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1990-05-24 第118回国会 衆議院 決算委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成二年五月二十四日(木曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
渡辺
栄一
君
理事
近藤
元次君
理事
志賀 節君
理事
中尾
栄一
君
理事
新村 勝雄君
理事
時崎 雄司君
理事
春田 重昭君 衛藤 晟一君 粕谷 茂君 前田 正君
阿部
未
喜男
君 田並
胤明君
長谷百合子
君
和田
静夫
君 東
祥三
君
寺前
巖君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
総務庁長官
)
塩崎
潤君 国 務 大 臣 (
北海道開発庁
長官
) (
沖縄開発庁長
官)
砂田
重民君
出席政府委員
総務庁長官官房
審議官
杉浦 力君
総務庁長官官房
会計課長
大橋 豊彦君
総務庁行政管理
局長
百崎 英君
総務庁行政監察
局長
鈴木 昭雄君
青少年対策本部
次長
福田
昭昌
君
北海道開発庁
総
務監理官
松野 一博君
沖縄開発庁総務
局長
藤田
康夫君
沖縄開発庁総務
局会計課長
山城 勉君
沖縄開発庁振興
局長
水谷 文彦君
大蔵大臣官房審
議官
中島 公明君
大蔵大臣官房審
議官
西村
吉正
君
大蔵省関税局長
瀧島 義光君
大蔵省国際金融
局次長
江沢
雄一
君
国税庁調査査察
部長
龍宝
惟男君
厚生省生活衛生
局長
目黒 克己君
厚生省薬務局長
北郷 勲夫君
自治大臣官房総
務審議官
芦尾
長司
君
委員外
の
出席者
警察庁刑事局保
安
部生活経済課
長 篠原 弘志君
北海道開発庁
総
務課長
三浦
琢右
君
環境庁企画調整
局環境影響審査
課長
橋本善太郎
君
環境庁自然保護
局企画調整課
自 然
環境調査室長
鹿野 久男君
国土庁土地局土
地利用調整課長
大日向寛畝
君
法務大臣官房審
議官
堀 雄君
法務省人権擁護
局人権擁護管理
官
門阪
宗遠君
外務省北米局安
全
保障課長
重家
俊範君
外務省欧亜局ソ
ヴィエト連邦課
長 東郷 和彦君
大蔵省主計局司
計
課長
設楽 岩久君
大蔵省主計局主
計官 松谷 明彦君
大蔵省主計局主
計官 林 正和君
文部省初等中等
教育局小学校課
長
近藤
信司
君
文部省体育局学
校健康教育課長
石川 晋君
厚生省保健医療
局精神保健課長
篠崎 英夫君
通商産業省貿易
局輸出課長
鹿島幾三郎
君
運輸省航空局飛
行場部計画課長
小坂 英治君
建設省都市局
都 市再
開発課長
安達常太郎
君
建設省住宅局住
宅総務課長
今泉
浩紀
君
建設省住宅局住
宅政策課長
五十嵐健之
君
建設省住宅局民
間住宅課長
小川 忠男君
会計検査院事務
総局
第一
局長
疋田
周朗
君
会計検査院事務
総局
第三
局長
川崎 恒夫君
会計検査院事務
総局
第五
局長
安部 彪君
北海道東北開発
公庫総裁
吉岡 孝行君
沖縄振興開発金
融公庫理事長
藤仲
貞一君 参 考 人 (
住宅
・
都市整
備公団理事
)
佐藤
和男
君 参 考 人 (
住宅
・
都市整
備公団理事
)
片山
正夫
君 ─────────────
委員
の異動 四月二十六日
辞任
補欠選任
阿部
未
喜男
君
井上
普方君 同日
辞任
補欠選任
井上
普方君
阿部
未
喜男
君 同月二十七日
辞任
補欠選任
阿部
未
喜男
君
井上
一成
君
長谷百合子
君
藤田
高敏
君 東
祥三
君
市川
雄一
君 同日
辞任
補欠選任
井上
一成
君
阿部
未
喜男
君
藤田
高敏
君
長谷百合子
君
市川
雄一
君 東
祥三
君 五月九日
辞任
補欠選任
不破 哲三君
寺前
巖君 同月二十四日
辞任
補欠選任
阿部
未
喜男
君
和田
静夫
君 同日
辞任
補欠選任
和田
静夫
君
阿部
未
喜男
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
昭和
六十二
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
六十二
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
六十二
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
六十二
年度
政府関係機関決算書
昭和
六十二
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
昭和
六十二
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
昭和
六十三
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
六十三
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
六十三
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
六十三
年度
政府関係機関決算書
昭和
六十三
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
昭和
六十三
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
〔
総理府所管
(
総務庁
、
北海道開発庁
、
沖縄開発庁
)、
北海道東北開発公庫
、
沖縄振興開発金融公庫
〕 ────◇─────
渡辺栄一
1
○
渡辺委員長
これより
会議
を開きます。
昭和
六十二
年度
決算外
二件及び
昭和
六十三
年度
決算外
二件を一括して議題といたします。 本日は、
総理府所管
中、
総務庁
、
北海道開発庁
、
沖縄開発庁並び
に
北海道東北開発公庫
、
沖縄振興開発金融公庫
について
審査
を行います。 この際、お諮りいたします。
本件審査
のため、本日、
参考人
として
住宅
・
都市整備公団理事佐藤和男
君及び同
理事片山正夫
君の
出席
を求め、意見を聴取したいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺栄一
2
○
渡辺委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ─────────────
渡辺栄一
3
○
渡辺委員長
次に、
塩崎国務大臣
及び
砂田国務大臣
の
概要説明
、
会計検査院
の
検査概要説明
、続いて、
北海道東北開発公庫当局
及び
沖縄振興開発金融公庫当局
の
概要説明
、
会計検査院
の
検査概要説明
を求めるのでありますが、これを省略し、本日の
委員会議録
に掲載いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺栄一
4
○
渡辺委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ─────────────
昭和
六十二
年度
総務庁関係歳出決算
の
概要説明
総務庁
昭和
六十二
年度
における
総務庁関係
の
歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。 まず、
昭和
六十二
年度
の当初
歳出予算額
は、一兆七千八百八十二億四千二百三十四万円余でありましたが、これに
予算補正追加額
四億五千三十一万円余、
予算補正修正減少額
三億九千三百八十五万円余、前
年度
からの
繰越額
六百八十七億六十三百五十三万円余を増減いたしますと、
昭和
六十二
年度
歳出予算
現額は、一兆八千五百七十億六十二百三十五万円余となります。この
予算
現額に対し
支出済歳出額
は、一兆八千四十七億八千二十六万円余、翌
年度繰越額
は、五百二十億九千五百十四万円余、
不用額
は、一億八千六百九十四万円余となっております。
最後
に、翌
年度繰越額
と
不用額
について御
説明
いたしますと、翌
年度繰越額
は、
恩給費
でありまして、これは
文官等恩給
及び旧
軍人遺族等恩給
の
請求
の
遅延
及び
支給事務
の
処理
に当たっての
調査確認
に
不測
の
日数
を要したため、
年度内
に
支出
を終わらなかったものであります。 また、
不用額
は、
人件費
を要することが少なかったこと等のため、
不用
となったものであります。 以上をもちまして、
決算
の
概要説明
を終わります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願いいたします。
昭和
六十三
年度
総務庁関係歳出決算
の
概要説明
総務庁
昭和
六十三
年度
における
総務庁関係
の
歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。 まず、
昭和
六十三
年度
の当初
歳出予算額
は、一兆七千七百七十四億一千五百四十万円余でありましたが、これに
予算補正追加額
十一億三千二百八十三万円余、
予算補正修正減少額
三億七千四百六十二万円余、前
年度
からの
繰越額
五百二十億九千五百十四万円余を増減いたしますと、
昭和
六十三
年度
歳出予算
現額は、一兆八千三百二億六千八百七十五万円余となります。この
予算
現額に対し、
支出済歳出額
は、一兆七千七百八十一億六千七百二十二万円余、翌
年度繰越額
は、五百十七億一千四百二万円余、
不用額
は、三億八千七百五十万円余となっております。
最後
に、翌
年度繰越額
と
不用額
について御
説明
いたしますと、翌
年度繰越額
は、
恩給費
でありまして、これは
文官等恩給
及び旧
軍人遺族等恩給
の
請求
の
遅延
及び
支給事務
の
処理
に当たっての
調査確認
に
不測
の
日数
を要したため、
年度内
に
支出
を終わらなかったものであります。 また、
不用額
は、
人件費
を要することが少なかったこと等のため、
不用
となったものであります。 以上をもちまして、
決算
の
概要説明
を終わります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願いいたします。 …………………………………
昭和
六十二
年度
決算総務庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十二
年度
総務庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。
昭和
六十三
年度
決算総務庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十三
年度
総務庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 ─────────────
昭和
六十二
年度
北海道開発庁決算
の
概要説明
北海道開発庁
昭和
六十二
年度
における
北海道開発庁
の
決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
北海道開発庁
は、
北海道総合開発計画
について
調査
・立案し、及びこれに基づく
事業
の
実施
に関する
事務
の
調整
・
推進
を主たる
任務
としております。 当庁に計上されている
経費
は、
北海道開発事業費
、
北海道開発計画費
、
一般行政費等
でありますが、このうち
開発事業費
につきましては、
総合開発
の効果的な
推進
を期するため一括計上されているものでありまして、
治山治水対策
・
道路整備
・
港湾漁港空港整備
・
農業基盤整備等
の
事業費
であります。 これら
開発事業
の
執行
に当たりましては、
関係各省所管
の
一般会計
への
移替え
又は
特別会計
への
繰り入れ
の
措置
を講じ、
直轄事業
については
北海道開発局
、
補助事業
については道・
市町村
などが
実施
に当たっているものであります。
昭和
六十二
年度
の当初
予算額
は六千七百八十五億二千三百七十三万円余でありましたが、これに
予算補正追加額
一千百四十八億七千九十四万円余、
予算補正修正減少額
一億二千二百三十四万円余、
予算
移替
増加額
三千五百二十七万円余、
予算
移替
減少額
二千三百六十四億五千八百八十六万円余、前
年度繰越額
二億一千五百九十九万円余を増減いたしますと、
昭和
六十二
年度
歳出予算
現額は五千五百七十億六千四百七十四万円となります。 この
歳出予算
現額に対し、
支出済歳出額
は五千五百六十四億四千六百八十四万円余、翌
年度繰越額
三千八百三十万円余でありまして、その
差額
五億七千九百五十八万円余は、
不用額
であります。 次に、
開発事業
の
執行
のため、
関係各省所管
への
移替え
及び繰入れの
状況
を申し上げますと、
移替え
た額は、
厚生省所管
へ一億一千七百五十万円、
農林水産省所管
へ一千五百八十八億一千八百六十二万円余、
運輸省所管
へ七億三千三百九十万円余、
建設省所管
へ七百六十七億八千八百八十三万円余、
合計
二千三百六十四億五千八百八十六万円余であります。 また、
特別会計
への繰入れとして
支出
した額は、
農林水産省所管
の
国有林野事業特別会計
へ百四十二億六千五百二十五万円余、
農林水産省所管
の
国営土地改良事業特別会計
へ七百八十八億二千二百十六万円余、
運輸省所管
の
港湾整備特別会計
へ五百三十億二千九百五十八万円余、
運輸省所管
の
空港整備特別会計
へ九十億二千七十八万円余、
建設省所管
の
治水特別会計
へ一千四十六億百五十三万円余、
建設省所管
の
道路整備特別会計
へ二千二百二十八億五千二百四十六万円、
合計
四千八百二十五億九千百七十七万円余であります。 次に、その他の
経費
の
支出
につきましては、
北海道開発庁
の
一般行政費
百九十二億二千二十六万円余、
北海道開発計画費
一億三百四万円余、
北海道開発事業指導監督費
三億七千六百二十万円余、
北海道開発事業
の各
工事諸費
五百四十億六千九百七十九万円余、
北海道特定開発事業推進調査費
五千四十九万円余、
科学技術振興調整費
一千五百三十九万円余、
国立機関公害防止等試験研究費
一千七百四十二万円余、
災害対策総合推進調整費
二百四十四万円余であります。 以上、
北海道開発庁
の
決算概要
を御
説明
申し上げましたが、何とぞよろしく御
審議
のほどをお願いいたします。
昭和
六十三
年度
北海道開発庁決算
の
概要説明
北海道開発庁
昭和
六十三
年度
における
北海道開発庁
の
決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
北海道開発庁
は、
北海道総合開発計画
について
調査
・立案し、及びこれに基づく
事業
の
実施
に関する
事務
の
調整
・
推進
を主たる
任務
としております。 当庁に計上されている
経費
は、
北海道開発事業費
、
北海道開発計画費
、
一般行政費等
でありますが、このうち
開発事業費
につきましては、
総合開発
の効果的な
推進
を期するため一括計上されているものでありまして、
治山治水対策
・
道路整備
・
港湾漁港空港整備
・
農業基盤整備等
の
事業費
であります。 これら
開発事業
の
執行
に当たりましては、
関係各省所管
の
一般会計
への
移替え
又は
特別会計
への
繰り入れ
の
措置
を講じ、
直轄事業
については
北海道開発局
、
補助事業
については道・
市町村
などが
実施
に当たっているものであります。
昭和
六十三
年度
の当初
予算額
は六千八百七十九億三千九百十八万円余でありましたが、これに
予算補正追加額
四十七億四百二十四万円余、
予算補正修正減少額
一億一千八百六十三万円余、
予算
移替
増加額
四千二百八十四万円余、
予算
移替
減少額
二千八億五百二十三万円余、前
年度繰越額
三千八百三十万円余、
予備費使用額
一億三千九百六十二万円余を増減いたしますと、
昭和
六十三
年度
歳出予算
現額は四千九百十九億四千三十三万円余となります。 この
歳出予算
現額に対し、
支出済歳出額
は四千九百九億九千三百三十六万円余、翌
年度繰越額
六億五千八百十万円余でありまして、その
差額
二億八千八百八十六万円余は、
不用額
であります。 次に、
開発事業
の
執行
のため、
関係各省所管
への
移替え
及び繰入れの
状況
を申し上げますと、
移替え
た額は、
厚生省所管
へ七千九百二十万円、
農林水産省所管
へ一千二百九十二億五百六十二万円、
運輸省所管
へ六億二千四百七十九万円余、
建設省所管
へ七百八億九千五百六十二万円余、
合計
二千八億五百二十三万円余であります。 また、
特別会計
への繰入れとして
支出
した額は、
農林水産省所管
の
国有林野事業特別会計
へ百二十三億八千四百二十二万円余、
農林水産省所管
の
国営土地改良事業特別会計
へ七百八十二億二千六十五万円余、
運輸省所管
の
港湾整備特別会計
へ四百十七億六千三百八十八万円余、
運輸省所管
の
空港整備特別会計
へ八十五億五千九百五十二万円余、
建設省所管
の
治水特別会計
へ八百四十八億九千八百六十五万円余、
建設省所管
の
道路整備特別会計
へ一千九百十一億八千五百九十二万円、
合計
四千百七十億一千二百八十六万円余であります。 次に、その他の
経費
の
支出
につきましては、
北海道開発庁
の
一般行政費
百七十四億六千八百三十三万円余、
北海道開発計画費
一億三百三万円余、
北海道開発事業指導監督費
三億七千六百六十三万円余、
北海道開発事業
の各
工事諸費
五百五十八億九千九百八十九万円余、
北海道特定開発事業推進調査費
八千九百九十九万円余、
科学技術振興調整賢
二千九百八十九万円余、
国立機関公害防止等試験研究費
一千二百七十万円余であります。 以上、
北海道開発庁
の
決算概要
を御
説明
申し上げましたが、何とぞよろしく御
審議
のほどをお願いいたします。 …………………………………
昭和
六十二
年度
決算北海道開発庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十二
年度
北海道開発庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。
昭和
六十三
年度
決算北海道開発庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十三
年度
北海道開発庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を御
説明
いたします。
検査報告
に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき
当局
において改善の
処置
を講じた
事項
一件であります。 これは、
防波堤工事等
に使用する
作業船
の
回航費
の
積算
に関するものであります。
北海道開発局
では、
港湾施設
の
整備
のため
防波堤
、
岸壁等
の築造・
改良
、
浚渫等
の
工事
を毎年多数
実施
しておりますが、これら
工事
に使用する
作業船
の
回航費
に係る
積算要領
において、
作業船
の
ぎ装
及び
回航
の実態が近年変化しているのにその
調査検討
が十分でなかったため、
ぎ装
及び
回航
における
乗組員
の
賃金等
の
積算額
が過大になっていると認められましたので、
当局
の見解をただしましたところ、
北海道開発局
では、
積算要領
を改訂し、
乗組員
の
賃金等
の
算定方法
を適正なものにする
処置
を講じたものであります。 以上、簡単でございますが
説明
を終わります。 ─────────────
昭和
六十二
年度
沖縄開発庁歳出決算
の
概要説明
沖縄開発庁
昭和
六十二
年度
における
沖縄開発庁
の
歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
いたします。
沖縄開発庁
の
歳出予算
現額は、一千五百十二億二千七百二十九万円余でありまして、このうち、
支出済歳出額
は、一千四百四十九億六千三万円余、翌
年度
へ繰り越した額は、六十一億三千六百七十二万円余、
不用
となった額は、一億三千五十四万円余であります。 まず、
歳出予算
現額につきましては、当初
予算額
二千百三億八千九十万円余、
予算補正追加額
三百四十六億二千二百四十五万円、
予算補正修正減少額
四千七百六十一万円、
予算
移替
増加額
八十二万円余、
予算
移替
減少額
九百七十七億六千六百四十一万円余、前
年度繰越額
四十億三千七百十三万円余を増減しまして、一千五百十二億二千七百二十九万円余となったものであります。
支出済歳出額
の主なものは、
沖縄
の
振興開発
のための
財源
として、
治水特別会計
、
国有林野事業特別会計
、
道路整備特別会計
、
港湾整備特別会計
、
空港整備特別会計
及び
国営土地改良事業特別会計
へ
繰り入れ
た
経費
一千百八十九億六千四百九十三万円であります。 次に、翌
年度
へ繰り越した額六十一億三千六百七十二万円余は、
補償処理
の困難、
用地
の
関係等
により
事業
の
実施
に
不測
の
日数
を要したため、
道路整備特別会計等
への繰入れが
年度内
に完了しなかったことによるものであります。 また、
不用
となった一億三千五十四万円余は、
港湾整備特別会計
へ繰
入等
の
必要額
が
予定
を下回ったこと等により生じたものであります。 以上をもちまして
昭和
六十二
年度
沖縄開発庁
の
決算
の
概要説明
を終わります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願いいたします。
昭和
六十三
年度
沖縄開発庁歳出決算
の
概要説明
沖縄開発庁
昭和
六十三
年度
における
沖縄開発庁
の
歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
いたします。
沖縄開発庁
の
歳出予算
現額は、一千四百五十五億六千七百八十二万円余でありまして、このうち、
支出済歳出額
は、一千三百九十七億三千九百二十三万円余、翌
年度
へ操の越した額は、五十七億八千百九十二万円余、
不用
となった額は、四千六百六十五万円余であります。 まず、
歳出予算
現額につきましては、当初
予算額
二千百四十五億四千七百七十二万円余、
予算補正追加額
百五億九千八百二十一万円余、
予算補正修正減少額
六千六十六万円余、
予算
移替
増加額
八十二万円余、
予算
移替
減少額
八百五十六億五千五百万円余、前
年度繰越額
六十一億三千六百七十二万円余を増減しまして、一千四百五十五億六千七百八十二万円余となったものであります。
支出済歳出額
の主なものは、
沖縄
の
振興開発
のための
財源
として、
治水特別会計
、
国有林野事業特別会計
、
道路整備特別会計
、
港湾整備特別会計
、
空港整備特別会計
及び
国営土地改良事業特別会計
へ
繰り入れ
た
経費
一千四十七億三千三百三十五万円余であります。 次に、翌
年度
へ繰り越した額五十七億八千百九十二万円余は、
補償処理
の困難、
用地
の
関係等
により
事業
の
実施
に
不測
の
日数
を要したため、
道路整備特別会計等
への繰入れが
年度内
に完了しなかったことによるものであります。 また、
不用
となった四千六百六十五万円余は、
赴任旅費
の
必要額
が
予定
を下回ったこと等により生じたものであります。 以上をもちまして
昭和
六十三
年度
沖縄開発庁
の
決算
の
概要説明
を終わります。何とぞよろしく御
審議
のほどお願いいたします。 …………………………………
昭和
六十二
年度
決算沖縄開発庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十二
年度
沖縄開発庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。
昭和
六十三
年度
決算沖縄開発庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十三
年度
沖縄開発庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 ─────────────
昭和
六十二
年度
決算
の
概要
北海道東北開発公庫
北海道東北開発公庫
の
昭和
六十二
年度
決算
について、
概要
をご
説明
申し上げます。 当
公庫
の
昭和
六十二
年度
の
事業計画
は、当初、総額一千三百五十億円の出融資(うち貸付金一千三百三十七億円、出資金十三億円)を
予定
しておりましたが、無利子貸付制度の創設及び資金需要の変動に伴い、二百六十九億円の追加が認められましたので、最終的には、総額一千六百十九億円の出融資(うち貸付金一千六百十三億六千五百万円、出資金五億三千五百万円)となりました。これに対し、実績は、貸付金一千五百三億二千五百万円、出資金五億三千五百万円で、
昭和
六十二
年度
の出融資
合計
は、一千五百八億六千万円となり、前
年度
実績を上回りました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金五十億円、政府借入金三百六十八億六千万円、債券発行による収入五百七十二億七千四百二十万円及び自己資金等五百十七億二千五百八十万円、
合計
一千五百八億六千万円をもってこれにあてました。 次に、
昭和
六十二
年度
の収入・
支出
の
状況
をご
説明
いたしますと、収入済額は、収入
予算額
六百二十四億八十一万円余に対し六百三十億八千六百九十七万円余、
支出
済額は、
支出
予算額
五百九十九億一千七万円余に対し五百九十五億九百二十八万円余でありました。 また、
昭和
六十二
年度
の損益
状況
でございますが、貸付金利息収
入等
の益金総額が六百四十七億三千六百三十一万円余、支払利息、
事務
費等の損金総額が、貸倒引当金
繰り入れ
前で五百九十九億六千三百七十九万円余となり、
差額
四十七億七千二百五十一万円余を、全額貸倒引当金に
繰り入れ
たため、利益金は生じませんでした。 さらに、
昭和
六十二
年度
末における資産負債の
状況
をご
説明
いたしますと、主な資産は、貸付金八千百四十五億七千四百五十七万円余、出資金百八億二千四百万円、主な負債は、政府借入金二千六百三十七億二千五百九十九万円余、債券発行高五千一百十億七千九百二十万円、貸倒引当金四十七億七千二百五十一万円余であります。また、政府出資金は四百十七億円であります。 なお、
昭和
六十二
年度
末における貸付金のうち弁済期限を六ヶ月以上経過したものは、九十二億八千百八万円余でありまして、これは貸付金残高に対して一・一パーセントになっております。 以上、
昭和
六十二
年度
北海道東北開発公庫
の
決算概要
をご
説明
申し上げましたが、何とぞよろしくご
審議
のほどお願いいたします。
昭和
六十二
年度
決算
の
概要
北海道東北開発公庫
北海道東北開発公庫
の
昭和
六十三
年度
決算
について、
概要
をご
説明
申し上げます。 当
公庫
の
昭和
六十三
年度
の
事業計画
は、当初、総額一千六百四十八億円の出融資(うち貸付金一千六百三十五億円、出資金十三億円)を
予定
しておりました。これに対し、実績は、貸付金一千四百九十九億九百万円、出資金三億八千五百万円で、
昭和
六十三
年度
の出融資
合計
は、一千五百二億九千四百万円となり、前
年度
実績に比較し、〇・四パーセントの減少となりました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金五十億円、政府借入金六百二十九億九千四百万円、債券発行による収入五百二十六億六千五百万円及び自己資金等二百九十六億三千五百万円、
合計
一千五百二億九千四百万円をもってこれにあてました。 次に、
昭和
六十三
年度
の収入・
支出
の
状況
をご
説明
いたしますと、収入済額は、収入
予算額
五百三十四億四千十七万円余に対し五百七十五億四千八百二十四万円余、
支出
済額は、
支出
予算額
五百七十二億四千三百九十八万円余に対し五百六十七億四千七百二十八万円余でありました。 また、
昭和
六十二
年度
の損益
状況
でございますが、貸付金利息収
入等
の益金総額が六百十八億三千百四十二万円余、支払利息、
事務
費等の損金総額が、貸倒引当金
繰り入れ
前で五百七十三億八千二百四十九万円余となり、
差額
四十四億四千八百九十三万円余を、全額貸倒引当金に
繰り入れ
たため、利益金は生じませんでした。 さらに、
昭和
六十三
年度
末における資産負債の
状況
をご
説明
いたしますと、主な資産は、貸付金八千三百八十億九百三十一万円余、出資金百十二億九百万円、主な負債は、政府借入金二千八百三十六億九千七百十九万円余、債券発行高五千二百三十億四千万円、貸倒引当金四十四億四千八百九十三万円余であります。また、政府出資金は四百六十七億円であります。 なお、
昭和
六十三
年度
末における貸付金のうち弁済期限を六ヶ月以上経過したものは、八十億五千九百四十六万円余でありまして、これは貸付金残高に対して一・〇パーセントになっております。 以上、
昭和
六十三
年度
北海道東北開発公庫
の
決算概要
をご
説明
申し上げましたが、何とぞよろしくご
審議
のほどお願いいたします。 …………………………………
昭和
六十二
年度
決算
北海道東北開発公庫
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十二
年度
北海道東北開発公庫
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。
昭和
六十三
年度
決算
北海道東北開発公庫
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十三
年度
北海道東北開発公庫
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 ─────────────
昭和
六十二
年度
沖縄振興開発金融公庫
の業務概況
沖縄振興開発金融公庫
沖縄振興開発金融公庫
の
昭和
六十二
年度
の業務の概況につきまして、御
説明
申し上げます。
沖縄振興開発金融公庫
は、
沖縄
における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、
沖縄
の国民大衆、
住宅
を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって
沖縄
における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。
昭和
六十二
年度
の
事業計画
は、貸付として千二百億円、出資として五千万円、
合計
千二百億五千万円を
予定
しておりました。 この計画に対する実績は、貸付契約額が千百九十九億九千万円余でありまして、出資が五千万円、
合計
千二百億四千万円余となっております。 次に、貸付残高について御
説明
申し上げます。
昭和
六十一
年度
末の貸付残高は八千百五十八億七千万円余でありましたが、
昭和
六十二
年度
中に貸付けを千二百八億七千万円余行い、回収が千四十六億七千万円余ありましたので、
昭和
六十二
年度
末においては八千三百二十億七千万円余となっております。 なお、貸付金の延滞
状況
につきましては、
昭和
六十二
年度
末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は百十三億一千万円余でありまして、このうち一年以上のものは百一億四千万円余となっております。 次に、
昭和
六十二
年度
の収入・
支出
の
決算
