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1990-06-22 第118回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十二日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 田名部匡省君    理事 岡島 正之君 理事 亀井 善之君    理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 敬夫君    理事 森田  一君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 草川 昭三君       小里 貞利君    鹿野 道彦君       佐藤 信二君    関谷 勝嗣君       中島源太郎君    平泉  渉君       藤井 裕久君    宮崎 茂一君       山村新治郎君    赤松 広隆君       上野 建一君    緒方 克陽君       小林 恒人君    常松 裕志君       速見  魁君    北側 一雄君       佐藤 祐弘君    高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大野  明君  出席政府委員         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省国際運輸         ・観光局長   宮本 春樹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君         運輸省港湾局長 御巫 清泰君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         海上保安庁次長 豊田  実君  委員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   滝藤 浩二君         総務庁長官官房         参事官     内藤  勇君         外務省北米局地         位協定課長   森  敏光君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  三本木 徹君         厚生省社会局生         活課長     浅野 史郎君         水産庁研究部漁         場保全課長   吉崎  清君         建設省道路局企         画課長     藤川 寛之君         建設省道路局高         速国道課長   橋本鋼太郎君         自治大臣官房参         事官      長澤 純一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     杉山 好信君         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君     ───────────── 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   常松 裕志君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     常松 裕志君     ───────────── 六月八日  障害者・児の運賃割引制度拡大等に関する請願小沢和秋紹介)(第一五九二号)  同(金子満広紹介)(第一五九三号)  同(木島日出夫紹介)(第一五九四号)  同(児玉健次紹介)(第一五九五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一五九六号)  同(菅野悦子紹介)(第一五九七号)  同(辻第一君紹介)(第一五九八号)  同(寺前巖紹介)(第一五九九号)  同(東中光雄紹介)(第一六〇〇号)  同(不破哲三紹介)(第一六〇一号)  同(藤田スミ紹介)(第一六〇二号)  同(古堅実吉紹介)(第一六〇三号)  同(正森成二君紹介)(第一六〇四号)  同(三浦久紹介)(第一六〇五号)  同(山原健二郎紹介)(第一六〇六号)  同(吉井英勝紹介)(第一六〇七号)  北陸新幹線整備促進に関する請願木島日出夫紹介)(第一六三九号)  リニア中央新幹線建設促進に関する請願木島日出夫紹介)(第一六四〇号) 同月十八日  北陸新幹線整備促進に関する請願井出正一紹介)(第一八五四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一八五五号)  同(小坂憲次紹介)(第一八五六号)  同(田中秀征紹介)(第一八五七号)  同(中島衛紹介)(第一八五八号)  同(羽田孜紹介)(第一八五九号)  同(宮下創平紹介)(第一八六〇号)  同(村井仁紹介)(第一八六一号)  リニア中央新幹線建設促進に関する請願井出正一紹介)(第一八六二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一八六三号)  同(小坂憲次紹介)(第一八六四号)  同(田中秀征紹介)(第一八六五号)  同(中島衛紹介)(第一八六六号)  同(羽田孜紹介)(第一八六七号)  同(宮下創平紹介)(第一八六八号)  同(村井仁紹介)(第一八六九号) 同月十九日  北陸新幹線整備促進に関する請願北沢清功紹介)(第二〇〇二号)  同(串原義直紹介)(第二〇〇三号)  同(清水勇紹介)(第二〇〇四号)  同(堀込征雄紹介)(第二〇〇五号)  リニア中央新幹線建設促進に関する請願北沢清功紹介)(第二〇〇六号)  同(串原義直紹介)(第二〇〇七号)  同(清水勇紹介)(第二〇〇八号)  同(堀込征雄紹介)(第二〇〇九号)  障害者・児の運賃割引制度拡大等に関する請願佐藤祐弘紹介)(第二〇四六号)  同(高木義明紹介)(第二一五五号)  同(柳田稔紹介)(第二一五六号)  同外二件(左近正男紹介)(第二二四五号)  JR各社不当労働行為事件に対する労働委員会救済命令即時完全履行等に関する請願緒方克陽紹介)(第二二九〇号) 同月二十日  障害者・児の運賃割引制度拡大等に関する請願草川昭三紹介)(第二三六七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 六月十五日  東北新幹線盛岡・青森間の早期着工に関する陳情書(第一四七号)  九州新幹線鹿児島ルート建設促進に関する陳情書(第一四八号)  四国への新幹線鉄道導入に関する陳情書 (第一四九号)  智頭線・因美線の高速化等に関する陳情書(第一五〇号)  精神薄弱者・児に対する運賃割引制度適用に関する陳情書(第一五一号)  国鉄跡地の開発及び処分に関する陳情書(第一五二号)  第三セクター鉄道会社に対する鉄道災害施設復旧工事助成措置等に関する陳情書(第一五三号)  第八次港湾整備五箇年計画の策定と推進に関する陳情書(第一五四号)  空港整備促進に関する陳情書外一件(第一五五号)  成田空港の建設に反対する一部過激派破壊活動に対する物的補償制度の確立に関する陳情書(第一五六号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件      ────◇─────
  2. 田名部匡省

    田名部委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  陸運に関する件について、本日、参考人として日本道路公団理事杉山好信君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田名部匡省

    田名部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  4. 田名部匡省

    田名部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松広隆君。
  5. 赤松広隆

    赤松委員 おはようございます。  あらかじめ通告をいたしておきましたが、二点の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、不正改造車両問題についてでございます。  このような不正改造車排除パンフレットということで、こういうものも各地に配られまして、特に本年の六月、七月、この二カ月間を取り締まり集中月間として現在不正改造車両に対する集中的な取り締まり指導が行われているということを聞いております。  言うまでもなく道路を運行いたします車両道路運送車両法でその形状構造等が決められておるわけでございます。新規登録検査の際、その車両形状重量等自動車検査証に記載されますが、その記載された内容と異なる仕様に改造した場合の車両不正改造車両と言っていると思います。ただし、この中にも自動車検査証記載事項変更構造等変更検査を受ければ改造車として合法となるものもあるようでございます。  現実に私どもが市中を走ってまいりますと、よく不正改造車が目につくわけでございます。例えば明る過ぎるフォグランプでありますとかマフラーの改造や取り外し、そしてとりわけこれが問題なわけですが、土砂等運搬するダンプ、スクラップ運搬車キャリアカーなど、過積載目的として荷室といいますか、荷台容積拡大改造等が行われておる悪質な改造車も数多く目につく昨今でございます。  一方では、次に申し上げますような車両についても、現状ではすべて不正改造ということになり、取り締まり対象になるということを聞いております。例えばセミトレーラー基準緩和車両——基準緩和車両と申しますのは、基準内車両では運搬不可能な単一物品を運搬するため保安基準緩和を受けた車両というふうにとらえておるわけですが、これらのセミトレーラー基準緩和車両等に見られる積み荷運搬補助具走行落下するのを防ぐための約十センチか十五センチ程度の低いアオリ取りつけの改造車、これも不正改造ということに判断をされるのかどうか。  そしてまた二つ目には、重量運搬セミトレーラー坂道登坂中に低速走行中であることを迫走、後ろから走ってまいります他車に示すための、いわば安全のための回転灯取りつけの改造自己防衛回転灯表示して走っておるわけでありますけれども、こういう回転灯表示した走行、これらについて、これも不正改造車両ということになるのかどうか。  ちなみに最近の事故の例でございますけれども東名阪自動車道を登坂中の低速セミトレーラーに乗用車が追突をして大きな事故となった、こういう例もあるわけでございますけれども、今申し上げたセミトレーラーのこういうもの等が落下をしないため、あるいは荷物が滑り落ちないためのほんのわずかな、十センチ、十五センチのアオリをつけた車についても不正改造という御判断をされるのかどうか。  そして二つ目には、今申し上げたような重量運搬等セミトレーラー追突防止のための、自己防衛回転灯を回しながら走っていく、こういうことも取り締まり対象になるかどうか、まずその点についてお尋ねをしたいと思います。
  6. 松波正壽

    松波政府委員 お答えいたします。  今先生質問されたように、我々この六月、七月を不正改造車排除月間ということで重点的にやっております。  その中で御質問の二点でございますが、一つトレーラー積み荷に対するアオリ装着の問題それから回転灯の問題でございます。  まず最初に前段からお答えをさせていただきたいと思いますけれども先生も御指摘ございましたが、大型貨物自動車等につきましては、過積載防止を図るため、過積載を助長するようなアオリといったような物品積載装置不正改造、あるいはこの種の物品積載装置を装備した車両の製作もしくは販売を行わないよう指導をいたしているところでございますが、今先生指摘がございましたトレーラー等重量物を運搬するいわゆる基準緩和車両につきましては、その積載物が分割できない特定のものに限定されておりまして、固縛によりまして積載物転落防止等輸送の安全が確保されると判断される場合につきましては、我々そのアオリの取りつけは必要ないと判断をいたしております。  なお先ほどちょっと触れられましたが、積載物品の固縛、いわゆるしっかり取りつけることによりまして輸送安全性確保できないごく特殊な物品を運搬する車両につきましては、転落防止等観点からアオリの装備を認めているケースもございます。  また後段の御質問でございますけれども回転灯などの点滅する灯火につきましては、これは運転者運転意思表示、回るとかそういう表示、あるいは特殊な車両である旨等を他の運転者とか、あるいは歩行者等に的確に伝達して認識していただくように方向指示器だとか、あるいは緊急自動車の警光灯だとか道路維持作業車灯火など、特定信号灯火に限定をいたしまして認めている、こういうルールがあるのでございまして、これがもし今先生指摘ございましたようなトレーラーなど多くの車両に、ルールとは別の考え に基づいて多用された場合には、他の交通への信号灯火としての伝達機能が低下しまして、交通安全確保の上から支障があるおそれがあることから、現時点では基準の見直し、こういうことは適当でないと考えております。  しかし、今この交通問題の中で、追突防止という観点から見てまいりますと、これとは別に、反射板装着といったようなことで後部の被視認性の向上を図る、こんなような措置につきまして検討をいたしておるところでございます。
  7. 赤松広隆

    赤松委員 わかりました。  ただ局長さんにもう一度お尋ねをしておきたいと思うのですが、今の御答弁ですと、例えば低いアオリ等については必要なものについては認めている場合もある、一般的に全部はいいよとは言わないけれども、認めている場合もあるということで、特に私がお訴えしたいと思うのは、この六月、七月の集中取り締まり月間で、十センチ、十五センチのアオリでは、これは過積みも何も関係ないわけですね。  十センチや十五センチのアオリがついたからといって、今一番問題になっている十トン車に二十トンも積むような深いアオリをつけて過積みをするというのを取り締まるというのが本来の趣旨だと思いますので、そういう意味で、既にアオリ等十センチ程度のものをつけて走行しておる車両も実際には多いわけでありまして、そういうものに対する取り締まりについては、何が目的取り締まりかというような視点から、まあ見逃せとは、そういう言い方はしませんけれども、何が重点なのか、何を取り締まらなければいけないのかということを重点考えながら取り締まり等やっていただけるというふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。
  8. 松波正壽

    松波政府委員 お答え申し上げます。  特殊なケースで、固縛のみではなかなか輸送の安全が確保されない、今のようなケースの場合には我々としては認めているわけでございますので、具体的な内容につきましては、我々の陸運支局なり自動車検査登録事務所に相談の体制がございますので、そこでよく連絡しながら対応してまいりたいと考えております。
  9. 赤松広隆

    赤松委員 これは御答弁いただかなくて結構ですが、今一番一般トラック業者が困っておりますのは、とにかく一切改造をやっちゃいかぬというようなことで、少しでも車をさわったら支局なりあるいは局の方から処分を受けるというようなことで、整備会社等が一切やらなくなってしまった。私がさきに例で申し上げたような、例えばしっかり荷物を固定するためのいろいろな締める工具等がありますけれども、そういうのも荷台に積んでおくわけですね。そういうのが落下して困るということで、浅いアオリでもついていれば落下防止にもなるということで、実際には大変役に立っている場合もあるものですから、ぜひその点について、目的をはっきりさせた取り締まりをやっていただきたいという点を強調しておきたいと思います。これがまず一つ。  それからもう一つは、今の回転灯の方の問題であります。これについてはみんな回転灯をつけ出したら、本当に回転灯の必要な車と混乱をしてしまうというようなことでなかなか難しいというようなお考えでございましたけれども、先回私が質問させていただきましたが、とにかく今追突事故、特に高速道路等での大型車追突事故というのは大変多くなっていますから、そういう追突事故防止していくための反射鏡装着義務化でありますとかいろいろな御質問も先日いたしました。ぜひそういう意味で、回転灯に限りませんけれども、こうした事故防止のための安全対策等について、運輸省内でさらに今日まで以上に御検討をいただけるように、これは要望をしておきたいと思います。  最後に、この点についてまとめのような形で御質問したいと思います。  現状運行されている車両使用形態をよく見きわめた上で、弾力的な道路運送車両法適用が必要ではないかと思っておりますが、その点についてはいかがですか。
  10. 松波正壽

    松波政府委員 お答えをいたします。  先生御案内のように、現下の車社会においては、やはり何といいましても自動車安全性確保とか公害防止、こういう観点から、我々の方は自動車基準がございますので、その基準趣旨に照らして厳正に対処していきたいと考えております。
  11. 赤松広隆

    赤松委員 それでは、この質問最後になりますけれども、全ト協の方からこれらの過積み防止のいろいろな施策に合わせてといいますか、対応した形で道路運送車両法改正、あるいは建設省マターということになりますが、道路構造令改正等を行って車両大型化を認めるよう要望も来ているというふうに聞いております。これについては運輸大臣の方に出してあるというふうに全ト協から聞いておりますけれども、こうした道路運送法等改正について、あるいは、道路運送法改正ということはイコール車両大型化を認める、今軸重十トンだとかいろいろな規制があるわけですが、これについて運輸大臣の御見解を賜りたいと思います。
  12. 松波正壽

    松波政府委員 お答えをいたします。  今先生指摘がございました軸重、これは十トンと決めておりますが、あるいは車両重量二十トン、こういうふうに規定がございますけれども、これらの点につきまして、一定の緩和についていろいろ陳情等要請があることは承知いたしておりますし、これらの点につきましては、車両安全性確保及び公害防止水準を維持する観点からの技術的な確認は必要であるものの、現在の車両自体技術水準から見ますと、安全上とか公害防止への対応の面では基本的な問題はないと考えております。  しかしながら、軸重及び車両重量緩和に当たりましては、このような車両技術上の問題のみならず、例えば橋梁の強度など道路構造上の問題、あるいは低速化によります交通流への影響、あるいは事故時の被害増大等道路交通の問題につきましても総体的に検討する必要があると考えております。その検討がなされた上で、運輸省といたしましても車両構造装置にかかわりますところの具体的な措置について検討をしてまいりたいと考えております。
  13. 赤松広隆

    赤松委員 運輸大臣の御見解はいかがでしょうか。
  14. 大野明

    大野国務大臣 ただいま政府委員から答弁させていただきましたが、私も同様に考えておりますけれども、いずれにしても警察庁とか建設省とか、関係省庁との話し合いというものを十分にしたい。運輸省関係につきましては、公害とかそういうことは心配ないという気持ちで今後も推し進めていく所存でございます。
  15. 赤松広隆

    赤松委員 それじゃこの問題は終わりますが、最後にちょっと時間の関係で、一々聞いていますと時間がありませんので、例の、先ほどお話のあったこの六月、七月、集中取り締まりをやっておる不正改造車両処分等につきまして、オープンにして構わない点だけで結構ですから、その中身とか件数とかわかりましたら、後で私の方にお知らせをいただきたいと思います。  次の問題に行きます。次はJRの学割問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  JRの学割につきましては、それを適用できる場合の条件というものが学校及び救護施設指定取扱規則によって定められております。その中身を言いますといろいろ時間がかかりますので、お互いにその中身はわかっているという前提ですぐ質問に入っていきたいと思いますが、これは四月の二十一日でしたか、予算委員会嶋崎先生からも御質問があった件でございますけれども、さらにそれを深める意味で改めて御質問をさせていただきたいと思います。  朝鮮学校初級中級、高級とあるわけです。それぞれ日本小学校中学校高校に、六・三・三・四というような形で学校制度を合わせているわけでございますが、これらの学校については、各都道府県知事認可校ということで、全国に百五十 三校あるわけでございます。これらの朝鮮学校初級中級高級学校生徒に対するJR定期についてはどのような扱いをしているのか、まず最初お尋ねをします。
  16. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR通学定期につきましては、一般高校中学小学生になっておりますが、義務教育学校教育法上定められております高校中学について、それぞれ一般の一割引、三割引ということで運用されております。したがいまして、今御指摘朝鮮人学校については、学校教育法第一条の学校ではございませんので、各種学校扱い一般定期が発行されているという状況でございます。
  17. 赤松広隆

    赤松委員 今大塚さんが言われた学校教育法八十三条あるいは八十四条該当の各種学校だという御認識のもとで、では現実にはどういうような差別が出ているのかということも、時間がありませんから簡単に具体的な例で申し上げたいと思います。  今、正規の学校については、言われましたように、一割、三割、小学生中学生の半額ということで、日本人学校の場合はといいますか、学校教育法一条規定学校についてはそのような内容になっているわけですが、各種学校だと規定をされておる朝鮮人学校生徒の場合は、例えば東海道の横浜の駅から藤沢の駅、この間を通う子供たちがいるといたします。そうしますと、日本学校朝鮮人学校へ通う場合とで、実は三カ月で、小学生で三千二百円、中学生で六千四百十円、高校生で二千百四十円の差が出ます。同様に横浜—平塚を三カ月定期を買って両方のそれぞれの学校を対比した場合に、小学生で三千五百七十円、中学生で何と七千百四十円、高校生で二千三百八十円、これだけの差が実は出るわけでございます。  今、教育国際化でありますとかあるいは国際化時代に対応する人づくりというようなことを政府は言っているわけですが、そのためには、国籍による差別といいますか、学校によってこういう区分をして差別をつけていくということが一体どうなのか。朝鮮学校のみならず他の外国人学校に通う子供たちについても日本学校と同じ定期券を持てるようにすべきだと思うわけでありますが、この点についての御所見をまずお伺いしたいと思います。
  18. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、JRはその経緯からも、学校教育法第一条の高校中学について、一般に対するさらに割引を実施しているわけでございますが、御指摘朝鮮人学校について各種学校でなく学校教育法第一条と同様に扱うかどうか等につきましては、いろいろ他の学校との関連もありますので、そういう課題について今後検討させていただきたいと思っております。
  19. 赤松広隆

    赤松委員 今後検討したいということでございますけれどもJR各社については、学校教育法学校区分だけに固執せずに、やはり実態に合った形での学生割引の取り扱いを基本的にすべきだということを私どもは思っております。  ちなみに、例えば私の選挙区で申しますと、名古屋あたりでは、名古屋市の交通局は、これはもう市バスについても地下鉄についても、朝鮮人学校生徒については、いわゆる学校教育法一条に規定する通常の小学校中学校とみなす、実態として同じなのだからそういうみなしをするということでそういう定期扱いをしておるわけであります。  なぜJRだけができないのか。私鉄は基準が違うというふうに言いますけれども、基本的には、私鉄においても日本人の学校といいますか、学校教育法で定めております一条の学校朝鮮人学校と全く同じ扱いをしておるということでございますし、先ほど申し上げた名古屋市の交通局あたりは、まさに小学校中学校高校生、それぞれの場合はこういう割引でということで、全く同じ扱いをしておるという例も先進的な各自治体では多いわけでありますから、おくれた国鉄といいますか、旧国鉄からいろいろなものを引き継いでそういう経過になっていると思うのですけれども、ぜひ国際化時代に合った形での早急な見直しを進めていただきたいと思います。  ちなみに、自分の国の言葉、母国語で民族教育を受けることは万人の基本的人権でございますし、一九六六年国連で採択された国際人権規約でも民族教育権を保障しております。もちろん我が国日本もこの国際人権規約を批准、発効しておるところでございますので、そうした建前からも、ぜひ早急なお取り組みをいただきたい。  もうこれは大臣以下皆さん方御承知のとおりでございますけれども、こうした通学定期に限らず大学入試等についても、都立大などを初めとする公立大学、早稲田、慶応を初め大部分の私立大学につきましても朝鮮高校卒業生の大学入試資格を認めて、事実上日本高校と同じ扱いをしておるわけでありまして、各種学校扱いはしていない、こういう点もございます。そういう意味で、ぜひこうした国際人権規約にも照らし合わせて、民族教育を続ける朝鮮学校についても、やはり日本学校と同様な扱いをすることが今日必要なのではないだろうかということでございます。  特に今、日本と朝鮮の問題につきましては、例の漁船の全捕事件じゃありませんけれども、いろいろな問題が山積をしております。こんな中で、日本と朝鮮の関係改善のために、我が党におきましては田邊委員長等を中心にしながら、あるいは自民党の皆さんについては金丸元副総理等を先頭にされながら、日朝関係打開のためにいろいろと御努力をされておるわけであります。  こんな中で、たかが定期ということではなくて、まさに在日朝鮮人のこうした権利を積極的に日本政府としても応援をしていく、認めていく、こんな姿勢が日朝の関係改善のためには今ぜひ必要だろうと思っていますけれども、こうしたことも含めて大野大臣の御所見を賜りたいと思いますが、いかがですか。
  20. 大野明

    大野国務大臣 我が国も、国際化社会の中において、これからの責任を果たさなければならないことは十分承知いたしております。しかしながら、ただいま政府委員から答弁いたしましたように、このJR朝鮮人学校等に対する問題は、我が方ばかりでなく文部省の関係もございます。しかし、検討課題であるということは認識いたしております。
  21. 赤松広隆

    赤松委員 大臣は、この四月二十一日でしたか、予算委員会の御答弁の中で最後にこのように答えられております。「例えば運賃改定の時期とかそういうタイミングもあるかと思いますので、その点を考慮しながら検討させていただきたい」ということを答弁され、再度の質問に対して、これは前向きの返答と解釈してもらってもいい、「結構でございます。」ということを答えておられますが、この点、はっきりと確認をしたいと思うのです。  運賃改定も近い将来あると思いますが、その時期にはこの問題についてもあわせて解決をする覚悟だ、決意だということと理解をさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
  22. 大野明

    大野国務大臣 結構でございます。
  23. 赤松広隆

    赤松委員 ありがとうございました。  そうしますと、次の運賃改定時にはこの朝鮮人学校の学割定期問題については解決をするというふうに確認ができましたので、この問題は終わりたいと思います。  次に、同じ学割の問題ですが、今度は、日本人の学校でも実は適用になっていないところがございまして、そこの学校の問題をとらえましてひとつ簡単にお尋ねをしたいと思います。  愛知県の海部郡飛島村というところに愛知自動車整備学院という学校がございます。この学校というのは、中学を卒業した子供たちが手に職を、技術を身につけたいということで、特にこの学校については整備士の免許を取るための、あるいは最近は建築関係もやっておりますので、板金や塗装工としての資格、技術も含めて取るために通う学院でございます。労働省認可の職業訓練法人の資格を取っております。その学校には高卒者が進む短大部も併設をされていますけれども、それぞ れ中卒者については八百八十三名、短大部については百十九名というようなことで今運営がされております。  同時に、昭和六十二年十一月からは文部大臣から学校教育法第四十五条の二による「技能教育のための施設」の指定も受けておるところでございます。また、昭和五十一年十月二十一日には、当時の運輸大臣の石田博英さんから、自動車整備士技能検定規則第六条の二の規定により、自動車整備士の一種養成施設として指定も受けておる学校でございます。この学校については、JRから全く通学定期が発行をされていないということでございます。この学院はJR定期の申請もしておるわけですが、指定申請書を出しておるにもかかわらず、なぜ指定学校となれないのか、お尋ねをします。
  24. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先ほども申し上げましたが、JR通学定期におきましては学校教育法上の一条校、また各種学校についてその対象としているわけでございますが、職業訓練施設につきましては、各種学校となっているもの、またなっていないもの、なっていない中には社内の研修施設のようなものも職業訓練施設の一つの範囲でございます。そこで、JRではその規則上、各種学校となっている職業訓練施設については通学定期を発行しているわけでございますが、御指摘の法人につきましては各種学校となっておりませんので、通学定期の取り扱いはしてございません。
  25. 赤松広隆

    赤松委員 それを社内的に規定をしておる規則というのは何ですか。
  26. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR、私鉄等鉄道会社につきましては、不特定多数の旅客を相手といたしますので、運送約款の一形態として営業規則を定めておりまして、これは鉄道営業法あるいは鉄道事業法に基づいた規則でございます。
  27. 赤松広隆

