞いたのではなくて、日本側としてそれの全体を掌握されてはいないのですか。こういうことを伺っているのです。
重家俊範
111
○
重家
説明
員 アメリカと日本側とそれぞれなかなか難しくございまして、会計
年度
がいずれにしても違うわけでございます。また、そのときの為替レートの問題もございまして、ぴったり同じ時期にどういう数字がバランスするのかということがわからないわけであります。 手元にちょっと資料をあれしていないのですが、けさほど御
説明
させていただきましたように、八八会計
年度
でいえば、アメリカが負担している部分が約四十五億ドル、日本の部分が約二十四億ドルだったと思いますが、合わせてその時点でいえば六十九億ドルくらいが全体の数字である。
日米
の割合は三割五分と六割五分というような割合ではなかろうかということでございます。
小川国彦
112
○小川(国)
委員
非常にアバウトな数字で答えられているのですが、国会の
決算
委員
会なんかで御
説明
願うには、約、約ということではなくて、しかも会計
年度
が違うとか為替レートが違うとか言いましても、そういうことで数字のつじつまが合わないというのでは困るわけです。そこはどういう形であれ、適合性ある計算方法によって、それぞれの分担がどうなっているという明確な数字が示されるべきだと思うのです。そういうことはできないのですか。
重家俊範
113
○
重家
説明
員 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように数字自体はアメリカの数字でございまして、どういう作業でどこまで出せる数字がというのは一義的にはアメリカの判断であろうと思います。また同時に、先ほども申し上げましたように、為替レートとか時期の問題もございますので、そういう意味で、何%、何%ということを非常に先生が言われる意味でしっかりした数字を出すということは技術的に甚だ難しいということではないかと思いますので、その点御理解いただきたいと存じます。
小川国彦
114
○小川(国)
委員
そういたしますと、これは、日本側としてはアメリカ側から、総額でこれこれのものがかかった、したがってこのうちのこれこれの金額を負担してもらいたい、そういう話があって、そしてそれが結果的に日本側三五%という数字になってくるのか。総額の把握検討というものは、
日米
間が共同の協議の中で全体像を決めて、そしてその負担割合を決めていく、そういうことではなくて、アメリカ側から負担すべき
内容
を示されてそれを日本側が負担して、それが結果的に三五%になる、こういうことになるのでございますか。
日吉章
115
○日吉政府
委員
お答えを申し上げます。 あるいは外務省の方からお答えいただいた方が適当なのかとも思いますが、現在、駐留米軍
経費
につきまして日本が負担をいたしておりますのは、駐留米軍
経費
全体としてどれだけ必要である、そのうちのどれだけの割合、どれだけの金額を日本側が負担する、こういうふうな考え方で負担をいたしておりません。したがいまして、今外務省の政府
委員
から御答弁いただきましたものも、米側が米側の会計
年度
において支出したもの、日本側が日本の会計
年度
において支出したものを単純に足しまして、そしてそのときの為替レート、例えば
支出官レート
を適用するとか、そういうふうな形によりまして数字を出せば、結果的に今申し上げましたような六五対三五というような数字になるということでございます。 しからば、日本側はどういう考え方で負担をしているかという点でございますが、それにつきましては、基本的には
地位
協定
の二十四条によりまして
施設
の
提供
につきましては原則的に日本側が負担をしているわけでございますが、その中におきましてもすべての
施設
の
提供
につきまして日本側が負担をしているわけではございませんで、日本の
予算
制度に照らしまして、日本の防衛
関係
費
予算
の中で妥当といいますかバランスのとれた金額ということで、国会でもお認めいただいている金額を出しているということでございます。それ以外に特別
協定
を締結いたしておりまして、その特別
協定
によりまして駐留米軍に勤務いたしております日本人労務者の特別の手当、八手当であったかと思いますが、八手当等を負担している、その結果が今申し上げましたような数字になるということでございます。
小川国彦
116
○小川(国)
委員
協定
に基づくものであるということは理解されるわけでありますが、その中の日本側負担の数字というものは、外務省、
防衛庁
がそれぞれ米側との交渉の中で示された金額を現実に日本側支出として行っていく、こういうことでございますか。
松本宗和
117
○
松本
(宗)政府
委員
ただいま防衛
局長
の方から御
説明
いたしましたけれども、
提供施設
整備
に関しましては、
地位
協定
の二十四条の二項、これに基づきまして、すべての
施設
について
提供
するものについては米軍に負担をかけないで
提供
し得るということになっておりますが、実際問題といたしましては、安保条約の観点からその目的に合致し得るかどうか等々もろもろの問題を検討し、また財政的にも検討いたしまして、自主的に判断して毎年毎年一件ずつ決めていって、結果的にあのような数字になっておるということでございます。 また、駐留軍従業員の労務費でございますけれども、これは例えて言いますと、いわゆる本俸と申しますか基本的な
経費
を除きまして日本側が負担しておるというような形で現在まで参っておるわけでございますが、一部、特別
協定
によりまして、本来米側が負担するのが適当であると思われるものにつきまして負担しておる、これを積み上げまして先ほど申し上げましたような形になっておるものでございます。
小川国彦
118
○小川(国)
委員
そうすると、日本側の負担分については明確な数字が全部出てくる、こういうふうに理解してよろしいですか。
松本宗和
119
○
松本
(宗)政府
委員
仰せのとおり、明確な数字をお出しすることができると思います。
小川国彦
120
○小川(国)
委員
それをひとつ数字でお出しいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
松本宗和
121
○
松本
(宗)政府
委員
これは、
決算
書にも出しております数字でございますので、お出しすることができると思います。
小川国彦
122
○小川(国)
委員
米側のその六五%の負担の
内容
については、外務、防衛両省庁はどの程度これを把握されているのですか。
松本宗和
123
○
松本
(宗)政府
委員
この問題につきましては、先ほどから外務省の方から答弁していただいておりますが、私どもといたしましては直接把握する手段を持っておりません。外務省を通じまして先ほどのような
内容
を承知しておるということでございます。
小川国彦
124
○小川(国)
委員
もう一度外務省に伺いますが、そうすると、米側の六五%の負担については、米側から示される数字、これは
概要
的なものでございますか。詳細な項目に従ってその費用といいますか金額が示されているわけでございますか。
重家俊範
125
○
重家
説明
員 先ほども申し上げましたように、米側の数字は米側が自分の判断でどこまで公表できるかということを判断しておるわけでございまして、最も最近に入手できる数字は先ほど申し上げたとおりでございます。またその内訳につきましても、先ほど四項目にわたって申し上げましたが、それが私どもが米側から聞いておるところでございまして、そういう意味では概数ということでございます。
小川国彦
126
○小川(国)
委員
これに対しては、日本側から、この数字を明らかにしてほしい、そしてお互いの納得のいく負担割合というものをやっていこうではないか、こういうお話し合いはなすったことはあるのでございますか。
重家俊範
127
○
重家
説明
員 先ほど防衛
局長
の方から御答弁ありましたように、私どもといたしまして、基本的に、全体が幾らでそのうち何%を持つとか持たないとかいう考え方に立って進めているわけではございません。したがいまして、私どもといたしましては、もちろん全体を考えるに当たっておおよそどのぐらいアメリカが出しているのかということは知っておきたい
事項
ではありますけれども、そういう正確な数字ということについては入手していないし、また必ずしも正確な数字を入手する必要があるようにも思っておらないわけでございます。
小川国彦
128
○小川(国)
委員
私は、米軍駐留
経費
の米日間の負担の割合がずっとそれぞれの割合で示されてきている、そして、
日米
安保体制の中では共同の負担の中でその防衛体制を維持していこうということでやってきているのであれば、やはりその米側の数字についても日本の政府としてしっかり把握しておく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけです。それは同時に、三五%を負担している
日本国
民に対しても
日本国
政府としてやるべきことではないのかと思いますが、
防衛庁長官
いかがでございますか。
日吉章
129
○日吉政府
委員
委員
ただいま御
指摘
のように、駐留米軍といいますものは極東とともに我が国の安全と平和のために寄与しているわけでございまして、その意味で私どもはその駐留米軍から利益を得るところが大きいわけでございます。 しかしながら、これまでのところは、これまで私どもが御答弁申し上げましたように、その中でどの程度日本側が受益をしている、あるいはどの程度負担をするのがしかるべきであるというような物の発想で負担をしておりませんで、どのような性格の費目は日本側、ホストネーションとして持つことの方が妥当であるかというような観点から負担をしてきたということでございます。 ただ、
委員
がただいまおっしゃられましたような物の考え方ということもあろうかと、その点は理解ができますけれども、少なくともこれまでは、各費目につきまして日本側が、受け入れ国が持つことが適当だと思われる費目を拾いまして、それを負担しているというような方針でやってまいったわけでございます。
小川国彦
130
○小川(国)
委員
その点は、時間の
関係
でまた次に譲らせていただきたいと思います。 次に、中期
防衛計画
と次期
防衛計画
の総額明示方式の問題でございますが、八六年に一%枠が取りざたされたときに、八六年の中期防では総額明示方式というものが取り入れられまして、これによって中期防では五カ年で十八兆四千億程度がめどと言われて、これが歯どめになると言われてきたわけでございます。ところが、
昭和
六十一年から
平成
二年までのこの五年間で、当初
予算
五年分で見ましても十八兆六千四百三億円と、当初
予算
だけで約二千億円も上回ってしまっているわけですね。そうすると、歯どめになると言っていた総額明示方式では歯どめにならなかったのではないか、こういうふうに理解するものでありますが、この点はいかがでございましょうか、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
日吉章
131
○日吉政府
委員
簡潔に御答弁申し上げたいと思います。 十八兆四千億円という
価格
でございますが、これは六十
年度
価格
、六十
年度
を基準といたしました実質
価格
で十八兆四千億ということでございます。ただいま
委員
が御
指摘
になられましたのは、六十一年から六十五年までの各年の名目の
予算
額を合算された数字なのではないかと思います。したがいまして、六十
年度
価格
に換算し直しますとこれは十八兆四千億を下回っております。
小川国彦
132
○小川(国)
委員
これに補正
予算
も加えるとどのぐらいになってまいりますか。
日吉章
133
○日吉政府
委員
ただいまその資料を手元に持っておりませんので正確に申し上げられませんが、その間におきましてはかなり減額補正の
年度
が多かったのではないかと思いますし、それから補正の主たる要因は
給与
改定であったと思います。そういう意味で、
給与
改定はこれは名目
価格
の上昇ということに観念されると思いますので、そういう意味で、補正の
価格
を合算いたしまして六十
年度
