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1990-05-24 第118回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十四日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 与謝野 馨君    理事 新井 将敬君 理事 伊藤宗一郎君    理事 鳩山由紀夫君 理事 関  晴正君    理事 辻  一彦君 理事 近江巳記夫君       西岡 武夫君    羽田  孜君       増子 輝彦君    山本  拓君       渡瀬 憲明君    小松 定男君       田並 胤明君    野坂 浩賢君       松前  仰君    森井 忠良君       藤原 房雄君    吉井 英勝君       柳田  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      大島 友治君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     平野 拓也君         科学技術庁長官         官房審議官   石田 寛人君         科学技術庁科学         技術政策局長  石塚  貢君         科学技術庁科学         技術振興局長  角南  立君         科学技術庁研究         開発局長    須田 忠義君         科学技術庁原子         力局長     緒方謙二郎君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君  委員外出席者         外務省北米局地         位協定課長   森  敏光君         資源エネルギー         庁長官官房企画         調査課長    中澤 佐市君         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー石油代         替エネルギー対         策課長     大津 幸男君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   日下 一正君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     松宮  勲君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     倉重 有幸君         科学技術委員会         調査室長    高戸 純夫君     ───────────── 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   北沢 清功君     野坂 浩賢君 同月二十六日  辞任         補欠選任   田並 胤明君     藤田 高敏君   森井 忠良君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     田並 胤明君   松浦 利尚君     森井 忠良君 同月二十七日  辞任         補欠選任   田並 胤明君     戸田 菊雄君   森井 忠良君     和田 静夫君 同日  辞任         補欠選任   戸田 菊雄君     田並 胤明君   和田 静夫君     森井 忠良君 五月二十四日  辞任         補欠選任   金子 満広君     吉井 英勝君   永末 英一君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   吉井 英勝君     金子 満広君   柳田  稔君     永末 英一君     ───────────── 五月二十一日  脱原発法制定に関する請願岡崎宏美紹介)(第一一九三号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一一九四号)  同(和田貞夫紹介)(第一一九五号) 同月二十三日  脱原発法制定に関する請願秋葉忠利紹介)(第一二四四号)  同(伊東秀子紹介)(第一二四五号)  同(池端清一紹介)(第一二四六号)  同(岩田順介紹介)(第一二四七号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一二四八号)  同(上田哲紹介)(第一二四九号)  同(小川信紹介)(第一二五〇号)  同(小澤克介紹介)(第一二五一号)  同(菅直人君外二名紹介)(第一二五二号)  同(小松定男紹介)(第一二五三号)  同(小森龍邦紹介)(第一二五四号)  同(五島正規紹介)(第一二五五号)  同(佐々木秀典紹介)(第一二五六号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一二五七号)  同(志賀一夫紹介)(第一二五八号)  同(新村勝雄紹介)(第一二五九号)  同(関晴正紹介)(第一二六〇号)  同(仙谷由人紹介)(第一二六一号)  同(田中昭一紹介)(第一二六二号)  同(田中恒利紹介)(第一二六三号)  同(高沢寅男紹介)(第一二六四号)  同(竹内猛紹介)(第一二六五号)  同(辻一彦紹介)(第一二六六号)  同(外口玉子紹介)(第一二六七号)  同(長谷百合子紹介)(第一二六八号)  同(速見魁紹介)(第一二六九号)  同(馬場昇紹介)(第一二七〇号)  同(松本龍紹介)(第一二七一号)  同(水田稔紹介)(第一二七二号)  同(目黒吉之助紹介)(第一二七三号)  同(元信堯君紹介)(第一二七四号)  同(安田範紹介)(第一二七五号)  同(山花貞夫紹介)(第一二七六号)  同(吉田正雄紹介)(第一二七七号)  同(和田静夫紹介)(第一二七八号)  同(秋葉忠利紹介)(第一三一三号)  同(五十嵐広三紹介)(第一三一四号)  同(伊東秀子紹介)(第一三一五号)  同(池端清一紹介)(第一三一六号)  同(岩田順介紹介)(第一三一七号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一三一八号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一三一九号)  同(上田哲紹介)(第一三二〇号)  同(小川信紹介)(第一三二一号)  同(小澤克介紹介)(第一三二二号)  同(貴志八郎紹介)(第一三二三号)  同(小松定男紹介)(第一三二四号)  同(小森龍邦紹介)(第一三二五号)  同(五島正規紹介)(第一三二六号)  同(佐々木秀典紹介)(第一三二七号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一三二八号)  同(志賀一夫紹介)(第一三二九号)  同(新村勝雄紹介)(第一三三〇号)  同(関晴正紹介)(第一三三一号)  同(仙谷由人紹介)(第一三三二号)  同(田中昭一紹介)(第一三三三号)  同(田中恒利紹介)(第一三三四号)  同(高沢寅男紹介)(第一三三五号)  同(竹内猛紹介)(第一三三六号)  同(竹村幸雄紹介)(第一三三七号)  同(辻一彦紹介)(第一三三八号)  同(外口玉子紹介)(第一三三九号)  同(野坂浩賢紹介)(第一三四〇号)  同(馬場昇紹介)(第一三四一号)  同(長谷百合子紹介)(第一三四二号)  同(速見魁紹介)(第一三四三号)  同(水田稔紹介)(第一三四四号)  同(目黒吉之助紹介)(第一三四五号)  同(元信堯君紹介)(第一三四六号)  同(安田範紹介)(第一三四七号)  同(山中末治紹介)(第一三四八号)  同(山花貞夫紹介)(第一三四九号)  同(吉田正雄紹介)(第一三五〇号)  同(和田静夫紹介)(第一三五一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  科学技術振興基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 与謝野馨

    与謝野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  3. 関晴正

    関委員 私はまず第一に原子力船むつ」の問題で、あれほど問題を多く持ちながらも出力上昇試験の強行に踏み切ったわけであります。この出力上昇試験に踏み切る前に、私ども社会党としても、この船は非常に危険な内容を持っておる、原子力発電所の持っているような防御の体制に比べると非常に弱いものがある、そういうような内容がことしの三月に科技庁に出された資料の中に出ているわけでありまして、それにもかかわらずそういう不安をたくさん持ちながらなお強行する、そういう挙に出られたことを大変に実は残念に思っているわけであります。  どうしてもそういうような実験をしなければならない事情というのはどこにあるだろうか。しかも昭和四十九年にこの実験がありまして失敗をし、十六年たった今日において改めて出航する。そうして実験をする。実験の後は廃船にする。何の意味もない実験ではないだろうか。そうしてそういう危険をはらみながら今度洋上へ出かけたときにどんな事態が発生するだろうかということを思いますと、本当に心配でなりません。そういう危険を伴いながらしなければならない理由は少しもない。一番いいことはやめることだ。やめることが一番いい、役に立つ処理じゃないだろうか。これは科学技術行政の中で、そういう危険を負担をしながらもしなければならない、そうして得た結果というものは何に使われるのか、何に使おうとしているのか、必要なものなのか、それは。こう考えますと、本当にむだな金遣いに終わってしまう。これ以上むだを続けるということはおやめになった方がいいのじゃないだろうか、こう思いますので、冒頭これについての御質問を申し上げたいところでございます。お答えいただきます。
  4. 大島友治

    大島国務大臣 ただいまの御質問に対し、要するに「むつ」の開発必要性は何だというようなことだろうと思いますので、それに対して私の方から一応お答え申し上げたいと思います。  原子力船在来船に比べまして大出力、高速、長期連続運航、それから水中航行等を実現できるという特徴を有しておりまして、将来砕氷船等原子力船特徴を生かせる分野において海上輸送高度化に貢献する可能性がある、これを前提として踏まえておるわけでございます。  なお次に、世界有数造船海運国である我が国といたしましては、原子力船研究開発段階的かつ着実に進めて、将来必要が生じた時点で適切な対応ができる程度にまで原子力船に関する技術、それから知見、それから経験等の蓄積、涵養を図ることが必要であるという考えに基づいているわけでございます。  さらにまた、既にこの実験再開が可能な状態にある「むつ」を使って、陸上では得がたい貴重なデータ経験を蓄積いたしまして、将来に備えることが肝要である、こういう一応の考え方に基づいて「むつ」の実験を進めてまいりたい、こういうことでございます。
  5. 関晴正

    関委員 砕氷船に使うとか将来その技術を利用して考えますと言うけれども、その将来というような具体的な計画がありますか。
  6. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 原子力船につきましての具体的な計画は現在ございませんが、ただいま大臣が申されましたように、原子力を動力に使用する船というのは大変特色がございますので、将来海運国造船国としての日本でこういうものに対応していく事態が発生することを予想いたしまして、研究は続けてまいりたい、こういうことでございます。  原子力研究所の方では現在原子力船むつ」をやっておりますが、これの実験が終了しました後もさらに舶用炉の改良、実用化に向けて研究は着実に進めていきたい、こういうことで研究の方の計画は持ち合わせてございます。
  7. 関晴正

    関委員 全く、言うなれば技術を利用する、これを活用する、そういう具体的な計画がないままに今航海に出る。そうして不安の問題です、今。防御率が、言うなれば多重防護がちっともないままの姿というのがありながら、事故があった場合には手動で処置をするんだ、こう言っておりますね。こういうようなことで果たしてあの荒い海に放してやってうまくいくとお考えになっていますか。
  8. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  関委員多重防護の問題につきましては、委員御案内のとおり「むつ」の安全性を一層向上させるとの見地から旧日本原子力船事業団が行いました安全性点検の結果、設備変更を要する部分については設置変更許可でこれを行い、科学技術庁は所要の法手続に基づきまして厳重な安全審査を行った上で変更許可いたしました。上記設備変更は現在までにすべて措置済みでございますので、安全性は十分に確保されていると考えております。  また、安全性点検の結果設備変更の対象となってない部分についても、旧日本原子力船事業団原子力安全委員会各種指針等を参考としつつこれらとの対応について検討をし、安全性の再確認を行いました。特に設備変更を要しないまでも「むつ」の系統機器には一部に多重化されていないもの及び共用されているものがあるということについては、先生御指摘のとおり私どもがこれを指摘したところでございますけれども、これらの定期的な試験点検の頻度を増すといういわゆる信頼性確保技術を駆使することによってこれを保つというところとなっているところでございまして、私どもはその方針を妥当なものというふうに認めた次第でございます。  この処理方針につきましては、他の安全性向上のための方針とともに、昭和五十六年六月に当庁から原子力安全委員会に報告もし、また同年七月同委員会からこの方針も妥当なものというふうにされているところでございまして、このように「むつ」の安全性については入念な審査検討、それから設備変更施設維持管理の強化等適切な方法により十分確保されると考えておりまして、何ら問題となる点はないと考えております。
  9. 関晴正

    関委員 だれも事故の前には、みんな安全ですときましたよね。安全だから大丈夫ですよと言うてきたんだ。しかしこれは、すべてそういう点においては、態度として、方針として臨んではいるけれども、結果としてはそうでなく事故が発生してきているわけです。私は今度この船が命綱なしで出かけることの不安を非常に心配しているわけです。一応今のところ陸、沿岸においてはある程度のところまできた。今度は七〇%の上昇でございます、一〇〇%のところまでいきますという過程の中で、言うなれば、我々が指摘したような事故が発生した場合にはだれが責任をとるのですか。その場合は、これはもう科学技術庁としては総ざんげでは済まない。どんな責任をとるのか。大丈夫だと出かけていって事故が発生した場合には、どういう責任をとるつもりですか。
  10. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 原子力船むつ」につきまして昭和四十九年に放射線漏れがあったわけでありますが、その後適切な改修をいたしまして、それにつきましての検査、試験を現在やっているわけでございます。その後の機能及び性能確認をやっているわけでございますが、先般関根浜岸壁の中で行いました出力上昇試験におきまして出力二〇%まで上げまして、これらの関連機器性能確認をいたしまして、ほぼ設計どおりであるということを確認したところでございます。  試験と申しますのは、もちろん安全性確認をしながら段階的に非常に慎重に進めていくものでありますので、外部影響を及ぼすようないわゆる大きな事故を起こすことはないというふうに私どもは確信をしているわけでございます。  なお、関根浜岸壁内におきまして試験を行っている過程幾つかのトラブルふぐあいがございましたが、私ども四十九年の経験にかんがみまして、いささかのトラブルがあってもこれを外部に発表することによって完全にガラス張りで公開をしながら国民各位の御理解を得ていこうということで全部発表する方針をとっておりましたので、非常に小さなふぐあいにつきましても結果として大きく報道されることになりまして、ちょっと必要以上に御心配をおかけしたことを反省しておりますけれども、これらはいずれも事故ということではなくて、安全性影響のあるような事故ではなくて、機械の初期の段階にありがちなふぐあいでございまして、その後適切な措置をとり、支障なくその後の研究試験が続けられているものでございます。
  11. 関晴正

    関委員 実験をする、進める、そうして帰ってくる。そこまで何もなく帰ってきた場合には、まあそれでひとつほっと胸をなでおろすところでありましょうが、その後どうするのかということがありますよね。この船の始末、廃船にする。その廃船にする仕方、これはどういう展望に立っておられますか。
  12. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 実験航海が終わった後の御質問でございます。私ども目下実験航海を成功させるために全力を傾注しているところでございますが、実験航海の結果、二つのことが出てまいります。  一つは、実験航海で得られたデータを活用することでございまして、これは先ほど御説明しましたように、原子力研究所で今後舶用炉研究を続けていく上での貴重なデータとして活用さしていただきます。  船の方でございますが、船につきましては昭和六十年三月に政府が定めた基本計画では、実験航海が終了した後に関根浜施設において「むつ」を解役する、こういうことになってございます。解役方法につきましては、技術的にいろいろな方法考えられます。密閉管理遮へい隔離あるいは解体撤去というような各方法考えられますけれども、現在原研におきまして、「むつ」の活用方策をも勘案しつつ、JRR1あるいはJRR3、JPDRの廃止措置などの知見も踏まえまして具体的な方法検討を行っているところでございます。これらはさらに検討を進めまして、実験航海が終了する段階で本格的に検討していく、こういうことになろうかと思っております。
  13. 関晴正

    関委員 それまでに要する費用、どのくらいを見積もっておられますか。     〔委員長退席新井委員長代理着席
  14. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 解役に要します費用は、先ほど幾つかの考えられる技術的な方法を申し上げましたが、どの方法を採用するかによって大きく変わってまいります。したがいまして、まだ方法が決まっておりませんので、現時点でどれぐらいの費用がかかるかということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。
  15. 関晴正

    関委員 決まってないから申し上げられないことはわかりますが、A、B、Cの段階があるとすれば、Aの場合はどのくらい、Bの場合はどのくらい、そういう計算はできていますか。
  16. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先ほど各種方法があると申し上げましたが、それぞれの方法について具体的にどうやっていくのかということは現在検討中でございますので、それぞれの方法につきましても、費用についての詳細は検討中でございます。
  17. 関晴正

    関委員 船の廃液処理する放流管、この放流管を今敷設中なんですけれども、これは現地漁業協同組合了解をもらっておりますか。
  18. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 関根浜陸上一連関連地上施設を設けてございまして、そこで処理した廃液を希釈した後放流するということで、これは当初の関根浜の港、陸上施設をつくる段階から決まっておったことでございまして、その段階漁業補償さしていただいておりますが、地元漁協との話し合いで、当初計画をつくる段階で基本的に御了解をいただき、計画を進めておったものでございます。その後、漁業補償も完了し港ができ上がってきた段階地元漁協から御異議が出ましたけれども、それについては誠意を持って話し合いを続けました結果、現在工事トラブルなく、現地で大きな混乱もなく工事をさせていただいている状況にございます。
  19. 関晴正

    関委員 私の聞いているのは、関根の浜の漁業協同組合がその敷設について了解するということになりましたかと聞いているのです。
  20. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 今お答えしたつもりでございますが、地元漁協に対しては漁業補償をする過程で御説明をし、了解を得ているものと私ども考えております。
  21. 関晴正

    関委員 了解をしたものと思っているということと了解したということとは違いますよね。現地組合の方ではちっとも了解していないと言っています。そういうことを了承するという議決もしておらない。これが実態でございます。了承を求めつつ最後まで補償問題で片づけようというお考えはわかりますけれども、実際上見切り発車みたいなことをしているでしょう。少なくとも関根の浜の漁協の、わかりました、了承しますということをした上でやるのが筋じゃないでしょうか。その点はどうなんですか。
  22. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 基本的には漁業補償いたしました段階で御了解が得られているものという解釈でございますが、先ほど御説明しましたように、その後、港が完成した後でございますが、地元漁協の中で御異論が出ましたので、これはやはり安全性なりなんなりについての御理解がまだ十分得られていないあかしであろうということから、原研側でこれは誠意を持って対応するということで、安全性についての御説明あるいは経緯についての御説明一連実験計画その他戸別訪問を含む非常に詳細な御説明地元に対してやっておりまして、他方、県あるいはむつ市当局が中に入りまして、地元漁協との間で一連話し合いを相当長期間にわたって精力的に進めてきたわけでございます。  したがいまして、私ども基本的な御了解は昔得られているのですが、その後出ました御疑念につきましても誠意を持ってお話をし、そこは十分おわかりいただけるように最大限の努力をさしていただいた、その結果として漁協としても今の現地での工事を見守っていただいておる、こういうことではなかろうかと考えております。
  23. 関晴正

    関委員 とにかく何の事故もなくうまく成功しても、結果としてこれを役立てる道というものはまずないと言っていいくらいです。ましてやそういう事故があった場合にはこれは大変なことになってしまう。言うなれば、日本原子力行政そのものが国際的にもまた信を失ってしまうというところに追い込まれるだろう、こう思うのです。そうして今のように補償さえ積めば大丈夫だろうということでおやりになっておるけれども地元皆さん方は、船を出してとめるというわけにもいかぬし、抵抗の方法もないものだから、仕方なくやられっ放しの状態で見ているというのが現地の漁民の皆さん方お話でもまたございます。     〔新井委員長代理退席委員長着席〕  ですから私は、ここまできておやめになるということはなかなか難しいことかもしれません。しかし、やっても何の意味がないなと気がついたときには、無理やりに理屈をつけないでやはりその見通しに立ってやめる、そういうときが今なおあるんじゃないだろうか。二〇%まで成功したんだからまあそれでよしとしてやめるということも方法一つではないだろうか、私はこうもまた思います。とにかくこの批判を浴びている原子力船むつ」の問題で勇断を持って中止する、そういうことが必要ではないだろうかと思いますので、なお強くこの点は要求をしておきたい、こう思います。  二つ目質問に入りたいと思います。  二つ目質問は、青森県の核燃サイクルの一環ともいうべき四点セット、初めは三点セットと言ったのですけれども、三点セット一つ高レベル廃棄物も加わりましたから今度からは四点セットと申し上げましょう、その四点セットのうちの一つであるウラン濃縮工場。このウラン濃縮工場の建設にかかわる許可というものがあんなに早く出るとは実は思ってもおりませんでした。  と申し上げますのは、あの工場の上は言うなれば飛行機の飛ぶ空であります。しかも、出されている資料によりますと年に四万三千回も飛ぶ空の下、特別軍用機の飛ぶ空の下であります。こういう空の下につくられるものなんというのはよほど吟味しなければならない。どこの国でもそういう危険な空の下にはこういうものを置くということはありません。それなのに科技庁はよしとしてこれを許可してしまいました。私は残念で残念でならないのであります。特に飛行機の問題ではアメリカの空と言ってもいいくらいのあれは空なんですから、米軍との関係においてよほどアメリカ側の意思というものも確かめておかなきゃならないであろう。アメリカがよしとしたのかということについて、どうなんです。アメリカはそこへつくられることをよしとしたのですか、お尋ねします。
  24. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 原子力施設の上空を飛行機を飛ばさせないようにすることは必要なことでございますので、米軍につきましても従来から原子力施設上空の飛行制限につきましては周知徹底を図っておりまして、米軍当局もこれを尊重しているというふうに述べているわけでございます。以上は一般論でございます。  六ケ所村につきましては、これから施設をつくるわけでございますので、施設ができ上がりますまでにそういう同じような措置をとる必要がございますので、これは、上空の飛行制限につきましては外務省を通じまして米軍に要請をし、同様の措置がとられるものと考えております。
  25. 関晴正

