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馬場委員 大臣。水産庁、
厚生省、
環境庁から同じ問題に対する
答弁を今いただいたのですが、お聞きになっておってどうですか。
環境庁の
答弁が一番いいですか、悪いですか。だれが命を守り、健康を守りますか。全く話にならないのです。水産庁は
漁獲禁止を解除してはいかぬ、
厚生省は基準値を上回るものが食卓に出回るようなことをさせてはいかぬと言うのですが、
環境庁は慎重に対処したいと
思います、これで命と健康は守られますか。ぜひほかの省庁に倣って、命と健康を守るようなことを
環境庁はしなさい。
これは裁判所もちゃんとそういうことを、これまた歴史を言いますと古くなりますけれども、東京高等裁判所がこういうことを言っておるのです。川本君の傷害事件の裁判がありまして、東京高裁から判決が出ておるのです。それに「当初
奇病と言われた段階から十五年間も
水銀廃液が排出されている状態を放置しておかなければならない
理由は見出せない。熊大
研究班による地道にして科学的な
原因究明が行われた経過の中で、
熊本県警も
熊本検察庁検察官も、その気がありさえすれば、水産資源保護法、同法等に基づいて定められた
熊本県
漁業調整規則、
工場排水等の規制に関する
法律、
漁業法、
食品衛生法を発動して加害者を処罰するとともに
被害の拡大を防止することができたと考えられる。」これは東京高裁の判決です。確定しておるのです。そういうこともございますから、ぜひ
漁獲の
禁止を解除することはやめさせるということで指導をお願いしたいと
思います。
次に、きょうの本論の
水俣臨時措置法について、一言二言お聞きしておきたいと
思います。
この
臨時措置法は、経過は皆さん御存じのとおりでございまして、五十三年にできました。このできます背景には非常に
政治的なものがありまして、私も審議のときにこの場所で相当追及したの
です。あのころ、不作為違法の
認定業務に対する判決が出まして、
熊本県知事は
認定業務をもう国でやってくれ、
熊本県議会は
認定業務を返上すると決議をした。そのころ
チッソも、金融支援とか何かを受けなければ倒産するというような
状況がありまして、
チッソに対する県債の発行もございました。それで金融支援もございました。そういう中で、結局、県債も出さなければならない、金融支援もしなければならないというときに、官房筋とか大蔵省が、とにかく幾ら
患者が出るかわからぬ、そういうときにこういう支援をするのはおかしい、だから、日程とか審査を厳しくするわけです。そういうような意見がそのとき相当出まして、それから、裁判は不作為違法で国は何もしていないという裁判の判決も出ておりますし、そういうもろもろの背景の中に、私に言わせれば切り捨てるために、
促進するために、あるいは県債を出すために、あるいは裁判所で何もやっていないという裁判が争われておる、それに対する
対策のためにとか、いろいろな
政治的な背景を持ってこういうのを出したのではないかということもここで大分議論いたしましたが、きょうはそれはおきます。
とにかく、これについてきょう資料をもらいました。どれだけ
認定が、審査があったかといいますと、最近の五年間を出せと言ったものだから五年間ありますが、この
臨時措置法で、五十九年度は二十五人おりました。六十年度は
処分者が一人もいないのです。六十一年度が二人、六十二年度が六人、六十三年度が七人、これだけしかこの審査会は
処分はしていないのです。それが、
熊本県を見ますと、五十九年度が五百二十九人、六十年度が四百四十人、六十一年度が千五十三人、六十二年度が千三百四十五人、六十三年度が九百七十五人。この
臨時措置法による審査会は、六十年度はゼロです。そういう中で六十年度を見てみますと、
処分がゼロだった審査会で使った金は二千四百八十五万六千円。それから、六十一年度から
熊本県が一人
処分するのに要した費用は、六十一年度三十五万円、六十二年度二十六万円、六十三年度三十八万円。ところが、この
臨時措置法では、六十一年度は二人しか
処分しておりませんから、一人
処分するのに四百十七万円かかるのです。六十二年度は一人
処分するのに九十八万円かかる。六十三年度は一人
処分するのに九十六万円。
熊本県の三倍くらいかかっている。そして数がわずか。こういう点からいいますと、この審査会というのはやはり国費のむだ遣いだと言われるゆえんのものが数字としても出てきておるのですよ。そういう点で、今の
状況の中でこれをまた延長して国費のむだ遣いを続けるというのは問題である、私はこういうぐあいに
思いまして、これについては
熊本県でも進んでいるわけですから、もう延長する必要はない、こういうようなことを申しておきたいと
思います。非常に時間が切迫いたしましたので、これはもう
答弁は要りません。
次に、今の
水俣病の
患者さんたちの動きあるいは住民の考え、国民の考えというのを見てみますと、象徴的にみんなが言っているのですけれども、もう
患者さんが七十歳とか八十歳とかになっているわけですね。だから、
処分を受けずに、また、何の
救済も受けずに亡くなっていく人が物すごく多いわけです。だから、生きておるうちに
救済をというのが、
患者さんだけでなしにすべての
人たちの声となって今起こっておるのは実は
大臣も御承知と
思いますが、これは承知しておられま