実質
価格
に換算いたしましてもこれは決して十八兆四千億をオーバーしていない、かように考えております。
小川国彦
134
○小川(国)
委員
そうすると、
平成
三年からの次期
防衛計画
では総額で二十三兆五千億になると言われているわけでありますが、果たしてこれを総額明示方式にしましてこれは守られるのかどうか、歯どめになるのかどうかですね、この点はいかがでございますか。
日吉章
135
○日吉政府
委員
次期防の
価格
が幾らになるか、総額が幾らになるかという点は、これから政府全体で検討すべき問題でございますが、それは別といたしまして、ただいま中期防の実績見込みを御披露申し上げましたのでもおわかりのように、総額明示方式といいますものは十分歯どめになり得る方式である、私はかように考えております。
小川国彦
136
○小川(国)
委員
次に装備の問題で伺いたいと思います。 空中警戒管制機、AWACS、この導入とあわせて空中給油機の導入も固まった、こういうふうに伝えられているわけですが、これは戦闘機の足の長さを幾らでも伸ばせるということを意味するのではないか。すなわち攻撃的な戦闘機になるおそれはないのか。足の長さが短かったF15戦闘機がより足の長いものにかわっていく、こういうことは周辺諸国の脅威になるのではないか。
早期
発見で防空能力を高めると言っているわけですが、戦闘機を領海ぎりぎりまで飛ばして空中給油機で補給する、こういうことになりますと、日本の
航空
戦力に攻撃的な性格を持たせることになるのではないか。こういうふうな懸念がされるわけですが、この点はいかがでございますか。
日吉章
137
○日吉政府
委員
まず最初にお断りを申し上げておかないといけないと思いますが、一部に報道されておりますように、次期防におきましてAWACSあるいは空中給油機の導入を決めた、こういうようなことはまだ事実でもございませんで、私どもは各般の検討を進めておりますけれども、いまだこれの導入あるいは導入しないというようなことを決めたということではない点を、最初にお断りを申し上げさせていただきたいと思います。 それでAWACSでございますけれども、AWACSにつきましては、ただいま
委員
も御
指摘
になられましたように、これは現在、私どもが持っておりますE2Cと同じように、低空侵入
目標
等をできるだけ
早期
に探知するという目的の
早期
警戒機でございます。したがいまして、まさに防御的な、我が国といたしまして防御的装備しか持たない、あるいは防御的な、自衛的な
運用
しかしない我が国としましては、できるだけ
早期
に相手の低空侵入等の
目標
を探知するということは非常に重要なことではなかろうか、一般的にはそのように考えております。 空中給油機でございますけれども、これにつきましても、既に中期防の中に「空中給油機の性能、
運用
構想等空中給油機能に関する研究を推進する。」ということになっておりまして、研究を続けているところでございます。 これも一般論として申し上げますと、足を伸ばしまして相手の領海、領空、領土近くまで攻撃的に展開するというようなことではありませんで、
要撃戦闘機
が事前に空中で哨戒待機するような場合に、空中給油機を使いますれば
要撃戦闘機
の待機時間を延ばすことができる、こういうようなことから当然私どもは、これを導入するのが有用であるか、あるいはそれまでする必要はないのかというような形で必要性等を検討しているところでございまして、空中給油機そのものが攻撃的
運用
を伴うものである、あるいは攻撃的な装備であるというようなことは言えないのではないか、かように考えております。
小川国彦
138
○小川(国)
委員
もう一つ、次期防ではFSXですね、これの本格的な開発がなされているわけですが、今なぜFSXなのか、こういう疑問もあるわけです。 青森県の三沢と福岡県の築城にあるジェット戦闘爆撃機の次期支援機に、結果的にF16を改造しFSXとなったわけでありますが、
防衛庁
がこれを導入しますと、対艦ミサイルを四発搭載、八百三十キロ内外という極めて足の長い戦闘機で、攻撃的な性格のものになってしまうのではないか、こういう懸念を持たれるわけであります。 私ども、
防衛力
のあり方の問題として、デタントが定着した国際情勢の中で、今日の防衛というものは非攻撃的な、防御的な性格を基本とすべきだ、こういう一つの考え方を持っているわけですが、この観点に立ったならば、兵器のあり方も攻撃兵器から防御兵器に全体を変えていく努力が必要なのではないかというふうに思うわけなのですが、
防衛庁
は、攻撃的兵器、防御的兵器、こういうふうに分けまして、現状の
防衛庁
の装備している兵器というものは一体どういう性格づけでこれを考えておられるか、その分類というものはまたどういうふうにお考えになっているか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
日吉章
139
○日吉政府
委員
幾つかの御質問をいただきましたが、御質問の順番に従いまして、まずFSXの必要性につきまして御
説明
を申し上げたいと思います。 FSXは、現在
自衛隊
は十三飛行隊を持っておりますが、そのうちの十飛行隊は主として要撃、三飛行隊は主として支援戦闘機として利用するということを考えております。その支援戦闘機部隊の三飛行隊に
運用
いたしております我が国で国産開発いたしましたF1という支援戦闘機が、九〇年代の中ごろ以降耐用命数が来てまいりまして減勢してまいります。したがいまして、それの代替機といたしまして、二十一世紀初頭を通じまして、諸外国の
航空機
と伍して対等にやっていけるような
航空機
を開発しておく必要があるということから、FSXの開発を進めているところでございます。 その際に、FSXの足の長さにつきまして御
指摘
がございましたけれども、今攻撃的なというふうにおっしゃられましたが、今おっしゃられました航続距離は、対艦装備をいたしました場合の航続距離を
委員
は御
指摘
になられたと思います。攻撃的な武器といたしましてこれを
運用
するといたしますと、それは当然相手領土を攻撃するということになると思いますが、その場合には対地装備をする必要がございますが、対地装備をいたしましたときには、
委員
ただいま御
指摘
のような航続距離は到底保持し得ないというような点がございます。 ただ、現在のF1に比べますと若干航続距離を延ばすことになっておりますけれども、これにつきましては、支援戦闘機といいますものは、我が国がそもそも東西南北に長い領土でございまして、その中で飛行場の数も限られているということになりますと、支援戦闘機の性格から考えまして、戦闘場面より若干遠い距離に待機いたしましてそちらから展開するというような
運用
が考えられます。したがいまして、そういう点を考えますと、私どもが今考えております程度の航続距離は持っていなければ十分な効果が果たせない、こういうような観点から航続距離を予定しているわけでございまして、決して相手領土等を攻撃するような攻撃的な装備として性能を考えているということではございません点をまず御理解いただきたいと思います。 それから、攻撃的兵器と防御的兵器という言葉の意味でございますが、必ずしも私は正確に御質問の意味を理解しているかどうか自信がないわけでございますが、現在
自衛隊
が保有しております個々の兵器につきましては、これを保有することによりまして、我が国の保持する実力の全体が自衛のための必要最小限度の実力を超えることとなるか否かによって、これが憲法上許される自衛のための
防衛力
の範囲内であるかどうか、あるいは許される兵器であるかどうかというようなことが判断されるわけだと思います。しかしながら、全 体で判断すべき問題でございますけれども、その個々の兵器の中でも、そもそも性能上、専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器、例えばICBMというようなもの、長距離攻撃爆撃機というようなものもあるいはそういうようなものになり得るかと思いますが、こういうようなものは攻撃的兵器というごとで、我が国が自衛のための必要最小限度の範囲内として持つということは認められないのではないか、かように考えております。したがいまして、このような意味での攻撃的兵器というものは現在
自衛隊
は保有していないということでございます。 御質問の
趣旨
に合っているのかどうかいささか自信がございませんが、とりあえずお答え申し上げました。
小川国彦
140
○小川(国)
委員
もう一つ装備で、
戦車
の問題で伺いたいのでありますが、九〇式
戦車
導入ということが伝えられているわけであります。九〇式
戦車
はハイテクの固まりとも言える装備で、重さ五十トンというふうに言われているわけです。現在の車両の制限令によりますと、一般の車両というのは二十トンぐらいというふうに言われていますが、
自衛隊
は適用除外になっていると伝えられているわけであります。それにしましても、こうした車両が一般道路を走るということが果たして適切なのかどうなのか。北海道重視の戦略で、この九〇式
戦車
は、北海道に組み立て工場をつくって、内地から運んで
戦車
として動かす。しかし、こうした重量級
戦車
の通行に我が国の道路とか橋梁が果たして適しているのかどうか、この点はどういうふうに研究なさっていらっしゃるのか。北海道の方々に聞きますと、演習のためということで
戦車
が一般道路を通るということが一般交通にいろいろな支障を与えていると言われるのですが、そういう点の配慮は一体どうなっているのか。 それから、大陸に攻撃をするというならいざ知らず、専守防衛の日本に最新鋭のこの重量級
戦車
が果たして必要なのかどうか。一両当たり十五億円もの
戦車
が果たして有力な戦力になり得るのかどうかですね。こういうのを見ると、これは国産で全部おやりになるということを八九年五月十六日に経団連が次期
防衛力
整備
計画
に対する要望として出しているが、財界の要望というのがこの九〇式
戦車
導入の主因になっているのではないか、こういうふうにも思われますし、七三年の中東戦争の際の
戦車
の役割等を考えてみると、果たして
戦車
が兵器としての有効な力を持つかどうかということも疑問に思われる。そういうふうに考えてまいりますと、この九〇式
戦車
の持つ意味というものは、考え方としては非常に不十分な観点に立ったものではないのだろうか。しかも、先ほどおっしゃられた攻撃兵器の中にこの
戦車
は入ってくるということからいうと、この九〇式
戦車
の導入というものは一体いかがなものか、こういうふうに思うわけです。 時間が参りましたので、最後に、米ソのデタント時代を迎えて、日本は、今までの防衛政策や安保体制に対しての考え方だけではなくて、もうそれを乗り越えて、東アジア太平洋地域の軍縮政策というものを積極的に進める、そういうところに来ているのではないだろうか。日本の防衛の概念といいますか哲学といいますか、やはりそういうものをこの辺でしっかり確立していく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、装備の
戦車
の問題とあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
日吉章
141
○日吉政府
委員
まず
戦車
につきましては、
委員
も御案内のように、
戦車
といいますものは
陸上自衛隊
、国際的には地上軍の中の中核的な装備でございまして、火力、機動力、防護力にバランスのとれた装備でございまして、我が国の
運用
構想といたしましても、万が一といいますか、不幸にして着上陸侵攻が行われました場合に、
陸上自衛隊
がその相手を排除するために、水際あるいは沿岸地域あるいは内陸に侵攻された場合には、内陸におきまして
各種
作戦を遂行するに当たっての装甲機動打撃力の骨幹としてなくてはならないものである、かように考えております。 確かに我が国には欧州や中近東におきますような大平原等は存在しないわけでございますけれども、狭隘で山岳の多い我が国の地勢に応じた形で
戦車
の利用というものも可能性は十分あり得るわけでございますし、過去の戦史によりましても、島嶼、島の作戦におきまして大量の
戦車