    関委員 核燃の施設の上は飛行機は飛んではならない、そういう一つ方針のもとに飛行機の航空制限があります。しかし、米軍が自由に演習をしておる、そういう空の下にこういうものをつくるのに、つくる施設の上空の所有者と言えばなんですけれども、管理者ともいうべきアメリカがこれをよしとしたのかしないのかというのは非常に大事なことなんです。配慮する、考慮する、飛ばないように気をつける、これは注意の部ですよ。配慮の部です。そんなことを私、聞いているのじゃないのです。アメリカ考え方として、日本の国の空の下にならばそんなものができても構わないと思っておられるのかどうか。自分の国の上ならばとてもそういうことは許さないだろう。そういう考え方に立つなら同じように好ましくない、こういう意思が私はアメリカの側にあると思うのです。  もうこの問題については内閣の委員会、それから本会議、その都度申し上げてきましたが、よっぽど私の言っている意味がわからないとみえて、踏み込んでおられないようです。私は、アメリカがそういうところにできるのは好ましくない、こう思っていると思うのですよ。しかし日本は、アメリカがそう思おうと日本のことなんだからと、こう言っておやりになるんだというならば、そういう考え方はわかるわけです。それがあたかもアメリカもよしとしているように、配慮して飛ぶようにしていますからなんということでごまかしていると私は思うのですよ、態度が。  もうこの話をしてから五年にもなります。歴代長官にもお話ししました。外務大臣にも申し上げてきました。でも明確なお答えが出ません。先般中山外務大臣はアメリカと話をする、こう答えておりますが、いつ話をして、どういう御返事をいつするのかはわかりません。  問題は、科技庁としてもう既に許可をして、そうしてまた今着々と進められています。この秋には作業、工場も動くということになるでありましょう。動いてからアメリカの意思を確かめる、確かめたらだめだと言ったならばやめるしかないでしょう。その場合に、アメリカがそう言うてもやめないつもりだから、我々はやるんだというならば別であります。その辺はどうなんです。アメリカの意思は何も聞く必要がないんだ、何と言おうと我々はやるんだ、だから飛行機が落ちても大丈夫だというふうにしておるのですよ、こういう態度なんですか。この辺ひとつお答えください。
  26. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 まず地理的な問題をもう少し正確に議論をさせていただきたいと思うのですが、米軍飛行機が飛んでいる真下に建設をしているわけではありません。先生御案内のとおり、施設をつくっておりますのは尾駮沼の近辺でございますが、もう一つ南に鷹架沼という沼があるのは御存じのとおりでございます。米軍が今演習に使っております空域というのは鷹架沼よりも南でございます。南の空域で演習をしているのは事実でございますが、現在のサイトは、それよりも北にあります尾駮沼の、今濃縮工場はさらに北側の方にございます。地理的に相当離れてございます。したがって、米軍が現に非常に頻度高く飛んでいるその航路の真下に原子力施設計画をし、でき上がった段階でさあ飛ぶなということを考えているわけではないということは、まず御説明をしておきたいと存じます。  それで、米軍につきましてはそういうことでございまして、原子力施設濃縮工場ができまして原子力燃料が搬入されます時点までに、米軍も含め航空機がその上空を飛ばないような措置を講ずる、こういうことで御説明をしているわけであります。
  27. 関晴正

    関委員 今のお答えは大変に間違っています。真下でないなんというのは何の話です。あの真上は管制区じゃありませんか。特別管制区の真下ですよ。何です、今の真下でないというのは。取り消してください。管制区の区域を見たらその真下になっているでしょう。ごらんになりましたか、管制区の範囲というものを。全然違う答弁ですよ、今の答弁は。真下です。特別管制区の真下です。間違いありません。飛行機の飛ぶ真下ではないなんというそんなごまかしの話でお答えされた日には困ります。管制区の真下ですよ。直してください。
  28. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 直接の所管でございませんので、正確には運輸省の方からお答えいただくべきことかと存じますが、航空管制上の特別管制区というものと米軍の演習というものとの間で直接リンクしているわけではないそうでございまして、つまり特別管制区の中であればどこでも自由に演習ができるということではないようでございます。  現に国会でも答弁が過去に行われているかと存じますが、防衛施設庁の責任ある方も、米軍が演習をする空域というものは鷹架沼の南であるというふうにお答えをされておりますので、私はその意味米軍の演習している真下ではない、こういう意味で申し上げたわけであります。
  29. 関晴正

    関委員 何のために特別管制区というものがあると思っていますか。国内に特別管制区は十二ございますよ。十二あるけれども、あそこだけは米軍のために特別管制区にしているところですよ。何も三沢というところは民間航空としてそんなに飛行機の来るところじゃない。だが、あそこには自衛隊がある、あそこには軍事基地がある、そうしてあそこには天ケ森射爆場というものがある。そういう関係で特別にアメリカ飛行機が多く出入りをして、そうして演習をする場所であるから、運輸省としても特別管制区としてあそこを決めたんですよ。この特別管制区の区域を縮めるとか上空を除くとか、そうして改めるというならば、それは一つ方法でありましょう。とても改められるものじゃありません。一般の飛行機を禁ずるほど米軍飛行機や自衛隊の飛行機が多く飛べる空なんです、あそこは。そのための特別管制区。よその方は、一般の飛行機が多く飛んでくるのでそれぞれ気をつけるという特別管制区。同じ特別管制区でも、軍事基地があってアメリカのそういう状態にあるのは日本ではここだけですよ。沖縄だってありませんよ。そういうところなんです、ここは。  ですから、飛ぶ飛行機が、何ですか、今鷹架の北の方にあるんだからいいだろう、鷹架と六ケ所の尾鮫と何ぼ違いますか。二キロか三キロでしょう。そんなことで配慮すればいいから何とかなるかということでは、全く認識が違う。そういう認識で許可をしたのかと思うと本当に情けなくなる。  今、六ケ所の村長はかわりました。今まで推進の村長であったけれども、凍結の村長が誕生しました。そうしてウラン濃縮工場ができて遠心分離機が今運ばれておりますが、運びが完了したとしても作業が必ずしもできるというものではありません、こういうお答えをしていますよ。言うなれば休んでもらおう、こういうことですよ。凍結という村長さんが出たんですから。私はとにかく、アメリカがそういう空を自由に使っている下に置かれることについて、日本はこういうものをつくるんだが、いいかどうかという返事ぐらいはきちんといただいて、それで許可をしたというならば、ある一つの意思決定がなされたということに理解もできます。それが今のように、真下じゃないからいいだろうとか気をつけるからいいだろうということでは、非常に態度として不適切だ、こう思います。  この後アメリカとのお話をして、きちんとした態度、返事をおもらいになりますか、この点お答えいただきます。
  30. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先ほど来答弁申し上げておりますように、私どもは外務省を通じて、米軍に対して施設上空の飛行を行わないように要請をし、していただくことにしているわけでございます。米軍はかねて、日本側の規制には協力をする、尊重するということを表明しておりますので、これは同様の措置が六ケ所村についても当然講じられるものというふうに私どもは期待をしております。
  31. 関晴正

    関委員 私の聞いているのに答えてください。アメリカとしても、日本がそういう施設をあなた方の演習の空の下につくることを了解する、そういう御返事をおもらいになるようにしたらいかがですか、その意はないのですか、そこだけ答えてください。
  32. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 航空機の安全性の問題につきましては、上空を原則飛ばないということと、それでも間違って飛んだ場合どれだけのリスクがあるかというリスクの評価と両面あろうかと思いますが、今は上空を飛ばせないということについての御議論でございます。  その点につきましては、答弁の繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもは、日本の航空機はもちろん、米軍に対しても同様の申し入れを外務省経由でやっていただく、こういう決意でおるわけでございます。
  33. 関晴正

    関委員 これは大臣、お話をお聞きになっておわかりになったかと思うのですが、飛ぶのに気をつけるとか配慮するとか、それは一つの方策として当然のことなんですが、常時飛べる空の下にでかすわけです。これについては当然にアメリカ側の意思というものを私は受けておくべきだと思う。そういう意味で、大臣、ひとつアメリカ側の、今日本がやるこのことについての意思というものを明確にとっていただきたいと思うのです。アメリカがよしとするならばよしとする、あしとするならばあしとする。その返事のないままに、よしとしているんだと言わせて、思わせていることを私はきちんとさせていただけないだろうか、こう思いますので、大臣から御答弁いただきたいと思います。
  34. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先生の御議論、飛行機に対する危険性を非常に御心配いただいている点は、私どもも十分そこはわかっているつもりでおりますけれども、先ほどお答えしましたように、本来運輸省の所管でございますので運輸省から御説明があるべきかと存じますが、私ども理解している限りでは、先生は航空法上の特別管制空域というものが、自由に米軍飛行機が飛べる空域であって、その中に含まれているから非常に危険であるということをおっしゃっているわけでございますが、私の理解している限り、特別管制空域というのはそういう空域ではなくて、これは逆に航空機の異常接近を防止するために、計器飛行によらなければ一般の飛行機が飛んではならない、こういう空域として定められているもの、つまり有視界飛行で小型機などが自由に飛んではならない空域である、こういうことに決められているものと理解をしております。  したがいまして、米軍の演習空域というものと関連はあるかもしれません。私、詳細に承知をしておりませんけれども、同義ではない。したがって、米軍が常時訓練をする空域というものは、先ほど申し上げましたように鷹架沼の南側でやっております。したがいまして、これがそこの近くに、真下に施設計画をしているわけではないということでございますけれども、いずれにいたしましても、近くに基地があり、航空機が飛ぶ近くでございますので、誤って原子力関係施設の上を飛んでは困るわけでありますから、そこは日本と言わずアメリカと言わず、運輸省の航空路誌、AIPと言っておりますが、AIPに記載をすることによりまして、この上空は飛行機が飛ばない、こういう規制措置を講ずるわけであります。これによりまして、原子力施設については確率的に非常に低い、それはゼロではないのかもしれませんけれども、誤って、あるいは違法に上空を飛ぶことを除いては、原則として航空機の飛行はあり得ない、こういうことで安全性を担保している。そこから先の評価は技術的なリスクの評価でございますので、安全局の方で施設安全審査をする際に航空機のリスクというものを評価をしている、こういう仕組みになっているわけであります。
  35. 関晴正

    関委員 管制区は、これは一般の飛行機がそこには入らないように管制されているのでしょう。何で一般の飛行機が入れないのかということになると、米軍のためでしょう。米軍の演習に支障を与えるようなことがあれば困るから管制区になっているのでしょう。  管制区論はその辺で私は終えますけれども、とにかく仮に真下でないとあなた考えて頑張るならば、飛行機はそのとおりにばかり飛んでいると思っていますか。常に落ちていますよ。この近くにも模擬爆弾が誤爆、誤投がどれほどあるかわかりません。現実にF16だって落ちているでしょう。ですから、演習する側にもそういう心配するような施設があっていいはずがないのです。だから私は、アメリカ側の意向というものをよく聞いておいてくれ、それでもアメリカがいいというならば、それはアメリカのことだ、そうなるならば日本はやはり考えなければならない、こう考えるのが筋でしょう。でもあなた方は何が何でもやろうといって許可をした。  そこで、飛行機が落ちても大丈夫だということを言っていますね。爆弾を抱えた飛行機が落ちても大丈夫なんですか。飛行機が落ちても大丈夫だというのは何の話なんです。しかもあそこには再処理工場も予定しているわけですよ。それでわざわざ飛行機が、衝撃力まで見ようかといってやって、飛行機が落ちても大丈夫なんだ、こう宣伝していますよね。これはどういう内容で、いつ、どこで実験したものなのか示してください。
  36. 村上健一

    村上政府委員 私どもウラン濃縮施設の設置許可を行いますまでに、航空機の墜落問題についてどういう評価をしたかということについては、関委員御承知のことかと思いますが、再度御説明申し上げたいと思います。  その前に、墜落の実態がどうかということを私どもの承知している範囲でお答え申し上げますと、これまで青森県内に航空機、これは軍用機も含めまして、墜落した件数は数十件報告されておりますが、特に多いのは三十年から四十年代であるというふうに承知しております。場所といたしましても、基地のある三沢市周辺が多く発生していると承知しております。それから、航空機からの模擬弾も落ちたということが数十件報告されておりますが、同様に場所は三沢市周辺及び訓練区域である射爆場周辺でございまして、現在の六ケ所事業所内に落下した例はこれまで一度もございません。  一方、本施設は三沢空港から約二十八キロメートル、それから射爆場から約十キロメートル離れておりまして、それで、今原子力局長からお答えしましたように、特別管制区と私どもが評価いたしましたいわゆる訓練区域ということは、これは特別管制区については運輸省の方からのお話を承るのが筋でございますけれども、特別管制区はその上そのものを飛ぶということの評価ということに承知しておりませんで、私どもとしてはあくまでも訓練区域は敷地から南西方向約十キロメートルにあるというふうに理解し、安全審査を行っている次第でございます。  したがいまして、三沢空港は南方向約二十八キロメートル、それから定期航空路は西方向約十キロメートル、防衛庁等の航空機の訓練区域は南方向約十キロメートル離れておりまして、私どもは、安全審査上十分離れているということと、それから今まで御説明申し上げましたように、原則として原子力施設上空を飛行しないように規制されているという、この両面で航空機が施設に墜落する可能性は極めて小さいというふうに考え審査を行いました。その上、仮に訓練中の航空機がウラン濃縮施設の安全上重要な施設に墜落したとしましても、一般公衆に対する被曝評価を行いまして、これが安全上問題になる量ではないということを確認して許可をした次第でございます。  以上でございます。
  37. 関晴正

    関委員 何のお答えにもなってないじゃないですか。聞いていることに答えてくださいよ。飛行機が落ちても大丈夫であるというのは、どういう落ち方をして、いつ、どこで実験をしてそういうデータをつくったのですかと聞いているんです。大丈夫だというのはどういう状態で大丈夫だと言うんですか。私一遍も聞いたことはありません、あなた方の方から大丈夫であるなんという話は。でも、あなた方の方は発表していますよね。何のところで大丈夫だと言うのです。お答えください。
  38. 村上健一

    村上政府委員 ウラン濃縮施設の安全上重要な施設に墜落したと仮定して審査を行ったということにつきましては、内容は次のとおりでございます。  ウラン濃縮施設に発回均質棟という設備がございますが、この約九十センチの屋根や壁の厚さを有する鉄筋コンクリートとなっておりまして、ここに仮に訓練中の航空機が墜落したとしても、構造が堅固であって健全性は確保されるということを確認している次第でございます。  それで、申請者の方で米国において航空機の衝突実験を行ったことが既に発表されておりますけれども、その実験条件としては、F4で、これが秒速百ないし百五十、二百十五メートルで鉄筋コクリート試験体に衝突したときのデータを利用して審査を行っているところでございます。
  39. 関晴正

    関委員 何です、この話は。落ちる場所を特定のところにしておいて、落ちる飛行機の速度も特定しておいて、そうして大したこともないというお話。しかもアメリカ実験内容というものについては、これはまた申請者のお話なんでしょう。その申請者はどこのお話を皆さんの方にされておるのです。それは何月何日、何というところで、どんな実験をした成果物ですか、お答えください。
  40. 村上健一

    村上政府委員 申請者は、御承知のとおりウラン濃縮施設につきましては日本原燃産業株式会社でございますが、この会社と原燃サービス株式会社と両方で各種実験がなされているわけでございます。特に、ウラン濃縮施設の健全性評価に関して用いられましたデータは、エンジンに関する小型模型実験の結果が利用されておりまして、この実験昭和六十一年十二月から六十二年六月にかけて日本国内で行われておりまして、実際は申請者が株式会社武藤構造力学研究所へ委託をして行い、この結果は論文としても公表されているところでございます。(関委員日本国内というのはどこです」と呼ぶ)実行いたしましたのは、今申し上げましたように株式会社武藤構造力学研究所でございますが、この武藤構造力学研究所は調布市にあります鹿島建設技術研究所内で行ったというふうに承知しております。
  41. 関晴正

    関委員 そこでどういう実験をしたというのです。何回やったというのですか。
  42. 村上健一

    村上政府委員 回数については今詳細な数字を持ち合わせておりませんが、鹿島建設の技術研究所内で行われた次第でございます。  それからもう一つ日本原燃サービス株式会社が米国で行った実験もございます。これは、再処理施設の申請に当たりまして設計法の妥当性を確認するために航空機衝突に関する実験を行っておるところでございまして、その文献は国会図書館等で既に公開されておりますし、また一九八九年八月に開催されました国際会議の場でも発表されているところでございまして、航空機の衝撃力を算出する計算式の妥当性を確認するため実物のF4ファントムを用いた実験と、また、かたい、エンジンによって貫通しない壁圧を求める計算式の妥当性の確認を行うために実験を行ったと聞いておりまして、この実験データに基づいて申請がなされており、ただいま私どもでその審査をやっておるところでございます。
  43. 関晴正

    関委員 それはアメリカのどこでおやりになったのですか。それから、日本の国内のどこでおやりになったのですか。六十一年十二月から六十二年六月までというのはどこで、そして何回、どんなデータ、それは後ででもよろしゅうございます、ありましたらお届けいただければ、それでいいと思います。
  44. 村上健一

    村上政府委員 国内につきましては、先ほど申し上げましたとおり、株式会社武藤構造力学研究所へ委託して、武藤構造力学研究所は調布市にあります鹿島建設の技術研究所内で行いました。回数については後ほど御説明申し上げます。それから、アメリカの方の実験はサンディア国立研究所で行われたというふうに聞いております。
  45. 関晴正

    関委員 科技庁はそれらの実験をどれだけ吟味しましたか。うのみですか、吟味しましたか。
  46. 村上健一

    村上政府委員 前者の、国内の調布で行われました実験データについては、安全審査の際に十分専門家の手によって吟味いたしました。それから後者の方は、現在安全審査中でございます。
  47. 関晴正

    関委員 安全審査中といっても、あなた、許可してしまったでしょう。許可してしまっても今なお安全審査、その点でやっているのですか。じゃ、許可を取り消してくださいよ。継続中にしてくださいよ。
  48. 村上健一

    村上政府委員 安全審査中と申し上げましたのは再処理施設の方でございまして、ウラン濃縮施設の方につきましては、先ほど申し上げましたように、国内における実験データ等を十分に吟味いたして許可した次第でございます。
  49. 関晴正

    関委員 時間がありませんので、これにはまだまだ申し上げたいことがありますけれども、とにかくそういう危険がある空の下に許可をしてしまった。そんな危険まで冒して許可をして、このウラン濃縮工場というものは一体、濃縮ウランの生産に当たって、国際価格と比べて格安にでもできるのですか。どの程度のウランの価格が予想されますか。
  50. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 濃縮のコストにつきましては個別私企業の契約にかかわる事項でございますので、当庁からこれをお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、もちろん企業としてやるわけでございますので、濃縮の事業化に当たりまして国際水準になるように企業として十分努めていくもの、こういうふうに考えております。
  51. 関晴正

    関委員 この濃縮ウランの生産コストについて通産省の方が御存じであれば、そちらからお答えいただければと思います。
  52. 日下一正

    ○日下説明員 ただいま緒方原子力局長から御答弁がありましたとおりでございまして、濃縮の価格あるいはコストにつきましては、個別私企業の契約あるいは経営に関する事項でございますので、当省としてもそれにお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、これらの価格につきましては、当省として事業者より、国際的にも遜色のないものとするよう企業努力を行っていくものと聞いているところでございます。
  53. 関晴正

    関委員 濃縮ウランの国際価格は今幾らになっていますか。
  54. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 アメリカエネルギー省のウラン濃縮役務契約の価格というのが発表されておりますが、これは一九九〇会計年度の数字で一キログラムSWU当たり百十八ドルというふうに公表されております。役務費でございます。
  55. 関晴正

