○日吉政府
委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、次期防
計画そのものは政府レベルで政府全体として検討をし判断をしなければならないことでございます。したがいまして、
大綱の取り扱いにつきましても当然安保
会議を中心としました政府レベルとして判断、検討がなされることになるわけでございますが、現時点におきます
防衛庁としての考え方を御参考までに申し上げたいと思います。
大綱は、
委員既に御案内のように、
昭和五十一年、すなわちデタントと一般に言われた時期に策定されたものでございまして、その
大綱が前提としております国際情勢につきましては、現象面におきましては現時点と非常に違っております。非常に違っておりますけれども、その
大綱が前提としました国際情勢の物の考え方といいますものは今も適応するのではないかというふうに考えます。
と申しますのは、国際情勢につきまして
大綱が総括して書いておりますことは、核相互抑止を含みます軍事均衡や各般の国際
関係安定化の努力によりまして、全面的な軍事衝突とか大規模な武力紛争が生起する可能性は少ないんだという国際認識に立っております。これは今私はグローバルな観点から申し上げました。また
大綱は、我が国周辺につきまして、今申しましたような大国間の均衡的な
関係、それから
日米安全保障体制の存在というものが我が国に対する本格的な侵略の防止に大きな役割を果たしているということで、大規模な武力紛争あるいは我が国に対する本格的な侵略がない、非常に可能性が少ない、こういう認識に立っております。
したがいまして、我が国が
防衛力を
整備する際にも、一次防から四次防までにおいて、我が国は局地戦においてそれに効果的に対処し得るような
防衛力を持ちたいということで
防衛力を
整備してきたわけでございますけれども、その考え方を改めまして、憲法が認めております自衛権の範囲内で、なおかつ、平時から我が国が独立主権国家として保有すべき基盤的な
防衛力、そういうふうな平和の国際情勢を前提にしてもなお国家として基盤的に持っておるべき
防衛力というものを
整備することを
目標にすべきである、こういう考え方に立っております。したがいまして、この考え方は、当時
防衛庁長官は坂田長官であられたわけでございますが、冷戦または冷戦的な発想からの脱却を意味したものだというようなことを当時発表をされておられます。
そういうようなことでございまして、今考えますと非常に先見性があったといいますか、ある意味では、今日の国際社会を先取りしたような物の考え方で
大綱というものはできているのではないか、かように考えております。したがいまして、次期防を策定するに当たりましても、私どもはこの
大綱の基本的な考え方、基本的な国際情勢の認識というものを前提といたしまして
防衛力整備計画を進めていってもよろしいのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、この点は、冒頭にも申し上げましたように、最終的には安保
会議を中心としました政府全体で御判断をお願いすることだ、かように考えております。