が用いられたというようなことで、我が国の地理的
条件
を考えましても、
戦車
の意味というものは決して失われるものではない、かように考えております。私が今申しましたようなそういう
運用
構想から申しましても、決してこれを外国の領土に持っていって
運用
するというような攻撃的な兵器でないことは十分御理解いただけるかと思います。 なお、日本の道路におきまして新
戦車
が
運用
できるのかということでございますけれども、一般道路や橋で輸送いたします場合には、砲塔部と車体部に分割いたしまして、大型トレーラー等により道路輸送すること、あるいはフェリー等によります
海上
輸送をすることが考えられております。実際の作戦に当たりましては、路面の補強、これは鉄板等の敷設などの方法によるほか、路外機動とか渡河用の資機材の活用等によりまして十分活用できる、かように考えております。 なお、総括的な御質問がございましたけれども、私どもは、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、我が国が
整備
をいたしております
防衛力
といいますものは、国家といたしまして平時から保有すべき基盤的な
防衛力
ということでございますので、これは、現在グローバルな観点から、あるいは攻撃的なあるいはそれに対処するための軍事力をできるだけ低いレベルに削減していこうというふうにしておりますそれらの種類のものとは、それはただいま
委員
がおっしゃられました攻撃的兵器にあるいは相当するのかと思いますが、それらの装備とは基本的に性格を異にするものではないか、かように考えております。
小川国彦
142
○小川(国)
委員
時間が参りましたので、
戦車
の問題また装備の問題でもう少し議論したいところもございますが、次の機会に譲りまして、質問を終わりたいと思います。
渡辺栄一
143
○
渡辺委員長
春田重昭君。
春田重昭
144
○春田
委員
限られた時間でございますので、
防衛庁
、簡潔に御答弁いただきたいと思います。 まず最初に、
自衛隊
の定数の問題について御質問したいと思います。 陸海空の
自衛隊
の定数に対しまして、現
員数
はここ五年間の推移を見ても横ばいでございますし、減少しております。一番新しい元
年度
の充足率を見ましても、
陸上
が八六・七%、
海上
が九五・四%、
航空
で九七・四%となっております。したがって、三
自衛隊
の中でも
陸上自衛隊
が充足率が極端に悪いとなっております。 そこで提案するわけでございますが、
陸上自衛隊
の定数は現在十八万人、これを十五万人体制に減少すべきではないか、このように思っておりますけれども、どうでしょうか。 その理由といたしましては、三点申し上げたいと思いますが、まず第一点は、世界の軍事態勢が軍備増強から軍縮へと変化してきております。二点として、
自衛隊
の募集を毎年やっておりますが、非常に厳しくなってきつつございます。ことしから年齢を十八歳から二十五歳の募集人員から二十七歳まで緩和されたようでございますが、若者の職業の意識の中に、ぜひとも
自衛隊
に行きたいという考え方は残念ながら今はないわけでございまして、そういった面ではやはり今後非常に厳しくなってくるのではないか。三点目としまして、将来の若者の人口減が確実になっております。 こういった理由でございまして、我が党の市川書記長もこういった提言をしておりますけれども、まずこの問題についてお答えをいただきたいと思います。
日吉章
145
○日吉政府
委員
ただいま
委員
が御
指摘
になられましたように、陸海空
自衛隊
の現在の
定員
に対します現員の充足率というものが一〇〇%でないのは事実でございます。なお、その中にありまして、
陸上自衛隊
の充足率が低いというのも事実でございます。ただこれは、特に
陸上自衛隊
の場合におきましては、平時におきましては、訓練の観点あるいは日常の警備活動等の観点から考えまして、この程度の充足率でも十分訓練の練度等を上げ、かつ、警備活動等ができるというような観点から、こういう充足率で
運用
を進めているわけでございます。この点は、諸外国におきます地上軍の充足率というものをごらんいただきましても、地上軍の充足率というものは必ずしも高いものとはなっておりません。したがいまして、
定員
といたしまして、有事におきます場合に効率的に部隊展開ができます部隊編成及びそれを一〇〇%充足いたしますことを前提とした定数の概念と充足率の概念とはおのずから違うわけでございまして、現在充足率が低いから
定員
をそれに合わせればいいではないかというようなことではない。充足率の概念と
定員
の概念とはいささかその意味するところ、ディメンションが違う、かように考えております。 しかしながら、
委員
ただいま御
指摘
のように、社会環境全般から考えまして
自衛隊
員の募集環境というものが非常に厳しいことは事実でございます。今後を展望いたしましても決してそれは楽観できない状況にあると思います。そういうことを考えますと、私どもとしましては、中長期的な視点に立って
防衛力
全般にわたる効率化、合理化の一環としまして省力化施策を考えていく必要はあろう、かように考えておりまして、鋭意検討はいたしているところでございます。 重ねて申し上げますけれども、
定員
と充足率の概念はディメンションが違う面があるという点は御理解を賜りたいと思います。
春田重昭
146
○春田
委員
私は、ただやみくもに定数、
定員
を減らせと言っているわけでもないのです。やはり定数を削減するとともに現員の隊員の充実を図っていく必要があるのではないか。待遇
改善
の面、
地位
向上の面で、今の
自衛隊
員に本当に
自衛隊
に入ってよかった、また本当に
自衛隊
に入ることに誇りを持っている、こういったいわゆる一騎当千の
自衛隊
員をやはりつくっていくことが大事ではないか、少数精鋭でもそういった隊員をつくっていくことが大事じゃないか、こういった思いもあるわけでございます。 長官からこの点御答弁いただきたいと思います。
石川要三
147
○
石川国務大臣
現在の
自衛隊
の処遇というものは決してよくない、私もそのような認識に立っております。したがいまして、今後の次期防の中におきましては、後方部隊の拡充
整備
というものを重点的にやっていきたい、こういう考えに立っているわけであります。 それからもう一つは、今の若い人たちが
自衛隊
員になる気持ちが今先生からも言われましたが、そこいらは、処遇の
改善
も当然あると思いますが、それだけではない、いろいろと社会的な問題もあろう、私はかように思います。 実は、昨日の参議院の内閣
委員
会の中でもこの問題が述べられましたけれども、その際に申し上げましたが、例えば募集の実態を見ると、私は非常に嘆かわしい、寒々しいようなこともございます。そういったようなことを私どもは
改善
していかないと、ただ処遇がよくなったから、じゃ行こうという気にはならないのではないか、私はこんな心配もしているわけであります。
春田重昭
148
○春田
委員
次に、防衛大学卒業者の任官拒否の問題についてお伺いしたいと思います。 まず、ここ数年の任官拒否者数をお示しいただきたいと思うのです。
米山市郎
149
○米山政府
委員
防衛大学校
の任官辞退者の数でございますが、五年間について申し上げますと、
昭和
六十一年三月卒業生につきましては、任官辞退者十五名でございます。それから六十二年三十三名、六十三年三十二名、
平成
元年五十一名、
平成
二年五十九名ということで、年々、特にこの二年間かなり数がふえてきているということにつきましては、私どもは大変残念に思っております。
春田重昭
150
○春田
委員
ただいま御
説明
があったように、
昭和
六十一年が十五名であったのが
平成
二年は五十九名となっております。卒業者が四百二十四名でございますめで、
平成
元年は約一割強の方が拒否しております。 そこで、この防大生につきましては、手当やボーナス等が支払われておりますけれども、この一人当たりの養成費は大体どれくらいかかると計算されているのですか。
米山市郎
151
○米山政府
委員
これは一年間でございますが、
平成
元年、大体四百六十八万四千円という計算をはじいております。したがいまして、四年間で一千八百万円ぐらいになろうかと思います。
春田重昭
152
○春田
委員
仮に、
平成
二年で五十九名ですから、単純に一千八百万を掛けますと十億六千二百万という形になるのです。これだけの投資が結局むだになるわけです。防大生の職業選択の自由は保障されるべきであろうと私は思います。しかし、防大生はこの
自衛隊
の中でも将来の幹部候補生でございますし、そういった意味で考えれば、幹部候補生は一般の
自衛隊
の見本でなければならないと思うのです。そういった意味で、年々増加していっている、これを今のまま野放しでほっておいていいということはないと私は思うのです。そこで、防衛医大生につきましては、いろいろ国会でも論議されまして、その結果、一定年数までの任官拒否者については、かかった費用、養成費用の
返還
制度があるわけでございますけれども、この防大生に関しても同じような制度を適用してもいいのではないかと私は思っておりますが、この点はどうでしょうか。
米山市郎
153
○米山政府
委員
防衛大学校
の卒業生の任官辞退者の問題に関しましては、原因はどんなところにあるかという点を考えてみますと、最近景気が非常に好調だったというのも一つの要因だろうと思いますし、また、
自衛隊
について国民の評価に関する不安と申しますか、
自衛官
という職業としての
地位
の位置づけといったものに対する不安感のようなものもあるのではないかということを考えております。
防衛庁
といたしましては、これらの原因を踏まえて、大学校におきまして学生に
幹部自衛官
になる自覚を持たせるなどの努力を引き続き行ってきております。また、
自衛隊
がより魅力のある職場になるように、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたが、魅力化を進めることも重要なことではないかと思っております。 今御
指摘
の償還金制度、これは防衛医科大学校については採用いたしておりますが、
防衛大学校
については、特別な公的資格が付与されていないこと、また、償還金を払いさえすれば安易に退職できるといりたような風潮が出て会社からの引き抜きに乗りやすいということもあるいは考えられないだろうか、また、何といいましても優秀な学生を集めるためには門戸を広くあけておくことが必要なことではないかというようなことを考えますと、将来の検討課題となり得るものだというふうに私どもも考えておりますが、現段階ではそういった制度をとるというところまで至っていないわけでございます。
春田重昭
154
○春田
委員
学校の中でそういった指導・訓練をしていくのは当然でございます。 私は、門戸は開放すべきであると思うのです。入口は狭くしてはいけません。しかし出口はある程度狭くしていく必要があるのではないか、ある程度の歯どめが必要ではないのか。そういった意味では、要するに資格という問題が今出ましたけれども、一般大学の場合は博士号、学士号がとれるわけですが、この防大生についてはそういった資格制度がございませんので、こういったものも与えていく、厳しい規制ばかりでなくして、そういった希望といいますか、やる気を与えることも大事なのではないかと思います。こういった点も、例えば博士号、学士号なんかは文部省が所管ですから、こういったところにも働きかける必要があるのではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
米山市郎
155
○米山政府
委員
今先生御
指摘
の博士号、あるいは学士号自体も与えてございません。そういった点の
取得
の問題につきましては、おっしゃるように文部省の所管でございます。私ども、文部省と連絡をとりながら、現在この実現に向けて文部省の方で検討をいただいておるところでございます。
春田重昭
156
○春田
委員
要するに、防大生に対して希望を与えるとともに一定の歯どめも必要ではないかと思っておりますので、今後よく検討していただきたいと思っております。 同じような事例として、