    赤松委員 今大塚さんが言われたのは、旅客営業規則というので規定をしておるということだろうと思うのですが、実はこの旅客営業規則、私も見させていただきましたけれども、第三十八条に「割引定期乗車券の発売」という項があるのですが、この(五)の項において「職業訓練法第十四条に規定する公共職業訓練施設において養成訓練を受ける訓練生には発売できる」と書かれております。自動車整備学院の子供たちのやっておる中身、そして公共職業訓練校で整備士となるために訓練を受けている子供たち中身に全く変わりはないわけであります。  要は、こちらは公立、これは民間という違いだけで、定期を片方には発行するけれども片方には発行しないということは大変矛盾があると思いますけれども、こうした実態について、要は営業規則に書いてあるから、そういう規定がないからできないのであれば営業規則を変えればいいわけでありまして、これはもう社内の規則ですからそう難しくないと思いますし、やはり実態に合わせた、これは一番困るのは、学校は何も困りませんから、通っている子供たちあるいはその費用を負担する父兄が困るわけですから、そういう意味で経営主体、事業主体が公立だ、民間だ、その違いだけでこういう区別、差別をしていくということは甚だ問題があるのではないかということを思います。  ちなみにこの学校についても、先ほどの朝鮮学校の例ではございませんけれども、私鉄、名古屋交通局の地下鉄、バス、これらについては通学定期割引を認めて現に発行されています。これまたJRだけがそういうことをやっていない。JRだけが特定のこれらについて差別を、区別をしておるということでございますから、旅客営業規則に定めがないからという理由だけでこうしたことを続けていくということについてどうなのか、改めてお尋ねをしたいと思います。そしてまた、問題があるとしたら、近い将来、運用の面でやっていく方法もありますし、社内的にやっていきたいということであれば、やはりきちっと旅客営業規則を変えるなり、そういうことを考える気持ちはないのかどうか、お尋ねをいたします。
  28. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 世間には学校のたぐいあるいは訓練教育施設のたぐいが大変数多くございまして、その中には一般各種学校に近いものがたくさんあって、現に通学定期対象となるようという要望JRにもいろいろ寄せられております。その範囲をどうするかということ。現在営業規則では、学校教育法に基づく各種学校ということで文部省等がその内容について認定したものを客観的に対象としているわけでございますが、もしJRが独自に判断するとなりますと、どういう基準でどういう内容をチェックするか大変難しい問題がございます。そういうことも含めて今後検討課題とさせていただきたいと思います。
  29. 赤松広隆

    赤松委員 検討課題というのはやらないということに聞こえますから、それでは困るのですよね。  私が先ほど申し上げたように、また資料も既に事務方の方にはお渡しをしてありますが、別にこれは夜だけちょっと何かを習いに行く学校じゃないのです。朝早くから学校に通って、そして授業時間も、普通の高校その他の学校と比べて多いことはあっても少なくないくらいの授業を現に毎日やっているわけですね。施設もあって教員も数多くいて、そして文部省からも運輸省からも、本来は労働省の職業訓練法人ですけれども、それぞれ指定を受けた立派な施設なんです。  そうであるからこそ私鉄についても、あの辺ですから三重交通だとか名鉄でありますとか、これらの私鉄についても全部そういう普通の高校と同じ扱いをしている。また、地方自治体が経営しておる交通局あたりでもそれらの扱いをきちっとして通学定期の発行等を行っている。なぜJRだけができないのですか。なぜ実態に合わせた通用ができないのですか。この点について再度お尋ねをしたいと思います。
  30. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今先生愛知の例を挙げられましたが、全国的にも類似の法人も多いかと存じますが、社内研修施設でもそういうものに近いものもあり、どこでラインを引くかということは大変難しい問題でございます。  御指摘の例につきまして、民鉄がなぜ今運用でやっているか、営業規則等の関係もあわせて検討し、JRについてもそういう点から果たして営業規則を改正する必要があるのかどうか、また運用でどういうところで線が引けるかということを、他の事例も含めて検討させていただきたいと思います。
  31. 赤松広隆

    赤松委員 時間がありませんからもうこれで終わりますが、それではこの愛知自動車整備学院問題について、定期の取り扱いができるか否か、前向きに、そして早急に御検討をいただけるというふうに理解をしてよろしいですか。
  32. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 全国的な問題にも及びますので、早急にというのをいつということはここでお答えできませんが、誠意を持って検討させていただきます。
  33. 赤松広隆

    赤松委員 以上で終わります。
  34. 田名部匡省

  35. 常松裕志

    常松委員 運輸大臣に今回のタクシー運賃の改定についてお尋ねをいたします。  私にはタクシードライバーの友人が大勢おります。というのは、私、毎朝のように駅で演説をしています。狭いロータリーを占領して大きなマイクでやるものですから、バスやタクシーや、あるいはJR、私鉄の駅の職員の方々などいろいろ迷惑をかけます。大臣も選挙をやっておられるから御存じのとおりですけれども、ですから、御迷惑かけて申しわけありませんねなどと言って声をかけているうちにたくさんの友人ができまして、また私の選挙を応援をしていただくなどを通して一層親しくなっているわけであります。  そのドライバーの方々とつき合っていてわかることは、朝早くから、丸一日二十四時間近くハンドルを握って、時には酔っぱらったお客さんの大変な暴言などにも耐えながら、一生懸命仕事をしています。タクシーのドライバーの方というのは非常に気持ちのいい人が多いですね。しかし、その割には賃金は低くて、社会的な評価も低いというのが実情ではないでしょうか。  この間以来のテレビやマスコミのタクシーのサービス低下についてのキャンペーンを見たり聞 いたりしているうちに、一面ではそういうこともあるのかななんというふうな理解ができつつも、もう一面では、何かタクシードライバーの方ばかり責めているような、そんなふうな思いがして心配をしているところでもあります。何年か前でしたけれども、有名なタレントの息子さんがタクシーのドライバーに暴行を働くというような事件もあったわけでありまして、ああいう事件が起こらなければいいな、そんなふうに心配をしているところです。  そこで、今回の運賃改定ですけれども、私たち一般の利用者にとっては、正直今度の値上げだってやはりそれは迷惑です。しかし、この値上げによってタクシーのサービスが向上したり、同時にドライバーの方々の労働条件が改善されたり、社会的な地位の向上が図られたり、そういうことが行われるならば、値上げについて利用者も、そして世論も納得ができるのではないか、そんなふうに思っております。  ところが、テレビのインタビューなんかを見ておりますと、ドライバーの方々のほとんどが、どうも労働条件の改善にはならないんじゃないかというふうなことを言っています。運輸省は、今回の運賃改定に当たって、改定による原資を労働条件の改善に充てるように指導する、あるいはしているというふうに聞いているわけでありますが、私は、それは全く当然ですし、また立派な方針だというふうに評価をいたしております。  そこで、まず三点についてお尋ねをいたします。  第一に、労働条件改善のための原資に充てるというこのことは間違いありませんね。  第二に、業界に対して指導及び点検をどんなふうに行っているのか、ひとつ具体的に示してお答えをいただきたいと思います。  第三に、この改定によって、他産業、全産業とタクシーのドライバーの方々の賃金格差が一体どの程度縮まることが可能だというふうに見ているのかということです。これは、具体的に何十万円とかそういうふうにお答えをいただきたいと思います。同時に、時間短縮はどういうふうに、何時間ぐらい短縮されるというふうにお考えになっているのか、これも具体的にお答えをいただきたいと存じます。全産業との比較でいいますと、東京では年間七十万円から百万円ぐらいの格差がある。労働省の発表でも明らかです。ことしの春闘の結果を見ますと、またこの格差は大きく広がるというふうに私は予想しているわけでありまして、この点についてはひとつ具体的に金額をお示しいただきたい。  以上三点について、まずお答えをいただきたいと存じます。
  36. 早川章

    ○早川政府委員 まず第一点の労働条件についての改善といいますか、そういうものにきちっと充てるということですねという御質問でございますが、これはもう先生も御承知のとおり、私どもといたしましては、最近における東京地区のタクシーの実態が、言ってみますと運転手さんがこの産業から離れていく、あるいは新規参入がない。タクシーの場合には最も基本的なことは、良質な運転手さんを確保するということが即利用者に対するサービスにも通ずる、こういうことでございますので、そういう今のような東京等の実態は、タクシー産業から見ましても非常に危機的な実態であろう、こういう理解のもとに、私どもといたしましては、今回の運賃改定については、これをきちっと運転手さんの給与改善、労働条件の改善に充てるということでお願いしたい、あるいはまた申請内容もまさにそういうことを言っておりますので、それをきちっとやっていただくことが前提である、こういうふうに確認をした上で運賃改定を実施したものでございます。  それから、言ってみますと、これに対してどのような指導をしたかということでございますが、まず、関東運輸局の方では、この運賃の実施に際しまして労働条件の改善を推進するよう指示をいたしました。運賃改定による増収を労働時間の短縮を含む労働条件の改善に確実に充当し、労働条件の改善を図ること、運転者の労働時間等の改善について、関係機関の指導を受けつつ、積極的に取り組むとともに、法定労働時間の短縮については、平成二年度からの確実な実施に遺漏なきを期すること、それから、労働条件の改善を通じ、良質な労働力の確保に努め、輸送力充実への対応を含む適正かつ効率的な事業の運営を図ること、こういう指示をいたしまして、これらに対しましてその都度といいますか、適宜その実施状況を報告するということを事業者に要求をいたしているところでございます。  三番目に、言ってみますと、時短がどうか、あるいは運賃改定の中でどれくらいの原資を見たかということでございますが、時短につきましては、既に週四十八時間というものを四十六時間にするようにという労働基準局の御指示がございまして、それをまず確実に実施するというのがこの時短についてのポイントかと思います。  それから、運賃改定率は九・六%ということでございましたが、そのうち人件費比率等考えますと、人件費については九・三というようなアップになろうかと思います。現在、東京地区のいわば運輸収入というものは年間で七百七十万円くらいの収入があると思いますので、これによって九・六と見て七十四万円くらいの増収になろうか、人件費アップ分と考えれば八〇%くらいございますので七十一万円くらい。運転手さんの人件費はそのうちどうかといいますと、八十分の七十というようなことでございますので、運転手さんの人件費アップはストレートに申しますと六十二万円くらい、六十万円強にはなるだろう。  ただ、そこから先でございますけれども、まず、時短にそのアップ率の一部を充てられる。時短と申しますのはその分新たな労働力の確保が必要になるという要素がございます。それから、輸送力増強によるための人員増と、それから逆に一般産業の方が春闘でアップしていくという要素がございます。これらの点から直ちにギャップが埋まるという形にまではいかないかな、こういうことでございますが、少なくとも増収分をストレートにきちっと運転手さんの待遇改善に充てていただく、これだけはお願いしたいということで進めているところでございます。
  37. 常松裕志

    常松委員 今のお答えに関して二つだけ確かめておきたいと思います。  点検をされる、業界に対して具体的に報告を求めると言いましたけれども、労働条件の改善についての御報告は一体いつ求めるのか、その時期を明示していただきたいと存じます。  それから今回の、先ほど覚書を局長読み上げたと思いますけれども、時間短縮を含む経費増及び労働条件の改善にということでございますから、増車の分についての経費増はこの増収分の中には含まれていないというふうに私は理解をしているわけでありまして、今の御答弁はその趣旨で受けとめてよろしいかどうか、お尋ねをいたします。
  38. 早川章

    ○早川政府委員 まず、いつ実施状況について報告をとるのかということでございますが、関東運輸局の方では、この八月末及び来年の四月に報告を求めるということにいたしております。  それから今回千八百両ほどの増車を認めることになったわけでございます。これは最近時点における車の実車率といいましてお客様の乗っている率でございますが、五六というような数字から判断いたしますと、なかなかお客さんが空車をつかまえられないという、やや適正な需給状態を外れて供給不足の状態になっているというデータがございますので、私どもといたしましては、そういうものがほぼ適正と考えられている五二、三%まで実車率が下がるというようなことを一つのめどといたしまして、言ってみますと、サービス改善の一環としてお客様が車をつかまえやすい状態にするということで増車の希望をとったところでございます。  それについて、運転手さんの確保と車庫の確保ができているものについて、主としてそういう要件でこの際増車を認可することといたしたのが千八百両。この分は、実はこういう運賃の査定上は、言ってみますと輸送力増強分と申しますか、毎年 毎年需要がふえていますので、それに対して供給がふえるとみなして、これは具体的な数字ではございませんけれども、ある輸送力増が行われる、そしてその輸送力増に伴って経費増を見て収支を算定いたしますので、この輸送力増分は、千八百両ぴったりということでないかもしれませんが、輸送力増強分については経費の中に入っている。  つまり収支を見た中、九・六%の改善が必要だとみなした中には、この輸送力増強分が経費的には入っているというふうに理解をいたしております。
  39. 常松裕志

    常松委員 その点については後でもう一回ちょっとお尋ねいたしますが、少し前に進みまして、運賃改定に当たっての基礎的なデータについてまとめて四点ほどお尋ねをいたします。  まず第一に、関東運輸局は今回査定原価を公表されました。それによりますと、人件費の営業収入に対する比率は八三・二%ということになっておりますが、それで間違いないかどうか、これが一つです。  それから二つ目質問が、この人件費の中には事務員の方や整備工の方々の分も当然含まれていると思いますが、乗務員の方だけの人件費比率は一体何%であるのか、これが二つ目です。  第三に、今実車率のお話もございましたが、この運賃改定に当たって実車率は何%というふうに推定をされているのか、これが三つ目です。  それから四つ目が、この間運輸省からレクチャーを受けた折の資料によりますと、事業者の収支状況について次のような数値が上げられました。  昭和六十一年度において大手のA型賃金をとっている四社につきましては九八・〇%、全事業者では一〇一・四%、六十二年度では大手A型四社が九八・二%、全事業者では一〇二・一%、六十三年度では大手A型四社が九五・九%、全事業者では一〇〇・五%、こういう数字を上げられておりましたが、この数値は御確認いただけますね。同時に、この収支率は適正利潤込みということになっておりますけれども、昭和六十一年から六十三年度にかけてのただいま読み上げました数値における適正利潤は何%になっているのか、この点についてお示しをいただきたい。以上でございます。
  40. 早川章

    ○早川政府委員 もし御答弁漏れがありましたらまた御指摘いただきたいと思いますが、まず平成二年度関東運輸局が発表いたしました今回の査定の中身で人件費の比率と申しますか構成比でございますが、先生八三・二とおっしゃいましたが、私どもの手持ち資料で関東の発表は八一・二ということになっているかと思います。それから八一・二の中での運転手さんとその他の方々、技工の方とかあるいは一般管理費的なものを除きますとおよそ八〇%というようなことでございますので、運転手さんの全体に占める人件費比率と、運転手さんの人件費の全体に占める構成比はおよそ七〇%と見ているところでございます。  それから今回の査定におきまして実車率をどう見たかということでございますが、これは五四%というふうに見て査定を行ったところでございます。  それから利潤率といいますか適正利潤率と申しますか、そういうものの推移、原価計算対象事業者のそういうものにつきましては六十一年度が二・四%、六十二年度が二・四%、六十三年度が二・三%、元年度が二・一%ということでございますが、今回の査定上はそれを二年度、平年度におきまして一・八%というふうに適正利潤率を圧縮して認めたものでございます。
  41. 常松裕志

    常松委員 最初の数値についてですけれども、平成二年度の現行では八一・二になっておりますけれども、これは運輸省の資料ですけれども、これを改定いたしました数値からいたしますと八三・二%で間違いありませんね、こういうふうに聞いているのです。もしよろしかったらこれをちょっと……。一番右の数字です。
  42. 早川章

    ○早川政府委員 お答えいたします。  先生のこの八三・二という数字は、先生の御資料では人件費の金額、査定された人件費額を収入で割っていらっしゃる、あるいは収入の中から適正利潤をお引きになっておる御計算でございましょうか。私どもの方は、最終的には収支合って、適正利潤を入れまして、ある一定の数字で収入と支出がバランスする、その際における収入あるいは支出に対する全体に対して人件費比率の構成を八一・二という数字で、変わらないと思っておりますが。
  43. 常松裕志

    常松委員 いや、お互いに見ているのは同じ資料ですよね。この数値を確認していただければいいわけですから、比率の問題じゃありませんから、この公表されている数値については御確認いただけますねということで、では結構です。あと数値の問題は改めてやらせていただきます。  それでは次の質問に移りますが、運輸大臣、大ざっぱに言いまして、今回の運賃改定に当たって、今のところ世論は比較的穏やかに推移しているのじゃないか、こんなふうに私は思っています。私はむしろ非常に心配をしていたわけでありまして、というのは、今までの運賃改正は、業界が全体として赤字で悩んでいるという状態で行われてきました。  ところが今回の運賃改定は、今の数値でも申し上げましたように、全体としては黒字の状況の中での運賃改定である。しかも、マスコミなどで暴かれておりますように一部の経営者の方は大もうけをして、ぜいたく三昧と言っていいかどうかわかりませんけれども、美術品を買いあさっているなんという話も聞く、そういうことの中での運賃改定でありましたから非常に心配しておりました。ところが、そういう一方で、大もうけをしている業者の方がいるかと思うと、今の数値でもございますように、大手のようなA型賃金をとっている企業は赤字だ、しかも今回の改定でもあるいは赤字が続くかもしれない、こういうことであります。  なぜこういうことになるのか。これは大臣も御存じのとおり、今でもこの業界では一時金もない、退職金もない、日雇い的なオール歩合制賃金が残っているからだと私は思います。このオール歩合制の賃金というのは、逆に言いますと経営者側は取るべきものはきちっとあらかじめ取っているということですから、そういうところでは必ずもうけが残っていくことは間違いないわけです。それが実は、東京では約六三%の運転手さんがオール歩合制ないしはほとんどそれに近いAB型というのですか、タクシーの運賃料金というのは血液型みたいで、A型とかB型とかAB型とかあって我々にはなかなかわからないのですが、とにかくB型、AB型ではそういう賃金形態で支払われているということを聞くわけであります。  こういう状態を変えて、本当に今回の運賃の改定分が労働者の労働条件の向上につながり、それが社会的な地位の向上につながり、若い方々がドライバーとしてこの業界に入ってくる、そういうことがありませんと、この業界の本当の近代化なりあるいは現状の混乱みたいなことはなかなかなくならないのではないか、こんなふうに思っているところです。  そこで、こうした状況に対する指導のあり方への提案あるいは注文ということで二、三お聞きをしたいのですが、まず第一に、先ほどの答弁の中に査定原価のベースとして人件費比率が挙げられたわけですけれども、今後業界全体としてあるいは特定の企業において、その査定の原価となった人件費比率よりも著しく人件費比率が低くなるような場合に、運輸省として適正な指導を行うということがお約束できるかどうか、これが第一であります。  それから二つ目は、本当に時代おくれの完全歩合制賃金では、ドライバーの社会的地位の向上も業界の近代化も、また公共輸送としてのハイタクの使命も果たすことができないと私は確信しています。こうした面での近代化、公正化のための監督官庁としての適切な指導をお約束していただけるかどうか、これが二つ目であります。よろしくお願いいたします。
  44. 早川章

    ○早川政府委員 先生指摘のとおり、タクシー 事業の多くは実態的にも運転手さんの収入から、経営部門と申しますかあるいは整備部門、それぞれの経費等をいただいて構成していくというのが企業収入になっていくということで、言ってみますと運転手さんから必ず一定のものが上がるという形で、リスクはいわゆる収支に関連いたします。  例えば産業界が好況である、不況である、あるいは運賃水準がどうである、あるいは競争状態が過当競争状態にあるかあるいは寡占的な状態にあるか等のリスクは、すべて運転手さんが負うという業界であろうと思います。そういう意味では非常に特殊な業界であり、言ってみますと、経営のあり方についてはいろいろ難しい問題があるというふうに理解をいたしておりますが、私どもといたしましては、しかしながらなお運転手さんの賃金を含めた労働条件は、基本的には労使間の話し合いの問題だというふうに考えておるわけでございます。  ただ、今回の運賃改定に伴いまして、私どもは増車というものを行うことといたしたわけですが、その際、増車というものをこの運転手不足のときに行うことの意味は、やはり運転手さんの方から経営についての選別が始まってしかるべきだという理解でございまして、私どもは、運転手さんが言ってみますと金の卵というような存在であるといたしますと、その運転手さんが集まるところに輸送力増強、つまり増車を認めていく。その増車を認めることが、それは運賃形態いろいろあると思いますが、その経営者あるいは経営についての拡大につながっていくというふうなステップを踏みまして、タクシー産業がより近代的な経営に脱皮していくであろう、こういう期待のもとに私どもはこのような措置をとったわけでございます。  この点につきましては、労働問題かどうかということで言えば、私どもの方の行政の範囲でそのような措置を、具体的に言えば労働条件に間接的には影響するような措置をあえてとらせていただいたというふうに御理解いただきたいと思っております。
  45. 常松裕志

    常松委員 確かに今のお答えはわかりますけれども、労働条件の問題は労使関係です。これはもちろん当然です。しかし、これは局長御存じのとおり、この業界はほとんど中小企業でありまして、しかも、私のきょうの質問の中では取り上げるつもりもなかったのですけれども、個人タクシーが相当東京で広範に走っておりまして、三割ぐらいですか、もっと四割近いのでしょうか、ここではこの論議もするつもりはありませんけれども、例の三%の消費税が、個人タクシーの方々の場合完全に利益として政府に入ってこないでその方々に入っている、こういう問題もあります。そういう非常に複雑な条件の中で組合運動がされているわけです。  したがって、労働組合を持たないような非常に零細、そこでまた劣悪なことが行われていますから、これは労使の話し合いに任せるといっても組合がないところではどうにもならないわけです。したがって、この点についてはやはり特段の適切な御指導を今後検討すべきじゃないか。特にこの賃金体系の余りにも非近代的な場合には、これは適切な指導運輸省として、監督官庁としてあってしかるべきだと思うのですけれども、一言だけ御答弁をお願いいたします。
  46. 早川章

    ○早川政府委員 賃金形態につきまして私どもとしていろいろと、いわゆる限度を超えたような形につきましては、これが適切でないという指導は行っていくところでございますし、また実態的にも、今後考えられます労働力不足というものを想定いたしますと、しかも具体的に言いますと、現在におけるタクシー運賃水準というのは決してかつてのような割高なものでないから、したがって、運転手さんが無謀な運転等をしながらより過剰な収入をねらっていく、こういう事態もなくなってきていると考えておりますので、最近私どもがとっておりますような措置等を通じ、もちろん具体的な指導指導としていたしますが、措置等を通じて実効ある改革が図られていくものと期待しているところでございます。
  47. 常松裕志

    常松委員 ぜひ適切な御指導をお願いいたしますが、関連して二つほどお尋ねをいたします。  一つは、実はこの間、労働組合の役員をやっているある友人のドライバーに聞いたのです。今度の運賃改定で労働条件の改善は進んでいますかというふうに聞いたんですね。そうしたら、確かに運賃改定の前に会社が覚書を結んでくれと言ってきた。先ほど局長から答弁のあったとおりの文章の覚書に調印されたそうです。ところが、今度は本格的に労使の話し合いを始めましたら、会社はこう言うというのです。今回の増収原資から空気清浄器をつくる、それから領収証の発行のためのメーター器の改造をするんだ、合計十一万かかる、その十一万円を差し引かなければならない、それを何年で償却するかは、そんなことを組合に言う必要はない、こういう話なんだそうですね。これはもう現実に私が聞いた話です。  もっと別の企業ではこうだというのです。そのほかに会社の施設を改善する。ロッカーをつくったり何かするんだと。それから、社会保険料の引き上げだってやらなければならない、事務員もふやしたい、そういうのも増収部分から差っ引くから、増収による改善どころか赤字になってしまうのだというようなわけのわからないことを言っている会社もあるという、こちらはうわさです。そういう話を聞くわけです。ところが、空気清浄器とかメーターの改造費というのは、これは私はサービス向上のための費用だ、したがってこれは今回の増収分とは別だ、今度の増収分はあくまでも労働条件の改善のための費用に充てるのだという趣旨から、こういうことはあってはいけないということをはっきりひとつ御答弁をいただきたい、これが一つです。  二つ目には、オール歩合制のところではほとんど労働時間の管理がルーズになっている。例えば、タコメーターのかぎをつけっ放しにして、それで八時になったら入れて朝の四時になったら切ってしまえというようなことを指示しまして、それで日報を二枚、タコを二枚持って出庫をさせるなんという話だって聞いているわけです。これではとても労働条件の改善は果たせないわけでありまして、乗車拒否なんかもなくならない。  そこで提案なのですけれども、現状、運輸省と労働省の間の二者通報制度が行われていますね、それにあと警察庁も含めて三者通報制度ですか、こういう三者の連絡制度あるいは通報制度だけじゃなくて、労働条件の問題ですからひとつ労働省にも入ってもらって、運輸省と労働省とで合同して監査をする、東京で言えば関東運輸局と東京の労働基準局が業界に対して合同の監査をする、そういうところまで踏み込むおつもりがないかどうか、この点についてぜひお答えをいただきたいと思います。
  48. 早川章

