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1990-05-29 第118回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十九日(火曜日)     午前九時二分開議  出席委員    委員長 戸塚 進也君    理事 小杉  隆君 理事 佐藤謙一郎君    理事 鈴木 恒夫君 理事 戸井田三郎君    理事 持永 和見君 理事 斉藤 一雄君    理事 竹内  猛君 理事 斉藤  節君       青木 正久君    井出 正一君       田辺 広雄君    中山 利生君       野呂田芳成君    簗瀬  進君       山本  拓君    岩垂寿喜男君      宇都宮真由美君    岡崎トミ子君       時崎 雄司君    長谷百合子君       遠藤 和良君    寺前  巖君       伊藤 英成君    中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 北川 石松君  出席政府委員         環境政務次官  木宮 和彦君         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁長官官房         会計課長    梅沢  泉君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁水質保全         局長      安橋 隆雄君  委員外出席者         環境庁長官官房         参事官     小林 康彦君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 壽紀君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課浄化槽         対策室長    櫻井 正人君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課長     岩本 荘太君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     仲津 真治君         建設省河川局水         政課長     徳山  直君         建設省河川局治         水課長     矢野洋一郎君         自治省行政局行         政課長     松本 英昭君         参  考  人         (茨城環境局         長)      成瀬 光朗君         環境委員会調査         室長      高橋 昭伍君     ───────────── 委員の異動 五月二十九日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   中井  洽君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 英成君     塚本 三郎君     ───────────── 五月二十九日  スパイクタイヤ使用禁止措置制定について身体障害者運転車両の除外に関する請願(林義郎紹介)(第一四二一号)  同(上野建一紹介)(第一四五八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)      ────◇─────
  2. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより会議を開きます。  内閣提出水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として茨城環境局長成瀬光朗君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 戸塚進也

    戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷百合子君。
  5. 長谷百合子

    長谷委員 水質汚濁防止法の一部改正について幾つか御質問いたします。  まず第一に、昭和六十三年公共用水域水質測定によりますと、例えば東京湾の場合をとりますと、その汚れの比率でございますが、生活系が七、産業系が二、その他一となっておりますが、その算出根拠を伺いたいと思います。
  6. 安橋隆雄

    安橋政府委員 東京湾伊勢湾瀬戸内海といいますような総量規制地域におきます生活系産業系あるいはその他系の汚濁負荷量算出根拠でございますけれども、まず産業系生活系等発生源別に分けまして、産業系につきましては、私どもそれぞれの特定工場等におきます実測値を把握してございますので、それから積み上げて積算しております。生活系につきましては、それぞれ個々原単位人口を掛けましたもので積み上げてございます。こういうふうに、生活系産業系分けまして、それぞれ積み上げたもので全体の負荷量算出いたしまして、その中に占めますそれぞれの産業系なり生活系なりのシェアを見ているわけでございます。
  7. 長谷百合子

    長谷委員 生活系の場合ですけれども、どういった形で計算されているのでしょうか。
  8. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活系でございますが、既存の調査結果から得られております汚濁負荷量原単位がございますが、それに人口などのフレーム値を掛け合わせて計算しているわけでございます。なお、こういった手法と申しますのは、このような積算については一般的に行われているというような手法でございます。
  9. 長谷百合子

    長谷委員 ちょっと質問が悪かったようですが、一件単位にということですけれども、そういうときに、よく行われているということで申しわけない、ちょっと私よく知りませんので、ここをどういう数——例えば、人口を掛けるというのはわかったのですけれども、一件当たりというその算出は何が基準になっているのか。
  10. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活系につきましては、指定地域内の事業場とその他について分けまして、指定地域内事業場につきましては、下水道処理場生活分それからし尿処理場というふうに区分して出しております。その他につきましてはいわゆる雑排水でございますが、そのそれぞれにつきましてただいま申しました原単位を出しまして、それに人口等フレーム値を掛け合わせて積み上げて計算しているということでございます。
  11. 長谷百合子

    長谷委員 それはわかったのですけれども件単位というふうにおっしゃっているのですが、一件当たり幾らかというようなことを聞きたかったのです。どういう試算で何が幾らというふうに出していらっしゃるのか。
  12. 安橋隆雄

    安橋政府委員 原単位と申しますと、BODで換算いたしますと生活系の場合一人一日当たり四十三グラムでございますが、このBODCODに置きかえまして、CODの値にいたしましたものにつきまして人口を掛け合わせて生活系のものを出しているわけでございます。
  13. 長谷百合子

    長谷委員 本当にしつこいようで申しわけないのですけれども、だから私も四十三グラムというのも知っているのですけれども、これがどういう計算なのかなということでちょっとお伺いしたいのです。
  14. 安橋隆雄

    安橋政府委員 一人一日当たり発生いたします生活系BOD負荷量四十三グラムと申しますのは、内訳といたしましては、し尿が十三グラム、台所から出るものが十七グラム、その他が十三グラムということでございまして、これらの合計が一人一日当たり四十三グラムというふうになるわけでございます。これはあくまでもBODの値でございますが、これをCODに換算し直しまして、これに人口を掛けて生活系負荷量を積算しているというわけでございます。
  15. 長谷百合子

    長谷委員 そうしますと、生活系産業系それぞれの汚れ原因というのは何なのか、ちょっと教えてください。
  16. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活系につきましては今申し上げたようなもので計算しているわけでございますし、産業系につきましては、指定地域内の事業場につきまして、一日の排水量が五十立米以上の工場事業場とその他の小規模未規制事業場との二つに分けまして積算しているわけでございます。
  17. 長谷百合子

    長谷委員 済みません、原因なんですけれども。規模に分けていらっしゃるのですけれども内容です、その汚れ原因という。
  18. 安橋隆雄

    安橋政府委員 産業系汚濁負荷量の中身でございますが、これは特定事業場の中にございます特定施設、つまり有機汚濁発生のもとになります施設でございます。これは事業場種類によりましていろいろなものがございますが、そういった特定施設から排出されます有機汚濁の量ということでございます。
  19. 長谷百合子

    長谷委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども一つだけ確認しておきますが、これは生活系産業系と分けられていますが、例えば生活系の中には、本来もちろん産業であるのですけれども、小規模な飲食店あるいは小規模なラボラトリー、印刷というかプリントですね、現像、こういったものはもちろん入っていないのですね。
  20. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今おっしゃいましたような印刷の小規模な事業場につきましては、生活系ではなくて産業系の方に入っているわけでございます。
  21. 長谷百合子

    長谷委員 飲食店はどうですか。
  22. 安橋隆雄

    安橋政府委員 飲食店につきましても、事業活動として行われているということで、その発生負荷量産業系の方に積み上げて計算しているわけでございます。
  23. 長谷百合子

    長谷委員 別の資料によりますと、産業系それから生活系汚れの推移というものがありまして、昭和五十四年を一〇〇として昭和五十九年度がどうなっているかというものですけれども、これは伊勢湾だったと思います、伊勢湾を例にとりますと、さっき言いましたように一〇〇から、産業系が八五になっている。それから生活系が九五に減っている。この程度の差ですと、最初の趣旨説明で、この法案生活系が非常に悪いので、なかなか改善されないのでというような御説明だったのですけれども、とりわけ生活系に問題があるようなふうには見えないのですね。こういったやり方が、生活系に網をかぶせることによりまして企業系排水対策というものから目をそらすというか、そういうものに対して甘くなる、こういった危険性はないかということを非常に危惧するものですけれども産業系排水対策として最近水濁法においてとられた措置にはどんなものがあるのか、そして全国改善命令あるいは一時使用停止、罰金なんかを受けた件数はどのくらいあるのか教えていただきたいと思います。
  24. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私ども今回提案いたしました法律の前提といたしまして、総量といたしまして汚濁負荷量の中に占めます生活系の割合が見過ごすことのできないウエートを占めているということに基づきまして、今まで産業系中心でありました水質汚濁防止法の厳格な排水規制といったものに加えまして、新しく生活系につきましても、今まで制度的には欠けていた部分でございますが、制度充実を図りたいということで提案したような次第でございます。  今まで産業系につきましてどのような対策を講じてきたかということでございますが、昭和四十六年に水質汚濁防止法が制定されまして以来、産業系排水規制につきましては排水基準を定めまして、排水基準違反排水を行ったような者につきましては直罰をもって処断するというようなことで今まで取り進めてきているわけでございます。最近におきましても、飲食店等を新たに特定事業場に指定いたしましたり、あるいは昨年は地下水浸透禁止というようなことを水濁法の改正を経ましてやっているような次第でございます。  そこで、最近におきます産業系取り締まり状況ということでございますけれども昭和六十三年度でございますが、いわゆる違反事実があるということで改善命令を発しました件数は百五十四件でございます。さらに詳しく言いますと、改善命令が百四十件、排出水の一時停止命令が十四件、合わせまして命令を発しましたのが百五十四件、それから罰則の適用件数は六十九件というような実績になっておりまして、企業系につきましては厳格な運用をやってきたということでございます。
  25. 長谷百合子

    長谷委員 産業系排水規制といたしまして、今まで健康項目、九種類でしたけれども、これを今後もっと拡大していくとか、あるいは今まで規制されなかったような小さな事業所に対しての規制ということに対してどう取り組まれるのでしょうか。
  26. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今まで日排水量五十トン未満の事業場につきましては、排水規制規制としてかけていることはございませんでしたけれども、私どもといたしましては、このたびの法律改正で、生活排水の今まで欠けておりました制度的な面の充実が図られますれば、産業系の方につきましてもさらに一段の規制の徹底というようなことをやっていきたいと思っているわけでございます。  そういうことで、今回の法律改正産業系ないがしろにして生活系ばかりやるのではないかというような御疑問もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、今まで欠けていた部分生活排水系仕組みをこの際充実したいということでございまして、産業系の方をないがしろにするということは従来からも行っておりませんでしたし、今後もそのような従来からの姿勢で貫いていきたいというふうに考えているところでございます。
  27. 長谷百合子

    長谷委員 健康項目はどうですか。
  28. 安橋隆雄

    安橋政府委員 健康項目につきましては、人の健康に有害な物質ということで、今まで御案内のとおり九項目につきまして基準を設けているわけでございますが、新しく次々に発明され、使用されてきます有害物質というものがどうしても出てまいりますので、私どもはそういったものの調査、あるいは環境に対します汚染の状況というようなものを十分調査いたしまして、その調査結果に基づきまして、必要に応じまして健康項目に追加していくというような措置を今後ともとっていきたい、九項目は永久不変ではないというふうに考えているところでございます。
  29. 長谷百合子

    長谷委員 生活排水というのは、とりわけ最近急にあるわけではなくて昔からあるものですけれども、こういったものに対しては、こういう対策をとられたのは初めてでしょうか。それとも何か別の形で規制があったのでしょうか。
  30. 安橋隆雄

    安橋政府委員 総量規制制度というようなものが法律上昭和五十三年から取り入れられているわけでございますが、この総量規制制度におきましても、人口産業が集中する地域、つまり東京湾伊勢湾瀬戸内海関係地域につきまして、産業系汚濁負荷量総量カットということとあわせまして、生活系につきましても策の進みぐあいに応じました汚濁負荷量カットということをずっとやってきているわけでございます。さらに、湖沼水質保全特別措置法あるいは瀬戸内法等におきましても必要に応じまして生活系の方の対策もやってきたわけでございますが、しかし一応制度仕組みといたしまして、今回の改正では市町村生活排水対策中心に据えて市町村活動によりまして生活排水対策充実していこうということで、これは今回のこの法律改正が初めてでございます。
  31. 長谷百合子

    長谷委員 今回の法制化内容ですと、具体的な規制というものが全く盛り込まれておりませんけれども、こういったもので公共用水域水質が本当によくなるのか、効果があるのか、こういったところはどうでしょうか。
  32. 安橋隆雄

    安橋政府委員 産業系に対します厳格な法規制と同じような厳格な法規制家庭からの排水に対しまして課すことが適当であるかどうかというような点にも配慮いたしまして、やはり家庭排水対策家庭排水対策なりの対策で対応するのが適当ではないかというふうに考えまして、直罰規定家庭排水対策に設けるというようなことはいたしませんでした。  しかしながら、ただいま申しましたように市町村がその中心になっていただきまして、一つハード面からの生活排水処理施設整備ということと、もう一つソフト面からの普及啓発というようないわば車の両輪ハードソフト両輪政策市町村長にとっていただく、対策をとっていただくということで、少しでも生活排水によります汚濁負荷量の軽減に資するようにというような対策を準備して、法律改正案として提案申し上げているところでございます。
  33. 長谷百合子

    長谷委員 それで、この法律の中で市町村や都道府県に対してこういった生活排水対策というのを任せっきりにしている点はないか。今、市町村の方では行政改革が進みまして、人員も削られていったり、予算が、環境関係というのは、環境庁でもそうですけれども大変窮屈になっている。こういった中でどれだけの効果が期待できるのか。国が思い切った人員とか予算といったものを盛ることがまず第一じゃないかと思うのですが、この辺のところもどうでしょうか。
  34. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活排水対策は非常に地元密着型の政策であるというふうに私ども考えているわけでございます。例えば目の前の河川、湖が汚れております場合に、これに対してどういう対策を講ずるのがいいのか。例えば施設整備にいたしましても、下水道整備するのがいいのか、あるいは地域によりましては合併処理浄化槽の方がいいのかというようなことは、その地域の水の汚れぐあいでございますとか、あるいは人口増加ぐあいでございますとか、あるいは施設整備状況の進みぐあい、そういったものを総合的に勘案して決定するということでございますので、市町村長が一番適当ではないか。今申しましたような下水道事業でございますとか合併処理浄化槽に対します助成措置決定権者市町村長でございますので、そういった第一線の地方自治体の判断が一番適切なのではないかというふうに考えて、市町村長にこの生活排水対策中心的役割を担っていただきたいということで法律を準備しているわけでございます。  もちろん、国といたしましても市町村長に任せっ放しというようなことではなくて、まずそういった制度仕組みを国会の方の法律改正の御承認をいただきますれば準備いたしまして、あるいはその法律の中に財政上、技術上の援助につきまして国の責務規定としてはっきり法律上明定するというような手続もとっているわけでございます。具体的には、予算の方の措置でございますが、建設省なりあるいは厚生省なり、あるいは物によりましては農水省なりのハード面予算充実重点実施地域におきます優先的な配分というようなことも期待しているところでございます。それから啓発普及の方につきましても、いかに汚さずに流すかというような知恵、工夫、あるいはそのためのマニュアルといったものもつくりまして、PRに努めていきたいと考えているところでございます。
  35. 長谷百合子

    長谷委員 それで、この法律改正によって全国河川でのBODをどのくらい減らす効果があると期待していらっしゃるのでしょうか。具体的に何%ぐらいというふうに答えていただきたいと思うのです。
  36. 安橋隆雄

    安橋政府委員 地域によりまして非常に条件がまちまちでございますので一概に全国的なベースとしての数字を申し上げるのは困難でございますが、ある程度効果あるいは相当程度効果があるのではないかと思っております。  個々の場合で見ますと、排水処理施設が導入されました場合には、導入される前と比べまして汚濁負荷量は一割に減るというようなことがございますし、啓発普及事業によりまして台所対策が徹底されますと、それをやらない場合に比べまして二、三割の汚濁負荷量カットになるというような個々のケースはございますが、国全体としてどうかということになりますと、地域条件の差がございますので一概には申せません。相当程度効果があるのではないかと思っているわけでございます。
  37. 長谷百合子

    長谷委員 つい先日も長良川河口きの建設反対の大がかりなデモがありましたけれども、現在多くの河川ダム等がつくられまして流量減少が起こっております。そうすれば、本来、川の持つ浄化力というものがこういった乱開発によって非常に損なわれているという状況に対してはどのようにお考えになっているか。  それともう一つは、例えば水の汚れの指標としてはバクテリアの繁殖なんかもあると思うのですけれども、同時にバクテリアというのは水をきれいにする働きもあるわけですね。ところが、今問題になっている合成洗剤の毒性ですとこういったバクテリアなんかを抑圧するというか活動を抑えてしまいまして、そのために見かけのBODが低くなったというような現象もあるし、それから合成洗剤分解性が悪いというようなことから環境に残留している、そういったことも指摘されているのですけれども、川の問題、合成洗剤の問題、それぞれについて見解を聞かせていただきたいと思います。
  38. 安橋隆雄

    安橋政府委員 河川自然流量減少に伴いまして河川汚れがより大きくなるというようなことは御指摘のとおり見られる現象ではございますけれども他方で、下水道処理というようなものを管で行いますと、そのことによりましても河川自然流量が減るということがございまして、河川流量が減ることが直ちに全体としての河川汚れを増すことになるか、あるいはその河川の総決算であります流れ行く先の海の汚れが増すことになるかということは一概に言えないのではないかと思っているわけでございます。  それから合成洗剤の問題でございますけれども、私どもといたしましては、合成洗剤と申しますのは、石けんに比べまして分解性に難があるというような欠点があることはございます。もう一つは、その濃度いかんによりましては御指摘の微生物に影響を与えるというようなこともあるわけでございますが、他方石けんにつきましては、使用量合成洗剤よりも数倍多く使用することによって合成洗剤と同じような効果が出るということもございまして、汚濁負荷量の方のベースで見ますと、必ずしも合成洗剤石けんよりも汚濁負荷量が多いというような結果も出ておりませんので、それぞれ一長一短があるというふうに考えているわけでございます。
  39. 長谷百合子

    長谷委員 合成洗剤はいろいろ問題があるということが指摘されておりますので、今後やはり合成洗剤危険性について——ちょっと厚生省の方にもお伺いしたいのですが、合成洗剤について、今環境庁の方からお答えがあったのですけれども、健康のことに関して、非常に手荒れがするとか、体の中にたまってさまざまな障害を起こすというようなことが言われておりますけれども厚生省はどのように見られているのか、ちょっと教えていただきたい。
  40. 藤原正弘

    藤原説明員 私、水道を担当しておる立場から御答弁させていただきます。  合成洗剤につきましては、水道でも陰イオン活性剤というので基準を設けておりまして、チェックをしておるところでございます。健康の観点からは、現在のところ、水道観点からいたしますと問題がない、こういうふうに考えております。
  41. 長谷百合子

    長谷委員 次にいきますけれども家庭用合併浄化槽なんかですが、その排出基準を厳しくしていただきたいということと、それから既に厚生省の方では特別交付税というものを出されて補助をされているということですけれども、この法案に伴いまして、こういう浄化槽なんかの設置義務について何ら明示されておりませんが、これからどういったふうにされるつもりか。例えば法制化されるつもりなのか、あるいは補助金を引き上げていくのかどうか、こういったことについてちょっと教えていただきたいと思います。
  42. 安橋隆雄

    安橋政府委員 まず合併浄化槽排水の方の問題でございますが、御案内のとおり、浄化槽につきましては浄化槽法という法律がございまして、これに基づきまして定期検査の義務づけでございますとか、良好な水質にして流さなければならない、いわゆる維持管理面法制が整っているところでございますので、家庭で使われますような合併浄化槽につきましてはそちらの方の施行運用で対応していただくというのがいいのではないかというふうに考えております。ただ、それが大きなものになりますと、その排水基準につきましては環境庁の方で考えていくべき問題だと思っているわけでございます。  それからもう一点の方の合併浄化槽に対します助成、補助の問題でございますが、厚生省の方で合併浄化槽に対します助成につぎまして、平成二年度は国費ベースで三十二億円というものを今参議院の方で御審議いただいております平成二年度の予算案の方で計上されているというふうに伺っているわけでございます。私どもといたしましては、この法律に基づきます生活排水対策実施重点地域につきましては、下水道あるいはコミュニティープラント、農業集落排水施設、それからこの合併浄化槽、どれがいいかというようなものを市町村長の判断によりまして御決定いただきまして、そういった中でこの地区は合併浄化槽の推進をするべき地区だなというふうに計画でお決めいただきますれば、それにつきましてはこの地区に対します重点配分について関係省庁の方にお願いしているというような次第でございます。
  43. 長谷百合子

    長谷委員 これとあわせまして、都市下水道が普及するに伴いましてアンモニア性窒素の増加ということが指摘されまして、このために処理場におきまして多量の塩素を使用しているということがあるわけですけれども、多量に塩素を使っていきますうちに、発がん物質でありますトリハロメタンといったものの発生の一因になっているのじゃないか、こういうことがあるわけです。アンモニア性窒素というものを下水道排出基準項目に追加するということはどうなんでしょうか。
  44. 安橋隆雄

    安橋政府委員 アンモニア性窒素の問題でございますけれども、このアンモニア性窒素というのはし尿とかふん尿等の混入によって検出されることが多いわけでございますが、それらの混入に伴います病原性細菌による汚染の指標となるというふうに考えております。それからまた他方で、たんぱく質などの有機化学物質が分解される際にも生ずるということで有機汚濁の指標にもなっておるわけでございます。ただこれは、私ども環境基準で扱います問題といたしましては、第一点で申し上げました病原性の細菌による指標といたしましては別途、直接細菌数を測定する大腸菌群数を採用しているということで対応できているというふうに考えておりますし、二点目の有機汚濁の点につきましては、有機汚濁をより総合的に把握いたしますCODあるいはBODなりの制度を採用しておりますので、環境項目として特にアンモニア性窒素を加えるというようなことをいたさなくても、一つは細菌数の測定、一つは総合的なCODないしBODの測定ということでその問題には対応できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  45. 長谷百合子

    長谷委員 この間、五月二十三日に環境庁水質保全局の方から「ゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針について」というのを出されたと思います。この中に二十一種類の農薬の指針値が決められておりますけれども厚生省が出されたものとの関係はどういう関係にありますかしら。
  46. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先週、水質保全局の方から、都道府県が水質の面からゴルフ場を指導します場合の目安となるような環境基準を出したところでございます。これと既に厚生省から出されております水道水源におきます目安との関係でございますが、私どもといたしましては、厚生省の方で出されております水道水源の基準が守られるようなゴルフ場排水口におきます排水の目安ということでつくらせていただいておるわけでございます。対象になります農薬数につきましても、どちらも二十一農薬ということで整合性を保たせていただいているということでございます。  要は、ただいま申しましたように、厚生省で出されました水道水源の目安が守られるような形で、その根っこのところでございますゴルフ場の排水口についての目安を出したというふうに御理解いただければいいのじゃないかと思っておるところでございます。
  47. 長谷百合子

    長谷委員 この指針値が厚生省のものと比べて十倍程度ということがあるのですけれども、この十倍というのはどういう数字でしたかしら。
  48. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境につきましての数値と、その原因となります排水口におきます数値との関係につきましては、従来の環境庁におきます環境基準排水基準の関係ということにおきまして環境基準の大体十倍値を排水基準にするというようなことで、この二十年間ばかり運用してきたわけでございます。従来そういうことでやってきておりますので、その先例とでも申しますか、前例をもとにして十倍値ということを決めたわけでございまして、従来からの経験に照らしまして、排水口と環境基準との関係はそのようなことでいいのではないかというふうに考えているところでございます。
  49. 長谷百合子

    長谷委員 余り根拠がなさそうなんですけれども、ここに農薬が二十一種類挙がっているのです。ちょっと教えていただきたいのですが、この中に有機燐系のものはどれかありますかしら。そして、有機塩素系のものというのもありましたら教えてください。
  50. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ちょっと調べさせまして、後で答えさせていただきたいと思います。
  51. 長谷百合子

    長谷委員 この中に、もともとゴルフ場の農薬問題のきっかけになった物質のEPNなんというのが入っていないのですね。このゴルフ場問題というのは、御存じだと思うのですけれども、八八年の春ごろに奈良県の山添村なんかで見つかった大変強い毒性があるEPNなので、この問題はそもそものゴルフ場農薬問題のきっかけとなったものなのです。こういったEPNなんかもこの中には全然入っておりませんけれども、この二十一種類というのを選ばれた。どうしてこのような二十一種類になってしまったのか、つまり、EPNのような大事な物質も抜けているのですけれども、この辺どうお考えですか。まだまだ変えていかれる、そういうことなのでしょうか。
  52. 安橋隆雄

    安橋政府委員 二十一種類の選びました根拠でございますが、全国的に見まして、ゴルフ場で典型的に使われているものということで選んだ次第でございます。農薬自体につきましては数百種類登録されているわけでございますから、それらすべてについて基準を決めるというようなことも考えられないことはないわけでございますが、現実的な問題として、この二十一種類でほとんどのゴルフ場におきます使用農薬はカバーできるのではないかというふうに考えたわけでございます。  それから、ただいまお話がございました二十一種類の農薬のうち、有機燐系の農薬というのは九種類ございます。それの種類を申し上げますと、イソキサチオン、イソフェンホス、クロルピリホス、ダイアジノン、トリクロルホン、フェニトロチオン、トルクロホスメチル、ブタミホス、ベンスリド、この九種類が二十一農薬中の有機燐系の農薬でございます。
  53. 長谷百合子

    長谷委員 塩素系はまた別に教えていただくとして、有機燐系のものがこれだけ入っていて、たしか環境基準の方では有機燐系のものというのは、人の健康の保護に関する環境基準という方にも有機燐というのが入っていたと思うのです。そちらでは、検出されてはいけないというものだったのではないかと思うのですけれども、たしかそうでしたよね。有機燐系のものは検出されてはいけないものだったと思いますけれども、違いますかしら。検出されてはいけないものがこういうふうに基準が出てくるというのは、その関係はちょっとどういうふうになっていますかしら。
  54. 安橋隆雄

    安橋政府委員 人の健康に関します環境基準につきまして、有機燐については「検出されないこと。」となっているのは御指摘のとおりでございます。この検出されないことという意味におきます検出限界というのは、〇・一ppm以下というふうに私どもは理解しているわけでございます。ただ、これは環境基準の方でございまして、この有機燐につきましての排出基準の方は一ppmという値が示されているわけでございます。私どもが今回二十一のゴルフ場農薬につきまして示しました指針値と申しますのは排出基準の方でございますので、環境基準の方の有機燐の関係とは別の関係になるのではないかというふうに考えているところでございます。
  55. 長谷百合子

    長谷委員 どうして関係がないのですか。何ですか、排出基準ではあってもいいのだけれどもということでしたっけか。人の健康の保護に関する環境基準は、どこから出たらいけないということですか。
  56. 安橋隆雄

    安橋政府委員 有機燐に関します排出基準は一ppmという数字が定められているわけでございます。有機燐に関します環境基準というのは「検出されないこと。」ということで、それは〇・一ppmというふうに理解しているわけでございます。  ゴルフ場の農薬の関係について申しますと、ゴルフ場の農薬の指針値というのは排出基準的なものとして決めておりますので、環境基準として決めているわけではございませんので、おっしゃいますような矛盾はないのではないかと考えているわけでございます。
  57. 長谷百合子

    長谷委員 ちょっとよくわからないのですが……。  さっき私、聞き漏らしましたけれども、EPNなんというのもこちらの人の健康の保護に関する環境基準の方には書いてあるのですけれども、EPNが二十一種類に加えられなかったのはどういうわけだったのでしょうか。
  58. 安橋隆雄

    安橋政府委員 EPNにつきましては、既に環境基準とあわせまして排出基準も決めているところでございます。
  59. 長谷百合子

    長谷委員 大臣がいらしたようなのでひとつ。  今度の法案で、生活排水という大変だれでも、特に毎日出さざるを得ないようなものですね、こういったものに対して規制、法の網をかぶせられるわけですから、事業活動に伴います企業の排水規制に対して、より一層強い規制で臨む、そういったような長官の産業系排水対策に対する決意をぜひいただきたいと思います。
  60. 北川石松

    ○北川国務大臣 閣議がありまして、遅くなって恐縮でございます。  長谷委員の御質問でございますが、産業排水に対してもやはり強化しなければいけないことはごもっともでございまして、これにつきましてはいろいろな形で過去規制をいたしておりますが、なお家庭雑排水法案をお願いするとともに、今後とも産業系排水対策につきましては必要な規制強化を図ってまいりたいと思っております。
  61. 長谷百合子

    長谷委員 最後になりますけれども環境庁は今後、水の基準、水をきれいにしていくといった方向において、あくまで日本の経済が高度成長化する以前の美しい河川、湖、海域といったものを取り戻すという、そういったスタイルで取り組んでいただきたいと思います。そのためには、現在の環境予算五百億足らずということで大変少ないと思いますし、職員の皆さんも、私たちから見たらまだまだ大変そうに見えます。少ないのじゃないかと思うのですが、そういった中で頑張っておられることはよく理解いたしておりますけれども、国民の、そして世界の環境を守る役所として今後一層頑張っていただくことをぜひとも期待いたしておりますので、長官、このことにつきましても御決意のほどをお願いいたします。
  62. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいま、長谷委員環境庁予算が少ないというところの御指摘の中に、世界の環境その他に対処するためにはもっと予算をふやしたらいいじゃないか、大変な御理解と御鞭撻をちょうだいしてうれしく思っておる次第でございます。  本年度の予算は御承知のように四百九十六億八千四百万円、これは前年度比二・六%増でございまして、他の各省の予算をどうのこうの言うべきではありませんけれども環境庁独自としては、今後ともあらゆる面に対処するために、関係各省庁とも連絡を十分保ちながら、このことについての予算増額ということには鋭意努力をしてまいりたい、このように思っております。
  63. 長谷百合子

    長谷委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  64. 戸塚進也

  65. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 日本社会党の宇都宮真由美でございます。よろしくお願いいたします。  まず、環境基準についてお伺いしたいと思います。  公害対策基本法九条一項によりますと、政府は、水質汚濁等の環境条件について、まず一つは人の健康の保護に関する環境基準、二つ目は生活環境の保全に関する基準、これを定めるとされております。そして、これに基づき、環境庁は「水質汚濁に係る環境基準について」と題する告示を出し、環境基準について定めております。そして、この一番新しい改正昭和六十一年になされておりますが、この中に、水域類型の指定について次のように明記がされております。「目標達成のための施策との関連に留意しつつ、その達成期間につき配慮すること。」とし、「達成期間を公示するものとする。」としております。そしてまた、「環境基準の達成期間等」の項目の中には、同様に「施策の推進とあいまちつつ、可及的速かにその達成維持を図るものとする。」としております。その中で、現に水質の汚濁が著しく、または著しくなりつつある水域については、原則として五年以内に、また例外的に五年を超えるものについてもおおむね十年以内に、その他の水域については設定後直ちに達成し維持されるべきものとされております。  このような観点から考えますと、今回の水質汚濁防止法改正につきまして、決定的な問題としては、目標値すら示されていない、このことは法の目的からしてもちょっと問題があるのではないかと思います。この際、環境保全のために生活排水の方にも目を向けられたということで、新たな基準、新たな目標を設定するお考えがあるのかどうか、このあたりについてちょっとお伺いしたいと思います。
  66. 安橋隆雄