自衛隊
のパイロットの民間企業への転出問題がございます。 まず、最近の依願退職者数と、協議されて退職される割愛といいますか、この割愛数について、ここ数年の数を述べていただきたいと思うのです。
畠山蕃
157
○畠山(蕃)政府
委員
パイロットの退職者数でございますが、これは割愛者数も含めた合計でございますけれども、六十一
年度
から申し上げますと、六十一
年度
四十九名、六十二
年度
六十一名、六十三
年度
八十五名、元
年度
九十八名でございます。そのうち割愛によっておる者が、六十一
年度
六名、六十二
年度
十二名、六十三
年度
二十五名、元
年度
三十五名となっております。
春田重昭
158
○春田
委員
一人前のパイロット、操縦資格を
取得
する人は一年間で大体何名くらい出てくるのですか。
畠山蕃
159
○畠山(蕃)政府
委員
御質問の
趣旨
は、パイロットの養成する人数として一年間に大体どのくらい必要かということとお受け取りしまして、パイロットの養成課程に入る者の数で申し上げますと、おおむね年々二百四十名程度という規模でございます。
春田重昭
160
○春田
委員
それは養成課程に入った人でしょう。
取得
した人、操縦資格を
取得
した人です。
畠山蕃
161
○畠山(蕃)政府
委員
失礼をいたしました。 操縦資格を
取得
した者は、元
年度
ベースでいいますと百七十名でございます。おおむね各年ともそれほど大きな差はございませんが、六十三
年度
は若干多くて百九十名でございました。
春田重昭
162
○春田
委員
そこで、一人前のパイロットになるまでの養成期間はどれくらいなのか。それから養成費用はどれくらいなのか。
米山市郎
163
○米山政府
委員
養成は学校の方で担当いたしておりますので、私の方で御答弁させていただきますが、
航空自衛隊
の操縦者一人当たりの養成費につきまして、今御質問の点について御答弁申し上げます。 F1の操縦者養成の場合には四年と六・七五カ月、所要
経費
といたしまして、人件費、生活
経費
その他訓練にかかわるもろもろの
経費
合わせまして、約三億九千九百万という数字でございます。F15について同じようにとりますと、五年と一・五カ月、所要
経費
が五億五千九百万でございます。それからF4EJについて申し上げますと、四年と九・七五カ月、四億五千八百万でございます。
春田重昭
164
○春田
委員
ただいま御
説明
があったように、一年間で大体一人前のパイロットになる人員が百七十名前後、一年間で退職する人が百名前後、ここ数年の数字を見る限り、養成された人員は年々減少していっていますよ。反対に退職者数は年々増加していっているわけですね。国から支出したといいますか、これは全部税金ですから、要するに四億ないし五億六千万という莫大な金が投じられております。こういった国から支出した資本投下を考えた場合に、大変な損失でございます。 そこで同じような事例として、一人前のパイロットではないけれども、なる前の
航空
学生がいますね。この途中退職者も今問題となっておりますが、最近の例で大体どれくらいあるのですか。 〔
委員長
退席、志賀(節)
委員長
代理着席〕
畠山蕃
165
○畠山(蕃)政府
委員
課程の途中で退職した者の数でございますが、六十一
年度
に二十一名、六十二
年度
十八名、六十三
年度
二十五名、元
年度
に三十八名とふえております。
春田重昭
166
○春田
委員
元
年度
の合計人員が三十八名でございますが、その中で
航空
学生だけをとってみれば十九名ですね。この
航空
大の
航空
学生につきましては毎年六十名が入ってくるわけでございまして、元
年度
は六十一名ですか、その中で十九名が元
年度
ではやめちゃっておるわけですね。実に三分の一が退職しているわけです。私は大変な問題じゃないかと思うのです。 先ほど、一人前のパイロットの費用が約四億から五億六千万という数字を出していただきましたけれども、
航空
学生の養成費用というのは平均どれくらいかかっているのですか。
米山市郎
167
○米山政府
委員
先ほど申し上げました数字が
航空
学生を例にとってはじいた数字でございます。
春田重昭
168
○春田
委員
となれば、これまた大変な国家にとって大きな損失であろう、こう思います。 ところで、きょうは運輸省の方においでいただいておりますけれども、
防衛庁
との間で毎年協議して、年齢三十五歳以上を大体
条件
として
防衛庁
を退職する方が何名か民間企業へ転出されているわけでございますが、ここ二、三年の数と、その方たちは一体どういうところに転出しているのか、これをお述べいただきたいと思うのです。
松本学
169
○
松本
説明
員 御
説明
申し上げます。 運輸省としましては
防衛庁
から操縦士の割愛をいただいておりますけれども、運輸省が直接担当しておりますのはエアラインに対しての操縦士でございます。その他の
航空
事業者につきましては
防衛庁
の方で直接当該事業者と調整しておられます。 エアラインに割愛をしていただきました操縦士は、六十三
年度
十六名、
平成
元
年度
十九名、二
年度
は現在のところ一名でございます。
春田重昭
170
○春田
委員
協議された人員以外で一人前のパイロットないし
航空
学生を裏で引き抜いたといいますか、それに近いことをやった、そういう事実はあるかどうか、御存じですか。 〔志賀(節)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
松本学
171
○
松本
説明
員 御
説明
申し上げます。 エアラインに対しましては、
昭和
六十三
年度
、元
年度
では現職
自衛官
を引き抜いたものはございません。そのように確信をしております。ただし、地上職として採用された人があるやに聞いておりますが、これも現職の
自衛官
から直接エアラインが地上職として採用したものではございませんで、そのほかの職業についていた人がどうしても
航空
関係
の仕事をしたいということで、地上職として採用しているというふうに聞いております。 ただ、このことに関しましても、我々としては、
防衛庁
との話し合いで操縦要員として採用されているものではございませんので、これについて強制的に禁止をするような行政指導を行うことは非常に困難であります。しかし、そのような場合でも、今後ある場合は無用の誤解を招かないように、採用に当たって
防衛庁
側と事前に十分調整をするように指導しております。
春田重昭
172
○春田
委員
そういった引き抜き等がないように、事前に
防衛庁
と話し合いをして割愛数を出していっているわけでしょう。今の話は何か、確信しておりますと言っているけれども、頼りない。
調査
したことがありますか。定期
航空
、全日空や日航に対して
調査
したことがあるのか、聴取したことがあるのか、その点もう一回お尋ねします。
松本学
173
○
松本
説明
員 御
説明
申し上げます。 定期エアラインに対しましては調べております。六十三
年度
と
平成
元
年度
につきましては、パイロット要員として採用し、訓練し、あるいは乗務させている例はございません。
春田重昭
174
○春田
委員
防衛庁
の方にお伺いしますけれども、先ほどのお話でも元
年度
で依頼退職された方が九十八名ですね。割愛者が三十五名なんですけれども、この割愛者以外の、九十八名から三十五名を引いた六十三名の方がおやめになっているわけですが、この六十三名の方たちはどういった
事情
で、また転出した場合どういった企業に転出されているのか、
調査
されたことはございますか。
畠山蕃
175
○畠山(蕃)政府
委員
今御
指摘
の六十三名の者がどういう理由でどういうところに就職しているか ということでございますが、理由といたしましては、極めて一般的な家事部合とか一身上の理由というようなことが表面上の理由になっておりまして、詳しい
内容
については追跡
調査
をいたしておりません。それから、どういうところに就職しているかということにつきましては、直接的にやめてすぐパイロットとして就職しているかどうかということになりますとわかりますけれども、そうじゃない場合については、追跡
調査
をしてない
関係
で、必ずしも十分に把握していないというのが実情でございます。 そこで私どもといたしましても、御
指摘
のような
趣旨
もございますので、ここで一遍詳しく追跡
調査
をしてみたいというふうに考えているところでございます。
春田重昭
176
○春田
委員
自衛隊
にはOBの名簿、隊友名簿があるのですから、調べようと思ったらできると思うのですよね。そういった点で、こういうことがやはり大きな問題となってきていますので、ここで明確にひとつ御
調査
をこの時点でやるべきじゃないか。この点そちらの方にお願いしておきます。 時間がございませんので長官の方にお伺いしたいと思うのですが、今、いずれにいたしましても一人前のパイロット、またパイロットになる直前の
航空
学生の退職者が年々ふえていっている。一人前のパイロットになるためには相当な期間が必要だし、また四億ないし五億六千万の養成費がかかっている。防大生のそういったいわゆる中途退学も問題ですけれども、金額からすればはるかに大きいわけですね。そういった面で、民間企業にとってみればこういった方たちを引き抜くことは大変魅力といいますかプラスになるわけですね。自前で費用を出す必要はないし、自前でそういった養成機関が必要ないわけですからね。でき上がったパイロットを引き抜いていくわけですから。また一面では、聞くところによると、待遇面で給料は三倍くらいになるし、肉体的な面においても大変楽であるという点で、
自衛隊
員にとってみてもプラスの面があると思うのです。しかし、やはりこれだけの費用がかかっているわけですから、ある程度の歯どめが必要じゃないかと思うのです。それだけに割愛して人数も出しているわけです。それが、それ以外にも公然とささやかれているのは、そういった引き抜きや引き抜きに近いことが行われている。
自衛隊
の、
防衛庁
としての姿勢をそこでやはりきちっとすべきではないか。 きのうの新聞でも載っておりましたけれども、米軍のIDカードですか、偽造いたしまして大きな問題になったんだけれども、
防衛庁
側では本人を依頼退職させて済ませている。そして本人は民間の
航空
関係
の企業に就職している。この辺もやはり
防衛庁
の甘えがあるんじゃないかと思うのですね。 確かに厳しくすれば入ってこないという面もあるかもしれませんけれども、こういった防大生や防衛医大生、またパイロット等については一定の歯どめが必要じゃないかと思うのですよ。そういった点でまず
防衛庁
がしっかりすることですよ。その点、長官の御所見をいただきたいと思うのです。
石川要三
177
○
石川国務大臣
実は私も、今特訓を受けているのですけれども、なかなか全部にまだ行き渡りません。そういう中で、今の、特に
自衛隊
パイロットの引き抜きの件の質疑応答を聞いておりまして、初めて知ったことも多々あるわけでございます。割愛なんてどういう言葉かなと思って一生懸命見たら、なるほど割愛はこういう字かと思ってびっくりしたのです。なるほどそういうこともやっていたのかと、今ごろになってからですけれども、大変びっくりしたわけであります。 そこで、確かに
内容
を考えますとこれは重大な問題です。一人前のパイロットを養成するのに三億から五億くらいの金がかかる。これは税金でございますから、そういう者がぽんぽん民間
航空
会社の方に引き抜かれたら、火事場泥棒という言葉がありますが、これはまさにそれに匹敵するような状況ではないか。じゃあ一体これをどうしたら解決できるか、この問題であります。 私はいろいろな点を考えなければならぬと思うのです。職業の自由というものはあるわけですから、そういう中において、厳しい募集状況の中で募集した者に対して、厳しくすれば逃げるということもあり得る。となると、じゃ処遇でどの程度カバーできるかということも一つの大きな考慮すべき問題。それから、何といってもみずからの姿勢を正さなければならないことは重々そのとおりでありますけれども、私は民間
航空