    関委員 その価格に比して六ケ所でつくられる工場の価格は下回る、こう見ておられますか。
  56. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 役務費の国際比較というものは、為替レートの問題もございますし、なかなか一概に比較するのは難しいものだと思いますが、先ほど申し上げましたように、事業者として国際的な水準になるように十分努力をしていく、こういうことでやっておられるものと承知をしております。正確な価格については、私どもの方としては申し上げることはできません。
  57. 関晴正

    関委員 とにかく危険性の問題、そういう立地条件の悪いところ、さらに経済性というものを考えますというと、いよいよもってこれは必要がないのじゃないだろうかと私は思うわけです。そういう意味においては、許可はしたであろう。だがしかし、遠心分離機もやがて搬送が完了することでありましょうけれども、これが果たして動いてくれるか、動かせるかということになりますと、まだまだ問題があるのじゃないだろうか、こう思います。  それらについての論議をするのにまた次回にしようかとも思いますが、結論を言いますと、国際価格は今非常に下がっております。そういう下がっているときに、こういうところで高くつくような物のつくり方というのは果たして妥当だろうか。それよりは、安いものを何年分かできる限り支度をするということの方が経済的にはペイすることにもなるのじゃないだろうか、こう言う人もまたございます。  いずれにしましても、こういう危険な場所にこういうものをつくって、そうして飛行機が落ちても大丈夫だなどと言って、何も見ないで、そうして特定のところに特定の速さで落ちたときの話だけしておいて、それで一般的に安全でございますなどと言えるものではない。新大臣は、過ぎたことではあるけれども、十二分にこのことを吟味して、この後の行政に当たってもまた対処してもらわなければならない、こう思います。  あと時間が極めてわずかになってしまいましたが、低レベルの廃棄物の問題で、あそこは非常に地下水の高いところです。地下水の高いところであるにもかかわらず、あそこに強引にとにかく事を構え、そうして科技庁としては去る二月二十一日一定の方向を出したようであります。私はこの一定の方向を見まして、非常に残念に思うわけであります。二月二十一日というのは、二月十八日は我々の選挙ですよ、我々の選挙で言うなれば新しい国会議員が続々と誕生した。特に青森県の場合は核燃はやめさせてくれ、核燃サイクルはとめてくれ、こう公約した議員が続々当選しているわけです。まさしく核燃サイクルを否定する方向に青森県民はあるわけです。そういうことを見ますときに、言うなれば私どももそういう信頼を受けて国会に出されたわけです。論議をしなければならぬやさきに、選挙が終わった三日後の二月二十一日に安全性についての一定の線を出しております。政治的にやったとは思いたくありません。思いたくありませんけれども、思わざるを得ません。自民党がばたばた落ちたのですから。特に竹内科学技術庁長官、長官が進めたものです。それが批判を受けて、県民はこれを審判して、あなたは行かなくてもいいというふうにしちゃった。もう一人、田澤さん、科学技術庁長官ではないけれども、防衛庁長官ですよ、これもちゃんと仕事しないというので、落ちはしなかったけれどもやっと上がった。そういうときに科学技術庁として、補正の部面があったのです、二月二十一日に、その補正の部面は語句の修正だけだから大したことないと言って、そのうちに方針を出しちゃった。言うなれば差し支えないという方針を出しちゃった。私はこれは非常に軽率だと思うのです。ある意味からいけば、民主主義というものを考慮しない、民主政治に対するこれは攻撃だと私は思っております。先般やっと公開ヒアリングに近いもののヒアリング、鉄条網の中とは言わないけれども、おりの中で、あれだって大変な金かけたでしょう、その中でおやりになったようであります。それらのことについての論は、私はまた次回にします。次回にしますけれども、あなた方が事を急いで民主主義というものを粗末にしてはならないと私は思う。自主、民主、公開の原則が原子力行政の基本なんです。そういうときに、国会が新しく変わって、そうして科学技術委員会でいろいろな論があるのに、その論も聞かないで、そうして科技庁の方であの低レベルの廃棄物の貯蔵所についても差し支えないという内容を出す。今安全委員会の方で審査されております。安全委員会としては政治的にやることもないだろうから、慎重に、そしてまた吟味して進んでいただけるでありましょうが、とにかくこれまでの経過を見ますというと、信頼がないのです、科技庁も。  そこで質問なんです。どうしてああいう水の多いところに、地下水の多いところに、反省をして今度は岩盤のところに持っていきますと言って直しましたよね。直したのが十月二十七日ですよ。先の書類が出ているのは一昨年の四月二十七日ですよ。一年半もかかって大修正をして、それが何です、十月二十七日から二月二十一日まで何日あります。十一、十二、一、二、四カ月もないのですよ。先の審議には一年半も暮らして結論を出せなくて、後に出された膨大な資料に対して、わずか四カ月で差し支えないという結論を出しておる。どうしてあんな地下水の高いところにそういうものを置いて差し支えないなんて言えるのです。どうしてそういうふうにして急いで出さねばならないのです。これについてのお考えを聞かせてください。
  58. 村上健一

    村上政府委員 十月二十七日に補正がありまして、それから行政庁の審査が終了するまでの審査期間が短いという御指摘だと思いますが、補正という行為は、事業許可等の申請をしてきた申請者がこれにかかわります処分を受ける以前に提出した申請書の内容について自主的に追加、変更等を行う行為として認められているものであります。  その内容は、審査期間が長期間に及ぶことによるその間の申請者の法人組織それから予定工事工程の変更、新しい知見の反映などや高度の専門的、技術的観点からなされる審査にこたえるために、申請者が必要と判断した申請内容の記述の変更や追加などであるわけでございます。  このような内容につきましては、安全審査過程において申請者に説明を求めた際に申請者が補足説明をしてきたものもあり、補正書に結果的に盛り込まれた内容について補正書提出後に初めて検討するわけではございません。これらについては、安全審査過程において申請者からその内容を聞き、あらかじめ承知していたものでございます。したがって、補正書に記載された内容につい て安全性の判断を行うには四カ月間は十分でございまして、御指摘の点は、私直接担当しておりますが、当たらないと思っております。いずれにいたしましても、当庁の行政庁審査は補正時期のいかんにかかわらず、提出を受けて以来慎重に進めてきていたところでございます。  なお、二月二十一日に諮問をしたことについてのお小言がございましたけれども、御承知のとおり、この諮問というのは法律に基づきます手続過程一つでございまして、原子炉規制法の条文の許可基準に適合するかどうか、技術的観点から一応の区切りがつきましたものを法律の規定に基づきまして原子力委員会及び安全委員会にダブルチェックをお願いしたのがあの二月二十一日ということでございまして、これ以上の何物でもございません。
  59. 関晴正

    関委員 何にも答えてないじゃないですか、地下水のところになぜ持っていくのかだって。その返事何にもないじゃないの。
  60. 村上健一

    村上政府委員 先生御案内のとおり、六ケ所事業所の廃棄物埋設施設の立地場所は台地にございまして、地下水は主として周辺の雨水により涵養されているだけでございまして、いわゆる地下水が多いところではない、私も実際見ておりますけれども、そういうふうに認識し理解しているところでございます。  一方、当該施設の埋設施設設備は、放射性廃棄物をセメントなどで容器に固型化した廃棄体をコンクリート製のピットに収納いたしまして、さらにセメント系の充てん材を充てんした上で埋設する形態のものでありまして、コンクリート及び充てん材は透水性の十分に小さい材料であることから、地下水から放射性物質を隔離する機能を持つものでございます。  さらに、安全審査といたしましては、万一地下水がピット内に侵入した場合でも、この水が廃棄体に達することなく排水できるようピットの内側にポーラスコンクリート層を設け排水が可能なようになることを確認しているところでございます。  さらに、埋設設備は透水性の小さい鷹架層を掘り下げて設置するとともに、その上面及び側面は粘土の一種であるペントナイト混合土などで覆土しまして、地下水が近づきにくくするとともに、万一人工バリアから放射性物質が漏出したとしても、その移動を抑制する機能を期待できる形態となっております。  したがって、地下水対策を十分考慮した設計及び方針がとられているということを行政庁として確認しているところでございます。
  61. 関晴正

    関委員 まあとんでもないことを言うものですね。驚くばかりです。地下水がないなんてどこ見て言うのですか。地下水の高さというものを報告している内容を見なさいよ、地上すれすれじゃありませんか。あの等高線ごらんになったらわかりませんか。行ってみたら水がない、何という話だ。地下水の高いところで有名なところで、地下水の等高線見たらあらわれているじゃないの、これ。あの等高線がうそだと言うのですか。丘陵四十五、六メートルのところまで、地上すれすれまでの等高線が、あれはうそですか。地下水がないという話は何です、取り消してくださいよ。  それから、こういう話をするのにも、時間もありませんから、注意だけしておきます。そうして、これらの審査に当たってもボーリングの内容あるいは岩盤の調査、そういう地下水の調査等についても何一つきちんとやってない。全部出された資料をうのみ。ただの一本も科技庁はボーリングをしたことはありますか。全部掘った内容について立ち会ったこともありますか。立ち会いもしない、みずから掘りもしない。出された資料そのままうのみ、オーケー、こんな愚かな審査というものはないです。私はこの問題については、また次の機会にやります。そういう点で、うそのないように勉強しておいてください。私は現地に何度も行って、ひどい水のところだなということも知って、原燃産業においても水が多く出ることを承知していますよ。どれほど水が出たかわからぬ。作業員の話を聞いてもよくわかっているのです。驚きましたよ、水もないところだ、よく言えるもんだ、本当に。これはこの次またやります。この次に、さらにまた再処理の問題についても、高レベルの問題についてもまだまだやらなければなりませんけれども、それは次回にやりますが、最後のところ、どうしてもきょう聞かなければならない問題が一つあります。  それは、福島の第二原発の三号炉の問題であります。この三号炉の事故というものは全くひどい。正月休みで手薄で、そして管理が十分でなかったから起きたのかもしれませんし、警報が鳴っても十四時間もほったらかしておいて、事故にならなかったら不思議でしょう。こんなことってあるものじゃありません。これについての事故調査やこれについての対策等についてはきょうは申しません。  ただ一つ私がお聞きしたいのは、きのう私どもお話を聞いた中にこういうのが出ております。「金属粉等の調査及び回収結果のまとめ」というのがあります。これは通産に提出しているところのもので「表—9 金属粉等の調査及び回収結果のまとめ」。それによりますというと、金属粉等の、「等」がついていますね、等の発生量、三十キロから三十三キロ程度とあります。それで、それぞれのうちいろいろ書いておりますが、欄外に(注1)、(注2)というのがあります。この(注1)の欄外においては、こう書いております。「この他、予備的な調査において原子炉圧力容器底部、ジェットポンプ内及び燃料集合体下部タイプレートで回収された微小金属片約百十グラムがある。」こうあります。金属片ですよ。それで私は、この金属片が百十グラムあるというのが予備調査のときの話、では本調査のときにはどのくらい金属片が出たのか、この報告がございません。お聞きしたいのは、本調査のときには微小金属片がどれだけ出たのか。  さらに、発表された方の内容を見ますというと、一ミリ以上のものが大体二%、こう出ております。そうなりますというと、三十三キロの二%だというと六百六十グラム、六百六十グラム出たのだろう、こう想像されます。百十グラム引きますというと五百五十グラム。百十グラムまでは百八十六片のトータルになるでしょう。ところが五百五十グラムについては、その破片のトータルが出ておりません。この金属片はあったのかないのか、隠しているのか、見つけられなかったのかということについてお答えいただきたいし、こういう内容と違って、公表された内容がこちらの方であります。  公表された内容によりますというと、これは四月十七日の発表、さっき読んだのも四月十七日です。これは通産省に出された資料です。同じ電力会社が通産省に出した資料と公に発表した内容とでは、この注が1、2のうちの1が抜けているわけです。先ほど申し上げた金属片は全然書かれていません。公に発表したものには片が抜け、通産省に出したものには片が書かれている。これを本当の変な話と言うのですよ。こういう変なことをなぜしているのかということです。記者発表の方にはいいかげんなものを出しておる。通産省の方には大したきちんとしたものを出している。どれほど大したものかわかりませんよ、これだって。  そういう金属片がありますというと、また事故が起きるわけです。それはもう国際的にもそういう事故がまた二、三見られて、気をつけなければなりません。ですから、今洗って探してももうないんだということにしてあの原子力発電所が動くようになったら、不測の事態が発生するのではないかということを心配します。  そういう点で、これは通産の方がお答えになってくれるのかどうか知りませんけれども、どちらがお答えになってもよろしゅうございます。なぜ通産に出した書類とそれから一般に示した、記者発表に出されたものと違うものを出したのか、こういうごまかしというものは容認できない。その意味でお答えいただきたいと思います。
  62. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答え申し上げます。  福島第二原発三号機にかかわる事故調査資料の件でございますけれども、全体的に申し上げますと、まず洗浄前予備調査で比較的大きな金属片がございました。これを百八十六個回収されたわけでございます。その重量は百十グラムでございます。その後、洗浄・回収作業をやりまして、その結果回収されたものが、先生御案内されておられますように、表—9にありますように二十七キロから三十一キログラムでございます。それで、その回収されたものの粒径を一つ一つ調査いたしますと、そのうち一ミリ以上のものが二%ということでございます。  私ども、予備調査段階で、比較的大きな金属片を百八十六個ということで分類いたしましたけれども、その後は比較的大きさが小さくなるということもございまして、その後は金属粉等という分類で全部しております。ですから、もし一ミリ以上の微小な金属片という分類にしましたならば、この二十七キロから三十一キログラムの中の二%がそれに当たるというふうに御理解をいただければと思います。今私ども、金属片が、その後微小なものを含めて回収されていないということを申し上げているわけではなく、分類上そうしたわけでございます。  それから、プレス発表等でございますけれども、プレス発表等は、回収された内容を、その概要をお伝えするということで発表しております。この注につきましては、オーダー的に、先ほど申しましたように百八十六個が百十グラムということでございまして、残存する量が、原子炉圧力容器、系統配管・機器等には約百グラム程度、それから燃料等に残存している量が二キロから二・五キロということで、トータルの残存量からするとごく小さいということもありまして、プレス発表時点では除いておりますが、正確には先生おっしゃるとおりでございます。
  63. 関晴正

    関委員 時間がありませんので終わりますけれども、とにかく東京電力の方に、何で記者発表した内容と通産省に出した内容と違って発表したのか。(注1)をなぜ除いたのか。(注1)というのは金属片について書いていることなんです。片については全部カットして、粉だけというんだ。金属粉だけ出しております。金属片については全部カットして出しておる。これは本当に変な話なんですよね。ですから、この辺のあたりをきちんと調べていただいて、公に出すものも役所に出すものも、違いがあるなんということはよろしくないことですから、厳重に注意していただきたい、こう思いますので、以上申し上げて、時間ですから終わります。
  64. 与謝野馨

  65. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは長官の所信表明を受けてのことでありますので、一つは宇宙政策について簡潔に伺いたい、もう一点は核融合問題、そして原子力の当面する安全性の三点、時間があれば地球環境とエネルギーの問題について伺いたい、そのように思っております。  まず第一に、最近の日米の貿易摩擦、経済摩擦、それから構造協議等々で日米関係が非常にぎくしゃくする中で、日本研究用の通信衛星について市場開放が求められて、我々の見方では、非常にこの日本の衛星の自主開発路線が後退をしたのじゃないか、そういう感じを受けます。例えばアメリカが、立場を変えて、軍事研究をしている分野が非常に多いのですが、それをアメリカの場合は民間や商業の方に生かしていく、こういう分野が非常に多い。この中に我々日本の方が市場参加させよ、こう言って割り込もうとすれば、これは向こうは拒むに決まっておると思うのです。まず我が方においても、日本においても、研究開発段階は自分でやって、いよいよこれを商業あるいは実利に移すというときには内外の差別をなくして参加を求める、これがなければ日本の自主的な衛星開発の政策は崩れてしまう、このように思いますが、アメリカとの経緯を踏まえてそこらをどう考えるか、お伺いしたい。
  66. 大島友治

    大島国務大臣 辻委員の今、日米構造の協議をめぐっての結果の問題について、我が国の取り扱いについての御心配についてお尋ねがあったわけでございますが、私といたしましては、この人工衛星問題に関しては数次にわたる会合を経まして、そして研究開発衛星を定義した上で、この研究開発衛星以外の商業目的の衛星等の調達はオープン、そして透明かつ内外無差別の手続による等の原則について実質的な合意を見るに至ったというふうに考えておるわけでございまして、この合意は日米両国間の協力と共同作業の精神からなされたものでありまして、宇宙開発活動を自在に遂行する能力を保持するために必要な技術基盤の確立を図るという我が国の基本方針を損なうことはないものと私ども理解しているので、御心配されているわけでございますが、そういう必要はないのじゃないか、こういうふうに私ども理解しているわけでございます。  私としましては、今後とも二十一世紀に向けた長期的な視点に立ち、研究開発の積極的な推進、民間における宇宙開発活動の促進等の諸施策の充実によりまして我が国の宇宙開発活動の一層の展開を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  67. 辻一彦

    ○辻(一)委員 自主開発に支障を来すおそれはないということですが、それがそのままであれば大変結構なのですが、私は非常に懸念をしております。  例えば、六年前にアメリカの通信衛星の購入を求められたのですが、それまで衛星開発について自主路線をとっておった。ところが、そのときの要求によって、対外経済政策として国産化の原則を守りながら外国衛星を購入できる道を開く方針に変わった。ここで一つ変わっておるのです。このとき買ったのを現在民間の通信衛星二社が運用している、これを購入した。このような路線を、今回もまた一歩後退したのじゃないか。これをやっていくと、これは結局次に気象衛星、資源探査衛星などの分野でも商業性がある、実利性がある、こういうことで開放を迫ってくる懸念が十分にある。いずれもずるずると宇宙政策が、衛星開発政策が後退をするおそれがある。これをひとつどういうふうに考えていらっしゃるか伺いたい。
  68. 須田忠義

    ○須田政府委員 今回の日米合意、これまでも含めまして技術開発衛星と商業衛星、実利用衛星、これを明快に区分したということでございまして、これまでも技術開発を終わった、いわゆる技術基盤が確立した衛星は自由市場に任せる、民間にゆだねるという方針をずっと貫いてきたわけでございます。そういう意味においては、今回の合意について自主技術を阻害されるということは一切ないというふうに考えております。今回CS4と言っていた研究開発課題は、新しく宇宙事業団が研究開発衛星としてそれを打ち上げ技術的な基盤を確立する、こういう方向でございますので、そこは障害はないというふうに考えております。
  69. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは余り具体的なことに入りませんが、この人工衛星の宇宙政策の基本をきちっと確立をして、譲る点はこれはまた大いに譲ってもいいと思いますが、譲れないところははっきりさせて、これはもうはねつけて、これだけは自分でやらなくちゃならぬということを明確にしていかなくてはいけないのじゃないか。でないと、言われれば一歩一歩下がっていく、こういうことではならないと思いますが、その決意を一言お伺いしたい。
  70. 大島友治

    大島国務大臣 確かに委員の御心配される点はございますというふうに私も当初感じておりましたが、実はこの間アメリカの方へ科学技術会議でちょっと行ってまいりましたけれども、やはり積極的に日本でやっておるということに対する理解の度合いというか、そういう問題と同時に、日本技術の高度というものに対する理解というものも深まってきているというような関係からすれば、あえて私どもは積極的にこの問題をはっきりと分離して取り扱ってみても、将来そう御心配のないようにやっていきたいという気持ちを持っておるようなわけでございますから、御協力をお願いいたしたいと思います。
  71. 辻一彦