    安橋政府委員 御案内のように、環境基準につきましては公対法に基づきまして策定しているわけでございますが、これの具体的な地域の当てはめにつきまして、現在、海域、湖沼、河川別に具体的な当てはめを行って、例えばこの湖沼ではどういう環境基準であるかというようなことを示しているわけでございますが、現状は、その環境基準が達成されているようなところも中にはございますが、汚れの激しいところでは環境基準達成がなかなか難しいというようなところもあるわけでございます。  そのような意味で環境基準の達成状況というものを見ますと、近年の調査でも海域で八割、ところが閉鎖性の強い湖沼では四割台というようなことになっているわけでございます。特に閉鎖性の強い湖沼でございますとかあるいは都市内の中小河川というようなものの達成率が低うございまして、そのための対策としてどのようなものがあるかというようなことを考えました場合に、その汚濁負荷量に占めます生活系の割合が見過ごすことのできないようなシェアになっているというようなこともございまして、このたびの法律改正の提案をさせていただいたというような経緯でございます。
  67. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしましたら、環境基準というもの自体は、今回の改正によって見直しをしようとかそういう方向はないと今のところお聞きしてよろしいわけですか。
  68. 安橋隆雄

    安橋政府委員 むしろ既にございます環境基準自体で達成されていないようなところの達成を容易にするために、その原因の大部分を占めておりますような生活排水について対策を講じたいというような思考過程をたどっている次第でございます。もちろん今回こういう改正がなされまして、生活排水対策重点地域というようなところでまだ環境基準が一部達成されていないようなところの達成率が上がりますとともに、その周辺で環境基準自体がないようなところにつきまして新しく環境基準の当てはめというようなものが行われる可能性もありますが、いずれにいたしましても、施策とその目標となります環境基準とは両々相まって施策が進めば環境基準の達成率も高くなるし、あるいは従来環境基準がなかったようなところも新しく環境基準を設定して施策を講じていこうかというようなことにもなって、相互に関連しながらきれいな水になっていくような方向に進んでいくのじゃないかというふうに期待しているところでございます。
  69. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 では、次に排水基雑についてお伺いしたいと思います。  法三条には排水基準について決められております。それによりますと、まず第一項では排水基準は総理府令によって定められるものとされ、そして二項には、有害物質に関する排水基準について、有害物質種類ごとに定める許容限度とされております。この有害物質は現在のところ九項目とされていると思うのですけれども、これについて現在見直しの御予定などはございませんでしょうか。例えば農薬に多く使われております塩素系農薬についても規制の対象とする、そのような考えはございませんか。
  70. 安橋隆雄

    安橋政府委員 有害物質項目追加の件でございますけれども、これは例えて申しますと新しい発明競争との戦争である、環境上の配慮からの戦争であるというふうにも思われるぐらいでございまして、新しい化学物質が発明され、使用されるわけでございますが、そのうちのすべてではございませんけれども、あるものは人の健康に有害であるというようなものも出てくるわけでございます。そういう意味では次から次から新しい製品が開発され、そのうちのある部分は次から次から、たとえは悪いのですけれども有害物質になる可能性を持っているものでございますから、私どもはそういった新しく出てくる製品自体の性質と、あるいはそれの環境に対します広がりぐあいというようなものの調査をいたしまして、有害な物質であり、かつかなり環境を汚染する可能性があるというようなものにつきましては、調査検討をいたしまして、必要に応じまして基準の追加というようなことで対応してまいりたいと考えているところでございます。
  71. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、現在ある物質については今のところこの九項目で十分であるとお考えかと思うのですけれども、そのように伺ってよろしいのでしょうか。人の健康の保護に関する環境基準項目につきましても、科学的データによるのではなくて、既に環境中に振りまかれた後有害であることが問題になって、それから基準化している、そのような傾向が今までにもあったかと思うのですけれども、今存在する物質の中では今のもので十分事足りているとお考えと考えてよろしいのでしょうか。
  72. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ただいまも申しましたように、どんどん新しい物質が開発されるという世の中でございますので、いっときなりとも油断をして現状のままでいいというような考え方は許されないと思っております。私どもは、健康を害するような物質環境に広がるというようなことは問題でございますので、常にそういう物質が新たに生まれてこないだろうかと、既存の指定しましたものの汚染状況のチェックももちろん大切でございますが、新しい物質につきましてそういうものがないだろうかということにつきまして常に調査研究をしているというのが実態でございます。  なお、環境基準排水基準をつくっております項目の数でございますが、環境基準の方は九つでございまして、排出基準の方は十一ございます。この二つの差は、昨年排水基準をつくりましたトリクロとパークロが環境基準をまだ持っていないというようなことで説明がつくんじゃないかと思っております。
  73. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 公害対策基本法にも環境基準というものは「常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」ということがうたわれておりますけれども、そのようなことを実施するために、今環境庁の方ではどの程度予算が充てられて、そしてどのようなことがなされているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  74. 安橋隆雄

    安橋政府委員 新しい物質の発明でございますとか、あるいは従来有害性はないと考えられていたようなものが、新しい科学的知見というようなものが出ましてやはり有害であるというようなことも起こり得ることでございます。あるいはそういった物質がどのように環境の方に広がっているかというようなこともありますので、常にこのような事態の変化に対応いたしまして私ども調査研究を進めているわけでございますが、その結果を待ちまして、学識経験者等のお知恵もいただいて、必要に応じて環境基準の見直しなり排出基準の設定等をやってきているということでございまして、こういった調査研究に必要な経費といたしまして所要の額を私ども毎年度予算でお願いしているというようなところでございます。
  75. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 では次に、上乗せ基準のことについてちょっとお聞きしたいと思います。  法の第三条の3におきまして、都道府県は条例で、総理府令による排水基準よりもより厳しい許容限度を定める排水基準を定めることができるとされております。この点、今回の改正ではこの条項もそのまま残っており、変更のないままでございますけれども、果たして自治体がみずからの基準にみずからを縛るということをするかどうか。例えば、下水道整備などのおくれによって基準達成が困難であると認められる場合、この生活排水についてこのような上乗せ基準の設定はしないんではないかと思うのですけれども生活排水の方については上乗せ基準ということは何ら期待していらっしゃらないのでしょうか。ちょっとそのところお聞きしたいと思います。
  76. 安橋隆雄

    安橋政府委員 排水基準は現在、国の方の基準といたしまして法律に基づきましてつくっているわけでございますが、これをさらに地域の実情によりまして厳しくするというような意味で、地方自治体がその条例によりましていわゆる上乗せ基準をしているということでございます。ただ、生活排水につきましては、国の方の基準、例えば家庭からの排水は何ppmでなければならないというような意味での国の方の排水基準といったものが現在ございませんし、この法律改正をしていただきました後、そのようなことをやるというようなこともただいまのところは予定していないわけでございます。  ただ、自治体がその固有の条例制定権に基づきましてそのような家庭排水につきましても基準をつくるということは、これは法律上許されているわけでございます。やはり、汚れが激しいというようなところでどうしてもそういうことが必要であるというようなところにつきましてはそういうような動きも出てくるかもしれませんが、私どもがただいま承知しております限りでは、そのような動きは報告を受けてないというような状況でございます。
  77. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 では、生活排水につきましては現在のところ目標としている基準というのは決められてないということであり、自治体の方ですることは何ら差し支えないということだと思うのですけれども、それは、では自治体がそれをする場合には、財政的な面もすべてもう自治体の負担でしろとそういうことなんでしょうか。
  78. 安橋隆雄

    安橋政府委員 地方公共団体がその条例制定権に基づきまして固有の事務としてなさいます施策につきましては、国の方として特にそれに面倒を見るというようなことは一般的には行われてないわけでございます。私どもといたしましては、先ほども申しましたように、家庭排水規制方法といたしましては産業系排水規制方法とはやはり相手方も違うので対応も規制方法も違えるべきではないか、排水規制産業系で設けておりますのは、その排水基準をオーバーする、違反するような事例につきましては罰則がかかるというような構成になっているわけでございまして、家庭排水につきましてそのような排水基準をつくりまして、その違反につきまして罰則をかけるというようなのはやはり家庭排水対策としてはなじまないのではないか、そういう意味では産業系対策とは違った対策を講ずる必要があるのではないかということで、今回法案で御提案申し上げておりますとおり、市町村中心になりまして施設整備普及啓発という、この二本立ての対策を準備することによって推進することがより適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
  79. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 もちろん、生活排水についてその基準を決めて、それに違反すれば罰則なんということはとんでもない話だと思いますけれども生活排水の方につきましても、一応の努力目標といいますか、そういう意味で基準を掲げるということは必要じゃないか、法で生活排水について規制をする以上はそれも必要じゃないかと思うのですけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
  80. 安橋隆雄

    安橋政府委員 例えば、家庭合併浄化槽をつけていただきますような場合には、その個別合併浄化槽につきまして、定期検査を受けていただきましてその排水について一定の義務を負っていただくというのは既に現行の浄化槽法で規定がございますので、これはもちろん罰則はございませんが、そちらの方の体系で家庭からの排水基準を守っていただくというようなことでいいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  81. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 同じく上乗せ基準の方なんですけれども環境庁長官は、都道府県に対して総理府の基準よりも厳しい基準を決めるよう勧告したり、あるいはさらには都道府県がみずから決めた上乗せ基準をさらに厳しくするように勧告できるとされております。これも先ほどのお話で、今回の特に生活排水についてはこのようなことをお考えになっていないのかもしれませんけれども、いかなる場合にこのような勧告をするのか、また勧告をする場合にはどういう資料に基づいて勧告をするのか、今までに勧告の例はあるのか、少し教えていただきたいと思います。
  82. 安橋隆雄

    安橋政府委員 地方公共団体が上乗せを条例で行います場合の勧告でございますけれども、現実の実態を見ますと、上乗せの条例が各都道府県において地域の実情に応じて行われておりますので、環境庁として従来、あなたの県はそういう上乗せ条例をつくった方がいいですよというような意味での勧告は、現実につくっておりますのでする必要もなかったということで、勧告をしたような事例はございません。
  83. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしましたら、ここに一応勧告ができるという権能が環境庁には与えられているんですけれども、したがって常に勧告をすべきかどうかということは考えていらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども調査しているというか、それはどのようなことをなさっているわけなのでしょうか。
  84. 安橋隆雄

    安橋政府委員 地方公共団体におきます上乗せ条例の実情を調査しているわけでございますが、大体どの都道府県におきましても、程度の差はございます、内容規制対象の差もございますけれども、国のつくります一律基準に達しまして、何らかの意味でそれを厳しくするようないわゆる上乗せ基準条例というようなものを持っているという調査結果でございますので、現実には水濁法の四条で勧告権限が環境庁長官に与えられているわけでございますが、既にそのような実態でございますので、その勧告権を発動する事態は今までなかったというような実態でございます。
  85. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 生活排水については基準というか目標値は今のところ定めることは考えていらっしゃらないということなんですけれども、各自治体が条例でそういうことを定めているところは今までは多分ないだろうと思うのですけれども、これからそういうことは期待なさっていますか。
  86. 安橋隆雄

    安橋政府委員 個々家庭を対象にしたような生活排水の上乗せ条例というのはございませんが、し尿浄化槽で集合的なものにつきましては、一部の都道府県においてその排水について条例を定めているという例はございます。
  87. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 一部の自治体ということなんですけれども、どこかわかりましたら教えていただきたいんですけれども
  88. 安橋隆雄

    安橋政府委員 例えば埼玉県につきましては、し尿浄化槽について、既設の場合は日量三十立米以上、新設につきましては一日十立米以上につきまして基準を定めております。千葉県につきましても、一日当たり三十立米以上のし尿浄化槽について基準をつくっております。東京都につきましては、新設のみでございますが、やはり基準をつくっております。そのようなことで、し尿浄化槽の一日排水量がある程度の量に達しているようなものにつきまして条例で上乗せ基準をつくっているという例はございます。
  89. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 水質汚濁の防止という観点からしまして、こういう条例は、環境庁としましても今回特に生活排水の方に目を向けたということから考えましても歓迎できる条例ではないかと思うんですけれども、これから自治体に対するこういう条例をもっとどんどんつくっていくような方向でしたいと考えていらっしゃるのか、あるいはこういうことは条例に任せて、環境庁は今回の大まかな法改正だけでいいと考えていらっしゃるのか、そのあたりの方針といいますか、お聞きしたいと思うのですけれども
  90. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境庁では、従来全国一律の排水基準ということで、それ以外のものにつきましては条例にお任せするということで策を講じてきたわけでございますが、今回の法律改正一つその方向に修正を加えております。  それは指定地域特定施設の考え方でございます。東京湾伊勢湾瀬戸内海等、海の汚れが激しいところに関係いたしますいわゆる総量規制地域におきまして新たに指定地域特定施設という制度を設けまして、全国一律基準よりもさらに厳しい基準が適用できるような制度法律改正として御提案申し上げているわけでございます。したがって、この制度がお認めいただけますれば、従来の全国一律の基準制度とそれから特に汚れの激しい地域におきますその上乗せ的な制度ということで、国の制度も二本立てになるというようなことでございます。
  91. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 指定地域のお話が出たんですけれども、確かに六条の二ですか、指定地域について規定しておりますけれども指定地域外の施設などについての規制は全く考えていらっしゃらないのでしょうか。有害物質環境に及ぼす影響というものははかり知れないものがあり、指定地域外でも早期に規制することが環境あるいは私たちの健康を守ることにもつながるのではないかと思うんですけれども。そしてまた、指定地域において特定施設を有する者は都道府県知事に届け出なければならないとされておりますけれども、届け出を怠った者に対する罰則規定あるいは検査機能等について明記すべきではないかと考えるのですけれども、この点いかがでしょうか。
  92. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私申し上げましたのは、このたび指定地域全国一律の基準とは別に厳しい上乗せ基準を適用できるような制度を御提案申し上げているということで申し上げたわけでございまして、指定地域以外の地域につきましては、一般的に全国一律基準ということで、排水基準とあるいは特定施設に基づきます報告義務というようなものでいわゆる厳格な法規制をやっているわけでございます。それに特に必要な汚れの激しい地域については上乗せをできるということで申し上げたわけでございます。  それから、届け出義務が課せられておりますような場合にその届け出義務違反をしたような方に対しましては、一定の罰則をもって処断するというような対応をしているところでございます。
  93. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 わかりました。  では次に、法第十四条の三に書かれています補助金についてお聞きしたいと思います。  「生活排水処理施設」と法の十四条の三にはございますけれども、この生活排水処理施設というのは、下水道及びそれにかわるものを指すのでしょうか。としましたら、今現在、下水道の普及がなかなか進展しない、このような原因はどこにあるとお考えでしょうか。流域下水道など大規模な下水道については国の補助金負担割合は大きいけれども、小規模下水道についてはその負担割合は少ないということも聞いております。このような姿勢が問題ではないのでしょうか。効率化という面でも、公共下水道であっても小規模の下水道の方が好結果を出している、このような場合があるとも聞いております。この問題については、どのようにお考えでしょうか。
  94. 安橋隆雄

    安橋政府委員 下水道人口普及率が平成元年度末で四〇%であるということで、諸外国に比しましてその普及率が低いということは御指摘のとおりかと思います。その原因でございますが、まず一番大きな原因は、下水道整備に着手した歴史の違いというようなものがあろうかと思います。毎年、下水道の対象人口はおおよそ二百万人ぐらいずつふえているということで、二百万人という数字自体は大変な数字だと思いますが、何しろ日本の人口は御案内のとおり一億二千万人を超えているわけでございますから、それで割り返しますと、年間の人口普及率の伸び率というのが一・数%というようなことになってしまうわけでございます。もちろん予算も総額毎年二兆数千億というようなベースで投入されておりまして、事業の進捗も図られているわけでございますが、何分大規模な工事も伴うものでございますので、そう急には飛躍的な普及率の進展というものはなかなか難しいというような現状だと考えているわけでございます。
  95. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、下水道の普及につきましては、現状の範囲ででき得る限りのことをしているということなんでしょうかね。
  96. 安橋隆雄

    安橋政府委員 この下水道計画につきましても、この平成二年度で既存の公共投資の整備計画が終わりまして、平成三年度事業以降新しい公共事業投資計画をつくるということで、主管省庁を初め関係省庁の間で検討が始まっているところでございます。やはり公共事業の中でも生活関連公共事業というようなものを中心に事業を飛躍的に伸ばしていくということは必要ではないかということで、環境庁としても政府部内の意見調整の中で発言しているような次第でございます。  そういうようなことで、生活関連の公共投資のまずパイを大きくするということとともに、この法律との関連で申し上げますと、生活排水対策の重点地区というようなものを県知事に定めていただいているわけでございますから、そういったところから重点的に予算を優先的に配分していただくということで、必要なところをそれ以外のところより進んでやっていただくというような体制が、この法律を認めていただけますればより充実していくんじゃないかというふうに考えております。
  97. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 また、同じこの条項に「生活排水対策の啓発に携わる指導員の育成」とありますけれども、これは具体的にはどのようなことなんでしょうか。過去住民運動として培われてきた運動団体に対する補助あるいは国の施策と反することについても、このような補助をすることがあるのかどうか。例えば、今まで石けんの普及とか使用拡大に取り組む自治体がふえてきたことは御存じだと思いますけれども、これは危険だと言われております合成洗剤の使用をやめることにあります。この点についていかがお考えでしょうか。
  98. 安橋隆雄

    安橋政府委員 指導員の育成といいますのは、この法律上は市町村が行っていただきます普及啓発事業の一つの例示として書いているところでございます。この指導員と申しますのは、別に身分が法律上決められているわけじゃございません。現実には市町村の委嘱を受けて地域におきます水質保全のために活動を続けていらっしゃる方々といったようなものでございまして、そういった方方を通じまして、水質保全の大切さあるいは家庭でできる水質保全の具体的な事例の紹介でございますとか、あるいは他の先進地域でやっておりますような模範事例の紹介でございますとか、そういった活動市町村としても支援していくというような形を市町村が行います普及啓発事業の一つの例として考えているわけでございます。
  99. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 では、そういうふうに地域で努力なさっている方々の地位というのは、一応本当のボランティアというわけなんでございましょうか。その人に対する補助といいますか、それはどういう形で——例えば経済的な援助というふうなことは考えていらっしゃらないんでしょうか。
  100. 安橋隆雄

    安橋政府委員 そういった方々に対します情報の提供でございますとか、あるいは運動のマニュアルの理解の促進でございますとか、あるいは研修会への参加でございますとか、そういったことが中心でございます。今おっしゃいました経済的なという意味で何か報酬を与えるかどうかというような点につきましては、これは基本的には市町村長さんの考え方にかかっているわけでございますが、従来の例に徴しますと、こういった方々に対します報酬を出していらっしゃる市町村というのはそんなにないんじゃないかというふうに私どもとしては把握しております。
  101. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 今回の改正を通じて全般的に思われるのは、どうも国は市町村に、また市町村は国民にという、何か責任を下へ下へと押しつけているようなそういう気がしてならないのですけれども、もう少し国としても的確な指導をしていっていただきたいと思います。  次に、合併浄化槽に対して補助金を出しているということを聞いているのですけれども、その合併浄化槽に対する補助金が、下水道計画が確定した段階からは補助を出さないということも聞いております。下水道計画というのは何年もかかるわけで、その間、合併浄化槽にすれば少しでも水質保全に役立つんじゃないかと思うのですけれども、それを確定した段階からは出さないということ、これは環境にとっても決していいこととは思わないのですけれども、この点いかがでしょうか。
  102. 安橋隆雄

    安橋政府委員 合併浄化槽というのは、個人の合併浄化槽にいたしましても設置費を含めまして八十万円なり九十万円というようなある程度の個人負担を伴うものでございますので、すぐ下水道が来るようなところに設置しますと、せっかくの投資がむだになる、二重投資というようなこともあるわけでございます。ただ、下水道計画があるというだけで下水道自体の現実の供用開始が二十年も先になるというようなところでは、これまた話は別だと思いますので、既に供用開始されたような地域はもちろんのこと、すぐ近いうちに下水道が引かれて供用が開始できるような地域につきましては、二重投資を避ける意味からも合併浄化槽というようなものの設置というのは好ましいことではないというふうに考えております。ただ、ある程度下水道の計画がありましてもかなり先になるというような地域につきましては、やはり環境保全というような観点から合併浄化槽というようなものもあり得るんではないかというふうに考えておりますし、それから、およそ人口が希薄であって下水道自体を設置することが効率的でないと思われるような、いわば散居の地域にありましては、もう合併浄化槽というようなものが一番効率的ではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、地域条件によりましてこの地域はどの設備がいいかというようなことがおのずから決まってくるわけでございますが、その判断は地域の実情に一番明るい市町村長さんにやっていただくのがいいんじゃないか。まさに、公共下水道にいたしましても合併浄化槽の設置助成にいたしましても市町村長さん自身の事業としておやりいただくわけでございますから、そういう意味から申しましても市町村長さんの判断というのがいいのではないかということで、市町村長さんにその施設整備計画というようなものを決めていただく法制で御提案申し上げているわけでございます。
  103. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 下水道計画というのは、何年くらいかかるかというのはちょっとわからないのですけれども、多分十年も超えるようなことが多いのじゃないかと思うのです。二十年も先になれば、それは二十年待つよりは今合併浄化槽をつくって少しでも水をきれいにした方がいいというのはわかるのですけれども、ただ計画ができていて、下水道計画が確定しているからというので合併浄化槽に対する補助金を出していない例もあるわけですから、それは大体どのくらいだと出さないとか、そういう目安というものはわかりますか。  そして、仮に合併浄化槽をして、そこで処理された水を下水道に流すということも考えられるわけで、下水道に対する負荷というのは少なければ少ないほどいいのじゃないかと思うのですよ。その点から考えましても、そういう合併浄化槽を備えた人の下水道料金を安くするとか、そういうことで合併浄化槽に投じた投資をむだにしないような形で、少しでも早くそれをしていくということも考えられるんじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  104. 安橋隆雄

    安橋政府委員 下水道事業の認可地域におきましては合併浄化槽の設置促進は行わないということで政府部内の方の助成の基準が決まっているわけでございます。その期間が大体どれくらいになるかというのは、これは地域によりまして差がございますので一概には言えないと思います。単なる計画があるというだけではなくて、下水道につきましての計画が認可された地域については行わないというふうなことで仕分けをしているわけでございます。  それから、後段のお話でございますが、合併浄化槽を設けた方につきましての、下水道が供用開始された場合、それを使って排水した場合の下水道料金を安くするというような問題でございますが、この点につきましては、建設省の方ともよく打ち合わせをさせていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  105. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 次に、十四条の四と十四条の五についてちょっと御質問させていただきたいと思うのですけれども、この十四条の四で、国民の責務として「何人も」と書かれていますけれども、十四条の四の「何人も」というのと十四条の五の「生活排水を排出する者は」というのとは違いがあるのでしょうか。  それから、ちょっと時間がないのであわせて質問さしてもらいますけれども、私たちの感覚としましては、こういう私たちがどうしてもしなければならない、しかも二十四時間常にしなければならないような行為に対して、法律規制されるというのは非常に不愉快な気がするのです。例えば私たちに選択できる行為あるいは一年に何回かすれば済むような行為に対して法律規制されるというのはわかるのですけれども、このような毎日の、本当のこういう日常生活に対して法律が入ってくるということ、これは非常に不愉快な気がするのですけれども、この条項を入れられた理由というのはどういうところにあるのか。こういう当たり前の、調理くずとか廃食用油とか洗剤の使用を適正に行うなんということは当たり前のことで、今まで行政において国民に対するいろいろな指導、それこそ広報とか啓発とか、そういう指導で十分できなかった、そこで法律に入れると思うのですけれども、その行政でできないのを法律にすればできるとお考えになっている根拠といいますか、そういうところはどういうところにあるのでしょうか。
  106. 安橋隆雄

    安橋政府委員 まず前段の御質問でございますが、十四条の四の主語が「何人も」となっておって、十四条の五の方の主語が「生活排水を排出する者は」となっている違いという点でございますが、十四条の四の方は、まさに人である限りだれもという意味で、あらゆる人を対象にしているわけでございます。これに対しまして十四条の五というところは、その中でも「生活排水を排出する者は」ということで、限定をしております。この違いは何から来るかと申しますと、述語の方との関係でございまして、少なくとも十四条の五の方は「汚濁の負荷の低減に資する施設整備に努めなければならない。」ということでございまして、この施設整備につきましては経済的負担も伴うということで、排出する者に限りましての努力義務ということで書かせていただいているわけでございます。それに対しまして十四条の四は、いわば国民の一般の心構え、公共用水域水質の保全を図るための心構えというようなことで書かせていただいているわけでございますので「何人も」という主語を用いている、そして国民の責務として規定しているということでございます。  それから、後段の方の御質問でございますが、私どもといたしましては、こういう法律のいわば訓示規定、今規制とおっしゃいましたけれども、私どもといたしましてはこの心構えを書いた訓示規定というふうに考えておりまして、これによりまして強制的に一定の方向に国民を引っ張っていくというような考え方を持っているわけではございません。いわば心構えを、おっしゃいますように当たり前のことではございますが、そのことを法律で規定させていただいているということでございます。こういう規定の根拠でございますが、こういう規定を置くことによりまして、従来からの普及啓発事業ということで生活排水をきれいにして流すという運動に弾みをつけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  107. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 ちょっとよくわからないのですけれども、時間が来ましたので、最後に環境庁長官にちょっと姿勢についてお伺いしたいのですけれども、こういう水質の汚濁だけではなくて、今私たちの周りの環境というものが本当にいろいろな面で破壊されつつあります。一方で国土の開発とかいろいろな開発が行われております。そして環境を破壊するような状況他方にあります。こういう状況で、もし将来環境が破壊されて私たちの国が住みにくくなった場合には、最終的に全部環境庁が悪いんだ、そういうふうに言われるおそれもなきにしもあらずなんですけれども、これから環境破壊が進む中でどのようにして環境を守っていかれようとなさっているのか、その御決意をひとつお願いいたします。
  108. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいまの宇都宮委員の御質問でございますが、我々の生活環境というものをよりよくしていくための今回の法の一部を改正する法案を御審議お願いしたのでありますが、なお我我の環境が、ただ排水だけじゃなしに、もうそれは空気もガスも土もいろいろな面において私は経済の発展の中で侵されていくことは否めないと思うのですね。だからその侵されていくのをどこでとめるか、またよりよくするためには、環境庁はつらくともいろいろな皆さんの御指弾を受けましても生活環境を守るために前向きで取り組まなくちゃいけない。先ほど来の御質問を受けながら、法というものがどこまでが規制できてどこまでが皆さんの御理解を得るかということは、理解と自覚と、それは企業も国民もまたすべてが御理解を願う上に環境庁が指導をし、御理解を願い、また法をつくるときはつくっていくという、すべてに前向きに私は対処したい、こういうふうに思っております。
  109. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 期待しております。どうもありがとうございました。
  110. 戸塚進也

    戸塚委員長 斉藤一雄君。
  111. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 法案の提案理由の説明によりますと、東京湾などの周辺地域においては総量規制を実施しているけれども水質の改善状況は依然として十分ではないというふうに認めているわけであります。  そこでお伺いいたします。東京湾及び都内河川環境基準適合割合はどの程度でしょうか。
  112. 安橋隆雄

    安橋政府委員 六十三年度の公共用水域におきます環境基準の適合の状況でございます。まず人の健康にかかわります有害物質環境基準の、これは超過率でございますが、未達成率でございますが、〇・〇二%ということで、逆に申しますと九九・九八%は達成されているという状況でございます。これに対しまして、生活環境項目、これはBODないしCODではかっているものでございますが、こちらの方の環境基準の、今度は達成率でございますけれども、これは全水域では七三・七%でございます。これを水域別に見ますと、河川では七三・〇%、湖沼では四三・三%、海域では八二・七%というような状況になっておりまして、水域別に見ますと、閉鎖性の水域でございます湖沼が四三・三%ということで、半分以下の達成率という状況になっております。
  113. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それでは総量規制による削減目標の達成率はどうでしょう。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  114. 安橋隆雄

    安橋政府委員 総量規制地域といいますのは御案内のように東京湾伊勢湾瀬戸内海に関係する地域でございますが、ここの地域におきます海域の環境基準の達成率というのは、東京湾で六三%、伊勢湾で六五%、瀬戸内海で八一%でございますが、この総量規制地域におきましては、やはり海域全体の八二・七%の達成率に対しまして低くなっているわけでございます。  それから、この総量規制地域におきます削減目標の達成率でございますが、東京湾を例にとりますと、昭和五十九年度でCODで四百十三トンございました発生負荷量は、昭和六十二年には三百八十トンというふうに減ってきております。平成元年度の目標は三百六十五トンでございますので、この目標に向けて順調に削減されてきていると理解しております。
  115. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 先ほども質問がありましたけれども環境基準の今後の達成見通しを率直に述べてください。
  116. 安橋隆雄

    安橋政府委員 全体として見ますと半分以上ということなんでございますが、特に人口産業が集中しておりますような東京湾の海域、海で申しますとそういった海域でございますとか、あるいは都市内の中小河川流量も余りなく、流れている水の大部分生活排水であるというようなところ、あるいは閉鎖性水域にございます湖沼につきましては、達成率の向上ははかばかしくないという現状が残念ながら見受けられるわけでございます。
  117. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 達成見通しはどうか。
  118. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私ども一生懸命種々の対策を講ずることによりまして、達成されるように都道府県あるいは関係市町村とともに努力してまいりたいと思いますけれども、今申しましたような水域におきましては、直ちに達成されるというようなことはなかなか困難であろうと考えております。
  119. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 この点も先ほど御指摘がありましたけれども、今度の法改正に当たって、これまでの工場事業場からの産業系排水に対する規制が甘いというふうに私は認識しているわけです。したがって、この産業系排水規制をそのままにしておいて生活排水対策だけに限定するというのはいかんとも片手落ちではないか、こういうふうに指摘せざるを得ないのですが、皆さんの方は、この規制で十分なんだ、甘くはないんだとお考えでしょうか。
  120. 安橋隆雄

    安橋政府委員 産業系排水規制につきましては、水質汚濁防止法に基づきましてこの二十年間近い年月にわたりまして、直罰をもって排水規制の実効性を担保するという意味におきまして厳格にやってきたわけでございます。ただ、先生御指摘のようにすべての産業が中小事業場に至りますまで全部とらえられているかということになりますと、一部小規模事業場で未規制のところがございますが、これらにつきましても、生活系排水対策とあわせまして今後さらに規制充実に心がけていきたいと思っているわけでございます。
  121. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 生活排水処理施設整備であるとか、施策の実施が市町村の責任に任されているわけですけれども、肝心の国の責任が極めてあいまいではないかというように思います。ここで言う「財政上の援助」とは一体何を指すのですか。具体的に説明してください。
  122. 安橋隆雄