について御
説明
申し上げます。 収入済額は五百九十二億円余でありまして、これを収入
予算額
五百七十四億九千万円余に比較いたしますと十七億円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収
入等
が
予定
より多かったためであります。
支出
済額は五百七十六億四千万円余でありまして、これを
支出
予算額
五百八十六億七千万円余に比較いたしますと十億二千万円余の減少となっております。これは、借入金利息等が
予定
より少なかったためであります。
最後
に、
昭和
六十二
年度
における損益計算について御
説明
申し上げます。 貸付金利息等の総利益は六百六億二千万円余、借入金利息等の総損失は六百五億一千万円余となり、差引き一億一千万円余の利益金を生じました。 この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、
沖縄振興開発金融公庫
法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。 以上が
昭和
六十二
年度
における
沖縄振興開発金融公庫
の業務の概況であります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願い申し上げます。
昭和
六十三
年度
沖縄振興開発金融公庫
の業務概況
沖縄振興開発金融公庫
沖縄振興開発金融公庫
の
昭和
六十三
年度
の業務概況につきまして、御
説明
申し上げます。
沖縄振興開発金融公庫
は、
沖縄
における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、
沖縄
の国民大衆、
住宅
を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって
沖縄
における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。
昭和
六十三
年度
の
事業計画
は、貸付として千三百十二億円、出資として三億円、
合計
千三百十五億円を
予定
しておりました。 この計画に対する実績は、出資については実績がなく、貸付契約額が千三百九億九千万円余となっております。 次に、貸付残高について御
説明
申し上げます。
昭和
六十二
年度
末の貸付残高は八千三百二十億七千万円余でありましたが、
昭和
六十三
年度
中に貸付けを千三百二十四億四千万円余行い、回収が九百七十七億六千万円余ありましたので、
昭和
六十三
年度
末においては八千六百六十七億五千万円余となっております。 なお、貸付金の延滞
状況
につきましては、
昭和
六十三
年度
末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は九十七億八千万円余でありまして、このうち一年以上のものは九十二億二千万円余となっております。 次に、
昭和
六十三
年度
の収入・
支出
の
決算
について御
説明
申し上げます。 収入済額は五百八十二億七千万円余でありまして、これを収入
予算額
五百七十三億三千万円余に比較いたしますと九億四千万円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収
入等
が
予定
より多かったためであります。
支出
済額は五百七十二億五千万円余でありまして、これを
支出
予算額
五百七十八億六千万円余に比較いたしますと六億円余の減少となっております。これは、借入金利息等が
予定
より少なかったためであります。
最後
に、
昭和
六十三
年度
における損益計算について御
説明
申し上げます。 貸付金利息等の総利益は六百十億八千万円余、借入金利息等の総損失は六百九億三千万円余となり、差引き一億四千万円余の利益金を生じました。 この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、
沖縄振興開発金融公庫
法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。 以上が
昭和
六十三
年度
における
沖縄振興開発金融公庫
の業務の概況であります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願い申し上げます。 …………………………………
昭和
六十二
年度
決算
沖縄振興開発金融公庫
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十二
年度
沖縄振興開発金融公庫
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を御
説明
いたします。
検査報告
に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき
当局
において改善の
処置
を講じた
事項
一件であります。 これは、マンション購入資金の貸付けを受けて購入したマンションの第三者への賃貸等の防止に関するものであります。
沖縄振興開発金融公庫
では、
沖縄
県において自ら居住するために民間業者が新築したマンションを購入する者に対する資金の貸付けに当たり、貸付決定を除く貸付け、管理、回収等の業務を金融機関に委託して貸付ける代理貸付けの方法により行っておりますが、借入者は、自ら居住するという貸付条件に違反し、
公庫
から貸付金の返済の
請求
を受けたときには、直ちにその全額を償還しなければならないこととなっております。 今回、この貸付けを受けて購入したマンションの居住
状況
を実地に
調査
いたしましたところ、借入者の不誠実にもよりますが、
公庫
及び受託金融機関におきまして、
審査
が十分でなかったり、貸付後の居住
状況
の把握をしていなかったり、また、貸付契約の内容が借入者の不誠実な行為を十分抑制するものになっていなかったことなどにより、借入者が、貸付対象マンションを第三者に賃貸または譲渡していたり、会社
事務
所等として使用していたりしているものが、五十八
年度
から六十二
年度
の貸付分で八十件、貸付金額で六億九千四百二十万円見受けられましたので、速やかに、その防止を図るよう体制を
整備
する要があると認められました。 この点について
当局
の見解をただしましたところ、
沖縄振興開発金融公庫
では、不適切な貸付け八十件について繰上償還の
措置
を講ずるとともに、六十三年十月、受託金融機関に対し通達等を発して適切な
審査
を行うこととし、また、貸付後の居住
状況
の実態
調査
について受託金融機関に対し具体的な指示を行ったほか、貸付契約に違約金の制度を採り入れるなどの
処置
を講じたものであります。 以上、簡単でございますが
説明
を終わります。
昭和
六十三
年度
決算
沖縄振興開発金融公庫
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
六十三
年度
沖縄振興開発金融公庫
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 ─────────────
渡辺栄一
5
○
渡辺委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
新村勝雄
6
○新村
委員
まず初めに、
沖縄
の問題について大臣にお伺いをいたします。
沖縄
の問題は、
沖縄
開発でありますけれども、ほかの地域の開発あるいは地域政策とはおのずから異なる歴史的なもの、そして心構えが必要だと思います。というのは、申し上げるまでもなく、
沖縄
は太平洋戦争において日本の国土の中で唯一の地上戦の修羅場になったという事実がございます。これは言うまでもなく、あの方々の郷土がそっくり戦場になったわけでありまして、その悲惨さ、
沖縄
の方々がこうむった物質的な精神的な被害は、これはとてもはかり知ることのできない大きなものであったと思います。そういうことからいたしまして、これは日本国として、
沖縄
の方々に対する、その被害に対する償い、これを将来ともに他の地域とは異なる考え方と決意を持ってやっていかなければいけないと思います。 太平洋戦争の末期においてあそこが日米両国の決戦場になった、そのことによって当時の住民の約半数ぐらいは死傷、死亡あるいは負傷したと言われておるわけであります。しかも、
沖縄
県民の方々は
最後
まで日本の当時の戦争の大義を信じ、国に殉ずるという考え方で
最後
まで奮闘されたわけであります。これに対して、当時の知事あるいは軍司令官も、
沖縄
の方々のこの奮闘ぶり、
沖縄
の方々のこの
状況
については日本国政府も十分これを認識をされ、今後とも
沖縄
についてはよろしく頼む、こういうことを遺言をして、知事あるいは軍司令官もあの地で死んでいったというようなことがあるわけですね。それからさらに、戦後においても日本の基地の大部分を
沖縄
が背負っているという事実もあるわけでありまして、戦中だけではなくて戦後における
沖縄
の皆さん方の苦難というか負担というか、これは、これまた内地の者にははかり知れない負担を負ってもらっているわけでありますから、そういうことに対する政府としての責任あるいは
沖縄
の皆さん方に対する償いといいますか、そういうことについての心構えが、
沖縄
のすべての施策に対して、その下敷き、基礎になっていなければいけないと思うのです。 そういう点で、まず、
沖縄
の開発を担当されている大臣として、そういう戦争の被害、これは言うまでもなく日本国の政府、当時の大日本帝国の政府の責任において戦争を始めたわけでありまして、国の責任において戦争を始め、国の責任においてあのような惨害をあの
沖縄
に対して及ぼしたわけであります。そのことに対する反省が常に
沖縄
の行政になければならないと思うのでありますけれども、そういう点についての大臣の基本的なお考えをまず伺いたいと思います。
砂田重民
7
○
砂田国務大臣
新村
委員
にお答えをいたします。
沖縄
県が持っております特殊事情というものを、私も同じ認識を持つものでございます。本土と違いまして、唯一、大戦のときの戦場となった
沖縄
県でございまして、幾多の悲惨な歴史的な事実があるわけでございます。
沖縄
県民の受けました心の傷というものはそう簡単に消えるものではございません。当然のことでございます。そしてまた、
昭和
二十六年にサンフランシスコ平和条約によっていわば日本国は独立の第一歩を踏み出したわけでございますけれども、それから
昭和
四十七年に至りますまで、
沖縄
県は米国の施政権下にあったわけでございます。
昭和
二十六年から復興のために国民の皆さんもこの貧乏から抜け出そうという大変な決意を持って働き始められ、政府もまた各様の社会資本の
整備
に
昭和
二十六年をスタートに始まったと言っていいかと思いますけれども、
沖縄
県はそうはまいりませんでした。
昭和
四十七年に待望の復帰を果たして、それからやっと
沖縄
の産業を、
沖縄
の生活を、
沖縄
の社会資本の充実を
昭和
四十七年から始めたわけでございますから、大変なハンディをしょっておられるわけでございます。復帰のときに政府も
沖縄
県、県民の皆さんに対する支援に重大な決意を固めまして、多くのことを申し上げる時間的余裕はないかと思いますけれども、各様の復帰の
措置
がその政府の決心を物語っていたと申し上げていいかと思います。 当時は、例えば為替は三百八円でございましたけれども、
沖縄
県民の皆さんに対するこれの交換は三百六十円といういわば超法規的な
措置
をとりましたり、
沖縄
振興開発
特別
措置
法の中に盛り込まれました各様の社会資本
整備
のための他の府県とは異なる特別の
措置
、これらのことを復帰のときに政府として決めましたことも、
沖縄
県民の皆様方の自立を目的といたしまして取り組んだ政府の決意でございます。 以来、第一次、第二次の
沖縄
振興開発
計画を立てて取り組んでまいりまして、ただいま開発庁におきましても
沖縄
県におきましてもこの第一次、第二次の開発計画、進み方等について総点検を行っておりますけれども、この総点検結果をお互い持ち寄りまして、県の御意向も十分伺いながら、今なお残っております本土との格差の問題の克服について、ポスト第二次振興計画をどう取り組んでいくかただいま検討をしているところでございまして、基本的な
沖縄
県民の皆さんが置かれたあの悲惨な戦争のときの事情というものは、新村議員と私は同じ見解を持つものでございます。
新村勝雄
8
○新村
委員
政府の
沖縄
に対する配慮あるいは開発についての考え方については了解するわけでありますし、設置法をつくってやっておられることについては評価するわけでありますけれども、あの戦争は日本国政府が始めた戦争である。その戦争の被害を
沖縄
の皆さんは、
沖縄
という全国の中であの地域だけが局地的に大変な惨害を受けた。もちろん内地でも東京が焦土になり、広島、長崎で一瞬にして十万以上の人が亡くなったという事実はありますけれども、やはり自分の郷土あるいは住んでいるその土地が戦場になるということは、質・量ともに比較にならない大変な被害を受けているわけですね。それに対して国としては、
沖縄
の皆さん方に国として大変申しわけなかった、御迷惑をかけましたという、国としての意思表示を何らかの機会になさったことがあるでしょうか。
藤田康夫
9
○
藤田
政府
委員
突然の御質問でございますので、具体的なそういう明確な形で謝罪と申しますか、日本政府としてのお話というか県民に対する呼びかけをしたかどうかについては定かではございませんが、ただ、毎年六月二十三日に
沖縄
県が主催の
沖縄
全戦没者追悼式というのがございます。それには歴代の開発庁
長官
も総理の名代等として
出席
をいたしておりまして、散華された皆さん方に対して追悼のお言葉を申し上げておる、こういう事実はございます。
新村勝雄
10
○新村
委員
やはり今後とも我々日本国民、それから特に日本政府は、
沖縄
の方々に対する謝罪、そして戦争によって引き起こされた惨害に対する償い、これは常に国の責任、日本民族の責任において、
沖縄
の皆さんにはこれを忘れることなく誠意を持ってこの施策を進めていくという考え方、これが必要であると思いますし、すべての施策の基礎にはその考えがなければいけないと思うのですね。そういう点で、今後ともそういった
沖縄
の皆さん方に対する国としての反省と責任、これを常に堅持していただいて施策を進めていただきたいと思うのですね。 それで、
沖縄開発庁
設置法というのがあります。これは法律でありますからでしょうが、淡々として開発の方針を述べているだけであって、
沖縄
に対する国としての戦争に対する責任、あるいは戦争によって大変な惨害を与えたということに対する反省なり、それに対して国は十分やっていかなければいけないんだという、そういう文言は一つもないということでありますけれども、
沖縄開発庁
設置法にもやはりそういう文言があってしかるべきではないか。そのことによって、単にこれは日本政府の地域政策としてやるだけではなくて、やはり戦争に対する償い、これは償いはできませんよね、何十万という
沖縄
の人たちが死んだわけですから。しかし少なくともそういう償いをも込めた施策である、その償いをも込めた政策をこれから展開するのだという考え方がこの設置法にあっていいのではないかと思うのですね。 それで、今後この設置法に基づく施策を進める場合にも、大臣はひとつそのことをお忘れなく
推進
をしていただきたいということを特にお願いしたいわけですけれども、いかがでしょうか。
砂田重民
11
○
砂田国務大臣
先ほどから御意見のございます点、実は
沖縄
復帰のときに、当時は
沖縄
復帰の仕事を総理府が担当いたしておりまして、私は総理府の副
長官
をちょうど務めていたわけでございます。
沖縄
の復帰にかかわります一連の法案を
沖縄
国会で終えました後、
沖縄
復帰の記念式典が東京と那覇で行われました。東京の会場では当時の
佐藤
総理が、那覇の会場では当時の総理府の
長官
でございました山中貞則さんが
出席
をいたしまして、それぞれ式辞を述べたわけでございますが、その式辞の中には、戦場になった
沖縄
の方々への弔問の気持ち、慰問の気持ち、これから政府として責任を持って
沖縄
の振興のために取り組んでまいります決意がそれぞれ表明されていたわけでございます。
沖縄
県並びに
沖縄
県民に対します。その当時の国を代表しての総理大臣また担当責任者としての総理府の山中
長官
のその式辞の中で述べられました精神は、今日なお依然として
沖縄開発庁
の中に連綿として生きておりますことは明確にお答えをしておきたいと存じます。
新村勝雄
12
○新村
委員
ぜひその気持ちで
沖縄
に対する施策を進めていただきたいと思います。 そこで、次の問題でありますが、
沖縄
は戦後も長くアメリカの施政権のもとにあった。そしてまた現在も、日本全部の基地のどのくらいになりましょうか、八割くらいになるのですか、大部分の基地を背負っているわけでありますから、それだけでも現在なお戦後は終わっていない、戦争の大変な被害を今なお受け続けているという事実があるわけですが、それと同時にまた、ある意味では、基地があるということによって国際情勢をそのまま
沖縄
で引き受けていかなければいけないという面があると思います。ただし、幸い最近の世界情勢は冷戦の終結、完全に終結したとは言えないと思いますけれども、ほぼ終結の方向に向かっている。米ソの対立も緩和された。したがって極東の世界の軍事的な対立、ヨーロッパにおいては大きな変化があったわけでありますが、当然極東においてもそういう変化はこれからあると思います。しかし、いずれにしても極東の軍事情勢の影響を直接引き受けなければならないという
沖縄
の運命が今なおあるわけですね。 それに関連をして、最近アメリカの国防総省が発表した「アジア・太平洋周辺における戦略的枠組み」という文書がありますけれども、この中に
沖縄
と関連の深い多くの記述があるわけであります。この極東の軍事情勢に関連をしてお伺いしたいわけでありますが、最近のアメリカの極東に対する考え方にかなりの変化がうかがわれるという
状況
があるようであります。例えば、この中でアジア・太平洋周辺の軍事情勢に触れて、前方基地の防衛態勢を再検討する必要があるというようなことを述べております。それと同時に、日本として注意をしなければならない、大きな注意を引くこととしては、日本や韓国は既に経済的にも繁栄をしているので自分の防衛についてはより大きな責任を持つべきであるというようなことも述べられております。また、東アジアに対する米海・空車のプレゼンスは引き続き必要であるけれども、韓国、日本、フィリピン等の地上軍、空軍は順次縮小されていくであろうというようなことが述べられているわけですね。 こういったアメリカの新しい世界政策あるいは極東の軍事戦略に対する考え方の変化、これに対して日本政府としてはどういうふうな認識を持っていられるか、またこれに対してどういう対処をされるかということ、これをまず伺いたいと思います。
重家俊範
13
○
重家
説明
員 お答えいたします。 先生の言及されました報告は去る四月十九日にアメリカ行政府が議会の方に提出したものでございますが、基本的には、アメリカが引き続き太平洋国家といたしましてアジア・太平洋における前方展開戦略、それから幾つかの二国間の安全保障取り決めがございますが、こういうものを維持していくことを明らかにしておるわけでございます。また同時に、先生の方から御発言がありましたように、戦略的情勢を十分見きわめながら段階的に米軍の
調整
を進めていくということを明らかにしておるわけでございます。 こういう基本的なアメリカの考え方につきましては、本年二月、チェイニー国防
長官
が日本に参りましたが、その際我が方が受けました
説明
と基本的に同じ内容でございまして、我が国としては本件に関する米国の考え方というものを基本的に慎重なものとしてこれを理解するというふうな立場をとっておるわけでございます。 いずれにしましても、チェイニー国防
長官
が日本に参りましたときにも私ども総理大臣等から申し上げましたように、我が国としては、本件につきまして引き続き米国と緊密に連絡、協議を行っていくことが重要である、そういうふうにしていきたいというふうに考えております。
新村勝雄
14
○新村
委員
そうしますと、チェイニー
長官
が日本に来た、そのときの会談の内容の一端を今答弁があったわけですけれども、この中に多くの新しい考え方が出ています。恐らく今までアメリカが文書化して発表した文書の中には全くなかった新しい考え方あるいは新しい様相がかなりこの中にあると思うのですが、そういう問題についてはこれはあらかじめ日本政府に通告なり協議なりがあったのかどうか、公式の場で今までどういう経過があって論議があったのかなかったのか、それらはどうなんでしょうか。
重家俊範
15
○
重家
説明
員 先ほど申し上げましたように、基本的な考え方はチェイニー国防
長官
が二月に参りましたときにお聞きしたわけでございますが、それ以前におきましても、日米間には、ワシントン等におきまして常に継続的にいろいろな種々のレベルにおきましてアメリカと緊密な連絡、協議をとっておるわけでございます。そういう意味で、この報告が出ましたのは四月でございますが、その報告書に盛られております基本的考え方につきましては、我が国として考え方を知っておったということでございます。報告書自体につきましては、これについて米側から事前に連絡を受けているとかということではございません。
新村勝雄
16
○新村
委員
そうすると、この文書の中に示されている新しい考え方なり日本との関係についての新しい問題提起といいますか、そういったものについては今までも日米間で折に触れて話題にはなっていた、文書としてあらわれたのは初めてだけれども、日米間では常にそういう話題があったということ、こういうことに理解していいですか。
重家俊範
17
○
重家
説明
員 今回の報告書は、基本的にはあるいは直接的には、昨年の秋にアメリカで成立しました国防
予算
権限法というのがございますが、これに基づきまして、東アジアにおける米軍の軍事プレゼンスに関する報告書を議会に出せ、こういうことがその法律の中で規定されておるわけでございます。したがいまして、直接的には、これに基づきまして米行政府はいろいろな検討を行い、報告書を出したということでありますが、その報告書の背景になっておりますのは、先生も先ほど言及になりましたように、基本的には財政赤字の問題、それから国際情勢が変化していること、あるいは日本、韓国などが一層多くの責任を果たし得る
状況
に至っているということもあわせて、この報告書の背景になっているというふうに理解しております。
新村勝雄
18
○新村
委員
この報告の全部を通ずる感じとしては、世界の緊張は緩和の方向にある、ソ連の脅威も減少はしている、そしてヨーロッパ正面の米ソの対決、これまた緩和をしている。ただしアジアについては必ずしもそうは言えない。ヨーロッパのようにNATOとワルシャワ条約機構とが真っ正面から対決をしている、そういうはっきりとした構図がアジアにはないので、アジアの情勢はヨーロッパとはかなり違うというような考え方、これが一つありますね。それからもう一つは、日本とかあるいは韓国は経済的にも繁栄している、我々は大変なんだ、だから我々にかわっていわゆるバードンシェアリング、シェアリング・ザ・コストと言っていますね。防衛のコストを分担しろという考え方がずっと流れていると思うのです。 ですから、
沖縄
基地について、基地の返還とまでは言っていませんけれども、人員の縮小あるいは軍の展開のパターン、三沢の空軍あるいは緊急事態に備える横田基地及び横須賀の施設等についても、これは返還あるいは縮小の可能性があるというようなことをほのめかしておりますけれども、その一方では、それにかわって日本が負担してくれ、あるいは韓国が負担してくれという考え方なんですね。ですから、そういうことについては日本としてはあるいは日本政府としては重大な関心を持たざるを得ないと思いますけれども、そういうことに対する日本政府の認識はいかがですか。
重家俊範
19
○
重家
説明
員 先生の方から、いわゆる在日米軍
経費
負担の問題について政府の考え方はどうかという御質問でございますが、アメリカ政府が我が国に対しまして、在日米軍
経費
の問題につきまして強い期待を有しておるということは承知しておるわけでございます。 いずれにしましても、政府といたしましては、我が国の安全保障にとって日米安保体制というものが不可欠である、そのために効果的な運用を図っていくことが極めて重要だという観点から、従来から自主的にできる限りの努力を払ってきているところでございます。そういう意味で、今後とも自主的にそのような努力を続けていく所存でございます。
新村勝雄
20
○新村
委員
この中で
沖縄
の地上軍の縮小という点に触れておりますが、これらの点については正式な協議なり通知はありましたか。
重家俊範
21
○
重家
説明
員 一点、
事務
的なことをまずお答えさせていただきたいと思いますが、この報告書の中にどういうふうに書いてあるかということでございますが、「全般的に日本における実質的な空・海軍のプレゼンスは継続させる。しかしながら、特に
沖縄
において陸上及び若干の空軍支援部隊を熟慮して削減する可能性がある」というふうに記述があることは承知しております。しかしながら、具体的に
沖縄
のいかなる部隊が対象になるのかならないのかそういうようなことにつきましては何ら触れておらないわけでございまして、アメリカ側におきまして今後検討していくものと理解しておるわけでございます。
砂田重民
22
○
砂田国務大臣
ただいまの御質問の中で私どもに関係することがございますから、お答えをしておきたいと思います。 今日の
沖縄
におきます米軍基地の密度というものは、これからの
沖縄
の開発計画を進めていくにつきましてやはり解決を要する基本的な、重要な課題の一つだと認識をいたしております。 ただいま御指摘の米国の国防総省の発表の「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」という中で、第一段階に「既存の手続を経て余剰施設、特に
沖縄
にあるものの日本政府への返還」との趣旨が書かれております。ただいま申し上げましたように、第二次
振興開発
計画の中でも、基地の整理縮小というものが
沖縄
の産業の振興、そしてまた生活環境の
整備
に資するよう跡地の有効利用を図るための施策を講じるということが明記されているところでございまして、今回の米国の国防総省発表の中の第一段階のところに書かれております文言は、
沖縄開発庁
といたしましても重大な関心を寄せているところでございます。
沖縄
県に所在いたします米軍施設、区域につきましては、その整理縮小の促進を図りますために、できるだけ具体的にその成果を出すべく、
昭和
四十八年、四十九年、五十一年、三回にわたります日米安保協で一応の返還合意を見た施設、区域がございます。この施設、区域と、西銘知事が訪米をいたしまして返還を要望いたしております施設、区域、
合計
二十三の施設、区域につきまして、日米合同
委員
会の場で現在鋭意協議・検討が進められているところでございまして、日米合同
委員
会が一日も早く成果を上げて結論を出してくださることを期待をいたしておるところでございます。
新村勝雄
23
○新村
委員
今大臣が言われたように、
沖縄
におけるエクセスファシリティーズ、過剰施設というのですか余剰施設、もう要らない施設だと思うのですが、それを日本政府に引き渡すというようなことも言われておりますが、このエクセスファシリティーズというものの範囲あるいは規模、これらについては具体的な話し合いが今までございましたか。
砂田重民
24
○
砂田国務大臣
ただいま申し上げました
昭和
四十八年、四十九年、五十一年、三回にわたります日米安保協の協議の中で施設、区域の具体的な名前が挙がってきておりまして、
沖縄
県もこのことはもう把握をしているところでございます。今日の日米合同
委員
会はこれを受けて具体的な返還の協議をしているもの、さように私どもは聞いております。
新村勝雄
25
○新村
委員
その具体的な名称と規模等については御答弁いただけますか。
重家俊範
26
○
重家
説明
員 先ほど大臣から御答弁ございましたように、
沖縄
の基地の整理統合というものは、現地からの要望を踏まえまして、これは今回の報告書が出る前から日米合同
委員
会を中心に議論をしてきておるところでございまして、現在、鋭意最大限の努力を続けておるところでございます。 他方、本件報告書の中に余剰施設云々ということが書いてあるわけでございますが、これはどういう意味で書いてあるのか必ずしもはっきりいたしません。整理統合の今の努力を念頭に置いて書いてあるのかもしれません。いずれにしましても、この報告書に書いてあるような余剰施設がどういうものであるか、あるいはそれについて議論しているのかという御質問だろうと思いますが、そういうことについて具体的な議論をしておるというわけではございません。
新村勝雄
27
○新村
委員
それに関連をして、横田、三沢、それから横須賀の施設、横須賀の施設は太平洋でも最も優秀な施設だけれども、その施設についてもある程度の変更が予想されるというようなことも言っていますけれども、この内容はどういうことですか。
重家俊範
28
○
重家
説明
員 先ほど申し上げましたように、こういう基本的な方針に基づきまして、今アメリカの部内で種々具体的な検討を行っているものと思います。したがいまして、それでどういう具体的な検討を行っておるかということについては、私どもといたしまして現時点で承知しておるわけではございません。 他方、この報告書の中にもございますように、そういう空軍能力等につきましては非常に重要である、そういうものは基本的に維持していかなければいけないんだということがこの報告書の別途のところに書いてあったように思いますが、先ほど申し上げましたように、いずれにしましても、具体的検討はアメリカが現在内部で行っておるというふうに承知しております。
新村勝雄
29
○新村
委員
他にもいろいろ問題はあるようですけれども、要するにこの文書を通ずる大きな流れとしては、アメリカの極東におけるプレゼンスは重要であるし依然として続けるけれども、日本がもっとその負担を分担しろ、防衛について、あるいはアジアの安定についてはもっとコストシェアリングをやれというのがこの文書のねらいだと思うのですね。そうしますと、日本政府としては、安保条約の問題あるいは今までもやってきたコストシェアリングの問題等について根本的な再検討を迫られるのではないかという気がするわけであります。そういうことについて基本的に大臣として、これは全大臣が深く関心を持たなければいけない日本国政上最大の問題だと思いますけれども、特に
沖縄
を担当される大臣としてはどうお考えですか。
砂田重民
30
○
砂田国務大臣
国際的なデタントの傾向、ヨーロッパにおいては大変これが具体的に米ソの間でも進んでおるようでございますけれども、アジア・太平洋にその風潮が移ってくることを期待しつつも、なかなかアジア・太平洋地域においてはヨーロッパと異なるいろいろな事情がある、そういうことは認識をいたしておりますけれども、私が外務大臣みたいな答弁をするわけにはまいりませんが、
沖縄
に関しましては、この間の米国の国防総省の議会へ送りました報告書の中に「既存の手続によって」ということが書かれておりますこと、「
沖縄
の基地について」という言葉がございますこと、先ほどから申し上げましたように
昭和
四十年代の終わりごろから数回開かれました日米安保協議会の席でも既に
沖縄
の基地の返還のことが議題になってきておりますこと等あわせ考えますならば、私はいわゆる極東太平洋におけるデタントの一つの目に見えた好ましいことではないかな、
沖縄
基地の整理縮小をこれからの
沖縄
県の
振興開発
のために期待をいたしております開発庁
長官