    ○辻(一)委員 具体的な問題はまた後日機会を見て論議をしたいと思いますが、しっかりひとつ頑張ってもらいたいと思います。  第二に核融合の問題ですが、今エネルギーは化石燃料あるいは水力また原子力といろいろな分野にわたっておりますが、将来地球環境等々を考えた場合に、やはり核融合によるところのエネルギー開発ということは非常に重要でないかというように思いますが、それらについてどういう認識を持っていらっしゃるか、まずお尋ねしたい。
  72. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 核融合についてのお尋ねでございますが、先生おっしゃいますように、核融合は人類究極のエネルギーというようなことを言われておりまして、これが実用化されました場合には人類が恒久的なエネルギー源を確保するということで大変期待をされるものでございます。  御案内のとおり、これはまだ研究開発段階で相当の時間を要するものだとは思っておりますけれども、恐らく二十一世紀の半ばぐらいになるのかもしれませんが、将来の実用化に向けて国際的にも協力をしながら研究開発に大いに傾注していきたい、こういうことでやっておるところでございます。
  73. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今核融合は世界で我が国とEC、それからアメリカの三つがトップ争いをやっている。ソ連が非常に進んでおりましたが、若干停滞をして、またこれに加わろうとしておる。こういう中で、一時日本、ECは横に並んでおったと言われておったのですが、若干差がついたような感じがするのですが、現在におけるこの三極、ソ連を含めて世界の核融合の研究開発の現状はどうであるか、この点についてお尋ねしたい。
  74. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 核融合についていろいろな方式がございまして、大きく分けて磁場閉じ込め方式というものとそれから慣性閉じ込め方式というものがあるのだそうでございます。それで、磁場閉じ込め方式の中でトカマク型というのが現在中心になって、原子力研究所を中心に取り組んでおるわけでございますが、これ以外にも磁場閉じ込め型でヘリオトロン、ミラー、逆磁場ピンチというような方式がございまして、大学あるいは国立試験研究機関などがこれに鋭意取り組んでいるところでございます。また、慣性閉じ込め方式の研究も大学あるいは国立の試験研究機関でいろいろ行われております。  それで、その成果でございますが、一番進んでおりますトカマク型につきましては、御案内のとおり原子力研究所の臨界プラズマ試験装置でありますJT60というのがございまして、これが、原子力委員会が定めました臨界プラズマ条件としての目標領域というのを設定してあったわけでありますが、これに昭和六十二年九月に到達をしてございます。他方、諸外国でございますが、ECも同様の研究をして相当の成果を上げてございますし、アメリカ、ソ連などが研究開発に大いに力を入れているところでございます。いずれも一番先行しておりますのがトカマク方式でございまして、現在日本はこれら諸外国の中でトップクラスにあるものと考えてございます。  また、国際研究協力も盛んに行われております。昭和六十年十一月に、御案内のレーガン・ゴルバチョフの米ソ首脳会談で話が出まして、国際的な熱核融合実験炉、ITERと言っておりますが、これを共同で設計をするということでプロジェクトが昭和六十三年に発足をしているわけであります。これにはアメリカ日本、EC、ソ連の四者が平等の立場で分担をして参画をしているわけでありまして、一九九〇年までに概念設計とそれに必要な研究開発を四者が平等に分担をして実施する、こういうことで進めているところになっております。
  75. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そういう説明はそれで結構なのですが、日本のJT60がECのJETに比べておくれているのじゃないか、こういう観点から改造が今進められておりますね。既に秋には大体形になるというか、今準備をしてやっておるのですから今言うのもどうかとは思いますが、これだけのお金をかけるのですから、初めからこういう改造をしなくていいような計画が立たなかったのか、なぜ後になってまた慌てて改造しているのか、そこらは一体どうなっているのかお伺いしたい。
  76. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 大変専門的な内容にわたりますので、ちょっと十分御説明できるかどうか自信がないわけでありますが、いずれにいたしましても、あの種の研究炉は大変大型のお金のかかる施設でございますので、当初目標を設定をして、先ほど申し上げました臨界プラズマ条件というものを設定をして、それを達成すべく装置をつくり、研究をしたわけでありまして、一応その目標領域には到達をしたわけでありますけれども、さらにプラズマの性能の向上を図る、さらに工学的あるいは制御運転上の向上を図るということから一段の高度化をするということで、今先生おっしゃいましたように、現在高性能化を進めているところでございます。
  77. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原研の方で資料を若干説明してもらったのですが、そちらも当然お持ちですが、臨界プラズマ条件の達成している状況等を見ると、ECのJETに比べてややおくれている感じがするのですが、改造費にかなりな経費をかけて今できようとしているのですが、これが大体できるとECのJET並みの開発可能性が大体あるのかどうか、世界的な水準におくれをとらないだけの自信があるのかどうか、そこらはどうなのでしょう。
  78. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 私どもももちろん世界のトップを目指しているわけでありまして、今JT60はプラズマ性能の大幅な向上、高性能化ということで大電流化改造工事というものを進めております。平成二年度末にでき上がる予定でございます。この大電流化改造後のJT60は強力な加熱パワーを備えたトカマク装置になるわけでありまして、今先生御指摘になりましたECのJETとともに世界の核融合の研究をリードする、世界の最先端のものになるというふうに期待をしているわけでありまして、その目標に向けて着実に計画を進めているところでございます。
  79. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は那珂の研究所は何回も見に行っていますが、改造によってぜひひとつ世界のトップを占めるだけの研究開発をやってもらいたいと期待をしておりますが、その那珂で、改造費の二十七億は中性子の遮へい設備と聞いていますが、今まで核融合は放射能には心配はない、こういうふうに言っておったのですが、ここで遮へいのために相当なお金をかけなければならないというように問題が出ていますが、これは従来言われている核融合によるエネルギーをとるときのクリーンであるというのとどういう関係があるのか、お尋ねしたい。
  80. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 核融合につきましては、先生御案内のとおり、核分裂ではなくて核融合でございますから核分裂生成物が出てこないということ、それから原理上暴走事故というものはあり得ないというようなことで大変安全なものということではありますけれども、燃料でございます三重水素の取り扱い技術であるとか、あるいは今お述べになりましたように、中性子によりまして放射化された炉内構造物の隔離操作技術を一応確立することが必要でございます。これらの点につきましては技術的に十分対応可能な問題でございますので、研究開発過程の中で専門家が鋭意研究をしているところであろうと承知しております。
  81. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは余り専門的なことは割愛したいと思います。  そこで、今局長からも御答弁がありましたが、日本がこれだけの経済力を持っておる、超経済大国と言われる、それだけの力があるわけですが、片方ではアメリカを初め世界から、技術、科学はただ乗り論という批判をされて、基礎的な研究、基本的な研究には日本は余り力を入れないという批判が今まであったわけですね。こういう中でこの核融合等は、これは何といってもこの分野では基本的な非常に重要な研究開発内容であると思いますが、これらにこれだけ経済力を持つ我が国がさらに予算的にもあらゆる分野においてもっと力を入れて、そしてまさに国際的にこの分野で貢献をする、こういうことが技術ただ乗り論に具体的にこたえる道ではないかと私は思います。これらの予算面等々すべてを含めてどう考えるのか、これはひとつ大臣、しっかり聞かしていただきたい。
  82. 大島友治

    大島国務大臣 核融合の問題につきましては、実は、私も昭和五十二年でしたか、科学技術庁の科学技術政務次官をやりましたときに、まさに二十一世紀に向かって核融合が実現化するか実用化するか、それともがんの問題が制圧できるか、いずれが先かというようなことをちょっと学びまして、まさにそうじゃないかということを考えて、今回長官という立場になって、いろいろ今御指摘というか、むしろこの核融合の積極的な委員の御質問というかお話を聞きながら、確かにこの核融合につきましては我が国としても非常にトップレベルに近い力を持って今やっておりますし、また資源のない日本の国としては、私はその当時からぜひこれは将来実現しなければならぬ問題じゃなかろうか、こういうふうに考えておりまして、たまたまこの問題に当たりましてお話を承っておりまして、これはどうしても積極的にやっていかなければならないということでございまして、委員の申されるように、この核融合の問題については、この研究開発は極限の技術とか先端技術等の広範な技術を先導するプロジェクトとしても重要であるために、この実用化に向かって予算措置も含めてできるだけ積極的にやるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えておりまして、実は先ほどもちょっと申し上げましたが、先般四日にワシントンで、日米協議の問題で科学技術の協議がございまして、まさに今申されたように、日本は科学のただ乗りじゃないかという点で、いわゆる研究開発というものが非常に日本はおくれておるじゃないか。おくれておるというよりもむしろやらないで、技術の面だけでもって経済に結びつけて経済大国になっておる、いわゆるただ乗り的なものじゃなかろうかというようなことも私もかねて聞いてはおりましたけれども、先般行ってまいりまして、いろいろとお話しして、決して必ずしも現在もなおかつ日本はそうだという理解よりも、むしろ日本も確かに技術においても、あるいはまた科学の面から見ても相当高度の力を持ってきているんだという認識をアメリカ自身が持っているんじゃなかろうかというような感触も得ました。  したがって、そういう面からすれば、私どもアメリカとのこういった問題についての提携、協力とも積極的に進めると同時に、やはり経済大国としての立場からも経済協力の面も積極的にやるべきじゃなかろうか、そういう点で、核融合の問題については委員の申されるように積極的に私どもも進んでまいりたい、こう考えておりますので、よろしくまた御指導もお願いしたいと思います。
  83. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それでは具体的に、もうちょっとこれをどうするのかということでお尋ねしたいのですが、今局長からも御答弁がありましたが、ITERの推進に国際的な協力をしているということで、これはいろいろと進んでいるということは承知しておりますが、単に各国が決められたことを分担するというにとどまらず、もう一歩踏み込んで日本としてより積極的な役割を果たす用意はないのか、その点どうですか。
  84. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 ITERの現状につきましては、先ほども申し上げましたように、九〇年の年末を目指して概念設計をやっているわけでありますが、それから先、日本がもっと積極的にリードすべきではないかというお励ましのお言葉をいただいたわけですが、今関係各国の間で九一年以降、つまり概念設計が終わった段階で次の段階をどうするかということについて相談を始めるところでございます。  それで、次の段階、工学的設計の段階に進むわけでありますが、そこにどういうふうに具体化をしていくのか、これらについて各国間で協議がこれから行われるわけでございます。日本といたしましても、これにはもちろん積極的に参画をして、国際的に十分な役割を果たしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  85. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次の装置は、今の那珂のJT60、これを改造してかなり高いレベルになる、その次の装置が既にいろいろと論議をされておるのですが、核融合の実験炉の実現を目指すというわけですが、日本自体がっくり上げる自主技術と国際協力との関係が非常に大事だと思うのです。  そこで、次期装置として、日本のFER計画と国際的協力によるITERとの関係は一体どういうように位置づけるのか、まずお尋ねしたい。
  86. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 日本のJT60の次にFERという計画を進めていることは先生御指摘のとおりでございますが、FERと国際的に共同で進めているITER、どういうふうにしていくのかというお尋ねでございます。  これはいずれの計画をとりましても大変巨額のお金がかかる話になりますので、それをどういう形で両立をさせるのか、またさせられないのか、これは今後の問題でざいます。実は、ECあるいはアメリカでも同様の問題を抱えておりまして、それぞれ自国の計画と国際的に共同でやる計画をどのように調整をしていくのか、それぞれのところが正直言って今大変悩んでいるところではないかと思います。現在その意味で専門家がいろいろ情報交換をいたしまして、国際的な動向それからそれぞれの国の計画について今吟味をして、これからあり得べき国際的な協力の場での話し合いについての日本側としての腹構え、ECの方ではECとしての腹構えを検討している段階、こういうところでございます。
  87. 辻一彦

    ○辻(一)委員 日本も自主技術としてFER、こう言われておりますが、これは大体五百立方メーターぐらいのものと言われますが、ITERは千ぐらいというから、似たようなものを幾つもつくるということも大事ですが、むしろITERの実験装置を我が国に誘致をして全面的にひとつ取り組む、こういうふうな構想を持てないのかどうか、これはいかがですか。
  88. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 今専門家の間でITERとFERについていろいろ議論をしているわけでありますが、非常に長期にわたって、二十一世紀を目指して、核融合の実用化を目指して研究開発を進めている。そのためにITERが役に立つのかFERの方が役に立つのかという技術的な観点から、次の段階としてはどちらがいいのかという検討が必要でありますが、その議論をしておりますが、そういう観点からは、どちらでなければならない、あるいはどちらかがだめであるということはないような御議論のようで、専門家の間ではそういう御議論のようでございます。  その場合に、それではFERをやめてITERを日本に招致をして日本でITERをやるということはできないかという御指摘でございますが、これについては、先ほど申し上げましたように、関係四極の間で、これから仮に工学設計に入るとすればそれはどういう形で分担をしていくのか、どういう進め方、相談の仕方をしていくのか、その辺のところの検討に入るわけでありますので、日本側としてはもう少し情報をよく集めまして、よく対策を考えていきたいというふうに考えております。
  89. 辻一彦

    ○辻(一)委員 あと安全性問題に移りたいので時間は余りかけられないのですが、もう一点だけ。  アメリカは中性子照射試験炉で強力なのを持っておるのですが、国家の予算を削られておるので廃止の方向にある。最近では、日本が少しでも分担してくれるならまだ続けよう、こういうふうな話が出ておるといいますが、アメリカのこの中性子照射試験炉というものは、我が国の核融合開発にとってこれがないと支障を来すのかどうか、そこの点、時間の点から簡潔で結構ですから答えてください。
  90. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 高速中性子による試験を行いますFFTFと言っておりますが、これがアメリカで財政的な事情もあり運転を中止したいということを考えておるのは、私どもも承知をしております。当初四月から運転をとめたいということをアメリカのDOEは言っておったわけでございますが、議会の承諾が得られなかったようでございまして、FFTFはきょう現在ではまだ運転中でございます。恐らく九月中ぐらいまでは運転は継続されるものと考えておりますが、それから先、恐らくとめざるを得ないということになろうかと思います。  そこで、お尋ねの点でございますが、現在日本原子力研究所あるいは大学がアメリカのFFTFを使いまして核融合炉の材料の研究開発をやっております。したがいまして、これがとまりますと、その研究はほかの方法でやらなければならないことになります。現在、そこはFFTFがとまった場合にどういう代替措置があるのか、そこを検討中でございまして、しかるべき代替措置を見つけていきたいというふうに考えてございます。  なお、新聞報道等でアメリカから日本費用を負担するならば云々という話が報ぜられておりましたけれども、私ども政府間で正式には承知をしておりませんので、また、運転には大変巨額のお金がかかるようでございますので、また、もしアメリカから正式の御提示があれば、またヨーロッパなども含めてそこは検討していかなければならないかもしれませんが、現時点ではそういう方向での検討はいたしてございません。
  91. 辻一彦

    ○辻(一)委員 技術というのはなるべく、多少金が余分に要っても自分でやれるところは自分でやるというのがまず基本であると思いますから、しっかり取り組んでもらいたいと思います。  次に、私は原子力安全性で、これは現在の原子力発電所を見ると、PWR、P型は、加圧型は大体蒸気発生器の細菅損傷が一つのウイークポイントになっておるし、B型についてはこれは冷却水の再循環ポンプ等が一つのウイークポイントになっておる。いずれも最近の主要な事故や問題というものは、東電、関電を中心にP型、B型の中でこの二つから出ているのが一番大きいと思う。  そこで、時間の点から恐らくB型の方には触れる余裕はないと思うのですが、まず蒸気発生器の問題について二、三お尋ねしたいと思います。  これは昭和四十八年六月だから随分前でありますが、私は参議院におりましたので科学の委員会で美浜一号炉のSG、蒸気発生器問題を取り上げたことがありますが、そういう論議の後、この原子炉は五年間停止をしておったのですね、そしていろいろ手当てをして動かし出して今日に至っておる、そういう経緯があります。このSG、蒸気発生器の細管問題には深い関心を以来ずっと持っておりました。ところが、私の若狭湾には、福井県の方ですが、加圧型が十基、敦賀の方から言えば日本原電二号、それから美浜一、二、三号炉、それから高浜の一、二、三、四号、大飯の一、二号と十基加圧型がある。この中で、第一世代、いわゆる初期の段階で外国から蒸気発生器を輸入したもの、これに多くの問題が随分出ている。その一番問題なのは美浜一号炉、高浜二号炉、大飯一号炉、これは蒸気発生器の御三家になる、問題を起こしてですね。それからもう一つ九州の玄海一号、四天王になりますが、四つ非常に問題がいつも出ておりますですね。  そこで、この蒸気発生器のトラブルは御承知のとおりですが、放熱用の、熱を伝える細管に穴があいたり漏れができたりひびが入ったりする。そうしますと栓を打って第一次冷却水を通らないようにする、こういうことで、施栓といいますか打栓ということでずっとやってきたわけですね。初めは安全解析で例えば五%までなら大丈夫だ、安全だ。五%近くに栓を打っていっぱいになると一〇%、そして一五%。今関西電力はこの一八%を一一五%に引き上げてもらいたいという申請を通産省、科技庁の方に出しておる。御承知のとおりであります。したがって、こういうやり方に対してどこまでその栓を打っていくのか。まともに発電所が動くにはどこまで栓を打てばいいのか、打てるのか、こういうことが広範な不安として若狭湾一帯にある。加圧型を持つところにはどこにもあります。既に若狭湾のいわゆる福井県、京都府、兵庫県等では先日十万人の署名を持ってもうこれ以上施栓率を、栓を打つ率を上げるな、こういうことを科学技術庁、安全委員会とそして通産のエネルギー庁に申し入れに行っている。私も一緒に同行して一時間ずつそれぞれ話をしました。  こういう状況の中で、かねて予算委員会等、あるいは一昨年福井県の要請もありましたし我々も国会で取り上げて、政府の方は電力企業を通して施栓率はどこまでという解析をコンピューターでやる。その結果、一〇〇%の出力をして五〇%まで栓を打っても安全性には問題はないという見解を出したわけですね。ところが一面では、それでは一〇〇%出力をもって五〇%栓を打っても大丈夫かということになりますと、実際的には効率的には打栓は三〇%ぐらい、そこまでは一〇〇%の出力、定規格はやれる、こういうことを片面では言うている。これは専門家にはいろいろ難しい論理がありますからわかるのかもわかりませんが、一般の住民の皆さんにはわかりにくい。五〇%打って、栓をして全出力は一〇〇%やる、そしてその五〇%が大丈夫だと言うなら、安全だと言うなら、発電所を五〇%栓を打つまでは動かせるはずだが、それは三〇%だと言う。どうもここの間の説明が素人にはわかりにくい。これをどういうように説明されるのか、難しい説明はよくありますが、やさしくわかるように説明をしてほしい。
  92. 松宮勲

    ○松宮説明員 お答えさしていただきます。  先生御指摘の加圧水型原子力発電プラントの蒸気発生器の施栓の問題につきましては、かねてより私どもといたしましても電力会社をして所要の対策を講じさしていたところでございますが、御指摘のようになお一部のプラントにおきまして施栓率の上昇を余儀なくされているものがございます。こういう状況を背景にいたしまして、関係自治体等関係方面からは、どの程度まで施栓率が上がっても原子力発電プラントの安全性が確保されるのかという御要望がございましたので、昨年の秋に、私どもといたしましては、通常の安全審査で行われております解析手法に基づきまして、施栓率が、仮定の議論といたしまして、蒸気発生器全数の半分が全部栓がされて一次側の水が通らないという状況を想定いたしまして、そのもとで通常の安全解析で原子力発電プラントの設計の妥当性を確認する最も厳しい事象でございます一次冷却材喪失事故というのを想定いたしまして、コンピューターによってシミュレーションをしたわけでございます。あくまでも御指摘の五〇%というのは現実には到底考えられない最も高い率を想定して計算をしたわけでございます。その結果、五○%施栓をしてもなおかつ安全上は冷却材の喪失事故が起きましても燃料を覆っております被覆管が破裂してはいけないという一つの安全評価上の判断基準でございます千二百度を超えることはないという結果が得られたわけでございます。  しからば、先生御指摘の電気出力、定格出力の関係とただいま申し上げました五〇%の仮定との関係はどうかということでございますが、私どもは評価に際しましては最も保守的に現実にはあり得ない五〇%と仮定しても安全上は大丈夫だということを確認させていただいたということが一つ。しかし、現実にはどんどん施栓率が高まりますと、熱出力が低下し、したがいましてタービンに伝わる伝熱性能が下がることによってタービンの出力が下がるということでございますので、この関係につきましてはごく一部のプラントについて試算をさしていただいたわけでございますが、御指摘のように三分の一程度の施栓率で定格出力維持が困難になる、こういう結果になったわけでございます。  したがいまして、繰り返しでございますが、原子力発電プラントの設計の妥当性を確認する際の一番厳しい事象でございます一次冷却材喪失事故があったとしても、施栓率五〇%を仮定してなおかつ安全であるという一方の評価作業と、しかし、現実にはそういう五〇%というのは仮定の議論でございまして、実際三割程度に施栓が高まれば、定格出力の維持は困難になるだろう、こういう二つの数値があるということでございまして、この辺は関係自治体や関係方面に御説明する際にもパンフレットでもって説明させていただいているところでございますが、なお、先生御指摘のようなややわかりにくいところがあったかなと反省はさせていただいているところでございます。
  93. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大変わかりにくい。私も大分これをやっているのだけれども、ちょっとよくわからないですね。安全とは、一〇〇%出力を出して運転が継続できるからそれで安全と言うのじゃないのかな。だから、五〇%栓を打って安全だと言うなら、何でその三〇%栓を打って、それ以上やればもう出力は出なくなる。出力が出なくなるのなら、それを無理に出そうとすれば無理がかかる。無理がかかれば、一〇〇%出すためには安全でなくなる。だから、その五〇%でも安全という論理はどうも素人には、私はわかりにくいのですが、その点どうですか。時間がないから簡単で結構だから。
  94. 松宮勲

