運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-05-29 第118回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十九日(火曜日)     午後零時三十分開議  出席委員    委員長 田名部匡省君    理事 岡島 正之君 理事 亀井 善之君    理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 敬夫君    理事 森田  一君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 草川 昭三君       小里 貞利君    鹿野 道彦君       佐藤 信二君    関谷 勝嗣君       中島源太郎君    平泉  渉君       藤井 裕久君    三塚  博君       宮崎 茂一君    山村新治郎君       上野 建一君    緒方 克陽君       小岩井 清君    小林 恒人君       常松 裕志君    速見  魁君       浅井 美幸君    北側 一雄君       佐藤 祐弘君    高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大野  明君  出席政府委員         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      吉田 耕三君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君  委員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   滝藤 浩二君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      石月 昭二君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      杉田 昌久君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      池田  本君         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君     ───────────── 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   高木 義明君     和田 一仁君 同日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     高木 義明君 五月二十五日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     小林 恒人君 同月二十九日  辞任         補欠選任   赤松 広隆君     小岩井 清君 同日  辞任         補欠選任   小岩井 清君     赤松 広隆君     ───────────── 五月七日  ハイヤー・タクシー、観光バス事業規制緩和反対に関する請願(渋谷修紹介)(第四〇二号)  同(山中末治紹介)(第四〇三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 五月七日  第八次港湾整備五箇年計画の策定と推進に関する陳情書外七件(第六九号)  精神薄弱者に対する旅客運賃割引制度適用に関する陳情書外十件(第七〇号)  四国への新幹線鉄道導入に関する陳情書(第七一号)  日豊本線の複線化等に関する陳情書(第七二号)  離島交通体系整備に伴う財政援助の創設に関する陳情書(第七三号)  鉄道センター計画撤回等に関する陳情書(第七四号)  リニア中央新幹線建設促進等に関する陳情書(第七五号)  リニアモーターカー宮崎実験線施設整備等に関する陳情書(第七六号)  九州新幹線鹿児島ルート早期実現に関する陳情書(第七七号)  地域交通バス確保に関する陳情書(第七八号)  専修学校及び各種学校の生徒に対する通学定期乗車券割引制度の是正に関する陳情書(第七九号)  ヘリコプターネットワーク整備促進に関する陳情書(第八〇号)  関西国際空港全体構想早期実現に関する陳情書外六件(第八一号)  国鉄跡地開発及び処分適正化に関する陳情書(第八二号)  地震及び火山噴火予知観測体制充実強化に関する陳情書外一件(第八三号)  ロランC局の移管及びロランA局継続運用に関する陳情書(第八四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案内閣提出第二九号)      ────◇─────
  2. 田名部匡省

    田名部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長石月昭二君、理事杉田昌久君及び理事池田本君の出席を求め、意見を聴取い たしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田名部匡省

    田名部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  4. 田名部匡省

    田名部委員長 これより質議に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方克陽君。
  5. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、清算事業団特別措置に関する法律について質問をしたいと思います。     〔委員長退席森田委員長代理着席〕  国鉄改革が実施をされて既に三年を経過したわけでありますが、その中で特に事業団収支は、平成年度の場合には最終的にはまだ出てないというようなこともお伺いしますけれども、六十二年度債務償還が一兆五千億、六十三年度が一兆八千億、そして元年度は二兆一千億ですか、そういうふうに非常にふえてきているわけでございます。  このようになってきた経過の中で今度の法律案が出されているということになっておりますけれども、このようになってきた経過について振り返ってみると、いろいろな要素があると思うのです。用地処分がうまくいかなかったということが大きな要因だということで提案でも説明をされておりますけれども、そうは言っておりますけれども結局売れるというところが売れなかった。  確かに地価高騰というようなものはありましたけれども、しかしそれにしても、収支がこのように大きく狂わなければならぬということについては、やはり用地処分について見通しの甘さがあったのではないか。平成年度では四千五百億ですか組まなければならぬし、また新幹線保有機構からは七千二百億という通年にはないようなものを補てんしなければならぬというような大変な状況になってきたわけですが、そこについては政府なりあるいは事業団の大きな見通しの甘さがあったのではないかということで、その辺については明確に政府としての責任なり態度を表明しておく必要があるだろうということが一つ。  それから、事業団の方にお尋ねしますけれども、お聞きをしますと、さっきも言いましたように、平成年度では四千五百億のバランスシート上の補てんをするためにいわゆる補正がされたわけですが、平成年度では一兆円の用地売却計画されているということでありますけれども、そのことは確実に実現する見込みがあるのかどうかということと、それが実現をすればバランスシート上の赤字というのは出ないということになるのかどうか、その二点についてまずお尋ねをいたします。
  6. 大野明

    大野国務大臣 今委員御指摘のとおり、確かに私ども国鉄改革検討時と違って、地価高騰というようなことがあったために用地売却が今のところ順調にいっておらぬということは事実でございます。しかし、国会審議等々もこれあり、また国民の負担軽減、こういうようなことを当初考えておったのが、そういうような事態のために多少今日は困難をきわめておりますけれども、しかしながら、今後はこういう地価顕在化させないで売却していくという方針を持っておりますので、もうしばらくの時間をいただければ必ず用地処分の拡大ということはでき得ると確信をいたしております。
  7. 石月昭二

    石月参考人 ただいま大臣から御答弁がございましたように、用地処分平成年度予算の三千五百億に対しまして約二千七百億程度というぐあいにおくれておりますが、その理由は、公正かつ確実、それから早期収入となります公開競争入札というものが、地価高騰社会情勢によりまして制約されているところが一番大きな理由でございます。私どもといたしましては、その後資産処分審議会に諮りまして、地価が表面化しない、地価顕在化しない処分方式等検討がどんどん進んでまいっておりますので、今年はそれらの処分方式を活用いたしまして、目標の一兆円に向かって全力を尽くす所存でございます。
  8. 緒方克陽

    緒方委員 全力を尽くすということですが、もう一つ質問しました、バランスシート上の赤字は出ないということになるのかということについてはお答えはありませんでしたけれども、明確に一兆円について努力するということですから、その時期に改めてまたこの問題はただしたいと思います。  さて、今度の法律での大きな柱は、営団株式譲渡ということにあるわけですが、問題はこの営団株をどういうふうに評価をするかということ、それは将来はいずれ公開をされるということになるわけですが、その点についてお尋ねしたいと思います。  営団出資持ち分評価を今度変えられたわけです。それは方式としては純資産額方式ということでされたというふうになって、三十一・九七ですか、約三十二倍ということになったわけでありますが、この方法でやられたということでありますけれども、その経過についてお尋ねしたい。  それから二つ目は、この営団株売却は当分ないということになっております。もちろんないわけでしょうが、しかし、いずれ将来は公開をされるということになるわけでございまして、それは一体いつごろなのだろうかということと、その後、例えばこの場合でも三年の間に約五割近くその評価が上がっているわけでございまして、十五年、二十年たったという場合には、地価高騰などが今までのように続くとは考えられませんけれども、いろいろなことで差益が出るということは当然想定されるわけであります。その際には一部を清算事業団の今のような財政状況の中で還元をするといいますか、補てんをするといいますか、そういうことは考えられていいのではないかというふうに思いますが、この点についてお尋ねをいたします。     〔森田委員長代理退席岡島委員長代理着席
  9. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 まず、先生お尋ね評価についてでございますが、御案内のように営団出資持ち分につきましては、旧国鉄時代国鉄東京都が折半出資しておりましたが、国鉄改革によりまして、そのうち国鉄出資持ち分については清算事業団に帰属したわけでございます。かつ、国鉄改革諸法に基づきまして政府譲渡することになっておりまして、六十二年九月に、その時点における営団純資産額に基づいて七千八十八億円と評価されました。  この評価につきましては、清算事業団資産処分審議会、また政府関係者の間で十分議論をしたものでございますが、今回予算折衝過程におきまして政府に残額を一括譲渡するということになりまして、新しい基準に基づいてこの営団純資産額を改めて評価して九千三百七十二億円としたのでございますが、これにつきましては清算事業団資産処分審議会了承を得るとともに、私ども政府の内部でも十分議論したところでございます。  これで法律を成立させていただきますと、今年度に、営団出資持ち分のうち清算事業団のものは政府譲渡されることになりますが、将来営団は、首都圏における地下鉄ネットワークが概成し、その業務が建設ではなしに運行に移行した段階において完全民営化するとなっておりますので、その時点において公的持ち分は放出されることになろうかと思いますが、今の時点で、営団出資持ち分株式としてどの程度価額処分されるかということは、将来のことでございますし、予測が困難でございますので、他の土地処分と同様、その処分時点における価額評価せざるを得ないと考えております。
  10. 緒方克陽

    緒方委員 また最後質問についてお答えがなかったのですけれども、そういうことが起きた場合に、清算事業団の現状の中で補てんをするとか、あるいはさっきも言った言葉で言うと、還元をするというようなことについてはどうなのかということについてはお答えになっておりません。
  11. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げましたように、将来果たしてどの程度処分するかということは予測が困難でございますが、仮に今回の価額より高く処分されたときに事業団補てんするかどう かという御質問だと思いますが、そういう将来の価額前提として今日議論できませんし、逆に、清算事業団の有する土地、それからJR株式等についてもその処分時点で判断するということでございますので、将来事業団補てんするというのは、現時点で考えるのは適切ではないんじゃないかというように思っております。
  12. 緒方克陽

    緒方委員 それでは次に移りたいと思います。  さっきちょっと御回答もあったようなこともありますが、株の譲渡というのは売る側と買う側とあるわけでありまして、清算事業団というのは言うならば政府分身みたいなものだということですが、そこでは、そこの資産処分審議会で三十一・九七ですかに評価した。  それで、政府としてはそれを買う場合に、買う人も一体その値段で適当かどうかということは当然検討しなければならぬ。事業団の方では資産処分審議会とかあるいは株についての部会とかあるようですが、買う側も何らかのところで議論されたんじゃないか。ちょっとレクチャーで聞きましたら、何かいろいろ相談し合ってというようなことでしたけれども、やはり売る方も買う方も、たとえ分身であっても事業団事業団ですから、買う側としても、その分についてはどういうところで買うということを決めたということについては明らかにしてしかるべきじゃないかと思いまして、そこらは一体どうなっているのかということです。
  13. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 この方式は、営団出資持ち分清算事業団譲渡した六十二年九月の評価においても採用されたわけでございますが、出資持ち分評価するのにはいろいろな方法が考えられる中で、現在の営団について最も適切ではないかと判断し、純資産額評価するということで、当時も資産処分審議会でその方式を決めて評価したわけでございます。  今回も同じルールにのっとりまして、営団土地とその他の償却資産に分けまして、土地につきましては前回も地価公示額基準として評価いたしましたが、今回は、新しい昨年一月の地価公示額で再評価して得た価額、かつ償却資産については六十三年度末における再取得価額ということである程度客観的に評価して定めたものでございまして、この間、私ども政府部内、特に財政当局との間では十分その方式について議論しているとともに、先ほどから申し上げておりますように、清算事業団資産処分審議会、これはそのような問題について権威の方々の集まっておられる審議会でございますが、そこで清算事業団が十分説明して了承を得たというこで、客観的に見ても、私ども現時点ではこの評価は正当なものであると考えている次第でございます。
  14. 緒方克陽

    緒方委員 それで、時間的な問題でお尋ねをいたしますけれども、きょうこれは審議をされておりますが、法律が成立をした後、特定債務というのは政令全額譲渡が行われるということになっておるわけでありますが、この時期についてはいつごろになるのか、どういう時期になるのかということについてお尋ねいたします。
  15. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団が保有いたします営団出資持ち分の全部を政府譲渡する日というのは、平成年度下半期の元利払のほとんどを一般会計負担することができるように、平成三年三月二十九日に承継することを現在予定しておりまして、これを法律に基づく政令で定めたいと考えております。
  16. 緒方克陽

    緒方委員 そういたしますと、平成三年三月二十九日ですか。もう一度。
  17. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 来年の三月二十九日でございます。
  18. 緒方克陽

    緒方委員 それでは次に、清算事業団資産面積と、それからその額について質問をいたします。  その前に債務処理の問題についてお尋ねをいたしますが、清算事業団長期債務処理については、さきの国鉄改革国会でいろいろ議論がされておりますが、その中で、スタートをしてから二十四年で終わるということになっております。今回の法律では、五年間支払いの猶予をするとかいうようなことにもなっておりますので、一体その最後は変わらないのかどうかということについてお尋ねいたします。
  19. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回の法律の第三条で、無利子貸付金据置期間をさらに五年間延長するという規定がございますが、今回対象となっております債務は三種類あり、そのうち、財政再建貸付金については平成二十三年九月三十日、地方交通線特別貸付金につきましては平成二十二年三月三十一日、特定利子貸付金については平成二十四年三月三十一日が期限となっておりますので、据置期限を五年間延長しましても、清算事業団全体の債務償還期限の延長は必要ないものと考えております。
  20. 緒方克陽

    緒方委員 わかりました。  それでは次に、清算事業団資産の問題について事業団お尋ねをいたします。  清算事業団処分可能な用地は、先ほども言いましたように、国鉄改革国会の中でいろいろ議論がありましたが、最終的な数字としては、処分可能な数字は三千三百五十ヘクタールですか、そして総額としては七兆七千億というような数字委員会議事録として出ているわけでございまして、その後、六十四年の四月一日では、これは一月一日の地価評価の変更に伴って出されたものでは九兆九千億ですね。そういう数字が今日明らかになっているわけでありますが、一九九〇年、ことしの一月一日で地価基準も出ているわけでございまして、その日にちにおける処分可能な資産面積とその総額については一体いかほどになるのかということについてお尋ねいたします。
  21. 石月昭二