    安橋政府委員 財政上の援助に国が努めなければならないという責務を法律上規定しているわけでございますが、その内容といたしましては、生活排水施設に対します整備助成ということで、具体的には、下水道整備事業あるいはコミュニティープラントの整備事業、農業集落排水施設整備事業、あるいは地域によりましては合併浄化槽に対します設置助成といったものでございますけれども、このような各種の排水処理施設に対します財政援助といったものをこの法律に基づきます生活排水対策重点地域に重点的に実施していくというようなことを中心に考えているところでございます。
  123. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 市町村の中には、下水道及び下水道類似施設生活排水対策を考えているところが多いと思うのです。しかし、実際には各省の縦割り行政のためになかなか進んでいないという面もあるわけですね。これは昨年の行政監察でも指摘されているところです。こうした問題を踏まえて、市町村に対する国の財政援助をどう考えていくか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  124. 安橋隆雄

    安橋政府委員 各施設に対します助成の源と申しますかは、施設種類によりまして国の各省庁に分かれているというのは御指摘のとおりでございますが、現実にそれらの事業の実施主体はどこかというふうな観点から見ますと、一部流域下水道のようなものもございますけれども、大部分のものにつきましては市町村が実施主体になっているわけでございます。公共下水道にいたしましてもその他の事業にいたしましても、大部分がそういうことになっているわけでございますので、それぞれの地域、集落ごとにどのような生活排水処理施設を設置したらいいかというような物事を判断する場合には、現実の事業の実施主体でもあり、かつ地域の実情を一番熟知している市町村長さんにお願いするのが一番いいのではないかと考えまして、市町村長さんに計画づくりをお願いする。それに対しまして国が財政上の援助をするということでございまして、それを法律責務規定としてうたっているというような仕組みになっているわけでございます。
  125. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 生活排水対策では小型の合併処理浄化槽などの維持管理の適正化というものが極めて大事なんですね。そこで、国は、浄化槽の設置はもとよりですけれども、こうした維持管理のための補助制度について設ける考えがあるかどうか。
  126. 安橋隆雄

    安橋政府委員 国の財政負担というのは、大体設置費なり初度調弁的な費用につきまして一番たくさんの投資が行われるということに着目しまして、そこに助成するというのが補助制度の根幹をなしているわけでございまして、この点につきましては先生御案内のとおりかと存じます。維持管理費につきましては、継続的に支出されるものではございますが、一時期に集中するというようなとともございませんし、額自体も初度調弁的なものに比べますと少額であるというようなこともございまして、原則といたしましては設置、運営される方が負担されるというようなことで補助仕組みが成り立っているわけでございます。小型の合併浄化槽につきましても、設置費につきましてはそういうことで厚生省の方から助成が行われているところでございますが、施設自身が何分個人施設でもあるというようなこともございまして、良好な維持管理をしていただくというのはその所有者でございます個人の御負担でお願いするというような体制になっているわけでございます。
  127. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 大臣にお尋ねいたします。  本年三月に大田区立生活センターが行いました洗剤に関するアンケート調査報告書というのがあるのですが、これによりますと、四三・八%の人が台所合成洗剤や洗濯用合成洗剤、住居用洗剤等によって手荒れや肌荒れ、おむつかぶれなどを経験している、こういう事実が明らかになりました。こうした事実についてどうお考えでしょうか。
  128. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいま斉藤委員の、洗剤その他によりまして四三%のいろいろな被害が出ておるという御指摘でございまして、長官としてどういう考えを持っているかということでございます。  この点につきましては、厚生省を初めとする関係諸庁とも十分に連絡をとりながら、このような被害の出ないようによく対処しなくてはいかない、このように考えております。
  129. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 事実をお認めになったと思いますので、もう一点。  世田谷区の公害対策課が本年二月、区施設における合成洗剤の使用実態についてアンケート調査を行いました。それによりますと、一カ月当たり合成洗剤使用量が五五・八%、石けんが三四・二%となっていることに対して、世田谷区は合成洗剤の使用をできるだけ自粛し、石けんを使用する旨の通達を出しています。この通達の趣旨は、言うまでもありませんけれども総量の抑制を図り環境への影響を小さくするということにあるわけです。こうした行政の姿勢に対して、大臣はどのように評価されますか。
  130. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいまの斉藤委員の世田谷区の例をとっての環境に関しての御質問でございますが、私は、やはりみずからの環境をよくするのはみずからにあるという考えに立って、それを使用していただく方も洗剤から石けんへと移行していただく、こんな望みを持っておりますけれども環境庁といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり関係各諸庁とも十分連絡をとらなくてはならない。洗剤その他に関しては厚生省の関係にありましても、環境という立場から意見も述べ、そうして前向きでよりよい方向に持っていくということに善処してまいりたいと思っております。
  131. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 大臣も時間がないようなので、関連して一点だけお尋ねします。  これから市町村を主体にして家庭排水対策をやっていこうというわけですが、その中の一つの行政区が、通達まで出して石けんを使おう、合成洗剤を自粛しようということを全町的にやっているわけです。親玉である環境庁ができないはずがないわけです。それをさらに指導できなければ環境庁の意味がないと思うのです。環境庁の大臣に質問すると必ず出てくる言葉は、建設、通産その他関係各省と連携をして、そしてその結果は押し切られましたというようなことなので、この問題については全国の自治体が味方なんですから環境庁長官としてもっと積極的に前向きにやっていく、世田谷区の職員、大田区の職員に笑われないようにしていく。これから市町村に仕事を押しつけていこうというときに、市町村以下の環境行政をやっているようではだめです。その点で、いま一度前向きの御答弁を期待したいと思います。
  132. 北川石松

    ○北川国務大臣 斉藤委員の重ねての御質問でございまして、生活の実態は各都道府県、地方自治体との密接な関係の中で規制され、あるいは通達されていかれる、その前向きの姿勢を高く評価しながら、大変痛いことでございますが、環境庁建設省を初めとするいろいろな各省に押し切られてしまっておるじゃないかという強い御指摘でございまして、まことに申しわけないと思っておりますし、そのようなことのないように、今後環境庁はこれに前向きにその姿勢で取り組んでいきたい、私はこのように思っております。
  133. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 ところで、今回の法改正では、国民の責務として「洗剤の使用等を適正に行うよう心がける」、今申し上げたとおり、トーンダウンしてしまっているわけです。  そこで伺うのですが、現行の水道法ではLASの許容濃度は何ppmになっていますか。
  134. 藤原正弘

    藤原説明員 お答えいたします。  水道法の水質基準では、陰イオン界面活性剤〇・五ミリグラム・パー・リッター以下であることということになっております。
  135. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 水生生物に多大の被害を及ぼすと思うのですけれども、それについてはどうお考えですか。
  136. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先生御指摘のLASが石けんに比べまして水生生物に与える影響が大きいのではないかという点でございますが、それは仰せのとおりだと思います。また、分解性の点につきましても石けんに劣るという点もございます。ただ、使用量の点から見ますと石けんの方が多く使用するというようなこともございまして、有機汚濁の量という点から見ますとむしろ石けんの方が多いのではないかというような調査もございまして、総合的に判断いたしまして合成洗剤石けん、いずれの方がよりいいかというのはなかなか一概に判定できないのではないか、一長一短のところもあるなというふうな感じを持っているわけでございます。
  137. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それでは、昭和五十四年度から厚生省が行ってまいりました健康被害病院モニター報告によりますと、皮膚科では合成洗剤による被害がずっとトップを占めておるわけです。この事実をどう判断いたしますか。
  138. 内山壽紀

    ○内山説明員 手荒れの発症原因といたしましては、その合成洗剤以外にも、皮膚素因、物理的刺激、水質、生活環境、季節の影響等多種多様な要因が考えられることから、モニター病院の手荒れ患者を対象としてその被害の実態及び原因について調査検討したところ、手荒れの発症原因合成洗剤のみと断定することは困難であったということになっております。また、これらの調査等によりますと、合成洗剤を使用する際に使用上の注意を守らず原液のまま使用する等の事例が指摘されておりまして、厚生省といたしましても、手荒れの被害事例の防止のため、これら諸因に対する適切な使用等について周知を図っておるところでございます。  なお、もう一点申し上げますと、この合成洗剤という項目には石けんも含まれてございます。
  139. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今の答弁では合成洗剤のみによるとは断定できないという日本語をお話しになったのですけれども、よくわからないのです。合成洗剤の影響があったというふうに私は率直に思うのですが、国民にわかるような言葉でいま一度お答えいただきたいと思うのです。
  140. 内山壽紀

    ○内山説明員 この手荒れの原因と申しますのは、合成洗剤で起こる場合もございますし、あるいは石けんで起こっておるケースもございます。それから、このようないわゆる研究報告というのはさまざまなものがございまして、必ずしも合成洗剤石けんよりもひどい手荒れが起こるというような結果のみが出ておるわけではございません。そういうことでございます。
  141. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 その辺になると見解の相違ということになるのだけれども……。  そこで、合成洗剤の人体影響についてどう考えておるかということをお尋ねしたいと思います。
  142. 内山壽紀

    ○内山説明員 食品等に使用いたします洗浄剤につきましては、食品衛生の観点から、動物を用いました慢性毒性試験、催奇形性試験等各種安全性試験の結果及び使用実態等を総合的に評価いたしまして、製品の規格及び使用基準を定め、人に対する安全性の確保を図っておるところでございます。また、一般用に使用される洗浄剤につきましても、その適切な使用等について周知を図っておるところでございます。したがいまして、通常の使用方法により用いられる場合には健康を損なうおそれはないと考えておるところでございます。
  143. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 合成洗剤シャンプーをずっと使っておりますと髪の毛が細くなってくるということが元三重大教授の坂下栄氏の研究で明らかになったのですが、そういう事実はお認めになりますか。
  144. 内山壽紀

    ○内山説明員 ただいま先生御指摘の研究報告の詳細については承知いたしておりませんが、洗髪を過度に繰り返すようなことは一般には望ましいことではございませんで、消費者の自覚により適切に使用されるべきものと考えておるところでございます。
  145. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 避妊の方法の一つに、合成洗剤の毒性で精子を殺す、いわゆる殺精子剤があるわけであります。主成分は非イオン系界面活性剤、避妊フィルムや錠剤として使われているわけでありますが、この問題については非常に人体に危険ではないかというふうに私は考えているわけでありますけれども、この点についての見解をお尋ねしたいと思います。
  146. 内山壽紀

    ○内山説明員 今先生御指摘の点につきましては、いわゆる合成洗剤の界面活性作用を活用してそのような避妊効果を期待しているというふうに考えているところでございます。
  147. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 法案では、「何人も、公共用水域水質の保全を図るため、調理くず、廃食用油等の処理等を適正に行うよう心がける」。もちろん今の洗剤も同じなんですけれども。  そこで最近、調理くずを粉砕して下水に流すディスポーザーが大変普及していると思うのですけれども、どんな状況でしょうか。
  148. 安橋隆雄

    安橋政府委員 御指摘のように、最近ディスポーザーの販売が行われているわけでございます。私どもは、ディスポーザーにかけますようなごみは、本来ディスポーザーにかけないでごみとして処理すべきではないか、あるいはそうすることによりまして環境への負荷が小さくなるのではないかというふうに考えております。
  149. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 いや、考えておりますじゃこれはどうにもならないので、これほど普及しているという実態に対してどのようにお考えになるのか、対策を考えているのかということをお答えいただかないと。
  150. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ただいまも申しましたように、ディスポーザーはある程度普及され始めておるわけでございますが、本来ごみとして処理すべきものをディスポーザーにかけることによって水にまぜて処理するということになりますと、それだけ環境に対します負荷が大きくなる、特に下水道整備されていない地域についてはこのことが如実にあらわれるということで、私どもとしてはディスポーザーの使用は好ましくないと考えているわけでございます。今回の法律案でも、調理くずの適正な処理というようなことにつきまして、公共用水域水質保全のための国民の責務ということで規定させていただいておりますので、ディスポーザーにかけて流すことによって公共用水域汚れるんだというようなことを国民に理解していただきまして、その理解の上に立った御協力というような形でディスポーザーの使用が自粛をされるように期待しているというような状況でございます。
  151. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 どうも実効ある規制というのは期待できないような気がしますね。  それでは時間の関係もありますから先へ進みますけれどもし尿浄化槽ですね。今度は法案が通りますと二百一人から五百人槽を規制対象とするわけでありまして、その場合、総量規制地域内にある浄化槽からの汚濁負荷量はどのくらい削減されるのでしょうか。
  152. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今この法案で御提案申し上げております指定地域特定施設制度をお認めいただきました場合には、し尿浄化槽につきまして、ただいま五百一人以上のし尿浄化槽規制を実施しているのでございますが、これを指定地域におきましては二百一人槽以上のものについてまで規制の対象を広げたいというふうに考えておるわけでございます。  それで、このことによります汚濁負荷量の削減の程度でございますけれども、現在使われております二百一人から五百人槽のし尿浄化槽汚濁負荷量のうち、三割程度は削減が可能になるのではないかというふうに考えております。
  153. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 実際には、二百一人以上というよりも二百人以下ですね、これは対象外となるわけですけれども、これが非常に多いわけですね。五十人以下、これは単独処理だと思うのですけれども、何%くらい占めているのでしょうか。
  154. 安橋隆雄

    安橋政府委員 五十人以下の浄化槽の設置基数が三百十六万基でございまして、これによります汚濁負荷量総量規制地域で日量六十五トンでございます。
  155. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 水濁法で対象となっておりますし尿浄化槽排水基準の不適合件数はどのくらいですか。
  156. 安橋隆雄

    安橋政府委員 平成元年度の汚濁防止法の施行状況でございますが、し尿浄化施設につきまして、届け出数が一万八百ございます。うち、排水量五十立米パーデー以上のものが九千四百三十ございます。改善命令をかけましたのが十九件でございます。ただ、この改善命令に対しまして直罰を適用したというのはございません。
  157. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 規制指導にはどういう内容があるのですか。今、改善命令だけおっしゃいましたね。
  158. 安橋隆雄

    安橋政府委員 排水状況を調べまして、その状況が現実の基準をオーバーしているような場合に改善命令をかけていくということでございます。その改善命令をかけた段階で、さらに悪質なものについては直罰までいくわけでございますが、直罰までいったのは六十三年度ではなかったということでございます。
  159. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 指導は改善命令だけですか。
  160. 安橋隆雄

    安橋政府委員 改善命令を出す前に、現実的に超えていますよというようなことをアナウンスいたしまして改善の指導をやるわけでございますが、さらにその中で必要なものについて命令までかけるというようなことをいたしているわけでございます。
  161. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 改善の指導はどのくらいですか。
  162. 安橋隆雄

    安橋政府委員 現実に指導をしたものがどの程度あるかということについてはちょっと私どもの方で集計はいたしていない次第でございます。
  163. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これは公表しないということになっているのですか。
  164. 安橋隆雄

    安橋政府委員 いえ、特にその指導数について公表しないということにしているわけではございません。
  165. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 し尿浄化槽のうち五百一人以上については、技術管理者として浄化槽管理士を配置しているわけですね。今回は二百一人から五百人ということになるわけですが、整合性はどうなるんでしょうか。
  166. 安橋隆雄

    安橋政府委員 管理士を置くという浄化槽法上の規定と、私どもの方で水質汚濁防止法排水規制をかけるということが、目的なり手段が異なった措置でございますので、そこに人員の差が最下限についてあるということがございましても、直ちにバランスがとれていないという状態ではないと思います。
  167. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これだけの法改正をやるということであるならば、少なくとも浄化槽管理士の養成を国がやっていく、また見通しはこういうことですということでなければ実効は上がらないわけですね。ですからこの点についていま一度、ひとつ前向きのお答えをいただきたいと思います。
  168. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 御指摘のとおり、今回の法案が成立をいたしまして、総量規制地域におきまして二百一人槽以上の浄化槽特定施設になるということになりますと、こういった規模の浄化槽の管理について特段の高度な維持管理が必要になるわけでございます。したがいまして私どもといたしましても、この法案が成立いたしましたならば、これらの浄化槽の保守点検を行います浄化槽管理士につきまして必要な知識、技能の向上を図るための教育機会の確保等を通じまして、こういった浄化槽の高度な維持管理体制の確保につきまして十分図ってまいりたいというふうに考えております。
  169. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 この法案では、先ほどもお答えがありますけれども規制なりいわゆる義務というようなものが全く不明確、ないというような状態なんですね。罰則もない。指導、勧告どまりだということですね。実際問題としては何ら期待できないといいますか、野放し状態と客観的には同じなんです。例えば東京都の場合でも、保守点検の委託をしたりしているのですが、そのうち水質検査をしているのは四%か五%というのが実態ですよ、これはちょっと前の資料になりますけれども。無届けの浄化槽も大変多いのですよ。ですから私からこの法案内容を見ますと、何をやろうとしているのかなという気持ちにならざるを得ないのですけれども、もう少ししっかりした方針を、考え方でもいいですから、お出し願えればと思います。
  170. 安橋隆雄

    安橋政府委員 総量規制地域つまり法律上の指定地域におきまして、浄化槽のすそ下げを水質汚濁防止法上いたしたいということで考えているわけでございますが、やはり排水規制の強化をする以上、御指摘のようにその実効が上がりますように何らかの工夫をしていきたいと思っているわけでございます。
  171. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 総務庁行政監察局から「下水道に関する行政監察」ということで勧告が出ているのですが、考え方を、わかればで結構ですけれどもお知らせいただきたいというように思います。  勧告の方ですけれども、「下水道下水道類似施設整備が効率的に行われるようにするため、下水道下水道類似施設の担当部局間の協議システムを整備して調整措置を講ずること。」という勧告なんですね。これはどういうふうにお受けとめになっておられるのでしょうか。
  172. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 ただいま御指摘のございました総務庁勧告の中の下水道類似施設ということで、私ども所管をいたしております合併浄化槽の立場から御答弁申し上げたいと思います。  私どもは、各種の生活排水処理施設が整合性を持って整備をされるためには、その事業の主体でございます市町村において、地域の自然的条件あるいは社会的条件等からそういった関係施設の整合性ある整備計画というものを立てていく必要があると思っております。そういったことで、少なくとも私ども合併処理浄化槽設置整備事業につきましては、この事業を創設いたしました昭和六十二年度以降、事業実施市町村生活排水処理計画というものをつくっていただきまして、そういった計画の中で下水道との調整を図っておるところでございますし、また、下水道法上の認可を受けました下水道の事業計画区域内につきましては当初から私ども補助の対象外ということで整理をいたしておるところでございます。  なお、先ほど申しました生活排水処理計画につきましては、市町村が今後より的確にこういったものをつくっていけますように、私どもただいま学識経験者あるいは地方自治体の関係者から成ります検討会を設けまして策定指針の検討を行っておるところでございまして、こういったものをもちまして、より適切な施設の調整を図りながら合併浄化槽の計画的整備を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  173. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 先ほど大臣からもお答えありましたけれども市町村を主体にするというときに、言ってみれば維持管理については費用は出さないよ、処理施設の設置だけだよというようなこと、これは前向きに検討していただきたいと、質問を繰り返してもしようがないと思いますから申し上げておくのですが、少なくとも責任を負わされる市町村の自主性といいますか主体性といいますか、そういうものを十分尊重していく、財政面からもこれを援助していく、あるいは人員的にも援助していくということをやっていかないと、もう市町村処理施設の設置は任せたんだ、あとは都道府県が調整してくるだろうというようなことでは、せっかくと言うほどのあれじゃないですけれども、この意味合いが非常に薄れてしまうのですね。私は少なくともそう思うのですが、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  174. 安橋隆雄

    安橋政府委員 確かに計画自体は地域の実情を熟知している市町村長に立てていただいて、その責任でやっていただくわけでございますけれども、これに対しますハード面での国の各事業の支援、しかも予算の重点配分というようなことにつきましても、関係省庁と十分連絡をとって前向きに対処したいと思っておるわけでございますし、もう一つの柱でございます啓発普及事業につきましても、公共用水域生活排水を汚さずに出すというふうなことでは日常生活上どのようなことを心がけたらいいかということにつきましてのマニュアルでございますとか、あるいは運動の進め方といったものについて、国としても情報を提供いたしますし、あるいは地域におきます指導員の育成というようなことにつきましても、平成元年度補正予算で認められました地域環境整備基金の運用益等の活用によりまして、その研修等についても県を通じて十分に面倒を見てもらうというような形で、いわばソフトとハードの両面にわたってできる限りの財政上の支援もしていきたいと考えているところでございます。
  175. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 じゃもう一点。「下水道の維持管理業務については積極的に民間委託し、維持管理業務の合理化・効率化を図るよう下水道管理者に対する指導を徹底すること。」という勧告になっているのですが、これについてはどうですか。
  176. 安橋隆雄

    安橋政府委員 下水道の運営管理ということも、地方公共団体によりまして適切に効率的に行わなければならないのは勧告の指摘するとおりだと考えているわけでございます。その設置運営のやり方でございますけれども、より効率的な方法が民間等に委託することであるというような場合でありますればでございますが、そういう場合には民間に委託することも適当ではないかとは考えますが、いずれにいたしましても、その設置運営費というのは利用料金という形で施設を利用する方にはね返ってくるわけでございます。地方公共団体におきましては、そういうようなことも考えられまして適切に効率的に運用していただければいいのではないかというふうに考えているところでございます。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これは私は反対します。ただ、今も慎重にお答えになりましたからあれですけれども、受ける方としては、水質検査体制の整備が困難な地方公共団体においては必要に応じ民間委託を行うこと、こういうことであるわけですね。ですからこれは意見として申し上げておきます。  それではもう一点、恐縮ですけれども、「地域し尿処理施設及び農業集落排水施設のうち水質汚濁防止法対象施設については、同法に基づく排水基準の遵守等維持管理の適正化を図るため、通達等において規模別の指導基準を定める等の措置を講ずること。」この「通達等において規模別の指導基準を定める等の措置を講ずること。」これはどういうことを考えているのでしょうか。
  178. 安橋隆雄

    安橋政府委員 下水道類似施設でかつ集合的な施設につきましては、下水道法というような意味での法律上の規定というものがございませんけれども、それの適切な維持管理というようなことは、汚水処理施設である以上、少なくとも下水道と同等の水準まではやっていただきたいというふうに環境庁としては環境上の立場から考えているところでございます。そのためにも、規模別にいろいろな対応があるものでございますから、その対応の仕方も規模別によって効率的になったりあるいは非効率的になったりいたしますものでございますから、その大きさに応じて規制の仕方なり運営の仕方が違ってくるのは当然でございますから、そういうようなきめ細かな基準に基づきまして、要は環境中に規定以上の汚水を流さないというような形で、合理的に、適正に運営していただきたいというふうに環境庁といたしましては考えているところでございます。
  179. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それはこれからやっていこうということですね。  それでは最後に、東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的方策についてお尋ねしたいと思うのです。  まず、閉鎖性水域であります東京湾の海水交換というのはどういう実情になっているのでしょうか。
  180. 安橋隆雄

    安橋政府委員 東京湾は湾奥までの距離が開口部から非常に深いという自然的な地形から申しまして、東京湾全体におきます海水の交換状況は、総じて申し上げますと悪いというような状況でございます。したがって、よほど気をつけないと汚染しやすいというような性質のある湾であると思っております。
  181. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 そうしますと、今進められております東京湾横断道路、これは大気にも水質にもいろいろな影響が出ると思うのですが、今のお答えの上に立って環境庁としてはどのようにお考えでしょうか。
  182. 安橋隆雄

    安橋政府委員 東京湾横断道路につきましては、トンネルを掘りましたり支柱を立てましたり、あるいは排気口を設けるというようなこともございますので、その事業の開始に当たりましては各方面から環境上の影響というようなことが懸念されたわけでございますけれども、私どもといたしましては、そのような問題につきまして一つ一つ検討を加えさせていただきまして事業の着工に踏み切っていただいたというような状況でございます。
  183. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 東京一極集中の拠点になっております東京臨海部の開発、この影響はどうでしょうか。東京湾地域の開発と環境保全に関してお答えいただきたいと思います。
  184. 安橋隆雄

    安橋政府委員 一般的に申し上げますと、自然のなぎさがあるということは即海の自然浄化力があるということでございまして、これがコンクリート等によります垂直護岸になりますと、海の自然浄化力が落ちるということでございます。そういう意味におきましては、東京湾のような汚れやすい海域におきましては、安易に埋め立てをいたしますことは水質保全上非常に問題がありますので、環境保全に資するような埋め立て、例えばフェニックス計画のようなものでございますが、そういったもの以外は努めて避けていただければというのが水質上から申しました環境庁の基本的な態度でございます。
  185. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 一番最後がちょっと聞き取れなかったのだけれども、フェニックス計画以外は、ということですか、フェニックス計画などは、ですか。
  186. 安橋隆雄

    安橋政府委員 フェニックス計画のような、それ自体環境に資しますような事業の場合は別といたしまして、一般的に安易な埋め立てはできるだけ避けていただくことが水質保全上からは必要なのではないかというのが環境庁の基本的な考え方でございます。
  187. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 だから、さっきも大臣にも言ったのだけれども環境庁というのはどうしても建設なり他の省庁に追従しているのではないか。皆さんは、環境庁にいる限りは日本の環境にとどまらず地球環境まで守ろうなんておっしゃっているわけだから皆さんそう考えているのだろうけれども、フェニックス計画というようなことは先ほどの前段の答弁からいうと全く矛盾した話なんですよ。まあ私は頭が悪いせいかわかりませんけれども、そういうことなんですね。ですから、よほど慎重に対応しないと、これは別といたしましてなんというようなことを簡単に言うべきじゃないということを御忠告しておきたいと思うのです。  東京湾、今申し上げたような横断道路はできる、臨海部ができる、何十万という人口産業も集中するということですが、東京湾自体の気候緩和機能に重大な影響があるというふうに私は見ているのですけれども、その点はどういうふうにとらえていますか。
  188. 安原正

    ○安原政府委員 お尋ねの点につきましては、環境庁としましても、今いろいろ言われておりますような開発構想の動向も踏まえまして環境保全の観点から種々の調査をやってまいっておりまして、有識者の検討会も持ちましてその点につきましての調査結果の集約を昨年三月にしたところでございます。  この検討会の報告によりますと、ただいま委員から御質問のございました点でございますが、東京湾横断道を含む臨海開発プロジェクトのうち実現性の高いプロジェクトに限ってそれが計画どおりに行われたという想定に立ちます場合に、自動車交通量の増加によりまして窒素酸化物排出量が増大するということが一つございます。それからもう一つ、御指摘のとおり、人工熱の発生量の増加あるいは土地利用の変化等によりまして一部地域の気温の上昇等が予測されるわけでございます。特に東京湾を大規模に埋め立てた場合の気候変化の予測もされておりますが、沿岸部の高温地域が拡大し、風速の低下等の影響も発生するという分析がされております。
  189. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今お話しになったようなことは、地球環境には影響ないのでしょうか。
  190. 安原正

    ○安原政府委員 ただいまの調査は、東京湾地域におきまして現在いろいろ問題になっておりますような開発プロジェクトが行われた場合の気候への地域的な影響というものを見たものでございますが、地球規模にどの程度影響があるかというところまで正確には……(斉藤(一)委員「いや、どの程度じゃなくて、影響があると思いますか、ないと思いますか」と呼ぶ)東京湾地域も地球の一部でございますから、そういう意味では、程度の問題はございますが、ある程度の影響がないとは言い切れないということかと存じます。
  191. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今地球規模での自然の破壊とか温暖化とか、いろいろ大きな問題が出ているわけです。環境庁もいろいろな資料をお出しになったり地球環境の保全というようなことを声を大にしておっしゃっているのですが、まず足元から少しでも公害をなくしていく、環境破壊をなくしていく、そのことがなければ、地球環境の保全ということをスローガンだけおっしゃっておったのではだめだということを私は言いたかったわけでございます。  以上で質問を終わります。どうも大変ありがとうございました。
  192. 戸塚進也

    戸塚委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ────◇─────     午後零時十九分開議
  193. 戸塚進也

    戸塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。時崎雄司君。
  194. 時崎雄司

    ○時崎委員 水質汚濁防止法等の一部改正に関して、ゴルフ場の関係を中心に質問させていただきます。  最初に、利根川水系の河川敷内にありますゴルフ場の数並びに面積、さらにまた今計画中のものまで、わかる範囲でお知らせをいただきたい。なお、その場合にゴルフ練習場も含めてお知らせをいただきたい、このように思います。
  195. 徳山直

    ○徳山説明員 利根川水系のうち、建設大臣が管理しております区間内におきますゴルフ場及びゴルフ練習場の数、面積につきましては、ゴルフ場の数は建設中のものを含めまして二十一、それで面積は約六百六十五ヘクタールでございます。このうち既にできておりますものは十七、面積は約五百二十二ヘクタール、それから造成中のものが四、面積が約百四十三ヘクタールとなっております。  また、ゴルフ練習場につきましては、既設のものは七、面積は約二十五ヘクタールでございます。ゴルフ練習場の造成中のものはございません。なお、ゴルフ場あるいはゴルフ練習場にかかわります計画段階のものにつきましては、建設省としては正式に了知しているものはございません。  以上でございます。
  196. 時崎雄司

    ○時崎委員 茨城県の取手、そして千葉県の我孫子、この県境を流れる利根川の河川敷に、取手側に市民ゴルフ場十八ホールを市で建設の計画がある。そしてまた、我孫子側にも九ホールの市のゴルフ場の建設がある。私の調べではそういうことになっておるのですが、建設省にその話というか相談が今現在でも全くないのかどうか。そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  197. 矢野洋一郎

    ○矢野説明員 お答え申し上げます。  現段階では、都市計画法に基づく変更手続については書類が参っておりますが、河川法に基づく占用等の手続についてはまだ建設省の方には参っておりません。
  198. 時崎雄司

    ○時崎委員 その都市計画の変更の中にゴルフ場の建設というものが入っておる、こういうふうに私は理解しているのですが、建設省はその計画の中にゴルフ場が全く入っていない、こういうふうに考えておるのですか。
  199. 矢野洋一郎

    ○矢野説明員 お答え申し上げます。  当該ゴルフ場のうち取手市関係の部分につきましては、昭和四十六年一月に都市計画決定をされております都市計画緑地第一号、取手緑地を今回変更いたしまして、野球場、ゲートボール場、野草園等とともに緑地の一部として整備される予定であるというふうに聞いております。また、都市計画の変更につきましては、先ほど申し上げましたように、今月二十二日に都市計画法第二十三条第六項の規定に基づき取手市長から協議書が関東地方建設局長に提出され、現在内容を審査検討中でございます。  また、我孫子市関係につきましては、昭和五十二年十月十四日に都市計画決定が済んでおります。
  200. 時崎雄司