    ○松宮説明員 御指摘のように、実際に三〇%程度、三分の一程度の施栓でもって定格出力の維持は困難になるだろうと判断されます。したがいまして、これを上回りますと、むしろ、熱出力が下がって電気出力が下がるということでございますので、電気定格出力維持が困難となる以上に施栓率が高まりますと、より安全側に働くという関係でございます。
  95. 辻一彦

    ○辻(一)委員 どうも、まあ一遍速記録をよく読んでもう一遍勉強しますが、わかりにくいのですが、例えば、関西電力はパンフレットを出して私の方に説明というのを送ってきておりますが、このパンフレットですが、これなんかを見ると、五〇%栓を打っても大丈夫なのだから心配ない、こういうようにこれが使われているのですね。五〇%ではもう定格一〇〇%出ないということははっきりしておるのです。三〇%ぐらいでもう定格以上は出ないのだ、それ以上無理すれば機械に無理がかかって、どこかに無理がかかって安全上に問題が出てくる。ところが、逆に言うと、五〇%まで栓を打っても大丈夫なのだから心配ありませんよということにこれが使われている。これは非常に住民の不安にこたえようとした中身が、逆に使われておる感じがするのですね。私は、それはひとつデータをもう少し見なければ話にならない。  したがって、まず第一は、五〇%施栓率をやっても安全であるという解析をした、そういう全般的な資料の提出を要求したい。これは、これがなければ、政府関係の専門の学者やあるいは専門家だけがわかっておって、いやあとは、結果のこういう数字を使いましたと言って、あとがわからないのでは信頼は生まれてこない。在野の学者であり専門家もそのデータを見ればなるほどと言って理解ができるというその共通の土俵がなければ、この安全性ということは広く理解をされないと思う。そういう意味で、理解を広げるために、安全性をよりひとつ前進をさすために、まずこの五〇%を解析をした資料の全面的な資料公開を求めたい。いかがですか。
  96. 松宮勲

    ○松宮説明員 私どもが昨年の秋に実施いたしました施栓率の安全解析の仕様につきましては、もう一般に公開されオーソライズされた解析評価コードに従いまして実施いたしたわけでございますが、ただいま先生御指摘のようなことも踏まえまして、現在でき得る限りの御説明できる資料を作成しているところでございますので、作成し次第、先生には改めて御説明に上がらせていただきたい、かように考えております。
  97. 辻一彦

    ○辻(一)委員 念のために、いつごろ出せますか。
  98. 松宮勲

    ○松宮説明員 現在、最終的な段階にございますので、具体的な期日はまだ申し上げる段階ではございませんが、向こう一週間程度の間隔で、できるだけ努力させていただきたいと考えております。
  99. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それを見てといっても、私らが見てもこれはなかなか難しい数式ならよくわからないので、これはやはり、それぞれ専門の学者がみんな見て、なるほどとわかるものでないといかないと思うのですね。それは期待して待っております。  それから、その資料が出せるのならば、まず、福井県の原子力安全管理協議会、原安協と言われておりますが、通産も科技も行って論議はよく御承知のとおりですが、何かわからないような、五〇%で安全だというのではなしに、例えば問題のある美浜一号炉、高浜二号炉、大飯一号炉、佐賀の玄海一号も含め、これについてはここまで栓を打てばもうそれ以上は一〇〇%出せません、こういう線をやはり解析して出すべきだと思うのですよ。何か一般のケースというのは、どこでどれをやったのかわからぬようなあいまいな形でなしに、まず私はそういう意味で、繰り返しますが、美浜一号炉、高浜二号炉、大飯一号炉、あわせて玄海一号炉の、一番今十数%以上全部施栓率をやっている第一世代の蒸気発生器について、これをひとつ試算をしてこの上限を示していただきたい、いかがですか。
  100. 松宮勲

    ○松宮説明員 炉規制法等に基づく安全審査におきましては、個々の原子力発電プラントの定格出力を維持できる施栓率につきましては、具体的な審査事項と申しますか評価を行っているわけでございませんので、私どもは代表的なプラントについて念のため電力会社が行った試算についてその評価をさせていただき、先ほどのような三割程度の施栓率でもって定格出力維持が困難になる、こういう確認をさせていただいたわけでございます。  したがいまして、御指摘の個々のプラントにつきましては、法令上私どもは押さえる立場にございません。ただ、仮に万が一、私どもは現実にはあり得ないと考えておりますが、仮に今後とも施栓率の上昇を余儀なくされて、個々の原子力発電プラントが定格出力維持を行うことが困難な状況になった場合には、これは炉規制法に基づきます設置許可条件の変更ということに相なりますので、その段階では電気事業者の方から個々のプラントごとの設置許可変更の申請が参り、ここで私ども通産省におきましては一次審査、しかるべき後に審査を経て私ども原子力安全委員会に諮問させていただいて、そこでダブルチェックを受ける、こういう手続を経ることになりますので、その際には申請関係書類及び審査関係書類というのは公表されることになるわけでございますので、こういうプロセスを御理解いただきたいと存じます。
  101. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは電力会社が申請したときにやればいいので、国会としてこれは安全審査上重大な問題点ありと我々は確認してこの四点の上限を示しなさいと言っておるので、答える立場にないのなら、それでは日本政府の中でどこが答えるのですか。
  102. 松宮勲

    ○松宮説明員 私どもの立場からも非常に答えにくいところでございますが、非常に苦しい状況にあるという状況を御理解賜りたいと思いますが、なお先生の御指摘もございましたので、検討させていただきたいと存じます。
  103. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは大変大事なことですよ。法令によって、通産のおっしゃるのは私は一面はわかる。ちゃんとした手続はこういうふうにしてなされたときにやるのですから、そうでなければ難しいけれども、それではこういう論議があり問題があって、住民が十万も署名して要請している、国会でも取り上げられている、こういう問題を日本の国会が答える場がないとは、これは私は納得できない。どこかで答えてもらわなければいかない。これは国政調査権においても答えを出してもらう必要がある。どこでそれを答えるのか、それをちょっとはっきりさせていただきたい。
  104. 村上健一

    村上政府委員 PWRの施栓の問題につきましては、これまで通産省の方からお答えがあったとおりでございますが、原子力安全委員会としては、立場上あくまでも具体的な原子炉につきましては、所管行政庁である通産省からの諮問に応じて安全確認を行い、意見を言うという立場であるのは原則でございますが、先生の御心配もございますので、安全委員長ともよく相談をいたしますし、かつ所管行政庁ともよく議論いたしまして、遺漏のないように対応してまいりたい、こう思います。
  105. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは、政府答弁はそれでわかりましたが、我々としては、この委員会としてはこういう問題についてきちっと決着をつけなければいかぬ。だから、理事会において後日ひとつ十分論議をして対処していただきたい。委員長からちょっと諮っていただきたい。
  106. 与謝野馨

    与謝野委員長 ただいまの辻一彦君の御発言どおり、この件は理事会において各党間で一度検討をいたします。よろしいですか。
  107. 辻一彦

    ○辻(一)委員 はい。理事会は理事会で、委員会としてですが、政府の方は今御答弁ありましたように、ひとつしっかり取り組んでいただきたい。きょうだけでは、これは法案ならばこんなもの承知ならぬところでありますが、一般質問ではそういつまでも言っておられませんから、あと理事会に任せて、理事さんにお願いします。
  108. 大島友治

    大島国務大臣 せっかくの問題でございますから、私も責任者の一人といたしまして、先ほど政府委員の方から答弁させたように前向きにこれを検討してまいりたい、こう存じております。御承知おきください。
  109. 辻一彦

    ○辻(一)委員 わかりました。  それから、あと五分ほどですが、これに関連して、佐賀県の知事さんから「故障続きの佐賀・玄海1号 知事、再度廃炉要望も」といって、これだけよく問題が出ると困るから廃炉にしてくれ、こういう要望を知事が表明をしていると新聞に出ておりますね。それから福井県では、この間原子力安全管理協議会で、県がもう限界を県として設けて二五%以上施栓率を上げることを認めない、こういう言明を県の原子力安全管理協議会でしておるわけですね。これら自治体のこういう住民に対する責任上からの安全の考え方に対して、これは私は原子力安全性はクロスチェック、ダブルチェックをやるべきだ。だから、国もやる、国の中にも通産と、それから科技、原子力安全委員会という二つのダブルチェックの機能がありますが、また政府と地方自治体がともにダブルチェックをやる、こういうことによってより安全性が保たれると思います。そうなれば、このような地方自治体のいろいろな意見ということは十分ひとつ尊重していかなくてはいけないのではないか、そうしなければ、私は地方に、原子力の安全管理推進ということはますます困難になるだろうと思うのですが、これらについての見解をひとつお尋ねをしたい。
  110. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  蒸気発生器につきましては、先生御案内のように細管にいろいろ損傷がございまして、施栓等しておるわけでございます。地元の方にはいろいろ御不安等を与えていることは私ども十分承知しております。そのために起きましたトラブルにつきましては徹底した原因の究明をし、また再発の防止対策、抑制のための対策等をとっております。  要は、大事なことは、蒸気発生器のトラブル対策をとりまして、安全が確保できるかどうかということが大事かと思います。そういう面で自治体とそれから地元の不安にこたえていくためにも、今後も徹底的な原因の究明、対策等を私ども厳しくやっていきたい、このように考えております。
  111. 辻一彦

    ○辻(一)委員 さっき私が申し上げた四つの原子炉について、この上限の数字が示されれば、これは私は各県とも理解をいろいろとする道があると思いますが、やはりそういう意味でもまずきちっとした安心できるものを、数字をきちっと解析して示して、その上で自治体とお互いに話し合うということが大事ではないか。今のような状況で、いや、これは理解を求めますと言っても、それは地方自治体としてはなかなか納得ができないのじゃないかと思うのです。  きょうは既に時間が大体来たようですからこれ以上は申し上げませんが、きょうの論議を踏まえて、ひとつこの蒸気発生器の万遺憾のないように、万全をひとつこれからとも期してもらうように期待をしたいと思います。  それでは、東電の原子力事故調査書について一、二点触れたかったのですが、またの機会にします。終わります。
  112. 与謝野馨

    与謝野委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  113. 与謝野馨

    与謝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 先般の長官の所信表明、お伺いをいたしておりました。「世界に貢献する日本」、そういう中で我が国が何をなすべきか、こういう中で第一に長官は、「人類の生存と繁栄に深くかかわる地球規模の環境問題の解決に資する科学技術の推進、」と表明されておられるわけでございまして、まさに私も同感でございます。  近年、オゾン層の破壊あるいはCO2によります温暖化、砂漠化、熱帯雨林の破壊、酸性雨と、まことに厳しい地球的な規模でのそういう環境問題というものが起きてきておるわけでございます。この問題に対しましては、科学的なそういう解明が必要であることは言うまでもございません。同時に、環境保全のために科学技術が果たす役割というものはまことに大であろうか、このように思うわけでございます。  そこで、この所信表明という点におきましては、細かな点までお述べになる時間もなかったと思うわけでございますが、こういう地球規模の環境問題に対しまして、今後いかに取り組んでいかれるか、まず初めにお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、鳩山(由)委員長代理着席〕
  115. 須田忠義

    ○須田政府委員 経済成長と環境保全の両立をどう図っていくか、いろいろ科学技術の役割が議論されておるわけでございますが、我々やはり先生御指摘のとおり、この環境保全のキーになるものは科学技術だということを頭に描き、そういう認識のもとに科学的な知見の蓄積に努めてまいりたいというふうに考えております。  これはせんだってのアルシュ・サミットにおいても、いわゆる共同宣言でございますが、技術によるブレークスルーのための努力を強化することが、経済成長と環境政策を調和させる上で非常に重要であるという認識がうたわれているところでございます。こういう観点から我々は科学技術行政を進めてまいりたい、そういうふうに考えておるところであります。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術の役割というものがいかに大事であるか、これは共通の認識であろうかと思うわけでございますが、まず科学的な解明、これに当たって具体的にどう取り組んでいかれるのですか。
  117. 須田忠義

    ○須田政府委員 科学的な知見を解明していくに当たって、我々二つの方向並びに三つの方向から今検討を開始しておるところであります。  一つは、まず地球の観測・監視を強化する、充実させよう、こういうことが第一点であります。これは地球観測衛星、それから深海、いわゆる海洋からの問題、こういう観測体制をさらに強化充実していきたいというのが第一点であります。これについては我々、地球観測衛星ADEOSの打ち上げ等いろいろ考えておるところであります。  二番目は、やはり地球環境に関する諸現象の解明、いわゆる大気と海洋の循環機構、海の温度と大気の温度によって地球はどう変わっていくのか、気候が変わっていくのか、それはまさしく地球温暖化問題とも非常に密接に絡む問題でございますが、その辺の事象が必ずしも解明されていないというふうに我々は理解しております。     〔鳩山(由)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、これは気象庁、海上保安庁、各省庁含めまして国際的に共同研究、共同調査を展開していきたいというふうに第二点は考えております。  第三点は、やはり対策技術が今後非常に重要になってくる。それについて強化していかなければいかぬというふうに考えております。  科学技術庁は調整官庁の役割と自分で実施する一一つの側面を持っておりますので、その二つをフルに活用し、その充実に努めてまいりたい、そういうように考えておるところであります。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで中身に入っていきたいと思います。  この環境問題とエネルギー問題というものは非常に密接不可分の相互関係にある、このように私は見ておるわけでございますが、先般も環境白書が提出されまして、いみじくもそこで指摘されておったわけでございますけれども、一次エネルギーの有効利用というのはわずか三五%である、あとの六五%がいわゆる利用されておらない、こういうことが指摘されておったわけでございます。  そこで、最近のこのエネルギーの動向を見ておりますと、五月十五日発表されました平成元年度の総需要電力量速報を見ますと、対前年度六・一%増と非常に、第一次石油危機以降二番目に高い伸びになっておるわけですね。先ほど申し上げました地球温暖化等の環境問題とこれは非常に大きな関連があるわけでございます。このエネルギー需要の増大の要因をどのように見ておられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  119. 中澤佐市

    ○中澤説明員 委員御指摘のとおり、最近のエネルギー需要はかなり増大しております。一次エネルギー全体で申しますと、八七年度四・八%、八八年度五・七%と増大をしております。これは基本的には現在の好調な経済活動というものが反映されていると認識しておりますが、同時に、例えば民生部門、つまり家庭とか、あるいはオフィスビル、商店等々の業務部門と言っておりますが、そういう分野でのいわゆる住宅面積の拡大あるいは暖冷房の一層の充実といったような問題、あるいは運輸部門で言えば自動車の大型化あるいはオートマチック化の進展といったような問題、ある意味では需要における増大の構造的な変化というものももう始まっているということではないかと認識しております。  御案内のとおり、昨年六月から通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会におきましてエネルギー政策について御審議をいただいておるところでありますが、その中でも、最近の需要についてそのような認識のもとで審議がされているということでございます。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、この長期エネルギーの需給見通しというのは、いつ出されるのですか。
  121. 中澤佐市

    ○中澤説明員 現在審議中でございまして、今の予定でいきますと、六月上、中旬ごろ、来月上、中旬ごろには御審議が終わりに近づくのではないかというふうに思っております。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 まだそれは発表がされておらないわけでございますけれども、大体中身といいますかその辺のことについてはつかんでおられると思うのですけれども、大体どういう見通しになるのですか。
  123. 中澤佐市

    ○中澤説明員 どういう見通しかというのは、まだ審議中なので余り、御説明しづらいわけでございますけれども、基本的には現在御審議いただいています政策という意味では、やはり今後構造的に日本もそうですが世界的にエネルギー需要がふえていくだろう、特に石油需要はふえていくだろうというような話、そういう中で地球温暖化問題というのがございます。それから石油需給については、供給力の世界的な減退というものが議論をされておりまして、そういう中でやはり政策の重点課題は三つではないか。  一つ目は、エネルギー利用の効率化を徹底的に追求するということ、昔風の言い方では省エネでございます。  第二点目は、そういう省エネをやった結果できるだけ伸びを抑制した需要に対してどういうエネルギー源で供給をしていくかということでございます。ここについては、従来まででしたら石油問題ということから石油代替エネルギーということが非常に大きなポイントだったわけでございます。これについては現在でも引き続き変わらず、また先ほど申し上げましたような世界的な石油需給の状況からいたしますと、さらに努力をしていかなければならないということでありますが、その石油代替エネルギーの中でもさらに地球温暖化ということを考慮いたしますと、CO2発生量、CO2負荷のより少ないエネルギーへの依存というのをその石油代替エネルギーの中でもさらに高めていくことが必要ではないかというような議論が二点目でございます。  三点目は、御案内のとおり、我が国はSOX、NOX等々あるいはエネルギー効率化技術も含めましてかなりの技術を持っております。世界的にも今までの省エネ努力というのは最高水準という評価を受けているところでありますけれども、このような技術を先進国、あるいは発展途上国に対しましてはそれを相手の国情に応じた形で改良するなりした形で技術移転をしていく、そういうような国際協力というのが三点目の重要な課題ではないかという議論で行われております。  全体の需給動向につきましては、そのような需要がふえる中で、それをどこまで省エネをやって絞り込めるか、そしてその省エネに対してどのようなエネルギー源で供給をしていくかということで議論が今行われております。  以上でございます。
  124. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども申し上げましたが、いわゆる三五%の使用という、六五%が言うなら未利用である。この未利用エネルギーですね、これをどうしていくかということが私はもう非常に大きな問題だ、このように思うのですね。先ほどもお話ございましたように、CO2を減らしていく、あらゆる観点からして非常に大事な問題だと私は思っております。  いろいろ私も各国の状況もちょっと勉強してみたわけでございますが、特にヨーロッパにおきましてはこの未利用エネルギーの活用というものは非常に盛んにやっておりまして、例えばパリでは、パリ地域暖房公社、これは三百三十六キロのパイプラインを施設いたしておりまして、市内の熱需要の四分の一をカバーしている、熱源の三分の一がごみ焼却場からの廃熱、フランス全体では地域暖房の熱源の二二・六%を都市廃熱を中心とした未利用エネルギーが占めておる、このように言われております。ノルウェー、スウェーデン等におきましては海水、下水、発電所温排水など低温の熱源を使ったヒートポンプによる熱供給、フランス、フィンランドはごみ焼却場、発電所の高温廃熱を利用した熱供給の二つに分かれる。西ドイツは両方やっておる。こういうように、先進国はこの未利用エネルギーの活用というのを非常に盛んにやっておるのですね。  我が国はどうなっておるのか、まず現状をお伺いしたいと思うし、今後科学技術庁はむしろこういうところに本当に力を入れなきゃいけない。環境問題に対して全力を挙げて取り組むと、お題目だけですよ、これ。具体的にこういうことを真剣に取り組んでこそ、本当に密着した国民のための科学技術の進展である、私はこのように思うのですね。まずその点についてお伺いしたいと思います。
  125. 稲川泰弘