    石月参考人 私ども処分可能の土地価格といたしましては、先生今おっしゃいましたように昨年度時点で九・九兆円でございます。今年の公示価格も出たところでございますので、目下新しい価格を算定すべく鋭意検討しているところでございます。
  22. 緒方克陽

    緒方委員 面積評価額お尋ねしたわけで、面積ははっきりしているでしょう。それから評価額も、いつごろになれば明らかになるのかということについてはちゃんと答えてもらわないと。質問に答えてください、まともに。
  23. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団土地につきましては、昨年初めの地価公示額もと総額で九・九兆円、これはかた目に試算したものでございますが、そのぐらいの評価と考えております。また本年の年初の地価公示額もとに、さらに最近、土地の不顕在化法等を採用して処分するということが前提になっておりますので、土地にいろいろ付加価値がつきますので、そういうものを含めてどの程度処分できるかという概算を今清算事業団検討しているところでございます。もう少し時間がかかるかと思います。
  24. 石月昭二

    石月参考人 土地評価額につきましてはただいま総括審議官からお答え申し上げたようなことでございますが、六十二年の四月一日の発足時に私どもが承継いたしました事業団土地は八千八百十ヘクタールでございました。その後、処分が六十二年、六十三年と若干進みましたので、元年度首土地面積といたしましては七千六百七十四ヘクタールというのが実情でございます。
  25. 緒方克陽

    緒方委員 理事長処分可能な土地は幾ら残っているかということを質問したのであって、全体は聞いておりません。  それから審議官、もうしばらくお待ちを願いたいということですが、聞きますと、確かに九・九兆円というのは割とラフな計算であったようなことも反省としてあるということで、積み上げをやりたいということはわかりますが、七月になるのか八月になるのか、おおむね、それは一生懸命やっていると思われるのですが、その時期についてははっきりしてもらいたいということです。     〔岡島委員長代理退席森田委員長代理着席
  26. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先生のまず最初にお尋ね売却可能な用地でございますが、これは承継時に三千三百五十ヘクタールございまして、そのうち 売却済みのものが三百ヘクタール、残りが三千五十ヘクタールでございます。そして、このような売却可能用地残りの三千五十ヘクタールについて今積み上げ計算をしております。ただ、これを対外的に公表するのが地価との関係でいいかどうかという問題がございますが、一応私ども目標としましては、来年度予算要求とも絡みますので、来年度予算要求を私ども省内で固めます八月ぐらいには数字清算事業団から得たいということで、清算事業団に督促しているところでございます。
  27. 緒方克陽

    緒方委員 わかりました。  それで、用地処分について再度お尋ねしますが、三年の計画がなかなかうまくいかなかったということでありまして、そのためにいろいろな処分方式で、顕在化をしないということで方式を考えたということでございますが、またこれからの三年間で同じような失敗を繰り返すということになれば本当に大変なことになるということは明らかでございまして、そこはそこできちんと進めなければならぬという意味からすると、先ほども言われたように一九九〇年度は約一兆円を目指すということですが、その次、その次の年、三年ぐらいは、まあことしは一兆円だけれども、来年は大体幾らを目指すか、その次はどれぐらいを目指すかという三年程度目標についてどう考えておるのか、お示し願いたい。
  28. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げました三千ヘクタールの土地を今後どのように処分していくか、私どもとしてはできるだけ適切、迅速に処分していきたいと考えており、昨年暮れの閣議決定では、原則として平成年度処分を終了するということにしております。  それでは九年度までにどういう計画があるかということは、私どももなるべく前倒しで処分したいと考えておりますが、今年度の一兆円につきましては、先ほどから申し上げております不動産変換ローン方式導入、あるいは随意契約中央鉄道学園跡地あるいは総裁公館跡地等、比較的高額で売却できるところが出てくるということでそういう積み上げをしておりますが、平成年度以降につきましてはまだ十分な見通しを持っておりません。  しかし、今残っております大物と言ってはなんですけれども、極めて大規模な旧国鉄用地でございます例えば汐留用地、あるいは名古屋の笹島の跡地、こういったところについてもいろいろ新しい不顕在化方法を講じて、平成年度からは処分を開始したいと考えておりますので、今年度は一兆円でございますが、平成年度、四年度になると、そのような大物処分によってさらに一層多額な収入が得られるのじゃないか、また逆に得られるように努力していきたいと考えております。  ただ、これは仕組みを考えるだけではなしに、汐留のようなところになりますと、地元東京都とも十分御相談し、いろいろ都市計画を立て、容積率も改定する等の開発計画が残っておりますので、清算事業団地元と十分密接な協議を行って、そのような環境整備も迅速に進められるように今後努力したいと考えております。
  29. 緒方克陽

    緒方委員 具体的には数字は出ないで、努力目標みたいなことを言われました。  別に言葉じりじゃないのですけれども、さっきも答弁顕在化顕在化と言われましたが、顕在化しない方式ということですね。二回ともそういうふうに言われました。
  30. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 まことに申しわけございません。地価の不顕在化方式でございましたので、さかのぼって訂正させていただきます。
  31. 緒方克陽

    緒方委員 それでは次に、これも資産処分の問題ですけれども、建物付土地売却方式、それから土地信託方式、それから出資会社活用方式ということで、大きく分ければ四つですね。それぞれ具体的な箇所名も挙げて今御説明もあったのですけれども、いろいろ聞いてみますと、新たな方式でもあるということで公的には初めてやられる方式もあるということで、そんなにうまくいくかどうかということとか、外国の方式なんかもいろいろ検討されたということも聞きますけれども、やはり初めてということについては非常に心配な面とかいろいろあるのじゃないかというふうに思うのです。そこらについては万全の自信があるのかどうか、そしてそれが失敗しないような保証というのは本当にあるのかどうか、その自信と確信のほどはどういうふうに持っておられるのか。
  32. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 新しい方式には確かに先生御指摘のような試行錯誤的なところもございますが、我々は、このような土地の不顕在化法というのが今後中心になってくると思うので、あらゆる面から検討をしているところでございます。  今まで既に開始されておりますものといたしましては、土地信託方式、これは、中規模の用地でビルを建てて商業施設に使えるようなところについて信託運営をお願いして、建物ができて付加価値が高くなったところでその信託権を小口に分けて譲渡するというものでございますが、既に渋谷の手荷物跡地、それから蒲田の駅前について信託契約を結んで現在業務を進めているところでございまして、この土地信託方式を採用しましたときには予想以上に要望も強く、これは最終的には、信託権を譲渡しなければどれだけ処分できたかということも明らかになりませんが、比較的不顕在化法として成功するという条件が整っておると考えております。  それから建物つき土地売却、これは清算事業団がマンションを上に建てて売却するものでございますが、清算事業団の旧国鉄用地や、もともと国鉄宿舎に使われていたようなところもございまして、比較的マンション建設等には向いておりますので、これも既に実施のものは成功の見込みが強いということになっております。  そのほかの方式、不動産変換ローンはことしから実施いたしますので、今子会社をつくって準備中でございますが、いろいろ関係者から意見を聞いて、失敗のないよう制度を固めるべく、清算事業団でも今作業を進めているところでございます。
  33. 緒方克陽

    緒方委員 そのほか株式変換予約権つきの事業団方式というようなものもあるようですけれども、とにかく、新たにやるものについては特に失敗のないように、いろいろな知恵も絞りながらきちっとやっていただきたいというふうに思います。  それから、この営団株評価がえをめぐつていろいろ議論があるわけで、私たちもやっているわけですが、これは一部のジャーナリストの声でもありますけれども、今度の営団株の再評価に伴う引き上げというのは今度されたわけです。三十一・九七ですか、近く予定されているJR株の価格決定に非常に大きな影響を与えるのではないか、与えるというようなことを言っておられるジャーナリストもいらっしゃいますし、私もそういうことかなと思うのですが、この点については、JR株の価格決定との関連ではどのように考えておられるのか。
  34. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに同じ清算事業団が保有する特殊法人の株式という点で比較する向きが一部にございますが、営団の今回の評価につきましては、純資産評価に基づいて譲渡額を決めたのに対して、近く上場が予定されておりますJR株式の場合には純資産額のみならず、特に経営状況、内部留保額、将来の事業の発展の展望、また駅の再開発等含み資産の活用、そういったものを総合的に判断し、かつ株式市場の動向によって価格が決まるということになると思われますので、これが好影響を与えるか悪影響を与えるかというよりも、そもそも両者において直接的な関係はない、また証券会社等関係方面でもそのような結びつきについて考えているところはないと私ども理解しております。
  35. 緒方克陽

    緒方委員 証券会社はそういうふうに言っているかもしれませんが、そういうふうに言っている人もいるわけでありまして質問をしたわけです。  次に、今もお話が出ましたが、JR株式処分についてお尋ねをしたいと思います。  この件については、先ほども出ましたけれども平成元年十二月十九日の閣議決定に基づいて、遅くとも平成年度には処分を開始するということがありまして、その後懇談会なども設けられて、株式上場に向けての作業が政府あるいは関係省庁あるいは団体等も含めて議論がされているというふうに承知しております。平成年度といえばもう近まってくるわけでありまして、現在どういう状況検討されているのかということと、処分に当たって問題点が幾つかあるんじゃないか、どういう点が乗り越えられなければならない問題点か、現在問題点としてあるものはどういうものなのかということについてお答えを願いたいと思います。
  36. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR株式の上場処分につきましては、このJR株式というものが清算事業団の抱える膨大な長期債務の主たる償還財源であるということが一方にあり、また他方、国鉄改革の趣旨にかんがみJRをできるだけ早期に完全民営化する必要があるという点からも、現在国鉄改革に残された重要な課題であると認識しております。  JRの最近の経営状況は、特に本州三社において比較的順調であり、あす元年度の決算結果が発表されますが、今予測しますと、元年度の決算においてJR東日本とJR東海は、証券取引所の上場基準のうち準資産額あるいは各年度の利益額等において上場基準に達するんじゃないかと考えられます。もちろん、上場審査においてはその他もろもろの事項が審査対象となりますので、全体的に合格、不合格と言うことはできませんが、経理上、財務上はほぼ充足するということから、私ども、昨年暮れの閣議決定のように、どこということではございませんが、遅くとも三年度には上場を開始したいと考えておるわけでございます。  しかし、この上場に当たっては、上場の方法株式売却の手順その他検討すべき重要な課題が残されておりますので、JR株式につきましての有識者との意見交換の場として、JR株式基本問題検討懇談会というものをことし三月末に設けまして、現在関係者からヒアリングをする等審議を続けているところでございます。今後、このような検討とともに、上場への準備ということ、我々行政当局としても基本的な問題を解決しなければなりませんし、また、株の保有者である清算事業団においても対策が必要であり、もちろん民営化いたしますJR各社においても諸準備を進めていかなければならないという時期に来ております。  その中でどういう問題があるかということでございますが、もちろん決算その他の処理手続の迅速化とか技術的なこともございますが、一例を挙げますと、JR東海が特に要望しているものとして、償却資産が非常に乏しくて東海道新幹線の維持、更新をする費用についても、通常の企業のようにその施設の減価償却費から賄うことができない。つまり、新幹線を現在新幹線保有機構からリースしてリース料を払っているだけで、償却資産として持っていないので償却ができないという問題が生じております。これを上場前にどのように片づけるかというようなことも今後の検討課題で、今部内で整理しているところでございます。
  37. 緒方克陽

    緒方委員 今問題点では東海の話などが出ましたけれども、そのほかに幾つかあるんじゃないかと思いますが、その点についてはどうですか。
  38. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 上場に当たっては、株主に将来不当な損害を与えないために、できるだけ問題点というのはディスクローズしていくということでございます。今申し上げました新幹線というのは大きな問題でございますが、その他は大体上場のときの審査基準に当たりますが、直前の決算期に配当を行う、こういう問題は直前でございますので、平成年度に上場いたします際も今年度、つまり平成年度の決算期において配当すればよいということになりますし、その他は今後の経営見通しの問題だと考えます。  ただ、今本州三社について申し上げましたけれども、将来三島、つまりJR北海道、JR四国、JR九州をどうするかという問題が残っております。これも国鉄改革の趣旨から申し上げればできるだけ早い機会に完全民営化することが必要でございますが、御案内のように、この三島は経営安定基金の運用益を前提として辛うじて利益を上げているということでございますので、上場ということを考えた際にこういう経営安定基金をどう判断するか、また将来経営基盤を確立するにはどう持っていくかということで本州三社よりもはるかに難しい問題が残っていると考え、今後我々の検討課題の一つであろうかと思っております。
  39. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、今新幹線の資産の問題がいろいろ答弁の中でも出てきましたけれども新幹線保有機構資産の問題についてお尋ねをしたいと思います。  日にちはあれですが、昭和六十二年四月一日ですか、新幹線保有機構資産については、その発足時にその債務にプラスをして再調達ということで二兆九千億をプラスして八兆五千億ということでスタートをしているわけでありまして、それに基づいて返済その他いろいろやられているわけでございます。率直に言って、それから三年がたっているという現状の中で、営団のように東京首都圏だけの資産ではないですから、全国といいますか、それでも首都圏を中心にそれぞれの主要な都市を走っているというものでありまして、一番新しいところでいいですけれども、この資産の額についてはどういう程度になっているのか、お尋ねをいたします。
  40. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 新幹線保有機構の現在保有します既存の四新幹線の評価につきましては、先生今御指摘のとおり、国鉄改革時に五・六兆円の既存の債務のほかに二・九兆円を上乗せしまして、全体で八・五兆円という再評価をして、それをJRの負担としたわけでございます。これは全体の三十七兆円に達する債務をどう振り分けるかというときに清算事業団最後残りの二十五・五兆円を引き継いだわけでございますが、JRに新幹線の収益にも着目してより大きな負担ということで八・五兆をリース料の形で課したという経緯がございます。  したがって、そこで各JRの負担というのは、一応それぞれ分担が決まったということでございますので、その後のリース料というのもこの八・五兆円をもとに年間約七千二百億円ということで、まだこれから二十六年間取り続けることになりますが、継続的に取っているわけでございます。したがって、この三年間も東日本、東海、西日本、それぞれのリース料に変化はございましたが、総額においては変化はございません。そういう意味から私ども新幹線保有機構の有する四新幹線の価格について、現在の時価その他ということでその後再評価をしておりませんので、ちょっと現在幾らぐらいかということは申し上げられないので、御了承願いたいと思います。
  41. 緒方克陽