    ○早川政府委員 まず最初の方の、言ってみますとその他の経費というものを、この際運転手さんの歩合の計算の場合に考えに入れたいというような御趣旨のことでございましたが、私どもとしては今回の増収分を運転手さんにみんな充てていただくということで進めたものでございますし、かつ言ってみますと、今恐らく業界で一番必要なことは労働条件の改善による労働力の確保だ、こう理解をいたしております。  ただ、それについて、施設の状況等からどうしてもというような御議論もあるかと思います。これは基本的に運転手さんの上がりからしか収入がない産業ということで、サービス部門の例えば改善等を行う場合に、運転手さんとの話し合いでそういうものを入れていくという傾向があるというか、そういうふうになりがちなものであるということはよく理解をいたしておりますが、そのような形のものを一気にかぶせていくとか、あるいはさらにその金額が不当であるとか過剰なものを押しつけるとかということであってはならない。それは、言ってみますと会社の利益の方を重視していくという形になりますので、そういうことのないように、具体的なケース等ございましたら十分指導もいたしますし、また報告等を求める際にも そのような対応をしてみたい、こういうふうに考えているところでございます。  それから、今回の措置等にも限りませんが、私ども随時さまざまな監督、監査等をいたしておりまして、また今回特に労働省の方も、労働時間の問題については非常に強い御関心を持って具体的な御指示もございましたし、また今後監督も進めていくという御決意のように承っております。  したがいまして、合同でどうするかということについて私ども今のところ特に考えを持っておりませんし、私どもとしては現在でも、例えば監査した場合に、非常に大きな超勤を行っているような事例が発見されれば労働基準監督署の方に通報するというようなことは随時いたしておりますので、労働時間の監督につきましては労働省になお一層頑張っていただく、向こうもそういうおつもりもあるという趣旨に聞いておりますので、していただきながら、私どもといたしましても、私どもの監査の際に労働時間に違反があるようなことのないように十分側面から指導させていただく、とりあえずこういう建前でいかせていただきたいと思っております。
  49. 常松裕志

    常松委員 局長、それじゃ困るのです。テレビで見ても、とても労働条件はよくなると思わないというふうに現実にドライバーの方が言っているわけです。特に組合のないようなところのドライバーの方は、やはりそういう不安を持っているわけです。それがたくさんあることはもう局長も御存じのとおりですから、やはり一歩踏み込んで、監督官庁として、今回の運賃改定の趣旨と全然違うようなことが行われることが十分予想される業界体質がありますから、相互連絡じゃなくて一緒にやる、それをぜひひとつお願いしたい。  それからもう一つ、今の答弁の中で、あいまいですから確認をしておきます。空気清浄器とかメーターの改造なんかの費用は、今回の運賃値上げの増収分の中からは差し引かせないということは、これは局長、ひとつはっきり答弁してください。こういうことをはっきり答弁してもらうことが、組合のないところで今後経営者側と従業員の代表が話し合っていくときに非常に大事なポイントになりますから、ここははっきり答えてください。
  50. 早川章

    ○早川政府委員 まず労働省との関係でございますが、私どもとしては十分連携をとりながら、先生指摘のような、今までやってないじゃないか、あるいは今までうまくいってないじゃないかというようなことにならないように、これは十分心したいと考えております。  それから、いわゆるサービス改善分と申しますか、空気清浄器等の問題につきましては、基本的にはそういうことになってはならないと考えております。  ただ、今回の査定でも多少、そういった要素が全く数字的に入ってないかといえば、それは入っていないわけではないのです。例えば、空気清浄器のうちのごく一部、そういう単価あるいは償却費等の計算が入ってないとは言いません。したがいまして、今回一気にそういうものをみんな組合側の方に、収入もふえることだから大いにみんな出してもらいたいというようなことはまことに遺憾だと思いますし、私どももそういうことがないようにいたしますが、部分的にどうしても改善を図らなければいけないというような要素、あるいは償却費等が見れないということではないと考えております。
  51. 常松裕志

    常松委員 その点については異論もありますけれども、今回の趣旨はそういう趣旨ではありませんから、ぜひその趣旨で御指導するということをお約束いただきたいと思います。  最後に、障害者割引制度についてお尋ねをいたします。  この間、朝日新聞に障害者の方の投書がありまして、ドライバーの方に迷惑をかけるような気がするので実際にはあの身障者割引制度は使えないんだ、こういう投書が出ていたかと思います。したがって、本来の趣旨に沿った運用にするために二つのことがございます。  第一に、この割引の一〇%は水揚げから差し引かせない、この分はドライバーの負担じゃないんだ、全部会社の負担なんだということを、これは東旅協が今そうやって通達を出しておりますけれども、しかしこれはきょうの御答弁の中でやはりはっきりさせていただきたい、これが一つ。  二つ目には、運賃割引制度の申し入れ書をドライバーに書いてもらっているのが現状です。これですと、狭い道路なんかに行ったときに後ろからクラクションをプッププップ鳴らされてなかなか出せなくなっているわけですね。したがって、今のやり方を改めて、身障者の方々にあらかじめ適切な枚数を配ってほしい、そしてその方々が行き先なり料金だけを記入してドライバーの方に渡す、こういうやり方に改めていただきたいというのが二つ目です。  最後に、もうちょっと進んで申し上げますと、ドライバーの方々と障害者の方々とが本当に緊密になるということが大事だと思うのです。そのためには、私の選挙区の国立とか東大和では、タクシーの方にタクシー乗車券を渡していますけれども、その御苦労に対して一枚百円の手数料を交付しているのです。こういうことによって一層親密感が増してきているという実績もありますから、こういう教訓も踏まえて、今後一層この充実を図っていくという点についての御回答をいただきたいと存じます。
  52. 早川章

    ○早川政府委員 まず身体障害者の方の割引、この負担は、言ってみれば運転手さんが自分の歩合の中で考える、そういうことでは全くないということでございまして、これはもちろん事業主の御負担、こういうことではっきりさせていただきたいと思います。  ただ、利用手続につきましては、これは実は今回初めて行った仕組みでございまして、大変項目が詳細であるとかいろいろお使いにくい点があるということは私も御指摘のとおりだと思っております。項目を減らすとかそういうことで利用しやすいような形で、ねらいといたしております身体障害者の方の割引というものがよりきちっとスムーズに行われるような工夫について指導をするというようなことをさせていきたいと考えております。
  53. 常松裕志

    常松委員 終わります。ありがとうございました。
  54. 田名部匡省

  55. 緒方克陽

    緒方委員 それでは早速質問に入らせていただきます。  実は、運輸省は昨年からの新しい事業として、物流ネットワークシティーという構想を始めたわけでありまして、昨年が調査、そしてことしはいよいよ実施の段階ということになったわけでありますが、幾つかの問題もあるようでございまして、ことしからの実施が、果たして本当に十分に予算まで使うことができるのかどうかということでは非常に問題もあるような気がいたします。そこで、この物流ネットワークシティーの取り組みの現状と今後の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
  56. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 物流ネットワークシティー構想につきましては、平成元年度、つまり昨年度におきまして全国十五のモデル地区で調査を行いまして、ことしの四月にそれぞれ各地における調査結果を取りまとめたところでございます。  これを受けまして、今年度は事業化の可能性が高いと判断された地区を中心に、事業化の推進に向けた各地における協議調整機関の設置あるいは用地の選定、その取得の方法等現実的な実施計画の策定等、事業化へのステップを踏むこととしております。現在幾つかの地区におきまして先ほど申し上げた協議調整機関を設置したり、あるいは関係自治体におかれましてそのための予算を計上されているところでございます。
  57. 緒方克陽

    緒方委員 そういう中で、佐賀県の鳥栖地区の物流ネットワークシティーというのが第一号ということで、先ほど言われました具体的な事業として進めようということで作業が進んでいるわけであります。  そうはいいましても、事業主体の形成についても用地の取得についても非常にいろいろな問題があるということでありまして、時間がかかりそうな気がするわけでざいますが、第一号に指定されました鳥栖における進捗状況と、問題点もかなりあるというふうに聞いておりますが、その点は一体どういうふうになっているのかということについてお尋ねをいたします。
  58. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいまお尋ねの佐賀県の鳥栖地区でございますが、これは調査をいたしました十五地区の中では一番熟度が進んでおります。したがいまして、鳥栖地区におきましては、鳥栖市を中心にいたしまして近々関係者を網羅しました基本計画策定委員会等を設置することになっておりまして、鳥栖市におかれましてはその基本計画策定のための予算も計上をされており、着々と準備が進んでいるというふうに承知をしております。  ただ、今後その事業化に当たりましては、御指摘のように、土地の取得の問題あるいは土地利用計画の見直し等いろいろ解決を要する課題が生じてくると考えられまして、この点につきましては、鳥栖市あるいは県当局を中心に関係自治体に御努力をいただくことを期待していますが、運輸省としましてもできるだけの御支援をしていきたいというように考えております。  それから、資金面の方につきましては、平成二年度予算におきまして、全国の中で鳥栖地区をその第一号として、事業化に向けて所要の資金を予算上計上しておりまして、NTT無利子資金の貸し付けを三億円、それから開銀融資十四億円を準備しておるところでございます。
  59. 緒方克陽

    緒方委員 いよいよ事業化ということになるわけでありますが、先ほどもお話がありましたように大変問題もあるわけであります。運輸省の昨年度の構想から具体的に第一号としてスタートするわけでありますから、いろいろな意味運輸省としても支援協力体制を、みずからの仕事でもありますので、ぜひ連携を密にしながら、この事業が円滑に進むように努力をお願いしたいというふうに思います。  警察庁おいででしょうか。——実は前回も質問いたしましたけれども、より具体的にこの際確認をしておきたいということでございまして、高速道路における自動車教習の問題ですが、三点お尋ねいたします。  まず二点だけ確認ですが、一つは、高速道路における自動車教習はあくまで本人の希望があったときのみ実施するということが一つと、二つ目に、高速道路上の教習中に発生した事故の責任は運転者にあるということで確認をしたいのですが、以上二点についていかがでしょうか。
  60. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えいたします。第一点の御質問の件につきまして、高速教習は任意かどうかという御指摘だろうと思いますが、通達でもはっきりとさせておりますとおり、教習生のうち高速教習を受講したいと希望する者に対して行うということでございまして、任意教習と御理解いただいてよろしいのではないかと思います。  二つ目のドライバーの責任の問題でございますが、高速教習を今回行いますに際しては、運転免許証を取得している者あるいは卒業検定を終了した者ということでございまして、一義的にはその車を運転するドライバーが責任を有するものと理解しておりますが、ただ、全部が全部かということになりますと、それぞれの具体的な状況その他がございますので、その辺から判断される場合もあるのではないか、ただ、一義的にはドライバーの責任であるというように理解しております。
  61. 緒方克陽

    緒方委員 今のようになりますと、具体的状況によってはドライバーの責任じゃない場合もありますよという状況が出てきたときに、一体任意の教習が今の体制でいいのかどうかということで問題になりますので、きょうは時間がありませんから、それは後ほど議論をさせていただきたいというふうに思います。  次に、高速道路における教習の実施の中で、これを行わない場合ということで先日も質問したのですが、より安全性を明確にするという立場から、悪天候、路面等の状況が初心者の運転になじまないときということで通達は出ているわけでございますが、これをさらに、警察による速度制限とか、それから道路公団が警報を発するわけでありますが、そういうときには講習を行うべきではないということで、指導の通達の中に明確に入れるべきだというふうに強く思うわけでございますが、その点についてぜひ入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 滝藤浩二

    滝藤説明員 御指摘の点、前回の御示唆といいましょうか御指示もいただきました。各県の公安委員会を通じまして、それぞれの実情、要望等を今集めておりまして、御指摘の点も含めて一層具体化する必要があるかどうかということで、検討を急ぎたいというふうに思っております。近々全国的な会議等もございますので、さらに詰めを行っていきたいというふうに考えております。
  63. 緒方克陽

    緒方委員 それではその検討の際に、より具体的に入れていただくように要望しておきたいと思います。  それから、これは道路公団にお尋ねでありますが、高速道路の鳥栖ジャンクションの総合的活用と鳥栖インターチェンジのバス停の問題ということで、建設省道路公団にお尋ねをいたしたいと思います。  佐賀県の鳥栖市は、九州縦貫道と横断道が交差をする交通のいわば要衝でございまして、東洋一のクローバー型のジャンクションがあるわけでございます。先ほども質問いたしましたように、そういう地域に今回物流ネットワークシティーの構想なり、もう具体的に進むということでありまして、いろいろな交通の要衝としてのこれからの発展があるわけでございます。  そんな中で地元では民間団体が中心になりまして、いろいろな検討委員会ができまして、このジャンクションを活用してのこれからの交通百年の計というものをつくるべきではないかということで、非常に積極的な提言その他も出ているわけでございまして、これからの発展を考えた場合には、資料も先日お渡しをしておきましたけれども、ジャンクションを活用してのその地域の交通の要衝としての発展というものをより考えるために、そんな意見を十分聞きながら、建設省としてもこれからの建設行政を進めるという意味で積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、その点についてお尋ねいたします。
  64. 橋本鋼太郎

    ○橋本説明員 高速道路の整備につきましては、多極分散型の国土の形成あるいは地域開発の促進、そういう観点から非常に重要だと認識しております。そのため、その整備を積極的に進めております。さらに、その際には地方自治体等とも十分調整を図って、地域開発も勘案しながら計画策定をしております。また、関連する道路網の整備についても十分調整して実施しているところでございます。  さらに、お尋ねの鳥栖市におきます本構想につきましては、地元自治体等からその内容を現在のところまだ十分は聞いておりませんが、今後その具体的な内容を十分聞いた上で、関係機関と相互に十分調整をして、必要に応じまして関連道路等の整備について検討してまいりたいと考えております。
  65. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、ぜひそういうことで御検討をお願いします。  そこで、このジャンクションと並んでインターチェンジがあるわけであります。なぜかここにあります高速が、縦貫道も横断道も随分バスも通っているわけでございますが、幾つかの理由があったわけでありますが、バス停がないということで、その委員会ではぜひバス停を——バス停があるのだけれども使われてないということで、ぜひ使うようにしてもらいたいというような要望が先日全体としてまとまっているわけでございまして、私もそういう意味ではこの要望というのは実施をされるべきではないかというふうに思います。  これはバス会社の協力とかいろいろ複雑な問題 も、クローバー型でございまして、一たんおりてということで、大変いろいろな技術的な問題もありますけれども、それは時間的に調整をすれば何とかできるということでございまして、道路公団としても、バス会社あるいは自治体とも連携をとりながら、このことについてはぜひ早急に関係機関と協議して実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 杉山好信

    杉山参考人 お答えいたします。  一般的には、高速道路のバスストップの設置に当たりましては、有効な運用が図られますように、アクセス道路とかあるいはアクセス手段等の一体的な調査検討が必要であるということは十分御承知と思うわけでございますが、このために私どもといたしましては、地元自治体とかバス事業者あるいは関係する道路管理者、こういった関係機関で寄りまして協議会を設置する等、このバスストップ利用に関する総合的な調査検討を行うということは一般的にやっておるわけでございます。  御質問の件につきましては、現在バスストップのスペースが国道三号線に接続しております鳥栖インターに併設して確保されております。そういうことでございますので、この利用につきましては、地元自治体が主体となられまして、関係バス事業者と協議されるよう私どもも協力してまいりたいと思っております。御質問ありました事柄につきましては、現地局から地元自治体に伝えまして、私どもといたしましても積極的に対応してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
  67. 緒方克陽

    緒方委員 ありがとうございました。道路公団はお帰りになりまして結構です。  それで次に、交通事故の被害者救済の問題でちょっとお尋ねしたいと思います。  厚生省の方、おいでいただいていると思いますけれども、実はこれは町村職員の共済が自賠責も含めて一括請求ができないということで問題を指摘いたしまして、厚生省としては、被害者救済の立場から関係の団体に指導してまいりたいということで回答をいただいておりましたが、いろいろ体制問題もあると思います。しかしこれは、その共済組合としてもやることがみずからの力をつけるということにもなるということでありますのでぜひやっていただきたいと思いますが、その後の話し合いの状況といいますか指導の状況についてお答えをいただきたいと思います。
  68. 浅野史郎

    ○浅野説明員 お答えいたします。  前回、十一月だったと思いますけれども先生から今のような御指摘がございまして、私どもが所管しております町村職員共済組合でやっております自動車共済につきまして、自賠責と一括請求ができるようにということで、前向きに検討するように私どもの方として指導をさせていただきました。  それを受けまして、町村職員共済の方でも前向きに検討を今しておりますけれども、今ちょっとお話がございましたように幾つか問題がございまして、損害を査定する能力というのが各職員にないと共済として乗り切れないという問題、事務処理の体制もございます。それから、一時的に資金を立てかえるということになりますので、各県ごとの共済でそういう資金をプールしておかなければならない、これは全国的にいきますとかなりの額になる。そういったような問題がございますけれども先生のせっかくの御指摘でございますので、町村共済としても前向きにぜひ検討したいということで、今鋭意検討中でございます。
  69. 緒方克陽

    緒方委員 時間もかかるかもしれませんが、ぜひこれからも十分話し合い、指導していただいて、早急に、なるべく早く実施できるようにしていただきたいと思います。厚生省の方、もう結構です。  そこで、総務庁にお尋ねいたします。  実はここに「交通事故紛争処理センター」というビラがあるわけでございますが、宣伝物です。ここには「交通事故にまきこまれた方は、被害者でも加害者でも、気軽に当センターをご利用ください。」ということで「気軽にご利用ください。」というふうになっているのですが、前回の委員会で、沖縄などは来ようにも来れないではないかということで、総務庁から、今の段階では出張などは考えていないけれども、今後いろいろ検討したいということで話がございました。  実はその後もセンターの責任者の人ともお話ししましたが、私どもの方はここに書いてある八カ所でしか対応しないのですというようなむちゃくちゃな言い方もあったわけでございます。そうであれば、気軽に御利用くださいなんという、こんなビラはつくるべきではない。おいでいただける方はおいでくださいということで、これは看板に偽りありじゃないかと私は思うわけでございまして、そういった苦労をされている人にいろいろ宣伝をするのであれば、あまねく対応するというのが当たり前のことじゃないか。できないならできないというふうに言ってやればいいわけだけれども、そうでないということについては、宣伝としてもPRとしても非常に問題じゃないかと思います。  何らかの形でこの問題についても、沖縄というのは本当に長い間いろいろな意味で、復帰もおくれて問題もあるわけでございまして、対策をすべきだと思うのですが、何らかの方法はないのかということについて総務庁にお答え願いたいと思います。
  70. 内藤勇

    ○内藤説明員 お答えいたします。  交通事故に係る被害者の損害賠償問題あるいは生活福祉問題の相談の取り扱いにつきましては、先生御案内のように、昭和四十二年度から各都道府県、そして各政令指定都市の交通事故相談所に対しまして国庫補助を行いまして、全国の被害者救済の一層の充実を図っているところでございます。  先生指摘の財団法人交通事故紛争処理センターの件でございますが、センターそのものは民間団体でごさいまして、一定の限られた予算、資金の枠内で、かつ一定数の弁護士の協力を必要とします和解のあっせん業務を行うとすれば、どうしても全国の箇所数が限定されることについて、現段階においてはやむを得ないものではないかと考えているわけでございます。したがって、先生指摘の沖縄県等の遠隔地における対応につきましては、最寄りの交通事故相談所の活用をお願いしたいと思っておるわけでございます。総務庁といたしましても、交通事故相談所に対しまして、被害者救済に向けて一層の努力を行うように指導してまいりたいと考えているわけでございます。  それから、先生指摘のセンターのパンフレット等について、もし誤解を生むような表現があるとすれば、私どもの方からセンターに対してその旨注意を喚起したいと思っております。
  71. 緒方克陽

    緒方委員 パンフレットどおりにやってくださいと言っているわけであって、パンフレットを修正しなさいとは言ってないわけでありまして、何らかの形の検討ということについては、きょうは時間がありませんから、別の機会も含めてまた具体的にお話をさせていただきたいと思います。  次に、トラックの排ガスの問題で、特に高速道路の料金徴収所の徴収員の方の健康問題でずっと取り上げてまいりまして、何とか対策を立てなければならぬということで一定の作業も進められたようでありますが、その結果と、それから現在、そうはいっても、さっき不正改造車の話がありましたけれども、非常に大きなトラックが、本当は今まで三十度がどうも二十度に今度なるらしいのですが、真横に出すというようなことで、大変な御苦労をされている料金所の徴収員の方、それから一般通行者の方、そんなものを考えた場合に、運輸省としてはもっとそういった対策を強めるべきだと思うのですが、運輸省の方からお答えをいただきたいと思います。
  72. 松波正壽

    松波政府委員 お答えをいたします。  先生お尋ねのトラックの排気管の開口部の向きにつきましては、昨年五月の先生の御指摘もございまして、日本自動車工業会に調査検討を指示したところでございまして、その結果を十二月にもらっております。  既に内容については御承知でございますから割愛をさせていただきますが、運輸省といたしましてはこの報告をもとにいたしまして、本年二月に、こういった問題を直接取り扱うところの車体架装メーカー団体でございますところの日本自動車車体工業会に対し通達を出し、本報告の趣旨を踏まえた対応を図るよう同工業会会員の指導方を要請いたしたところでございます。あわせて、我々の地方組織でございますところの地方運輸局にもこの旨連絡をいたしたところでございまして、今後は両工業会の対応状況を十分見守りながら、運輸省といたしましても排気管開口部の向きの改善につきまして指導をしてまいりたいと考えております。  それから、先ほど不正改造防止の問題についても触れられましたが、我々もなるべくわかりやすいパンフレットをつくりながら、この問題についても現在鋭意取り組んでいるところでございます。
  73. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、そういうことでぜひ精力的に取り組んでいただきたいと思います。  時間が参りまして、最後です。JRのサービス向上についてお尋ねをいたします。いろいろJR問題も議論されておりますが、きょうはトイレの問題であります。  委員会でもいろいろ議論をされておりますが、開放式のトイレは衛生上の問題からタンク式にするということでいろいろ努力もされているようでありますが、今、バスとの競争の関係で、バスも長距離はだんだんつくようになったということからいたしますと、鉄道もそれなりに負けていられないというようなことも出てくると思います。そんな意味で、バスとの競争上からもトイレをつける、あるいは開放式をタンク式にするというようなことについて積極的に指導すべきだと思いますが、その点についてが一つ。  時間の関係で一緒に言いますが、そんな関係でいいまして、実はJR九州に筑肥線という路線があるわけでありますが、五十八年に福岡と地下鉄乗り入れをいたしました。四十二・何キロあるわけですが、これが、トイレがあったのですけれども、結局地下鉄に入るということでトイレがなくなっちゃった、とても大変だということでいろいろ声が出ているわけであります。東京とかそういうところの列車間合いの密度があるところならいいのですけれども、今は三十分に一本くらいになったのですが、それでも非常に問題だということで、地元では、あったものがなくなった、それからバスとの競合関係、それからサービス向上という意味では、ぜひタンク式ということで検討してもらいたいという強い要望があるわけでございます。その辺についてぜひ対応していただきたいと思います。  以上、二点についてお答えいただきたいと思います。
  74. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JRの列車のトイレの改善につきましては、沿線住民の環境対策の面からも、旧国鉄時代から、開放式トイレを、タンク式にあるいはカセット式にするよう指導してまいったところでございますが、いまだに三千六百両ほどの車両が開放式トイレのままでございますので、今後とも改善していくように順次JRに対して指導していきたいと思います。  また、今先生指摘の筑肥線につきましては、これが電化され、地下鉄と直通乗り入れになった段階において、従来トイレつき車両だったものがトイレなしになりましたが、全体的なサービス改善の中では、現在JR九州として筑肥線の列車本数の増加に力を入れております。トイレにつきましては、時間あるいは旅客の動向等を今後見まして、慎重に対処したいと考えております。
  75. 緒方克陽

    緒方委員 いろいろ申し上げたいこともありますが、後の人が時間が足りないということでありますので、四分ほど譲りまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  76. 田名部匡省