    ○稲川説明員 ヨーロッパにおきましては、先生御指摘のようにオイルショック以降各種の未利用エネルギーの利用の進展が進んでございまして、それぞれのエネルギー事情、自然条件に合わせまして独自の熱供給システムを構築してございます。  先生御指摘のとおり、スウェーデン、フィンランド、フランスなどにおきまして、海水、下水処理、発電所排熱あるいは清掃工場排熱のような未利用エネルギーを使った地域熱供給を行って熱需要の相当部分を賄っておるという例がございます。  我が国におきましても、従来からごみ処理の排熱でございますとかいろいろな有効利用が図られてございますが、今後国民生活のアメニティー志向の高まりに伴いまして、特に百度C未満の冷暖房、給湯に用いますような民生用の熱需要が非常な勢いで伸びることが予想されてございます。他方で、都市の周辺には海水、河川水、これら我々温度差エネルギーと称してございますが、一年を通じて大体安定した温度であり、空気との間に温度差がある、この温度差を利用するというエネルギーあるいはごみ処理の排熱、地下鉄排熱等々の未利用のエネルギーが大量に賦存をいたしてございます。近年の技術開発によりまして、ヒートポンプが主でございますが、これらの未利用エネルギーを活用して民生用の熱需要に対応することが可能でございます。特に需要サイドのほとんどが百度C未満でございますから、こうした河川水等の温度差エネルギーを用いてヒートポンプでこの熱を利用するということが可能でございます。  ただ、この未利用エネルギーを本格的に活用いたしますためには、熱源と熱需要との間の地理的あるいは温度、それから時間的ミスマッチがございまして、これを埋めていくための課題がございます。パイプラインを引きますとか大型のヒートポンプを置くとか蓄熱槽を置くとか、かような問題でございます。したがいまして、こういう課題を克服しながら今後の地球環境問題と省エネルギーというための未利用エネルギーの積極活用に今後取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は何回も申し上げていますけれども、こういう密着した点をさらに効率を図っていく、そういう意味におきまして科学技術の一層のそういう取り組みということは私は非常に大事だと思うのです。こういう点、今まで科学技術庁は非常に弱いのと違いますか、こういう点の取り組みが。今通産のエネルギー庁が答弁したわけですけれども科学技術庁としてこれからどうしていくのですか。はっきりとこういう点につきまして効果もいろいろ現実に出ているわけでございます。どういう取り組みをするのですか、今後科学技術庁は。
  127. 大島友治

    大島国務大臣 今委員のおっしゃられているエネルギー日本の問題についての、いわゆる環境破壊というか、それをいかに除いていくかという根本問題として科学技術庁としてどんな考えを持っているかと、まことにごもっともな御質問だと思いますが、ただ、日本の場合は資源の約八割を海外からの輸入に依存していることについて、エネルギーの安定供給を確保するということは、極めて難しいけれども、これは非常に重要なことであるというふうに私、心得ておるわけでございます。  じゃ、しからばどうしたらいいのかということになりますから、じゃこのためには、科学技術政策大綱に基づいてでございますけれども、この重要研究開発分野の一つとしてエネルギー開発及び利用、これが位置づけられておるわけでありまして、政府としてもエネルギー研究開発基本計画というものを定めて、そして各省庁がおのおの分担協力しつつ積極的に代替エネルギー及びエネルギー有効利用技術研究開発を推進しているところではございます。こういうふうなことで一つの対策を立てて進めてまいりたいということになっておるわけでございます。  このうちで科学技術庁といたしましては、波力等の海洋エネルギー研究開発とか植物の光合成を利用した太陽エネルギーの利用に関する基礎研究等も実施しておるわけでございます。  私もかつて政務次官をやったときには、ちょうど省エネルギーの、オイルショックの後で非常に省エネルギーというものが大きな研究命題であったので、その当時もこうした問題を積極的にやるべきであるということを感じておりましたので、やはりこれは、今私こういう立場になってみても、まさに委員のおっしゃられるとおり、科学技術庁としても積極的にやるべきじゃなかろうかということを考えておるものでございます。
  128. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣御答弁になっておりましたのは、代替エネルギーのことをエネルギーの安定供給という中で一つはとらえていらっしゃるわけでございますけれども、今長官そういうことをおっしゃったものですから重ねて聞きますが、代替エネルギー開発については現状どこまで進んでおるのか、その点が一点。それと大臣の答弁になかった未利用エネルギーの利用について、これは大臣とエネルギー庁両方に聞きたいと思いますが、いわゆるいいことはわかっておって、さらに技術開発、さらにそれを進めていく、こういう点においてどう具体的に取り組んでいくのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  129. 大津幸男

    ○大津説明員 我が国としましては、二度の石油危機の経験を通じましてエネルギー供給構造の多様化を図るため、石炭、原子力、天然ガス、新エネルギーといった石油代替エネルギー開発導入に今まで努めてきました。その結果、一九七三年度におきましては七八%であった石油依存度は一九八八年度には約五七%までに低下しました。この間のこの比率の低下は、石油代替エネルギー開発導入の結果とお考えいただいても結構だと思います。  また、最近世界的に関心が高まっています地球環境問題の対応策として原子力、天然ガス、新エネルギー等のいわゆる環境負荷の小さいエネルギー開発導入も注目を集めております。このような新しいエネルギーでございます太陽光発電とか風力発電とか燃料電池等の新エネルギーにつきましてはCO2の発生がゼロとか非常に少ないもので、クリーンエネルギーとして非常に期待をされておりまして、今私どもとしましても、研究開発からもうすぐ導入できる状況に入っておりまして、そういう意味では今後とも開発導入に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  130. 稲川泰弘

    ○稲川説明員 資源エネルギー庁の公益事業部でございますが、未利用エネルギーに大きく分けて二つのタイプがございまして、一つは高温排熱、他方がいわゆる中低温の排熱でございます。  高温排熱はいわばごみ処理場のようなところから出てくる高温の排熱でございまして、これの利用につきましては現在相当程度の技術がございまして、技術上の問題があるという点はさほどございません。もちろん、さらに有効利用するための技術の進歩は必要でございます。他方で低温の排熱、河川水だとか下水、生下水、さらに海水を利用するような技術につきましては、さらなる進歩が必要であろうかと思いますが、一応技術的にはヒートポンプがかなりの熱効率を持つものとして実現をいたしてございます。もちろん、さらに蓄熱システムでございますとかヒートポンプのCOPをさらに上げる技術とかいうものの研究を引き続き各所においてやっておるところでございます。  ただ、この未利用エネルギーの全体的な問題の一番の中枢のところは、技術開発がいまだしというところよりも、パイプラインをどのように敷いていくかとかいう社会システム的な点に大きな問題がございます。したがいまして、我々今この未利用エネルギーの利用につきましては、技術開発も一方の問題でございますが、主として社会的なシステムとして地域冷暖房システムの中に未利用エネルギーをどういうふうに導入していくかという側面から検討を行っているところでございます。  もちろん委員御指摘のとおり、さらなるヒートポンプの効率化とか蓄熱槽とか大きな技術課題がございます。これはそれぞれのところで努力をいたしておるところでございます。
  131. 石塚貢

    ○石塚政府委員 科学技術庁が現在行っております新エネルギー、代替エネルギー研究開発は、先ほど大臣がお答えになりましたとおり二つございます。  一つは、理化学研究所で行っております植物の光合成を利用した太陽光エネルギーを利用するものでございますが、これは極めて基礎的な研究でございまして、植物の光合成反応によります水分解系の機構あるいはその解明によりまして人工光合成装置を開発するための研究を現在水分解触媒といった設計手法によりまして行っております。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり極めてまだ初歩的な段階でございます。  それからもう一つ、海洋エネルギーでございますが、科学技術庁におきましては海洋科学技術センターにおきまして、波力を利用いたしました波力発電に関する研究開発を行っております。これは空気タービン方式というものを利用いたしました発電ユニット、これを搭載いたしました波力発電装置の、これは実際の海域におきます実験をこれまで行ってまいりまして、最適化システムといったものの研究開発を山形県の鶴岡沖でこれまで行ってきております。  先生御案内のとおり、この海洋エネルギーにつきましてはいろいろメリット、デメリットがございまして、例えばメリットといたしましては非常にクリーンなエネルギーである、あるいは枯渇のおそれがないといった面がございますし、デメリットといたしましてはエネルギー密度が低い、あるいは適地が限られているといったようなことがございますけれども、経済性が改善すれば離島等の電源に実用が可能ではないかという期待を持ちまして、私ども鋭意これを進めているところでございます。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 代替エネルギーにつきましては、これは総力を挙げてやっていただきたいと思いますし、今この未利用エネルギーの活用の問題なんですよ。これを科学技術庁エネルギー庁と一体となって、いわゆるシステムの問題、技術開発、全力を挙げなければ、ヨーロッパ先進国においてはこれだけの効果を上げているわけでしょう。これだけ地球の規模での環境汚染が問題になっておって、あなた方がこれを真剣にやらないということは、原子力依存ということが頭にあるからなんですよ。真剣にやはりこれをやっていこうということ、環境保全、口だけじゃなくしてやっていくつもりなら、もっと真剣に取り組んでいいはずと違いますか。もう一遍答弁してください。
  133. 大島友治

    大島国務大臣 今委員まさにおっしゃられることも私自身も前々から考えておる問題で、今日こういう責任ある立場に立ちまして、まさに日本エネルギーの将来性というものはどこにあるかということになれば、既に今日問題になっておる地球環境汚染ということから考えれば、当然エネルギーを新たな方向に求めて、そして地球を汚染しないようなものは一体何であるかということを、これを積極的にやるべきであるということもしみじみ私も感じておることは事実なんでございます。  そういう点につきまして、これを一挙に原子力の今のシェアというものとすぐに切りかえて、そしていわゆる経済というものに結びつけた場合に、今日の日本経済が維持できるかどうかということも、これは関連、裏腹の問題がありますから、そういう点等もにらみ合わせまして、ただいまおっしゃられた代替エネルギーの問題についても、私も積極的にこれを進めてまいりたい、こう思います。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 エネルギー庁はこの未利用エネルギーの活用につきまして、今お聞きすると、まあまあそこそこ取り組んでいただいておる、このような感触を得ておるわけでございますけれども、今後私は、これを柱にして全力を挙げて取り組むべきである、このように思います。科学技術庁と一体になって今後どういう姿勢でいかれるか、もう一度重ねてお伺いします。
  135. 稲川泰弘

    ○稲川説明員 民生用の熱需要は、冷暖房、給湯を中心といたしまして、今後エネルギー全体の平均の伸びの倍の伸び方をするであろうという予測を持ってございます。したがいまして、今後豊かさを追求する中で余り野方図に一次エネルギーをこうした目的に使ってしまうのはいかがなものかというところがございまして、したがいまして先生御指摘のような今まで見捨てていたものあるいは使わなかったものにエネルギー源を転換していくということが非常に大きな課題であるというふうに考えてございます。  もちろん都市環境の改善でありますとかCO2への効果だとか省エネルギー効果等々期待をいたしまして、問題の所在が、この未利用エネルギーを利用するためにはミスマッチエネルギーでありますためにいろいろな意味でのミスマッチを是正していかねばならぬ。パイプラインでありますとか蓄熱槽でありますとか、そういった社会システムの問題がかなりございますので、そういった点に十分な意識を払いながら努力をしながら、また科学技術庁さんとも連携をとりながら今後の対応を進めていきたい、かように考えてございます。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 このCO2のいわゆる除去技術はまだ確立してないのですけれども、まさにこういう問題にこそ科学技術庁は真剣に取り組まなければいけないのと違いますか、これは。どういうように今後やっていくのですか。
  137. 石塚貢

    ○石塚政府委員 エネルギー研究開発、これは非常に多岐にわたっておりまして、これは政府全体で取り組むべき問題である、重要な課題でございます。  政府といたしましても、先ほど大臣の御答弁にありましたように、エネルギー研究開発基本計画、これを総理大臣の決定によりまして定めておりまして、それぞれの担当省庁がそれぞれの分担協力を行いながら鋭意研究開発を進めているというのが現状でございます。  このエネルギー研究開発、これは政府一体として推進していかなければいけない、今委員の御指摘のとおりでございますが、一応科学技術庁といたしましては調整官庁という役割も担っておりますので、これらの研究開発状況を的確に把握いたしまして、エネルギー研究開発の将来展望、そういったものを見通した上で必要に応じては各省庁による研究開発を促進するといったようなことを行っておりますとともに、科学技術庁及び傘下法人等の人材あるいはそういった研究蓄積を生かしまして研究開発を実施しているところでございまして、今後とも鋭意努力を続けてまいる所存でございます。
  138. 近江巳記夫

    ○近江委員 ひとつ本腰を入れてやっていただきたいと思うのですね。結局政府の頭の中で、私ずっといろいろ皆さんのお話を聞いていますと、やはり原子力ということが非常にずっしりとあると思うのですね。やはりこれを、原子力というものを将来においてはスローダウンをし、そうして今申し上げた未利用エネルギーの活用であるとか代替エネルギーであるとか、ここに政府は本腰を入れなければいけないのですよ。発想の転換が大事ですよ。それは申し上げておきます。  原発の事故というものがいかに恐ろしいか、皆さん御承知でしょう。チェルノブイル、あれはいろいろマスコミ等を通じていろんな被害の状況というのは断片的に報道されていますけれども政府として正式にあのチェルノブイルで起きた事故の被害状況について報告していただきたいと思います。
  139. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  事故後の最近の状況につきましては、原子力安全委員会が昨年ソ連へ調査団を出しました。それから国際会議の報告、それからプラウダ等への掲載論文、それから日本大使館の報告等をもとに、安全委員会としておおむね次のように承知しているところでございます。  まず事故炉でございますけれども、四十本以上設けられております観測孔によって原子炉自体はモニターされておりまして、その状態は非常に安定、鎮静化した状態にあります。  それから、ソ連政府は昨年三月に汚染の地図を作成いたしまして公表いたしましたが、この点については来年中にも再度厳密な地図が作成される計画であるというふうに聞いております。  また避難、移住の問題につきましては、本年四月二十五日のソ連邦の最高会議政府の決定した計画を承認いたしましたけれども、その中には今後の二年間でさらに移住を行う方針が盛り込まれている次第でございます。  それから三番目に健康への影響問題でございますが、昨年十月の安全委員会調査団のソ連から得ました情報では、疫学調査のために五十八万人の人の登録管理が行われております。また、白血病やがんの発生数の増加はこれまでのところなく、異常出産、新生児の発生異常などの胎児被曝の影響も認められていない。ただし、ソ連において疫学調査が国際協力を含めて進められているところでございまして、その推移を慎重に見守る必要があると考えております。  事故炉以外の操業中止問題についても報道されておりますが、二月十八日にウクライナ共和国の最高会議がこれを検討する委員会設置を決めた、それから四月二十五日に連邦の最高会議が、年末までに操業中止を見込んだ一連措置を定めることを決定したとプラウダが報じていることは承知しておりますが、何分共和国の問題と連邦との問題等々ございまして、これ以外の詳細な点についてはさらに現在調査中のところでございます。  なお、四月二十六日付に各紙の報道で、実際に事故が起こりました際に三十一人ではなくて死者が三百人に上がるとの報道がなされたことがございましたけれども、ソ連の連邦の原子力産業省の次官からの説明によって、これは虚偽の報道であるということが調べられております。  なお、平成元年十一月八日付のモスクワ・ニュースで、除染作業参加者が、先ほどの三百人とまた別の報道で二百五十名死んだのではないかという報道がございましたけれども、これは国際原子力機関、IAEAのプレスリリースにおきまして、ソ連の専門家からそれは間違いである旨の説明がなされております。  いずれにいたしましても、健康への影響の解明というのは専門家による十分な調査が必要でございまして、平成元年十月のソ連政府の要請に基づきまして今年中に国際原子力機関、IAEAによって実施される計画調査結果及び来月に予定されております日ソ共同セミナー等の研究協力活動等を通して、データの取得に努めてまいりたいと考えております。
  140. 近江巳記夫

    ○近江委員 この原発一基のこういう事故が、これだけの地球規模で悲惨なそういう状況になっておるということ、これは我々は本当に肝に銘じなければいかぬと思うのですね。政府としては真剣にやはりこの実情についての把握に努めなければいかぬと思うのです。マスコミがこう報じたからどうだとか——真剣に政府は、国民はこれだけ心配しているのですから、それをまず掌握をして、そして我が国におきましてもこれだけの原発が稼働しておるわけです。建設中もあるのです。建設中もできれば五十数基になるわけでしょう。大変なことですよ、これは。だから、まだそういう姿勢が弱いということを申し上げておきますよ。もっと真剣に積極的にひとつ現状というものを把握してもらって、そして今後の原子力政策におきまして真剣な対応をしていただきたい。強く要望しておきます。  それから福島第二原発三号炉、これはもう本当に肝を冷やすような事故を起こしたわけです。これはいわゆる稼働、運転再開するにつきましては、金属片につきましてはすべて回収するという約束をなされたんでしょう。全部回収していますか、これ。これからまた夏場に向かっては電力需要というものが非常に高まってくる。電力会社としては焦りが出てくる。しかし、一番これはシビアに対処しなきゃならない問題ですよ。今こそ、いわゆる科学技術庁原子力局、安全局、これは真剣に対処しなきゃいけない問題です。今どうなっていますか。これ全部回収したのですか。
  141. 倉重有幸

    ○倉重説明員 福島第二原子力発電所三号機の再循環ポンプの損傷事象についてお尋ねでございますが、現在、金属粉、金属片等の回収状況につきまして、四月十七日付で東京電力から資源エネルギー庁に報告が参っております。それに基づきまして、現在残存する金属粉等を前提に今後のプラントの運転に影響があるかないか、今現在実は評価をしている最中でございます。  その東京電力の報告によりますと、これまでにいろいろ洗浄、回収した結果、ボルト、座金等の部品の一部はすべて回収済みでございます。それから金属片、大きな金属片につきましてはすべて回収済みでございます。それから、金属粉等につきましてはほぼ回収済みでございます。これは、発生量が約三十キロ金属粉等が発生いたしまして、燃料の集合体付着分、二キロから二・五キロ付着をしておりますが、それを除きますと、原子炉圧力容器内、系統等に約百グラム残存しているという報告が参っております。  私どもとしましては、これをもとに、今後のプラントの運転に問題がないかどうか、今現在評価をしている最中でございます。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 百グラムも残っているんですよ、百グラムも。これは安易にゴーなんか出したらえらいことになりますよ。  きょう安全局長来ているのかな。安全局長、来ておられたらひとつ、どのように考えておりますか。
  143. 村上健一

    村上政府委員 原子力安全委員会につきましては、常日ごろ、いわゆるダブルチェック、基本安全設計についてのダブルチェックのみならず、運転問題、トラブル問題、逐次通産省から報告を受けて対応してきているところでございまして、この福島問題につきましても、当初から既に数次にわたりまして通産省から報告を聞いて対応しているところでございます。  特に、今お話のございました百グラムの金属粉の問題につきましては、今通産省から御答弁がありましたように、現在その点を含めての健全性の審査が進められていると承知しておりまして、この健全性の審査の結果の報告を受けて、安全委員会としては慎重に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  144. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題につきましてはひとつ慎重にやっていただきたいと思いますし、そういう焦りの姿勢というかそれがやっぱり顕著に出ておるのが、まだあなた方が今真剣に審査やっておるときに燃料棒を運んできておる。違うのですか、これ。そういう中で、私はその姿勢を感じるのですよ。本当にこれだけの事故を起こして申しわけない、すべてはもう徹底した審査の上で、それを待っていたしますという謙虚な姿勢がなかったらいかぬのと違いますか。燃料棒を搬入しておるのか、しておらないのか。私の情報間違いですか、どうですか。
  145. 倉重有幸