    緒方委員 これは質問通告しておりませんでしたが、国鉄改革のときの審議に参加しておりませんでよくわかりませんのでお尋ねするのですけれども、今言われたような形で毎年二千七百億ですか。
  42. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ちょっと補足をさせていただきますが、七千二百億円が総リース料でございまして、このうち二・九兆円分に当たるものが約二千三百億円でございます。
  43. 緒方克陽

    緒方委員 わかりました。  次に、今計算はしていないということでありますが、これまた国民の財産という観点から、新幹線保有機構資産については、その処分に当たっては明らかにすべきじゃないかと私は思います。新幹線保有機構資産がさっきもJR東海ということで出ておるようでありますが、国民にわかりやすい方法譲渡は行われるべきであるということでありまして、いやしくも国民から変な目で見られることになってはならないということを思うわけです。譲渡をするというような場合にはどういう場で議論をすることを考えておられるのか。
  44. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、この問題につきましてはまだ部内で問題点を整理しているという段階でございます。 一つ取り上げましても、譲渡後に償却方法をどうするかというような企業会計上、税法上の問題もございます。そういう問題点を整理して、今後上場前に、この問題が決着する前には、仮に譲渡ということになりましたら、こういう問題に十分詳しい方々、また世間にもわかるような形で議論を尽くしたいと考えております。
  45. 緒方克陽

    緒方委員 それでは次に移りたいと思います。  実は五月二十五日でございますが、参議院の予算委員会の一般質問で、元国鉄清算事業団職員の問題について質疑がされているわけでございます。この問題は現在中央労働委員会で係争中ということになっておりますが、いろいろな水面下での話も含めて始まっているということであります。これは国鉄国会の経緯から見て、あるいは運輸省は直接の所管省であるという観点から見ても、現実に解雇されたということもあるし、不当労働行為で争いがあっているということも事実でありますが、解決されなければならぬということは明らかな課題であると思いますし、政府としてはぜひこの解決に向けて運輸大臣も努力をしていただきたいと思うわけです。  四日前の参議院の予算委員会においてもその議論がされておりますが、労働大臣答弁をされているわけであります。  内容的には、労働省としてもJR各社の労使関係が安定することは重要なことと考えており、JR各社の労使紛争については、当事者間の話し合いを基本とした円満な解決が図られることを望んでいるところである。  現在、中労委では、JR関係の再審査申し立て事件の処理の仕方について非公式に関係者から意見を聴取していると承知している。  三番目に、JRの労使関係については、全国にわたり、また複雑、微妙な問題を抱えている現状ではあるが、このような中労委の動向を見守りつつ、円満に解決するよう環境の整備のために引き続き誠意を持って当たってまいりたいという答弁がなされて、その席には運輸大臣も御出席をされていて、今日までこの元国鉄職員の問題については、いろいろな審議の結果、政府としての統一見解が出されておるわけでありますが、それも十分承知をしているということもその委員会で運輸大臣答弁をされているということでございます。  そこで、それにさらにつけ加えて大臣に要請をしたいわけでありますが、運輸大臣としても、この問題の解決のために労働大臣とも話し合いをしながらさらに解決に向けての努力をしていただきたいと存じますが、その辺について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  46. 大野明

    大野国務大臣 清算事業団職員の雇用問題につきましてはもう御承知のこととは存じますけれども、本年四月一日の期限切れまで三年間にわたって誠心誠意努力をしてまいったところでございます。しかしながら、千人強の人々が解雇という形になりましたけれども、私どもといたしましては、労働省等とも緊密な連絡をとりながら、やはりJRの各社の労使間の安定ということは大切なことでございますから、それらも私は十分認識して、そして私のできる範囲内においての万全の努力を今日もいたしておるところでございます。
  47. 緒方克陽

    緒方委員 大臣から、できる範囲でということでありますけれども、今も努力しているということでありますが、要するにこれはのどに刺さった骨みたいなものでありまして、国鉄改革では、さっき審議官は株の上場というのも、民間に完全に移行するというのも非常に大きな課題だと言われましたが、この問題も国鉄改革議論からすれば、一人も路頭に迷わせない、そういう答弁の経緯からして、いろいろな経緯はありました、一生懸命努力をされたということもありますけれども、現実に一千名を超す人がそういう状況になっているということについてはやはり解決をしなければならぬ課題ではあるということは大臣も言われましたので、ぜひ労働大臣とも緊密な連携を、さっきとるというふうに言っていただきましたが、努力をお願いしたいと存じます。  これで一応法律に関する質問は終わらせていただきまして、なかなか運輸委員会が開かれないものですから、どうしても一つだけ、交通安全に関連して質問したいことがございますので、御了承をお願いしたいと思います。  きのう、交通事故死亡者が四千人を超したということが報道されておりますように、非常に重要な問題でございますが、その中で、自動車教習の問題についてお尋ねしたいと思います。警察庁の方、お見えですか——では、お尋ねをいたします。内容は、自動車学校、自動車教習所が現在行っている高速道路における教習の問題についてです。  今、いわゆる自動車学校の指導員のもとで、仮免許で道路を運行したりされているわけですが、警察庁は五十二年の十一月と六十三年の十二月に、技能講習について、高速教習をするに当たっての通達を二回にわたって出されているわけでございます。その中で、五十二年の十一月には「悪天候等初心者の教習になじまないときは行わないこと。」ということが出されておりまして、そのほかいろいろありますが、六十三年の十二月には「技能教習は、悪天候、路面等の状況から初心者の教習になじまないときは行わないこと。」ということで、いわゆる悪天候とか路面の状況からというだけでその基準みたいなものがないということで、実際に指導されている指導員の人たちは、自分で判断して一体どうするのかということで大変悩んでいる問題があるわけです。  したがいまして、私の質問と要望の趣旨は、こういうことでだんだん広がっておりまして、近い将来は全部高速道路教習をやりたいということのようですけれども、安全性についてはやや疑問があるのではないかということが一つと、それから、これは最低強制はすべきではないということがありますし、三つ目には、特に大雨とか降雪時などということで、六十三年十二月に出されました通達の悪天候の基準で、例えば大雨であるとか降雪ということでもっとわかりやすく、こういう場合にはしなくていいんだというようなことをやらないと、指導員が安心して仕事ができないという面もあるわけでございまして、この点について、ぜひ指導の中でわかりやすく、教習をやらない場合の考え方、基準についてお示しをしていただきたいということについてお尋ねをいたします。
  48. 滝藤浩二

    滝藤説明員 御指摘の点につきまして、私どもも十分認識しているわけでございますが、ただ高速教習につきましては、我が国の高速道路は御存じのとおり年々整備されておりまして、現在総延長で五千四百キロを超えたわけでございますし、さらに毎年二百五十キロから三百キロのペースで延伸される見込みがございます。まさに高速道路時代ということでございまして、そういう中でドライバーの方々もほとんど高速道路を利用されるという状況でございますので、私どもとしましても、高速道路の教習を何らかの形で取り入れていかなければならないという認識は持っているわけでございます。  ただ先生御指摘のとおり、では交通事故はどうだということになりますと、これは絶対あってはならないというように私ども考えておりまして、この点につきまして再度、御指摘がございましたが、六十三年十二月には高速教習の実施要領ということで局長通達を発しまして、前向きな指導を現在行っているわけでございますが、交通安全ということが前提であることは論をまたないわけでございまして、御指摘の点も踏まえまして、もっともっときめ細かな指導を、現場の声もよく聞きながら進めてまいりたいと思っております。
  49. 緒方克陽

    緒方委員 今言いましたのは、具体的に通達の中に入れてもらいたいということで質問いたしましたが……。
  50. 滝藤浩二

    滝藤説明員 その点につきましても、現場の声をもう一回聞きまして、実は一回、こういう形でどうだろうということで検討した上で出させていただいたわけですが、御指摘もございますので、もう一度検討させていただきまして、もっと具体で書いた方がいいのか、検討を進めてみたいと思っております。
  51. 緒方克陽

    緒方委員 どういう場で意見を聞かれるのか、設置者協会の代表なのか、警察の内部の話なのかわかりませんが、私の質問は、実際に自動車教習をやっていて個人の判断で迷って非常に困っているという率直な声を聞いているわけですから、その部分はぜひ踏まえてもらって、通達の中にわかりやすく入れてもらうようにこれは強く要望しておきたいと思います。  私の質問をこれで終わります。どうもありがとうございました。     〔森田委員長代理退席委員長着席〕
  52. 田名部匡省

  53. 山中末治

    山中(末)委員 日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律について質問を申し上げます。  今同僚議員の方から質問がありましたので、できるだけ重複は避けていきたい、このように存じますが、ひとつ御答弁は簡潔にお願いを申し上げたい、このように存じます。  まず一つは、昭和六十二年度首処理すべき債務等の総額は三十七兆一千億であり、このうち二十五兆五千億が清算事業団負担と決められ、この二十五兆五千億の償還財源として、まず新幹線鉄道保有機構からの収入が二兆九千億、次に旧国鉄用地売却収入が七兆七千億、三番目に、これは額面でありますが、JR株式五千億円、四番目に帝都高速度交通営団出資持ち分七千億円、これは昭和六十二年九月の評価額でありますが、この売却収入で合計約十一兆八千億が予定をされていました。  ところが、清算事業団債務残高が、御承知のようにその後一兆六千億円ふえまして、現在二十七兆一千億円に増大をしています。昭和六十二年度首の、今申し上げましたこの長期債務対策は一体どこで決められたのか、まず出所を明らかにしていたただきたいと思います。
  54. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄改革時、昭和六十二年度首において処理すべき長期債務につきましては、先生ただいま御指摘されましたように三十七・一兆円でございましたが、日本国有鉄道改革法の第十九条によりまして、運輸大臣が定めた承継基本計画、ここではJR各社に承継さす長期債務については、JR各社が当面収支が均衡し、将来にわたって事業を健全かつ円滑に運営できる限度の長期債務を承継するというように基本計画に定められたわけでございます。またその基本計画に基づきまして国鉄が定め、運輸大臣が認可をいたしますそれの具体化した計画、つまり承継実施計画に基づきまして十一・六兆円をJR本州三社、新幹線保有機構などの新事業体が承継することが決められたわけでございます。  したがいまして、新事業体に承継されなかったもの、つまり三十七・一兆から今の十一・六兆を引きました二十五・五兆円が清算事業団に引き継がれたという結果に相なったわけであります。
  55. 山中末治

    山中(末)委員 今の数字で、私は十一兆八千億だというふうに記憶しておりますが、十一兆六千億ですか。
  56. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 十一・六と二十五・五を足しますと三十七・一兆になりますので、十一・六と御理解いただきたいと思います。
  57. 山中末治

    山中(末)委員 実はそれが、今の質問の内容が発表されて、その後昭和六十三年一月二十六日に閣議決定されたものを見ますと、清算事業団債務の償還等に関する基本方針、これが出てますね。それから、それを受けて今度は、平成元年十二月十九日の閣議では清算事業団債務の償還等に関する具体的な処理方針、こういうのが出ていますね。  これは先ほど申し上げた昭和六十二年度首における方針、考え方、これを受けた形で昭和六十三年の一月二十六日に閣議決定をされて基本方針を出された。それから、それを受けた形でより具体的に平成元年十二月十九日の閣議で、今度は具体的な処理方針について、こういうことが出された、このように私は理解をしておるわけですが、それでよろしゅうございますか。
  58. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 基本的にはそのとおりでございますが、なお改革時に比べまして、土地処分がおくれた等で金利負担が増大した、そういうことで清算事業団の承継しました二十五・五兆円がだんだんと累増してきたことに対する対策も含めて決定したということでございます。
  59. 山中末治

    山中(末)委員 そうしますと、これは六十二年、六十三年、平成元年と相当時間が経過していますね。その間に、今おっしゃったように債務がふえてきているということでありますが、これは先ほど同僚議員から質問がありましたのでもう深く申し上げませんけれども、その間余り手がつけられなかったのではないか、こういう印象を国民は受けているわけですが、その辺の説明、ちょっと聞かせておいていただきたいと思います。
  60. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 この承継しました長期債務から当然毎年金利が発生します。この金利が年間約一・五兆円程度でございますが、この金利が発生するということは当初から予想されましたが、その金利を消化するために土地処分し、新幹線保有機構収入、また一般会計からの補助金等を期待したわけでございますが、そのうち土地収入というものが、その後の地価高騰によって公開競争入札が原則的にできなくなった等により予定どおり進まなかったこともあって、債務が累増してきたということになろうかと思います。
  61. 山中末治