    田名部委員長 速見魁君。
  77. 速見魁

    ○速見委員 まず私は、コンテナ運送、ダンピングの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず初めに、基本問題でございますので運輸大臣にお伺いいたします。  昨年の物流二法改正の折りに、適正な原価を下回る運賃の収受等不公正な取引を防止し、貨物運送業者とその荷主及びそれぞれの団体相互の協力体制の確立のもとに云々ということで、附帯決議が実はなされております。要するにこのことは、不当なダンピングを防止し、輸送の秩序を保つという基本であろうかというぐあいに理解をするわけであります。  そこで、この資料でありますけれども、これは運輸省の方はお持ちだと思いますが、海運内外大手十社が、認可料金の七〇%、これを陸送運賃という形の中で協定をいたしまして出している。そしてしかも、それはEQルールという名称のもとに出されておるわけでありますが、ほかにも港運関係ではダンピングが横行しておるという現状の中で、このようなダンピングにつきましてどのような御所見と今後の改善策を持っておられるか、まず運輸大臣の方にその基本的な御所見をお伺いしたいと思います。
  78. 大野明

    大野国務大臣 お尋ねの点でございますが、現在の我が国の経済状態からいってかなり改善された部分はございます。しかし、すべてが適正に収受されているかどうかは御指摘のとおりでございまして、大変に残念に思っております。  それと同時に、現在の我が国の現況を見ますと、各界、各業界においても人手不足というものが大変深刻でございます。またこれも時短とかそういうことを考えると、これから先真剣にもっともっと取り組まなければならない問題と思っております。  いずれにしても我が国の経済あるいはまた国民生活を支えるためには、この物流関係業者の方々、あるいは従業員の方々の力なくしては今日のような繁栄はもたらせないわけでございますから、十分考慮をいたしております。その点事業者に対しましても当然自覚を促すと同時に、これはやはり荷主の方もおりますから、そこら辺にも大いに啓蒙して適正に行われるように指導していきたいと考えております。
  79. 速見魁

    ○速見委員 大臣、具体的にこの点はお願いを申し上げてひとつぜひ約束をしてもらいたいと思うのですが、この海運大手十社のEQルールというのは、要するに七〇%の基本運賃を記載し、認可料金を外にペン書きで書いておる。この十社がカルテル協定を結んで各事業者に渡しておるのですよ。そういうために末端の陸運業者はやはり運賃料金の七〇%で仕事をさせられている。そういうことで非常に経営も苦しいし、また従業員の改善もできないという苦しい状況になってきています。このことについては、こういうことがあるということを御理解していただいて、ぜひひとつ調査をやっていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。     〔委員長退席、森田委員長代理着席〕
  80. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいまお尋ね海運同盟のEQルールといいますのは、御承知のとおり船会社が何らかの都合で予定しておった港でない港に船を着けました場合に、結果として陸上運賃が変わってくるということで、その場合のふえた荷主負担の陸上運賃を海運同盟と荷主の間で調整をするための規定でございまして、直接にはトラック事業者と荷主との間の運賃の収受を定めたものではございません。  ただ、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、トラックの認可運賃の収受が必ずしも十分に行われておらないということは私ども十分認識しておりまして、本件につきましても、トラック事業者が完全な運賃収受ができないという実情にあることは認識をしております。したがいまして、どのような状況にあるか、これは私どもでも調査をしたいと思っております。
  81. 速見魁

    ○速見委員 今荷主とそれから貨物運送業者との関係じゃない、こう言われました。そうであれば船会社大手十社がわざわざ陸上運賃の料金を設定する必要はないんじゃないですか、その点どうで すか。要するに荷主と海運業者の取り扱い関係であれば、船会社大手十社が陸上運賃はこうしなさいというわざわざカルテルまでつくってそういう関係者に、荷主にしても陸運業者にしてもこういうものを出す必要はないじゃないですか。
  82. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  北米の復航同盟、アメリカから日本に向けての輸送でございますが、復航同盟のEQルール、イコライゼーションルールと言いますけれども、それについてのお尋ねでございますので私の方からお答えしたいと思います。  これは今寺嶋局長からもお答えいたしましたけれども、何らかの事情によりましてBL、船荷証券上の揚げ地港と実際の揚げ地港とが異なるということがございますが、そういう場合に、荷主が実際の揚げ地港で貨物を引き取った場合の荷主と船社との間の海上運賃を精算するためのルールを定めたものでございまして、寺嶋局長からも御説明ありましたとおり、別に荷主とトラック事業者との間の陸上運送の運賃水準を定めたものではございません。精算のルールでございますので、船社がこういう海上運賃の精算方法を定めること自体については、別段問題はないと我々は理解をしておるわけでございます。
  83. 速見魁

    ○速見委員 しかし、これは完全に道路運送法違反じゃないですか。
  84. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 道路運送法上の認可運賃、これは荷主とトラック事業者との間で授受される運賃の水準の問題でございますから、本件イコライゼーションルールのように海運同盟と荷主の間の精算のための規定、これは直接には認可運賃の問題ではないと考えております。実際の問題は、どのような運賃が荷主からトラック業者に払われるか、そこにあろうかと思います。この点につきましては、私どもとしては、道路運送法上の認可運賃が守られなければならないと思っておりまして、そのような観点から調査をしたいと思っております。
  85. 速見魁

    ○速見委員 実質的に七〇%の運賃で結局強要されておるわけです。だから、今言われるように、そういうことについては、例えば直接的な道路運送法違反ではないということがあったにしても、これは実際的に日本の国内法、道路運送法で運賃、認可料金が決まっておるわけですから、これは適正にそれに戻すように関係船会社、この十団体に対してもそのような指導を進めていくのがやはり運輸省としての責務ではないかと思いますが、その点を再度お尋ねします。
  86. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 冒頭に大臣から御答弁申し上げましたように、私どもとしては、従来トラック事業者が認可運賃を適正に収受するように監査等を通じて強く指導してまいったわけでございます。本件の海上コンテナ輸送につきましてかなりの認可運賃割れのケースがあるということを伺っておりますので、この点について、大臣が申しましたように、関係者等の理解を得ながら適正な収受が行われるように指導してまいりたいと思っております。
  87. 速見魁

    ○速見委員 それでは、要するに本日付で恐らく海コンの関係業者からの申し入れが運輸大臣に来ると思いますけれども、実際的にそれを実行しておる陸運業者の人たちがもう告発みたいな形で、思い余ってやっているのですよ。この点についてはぜひそのように理解をして、適切な指導をお願いしたいと思うのです。  同時にもう一つ、これはおわかりだと思うのです。私が言っているのは「EQルール適用申請書」という書類なんです。この中には「船社保存用」あるいは「荷主保存用」、しかも「船会社経由用」、こういうぐあいに五枚つづりの形で複写式になっているのですよ。このEQルールという形の中で、先ほど言われたように荷主と陸運業者だけの問題じゃなくして、実際的にこのことが陸運業者にも荷主までもこういうルールで申請をいたしなさい、そして裏には請求書となっているのでしょう。全部ここで初めからダンピングを強要されておる。これはもう明らかに独禁法にも違反するのではないかというふうな感じが私はするわけでございますけれども、その点いかがですか。
  88. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  先生御存じのとおり、海上運賃等に係わる協定につきましては、海上運送法第二十八条の規定によりまして独禁法は適用除外になっておりますので、独禁法上の問題はないと理解いたしております。
  89. 速見魁

    ○速見委員 私は、海上運送法で独禁法と言っているのじゃないのですよ。実際のところ船会社が結局陸上運賃の料金まで、要するに公示料金を三〇%割った七〇%をさせようとすることを問題として言っているわけでありますから、この点についてはきょうは時間がございませんから終わりたいと思います。  最後に、今申し上げました観点については非常に重要な課題だと私は考えています。船会社、内外十社がそういうようなEQルールというカルテルを結んで、要するに弱小の運送業者、こういう人たちが実際的に決められた料金、しかも海上コンテナでありますから、これは特別の料金として決められていますそういう海上コンテナの輸送に当たって十分な収受ができないということは、経営の不振、そして労働者の改善にもつながってくるわけでございます。  これはぜひひとつ両局長、大臣、十分ここら辺は、先ほどから物流二法の問題もありました、そしてタクシー運賃の問題等もございました、やはり零細企業の育成と、それから労働者の保護のためにもぜひこういうものについての改善を強く要望をしておきたいと思いますが、ひとつ大臣、その所見だけをお聞かせ願いたいと思います。
  90. 大野明

    大野国務大臣 我が国の経済を支えるためには、そういう方々にそういうようなことがあるということがあれば改善していくということは大切でありますし、また私も労働大臣経験者でございますから、勤労者諸君の気持ちを十二分に理解しておりますので、その点も含めてやっていきたいと思っております。
  91. 速見魁

    ○速見委員 終わります。
  92. 森田一

    ○森田委員長代理 上野建一君。
  93. 上野建一

    ○上野委員 私は、二十日正午前後に起こりました米空母ミッドウェーの爆発火災事故について、東京湾の海上の安全対策の上からも極めて重視をすべき問題だと考えますので、質問をいたしたいと思います。  まず、外務省にお伺いいたしますが、外務省にこの連絡があったのは何日の何時だったか、まずお答えをいただきたいと思います。
  94. 森田一

    ○森説明員 本件の事故につきまして外務省の方に米側から連絡がございましたのは、二十日の午後四時ごろでございます。
  95. 上野建一

    ○上野委員 二十日の午後四時というふうにおっしゃいましたが、事故は正午前に発生をしています。そして、この事故が起きた時間より日本の外務省に通告があったのは四時間たっている。そしてその四時間のそのころというのは、負傷者を横田基地に運んでおる時間なんですね。運び込んだ時間、それと大体一致しているのです。ですから、そこから考えますと、日本への通告、連絡は、負傷者を病院に入れなければならぬので、重傷の人を埼玉県の防衛庁の病院に入れていますね、そういうことで連絡があったのであって、それ以外には米軍は、このミッドウェーからは日本には通告がない、連絡がなかったと考えてもいいのじゃないかと思うけれども、その点はどう考えるべきか、お聞きします。
  96. 森田一

    ○森説明員 一般的に申し上げまして、米側はこの事故の発生につきまして日本側に通報する義務はございません。しかしながら、日本側において大きな関心を有する事態につきまして、米側のこのような事故日本側にできるだけ速やかに連絡すべきことは当然だと考えます。これまでもこの連絡、通報につきましては、そのように運用されてきたところでございます。  今回この事故、詳細まだ明らかではない部分もございますが、およそ十二時三十分というのが一つ事故の発生時点であったということを最初の連絡では得たわけでございます。この事故発生後、 日本側に連絡があるまでに若干の時間を要しているということはございますが、これは先生も御指摘になられました、まず人命救助ということを第一とした負傷者の救助活動あるいは消火活動、被害の拡大防止、事実関係の確認等、このような諸点につきまして最大の努力が払われていたためであると考えております。いずれにいたしましても、今後ともこういう問題につきましては、日米間で連絡を密にしてまいりたいと思います。
  97. 上野建一

    ○上野委員 外務省というのはそういう核搭載可能の空母——私どもはこれは間違いなく核を搭載していると思っています。現に昔も、大分前ですけれども、戦闘機に核を積み込むその訓練中に海の中に落としてそのままになっていますね。そういう事故もあった。これはミッドウェーじゃありませんが、そういう事故も過去にあったわけで、それから幾つかの事故が、このミッドウェーも相当事故を起こしていますね。それから、通常の際ならまだわかるのですけれども、これだけの事故を起こしておきながら通告がないということ自体異常だと外務省は考えませんか。
  98. 森田一

    ○森説明員 ミッドウェーの入港に先立ちまして米側より、このミッドウェーの安全性は確認されている、すべての点で支障なく運航し得る状況にあるということを日本側に通報をしております。  先生指摘の核の問題でございますが、これまでも累次御説明いたしていますとおり、日米安保条約上艦船によるものも含めまして、核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となります。この事前協議がない以上核の持ち込みがないということについては、政府として何らの疑いも有しておりません。
  99. 上野建一

    ○上野委員 外務省、あなたの方はまずおかしいと思うのは、記者会見で明確にしているのは、事故の発生、資材倉庫の辺で煙を出し始めたのが十一時五十分ですよ。あなたの言う十二時三十分というのはもう既に爆発、発火が行われておる、こういうことで、既に時間的にもあなた方の把握が間違っている。米軍が堂々と記者会見をしているのは十一時五十分であるというのに、あなたの方は事故の発生が十二時三十分というのは、これはどういうわけですか。  そういうこと自体もありますし、それから核兵器を事前協議するなんということは米側は全然考えてないですよ。最近のニースでも明確になっているでしょう。米側は核兵器の存在を肯定も否定もしない、そういう建前で一切答えてないわけでしょう。だから日本政府は聞けないわけでしょう。聞けないから、向こうが言わないから核を搭載してない、こういう建前をとっている、それが事前協議だというのは全然おかしいじゃないですか。事前協議なんというのは存在しないのでしょう。どうですか、それは。
  100. 森田一

    ○森説明員 事前協議制度につきましては、安保条約の第六条に関します交換公文及び藤山・マッカーサー口頭了解によりまして、核の持ち込みが行われる場合は事前協議が行われるということは、これは明確であると考えております。  先生指摘の、いわゆる核の存在を肯定も否定もしない政策との関連でございますが、私どもといたしましても、米国が一般的に特定の艦船における核の存在を肯定も否定もしないという政策を有していることは承知しておりますが、米政府が実際にその政策をどのように運用しているかの詳細につきましてはこれを承知する立場にはございません。  これについてあれこれ申し上げることは差し控えたいと思いますが、累次申し上げておりますとおり、米国が日米安保条約及び関連取り決め上の義務を誠実に履行しているということについて日本政府としては確信しております。我が国に寄港する艦船についても、事前協議が行われない以上核持ち込みはあり得ないと考えております。
  101. 上野建一

    ○上野委員 それを議会答弁というのかもしれませんが、余りにも現実とはかけ離れている。あなたは地位協定の課長さんですから、実際は第一線の、一番の重要な場所ですけれども、その課長さんがそういうことをおっしゃるのですから、率直に言って話にならない、こう思います。  そこで、今度の事故の問題との関連で、その原因はどこにあって、そしてもう再び事故を起こす心配はない、こういう確認というのは、だれがどこでやったのですか。
  102. 森田一

    ○森説明員 事故原因につきましては、私ども二十日の夕刻に米側から連絡を受けました際、即刻私ども外務省からアメリカ大使館に対しまして事故の早急なる原因究明を求めますとともに、安全の確認及び今後の安全対策に万全の措置をとるよう申し入れをいたしました。また、その翌日の二十一日午前、日米合同委員会におきまして、またさらに午後には中山外務大臣からアマコスト駐日大使に対して同様の申し入れを行っております。  これに対しまして米側は、我が方の申し出を了解し、早急に原因究明を行い、安全の確認及び今後の安全対策に万全の措置をとると述べております。私先ほど申し上げました、ミッドウェーの安全性は確認され、すべての点で支障なく運航し得る状態にあるということは、ミッドウェーが二十一日の午後入港するより先に日本側に連絡が寄せられております。
  103. 上野建一

    ○上野委員 事故の後、その安全が確保されているかどうか、そういうことについてはアメリカの一方的な発表で、それを日本政府は、特に外務省はうのみにしてそのまま認めているわけですけれども、原因もわからなくて、原因といったって細かい原因を言っているわけじゃありませんよ。どういう場所からどういう形で起こった爆発なのか、火災なのか、そのことも明確じゃない。しかも、当初は爆発と言っておったのに、爆発じゃない、衝撃だというようなことを言っておる。二人も死亡しているし、六名も重軽傷を負っている。二度も爆発しているのに、爆発じゃないというような発言があったり、そして次にはまた認めたり、いろいろなことをやっている。  そのことを見ますと、もう本当に外部から眺めておっても、このミッドウェーの対処の仕方というのは大変問題がある。特に、日本の港に寄港する、あるいはその前に日本の東京湾に入ってくるわけですから、それらのことを考えると、今度の処置については大変手落ちが多いのじゃないか、こう思われます。  まず第一は、その原因について一体どの程度外務省は知っているのか、日本政府は知っているか、その点が第一。  それから、核の搭載があるかないかということを確認したかどうか、その質問日本政府はしたのかどうか、この点が二つ目。  さらに、この結果どの部分まで艦が破損をしているのか、それはいわゆる修理で済むのかどうか、そこら辺のいわゆる被害の実態について、艦の損傷について明確にしているのかどうか、その点をお聞きします。
  104. 森田一

    ○森説明員 まさに事故原因につきましては米側で鋭意調査中の段階でございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、外務大臣を含めましてこの原因の早期究明を米側に求めておる次第でございます。  先ほど先生が御指摘になられました火災あるいは爆発等の関係でございますが、まさに現在そのような関連で米側において調査が行われているところでございまして、ただいま私どもが米側より聴取しておりますところを申し上げますと、以下のとおりでございます。  事故発生直後では、火災ということでございました。これは、実際にこの現場が高温高圧の状態にあったということから内部で火災が発生したのではないかということで、その旨を伝達した、ただし内部で火災が起こっているということを確認していたわけではないということでございます。すなわち、現時点では火災があったというのは必ずしも正確ではございません。なお今後の調査を待つ必要があろうかと考えます。むしろ、高温高圧の蒸気が何らかの理由によりまして漏れ出たという可能性も考えられるということでございます。  爆発の関係でございますが、これも詳細、現在 現場検証を含めまして調査中のようでございますけれども、先ほど申し上げましたような高温高圧の蒸気が狭い部屋に充満した後でハッチを吹き飛ばしたという意味で、爆発という言葉は米側の一つ判断だと考えます。ただし、火薬類等による爆発ではなかった模様でございます。この点についても、最終的には今後の調査の結果を待つ必要があると考えます。  次に、核搭載の有無に関する照会でございますが、私ども、先ほど申し上げましたとおり、事前協議がない以上核の持ち込みが行われないということについてはいささかの疑いも有しておりません。したがいまして、この点につきまして米側に照会はしておりません。  艦の破損の状況でございますが、先ほど申し上げましたとおりの状況でございまして、場所といたしましては第四甲板の応急資材庫内に煙が発生したということが、先生指摘のとおり十一時五十分ごろでございますが、それが最初の時点でございます。状況については最初に申し上げたとおりでございます。
  105. 上野建一

    ○上野委員 あなたの答弁を聞いていると、もうアメリカ軍を守るという立場での答弁に聞こえて仕方がないのですね。日本人の生命財産を守る、大体安保条約というのはそのことのために日本は結んでいるのだと言っているわけです。  ところが外務省は、専らアメリカ軍のために抗弁をしている。アメリカ軍の建前は、核があるということが周知にならなければ核の存在を認めないと言っているのですよ。軍隊の中でそういう指導をしているのです。これはもうアメリカの国内で明らかにされていますよ。それから、疑わしいということで住民がパニック状態になれば、そのときは積極的に認めた方が有利だという判断のときにはやむを得ない、こういう指導をやっておるのですよ。  そういうことですから、あなたの言っているのは事前協議ではないじゃないですか。事前協議をすることになっていたって、向こうが言ってこなければ一切こちらは聞かないというなら事前協議ではないじゃないですか。日本に疑わしい軍艦が入ってきそうになったときに、積んでおるのですか、積んでないのですかということぐらいはなぜ日本政府は聞けないのですか。それほどアメリカ軍に日本の国は従属しているのですか。そんなことないはずでしょう。  結局外務省の、これは日本政府全体の問題でもあるかもしれませんが、事前協議を実行しようとしない態度に問題があるのではないですか。今度の場合も、これは本当に一つ間違うと大変なことですよ。東京湾の真ん中で隣に大型タンカー、LNGのタンカーでもいた場合に、それにもし爆発をしたというようなことになったらどうなりますか。このミッドウェーは横須賀軍港内でも火災を起こした例があるし、それから何度かの修理の中でもう横揺れがしてどうにもならない船なのですね。一九四五年に就航している軍艦ですからもう大変な時間がたって、来年にはこれを廃艦にしようという計画すらある軍艦ですね。そういう船に対して本当に外務省というのは危険性を感じないのかどうか。  私は、日本の国民の立場に立ったら、今の答弁などは大変なことだと思いますね。アメリカの言うこと、軍隊の言うことを何でも聞いている。しかもそれでアメリカは、過去において実際問題は拒否していますよね。フィリピンの貨物船とフリゲート艦が衝突をしたことがございましたね。その際には、事情を聴取しようと思って海上保安庁がその申し入れをしたら、アメリカ軍は拒否をしている。これは全然対等な立場ではないですね。この点はどうでしょう。  海上保安庁にも答弁をいただきますが、まず外務省、その点はどうなのですか。事前協議も実際問題はないと同じだということであるし、それから外務省はアメリカ軍の言いなりで何ら具体的な実態を調べようとしない、こういうことで考えてよろしいですか。
  106. 森田一

    ○森説明員 事前協議の発議の問題につきましては、この事前協議制度は、そもそも米軍の行動に一定の制約を加え得ることを目的として設けられているものでございます。したがいまして、米軍が、事前協議の対象となっておりますある一定の事項につきましてその行動をとろうとする場合に、事前に協議を我が国に対して行わなければならないということを義務づけたものでございまして、このような性格上、米側から提起をするということが建前と考えられます。  したがいまして、これは日本側から米側に対し事前協議を行うという筋合いの問題ではないと考えております。この点につきましては、事前協議に関します交換公文におきまして「日本政府との事前の協議の主題とする。」と定めているところにもあらわれていると考えます。また、日米安保条約は、まさに国家の安全を保障する条約でございます。日米間の強固な相互信頼関係に基づいて運用されるべきものであると考えます。
  107. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えします。  米軍の艦船への国内法令の適用につきましては日米地位協定上の問題でありますので、当庁として有権的に申し上げる立場にはございませんので、お許しいただきたいと思います。
  108. 上野建一

    ○上野委員 海上保安庁も、それもおかしいじゃないですか。それではなぜ事情聴取を申し入れたのですか。何が起こってももうアメリカ軍と何にもできないということなら、あのフィリピンの貨物船と衝突したときは最初から何も申し入れする必要ないじゃないですか。申し入れをして断られているでしょう。断られた事実はあるのですね。
  109. 豊田実

    ○豊田政府委員 私どもとして申し入れたということはないというふうに聞いておりますが……。
  110. 上野建一

    ○上野委員 そんなばかなことないですよ。フィリピンの貨物船との衝突の事故は、それではどういうことなんですか。アメリカ軍と衝突したことはないのですか。では、海上保安庁は何にもやらなかったですか。
  111. 森田一

    ○森説明員 先生指摘の具体的な事例について現在詳細な関連の情報を持ち合わせておりませんので、それにつきまして個別に立ち入って御説明することは差し控えたいと考えますが、今回の事故につきましては、これは米軍艦船における事故でございまして、当然米側がその責任において調査を行うべきものであると考えます。
  112. 上野建一

    ○上野委員 米軍の軍艦の中で起こったことだから日本は知らないというわけにいかないと思うのですよ、これは事故が起こっているのですから。しかも、その事故が起こった後に日本の海域を通って、あの狭い東京湾の入り口を、浦賀水道を通って入ってくるわけですから。そして横須賀に入ったわけですね。そういうことを考えますと、その間に大変なことになりはしないかという心配は当然あるでしょうし、今だってあの中に入っておる軍艦がどうなっているのかということについての心配は当然あるわけでしょう。それに対して今みたいな外務省の答弁では、日本国民のためには何ら役に立っておらない。この事故やその他について安全性は確認できないと思います。  したがって、これは大きくはやはり安保条約にかかわる問題であるけれども、しかし安保条約があっても、今日のような国際関係の中では、安保条約の適用の仕方、運用の仕方もおのずから変化があってしかるべきだと思うのです。それを外務省も海上保安庁も考えておらない、そういうことと思います。  そこでさらにお伺いしますが、まず横須賀の基地を母港化したのは、ソビエトに対する対ソ戦略の封じ込め政策の形で、一九七三年に行われたことなのですね。そこから母港化が始まっています。  そうすると、今ソ連に対する脅威というものがなくなってきている。しかも米ソの間に軍縮が始まっている。アメリカ軍もこの間国防長官が発表しましたように、もう空母も二隻減らして十二にするということを言っていますね。こういう時代に入ってきているのですから、少なくとも安全性にかかわる問題については、安保条約はすぐ変えられないにしても、この海上安全の問題についてはやはり緊急の処置をすべきだ、こう考えますが、 そういうことは考えられないのかどうか、その点は一体どう考えておられますか。海上保安庁の方は、一体今のままで東京湾の安全というのは守れるのかどうか、この辺はどうでしょうか。
  113. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えします。  東京湾の安全につきましては、いろいろな観点から施策が講じられておりますが、特に東京湾の入口であります浦賀水道航路の入航に当たりましては、海上交通安全法に基づいていろいろな措置をとってきております。大変ふくそうした海域でございますが、現在の情報機構等をフルに活用して安全の確保に努めているという状況でございます。
  114. 上野建一