としては、先般の国防総省のこの報告書というのは大変その意味で関心深く見守っているところでございます。具体的にこの中に書かれております既存の手続、恐らく日米合同
委員
会を指されていることと思いますけれども、そこの協議を引き続いて日米両国で努力をしておりますが、この日米合同
委員
会ができるだけ早く結論を好ましく出してくださることを期待いたしているものでございまして、国防総省のこの発表はそういう期待感を持たせてもらってもいいのではないかというふうに考えております。
新村勝雄
31
○新村
委員
終わりに一つ聞きたいと思いますけれども、既に確立している手続というのはどういうものであるかということについては、必ずしも国民に明らかにされておりませんし、国会にも明らかにされていない部分があるわけですね。そういう部分についてもこれはできる限り国民あるいは国会に明らかにしていただかなければいけませんし、これからこういう新しい考え方が出てきた場合に、いい面は確かにあると思いますけれども、駐留米軍が減って基地が返還されるということは非常に結構なことでありますけれども、そのかわりに負担をしろということでありますとこれはまた大変な問題がそこに新しく出てくるわけでありますから、そういった問題についての交渉なりその全貌は常にその都度国会に報告をしていただいて、国民にも知らせていただくということが必要ではないかと思います。 そういった点で、これから日米あるいは世界情勢の変化に伴って新しい事態、新しい問題が生まれてくると思いますけれども、そういった問題についてのいわゆる国民のあるいは国会の知る権利、これをぜひ尊重していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
砂田重民
32
○
砂田国務大臣
先般、衆議院の
予算
委員
会でも、
沖縄
の基地返還の問題の所管をしております外務省から、この日米合同
委員
会の構成メンバーの一人である北米
局長
からも、できるだけ早く努力をしてできるだけ早く国会へも御報告をいたしますという答弁を私も
予算
委員
会の席で聞いておりますので、結論が出ますことを早かれと祈りながら期待をしているところでございます。
新村勝雄
33
○新村
委員
防衛庁あるいは外務省ではこういうアメリカの意図なり方針なりについて十分知っておられるかもしれませんけれども、国会はほとんど知らない、国民ももちろん知らないという
状況
でありますし、そういう中でこれからアメリカの方から新しい提案なり申し入れなりがあると思うのですね、これは新しいことを言っているわけですから。これについては十分国会の中で論議できるようなそういう資料の提供なり情報の提供なりを、国会あるいは国民に対して政府は積極的に提供をしていただくようにお願いをしたいと思います。——何か特にありますか。
重家俊範
34
○
重家
説明
員 先ほど先生が御提起になりました問題につきましては、先般チェイニー国防
長官
が日本に来たときにも、我が方より、基地周辺におきまして生ずるかもしれないそういう影響については十分念頭に入れておくことが必要であるということを述べたところでございまして、いずれにしましても、政府としては、先ほど来申し上げておりますように米側と緊密な連絡、協議を図っていきたい、そういうふうに考えております。
新村勝雄
35
○新村
委員
米側と緊密な連絡をとるということと同時に、それ以上に国会に対してできる限り情報を提供してもらいたい、国民に対しても提供してもらいたいということをお願いをしたいと思います。 それから次に北方でありますが、これはもう論議を尽くされておりますけれども、さっぱり前進をしていないのが領土問題でありますけれども、この領土問題についても、ソ連のペレストロイカに関連をしてソ連にも若干の態度の変化があるというようなことも言われておりますし、日本の側にもいろいろ新しい意見も出ているようでありますけれども、この問題について
長官
としては現在の情勢認識はどんなふうにお持ちですか。
塩崎潤
36
○
塩崎国務大臣
北方領土問題は
総務庁
の管轄でございまして、先般私も北海道まで
調査
に参りまして、そのとき該当地域の皆様方の大きな希望を聞いてまいったところでございますが、私は、今新村
委員
御指摘のようなペレストロイカの
状況
等のソ連に起きておりますところの
状況
、さらにまた来年ゴルバチョフ大統領が来日される等の
状況
、あるいはソ連内におきますところの論調等から見て、私どもは北方四島の一括返還は何としても実現する方向で努力していくべきものだと思いますし、いくべき時期が熟しつつある、こんなふうに考えております。
新村勝雄
37
○新村
委員
四島返還、北方領土返還ということは国民のひとしく願うところでありますけれども、これを実現するためには、政経不可分でまず北方領土の返還が先だというその基本的な考え方、今までその基本的な考え方で来たわけですけれども、それを断固として守るということと、もう一つの方法としては、あくまでこれは北方領土の返還を目指すのであるけれども、ほかの部分について、これは政経不可分を放棄するのではないが、放棄するとまでは言わなくても、やはり今ソビエトが望んでいるいろいろなほかの問題も同時に検討していこう、そういう若干柔軟な態度と、この二つが考えられるわけでありますけれども、そのどちらがいいと
長官
はお考えですか。
塩崎潤
38
○
塩崎国務大臣
これも外務大臣の所管かもわかりませんが、私は北方領土一括返還が何といいますか平和条約の基本的前提、この点以外には考えない方がいいと私自身、自分に言い聞かせておるところでございます。いろいろ段階的返還論とかあるいはまた今申されましたように政経分離で経済協力も北方領土と別にあり得るというような考え方が伝えられるやに伺うこともありますけれども、私はそのような考え方は今全然耳に入らないような心境でございます。
新村勝雄
39
○新村
委員
先般安倍さんが訪ソをされまして、いわゆる改革新八項目を提案されたわけですね。安倍さんはもちろん政権党の最高幹部です。現在の政権の基盤は自民党にあるし、自民党の最高幹部ですからね。ですから、安倍さんの意図というのは政府と一脈どころではなくて通じているわけでしょうし、この八項目の提案というのは絶対に政経不可分だということではなくて、政経不可分ではあるにしても、経済問題も同時に並行して検討すべきであるというニュアンスが実はあると思うのですね。そういった点で安倍さんの提案された八項目というのを政府としてはどうお考えなのか、それはいかがですか。
塩崎潤
40
○
塩崎国務大臣
そのような新聞記事を私も拝見いたしましたが、
総務庁長官
は北方領土四島一括返還しか頭にありませんし、それが職掌でありますので、外務省からでも御答弁をしていただくしかない、こんなふうに思っております。
東郷和彦
41
○東郷
説明
員 お答え申し上げます。 政経不可分ということについての基本的な考え方につきましては、安倍会長御自身、帰国後の記者会見で、政経不可分という基本的な考え方に立ってやっているんだというふうに
説明
しておられます。政府としましても、安倍会長訪ソに関する八項目の交流計画というものはそういう政経不可分という基本的な考え方の上に立った一つの政策というふうに受けとめており、この八項目はそういう意味で政府の考え方と軌を一にするものであるというふうに考えております。 若干細かくなりますが、この点を敷衍させていただきたいと思いますが、昨年の五月に宇野外務大臣が訪ソいたしまして、このときに日ソ関係を拡大均衡でやっていきたいということをソ連側に提起いたしました。この拡大均衡、つまり日ソ関係をいろいろな要因を均衡させながら拡大していきたいということをソ連側に提起したわけでありまして、これを具体的に示すものとして五つの視点というのをソ連側に提起いたしました。 第一の視点は北方領土問題を解決しての平和条約の締結というのを最重要課題とする。この最重要課題を実現しつつ、しかしそれ以外の側面として、二番目に両国間の信頼関係の強化というのを図る。それから三番目に適切かつ可能な実務関係も
推進
する。それから四番目に人的な交流、これは長期的な観点で日ソ関係に裨益するところもあり、これも
推進
する。そして
最後
に五番目に、これら四つの要因をまとめて、これに弾みをつけるものとしての首脳の相互訪問、これを実現したい、その第一回目の皮切りとしてのゴルバチョフ書記長の訪日に期待する。この五つの視点をソ連側に提起いたしました。 安倍会長の一月の訪問におきましては、一方におきまして、北方領土問題につきまして、この困難な問題について英知をもって解決すべきであるということをゴルバチョフ書記長に迫り、ゴルバチョフ書記長の方からこれに対する肯定的な回答を引き出すとともに、他方におきまして、この八項目の交流計画というのをソ連側との間で提起したわけでございます。内容の詳細は省きますけれども、この八項目の中のそれぞれの項目というのは、先ほど申し上げました五月の宇野外務大臣の訪ソにおける五つの視点の中の二番目、三番目、四番目、おおむねこういう視点を具体的に列挙してあるものであると考えており、そういう意味で政府の考え方と軌を一にしていると考えている次第でございます。
新村勝雄
42
○新村
委員
そうすると、前総理の言われた五項目、これは主として人的交流、文化的な交流あるいは信頼関係の回復、といってもこれは具体的には人的な交流というようなことになると思いますから、経済問題はさておき、経済以外の人的な交流、信頼関係の回復、こういうようなものを通じて両国間の理解を深める中で、四島返還ができるような空気を醸成していきたい、こういうことだと思います。 しかし、それから
状況
がかなり変わってきておりますから、ソ連の内部の
状況
も、新聞報道の程度しかわかりませんけれども、若干の変化があるということも言われております。この問題についてのソ連側の変化については外務省としていろいろの情報を集めておられると思いますけれども、プラスになる情報についてある程度ございますか。
東郷和彦
43
○東郷
説明
員 領土問題に関するソ連側の最近のいろいろな動きということについて御
説明
させていただきたいと思います。 ただいま現在のソ連政府の公式的な領土問題に関する立場というものは極めて厳しいものがございます。一、二端的な例を申し上げますと、昨年十二月に第四回の平和条約の作業グループというのを行いました。このときにソ連側は、長時間にわたりまして北方四島はソ連に帰属する、なぜ帰属するかということについての
説明
をした後に、この平和条約作業グループの活動というものを建設的にするためには、日本が戦後の現実を是認する立場に移ってこられることが最も適切な方法である、こういうことを申しました。これの意味するところは、北方四島の問題に関して言えばゼロである、四島を日本に返還するつもりは全くないということを意味する発言でございます。 最近の例で申し上げれば、四月二十六日にゴルバチョフがスベルドロフスクにおいて講演をした後に、質疑応答の中で、クリル群島の島々に関する質問に対して、余った土地は我々にはない、我々は領土の不可侵を含む戦後の現実の承認というヘルシンキの立場に立っていく、こういうことを言っております。これは、先ほど申し上げました一月の安倍訪ソにおける一連の発言にもかかわらず四月にはこういう発言をしているわけでございます。 他方におきまして、先生御指摘のようにソ連の内部におけるグラスノスチ、情報公開というふうに訳しておりますけれども、いろいろな議論が表に出てきている
状況
はございます。そういう議論の中で、ソ連内部の一部の学者等の間から、例えば一九五六年の日ソ共同宣言というものはソ連は守るべきではないかとか、そういう一部の議論が表に出てきているということも事実でございます。問題は、そういうグラスノスチの中で出てきているいろいろな議論がソ連指導部の政策に反映してくるかどうかという点でございまして、この点につきましては、ただいま現在の時点では
状況
は極めて厳しいということかと思います。
新村勝雄
44
○新村
委員
ソ連は、今民族問題それからまたバルト三国の問題とか、そういった地域的な問題あるいは国内の問題を抱えておりますから、地域の問題についてはそういったことも関連して厳しくなっていくというようなことは一面ではあると思いますけれども、同時にまた、現状を打開して経済の発展を図るという至上命令もあるわけでしょうから、そういった点でやはりそういった矛盾に苦しんでいるという面はあると思います。 それから、これは去年の末ですが、ヤコブレフ氏の第三の方法というような発言があったわけですけれども、この第三の方法というのはどういうことを意味するのか、これは領土問題についての何かの兆候ということにも解釈できると思いますけれども、そこらの解釈はどうされておりますか。
東郷和彦
45
○東郷
説明
員 お答え申し上げます。 ヤコブレフの第三の道が何であるかということにつきましては、ヤコブレフが東京における日程を終了する
最後
に記者会見を行いまして、彼自身提起されました質問に対して二点回答しております。ちょっと記録が手元にございませんが、おおむね、第一点は、今後の日ソ関係を政治、経済、文化その他すべての側面において同時並行的に前に進めていく、それから第二点は、政府間で行っております平和条約作業グループにおいて何らかの知恵を見出していく、この二点をヤコブレフは提起しているわけでございます。 ただ、問題は、そこで言っておりますところの例えば平和条約作業グループにおける知恵、これが一体どういうものであるかということについては何らの手がかりも彼は与えておりませんで、そのような意味で、一月の安倍訪ソにおける英知ある解決あるいは第三の道、こういう抽象的な表現がソ連指導部の中から出てきていることは事実でございますが、他方における第四回平和条約作業グループにおけるソ連側の極めて厳しい態度、あるいは先般のゴルバチョフ発言等を見ますと、そういう第三の道というものの中で、領土問題、日ソ関係について一体ソ連が本当に何を考えているのか、これは現時点では判断しかねる
状況
かと思います。判断しかねる
状況
ではございますが、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、私どもとしては、こういう
状況
の中で領土問題を解決して平和条約を締結することを含めて日ソ関係を抜本的に改善したい、そのために最善の努力を尽くしたいと考えて外交努力に努めている次第でございます。
新村勝雄
46
○新村
委員
次の問題は情報公開ということであります。 これは
総務庁
の所管であると思いますけれども、知る権利については別に憲法にも明文はありませんけれども、民主主義の重要な一つの要素として、国民は政府あるいは行政
当局
の行っている行政の内容についてできる限り知るという権利がある、特にまた財政的な問題についても、国民の税金を使って行政をし、
事業
をしているわけでありますから、これについてはそのすべてについて公開をすることが原則でなければならない、こういうことが言えると思うのですね。 最近も、これは地方自治体でありますけれども、大阪の水道局の
会議
費の使途の問題について二審で高裁が住民の主張を支持した、こういう例もありまして、知る権利というのはほぼ憲法に規定をしている国民のあるいは人間の権利として認められていると思うのですが、それと行政との関係ですが、費用の問題ということがありますけれども、それとは別に行政についてもできる限り秘密のないことが望ましいわけであります。 そこで、これは
予算
委員
会に提出をされた資料なんですが、各省庁の中でマル秘の文書が非常に多いということがあるわけです。各省庁のうちで秘密扱い、非公開の文書が全然ないというのが経済企画庁、経済企画庁はマル秘はないそうでありますが、ほかの省庁はすべてマル秘がある。特に、性質上やむを得ないのでしょうけれども、外務省あるいは防衛庁等においてはマル秘が非常に多い、何万件というマル秘の文書があるということでありますが、それはやむを得ない面はあるにしても、望ましい形としては、マル秘がないことあるいは少ないことが望ましいと思います。 そういう点で、
総務庁
としては、全省庁にわたって行政の
執行
を指導監督ですか、それから各行政機関の業務の
実施
状況
を監察をし、必要な勧告を行うということが
総務庁
のお仕事のようでありますが、非公開文書の取り扱い、そして非公開にする基準、それからその非公開の基準にしてもこれが何年間の非公開であるのか外務省は三十年たてば原則公開するということを言っておりますが、三十年たっても公開しない部分もあるわけですね。三十年たっても公開しない部分についてはいつ公開するのか永久に非公開であるのか、そういう文書の公開の基準、マル秘の基準、その基準が当然あると思うのですけれども、その基準についてまず伺いたいと思います。
塩崎潤
47
○
塩崎国務大臣
先般も
予算
委員
会で、衆参両院におきまして情報公開問題についてたびたび御質疑がございました。そしてまた今、新村
委員
御指摘のように、非公開文書についての全省にわたる資料を
予算
委員
会に提出されまして、今企画庁だけが非公開文書なしというようなことがあったということもそこで論議をされたのでございますが、その際、私どもは、確かに行政情報の公開は重要である、そしてできる限り機密というものがないことが行政の中には望ましいということは申してきました。そして、最近の各省庁の
状況
を見ますと、白書の公開、あるいは統計法の
整備
によるところの統計の公開、さらにまた文書閲覧窓口制度という制度が最近できまして、閲覧文書を公開することを各省が窓口で努めているところでございます。 先ほどの各省の非公開文書の内容については、企画庁だけがないと言われましたが、私は、この問題については、非公開のものを何にするかという基準の問題をまだまだ詰めて各省との間に統一的な基準をつくっていく必要があろう、こんなふうに思って、それがまた進歩の方向であろうと思っているところでございます。幸いに学者の先生方を集めて何回も文書公開の基準等についての御論議を願っているわけでございますので、そういう公開の範囲の問題、見直しの問題は常に検討して、各省統一した基準で文書を公開していくことが望ましい、こういうふうに思っているところでございます。 一方、例の情報公開法の問題でございますが、これは大変難しい問題がたくさんあることは御案内のとおりでございます。私どもはこれもひとつ研究問題として慎重に取り扱っていきたい。まずプライバシーの問題、さらにまた公共上の理由からの機密の問題、軍事・外交上の機密とかいった問題、さらにまた司法
審査
権との関係、さらにまた今おっしゃられました大阪や栃木県などで交際費の公開の問題が裁判になっておる、せっかく情報公開条例をつくりながら裁判になるというようなことは、やはり問題がまだまだ相当伏在をしていることを示すものでございますので、これらの問題を慎重に検討していく必要があろうか、こんなふうに思っているところでございます。
新村勝雄
48
○新村
委員
やはり、政府の皆さんあるいは役人の皆さんは情報を独占していたいというお考えが顕在的にあるいは潜在的にあると思いますね。しかし、これは国民のための行政ですから、外交の関係、これは相手国もありますし外交なんかについては了解できますし、防衛問題についてもこれはある程度はやむを得ないと思いますけれども、それ以外のことについては国民に隠す必要はまずないと思うのですよ。ところが、各省とも大幅にマル秘文書があるということは民主的な行政という点からいって残念なことであります。 そこで、
総務庁長官
とされましては、マル秘文書の基準、どうしても必要なものはその基準等について、各省庁にわたっての基準は難しいとは思いますけれども、各省庁にその旨を伝えていただいて、マル秘文書については外交等についてのやむを得ない部分を除いてはすべて公開しろという指導をぜひお願いしたいと思います。 それからもう一つは
経費
の問題でありますけれども、例えば
決算
の中に
会議
費あるいは報償費というようなものがありますけれども、これらの内容については今まで公開されていないと思いますね。しかしこれは、各自治体等においては交際費等についても、さっきの大阪の問題もそうですけれども、交際費とか、今はそういう言葉は使っていないと思いますけれどもいわゆる機密費、そういった問題についても原則公開をすべきであると思いますが、そういった点で国のこの
決算
書の中に明細書を出してくれと言っても出せない部分がかなりあるわけですよ。現在の
決算
書の中でその使途の明細を出すことができない、出さない、今まで出さなかった部分はどのくらいあるのか。交際費等についても出さない、あるいは報償費等についても出せない部分があるようですね。内閣等については数十億の出せない部分があるというようなことも言われておりますけれども、内容の明示、開示ができないのが割合にしてどのくらいありますか。
百崎英
49
○百崎政府
委員
御質問は二点ほどあったかと思います。 まず最初に、基本的に私どもは、行政情報はできるだけ国民一般に公開するという御趣旨には全く賛成でございます。ただ、裁判で争ってでも開示
請求
を求めるといういわゆる開示
請求
権を含むような法制度をつくるということにつきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたようにいろいろと検討すべき課題も多いわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもも、その法制化にはかなり時間がかかるであろうということで、できるところからやる、こういうことで、目下各省の本省庁あるいは出先機関に文書閲覧窓口というようなものを設けまして、必要な文書を一般の閲覧に供しているところでございます。ただ、私どもまだまだこれは充実する必要があると考えておりますし、また一方で、各省庁でその取り扱いがまちまちになるのもいかがかということでございまして、先生御指摘のようなどういう情報が公開できるのかできないのか、そういう基準につきまして、各省庁の御協力を得ながら、各省庁の情報公開問題連絡
会議
において今検討を進めているところでございます。 それから、交際費、
会議
費等のお話がございましたが、確かに先般の大阪高裁の裁判におきましては、交際費、
会議
費等については公開すべしという判決が出されたわけでございます。ただ、一方におきましては、他の裁判所におきましては、同じような地方団体の条例に基づく交際費、
会議
費の開示につきまして、知事のいわば裁量権の尊重あるいは第三者の情報保護、こういうような観点から非公開とするような判決も出されている
状況
でございまして、いずれにしましても今のところ確たる判決もございませんので、私どもといたしましては、そういった裁判の判決の内容を理由等をさらに十分読んだ上で慎重に考えたいというふうに思っております。 また、報償費につきましては、どのくらい、どうなのかというようなお話は、私どもちょっと的確に把握いたしておりません。いずれにしましても、この報償費の取り扱いにつきましては、たしか
昭和
五十七年の六月に衆議院の
予算
委員
会におきましても御質問がございましたが、このときには当時の宮澤官房
長官
から、「報償費はきわめて高度の機密を保持しながら経理する必要がございます
経費
でございますので、内訳については申し上げかねます。」こんなようなやりとりがございますが、これにつきましては私どもこのような考え方だというふうに思っております。
新村勝雄
50
○新村
委員
報償費、交際費の使途ですけれども、これは国民のために行政を、政治をしているわけですから、公開して若干の影響はあるにしても、公開をする利益と公開をすることによる不利益とを比較した場合には、これは民主主義の原則からいって公開することの方がはるかに利益が多いと思うのですよ。それと、国費で、国民の税金を使って行政を
執行
する、その行政の一環でありますから、それをどうしても隠さなければいけないという合理性があるのかどうかその点について
長官
はどうお考えですか。
塩崎潤
51
○
塩崎国務大臣
新村
委員
はどの意識にはまだ大抵の政治家はなっていないのではないでしょうか。行政庁の方々も、私はそこまで公開した方が国民のためにいいというふうな意識にはなっていないのじゃないかと思うのです。やはり報償費は報償費として一つの高度の政治的な判断を伴うところの使途だ、こんなふうに考えるものでございますから、先ほど
局長
が申しましたように、宮澤
長官
の「内訳については申し上げかねます。」という考え方、これが政府としてもとられている態度ではないかということだと思います。したがいまして、私は、情報公開法の内容でも、何を公開したらいいのか、何を公開すべきかという点を、こういう今おっしゃったように個々の一つ一つを挙げて大いに論議が進められるようにひとつ学者の方々にも検討していただきたい。もう窓口閲覧制度で大抵のものは見られるわけでございます。こういうものもありましょうけれども、例の
審議
会の
審議
経過と申しますかこれでも、公開しろとかいう意見もありますが、やはり公開するならば思い切った意見も出ない、したがって非公開でいこうじゃないか、こういうようなことを言われます。いや、それなら三十年後の歴史的な文書として公開しようというような考え方が出てくるのかもしれません。こんなようなものは大変難しい問題でございますから、私はこれから慎重に各方面の御意見を参考としながら検討を進めていくべきである、こんなふうに考えております。
新村勝雄
52
○新村
委員
長官
とは若干見解を異にいたしますけれども、すべてのと言いませんけれども、国民の税金を使うわけですから、できるだけ公開する方向で検討をいただきたいと思います。 それからまた、文書については、これは基準をぜひつくっていただいて、マル秘をできるだけ少なくしていく。それから、どんな秘密であっても一定期間たったら、三十年なりたったら全部公開する、例外なしということでないと日本の歴史の正確な記述ができませんよ、後世の歴史家が。 ですから、そういった観点からしても、政府は行政上のすべての秘密を一手に集中的に独占しているわけですから、これは一定のルールをつくってできるだけ公開する、またどんな秘密であっても一定の期間がたったらすべて公開するということにしないと、国民の利益あるいは正しい日本の歴史を後代の歴史家が記述をすることができないということになりますので、そういった点についての特段の御検討をいただきたいと思います。 以上で終わります。
渡辺栄一
53
○
渡辺委員長
長谷百合子
君。
長谷百合子
54
○長谷
委員
新石垣空港旧建設
予定
地にかかわる漁業補償料等について御質問いたします。
沖縄
県は県議会で、空港設置認可申請や公有水面埋立認可申請を九〇
年度
早々にも行うというふうに
説明
してきました。また、マスコミ報道等でも五月の連休明けにもそれらの申請を行う方針とのニュースが流れておりますが、現在どのような
状況
になっているのでしょうか、お答えください。
小坂英治
55
○小坂
説明
員 お答えいたします。 新石垣空港の設置管理者は
沖縄
県でございますが、現在
沖縄
県におきまして、新
予定
地におきます空港
整備
につきまして、環境アセスメントを初めといたしまして計画変更にかかわる諸準備が進められております。準備が整い次第、所要の手続に入ると聞いております。
長谷百合子
56
○長谷
委員
これは、地元の同意はどうなっておりますでしょうか。
小坂英治
57
○小坂
説明
員 新地区の背後地区は三地区ございますが、現在までにおおむね星野、大里、伊野田地区の同意が得られたというふうに聞いております。
長谷百合子
58
○長谷
委員
測量
調査
や環境
調査
は既に完了しておりますでしょうか。また、図面の作成、環境に対する図書などはまとまっておりますでしょうか。
小坂英治
59
○小坂
説明
員
調査
につきましては完了していると聞いております。その他のいろいろな作業の細部につきましては承知しておりません。
長谷百合子
60
○長谷
委員
それでは、いつごろ申請が行われて、いつごろ
工事
開始の
予定
になっておりますでしょうか、お答えください。
小坂英治
61
○小坂
説明
員 新石垣空港の
整備
は緊急の課題ということで関係者は努力しておる次第でございますが、そのためにも準備が終了次第、早急に手続に入りたいということは聞いております。
長谷百合子
62
○長谷
委員
新
予定
地の
用地
においてこのたび二度にわたる国土法違反の事実が判明し、県はその業者を告発する方針との報道もございます。また、土地価格も二年間で十七倍にもはね上がっています。今後、県が
用地
を取得するといたしましたらこの違反業者と交渉しなければならない上に、高い価格で買収しなければならないことも予想されます。 一方、漁業補償金についても、先月末の八重山漁協の
理事
会で、県が旧
予定
地の補償金と今回の補償金とを
調整
するとの方針を出したところ、漁協の反発が強く、今度の定期大会ではこの案件は提出されない見通しと地元紙は報じております。 現在の
用地
買収の見通し、埋め立て同意の見込みは立っているのでしょうか。
小坂英治
63
○小坂
説明
員 私どもが聞いておるところによりますと、今後の空港の
整備
に当たりましては、航空法の手続であるとか公有水面埋立法の手続だとか、それぞれそういう手続関係があるわけでございますが、その前提としまして、地権者あるいは漁業権者の同意を得る必要がございます。現在、県は同意を得るべく最大の努力をしているというふうに聞いております。
長谷百合子
64
○長谷
委員
それぞれ具体的にどのような見通しがあるのでしょうか。例えば何月ごろにというようなことはどうなんでしょうか。
小坂英治
65
○小坂
説明
員 地権者の同意であるとかあるいは漁業者の同意につきましては、今先生が御指摘のように必ずしも見通しが暗いということは聞いておりませんけれども、しかし、それぞれ努力しているということを聞いている
状況
でございます。
長谷百合子
66
○長谷
委員
ただいまの御答弁では、これらの同意を得る見通しがまだ立っていないというふうに私は解釈いたしますが、カラ岳東案、カラ岳東の新空港、新しい計画でございますが、これをつくるに当たりまして自然保護の問題もまだ解決しておりません。それで、日本の自然保護団体である八重山・白保の海を守る会がニューヨーク・タイムズやネイチャーなどにその保護を訴える意見広告を掲載いたしましたところ、既に四百五十通を超える手紙が
沖縄
県知事あるいは海部首相に届いております。海外からも日本の環境政策のシンボルとして厳しい目がこの計画に向けられております。その上、地元の白保はこれまでと変わらず同じような反対姿勢を崩さないと表明いたしております。 私は、このような
状況
の中での新空港建設は非常に困難だし、問題があると思いますが、いかがでしょうか。
小坂英治
67
○小坂
説明
員 石垣空港の利用の現況あるいは今後の航空需要を勘案しますと、当地域において本格的なジェット機の就航できる新空港を建設するということは緊急の課題であるとただいま申し上げたところでございますが、
沖縄
県が昨年四月に発表しました新石垣空港の新
予定
地につきましては、サンゴ礁等の自然環境の保護上の問題もないだろうというふうに判断されておりまして、現在、結果はアセスメントを行う中で評価されるわけでございますが、地元の大里、星野、伊野田の三地区の住民からの同意が得られているということも今申し上げたとおりでございます。県は漁業組合や地権者の同意を得るということで努力しておりますし、環境アセスメントの問題につきましても努力を傾注されているというふうに承っておりますので、運輸省としてはこれらが円滑に進むということを期待しているところでございます。
長谷百合子
68
○長谷
委員
沖縄
のサンゴの問題は今度は大丈夫というような御見解だと思うのですけれども、それは私たちの方でやりますと全く反対で、とんでもない、白保と連続したサンゴ礁でありますので大変自然環境への影響が大きいというふうに認識しておりますが、こういうふうにいろいろな問題があっても、運輸省としてはこの
沖縄