    山中(末)委員 年がたってきても緒にもついておらない、非常に苦労をしている最中だ、このように理解していいですか。
  62. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今の時点で申し上げれば、この長期債務処理は、好転するターニングポイントにあるのではないかと考えております。  その一つが今御審議いただいている法律でございますが、今まで三年間土地処分が十分進まなかったことに対して、我々は先ほども申し上げましたように、地価の不顕在化法をいろいろ考え、今後土地処分を促進するということで、今年度は従来にない土地処分の促進ということで清算事業団予算にも一兆円を計上しておりますし、また営団出資持ち分政府に一括買い上げてもらう、また平成年度にはJR株式処分を開始するということで今準備しているということで、今までの長期債務の累増傾向等を防止し、今後は長期債務の減少に向けて努力をしていく時期にかかったのではないかと考えております。
  63. 山中末治

    山中(末)委員 長期債務の低減を図っていくために努力していく、こういうことをおっしゃいました。  今ここまで質問をして、国鉄の民営・分割当時私も議員をしておったわけでありますが、そのときにいろいろな意見が出ました。そして、今この法案が出てきて私が思いますのは、清算事業団債務負担軽減を今なぜ図らなければならないのか。もともと国鉄当時いろいろな事業がございましたね。この事業は本来一般会計等で処理しなければならないような事業、これを国鉄に背負わせたのではないか、背負った国鉄が分割・民営になって、そしてその債務清算事業団の方へ、二十五・五兆引き受けてもらうということになった。よく考えてみたら、本来国鉄の事業といえども一般会計で出していき一般会計処理をしなければならないものがあった、これをこの時点でやはり清算をしていくべきではないかという発想が出てきたのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  64. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄改革時にJRへ承継させました長期債務を、先ほどお答えしましたように、経営に支障を来さない限度に限定し、残りはすべて事業団を新規に設立して承継したというのは、まさに先生が御指摘の趣旨を踏まえたものと考えております。  この清算事業団に承継されました長期債務が、将来清算事業団の所有する資産で返還できなかった場合には、最終的には国民負担、つまり国民の税金で支払わなければならないことになります。私どもとしましては、できるだけ国民負担をなくすという方向で清算事業団の所有する資産を適切な価額処分して長期債務の返還に充てたい、そ ういう意味では、債務を減少させるということは将来の国民負担を極力なくすという意味からも要な課題と考え、今誠心誠意努力しているところでございます。
  65. 山中末治

    山中(末)委員 それでは、分割・民営のときの議論、それを踏まえて、今おっしゃったようなことで何とか債務を減らしていかなければならぬ、こういうことですね。その当時私どもが主張した意見と今の時点で同じようなことになったというふうに考えております。  それでは具体的に質問をいたしていきたいと思いますが、今の本法案の中で示されております清算事業団営団に対する債権、出資額ですね、これが昭和十六年一口百円の額面でございました。これが三十一・九七倍に当たる三千百九十七円に再評価をされたわけですね。それで、この総額を九千三百七十二億円ということで出してこられておりますが、昭和六十二年九月の代物弁済のとき、四百七十九万口についてはこの評価の倍率が二十二・八四倍、こういうことで代物弁済をされているわけです。その後数年の間でこの二十二・八四倍が三十一・九七倍に再評価された。再評価されたその数字がいいのか悪いのか、こういうことを申し上げているわけではないのですが、こういうことが国民の中に非常にわかりにくいということでありますから、そのあたりの経過をひとつ、また根拠をわかりやすくお示しをいただきたい、このように思います。
  66. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 営団というのは首都圏で地下鉄を運営しているわけでございますけれども、トンネル部分その他の土地と、それから車両等の償却資産を持っているわけでございます。この資産評価してそのうちの負債等を引いた純資産ということでこの営団の出資額を評価したわけでございますが、六十二年九月に評価した際には、当時の地価公示額に基づいて土地評価し、当時の取得価額でその他の償却資産評価した結果七千八十八億円となった。この検討方法等につきましては清算事業団資産処分審議会方法、また額等について審議していただいたわけでございます。  当時、順次政府譲渡していくという方針でございました営団清算事業団による出資持ち分を、現在の清算事業団債務の累増傾向を防止するために一括譲渡する、かつ有利子債務に充てるということを今回予算折衝過程で決めましたので、同時に、現在譲渡する場合に、この営団の残った出資持ち分をどう評価するかということでいろいろ専門的にも検討し、かつ資産処分審議会了承を得た結果、昨年年初の地価公示額で改めて土地を見直し、六十三年末の償却資産等の再取得価額でその他の資産を再評価した結果、九千三百七十二億円、三十二倍という評価になったわけでございます。
  67. 山中末治

    山中(末)委員 経過はわかったのですけれども、これは政府もしくは清算事業団の中の審議会、そこで審議されたこと、先ほどもちょっと関連質問が同僚からありましたけれども、これは政府側も一般会計で肩がわりするわけですから正しい評価でなくてはならぬわけですね。清算事業団の方も、できればもっと五十倍か六十倍くらいの再評価をしてもらえれば債務の残高が減りますからいいけれどもという考えもあるでしょう。三十一・九七倍ですか、これが本当に正しいという証明はどこでしてもらえばいいのですか。
  68. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かにこういう企業体の出資持ち分について評価する際にはいろいろな考え方があると思いますが、営団というものは株式方式ではございませんので、今申し上げました純資産額ということで評価したわけでございます。  なお、一般会計がそれじゃ五十倍、六十倍だったらいいじゃないかという考え方に対しては、いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、仮に清算事業団債務が残った場合には国民負担になる、やはり国の負担になるということでございますので、適正に評価して、現時点でこれだけの債務償還財源を得るということが適当じゃないかと考えております。
  69. 山中末治

    山中(末)委員 堂々めぐりになるかもわかりませんね。一般会計債務、利子も合わせて元利償還を引き受ける、肩がわりするということについては、これはやはり国民負担の一つだというふうに私は考えておるのです。これは否定できぬと思うのですけれども、そういう立場から考えると、やはりこの倍率というものはもっと何か、立派なと言えば語弊がありますが、証明、そういうものが何か要るんじゃないかと思いますが、どうでございましょう。
  70. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 一般の株式については市場における人気その他で株価が決まりまして、必ずしも株価に相応するような根拠はございませんが、今回は政府譲渡する出資持ち分ということで、純資産額土地その他の資産現時点における評価額で決めたという点ではこの方式が一番客観的であり、現時点では適正な価額であると私ども考えております。  もちろん、営団が将来完全民営化されたときにその株価が幾らになるかということは、今後営団の経営状況その他によって変わってきますので、そのときと現在の評価が一致するとは申し上げられませんが、現時点政府譲渡する上においては、これは六十二年九月に資産処分審議会検討の結果決めました仕組みに沿った再評価でございますし、今の時点で適正なものであったというように御理解いただければ幸いでございます。
  71. 山中末治

    山中(末)委員 今大塚審議官のおっしゃったことが本当のことだろうなというふうに思うのです。  その再評価審議会の中での、議論はいいですけれども、結論、数字、そういうものは外へ出すことはできないんですか。
  72. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 仕組みについては今私が申し上げた以上のものはございませんが、資産処分審議会は事柄の性格上非公開になっておりますので、その審議の内容等については御勘弁願いたいと存じます。
  73. 山中末治

    山中(末)委員 では、数字も出せないということなんですね。
  74. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今のような方式については申し上げることができると思いますが、個々の積算等につきましては営団自体の企業内容にもかかわりますので、ちょっと今の時点では出しかねると申し上げるほかないと思います。
  75. 山中末治

    山中(末)委員 これは特殊会社までまだいってないのですね、今は公法人ですね。公法人のそういうものもやはりだめなんですかね。  それとあわせて、もう一歩踏み込みまして、私は国民によくわかるような説明が必要だという観点から御質問申し上げているのですが、その問題とあわせて、では、再評価の低い倍率と高い倍率が出た場合——これは結論が間違っているとは申しません。しかし数字も出てこないということですから、出てくればまた別ですが、そうすると再評価の低い倍率と高い倍率で評価が、結論が出された場合、利益を得る側と利益を得ない損をする側とが出てくるのではないか。  先ほど一般会計で肩がわりした場合、評価が高ければ一兆円も超えるでしょうし、評価が低ければそれ以下でしょうし、将来の株式発行のときに株価がそれを上回るかどうかは予測できないということですから、私もそう思いますけれども、現在の時点でこの三十一・九七倍の再評価の倍率が、利益を得る側と損をこうむる側とあるかないか、それについての説明をお願いしたいと思います。
  76. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 現時点における純資産評価として、高い低いじゃなしに、地価公示額等をもとにして私ども一つの答えを出しております。また、これが将来どうなるかということはまた別の問題で予測困難で、地価公示額が上がればまたそういうことになりましょうし、下がればまた別な評価になると思います。  なお、先ほど数字を申し上げられないと言ったのではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、総資産評価し、総負債を引いて、純資産額を出して一口幾らということにしたわけ でございますので、そういう概数でございましたら後ほど御提出申し上げることができると思います。ただ、積算が膨大になり、また営団自体の作業にかかわるところもございますので、そういうものが出せないと申し上げたので、決して秘密の数字だということではございません。
  77. 山中末治

    山中(末)委員 わかりました。それでは後ほど資料をひとつよろしくお願いいたします。今御質問申し上げていますのは皮肉を申し上げているわけでは決してないのです。これは非常に大きな国鉄の転機に行われる措置でございますから、国民の方にわかりやすく理解を得るためにそういうふうにしてほしいな、こういう意味であります。  それでは、次に移ります。  臨時行革審が昭和六十一年六月十日、「今後における行財政改革の基本方向」の答申の中で、この問題にお触れになって、「地下鉄のネットワークがほぼ概成し、路線運営が主たる業務となる時点における完全民営化を目標として、五年以内に可及的速やかに」この帝都高速度交通営団を「特殊会社に改組することとし、当面、累積欠損の解消等、そのための条件整備に努める。」このように言われているわけであります。  この趣旨を受けられまして、昨年の十二月二十九日の閣議で、「完全民営化に向けて、その前提である地下鉄のネットワークの概成に努めるとともに、平成三年を目途に可及的速やかに特殊会社への改組を図るため、引き続き条件整備を進めつつ、その具体化措置について検討する。」こういうことが閣議決定されているわけであります。  この中で、帝都高速度交通営団関係しまして御質問を申し上げるわけでありますが、今どんどん工事もしておられますし、資料をいただくと大変な事業量になっておるようでありますけれども、ネットワークの概成の具体的な計画、それから、この答申からいけば完了年度は五年以内というふうに理解できるわけですが、それでよろしゅうございますか。
  78. 早川章

    ○早川政府委員 先生の御質問、まず帝都高速度交通営団が完全民営化すると申しますか、ネットワークの概成が進んで完全民営化するタイミングについての御質問であるとしますと、そのあれは五年ということではないと理解をいたしております。  先生いろいろ御指摘のように、まず六十一年六月十日の臨時行政改革推進審議会で、「帝都高速度交通営団については、五年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、」その次に、「地下鉄のネットワークがほぼ概成し、路線運営が主たる業務となる時点において、公的資本を含まない完全な民営企業とする。」という答申でございます。したがいまして、特殊会社に改組するという目標は五年以内という目標が示されておりますが、完全民営化というタイミングにつきましては路線運営が主たる業務となる時点、地下鉄のネットワークをほぼ概成した時点、こういうことでございます。  ネットワークがほぼ概成したとは何を言うかということにつきましての政府側の解釈でございますが、昭和六十年に運輸政策審議会で、東京圏の地下鉄のネットワークといいますか、鉄道整備のネットワークにつきましての答申がございました。それらのネットワークのうち、営団整備を担当するという、例えば地下鉄の十三号と申しまして池袋から渋谷を結ぶ線であるとか、あるいは十一号と申しまして押上から松戸の方に結ぶ線とか、それらの線がいずれも完成した時点がいわば完全民営化の時点である、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
  79. 山中末治

    山中(末)委員 わかりました。  それではそれと同じ解釈でいけば、閣議決定では「平成三年を目途に可及的速やかに特殊会社への改組を図る」、こういうふうに読んでいいわけですね。同じ流れですからね。
  80. 早川章

    ○早川政府委員 御指摘のように、行革大綱、十二月二十九日閣議決定いたしたものは、「平成三年を目途に可及的速やかに特殊会社への改組を図るため、引き続き条件整備を進めつつ、その具体化措置について検討する。」というふうにされております。
  81. 山中末治

    山中(末)委員 ではその上でお尋ね申し上げますが、「累積欠損の解消等、そのための条件整備に努める。」ということが書かれております。累積欠損の発生の原因というのは、やはり主にネットワーク事業、ネットワークの概成のために資本を投下している。資本投下の段階であってまだペイされる段階に来ておらない、こういうことで、それが累積欠損の大部分を占めるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  82. 早川章

    ○早川政府委員 先生御指摘の「累積欠損の解消等、条件整備に努める。」というふうにされましたのは、行革大綱、昭和六十一年末の閣議決定の行革大綱でございまして、当時営団は累積欠損がございましたが、六十二年度には累積欠損が解消いたしております。六十二年以降、累積欠損という形は残っておりません。  ただ、営団は、鉄道整備の場合には建設仮勘定で鉄道を整備しておきまして、それが開業のときに、言ってみますと償却というものがその年度から実際に経費として立ってくるという形でございますので、鉄道を整備して、それが実際に運用になりますとまた大幅な赤字要因が生ずるというような体質でございますので、一たんここで累積欠損がなくなったということで、今後とも絶対に生じないんだということでは必ずしもない。そういう意味では、条件整備というのは、累積欠損が生ずることのないような経営体質というものを確立していくというような点が一つのポイントになる条件であろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  83. 山中末治