    ○倉重説明員 この福島第二発電所三号機の燃料の件でございますけれども、実はこの燃料につきましては、安全審査といいますか、変更申請の案件で、通産省として厳重に審査をし、また安全委員会にもダブルチェックをお願いして、一応結論は出たものでございます。その結果を踏まえまして、燃料工場で加工し、製品ができたものでございまして、その新しい燃料を今回東京電力が運ぼうとしていたわけでございますけれども地元等の要望等を踏まえまして、当面延期をしたということを聞いております。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう姿勢なんですね。ですから、やっぱりこれは、これだけの事故を起こしているわけですから、もう政府としては、そういう安易な姿勢でいって、これでもしもの事故があったら、あなた方の責任というのは、これはもう大変なことになりますよ。全国民が今見ておりますから、慎重な姿勢をとっていただきたいということを申し上げておきます。  それから、六ケ所村に関する問題でございますが、プルトニウム輸送あるいはプルトニウムの利用の問題でございますけれども一つは、いろいろなプルトニウム利用の計画、これが、私もいろいろ勉強してみたけれども、どうも疑問があるのですね。これは外部の人も指摘しておるわけですけれども、これだけのプルトニウムが要るのか、いろいろな疑問が寄せられているのですね。御承知のとおりですよ。  だから、ちょっと確認しておきたいのですが、今どれだけの量があり、今後どういうようにそれを使っていくのか、その点をはっきりと少し国民の前に明らかにしてもらいたい、スケジュールを。
  147. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 御質問の点について、数字を挙げながら御説明したいと存じます。  日本の国内でプルトニウムができますのは東海村の再処理工場でございますが、この工場が稼働し始めてから平成二年の三月末までに回収しましたプルトニウムの量は、核分裂性プルトニウム量で申し上げまして約一・九トンであります。他方、同じ期間、平成二年の三月末までに海外から日本に輸送してまいりましたプルトニウムの量は、同じく核分裂性プルトニウム量で約一・三トンであります。ですから、合計で三・二トン日本の国内にプルトニウムがあったわけでありますが、一方で、それまでに同じ期間に動燃事業団の新型転換炉の原型炉であります「ふげん」、それから高速増殖炉の実験炉であります「常陽」その他で用いまして、先ほどの三・二トンのうち約二・七トンを消費してございます。したがいまして、平成二年三月末現在で日本国内で保有しておりますプルトニウムの量は約〇・五トンということになります。  以下、計画でありますが、若干長期になりますが、二〇〇一年度まで見通しますと、この間に日本で必要になりますプルトニウムの量と申しますのは、合計で約四十二トン見込まれております。他方、同じ期間に供給されます量は、海外の再処理委託から回収される量が約三十トン、それから国内で回収されます量は、東海村並びに現在建設を審査しております六ケ所村のプロジェクトの当該期間の分までを見込みまして、およそ合計で十四トン、したがいまして、内外合わせて約四十四トンということでございまして、非常にラフな数字で恐縮でありますが、二〇〇一年ごろまでの需給は以上のようなことになっているわけであります。
  148. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、アメリカの民間機関の核管理研究所が、日本のプルトニウムは九八年まで不足しない、輸送の必要はない、こういう発表をしておる。また、日本原子力資料情報室も同様の見解を言っているのですけれども、これは間違いということですね、それでは。
  149. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 アメリカの民間機関がレポートを発表しているわけでありますけれども、数字につきましては、今私が御説明したようなことでありまして、アメリカの民間機関の数字はこれとは違うものを挙げておりまして、たしか在庫量はもっと多い、国内の回収量をもっと多く、消費量を少なく計算をしているものだと思いますが、数字が違っております。
  150. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府の答弁をこれはまあうなずくしかないわけでございますけれども、日仏原子力協定も外務委員会にもかかろうとしておるわけでございますが、この六ケ所村につきましては、フランスの技術ですね、これはラアーグの、いわゆるそれを参考にしてやるわけでしょう。その全体の技術のことですから何ですけれども、主としてどこのを参考として特にやるのですか。
  151. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 再処理技術につきましては、基本的にフランスの技術を用いることにいたしておりますが、同時に、日本の国内で動燃事業団がこれまでに開発をいたしました成果というものも十分技術移転されて活用されるような方向で考えられております。
  152. 近江巳記夫

    ○近江委員 セラフィールドあるいはラアーグ、いろいろフランスが中心になってやっておるわけでございますが、しかし、フランスのいわゆる政府の基準といいますか、これは我が国と著しく違っていますよね。これは大変な数値の違いがある。  例えば、ラアーグ再処理工場から海に放出される放射性廃液は年間およそ十五万立方メートル、放射能の量は、トリチウムを除く全ベータ線の放射能で、一九八七年の一年間で千百テラベクレル、二万九千七百キュリー。工場の操業初期に比べて廃液、放射能の量ともに四倍にふえている。ラアーグの海洋放出の基準値が、トリチウムを除く全ベータ線の放射能で千七百テラベクレル、四万五千キュリー。だから、放出量は基準値を下回っているわけですけれども、動燃の東海再処理工場の基準値がおよそ一テラベクレル、二十六キュリー。一九八七年の年間放出量が三十七メガベクレル、〇・〇〇一キュリー。東海と比べますと、基準値で一千倍以上も緩いのですね。放出量では三千万倍も多い。こういうようになっていますね。これはフランスの——だから、こういう基準でフランスが技術開発しておる、それを我が国に適用したらどうなるのですか。     〔委員長退席新井委員長代理着席
  153. 村上健一

    村上政府委員 細かい数字は今手元に持ち合わせていませんので、概略のことで恐縮でございますが、まず基準そのものは設置者によって当然違うわけではございますけれども、環境に出す放射能の基準というのは、押しなべて申し上げますと、世界各国共通の基準であるというふうに了解しております。  ただ、我が国の場合は、法令に基づく基準に比べまして実際に出しておりますものが非常に少ないということと、それから、基準よりもはるか下にできる限り低くするという、その基準に適合して低く出すという管理目標をとって、例えば動燃の再処理工場、それからこれは原子力発電所でも同じでございますが、できるだけ可能な限り低くしてということを守っておりますために、あるいは法令ぎりぎりまでもしかすると運用しているフランスの場合と差が出てきているのではないかというふうに考える次第でございますが、いずれにいたしましても、六ケ所村の再処理工場は、先ほど御説明ありましたようにフランスの技術を一部入れてはおりますけれども、私ども安全審査段階においては、現在安全審査中でございますので、まだ結論を申し上げられませんが、従来どおり厳しく審査することとしておりまして、御心配の向きはないと思います。
  154. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間が来ましたので終わりますが、これはもう極めて大事な問題ですから、政府としてはいわゆる六ケ所村の建設につきましても、地下水の設備への影響の問題、コンクリートの耐久性の問題、大量、長期管理の技術の問題、土壌、地下水、健康への影響、地震防災対策、航空機落下の危険性等々、一、二申し上げただけでもあるわけですよ。ですから、これはひとつ科学技術庁として本当に真剣な取り組みをしないと、フランスのそういう再処理工場周辺におきましても、マスコミが言っておりますけれども、白血病がふえておるとかいろいろなことが、その因果関係がはっきりしないということもまた一面では言われているわけでございますが、心配な点があるわけです。したがって、ひとつ真剣な取り組みを強く要求いたしておきます。  時間が来ましたので、これで終わります。以上です。
  155. 新井将敬

    新井委員長代理 吉井英勝君。
  156. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は、きょう、青森県六ケ所村に予定されております核燃料サイクルの施設について質問したいというふうに思います。  それで、午前中からもいろいろ議論がございましたし、私自身もいろいろな観点から質問をしたいと思いますが、ただ、時間の関係もありますので、主にきょうは航空機の事故等に関連して、その辺に絞って御質問いたしたいと思うのです。  まず最初に、初歩的なところで伺っておきたいのですが、アメリカやフランスにおける原発とか再処理工場ウラン濃縮工場などで、六ケ所村の場合ですと射爆場と十キロ離れたところということになりますが、六ケ所村ほど施設の至近距離に射爆場や空軍の基地などがある、そういう施設があるかどうかですね。あれば、その施設名をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  157. 村上健一

    村上政府委員 委員御案内のとおり、原子力施設安全審査は各国の状況それぞれの中で行うわけでございますので、一般的に言って他国の状況を参照することはないとは言えないわけでございますけれども、最終的にはそれぞれの国が責任を持って判断するものであるということをまず申し上げておきたいわけでございます。特に、外国の事情につきましては、私どもウラン濃縮工場について外国の状況を御紹介するといたしますと、詳細ははっきりいたしませんのですけれども、西ドイツにございますウレンコの運転しておりますグロナウ濃縮工場、これは遠心分離機を使っている工場でございますが、この工場から十キロメートルないし二十キロメートル離れたところに飛行場や軍用の訓練区域が設けられてあるというふうに聞いておりまして、それ以外については詳細はつまびらかにしておらないところでございます。
  158. 吉井英勝

    吉井(英)委員 今のお話については、後ほどぜひ詳しい資料を出していただきたいと思うのです。それは詳しい資料をいただいた上で詳細に検討して、また改めて議論したいと思いますが、実際にはいろいろ頭をひねられて出てきたのがその一つと、ないわけですよね、諸外国に例を見ない、まずそれを申し上げておきたいと思います。  現在稼働している国内の原発で、航空機事故を想定して何らかの対策をとっている原発というのはありますか。
  159. 村上健一

    村上政府委員 原子力発電所審査につきましては一義的には通産省の所管でございますので、私どもでわかるだけのことで申し上げますが、発電所の審査につきましては、御案内のとおり発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針というものがございまして、その指針の五番目に「飛来物等に対する設計上の考慮」という項目がございまして、これに基づいてチェックすることとされております。具体的には、周辺の飛行場の状況、それから定期航空路の有無等から必要があれば航空機の落下確率の評価を行いまして、その結果落下する可能性が十分低いということが確認できれば落下を考慮する必要はないというふうに判断されていると承知しております。  現在までに、我が国の原子力発電所に対する航空機落下の可能性はいずれも小さくて、設計上航空機落下を考慮する必要があるとした事例はないというふうに承知しております。
  160. 吉井英勝

    吉井(英)委員 ですから、これまでの原発の場合は落下確率が低いということで認められて、落下確率が高ければ認めてこなかったわけですね、逆に申しますと。この点で午前中からもいろいろ議論がありましたが、六ケ所村施設の上には、何か午前中のお話を聞いておりますと米軍機が飛ばないようなお話まで、大変なお話だと思うのですが、米軍機も飛びますし爆弾も飛び交うわけですね。  今年三月二十二日付の東奥日報にも「F16また誤投下」ということで、今回は施設から六キロほど離れたところですか。しかし、昨年の九月には四キロ離れたところに落ちているのですね。私、少し皆さんのお考えが非常にのんきな話じゃないかなと思うのです。と申しますのは、空軍機ですが、マッハ二で飛んだりもするのですね、超低空の場合はもっとゆっくりでありますが。仮に飛行機がマッハ二で飛んでいる場合、誤爆と簡単に申しましても、四キロ離れているということはほんの六秒間ほどですね。少しコースがずれて、それで発射すれば命中してしまうということになるのですよ。ですから、午前中のお話のような余りのんきなことを言ってもらっちゃ困るということをまず申し上げておきたいと思うのです。  実は国会においてもいろいろ議論されておりますが、外務省に来ていただいておると思いますので最初に伺っておきたいと思うのですが、米軍機の飛行というのは、これは米軍の地位協定についてはケースが三つあってということでいろいろな議論がありまして、しかしその三つのケースには限られないんだ。これは昨年の十一月一日の参議院の決算委員会で我が党の上田耕一郎委員に対する北米局長の答弁で、ありました。その答弁を全部読んでおりますと時間がかかりますので要点だけ申し上げますと、  実弾射撃でありますとかタッチ・アンド・ゴーであるとか、そういったものを伴わない通常の飛行訓練、これが許されていないかといえば、それは安保条約の目的に沿って我が国に米軍施設、区域の提供を許されているわけでありますから、その機能を維持するために行わなければならないというのは、行うことが許されているのは当然だと思っております。 つまり射爆場以外のところであっても、射爆場では爆弾投下、実弾射撃する、しかし実弾射撃を伴わない訓練、例えば地上百五十メートルであるとか、そこをマッハ〇・七で飛ぶとか、そういう日常訓練というのは地位協定で定められるようなケースに縛られない、そういうことが答弁されているわけでありますが、大体こういう趣旨と理解していいかどうか、これは外務省の方に確認しておきたいと思います。
  161. 森敏光

    ○森説明員 先生御指摘のとおり、米軍によります実弾射撃等を伴いません通常の飛行訓練は、地位協定上必ずしも施設、区域内に限定して行うことが予想されている活動であるわけではございませんので、施設、区域の上空外の領空においてこれを行うことは地位協定上認められるというのが、これまでの政府の立場でございます。  なお、当然のことながら米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいというわけではございません。我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということは言うまでもございません。こういう点につきましては、これまでも米側に伝えてきたところでございます。
  162. 吉井英勝

    吉井(英)委員 この点については、従来より航空情報の公示で規制している云々、けさもお話がありましたが、それはあくまでもアメリカにお願いする、あるいは施設の建設を進める過程で今後協議をするということをずっと一貫して科学技術庁などは言ってきておられるわけでありますね。地位協定によっても縛られないのですね。あくまでも航空情報の公示などで規制するということでひとつ御協力をお願いしますという立場であって、しかしその施設の真上は——朝は真上の話もありましたが、仮に真上は飛ばなかったとしても、しかしそこで爆弾の誤投下があったときにはこれは当然こういうところへ飛び込んでくることもあり得るわけでありますし、まして、その真上は別だったとしても二キロほど離れたところの上空を飛んでおったとすると、これは三秒もすればその上へも来るわけですね。しかもそこでトラブルが起こったときには非常に危険な事態になるんだという点で、六ケ所村の計画というのはまず米軍基地との関係で極めて危険なところへ今事業を進めようとしているということを改めて申し上げておきたいと思います。  先ほどもお話がありましたが、昭和三十九年五月二十七日の原子炉立地審査指針などの中では、当時は航空機事故は全く想定していないわけでありますし、昭和五十五年のウラン加工施設の指針、そのIIIのところでは「立地条件」(2)「社会環境」の中でまだ航空機は挙げていないわけですね。しかし、青森県六ケ所村に予定される核燃料サイクル施設では、施設に対して一定の航空機事故対策をとる、こういうふうに変わってきておられるように思うわけです。こうなると、外国で例を見ないし、日本でも初めてということになるわけですから、この点では具体的な対策をやはり考えていただく必要があると思うのですが、どういう具体的な内容考えておられるのか、こういう点、これは確かに日本において初めての検討課題となるわけですね。
  163. 村上健一

    村上政府委員 航空機落下に関連した指針等についての御質問だと理解いたしますが、ウラン濃縮工場につきましては、今委員が御指摘になりましたように基本的立地条件の中に「核燃料施設の立地地点及びその周辺においては、大きな事故の誘因となる事象が起こるとは考えられないこと。」と定められておりまして、このため「近接工場等における火災、爆発等」を検討して「安全確保上支障がないことを確認する」という指針になっておりまして、私どもといたしましては、この指針を考えまして航空機についての審査も行ったところでございます。  それから、現在安全審査中でございます再処理施設につきましては、今委員御指摘の再処理施設安全審査指針というものがございまして、この指針の中身は先ほどの加工指針よりもより明確な形でございますが、「再処理施設の立地地点及びその周辺における以下の事象を検討し、安全確保上支障がないことを確認すること。」という指針を適用して審査をしているところでございまして、その一つとして「航空機事故等による飛来物」というものが例示されておりまして、これに基づいて厳重な審査を行っているところでございます。  なお、現在原子力安全委員会でダブルチェックを行っております低レベル廃棄物埋設施設についても、同様の指針に基づいて審査が行われているところでございます。
  164. 吉井英勝

    吉井(英)委員 ですから、要するに昭和六十一年二月ですか、「再処理施設安全審査指針について」、ここから始まったわけですね、航空機の問題は。だからまだ本当に皆さんの御検討は始まったばかり、そういうところだと思うのですが、それだけに相当な検討や明確な基準を決めることなしに、簡単に、結構でございます、こういうことをやってもらっちゃ大変だと思うわけであります。  そこで具体的に聞きたいのですが、米軍三沢基地に配備されているF16が、超低空飛行訓練時やスクランブルなどにおける場合の墜落事故、模擬爆弾の誤投下などの事故を想定しての事故対策における安全審査の基準になるものは、これは原子力安全委員会の安全指針なのか、それとも何か別に基準があるのか、あるとすれば、その基準はどこに定めていらっしゃって、どういうものなのか。これを伺いたいと思います。
  165. 村上健一

    村上政府委員 航空機落下に関します指針は先ほど申し上げました指針のみでございまして、この指針に基づいて、実際にどういうふうに考えるべきか、どういうふうに評価すべきかということにつきましては、行政庁におきましては専門家である顧問、それから安全委員会におきましては、ダブルチェックの過程で、核燃料安全専門審査会の専門家の意見を聞いて、決定論的に審査を行うということでこれまで進められてきているところでございます。
  166. 吉井英勝

    吉井(英)委員 安全審査は進める。しかし、審査の基準はないということですね。顧問の方とか専門家会議に諮るというのですが、そうすると顧問の方も専門家会議の方にしても、何ら指針なしにこれは安全だというふうに判断していいわけですか。
  167. 村上健一

    村上政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、現存しております指針は、先ほど申し上げましたように、航空機事故等による飛来物による支障が起こらないことということを、申請者から提出されますデータ、それに審査を行います側の知見に基づきまして決定論的に審査するということで進めておりますので、今回の場合もそのとおり進めておるところでございます。
  168. 吉井英勝

    吉井(英)委員 それは、犯罪を犯せば、犯罪を罰するのは法律というのがありますし、そこまで厳密にいかなくても、委員長席に座って聞いていただいて、大体おかしいなとお思いだと思うのですよね。  行政機構というのは、すべて法律、省令その他があって進めるわけでしょう。今六ケ所村で安全審査をやっているということ。ところが、その審査の基準はないのだ。原子力安全委員会の安全指針というのは、安全上留意すべきものについての指針であって、具体的な航空機事故についてそれぞれの特別対策や基準を出しているものではありませんね。国内の原子力施設として初めて具体的な検討をやろうというときに、その具体的な指針も何もない。そして相手さんの方から出てきたものについて、一応読ませていただきましょうかということであって、これは科学技術庁として独自にバックデータをそろえるわけでもなければ、それをフォローする試験をやるわけでもなければ、基準もない。こういうことでは全く安全審査というのはできないと思うのですよ。どうなんですか。
  169. 村上健一

    村上政府委員 お言葉を返すようですが、基準がないということはございませんで、繰り返しになりますが、指針がございまして、この指針に基づいて専門家の知見に基づく厳重な決定論的審査が行われているのが、これまでの進められてきたやり方でございます。  それで、御参考までのために、ちょっと具体的にそれじゃどういうふうに進めるかということを申し上げたいと思いますが、これは六ケ所村に現在申請されております審査中の再処理工場の航空機落下評価が、申請者はどういうふうにしてそれを出してきたかということを御説明申し上げますと、まず防護設計、航空機の墜落の確率が非常に少ないということで申請者は申請してまいったわけでございますけれども、防護設計というのを念のために行っておりまして、例えば使用済み燃料の受け入れ貯蔵建屋、前処理建屋、分離建屋、ウラン・プルトニウムの混合酸化物の貯蔵建屋等々二十二の建屋にいわゆる航空機墜落、落下の場合の防護設計をやってきておるわけでございます。  それで、そのときに一体どういうふうな墜落の結果が起こるかということを、例えば百五十メートルで主排気筒に飛行機がぶつかった場合は気体廃棄物がどれくらいの量がどのくらい出て、その結果敷地境界外の一般公衆がどのくらい放射線被曝を受けるであろうかということが申請されておりまして、安全審査といたしましては、その墜落の確率等々の問題も含めまして、これが妥当かどうかということを専門家の意見を拝聴しつつ審査していく、こういうことをやっておる次第でございます。
  170. 吉井英勝