県のカラ岳東での新空港建設という方針を今後も堅持されていくというお考えなんでしょうか。
小坂英治
69
○小坂
説明
員 私ども運輸省といたしましては、従来から石垣島においてジェット機が就航できる新空港を建設するということは非常に重要だというふうに考えておりまして、当然ながら自然環境との調和、地域のコンセンサスや漁業者等関係者の同意取得ということが前提になりますが、それを前提にいたしまして新空港
整備
の促進を図る考えは当然持っております。今後ともその方針で臨む所存でございます。
長谷百合子
70
○長谷
委員
ところで、旧
予定
地の計画で支払われました漁業補償料、
用地
補償料などですが、計画が変更されたのですから当然国に返還されることになりますね。そして、新
予定
地のそれぞれの補償金は別途補助金として交付されることになるのでしょうね。どうでしょうか。
小坂英治
71
○小坂
説明
員 国が
沖縄
県に対しまして交付した補助金につきましては、新石垣空港の
整備
について検討が県の方で今進められております。その検討等を踏まえまして適切に
処理
することといたしたいと考えております。
長谷百合子
72
○長谷
委員
県の方で検討が進められている段階ですよね。その段階で、県だけが独自にやっているということはないと思うのですけれども、運輸省はその県との話し合いの中でそれをどういった方針でやられているのですか。
小坂英治
73
○小坂
説明
員 現段階におきましては、
沖縄
県が白保地区の空港建設、これをもともと考えておったわけでございますが、去年の四月に新しいところに移動したいということで、いろいろなことを検討しております。今申し上げましたように、地元の同意であるとかいろいろなことが前提になりますけれども、いずれにいたしましても新石垣空港をつくるということで検討を進めておりますので、その結果が正式に示された後に適正に
処理
したいと考えております。
長谷百合子
74
○長谷
委員
その正式にということは、申請があったときということでよろしいのでしょうか。
小坂英治
75
○小坂
説明
員 当然ながら、申請書も出てはっきりと県の方向が示された段階と考えております。
長谷百合子
76
○長谷
委員
どうしてその申請の時点まで検討しないかということなんですけれども、既に今小坂
課長
もおっしゃいましたように、実際には
沖縄
県の方では、カラ岳東に空港を建設するということで具体的にもうスケジュールが動いているわけですね。例えば測量とか環境
調査
を完了し、県議会では繰り返しカラ岳東での新空港建設の表明、そして三月七日の定例県議会では土建部長が、知事の任期中に着工したいなど具体的なスケジュールも明らかにされ、先ほども運輸省は、この県の方針を尊重してやっていくということですから、形式的には整っていないけれども、実質的にはカラ岳東では新空港建設がもう具体的に進められているということだと思うのですね。こういう時期に、やはり申請がないとという形式論に終始して答えを、補償金を返すのか返さないのかはっきりされないということは非常によくわかりませんが、この辺どうなんでしょうか、答えていただきたいと思います。
小坂英治
77
○小坂
説明
員 今先生おっしゃられましたように、県は新しいところに移したいということでいろいろ検討し、それをもとに、地元の説得であるとかそういう環境
整備
をやっているわけでございますが、これらの過去の問題までさかのぼる問題につきましては、形式と同時に中身の問題も進められるはずだと考えております。恐らく県はその段階で、すべてのいろいろな検討が終わり、いろいろなことの相談を私どもに持ってくるのではないかというふうに考えております。
長谷百合子
78
○長谷
委員
今のあれですと、具体的に例えば同意が得られるかどうかということも県がやっていらっしゃるということになれば、当然補償金の問題というのは出ざるを得ないんじゃないでしょうか。出ないでやれるということはちょっと私には考えられないのですけれども、そういうときに、県だけがその補償金の問題を勝手に、極端に言えば、こういうふうに勝手に方針を立てて漁民の方と交渉をすることができるわけでしょうか。
小坂英治
79
○小坂
説明
員 新石垣空港の建設地点を移す格好で物事を進めたいということについては、私どももよく知っております。そのための条件
整備
をするようにも言っております。こういう格好で進めたいということを言ってきて、それを了解したわけでございます。その結果、新空港についての建設のための条件
整備
が進むことを考えているわけでございます。その中で、今先生おっしゃられたもろもろの検討が県の中で行われると考えております。
長谷百合子
80
○長谷
委員
ここにも、八重山毎日新聞の五月十六日付のコピーでございますけれども、先月末に開かれた八重山漁協の
理事
会に土建部
次長
を派遣しまして、新
予定
地の海域、ここに埋め立て同意の取りつけを要請したということが出ておるのですけれども、こういった事実は御存じでしょうか。
小坂英治
81
○小坂
説明
員 この計画を進めるに当たりまして、大きなポイントといたしましては、地権者の同意、漁業者の同意が必要でございます。当然、県は何らかの形で漁業者と折衝し、了解を得る行為を行っていると考えております。
長谷百合子
82
○長谷
委員
ではもう一つ、八重山漁協の今
年度
の総会はいつ開かれるか御存じでしょうか。
小坂英治
83
○小坂
説明
員 詳細は存じておりません。
長谷百合子
84
○長谷
委員
私のところにはその通知というものがあるのですけれども、この五月三十一日に開かれることになっております。そして、その中の第十号議案として、「新石垣空港建設に伴う公有水面埋立等の同意について」が検討されることになっております。もうあと一週間しかないのですね、これは今から考えますと。ですから、県は少なくともこの時期までに、新しい空港に移します
予定
地、そちらの補償金と、それから、一応廃止になりました旧
予定
地の補償費の返還についても方針を出して、そこでこういう条件だから乗ってくれないかというような話がなされるということは当然だと思うのですね。こういったところまで話が煮詰まっている段階で、県の方からいずれ話が上がってくるだろうというようなことで、運輸省あるいは
沖縄開発庁
の方がそういう形で、ちょっと今
沖縄開発庁
の方には直接伺っておりませんけれども、相談もしないでやっているということはとても常識的に考えてもあり得ないことだと思うのですが、どういうことでしょうか。やはり押さえていらっしゃるはずだと思うのですが。
小坂英治
85
○小坂
説明
員 空港の建設につきましては、繰り返しになりますが、漁業者の同意、地権者の同意、これはもう必要な
事項
でございまして、私どもも早くやるようにということはずっと言っております。その流れに沿って動いておる。今おっしゃられましたように今月末と、定かに日にちは聞いておりませんけれども、今月中にできるということであれば大変に喜ばしいことだと考えております。
長谷百合子
86
○長谷
委員
ですから、喜ばしいとかそういう感想ではなくて、このところに補償金の問題が必ず出る、出ないわけはないわけですね。これに対して運輸省がどういう見解を持っていられるのか。全然今わかりません、何も聞いてないということでは、私は全然納得できないのですけれども。
小坂英治
87
○小坂
説明
員 今回の漁業者の折衝は金額の話になっているかどうか、ちょっとその段階まで私ども期待しておりません。金額の話になれば、所要の基準に沿った金額になるかどうかという相談があると思います。今回私どもが県に期待しておりますのは、漁業者の着工に対する同意でございます。
長谷百合子
88
○長谷
委員
ですから、もう何か繰り返しになってしまうのですけれども、要するに聞きたいことは、前に払われたお金ですね、随分大きなお金ですけれども、漁業補償だけで四億五千万円、全体では八億三千万というお金になると思うのですけれども、このお金がどういうふうになるのか、返されるのか返されないのか、これはどうしても聞いておきたいところなんですね。 これとあわせて、補助金等の適正化に関する法律によれば、加算金のことも同時にここには書いてあると思うのですけれども、加算金はどうなのか、返すべきなのかどうなのかということも、どうしても私はここで聞かせていただきたいと思うのですけれども、お願いいたします。
小坂英治
89
○小坂
説明
員 適正化法の問題を先生おっしゃられたわけでございますが、適化法の解釈等、
措置
につきましてはケース・バイ・ケースで決まることになろうと考えております。したがいまして、県が今回の漁業補償あるいは土地の購入もあるわけでございますが、どういうふうに
措置
し、どういうふうに検討し、私どもに相談に来るかということを待っているところでございます。
長谷百合子
90
○長谷
委員
もうさっきから何回もあれで困っちゃうのですけれども、要するに前に払った補償料はないわけですね。そこではもう空港建設をやらないということは確定いたしましたね。確定してしまって補償金を戻すのは当然だと思うわけですけれども、先ほどから何度も言っているように、今どんどん具体的な計画が進んでいる、そして運輸省もこれを積極的に推し進めていきたいというような御見解がありながら、どうしてお金のこと、補償金を返してもらうのか返さないのか、ここをはっきり言っていただけないのでしょうか。
小坂英治
91
○小坂
説明
員 まず形式的に言いますと、現在は、白保地区の空港を建設するということでもろもろの手続をし、所要の補助金を払ってまいりました。現在、県は新たなところに移すという構想を持って今所要の手続を進めているところでございます。したがいまして、どういうふうにこの地区に移し、どういう金を必要とするか、すべて補助金対象の
事業
を
積算
してくると思いますが、その考え方を明確にした上で判断することになると理解しております。
長谷百合子
92
○長谷
委員
では、らちが明かないので別のことをちょっと聞きますけれども、大蔵省の方にお願いいたします。 旧
予定
地で支払われました漁業補償料、
用地
買収費等は、全額国庫負担の補助金から出ているのでしょうか。
林正和
93
○林
説明
員 先生御指摘のように、過去に
執行
済みの本件に関する
補助事業
の
予算
は約八億三千万でございますが、全額国費でございます。
長谷百合子
94
○長谷
委員
一〇〇%国の補助金とするならば、なおさら国民は今後運輸省がとるべき方針を一刻も早く知りたいというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。 先ほどから何度もお伺いしているのですけれども明確な答弁がいただけないので、これをはっきりした答弁をしていただくように
委員長
の方からもぜひお願いしていただきたいと思います。つまり、埋め立てもされないのに補償金を渡したまま、方針もわからない、これではだれも納得がいかないということです。ぜひ明確な御答弁をいただきたいと思います。
委員長
、どうかよろしくお願いいたします。
渡辺栄一
95
○
渡辺委員長
明確な答弁を求めます。
小坂英治
96
○小坂
説明
員 少なくとも、その支払った額に対して大きな過誤があったかどうか、あるいは土地のように明確に物が残っているものについて、それぞれ補助した対象によって考え方が違い、次に新たにやるところにつきましては、当然対漁業者という意味では漁業補償が要りますし、土地の購入費用も要ります。そのつなぎをどういうふうに県が持っていくか、その考え方を県から聞きたいわけでございます。確かに、新しい場所に移したいということを県が宣言してからもう大分たちます。私どもも早くきちっとした形で
整備
の方向、可能性すべてを検討してもらって、適正に
措置
する段階を期待しているわけでございます。 いずれにしましても、今県は鋭意努力しておりまして、近々そういう作業が終わるものと期待しております。
長谷百合子
97
○長谷
委員
今のが明確な答弁というふうにはちょっと私には思えなかったのですけれども。 今つなぎというようなな言葉を使われたのですけれども、古い計画から今度の計画につなぎをどうすると、それは、その補償金を戻してもらうのが非常に難しいので、あれこれとどうしたら今度のこととつじつまを合わせてやっていけるかという算段をしている、そういうようなことでしょうか。
小坂英治
98
○小坂
説明
員 細部はまだ県の結果を聞きませんとわかりませんが、例えば先生がおっしゃった漁業者との対応で、例えば県は前に払った漁業補償費を生かす方法はないかというようなことを考えていると今先生おっしゃったところからも感じられるわけでございますが、いろいろな対応があると思います。県は前に払った額をいかに有効に利用するか、その段階では新たな漁業補償費を全額要求しなくても済むというようなところを考えているのではないかと想像するわけでございます。
長谷百合子
99
○長谷
委員
想像されてもいいですけれども、そういうことはないということでしょうか。つまり相殺してしまうというような話ですね。前の漁業補償料を戻してもらえないので、次の補償料がこうなって、しかも今度は
用地
が前よりも少ないわけですから、普通で言えば補償料も少なくなるはずですけれども、その辺のところをうまく調停して、何とか今の補助金を返還しなくても済むような形に持ち込むという算段をしていると、私はそういうふうに言っているわけです。それと同時に、補助金の返還の決定が遅くなれば加算金も当然ふえて困ると思うのですけれども、大蔵省の方にちょっとお聞きしたいと思うのですが、加算金が免除される場合というようなこともちょっと法律の条文を読みますと書いてあるのですけれども、この例というのはどんなことでしょうかちょっとお聞かせ願いたいと思います。
松谷明彦
100
○松谷
説明
員 補助金適正化法第十九条第三項の「やむを得ない事情」についてのお尋ねであろうと思いますが、これは例えば間接補助金等の場合におきまして、例えばその間接
事業
者の資金事情等によりまして補助金の返還金の回収が
遅延
ないし不能と見込まれるような場合、ありていに申しますと、すなわちすべてを
補助事業
者等の責に帰すことは酷に過ぎるというように考えられる場合等を指すものと考えております。
長谷百合子
101
○長谷
委員
補助事業
者の責任に帰すべきものではないときというのですけれども、それは法律に書いてあることで、もうちょっと具体的に例えばどういうようなことかということを教えてほしいのです。
松谷明彦
102
○松谷
説明
員 ただいま申し上げましたように、
補助事業
者がございまして、
補助事業
者からさらに間接
補助事業
者に補助金が流れている、こうした場合に、その間接
補助事業
者が例えば解散したとか資金繰りが極めてつかないとか、そういった間接
補助事業
者側の事情によって返還金の回収が
遅延
あるいは不能となった場合に、その真ん中におりますところの
補助事業
者の責にすべてを帰するということは酷ではないか、こういうような場合に適正化法十九条三項の「やむを得ない事情」に当たる、このように考えております。
長谷百合子
103
○長谷
委員
そういたしますと、今回の場合はやむを得ない事情ということにはならないというふうに考えていますが、それでよろしいですね。
松谷明彦
104
○松谷
説明
員 補助金適正化法の十九条の三項の適用の問題につきましては、まずその前に、本補助金そのものの取り扱いについての検討があろうと思います。十九条の三項を適用するかどうかについては、その検討の後に、運輸省におかれて私ども大蔵省とも協議の上、検討される事柄であると考えております。したがいまして、本補助金そのものの取り扱いが定まっておりません現段階におきまして、その後の問題でございます加算金等の取り扱いについての見解をここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
長谷百合子
105
○長谷
委員
では
会計検査院
の御見解はどうでしょうか。お願いいたします。
川崎恒夫
106
○川崎
会計検査院
説明
員 お答え申し上げます。 本院といたしましては、空港建設の計画変更が所定の手続を経て許可された時点における運輸省及び
沖縄
県
当局
の交付済み国庫補助金に対する取り扱いについての対応を見た上で、適切に対処したいと考えております。
長谷百合子
107
○長谷
委員
何かもうらちが明かないので、別の観点でやります。 そうすると、加算金はだれが支払うものでしょうか。県でしょうか、それとも漁民ですか。これは一般論ですからお答えいただけるかと思います。
松谷明彦
108
○松谷
説明
員 仮定の問題でございますが、仮に加算金の支払いを命ずるというような事態になったとしますと、これは補助金を受けたいわゆる
補助事業
者ということになっております。今回の場合には県であろうと思います。
長谷百合子
109
○長谷
委員
それは当然全額返還ということでよろしいわけですね。
松谷明彦
110
○松谷
説明
員 今の先生のお尋ねは加算金の件ではなかろうかと思いますが、全額とおっしゃいましたのは、恐らく既に交付しました補助金の額であろうと思います。それにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、現在運輸省におかれて県の申請を待って検討されるということになっていると伺っております。
長谷百合子
111
○長谷
委員
さっきから時間をかけて同じような繰り返しになっているのですけれども、こういったやりとりが実のあるものかどうか、何のためにやっているのかちょっとわかりづらくなっているのですけれども、大臣の御見解はどうでしょうか。
砂田重民
112
○
砂田国務大臣
沖縄開発庁
の立場から私の見解をお話しをしておきたいと思います。 今長谷
委員
と
事務
当局
とのいろいろな御議論、一つはやはり、新石垣島空港というのは三種空港でございまして、設立者は県でございます。ですから、今運輸省からも御答弁のございました空港建設の着手前に国から取りつけなければならない許可、埋立認可、その前に、第三種空港としての新石垣島空港の設置者であります県が、国へ手続する前にクリアをしておかなければならない幾つかの問題があろうかと思うのです。そのクリアをしておかなければならない幾つかの問題について運輸省、大蔵省の
事務
当局
からお答えがあったと思うのですが、空港の設置者である県の申請を待っている国の立場、そこのところがちょっと長谷
委員
の御質問と食い違っていたところではないだろうかという感じで承っていたわけでございます。
沖縄開発庁
といたしましては、第一次、第二次の
沖縄
の総合的な開発計画と取り組んでまいりまして、今それの総点検をいたしておるところでございます。県も同様に総合的な開発計画の総点検をやってまいりまして、第二次
振興開発
計画がことしでもう第九年目に入るものでございますから、この二次振興計画の後をどうするかという総合的なことを開発庁も県もそれぞれ今議論、
調査
をしているところでございます。 県の一連の総合的な
調査
の内容を私が承っておりますところでは、産業開発という部分で
沖縄
の観光産業というものに非常に大きなウエートを置いていかれようと、そういう構想を持っておられるように承っております。
沖縄
県全土にわたりますような広域的な観光産業振興のための構想をお持ちになって、幾つかの場所に重点的な地区をつくって、国土庁に対しましてリゾート法による大規模の保養地の地域指定を求めておられる、それのマスタープランの
説明
が県から国土庁になされて、国土庁もそのヒアリングをやっている最中だと聞いております。 その中の石垣島並びに石垣島周辺の観光産業振興ということから、新石垣空港というものを県も非常に重要視をしていると思うのでありますけれども、やはり観光産業振興のための開発ということと自然を守るということは、いろんな角度から区別をしてかからなければならない問題であって、手をつけてはならない、そのままの自然を守るという地区もございましょうし、あるいは観光開発、いわゆる開発と自然保護ということの調和を求める区域もございましょうし、恐らく石垣島については、自然を守るということと開発をするということとの調和を今県は一生懸命努力をしておられるのだと考えております。それは、昨年の四月に
沖縄
県知事が当初考えておられた白保地区からカラ岳地区に空港建設の場所を変更されたこと、あるいは今御議論になりました漁業補償の問題の解決に努力をしておりますこと、住民同意を取りつけることは当然でございますけれども、県としては、そのような国に空港建設の許可を求める前にクリアをしておかなければならない幾つかの問題、これの解決に努力をしておられる、ちょうど今日がそういう時点だと考えます。
沖縄
全体のこれからの産業の振興のことを考えてまいりますと、開発庁といたしましても新石垣島空港というものは支援をしていきたい、基本的にはこう考えているわけでございまして、今残された各様の県がクリアをしなければならない幾つかの問題が解決されて、県から手続が始まりますことを期待をいたしておるものでございます。
渡辺栄一
113
○
渡辺委員長
午後一時から
委員
会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四分休憩 ────◇───── 午後一時四分
開議
渡辺栄一
114
○
渡辺委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。
和田
静夫
君。
和田静夫
115
○
和田
(静)
委員
まず、第三次の行革審といいますか新しい行革審、これからのこの行政改革のテーマ、行革審のテーマというのをどういうふうにお考えになっていますか。
塩崎潤
116
○
塩崎国務大臣
近く本国会におきまして、行革審の第三次と申しますか、第三次行革審の設置法案に関しまして御
審議
を願う
予定
でございます。速やかに御賛成の上、成立をさせていただきますれば大変ありがたいことでございます。 そこで、私どもの今考えておりますところは、まず
審議
議題でございますけれども、いずれまた
審議
会が開かれまして、そして
審議
会にこれまでの
審議
、行政改革の進捗
状況
等について御報告を申し上げ、そしてその後で
審議
テーマを決めていただこう、こんな段取りを考えておるところでございます。 もう、先般第二次行革審の答申が出ました中に方向はいろいろ示唆されているところでございますが、それら等から想定いたしまして、私どもは、まず第一に我が国の制度の国際的調和、そして世界への積極的な貢献、これが一つの観点でございます。第二の観点は行政運営の透明性、公正の確保、こういったテーマでございます。三番目は消費者、生活者重視という言葉がございますが、国民生活の質的向上と消費者の重視、このような大きなテーマを考えながら、その中で具体的に行財政改革をどのように進めていくかということを御論議を願うつもりでいるところでございます。
和田静夫
117
○
和田
(静)
委員
まず、メンバーの構成だとかあるいは
審議
の所要の期間だとか、そういうものは何か構想がありますか。
塩崎潤
118
○
塩崎国務大臣
まだ法案が通る前でございますので、そのような計画はございません。
和田静夫
119
○
和田
(静)
委員
今までの行革というのは、例えば国鉄、電電、専売、日航などというような行政の周辺にまずメスを入れた、そして民活の名のもとに民間に株を売却をする、そういう方法をとってきたわけですが、その成否は今問いませんが、今後はこの行政の本体にメスを入れなきゃならないのではないだろうかというふうに私は考えます。一つの官庁でもって改革ができないことをこれからの新しい行革審のテーマとするというような方針ですね。それぐらいのことをやって総ざらいをしてみるべきではないのだろうか。 そこで私が考えるのは、これからは例外なく行革の対象としていく。例えば
予算
編成のあり方だって、私は、大胆に大蔵主導型からもっと踏み込んでみるということを自説にしてきましたが、そういうことも必要ですし、省庁間の
調整
の非効率と言ったらいいのですか、あるいはこの一種の縄張り争いのような状態を克服する
調整
力とでもいうものも確保する、あるいは各省庁のOBに至るまでの終身保障的なそういう慣習や民間への天下りなどというものに対しても、セクト主義なども排除して人事行政にまでもメスを入れるというぐらいのことを必要としているのではないだろうかそういう決意を持って臨むべきではないだろうかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
塩崎潤
120
○
塩崎国務大臣
もう先ほど来繰り返しておりますように、まだ行革審法案も御
審議
を願えないような段階でございますので、今
和田
委員
が御提案のような大きなテーマはもちろんでございますが、どんなテーマにするかというところまでまだ決まっておりませんので、今確たる方向についてお話を申し上げる段階ではないと思うのでございますが、私は、もう今度の行革審はこれまでの行革審の集大成というような気がいたしておるのでございます。そういった意味で、あらゆる問題を取り上げて、そしてとにかく日本がこれから世界の中でどのように貢献していくかというような問題、これはあらゆる問題に関係するわけでございますから、これを取り上げていくようなことになるのではないか、しかもまたそれが実現もできるような方向で私どもは答申をいただきたい、こんなふうに考えております。
和田静夫
121
○
和田
(静)
委員
きょうは、後ほど幾つかの事例について、省庁間の
調整
の非効率を克服する
調整
力を確保する必要性、そういうものについて論議してみたいと実は思っているのでありますが、
長官
は各行政機関への監察について今日十分に機能しているというふうにお考えになっていましょうか、いかがでしょう。
塩崎潤
122
○
塩崎国務大臣
和田
委員
の御質問の機能しているという意味を十分とらえていないかもしれませんが、私は、これまでの行監の結果あるいは成果等から見まして、現在の行政機構の中で行政監察は機能をし、そしてまた成果を上げている、こういうふうに見ております。
和田静夫
123
○
和田
(静)
委員
長官
が今も述べられましたけれども、消費者や生活重視の行政のあり方を検討したい、こう言われました。それで、今我が国では、今日まで軽視されがちでありました消費者や生活者の生活小国からの脱出とでもいいますか、そういうことが大きな政治課題であると私は思いますが、
長官
はこの第三次の行革審に当たってそのことは強く意識されましょうか。
塩崎潤
124
○
塩崎国務大臣
先ほど来申し上げておりますように、これまで看過と申しますか、産業の方に行政の目は向いていて消費者の方に目は向き方が少なかった、このような御指摘はもうすべての方がやられるようになってきた今日でございますので、私はそういった観点はもう十分織り込んでいきたい。行政機構の問題についてもいろいろ御意見が出ているようでございますので、私はもう広い角度から行革審の方々に十分な御論議を賜りたい、こういうふうに思っておるところでございます。
和田静夫
125
○
和田
(静)
委員
せんだっての最終答申では、簡素で効率的な政府、スリムな政府、そう言いながら一方で大きな政府は出現させてはいけないというふうに強調しているわけであります。そこで、大きな政府は非簡素であり非効率的である、高福祉高負担もその範疇にある、こういうふうにもし述べたのだとするならば大変問題があるわけでありますが、この辺は
長官
はどういうふうに御理解になっていますか。
塩崎潤
126
○
塩崎国務大臣
私は、第二次行革審の答申の中にありますところの五〇%を超えない国民負担という目標、この負担がやはり大きな政府は国民の活力を失う。ヨーロッパ、特に北ヨーロッパですかのように七〇%のような税負担を伴うだけの大きな負担をもたらすような国は活力を失っているのじゃないかという判断が、これはアメリカでもよく言われているところでございます。ヨーロッパの方が税負担が高い、その部分が大きな負担だ、それには絶対近づけないんだというような考え方がアメリカですら言われているところでございますが、私どももそういう考え方でもっていこうとする行革審の思想は十分理解できるところだと思います。しかし、それが低福祉ということではこれはもう全然政府の役割はなさないわけでございまして、私は、活力のある福祉、それをねらってのスリムな政府、五〇%を超えない国民負担、これがその思想だと考えております。
和田静夫
127
○
和田
(静)
委員
言われておるように、私は高福祉をノーと言えることにはもちろんならないと思います。高福祉はすぐれて政策の問題でありますし、行政は簡素で効率的に、そういうことだろうと思うのですが、このことを基本に第三次の行革審の作業も今述べられますように進んでいく、そう理解をしておいてよろしいでしょうか。
塩崎潤
128
○
塩崎国務大臣
これは高福祉の程度の問題もございましょうし、また内容的な意味もありましょうけれども、私どもも、五〇%を超えない範囲においての税負担のもとでの高福祉ができればこれは理想的な姿であり、しかしそれには何としても大きな政府にならないように、行政は簡素なものであれとするならば、
委員
御指摘のような考え方が行革審の思想の中にも盛られている、私はこういうふうに思います。
和田静夫
129
○
和田
(静)
委員
予算
委員
会でもたくさんの論議があったし、したところでありますが、アメリカとの構造障壁協議、私はこれはまさに日本の行政の行き詰まりを一方ではあらわしているのだなというふうに考えながら論議に加わらせていただきました。そこで指摘をされました例えば大店法あるいは土地あるいは不公正取引、排他的商慣習などというようなものも、行革の対象となり得ましょうか。
塩崎潤
130
○
塩崎国務大臣
今御指摘の各種の問題が、行政と申しますか政府の作用に、機能に関するようなことになりますれば、私は当然行政のあり方として行革審の中で考えていただかなければならないとも考えておるところでございます。私の見るところ、日米構造協議の中間報告は私どもに行革の大きな示唆を与えているように思うところでございます。
和田静夫
131
○
和田
(静)
委員
経済協力開発機構、OECDの構造
調整
リポートが加盟各国の経済構造
調整
課題をまとめたものとして明らかにされました。その中で、日本に対する労働時間の短縮などによる一人当たり国民総生産水準に見合った生活の質的充実、これを初めとする五項目、この指摘はこれまた行革の対象になりましょうか。
塩崎潤
132
○
塩崎国務大臣
労働時間の短縮の問題は
総務庁
の所管でございますし、私は公務員の週休二日制という問題に取り組んでいるわけでございます。しかし国民に対するサービスを落とさないようにするとするならば、これは行政のあり方について相当考えなければならないというような気がするわけでございます。OECDの勧告がどの程度までそれを考えておるかわかりません。わかりませんが、私は、国際的に週休二日制度を日本に必要とするならば、行政のあり方についても相当考えなければならないか、こんなふうに考えております。
和田静夫
133
○
和田
(静)
委員
そこで、OECDの構造
調整
リポートを受けて、特に公務員制度における労働時間の短縮問題について、今もお触れになりましたが、何か新たなる対応を示されるお考えというのは今ございますか。
塩崎潤
134
○
塩崎国務大臣
公務員の週休二日制の問題につきましては、六十三年ですか、「世界とともに生きる日本」という経済運営の閣議決定の中で決められて、平成四年が計画期間の最終でございますが、それが一応出されているわけでございます。平成四
年度
までに実現するという意味ではないかとも思うのでございますが、私どもは、この問題は世界に貢献する問題として、そして国民生活の質の向上を図る意味において非常に重要な問題でございますので、この問題は
総務庁
としてひとつ力を入れていこう、近い機会に、私の私的な諮問機関でございますが、週休二日制に関しますところの懇談会を開いていろいろと問題点等について考えていただき、またその解決の方法についての御論議をいただこう、こんなふうなことを考えているところでございます。