会社をコントロールしているのは運輸省だと思うのです。運輸省さんの力を大いにかりて、そういうところには相当のペナルティーをぴしっと当てはめるようなことも必要じゃないか。そういう具体的なものが幾つか寄せ合わさってこの問題が少しでも前進できるのかな、こんな感じがいたしたわけでございますので、先生の御
意見
、私も全く同感でございますから、今後もひとつ大いに関心を持ち、また
関係
者によく指示もしてまいりたい、こんな気持ちでございます。 せっかくでございますから防衛大学の件につきまして、これも確かに私が心配しているのは年々非常に上がっていくということです。今回は今までの記録をつくったわけでありますが、この点についても大変な一つの問題ではあろうと思います。ただ問題は、今資格を与えられるかどうかということを文部省と研究しているようですから、その問題も一つあろうと思います。ただ、見方によればこちらの方は、太っ腹で考えれば、それだけ規律正しい訓練を受けた若者が民間企業の中に行って指導者として育てられると見れば、大きく考えればこれはまた損をして得をしているような面もあるのじゃないか、私はこんなように思います。そういう点でパイロットとは随分違うわけであります。 いずれにしましても、この二者の問題については、時代がますますそういう時代になりますので、これからも大きな関心を持って善処していきたい、このように思っております。
春田重昭
178
○春田
委員
もう時間がございませんので、
意見
だけ述べておきますが、
会計検査院
としてもこういった引き抜きの実態等がないかどうか
調査
すべきじゃないかと思っておりますので、
意見
として述べておきます。 さらに運輸省の方にもお願いしておきます。日本
航空
とか全日空は自前の養成機関を持っているみたいですが、日本エアシステムとか南西
航空
とかエアーニッポン等は持っていないみたいでございますから、こういったところも自前で養成機関を持つべきである。引き抜いた場合には、今長官もおっしゃいましたけれども、ペナルティーも考える、私はこういったこともしていくべきじゃないかと思っておりますので、
意見
として述べておきます。 時間があと三分になりましたので、最後になりますが、くしくも今長官がおっしゃったように、厳しくすれば果たして優秀な若者が飛び込んでくるかどうか心配な面もあるということでございますので、私は、そういった待遇
改善
とか処遇
改善
、こういったものを考える必要があるのじゃないかと思います。 例えば処遇面でございますが、
自衛隊
とよく比較されます警察や消防隊、これは地方公務員になるわけでありますが、公務中の死亡の場合、
自衛隊
の場合は、賞じゅつ金といいますかこれが九百万、特に功労があった人で最高千七百万です。ところが、地方公務員の警察官や消防隊員はいろいろなものが付加されまして、最高額で四千五百万、そういった賞じゅつ金が支払われている。また、日当においても相当大きな差があるというのですね。同じような仕事といいますか同じような
内容
でありながら、こういった面でもこれだけの差があるということは、
自衛隊
の方としてもやる気がなくなる。端的な例としては、日航の墜落事故のときでも、警察官は来ている、
自衛隊
は来ている、ところが日当が格段の差がある、こういったこともあると思うのですよね。 そういった点で私は、
自衛隊
の隊員の向上を図っていくといいますか、そのためにもやはりこういった処遇
改善
が必要じゃないか、こう思っておりますので、この点どうお考えになっているのかお尋ねして、終わりたいと思っております。
畠山蕃
179
○畠山(蕃)政府
委員
賞じゅつ金の問題と災害派遣に伴う日当の問題の二点について、警察官との比較においての御議論をいただきました。 まず賞じゅつ金でございますけれども、御
指摘
のように結果として差が出ておりますが、実を申しますと、国家公務員たる
自衛官
に対して行われます賞じゅつ金の支払いと警察官に対する制度とは、国家の制度としては全く同じでございまして、そこに差はございません。ただ、地方公務員たる警察官につきましては、そのほかに地方公共団体で独自に設けている賞じゅつ金的な制度、いろいろな名前になっておりますけれども、それの方から同額程度が出されるので、結果としてトータルでは警察官の受取額が大きくなるということでございます。したがいまして、国家公務員のみを対象としている私ども責任者といたしましては、そこのところはいわばいかんともしがたい面がございまして、国家公務員として支出している部分について、他の公務員とのバランスの中で数年に一度ぐらいずつ単価の改定なども行われておりますので、できれば今後ともそういったことで充実を図ってまいりたいと思います。 それから日当の点でございますけれども、これは
支給
されます日当額自体はそれほど大きな差はございませんが、警察官との
給与
体系の差によるところがございまして、例えば糧食費、食料費は
自衛官
の場合には俸給の中に入ってございまして現物
支給
がされるということでございまして、それに対して警察官の方はそれを旅費として
支給
されるということでございますので、現金ベースといいましょうか、当該災害派遣に伴って直接
支給
される金額は
自衛官
に比べて警察官が多いわけでございますけれども、実質的な意味ではそれほどの差はない。超勤手当も同様でございまして、そういうことから考えますと、実質的な意味ではそれほどの差はない、こういうふうに考えるところでございます。
石川要三
180
○
石川国務大臣
今の
局長
からの答弁で尽きるわけでありますけれども、ただ、再三この問題は出たわけでありますが、余りにも違い過ぎるということについては、これは何とかしなければいけないのじゃないかと思うのですね。国家公務員であろうが地方公務員であろうが、国のために大変危険な仕事で、しかもそのために命を落としたというようなことがあったとき、ただそこの
組織
が地方だとか国だとかいうだけで倍も違うなんということは、理解しろといったってできないことではないかと思うのです。しかし、そこいらは大変難しい問題だと思います。 いずれにしましても、少なからざるを憂えず等しからざるを憂うというのがありますけれども、まさにそのことじゃないかと思いますので、検討してみたいと考えております。
春田重昭
181
○春田
委員
終わります。
渡辺栄一
182
○
渡辺委員長
玉城
栄一
君。
玉城栄一
183
○
玉城
委員
最近、
防衛庁
首脳の方が在沖米海兵隊の削減の可能性について公式の場で言及をしていらっしゃいますが、長官の御所見をお伺いいたします。
石川要三
184
○
石川国務大臣
先生御承知のとおり、十年間にわたって三段階、当面の三年間において約五千人なり六千人なりの削減
計画
が発表されたわけでありますが、それに対して先般西廣次官がいろいろと言及されまして、新聞に報道されたと思います。その件についても、沖縄の海兵隊の人数というものがおおむね半分と聞いておりますが、そういうようなことから見て、沖縄の海兵隊員に対する削減というものが全く考えられないということも難しいのじゃないか、こういうような表現をしたと思いますが、考えられ得る可能性がある、こういうふうに私も認識しているわけでございます。
玉城栄一
185
○
玉城
委員
そこで沖縄のアメリカ海兵隊、これは過日の
委員
会でも、外務大臣のお答えで前方展開戦略の一環であるということをおっしゃっているわけですね。長官のお考えはどうですか。
石川要三
186
○
石川国務大臣
もちろん米軍の前方展開の海兵隊、こういうふうに理解しております。
玉城栄一
187
○
玉城
委員
長官もチェイニー国防長官にお会いになっていらっしゃるわけですね。その前の長官でしょうかね。いずれにしましても、おっしゃいましたように、三年以内に五千ないし六千人の在沖も含む在
日米
軍の削減ということを発表しているわけです。それについて従来
防衛庁
、政府側のお答えは、これは後方部門の削減だから我が国の安全保障上別に支障はない、防衛政策にも影響はないというようなお答えをしてこられたわけですが、そのとおりですか。
石川要三
188
○
石川国務大臣
前々から
防衛庁
の方からの見解を披瀝しておりますが、私もそのとおりだと思います。
玉城栄一
189
○
玉城
委員
そうしますと、在沖米海兵隊の削減の可能性があるとおっしゃいましたが、これは米国の前方展開戦略であるわけですから、これの削減ということになりますと、我が国の防衛政策あるいは東アジア全体の安全保障上全く影響がない、支障がない、このように考えていいわけですね。
石川要三
190
○
石川国務大臣
全体が五千ないし六千という数字がはじかれているわけでありますから、その中で沖縄の海兵隊の数からいいますと、ちょうど半分、二分の一ぐらいに当たる数字になるわけでありますから、非常に大きいわけですね。ですから、そういう大きい数字の中で全くこれが対象外ということはあり得ないだろう、対象になり得るだろうということを私も肯定しているわけでございます。したがって、それは全体の中の量的な問題があろうかと私は思いますが、直ちにアメリカ軍の前方展開の軍事力の削減が大きな影響力を与えるものでない、こういうふうに思うわけであります。
玉城栄一
191
○
玉城
委員
大きな影響力ということになるとなんですが、影響はある。削減されますといわゆる穴があくわけですね。前方展開戦略の削減も含まれるということになりますと、その分だけ穴があきますね。ですからこれは肩がわりでもされるつもりですか。それとも、いなくなるのは我々としては非常に歓迎することなんですが、
防衛庁
としては、前方展開戦略が削減されていくことについての穴部分について肩がわりか何か考えていらっしゃるのですか。
石川要三
192
○
石川国務大臣
これは午前中からの質問にもあったと思いますが、先生も御承知かと思いますけれども、米軍の削減に対して穴埋めをするということは憲法上から私どもには不可能である、このように私は思っているわけでございます。ただし、全体の
日米
の安保体制のさらなる効果的な
運用
のためには、いろいろと私どものできる自主的な立場で協力をすることは可能でありますが、軍事的な面の穴があいたからすぐにそこを埋めるというふうな方程式は全く成り立たない、かように思います。
玉城栄一
193
○
玉城
委員
そこで、削減されますと、沖縄の場合、基地がその分だけ
返還
されるわけですけれども、何か
防衛庁
のお話では、これも記者会見か何か知りませんが、三年ですか、今進めていらっしゃる
日米
間の詰めの
返還
のことと別枠で、大きな基地も返ってくるんだということも話しておられるのです。そのとおりだとすれば歓迎するわけですが、その点いかがですか。
松本宗和
194
○
松本
(宗)政府
委員
お答えいたします。 沖縄の地元の新聞であったかと思いますが、そのような記事が載ったことは私も承知しております。これは記者会見というぐあいに書いてございますけれども、そういう事実はございませんし、本人もそういうことは発言したことはないということを申しておりますので、まずそのことを申し上げます。 いずれにいたしましても、米軍の削減
計画
そのものは太平洋軍司令部の方で扱っておるということで、具体的には我々は知る立場にはございません。特に沖縄にございます
施設
、
区域
につきまして、それに関連してどうなるかということについては申し上げられる立場にはございません。
玉城栄一
195
○
玉城
委員
米軍基地が
返還
される場合の一般的な手続といいますか、これを一通り御
説明
していただきたいのです。
松本宗和
196
○
松本
(宗)政府
委員
通常、基地が
返還
されます場合には、米軍の方から当然
返還
の意思表示があるわけでございますけれども、これは
施設
特別
委員
会におきまして提案がありまして、同意され、
日米
合同
委員
会において承認された後、閣議決定を得まして、所要の手続を経て、民有地の場合には所有者の方にお引き渡しするという形をとります。
玉城栄一
197
○
玉城
委員
その閣議決定後、政府間
協定
か何かもやるわけですか。——まあそれはいいです。 今の安保協で
合意
された部分について一日も早く
返還
をするという交渉中だと思いますが、月に二回ですか
日米
合同
委員