    ○時崎委員 次に、自治省にお尋ねをいたしますが、取手、我孫子両市の都市計画にかかわるゴルフ場の問題、私の調べでは、市営ゴルフ場とはいいながらも、第三セクターをつくってそこに建設並びに経営を一切任せるということで、既に三月の二十三日、その第三セクター、名前は株式会社取手、我孫子利根川環境整備公社、これが登記をされておるわけでございます。  そこで、自治省にお尋ねいたしたいのは、地方自治法の百四十二条で自治体の長の兼業禁止という条項がございますし、また、二百四十四条の二に公の施設の設置及び廃止という項がありまして、これにそれぞれ抵触するのではないか。市のゴルフ場を株式会社に委託をしてその管理運営、経営を任せるということは、一つには今言った二百四十四条の二、そしてまた、その株式会社の代表取締役は取手の市長になっている、こういうことから考えて、百四十二条の長の兼職禁止の規定にも抵触するのではないか、こう思うのですが、自治省の見解をお尋ねいたします。
  201. 松本英昭

    ○松本説明員 ただいま御指摘ありましたように、取手、我孫子利根川環境整備公社というのがことしの三月に設立されております。その業務といたしまして、今御指摘がございましたように、河川敷ゴルフ場等のスポーツ施設に関する建設、経営及び管理を行うことがその目的の中に入っているものと承知をいたしております。  ただいま御指摘の百四十二条との関係でございますが、地方自治法の百四十二条は、地方公共団体の長は当該地方公共団体と請負関係——いわゆる委託業務等の関係でございますが、そういう関係が、当該法人の業務の主要部分を占めるような法人の取締役等々につくことはできない、こういう規定でございます。ただいまのこの公社の場合におきましては、まだそういう状況に、事業の開始の状況に至っているとは承知いたしておりませんけれども河川敷のゴルフ場そのものを公社で設置するわけでございますので、今の地方団体からの委託を受けて事業をやるということとは違うわけでございます。  それから、公共施設の管理受託業務の御議論でございますが、これも、その目的の中に取手市、我孫子市の公共施設の管理受託業務というのは確かに入っております。ただ、公共施設の管理受託と申します際に、いわゆる業務の委託、いわゆる事実上の行為委託というのがよく行われておりまして、例えば建物の保守管理の委託とか、その他そういう個別の業務の委託を指す場合がございます。これに対しまして、地方自治法の二百四十四条の二の第三項というのは、いわゆる公の施設の管理委託でございまして、公の施設全体の運営的な管理を委託する場合の規定でございます。御指摘のケースにつきまして現地にお尋ねいたしましたところ、公の施設を想定したものではないということでございまして、今後も公の施設、そういう市の公の施設を市がこういう形で委託をするということは現時点では想定いたしておりません、例えば公園の除草作業等のいわゆる事実上行為の委託等については今後も考えられることはあるかもしれないけれどもというようなことを聞いておるところでございます。
  202. 時崎雄司

    ○時崎委員 もう一度自治省にお尋ねしますが、四月十四日、自治大臣が記者会見で自治制度改正について発表しております。その中で、一つは、地方自治体の長などが第三セクターの役員につくことについての制約をなくする。第二に、地域振興の拠点となるような住民が利用する施設等、地方自治体がつくって、その管理経営を第三セクターが行えるようにする。これが地方自治法の改正に関する記者発表なんですね。  今のケースを申し上げますと、一億円の出資、この取手、我孫子利根川環境整備公社というのは、一億円の資本金のうち八〇%が市側が負担をし、残りの二〇%を民間が出資をしている。そして、役員の半数以上が市長であって、代表取締役が取手の市長になっておる。そして、その事業の目的、例えば「取手市、我孫子市の公共施設の管理受託業務」「河川敷のゴルフ場等スポーツ施設に関する建設、経営及び管理」さらには「河川敷地内の整備、」まで含めた目的になっているわけですね。もし、この第三セクターが特に地方自治法に違反をしない、抵触をしないということであれば、四月十四日の奥田自治大臣の法改正の記者会見の中身と、今回答のあった抵触は必ずしもしないということと、どのように判断すればいいのか。特に聞きたいのは、このようなことでやっても法律違反でないとするならば、あえて改正は必要ないでしょう。今の法律の中でもこういうことができるとあなたがおっしゃるならば、あえて自治法を改正してこの二つができるようにする必要はないではないか、私はこう思うのですが、その点についての答弁をいただきたい。
  203. 松本英昭

    ○松本説明員 地方におきましていわゆる地方の振興あるいは開発等を行います際に、第三セクターを設立して、その第三セクターの活動と共同してやるケースというのはたくさんあるわけでございます。その際に、第三セクターがみずから資金を調達をしてみずからの事業としてこういう施設整備をいたす力があります場合には、またそれができ得ますならばそういうことで事業をおやりになることもあるわけでございますが、大変地方の方にまいりますと、例えば第三セクターでは資金手当てが十分できないとか、そういうケースもあるわけでございます。そういう際に、地方公共団体の施設としてそれをつくり、そしてその施設の設置、管理を第三セクターに任せるというようなことが必要になってくる場合があるわけでございまして、そういう後者のケースについて今度の地方自治法の改正でできるように手当てをしていきたい、こういうことで改正案を予定いたしておるところでございます。  なお、百四十二条との関係でまいりますと、第三セクターみずからが行う事業でございますので、地方公共団体から業務の委託を受けてやるわけでございませんので、先ほども申し上げましたように、そういうケースについては法令上も問題がない、法令上手当てする必要もないわけでございますが、後者に申し上げましたような例では、地方団体の業務を委託を受けてやる部分が第三セクターの主要部分を占めるということが起こり得ますので、今回の地方自治法の改正で手当てをすることを予定いたしておるわけでございます。
  204. 時崎雄司

    ○時崎委員 ここにこの会社の登記簿謄本が手元にありますけれども、どうも納得ができないのは、はっきりと取手市、我孫子市の公共施設の管理の受託と、こう書いてあるのですね。まだこれから受けるか受けないか、これはわかりません、今できたばかりの会社ですから。しかし、目的は受けるという前提でこの会社を設立しているわけです。私の尋ねているのは、受けた場合どうなるかと聞いているのであって、まだ受けるも受けないもこれははっきりしていないわけです。一般論で結構ですから、受けた場合どうなんですか、こういう尋ね方をしているのです。
  205. 松本英昭

    ○松本説明員 仮定の御質問でございますので、私の方もお答えするのもどうかと思いますけれども、あえてお答えさせていただきますと、こういうケースで公共施設の管理業務を受託をいたしまして、その受託業務の量が当該第三セクターの業務の中で主要部分を占める、具体的にはその業務の量が二分の一以上を超えるようなケースになってまいりますと、これは百四十二条の問題が生じ得ることでございます。ただし、現在ではそういうことにはなっておらないというふうに伺っておるわけでございます。  それから、後者の二百四十四条の二との関係でいきますと、この受ける業務が公の施設の管理委託という形でございますれば、現行法ではできない。ただし、今ではその公の施設の管理を委託をしているという実態もございませんので、二百四十四条の二との関係は生じておらない、こういうことでございます。
  206. 時崎雄司

    ○時崎委員 それでは次に、農薬問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  実は、この取手側のゴルフ場の予定地の上流から三分の一のところに、茨城県の県南水道企業団という上水道事業が行われております。取手を含めて三市一町、約十五万人に給水をしている事業団がございますが、その取水口がこのゴルフ場の予定地の上流三分の一のところにある、こういうことで大変危惧をいたしておりますし、先ほど利根川水系の河川敷内のゴルフ場及びゴルフ練習場の数、面積等も聞かせていただきました。大変貴重な水源のそばにたくさんのゴルフ場等が既に建設をされ、営業し、または今造成中のものもある、こういうような状況でございます。  そこで、幾つかお尋ねをいたしますが、先般出された環境庁のゴルフ場の農薬等による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず一つは、この指導指針に付随して三十県の調査結果が出ておりますが、その資料を見ますと、「指針値を超えた検体数」というところに一という数字があります。これは、三十県のゴルフ場の排水口からの検体のうち一件だけが今回出された指導指針による数値を超えていた、こういうふうに理解してよろしいかどうかお尋ねをいたします。
  207. 安橋隆雄

    安橋政府委員 このたび出しました指針値を過去に調査いたしました一万三千八百検体について当てはめた場合、最高値が指針値を上回るものが、農薬の種類で申し上げますと二種類、検体数で申し上げますと四検体あるということでございます。
  208. 時崎雄司

    ○時崎委員 そうしますと、今回厚生省が出された水道水等の取水口の段階での数値を十倍して、ゴルフ場の排水口での農薬の指針値がすべてこの十倍にされて文書が出ている。そうしますと、この二十一項目以外の農薬であれば何ら指針値が示されておりませんから自由に使う、こういう結果になりはしないかという心配が第一。  それから第二は、今言われたように、たくさんの検体を調べたけれども、二種類四件の検体だけが今回出された数値より上回っていた。そうすれば、この二種類四件にかかわる農薬を抑えるという指導はされるでしょうが、それ以外のところは農薬を減らすような指導をするということにはならない、逆に、数値以内であったからもっと使ってもいいのではないか、こういう結果になりはしないかという心配をするわけでございます。この点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  209. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私どもが暫定指導指針を出しました二十一種類の農薬と申しますのは、全国のゴルフ場で使われている主要な農薬ということで、典型的なものとして暫定的に出したものでございます。農薬の種類自体はたくさんございますし、数百種類に上りますし、私どもが調べましたものの取りまとめたものでも七十四の農薬に及ぶわけでございますけれども、しかしながら、この二十一種類で検体数の七割をカバーしているということから見ましても主要なものであるというふうに考えておりますので、大所のところはこれで押さえられるのではないかというふうに考えております。なお、この二十一種類は永久のものとは思っておりませんで、今後さらに研究を重ねまして、必要に応じてこの種類をふやしていくということは検討したいと思っております。  それからもう一つの点、指針の値自体、その範囲内であれば幾ら使ってもいいのではないかという御懸念でございますが、私どもといたしましては、指導の指針という意味ではこれは最高の値ということで、これを超えるといろいろ行政指導をしなければならない目安だと心得ておりますけれども、それを満足している限り幾ら使ってもいいというものではなくて、この範囲内に排水口の値がございましても農薬自体はできる限り減らしていただく努力を求めたいと思っておりますし、この暫定指針を通知しました通達の中でもそのことを申し述べているということでございますので、御理解いただきたいと思っております。
  210. 時崎雄司

    ○時崎委員 農薬の使用を抑制するということを前提に、五月二十四日に環境庁が都道府県に暫定指導指針なるものを示したわけです。しかし、結果としてそうなるのかということを尋ねているのです。  調査した結果では、今回出したこの指針よりもオーバーだった検体が四つしかないということですね。この四つは、確かにオーバーしていますから農薬を少し控えなければということになるでしょう。ところが、それ以外は指針以内に全部おさまってしまっているわけです。そうすると、今全国的に無農薬宣言をしたりしている運動が随分あります。千葉県の知事のように、これからできるゴルフ場はみんな無農薬だ、既にできているところも農薬を制限していこう、こうやっているのです。先ほど質問した取手もそうです。市長は無農薬宣言をしているのです。ところが環境庁がこういう指針を出したおかげで、いや無農薬でなくてもいいのではないか、この範囲なら農薬を使っていいじゃないか、こうなってしまう。私はそちらの方が大変心配なんです。検体から四件だけしか指針よりも高い数値が出ていないと言えば、四件だけは確かに農薬を制限するでしょう。あとはどうなるのですか。本当に農薬を使わなかったり制限するのですか。
  211. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先ほども申し上げましたように、この指針値の範囲内であれば幾ら農薬を使ってもいいということでは決してございませんで、農薬自体は適正に使わなければならないわけでございますし、また必要ないところに余計にまくこともございませんので、そういう意味では使用量をできるだけ減らしていただく、指針値の範囲内であれば使用量を減らさなくてもいいということではなくて、逆に、指針値の範囲におさまっていても使用量を極力削減していただくということも通達において同時に注意を喚起しておりますので、先生が御心配のようなことにはならないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  212. 時崎雄司

    ○時崎委員 これは見解の相違になるか、理解の相違になるかわかりませんが、私は、役所が出す指針とか基準というのはそれがもう免罪符の頂点なんだということが今日まであったと思うのです。それはいろいろな法律運用だってそうです。労働基準法なんかもそうではないですか。基準法に書いてある、それを守れば法律違反はしていない、こうなるのです。今全国的にゴルフ場の農薬を少なくしよう、使わないでいこうというときに、こういう指針を出したのでは逆効果ではないか、私はそう考えます。あなたは、いや今よりも減ると考える。私は、減るどころか、ますます農薬をばらまく方へ通達を環境庁は出したのではないかと思うのです。違いますか。業者の方、要するに末端が受けるときにどういうふうにとられるか。幾ら県が指導したって、いや環境庁がこの数値でいいのだと言っておるじゃないか、何で県はうるさいことを言うのだ、これでおさまっていればいいじゃないか、業者は必ずそう言いますよ。それならこんなものを出さないでくれて、農薬を使わぬように使わぬようにという指導をした方が環境保全のためにはなるのではないか、このように私は考えます。もう一度お伺いいたします。
  213. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私どもがこの指針を出しました趣旨は、今たくさんの自治体でゴルフ場の農薬問題が問題になっておりますときに調査をしていただいておるわけでございますが、その調査自体の中で、九四%は検出されなかったわけでございますけれども、六%の検体数からは農薬が検出された状況におきまして、その検出された状況自体がどのようなレベルにあるのかということの指導の指針が欲しいということでございましたので、そのレベル自体について指導していただく指針として出したものでございます。  そういう意味におきまして、私どもは、この通達を出すことによりまして免罪符を与えたというのではなくて、農薬の適正な使用に資するというようなことで出したものでございまして、この点を、単に一片の通達だけではなくて、私ども担当者会議も近々開くことにしておりますが、趣旨を徹底させて御懸念のようなことにならないように努めていきたい、かように考えておるところでございます。
  214. 時崎雄司

    ○時崎委員 この通達をずっと読ませていただいたのですけれども環境庁がこの通達を出すその気持ちと、この通達を受け取った都道府県、そしてそこが指導する業者、環境庁がこの通達によって農薬を抑えようという意図がどんなにあったとしても、こういうものは結果として農薬を抑えるどころか、ますます使う方向に行くのではないか。あなたが考えることはどんなことを考えてもいいのです、しかし結果はそういうふうにはいかないよ、私はこう言っているのです。これは私だけ言っているのじゃなくて、この通達が出る前に既に、こういうものを出そうということで新聞報道もされました。もうそのときから、これは免罪符を与えてしまう危険性があると言っているのですよ。これは私一人がそう感じているわけじゃない。それからもう一つ、一生懸命無農薬でゴルフ場をやらせようとして努力をしている千葉県知事その他自治体の長に水をかけるような結果にならないですか。
  215. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私どもが出した趣旨は既に述べたところでございますが、この通達の結果どのようなことになるかということについては、私どもはそのようなことにならないように今後とも努力していきたいと思います。  それから、この通達は、水道水源の安全性ということから、その目安を、厚生省の方で決められましたものに基づきまして環境庁の方で排水基準的なものとしてつくったものでございます。この目安をつくるに当たりましても、農薬なりあるいは医学の立場からの専門の先生方の御検討も十分いただいておるわけでございます。そういう意味では、この基準が守られているという限りにおきましては、環境に対する影響というものはないのではないかというふうに考えているところでございます。
  216. 時崎雄司

    ○時崎委員 前回の委員会でも局長は今と同じような発言をしましたね、専門の方々の意見を聞いたりということで。厚生省基準からゼロ一つ取っただけで何が専門家の意見ですか。ここにある数値と、五月十七日ですか、厚生省の出した通達と、どこがどうなのですか。この数値からマルを一つずつ抜いただけじゃないですか、違いますか。
  217. 安橋隆雄

    安橋政府委員 厚生省が出されました水道水源におきます暫定指針値ということと私どもの数字の関係でございますが、従来の知見からいたしまして、環境の方の問題と排水口の方の問題というのは十倍の関係にあるということでございまして、この数字につきましては、従来、工場事業場につきまして出しております環境基準排水基準の関係もそのようなことになっております。私どもとしては、この関係というのは現在の知見に基づきます限り妥当なものであるというふうに考えているわけでございまして、また、そのことにつきましても専門家の意見を十分聞いて慎重に検討した結果でございます。
  218. 時崎雄司

    ○時崎委員 私も専門家じゃないですから、ゴルフ場の農薬の指針値、排出口における今回出された数値と、厚生省水道水に使う取水口での数値、それが十倍が妥当かどうか、ちょっとわかりません。それはわかりませんが、ここでそのことをとやかくやり合うつもりはないのです。——ちょっと急に今長官が退席をするということですが、するのですか。(北川国務大臣「参議院の予算委員会に行かなくちゃいかぬので、できれば私に対してのがあれば先にしていただきたいのです」と呼ぶ)では、退席されるのなら……。  この通達を見て私びっくりしているのは、暫定という言葉が出ている。よって将来には本指針が出されるのだろうと私は期待しているのです。そのときに環境庁として、とりわけゴルフ場、これは農産物を生産しているところじゃないですから、ゴルフ場に対する農薬は少ない方がいいのか、農薬安全基準とかといって、そういう数値でもってこれがこの程度なら安全だからそれでいいんだというのか、できることなら農薬はゼロにしたいと考えるのか、その基本がこの中に欠落しているのです。ゴルフ場のようなところは米をつくったり果物をつくったり野菜をつくっているのじゃないですから、農薬はずばりない方がいい、しかし、それを一挙にできないから暫定的にこうするんだ、そして将来は全廃ができないとしても限りなくゼロに近づけるという気持ちがありや否や、まずここを長官に聞きたい。
  219. 北川石松

    ○北川国務大臣 時崎委員の御質問にお答え申し上げます。  環境庁の出しました指針によりましていろいろと御懸念があり、また憂いがある御質問はごもっともであろう、このように私は感じております。といいますのは、これは取り扱う者の、どのようにということの大事さの中で、指針が出たからそれでいいんだということになれば御指摘のような点が多々出てくるのじゃないかという思いをいたします。それからいま一つは、千葉県は思い切って知事が言ったので——私は農薬と規定されている以外に非常な薬害のある薬も世の中にあるだろうと思います。そういういろいろな点を勘案いたしますときに、環境庁といたしまして現時点で出しました指針というものを一応皆さんに示したことで、各地方自治体あるいは業者、ゴルフ場、いろいろな面から御指摘を受けるだろうと私は思っております。そのような御指摘を受けながら対策というものは立てなくちゃいけない、ただ法を出したからそれでいいんだということで安易なる考えのうちにあることは許されない、こういう思いをいたします。今後とも長官といたしまして、この問題についてはなおなお検討し、なおなおよりよい時点を生み出すように努力しなければいけない、こういう思いをいたしております。
  220. 時崎雄司

    ○時崎委員 後段は長官にのみ質問しようと思っておったのですが、参議院の関係でということですから、ここはやむを得ないということで、今から次官にじかに農薬問題についてお尋ねしたいのです。  先ほども言いましたように、この暫定指針なるものには環境庁として農薬はこうあるべきだ、ゴルフ場の農薬はこうあるべきだというものがまず根本的に欠落しているのですよ。私が考えるのには、私は農薬そのものを全部悪だとは思っていません、これは必要な部分もあるということは知っている。しかし、事ゴルフ場に関して言うならば、果たして農薬を使う必要があるのだろうか、今のようにグリーンに草一本生えないようなきれいな状態にしておかなければゴルフができないのか、極端な言い方をすれば、無農薬のためにグリーン上の芝がうまくいかなければ人工芝だっていいじゃないかと言う人もいるのですよ。それを米や野菜、果物と同じように、いや農薬は絶対必要なんだという思想に立つのか、そうではなくて——ゴルフ場は否定しませんからね、それはスポーツとかレクリエーションとか余暇の活用とか、いろいろなことで国民のニーズも高まっていますから。しかし、農薬を抑えたりゼロにしてもゴルフ場は成り立つ、私はこう思うのです。次官、ゴルフ場と農薬とどっちが先ですか。私はゴルフ場の方が農薬より先にあったと思っているのです。そうすると後で農薬がついて回ってきたのですから。昔は農薬なしでゴルフ場は経営できたのですよ。そういう点から考えると、私は農薬はゼロの方がいい、どうしてもというなら限りなくゼロに近い状態、事ゴルフ場に関する農薬ではそう考えるが、次官はどうですか。
  221. 木宮和彦

    ○木宮政府委員 時崎先生の御発言のとおりだと思います。この問題は大変難しい問題だとは思いますが、一つには、やはり農薬としてこれは科学的に考えれば、農業で使おうがゴルフ場で使おうが人間に対する害というものには寸分も変わりはないと思います。しかし、やはり同じ農薬でも使う場所によって、国民感情としてできることならゴルフ場の方は遠慮してもらいたい、これが千葉県の知事さんの発言だろうと私は思います。私は、それもよくわかります。  なお、芝生については農薬をどうしても使わなければならないということばかりではないと思いますが、この辺は恐らく、暫定という言葉もございますが、これから我々も本当に真剣に考えてゴルフ場の農薬については対処していくべきだ、私はそう考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  222. 時崎雄司

    ○時崎委員 今の発言は、私の発言そのとおりだ、こう言いましたからぴったり一致するのかと思ったら、後ろの方が若干加わったのでもう一度お尋ねしますが、ゴルフ場に農薬は、今は別として、将来的には使わない方がいい、そのためにどうするか、例えば農薬をまかなくとも十分に芝として生育のできるような新しい芝の開発とかいろいろなことがあると思うのですが、将来的には農薬を使わないで済むようなゴルフ場管理、経営というものをしていくのがいい、こうお考えなのかどうか、その点だけ。
  223. 木宮和彦

    ○木宮政府委員 先生御指摘のとおり、使わなければそれにこしたことはございません。ただ、限りなく全廃するということがあり得るかどうかということはまた違う論議があろうかと思いますので、その辺は科学的にも許容の範囲というものはやはり当然あると思いますが、精神的には使わない方がいい、私はそう思います。
  224. 時崎雄司

    ○時崎委員 余り時間もありませんでこのことだけであれですが、人の体にかかわることで、薬の関係ですね。厚生省はいろいろな薬を許可をいたしますね。これは厳重に取り扱いをして薬を許可したりするのですね。ところが、何年かたってみたら、それは副作用その他があってまずいということで取り消すこともあるのですね。一番重要な人間の生命なり身体、健康、そういうところの薬であってもそういう場合がある。ましてや、とまでは言いません、農薬についてだって、それ一つずつ見れば大丈夫と言いながらも複合的な汚染だって考えられる、そういう性格のものだろうと私は考えています。したがって、どちらをとるかというときに、あえてゴルフ場の芝を青々としておくそのために農薬を使う必要はないのではないか、私はこう申し上げているわけです。科学的云云じゃなくて、農薬全廃に向けて今後指針を直していくということであれば、ぜひともその方向で努力をしていただきたい、このように申し上げておきます。  最後に、水質の汚濁もそうですけれども、前回の自然環境保全法等の一部改正の審議でも私はゴルフ場問題で随分言いました。私ども地球環境を守る、そしてまた日本の環境を守るというときに、特に決め手になるのは何なんだろう、このことを私は常日ごろから考えておるわけですが、どうも小手先だけの対策では環境を保全することすらできないという気になっているのです。  例えば東京、これは午前中の委員会審議を聞いてもわかるように、ごみの捨て場がなくなる、処理ができなくなってしまう。排水等についても今法律が出ているように家庭雑排水まで網をかぶせて何らかの規制をせにゃならぬ。飲み水だって、少し渇水になればあるのかないのか、そして一たび出れば交通戦争で大気汚染、排気ガス、そして勤めているところと住んでいるところがだんだんだんだん遠くなって、地価高騰のおかげで東京には住めない。こういうことを考えたときに、これまでの日本の歴史というものから見て、どうも私ども自然の浄化能力以上の過度な一極集中をしてしまっているのじゃないか、私はこう思うのです。  そこで、環境の保全なり環境をよくしようという場合には、日本国土の中に適正に人間の住みかをばらまくしかないのじゃないか、もう東京などには住まないようにしなければならないのじゃないか、私はこう考える。そうしない限り、東京の環境を守ることはできないのじゃないだろうか、私はこう考えるのですが、どのようなお考えでしょうか。
  225. 安橋隆雄

    安橋政府委員 東京のような、産業人口が過度に集中しているようなところの環境問題を改善していく基本といたしまして、その前提として地方分散を図っていくということは非常に重要なことである。逆に申しますと、過度の集中が現実の問題として行われている限り、そこにおきます環境問題の改善というのは非常に難しいというふうに考えているわけでございます。
  226. 時崎雄司

    ○時崎委員 これは長官がいれば一番いいのですが、ところが最近、よくいろいろな国会の議論なり総理大臣の施政方針演説などを聞いていると、十年間で百万戸、東京にまた良質の安い家をつくるなどと言っているのですね、どうも今の話からすると逆行するような。環境を守るという観点からするならば、もう東京などには家をつくらない、人も集めない、こういうような政治と行政が必要なんだろう、私はこう思うのですが、次官どうですか。     〔佐藤(謙〕委員長代理退席、委員長着席〕
  227. 木宮和彦

    ○木宮政府委員 一極集中のいろいろな意味において論議されておりますし、またそれによって環境を守るためには大変難しい事実があると思います。しかし、環境だけが人間の社会ではないものですから、いろいろの要素に従って一極集中が今も行われていることは事実だと思います。しかし、これは政府も当然取り組まなければならない大事な問題だと思いますが、やはり国民の意識を高めた上においてこの困難な状況を直していくという姿勢を一人一人が持っていただかないと、なかなか解決ができないものではないかな、私はそう思っておりますけれども
  228. 時崎雄司

    ○時崎委員 最後に、環境庁長官もいないのですがお伝えをいただきたいと思うのは、私は今回の水質汚濁法の一部改正法律案、これは必要でないとは言いません、しかしこの程度のことではもうどうにもならないところに東京周辺を含めて環境が悪化をしているのではないか、この点の対症療法ではもうだめなのではないか。これは自然環境保全法のときにも申し上げました。高山植物を損傷した、それに一年以下の懲役を科したくらいで日本の自然が守れるほど生易しいものではないと私は思うのです。一方では、先ほどから言うように建設省がどんどん河川敷までゴルフ場に土地を貸してしまうのですから。そうじゃないですか。そして、そこで農薬を使ってばんばん経営していたって、それは建設省、いや貸したのは私のせい、検査はしていません、こういうことでしょう。すぐそばに取水口があって、我々はその水を飲んでいるのですよ。これはやはり政府全体の姿勢の問題にかかわると私は思うのです。ぜひ閣議において、先ほど言われるように過度の集中が環境悪化を招くというならば、過度の集中をするような政策は今ストップをする、何とかして分散をする、こういう方法に閣議の中でも頑張っていただかなければ私は環境を守れないというふうに思うわけです。そのことを最後に申し上げて質問を終わります。どうもありがとうございました。
  229. 戸塚進也

    戸塚委員長 遠藤和良君。
  230. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 最初に委員長に申し上げますが、この間もそうでございましたが、私の質問になると大臣がいなくなっちゃうのですよ。やはり大臣にはこの場においてぜひ聞いておいてもらいたいことがたくさんあります。したがって、きちっと大臣がいる委員会の運営をぜひお願いしたいと思います。
  231. 戸塚進也

    戸塚委員長 遠藤君に申し上げますが、参議院の予算委員会が開かれまして、大変御迷惑をかけて申しわけございません。現在のところでは、大臣が今こちらに向かっているそうでございますから、もう一、二分で着かれると存じます。
  232. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、私は本日の議案でございます水質汚濁防止法改正案に対しまして、まず法案改正された後どうなるのかという問題から質問をしたいと思います。  この法案は、御承知のとおり環境庁がお金を用意している法案ではありませんね。したがいまして、この法案ができた後はそれぞれ従来の施策が集中的に行われるようにする、こういう配慮を環境庁が行う法案であると私は認識するわけでございます。さて、その従来行われている生活雑排水等に対する現行対策、これを順次、きょうは各省庁来ていただいておりますのでお伺いをいたしまして、その進捗状況並びに今後の見通し、そして平成二年度の予算はどのようになっておるのかを聞きたいと思います。  まず、下水道地域集合処理施設としまして、建設省は流域下水道、公共下水道、それから特定環境保全公共下水道、この事業があります。それから厚生省はコミュニティープラント、生活雑排水処理施設整備事業、農水省は農業集落排水事業があります。それから個別家庭処理施設といたしましては、厚生省合併処理浄化槽設置事業、それからこれは融資制度でございますが、公害防止事業団が合併処理浄化槽貸付業務、さらに住宅金融公庫は小型合併浄化槽地域政策割り増し貸付制度等があるわけでございます。これに対する、一つは本法案が通った後それぞれの省庁におきましてどういう取り組みをするのか、展望も含めまして答弁をお願いしたいと思います。
  233. 仲津真治

    仲津説明員 お答え申し上げます。  まず、下水道整備の現状と今後の見通しについてでございますけれども、我が国の下水道整備は、普及率という指標で汚水中心でございますがはかっておりますが、昭和六十三年度末で四〇%ということで、先進国に比べてまだ非常に立ちおくれた状況にございます。その整備促進を鋭意図っているところでございますが、中期的には西暦二〇〇〇年、平成十二年でございますが、下水道普及率を七割ほどまでに上げたいということで努力しているところでございます。  なお、平成二年度予算におきましては、現在御審議をいただいておりますが、第六次下水道整備五カ年計画の最終年度であるということでございまして、総事業費二兆三千億ほど、うち公共下水道一兆七千七百億強、それから流域下水道四千億強、それから特定環境保全公共下水道五百億鹿で、その中で対応しておるところでございます。よろしくお願いいたします。
  234. 岩本荘太