    ○上野委員 豊田次長さん、これは委員会ですから、私はもうちょっと具体的なことをお聞きしたいのですよ。  例えば、緊急処置として、今までの事故の経験を生かすとするなら、まずこの浦賀水道に入ってくる、あそこが一番込むわけですからね、一番事故の危険性があるのはあそこですから。そうすると、浦賀水道に入ってくる軍艦は編隊を組ませない、ばらばらにして通す、編隊を組むと事故が起こる可能性が強いから。時間がありませんから細かいことは申し上げませんが、そういうことは考えておられるのか、今実行されておるのかどうか。例えば、この間の日本の海上自衛隊の潜水艦も、あれも編隊を組んで自分の港に入ろうとしたためにぶつかった可能性が強いですよね。そういうことをやれないのかどうか。  特に京葉工業地帯、それからもちろん川崎、横浜、あそこら辺の大コンビナート地帯、これの危険性を考えると、具体的な処置をやらなければいかぬと思うのですね。LNGなどの巨大タンカーがもうメジロ押しにあそこを通過するわけですから、そこを米軍といえども編隊を組んで、艦隊を組んで通るということはこれはもう極めて危険なことです。しかもその点では、外務省は認めませんけれども、明らかに核搭載の艦船が存在している。そういうことを考えますと、なおさら問題です。  したがって、ばらばらになること、速度を五ノットくらいに落とすこと、そして南下する船を優先することですね。そしてさらには、横須賀に入るのに真っすぐ横切って横須賀に入らないでもうちょっと北上して、この浦賀水道を経過したら北上してから南下をして横須賀港に入る、この点くらいは最低やらないとあそこの安全は守れないというふうに私は思うのです。したがって、そこら辺のところは海上保安庁ももっと積極的に、今日の国際情勢を踏まえ、いろいろなことを考慮すればやり得ることだと思うのです。そのくらいのことをやれなければ海上保安庁の存在の意味はないですよ。海上保安庁、もっと強化してもいいと思いますから、その辺のことはどうですか、考えられませんか。
  115. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えいたします。  東京湾の入航につきまして、特に巨大船と申しますか、長さ二百メートル以上の船舶については、従前から海上交通安全法で入航の通報の義務を課しておるところでございます。米軍艦船につきましても、大きな船につきましては同様の通報をして、いろいろな、例えば進路警戒船を配備するとか、東京湾海上交通センタ!と常時連絡を保つというような指示を行っております。  また、そういう巨大船が、米軍艦船も含めまして航行する情報というものについては他の船舶に対して情報を提供する、それから当然ながら保安庁の巡視船艇というものが航路哨戒として常時行っておるわけですが、そういう手段で安全を確保してまいっております。また、先ほどお話しの、編隊を組まないという点につきましても、保安庁としてその旨を申し入れておるところでございます。
  116. 上野建一

    ○上野委員 申し入れて、保安庁はやりたいわけですね。海上保安庁はそうすべきだと考えておるわけですね。その点は結構ですが、実行されてない、まだそうなっていない。  それから、事前の通過予告をやはり義務づけないと、いつどんなのが入ってくるのかわからないのではどうしようもないですね、そういうことがあると思いますし、それから原子爆弾や核を搭載しておる船は東京湾に入れない、これは当然のことだと思いますが、これも外務省は、向こうから核を搭載していますと言われなければ積んでないと思っている、こういうまことに奇妙な論理、日本人ではないような論理ですけれども、これは話になりません。  そこで、時間がありませんので最後に、運輸大臣、今お聞きのとおりでありまして、こういう国際情勢のもとで、軍縮がどんどん進んでいるような状態の中で、日本の安保条約もとりあえずまず運用を変えなければならぬと思うのですね。今だと一方的なアメリカ軍の言いなりになっているのが現状です。これは事故を起こしてみるとわかるのですよ。前もそうです。何回もいろいろなことがありましたけれども、そういうことが続いている。そうすると、これは大臣、運輸大臣が安保条約の直接の担当ではありませんけれども、これは自民党政府としてこの点について、まずもっと日本の自主性が保てるような運用に切りかえるということが今重要な課題であるし、求められていると思うのです。それをやってもらいたい、それが第一点。  それから、今海上保安庁の次長さんがおっしゃいましたように、艦艇がばらばらになるとか、それから通過の予告をするとか、それから一たん北上して水道を抜けてから今度横須賀港に入る、こういう安全性確保するために必要な措置をとるなど、これはやらなければならない。これは運輸大臣の所管の問題であります。こういうことについて今後積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、大臣は私の申し上げることについて取り上げる意思があるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  117. 大野明

    大野国務大臣 航行安全というものは、米国の艦船に限らず、これはあらゆる船舶に適用しなければならぬということで、海上保安庁も鋭意努力いたしておりますし、今後ともまだ不備な点というものがあればこれまた検討して、十分な対処をしたいと思っております。  前段につきましては、私も内閣の一員ではありますけれども、外務省マターの問題でありますし、運輸大臣としてはお答えできかねます。ただ、委員会でなく、先生と一政治家として、代議士として話し合う機会ならいつでもお待ちいたしております。
  118. 上野建一

    ○上野委員 最後海上保安庁にもう一つお伺いします。  今申し上げたようなことで、大臣については所管のことだけは直ちに取り上げてもらいたい問題でありますが、その内容は、海上保安庁が今申し入れをしている点、それからさらに私が申し上げた点をぜひやってもらいたい。これからもこの点をたびたび要求してやっていきたいと思います。  そこで、外務省に最後に申し上げたいのは、どうも外務省自体が積極性がないといいますか、日本の港の安全あるいは日本人の生命財産を守るという立場に立つなら、まずアメリカ軍の日本への通告、もちろんアメリカ軍が直接するわけじゃないのですけれども、アメリカ大使館からの通告、それがいかにも、四時間もたってから、これだけの事故を起こしておるのにおくれてくるということは、外務省が軽く見られていると言っても言い過ぎじゃないと私は思うのですね。当然、事故があったら日本の病院なりなんなりはみんな役に立っているわけですね。入院したのも日本の病院だし、ほかにも迷惑をかけているわけでしょう。どれだけ迷惑かけるかわからない。  特に、本当に安全性の問題を確認するという立場に立たなければおかしいと思うのです。そこら辺のところはこれを機会に、今度の経験をもとにしてもっと積極的にやる必要があると思いますが、特に当面する第一線の課長である森さんにもう一度その点について、もう少し積極的なことをやる気持ちがあるのかどうなのか、やっぱり今までどおりなのか、そこら辺のところを最後にお聞 きしておきたいと思います。
  119. 森田一

    ○森説明員 日米安保条約は、まさに我が国の安全、極東の国際の平和と安全を維持するという目的を持って締結されているわけでございます。先生指摘のとおり、日本国民の生命財産を守るという、まさにそこに軌を一にするところがあると考えます。私ども、通告の時間の点につきましては先ほど御説明いたしましたとおりでございますが、今後さらに一層連絡を緊密にするよう努力してまいりたいと思います。  また、安全性の問題、非常に重要な問題でございます。外務大臣みずからがアマコスト大使に申し入れているところでございます。今後とも先生の御指摘も踏まえつつ適切に対処していきたいと考えております。
  120. 上野建一

    ○上野委員 終わります。ありがとうございました。
  121. 森田一

    ○森田委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ────◇─────     午後二時三十九分開議
  122. 田名部匡省

    田名部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山中末治君。
  123. 山中末治

    ○山中(末)委員 私は、船舶航行の安全対策及び海洋汚染の防止対策の強化、まずこれについて御質問を申し上げたい、このように存じます。  瀬戸内海は巨大船、危険物積載船を含めた通航船舶数が多く、海上交通の要衝となっていますけれども、その主要航路には狭水道が連なっておりまして、しかも濃霧が発生しやすい気象条件のために海難事故が頻発しています。これらの事故は多量の油流出を伴うことが多く、また船舶からの廃油等の不法投棄は瀬戸内海の環境保全及び沿岸漁業に多大の影響を及ぼしている、これが現状であります。  私が今申し上げていますのは、もう既に政府の方にも届いていると思いますが、瀬戸内海環境保全知事・市長会議からの強い要望書であります。この状況の中で、海難等による油の排出の防止に関する指導及び取り締まりの強化、これが強く望まれているところであります。これの対策をまずひとつ具体的に、手短にお聞かせをいただきたい、このように存じます。  それからその次には、海難等による排出油防除体制の整備確立、瀬戸内海の海上交通センターの拡充整備、あるいはまた廃油等廃棄物の不法投棄による海洋汚染の監視の充実強化、こういう点につきまして今日まで政府が取り組んでこられたこと、これから取り組もうとしていること、強化策、これを具体的に、手短にお願いを申し上げたいと思います。
  124. 豊田実

    ○豊田政府委員 まず最初に、船舶航行一般の安全対策という点について申し上げますと、私ども海上保安庁としましては、その基本はまず、例えば海上における衝突防止のための基本ルールである海上衝突予防法その他の海上交通関係ルールをきちんと周知させるというのが第一点でございます。  また、これに加えまして、今お話しのように瀬戸内海等におきますいろいろな海象・気象の情報とか、航行海域における地形、水深の状況とかいうような情報についてきちんと各航行船舶に伝達するということが第二点でございます。  それからもう一つは、今御指摘のようにふくそう海域の船舶交通の安全でございますが、これにつきましては、海上交通安全法等に基づいて航路を設定し、航路の航行義務であるとか速力の制限とかそういう特別なルールを定めて対応してきております。瀬戸内海におきましても、海上交通センターというものにつきまして、備讃瀬戸地区について既に整備が進んでおりますが、ほかの海域につきましても今後対応していきたいというふうに考えております。  それから、油そのものにつきましてどういう防除体制をとっておるかという御質問かと思いますが、原油とか重油の排出事故が発生した場合に、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律というものがございまして、これに基づきまして、その排出した船舶の所有者等の原因者にその当該油の防除の措置義務が課されております。これらの義務者が措置を講じない場合に、海上保安庁長官としましては海上災害防止センターに指示して防除措置を行わせる、あるいは、さらに状況によっては海上保安庁みずからも行うというようなことで対応しております。このために、全国主要な地区に排出油防除資機材を常時備えて災害に対応してきておるという状況にあります。
  125. 山中末治

    ○山中(末)委員 何か一般論のように聞こえましたが、六月七日にも、これは場所は瀬戸内とは違いますけれども、ノルウェー船籍の貨物船ノーパル・チェリー号が衝突しておりますね。調査してみましたら、昨年一年間で三百七十八隻の船が事故を起こしているのですね。これは原因は何だったのかお尋ねいたします。
  126. 豊田実

    ○豊田政府委員 外国船舶の事故というものが、海難全体として減少傾向にある中でなかなか減少しないということは事実でございます。外国船に対して海難防止のための手段としましては、今ほど申し上げましたように、私ども海上保安官自体が訪船をしていろいろな指導をするということで基本ルールを徹底させるということでございますが、いろいろな気象とか海象の知識が十分徹底してないという面が一つの要素ではないかと思っております。
  127. 山中末治

    ○山中(末)委員 実は私も小型船舶の免許を持っておりまして、新聞を読んだり本を読んだりしますと、法律、規則、そういうものはわかり切っているものばかりなんですよね。それさえ守っていれば余り海の事故は、衝突なんかは起こらないんだろうというふうに思うのですけれども、これはやはりよそ見運転じゃないのですかね。お尋ねします。
  128. 豊田実

    ○豊田政府委員 船舶の事故にもいろいろ要素がありますが、今お話しのように、見張りが非常に不十分であるという要素も一つの大きな要素になっております。
  129. 山中末治

    ○山中(末)委員 ひとつ船舶航行の安全対策、海洋汚染の防止等については厳に頑張っていただきたい、このように思うわけです。  先ほど、そういう事故が起こった場合、特に油の流出の場合、原因者の義務だ、こういうふうにおっしゃいましたね。第一義務はそうですね。それでもどうにもならない場合、これは海上保安庁等も出動していく、こういうことでございますが、これは現場の油が流れてきたときのいわゆる防除についてのお考え方なんですね。  これは同僚議員もほかの委員会質問をいたしましたが、この一月二十五日に、京都府の経ケ岬の沖でリベリア船の船体がクラックが入って油が流出した、このことで保安庁が中心になって随分努力されたという報告は聞いておるのですけれども、この油の事故での海上保安庁の出動等については、これは費用はどこから出るのですか。さっきおっしゃったように原因者が負担をしなければならぬ義務があるというふうになりますと、原因者がその海上保安庁が出動したことについての補償といいますか、経費を支出しなければならないんじゃないかなと思います。そう言いますと、海上保安庁は出動の費用に対して求償権を持っているんだろうな、こう思うのです。その点についてまずお尋ねいたします。
  130. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えいたします。  海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律四十一条の規定によりますと、防除措置義務者がその措置を講ぜず、またはこれらの者が講ずる措置のみによっては海洋の汚染を防止することが困難であると認められる場合に、海上保安庁長官が海洋の汚染を防止するための必要な措置を講じたときは、その措置に要した費用を防除措置義務者に負担させることができるという規定になっております。
  131. 山中末治

    ○山中(末)委員 求償権を持っておられるということですね。  そうすると今度は、水産庁の方も来ていただい ていますか——水産庁も自治省の方も来ていただいているのですが、水産庁としては、地元の被害補償あるいはまた損害賠償等の問題が所管の仕事の中であると思うのですが、これについては、今海上保安庁の方から話がありましたように、その船の保険金の範囲内において損害補償、被害補償等の話ができるとお考えですか。
  132. 吉崎清

    ○吉崎説明員 本件のように原因者が判明している油流出事故につきましては、損害を起こした原因者において賠償することが原則でありまして、国において損害の補てんを行うことは今のところ考えておりません。
  133. 山中末治

    ○山中(末)委員 自治省の方も、地方公共団体が相当力を出して油の被害の排除のために努力したと思うのですが、そういう地方公共団体が出した財政支出についてはどのようにお考えでございますか、お尋ねいたします。
  134. 長澤純一

    ○長澤説明員 タンカーの座礁事故による重油の流出事故につきましては、先ほど来お話のありましたように、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律によりまして、まずその事故を起こした船舶所有者に重油の除去や汚染の防除措置を講ずる義務があり、次に、その船舶の所有者がその措置を講じなかったり、その措置のみでは海洋汚染の防止が困難な場合に、海上保安庁が必要な措置を講じたときは、原則としてその船舶の所有者に費用を負担させることができるというふうになっております。  したがいまして、この種の事故に伴います重油の除去等につきましては、一義的には船舶所有者なり海上保安庁が対応すべきものと考えておりますけれども関係市町村におきましても、地域住民の安全とか地域環境の保全という観点から、種々の対策を講じてこられたものと承知いたしております。  このような対策に要した経費につきましては、以上のような経費の性格から、特別交付税の算定に当たりましては、当該地方団体の財政状況等を総合的に勘案する中で考慮することといたしたところでございます。
  135. 山中末治

    ○山中(末)委員 概要をさっと聞かせてもらったのですが、これの費用額といいますか、地方公共団体なら地方公共団体が出した費用の合計額、それから水産庁の御関係では被害をこうむった魚介類等の被害額、補償をしてもらいたいという対象の額ですね、それから保安庁におかれましては出動に要したもろもろの経費、これはこの三省庁でそれぞれ幾らぐらいになりますか、お尋ねいたします。
  136. 豊田実

    ○豊田政府委員 保安庁としまして、船舶の運行費であるとか人件費等費用が発生しておるわけですが、現在、その費用の具体的な金額はまだ精査中でございまして、金額は確定していないという状況であります。
  137. 吉崎清

    ○吉崎説明員 今回の事故におきましては、流出した油によって残念ながらイワノリなどのいそ根資源に被害が発生いたしました。現地では、京都府漁連及び福井県漁連が中心となって、漁業被害額の取りまとめを行いました。取りまとめました被害額は、漁業損害賠償請求書として弁護士を通じて船主側に提示され、現在交渉中であると聞いております。額につきましては、水産庁は承知しておりません。
  138. 長澤純一

    ○長澤説明員 今回の油の流出事故に伴います地方公共団体の費用負担でございますけれども、かなりの額に達しておるわけでございますが、現在のところ地元でまだ精査中と聞いておりますので、現在の段階では額は確定いたしておりません。
  139. 山中末治

    ○山中(末)委員 大臣、まことに申しわけないのですが、お聞きのような状況です。一月二十五日から六月十二日までかかって、保安庁初め関係各当事者が頑張ってこられた油の流出、これについて、油の流出はとまって船も解体はされたのですが、それは私もよかったなと思っているのですけれども、被害額については今各省庁とも、保安庁は被害額はまだわからないんだ、積算中だ、未発表だ。水産庁の方も、漁運の方は弁護士を立てていろいろ交渉をやっておられるけれども、被害額は承知していないんだ。自治省の方は、特別交付税で対応はしていくけれども、その額については精査中だ、こういうことでございます。  私は、油の流出というのは災害と同じような考え方で対応すべきじゃないかと思っている者の一人です。今の話を聞いていますと、油の被害については、夏になってまた油が浮いてきてどうこうなるかもわかりませんけれども、一応今のところは小康状態を得ている。ところが、損害とかいわゆる財政支出したものとかについては、現在精査中とかいうことで、余り関心を持っておられないように思います。  私は、今のお話を聞いていますと、自治省の方が、特交の要素になるからそれは特交の方で見ていくんだというお話がありました。これはちょっと対応してはるなという感じがするのですが、特交そのものがパイが決まっているわけですから、こういう状況が起こったときに特別交付税で措置しますということになれば、特別交付税をもらえるほかのところが削られていくわけですよね。ですから、どうにもやむを得ない場合の緊急的な措置としてはそういうことに使われるのはやむを得ないと思いますけれども、本質はやはり、こういう災害的なものが起こった場合、制度として確立をしておかなければならないのじゃないかというふうに思うのですが、大臣、そのあたりはどうでございましょう。
  140. 大野明

    大野国務大臣 ただいまの問題は運輸省のみならずほかの省庁とも関連がございますので、また、先生指摘のようにこれは公害としてとらえるというような新しい問題提起でございますので、一度検討するように持っていきたいと思います。
  141. 山中末治

    ○山中(末)委員 時間があれば本当はもう少し詳しくお願いをしたいと思っておりましたが、大臣が今おっしゃいましたし、自治省の方も、特交で処理をしているということだけじゃなしに、地方公共団体がこういう問題で財政支出をやむなくしなければならぬという状況にあるということを踏まえられて、ひとつ今後とも、今年度におきましても何らかの対応を示していただいて、この種の事故が再び発生した場合地方公共団体がもう金がかかってしようがない、もうやめということにならぬように、励ましの意味もありましてひとつ対応をお考えいただきたい。  それから、水産庁におかれましても、話を聞くところでは、魚介類等の油の被害がどうなっているのかということについては、今後の問題について調査をし、それについては一定の枠といいますか、これはちょっとよけて、一定の期間を経てその魚介類等が安全だということを見届けるまではそれを食せないとかいうことも考えておられるようですし、それにかわるべき漁場といいますか養殖場といいますか、そういうものも考えていく、こういうことは既に聞いておるわけですが、そういう制度は現在の制度としてあるわけですね。だから、それはそういう方法で早くやってもらったらいい、このように思うのですが、やはりこの油の被害のときにこうむった被害の補償については、監督官庁としてできる限り被害の弁償、賠償について御尽力、御助言、御助力をいただきたい、実はこのように思います。  一般的に聞きますと、これは船の保険金が出た分だけが分捕り合いだ、普通一般的にはそうなりがちでございますから、そういう面で、地元の漁業等が損害をこうむることを非常に少なくするために一層の御尽力をお願い申し上げたい、このように要望をいたすのにとどめておくわけであります。  それから次の問題でございますが、自動車の車庫法の問題とか、また道交法の改正の問題とか、今国会は車に関する非常に大きな問題があったわけでございますが、この自動車のタイヤの問題でちょっとお聞きしたいと思います。  運輸省の方にお願いしたいのですが、自動車のタイヤが摩耗したら、これは交通事故につながっていくということにもなりますので、タイヤを交換しなければならぬ。この辺で、運輸省としてタイヤの交換等についてどういう指導をされている か、どこまで減ったらタイヤをかえなさいとかありますね、ちょっと簡単にひとつ御説明いただきたいと思います。
  142. 松波正壽

    松波政府委員 お答えをいたします。  今先生指摘自動車の空気入りタイヤにつきましては、安全性確保観点から、自動車構造装置基準を定めております道路運送車両保安基準というのがございますけれども、その中で、亀裂だとかコード層の露出等著しい破損がなく、かつ今御指摘がございましたように、滑りどめの溝の深さが、例えば乗用車についていえば一・六ミリメートル以上のものでなければならない、こういうふうに規定をいたしておりまして、また自動車の使用者は運行前点検とかあるいは定期点検の際にタイヤの溝の深さ等についても点検をしなければならないことになっております。したがいまして、点検した結果、この道路運送車両保安基準に適合していないか、あるいはしなくなるおそれがあるときにはタイヤを交換することになっております。
  143. 山中末治

    ○山中(末)委員 立て板に水でよくわかりました。私が質問しますのはそれから後なんです。そういう御指導をなさってタイヤが車から外れるわけですね。そのタイヤは一体どこへ行くのですか。処理をどういうふうにされているか、これをお尋ねいたしたい。また立て板に水でひとつよろしくお願いしたいと思います。
  144. 松波正壽

    松波政府委員 お答えをいたします。  それから先につきましては、タイヤの行き先はいろいろございますが、大きく分けますと三つかと思います。一つは再生利用、もう一つは熱利用、それから全く焼却廃棄される、そのルートではないかと考えております。
  145. 山中末治

    ○山中(末)委員 これも立て板に水でしたね。全くそのとおりで、再利用が五〇%ある、熱源に利用しているものが約三五%ぐらいあるだろう、その他焼却等が一五%程度あるだろう、こういうことを聞き及んでいるのです。これは、年間に廃タイヤ、破棄されるタイヤといいますか、車から外されるタイヤというのは七百二十トンある、本数にして八千二百万本だ、こう言われているわけですね。その八〇%が、今の御指導あったような格好でタイヤの交換だということですね。それが六千五百六十万本、廃車の分が二〇%ですから千六百四十万本、こうなるわけです。そうすると、一年間にちまたにタイヤが毎年毎年物すごく出てくるわけですね。  それで、これは産業廃棄物だという考え方が実は当局側にございまして、私も十分調べてみたのですけれども、なるほど、車を売る、そのときに廃車にしたものを下取りする、それがどこかへ買われていくという場合、これはいわゆる資源有効利用をしているわけですから、まだ車としての存在があるわけですが、先ほどおっしゃったようにタイヤの交換をされる、するとそのタイヤを交換した人が今度そのタイヤをいわゆる廃棄物として持ってきた場合、これは産業廃棄物かな、一般廃棄物じゃないかなというふうに私は思うのですが、そのあたりはどうでございましょう。
  146. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  廃棄物処理法という法律の中で、先生指摘のようなケースで出されます廃棄物は、廃棄物処理法で言う産業廃棄物に該当するものというふうに考えられております。再生利用に回るものは通常は有価物として流通してございますので、これは廃棄物処理法で規制はなされておらないものでございます。
  147. 山中末治

    ○山中(末)委員 今私が申し上げたものが産業廃棄物という考え方なんですか。ユーザーが、タイヤが減って、そして外したタイヤをいわゆるごみだからということで持ってきたものですね。
  148. 三本木徹

    ○三本木説明員 いろいろなケースがあるかと思いますが、先生指摘のようなケースは、恐らくこれは事業活動に該当する形のものではないかと思われます。その場合には、事業活動から出たものということで、産業廃棄物に該当するわけでありますが、ただ、一般の方々が、通常の市民の方々が自分の自家用車の交換というようなことで出てくるものにつきましては、それは一般廃棄物として扱われるものでございます。
  149. 山中末治