会が開かれるというふうに伺っておりますが、今回は二十一日ですね。合同
委員
会が開かれて、今私が申し上げました
返還
について
合意
をする、これが一点ですね。
返還
を
合意
して、これを発表する、その仕方、
内容
についても
合意
をするというふうに承っておりますが、いかがでしょうか。
松本宗和
198
○
松本
(宗)政府
委員
私、先ほど申し上げましたのは、個々の
施設
が具体的に
返還
されてくる場合の手続について申し上げたわけでございます。今先生が御
指摘
になりましたのは、現在私どもが外務省と一緒になりまして米軍と交渉して進めております沖縄にございます基地の整理統合、特に安保協事案と申しておりますが、これにつきましては、現在鋭意、それの残された事案についての整理統合につきまして作業を進めておりまして、この作業をやっておりますのは、合同
委員
会の下部機関でございます
施設
調整部会というものがございます。ここで具体的な作業をやっておるわけですが、ここである程度煮詰まった段階で合同
委員
会に上げまして報告いたしまして、合同
委員
会が何らかの形で、中間報告にしろ公表しようということで作業を進めておるということでございまして、先ほど申し上げましたいわゆる
返還
手続とは別のものでございます。
玉城栄一
199
○
玉城
委員
ですから、二十一日の
日米
合同
委員
会で今下部機関でやっているものを手続としてする、そのときに公表の仕方についても、その
日米
合同
委員
会で双方
合意
をしてやるということですね。
松本宗和
200
○
松本
(宗)政府
委員
当然
日米
間で
合意
をした上で、どういう形で公表するかということを決めてやるということになると思います。
玉城栄一
201
○
玉城
委員
先ほどもおっしゃいましたが、一般的な個々の基地の
返還
については合同
委員
会で決めて閣議にも持っていくし、いろいろな手続があるわけですが、今回はそれではなくて、ちょっと変わったケースといいますか、異例といいますか、特殊なケースでの公表の仕方ということになりますか。
松本宗和
202
○
松本
(宗)政府
委員
先ほどからも申し上げておりますように、個々の
施設
について具体的に
返還
を決定するという行為ではございませんで、安保協議
委員
会の場で決定されております整理統合の
計画
で残された分につきまして今後どうしていくかということについての方向づけでございますね、これについて現在作業しておるわけでございますが、それについての公表をするということでございまして、具体的にその中のどれを、いつ
返還
するということを決定するという行為ではないということでございます。
玉城栄一
203
○
玉城
委員
一日も早く公表するという話ですね、今のことは。そうしますと、今度の場合は、閣議にかけたりそういうことはしないままに、これ、これ、これについてどういう方向でなにするということを公表する、こういうことですね。
松本宗和
204
○
松本
(宗)政府
委員
たびたび申し上げておりますように、
日米
協議
委員
会でもって
合意
されました
内容
についてまだ整理されないで残されておるものが非常にたくさんあるということで、これの整理統合を一刻も早くやらなければならないということで作業を進めておるわけでございますが、その実態を一日も早く公表するようにという声がございます。そういう声を受けまして現在の作業
内容
を中間的に公表するというものでございまして、これは閣議にかけて公表するというような性質のものではないかと存じます。
玉城栄一
205
○
玉城
委員
さらにちょっと確認しておきますが、二十一日の、さっきの
日米
合同
委員
会でこれは決まるわけですから、日にちを置いて公表するのですか。
松本宗和
206
○
松本
(宗)政府
委員
二十一日であるかどうかということについてはこれはまだ最終的に詰まっておりませんので、私ども正確に申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにいたしましても、
日米
間で
合意
が調いまして、合同
委員
会の場で
合意
ができますれば公表するということになろうかと存じます。
玉城栄一
207
○
玉城
委員
六月二十三日、海部総理も沖縄に慰霊の日には参列にいらっしゃるということもありまして、やはりタイミング的に二十一日あたりということではないかと私たちは考えているわけであります。 そこで、これは数字的なことになりますが、今
平成
二年六月の時点で、沖縄県が本土復帰、
返還
されたのは
昭和
四十七年五月十五日ですから、その五月十五日の時点で沖縄において米軍基地がどれくらいの面積であり、現時点ではどれくらい返されたか、そして今交渉しているものはどれくらいか。大体の面積でよろしいですから、その率、割合も入れてちょっと御
説明
いただきたいのです。
大原重信
208
○大原政府
委員
お答え申し上げます。 まず面積の推移でございますが、沖縄の本土復帰時、
昭和
四十七年五月十五日におきます
地位
協定
第二条第一項(a)、いわゆる専用の米軍基地に基づく
提供施設
、
区域
の面積は約二百七十八平方キロでございます。ところで、
平成
二年一月一日現在の同種
提供施設
、
区域
の面積は約二百四十二平方キロメートルでございます。
返還
面積は約三十六平方キロメートル、
返還
割合にいたしまして約一三%ということになります。 それから、お尋ねの第二点でございますが、整理統合の対象面積といたしまして
日米
安全保障協議
委員
会において了承されました
施設
、
区域
のうちに、いまだ実施されていないものが、基地全体の面積に占める割合として計算いたしますと一三%でございます。これは安保協の事案でございます。しかしながら、先生既に御案内のとおりと存じますが、知事が六十年及び六十三年にアメリカに行かれまして御要望されましたいわゆる知事要望事案、こういったものも検討の中心に据えてございますので、そういったものをあわせました数字というのは、ただいまのところ検討中でございますので答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
玉城栄一
209
○
玉城
委員
今の数字からしますと、四十七年から現在まで
返還
されたのは一三%、あと八七%はそのまま残っているわけです。とにかく沖縄の場合は余りにも米軍基地が大き過ぎるのですよね。 それで
返還
されたのは一三%、この米軍基地が
返還
されますね。地主に返ったもの、あるいは
自衛隊
さんが引き続いて使用しているもの、あるいは地主に返ってもそうでしょうけれども、遊休化といいますか使えないままそのままにしているもの、こういう
返還
された後のケース、大体どういうふうなケースになっているかということをちょっと御
説明
いただけますか。
大原重信
210
○大原政府
委員
お答え申し上げます。 沖縄に所在いたします
施設
、
区域
の
返還
に当たりましては、当庁といたしましては、
関係
機関及び
土地
所有者の方々と十分に協議の上、円滑に処理させていただいているところでございまして、
返還
に当たりましての、トラブルといいますと言葉は適当じゃないかとは存じますが、いろいろな問題ということは特に起こっておらないわけでございます。 それで、お尋ねの
返還
されました跡地の問題、これは非常に大きな問題でございますが、賃借人 としての当庁の立場としてその行方を正確にしかと把握してございません。
玉城栄一
211
○
玉城
委員
例えば
自衛隊
が使っているとかそういうのもわからないのですか。あるいは返したけれどもまたアメリカさんに貸したとか、いろいろなケースがあると思うのですが、全然把握していないというわけですか。
松本宗和
212
○
松本
(宗)政府
委員
今までに返りました
施設
につきまして、一部
自衛隊
が使っているものもあるいはそのまま遊休地という形で存在するものもあろうかと存じますが、ちょっと今手元にそのデータを持っておりませんので、正確なことを申し上げられないことを御了解いただきたいと思います。
玉城栄一
213
○
玉城
委員
長官、基地が
返還
される、非常に歓迎すべきことなんですが、この前も
委員
会で長官にも申し上げましたけれども、いろいろな沖縄の議員の方も質問されておりますけれども、これは政府がちゃんと条約に基づいて借りて
提供
しているわけです。そして米軍が基地機能はもういいですと返された。これからが問題なんです、地主とか
関係
者にとっては経済的な問題が切れることになりますから。だから、この跡地がきちっと利用されて果実を生むまでの間をどうするかというのは非常に大きな問題なんです。 何か私は新聞で読みますと、高度な政治的な判断が必要だということを長官がおっしゃったように新聞にありましたけれども、まさにそれで、
返還
された基地の跡地の問題を含めて、
防衛施設庁
はもう終わりで知らないというのじゃ困りますので、
防衛施設庁
あるいは沖縄開発庁あるいは沖縄県あるいは地主、そういう方の協議機関か何かを持ちまして、今後どうするのかというアフターケアをきちっとしないと大問題になるわけです。長官のお考えはどうなんでしょうか。
石川要三
214
○
石川国務大臣
きのうも参議院の内閣
委員
会でこの問題がいろいろと議論されたわけでありますが、これはいわゆる制度といいますか、規則の上では、
返還
されて返されれば、原状復帰の期間までのことは当然でありますけれども、返されれば、後は
契約
の上では賃貸借の
契約
もなくなるわけですからこれでおしまいということになるわけでありますが、そういう中で、今先生も、後の問題がある、非常に大きな問題があると
指摘
をされたわけであります。 この問題は、今の
施設
庁の立場ではこれ以上は論じられないと私は思います。でありますから、それをさらにどうするかということにつきましては、私は、政治的ないろいろな立場で、高度の政治的な判断を必要とするのではなかろうか、こういうふうに思います。そのために、今の提言でございますが、政府やあるいは地主さんやそういう
関係
者との一つの協議機関を設置したらどうかということでございますが、私は今ここで質問を受けただけでありますから、その是非論については今直ちに判断はできかねます。できかねますけれども、いずれにしましても、そういうことがもしどうしても今後、沖縄の県民のいろいろな今までの過去の、戦後の問題、特に安全保障上のいろいろな苦悩、そういった問題の解決のためにどうしてもやるということであるならば、私はそういう機関を設置することが必要かどうかはわかりませんけれども、少なくとも高度の政治的な判断を要しますので、ただ単に
施設
庁の問題だけではなくして、外務省もあるいはまた沖縄開発庁も、ときには総理もぐらいの方々が知恵を出し合い協議して、何らかの対策を立てることもあるいは必要になるのではなかろうかな、こういうふうに私はお答えをしたわけでございます。
玉城栄一
215
○
玉城
委員
ぜひこれはやっていただかなくちゃいけません。例えば、長官も御存じのように、那覇空港に降りまして、そこから自動車で左手の方に大きな港があります。那覇軍港です。これは米軍に
提供
されたままですね。これもほとんど使われてないのですが、もし仮にあの軍港の部分が軍に
提供
されなくて、最初から民間に使用されている状態であったら、どれだけ沖縄の経済に貢献したかわからないわけですよ。軍が占有しているために非常なマイナスになるわけです。ですからもし仮に軍港が
返還
された場合に、
返還
された、はい、じゃこれから民が使いなさいと言っても、今までのロスが大きいわけですから、これは那覇市にしても、県にしましてもそう言える。ですから、今長官がおっしゃいましたように、
返還
後のこの利用
計画
というのは、沖縄の場合は第三次沖縄振興開発
計画
というものを再来年つくろうと今一生懸命なんですが、それに大きく関連してきますので、そこに今までなにしていた
防衛施設庁
が一枚かんで、沖縄開発庁もかんでいただいて、そして沖縄県は当然として、そのほか地主の何かで協議機関を持って、どういうふうに今後するか、そういうことを協議する場をぜひ設定をしていただきたいわけですね。ぜひひとつよろしくお願いします。 以上です。