和田静夫
135
○
和田
(静)
委員
ところで、ちょっと話をかえますが、
長官
が述べられています生活環境省構想ですか、新たな行革路線の中心にそういう構想をお据えになろうということなんだろうと思うのですが、
長官
自身が何か具体的なプランを固められているのですか。
塩崎潤
136
○
塩崎国務大臣
生活環境省が私のアイデアとかいうようなことを言われて大変困っておるのですけれども、私はそのようなことを具体的に申し上げたことはありません。しかし、消費者行政を扱うところが各省にまたがっている面が相当あり、しかも、消費者行政を扱うところの権限というものは、産業を監督するような省庁あるいは部局に比べて、権限と申しますかあるいは所管の法律と申しますか、そのような制度が少ないあるいは力が弱い、こんなような気が私はするわけでございます。 具体的にまだ話したことはありませんが、私も長らく大蔵省の役人をしておりましたのでそのようなことが思い当たるぐらいでございまして、具体的に生活環境省をこのようにするなんという考え方は、全く言ったこともありませんし議論をしたこともございません。ただ、新しくできます行革審の中ではひとつ取り上げてもらうべき問題であろう、こういうふうに思っております。
和田静夫
137
○
和田
(静)
委員
先ほどちょっと触れましたが、特に土地につきまして、今日、税調の
審議
だけにゆだねておいてよいというものではないだろうと私は思っておるのですね。総合的な対策として新しい行革審でも少し突っ込んだ検討をされてしかるべきではないだろうかと思いますが、これはいかがです。
百崎英
138
○百崎政府
委員
先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、新しい
審議
会でどういうテーマを取り上げるかというのは、これが発足した後、
審議
会御自体でもいろいろ御論議をいただいてお決めいただく問題だと思いますが、新しい
審議
会の一つの
任務
といたしまして、これまでの臨調あるいは旧行革審、新行革審の答申等のフォローアップをするというのが非常に大きな
任務
の一つになっております。 そういった関連で、御指摘の土地対策、これにつきましては、御承知かと存じますが、
昭和
六十二年と六十三年にわたりまして土地対策に対する緊急答申、それから総合答申ということで、二度にわたった行革審の答申が出されております。それを受けた政府の実行
状況
をフォローアップするということも新しい
審議
会の
任務
の一つに数えられますので、新しい
審議
会においてそういった問題も含めてテーマを御選定になるのではないかというふうに考えております。
和田静夫
139
○
和田
(静)
委員
さきの
予算
委員
会で提案させていただきました、私の言葉で言えば高齢者憲章、
長官
の御答弁で言えば長寿者憲章ですが、
予算
委員
会の論議を踏まえて私たちの党、日本社会党でも大きな国民世論喚起のための運動としてこれを取り上げていくことに最近決めたようでありますけれども、どうでしょう、私は、ヒアリングを初め海部内閣がゴールドプラン、十ヵ年戦略を発表され、つくられているわけでありますから、この内閣の間に憲章をおまとめになる、そういう検討作業にお入りになってしかるべきだと思うのですけれども、いかがでしょう。
塩崎潤
140
○
塩崎国務大臣
先般、
和田
委員
から
予算
委員
会で御質問がございまして、私は国民の盛り上がりの中に期待をしたいということを申し上げました。やはり何と申しますかお手盛りじゃなくして、国民の自発的な気持ちの中から、例えば地方のそのような団体の、あるいは集まりの中から自然発生的に憲章が生まれるようなことになることが望ましい、そのような空気を醸成するようなことが私どもにとっての仕事ではないか、こう思っているところでございます。海部内閣の間とかなんとかいうようなことは考えなくても、今のような自然発生的な国民の気持ちの中から生まれてくるような憲章を見たいものだ、私はこんなふうに考えております。
和田静夫
141
○
和田
(静)
委員
予算
委員
会でも私が申し上げましたが、例えば児童憲章をつくるに当たって、私たちはたくさんの経験を持っていましたし、当時の総理府の中で準備室等ができ上がって、そして関係者、有識者あるいは国民世論、そういうものを背景にしながら児童憲章ができ上がっていったわけでありまして、そこのところをやはり、今言われるように単に自然発生的というだけではなくて、政府もある意味では一定の主導的役割を果たされる、自治体は自治体としてその役割を担う、市民はまた当然である、そう考えていってしかるべきであろう、両々相まってこれらの憲章というのはでき上がっていくのではないだろうかそう思うのですが、いかがでしょう。
塩崎潤
142
○
塩崎国務大臣
まあ何と申しますか、そんな拙速なことではなくというようなお話でございます。私もこれはどういうふうな時間的なことになるかわかりませんけれども、ともかくも国民の中から生まれるようにひとつ努力をしていく、そのために
総務庁
は各方面にひとつエネルギーを投じてもらう世話役をしていくべきである、こんなふうに思っているところでございます。
和田静夫
143
○
和田
(静)
委員
何か
事務
局はプラン的なものはありますか。
塩崎潤
144
○
塩崎国務大臣
これもこれから検討してまいりたいというわけで、まだ具体的な案は全くございません。
和田静夫
145
○
和田
(静)
委員
私、
総務庁長官
あるいは自治大臣、文部大臣の
予算
委員
会における答弁を踏まえて大いに期待をいたしていますので、努力を続けていただきたいと思います。 次の問題に移りますが、外国製のものを日本製と偽って商工
会議
所から原産地証明を取って、海外に輸出したという事件が最近ありました。この東都産業社という会社が税関から立入
検査
を受けておるのでありますが、その
調査
結果、そして処分の方針、大蔵省いかがですか。
瀧島義光
146
○瀧島政府
委員
お答えいたします。 本件については、立入
調査
はもう終わりましたが、その後の書類の精査等を今続行している段階であります。 それから、本件は個別事案でありまして、まだ最終的な
処理
方針は決まっておりませんので、具体的な内容についてここで明らかにすることは守秘義務の関係もありましてお許しをいただきたいのでございますが、事案の
概要
といたしましては、今
委員
御指摘になりましたように、また新聞で報道されましたように、外国で、具体的には韓国でつくもれました自動車の部品を日本に輸入した上で、今御指摘になったとおりの細工といいましょうか、日本産というカムフラージュをいたしまして輸出をしたという事案でございます。
和田静夫
147
○
和田
(静)
委員
今の守秘義務の問題は、後でちょっとまとめて別件の問題等と一緒に少し見解を伺います。かつて守秘義務をめぐっては大平大蔵大臣といろいろ論戦をした経緯もございますので、それらを踏まえながら少し論理的な論議を後ほどやらせてもらいたいと思うのです。 同じく、同じような手法で医薬品二品、それからマイクロホン、それからカテーテル、こういう不正輸出について四件の行政処分が過去において行われておりますが、それぞれの事件等処分の内容について、大蔵省、少し詳しく
説明
できませんか。
瀧島義光
148
○瀧島政府
委員
お答えいたします。 結論から申しまして、処分といたしましては、検察庁への告発はいたしませんでした。行政的な通告処分で済んでおります。したがいまして、会社の名前等まで含めました具体的な内容については明らかにすることをお許し願いたいのでありますが、事案の内容について御
説明
をさせていただきます。 第一のケース、Aのケースは医薬品、具体的には韓国で製造された鎮痛剤、下熱剤を一たん日本に持ってまいりましたが、日本に輸入するという手続はとりませんでした。具体的には、保税地域という地域がございます。これは言うなれば貿易上は外国と同じように考えていただいて結構なわけでありますが、そこに積みおろしをいたしまして、しかる後にこれを台湾に向けて再び積み戻したという事案であります。これは日本に輸入されておりませんから、台湾に向けて積み戻す、これも輸出に当たらないわけでございます。しかし関税法上、このような場合につきましても輸出申告書に類似した申告書を出していただくということになっておりました。輸出申告書につきましては、その原産地、つまり韓国ということが正しく書かれていたわけでありますけれども、そのこん包にメード・イン・ジャパンという、原産地を紛らわしくさせる表示をいたしました。こういうことは実は関税法ではなくて輸出貿易管理令上の通産大臣の承認を経なければいけない事案に該当いたしますので、その点の手続を済ませた上で税関への申告書にもその旨の記載を正しくしていただくということが必要であったわけでありますが、それがなされていなかったということで通告処分の対象にいたしたわけでございます。 Bのケース、これも同じく医薬品でございますが、犯則物件は乾燥エキス、これは中国産のものでございます。同じように日本に一たん仮陸揚げした上で、正しい手続を踏むことなく台湾へ向けて積み戻したという事案でございます。 事案の三、Cのケースでございますが、これは医療器具、ディスポーザブルカテーテル、韓国産のものを同じような手口で仮陸揚げした後イランに向けて積み戻したという事案であります。 第四のケース、これはマイクロホンでございますが、原産地韓国のものをスウェーデン、スイス、イスラエルに向けて仮陸揚げの後再び積み戻したという事案でございました。
和田静夫
149
○
和田
(静)
委員
そこで、私がきょうこれを
総務庁
のいわゆる
決算
委員
会で取り上げた理由が実はあるのでありまして、行政処分までしたのに、例えばこの医薬品二種について考えてみれば、製薬会社というものについて、例えばそれの大小を問わず許認可の権限を持つ厚生省がこれらの事態を知らない立場に置かれたままでいる。通産省の場合だってある意味ではマイクロホンの事件が同様の立場に置かれている。それぞれ連絡をしない。大蔵の側は単に関税法なら関税法違反だけで
処理
をしてしまうという縦割り行政の弊害的なもの、これは一体どこに理由があるのでしょう。まず、なぜ関係省庁に連絡をされないのだろうか。
瀧島義光
150
○瀧島政府
委員
お答え申し上げます。 今
委員
から縦割り行政の弊害というお言葉がございました。私も
委員
の気持ちは何というかわかるような気がいたします。自分で役人をしておりまして縦割り行政の弊害を感じないと言ったらうそになります。 本件につきましては、そういった一般論とは別にいたしまして御
説明
申し上げますと、医薬品の問題、これはあくまでも日本に輸入されなかった、つまり保税地域といういわば外国と同じようなところに仮に陸揚げされた後、そのまままた外国に向けて積み戻されたという事案でありまして、薬事法違反という要件に該当しない、したがってこれは厚生省には連絡をしておりません。それから、医薬品もこれは同じでありますけれども、一方のマイクロホン、カテーテル等につきまして原産地を誤認させるようなもの、これを仮陸揚げしてまた積み戻すという場合につきましては、これは輸出貿易管理令上の通産大臣の承認という手続が必要でございまして、それを経ていないという事実がございますので、これは通産省の方には御連絡してあります。事実関係だけ申し上げました。
和田静夫
151
○
和田
(静)
委員
他国で製造されたものを貿易の商取引で高値を生むためにこん包にメード・イン・ジャパンとする。例えば製薬メーカーはその面から見れば大変これは悪質ですね。そういう悪質なメーカーというのは私は社会的な制裁を受けるべきだろうというふうに思います。その意味で、単に関税法上の行政処分として結果的には表に出ないような形でもって済まされてしまう、よってこれらの事件が繰り返される、こういう状態というのはやはり行政上克服をしなければならない問題ではないだろうかと思うのですが、いかがです。
瀧島義光
152
○瀧島政府
委員
原産地を偽って輸出をするという行為は、これは好ましくない行為であります。この点は全く
委員
と同感であります。これに対する社会的制裁、いろいろなものが考えられると思います。例えばきょうこのような
委員
会での質疑の対象となる、これも社会的制裁の一つだと思います。それから新聞等で報道される、これも制裁の一つであろうと思います。それから法律上の罰を科す、これも一番極端な重い方の制裁の一つになるかと思います。 ところで、いろいろな関係法律があると思いますが、私どもが所管しております関税法、これにおきましては輸出申告書あるいは輸入申告書、これを輸出あるいは輸入に際して出していただく、それから今問題となっております仮陸揚げされたものを再び積み戻すという場合にも輸出申告書に準じた申告書を出していただくということになっておりまして、記載内容も当然法定されているわけでございますが、これは法定されているだけでして、めちゃくちゃな内容の申告書が出てきたときにこれに対し何らかの罰を科すということにしておかなければ正しい記載が担保されませんから、そこに犯した場合の罰というものが書かれてはいますが、今申し上げましたように、あくまでもこの不実記載に対する罰則というのは、正しく書いてない、正しく書いてくださることを担保するための罰則でありまして、そういった商道徳に反する行為をした、それに対する罰則ではありません。 そこで、
委員
のお気持ちは私も非常に痛いほどよくわかりますし、個人的にもこれはやっつけたいという気持ちはあります。ありますけれども、そこまで乗り出していったのではこれはもっと大きな問題が出てくる、つまり法律を、一担当部局の恣意と言っては大げさになりますけれども、本来の趣旨を逸脱したような形で運用することになる、これは非常に大きな問題をはらむ。したがって、あくまでも関税法は関税法の世界の中できちんと対処していく、そこにとどまるべきであろうと私どもは考えております。
和田静夫
153
○
和田
(静)
委員
現行法のもとにおける
処理
について今答弁をされたことを私は否定をしようとは思っていない。ただ、後ほどちょっと提案をしたいと思っておりますけれども、今のような状態というものをやはりなくする新しい法をつくるとかいうことがどうも必要なんじゃないか、そういうことを考えるから今問題として取り上げているのであります。それはまた、一方では
総務庁
の行政監察との関係でそういう視点を必要とするんじゃないかと実は私は思っているのです。 その前に、東都産業社の不正について通産省はどれくらい把握をされているのだろうか。通産省と私はきょうまでの間に幾つかのやりとりをしていますから今日までの時点では十分に把握をされているのだろうと思うのですが、この原産地証明を含めて今後の方針というのを私は今度のことを踏まえて通産に伺っておきたいのです。この問題というのは今後も起こる可能性が十分にある、輸出入に関する通産省マターじゃないかと私は考えるからなのであります。
鹿島幾三郎
154
○鹿島
説明
員 お答えいたします。 東都産業社事件につきましては、事件の後、大蔵省の
当局
からしかるべく御連絡をいただいておりまして、私どもとしては、大蔵省の関税局あるいは横浜税関と連絡をとり合いながら、現在
調査
を進めているところでございます。 先生御指摘がございましたように、原産地証明を偽って輸出をした場合には、輸出入取引法の関係でこの法律に違反する可能性がございますので、この事案が輸出入取引法に違反するものであるかないかにつきまして、現在、ただいま申し上げましたように大蔵
当局
と連絡協議を行いながら
調査
を進めているところでございます。
和田静夫
155
○
和田
(静)
委員
これは商工
会議
所は端的に言えばだまされたわけですれども、商工
会議
所は何か特定の
措置
をとりましたか。
鹿島幾三郎
156
○鹿島
説明
員 商工
会議
所の関係は私ども貿易局ではございませんで産業政策局の方が所管しておりますが、本事案に関しましては、今先生御指摘ございましたが、東京商工
会議
所も、この東都産業社から誤りの原産地についてその証明書を発行させたという事実関係があるというように聞いておりまして、その関係につきましても現在
調査
を進めているところでございます。
和田静夫
157
○
和田
(静)
委員
厚生省は医薬品の先ほど述べたような不正輸出について、今日は事実関係を若干でも把握されていると思うのでありますが、今後の対処の方針といいますか、厚生省が許認可権を持っておる薬品メーカーが、薬事法に違反をするのではないが輸出行為をめぐって今言ったような形での処分を一方で受けた、それを厚生省の側は知らないまま、良質のメーカーとしてその存在をずっと許してきた。ところが一方では、輸出入取引法の問題にしても関税法の問題にしてもある意味では悪質な違反行為が行われている、こういう関係というものは今後を考えた場合に放置されるべき筋合いのものではないと私は思うのでありますが、何かの法的
措置
ができるような新法をつくるとかいろいろの構想が浮かんでしかるべきだと思うのですが、どういうふうにお考えでしょう。
北郷勲夫
158
○北郷政府
委員
先生おっしゃいましたように、厚生省の方では現在手出しができないような格好になっているわけでありますが、私は二つの点から非常に問題があると思っております。 一つは、日本の医薬品はこれから開発が進められまして世界に出ていく時代になっております。そういう日本から輸出される医薬品の成果に影響を及ぼすおそれがある、これが第一点であります。第二点目としては、もともと医薬品というのは有効性、安全性、両面から非常に厳重なチェックをいたしておりますし、信用ということは非常に大事な商品であります。この二点から、そういうようなことが行われた場合に何らかの
措置
が講じられる必要があるのではないかと私は考えます。 ただ、現行の薬事法の建前は日本国内における日本国民の健康の保持、こういうことが一つの目標になっておりますので、ただいま問題になりましたような保税地域から直ちに外へ出る、こういうものは対象にならないわけであります。しかしながら、今御指摘のように日本の業者がそういうことをやっているというような場合に何らかの薬事法上の
措置
が講じられる方法はないか、この事件の新聞報道を見て以来、いろいろ研究をいたしておるところでございます。何らかの法的な手当てが必要なのではないかというように考えますが、まだ研究段階でございます。
和田静夫
159
○
和田
(静)
委員
適正な輸出のあり方について、日本は今後一層注意を払って、関係各省庁間で周知徹底と情報交換を促す必要というものがあると私は思うのであります。その意味で、例えば新しい立法の
措置
というようなものも、今薬務
局長
答弁のとおり考究されてしかるべきだと実は私は思いますが、今日の時点で
総務庁長官
、おのおのの行政監察をこういう場合に何かお進めになって、そして各省庁間にわたる問題について適当な手だてを講ぜられる、そういうお考えというのはありませんか。
塩崎潤
160
○
塩崎国務大臣
各省は各省の独自の権限を持ち、それが最も誠実に実行されることが望ましいことでございます。しかし、各省に連絡を相互に要することもまた大事なことでございます。行政監察がどこまでこの点について、何と申しますか、こういう方法がいいのだというまでのことができるかどうかはなかなか難しいところだと私は思うのですけれども、行政監察の中にこのような横の連絡、縦割り行政の弊害をなくすことが言われておる今日、横の連絡を図るにはどのようにしたらいいかというようなことは、行政監察の一つのテーマとして検討してもいい問題であろう。しかし、これは直ちに今のような事件をやるという意味ではありませんで、確かに
委員
指摘された一つの方向性の縦割り行政の弊害をどこまで、あるいはどのように除去するかという問題の一つとして行政監察のテーマになるであろう、こういうことで考えていきたいと思います。
和田静夫
161
○
和田
(静)
委員
近年、各省庁を超えた行政課題が増大をしてきているように私は感ずるのですね。その意味でこの具体的な対応というものがやはり今求められているのだろうと思います。 例えば
総務庁
の設置法を見てみましても、第五条の四項から九項までの「
長官
は、監察を行うため必要な範囲において、各行政機関の業務について実地に
調査
することができる。」云々に始まりまして、「
長官
は、監察の結果綱紀を維持するため必要と認めたときは、関係行政機関の長に対し、これに関し意見を述べることができる。」あるいは「内閣総理大臣に対し、関係行政機関の長に所管
事項
の改善を指示するよう意見を具申することができる。」などなどという、もう全部を読み上げるまでもなく、
長官
の権限を小見出しでずっと規定をしたところがございます。この条文を読んだ限りでは相当な省庁間
調整
力を発揮できるように思うのですが、これはどういう要件があればこの条文の効力が発揮できるのかというようなところをちょっと御
説明
願えませんか。
鈴木昭雄
162
○鈴木(昭)政府
委員
行政監察に関しましては
委員
御指摘のような規定がございます。 最近、私どもといたしましては、時代の変化に対応したテーマを取り上げて積極的に行政監察をやろうという方針のもとに、中期的な監察テーマを
予定
いたしておりまして、平成二
年度
以降も三年ばかりを対象とした監察計画をつくっておるところでございます。その中で、今先生御指摘のように、時代の変化への対応というような観点から見ましても、いろいろ各省庁が関連するような、各省庁にわたるような監察テーマがございますので、そういう監察テーマを重点的に取り上げるというような方針のもとに、計画あるいはテーマを考えているところでございます。
和田静夫
163
○
和田
(静)
委員
先ほど
長官
の御答弁にもありましたが、各省庁がしのぎを削るようにやっている現状について、行政課題の
調整
をするのは日本の官庁の美点だとは私は思うのですが、見ているとしばしばこっけいでもありますよ。当然に情報交換をして行政課題や問題に対処すべきであるのに、どうもセクショナリズムでもって何ら連絡もとらず不合理な
処理
が行われていることが大変多い。これは前向きな新しい法案づくりなどというと、睡眠時間もとらずに各官庁の明かりは終夜灯りっぱなしであるというくらい力を入れ議論をされるのに、一方では、こういう後ろ向きの、何か事件が起こったときなどは極めて消極的でタッチしたがらない、そういう傾向というものを見ることができます。 そんなことでありますから、省庁間の縄張り争いとやゆされるのだろうと思うのですが、行政監察の権限を持っている
総務庁
、この
総務庁
ができ上がってきた経過から考えてみても、こういうような傾向を是正するためにどういうデータと方針をお持ちになっているのだろうかというのが大変知りたいところなのですが、いかがでしょう。
鈴木昭雄
164
○鈴木(昭)政府
委員
御指摘のような点は、どういうような監察テーマを選ぶかというのがまず根幹だろうと思います。 先ほどもちょっと中期行政監察
予定
テーマのことを申し上げましたが、私どもといたしましては、中期的な視点に立って社会経済の変化に対応した行政上の重要課題、これを優先度を考慮しつつ
実施
していくというようなことで監察テーマを決定している、中期的な観点から三年間の
予定
テーマを決定しているということでございますので、その中で特に行政監察の重要な視点の一つとして行政の総合性というような問題はやはり考えていかなければなりませんので、そういう観点からの監察テーマの選定というところがポイントではなかろうかと我々は考えているところでございます。
和田静夫
165
○
和田
(静)
委員
余り期待したような答弁になっていないのですが、次に進ませていただきます。 GNPとともに、御存じのとおりごみが増大し続けています。このGNPの光と影とでもいいますか、経済活動に対する繁栄の裏側をこれは示しているわけでありますが、このままではごみ
処理
は行き詰まってしまうのではないでしょうか。実際、産業廃棄物などは、東京から出るものの埋立地というのはあと一、二年分くらいしかどうもないらしい。二十一世紀の展望が今日すべての分野で語られているのでありますが、これほど展望がないものもないのではないだろうか。百年とまでは言いませんが、数十年を展望したごみ
処理
のビジョンすら描かれていませんね。どういう見通しやら計画を持っているのか、この辺についてまず厚生省はどうお考えですか。
目黒克己
166
○目黒政府
委員
ごみの問題、特に産業廃棄物の問題かと思いますが、この産業廃棄物の
処理
をめぐりまして、現在廃棄物の発生量の増加と内容が非常に多様化しているという点、それから不法投棄を初めといたします不適正な処
理事
例が発生している、あるいは処分場の不足による広域移動やそれに対応した受け入れ制限、あるいは減量化とか再利用が社会の中のシステムとして定着していないといったような問題点について、私ども十分認識をしているわけでございます。 これらのことを解決いたしますために、私どもは、法律改正を含めまして廃棄物対策について幅広く今検討をいたしておるところでございます。 御指摘のビジョンの点でございますけれども、このビジョンにつきましては、例えばごみの処分と申しますと、俗に言いますと焼却等の
処理
をする、あるいは再生あるいは再利用によって減量する、それから埋立地へ埋める、この三つの大きな方法があるわけでございますが、その一つの減量化を促進する方法を考えたい、それから
処理
施設とか最終処分場の確保について何がしかの見通しを持たねばいけないであろう、それから
事業
者の責任のあり方についても検討していかなければいけない、あるいは廃棄物の区分等の見直しということも考えていかなければいけないのではなかろうか、こういったようなことで専門家や有識者の意見を聞いて総合的な判断をしたい、こう思っているわけでございます。 したがいまして、先生が今御指摘のビジョンということについてはないわけではございませんが、やはり先ほど申し上げました三つの
処理
の基本的な方法をいかに各論でうまくやっていくかというようなことに尽きるのではなかろうかということで、現在検討をるるいたしているところでございます。
和田静夫
167
○
和田
(静)
委員
ないわけではないけれども、結果的にはないのだろうということなんでしょうが、このごみの増大に応じてごみ
処理
場をふやし続けていくということには物理的に限界が来るはずです。そこで、今も言われましたごみ
処理
の循環的な考え方を導入すべきだということになるわけでしょうが、これらについての構想というようなものもぜひ早急におつくりを願いたいのですが、一番困っているのは自治体だと思うのですね。自治省はこれらに対する行政指導というのをまずどういうふうにお考えですか。
芦尾長司
168
○
芦尾
政府
委員
近年、急にごみの排出量がふえてまいっておるということで、その
処理
の問題が地方公共団体の大きな課題になっておるということは私ども承知をいたしておりまして、知事会とか
市町村
会の方からもそういった御要望が出されているということは承知をいたしておるわけでございます。 これに対処いたしますために、ただいまも御答弁がございましたように、一つには
処理
施設の
整備
を進めていかなければならないということもありましょうし、また、国民の御理解も得ながらごみの減量化とか再資源化の一層の
推進
といったようなこともやっていかなければならないと存じておるわけでございますが、地球環境保全の観点からも重要であるといったようなことで関係省庁からの申し合わせも行っておるところでございまして、私どももその一員といたしまして各省と連絡
調整
を図りながら適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
和田静夫
169
○
和田
(静)
委員
事業
所から出るごみが市区町村の無料回収ルートに乗ってかなり
処理
されているらしいのでありますが、その実態は把握されていますか。あるいは対応策をお持ちですか。
目黒克己
170
○目黒政府
委員
御指摘の
事業
系から出ます一般廃棄物、これは排出する業者が大企業あるいは零細企業から排出されるもの等々ございまして、一律に考えていくということが大変難しいというような現状でございます。現在、主として大企業から排出されております
事業
系の一般廃棄物、これを
処理
する場合には多くの
市町村
では
処理
費を徴収しているといったようなことをいたしております。それから零細企業からは取っていない場合が多いのでございますが、地域の
状況
によりましてそれぞれ判断をしているというのが現状でございます。 これの実態の把握ということでございますけれども、私ども、全体的にどの程度どういうふうな数量という点については、現在はっきりした数字を今手元には持ってないのでございます。しかしながら、現在、このごみの増加は
事業
系の一般廃棄物の増加が一つの原因になっているんだという御指摘もございまして、この
事業
系の一般廃棄物の扱い方についても今後大きく検討していかなければいけないんじゃないだろうかな、こう思っておりまして、現在のままでは、このままのやり方ではなかなか難しい点が多い、私どもこのように認識をしているところでございます。
和田静夫
171
○
和田
(静)
委員
産廃物の不法投棄が目に余る状態になっています。一体全国でどのくらい不法投棄の山ができているのか、これも把握はされていませんか。
目黒克己
172
○目黒政府
委員
私ども、その量については把握をしておらないのでございます。
和田静夫
173
○
和田
(静)
委員
平成元
年度
に行政処分されたものに限っていきますと、厚生省からいただいた資料では三十六件。この
概要
を
説明
できますか。——済みません。
概要
は私の手元に持っておりますから結構です、時間がなくなってきましたから。 そこで、許可業者の中で不法投棄があったのはこれですべてですか。
目黒克己
174
○目黒政府
委員
御指摘のように不法投棄に基づくものは三十六件でございますが、この行政処分は都道府県知事が行っているものでございます。不法投棄の
状況
とか違反行為の悪質性等を考慮して行っているということでございます。これは、不法投棄が行われましたものの中で行政処分にするということで、許可業者が行っているものについてはすべてカバーしているわけでございます。
和田静夫
175
○
和田
(静)
委員
そうすると無許可の業者については行政処分できませんね、一言でいいですが。
目黒克己
176
○目黒政府
委員
無許可のものについては行政処分の対象とはなってないのでございますが、この法律によりまして、不法投棄と不適正
処理
の発生ということがございますればこれは罰則というものがございますので、一般的なそういう罰則ということでそれぞれの処分がなされる、このように理解をいたしております。
和田静夫
177
○
和田
(静)
委員
そうしますと、平成元
年度
で不法投棄、無許可営業で検挙された件数について伺います。これは警察庁ですか。
篠原弘志
178
○篠原
説明
員 お答えいたします。 昨年、平成元年中に産業廃棄物の不法投棄で検挙されました件数は、無許可
処理
業を入れまして四百二十四件、六百二名ということで検挙をいたしております。
和田静夫
179
○
和田
(静)
委員
これは警察庁からいただいた資料でありますが、今御答弁がありましたように平成元
年度
で
合計
四百二十四件、六百二人が検挙された。ここに私は都道府県別の数字を持っておりますが、例えば私の選挙区でいえば、埼玉県は十四件で十九人、一万六千トンですが、ここで、事件の端緒、不法行為の内容の類型、傾向といったようなものを御
説明
できますか。
篠原弘志
180
○篠原
説明
員 お答えいたします。 この事件の検挙の端緒につきましては、これはおおむね住民からの苦情、通報が一番多いという
状況
でございます。このほか主要なものといたしまして警察官の現認、聞き込み、あるいは行政機関からの通報といったものに大別しております。 また、不法行為の内容を見ますと、建設