    ○岩本説明員 農林水産省の農業集落排水事業の実施状況でございますが、この事業は、農業振興地域における農業用排水水質保全並びに農業用施設の機能維持、さらには農村生活環境の改善等を目的として、農業集落を対象に実施してまいっているものでございます。  平成二年度の予算につきましては、政府原案で、農業集落排水事業、国費で三百十一億円、前年比で一一五%でございます。進捗につきましては、農業集落排水事業として、平成元年度、昨年まででございますが、採択済みの処理人口が八十七万人でございます。ちなみに、農業振興地域内に居住する人口に対しましては大体二・三%に当たっております。  そういう状況でございますので、今後とも農村地域の水辺環境の保全に資するために積極的に事業を推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  235. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 私の方から、コミュニティープラント、それから生活排水処理施設、また合併処理浄化槽設置整備事業につきまして御説明を申し上げます。  コミュニティープラントにつきましては、昭和四十一年度から事業を実施いたしておりますけれども、平成元年度末までの施設整備状況は二百七十四施設でございます。また、生活排水処理施設、これはいわゆる雑排水を集合的に処理する施設でございますが、昭和五十九年度から実施をいたしておりまして、元年度末までに二十施設整備いたしております。  次に、これらの二年度の予算額でございますが、ただいま御提案申し上げております予算案の中で、コミュニティープラントにつきましては八億三千六百万、生活排水処理施設につきましては一億八千六百万の予算を計上しておるところでございます。  次に、合併処理浄化槽設置整備事業でございますが、これにつきましては昭和六十二年度から実施をいたしておるところでございまして、事業の実施市町村数で申し上げますと、六十二年度五十五市町村でスタートいたしましたが、元年度につきましては四百八十市町村ということで伸びてきております。また、二年度予算案につきましては、対昨年度五五%増の三十二億円を計上しておるところでございます。  次に、今般の法案を受けまして今後どのようにこれらに取り組んでいくかということでお尋ねでございますけれども、今回の法改正が成りますと、環境法の立場からも生活排水対策の推進ということがうたわれることになるわけでございますし、また国民の責務といたしまして、努力規定ではございますけれども、「生活排水による汚濁の負荷の低減に資する施設整備に努めなければならない。」というような規定も盛り込まれることになるわけでございますので、私ども厚生省といたしましても、廃棄物処理行政の立場から生活排水対策を推進していくために、ただいま申し上げました事業を今後大いに伸ばしていきたいと考えておるところでございます。
  236. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そこで、本法案をつくりました趣旨でございますけれども一つは、環境庁の認識ですが、今さまざまなメニューがありましたね。その中で建設省さんが行っております都市の下水道の普及率が今四〇%である。今は、平成十二年、七〇%ぐらいまで持っていきたいという話があったわけでございますが、なかなか進捗しないわけですね。毎年大体一%か二%ぐらいの進捗率である。環境庁さんは何か、これが全部一〇〇%普及するのは六十年ぐらいかかるのではないかというような認識を持っているようでございますが、建設省さんの認識とは少し違うようです。いずれにしましても、建設省が行っている公共下水道だけでは生活雑排水処理にならない、こういう認識のもとに、この文面では合併処理浄化槽の文言はないのですけれども合併処理浄化槽の早期普及、そして行政側のバックアップあるいはPR、そしてもう一つは国民の自覚の高揚、こういうものを法制化したものが今回の法案である、このように認識してよろしゅうございますか。
  237. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今回御提案申し上げております法案改正のねらいでございますけれども、従来産業系中心にやっておりました水質汚濁防止行政の中で、汚濁負荷量から見まして見過ごすことのできないシェアを占めております生活系につきまして、産業系とは違った手法対策、枠組みをつくっていこうということでございます。  その場合に、一つハード面といたしまして排水の浄化施設整備を図るということでございます。その排水の浄化施設と申しますものにはいろいろございますが、やはり下水道が基本になることは確かでございます。それぞれ施設の特徴あるいは長所短所といったものもございますので、その施設の特性を生かしながら地域に最も合った施設整備していただく、その判断を市町村長さんの判断にお任せするということで市町村長さんに整備計画を立てていただこう、こういうことでこの法案を準備したわけでございます。それからもう一つはソフトの面でございますけれども排水対策につきましての普及啓発といった事業も市町村中心にやっていただくという、いわばハード、ソフト両面の対策生活排水対策として御提案申し上げているということでございます。その場合にはやはり国民の自覚といったものが基礎に置かれるべきであるというふうにも考えているわけでございます。
  238. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そこで長官ちょっと聞いてもらいたいのですけれども、生活雑排水をどうするかという計画は市町村が行う、こういうことなんですが、ここに一つ壁があるのですね。といいますのは、現在、流域別の下水道整備総合計画というのがありますね。それによりますと、下水道整備対象区域あるいは下水道等の確定区域、細かく申し上げますと、都市計画の決定だとか事業の認可だとか承認等の手続によりまして下水道等の整備が公的に認められた区域及びこれと一体となった全体区域等については、個別処理かあるいは集合処理かの選定基準にかかわらず、集合処理を採用するということになっているわけです。ということは、こういう計画が認可されているという地域においては各市町村が個別処理をやりたくともできないという状態があるわけです。  私は思うのでございますけれども、いつまでたっても来ない流域下水道を待っていて日が暮れてしまうという状態じゃなくて、早く個別処理、いわゆる合併処理浄化槽の普及をやりたい、こういうふうに例えば市町村が認識をし、そういう計画が自由に立てられるかどうか、ここのところが非常に問題なんです。計画が既にある、これを全く白紙に戻して本当にその地域に即した計画をフリーハンドで立てられるように指導するのが環境庁長官のリーダーシップではないかと思うのですよ。そうでなければ各市町村は自分に適した計画を立てようがないのです。市町村に計画を立ててもいいという法律なんですけれども、実態的には建設省下水道事業の方が早かったわけですね。これは計画は既に策定されております。厚生省の方は後からスタートしております。ですからどうしても採択しようにもなかなか採択できないという事情がある。この辺などう調整をし、リーダーシップをとるのか、ここのところの決意を聞きたいのです。
  239. 北川石松

    ○北川国務大臣 遠藤委員の非常に実質に即した御質問だ、このように承りました。特に、各市町村が広域下水道とかいろいろな法律の中で計画決定をしておるわけでございますが、その中でこの法案を出しまして、現実に即して各生活雑排水対策を新しくおやりになるときにどうするのだ、長官リーダーシップをとれ、こういう御指摘だと思うのでございます。私は、これは各関係諸庁それから地方自治体、こことじっくりと取り組んでいく必要がある、と同時に、これがいいと思えば素直に、縄張り争いというようなそんなちゃちな考えは捨ててしまって、どうしたら環境がよくなるかということに皆さんの合意を得るような努力をしなければいけない、こういう思いをいたしております。
  240. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私聞きましたのは、各省庁それぞれのメニューがあるわけですね。そしてそれぞれの見通しを持っている、予算の配分もある。しかしそれを受けるのは市町村なんです。実態的には、市町村でそれぞれの省庁の見通しに合わない部分が出てくるのですね。この部分をどう調整するかということなんですよ。市町村に計画を任すと言いながら今お役所の方で全部計画をつくってしまっているのです。予算も全部つくっていますよ。例えばこの予算を見ても、建設省関連の予算は当初予算で二兆三千億円でしょう。ところが厚生省の方の合併処理浄化槽は、多くなったといっても三十二億円ですよ。けたが全然違うということです。そうすると、市町村の選択の余地というのは実態的にはかなり狭められてくるわけです。自由に選択していいですよ、計画をつくっていいですよと法案には確かに書いてあります。でも、その実効性になると、全部上の方から予算の制限がある。これじゃこの法律はつくったものの全部予算で縛られているじゃないか、これをどうするのですかという問題なんですよ。  私は、個別家庭処理というものが今後早急にやる行政としては重要な柱ではないかと思います。例えば、いろいろな学者の意見を聞きますと、大きい下水道地域の水の循環を破壊しているという意見がありますね。人工の川をつくってしまう、その結果、終末処理でいきなり海に出てしまう、だから川の水が減ってしまう、水の循環がなくなってしまうという話があります。長官、この間の質疑の中で、水三尺流れれば清しと言いましたね。そういう水の循環が破壊されているという面があるわけです。ところが、この合併処理浄化槽というのは水の循環そのものなんですよ。自分のところでつくった生活雑排水を自分のところで浄化して、それを川に返すわけですから川の水の量は減りませんね。そういうことからいくと川の水の保全にもなるし、水の循環という理屈にも非常にかなった施策なんです。ところがこちらの方は後発の事業ですからどうも日が当たらない、予算も少ない、こうなるわけです。各市町村が採択するに当たって、大きな集落のところはまた別です、しかし小さな都市だとか、あるいは個別の方が早いというところもあります。あるいは、個別というのは個人負担があるわけで、ある意味で民活事業という認識もできるわけです。しかも予算が少なくて即効性がある事業である。こういうものは、私は厚生省の肩を持つわけではないのですけれども、水を早くきれいにする、川をきれいにする、清流を取り戻す、こういう意味では大変理にかなったことではないかな、こちらの方がより優先されてしかるべきではないかな、こういう考え方の市町村の人も多いわけです。  これがもっと自由に選択でぎるように、ぜひ長官のリーダーシップをお願いしたい、こういう考え方なのですが、どうですか。
  241. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先生御指摘のように、一言で浄化施設と言いましても、下水道なり、あるいは合併浄化槽なり、今お話が各省からございましたような、その他の農業集落排水事業でございますとか、コミュニティープラントなどもございます。それぞれ施設によって特徴がございまして、合併浄化槽につきましては、今先生御指摘のとおり機動性、簡便性というようなものもございます。一方、下水道の方は大量処理で、かつ人口が集中したところに向いており、その保守管理も公共主体が行うというような特徴があるわけでございます。そういったことでございますので、いずれがどの地域に一番適しているかということについては一概には言えないわけでございますけれども、やはり基本的にはそれを選択する場合の着眼点といたしまして、どのような人口状態にあるか、あるいはどのような水質の汚染度合いにあるか、あるいは諸施設の計画がどのようになっているかというようなことを踏まえまして、それぞれの事業の実質的な事業主体である市町村長さん自体が判断してお決めいただくということで、その決められた計画に従って国の方は、それぞれの施設整備について予算の重点的配分を行うということで生活排水対策をより進めていきたいということでございます。  合併浄化槽下水道との関係について申し上げますと、下水道がすぐ来るようなところに合併浄化槽をつくるというのは投資のむだというようなこともございますけれども、逆に、計画はあるけれどもなかなか下水道が来ないというふうなところにつきましては、やはり水質の早期浄化ということから合併浄化槽を入れるというようなことも適当な地域もあろうかと思います。また、散居のような状況になっておりまして下水道自体が効率的でないというような地域もあるわけでございます。いずれにしましても、そういったことの選択につきましては市町村長さんの御判断にお任せするということで、それでつくられました計画について国は総合的に重点的に援助していくというような仕組みを考えることによりまして水質保全の実を上げたい、こういうふうに考えておりますので、よろしく御理解いただきたいと思うわけであります。
  242. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから僕は言っているのですけれども、長官に二点言っておきますよ。一つは、下水道建設省さんです。合併処理浄化槽厚生省さんです。それから、農業集落排水事業は農水省さんです。各省ばらばらではいかぬ。これはやはり環境庁として調整をしなければならない。これは国の仕事ですね。もう一つは、この実施部隊である市町村が今までの計画の有無にとらわれないで、こういう法案ができたのですから、計画を立てるわけですね。そのときに、一遍白紙に戻して、その実効性というものを見きわめながら、もう一回新たな気持ちで計画を立てていいんだよ、こういうことを僕は言ってあげる必要があると思うのですよ。そうでなければ、今までの計画があるところは何となく遠慮して、そのまま行きましょう、こうなってしまうのですよね。これは一回全部白紙に戻して、そしてそれぞれの自治体がフリーハンドで計画をつくれる。それはもちろん県とも調整する必要がありましょうし、いろいろな調整は必要だと思いますけれども、白紙還元をして計画を立てて結構です、これを言うと、長官のリーダーシップだと私は思うのです。どうでしょう。
  243. 北川石松

    ○北川国務大臣 遠藤委員のリーダーシップについての御指摘は、ある面で大変ありがたいと思います。それは環境行政を貫くためには、率直に言って事業予算があるいは建設省厚生省、農水省と分かれておりますから、各都道府県を見ますと、やはり事業予算をもらうところに重点を置いている、これはやむを得ないと思うのです。そういう中で環境庁は何らの事業予算も持っていない。これが今の行政の形でございますので、常に申しておりますのは、各省庁間とよく連携とそして話し合いを保ちながら環境庁としてはリーダーシップをとっていきたい。そのとっていくためには、私はやはりいろいろの流れとかいろいろな壁があると思うのですが、先ほど申しましたように縄張り争いにとらわれずにやっていきたいということを再度申し上げまして、今後の環境庁の行政指導にしていきたいという思いをしております。  白紙還元につきましては、ここでそのことを私が言明することによりまして、より以上マイナス面が生じてはいけない、この点を心配いたしますので、私も大変はっきり言う方でございますけれども、この点につきましては検討をさせていただきたい、この点で御理解を賜りたいと思います。
  244. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いずれにしましても、環境庁としては法律はつくるわけですけれどもお金はつけないわけですね。しかも、法律をつくって具体的にそこで成果を出さなければいけないわけです。こうなってくると、これは各省庁を初め地方自治体の皆さんにも御理解をいただいて、環境保全、水質汚濁を防止するために、より地域に密着した本当に良好な施策がとれることが一番大事なわけでございますから、ぜひその辺のきちっとした見識を踏まえて調整をしていただきたい。  私、今申し上げましたけれども、何も下水道はやめとか、そういう話ではありません。これはぜひ御理解をいただきたいと思いますが、建設省さんは建設省さんなりに大変努力をされて今までの水準になってきました。しかし計画は大きいものですから、直接住民にすぐに役立つような事業にならない性格がありますね。この辺もよく踏まえて、私はこの法案が通った後の話をしておるわけでございますが、よく目を光らせて、そういう調整をお願いしたい、こういうことを強く要望申し上げまして、質問を終わります。
  245. 戸塚進也

    戸塚委員長 斉藤節君。
  246. 斉藤節

    斉藤(節)委員 まず本法案の概略について、私がどう考えているかということについて申し上げるわけです。  本法改正案の提出に至りました経緯でありますけれども、本法案の提出理由の中にありますように、閉鎖性水域とか都市中小河川などにおける水質基準の中で生活環境項目環境基準の達成がおくれている。その要因の中でも生活排水が大きなファクターになっていることは私も否定することはできないわけであります。そういう観点から、対策推進の責任の所在などを含め、制度として整備し、生活環境項目環境基準の達成に向けて努力しようとしている点では、私は評価できるものであると思っているわけでございます。  それで、私は以下、この達成のために具体的にどうしていくべきかなどについて質問してまいりたいと思うわけでございます。  まず水質汚濁の状況河川、湖沼、海域についてお尋ねしたいわけでありますけれども、現在、河川、湖沼、海域、特に閉鎖性ですね、それらの環境基準の達成率はどうなっておりますか、お知らせ願いたいと思います。
  247. 安橋隆雄

    安橋政府委員 現在の水域別の環境基準の達成状況でございますけれども、生活環境項目について、CODないしBODでつくっております環境基準の達成状況でございます。昭和六十三年度でございますが、河川におきましては七三・〇%、湖沼につきましては低うございまして四三・三%、海域におきましては八二・七%ということになっております。閉鎖性の強い湖沼につきましてはまだ環境基準が半分も達成されていないという状況にございます。
  248. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今局長が御答弁されましたのは、平均値を述べられたわけでございますか。
  249. 安橋隆雄

    安橋政府委員 平均値と申しますよりも、いわゆる七五%値ということで申し上げたわけでございます。
  250. 斉藤節

    斉藤(節)委員 七五%。つまり今おっしゃいました、河川が七三・五%、湖沼が四三・三%、海域が八二・七%ということでございますね。それで、特に閉鎖性の総量規制されております東京湾伊勢湾瀬戸内海、これは私が入手しました資料では、東京湾が六三%、伊勢湾が六五%、瀬戸内海八一%というわけでありますけれども、この海域八二・七%というのは、これは閉鎖性でないところも全部含めて平均でございますね。
  251. 安橋隆雄

    安橋政府委員 おっしゃるとおりでございます。海域全体の数値でございまして、先生御指摘の閉鎖性海域でございます東京湾伊勢湾瀬戸内海につきましては、その値よりも達成率は低うございます。
  252. 斉藤節

    斉藤(節)委員 じゃこの東京湾伊勢湾瀬戸内海でありますけれども、これは環境六法のこれによりますと、東京湾といいましても広いわけでございまして、これを見ますと類型が、Aが二つですか、あと大体BとCというようなところですけれども、これでいきますと、六三%というのは平均して達成しているということでございますね。
  253. 安橋隆雄

    安橋政府委員 東京湾におきます各測定地点の平均でございます。そのような意味では先生のおっしゃるとおりでございます。
  254. 斉藤節

    斉藤(節)委員 東京湾の場合、あるいは伊勢湾瀬戸内海が大変悪いわけでありますけれども、この類型も大体平均してBからCなのですね。それの達成率が六三%ということでございますから、私は、大変悪いな、そんなふうに思うわけでございます。  そこで、私が入手しました三海域の資料によりますと、発生源別汚濁負荷量の割合、これを見ますと東京湾生活系が六八%、産業系が二一%、その他一一%、また、伊勢湾におきましても生活系が五三%、産業系が三五%、その他一一一%、それから瀬戸内海生活系が四九%、産業系が非常に多いのですけれども四一%、その他一〇%、こういうふうにパーセンテージであらわしていただいているわけでありますけれども、これはどういう環境指標の何でおやりになった値でございますか。
  255. 小林康彦

    ○小林説明員 お尋ねの指標でございますが、総量規制制度の指定項目でございます化学的酸素要求量CODを計算をいたしまして、その結果に基づいて割合にしたものでございます。
  256. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今参事官のお話でわかりましたけれどもCODであるということでございますけれども、私が入手しましたこの論文などを見ますと、環境指標でありますところのCODというのは、測定の上で非常に問題があるということでございます。これは東京湾に流れ込んでくる川はBODではかっているわけでありまして、それが今度海に入ってしまえばCODではかるということになりますと、はかられる対象がかなり変わってくる。  これは一九八五年八月に発行されました「現代化学」でございますけれども、これの筆者は東京大学工学部の中西準子さんという方の論文でございますけれども、この人の論文によりますと、CODというのははかれないものが非常に多過ぎる。特にCODのマンガンの場合は非常に多いということを論文で発表されております。どういうものがよくはかれないかと申しますと、有機酸ですね。有機酸というのは、酢酸だとかリンゴ酸とかクエン酸とかこういったようなものでありまして、特に産業排水などは、食品製造会社、こういうところで大変たくさんこういうものを使っているわけでありますけれども、こういうところから出てくる有機酸が非常にはかられていない。この論文にもありますけれどもCODマンガンというのは値がかなり小さい値で出てくる。BODに比べましても小さい値が出る。  そういう点で、こういうようなあれではかられました表でありますけれども、これは環境庁さんから得た資料でございますから、環境庁さん、よくおわかりだと思いますけれども、その三海域の発生源別汚濁負荷量の割合を見ますと、先ほど私が読み上げたとおりでありますけれども、これはちょっとパーセンテージが大分変わってくるのじゃないかなという気がするわけです。と申しますのは、もう少し産業系がふえてくるのじゃないかなという気がするのですけれども、その辺、いかがでございますか。
  257. 小林康彦

    ○小林説明員 水質の指標につきましては、何を対象にはかろうとするか、それからその対象物に対しましてどの程度の精度で把握できるか、あるいは測定法の簡便性でございますとか経済性、環境への負荷というようなものを考慮いたしまして、基準策定という点でいきますと、どれだけのデータの蓄積があるか、基準策定の根拠として使えるかというようなことを勘案をして採用しておるわけでございます。  海域のCODの測定方法、何種類かございまして、酸化剤の種類でございますとか、あるいは反応時間、あるいは試薬の有害性、機器の必要性等ございまして、現在環境基準及び排水基準、おおむねのところは過マンガン酸カリを使っての測定法としておるわけでございます。この測定法ではかれない物質というのは確かにございますが、基準策定から排水規制に至るまでいわば過マンガン酸カリ法に基づくCODで一貫をして規制あるいは把握をしておるものでございまして、現在のところ、それほど大きな支障はないというふうに考えております。  ただ、先生御指摘のとおり、最近新しい試験法も開発をされ、研究もされておりますので、既存の指標、測定に加えまして新しい手法につきましても調査研究は進めていきたいと考えております。
  258. 斉藤節

    斉藤(節)委員 御説明で大体わかりましたけれども、私が申し上げますのは、河川BODでやっておるわけです。それに対して海域はCODなんですね。そういう点で、入ってくるものの測定は、指標はBODで、はかられているものが違うわけです。いわゆるバクテリアが食べれるものをはかっているわけです。それに必要とする酸素量をはかっておるわけです。それに対して今度こちらの方は、海域はCODでありますから、化学薬品で分解されるとき必要とする酸素量でありますので、その辺は大分違うわけです。  そこで、私がここでぜひこういうことをやってほしいとお願い申し上げたいのは、CODも過マンガン酸カリウム法によるものではなくていわゆる重クロム酸カリによるクロム法に切りかえていただいてはどうかな。クロム法ならばかなりBODの値と近い値を与えるわけでありますから、そういう点で重クロム酸カリによるクロム法に切りかえてほしい。確かに、クロムは六価クロムを使いますので、そういう点でクロムの後処理が大変問題になるわけでありますけれども、しかし現在クロムメッキは、こういうものは全部クロムメッキしてあるわけでありますが、そのメッキに使う重クロム酸の量というのは大変なものでございまして、それに比べれば滴定に使う量はほんのわずかでありますから、そういう点で処理法も大した問題にならぬだろうと思う。そういう意味で、今までCODは過マンガン酸カリウムでやってきたわけでありますからそれと値を比較するために、今までずっとやってきた継続がありますからそれはそれとしてやっていただいて、さらに何点か試験的にはかっていただいて、何しろ私たちの目的は湾の水をきれいにしなければならぬ、また川の水をきれいにしなければならぬということでございますから、ただはかってどうだったというだけでは困るわけでありまして、あくまで東京湾なら東京湾をきれいにしなければならぬということで、ぜひそういうことも試みてほしいと思うのですけれども、その辺いかがでございましょうか。
  259. 小林康彦

    ○小林説明員 お話のとおり、クロムによります方法の方は酸化力が強くて、一般的に値が大きく出るというのはそのとおりと承知をしております。ただ、試験法にはそれぞれメリット、デメリットがございまして、先生から御指摘をいただきましたように、クロムの処理は、大量に使うところでございますと専門的に処理の体制が整いますけれども、少量の試薬の場合には排水処理はかえって厄介、管理体制をしくのも難しいという問題もございます。いずれにいたしましても目的は水質汚濁でございますので、水中での難分解性の有機物がどういう形で動いていくか、これの追跡とあわせまして、望ましい測定方法につきましても今後とも調査検討をしていきたいと思っております。
  260. 斉藤節

    斉藤(節)委員 参事官、どうもありがとうございました。大変よくわかりましたけれども、ひとつ努力をお願いしたいと思うわけでございます。  次に項目を変えますけれども、先ほども同僚委員の遠藤委員の方からも質問があったわけでありますが、まず我が国の下水道の普及率でございます。  建設省さん、来ていただいていますか。まず、普及率はどんなふうになっているのでございましょうか。地域別、そしてまたその理由について御説明願いたいと思うわけでございます。
  261. 仲津真治

    仲津説明員 我が国の下水道の普及率でございますが、昭和六十三年度末の全国平均で四〇%でございます。これは地域別となりますと、各都道府県別にとってございますのでかなりばらつきがございますが、同じ昭和六十三年度末で見ますと、一番高いところで八四%、一番低いところで三%ということになってございます。
  262. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ありがとうございました。  その県別普及率でございますけれども、これは「水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案参考資料」という衆議院の環境委員会調査室からいただいた資料でございますが、それの三十八ページに「都道府県別下水道普及状況及び下水道普及率の推移」というのが載っております。この表によりますと、私どういうわけなのかなと非常に不思議に思いますのは、和歌山県は普及率が三%、島根県が七%、徳島県が九%、高知県が九%、佐賀県が八%、三重県が九%というふうに一けた台でございます。これは県の事情がおありなのかもしれませんけれども、なぜこんなに低いのか。それから、普及率の前年度からの増加分を見ますと、この一けたのところは、三重県はゼロ、佐賀県は一%、高知県がゼロ、徳島県もゼロというようにこれも非常に低いわけであります。都道府県によって差があり過ぎるような気がするのですが、どういう理由でございますか。
  263. 仲津真治

    仲津説明員 今先生挙げられた例は、いずれも一〇%より低い下水道普及のケースだと思うのですが、いずれもいろいろ事情があるようでございまして、私ども当たりましたところ、まず地形的に山岳地形が多いとか都市化がそれほど進んでいないといった状況で、下水道整備をしなければならないという必要性の認識が低いところがあった、その結果事業の着手がおくれたという点がまず挙げられるようでございます。それから、下水道以外で道路、河川、その他さまざまな公共施設があるわけでございますが、他の公共施設下水道整備より優先されてきたという経緯のあるところでございます。さらにもう一点、下水道の普及率というのは、これは実は汚水についての普及率でありまして、総人口を分母として処理される人口処理可能人口を分子として出してございますけれども、といたしますと、その下水道の役割にもう一つ重要なものとして雨水がございますが、その雨の水をさばく雨水対策が優先されたといった事情で普及率が非常に低いところがあるということのようでございます。  それから、前年度に比べてほとんど伸びてないところがあるではないかというお尋ねがあったかと思いますが、これは投資を全くしていないというわけではないのですけれども、幹線管渠ができてそれにさらに末端の管渠がつながって初めて普及率につながるわけですが、なかなかそこまでいかなくて、先行投資の幹線管渠の段階にとどまっておる、事業費は投入されるけれども伸びないというような現状がございまして、前年に比べてほとんど伸びていないというところはそういう事情もあるようでございます。
  264. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そういう事情がおありだということでありますけれども、しかし余りにも低い値に私は驚くわけであります。何しろ全国平均四〇%というお答えでありましたから、こういうところもあるのかなと思いますけれども。  そこで、これは先ほど同僚の遠藤委員も質問しておりましたけれども、まず自家浄化槽合併浄化槽の普及と下水道計画、先ほども盛んに環境庁長官にリーダーシップをとってこれをやるべきだという御発言がありましたが、私もこれで非常に心配しておるわけでございます。と申しますのは、流域下水道あるいは公共下水道がいつできるのかわからないけれども近々あるらしいというようなこともあって、自分の垂れ流しを抑えるために合併浄化槽でもして水をきれいにして流したいというような気持ちがあっても、非常に困るわけですね。それで、先ほども遠藤委員の方から、市町村にそういうことを任せておかないでまず農水省あるいは建設省厚生省、この三省の大臣を環境庁長官がリーダーシップをとって調整したらどうかということでございますけれども、私もそのように非常に心配しているわけです。自家浄化槽をやりますとかなり高い自己負担があるわけですね。公共下水道が来たとしても自分のところまで引くために自己負担はありますけれども、しかし、合併浄化槽をつけるほどのお金はかからぬわけでありますから、その辺非常に困るなと思うわけでございます。それで、今後、厚生省さんと建設省さん両方にお聞きするわけでありますけれども、その辺の兼ね合いをどのようにされるのか。また、合併浄化槽をどんどん推進する、先ほど合併浄化槽予算が三十二億円、それに対して建設省下水道予算は二兆円を超すということでかなり差はありますけれども、その辺どのようにおやりになるのか、両省のお考えをお聞きしたいと私思います。よろしくお願いします。
  265. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 私どもが進めております国庫補助事業といたしましての合併処理浄化槽設置整備事業につきましては、下水道の計画との調整につきましては、下水道の計画と申しましてもいろいろなレベルのものがあるように承っておるわけでございますが、その最終的な事業計画として下水道法に基づきまして主務大臣の認可を得た事業計画の区域につきましては、いわゆる先生御指摘のような二重投資というような観点を避けるために私ども補助事業の対象外としておるところでございます。それからまた、いろいろな生活排水処理施設のメニューの中でどういったものを選んでいくかということにつきましては、地形等の自然的な条件、あるいは人口密度等の社会的条件、そういったものに合わせまして、事業実施主体である市町村において具体的な計画を策定していただくということが大変重要ではないかというふうに思っておるわけでございます。私ども昭和六十二年度にこの国庫補助事業を開始いたしました時点から、補助事業の申請に当たりまして、それぞれの市町村としてどういったことで将来その地域生活排水処理していくかというマスタープランをつけていただきまして、それに基づいて調整をしながら補助事業を実施しておるところでございます。
  266. 仲津真治

    仲津説明員 私ども建設省は、下水道生活排水対策中心をなすもので、面的に整備されるべきものであるというふうに考えております。しかしながら、下水道整備にはかなりの期間を要するという点がございまして、そこで、それまでの間、やはり水洗化したいなどいろいろな要望があるときに対応ができないだろう、そういうときには浄化槽などの下水道以外の施設、類似施設という言葉が使われておりますが、そういったものが設置される場合があると考えております。しかしながら、冒頭申し上げましたように、下水道はあくまで生活排水対策の基本をなすものでございまして、しかも下水道法という法律に基づいてこれが設置されれば水洗化をしなければならないという法律上の義務が生ずる、あるいは水洗化しているけれどもつながっていないという場合には接続しなければならない義務がある、そういう強制的な措置が伴う根幹的な公共施設でございますので、これはやはり生活排水対策の基本に据えて進めていくべきではないかと考えております。  ただ、この計画づくりは地方公共団体が行うことになってございます。そこで、お尋ねのような下水道がいつ来るかわからないというような状況があってはあれでございますので、下水道整備すべき区域、それから下水道整備のスケジュールをどうしたら住民の皆さんにわかるように持っていけるか、地方公共団体が計画をつくることになっておりますので、その前提のもとで建設省としてどういう対応ができるか、検討を進めてまいりたいと考えております。
  267. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今両省の御答弁をいただいたわけですけれども、やはりそれぞれ独自の立場で、縦割り行政といいますか立場でやっておられるから、余り横の関連がないような感じがするわけでございます。先ほど遠藤委員も言っておられましたけれども、そういった点でそれを調整するのは環境庁しかないのじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、その辺いかがお考えでございますか。
  268. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境庁といたしましては、流域下水道を除きましていずれの事業にいたしましても基本的には市町村が実施主体でございますので、地域条件が一番わかっており、かつ事業実施主体である市町村長が責任を持って決めていただく、こういう法律の枠組みを国レベルで準備いたしまして、あとは、そういったことでつくられました汚水の処理施設につきましては、まさにそこが重点地域ということで指定された地域の計画でもあるということで、重点的に予算を各省の方につけていただくということで御協力をお願いしておるところでございます。環境庁はそういう意味で枠組みづくりをするということでこの点の調整を果たしたい、あるいはそういった計画に基づきます予算の重点配分について御協力をお願いするということでその役割を果たしたいと思っておるわけでございます。
  269. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ひとつ地域住氏の負担がむだにならないように、せっかく合併浄化槽を入れたのにそう遠からずして公共下水道が入ってきたとなりますと、今までの合併浄化槽は全部捨てなければなりませんので、その負担した費用は損しちゃうことになるわけですから、そんなことにならないように住民本位の行政をやっていただいて、そして排水をきれいにしてほしい、そういうふうにお願い申し上げたいと思うわけでございます。  さて次に、またちょっと項目を変えますけれども、ゴルフ場に散布する農薬問題、これについて御質問申し上げます。  いわゆる量から見ますと農耕土壌に使用している農薬の割合の方が相当多いと私は思うわけです。だからゴルフ場に使うのはいいんだということじゃなくて、ゴルフ場の使用農薬量は非常に少ないと思うわけであります。ゴルフ場の農薬問題が非常に大きな問題としてクローズアップされてきておるわけですけれども、その辺どのようにお考えになっておられますか。
  270. 関口洋一

