○山田
委員 私は、そのほかにも国交樹立あるいは謝罪の分野、あるいはまた人物往来、物の往来、貿易
関係、
経済関係の一層の発展、そのために第一歩となるでありましょう
相互の貿易事務所の設置について、あるいは一層の積極的なスポーツ分野における交流の発展、あるいはこの
北朝鮮に対する大きな
影響力を持つとされております
ソ連、中国に対する
我が国政府の対
北朝鮮関係改善へ向けての
協力要請、挙げていけばさまざまなことが言えるわけでございます。
重ねて私は、いわば
海部戦略あるいは
日本政府としての
基本見解というようなものを一度整理をして明らかにされることを、それは日朝
関係打開に極めて有効なものであるという観点から重ねて
要請をしておきたいと思う次第でございます。
次に、
北方領土問題について若干
お尋ねをしたいと思います。
それは去る九日、六月九日でございますが、
総理は福岡選挙区選挙応援のために現地を訪れまして、そこで講演をなさっておられます。先ほどの
質疑応答の中にもありましたが、いわゆる
経済関係と領土問題の進展をリンクさせた
経済の
拡大均衡を目指して、
ソ連の
経済の底板を厚くするために積極的に
協力をしていきたいという趣旨のお話をなさいました。
私は、
我が国の
基本的な
政府の方針として、北方四島の領土が返還され、
平和条約が
締結されて後、本格的な
経済交流、
協力を行うという、その政経不可分という一つの方針というのは
承知をしているわけでございますけれども、問題は――ちょっと時間がございませんので、組み立てたお話ができません。結論を急ぎますけれども、問題は、じゃ、領土が四つともきちっと返還実現した後でなければ本格的な
経済協力、援助はできませんということになりますと、一年先、二年先になる可能性もあるわけでございます。そうすると、今
世界は
ソ連の動向を
中心に大きくまた激動しているとも言うことができます。そういう中において、
我が国が
ソ連経済救済へのきっかけ、機会というものを失ってしまいかねないのではないか。いや、それでいいんだということには必ずしもならないんだろうと思うのです。私は、延びれば延びるほど、
ソ連経済再建あるいは
ソ連経済救済へ向けて
我が国の援助、あるいは
我が国の
経済協力というものがなされる時期を失してしまうということであってよいのかどうかという極めて深刻なとらえ方を一つにはしているわけでございます。
それで、
総理のおっしゃったこの
経済の
拡大均衡論でございますが、領土問題で一定の前進があれば、それに応じていわゆる
経済協力も一歩前進させよう、まさに均衡させていこうという御趣旨かと私は
理解をしているわけでございますが、そうすると、その前日、米
外交筋がということで
我が国の報道機関で明らかにされました、
ゴルバチョフ大統領がさる極めて地位の高い
アメリカ政府高官に対して、一対一の
状況、場面の中で、
海部総理にメッセージを非公式に送られたということが伝えられております。それは、
北方領土で
ソ連は譲歩します、そのかわりに緊急的かつ真剣に物資の供給について
協力を求めたいという報道記事が流れたわけでございます。
私は、九日の
総理の福岡における講演は、まさにこの報道を当然念頭に置いて、読まれて講演をされているわけでございましょうから、私は
ゴルバチョフ大統領が
総理にあててと
理解をいたします非公式なメッセージ、球が飛んできた。それを受けとめて、要するに、この福岡の
経済拡大均衡論ににじませたというふうに私は
理解をしているわけでございます。すなわち、一つの球は打ち返したのではないか。そんな中で、けさ一部の報道によりますと、
ゴルバチョフ大統領は来年訪日というふうに言われてまいりましたけれども、早めて年内、十一月あるいは十二月にも
日本を訪れる可能性を第一副
首相が語った、このような報道が一部なされたところでございます。
私はそういうことから
総理に御
答弁をいただくわけでございますが、全部、四島ともに返還が実現し、
平和条約が結ばれた後でなければ
経済援助はできないということではなくて、私は、
日ソ共同世論
調査、けさ読売新聞で拝見しましたけれども、八〇%以上の方々が食料品、日用品の安定供給を求めておられるというようなことでございま
すので、私は、そこのところの柔軟な
対ソ経済協力援助についての
対応を促したいわけでありますが、
総理の御
答弁をいただければと思います。