工事
などに伴いまして生じた大量の建設廃棄物、これを山林あるいは原野に不法処分するのが一番多い、圧倒的な形でございます。このほかに、不法処分地を借り受けるものあるいは廃油をマンホール等に流し捨てるものなどが目立つという
状況
でございます。 なお最近の傾向といたしましては、不法処分地が次第に大都市周辺から遠方に移ってきているという
状況
が見られますほか、警察の捜査を免れるために深夜に処分地に搬入あるいは見張りを立てて警察の動きを警戒するといったように、犯行が非常に悪質、巧妙化をしておる。また暴利を得ることができるという点から、暴力団がこの種の業界に関与している
状況
というものも一部うかがえるという
状況
でございます。
和田静夫
181
○
和田
(静)
委員
警察庁は不法投棄で検挙した場合に厚生省に通知されるわけですか。
篠原弘志
182
○篠原
説明
員 お答えいたします。 都道府県警察の検挙したものにつきましては、個々のものにつきましては警察庁として厚生省にその内容の通知は行っておりません。検挙した都道府県警察におきまして、処分権限を持つ関係の知事部局等に対して連絡をとるなどの対応を行っておると承知しております。
和田静夫
183
○
和田
(静)
委員
おたくの資料によって不法投棄の量は平成元
年度
で八十六万九千トン余に上るわけですが、検挙を免れているものはもっとあるのかもしれませんけれども、不法投棄はその後、責任者に回収させるあるいは原状回復させるというようなことを厚生省の側はおやりになるのですか。
目黒克己
184
○目黒政府
委員
廃棄物
処理
法違反で不法投棄など不適正
処理
を行った者に対しましては、都道府県等が不法投棄をいたしました廃棄物の回収等を指導いたします。と同時に、ある一定の場合には必要に応じてその
措置
命令を発することができるということで、現に発しているというところでございます。また、不法投棄を行った者が判明しない場合には都道府県知事が必要に応じて
措置
を講じる、このような制度とともに、このように各地方自治体で行われているものでございます。
和田静夫
185
○
和田
(静)
委員
これまで不法投棄をされて、放置されている廃棄物の総量というのは全国でどれぐらいだと推量されますか。
目黒克己
186
○目黒政府
委員
総量については把握をしておらないのでございます。
和田静夫
187
○
和田
(静)
委員
不法投棄の実態を厚生省の側で把握をされておらぬわけですが、把握をされていなければ廃棄物を回収させるあるいは回収して原状回復することができないのではないか、私はそう思わざるを得ませんが、これは法の不備と言えるものでしょう。いわゆる行政上の検討と努力が足りないと言えるのじゃないかと私は思うのですが、これは意見として申し述べておきます。 そこで、不法投棄の原因は一体どこにあるのだろうということを考えざるを得ません。厚生省は廃棄物
処理
法の改正を検討されるそうですが、不法投棄がないようにするあるいは不法投棄があった場合に原状回復する、そのためにどういう方法をお考えになるのか、簡単に御答弁願います。
目黒克己
188
○目黒政府
委員
不法投棄の問題でございますが、まず予防的な
措置
と申しましょうか、そういうものといたしましてはマニフェスト、いわゆる積み荷目録制によりまして、
事業
者から排出したごみがその業者の手を経てどこで
処理
されるかというものをまずきちんと把握するという制度が予防的な
措置
として現在行われておるわけでございますが、それについてもっと充実強化をしていくということ。それからもう一つは、不法投棄を行った者がわからない場合に一体どういうふうにしていくのかといったようなこと。これを担保する方法がもっとあるかどうかということ。あるいは原因といたしましてその処分地のあり方等といったようなこと。これらがやはり今後の大きな検討課題であろうと私ども思っているところでございます。
和田静夫
189
○
和田
(静)
委員
言うまでもなく産廃には不法投棄と委託基準違反があって、これを合わせた検挙件数が平成元年で七百五十七件、うち基準違反が三百二十四件。最近の傾向としては産廃物の不法投棄の一件当たりの量がここ一、二年ふえているのですね。検挙例から警察庁が推計をした量というのは昨年が八十六万九千トン、一昨年が七十一万四千トンなんですね。 今までの議論でおわかりになりますように、厚生省には警察から情報が入っていない。すると、不法投棄が放置され、または今後の法案改正でもこのままでは有効な手が打てるのかどうかということ、私は非常に心もとないと思うのです。それで、
総務庁長官
として、行政機関の監察という観点も含みながらこういう問題にもメスを入れることが、第三次行革審でありますか行政改革のテーマの一つじゃないだろうかと思うのですが、いかがお考えになりますか。
塩崎潤
190
○
塩崎国務大臣
縦割り行政の、しかもまた社会情勢あるいはまた経済情勢がますます複雑になりましたので、なかなか
処理
できない問題がたくさんあろうかと思います。不法投棄の問題、最近大変脚光を浴びた問題でございます。厚生省も大変苦しんでおられるようでございます。監察でその効果が出るかどうかわかりませんけれども、このような問題について絶えず私どもは検討の眼を向けるような機会を持ちたい、こういうふうに考えていきたいと思います。
和田静夫
191
○
和田
(静)
委員
もう一つの観点は、不法投棄をして検挙された場合の罰則がどの程度かということが大変問題だと私は思っているのです。例えばこれも警察庁の検挙事例でいただいた事例なんですが、暴力団住吉連合系金沢組幹部が、残土による宅地造成という名のもとに、知人の畑を借りて産業廃棄物埋立処分場を設け、配下の幹部及び組員と共謀して、平成元年一月から二月中旬までの間、都内等から排出された建設廃材、廃プラスチック等約三千トンを埼玉県内の産業廃棄物収集運搬業者等から受け入れて、無許可で埋立処分をした。こういうので廃棄物
処理
法違反で幹部二人を逮捕するとともに、委託関係被疑者等五法人、十一人を検挙したというような事例があるのです。あるいは栃木の暴力団のケースでいいますと、主犯人が
執行
猶予つきの懲役、他は十万円以下の罰金、そしてもうけは一千万円。これではやり得なんですね。もちろん罰則が強ければ防げるというわけでもありませんでしょうけれども、不法投棄をしても得にならないという仕組みでなければならないと思うのです。この辺のところをどういうふうに厚生省はお考えになっているのか、答弁をいただきたい。 同時に、自治省に伺っておくのですが、議論したような不法投棄、環境破壊を廃棄物
処理
法の問題であるといって放置はできないだろうと私は思うのですね。法改正の前に全国の知事会あるいは市長会なども含めてこの対策を働きかけていくべきだと思うのですが、そういう努力はおやりになりませんか。
目黒克己
192
○目黒政府
委員
罰則の問題はやはり先生御指摘のとおり大変難しい問題でございますし、また、この罰則を定めていく上では法務省等関連の
当局
とも協議をしなければいけない性格のものでございますし、ほかの同様なものとの並びというようなこと等々もございまして、私どももこれは先生の御意見等を踏まえまして大いに今後の検討課題にさせていただきたい、このように思っておる次第でございます。
芦尾長司
193
○
芦尾
政府
委員
この問題につきましては、地方自治体にとりまして非常に重要な問題になってきておるということは私どもも承知いたしておりますが、全国知事会とか市長会とか町村会の方でも、この廃棄物
処理
対策につきましては重点
事項
として掲げておりまして、平成二
年度
の要望の中にも取り上げられておるわけでございます。そういうことでございますので、こういう問題につきまして関係省庁の方にも強く要請をしてまいりたいというふうに思っております。
和田静夫
194
○
和田
(静)
委員
自治省、もう一つですが、関西で暴力団が資金源として介入したケースで有名なやつがありまして、ごみ
処理
場への搬入権チケットを
処理
業者などに売りさばいたケースが昨年ありました。それから、東北を首都圏のごみ捨て場にするなというその火つけ役になった事件、昨年九月福島県で摘発された廃鉱へのドラム缶不法投棄事件、ことしも大量のドラム缶が放棄されたままのようなんですね。そうすると自治体が対応しなければならぬのでしょうが、自治省は何かこれらについて具体的な行政指導的なことをおやりになっているのですか、もしおわかりならば答弁してください。
目黒克己
195
○目黒政府
委員
御指摘の点につきましては、この法律の運用を的確にするために、また不法投棄等がないように、あるいはまた処分が適正に行われるように、私ども都道府県を指導いたしているところでございます。また、御指摘の点についてもいろいろな難しい問題があるようでございますけれども、私どもも県
当局
と協議をしあるいは指導をしているところでございます。
和田静夫
196
○
和田
(静)
委員
警察庁、廃棄物
処理
法違反全体の検挙件数が
昭和
五十九年が六千百七十七件でしょう。それ以降減少しておりますね。
昭和
六十三年には三千百六十八件と半減、昨年は二千六件、三分の一に激減していますね。この理由は、私は素人目に考えての話ですが、あなた方のところで公害課をなくして生活経済課に包含をされてしまった。そういう結果、こういうような検挙件数がずっと減っていく一方で、ふえているにもかかわらず検挙件数は減っているという状態になっている機構上の問題が警察庁ございませんか。
篠原弘志
197
○篠原
説明
員 お答えいたします。 確かに御指摘のとおり、五十九年当時検挙六千件という大台がございますけれども、私どもの方、この内容につきまして精緻な分析をいたしているわけではございませんけれども、一つは、生活経済課発足時点での悪質商法等が蔓延した時期がございます。またもう一方の要素といたしまして、先ほど述べましたように、一件当たりの捜査につきまして非常に手間がかかるようになってきた、そういった要素もあるというふうに考えております。 最近におきます産業廃棄物等の社会問題化に伴いまして、私どもの方も非常に問題意識を持ってきておりますので、今後こういった点についてまた都道府県警察に対する指導を考えていきたいというふうに思っております。
和田静夫
198
○
和田
(静)
委員
警察庁からいただいたこの資料に基づいて、検挙件数で警視庁が三十四件四十二人、福島県警が二十七件四十六人、岩手県警が二十七件十九人、北海道警が二十二件三十六人、栃木県警が二十一件二十五人、兵庫県警が二十一件二十四人、群馬県警が十八件五十一人、茨城県警が十九人、千葉が十五件二十三人、埼玉県警が十四件十九人、関東地方の摘発が非常に多い。摘発された中では、首都圏から出た廃棄物を北関東、東北地方へ運んで捨てるというケースが目立っているわけですね。こういう実態、これらを克服することが必要ですが、なぜこういうふうになるのだろうかというのが一点。 それからもう一つは、これは
総務庁
の問題でもあろうかと思うのですが、関西で大きな問題になりました本州四国連絡橋の神戸−鳴門ルートの淡路縦貫道拡幅
工事
に絡む不法投棄事件ですね。本四公団から
工事
を請け負った共同企業体がああいうことをやるというか見逃すというか、インターの拡幅
工事
で出るコンクリート片などの運搬
処理
を相手が無許可業者と知りながら委託してしまう。この場合、当然私は本四公団の責任も追及されてしかるべきだと思うのですね。これこそすぐれて行政監察の問題じゃないかと思うのですが、そういう観点から本四公団についてこの事案でどういう対応をされましたか。
篠原弘志
199
○篠原
説明
員 お答えいたします。 確かに、昨年の検挙の
状況
におきまして関東、東北部の方が中心になっております。統計上詳しく分析したわけではございませんけれども、報告の内容の印象では、私どもやはり首都圏のごみが北関東、東北の方へ流れている場合が多いというふうに考えておる
状況
でございます。
鈴木昭雄
200
○鈴木(昭)政府
委員
ごみ
処理
の問題でございますが、この問題につきましては、私どもといたしましては、六十二年の六月に勧告いたしまして、その後六十三年の二月に厚生省から回答をいただいておりますが、ただいまその後の改善
状況
を
調査
いたしておるところでございます。 なお、今本四架橋公団のお話が出ましたが、私どもとしてはそのような事実は把握いたしておりませんが、ただ、私どもが先般御紹介を申し上げました勧告の中では、「無許可
処理
業者への委託の防止等
処理
の適正化を図るため、委託内容の帳簿記載及び委託内容の履行を確認できる文書の徴取を
事業
者に行わせること。」というような勧告をいたしておりますので、回答を聴取するに当たりまして、厚生省等からも事情を聞いてみたいと思っております。
和田静夫
201
○
和田
(静)
委員
最後
の問題ですが、わずかな時間になりましたので少しあれしますが、長谷工のコーポレーションが国土法の価格規制を逃れるためにイギリスの銀行とはかって裏金をつくっていた。国税庁がスタンダード・チャータード・バンク及び長谷工コーポレーションから追徴金を取った。長谷工コーポレーションは、スタンダード・チャータード・バンクから文京区関口二丁目の土地を購入したわけですが、この販売代金が百八十九億円、そして別口で十五億一千万円を銀行に払い込んだ。この十五億一千万円が売り主、買い主双方の税務申告の中に記載をされていない。スタンダード・チャータード・バンクの所得隠しとみなされて追徴されたということですが、この裏金は長谷工のコーポレーションも約七億七千万円をつくっていたと報道されております。この長谷工がどういう目的で裏金をつくったのか、目下のところ読んだ限りでは判明をいたしませんが、いずれにせよ不正所得として追徴金を国税はお取りになった、こういうことですね。ここのところはまた守秘義務の関係があってお答えにならないのだろうと思いますが、いろいろ接触をしてみた限りでは。 そこで、私は先ほど守秘義務の問題で申し上げたのですが、守秘義務というのは、これは大平大蔵大臣とのいろいろな話し合いをやったときもこのことは否定されなかったが、不正に対してはそれを公表して社会の批判を受ける、社会的制裁を受けるというのが社会的な正義である、守秘義務というのは国民的正義とは言えないのではないだろうか。大蔵はさっきも話をされないのですが、あなた方の守秘義務の考え方は単に国税
当局
の正義にすぎないのではないだろうか、国民的な正義にかなうものになっていない、そういうことを実は思うので、これは大蔵出身の
総務庁長官
に御答弁願えれば非常に幸いだと思うのです。 どうも私は、守秘義務という名に隠れて国税庁が情報操作をされているという感じを持たざるを得ないのですね。それは国税の正義観、価値観に基づいていることは当然私は認めます。しかしその価値観が一体正しいのかどうか。国民の正義が国民から離れたものであってはならないし、また権力的であっても恣意的であってもならない。国際的な情報公開を求める新時代への胎動も踏まえて考えてみますと、国税庁はいかなる倫理観に基づいていかなる守秘義務基準を持っているのか。またいかなる情報公開基準を持っているのか。その基準の判断について
審議
会等外部の有識者等の判断を時代に合わせて織り込んで改定しているのかどうか。また、積極的に新しい国税庁のあり方を検討して改めていく考え方というのはお持ちにならないのかどうなのかということを実は伺いたいのでありますが、時間がなくなってまいりましたので、後でまとめて御答弁いただきます。 申し上げたかったことは、
長官
、守秘義務という名前に隠れた今日的な壁というものを、国民的正義の観点から改めていくことも私は行革の一つの今日的課題である、こういうふうに思うがゆえにあえてこの問題を取り上げたのです。 そこで、この文京区関口二丁目の土地は、価格は国土利用計画法では百八十九億円が上限です。ところが実際の売買は二百四億一千万円であった。とすると、これは国土利用計画法違反ということになるわけです。その事実に確証、証明というものを、国土庁がおわかりにならないと言うから国税庁に問い合わせてみたらどうなんですと、国税庁は今言った守秘義務でもって教えないということになると、一体こういう不合理というのはどこで解決していったらいいかさっぱりわからなくなるじゃないか。国税庁とすれば国土庁に必要な情報を伝えてもいいじゃないか、私はそう思うのです。とにかく、私が指摘した事実が確認できるとすればこれは国土利用計画法に違反するということになります。こういうような脱法行為を見逃しますと、国土利用計画法というものは瓦解してしまうのではないだろうか。この事件というのは実は時効が迫っているので、私はぜひ敢然と摘発の努力をなすべきだと思いますが、ここのところは国土庁から答弁を願います。
最後
に、国際的な資金操作をしてこういう裏金づくりをする、こうなると私は外国為替管理法違反の疑いがあると思うのですが、大蔵の見解を承っておきたい。同時に、投資顧問業法に基づく登録をしていない場合、この長谷工コーポレーションは英国のミッドランド銀行系のサミュエル・モンタギューと投資顧問契約を結びそして資金運用をしていたようですが、今回もこの会社の支店を舞台にして架空の売買契約を作成して裏金をつくっていたわけです。このサミュエル・モンタギュー社は投資顧問業法に基づく登録をしていないのですね。こうなってきますと、スタンダード・チャータード・バンクというのは日本で営業許可を受けている銀行ですけれども、国土利用計画法という日本の法律に違反する行為をする、そうするとこれは外資系とはいえ問題ですね。これは銀行法に基づいて監督官庁であります大蔵は一体ここのところをどう把握されるのか。 そこで私は、
最後
に、外資系の金融機関を介在させて土地ころがしをこういうふうな形でやっていけば国土利用計画法逃れは可能であるわけでありますから、法律あってなきがごとき状態ですよ。
長官
、これらにメスを入れて省庁に対する行政監察を今後どういうふうにおやりになるのか、お伺いをしたいわけです。
龍宝惟男
202
○
龍宝
政府
委員
先生のお尋ねの中で、まず国税庁に関します守秘義務の問題、それから税法以外の不正が見つかった場合にこれは当然社会的に指弾を受けるべきであり、所管の省庁に適宜連絡するとかそういうことを新しい守秘義務の観点からやってはどうか、こういう御指摘ではなかろうかと思うところでございます。 そこで、私どもの立場を二点ほど申し述べさせていただきたいのですけれども、一つは、税務
調査
でございますので、やはり税法が適正に適用されているかということで私ども税務
調査
を行いますので、
調査
権限もどうしてもその範囲に限られるということがございます。それから個別的な問題でいえば、例えば不動産取引が行われた場合に、正式な契約の金額以外にいろいろな名義であるいはいろいろな理由で、その理由の中にあるいは国土法その他の法逃れということがあるのかもしれません、そういうことでいろいろな形で対価が支払われる場合がございます。そういう場合に国税
当局
といたしましては、その理由とか名義のいかんを問わず、とにかく所得が適正に申告をされているのか、税法上正しく
処理
されているのかという観点から
調査
をいたしますし、また、その
調査
の権限もそれに限られてしまっているという状態を御理解いただきたいと思います。 それから守秘義務の点でございますけれども、私ども、申告納税制度のもとで、やはり税務
調査
というのは納税者の協力を得て初めて円滑に行われ得るものでございまして、税務職員が税法上定められております守秘義務、これは先生御高承のとおり一般の公務員より重くなっているわけでございます。税務職員がそういうのを守ってくれるということを納税者が信頼をして、そして安心して自分の秘密なりいろいろな取引の情報を自発的に開示をしていただくという信頼関係が不可欠でございます。そういう意味で、私どもといたしましては、税務
調査
によって知り得た事実を例えば他の省庁に通報するということになりますと、やはり納税者の一身上の秘密あるいは財産上の秘密、その秘密を守るという守秘義務に触れるということもございますし、また、その守秘義務を私どもが守っているんだということによって培れれてまいりました納税者との信頼関係を崩すことにもなりかねないという立場で、納税者と国税
当局
の間の税務行政の
執行
上大きな問題になるということで、原則として関係
当局
に通報することを差し控えているところでございます。
塩崎潤
203
○
塩崎国務大臣
もう
和田
委員
十分に御理解して質問されておると思うのですが、守秘義務と社会的不正の摘発あるいは他の行政庁の政策に役立つような運用、このような関係を考えての御提言だと思うわけでございます。 行政監察を超えた大変難しい問題で、今国税庁から答弁がありましたように、私どもも、守秘義務というものは納税者のプライバシーの擁護、同時にまた、守秘義務によって納税者の協力が得られるという、税務行政がよりよく効率的に動き得るという、この二つの観点から守秘義務というものはでき上がったものだと思うわけでございます。したがって、これを容易に他の第三者に漏えいするとかあるいは知らせるとか報告をするとかいうようなことは制度の趣旨から大変難しい。よほど大きな理由があって——守秘義務と国政
調査
権みたいな関係がどのようになるか、この問題ですらまだなかなか私も十分な理解を得てないような段階でございます。行政監察でこのような制度を直せるかどうかはなかなか私は自信がないようなほど、深いそして難しい問題だと思いますので、これは別途の角度から、守秘義務と他の正義の追求あるいは他の政策の円滑化という問題として深く研究しなければならない問題ではないか、こんなふうに今考えました。
江沢雄一
204
○江沢政府
委員
国際的な資金操作によって裏金をつくるのは外為法に違反するのではないかという御質問でございました。外為法は、国際収支の均衡及び為替相場の安定を目的といたしまして、原則自由の法体系のもとで必要最小限の規制を課しているものでございます。外為法上問題となりますのは、許可、届け出が必要な取引が行われた場合にこうした所要の手続を行っているかどうかということでございまして、裏金であるかどうかということは外為法の規制とは直接には関係がないものでございます。 個別の案件について申し上げるのは差し控えたいと存じますけれども、一般的に申し上げれば、外為法上居住者が非居住者から不動産を取得するのは自由でございますし、また、その取得した不動産の代金を送金するというのも外為法上自由になっているということでございます。
中島公明
205
○中島政府
委員
投資顧問業法の関係についてお答えいたします。 投資顧問業法では、投資顧問契約というのを有価証券の投資判断に関して報酬を得て助言を行う契約というふうに規定しておりまして、このような顧問契約に基づいて顧客に対して助言を与える営業行為を投資顧問業というふうに規定しているわけでございます。投資家保護の観点から、法律の四条で登録制をしいておりまして、投資顧問業を営むためには登録を受けなければいけないというふうにしているわけでございます。海外の非居住者が日本の顧客に対して報酬を得て有価証券投資に係る助言を行うということを営業とする場合にも、明文では書いてございませんが、登録を受けなければいけないというふうに解釈しております。 先生御指摘の業者につきましては、日本では登録は受けておりません。ただ、海外の業者なので正確にあるいは詳細に事実関係を承知しているわけではございませんけれども、私どもの承知しているところでは、その業者と長谷工の間に投資顧問契約というようなものがあったということではないようなので、投資顧問業法上の問題は生じないのではないかというふうに考えております。
西村吉正
206
○西村政府
委員
日本の銀行であると外国の銀行であるとを問わず、銀行はその業務の公共性にかんがみ法令を遵守するということは当然のことであると考えております。私ども銀行監督
当局
といたしましては、銀行が適切な業務運営を図るよう常日ごろより指導しているところでございますが、今後ともそのようにしてまいりたいと存じます。
和田静夫
207
○
和田
(静)
委員
国土利用計画法のしり抜け問題について国土庁はどういうふうに考えるのですか。
大日向寛畝
208
○大日向
説明
員 お答えいたします。 御指摘の件につきましては、私どもといたしましても報道で知りまして、国土庁といたしましては重大な関心を持っておりまして、処分庁の東京都に対しまして早速事実関係についての
調査
を指示したところでございます。 東京都といたしましては、その指示に基づきまして、その報道があった四月十九日に長谷工の関係者を呼びまして事情聴取をし、さらに四月二十三日にも第二次の
調査
をいたしたわけでございます。その結果が四月二十四日に報告という形で私の方に出てきておりますが、その報告によりますと、現在のところ、国土法違反の事実を認める、そういった判断に至ったというような報告ではない、そういう事態に至っていないと聞いております。 いずれにせよ、先生御指摘のような国土法違反というようなことが今後の
調査
におきましてわかった場合には、法に照らして厳重に処分いたしたい、かように考えております。
渡辺栄一
209
○
渡辺委員長
春田重昭君。
春田重昭
210
○春田
委員
私は、
総務庁
並びに建設省に御質問いたしたいと思っております。
総務庁
は、この五月に
住宅
に関する行政監察結果を各関係省に勧告をなされております。この問題につきまして若干御質問したいと思います。 まず、取りまとめをなされました
総務庁長官
の御所見をひとつ簡潔にお答えいただきたいと思っております。
鈴木昭雄
211
○鈴木(昭)政府
委員
先生御指摘のとおり、五月一日に建設省等に対して
住宅
行政監察の結果を勧告いたしました。これは、公団
住宅
とか
公庫
融資
住宅
とか公営
住宅
等の公的資金を使った
住宅
を中心に監察を行ったものでございますが、勧告のポイントといたしましては、一つには公的資金による
住宅
供給の計画的促進、二つ目には
住宅
・
都市整
備公団の業務運営の合理化、三つ目には
住宅
金融
公庫
の業務運営の合理化、四つ目には公営
住宅
事業
運営の合理化等について勧告いたしました。 〔
委員長
退席、
近藤
(元)
委員長
代理着席〕
春田重昭
212
○春田
委員
ただいま答弁がありましたように、
住宅
・
都市整
備公団並びに
住宅
金融
公庫
、それから建設省それぞれに勧告がなされているわけでございます。きょうの
決算
委員
会は
総務庁
所管でございますので、
総務庁
を中心に質問するのが本来の筋でございますけれども、何せ限られた時間でございますので、
総務庁
は
最後
にまとめに御答弁いただくとして、建設省中心に御質問することをどうかお許しいただきたい、こう思っているわけでございます。 最初に、
住宅
・
都市整
備公団の方から
参考人
として御
出席
をいただいておりますので、そちらの方から御質問申し上げたいと思います。 勧告は何点かにわたっておりますけれども、その中で、まず賃貸
住宅
の建設が勧告されているわけでございますけれども、この賃貸
住宅
の建設の増加に対しまして、公団としてはどう受けとめ、どう対応しようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
佐藤和男
213
○
佐藤
参考人
今ほど
総務庁
の方からお話がございましたように、本月の初めに
総務庁
の方から、建設の方に
住宅
に関する行政監察結果として勧告がございました。その旨私どもに伝達があったところでございます。 現在、まずお断りしておかなければいけませんのは、私どもの公団所管分について非常に広範にわたったテーマでございますので、真剣に勉強させていただいているところでございまして、これにのっとった改善
措置
については、公団としてなるべく早期に建設省の方へ御報告申し上げたいと思っている次第でございます。 先生御指摘の、まず今回の勧告の一番の最重点は、私どもの公団
住宅
の建設の分野につきまして、賃貸
住宅
について重点化を図るべしという点にあろうと思います。この点は御高承のとおり、私ども公団は、まさに大都市地域において公共賃貸
住宅
相互間の役割分担を図りながら、中堅勤労者に対して適正な負担による良質な賃貸
住宅
を供給するというのが最大の役割でございます。例えば、現在
実施
中の第五期の
住宅
五カ年計画におきましても、公団の
住宅
建設戸数のうちの大半、十三万戸のうちの十万戸を借家系の
住宅
の建設ということに計画上位置づけられておりまして、これに向けて真剣に取り組んでいるところでございますが、御高承のとおり、近年の地価の高騰等によりまして、いわば開発適地の確保が困難な
状況
になっております。具体の数字は省略させていただきますが、いずれにせよ今回の御勧告を受け、従来の最大の課題でございますこの賃貸
住宅
の供給に向けまして、その重要性を十分認識していろいろな工夫をしてまいりたいと思っております。
春田重昭
214
○春田
委員
報告にも出ておりますとおり、六十三年の実績によれば賃貸
住宅
が三五%、分譲が大体四〇%弱、民賃の
住宅
が約二五%強となっているわけでございまして、その結果公団、公営
住宅
の賃貸
住宅
の応募率が報告もされておりますけれども、東京圏の場合は一種で十三・二倍、その他の地域は一・三倍でございますから十何倍になっておるわけですね。二種で十九・二倍、その他の地域が二・三倍ということで、こういった形で非常に大都市圏と地方との格差は大きいわけでございますので、公団を初めとして公営
住宅
の賃貸
住宅
、非常にこれから必要になってくるのではなかろうかと思っております。東京都もこの四月に東京都
住宅
政策懇談会というものの報告が出されておりますけれども、この中でも賃貸
住宅
のいわゆる供給増を大変示唆しているわけでございます。 そこで、
住宅
建設五カ年計画、いよいよ来年からまた新しい計画が始まるわけでございますけれども、建設省としては、こういったいわゆる
総務庁
の勧告、また東京都の懇談会の報告等によりましてかなり賃貸
住宅
の供給増を示唆しておりますので、五カ年計画の中で私は大幅にふやす必要があると思っておりますけれども、どんなお考えをお持ちでしょうか。
五十嵐健之
215
○五十嵐
説明
員 お答えを申し上げます。
住宅
対策は基本的には、国民の需要を十分に踏まえまして持ち家政策、それから借家政策、これをバランスよく展開するということが基本であるというように考えている次第でございます。 今までも持ち家対策といたしましては、
公庫
融資制度でありますとか税制でありますとか、そういったような対策によりまして持ち家の支援を行っていましたが、先生御指摘の借家対策といたしましても、公営
住宅
あるいは公団
住宅
といった公共賃貸
住宅
の供給を一生懸命やってきたというようなこと、あるいは
公庫
融資あるいは利子補給というようなことで良質な賃貸
住宅
の供給の促進に努めてきたところでございます。 現時点ではどうかという御指摘でございますが、先生おっしゃいますように、大都市圏におきましては、地価高騰によりまして持ち家取得が非常に困難になってきたという事態があるわけでございます。今後、良質な賃貸
住宅
の需要が増大するというように見込まれますので、良質な賃貸
住宅
の供給促進は重要な課題だと認識しております。ただ、現在、今後の
住宅
政策のあり方につきましては、
住宅
宅地
審議
会で御
審議
願っているところでございまして、私どもといたしましては、その結果を踏まえまして適正な五カ年計画をつくってまいりたいと考えております。
春田重昭
216
○春田
委員
東京圏で賃貸
住宅
をふやすことは、せっかく今多極分散をやっているところにまた一極集中するのではないかというそういった一方では意見もございますけれども、やはり東京圏また大阪圏の大都市の純然たる
住宅
政策としてこの賃貸
住宅
の必要性は高まっている、こう思っておりますので、来年から始まる
住宅