    ○関口説明員 先生御指摘のゴルフ場の農薬と農耕地の農薬ということでございますが、農薬と申しますのは、病害虫の発生状況あるいは雑草の発生状況に応じまして使ったり使わなかったりというケースがほとんどでございます。したがいまして、ゴルフ場あるいは農地での使用状況という点になりますと、年によりまして発生状況が変わってくる、もちろん農薬の使用状況が違う、地域によってもそのようなことがございます。また、ゴルフ場によりましても違う、ゴルフ場の中でもまた部分的に違うとかいうことがございまして、農耕地と使用量を比較するのはなかなか難しいというふうに承知しているわけでございます。例えばゴルフ場の中で全般的にどうかと申しますと、やはりグリーンがほかに比べて非常に多く使われているのではないかということは言えるかと思います。  それからもう一つの、農薬使用に係ります社会的な関心の問題でございますが、私どものこれまでの理解といたしまして、その背景といたしまして新しいゴルフ場の開発との関係でもって論ぜられる場合が多いのではないだろうかと考えております。ただ、もう一つは、農地におきます食糧の生産という場に比べまして、ゴルフ場の場合がレクリエーションの場としての管理という面からの意味合いも少なくないのではないだろうか。いろいろな意味合いがあろうかと思いますが、そのような認識でおるところでございます。
  271. 斉藤節

    斉藤(節)委員 わかりました。  そこで、ゴルフ場で使っております農薬でございますけれども、農水省さんからいただきました資料がここにあるわけでありますが、かなりの種類が使われているわけでございます。これで見ますと有機燐性剤、それから有機塩素性剤、これがあるわけでございますけれども、こういった有機燐性剤だとかそれから塩素性剤というのは、やはりかなり毒性が強いと思うのです。また、特に有機塩素性剤、これは恐らく分解速度が遅いのではないか、そういう心配がされるのですけれども、たくさんこれはあるのですけれども、全部お聞きするのは時間の関係上できませんので、化学物質の成分から見まして非常に心配だと思われるものを二つばかり私が選ばさせていただきまして、これのいわゆる毒性、それから外界といいますか、土壌中に散布された場合の分解速度、そういったものについて教えてほしいと思うのであります。  一般名でDEPと言われておりますディプテレックス乳剤、成分が五〇%ということで、濃度が非常に高いわけです。これは化学物質名は、ジメチル—2・2・2—トリクロロ—1—ヒドロキシエチルホスホナート、つまり塩素と燐が両方くっついている、そういう製剤なんですね。こういう製剤でありまして、私は非常に心配しているわけです。それからもう一つは、リゾレックス水和剤ですね。これはトルクロホスメチルですけれども、これはパーセンテージが七五%という非常に高い濃度で使用しているわけでございます。これの化学物質名は何かといいますと、O—2・6—ジクロロ—P—トリル=O・O—ジメチルホスホロチオアートですね。両方、いわゆる燐と塩素が入っていると思うのですけれども、この農薬二つ、これはいわゆる毒性はどうなのか、それから分解速度はどうなのか、その辺教えていただきたいと思います。
  272. 関口洋一

    ○関口説明員 農薬につきましては、その登録に当たりまして最新の毒性学の知見、これに基づきまして実施されました急性毒性、慢性毒性、発がん性あるいは催奇形性等の毒性試験の成績に基づきまして、あるいは残留性に関する試験、こういうもののデータをもとにいたしまして、環境庁長官が定めていただいております登録保留基準に即しまして厳正な検査を行います。その結果、問題がないと確認されたものにつきまして、適正な使用方法を決めて登録するという形になっております。  先ほど先生の御指摘のディプテレックスの問題でございますが、最近の化学的知見によりますと、土壌中での半減期、これがいわゆる減衰ということになろうかと思いますが、DEPの方でございますが、これはいろいろな過程で分解されていくと思います。例えば紫外線であるとか微生物であるとかという形のものに力をかりまして分解されるということでございますが、これの土壌中半減期が最大で十日間ぐらい、十日間で半分になってしまうというふうなものでございます。(斉藤(節)委員「半減期は五十九日ですか」と呼ぶ)DEPの場合、半減期が十日でございます。毒性につきましては、急性経口毒性、これがラットの半数致死量ということであらわされますが、体重一キログラム当たり三百十六ないし六百五十ミリ、幾つかの試験データがございますが、そのようなデータが出ております。それから、慢性毒性試験におきます最大の作用量、これは犬にえさにまぜまして投与する試験、これがございますが、大体五〇ppm、それから発がん性試験、繁殖試験、催奇形性試験、そういうもろもろの試験を経まして、特段に問題のある症状は認められていないということは確認されているところでございます。なお、DEP剤につきましては、実際の使用に当たりましては大体千倍に薄めて使うということでございますので、その安全性については最大限確保されているのではないかというふうに理解しております。  それから、リゾレックスでございますが、これにつきましてはDEPに比べますと土壌中半減期は長うございまして、最大で五カ月というデータがございます。それから、急性経口毒性につきましては、ラットの半数致死量で体重一キログラム当たり五千ミリグラムということでございます。で、最大の作用量につきましても、マウスの試験で五〇ppm、その他の毒性試験においても問題がないというふうなことがございまして、実際に使います場合には、七五%の水和剤を五百倍ないし千倍に薄めて使うということでございまして、これも安全性上問題はないのではないかというふうに考えております。
  273. 斉藤節

    斉藤(節)委員 これは通告してなかったのですけれども、ゴルフ場に使う農薬の半減期は平均してどのくらいですか。
  274. 関口洋一

    ○関口説明員 現在の登録におきましては、非常に半減期の長い農薬につきましては登録はしないということで来ておりまして、大体一年を超すものについては登録はされない状況になっております。ゴルフ場に使います農薬につきましても、短いものでは数日から、長いものでも先ほど申しましたような百五十日とか、そういうものが一般的であるというふうに理解しております。
  275. 斉藤節

    斉藤(節)委員 わかりました。  そこで、環境庁さんにお尋ね申し上げますけれども、「ゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針について」ということが発表されました。これによりますと、これは排水の中に含まれるいわゆる農薬の濃度ということでありますけれども、今お聞きのように、農水省さんのあれによりますと、半減期が平均一年間ぐらいの期間のものです。半減期ですから対数的にいきますから、例えば半減期というのは、ちょっと質問しますけれども、放射能の半減期と同じように考えてもよろしいですか。同じですか。——となりますと、一グラムのものが〇・五グラムになるのに、例えば半減期が十日としますと十日ですね、その五グラムがまた二五グラムになるのに十日ですから、だあっとロガリズムにいっちゃうわけですね。かなり長い間残存しているというふうに考えていいと私は思うわけです。そうなりますと、これはどんどんかなりの量をゴルフ場にまくわけでありますから、これを押さえるということは大変ではないかと私は思うのですけれども、その辺はどんなふうにお考えになりますか。
  276. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私どもが承知しておりますゴルフ場で使われる農薬の半減期でございますが、例えば殺虫剤のMEPで八日から三十日、それから殺菌剤のチウラムで一日、除草剤のCATで四十七日ということでいろいろございますけれども、半減期としてはそれほど長くないようなものではないかと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、減衰しないと水を通じてゴルフ場から出てくるということでございますから、その出てくるところを押さえるといいますかチェックするというのが私どもの方の役目だと思っておるわけでございます。先週出しました私どもの方の暫定の指針値というものも、県がゴルフ場を指導する際の目安といたしまして値を示したということで、その値を超えるようなものにつきましては厳重な指導監督を行いますし、その値の中であればいいというのではなくて、むしろむだな使用をやめていただいて、できる限り適正使用、それから、できる限り使用量の削減を図っていただくというようなことも同時に通達で示しておるところでございます。
  277. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今局長から御答弁がありましたように、半減期の短いのをあれしているということでありますけれども、しかし、半減期というのは今もお話がありましたように、放射能の半減期と同じであるということでありますから、半分になるのに要する時間でありますから、またその半分が半分になる時間ですから、非常にロガリズム的に指数関数的に減っていくわけでありますから、長い時間かかると思うのですね。そうなりますと、やはりこれは排水として出てくると思うわけでございます。そういう点で、これは果たしてこういう値が守れるかどうか、守れない場合には厳重にやるということでございますけれども、しかし、これは相当厳重にやらないとずさんになって、単なる指針になってしまうおそれがあるのじゃないかな、そういう心配をしますので、そういう点よろしくお願いしたいと思うわけでございます。農水省の方、これで結構でございますから、どうもありがとうございました。  そこで次は、今、川から水をくみ上げまして水道水にしているわけでございますけれども、その取水した水道水の水質について、厚生省の方いらしていますか、よろしくお願いしたいと思いますけれども、今、川から取った水を私たち毎日飲んでいるわけでありますけれども、非常にうまくないのです。なぜうまい水ができないかということをまず御質問申し上げますけれども、お答え願えますか。
  278. 藤原正弘

    藤原説明員 お答えいたします。  昭和六十三年度に異臭味被害を受けました水道の数は、全国で八十九あります。その給水人口は約千三百六十三万人というふうに把握いたしております。その原因でございますが、水道水源の湖沼等の汚濁の進行と、それに伴う富栄養化等である、このように考えております。また、水道原水にアンモニア性窒素が含まれる場合、水道において行う塩素消毒に用いられる塩素との反応によりまして特定の物質発生しまして、これが水道水をまずく感じさせるものである、このように考えております。
  279. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今御答弁いただきましたように、アンモニアを減らすためにいわゆる塩素消毒をする。塩素消毒はするわけでありますけれども、さらにアンモニアが入っている分だけ多く塩素消毒しなければならぬということでございますけれども水道水の水質基準の中にアンモニアの項目、昔はあったように記憶しているのです。私も学生時代は、ネスラー試薬により褐色になるか黄色になるか、その色でアンモニアを判定して飲料水に適か不適かということをやったと思うのですけれども、今環境六法によりますと、アンモニアは水質基準の指標に入っていないのです。これはなぜやめたのでしょうか。いつごろからやめて、なぜやめたのか、その理由をちょっと御説明願いたい。
  280. 藤原正弘

    藤原説明員 厚生省におきまして昭和五十三年八月、水道水の水質基準に関する省令を改正しまして、御指摘のアンモニア性窒素について従来の水質基準から削除いたしております。これは、従来の水質基準におきましてはアンモニア性窒素は、飲料水がし尿等による汚染を受けているかどうかを示す指標ということで用いられていたものでありまして、これについては、一般細菌、大腸菌群等の指標で十分であって、特に健康影響に対する安全性上問題がある水質項目でない、こういうふうに判断をしてアンモニア性窒素を削除したものでございます。  なお、アンモニア性窒素は塩素と速やかに反応するため、水道水中では存在しないのが普通でございます。しかし、浄水過程において塩素注入へ影響するなど、水道原水の指標として重要でございますので、水質管理上有効な指標として活用するよう水道事業者等を指導しているところでございます。
  281. 斉藤節

    斉藤(節)委員 アンモニア性窒素がバクテリア、大腸菌のあれに関係ないということでありますけれども、これが上水道水に入ってこないのは当然のことなのでありますけれども、しかしどうしても入ってきているわけですね。川から取水して、それを浄水処理しまして我々の家庭に来るわけでありますけれども、どうしてもアンモニア性窒素が入ってくるわけです。そうなりますと、それを酸化して亜硝酸化し、そして硝酸イオンに酸化するためには大量のクローリン消毒、塩素消毒をしなければならぬわけでありますから、それが私は問題ではないかなと思うのです。なぜかと申しますと、塩素は非常に化学的酸化力が強いわけでありますから、したがいましてアンモニアから亜硝酸に、亜硝酸から硝酸へと酸化される前に、アンモニアの水素一つが置きかわってN2Cl、いわゆるアミンクロライド、塩化アミンみたいなものができる。そのにおいが、カルキだカルキだといって、カルキ臭いにおいというふうに言われて誤解されていまして、アミンクロライド、塩化アミンのにおいであると言われているわけでございますけれども、その辺どういうふうに思われますか。
  282. 藤原正弘

    藤原説明員 先生御指摘のように、アンモニア性窒素と塩素が反応して化合物ができる。その化合物で、水道水をまずく感じさせる代表的なものとしてジクロロアミンなどがあるというように私どもは考えておりますが、こういう物質ができないようにするための研究を平成二年度からやろうと考えておるわけであります。あわせまして、通常の浄水プロセスに加えまして、高度浄水施設をつけることでおいしい水をつくるというような施策も進めてまいりたいということで、昭和六十三年度から新たにこういう補助制度を創設いたしまして、必要な浄水場におきましてはオゾン処理とか活性炭処理その他の施設整備を促進いたしておるところでございます。
  283. 斉藤節

    斉藤(節)委員 健康上悪くない水をつくるだけじゃだめだと私は思うわけであります。うまい水は川から取水したものからつくれなければいけないと私は思っているわけです。だから、今、水割りをつくるのにもいろいろ水を売っておりますけれども、ああいうような水をうんと売らすためにうまくない水をつくっているのか、そんなふうに疑いたくなるくらい上水道水はうまくないわけです。そういう点で、アンモニアを五十三年に省いてしまったということでありますけれども、ぜひとももう一回復活してアンモニアが入ってこないような、そういう水源をつくっていくべきじゃないか、そんなふうに私思っているわけでございます。  時間がなくなってきましたけれども厚生省さんにもう一つ御質問申し上げます。  最近、変異原性物質のうちの最強と言われる有機塩素化合物のMXが新聞紙上発表になったわけでございます。このMXというのは申し上げるまでもなく、昭和四十九年に発がん性が確認されまして使用禁止になりました、豆腐の防腐剤として使っておりましたAF2というのがありますけれども、これに匹敵するぐらい強力なものであるというふうに言われているわけであります。この新聞に発表されたことにつきまして、厚生省さんとしてはお認めになりますか。もしお認めになるのでしたら、これに対する対策などをお聞かせ願いたいと思います。
  284. 藤原正弘

    藤原説明員 水道の浄水場での浄水過程におきまして水の塩素処理を行いますが、この場合に、水中の有機物と塩素との化合によりまして塩素化合物である副生物が生成いたします。そうした副生物の代表的な物質としましてはトリハロメタンが挙げられるわけでございますが、また、極めて微量ながらMXと呼ばれる物質もあり得ること、及びそれには変異原性があるとされていることは承知いたしております。  塩素処理による副生成物の問題につきましては、昭和五十六年に代表的副生成物であるトリハロメタンについて制御目標値を定め、浄水処理の管理の適正化に努めることなどを水道事業体等に対して指導してきているところでございます。また、平成二年度からは消毒方法の改善についてということで、四カ年をかけて検討することを予定いたしております。  厚生省といたしましても、MXを含め、消毒に伴う副生成物の問題につきましては関心を持っておりまして、水道水の安全性の確保といった観点から、今後とも情報の把握に努めてまいりたい、このように考えております。
  285. 斉藤節

    斉藤(節)委員 川から取水してつくった上水道、しかも浄水処理しましても有機物は完全に除去されていない、だから塩素消毒の際にその有機物が塩化されましてMXができるわけでありますから、これはやはり川の水をきれいにすればそれだけ取水しても問題はなくなるわけであります。そういう点で、川の水を単なるBODCODだけはかるだけじゃなくて、私はここで、TOCといいましょうか、トータル・オーガニック・カーボン、全炭素をはかって、そしてそれが多くなったか少なくなったかということで水がきれいになったかきれいになっていないかということを見なければ、MXだとかトリハロメタンだとかいったものができるということは、やはり有機物が残存しているために、それをまた塩素消毒するために塩化されてできるわけでありますから、まず川の水をきれいにしなきゃならない、そのためにはTOCを測定すべきだと私は思うのでありますけれども、その辺、局長いかがお考えになりますか。
  286. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今、先生からるる川の水の汚染の状況についてお話を伺ったわけでございます。私どもといたしましては、川につきましては、今までBODということでやってきているわけでございます。もちろん測定の連続性ということもありますけれども、新しい知見もどんどん出てきておりますので、そういう測定項目でいいのかどうかという反省は常にしていかなければならないと思っておりますし、そのための調査研究も同時に進めてまいりたいと思っているわけでございます。
  287. 斉藤節

    斉藤(節)委員 残念ながら時間がなくなりまして、質問項目もまだ四、五項目残っちゃったのですけれども、最後に、大臣、いろいろ申し上げましたけれども、やはりうまい水をつくらなければならぬが、川から取水する限りにおいてはうまい水はできないんじゃないか、そんなような懸念を私はするわけです。そういう点で川の水をきれいにしなきゃならぬと思うわけでありますけれども環境庁長官、この辺ひとつしっかりやっていただきたいと思うわけでありますが、その決意のほどをお聞かせ願いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  288. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいま斉藤委員から、いろいろのデータ、また実験等を列挙しながら、水の中にあるいろいろの反応を示されました。その中で水が大事ではないかということを示唆されたと思っております。この点は全く同感でありまして、特に人間が生きるための水というのは最大の要素でありますから、この水の中に今言ったMXとかいろいろな悪い要素が入ってまいりますと人体を侵しますから、こういう点につきましては、私はやはり積極的に、アクティブといいますか、積極的にみずから行動して日本の皆さんの飲まれる水の水質を、今よりよくして普通なんですから、そのように頑張ってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  289. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  290. 戸塚進也

    戸塚委員長 寺前巖君。
  291. 寺前巖

    ○寺前委員 今度の法改正は、簡単に言えば、公共用水域において生活排水による水質汚濁が見過ごせない原因になっている、そこで住民の皆さんに御協力をいただきたいというのが趣旨だろうと私は思うんです。私も、それは協力するのは当然だと思いますよ、自分たちの住んでいる環境をよくしようということでは。  ところが、これが出てくる過程が気に食わない。長官、これはどういうふうにお読みになったか、中央公害対策審議会、そこで出された「生活雑排水対策に係る制度の在り方について」という答申ですな。この答申を見てみると、「住民に対する啓発普及の推進」という項目の中で、「住民に、自らも水質汚濁の原因者となっているとの認識を持ってもらい、」とある。持ってもらいたい、それは結構なこっちゃと思うけれども公共用水域における問題は、住民が加害者という立場からもしもこれを見ておったならば、事実の認識に過ちを犯す。長官には大所高所から見ていただきたいから、だれが加害者かという問題においての中心点を誤らないようにしていただきたいと私は思うんです。  住民の側からいえば、下水道早うつくれ、負担かからぬようにしてくれ、全部住民運動で要求していますよ。あるいは琵琶湖や霞ケ浦の合成洗剤追放運動、だれが合成洗剤つくったんだ、もうかるんだったら何でもいいとどんどんつくられ、あげくの果ては、琵琶湖はもうアオコでどうにもならなくなって、住民の皆さんが立ち上がって、それから規制をいろいろ考えなければならぬ、こうなってくるわけでしょう。あるいは琵琶湖を汚していくのは、あそこの地域にどんどん工場が移転してきまして、あれがどんどん汚していってどうにもならなくなっていく。これは、関西の水がめをこんな状態で置いておいたらどうにもならぬということで地域住民の諸君が立ち上がって、そして条例をつくっていったのと違いますか。考えてみたら、むしろ行政の立ちおくれ、産業が好きほうだいなことをやっている、そういうところにこそ環境破壊の主な要因があるのであって、住民の皆さんの声——おかげさんでその声によって公害を規制する方向に来ているんだ。その皆さん方も実は洗剤を使っていただいておるけれども、これのもたらす要因はこういうことになりますので御協力をと、そういう姿勢でなければうそやと思うんです。  長官の基本的な見解を聞きたいと思います。
  292. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいま寺前委員、水の汚濁のいろいろの原因を御指摘になりまして、住民が加害者であるということではないじゃないか、反対に被害者じゃないかというところの意味を含めての御質問であると思うのでありますが、産業関係に関しましては何回か規制をいたしてまいりましたが、最近の水の汚濁状況を見ますときに、国民の皆さんもみずから水質を汚濁している一つ原因が各家庭から出ておる水にあるんじゃないかということも御認識願いたい、こういう意味をもちましてこのたびまた法案の御審議を願いたい、こういうことでございます。
  293. 寺前巖

    ○寺前委員 言うてる意味かちっともわかっておらへんみたいな感じやな。私はそれは賛成だと言うんだよ。住民の皆さんが協力するというのは賛成だと言うんだよ。それだけじゃあかんのと違うか。大体汚してきたのはだれやったんだということを言っているので、そこを大所高所から見誤ったらあきませんよということを言っているので、一番最後に、今から質問を具体的にやりますから、なるほどということで腑に落ちたら改めて御見解を聞くことにしたいと思うんです。  そこで、公共下水道状況、先ほどもここで説明がありました。八八年度の汚水衛生処理率を見ると、日本の国は三五・〇%の処理人口になっている、農業集落排水施設処理人口は〇・一%だ、浄化棚処理人口は九・七%、こう書いてある。外国を見るとどうかというと、イギリスが九五%、西ドイツが九一%、アメリカが七三%、カナダが七四%。外国では農業をやらぬわけじゃないし、外国でも洗剤は使っているんだし、どこが違うんだ。違うのは、率が悪いというのはつくらないからだけだ。つくるように仕事をしなければあかんじゃないか、むしろ行政の立ちおくれじゃないか。おわかりになるでしょう。私はそういうことを言っているんだ。京都で調べてみたら、農業集落排水施設というのが、これは一九八三年からやっているのですか、そうするともう七、八年になるでしょう。八九年度の資料を見ると、一体この七、八年の間に何カ所つくったんや。八カ所だ。これは追っつきません。七千五百人対象になる。コミュニティープラントが一カ所、百戸や。一カ所できただけだ。生活雑排水の共同または個別処理施設の設置ゼロ。何も私は京都が悪いということを宣伝しているんじゃない。いかに行政が立ちおくれているかということです。立ちおくれているというのは構えの問題だけじゃないんですよ。財政的にも特別な施策をつくらなかったら立ちおくれていくという姿は少しも変わらないじゃないか、抜本的にそこのところの見直しをやらなかったら。  さて、今度は急速に進みますよという自信のある財政的な補助制度を打ち出しますのかいな、端的に聞きたい。どうです。
  294. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活排水の浄化施設につきましては先生御指摘のようにいろいろな施設があるわけでございますが、これらの事業計画につきましては、今の厳しい財政状況の中では予算の伸び率としては非常な伸び率を示しておるわけでございます。さらに下水道につきましては、先ほどもお話がございましたように、平成二年度で五カ年計画が終わりますので、新しい五カ年計画といったことに向けまして政府部内で調整が始められておるわけでございます。  いずれにいたしましても、公共投資部門を生活関連の方に重点的に施行していくんだというような考え方で調整を進めているわけでございます。そういうことで生活排水対策自体の予算の全体の枠を確保いたしますとともに、この法律で重点地域になりますような、特に生活排水対策が必要な汚れた水の出るような地域につきましては、確保された予算の重点的な配分ということで対処してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  295. 寺前巖

    ○寺前委員 それがあかんと言うのや。例えば生活雑排水共同または個別処理施設設置、京都ゼロ、今度は補助金を倍にしますさかいにこれはゼロとは違います、これくらいいきます、こういうふうにお話しになれば、なるほどそうか、よしそれでは京都の知事さんに言うてきたる、こう私だって言う。重点的に枠を持っていきます、住宅へ。それだったら、ゼロになっておったのは重点的枠がなかったからかいな。そんなもの全然違うわ。そうでしょう。大臣、わかりますか。やはり補助金をよくしてやるとか何か特別な施策をやらなかったら、金の枠がないさかいにできませんのやというようなことではない。そうでしょう。行政も積極的にやりたかったら、もうちょっとそこまでメスを入れなかったらあかん。これはあなた、後で回答してもらうさかい。これが一つ。立ちおくれは行政の側にあるんだ。  二番目。今回の法改正で、いろいろ住民に言いました。一方、産業排水は一日五十トン以上の特定事業場だけが対象のままになっているのはおかしいじゃないか。環境庁の資料によると、八八年度現在で全特定事業場は二十八万五千八百六十事業場がある。一日五十トン以上の対象になるのは十分の一の三万一千四百二十事業場じゃないか。自動式車両洗浄施設二万一千五百六十一事業場のうちで対象になるのは百二十五事業場、生コンクリートでは四千七百九十二事業場のうち対象になるのはたったの百二十六事業場。一日五十トン以上の特定事業場だけが対象になる。何ですそ切りをやらなければならぬのやと言うんだ。今度、法改正によって廃食用油などの処理、洗剤の使用等の適正化というのが出てくる。これはすそ切りと違う。全住民に対してやりなさいよと言うて協力を求めるのでしょう。何で産業の分野においてはすそ切りで五十トン以下だったらよろしい、何でそんな対策をせんならぬ。全部対象に入れたらよろしい。現に東京都ではちゃんとそういうことをやっているんだ。新しいものは全事業が対象。全部やっておるのや。古いものでもそれの努力をするためには利子を三%以下で貸してやるということまでやっている。それはそうだ。本当にやる気になったら、全部やらなければあかんやないか。京都ではどうやと聞いてみたら、一日三十トン。やはり五十トンよりは少ない。それは三十トンとかなんとかでなくて全部やらなければあかんのだ。何でそういう姿勢に立てないのか。どうですのや。
  296. 安橋隆雄

    安橋政府委員 産業系排水対策といたしまして特に排水規制をしておりますのは、先生御指摘のように日量五十トン以上の事業場とあるいはあとは有害物質を出しているところでございますけれども、いずれにいたしましても一定の水量以上を出しているものに限っているわけでございますが、この産業系規制につきましては罰則を伴う厳しいものでございます。一方、家庭の方は、御指摘のように廃食用油の適正処理あるいは洗剤の適正使用というような、家庭でできることに対します水質保全のための心がけとして、そういう意味では国民の責務規定としてお願いしているわけでございまして、罰則規定ではございませんので、私どもとしては家庭が五十トン未満であるということでこういうお願いができないかどうかということも検討いたしたのでございますが、国民の責務として、心がけとしてその程度のことをお願いすることは可能なのではないか、もちろん罰則規定ではございませんから可能なのではないかということで法案を提出したような次第でございます。  なお、まだ未規制の小規模事業場対策につきましては、今後とも私ども検討を進めまして、規制の徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。この対策、つまり家庭排水対策をやることが企業に免罪符を与えるということでやっているわけではございませんで、制度面で立ちおくれているところを補うという形で御提案申し上げているわけでございます。
  297. 寺前巖

    ○寺前委員 あかんのや、そんなもの言うたって。現に東京都ではこれはあかんということで進めておるのや。国の方がおくれているということや。現に、それをやるためにはどうしたらいいかといって、ちゃんと金の貸し方まで研究しておるがな。こんなにおくれている環境庁あるか、あなた。住民がおくれているなんて言えまへんがな。これまた、二番目、後であなたに全部言うてもらうさかいな。  それから三番目。この前、私らさんざん問題にしていたトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン、これが地下水の中に入って大変なことになっておった。さあ、これについて、これは排出規制をやるというところまで来たんだ。来たけれども、肝心のこれを使うところのIC工場や自動車工場、あるいは洗濯屋の施設特定施設として決めなかったらあかんやないか。そんなことだったら実効性出てきません。何で排出規制をやりながら、それを特定施設として決めへんのや。早急に決めるべきと違いますか。どうですねん。
  298. 安橋隆雄

    安橋政府委員 トリクロロエチレンとかテトラクロロエチレン等の規制についてでございますけれども、現在、使用形態でございますとか排出実態等の調査をいたしておるところでございまして、その調査結果が取りまとまり次第、その結果を踏まえまして、先生おっしゃいます追加することにつきまして検討を行っていきたいと考えているところでございます。早急にやりたいと思っております。
  299. 寺前巖

    ○寺前委員 これはちょっと一つ進んだということや。時間かかったな、随分これ。  それで、問題になった千葉県君津市の東芝コンポーネンツ、私、これ見にいってきたんや。周辺の井戸からそれがいろいろ出てきよるわけや。そこで魚も死んだりしておるのを見てきましたわ。米国の飲料水水質暫定ガイドラインより二十倍—三百倍という高い濃度の有害化学物質であるベンゼンが検出されてきた。日本の水濁法では未規制物質だけれども、発がん性の疑いはトリクロロエチレンより強いと言われている。そうしたら、これはあなた、調査に随分費用かかるだろう。私は、こういうところの調査費用というのを環境庁が直接持ってやるとかして、そして次にはこのベンゼンの規制をすぐに打って出なかったら、これまた手おくれになるのと違うか。これはどうでんな。
  300. 安橋隆雄

    安橋政府委員 御指摘の汚染物質につきましては、昨年度、五自治体に依頼して調査を行っているところでございますが、今その結果を取りまとめているところでございます。今後これらの物質につきましては、その専門家の意見も聞きながら、対策の必要性等について検討をしてまいりたいと思っているところでございます。いずれにしても、こうした未規制の化学物質というのは、新製品の発明、開発、販売とともに次から次から生まれてくるものでございますけれども、私どもとしては、それが環境を破壊するようなものでありますれば、調査もいたしまして、その結果を踏まえまして適切に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  301. 寺前巖