    ○山中(末)委員 そうですね。私もそういう理解をしておるのです。  ところで、そういう理解をして、現場、地方公共団体等がやっているごみ焼却等を見てみますと、先ほど話がありましたけれども、再利用をする場合、例えばセメントをつくるところへそれを運んでいって燃料にするとかいうのが五〇%あるということですが、こういうタイヤを普通の炉で燃やしますと非常に高温になるわけですね。だから、炉のいわゆる寿命といいますか、これが非常に減ってくるのですよ、私も経験があるのですけれども。  一般の、今の三本木さんのお話で一般廃棄物だと言えるというものが集まってきて、それを市町村が処理をしなければならぬというような状況が起こった場合に、炉の中にタイヤを入れますと、これは今申し上げたように焼却といいますか、高熱のために寿命が非常に短くなる。だからタイヤはタイヤで集めて燃やす。そして他の一般廃棄物は一緒に燃やすということにしますと、タイヤの場合は、これは方法はいろいろあるのでしょうけれども、タイヤの蒸し焼きの方法によってはA重油がとれる、こういうことが今言われているのですね。A重油がとれれば、今度はそれをまた燃料にして一般焼却炉等で使える、こういうリサイクルができるわけですね。そういう絵ができる。今厚生省の方から申されたように、そういう一般廃棄物と、たまにちょろちょろとタイヤが入ってくるくらいの程度と、町の実情によりましては一般廃棄物のほかにそういうタイヤが相当入ってくるというとき、これは新しく焼却炉等を地方公共団体が設置する場合は、今でも補助の制度があるわけですね。
  150. 三本木徹

    ○三本木説明員 家庭から出てまいります通常の、例えば紙くずのたぐいであるとかプラスチックのたぐいであるとか、いろいろな形で複合して廃棄物が出てくるものがございます。こういうものにつきましての焼却炉を市町村が整備するということにつきましては、これは市町村の責任のもとで実施される事業でございますので補助制度が現在ございます。ただ、先生指摘のような廃タイヤにつきまして、全国の市町村の中でタイヤだけを始末するというようなことを実施しているケースは私は存じ上げておらないわけでありますが、通常の焼却炉で処理するということは極めて困難なものではないかというふうにお聞きしております。  その意味から通常は、それは市町村のサービスにはいわば入らない形で適正に処理していただくというようなことを、各市町村が関係の事業者にお願いしているというふうな状況があるように存じ上げております。そういった意味で、現在のところタイヤだけを処理するという施設についての制度というものがたしかないというふうに私は存じ上げております。
  151. 山中末治

    ○山中(末)委員 よくわかりました。もしあれば補助制度というものが活用できる、こういうことになりますね。もう時間がきましたので終わりますが、局長おっしゃったようなことでリサイクルも考えながらやっていくとなると、これは燃料がとれますから、一般の廃棄物を混在して燃やすよりはいいんじゃないかというふうに私は思いますので、これは一つの発想なんですけれども、そういう状況が起こり得る可能性もこれからあると思いますので、そういう面については国の方も奨励の意味で国費支弁の対象にしてもらえるような御研究をお願い申し上げたい、このように存じます。  以上、時間が参りましたので、質問を終わります。
  152. 田名部匡省

  153. 草川昭三

    草川委員 草川です。  まず最初に、大臣にJRの労使関係の問題についてお伺いをいたします。  国鉄の民営化が始まりまして、JR各社においても発足三年になるわけでありますが、労使が大変苦労をしながら経営基盤の確立に努力をしてき ておる、こういうように思います。中でもJR東海の場合は、先般第二次労使共同宣言というのを行いました。これは大変なさまざまな問題を乗り越えて宣言をしたと思うのでありますけれども、完全民営化を目指そう、これは特に株の上場ということもあるわけでありますし、また安全の確保、こういうことを大きな目標として労使が協調して当たるとしております。  私も過日この組合の大会に参加をしたわけでございますけれども、新しい本当の努力をしてみえるということで敬意を表するわけでありますが、大臣の評価がどうか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  154. 大野明

    大野国務大臣 JR各社の労使が国民の公共の輸送機関として使命感を持って、また責任感を持って今後の安定した健全経営を行うためには、本当に労使双方の協調というものが一番重要だと私は考えております。  今もお話ございましたように、これから完全民営化に向けて、やはり国民の求めるものが多いわけでございますから、ひとつ安全に留意しながら発展していくように、ますます労使間の健全な話し合い、そしてまた協調のもとにやっていただければ、こんな結構なことはないと思っております。
  155. 草川昭三

    草川委員 大野大臣としては労使共同宣言を評価しておる、こういうことですか。
  156. 大野明

    大野国務大臣 端的に言えばそういうことです。
  157. 草川昭三

    草川委員 大変ありがたい答弁だと思います。  では、今から話題を変えまして、第六次空港整備計画、いわゆる五カ年計画がいよいよ詰めになってくる、こういうことでございますが、今後の策定手順は、時期を含めどのようになるのか、お伺いをしたいと思います。
  158. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 第六次の空港整備五カ年計画の関係でございますが、先生も御存じのとおり、ただいま航空審議会におきまして、その五カ年計画の策定に向けましてのこれからの空港整備のあり方につきまして御審議いただいているところでございます。  これからは、ことしの八月の概算要求時点の前に航空審議会の中間取りまとめをしていただく予定でございます。その次の見通しといたしましては、来年の秋に向けましてさらに航空審議会の御議論を深めていただきまして、それで来年の秋ぐらいの段階で航空審議会の御答申をいただくつもりでございますが、私ども政府側といたしましては、それを受けましてその五カ年計画の具体的な内容を詰めていくということになると思います。  なお、現在行っております第五次の五カ年計画の例からいたしますと、来年の前半に五カ年全体の投資規模に関します閣議了解が行われまして、それから平成三年秋の、今申し上げました航空審議会の答申を受けまして空港整備の第六次の五カ年計画の閣議決定が行われるというふうに考えております。
  159. 草川昭三

    草川委員 三年後半の閣議決定までの大体の展望を明らかにしていただいたわけでありますが、現在の空港整備計画の中でどのような影響をするのかということでお伺いしたいわけですが、日米構造協議というのがいよいよ大詰めになってきております。多分最終報告がもう近い、こういうように考えるわけでありますけれども、この日米構造協議というものが中部新国際空港にどのような影響を与えるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  160. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 日米構造協議の中間報告におきましては、空港関係の事項を取り出してまいりますと、「貯蓄・投資パターン」という項目がございますが、その項目の中で、今後の中長期的な公共投資のあり方、そういう関係の記述がございます。その中で空港が社会資本の一つとして言及されております。  それからまた、もう一つ「流通」という項目がございますが、そこの中の「輸入関係インフラの整備」ということの一つといたしまして、今後の中長期的な国際航空需要に対応するための空港整備、それが取り上げられておりますが、具体的な中部新国際空港の問題につきまして特に触れられておりませんので、そういう意味では直接の影響はないと考えております。
  161. 草川昭三

    草川委員 たしか中間報告の前の一部報道によりますと、その点が報道というのですか、一部記載をされておったやにお伺いをします。三月の下旬でございましたか、例えば空港については中部新空港の建設を直ちに承認し、次期五カ年計画の間に完成させる、こうあったわけですが、その後このようなお話はなかったのかどうか、お伺いします。
  162. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの先生の御指摘の部分につきましては、私どもも新聞紙上では承知しておりますが、中間報告の後にアメリカ側から空港について特段のお話があったということは承知しておりません。
  163. 草川昭三

    草川委員 では、次に移ります。  中部新国際空港について我々は非常に強い要望を持っておるわけでありますけれども、現在行われているいわゆる関空と言われる関西国際空港一期計画があるわけですが、この一期計画をさらに充実してからやるべきではないだろうかという、俗に言う物には順番論、このような意見があるやに聞いております。そういう意見についてどのように承知をしているのか、お伺いしたいと思います。
  164. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど来申し上げましたように、ただいま航空審議会で第六次の五カ年計画の問題に向けましての御議論をいただいているという事態でございますものですから、そういう関係で、今後の空港整備のあり方をめぐってはいろいろな各方面からの御議論あるいは御意見をいただいております。そういう中には御指摘のような御意見もあるということを承知しております。
  165. 草川昭三

    草川委員 そこで、もう少し突っ込んでお伺いしますが、中部新国際空港の課題の一つとして、空域調整が挙げられていますけれども、この問題は第六次五カ年計画における当空港の取り扱いにどのように関係するのか、突っ込んだ意見を賜りたいと思います。
  166. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 中部の新国際空港予定の地域におきます空域の問題でございますが、過日、地元で取りまとめいただきました中部新国際空港基本構想というものがございますけれども、それにおきましても、周辺空域に関します調整というのは重要な問題として取り上げられております。  私ども運輸省といたしましても、この空港の構想がこうした課題を持ったものであるということをよく認識いたしました上で、今後の六次の五カ年計画におきます取り扱い、そういったようなことにつきましての検討を行っていく考えでございます。
  167. 草川昭三

    草川委員 今後の検討課題の一つだ、こういう答弁でありますが、では、この空域問題のほかに調査検討課題としてどのようなものがあるのか、これも具体的に教えていただきたい、こう思います。
  168. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 空域問題のほかの課題につきましても、ただいま申し上げました、地元で取りまとめられました基本構想の中にも載っておりますけれども、主な課題といたしまして、航空需要などから見ました新空港が必要となる時期、それから全体計画を含みます新空港の具体的な建設地点とか形状、気象、地形、地質、環境条件などの現地調査並びにそれを踏まえた空港及び土取り場の建設計画、それから環境アセスメント、事業採算性を踏まえました事業主体とか費用負担のあり方、漁業者など地元の受け入れ体制、アクセスと地域開発、それから現在ございます名古屋空港の取り扱い、こういったような問題があると考えております。
  169. 草川昭三

    草川委員 今、調査検討課題の中に、全体計画を含む具体的な位置と形状という趣旨の答弁があったと思うのですけれども、その調査会の報告等は、滑走路が一本、今こういうことになっているわけですね。  それで、将来の完成時は二本なり三本なりということに当然なっていくと思うのでありますけれども、そういうような全体計画を早急につくらなければいけないということになるのか、あるいは また土取り場というのですか、例えば採石というのですか、石ですね、積み石とかあるいは埋め立て用の土、こういうようなものもどこからどのように持ってくるかということが早急に必要なのかどうか、その点どうでしょう。
  170. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま私の手元にございます中部新国際空港構想の概要という地元でおつくりいただいた資料に従って申し上げるのでございますが、その中に、規模といたしましては、四千メーター滑走路を含む複数滑走路という話がございます。  それで、地元の方は複数滑走路をお考えになっていらっしゃるのだろうなと思いますが、そうした場合におきましても、常滑沖という具体的な話までは伺っておりますけれども、具体的にそれがどこで、もう少し精密な話としてどのあたりでどのような形でつくっていくかとか、そういったような問題がこれから詰めていく問題ではないかという意味で申し上げたわけでございます。     〔委員長退席、森田委員長代理着席〕
  171. 草川昭三

    草川委員 わかりました。  細かい点はまだこの基本構想の中にも触れられていない点もあるわけでございますから、今の局長の答弁でとめておきたいと思います。  そこで、今度は運輸大臣にお伺いをしたいと思うのですが、大臣は六月十六日、名古屋での講演で、中部新国際空港は六次五カ年計画の欄外であろうと入れておかなければならないと述べたと報道されております。  これは、大臣が政治家として決意を示されたものではないだろうかと私どもは受けとめるわけでありますけれども、例えば現在の五次五カ年計画における場合は、これは六十一年の十一月二十八日の閣議決定ということになるわけでありますけれども運輸省資料の欄外に神戸沖空港についての記述があるわけです。この神戸沖空港についての記述と同様のことを運輸大臣は言っておみえになるのか、あるいは欄外であったとしても書かれるということになると、五カ年計画の期間内に調査費というものを計上してもらえるのか。先ほどございましたように、八月の概算要求の段階で何らかのものが出てくるのかどうか、その点について、これは大臣にお伺いしたいと思うのです。
  172. 大野明

    大野国務大臣 中部地方というのは、まさにその名のとおり日本の真ん中であり、へそであり、私どもはこの中心の地に、いずれにしても二十一世紀を見詰めつつ、国際空港は必要だということは十二分に考えております。  今も航空局長から答弁ございましたように、地元からの中部新国際空港構想というようなものを私も拝見いたしましたが、大変な熱望があることを十二分に承知いたしております。  そこで私が、六月十六日でしたか、名古屋でパネルディスカッションの前に三十分ほど講演させていただいた。その中に、今御指摘のように欄外でもいいから入れるんだということを申し上げましたけれども、これはやはり、今三大プロジェクトとかいろいろ言われて懸命の努力を運輸省挙げてやっておりますけれども、今の調査によると案外私ども考えている以上に早く、またせっかくつくったものも機能を発揮しないくらい旅客数あるいは貨物というものが大量に輸送されるのじゃないか。そうなれば、一日も早くやるためには一日も早くそういうような形で、たとえ欄外であってもきちんと将来目的を明記したいというのが政治家として、また地元の代議士としても当然のことであるという私の心の一端を申し上げたわけでございます。  いずれにしても、今六空整の御審議をいただいておるところでございまして、御指摘のこれまた神戸沖の空港の問題がございましたけれども、これは第三種空港ですから調査費というものはつきませんけれども、この新空港に対しましてはそこまで持っていけたらこれはもう本当に結構なことだと思い、私も今後より一層先生ともども地元の皆様ともに頑張ってやっていきたい、こういうふうに考えております。
  173. 草川昭三

    草川委員 今の大臣の御努力を含めた答弁は多といたしますが、今答弁がありましたように、この第五次空整の場合の神戸沖というのは、地方空港構想について大阪国際空港のあり方に関連して引き続き調査、いわゆる第三種ですから。ところが今問題を提起いたしております中部新国際空港は、まさしく国際空港として国として認知をし、調査をしてほしい、ここからスタートをしなければいかぬわけですね。  ですから、欄外でもというのは非常に大臣としての、政治家としての決意の表明で我々も多といたしますが、問題はこの表現の中から何らかの形で調査に一歩踏み込んでいく、国としても考えようじゃないかということを、この八月に、今目前に迫っているわけですから、これはもう当然現状の考え方というのは表明できると思うので、大臣からいま一度この調査費のあり方についてお答えを願いたい、こう思います。
  174. 大野明

    大野国務大臣 私としても、今日までいろいろとない知恵であろうとも一生懸命絞っておるところでございます。先生のおっしゃることは十二分にわかっておりますし、私もこの場で申し上げたいのですけれども、今航空審議会で審議中ですから、賢明な草川先生ですから私の気持ちを痛いほどわかっていただけると思います。先ほど申し上げたように、情熱を持ってやってまいります。
  175. 草川昭三

    草川委員 政治家である大臣の御発言でありますので我々もそれを受けとめますが、今の点が一番重要なポイントだと思うのです。その調査費がどういう形であろうと、つくのかつかないのかということが将来の非常に大きなポイントになるわけでございますので、まさしくこれはただいま六月末、七月、八月という段階でございますので、目前の話でありますから、それを強く大野大臣に要望をしておきたい、こういうふうに思います。  その次に、またこれも第六次五カ年計画でございますけれども、今長々と述べました新空港の取り扱いもさることながら、地元の方といたしましては、現在の各古屋空港の拡張と整備促進についての要望が出ているわけであります。特に、名古屋空港のターミナル地域の整備が緊急の課題として挙げられておるわけでありますが、これを進めるに当たっての最大の問題点というのは、南側にありますところの十ヘクタールの用地取得ではないだろうか、私はこう思っております。  この点について、運輸省当局の基本的な考え方、これは六次空整との関連もあるわけでございますし、この方は相当踏み込んだ答弁ができるはずでございますのでお答えを願いたい、こう思います。
  176. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生のお話にもございましたが、名古屋の現空港の方のことでございますけれども、現在の名古屋空港の航空需要は旅客も貨物も増加の一途をたどっておりまして、特に国際線の航空需要は、近年は急激に増加いたしております。それで今、ただいま先生のお話にございますように空港の南側の民有地を約十ヘクタール買収いたしまして、国際線のターミナル地区の整備拡充を早期に図るということが緊急の課題であるということは、私ども十分認識いたしております。そして、この整備を早く完成させるためには、民有地の買収が最も重要であると考えております。  民有地の買収に当たりましては、地権者の皆様初め地元の御協力と御理解が必要であるということと同時に、愛知県の協力と努力がぜひとも必要でございますので、これまでも運輸省といたしましては機会あるごとにお願いしてきたところでございます。今後とも重ねて協力をお願いしてまいりたいと考えております。
  177. 草川昭三

    草川委員 わかりました。  時間が過ぎていきますので今度は少し具体的に、これもJR関係になるわけでございますが、現在瀬戸線の拡充という問題について、これも地元から強い要望が出ております。瀬戸線勝川—高蔵寺間の現状及び事業再開についての考え方をお伺いしたいと思います。
  178. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 瀬戸線の勝川—高蔵寺間につきましては、中央本線と並行する区間でございまして、輸送需要などから建設の必要性がないた め、六十二年四月の国鉄改革に際し、JR東海が経営することとはしなかったものでございます。この区間において鉄道建設公団が取得していた用地は、六十二年四月一日付で国鉄清算事業団に承継されております。今後この区間の鉄道事業を行うかどうかにつきましては、JR東海が今後の輸送動向等を見て判断する問題であると考えております。
  179. 草川昭三

    草川委員 その点について、ついせんだってでございますが、地元の県、市、そしてまた公団側もおいでを願いまして、期成同盟会の総会が開かれたわけでございます。これは名古屋を含む小さな環状線あるいはまた大環状線、こういう構想を頭に浮かべながら、現在の中央本線と瀬戸線というものをジョイントして利用したらどうだろうという非常に強い要望もございました。また、この高蔵寺周辺には大名古屋市を母体とするところのベッドタウンがございまして、ニュータウンが張りついているわけでございますが、問題は、その勝川における瀬戸線と中央本線のジョイントが問題になっておるわけであります。  瀬戸線の方は非常に高架でございます。高いところで走っている。しかも若干幅がある、距離がある。中央本線の方は現在のところ高架ではない、こういう問題があるわけでございまして、この問題についてのジョイント計画がどのようになっているのかお伺いをしたい、こう思います。
  180. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先生指摘のように、当面瀬戸線につきましては中央本線から若干離れたところに高架で駅ができることになっておりますが、中央本線の方につきましては先生が今申されましたように、関係者で中央本線の連続立体交差を都市計画として決定すべく協議が進められておりまして、この協議の中で、瀬戸線が勝川駅で中央本線と接続し、将来乗り入れが可能な形での配線計画がなされるように検討されていると聞いております。
  181. 草川昭三

    草川委員 これはまだ少し時間がかかる問題だとは思いますが、ひとつ地元の要望を強く受けとめていただきたい、こう思います。  最後になりますので、この最後の時間を、現在の運輸省所管になります登録ホテルという問題、これは国際観光ホテル整備法と運輸省とのかかわり合いについてお伺いをしたいと思うのですが、ホテルに対して運輸省というのはどういう関係になっているのか、これをまず、初歩的な話でございますが、お伺いをしたいと思います。
  182. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  運輸省は、旅館業法による開業の許可を得て営業しているホテルのうち、国際観光ホテル整備法に基づきまして、外客が宿泊するのに適する洋式の構造、設備があるものとして一定の基準を満たしたものを登録いたしまして登録ホテルという名称を付与するとともに、関係機関を通じまして海外に紹介するということでかかわりを持っております。
  183. 草川昭三

    草川委員 この国際観光ホテル整備法に基づくホテルというならば、今もお話がありましたように、海外に向けて、どうぞ日本に旅行をしていただきたい。すべて諸条件は整っておりますよ、迷惑はかけないよ、そういう責任のある認知だと思いますね。ですから、運輸省の国際観光ホテルというあの大きな看板を玄関に張るというのは、大変に格式の高いことになるわけです。  ところが、問題は、今から具体的なことを私少し申し上げますけれども、この国際観光ホテルが、車いすの客が一人で利用できるような設備に本当に配慮されているのかどうか、ここを少し突っ込んで私は取り上げてみたいと思うのです。     〔森田委員長代理退席、亀井(善)委員長代理着席〕  なぜ私がこういうことを言うのかといいますと、先日私の知人が、車ぃすを使用している身体障害者なんでございますが、一緒に、もう名前を挙げてもいいのですけれども、この周辺の一流ホテルであります、この周辺の一流ホテル数軒です、いろいろと話し合う機会があったものですから、この有名なホテルを利用したわけです。  ところが、私も御案内をしたわけですから、車で案内をし駐車場で車をおりる、車からおりて車いすに乗って道路へ出る、まずそこまでに大変な苦労があるわけですよ。大体、ホテルの駐車場というのはかなり離れております。あるいは地下の場合もあります。それからその途中にも、わずか二センチでも三センチでも段差のあるところが山ほどあります。これは一回車いすを本当に押していただかないとなかなかわかりません。もうこの地域でもそうですけれども、一センチぐらいの差があるだけでも前からは行けませんから、後ろから大きな車の方で逆進をしなければいかぬ、こういうこともあるわけであります。  大変苦労してようやくホテルへ行くわけでありますけれども、長い間いろいろとお話をしておりますと、当然のことながらトイレに行く必要があるわけであります。じや、車いすの方のトイレが、本当に先ほど政府から答弁をされました政府登録ホテルの中に車いす使用ができるトイレがあるのかないのか。これは私、この前事前のレクで申し上げましたが、とりあえず東京都内の政府登録ホテルの中で、車いすの客が一人で利用できるよう設備に配慮しているものはどの程度あるのか、お答えを願いたいと思います。
  184. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  政府登録ホテルの中で、身体障害者に使いやすい施設をどのように配慮しているかということのお尋ねでございますけれども、昭和五十六年の国際障害者年を契機といたしまして、各種建築物につきまして身体障害者にも使いやすい施設にするようにいろいろ配慮がなされていると聞いているわけでございます。  先生ただいまお尋ねございました東京都内にある日本ホテル協会加盟のホテルについて調べた資料を持っているわけでございますが、それを見ますと、身体障害者の宿泊のための設備を持った宿泊室を備えたところは四十軒中十一軒あるようでございます。そのうち、ただいま具体的に御指摘のございました車いす用トイレのあるホテル、これは、ホテル協会会員、東京都内の四十軒中十軒あるという調査結果が出ております。
  185. 草川昭三

    草川委員 今の答弁によりますと、これは東京都内に限っておるわけですね。私は全国的なことをあえて申し上げませんでしたから東京都内でいいのですけれども、身体障害者の宿泊のための設備を持った宿泊室というのは、例えば具体的にどんなような程度のことを言っておみえになるのですか、まずその部屋の方からお伺いをしたいと思うのです。
  186. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  車いすで部屋にそのまま入れるように設備されているホテルの室という意味であります。
  187. 草川昭三

    草川委員 これは当然のことながら、まず、大変具体的なことを言って悪いですが、ドアが広くないといけないのです。そのドアも、こう開くような、あるいは押すようなドアではだめなんですね。俗に言うところの横開きなんですけれども、その横開きの設備を持っているのが四十軒中十一軒本当にあるのですか、それをお伺いします。横開きですよ。
  188. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答いたします。  日本ホテル協会を通じて報告を受けているとろでは、そういう設備を備えたホテルが十一軒ある、そういうことでございます。
  189. 草川昭三

    草川委員 じゃ、もう一歩、どのようにそういう設備があるかということを告知をしているか。例えば、JRなりJTBの時刻表がございますね。あの時刻表の後ろの方には、政府登録観光とかビジネスホテルとかいろいろな案内がありますけれども、あの中に車いす使用可というような記述があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  190. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  残念ながら、そういう記述はないようでございます。
  191. 草川昭三

    草川委員 だから問題は、私が申し上げたいのはそういうことを言っているわけですよ。こういう配慮をぜひすることが、過日の国際障害者年、こういうのがあったわけでありますし、何も障害 者だけの問題ではなくて、これからは高齢化社会になりますから、一般の健常者の方々も、お年寄りになるならば車いすを利用するという時期がやがて来るわけであります。そういう方々の旅行というのはどんどんふえなきゃいけないし、また、そういう方々が安心して泊っていただけるのには、私が申し上げましたように、少なくとも車いす使用可というような記述、案内があってしかるべきだ、私はこう思うのですね。  それからまた、先ほどトイレの話について、四十軒中、身体障害者の宿泊のための設備、これが十一軒あるという答弁でございましたが、パブリックというのですか、一般の利用者がロビーを利用する場合がございますね。宿泊以外の方々でも、当然何々ホテルというところでお話をしたり会議に出たりする場合が幾らでもあるわけです。そうすると、その会議なら会議に参加をした車いすの方がトイレを利用するという場合に、パブリックの方々用のいわゆる車いすが利用できるトイレというのは何軒あるのか、これまたお伺いしたいと思います。
  192. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  私どもが報告を受けているところでは、車いすが使用可能のトイレを有しているホテルが十軒ある、そのように伺っております。
  193. 草川昭三