建設五カ年計画の中で十分それに対応するような内容であっていただきたい、こう思っているわけでございます。 さらに、公団の方にお尋ねしますけれども、非常に
用地
の取得、建設のコストも
人件費
等で上がってきている、こういったことで家賃が高くなっているわけですね。勧告の中身では、都市部においては地価の上昇を家賃に顕在化させないために借地方式や借り受け方式の採用を出しておりますけれども、しかし大都市圏、特に東京圏においていわゆる土地そのものの供給というのは非常に困難になっていると私は思うのですけれども、果たして勧告の中にあるような借地方式、借り受け方式というのは公団として可能かどうか、この辺もお答えいただきたいと思います。
佐藤和男
217
○
佐藤
参考人
先生が今御指摘のように、最近の急激な地価高騰によりまして開発適地の確保が困難になっているというのは、先ほども申し上げたところでございます。まさにこのような高地価を直接家賃に反映させない供給手法としまして、五十八
年度
に特別借地方式賃貸
住宅
制度を発足させ、さらに六十二
年度
に、この経験にかんがみて特別借り受け賃貸
住宅
制度という形で新たな制度を発足させてございます。 例えば、
最後
に申しました特別借り受け制度は六十三
年度
に五百七十一戸ということでございまして、今後、私ども努力を重ねまして、こういう領域におきます賃貸
住宅
の供給を拡大してまいりたいと思っております。
春田重昭
218
○春田
委員
次に、家賃の算定上の一つのファクターとなっております建設
事務
費、土地の
用地
費とそれから建設コストに一定の比率を掛けているわけでございますけれども、これも勧告の中では非常に高いのではないか、実情に合っていないのではないか、そういった内容になっておりますけれども、現在一定乗率というのは大体何%にしているのか、お答えいただきたいと思うのです。
佐藤和男
219
○
佐藤
参考人
御指摘のように、勧告を受けました観察の対象
年度
の初
年度
でございます六十一
年度
におきましては、七%という
事務
費率を使っておりました。御高承だと思いますが、この
事務
費率は前
年度
決算
における
事務
費率及び
事業
見通しなどを勘案して定めているところでございまして、平成元
年度
の十二月以降、
昭和
六十三
年度
の
決算
等を含めて、今ほど申しました七・〇%を六・五%まで引き下げているところでございます。今後ともこの建設
事務
費率の適正化には努めてまいりたいと思っております。
春田重昭
220
○春田
委員
決算
によって大体何%ぐらいになったのですか。
佐藤和男
221
○
佐藤
参考人
決算
ベースで申しますと、先ほどの六十一
年度
の
決算
では七・八六という数字が出ておりまして、六十三
年度
では五・四五%という数字でございます。
春田重昭
222
○春田
委員
この
調査
時点は七%、それが現在六・五%ということでございますが、六十三
年度
決算
ベースで五・四五%ということでございますから、六・五%はさらに下がると見ていいわけですね。
佐藤和男
223
○
佐藤
参考人
今ほど申しました数字のほかに、現在進行中の建設仕掛かり中のもの等を含めて
事務
費率が算定されるわけでございまして、ただ基本的には、先ほど申しましたように今後とも
事務
費率の適正化には努めてまいりたいと思っております。
春田重昭
224
○春田
委員
いずれにいたしましても、土地は毎年毎年上がっておりますし、また建設コストにしても
人件費
等の高騰でいわゆる建設コストも上がっているわけでございますから、この
事務
費の一定率につきましては時点時点で引き下げて家賃のそういった高騰に十分歯どめがかかるようにしていただきたい、このように要望しておきます。 家賃の問題が出ましたのでついでに御質問いたしますけれども、我が党が家賃の控除制度、補助制度を随分主張しているわけでございますけれども、建設省は、平成二
年度
の
予算
要求の中で、税制改正の中でいわゆる控除制度を主張なさったわけでございますけれども、大蔵省との
調整
の段階でそれが実現できなかったということです。この姿勢は建設省は今も変わらないのかどうか、平成三
年度
のいわゆる
予算
要求の中で、いわゆる家賃の控除制度につきましては今
年度
も昨年以上の意欲を持って取りかかろうとしている意思があるのかどうか、その点お聞きしたいと思います。
五十嵐健之
225
○五十嵐
説明
員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、昨年、家賃の所得控除制度ということで要求させていただきました。賃貸
住宅
居住世帯の家賃負担の軽減を図る等の目的があるということで、要望を行ったところでございます。しかしながら、税制面のあり方としましては、典型的な生計費である家賃を特別に控除するということには基本的に税制上あるいは税体系上問題があるというようなことがございまして、見送られたというのが経緯でございます。 今後どうするかということについてはまだ検討の段階ではありませんけれども、いろいろ昨年の経緯等を踏まえて慎重な検討が必要な問題ではないかと考えております。
春田重昭
226
○春田
委員
どうも建設省の態度は大蔵省の言い分に押されがちじゃないかと私は思っているわけでございますが、昨
年度
は労働省とあわせて建設省、家賃の控除制度については実現方にかなり強い主張をなさったわけでございますし、諸外国の例をとりながら我が国でも採用ということで頑張られたわけでございますから、ひとつ大蔵省に負けないで家賃控除制度につきましては昨年以上に頑張っていただきたい、こう思っているわけでございます。 特に東京圏におきましては、家賃の控除制度といいますか補助制度につきましては、今御存じのとおり東京都が約一千億円の基金を積み立てて一部、二十三区の中でも江戸川区とか江東区等でこの制度を導入しているわけですね。対象者は障害者の方とか母子家庭の方とか高齢者の方という一定の条件がございますけれども、木造のいわゆる賃貸アパートから別の住まいに変わった場合に、最高限度額五万円として補助する、そういったことを既に地方でやっているわけですよね。そういった点でひとつ国も、地方はやっているわけでございますから頑張っていただきたい。 東京都の港区、ここでひとり暮らしの老人約二千名を対象に
調査
したところが、何と木造賃貸の約二七%に当たる人が立ち退きを迫られている、そういう実態が出ているわけでございまして、かなり弱者の方といいますか、そういった方に大きなしわ寄せがきておるわけでございますので、大都市圏におけるこういった家賃控除制度というのは、国民の、いわゆる住民のニーズが今非常に高まっておるわけでございますので、何度も申し上げますけれども、平成三
年度
におきましての税制改正の中では家賃控除制度、また補助制度を何らかの形で導入していただくように私は強く主張しておきたい、こう思っております。 時間がございませんから次の問題に移りたいと思っております。公団の
佐藤
さん、結構でございますので、きょうはどうもありがとうございました。 次に、
住宅
金融
公庫
の問題につきまして建設省の方にお伺いしたいと思います。 勧告の中では、
住宅
購入の融資条件について次のように勧告しております。分譲
住宅
購入の場合、大都市圏と地方都市の場合では融資の基準が違っているわけでございますけれども、融資の基準をまさにつけているのは私も評価いたしますけれども、いわゆる東京圏の場合の高層
住宅
、マンションの購入というのは今大変な分譲価格となっているわけでございまして、
公庫
の大都市圏における加算額をもってしても、平成元
年度
で大体二千百四十万でございますか、地方都市で千五百四十万、東京圏と地方都市では約六百万の差をつけておりますけれども、分譲マンションの価格は東京都といわゆる地方都市では全然違うわけですね。約七十平米で東京圏では約七千六百万となっておりますし、地方で、福岡では二千万ということで、もうこれだけで五千六百万の差があるということで、分譲価格そのものが非常に高くなっているものですから非常に乖離が大きいということで、東京圏のいわゆる高層
住宅
、マンション
住宅
もその融資をやはり実態に近い、購入価格に近い融資額に直す必要があるのじゃなかろうか、こういった内容でございますけれども、この点建設省としてはどうお考えになっていますか。
小川忠男
227
○小川
説明
員 お答えいたします。 東京を中心といたします大都市におきます金融
公庫
の融資額についてでございます。平成二
年度
の
予算
案におきまして大都市地域、特に東京圏と大阪圏を中心にいたしましていわゆる特別加算を行うというふうなことをお願いしておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、東京圏につきましては四百万円、大阪圏につきましては百万円、これを従来の融資に加えまして特別に加算をするというふうな形で
予算
をお願いしておるわけでございます。これによりまして東京圏では従来の価格に四百万上乗せになりますので最大限二千六百八十万円、大阪圏では二千百五十万円の融資限度枠というふうなことになるわけでございまして、先生御指摘のようにこれで十分かと言われますと必ずしも十分ではないとは思いますが、一応の水準は達成されているのではないかというふうに考えております。
春田重昭
228
○春田
委員
一応の水準に達成していると言うが、全然達成していないですよ、あなた。平成二
年度
でそれだけの加算をしたのはそれなりの評価をしたいと思うのですが、余りにも分譲価格そのものが高いわけでございまして、実態と相当開いているということでございまして、これとて少ないと私は思うのです。 私は大阪なんです。大都市圏で、東京と大阪で四百万と百万、こうなってますけれども、御存じのとおり昨
年度
の公示価格、今年一月一日の公示価格が三月の末に発表されておりますけれども、大阪の場合には五〇%上昇いたしまして全体として東京圏の九〇%近い価格になっているわけですね。東京圏は監視区域が三百から百に六十三年に施行されまして、昨
年度
は六%ぐらいしか上昇してないわけで、そういった面からいったら、せっかく加算金をつけるのだったら大阪の方も東京に近い額にしてもおかしくないと私は思っているわけでございまして、四百万と百万では大阪がちょっとみじめでございまして、そういった点では大阪でもやはり相当加算するべきではないかと私は思うのです。この点どうですか。 〔
近藤
(元)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
小川忠男
229
○小川
説明
員 お答えいたします。 どの程度まで加算すればいいかというのは非常に難しいと思いますが、何分にも今
年度
の
予算
案でお願いしている初めての試みでございますので、現実の実態をにらみながら東京圏と大阪圏のバランス、さらには地方圏とのバランスというふうなものを念頭に置きまして、現実に印すような形になるようできるだけ努力してまいりたい、このように考えております。
春田重昭
230
○春田
委員
限られた時間でございましてなかなか突っ込んだ質問ができないのですけれども、次に公営
住宅
の問題です。 この公営
住宅
の入居基準というのは一定の収入基準があるわけです。これが全国一律になっているということで、東京圏にしても大阪圏にしてもまた地方都市にしても、いわゆる総収入によって一種、二種の公営
住宅
に入れるようになっております。しかし、今
公庫
の話もあったようにやはり地域別に融資条件は異なっておるわけですね。ところが公営
住宅
の入居の収入基準というのは全国一律になっている。そこで入居率につきましては所得階層によって大都市圏が非常に悪い、こうなっておるわけです。報告もされておりますけれども、東京圏の場合には二六・四%、三大都市圏以外では四二・六%の方が入っているということでございまして、公営
住宅
の収入基準は所得の低い人の三分の一をカバーするとなっておるわけですね、ところが東京圏の場合には三分の一を下回っている。こういう点で、やはりこの勧告にあるようにこの入居基準、いわゆる収入基準につきましても、全国一律でなくて地域別の収入基準に見直す必要があるのではないか、私はこう思っておりますけれども、建設省のお考えはどうでしょうか。
今泉浩紀
231
○今泉
説明
員 お答えいたします。 ただいまの御指摘でございますけれども、先生御指摘のように現在いわゆる収入基準につきましては全国一律でやっております。これにつきましては、公営
住宅
の入居につきましていわゆるナショナルミニマム的な発想から全国的に統一的な基準でやったらいかがかということ、あるいは地域間のバランス、例えば都道府県間あるいは都道府県の中におきます
市町村
におけるバランス、そんなこともございまして従来から一律的な基準でやっていたというのが実情でございます。 ただ、先生から今御指摘ございました、また
総務庁
からも御指摘がございました問題点は私どもも了知しております。ただ、この問題につきましてはいろいろと複雑でございまして、直ちに実行ということにつきましては慎重な検討が必要だというふうに考えておりますけれども、今回の御指摘を踏まえ、また、公営
住宅
につきましては都道府県、
市町村
が直接的な供給責任また管理責任がございますものでございますので、公共団体の意見等を踏まえながら検討してまいりたい、このように考えております。
春田重昭
232
○春田
委員
この収入基準につきましては見直されたのが六十一年の七月ですね。だから約四年間されておりませんけれども、四年間というのはやはり相当収入は上がっていっておるわけですね。そういった点で大体いつごろ次の見直しの時期は考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
今泉浩紀
233
○今泉
説明
員 収入基準につきまして、先生今御指摘のように六十一年に改正をいたしました。この収入基準につきましては、先生も先ほど御質問がございましたが、第一種につきましては下からおおむね三分の一までの世帯、それから第二種につきましてはおおむね六分の一ぐらいまでの世帯を対象にということでこの基準をつくっておるわけでございますが、基準を決めた以降の収入の動向等を見ながら必要がある場合に改定をするということにいたしております。確かに先生御指摘のように四年たっておりますので、私ども今、
事務
的でございますが、この改定に向けての準備的な作業をしておるところでございます。
春田重昭
234
○春田
委員
最後
に
長官
にお尋ねしたいと思いますが、いわゆる
住宅
の行政監察は、これが前回報告されたのが
昭和
五十七年ですね。だから八年ぶりの行政監察となるわけでございます。
総務庁
としてはいろいろな項目の行政監察が必要と思いますが、衣食住の中でもこの
住宅
の問題は特に国民の非常に大きな関心の的でございますし、今言ったような問題等も含めて、やはり国民のニーズにこたえるためには八年というのはちょっと長いのじゃないか、そういった点でいわゆる
住宅
に関する行政監察というのは大体サイクルとしては三年ないし五年ぐらいの形でやっていただいた方がいいのではなかろうか、私はこう思っておりますけれども、この点について
長官
の御所見をいただきたいと思います。
鈴木昭雄
235
○鈴木(昭)政府
委員
先ほどお答え申し上げましたように、本年の五月一日に勧告したものでございまして、私どもといたしましては、数カ月後に建設省からこれらについての回答をいただく、さらに半年ないし一年後にその後の改善
状況
を伺うという仕組みで動かそうと思っておりますので、当面のところは
住宅
行政監察をさらに
予定
するということは考えておりません。 なお、私ども中期行政監察
予定
テーマということで三年ぐらいのテーマを考えておりますが、平成三
年度
におきまして、消費者保護の観点も入れまして分譲マンションの監察等を考えてみたいものだというふうに考えております。
春田重昭
236
○春田
委員
ちょっともう時間がなくなってまいりましたけれども、
長官
、駐車場の問題につきまして、せっかくですから若干お尋ねしたいと思うのですが、大都市の東京、大阪など、車の所有台数に比べまして駐車場が極端に低いのです。警察庁の違法駐車の
調査
でもそれがわかっておりますけれども、大阪なんか特に違法駐車が多いということが判明しました。
長官
はこの交通対策本部長の立場にございます。四月三十日でございますが、北方四島の視察をやられた北海道の根室市で、
長官
はこんな発言をされております。 駐車場や駐輪場などの確保のために、新たな
財源
として、自動車の重量税、取得税のほかに、新たな税や、また現在LPガス税等が二十五年間も据え置きになっている、こういったことを税調などで考えてもらいたいと発言なさっておりますけれども、
長官
の率直なる御所見をいただきたいと思っております。
塩崎潤
237
○
塩崎国務大臣
御指摘の新聞記事は、私が北方領土の視察に参りましたときの雑談で、私の方も多年の経験でございました税の話を例えばということで申し上げたので、あの案が確定した案でもなければ、また
総務庁
の権限でもございません。 しかしながら、最近の自動車、車両の増加、これは道路の
整備
状況
とも、また駐車場の
整備
、さらにはまた安全施設の
整備
状況
とも見合わないほど、自動車の増加
状況
が著しいのでございます。これはいろいろ原因がございましょうけれども、私どもは何としても安全施設、人の生命の安全が最も重要なことでもございます。そういった意味で、最近の自動車の増加
状況
に応じて、確かに六十三年七月二十八日に円滑対策等をやっておりますけれども、その後の
状況
を見るならば、まだまだ駐車場も足りない、あるいは安全施設も足りない、そしてまた車庫の問題も大変問題が多い、こんなようなことに気がつくわけです。したがいまして、交通対策本部長としては、ぜひとも各省にお願いして、駐車場あるいは安全施設、これを最近の自動車の
状況
に応ずるようにふやしていただいて、交通事故を減らしていただきたい、こういう念願を持ってお願いをしているところでございます。
財源
がないじゃないかという新聞記者の質問がありましたから、私は元主税
局長
で長らくこの問題を研究してまいりましたから、例えばこういうことで
財源
というものはできるではないかということを申し上げ、まさしく私がそんなことをしなくても建設省が
財源
を配分していただけるとは思うのですけれども、さらにまた足らなければそんなことでも考えなければなるまいというようなことを申し上げたわけでございまして、これが権限のない
総務庁長官
の、何と申しますか政策というふうなものではないというように私は考えていただきたい。しかし、一つの考え方として、このようなことまでやってでもどうしても駐車場、安全施設あるいは自転車道までふやしていただきたいことを新聞記者の諸君に申し上げていたのでございます。
春田重昭
238
○春田
委員
しかし、
塩崎
長官
は大ベテランの大臣でございますから、
長官
の発言は非常に重みがあるわけでございますから、そういった発言はひとつ実現方になるように努力していただきたいと思います。 せっかく建設省お見えになっていますから、一点だけちょっと簡単に……。 今、駐車問題については、建設省としては路上駐車または路外駐車場、いろいろな駐車場確保に頑張っておられるのですが、幹線道路の違法駐車が非常にあふれているのですね。そういった問題でいろいろな新聞等で出ておりますけれども、建設省としてはこういった路上駐車場、路外駐車場の問題についてどんな努力をなさっているのか、簡単にお答えいただいて質問を終わります。
安達常太郎
239
○安達
説明
員 駐車場
整備
に関する御質問にお答えいたします。
委員
御指摘のとおり、この問題は、渋滞の著しい道路交通の円滑化を図る上で、また都市における中心市街地の活性化を図る上で、極めて重要な課題であるというふうに認識しております。建設省といたしましても、これに対しまして、特に駐車問題が深刻化している都市におきまして、今後とも総合的な駐車場
整備
計画の策定を
推進
してまいりたいと考えております。また、従来、有料
道路整備
資金あるいはNTTの株式の売却収入を活用した無利子融資の制度等で駐車場の
整備
がなされておりますけれども、これを活用し、さらに市民に広く利用される公共的な駐車場の計画的な
整備
を
推進
していかなければならないということでやっていこうと考えております。 また、現在附置義務基準の見直しのための検討、
調査
を行っておりまして、近々
調査
結果をもとに必要な見直しを行い、公共団体で制定していただくわけでございますけれども、附置義務条例に基づく附置義務駐車施設の
整備
の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。またさらに、
委員
御指摘の沿道土地利用等による路外駐車場のみでは対応できない短時間の駐車需要も多く存在しておりますので、これらの駐車需要の対応についても重要な課題として取り組んでまいりたいというふうに考えております。
渡辺栄一
240
○
渡辺委員長
東
祥三
君。
東祥三
241
○東(祥)
委員
総務庁
に、青少年対策の一環としての最近における青少年を阻む薬物乱用防止について、御質問させていただきたいと思います。 この質問の背景として、次の三つのことを念頭に入れております。一つは、言うまでもなく経済大国日本は現在海外の麻薬シンジケートからねらわれているのではないかと言われております。特に御存じのとおりアメリカの取り締まりが非常に厳しくなってきたために、ことしになってから中南米からのコカインが急激に日本に入り始めております。ちなみにことしの現在までのコカインの
合計
押収量でございますが、何と六十七キログラムに達しております。昨
年度
一年間だけでも十三・七キログラム、一昨
年度
は〇・二キログラム。ですから、いかに膨大な量が日本に入ってきているかということを理解できます。押収されている量だけでもこれだけでございますので、ひそかに市場に出回っている量は想像を絶する。これが第一でございます。第二番目は、旅行や留学で海外に出て薬物を体験する若者がふえているという報告があります。これが背景の第二。第三が、若者の間に薬物をファッションの一つとして考える傾向が出てきているのではないか。これは中高生への飲酒の広がりとも関連しておりますし、またシンナー常用者、これもずっとふえ続けている、こういったところと関連しているのではないか、このように思われます。なお、私がここで薬物というふうに申し上げておりますのは、ここには、ただ単に麻薬あるいは覚せい剤のみならず、シンナーその他安易に手に入れることのできる中毒性の薬、例えばある種のせきどめ用のシロップ、こういったものも含まれております。 そこで、
青少年対策本部
長であられます
総務庁長官
に、こういった青少年の薬物乱用の傾向が高まるような
状況
についてどう受けとめられておりますか、この点について御所見を伺いたいと思います。
塩崎潤
242
○
塩崎国務大臣
御指摘のように、そのような傾向がありとすればこれは大変な、私ども
青少年対策本部
の大きな目標として厳重に取り組んでいかなければならない問題でございます。 現在どのように取り組んでいるかという問題等について、政府
委員
から答弁をさせていただきます。
福田昭昌
243
○福田(昭)政府
委員
今先生がおっしゃいましたことは、青少年の健全育成上大変憂慮すべき問題であるというように考えております。このような問題につきましては、家庭あるいは学校、地域社会、そういったものの連携と協力というものが必要でございますが、
青少年対策本部
といたしましては、各省庁にわたります青少年の非行防止あるいは健全育成に関する施策を総合的に
推進
するという立場から、関係省庁との連携のもとに、これらの薬物関係につきましての有害性についての広報だとかあるいは啓発活動の
推進
、また乱用少年の早期発見、補導、あるいはまたそういうものに陥った子供に対しましての相談活動の強化、あるいは販売店等に対しまする適正な保管管理とかあるいは販売等の自主規制といったようなものにつきまして、諸対策を
推進
しているところでございます。 また同時に、毎年七月に私ども
総務庁
が主唱いたしまして全国的に展開しております「青少年を非行からまもる全国強調月間」という運動におきましても、この薬物乱用防止を重点の一つに取り上げまして、関係機関、団体が家庭、学校、職場あるいは地域社会と連携してその防止活動に努めるという対策を進めているところでございます。 同時に、青少年対策といたしましては、今申し上げましたような対策と同時に、基本的には、青少年の健全な生活態度あるいは遊びといったものなど、青少年の健全育成活動の振興を図るということも大変重要なことであろうと考えております。各省との連携のもとに、各般のそういった健全育成のための諸施策を進めているところでございます。
東祥三
244
○東(祥)
委員
揚げ足を取るわけではありませんが、
長官
のお言葉に私は極めて不満でございます。このような傾向があればというふうにおっしゃったということは、現実には若者たちがどれほど薬物に侵されているか、むしばまれているか、この点についての御認識がほとんどない、このように私は理解せざるを得ません。また、現在、薬物乱用防止対策
実施
要綱の中に書かれている問題について御指摘がありましたけれども、極めて取り組みが甘いのではないかと私は思わざるを得ません。 欧米でも全く同じ認識でございました。欧米では現在、青少年の薬物乱用というものが深刻な社会問題になっていることは御承知のとおりです。私は広がってからでは遅いと思っているのです。欧米でも、国民の間でこういった問題が大した問題ではないと思っているうちに今の事態になってしまったわけですね。まさに今日ボーダーレスの社会になってきている。またその意味で、日本の市場が先ほど申し上げましたとおりシンジケートにねらわれているような
状況
になってきている。こういった
状況
下で日本だけが例外でいられるはずはないと私は思っているのです。 そういった意味で、先ほど述べてくださいました薬物乱用防止対策の内容をどのような角度から煮詰めていらっしゃるのか。少なくとも薬物乱用といった場合、それを需要の面で断っていくのかあるいは供給の面で断つのか、あるいはそれが使われないように啓蒙活動していくのか。ただそれのみではないわけですね。現在、シンナー常用者だけでも、シンナーによって検挙された数だけでも、平成元
年度
のデータはないのですが、一昨
年度
で何と二万八千百八十五人おります。こういった人たちの中で現在、御案内のとおり中学校あるいは高等学校をドロップアウトしていってしまう青少年がどんどん生まれてきているわけですね。その辺の実態も多分把握されていないのだろうと勝手に推察してしまいますけれども、そういう人たちに対しての対策も本来ならば込めなければならない。それはこの
実施
要綱の中には入ってないわけです。そういった意味では極めて取り組みが甘いと言わざるを得ません。いかがでしょうか。
福田昭昌
245
○福田(昭)政府
委員
今先生御指摘のものは、薬物乱用対策
推進
本部におきまして、薬物乱用防止対策
実施
要綱というものを定め、関係省庁で進めるというものの御指摘であろうと思います。 それで、これは直接には総理府の方で所管をいたしておりますが、この中では、いわば大人も含めて各般の施策をまとめておるわけでございます。その中に青少年対策の面も含めて提示をいたしておるわけでございますが、対策といたしましては、もとより元を断つこと、それに心の上で、あるいは生活の上でそういうものに入っていかないような対策、あるいは青少年でございますから日常の生活そのものが健全な活動になっていくような対策、あるいはまた学校におきます薬物の有害性等についての指導、さまざまな角度からやっていかなければならないだろうと思いますし、また同時に、いろいろな取り締まりといったものについても強めていただかなければならないというふうに思っております。
東祥三
246
○東(祥)
委員
具体的に質問します。 ここで十四省庁がかかわっているわけですが、全員にお越しいただくわけにはいきませんでしたので、厚生省、法務省、文部省に具体的な形でお伺いしたいと思います。 まず厚生省でございますが、薬物乱用者の実態と効果的な治療あるいはリハビリ施設が現在存在しますか。特に青少年に多いシンナー常用者についての治療、リハビリ施設といったものはありますか。
篠崎英夫
247
○篠崎
説明
員 厚生省は、医療の観点からこの薬物乱用等に対しまして対応いたしております。精神保健法の二十七条によりまして、精神保健指定医が二名診察の結果、その患者さんが自傷または他害のおそれがあると診察されたときは、この精神保健法によりまして
措置
入院をさせまして必要な医療及びアフターケアに努めております。また、自傷あるいは他害のおそれがない場合でございましても、医療保護入院あるいは任意入院制度等によりまして、同じく精神保健法に基づき必要な医療及びアフターケアを行っているところでございます。
東祥三
248
○東(祥)
委員
各省に関してのこの問題についてはまた各省庁での
決算
委員
会で取り上げていきたいと思っておりますので、深くは掘り下げません。 次に法務省に対してでございますが、刑務所あるいは的確な表現なのかどうかわかりませんが、少年院内での治療施設といったものは存在いたしますか。また、再発防止のための薬物常習者、薬物乱用者のための刑務所といったものが存在いたしますか。
堀雄
249
○堀
説明
員 まず刑務所について申し上げますと、覚せい剤事犯、麻薬事犯関係の受刑者は、自己使用に係る者あるいは売買に係る者など犯罪の態様が一様ではございませんし、また、他の受刑者と比較してみますと性格的に際立った相違が認められないことから、一般の受刑者と同様の基準、つまり性別、年齢、刑名、刑期等の別に従いまして分類して収容することといたしております。ただ、これらの者のうち精神症状が発現している者につきましては、医療刑務所に収容いたしまして薬物療法、精神療法、作業療法などの専門的医療
措置
を施しているところでございます。 また少年院でございますが、薬物を常用する少年を収容いたしました場合、少年院におきましては、これらの少年に対しまして映画、作文指導、グループ討議、心理劇あるいは医師の講話等によりまして薬害の恐ろしさを認識させるとともに、規則正しい生活の指導、体育訓練等によって規範意識を覚せいすることに努めております。また、これら薬害の後遺症を持つ少年に対しましては、医療少年院というところがございますが、ここにおきまして、刑務所と同じく薬物療法、精神療法、作業療法などの専門的医療を行っておるところでございます。
東祥三
250
○東(祥)
委員
薬物常用者は犯罪人ですか、病人ですか。済みません、的確な質問相手がどうかわかりませんが、法務省の方、答えていただけますか。
堀雄
251
○堀
説明
員 的確にお答えできるかどうかわかりませんが、例えば少年院に収容されておる少年で、覚せい剤取締法違反あるいは毒物劇物取締法違反の非行名で収容されておる少年は全体の一三%程度でございます。それに対しまして、少年院に入院した全少年につきまして薬物の使用経験があるかないかということを調べてみますと、約五〇%が薬物経験があるということでございまして、そういうお答えでよろしゅうございましょうか。
東祥三
252
○東(祥)
委員
文部省にお尋ねいたします。 文部省は、薬物の乱用に対しては現在どのような教育を施すように御指導されているのでしょうか。
石川晋
253
○石川
説明