    ○寺前委員 テンポ速めてください。  それでその次に、家庭雑排水を言うんだったら、家庭雑排水、あそこへいろんな生ものかたまってきますが、それを下へぱっと流して、下へたまったものをミキサーみたいなものでガーっとやって、そしてそれをふうっと流すというものができてきてまんねん。これ、ディスポーザーといいますがな。アメリカから日本に輸入してきよる。それを、八八年二万五千台、八九年二万九千台。日本の国に三十六万台売るんだ。これは二年前に日米貿易摩擦の話題になった。これ、どんどん入ってきたらどうしますねん、あなた。そのまま下水道へ流されたら詰まるさかいかなわんなという問題が出てきとるのや。下水道で違うところへ流されたらどうなりますのや。便利なものがつくられると後始末はどうするのやという問題ですわ。洗剤と一緒や。放置できませんで、こういう問題。世の中進歩していろいろ知恵が回ってきよるねん。回ってくるけれども、一番末端のところまで、地球環境そのものの管理まで責任を持つようなことをやらなければあかんわけですわ。そのために行政機関というのは値打ちを発揮せないかぬねん。現在、所沢市、鎌倉市、津市などの七市が、下水管を詰まらせているということで条例で使用規制をやってきている。東京都、長野県など七都県でも、使用自粛を打ち出している。環境庁は一体、これがどんどんこれから広がる事態を前にして、水質汚濁がどうのこうの、みんな協力してくれ言うんだったら、こういう便利なものをつくってきたときに、これに対する対応をどういうふうにいたしまんのや、はっきりしなかったらあかんと思うのです。どうです。
  302. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ディスポーザーの使用ということでの御質問でございますけれども、本来台所の調理くずといったようなものは、ごみとして出していただくのが環境に対して正しい態度ではないかというふうに考えております。これをディスポーザーなるもので細かく破砕いたしまして水と一緒に下水あるいは下水以外のところに流すということになりますと、それがひいては水質汚濁を引き起こし、環境を破壊するということになりますので、環境庁といたしましては、ディスポーザーの使用というのは好ましくない、遠慮していただきたいというふうに考えているわけでございます。  便利さの追求ということでついつい環境に優しくない製品が出てくるわけでございますが、やはり私どもといたしましては、環境に優しい製品を使う行動、逆に申しますと環境に優しくないような製品の使用自粛というようなことで国民にもPRをいたしまして、使用が自粛されるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  303. 寺前巖

    ○寺前委員 な、大変やろ。これも自粛をお願いしますとここで言うてはったってあかへんのやわ。事態は進んでいきよるんやわ。これ調べていきますと、行政の立ちおくれという問題、いろいろ感じますやろ。  ついでに、おたくも関係するさかい聞きますけど、琵琶湖。南湖がまた大変や。あれ、湖沼水質保全五カ年計画の目標年度はことしですのや。九〇年度です。その目標は、COD平均値で北湖が一・八、南湖が二・五となっている。現状どういうふうになってきているかというと、北湖で二・一、南湖で二・八です。ですから、今九〇年度へ入っておってちょっともよくならへんのですわ。よくならぬというのは、今言ったように、考えてみたらあの琵琶湖の周辺に工場がどんどんふえてきとるんですよ。それでこの間ちょっと調べてみたら、八五年、出発の年度ではCODの汚濁負荷比率が生活排水は三一%であったのが、三二・四%ですわ。産業排水は二〇%であったのが三六・五%です。自然排水が四九%が三一・一%。だから産業排水が物すごくふえてきておるわけや。それから直接流れ込んできているのがもういろいろふえてきているわけですね。だからやはりあそこの地域におけるところの下水道というのは物すごい重要な、処理をすることを手を打たなあかんのですわ。普通だったらこういうことになってきたら総量規制をやるべきなんですよ。ところが一向にやろうとせえへんでしょう。  だから、生活排水対策重点地域に指定して、総量規制をやるようにやらなかったらこれも手おくれになると思うのですが、いかがですか。
  304. 安橋隆雄

    安橋政府委員 この法律案によります生活排水対策重点地域と申しますのは、公共水域の監視を行っておりますことで非常に公共水域に関します知見が豊富な知事が行うことになっておりますので、基本的には知事の考え方で、おっしゃいます地域が指定されるかどうかか決まるわけでございますが、私どもとして見ておりますと、当該地域につきましては、環境基準も未達成でございますし、かつ、生活系の負荷割合もある程度高いということでございますので、滋賀県知事による重点地域の指定がなされるのではないかと思っているわけでございます。  それからもう一つお尋ねの、琵琶湖の南湖につきましてのCOD総量規制の問題でございますが、総量規制につきましては、関係県知事の申し出に基づきまして、内閣の方で指定した湖沼につきまして総量規制を導入するということでございますので、関係県でございます滋賀県と相談をしながら検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  305. 寺前巖

    ○寺前委員 もう時間がないので残念ですけれども、またの機会に細かくはすることにしたいと思いますが、最近ゴルフ場の使用農薬の水質基準というのを発表されましたので、これは一言聞いておかぬわけにはいかぬだろうと思うんですよ。  というのは、この前私は、分科会でやったかな、お尋ねいたしましたけれども、ことしの三月に、各都道府県のゴルフ場周辺での農薬等の水質調査結果というのをずっと出してきておられるので、直接聞きました。実施したのは三十七都道府県のようでした。そのうち、公表したのが二十二都道府県ということになっていました。それで十九都道府県で農薬が検出されて、不検出になっていたのはそのうち四県にしかすぎなかったんですよ。そこで検出された農薬は、殺菌剤で八種類、殺虫剤で六種類、除草剤で十二種類、合計二十六種類になっている。そのうちで殺虫剤で劇物のDDVPや毒物のベンゾエピンなどは、芝や樹木にも適用されていない農薬で、ゴルフ場周辺から検出されることはあり得ないと思われるような農薬ですよ。そういうのが検出されてきている。また、アメリカの環境保護庁が発がん性が疑われる農薬として公表し、国際がん研究機構が人に対する発がんの可能性が高い物質として挙げているキャプタン、ダコニール、アシュラムなど多数の農薬がそこから出てきている。こういう危険な農薬について一体どうするんだ。今度見ると、二十一種類の農薬のうちでダイアジノン、MEP、TPN、キャプタンなどが十倍から百倍高い数値になって、そして認められることになっておる。安全性を考慮して出してきたものであるのにもかかわらず、一体何でこういう目標値を厳しくしない結果になってくるのだろうか、私はそれを疑問に思わざるを得ないのが一つです。  それからもう一つは、従来の法律によって、パラチオンやEPNなど四種類の有機燐については「検出されないこと」という基準値が設定されていたのにもかかわらず、今回はその系統のやつが、指針値が設定されるという事態が生まれています。ダイアジノンやMEP、クロルピリホスなど有機燐系の農薬の指針値がちゃんと出てきておるんですね。従来「検出されないこと」となっていた有機燐系の農薬が、ここでは緩めてしまうということになってくるじゃないか。これも不可解な話だなというふうに言わざるを得ないと私は思うんです。ですから、私は、そういう意味においてはこれはちょっと再検討をしてもらわなけりやならぬのじゃないだろうか。  さらに言うならば、今度の調査の実態を見ても東京都で言うと、殺菌剤が三十一種類、殺虫剤が十五種類、除草剤が三十種類、大阪で言うと殺菌剤が三十三種類、殺虫剤が二十七種類、除草剤が三十五種類となっているのに、今回の対象農薬は殺菌剤で八種類、殺虫剤六種類、除草剤七種類、合計二十一種類。そうすると、二十一種類に限定してこういうものの指針を出してしまう、目標値を出してしまうと、ほかは野放しでよろしいということにならないのか、何しているこっちゃわからへんのやということになるんではないか、この間新聞の投書やったかな、投書なんかにもこれは批判が出てましたよ。私もそう思うんです。だから、どこから考えてもこの間の暫定的水質目標とか暫定指導指針というのは見直しをやってもらわなかったら、このままではあかんのやないやろかという感じを私はするんですが、いかがですか。
  306. 安橋隆雄

    安橋政府委員 まず、指針値の値でございますけれども、私どもといたしましては、関係省庁でございます厚生省とも連携を図りながら、人の健康の保護に関する視点から関係する知見をもとにいたしまして、医学でございますとか薬学でございますとか公衆衛生の専門家の意見を聞いて慎重に設定したものでございますので、この基準が守られている限り安全性が確保できるのではないかと考えているわけでございます。  それで、もう一つおっしゃいました有機燐系の農薬の件でございますが、先生がおっしゃいました環境基準で「検出されないこと」となっております農薬と今回の二十一の農薬とは種類が違うわけでございますけれども環境基準で「検出されないこと」となっております農薬の排出基準というのは、一ppmになっているわけでございます。私どもが今回示しました二十一の農薬につきましての指針値は、どちらかというと、環境基準的なものではなくてゴルフ場におきます排水基準であるということでございまして、そのような意味におきましては、有機系のものが二十一種額の農薬中九種類含まれておりますけれども、従来の考え方とそごするものではないというふうに考えております。  それから、二十一種類の数が少ないのではないかということでございます。確かに、多ければ多いほどカバー率も高くなるわけでございますが、全国的にゴルフ場で主として使われております典型的な農薬ということで、暫定的なものとして早急につくりましたものでございますので、一応二十一種類ということになっているわけでございますが、今後厚生省とも連携を保ちながら、これの数の追加につきましては検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  307. 寺前巖

    ○寺前委員 もう時間が来ましたので、今の反論がありますのやけど、これはまた別の機会にやらしてもらうことにしますが、最後に大臣にだけ。お聞きになっておって行政の立ちおくれ、再検討せにゃいかぬなという問題について、お感じになったでしょうか。
  308. 北川石松

    ○北川国務大臣 寺前委員の御質問にお答え申し上げます。  行政のぬるさ、財政援助の少ない等の御指摘がございました。こういうような点についても今後前向きでやっていきたいと思っております。  なお、小規模工場に対しての規制がないということでございましたが、この点につきましては再検討していかなくてはいかない、こういうふうに思っております。  また、地下水中のベンゼンとかそういう規制も、やはりこれは発がん性のあるものをそのままほっておくことはできませんので、こういう点もよく検討しなくてはいかない、こういう思いをしておりまして、また、ディスポーザーというか、粉砕してしまうミキサー、これにつきましては政府委員から答えましたので、御理解願ったと思っております。  なお琵琶湖につきましては、委員も一緒に飲んでいる水でございますから、これはもうほっておけませんし、私みずからもまたこの水をちょうだいしている一人として、余りいい水じゃないという感じを常に持っておりますので、積極的に視察もさせていただきたい、こんな思いもしております。
  309. 寺前巖

    ○寺前委員 どうもありがとうございました。
  310. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員長代理 中井治君。
  311. 中井洽

    中井委員 限られた時間ですし、この法案に賛成でありますので、簡単に質問をさせていただきます。  過去、閉鎖性水域にかかわる水質総量規制、あるいはまた瀬戸内海の臨時措置法、あるいはまた湖沼水質保全法、それぞれの必要に応じて環境庁大変御苦労されて、それぞれの省庁との、特に縦割りの縄張り意識のある中で調整なすって法案をつくられ、今日まで来られた。今回のこの法改正も大体そういう範囲の中で、また、従来とそうたがわないやり方の中で法体系そのものがつくられておる、こういうふうに理解をしておりますけれども、それでいいですか。
  312. 安橋隆雄

    安橋政府委員 従来、水質汚濁行政と申しますのは、都道府県の監視体制を前提といたしまして産業系中心にやってきたわけでございまして、これは規制措置としては罰則つきの随分厳格なものだと心得ているわけでございます。これの運用につきましては、今後ともさらに徹底してまいりたいと思っているわけでございますが、最近の、特に閉鎖性水域におきます汚濁の状況を見ておりますと、産業系だけではなくて生活系のものにつきましても見過ごすことのできないようなシェアを持つに至っているということでございますので、産業系のような厳しい規制措置ではなくて、家庭排水対策に見合ったソフトな対策といたしまして、生活系排水対策ということで法案にまとめて御審議をお願いしているところでございます。そのような意味では、ちょっと従来とは違ったスタンスに立っているのではないかというふうに考えております。
  313. 中井洽

    中井委員 そういうもろもろの法や規制の中で、例えば東京湾伊勢湾あるいは瀬戸内海という閉鎖性水域におきます水質の汚濁防止にどのような効果、あるいは実際的な現象的な効果があったと環境庁は把握なすっていますか。
  314. 安橋隆雄

    安橋政府委員 例えば、閉鎖性水域の代表的な例でございます東京湾で申し上げますと、総量規制制度というものが昭和五十四年度から導入されておるわけでございますが、その結果、五十四年度におきます東京湾発生汚濁負荷量が四百七十七トン・パー・デー、一日四百七十七トンございましたものが、五十九年度には四百十三トンに、六十二年度には三百八十トンにまで減ってきております。第二次総量規制東京湾におきます発生負荷量の目標が、元年度目標として三百六十五トンでございます。調査はまだ六十二年度までしかできておりませんが、この元年度目標に着実に近づきつつあるというふうに評価しているところでございます。
  315. 中井洽

    中井委員 そういう規制面では大変な効果や目覚ましい好影響を与えておると承知をいたしておりますが、一方、それぞれの法案の趣旨に盛られた公共下水の完備、そういった意味で、今回の法案に対しても各党各人から環境庁あるいは厚生省建設省に対してそれぞれ大いなる不満が寄せられているわけであります。過去のああいう縛り方の中で公共下水がどれだけ進捗をした、ああいう法案のために公共下水が余計進んだ、こういうことを、なかなか数値であらわすのは大変だと思いますが、どのようにお考えになっているか、お聞かせをいただきます。
  316. 安橋隆雄

    安橋政府委員 公共下水道につきましては、私ども法律の関係で制度的に組み込まれておりますのは湖沼でございまして、指定湖沼につきまして湖沼水質保全計画を県知事につくっていただくことになっております。この指定湖沼は全国で九つあるわけでございますが、これらの指定湖沼の計画におきまして、下水道を初めといたします汚水処理施設の導入に当たりまして、建設省を初め関係各省に対しまして、私どもとしてはこういう計画に上程されている施設については重点的、優先的に予算配分をしてほしいということで要望いたしまして、関係各省庁の方との話し合いがついておりまして、そういうようなところには他の地域よりもより重点、優先的な配分を行うことによりまして、特に水の汚れた湖沼につきましてのその回復対策というようなものが、及ばずながらもある程度の進捗度で進められてきているのではないか。もちろんこれらの湖沼自体の環境条件は非常に厳しいわけでございますので、まだまだ環境目標を達成するというところまでは至っておりませんが、周辺人口の増加にもかかわりませず若干好転の兆しが見えている指定湖沼が存在するということは確かだと思います。
  317. 中井洽

    中井委員 聞いておっても随分苦しい御答弁かなと思うわけであります。  六十三年度の下水道の普及という数字をちょうだいしておりますが、例えば今お話がありました琵琶湖の滋賀県、わずか二〇%の普及であります。山梨一七%、茨城二一%、それから、湖沼のことだけ言われましたけれども、閉鎖性水域に限って言えば私の地元の伊勢湾の三重県九%であります。それはそれぞれ地域には事情、財政的な問題、いろいろとございます。しかし、環境に関心のある者すべての不満は、こういったことがよその県に比べて進んでおるという効果が上がってきていないところに、行政の怠慢、おくれというものを見るのじゃないか、このように考えます。過去環境庁は、例えば歴代大臣なり歴代次官なりがこういう法のもとにそれぞれの省庁に対して、関係の深い県に対して下水の進捗をもっと強引に進めろといったことを言った事実があるのか、あるいはまた、この法案を契機にこういうことを大臣みずからが働きかけて、そういう地域の下水の普及というものを強めていくという御決意がおありかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  318. 北川石松

    ○北川国務大臣 今回の水質法案を御審議願うに当たりまして、先ほど来中井委員の、地域それぞれによって状況は違うにしても環境庁が主導権を持って下水道その他を早く進める必要があるのじゃないかという御指摘と、また、環境庁がいろいろの各省間の中で、非常に難しい行政の中でこの法案をもたせてきたのもそれを多とするということを御質問の中に承りました。大変感謝をすると同時に、各都道府県の事情は違いましても、やはり水質汚濁を一日も早くきれいな水にするということには、環境庁が前向きで各省庁間のいろいろな点についての協議を願い、またそれがよりよい点を生んでいくように努力していかなければいけない、こういう思いをいたしております。
  319. 中井洽

    中井委員 私が質問しているのは、長官として、建設省やら厚生省あるいは総理を含めて、こういった問題にもっと強く認識をいただく、省間の役人同士の話し合いではなかなか突破できないことでありますから、環境庁長官として一度そういった現状を十分御認識をいただいて発言をされる、そのことによって、環境対策から来る水質の保全強化、こういったものに随分認識が違ってくる、そういう意味で御決意を聞きたいとお尋ねをしたわけであります。  ただいまの答弁は答弁で北川環境庁長官らしい答弁でありますけれども、もう一声強くこの御決意を賜りたい。そうでなければ私どものところの下水なんというのはいつまでたってもできません。
  320. 北川石松

    ○北川国務大臣 委員の重ねての御質問でございますが、今まで建設省あるいは厚生省、そういう中で事業予算が組まれて、環境庁はただお添え物——お添え物という言葉はちょっと適正ではございませんので、よくないと思いますが、ただ環境庁はそういう中で法的に、環境に悪いんだなということで今までの動きがありましたので、私はこういう点は、環境庁に事業予算がついていない、ただしそれの知恵は環境庁が持っていかなければいけない、こういう苦しい面もあったと思っておりますが、今後とも、今御指摘のように各省間のそういう皆様との話し合いの場を持っていくことが、今後公共下水道その他を、環境をよくしていくものの事業拡大に伴っていくと思っておりますので、前向きで対処してまいりたいと思っております。
  321. 中井洽

    中井委員 先ほどの御答弁の中で、今回の法案については、逆に、罰則もない、あるいはハード面よりもソフト面の普及ということが特徴だみたいなお答えがございました。今回の法案は、私が言うまでもなく、今までは関係都道府県知事ということであったのを市町村におろして、生活排水というものに初めて目を向けて法的な対応をしようということであります。  しかし、都道府県、公共下水ということですらなかなか進んでいない。そういう中で、環境庁の今の力、また大臣の今のようなお答えでは、到底市町村に有効な指導やら対応をとらすことはできない、私はこのようにひそかに心配をいたします。そういった意味で、特に生活雑排水までなかなか目を向けられない市町村の行政に対して、環境庁はどういう形で御指導なさるのか。生活雑排水環境問題、水質の改善、こういったものをどう結びつけて市町村の職員等に啓蒙運動をしていただくのか。この点についてのお考えをお尋ねいたします。
  322. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活排水処理施設でございます下水道にいたしましても、あるいはその他の施設にいたしましても、例外を除きまして事業実施主体は市町村でございますので、この市町村に、どのような施設がどの地域にどのようなタイムスケジュールで入るのが一番いいのかということを判断してもらって、計画をつくっていただく。その地域の実情、人口条件、自然条件、あるいは施設整備状況、あるいは公共用水域汚れ状況を一番知っているのは市町村長でもございますので、市町村長の判断で計画をつくっていただきまして、その計画に基づきまして国の方でその計画実施のための必要予算の重点配分をしていくということで計画の実効性を担保したいと思っております。  もう一つは、その計画の中にございます啓発普及の方でございますが、こちらの方につきましても、指導員の育成というようなことにつきまして、例えば研修会が必要になりますれば、県の方で、この平成元年度の補正予算でもお認めいただきましたような地域環境整備基金の運用益で、その地域環境改善促進になるような事業に対します助成ということでバックアップしてもらいますとか、あるいは啓発普及事業のマニュアルというようなものをつくりまして、県を通じて市町村の方にもそれを徹底するとかといったような対策を講じていきたいと思っているわけでございます。例えば台所対策一つにいたしましても、三角コーナー水切り袋というようなものでちょっと工夫していただくだけでSSはおろかCODの値も着実に下がるわけでございますので、そういったソフト面からの運動につきましても市町村に一肌脱いでいただきたい、そのために技術上の支援でございますとか情報提供というようなこともさせていただきたいと考えているところでございます。
  323. 中井洽

    中井委員 長官、朝シャンというのを知っていますか。——突然で申しわけございません。いいですよ。私は地域を歩いておりまして、今の若い子に対して親がどう思うかというと、朝シャンプーをするというのがちっともわからない、こう言うのであります。高校生や中学生の子供は登校前にシャワーを浴びるのであります。子供が親に対して家で何を要求するか、シャワーをつけろということです。また逆に、私ども地域でも、家を建てるときに水洗便所じゃないと絶対嫌、水洗便所のないところにはお嫁さんの来手がない。利用者、国民の生活水準がどんどん上がり、意識が向上すれば、特に水というものを昔に比べてはるかに使う。そして同時に、その中で汚染をするようなものがどんどん無意識に使われる。それに対して、テレビコマーシャル等でさらにまた売らんかなの形で商業ベースであおり立てられておる。こういう循環の中にあるわけであります。  したがって、ソフト面で協力をいただいて、生活雑排水をできるだけ汚染をしないような形で出してもらう、こう言いましても、それは言うはやすく行うことは大変難しいことだ、このように考えます。今の環境庁の発想や対応では、住民の多様な生活様式に到底対応し切れていない、このように感じるわけであります。ほっておけばおくほど生活雑排水における汚濁負荷量というのはふえていく。もっと早くもっと大胆にPRやら意識構造の改革やら、あるいは対応策を環境庁が先取りして打ち出していかなければ、到底この法案の趣旨を生かせない、このように考えております。そういった面から、ソフト面での教育普及あるいは国民の協力要請といったものを具体的にどうするか、これをどう考えておられるか、もう一度お答えをいただきます。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  324. 安橋隆雄

    安橋政府委員 生活排水対策につきましてのソフト面での啓発普及というのは、何よりも汚さないで流すという国民の理解が大前提でございまして、理解していただいた上で自覚をしていただきまして御協力の実行の方に移っていくというような過程でございますが、まず理解していただくための努力というのは、私どもといたしましても従来以上に強めていかなければならないと思っております。特に、手間をかけるよりも豪華に暮らすというような傾向が見え隠れする昨今でございますので、逆に環境に優しく行動するために多少の手間もいとわないというような、おっしゃいますような意味での意識改革ということも、生活排水をきれいにして流していただくという前提としては必要だと考えておりますので、こういった環境教育も含めましたPRといったものは、国の責務として法律にも書かせていただいておりますけれども、さらに強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  325. 中井洽

    中井委員 テレビを見ておりましたら、台所は海の玄関ですというコマーシャルで、油を捨てるのがございます。なかなかうまく言うものだなという感じがいたします。環境庁はなかなかソフトにいろいろなことをお進めにはなっておられますが、きょうびマスコミも十分御協力をいただいて、この法案の実が上がるようにぜひ御努力をいただきたい。  その中で一つ、思いつきみたいなことがございますが、「名水百選」ということをおやりになって、きょうもお続けになっていらっしゃる。これは、おいしい水ということに対して大変関心を深めたわけであります。生活排水がこのおいしい水というものを汚しているのだ、こういう御認識をいただく上で、例えば水道のうまい、まずいというのを発表したらどうだ、逆に。これをやると、まずいと言われたところの地方公共団体は水の確保だけでも大変だと思うのです。だから、何とか飲める水を量的に確保するというので今一生懸命だけれども、そういう段階を越えて、おいしい水の確保をするためにみんなで協力をしてほしい。そういう意識をつけるためにも、この地域の水はまずいというようなことも発表するというような思い切ったところまで考えたらどうかなということを、この法案を見ながら考えておったのです。そういった意味も含め、いろいろな発想をしていただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
  326. 北川石松

    ○北川国務大臣 ただいまの委員の水に対しての啓発といいますか啓蒙といいますか、そういう点でおいしい水の水域の地域というものになりますと、まずい水を飲むところの人口の方が多いことは、例えば東京周辺、近畿周辺、名古屋周辺、まあそこの水はまずい。ただし名古屋の水はおいしいですね、自分の体験から言っているのですが、どこの水が悪いということを率直に発表しますと及ぼす影響は大である、こう思いますので、その点は十分慎重に、そうしてよく考えてやらなければいかぬ、こう思っておりますが、いい水があるということの発表は大いにしたらいいと思っておる次第でございます。ただ名水にもいろいろありまして、この点はまだ検討しなくてはいかぬと思いますので、水をよくするということについては環境庁として前向きで対処していきたい、こう思っております。
  327. 中井洽

    中井委員 最後に、この間ゴルフ場の排水規制のことでお尋ねいたしましたが、例えば地方公共団体がゴルフ場から出される水について今度の法案規制をしようと思えば、どういう規制の仕方があるか。ゴルフ場の排水をこの法案の中にのせることができるかどうかについてお尋ねしておきます。
  328. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今度の法案生活排水対策中心に取りまとめておりますので、どちらかというと事業場系のゴルフ場の排水について、この法案の中で対処するということはなじまないのではないかと思っております。むしろ、今のゴルフ場の問題につきましては、水道基準に合わせまして、私どもの方でも排水の方の基準と申しますか指針値を示すことによりまして、現実に環境に問題のある排水が行われないようにということで指導していくことが現実的ではないかというふうに考えておるところでございます。
  329. 中井洽

    中井委員 勉強不足で恐縮ですが、そうすると、ゴルフ場の排水規制というのは何をもってやるのですか。過般の示された、水道に対する規制の十倍の数値をもって各市町村がゴルフ場を指導をしなさい、これだけになるのですか。
  330. 安橋隆雄

    安橋政府委員 まず調査をしていただくわけでございます。実態把握が先決でございまして、その実態把握をしていただきます。これは都道府県が中心になって把握していただきたいと思っておりますが、その数値が指針値と比べまして、指針値をオーバーしているというようなことになりますと問題でございますので、その地域につきまして、あるいはそのゴルフ場につきまして、強力に指導を強めるということで対処していきたいと思っておるわけでございます。
  331. 中井洽

    中井委員 一度また研究してお聞かせをいただきたいと思います。今のでは僕はちょっとおかしいのではないかなという感じがいたします。  それでは、時間ですので終わります。
  332. 戸塚進也

    戸塚委員長 竹内猛君。
  333. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 水質汚濁防止法改正に関連をして質問をしたいわけですが、もう既に本法案については我が党並びに各委員がそれぞれいろいろな角度から質問をしておりますから、私はこれに対して一応総括というか整理をして質問したいわけですが、特にこの際は茨城県の現地から参考人として環境局長にわざわざおいでいただいております。御苦労さんです。というのは、いろいろな法律をつくってみても、いつまでたっても地元の霞ケ浦はきれいにならない、ますます悪くなることはあってもよくなるという見通しはない。一体どうしてかということ、これは問いたださなければならないことが一つあります。  そこで、その前段として、現在の経済の高度成長それから生活の近代化、こういうものと並行的に公害が発生をする。これは自然環境が破壊され生活環境が破壊をされている。それをやや歴史的に見ると、池田内閣の所得倍増計画では農業基本法ができて、これによって農民が六割切り捨てられるということになってきたし、引き続いて田中内閣の列島改造では重化学工業の基地が全国的にできた。そして、新産都市においてはコンビナートが建設されるという状態になってきた。そういう中で、現在はリゾート基地などをつくりながらゴルフ場、スキー場の建設、別荘の分譲というような形でそれが売り出されている。このような列島改造のかわりに今度はリゾート法があり、それから高度経済成長のかわりに余暇というものがあらわれた。重化学工業は都市では大気や水や環境の著しい汚染をもたらしている。深刻な公害問題を発生させ、のみならず膨大な産業廃棄物があらわれて、それを処理するところに至るところに住民運動が発生をしている、こういう状態なんですね。今リゾートブームですけれども、新潟県の湯沢町で見られるように、あるいは群馬県の草津で見られるように、広範な自然が破壊されている。新潟県の場合には、これは「東京都湯沢町」というような本が出ているくらいに、東京の銀座が一つすぽっと湯沢に行っている、そういう状態ですね。マンションが七十も建つ。これは大きな投資をしているのですね。  私は、そういう一つ一つ歴史的な問題をここで議論しようとは思いませんが、そうした歴史の中で今日、美しい自然やきれいな水が、あるいは環境が破壊されて汚濁をされている、こういう状態です。国もこれに対しては、水質汚濁防止法、あるいは悪臭防止法、湖沼法、騒音防止に関する法律や、県でも富栄養化条例などをつくってそれぞれ法律的には対応してきた。その努力は認めるけれども、しかしながら現状においてはその回復状態は甚だ心もとない状態です。そういうような状況のもとで、今度は自然発生的な住民の運動が起こってきている。だから、法律が目指している方向と現状の住民の、国民の気持ちとの間には相当な距離があると言わなければならない。  そこで、きょうはわずかな時間ですから私はこういう問題についてすべて触れることはできませんが、この前、四月に霞ケ浦の現地調査をした。それからゴルフ場にも行きました。そういう中で県及び地元から、あるいは地元の住民運動の代表からいろいろな意見が出され、要請が出されております。そういうものについてここで整理をしてまず質問をしていきたい。  第一の問題は、国と県は霞ケ浦の水質汚濁防止についてどういうような配慮と運動をしてきたか、その結果何が問題になっているのかということについて、これはまず地元の県から聞いて、それから国の方からお願いします。
  334. 成瀬光朗