渡辺栄一
216
○
渡辺委員長
寺前巖君。
寺前巖
217
○寺前
委員
お世話になります。 きょうは、新しく
防衛庁長官
におなりになっていることでもございますので、よく言われるようにシビリアンコントロール、本当にそういう役割を十分に果たしていただいておるかどうかという意味において、三軍のそれぞれの最近起こっている事態に対してそれぞれ処理していることを一体長官としてどういうふうに認識されるか、対応されるのかむしろ長官の姿勢を私はお聞きしたいと思うのです。お聞きするに当たって、陸自、海自、空自、それぞれの最近の事象について幾つか事務的に先に聞きますので、総合的に、個別に長官の見解をお聞きしたいというのが私のきょうの願いであります。 そこでまず、最近、新聞紙上で感じました一つに、
陸上自衛隊
のトラックが五月二十二日の十時四十五分ごろ、浜松市内の国道一号線、ここは随分トラックや自動車が走っている国道ですが、第三五普通科連隊重道中隊所属の七三式中型トラックの荷台より出火をして、荷台乗車中の隊員六名がやけどをする、後日二名がお亡くなりになる、隊に入っておられる皆さんには非常にお気の毒な事件が起こるし、またちょうど斜め前にガソリンスタンドもあったりして、その周辺の人についてもびっくりするなど、東富士演習場へ二百キロもあるところを走って演習に行った過程で起こった事故であるわけです。 さて、私は、この事件が発生して新聞を読んでみますと、中部方面隊第一〇師団第三五普通輸送隊長の話が気になるのですね。何が原因なのかまだ見当がつかない。走っている過程、ともかく火薬を持って演習に行って、長距離を非常に混雑しているところを走っているのに、何が原因か見当がつかないというようなことで、これでよかったんだろうか。詳細は警察の捜査にということで、それは捜査権はちゃんと警察が持ってやるにしても、これはここの特殊な例なんだろうかあるいは全国的にこれが重大な問題だというふうになぜすぐに認識をしないのだろうか。私は、そういうことになると物騒でしょうがないわけですね。 それで、私は所管の人に、正直なところここの特殊な、そのトラックだけの特殊な事故だったんだろうか。それともここの火薬の、装薬の取扱上、従来から問題があったんだ、それに気がつかなかったのか。それとも全国的に装薬の取り扱いについて問題があるのか。それは内部の規則自身にもあり方を検討しなければならない問題があったというふうに見られるのか。私は、これはここだけの問題で済ますわけにはいかないと思うのです。 これについてどういうふうに見ておられるのか、全国的にどういう対処をされたのか、お聞きしたいと思うのです。
米山市郎
218
○米山政府
委員
先生お尋ねの、
平成
二年五月二十二日のトラックからの出火事故でございます。
概要
については、先ほど一応先生の方からお話ございましたとおりでございます。この事故の原因につきましては、現在警察において捜査中でございます。
防衛庁
といたしましても、警察の捜査に協力をいたしますとともに、事故の原因の徹底的な究明を行っているという段階でございます。
自衛隊
といたしましては、とりあえずの
措置
といたしまして、五月末、最近の事故にかんがみまして、全部隊に対して事故防止の
各種
施策を引き続き講ずるとともに、
関係
法規等の徹底、基礎的
事項
の確実な実施等を図り、事故の再発防止に努めるよう通知をしたところでございますが、いずれにいたしましても事故原因が明らかになった段階で、さらに具体的な再発防止対策を確立し、国民に不安を与えないよう再発防止に万全を期してまいりたいと思っております。
寺前巖
219
○寺前
委員
ところが警察が言っている
内容
を見ると、こういうことを言っていますね。「装薬は
陸上自衛隊
の「小火器射撃
管理
教範」によって、本来は訓練現場の射場で焼却処分することになっている。しかし、この処分し残した装薬を、いったん中隊にトラックで持ち帰り、中隊の中で砲弾から装薬をはがす訓練のために利用。」「訓練のために利用」しているということを言っていますね。「次の演習の際、再び演習場に持って行き再利用したり、処分したりしていたという。 使い残した装薬のこうした運搬は、少なくとも数年前から行われ、隊員たちは装薬が危険である意識もないほどだったという。この教範に反した運搬は普通、鉄製の」云々というふうに書いてあるわけなんですよ。 そうすると、部隊
管理
というのは毎日のことですよ。毎日のことが、細部の問題点はわからぬにしたって、こんな装薬を持って演習をやっているのが警察の調べによってわかってくる。みずからの調べによって何でわからないんだろうか。物騒な話じゃないか。これはみずから問題だといってすぐにメスを入れて、全国的にそこのところに着目した指導をするということをやらないで、そこらじゅう走られたらたまったものじゃない。全然それはわからなかったのか、警察に調べてもらう以外は。どうだったんですか。
米山市郎
220
○米山政府
委員
今、先生お読みになりましたような報道を私も承知をいたしております。 原因につきましては、先ほど申し上げましたように警察の捜査と並行いたしまして、
自衛隊
といたしましても責任を持ってこの原因を徹底的に究明をするという立場で、現在
調査
をいたしております。全国的なものであるか、あるいはこの部隊だけに限るものであるのか、その辺、徹底的に
調査
をするということで今やっております。したがいまして、警察の捜査もまだ完了しない段階で、一々の報道についてのコメントは差し控えさしていただきたいと思いますが、御心配いただくような点、私どもも同じような気持ちで
陸上自衛隊
に対して厳しい
調査
を今指示をしたところでございます。
寺前巖
221
○寺前
委員
それで、その師団の
部長
さんがこう言っている。「一般論として、装薬がトラックに積み込まれることはあり得ない。」あり得ないことが数年前からずっと続いておるとすれば、そんなこともわからぬままにやっておったというのはえらいことですよ。「今回の事故は例外的に積み込まれたものだろう」、全然違う態度です。それと、実態すら知らぬようなことが公然と行われておる。このような事態に対して長官どうお思いになりますか。このままで
調査
、
調査
で済む話でしょうか。認識が全然違うじゃありませんか。師団の一部、ちゃんと新聞に名前も出てます。特殊な例だろう、そんなことはなかっただろう。なかっただろうって言って、片っ方では、警察で調べられたら、数年前からこんなものは当たり前で、危険の意識もなくなったとまで言われておるのですよ。全然そういう自覚がないということになったら恐るべきことで、これは幹部がそういうことを言っているような事態で、野放しで今の指揮系統そのままでよろしいというわけにはいかぬだろう。私は不安ですよ。長官いかがでしょう。
石川要三
222
○
石川国務大臣
この事件が起こったのは、私の記憶が間違いなければ多分五月二十二日ですね。既に一カ月になんなんとするわけでありますが、中間報告が私にございました。そのときにも、私も今の
委員
の感じ方と同じ感じで強い忠告をしておいたわけであります。 いずれにしましても、中間だということでありますからやがて最終報告が私のところに来ると思うわけでありますが、私は、中間の段階ですから細かいことの
内容
についての是非はさておきまして、ただ、そのとき忠告をしておいたのは、要するに人間というものは誤りがあるものだ、完璧ではないんだから誤りがあることも私は決して認めないわけではない、しかし、その誤りがあった場合には潔くその非を認める勇気を持ちなさい、何が原因でどうなったとか、そしてその結果がどうだとか、どうすればどうなるかとか、そういうことを特に幹部としてはよく分析をして対処をする必要があるんじゃなかろうか、いたずらに警察に事件をゆだねて捜査云々ということについてはなかなか理解に苦しむよ、こういうような
趣旨
の強い忠告はしておいたわけであります。 問題は、人間は非があった場合にどう非を認めていくか、そういうことが特に
管理
者としては必要なことではないかな、こんな感じがいたします。
寺前巖
223
○寺前
委員
時間の都合がありますから、次の問題を提起してみたいと思います。 T4ジェット機のエンジントラブルの問題について聞きたいと思います。これは昨年の二月九日、七月の五日、十月の二十一日、浜松基地に配置されているT4ジェット機のエンジントラブルが起こっているわけです。マスコミの諸君たちがこれに気づいてずっと
調査
を始めたところから、十一月十四日に初めて記者会見がなされてそういう事実があったということがわかってきた。ところが、そのマスコミの記者会見の十一月十四日の前に、十一月の十二日に浜松基地
航空
祭というのがあって、T4ジェット機四機のチームによる展示飛行が行われておる。 さて、私は、この浜松のT4ジェット機の
航空
祭といえば、思い起こすのはブルーインパルスのT2機の高等曲技飛行というのですか、それで亡くなられるという事故が浜松で起こった、これは八年ほど前じゃないかと思います。ああいう事故が起こったところ、エンジントラブルが四回も起こっているT4ジェット機をよく黙って基地
航空
祭に引っ張り出したな、これが私には解せないのです。 そして、これは量産体制のエンジンのトラブルであったわけですけれども、その後の十一月三十日になると、これは試作機を大丈夫かなといってわざわざメーカーのところへ戻して、そこで
調査
・点検をして、使ってみたらそのT4機自身がまたエンジントラブルを起こすという事件が起こっているわけです。そこで、その後に十二月になって一斉に総点検、全部飛行停止をやって、そして問題をえぐって一定の
措置
をして、一月になってからT4ジェット機を動かすというような経過が去年一年間に起こっているわけです。 私は、この一連の経過から考えて、このトラブルがずっと続いてこういうふうに起こってきている、量産体制に入った段階からこのT4機がこういうことが起こってくるという段階で、一回のトラブルでも重視しなければならないものが二回、三回と続き、よくぞ人さんの前に
航空
祭だといって出してきたな、私はこれもまた不安ですよ。こんなあり方でいいのか。しかも、国産としての初めての練習機というんですか、ジェット練習機を国産でやってきている以上は、余計慎重に考えなければならない性格のものだった。これは私は、第一線の担当している技術者とか
関係
者は、国産だということで一生懸命だと思うのですよ。それだけに幹部の皆さんが、やはり社会的に見てこれを今飛ばしていいのかどうかという判断をしなかったら、第一線の諸君たちだけを気楽に使って、おい、もっと見ばえようやれよ、そんなことをやっておつたら、私は大変だと思う。幹部の皆さんというのは、私はもっと総合的に、慎重に取り扱ってもらう必要があるのじゃないだろうか、そう思うのですが、このT4機を
航空
祭に引っ張り出したことに対して、後の話か知りませんけれども、あれだけトラブルが起こっていながらああいうことをやった甘さというのを私は感ずるんですが、いかがですか。
鈴木輝雄
224
○鈴木(輝)政府
委員
防衛庁
といたしましては、T4のエンジンにつきまして、御
指摘
のように昨年十月、三回目のふぐあいが発生いたしました後、その原因がタービンのブレード自身の過大な振動によるということが判明いたしましたので、そのエンジンの安全性の確認を目的といたします徹底した点検等を行いました。 若干技術上の専門的な
事項
になって恐縮でございますが、一般に金属と申しますのは疲労強度というものがございまして、一定の回数、一千万回とか一億回とか繰り返し同じ加重をかけましても壊れません。それ以上何回かけましても壊れない、そういう性質がございます。そのような観点から、
航空機
のエンジンが一定の時間使い込みましたものは、その疲労強度の限度内で繰り返されるということから安全であろうという考えから、一定の運転実績を有するエンジンを選びまして、さらに入念に、そのエンジンにつきまして内視鏡によりまして微細なクラック等があるかどうか厳重にチェックいたしましたり、エンジン内の潤滑油につきまして金属の微細な破片等が発見できるかどうか分光分析等をやりましたり、さらに外観上からも入念な異常の有無の確認をいたしましたり、そのような入念な点検をいたしました。 さらに、そのようなエンジンにつきまして地上運転を繰り返しまして、その試験において異常がないというようなことを確認いたしまして、極めて厳密、厳重なチェックによりまして技術的に評価いたしまして、十分に安全であるというものを確認いたしまして、T4機に搭載いたしまして飛行の再開を行ったものでございます。 いずれにいたしましても、