    山中(末)委員 累積欠損は解消された、こういうお話ですね。地下鉄全体、都営の地下鉄もございますし営団の地下鉄もございますし、それから地方へ行きますと都市交通の地下鉄もございます。これは昭和五十九年ですか、この補助率等が切り下げられて、補助の条件、地下鉄の整備の条件がちょっと後退したのは五十九年でしたかね。
  84. 早川章

    ○早川政府委員 地下鉄の補助に関しましては、先生御承知のとおり、補助対象経費の七割を国と地方が半分ずつ補助するという仕組みでございまして、従前からやってきたところでございますけれども、昭和五十五年以降、国の財政につきましてはシーリングという仕組みで補助額につきまして制約が生じまして、その過程でさまざまないわば繰り延べ措置と申しますか、補助の後送り、こういった形のものが生じてまいりました。  いろいろな形がございますが、多分先生御指摘の点は、昭和六十一年から補助を、従前建設年度補助と申しまして建設した翌年度から補助を開始しておりましたのを、開業翌年度方式と申しまして、開業後補助という形で、したがって建設中は一切補助をしない、こういったようないろいろな仕組みの中で特に際立った形のものを取り入れました。それが昭和六十一年でございました。そのことかと存じます。
  85. 山中末治

    山中(末)委員 公法人に対するもの、これはいわゆる起債に相当するものがありますね。都市交通の場合は、これは起債の許可をもらって、今おっしゃったように先に事業を進めて、いっときは事業が全部完了して供用開始をしなければ補助金の支出がなかったということはありますね。これは努力をされてその後改善をされた。現在は当該年度の工事費について補助を出していく、全部こういうことになっているのですか。
  86. 早川章

    ○早川政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、昭和六十一年度から開業後補助という形の措置をとらざるを得なかったわけでございますが、そのような措置、その他の措置も含めまして、地方の公営企業に対しまして国が繰り延べさせていただいている額、これは国と地方が半分ずつ措置をいたしますが、この国の分だけで千二十四億円たまっていたわけでございますが、これを平成年度の補正予算で措置をさせていただきました。  つまりそういうことは、開業後補助でなしに建設後補助、建設年度からの補助という形に直ったわけでございますが、さらに、今御提出を申し 上げております平成年度予算案におきましてこの補助の仕組みを、建設年度から補助をするという仕組みを入れ、さらにまたこれは、地方の公共団体の一般会計からの出資も従前一〇%でございましたが二〇%にお願いする。これは、大手私鉄等の最近の自己資本比率がかなり上がってまいりまして一八・三%というような数字になっておりますので、それとの比較におきましても一般会計から二〇%の出資をお願いする等の、いわば地方の公営企業の経営健全化というための措置をとろうとしているところでございます。
  87. 山中末治

    山中(末)委員 五十九年、六十一年ごろは本当にむちゃくちゃなことをされたなということで、私は予算委員会質問したことがあるのですよ。竹下元総理が大蔵大臣でして、そのときにこんなむちゃくちゃなことをしてもらっては困るということを言ったのですが、ようやく平成年度に至って当年度もとの形に戻ったわけですかね。ちょっと前進したのですかね。そういう努力をされているということですが、今後も手を緩めずに努力をひとつやっていただきたい。  起債はあると思いますけれども、これは全部満杯されても三〇%は団体負担ですから、そういうものについて政府は努力をされるだけ、先ほど総括審議官もおっしゃっていましたけれども、国民負担がなくなってくるわけですからね、減るわけですから。できれば本当はこういう事業についてはゴールデンプランとして、早くつくられたところも後からつくらなければならないところもそう運賃に差額のないような形に、何とか総合ゴールデンプランのようなもので処理していきたいなという感じ、期待は持っているわけですけれども、今のところはなかなか難しかろうと思いますが、できる限りひとつこういうことについては頑張っていただきたい、このように思うわけです。  都市交通なんかは、特にもう地上の方は交通関係の渋滞、モータリゼーションの発達等でなかなか快適に正確に迅速に運行できないような状況がありますから、勢い将来はやはり地下に頼る比率というものが高くなってくるでしょう。このように実は観測するわけでありますから、局長、今の立場を十分ひとつアピールしていただいて御尽力を願いたい、このように思うわけであります。  そういうことを要望申し上げておいて、最後に、帝都高速度交通営団を完全民営化するということが言われていますので、完全民営化の一番大事なところ、目的、これは一体那辺にあるのか、ひとつ簡単に説明をいただければありがたいと思います。
  88. 早川章

    ○早川政府委員 いわば完全民営化を目指す趣旨でございますが、これは言うまでもなく最も民間活力を活用しながら活力のある組織体にしたい、こういうことでございます。ただ、この辺が現在私ども検討で大変難しいところでございますが、先ほども申し上げましたように、鉄道の整備というのは非常に巨大な金がかかりまして、その膨大な資金調達あるいはそれがいわば償却費負担としてその企業の経営を圧迫する、こういう要素がございまして、その関係で、現在東京を中心といたしますこの地域で営団が予定せざるを得ない鉄道整備というのは、非常に長い距離あるいは巨額な資本を要する、こういう形になっております。  一方で、営団は日々現在既に開業しております地下鉄を運営しておりまして、そこでおよそ一万の方が働いていらっしゃる、こういうことでございまして、その日々の営業活動、事業活動と、それから非常に採算的にも難しい鉄道整備とをあわせ行う組織体として一体どのような形のものが望ましいのか、それが恐らくこの答申等では特殊会社というふうに言われているのだと思いますが、その形がどのような形であれば、例えば日々の活動についての事業規制というものが強化されないで、かついろいろ潤沢な、あるいは適切な長期資金が借り入れられて、かつその設備負担というのが出て仮に赤字になりましても、その形が十分国のもとでもって対応することができるような範囲にとどまるのかどうか、この辺が実は、将来的に完全民営化という時点になれば大変適切な形でも、その過程が今は非常に難しい。  しかも、現在公共投資というものでこの種の設備投資の促進が言われているタイミングでございますので、この辺が実は今非常に私ども検討に苦慮しているところだということでございますが、先生の御趣旨のように、今後のあり方といたしましては、完全民営化が一日も早くできますように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  89. 山中末治

    山中(末)委員 今の一般会計での肩がわりの問題とあわせて平成四年までは当初からの無利子の貸付金の据置期間がある、これを今回の場合は平成九年まで当初からの据置期間を延ばす、こういうわけですね。そして平成二十四年ですか、平成二十四年三月三十一日をもって償還が完了する、こういう措置が今度の法案の中にうたわれているわけでありますが、このような措置を今まで具体的にやられたことはございますか。
  90. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 既に過去の国鉄時代特別措置法等でやっている例がございます。今回条文等はそういうことを参考にさせていただいております。
  91. 山中末治

    山中(末)委員 それで、平成年度予算の中で肩がわりをしたものを予算化していく額というのはもう決められていますね。この額は、一般会計の財政事情が変わろうとも、平成二十四年までの単年度分の償還額の計画は変わりませんか。
  92. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これはそれぞれの貸し付けの際の条件でございますから変わりません。ただ、清算事業団一般でございますが、債務の償還に当たって、従来は足らざる分を新たに借り入れするというような形はとっておるわけでございます。
  93. 山中末治

    山中(末)委員 今、国の一般会計の中で、これはいろいろ申し上げると語弊も出てくるようですが、当初計画よりは税収が大分多くなるという状況が続いているわけであります。こういう状況の中で償還を早めていくとか、それから一般会計の単年度予算で組む償還額をふやしていくとか、これは期間を縮めるわけですが、そういうことはせずに初めの借り入れの条件はもうそのまま踏襲していくということになるわけですか。
  94. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 私から申し上げるのもなんでございますが、現在の国の財政状況は依然として厳しい状況にある中、清算事業団の抱える膨大な債務、現在二年度首で二十七・一兆円というものを土地、JR株式を中心として今後いかに償還していくかというのは大きな課題であり、かつ最後に極力国民負担をなくすというのが私ども目標でございますから、我々はこの事業団の中における債務処理ということについて全力を尽くしていきたいと考えておるわけでございます。
  95. 山中末治

    山中(末)委員 それではこの機会に、こういう償還については、先ほどちょっと申し上げましたように、国鉄の分割・民営のときに残ってきた債務事業団の方へ移して、そしてその中には、今度の法案が出てきた趣旨は、やはり本来国鉄だけに背負わせるのじゃなしに一般会計で長年の間に処理すべき、そういうものでもあった、そういうことも含めて今度肩がわりをして一般会計で持っていくというような要素もあるということですから、そういうことから考えると、私は債務を減らしていくための御努力は、一般会計でこれだけ肩がわりしたからそれで済むというものじゃなしに、もっとほかの要素として、一般会計収入がふえてくる段階、そういうときにはやはり新しい発想をして、そして償還すべき財源というものをより大きく確保していくべきじゃないか、このように思うのですが、これは間違っていますか。
  96. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団の趣旨からいいましても、長期債務の償還に当たっては、まず第一にその償還財源でございます清算事業団の有する株式土地等の資産処分して充てるということでございますので、これをまず第一義的に今後も考えていかなければならないと考えております。
  97. 山中末治

    山中(末)委員 それでは最後土地処分の問 題でございますけれども、いろいろ難しい状況等が出てまして、地価高騰につながっていったり、非常に神経を使わなきゃならぬことでありますが、私も地方公共団体の首長をしばらくしてまして、公共用地の確保というのが非常に難しくなってきている。それは単価が高くなったということも言えますけれども、密集地なんかは本当に公益、公共施設、社会施設等の充実をやろうとしてもそれが手に入らない。清算事業団の方は御承知のようにその町、その村の一等地なんですね、駅前というのは。どこの町へ行ってもほとんどJRの駅があるところは一等地。ここはやはり固定資産評価額も非常に高い。  こういうこともあるでしょうけれども、地方公共団体等が公共、公益施設あるいはまたその他の公共施設等をつくらなければならないという計画をして、それの用地を確保しようとする場合、これはやはり国と地方との関係でございますから、優先的に地方公共団体等にその土地を分譲していく、これが私は望ましいと思います。  しかし今の状況では、そういうお考えを持っておられても土地価格が、路線価格等が、評価額が非常に上がってきているということですから、その評価額で売り渡すとなると地方公共団体がそんなに高いあれでは買えないということでジレンマがあると思います。それを打開する方法として思い切った方策、お考えを持っておられますか。
  98. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 現在清算事業団が保有します旧国鉄用地を、特に地方において地方公共団体の御計画等に沿うように活用していくというためには二つ方法があると思います。一つは地方公共団体に随意契約で直接譲渡する方法、もう一つは地方公共団体が立てられました都市計画、地域開発計画等に沿った形でこれを譲渡し、活用するということでございます。現在までも地方公共団体に譲渡している事例も非常に多うございますが、私どもの進めております旧国鉄用地処分というのは、先ほどからも申し上げておりますように長期債務を償還するための貴重な財源でございますので、これを安く譲渡するというわけにはまいりません。  そこで、適正な価格譲渡するということが困難な場合には、地方公共団体等地元にも御参加いただいた清算事業団審議会、分科会等において十分地域開発計画を御審議いただいて、その計画に沿った形で処分していく、そういうことにおいて地方の町づくりにも寄与する方法が数多くございます。私どもとしては、そういうことで適切な価格処分しつつも、なおこのような貴重な空間、特に地方公共団体にとりまして貴重なスペースを有効に活用しつつ、かつ清算事業団の償還財源を確保していくという方向で現在処分を進めているところでございます。
  99. 山中末治

    山中(末)委員 言葉をかえますと、地方公共団体を取り巻く都市計画等そういうものがあれば、地方公共団体がじかに使う場合も含めて、旧国鉄用地、JR、清算事業団用地を貸し付ける場合もあり得る、有償貸し付け、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  100. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これは昨年暮れの閣議決定でも平成年度末までに原則として処分を終わるということでございまして、最終的には処分しなければなりませんが、そこの地域についてきちっとした都市計画ができるまでの間等において貸し付けるということはございますが、これはあくまでも処分までの臨時的な措置でございます。東京の場合も、汐留についてはいろいろな施設に貸し付けて最終的に都市計画ができて処分できるまでの間の収入を確保する措置を講じております。
  101. 山中末治

    山中(末)委員 平成年度末までに処分を完了する、そういう方針でいけば、現在はそういう貸し付けの方法もやぶさかではないけれども平成年度には処分が完了するようにしたい、こういうことなのですが、考えてみますと、国鉄債務を返していくのは平成二十四年まででしょう。平成二十四年まで一般会計で元利償還ですよね。そうでしょう。国鉄の方の分は平成二十四年まで元利償還していく。  旧国鉄用地を地方公共団体等に貸していく方法処分する方法等については、平成年度までに処分を完了するというのは、何かこう国側の方のお考えだけが優先して、地方公共団体の考え方にちょっと十分沿っていないのじゃないかという感じがしますので、これはやはり譲渡契約をして、そしてそのペイをする償却の年度はもう少し、平成年度処分完了というのじゃなしに、それ以降も分割で、もちろん利子はつきますが、ペイしていくということではだめなのですか。
  102. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに先生今言われましたように、償還計画を現在の計画どおりに進めていきますと最終的には平成二十四年度までかかるわけでございますが、それを待って土地処分していきますと、膨大な債務でございますのでその間に発生する金利が大変な額になります。  そこで、私どもできるだけ早く土地処分して、その処分価額で、まずこれは貸付者との折衝をしなければなりませんが、繰り上げ償還する、早期償還する、あるいは早期償還が無理なときにはその資金を運用して何とか金利分をカバーするというようなことを考えなければならないと思っております。もちろんその土地を有効に貸し付けて、その貸付料で金利がカバーできるくらいの貸し付け方法がございましたらそれも一案でございますが、今までやっているところでは管理費が出る程度で、それ以上に清算事業団収入になり、償還の一部財源になるような貸し付けということはなかなか難しゅうございますので、やはり我々としては処分ということを第一に考えたいと思っております。
  103. 山中末治