    成瀬参考人 お答えいたします。  これまでの霞ケ浦の水質の改善対策と実施した内容、それから霞ケ浦の水質改善を実施してきたが問題点はというような点での御質問かと思いますので、お答え申し上げます。  霞ケ浦の水質改善対策につきましては、県の最重要課題といたしまして、昭和五十七年には霞ケ浦富栄養化防止条例をつくりまして排水規制の上乗せ基準を設けると同時に霞ケ浦富栄養化防止基本計画を策定いたしまして、さらに湖沼法に基づきます霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画や水特法に基づきます霞ケ浦水源地域整備計画と有機的な連携を図り、機能させながら流域対策や湖内対策、また浄化のための啓蒙普及活動に努めてきたところでございます。  主な対策といたしましては、流域対策につきましては、下水道の普及、農業集落排水処理施設整備など生活系排水対策、それから適正な施肥や水の管理というような指導、畜舎の管理の指導、整備の農業畜産系対策、さらにはコイの養殖の適正化などの水産系対策を実施してきたところでございます。さらに、水質汚濁防止法関係法令に基づく工場事業場排水規制等、監視指導を行ってきたわけでございます。また、湖内等の浄化対策といたしましては、建設省の事業でもございますが、底泥のしゅんせつ、アオコの除去などを行うとともに、流域住民が霞ケ浦を正しく理解し、水質浄化の必要性を認識するための啓蒙普及活動、啓発活動を実施してきたところでございます。具体的な事例を申しますと、流域住民や住民団体の実践活動によって展開されていた粉石けんを使用して有燐洗剤の使用等を禁止する運動がございましたが、こういうのが基本となりまして有燐洗剤の使用の禁止等が盛り込まれた霞ケ浦条例が制定され、またこの結果、現在有燐洗剤は一掃されているというようなことでございます。また、食用廃油を利用した手づくり石けんの普及や粉石けんを使用しようという住民運動が各地で展開されているところでございます。  以上のような対策によりまして霞ケ浦のCODの平均値は——平均値と申しますのは、県といたしましては計画や評価の数字として使っておるわけでございますが、三水域の八地点の各自にはかった値の平均値でございますけれども昭和五十年代には一リッター当たり十ミリグラムでありましたが、昭和六十三年度にはそれが七・四とかなり改善が見えた結果が出ているわけでございます。今後とも、国を初め関係機関や住民の方々の御協力をいただきながら、積極的に水質改善に取り組んでまいりたいと考えております。  それから、霞ケ浦の水質改善対策を実施してきた中での問題点はというようなことでございますが、霞ケ浦の水質改善対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、流域対策、湖内対策や浄化のための啓蒙啓発というのがあるところでございますが、霞ケ浦の汚濁源は家庭等から排出される生活系排水の占める割合が四〇%を超えているという状況でございます。この生活系排水対策が極めて重要でございまして、そのため効果のある下水道や農業集落排水処理施設等の整備を重点的に実施してきたところでございます。しかしながら、これらの施設整備するに当たりましては多額の経費を必要とするため、財政負担の問題や相当の期間がかかるというようなことで、この辺がこれから進めていく上で考えていかなければならない問題ではないかと考えておるわけでございます。これらの施設整備に当たっては、先般当委員会が霞ケ浦を御視察いただいた際にも県の方から御要望申し上げたところでございますが、財源の措置がなされることを期待しているということでございます。  先ほど申し上げましたように、家庭から排出される生活系排水が大きなウエートを占めているということから、今国会において水質汚濁防止法改正案が審議されておることは、我々現場で水質浄化対策を進めている者にとりましては大きな期待をしているところでございまして、今後とも水質改善のために最大の努力を払ってまいりたいと考えております。
  335. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今具体的な問題につきまして県の方から御説明があったところでございますが、国の方といたしまして、今ちょっと御説明がありましたように、霞ケ浦を指定湖沼にいたしまして湖沼水質保全特別措置法の対象湖沼といたしますとともに、県に水質保全計画をつくっていただきまして、この計画の推進に必要な予算の重点配分というようなことを関係各省庁とも相談しながら実施してきたところでございます。  こういう対策が行われました結果、昭和六十年に比しまして霞ケ浦の六十三年度の数値では若干改善の方向には向かったかなという兆しは見えるわけでございますが、対策の関係者の努力がそれほどあらわれてこないというような感じもいたします。一つには関係地域人口もふえてきているという問題も他方にあろうかと思いますけれども、今後、国も含めまして関係者の一層の努力が水質改善のために必要なのではないかと問題点として考えているところでございます。
  336. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いろいろ御説明がありましたが、現実には、この四月二十二日のアースデーのときにも地元の人たちが霞ケ浦の現地でいろいろ運動したけれども、まだまだ、霞ケ浦は大変だということでは一致をしているわけですから、これから大いに努力をしなければならないということだけは間違いがない。  それで、今度の法律改正というのは、産業排水については一定の規制をしているけれども、まだこの規制は私は不十分だと思いますが、今度は家庭雑排水についての規制を指導しようというのが趣旨でしょう。  ところで、先ほど局長からお話がありましたが、現地の茨城県の昨年九月の県議会において、質疑に対して知事はこう言っている。懸命の努力をしておるけれども、まだその効果が上がっていないということが端的なことだと思います。霞ケ浦を汚しているのは東京の人でもございませんし、よそからの県の人でもない。霞ケ浦沿岸に住んでいる方々が霞ケ浦を汚しているわけでございます。そして、霞ケ浦の水の汚水の原因となっているものは、大体四つぐらいございます。その一つは、家庭から出る排水一つ工場事業所から出る排水、もう一つは豚を飼っている排水、それからさらにコイの養殖による汚濁が主なものだと思います。汚濁の原因はこのように単品ではないのですね。総合的であり複合的であるという答弁をしております。  やはり私はこの際、手賀沼、印旛沼、琵琶湖、諏訪湖、こういうところもこれは複合汚染、総合汚染だと思うけれども、これはいかがですか。
  337. 安橋隆雄

    安橋政府委員 霞ケ浦の汚濁の原因でございますけれども生活系、自然系、畜産、水産系と、それぞれウエートは違いますけれども、ある程度の汚染のシェアを占めていることは確かでございます。そういう意味におきましては、霞ケ浦の汚染の原因というのは複合的なものではあろうかと思っておりますが、その中では生活系の割合が高い。約四割であるという意味では、他の自然系、畜産、水産系よりも高いというような特徴があるのではないかと思っております。
  338. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 したがってこの対策は総合的でなければならないと思うわけです。  私は、もう一つただしたいことがある。それは、霞ケ浦の水は、治水のみならず工業用水、都市用水、農業用水と多目的に使われているというのが実態ではないか、これについてはどう思いますか。
  339. 安橋隆雄

    安橋政府委員 霞ケ浦の水につきましては、今おっしゃいますように多目的に利用されているということは事実でございます。・そういう意味では、水道用水、工業用水あるいは農業用水、また漁業等にも利用されている、そういう意味で単なる見て美しい湖という意味での観光的価値だけではなくて、いろいろな利用がなされている湖であるというふうに考えております。
  340. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、汚染の原因が複合的であり、総合的である、それから用途が多目的であるという状況は大体確認をされると思います。そうすると当然、霞ケ浦が一級河川であり、また五十六のそれぞれの川が流れ込んでくる、これもまた一級河川、そういうわけでこの二百十平方キロである湖、その流域というのは二千百六十九平方キロと大体湖面の十倍、茨城県全体の三分の一、そうなりますね、そういう広いところが関係をする。それだけに、水を汚すもの、これを使うもの、これは交互にあるわけだから、だれが汚してだれが使うということではなくて、お互いに水を使ったり汚したりしているわけだから、これは因果関係というものは余り問う必要はなくて、お互いによくしなければならないというふうに考えるけれども、これはいかがですか。
  341. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先生がおっしゃいます意味では、霞ケ浦の関係者というのは非常に多岐にわたっているということだろうと思います。
  342. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、私は一つの提案をしたいわけですよ。どういうことかといいますと、わざわざ参考人として県の局長においで願ったが、あるいは局長の権限外かもしれない。けれども、現在、霞ケ浦を汚しているのは、今言った四つの、知事も県会で答弁しているような四つの問題だけではなくて、常陸川の水門というものに対して何で一体触れないのだ。常陸川水門というものはもともと治水、治山、これを中心として三十八年にできた。その後、四十五年には鹿島の工業開発が行われて工業用水になった。塩水を工場に送るわけにいかない。だから、水門の果たす任務というものはその後変化をしてきている。そういうことであるから土浦方面の住民の皆さんは、常陸川水門の開閉そのものについて、やはりこれは海を汚しているのではないのか、こういう疑問を持ち、二十年も調査をしている。あるいはここに学者が本を、茨城大学の地域総合開発研究所あるいは小林教授が本を出していますが、これを見てもやはり常陸川水門というものと霞ケ浦の汚濁というものは無関係ではない、こういうふうに言っている。  ところが、なぜこの常陸川水門というものと霞ケ浦の水の汚濁の問題について触れない、避けていくのか、これはどういうことですか。これについてどうですか。
  343. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先生がおっしゃいますように、常陸川水門が霞ケ浦の汚濁の原因一つであるという意見があることについては承知しているわけでございますが、常陸川水門というのは年間百日程度は開放されているというふうに聞いておりまして、常陸川水門が霞ケ浦の閉鎖性水域としての特性を増大させているというようなものではないというふうに考えているわけでございます。霞ケ浦の水質の汚濁の原因というのは複合的、総合的な要因を持つものであるということで私どもとしては認識いたしている次第でございます。
  344. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういうことを言っているからだめなんだ。県はどうです。県もまた同じことを言うしかないのか。それならいい。答弁しなくていい、そういうようなことで逃げて歩いている。これは逃げてはだめなんだ。そういうことをするから疑問が常に残っていくわけだ。これではみんな一緒になって水をきれいにしようということにならない。  だから、常陸川水門の周辺の、これは千葉県も関係がある。それから稲敷郡、行方郡、鹿島郡、ここの農業者の方々、あるいは千葉県にもその隣にも関係があると思いますけれども、それから今度は土浦を中心とした市民の皆さん、こういう人人を環境庁、県、それから建設省、これが一ケ所に集まってもらって、お互いにあれが悪い、これが悪いというのじゃなくて話し合いをする、こういうことをやる必要があると思うのです。そうして、自分たちの霞ケ浦というものをみんなでよくしようではないか、それは一回では済まないと思うのですね、何回もやってもいいから。このことを一遍もやったことがない。この間、建設省建設省だけで会合をやっている。また、住民の方は住民だけで会合をやって、あれが悪いとこう言っている。悪いものがあっちにもこっちにもあって、そして、この法律は、国の責任はどうだ、都道府県はどうする、自治体はどうする、国民諸階層はどうだということをちゃんと言っているじゃないか、法律で。にもかかわらず逃げて歩いていちゃしようがない。だから、国、県一緒になって、汚したり汚されたりする、使ったり使われたりする、それを会合することを避けるべきじゃない。住民運動も入れてですよ。これはどうです、長官。
  345. 北川石松

    ○北川国務大臣 竹内委員、前委員会においてもそうでございましたが、ただいまもまた霞ケ浦の水質汚濁について非常に御熱心であり、どうしたらよくなるかということの御質問を受けまして、みんなの話し合いの場を持ってみたらどうだという御質問でございますが、きょうは県からも来ていただいておりますし、県当局はこれについては非常に熱心に地元民とお話しを願っていると私は思っております。ただし、常陸川水門がすべてではないにいたしましても、そこに水門を設けたということで水の流れというものを変えたことは否めないと私は思っております。そういう点について、これは茨城県だけではなしに、関係する他の県も何らかの形で霞ケ浦の恩恵をこうむり、あるいは、霞ケ浦に注いでくる水もございますから、そういういろんな意味での話し合いの場を持たれたらどうだということを再度御指摘を受けておるわけでございます。ただ、この点につきましては、茨城県が日ごろから地元の皆さんの御意見を聞きながら、またこれを反映して努力願っていることに深く感謝をしておるのでございますが、県当局とも一応話をしながら、今御指摘のような点についての方策を考える必要があるかどうか検討したい、こう思っております。
  346. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 県の方からも。
  347. 成瀬光朗

    成瀬参考人 今長官がお答え申し上げたことのとおりでございまして、県といたしましても、これまでもそれぞれの分野の方々と終始いろいろの形での御意見を聴取するということはやってまいったわけでございまして、関係者が一堂に会しましてこの問題について話し合いの場を持つべきでないかというようなお話でございますが、常陸川水門も含めまして、関係者の皆様にはいろいろの意見がございます。そういった立場の違いからの御意見があるということで、話し合いの場の持ち方というのは非常に難しいことがあるのかなというふうな感じもいたしておりますが、御提案のことについては関係機関と協議しながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  348. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 別に常陸川水門だけを敵にするわけじゃなくて、霞ケ浦というものをあれだけ汚している、いろいろ努力をした、しかしその常陸川水門というものに触れたがらない。建設省は直接の管理者だ。建設省、どうです。
  349. 矢野洋一郎

    ○矢野説明員 お答え申し上げます。  常陸川水門につきましては、水資源公団法の規定によりまして昭和四十六年に策定されました霞ケ浦開発事業に関する事業実施計画の中で、常陸川水門により塩水の遡上をせきとめ、特定かんがい用水、これは農業用水でございます、並びに都市用水、合計約四十三トンの新たな水資源開発を行うというふうに定められております。この事業実施計画は、関係県の知事との協議のもとに決定されたものでありまして、現在この四十三トンのうち農業用水が約二・六トン、上水道用水が四・七トン、工業用水が約六・九トン、合計十四トンばかりの水が暫定的に取水を始めております。また、このほか既得の用水約四十六トンも、長年の塩害の苦しみから解放されたわけでございます。これらのことから、極論いたしますと、今水門を開放する、あけてしまうということによって再び湖の水が塩水化するということは許されないことだと考えております。  常陸川水門につきましては、現在、平常時におきましては茨城県知事と千葉県知事の要請を受けて操作を行っておりますが、両県の知事が総合的に物事を判断するという立場でいらっしゃるということから、その御意見を尊重し操作を行っているところであります。こうした観点に立ちますと、霞ケ浦の水質改善は、現在の水門操作を前提としながら、先生御指摘の霞ケ浦の汚濁が複合的な要因であるというふうに思料されることから、総合的な立場から考えるべきものと考えております。したがって、御提案の懇談会につきましても、水門の管理者としての立場からだけでこの開催を云々するということではなくて、もっと広い視野に立った、総合的な立場からその開催は検討されるべきものというふうに考えます。
  350. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大体この話の筋は見通しができているわけだ。だからこれは、県も国も関係機関もそれから住民運動も一緒になって、官民一体でなければだめだよ。それでそれが一つの大きな運動にならなくては、あれが悪い、これが悪いと言っているうちは決してきれいにならないでしょう。だからそれは常陸川水門だけを敵にする必要はない。土浦の市民の皆さんもそれは常陸川水門だけだとは言っていないんだから。だから、そういう人たちを避けて通ることは何もないので、お互いに何をしようかということを一緒に話し合う、これは一回じゃだめですからね、二回も三回もやったらいいのではないですか。今は田植えをして、六月、七月、八月、稲刈りが始まる前ぐらいにそういうことをやる必要がある。このことだけはぜひ県の方も考えておいてもらいたい、知事も。それは局長の権限外かもしれない、あるいは権限内かもしれませんが、そのことだけはぜひ実施してもらいたい。  これは何も社会党だけじゃないですよ。環境委員は、ここにいる時崎さんも中山さんもみんな茨城県一区ですからね、そっちの方面なんだから、そういうふうにいるわけだから、これは我々が環境委員として要請してもいいことであって、お互いに心配していることですから、そういうふうにやってもらいたい、こういうふうに思うのですね。長官、これはひとつぜひ進めるようにしてもらいたいと思います。いかがです。
  351. 北川石松

    ○北川国務大臣 委員の再度の御質問でございますが、本当にこれはいろんな要素があると思いますよ。本当にそういう思いをいたします。ですから、やはりそのまま放置しておいても解決できないと思いますから、いろいろな意味を含んでの検討をしていく必要がある、そういう思いをいたしております。
  352. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今までにやらなかったことをやろうとするのだから、それは困難なことはわかるけれども、それをあえてやるところにこの法律を生かしていこうという精神もあるんだから、やはりこれは住民運動も行政もみんなが一緒になって、この問題について誠意を持って話し合いをすれば必ずみんなが理解をすることだろうと思うのです。  そういう中で必要なことは、霞ケ浦の水質浄化のための計画、ちょうどこれは見直しの時期になっている。この計画の見直しと、それから、それに予算と技術を加えてどこからどうするかということにしなければ、ただ法律が満期になったからそれを見直すということだけでは意味がない。これはどうです。
  353. 安橋隆雄

    安橋政府委員 おっしゃいますように、霞ケ浦の水質保全計画につきましては本年度でその第一期の計画が終わるわけでございますが、今後どのようにさらに霞ケ浦の水質浄化を図っていくかということにつきまして県を中心に検討していただきまして、私どももそれを受けた形で関係閣僚会議に諮って計画の承認をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  354. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ぜひ計画をした場合には予算をちゃんとつけなきゃ、計画だけ出してみたところで意味がないね。
  355. 安橋隆雄

    安橋政府委員 水質保全計画に盛り込まれております事業につきましては、その優先的採択をするということで関係各省庁にお願いしているところでございます。これは一期の計画の場合も同様でございましたけれども、今後もそういうことでお願いしたい、実施していきたいと思っているわけでございます。
  356. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間が来たから、最後にゴルフ場の問題について、どうしてもこれは一言言っておかなくちゃならない。  ゴルフ場と水質の汚濁については最近は社会問題になりつつある。これは、茨城県の霞ケ浦の流域に見るだけでも問題ですね。既存のゴルフ場が三十五、造成中が七、計四十二。ゴルフ場は平均十八ホールで、百ヘクタールの面積を占めている。これは私どもの仲間の調査です。流域全体で四十二平方キロということになります。全流域の一・九%、これがゴルフ場だ。日本の有数の、ゴルフの銀座と言われるほどになっている。まだ申請があるようですね。だから密度はさらに高くなる。低くなることはない。  茨城県の農林水産部の改良普及課が行った実態調査によると、昭和六十三年において、県内のゴルフ場の平均で一・九トンの農薬が使われている。除草剤、殺菌剤、殺虫剤、着色剤が使われている。霞ケ浦の流域にも約八十トンの農薬が使われることになります。これに加えて、芝生をつくる農家、日本一の芝生の産地でありますから、そこでも農薬が使われているわけだから、これらを加えると相当なものだ。農林水産省の環境技術研究所の資料によると、除草剤の流出率は、その薬剤の水溶性などから非常に確率は高い。性質、地形、土性、気象条件などからいろいろ違ったところはあるけれども、この地区ではかなり高い。そういうことから見ると、全量の〇・一から五%というような状況でゴルフ場の農薬が流れ、溶け込んでくる、こういうような状況になるんだという計算をしている。仮に一%流れ込んだとしても、八十トンのうちの八百キログラムというのは河川を通して霞ケ浦に入ってくる。霞ケ浦の水は八億トンですから、その中にこれだけの農薬が入ってくるということになると、特に河口やそれから河川の水は相当に汚れるわけですから大変なことになる。  だから、農薬の問題についてはいろいろな基準があるけれども、これはやはり厳密に検査をして、規制問題については詳しく厳しく取り押さえなければいけないし、重要な課題になってくるだろう。せっかく法律を出す意味がなくなってしまう。これはいかがですか。
  357. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ゴルフ場から流れ出る農薬の問題につきましては、先週二十四日に、県が水質の面からゴルフ場を指導する基準、暫定指導指針値といたしまして通達したところでございます。まず実態をよく把握していただく。ゴルフ場からどのような農薬がどの程度流れているかということで十分調査をしていただきまして、その調査結果を指針値に当てはめて考えていただく。それが危険なレベルであるのかどうかというようなことで、もし危険な場合には、農薬のまき方、使い方、あるいはゴルフ場の構造基準にまで及びまして指導を強めてまいりたい、というような体制をとることによりましてゴルフ場から流れ出る農薬についての環境汚染の問題に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  358. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 以上で終わります。
  359. 戸塚進也

  360. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 水質の汚濁防止に関する制度につきましては、これまでの数回にわたる法改正によりまして順次その制度が整ってきた。環境基準で見る限りでは、人間の健康に関する項目はほとんどの水域で達成されている。ただ生活環境項目については、例えばBODとかCODとか、こういう項目につきましては、特に都市河川とか湖沼等の閉鎖水域では大変立ちおくれが際立っている、こう言わざるを得ないと思います。そしてそれがほとんどが生活排水に起因する、それが大きな原因であるということも事実であります。そういう意味で、今回この法律改正をして生活排水の実施を法律に書き込んだということは、これは大変適切な措置であるし、そういう意味でもこれからひとつ環境庁中心になって、調整役になって大いに頑張っていただきたいものだ、こういうふうにまず冒頭に要請をしておきます。  そこで、私は、せっかくこういう立派な法律改正をやったけれども、この実効性が上がるかどうかというのは、やはり財政措置が伴っているかどうか、こういうことに大きく起因すると思うのであります。この法律を読む限りでは、国は地方公共団体が生活排水対策に係る事業を推進する場合に必要があれば技術上、財政上の援助に努めなきゃいかぬという単なる抽象的な訓示規定が書かれてあるだけであるけれども、それが本当に実効が上がって、これまで以上にそういういろいろな施設整備が進んで、生活排水対策が進むと考えておられるかどうか。その点についてまず局長に伺いたいと思います。
  361. 安橋隆雄

    安橋政府委員 市町村が、生活排水浄化施設、各種の施設がございますが、整備計画をつくりましたものにつきましては、これが生活排水対策重点地域でございますので、この各施設整備につきましては国といたしましても重点的に予算の配分を考えるということで各省庁とお話し合いをしておるわけでございます。そういう意味におきまして、これらの計画に盛られました事業が予算措置を伴って実行されるのではないかというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。それを国の責務といたしまして、責務規定として、国は財政上の援助に努めるというような形で表現させていただいたわけでございます。
  362. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 大臣が参議院の関係で出られるそうですから、二つだけちょっと冒頭に質問しておきたいと思います。  今局長から、うまくいくだろうという話でありますが、いかんせん、この生活排水に関する施設は、下水道についてだけ見ても建設省がやり、農林省がやっている、環境庁が所管するものは一つもないという状況でありますから、抽象的な答弁では、この法律に書いたからといって私は必ずしもうまくいくとは思いません。そこで環境庁長官が関係大臣と会って、こういう法律が実現したのであるから、これはみんなが協力してひとつやっていただきたい、こういうような場を持っていただきたいし、また日米構造協議で十年間で四百兆の公共投資をしようという話があります。残念ながら外圧で、立ちおくれている生活環境施設を優先せいというのがアメリカの言い分であります。下水は四〇%しか整備されていない。先進国の中で、もう半分も整備されてないという状況であります。公園面積で見ても一人当たりたった五・二平米という、先進国から見れば五分の一も整備されてないという状況であります。こういう状況から見て、やはりこれから十カ年間のそういった公共投資の配分をする、配分をする場合に下水や公園等の生活環境施設に中間年次としての五カ年計画ができる、こういう状況でありますから、そういう配分に当たっては、従来のシェアだけではなくて、いかに日本が今生活環境が立ちおくれているか、整備が立ちおくれているか、そういうことに着目しながら、所管大臣として、閣議や予算折衝の際には身をもってひとつこういったもののシェアが上がるように頑張っていただきたいと思うのですが、まずその点についてお伺いします。
  363. 北川石松

    ○北川国務大臣 野呂田委員の非常に御理解のある環境庁に対する御質問であり、また、このたびの法の御審議願うに当たりましての国民の生活の福祉という点においても、下水道が今四〇%、これはもう実におくれておりますし、また、日米構造協議の中でも大きく指摘された点でございます。環境庁には実際の事業予算はないじゃないかということも御指摘のとおりでありますから、各大臣に十分な御理解を願う私はみずからの行動をしなくちゃいけない、この点は御指摘のとおり頑張っていきたい、こう思っております。住民福祉、国民福祉の立場からもこれが一つ一つ事業として大きく実績が上がるように頑張ってまいりたいと思っております。ありがとうございます。
  364. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 後段の方の大臣の見解が必ずしもはっきりしませんでしたが、私はせっかく四百兆というのがこれから十年間のタームで配られるわけですから、これまでのような単なる趨勢値ではなくて、下水や公園のような生活環境優先の公共投資の配分というものを、生活環境を所管している環境庁長官としてそういう閣議とか予算折衝の場で大いに強調していただきたい。これは時間がないですから答弁は要りません。ひとつ強い要望として申し上げておきたいと思います。  あともう一つ、順序が逆になってあれですが、大臣の時間がありますから、大臣、先に質問とお願いでありますが、この生活排水対策が主なる原因で、世紀の干拓と言われた私どもの八郎潟、これは今奇形の魚が発生して生態系が相当壊されております。アオコがおびただしく発生しております。しかも、残念ながらここでは飲み水がなくて、その水を飲んでいるという実態であります。私は、この八郎潟の問題については、相当長い間にわたって環境庁建設省厚生省、農林省、あらゆる関係の省の局長課長を集めて何回も個人的には調査等研究を要請し、その対策を私なりにやってきましたが、遅々としてこれが進まない。進まない大きな原因として、私の結論は、これは湖沼法による指定湖沼に指定されていないので、どこの省も身を入れて物を考えてくれないのが大きな原因である、こう思っております。細かい質問は後ほど局長にいたしますが、大臣からお答えいただきたいのであります。  こういった大勢の人が水を飲んでいる、そして、日本でも最大の閉鎖性水域のこの湖沼が今まさに倒れようとしている瀕死の状態でありますけれども、こういうものを単に、何とかしてくれという公共団体から申し出がなければ指定湖沼に動かないということも私はどうかと思います。  そこで、環境を守るのが環境庁の役目であるとすれば、実態はもうみんな局長以下わかっているわけでありますから、そういうものをもっと強力な行政指導をして、こういった指定湖沼に指定するというようなことをきちっとやってもらいたい。私は、大臣に改めてお伺いとお願いをしますが、この瀕死の状態の八郎潟をひとつ湖沼法の指定湖沼に指定する覚悟があるかどうか、その決意をお伺いしたいと思います。
  365. 北川石松

    ○北川国務大臣 委員の御質問にお答えいたします。  八郎潟が八郎湖になりまして水道の水源地として使用されている以上は、先ほども霞ケ浦の問題がございましたが、実際に飲む水として行われている以上は、これが水質をよくすることは当然でございまして、私は当該知事から指定の申請があれば、これは直ちに指定するように前向きでいたしたいと思っております。
  366. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 もう時間がありませんからどうぞ長官に御退席いただきたいと思いますが、今の問題は事務局を督励して、ぜひひとつ早急に指定湖沼にしていただくように重ねて御要望いたします。ありがとうございました。  そこで、後先になりますが、ちょっと局長にお伺いします。環境庁としては、この八郎潟の問題について、現状とその対策をどういうふうに考えているか、まずお伺いしたいと思います。
  367. 安橋隆雄

    安橋政府委員 八郎湖の水質汚濁の現状でございますが、COD値で見ますと、昭和六十年度では一〇ppmであったわけでございます。六十一年度が七・七、六十二年度が八・九、六十三年度が九・〇ということで横ばいあるいは場合によってはやや悪くなる兆しも見え始めているというような状況でございます。  八郎潟汚濁の原因でございますけれども、干拓前の八郎潟の時代から天然の富栄養湖であったというようなことに加えまして、生活系排水によるものあるいは耕地等からの自然系によるもの等等の流入がございまして、今のような状態になっているのだと考えておるところでございます。
  368. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 今まで地元では八郎湖の水質保全対策委員会とか八郎湖の技術検討委員会とかというものがつくられております。多分、環境庁を初め国の方からもそういったものの調査に参加していただいていると思うのでありますが、こういうものが早い間にできておりながら、まだその対策が一向に出てこないということはどういうことか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  369. 安橋隆雄

    安橋政府委員 従来、八郎湖におきます水質汚濁防止の方の対策あるいはその調査については、県の方で中心になってやってきていただいておるわけでございます。今先生の御指摘にありましたような委員会も現実には開かれているというようなことでございまして、私どもの方といたしましても、この八郎湖の水質保全対策につきまして県の方から御要請がございますれば、積極的に対応してまいりたいと思っておりますし、今御指摘委員会にも環境庁の国公研の方の職員が参加する予定というふうに聞いておるわけでございます。
  370. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 とにかく飲み水にも事欠くことが間もなくやってくると思うのでありますが、汚濁の程度や富栄養化の程度がこれはもう霞ケ浦に準ずるような状態でありますから、それに対して何の措置もいまだ講じられてないということでは困りますから、さっき大臣が、要請があればすぐ指定すると言いましたが、その点について大臣の答弁どおりなのか、事務局はどう考えているか、その点、もう一回改めて聞き直しておきたいと思います。
  371. 安橋隆雄

    安橋政府委員 どこの湖沼の場合も同じでございますが、湖沼水質保全法の指定を行います場合には、まず現況をよく把握いたしますとともに、どのような対策をとれば何年ぐらいまでにどの程度水質に回復するだろうかというような調査結果、評価といったような知見の収集も必要になってくるわけでございます。今秋田県におきましてはそのような知見の収集に努めていらっしゃるというふうに私どもとしても理解しているわけでございますが、こういった知見の収集が進みましてきちんとした調査も終わりますれば、その結果に基づきまして、県の方から指定湖沼の指定につきましての申し出があるのではないかと思っているわけでございます。それがありました場合には、私どもといたしましては、大臣もお答えになりましたように早急に対応したい、このように考えているところでございます。
  372. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 私は環境庁にちょっと注文をつけておきたいと思うのです。一生懸命やっていただいているのに注文をつけるのは悪いのですが、何か、公共団体から上がってこなければやらないという、法律はそう書いてあるからそのとおりでありますけれども、国民の環境、地球の環境を守るという立場からいけば、公共団体から上がってこなくても環境庁としては前向きに公共団体にやらせるというような行政指導をどうして積極的にやらないのか、その点について局長の考え方を聞かせてください。
  373. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今申し出に基づきと申しましたのは、まさに先生がおっしゃいましたように法律上の手続として申し上げたわけでございます。実態上の調査あるいは知見の収集段階におきましては、まさに八郎湖の水質保全を早急にやる必要があるのじゃないかという観点から、いろいろな面で積極的な協力をしているところでございます。
  374. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 ぜひひとつ、そういう前向きなことでやらないと国土の環境も地球の環境も守れないという時代に入ってきたのですから、公共団体を積極的に指導して、公共団体の足りないところは環境庁が補うという態度でひとつ頑張っていただきたいと思っております。  重ねて申し上げますけれども、今せっかくいろいろな委員会ができて検討している、このことについて県は必ずしも専門家がたくさんいるわけでもありません。したがって、環境庁が前向きになって、要すればあなた方がひとつ関係各省を掌握していただいて、環境庁だけではなくて関係の各省を引き連れてそういった抜本的な対策をつくることに積極的にやっていただいて、一刻も早くこれをつくっていただきたい。いずれできれば県から上がってくるだろうじゃなくて、一刻も早くこれをつくっていただきたい。抜本対策を樹立していただきたい。この点についてもう一度伺っておきます。
  375. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先ほども申し上げましたように、国公研の職員を県でつくられます検討会の委員として任命していただくというようなことで、そういう意味では環境庁といたしましても積極的に協力をしているわけでございますし、やはり湖そのものが極端に汚れてしまいますと回復する手だても時間も長くかかる、多くの金がかかるというのが汚染の通例でございますので、汚染の進んでいるような主要な湖というようなものにつきましては、できるだけ早く指定湖沼の指定というような手続に入れるように環境庁としても努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  376. 野呂田芳成

    ○野呂田委員 今の御答弁のとおり、手おくれになってしまっては大変な時間と労力と費用がかかります。私は、こういうものはやはり予防的に早く立ち上がって手がけておかなければいかぬと思いますから、そういう覚悟でひとつ頑張っていただきたいと思います。私の質問に対して局長も大臣も、地元から、公共団体から要請があれば直ちに指定湖沼として指定するように努力をしたいということでありますから、それでこの問題については了解いたします。  時間の進行に協力しろということでありますから、時間が余りましたが、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  377. 戸塚進也

    戸塚委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  378. 戸塚進也

    戸塚委員長 速記を起こして。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る六月一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十六分散会