    吉井(英)委員 原燃サービスから例えば再処理事業についての、出ていますね。今おっしゃったような話もありますが、要するに航空機に対して貫通が防止でき、衝撃荷重に対し健全性が確保できるようにということでいろいろやってみて、時速五百四十キロで航空機が衝突して、航空機総重量二十トンで大丈夫だ、その厚さが九十センチだということで出しているのでしょう。朝から言っておられたのはこの資料ですね。私、読ませていただきました。これを読みまして、朝の答弁は全くでたらめなものですね。ひどい話ですね。驚きましたよ。そのパネルの厚みが九十センチ。エンジンをぶつけるものとして、エンジンをぶつけたときにこれは貫通してしまいますね。貫通しないで傷つくぐらいでとまっているのは百六十センチ厚とか、こういうふうなデータとか、それから実際に、これは国内での実験データですね。  それで、アメリカの核兵器開発研究をやっているところの実験というのがサンディア・ナショナルラボラトリーの話ですね。確かにこれはジェット機を地上を走らせてぶつけた実験をやっているのを読ませていただきました。ただし、これは軍事機密ということもあって、バックデータの多くは国会図書館にだって来てないじゃないですか。どうして我々はこれを判断できるのですか。しかも、何か朝の委員に対する御答弁を聞いておりますと、これはもう万全のものであるかのようなことをおっしゃいますが、私、実は事業所が出している資料に基づいて計算もやってみました。詳しい数式とかバックデータを全部いただいておりませんので極めてラフなものにならざるを得ないわけでありますが、時速五百四十キロでぶつかって九十センチの壁だったら大丈夫だというお話をしておられるのですが、実際の超低空の飛行訓練というのはマッハ〇・七ですね。五百四十キロのものに対しては、ではどれくいの厚みがさらに求められるかということでいきますと、一・六の〇・九乗、これを掛けた厚みが必要になってくるのですね。実際に飛んでいる場合にはマッハ二というのもありますね。あれは五・四の〇・九乗倍したもの、それくらいのものが求められてくるのですね。  何か朝からのお話を伺っていると、事業所が出してくる申請書に基づいて、皆さんの方は基準がなくて、専門家の方に、基準はないがとりあえず一遍読んでみてくださいや、それでオーケーだということで安全審査をクリアしているような形になっているのじゃないですか。それを違うとおっしゃるのだったら、私はこれぐらいのレポートじゃなくて、バックデータをそろえて全部出してもらいたいと思いますよ。それを見なければ、我々、質問しようにも、判断できないじゃないですか。しかし、少なくともこれを読んだ範囲では、大丈夫だ大丈夫だというお話は全く成り立たないということを申し上げておきたいと思うわけです。私は読んでそう思いました。何か御意見ありますか。
  171. 村上健一

    村上政府委員 いろいろ貴重な御指摘を承っておりますが、そういうことも含めまして現在審査中でございますので、委員の御指摘については十分検討させていただきたいと思います。  それで、専門家の意見だけでということでございますけれども、私どもといたしましては高度の知見をお持ちの顧問等の意見を徴しつつ、申請者が行いました、委員の方はそれは不十分だということをおっしゃっておりますけれども実験データ等を踏まえまして出されてきましたデータをあらゆる角度から検討して結論を出す予定でございますので、実験の結果のデータがおかしいということであれば当然妥当だという判断はできないわけでございますので、委員御指摘の点は十分に検討していきたい、こういうふうに思っております。
  172. 吉井英勝

    吉井(英)委員 青森県の県民の方が非常に心配していらっしゃることです。日本の多くの青森に住んでいない国民も、この問題については非常に関心を寄せているのです。安全審査審査だと言いながら、皆さんの方は審査の基準もない。じゃそのデータを全部出すのかといったら、これはバックデータを全部出されるのだったら出すということをここで約束しておいていただきたいと思うのですが、原子力船むつ」について私この間予算委員会でも質問いたしましたが、あの「むつ」についても中性子線のデータさえ出さないでしょう。出さないんですよね。我々が国政調査として原子力船むつ」の安全性について検討したいからデータを下さいと言ったら、それも出さない。隠して隠して隠しまくって、出しもしないで、それで基準もなく、あれは安全でした、安全でした、そんなこと通用しますか。私はそういう今の科学技術庁のやり方というのは本当におかしいということを特に申し上げておきたいと思うのです。  時間が迫ってまいりましたので、最後にこの点で大臣、科学技術庁長官の所信のところで「安全確保対策の一層の充実強化を図ってまいります。」ということを特に原子力研究問題についてお述べになっておられます。こういう航空機の事故等についても、科学技術庁の中にはその所管するところで原子力研究所もありますし、防災科学研究所もあるわけですしね、実際にこういうものについて業者が出してきたものを、はい、はい、そうですかとうのみにするだけじゃなくて、科学技術庁みずからちゃんと実験もやってバックデータもそろえて、原子力施設で大丈夫かどうかということをおやりになることが一つ大事だと思うのです。それから、今日審査基準もなく進めようとしているようなこういうやり方については、大島大臣の時代に改めていただきたい。長官自身のお考えを伺って、時間も参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  173. 大島友治

    大島国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたことについては、原子力安全委員会の方もございますので、その辺も十分連携をとりまして期待に沿うように進めてまいりたい、私もこう思っておりますから、御了承いただきたいと思います。
  174. 吉井英勝

    吉井(英)委員 終わります。
  175. 新井将敬

    新井委員長代理 柳田稔君。
  176. 柳田稔

    柳田委員 民社党の柳田でございます。きょうは超電導について御質問させていただきたいと思います。  もう少ししますと二十一世紀が参るわけでございますけれども、これからも我が国は発展をしていかなければならない。ところが日本という国は、土地は狭い、さらには資源が乏しい、そういうことを考えますと、科学技術の振興というのは今後ますます重要になってくるのではないかな、その中でもとりわけ欧米とともにしのぎを削っておる先端分野、この分野に関しては将来の我が国を左右してしまうのではないかな、そういう気がいたしております。きょうは先ほど申しましたように、このような分野として超電導——超電導技術になりますか、について質問をしたいと思います。  一九八六年から八七年にかけて世界じゅうで超電導ブームが起きたわけでございますが、その際にも国内においても多くの研究者がこの新しい技術分野に大きな関心を寄せてきたところは、大臣も御記憶にあるかと思います。そこで、質問させていただきたいのですが、この将来の基盤技術として重要な超電導技術ですね、これに関して大臣がどのように考えていらっしゃるか、まずお聞きしたいと思います。
  177. 大島友治

    大島国務大臣 我が国が二十一世紀に向けて着実に発展していくためには、基礎的・創造的な研究を初めとする科学技術の振興に力を注いでいく必要があることは御承知のとおりでございますし、新素材の開発と材料科学技術は重要な先端分野として国としても研究開発に積極的に取り組んでいきますというところでございますが、そこで、御指摘の超電導につきましては、磁気浮上列車あるいは超電導送電、また超高速コンピューターなど広範な分野への応用が期待されているものでございまして、材料科学技術の中でも極めて重要な分野であるというふうに私も認識しておるものでございます。  特に新しい超電導が開発されて実用化されれば、応用の範囲は飛躍的に拡大いたしまして、我が国のみでなくて世界の経済あるいは社会に大きな貢献をすることが期待できるのではないか、私はそのように考えて、研究開発は極めて重要なものとして推進してまいりたい、こう思っておるのでございます。その研究は緒についたばかりではありますが、我が国においても世界最高レベルの研究実績を上げている分野でもありまして、今後とも基礎的・基盤的研究を多面的に推進していくことが極めて重要である、こういうふうに考えておるものでございます。
  178. 柳田稔

    柳田委員 今大臣お答えありましたように、政府のこの問題に関する重要性、よくわかりました。  この分野は日本だけではなくて欧米も一緒にしのぎを削っているわけなんですが、その進め方といいますか、日本のこの超電導に対する進め方についても、私、非常に関心を持っているのです。この超電導という技術は一人ではできませんで、いろいろな基礎研究からまた応用分野まで含めていろいろな人が一緒になってやっていかなければならないんじゃないかな。今お聞きしますと、いろいろな人が組織化されまして進めておりますということも聞いておるわけなんですが、現在政府が取り組んでいます超電導の研究開発の現状についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  179. 須田忠義

    ○須田政府委員 最近の超電導、いわゆる酸化物系の超電導体については、科学技術会議で物質・材料系ということで基本計画を出してございます。そういう基本計画を踏まえまして国立試験研究機関、それから大学などを中心に、先生御指摘のようにいろいろな人が積極的にこれに参画して今研究をやっておるところであります。特に科学技術庁、通産省、文部省等においては、平成二年度の予算として百十九億を今政府原案に計上して御審議いただいておるところでございます。また産業界についてもいろいろな研究組織を設けまして産業界という立場から積極的に研究開発に取り組んでおるという状況でございます。産業界においても多くの成果が得られておるようでございまして、たまたま新聞をにぎわしておるところでございます。  特に、科学技術庁ではマルチコアプロジェクト制度という、六十三年度につくったわけですが、これは我々も自慢している斬新的な組織でございますが、これを中心として基礎的・基盤的研究を進めているところでございます。特に酸化物系についての新しい材料ということで非常に高く評価されておる中の一つとしては、金属材料技術研究所のビスマス系の超電導材料ということでございますが、これらの成果の一つとしては、これらの論文が各国の物理学会の論文に非常に引用されておるということで、これは物理のこういう論文では今最高級だというふうに言われているぐらいいろいろなところから注目されているわけでございます。そういうことを考えますと、我が国の今の現状、水準と申しますのは、もう世界のトップレベルクラスだ、そういうふうに言っていいんじゃないかと思います。  以上でございます。
  180. 柳田稔

    柳田委員 今の現状、お話を聞いて大分わかるわけですけれども、この技術、これを発展させていくといろんなものに使えるというのも先ほど大臣のお答えでもあったわけです。これから二十一世紀にわたっていろんな超電導技術を利用した産業も新しくできてくるだろうし、そう思いますと、だんだん夢が大きくなって、非常に期待が持てるわけなんです。  ただ、今世界でも一流の技術を持っているというこの超電導なんですが、これですぐ応用がもうできますという段階にはまだちょっと時間がかかるような気がして、今は多分基礎的といいますか基盤的研究を大いに進めている段階であろうというふうに思います。そういった意味で、いろんな理論とか基礎研究、いろんな基盤研究もやっているわけですけれども、具体的に科学技術庁が進めている、今説明のありましたマルチコア、その進捗状況について少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  181. 須田忠義

    ○須田政府委員 先生御指摘のとおり、超電導関係はまだ基礎的な段階でございます。したがって、多くの研究者がこれに今参画しているわけですけれども、あるところでは非常にポテンシャルの強い機関、全部がみんな平均しているわけでなく、非常に得意、不得意がございます。したがって、我々、例えば物質の探索なら物質の探索、構造を決めるんなら構造を決める、そういうポテンシャルが強い機関を一つのコアとして、そこにそれに関連する研究者、内外の研究者、大学の先生、外国の先生もその分野についてそこに自由に積極的に参画する、そういうコアをあちこちに展開してございます。今、十五コアを設けてございまして、約二百人の研究者がそれに参画しておる、こういう体制でやっておるというのが一つ特徴です。これは姿なき研究所などと言われているゆえんでございまして、そのための研究所をつくるわけじゃなく、既存の研究所の中のポテンシャルをコアとして積極的に活用しようということでございます。  なお、超電導の基礎研究ですけれども、機械装置、装置については非常にお金のかかる装置もございます。これは、マグネット材料なんかでも、非常に四十テスラとか、これは世界にない、そういう機器も必要でございますので、そういうものについては、金属材料技術研究所なら金属材料技術研究所、無機材研なら無機材研というところのコアの中につくって、それをみんなで利用する、こういう形態をとってございまして、ちなみに、金属材料技術研究所は今、来年度予算で十四億、それから無機材研は九億、こういう形で、共通施設といいますか、得意な施設の建設に着手してございます。  なお、まだ、これは六十三年度が発足でございますので、現在で赫々たる成果というのはたくさんあるわけじゃございませんが、先ほど申しましたビスマス系の酸化物超電導の発見、こういうものでは、まさしくこれらのところから出てきた成果の一つということで自負しているところでございます。
  182. 柳田稔

    柳田委員 先ほども申しましたのですけれども、この超電導技術、将来本当に私は日本の産業界の発展を左右するような大きな技術になろうというふうに思うのです。  私も、工学系の学校を卒業して船の推進の方の研究もやっていたわけなんですが、よく特許という問題があるわけなんです。先に発見した方が特許を取ったら、日本だったらやっぱりその特許料を外国にも払うというふうな状況があるわけなんですが、この超電導技術も欧米の諸国と多分特許の争いになっていくんじゃないかなと思います。そうしますと、おくれをとったんでは非常に困るわけなんで、大いに今お話があったように進めていっていただきたいという気がするわけなんです。  この超電導技術に関して、外国、欧米諸国は現在どのような状況なのか、もしおわかりであるのならば教えていただきたいというふうに思います。
  183. 須田忠義

    ○須田政府委員 先生御指摘のとおり、この超電導が実用化されてくると、まさしく技術革新、技術革命と言われるくらい非常に期待されている技術でございます。したがって、世界各国、これはもう血眼になってこの先端争いをしているわけでございます。特にアメリカが非常に熱心でございまして、これについて強力な推進方策をとってございます。特に、超電導研究開発五カ年計画というのを策定するとともに、テキサスにテキサス超電導センターというものを設立するということと、あと、国立科学財団、NSFと言われている有名な財団がございますが、これを中心として新しい国立の強磁場研究所、いわゆる磁場の問題でございますので、それの研究所を設立する、こういう準備もしておるというふうな情報が入ってございます。したがって、アメリカのこれに対する意気込みは相当のものだというふうに考えております。  なお、欧州におきましても、イギリスではケンブリッジ大学に超電導研究センターが設置されたということも非常に特色でございまして、また、フランス、西ドイツ、こういうところでも予算の大幅な拡充強化を図ってございます。  したがって、先生御説のとおり、まさしく超電導は、特許も頭に描いた世界各国の競争の最中、こういうふうに認識してございます。
  184. 柳田稔

    柳田委員 この技術戦争に負けてもらっちゃ困るのですけれども、また、反面、世界と一緒になってこの技術も進めていかなければならないという議論にもなるかというふうに思うのです。  先ほどお話がありましたように、この研究をするにして、一つの機械を買うとしても非常に多額の金がかかる、共用していく分野もあるのではないかなという気がするわけなんです。特に最近、日米構造協議という難問題も出てきておりますけれども、この分野における海外との技術協力、どういうふうにして一緒にこれから進めていくか、もしお考えがあるようでしたらばお聞かせ願いたいと思います。
  185. 須田忠義

    ○須田政府委員 まさしく先生のおっしゃるとおりでございまして、競争するところはする、ここはもう血みどろの競争をやっておるわけですが、一方、国際協力も大いに進めていかなければいかぬというのは、我が方だけではなく国際的にもそういう認識でございます。特にアメリカとの関係については、日米科学技術協力協定のもとに重要研究分野の一つとして超電導体を含む新材料というのが特記されてございます。これはアメリカ日本に相当期待している分野でございますし、日本アメリカとの共同研究を望んでいる一つの分野でございます。したがって、そういうことも踏まえ、今月開催された、日米科学技術協力協定のもとで、二つのテーマとして共同研究の発足が合意されました。こういうことで、アメリカともまだまだこの分野については今後とも共同研究が活発化されていくもの、こういうふうに考えておるところであります。  なお、我が国は、アメリカとの関係のみならず、各国との間に二国間の科学技術協力協定がたくさん結ばれていますが、それに基づいて、西ドイツ、フランス等の間で今研究協力を推進中でございます。  また、二国間協定のみならずマルチの場としても、いろいろベルサイユ・サミット等で提言された材料に関する標準化の問題についての国際共同研究という枠組みがありますけれども、その枠組みの中で超電導材料についての標準化、そういうものについては国際的に共同で進めていこうという動きがございます。  我々、いろいろ競争するところはする、国際協力は国際協力でまたそれも進めていくという二本立てで進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。     〔新井委員長代理退席委員長着席
  186. 柳田稔

    柳田委員 今いろいろとお話を聞きまして、超電導技術に対する政府の姿勢、そして今の状況、さらに各国間とのしのぎ合いのお話を聞きました。  最後に、私も研究をしてきた一人の立場として要望をつけ加えたいと思うのですが、末端の研究施設ですね。先ほど民間もあるし大学もあるしということをおっしゃっておりまして、いろいろと研究開発をするわけなんです。あるテーマをいただきますと、それを日夜を問わずに一生懸命頑張ってやるわけなんですが、待遇面もそんないいなというふうな気はしていないです。  これはさておきまして、特に、研究をやっていて一番頭を悩ますのは予算なんです。お金のことなんです。このことをしたい、一生懸命頑張りたいとやっていく上において、特にこういう特殊な分野におきますと、この機械が入れたい、そうすると、いろいろな汎用ではなくてその一品の品物という感じになりますので、それを購入しようとするとすごい金がかかる。でもそこまで予算がついていないので、ちょっと縛って、予算を削ってこの機械を借りて応用するとか、そういうふうな面に頭を悩ますのが大分あるわけなんです。先ほど申しましたように、一生懸命研究して結果を出したいし、国のために何かをしたいと思ってもお金の縛りがある。自分の生活というのもあるわけなんですが、これは二の次にしておいても研究をやっていこう、そういうのが今研究開発をやっている人が置かれた現状ではないかなという気が私はします。これから、先ほど申しましたようにいろいろな分野があるわけですが、特にこの超電導技術、国際協力するべきところはする。がしかし、負けちゃいけないところは負けちゃいけない。特許を取っていただきたいし、それが日本の育成にもなるということなので、今いろいろと制度についてもお話をいただいたわけなんですが、研究者の姿勢も理解をしていただいて、余分なところに頭を回さなくても済む、つまり、この機械が欲しいんだという話があれば、よっしゃよっしゃでつけていただいて、大いに研究をしていただくような側面的な援助をもしていただければなと、何年か研究をやってまいりましてこれが一番大きなネックでありまして、今この分野でも多分研究者の間ではそういうふうな声も聞かれるのではないかなと思いますので、大いに支援をしていただきたい。  そういうことで、最後になりますけれども、大臣に対する質問ですが、この超電導の研究開発をこれからどういうふうに進めていくか、先ほど申しました予算等ありますので、御決意をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  187. 大島友治

    大島国務大臣 ただいま委員のおっしゃられましたように、超電導の研究の将来性のいわゆる産業、経済に及ぼす影響というものは極めて大きいものであり、我が国としては今意識としてトップクラスにあるといいながらも、これはやはり国際的にも協力もし、かつまた、独自にも積極的にこれを研究していかなければならぬということはまさにおっしゃられるとおりでございますので、これは将来の日本の大きな課題でもあるし、重要な事項でもありますので、そこで、ただいまもおっしゃられたように、まず先立つものは金じゃないかということは、当然、せっかくもうちょっとあればというところで特許の許可も一歩おくれるということになったら、これは極めて研究者に対して非常なショックを与えるようなことになるから、そういうことのないように、進んでこの研究をやれるような予算措置も必要じゃなかろうか。  先ほども政府委員の方から話もありましたように、各国と比べてやはり、我が国ではまだ百十九億でしたかな、しかしアメリカはその三倍も立てておるというふうに相当すぐれた予算措置をとってやっておるということにもかんがみまして、私もまさに委員の言われるとおりに同感でございますので、積極的な予算措置もしてまいりたい。と同時に、私が応援するばかりでなくて、先生の立場から、委員の立場から予算獲得については特段の御協力をいただければまことに幸いじゃなかろうか、こういうことでいろいろ努力してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  188. 柳田稔

    柳田委員 もうそろそろ時間なんでございますけれども、今おっしゃったように、技術に対する予算は大いに取っていただきたいし、私も協力したいというふうに思います。予算というといろいろありますので、全面的にというわけにはまいりませんが、一時期研究をしてきた立場でございますので、できるだけ協力をさせていただきたいというふうに思います。今大臣の方から非常に心温まるお言葉をいただきましたので、ぜひとも予算が来年は倍か三倍になるように御努力を願いたいというふうに思います。  以上で終わります。
  189. 与謝野馨

    与謝野委員長 次回は、来る六月十二日火曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十五分散会