    草川委員 先ほどの四十軒中十軒だと四分の一でしょう。世界に名立たる経済大国である日本、しかも、一極集中といろいろと騒がれているこの我が東京、東京の中の政府登録ホテル四十軒のうち十一軒とか十軒しかない、これは私は大変恥ずかしい問題点だと思うのです。  これは本来ならば、政府登録観光旅館という指定をするには、運輸省というのは大変な権限があるわけでありますから、地方の有名リゾート地域、こういうところで政府登録ホテルの認定を受けるにはもう大変な努力が要るわけですよ。もちろん運輸省も現地を調べられる、あるいは部屋の問題がどうだ、防災上どうだ、いろいろなことを行われるわけですけれども、肝心の、今私が指摘をした身体障害者用の宿泊設備、あるいはパブリックスペースにおけるところの車いす利用のトイレが非常に不備だ、これは私は非常に問題があるのではないかと思います。  しかも問題は、ここから私はきょうは特にもっと細かい点で申し上げたいのですが、これは大臣もよく聞いておいていただいて、本当にこれは政治家としても恥ずかしいことだと思って後で対応していただきたいのですが、今の四十軒中の十一軒なり十軒ですね、確かにトイレがあるのです。私も見に行ったのです。  ところが、身障者用トイレが男性トイレの中にある。ですから介護人というのは、女性の人がまず入れぬでしょう。怒るわけですよ。特に外人の女性を、トイレだといって我々案内したら、聞いてみたらここにあるのだというので行ったら、そうしたらそれは男性トイレですよ。これはもう日本の女性だって怒りますよ。非常に恥ずかしいことだ。日本で、一体あなた何だ、あなた国会議員でこういうことが、この東京都内の一等地ですよ、ここの近くの数軒のところですよ。名前を挙げては大変悪いですが、一流中の一流のところです。そこで、四十軒中の十軒なり十一軒のホテルがあったとしても男性トイレ、まず女性は使えないというわけです。女性に使いなさいということが言えますか。私は全く顔から火が出るような恥ずかしい思いをいたしました。  私自身もこれは反省しなければいかぬ。国際児童年あるいは国際障害者年、あれだけ障害者年、障害者年と言うが、この国際障害者年だけで問題を過ごしてはだめだ。これからあらゆる面において、障害者の方々、ハンディを持った方々も健常者の方々と同様な快適な暮らしができるように、我々はいろいろとそういうハンディを除去しなければいかぬ。何回も申し上げますけれども政府登録ホテルといえば一流中の一流、世界のどこへ出しても恥ずかしくない、にもかかわらずトイレがない、トイレがあったとしてもそれは男性トイレだ、こういうわけですね。  しかも、もう一つ問題は、十一軒の中でも、私は従業員に聞いてみたのです。車いす用のトイレはどこにありますかと聞いたら、まず知らないのです。これは教育されていないのです。それはそれだけ利用者が少ないかもわかりませんよ。しかし政府登録ホテルといえば、何回も申し上げますけれども、世界に誇るべきホテルであるにもかかわらず、従業員に、どこに障害者用の、車いすの方々が利用できるトイレがあるのですかと聞いても、はい、あそこにあります、この階です、私が案内しましょうというわけにいかないわけです。  また、外から本当に入れないじゃないかと私がいろいろと文句を言う場合に、いや、あそこを使えば段差がありませんと言う。よく見たら、それはボーイさんが荷物を運ぶための、段差防止一つのタラップになっておるわけですね。そうではなくて、車いすの方々が本当に自然に正面玄関の方からホテルの中に入れるようなスロープというのがほとんどないわけですよ。よく聞いてみたら、どこか向こうの方から来れば来れぬことはないと言うわけです。  私は実は、この問題については厚生省にも申し上げているのです。厚生省の年金保養施設の中でも車いすが使用できるところが本当に少ないのです。そこで、私ども随分具体的に問題提起をして、徐々に直していただいておりますけれども、私はぜひ一流ホテル、特に運輸省所管のホテルの中にはこれができるようにしていただきたいものだと思うわけであります。  ぜひ大臣、私が今長々と細かい点を申し上げましたけれども政府登録ホテルというのは、身体障害者の方々の利用に対して配慮をするということを大きな前提にして今後指導をしていただきたいものだと思うし、また私の趣旨を体して直ちに指示をしていただきたい、こうお願いをするわけですが、最後に大臣の見解を伺って、時間が来たので終わりたいと思います。
  194. 大野明

    大野国務大臣 今先生のお話を伺っておりまして、私も余りそこまで気がつきませんでしたが、我が国の最近の社会を見ておりますと、身障者の方々も大変に社会参加をしていただき、また昔の日本人というのは引っ込み思案というか、そういう方々が外へ出られなかったのが最近は本当によくお見かけするようになった。その方々がそういうホテルを利用なさったりいろいろしたときの不便というものは、我々の想像以上のものであろうということはよく理解できますし、やはり国際社会の中の日本という地位を確立するためにも、恥ずかしくない施設をつくるようにひとつ勉強させていただきたいと思います。
  195. 草川昭三

    草川委員 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、ぜひ大臣、勉強でなくて、あしたからでも協会の方々に私のさまざまな申し上げた点を出していただきたい。  同時にまた、これは障害者の方々ばかりではなくて、高齢化社会を迎えて健常者の方々も車いすを利用せざるを得ない時期がどんどん来るのです。そういう方々は引っ込み思案でも何でもなくて、ハンディをしよった方は、そのハンディを我々が社会的になくするというところが基本的な姿勢ですから、ぜひ運輸行政の中で、特にかかわり合いとして政府登録ホテルを管轄しておみえになるわけでありますから、具体的に指示をしていただきたいことを強く要望して終わりたい、こういうように思います。
  196. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、北側一雄君。
  197. 北側一雄

    ○北側委員 私の方からは、関西国際空港に関する幾つかの問題点につきまして質問をさせていただきます。  まず最初に、関西国際空港の飛行経路の問題でございますけれども、IATA、国際航空運送協会から運輸省に対しまして、関西国際空港の飛行経路について申し入れがあったというふうに聞いております。どのような申し入れがあったか、その内容につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
  198. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生のお話にございましたIATAでございますが、IATAは、各国 の定期国際航空会社を会員といたしまして、安全、定期的かつ経済的な航空運送を助成することを目的に結成された団体でございますが、こういう観点から、IATAの関心事項につきまして随時いろいろな要望がなされているところでございます。関西国際空港の飛行経路の問題につきましても、飛行経路を変更するようにということで、今申し上げました関心事項の一環としましてそういうIATAからの要望がございました。  それで、IATAの要望趣旨でございますが、関西空港の計画をつくったときのいわゆる三点セットということで地元にお示ししたところがあるわけでございますが、その三点セットの飛行計画案では経済的に大きな負担となりますので、経済的なルートが選べるように検討してほしい、そういう内容でございます。
  199. 北側一雄

    ○北側委員 そういう申し入れに対しまして、運輸省の方がこのIATAに対してどういう御回答をされたのか、御答弁をお願いします。
  200. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまのIATAからの申し入れに対しまして、運輸省といたしましては、関西国際空港は、その計画の経緯からしまして、環境に十分配慮の上建設を進めているところでございまして、飛行経路につきましても環境上の特別な配慮がなされているということを回答いたしております。
  201. 北側一雄

    ○北側委員 環境上の特別の配慮がなされているから、IATAからの申し入れに対しては拒否の回答をなされたというふうに理解してよろしいですか。
  202. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 そのとおりでございます。
  203. 北側一雄

    ○北側委員 今局長の方からお話がありましたように、いわゆる三点セットで、この関西国際空港の飛行経路が「航空機の騒音による障害が居住地域に及ばない」というふうにございます。これは伊丹空港、大阪空港の騒音問題の反省に立ってこの関西新空港が建設されるという、この空港の絶対的な命題であるというふうに私は理解しております。  このことからしまして、今建築されております空港島の対岸部地域の上空を飛行経路にすることはあり得ないというふうに理解しておりますけれども、いかがでしょうか。
  204. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 三点セットの中では飛行経路の計画は、「航空機の騒音による障害が居住地域に及ばないこと、」それを前提にいたしまして、沿岸部の居住地域への騒音を考慮して、努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないことという要件を満たすように設定されたものでございます。  関西国際空港が伊丹空港の騒音問題の反省に立って建設されているということは御指摘のとおりでございますので、これら三点セットの基本的な考え方については、私ども運輸省といたしましても当然守るべきものと考えております。
  205. 北側一雄

    ○北側委員 この「航空機の騒音による障害が居住地域に及ばない」、これは絶対的な命題であるというふうに理解してよろしいわけですね。
  206. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま申し上げましたように、三点セットの今申し上げました「航空機の騒音による障害が居住地域に及ばないこと、」ということを私どもの方としては当然守ってまいりたいと考えております。
  207. 北側一雄

    ○北側委員 それではちょっと問題を変えますけれども、現在建設されております関西国際空港の埋立地の地盤沈下の状況につきましてお聞きいたします。  その後の沈下の状況、四月二十三日に空港会社の方でこの地盤沈下問題について発表いたしましたが、この沈下の状況が今現在どうなっておるのか、四月二十三日の発表では、開港五十年後の最終的な沈下が当初は八メートル沈下と予想しておったのが十メートル沈下ということで修正をなされました。現在の沈下の状況について御答弁をお願いいたします。
  208. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生指摘のように、ことしの四月二十三日に関西国際空港株式会社が沈下の状況を計測した解析をいたしまして、それの計測結果をもとに沈下予測を見直して公表したことがございまして、先生のお話のとおりの内容になっておりますが、その後その新しい解析はまだいたしておりませんので、今現在では四月二十三日の公表のままということでございます。
  209. 北側一雄

    ○北側委員 要するに、四月二十三日の空港会社の発表の内容から大きく修正するような現状にはなっておらないというふうに理解してよろしいわけですね。
  210. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの段階では、まだその新しい解析はいたしてないというところでございます。
  211. 北側一雄

    ○北側委員 この修正、空港会社が発表いたしました修正に対応いたしまして、当然不足土砂の調達の問題、聞くところによれば一千七百万立米の土砂が必要になりますけれども、この不足土砂の調達の問題、さらには公有水面埋め立ての変更手続の問題、これをどのような形で進められていかれるのか、また、本年末には空港のターミナルビルの建設も着工予定でございます。当初工期に変更がないのか、その点御答弁をお願いいたします。
  212. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生のお話にございましたように、沈下の計測の結果、沈下の予測を変更したわけでございます。そのために追加的に必要となる土砂は千七百万立方メートルということでございますが、現在の埋め立ての計画といたしましては、山土といたしまして一億六千六百万立方メートルの土砂を大阪府の阪南地域、和歌山県の加太地域、兵庫県の淡路島などから調達することになっておりますが、冒頭に申し上げましたように、追加的にさらに千七百万立方メートルが要るということでございます。  これに関します公有水面埋立免許の変更手続につきましては、会社におきまして埋立必要土量の増及び年次別埋立土量の変更、その二つの点につきましての変更手続を行うために今準備を進めているところでございます。それで、免許の変更が行われますと、月間の埋立施工量が増加いたしまして、そういうことになりますと全体の埋め立て完了時期に変更は生じないものと考えております。全体の埋め立て完了時期というのは平成三年十二月ということでございますが、月間の埋立量をふやすということでその予定時期に変更は生じない、こう考えております。  それから、もう一つ指摘がございましたターミナルビルの関係でございますけれども、本年末に着工が予定されておりますが、こういう旅客ターミナルビルなどの空港諸施設の建設という問題につきましも、埋め立ての工程とかあるいは施設建設工程、そういったものの調整によりまして開港時期、これは平成五年の三月でございますが、開港時期に対する影響は避け得るということを会社から報告を受けております。今後とも、私どもといたしましても会社を適切に指導してまいりたいと考えております。
  213. 北側一雄

    ○北側委員 かつてない建設工事でございますので、なかなか予測しがたい状況が出てくることかと思いますけれども、ぜひこの平成五年三月の開港に全面的に努力をしていただきたいというふうにお願いいたします。  全体構想に関連いたしまして、新空港の内水面を産業廃棄物で埋め立てる計画が、それも首都圏の廃棄物をわざわざ大阪まで持っていくような計画があるやの報道、運輸省や空港会社にそういう計画があるやの報道がなされておりますけれども、これについていかがでしょうか。
  214. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず、その埋め立てをどのようなものでするかということのお話の前に、その前提となります全体構想の話でございますが、これにつきましては、昭和六十三年度から近畿圏における航空需要予測、それから関西国際空港株式会社の長期的な収支採算の分析、そういったような基礎的な調査を実施しておりまして、今後この調査の結果、それからもう一つ大阪国際空港、現在の伊丹空港でございますが、そのあり方につきましての検討結果、そういったことを踏まえまして第六次の空港整備五カ年計画を策定する過程でそ の取り扱いについて検討することとしております。現在、この問題につきましては、航空審議会で五カ年計画の検討の一環として審議されるという状況でございます。  それで、今先生のお話にございました内水面の埋め立ての関係でございますが、一部の新聞報道でそういうことが確かに報道されましたが、内水面を埋め立てるということ、それからそれを廃棄物によって行う、そういうようなことにつきましては、私ども運輸省、それから関西空港株式会社が方針を決めたというような事実はございません。
  215. 北側一雄

    ○北側委員 そのような研究もなされておられないというふうにお聞きしてよろしいでしょうか。
  216. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 現役階におきましては行っておりません。
  217. 北側一雄

    ○北側委員 それではこの関西国際空港へのアクセスの問題についてお聞きいたしますが、まず最初道路アクセスの建設進捗状況、開港に向けての今後の整備見通しにつきまして建設省の方で御答弁をお願いいたします。
  218. 藤川寛之

    ○藤川説明員 関西国際空港へのアクセスとなる道路につきましては、関西国際空港関連施設整備大綱にその基本的な考え方が定められておりまして、それに基づいて鋭意事業の推進を図っているところでございます。  具体的に、特に専用道路につきまして現在の状況を申し上げますと、まず近畿自動車道の紀勢線でございますが、これにつきましては、美原北インターチェンジから岸和田和泉インターチェンジの間約二十キロの区間について現在事業を進めているところでございまして、このうち美原北インターチェンジから堺南インターチェンジ間、この十キロ区間につきましては平成二年度末に供用できる見込みでございます。残っております堺南インターチェンジから岸和田和泉インターチェンジ間十キロ、この区間につきましても現在用地買収、工事を進めておりまして、空港開港までには供用できるというふうに予定しております。  それから、近畿自動車道から空港を連絡する関西国際空港線でございますが、これにつきましては現在用地買収を進めておりまして、ようやく用地買収も順調に進んでおります。その他設計協議、工事等も鋭意進めておりまして、今後関係機関と連携調整を図りながら、また地元の関係者の協力を得ながら、開港に間に合うように事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  それからさらに、阪神高速湾岸線でございますが、これにつきましても鋭意事業の推進に努めておりまして、泉大津市の臨海町から貝塚の間を除きまして開港までには供用できるというふうに考えております。  なお、この開港までに間に合わない臨海町から貝塚間でございますが、この間につきましては湾岸線と並行いたしまして府道大阪臨海線がございます。この府道大阪臨海線につきましては平成四年度に供用したいというふうに考えておりまして、これらの利用によりまして、いわゆる当面のアクセス道路としての機能というのは十分に発揮されるというふうに考えているところでございます。
  219. 北側一雄

    ○北側委員 今のお話では、道路アクセスの件については開港後も心配ないというふうに理解してよろしいわけですね。
  220. 藤川寛之

    ○藤川説明員 私ども、そういうつもりで現在事業の推進を図っているところでございます。
  221. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、鉄道アクセスの確保について現状と今後の見通し、それと、できれば海上アクセスはどうなのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  222. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 鉄道のアクセスでございますが、これは二本考えております。  一つは、JR阪和線の日根野駅から空港までの間につきまして関西国際空港株式会社が建設を行うということでございますが、これは西日本旅客鉄道株式会社が新大阪駅から直通の運転を行うということを考えております。  それからもう一つは、南海本線の泉佐野駅から空港対岸までの間、これは南海電鉄が建設を行うということでございますが、この線の方につきましては、難波の駅から空港までの直通の運転を行う、こういうことを今考えているわけでございます。  それで、この空港連絡鉄道の用地取得の問題につきましては、併設されます空港連絡道路などとあわせて進める必要があることから、関西国際空港株式会社は、その用地取得作業を大阪府の土地開発公社に委託いたしまして現在進めているところでございます。五月末現在の用地取得の状況は、面積比率で約六〇%、それから地権者の数の比率で約八〇%という状態でございます。それで、今後は平成四年度末の開港時開通を目途にいたしまして、関係者におきまして残された用地の取得に全力を尽くすこととしておりますので、関西国際空港株式会社としましても、本年度から順次建設工事に着手する予定でございます。  私どもも、平成四年度末の開港に向けて事業の円滑な推進が行われますように今後とも努力してまいりたいと考えております。
  223. 北側一雄

    ○北側委員 海上アクセスはいかがでしょうか。
  224. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 海上アクセスの問題につきましては、先ほどの鉄道アクセスその他のアクセス問題につきましては、関連施設整備大綱というのが六十年十二月十日に決められておりますが、その中におきまして神戸港それから淡路島、そういうところからの海上アクセスに必要な港湾施設など所要の施設を開港時までを目途に整備を図る、こういうことになっておりますが、運航の安全に十分配慮して、神戸港それから淡路島といったところからの空港へのアクセスルートの確保を図りたいと考えております。
  225. 北側一雄

    ○北側委員 最後に、今大阪空港、伊丹空港の存廃問題がいろいろな方面からいろいろな御意見また報道がなされておるわけなんですけれども、この問題は今後どのような手続で最終結論が出されるのか。それと、先ほどもお話が出ましたが、この全体構想の実現、日米構造協議の最終報告も迫っておりますし、現在検討中ではあるかと思いますけれども、全体構想の実現につきまして、現在の見通し等を、可能な限度で結構でございますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  226. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まずは現在の大阪国際空港の存廃問題でございますが、これは先生御存じのとおり、大阪国際空港の騒音調停に係る昭和五十五年の調停条項、そういったものがございますが、それに基づきまして今必要な手続を進めているところでございます。それで、ことしの四月にその調査の結果を地元に開示を行いました。  今後は、これらの存廃判断資料としての調査結果を踏まえまして、七月末までに地元の地方公共団体などから意見をお聞きいたしまして、航空審議会の中間取りまとめを経まして、概算要求時までには存続か廃止かということの運輸省としての基本的な方向づけを行いたいと考えております。その後、具体的な内容の詰めに関しましては地元とも調整いたしまして、最終的にはことしの十一月ごろまでに決定したいと考えております。なお本日、地元の調停団の方からの御意見をとりあえずいただいたところでございます。  それから、全体構想の問題でございますが、これは先ほど来御説明申し上げましたように、現在航空審議会におきまして御議論をいただいている段階でございますので、航空審議会の中間取りまとめまたは最終答申といったことを受けて政府としてのこれからの詰めを行っていくという段階でございます。
  227. 北側一雄

    ○北側委員 以上です。
  228. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、佐藤祐弘君。
  229. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 自動車の車検、先日地元でもありまして、東京の足立の自動車検査登録事務所にお伺いしてまいりました。検査官の皆さんや多くの方が検査業務に当たっておられる状況を拝見してきたわけでありますけれども、全体としてますます車がふえるという状況の中で、やはり私は二つ大きな問題があるんじゃないかと思います。  一つは、自動車事故防止対策であります。もう一つは排気ガスによる環境汚染、公害の問題だと思うのです。これはいずれも車検の業務にかかわってくる問題でありまして、現状の検査項目などについてはいろいろ御説明もいただいて実地にも見てきたわけでありますけれども、何点かお尋ねをしたいと思うのです。  第一点は、排ガスチェックの問題なんですが、現在一酸化炭素と炭化水素、これもテスターでチェックしているということですね。それから、ディーゼルの黒煙は目視というふうにもお聞きしましたけれども、最近特に十年前に逆戻りしたというふうに問題になっておりますNO2、これが最初に新車の段階では何かチェックされると聞きましたが、その後の検査ではこれはチェックされていないようなのであります。二酸化窒素問題というのは非常に問題になっておりまして、特に大都市部では環境基準が達成できない、非達成というのが最近急速にふえているんです。八八年の数値でいいましても八八・七%、もう九割近くが環境基準非達成という状況になっております。こういう深刻な状況もありますし、やはりこれのチェックも必要ではないかというのが一点です。  それから、ディーゼルの出します粉じん、これはがんのもとになるんだ、発がんの危険性というのも指摘されておるわけですが、現在の仕組みではこれのチェックもありません。これについてもやはり検査対象に含めていくことが今必要になっているのではないかというのが第一点の質問です。  それからもう一点は、高速対応といいますか、高速道路ができまして、相当高速で走る機会も多いわけです。拝見しますと、スピードチェックはたしか時速四十キロでチェックをしています。それからブレーキチェックの方、あれは何キロになっているのかよくわからないような仕掛けなんですね。しかし、それほど高速ではありません。ここに高速走行に対するチェックということもさらに強化する必要があるんじゃないかということを感じてきたのでありますけれども、そういう点はどういうふうに考えておられるでしょうか。
  230. 松波正壽

    松波政府委員 お答えをいたします。  今先生から御指摘がありましたのは三点あったかと思いますが、第一点は窒素酸化物に対する使用過程車のチェックの仕方、第二番目にはディーゼル車に対するチェック、三番目にはブレーキの高速化の問題かと思います。  最初からお答えを申し上げたいと思いますが、まず最初に、窒素酸化物のチェックでございますけれども自動車の排気管から排出されます窒素酸化物につきましては、先生も今御指摘ございましたように、大都市沿道におきますところの環境基準等の照合でいきますと大変厳しい状況にございます。  そういう実態にかんがみ、これまで新車につきましてはテンモード法等によりまして規制の強化を図ってきたところでございますが、今御指摘ございました使用過程車を対象にした場合には、窒素酸化物の測定を行うときには、先生も御指摘ございました一酸化炭素だとか炭化水素、普通こういう濃度を測定する場合には、アイドルといったいわゆる無負荷状態において測定を行うことが可能でございますが、窒素酸化物の排出量につきましては、その評価をすることは困難であります。  したがいまして、シャシーダイナモメーターちょっと技術的な話で恐縮でございますけれども、そういうものを用いまして自動車走行抵抗に相当する負荷を加える必要があることから、使用過程車について検査を行うには克服すべき技術的な課題があるかと考えております。  しかし、昨年十二月におきまして中央公害対策審議会から答申のありました「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」、この中におきましても、使用過程車の排出ガス低減対策の必要性が指摘されていることもございまして、運輸省といたしましても、本年度から自動車検査時におきますところのガソリン自動車からの窒素酸化物の測定につきまして、陸運支局等で、検査場におきまして検査可能な簡易な測定方法及び測定器に関する技術的な調査を行うことといたしております。その検討結果を待って対応を図ってまいりたいと考えております。  第二番目のディーゼルの黒煙の問題でございますが、先生は粉じんとおっしゃいましたが、今現在、視認という御指摘もございましたけれども、ディーゼルの黒煙排出の評価につきましては、スリーモードといいまして、フリーアクセルレーション、無負荷急加速というような状態におきまして黒煙の濃度がどうなっているか、こういうことについては評価をいたしております。それからさらに粉じんというような問題につきましては、これからの課題かと考えております。  それから第三番目のブレーキの問題についてお答えをしたいと思いますが、ブレーキ装置につきましては、先生も御承知のとおり、これはやはり速度性能制御という観点からいいますと、自動車の安全走行にかかる大変重要な部位であることは当然でございます。したがいまして、先般事務所で見ていただきましたように、ブレーキテスターを用いまして制動力を測定し、その良否を判定している状況でございます。  したがいまして、本来検査というのは可能な限り実車走行に近い状態で行うことが我々も望ましいとは考えておりますけれども、検査を効率的に行うなどの制約もあることから、合理的かつ効率的な方法といたしまして、ブレーキの場合には、現在、先生にも見ていただきましたローラー型のブレーキテスターを採用しているところでございまして、もう少し速度を上げたらどうかという問題につきましては、高速走行時のブレーキ性能につきましては新車審査時にその確認を行い、また使用過程車におきましては、これを前提としてブレーキテスターを用いて検査を行うこととしておりまして、これによりまして、現段階においてはその目的が達せられているものと考えておる次第であります。
  231. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今三点にわたっての御答弁がありました。検討中、技術的に克服してと、窒素酸化物についてはそういうお話もありましたが、万全の検査体制にしていくという方向でぜひ引き続き御努力をいただきたいと思います。  それから次には、関連しまして、この作業に従事しておられる職員の皆さんといいますか、労働者の方の労働環境の問題なんですが、実際に行ってずっと同じように進行しますと、排ガスがすごいのですよ、エンジンかけっ放しでずっとやっていくわけですから。最初に外回りを見て、次はスピード、排ガスとか、最後には下回りを見て、これは自動車が上に乗って下に部屋がつくってありまして、下から車体の底を見る検査ですね。それはエンジンかけっ放しの状況でやるわけですから、大変な排気ガスの中で仕事をしているわけですね。ですから、この業務については特別な手当が出ているというふうに聞いております。  その手当の問題で二点お聞きしたいのですが、一つは、こういうコースで、(資料を示す)ちょっと遠くでわかりにくいかもわかりませんが、事務所の説明では、一台大体八分でいくという話がありました。別の労働組合の調査では、いや、五分前後でやっているよ、人員が少ないし、もうワンコース一日百五十台通すというのですね。検査してしまうというのですから相当のものですね。  ところが、こういう流れの中で、特殊勤務手当、これが出ているのはブレーキ、スピードのところと下回りのところですね。そこを担当した際にだけ出るということになっておりまして、あと外回りとか排ガスのところも、ここは事実上要員が配置されていないことが多いのです。本当は配置すべきなのに、結局ほかの仕事があるというので人がいないことが多いのですけれども、こういう排ガスのテストの現場の作業にも手当が出ていないというようにお聞きをしたのです。しかし、作業環境としてはほとんどそれは同一なのですよ。ですから、一部に限定するのではなくて、手当の支給範囲を全面に広げる必要があるのではないか、 その方が実態に合うということを感じるわけです。  それからもう一点は、最近外へ出ての街頭検査、これも相当やっておられるわけですね。特にこれは暴走族の関係とかそういうこともあります。だから、街頭検査はまた街頭検査で別の危険要素も当然出てくるわけです。そういう手当を出す根拠としては、著しく危険で不快で健康上も障害があるといった幾つかの条件が挙げられているようでありますけれども、まさにそういう状況なのですね。  ですから、私が行って感じましたこと、そしてまた労働者の皆さんの御意見をお聞きしたところでも、一つは特殊手当の支給対象をほかにもっと広げるという問題。例えば外回りのときにも次々に車両が入ってくるわけですよ。それぞれの車両にドライバーが乗っているわけですね。ですから、外回りだからといって危険性がなくはなくて、その人がミスをしますと、間に入ってやっている際に後ろが発進なんかしたりすると挟まれる、そういうことも現に起きているというのですね。そういう危険性というような点では、もう全コース共通なのです。ですから、全コース、そしてまた街頭検査、これにも手当の支給対象を広げるべきではないかというのが一点。  それからもう一点は、手当の額なのですが、現在一日四時間以上で二百円でしたかね。それから二時間以下の場合百二十円でしたか、そういう決まりになっているのですけれども、これがもう十二年間据え置きのままだというのですよ。手当を出すからには、やはりそれ相応に出すべきではないかというふうに私は思います。  これは組合の方の調査をお聞きしたのですけれども、三年前に民間車検場の同様の作業をしている人の手当、やはり出ているそうです、その調査をされた結果をお聞きしましたら、かなり高いところもある、低いところもあるのですが、平均しますと五百円ですね。平均五百円の支給がされている。一方、運輸省の車検場では二百円というのがもう十二年間続いておる。これはしかるべく引き上げるべきではないかというふうに考えるのですが、その二点についてお尋ねをいたします。
  232. 早川章