員 お答えいたします。 学校教育におきましては、薬物乱用の防止につきましては、従来から中学校あるいは高等学校の教科、保健体育あるいは特別活動、この特別活動と申しますのは保健指導でありますとか生活指導、こういったものを含んでおるわけでございますが、こういった中で薬物乱用の防止について指導してきているところであります。このため、かねてから日本学校保健会、専門家のたくさんおる団体でございますが、こういうところの協力を得まして、薬物乱用についての健康・教育上の観点を含めた教師用の指導書を作成し配布いたしましたり、学校の保健担当の先生方に対する研修会でこの問題を取り上げまして、教職員の意識の啓発と児童生徒の指導の徹底を図っているところであります。特に今回の学習指導要領の改訂におきましては、この問題の重要性にかんがみまして、学校の教科、保健体育におきまして、新たに薬物乱用と健康に関する内容を項目として、具体的に、例えば中学校でありますれば喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は心身にさまざまな影響を与え疾病等の要因ともなることというような項目を加え、教科書等においてもこの問題について具体的に取り扱うことになるように改訂を行ったところであります。 今後ともこのような観点から指導の充実に努めてまいりたいと考えているところであります。
東祥三
254
○東(祥)
委員
それは別の言葉で言うと、私はおどしの教育だろうと思います。それを吸えば健康にこれだけの害がきてしまうという、その教育は欧米で失敗しているのですね。ずっとそのようなおどしの教育、これを飲めば身体にどれだけの影響が来るか、そういう教育をやってきたわけですね。失敗している結果としてこのような
状況
になってきている。 私は、先日、民間団体のところに行ってまいりました。ここでリハビリをやっているわけですけれども、なぜそういうところに行ったのかというと、公的な機関が一切ないわけです。そこで、ある方が言っておりました。薬物を常用してしまう、薬物を乱用してしまう、これにはいろいろな要素がある。しかし、なぜ薬物に走ってしまうのかという
調査
もちゃんとなされていない。薬物を一たび使った後、一回直ったと思ったとしても、また再発してしまう。社会に復帰できないのですね。社会に復帰していくための方途を知らない、また方途を教えられない、そういう人々が命あふれ出してきているわけですね。今までのお話を聞いていましても、基本的には、一たび薬物を常用した人たちが社会に復帰しようとした場合、どのようなところでもって管理してくれるのか、どのようなところでもって社会復帰のための治療をしてくれるのか、全くエアポケットになってしまっているのじゃないでしょうか。私は時間がないのでさらに突っ込むことができないのですけれども、そういった意味で、
青少年対策本部
長としての
総務庁長官
にぜひこの問題を取り上げていただいて、薬物乱用防止対策
実施
要綱と先ほど答弁してくださいましたけれども、現在十四省庁が固まっている、しかしここでは参謀がいないのですね。薬物使用を防止していくための全体像を描いていないのです。参謀がいないところで、言葉は悪いですが、指揮官が各前線に飛んでいる人々が対症療法的に直面している問題を取り込んできて、じゃあどうしようかということなんですね。全体像を把握する、全体像を研究する、
調査
していく機関は全くないわけです。したがって、今私が指摘したようなエアポケットに陥ってしまっている。これは必ず日本に大きな社会問題として登場してくることは間違いありませんので、先憂後楽の視点でもって
総務庁長官
にぜひとも強い決意をお願いしたいと思います。
塩崎潤
255
○
塩崎国務大臣
御指摘のように、私どもはこの問題についてこれから大きな力を入れなければならないことを今お話を聞いていて痛感したところでございます。外国の例などはよくテレビで私も見ましたが、やはり日本がこのような災禍に絶対にまみれないように頑張っていきたい。今、参謀のお話が出ましたが、参謀も含めて司令官、大いに頑張っていきたいと思いますので、御指導、御鞭撻のほどをお願いしたいと思います。
東祥三
256
○東(祥)
委員
よろしくお願いいたします。時間がないので、この薬物に関してはまた別の機会に取り上げたいと思います。 次に、
沖縄開発庁長
官と環境庁にお伺いいたします。白保のサンゴの問題でございます。 御存じのとおり、これがあの有名なアオサンゴでございます、お見せするまでもないと思いますが。現在、世界的に注目を浴びているこの八重山諸島石垣島周辺に広がる日本最大のサンゴ礁群の、特に白保地区のサンゴに関して、環境庁と
沖縄開発庁長
官にお伺いいたします。 まず、ここでの議論は、価値判断を明確にしなければならないのだろうと私は思っております。つまり白保のサンゴ礁を守るのか残すのかというのが一つの価値判断、もう一つはこのサンゴ礁を犠牲にしても開発を優先するのか、こういう価値判断の二者択一を迫られている問題ではないのか、このようにまず議論を設定したいと思います。この二つの価値判断のうちどちらを選ぶのか環境庁と
沖縄開発庁長
官の御所見を承りたいと思います。
砂田重民
257
○
砂田国務大臣
大変貴重な石垣島白保地区のアオサンゴでございます。これは基本的に守るべきものと心得ております。 観光
事業
振興のためには
沖縄
県が各様な取り組みをしておりますけれども、そのために必要な飛行場、当初白保地区に設定を考えておられましたけれども、空港の位置の変更を県がなさいましたのも、県にとっても、白保のアオサンゴを守るべしという結論を得て、空港建設の場所の変更を考えられたものと承知をいたしております。
鹿野久男
258
○鹿野
説明
員 旧飛行場
予定
地にございましたいわゆる白保のサンゴ礁、ただいま先生写真で御
説明
ありましたアオサンゴを中心とするサンゴ礁でございますが、これはほかに例のないアオサンゴを中心としたサンゴ礁、また塊状のハマサンゴを中心とする特異なサンゴ礁である。またそのほかのサンゴもございまして、それらが全体として健全なサンゴ礁を形成しているということで、あそこのアオサンゴを中心とするサンゴ礁は保全すべき貴重なサンゴ礁である、環境庁ではこのように認識いたしております。ですから、今回
沖縄
県がそれを保全する方向で位置を変更したという点に対しては、環境庁としても評価しているところでございます。
東祥三
259
○東(祥)
委員
理解するために私の言葉で言わさせていただきますと、開発をするに当たって、サンゴ礁を犠牲にしないで開発は促進する、このように理解してよろしいですか。
砂田重民
260
○
砂田国務大臣
レジャー地域と申しますか観光地域と申しますか、その一つの絶対要件は、やってくる人たちが自然に触れたいということで出かけていくわけでございますから、今の東
委員
の御指摘のように、守るべきものと基本的に私どもも考えておりますし、そのように解釈していただいて結構でございます。
東祥三
261
○東(祥)
委員
それでは、次の問題設定でございますが、何らかの
開発事業
が行われる場合、事前に十分な、このサンゴ礁を犠牲にしないという結果が出るようなそういう環境アセスメントを行うというふうに理解してよろしいですか。
鹿野久男
262
○鹿野
説明
員 開発の前に行われます環境アセスメント、当然のこととして貴重な自然を守るというために行うものと理解いたしております。
東祥三
263
○東(祥)
委員
これは環境アセスメントをやる場合、ある開発が行われようとする前の環境アセスメントと、それから
開発事業
を申請するときその後に行われる環境アセスメント、二つあると思うのですが、これは二つともやるということですか。
橋本善太郎
264
○橋本
説明
員 お答えします。 一般的に環境アセスメントという概念はいろいろ広い概念でございまして、先生がおっしゃるような事前にやる場合もありますし、申請の中でやるというような場合もある、いろいろあろうかと思います。
東祥三
265
○東(祥)
委員
ちょっと話が飛びますが、四月二十六日同僚の大野議員が北川
長官
に質問いたしまして、北川環境庁
長官
から、近く白保地区を国立公園、海中公園地区に指定するつもりであるとの御答弁がありました。いつごろ海中公園に指定するのでしょうか。そしてまた、その領域はどのようになるのでしょうか。
鹿野久男
266
○鹿野
説明
員 さきに環境庁
長官
が国会の場等でお答えいたしておりますように、旧計画地にございましたいわゆるアオサンゴを中心にしたすぐれたサンゴ礁、この付近につきましては、国立公園の海中公園地区ということで指定する方向で現在検討が進められております。 ただ、具体的な時期になりますと、これは当然行為規制を伴います指定地域になりますので、そういう観点から、地元の
沖縄
県、石垣市、また関係する各省庁、そういうところと協議いたしてまいらなければなりません。そういうことから、具体的なスケジュールということで申し上げる段階には今のところまだございません。ただ、先ほどから何度も申しますが、いわゆるアオサンゴを中心としましたサンゴ礁、これはできるだけ保全するという方向で鋭意その検討作業を進めているところでございます。
東祥三
267
○東(祥)
委員
時間が来ましたので
最後
になりますが、ということは、先ほどのお話からいきますと、基本的に白保のサンゴを守るという視点に立っておりますので、その守る具体的な一つの行為としてこの白保地区を海中公園地区に指定する、このように環境庁
長官
がおっしゃられているのだろうと私は推察いたします。ということは、この海中公園が指定される以前においてはいかなる開発も行われない、また、あるいは行われるとするならばこの海中公園指定との兼ね合いで考慮されなければならないというふうに理解してよろしいですか。
鹿野久男
268
○鹿野
説明
員 海中公園地区、国立公園の中の一つの規制区域でございますが、これは自然公園法の規定に基づきまして指定される地区でございます。ですから、実際の行為規制と申しますのは当然指定後に効力が生じます。ですから、それ以前は法に基づいて開発行為を規制するということは自然公園法の立場からはできかねます。
東祥三
269
○東(祥)
委員
時間が来ましたので、これでやめさせていただきます。
渡辺栄一
270
○
渡辺委員長
寺前
巖君。
寺前巖
271
○
寺前
委員
一九八七年の十二月に地域改善対策協議会が「意見具申」を、一九八七年の三月には
総務庁
が「地域改善対策啓発
推進
指針」を発表して、同和問題に新たな転機を迎えさせたというふうに私は思います。 地対協の意見具申と
総務庁
の啓発指針は、言うならば無秩序とも言うべき乱脈不公正な同和行政を正すことが部落問題解決にとって不可欠の課題であるという立場で指摘をしています。そして、政府文書としての限界は持ちつつも、私どもは、公正民主の同和行政を受け入れ、国民の要求と運動を反映した積極的なものと、この具申と指針を見ております。 特に、注目に値する問題が、具申の「現状は、同対審答申が当時前提としたものと比べ、大きく変わってきている。第一に、同和地区の実態が相当改善されたことであり、第二に、同対審答申では全く触れられていない新しい問題が生じていることである。」ということで、この「新しい問題」というのがここで特段に見なければならない問題になっているわけです。 そこで本文を見ますと、「地域改善対策の今日的課題」というところには、「新しい要因」として、第一に「行政の主体性の欠如」、第二番目に「同和関係者の自立、向上の精神のかん養の視点の軽視」、第三に「えせ同和行為の横行である。」そして
最後
に「同和問題についての自由な意見の潜在化傾向である。」この潜在化傾向というのは一つの問題なのです。「同和問題について自由な意見交換ができる環境がないことは、差別意識の解消の促進を妨げている決定的な要因となっている。」だから、決定的な要因ともなっているのだから、ここにメスを入れるということは当然
総務庁
が目をかけなければならない重大な課題だ、私はそう思うのです。 「民間運動団体の行き過ぎた言動が、同和問題に関する自由な意見交換を阻害している大きな要因となっていることは否定できない。いわゆる確認・糾弾行為は、差別の不合理性についての社会的認識を高める効果があったことは否定できないが、被害者集団によって行われるものであり、行き過ぎて、被糾弾者の人権への配慮に欠けたものとなる可能性を本来持っている。また、何が差別かということを民間運動団体が主観的な立場から、恣意的に判断し、抗議行動の可能性をほのめかしつつ、さ細なことにも抗議することは、同和問題の言論について国民に警戒心を植え付け、この問題に対する意見の表明を抑制してしまっている。」ここが「今日的課題」として重要な問題だ。 さて、それでは、関係機関がこの今日的課題の重大問題について意識的などんな指導をやっているのかということについて、きょうは聞きたいと思うわけです。 そこで、私はまず最初に、人権擁護の関係省でもあります法務省からも来ていただいていると思うのですが、法務省の皆さんは確認・糾弾会への
出席
という問題が問われた場合にはどういう対応を今日までしてこられたのか、お聞きをしたいと思うのです。
門阪宗遠
272
○
門阪
説明
員 お答えいたします。
昭和
六十一年十二月の地域改善対策協議会の意見具申は、確認・糾弾行為について、「いわゆる確認・糾弾行為は、差別の不合理性についての社会的認識を高める効果があったことは否定できないが、被害者集団によって行われるものであり、行き過ぎて、被糾弾者の人権への配慮に欠けたものとなる可能性を本来持っている。また、何が差別かということを民間運動団体が主観的な立場から、恣意的に判断し、抗議行動の可能性をほのめかしつつ、さ細なことにも抗議することは、同和問題の言論について国民に警戒心を植え付け、この問題に対する意見の表明を抑制してしまっている。」旨、提言されております。 そこで、法務省といたしましては、この意見具申を真摯に受けとめまして、民間運動団体の行う確認・糾弾会については、これを啓発の手段とすることは好ましくないとの考えで対処しております。
寺前巖
273
○
寺前
委員
文部省に聞きます。 啓発
推進
指針を読んでみますと、「教育の場における啓発の
実施
」という項があります。この中に、「差別発言等を契機に学校教育の場に糾弾闘争その他の民間運動団体の圧力等を持ち込まないこと」という課題が載っています。「児童・生徒の差別発言は、先生から注意を与え、皆が間違いを正し合うことで十分である。差別事件に限らず、どのような場合にも教育の場へ民間運動団体の圧力等を持ち込まないよう、団体は自粛することが望ましい。団体の自粛がない場合には、教育
委員
会及び学校は、断固その圧力等を排除すべきである。」ということが書かれておりますが、文部省としてこの立場は指導しているのでしょうか。
近藤信司
274
○
近藤
説明
員 文部省といたしましては、学校内で起きた差別事象などの問題につきましては、学校が教育課題として主体的に
処理
し、解決することが大切であると考えております。なお、学校が解決するに当たりましては、保護者や地域の協力連携が必要な場合もあるわけでありますが、同和教育の
推進
に当たりまして教育の中立性が守られるということが必要であり、重要であると考えております。また、そのような指導を行っておるところでございます。
寺前巖
275
○
寺前
委員
再度聞きますが、主体性というたって、主体性を主観的に決められては困るので、今わざわざ具体的に、啓発指針では「児童・生徒の差別発言は、先生から注意を与え、皆が間違いを正し合うことで十分である。」ちゃんと具体的に指摘をしている。「差別事件に限らず、どのような場合にも教育の場に民間運動団体の圧力等を持ち込まないよう、団体は自粛することが望ましい。団体の自粛がない場合には、教育
委員
会及び学校は、断固その圧力等を排除すべきである。」極めて具体的に指摘しているのですが、この指摘を指導に生かしていますな。これはもう自主的にやってもらったらいいんだ、啓発指針は指針で関係ございません、こう言うのか、この立場は指導に生かしているのか、そこをはっきりしてください。
近藤信司
276
○
近藤
説明
員 先生御指摘のように、地対協の意見具申等でそういった指摘がなされているわけでございます。私ども文部省といたしましては、従来からも、同和教育の
推進
に当たりまして教育の中立性が守られる、なお学校は教育活動課題として主体的に
処理
し、この問題を受けとめ、解決をしていくということが大切であると指導をしてきておるわけでございますから、今後とも引き続き、従来からの同和教育の
推進
の方針に従いましてその指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
寺前巖
277
○
寺前
委員
もう一回簡単に聞くけれども、啓発指針に具体的に書いてあるのだ、この具体的に書いてある事実に対して文部省は否定をするわけじゃないのでしょうね。尊重するのでしょうね。この立場で指導するのでしょうね。啓発指針等、これを棚に上げておいて別の道を歩もうというのですか。自発性とか自立とか介入とかなんとかいろいろな言葉は出るけれども、要するに啓発指針という形で出ているのだから、出ているものを尊重するのかしないのか、書かれている事実に対して受け入れるのだね。そこをはっきり言いなさいよ。
近藤信司
278
○
近藤
説明
員 基本的には、私どもの従来からの方針と同様のものと考えております。
寺前巖
279
○
寺前
委員
それでは従来からこの立場をとってきたというふうに解釈してよろしいね。間違いがあったら正してください。 そこで私は幾つかの事案について聞きたいわけですが、時間がありませんので、最近起こっている問題として奈良県におけるところの天理西中学ですか、それをめぐるところの問題があります。ここにチラシを持ってきておりますのでそれをちょっと紹介しますと、 一九八九年一月三〇日。A電気店の前の自動 販売機の前で七人の中学生が座って話をしてい る。A店主運転の軽四トラックが来て止まり突 然クラクションを鳴らし、生徒が振り返ると、 A店主「何か文句あんのか」 中学生「別に」 A店主「どこの学校や、どこのもんや」 中学生「嘉幡や」 A店主「西と東のどっちや」 中学生「西や」 A店主「西がえらそうに言うな」 中学生「西がえらそうに言うたらあかんのか」 と、まいてあるビラの「事件の
概要
」のところに書いてありますよ。そこで差別を受けたということになるのでしょう。「問題点や、差別を受けた生徒の告発に耳をかそうとしなかった西中教育の現状について、」厳しく非難をする必要があるということで、事実確認会というのをやっているのです。十月四日、四百人の人が集まって事実確認会というのをやる。十一月四日になりますと、今度は学校の先生方に対して、これは解放新聞を読みますとそう書いてあるのです、「約二百人の、天理市地元三支部をはじめとした部落大衆・共闘関係者は、」「校長・教頭への話し合い要請を見守りつつ、他の教師集団への抗議行動を展開。午前十一時に座り込みを開始し、午後六時の総括集会終了まで、断固たる抗議の意志を示しました。」ということで、ずっとこの問題について触れているわけなんです。 そこで注目すべきは、この十一月四日の「交渉経過報告」の中に、要するに学校の先生が出てきて話をせい、こういうことを追及されるのに対して学校側は、先生方は先ほどの啓発指針の態度に基づいて、そうはいきません、学校の教育の中に介在することはまかりならないという態度で、そうしたら教育
次長
が「同和教育の
推進
、経営案の実践のためにも話し合うべきと指導したが、」「会わないと言っている。」のやと言って、教育
委員
会は、学校の校長や教頭やあるいは先生方に対してこの申し入れを受け入れろということを指導するわけですね。そうしてその後、十一月二十四日になるとまたもや大きな集会がやられる。そして、そこに先生方が呼びつけられていくという経過をたどっているのです。そして、ついに三月末の人事異動では、それらの学校の先生方が、校長、教頭、全学年の学年主任、生徒指導主任、進路指導主任すべてを含むところの十二名の先生方が、要するにこの学校の三分の一の先生方が学校をかわっていくという人事異動にまで発展しているわけです。 さて、細かい経過は別として、こういうような介入が行われていることに対して教育
委員
会が、結論的に言うならばさきの啓発指針に書かれている内容とは違う方向をとっているんじゃないだろうか、文部省としてこの教育
委員
会がとってきた態度に対して是と言うのか、結果的に見てもこれは大変な指導のやり方だと見るのか、文部省の見解を聞きたいと思うのです。
近藤信司
280
○
近藤
説明
員 お答えをいたします。 私どもが奈良県の教育
委員
会から承っております報告によりますと、奈良県の教育
委員
会としてはもちろんそういった強制なり強要ということはしてないわけでございます。ただ、学校教育の場においてそういった差別事象なり何なりが起こったときに、問題をどう教育的に
処理
をしていくか。そういったときに、例えば地域の実態を把握するというようなことで地元住民の意見を聞くというようなこともまた、ケース・バイ・ケースとしてはあり得ることだと思っております。今回につきましては、教育
委員
会なり学校長がそれぞれの個別のケースを考えて運動団体と話し合いを行った、このような報告を教育
委員
会から承っておるところでございます。
寺前巖
281
○
寺前
委員
県の教育
委員
会がどうこう指揮をしたということは言ってない。市の教育
委員
会の教育
次長
が参加をして、そうして教師集団に会いなさい、学校の先生方に押しかけてきているこの諸君たちと会って
処理
をしなさいということを指導するわけでしょう。そうすると、この啓発指針に書いてあるじゃないですか。「生徒の差別発言は、」これは直接生徒の差別発言でも何でもないのですよ。「先生から注意を与え、皆が間違いを正し合うことで十分である。」内部で話し合うことで十分だ。それから「差別事件に限らず、どのような場合にも教育の場へ民間運動団体の圧力等を持ち込まないよう、」にせい。「団体の自粛がない場合には、教育
委員
会及び学校は、断固その圧力等を排除すべきである。」その立場に立って適切なのかどうかを私は聞いている。その立場に立ったのか、立たなかったのか。それに対するところの見解は今の話には一つも出てこないじゃないか。だから私は繰り返し聞いたんだ、この立場でもって指導をやっているのかということを。立場というのはこのことなんだよ。断固としてその圧力等を排除すべきである、この立場に立ってこそ啓発指針の立場じゃないか。教育
委員
会がその立場に立ったのかどうか、そこを
調査
せずして、事の細かい経過も調べることは必要かもしれないけれども、要するに結論的に言ったら、その立場を堅持しているのかどうか。啓発指針でわざわざ今日の課題だと指摘しているんだよ。従来の同対審の姿とは違うんだ。今度の基本はここだよ。このようにわざわざ指摘していることに対して、文部省として勉強が足らぬというのか。一番の中心点についてそこを基準としての
調査
をやっていないじゃないか。その立場でもう一度調べますか。
近藤信司
282
○
近藤
説明
員 この学校につきましては、かなり以前から学内における同和教育の取り組み方をめぐりましていろいろと議論があったようでございます。いずれにいたしましても、学校においてそういった学校の中での同和教育の
推進
を図っていきたいということで、それからまた運動団体からもそういったことでの要望がございまして、教育
委員
会なり学校が、こういう問題はそれぞれ具体的な事情があろうかと思うわけでございますが、そういった形で話し合いを行った、こういうふうに奈良県の教育
委員
会から私ども報告を受けておるわけでございます。 ただ、やはり一部関係者の間で事実認識等が異なる点がございます。そういう点につきましては、私ども引き続き県を通じまして事実関係の把握には努めてまいりたいと考えております。
寺前巖
283
○
寺前
委員
三分の一の先生、校長、教頭、その他の幹部の諸君たちが学校から離れていくという事態が、現実的に人事異動という形で出ているということは異常じゃありませんか。私はそんな学校が、適切な教育
委員
会の活動があったなどとは見られないと思うのですよ。指摘されるまでもなく、すぐに
調査
して当たり前だと私は思う。 もう一つ聞きます。京都の朱雀中学校、昨年の十月五日に差別落書き事件というのが起こって、第一回糾弾会を三月十三日にやるという、私ここにチラシを、「解放新聞西三条版」というのを持っているのです。何があったのかというと、どこかだれかの子供の机に落書きが書いてあった、先生が探したけれどもなかなかわからなかった、それで指摘をされて、ああ、ここにあったのかな、こういう学校内部の話なんだ。ところがこのビラを見ると、三回の事実確認会、それから三月十三日には第一回糾弾会というのをやり始めているのです。さて、これに対して京都市の教育
委員
会は、その確認会の過程で、十月二十八日には校長、教頭、同和主任、教務主任、進路主任、学年主任一年、二年、三年金部を集めて、そして確認会と称したところに
出席
をさせる。教育
委員
会がそういう指導をやる。これも先ほどからの路線から考えたら違うのじゃないだろうか、教育
委員
会の姿勢は間違っていないだろうか。どういうふうに見ますか。
近藤信司
284
○
近藤
説明
員 ちょっと経緯を申し上げたいと思いますが、私どもが京都市の教育
委員
会から受けております報告によりますと、この中学校におきましては、平成元年の十月五日に音楽室の生徒の机の表面に書かれた差別落書きが発見をされた、こういうことで、それ以降、学校、教育
委員
会としての事実確認の取り組みを行うとともに、学校内でかかる人権を侵害する落書きが生じないよう主体的に取り組む、そういうことでございまして、平成二年三月十三日に校長、教頭等と運動団体との話し合いが行われた。それは後でもあるわけでございますが、学校では教育的な立場から学校の主体性において校内問題として指導を進めているということで、学校は運動団体が学校へ介入しているとは考えていない、このような京都市の教育
委員
会からの報告を受けておるわけでございます。 繰り返しになって恐縮でございますが、文部省といたしましては、こういった学校内で起きた差別事象などの問題については、学校が教育課題として主体的に
処理
し、解決するということが大切である、かように考えておるところでございますし、また、そういう指導を強めてまいりたいと考えておるところでございます。
寺前巖
285
○
寺前
委員
話し合いをやっているとか、きれいごとでごまかしたらあかんのですよ、新しい問題だといって指摘しているんだから。私はここに持っているんだよ。ちゃんとチラシに書いてある。「第一回糾弾会三月十三日午後七時から」と、ちゃんと書いてあるやないの。運動団体がそうやってやってきているものに対して、そんなことを書かれていて、そこに行きなさいと私は言うわけにいきませんと、教育
委員
会の人が断固たる態度をとりなさいよと、わざさわ啓発指針に書いてある、書いてあることを勇気を持ってやりなさい、そういうぐらいの指導ができなくてどうする。文部省は責任負わぬじゃないか。それじゃちょっと聞きますが、今の話をもう一回きちっと調べてごらんなさい。そしてこれも後で答弁してください。私、ここにチラシがあるんだから。第一回糾弾会と書いて、やっている人がこれをまいているんだから。そんないいかげんなこと言ったらだめだよ。 それじゃ、ついでに聞くけれども、これは今の話とはまた別ですよ。「糾弾闘争こそ、差別撤廃への最高の教育啓発であり、人間変革の場であることを宣言する。」こういうことを言う人があるのです。もう一回言うよ。「糾弾闘争こそ、差別撤廃への最高の教育啓発であり、人間変革の場である。」こういう教育を、この立場を容認しますか。どうです、文部省。糾弾闘争こそ差別撤廃への最高の教育啓発だ、糾弾闘争こそ大事なんだ、人間変革の場であるんだ、こういう考え方を、教師集団を集めて学習をやる場合にこの立場に立てという、そういう方向をとりますか。
近藤信司
286
○
近藤
説明
員 私どもは従来から、同和教育の
推進
につきましては三つの基本方針を定めて指導をしておるところでございますが、その中でも、同和教育を進めるに当たっては、同和教育と政治運動や社会運動との関係を明確に区別し、教育の中立性が守られるよう留意をする、学校において主体的に解決をしていく、こういう形で指導もしておるわけでございます。そういった指導をより強めることによりまして、この問題の解決に努力をしてまいりたいと思っております。
寺前巖
287
○
寺前
委員
あなた、いつでもまともに答えないやないか。糾弾闘争こそ差別撤廃への最高の教育啓発だ、だから人間変革の場であるからその糾弾闘争をやらなければいかぬ、これを基本に据えたら、そういう学習をやったらもっともっとやれということになるし、そんなものを中心に据えるわけにいきませんと毅然たる態度をとるのかという分かれ目なんだ。はっきり答えてください。そんな態度を文部省としてはとるのかとらないのか、ノーかイエスかで答えてください。もう時間がないからこれで文部省の質問は終わりますけれども、もう一回言います。 朱雀中学校の問題について、糾弾会だと指摘されているところに教育
委員
会が学校の先生を派遣するということをやめなさい。糾弾会でないという発言が先ほどあったから、事実をもう一度調べなさいということを私は提起したのが一つ。それから今の話、糾弾闘争こそ最高の教育の場なのだ、そういう立場はとらないのか、とるのか、すかっと答えてください。この二つ。
近藤信司
288
○
近藤
説明
員 私ども、今回の事例につきましてはさらに
調査
を進めてまいりたいと思っております。 それから、本当に繰り返しになって恐縮でございますけれども、教育の中立性が守られるように留意をするということでございまして、同和教育と政治運動あるいは社会運動の関係を明確に区別し、それらの運動そのものも教育であるといったような考え方は避けねばならぬ、こういう基本方針で指導をしているわけでございますから、そういった立場に立ちまして、この問題につきましてもまた
調査
もし、鋭意指導をしてまいりたいと思っております。
寺前巖
289
○
寺前
委員
せっかく大臣がお見えなのに、大臣をほったらかしておいてどうも済みません。
最後
にひとつ大臣からお答えをいただきたいと思う。 今までのお話をお聞きになったと思いますが、
総務庁
が全体として所管になっておられるわけですけれども、それじゃその啓発のあり方について
総務庁
は適切であったのかどうか。 それで、私は
昭和
六十三
年度
の同和対策指導者養成研修会の本を読ませていただきました。ここへ記録が載っております。
総務庁
からの指導的な発言がここに載っております。これを読ませていただきましたが、残念ながら、今日的課題の一番中心の、毅然たる態度をとらなかったらだめだという問題の指摘がこの中には欠けているというふうに私は指摘せざるを得ない。だから改善してもらう必要がある。今日的課題にこたえられるような研修会をやる必要があるし、また、そういうパンフなりビラなりというものをつくっていただく必要があるのじゃないか。大臣に
最後
にその点の御見解をお聞きしたいと思うのです。
塩崎潤
290
○
塩崎国務大臣
同和問題については、何としても心理的差別の解消を促進し、そして同和問題に対する国民の理解と協力を得ていきたい。そのためには、
委員
も御指摘になりました
推進
された啓発や人権擁護対策に加えて、行政の主体性確立、同和関係者の自立・向上の精神の涵養、えせ同和行為の横行排除、同和問題について自由な意見の交換のできる環境づくりを積極的に進めていく、このような方向で
総務庁
は努力をしてまいりたい。 このお答えで恐らく
寺前
委員
の御質問に対するお答えになり得る、私はこういうふうに考えております。
寺前巖
291
○
寺前
委員
時間が来たからもうやめますけれども、
総務庁
がおやりになっているこの講習会を見ると、一番肝心の問題の指摘が弱いのではないだろうか。だから、今日的課題の中心問題についてずばりえぐって、今私が提起しておったような問題についてやっていただくように再検討していただけますか。それだけです。
塩崎潤
292
○
塩崎国務大臣
私は、もう今の御指摘の点については検討してまいりたいと思います。
寺前巖
293
○
寺前
委員
はい、どうも済みません。ありがとうございました。
渡辺栄一
294
○
渡辺委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十四分散会