    山中(末)委員 最後になりましたが、よくわかるのですけれども、具体的に地方公共団体が事業を進めていくときに、用地がなければもうどうにもならぬという状況も片方にございますね。ですから、今おっしゃっている事情もわかるし、地方公共団体の財源の不足等の問題についても、今すぐにそれを全額買えないという事情もわかる。  そこで、審議官に今後の課題として特に要望しておきたいのは、そういう場合、地方公共団体が清算事業団に例えば平成年度に完了するように契約しますわね、土地譲渡を。その場合、手元には財源がないわけですよね。そうすると、適当な起債等を、随分以前には田債という田んぼのあれがありましたね、特例で田債という起債が。ああいう方法国鉄清算事業団用地を購入して、そして都市計画あるいはまたその町の公益、公共施設等の整備に充てる場合、今の起債の条件だけじゃなしにもう少し貸し出し条件を、起債の発行条件を緩和したような、そういうことで自治体はその起債でまずJRへ払っておく。あと残った起債の償還で、例えば条件のいいもので年々元利償還していく。  これならできそうな気もしますので、今後審議官もいろいろな場でこういう問題で頭を悩まされることだと思いますが、御苦労ですが、そういう要素も含めて国鉄清算事業団側もペイがうまくできる、地方公共団体も起債の年限それから起債の利率、こういうものを利口な方法でやればうまくいけるというふうなことを、道をひとつお考えいただきたいなというふうに思います。  これだけ要望しておきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  104. 田名部匡省

    田名部委員長 北側一雄君 。
  105. 北側一雄

    ○北側委員 それではまず、今回の法案についてお聞きしますが、今回の法案で政府清算事業団出資持ち分を譲り受ける時期がいつなのか、お聞きしたいと思います。
  106. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団が保有します営団出資持ち分の全部を政府が譲り受ける日は、平成年度の下半期の元利払いのほとんどを一般会計負担することとすることができる来年、平成三年の三月二十九日を予定しており、これを政令で定めるつもりでございます。
  107. 北側一雄

    ○北側委員 念のためにお聞きしますが、平成三年の三月二十九日、この時期に出資持ち分価額に相当する事業団債務一般会計に承継される というふうに理解してよろしいわけですね。
  108. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 実態的にそういうことでございます。
  109. 北側一雄

    ○北側委員 それではこの法案に言います「出資持分の適正な価額」、この意味について御答弁をお願いしたいと思います。この意味と、そしてこの適正な価額評価方法、具体的にその価額が確定しておればその金額についても御答弁をお願いしたいと思います。
  110. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 「適正な価額」とは、営団の財務内容から見ての出資持ち分評価でございます。この評価につきましては、六十二年九月に清算事業団資産処分審議会の答申におきまして、当分の間はその売却が予定されておりませんことから、実体財産の裏づけがあり、かつ将来の経済情勢の変化によって影響されるところの少ない、安定性の高い方式である純資産価額方式によることが適当であるとされたところでございまして、その際七千八十八億円と評価したものでございます。  今回の再評価につきましては、最近の首都圏における地価の変動といった事情を踏まえまして、この答申による評価方法と同じ方法によって、その後の資産変動、土地価額、諸物価の変動要素を基礎に土地とその他の資産に分け、総資産評価をし、営団の総員債を引いて純資産額を出し、そのうち清算事業団出資持ち分評価し、九千三百七十二億円としたものでございます。
  111. 北側一雄

    ○北側委員 今も少しお触れになりましたが、六十二年九月に営団に対する出資持ち分評価をなされておりますが、その際の営団所有の土地評価基準は何をもとにして評価されたか、御答弁をお願いします。
  112. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 前回、六十二年九月の評価に当たりましては、土地については六十二年一月時点の公示地価をベースとして評価いたしております。
  113. 北側一雄

    ○北側委員 六十二年一月の公示地価に基づいて土地評価され、営団に対する出資持ち分評価をなされたわけですが、その価格が幾らであったか御答弁をお願いします。
  114. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 土地のみの価額ということでございますか。
  115. 北側一雄

    ○北側委員 いえ、全体の評価でございます。
  116. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 純資産額として七千八十八億円と評価いたしました。
  117. 北側一雄

    ○北側委員 七千八十八億円から、今回の評価によりますと九千三百七十二億円と数年間でかなりの評価増になっておるわけですが、その理由というのは、営団資産評価の中で土地評価額が占める割合が非常に大きい、また土地が非常に高騰したためというふうに理解してよろしいでしょうか。
  118. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 そのとおりでございます。営団資産額の中で五割強が土地評価額で占めておりますので、東京地域におけるその後の地価の変動ということでこのような再評価になったわけでございます。
  119. 北側一雄

    ○北側委員 営団資産の中で土地評価額が占める割合、今回の評価で占める割合というのはどの程度ですか。数値でお示しください。
  120. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 土地とその他の資産に分けまして、土地が大体五〇%強でございます。
  121. 北側一雄

    ○北側委員 今回、営団持ち分に対する適正な価格を算定するに当たりまして、この五割強の営団所有の土地評価基準ですけれども、その基準について御答弁をお願いします。
  122. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 昨年一月の公示価格基準として再評価しております。
  123. 北側一雄

    ○北側委員 そうしますと、最初の質問でございますけれども、今回の法案によって事業団出資持ち分を譲り受ける時期というのは平成三年三月二十九日。にもかかわらず、その評価については昨年の、平成元年というより昭和六十四年一月一日の公示評価。本来ならば、厳格に言えば、出資持ち分の移転の時期における土地評価を厳格にしないといけないわけで、等価関係に立っているわけですから、これが二年余りの開きがあるわけですね。これはどうしてですか。
  124. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに先生御指摘のような考え方もあろうかと思いますが、この措置のように政府へ一括譲渡するというような施策を確立するために、出資持ち分評価額とこれに相当する債務額を確定する必要があり、またその施策の確定と実際の法案等の審議成立を含む時間との間にタイムラグがあります際には、そのタイムラグの間に大幅な事情の変更が見込まれるような場合を除きまして、その施策の実施を折衝しました時点の最新数値によって評価を行う必要が出てまいります。  今回の措置によりまして、一般会計としては、確定された営団出資持ち分評価額もと債務承継時、つまり来年の三月二十九日までの既発生金利も負担する、それから無利子貸付金の据え置き期間を延長する、高金利かつ残存期間の長い債務から承継していく、こういう措置も講じていますので、総合的に考えましてやむを得ないのではないかということで、そういう時間差ということで御理解をいただきたいと思います。その他の点で得をしていると言ってはなんでございますが、一般会計との間においてはいろいろな措置も講じてもらっているということも勘案してお考えいただきたいと考えております。
  125. 北側一雄

    ○北側委員 しつこいようでございますけれども、去年の一月一日の公示価格、ことしの一月一日の公示価格はもう三月の下旬に発表されておるわけですから、せめてこれをもと評価できなかったのか、それが一つですね。  それからもう一点は、ちょっとお聞きしたいのですけれども、法案の二条の二項に今おっしゃった「当該特定債務に係る利子」とありまして、括弧書きで「当該出資持分の譲渡を受ける日以前に発生している利子のうち同日以後に支払われることとされているものに限る。」とありますが、具体的に金額はどの程度であるということは恐らく予定されているかと思いますので、数値は幾らぐらいなのか御答弁をお願いしたいと思います。
  126. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今読み上げられました条項に基づくものは、来年の下半期に発生する利子の支払いが三月二十九日譲渡以降に支払い義務が発生するということで、そういうものは一般会計負担するという趣旨でございまして、大体約四百億円と推定しております。(北側委員平成年度公示価格では無理でしょうかという質問をさっきしましたが」と呼ぶ)  平成二年の公示価格も具体的な資料、データとして出てまいりますのは四月でございますし、実際問題としまして予算折衝を昨年の暮れにやり、またそういう九千三百七十二億円を前提に、他の諸施策と総合的にこの法案を作成して国会に御提出したという時期等を考えまして、また本年度予算ではそれを前提とした国債費も盛り込まれておりますので、事実上この時間差というのは、新たな地価公示額で再評価するというのが難しい時間差になっております。
  127. 北側一雄

    ○北側委員 営団ですので東京都付近の土地が多いのでしょうから、この一年だけを見ればそんなに上がってないのかもしれませんけれども、ただこれはわからないわけで、私の考えでは明年の三月下旬にこれは移転するわけですので、できるだけそれに近い、価格がもう既に出ておるわけですのでそれに従ってやるべきではないかというふうに私は考えております。  事業団特定債務への充当方法、これについてちょっと御答弁をお願いします。
  128. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これは政令で定めることになっておりますが、現在事業団が資金運用部から借りております有利子貸付金、これが全体で五・一兆円ぐらいありますが、その中で金利の高いものから充当するというような形で政令を定めたいと今考えております。
  129. 北側一雄

    ○北側委員 営団につきましてちょっとお聞きしますが、営団の民営化の今後の見通しについて御答弁をお願いします。
  130. 早川章

    ○早川政府委員 帝都高速度交通営団につきましては、昭和六十一年六月の臨時行政改革推進審議 会におきまして「五年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、」その後ということだと思いますが、「地下鉄のネットワークがほぼ概成し、路線運営が主たる業務となる時点において、公的資本を含まない完全な民営企業とする。」こういう答申が出ておりまして、それに基づきまして政府は逐年行革大綱におきましてそのための条件整備等を図る、こういうふうに進めてきておるところでございます。
  131. 北側一雄

    ○北側委員 清算事業団処理すべき債務の償還を円滑に行っていくためには、この事業団所有の土地を周辺の地価に悪影響を与えず、一方で地元の意向をしっかり酌みながらどう処分していくかが非常に大切であると考えます。  それに関連しましてお尋ねしたいと思いますけれども国鉄民営化の際に国鉄所有の土地を各JRや事業団に振り分けた基準、また根拠、これについてお答え願いたいと思います。
  132. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄改革法の十九条に基づきまして運輸大臣が定めた承継基本計画によりまして、旅客会社等は事業の遂行上必要最小限の土地等の資産を引き継ぐことといたしたわけでございます。そして、その残り土地は事業用に不要な土地として清算事業団に引き継がれたということになっております。
  133. 北側一雄

    ○北側委員 簡単に言うと、こういうことですか。各JRの会社に必要な土地については各JRにその所有権を帰属させ、そして必要でない土地については事業団に残したというふうに理解してよろしいですか。
  134. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JRに必要なというのが必要最小限ということでございますので、将来役に立つから空き地でもらっておこうというようなところは除いてございます。
  135. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、この事業団の現在所有している土地で、東は汐留が大きいわけですけれども、東の横綱が汐留でしたら西の横綱は梅田駅の北でございます。両方とも二十ヘクタールほどの土地があるわけなのですけれども、この梅田駅北の土地の問題についてこれからお聞きいたしますけれども、梅田駅北を民営化の際に事業団の所有に残した理由について御答弁をお願いします。
  136. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄が貨物営業を行っておりましたが、他の貨物ヤードと同様梅田北口の貨物ヤードも、このような高価な土地に引き続き存続する必要がないという判断のもと清算事業団に引き継いだものと考えております。
  137. 北側一雄

    ○北側委員 民営化当時のこの梅田駅北の利用状況、そして現在の利用状況についてお答え願いたいと思います。
  138. 石月昭二

    石月参考人 梅田の駅の使用状況につきましては、現在も貨物駅として使用されております。
  139. 北側一雄

    ○北側委員 当時からですね。
  140. 石月昭二

    石月参考人 はい。
  141. 北側一雄

    ○北側委員 ということは、事業団所有と決めた時点から、梅田駅北のJR貨物駅については他に移転する予定であったというふうに理解してよろしいわけですね。
  142. 石月昭二

    石月参考人 梅田駅は極めて資産価値の高い場所に所在しておりますので、将来貨物機能を移転いたしまして処分するという考えでございます。
  143. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、その時点で具体的にどこに移転するか、この梅田駅北の貨物駅をどこに移転するかということについて事業団としてお考えがあったわけですか。
  144. 石月昭二

    石月参考人 梅田駅の移転先につきましては、鉄道貨物輸送の効率性というような観点から、東京、九州その他の地域とを結ぶ重要なポイントである吹田の信号所ということを考えております。
  145. 北側一雄

    ○北側委員 民営化された当時、この吹田の操車場ですか、その使用はどのようになっておりましたか。
  146. 石月昭二

    石月参考人 民営化されました当時、吹田の操車場は信号所として機能しておりました。
  147. 北側一雄

    ○北側委員 吹田操車場は廃止されていたのじゃないですか。
  148. 石月昭二

    石月参考人 操車場といたしましては廃止されまして、信号所として機能しておったわけでございます
  149. 北側一雄

    ○北側委員 吹田操車場が廃止されたのはいつなのか、その理由について御答弁願います。
  150. 石月昭二

    石月参考人 吹田操車場が廃止されましたのは五十九年二月でございます。  また、その理由につきましては、貨物輸送の従来型の連結操作等をやりまして列車を編成して輸送するという方式では非常にコストがかかるということで、操車場におけるそういう列車の組成を廃止したわけでございます。それに伴いまして廃止されたわけでございます。
  151. 北側一雄

    ○北側委員 民営化の当時、既に吹田操車場は廃止されていたわけですね。地元の吹田市は、この操車場の跡に対して当時利用計画を持っていませんでしたか。
  152. 池田本

