○都甲
政府委員 御指摘のように、ソ連
経済の改革がペレストロイカの最大の
目標でございました。ゴルバチョフ政権誕生後五年たった今、ソ連
経済の状況というのは極めて厳しい状況にあるということが言われておりますし、現実に昨年の数字を見ても、そのことは出ております。例えば昨年の計画
経済は、全体として未達成でございますし、そういうことで今次五カ年計画自体の
目標遂行は無理になったという感じがいたします。
具体的な数字を若干御紹介申し上げますと、昨年のGNPは一昨年の五・五%に比べまして三%に落ち込んでおりますし、生産国民
所得は一昨年の四・四%に比して二・四%に落ち込んでおります。工業生産は一・七%、農業生産が一%という状況でございまして、これはかつてない低い数字であるわけでございます。このように
経済生産そのものの総括的な数字に顕著にあらわれておりますが、さらに問題になっておりますのは、消費物資の不足あるいは食料品の不足でございます。これは、例えば労働者のストの頻発にもあらわれておりますし、国民全般に大きな不満となってあらわれております。部分的に砂糖あるいは肉、ハム等の配給制も
実施されているというような状況でございますので、緊急にこの問題をどう処理するかということが非常に大きな当面の課題になっております。
ゴルバチョフが大統領の強力な権限を手にいたしましたので、今後の改革の
方向といたしましては、従来保守派との間でかなりの妥協を強いられてきていた市場
経済に向けての改革を一層
推進するというのが当面の
目標でございます。その中で、国有企業の部面を減らして非国有化するということを中心に、市場
経済をつくり上げ、株式市場あるいはその他の私有制を認め、生産手段についても所有権を認めるという形、あるいは統一的な税制をつくる、それから価格制度を改革するというような、今後市場
経済に向けての改革を強力に進めていくというのがゴルバチョフ大統領の強力な意図でございますし、その
方向に向かって具体的に近々総合的な計画がとられるというふうに
承知しております。
そういうことで、中央計画
経済のもとでソ連
経済がその経営に行き詰まった中において、市場
経済への大きな動きが出ておるということに私どもは注目して、その成果を見ていきたいと
考えております。