    ○早川政府委員 自動車の検査業務につきましては、その作業が極めて特殊性が強い、安全上あるいは排気ガスとの関係等の問題があるということが認識されまして、昭和四十九年に特殊勤務手当の支給対象となったものでございまして、先生指摘のとおり、それを五十二年に二百円、それまでは百五十円でございましたが、一日百五十円から二百円に単価を改定していただいたわけです。  ただ、その後は、この自動車の検査に限りませんで、すべての特殊勤務手当が据え置きとなりまして、そして昭和六十三年からやっと一部の、いわゆるこの種の特殊勤務手当について改定が認められてきている、こういう実態にございます。私どもといたしましては、まず単価につきましては、この自動車検査業務につきましても、時代に即した改定をお願いしたいということで関係方面にお願いをいたしているところでございます。また、手当の支給範囲でございますが、これにつきましても、私どもといたしましては、実態に即した対象範囲の拡大を関係当局にお願いしているところでございます。
  233. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 次に、障害者の運賃割引の問題でお伺いしたいと思います。  先日、内部障害者につきましても運賃割引適用されるということになったわけですが、これは一歩前進ではあるのですけれども、若干問題があるので後でお聞きしたいと思います。  そもそも身体障害者に対する運賃割引、これはどういう理念でやっておられるのか、それから昭和二十四年から国鉄は始まったようですが、単身の場合なぜ百キロ以上なのか、これをまずお聞きしたいのです。
  234. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 身障者の単独乗車の場合に、百キロメートルの距離制限を設けている趣旨は、百キロメートルを超え運賃が高額となる移動につきましては、運賃負担力などを考慮して障害者の負担軽減を図る必要があると考えたことによるものと思われます。  なお、距離制限百キロメートルの区分につきましては、学生割引など他の割引制度におきましても百キロメートルを超えたものについて適用されており、負担軽減を考慮すべき運賃の一つ基準となっていると考えております。
  235. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 当初の経過では、何か旅行などを想定してというようなこともあったようでありますけれども、この点がぜひ改善が必要ではないかというふうに私は思うのです。といいますのも、内部障害者の方にお話をお聞きしたのですが、運賃割引適用になったこと自体は大変ありがたい、長年の要望でありましたから。ところが、実際に内部障害者の方が必要とされるのは、日常的にいいますと通院なのですね。  例えば、腎臓の方は人工透析で通院する、これは二週間に一回くらいですかね。それから、ペースメーカーを入れている方なんかもそのくらいのテンポで通院しなければならぬということがあるのですね。単身で移動は可能だということはあるのですが、通院先はもちろん身近なところでありますから、とても百キロ以上ということはあり得ないわけですね。  それからまた、障害者の方のいろいろな集まりがあります。それの場合も、遠くでやる場合もありますが、しかし都内でやるということが多い、そうしますと、日常一番必要なものには、結局介護者が要る場合以外は一切割引がない、こういうことになるのですね。だから、期待は非常に大きかったのだけれども、実際に適用になってみると意外にそれが利用できない、がっかりした、これは何とかならぬだろうかという声が強いのですね。  やはり、障害者の問題に対する考え方は戦後ずっと発展してきたと私は思うのですよ。当初の時期は、視力障害者、聴力障害者の方の対象が多かったと思うのですけれども、国際障害者年もあって、障害者の方の全面的な社会参加と平等とスローガンにもありますけれども、日常的に対等、平等に社会参加ができるようにいろいろ支援をしていくというのが大事な考え方だというふうに思うのです。そうしますと、旅行とか特別の場合、長距離を利用する場合ということではなくて、やはり日常のそういう社会参加あるいは通院とかといったことにも割引適用されるような、そういう方向での改善が図られる必要があるのではないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  236. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 本来公共的政策の遂行のための費用を他の利用者に負担させることにつきましては問題があり、他の利用者に負担させることにより現在の割引制度の対象をさらに拡大することは困難であると考えております。
  237. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そこが発想の切りかえが必要だということを私は今申し上げたはずなのです。従来の恩恵を与えるというような考え方ではなくて、もちろん運輸省だけの責任でやれと言っているわけでもないのですよ。福祉の対策という見地もあろうかと思います。そういう意味でいえば、厚生省に対して運輸省から、今やこういう必要性になっている時代なのだ、こういう点で対策をとる必要があるんじゃないかという提起もしていただきたいな、されてしかるべきではないかというふうにも思うのです。  時間が大変迫ってまいりましたので、こういう矛盾点も一つ申し上げてもう一問したいのです。  例えば、先日広島で障害者の集まりがあったそうです。初めてお聞きをしたのですが、そこに東京の女性の方が連れ立って行かれたわけですね。そうしますと、特急料金が出ないのです。特急料金は割引対象になっていないんですね。しかし、今や東京から広島へ行くのに新幹線を利用するのが常識でしょう。急行、鈍行乗り継いでというようなことはあり得ないのですよ。長時間かかりますし、健康上も障害のある方にとっては特によくないですね。だからいや応なく新幹線を使われるわけです。特急に割引がない、こういう状況ですね。百キロ以上になりますから運賃だけは割引な んです。そうしますとこういうことになったというんですね。  ナイスミディというのをやっていますね。JRはいろいろフルムーンだとか割引でやっておられるのですが、細かい計算は省きますけれども、ナイスミディで二人で広島へ行きますと四万七千二百円なんですよ。しかも、これは有効期間三日間で途中乗りおり自由というものですね。ところが、女性の障害者の方が二人で行くと、新幹線料金は割引になりませんから、ナイスミディの四万七千二百円よりも千三百六十円高い四万八千五百六十円かかる、これが実態なんですね。だから、せっかく障害者の方に割引制度をつくったんだけれども障害者でないいわゆる普通の方、ミディの人が行くのよりも障害者の方が高くかかる。これは特急券が対象になっていない不合理ですね。これも検討してしかるべきじゃないですか。  今や新幹線に乗らないで広島へ行きなさい、割引料取るためにはそうする以外にありませんよというのは、これはもう理不尽だとさえ私は思うのですね。その改善を特に要望したいと思います。  もう一問続けて、タクシーの問題なんです。先ほども若干質問あったようですが、運賃改定後タクシーに乗りますとこういうものが皆ぶら下げてあります。障害者の方には割引をいたしますということなんですが、これはもう本当に大変面倒なんですね。こういう用紙がありまして、手帳の番号から等級、氏名、同乗者、いろいろ書かなければならぬということになっています。これもその場で請求して書き込めということですね。運転手さんがかわりに書いてくださるという方もあるかわかりませんが、率直に聞いたら、運転手の方は、これは大迷惑している、特にラッシュになりますと領収書を切る時間さえ惜しい気持ちがあるんだ、ですから、これをぜひとももっと簡素にしてもらいたいという要望が強くあります。  また、さらに言いますと、こういう用紙は要らないというふうに私は改善してほしいと思うのですね。確かに、国鉄も当初はこういうものは必要だったんですよ。ところが、それでは煩雑で使いづらいということから、障害者手帳を見せればよろしいというように変えられたんですね。だから、タクシーにつきましてもそういうふうに変えられないかということが一つ。それからもう一つは、福祉タクシーというのを東京の場合は各自治体でやっております。初乗り分の券とかそういうのが障害者に渡るのですね。初乗り区間はそれを渡せばお金を払わなくて済むのですよ。ところが、それと今回の割引率の関係がタクシーの運転手に十分徹底されてないのです。だから計算が人によってまちまちだ。細かいことを言う時間がなくなりましたけれども、そういうこともあります。だから、趣旨を徹底して、せっかくやった障害者に対する施策がきちっと機能するように対策をとっていただきたい。その点いかがでしょう。
  238. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいま、障害者割引適用の問題について幾つか先生が御指摘になった問題があるわけでございますが、私どもとしては、それぞれに適用条件を定め、そして身体障害者割引を実施する上で必要な手続というのを考えて、それに応じて制度をつくっているわけではございますが、今後とも身体障害者福祉割引趣旨が生きるように我々も勉強をしていかなければならないと考えておるところでございます。
  239. 早川章

    ○早川政府委員 タクシーの身体障害者割引、つくり上げました最初でございまして、いろいろ現場で混乱がある、まだ問題があるということはよく認識いたしております。十分改善を図ってまいりたいと思っております。
  240. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 では、東旅協の方でも何か通達的なものも出しておるようですけれども、簡素化と実効性を十分確保していただくように要望して終わります。
  241. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、高木義明君。
  242. 高木義明

    高木委員 私は今回、バス交通政策について若干の質問をいたします。時間も限られておりますので、焦点を四点に絞りましてお尋ねをしてまいりたいと思います。  昨今言われております交通渋滞あるいは都市部における駐車場不足、こういった問題もあるわけでありますけれども、ここで大きく見直されておるのが公共輸送機関であります。公共輸送機関の中でのバスの役割は、今日までそれなりの成果と意義を果たしてきたわけでありますけれども、このところ約二十年間、バス交通というのは大変じり貧といいますか、だんだんとその分担率というのも低下をしてまいりました。今日では大体一一%と言われております。  もちろん、その要因につきましては、モータリゼーションの発達、そういうことが大きな流れの中であります。人間の生活の多様化もありますし、ニーズも変わっております。そういう環境の中にありますけれども、まとめていえば、そういった環境の変化に構造的に対応し切れてなかった、それなりの努力はしたにもかかわらず全体として対応が大変おくれた嫌いがあるとも言われております。したがって、そういう中にありますけれども、将来バス交通は一体どうなるんだ、こういう不安の気持ちも大きくなっております。  私は、今後とも公共輸送機関が果たす役割というのは大きくなる一方だというふうに考えております。特に都市バスあるいは地方バス、都市間バス、貸し切りバス、それぞれの分野におけるバス政策、バスの将来ビジョン、これがあってしかるべきではないかと思っております。先ほど私は、バスは全体的に需要が減ってきておるということを申し上げました。しかし一部、御承知のとおりいわゆる高速バスといったものについては好調な部門もあるわけでありますけれども、全体としてそういったバスの将来ビジョンについて何らかの基本方向というものを示していくべきではないかな、このように思います。この点につきまして当局の御所見を賜っておきたいと思います。
  243. 早川章

    ○早川政府委員 先生指摘のとおり、バス輸送は近時、道路交通混雑等の現象のために非常にそのウエートを減らしております。一方で自家用車等の増強ということで、地方におきましては、過疎バス地域等についてはほぼ壊滅的な状態にあるとか、非常に問題が多くなっていることは御指摘のとおりだと思います。  ただ、これまた先生の御指摘がございましたが、最近バスにつきまして、その存在意義が発揮できるような分野、例えば夜間に高速バスが走るとか深夜に道路がすいている状態において走るとかというようなことが出てまいりました。  また一方、現在この国会で御審議中の道路交通法の改正あるいは保管場所法の問題でもそうでありますが、道路混雑あるいはそういうものを排除して道路を適正に利用する、限りある道路を有効に利用するという発想法が出てまいりまして、その際にバス輸送というものが非常に大きな意味合いを持ってくる、こういう考え方が、従来もバスレーンとかいろいろございましたけれども、そういう基本的な考え方に少しずつ変化が見られる、こういうことも言えるのではないかと考えております。  現在私どもは、運輸政策審議会という場所で、地域交通輸送対策小委員会というのを設けまして、地域における公共輸送機関の積極的な活用、輸送サービスの向上というテーマにつきまして検討を行っております。地域におけるというのは、過疎地域というような形にとどまらず、地方の都市あるいは大都市の周辺地域、そういうものも含めました地域における公共輸送機関の積極的活用方策はないかということで、特にバスを念頭に置きまして議論をいたしておるところでございまして、その検討結果を待ちたいと考えているところでございます。
  244. 高木義明

    高木委員 審議会の方で検討されておるのでその検討結果を待ちたいということでございますので、それを待って積極的な対応をしていただきたいと思うわけです。ある見方によりますと、あと三十年したら、乗り合いバスといった分野につきましては非常に見通しが立たない、こういう見方もあるわけでありまして、そうならないように、都市バスあるいはまた地方のバス、好調と言われ る都市間バス、貸し切りバスを含めて一つの方向性、あるべきビジョンをぜひつくっていただきたいと思います。これは強く要望しておきます。  次に、先ほども出ました高速バスでございますけれども、高速道路も延びまして、今や四千キロ時代に入ったと言われておりますが、そういう中で高速バスというのは、一九八八年度で、これは一日でございますけれども、運行系統数四百七十八本、運行回数二千三百九十三本、そういう状況になっております。非常に進展をしつつある分野であります。しかし、問題点もあるわけです。  それは、そういった進歩と逆に、整備が非常におくれておる、とりわけバスターミナルが未整備で利用者に大変不便を来しておる地区が相当あると言われております。もちろんバスターミナルにつきましては、事業者の主体的な責任で十分な対応をしていくことは、これは事実でございますけれども、しかし、やはり公共輸送機関という立場から、そういった所要の行財政措置も講じていくことが、高速バスが快適で利便を供する機関として今後十分に活用できる大きなかぎになるのではないかというふうに私は思いますけれども、この点につきまして当局の御見解をいただきたいと思います。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 早川章

    ○早川政府委員 高速バス発着ターミナルは、先生指摘のように現在東京などでは、数多くございます事業者のそれぞれのターミナルがその高速バスの発着ターミナルとして利用されているというようなことがございまして、したがいまして、同一方向に出るバスでございましても出発場所が違うとか、そういう問題点があることは御指摘のとおりでございます。とりあえずは、高速バスガイドブックというようなものを配りましたり、あるいは乗り場案内表示の設置等によりまして利用者のサービスを実施しておりますが、それなりにわかりにくさがあるというような御指摘はいただいているところでございます。  ただ、逆に言いまして、今度はバスターミナルをきちっとしてしかも大規模なものをつくるということになりますと、最近の地価の状況等からしましてその負担が結局利用者にはね返って、高速バスの競争力を失わせることにならないかというような問題がございます。そこで、それを公共的に整備することができるかどうかとか、あるいは東京等で一方に集中してしまった場合には逆の問題点も出てくるのではないかとか、そういったさまざまな議論がございます。  現在、私どもにおきましては、平成二年度、高速バス用総合ターミナルの整備に関する調査ということで、利用者ニーズに対応できる高速バスターミナルの整備方法はどのようなものであるかということにつきまして、これは二年間にわたる調査でございますが、勉強をさせていただいているところでございます。この勉強の結果を踏まえまして、どのような、財政投融資の投入等が適切かどうかとか、そういうような問題についていろいろ勉強してまいりたいと考えております。
  246. 高木義明

    高木委員 都市の適地を探すことにつきましてはこれまた大変なこともあるかと思いますけれども、今も言われましたように、ある都市の中にA社、B社、C社と高速バスのターミナルがある。しかし、あっちに行ったりこっちに行ったりさまよいながらそういうものを探していくという実態もあるわけですね。だから、そういうものも含めて実態を十分にごらんになって、これがネックになって今後高速バスの発展に障害が出てくるおそれもあると思いますので、ぜひこの点につきましても急速な発展にふさわしい整備を手がけていただけるように、行政の立場からも強く配慮をいただきたい、これは要望しておきます。  次に、昭和六十二年度からできた制度でありますが、バス交通活性化対策補助制度というのがございます。これは、交通混雑の激化によりバスの定時性の確保が困難になる、そういうことなどでバスの事業者にとっても経営的に非常にきつい面があらわれる。一方で公共輸送機関の拡充も一つの大きな社会の要請でもあるわけです。  そういう中で、昭和六十二年度からバス交通活性化対策補助金ということで二億七千百万円の補助がなされております。この補助につきましては、それなりにバスの案内システムとか利用者の利便にも供しておりますし、大変な成果があると私は評価をするわけであります。先ほど来私は交通政策、とりわけバス政策の中で言っておりますように、こういった枠の拡大につきましては格段の御配慮をいただく必要があるのではないか、こう考えるわけでありますけれども、この点についてどうお考えであるか、お示しをいただきたいと思います。
  247. 早川章

    ○早川政府委員 バスの輸送、特に都市におきますバス輸送というのは、本質的には相当の需要があって、輸送サービスがきちっと行われればお客様の信頼を得て、十分その存在を意義あらしめることができる輸送手段だと考えておりますが、当面、走行環境が極めて悪いというようなことからおくれが出る、だんだんと定時性が確保できなくなるというような問題点が出されております。  そこで私どもといたしましては、今御指摘のようなバス活性化補助金という仕組みで、バス事業者は旅客利便の向上のために例えばバス接近表示装置等の整備を行う。一方、そういうようなものを整備する際に、警察あるいは道路管理者等の御協力を得ながら、バス専用あるいは優先レーンを整備させていただく、あるいは優先信号などの設置を認めていただく、こういうようなことを一体的に行っていただけるようなことをお願いしてバス事業者に補助金を出す、こういう仕組みが実はこのバス活性化補助金でございまして、金額は二億七千百万円、大変毎年少のうございますが、それなりに意義は上がっているのではないかということで私ども考えているものでございます。  従来運輸省はこのような形のものを、ごくわずかな一種のモデル的あるいは先駆的なものにお金をお出しして、あとはそういうものをまねしてください、こういうことでやっておりまして、十分一般的に各方面あるいは各都市にどんどんこういうのが普及しているということにはなっていないわけでございます。先生のお話のように、私どもといたしましてもこれをもう少し充実して、具体的な補助金等ももう少し数多く出すことができれば、それなりに十分な都市交通政策として意義あらしめることができるのではないかと考えておりまして、いろいろ検討させていただきたいと思っております。
  248. 高木義明

    高木委員 そういうことでひとつ格段の取り組みをお願いしたいと思います。  次に、先ほども話が出ました乗り合いタクシーとかあるいは深夜バスというのが、これは旅客ニーズの変化といいましょうか、あるいはまた都市活動の二十四時間化といいましょうか、そういうことによって新たなそういう旅客市場も生まれつつあるわけであります。  しかし、これに伴って、既にある地域におきましては関係交通機関間の摩擦というのも一部において表面化をしておるわけであります。客の取り合いといいますか、そういうことであります。今後さらにこういった新しいニーズに合った市場を開拓するためには、企業がそれなりの努力をするわけでありますけれども、こうした新しいいわゆる業際市場といいますか、今後無益な紛争を未然に防止しなければならぬと私は思うわけであります。したがって、こういった流れの中で適正な分野調整というのも行うべきではないか、ある一定のガイドライン的なものも必要になっていくのではないかと私は考えるわけでありますけれども、御当局、この点についてどうお考えであるのかお示しをいただきたいと思います。
  249. 早川章

    ○早川政府委員 例えば深夜輸送関係で、タクシー、バスあるいは鉄道の間でお客様の分担をどういうふうに変化させていくかということかと思いますが、地域地域で大変実態が違うということであろうかと思っております。東京等におきましては、もう御承知のとおり、現在はもうやれる方にはぜひそれぞれの輸送手段をできるだけ提供していただきたいというお願いをして、そのように 提供していただいても特段他の、例えばバスがふえてタクシーが困るというような形でクレームがつくというような実態にはないわけでございますが、また場所によりまして、必ずしもそういうことで円滑にいく、あるいは全くお互いが取り合いをしないで済んでいるという形にならない地域があるということは御指摘のとおりかと思います。  しかし、私どもといたしましては、利用者のニーズ、利用者の実態が変わってくる。例えば住宅が外延化する、都市が外延化するというようなことが、一つのこういう深夜輸送等が出てきて新しい輸送需要が起こるきっかけかと思いますので、そのような実態に最も通した形で各輸送手段が特性を発揮して、お客様に問題がないような形で総合的に輸送が提供できるという仕組みを追求するという過程で、必要な調整はもちろん行いながら、最もお客さんに便利な形をつくってあげていく、こういうステップを地域地域の実態に応じましてとらせていただきたいと考えているところでございます。
  250. 高木義明

    高木委員 運輸大臣最後お尋ねをしておきたいと思いますが、私が先ほどからるる述べましたバス交通の政策につきまして、中にはたくさんの要望も差し上げましたけれども運輸大臣としての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  251. 大野明

    大野国務大臣 バス交通、都市バスもあれば地方バスもあり、また高速バスもあるし、夜間バス等もいろいろと非常に多様になってきたことは事実でございます。都市については、過密化が非常に大きくバス交通を阻害いたしておりますし、また地方でもマイカーなんかの普及でもって、これまたバス自体も過疎化現象になっておるというようなことで、非常に裏腹の面もあるように思いますけれども、何といっても地域の方々の利便を図るということにおいては当然考えなければならないというようなことを思っております。  今後とも地域の方々のニーズに応じ、また例えばどうも夜遅くなるのが都市型というのかどうかよくわかりませんけれども、そういうような新しい時代感覚等も取り入れて、長期的な観点から対処をしていくよう勉強したいと思います。
  252. 高木義明

    高木委員 終わります。      ────◇─────
  253. 田名部匡省

    田名部委員長 この際、申し上げます。  本委員会に付託になりました請願は五十一件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において慎重に協議いたしましたが、いずれも採否の決定を保留することになりましたので、御了承願います。  また、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、第八次港湾整備五箇年計画の策定と推進に関する陳情書外二十五件であります。念のため御報告申し上げます。      ────◇─────
  254. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件  気象に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 田名部匡省

    田名部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請についてお諮りいたします。  ただいま議長に申し出ることに決しました閉会中審査案件が付託になり、その審査のため委員を派遣する必要が生じました場合は、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地並びに承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 田名部匡省

    田名部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会