    ○池田参考人 先ほど申し上げましたように、五十九年二月に操車場機能というものは廃止されることになりましたが、かつて操車場の一部でありました本線等を使いまして信号所機能が残っておったわけでございます。しかしながら、民営化の時点におきまして、それ以前、六十一年の秋でございますけれども事業団とJR各社との用地振り分けの段階で貨物駅機能を梅田から吹田へ移すということになっておりまして、鉄道側ではそう考えておったわけでございます。
  153. 北側一雄

    ○北側委員 私の質問に答えてください。当時地元の吹田市は、この吹田操車場の跡に市として独自の利用計画を持っていませんでしたかと聞いているのです。
  154. 池田本

    ○池田参考人 市としての利用計画を具体的につくられたということにはなっておらないと思います。
  155. 北側一雄

    ○北側委員 利用計画を持っていなかったと言うのですか。
  156. 池田本

    ○池田参考人 当時の状況からは、もちろん市として利用計画があったかとは思いますけれども、表にそれが出ていたということではなかったと思います。
  157. 北側一雄

    ○北側委員 私の聞いた限りでは、当時地元の吹田市は利用計画を持っていたというふうに聞いております。民営化の時点事業団に梅田北の貨物駅を残すに当たって、この貨物駅を吹田操車場の方へ持っていくという計画があった。吹田市は吹田市で独自でこの吹田操車場の跡を利用する計画を持っていた。事業団または事業団以外の機関が、この地元の吹田市とか摂津市とか大阪府との間で、貨物駅を吹田市の方へ持っていきますよという話を当時されましたか。
  158. 池田本

    ○池田参考人 事業団が発足いたしましたのは六十二年四月の民営化以降でございますので、当時はまだ事業団としては物は申しておらないと思います。
  159. 北側一雄

    ○北側委員 吹田市が独自の計画を考えていたにもかかわらず、事業団は吹田市とも何の話し合いもしないで、当時吹田操車場へJR貨物を移転すると考えたわけです。  現在この梅田駅北のJR貨物の吹田操車場跡への移転について交渉が非常に難航しているというふうに私は聞いております。どのような現状にあるのか、お答え願いたいと思います。
  160. 石月昭二

    石月参考人 現在、梅田の貨物機能を吹田に移す問題につきましては、地元の大阪府、吹田市、摂津市、当事業団の四者でもって鋭意協議を進めているところでございますが、貨物機能の移転に伴いましてトラックの出入りが多くなりますので、その取りつけ道路、周辺交通の整理をどうするかというようなことでいろいろ地元と協議を重ねているところでございます。
  161. 北側一雄

    ○北側委員 地元と協議を重ねておられる。具体的にどういう協議を重ねておられるのか、どういうテーブルが設けられておるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  162. 池田本

    ○池田参考人 梅田駅北の貨物駅機能の吹田信号所への移転の問題でありますけれども、現在大阪府、吹田市、摂津市の皆さんと事業団とで構成されております吹田操車場跡地問題連絡会におきまして協議、調整を行っているところでございます。
  163. 北側一雄

    ○北側委員 その連絡会はこれまで何回開かれましたか。また、最近この協議会が開かれたのはいつですか。
  164. 池田本

    ○池田参考人 吹田操車場跡地問題連絡会につきましては、ことしの平成二年一月十八日まで九回行われております。
  165. 北側一雄

    ○北側委員 一番最近に開かれたのはいつですか。
  166. 池田本

    ○池田参考人 ことしの平成二年一月十八日と聞いております。
  167. 北側一雄

    ○北側委員 一月といったらもう四カ月たっているのですね。その間は全然開かれてないわけですよ。  この梅田駅北の処分がおくれておりますのは、地価高騰というふうな土地問題でおくれているわけではないのですね。また、梅田駅周辺の地元問題でおくれているわけでもない。現在梅田駅北を利用しているJR貨物駅の移転という問題で立ちおくれているわけですね。事業団が貨物駅の移転受け入れを希望しているところの吹田市とか摂津市との間での話し合いが難航しているために立ちおくれているわけです。事業団が吹田市等の地元と当初からきちんと話し合いをしていればもっと早くこの問題について進んでいたのではないか、私はそのように考えます。  運輸省としてこの梅田駅北の処分問題についてどのように今後対処されていくか、お答え願いたいと思います。
  168. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに先生御指摘のような問題点が梅田駅北口跡地問題についてはあるわけで、私どもとしても、清算事業団土地を迅速適切に処分していく上においてはこの問題も早期に解決する必要があると考えております。清算事業団におきましては代替地の確保というのが業務でございますから、今のような問題についてできるだけ誠意を持って迅速に地元と協議を重ねるように今後報告を聞きつつ鋭意指導していきたい所存であります。
  169. 北側一雄

    ○北側委員 時間があればもっと突っ込んでやるのですが、地元吹田市等としつかり話し合いの上で解決を速やかにしていただきたいと思います。  次に、国鉄の分割・民営化のねらいの一つというのは、JRの経営基盤を安定していくということとともに、利用者のサービスの向上を図っていくということにもあると考えられます。それに関連してこれからお伺いしたいと思います。  政府は、昭和五十五年三月に国際障害者年推進本部というものを設置いたしました。さらに、昭和五十七年三月に障害者対策に関する長期計画を策定いたしました。同年四月、翌月には障害者対策推進本部を設置して、政府はこの長期計画に沿って障害者対策を推進しております。同本部は、昭和六十二年六月に長期計画の後期重点施策を発表いたしました。さらに、平成元年の九月には後期重点施策の実施状況について発表しております。それぞれ、障害者のための移動交通対策の推進という項目を特別に設けましてその推進を訴えております。  以上、運輸省も十分に御承知のことと思いますけれども、この身体障害者のために、公共交通機関における駅施設の整備充実について運輸省はこれまでどのように取り組んできたのか、御答弁をお願いします。
  170. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、一九八一年の国際障害者年以降、障害者の自立と社会参加という観点から、身体障害者や高齢者が社会生活を営む上での移動手段の確保、そのために行われるべき施策というのが極めて重要であるという認識に立ってございます。  したがいまして、昭和五十六年以降、身体障害のための公共交通機関利用ガイドブックをつくりましたり、また公共交通ターミナルにおける身障害者用施設整備ガイドラインを作成するといつようなことで、それらを基準として交通事業者に対する指導等を行い、所要の施設整備を行ってまいったところでございます。今日におきまして、同様の観点から、なお施設整備に向けて努力いたしておるところでございます。
  171. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、身体障害者のための駅施設整備に関しまして、現在の具体的な進捗状況をお聞きしたいと思います。  東京圏と大阪圏、この両方で結構でございますので、身体障害者用トイレ、それから誘導・警告ブロック、エスカレーター、エレベーター、この四点について現在設置率が何%ぐらいなのかお答え願いたいと思います。
  172. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいま先生御指摘の身体障害者用トイレ、誘導・警告ブロック、エスカレーター、エレベーター、それぞれJRと民鉄別に設置率を申し上げたいと思います。  まず東京圏について申し上げますと、身体障害者用トイレが、JRが一二・五%、民鉄が二一・一%。それから誘導・警告ブロックが、JRが七五・三%、民鉄が八四・五%。それからエスカレーターが、JRが一三・五%、民鉄が四・九%。エレベーターが、JRが四・〇%、民鉄が一・七%。  それから大阪圏でございますが、身体障害者用トイレが、JRが一六・〇%、民鉄が四〇・二%。誘導・警告ブロックが、JRが九八・八%、民鉄が八四・一%。それからエスカレーターが、JRが六・一%、民鉄が一八・三%。エレベーターが、JRが三・七%、民鉄が五・四%。いずれも平成元年三月末現在の数字でございます。
  173. 北側一雄

    ○北側委員 今の数字を聞いてもわかるとおり、非常にまだまだこれからであるというふうに私は思います。  それで、昨年の九月に総務庁が鉄道事業に関する行政監察を行いました。この「結果報告書」によりますと、運輸省に対しまして、「身体障害者用施設については、鉄道事業者に対しその実態を総点検させる」というふうに記載されておりまして、これを受けて運輸省が鉄道事業者に対し、昨年の十一月の末までに施設整備の実態について総点検を行ったはずでございます。この総点検について、具体的にどのような事項について総点検をしたのか、またその結果について御報告をお願いしたいと思います。
  174. 早川章

    ○早川政府委員 先生御指摘の鉄道事業に関する行政監察でございますが、民営鉄道の関係につきまして、言ってみますと身体障害者用施設の整備を促進させるという趣旨から、その実態について事業者をして総点検させろ、こういうことでございますが、総点検を行わせましたのは、エレベーター、エスカレーター、それから斜路、車いすの関係、それから車いす用の通路、点字券売機、点字ブロック、それからチャイム、鈴等、あるいは転落防止さく、身体障害者用便所の数あるいは車いすの常備状況、点字運賃表、点字時刻表、点字案内板、その他というふうな形につきまして、それぞれの駅につきましてどの程度こういうものがそろっているかということを点検させたものでございます。  その結果でございますが、実はそれぞれ大手、準大手、営団、公営、中小、あるいはその鉄道の整備が非常に古いものであるかあるいは最近時点のものかでそれぞれ違っておりまして一概に申し上げることはできませんが、大手、公営、営団等を通じまして、それぞれ例えば、点字ブロックあるいは転落防止さく等は非常によく完備されている。ただし、エスカレーター、エレベーター等は駅施設の大幅な改良あるいは新設等の場合でしかなかなか難しいということで必ずしも進んでいない。  中小等につきましては、まだなお十分ではない、こういうような点検結果であると考えておりますが、今後とも必要に応じまして、事業者を指導してまいる所存でございます。
  175. 北側一雄

    ○北側委員 その結果に基づいてこれはもう鉄道事業者に対して指導しなければ何の意味もない総点検でございますので、その総点検の結果が出てから鉄道事業者に対してどのような具体的な指導をなされたのか、お聞きをしたいと思います。
  176. 早川章

    ○早川政府委員 これらの点検結果というのは私どもに来ておるわけでございますが、御承知のとおり、ただこれは具体的に一々ここをやれというふうに即時的に対応するというのではなしに、私 どもといたしましては、例えば運賃改定の都度、こういう点についてほかの事業者等と比べて不十分であるから十分意を用いるように等の指導の材料としているところでございます。
  177. 北側一雄

    ○北側委員 運賃改定のときまで行わないなんというのは、運輸省として、身体障害者のために駅施設を充実していくということに非常に消極的であるというふうに私は思わざるを得ません。  きのうの五月二十八日付で、近畿管区行政監察局が大阪市に対しまして、「地下街等における安全管理及び利便確保に関する調査の結果」と題しまして報告書を提出いたしております。これは御存じですか。
  178. 早川章

    ○早川政府委員 ただいま先生御指摘の監察と申しますか勧告、鉄道事業者の関係でございましょうか。
  179. 北側一雄

    ○北側委員 そうでございます。
  180. 早川章

    ○早川政府委員 私ども、まだそれを伺っておりません。
  181. 北側一雄

    ○北側委員 出ておりますので、ぜひ取り寄せていただいて勉強していただきたいと思います。その「結果」を読みましたら、大阪の地下鉄の各駅の身体障害者用の施設について、いかに整備がされていないかというのが具体的に挙げられております。ぜひ読んでください。  総理府の障害者対策推進本部から言われるのではなくて、また総務庁のこのような行政監察局から指摘されるのではなくて、運輸省として、駅施設の障害者対策について積極的に取り組んでいるという姿勢を示す必要が私はあると思います。そのためにも、運輸省独自で、今後身体障害者のための施設整備に関する計画をぜひ策定していただきたい、私はそのようにお願いする次第でございます。  もう一点は、障害者用駅施設の案内板を設置するなど、余りお金をかけないでサービスできることがたくさんあるはずだと思うのです。また、健常者ではなかなか気づかないような問題点もたくさんあると思います。運輸省として、例えば主要駅について障害者の具体的要望を吸い上げるアンケート調査を実施するとか、要望を聞く場を設けていくとか、このようなお考えがないかどうか、以上二点お聞きしたいと思います。
  182. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいま先生御指摘の点は、非常に重要な点だというふうに私ども認識しております。  国際障害者年の行われております一九八一年、昭和五十六年以降、ガイドブックの作成とかあるいはガイドラインの作成に当たっては、御承知のように健常者だけではなくて、身体障害者等のいろいろなお考えとか問題点の把握というのが反映できるように、そういった立場でいろいろ御意見も承って、そしてそういうものをつくってきたという過去の経緯もございます。  したがいまして、その後ももちろんいろいろな形でもって施設整備等を図っているわけでございますので、その際に、これまで我々がとってきたのと同様な態度でいろいろな意見を組み上げるように、本日の先生の御意見を十分肝に銘じまして今後とも努力してまいりたいと思います。
  183. 北側一雄

    ○北側委員 最後に一点だけお願いします。  私が今質問しましたのは、身体障害者のための施設整備に関する計画をぜひ運輸省として策定されたらどうですかということをお聞きしているのです。今後、駅施設の整備充実について、運輸省がどのように取り組んでいかれるか、最後大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
  184. 大野明

    大野国務大臣 今日の我が国は、大変高齢者の方も急速にふえてきた、また同時に、一九八一年の国際障害者年以降障害者の方々が自立精神をお持ちになり、そしてまた社会参加というものを求めておられるということはこれまた結構なことだと思います。  しかしながら、こういう方々の移動手段の問題というのが立ちおくれている、というよりも余りにも急速なので運輸省としても今日までいろいろ、先ほど局長から答弁いたしましたが、各鉄道事業者に対して改善するように指導もいたしております。しかし、やはりもう既設の駅舎ということになると、その構造だとかあるいはスペースの面だとか、こういうようなことでエレベーターとかエスカレーター等の設置を心がけながらもなかなかできない、そうなると駅舎全部をやらなければならないとなると今度は財政面の問題もございますし、そういうものを含めて今後運輸省としても考えられるものはやっていきたい、こういう前向きの姿勢で今後とも取り組む所存でございます。
  185. 北側一雄