防衛庁
といたしましては、その後振動が発生いたしましても、その振動をあるレベル以下に抑え込みます振動低減機構というようなものを採用いたしまして、このようなふぐあいの再発防止が十分になされていると判断しているところでございます。 先生もおっしゃられましたとおり、その後、ことしの一月九日から、約四十機でございますが飛んでおりまして、事故も出ておりませんし、十分に対策はとり得たと考えております。今後とも、T4機及びそのエンジンの安全の
運用
につきまして万全を期してやっていきたいと考えております。
寺前巖
225
○寺前
委員
私の質問の答弁にはなっていないということを長官はお聞きになったと思います。三回目のトラブルが十月二十一日なんです。ショーが行われたのは十一月十二日なんです。
自衛隊
の中でエンジントラブルが起こっているなということを気づいて、マスコミの皆さんが走り回って会見を求めたのが十四日なんです。その後なんです。そして、その月の十一月三十日に試作機のエンジントラブルがまた起こっているわけです。わざわざ会社まで持っていって
調査
・点検しているものがまたトラブル。そうすると、エンジンの中の振動が非常に問題だった、振動が問題になっていながら、それに対する対応
措置
もしないままに結局ここまで、十二月まで来てしまうのです。トラブルが次々に起こっていながらよくそれを人さんの前にショーだと言って見せたな、私が問題にしているのはそこなんです。だから、一つのことであってももっと慎重に対応すべきだ。そういうときに、ショーで見せたいのはやまやまだろう、特に第一線の諸君たちはそうだろうと私は思うけれども、上の方で、こういうことに対する対応については慎重でなければならない。結果論かもしれませんけれども、これからもあることだから、慎重さを欠いていたのではないかということを私はあえて
指摘
したい。 また、ことしの
予算
の中にT4の
予算
もちゃんと入っています。それだけに、初めて国産で取り組んだものだから、よりよいものに、ちょっとしたことでもよりよい方向に発展させる技術者みんなの気持ちはあるのだろうと私は思うのです。また、第一線でこれをこなしておられる諸君たちの苦労もあるだろうと思うのです。それだけに、指揮官に甘い判断をさせてはならないということを感ずるのですが、長官いかがですか。
石川要三
226
○
石川国務大臣
正直のところ、私は、先ほどのトラックの件は中間報告も受けましたし、私自身もそれなりに検討を加えたわけでありますが、今のT4型のエンジンの故障につきましては、今初めて聞きましたので、何ともコメントいたしかねます。 ただただ言えることは、たとえ飛行機であれ自動車であれ何であれ、再三起こったものについては重々慎重を期さなければいけないし、また、いたずらにただ単に気負った気持ちで、ショーがそういうものかどうかよく知りませんが、もしもそういうことでやったとしたら、これはゆゆしき問題であるし、とにかく一回事故を起こすことは
自衛隊
全体に対する物すごい不信が起こるわけでありますから、信頼がなければ防衛は成り立たないということを再三繰り返して申し上げているとおりでありますから、一つの小さな事故でも万全を期して、一〇〇%事故がないように最善の努力をしなければならない、このような見解だけは持っております。
寺前巖
227
○寺前
委員
最後に、海自の問題について、これは私の選挙区の話でございますので、海自の具体例でお聞きしたいと思います。 二つあるのです。一つは、日本海側の舞鶴のすぐ近所に栗田湾というところがあります。ここに六月一日、六日、きのう十二日、
自衛隊
の舞鶴地方隊というのでしょうか、あそこから
艦船
がやってきた。輸送艦がやってきて、そして、昼間ですが、一日は一隻、昨日のごときは二隻ですが、沖へとまる。そして今度は揚陸訓練をする。こちらの方にカッターで先に上がってきて、ここに着けろというきれを張る、そうしたら猛スピードで海岸に上がってくる、そして船のハッチがあく、そこからばっと出てくる、こういう訓練をやられたわけです。 問題は、聞きたいのは、こういう訓練をやる場合に、漁協の諸君は聞いておったようですが、ここは漁港
区域
で
管理
者は宮津市長ですけれども、
自衛隊
からは何の連絡もありませんと担当の総務
課長
は言っておる。それから、ここは海岸保全地域なんですが、海岸保全地域だったら京都府の所管ですから、ここのところで水産
課長
に聞いたら、全然何の連絡もありませんがということです。
海上自衛隊
はこういう訓練をするときに、そういう港湾の責任者とか保全地域の責任者に許可を得ることなく勝手にどこでも演習をやっておるのかいな、これは一体どういうことだったろうかと、私には解せない話なんで、ひとつ聞きたい。 もう一つは、同じ舞鶴で、あそこの
海上自衛隊
舞鶴地方総監部総監あてに、京都大学農学部附属水産実験所の所長さんの名前で、雁又地区に対
潜ヘリコプター
の基地をつくることについて困るという文書をお出しになっておるようです。 この実験所は大小約九十個の水槽などを備え、種苗生産や若狭湾の底生魚類の生態などの研究に取り組み、ヒラメ、マダイなどの稚魚を中心に飼育している、その東約五百メートルのところにつくろうというのだ。ヘリコプターの離発着やエンジンの調整に伴う
騒音
、振動で、ふ化したばかりの稚魚が驚き、遊泳やえさを食べる行動、成長過程に変化を与えることが十分考えられる。日本海にただ一つのこのような大学の研究
施設
であるだけに、何とかならないのだろうか。 さて、私はここで聞きたいのです。こういう国の大学の研究所が前から存在しておる。今までは隣の
海上自衛隊
の基地との間は非常にいい
関係
で、研究
施設
としての研究がやるれておった。そこへ突如としてこういう五百メートルという範囲内に持ち込まれたときに、これでは困るではないかということを当該の研究
施設
の方から問題提起しておる。これに対して聞く耳なしで進めていかれるのか、そんなものは知ったことではないと。あなたのところの
土地
の中につくるのではない、おれは勝手なところに別につくるのだということでいかれるのか。それとも、それは十分に検討させてもらいましょうということになるのか。そこはどっちなんです。 この二点について聞きたいと思います。
米山市郎
228
○米山政府
委員
私の方からは、まず第一点の栗田湾での離着岸訓練の問題について御答弁申し上げたいと思います。 これは、舞鶴地方隊の輸送艦「のと」が、岸壁のない場合での離着岸の技量の維持向上を図るために行ったものでございます。戦闘のための訓練と申しますよりは、災害派遣等で、岸壁のない場所等へ物資を陸揚げすること等に備えての訓練ということでございます。 そこで、法的な問題でございますが、許可を得ないでできるのかということでございます。海岸法の
規定
によりますと、第七条で「海岸
管理
者以外の者が海岸保全
区域
内において、海岸保全
施設
以外の
施設
又は工作物を設けて当該海岸保全
区域
を占用しようとするときは、」海岸
管理
者の許可を得なければならない。そして第十条では、国または地方公共団体が占用する場合には、占用の許可でなしに協議で足りるという
規定
がございます。 この舞鶴の場合におきましては、まず第七条では、水面及びいわゆる民有地につきましてはまた適用の除外の
規定
もございます、したがいまして、この当該海岸が民有地であると私どもは聞いているわけでございますが、仮に民有地でない場合でありましても、海岸法第十条に基づく協議を要する海岸の占用という事態に当たらないものだということで、
管理
者である地方公共団体に協議を行う必要はないというふうに考えております。 なお、先生の御質問の中にもございましたように、本訓練を実施するに当たりましては、海岸所有者、漁業組合及び
海上
保安庁と事前に調整を行い、了解を得ているわけでございます。 御参考までに、私どもこうした訓練、一切許可を得ないでやっているわけではございませんで、例えば、北海道の浜大樹等で約一週間にわたりまして工作物等を設けて訓練を行うような場合には、地元、地方公共団体への協議を経た上で行っているところでございます。
村田直昭
229
○村田政府
委員
第二点目についてお答えいたします。
平成
二年六月八日付で、先生御
指摘
のとおりの要望書をいただいておることは承知しております。
防衛庁
としましては、舞鶴地区には逐次ヘリコプター搭載
護衛艦
を配備しており、既に二隻を配備しているところでございますが、その
整備
支援
施設
としての飛行場を建設することとしておりまして、
平成
元
年度
には適地
調査
を実施し、その結果、御
指摘
の雁又地区が有力な候補地であるということで選定したわけでございます。その際、雁又地区における環境への影響については
調査
いたしまして、周囲は工業地で民家が少なく、かつ、海側に突出しているという地形上の問題、それから離発着時における飛行経路が
海上
面に設定できるという利点、それから飛行経路を陸地から離れた湾内中央部分に設定することができ、それによる
騒音
等の影響が少ないというような点を判断して、これを有力候補地としたわけでございます。 今後とも、地元、舞鶴市等々の理解を得て所要の手続を進めてまいりたいと考えておりますが、また、せっかくの申し入れもあったことでもありますので、水産実験所長の方からも十分その間の
事情
を伺ってまいりたいと考えております。
寺前巖
230
○寺前
委員
今海自の問題について聞いたのですが、私は納得できないのです。やはりそこらの小さいカッターがやってくるというのと違って、大きな船が海岸へばっと上がってくるんでしょう、ちょっと離れたところから見ると、本当に砂浜のそこのところまでがっと来ると、何事だろうと思いますよ。それが一日は一隻でしたけれども、きのうの場合は二隻だというんでしょう。そんなものを、そこの
関係
しているところの自治体は知らぬわというようなことで済むのかいな。ちょっと協力してくれよとか何か言って当たり前だろう。私は常識的に考えてそう思うんだけれども、これが常時行われておったというんだったら、一定期間占用するんだから、私はこれはちょっと困った話だなというふうに思いますけれどもね。 私は極めて常識的に聞いておるんですけれども、大臣の御見解を聞いて終わります。
石川要三
231
○
石川国務大臣
海自の訓練というのは必要でありますから、私はこれはもう絶対やらなければいけないことだと思うのですけれども、法的なことはちゃんと手続を踏んでいる、ただ問題は、やり方が、常識的なことでもう少しよくPRをすべきことがあったのかなということについては、一つの問題点が残っているのじゃなかろうかと思いますけれども、いずれにしましても、できるだけ理解を求めながら訓練はしっかりやるというのが必要ではないか、こんなふうに私は思います。 それから後段の、これはヘリコプターの
騒音
ではなかろうかと思いますが、これにつきましては、何といっても今私はトラック以外のことを初めて聞いたんですから、いいとも悪いとも言えないことでございますが、これもやはり十二分に理解を求めながらやるべきことではなかろうかと思います。 ただ、先生が前段で、大上段にシビリアンコントロールなんて言っているものですから、何が出てくるかなと思ってびくびくしたんですけれども、やはりこういうことはシビリアンコントロールというよりも、むしろ現場のつかさ、つかさのしっかりした
管理
、監督、指導というものにまつべきもの、かように私は思うわけでございます。
寺前巖
232
○寺前
委員
どうもありがとうございました。
渡辺栄一
233
○
渡辺委員長
次回は、明十四日木曜日午前九時五十分
理事
会、午前十時から
委員
会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十六分散会