    ○北側委員 もう質問しませんけれども、この問題につきましては、また次回の機会にゆっくりと質問させていただきたいと思います。それまでに、また発展があるようにお願いいたします。  以上でございます。
  186. 田名部匡省

  187. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 国鉄清算事業団債務処理の問題というのは、政府としても最重要課題の一つという位置づけでやってこられたわけであります。八七年の分割・民営化から三年たちました。ところが、債務は減るどころかふえておる。当初二十五・五兆円だったのが二十七・一兆円、一兆六千万円もふえているわけであります。その理由につきまして政府は、用地売却土地売却土地対策の絡みもあって十分進めることができなかったからだというふうに言われています。この点につきましては、あの国鉄分割・民営化の時点土地売却が既に難しい状況になっていたというふうに私は思うのです。  御承知のとおり、いわゆる中曽根民活ということで、一九八四年以来国鉄用地を含む国公有地の売却が進められました。それが地価の異常高騰の引き金になったということで批判も沸騰したわけであります。八四年には品川の貨物駅跡、あれは四倍の値段がついたというので大変な問題になりました。幾つも挙げることができますが、また八六年には、九段の国鉄職員宿舎跡が約二倍で売却されるというようなことが続いたわけです。  そういう中で、国鉄用地売却自体が地価を非常に引き上げるということと同時に、周辺の地価も引き上げるということが起きまして、国民的な批判が高まりまして、そういう中ではもう国鉄用地売却自体が極めて困難だ、非常に難しいということになっておった、そういう状況だったと思うのですね。ところが政府は、土地売却その他によって解決できるのだ、赤字は解消できる、債務は解決できるのだということを言われて民営・分割を進められた、こういう経過だと思うのです。  しかし、現在三年たちまして結果的にどうかというと、債務は減るどころかさっき申し上げたようにふえておる。そして、今回このような法案を出さざるを得ないという事態になった。私は、これ自体が、政府の進めてこられたやり方に問題があった、矛盾があったということの結果だというふうに思うのです。こういう点につきましてまず運輸大臣に、国民にはこれをやればうまくいくのだよと大いに説明をしてこられたわけですね。しかし、事は政府の説明と違った結果になってきている。債務というのは結局は国民の負担になっていくわけでありますから、こういう点で政府の責任というのが私は問われておるというふうに思うのです。そういう点につきまして大臣はどうお考えか、まずお聞きをしたいと思います。
  188. 大野明

    大野国務大臣 清算事業団債務処理は、国鉄改革におけるところの最重要課題と認識をいたしております。  しかし、当時からこの三年間、やはり地価対策等もございまして売却がなかなか進まないということは残念ではございますけれども、今回の法案をきょう通していただけるのだと思いますから、いずれにしてもそういうようなことと同時に、用地売却につきまして新しい方法論をもって早期債務処理というものができるようにいたしておりますので、御心配いただいておりますけれども、私どもはそれによってなし得ると考えております。
  189. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今申し上げた点、民営化になりましたその年のたしか十月でしたか、緊急土地対 策要綱が閣議決定されまして、そこでもう売却ができないんだというふうになったわけですね、そういう状況だったわけですよ。だから、土地売却によって債務償還に充てていくという手法はとり得ない、スタート時点で既にそういうことだった。私は明らかにこれは政策的な破綻だと言わざるを得ないと思っております。  今回、そういう状況から債務負担軽減を図るということでこの法案が出されておるわけであります。帝都高速度交通営団に対する出資金、これを政府が譲り受けて、それに見合う適正な価額ですか、その分の債務一般会計で引き継ぐ、こういうことでありますが、これも結局は債務の移しかえといいますか、清算事業団の帳簿上は債務数字は少なくなるということでありますが、国民の負担というかかわりで見ますと変わらないのじゃないですか。債務の移しかえにすぎないというふうに私は思うのです。  しかも今、年間発生金利が一兆四千億円と言われておりますが、この状況はまだ当分続くわけですね。そういうこともあわせて考えていきますと、非常に見通しがはっきりしないといいますか、そういうことになってこざるを得ないと思うのです。そういう点についてはどういうふうに考えておられるのか、お聞きをいたします。
  190. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回御審議いただいております法案によりまして、清算事業団が有する営団への出資持ち分を一括政府譲渡するということでございますが、有利子債務に充てることによって清算事業団が現在負っております長期債務のうちの金利の発生をできるだけ抑えていくという趣旨でございますので、金利が金利を生み、長期債務が累増していき、結局それが最後に大きな額となって国民負担に結びつくということを避けるということで、先生が言われますような単なるつけかえというよりは、できるだけ早期に金利の発生を抑え、債務の減少を図るという趣旨と御理解いただきたいと思います。  また、従来、確かに先生御指摘のように、土地処分収入の不足によって金利が消化できずに債務全体が累増してまいりましたが、今年度から、本法案が成立いたしますれば、営団政府一括譲渡による収入九千三百七十二億円を初め、またいろいろ新たな地価の不顕在化法による土地処分により、また土地についての従来の基盤整備、さらには都市計画等もようやく四年目にして整ってまいりました関係もあり、土地処分収入も一兆円を確保できる見通しが立ちましたので、従来の新幹線保有機構に対する債権の収入一般会計からの補助等を含めて、今年度は金利を抑え、かつ債務そのものも初めて減少する。二十七・一兆という平成年度首債務平成年度首には二十六・二兆円まで減少させることができるというような見通しを持っておるところでございます。
  191. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 何しろ債務が巨大でありますから少々のことでは追いつかないといいますか、焼け石に水といいますか、そういう深刻な状況にあるというふうに私は思うのです。大臣もおっしゃったのですが、今おっしゃった土地の新しい処分方式の問題、これは新しい処分方式等導入によって平成年度において一兆円の収入を得る予定と言われておりますが、今年度やられるのは不動産変換ローンという手法だと聞いておりますが、これにつきましてどういうふうにするものか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  192. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 一兆円の土地処分収入の予定のうち、その約五割については不動産変換ローン方式による新たな処分方式を予定しておりますが、これは清算事業団が既に出資会社をつくっておりますレールシティ東開発、西開発、そこが将来土地処分権を得る、土地処分権に転換するという前提の、そういう予約権つきの低利のローンを受けましてそのローンで清算事業団から土地を買う、土地を買った上でビル、建築物等を整備して付加価値がついた上で土地処分権をローンをした当事者に譲渡する、これは複数になると思いますが、複数業者に共有権として譲渡する、こういう方式地価顕在化させず、かつ付加価値がついた段階での価額を考慮した有利なローンで処分できる、こういう考えでございます。
  193. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きょう何か別のところで会議もやられているようですが、その処分される対象の予定地がどこかということと、レールシティが開発を進めるということでありますが、金額的におよそどの程度開発のプロジェクトになるのかというあたりはいかがですか。
  194. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 場所につきましては新宿の中央鉄道病院の旧庁舎の跡地、恵比寿駅前の用地、名古屋の赤萩宿舎跡地、梅田の、先ほど北口の話が出ましたが、反対側の南口の跡地、この四カ所を今年度は予定しておりますが、これがどの程度処分できるかという具体的な数字については、これからのローンのいろいろな設計コンクールのような形での決定等を通じて決まりますので、そういうことに予見を与えないためにも申し上げられませんが、先ほど全体で一兆円で、その約半分ぐらいが不動産変換ローンというような感じで御理解いただければと思います。
  195. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 事業団の出されたこの「「不動産変換ローン方式」について」という説明文書によりますと、この変換ローン方式は「土地売却したのと同程度収入を確保できることを前提としたものである」ということになっておりますから、全体で四カ所で五千億というとおおよその見当もつこうということだと思うのですが、いずれにしてもそれに上物を建てていくということでありますからこれは相当な金額になりますね。長期低利の融資ということでありますが、どういうところが融資をしてくれそうだといいますか、応募しそうだというふうにお考えでしょうか。
  196. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 まさに今言われましたように相当な規模のローンになりますので、そのようなローンができる資力、信用を有する者ということになり、かつまたその金額、公平性を期すということから複数の共同融資という形になろうかと今考えておりますが、具体的にはこれからそういう手続をやって、ローンの対象者を選定していくということに、今年度いっぱいかかってなるものですから、どういう事業者ということは今ちょっと申し上げられない時点でございます。
  197. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 国鉄国会の論議でもあったと思うのですが、用地売却に当たっては公明正大、公正性を確保するということから一般競争入札、これを原則とするんだという考え方できたわけですね。その点の公明性、公正性の保証、それは今回のこの方式ではどういうように確保されるというお考えでしょうか。
  198. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 まだこれから検討する段階でございますが、土地信託方式で行われましたように、幾つかの応募の中から、審査会を設けて、最も清算事業団にとって有利な者、また当然審査基準には資力、信用のある者等応募者の資格要件も必要でございますが、そういった形で公平さを確保することになろうかと思います。
  199. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の答弁では少しはっきりしませんが、もう一つこれに関連して、レールシティが計画を立てるということになっておりますが、莫大なお金を融資してするわけですから、その融資をする、これは恐らく企業になりますね。その意向というのがあると思うのです。それがやはり反映される仕掛けといいますか、そういうものもできていくことになるのじゃないかという気もするのです。  レールシティが非常に有能多才で、飛びつくようなプロジェクトをつくって指にとまるということだけではなくて、将来的には融資をした企業が区分所有で土地と建物を持つわけですね。ですから、出すからにはこういうものにしてもらいたいとか、そういうことにもなっていくのじゃないかと思うのですが、そのあたりはどうお考えでしょうか。
  200. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 当然融資する事業体の意向も尊重することにはなると思いますが、同時に清算事業団用地の活用というようなことで不適当なものに活用されないような条件はつけることになると思います。
  201. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題は、そういうように考えていきますと、一般競争入札方式による従来の売却ができなくなったということから、地価顕在化させない方式ということで編み出されてきたという側面がありますが、同時に今お聞きしたような流れで実際に展開されていくということになりますと、結局長期低利の巨額の融資が可能な投資家、これは恐らく金融資本とか大企業になると思います。そういうところに、しかも対象に挙がっている用地はいわゆる一等地ですよ。そういう一等地を大企業に譲り渡すということになるのではないですか。
  202. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団用地は、今申し上げました不動産変換ローンの対象用地だけではございませんで、現に中央学園用地のように地元随意契約売却するものもございますので、それぞれの用地の立地、機能、規模等に応じていろいろな目的に活用されているわけでございます。この不動産変換ローンの対象地というのは商業地に立地するので、将来商業施設で活用されるような目的に使われるとは思いますが、もちろん全体的に都市計画、地域開発計画と矛盾しないような活用方法というような条件のもとにこの処分を進めていきたいと考えております。
  203. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 時間が迫ってまいりましたから結論的に申し上げますけれども、いろいろ言っておられますが、今の問題は結局は、これは国民共有の財産とも言われておりますが、国鉄の一番の一等地を、今大企業は新たな土地が欲しくてもいろいろな地価問題関係で入手困難ということがあります。そういう状況の中で、別の方式で建物も含めて大企業に国鉄の一等地を譲り渡す、出資者の希望を入れる形で渡していくという結果になるということで私は非常に問題があるというふうに思っております。  それからまた、さきの営団関係のことですが、これも基本的には移しかえにすぎないと私は思うのですね。国民負担軽減には即にはつながらない。しかもざっと九千億円引き上げて、そっくり返すかというとそうじゃないわけですね。一般会計ではそれを段階的に返していくということでありますから、そのことによって利子が減るとも言い切れない。そういう問題もございますから、やはりこの点でも債務返還の抜本的な解決にはならないというふうに言わざるを得ないと思っております。  最後に、大臣に要望したいわけでありますけれども、いろいろな経過があって分割・民営化が進行いたしました。結局、国鉄に過大な投資をやってきた結果の債務清算事業団に大部分かぶせる、あるいは労働者の人減らしをするというふうなことをやりまして、JRは黒字、黒字という状況になってきているわけですが、これは言葉をかえて言いますと、国民の巨額の負担と労働者と家族の涙の上に今のJRが走っているといってもいいような側面もあるわけですね。  そこで大臣に要望したいのは、三月の時点で私も大臣に要請に参りました。清算事業団職員の雇用問題ですね。大臣最後まで努力をするとおっしゃったのですが、一千名以上の労働者が解雇されるという事態になったわけです。この人たちは今非常に深刻な状況にあるわけですね。私も直接多くの方にお会いしてお聞きしましたが、本当に鉄道員、ぽっぽ屋さんであることに誇りを持って、家族ともども国鉄を支えてきたという方々ですね。ですから、ぜひともこういう人たちが好きな国鉄で働けるように、三月末で終わったんだということではなくて、運輸大臣に引き続き御努力をいただきたい。それがやはり一人も路頭に迷わせないと約束した政府の立場でもあろうかと思います。その点、大臣の決意をお聞きして終わりたいと思います。
  204. 大野明

    大野国務大臣 ただいまの御意見は十分承っておきます。
  205. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  206. 田名部匡省

    田名部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  207. 田名部匡省

    田名部委員長 これより討論に入るのでありますが、先ほど理事会の協議により討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 田名部匡省

    田名部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 田名部匡省

    田名部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  210. 田名部匡省

    田名部委員長 次回は、来る六月五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会